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1950-02-07 第7回国会 衆議院 建設委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月七日(火曜日)     午後一時五十四分開議  出席委員    委員長 淺利 三朗君    理事 内海 安吉君 理事 田中 角榮君    理事 内藤  隆君 理事 松井 豊吉君    理事 上林與市郎君 理事 久野 忠治君    理事 砂間 一良君 理事 笹森 順造君       大西  弘君    越智  茂君       瀬戸山三男君    高田 弥市君       西村 英一君    宮原幸三郎君       前田榮之助君    畠山 重勇君       増田 連也君    寺崎  覺君       松谷天光光君  出席政府委員         行政管理庁次長 大野木克彦君         (公衆衛生局         長)         厚 生 技 官 三木 行治君         建設政務次官  鈴木 仙八君  委員外出席者         專  門  員 西畑 正倫君         專  門  員 田中 義一君 二月六日  戰災都市復興事業促進に関する陳情書  (第一五一号)  市街地建築物法一部改正陳情書  (第一五三号)  庶民住宅基本坪数の増加に関する陳情書  (第一五四号)  雪害地方における公共事業費増額陳情書  (第一五五号)  住宅建設事業費に対する国庫補助増額等陳情  書(第一七三  号)  市街地建築物法に基く事務費に対する国庫補助  制度創設陳情書  (第一七六号)  接收ホテル請負制存続等に関する陳情書  (第一八七号)  市道路改修費全額国庫負担陳情書  (第二〇四号)  名取川改修工事促進に関する陳情書  (第二一三号)  周智トンネル開通促進陳情書  (第二一九号)  吉井川護岸工事施行陳情書  (第二三七  号)  吉野川沿岸の水害に対する援助の陳情書  (第二三九号)  関門海峡トンネル工事促進等陳情書  (第二四六号)  揖斐川改修に関する陳情書  (第二七  七号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  水道行政に関する件     ―――――――――――――
  2. 淺利三朗

    淺利委員長 これより会議を開きます。  水道行政に関する件を議題といたします。水道建設厚生両省共管事項である関係上、水道法案今期国会提案には至らないやに聞いておるのであります。これらにつきましてはいろいろ本委員会といたしましても、研究を要すると思うのであります。前会におきましては建設省当局より説明を聽取し、審査をいたしたのでありますが、本日は厚生省当局並びに行政管理庁当局意見を聽取し、愼重に審査いたしたいと存ずるのであります。それではまず厚生省当局より御説明を願いたいと思います。
  3. 三木行治

    三木政府委員 上下水道に関しまして御説明申し上げたいと思います。  まず上下水道の本質でありますが、これは人々が安全に生きて行きますためには、満足な飲料水を確保する必要があるということは申すまでもないことでありますが、わが国におきまする上水道の起源といたしまして、横浜市におきまするコレラの発生ということに端を発しまして、水道條例というものが制定せられたということに徴してもこれは明らかであります。また下水道は雨水、汚水を排泄いたしまして、都市衛生的に清潔にするための施設であります。ともにこれらは衛生施設であると申さなければならぬと思うのであります。この上下水道につきましては現在基本法規といたしまして、明治二十三年に制定せられました水道條例下水道法との二つがあるのでありまして、この法律の所管は、厚生省設置法及び建設省設置法におきまして明確にされておるところであります。すなわち厚生省上下水道主管庁であり、建設省上下水道工事の指導及び監督という点について共管をいたしておるのであります。このよう厚生省上下水道事業の全般的の根拠を持つておりまする理由は、先ほども申し上げましたように、これが衛生施設であるということによるのでありまして、そもそも上下水道行政を歴史的に振り返つて見ますと、まず内務省当時、衛生局におきまして水道行政主管いたしたのであります。ただその当時におきましては、上下水道というものはしかくその量も多くなかつた関係で、特別に土木技術者を置くことは不経済であるということから、同一省内の土木局技術者を活用するという建前で、会議するということで参つたのであります。このやり方は昭和十三年厚生省設置せられるまで続いたのであります。そうして厚生省ができますと同時に、上下水道行政厚生省主管に移されたのでありますが、内務省との関係におきましては、従来内務省内の衛生局土木局との関係と同じような形式で、共管とすることに相なり、内務厚生両省覚書というものをつくつたのであります。それによりまして厚生省主管し、内務省基本計画に変更のない実施設計及び工事完了認定主管することになつたのであります。戰争の後におきましては、戰災復興院特別都市計画法に基きまして、上下水道戦災復興事務を所掌したのでありますけれども建設省設置せられますに伴いまして、その事務及び内務省の行つていた事務を統轄することになつたのであります。このときにおきましても両省品相談いたしまして、おおむね内務厚生両省覚書通りに、水道行政事務を所掌するということで今日に至つておるのであります。ただいまのところわが国水道は七百十七でございまして、この給水人口は三千五百万人、この七百十七の内訳は、大臣の認可いたしました水道が二百三十二、委任水道が四百八十五でありまして、このほかに水道條例の適用を受けません簡易水道が約三千、下水道が六十箇所になつておるのであります。  以上が大体の御説明であります
  4. 淺利三朗

    淺利委員長 何か御質問ありませんか。
  5. 田中角榮

    田中(角)委員 建設省都市局でもつて提案の運びに至りまして、現在厚生省といろいろ御折衝申し上げておるところの水道法案に対する厚生省側の御見解を承りたいのであります。
  6. 三木行治

    三木政府委員 水道條例につきましては、何しろ明治二十三年の制定でございまして、今日の時代に即さないものが多々ございまするので、これが全面改正を企図いたしまして、私どもといたしましては、昨年早々におきまして、建設省会議をいたしたのであります。爾来両省で折衝いたしておつたのでありますけれども、この水道主管の問題で意見の一致を見るに至らない。建設省としては、建設省がこの水道主管すべきものであるというようなお考えでありますし、厚生省側といたしましては、何と申しましてもこれは衛生施設であるというよう関係から、幾多理由があるのでありますけれども、そういう理由によりまして、厚生省側主管すべきことが至当ではないかというようなことで、いろいろと話をいたしたのでありますけれども双方合意に至らないというようなことのために、今暁の提出を延期せざるを得なかつた、こういう実情でございます。
  7. 淺利三朗

