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1950-04-27 第7回国会 衆議院 経済安定委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十七日(木曜日)     午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 小野瀬忠兵衞君    理事 小川 平二君 理事 志田 義信君    理事 多田  勇君 理事 永井 英修君    理事 笹山茂太郎君 理事 米原  昶君       田中不破三君    福井  勇君       細田 榮藏君    南  好雄君       勝間田清一君    成田 知巳君  出席国務大臣         国 務 大 臣 青木 孝義君  出席政府委員         大蔵事務官         (理財局長)  伊原  隆君         通商産業政務次         官       宮幡  靖君         経済安定政務次         官       西村 久之君         大蔵事務官         (外資委員会事         務局長)    賀屋 正雄君  委員外出席者         議     員 河田 賢治君         專  門  員 圓地與四松君         專  門  員 菅田清治郎君 四月二十七日  委員田廣文君及び三宅正一君辞任につき、そ  の補欠として勝間田清一君及び成田知巳君が議  長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  外資に関する法律案内閣提出第一八五号)  外資委員会設置法案内閣提出第一八六号)     —————————————
  2. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 ただいまより会議を開きます。  これより内閣提出第一八五号、外資に関する法律案内閣提出第一八六号外資委員会設置法案一括議題といたし、質疑を行います。  この際お諮りいたします。ただいま大蔵委員河田賢治君より委員外発言を求められております。これを許すに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 それでは委員外ではありますが、まず河田賢治君より質疑を許します。
  4. 河田賢治

    河田賢治君 本案についてまだ十分に検討はしていないのでありますが、先日大蔵委員会外国人に対する租税の減免の法律関係いたしまして、当委員会連合審査を申し込んだのでありますが、時間の関係でできないというお話でありましたので、二、三のこれに関連する問題について政府に質問いたしたいと思います。今日日本経済がいまだ非常に変態的であり、かつまた日本輸出にいたしましても、きわめて不十分であり、る。こういう場合に、特に外国資本導入をはかつて日本経済を再建するということでありますが、これに対して外資導入し、はたして日本産業を発達させ、また外国に対するいろいろな輸出を発達させるという見通しがありますかどうか、この点について基本的な問題として一応質問したいと思います。
  5. 青木孝義

    青木国務大臣 外資導入のことは御承知通り、かねてから国内におきましてもいろいろと問題があつたのでございますが、日本のような戦後の状況からしまして、国内蓄積資本が破壊されており、またその後の経過から見まして、やはり貿易振興をはからなければならぬ。それには国内産業発展を企図しなければならぬということとあわせて、資本の欠乏というか、資本が足りないような関係から、やはり外資導入するということによつてわが国資本の増加をはかり、産業発展をはかると同時に、貿易振興をはかるというような一連の考え方が、一応正しい考え方であるというふうに自分は思つておりますので、そういう意味から、できるならば外資導入ということは、政府といたしましてもこれに助力して、日本経済自立とその健全な発展、あるいは国際収支改善に役立つような外資に対しては、これをなるべく導入するという態度をとらなければならぬ。それが日本経済の将来の自立のためにも、また将来の経済発展自体にも、必要であるというふうに考えておる次第でございます。
  6. 河田賢治

    河田賢治君 そうしますと、日本経済発展させ、自立化をはかるというのでありますが、具体的にたとえばその反面、日本経済復興に悪影響を及ぼすと認めるような場合には、外資委員会は認可したりあるいは許可したりしないということになつておりますが、これはどういう意味に解していいのですか。
  7. 青木孝義

    青木国務大臣 外国資本わが国に投下されるという場合におきまして、もしこれが日本経済が正常な状態にございますれば、きわめて自由な立場でこれを受入れるということになろうかと思いますが、現在の日本経済状態のもとにおきましては、やはりそこに一応の基準を定めまして、認許可制をとつて行くということが必要であるという意味で、外資委員会日本経済自立、あるいは健全なる発展ということ、そういうことを阻害しないように、またそれを発展させるような、しかもその上に国際収支の上で、貿易上の逆な状態を順に求めて行くというような態度で、外資導入というものを進めて参りたいということであります。
  8. 河田賢治

    河田賢治君 具体的な例を申しますと、たとえば最近外国資本によつて日本専売権を購入する。これは薬の問題でありますが、たとえばストレプトマイシン、これは本年政府でも七億ばかり外国から買うことになつております。ところが向うではこのストレプトマイシンは、いわば生産技術方面から申しますと時代遅れになつて来た。それ以上のものが最近出て来た。ところが現在外国相当滞貨になつておるものを日本政府が買い入れ、そしてまたこれを一応売り揃うころに、日本事業会社向うの古いストレプトマイシン専売権を購入して、日本生産する。ところがそれはもう先方にとつてみれば時代遅れになつておるのでありますが、こういう事業を高い特許料を出しまして、日本生産する、生産した後においてまた向うではさらに新しい進んだものができておるとすれば、それが入つて来るわけでありますが、こういう場合には明らかに、何と申しますか、時代遅れなものを日本としては新しく思つてそれを買い入れる。しかも買つたものができ上つたころには再び向う製品が入つて来る。こうして結局国内経済というものは極端に二重にも、三重にもこれは破壊されることになるのでありますが、万一こういうような結果がはつきり現われるような場合には、外資委員会あるいは政府においては、こういう問題に対してはこれを許可しない、あるいは認可しないというようなお考えがありますかどうか、この点をお伺いしたい。
  9. 青木孝義

    青木国務大臣 ストレプトマイシンの例はよく存じませんが、向うの遅れた技術あるいは遅れた非常に古い製品であるというようなお言葉でございますが、日本としては新しいもつと進んだ同一の薬品ができるといたしましても、日本の全体需要から見れば、足りないというような意味で、これをさらに生産しなければならぬ。その技術導入等につきましても、もちろんそういう場合におきましては、十分外資委員会はこれについて検討いたしまして輸入を許可する、あるいはその技術契約を行うというような態度でやつて行くべきであると考えております。
  10. 河田賢治

    河田賢治君 それではもう一つ例をあげてお尋ねしますが、現在石油などにおきましては相当外国資本が入つております。ほとんど日本石油の販売につきましては、外国資本に支配された状態であります。ところで向うからやはり相当技術者が入り、あるいは高給労働者が入つて来ております。たとえばカルテツクス等におきましては、二百名の全従業員のうちで、わずかに二十名の外国人である。あと百八十名が日本人でありますが、しかも賃金支拂い額におきましては、八百万円から一千万円を二十人に対して支拂い日本労働者に対しましては、百八十人に対して二百万円にすぎない。従つて一方においては月四十万から五十万所得があるのでありますが、日本人はわずかに一万一千円内外、これはまた精油会社等におきましても同様であります。しかもこれらがアメリカ本国におきますよりも大体月四倍から五倍、日本における所得の方が多いわけであります。こういうふうな状態外資が入つて来れば、これは明らかに日本労働者にとつては、労働強化も行われ、きわめて低賃金で働かされながら、しかも他方外国のわずかばかりの労働者に対してはこういう高給のものを拂つておる。しかもこの所得外貨予算によつて安全に保証されるということになれば、これは明らかに日本経済復興に対して、私は役立つていないと思います。こういうような状態のもとに今後外資導入が行われ、ますます日本経済がこうした連の外国資本によつて支配される形態になると思いますが、こういうことに対してもやはり政府は、日本経済復興に惡影響を及ぼさないものとして、こういうものを認可し、あるいは許可される方針でありますか、この点をお伺いした。
  11. 青木孝義

    青木国務大臣 ただいまのお話のカルテツクス・オイルの関係は詳細は存じませんが、御承知通り外国技術導入するという場合におきましては、為替の関係とか、あるいは特殊の技術であるとかいうような場合においては、やむを得ずその場合日本の労銀というものとは比較にならない高いものにつくというようなことがあるかもしれません。しかしこれは大体導入する場合において、技術導入契約の場合における一つ契約に基いて行われておると思いますが、この点については多分私の考えでは、外資委員会は全般的にはこれについて一応の審査をいたしておると思います。詳細の点についてどの程度審査をいたしておりますか、私にもはつきりわかりませんが、ともかくそういう点はなおわれわれの方としても調査してみる必要があるかと思います。但し、これはやはり個々にそれぞれの契約の場合において取組まれるものと考えますので、そういう点についても、できるだけ認許可の場合に條件となる点については、有利にこれを考えるということは当然の考え方だと思います。
  12. 河田賢治

    河田賢治君 それでは最近の政府がこの法律に基いて、大体外国資本あるいは技術導入しまうという、こういう一体産業なり、公益事業、あるいは国際收支改善に寄與する事業、こういうものをどのようにお考えになつておりますか。
  13. 青木孝義

    青木国務大臣 今までのところ、昨年の三月出発以来を見ますると、件数におきましても大した件数には上つておりませんし、かつまた目ぼしいものはあまりこれまでのところではございません。そこで政府といたしましても、なるべく外資導入を求めるというような意味で、この外資導入を自由にとりはからうというようなことも相当に強く考えておりましたけれども、しかしながら先ほどから申し上げるように、日本経済自立を阻害するというようなことがあつてはならないというようなことを考え、かつ日本経済現状から見て、できるだけ有利なものをということを考えましたので、今回の外資導入に関する一定の基準を問題にした法案提出いたしまして、御審議を願うということに相なつておるのでございまして、これまでの状態についておもなるものについては、政府委員からお答えをいたすことにいたします。
  14. 河田賢治

