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1950-02-08 第7回国会 衆議院 建設委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月八日(水曜日)     午後二時十四分開議  出席委員    委員長 淺利 三朗君    理事 内海 安吉君 理事 田中 角榮君    理事 内藤  隆君 理事 松井 豊吉君    理事 上林與市郎君 理事 久野 忠治君    理事 砂間 一良君 理事 天野  久君       井手 光治君    池見 茂隆君       大西  弘君    瀬戸山三男君       高田 弥市君    西村 英一君       宮原幸三郎君    前田榮之助君       八百板 正君    畠山 重勇君       増田 連也君    村瀬 宣親君       寺崎  覺君    松谷天光光君  出席政府委員         (官房会計課         長)         建設事務官   植田 俊雄君         (管理局長)         建設事務官   中田 政美君  委員外出席者         議     員 庄司 一郎君         総合国土開発審         議会委員    飯沼 一省君         專  門  員 西畑 正倫君         專  門  員 田中 義一君     ————————————— 本日の会議に付した事件  建設省関係予算に関する件  総合国土開発に関する件  建設省関係提出予定法案に関する  件     —————————————
  2. 淺利三朗

    淺利委員長 これより会議を開きます。  昭和二十五年度予算につきましては、目下予算委員会において審議中であります。また委員各位におかれては予算書によつて承知ではありましようけれども建設省関係予算につきましては、本委員会においてはかねてより最も関心の深い問題であります。委員会といたしましては慎重に検討いたす必要があると存ずるのであります。よつてこの際建設省関係予算につきまして当局説明を聽取して、また皆さんに御質疑があれば質疑を進めたい。こういうことにいたしたいと思います。これから建設当局説明を願います。
  3. 植田俊雄

    植田政府委員 私から簡單に三十四年度建設省予算について御説明申し上げます。昨年度同様に、公共事業費につきましては、経済安定本部建設交通局の方に一括計上なつておりますので、建設省といたしまして計上されておりますのは、事務費系統のみでございます。まず事務費系統の万を御説明申し上げまして、後に経済安定本部の方に計上なつております公共事業費について御説明申し上げたいと思います。  事務費系統におきましては行政部費とそれから物調費終戰処理費、このほかに公共事業費の一部としまして公共事業事務費というのがございます。これは地方建設局北海道建設関係の職員の主として人件費でございます。建設省所管予算といたしましては、三十五年度におきまして十六億九千五百万円の予算計上なつておりますが、これを三十四年度に比較いたしますと、約三億の減になつております。三十四年度におきましては十九億八千九百万円ございましたが、この減になりました一番大きな理由といたしましては、三十四年度までは住宅建設のための資材を国で一括購入いたしまして、それを住宅建設をいたします府県に売るという手続をいたしておつたのでありますが、資材事情が緩和いたしましたために、これをやめることにいたしました。その関係の金が三億一千百万円でございますが、この分が大きな減でございます。そのほかにおきましては二十四年度におきましては行政整理のための退職金とか、建設工事本部の廃止の費用があつたのでございますが、それが三十五年度においては減になつておるわけでございます。なお行政整理に伴いまして昨年より人員が減つておりますので、その分も人件費が減になつております。こういつた関係で約三億の減少になつた次第でございます。  次に公共事業費でございますが、お手元公共事業費款項目別の表を差上げておきました。これは実は一般会計予算予算書の中から拔書きしたものでありますが、御説明しますのにお手元にお配りした方が便宜かと思いましてお配りいたしましたのでございますが、内容予算書に出ておる通りでございます。この一般公共事業費は表の一番初めの三行目に書いてありますように二百四十六億千四百三十九万五千円、災害関係は次の紙の三行目に書いてございます二百六十五億七千万円、その合計金額が一応経済安定本部所管計上せられまして、これが三十五年度の開始とともに安本認証に従いまして建設省に移しかえになりまして、建設省が実施するということになつておるわけでございます。この内容につきましてはいちいち御説明いたすのも煩雑かと思いますが、要点だけを申し上げますと、三十四年度公共事業費につきましては、五百億という総額だけが予算書に出ておつたのでございますが、二十五年度におきましては、月まで計上いたしまして、たとえば第一枚目の紙で申しますと、公共事業費というのが部でございます。款が一般公共事業費、項が河川事業費、目としまして河川事業費直轄河川改修費、以下列挙してあるような目が計上されたわけでございます。これが安定本部認証に従いまして、建設省に移しかえて使用することになるわけでございます。比較増減の面をごらんになればおわかりのことでございますが、一般公共事業におきましては、七十五億の増に相なつております。災害復旧公共事業におきましては、百四億の増になつておるわけでございます。大要の輪郭はそういうことになつておりますが、この表の各日につきまして、簡單に御説明申し上げることにいたします。  一般公共事業なつておりますのは、災害復旧関係以外の公共事業でございます。項で河川事業と申しておりますのは、ただいま建設省河川局所管しております事業のうち、砂防を除いた費目でございます。目の直轄河川改修費、これは御承知直轄河川改修しておる費用でございます。次が河水統制事業、これも直轄でやつております。その次が河川事業調査費、これは直轄及び補助調査費でございます。次に河川関係土木機械を購入いたします整備豊川土木機械整備費でございます。次に北海道河川改修事業費でございます。次は河川改修費補助中小改修費補助でございます。次が府県等がやります河水統制事業補助でございます。次に本年度海岸堤防修築費補助一億五千万円計上いたしております。これは三十五年度初めての費用でございます。次に砂防事業でございますが、これは前年度の六億九千万円に対しまして、十八億という大幅の増額なつておりますが、これは直轄砂防事業費調査費及び府県等がやります砂防事業費補助に相なつております。次が道路事業でございますが、これは建設省道路跡でやつておる仕事でございます。これも河川の場合と同様に直轄道路改修費——これは改修費なつておりますが、補修も含んでおるのでございます。道路事業調査費、それから河川局の場合と同様に土木機械整備費北海道だけ特別の項目をあげておりまして、北海道道路改修事業費及び府県道路改修費補助が次に計上されておるわけでございます。次に都市計画事業でございますが、一番上の都市復興に関する経費の補助でございます。次が広島長崎特別都市建設費用補助でございます。次は都市街路整備に関する事業費補助でございます。その次の都市水利その他施設整備費都市水利に関する施設費及び国立公園の若干の費用がこれに含まれておるのでございます。次の住宅施設費におきましては、建設省関係で三十一億計上なつておりますが、これは従来に引続きまして、庶民の賃貸住宅府県に建てさせます費用補助であります。これによりまして新築におきましては約二万五千六百戸を予定いたしております。その他に転用を入れまして約二万七千百戸の新規の住宅を供給する費用でございます。この戸数につきましては、これはコンクリート造になるか、木造になるかによつて單価が違つて参りますので、実際は実行の面におきましては若干の差異が出て参るかと考えております。次は官庁営繕費でございますが、これは建設省所管しております官庁営繕費でございます。八億二千万円ほど計上なつております。  次は公共事業費のうち災害復旧公共事業費でございますが、これは河川道路都市官庁建物、こういうふうに四つにわかれております。河川災害復旧事業費につきましては、直轄河川災害復旧費北海道の国費で改修しております河川災害復旧費、次に金額として大きいのは、二百三十五億三千万円の災害復旧土木費補助でございますが、これは府県災害復旧土木費に対する補助の金でございます。昨年度に比較いたしますと同六億一千八百万円の増額に相なつております。道路災害復旧につきましては、直轄道路災害復旧費であります。府県道路災害復旧費は、先ほど申しました災害復旧土木費補助の中に一括計上されております、この点は二十四年度におきましても同様でございます。次は都市災害復旧費用補助で一億二千万円計上なつております。次は官庁建物災害復旧でございます。大体簡単でございましたが、建設省の二十五年度予算の概略を御説明申し上げました。
  4. 淺利三朗

