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1950-04-30 第7回国会 衆議院 経済安定委員会建設委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月三十日(日曜日)     午後一時四十一分開議  出席委員   経済安定委員会    委員長 小野瀬忠兵衞君    理事 小川 平二君 理事 志田 義信君    理事 永井 英修君 理事 高倉 定助君    理事 米原  昶君       細田 榮藏君    南  好雄君       羽田野次郎君    森山 欽司君       受田 新吉君    成田 知巳君   建設委員会    委員長 淺利 三朗君    理事 江崎 真澄君 理事 田中 角榮君    理事 内藤  隆君 理事 松井 豊吉君    理事 前田榮之助君 理事 砂間 一良君       井手 光治君    今村 忠助君       越智  茂君    瀬戸山三男君       西村 英一君    寺崎  覺君       増田 連也君    深澤 義守君       松谷天光光君  出席国務大臣         国 務 大 臣 増田甲子七君  出席政府委員         経済安定政務次         官       西村 久之君         経済安定事務官         (総裁官房長) 平井富三郎君         経済安定事務官         (経済復興計画         審議会事務局         長)      佐々木義武君         経済安定事務官         (建設交通局次         長)      今泉 兼寛君  委員外出席者         経済安定委員会         専門員     圓地與四松君         経済安定委員会         専門員     菅田清治郎君         建設委員会専門         員       西畑 正倫君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  国土総合開発法案内閣提出第一九四号)     ―――――――――――――
  2. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 これより経済安定委員会建設委員会連合審査会を開会いたします。  私が議案の付託を受けておる委員会委員長職務行つておりますから、僭越でありますが、本連合審査会委員長職務を行います。  ではただいまより内閣提出第一九四号、国土総合開発法案議題とし審査を行います。まず経済安定本部西村政務次官より提案理由説明を聽取いたすことにいたします。
  3. 西村久之

    西村(久)政府委員 ただいま議題となりました国土総合開発法案提案理由及びその内容概要を御説明いたします。  御承知通りわが国はその半ばに近い国土と厖大な資源を失うこととなつたのでありますが、この狭隘な国土と乏しい資源によつて現存八千万を越え、かつ年々百数十万ずつも増加する人口を擁し、その生活の維持向上をはかることは、わが国にとつて最も重要かつ困難な課題となつているのであります。このような見地から、戰後の荒廃した国土保全をはかり、また国土及び資源の積極的、合理的かつ効率的な開発利用を期することは、これによつて人口收容力増大産業発展の基盤の育成及び地方振興をはかることとあわせて、現下きわめて緊要なる要請であります。しかしながらそのためには、広汎な角度から詳細に検討を加えた総合的ないわゆる国土総合開発計画を樹立することが、特にこの種の事業のため欠くべからざる必要事考えられるのであります。  もとより従来におきましても、経済安定本部建設省あるいはその他の各省において、それぞれの見地から国土計画立案努力して参つたのでありますが、何分にも問題があらゆる部門にわたり、内容複雑多岐でありますために、国土計画の名に値する真に総合的な立案は、遺憾ながらいまだできていない実情にあります。政府さき閣議決定により、内閣総合的国土開発審議会を設置し、ここで総合開発計画について種々調査審議願つて参つたのでありますが、この審議会答申に基き、内閣において検討の結果、ここに国土総合開発法案を提出する運びとなつた次第であります。  以下法案概要につき説明いたします。  まずこの法律目的とするところは第一條に掲げておりますように、国土自然的條件を考慮して、経済社会文化等に関する施策の総合的見地から、国土を総合的に利用し、開発し、及び保全し、並びに産業立地適正化をはかり、あわせて社会福祉向上に資することにあるのでありますが、その目的に沿うべき国土総合開発計画は、申すまでもなく、天然資源利用、災害の防除、産業の適正な立地等のほか、経済文化、厚生、観光等の各部門にわたるきわめて広汎多岐内容を持つものであります。従いまして、これらを総合して適正かつ効率的な計画立案ということになりますと、現存各省部門にまたがる立案調整につき、特に慎重な配慮と長期の見通しとを必要とする次第でありまして、本法案におきまして、特にそのために必要な審議機関として総理府に国土総合開発審議会を設くることといたしましたのも、当審議会をしてその任に当らしめんとするためであります。審議会の組織もまた、そのための識見者中心として長期の任務に適するごとく配慮いたしたつもりであります。なお本審議会事務運営経済安定本部をして当らしめる考えであります。  次に本法案においては、立案予定しております開発計画として、国が全国区域について作成する全国総合開発計画都府県がその区域について作成する都府県総合開発計画都府県が二以上の都府県区域についてその協議によつて作成する地方総合開発計画、及び都府県内閣総理大臣の指定する区域について作成する特定地域総合開発計画の四つを掲げております。本来本法案においては、国土総合開発計画は、なるべくそれぞれの地域において地方公共団体中心とする自主的積極的な開発計画立案に期待し、これを中央における審議会において総合調整することを骨子としておるのでありますが、その趣旨に基いて都府県総合開発計画地方総合開発計画及び特定地域総合開発計画の三つの計画につき、その立案者たる都府県がそれぞれ都府県総合開発審議会または地方総合開発審議会調査審議を経て立案し、これを中央に持ち込む諸般の手続につき詳細規定いたしております。もとよりこれらは、原則として都府県の自主的な提案にまつべきものとして、これを強制するものではありませんが、ただ特定地域総合開発計画については、やや趣を異にしております。すなわち従来においても、政府は特別の建設もしくは整備を要する地域特定地域として、その開発計画整備推進に努めて参つたのでありますが、この法案においても、内閣総理大臣関係都府県の同意に基き、さらに国土総合開発審議会の議を経て、右のごとき特定地域を指定して、その開発計画推進をはかるとともに、他面これに対し、国の負担金補助金等に関する特例を設け得ることといたしております。  最後に、さきに御審議をお願いしました北海道開発法との関係でありますが、この法案では、北海道開発庁によつて作成される計画と、本法案による国土総合開発計画との調整は、内閣総理大臣北海道開発庁長官及び国土総合開発審議会意見を聞いて行うこととし、その運用に遺憾なきを期したい所存でありますので、その提案理由法案骨子を御説明申し上げたのでありますが、この法案重要性を御明察の上、すみやかなる御審議と御賛成をお願いする次第であります。
  4. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 引続き本案に対する質疑を行います。質疑通告順にこれを許します。田中角榮君。
  5. 田中角榮

    田中(角)委員 国土総合開発法案につきまして、四、五点政府所信をただすとともに、私の意見を申し述べたいと思います。  衆議院建設委員会におきましては、第六回国会の当初より、国土総合開発法案制定に関する必要を認め、小委員会を設置し、これが実現努力をして参つたのであります。なお第六国会と第七国会との間における期間を利用いたしまして、各界の権威者を招致し御意見をただし、その速記録も相当大部のものにわたつておりまして、これが内容研究調査等につきましては、一年有半にわたつて相当の資料を收集しておるのであります。なお国土総合開発法案制定に関しましては、委員会におきましてはこれが重要性を認めまして、でき得るならば、なるべく早い機会に法案成立いたすように努力しつつ参つたのであります。第七国会の中半より建設委員会といたしましても、再び国土総合開発法案制定に関する小委員会を設けまして、私がその小委員長を命ぜられまして、この法案実現努力をして来たのであります。この法案は申し上げるまでもなく、非常に各省にまたがる広汎なる事業を目途といたしておりますので、ともすれば各省間のセクシヨナリズムによりまして、この法案実現をすることができないのではないかという懸念もありましたので、その場会議員提出行つても本法案を提出いたしたいということを考えておつたわけであります。しかるに過般政府考えといたしましては、いかなる努力をいたしても、国土総合開発法案を必ずやこの第七国会提案をいたす予定であるという決意を語られましたので、われわれ建設委員会といたしましても、それが成行きを見守りつつ、並行してこの法律提出の準備をいたして参つたのであります。会期終末なつた現在とはいえ、私たちが長いこと希望いたしておりました国土総合開発法案が今回政府より提案をせられたことは、わが国の現状からしまして、まことに喜ぶべきことでありまして、かかる法案の一日も早く実施せられ、わが国復興が急速に実現せられることを大いに期待するものであります。その意味におきましては建設委員会といたしましても、この法案に大きな期待をかけておるのであります。以下本法案審査にあたりまして、若干政府当局意見を徴したいと思います。  まず第一番目に国土計画というものは、そのうちに地方計画あるいは都市計画が含まれた総合的計画であると思うのでありますが、この種計画すなわちランド・プランニングについての根本的な考え方を、起案当局にまず承りたいと思うのであります。
  6. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 ただいま地方計画あるいは都市計画に関しまする御質疑がございました。従来国土計画といたしまして、これを国土保全開発という観点から、いろいろ各省においてこれの取扱いを行つて参つたのでありますが、地方計画ということに関しましては、従来都府県においてそれぞれこれも立案をして参つたのであります。従つて今回の国土計画につきまして、これを総合的なものにいたします上におきましては、まず都府県基本計画というものを基礎にいたしまして、その上に国土計画を取上げて、総合して地方計画というものと、行政機関から見ました国の計画というものとの調整をこの審議会においてはかるというのが、この審議会の最も重要な仕事の一つである、かように考えておるわけであります。都市計画につきましても、あるいはそれが農村との関連において、やはり地方を主体に立案しましたものに基きまして、これを国家意思というものとの調整をこの審議会で行う、かように考えておる次第であります。
  7. 田中角榮

    田中(角)委員 国土計画の中に地方計画が含まれると言われるのでありますが、その場合、北海道開発法案を出される前に、国立総合開発法案が出されて、北海道開発法案も当然この中に包含すべきものと私たち考えるのでありますが、北海道開発法を特に総合開発法案に先んじて出さなければならなかつた理由に対して、お答え願えるならば御説明を願いたいと思います。
  8. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 この関係は、北海道の特殊な地位と申しますか、特に資源開発という点から北海道特別法案制定いたしました。この関係北海道開発法が先に提案されたのでございます。従いましてこの国土総合開発法案におきましても、これは全国的な計画というものを策定いたします関係上、北海道開発法によります計画というものとの調整の問題が起つて来るわけでございます。これは北海道がほかの都府県と違つた特殊的な地位にあつたということから特別法立法された。かように了解しております。
  9. 田中角榮

    田中(角)委員 ただいまの御説明では納得しかねるところもあるのでありますが、とにかく本法案に対しましては賛成でもあり、かつ北海道開発法案はすでに通つておるのでありますから、これに対して異論をはさもうとするのではありません。しかし私たちも先般の北海道開発法案に対する内閣委員会との合同審査の際も、安本当局にも申し上げておいたと思うのでありますが、今よりも半年ばかり前に、北海道開発について、すなわち北海道開発委員会法のごときものを提出する予定がある。しかしそのときに同時に本多国務大臣より壱岐対馬等特殊な地域に対しても、特別法を行う意思があるというようなことが報道せられましたので、当時増田官房長官を招致し、この問題に対しては政府意見を徴しておつたわけであります。このようなことを政府考えておられるならば、われわれが企図しておるところの総合的国土開発法制定というものは、ほとんど無意味になつてしまう。御承知通り、温泉文化都市法案等いろいろな法律が出ておるのでありまして、でき得るならば、当然あの立法基準法をもつてこれを取扱うことが妥当であると考えておつたのであります。その意味において、北海道開発委員会法ともいうべき開発法制定せられた現在でありますので、特にこれに対して注文がましきことを申し上げるのではありませんが、このほかに増田官房長官は、事態が推移しなければわからないけれども、現在の状態においては、北海道開発というものがごとき同種の法案を、壱岐対馬等につくる意思はないと言われたように記憶をしておるのであります。私は国土開発法案のごとき原則的な基本立法が出された上は、特定地区に対する特別法律案考えることがないように、御注意を申し上げておきたいと思います。同時にこの法律案目的を完遂し、しかもこの法律案を意義あらしめるためには、ただいまの御説明がありましたけれども、いろいろな事情があるにせよ、将来は当然北海道開発法も本法案の中に併合せらるべきものであると考えております。この問題に対して、将来のことではありますが、当局が本法案をおつくりになるという現在において予測をし、かつ御意見があつたら承りたいと思います。
  10. 西村久之