    河田賢治君 そういたしますと、今はつきり内容を仰せられないのですが、日本の現在の経済情勢からいいますと、外貨を獲得する、輸出振興するということになれば、当然日本はこういう資本が入りまして、生産が増大する。国外に出て輸出は増大する。こういう形になれば、勢い輸出保証というものが各国において相当とらなければならぬと思うのであります。ところが御承知のようにアメリカにおきましても、日本輸出の大半をなしておりました生糸等はあまり売れませんし、しかも織物等におきましては非常に高い関税がかかつておる。戰前から見ますれば、二倍、三倍というような関税がかかつておる。陶磁器においても同様であります。こういうふうに日本から輸出するものについては、相手方は保護関税をもつて、できるだけ日本品を買わないという方針をとつておりますから、外資が入りましても外国がこれによつて輸出保証しない限りは、とうてい日本産業が、国内のみの非常に狭隘な市場においては消化することのできないような場合、これに対して十分な保証を與えるというような態度各国政府、特に外資を入れるそれぞれの政府においても、適当な方法を考えさすようなことを考えておられるかどうか。またこれらの保護関税に対して、当然日本産業発展さすためにも、むちやな関税をもつと下げさすような意向がおありですかどうですか。
  15. 青木孝義

    青木国務大臣 貿易の問題につきましては御承知のようにどんどん貿易協定等も各地と結ばれて参りまして、最近では多分二十二地域か、二十三地域貿易協定が結ばれておるというような状態でございますが、問題は関税であります。やはり将来の関税の問題について税率とか、そういう問題については、経済安定本部といたしましても、また大蔵省といたしましても、いろいろと検討をいたしておるはずでございます。
  16. 河田賢治

    河田賢治君 これは最初に聞いたことでありますが、たとえば今年の一月から三月外貨予算を修正されて、特にポンド圏あたりからの輸入を非常に抑制されるというふうに今日行き詰まつて来ておる。ところが今度は外資導入法によりますと、外国に対するいろいろな保証を一応外貨予算が與えて行くということでありますが、現在の政府が決定いたしておりまする今年度の外貨予算等によつて、これを十分に実行し得る見込みがおありでありますか、何らの変更なしにこれをやつて行ける予定であるか、その点をお伺いしたい。
  17. 青木孝義

    青木国務大臣 外貨予算の問題につきましては、最近新聞にも発表されておつたと思いますが、四月から六月にわたる第一・四半期の外貨予算状況というものがすでに発表になつておりますから、おそらく御承知のことと思います。われわれの考えといたしましては、輸出関係等は一月は相当に悪かつた。これは今年の一月一日から輸出輸入関係がだんだん民間に移されて来たという関係があり、あるいはそれについての荷送りの関係、手続の関係等があつて少かつたと思います。しかし二月はだんだん増加して参りましたし、三月にはわれわれの予想では大体予定のような数量になつて来ておる。そしてさらに四月、五月と、だんだんと状況は必ずしも悪いという状況ではないと思いますので、われわれの予想いたしております輸出六億二千万ドル、輸入十億二千万ドルという程度の目標は、達成せられ得るものと考えておる次第であります。
  18. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 この際河田君にお願い申し上げます。ただいま参議院の方から青木国務大臣に対しまして、本案に対する提案理由の説明を聽取したいから出席してもらいたいという申出がありましたので、しばらく席をはずさなければならぬということでありますが、他の政府委員でよろしゆうございますか。——それではもう一つだけお許しいたします。
  19. 河田賢治

    河田賢治君 最後に、現在御承知のように、日本中小企業はどんどん倒壊しておる。かつまた税金等においてもこれが支拂いに非常に苦しんでおるというふうな状態、また生産部門国内購買力がないために、ますます中小企業は倒れて行く、ところがこのようにして外人の投資家に対して特に保護を與える、あるいはまた税金の面に対しても、先日通りましたように、日本利子所得においては半分でよいとか、あるいは給與所得におきましても基礎控除所得の半額にする、こういうような状態で、外国人のためには特にいろいろな面から保護案つておられる。しかも日本事業家日本資本家に対しては大したことはまるきりできない。特に中小企業においてはその感を深うするのでありますが、かくまでして外国投資家保護をして外資導入する、これによつてやはり日本中小企業がなおかつ安全に、しかも今つぶれつつあるような中小企業復興への道をたどり得るものか、こういう見通しについて政府のお考えを承わらせていただきたい。
  20. 青木孝義

    青木国務大臣 外資導入関係につながる外国人生活保護するとか、あるいは外国人経済的に保護する、そういう意味での問題は、もちろんいろいろとむずかしい問題もありますが、実際におきまして、外国人日本に入つて来られる、そうして日本人と同様な生活を営む、こういう場合におきまして、ひとり外国人だけを保護するということは不都合ではないかというような御意見も一応ごもつともでございますが、今日の日本におきまして外資導入することが、われわれの日本経済にとつて必要事であるということであります限り、やはり外国人日本におる場合においては、できるだけこれを保護して行くということも、当然これに関連して考えなければならぬ一つの事項だと思います。ことに中小企業問題等について、外資導入について社債のようなものはこれはおもに大会社というものが対象になりますが、中小企業等におきましても、技術導入というようなことについては、これは当然必要なことでありまして、御承知通り日本が戦争をしておる間に、科学技術等においては相当に遅れておる、そこでこういうものをとりもどして、日本の商品が外国市場において競争ができ得るというようなところまで持つて行くためには、どうしても外国の発達した技術導入することが必要であります。そういうことで、中小企業におきましても、そういう点においては当然利益を得ることができるのでありますが、しかしそういう点において、大企業中小企業を比べたらという問題になりますと、御承知通り日本中小企業というものは大体は大きな企業関連を持つておる関連産業であります。従つて企業外資導入されれば、従つて中小企業に対してもいろいろと潤つてるということも考えられるのでありまして、ことに造船等の問題になれば、御承知通り、ほとんど七割は関連産業にまわつて行くというのが常態だと言われております。さようなわけで、必ずしも中小企業を圧迫することになるとは考えません。従つて外資導入におきましては、大企業についても、中小企業についても、まず同様に考え行つてよろしいのであろうというふうに考えておる次第であります。ことに最初に申し上げました外国へに対する保護云々という問題は、外国人日本に参りましていろいろな経済活動を営みます場合、あるいは技術等導入に際してその技術員が入つて来るというような場合に、日本人と同様な生活を営むというようなことについては、多少われわれもゆるやかな考え方を持たなければならないだろう、同じような税金を納めて、そして自国にいるよりもより低い生活をしいて営ませるというようなことは、なかなかむずかしいことではありますし、また導入の場合の條件等もありましようし、それらについても相当緩和した態度で臨まなければならないというふうに、政府としては考えておる次第であります。
  21. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 この際委員各位にお諮り申し上げます。このほかにも委員外発言川島金次君から申出がございますが、委員発言がたくさんございますので、まず委員の方から発言を許して行きたいと思いますがいかがでございましようか。
  22. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 御異議なければさようとりはからいます。  質疑通告順にこれを許します。多田委員
  23. 多田勇

    多田委員 外資導入法案提出されたこと、その政府努力に対して敬意を表する次第でございます。ただこの法案審議するに際しまして、私ども一応頭に入れておかなければならない点、それは外資導入のこの法案提出に至るまでの間には、いろいろな方面検討され、あるいは日米合同審議会といつたようなものも持たれたというようなことを新聞紙上で承わつておりますが、この提出までの経過といいますか、その間において日本側アメリカ側との意見が、どのような形で相違しておつたかという点、あるいは日本側の内部においても、大蔵省あるいは通産省、経済安定本部等において、いろいろ意見の相違があつたようにいておりますが、これらの点について概略でけつこうでありますから、今までの経過を御説明願いたい。
  24. 西村久之

    西村(久)政府委員 ただいままでの経過の話をしろという御要求でございますが、経過お話申し上げることよりも、大体法案に示されたような線に今までの線があつたということに御了承願つて質疑を続けていただきたいと思います。
  25. 多田勇

    多田委員 お聞きするのは非常にむりかと思いますので、それでは政務次官の言われる通り法案内容について質疑をいたします。外資導入に対するいろいろな問題の障害を除去するということが、外資を急速に導入する。そこで法案に示されているような考え方で、外資を強力に導入するために、いろいろな障害を除去することが、この法案によつてある程度実現されているということは、私ども法案を読みまして感じている点でありますが、しかしなお相当程度障害があるのではないかという点を一応心配しているのでございます。たとえば国内における日本のいろいろな法律、これらが相当程度外資導入障害をなしているというようなものがありはしないか。具体的に申し上げますと、独占禁止法並びに事業者団体法が、外資導入する面で相当程度障害になつている点があるのではないか。これに対する政府考え方、並びに事業者団体法あるいは独占禁止法を、外資導入するために必要な限度において改正する御意思があるかどうか、この点をお伺いいたします。
  26. 西村久之

    西村(久)政府委員 御意見のように、外資導入する上において障害を生ずるというような場合につきましては、これを改正して行くことに努力するということを、ここで申し上げてよかろうと思います。
  27. 多田勇