    淺利委員長 主管以外の内容については、あまり差がないのですか。
  8. 三木行治

    三木政府委員 まず第一條の水道目的という点でございますが、そういう点におきましても、両省意見相違いたしておる。それからまた建設省の側では、これは事業法としてやるべきものではないかという御見解であります。厚生省側といたしましては、この水道法というものは、衛生立法としてやるべきものである、事業法的性格を持つのは適当ではない。何となれば、これらは今日市町村が経営主体でありまして、これらの公共企業体の問題につきましては、せつかく自治庁等においても法律案の準備をなされておるのでありますから、私どもとしてはこれは衛生立法で行きたい、かよう考えておるのであります。その他の問題といたしましては、なお二、三ございますけれども、大した大きな問題とは言えないと思います。
  9. 田中角榮

    田中(角)委員 厚生省でも、これと同じよう水道法を御提出になるようお話があるようでありますが、現在はどういう程度まで行つておられるのか。もし御提出になるということであるならば、今国会に御提出になる意思があるか、ないか、伺いたいと思います。
  10. 三木行治

    三木政府委員 この法律案につきましては、御承知よう内閣提出でございますので、実は内閣提出法律案につきましては締切りがございます。その締切りまでに両省で話がつきまするならば、ぜひとも出したいという考えでございましたが、さように参りませんので、今回は内閣提出として、厚生省から法律案提出するということができなくなりましたので、さよう意思はございません。
  11. 田中角榮

    田中(角)委員 もう一つ最後にお聞きしたいのは、水道條例で現在運営されておる水道に対しては、衛生立法事業法との区別は、ただいまの局長お話で、いろいろ見解相違があるようでありますが、時代的にも、もうすでに非常に長年月を経ておる條例で運営することは妥当ではないということには、大体御一致しておるように承るのでありますが、できるならば、どのようなことにしろ、水道法という單独法規に改めることに対しては、御異存がないのであります。その点について承りたいと思います。
  12. 三木行治

    三木政府委員 私どもは、この水道法を一日も早く改正をやるということに非常な熱意を持つておるのであります。ただ私どもといたしましては、何と申しましても、水道という衛生施設厚生省主管であるという立場、われわれの行いまする予防行政の一端としての水道であるという立場でないと、公衆衛生上の責任を持つことができないというよう立場にございまするので、この理由はたくさんございまするが、るる申し上げますることも、委員会の時間をいただき過ぎることになると思いますので、別途書類によりまして、委員の皆様のお手元にお配りいたしたいと存じまするが、さようなわけでこの新しい水道法誕生を衷心希望いたしまするけれども、現在の機構下におきまして私ども責任が負いにくいというような形の水道法誕生希望いたしておりません。
  13. 田中角榮

    田中(角)委員 もう一つだけつつ込んで承りたいのですが、そうしますと、水道法の立案に対しては異論がないというよりも、非常に希望を持つておる。しかし建設省側でもつて希望するところの事業立法という意味と、厚生省側予防衛生という意味とから、対立はしておるようでありますが、法文として、もう少しはつきり伺いたいのは、主管の問題だけが違うのであつてあとは大きな差異があるのか、ないのか。いわゆる水道法という同じよう法律でありながら、しかも現在原則として厚生省主管に置かなければなららぬという厚生省のお考えと、建設省の方がよいのではないかという建設省側と、対立しておるようでありますが、法案内容そのものについて、主管だけの問題でとんざをしておるということであつてあとはほとんど同文に近いものであるか、ないか。もつと積極的に條文そのものが相当違うのかということを、ひとつお聞きしたいと思います。
  14. 三木行治

    三木政府委員 先ほど来申し上げましたように、水道法目的が、私ども建設省とは異なります。これは何しろ一年間にわたりまして両省で折衝いたしましたために、私どもといたしましても、歩み寄るところは歩み寄り、建設省といたしましても、歩み寄るところは歩み寄つたわけでありまして大部分の点におきましては、両省意見が一致しておる、かように申し上げられると思います。ただ先ほど来申し上げ、ました水道法目的従つてその性格、並びにこれをどちらが主管して行くかというようなことにつきましては、根本的な相違がある、こういう次第であります。
  15. 田中角榮

    田中(角)委員 要するに、新しく誕生ようとするところの水道法目的、趣旨、その他というものに限定されておるということになると、極端に言えば、主管がどちらかに片づけば、この法案ができるというふうに考えてよろしゆうございますか。
  16. 三木行治

    三木政府委員 ちよつと抽象的で、真意を私よくつかみ得ないのでありますが、私どもの気持といたしましては、何しろ明治二十三年につくられた法律でありまして、水源保護関係でありますとか、あるいは、維持管理関係でありますとか、あるいはこれの管理に当ります、いわゆるサニタリー・エンジニアというようなもの――御存じようにこの水道建設というものは、あるいはその維持管理というものは、單なる土木事業ではなくして衛生工学であるというよう立場世界各国いずれも衛生部局主管いたしておるのであります。そういうふうな点等につきましては、私どもは、どうしてもこれを入れて行きたい。かよう考えておるのであります。従いまして、今田中委員のおつしやいました内容が、どういうことをお示しになるのか、よくわかりませんが、われわれ厚生省といたしましては、水道法が私ども考えておりまする角度からできることならば、これは歓迎すべきことであるということを申し上げておきます。
  17. 内海安吉

    内海委員 五木さんの御意見は、ちよつと簡單に私が今まで開いていたところによつて判断すると、どうもこの公衆衛生という立場からのみ論ぜられておるようでありますが、われわれは地方制度などの改革に際しても、実はこの水道問題がやかましく取上げられた要請一つであつたのであります。現在は厚生省建設省共管されておるというので、非常に地方人々が困つておる。何とか一省にまとめて、主管省をきめることが、この水道法をつくる上において、むしろ主眼点をそこに置くことがいいのではないかというのが、地方の輿論はもろんそうでありますが、われわれそう考えるのであります。もつと率直にひとつ厚生省でやらなければならぬという理論的根拠を聞かしてもらいたいと思うのであります。
  18. 三木行治

