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1950-02-03 第7回国会 衆議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月三日(金曜日)     午後二時二十九分開議  出席委員    委員長 淺利 三朗君    理事 内海 安吉君 理事 江崎 真澄君    理事 田中 角榮君 理事 砂間 一良君    理事 久野 忠治君 理事 笹森 順造君       井手 光治君    大西  弘君       越智  茂君    瀬戸山三男君       高田 弥市君    西村 英一君       三池  信君    宮原幸三郎君       前田榮之助君    八百板 正君       畠山 重勇君    増田 連也君  出席政府委員         (都市局長)         建設事務官   八嶋 三郎君         (住宅局長)         建設事務官   伊東 五郎君  委員外出席者         建設事務官   小林與三次君         建設事務官   淺村  廉君         建 設 技 官 寺島 重雄君         専  門  員 西畑 正倫君         専  門  員 田中 義一君 一月三十一日  委員今村忠助辞任につき、その補欠として坂  田道太君が議長指名委員に選出された。 二月一日  委員坂田道太辞任につき、その補欠として今  村忠助君が議長指名委員に選任された。 同月三日  委員飛嶋繁辞任につき、その補欠として井手  光治君が議長指名委員に選任された。 同 日  理事村瀬宣親君の補欠として久野忠治君が理事  に当選した。     ————————————— 一月三十日  小平、幌加内両村間道路開設請願玉置信一  君紹介)(第四四二号)  天塩町の産業道路改修に関する請願玉置信一  君紹介)(第四四三号)  天塩川河口改修請願玉置信一紹介)(第  四四四号)  天塩、幌延間の天塩川に架橋の請願玉置信一  君紹介)(第四四六号)  天塩川水系河川の治水に関する請願玉置信  一君外一名紹介)(第四四八号)  吉井川上流護岸工事施行請願大村清一君  紹介)(第四五六号)  豊国村地内の梶並川堤防修築請願大村清一  君紹介)(第四五七号)  三陸国道開設請願山本猛夫紹介)(第四  五九号)  溝川改修請願圓谷光衞君外一名紹介)(第  四九四号)  サロベツ原野開発に関する請願伊藤郷一君紹  介)(第四九八号)  矢作川改修工事促進請願千賀康治外名紹  介)(第五〇一号)  浜田から加計を経て廣島に至る間の県道を国道  に編入の請願山本久雄紹介)(第五〇三  号)  進駐軍関係従業員待遇改善に関する請願(川  上貫一君外一名紹介)(第五一八号)  同(春日正一君他一名紹介)(第五一九号)  同外二件(土橋一吉君外一名紹介)(第五二〇  号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  住宅に関する件  水道行政に関する件  道路に関する件     —————————————
  2. 淺利三朗

    淺利委員長 これより会議を開きます。  この際理事補欠選任についてお諮りいたします。去る一月二十八日村瀬宣親君が理事辞任せられまして現在理事が一名欠員となつております。これよりその補欠選任をいたしたいと存じます。先例によりまして本件は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 淺利三朗

    淺利委員長 御異議なしと認めます。それでは理事久野忠治君を指名いたします。
  4. 淺利三朗

    淺利委員長 次に住宅に関する件を議題といたします。最近建築制限緩和方針になつておるようでありますから、この際当局より説明を聽取いたしたいと思います。伊東政府委員
  5. 伊東五郎

    伊東政府委員 建築統制撤廃ないし緩和につきましては、本委員会におきましてもかねて御要望があつたのでございまして、私どもとしましても十分その意を体しまして研究を続けておつたわけでありますが、一般建築資材統制がありましてそれとの関連において遅れておつたわけでございますが、本年の一月一日から木材セメント等重要建築資材統制撤廃されることに決定になりましたので、それと見合つて具体的な案を考えてみました。なお鉄鋼板ガラス等はまだ統制が当分継続されることになつておりますのと、木材につきましては需給関係が十分であるという理由ではなく、むしろ木材割当制度ということ、あるいは輸送証明制度などが十分に統制目的を達しない。非常に手続が複雑でありまして、その割に統制目的を達することができないというような理由もありまして、むしろ木材消費につきましては成長量をずつと上まわつております。つまり過伐、濫伐になつておるわけでありますので、木材使用量の節約ということは、今の段階におきましてもなお考えなければならぬのであります。それにつきましては木材の一番大きな消費であります建築に使うところの木材につきましては、当分若干の統制はしなければならぬというふうに心得ておるのでございます。そういう観点からいたしまして従来の建築統制を今回大幅に緩和することにいたしました。すなわち従来は三十坪以上の建築物は全部許可を要することになつてつたのであります。それを改めまして一般建築物については大体三百坪以上のもの。特に映画館劇場、それに類するオーディトーリアムを持つ公会堂のようなもの、それから特に火災などで非常に危險の多いマーケット、これだけのものについては九十坪以上のもの、この二つにつきましては建設大臣許可を要することといたしました。なおこの場合住宅学校等につきましては、何坪のものであつて許可を要しない、自由に建てられるということにいたします。その他一般建築物については、大体新築あるいは増築の場合には、増築の部分が九十坪以上の場合に限つて都道府県知事許可を要する、こういうことにいたしました。その他のものについては全然許可を要しないということにいたします。なお許可するかせぬかという運用の方針でありますが、劇場その他につきましても、木材使用制限目的でありますので、鉄鋼セメント等を使う、いわゆる耐火建築については、原則としてすべてを許可する。その他の建築物についても同様の方針をとつて行きたいと考えております。木造の建築については、大きなものに限つて木材需給状給を見て許可方針決定して行きたいと存じております。大体以上のような方針によりまして、明日臨時建築制限規則改正を公布いたしまして、五日から施行するようにいたしたいと思つております。なお改正規則は暫定的のものと考えておりまして、鉄鋼補給金制度従つて割当制度も大体六、七月ごろには撤廃になる見込みでありますので、大体そのころを目標といたしまして、別に本国会建築基準法案を提出いたす予定になつておりますが、大体それもそのころ施行になるものと考えておりますので、この建築基準法施行と同時に臨時建築制限規則撤廃するということで、建築基準法の附則にそのことを書き加えるようにいたしたいと存じております。よろしくお願いいたします。
  6. 淺利三朗

    淺利委員長 なおただいまのような制限撤廃したというような場合には、その都度当委員会に、省令か政令か知りませんが、そういう資料はただちにこちらに提供していただきたいと思います。
  7. 田中角榮

    田中(角)委員 建築制限令が大幅に緩和されるという、まことに適切な処置をとられたことに対しては、同感の意を表するものでありますが、これに対して現在住宅局内監督課に配属せられておるところの機関は、どういうふうに処理なさるおつもりであるか伺いたいと思います。なおその人員を、現在の住宅局でもつて配置転換をする場合、どのような方針をお持ちになつておるかということを承りたいと思います。
  8. 伊東五郎

    伊東政府委員 臨時建築制限規則緩和に偉いまして住宅局内のそれを担当しておる職員のことをどういうようにするかというお尋ねでありますが、大体今年の四月、つまり来年度からこの規則が大幅に緩和されるという見込みをもちまして、来年度予算には、この職員を相当大幅に減員をいたしております。そのうちの一部は住宅、あるいは市街地建築物法施行等に駐保する方面に転用することに予定いたしております。さらに全部撤廃された場合につきましては、また住宅金融公庫法施行などの新しい仕事もふえて参りますので、あるいはそういう方面に転用するというようなことも考えなければならぬのじやないかと考えております。
  9. 淺利三朗

    淺利委員長 それでは次に水道行政に関する件を議題といたします。かねて水道法建設省において提案するような話もあつたのでありますが、最近、今回は提案できないというようにも伺つております。ついてはこの水道行政について、水道法構想、その他を今まで建設当局において描かれておつた点を明らかにして、必要があれば国会においても考慮の余地があると思いますから、それらの点についてなるべく詳しく当局から説明していただきたいと思います。
  10. 八嶋三郎