    西村(久)政府委員 田中君にお答え申し上げます。御意見の次第はごもつともと存ずるのであります。政府といたしましても、当初総合開発法全国的の関係を一まとめにした考え方で進んだのであります。御質問にもありました通りに、北海道の地区的の單行法と申しますか、開発法案国会において通過いたしました際にも、なおこの国土総合開発法原案についていろいろ議を練つておりました関係から、当初は本法律案都道府県という名前をつけまして、総括した考え方をいたしたのでありますけれども、両院を通過した法律北海道にできましたために、北海道の「道」を抜きまして、「都府県」というように実は総合開発法がかわつておるようなわけであります。それだからといつて、別個に対立すると考えることは好ましくありませんので、先ほど平井政府委員から御説明がありました通りに、調整をはかる意味で第十四條を設けてあるわけであります。将来こういう法律が対立してあるということは好ましいことでないと思いますので、適当な時期が参りました場合には、調整をはかつて円滑にすると同時に、御意見のような趣旨に向つて努力するということを申し上げてはばからぬのであります。
  11. 田中角榮

    田中(角)委員 ただいまの政務次官の御答弁で満足しております。蛇足のようでありますが、そうでありませんと、北海道はまつたわが国の内地でないような感覚を起しますので、ぜひともそれが実現に対して努力せられんことを要望いたします。  次に審議会の構成を三十人もの多数の人員で組織いたしますことは、申し上げるまでもなく、ややともするとこれまでの審議会のような烏合の衆ということになるおそれもありますし、特に大勢であるとつつかけ持ちというような意味で、実際は七人か八人の方々が主査をせられるということになりますが、私たち考えました原案では、大体七、八名程度に限定をして、現在の内閣総合国土審議会答申案におけるごとく、特別委員、それから專門委員を設け、議決権を有しないようにした方がいい。こういうふうに考えておつたのですが、その点三十名といたした理由が特段にありましたら承りたいと思います。
  12. 西村久之

    西村(久)政府委員 三十名に委員の数を限定いたした理由は、別途あるわけではございませんが、法案自体国家全般にわたります関係と、多岐多様の関係がありますので、あまり少数の方でこれが運営その他の関係をやつて行くことは、民主的でもありませず、また地方的に少からぬ関係が伴うて参りますことが、不分明のうちに不公平と申しますか、公平を失するようなきらいがあつてもならないというような関係上、最小限度三十名くらいが適当でなかろうかという意のもとに、三十名という数字を出してあるわけであります。
  13. 田中角榮

    田中(角)委員 次に委員に特に国会議員が兼任できる規定がないのでありますが、私たち議員立法として考えましたときには、議員委員として中に入れるようにということを考えておつたのでありますが、この法案により、委員の中には議員が加えられるか、加えられないか。政府のお考えはどうでありましようか。特にただいままでの通過をいたしました法律案の中で、特別都市建設法案等に対しましては、衆参両院議員をその委員に任命することが妥当であるというふうに考えた結論として、これが委員に任命できるようになつておるのでありますが、政府の御意見をただしたいと思います。
  14. 西村久之

    西村(久)政府委員 国会議員はこの委員に加われないということはないと存じますが、国会議員院議をもつてその承認を與えてもらわなければならぬ関係上、一通り院議を尊重いたしまして、ここにそういう明文を書き表わすことをいたさなかつた次第であります。
  15. 田中角榮

    田中(角)委員 ただいまのことに対しましては、政務次官の言われる通り国会承認を得なければいかぬのでありますし、国会法の改正を行わずしてやる場合は、ほかの法律制定することによつて国会法の一部に除外例を設けるというのでありますから、御意見もつともでありますが、これが委員の兼任その他はわれわれ議院としても十分考慮すべき問題でありますし、政府といたしましても実施段階において十分の御注意を拂われたい、また研究もされたいということを希望いんします。  次に審議会における審議の結果は、きわめて、重要事項であることは申し上げるまでもないのでありますが、この審議の結果を政府を通じて国会に報告をし、国会においてその審議を確認するものとわれわれは考えております。私たち議員提案予定してあつた法律案にも、そういうことを規定しておつたのでありますが、この点はどうでありましようか。
  16. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 ただいまの点にお答え申し上げます。この法案の仕組みといたしましては、国土総合開発というものの性格から、審議会内閣に置いて、政府の諸機関調整地方計画との調整というようなことに相なつておりますので、一応これは内閣総理大臣諮問機関ということに相なつておるわけであります。従いまして、ここにでき上りました案は、内閣総理大臣答申して、内閣総理大臣各省勧告、あるいは都道府県勧告をする。そういう形になつておりますので、直接国会に報告するという條文はないわりであります。しかしながら国土総合計画提案につきましては、内閣より国会の方に御報告申し上げて御審議を仰ぐということは当然予想されると考えます。
  17. 田中角榮

    田中(角)委員 次に特定地域開発に関しましては、国費の投下ができるようになつておるのであります。将来できる建設公社のごときもの、特殊な会社等ができました場合におきまして、これに政府が委託いたしまして開発を助長する処置について、何ら本件律案には明文化されておらないのでおりますが、第十條第六項の最後に「その他必要と認める措置を講ずることができる。」とある規定を広義に解釈いたして、われわれが原案考えておりましたように、特定地域開発民営企業、いわゆるテネシー・ヴアレーというがごとき問題が起きましたときに、当然これに対して本法案は対象にするというふうに、私たち解釈をいたしておるのでありますが、政府はどうでありましようか。政務次官に政治的な答弁をしてもらいたいと思います。
  18. 西村久之

    西村(久)政府委員 御意見通り解釈の方針に政府も進みたいと思います。
  19. 田中角榮

    田中(角)委員 ただいまの政務次官の御答弁でまことにわが意を得たりと思つております。大体国土総合開発が官庁だけでもつてできることではないということは、論をまたないところでありまして、かかる規定が明文化されておらないことに対しましては、非常に不満を感じておるのでありますが、ただいま政務次官が当然民間企業による公社、特殊の会社等も含むということをお答えになりましたので、まさにわが意を得たりと思つております。しかも本法案の一番大きな生命であるということを考えております。この條文に対しては賛意を表します。  次に審議会事務局についてでありますが、私は公平な考え方から見まして、北海道開発庁と同様に独立事務局を持つて国土全体の計画に十分なる機能を発揮すべきだと考えております。北海道開発法に関しましては、申し上げるまでもなく、内閣独立機能を有する事務局を設けられておるのでありますが、先ほどの提案理由の御説明の中で、安本に置くということがあるのでありまして、これは私たちの見解といたしては多少異論があります。ありますが、そういう異論を申し上げているうちに、本法案が通らなくなるというがごときことがあつたならば、まさにあぶはちとらずでありますので、これは私の方ではあまりつきません。つきませんが、安本に置くというふうに御説明になりましたが、條文の中には別々にこれを規定しておりません。おりませんが、法律案が通れば当然起案者意見通りになると思うのです。これには異論はあるのですが、それは別といたしまして、安本に置くという御説明を、安本内の建設交通局事務局に充てるということに解釈してよろしゆうございますか。
  20. 西村久之

    西村(久)政府委員 事務局安定本部に置くという法律案考えましたのは、内閣に置くべきが本来かも存じませんが、現在ありまする安定本部にはあらゆるスタツフを備え、なお資料も持つておるのでありまして、安定本部をのけて、内閣に別個にこれを置くということになりますれば、二重の機関を要するという関係等も伴いますので、つとめて事務簡素化をはかるという意味におきまして、安定本部利用して、この事務を扱わせるという考え方で進んでおるわけであります。
  21. 田中角榮