    淺利委員長 ただいまの御説明に対して御質問があればこの際許します。
  5. 高田弥市

    高田(弥)委員 この災害復旧費の中に、昭和二十五年度災害予算があるということでございましたが、その金額は二百六十億の中に含まつておるのでありましようか。
  6. 植田俊雄

    植田政府委員 実はこの刷り物の中に三主五年度災害復旧の分は、予備的に安本補助されます関係で、この際この中に書かなかつたのでございます。その点については百億予算書には別口に載つております。それでない分をここに書いてあるのであります。
  7. 松谷天光光

    松谷委員 ただいまの御説明で伺えなかつたのでちよつと伺つておきたいと思います。それは災害復旧の点ははつきりと数字にも現われておりますし、御説明で承りましたが、災害防除費について全然報告もいただけなかつたのですが、この点についておわかりになつております点を承りたいと思います。
  8. 植田俊雄

    植田政府委員 災害復旧の方は災害復旧公共事業費の中に入つておりまして、災害防除につきましては一般公共事業費の中に入つております。河川でございますと、河用事業費直轄河川改修費、あるいは中小河川改修補助という名目に災害防除費用が入つております。運用する場合におきましては、災害防除的な一面は河川改修については、計画を立てて改修しております。それから維持の費用もございますし、あるいは災害防除年度計画でなしに、その年度に急にやる災害防除事業というものも出て参るわけであります。そういつた費目改修費等に含まれておるわけであります。
  9. 松谷天光光

    松谷委員 そういたしますと、特に災害防除に充てる予算がこれだけというような企画はないと承知してよろしゆうございますか。あるいは一般公共事業費の中でも、大体これだけのわく災害防除に充てる内定であるというような、一つの原則がおありになるかどうか。伺つておきたい。
  10. 植田俊雄

    植田政府委員 災害、特に河川の場合におきましては、改修いたすことが災害防除に相なるわけであります。しかし実際の運用におきましては、改修年度計画といたしまして、五年計画とか三年計画として、その費用改修費というように従来申しておつたわけであります。そのほかに災害防除費用計上いたしておつたわけであります。これは私が直接関係いたしませんで詳細のこともわからぬのでありますが、災害防除一般公共事業と別個に組んでみようという考え方も、一時あつたようでありますが、それはなかなか限界がむつかしい問題でありますので、一般公共事業費として一本に組んだことになつた、こういうふうに私は了承いたしております。
  11. 松谷天光光

    松谷委員 たいへんくどいようでありますが、そうしますと、そのわくはないというふうに解釈してよろしゆうございますか。
  12. 植田俊雄

    植田政府委員 この公共事業費内訳でございますが、昔は制令に大まかと申しますか、概括的にきめておるものでありますから、この費用の中でどの分を改修に充て、どの分を災害防除に充てるということは、今後きめて参らなければならぬ問題でありますので、まだ私としてははつきりと、どういうふうにきまつておると申し上げられないのであります。
  13. 淺利三朗

    淺利委員長 松谷委員に申し上げます。河川局長は今通産委員の方に公述人として出ておられます。あとでこちらに参りますから、その問題は直接に河川局長にお聞きになつた方がよろしいと思います。
  14. 村瀬宣親

    村瀬委員 都市計画事業費二十一億という中に広島長崎特別都市建設事業費補助が三億七千万円あります。この特別都市というものに対して将来どういうふうな予算的なお考えを持つておるか、何つておきたいのであります。首都特別都市とか、観光特別都市とか、このごろいろいろ問題になりつつあるか、一体この二十一億の中でどういう計算のもとに二億七千万円というものを御算出になつたのであるか。大き過ぎるとも少な過ぎるとも言えるわけでありますが、将来特別都市というものがいろいろ問題になると思いますので、これに対する基本的な考え方を承つておきたいと思います。
  15. 植田俊雄