    八嶋政府委員 まず水道法案というものについて、今回私どもといたしましているく構想を練りましたものにつきましては用意をいたしたのでありますが、これの内容等につきまして簡單にまずお話申し上げ、これが今回一応保留をいたしました理由並びに水道行政機構問題等につきましてお話を進めて参りたいと思うのであります。  まず水道法案内容、これは今度出しませんでしたが、一応私どもの考えております構想という意味において御承知願いたいと思います。水道法によつて考えて行こうというその目的は、水道施設管理を適正に行つて水源水道施設保護をして行く。もう一つ水道事業の運営の合理化をはかつて行く。大体この三点に中心の目的を置いて参ろうということにいたしたのでございます。ことに水道協会方面といたしましては、特に水源保護といつたことについても、何とか法律の中に盛つてもらいたいという御意向が、前々から相当強かつたのであります。そこで水道法案の中に入れますものにつきましては、單に飲料水に限定いたしませんで、家庭用商工業用、その他一般公共上必要とするもの等全部を合せまして、水道事業内容をひとつ書いてみたいと思つております。そこで別個の紙を今配付しておりますから、それをごらん願いたいと思うのですが、そこには六大都市と六大都市を除きます人口十万以上の都市のうちからピック・アップした都市水道用途別給水量が、戦前と戦後とにわけて書いてあります。家庭用給水量、これは煮たき用であるとか、洗濯用であるとか、家庭用の風呂であるとかいつた方面でございますが、これらにつきましては二三・六%というものが使われております。それから商業用給水量は四五%、その内容はそこに書いてございます。工業用給水量は九%、浴場用は一・六%、鉄道船舶は一・五%、公共用は五・七%、漏水、いわゆる損失をいたすものが、戰後非常に荒廃いたしました結果、約五〇%、そのほかに進駐軍用として四・九%、大体こういう現状になつておるのでございますが、これらを総括して、水道施設によつて水を供給するものを水道事業として取扱つて参りたいと思つているのでございます。この水道事業の経営は、原則といたしましては公共団体をして行わしめるが、他に公共団体以外のものでも、公共福祉のために必要があるというときには、建設大臣認可を受けまして、水道事業の経営をなし得るということにしてもいいのではないかと思います。  次にいろいろな事務の簡捷、いろいろな事務の統合という点につきまして、水道法に関しまする水の取入れ、また水道事業公共団体がやつて参ります際におきましては、都市計画法なり、河川法なりで二重の手間はとらせないで、できるだけ事務簡素化号ほかつて参るというようなことで、都市計画の区域内に水道事業を創設しようというときには、都市計画審議会意見を聞かせる。それから都市計画事業として決定をいたしますれば、水道法許可があつたものとみなして行くとか、あるいは建設大臣による水道事業認可があつた場合には、河川法によりますいろいろな河川使用というものは許可があつたものとするというように、できるだけ事務の簡素をはかつてつた方がいいのではないかというように、実は他の法令との関連事柄を考慮いたしておるのであります。  第三の問題は工事施行して参りますにつきましては、まず認可を受けるということにつきまして、建設大臣認可を要するということにいたしまして、いろいろな改善とか、修理とかいつたものも、やはり建設大臣が一方的にも命じ得るという形を持つて参るのであります。それから次に五のところには、消防用事柄につきまして書いてあります。次に工事の問題につきまして認可の問題と使用の問題につきまして、どういうぐあいに負担分をして参るかということを書いております。それから業務の問題といたしましては、できるだけ仕事がやりやすいようにして参る、工事施行して参るにつきましての仕事をしやすいようにして行こうということを、この業務の中に書いてあるのであります。三面におきまして水道事業というものは、公共福祉に重大な関係がありますので、これに対しまして官庁方面としては嚴重なる一つ監督を施して参る。その監督事柄についても実は書かれておるのであります。そこで事業調整という問題につきましては、水道公共福祉関係いたします問題でありますので、いろいろと中央方面におきましては事業の合併をさせる。あるいは水の分水とか、排水とかいつた問題についての調整の問題もタッチして参らなければならないということも考えておるのであります。それらの問題につきまして、特に重要な問題、ことに合併の問題でございますとか、あるいはいろいろな法規に違反をいたしまして工事施行を停止せしめるとか、あるいは水の調整の問題であるとかいうような問題につきましては、中央水道審議会を置きまして、大臣だけのいわゆる諮問機関といたしまして、愼重にこうした重要な問題の処置をはかつて参ろう。この水道審議会意見を聞いて愼重に取扱つて参りたいと考えておるのであります。  その次には先ほど申しました水源保護といつた問題のために、大臣あるいは知事というものが、水源不正工事の防止を命ずるとか、あるいは水量、水質等に著しい影響を及ぼすような行為の制限並びに禁止をはかつて参るとかいうような措置を講じて参りたい。あとは訴願、訴訟といつたような問題でございますが、大体そうしたような事柄をこの水道法の中に盛りまして、そうして水道法施行の完璧を期して参りたいと考えておつた次第であります。ところがこれが今回、私の方で用意をいたしますると同時に、実は厚生省の方におきましても、水道法というものを一部担当いたしておりまする関係上、両方で実は水道法というものが立案されて参つた。お互いに当初連絡なしに水道法というものをつくつて参つたのでありますが、それがつき合せて見ますると、向うの面とこちらの面とが、相当食い違う点もありまするし、それからまたそもそもの根本の問題といたしまして、この水道法行政官庁を主としてどこにするかということ等の問題のために、いろいろと、たとえば水道審議会の問題をどこの所管にするといつたような問題等もございます。また都市計画法といつた方面調整の問題であるとか、あるいはまた飲料水のみに限定するといつたようなことに向うの方ではしておりますが、こちらの方としましては、現状はこういうようなことによつて水道というものが敷設されておるのだ。あえて飲料水のみに限定する必要もないのであるというような、根本的な考え方も相当に食い違つておりまするので、それらの調整もはかつて参らなければならないという意味におきまして、実は今次の国会に提出することができなかつたような、実は現状であるのでございます。  そこでしからば一体現在の上下水道行政というものは、どういうぐあいになつているかということを申し上げますると、本日お配りいたしました一枚ゲラの中に「上下水道行政所管状況」というものがございまするが、これをひとつ見ていただきたいと思うのでございます。これをごらんになりますと、これは実は内務省時代衛生局並びに当時の土木局の間におきまして、この水道行政内務省の両局において担当をいたしまするにつきまして、協定をいたしましたものが基準になりまして、その後衛生面内務省から分離いたしまして、厚生省所管となりました際におきまして、厚生省建設省との間におきまして、従来衛生局土木局において担当されておりましたものを、そのまま引継いで一つ協定をいたしたというものでございます。  水道事業内容を具体的にわけてみますと、比較調査仕事といたしましては、両省の共管ということにいたしております。それから事業認許可というような問題につきましては、新設、改良拡張、災害の分を含めまして、水質の問題は厚生省が取扱う。技術的な工事といつた問題につきましては建設省が取扱う。それから実施、設計の認許可といつたようなものにつきましては建設省がやる。工事監督建設省がやる。それから竣工認定といつたようなものも建設省がやる。国庫補助の問題につきましては、新設、拡張、改良、災害というような方面は大体厚生省が取扱つて参る。戦災都市の復旧、復興といつたような問題につきましては、建設省が大体これを取扱つて参る。それから維持、管理に関する指導一般といつたようなものについては、水質関係厚生省建設関係は大体技術、資材、労務の問題といたしましては建設省、並びに維持管理の方とか、電力関係、電力の調整問題等建設省が取扱う。薬品関係厚生省。戰災都市復興関係建設省ということで、大体当時の打合せというものを遂げて参つてつたのでございますが、これは別に私はセクショナリズム的に申し上げる気持は全然ございませんから、その点あらかじめ御了承願つておきたいと思うのでございまするが、ただその後実際にこれの運営を見て参りますると、実は厚生省公衆衛生局の中に、環境衛生部というものがございまして、その下に実は水道課というものがございます。私の方の都市局の中にも実は水道課というのがございます。そこで従来内務省の中にありましたころは、道路課の中に水道係というものが置いてあつた。以前は厚生省の中には、健民局のある課の中に水道係というものがあつたのであります。私の方ではこの協定に基きまして、水道工学方面技術者を置きまして、ここにありますような仕事を見ておつたのでございます。当時厚生省の方におきましては、いわゆる衛生技術者というものを存置いたしまして、そこでここに書いてありますような厚生省の担当の仕事を実はやつてつたのでございます。その後厚生省の方に水道課を設置いたしました際におきましても、実は当時の内務省土木課道路課に設置いたしておりましたと同じいわゆる土木工学的な人を入れておつただけで、衛生的な方面を担当する技術者がおらなかつた。現在も実はおらないのでございます。そうして同じような土木工学者向うにも入つたということが、この問題をこういうぐあいにきめてありましても、乱して来る一つの大きな機縁をなしたものだと、私どもは推察をいたすのでございます。当時内務省といたしましては、そういうことをやると、かえつて最初きめたとりきめというようなものは非常に混淆を来たすから、あなたの方はもつぱら衛生技術者をもつて水質その他の検査をおやりになる方がよいのではないかということを、こちらの方からも十分に申し入れ先のでありまするけれども、しかしここにきめてありまする事柄につきましては、侵さないからというようなお話で、実は向うがかつてにそういうふうな技術者を入れて参つたのでございます。そのために現在工事の設計的な事柄は、この協定に基きまして、私の方にも来て話をしなければならぬ。同じような技術者でございますから、また向う行つても一応話をしなければならないというようなことで、実は地方といたしましては、非常に迷惑を感じて参りましたというのが現状でございます。私はどこがどう侵したというようなことをここで申し上げるつもりはございませんが、とにかく最初の協定通り一応やり、そのような性質の人たちを置いているならば、別に大した問題も生じなかつたのではなかろうかと実は推測いたしておつたのでございまするが、今日はそういうような現状になりましたので、この水道行政所管問題が中央といたしましても、いろいろ今日話題になつているものの一つでございます。そこで何とか水道行政というものをできる限りひとつ線を引いて、一つなら一つの省に置く。それからどうしてもそれが置けなければ、ある一定のところに置いて線を引いてみるということが、可能なりやいなやということについて、先日来いろいろ研究をいやしておるのでございますが、水道行政所管の問題につきましては、私の方面で別個にきようお配りいたしました「水道行政一元化に対する意見書建設省」という刷物をお手元に配付いたしておるのでありまするが、その目次の一番初めを見ていただきたいと思うのでございまするが、総論として書いてあります。