    田中(角)委員 これは建設委員会の中には異論がありまして、北海道開発法による事務局と同様に、單独なものをつくつたらどうかという意見があるのですが、これに対しては重ねて政府所信を承ることはいたしません。ひとつ十分に御審議の上、本法案生命を助長するような線に沿つてつくりになつていただきたい、こういうことを希望しておきます。  最後に、本法案国会議員として見まするときには、各省セクシヨナリズムによりまして、骨抜きになつ法案のようにも見られるのでありますが、米国におきましては天然資源局成立、あるいはテネシー河域公社成立等に至りますまでには、十数年かかりまして、あらゆる衆知を集め、紆余曲折を経た事実があるのでありますが、私はこの法案は、いわゆるわれわれが考えておりますところの国土総合開発という大きなもののフアースト・ステップとしての法案であるというふうに考えております。今後肉をつけて行かなければならないことは当然でありますので、かかる点からいたしましても、政府はこの法案運営につきまして、重大なる決意を示し、その法の精神を貫かれんことを特に希望しておくのであります。  私の質問は大体に終りますが、最後に、私もこの法案成立に対しましては、一年半自分でできるだけのことをいたして参つたつもりでありまするし、特に建設委員会でやむを得ざれば議院提出を行おうということを考えておりましたので、多少の意見を申し述べておきたいと思います。  一つには、国土総合開発審議会における審議にあたつては、北海道開発計画は、原案における地方総合計画として、一応審議会審査を受けるようにして、審議会国土に対する視野を正常ならしめることにいたしていただきたい。第二には国会に対する報告はできる限りこれをなすようにしていただきたい。これは当然内閣総理大臣に対する諮問機関でありますので、義務はないのでありますが、国会もこれに重大なる関心を有するものでありますし、特に重要なる案件でありますので、これが道を実際問題としてお考えになつていただきたい。第三には特定地域開発にあたり、将来できることを予想せられる公社あるいは会社の、その適格審査及び予算的措置については、第十條第六項を広義に解釈すること、すなわち西村政務次官が先ほど御答弁になられた線を確認しておきたいと思います。これが執行にあたつても、この條文は本法案生命でありますので、毫もくずさないことを要求するものであります。  最後に、私もこの法律案につきましていろいろ折衝をいたして参つたのでありますが、会期終末とはいえ、いまだ未完とはいいながらも、本法律案を提出せられるところまで努力をなさつた官房長官並びに西村政務次官に対して敬意を表して、私の質問を終ります。
  22. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 次に建設常任委員前田榮之助君。
  23. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 私は本案に対しまして、今田中委員からのいろいろ御質問があつた点で大体了承いたしておるのでありますが、関連した二、三の点をお尋ねしておきたいと思うのであります。  お尋ねの中にもありましたが、先般本国会を通過いたしました北海道開発法との関連でありますが、これは第十四條に「北海道総合開発計画総合開発計画との調整は、内閣総理大臣北海道開発庁長官及び国土総合開発審議会意見を、聞いて行うものとする。」とあり、いわゆる総理大臣が、この調整を行うとあるのでありますが、この法案の中で、第十條に都府県総合開発審議会地方総合開発審議会と、特定地域総合開発計画というように、特定の場所といろいろ区分されておるのでありますが、北海道はこの総合開発とは全然切離されたものと考えてよろしいのか、あるいはまたこの総合開発の一環として北海道を見てよろしいのか、その点ひとつ明確に御答弁願います。
  24. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 この法案によりまする全国国土総合計画というものにおいては、もちろん北海道に関しまする計画立案すべきものであります。しかしこの法案の立て方は、都府県でまず地方計画を立てまして、それをこの審議会において国土総合計画と両方を調整して計画を編成する、こういうやり方をとつておりますが、北海道については、北海道開発庁及びそれに付属する審議会という機構において北海道開発計画を編成いたしますので、北海道開発庁で編成いたしました計画は、運用上やはりこの審議会においても審議をいたしまして、全国的な総合国土計画というものにふさわしいものにして参りたい。もし北海道開発庁意見とこの審議会意見と食い違いがございます場合は、十四條によりまして、内閣総理大臣がこの調整を行う、こういうふうに予定しております。
  25. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 その点どうもはなはだ明確でないわけですが、本法における都府県総合開発審議会、それから北海道における開発審議会、これは大体同列に見るべきものではないかと考えるが、その点はいかがでしようか。
  26. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 北海道開発につきましては、北海道開発庁というものが設置されまして、それに北海道開発審議会が付属しておるわけでございます。従いまして、立て方が北海道については特別な方法をとつております。従いまして、北海道を除きました全国の地区につきましては、各都府県審議会を設けまして、それが中央審議会と連絡する、こういう仕組みをとつておりますが、北海道につきましては、開発庁が設置されて、北海道開発計画推進して行くということに相なりましたので、北海道に関する限りにおいては、やり方といいますか、機構の立て方が、ほかの都府県の場合とは若干違つておるわけであります。しかし計画自体は実際上この審議会においても審議をいたしますし、北海道開発庁審議会意見の食い違います場合は、内閣においてこれを調整するということによつて、事実上解決がなされて行く、かように考えております。
  27. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 そういたしますと、この第六條の審議会委員関係でありますが、この審議会委員の3と4の中に「都道府県知事と兼ねることができる」という條文がありますが、ほかの場合と違つて道の字が一字入つておることは、やはりこの法案の中でも、北海道との関連が相当何かあるように、またなければならぬような意味が含まれておると思うのでありますが、この北海道の知事を三十名の委員の中へ加えるという御意思があるのでございましようか。
  28. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 他の規定におきまする場合は、国土計画の編成に伴う機構を規定しておりますので、道を除いておるわけであります。しかし審議会は先ほど申しましたように、全国の総合計画を編成いたします関係上、必要があります場合、それがもし適当であります場合は、北海道知事も委員になり得るような道を開いておるわけでございまして、この委員北海道知事を入れるかどうかということは、審議会をつくる際に十分愼重に考慮したい、かように考えております。
  29. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 そういたしますと、今、田中委員からの御質問の中で、国会議員も入れてはどうかという意見もあつたのでありますが、これはもちろん国会議員を入れる場合においては、国会承認を得なければならぬということになつておる関係もあつて、その点は考慮しなければならぬという御答弁であつたのでありますが、大体この総合開発法をここまでつくりますまでには、大体の構想として、学識経験者、あるいは総合開発に重要な府県との関連性を考えられまして、三十名というわくをつくられたのだと思うので、ただ漠然と三十名ということにしたのではないと思うのでありますが、その大体のわくをきめられた中に、道の字が加わつている以上は、北海道もわくの中へ予想されておるかと思うのですが、その点いかがですか。
  30. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 委員は三十名以内ということにしておるわけであります。この審議会の担任いたしまする業務は、相当広汎な関係になりますので、従来の審議会運営いたしました経験その他から、三十名という一応の目安を置いたわけであります。今後実際にこれを動かします場合に、三十名の委員をお願いいたしますか、あるいはそれ以内に相なりますか、これは具体的な問題となるわけでありますが、法律規定といたしましては、一応三十名以内ということが適当であろう、かように考えた次第であります。また道につきましても、これが全国的な総合計画を編成するという意味から、道の知事をオミットするということもおかしいわけでありますから、必要に応じまして委員の中に加える、こういう道を開いたのでございます。ただ今ただちに北海道知事を委員にお願いするというふうには考えておらないのであります。
  31. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 大体かような総合開発法律をつくつて、この審議会は一応総理大臣の諮問機関として案を立てるという審議規定なのでありますが、これはただちに行政官ではないのでありまして、従つてここで計画を立てるということになりますと、これには三十人以内となつていて、別に限定されておらぬのだから、二人でも三人でもいいのだ、こう言えば言えるのでありますが、まさかこれを三人や五人でやれるとはお思いになつてはおらぬのであつて、少くとも二十五人や三十人くらいはどうしてもいる。それがいるというのには、こういうような審議状態になるだろうという予想を立てられておると思う。その予想状態から、この三十名の中には、あるいは国会議員が入ることも予想されておるかどうか、また府県知事は大体どのくらいを予想されておるか。または学識経験者あるいは技術者というものこそは最も必要なものであつて、私は、大体こういう人が中心になつて、一応十人程度のものをつくつて、それを総理大臣に答申して、これをあるいは予算化する点においては国会に諮り、また行政庁でそれを適当に実現して行くという程度でいいのじやないかと思うのでありますが、それをことさらに三十名以内としてあるところは、やはり二十五名から三十名近い者は必ずいるという予想でなければならないと思うのであります。その予想の点から考えますと、これはこういう程度だという何か腹案がなければならないと思うのでありますが、腹案でもあつたら、この際率直にお示しを願いたいと思うのであります。
  32. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 三十名ときめました点は、先ほど申し上げましたように、この国土総合開発計画の仕事が單に技術的な問題ばかりでなしに、投資の問題とか、あるいは経済交換の問題とか、あるいは特定地域に関する計画であります。またその内容を見ますれば、電力を中心にした計画もありましようし、あるいは農業を中心にした計画も出て参りましようし、これは今後のこの審議会の重点の置き方によりまして、分科会等も編成されて行くものと考えております。常に三十名の委員が常時出席して、同じ問題をデスカツシヨンするということよりも、むしろ三十名の委員がそれぞれ分科会におわかれ願つて審議を進めて行く。それを総合したものが本委員会でまた検討される、こういうようなことに相なるのではないか。この三十名の委員の中に――各省関係官の方からも委員が出ますが、これは二分の一を限度として、二分の一以下でなければならないということで、できるだけ民間の学識経験者の方々をよけいにして参りたいと考えている次第であります。ただ国土総合開発審議会を編成するにつきましても、やはり政府機関意思というものも、やはりここにおいて調整されるわけでございますので、必要な政府機関からの職員も委員になりますが、この審議会の性格といたしましては、できるだけ民間の学識経験者を委員の主体にして参りたいと考えております。
  33. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 委員の中に国会議員を、数は問いませんが、予想されているかどうかということをお聞きしたい。
  34. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 国会議員委員にお願いいたすかどうかということにつきましては、この内閣として愼重に検討、考慮をいたしていることと存じますが、まず国会議員委員に御就任いただくためには、国会自体の御意思も十分伺つていたさなければなりませんし、これらの点につきましては、今後の国会の御意思等も十分尊重いたしまして、この委員の点は決定して参りたいと考えている次第であります。
  35. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 私は国会議員がこの種の審議会委員になることについては反対なのです。国会議員内閣総理大臣諮問機関などの審議会へ入るべきものではなくて、国会議員自体が必要と認めるならば、立法機関たる建前に立つて国会において十分なる審議をやり、政府に命令すべきものである。だからこれは外交その他の重要な場合を予想して、普通の場合にはほとんどないような場合にのみそういう規定があるだけであつて国会議員たる者は入るべき性質のものではないと私は思う。従つて私の希望としては、国会議員は入れてはならないということを申し上げて質問を打ち切ります。
  36. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 次に砂間一良君。
  37. 砂間一良

    ○砂間委員 私はまず最初にこういう重要な法案が、会期末に出されましたことについて、たいへん不満であります。この国土総合開発法案は非常に重大な法案でありまして、私ども建設委員会におきましても、しばしば増田官房長官に来ていただきまして、もし政府が出す意思があるならば、できるだけ早く出せ、そうして十分委員会において審議の期間を與えろということを要望しておつたのでありますが、それを延ばし延ばしして来まして、会期があとわずか二日か三日に迫つた今日、突如として短時間のうちにやつさもつさで審議をやらして行こう、こういうふうな政府の不親切なやり方に対しまして、きわめて不満であるということを申し上げておきます。  この法案全体を通読いたしますと、きわめて抽象的でありまして、ここにうたつてある趣旨はけつこうでありますが、一体どんなことをやろうとしておるのか一向わからない。それでこれから一つ一つお伺いしたいと思うのであります。まず第一に第十條におきまして、特定地域総合開発計画というのがございますが、この特定地域というのは、どういうふうなところを指定される御意向であるか。大体これまで内閣の総合国土開発審議会だとか、あるいは資源庁だとか、安本とか建設省あたりでいろいろこれまで研究されて来て腹案がおありだと思うのですが、一体この特定地域というのは、どことどことどういうふうなところを指定されようとする腹案であるのか。もちろんこれは審議会ができまして、この法案にうたつてあるような手続を経て指定されると思うのですが、大体の御意向をお伺いしたいと思います。
  38. 西村久之

    西村(久)政府委員 ただいま砂間君の御意見のうちにありました通り、今後特定地域を指定して参るのでありますが、地方から出て参りまする計画そのものを尊重してかかるという建前上、中央から指定して、それを命令的に従前のようなやり方でやらないという建前でありますので、この法案成立いたしますれば、各関係地方から中央審議会の方に要請いたしまして、それを審議会調整して、特定地域を決定して行くものだというふうに御了承願いたいと思います。
  39. 砂間一良

    ○砂間委員 もちろんこの法案の手続からいたしますと、そういうことになるのでありますが、しかしこの法案を実際的に、具体的に理解するためには、ざつくばらんにひとつ――たとえば長崎県から壱岐、對馬について申出が来た場合においては、そういうところが開発特定地域に指定されるであろうというふうなことは、大体政府委員で見当がつくと思うのですから、正規のものでなくても、心当りのような点は必ずあると思うのですから、それをお示し願いたいと思うのであります。
  40. 西村久之

    西村(久)政府委員 砂間君の御意見もありますから、現在の考え方の点だけを政府委員からお話を申し上げさせることにいたします。
  41. 砂間一良

    ○砂間委員 実際の場合を御説明ないから、はなはだ質問が抽象的に流れざるを得ないのでありますが、私は御説明のないのをはなはだ遺憾といたします。それで第十條の六項によりますと、特定地域総合開発計画事業については、国が特例を設けたり、あるいは補助金を交付したり、その他必要な措置を講ずることができるというかうな規定がございまして、相当国が援助するような仕組みになつておるようでありますが、その国が負担すべき費用の点につきまして、もう少し具体的に御説明を願いたいと思います。
  42. 今泉兼寛

    ○今泉政府委員 現在まで、この法律に基いた特定地域というわけではございませんが、建設省が安本に協議いたしまして、別に特定地域ということで指定しておるのが、全国で十四、五箇所ほどございますが、これは今後この法案通りましたならば、さらに再検討いたしまして、従来の十四箇所がそのまま行けるかどうかという問題は、また新たな見地から検討して参りたい。その一、二の例を申し上げますと、北海道でいえば石狩地区、東北でいえば最上地区、それから奥会津地区、紀伊関係で熊野地区、九州で申しますと阿蘇地区――あとでまた御必要であれば十四箇所全部申し上げてもよろしゆうございますが、そういつた地区が現在まで指定を受けておりますけれども、この法律に基いて指定する上からは、さらに再検討いたしまして、はたしてそれが適当かどうかということは、十分今後審議会その他によつて検討さるべき問題であろうと思います。それから指定した以上の補助の割合、国が負担する割合につきましては、今後立法事項といたしまして、法律を新たに設けて、そうしてこれに対して特例を設ける、こういうことに相なつておりますので、実はまだどの程度に補助を増し、あるいは負担金をどの程度に多くするかということについては、まだ今後の立法事項でございますので、事務当局としてはそこまで突き進んで考えておりませんが、ただ考えられますことは、こういつた地区におきましては、非常な未開発地区であつて、あるいは災害防除のために、国が特段の力をいたさなければならぬという実情もございますので、おそらく今までの全国平均の予算のつけ方、あるいは補助金のつけ方では、なかなか開発が進まぬといつたような地区につきまして、たとえば従来二分の一の補助であるといつたような場合であれば、さらにこれに対して三分の二くらいの補助金を出すとか、あるいは従来国の補助の対象にならなかつたことも、こういつた特定の地区においては特に取上げて、国として何かやつてやる、こういつたことも今後法律をどういうふうにきめるかということで内容がきまつて来ると思いますが、当然その立法につきましては、次の国会等において十分御審議を願つた上できまる問題だと考えております。
  43. 砂間一良

    ○砂間委員 私はこの国土総合開発というような事業は相当莫大な費用がかかる事業だと思います。簡單にそこらの河川や道路を改修したりするということとは、わけが違いまして、相当莫大な予算がかかる。たとえば今例に申されました奥会津地区いわゆる只見川のあの地帶の問題にいたしましても、概算千億くらいの費用がかかると言われております。こういう大きな事業をやつて行く場合において、單に国の一般会計の予算の面でやつて行けるか、あるいは国の補助金程度でやつて行けるかということについては、相当疑問を持たざるを得ない。政府は單にこういう法案を出すばかりでなくて、これを出す以上は、やはりそういう資金計画というものについても若干の腹案がおありのことと思いますが、その点につきまして、もう少し具体的な御説明を願いたいと思います。
  44. 今泉兼寛

    ○今泉政府委員 先ほどの提案理由の際に申し上げましたが、開発計画というものは、各府県それぞれ独得で今まで研究を進めておりますが、これが国で承認を得ました計画なり、あるいは府県計画ということには、現在相なつておりません。それができませんので、この法律つくりまして、今後りつぱな全国を網羅した総合国土計画の一環として、国が公認できるような計画つくり上げて行きたい。現在までいろいろな案は出ておりますが、これは府県等の希望的な開発計画でありまして、たとえば一府県で千億であるとか五百億であるとかいう厖大な計画を立てておりますが、これは国全体の財政計画とマッチしない計画でありまして、そこでこういつた計画も今までそれぞれ各府県なり、あるいは各省なりで考えておつたのを一本にまとめ、しかも今後の国家財政とマッチできるような計画つくり上げたいということで、この法案が生れたような次第であります。従つて現在そういう計画ができておれば、むしろこういう法律案はいらぬわけでありまして、そういう具体的な計画、しかも国の予算とマッチするような具体性を持つた計画つくり上げたいというために、この法案が生れた次第でありまして、御質問のいろいろな計画は、まだ各地方の希望的な開発計画であるというふうに御承知願いたいと思います。
  45. 砂間一良

