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1950-02-14 第7回国会 衆議院 建設委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月十四日(火曜日)     午前十一時四分開議  出席委員    委員長 淺利 三朗君    理事 江崎 真澄君 理事 田中 角榮君    理事 松井 豊吉君 理事 砂間 一良君    理事 笹森 順造君 理事 久野 忠治君       井手 光治君    大西  弘君       押谷 富三君    西村 英一君       宮原幸三郎君    増田 連也君       村瀬 宣親君    寺崎  覺君       松谷天光光君  出席国務大臣         建 設 大 臣 益谷 秀次君  出席政府委員         総理府事務官         (特別調達庁長         官官房長)   岩永 賢一君         総理府事務官         (特別調達庁経         理部長)    川田 三郎君         建 設 技 官         (河川局長)  目黒 清雄君  委員外出席者         専  門  員 西畑 正倫君         専  門  員 田中 義一君     ————————————— 一月二十一日  大里兒玉郡下利根川改修請願高間松吉君  外二名紹介)(第三二二号) 二月十三日  岡山県下の各河川砂防工事施行請願外十七  件(大村清一紹介)(第六三三号)  五ケ瀬川を国直轄河川に編入並びに改修工事促  進の請願佐藤重遠紹介)(第六三四号)  延岡、富島間国道改修工事促進請願佐藤重  遠君紹介)(第六三八号)  高千穗峡鉄橋架設請願佐藤重遠君外六名  紹介)(第六三九号)  天龍川上流改修工事費増額請願吉川久衛君  外三名紹介)(第六四一号)  国道十号線中吹浦地区改修請願志田義信君  紹介)(第七〇三号)  明石市都市計画に関する請願有田喜一君紹  介)(第七一四号)  碁点橋下流最上川川巾拡張並びに大石田、横  山地帶築堤工事施行請願志田義信紹介)  (第七一六号)  土合トンネル改修請願志田義信紹介)(  第七二五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  建設省及び特別調達庁関係予算に関する件     —————————————
  2. 淺利三朗

    ○淺利委員長 これより会議を開きます。  前会に引続き建設省関係予算について検討いたしたいと存じます。河川局長説明に対する質疑を継続いたします。瀬戸山委員
  3. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 前会に引続いて簡単に二、三質問をいたしたいと思います。  この前災害復旧費について二、三お尋ねをいたし、この点は先の委員会でも局長明言を得ておりますけれども、私にとりましては重要な問題でありますので、さらにはつきりした意向を伺つておきたいと思います。  二十五年度災害復旧費は、河川局で見ておるところの大体三分の一程度でありますので、これはまさに災害復旧緊急費であると考えます。でありますので、二十五年度におけるさらに新たなる災害最小限度に食いとめるように、限られた二十五年度災害復旧費を有効適切に使う。それには例の安本認証問題がありますけれども、少くとも第一・四半期効果的にこれを使う、こういうふうに建設省としても考えておられるのでありましようか。これを私が重ねて申し上げるのは、この前の委員会経済安定本部西村次官より、さようにいたしますという明言がありましたので、河川局といたしましても有効適切に、少い金であるけれどもできるだけその効果を発揮するということにしてもらいたいために、さらにはつきりした御言明を願いたいと思います。
  4. 目黒清雄

    目黒政府委員 災害復旧費年度末の割振りの問題でございますが、この前は来年度予算が成立いたしました場合は、いかなる程度にまで災害復旧費ができるかというパーセンテージを申し上げたのでありまして、実際はやはりもうちよつとこれを調査いたしませんと、ほんとうの割振りはできないと思うのであります。それはどういうことかと申しますと、二十二年度は百パーセント全部やるということは、一応御了承願えると思うのですが、二十三年度と二十四年度割合いをどうするかということは、結局災害復旧の緊急の度合を勘案しなくちやならぬと思うのであります。それらのことを十分考慮いたしまして、このパーセンテージをきめたいと考えておるのであります。ところが二十三年度に五〇%と先に申し上げましたが、実は二十三年度仕事大分進捗をいたしておるのであります。現在大体六〇%進捗を見ておるのでありまして、いわゆるややこしい仕事が多いということは事実であります。これは県の立替による仕事でありまして、一時融資なり、あるいは他の金融方面からの借入れなどしてやつておるのでありますが、こういう状態でありますので、かりに来年五〇%やりましても、まだ一〇%未拂いが残るというような形になると思いますから、その辺のところもまた十分考え合さなければならぬと思うのであります。さらに二十四年度事業につきましても、すでに緊急捨ておきがたいものは、府県で適当なる措置を講じております。それらの金も、場合によると二五%をオーバーすることがあるかもしれぬと思うのでありまして、そういうような資料を今各府県から集めておりますから、これらの資料緊急度を勘案いたしまして、この割振り決定いたしたいと考えております。十分その辺のところは考慮いたしたいと思つております。
  5. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 河川局長はあんまり心配しておるが、私はそれをお尋ねしたのではありません。それはあえて追究いたしません。局長におまかせしておきますが、二十五年度災害復旧費は、なるべく年度の初めに有効適切に使つていただきたい。第一・四今期から第四・四半期まで分割してこれを悠長に使つてもらわないように、少い経費でありますけれども、当初において早く有効適切に使つて行くという方針を堅持してもらいたい。それはこの前の委員会で、経済安定本部の政務次官が見えましたので、その点はつきり経済安定本部としてもさようなつもりでやつて行きたいというお話がありましたので、実施当局であられまする河川局でも、その方針でやつていただけるかどうかということを、さらにはつきりしていただきたいというのであります。
  6. 目黒清雄

    目黒政府委員 結局四半期認証いたします場合の、一・四半期認証額の問題と思いまするが、これは昨年も平等割当でなしに、一・四半期にはその四割を出したというのは、やはり緊急に、出水前に災害だけは復旧しなくちやならぬという趣旨に基いたのでありまして、本年もそれ、あるいは許すならば、それ以上の金を安本に要求したいと考えておるのであります。これは今後の認証折衝に相なると思うのでありますが、ある程度安本も認めてくれるだろうという、私は見通しを持つております。
  7. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 あと小さなことを少しお伺いしたいと思います。例の災害防除施設費と申しますか、これは災害がありはしないかというような河川状況に照し合せまして、非常に有効適切に使われておつたのであります。従つて地方といたしましても、これに対する期待は相当大きかつたのであります。今年度予算においては、災害防除施設費というものはなくなつて、前の委員会で示されましたのには、河川維持補助費——もと災害防除施設補助ということになつております。さようなことになつておるのと、さらに二十四年度は四億三百万であつたのが、本年度は三億八千万円。さらにまた減額されておる。これは私どもから言わせると、むしろ増額してもらつて災害未然に防ぐ方法を講ずるのが、河川行政の最も適切なやり方ではないか、むしろこれを多く——少くとも二倍でも三倍でも——これは財政上の問題でありますけれども、むしろふやして、災害未然に防ぐ方向に金を使うのがいいのじやないかと考えております。ところが本年度は、過般の資料に示されております通り災害防除施設補助というものは削除せられた。しかし河川局としては河川維持費補助として、大体三億八千万円くらい考えておる、こういう話でありましたが、その点の事情をひとつ御説明願いたいと思います。
  8. 目黒清雄

    目黒政府委員 御承知通り災害は、河川維持が不完全であるということによつてつて来る場合が多いのであります。そこで大体において、維持府県費用をもつてやるのが当然でありまして、これは府県知事責任であります。そういうのが現在までの形でありましたが、どうも府県財政考えましても、維持に対する何かの方法考えませんと、思う通り維持ができないので、今年は新規事業として、維持費に対しても補助を出すことにしたのであります。御承知通りに昨年の個々の事業経費の草案として、例の道路の維持費に対する補助決定したのでありますが、これも維持に対する補助ということを取上げた画期的なことであります。そこでわれわれとしては、法律に頼らずにもできる方法がありまするので、維持費に対する補助新規に計上したのであります。そこで災害防除施設補助がそのために影が薄くなつたのであります。これは維持費に対する補助というようなことを強く強調いたしました関係上、災害防除施設費の金が、一応費目がなくなつたような形になります。そこでわれわれとしては、維持費補助を出すことはけつこうであるが、防除施設費補助を出したいということで、結局この範囲内において、防除施設費にも補助を出してもよいということに相なつておるのであります。いかにしても、予算が昨年度よりも減額されたということは、われわれとしても非常に苦痛であります。われわれとしては、来年度河川維持費補助災害防除施設費補助と、もう一つ新規項目として取扱うような努力をしてもらいたいと思うのであります。これも将来において当然予算増額いたすべきものとわれわれは考えております。ただ災害防除という言葉は、非常に範囲が広いのでありまして、ここには載つておりませんが、そういう予算項目を定める場合には、災害防除という考え方で、河川事業費砂防事業費、それから農林省山林事業と、これらを一括しまして、災害防除の別わくをとつたのであります。予算編成のときにはそういう形で災害防除という言葉一段格上つたのであります。従つてそういうふうに、防除という言葉が使われた関係上で、災害防除施設費は、今のような局部的な改良ではなく、河川改修全部が災害防除だというふうな解釈になつたのであります。そういう関係で、防除施設費という言葉が抹殺されたというのは、いかにも残念でありますが、逆に考えますと、災害防除という言葉が、河川山林すべてを含んだ災害防除だというふうに格が上つたとも考えられるのです。そういうようないきさつがありましたので、災害防除という言葉がなくなつてしまつたのであります。しかしながら考えてみますと、局部的な改修のために、災害未然に防止するような事業がどうしても必要なのでありまして、その点は将来われわれとしては十分考慮しなくちやならぬと考えております。
  9. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 次に河川調査費河川調査費補助合せて四千五百万円であります。それからこれは経済安定本部予算でありますが、河川総合開発調査に必要な経費として、百五十万五千円、こういうようなものが計上されております。この経済安定本部河川総合開発調査に必要な経費というのと、河川局のいわゆる河川調査費並び調査補助費との関係。もしおわかりでしたら、河川総合開発に必要な経費が、昨年度は二千万円、本年度は百六十万円というのは、これはどういうふうで出されておるのか。この点、わかりましたら、お聞かせ願います。
  10. 目黒清雄

    目黒政府委員 河川総合開発調査というのは、御承知通り河川関係は、ことに利水関係で、利水に関する限りは、各省にまたがつていることが多い。そこでその間の総合調整をはかるのが安本であるので、安本がこの予算をとりまして、河川総合開発をやろうということになりましたが、結論的に申し上げますと、その費用はすべてまた各省に再配分されて、各省総合開発調査に当つたということであります。これは結局、そのスタッフを安本が持つていないというところから、また実際、各省専門家がこれに当ることが、総合開発計画がうまく行くというようなことから、そういうようなことでやつて参つたのでありますが、結局のところ、その総合開発はある程度最初の目的の希望の範囲まで調査が進んだのでありまするが、これからはこれを深く掘り下げて行かなければならぬという段階に立ち至つたのであります。従つて安本としての予算は非常に縮小されましたが、総合開発の精神は、各省が組みまして、おのおの河川調査費なりあるいは農林省なりの自身の費用で、ある程度調査を進めて行くというふうに、少し専門化されて参つたのであります。そこで安本の本年度調査費は跡始末という程度に相なつたのであります。
  11. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 次に本年度直轄河川新規に認められる分がどのくらいありますか。直轄河川並びに中小河川の大体の基準は、この前の委員会で御説明願つたのでありますが、二十五年度直轄河川並びに中小河川がどのくらいかは、まだきまつておらぬと言いますけれども、おおよそのことは予定されていると思いますので、伺つてみたいと思います。
  12. 目黒清雄

    目黒政府委員 直轄河川は、昨年一応中止いたしました中止河川調査ができましたので、これを復活するのが二本あります。それから府県に委譲しましたが、いろいろの事情からどうしてもまた直轄に復活しなければならぬというのが二本あります。四本のうち二本また復活いたさなければならぬのですが、これは新規考えますれば新規でありまするが、今までの継続のをやつて行こうというので、ただ形がかわつただけの話であります。さらに来年度はこれに対して大体一河川程度考えております。これは未決定でありまするが、その程度新規が入つて参るだろうと考えております。  それから中小河川は大体において全部で二百本くらいの範囲内において仕事をして行つたらどうか。これは十箇年計画を立てました本数のうちから、来年度二百本くらいやれば、その計画の線に乗つて行けるという見通しのもとに、二百本程度やりたいという意思表示今安本にしておるのでありまするが、これも関係方面との関係もありまして未決定であります。大体二百本くらいはできる予定であります。二百本といいますと、今年は完成する河川も相当ありまするので、三十数本新しく入るのではないかというふうに考えております。
  13. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 予算説明には百七十本と出ておると思うのであります。これは私の見間違いであつたかもわかりませんが、それがさらに二百本といたしますとどういうことになるのですか。百七十本を計画目標として予算を作成されたのか、あるいは二百本を目標として最初から計画されておつたのですか。私にはちよつとわかりかねますので……。
  14. 目黒清雄

