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1950-03-30 第7回国会 衆議院 経済安定委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月三十日(木曜日)     午後三時三十六分開議  出席委員    委員長 小野瀬忠兵衞君    理事 金光 義邦君 理事 多田  勇君    理事 永井 英修君 理事 森   曉君    理事 笹山茂太郎君 理事 米原  昶君    理事 高倉 定助君       周東 英雄君    田中不破三君       福井  勇君    南  好雄君       竹山祐太郎君  委員外出席者         参  考  人         (経済同友会生         活科学研究所所         長)      野田 信夫君         專  門  員 圓地與四松君         專  門  員 菅田清治郎君     ――――――――――――― 三月二十九日  新聞用紙統制撤廃反対陳情書  (第六八二号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  事業者団体法に関する件     ―――――――――――――
  2. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 ただいまより会議を開きます。  これより事業者団体法に関する件を議題とし、参考人野田信夫君より意見を聽取いたします。野田参考人
  3. 野田信夫

    野田参考人 今日参考人としてお呼びにあずかりましたので、私の私見を申し上げたいと思います。御存じの通り私は法律家ではありませんので、法律の方はしどろもどろで、よくわかりません。従いまして、この法律自体のいろいろな法律的面からのことは、それぞれ專門の方がおありだろうと思いますので、そちらの御意見に譲りまして、大体現在及び将来の日本経済の立て直し、言いかえれば産業振興という面から見て、この法律がどういう影響を及ぼしておるかという点、それから、それには産業競争を公正にさぜなければならぬ、その公正を維持することが必要だと存じますので、その面からもこの法律を見て行かなければならぬではないか、そういうような観点から見た、私の気づいた点を申し上げて御参考にしたい、さように存ずるわけであります。  この法律を見ますと、これは最初からそうだつたのですが、非常に詳しく実体的の取締りの項目が並べてある。事業者団体としてはこうくいうことはしてはいかぬという、いわゆる禁止行為と、それから、これだけのことはしてもいいという許容活動が、相対して並べてあるのであります。その両方つまりよい面と、悪い面と両方通覧いたしますと、そこにいろいろの問題が考えられるのであります。結論から申しますと、この団体法独禁法相当重複してしまつておる條項がたくさんある。それでむしろ独禁法があれば、この法律は大体からいつて、なくてすむ法律ではないか。ことに独譲建前と、この法律建前とはむしろ対象にしているわくが違いますので、事業者団体という特殊の面において独禁法精神をもつて行こうというのには、こういう法律がある程度必要かとも思いますが、しかし大体からいえば、独禁法があればこういう法律がなくてよいのではないかというふうに考えるのでおります。しからばここに上げてあるような、こういう個々のいろいろの団体行為についてはどうするかというと、私はこれは結果主義公正取引委員会が判断してとめるべきものはとめ、認むべきものは認めて行けばよいと思う。こういう具体的な禁止行為及び許容行為というのを体系的に羅列して行くという方法は、先ほど申しました産業振興という面と、公正な競争を助長してやるという面に悪い影響が来るおそれが相当にある。さように考えるのであります。これはこういうふうに抽象的に、しかも相当詳しく行為の内容を書いてありますと、それが全面的に禁止され、あるいは全面的に許容されることになり、いずれも害がある場合がある。ですからこれらの活動の結果が、ほんとうに私的独占禁止に反するような結果になつた場合には、その行為をその場面でとめればよい。一概に全部禁止してしまうというようなことは、よくないのではないかと思う。たとえば例を上げてみますと、第四條がその許容活動の方であります。許容活動で、その四号に商品品質改善、規格の改良、それから能率の向上というようなものに寄與する行為は許されておる。ところがつまらぬことが書いてあるために、たとえばこういうよう行為政府機関工業標準調査会その他一般に認められた有力な商品標準化機関又は研究機関自由意思により協力することのみによつて、行うこと。」と、こういう限定がしてある。そうしますと、事業者団体というものは、自発的にこういうことをやる余地はあまり残されておらぬ。こういう団体機関に協力することのみによつて行い得るというふうに限定されておる。これは弊害を除くためにこう言つてあるのだろうと思いますけれども、しかしこう限定されなくて弊害の起らない場合がいくらでも考えられる。今後日本商品品質改善ということは日本の急務であります。こういうつまらぬ細部にわたつたことを條件づけておるということは、企業者の自主的の活動を不要に制限しているのではないかというような気がするのであります。