    三木政府委員 厚生省側といたしましても、もちろん水道というものは、ひとり伝染病予防のためのみに存するという偏狭な考え方をしておるのではありません。しかしながら一軍に防火専用や、あるいは工業用水専門というよう水道につきましては私どもは関心を持たないのでありますけれども、およそ一般の水道はおおむね飲用に供せられる。保健衛生の面と密接なる関係がある。むしろこれは基本的な公衆衛生施設であると言わなければならぬ。かよう考えるのであります。従いましてこれらの設置につきましても、その地方におきまする伝染病状態ということも、当然優先順位をきめる場合におきましては考えなければならぬと思います。またそれの水源をどこに選ぶかということにつきましても同様であります。またそれの建設維持管理、そういつたようなこと、すなわち今日の衛生工学立場からする維持管理並びに建設ということは、一体としてなされなければならぬことでありまするからして、單に土木事業であるから建設省がお持ちになるということは適当じやないのではないか。行政目的に従いまして、それぞれの省が主管するということが、今日のおおむねの行政機構であると、私どもは了解いたしておるのであります。というよう関係で、私ども世界各国においてもその通りであるように、わが国におきましても衛生部局がこれを主管して行くことが適当であり、また行政責任を持つ側から言つて、当然のことではないかというよう考えるのであります。また説をなすものは、建設維持管理と別にしたらいいじやないか。厚生省側は水を確保すればいいので、建設建設省維持管理厚生省で適当であろうというような話も伺うのでありますけれども、しかしながら維持管理経験があつて初めて本格的な建設ができると、私ども考えるのであります。というようなわけで、私どもは今日のわが国の現状、並びに過去におきまして幾多水道に由来するところの伝染病のにがい経験を持つておりますというよう立場から、厚生省主管する。しかもこれが公衆衛生の基本的な施設の、その一環として運営せられることが適当であると考えておるのであります。
  19. 内海安吉

    内海委員 一応ごもつともなことでありますが、日常生活関係ある施設であつて、しかも国民保健衛生に密接な関係があるから、どうあつてもこの水道問題は衛生をつかさどる厚生省においてやらなければならぬという理論ようでありますが、国民衛生という点から見たならば、住宅もそうである、道路もそうである、公園もそうである、農地もそである、電気もそうである、皆ことごとくその論法を持つて行つたならば、全部厚生省主管しなければならぬというよう理論に陷るのではないかと思うのですか、ひとり水道のみではなかろうと思うのでありますが、この点についてどうお考えでありますか。
  20. 三木行治

    三木政府委員 住宅公園電気等についても同様じやないかという御意見でありますが、なるほどこれらも健康の問題と関係ございます。ことに住宅問題等につきましては、非常に関係があるのでありまして、私はいわゆる都市計画であるとか、あるいは住宅という問題につきましては、この公衆衛生上の見地からいろいろな意見を述べ、またほんとうのことを申しまするならば、住宅というがごときものは、住宅衛生を取入れるがごとき施策、機構考えられなければならぬと考えるのであります。ただ電気に至りましては、私ども考えます日常使います決して離すことのできない水というものとは、公衆衛生上の深浅の度合いが軽くないかと考えております。今日の公衆衛生の動向といたしましては、要するに個人の健康を守りますために予防注射をやるということではなくて、環境衛生、つまり水あるいは食品の衛生、さような身のまわりの日常衛生を守つて行くということにならなければ、もはやこれ以上衛生の改善は望み得ないのではないか、こう言われておるのであります。これはひとりわが国のみならず世界の大勢であります。またこれらの環境衛生の問題につきましては、各方面から――あるいは御存じと思いますが、社会保障委員会の勧告におきましても、厚生省公衆衛生施設衛生工学施設が非常に貧弱である、急速に拡充すべきものであるというよう指示も受け、そうして私どもが、これはひとり厚生省のみではございませんが、中央地方衛生機関国民の御協力を得て非常に努力をいたしまして、伝染病等に至りましては毎年二十万、多いときには二十五万という患者が出ておりましたのが、二十三年におきましては五万三千、二十四年度におきましてもおおむねその程度でありまするが、これ以上よくいたしまするためには、この衛生工学の面を強化拡充するという以外にない。そういうわけでございまして、厚生省といたしましても、環境衛生部という新たに専管の部も設置いたしまして、中央地方サニタリー・エンジニアー――衛生工学者と申しますか、さようなものを配置いたしまして、この目的に向つて努力いたしておりますが、中核体でありますところの水道を持たなくて、私ども環境衛生を論じ、将来の国民衛生を論ずることはできないと考える次第であります。
  21. 内海安吉

    内海委員 私は水道行政というものは、単に国民衛生というようなところにのみ重点を置いておるのではない。そういうことが目的ではない。水道施設を最も効果的かつ能率的に建設維持せしめて、結果として国民保健衛生防火保安及び生産増強をはかり、国民の福祉を増大するという観点から言う場合において、私はこういう問題はむしろ水道公衆衛生に関する專門の人を任命して、建設省のごとき、むしろ急速にすべての計画が一貫してできるようなところの方が、かえつて効果的であり、現在要望されておるところの上下水道の完成もすみやかにできると思う。ことに聞くところによると、すでに厚生省においては、建設省と同様の技官までも任命して、十五、六名の土木技官まで置いておるということを聞いておる。そしてやはりこういつたよう建設厚生両省にまたがつてトラブルを起して、そうしてセクショナリズムを最も尖鋭化するというようなことは、はなはだ好ましくないと思う。こういつたよう観点から、防火であるとか、保安であるとか、そういつたよう関係、それから国民大多数の要望しておるその希望を満たす意味からしても、私ども考えでいえば、建設省の方がいいのではないかと考えられるのですが、この点はどうですか。
  22. 三木行治