    多田委員 そういたしますと、ただいまの御意見では、独占禁止法なり、あるいは事業者団体法なりにおいて外資導入するための障害相当あるという御意見で、近い将来これらの法律改正することをお考えになつているようでありますが、具体的にどのような点が障害となり、どの程度改正するお考えであるか。その点をお伺いいたしたいと思います。
  28. 西村久之

    西村(久)政府委員 独禁法等改正につきましては、日本政府だけの考え方で簡単に改正がととのわないというような関係等も伴いますのでいずれの点をどういうふうに改正するということは、今日ここで明言はいたされませんが、外資導入する上につきまして、支障を来すというような関係のところが伴いますれば、それに伴いまする関係法規改正につきまして関係方面とも連絡をとりまして、そうして日本政府として及ぶ限りの努力拂つて改正の実現を期したい、かように考えるわけでございます。
  29. 多田勇

    多田委員 たとえば事業者団体法で非常に制限されております点、事業者結合体は、共通の利益をはかることとを目的にして一切の事業活動をすることはまかりならぬという、非常に強い法律内容でありますが、たとえば特許権によつて外資導入するといつたような場合に、中小企業者がこの外資導入をはかろうという考え方を当然持つて参るだろうと思います。あるいは大企業と言われませんけれども、大企業に近い程度企業家にあつても、単独の企業体では、これらの外資導入することが困難だというような点から、ある程度の業者が集まつて、これらの外資共同導入するというようなことを一応考えるということが、日本経済現状だと思います。ところが実際問題といたしまして、共同でこれらの外資を受入れることが、日本法律に抵触するということになりますと、これらの技術の面でも外資導入の受入れには、非常に困難を生ずるという点があろう。むしろ事業者団体法があることによつて外資導入の非常に大きな障害となる点があるように私ども考えているのでありますが、これらの点について、政府当局がそれぞれの方面に折衝された場合、あるいは司令部側意見は、外資導入を一応どの程度考えられているか。前回の国会で改正になりました独占禁止法改正程度で、外資導入が行われるというような見解であるかどうか。この点をいま一応お伺いいたしておきます。
  30. 西村久之

    西村(久)政府委員 先ほども申し上げます通り、現在の独禁法によりまして、外資導入に、日本中小企業その他のいろいろな組合団体が、障害を来しておることを御心配になることは、一応ごもつともに存ずるのであります。御承知通り、この独禁法事業者団体法は、日本の財閥解体に伴いましてできて参りました法律でありましで、資本その他の関係が集中することを排除して、なるたけ資本の公平化と申しますか、そういう線に沿うように日本経済を仕向けたいという趣意のもとに、独禁法等はできていると考えられるのであります。従つて今お述べになりましたような関係の、中小企業以下の組合団体が仕事して行くということが、極端に独占禁止法に触れるというような関係のものにつきましては、今後政府といたしましても是正することに努力いたしますし、また関係方面とも折衝の上、御了解願うことに努力をいたしたい、かように考えるわけであります。個々の問題につきまして具体的に御説明申し上げるのは、問題が出ました際に討議をしなければ、今総括的にそういうものを独占禁止法、あるいは事業者団体法の適用を受けないような措置をとつて行くというように、ここで明答を與え得られない実情にあることを御了承おき願いたいのであります。
  31. 多田勇

    多田委員 政府の御苦心の点はよくわかるのでありますが、ただいまお話のように独占禁止法、あるいは事業者団体法が、日本経済の民主化をはかるための経済的な法律として、現に実施されているのでありますから、今問題になつております外資導入といたします際には、結局において中小企業者がこの線からはずれざるを得ない。むしろ独占的な大企業体外資導入することによつて、いろいろな経済活動をさらに強固にするというような危険性もあると思われますので、日本経済の実態に沿うように、政府において改正努力をしていただきたいということをお願い申し上げておきます。  その次に税の問題でありますが、税制の問題がやはり外資導入するために、非常に大きな問題だと考えております。現在国会に税に対する特別措置の法案が提案されているようでありますが、その法案内容と、政府のこれらに対するお考え方をお伺いしたいと思います。
  32. 西村久之

    西村(久)政府委員 租税の減免なり、あるいは外人の株式の利得を自由に向うへ送られて、安心して株式の取得等ができるというような関係等につきまして、政府としても実は考慮をいたしたわけであります。今回提案しております外資に関する法律も、そういうような線に沿うて立法いたしてあるわけであります。租税の特別措置に関する法律案は、国会に提案いたしてあるのでありますが、この点も、外国人を優遇すると申しますと、語弊があるかも存じませんが、ある程度租税を減免いたしまして、優遇しつつ、安心して外国資本日本導入することができやすいようにとりはからいたいという趣意で、租税の減免の特別措置法を国会で御審議を願つておるようなわけでございますから、その点は気分的にも税金が軽くなつたという気持で、外国人日本と取引と申しますか、外資日本導入するという一助となるのではなかろうか、かように考えておるわけであります。
  33. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 ただいま多田委員の御質問は、別途国会に提出されております租税の特別措置につきまして、外国人への課税をどう扱うか、その内容についての御質問もあつたようでございますので、簡単にただいま御審議つておじます同法案内容を御説明申し上げたいと存じます。  外国人に対して特別な取扱いをいたしております点は、およそ五点あるのでありまして、まず第一には外国人の持つております国債でありますとか、地方債、社債、あるいは株式、そういつた証券類の利子、配当の所得に対しまして課せられます所得税につきまして、一般の場合は百分の二十の税率でありますのを、その半分の百分の十としておるのが第一点でございます。  第二は、所得税の課税の原則から申しますと、国内に参つております外国人に対しましても、その外国人が本国で所得を得ております場合には、その所得も合算して税率をかけることになつておるのでありますが、昭和二十五年から三十年までの期間を限りまして、海外の給與所得は、原則として合算をしないという特別の扱いをいたしております。ただ日本に参つておりまして、通常生活に必要な金額を越えるような金額につきましては、加算するという例外はございますが、原則として海外の所得はこれを合算しないということにいたしております。  第三点は、一定の業種、たとえば日本経済の健全な発展のために、外国資本でありますとか、技術導入を必要とする事業でありまして、一々どういうものがこれに該当するかは、大蔵大臣が外資委員会で協議してきめることになつておりますが、そういつた事業を営みます法人から受けます給與の所得、それから退職所得、これにつきましては、その法人で働いております外国人全部につきまして、控除を日本の普通の場合と違つた取扱いをいたしております。すなわちその受けました金額の半額を控除する、ただその限度は一応三百五十万円で押えるということになつておりますが、半額を控除するという規定になつておりまして、課税の軽減をはかつておるのであります。ただこの場合も、業種がそれに該当すれば、どんな会社であつても、そこに使われておる外国人は全部適用されるというのではないのでありまして、さらにその法人自体に一定の制限がございまして、一億円以上の外資が入つておる場合に限られておるのであります。この一億円の算定の仕方等につきましては、別に定めることになつておるのであります。それから、今申し上げましたのは、直接重要な産業を営んでいる会社に働いております外国人の場合でありますが、そういつた外国投資家事業活動を一層容易にするような、関連しております事業活動、たとえば銀行でありますとか、保険でありますとか、そういつた事業を営んであります法人から受けます給與所得、退職所得につきましても、昭和二十七年から三十年という、同様の期限を限りまして、同じく半額の控除を認めるということにいたしております。それから同じく所得税の控除につきましては、学校教育法弟一條に規定する大学、高等学校に勤めております外国人の教員の所得につきましても、同様に二十七年から三十年まで半額を控除するということになつております。  第四には、これは別に業種でありますとか法人というようなことを限定いたしませんで、日本に住んでおります外国人全体につきまして、一般的に昭和二十五年分の所得と、それから二十六年分の所得と、この両年度の所得に限りまして、やはり半額の控除を認めるということになつておるのであります。  第五番目には、富裕税につきまして、外国人が国外に持つております財産を算入いたさないということにいたしております。  以上五つの点につきまして、外国人につきまして一般と異なつた取扱いをいたしております。
  34. 多田勇

    多田委員 ただいまお話の一億円以上の外資が入つている会社という一応の線を引いておられるようでありますが、この線を引いたのはどういう考え方でこの線を引かれたのか。また現在考えられている会社はどのようなものを一応考えられておるか、その点をお聞きいたします。
  35. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 ただいま御説明いたしましたように、外資が一億円以上入つている法人に勤めております外人に限つて特別措置をいたすことになつておりますが、この一億円の算定は、貸付金というような形で外資が入つております場合でありますとか、それからその会社事業に使われますものを現物の形で入れております場合、それからその会社と、技術契約をいたしまして、無体財産権の形で入つているようないろいろの投資の形態があるのであります。それから株を持つ場合ももちろん入るわけでありますが、ただいまのところでは、ただ株式投資の形態で一億円を越えておるという会社は、たしか現実にはないように記憶いたしております。しかしながら今申しましたような無体財産権の形による、いわゆる工業所有権を、何らかの方法で評価いたしますれば、これは相当な金額に上るものもあろうと思いまして、これを通算いたしますと、この計算の方法につきましては、まだ確定的にはどういう方法でやるかということがきまつておりませんが、それがきまりまして計算いたしますれば、あるいはこれを越えるものも出て来るのではないかと考えております。具体的にどういう会社かこれに該当するかということは、ただいまちよつと見当がつきかねるので申し上げることができないのでありますが、御了承を願います。
  36. 多田勇