    植田政府委員 ただいまお話の点は、趣旨は私もよくわかつておるのでございますが、私からお答えいたしますよりも、大臣あるいは都市局長から申し上げた方がいいかと存じますので、私から都市局長に伝えまして他の機会局長お答えをしていただくように申し伝えます。
  16. 村瀬宣親

    村瀬委員 それでは特別都市の問題はあとに残すといたしまして、その次には災害復旧公共事業費の目の部類に至りまして、災害復旧土木費補助府県のものになつておるのでありますが、三百三十五億三千万円、これは全額国庫負担の分と了解してよろしゆうございますか。
  17. 植田俊雄

    植田政府委員 私といたしましては、この災害復旧土木費補助につきましては、全額負担の線がありまして、その線で研究されておるということは存じておりますけれども、この問題も私からただいま答弁いたすのは困難でございまして、河川局長よりもう少し詳細に御証明できるかと存じますので私から河川局長に伝えておきます。
  18. 砂間一良

    砂間委員 ただいまの御説明にはなかつたのでありますが、昭和二十五年度災害復旧予備金ですか、準備金として百億ばかりあるのですが、この百億という算定の基礎、それから百億の内訳について御説明願いたいと思います。
  19. 植田俊雄

    植田政府委員 私どもとしましては、予算書安定本部所管といたしまして、二十五年度災害として百億計上されておるということは存じておりますけれども、その推算の基礎につきましては、経済安定本部の方で何らかの根拠があつてつたかもしれませんけれども、私としてはその事情をよく承知しておりませんので、別の機会安定本部から説明に参ります際にお聞きになつたらどうかと思います。
  20. 砂間一良

    砂間委員 先般私ども新聞で見たのでありますが、本多国務大臣壱岐対馬の方を御視察になりまして、壱岐対馬総合開発に十八億とか支出されるというふうな新聞記事があつたのでありますが、そういう費用はどこから出るのでありますか。建設省所管の方からは全然出ないのでありますか。
  21. 植田俊雄

    植田政府委員 ただいまお話の点につきましては、まだ調査中でございまして、何らそういつた資料が出ていないのでございます。
  22. 砂間一良

    砂間委員 それでは今日御配付いただきました資料に基いて、三、三お伺いいたしたいのでありますが、一般公共事業費の中の河川事業費が百十七億ということになつておりますが、河川補修改良等につきましては、建設省の方でもいろいろ御計画を立てて、そうしてたとえば五箇年計画ではどのくらいいるというふうな目算があると思うのでありますが、今日河川改修に、必要な費用は、全部でどのくらいになるのであるか。それでそのうち今年百十七億の予算十分河川の安全という点について、建設当局責任が持てるかどうかという点についてお伺いいたしたいと思います。
  23. 植田俊雄

    植田政府委員 ただいま砂間委員からお話になりました点は、前々からこの委員会におきまして問題になつたことでございまして、ただ砂間委員としてはその資料をお持ちでないかと思いますので、その点につきましては河川局お話しまして、その当時お配りいたしました資料等で差上げるものが残つておりますれば差上げたいと思います。
  24. 砂間一良

    砂間委員 私どもこれまで承るところによりますと、その河川関係でも概括して申し上げますと、三千七百六十億ぐらい必要だ。これは直轄河川だとか、中小河川とか、いろいろこまかい内訳もありますけれども、概算三千七百六十億ぐらい必要だ。これを十箇年計画でやるといたしましても、年四百億ぐらいの費用がどうしても必要だ。そのくらいなければ建設当局としては、河川の安全に関して責任が持てないというふうに、技術的な立場におられる方は言うておられたのであります。それを百十七億というところで、これで十分であるというふうにお考えなつておられるかどうか。まずそういうふうな点からして、少し予算を編成するについてのお考えを聞きたいと思います。
  25. 植田俊雄

    植田政府委員 ただいまの御質問に対しましては、私のように、経理事務をとりまとめておるという立場の者から答弁いたしますのも、適当ではございませんので、後ほど河川局長も参りますので、その際に河川局長に御質問願いたいと思います。
  26. 淺利三朗

    淺利委員長 この際お諮りいたします。ただいま建設当局としては管理局長が見えておりますけれども河川局長もおりませんし、都市局長道路局長も見えておりません。よつて一応この予算問題はこの程度にとどめておいて、あとでまた局長の見えたときに再開すると、こういうことにして、ほかの議題に入つていかがでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 淺利三朗

    淺利委員長 御異議なければそういうふうにいたします。     —————————————
  28. 淺利三朗

    淺利委員長 それではこれより総合開発国土計画審議会開発計画についてお話を承りたいと思います。庄司委員長及び小委員長をせられた飯沼一省氏がお見えになつておられますので、両君より今日までの審議の経過なり、またその結論について向いたいと思います。
  29. 庄司一郎