    三木政府委員 建設省でやる方がもつと効果的であるし、かつまた防火保安等の面も大いに留意すべきではないかという御意見は、私どもは決して防火保安がどうでもいいと申し上げておりません。効果的にやることは、すなわち近代水道におきましては衛生工学者にやらしむることが効果的であり、適切であるということを私は申し上げておるのであります。もちろん防火專用、あるいは工業專用水道につきましては、私どもはとやかく申すのではございませんが、先ほども申し上げましたように、おおむね水道というものは、それは一つの例外なく飲用に供されるのであります。従いまして飲用に供せられる部分が少くございましても、やはり衛生上の要請を満たすということは、これは当然やらなければならぬものであると私ども考えております。また厚生省土木技術者を雇うというようなことは、両省を尖鋭化するので適当じやないという御意見でありました。この土木技術者を雇いました理由は、これは今日の戰後におきまする日本の遅れた衛生行政というものを取返すためには、衛生施設、特に上下水道に関する專管の部課を置くべしというメモランダムによりまして、そこにサニタリー・エンジニアを置くべしという指示に基きましてやつたものであります。現にやつております予算の問題でありますが、これらの査定の問題につきましても、当然に技術者を必要とするのであります。また尖鋭化しているというほどのことはないと私は思うのでありますが、もしさようことがありとすれば、はなはだ残念でありまして、建設省都市局長の八嶋さんは、私の最も尊敬する親友であります。私と同じところに住んでおるというよう状態であります。その面に関する限りは、議論議論として、不当に尖鋭化したり、あるいはまたセクショナリズムというようなことは決してございませんことを、重ねて申し上げたいと思います。
  23. 淺利三朗

    淺利委員長 なお厚生省における水道法案の何か試案と申しますか、それがありましたら、そういうものをひとつ資料として御提出を願いたいと思います。また特に厚生省主管すべきであるということについての御論旨を御研究になりまして、御提出願いたいと思います。
  24. 田中角榮