    ○砂間委員 第四條第二項第四号に資金及び資材のことが出ておりますが、しかし先般内閣の総合国土開発審議会答申案等を見ましても、政府総合開発金庫あるいは公庫法を制定する措置を講ずることをあわせて要望するということも出ております。あるいは最近の新聞によりますと、白洲何とかいう人は、只見川の開発につきまして日米の合弁会社をつくる、あるいはそのためにアメリカに外資の導入と申しますか、その懇請に行つたとかいうことが新聞にちらほら見えております。敗戰日本の今日の国家財政をもつてすれば、計画は立ちましても、簡單にその計画に着手するということはなかなか困難であります。従つて資金計画あるいは資材ということが重大な要素になつて来る。その裏づけなしには、こんな法案をつくつて計画ばかり立てても、これは絵に描いたぼたもちでありまして、何の役にも立たない。こういう法案を出すについては、国でそういう金庫あるいは公庫を設けてやるとか、あるいは外資を入れてやるとか、あるいは日米の合弁会社をつくつてやるとか、あるいは民間資本をどうしてやるとかいうふうな、大体の腹案はおありのことだろうと思うのです。そういう点についてひとつざつくばらんに、くだけた話でもう少しつつ込んで御説明願いたいと思います。
  46. 西村久之

    西村(久)政府委員 考え方が砂間さんと違うかもわかりませんが、財政的処置を先にとつて、その範囲内でやるというのでございませんので、今後必要の関係開発地域開発審議会検討いたしまして、そうして検討の結果、この地域、この地域をやつて行こうという考え方が出ました際に、国の財政的措置を考慮して行かなければならぬのであります。御意見通りに仕事をして参りますれば、仕事自体が広汎多岐にわたります。関係上、相当政府の財政的措置を必要とすることは、御意見通りであります。しかし仕事をする関係のものが、今から審議会の議を経まして、順位がまとまつて参るのでありますから、それがまとまつたあとに財政措置を考慮して行きたい、こういうふうに実は考えておるわけであります。
  47. 砂間一良

    ○砂間委員 本案の趣旨から申しますと、お説の通りでありまして、この法案が通つて、そうしてこの審議会ができて、計画がちやんと審議会において立案された後に、この計画実現するために、どういうふうな資金的措置を講ずるかということになるのは、お説の通りだと思います。しかしながら大体こういう法案を出されるについては、大体どこの開発をやりたいとか、何が緊急に必要であるかということがあつて、そうしてこういう法案提案されておると思うのです。してみればこの法案が通過いたしまして、そうして審議会ができて、かりに只見川なら只見川の開発ということが委員会承認された場合におきましては、すぐその資金のことが問題になつて来るわけだと思います。ですから何らそういう資金的措置を考えずに、この法案だけ出されることは意味がない。従つて出される以上は、財政、金融、資金方面についても何らか腹案がおありのことだろうと思う。これは日本の民間資本だけでやるのか、あるいは政府資金でやるのか、あるいは外資を入れてやるのか、またどういう形態でやつて行くのかというようなことを、腹案でも私の意見でもけつこうでありますから、一応その辺を御説明願いたいと思います。
  48. 今泉兼寛

    ○今泉政府委員 この審議会立案されました計画につきましては、総理大臣からそれぞれの実施機関であるところの各省等に、尊重してなるべく計画に基いてやるようにという勧告は出ることになろうと思います。しかし国の財政その他から見てむりだといつてこれを抑制する力もありませんし、また各省としてもどうしてもその計画通りやらなければならぬ。また時期的の問題もございますので、その際に資金計画をどういうふうにするかという問題は、まず第一にこの根幹をなすのは、私は公共事業であろうと考えております。昭和二十五年度には公共事業費として九百七十億という予算を組みまして、御協賛を得ておることは御案内の通りであろうと思います。現在でも公共事業の予算を配分するにあたりましては、やはりその緩急、順序、それから開発あるいは国土保全の重要度等を勘案してこれを配分しているのでございますが、なおこういつた権威ある機関において、地方計画なりあるいは国土全般の総合開発計画ができました際には、定まつた予算の範囲内で、できるだけこのラインを尊重してつけて行く、これがまず第一着に考えるべき点であろうと思います。しかしながら今御質問にありました通り、一箇所でも数百億あるいは千億を越えるような開発計画も出て参ろうかと思いますので、その際に公共事業予算だけでこれを処置して行く、またこれを時期的に短期間でやる場合と数年、十数年でやる場合と、いろいろな緩急、順序の問題もございますし、それにつきましては地方財政交付金関係をどういうふうに考えて行くか、あるいは預金部の資金をどういうふうにやつて行くか、あるいは民間融資としてどういうふうなつけ方をするか、場合によつてはそこに外資を用いるとか、いろいろな資金計画は当然その後に出て来る問題だと考えております。しかしながら国の財政の関係は先般申し上げました通り、大体の骨格予算はその前年に大体の見通しをつけまして限度としてきまるわけでございますから、公共事業の配分関係は、今言つたような趣旨でできるだけこれを尊重して配分して行く。それに不足の分は地方債をどういうふうにするか、あるいは一般の金融をどういうふうにするか、また外資との問題があつた場合は、これをどう措置して行くかということは第二段の問題として考える。それから時期的な問題もこれを二箇年で開発する場合とか、あるいは五箇年で開発する場合とか、あるいは十箇年で開発する場合とかというものもあわせて考えて行くわけでございまして、そういつた点につきましても、当然この審議会が資金的問題はかくかくにしたらよろしいというような御意見も出ようかと思います。そういつた点はこういつた審議会意見答申いたしまして、それでまた立法をするような事項があるとすれば、また国会の御協賛を得た上で特別な措置をはかる、こういうふうに相なろうかと思います。
  49. 砂間一良

    ○砂間委員 大体政府の意向としては、外資を入れてこの開発をやつて行こうというふうな御方針でありますか。
  50. 西村久之

    西村(久)政府委員 原則といたしまして、外資を土台として立法いたしておるわけでありません。ある特殊のものに限つては、先ほど今泉政府委員からお話があつた通りに、審議の御意見等もありますれば、外資の導入にまたなければならぬものもできて来るかと思いますが、法の建前といたしましては、外資を入れて来ることを土台として立法いたしていないことを、はつきり申し上げてよかろうかと存じます。
  51. 砂間一良

    ○砂間委員 それはわかりますけれども、新聞等に伝えられておるところによりますと、ほとんど米資本の受入れ準備とかいう形で外資による開発ということが考えられておるようであります。この四月二十五日に発表になりました内閣の総合国土開発審議会答申案等によりましても、これはウエステイング・ハウスなど有力な米国資本受入態勢を整備するための事業計画立案についての、吉田首相の強い要望に基いてこういうものがつくられたというふうなことがいろいろ出ております。そうして只見川そのほか具体的な開発がずつと出ておりますけれども、しかしこの点につきましてはいろいろ意見になりますので省略いたします。  次にこの審議会の構成についてでありますが、この審議会が実際にこの開発計画と、それから資金、資材の点まで考えて行くわけでありまして、この審議会が根幹になり、非常に重要な役割を果すわけであります。ところがこの審議会の構成が委員三十名ということになつておりますが、これはみんな内閣総理大臣の任命ということであります。私どもはこういう地方民にとつても利害関係のきわめて深い、また日本の国全体にとつても、非常に重要な国土開発というような事業につきましては、單に総理大臣が上から任命する、そういう委員だけでは非常に独断的に流れやすいのではないか、ことに現在の吉田内閣のいろいろな諸施策傾向からいたしますと、特にこの外資導入等に関連いたしまして、いろいろ心配になる向きがたくさんあるのであります。そこでこの審議会委員もつと民主的に、たとえば労働組合の代表であるとか、あるいは地方のいろいろな民主的な団体の代表というふうな者を加える必要があると思うのでありますが、こういう点につきまして、この審議会の構成をもつと民主的な構成に切りかえられるような御意向はあるかないか、その点についてお伺いしたいと思います。
  52. 西村久之

    西村(久)政府委員 民主的に考えておりますので、三十名以内となつておりますけれども、その以内の半数以上は学識経験を持たれた人たちの中から、適当な方を選ぶという方法をとつておるわけであります。砂間君の御心配になるようなことを考え立法いたしておることを御了承おき願いたいのであります。
  53. 砂間一良

    ○砂間委員 私話のわかりやすいように具体的な例をあげて申したいと思うのであります。たとえば只今川の開発についてでありますが、全国で十四箇所かの一応の開発地点が目標として上つておるそうでありますが、そのうちでも一番有望というか、具体的な話題に上つているのが奥会津のあの只見川の開発だと思うのです。ところがあそこに行つていろいろ調査してその計画を見ますと、法案の中には第二條等でいろいろりつぱなことが言われておりますけれども、あそこへ行つてみれば、総合開発というのは名ばかりであつて、ほとんど電源の開発であります。今の計画従つてあそこで百五、六十万キロの新しい電源を開発して行くという計画を実行して行きますと、現在の計画によつて行けば阿賀川下流の数万町歩の耕地は、まつたく田植えどきが来ても水がない、植えつけられないという結果になることは明らかであります。それからまた電力を増加発電いたしましても、現在の電気会社のやつているような、ああいうやり方では、これはまつた地方民のためにはならない。たとえば農村電化なんかにいたしましても、今のような料金と割当制度ではまつたく立ち行かない。ことに中小企業なんかもそうであります。特定のビニールだとか、何かちよつと切りかえれば軍需産業に転換できそうな、そういう方面の産業には安い料金で豊富に割当を行つているというふうな形であります。こういう形で開発がなされておる。しかもそれが総合開発というような名前で行われて行くならば、看板はまつたくりつぱでありますけれども、羊頭狗肉でありまして、特定のものだけを利益させ、また特定の目的だけに開発されるという結果を来すことを私はおそれるものであります。この点につきましては、アメリカのTVAの開発計画なんかと日本の実際進められて行つている開発計画とは非常に異なつておるのでありまして、何と申しますか、利潤本位の特定の事業だけに重点を置きまして、そこから徹底的な利潤を搾取して行こうという計画が、あつちこつちで現実に進められて行つておるのであります。ことに外資なんか入つて来た場合におきましては、そういう行き方がさらに強化されるだろうという心配が非常に多いのであります。従つてこの計画立案し、それからこの資金、資材の計画までも進めて行くというこの審議会の構成は、きわめて重要であります。ところがこの審議会内閣総理大臣の任命によつて、一方的に天くだり的に任命される。それが国会にも責任を持たず、それから地方議会にも責任を持たなくて立案して行く。もつとも国会といたしましても、予算の審議権はありますけれども、しかし予算によらずに、たとえば外資を入れる、あるいは合弁会社をつくつてつて行くという場合になりますと、ほとんど日本の国民としての発言権が奪われてしまう危險性がきわめて多いのであります。従つてこの審議会の構成と、その権限等につきましては、よほど愼重に考えて行く必要がある。最近審議会だとか、あるいは委員会という制度が非常にはやりでありますけれども、しかしこれはちつとも日本の自主性がありません。それは外国為替審議会あるいは日銀の政策委員会、手近なところでいえば、公安委員会や教育委員会やあるいは労働委員会、そういうものがどういう役割を演じておるかということを見てもはつきりわかりますが、何か日本の国民の手の届かないような力が入つて参りまして、そうして目に見えないところで計画が実質上にどんどん進められて行くという形が見られるのでありまして、この審議会の構成とその運用ということがきわめて重要だと思うのでありますが、この法案によりますと、その点が非常に明確になつておりません。この審議会の構成について、委員の民主的な選出ということも重要でありますけれども、ここで立てた計画を実施するについて、もう少し国会でそれを検討するとか、あるいは地方計画の場合においては、都道府県において検討するとか、何かそういつたふうな措置が必要ではないかと思うのでありますが、こういう私の心配につきましては、政府はどういうふうにお考えになつておられるのでありましようか。
  54. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 本審議会で策定いたしました総合計画につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、これが直接的な問題として、たとえば公共事業費等の配分の基準になつている。それが予算化されまして、国会の御審議を仰ぐ、あるいはここで決定編成されました計画が、内閣から国会の方に御説明申し上げるというようなことに相なる、かように考えております。
  55. 砂間一良