    多田委員 その次に旧外債の処理の問題でありますが、外国資本家日本に投資をする場合におきましては、日本に対する信用をさらに一層深めなければならないということは申し上げるまでもないことでありますが、現在の四億ドル以上の外債の処理を、どういうように日本政府考えられておるか、この点についてその考え方をお伺いしたいと思います。
  37. 伊原隆

    ○伊原政府委員 戦前の外債につきましては、ただいまお尋ねの通り、残高がドルにいたしまして一億五千八百万ドル、それから未拂い利子が一億一千百万ドルあると記憶いたします。一ドル三百六十円と換算いたしてみますと、九百二十九億円の未償還現在高があります。未拂い利子にして四百億というふうなものがあります。これにつきましては多分昨年の秋でありましたか、吉田総理大臣から日本としては、できるだけ早い機会に旧外債の誠意ある処理をいたしたいというお話がございました。日本政府の正式な態度としては、その総理大臣のお話最初のものであり、それから現在におきましてもそういう方針であります。ただ具体的にいかなる時期におきまして、いかなる金額の利拂いを開始するか、それから未償還の現在高をいかに処理して参るかということにつきましては、現在の段階におきましては、まだ確定いたしておりません。ただ、今お話通り、今後外債をもし募集し得るという状態が来た場合におきましても、日本としては過去の外債を誠意をもつて処理するということが第一の要件でありますので、できるだけ早い機会に誠意をもつて処理いたしたい。こういう考えについては、かわりはございません。
  38. 多田勇

    多田委員 日本企業形態を健全なものにするということが、外資導入する一つ條件になつて来ると考えておるわけでありますが、現在の日本企業体そのままで外資を受入れるということをどの程度考えておられるか。また外資導入するために、当然企業の整備というものを行わなければならないということも一応考えられますが、この外資導入するために行う企業の整備ということを、政府考えておられるかどうか、この点をお尋ねしたい。
  39. 宮幡靖

    宮幡政府委員 お尋ねの点は、ただいまの段階においてはちよつとお答えしにくい点があるのでありますが、ただいま通産省といたしましては御承知のように、ただに外資導入だけでなく、企業の合理化もはかつて行きたい。当然外資が入つて参ります場合には、日本人企業家と違いました面から企業状況を診断いたしまして、いろいろな整備事項等の要求もあろうかと思いますが、これが現在やつております合理化促進の線と一致いたしますれば、まつた條件が整うわけであります。しかしさようでない場合においては、外資導入に対する條件としていろいろな御注文があろう思います。ただいまのところでは、あらかじめ予定いたしましてかようなふうに企業を整備して行こう、こういうふうな構想は持つておりません。御承知のように、外資というものについての考え方を單に株式投資だと推定いたしますと、おおむねただいま審議いたしております商法の改正等ともにらみ合せますと、優先株式であり無議決権株であるということがほんとうの筋になろうと思います。無議決権株であつた場合の経営参加は、どういう形態でなされるものか、これも大いに研究を要するところでありまして、この外資導入によつて日本企業を整備しようなどということは、われわれの省としてはただいま考えてないことは事実でありまして、今後ともさような面におきまして強い要求を受けようとは考えておらないのであります。  なお先ほど多田委員からお尋ねのありました中に、中小企業外資導入が困難であろうというお言葉がありましたが、大企業事業者団体法に抵触いたしますような方法によつて外資導入をいたしますことは、困難だと思います。ことにただいまのこの法律の第二十五條に「公正取引委員会の権限を変更するものと解してはならない。」という條文がございまして、むしろこれを解釈すれば、日本政府考えてもなかなかこれはかえられないものだということを、示唆するような言葉にも解釈されるのでありまして、これは容易でないと思います。しかし先ほど安本政務次官の言うように、努力は続けるつもりでおるのであります。これでかえつて中小企業は逆にこの場合有利な條件に置かれると思つております。それは事業者団体法の適用を排除されておる中小企業等協同組合によるところの事業組合、その他の組合をおつくりいただきましたならば、法人格も得られまするし、一個の団体といたしまして外資の受入れ態勢は十分整うわけであります。この面においては大企業がかえつて條件が困難であつて中小企業にはこの面のみで判断いたしますれば、非常に有利なのではなかろうかと考えております。従いまして今後にわたりましては、弱小の中小企業に対する組合化の指導をいたしまして、この面についてそれにふさわしいところの外資の入りますことを、積極的に勧奨して参りたいというのが、通産省として考えておるところであります。
  40. 多田勇

    多田委員 ただいま宮幡政務次官の中小企業に対する非常な御関心、敬服する次第でありますが、ただ今お話中小企業等協同組合法がいろいろな欠陥を持つておる。たとえば今お話のように事業者団体法の適用は、あるいは除外されておるかもわかりませんけれども、現存の組合の行き方で参りますと、加入脱退が自由であるというようなことで、その組合に対する対外的な信用というものが非常に困難になつて来ておる。この対外的と申しますのは第三者からの信用でありますが、それが非常に困難な状態になつて来ておつて中小企業等協同組合法による協同組合よりも、むしろ会社形体によつて、あるいはその他の結合によつて中小企業の金融の問題、その他、いろいろ苦難な問題を打開して行こうという傾向が最近あるようでありますが、現在非常に基礎薄弱に見られるような中小企業等協同組合法を再検討されて、真に中小企業者の活動機関としての機能を発揮するために、中小企業等協同組合法を改正するという御意思をひとつつていただきたい。そういうお考えがあるかどうか、この点を伺つておきます。
  41. 宮幡靖

    宮幡政府委員 御指摘の点はごもつとも千万でありまして、大いに研究いたしまして、その態勢に志す時期だと考えております。御承知通り法律はその時流に遅れまして存在するものでありまして、私は、法律が時代を追つて行かなければならぬと思います。これがきまりましたのは昨年のことあありますが、中小企業等協同組合法を立案といたしました当時の状況とは、御指摘の中にもありますように、相当事情がかわつております。これをもつと適切な方向にかえるという努力を、ただいま続けておるわけでありますが、さしあたりまして、現存の法規の中においても行えます点をぜひ生かして参りたい、かような構想であります。
  42. 多田勇

    多田委員 次に具体的に少しお伺いいたしたいと思います。この法案が成立いたしました後において、年間どのくらいの外資が入るという見通し政府は持つておられるか。非常にむりな質問かもわかりませんが、一応の見解をお伺いします。
  43. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 お答えいたします。この法律通りましたあかつきに、外資がどれだけ入るかという御質問でありまして、多田委員みずから御指摘の通り、非常に困難な問題でございまして、何分にも外資導入は相手のあります事柄でありまして、日本側がいくら希望いたしましても、いろいろな條件がございますので、こちら側だけで推測を立てることも困難な事情にあるのであります。ただ過去の実績等から考えまして、多少数字的なことを申し上げますと、昨年の三月から今年の三月までちようど一年間、外資委員会で取扱いました案件について、現実に海外から外貨を送金して参りまして、株式、不動産に対して投資されました金額は、株式につきましては約四十六万ドル、不動産につきましては約十三万ドル、合計いたしまして五十九万ドル程度のものが、日本における財産権の取得のために使われておるのでありまして、この情勢が来年度はどの程度になるかという見通しでありますが、今回の法律はもとよりこれをなお一層促進する意味合いをもちましてつくられたものでありますので、少くともこれよりは多い金額になるであろうということは申し上げることができると思います。なお外資につきまして、金額的なことを申し上げますと、非常に誤解を受けるおそれがあるのでありますが、先ほど来いろいろな話に出ておりますように、同じく外資導入と申しましても、技術の形で入つて参ります外資が現実にも相当ありますし、これからもさしあたりそういつた形体の外資が多いのではないかと考えられるのでありますが、こういつたものは評価の問題がございまして、評価はなかなか困難でありますが、無体財産権の形による評価でありますれば、金額的にはこれよりも相当大きなものが入ると申し上げることができると思います。
  44. 多田勇

    多田委員 ただいまのお話で、これ以上伺うのもむりかと思いますが、政府はさしあたりどのような産業部門に外資導入したいという考えを持つておられるか。政府考え方がお聞かせ願えましたら、具体的にお話を願います。
  45. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 外資導入いたします場合の産業別の基準というものは、なかなか困難でありまして、日本経済の立場からいつて、どういつた産業が、他の産業に増して必要であるかという、各産業間につきまして順位をつけるというような考え方も、実際一部にはあることはあるのでありますが、なかなか困難な事柄でありまして、今度の法律につきましては、法文にもございますように、一応の基準といたしましては、国際収支改善に直接寄與する産業でありますとか、あるいは重要産業公益事業、そういつたものをあげておりまして、またその相互間におきましては、どちらを優先させるというような考え方はとつておらないのであります。ただ具体的に申し上げまして、たとえば基礎産業であります電源開発関係について、外資が要望されておるということは、よく世上でも言われておる事柄でありまして、できますれば、こういつた基礎産業外資が入ることは望ましいことと考えております。  それから先ほども申しました技術関係につきましては、まあ戦時中には、各方面産業につきまして、技術の立ち遅れがあるわけでありますが、なかんずく電気、機械工業そういつた方面につきまして、戦前の外資との提携等から考えまして、将来入りやすいのではないかというふうに考えております。そのほかたとえば合成樹脂関係につきましても、技術導入の可能性が多いのではないかというふうに考えられるのでありまして、日本側から申しまして、どういつた産業をということは、特に予定はいたしません。ただ向う投資家日本会社との間に、現実に話合いができましたものを、外資委員会で取上げまして、それが日本経済に非常に役立つものである、悪影響のないものであるというようなことでありますれば、どんどん認可して行く、こういう方針で参りたいと考えております。
  46. 多田勇