    田中(角)委員 これは私の質問が少し局長さんにむりであるかもしれ、ません。それはあなたの御議論を開いておりますと、原則的に衛生工学という面から水道考えておけれますし、私たちは土木工学の上から考えておりますから、これは根本的に対立しておるということはわかつておるのでありますか、少しばかり意見を申し述べてこれに対する批判と御意見をいただきたいと思つております。  なるほど、厚生省に対して衛生工業面から見た立場から、水道行政厚生省主管すべきであるというお考えも納得が行くのであります。しかし現在民主自由党といたしましては、行政簡素化ということをやつておることは御承知通りであります。もちろん縦の組織ということが最も能率的であり、最も簡便であるということも承知をしております。しかし過渡期の現象として、私が申し上げるまでもなく、現在の世界のあらゆる官庁組織というものは、ある意味において横の連絡もとらざるを得ないよう組織にあるということも、これは否定できない事実であります。その意味において、現在農林省におきましては、農業生産の向上という意味におきまして、かつて内務省でもつて所管しておりました干拓、開拓その他というものを、全部戰後所管されております。現在開拓局を設け、かつ開拓庁を設け、その上に建設局まで設けようとして法案提出されたことがあります。のみならず運輸省においては、現在御承知通り、かつてありました運輸建設本部並びに港湾局、現在はまた建設省道路局まで――実際の道路網運輸綱計画し、これを効率的に運転せしめるためには、現在建設省に所管しておる道路局も、当然運輸省に所管さるべしという論も流布されております。しかもこれが真剣に研究されておるようであります。しかもなお、かつての商工省に電力局があり、商工省が通産省に衣がえするときには、この電力部門、治山、治水、植林その他については、密接不可分の関係があるということであつたのでありますが、われわれは電力のの建設面、すなわち電源開発等は当然建設省で所管すべきものではないかということを申し上げたのであります。しかし現在の機構では、通産省の外局として資源庁がこれを持つておられるようであります。私は現在わが党内閣において行政整理を行い、行政の簡素化を行うということをやりつつある過程において、現在の行政組織もまたやむを得ないとは思つておりますか、これから来られる本多国務大臣にも、その旨強くただすつもりであります。考え方によりましては、農林省に開拓局を設け、運輸建設本部を設け、電力局を設け、運輸省道路局までもとりたいという気持からすれば、厚生省衛生工学面から水道行政まで所管するということは、当然であるようにも認められるのですが、しかしそのようなかつての日本の行政機構が、うまく行つたかどうかということをまずお考えになつていただきたい。この最も端的な例は、なぜ戰災復興院かできたかということであります。なぜ特別調達庁ができているかということです。なぜ建設省がつくられたかということを考えますと、これは先ほど局長も言われましたが、確かにメモランダムで強硬に現在の建設省をでつち上げて来ました。しかしこの過渡的な面についても、私ども建設行政の一元化という意味から、相当異論も唱えたのでありますが、現在のよう状態になつていることは、はなはだ遺憾であるとは思いながら、これも過渡的な現象としてやむを得ないと私たち自身考えております。これは、一つ道路をやるにしても、神奈川県から大宮までの道路をやるというとき、神奈川県の許可がいる。東京都の許可もいる。埼玉県の許可もいる。かつ戰災復興院の許可がなければならぬ。これは、運輸省関係のものは運輸省でやる。建設省関係のものは建設省でやる。これではあのように非常に急を要する厖大な工事を行うためには、さよう機構ではしようがないから戰災復興院をつくれ、そうして一手にお前のところでやれというので、戰災復興院をつくらせられたということも御承知通りであります。しかも戰災復興院ではだめだから建設省をつくれ、建設省建設行政を一元化して、初めから希望している公共事業省、国土建設省まで持つて行かなければならないが、そこまで持つて行く過程として今の建設省をつくつたらどうかというので、建設省をつくつたのですが、それがうまくないので、現在の特別調達庁をつくつた。しかも特別調達庁だけではだめで、特別調達院というものにして、もつと大きくしようとさえされたことも御承知通りだろうと思います。私は現在でも、現在の第二次行政整理、第二次行政の簡素化ということを行おうとしたならば、この中間に一つの道を見出し、かつ一致点というものは見出される。また見出されなければならないと考えております。その意味からいえば、現在衛生工学面から見て、しかもメモランダムによつて土木工学者も入れたのだというけれども、そうであれば、しかもそれが現在の日本の行政機構の中で、やむを得ない現象としてこれがなされなければならぬということであつたならば、当然建設省道路局の中にあるところの、この水道課は、ぶつつぶしてしかるべきものであります。しかし私たちの立場から見ると、それはやむを得ない。示唆によつてそういうことになつたのだけれども、できるならば、そちらの方の土木工学者を一つのものに統合して――これは前の内務省当時のお互いの覚書にもあり、これは新しい事態が起きたのだから、強い力でやられたのですから、やむを得ないとは思いますが、できるならば簡素化する意味において、厚生省水道課を小さくして、いわゆる衛生工学面からだけのものにして、当分の間でも私は建設省水道課にこれを統合することが非常にいいのではないか、こう考えるのです。なぜ当分の間かと言いますと、それはあなたが言われるところの衛生工学面から見た水道管理は、世界列国においてもこれか行われているという事実も認めます。私は厚生省の所管から労働行政が労働省に移されたときには、厚生省などというものよりも、もつと大きく考えなければならぬので衛生省にしてはどうかという論も出しました。これは私だけではなく、その方面からも強い示唆があつたということも、私から申し上げるまでもないだろうと思います。私はこの意味において、この狭い国土に相当な人が生きなければならぬから、この公衆衛生環境衛生、食品衛生ということが、衛生面で大きく取上げられなければならないということはわかりますが、水道行政に対して土木工学者まで入れたということは、厚生省機構があまり小さくなり過ぎるので、小しずつも部課をふやして行きたいというような、非常に私から申し上げかねるのですが、そういうきらいもなくはないかということを考えておるのです。なぜ当分建設省が所管した方がいいかというと、この統計は私は正しい統計だと思つておりますが、現在の用途別給水水量から見ますと、家庭用が平均二三・六、工業用が九・〇、ずつと工業用給水、船舶給水、浴場給水、商業用給水と合せて、何と小さい。パーセンテージだろうと思つて、一番最後を見ますと、損失給水量四九・四%、約五十パーセントか漏水をしているという事実があります。この春から都市計画は、少くとも五箇年でこれを完成しなければいかぬという問題があります。道路網も少くとも五箇年間にやる。これも別な意味からメモが出ております。五箇年間で全部整備をするという問題をこの両から見たときに、はたして現在のままで行つて道路はつくる。しかもかつて日本が鋪装したような十五サンチ、二十サンチの鋪装をこわすのはけつこうです。しかし三十トン、五十トンという鉄鋼を敷き、鉄筋を敷いた道路を、でき上つたときにただちにこわす。これは共管ですから、そういうことはもうやむを得ないということを言われるのですが、なかなかそうじやないのです。現在東京都内においても、しよつちゆう水道、ガスが掘り起される。掘り起したのをまた埋めている。これは賽の河原で、私どもも業者としてこれを見て、乏しい国費の中からかかる高率なる都市復興計画を行い、かつ国土の再編成を行うというときに、これは少くとも單なるセクショナリズム共管だというので、多少はうまく行かないでしようというがごときことをもつて、これを看過するわけには相ならぬのです。そういう立場から見まして、四九・四%というところの厖大なる漏水をとめて、しかもその上になおかつ道路五箇年計画を遂行し、復興五箇年計画を強度に推し進めるという場合には、少くとも五箇年くらい、こういう水道行政の少くとも土木工学という面は、建設省に移された方がいいと思うのですが、これに対するお気持と、もう一つは、厚生省公衆衛生局環境衛生関係する方々は、日本の現在の状態から、衛生面に対してまだまだほんとうに改良を必要とし、考えなければならぬことが多分にあります。これは一に伝染病だけではなく、日本人の生活そのものに対して、もつともつと高度な衛生面の改良ということがあるのでありまして、水道もあなた方に言わせると、ほんとうに大きな面ではあると思いますが、衛生工学面に対しては、新しい水道法が立法されても、建設省も相当な強い発言力を持つことは当然です。いかなるりつぱな計画実施に当つても、最後の使用許可を與える衛生工学面より見た使用認可がなければ、これを使えないということは当然です。ところが現在そのよう理論をやつておるものが、あなた方の所管される中に、旅館その他非常に緊急を要する面で、公衆衛生環境衛生、食品衛生が許可をしなければどうにもならぬ面があります。この実例は冷し上げますれば幾らもあるが、建築の許可は二月五日からはなるべくこれを緩和する。資材も出まわつたから三月になつたら解除をする。現在の建築制限も皆解けるという。急ぐ建築方面に対しては生きた法の運用を建築方面においてはやつております。しかもその最後の工事が出来上つてしまつて、さて金網を張れ、たんつぼを持つて来い、消火器をそろえろ、その上にふとんがそろえてあるか、三十部屋があるから少くとも六十組持つて来い。こういうわけで、十組のふとんはあるからこれから除々に働いてふとんを入れるのですと言つても、六十組なければ許可しないという実例もあります。こういうので一箇月、二箇月ひつぱられる。それで法の目的、すなわち衛生工学の向上という意味から見たら、私たちは厚生省がもつと飛躍したところの衛生省がこれを所管することは当然ですが、末端の行政ということになると、これは複雑怪奇にする以外の何ものでもない。どつちかにつけなければならないということだけははつきりしている。ただセクショナリズムはないと言いながら、現在非常に強いところの要望を十分持つているところの水道法が、両省でほとんど違わない案がつくられておりながら、なお一年間も討議をし、しかも八嶋さん、三木さんがいろいろ研究されてなお解決できないで、本国会に上程ができないとしたならば、これは民衆のために遺憾であり、悲しむべき現実であるということは否定すべからざる事実でありますから、その意味から共管から一歩進んだ所管外になるのですから、各官庁としては大きな問題だろうが、私どもの言うセクショナリズムということは、これは少し言い過ぎかもしれませんが、これは何とかそこに妥協点がある。少くとも五箇年間はやるのだ。そのうちに五箇年後に現在の厚生省衛生省になるだろう。そのときこそおれの方の所管にするの場だというふうなぐあいで、何とかおちつかないものか私たちもあなた方がお出しにならなければ、議員提出でも何でもやらなければならぬ、こう思つている。建設省ばかりにほめられて、厚生省からしかられたくないから、どうですそこはというところを御答弁願いたい。
  25. 三木行治