    ○砂間委員 この法案の中に、勧告ということがありますが、この勧告ということは、どの程度の意味を持つておるのでありますか。これは勧告されても聞きつぱなしで済むようなものか、あるいは相当拘束力を持つて義務づけられるというふうな性質のものでありますか。どの程度の力と言つては変ですけれども、意味を持つておるのですか。
  56. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 勧告はいわゆる勧告でございまして、これは各省に対して強制をいたす意味は含んでおりません。ただこの審議会が各府県及び各行政庁の意見を総合いたしたものでございます。その意味において、結論といたしましては、最も合理的な計画がこの方法によつて制定されるということになりますので、その結果が内閣総理大臣から勧告がございますれば、各省といたしましては、その勧告を最大限尊重いたしまして、行政の上に生かして行く、こういうことに相なるのであります。
  57. 砂間一良

    ○砂間委員 それを勧告されても、あるいは審議会の方で計画立案されて、それが報告されても、それを流してしまつてもさしつかえない程度のものかどうか。最初の草案のまた草案等によりますと、審議会とは異なつ計画を、たとえば都道府県やあるいは建設省や、他の省で立案した場合においては、それをもう一ぺんこの審議会にかけて、その意見を聞かなければならない。そういうふうな意味も、最初のころの草案にはあつたようでありますが、それらのいきさつからいたしますと、今度の法案にはその点は省かれておるようでありますが この勧告というのは相当強い意味を持つたものじやないかと思うのでありますが、單に報告を受け、あるいは勧告されても、聞きつぱなしでいいものかどうか、あるいはそれをやつて行かなければならぬものか、あるいは都道府県なんかで、もしそれをやらなかつた場合においては、国の方で独自にその計画を執行して行くようなことになるのかどうか、その辺ひとつ御説明願いたいと思います。
  58. 西村久之

    西村(久)政府委員 先ほどお答え申し上げました通り、強制的のものではございませんが相当権威あるものとして取扱つて行くことになると思います。
  59. 砂間一良

    ○砂間委員 何だかちつとも要領を得ないのですけれども、あまり一人で長くやつても何ですから、私の方の質問は一応これで打切ります。
  60. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 次に今村忠助君。
  61. 今村忠助

    ○今村(忠)委員 まずお尋ねいたします。大体この計画経済安定本部から出されるということについて、私自体どうもふしぎでならぬものがある。大体経済安定本部は、統制経済が終つて、ぼつぼつ用がなくなりかかつたのでありまして、あわてて何か仕事ほしさで、仕事を見つけておるという感じがまずいたします。ことにあなた方の質疑に対する答弁において、信念がない。大体従来国土開発に関するものは、各省に相当あつた。それを幾つかの省にわかれわかれになつてつたのではいかぬから、この際これを統合して最も技術的な力を一つに集めて、敗戦後国土を失つておる日本がこれを補いにするのだというような、何か一つの信念の上に立つておるのかということをまずお聞きしたいのであります。ことに行政整理までして、一つの国土開発省というような省までつくつてやるくらいの信念に立つておるのかどうか、これをまず第一にお聞きしたい。  第二点は、一体高度国土開発といつて題目を幾つかあげておりますが、これは先ほど来言われておる通りに、もうすでに考えておつて社会の輿論にこたえる政府の立場というように考えるのですが、そんななまやさしいことで、産業の振興なり貿易を盛んにするという基礎的なことができるかどうか。たとえば工業の基礎をなすところの鉄、石炭、石油というものに不足しておる日本は、九州の石炭を掘れば掘るほど土地が低下して枯渇する。建設省は本年度から十箇年間で五十億を費そうとしておる。こういうような企業の基礎となる石炭一つをとつても、日本においてはかくのごときものであるから、この際思い切つて切りかえて、幸いにして與えられた自然を利用して、恐しく大きなダムを幾つもつつて、電力を開発するのだ。電力量においては世界に誇るべきものがある。その料金というものはごく安く、世界に比類のないような安い電力を起すのだ。これによつて日本の将来の工業を成立たせるのだというような信念によつておるのかどうか。どうもお聞きすると、あなた方のは統制経済がなくなつて、仕事がなくなるから、何かにかじりつきたいという感じがする。  第三段は、今の失業救済というものは、当然の常識として、政府は何か大きく取上げて失業救済をしなければならぬ時期に到達しておると思う。そうだとすれば、だれしも考えることは、国土開発とともに、失業救済をする。この厖大な失業者をこれによつて救うのだという信念が、これに盛られておるならば、これもまたうなずけると思う。この三つの点について、はつきりとした、もう少し信念のあるお答えを願いたい。
  62. 西村久之

    西村(久)政府委員 今村さんにお答えを申し上げます。安定本部が出したこの法律案は、内閣から出て参つております。誤解のないようにお願いしたいと思います。ただこの法案の中に盛られております仕事自体の関係を、今まさに先の見通しが非常に微弱である。安定本部では総括的にやるようなことを考えておるというおしかりのお言葉でありますが、安定本部は、御承知通り、設置法が恒久的なもので成立いたしまして、簡単にこわれるものでないということを、私は深く信ずるものであります。なお総合的の仕事をやる、その考え方安定本部でやることはけしからぬじやないかというような意味合いのおしかりのお言葉のようでありますが、私は各省関係のある仕事を総括的にやります役所は、日本の今日の役所として、安定本部以外にはない、かように考えておるのであります。各省の仕事をとりまとめて調整をはかつて行くという仕事は、安定本部が一番適当であろうとかように考えておるのであります。信念があるかというお尋ねでありますが、この法律案成立いたし、そうして法律案の示す通りに、各地方々々のいろいろ開発関係の仕事の申出が、審議会の方に出まして、審議会の方で採択されましたものは、先ほど申し上げました通り国家財政とにらみ合せまして、緩急度を考え合せまして、実際に着手して参るのでありますから、仕事をやつて行く上について、国家財政の許す限りにおいての仕事はやれるという信念は持つておるということを、ここにはつきり申し上げてよかろうかと思います。  なお失業対策にからんでの御質疑でありますが、仕事をやつて参りますれば、当然労力を要するのでありますから、相当数の失業者を收容し得られることを、ここではつきり申し上げて、お答えにかえたいと思います。ただどのくらいの收容力があるかということは、今後立案して参ります各地方の仕事の上から考えて参らなければなりませんので、ここで明確にお答えできませんが、事少くも、相当数の失業者を收容し得られる事業開発関係法案になる、かように信じて疑いません。
  63. 今村忠助

    ○今村(忠)委員 私の伺つた安本当局の信念なるものは、まことに満足を與えられない不十分なものであると思います。第一、私が申したのは、国土開発というような仕事は、何というても技術中心の仕事でございます。従つて今日国土開発の面に関する仕事が、建設省にまとまつておらず、あるいは農林省、はなはだしきは港湾に関しては運輸省にあるというようなぐあいであつて、これはどうしても力強い一つの建設技術を統合したところの省にならなければならぬという信念を、われわれ建設委員は持つておるのでありますが、その立場から建設技術の総合統一をされるという見通しは、今お聞きするとないらしい。ただ経済的に共通な立場から、総合的にいえば安本であろうという理論については、必ずしも私は否定いたしません。けれども私の問わんとしたのは、技術的な統合ということに対してのこの点を私はお聞きしたのであります。これについてはもう一度お答えを願いたい。次に私はこの計画が單なる世間の総合開発が必要だというようなものにこたえる程度のものであつては、敗戰のあとの日本の再建設、いわゆる基礎的なものでないじやないか。もう石炭は枯渇して来た、工業の基礎をなすところのガソリンもないのだ、鉄も不十分だ、何か一つでも他国にまさるものを持たなければ、日本の工業なんというものは、とうてい成立たぬ。今回われわれはアメリカに行つて輸出を盛んにするようなことを各方価に訴えてもそうです。何かわれわれがアメリカよりもまさるものがあつて、それを活用することによつてこれこれの品物ができる。従つて精巧なものになり、従つて価格も安いものだというような基礎的なものが解決されない限り、日本の産業の振興、貿易の振興ということは成立たない。その一つとして電源開発をして、電力だけは世界第一安い豊富なものをつくるならば、敗戦日本はこれによつて立ち上れるかもしれぬという希望を持たれると思う。しかしその御信念がないと思う。あるならこの際お聞きしておきたい。  第三に失業救済は必然的にできるというなら、現在もやつておる。建設省において公共事業費といつて先ほども御指摘になつた九百七十億円の中に、失業救済費が多分に含まれておるが、信念がなく、ことさらに会期迫つてかつこの法律をむりに通して行くという意味では、はなはだ物足りない。それといえども、せめてこれだけを出すことによつて、今までよりも便利になるから、当座のものでございますという態度であるなら、これもこの際一応必要だという意味で認める。深い意味があるのだが、さしあたつて次の段階に到達するまでの仮の処置であるということなら、それでも考えられる。ここのわかれ目をひとつはつきりお聞きしたいと思います。  続いてお尋ねいたしますが、書いたものが今とつさに出されたのでありますから、私は十分読み足りない点もあるかもしれませんが、全国総合開発計画というものを審議会でやる、それではこれを実際に技術的に統括してあるいは技術的な面を実行して行くということに際して、これを全然他の省にゆだねてしまうものか、将来はまたここに一つ事務局をつくつて人を置いて、行政整理で多少経費を軽減するのに努めておるのに、この際またここに一つの事務局をつくる、それによつてわずか計上された予算は、わけのわからぬ事務費と人件費に消えてしまうというようなことでありますと、私たちが心配する、いわゆる世間のうわさの手前を考えていたしたという程度のものに終つてしまうと私は思うのでありまして、一体この点はどうするのか。つまり審議会程度のものを設けて、あとは関係省に勧告して終りという程度のものか、積極的に多少そこで事務局的なものをつくつて、人も置き、また技術者も置いてやつて行こうというお考えなのか。その点のお考えをひとつ聞かしてもらいたいと思うのです。そうでもなければ、行政整理をいたしておるこの際としては、まつたくむだな経費を使うものを新たにまた起したという感じがなきにしもあらずと思われるのでありますが、この点をひとつはつきりお答え願いたい。
  64. 西村久之

    西村(久)政府委員 先ほど御質問の第一点は、田中委員の方から御質疑がありましてお答えいたしたのでありますが、本来ならば今村君たちのお考え通りに、安定本部よりも、内閣に置いて、この法律案趣旨を徹底的にやつて行くという考え方が、妥当であると私も考えておるのであります。しかし後段にお述べになりました通りに、行政整理をやつておる途上にありますのと、経済安定本部がこの内容の仕事をして行く上についてのあらゆる資料を持ち、あらゆる人材を持つておるのでありますから、この際安定本部の人材、資料を有効に利用して行くことが、国家経済上有効であろう、こういうふうな考え方で、実はこの法案事務局安定本部に置いて仕事をして行こうという考え方をしておるわけであります。なお日本の産業を助長し、列国との競争場裡に立つ上におきまして、電源開発の必要でありますることは、重要基礎産業の一つとして私もこれを認めるのであります。安定本部といたしましても、担当通産省といたしましても、その必要を感じて、今日見返り資金等も投じ、一定の計画のもとに着々仕事を進めておるようなわけであります。御意見通りの趣意に今後進みたい、かように考えておるわけであります。その他の関係のことは、他の政府委員からお答えをいたさせます。
  65. 今村忠助

    ○今村(忠)委員 当局側の意向は、はなはだ不十分なものだということがわかりました。つきましては、希望として質問の事項に掲げたような点を、今後当局として運営といいますか、これを進める上においてぜひひとつお考え願いたい。これによつて新日本建設ができるのだというくらいの信念に燃えて、仕事をおやり願いたいものだと考えます。
  66. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 次は深澤義守君。
  67. 深澤義守

    ○深澤委員 本法案は非常に重大な内容を含み、しかも非常に多面にわたる意義を持つていると思うのです。しかるに会期あと二日に迫つた今日、これを提出して来たというために十分の審議が実はできない。しかもこれを通さなければならないという態度をとつておられるのでありますが、これは国会審議権についても、まつた政府当局は無責任であるとわれわれは考えるのであります。まずこれだけの法案を出されるにつきましては、相当の準備がおありになつたと思う。この国土総合開発は、一体どのくらいの期限の計画でおやりになるのか。それからこれに要する費用は大体どの程度を考えておられるのか。そういう具体的な一応の見通しというものがなければ、こういう法案は私はつくれないと思う。そういう点について、先ほど政務次官は、人材もあるいはいろいろな技術者もそろつておる安本がやるのだとおつしやるのでありますが、その概要をひとつお伺いいたしたいと思います。
  68. 今泉兼寛