    庄司一郎君 委員長のお許しを得てきわめて簡單にごあいさつを申し上げます。  昨年の五月内閣総理大臣より委嘱されまして、総合開発国土計画審議会という会合ができ上りまして、不肖私もその委員の一人でありますが、頭がはげておる関係でありましよう、あげられてその座長を勤める身の上となりました。それ以来十有九回審議会を継続して参つたのございます。この審議会内閣総理大臣の諮問に答え、あるいは積極的に国土復興のために建策をする、きわめてフリーな立場にある会でございます。官制その他によつて縛られておる会ではございません。内閣総理大臣に智恵をかして上げるというような意味を、多分に含んでおるような会でございます。その座長を今まで勤めさせていただきました。この間具体的な当面の諸問題の建策をいたしましたが、国土を急速に総合的児地より開発して行くためには、どうしても基本的な国土復興あるいは国土開発の基本法的なものがなければならない。かように委員各位お話合いになりまして、飯沼先生があげられて、仮称国土開発法、こういう立法関係基礎的になる要綱案の小委員長にあげられまして、約四箇月にわたつて十数回の委員会を招集されて、大体要綱としての成案を得られましたような次第でございます。つきましては衆議院の本建設委員会一つ参考試案として御審議をいただき、いいところがあればとつていただき、短所はもとより補充していただきまして、わが国土全体の将来にかかわる、あるいは急速なる国土開発あるいは復興の面に御利用くださる面があれば、まことにありがたいことである、かように考えまして、特に委員長の御了解をいただいて、御参考案として説明させていただきまして、皆さんからいろいろ足らないところを補つていただいて、何とか適当な機会におまとめを願いたい。かような心持でこれから飯沼委員長より御説明をいただく次第でございます。なおこれらに対して御質問のある場合も、飯沼委員長よりそれぞれお答えがあると思うのでありまして、何分お取上げいただいて、ほんの参考として御審議をいただければまことにけつこうであると思いまして、ここに参考案として御説明を申し上げる機会をいただいたことを、委員長並びに委員各位に深く感謝御礼を申し上げながら、過去の経過を簡單に御報告申し上げた次第でございます。
  30. 飯沼一省

    飯沼説明員 ただいまお話のございました内閣総合国土開発審議会の小委員長を勤めました関係上、審議会において総理大臣に答申いたしました国土開発法につきまして、大体の御説明を申し上げたいと思います。  お手元にその答申が差上げてあると思いますが、申すまでもなく戦後非常に増加いたしました人口を、狭くなつた領土の中に収容いたしまして、しかも平和な、できるだけ豊から生活を国民が富み得るようにいたしますために、従来眠つておりました国内の土地及び資源を最高度に利用して参ることが、この際きわめて必要であることは申すまでもないのでありますが、それにつきまして、なぜ今日までそういうような状態だつたかということを考えてみますと、いろいろ原因はありましようけれども、まず考え得ますことは、各省の間の施策が、必ずしもその間において適当な連絡がとられていなかつたということをあげ得るであろうと思いますし、もう一つには、各府県の間の方針なり施設というものが、これまた横の連絡が十分にとれていなかつたということをあげ得るだろうと思うのでございます。そこでこれまでの欠陥を補正いたしますために、各省の間の政策の総合調節をはかるところの機関、また各府県の間の横の連絡を十分にとらしめ得るところの機関が必要であろうと考えるのでありまして、そこでこの国土開発法におきましては、そういう機関として国に国土開発審議会というものを設ける案を立てたのであります。国土開発審議会は、ごらんをいただきますとわかりますように、三つの段階にわかれております。一番下級と申しますか、下の団体は道府県ごとにこの審議会を置くのでありまして、それから一番上に国土開発全国審議会を置きまして、その仕事を扱わしめる。それからその中間に国土開発地方審議会というものを置きまして、数府県にわたるところの地方国土開発計画を立案せしめる機関といたしたのであります。都道府県に設けます国土開発審議会は、都道府県機関でありまして、都道府県の知事がこれを管理いたしますし、それから数府県区域計画を扱うところの地方審議会及び全国審議会は、これはいずれも国の機関といたしまして、内閣総理大臣がこれを統轄する制度をとりまして、全国審議会は名前の表わしております通り全国区域にわたる国土閥発計画を取扱う、こういうことになりますが、具体的の問題といたしましては、あるいは全国にわたるところの道路計画、あるいは全国にわたるところの港湾計画、あるいは全国にわたるところの電気関係計画というようなものが問題となり得るであろうと思います。  それからその次の第三の段階として地方審議会において取扱う仕事は、一府県ばかりでなしに、数府県にわたる区域内における開発計画を立案するのであります。その地方と申しますのは、必ずしも固定したものでなくして、問題の性質によりまして、自由にいろいろな地方を設定し得るように立案をいたしたのでございます。それですからたとえば甲という県がありました場合に、その中に数本の川が流れておる。その川の流域が乙という府県にも関係がある、あるいは丙という府県にも関係がある。あるいは丁という府県にも関係があるという場合には、甲と乙とで一つ地方を設定いたしまして、そしでその計画も立てることもでき、あるいは甲と丙との地方計画、あるいは甲と丁との地方計画、こういうものも調査立案いたすことができるようなことに考えたのでございます。それから都道府県審議会、これも名称によつて明らかでありますように、都道府県内の区域内の総合計画というものを立てることにいたしたのであります。そうしてこれらの審議会において、国土開発計画を立案いたしました場合には、これを公表し、それからまた関係の政府なり、地方公共団体、あるいはまたその他いろいろ公共事業、開発事業関係のありますところの国民団体等に対しましても、その計画に従つて事業を実施するように勧告するという制度をとりまして、この勧告を受けました政府、あるいは関係地方公共団体、その他の団体は、この勧告を尊重し、事業を執行いたします場合には、この計画に従つて事業を執行する。もしこの事業にどうしてもいろいろな計画上従いがたいと認めるような場合にはその旨を勧告いたしました審議会に対して開陳いたしまして、その意見を聞いた上でなければ事業の実施ができない。こういうような制度を設ける案を立てた次第でございます。なおこの審議会におきましていろいろの計画を今後立てて行かなければならぬ関係がありますので、その仕事につきましては、公共企業団体その他の機関等に対しまして、できるだけこれを援助して参るようなことにいたしたいと考えまして、そういうような意味の規定もこの要項の中には設けてあるような次第でございます。審議をいたすにつきましては、各省関係の方々に集つていただきまして、いろいろ御意見を伺つたのでありますが、こういうような制度が必要であろうということにつきましては、関係仕事を取扱つておられる方々の意見といたしましては、みな一致しているように私どもとしては考えたのであります。  たいへん簡單でありますが、要綱の趣旨につきまして、御説明を申し上げた次第でございます。
  31. 砂間一良

