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1950-02-22 第7回国会 衆議院 建設委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月二十二日(水曜日)     午後一時四十五分開議  出席委員    委員長 淺利 三朗君    理事 内海 安吉君 理事 江崎 真澄君    理事 田中 角榮君 理事 上林與市郎君    理事 砂間 一良君 理事 笹森 順造君       井手 光治君    池見 茂隆君       大西  弘君    押谷 富三君       瀬戸山三男君    西村 英一君       三池  信君    前田榮之助君       八百板 正君    増田 連也君  出席国務大臣         建 設 大 臣 益谷 秀次君  出席政府委員         建設事務官         (大臣官房会計         課長)     植田 俊雄君         経済安定事務官         (建設交通局次         長)      今泉 兼寛君  委員外出席者         議     員 庄司 一郎君         建 設 技 官 米田 正文君         総合国土開発審         議会委員    飯沼 一省君         専  門  員 西田 正倫君         専  門  員 田中 義一君     ————————————— 請願  一 阿武隈川下流改修工事施行請願庄司一    郎君外二名紹介)(第二号)  二 釜房ダム設予定地拂下げ請願庄司一    郎君紹介)(第四号)  三 佐世保市内進駐軍用地買上げに関する請    願(北村徳太郎紹介)(第二〇号)  四 浜田、広島両市間の県道国道編入の請    願(山本利壽君外二名紹介)(第三〇号)  五 進駐軍関係従業員待遇改善に関する請願    (加藤充君外二名紹介)(第三六号)  六 墨田区錦糸町ドック埋立請願淺沼稻次    郎君紹介)(第四九号)  七 災害復旧費増額請願降旗徳弥紹介)    (第一〇六号)  八 接収建築物に関する請願岡野清豪君紹    介)(第一〇八号)  九 接収住宅等の借上料増額に関する請願(苫    米地義三紹介)(第一〇九号) 一〇 海門橋架設請願山崎猛紹介)(第一    一八号) 一一 四日市、敦賀間道路開設請願外一件(田    中啓一君紹介)(第一二一号) 一二 新旧北上川治水工事促進請願内海安吉    君外一名紹介)(第一二二号) 一三 女川、志津川間県道国道編入請願(    内海安吉君外一名紹介)(第一二四号) 一四 阿武隈川下流改修工事施行請願庄司一    郎君紹介)(第一二六号) 一五 庄野町、神辺村間の国道二号線開設工事促    進の請願水谷昇君外一名紹介)(第一二    三号) 一六 球磨郡下の災害復旧費国庫補助請願(福    永一臣紹介)(第一三二号) 一七 埼玉県下の国道四号線改良工事促進請願    (古島義英紹介)(第一三三号) 一八 測量現業員測量士資格付與請願(塚    原俊郎紹介)(第一三五号) 一九 兵庫県下の河川改修工事施行請願(吉田    吉太郎紹介)(第一四〇号) 二〇 久慈川上流ダム築設の請願圓谷光衞君    紹介)(第一四一号)     ————————————— 本日の会議に付した事件  災害復旧予算に関する件  国土開発に関する件  建設行政に関する件     —————————————
  2. 淺利三朗

    淺利委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。本日の日程には建設行政一般に関するものが出ておりますが、特に災害復旧予算に関して検討いたしたいということで質疑の申出があります。この際災害復旧予算に関する件を日程に追加するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 淺利三朗

    淺利委員長 御異議がなければそういたします。よつて本日の日程に追加せられました。  これより災害復旧予算に関する件を議題といたし審査を進めたいと思います。通告によつて当局に対する質疑を行います。瀬戸山委員
  4. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 特に日程を追加していただきましてまことに恐縮でありますが、かねて本委員会におきましても、また日本災害住民が重大なる関心を持つておりますところの昭和二十五年度災害予算支出方法について、ちようど大体の方針がきまりそうな時期にありますので、平素から関心を持つております本委員会としては、この際これを大きな問題として取上げなければならない。かような考えから時間をさいていだだいたわけであります。災害復旧予算のことにつきましては、たびたび論議を鬪わし、また意見も発表いたしておるのでありますが、私がこの際安本当局にお尋ねいたしたいというのは、かねてから申しておることでありますけれども昭和二十五年度災害復旧予算を、いわゆる認証制度によつてどういうふうに支出する考えであるかということであります。  御承知通りに私から申し上げるまでもないことでありますが、公共事業費の配分は、いわゆる認証制度によつて三箇月以内分、つまり四半期ずつにわけて支出するということが原則にはなつておりますけれども日本現状におきまして、災害が累年増加されておるということは御承知通り。しかもその増加されておるところの災害を、ただちに復旧することができない哀れな状態も御承知通りであります。しかも昭和二十五年度においては相当程度増額を見てはおりますけれども、それでも千六百億に近いという災害復旧に対しては、まことに微々たるものであります。これを急速に今日ただいま支出いたしまして、完全にこれを直しても、なおかつ残り災害部分が多いという現状でありますので、本年度災害予算については、認証制度があるにはありますけれども認証制度全額についてほかに議論があります。この際昭和二十一年のような経済状態のもとで計画的にやろうというようなこの認証制度そのものが、今日は経済上の情勢変化、さらにその他物資、資材、労力の変化等によつて、こういうものはいらないという議論が、すでに予算委員会で取上げられて、正式の問題になつておりますが、これは別問題といたしまして、この制度の範囲内において、すみやかに第一・四半期においては、少くとも五割ないし六割の支出をいたして、緊急に、しかも雨季の前にこの災害復旧をやるべきであるということを、たびたび当委員会において安本当局大蔵当局、もちろん建設当局に対して意見を述べ、さような御見解であるということを承つております。ところが、最近の情報でありますから、確実なところはわからないのでありますけれども昭和二十五年度災害復旧は、第一・四半期において三〇%前後というような情報が入つております。しかもこれは近々に確定されるべき段階にある、こういうように承つております。そういうことでは日本全国災害、国全体と申してよいのでありますけれども国民のほんとうの熱望を蹂躪するものである。今年の災害復旧予算全額この際使つても、繰返して申しますが、まだ災害を未然に防ぐことは絶対不可能であるのに、その四分の一程度を第一・四半期支出する、第二・四半期にはほとんど仕事ができないことは、御承知通りであります。すでに雨季に入つて仕事もできないし、しかも第一・四半期に四分の一程度のものをやつて、それを第二・四半期雨季に押し流してしりう、そういうばかげた金の使い方はこの際やるべきでないと思うのでありますが、ただいま申したような状況である。これは日本の現在の財政経済状態から申して、また日本国民希望から申しましても、きわめて蹂躪されたような感じを私は持つておりますので、現在どういう状態にあるか。昭和二十四年度でさえもこれは府県土木関係だけを申しますが、第一・四半期が四二%、第二・四半期が三二%、第三・四半期が一九%、第四・四半期が七%、これでも不満足でありますけれども、まずまずというような支出状況でありますが、本年度はまだこれより下まわるというような情報であります。そういうことでは私どもはとうてい満足することはできないのであります。少くとも第一・四半期に六〇%を支出する必要がある、さらに残りは、少くもと出水期前に今年の予算は全部を使用して、来るべき災害最低限度に食いとめなければならぬということが、予算委員会第二分科会報告書にちやんと載つておる。こういう状態でありますのに、先ほど私が申し上げたようなことでは相済まないと思いますので、現在の状況、場合によつて国会としても、国民の立場から、それぞれ関係方面にも当らなくてはならないのではないかとも思いますので、率直にこの際実情を御当局からお話をしていただくことと、当局としての今後の見通し、また当局としての熱意のある程度を、はつきりここで御言明を願いたいと思います。
  5. 今泉兼寛