    目黒政府委員 大体現在やつております継続中の河川が百七十数本という見当であります。われわれの方では、予算要求のときには十箇年計画の一部をやりたいという予算要求でありまして、おそらく二百あるいは三百くらいの数に相なつておると考えております。そこで今の予算説明に百七十となつておりまするが、これは結局新規河川の数がそのころ未確定でありまして、それは今後の折衝に待たなければ決定できないといういろいろのフアクターがありましたので、現状はその程度ということで書いておると考えられるのであります。われわれとしては予算も二倍になつたのでありますから、河川の数を相当多くしてもらわなければ、一定計画の線に沿つて仕事ができぬということを主張して参りたいと考えております。
  15. 笹森順造

    笹森委員 国家福利全体に大きな関係を持つ大きな河川改修その他に関しまして、直轄河川として取扱われているものが各地方にたくさんあるのでありますが、特に御注意を願いたいのは、ある地方における取扱い方が、国全体の取扱い方に対して甲乙があり、あるいは顧みられないという状況にあることで、これは国全体のためにとるべからざることと思います。それで原則として直轄河川、あるいは中小河川に対して、地方の差というものを一体設ける考えか。あるいはまた予算を組立てるときには、どういうことをお考えになつておるのか。一応お尋ねしたいと思います。
  16. 目黒清雄

    目黒政府委員 直轄河川と各府県中小河川と二通りありますが、直轄河川は現在七十数本やつておりますが、これは一つ基準のもとに直轄河川に入つております。これは河川法にもはつきり明記してありますが、ただここで直轄河川並びに中小河川選択基準と申しますか、施工個所決定ということになりますと、非常にむずかしくなつて参ります。そこで大体の基準は、われわれはどこまで経済効果中心にして考えて参りたい、国家に及ぼす影響の大きいものから選択をして参りたいというつもりでおるのであります。たとえば直轄河川の来年度個所の選定にあたりましては、耕地面積が三百町歩以上の場所とか、都市におきましては二万くらいの都市を対象にして考えるとか、継続中の工事は二十五年度でなるべく完了したいとか、いろいろの條件をここに入れて考えております。ただいずれにいたしましても、この條件を満たさないものはないような荒廃の状態に現在はあります。そこで全部これが満足できるならば非常にけつこうなことですが、このわくをつくりましても、そのわく以上のものが相当多いのであります。やはり計数的に経済効果をあんばいするということは、技術的になかなかむずかしい問題がありますので、できるだけ経済効果を勘案しながら、地方事情をそこにくみ入れまして、施工個所決定して参りたい、こういうふうにやつております。
  17. 笹森順造

    笹森委員 ただいまのお答えで、大体経済効果をお考えになつて施策をするということは、私どもも同意するところであります。ところで一つの例を申し上げたいのでありますが、例を青森県にとりますと、国全体の耕地面積に対して四・八%の広さを持つておるのであります。ところが実際にこの各都道府県に割当てておりまする国庫の費用は、同県に対して單に一・五%の計数が出ております。こういうことは私どもは非常に不公平ではないか。少くともこれが比率として二・五%ぐらいまで行くならば、他の府県と比べて相当なところに上つて来るのじやないかという計数が出ておりますので、実はただいまの経済効果をねらつております地方福利に関する点から、同県に対する他県との比率が公平であるというならば、それをお示し願いたいし、今お手元にその資料がないというならば、十分に御検討くださつて、今のお話理論に徹するようにお考えを願いたいと思いますが、その点についてお答えを願いたいと思います。
  18. 目黒清雄

    目黒政府委員 ただいま手元計数を持つておりませんから、正確な答えはできないのでありまするが、ただこういうことだけは申し上げられると思うのであります。直轄河川におきましては、ことに東北地方は戦前あるいはその前は非常に少かつたのであります。と言いますのはいろいろのことがあると思いまするが、やはりそれも経済効果という点から来ておるのかもしれぬと思うのです。そういう関係で非常に立遅れであるということは確かであります。そこで最近岩手その他におきまする災害状態を見ましても、なかなか捨て置きがたい重要なものと考えまするので、現在におきましては地方建設局別直轄割合を見ますると、東北地方が一番多くなつておるのではないかというふうに考えております。それはやはり北上を中心とするいろいろの事業が行われなければならぬということが、大きな問題でありまするが、他県の配分だけを考えますれば今のような結果に相なるかもしれませんが、そこに直轄工事を加味してあるいは河川、あるいは建設事業の全体を通じましてお考えを願えれば、あるいは計数は少しかわつて参るのではないかというふうにわれわれは考えております。
  19. 笹森順造

    笹森委員 あとでそちらの詳しい計数の是正に関する根本の理論を伺うことにいたしますが、私どもが今まで受けておりまする実際の調査の結果によりますると、たとえば昭和二十二年度における全国洪水被害面積は、約五十万町歩でありまして、全国耕地面積を五百万町歩としまするときは、ちようど十分の一になるようであります。しかるに青森県における洪水被害面積は約三万町歩でありまして、県内の全耕地面積の十三万町歩から見ますると、四分の一に当つておるのであります。全国の比とこの県の比とを対比しても、この県が水害の県であるということがよく認められるのであります。そこでこの全耕地に対する水害被害面積をいろいろと調査してみると、はつきりとそのことが出て来るのであります。こういう場合に本県が非常な水害を受けているということに対して、特に御注意を願いたいことを今申し上げたのでありまするが、特に先ほど申し上げましたようにこの多大なる損害をすみやかに減じて、国全体としての福利を増進し、あるいは損害から守るということにするためには、どうしてもはつきりとした計数の上に、公平なる施策を立てて行かなければならないのじやなかろうか。私どもは実際これを見ますると、全体の直轄河川、さらにまた政府補助しておりまする中小河川政府支出いたしまする金のほかに、県単独で出しまする金を加えて私どもは十箇年の計画を立てて、およそ四十億というものを県では今考えておるのであります。従いまして、一年四億ぐらいの金がいるのに対して、この直轄河川並びに中小河川に対して與えました国全体の支出は、まことに微々たるものでありまして、これはすでに局長も御承知通り、今またお話通りに、国全体としての財政の都合もありますし、あるいはまた他の地方のいろいろな経済効果とのにらみ合せもありましようけれども、非常に均衡を欠くような状況考えられますので、特にこの点について、それでもなお全体にこれはまだ政府として考えても、こういう理由があるのだということを承りたい。今お話のごとく東北地方——青森県、岩手県、秋田県、その他においても非常に遅れておるから、特に注意をしようということに観点を向けられたということについては、私非常にけつこうだと思いますけれども、ただ注意を向けただけでなく、全体に公平な負担、また国家のそれらの公平な支出に対して、もつとはつきりとしたことを承りたいと思うのであります。  特に直轄河川としてこの際にお聞きしておきたいことは、岩木川の問題でありますが、これは申し上げるまでもなく、あの地方において最も大きな河川一つでありまして、昭和七年以来国費を出して相当工事も進んだようであります。ところがまだこれが十分完成したとは考えられないことは御承知と思います。あの地方における洪水状況考え、特に昭和十年八月の降雨量から考えてみまして、私ども計画洪水量はどうしてもこれを改訂する必要がある、一千六百七十立方メートルから二千五百立方メートルに計画を改訂しなければならない。そう考えるのでありますけれども、この洪水量では現在の河敷においては非常に不十分な個所がたくさんあるようであります。これに十分なる国費を出していただかなければならぬのでありますが、それよりも問題は、すでに局長も御存じの通りに、上流に堰堤をつくつて、あの地方全体の不測の災害を補う。そのほかに二つの計画があるようでありますが、上流計画ができると四万キロワツトくらいの電力をやるということも考えられておるのです。こうした方面で跋本塞源的に治水、利水をやることがどうであるかという問題、さらにこれに関係しまして、できるなら今年のうちにこれを完成するように力を入れてもらわなければならない。私は昨年の夏現地調査したのでありますが、建設省において責任を負つております、あの河口の十三潟から日本海に出ます水道口に突堤をつくつて、湖面を高めて波浪の逆流して参りますのに対して防禦の工事をして、非常によい効果をあげておつたことは御承知通りでありますが、これが昨年の暮再びあの大波浪によつて破壊せられて、非常な勢いで水が逆流して、あの地方における水田数千町歩が水浸しになつて、せつかく刈り込んだ稻が流されて、非常な目にあつたということも聞いております。こういうようなことを考えてみまして、速急必要なる最低限度における費用を出して、せつかくの直轄河川工事を完成していただくようにしなければならぬのでありますが、この川全体に対する方策を一応承りたいと思います。
  20. 目黒清雄

    目黒政府委員 ただいまはつきりしたことがきまつておりませんので申し上げられませんが、大体われわれの見通しとしては十三湖の例の海岸堤防の問題は、来年度は完成して、数万町歩の農耕地を生かして行きたいというつもりで考えております。そのほか現在の上流の方の改修も、いろいろ放水路も掘りましたが、まだ未完成の点もありますので、これをできるだけ早く完成したいというのに、実は主力を注いでいまして、上流に堰堤をつくつて洪水調節をするということまでは、今手が出せないような形であります。しかしながら上流堰堤の問題は長年の懸案でありますので、われわれはこれが調査を進めて、適当な機会にこれが実現をはかるような努力をしてみたいというふうに考えるわけであります。
  21. 笹森順造

    笹森委員 今の問題は、十分河川局長は御承知だろうと思いますが、十三湖から海に出て参ります水門口に堤防を二本出している。これがために湖水の水がしじゆう流れて、ある速度を持つて全体の川の水位を保つような方法をとるために、海から水が逆流して来ないようなことをするあのまわりの堤防、これは最も大事な点で、今局長の言われたのは、新しくあの耕地のそとにつくつた堰堤のことを意味しておつたのではないかと思うので、そのことはぜひ今年完成してもらいたい。そのほか大きな問題は、水門口に出ているものが破壊している、これを特に考えてもらいたい。私はこの両方とも視察して参りましたが、あれさえよくできますれば、実は建設省に直接関係ないかもしれませんが、あそこの潟に入つて来て避難港として非常に優位な地位にあります。同時にあの突堤を出しますことは、非常に大きな問題でありますので、これは直接建設省責任でありますから、この点を特にこの予算をお考なさる場合には、せつかくつくり上げました新しい耕地のまわりのこういう堤防だけでは用をなさない。あの突堤を十分にしなければならぬ。これがこわされてしまつたということを十分おわかりであればけつこうですが、この点を御考慮に入れておいていただかなければならぬ。今のお話がそれを含めておればけつこうですが、もう一点確かめておきたい。
  22. 目黒清雄

    目黒政府委員 ただいま手元に書類がありませんから、はつきりしたことは申し上げられませんが、おそらく災害によつてそういう破壊を起したといたしますれば、直轄災害費用の中にそれが含まれていると思いますから、よくこれを調べて御返事申し上げます。
  23. 松谷天光光

    ○松谷委員 災害防除の点につきましてお伺いしたいと思います。先ほど局長の御説明によりますと、災害防除という項目が消えまして、いわゆる河川維持費という内容に変化したのであるというような御説明でありましたが、河川局から示していただきました予算の中で、河川維持費というものと、災害防除施設費補助、こう二つになつておりますが、従来の災害防除費というものは、やはりこの両方を含めておりますのでしようか。あるいはこの表の中に現われております災害防除施設費補助というものだけが従来の防除費に当るものでしようか。
  24. 目黒清雄

    目黒政府委員 災害防除施設費というのは、非常に意味の深長な予算でありまして、実は災害防除施設というのが、表面的には過去におきましては、局部改良的な小改良を意味したのであつて維持費に対しては補助をしないという建前で来たのであります。ところがだんだん災害が大きくなりますと、あるいは維持費に対して補助をした方がいいという声が強いので、われわれもそういうふうに持つて行きたいというふうに考えましたので、維持費に対して補助をするという建前を明らかにしたのであります。しかしながら災害防除施設費はなくなつたのでありますが、維持費の中で災害防除施設をやつてもさしつかえないという安本との了解になつておりますので、災害防除施設はできないのだ、いわゆる小改修はできないのだ、というのではないのであります。範囲が非常に広くなつたのでありますが、ただ予算が非常に少くなつた。当然増さなければならぬ予算が、ほかの費目が二倍程度になつておりながら、これだけが増額しなかつたということは、非常に遺憾であります。
  25. 松谷天光光