    砂間委員 一つ三つお伺いしたい。  この要綱の第七のところに、国土開発計画に基く特定事業というのがございますが、審議会が案をつくりまして政府並びに都道府県庁に勧告した場合におきまして、單に勧告のしつぱなしということだけでありますか。あるいはもつとつき進んで、それを実行するについての拘束力を持たせるというようなことが、この法律に識り込まれるのかどうか。それから第七項によりますと、「政府又は地方公共団体はその効果がいちじるしいと認めるときは、国土開発計画に基く一定の事業又は一定の地域における事業を特定して、その執行等に関し、特別の措置を講ずることができるものとすること」とありますが、この特別の措置ということはどういうことを意味せられておるのでありますか。
  32. 飯沼一省

    飯沼説明員 勧告いたしました場合に、どうするかということにつきましては、いろいろ検討したのでありますが、ただいまお話のありました勧告のしつぱなしというようにすることも、また勧告に対して非常に強い力を與えまして、その勧告に従わなければ事業を執行することができないという規定をつくることも、いずれも今日の状態から考えて適当ではなかろうと思いまして、その中間をとりまして、第六に規定してあるような方法をこの案では採用いたしたのであります。第七は、勧告いたしました開発計画に基くある事業が著しい効果を持つておると認めた場合に、その実現を容易ならしめるために、国として特別の設置を講じ得るような道を瞬いておくことが必要であろうというような意味から設けておいたわけであります。
  33. 淺利三朗

    淺利委員長 建設当局においても開発法案の構想を持つておるようですが、これはまだ法案化しておりませんので、表向きの説明はできないのかもしれませんが、当委員会としては、その構想だけでも承つておくことが将来便宜だと思いますので、この際建設当局から、昨日配られました案について概要の説明を願つて、あわせて質疑応答をするということにしたら、いかがですか。     〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  34. 淺利三朗

    淺利委員長 ではそういうことにいたしたいと思います。  それでは建設当局からも試案について構想をひとつ……。   これは委員長からお断りしておきますが、建設省としてはまだはつきり成案になつておらぬので、ただ構想として、どういう考えをもつて調査を進めているかという程度のことを承るつもりでありますから、そのつもりで皆さんお聞き取りを願います。
  35. 中田政美

    ○中田政府委員 ただいま委員長から念のためにお話がありました通り、お手元にお削りいたしました地方開発法案と申しますのは、まつたく事務的に研究の途上にあるものを一応まとめたという程度でございまして、従いまして建設省の省議、あるいは政府の決定というような段階にまで立ち至つておるわけではございませんが、何かの御参考にという意味で申し上げる次第でございますので、何とぞその意味を御了承の上、お聞き取りあらんことをお願いしておきます。  ただいま飯沼さんから御説明がありました国土開発法案、このことにつきましては、昨年内閣に設けられました審議会において御検討の上、御成案になつたものでございまして、すでに総理大臣あて答申が出ておるわけでございます。この答申の趣意もなかなか御りつぱにできておるわけでございまして、かねてからこの種のものをどういう構想で立法化するかについて、多少の研究を怠らずにおつた者といたしましては、一つの有力な案として拜見したわけでございまして、ただいまこれから申し上げようといういわゆる地方開発法案というのも、ただいま御説明総理大臣への御答申の案を相当盛り込みまして、一案をものしたのでございます。従いましてその内容等につきましては、かなり接近いたしておるやに考えられます。従いまして條文ごとに御説明するような煩を除けまして、ただいまお話なつた法案と多少食い違つておるというような点だけを、主として申し上げるということでお許しを願いたいと思います。  第一の点としまして、国土総合開発委員会のものとされました案は三段構えで、中央では一国全体の国土計画を立てる。中の中三階では地方的ブロック的な計画を立てる。一番の末端の計画においては、いわゆる府県を単位とするような三段構えに考えてあるようでございますが、ここで御説明する地方開発法案におきましては、一段の全国を対象とした開発計画というものにつきましては、現段階においてはなかなかむずかしい問題がある。これは御承知でございましようが、安定本部が例の産業復興五箇年計画というようなものも、十分な御努力になつておつくりになつたやに承知いたしておりますが、これは内閣のいろいろな都合で、まだ発表に至つておりません。そういう意味もありますし、一国全体にまとめて計画をするということはなかなかむずかしい問題なので、これはひとつ地方の、ほんとうのやむにやまれぬ実情からしたところの計画を立てて、その計画が中央へ出てある程度もつともだということになれば、その方を進める方が比較的に地についた案になるではなかろうかという意味で、第一段のいわゆる全国を対象とした国土計画という方の問題は、一応これには遠慮いたしております。従いまして地方開発法と名が示すがごとく、それぞれの地方——これは県単位あるいは数府県単位というようなものが中心になるわけでございましよう。また県単位と申しましても、県のまた下の特定の地域、たとえば山形県の最上地域とかいうように、まとまつて計画が比較的わかりやすく、割合にはつきりとした線でつくれ得るような、そういう地元の計画というものをつくつて行こうという意味での地方開発、従つてその計画はまあ地方計画ということに限定をいたした点でございます。この点が非常な大きな差ではないかと思います。しかしこれはまあそうは申しましても、地方計画を中央で見る場合に、中央に何かあてばん的なものがないと判断ができないというりくつも成立ちますので、従つて理論上から申しますと、全体の一国の国土計画が概略でもできて、それを地方にまかすというのも一つのりくつでございますが、それはただいま申し上げましたような意味で、地方の方からひとつ盛り上げてみたらどうかという意味でありますので、これも程度の問題ではないかと思いますが、一応遠慮した形で、地方の方から積み上げて行こうかという意味にした点でございます。  その次に多少違いはしないかという感じを持ちますのは、審議会地方なり、あるいは政府に設ける点は一致いたしております。その審議会の性格等もほぼ大同小異でございます。ただ一つ考え方として違つております点は、審議会というものが、政府とか県庁とか、そういうものの系統と別に、一番下の審議会、その上にブロック審議会、その上に中央審議会、こういう審議会がずつと上から下に下つて行くような形になる。まあ広い意味の行政機関一つではありますけれども審議会が別な形でずつと上下につながるという形があり、飯沼さんの御説明になりました案の御趣旨のように思いますが、この案におきましては多少違いまして、やはり県知事が計画を定めるのだ、但し審議会という一つの法的な機関の議を経て定める。そこで一応県というものの行政の中にとけ込んで、それを今度中央へ持ち出す。中央におきましても、これを審議するときにはもちろん中央の審議会にかけますが、しかしこれをまた行政権にとけ込ますためには、やはり行政部である内閣総理大臣という方に決定権を持たして行く。こういう形にいたしておるところが少し違いはせぬかと思います。しかしいずれにしても、審議会というものの議を経るという点では、あまり違わないように存じます。  第三の点としましては、お手元に配つた案はたくさん修正するところがありますが、それをせずにそのまま差上げてありますので、ちよつと私が申し上げることと違う点があるかもしれませんが、いろいろと研究してみますと、なかなか行政官庁との関係がむずかしいものでございますので、飯沼さんの御説明なつた案におきましては、地方計画なり、国土計画というものが決定になりますと、国なり地方行政機関は、これと違つた施策をやる場合には、もう一ぺん審議会に意見を開け、こういうことになつております。その意味ではある程度拘束するわけで、野放しではないわけであります。それに対してわれわれの今研究途上にあるところでは、とにかくできたものは県知事の所で決定し、また内閣総理大臣で決定したものだから、各省、各庁もろもろの機関は、これをあとう限り尊重して行かなければならぬという程度にとどめて、これと異なる場合には、もう一ぺん審議会に意見を聞かなければならぬという拘束は、一応この行政の運用の妙にまかせた方がよいのではないかというような意味で、今修正研究をしつつございます。この点がかなりデリケートでございますが、むずかしい点なのであろうかと思います。つまり審議会の決定版に対しては、行政官庁は大体において一応拘束を受けるのだぞという形に持つて行くよりは、極力これを尊重して行くのだという程度にとどめて、あとは運用の妙で行くというのも一つの行き方ではないか。ことに今日の各省が分立しておりまするところにおいて、一挙にそれをそのところに持つて行くのもいかがなものか。ここは遠慮しいしい考えて研究しておるようなわけでございます。その他の点につきましては、あまりかわりはございませんので、一応省略させていただきたいと思います。
  36. 淺利三朗

