○三池委員 ただいま上林、砂間、江崎委員から、
建設省の岩澤次官の
地方出張につきまして、その行動に関していろいろ詰問的な批判、あるいは質問があり、また要望が出たようであります。私は岩澤次官の最も長期にわたつた九州出張について、深い関連性を持
つておりますので、一言私の見聞きしたことを申し述べて御参考にし、かつまた大臣に私自身の観点において御要望を申し上げたいと思います。
御
承知のように、九州は一昨年来のたびたびの台風の
災害を受けまして、その復旧に対しては政府、特に
建設省並びに当
委員会においても、渾身の努力を拂
つておることは御
承知の
通りであります。私の地元である佐賀県も、ジュディス台風によ
つて非常に損害を受けたのであります。その
災害については、われわれ地元民の一員といたしまして、たびたび本省にも陳情にも参り、お願いもいたし、また指示も受けたのであります。
災害直後治水課長がさつそく現地に出張をされまして、視察をされ、その後政府といたしましても、本多国務大臣が現地に行かれ、また当
委員会においても、
災害のたびに調査団を編成して、暑い盛り、忙しいときにもわざわざ調査に参
つております。ところが私が直接
関係しておるところの佐賀県の場合には、佐賀県の最大の河川であるところの嘉瀬川が非常な
災害を受けた。この復旧に関する費用は、佐賀県の将来の県政の上において大きながんとなるかもしれないということを、
県当局並びに
関係地元民は非常に憂慮をしたのであります。応急の処置はいろいろととられておりましたが、それの根本対策をいかにするかということが県民のひとしく
関心のまとであつた。
従つてその根本的な対策をどうさせるかということにつきましては、地元
県当局の担当技術官並びに地元民が、非常に苦心さんたんしておつたのであります。それで県としては、どうしてもこれは県では背負い切れないような大きな問題だ、
従つてこれを直轄河川にぜひ
編入してもらいたいという要望が高まり、前
国会の場合にも、また今
国会にも、そういう
請願をなしておると思います。そういう
実情のもとにおいて、私は県
会議員の陳情団と一緒にしばしば次官にもお目にかかり、次官が親しく
現状を視察せられ、その
実情を判断して、的確なるころの今後の方針を立ててもらいたいということをお願いをしておつたのであります。同様のことを大臣にもしばしばお願いをしたことは、大臣もよく御
承知だと思うのであります。ところがなかなか御繁忙でその機会を得られず、九月末には多分見えるようになるだろうということで、私はそのたびごとに県、あるいは地元民に対しても、その旨をお伝えしておつたのでありますが、あまりにもその約束がしばしば延期されますために、私自身が地元に対して無責任なことを言
つているようで、私としては非常に苦しかつた。それで昨年の年末にはどうしても来てもらわなければ、私自身の立場がないというふうにさえ申し上げて、九州、ことに佐賀県の出張を懇請したのでありますが、その御約束も遂に年末賞與とかの
関係で行かれなく、やつと一月に九州の方に来てもらつた。ところが佐賀県のあれだけの
災害に対しまして、わずかに佐賀県に一泊二日の御視察を得たのであります。先ほど来いろいろの御批評がありましたが、少くとも佐賀県におきましてはそういう事実であります。地元民が何百人と集ま
つておるというような
お話もありましたが、なるほどたくさん集まりました。しかしながら嘉瀬川に
関係する町村は約二十箇町村ある。それの村長、村
会議長あるいは土木
委員長という人たちが数名集まりますと、百人くらいになる。その人たちが集まりまして、その前でこの嘉瀬川改修に対するところの根本的な方策、あるいは政府の方針を
はつきり話をしてもらいまして、それによりまして
関係県民は非常な安堵をなしたのであります。とともにまた技術上の面から、県技術者
当局に対しましてもいろいろな示唆を與えていただいた。私たちはそばで聞いておりまして、非常に有効適切な示唆を與えてくれて実は感謝しております。その習日は嘉瀬川を視察してお帰りになりましたが、次官の出張に対しましては県民の期待が非常に大きかつたが、より以上喜びが大きくて、効果が百パーセントだつたと私は思
つております、私は佐賀県の場合は、ずつと一緒に同伴をしたのでありますが、東北出張においては宴席で歌があつたとか、踊りがあつたとかいうことがありました。しかし私はおそらくこれは次官の何ら関知されないうちに、地元民が主として次官歓迎の
意味において、何らの承諾もなくや
つておつたことでないかと思うのであります。次官は私が九州出張をしばしば懇請しておるときにも、自分が出張すると、とかくのことを言うものがあるかもしれないというようなことを言
つておられました。私は次官が立候補されるとか、あるいは退官されるというようなことは、何ら顧慮する必要はない。自分の職責に向
つて勇往邁進さるべきだということを極力申し上げて、次官の出張を私は促した。すなわちそういう地元民の思い過ぎか、あるいは行き過ぎたことが、次官の事前運動であると解されることは、私自身、次官が最も遺憾とされ不本意と思われることを信じて疑わない。官界三十有幾年、わが国の
国土建設に向
つて心魂を打ち込んで献身した人が、今に至
つてそういうような他人の指彈を受けるようなことを意図されるわけはないと私は断じて信ずる。それで次官の
地方出張が非常に問題に
なつたようであります。それに派生的にささたることが取上げられておるようでありますけれ
ども、私は大臣にお願いしたいのは、次官は今申し上げましたように、三十有幾年わが国の
国土建設に献身をしておられる。わが国の川あるいは道路というものに対しましては、あらゆる立案をし、企画をし、またそれの
建設に向
つて努力しておられる。今もし次官がおやめになるとするならば、今まで自分が関與しておられたものが、今日までの
施策においてどういう成績をあげたか、またその
実情において今後どういうような方針を立てるべきであるかという指導を、有終の美として次官はやる責務がある。
従つてその観点に立ちますと、次官がもしおやめになるならば、次官は退官の日まで全期間を通じてよろしく
全国各地に出張して、今言つたような責任を果さるべきである。
従つて大臣はそういう
趣旨において次官の出張を大いにやらしていただきたいと思う。九州の問題としましては、私がたまたま次官のところへ九州出張、佐賀県出張を懇請に参
つておるときに、大分県の二、三の代議士、県
会議員の方々も、私と同じような懇請に見えておつたのであります。九州のあの台風を現地視察に行くのに、九月から懇請をして、やつと一月でなければ現地に行かれないというような
実情であつたことが、次官がみずから好んで各地に選挙事前運動のため、あるいは退官のついでにというふうに行かれるわけはないということを、私は信じておるのであります。できれば大臣はよろしく今後、次官の退官辞表が出ておるそうでありますから、退官まで全期間を通じて今言つた責務完遂のために出張をさせられることを、私は大臣に要望したいと思う。