    ○今泉政府委員 安定本部といたしましては、従来から各省と協議いたしまして、大体昭和二十八年あたりを一応の目標とする五箇年計画を仮の案として検討を進めまして、先般来それに基いたところの各地方計画は一体どのくらいの目標になるかというようなことについても、各地方に係官が出張いたしまして、参考試案を説明して参つたような次第でございます。従いまして、国の従来の大体の実績と将来の見通しから見まして、五箇年間には大体この程度になるだろうという一応の数字は、参考試案として準備してあるのでございます。しかしながらそれは財政的な見地から一応の見通しをつけたのでございまして、今後の新しい発展ということについては、まだわれわれの方といたしましては見通しも十分ではございませんので、そこまではつきかねますが、ともかく財政的な見地からは、大体五箇年後にはこのくらいになるだろうという見通しはつけております。しかしながらこの国土総合開発は、単なる政府資金だけでできる問題ではございません。先ほど各委員からも御指摘になりました通り、この計画は単なる財政資金ではなくて、民間資金、場合によつては、国ではどうしてもまかないきれないような問題につきましては、外資導入というような新しい要素も入つて来ようと思つております。また場合によつては、政府の財政資金の何倍というような厖大な計画もあるいは出て来るのではなかろうかと考えておるのであります。従つて外資まで含めての今後の見通しということは、今日予測することは不可能な問題でございます。もちろんこの地方計画を立てて行く上におきましては、並行して検討するつもりではおりますが、資金計画が今日こういつた計画にしてこうこうというまでには至つておりません。と申しますのは、大体国土計画なり、地方計画なりの一応の参考目標といつた程度のものはできておりますけれども、まだしつかりした計画ができていないというわけなのであります。しからばそれではこういつた国土計画は、いつごろを目標としてつくるのだという御質問であろうと思いますが、われわれといたしましては、なるべくこれは短期間につくりたいとは考えておりますが、今後相当各地方の希望案というようなものを調整して、実行可能な案にまでまとめて参りますのには、相当の時日がいると思います。われわれといたしましては、一応の目標は昭和二十五年度一ぱいくらいには何とかまとめ上げたいということで、先般来各省、各地方にも連絡して、そういう資料の收集に努めているわけでございますけれども、今後においてもそういつた見地から、できるだけ急いでやつて参りたいと思います。しかしながら先ほど申し上げました單なる財政資金ではなく、外資までも資金計画に入れての案が、ほんとうに今年度内に立つかどうかという問題は、ちよつと疑問だと思いますが、そういつた資金計画を抜いて、大体各地方の案はこうこうだ、従つてこういう優先順位であるべきだというように、非常に厖大な計画にはなるけれども、それを五箇年なら五箇年で計画して行くのには、どれから順位をつけてまず開発するか、こういつたような問題は、今年度内くらいには鋭意努めれば、大体の輪郭は出て来るのじやないか、こういうふうに考えておる次第であります。
  69. 深澤義守

    ○深澤委員 まことに漠然としておるのであります。少くとも国会がこの法案を通す場合におきましては、国民がある程度納得し得るものを、われわれははつきりさせなければならない。ただ国土総合開発法は一体どの程度のことをやるのか、これではさつぱりわからぬ。従つて今御説明になつたのでありますが、大体試案というものが安定本部にあるようであります。そして今御説明を聞くと、政府資金だけではできない。民間資金も必要とする、あるいは外資導入も必要としなければならない、こういう答弁でありますが、一体数学的に大体どの程度の政府資金を予想せられておるのか、民間資金はどのくらい予想せられておるのか、外資導入はどの程度をやればこの国土総合開発というものが、この法案に盛られたものができるのか、そういうようなことについてわれわれは一応聞かなければ、あまり漠然とし過ぎてはつきりしないと思うのであります。もしそういう案があるなら、ざつくばらんにお聞かせ願いたいと思います。
  70. 今泉兼寛

    ○今泉政府委員 目標試案としてはお示しする程度はできますが、まだそういつた具体的な計画ができておりませんから、実はこの法案によつて今後りつぱな具体案をつくり上げよう、こう考えておるのでございまして、今お示しをと言われても、目標試案としての一応の考え方――これも非常な前提がいります。財政が大体今まで通りに伸びるのじやないかといつたような前提條件もありますし、資金計画はどうするかというような問題も出て、それから外資などに至りましては、まつたくの予測の問題にすぎませんので、その目標試案をほんとうの具体案に仕上げるには、さつき申し上げました通り、少くとも約一年くらいの歳月をかけなければ、そういつた問題ができ上らぬのじやないか、それをつくり上げるために、この法案によつて今まで各省、各府県がばらばらに、單なる一応の目標試案として、希望案程度として出ておるものを、そういつた資金計画とにらみ合せて、今後一年ぐらい、できれば今年度内につくり上げたい、こういうので今後努力して参りたいと考えております。
  71. 深澤義守

    ○深澤委員 先ほど申し上げましたように、われわれがこの法案審議する場合には、今言う目標試案というものを一応示されなければ審議ができないのであります。抽象的にはなかなかいいことであり、これができればけつこうであるということになりますが、それはまことに抽象論に終つてしまう。従つてどういう程度のことをやるのか、たといそれが今後実行される、されないはともかくとして、一応経済安定本部として目標試案というものがあるということをはつきり言つておられるのだから、そういうものを具体的に示してもらいたい。そうしなければわれわれは、これを具体的に審議することができない。そういう目標試案があるというのでありますから、それだけでもいいですから、ひとつ概括的に御説明を願いたいと思います。
  72. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 ただいま今泉政府委員から御指摘のありました点を補足いたしまして若干御説明いたしますと、この法案内容は、ごらんの通り内容でありまして、地方から府県計画ないしはブロック計画ないしは特定計画等、地方の自主的な意思に基きました国土開発計画が、それぞれ中央に出て参りまして、中央ではその出て参りました案を基礎にいたしまして、中央でそれに対する一応の基準になる資金計画ないしはその他産業の立地計画等々の案を持つておりまして、そうしたものと地方との調整考えながら、地方から上りました案の実施に移す段取りを、それぞれ優先順位をきめまして、作案するというふうな趣旨になつております。従いまして目下進行しております状況は、主として地方の今後の計画を、各省ないしは地方と相談の上、それぞれフォームをきめまして、その一定のフオームにのつとりまして、それぞれ地方からそれの案を出すような段取りになつております。そうしてあわせまして中央におきましても、そうした地方計画の案を練りまして、今後しばらく検討の上、いろいろ案がまとまつて来るだろうと思います。但しその案のまとまるまで、何ら国土開発計画の実施というものはないのかと申しますと、そうではないので、先ほど申しましたように、実際の国土開発の手段となる尤たるものは資金でございまして、資本の蓄積の問題は先ほどから御説明いたしましたように、大体民間資本ないしは国家資本、ないしは外来資本というふうに範疇づけられると思いますが、そうしたそれぞれの点を考慮いたし、あわせてだれが一体いつからやるのかといつたような開発主体並びに開発の順位等を考慮いたしまして、そこでそれぞれの計画を実施に移すに可能なような場所を見つけて行く、そうした案ができ次第これを行政機関に流しまして、それぞれ実施の段階に入るという手順になつておりますので、本来であればそうした案が立つた上で実施に移すのが建前でありますけれども、それを変更いたしまして、年度におきまする公共事業費とか見返資金とかあるいは預金部資金等を動員いたしまして、実施可能のものはそれぞれの範囲で実施に移して行くというふうな建前になつております。
  73. 深澤義守

    ○深澤委員 実施可能な範囲でやつて行くということであるならば、何も大げさに国土総合開発法というものにまとめる必要はないのであります。そうして今後なお地方都府県あたりから申請して来たことをまとめて総合的にやるとするならば、何も会期の迫つた現存においてこの法案を出して来る必要はない。もう少し準備をしてから出すべき必要があるとわれわれは考えるのであります。われわれは一つも具体的に把握することができない、どういうことをやるのかさつぱりわからぬ、こういうぐあいに考えるのであります。そういうことが明確にできないとするならば、まつたく雲をつかむような結果になるわけであります。それならば第二條の問題について私はお聞きしたいのであります。第二條の第一項第一号に「土地、水その他の天然資源利用に関する事項」ということがあるのでありますが、これは一体どういうことでありますか、ひとつ御説明願いたい。
  74. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 「土地、水その他の天然資源利用に関する事項」の内容は非常に広汎にわたるのでありますけれども、先般内閣国土開発審議会の方に安定本部から答申いたしました答申内容の大部分が、この問題に触れるものだと考えております。主として一番中心になる問題は、どうしても日本におきましては水の資源中心にして、その上で治山治水ないしは土地改良等の問題に重点が移行するのではないだろうかと考えております。
  75. 深澤義守

    ○深澤委員 治山治水、土地改良という問題でありますが、現右日本の農村において土地改良という問題が非常に大きな問題になつております。ところが土地改良を進めるどころではない、最近においては、土地改良が破綻に瀕しておる事実があるわけです。たとえて申し上げますならば、新潟県の亀田郷は現在においては、おそらく日本の土地改良の最大の仕事をやつておられる。一万八百町歩の土地改良をやつて、そうしてそこに十台以上の二百馬力の排水機をすえつけてやつておりますが、これは最初政府は補助金を出されると言つた。ところが補助金がなくなつた。今度は見返り資金を貸すと言つた、それもだめになつた、こういうような状態で今手をあげている。そうして電力料の値上げによつて、ますますその見込みがない。こういう状態にあるのでありまして、この国土総合開先法をまたず、そういうところをどんどん政府は十分の補助と融資の道を開いて土地改良をやらせなくてはならぬのに、かえつて今土地改良ができないという状態になつております。そういう状態にあるにかかわらず、法案だけは大げさに国土総合開発法をつくるのだといつてつても、今までのことすらまだ実行できない、むしろ今までのことが中止されておるという現状になつておるのです。こういうような現状にあるにかかわらず、この国土総合開発法によつて先ほど今村君が申し上げましたように、日本の国土再建をやるという掛声ばかりで、内容は実際全然行われていない。しかも今私が聞いたところによると、まだこれから準備するのだ、二十五年は準備期間だ、こういうような状態です。従つてわれわれは、会期の迫つた今日の段階においてこうした内容が何も具体的に示されていない。しかも先ほど今村君も言つたように、自信があるのかないのかさつぱりわれわれにわからない。こういうような状態において国会審議を求めるということは、まことに無責任きわまると考えるのであります。  それから第三の「都市及び農村の規模及び配置の調整に関する事項」これはどういうことでありますか。ひとつ御説明を願いたい。
  76. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 ちよつと先ほど誤解されたように考えますので、一言いたしたいと思いますが、二十五年度は準備期間だということは申しておりません。そうではなくて、今年度も本件に関して必要な措置は行政的に機を見て、できる範囲をどんどんやつて行きたいという意味でありますので、この点誤解ないように願います。  それから三番目の「都市及び農村の規模及び配置の調整に関する事項」と申しますのは、これが本来国土計画のあるいは主体になる事項かと思われますが、厖大な都市を控えまして、衞生、文化あるいは経済等々の観点から、これ以上には厖大な都市をさらに拡張するといつたようなことは、国全体の経済関係上あるいは再考慮の余地がありはせぬかといつたような点から、地方の中都市との関連問題、あるいは農村との関連問題等を兼ねね合せまして、その調整、配置、規模等をどういうようにした方が一番妥当であろうかといつた点を検討するのが、第三号の趣旨であります。
  77. 深澤義守

    ○深澤委員 今第三号の説明に対して質問することはちよつとあとまわしにいたします。今のお答えによりますと、二十五年度からやるのだと申されたわけでありますが、二十五年度にはどの程度のことをやるのか、具体的にお示しを願いたい。
  78. 今泉兼寛

    ○今泉政府委員 国土総合開発というふうに、国がはつきりとした計画として確認されたものでやるということは、今後の検討によつてこれができ上つた場合に、それが勧告となつて各省それぞれに出て、これに準じてやるということになると思いますが、決してこの総合計画ができ上らぬ前は、たな上げにしてほかの方はほつておくという趣旨ではございませんので、現在の国会で御協賛せられました九百七十億という公共事業費の配分については、十分従来検討された点を土台といたしまして、国土計画ができ上つてはおりませんけれども、従来の検討されたラインに基いて、その緩急順序なりは当然十分考慮いたしまして、配分関係に準じてやつて行く。それから突発的な今後の問題等におきましては、あるいは預全部資金融資というような面等も十分考慮いたしてやりたいと思つておりますし、さらに災害復旧等の問題につきましては、百億という予備も今年とつてありますので、この予備金の使い方についても、十分優先順位なりは当然考えてやつて参りたいと考えております。何か計画ができ上らぬ前は、何も国土計画に基き、しないのではないかというあれはございません。現在経済安定本部は公共事業関係について見返り資金関係等につき、あるいは預金部資金等につきまして、資金計画をどういうように配分して行くかということは、各省ともそれぞれ密接に連絡いたしまして、そのプランに基いて現在やつておりますし、今後においてもこの計画を待たずして行ける点は、どんどん手を打つて行くというふうにやつておる次第であります。
  79. 深澤義守