    三木政府委員 非常に御熱心な御議論をいただきまして、深く敬意を表したいと思います。ただ私田中さんとの考え方の相違という点で、賛意を表しかねることをまことに残念に思うのであります。御存じよう水道行政というものは、これは地方の自治体がやつておる。でありまして、建設省厚生省は監督行政であります。従いましてこれは厚生省で監督行政ができないという理由はない。また建設省は非常に厖大な工事スタッフを持つておるじやないか、だからやれるのだとおつしやいますが、私ども先ほど申し上げましたように、これは衛生工学という特別なものである。なるほど建設省の偉大な土木能力に対しては敬意は表しておりますが、しやもじは耳かきにならないというはなはだ卑俗なことを申し上げなければならない。また実際に漏水があるという御意見もその通りでありましても私ども心配しております。でありますから、これは一つ建設省に大いに急速にやらすべきじやないか、そういうお考えもまことにりくつのあることと思いまするが、御存じよう環境衛生の仕事はたくさんありますけれども、一体水の問題をおいて、環境衛生の問題が他にあるかどうかというようなことになるわけでありまして、ことに責任と権限というものは、今日公務員法の中心の考え方でありますから、私どもといたしましては責任を持つ。従つて権限を持たせてもらいたい。そこで初めて私ども国民に向つて、安心のできる水を供給できるのじやないか。厚生省にもたくさんやることがございます。しかし建設省事務量全体から申しますと、たとえば治山治水というものを一つつてみても、水道に比較いたしますと、まことにびようたる事務量であります。厚生省も大いに他にやることがあります。建設省にも治山治水というような非常に厖大なお仕事がおありになるのじやないか。私ども立場といたしましては、ほんとうに国の保健衛生という面から割り切つていただきたいということを、切にお願い申し上げたいと思います。
  26. 淺利三朗

    淺利委員長 それでは本会議に重要な問題がありますから暫時休憩いたします。     午後三時四十一分休憩      ――――◇―――――     午後三時三十三分開議
  27. 淺利三朗

    淺利委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  水道行政に関して幸いに行政管理庁の次長が見えております。本多国務大臣は司令部へ行つてまだ帰つて来ぬそうでありますから、大野木政府委員から水道行政の所管等に対しての御見解を承りたいと思います。
  28. 大野木克彦

    ○大野木政府委員 水道行政所管の問題につきましてはすでに御承知通りで、まことに別離な問題でございまして、しかもこれを実施いたします地方公共団体におきましては、現在の両省所管のために、はなはだ困難をなめているという状態でございますので、行政機構の総合調整の立場から、行政管理庁におきましても、これが少しでも早く解決されますように、いろいろ研究して参つたのでございますが、率直に申し上げまして、お聞き及びの通りに、まだ両省間の話合いができませんで、まだ結論を得ていない状態でございます。それで御参考までに、きわめて簡單に今までの経過を申し上げておきたいと存じます。  最近におきまして、昨年行政機構の刷新審議会が設けられました際に――先般行政機構の簡素化を行いました際の基礎資料になりました答申をつくつた委員会でございますが、この委員会の会長に対しまして、行政監察委員会の総会から決議を出しまして、この審議会の結果による行政機構の改組の際には、この水道行政の所管の問題も解決していただきたいという希望の申入れがございました。結論だけちよつと申し上げますと、「政府においては行政簡素化の見地より水道行政主管厚生省又は建設省の何れかに一元化するのが適当であると思料せられるのであるが、両省性格上一元化が困難であればその分担の範囲を簡明に建設建設省主管維持管理厚生省主管とするか、或いは戦災地を建設省主管、非戰災地を厚生省主管とする等速に(各省設置法制定迄に)これが解決の措置を講じ以て水道行政の迅速円滑を期せられんことを要望する。」云々というのでございますが、先般の六月の機構改正の際には、結局各省設置法におきましては根本的解決ができませんで、今日に持ち越している状態でございます。それでその後さらに行政機構の根本的改革のために設けられました内閣の行政制度審議会におきましても、引続いてこの問題を取上げまして、建設に関する機構研究の一環として建設委員会を設けまして、そこでこの水道問題も取上げたのでございますけれども、やはり厚生省に所管させるのがいいという意見建設省の方がいいという意見、さらに工事維持管理をわけてやつたらいいじやないかという意見があつてまとまりませんで、その方もまだ結論を得ていない次第でございます。しかし一方最近行政制度一般についてさらにこの制度審議会の中に小委員が設けられまして、各省の機構改正について研究が進められておるのであります。その小委員会におきましては、この二十五日に、従来の沿革その他現在の所掌事務の状況から見て、一応厚生省が至当であろうという決議が行われたのでございます。しかしこれはまだ小委員会の決議でございまして、本会議というところまでは行つておりません。現在までの状況は、大体そういうような状況でございまして、はなはだ遺憾でございますけれども管理庁といたしてもまだ結論を得るに至つていない状況でございます。
  29. 淺利三朗

    淺利委員長 何か御質疑はございませんか。
  30. 田中角榮

    田中(角)委員 関連して御質問したいのですが、大臣がおいでにならないので、もしお漏らし願えるなら適当に今までの状況を伺いたいと思います。それは先ほど私がちよつと申上げました総合建設省、国土建設省、公共事業省というような面におきまして、現在の建設省設置法をつくりますとき、民自党としては――これは民自党だけではなく、第二次吉田内閣、片山内閣、芦田内閣でも、いわゆる公共事業省的なものをつくつて建設行政を一元化するということがあつたのでありますが、官庁の機構が複雑多岐であつたために、現在まで延びておるのでありますが、前の行政機構改革審議会から内閣に答申されたものの中には、運輸省港湾局建設省に統合すべしということが答申されておるはずであります。現在それが逆行しまして、建設省から逆に道路局運輸省に取上げようかというよう議論も出ているようでありますが、この問題、それから特に通産省設置にあたりまして、いろいろ議論がありましたところの電源開発部門、すなわち資源庁の中の電源開発部門に関する問題、それからもう一つは、今度の建設省設置法の一部改正法律案に、国有鉄道の分がまた入つて来るようでありますが、こういう関係、それから専売公社が現在やつているようなものに関する問題、いわゆる総合建設省設置建設行政の一元化という線に向つて、どの程度進めておられるだろうかということに対しまして、本多国務大臣も、私の考え建設委員会意見とまつたく同じであるということを何べんも述べておられるのでありますから、事務当局から見られた実際の進捗状況をお聞かせ願えれば、伺いたいと思います。
  31. 大野木克彦