これは別にここで御説明を申し上げる必要もなかろうと思いますが、「輿論の動向」、こういう見出しをひとつつくつて参つたのでございまするが、まず水道の問題は両省所管いたしております関係上、各地方から何とかこれの調整をはかるとか一元化してもらいたいという要望はやかましく出ております。ここにあげましたものはその陳情書的なものでございます。この中にはそれぞれ一元化してもらいたい、非常に迷惑をこうむつておるというような実情も書いてございますし、さらにまたわれわれとしてはこうしていただきたいというような、積極的な要望も詳細に書きまして出しております。その中で水道協会要望というものが提出されておるのでございます。それはお手元に配付いたしました書類の四十五ページの、昭和二十三年三月三日に水道協会長東京都知事安井誠一郎氏から両省に提出された陳情書でございます。水道協会は御承知の通りに、水道関係者が集まつてつくつておりますところの社団法人でございますが、これは唯一の機関でございます。この水道協会意見は、要約して申し上げますと、ここでは役員会臨時総会におきまして、いろいろ水道行政監督の機構問題が取上げられまして、種々論議をされました結果、各会員の意を体し、少数の委員を設けてさらに検討することになりました。よつて協会において委員会を設け、検討の結果厚生省建設院——これは当時建設院でありましたので建設院等より独立した内閣直属機関を設くるを理想とはするが、次の方法といたしましては厚生省衛生施設課水道関係人員をすべて建設院水道課に合併し、しかして厚生省より合併したる人員厚生省の兼務として衛生関係の連絡をとらしめることを可とする結論を得たのでございます。これは四十五ページから四十六ページにかけて、そういうことが書いてあります。いわゆる厚生省よりも建設省の方に軍配が上つた、こう言つてもさしつかえはないと思うのでありますが、その理由は、「今日のわが国の現状に於いては戦災復興事業その他大いに建設を要する時代であり、都市建設或は取水権水道との関係衛生関係よりもより大なる関連を有するものと認められますので建設院水道課厚生省の方え合併するよりも国土計画一般を鞅掌する建設院に合併することが水道事業の急速なる普及発達を期し得る所以と思考せられるからであります。」ここに理由をつけまして、建設省に一元化する方がよろしいという結論を出しておるのでございます。ただ「然し乍らこの事も官制改革を必要とし、直に実現不能とすればとりあえずの措置としては共管行政は形の上では一応其の儘として事務処理を一元的に処理をなすためにその事務分担建設操作管理の面に大別し左の如く措置せらるる事を熱望致す次第であります、此の案は全国約七百の水道事業者の熱意と考えられますので輿論政治の今日是非共急速実現せらるる様措置あらんことを要望致す次第であります」というので、大体水道の企画立案は両省の協議による水道の新設、増設、改良及び復旧修理に関する認許可、補助等は建設院の主管として、建設院厚生省に会議して参る。右に関する資材は建設院において專掌する。水道操作管理に関する事項はすべて厚生省の主管とし、厚生省建設院に会議する。右に関する資材、電力、漏水防止等は厚生省の專掌として参る。水道の調査指導、監督技術者の養成等はそれぞれの立場において行つて参る。特に重要な事項に関しては、両省の間に委員会を設け、連絡、調整をはかつてつた方がよろしいというような、いわゆる第三次案といたしましての案というものが、ここに詳しく載せられておるのでございます。私はこれがすべての今日の水道行政所管に対する一般の輿論ではなかろうかと実は考えているのでございます。  今日の水道現状を申しますと、ここにも書いてございますように、建設の段階である。私はこの水道所管問題はどういう観点からこれを考えた方がいいかということにつきましては、いろいろの考え方があると思います。しかしながら今日私どもといたしまして主張いたしたい事柄は、水道行政の重点というものは一体どこにあるか。今日の現状から考えて何であるか。それはここにも書いてありますように、建設の段階である。今日各市、町、並びに県というものが私の方に対しまして、水道認可の問題、補助の問題あるいは起債の申請の問題についての援助といつたようなことにつきましての要望が実は非常に多いのであります。私はこの一事をもつて見ても、今日水道事業というものが非常に荒廃に帰している。いかに建設というものを地元が要望いたしているかということを、如実に証左いたしているものだと思つております。現在水道條例によりまして認許可をいたしましたものは六百九十九箇所、約七百箇所ございますが、保健衛生上、防火上、保安上、あるいは、工場生産上といつたようなことから考えて見まして、少くとも私どもは市制あるいは町制をしくような場所には、ぜひとも水道の施設を今後はかつて参るということを考えております。また既設の水道にいたしましても、簡易水道に類するものか大部分でございまして、ほとんど完備した水道はございません。また戰争中におきまする設備の荒廃であるとか、人口の自然増加によりまして設備の改良なり拡張を要しまするものが、ほとんど全部にわたつていると言つてもさしつかえないと思うのであります。下水道の面におきましても、下水道法によつて認可されましたものは五十六箇所、このうちで全市域に改良下水道の完備されているものは一箇所もございません。今後の改良拡張というものが非常に熱望をいたされているのでございます。下水道の処理に至りましては、全国わずかに六箇所しかありませんで、しかもその処理区域が岐阜市だけが全市の六割で、他はようやく三割内外に過ぎないような現状でございます。そのほかに水害なり、あるいは震災害なり、あるいは鉱害によりまして施設の荒廃をなしておりますものが非常に多い。これが今日復旧を一日も早くと切望いたしているような現状でございます。これが日本における水道行政の重点だろうと私は思います。建設をやらなければならぬということの問題が、一番大事な問題であろうと思うのであります。  建設ということが一番の水道行政の重点だということになれば、次の問題といたしましては、どこの省においてやらせることが能率的であるか、この能率直から水道行政所管というものを考えていただきたいというのが私どもの希望でございます。こうなつて参りますれば、先ほど水道協会からもお話がございましたように都市計画関係なり、あるいは水の取入れといつたような関係から、建設省の方においてやらせることが非常に能率的であることは、当然に結論が出て参ると思うのでございます。一、二の例を申し上げましても、今日東京方面といたしましても、非常に水が足らない。これは神奈川県から持つて来る。あるいは小河内の貯水池のダムの問題も考慮されております。こうしたいわゆる水の取入れといつたような問題は、しからば神奈川県から持つて来る場合におきまして、さらに遠方から持つて来るということには電力の関係があり、それから川崎市との水の配分の問題というものも考えて参らなければならぬ。また兒島半島におきましても、そうしたような問題がたくさんございます。また阪神方面におきましても、水の取入れ問題につきましていろいろと問題がございます。また北九州方面におきましても、水源問題は非常に大きな問題として、今日われわれが議決に迫られている問題がたくさんあるのであります。それらの問題になりますと、どうしてもやはり河川法を担当いたします建設省においてこれを行つて参ることが、非常に能率的であるように考えられるのであります。すなわち治水のために河川法使用いたします場合、問題となりますところの耕作物の浸水とか、河川に影響を及ぼします工事制限等は、すべて河川法に規定するところであります。水道施設はこの制約を受けることはなはだ大であります。従つてこれを円滑に行わしめるためには、建設省の方において所管させることが能率的であるということは、当然に言えると思うのでございます。ましていわんや水道管の敷設というような問題になりますと、どうしてもこれは道路法との関係もございますので、これらはやはり一元的に処置するということは、当然に言われることだろうと私は思つております。それから水道移設ということにつきましても、いろいろと土地の確保という問題が非常に大きな問題ともなつております。またその水道移設の位置の決定を與えて参るということも、東京都内におきましては、下水道の処理等の問題において、いろいろ問題が起つて来ているのでございます。この土地確保の問題につきましては、都市計画法を適用いたすことによりまして、土地の收用もできますし、また農地との関係につきましては、都市計画との関係が農地調整法の中にも書かれてございますので、これの法規によつてその処置が講ぜられて参るわけであり、またいろいろな施設の位置を決定するというような場合におきましては、他の公共的な施設というものと総合的に考えて参らなければ、その位置の決定はできないと思うのでございます。こういうようなことは都市計画法としての專売特許でありますので、この方面においてやらせることがやはり一番いいのではないか。ましていわんや戰災復興の都市におきまする区画整理に伴いまして、下水道の移設をしなければならぬというような仕事になつておりますと、これはもう区画整理と不離一体、切り離すことのできない仕事なのであります。新設の道路の下に水道管を敷設して参る。従来敷設しておりましたところの道路道路敷を、住宅住宅敷地としてこれを提供しなければならぬということになりますれば、どうしても区画整理によつて道路をつくるというような事柄と、不離一体としてやらなければ、むだな仕事をやつて参ることになります。道路をつくつてしまつたあとで水道管の移設をするということは、でき上つた道路を掘り返して、また水道管の移設をして参らなければならぬ。こういうことは国費の濫費であります。私どもはどうしてもこれは一緒にやることによつて初めて能率が上ると思うのであります。これは不離一体のものであります。従つて今日の補助の問題にいたしましても、戰災復興都市に関します水道管の移設というような問題は、補助や何かもすべてが建設省——当時復興院でございましたが、そこの所管ということに現在も相なつておるのであります。こういうようないろいろの方面から私ども総合的に考えてみましても、水道行政というものを一元化するとしたならば、私はどうしてもやはり建設省の方において一元化する方が、今日の段階としては一番能率的ではないかというように、実は考えておる次第でございます。  ただしかしながら一元化という問題がどうしてもできないということでありますならば、次の段階といたしましては、水道協会からも第三次案として出ておりますいわゆる建設修理を含めた建設面ということと、操作管理面というものとわけまして、操作管理両の仕事厚生省方面が担当し、修理を含めた建設面につきましては、すべてそれに附随いたします予算並びに資材というものも、やはり全部建設省所管するということになれば、はつきりとした一つの線も引け、そこに何らの紛淆も来さないことになり、またそのような意味において人間の配置も考えて参るならば、国家的にも非常にいいじやないか。同じような人間を両方に置くことは、国費の濫費だと私は思つている次第でありますので、どうか皆さん方におかれましても、公平なる御判断を願いまして、できるだけ行政の簡素化をはかると同時に、この水道法案というものもその線に沿うて、お互いにおいて立案して参ることの方がいいじやなかろうかというぐあいに実は考えている次第であります。以上簡単でありますが、終ります。
  11. 淺利三朗