    多田委員 先ほど外資委員会が設立されました後における外資の投下の内容について、お話を願いましたが、この中で、本格的な外資導入の形で入つて来ておるといいますか、外国資本家が日本企業に対して、本格的に資本導入して来ておるというようなものがございましたら、具体的にお話を願いたいと思います。
  47. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 外資委員会が昨年三月できましてからの約一年間の状況を、外資委員会で処理いたしました案件につきまして、なかんずく本格的な投資と目されるものがどの程度あるかということについて申し上げますと、実は非常に件数としては少いのであります。ことに金額といたしましては、先ほど申し上げたように非常に少いのであります。またその中では、技術契約という形の案件が相当ございます関係上、これも評価の困難なことによりまして、現実に幾らということを申し上げることはできないのでありますが、多少具体的にそのおもなるものを申し上げますと、すでに新聞紙上その他相当外資の提携が公表されております事業といたしましては、まず第一に、あげられるのは、石油関係外国資本との提携であるのでありまして、これはカルデツクスと日本石油との間の提携、それからスタンダード石油会社と東亜燃料との間における提携、それからタイドウオーター石油会社と三菱石油会社との提携、おもなるものはそういつた案件でございまして、その内容といたしましては、委託販売契約をいたしますもの、あるいは一定の施設の譲渡をいたしまして、それに対して対価を原油で供給するといつたような契約、あるいは株式取得をいたしまして、資本参加をいたします契約、そういつた形の提携があるのであります。それから次には、造船、機械工業関係外国資本との間の提携でありますが、これはスイスの会社でありますヅルツアーと、日本の重工業をやつています三菱重工業でありますとか、播磨造船その他の造船会社、そういつた会社との間の特許契約でありまして、ディーゼル・エンジンの特許、あるいは高圧のコンプレッサー、そういつたものの実施契約をいたしております例が、相当数ございます。それから電気工業関係といたしましては、これはまだ最終的な認可は下りておりませんので、公表を差控えたいと思いますが、国内の有力な電気工業会社と海外の会社との提携が、約二件ばかりただいま審議中になつております。それから次は化学工業関係でありますが、これは非常にポピユラーな例といたしましては、例のDDTの特許の実施契約でありまして、これはスイスのガイギー会社と、日本側といたしましては、保土谷でありますとか、日曹、三菱化成等、これは非常に数が多くて、二十二社との間に特許契約を結んでいる例がございます。それから二・四・Dと申しまして、強力な殺草剤の特許でありますが、これがアメリカン・ケミカル・ペイントという会社と石原産業、日産化学、この二つの会社との間に契約を結んでいる例がございます。これは技術導入にとどまりますが、そのほかに、同じ化学工業の部門で資本提携をいたしております例としては、グツドリツチというゴム会社と、日本側としては横浜護謨会社との間の提携が、その典型的なものでございます。大体経済的に意義のあると申しますか、本格的な外資導入と目されるものは、以上のようなものであります。  そのほか観光事業関係で、外人の来朝観光を大いに促進するという目的をもちまして、ホテルであるとか、事務所の設備を整備いたしますために、建物を建てるという関係で、話合いがぼつぼつ行われているようであります。現に御承知の日比谷の角では日活国際会館の建設に着手しているようであります。これはノース・ウエストの副社長とこちらとの間に株式取得の提携がございまして、これもすでに認可が下りているような状況になつております。大体以上であります。
  48. 多田勇

    多田委員 今いろいろお話がございましたが、なお具体的に外国人日本においていろいろな商社を経営されている、その活動の状況をお聞きしたいと思います。それからこれらの商社が日本国内で蓄積した資本がどのくらいあるか、あるいはまたこれをどういうふうに使用されているか、さらに将来どういうような取扱いを受けるかというような点について、お話願いたいと思います。
  49. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 外国商社のわが国国内における事業活動状況についてでございますが、外国商社が国内事業活動をいたします場合の規制と申しますか、取扱いのやり方からまず申し上げたいと思います。  昨年の一月に総司令部のサーキユラーが出まして、同時にまた、日本政府側に対してスキヤツプインが下されまして、これによつて大体外国人国内において事業活動をいたします場合には、原則としてすべて業者は司令部の許可を得るということになつたのであります。司令部が許可をいたします場合には、あらかじめそれが日本政府として賛成であるかどうかということを照会して参るのであります。これに対してこれは外資委員会で受付けまして、外資委員会関係各省が集まりまして、日本経済状況その他を考慮いたしまして、あるいは賛成すべきもの、あるいは不賛成というような結論を出しまして、司令部に回答を出しておつたのであります。この制度に基きまして、日本側が司令部に対して意見の開陳を行いましたものが、約三百件ばかりありまして、大体は賛成の回答をいたしているのでありますが、そのうち十件ばかりにつきましては、たとえば当時は料飲業等も非常な制限をしたときでありましたので、外国人が支那料理屋をやりたいとか、あるいはアイスクリームをやるとか、あるいはぜいたく品の販売業務をやるというような事業につきましては、日本側といたしましては不賛成の回答をいたしておつたのであります。ただ賛成の回答を出しました事業の内訳でありますが、この大部分はいわゆる商業活動でありまして、外貨建で外国から輸入をいたしましたいろいろな物資を、国内におります外国人の消費に充てるために卸売をする、そういう業務が約四分の一ばかりを占めております。そのほかで目ぼしいものといたしましては、船舶代理店業、銀行保險業、弁護士、顧問、そういつた業務も相当つたのであります。それから件数として多いものでは、出版関係事業でありまして、これがやはり相当件数に上つておるのであります。ところが、この制度によりまして大体十月まで参つたのでありますが、十月の二十一日に新たな指令が出まして、その指令によりまして、従来はそういうふうに司令部が日本外国人が業務をいたします際の許可をやつてつたのを改めまして、大部分の業務につきましては、日本人と平等の立場に立つて、特に原則として司令部の許可を要しない。そしてただ銀行業務でありますとか、保険業務でありますとか、あるいは通信、運輸そういう特定の業務のみにつきまして、日本側に許可の権限を移す、こういつたことになつたのであります。こういう特定の業務につきましては、すでにそれぞれの業法が出ておりまして、日本人に対しましても免許制度となつてつたのであります。この各業法に基く免許によつて規制をして行くということになりまして、あらためて司令部側の許可が必要でないということになつたのであります。ただこういう業務を各省が特定事業について免許いたします場合に、外資委員会意見を聞いて参るという制度にかわつたわけでありまして、こわ新しい制度になりましてから、これは前の司令部の免許を受けておつたものがそのまま参つたわけでありますが、銀行業務が十一件、保險業務が三件ばかりあります。以上申し上げました各省がそれぞれの業法によつて免許いたします業務以外にごくわずかな種類でありますが、外資委員会が固有の権限に基いて事業の開始について免許する事業がございまして、これにつきましては船舶代理業が、十月以降ただいままでで六件、それから航空事業が一件、それから建築請負業が一件、弁護士業が四件、そういう数字に相なつております。これらの事業事業活動を行いまして、どれほどの利潤を上げておるか、あるいはどれだけの円資金をためたかというようなことは、まだただいままでのところでは的確な数字が集まつておりませんが、今度新しく提案いたしました法律では、そういう点につきましても資料を徴し得ることになつておりますので、おいおい調査を進めて参りたいと考えております。ただ前から出ております例のリーダーズ・ダイジエストというような会社は、書籍の出版によりまして相当の円資金をためておりますし、また外国映画の配給をいたしておりますモーシヨン・ピクチユア等も相当の円貨をためておるということは、当然予想されるところであろうと思います。
  50. 多田勇

    多田委員 ただいまのお話のダイジエストその他の会社が円貨を相当ためておる、これらの金を今度の法律によつて外国に送金することを全部認めることになるのかどうか、その点を伺いす。
  51. 伊原隆

    ○伊原政府委員 ただいま賀屋政府委員から申し上げましたように、リーダーズ・ダイジェストのごとき出版関係、映画関係、AP、UP等の新聞関係につきましては、司令部の指令で、その会社に対する許可の條項であつたと思いますが、それらのものが日本において活動して得ました円資金はブロックされておりまして、海外邊金が許されておりません。ただいまは多分自分の事業活動に必要な、経営上必要な使途に使うことができることと、それから日本の短期証券、国債等を買い得るということだけになつておるのでございます。この今までたまつた金をどうするかということと、今後そういう円をどの程度送金査を認めるかということにつきましては、まだきまつておりませんけれども、欧州諸国その他の諸外国の例とも考えあわせまして、またそういう報道関係事業日本で活動いたしますことは、日本が国際関係で非常に分離いたされておりました関係上、ぜひ日本の事情を紹介してもらい、また日本に国際情勢を知らしてもらうということ等が非常に必要でございますので、その事業の必要性を考えたり、今後また外貨資金の状況その他を考えた上、外貨送金を認めるということになると思います。現在のところは、どの程度外貨送金を認めるということはきまつておりません。
  52. 多田勇