    ○大野木政府委員 意見にわたります部分は大臣から申し上げるのが適当だと思いますが、ただ今までの経過といたしましては、ただいまの行政制度審議会は、若干この前の刷新委員会委員であられた方も入つておられますが、大部分は別の方でできておりますので、多少あのときとは異なつた御意見も出ていると思います。     〔委員長退席内海委員長代理著席〕  それから大体まだ結論を得るに至つていない状況なのでありまして、まだいろいろ意見が出ている状況でございます。ことに先ほど申し上げましたように、建設省性格ないしその所掌事務をいかにするかという問題につきましては、非常に愼重に審議せられておりまして、ただいま一々その御意見をごひろう申し上げる時間もないと存じますが、大体におきましては、先ほど田中さんからお話になりました横割りの建設業務というものを一貫してやるという行き方で行くか、あるいは今後も縦割りにした方がよいのではないかという意見、これが根本的な問題になつております。縦割りとすれば、たとえば今問題になつております治山治水というような面を徹底的にやるようにすべきじやないかというよう意見であります。それにつきましては、先ほどお話の水の問題とからみまして電源開発の問題、農業利水の問題、それからその他の水利に関する問題、あるいは砂防の問題というようなものをどういうように扱うかということが、問題になつて来るのであります。それから道路のことにつきましては、いろいろお話もありましたけれども、今のところ大勢として道路はそのままでやつて行くという意見が多いようであります。そのほかいろいろ御意見もあるのでございますが、まだはつきりきまつた線が出ておりませんので、大体問題は今の縦割り及び横割りをどうするかというところに、一番ポイントがあるように見ております。
  32. 田中角榮

    田中(角)委員 本多さんがおらないうちに、なるべく事務当局から聞いておきたいと思うので、もう一問だけお聞きしたいと思います。それは本多さんの立場になりますと、われわれ與党の内部そのものの方針もきまつていないというところで、逆にきめつけられるかもしれませんが、これは各省にまたがつているものであつて、たいへんではありますが、私どもが與党として現在考えているのは、少くとも行政機構の簡素化ということだけは、強い意思表示をしているわけであります。しかもこれに対しては何人も異論のないところであります。その行政機構の簡素化をするということが、行政官庁の方々はセクショナリズムというものはありませんと言うのですけれども、あるのです。あるからそれが出ない。私はそういう意味から、このセクショナリズムを打破するものは議員であると考えておりますが、しかし官庁の事務当局の中で、それを打破するとまで行かなくても、超然として行つてもらわなくちやならぬ事務当局はあなたのところであるというので、あなたのところに非常に期待しているのであります。現在のところ縦割りにするか横割りにするか、考えているさ中であると言われましたが、少くとも建設行政に関しては、縦割りをやつたならば総合建設省どころか、水政省か治山治水省になつてしまつて、それこそえらいことになつてしまうので、こういう議論はなるべく事務当局でお取上げにならないようにしていただきたい。しかも行政機構を簡素化して、ここに一大変革を行うというためには、各省に分属割拠しているところの、最も複雑多岐にわたつている建設行政を一本にまとめ、総合公共事事業者か国土建設省ができるならば、あと行政官庁の統合整備なんというものは簡單にできる。われわれが現在の建設省設置法にいやいやながら、過渡的現象として、第一段のステップとしてしようがないというので賛成したゆえんのものは、これを土台にしていわゆる総合建設省ができる。しかもなおかつそれが中核になつて行政機構の一大変革ができるのだ。こういう感覚でもつて賛成をしたのであります。民自党内閣は長く持つでしようが、この行政機構改革だけは早急にやつてもらわなければならぬ。そういうよう考えているのです。その意味から言うと、もうすでに審議会から答申をし、運輸省港湾局建設省に統合する方かいいと言つてから半年経つております。これはいろいろな問題もあるのでありましようけれども事務当局としてはこう考えております。そうして少くともこの建設行政の一元化の時期的な目途が、大体今年の六月ごろとか九月ごろとか、少くともことし一ぱいにはやりたいというように――これはあなた方のスタッフや、あなた方の計画や、とにかく技術の内容によつて大体その目途はつくはずだろうと思います。これは大臣が答弁することが至当であると言つてあなたはなるべく答弁なさりたくないでしようけれどもが、私たちはそこから押して行きたい。そうすればあとに残るものは政治力だけである。これだけの與党を持ち、これだけの旗を掲げながら、ここで行政機構改革をやることができない。それは事務当局に力がないからだということであるならば、これはたいへんな問題であつて、これから一大構想を行うという一つ立場に立つても、あなたの抱負、目途というものを承りたいと思います。
  33. 大野木克彦

    ○大野木政府委員 行政機構を簡素化しなくちやならないということにつきましては、お話通りでありまして、私どももその方向に向つて努力をいたしている次第でございます。それにつきましては、ただわれわれだけの知識経験じや足りませんので、審議会の方の方々の御意見も承りたいということで、ただいまいろいろ審議途上でございます。港湾建設の問題につきましても、お話通りに前々から最も重大な問題の一つに相なつておりまして、審議会の方でもその問題は十分研究されておりますので、やがて近く結論が出されるじやないかと存じております。それで行政制度審議会といたしましては、大体承つたところによりますと、今期の国会に各省の設置法にその結果を盛込んでいただいて改正していただくというところまでは、何分事が重大でございますので、愼重にする必要がありますので、間に合わないようでありますけれども、少くともこの四月か五月ごろまでには、結論を得て答申をするという意気込みでございますので、近く御期待に沿えるような答申がなされるのではないかと思つております。
  34. 田中角榮

    田中(角)委員 非常にごむりな御答弁を要求するのであつて、私自身もあなたに対して心苦しいのですが、これは本多国務大臣がきよう来られると思つてが相当突つ込んでお尋ね申し上げるつもりでおつたのであります。四月、五月と言いますと、もうすでに鼻の先にぶらさがつておるような期日であるとは思つていながら、総合建設省に逆行するような、逆行するというよりも、いわゆる縦の組織になりやすいよう法案が出て来ておる。現在港湾法案もすでに提出の寸前にあります。この前には教育委員会法の一部改正法律案が出た。その前にはもつとえらい問題は建設省をもう一つつくろう。これは農林省の開拓局その他を合せて開拓省にしようじやないか、そのときには農林建設省でもつくろうと。これはさすがに向うもひつこめまして、私たちもこれはあまりにもひどいじやないかというので、おやめ願つたのでありますが、どうも逆行しておるような情勢も多少看取されるのですが、こういう問題に対して行政管理庁として内閣にが少くともこの問題は何月ごろまでに結論を出すのである。それまでにはどちらにきまるかわからぬから、縦にしろ横にしろ、建設行政という面に対しては、もちろんその場合に、先ほど討論したところの水道法あたりも、一時見送りになるかもわかりません。わかりませんが、そういうよう関係法案に対する特殊な施策ということに対して規定をされたり、注文もし、制肘もするというところまで行つてもらわぬと、あなた方が非常にいい案を出されるときには、もうすでにくもの巣のように張られてしまうということになると、これは非常に時期を失するということも考えられますので、あなた方が特にその責任の衝に当つておるだけに、これに対してどういうふうな具体的な処置をおとりになつておるかということについても、承りたいと思うのであります。
  35. 大野木克彦