    淺利委員長 極か御質疑ありませんか。
  12. 砂間一良

    ○砂間委員 ただいまのお話を聞いておりますと、水道行政建設省に一元化する方がしごく合理的のように思われるのでありますが、厚生省の方でぜひとも厚生省所管に移さなければいかぬという積極的な理由が——ここには厚生省の方がおいでになつておらないかもしれませんが、もしそれをお聞きになつておりましたら、どういうような点を主張しておられるのか、その要点だけでも聞かしていただきたいと思います。
  13. 八嶋三郎

    八嶋政府委員 要は向う目的飲料水にある。主たる大きな目的はいわゆる公衆衛生面にある。だから、目的論によつて行政というものをわけたい、こういうお話のようであります。しかし私どもは、建設という一つの大きなものは、目的論だけでは解決がつかない問題であります。先ほども申し上げましたように、もちろん水道の三十何パーセントは飲料水に使われてはおりますけれども、その他の部分、大半の部分はやはり飲料水以外に使われておりますので、その議論は当らないものがあるというぐあいに考えているのでございます。しかしどうしても水道衛生面だけは向う担当するということでありますれば、その問題はやはり向うべ讓る方がいいじやないかというぐあいには考えている次第でございます。水道行政と申しますと、衛生的な面といたしましてタッチいたします問題は、どうしても中央がやらなければならぬ問題が相当多いじやないかと私は思います。これは私の推察でございますから、当らないものがあるかもしれませんが、しかし建設面になりますと、今申しましたように、水の取入れ問題を初めといたしまして、奥の方においてタッチしなければならぬ問題が相当に多いのでございます。のみならず、中央建設省なり厚生省ということにわかれますと、これがまた地方におきましても、この水道行政を土木部で所管するとか、あるいは衛生部で所管するとかいう問題が起つて来るのであります。こうなりますと、いわゆる事業の実施の監督なり、いろいろなことをやります際においては、知事河川法なり道路法の権限が大半與えられているのでありますから、そこらも非常に研究問題になるじやなかろうか。中央の体制というものがそのまままた地方にも反映して参りますので、株どもはこの問題はどうしてもやはり能率直から考えて行つた方がいいじやなかろうか。これをくどいようでありますけれども、考えている次第でございます。
  14. 田中角榮

    田中(角)委員 ただいま水道法に対しまして、八嶋局長からいろいろお話がございました。私から申しますと、建設省がこういうお話を当委員会に出されるのが非常に遅かつたと私たちは考えております。これは第一国会の片山内閣当時から、本委員会は超党派的に、建設行政の一元化ということを叫んでいるのであります。しかもこれは水道伝という一つの単独の法律を出すことによつて、結局現在複雑多岐にわたつている建設行政を一元化そうということにぶつかつて、かつこの問題に対しても、もうすでに毎国会建設省の一元化ということは叫んで来つつあつたのであります。しかもこれを厚生省水道行政面のみではなく、これと同じものが運輸省に港湾局あり、文部省に教育施設局がある。ところが建設省がいりでもこういう建設行政の一元化、すなわち国土省というようなものをつく命ことに対しては非常に消極的で、今日まで来ておつたわけであります。私たちも民主自由党内閣ができる当初から、この建設行政の一元化、すなわち公共事業省というか、国土省というか、大建設省をつくつてこういうものは当然統合すべきであるということを、本委員会はほとんど超党派的に叫んで来つつあつたのであります。その意味において、おそまきながら都市局長が、この建設行政の一元化ということに対して、水道法という面からではありますが、御説明になつて、しか書本委員会の考慮と力添えを請うたということは、総合建設省設置並びに建設行政の一元化という問題が、一歩前進したものと私たちは思つております。しかしこの問題に対しても、局長の申した通り所管争いがあります。私たちは総合建設省ができないのは、各官庁間におけるおおうことのできないセクショナリズムによつてできないのだということを言いつつあつたのでありますが、こういう問題をあなた方自身がお出しになつてみても、すぐそういう問題にぶつかつております。もちろんこの水道行政建設省に統合するということは、論のないところであります。しかも現在運輸省関係において港湾法を本国会に出そうとしております。前の国会では教育委員会法の一部改正法律案という、偽装的なものを出されましたが、私たちもその法案の裏に隠れるところの気持というものを察知して、審議未了にはなりましたが、現在各省というものは、ほとんど建設省の機構を大きくし、建設行政の一元化をなそうということに逆行しておるのが、現状のようであります。私はその意味において当委員会としては、水道法よりも一歩進んだところの港湾法を今出そうとしつつあるところの、運輸省の港湾行政を統合する。しかもこれだけではない。農林省所管の林道関係を含む事務も、建設省に当然統合さるべきであると思う。なお法務府関係の刑務所その他の特殊な建設を行う事業、これも当然建設省に統合さるべきであると思います。こういう観点に立ちまして、今都市局長説明せられましたように、建設省内においても建設行政の一元化をやろう、行政簡素化をやろうという声が澎湃として起り、かつ公式の席上でこれが実現に努力されたいと建設省の局長が言つておられるのでありますから、今度われわれが旗を上げるときに、われわれ総合建設省設置というものに一歩踏み出すときに、各省のセクショナリズムに負けて、現在の建設省でよろしゆうございますというような弱腰にならないように、私の方から御注文申し上げておきます。当委員会としては、あなたに言われるまでもなく、まつたく片山内閣から超党派的にこの方向に向いつつあるのでありますから、もちろんこの実現に関しては努力をいたしたいと思います。その意味において常にそういう議論が本委員会に出ておつたのでありますが、特に建設省の局長がそう言われる裏づけとしては、現在内閣においても国土省または公共事業者というようなものを、審議会の答申において考えておられるようであります。そのような事情を十分調査し、できるならば本委員会多年の懸案であつたところの建設行政の一元化、総合建設省もしくは公共事業者の設置に対して、さらに一段本委員会も十分考慮せられるように、委員長においてもとりはからわれんことを、私から希望する次第であります。
  15. 江崎真澄