    今泉政府委員 公共事業費四半期別認証の問題につきましては、ただいまお話もありました通り、根本問題として、この予算総会の方で先般来取上げられまして、認証制度を設けた事情と今日とでは情勢も大分かわつている。一つは、一昨年あたり資材関係、セメントとか、木材とかいつたものが非常に不足した状況なので、ちよつとこれを早急に一度にやろうとしても、なかなか資材が伴わないじやなかろうかというような点と、それから御承知通り、資金も歳入と歳出とのアンバランスといいますか、歳入が非常に遅れているということで、一年の予算としては確定しても、実際の金を出す面においては歳入関係が遅れるというために、四半期ごとの円滑な支出ができない。それとインフレを防止するというような見地から、御承知通り、今財政法では支出負担行為というような点で、四半期ごと計画を出さなくてはならぬ。また四半期ごとにやつている状況になつておりますが、そういう原因から、この認証ないし財政法の諸規定ができているわけでございますが、大分情勢もかわつて来たから、この際根本的に認証制度について考えてもらえぬか、こういうお話もありまして、われわれといたしましても、しごくもつとものことであるということを——実は昨年あたりからだんだんそういつた点に情勢がなつて参りましたので、私どももそのつもりで、関係方面と従来ずつとその点の交渉もしているのでございますが、この認証制度には関係方面の方では、われわれが考えているのとはかなり違つた前提も持つておりますので、一挙にこれを全廃するという問題までは、なかなかこぎ着けがたいのではなかろうかと存じておる次第であります。この認証が今四半期ごとにやつているものが、上と下の二期ぐらいになるというようなことでもなりますれば、今お希望のような点も、自然とそこから解決される問題でありますが、その点がどうしてもわれわれの希望通りにならなかつた場合には、やはり四半期ごと認証という制度が依然として置かれることになりますので、まだその根本問題の最後的な折衝は終つておりませんけれども見通しといたしましては、この認証制度を全廃するとか、あるいはこれを二期にするということは、なかなか至難な状況にあるじやなかろうか、こういう見通しを持つております。従つてわれわれといたしましても、従来のように金を出したが、資材関係が出まわらぬために工事ができないという情勢であれば、その面からいくら金を出しても制約されるということで、事実工事ができないことになるのでございますが、最近の状況で、資材関係等はあまり心配がいらぬ、むしろある面においては有効需要を喚起するために、金の方は早く出してやるという必要も起きているという情勢になつておりますので、私どもといたしましても、公共事業費全般について、なかんずく災害復旧関係は、今御指摘になりました通り、台風の来る以前において過年度災害はできるだけ工事を完了したい、こういう趣旨から考えまして、できれば一、二・四半期でできるだけ多くの工事を完了したい、こういうふうに考えておりますので、目下関係方面に対しましては、かりに四半期認証が依然として残るといたしましても、特に第一・四半期においては、できるだけ多額の認証を認めてもらうように交渉中でございます。昨年もかなりその点も力説いたしまして御了解願つたわけでありますが、今御指摘のように、昨年の第一・四半期に認められたものよりは下まわることは断じてないと思います。われわれといたしましては、昨年よりもさらに多くの認証を認めてもらうように、目下交渉中でありますが、まだ予算もきまつておりませんので、正式の話合いまではなつておりませんけれども予算関係国会の方で御審議願つておいおい確定すると思いますので、それと並行いたしまして、なるたけ多く第一・四半期で出すように、関係方面交渉したいと考えている次第でございます。
  6. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 ある程度希望の得られる言明でありましたが、私はまだそれでは安心が相ならない。昨年度の第一・四半期よりも下まわるようなことはなかろうというお話で、まことにけつこうであります。ところが、私が仄聞した災害復旧予算につきましては、それよりも下まわる数字が、現在やはり論議されている。私ははつきり出所確めたわけでもないし、資料を見たわけでもないので、あえて数字を申し上げませんが、さような情報を得ておるのであります。そこで次長にお尋ねしたいのは、現在昨年度よりか下まわることはないと言われるが、どのくらいの第一・四半期仕事をしたいということで折衝しておられるか。それが必ず責任を持つて実現せられる見込みがあるかどうか。ないとなりますれば、先ほども申し上げましたように、本委員会においては——委員会のみならず、これは全国会議員、全国民気持でありますから、たださようでござるかと言つて引下がるわけには行かない、かように考えますので、最後に、こうなりましたからもうしかたありませんということでは困ります、ですからその点もう少しつつ込んでお話願いたい。
  7. 淺利三朗

    淺利委員長 ちよつと速記を止めて。     〔速記中止
  8. 淺利三朗

    淺利委員長 速記を始めて。
  9. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 ただいま内情をうがつたお話がありましたがしかしそんないらない話なら初めから何パーセントだということの話、——それが元になつて問題になるのだと思います。そういう点は私ども折衝当局ではありませんから、こまかいことは知りませんが、現にそれをやつたりとつたりいたしておるのでありまして、それが下話であつて何らとるに足りないということでありましたならば、そういう下話は弊害があるのじやないかと私は思います。それと同時に、工事がそんな金を出したらできないじやないかというようなことは、それはまあお考え方はいくらもありましようけれども、現在もうのどから手が出るようにみな待つております。去年の補正予算でやりました金では、ほとんどとるに足りない金でありましたので、それ以上の工事をどこでもやつておる。今日金が来てそれを使い切らないというような状況ではありません。しかも先ほど少し工事をやり過ぎて困つた県が二、三あると言う、これも事実でありましようが、今日府県財政がきわめて困難いたしておりますけれども請負業者に対しても犠牲を拂わせて、それをどうしてもやらなければならないということ、災害はきわめて深刻な実情であるということ、これはまあひとつ折衝の材料にでもしていただきたい。金が出たら工事ができないだろう、じようだんではございません。さらにまたそれくらいの金よりも何パーセント、何十パーセント上まわつて、だれが好んでそういうことをやりますか。それをやらなければ住民の生きる道がない。日本生産力が低下するという重大なる岐路に立つておりますから、県当局は苦心さんたんして、さようにない金をしぼつてもやつております。また各請負業者に全部任して、しかも各地方農協あたりの金をさらけ出しでしまつて、それをやつている。これはまあ先ほど次長お話しになりましたから、認証制度の根本問題は言いません。非常に金が遅れておつて、すべての関係者が四苦八苦しているという状況は、私が言わなくても御存じであろうと思いますから言いませんが、今言われたようなインフレになるとも、二、三十億の金で日本インフレになるとは私どもは思いません。そういうあなたのりくつじやないと思いますけれども、ひとつこれはたしかに国全体の希望でありますから、そういうおつもりで、今日やつていることはこれは何でも意味がないものであると言われるならきわめてけつこうであります。今後意味のある折衝のときには、そういうおつもりで、もし情勢が悪かつたら当委員会においても予算委員会においてもかまいませんから、連絡をして、万遺憾なきを期していただきたいということを要望いたしておきます。
  10. 淺利三朗

    淺利委員長 ほかに御質疑ありませんか。——それでは災害復旧予算に関する質疑はこの程度に止めます。
  11. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 委員長ちよつと要望いたします。この災害復旧費のことは、もつと申し上げたいことはあるのですけれども、大体皆さんわかつているわけです。だから委員長におかれてもこの推移については、当局ともよく連絡鞭撻願つて、どうかひとつ委員会——委員会ばかりではありません、本委員会は常にそういう気持で皆様おられるわけでありますが、現在全国災害住民が願つていることでありますから、委員長においても、常に鞭撻督励されまして、この要望を達せられるように御盡力をお願いいたしたい。と同時に予算委員会においても本委員会連絡があると思いますが、よく連絡協調していただきまして、目的を達成いたしますようにお骨折りをお願いいたしたいと思います。
  12. 淺利三朗

    淺利委員長 委員長においては終始その点については連絡をいたしておるのであります。御趣旨は了承いたしました。     —————————————
  13. 淺利三朗

    淺利委員長 それでは次に国土開発に関する件を議題といたします。  この際提出を予定せられております国土開発法案に関して総合国土開発審議会飯沼委員より、その後の経過について説明を聴取いたしたいと存じます。飯沼説明員
  14. 飯沼一省

    飯沼説明員 この前総合国土開発審議会から総理大臣あてに答申いたしました要綱につきまして、御説明を申し上げたのでありますが、さらにその後各地方実情を見ますると、地方計画と申しますか、国土計画と言いますか、国土開発に関する熱望がだんだんに盛んになつて参るように思われますので、国土開発審議会といたしましても、さらに研究を進める必要を認めまして、これをさらに具体的なこまかい問題にまで立ち入りまして、研究を進めて参りまして、一応一つ法律案のような形にこれをまとめ上げたのであります。その大体を今日ここで御説明を申し上げたいと思うのであります。  お手元に差上げた法案要旨を御説明申し上げます。一応それを読み上げながらお話をして参りたいと思います。  第一、これはこの前も説明申し上げました要旨と根本の精神においてはかわりはございませんが、こまかいところで多少名称等につきまして変更がございましたので、その点を項を追いましてお話を申し上げたいと思います。    国土開発法案要旨  一、目的    国土開発及び保全に関する関係行政機関及び地方公共団体施策調整を図り、国土の総合的な発及び保全を促進することを目的とする。これは前回に申し上げたことと同様であります。  二はその後多少名称等につきましていろいろ検討いたしました結果、かように今回は改めましたが、その趣旨前回に申し上げたのと同様であります。  二、国土開発委員会議設置及び任務    内閣の所轄の下に、国土間発委員会議設置する。    国土開発委員会議は、左の任務を行う。    (一)国土開発及び保全に関する関係行政機関施策総合調整を検討審議すること。    (二) 国土の総合的な開発及び保全に関する基本計画国土開発計画)を調査立案しその実現を推進をすること。    (三)都道府県の立案した都道府県開発計画及び地方開発計画審議採択すること。     〔四〕 前各号に関し、その結果を、内閣関係行政機閣の長又は地方公共団体勧告すること。こういう任務をこの国土開発委員会議が持つわけであります。  三、内閣国会に対する報告内閣は、国土開発委員会議勧告を受けとつたときは、国会に報告しなければならない。  四、関係行政機関の長が国土開発委員会議意見をきかなければならない場合関係行政機関の長は、国土開発及び保全に関する施策が、次の各号の一に該当するときは、内閣総理大臣を通じ国土開発委員会議意見をきかなければならない。    (一)関係行政機関の間で、又は地方公共団体との間でその施策に関する意見が一致しない場合    (二)国土開発委員会議勧告に拠ることができない場合こういう場合には国土開発委員会議意見を聞かなければならないということにいたしてあります。  五、内閣総理大臣指示内閣総理大臣は、その必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、国土開発委員会議勧告を尊重してその施策を行うよう必要な事項を指示することができる。  六、都道府県開発計画及び地方開発計画都道府県は、各都道府県区域により、又はその協議に基いて、数都道府県にわたる地方区域により、都道府県又は地方の総合的な開発及び保全を図るため、これに関する基本計画都道府県開発計画又は地方開発計画)を立案し、その実現を図らなければならない。   七、都道府県開発計画又は地方開発計画の採択    都道府県知事は、都道府県開発計画又は地方開発計画と国の施策との調整を図るため、国土開発委員会議審議を求めることができる。    国土開発委員会議は、これを審議し、これを採択し、三の(四)に従つてこれを内閣又は関係行政機関の長に勧告する。  それでありますから、前回の答申におきましては、都道府県なり、あるいは地方に設けられました、審議会が、都道府県開発計画または地方開発計画を立案するような建前にいたしておりましたが、今回の案ではそれよりはむしろ都道府県知事がこの計画を立てまして、そうして、この委員会議審議を求めるということに改めたのであります。  八、地方設定及び地方開発計画の優位    都道府県は、その協議により、自然的又は経済的社会的に一体を形成する地域で数都道府県にわたる地域地方として設定することができる。    内閣総理大臣は、その必要があると認めるときは、関係都道府県に対し地方設定勧告することができる。原則としては都道府県がその協議によつて自発的にこういう特定地域について一つ地方設定することができる建前にいたしたのでありますが、それが実現できないような場合には、内閣総理大臣がこれを勧告することができるというのであります。   地方を形成した都道府県都道府県開発計画は、地方開発計画に適合しなければならない。それに従つた計画を立てるべきであつて、これに矛盾したような計画は立てることができないということであります。  九、都道府県開発委員会及び地方開発委員会設置    七の任務を遂行するため、都道府県は、都道府県開発委員会を、及びその協議により、地方に、地方開発委員会議(何れも地方公共団体機関)を設置する。  十、特定地域    内閣総理大臣は、国土開発計画   (都道府県開発計画及び地方開発計画を含む。)に基いて、左のような地域特定地域として指定し、その総合的な開発及び保全を一段と促進させることができる。    (一)未開発資源地域    (二)後進地域    (三)災害防除のため特に必要な地域    (四)特別に建設又は整備を必要とする大都市又は地方都市地域    国は、特定地域において、地方公共団体国土開発及び保全のために行う事業の経費を特に負担するため、従前の負担区分の特例を設ける等の必要な措置を講ずることができる。こういう字をこの中に加えたらどうであろうかということであります。それから  十一、国土開発委員会議組織国土の総合的な開発及び保全に関し深い識見を有し且つ公正な判断をすることができる者のうちから、国会の同意を得て、内閣総理大臣の任命する七人の委員及び職務上当然就任する一人の特別委員で組織する。前項の特別委員は、安本長官とする。第一項の特別委員のほか十人以内の特別委員を置くことができる。委員の任期は、六年とする。会議に事務局を置く。というのが国土開発委員会議の組織でありますが、さらに地方委員会議都道府県委員会議を設けるのでありますが、それが第十二として上げておりますように、  十二、都道府県開発委員会議及び地方開発委員会議の組織都道府県開発委員会議の組織等は條例で、地方開発委員会議の組織は、関係都道府県協議によりその規約でこれを定めるものとする。こういうことにいたしたのであります  それから十三に定義としてあげておりますように  十三、定 義    国土開発及び保全に関する行政機関又は地方公共団体施策とは、左の事項に関する事業の施行及び許可認可又は補助交付等の行政処分をいい、国土開発計画都道府県開発計画及び地方開発計画を含む、)とは、左の事項のうち国又は地方公共団体施策に属すべきものに関する総合的な計画で、その施策の基本又は基準となるべきものをいう。    (一)土地並びに水の利用及びその調整に関する事項、    (二)治山、治水その他災害の防除に関する事項、    (三)都市及び農村の規模及び配置等に関する事項、    (四)交通、発電等重要な公共施設に関する事項、  お手元に差上げてあります法案要旨として、要約しますとただいま申し上げたような趣旨になるわけであります。立法化を促進させていただきたいということを、審議会としては総理大臣あてにさらに要望をいたしておるような次第でございます。
  15. 淺利三朗