    ○大野木政府委員 目下のところは、主として審議会におきましては、各委員からそれぞれ自由な立場から御意見を出して来ております。そうしてそれを整理して、さらに皆さんの御審議を願うというような行き方をいたしておるのでございます。なお建設省設置のときの御議論等も拜見いたしておりますので、それらの点につきましては、また審議会の方にもただいまの御意見等はよく伝達いたすことにいたしたいと思います。
  36. 西村英一

    ○西村(英)委員 私は一つお伺いしますか、現在の水道行政と言いますか、業務と言いますか、それにかかつておる厚生省の本省及び下部機関があれば下部機関を含んで、特にこの業務に携つておる人数、それから建設省の方もその業務をやるのに幾人かかつておるか、それをお知らせ願いたい。
  37. 大野木克彦

    ○大野木政府委員 実は私所管省でありませんから、それらの人数をちよつとただいま詳しく存じておりませんが、調べまして……
  38. 西村英一

    ○西村(英)委員 後ほどでもよろしうございます。資料を出していただきたい。
  39. 砂間一良

    ○砂間委員 現在地方公共団体なんかで水道を新たにやる場合に、その認可であるとか、あるいはその後の水道事業の監督というふうなことは、現在これはどちらでやつておられるのですか。厚生省ですか、建設省ですか。
  40. 大野木克彦

    ○大野木政府委員 私詳しいことはあまりよく知りませんが、建前といたしましては地方計画いたしまして、二通書類を出しまして、厚生省の方が許可認可は主管しております。そうしてその二通のうち一通を建設省の方へ出しまして、建設省会議の結果、厚生省の方で許認可をいたしておるようであります。
  41. 砂間一良

    ○砂間委員 この間から問題になつております水道の所管の問題につきまして、この前三月三日ですかの委員会におきましては、もつぱら建設省の方のいろいろな御説明意見を聞いたわけであります。今日はまた先ほど厚生省の方の御意見を伺つておりますが、聞いておりますとそれぞれ理由がありまして、まことにごもつともな点もあると思うのであります。しかしながら私ども公平に聞いておりまして、非常に考え方が狭いように思うのです。それぞれの自分の職責というか、自分の立場に立つて、もつぱらその方面を非常に強調しておられるような傾きが強い。しかしかんじんなことはやはり何と申しますか、広く国民立場に立つてどつちの所管に移してやつて行つた方が国民の利益というか、国民立場に奉仕することになるだろうという点で、ひとつ考えていただきたいと思う。現在のように所管が二つにわかれておりますと、頭が二つにわかれておれば、地方の方へずつと二つにわかれて行つて、そうして一般の事業者が非常に困つておるということは、先ほど田中君が言われた通りだと思うのです。ですからどつちに一元化した方がいいかという点につきましては、私は自分の個人的な意見は差控えますが、これまで盡された議論なんかも十分検討されまして、早急に一元化していただきたいということを希望しておきますが、しかしその際やはり国民全体がどうしたら最も便利になり利益になるか、国民に奉仕するという立場考えていただきたいと思うのです。そういう立場から考えて見ますと、現在の水道行政というものは、いろいろな点からはなはだ遺憾な点が多い。たとえば水道料金の問題にしても、料金の問題はこれは物価庁の方でやつておられるので、厚生省でも建設省でも、わしや知らぬというておられるかも知れませんけれどもが最近におきましては各地方なんかでは、水道料金なんかでもべらぼうに値上げになつておる。それからいろいろな工事の依頼なんかしましても、それか三箇月も半年もかかる。また工事料金が非常に高いのです。めつぽうもなく高い。工事を早くやつてもらうためには、特別のわいろを持つて行くとか、あるいは使い物をしてお願いしなければできぬというのが実情であります。これは監督官庁がどこか知りませんが、こういう点についても、もつと不当な料金だとか、あるいは工事の不当な遅延ということにつきましては、やはり監督官庁として十分に監督していただきたい。  それから水質の点につきましては、これは公衆衛生立場から厚生省でやつておられるかと思うのでありますが、最近の水は、これはこの前の委員会でも私意見を述べておいたのでありますが、あまり消毒の薬――塩素滅菌ですか、あれをたくさん入れ過ぎまして、お茶なんか味がまずくて飲めないようなのが実情であります。これも進駐軍から指示か何かありまして、やつておられるようですが、しかし百万分の二PPMとかいうものは、必ずしもその量を入れなくても、もつと千万分の七くらいで十分その目的は達成せられるというような專門家の意見もあるようでありますから、こういう点も單に進駐軍の命令だからと言つてそのまま従うというのではなくて、十分その目的を達すればいいわけでありますから、もつとお茶でもうまく飲めるような水を供給していただきたいと思います。  その他取上げて行けばいろいろ問題がありますけれども、とにかくこれを消費する国民立場に立つて、そうして水道施設にしても、工事にしても、料金にしても、あるいは水質の点についても、ないしはその水道をどこで所管するかという点につきましても、そういう国民立場に立つて国民に奉仕する立場からやつていただきたいということを、私は強く希望しておきます。
  42. 大野木克彦

    ○大野木政府委員 ただいまの認可のことでちよつと申し上げるのを落しましたが、認可の指令と申しますか、それは厚生大臣と建設大臣と両方の名前になつておるそうでありますから、その点お含みを願いたいと思います。  それから塩素滅菌が強過ぎる点につきましては、厚生省の方に連絡をいたしておきます。
  43. 内海安吉

    内海委員長代理 ほかに御質問はありませんか。御質問がなければ本日はこの程度で打切りまして、明八日午後一時より引続き開会することにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時五十三分散会