    ○江崎委員 ただいま都市局長の御説明で、われわれ建設省としての御意見はよくわかりました。ところが今田中委員のお説の、いわゆる総合国土省というようなものに持つて行くことは、これはもちろん議論のあろうはずはありませんが、しかしそれができ上つてそれからということにしては、なかなかこの問題の輿論、いわゆる一般の傾向をながめて見ても相当重大であり、またなろうことならば早急を要する問題だと考えます。のみならず総合国土省建設に持つて行く一つの段階としても、当委員会においてこの水道行政をどうするかというようなことをまとめて行くこと自体も、その一つの理想に近づいて行く方法であるというふうにも考えられるわけであります。一体この法案は、建設省でも相当な根拠を持つて立案し、まさに局長の説明はわれわれを十分納得せしめるけれども厚生省において事衛生を根本にした観点から、これが飲料水であるために、その目的に沿うためには、というようないろいろな理屈づけはあるようでありまして、いわば相討ちのようなかつこうで、地方の輿論は一元化を切望しているにもかかわらず、持越しになり、荏苒日を送るというようなことは、これは国の政治としてはいかにも残念きわまることだと思います。そこでこれは委員長に特にお願いしたいのですが、ひとつ今度は厚生省からも資料を提供せしめ、正式に委員部から資料の提出を要求し、一方また厚生省側の意向も聽取して、そして首肯し得るものならば、何もわれわれが建設省にあくまでとるのだという強硬論を吐かなくてもいいのである。けれどもその論拠が薄弱であるならば、ただいまわれわれが都市局長説明によつて首肯したように、一刻も早く建設省に一元化して来るというように、ぜひひとつこの際具体的に進めていただきたいと思います。今ここで都市局長と議論のやり取りをして見たところで、何ら一歩の前進もないのでありまして、むしろ当委員会として、厚生省側との協調をどう取つて行くか。また場合によれば厚生委員会に呼びかけることもいいのではないかと思います。特にこの点委員長要望いたしたいと思います。     〔「賛成々々」と呼ぶ者あり〕
  16. 笹森順造

    ○笹森委員 ただいま水道行政の一元化の問題に関する説明当局から聞いたのでありますが、この水道行政改善せられ、振興せられるということは、日本の国の再建の上で最も大事なことの一つで、当委員会としても、今後この問題を真剣に取上げて行くべく、重要な議題一つであることは申し上げるまでもないと思うのであります。この水道行政の一元化に対する輿論的なことのいろいろな御説明もあつたのでありますが、われわれの了解するところによりますと、目的論的に言つて論が果しがなく、厚生省の主張するところにおいても理由があつて、ただいまも前の発言者から、厚生省との会議の上でこの問題を進める必要があろうという御意見もあつたのでありますが、もう少しつつ込んで、ただいまの当局の御発言についての確信を聞いておきたいことがあるのであります。というのは、目的論的に申しまして普通の家庭その他の用水としての水道の面は、全水道の面のごく一部分であるという御発言があつたのでありますけれども、この問題を取扱うに当つて、私どもはもつと広く考えてみたい。つまり飲料水のほかに商業用あるいは工業用に使う大きな部面があるのに、やはりこれを厚生省管理するというような理論であるとしたならば、私はその点には疑いを持ちます。ところが問題の焦点が、衛生方面については厚生省がこれを持つべきだという御議論については、理解できるのでありますけれども、しかし衛生問題についても深く考えてみると、やはり建設省工事建設面においてでなければ解決し得ない問題がたくさんあるのではないか。この点について当局の確信を実はつつ込んで聞いておきたいと思います。さもなければ、何か知らないけれども、結局目的に沿わない結果になるのではないかということを憂うるからお聞きするのです。たとえば、水のことは何としても量と質の問題でありますけれども、量を十分に取るために水源を確保するには、やはり水源地というものをよく確保しておかなければならない。りつぱな水源地を得るためには、きれいな水を得ようとするならば当然厚生省建設省関係しているような治山治水の問題と直接関連する問題であり、あるいはまた植樹の問題もあるでしようし、あるいはまた砂防工事問題等もありましようし、水源地の確保については厚生省の主管外である。建設省がもつと力を入れなければならない面がたくさんあるのじやないか。これはむしろ量と質の問題を考え、根本の問題についての確信をもう少し掘り下げて聞いておきたい。  その次は浄化の問題でありますが、よい水、鉱物性のものがなくなる水、あるいはまた病菌等がなくなる水を得ようとするについても厚生省では衛生の面から言うかもしれませんけれども、実は自然沈澱をする方法、あるいはまたこく緩慢な流れによる沈澱の方法、これはみな物理的なものであるとするならば、むしろそれらの建設工事等においてこの衛生の問題が解決せらるべきであつてこれはむしろ建設省が考えるべき問題ではないか。あるいは多少薬品等を投下するというような問題にいたしましても、硫酸礬土を使うとか、あるいは消石灰を使うとかいうようなことなどについても、必ずしも薬品の面とは考えないで、物理学的に考えるならば、むしろこれは建設省でやるべき問題でなかろうかという点、あるいはまた伝染病の予防等においても、実は水の中にそういう黴菌が特に入つているというのは、大体下水道との関係、あるいは地下水が流れ込んで行つて悪い水をつくつたというようなことか多いので、結局するところ衛生の問題も、それらの伝染病等を根絶するについても、やはり建設省が主として取扱うべき問題でなかろうか。こういうようなことを考えてみますと、單に薬品的な、塩素を百万分の一入れるというような面だけを厚生省が自分の角度から考えて衛生の面からはぜひ厚生省が取扱うべきだというような議論について、私はどうもそう納得は行かないので、むしろ一元化する根本の考え方から申しますと、建設省がそういう衛生の面までも確信を持つて行くのでなければ、ほんとうのいい水が出ないのじやないか。量の点においても質の点についても同様であるが、この点に関してさつきの当局説明は、何だか衛生の面があるのだから、厚生省にやつてもいい、またやつてもらう方が適当だろうというようなお話のように私は承りましたから、その点に関する少しつつ込んた質問ですけれども、そういうような点についてどういう確信を持つておられるか。要するに私は衛生面についても、建設省がもつと責任をもつてやるのが適当でないか。こういうことに関する確信を実はお尋ねするわけであります。
  17. 八嶋三郎

    八嶋政府委員 ただいまの御意見ごもつともだと私どもは存じております。それで水道法を出す際におきましては、私ども今申しましたように、飲料水のみならず他の面も相当にあるという意味におきまして、私の方でつくりました水道法案におきましては、これを一括いたしまして、水道法の中で処置をいたして参ろう、こういうことを実は考えておつたのでありますが、厚生省方面におきましては、飲料水の分だけを限定して、その面だけで水道法をつくろう、ほかの面は触れないということで実は出しておりましたが、前段のいわゆるほかのものを厚生省がどう考えておつたかということに対する一応の御答弁にしたいと思うのであります。  それから第二の、建設省といたしまして衛生面についても確信があるか、こういう御意見でございます、これは御承知の通り水道担当者と申します。ものは、今日單に土木工学だけをやります技術者じやなくて、いわゆる衛生面というものも、同時に合せまして担当習得をいたしておるのでございます。いわゆる水道を布設いたします者は、水道に関する水質の問題まで担当する技術者でございます。大学の方におきましても、実は土木科の中に水道の科目がございます。そこではいわゆる土木工学だけではなくして、衛生的な面も含めた事柄を講義いたしておりますので、今月私の方におります水道課長を初め水道技術者の方は、水道に関します限りは、やはり衛生面についても十分の知識を持つておるのでございます。この点につきまして実は私の方に全部おまかせ願つても、その点さしつかえはないと思うのであります。将来はもつとアメリカ的に言えば、サニタリー・エンジニアーと申しまして、衛生工学だけ特別にもつと発達して参らねばならぬということは、当然に考えられる問題でございます。またそういうようなことにつきましては、今後私どもも教養方面といたしまして地方にも十分普及をして参るということで、これは現在厚生省と私の方の両管になつておりますので、両省でこの衛生工学並びに衛生方面の講習を実はやつております。地方に対しましても、そういう講習をやつております。私どもに全部おまかせ願つても、その点は十分安心してしかるべきであるという私は確信を持つております。
  18. 笹森順造

    ○笹森委員 ただいま結論を聞いて力を強くしましたから、大いに元気をつけてやつていただきとうございます。それだけ申し上げておきます。
  19. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 建設省当局並びに委員長にお願いを申し上げたいと思うのですが、すでに田中君、江崎君からの御発言もあつたわけですが、建設関係のこうした各省に関連を持つた法律案というものが、今後もだんだん出ることだと思う。こういうことで会期の終りに間近いころに出されるというようなことは、各省のセクショナリズムの犠牲に立つて、法案の審議を当委員会が十分熟議する期間を與えられないという結果になることは、われわれたいへん迷惑であります。こういうような他の省との関係のある法案は、前もつて会期の初め、もしくは会期の始まらぬ前でも、こういう意向があるということを委員会へ御報告を願いたいと思います。そういたしますと、当委員会においても、各省等との関係をも考慮しながら、建設関係のものといたしましては、これを公平に国政の上に貢献したいという熱意を、私のみならず全員持つておられるわけでございますから、もしそういうことなくして、会期の終りころにかような案を出される場合においては、責任を持つわけには行かないのであつて、あるいは審議未了、否決というようなことに、せつかくのいい法律案でも追い込むおそれがあるのでございます。ことにわれわれ野党の者といたしましては、なおさらそういう機運があることを前もつて申し上げておきます。それから各省に関係する法律案につきましては、行政整理等の問題が根柢に流れておるので、委員長にお願いを申し上げておきたいのは、この委員会か、次の委員会でも、その次の委員会でもよろしゆうございますから、こういう行政整理等にからんだ問題が、本建設委員会といたしましては重要なるがために、総理大臣もしくは官房長官、また行政整理の担当大臣である本多国務相、どなたでもよろしゆうございますから、本委員会に御出席願つてこれらの問題についてわれわれ聞きたいことがございますから、委員長において適当な御処置をお願い申し上げておきます。
  20. 砂間一良