    ○深澤委員 今の予算で決定された範囲のことをやるということでは、何も国土総合開発ということにはならぬと思うわけであります。この法律がいよいよ国会を通過いたしたとするならば、今までの予算以外のことを何か計画されているのかということを私は聞くのであります。一体その融資の点については、どういうことを考えておるか、あるいは民間資金の点についてはどういうぐあいに考えておるか、外資導入についてはどういう程度のことを考えておるか、そういうことを二十五年度においてどの程度のことを考えているかということを私は聞いておる。個々のとつてある予算の一応配分されたものは、操作をやつても大したことはない、きまつているのだから……。それ以外にどういうことをやられるかということを私は聞いている。
  80. 今泉兼寛

    ○今泉政府委員 今後の問題として考えられますのは、見返り資金のわくは大体司令部から民間企業にどのくらい、公共事業にどのくらいというわくは御案内の通り示されております。一応民間企業としては四百億というわくは示されております。それから公共事業の見返り資金といたしまして、百十億というわくは示されておりますが、内容の盛り方はまだ示されておりません。従つてこの計画が完全にでき上らなくても、その過程においてこういつた検討が進められて参り、それにのつとつてこういつた百十億のきめ万、あるいは四百億のきめ方は、十分進行途上においてもこれと並行してきめて参りたいと考えております。それから預全部資金のわくの問題も、貸金が、三百七十億と一応これも先方からわくが示されております。これがつけ方等につきましても、それぞれの既定計画はございますが、さらにこれと並行いたしまして、重点的にどういうふうにやつて行くかという問題もきめられて来るだろうと考えております。  それから外資の問題は個々的な問題としては、国土開発のそのうちでも電源開発の問題等についていろいろな話が出ておりますけれども、実は具体的にどのくらいどこの場所に入るかという問題には立ち至つておりません。しかしながら先般内閣の総合国土開発審議会の方から吉田総理の方にも御答申があつた次第でありますが、ああいつたそれぞれの具体的な計画はこれをやるとすれば、このくらいの金はいるんだという計画は出ておりますので、そういうラインに基いて今後外資の見通し等も立てて、その際にたとえば只見川が可能であればこのくらいの金額を何年くらいでやればでき上るのだ、あるいは熊野川開発、琵琶湖の開発はこうだという問題も案としては出ておりますが、今後外資等の見通しもついた上で、こういう計画も生かして行きたいと考えております。
  81. 深澤義守

    ○深澤委員 それでは第三号の御答弁に対してお伺いいたしますが、都市が非常に厖大になる。これを調節するのだということを言われましたが、一体都市及び農村の規模という問題について、都市がだんだん膨張して行くのは、これは資本主義的な組織において、都市に工業が発達し、そこに人間が集中する。農村の方においては失業者がどんどん出て来るから、都市へ集中するということは当然なのですが、これについて五箇年計画くらいでやるのだということを考えられているのか、どの程度に日本の都市を整理し、農村の規模を確立するのか、どういうことをやられるのか、もう少し具体的にお伺いしたいと思います。
  82. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 その点につきましては、まだ実は成案は出ておりませんので、ここで詳しく申し上げる段階に達していないと思います。はなはだどうも恐縮でございますが……。
  83. 深澤義守

    ○深澤委員 特に私がお聞きしたいのは、農村の規模というのですが、どういう農村を描いておられるのか。現在非常に農村は窮乏しております。非常に問題になつているわけですが、御承知のように、日本の農村は零細農であるということはわかり切つております。そうしてこの零細農が今農業恐慌で非常に苦しんでおるのですが、この国土総合開発によつて、この農村を何とか救い得る方法でもあるのかどうか。そういう点について特に今まで研究された問題について、大体現在の農村の耕作規模であるとか、あるいは農村工業であるとか、あるいは都会にあるところの工業を、農村に分散するのであるとかいうような、具体的なことを考えておられるのかどうか、その点について、ひとつもし試案がありましたら、その一片でもいいからお聞きしたいと思います。
  84. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 農村の規模の問題に関しましては、農村における人口の密度、その他農村の生産性の問題等を考えまして、これはいろいろの問題があるだろうと思いますが、非常に広範な問題で、簡單に大体こういう草案でという構想も、過去に関しましては農林省等には持つておりますけれども、いわゆる国土開発という面で、都市との関連下において、これを性格づけるというようなところまでは参つておりませんので、先ほど申しましたように、はつきりしたお答えはできないのでありますが、今後審議会でこれを審議検討するのであります。
  85. 深澤義守

    ○深澤委員 どうもまことにすべてがはつきりしないので、われわれは納得が行かないわけです。はつきり行かないことをいくら追究してもしかたがありません。  その次は国土総合開発審議会の権限の問題でありますが、先ほど、勧告ということは、これは強制ではない。だがしかしそれをある程度の権威をもつて尊重するということでありますが、内閣総理大臣は、この勧告に基いて大体やつて行くということになるのではないかと思うのですが、大体この勧告ということが、この国土総合開発の基礎になるというぐあいに、この法案では考えるのでありますが、大体そういうぐあいに解釈してよろしゆうございますか。
  86. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 審議会審議されました計画は、これは内閣総理大臣答申して各省勧告される。各省はその勧告を尊重いたして、各省の行政を実施して参るという筋になります。
  87. 深澤義守

    ○深澤委員 第四條の第一項には、「国土総合開発審議会は、総合開発計画について調査審議し、その結果を内閣総理大臣に報告し、又は勧告する。」この審議会が総理大臣に勧告した場合、総理大臣は――今あなたのおつしやるところでは、これをすぐ総理大臣が各省勧告する。すると各省がこれによつてやるのだというのですが、そうでなく内閣総理大臣勧告した場合、内閣総理大臣はその勧告をそのまま受取るかどうか、そこが問題だと思う。そうしてそれがある程度の制約を持つのかどうか。
  88. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 これは法律的に申し上げれば、審議会諮問機関でございますから、審議会勧告が総理大臣をただちに拘束してしまうというふうには考えられません。ただこの審議会の結論は、各行政機関、各都府県意見の総合されたものでございまして、ここで愼重に練られました案自体については、内閣総理大臣もこれを十分尊重し、また各省もその結論を尊重して行政の実施に移す、こういうふうに考えております。
  89. 深澤義守

    ○深澤委員 そういたしますと、ここに重大問題が起つて来るわけです。開発審議会の任務というものは、單なる諮問機関でなくて、非常に大きな権威を持つて来るということは、これはもう今までの意見を総合してはつきりわかつて来ると思います。そうすると、この審議会に対しまして、第四條第二項の一、二、三、四、こういうことの権限を全部この法律によつてまかせるということになりますと、非常な大きな権限を審議会自体が持つことになる。われわれはそういう結論になると解釈するのでありますが、こういう漠然たる法律によつて、これだけの権限が審議会に移つてしまうということになりますと、これは国会というものが、まことにこの国土総合開発については、あまり大きな権限をこの法律によつて審議会にまかせ過ぎる。そういうことから申しまして、われわれは非常にこの審議会の立場というものを、重大に考えなければならないという結果になるわけでありますが、国会はほとんど常に召集されているのであります。従つてわれわれは、こういう国家の再建に重大な総合計画を、国会から離れてこの審議会がやつて行くという結果になるとすれば、国会はまつたくこの国土総合開発については十分審議する権限というものを、なくしてしまうという結果になると思うのであります。従つてこの審議会というものは、他の審議会よりも非常に重大性を持つて来るというように、われわれは解釈するのでありますが、その点の解釈はどういうぐあいに考えておられるのでございましようか。
  90. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 審議会の性格につきましては、先ほども申し上げましたように、諮問機関であります。ただその案自体が関係各省及び都府県意見が総合されて、その結果その合理性、妥当性に基いて、各省の行政の実施の上において十分尊重されて行く、こういうのでございまして、この審議会は総理大臣の諮問機関でございまして、国土計画に関しまする行政を進める上においての一つの機関でございます。従いまして国会は行政府の国政についての審査をなさる権限があるわけでございますので、国会としては国会の立場から、国土計画内容なり、あるいはその実施の状況についての御審査が当然あるのじやないか、これによつて国会の権限をどうということは絶対にないと考えております。
  91. 深澤義守

    ○深澤委員 われわれはこれだけの重大な法案を、会期をもう余すところ二日にすぎない現在において、しかも国会が通してしまう。こういう例があるわけです。従つて今後といえども政府はこの審議会において決定されたことを総理大臣に勧告し、そうして具体的な計画についてはまた国会に対してこれをどんどん出して来ると思う。そういうような意味からいつて、こういう大幅な権限をこの審議会にまかせるということに対しては、どうもわれわれ不安に思うのであります。  それからその次に第四條の三項でありますが、「国土総合開発審議会は、総合開発計画について必要があると認める場合においては、内閣総理大臣を通じて、関係行政機関の長に対し、意見を申し出ることができる。」こういうぐあいに、従来の単なる内閣総理大臣諮問機関という程度でなしに、総理大臣を通じて各関係行政機関の長に意見を申し出ることができるというぐあいに、單なる諮問機関でないというような積極性を持つているわけで、これはどうも私は單なる諮問機関ではないと思う。この意見というものは、合行政機関をある程度制約するのではないかというふうに解釈できるのですが、その点はどうですか。
  92. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 国土総合開発審議会が、内閣総理大臣を通じて関係行政機関の長に意見を申し出るという点につきましては、国土総合開発計画ということ自体が各省のそれぞれ所管の行政でございますので、これは單に内閣総理大臣に対して意見を申し出るということでなく、内閣総理大臣を通じて行政機関の長に意見を申し出る、こういたした次第でございます。この意見を申し出るということは、これは従来の審議会にも幾多例があるのでございまして、意見を申し出ました場合に、それがただちに行政機関の行政を拘束してしまうというふうには考えておりません。
  93. 深澤義守

    ○深澤委員 諮問機関というものは、内閣総理大臣から諮問されて、初めて答申さるべき性格のものである。受身の立場にある。それが積極的に内閣総理大臣を通じて各行政機関に対して意見を申し出ることができるということは、これは諮問機関としての権限から逸脱しておるようにわれわれはは考えるのですが、どうですか。
  94. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 私どもが普通の諮問機関と申します場合には、その意見が受身である場合、あるいは積極的な意見の申出の場合にも、その意見がただちに行政機関を拘束してしまうという場合には、これに議決機関といいますか、そういう性格を持つわけです。それが行政機関をただちに拘束しないという意味諮問機関とかように申し上げておるわけであります。
  95. 深澤義守

    ○深澤委員 それは各行政機関に対して内閣総理大臣を通じて意見を申し出るということでありますれば、内閣総理大臣から各行政機関、つまり内閣の下にある行政機関に対して、内閣総理大臣意見を通ずるということになりますれば、勢いある程度の制約を持つと思うのです。そういう意味からいつて内閣総理大臣に対していろいろな意見を申し出る、いろいろな諮問に答申することはいいが、内閣総理大臣を通じて各行政機関にこれをするということ自体は、私はどうも諮問機関としての権限を逸脱しておるというぐあいに解釈できるわけですが、こういう点はあまり議論してもしかたがありません。  その次に第五條で「内閣総理大臣は、都府県が作成した総合開発計画について前條第一項の規定による報告又は勧告を受けた場合においては、その報告又は勧告に基いて、当該総合開発計画を作成した都府県に対し、必要な勧告又は助言をしなければならない。」こういうことになつておるわけです。この勧告、助言ということは内閣総理大臣地方庁にするわけですが。これはつまり地方の今までの官僚的な機関としては、内閣勧告あるいは意見というようなものに対しては、非常な拘束力を持つことになると私は思うのですが、この点はどういうぐあいに解釈されておりますか。指示とかあるいは通牒とか、そういうものと同じような力を持つと思うのですが、その点はどういうぐあいに御解釈になりますか。
  96. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 これも勧告、助言でございまして、都府県をこれによつてただちに拘束する、あるいは命令、通牒、指示というような意味は持つておりません。
  97. 深澤義守