    淺利委員長 ただいまの御説明に対して御質疑ありませんか。
  16. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 簡單に……。  立案されました方々のお気持を、こまかい問題は別問題として、この開発法案の第四條でありますが、「内閣総理大臣は、この法律の目的を達成するために必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、国土開発委員会議勧告又は意見を尊重してその施策を行うよう必要事項を指示することができる。」こういう規定をするのは法律によつて内閣総理大臣が必ず権限を與えるということになるのでありますが、内閣法の第六條、「内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基いて、行政各部を指揮監督する。」あるいは第八條の「内閣総理大臣は、行政各部の処分又は命令を中止せしめ、内閣の処置を待つことかできる。」こういうふうになつておるようでありますが、それとこれとの関係はどういうふうにお考えになつて立案されたのでありますか。
  17. 飯沼一省

    飯沼説明員 第四條の内閣総理大臣の指示については、大体において現在ただいまお引きになりました内閣法の精神と同じことを考えておるつもりでありまして、これによりまして特別な例外を規定したつもりはないのでございます。大体この法律ではこの程度のことを規定いたしまして、あとの手続等は内閣法によるべきものと考えております。
  18. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 第五條の国土開発委員会議の委員でありますが、これは国会の同意を得まして、内閣総理大臣が任命する七名、これが委員でありまして、そのほかに特別委員として安本長官、そのほかにさらに第五項に国会議員云々ということが書いてあります。そうしますれば第一項のいわゆる開発委員会議の委員には国会議員は入らない、こういうお考え方のように承るのでありますが、それはどういうお考え方でさようにされておるか。さらにもう一つは特別委員というのは、どういう職務権限と申しますか、立場でこの審議会におるのであるか、こういう点をひとつ立案された気持を承りたいと思います。
  19. 飯沼一省

    飯沼説明員 第五項の特別委員のうちには、お話通り会議員のうちから、国会の指名したものが特別委員になる場合もありますし、またそのほか関係行政機関の職員及び学識経験のある者のうちから特別委員になる者もありますことは、ここに書いてある通りであります。それから第一項に書いてあります委員の方は、これは特別にどういう資格の人ということはあげてありませんけれども、ここにも書いてあります通り「深い識見を有し且つ公正な判断をすることができる者のうちから」というのでありまして、場合によりましては、国会議員の方々もこの七人の委員のうちに実際の運用といたしまして加わることができるのであります。そういう趣旨と御了承願います。
  20. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 こまかいことを申してまことに申訳ないのでありますが、法律に書かれてあります文面から見ますれば、第五條の第一項の委員には国会議員は入らないのじやないかというふうにうかがわれる。私は何も国会議員を入れるからいいとか惡いとか、言うのじやないが、第五項に特に「国会議員のうちから」云々とありますので、第一項のいわゆる七人の委員のうちには、これは入らないものであるというお考えで立案されておる、私はこう見ております。それについて何か意味がありますれば、別にさしつかえないのでありますから——どもこの法律案については、相当な関心を持つて自分でもやつておりますから、御意見を承つておきたいというのであります。  それと第一項の七人のいわゆる開発委員会議の委員、これが議決の権限を持つておるのであつて、第五項の相当数のいわゆる特別委員は、これは別に議決権を持つておらないのだと私は解釈しておりまするが、それについての理由を承つておきたい。かように考えます。
  21. 飯沼一省

    飯沼説明員 お話通り議決権を持つておりますのは、第一項の委員だけであります。第五項の特別委員は議決権を持つておらぬ。こういう建前趣旨であります。  それから第一項の委員のうち、国会議員が入らないのではないかというお話でありますが、それはこの立案の趣旨といたしましては、決してそういうわけではないのでありまして、実際の運用の問題として、国会議員の方が、この委員になられることを、決してこの法律は予期しておらぬというわけではないのでありますから、その点はどうぞ御了承を願いたいと思います。
  22. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 それからただいま條文のどこということがはつきり指摘することができないで、まことに失礼でありますが、国土開発委員会議には、関係行政機関の長並びに都道府県の知事、その他の国土開発に関します行政手続について干渉と申しますか——條文を見出さないのですが、そういう規定があるのでありますが、これは国土開発委員会議があまりに行政権を拘束する結果になりはしないか。もう一つ言いかえますれば、別にねらいがあつて国土開発に関する大きな組織を将来つくる建前のもとに立案されておられるかどうかということを、簡單でよろしいのでございますから……。
  23. 飯沼一省

    飯沼説明員 この法律案では勧告という言葉を用いております。この勧告にどれだけの効果を持たせるのが適当であるかということにつきましてはいろいろ研究いたしたのでありますが、これはあまり強くなつてもいかず、あまり弱くなつて制度建前としてはどうであろうということで、ちようどその中間をとつたつもりでございます。すなわち勧告によりがたいと認める場合には、特別に国土開発委員会議意見をさらに聞かなければならないというような制度にいたしまして、まず今日のところ、その辺が一番妥当な道ではないかという結論に到達いたしたのであります。  それからさらにもつと大きな組織にこれをする考えはないかというお尋ねでありますが、先のことはあまりはつきり申し上げることができませんけれども、まずさしあたりは当分の間はこの程度のところでこの国土開発仕事に着手することが最も適当なところではないか。かように私どもとしては考えておる次第でございます。
  24. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 このお示しの国土開発法案は、私は現在の日本状況においてはきわめて適切であると思います。しかもこれは急がなければならないと思つておりますから、もう一点私は不敏にしてくだらない質問をして申訳ないのでありますが、第二條の第二項に「国土開発委員会議は、国土開発及び保全に関する関係行政機関又は地方公共団体施策調整について検討審議し、」これを私は先ほど申したつもりであつたのでありまするが、その「地方公共団体施策調整」ということについて、第十四條に定義が書いてあるのであります。「左の事項に関する事業の施行及び許可、認可又は補助金交付等の行政処分をいい、」ということになつておりますから、そういうものを検討審議されるということになりますれば、あまりに行政権の干渉になり過ぎやしないかということを考えたから、今お尋ねしたのでありますが、第二條の第二項のこの検討審議、これは率先して国土開発委員会議がするのでありますかとお尋ねするのは、この條文であるかどうかわかりませんが、第三條だと思いますが、「関係行政機関の長は、その行おうとする国土開発及び保全に関する施策が、左の各号の一に該当するときは、内閣総理大臣を通じ国土開発委員会議意見を聞かなければならない。」かような意見を聞かれたときに、第二條の第二項で検討審議されるというのなら、これならまだしもでありますが、しかし法文の体裁の現われたところでは、さようになつておりません。でありますから、やらうと思えば第二條第二項によつてすべてその施策調整について検討審議できるという建前に明文にはなつておりますが、立案されたときのお気持を伺つておきたいと思います。
  25. 飯沼一省