    ○松谷委員 先ごろ、二月八日の委員会のように記憶いたしますが、政府委員の名前をちよつと失念いたしましたが、災害防除に関する自主的費用わくがなくなつた、こういうような御答弁をいただいたのでございますが、やはり今の御説明から参りますと、いわゆる災害防除に対する一つの内面的わくはやはりあるというふうに予承してよろしゆうございますか。
  26. 目黒清雄

    目黒政府委員 その通りであります。それは災害防除という名前を使わないというだけでありまして、内容的には維持費を少し大きく考えて、範囲を広く考えて、災害防除をやるのだというふうにわれわれは折衝しているのであります。
  27. 松谷天光光

    ○松谷委員 ここに出ております災害防除施設費補助に対して、当局としてすでにその御内定があれば、お答え願いたいと思います。そういう具体的な計画がすでにおありでしようか、その点いかがでございますか。
  28. 目黒清雄

    目黒政府委員 これは御承知通りに、災害防除施設費あるいは河川維持費というのは、府県がやります工事に対して補助をいたす関係がありますので、ただいま府県からいろいろの希望といいますか、希望箇所の要求を募つております。非常に至急を要するところもありますが、非常に予算が足りないので、これを府県の希望をいかにするか、どの程度満たして行くかということで、今苦慮しているのでありまして、もう少し時間がありませんと、はつきりしたところの決定に相ならぬと考えております。大体予定から申し上げますと、来月に入りましたら、ある程度明らかになつて参るのではないかと考えております。
  29. 松谷天光光

    ○松谷委員 ただいまの御説明で、希望箇所が出ている。それをやはり選定なさるのでございましようが、選定なさる場合の順位、先ほど河川の点について一応承りましたが、ことに災害防除についての選定の基準がございますれば、参考までに承つておきたいと思います。
  30. 目黒清雄

    目黒政府委員 大体災害防除施設費あるいは河川維持費というのは、非常に小さい仕事でございます。大体は中小河川で、大きな継続的、計画的な仕事をやつてつておりますが、それでは局部的な改修のために起つて来る効果をねらうことができませんので、こういうところだけ災害防除施設費補助を出しているのでありますが、これの選択基準も、結局は経済効果をまず第一に念頭におきまして、決定いたさなければならぬと考えております。それと同時に過去の災害状態ども、これのフアクターに入つて参ると思います。またもう一つは、どこまでも地方府県知事がこの施行の任に当りますので、府県知事の意向も相当ここに尊重いたさなければならぬ。その辺のところを勘案いたして決定しなければならぬということで、やはり府県責任者とこちらとが、いろいろ折衝して決定しなければならぬ道程に入つております。
  31. 松谷天光光

    ○松谷委員 一面聞くところによりますと、この災害防除についてのその費用が、一部軍事的な土木事業費のような内容を含めて今後用いられるのではないかというような憂慮があるということを、うわさに聞いたことがあるのでありますが、そういうような内容を含めて今後使われるような御計画がありましようかどうか。これはもし速記が悪いようでございますれば、委員長にお願いいたしまして、速記をとめてでも、その点を伺つておきたいと思います。
  32. 目黒清雄

    目黒政府委員 われわれの方ではそういうことは考えておりませんし、またこの災害防除施設費予算というものが非常に少いのであります。改修費に比べましては、微々たるものであります。そういう微々たる費用でそういうことができる可能性もまたありません。ただちよつと直しますれば、非常に効果があるというような、その仕事そのものは、普通に考えますると、よほど専門家でないと見当がつかないというような、あるいは地元でないと見当がつかぬというような仕事範囲内であります。おそらくそういうことはわれわれもとうてい考えられないし、またそういうことはないと信じます。
  33. 砂間一良

    ○砂間委員 河川関係のことだけにつきましてお伺いしたいと思います。まず災害の方からお伺いして行きたいのでありますが、この河川関係の過年度災害で、今年度以降に持ち越されている工事費の全額はどのくらいになりますか。この間いただきました安本のこれによりますと、九百八十六億というふうに出ておりますが、大体これで間違いございませんか。
  34. 目黒清雄

    目黒政府委員 おそらく安本の出しますのは農林省も含めた総額だろうと考えますが、われわれの手元にありますのはそのうちの一部であります。府県災害のみを考えますると、事業費にいたしまして約八百億残つております。それで八百億残つておりますのに対して、来年は三百二十八億支出する予定になつております。
  35. 砂間一良

    ○砂間委員 ちよつとさきにはつきりしておきたいことは、数字の点についてでありますが、今おつしやいましたことしの災害関係費用二百二十八億というのは、これは地盤変動だとか鉱害復旧というのを除いて、河川関係だけですか。
  36. 目黒清雄

    目黒政府委員 今の都道府県のやりまする補助している河川で、この中には地盤沈下、鉱害復旧あるいは直轄災害と、北海道の国費を除いたものがそういうふうなことに相なつております。
  37. 砂間一良

    ○砂間委員 私ども考えておりまするのに、もつともこれはだれしも常識で考えておることだと思うのでありますが、災害工事というものは、何をさておいても緊急に復旧しなければならない事業だと思いますが、八百億の災害工事が残つておるのに、今年度二百二十八億くらいでやつてつて、それで今年度以降における災害について、十分だというふうにお考えになつておりましようか。
  38. 目黒清雄

    目黒政府委員 われわれといたしましては、災害復旧は大体三箇年ぐらいにやると理想的な形なんです。三箇年でやりますと、大体災害の起きました当初——九月前後でありますが、そのときに補正予算か、あるいはその他の方法で、災害の二五%程度がほしいのであります。次年度には五〇%程度、三年度には二五%程度というのが理想の形であります。そこで今お話しました来年度予算二百二十八億ではいかなる結果になるかと申しますと、二十二年度の残つております災害は一応片づきますが、二十三年度災害は五〇%進捗状態、二十四年度、昨年度災害に対しましては、来年度になつても二五%というような、理想の形とは相当かけ離れているのであります。これは財政上こういうふうな結果に相なつたのであります。もう一つここで考えていただきたいのは、過去におきましては地方の負担が三分の一あつたのでありますから、予算面上から行けば、その三分の一がプラスされて事業が施行されて、非常に災害復旧進捗したのでありますが、来年度からは、おそらくこれが全額補助と相なるというような結果からして、こういうような事業量がそれほど目立たないというように相なつたのでありますが、この点をいかに調整するかということは、今後府県の当局とわれわれと、あるいはほかの関係官庁と集まりまして、これが対策を講じなくてはならぬと考えております。これは場合によりますると、例の地方起債の三百億のわくの中に、ある程度県単独の起債を認める可能性があると思いますから、その県単独の起債をある程度認めてもらつて災害復旧進捗したいというように考えております。
  39. 砂間一良

    ○砂間委員 その災害復旧の点について、はなはだ自信のない御答弁のように承りました。理想からいいましても、第一年度は二五%、第二年度は五〇%、第三年度は二五%、三箇年計画ぐらいで完成したいという点からいえば、はるかに隔たりがある。ことに二十五年度におきましては、全額国庫負担というような関係工事量も縮小されて行くというような点からいたしまして、災害復旧という最も緊急を要する事業が、今年の予算の面では非常におぼつかないというふうに当局でさえもお考えになつているというように承りました。地方起債の三百億というふうなこともあるでしようけれども、これもいろいろな方面にひつぱりだこというようなことになりまして、なかなか予定通り行かぬ場合も出て来るかと思いまして、こういう点から見まして、この災害復旧予算全体につきまして非常に不十分であるというふうに私ども考えます。この不十分であるという点からして、さつき笹森さんとか、あるいは瀬戸山さんなどが、各地方の実情を述べられまして、そうして予算の分取り主義というか、自分の地方の方へ、何とかして工事を先にやつてもらいたいというふうな御発言などが出て来ると思うのでありますが、ともかくもこの災害復旧の一番緊急を要する予算が非常に不十分でありまして、そのために災害が累年的にふえて行くような傾向になり、そのことに対して十分なる施策ができないというふうに私ども考えております。  その次に河川の一般の維持改修等についてお伺いしたいと思うのであります。河川維持改修を、建設当局として理想的にと申しますか、責任を持つてやるためには、全体としてどのくらいの費用がかかりますか。それからまた、それを何箇年計画でやるとして、今年どのくらいの予算が必要だというふうにお考えになつておりますか。
  40. 目黒清雄

    目黒政府委員 災害復旧費が非常に少いということは、災害をまた起す原因になるというお説はごもつともであります。三年以上にわたりますれば、そういうことが起り得る可能性は多分にありますので、昨年は御承知通りに非常にきゆうくつな予算でありまして、その点が非常に論議された結果、大体百億であつた災害状態も多少は今年よりも少かつたのでありますが、それにしても昨年は百億円という予算であつた。それが本年度はいろいろ御盡力によりまして二百二十八億、約倍額に増額されたということに相なつておるのでありますが、やはりなおこれが将来にわたつて増額をして行かなければならぬということに相なると思うのであります。その点は今後御意見を尊重して、努力しなくてはならぬと考えておりますが、さしあたつては今のような二百二十八億で、財政的な見地からこれでやむを得ないという形に相なつております。  それで河川改修の一般方針でありますが、河川改修は、われわれの方では治水十箇年計画というふうなものを策定いたしまして、その線に沿つて事業の確保をやつてつたのでありますが、これにはどうしても最初年度五百億くらがほしいというところであります。それに対して、百十七億というようなことになつておるので、結局今の形で参りますと、十箇年計画が三十箇年計画くらいになるようであります。しかし昨年の状態に比べますと、昨年は十箇年計画の線に沿うてもできないほどの非常に少い予算でありましたのが、今年は一応三十箇年とはいいながら計画的な組に沿つて事業ができるという多少の見通しがついて参つたということは、われわれとしても非常に喜んでおる次第であります。総額おそらく十箇年計画は三千億以上の金を要すると考えております。
  41. 砂間一良

    ○砂間委員 この災害に使われる予算改修の方に使われる予算との関係を歴史的に調べてみますと、ずつと以前、過去におきましては、改修の方に重きを置いておりまして、災害の方の費用割合に少かつたというふうに私ども記憶しております。ところが近年になりますとそれがあべこべになりまして、災害の方が非常に累年激増して参りまして、応急復旧工事の方に予算が多額に使われる。今年の予算を見ましても、災害関係の方は二百六十四億であり、改修関係は百十七億というように、半分以下になつております。ということは、維持改修方面が非常に怠られているために、少しの雨が降つてもたちまち洪水になるということで、どんどん次から次に破壊されて行くという結果にほかならないと思います。従つてこの維持改修方面に重点、力点を置きませんと、日本の国土は累年的に破壊されて行くということを、私どもは憂えるのであります。ところが今の御説明を聞きましても、約十箇年計画としまして五百億くらいの予算が必要である。それが百十七億しかできない。これでは三十箇年計画というようなことになつているような御説明でありましたけれども、こういう状態で行きますと、災害が起つて、あとからあとから追い立てられて行くというようなことになりまして、いつまでたつても国土の復興ができない、できないばかりか、あべこべに累年的に国土が破壊されて行くということになると思うのであります。こういう点につきまして、これは單に建設省河川局だけでは解決できない問題であつて政府全体の問題になるかと思うのでありますが、とにかくこういうような点につきましては、予算関係でも、もつと他の方面費用は緊縮、節約いたしましても、こつちの方の面にもつと重点を置くように、今後とも御努力ありたいと思うわけであります。  それから、この少い維持改修の百十七億の予算の中で、この内容についてでありますが、土木機械費というのが八億も載つておりますが、これはどういう機械ですか。この内訳、内容を御説明願いたいと思います。
  42. 目黒清雄