    淺利委員長 それでは飯沼さんの御説明なつたことと、今の建設当局の御説明なつた二つの案を一括して、ここに質疑応答を続けたいと思います。
  37. 松井豊吉

    ○松井(豊)委員 ただいま参考資料として提出されましたこの案に対する飯沼委員長及び管理局長両者の詳細なる御説明がございましたが、私は一、二の点をきわめて簡單にお伺いしたいと思うのであります。まず建設省参考法案として出されましたこれを、ただいま局長からさらに審議会の方へも出したいというような御意見もございましたが、ある程度修正すべき点は修正して、この精神を打ち込んだる法案ができ上つたとしたら、通す意思があるかどうか。建設省の独月の案を立ててやる意思があるかどうか。その辺を局長にお伺いしたい、こう思うのであります。
  38. 中田政美

    ○中田政府委員 ただいま申し上げました通り、研究途上でございますし、これは行政の行き方としましては非常に進歩的な、またそれだけに非常に意味のある事柄なのでございまして、さらに研究を重ねまして、いい案をつくる段階になりますれば、また政府部内でその意見を決定しまして、そうして御審議を願うようにしたいものと、われわれは念願いたしておるわけでございます。
  39. 松井豊吉

    ○松井(豊)委員 建設省の大体所管内にある問題については、長い経験からいつて、また大いにこの文化的あらゆる面にわたつて、改造する点は改造し、修正すべき点は修正することが必要でありましようが、昨日の委員会にも参加いたしましてたとえば水道事業の問題は、衛生上根本からこれを厚生省が担当したい。露骨に申し上げればなわ張り争いというのではございませんけれども、たとえば内務省当時からかわつて建設省といたしましては、終戰後の今日再建にあたつては大きな使命を担当しております。たまたまこの建設省がやることに対する横やりが出ておるというようにわれわれは考えておる。厚生当局がその水道事業をやらざるを得ないということは、昨日もよく御説明を願つて了承しておりますけれども、なれた建設省が少くとも今日まで担当しております。そこでやつた結果がいいか悪いかという問題は、昨日私は結論までに御質問をいたしませんでございましたけれども地方としてもはなはだめいわくしております。ややもすれば横やりを出して法案の修正、あらゆる建設省一本立てで進行しつつあるように聞いておる問題にいたしましても、どうしても厚生省の所管範囲であるというような昨日の御議論を開きましたけれども、本日のこの案件に対しても、建設省が自信をもつて審議会にこの案で通すぞという根強い案を研究されまして、そして事後にも複雑な——またわが党の根本精神から行きましても、行政整理をいしております今日、水道事業を厚生大臣所管にする。これらの内容を見ましても、十六人ももうすでに技術員を有しておるということを聞いておりますが、屋上屋を架するような形にもなる。でありますから、私たちは少くとも事務上完璧に、きわめて有效適切に、そしてできる限り完全なものにすることを希望いたしておりますが、ただお互いに所管省を代表する局長さんのお話も聞き、ただいま飯沼委員長お話を聞く。どつちのお話を聞いてもいいようであるが、なるべく一本にまとめて、すみやかに完全なものをつくられたいと希望するものでございますが、これらの点について局長の自信を持つた結論的な御意見を承りたいと思うのでございます。
  40. 中田政美