    飯沼説明員 国土開発委員会議は立案の趣旨は自発的にと申しますか、あるいは積極的にと申しますか、みずから進んでこの関係行政機関または地方公共団体施策調整について検討審議することができるという趣旨でありまして、この第三條にあげてありますことは、関係行政機関の長が国土開発委員会議意見を聞かなければならない場合をあげたのでありまして、この関係行政機関の長から意見を聞かれた場合にのみ国土開発委員会議は、その検討審議の働きが発動するばかりではないと考えております。かりに意見を聞かれませんでも、積極的にこの委員会議が調査立案をすることができるというように考えております。
  26. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 そういうふうになりますれば、先ほど引用いたしました第十四條の「この法律で、国土開発及び保全に関する関係行政機関又は地方公共団体施策とは、左の事項に関する事業の施行及び許可、認可又は補助金交付等の行政処分をいい、」これについて自発的に率先して、その調整について検討審議されるということになると、相当行政権に対して干渉される。そうなればきわめて行政の能率が阻害されるおそれがありはしないかということを私は心配いたします。でありますから過般ある方面から聞いたときには、第三條によつて意見を聞かれたときに、さような争いがある場合に初めて検討審議その間の調整をするのだというふうに聞いておつた。そのくらいならまだよろしいが、しかしこの法文のように、やろうと思えば何でもできるということになると、ちよつと困りはしないかと考えますので、もう一度その点を聞かせていただきたいと思います。
  27. 飯沼一省

    飯沼説明員 この国土開発委員会議の働きといたしましては、そういうふうに意見を聞かれました場合に、それを受けて初めてこの働きが発動するのではないのでありまして、必要があると認めますれば、みずから進んで調査し立案することができるというのが立案趣旨建前でございます。ただお話にもありました、あまりにも他の行政機関に対して圧迫を加えることになりはしないかという御心配の点でありますが、その調査立案した結果をどういうふうに扱うかということが、すなわちこの勧告ということになつて現われるのでありまして、それでありますから、この勧告というものに強い力を法律上與えますれば、ただいまお話なつた心配が出て参るのでありますが、この点をわれわれも警戒して、勧告によることのできない場合には、国土開発委員会議意見を聞くことができるといういうだけの効果を勧告程度に認めたのであります。問題は第二條の問題にあらずして、勧告にどれくらいの力を與えるかという問題にあろうと思うのですが、この点は先ほども申し上げた通り、あまりに強きに失せず、また弱きに失せず、この辺のところが今日の制度として最も穏当な制度ではなかろうか、かように考えたわけであります。
  28. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 もちろん委員会議は人の集まりでありますから、運用よろしきを得なければ、いかに法律をつくりましてもうまく行かないことは当然のことであります。しかし率先してこういうことをやるような状態になつておることは、もちろん勧告でありますからよろしいのであります。ところが法律の最大のねらいは、やはり特定地域ということであると思う。もちろん国全体の総合計画を立てることはよいのであります。これはやらなくちやならぬけれども、そうなかなか簡單には参らぬことでありますから、各地方特定地域を指定して、未開発地域を早急に開発しようというのがこの法律のまず第一番のねらいである。ところがこの十一條には、「内閣総理大臣は、この法律の目的を達成するために必要があると認めるときは、国土開発委員会議意見をきいて、」云々で特定地域を指定する。国土開発委員会議勧告に従わないところは決して特定地域にはなりますまい。でありますから相当の圧力が加わると考えたので、特に念を押して立案のお気持を聞いたわけであります。これに対してはお答えはいりません。
  29. 淺利三朗

    淺利委員長 本法案審議会の試案でありまして、一体政府はこれをいかなる形式で提案するのか、一面建設省においても、国土地方開発法を立案されておりまするが、これについて政府はこの審議会を設けて、かくのごとき結論を得て、これをどう処理されるか、政府提案として提出されるのか、あるいは建設省がこれを取上げて提案されるのか、その案が提出されて初めてこの逐條のことについてわれわれは審議すべき立場になると思うのであります。これについての政府の根本の御意見を、幸い建設大臣がお見えになつておりますから、一応承つておきたいと思います。
  30. 益谷秀次

    益谷国務大臣 この二、三日前に、内閣の方から私の方へただいま御説明になりました審議会の案がまわつて来たのであります。大体趣旨においては毛頭異存はございませんが、各逐條審議を今いたしておりまするので、條文全部について一々私どものまとまつた意見を今申し上げることはできません。従つて今後この法律案をいかに取扱いまするかということも、いまだ決定はいたしておりません。でき得れば一日もすみやかに取上げて、皆様の御審議を願いたいという考えを持つておりまするが、ただいま申し上げた程度でありまして、いまだ閣議に付議するかどうかということも決定いたしておりません。
  31. 田中角榮

    田中(角)委員 飯沼さんに一点だけお聞きしたい。先ほど瀬戸山君がいろいろ御質問になつたように、行政権との関係がいろいろ論議せられるのでありますが、非常に大きな仕事をしなければならないこの委員会の事務局は、一体どういうものをお使いになるお考えでありましようか。現在経済安定本部における審議会が、法律の裏づけはないけれども、大体これと同じことをやつているわけであります。それを法律をもつて裏づけるというふうに考えるのでありまして、この法案の必要性ということは特に私たちも感じているのですが、現在建設省の管理局企画課においてもこれを行つており、かつ経済安定本部でも同じことをやつている。また各県が各個ばらばらでやつているものを統一しよというのでありますが、相当幅の広い権限を持ち、かつ非常に深い責任を持たなければならないようなこの委員会議の事務局を、一体どうされようと思つておられるのかひとつ伺いたい。
  32. 飯沼一省

    飯沼説明員 この法案を準備いたしました場合に、私ども考えておりました方法は二つございます。第一は現在の行政機構をそのままにしておいて、別に事務局をつくるというのが一つ、これは説明の方法としてはまことに簡單に御説明申し上げることができると思います。さらに第二の問題として、現在の行政機構を多少改変いたしまして、それを事務局の問題と結びつけて考究するということが一つあろうと思いまするが、その点につきましては、私ども審議会において、あまりに深く立入つて考えることはいかがであろう、それはまたその方面で別に研究して行くことが適当ではなかろうか、かように考えております。
  33. 田中角榮

    田中(角)委員 委員長に一言私の希望を申し上げます。現在北海道開発委員会法が提出さる機運にあり、かつまた新聞その他の発表によりますと、その他の都市、特別地方等において、特別法をもつて地方開発を行おうというような情勢にあるようでありますが、建設委員会といたしましては、この国土開発法案一つ見ましても、いろいろな疑義もまた感じられるのであります、私はその意味においては、北海道開発法その他特殊な法案がたくさん出ようとしつつある現在、少くとも国土開発地方計画の統一という面から見まして、この種の法案が何らかの形において一日も早く提案をされることが、非常にいいことであると、考えております。しかしただいま事務局のことについて伺つたのでありますが、発案者は事務局に対しては深く考えておらない。これはもちろんでありましよう。しかしこれは非常に大きな問題であります。特に当委員会として取上げる場合、あらためて事務局を設けるということであるならば、現在建設省があり、しかも各省各県が各個ばらばらになつてつており、それの総合調整を得るために経済安定本部が設けられておつて、それでもなお足りないから、その上にもう一つつくるということになると、わが党が申しておるところの行政機構の再編成、行政簡素化、建設行政の一元化ということに逆行すると思うのであつて、これは問題にならないと思うのです。その意味においては、発案者もそうは申されませんけれども、この安本の委員会とか、建設省の現在この種の業務を行つておる事務局をお使いになるのであろうと考えられのでありますが、これはもちろん私たちは建設行政の一元化、行政機構の再編成という面から考えても、そうでなければいけないというふうに考えておるわけであります。なおこれは内閣の命によつて答申されておるのでありますが、この問題はただいま申し上げましたように、行政権との問題、しかも建設行政の一元化、行政機構の再編成、行政機構の簡素化という線に逆行しないで、よりその目的を達成するような方向に持つて行きつつ、この種の法案が通過しなければならぬという意味から考えまして、これに対する内閣の方針、いわゆる本法の取扱い方法だけでなくて、これによつて巻き起るところの諸般の情勢に対して、政府はいかなる見解を持つておるのかという、まず根本の問題をただす必要があると思うのであります。その意味において、近く本委員会に官房長官の出席を求め、答申の法案に対して内閣はいかなる見解を持つか、もう一ぺん建設行政の一元化、行政機構の再編成という面からの見通しを、十分ただしたいのでありまして、適当な処置をとつていただきたい。
  34. 淺利三朗

    淺利委員長 ほかに御質疑はありませんか。  この問題は本日は一応説明を承りまして、各委員においても調査研究をされ、また政府の意向ももう一度確かめ、場合によつては当委員会でこの法案を取上げるかどうかという問題まで進めねば解決せぬと思います。本日は一応この説明を承ることにいたしまして、さらにこの問題を後日に検討することにいたしたいと考えます。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 淺利三朗

    淺利委員長 ではそういうことにいたしまして、本日はこの程度にとどめます。     —————————————
  36. 淺利三朗

    淺利委員長 次に日程に従いまして建設行政に関する件を議題といたします。ただいま建設大臣がお見えになりましたので、通告によりまして大臣に対する質疑を行います。
  37. 上林與市郎

    ○上林委員 建設行政運営上に対しまして若干の質問を大臣に試み、大臣の所見を伺いたいと存じます。大臣に質問する前に、昨日きようの質問の資料を要求しておいたのでございますが、できておるならばこの際御提出願いたいと思います。
  38. 植田俊雄