    目黒政府委員 今の災害費の方が多くて改修費の方が少いということは、お説の通りであります。過去におきましてはこの比例が逆でありまして、改修費の半分くらいが災害であつたということは事実であります。そこでこれを元の形にもどすというのがわれわれの念願でありますが、何にいたしましても荒廃した日本の現状で、急激にこれをその元の形にもどすことは困難ではなかろうか、これは漸進的に行くべきものではなかろうかと考えられる点があります。例を申し上げてはなはだ失礼でありますが、たとえば人のからだにたとえて申し上げましても、今大病をしたあとに、人のからだの健康の保持は予防医学であるからというふうに、予防の方にすぐ持つて行くことは非常に困難でありまして、一応その体力を回復する臨床医学的な施策が行われるだろう。われわれはちようどそのような形で、一応力をつかせないと、何にいたしましても回復ができないので、今だんだん荒廃の河川状態を元の姿にもどして行くという努力を拂つて、しかる後に予防医学的な未然防止に立ち至らなければならぬのじやないかというふうに考えられるので、あります。  土木機械費は、御承知通りに日本の現状から申し上げましても、工事の機械化が非常に遅れておるのであります。戰前はある程度機械化を促進して参りましたが、一応河川工事あるいはその他の土木工事の中絶によりまして、この機械が逸散した、あるいは軍事的な目的のために逸散してしまつたというような形で、現在機械といいましても老朽機械のみであります。そこでこの機械化をはかるためには、どうしても機械を特別に整備しなくちやならぬというように追られておりますので、昨年度から六億を計上し、本年は八億を計上したのでありますが、主として河川工事におきましては大型機械が多いのであります。たとえば浚渫をやりまする場合に、タワーで掘鑿するタワー・エクスカヴエーターというようなもの、あるいは浚渫船というようなもの、あるいはパワー・シヨベルその他掘鑿機というようなのを主として、大型の機械——最近はブルトーザーが大分アメリカからも入つて来たその余波を受けて、国内的にも生産が上昇して参りましたので、このブルトーザーを積極的に使つて行くというような、そういう種類の機械に主力を注いでおります。他の小さな機械はこの費用の中ではとうていまかない切れないので、工事費の一部を割いて小さい機械の修繕その他をやつておるような次第であります。
  43. 砂間一良

    ○砂間委員 先ほど私は災害維持補修改良との比率を申し上げましたのは、何も災害の方が多過ぎるから、こつちを削つて改良の方にまわしたらよかろうという意味で申したのではないのであります。災害復旧ということは、いたんでおるのでありますから、何よりも緊急に直さなければならぬ。しかしそれさえもこの予算では足りない、不十分である。ところが災害未然に防ぐ予防というような立場からいたしましても、改良の方にももつと多くの予算を必要とするのに、それがなされていない。これが民主自由党の今の政府の政策なんだという点を申したのでありまして、何もことし組んである予算が改良の方が多い少ないというような意味で申したのではないのであります。
  44. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 ただいまいろいろと言われましたけれども、そういうことでなしに数字によつてひとつ表わしていただきたい。今砂間委員とけんかするわけじやないのですけれども、砂間委員の言われることもある程度肯繁に当つておる。ただ問題は、つまりここに表もあるわけですけれども昭和十一年から昭和三十三年までの直轄河川並びに中小河川にどういう費用を使つておるか。昭和二十三年度計数に換算いたしまして、これは両方を含めてでありますが、昭和十一年が三十八億幾ら、昭和十三年が三十二億幾ら、十三年以降は大体十億台になつておりますが、昭和三十年が七億八十万、二十一年が十億四千万、二十一年が九億五千万、一十三年に至つて三十八億八千万、二十四年度が大体河川事業費が六十三億、二十五年度が百十七億であります。これは戰争中でありましたので、各般の状況から河川に手を触れられるだけの余裕がなかつた。それと同時に反面、従いまして河川の氾濫、改修ばかりではありません。その他防空壕もしくは山林の濫伐、そういう状況から比例して災害が多くなつたという状況でありますので、何も民主自由党が天下をとつたから、ただちに河川が氾濫し出したといものではないのであります。御承知通り国家財政が健全でありましたならば、河川改修も完全でありましよう。またできました傷も一挙に直しましよう、ということはどなたがお考えになつても当然でありますけれども、そこができない相談の現状であります。ただしかしその間においても、昭和二十三年度以降これほど急速に河川改修費を出しておる。しかも、できるだけ災害復旧にも盡力しておるということだけは、ひとつお認めを願いたいということを私は一言申し上げておきます。
  45. 淺利三朗

    ○淺利委員長 せんだつて中からいろいろ御質問がありましたけれども、一、二まだ疑点が残されているようであります。私からこの点確かめておきたいと思いますが、第一は百億円の予備費的の、すなわち二十五年度新規災害に対する予算の施行であります。これについて第一はその適用の範囲はいつからであるか。補正予算決定後における本年度災害に対してもこれが適用されるかどうかということ。それから、もし二十五年度に、九月の出水期を越えてなお幸いに出水がなかつた場合には、この予算は過年度災害に対して使用し得るかどうか、その点をひとつ。それから第二点は過年度予算を配付されているが、工事は未完成である場合、こういう場合は全額国庫負相に持つて行けるかどうか。また各府県においてまだ予算の割当はないが、現状を黙視するに忍びずして県が進んで工事を実施してしまつたというものに対してはやはり全額国庫負担で予算を配当するか。この点を明らかにしていただきたい。
  46. 目黒清雄

    目黒政府委員 予備金の百億の支出をどうするかという問題でありますが、これはわれわれの方では、どこまでも予備金は予算決定後の災害に対して当然二十五年度に要求すべきものと考えておりますので、その金に対して予備金の百億を出してもらいたいという希望を持つているのでありますが、もし災害がなかつた場合には百億の予備金をどうするかというような問題に対しても、われわれ事務当局の希望としては、過年度災害の方に増額してもらいたいというふうに考えておりますが、まだこの取扱いにつきましては、安本、大蔵省ともはつきりした線を定めておりませんので、われわれはそういうふうに努力すると申し上げるよりしかたがないのであります。  それから二十五年度全額を補助する場合の取扱いの問題でありますが、これも現在大蔵省あるいは自治庁、安本その他が、いろいろわれわれと折衝してそれの取扱いをきめておりますので、はつきりした決定になつておりませんが、今のような二十五年度支出する金につきまして、過年度災害を全額に取扱う、と言いますのは、仕事が完成しておりましようとも、あるいは未完成でありましようとも、その形の問題は別にいたしまして、われわれの方から二十五年度支出いたします金に、その対象はどういう個所に相なるか、これはおそらく個所の指定を行うと思いますが、その個所の指定を行いまして、そのものに対して全額の補助を行うというような形に相なるのではなかろうかというふうに考えております。でありますから、取扱いは来年度これこれの個所をやるのだ、これは全額に相なるのだということになるのではないかというふうに考えております。
  47. 砂間一良

    ○砂間委員 見返り資金の中から四百億公共事業費として予定されておるのでありますが、その内訳が二百九十億はずつと出ておりますが、残りの百十億、これを見返り資金の方から公共事業費に使われるというその内訳、あるいは予定というものがありましたらお聞かせ願いたいと思います。
  48. 目黒清雄

    目黒政府委員 これを私の方から御答弁申し上げるような段階までは参つておりませんで、百十億の見返り資金をいかなる目的、いかなる方法で、あるいはいかなる仕事をやるかということは、まだ根本的に定まつておりません。聞くところによりますと、安本当局が大蔵省及び関係方面との折衝を開始するという程度に来ておりますので、これはもう少し将来になるのではないか。しかし公共事業費に出すという趣旨はかわつておらないようであります。これは安本なりあるいは大蔵省なりをお呼びになつてお聞きを願いたいと思うのであります。
  49. 砂間一良

    ○砂間委員 この前の委員会におきまして、経済安定本部西村政務次官から承つたのでありますが、進駐軍の住宅を二千戸建てるというようなメモランダムですか、お話があつた。その方の費用は、この百十億の見返り資金の中から大体出す予定だというふうにおつしやつたのでありますが、この方の費用がどのくらいかかるかということは、建設省の方でまだおわかりになつておりませんか。
  50. 川田三郎

    ○川田政府委員 ただいま連合軍住宅の建設について御質問がありました。大体その建設の予算額がどのくらいであるかという御質問と拜承いたしました。それは大五十億の予算額でございます。それは特別の公社をつくりまして、連合軍住宅公社という、こういうかりの称呼になつておりますが、それは昭和二十五年度の四月一日から公社が発足するようになれば、特別調達庁の一つの事務として行うようになる予定でございます。
  51. 淺利三朗

    ○淺利委員長 河川局長に対する質問は大体盡きておるようですが、もしたくさんありますれば午後引続き行いますが、どうでしようか、ほかにありませんか。
  52. 江崎真澄

    ○江崎(真)委員 実は手元資料を持つておりませんので、思いつきのお尋ねでいささか恐縮ですが、災害復旧の鉱害復旧費の補助の問題、一億八千万円というふうに出ておりますが、この鉱害状況を実際に見ますと、これが河川に影響しておつたり都会地の中心部に影響しておつたり、非常に深刻なものが見られるのでありますが、これが戰争中の濫掘による結果の復旧であるというので、国家的な補助をあえていかしておるわけであります。ところが実際上これを見るというと、たとえば戰争後におきましても、炭価の統制であるとか、あるいはまた生産目標達成のために、やはり濫堀をしたというようなことで、依然として禁止区域にまで手を延ばしておる。被害は三年なり四年なりあとでなければ来ない。特に昨今道義が頽廃して参りまして、炭鉱業者の実情というものは、禁止区域のいかんを問わず、相当みだりに発掘するという傾向にあるようであります。この問題については、目下通産委員会においても真劍に取上げておるようでありますが、一体建設省として、鉱害問題をどうお取扱いになろうとせられるのであるか。一億八千万円という一応の予算というものは計上されておるのでありますが、今後の御方針、それからまた同時に通産省側におきましては、今までは発堀石炭に対して幾らというような割合で、業者負担というものがあつたようでありますが、いよいよ自由になつてつて、この業者のかねあいはどういうふうにしたらいいと建設省側では考えられるのであるか。これは一体永久に負担すべきものであるか。相当建設省側としては、重大問題として取上げる必要がある問題だと思います。むしろ通産委員会と共同で、この鉱害の問題は取上げなければならぬ段階に来ておる問題だというふうに考慮するのでありますが、この点一般的な問題につきまして、一応の御当局のお言葉を承りたいと思います。  なおまた立つたついででありますから、一言議事進行に関連した問題を申し上げます。先ほど砂間委員から、相当言葉をくだいた挑戰的な言辞があつたのでありますが、委員長から幸いすかさず御注意もあつたわけでありますけれども、大体建設委員会はなごやかにやつて行こう、ことに問題が超党派的な問題が多いからということで、協調し、同時にお互い同士がだれかれという順序の特定の決定をせず、話合いでなごやかに進めて来たわけでありますが、ことさらに挑戰的な言辞を弄されたり、あるいは今後討論あるいは質問等におきまして、そういう傾向をたどるということであるなら、きようは幸い委員長の御注意によつて、あの程度で済んだのでありますが、そういうことならば、これは委員長におかれましても、将来は発言の順位をきめるなり、あるいはまた相当委員会規則による方法をもつて、運営しなければならぬだろうと思います。この点は、将来に対しても委員長に一応の御考慮をしていただくというような、一つの御参考までの発言程度にいたすのでありますが、大体今後ともなごやかに行ければなおけつこうだというふうに思つております。ついでながらこれをつけ加えまして、私の質問を終ります。
  53. 目黒清雄

    目黒政府委員 鉱害復旧の問題でありますが、これは相当重要な問題でありまして、非常に経過があるのであります。御承知通りに、大体炭鉱が被害を第三者に與えた場合には、鉱業法でこれは自費をもつて負担するということに相なつておるのでありまして、当然炭鉱業者が負担すべきにかかわらず、その問題が起きて来ましたのは、御承知通りに戰時中の強制出炭による被害ということになつてそれが現われて参りました。そこで国といたしましても、これに対して強制出炭に対する戰時中の臨時措置としては、ある程度補助しなければならぬということで、この問題だけを取上げて鉱害復旧と相なつたのであります。これは二年ばかり前からでありますが、戰時中の強制出炭による被害地の範囲が非常に問題だと思うのであります。これは通産委員会の方でも今特別鉱害というもので措地法を考究中で、いずれは法律に相なるかと思いますが、これにはどこまでも、その限度は戰時中強制出炭をしたために起つて来た被害ということに限定しておるのでありまして、このために起つて来る将来の問題に対しては、この法律の外であるようになつております。従つてわれわれといたしましても、将来炭鉱業者がかつてに掘つて被害を及ぼした場合には、当然鉱業法の精神にもどつて、鉱業権者が自費をもつて負担をするという元の形にもどすのがほんとうであると思うのであります。ところが現在残つておりますわれわれの関係の鉱害復旧費用が総額十七億七千八百万円ばかりありますが、その中に二十五年度以降まだ十四億九千万円という費用が残つておりますが、これに対しては戰時中の鉱害として認定いたしました範囲におきましては、これに対して補助をいたして行かなければならぬと考えておりますが、はたしてこの総額が戰時中の強制出炭の被害によるのか、あるいはそれ以前から起つて来た被害によるのか、その認定の問題は今後に残されたものと思いますが、幸い通産省でできまする特別鉱害臨時措置の法律ができますれば、そこに審議会ができるようになつておりますので、その審議会で鉱害の範囲を嚴重に調査をし、決定することに相なると思いますので、その範囲決定いたしますれば、それに従つてわれわれの方は措置を講ずる。それ以外のものは将来は補助をしないで、鉱業者の負担にして行くというのが建前であります。
  54. 淺利三朗