    ○砂間委員 水道水質の問題につきまして、これまで論じて来た問題とは別でありますが、ちよつとお聞きしておきたいと思うのです。もし建設省の方でおわかりにならなければ、次の機会に厚生省の方でもけつこうです。最近東京その他の水道の水が、消毒のため薬品を入れる関係か何かで、お茶なんか立ててもうまくお茶が出ないのです。非常にまずいへんなにおいがするのです。何か聞くところによりますと、塩素滅菌を千万分の二十ぐらい入れてあるらしいのですが、以前の水道の水はそういうことがなかつた。終戰後こういうようなことになつて、最近特にひどくなつたのです。これは科学者の科学的な立場から聞きましても、千万分の二十までの塩素滅菌を入れる必要がない。千万分の七ぐらいで十分その目的を達せられるというお話でありますが、何でこういうたくさんの薬品をぶち込んで日本人の好きなお茶も飲めないようにされるのか。私どもはもつとうまい水を飲みたいと思うのです。戰前はそういうようなことかなかつた。それなら戰前の水道の水は、公衆衛生の立場から非常に危險な水を飲ましておつたのか。水道の水を飲んで別に病気になつたとか、からだを悪くしたとかいうような話も聞きませんでしたな特に終戰後嚴重になつたのか知りませんが、同じ消毒をするにしましても別の方法がないものかどうか。都民の願いとしましては、お茶でも何でもうまく飲めるような水を供給してもらいたいという、非常な要望になつておるのですが、この点に関してごく簡單でいいですから、その間の事情を聞かしていただきたい。
  21. 八嶋三郎

    八嶋政府委員 先ほどの前田さんの御意見からまずお答えいたします。前田さんの御意見に、私どもつたく同感で、ございまして、ことに水道法のごときは、厚生省と私どもの方と非常に意見が食い違つております。本日お手元に配付いたしましたのは建設省の案でございまして、厚生省の案ではございません。厚生省方面におきましても、私ども方面でつくりましたものを相当取入れてつくつておるようでありますが、しかし向うは衛生的な面を多少詳しくうたつてある点がございます。実はこういうように所管問題から水道法をどう取扱つて参るかという問題等もございますので、特に今度の議会にかけるということになりますれば、建設委員会で取扱うか、厚生委員会で取扱うか、相当問題になるだろうと思うのであります。それらの関係もございまするし、かつて委員長にその点をお話し申し上げておいたこともありますが、現在のところ閣議の模様では、水道法は今回の議会には間に合わぬだろうということで、一応留保の決定を見ておる次第でありますので、会期の終りにのこのことまた出すというようなことにはならないのじやないかと、実は推察をいたしておる次第であります。  それからただいまの水質の問題でございますが、これにつきましては私案はその專門家でございませんが、ただいま聞いておりますところでは、戰後における進駐軍関係等の水道の問題もございますので、衛生方面におきましては相当やかましい。その意味におきまして薬を強く入れることを要求されておるやに聞いておるのでありますが、大きな所管厚生省所管になつておりますけれども水道技術者人たちは、大体衛生方面担当しておりますので、寺島技官からお答えしていただきます。
  22. 寺島重雄

    ○寺島説明員 都市局長にかわりまして、塩素の点についてちよつと御説明申し上げます。塩素は戰前は東京におきまして約百万分の〇・二PPM、これだけ注加いたしまして、残留塩素が約〇・〇四PPMくらいで十分であるというふうになつてつたのでありますが、進駐軍が参りましてから約その十倍、塩素の注加率を二PPM、百万分の二入れろということになりまして、その結果残留塩素は排水管、あるいは給水栓に現われて来るような次第であります。これは爆撃を受けたりしまして水道が相当いたみまして、漏水が相当あります。終戦直後におきましては約八〇%が漏水したという状態であつたのでありますが、その後着々漏水防止をいたしまして、現在では漏水率が三五%程度に牧まつておりますが、まだしかし漏水があるということは、逆に汚染される機会がある。従つて残留塩素を〇・四PPMにしておけば、よしんば汚染された場合でも殺菌の効果があるという次第でありまして、現在、二PPMを入れることを命令されておる次第であります。
  23. 淺利三朗

    淺利委員長 先刻江崎委員及び前田委員から、厚生関係意見も聽収し、また政府当局水道行政一元化に関する意見を聽取するようにということでありました。これは次回にでも各関係当局を呼んで、皆さん御質疑をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  24. 田中角榮

    田中(角)委員 先ほど私が申し述べましたように水道法が出まして都市局長が来られてお話を承ると、なるほどと思われるようなところもあるようでありますがこれと同じような法律を現在ほかの省でも考えられておるようであります。それは運輸省の港湾局が、私が申し上げるまでもなく、もとは内務省にあつたのでありまして現在の建設省にあるべきものでありながら現在の港湾法を單独で実施しようとしております。もしこれが提出になれば、きつと当委員会の付託にはならないことになると思うのでありますが、この港湾行政に対する面も、いわゆる建設委員会としては、全然関知せずというわけにも参らないと思いますので、非常にわれわれ長いこと懸案として研究していたところの、建設行政の一元化というところに密接な関係を有する水道という問題に端を発しただけにこれを機会に港湾法そのものに対しましても、運輸省から事情を聽取するということを、おとりはからいを願いたいと考えております。と同時に、これに関連性を持つてあとから御説明になるだろうと思いますが、建設省から改正道路法を出そうというときにも、現在の水道行政厚生省所管されておるということを考える場合には、いわゆる水運という面から考えて、港湾は運輸省である。こうしますと現在の建設省所管道路行政も、運輸省に属するのが至当であろうということも考えております。しかもこういうものに相当制肘されて、現在の改正道路法が行き悩みつつあるということは事実であります。その意味において運輸関係も、他の次の機会でもけつこうだと思いますので、関係者を招致いたして、こういう法案提出に当委員会としての意見も、十分とり入れられるような機会をつくられることを望みたいと思います。  これと同じものがもう一つ文部省関係にございます。それは前国会に審議未了となつたところの教育委員会法の一部改正でありますが、この問題も水道法を出す場合、当然水道行政建設省所管すべきものであるということをはつきり裏づけられる事例であります。これは委員会から文部委員会に対して合同審議を申し込み、現在のままになつておるのでありますが、教育面に対しては教育委員会においてこれを行い、建設方面は現行法規通り建設省もしくは各府県においてこれを行うということになつておるのでありますが、これもこの法案に関連をし、今国会に提案されると思いますが、この方面に対しても関係当局を招致して、関係方面に徹底した後提案されるような運びをとつていただきたいということを希望いたす次第であります。
  25. 淺利三朗

    淺利委員長 ただいまの水道に関しては、現にこれは共管にある関係上、当然本委員会においては審議すべきものと思います。運輸関係においては、ただいまのところは港湾関係は運輸省專属になつております。これを当委員会において運輸関係委員を呼んで説明を聽取するかどうか。これはひとつ理事会にお諮りして、その後に決定したいと思いますが、いかがでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 淺利三朗

    淺利委員長 そういうことにとりはからいます。  なお文部省関係のことは、本国会にも文部委員会にも御付託になるらしく聞いておりますが、その後建設省と文部省との間における交渉の結果どうなつておりますか。もしおわかりになつら御説明願います。
  27. 小林與三次