    ○植田政府委員 刷り物にいたすまでの時間がございませんので、また簡單な数字でございますので、ただいま読み上げさせていただきます。今岩沢次官の出張は今年の一月、二月分においては、一月に九州地方へ十六日の出張になつておりまして、この旅費は三万八千六百二十八円でございます。東北地方に対しましては二月の十日から九日間の出張になつておりまして、この費用はまだ精算いたしておりませんが、一万三千六百十六円でございます。合せますと一月、二月で五万二千二百四十四円でございます。なお昨日十二月分についてお話がございましたから、十二月分について申し上げますと、十二月には三日から六日まで四日間長野県に出張して、この旅費が五千九百二十六円でございます。三月を合計いたしますと五万八千百七十円ということになつております。
  39. 上林與市郎

    ○上林委員 大臣に質問申し上げます。最近参議院議員の選挙を前にいたしまして、政府の高級職員の立候補がいろいろうわさされております。従来官界に志を持つておつた者が、志を政界に転ずるために参議院議員に立候補すること自体は、あえて私非難するつもりはございませんが、置かれておる官職を利用して、実質的には選挙の事前運動をやることがあるとするならば、これは官界の粛正のためにも、また選挙の粛正のためにも、さらには官界に対する国民の信頼を確保するためにも、私は重大な問題であろうと思います。そこで建設関係について具体的に質問申し上げたいのでございますが、まず第一に岩沢次官が辞表を提出しておるかどうか、辞表を提出しておるとするならば、何月何日に提出しておるかということもお伺いいたしたいと存じます。
  40. 益谷秀次

    益谷国務大臣 岩沢事務次官は本月十八日午後一時ごろでありました、私の手元へ辞表を出しました。
  41. 上林與市郎

    ○上林委員 辞表提出の際の取扱い上の問題を昨日ちよつとお伺いいたしましたが、局長、課長の辞表提出は閣議の承認が必要だそうですが、閣議の承認を得ておるかどうか、その点お伺いしたいと存じます。
  42. 益谷秀次

    益谷国務大臣 局長、次官等は任命の際は閣議に了解を求めることになつておりますが、辞表提出の場合には了解は要りません。
  43. 上林與市郎

    ○上林委員 そこで具体的にお伺いいたしますが、私の手元に入つておる情報で申し上げますと、ただいま大臣の答弁によりますと、辞表は二月の十八日に出されておるそうでございますが、辞表提出以前に某地方に視察と申しましようか、出張いたしておるのでございます。某地方の某所におきましては、地方の有力者すなわち市町村会議長、市町村長あるいは水利団体関係者等とともに宴会を開いております。この宴会を開くこと自体に対しまして、私とやかく申すのでございませんが、その席上において、私ども納得できない行動があるのでございます。一例を申し上げますと、ちようど書いたものがございますのでちよつと読んで見ますが、和合小唄、こういうものを配付しております。「一、男だおとこだ男ならサノヨイヨイ、仕事しごとに惚れようぜ岩澤親爺と手をくんで国土建設腕が鳴るサノヨイヨイ。二、うちの女房は御自慢よサノヨイヨイ、男女同権働き手、岩澤親爺も手をくんで、郷土建設仲のよさサノヨイヨイ。」こういうような文句の——幾らもございますがここでは煩瑣を避けまして、読み上げません。私に地方からいろいろ情報がございましたが、これを配膳の上に全部配付いたしまして、宴席にはべりました職業婦人に振りつけをして踊りをやつております。さらに私のところに参りました情報によりますと、東北地方建設局の次長と存じますが、これらの次長も踊りをおどつておるのでございます。人間おのおの趣味を持つておりますので、歌を歌うのもけつこうでありましよう、踊りをおどるのもけつこうでありましようが、時が時、場所が場所、歌の内容、踊りの表現が、私どもどうしても納得いたしかねるのでございます。こういう点を大臣が御存じであるかどうかをお伺いいたしたいと存じます。
  44. 益谷秀次

    益谷国務大臣 私はただいま初めて承つたので、存じません。
  45. 上林與市郎

    ○上林委員 吉田内閣は行政整理に非常に熱心であることは周知の事実であります。行政整理の基本方針をきのうどなたかの委員が質問しておつた際にも私聞いておりましたが、いわば不必要な職員を整理しているのであります。これを逆に申し上げますと、政府にとりまして、非常に必要欠くべからざる官吏を行政整理はしなかつたと私思うのでございますが、そういう優秀な、吉田内閣から見ますと、優秀な役人が、こういうことをやつておることが事実であると確認されるとするならば、益谷建設大臣は所管大臣として、これらの役人を懲戒処分ないしは行政整理の対照にする御意思があるかどうか伺つておきたいと存じます。
  46. 益谷秀次

    益谷国務大臣 ただいまのお話では岩澤君が何か参議院議員の選挙に出る、その事前運動というようなことに承つたのでありますが、私の手元に出ております辞職願には、一身上の都合ということで、参議院議員に出るということは記載がございません。また私自身も聞いてない。うわさはむろんあります。しかして同君は今回の人事院の試験も受けていないので、早晩やめることと私どもは信じておりましたが、かように早く辞表を提出するとは考えていなかつた。だが本人の希望を入れて今後任を物色いたしておる次第であります。  今の宴席云々でありますが、踊り等もおどつたということでありますが、実際を目撃しなければいかんともできない。選挙運動の踊りというものは、私どもはかつて承知いたさないのであります。実際を目撃いたさなければ程度を踏み越えておるかどうかということもここに確言することはできません。しかも私よく本人からも聞いてないのでありますから、こういうことがあつたらばどうだという仮定のことについて、お答えすることはできません。
  47. 上林與市郎

    ○上林委員 お話はよくわかりました。仮定の上に立つて議論をいたしたくなかつたために昨日岩澤次官並びに一行の旅行日程、それに要しました費用の資料を要求しておつたのでございますが、ただいま御報告の通りであります。それはそれでよろしいのでございますが、それらの事実を調査する御意思があるかどうか。
  48. 益谷秀次

    益谷国務大臣 問題になりますればむろん調査はいたします。しかしその宴席でおどつたのが選挙の事前運動であるか、歌つたのが度を越えておるかということは、ただいま申しました通り、実際を目撃しなければ実感がつかめないのでありますから、できる限り御趣旨に沿うて調査はいたします。
  49. 上林與市郎

    ○上林委員 大臣の答弁を聞きますと、事前運動ということにこだわつておるようでございますが、私の質問の言葉の中にさようにのみとられる節がありますならば、補足して申し上げますが、私が主としてお伺いしたい点は、主管大臣として監督上の問題を質問しておるわけでございます。こういう事実を調査して本委員会に御報告願いたいのでありますが、そういう御意思があるかどうか、これをひとつ明確に御答弁を願いたいと思います。
  50. 益谷秀次

    益谷国務大臣 調査完了の後は報告をいたします。
  51. 上林與市郎

    ○上林委員 それでは御報告の基礎に基いて他日あらためて御質問することにして、一応打切りたいと思います。
  52. 砂間一良

    ○砂間委員 ただいま調査の結果を本委員会に報告されるという大臣の御答弁でありましたが、それはいつごろまでに報告していただけますか。
  53. 益谷秀次

    益谷国務大臣 日限ははつきりお約束はできません。
  54. 砂間一良

    ○砂間委員 何月何日の何時何分というふうな日限ははつきりいたしませんでも、大体半月ぐらいとか、二十日くらいとか、あるいは一月くらいとかいうふうなことは申し得ると思うのですが、大体幾日くらいかかるのですか。
  55. 益谷秀次

    益谷国務大臣 一箇月などという長い期間は要しないと思います。努めて早く御報告をいたします。
  56. 砂間一良

    ○砂間委員 私ちよつと遅れて参りましたので、初めの方の御説明を承れなかつたのでございますが、岩澤次官の地方へ出張された日程やその報告書、そういうふうなものの御提出はなぜできないのですか。
  57. 淺利三朗

    淺利委員長 それは先刻すでに答弁が済んでおります。
  58. 砂間一良

    ○砂間委員 いずれあとで速記を調べてみますからいいですが、しかし岩澤次官の地方出張につきましては、大臣は燈台元暗しで、あまり御存じないかもしれませんが、世間ではもう定評があります。選挙の事前運動と言えば、これは選挙法の取締りもありまして、事前運動の解釈については、先ほど大臣が答弁されたように、同じ会合をやり、あるいは宴会をやつておりましても、それがどういう趣旨のもとになされたかというのは、解釈上いろいろむずかしい問題があるかもしれませんけれども、しかし職務を利用して、官費の選挙運動をやつていると思われるような節々はたくさんあるのであります。その具体的な事実を一々列挙しろといえば、できないこともないと思うくらいの事実があるのでありますが、そういう点について、大臣がこれまでほとんど無関心でおられたかのような御答弁をされておるのは、いかに民自党の大臣であつて、また岩澤氏が民自党から参議院に立候補されておるという事実があつたといたしましても、いやしくも国の大臣が、国の公務員がそういうことをされておるということについて、また世間でそういうふうに考えられるような節々がたくさんあるのに対して、これがあまり注意されなかつたということは、大臣として少々怠慢ではなかつたかというふうに、私どもには推察される点もあるのでありますから、どうかひとつ早急に御調査になりまして、そして本委員会に近々のうちに、詳細に御報告していただきたいということを、私重ねて希望しておきます。
  59. 益谷秀次

    益谷国務大臣 岩澤君が長い公務員生活をいたしておりましたことは、諸君御承知通りであります。公務員の良心と良識によつて行動いたしておるものと私は確信いたしております。そしてまた私は民自党の党員でありますが、やはり砂間君が仰せのごとく、国の国務大臣でありますから、国務大臣の良心に従つて、私自身も行動をいたしておるつもりでございます。詳細に報告しろということでありますが、それはどういう点でございますか、もう一度お聞かせ願います。
  60. 砂間一良