    ○淺利委員長 それでは午後一時半から再開することとし、午前中はこの程度で休憩いたします。     午後零時三十七分休憩      ————◇—————     午後二時十九分開議
  55. 淺利三朗

    ○淺利委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  特別調達庁の方々が午前中から見えておりまして、ただいま長官官房官房長、長官官房会計課長、経理部長、経理部次長、これらの方が見えておりますのでこれから一応特別調達庁の予算関係につきまして説明を聽取したいと思います。経理部長川田政府委員。
  56. 川田三郎

    ○川田政府委員 特別調達庁関係の二十五年度予算につきまして概略の御説明を申し上げます。  私は経理部長の職務にありますが、特別調達庁の予算関係は、二十四年度までは大蔵省所管と総理府所管とにわかれておりました。大蔵省所管の分が事業費、いわゆる進駐軍関係の調達に直接使われる予算でありまして、総理府関係は事務費、いわゆる庁費に当るわけであります。政府機関の事務を行うのに直接必要な経費が事務費となつておりまして、その方の所掌は官房の方でありまして、その支出官は官房会計課長であります。事業費の方の支出官は東京におきましては私経理部長がやり、また各調達局、地方の部局におきましては同じ経理部長というのがいたしております。ところが昭和二十五年度からは、現在の予算案といたしましては、全部総理府所管の予算にかわることに相なります。そこで今日御説明いたしますのは、まず私から事業関係を御説明申し上げ、さらに官房会計課長の方から事務費の御説明をいたしたいと思います。  本年度の終戰処理費の総額は千九十億円でありまして、これに事務費も含んでおります。これを総予算額に比較いたしますと、その比率は約一割六分に相当いたします。これがかつて終戰処理事業が始まりました当時の四分の一、すなわち総予算の二割五分程度であつたことと比較いたしますると、終戰処理費というものが、総体において日本の予算の中に占めるウエイトがかなり縮減されて来た、それだけ日本国内経済に向けられる財政面の影響が有利になつて来たと申すことができるのであります。本年の事業関係で御説明いたしますと、終戰処理事業費と申すものが二十五年度といたしましては千六十四億七千万円、大体千六十五億であります。それからあとは、予算書について一々ごらんになられるのもたいへんでありますから、ここで数字を申し上げますが、事業関係としては第二一として経験処理業務費というのがあります。これが三億七千七百万円、第三として終戦処理附帯事務費、これが二十五年度は六億四千四百万円、これだけが事業関係の終戦処理費になります。第四番目と申しますよりは、事業費を除いた分といたしまして終戰処理事務費が十五億六千六百九十万円ございます。総体から申しますると、当二十四年度予算が千二百二六億円になつております。それに比較いたしまして、二十五年度は千六十五億円ということになりますので、一応百六十二億円の減少ということに相なります。しかしこれをなお実質的に見ますると、二十四年度予算中には二十三年度の繰越分に当るものが百七十四億ございます。そういたしますと、年度計画としての予算同士を比較いたしますと、実質的に約十三億円の増加を来しております。しかし今年度予算科目は、お手元で御審議願つておりますように、項の建て方が昨年とかわつておりますので、検討をされるのに御都合が悪いのではないかとお察しいたします。それで後刻お求めがありますならば、私の方で、昨年度事業面と対照できますような分類に従つた数字も、速記をとめて御説明申し上げようと存じまする大体におきまして事業関係は、実質的に年度関係の比較をいたしますと、十三億円の増になつておる。その他業務費、附帯事務費というようなものは、二十五年度におきましては、業務費は昨年度が二億六千万円でありましたものが三億七千七百万円でありますから、約一億一千万円強の増加になつております。附帯事務費につきましても、二十四年度の六億三千八百万円が二十五年度では六億四千四百万円になりましたので、これもごくわずか増加になつております。  終戰処理費の予算を立てます場合に、一般の政府事業予算のように、ある事業計画をいたしまして、それから積算をして行つて予算の一部が成立するという段階にならないのが、今日御説明をいたしますにつきましても、はなはだ不十分なのを遺憾といたしますが、大体の概計予算を立てまして、日本側として、本年度は終戰処理費にこのぐらいはいかがかという伺いを大蔵省の主計局がGHQに立てます。それに基きまして、GHQ側が八軍の参謀部と協議しまして、八軍の参謀部はまたこれを各部隊の司令官と協議いたしまして、何部隊においては本年度はいか一なる目的の経費が幾らいるかということで、ちようど日本政府におきます予算要求のような手続が行われまして、それででき上つたのがこの予算要求書にあります数字なのであります。従つてどもこの予算に携わつておりながら、内容の説明につきましては、知つてつて言うなと言われておるのではなく、全然知らされてない状態でありますので、その点は御了承願いたいと思います。しかも国会において御審議を願うにつきましても、今回の二十五年度予算の項の立て方のように、総司令部費で幾ら、副官部費で幾らというような部隊別の、いわば日本における各省予算のような数字だけを出しまして、これで仕事をするのだと申し上げても、一体この千億からの予算で、どんなものが日本の国内でつくられ、買われ、出るのかわからない。そういう御不満も当然起ることと存じますので、一応ここで説明を打ち切りますが、なお速記を止めましてから、仕事別の金額もお書き込み願う程度説明いたしたいと思います。
  57. 淺利三朗

    ○淺利委員長 ただいま建設大臣が御出席になつておりますが、時間の関係があるようでありますから、調達庁の説明に対する御質疑、あるいは細目の説明については、あとにまわしまして、この際建設大臣に対して御質疑の方があつたならば、これを許します。
  58. 砂間一良

    ○砂間委員 建設大臣もお忙がしいようでありますから、簡単に一、二の点についてお伺いしたいと思います。実は進駐軍住宅二千戸の建設につきまして、この前の委員会経済安定本部西村政務次官からお話がありました。また今日午前中の委員会においても、特別調達庁の川田政府委員からも若干のお話がありまして、約二千戸の住宅を、見返り資金の方から五十億出資して建設されるような御予定のように承つておりますが、この進駐軍住宅というのは、どういう種類の住宅でありますか。日本の労務者が入る住宅でありますか。進駐軍関係の要員の入る住宅でありますか。それとも向うの兵隊さんあるいは将校がお住いになる住宅でありますか。あるいはその住宅はどことどこにおつくりになるのですか。それらの点についてまずお伺いいたします。
  59. 淺利三朗

    ○淺利委員長 砂間委員に申し上げますが、進駐軍関係は建設大臣の所管ではなく、調達庁の関係ですから、あとまわしに願いたいと思います。
  60. 砂間一良

    ○砂間委員 そこからやつてもいいのですが、あとでどうしても大臣に聞かなければならぬ点が出て来る。だからそこから伺つて行かないとやはり順序がわかりません。
  61. 益谷秀次

    益谷国務大臣 ただいまのお尋ねは私の所管ではございません。進駐軍住宅をエード・フアンドから出資して建設するという話は若干聞いておりますが、よく承知しておりません。
  62. 砂間一良

    ○砂間委員 見返り資金の方からお建てになるということになると、この見返り資金の管理は日本の政府がやつておるのでありまして、その見返り資金の方から金を出してつくる住宅につきましては、これは建設大臣がやはり御存じになつておられると思うのです。終戦処理費から出るのでありますれば、特別調達庁関係の方になるかと思うのですが、見返り資金の方から出るということになると、これは当然建設大臣が御存じのはずだと思いますので、わかつている程度に御説明願いたいと思います。
  63. 益谷秀次

    益谷国務大臣 正式に決定いたしますれば、むろん国務大臣でありますから、承知しなければならぬのでありますが、見返り資金で住宅をつくるという話は聞いておりません。まだ正式に決定はいたしていないようであります。また見返り資金の問題は、直接は私の関係でございません。御承知通り、大蔵大臣が安本長官と運用いたしておるもので、直接の責任者は見返り資金に対しては大蔵大臣と記憶いたしております。
  64. 砂間一良

    ○砂間委員 資金の方の運用あるいは計画については、大蔵大臣あるいは安本長官の方でやつておられるかもしれませんが、しかし実際に工事を進めて行くのは、やはり建設省仕事になると思いますが、大臣は御存じないですか。
  65. 淺利三朗

    ○淺利委員長 それは調達庁ではないですか、進駐軍関係工事を進めるのは……。
  66. 砂間一良

    ○砂間委員 調達庁ですか。それでは建設省の方は、連合軍住宅の三千戸建設については全然タツチしないのですか。
  67. 益谷秀次

    益谷国務大臣 大体建設省としてはしないことになるだろうと思います。どういうことになりますか、まだよく決定はいたしていないようであります。
  68. 砂間一良

    ○砂間委員 それではその方面はあとで特別調達庁の方にお伺いすることにいたします。  建設大臣にお伺いいたしたい点は、私どもこれまで河川や道路や、建設関係予算説明伺つて参つたのでありますが、たとえば災害復旧予算にいたしましても、過年度災害が現在幾ら残つておるかという点につきましても、政府の御説明がはなはだまちまちでありまして、先般大蔵省の河野主計局長は、大体過年度災害で残つておる分は八百億であるというような御説明がありました。しかし予算説明書を見ますと九百億という額になつておりまして、百億からの違いがある。この点、あとではつきりしたところを御説明願いたいと思いますが、とにかく八、九百億の災害がある。ところが今年予算に計上されておりますのは二百六十四億でありまして、これについては河川局長も、これでは不十分だというようなことを申しておられるのであります。またこの河川改修維持費にいたしましても、当局として一応十年計画ぐらいをやつて行くには五百億ぐらいはいる、それがこの百十何億というようなことで、はなはだ少いというようなことをさつき言つておられたのであります。ところが一方予算を見ますと、国債償還という形で千数百億の予算が出ておる。また償還期限の来ない債務を返すというようなそんな余裕があるならば、なぜ現に起つておる災害復旧だとか、あるいは災害を予防する意味で治山、治水方面にもつと予算を組まれないか、今度のこの予算で今後起るべき災害復旧ないしは国土の復興建設というような点につきまして、大臣はいかなるお考えを持つておられるのか、この機会に承りたいと思います。
  69. 益谷秀次

    益谷国務大臣 公債を償還いたしますることについては、本会議その他委員会において、所管大臣からたびたび政府の意のあるところを表明しておりまするから、ここに私は繰返すことを避けたいと存じます。ただ根本的の治水計画あるいは災害対策について申し上げますると、もとより御審議を願つておりまする予算で十分だと私は思つておりませんが、御承知通りに、公共事業費は大体昨年の倍額になつております。国家財政の現状から見て、本年はこれだけで一応はがまんをしなければならぬというので、ただいまの数字で御審議を願つておる次第でございます。河川の治水対策については、すでに御承知通り全国——田畑で申しますると洪水の危險にさらされておる百万町歩を対象といたして、これを今後十年間に八十五万町歩を水魔から防ぐという計画を、一応立てて参つたのであります。しかるに昭和二十四年度予算では、この計画を遂行いたして参りまするのに大体三千七、八百億要するのであります。従つて二十四年度予算割合をもつて進みますると、遺憾ながら六十年ぐらいかかります。しかるに本年は、幸いにいたして水利の方面においても昨年の倍額を計上いたしておりまするから、これで進んで参りますると、大体三十年の長年月を要するのであります。従つて私といたしましては、冒頭申し上げました通り、これでは十分とは申し上げかねるのであります。しかし財政のゆとりができますると、あるいは次年度において思い切り増額をいたして、計画を一日もすみやかに実行し、完遂いたしたいという所存でございます。そうして二十四年度から一応立てました計画に基いて、その線に沿つて予算を使つております。すなわち治水対策の方面予算を使つておるのであります。災害復旧費につきましては、御承知通り昭和二十五年度一年限り、軽微なる災害を除いて全額国庫負担ということに決定をいたしておるのであります。従つて従来の地方災害復旧助成の方法をとりますると、御承知通り三分の二国庫補助でありまするから、三分の一という地方負担の事業費がそれだけ多く出る計算でありまするが、本年は大体一箇所十五万円以上のものは全額国庫負担といたしまするので、総体の上から見ますると、事業費は従来よりは幾らか軽減せられる計算になるのであります。そうしてこの災害復旧費については、建設省所管の分は二百六十四億ということに相なつております。従つてこれもまた十分とは申し上げかねる。不十分ではありまするが、どこまでも緊急を要する個所を選定いたして、そして乏しい予算を効率的に使つて参りたいという考えでございます。
  70. 砂間一良