    多田委員 次に法文の内容について二、三点お伺いいたします。第二條の外国資本の投下の原則についてでありますが、外国資本投下は自由に認められるべきものとするのでありますが、これは建前上原則的に自由なのか、あるいはある程度の制限をするのが建前で、ある程度のわくの範囲内における自由だというような考え方であるか、原則的にはどつちの考え方であるか、この点について伺います。
  53. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 第二條は一條とあわせてお読み願いまして、大体の外貨に対する日本政府方針をうたつたわけでありまして、第一條では一定の基準がございまして、日本経済自立とその健全な発展、あるいは国際収支改善に寄與する外国資本に限つて、その投下を認めるという原則を述べておりますが、これはただいまの状況では外資といいましても、将来には必ず外貨の負担が伴うものでありますし、ことにいい外資に対しましては、その外資保証してやろうという考えでおります関係上、何でもかんでも外資を入れるということは、この際考えものであるということをはつきりいたしておるのであります。しかしながら為替管理といいましても、外貨事情がだんだんよくなつて参りますれば、その制限を徐々にゆるめて行くことは当然でありまして、為替管理法の方にもそういつた方針は明示されておりますように、それに呼応いたしまして、外資導入につきましても、外貨事情がよくなつて行けば、できるだけ自由にして行く——また制限がない方が外資は全体的に入りやすいことは確かであります。そういつた観点からできるだけゆるめて行くという方針を、一応ここにうたつたわけであります。
  54. 多田勇

    多田委員 第三條の第一項第一号のロのうち「外資委員会の指定するものを除く。」ということになつておりますが、「外資委員会の指定するもの」というのは、現在どのようなものを考えられておるか、伺いたいと思います。
  55. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 これは、たとえば台湾製糖株式会社でありますとか、その地元の日本の占領地、台湾、朝鮮、満洲、そういつた地域に本店を持つておる会社は、法文の解釈上外国会社になるわけでありますが、実質的には日本会社と同様の会社であろうかと考えられますので、従来政令五一号でもやはり同じ取扱いをしておつたのでありますが、こういつた在外会社はその都度あるいは包括的に外資委員会で指定いたしまして、外国会社から除外して行くという方針であります。
  56. 多田勇

    多田委員 第三号のやはり「外資委員会の指定するもの」というその内容を伺います。
  57. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 技術援助契約内容は、一応そこに技術援助の定義を下しておるのでございますが、ここで予定いたして書きましたもの以外に、たとえば製造加工等についての特殊の権利でありますとか、この條文の言葉に入りにくいようなものが出て来るおそれもあると考えられますので、また別途この罰則等の関係からいたしまして、その契約が認可がいるかどうかという点をはつきりいたしますためには、どういうものが技術援助になるかということを明示いたしませんと困るわけでありますので、「外資委員会の指定する」という條項を入れたのでありまして、ただいまのところどういうものということは別段予定いたしておりません。
  58. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 次の質疑者は志田委員になつておりますが、どうしますか、続けますか、時間が大分経過しておりますが、——それでは部屋の関係上、質疑を継続することにいたします。志田委員
  59. 志田義信

    ○志田委員 大体多田委員から私のお尋ねしたいことは大部分質問せられておりますので、数点についてお尋ね申し上げます。この認許可の問題につきまして、外資委員会あるいは大蔵大臣は左の各号の一に該当する場合においては、契約の認可または許可をしてはならないということがありますが、その二号に契約の締結とかあるいは更新が、詐欺、脅迫または不当な圧迫によると認められる場合、こういうのがあります。この詐欺、強迫または不当な圧迫というものは、この認可をする場合の状態をそう見るときに限られると思われるのですが、国際公法上におきましては、占領下における契約はすべて詐欺、強迫または不当な圧迫ということにして、講和会議後におきましては、これをキャンセルしてもさしつかえないような事態が起きるわけでありますが、それに対するお考えをお漏らし願いたいと思います。
  60. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 外資委員会がこの法律で認可をいたします場合の消極的な基準といたしまして、ここに四点ばかり並べてありますが、その中の詐欺、強迫、不当の圧迫の点でございます。これは国際法の問題としてどういうことになりますか、遺憾ながら私その点についての知識は持ち合せておりませんが、この点はどういう趣旨で入れられたかと申しますと、その沿革を申しますと、この法律ができます前に、いろいろな外国人の財産権の取得を取扱つておりました政令五一号というのがございまして、これは御承知のポツダム政令で昨年の三月十五日に施行されたものでありますが、スキヤツプインが出ているのでございます。同時にこのスキヤツプの方から、これによりまして認可をいたします場合の基準日本側に示して来ているのであります。その基準の中にやはり同様の事項が入つているのでありまして、それが政令五一号ではやはり申請書にそういうことがないということを明白にするために、記載事項として掲げているのであります。その趣旨はただいまお話にありましたように、占領期間中に財産取得が行われました場合には、それが占領期間中に行われたものであるということによりまして、他日講和條約が締結されましたあかつきに、さかのぼつて効力をくつがえされるおそれがないように、日本側があらかじめその審査をいたします場合に、その点を十分調べまして、そういつた事実がないということを公の効力を持つた証明を認可に際してつける、こういう意味合いでこの認可の基準に掲げ、かつ認可申請書の記載事項にする、それから認可書の中にもそういつた事実がないということをはつきりうたつているのであります。従いまして、こういつた條文を入れますこと自体は、むしろ外国人に対してそれが将来講和條約が締結されても効力がくつがえされないことを、日本側としてはつきり証明するために設けられた規定でございます。
  61. 志田義信

    ○志田委員 おそらく日本政府としましては、一方的に外資の入つた事業に対しまして、講和会議後におきましてもなおかつ講和会議後におけるそれらの事業を国営にするとか、あるいは私有の財産権を没収するとかいうことのおそれはないのだということの心配を除去するために、こういうものをつけられたのでありますけれども、わが党の天下の続く場合は十分安心させて可なりと思いますが、わが党以外の天下になるような場合におきましては、国際公法をもつて律するということになりますと、一九二一年のソ連の外資に対した態度等とにらみ合せて、相当外国人は心配するであろうということも、もつともなことだと思います。しかしそのことにつきましては法律上のことにもなりますので、それはそれで了承いたしておきます。  次に私はこの法案ができるまでは日米合同の審議会が数度開かれて、たとえばドレーパー、シーツのラインによつて、その法的具体化が本法案に盛られておると解釈していいかどうか、その点をお尋ねいたします。
  62. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 この法案をつくりますにあたりましては、ただ日本側だけで成案を得たということではないのでありまして、関係方面と十分な連絡をとりました上で、でき上つたものであることは御承知通りであります。またこれができます動機と申しますか、きつかけがどこにあつたかということにつきましては、先ほど志田委員が御指摘のように、シーツ、ドレーパーが昨年の暮れあたり来朝されまして、いろいろな人と貧をいたしました際によく述べておりますように、送金についての保証は、外資を入れる上に非常に必要であるということを言つておりますが、それがまたこの法律をつくります上に大きな働きをしたであろうということは事実であります。ただ必ずしも外国側から言われてつくらされたというようなものではないのであります。どこまでも日本側の発意に基いて、関係方面と十分連絡をとつた上ででき上つたものだ、かように考えております。
  63. 志田義信

    ○志田委員 非常によくわかりますが、そうだといたしまして一つお尋ねいたしたいのは、ドレーパー、シーツ・ラインによりますと、輸出組合のごとき団体はこの際廃しまして、これを自由競争にしなければならぬということを、当時しきりと稻垣通産大臣に要望いたしておつたと思いますが、政府はこれに対していかにお考えになつておりますか。
  64. 宮幡靖

    宮幡政府委員 稻垣大臣当時にシーツさんがおいでになりまして、民間外資導入方式についていろいろ懇談のありましたことは事実でありまして、その当時のお話につきましては、これはオフィシャルのものではありませんので、内容を詳しく申し上げるわけに参りませんが、輸出組合というものに対します観念は、管理貿易の当時におきましても、また自由貿易を原則といたします今日の段階におきましても、輸出振興の一助として日本的に考えれば必要なものであるという考えは、ただいまも持つておるわけであります。御承知のように、事業者団体法その他に抵触する面が相当ありますので、ただいまでは実現の可能性が薄いわけであります。御意見として承わりましたが、国内事情としてはこれを実行に移すことが困難でありまして、通商産業省といたしましてこれに関します一つの成文を得たこともございますが、これはもちろん表向きになつたものではございません。さようなことで現在はこの問題は御意見として承つたのみで、実行に移すまでには参らないのであります。と同時にただいま安定本部が主管になつてつております両案の立案につきましても、これはやはり通常の立法過程におきまして、司令部と協議いたしまして、特にこの問題につきまして特殊な会議を開いたというようなことには、通商産業省としては関連を持つておらなかつたわけであります。
  65. 志田義信