    ○砂間委員 大体昨年の十二月ごろから、地方なんかに御出張になつた。何の用件で、どういう要務を帶びて、何月何日にどこに行つて、どういう会合をされて、幾ら旅費や費用をお使いになつたかというふうなこと、及び当然公務をもつて出張された以上は、一々出張先の報告書が提出されておると思うのです。あるいは書類になつてできていなくても、行かれた要務の報告は大臣にされておると思うのです。そういうふうな岩澤氏の行動の詳細なる日程と、それからその行く先行く先でなされて来た活動のしぶりと、それからどこに泊つて、その会合には何人ぐらい来られて、芸者を何人あげたとか、幾ら金を使つたというふうなことまで、ひとつ報告していただきたいと思います。
  61. 益谷秀次

    益谷国務大臣 金を幾ら使つたかということについては、旅費を幾ら出したかということはただちにわかります。そのほかにどれだけの金を使つたかということまで、私は調査できません。ただいかなる用向きで、どこに行つて、どこで泊つたということは、ただちにわかりまするから、御報告申し上げます。しかして上林君の御質問については、調べてできるだけ早く御報告申し上げます。
  62. 田中角榮

    田中(角)委員 ただいま建設大臣に対して、岩澤事務次官の行動その他を、社会党の上林君からいろいろ御質問がありましたが、私はこの問題をただ簡單に考えるということよりも、もう少し深く考える必要があると考えております。それは建設次官岩沢忠恭氏その人だけの問題ではなく、現在とかく政府の高級職員の、立候補の事前における行動に対しては、批判が出ておることはいなむことができない事実であります。しかもこの人たちが相当の量、民自党から出るということをもつて、野党の攻撃の具に使われるということであつたならば、私はこの問題は民自党としても、私たち與党の議員といたしましても、相当程度はつきりとした事件の調査を行う必要があると考えるのであります。なお、今朝の新聞にもはつきり書いてあるのでありますが、現在選挙に対して出馬の意思表示をいたしまして、しかもその前に選挙人事を行つたとか、なおかつ辞職後においても、後任人事に対して事前取引を公然として行つておるとか、官費選挙運動を堂々とやつておるというようなうわさがまかれつつある別の官庁があることも、いなむことができないと思います。しかも今朝の新聞は、特に農林省の片柳君が、後任の問題に対しても、このような人事を行わなければ、農林行政は行えないとさえ高言しているようであります。このような問題を軽々に看過するわけには相なりません。その意味においては、この種の風聞の実態を調査するために、その実態に対して、政府はいかなる態度を持つか。こういう立場から、すみやかなる機会に増田官房長官の出席を求めて、この種の問題に対して政府の真意をただしたいと思います。委員長において適当なる処置をとられんことを望みます。なお午前中から、岩澤君の問題に対しては、参議院の内閣委員会、あるいは建設委員会においても、これを取上げるというようなことを言つておるそうであります。事がここまで来たから真相究明に乘り出すのだというようなことは断じて思いませんが、いろいろな風聞の中にあつて、その立場が民自党から出るのだというがごとき汚名を着るわけには相なりません。そういう意味からも、なおまた内閣の大きな使命達成という意味からも、この問題に対しては十分なる答弁を開きたいと思つておりますから、すみやかに増田官房長官の出席を要求いたします。
  63. 江崎真澄

    ○江崎(真)委員 実は上林君からいろいろ御質問がありまして、私どもは事の以外にいささかびつくりしました。そういう現職の官吏が、炭坑節になぞらえて、とんでもない印刷物を配つたり、名刺を配つたりされて、そうしてその地方の人たちと交歓会を催おされたということは、唖然たるものがあります。がしかし、それも酒の席だから百歩を讓つてもいいといたしましよう。けれども、何といいまするか、参議院選挙には、岩澤君は立たぬかもしれん。何も相談を受けておらぬという大臣の話ですから、それならばいいと思うんです。のみならず、何党からお立ちになるのか、私ども寡聞にしてまだ聞いておらぬのでありますが、もしほんとうにこれが立つということだとするならば、これは私は重大事だと思う。私もかつて東北地方を視察したことがありますが、今上林君の質問、同時に砂間君の質問などを承つて、これは言わずに置こうと思つたのだけれども、この間熱心なある村長が——名前を言えとおつしやれば、私は申し上げてもいいのですが、たまたまこちらに参りまして、二月十一日の日に山形の上の山に二百人ぐらい人が集まつて、その歓迎ぶりは大臣がいらつしやつた以上だ。かねてから県の土木部長だの出張所長だのが言い合せて、岩澤次官が来るから、ひとつ陳情事項は全部持ち寄つて大いに話を聞こうじやないかというので、手ぐすね引いて待つていた。それでそれぞれの陳情事項を山と持つて行つたところが、あにはからんや、それは單なる宴会であつて、そこで名刺が配られ、不遜な歌が配られ、そして何でもなかつた。そこでその村長及びその他良識ある人々は、なんだこれは選挙運動じやないかと言つて帰つたというような話を聞いて、私は、そんなことはせぬだろう、大臣がおつしやるように、内務官僚として年期を入れた岩澤さんだから、そんな非常識なことをされる人ではないと否定しておつたのであります。なるほど考えようによつてはそれだけにずるさがある。同時にそういうことが将来の選挙を前にした官吏どものやり口に出て来るとしたならば、これは重大問題だと思う。のみならず大臣にまで、今日辞表を提出するに及んでも、一体立候補するかせぬかということを相談していないというならば——ほんとうに立候補せぬということならばけつこうだと思う。何党で立つにしろ、そういうことがもし行われていたとしたならば、私は国会議員の名においてでも、たまたまこの建設委員会でこれを取上げなければならぬということは残念であるけれども、あくまでもこの問題は究明して行かなければならぬと思う。また田中君からも人事問題についていろいろ話があつたのでありますが、これは私は聞いておりません。けれどもとにかく選挙に関するうわさの人が、先ほど会計課長の報告を承つてみても、十二月以来の出張が多過ぎるような気がする。年末年始の休暇があるから、十二月、一月は大体実際の出張日数は五十日内外でしよう。それで辞表を提出したのが二月十八日とすると、五十日プラス十八日で六十九日である。そして一月には十六日も九州に行き、二月には東北地方へ九日間も行き、十二月には四日間も行つておる。合計すると二十九日。要は六十九日のうち半分は出張に空費しております。公務員試験も受けずに、やめるときまつたのに、これだけの出張を何がゆえにしなければならぬのか。むろん長い経験を通じて、実情はどうだというところをながめて、後進に教育をして歩くということも、一応なるほどと考えられると思います。けれども八方からそういう醜聞が伝わり、有力なる土地の新聞にも報道せられたということを聞いておりますときに、かくのごとき体たらくであるということは私は残念だと思う。もしこの新憲法下の公務員にしてかかる人があるならば、罷免しなければならぬ重大問題である。これはたまたま野党各派から意見が出ておりますが、建設委員会の超党派的な建前から申しまして、十二月、一月、二月の出張の三十日間の詳細の日程は、ぜひ伺つてみたいと思います。そこで同時に何人くらい人員を集めて、どう日程を遂行せられて行つたか。これもひとつつてみなければならぬと思うのであります。そうして、こういうこと自体を究明することが、同時に将来行政庁職員の人々が立候補する場合、その良識に訴えると同時に、正しい公平な立場から立候補すべきであるということを求める一つのよすがになれば、岩沢君自体としても、これはもつて満足せられるだろうと思うのであります。この点につきまして大臣にも特に資料提供を促進せしめいただく御助言を願いたいと思います。事務当局に対しましては、積極的にすみやかに次期建築委員会開催のときまでに、この日程の詳細を、私も同様要求をいたすものであります。その結果選挙の不公平のみならず、国税によるところの経費をもつて、選挙の事前運動に振りかえたというようなことがあつたとしたならば、これは建設委員会のみならず、他の委員会においても相当究明せられなければならぬと思う。私もこの点を委員長を通じて、責任ある資料の提出を強く要望いたしまして、一応所見を開陳いたしておきます。
  64. 三池信