    ○砂間委員 前年度と比較いたしますと、今年度災害復旧におきましても、あるいは改修等の費用におきましても、増加しておるということはけつこうでありますけれども、しかし必要とする全体額からすれば不十分でありまして、これではますます国土が荒廃して行くということだけははつきりしていると思います。それも国全体の財政予算の全体から見まして、どうしてもこれ以上できないというならともかくも、予算の他の方面を見ますと、ずいぶんむだと思われるような費用が相当あるのであります。そういう方面を切り詰めて来て、もつと緊急な国土の復興という方面にまわせばできないことはないと思いますが、そういう点については、私どもは今の政府のやり方に対してははなはだ不満であり、納得しかねるものを持つておるのであります。それからこの二十五年度災害にいたしましても、こういうような調子で来るならば、また今年も大きな災害が幾つも起つて来るのではないかというふなうことが、懸念されるわけであります。二十五年度予算の中に百億というものがありますが、この百億はどういう根拠から計算された額でありますか。今年の災害は百億で十分まかない得るというふうな確信のもとに、百億だけ計上しておられるのでありますか、その点をお伺いしたいと思います。
  71. 益谷秀次

    益谷国務大臣 二十五年度に起るべき——これは起らなければ仕合せでありますが、起り得べき災害に対しては、御承知通り百億円の予備的予算を組んだのであります。これは国会等の強い要求もありましたので、また御承知通り、昨年のごときは予備費は一銭一厘もない。ごうまつもございませんので、台風が襲来する、災害が突発するというときに、急いでこれに対処することが、遺憾ながら十分とは申すことができなかつた従つて本年は万一台風が襲来して災害が勃発いたした際には、予備的の百億の金でまかなつて行きたい。しかしながらこの百億で十分であるか、まだ足りないかというようなことは、はつきりとした見通しはないのです。他年度災害復旧費等と勘案いたしまして、大体百億の予備金を持つておれば、緊急の措置ができるという考え予算を編成いたしたのであります。この金が使われないで、他の方面に流用することができれば至つて仕合せだと考えます。万々一不幸にもこれでしのぎがつかないという場合には、昨年もすでに御承知通りに、別途の緊急措置を講じたのでありますが、その際はその際で緊急の措置を講じたいという考えでおるわけであります。
  72. 砂間一良

    ○砂間委員 災害が幸いに起らなければそれは何よりも仕合せでありますが、しかし私どもは決して災害の起るのを予期しておるわけではございませんけれども、昨年度さえも九百億の災害が起らておる。ことしその半分といたしましても、四、五百億の災害が起るのじやないかというようなことが予想されるのであります。というのは、何も災害が起るのを望んでおるわけではありませんが、これまでのような災害復旧のやり方、あるいは維持や補修の点にいたしましても非常に不十分であるという点を考慮に入れるならば、ちよつとした台風が来ましても、たちまち大きな災害になるということが予想されるわけであります。その場合に、この百億というところでははなはだ不十分である。ちようど去年のように、災害が起つて、そうして予算もないというので、につちもさつちも行かなくなつて、第三・四半期、第四・四半期の分を繰上げてやつたり、それから地方からその都度陳情に押しかけて来ると、てんやわんやで大騒ぎをして、緊急の対策も立たぬというふうなことになるのは見えすいている。しからばもう少しあらかじめそういう予備費なんかでも増額しておくべきではないかと思いますが、そういう点についても、政府の用意ははなはだ足りないように思います。  それからかようにいたしまして、この建設関係予算が全般として非常に不十分であるということが言えるわけでありますが、さらにその不十分な予算の中におきましても、その使い方がはなはだ私どもには合点の行かない点があるのであります。たとえば先だつても私ども建設委員は、神奈川、東京方面を現地視察に行つて参つたのでありますが、あの横浜から八王子の方へ抜ける道路がありますが、その県道と並行いたしまして進駐軍関係の非常に巾の広い道路がほとんど並行的にできておる。その工事はPD工事で終戦処理費の方からやつたのだそうでありますが、その補修や維持について、今度は終戰処理費の方から出せないから、何か公共事業費の方からでも出してやつてくれというふうな話があるそうであります。そういうふうに、この少い日本の公共事業費でさえも、道路といわず、港湾といわず、あるいは先ほどの進駐軍住宅にいたしましても、何か日本を軍事基地化する方面、軍事的な施設の方面に使われるような節々が、全国に多数あるのであります。そうしますと日本の民生を安定する上に最も必要な事業が見送られてしまつて、このわずかな予算でさえも、本来終戦処理費でやるべき事業が、みんなその公共事業費という名目におつかぶされてしまつて、そうしてそつちの方に食われてしまうということになるのであります。これは單に日本の復興を妨げるばかりでなくて、日本を軍事基地化することによつて世界戦争の渦中に日本を巻き込む、日本を戦争の基地化するような、ちようど憲法とはまさに正反対の方向に持つて行くような危険が多分にあるのであります。こういう点につきまして、建設大臣は日本政府の国務大臣といたしまして、どういうふうなお考えを持つておられるか、この機会にひとつ大臣の御見解を伺いたいと思いまする
  73. 益谷秀次

    益谷国務大臣 古いことは私はよく承知たしておりませんが、最近まで特別調達庁で終戰処理費で道路等を直しておつたことは承知いたしております。しかるに最近は大体土木工事は直接建設省がいたすということになつたのであります。すなわち半面から申しますと、正木工事については、終戰処理費でまかなうべき工事がなくなつたと解釈することができると思うのであります。これまで終戰処理費で仕事をいたして参りました道路、これはやはり国道、県道という道路でありますから、一昨年の道路法の一部改正が国会を通過いたしました後は、やはり道路の補修、修繕に関することは、公共事業費でまかなうことになつたのであります。これはすなわち戦争中に荒された、破壊せられた道路を、戦前の状態に少くとも回復するというのが建前であります。そうして修繕をする。国家はそれに対して助成金を出す。これとりも直さず産業の振興また荒廃いたした国土の回復ということに帰するのでありますが、もとは終戦処理費によつてできた道路を、今公共事業費でまかなつて修繕をいたすということは、必ずしも日本再建のため、産業振興のために矛盾するものではないと信じておるのであります。  その他基地云々のことでありますが、これは総理からもたびたびお答え申し上げます通り、また特に私はその方面のことは少しも知りません。ただ公共事業費としてまかなつておる土木事業は、繰返して申しますが日本再建のため、民生安定のため必要な部面であるということを、確信を持つて申し上げることができると思うのであります。
  74. 砂間一良

    ○砂間委員 その産業復興のため、国土復興のためとおつしやることはまことにけつこうでありますが、たとえば道路の補修にいたしましても、これまで敷設されておる日本の国道その他の道路が、東京を中心として、大体師団司令部と師団司令部を結ぶ線というふうなのが国道線になつておる。従つてその道路、その国道を補修するということは、以前の軍国主義時代につくつた道路を復興し、強化するということになるのでありまして、やはりそこに軍国主義を復活するということが含まれておると思うのであります。しかし今必要なことは、そういう大きな道路を復興することもそれは必要ではありますけれども、もつと農村の林道だと、か、あるいは実際に産業道路として必要な道路をつくり、補修するという方面が必要なのでありますが、そういうところはほとんど放擲されておる。うつちやらかされておる。山梨県などに行きますと、林道という名目で六間道路、八間道路がつくられておる。あるいは山の上にかつての高射砲陣地があつた。そこに道をつけるために林道という名目で、一見明白な軍用道路と思われるような道路がつくられておる。これがあるいは産業開発とか復興とかいう名目でなされておる。しかし実質的に見れば、これは富士山麓などにいくらもありますが、はつきり日本を軍事基地化するための、戦争準備のための施設であるということは、だれが見ても明らかであります。こういう点について日本政府は何ら自主性がない。もつと日本の国の産業をほんとうに興し、民生を安定し、国土を復興するという方面に努力されることが私は必要だと思う。そういう点が非常に欠けておると思う。建設大臣はそういうことは一つもないとおつしやつておられますけれども、たとえば対馬の総合開発なんかにいたしましても、あそこに二十億の予算を投じて何かやられるのだそうでありますが、あの対馬にかつて軍港があつて、それを漁港の復興という名目で、厖大な潜水艦基地をつくろうという計画が明らかにあるのであります。そういう方面にみんなこの公共事業費なんかが大部分さかれて来ておる。あるいは見返り資金なんかで連合軍の住宅を建てる。これはもつてのほかだ。もし連合軍の住宅を建てるならば、これははつきり終戰処理費から出したらいいと思う。それを終戰処理費の方が増額されることをおもんばかるからして、そういつた公共事業費という名目で、しかも日本の復興をやるようなかつこうに見せかけて、その中に軍国主義的なものが織り込まれておるということにつきましては、私どもはどうしても納得することができないのであります。大臣はそういう見せかけの答弁でなくして、もつと日本の国民として、日本を戦争の渦中にまき込まないで、あくまで憲法に言われておるような平和国家として再建して行くような立場から、もつと国民の前に現在進行しつつある建設関係事業にいたしましても、その全貌を明らかにしていただきたいと思います。
  75. 益谷秀次

    益谷国務大臣 ただいまの御意見のごとく、戦時中には師団と師団をつなぐ線、あるいは軍港をつなぐ線もしくは陸海軍の病院をつなぐ線、こういうものは軍事的の立場から優先的に道路を改修するなり、あるいは鋪装するなりいたしたことは事実であります。また私も各地をまわりまして、今日産業の上から、資源開発の上から、あまり急がないでもいいように思わるる道路が鋪装になつておるとか、広くなつておるという事実はしばしば目撃いたしております。従つて今日われわれといたしましては、道路法を根本的に改正をいたして、たとえば国道を選ぶにつきましても、元のような師団と師団をつなぐ線を、かりに距離は短くともこれを国道にする、あるいはある神社をつなぐ線、これはあまり産業の発展に益するところがなくてもこれを国道に認定する。あるいは軍港、鎮守府所在地においては、これも距離は短くとも国道にするというような軍国主義的の考えを一掃いたしまして、道路法を主として幹線道路をつくる、すなわち産業、交通また資源を開発するために道路をつくるというような方針を堅持いたしまして、今道路法の改正にも着手いたしておるような次第であります。しかして道路の改修については、どこまでも当分の間は修繕修復を第一として、よんどころない産業のため、交通のためぜひ必要であるという部面は改修をもいたすというので、はつきりいたした計画を立てておるのであります。すでに昨年の五月二十七日には道路五箇年計画を完成いたしまして、昭和二十七年度までに完成するという計画はつきり立てておるのであります。従つてそのいずれの線を見ましても、必ず資源開発であるとか、交通上の点を勘案いたし、産業の開発、国土の回復ということを主眼にいたしております。  なお対島の問題でありますが、これは先般長崎県の対島から、ほとんど顧られない所だからというので、御承知通り建設省といたしましては、持株地域の開発計画を立ててもらつて、そうして特殊地域として指定いたしております。昭和二十二年度から今日に至るまで、経済安定本部と連絡をとり、全国十四箇所を特殊地域として指定して、この資源開発の計画を立てて指導いたしておるのであります。資源開発に対する調査費の若干を国家補助いたしておるのであります。そこで昨年の夏以来、対島は顧られない所だから、資源開発の特殊地域に指定してくれという要請がありましたので、昨年暮本多国務大臣が、私の方の計画課長を随行せしめて調査いたされたのであります。これはひとり対島のみではありません。全国十四箇所をすでに指定しておる。さらにわれわれは特殊地域のみではなく、各都道府県総合開発計画を奨励いたし、補導いたしておる場のであります。その地方総合開発の一端として特殊地域を指定し、特殊地域の資源開発の総合計画を立てて、そうして公共事業費を使つて参りますのには、資源開発ということを眼目に置きまして、呼び水として重点的にその方面へ、道路費であるとか河川費であるとか、あるいは水産の方面の漁港をつくるとかいうようなことをいたしておるのであります。ただいま初めて聞いて唖然といたしておるのであります。
  76. 砂間一良