    ○深澤委員 私は法文にはそうあつても、これは地方自治体の独立性を非常に押える一つの結果になることを心配するわけであります。それから特別地域の問題ですが、十四箇所の開発計画があられるということが先ほど御説明にあつたわけでありますが、大体この十四箇所の開発計画は、どの程度の内容を持つておるのか。それからこれに対する外資の導入というような問題も相当考えられておるようでありますが、大体この十四箇所の開発計画についての概要をお伺いしたい。
  98. 今泉兼寛

    ○今泉政府委員 先ほどもちよつと申し上げましたが、一応今まで建設省も、私の方の安定本部ももちろんこの指定については相談は受けておりますが、本法案に基く特定の地域とは精神は一にしておりますけれども、すぐ今まで指定された十四地区が、そのままこの法案に基く特定地域になるかどうかということは、今後十分検討を要する問題であろうと考えております。従つて今の特定地域がこのまま指定になるかどうかは、今日まだ予測がつかぬ問題でございます。それからなおその具体的な問題につきましては、従来建設省が主としてやつておりますが、資金的な関係におきましては、できるだけその特定地域に指定された場合の、たとえばそこの道路の開発であるとか、それから河川の改修であるとか、そういつた公共事業費でつけ得るものは、なるべくほかの地域と違つた意味において、つまりほかの地域との厚薄をつけて、できるだけそこに重点的につけてくれということでやつておりますが、必ずしもこの計画国家で総合国土計画として確定的にこうだということで各省を拘束するまでに、まだ現在においてはなつておりませんので、従つて農業に幾ら、港湾に幾らという現在のつけ方は、今までどれだけついておるか、この問題はきようは数字は持つておりませんが、調べればわかりますが、しかしその際にこれをなるべくつけろということを国がといいますか、内閣の方から各省大臣に言うて、それを強制をもつてつけておるという次第ではございません。今後これに指定されましたならば、同じ十條の六項にあります通り法律でどういうふうなつけ方をするかという問題は、今後法律内容できまる問題であろうと思いますが、その法律のきめ方いかんによつては、今度は各省も拘束し、国もまた義務を負つて、ある程度の金は特別に出さなくてはならぬ、こういうことになろうかと考えております。
  99. 深澤義守

    ○深澤委員 現在つくられている国土開発審議会政府答申をしておる電源開発の問題でありますが、これは過日の新聞に発表されておるわけであります。発電のキロワットは二百九十万キロワット、その工費は千八百九十七億というぐあいに答申をしておるわけであります。これは当然この国土総合開発計画として採用することになるであろうと思うのですが、どういうぐあいになりますか、その点をひとつ伺いたい。
  100. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 ただいまの数字は安定本部から国土開発審議会の方へ答申いたしました内容に三十二河川ございまして、三十二河川のうちのいわゆるA項という位に属する九河川の開発計画のまだ原案でございますが、それを集計した数字でございます。従いましてその数字を今後先ほど申しましたようにどういうふうな資本のソースで、どういうふうな開発形態で、いつからやるかといつたような具体的な問題は、今後の審議会に残された課題であろうと思つております。従いましてこの審議会ができましたあとで、その問題をさらに深めるのではなかろうかというふうに考えております。
  101. 深澤義守

    ○深澤委員 これはこの国土開発計画審議会審議いたしまして答申いたしました最初のものですか、その点を伺いたい。
  102. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 国土開発審議会内容に関しましては、安定本部事務局ではやつておりません関係上深く存じ上げておりませんが、ただいま申しました安定本部から答申いたしましたものに関しては、審議会の方で十分御審議つて、総理の方へ答申したものと考えております。
  103. 深澤義守

    ○深澤委員 どうもこの国土総合開発のねらいが、まず第一番に答申された電源開発をやろう、こういうぐあいにわれわれは考えるのです。そのために非常に急いでこの法案を通そうというぐあいに感じておるのですが、その点はどうですか。
  104. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 今までの国土総合開発審議会と、今度の法案成立に伴いまして、成立いたします国土総合開発審議会との関連の問題は、現在の内閣にございます国土総合開発審議会がそのままこの法案審議会になるかどうかという点に関しましては、一応法案の建前上は別のものという御解釈を願つていいのではなかろうかと思いますので、この法案に基きまして新たに成立いたします国土総合開発審議会で、今申しました現存いたしております国土開発審議会答申案を、どういうふうに今後処理して行くのかという点に関しましては、新しい審議会ができてからあらためて検討するのではなかろうかと考えております。
  105. 深澤義守

    ○深澤委員 以上相当私は質問いたしましたけれども、何もつかめないのです。まことに漠然としたものでありまして、その内容が何にもないわけであります。どうもこういう案をこういう会期の切迫した現在において審議を求められることは、われわれは非常に不満であります。なお私は最後に希望しておきますが、いろいろな試案や計画案がございましようが、それがこの法律によつて実施できる、できないかはともかくといたしまして、一応今まではこういう程度のことをやつてつたが、これも一つの参考になるであろうかという程度の資料の提出くらいはやつてもいいのじやないかと思う。それがこの法案審議に対して、政府の今までの非常な無責任を、せめてカバーする一つの仕事に私はなると思うのです。従つてこの法案をただ漠然と出されても、まことに雲をつかむようなことになるので、今からでもおそくないから、私はその資料の提出をお願いいたします。
  106. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 森山欽司君。
  107. 森山欽司

    ○森山委員 国土総合開発法という、見ようによつてはきわめて重要な法案が余すところ会期二日の今日、審議されておるような状況でございますが、こういう法案の提出の仕方について、委員長はどうお考えになつておるか、御所見を承りたいと思います。
  108. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 森山委員からのお尋ねでございますが、もちろん会期わずかに余すところ二日というときに、かような法案が出るということは、われわれとしてはこれに満足の意を表するわけに行かないのでございますが、かように遅れて提出になつたことに関しましては、それぞれ政府当局におかれましても、いろいろと事情があることと存じますので、こちらに回付になつた以上、われわれとしてはできるだけ十分な審議を途げた上、通過させたい、かように考えておる次第でございます。
  109. 森山欽司

    ○森山委員 提案理由説明によりますと、内閣国土総合開発審議会なるものが設置されまして、この審議会答申に基いて、内閣において検討の結果、この法案が提出される運びになつたそうでありますが、この総合国土開発審議会には與党である自由党より数名の議員が入つておりまして、この法案審議には相当の御関連があつたのではないかと考えられるのでありますが、われわれ野党の立場から申しますと、この法案にお目にかかるのは、昨日、今日でありまして、従つてその意味において與党の立場から申しますれば、この法案については、あるいは十分御検討の時間があつたかもしれませんけれども、野党の立場からはその審議期間がわずか二日間をもつていたしましては、これはきわめて不十分であるということをいわざるを得ないのであります。この点について委員長のお考えを承りたい。政府から出される重要法案がわずかの会期であろうとなかろうとそれをのんでしまう、むり押しをして行くことになりますれば、これは国会の権威をそこなうものであります。特にこの法律成立しないことによつて、一日を争うほどの重要な意味を持つておるものなら別でありますけれども、その重要性は長きにわたる問題であつて、むしろこの法案審議は来るべき臨時国会において検討する方が、より適当であるという考え方を私はいたすのでありますが、委員長の御所見を承りたいと思います。
  110. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 ただいまの森山君の御質問は、委員長に対する御質問というよりは、むしろ政府に対する御質問のように考えますので、政府当局から御答弁があると思います。
  111. 西村久之

    西村(久)政府委員 御意見通りに、この法律案が重要な法律案であることは、政府といたしましてもこれを認めておるわけであります。議員各位とまつたく同感であります。従いまして本法律案をなるたけ早く国会提案いたしまして、愼重御審議を願つて、一日も早く通過させていただくことを念願して立法いたし関係方面との折衝に当つて参つたのでございますけれども、残念ながら一昨日夕刻にようやく関係方面との連絡がついて参つたのでございます。それで施策が遅れたような事情になつておるわけであります。従いましておしかりのような、提案が遅れたことについては、重々政府としてもおわびを申し上げて御了解を願いたいと考えるわけであります。今森山さんがお尋ねになりましたような関係は、これは委員各位の審議関係になるのでありまして、提案いたしましても会期が短かくして議了がおぼつかない。もし日時を要するということでありましたならば、国会法規定に基きまして、議に付して会議に上すべきでない、かように考えております。これは国会委員会での処置の関係でありますので、政府にはその責任はないわけでありまして、提案いたしまして御審議を願つております関係上、会期は短かいといたしましても、政府といたしましては、すみやかなる御審議を願いまして、本案の成立をこいねがう次第であります。
  112. 森山欽司

    ○森山委員 審議期間がはなはだ短かいということにつきましては、政務次官もおつしやるごとく、最後国会あるいは本委員会の自主的立場において決定すべきものであると思いますので、この問題につきましては、後ほど與党並びに野党の諸君と御検討の時機を得たいと思うのであります。  これに関連してお尋ね申し上げたいことは、従来の総合国土開発審議会の内部に国会議員の方が相当入られておつたようでありますが、やはり国会議員の方がこの新しい国土総合開発審議会にも含まれるようになるのかどうか、お伺いいたします。
  113. 西村久之

    西村(久)政府委員 その点につきましても、先ほど来御質問がありましたのでお答え申し上げてあるのでございますが、国会議員の方々がこのメンバーに入られるということは、院議の決定をまたなければならぬのでございます。院議を尊重する意味から詳しい文句を表わしておりませんが、学識経験者というような立場でお入りになることを院議でお認めになりますならば、当然入り得られるものと信じておるわけであります。ただ国会承認がなければ、御承知通りこの委員と兼務することには相ならないと存ずるわけであります。
  114. 森山欽司

    ○森山委員 もとより国会議員が入る場合には院議承認がいるわけでありますけれども、その前にまず政府側の意向というものがあろうと思いますので、お伺いしたのでありますが、さらに重ねてお伺いいたしたいことは、その場合、かかる重要な国土総合開発というような問題を、従来の総合国土開発審議会のごとく、與党の議員のみを入れるというような形において運営して行くのであるか、あるいは社会保障制度の審議会などに野党からも人を入れておるのでありますが、そういう形において構成せられるのであるか。それについての政府のおよその御意見でもけつこうでございますが、お伺いいたしたいと思います。
  115. 西村久之

    西村(久)政府委員 御意見のうちにありました通り、すなわち適当なる学識経験者でありますならば、朝野を問わぬのであります。さように御了承をお願いいたします。
  116. 森山欽司

    ○森山委員 次にこの国土総合開発法によりますと、電力の規模並びに配置等もその対象になつておるようでございますが、現存承知通り、電力法案委員会において行き悩みの状況でありまして、今の見通しでは国会を通過することはおそらく困難であろうと思われるのであります。万が一通過しない場合におきましては、電力の分割についての今後の方策は、この新しくつくられる国土総合開発審議会の議を経て、その結論を出されるのであるかどうかというようなことについても、御意見をお伺いしたい。
  117. 西村久之

    西村(久)政府委員 ただいま御審議を願つております電力分割法案とこの法案とは、関係がすこぶる遠いような感じがいたしますが、分割されましようとも、分割されずに法律案が握りつぶしになりましようとも、国家的観点の上に立ちまして、電力を開発して行かなければならぬ。この重要性の度合いを勘案の上施行いたして参りたい、かように考えるわけであります。
  118. 森山欽司

    ○森山委員 私は、今度の電力分割の法案のいかんによつては、将来の開発並びにその資金問題が、結果として非常に大きくクローズ・アツプされて来ると思うのであります。そういう見地からいたしますならば、電力の問題はひいてはそれに関連する産業に非常な関係を持つて参りますので、やはり電力の分割問題はさらに再検討をしなければならないかもしれないと思いますが、そういうことについてはどうお考えか、お伺いいたします。
  119. 西村久之

    西村(久)政府委員 分割法案が通過いたしますと、地域的に電源開発の要を訴えるところが出て来ることは御意見通りであります。そういうふうな関係はこの国土総合開発法によりまして調整をして確保して行きたい。そうしてなるたけ電力の需給の調整をはかつて行きたい、かような考えを持つております。
  120. 森山欽司

    ○森山委員 そうすると、この法案の立場からいたしますならば、電力法案に再検討の必要があるということはお認めになりましようか。
  121. 西村久之

    西村(久)政府委員 その点については、そういうふうに考えておりません。
  122. 森山欽司

    ○森山委員 済みました。
  123. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 ほかに御質疑はありませんか。――御質疑がないようでありますから、本連合審査会はこれをもつて一応打切ることにいたしたいと存じます。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 それでは本連合審査会は、これをもつて打切ることにいたします。  散会いたします。     午後四時二十九分散会