    ○中田政府委員 水道の所管の問題につきましては、まことに申訳ないことでございまして、これにはまたいろいろと言い分もあろうと思いますが、ただいまも松井さんのお話通り、国民の方においても行政の簡素化をするという観点で、公正な御判断を願いたいし、また建設省としてもその線で言うべきことは十分意を盡して、松井さんのお話通りにやつて行きたいと存じております。この問題につきましては、これは御承知通り別に対立関係でも何でもないのでありまして、これは今の内閣が、昨年総理大臣の最高のブレーンとしておつくりになつ総合国土開発審議会というものの、一応の結論を持つて総理大臣にお出しになつたものでございまして、その案を御披露になつたわけでございます。本来国土計画所管をいたしておる建設省においても、怠らず研究をいたしておるわけでありまして、この点には別に対立関係はございませんし、またほんとうに確信のあるいい案をつくりまして、御趣旨に沿うように御審議を願うことにいたしたいと存じております。
  41. 砂間一良

    砂間委員 私は今両案の御説明を聞いておりまして、大綱においてはそう違つた点はないように承りましたけれども、もちろん個々の点については、先ほど中田政府委員が御説明になりましたような相違はございますが、大筋においては大体一致していると思います。そこでお伺いしたいのであります。それは先ほどもちよつと質問した点でありますが、審議会で案をつくりまして、せつかくいい案ができましても、それがただ案をつくつただけというのでは、これは絵に描いたぼた餅と同じでありまして、何も成果がない。飯沼さんの案によりますと、それと異なつた案を実施しようとする場合には、もう一ぺん審議会にかけなければならぬというふうな、非常に消極的な内容であります。ですから総合的な開発計画の案ができましても、それを何年先に実施するようになるかどうかということについては、何ら拘束的な效果はないわけであります。その点がはつきりしないということ。それからもう一つ、それならばこれを実行力のあるようなものにするということになりますと、それは飯沼さんの方の案の第七項の点においても、「その效果がいちじるしいと認めるときは、国土開発計画に基く一定の事業又は一定の地域における事業を特定して、その執行等に関し、特別の措置を講ずることができる」というようになつておりますが、建設省の方の、今中田さんの御説明なつた案によりますと、さらにこの点はもう少し詳しくなつておりまして、「この法律の目的の達成上、その效果がいちじるしいと認めるときは、国土開発委員会議の意見をきいて、地方計画に基く一定の事業又は一定の地区における事業を特定し、その執行に要する経費について国庫の負担すべき割合の特例を設け、又は補助金を交付する必要な措置を講じなければならない。」こういうふうになつております。そこで中田さんの方にお伺いしたいのでありますが、こうなりますと相当予算的措置ということが問題になつて来ると思います。何となればその補助金を交付するとか、国庫の負担すべき割合の特例を設けるとかいうことになりますと、相当予算を拘束するようなことになると思うのであります。そこで「その效果がいちじるしいと認めるとき」というのはどういう場合をさして言われるのか。もし具体的な適例でもありましたならば、例をとつて説明願いたいと思います。
  42. 中田政美

    ○中田政府委員 冒頭お断り申し上げました通り、研究途上にあるものですから、お配りしたものに修正した点も多々あります。ただいま第七條についての御質問なのでございますが、これも大分検討を要する点があるやに考えられますので、お配りの案のままでは実はないのでございまして、これはどうもむずかしい点があるという意味で、ずつと緩和しなければいかぬではないかと思つているわけであります。ただ文字に現われている点についてのお疑いの点は、これはただいま全国で十四地区を特定地域として取上げて計ようにいたしておる。それらの大局的に共通な点は更新性のある、つまり未開発的な地域であり、それを開発することが日本の現在の国内情勢から見て、経済的に非常に有利であるというような地点については、比較的更新性のある未開発地域のことですから、住民の負担能力も十分でないというような点で、そういうような地区に対しては一つの迎え水の意味で、特別助成の道を開く必要がありはしないか、こういう意味でこの條文を設けたわけでございますが、條文の文言についてはもう少し修正をしなければならぬと思つておりますので、文字の上に現われた意味はそういう意味でございますが、決定版ではないことを御了承願いたいと思います。
  43. 砂間一良

    砂間委員 ただいま更新性のある未開発性というふうな御説明でありましたが、たとえば事業などにつきまして、電源開発とか、道路の開さくだとか、港湾の問題だとかいろいろある思いますが、それらの事業内容について、もう少し何か御説明は伺えませんか。
  44. 中田政美

    ○中田政府委員 政府が特別助成するとかいうのでございますから、おのずからそれは公共事業的なものでなければならぬ。営利事業の対象になるようなものは、とうてい政府の助成の対象にはならぬと考えております。従いまして比較的未開発地域で、どうしても政府が特別に助成して開発しなければならぬというような場合の事業の選び方は、ただいまお話のような道路とか、あるいは河川とか、港湾とか、いわゆる今日言われておる公共事業的なものを意味しておるわけでございますが、しかし具体的にどういう特別助成をするというような、それほど強い意味でこれを書いておるわけではございませんが、そういう趣意のこともこの開発法の中に入れたらどうかということを研究いたしております。
  45. 砂間一良