    ○三池委員 ただいま上林、砂間、江崎委員から、建設省の岩澤次官の地方出張につきまして、その行動に関していろいろ詰問的な批判、あるいは質問があり、また要望が出たようであります。私は岩澤次官の最も長期にわたつた九州出張について、深い関連性を持つておりますので、一言私の見聞きしたことを申し述べて御参考にし、かつまた大臣に私自身の観点において御要望を申し上げたいと思います。  御承知のように、九州は一昨年来のたびたびの台風の災害を受けまして、その復旧に対しては政府、特に建設省並びに当委員会においても、渾身の努力を拂つておることは御承知通りであります。私の地元である佐賀県も、ジュディス台風によつて非常に損害を受けたのであります。その災害については、われわれ地元民の一員といたしまして、たびたび本省にも陳情にも参り、お願いもいたし、また指示も受けたのであります。災害直後治水課長がさつそく現地に出張をされまして、視察をされ、その後政府といたしましても、本多国務大臣が現地に行かれ、また当委員会においても、災害のたびに調査団を編成して、暑い盛り、忙しいときにもわざわざ調査に参つております。ところが私が直接関係しておるところの佐賀県の場合には、佐賀県の最大の河川であるところの嘉瀬川が非常な災害を受けた。この復旧に関する費用は、佐賀県の将来の県政の上において大きながんとなるかもしれないということを、県当局並びに関係地元民は非常に憂慮をしたのであります。応急の処置はいろいろととられておりましたが、それの根本対策をいかにするかということが県民のひとしく関心のまとであつた。従つてその根本的な対策をどうさせるかということにつきましては、地元県当局の担当技術官並びに地元民が、非常に苦心さんたんしておつたのであります。それで県としては、どうしてもこれは県では背負い切れないような大きな問題だ、従つてこれを直轄河川にぜひ編入してもらいたいという要望が高まり、前国会の場合にも、また今国会にも、そういう請願をなしておると思います。そういう実情のもとにおいて、私は県会議員の陳情団と一緒にしばしば次官にもお目にかかり、次官が親しく現状を視察せられ、その実情を判断して、的確なるころの今後の方針を立ててもらいたいということをお願いをしておつたのであります。同様のことを大臣にもしばしばお願いをしたことは、大臣もよく御承知だと思うのであります。ところがなかなか御繁忙でその機会を得られず、九月末には多分見えるようになるだろうということで、私はそのたびごとに県、あるいは地元民に対しても、その旨をお伝えしておつたのでありますが、あまりにもその約束がしばしば延期されますために、私自身が地元に対して無責任なことを言つているようで、私としては非常に苦しかつた。それで昨年の年末にはどうしても来てもらわなければ、私自身の立場がないというふうにさえ申し上げて、九州、ことに佐賀県の出張を懇請したのでありますが、その御約束も遂に年末賞與とかの関係で行かれなく、やつと一月に九州の方に来てもらつた。ところが佐賀県のあれだけの災害に対しまして、わずかに佐賀県に一泊二日の御視察を得たのであります。先ほど来いろいろの御批評がありましたが、少くとも佐賀県におきましてはそういう事実であります。地元民が何百人と集まつておるというようなお話もありましたが、なるほどたくさん集まりました。しかしながら嘉瀬川に関係する町村は約二十箇町村ある。それの村長、村会議長あるいは土木委員長という人たちが数名集まりますと、百人くらいになる。その人たちが集まりまして、その前でこの嘉瀬川改修に対するところの根本的な方策、あるいは政府の方針をはつきり話をしてもらいまして、それによりまして関係県民は非常な安堵をなしたのであります。とともにまた技術上の面から、県技術者当局に対しましてもいろいろな示唆を與えていただいた。私たちはそばで聞いておりまして、非常に有効適切な示唆を與えてくれて実は感謝しております。その習日は嘉瀬川を視察してお帰りになりましたが、次官の出張に対しましては県民の期待が非常に大きかつたが、より以上喜びが大きくて、効果が百パーセントだつたと私は思つております、私は佐賀県の場合は、ずつと一緒に同伴をしたのでありますが、東北出張においては宴席で歌があつたとか、踊りがあつたとかいうことがありました。しかし私はおそらくこれは次官の何ら関知されないうちに、地元民が主として次官歓迎の意味において、何らの承諾もなくやつておつたことでないかと思うのであります。次官は私が九州出張をしばしば懇請しておるときにも、自分が出張すると、とかくのことを言うものがあるかもしれないというようなことを言つておられました。私は次官が立候補されるとか、あるいは退官されるというようなことは、何ら顧慮する必要はない。自分の職責に向つて勇往邁進さるべきだということを極力申し上げて、次官の出張を私は促した。すなわちそういう地元民の思い過ぎか、あるいは行き過ぎたことが、次官の事前運動であると解されることは、私自身、次官が最も遺憾とされ不本意と思われることを信じて疑わない。官界三十有幾年、わが国の国土建設に向つて心魂を打ち込んで献身した人が、今に至つてそういうような他人の指彈を受けるようなことを意図されるわけはないと私は断じて信ずる。それで次官の地方出張が非常に問題になつたようであります。それに派生的にささたることが取上げられておるようでありますけれども、私は大臣にお願いしたいのは、次官は今申し上げましたように、三十有幾年わが国の国土建設に献身をしておられる。わが国の川あるいは道路というものに対しましては、あらゆる立案をし、企画をし、またそれの建設に向つて努力しておられる。今もし次官がおやめになるとするならば、今まで自分が関與しておられたものが、今日までの施策においてどういう成績をあげたか、またその実情において今後どういうような方針を立てるべきであるかという指導を、有終の美として次官はやる責務がある。従つてその観点に立ちますと、次官がもしおやめになるならば、次官は退官の日まで全期間を通じてよろしく全国各地に出張して、今言つたような責任を果さるべきである。従つて大臣はそういう趣旨において次官の出張を大いにやらしていただきたいと思う。九州の問題としましては、私がたまたま次官のところへ九州出張、佐賀県出張を懇請に参つておるときに、大分県の二、三の代議士、県会議員の方々も、私と同じような懇請に見えておつたのであります。九州のあの台風を現地視察に行くのに、九月から懇請をして、やつと一月でなければ現地に行かれないというような実情であつたことが、次官がみずから好んで各地に選挙事前運動のため、あるいは退官のついでにというふうに行かれるわけはないということを、私は信じておるのであります。できれば大臣はよろしく今後、次官の退官辞表が出ておるそうでありますから、退官まで全期間を通じて今言つた責務完遂のために出張をさせられることを、私は大臣に要望したいと思う。
  65. 江崎真澄

    ○江崎(真)委員 たいへん三池委員から熱心なるいい御意見を承りまして、私も実はそうありたい、そうであればたいへんけつこうだと思うのです。ところがそれとはまるきり反対の意見が上林及びいろいろ私のところへも入つておる。これは困つたことです。けれども幸い三池委員のようであるならば、これは当建設委員会のためにも仕合せだと思います。たまたま岩澤次官という人はよかつたけれども、その周囲の、いうところのお茶坊主的出先の人たちがわざわいをしたという誤りであるかもしれませんけれども、岩澤氏が三十数年間の長い官界生活、この有終の美をなすために出張をしたという意見は、どうも私には了解ができませんが、それもいいでしようけれども、人間というものはなかなかりつぱであつても、切腹するとき往生ぎわの悪いのは昔から日本の武士道の恥話として聞くところであります。八物の値打ちはいまわのきわが一番大事だ。少くとも三十数年間のこの人が、有終の美ならざる醜いあり方、選挙を前にしての運動じやなかつたかもしれぬが、李下に冠を正し、瓜田にくつを入れるようなまねをする、こういう疑惑が本委員会でまことに残念だけれども取上げなければならぬ。しかしたいへん安心のできるような御意見もただいまあつたのでありますから、ひとつ出張日程その他、各党各派の諸君からも要求のありましたこれらの資料を詳細に出していただいて、そうしてわれわれが安心できるならばきわめて仕合せだと思います。どうぞそういう点におきまして、安心ができますように、これらの資料を早急にととのえさせられまして、明朗なる委員会、明朗なる審議が継続できることを要望いたしまして、私の質問を打切ります。
  66. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 岩澤次官のことを言えばたくさんありますが、たくさんと言いますのは、私は三池君の立場のようなことを申し上げたいのでありますが、繰返しません。ただこの際大臣にどういう御見解を持つておられるかということを簡單に御質問しておきます。また要望を申します。聞くところによりますと、経済安定本部設置法の一部が改正されるやに承つておりますが、その中に河川総合開発審議会というものを、新たに経済安定本部に設けたいということがあるそうでありますが、建設省にも河川審議会があつたのであります。これは土本審議会とかわるのだと思いますが、私ども河川審議大いにけつこうであります。しかしわれわれが常に申しております行政の簡素化の立場からも、この河川総合開発審議会を新たに設けるよりも、現にあります土本審議会の中に包含されても、河川はすべて土木でありますので、さようにいたす方がいいのじやないかという考え、さらにまたもうちよつと大きく取上げますれば、先ほど来問題になつておりまする総合国土開発審議会というものもありますので、この中の一分科会とか何とかいうことでも河川を審議する機関はできるのではないか、こういうふうに考えておりますので、これについて建設大臣はいかなるお考えを持つておられるか。私の考えといたしましては、そういうものをたくさんつくるよりも、土本審議会の中でもけつこうである、さらにそれでぐあいが惡ければ、せつかく総合国土開発審議会ができておりますので、その一部内としてもいいのじやないか、かように考えておりますので、この際大臣はいかに考えておられるか、またさようなものをたくさんつくらないように、私は要望いたす次第であります。
  67. 益谷秀次

    益谷国務大臣 経済安定本部の組織法一部改正法律案が本国会に提出になるのであります。従来治山、治水に関しては、御承知通り各所に所掌事務がわかれております。法律上の委員会ではございませんが、これまでも治山、治水に関係する事柄を、計画官庁である安定本部がやつておつたので、それを今回法律の上に明らかにしよういうことで、改正案が出るのでありますが、その閣議の際に、ただいま瀬戸山委員の仰せのごとく、土本委員会建設省にありますので、それと別個の計画が立てられたというような場合は、非常に迷惑をいたしますので、これまでの計画官庁たる安定本部がやつておつた仕事を、そのまま法律化するということに決定いたしたのであります。やはり所掌事務が各所にまたがつておる関係上、法律化すること自体が好ましいという考えで、私どもも閣議でさように決定いたしております。
  68. 淺利三朗

    淺利委員長 建設大臣に対する質問はこの程度にとどめまして、ちよつと御懇談を申し上げたいと存じます。速記をやめてください。     〔速記中止
  69. 淺利三朗

    淺利委員長 速記を始めてください。
  70. 淺利三朗

    淺利委員長 これより日程に従いまして請願の審査に入ります。紹介議員の御出席の都合もありますので、日程を適宜委員長において変更いたしますので、あらかじめ御了承願います。なお本日御出席になつていなくて説明のできない請願は、最後にまわしますから、さよう御了承願います。  日程第一、阿武隈川下流改修工事施行請願庄司一郎君外二名紹介、第二号、第二、釜房ダム設予定地拂下げ請願庄司一郎君紹介、第四号、第一四、阿武隈川下流改修工事施行請願庄司一郎君紹介、第一二六号、右三案は同一議員の紹介でありますから、一括して議題に付します。
  71. 庄司一郎