    ○志田委員 ちようど宮幡政務次官がお見えになつておりますので、特にお尋ね申し上げますが、この法案を拜見いたしますと、私は法律的な受入れ態勢としては相当よくできておるのではないかと思うのでありますが、問題は單に法律的な受入れ態勢だけにとどまるものではないと思うのでありまして、むしろ経済的な態勢がどうであるかということが、今後の外資導入に関しまして非常に大きな問題であろうと思うのであります。つまり営利をどの程度にやれるか、あるいは企業の安全性が日本の将来の産業の上において十分はかられるかどうか。こういう点につきまして将来に不安があつてはならないのでありますが、日本産業構造の点から考えまして、政府日本企業の将来に不安がない、十分営利と安全とについて外国人として安心してやることができるんだというお考えを持つておるかどうか、お尋ね申し上げます。
  66. 宮幡靖

    宮幡政府委員 これは非常にむずかしい問題でありまして、外資が入りました場合に国内資本との立場がどうなるか。もつと具体的に言えば、国内資本外資と同一條件のもとに自由競争の事業分野に活動し得るかどうか、こういう問題になろうと思いますが、これは單に外資導入に関します法律だけでなくて、一方商事法制と申しますか、事業に関します各種の法令と相関連しておることと思います。そこで商法改正に関します問題につきましても、当省といたしましての考え方をそれぞれ法務府の方へ申し入れまして、幸いにいたしましてただいま審議されておりますところの商法の一部を改正する法律案におきましては、外資が案外経営を支配するという権能を持たない、こういう状態に置きたいという趣旨がある程度達成されておるような状況でございます。先ほど多田委員から御質問のあつた税の問題につきましても、これは国内におきましてはある程度の不均衡も生じようと思いますが、外国の税制等と比較いたしまして、税の負担力に対します外国投資家の関心というものを対象として見ますと、まず一応あの線が妥当ではないか、かように考えるわけであります。もし国内資本との間に、特に格段の競争上の等差が生ずるというような事態におきましては、あらためてこの問題を勘案しなければならないと思つておりますが、現状におきましては、外資導入によつて極度に日本資本が圧迫されるというような事実は、想定できない状況にございます。
  67. 志田義信

    ○志田委員 私は今日国際的な状況から見まして、当分民間外資導入を困難ならしめる諸條件が多いと思うのでありますが、もし入つて来るといたしましても、設備資金、運転資金というようなことを考えます場合には、設備資金よりは運転資金の方に多くを期待するということが、企業をやる者の本心であろうと思うのであります。また株式よりも社債を要求するだろうと思うのであります。大体危險率という点から考えまして、外資が大企業を対象として入つて参りますことは、昔も今もかわりはないと思いますが、そういう場合に日本企業生産原価がどんなふうになつて行くと思つておられるか。それからこれを大量につくつてやるという場合におきまして、外国技術をどの程度日本に入れようと考えておらるるか、その点をお尋ね申し上げます。
  68. 宮幡靖

    宮幡政府委員 技術導入の点につきましては、ただいまこれがただちにどれだけの効果をもたらすか、もちろん効果がないということは申し上げられません。法律の第一條にもありますように、国際收支改善日本産業に寄與するものという外資を優先的に入れるということになつておりますから、日本産業に寄與しないもの、さような外資は第一條の点に入らないのであります。従つて技術導入いたしまして、日本が戰時中から遅れておりました技術を回復する。こういう面に役立つことは事実であり、またさようなものでなければ、通産省として技術導入の目途と合致するものであるということはできないと思います。先ほど安定本部からお話のありましたベークライトに対する技術、あるいは電気通信機械等に対する技術導入というようなことも、これは日本産業に寄與することは確かであります。これが経営原価にどれほど響いて、どういうふうな結論を得るかということは将来に属する問題で、残念ながらただいま申し上げられる資料を持つておりません。また社債等の投資を受けました場合に、企業の経営コストにどれだけの響きがあるか。外見的に申し上げますならば、よい結果を與える。コストの引下げに有効脚になるであろうということは申し上げられるわけであります。ただその場合におきまして御指摘の運転資金に重点を置いて、民間外資を希望するというのが常識であるという点につきましては、若干疑問がございます。運転資金に重点を置いて外資導入を希望いたしますと、その希望が達成せられない場合の方が多いのではなかろうか。外資の入つて参ります諸條件がありますが、ことに担保の問題、債務を担保いたします條件等が重要なものとなつて、御指摘の大企業がこれにふさわしいということは事実であります。しかし全面的に見るならば、個個の企業につきましていろいろと検討いたした数字もただいまつくつてはおりますが、いまだ具体的に、この産業にはこれを持つて来ればさように合理化されるのだというところまで進んでおりませんが、一般的に申しますならば、確かに日本のコストの引下げになるということは申し上げてさしつかえないと存じます。
  69. 志田義信

    ○志田委員 生殖コストの引下げは必然である。その上でさらに技術導入によつていい品物ができるのであれば非常にけつこうであります。そういう場合にどの程度生産コスト引下げになるかというようなお考えも、もちろん御調査なさつておると思いますけれども先ほどお尋ねしました中小企業等の場合におきまして、大企業の下請になつておるような中小企業に対しては、外資導入は設備資金よりも運転資金の方が、より効果が多いと思つておるのでありますが、それにつきましてはいかがでありますか。
  70. 宮幡靖

    宮幡政府委員 中小企業の金融の問題につきましては、外資導入と離れても考えなければならない問題であります。そこで運転資金の方が非常に必要だということはごもつともな意見でありまして、ただいまのところ、あるいはこの席で申し上げるのは少し早いので、しいて申し上げますれば、私個人の考え方を申したらという程度にお聞き流し願つて御参考になれば仕合せでありますが、ただいままで中小企業の小の企業に対しまして、見返り資金の解除を受けまして協調融資というのをやつて参りました。これは従来のように、中小企業対策が幾多の失敗を繰返して参りましたに対しまして、下部に浸透いたすように特別の努力をいたしましたところが、非常に有効に使われます。三月一ぱいにおいて見返り資金三億の解除に対しますものをオーバーいたしまして、非常に効力がある。しかしながらこれは設備資金に限定されております一般金融機関との協調融資でありますので、次には中小に限らず、中小の区別は大体申しますと、小の方は従業員が百人未満、資本金三百万円未満というような程度のものを、一応標準にしておつたわけであります。中の方は、これは法律的のものではありませんが、見方としまして従業員が三百人未満、資本金額において五百万円未満、こういうところに一つの目安を置きまして、大蔵省を通じまして折衝中でありますが、やはり見返り資金から相当額金額はここでは申し上げませんが、相当額の解除を受けまして、それを基金として信用保証制度というのを実施いたしたい心構えで進んでおります。交渉も相当進んでおりますが、確定的に発表する段階にない。これの内容は、一年間の中小企業を通じます設備資金の所要額は大体五十億、これに伴いましたところの運転資金の所要額が百億、百五十億を運用いたします案によつて進んでおります。これは外資関係なく、中小企業の運転資金を充実させるための政府の施策としてやりたいと思うのです。中小企業に直接民間外資導入してこれを充当しようということは、現在の段階、特に金利関係におきまして外国の金利と国内の金利との間に大きな開きがあります。それから外国為替の売りと買いとの相場の開きも一円五十銭ずつありますので、これはちよつとさような方向には簡單に考えられないと思いますので、国内施策として運転資金の供給をやる。主として中小企業に対しまするものは組合化の組織を促進いたしまして、組合の信用を基盤といたします設備資金の導入、あるいは技術導入、かような点に重点を置きたいと考えておるような状況であります。
  71. 志田義信

    ○志田委員 外資が三億ドルぐらいあれば、日本の株式は、今日のように株式の安いときには総ざらいされるだろうという恐怖もある。また共産党のように、本質的に外資恐怖患者もおるのでありますが、政府はこの外資導入するにあたりまして、外資使用の目的について産業界の要望内容をお聞きになつたことがあるかどうか。もしあつたとすればその要望の内容お話願いたい。
  72. 宮幡靖

    宮幡政府委員 非公式にはいろいろお話がありますが、いまだ具体的には承わつておりません。例の只見川の問題等につきましても調査は終えましたが、その後に対しましていまだ具体化した相談がありませんので、こういう法律ができないうちは、そういう話が持ち上つて来ないだろう。できましたあかつきには相当にさような問題が具体化して来ると思いますが、今日ではまだ正式にさようなお話を民間から承つたことがないような状況であります。
  73. 志田義信

    ○志田委員 われわれの手元看護業協議会を通じまして外資導入経過についていろいろと情報も受け薫る。それによると大体単一形体のものは借入れを主として、それから株式、社債ということになつております。複合形体のものは、やはり株式、社債の借入れを主として、條件によつて株式あるいは社債にするというふうになつて、そういう情報もいろいろ見えておるのであります。そこで私はお尋ね申し上げたいのでありますが、この外資を入れるにあたりまして、償還についてはどういうふうにお考えになつておるのでありますか。それは短期でありますか、長期でありますか、これをお尋ねした、
  74. 宮幡靖