    砂間委員 またいろいろお伺いしたい点もありますが、案もまだ御研究中のようでありますから、その程度にとどめておきます。  その次にお伺いしたい点は、審議会の構成でありますが、もしこれがただいま申されたように国庫の負担すべき割合の特例を設けるとか、あるいは補助金を交付するとか、そういう法律的の效果を持つような計画ということになりますと、この計画を立てる審議会はよほど公平な、民主的な機関でなければ、非常な弊害が生ずるのではないかと考えるわけであります。ことに建設関係の諸事業は、地方の利害だとかがいろいろからみましてなかなか判定がむずかしい問題であります。また  一方では国際的な関係もありまして、日本の軍事基地化とか何とかいうことも問題になつておりますが、そういう点から見まして、どの地点をどういうふうに選んで、どうやつて開発して行くかということを決定するこの審議会の構成というものは、非常に重要な性格を持つて来ると思うのであります。ところがこの審議会委員の選出ということになりますと、飯沼さんの方の案では非常に漠然としておりますが、建設省の中田さんの方の案によりますと、全国審議会の方は内閣総理大臣が両院の同意を得て任命するというふうに出ておりまして、総理大臣の任命であります。府県及び地方の場合には、その点がはつきりしておらないようでありますが、こういう委員の選出にあたつては、でき得る限り民主的な方法によつて一般の下の方の人民の声が反映するようにしなければならぬと思うのでありますが、この審議会委員の任命を、原案のように主として総理大臣や知事の任命というふうな上からの任命にすることにつきましては、何か立案者のその根本の考え方あるいは精神と、私ども考えるところでは相当開きがあるように思うのでありますが、この審議会の構成及び委員の選出について、もう少し御説明いただきたいと思います。
  46. 淺利三朗

    淺利委員長 今のところは大体構想を承つているので、こまかいところはいろいろ成案になつてから審議される方がいいと思いますが、参者に一応御答弁になるのもよいかと思います。実はこの問題は先般皆さんの御協議の結果、当委員会においても議員立法としてこれを出そうという計画で、專門委員等にも調査さしておるのであります。従つて、政府の成案が早くできるか、われわれの成案が早くできるか、その問題もあるので、本案はそういう意味で参考にして承るという程度で、そのつもりでひとつ御質問等を願いたいと思います。
  47. 中田政美

    ○中田政府委員 この原案では、見解が公正で地方の開発または再開発について広い経験と深い識見を有する者のうちから、というような意味で、十人以内の委員云々と書いてあるようなわけでございまして、なるべく公正妥当な方を選びたいという念願でございます。
  48. 天野久

    ○天野(久)委員 ちよつと……。ここに同じような案が二つできて、これを質問せよと、こういうのですが、どちらの案を見てもなかなかよくできていると思いますが、しかし建設事業は一体どこが主となつてやるのか、こういうことが私は根本問題じやないかと思う。そこでここに二つ、あるいはまたこの委員会からまた一つ、同じような法案が三つも四つも出て来たときには、非常にわれわれとして審議に迷うわけです。そこで貴重な時間をこんなことで潰すよりも、私は建設事業というものは一体国としては、建設省が中心となつてやることが当然の行く道ではないかと思いますが、従つて総合国土開発審議会ができましても、やはりこれに対する相当の審議をしていただくことはまことにけつこうですが、これをひとつ建設省の方または総理大臣を通じてでもやつて、そうして建設省が中心となつ一つのりつぱな法文をまとめて、提案して、審議を求むべきではないかと考えております。中田さんのお話では対立しておらぬと、たいへんりつぱなお話ですが、対立しなくても自然対立せざるを得ないことになつて来るのですが、委員長においても同じような法案をここで相争うようなことのないように願いたい。建設事業建設省が一番日本全国にわたつて調査の網を持つているし、また長い経験もあります。また建設省が最後に責任を持ち、中心になつてやらなければならない事業だと思いますので、やはり建設省が中心となつて法案をまとめてこしらえていただくことが、私は一番妥当なことではないか、こんなふうに考えております。
  49. 飯沼一省

    飯沼説明員 ちよつと貴重な時間をはなはだ恐縮ですが、ただいま対立云云というお話でございましたが、私ども考えは決してそういう意味ではないのでありまして、実は総理大臣から諮問がありましたので、総理大臣に答申をしたというだけの関係で、その後あるいはその前からむろん含むわけでございますが、建設省方面でたいへん熱心に研究をお進めいただきまして、かような成案を今日見たわけでありますが、これは決して両案対立というような関係はございません。むしろ同じ方向に向つて協力して進んでいる形でありますことを、どうぞ皆様御承知おき願いたいと思います。
  50. 淺利三朗

    淺利委員長 要するにこの問題は、建設省の案が早く進んでまとまれば、一日も早くその成案をわれわれは希望しているのでありますが、実は当委員会としてはいつまでもこの状態であつてはいかんから、場合によつては議員立法でもせんければならぬという意気込みでいるのであります。主管をどうするかということの点においては、法文化するにおいては政府においても研究されることでありましようが、建設省においてできれば成案をまとめて、できるだけ早く当委員会に提案するように希望いたしておきます。そうすればわれわれはそれを基礎として審議を進め、もし政府当局において成案がいつまでもできないということであるならば、国会の責任において一日も早くこれをしなければならないと思いますから、それを御承知の上、御努力を願いたいと思います。それでは一応この問題はこの程度にとどめまして、後日また検討の上に喜び御意見を祈ることにいたします。     —————————————
  51. 淺利三朗

    淺利委員長 次に政府提案を予想せられている法案につきまして、なおこの機会に承つておきたいと思います。次に道路法のことにつきまして、先般一応概略承つたのでありますが、本日は資料を持つて見えておりますから、やはりこれもまだ成案ではないそうでありまして、目下研究の途上にあるのでありまするが、一応われわれといたしましてその構想の大綱を知つておきたいと存じますので、この際道路当局より、道路法改正の要綱について承りたいと思います。道路局庶務課長淺村説明員に一応の説明を願います。ちよつとお諮りします。これは速記をとらずに懇談で行きましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 淺利三朗

    淺利委員長 政府提出がない場合、われわれが立法をする関係もございますから、そういう意味において、速記をとらずに説明を聞くことにいたします。  速記をとめてください。     〔速記中止〕
  53. 淺利三朗

    淺利委員長 それでは速記をとつてください。  懇談会を終りまして、本日はこの程度において散会いたします。次会は金曜日午前十時から開会いたしますから、なるべく時間励行を願います。     午後四時三十一分散会