    庄司一郎君 本請願趣旨は便宜しただいま一括して議題としていただきましたが、第一の阿武隈川下流改修に関する請願趣旨については、過般本建設委員会において、請願者代表として宮城県伊具郡角田町町会議員笹森省悟君が、本委員会のお許しをいただいて、すでに請願趣旨のあるところを陳述いたされたのでありますから、本日は紹介議員としては内容をしさいに申し上げることは省略させていただきたいと思うのでございます。ただ要点は、宮城県伊具郡角田町という町の東方を流れる阿武隈川が、年々氾濫をいたしますので、角田町附近一帯約七百五十町歩の田地、田畑はとうとうたる濁流のために、ほとんど冠水をして米ができない、畑の野菜物もとれない、こういうようなことを年々繰返して極度の災害をこうむつておりますので、角田町台島橋より隣村の館矢間村境界に至る県道——この県道は阿武隈川の堤防を兼ねておりますが、これを補強せられたいという趣旨が第一のお願いであります。  第二のお願いは、角田町台島橋より伊具郡桜村という北方にございます村の諏訪神社という境内前の堤防工事を、努めてすみやかに改修工事を促進していただきたい。もつて災害を未然に防止し、同時に食糧増産のために御配慮をいただきたい。要は阿武隈川改修の附帶工事としてこれらの堤防兼県道をすみやかに強化してほしいという趣旨請願であります。以上が第一の請願であります。  第二の請願は、やはり阿武隈川下流改修工事促進に関する請願でございます。この請願趣旨は、大体前と同趣旨でございますが、阿武隈川の下流の太平洋に面しておりまする阿武隈川の川口であり、この川口に宮城県亘郡荒浜町という町がございますが、この荒浜町の町長菊地喜四郎及び町会議長大村庄三郎の両君が、町民を代表されての請願でございまするが、この阿武隈川の川口であり、荒浜港の東岸の石垣の護岸工事が、アイオン台風のために破懷され、流失されて、いまだにその復旧工事が施行されておりませんので、町民は、戰々兢々たる状態にあるというのでございます。よつてすみやかに川口の護岸工事を施行していただきたいというのが、この請願の結論でございます。  第三は釜房ダム設予定地拂下げ請願でございます。趣意を申し上げますと、釜房ダムというダムはまだできておりません。宮城県の直轄河川でございまする名取川の河川改修工事の一部として、建設省におかれましては直営工事として柴田郡川崎町、柴田郡富岡村、この両町村関係において、田畑約二百二十四町歩、山林原野三百町歩、土地建物七万二千坪、これらの地域ダムを施工されるということで、昭和十七年ごろ、この名取川の下流でございまする仙台市長町附近に、軍部が軍需工場を建設するという理由のもとに、憲兵隊がやつて参りまして、今申し上げたような田地田畑、山林原野、土地建物等々を強制的に買収をされたのでございます。しかるに終戰となり、その後もダム建設情勢は、川崎と富岡の両町村関係においては見受けられないのでございます。多分建設省はおとりやめになつたものと地方民は考えておるのでございまするが、ただいま申し上げたような理由で、戰時中において、憲兵隊がやつて来て強制的に買収されましたこれらの田畑山林から建物を、何とか政府の御理解をいただいて、再び元の所有者に拂下げと言いましようか、買もどしのお許しをいただきたい。これは食糧増産の上から、また戰争終結によつて軍需工場の必要性がなくなつて、当然強制買収された当時の理由が自然消滅したのであるから、どうか元の所有者におもどしを願いたい、相当の時価をもつて売拂いをお願いしたいという趣旨請願であります。本請願昭和二十四年十一月十二日、前の第六国会において御採択を願つておるのでございまするが、願くば今第七国会においても、地方関係町村民数百名は、何とか所期の目的を達成したいという意味から、重ねて今回本委員会請願を提出されたものと思うのでございます。  以上御紹介申し上げた三件に対し、建設委員会においては、適当なる御審議の上、御同情、御理解あるところの御採択をいただきたいのでございます。
  72. 淺利三朗

    淺利委員長 この際政府当局の御意見を伺います。
  73. 米田正文

    ○米田説明員 ただいまの請願の御趣旨に対してお答えいたします。  第一に、阿武隈川下流特に角田町附近の改修工事についてでありますが、阿武隈川下流は、御承知のように昭和十一年から採択になりまして、工事を進めて参つたのでありますが、たまたま戰時にかかりまして、ほとんど工事らしい成績をあげておらぬのであります。昭和十一年以来今日に至りますまで、総計いたしましてでもまだ二〇%程度の出来高にすぎないような状態であります。しかしながら阿武隈川下流は、阿武隈川そのものが日本屈指の大河川でありまして、これが改修は公共の利害に重大な関係を有することを十分承知いたしておりますので、終戦後特に阿武隈下流については政府は意を用いまして、その促進に努めているのでございます。しかしながら、予算の制約を受けまして、御要望のごとく進捗をいたしておらなかつたのでありまするが、角田町附近の堤防工事に関しましては、二十五年度において実施をいたすべく現在計画中であります。従いまして、御要望の箇所の工事は、多分二十五年度において実施を見ることと存じます。  次に、阿武隈下流全体の問題と、なお下流の荒浜の附近の工事でありますが、最近荒浜町附近が災害を受け、かつ河川の荒廃がひどくなつておりまして、特に川船の出入りが困難になつておる実情も十分承知をいたしております。できるだけ早くこの改良をいたしたいと存じておりまするけれども、二十五年度予算内においては困難かと存じます。できるだけ早くこれが工事に着手をいたしたいと存じております。  次に釜房ダムの問題でございますが、これは御承知のごとく、名取川改修工事の一環として、上流にダム建設するという計画になつているのでございます。実はただいまの御趣旨のような御意見が地元にありましたので、二十四年度中におきまして、名取川改修計画の全体についての再検討を行います。この用地をいかにするかという問題も同時に研究をいたしたのでありますが、その結論は、名取川改修計画の根本としては、釜房ダムを築造するということに二十四年度内の研究の結果決定をいたしましたので、実は二十四年度工事をそのために中止をいたしておりましたけれども、二十五年度からは再着手をいたしたいと考えております。ただダムそのものに着手いたしますことは、ここ一両年においては困難だと存じますけれども、下流部のさしあたつて工事について促進をいたしたいと考えております。従いまして、上流のダムも将来はぜひ実施をいたしたい。これによつて下流の洪水調節はもちろんでありますが、宮城県内の電気の問題、あるいは灌漑用水の問題、あるいは仙台市の水道の問題等の解決の一助にいたしたいと考えております。
  74. 庄司一郎

    庄司一郎君 ただいま釜房ダムに関して当局の御答弁があられましたが、先ほど釜房ダム請願を申し上げた私の用語の中に、多少誤りがあつたようでございますから、この際訂正さしていただきます。それはただいま議題となつておる売りもとしてもらいたいという趣旨前回請願ではございませんで、再検討してほしいという含みのある請願であつたものを、ただいまうつかりただいま議題となつておる本請願の内容を露骨に申し上げましたので、そこに多少の錯誤が出たようでございますから、訂正さしていただきとうございます。  なおただいま当局の御説明によると、どうしても昭和二十五年度後において、釜房ダム建設の断行をされるやの御計画のようでございますが、ただいま申し上げた趣旨のごとく、釜房町及び富岡村関係において、合計六百町歩程度の田地、田畑、山林原野、宅地等が湖底に沈む状態になりますれば、それら数百戸の農民あるいは山仕事をやつておる御連中が、どこに生活の安定を求めたらよいかということは、あまりに大きな社会問題であると思うのであります。ダムを構築してあるいは仙台市の水道の水源地にするとか、その他名取川の改修によつて洪水を調節をする目的は尊い目的でありまするけれども、一面祖先伝来住みなれた数百年この方山村に定住しておるそれら数百戸の農民、あるいは林業等を営んでおる彼ら、ダムをつくつて湖底に沈む彼らの将来の生活を顧みないようなことがあつたならば、大きな社会問題でなければならないと思うのでありまするから、建設省におかれては、特にそういう点は宮城県当局と御懇談、御折衝なされて、万一どうしてもダムを構築しなければならぬという場合においても、それらの土地の犠牲を最小限度に食いとめられて、従つてその結果において、戰時中において憲兵が出動いたしまして、私はその現地に行つた一人でありますが、金森博士が仙台の局長をされておつた時代、憲兵隊が実にすざまじい権幕をもつて、強制的にこれら素朴なる農民を圧迫したのであります。戰時中であつたがゆえに、当時愛国心にかられて彼らは売り拂つたけれども、この数百戸がダム建設のあかつきにおいて、どこに生活の安定を求めたらいいかということは、彼ら土地を離れる農民にとつては実に大きな問題であります。これらの問題も十二分あらかじめ御検討くださいまして、そうして彼らをあとう限り救済ができるような措置を、同時に講じてほしいということを念のためにつけ加えて、お願いを申し上げておく次第であります。どうもありがとうございました。
  75. 淺利三朗

    淺利委員長 以上の各請願につきましては当局意見も承りましたが、なおこの上愼重に検討をいたします関係上、その採決は後日にこれを行いたいと思いますので御了承願います。  残余の請願紹介議員がまだ見えておらぬようでありまするが、この際点呼いたします。北村徳太郎君。山本利壽君。加藤充君。淺沼稻次郎君。降旗徳弥君。岡野清豪君。苫米地義三君。山崎猛君。田中啓一君。内海安吉君。水谷昇君。福永一臣君。古島義英君。塚原俊郎君。吉田吉太郎君。圓谷光衞君。——いずれも紹介議員が御出席になつておらぬようであります。よつて残余の議案はその審査を延期いたしまして、他日他の請願の後に、あとにまわしてこれを審査することにいたしたいと存じます。  それでは本日はこれをもつて散会いたします。     午後四時六分散会