    宮幡政府委員 この点につきましては安定本部の方からお答え願うか、大蔵省の方でお聞き願うのが妥当だと思いますが、便宜お答え申し上げますと、ただいまは正式には何ら外資導入のことについてお申出を受けておりません。御希望の点が長期であるか短期であるか。ちよつと判断に苦しむわけでありますが、常識的に申しますれば、設備資金であれば相当の長期にわたる部分、二十年ないし三十年くらいの間に落ちるのがほんとうではなかろうか。かように考えておるわけでありまして、ただいま御指摘の民間ではこういう希望を持つておるというお話でありますが、その御希望はよくわかります。しかしながら外資導入いたしました以上、それの利潤なりあるいは元本なりの償還を確保するという法律が定まつておらない以上、希望はありましても、その希望を受入れる状況にならぬと思います。従いましてただいま御審議を願つております両法案が、もし外資導入の希望が旺盛であればあるほど、早期にこれをやることが必要であり、かつ外貨予算との見合いにおきまして、認許可等の制度もとつておるのでありまして、これは自由の原則の上に立つ認許可であつて、この認許可を與えられたものは外貨の送金が確保されるのだ。かように運用されて参るのが本法立法の趣旨であると通産省は考えておるわけでありまして、具体的にこの法律通りました上は、いろいろと民間の希望を取集めまして、むしろ積極的に協力いたしまして、民間外資導入を達成いたしたい。かように考えておる次第であります。
  75. 志田義信

    ○志田委員 この法案によりますと、日本経済復興に必要なる外資認許可するということになつておるのでありますが、一体それほど、選択するほど外資が入つて来るように政府考えられておるのびどうか。届出だけで自由に導入した方がいいのではないかという考えもあると思いますが、その点はいかがでありますか。
  76. 宮幡靖

    宮幡政府委員 これは先ほどもちよつと申したように、外資導入を阻止しようとしての効果を持とうという意味ではありません。送金すべき外貨の資金の関係が、ただいままではいまだ復興過程にあります日本の現情といたしまして、自由に送金を認めるような形がとれないわけであります。しかも国際の為替取引の問題につきましても、戦前のような正常な状況にありません。また日本の貨幣制度におきましても、完全なる兌換券に返つておるわけでもない、何と申しますか、信用貨幣時代の変則のようなものが現われておりますので、こういう意味から一応は許可、承認を與えたものは送金ができるのだ。外資が確保できるのだという意味の窓口でありまして、これは許可、認可を困難ならしめ、これに無用の煩雑さを加えるというものでないのであります。許可、認可を與えざることが本則であつて、たまに認許可をするものを取上げる。さような取扱いでなくして、むしろ外貨の割当あるいは外貨の送金を確保するための認許可である。かように運用して参りたいのが本法の趣旨であります。
  77. 志田義信

    ○志田委員 昨年度中に外国人の投資がいろいろあつたように、先ほど委員お話があつたようでありますが、それは送金を予定された借入金や、あるいは株式の売買、売渡し等のものでありますかどうですか。
  78. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 ただいままでに入りました外資につきましては、その果実寺の送金につきましては、政府としては何らの保証をいたしておりませんので、こういう外資委員会がある株式取得を認可いたします場合も、條件をつけまして、配当金の送金等については、その都度その当時施行せられる為替管理上の諸規則に従うこと、こういうような條件をつけております。従いまして今まで認められましたものにつきましては、現実に送金をいたします際に、普通の手続によりまして為替管理上所要の許可を得ることになつております。
  79. 志田義信

    ○志田委員 それではもう一つ伺います。それは借入金、株式の受渡し等のことでありますが、現物投資の場合、たとえば特許権だとか、あるいは無体財産等の投資というようなもので、昨年中に税関に預託したものがあるかどうか、お尋ねいたします。
  80. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 昨年一年間に技術の援助に関する契約は、先ほど申し上げましたように相当数ございまして、これが実行の過程に入りますれば、現実に特許料外貨でもつて送金するという必要が起つて参るのでありますが、ただいままでのところでは現実に送金の問題はまだ起つておらないのであります。もし将来これが必要になつて参りますれば、そのときに為替管理上の手続を経るということになるのでありますが、今度新しい法律が出ますことによりまして、将来の外貨の送金について保証を得たいというような希望がありますれば、すでに認可いたしましたものにつきましても、またあらためて再検討をするという措置を当然とらねばならないと考えております。
  81. 志田義信

    ○志田委員 民間外資がなかなか困難で、政府外資がおもに入つて来るという場合において、アメリカから未開発地域援助に対する資金の点について、どの程度にお考えになつておるか、お伺いしておきます。
  82. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 外資導入と申しましても、国籍別に申しますれば、大部分がアメリカになるわけでありまして、このアメリカ政府による外資の援助ということは、当然日本側としても希望いたすわけでありまして、ただいつまでも政府の手によつて、結局アメリカの納税者の負担になるような外資は、将来末長く続けるということは予想されないという観点から、できるだけ民間外資に切りかえる必要があろうということで、日本政府といたしましても、民間外資障害をできるだけ除き、また入りやすい基盤をつくるという努力を続けておるわけであります。この法律もその目的のためにつくられたのにほかならないのであります。しかしながらアメリカ政府におきましても、いろいろな国内経済政策との関連がございまして、各地に対する経済的な援助、こういつたことにもなかなか熱を入れておるようであります。昨年の大統領就任の際のいわゆる未開発地援助計画につきましても、その後これを実行を効果あらしめるために、いろいろな法制的な措置も進めておるようであります。これが東洋ことに日本についてどういうふうな適用を受けるかということについては、まだはつきり日本がこれに含まれるというようなことは、きまつておらないように聞いておるのであります。日本側といたしましても、できるだけこういつた制度に均霑し得るということを希望はいたしますが、またそういつた要請は機会あるごとにいたすべきものと考えるのでありますが、いろいろな観点からきめられ、ことにアメリカ政府がきめるべき問題でもありますので、今ただちに日本側だけでこれをどうということはできないであろうと思います。
  83. 志田義信

    ○志田委員 最後に先ほどちよつとお尋ね申し上げましたが、お答えになられなかつたのでもう一つ聞いておきたいと思いますが、償還の方法につきまして、一体外資を入れるには、返すことも考えなければならぬのでありますが、返す場合の方法で、收益と増資による方法をとるものか、あるいは利益金の一部をもつてこれを返すのか、あるいは生産品で直接返して行くのか、あるいはもう一つ考えを大きくして、大部分生産品でやるが、一部は現金でもやれるというふうにするのか、そういう点につきまして、政府はどういうことを考えておるか。あるいは製品で、また輸出の代金でやつて行くというようなことにするのか。そういう点で何かお考えがありましたならば、この際お話願いたいと思います。
  84. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 外資が入りまして、これを償還いたします場合の方法でございますが、ただいま御指摘のように、その方法については、いろいろ考え得るところでありまして、これはその個々の業者相互間の契約によつて、きめらるべき問題であろうと思います。政府といたしましては、必ずしも、こういつた方法をとれというようなことを決定いたしまして、業者に押しつける、あるいはそれでもつて指導して行く、こういうような考えはただいま持ち合せておらないのであります。ただ契約により償還をいたします事柄と、償還金を海外、本国へ引揚げる送金の問題とは、これは一応切り離して考えらるべき問題であろうと思いまして、この償還金として、海外送金をどの程度認めるかということにつきましては、これもやはり一部の議論としては、あらかじめ一定の基準を立てておいて、海外投資家に目安を與えるということも、一つの議論であろうかと思いますが、今度の法律は、そういう建前はとりませんで、個々のケースにあたりまして、そのときの外貨事情なり、それからその契約自体の日本経済に及ぼす貢献の度合い、そういつたいろいろな観点を総合いたしまして、具体的に決定して行く。それを認可の際に、あるいは條件なり何なりで明示して行く、こういう方針で参りたいと考えております。
  85. 志田義信

    ○志田委員 外貨の問題でありますが、正当な外貨とは、どういうように考えればいいかということですが、たとえばこういう場合は正当な外貨になるかどうか。日本に在留しておる外国人が、日用品をいろいろ買つたために、いろいろな收入が出たというような場合、それを買うために携帯して来た金、あるいは外国から来た船舶の船員が持つていた金、こういうようなものは正当なる外貨として考えられるかどうか、その点をちよつとお尋ねいたします。
  86. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 正当な外貨考えてさしつかえないかと考えております。
  87. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 この際お諮り申し上げます。ただいま竹山委員から議事進行に関し緊急発言の要求がありますが、これを許すに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 異議なしと認めます。竹山委員
  89. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 この法案については、きわめて重大でありますので、午前中実は野党の懇談会におきまして、電力の問題とともに日本の将来にとつて重大な問題であり、これを会期余すところわずかの、切迫したときに提出をしました政府の責任の問題でもありますし、国会としても十分に審議をいたさなければならぬという見地から、ことにこの法案については、経済的にきわめていろいろな方面に影響がありますから、渡米議員団の報告にもあるように、公聽会を開く、あるいは正式の手続をとるために、これができないならば、それにかわるところの参考人を招致する等の方法によつて、十分に各層の意見を取入れて国会の審議をなすべきであるという見地から、政府及び與党にその旨を申入れをいたして参つたようなわけであります。この点についてはどうか次に開かれる理事会において、委員長において御審議をいただきたいことを提案いたします。
  90. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 了承いたしました。  他に質疑の通告がございますが、時間も大分経過しておりますので、明日午後一時三十分より質疑を続行いたすことにいたし、本日はこの程度にて散会いたします。     午後一時四分散会