    ○砂間委員 道路や何かのこまかな点、あるいは総合開発というような点につきましては、個々の問題のときに詳しく御質問をし、意見を述べるつもりでありますが、もう一つ関連して承つておきたいのは住宅の問題であります。住宅は戰災のために今三百数十万戸不足しておる。実際世田谷の労働者や貧困者街に行くと、狭いバラックの中に何世帯も住んでおりまして、いざこざが絶えないので、住宅の建設ということが急務になつております。そういう点からしまして、今度政府で住宅金融公庫をつくつて、住宅の建設に力を入れるというその趣旨はけつこうでありますが、しかしそれの内容を見ますと、実質的には軍需工場の労働者方面に使われる懸念が多分にあります。あるいは個人住宅にしましても、一定の資金を持つておる中以上の人たちしか利用できないというふうに考えられるのでありまして、非常に不十分であります。しかしその不十分はさておきまして、これだけ住宅が不足しておるときに、何でこの見返り資金で連合軍の住宅を五十億で二千戸、一戸当り二百五十万円もかけてつくつてやる必要があるのですか。つくつてやる必要があるのなら、それはよろしく終戰処理費の中から正々堂々と出せばいい。そういう点どうも私どもには割切れない。見返り資金で連合軍の住宅を建設されるということは、個々の内容については特別調達庁なり、大蔵省なり、安本なりで係が違うかもしれませんが、しかし益谷建設大臣は国務大臣として、この見返り資金で連合軍の住宅を建設するということについて、御賛成でありますかそれとも反対の意見を持つておられますか。
  77. 益谷秀次

    益谷国務大臣 賛成とも不賛成ともただいまの段階ではお答えすることができません。先ほど来たびたびお答え申し上げておる通りでございます。  なお住宅の問題でありますが、住宅難の緩和については、諸君とともに私も非常に心配をいたしておる一人であります。庶民住宅、いわゆる低家賃の貸家住宅でありますが、これは今まで通り各公共団体をして、政府半額の補助金で、できる限り続いて建設いたして参りたいと思つておりますが、それでは足りませんので、今回は昨年以来問題となりました低金利、長期の金融をいたすという目的から、今住宅に対する金融公庫と申しますか、その法律案を急いで作成しておる次第であります。これは御承知通り五十億は政府の出資にかかるものでありまして、百億は見返り資金から政府に交付せらるるもの、総計百五十億であります。これの貸付については、まだ最終的の決定はいたしておりませんが、できるだけ長期で、できるだけ金利を安くして貸し付けて参りたいと思つております。  さらにもう一言お答え申し上げたいのは、過密居住、狭い所にたくさん住まつて不自由しておる者、遠距離通勤者、その他家族がばらばらに別居いたしておる者、はなはだしいのでは、まだ壕舎等におられる人もあるやに承知いたしておるのであります。こういう人がまだ大体百万世帯あるという推算であります。そのうち四十万世帯は資材あるいは自己資金、あるいは会社の設備資金が得られれば、どうにか政府のやつかいにならないでできるという見通しを持つておりますが、残りの六十万世帯、これには全然資金の持合せのないお方が相当あります。こういう人に対しては、住宅の不足の度合をしんしやくして、これまで通り庶民住宅をつくつてそこに入つてもらう。さらに調さたしますと、大体三割ぐらいの基金はあるが、もう七割の資金がない。高利では建設ができないから、低金利で比較的長期であれば、自分一人でなく組合のようなものを組織して、連帯責任で行けば建て得るというような人は——砂間百委員は中産階級以上で軍需工場に働く者だと仰せになりますが、さようなものじやありません。住宅組合あるいは個人が低金利で借りて行きますと、十五箇年あるいは十箇年の間に今までの家賃にいくらか加えたもので償還をして、行く行くは完全な所有権を獲得するというような仕組みにいたして参りたいという考えであり、まして、中産階級以上の者を目途として計画しておるとか、あるいは軍需工場のようなものの工員に貸し付けるとかいうようなことはありません。しかも今日、日本には軍需工場がないのであります。私のねらいは、主として勤労者階層に優先的に貸してやりたいという心組みであります。なお貸家経営の方面についても考究をいたしております。これは比較的資本はかさみますが、主として鉄筋コンクリートの高層なアパートをつくつて、住宅難に困つておる人を大量に収容いたしたい。これは建物の性質上、木造と違つて耐久力がありますから、相当長期の金融をすることができると思います。かりに三十年といたしましても、毎月分割いたしますと比較的低家賃で住まわれる。かような考えから、その方面に融資をいたしたいという考えで、今法案を立案中であります。
  78. 砂間一良

    ○砂間委員 自己資金三割の者に貸付けてやると申しましても、その三割が問題であります。今は貸金が安くて、あるいは失業をしていておりまして、配給物さえもとれないので、家を建てるために三割の自己資金を持つておるような人はありません。三十万円の住宅を建てるにしましても、その三割と言いますと九万円、ざつと十万円を用意しなければできない。こういうような人は、やはり中産階級以上の人であることは明らかであります。あるいはまた軍需工場の住宅なんかを建てる意思はない。日本には軍需工場はないというふうにおつしやいましたけれども、たとえば小田原の在の相模原にある小松製作所などは戰車なんかを修理しておる工場であります。そういうようなところから建設省なんかに日参いたしまして、会社が別の住宅組合みたいなものをつくつて、住宅供給組合のあれだから、ひとつ住宅金融公庫の資金を融通してくれないかというような運動をやる。そういう軍需工場であるとか、外国資本の入つておるような特殊の工場地帶に、主として公庫の金がまわされまして、そういう方面の住宅だけをつくつて行かれるような懸念が、私どもには多分に持たれるのでありますが、やはりこの問題は、今ほんとうに住宅難で困つておる日本の勤労者の住宅を供給し、これを解決してやるという点が、基本的な点でなければならないと思います。ところで今県営住宅、市営住宅をつくつておりますけれども、あの家賃は大臣は一体幾らだとお考えになつておられるのか、この間も藤澤の県営住宅なんかを見学に行つて参りましたが、大体千五、六百円であります。今の六千三百円べースで千五、六百円の家に住めるかどうか、六千三百円ベースの賃金で配給さえもとれない、その上税金でいためつけられておる人が、千円以上の家に住んで家賃が抑えるかどうか、そういう点もひとつ考えていただきたい。結局今建てる住宅とか、住宅金融公庫なんとい、うものは、ごく特殊な人にだけ供給してやるような仕組みにしておいて、政府は住宅問題についてこれだけ力を入れておるというような見せかけをやりまして、実際は一部の特定の人、あるいは一般水準以上の人だけに供給するというようなことになるのではないかということを、私どもは憂うるものであります。  住宅の問題はそれくらいにしておきまして、もう一つ伺つておきたいことは、見返り資金の中から五百億が公共投資として出ております。そのうち三百九十億の使途はきまつておりますが、残りの百十億、そのうち五十億は進駐軍の住宅を建てるためにまわされておるということを、けさほど川田政府委員から承りましたが、残りの六十億は何にお使いになるのですか。
  79. 益谷秀次

    益谷国務大臣 住宅の問題について砂間さんにお答え申しておきます。住宅金融公庫は産業会社等には貧付をしない、どこまでもそれは中小企業の金融方面で設備資金でやつてもらいたいという考えでおりますので、産業会社  には職員と申しまするか、工員の住宅を建設するための資金は貸付いたさないことにしております。それだけ説明いたしまして、見返り資金は公共事業に対して百十億と記憶しておりますが、これはただいま問題になりました進駐軍住宅とは別個だと私は存じております。すでに予算を編成いたす際において、公共事業費全般に対して百十億ということが決定いたしておるのであります。ただその百十億の内訳はまだ決定はいたしておりません。すなわち河川には幾ら、道路の方面には幾ら、もしくは港湾の方面には幾らというように、国会の承認があれば決定いたすのでありましようが、現在のところは項目については決定いたしておりません。
  80. 砂間一良

    ○砂間委員 私この前の二月十日の建設委員会で、経済安定本部西村政務次官からお伺いしたところによりますと、この見返り資金の残りの百十億の中から、連合軍の住宅建設に支出されると申されたように記憶しておりますが、その点はいかかですか。
  81. 川田三郎

    ○川田政府委員 けさほどの御説明に補足的に説明いたします。見返り資金によつて進駐軍の関係者の住宅をつくるという点が現在懸案になつておる。見込みとしては公社を五十億の借入金によつてつくる、こういう御説明を申し上げたのでありますが、それだけではまだ不十分のように思われますので……。現在政府においてきまつております問題は、見返り資金の関係から住宅をつくるという線に向つて案が審議中であるという程度であります。確定している点は、連合軍住宅をつくれというスキヤツプインが出ている。このスキヤツプインの内容は、見返り資金から融資を受けるものは、連合軍住宅公社と日本側において仮称をつけました一つのコーポレーシヨンである。そこで大事なことは、この住宅の経理については、連合軍側で家賃を拂う、これを解釈いたしますれば、一種の貿易と同じような状態になるのでありまして、それから推察いたしますと、おそらくや公共事業費のわくからそれが出ることはあるまいと推察されます。従つて見返り資金から公社に金を貸す、それを資金にして公社が住宅をつくる、これによつて家賃を連合軍側から頂戴する、それは結局また見返り資金に一つの貿易勘定としてもどつて行くのであります。いわば日本人が建設の技術と労務を提供いたしまして、見返り資金によつて一つの財産をつくつて、これを日本の収入にする、こういうことに落ちついて行くのではないかと見込まれるのであります。
  82. 淺利三朗

    ○淺利委員長 建設大臣に対する御質問はほかにございませんか。——久野委員。
  83. 久野忠治

    ○久野委員 先般来大蔵省主計局長等のお話によりまして、都道府県市町村工事の全額国庫負担の問題が話題に上つておりまするが、私はおそらく地方において全額国庫負担となるものは、この工事施行の監督の問題等について、相当中央が大きな権限を持つようになると思います。そこで、こうした問題についていかなる御見解を持つておいでになるかということと、もう一つは、地方がこれらの工事を施行する場合に、入札をいたしまして残額を生じた場合は、その残額の使途についていかなる御処置をなさるか、この二点についてお伺いいたしたい。
  84. 目黒清雄

    目黒政府委員 工事の施行の監督の問題ですが、われわれの方で考えておりますのは、一部補助であろうと、かりに全額になろうと、施工者は府県知事である。最初の第一次監督は府県知事にあるものであるというふうに解釈しております。将来ともそのつもりでやつて参りたいと思います。ただ発言権の問題ですが、これは程度の問題でして、相当中央からも、全額補助になりますれば、ある程度十分なる府県知事の監督をやらなくてはならぬというようなことに相なるかもしれませんが、それは中央が全部府県知事の権限を排除してまでやるという意思はないのでありまして、多少監督を厳重にしなくてはならぬという程度考えております。  それから残額の問題ですが、御承知のように、国庫補助は精算に対して補助をするわけであります。従つて残金が生じた場合には、これは当然他の工事の方に流用されるべきでありまして、もしそれが精算の結果最後に残額を生じた場合には、拂いもどし、戻入というようなことに相なると考えております。
  85. 淺利三朗

    ○淺利委員長 委員各位に申し上げますが、河川局関係の御質問は午前に済んだのでありまして、ただいまは建設大臣がお見えになつておりますので、特に大臣に対して大きな御質問でもあればということでありますから、そのつもりでひとつ御質問願いたいと思います。
  86. 松谷天光光

    ○松谷委員 先ほど大臣の御説明によりまして、住宅問題について、ことに貸家計画など考慮しておるというお話がございましたが、この計画というのは、先ほど触れておられた住宅金融公庫、あるいはまた現在話題に上つております住宅公社法案などというものも構想されてお話があつたのでございましようか。あるいはこのほかにまた特別な御計画でもなしつつあるというような状況でございましようか。その点を承りたいと思います。
  87. 益谷秀次