    ○小林説明員 教育委員会法のその後の経過を、私からちよつと御説明申し上げます。この前の国会における当委員会お話関係で教育委員会法が一応流れまして、その後文部省と建設省当局で、この委員会の御趣旨に沿うように法文を整理しようということになりまして、いろいろ協議の結果、最後にこういう結論に到達をしたのであります。教育委員会に土木建築の部課を設けるということは、これはやめる。現状では設けないことになります。それから学校その他営繕の実施について、委員会が権限を持つという規定ですが、これは建前として教育委員会は、一応実施の権限は持つ。しかしながらその建築の実施は、原則として一応公共団体の長に委託するものとする。実施は全部こちらへ来る。これはきわめて軽微なちよつとした修繕とかそういうものは、こちらもそうこだわる必要がないのでありまして、新築とか、増築とか、大きな建築工事は、原則として全部知事に委託する。結局県庁の中の建築部課でやるということであります。ただその場合に、教育委員会意見は、なるべく聞いた方がよいのでありまして、教育の立場からの教育委員会意見は十分聞いて、建築の実施がやれるようにその條文に但書を付しまして、この場合に教育委員会において意見があるときは、一応公共団体の長はこれに従わなければならない、こういう趣旨の規定を入れ、実施上現状通りやろうということに、事務的に話合いがきまりまして、その案によつて、文部省は今度修正案を国会に提案するはずだと思つております。たいへん御心配をおかけいたしまして、ありがとうございました。
  28. 淺利三朗

    淺利委員長 ほかに御質疑がなければ、次の問題に入りたいと思います。
  29. 淺利三朗

    淺利委員長 それでは道路網の整備及び道路法の提案についての見通し、あるいは道路法に関する政府当局構想の片鱗でも、この際説明していただきたいと思います。本日は道路局長は病気で出席ができないそうでありますから、庶務課長の淺村説明員に御説明を願います。
  30. 淺村廉

    ○淺村説明員 ただいま私どもで考えております道路改正の骨子を御説明申し上げます。実はその前に何ゆえ現行の道路法を改正する必要に迫られておるかという問題につきまして、若干御説明申し上げたいと思うのであります。  御承知のように現行の道路法は大正八年に制定されまして、大正九年に施行されておるのであります。従つて約二十年間この道路法によつて道路行政運営されて参つておるのでありますが、この現行道路法に盛られましたところの制度は、一口に申せば非常に中央集権的な制度でございます。道路道路法の考え方では、すべて国の営造物ということになつておりまして、これを国の機関をして管理させておるという建前であります。しからば国の機関として何を使つておるかと申しますと、これは地方公共団体の長であります。すなわち府県道は府県知事管理をさせる、国道も府県知事管理をさせる。市道は市長に管理をさせる。町村道は町村長に管理させる。こういう建前でございまして、いずれもこれを国の機関という立場において使つておるわけでございます。しからばその管理に伴う費用はどうなつておるかと申しますと、これを一切それぞれの長の属しておりますところの公共団体の負担にいたしておるのであります。国のものを国が手足を使つて管理しながら、金だけを地方公共団体に負わしておるということになつておるのでありまして、これで別に支障なく道路行政運営して参つたのでございますが、すでに新憲法の施行もございます。地方自治法も制定されまして、これらの中央集権的な制度が、相当批判の対象になつて参つておるのでございます。道路の性質が、かようにすべて国で握つて運営して行かなければならないものであるかどうかという点でございますが、必ずしもそうとも考えられないのでございまして、重要な幹線はもちろんこれは国として十分に把握して参る必要がありますけれども、そうでないものを全部国の機関運営して行くという必要もない。むしろこれは考え方を全然かえて、重要な道路国道ということにして国が一切責任を持つて費用も全部国がまかなつて運営して行く。それから地方道路は、これを一括地方道という名前で呼びまして、これは地方公共団体のものにする。従つて公共団体がこれを管理し、維持し、その費用も全部まかなつて行く。こういう線に改めた方が、むしろ道路を緊急に整備いたします観点からいたしましても、効果があがるのではあるまいかと考えたのでございます。なお最近のシャウプの勧告もございまして、これは公共事業について的確にいろいろ述べられておるとも私ども考えておりませんが、大体勧告の中に盛られております思想を伺いましても、国と地方公共団体との間の事務の限界ははつきりしなければならぬ、あいまいにしておくことはいけないというような考え方が見られるのであります。この線にも合致するわけでありまして、私どもはここに新しい道路改正案を一応つくつてみたのでございます。  内容を簡單に申し上げますと、まず道路国道地方道とにわけておるのであります。国道はただいま申しましたように、これは国がめんどうを見る道路でありまして、国が設置する道路ということに規定いたしております。地方道は地方公共団体がすべてめんどうを見る道路でありまして、これは地方公共団体の設置した道路ということに法律案の面に表わしておるわけでございます。それでは国道の路線をどうやつてきめるかということでございますが、現在の道路法では建設大臣国道の路線をきめることになつて線である国道の路線を行政庁において單独にきめるということは、いささか事柄が重要に過ぎますので、これは法律できめることにいたしたいという案でございます。従いまして、地方道の路線は、地方の法律である條例できめなければならない、かような考え方にいたしております。あるいは法律で、あるいは條例で定められたところの国道、あるいは地方道の路線に従つて国道については国が設置する地方道については地方公共団体が設置するわけでございまして、その道路に関するもろもろの費用は、国道については国が、地方道については地方公共団体が負担するということが大原則であります。この制度が現在の道路法と非常にかわつて参る点でございます。ところが問題はさように簡單に参らないのでありまして、国道は国が全部国のものとしてめんどうをみるのでありますが、国道として取込むほどのものではないけれども、しかしながら、やはりこれが重要な幹線の一部をなすものであるというものが想像できるのでございます。つまり一府県、一市町村のみの道路ではなしに、一つのブロックを対象とした重要な道路というものが考えられるのでございます。これは国全体として見て、必要があつて国道に取込むまでには至つておらないけれども、そのブロックブロックにおいては、一府県あるいは一市町村を中心として非常に重要性を持つておるというものでありますので、かようなものを主要地方道——地方道の年の主要なものというので、主要地方道という名称を與えておるのであります。この主要地方道の路線は、結局それぞれの公共団体でおきめになるのでありますが、公共団体できめられた道路の路線が、たまたま主要地方道に該当する——これは法律の面に若干の基準を設けてございますが、基準に該当するという場合には、建設大臣がこれを主要地方道の路線ということに指定いたしまして、その路線に従つてできておりますところの道路を主要地方道、かように考えております。そうしましてこの主要地方道に対しては国庫から若干の補助をいたしたいという考えでございます。現行の道路法におきましては、先ほど申し上げましたように、原則として地方公共団体の長があらゆる道路管理しておりまして、それらの費用の負担をそれぞれの地方公共団体行つておるのでありますが、国庫からは特に必要がある場合には、一定率の補助金を交付しております。これは特にどういう道路に交付するというのでなしに七必要があれば、町村道に至るまで補助金を交付しておるのでございますが、今回の改正案におきましては、一応主要地方道に該当するもの以外は補助金の対象にしないという考え方をとつております この主要地方道は、言葉をかえて申しますならば、国道に準ずる、準国道といつたような意味で考えたわけでございます。しからば全然それ以外に補助がないかという問題でございますが、これはまた別な意味から、たとえば産業振興であるとか、資源の開発であるとか、あるいは観光であるとか、このような国策上必要という問題につきまして、地方がその道路をその線に沿つて整備される場合には、これはある程度まで補助金を出したいというふうに考えております。それからたとえば專用の問題であるとか、損傷負担の問題であるとか、権利者負担の問題であるとか、あるいは受益者負担の問題であるとかいろいろな問題を、それぞれ新しく規定を立案いたしておりますが、これは現行道路法にありまする制度を踏襲いたしておりまして、特にかわつた点はございません。  なお最後に、道路法上の道路以外の道路に対して、若干規定を設けたいと思つておるのでございますが、これはたとえば農林省で林道をつくられる、開拓道をおつくりになるといつたようなことを現在やつておられるのでありますが、相当にりつぱな道路をつくつておられるようであります。われわれの立場といたしましては、とにかく全国の道路網を一応整備しなければならぬという立場にありますので、かようなものをおつくりになる場合には、一応建設大臣に協議をしていただくというような気持で、一、二箇條を設けております。なおまた一般の私人の場合におきましても、一定の規格以上の、特に大きな道をおつくりになる場合にも、一応地方公共団体の長の承認を受けていただくような規定を設けたいと思つております。いずれにいたしましても、全道路網を預つております建設省が、知らない道路ができたというようなことのないような措置をとつて参りたいと考えておるのであります。  たいへん簡單でございますが、改正いたしたいと考えておりまする要点はただいま申し上げた点でございます。
  31. 淺利三朗

    淺利委員長 提案の見通しは……
  32. 淺村廉

    ○淺村説明員 お答え申し上げます。実はわれわれといたしましては、この道路法を一刻も早く国会の方に提出いたしたいと考えておつたわけでございますが、政府におきましても若干この法案の各條について意見があるようでございまして、現在検討をされておるところでございます。なおその他事務的に各省の間にも、若干まだ意見が一致しない点もございまして、私どもの見通しといたしましては、あるいは今国会はむづかしいのではないかと考えております。
  33. 淺利三朗