    益谷国務大臣 ただいま申し上げましたのは、住宅金融公庫と申しますか、その法律案を今立案をいたしておりまして、従つてどういう方面に貸付をする、貸付をすれば、どういう計画の家屋には大体建設費の何割を貸付ける、償還期限を何年にする、また利率をどれだけにするということを詳細に規定するつもりでございます。今それを関係のあらゆる方面折衝いたして、近く立案ができて、御審議を願うことができると思つております。貸家ということについては、今建設省考えといたしまして、大体百五十億のうち、四十五億程度を貸家企業の方に融資をいたしたらどうかという考えであります。それも個々ばらばらの木造の建物では困るから、高層の鉄筋アパート、コンクリート・アパートをつくつて、その方面に長期でしかも比較的低利に貸し付ける、こういう構想を持つておるのであります。それから一般の貸家は、むろん私どもはなるべく耐久力のある家屋を希望するのでありますが、そうするとまた建設費が高くなりますから、一般の個人もしくは住宅組合に対する貸付は、多くは比較的小さい木造家屋になると考えております。従つてその方面に大体百五億くらいの貸付をするという考えに進んでおります。
  88. 松谷天光光

    ○松谷委員 ただいま御説明いただきました貸家業の四十五億、あるいは百五億というような内容は、これは住宅公社法案というのが出ると伺つておりますが、住宅公社法案の方に含まれた問題でございましようか、それを伺いたいのが一点と、続けて質問したい点を申し上げたいと思います。聞くところによりますと、これまた法案が具体的に出て参りましてから伺わなければならない問題だとは思いますが、住宅公社法案が今いろいろ審議されているその途上だと承つておりますが、この法案が制定されるようになりますと、それに携わります職員は、特別調達庁の職員が兼務するようになるのだというようなことも聞いておりますが、そういう事実のもとに審議されているかどうかということを伺いたい。これは参考までに伺つておきたいのであります。  それから大臣がせつかくの御出席でありますので、ちよつと古い問題になりますが、一応これも承らせていただきたいと思います。それはちようど特別調達庁の方も見えておられますので、昨年の六月ごろでございましたか、第五国会に特別調達庁設置法が制定されます際に、その中に国内調達業務を設置法案に盛ろうとした際に、国内調達業務の内容を、建設省から横やりが出て、これを削つたというようなことを聞いているのでございますが、そうした事実があつたかどうかということを承りたいと思います。なおかようなことがあつたといたしますと、特別調達庁の職員の方たちが、非常にある一種の不安な状態におるのではないか、またおるというような事実も聞いておりますが、こういう点に対して、何がゆえに建設大臣はその国内調達業務の点を強いて削除されなければならなかつたか、その理由を承りたいと思います。
  89. 益谷秀次

    益谷国務大臣 近く発足します住宅金融金庫は、大体職員定員は百五十人以下だろうと思います。しかしてこれは特別調達庁とは何ら関係がございませんので、調達庁の職員が兼務いたすということはございません。まつたく独立いたしました、社会主義を加味した金融機関であります。別個に職員を配置いたす考えでございます。  なおこの調達庁の国内調達について建設省云々というお話でありますが、これは一昨年建設省ができますとき何かあつたそうでありますが、これは主として営繕に関する事柄であつたそうであります。私は詳細には承知いたしておりません。詳しいことは、また調達庁あるいは私の方の営繕の者が、必要に応じてお答をすることにいたします。
  90. 松井豊吉

    ○松井(豊)委員 住宅資金関係について一言お伺いしたいと思いますが、建設省内に特別金融公庫を設けてそれを取扱わせる、また地方産業あるいは銀行関係に取扱わせるというようなお話を聞いておりますが、これらの取扱いはまだはつきりしておりませんかどうか、お伺いしたいと思います。
  91. 益谷秀次

    益谷国務大臣 むろん金融の面でありますから、ある部分については大蔵大臣も発言権を持つことになりますが、主として建設大臣主管の公庫であります。建設省内のものじやございません。貸付のことは地方の普通銀行等に、貸付をする以前に、あるいは調査等をいたしてもらうことがあるだろうと思います。地方長官に協力してもらいましたり、地方の金融銀行等に協力をしてもらうことはありますが、貸付は大体直接貸しになることと思いまする
  92. 淺利三朗

    ○淺利委員長 それではまた特別調達庁の問題について検討いたします。何か御質問はありませんか。
  93. 砂間一良

    ○砂間委員 先ほどの連合軍住宅の問題に入るわけでありますが、そうすると見返り資金か貿易資金か知りませんが、そつちの方から金を借りまして、借入金によつて連合軍住宅供給公社といいますか、何といいますか、そういうコーポレーシヨンをつくつて、それが住宅をつくつて連合軍に貸してやる。結局見返り資金の運営をやるということになつて、終戰処理費関係とは全然関係がないというような趣旨であつたと思うのですが、そういたしますと、その家賃なんかはどのくらいに御計算になつておられますか。
  94. 川田三郎

    ○川田政府委員 ただいまの御質問の家賃でありますが、家賃につきましては、やはりGHQの方で幾らにするということをきめることになつております。それから今の御質問の中に、終戰処理費と全然関係がないように了解するという御質問がありましたが、その点は終戰処理費と全関無関係ではございません。と申しますのはスキヤツプインの中に、この維持修繕費についてはPDを出して、終戰処理費で負担する、こういうことがございますので、その点において関係いたします。  それから立ちましたついでで恐縮でありますが、先ほど松谷委員からの御質疑の中に、住宅公社について、特別調達庁の職員が兼務するのではないかということがありました。これは建設大臣からのお答えであるいは十分おわかりかと思いますが、私の方で申し上げておりますのは、まだ仮称ではありますが、連合軍住宅公社というのでありまして、かりに建設省の方に住宅公社というものができますならば、そのものとは別の公社になります。そして特調の者がこれを兼務の形でやつて行くという点につきましては、政府としてはまだ未定でございます。そういうスキップインが出ておるのだ、こういうふうに御了解願いたいと思います。
  95. 砂間一良

    ○砂間委員 とにかく日本政府一つの公社をつくりまして、そして日本の資金を運用いたしまして、家をつくつて貸家商売を始めるということになりますと、その家賃は当然これは日本政府ないしは公社がきめるというのが至当であろうと考えております。普通の場合、家を借りますときには、たいてい大家さんが家賃をきめるのであります。県営住宅なり、市営住宅がつくられまして、それに私どもが入りますときでも、その建設費を全然無視いたしまして、この家賃は五円だといつて、かつてにこつちできめて入るということは、常識でも考えられないことであります。そういたしますと、かりに連合軍の使用する住宅でありましても、その貸家商売をやるのは日本の国の公社でありますから、この公社なり日本政府の方で、当然家賃はきめるべきものである。入つて使用する方の側の人がかつてにきめる、たとえばGHQの方で家賃をきめるということは、はなはだ筋が通らないと思うのですが、その辺の事情はどうなんですか。
  96. 川田三郎

    ○川田政府委員 いかにもごもつともな御見解でございます。私どもといたしましては、大きな線はやはりポツダム勅令によつてやるということになりますので、GHQの方で自分で家賃をきめるぞと言えば、必ずしも反対し切れ得るものでないと存じますが、向うは割合に合理的な国民性を持つておりますので、向うがきめて示された家賃に対しまして、ないしはこちらから案を出しました場合の案にいたしましても、いわゆる経営という点から考えまして、見返り資金を運用することになるのでありますから、これは公社の方針といたすことになると思いますが、公社側から十分に御趣旨のような線に沿つて、家賃としてただ一方的に軍側にきめられることのないように努力いたすつもりであります。
  97. 砂間一良

    ○砂間委員 最近伝えられるところによりますと、何か日本の講和の問題が非常に差迫つておりまして、講和條約ができれば、連合軍は撤退してもらえるというふうに期待しておるのが、国民の大多数だろうと思います。そういたしますと、もう連合軍の方は早晩撤退してもらえるということを予想しておるやさきに、住宅をつくるということになりますと、連合軍がいつまでも日本に残つておる下準備ではないかというふうな感じを受けるのであります。これまで連合軍の人はどこかに入つておられたので、雨ざらしになつていたのではないと思う。そこで特別に住宅を建てる必要はどこから来ておるのでありましようか。その間の関係について、もう少し御説明を願いたいと思います。
  98. 川田三郎

    ○川田政府委員 この点について率直に申し上げれば、私どもにはわからぬのであります。しかしそれではあまりぶつきらぼうであるということでありますれば、推測を申し上げますと、おそらく連合軍は現在PDを出しまして、皆さんも御迷惑をこうむつておられると思いますが、一般国民の住宅を接収しております。これはごく安い家賃で接収しておるというような状態でありますので、ただいまおつしやつたように、講和條約でもできました際は、いわゆる終戰処理費の形で日本の国費をまかなうということはおそらくできないであろう。それの一つの試みかもわからないのでありまして、これは一種の取引の形になる。つまり接収の住宅も、次第にみずから接収住宅以上の合理的な家賃を拂う借入れ住宅に切りかえて行くのではないか、これはまつたく推測でありますが、そういうふうに経済的には考えられる。それ以上のことは私どもの立場といたしましても、連合軍の住宅関係をどうするかということになりますれば、調達官庁の分野でございませんので、外交なり財政なりの分野になろうと思いますので、これ以上のお答えは御容赦を願いたいと思います。
  99. 松谷天光光

    ○松谷委員 先ほど川田政府委員が御説明くださいました住宅公社の職員の問題でございます。これは大体御説明 わかりましたが、その人員など現在予測がついておられましたら、承つておきたいと思います。
  100. 岩永賢一

    ○岩永政府委員 公社の職員は御説明があつたかと思いますが、そのために特別に国の予算を増すという方法をやめまして、特別調達庁の職員がこの種の仕事は熟練しておりますので、特別調達庁の職員にやらす。但し家賃を拂う関係におきましては、政府の建物でなく、政府以外の建物であるという形をとらなければいけないということで、公社の職員は特別調達庁の職員が兼ねてよろしい、こういうふうになつておりまして、特別調達庁の職員のうちで大体工事関係のものをそれに兼務させまして、建設に従事させる予定でございますが、まだ人数は正確にはわかつておりません。
  101. 松谷天光光

    ○松谷委員 これはむしろ山口大臣にお伺いすべき問題かと思いますが、お話によりますと、工事部の方たちだけでも、とにかく現在よりも仕事がふえて来るということだけは、常識から考えても考えられると思います。その場合に何か特別調達庁の中でやはり馘首が予想されておるのじやないか。人員はますます減つて仕事はますますそういうふうにふえて来るということになりますと、どうしても労働過重になつて来ることは、しろうとが常識で考えてもわかるのですが、そういう点についての御見解を伺つておきたいと思います。
  102. 岩永賢一

    ○岩永政府委員 それはまだ備品関係にもやはりエンジニーアがおりますので、そういうものにそれぞれひまを見て手伝わすとか、超過勤務手当を極力利用いたしまして、短期間に一生懸命働くというような方法でやろう、こういうことになつております。
  103. 松井豊吉

    ○松井(豊)委員 時間がありませんから言お伺いいたしたいのです。住宅問題でございますが、予算はもちろんとることになつておりますが、工事の着手はいつごろ始まりますか、また大体いつごろ完成するか、それから家屋は木材であるか、あるいは鉄筋を使用するか、それから都道府県関係の軍事施設の関係は今解体されておりますが、大体それらの建築場所、それらがおわかりならば簡単にでも御説明願いたい、こう思うのであります。
  104. 岩永賢一

    ○岩永政府委員 構造は従来の建物と同じ構造で、ただ材料を少しよくするということになつておりまして、従つて鉄筋ではございません。私どもといたしましては、なるべくなら鉄筋をつくりたいのでございますけれども、向うの計画に合せますためには、やはり従来設計等のきまつておりますものを建てるというよりしようがないようであります。設置場所は、向うでは内定しておるようには聞いております。が、まだ示されておりません。従来の空軍基地等の基地があります所、従来建物があります所に付属して、全国で何箇所になりますか、十箇所になるか二十箇所になるか、何箇所か建てられるということのようであります。工事は着工は四月一日から始まりまして八月一日に完成する、こういう計画になつております。
  105. 淺利三朗

    ○淺利委員長 なお御質問もありましようけれども、大分時間が長く続きましたから、本日はこの程度で質疑を打切りまして、次回には定例の金曜日の午後から開く予定であります。皆さん御励精御出席を願います。  それでは本日はこれにて散会いたします。     午後三時五十九分散会