    淺利委員長 道路法の問題は、ただいま承ると、政府においてはわれわれの期待に反して、ほとんど今国会に大なる期待はかけられないように思われるのであります。しかし日本の両建及び産業の発展のためには、道路網の整備、従つて過去におけるがごとき道路法においては、とうていこの運用を十分にやれないと思います。国会は唯一の立法機関として、重大なる職分があると思いますから、当委員会においてもこの問題については十分に検討して、場合によつて国会の提出という考えも持たねばならぬと思うのであります。これらについて皆さんも特にひとつ御検討を煩わしたいと思います。
  34. 宮原幸三郎

    ○宮原委員 ただいまの委員長の御意見全面的に賛意を表します。万難を排してぜひ成立いたしますように、一同が力を揃えて進みたいと考えております。それにつきましてちよつと当局に伺つておきたいことは、ただいまの概略説明だけでははつきりしなかつたようでありますが、この道路法に予定されております国道に対する国庫の補助金は、全額補助としてすでに大蔵当局との間において、ある程度了解は済んでおるのでありますか。こういう点を一つ。またその補助については道路法中に規定を設けるところまで行くのでありますか。それとも行政措置で毎年予算の限度において処理をされるのでありますか。また現在の国道のうちで、あるいは新道路法で県道としての取扱いに変更される場合もあろうと思うのでありますが、その県道の場合における補助率、準国道と申しますか、県道のうちのAクラスに対する補助率というものは、大体三分の二なら三分の二という、現行の国道の補助率程度を予想されておることと思うのでありますが、それに対する大蔵当局との了解の程度について、少し先走るようでありますが、事務当局が交渉の途上の前に、われわれが承知しておりませんと、どうもでき上つたあとで押しつけられた結果になりますと、取返しがつかないと思いますので、ちよつとお伺いしておきたい。
  35. 淺村廉

    ○淺村説明員 ただいま国道に対する補助というお言葉がございましたが、これは私の説明が足りなかつたかと存じますので、もう一度述べさせていただきます。改正の案では、国道の費用は全部国庫で負担する。これは補助でなしに国が全額予算で計上して費用を出すというようにいたしたいと考えておるのであります。それから地方道に対する補助でございますが、これは全部に対して補助金を出すのでなしに、準国道といつたようなものに対して、主要地方道と呼んで補助金を出したいと考えております。これはもちろん法律案の面に書き現しておるわけでございます。つまり基準を七つ、八つ設けまして、左の基準に該当するものに対して二分の一から三分の一までの補助金を交付するというように、法律の面に明らかに書きたいと考えておるのでございます。それで大蔵省との間の話合いは、われわれ事務当局といたしましては、相当に折衝いたしておるのでありまするが、大蔵省の事務当局といたしましては、新たに国費の支出を増すような制度の変革はおもしろくないという意見でございまして、全額を国庫で負担するかいなか、それから補助金をどういう率にして出すかというような点については、完全なる了解の線にまで行つておりません。ただいま折衝の最中でございます。
  36. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 これもまだ論議することではないと思いますが、今のお話関連しておりますので、簡単に今日までの御意向を承りたい。たとえば道路法を改正するということは、何も今日に始つたことじやないのですが、先ほど御説明のように、国道もしくは地方主要道路地方道路とわけるということになり、しかも地方道路は、地方の完全なる負担になるという建前で今日まで案を立てられたと思うのですが、大体いつごろからそういう法律を施行する考えで立てられたか。さらにまた二十五年度の道路に関する予算は、そういうことを基礎にして立てておられるのか。それからもう一つ災害復旧は全額国庫負担であるというような法律も現に進行中でありますが、いわゆる地方の負掛になつている道路に対して災害があれば、全額国庫負担になるという一応の見通しで、予算を立てられておるのかどうかということを伺いたい。
  37. 淺村廉

    ○淺村説明員 道路法の改正につきましては、すでに相当以前から議論が出ておつたのでございまして、私どもは約一年くらいにわたりましてこれを検討して参り、現在に至つているわけであります。いろいろと制度の変更でありますので、意見が沸騰するわけでありますが、たまたまシャウプの勧告も出まして、われわれとしてはこの線に持つて行く以外に方法はないと考えておるわけであります。     〔委員長退席、江崎委員長代理着席〕 それから御承知のように現行道路法におきましても大正八年に制定されたものが大正九年に施行されておりまして、一年間の猶予期間を設けているわけであります。道路法の改正につきましても、すでに来年度の予算が現行道路法によつてやられておるのでは運営ができませんので、道路法が通りましても一年間は猶予期間を置きまして、その翌年度からこれを施行して参りたいと考えております。
  38. 砂間一良

    ○砂間委員 私はきようの委員会議題とはちよつとはずれたことになりますが、一つ希望を述べておきたい。それはただいま予算委員会で二十五年度の予算を検討中でありますが、ここで予算のわくがきまつてしまいますと、災害復旧にしろ、道路河川にしろ、治水、治山にしろ、その他いろいろのすべての問題が、予算がきまつたからどうしようもないということになつてしまつて委員会というものの審議は、まつたくかすみたいになつてしまうわけであります。それでこの予算委員会の審議がまだ確定しない以前におきまして、道路関係道路関係として、復旧や補修するような箇所がどのくらいあつて、その金額はどのくらいになる。それを何年計画でやれば今年どのくらいできるとか、また治水関係なら治水関係で、全国の河川のいたんでいる所がどのくらいあつて全体で復旧額が何千億くらいかかるとか、また建設当局としては純技術者の立場からして国道の安全という点からこれくらいはどうしてもやらなければならぬというような、各分野にわたつて、あるいはまた都市計画住宅問題の全体にわたつての数字を出していただきまして、その点について当委員会として予算委員会に希望と申しますか、要求というものを出すことか、当面必要ではないかと思う。そうでないと、向う向うで予算委員会は勝手に、そしらぬ顔をして横を向いて審議をどんどん進めて、そちらがきまつたあとで、これもやつてもらいたかつた、あれもやつてもらいたかつたという希望を出しましても、もうわくがきまつてしまつて、どうすることもできないというふうな結果になりはしないかと思います。その点について委員長並びに他の委員の皆さんの御賛同を得たいと思います。
  39. 江崎真澄

    ○江崎委員長代理 ただいまの砂間委員の御発言まことにごもつともでありまして、委員長は今離席しておりますが、むろん同感だろうと思います。これは早急を要する問題でもありますし、何時にまた建設省側にも、積極的に意見を出してもらいまして、当委員会と緊密な協議をいたすべき事項だと思いますので、とりあえず早い期間に理事会でも開きまして、その具体的な動き方響を協議しまして、そうして次の具体的な方策を講ずる。こんなことにしたらいかがかと思いますが、いかがでございましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 江崎真澄

    ○江崎委員長代理 ではさようとりはからうことにいたします。
  41. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 今のに関連しますが、ただいま砂間委員が言われたことはきわめて適切なことでございまして、予算のわくがきまつてしまつたから、これでしかたがないというのが、今日までの行き方であります。もちろん現在の財政状態から申しまして、建設省関係、しかも建設面における予算額をどうするかということは、きわめて困難でありますが、建設委員会としては、予算というものは得ただけでやりましようということにほとんど現実にはなつております。それは国全体の予算の割振りによつてやむを得ないという場合もありましようけれども建設委員会としても、建設省の係りの方も、河川にいたしましても、一応十年計画というものを立てて試案として持つておられる。そういう場合には、われわれの専門的な知識では、日本の河川、少くとも重要なる河川は十年にして改修してみせたいという計画を持つております。そのほか住宅関係についても同じであります。     〔江崎委員長代理退席、委員長着席〕 すべて建設関係について、皆さん平素研究してさような意欲を持つておられるのでありまして、おそらく机の下にしまい込んで置いて、予算がないから、われわれの仕事は完全にできないということをかこつておられるというのが、実情のように私どもは承つている。そういう場合には、せつかくわれわれも国政を審議するために、ここに来ております。しかもさような專門的な知識を持つた者もあり、また專門的な知識を持たない者も相当におりますが、そういう專門的な、せつかく立案研究された資料は出して、われわれの專門的な立場から、こういうふうにしたいのだ、だからこれをなるべく実現するように努力してくれということは、要望されてしかるべきだと私どもは考えておるのであります。せつかく今砂間委員がきわめて適切なる御議論を出したのでありまして、出されたからただちにそれができるとは申しませんが、さような日本の再建のための、また日本の国土保全のためのりつぱな案があるならば、現在の財政状態の上からでも、なお他の各種の行政の振合いから見て、ある程度のパーセンテージの予算は割かなければならぬという点には、全委員皆さん努力されると思いますから、さような方向に当局もお考え願うし、また委員長からもさようおとりはからいをお願いしておきたいと思います。
  42. 淺利三朗

    淺利委員長 それではあとで懇談いたすことにいたしまして、本日の会議はこれをもつて散会いたします。     午後四時二十五分散会