それは許されておる行為項目の中にも、そういう点があるということを指摘したいのであります     〔委員長退席、森(曉)委員長代理着席〕  次に禁止行為の方について見ますとこれは五條でありますが、五條の一号から四号あたりまでは、独占禁止法があれば当然のことであつてもほとんど重複したことが書いてある。それをただやや敷衍して詳しく書いたにすぎない。これらのことを行えば当然独占禁止法で縛られるにきまつておる。それから九号と十六号のごときは不当な制限ではないかと思います。もちろんこれはこういう活動弊害の起るということは事実です。しかしこういうことをしたからといつて、必ず独占禁止法精神に違反したような結果が出るとは限らぬのであります。ただそれを、そういうおそれがあるといつて、全面的に禁止してしまう。ここに非常な矛盾があるのではないか。かように思うのであります。たとえば自然科学に関する研究を実施するための施設を所有し、又は経営すること。」を禁ぜられておる。但し公正取引委員会認可を受ければよいということになつておるのでおります。これのごときも研究機関を持つていたからというので、決してそれが独占禁止法禁止されておるような結果が生ずるとは限らぬのであつて、ことに中小企業あたりはこれが自由に認められなければ、むしろ大企業との対等の競争、つまり競争の公正ということは保障されないことになる。この今あげました九号から一十六号にわたるものは、その意味共通に含まれておる。中小企業がただでさえ資本的な不平等性を持つて活動しておるという上に、今度団結してやろうという場合にも、こういうよう制限が加わつておるということは非常に不当な制限ではないかと思うのであります。もちろんこの事業者団体法商工協同組合というかつこうで、やはり適用されないということにはなつておりますが、しかしそれは独占禁止法の二十四條の各号に掲げる要件を備えなければならぬという、これもまたきわめてつまらぬ限定がついておる。その二十四條の各号に必要な要件とは何かというと、第一には小規模の事業者又は消費者相互扶助目的とすること」ということが書いてある。他の三つの條項については、今触れる必要はありませんが、第一の小規模の事業者で、かつ相互扶助目的とするということでなければならぬということになりますと、そこに非常な制約が出て来て、何を相互扶助と認めるのか、認めないのか、どこからが大規模であるのか、小規模であるのかということについて、非常な不安定な制限が加えられて来るということが考えられる。それからまた特許権を所有し、若しくは支配し、又は特許発明の実施の許諾若しくは共同利用のために斡旋その他の便宜を供すること。」も禁ぜられておる。これは公正取引委員会認可を受けたらよろしいという條項がないのです。ところが自然科学設備を持つておれば、そうしてそれを公正取引委員会認可すれば、その研究施設特許権を獲得するということが当然ある。この場合どうなるかということ問題になりますし、それから中小企業競争力を助長して行くという意味からいえば、中小企業は各自が研究機関技術者を一々自分で抱えておるということはできない。どうしても共同してそういう機関を持つたり、研究したり、品質改善をやらなければならぬ。そうするとそこに特許権というものが起つて来る。これは当然のことであります。するとその特許権共同で使うというようなことがあつてしかるべきである。そういうことは自由にさせておいていい。むしろ自由に助長しておいたらいい。その行使した結果を見ていて、その結果が独占禁止法禁止しておるような結果になつた場合、そのときに公正取引委員会がそれはいかぬといつて止めさえすればいい。一旦自由にさせておいて、結果を見て結果主義で判断すべき建前にしなければならぬ問題だと考えるのです。そういう意味で、事業者団体法というものは日本の現行の経済事情また現在の立遅れた工業を一日も早く振興して、活発に自立態勢に整えて行つてやらなければならぬというときには、非常なさしさわりが生じ得るし、また現に生じておるのではないかと思うのであります。要するに私の申し上げます点は、中小企業に公正な競争條件を整えてやるというためには、こういうすべての禁止的な條件をつけるということはなくしてしまうことが必要です。むしろこれを許さないと言つていることは、不公正競争を法的に保障しておることになる。逆に言えばそういうことになる。はつきりとこれから除外されているのは、協同組合法六條の適用除外であります。これは小企業として一般企業は百人、サービス業のごとき特別のものが二十人より以下のものでなければ、はつきりと除外されておらぬ。それではあまりに單位が小さ過ぎて、日本工業の中核をなしておる、いわゆる中小工業の中堅どころの企業は、この保護からはずされてしまう。除外の中に入つて来ないという点が問題だろうと思うのであります。  それからこの法律事業者団体という定義を非常に広くとつておる。それで私は思わぬところに問題が起つて来るという気がいたします。たとえば学校法人というのが出て来る、私も法律のことはよく存じませんけれども、学校法人は民法上のかつこうからいえば、財団法人であります。そうすると、「二以上の事業者理事又は管理人の任免、業務の執行又はその存立を支配している財団法人」ということになると、おそらくいろいろな学校法人に二以上のいわゆる事業者が入つておるのは珍しくないと思います。するとそういうものも事業者団体法適用されるのかどうかということ疑問になつて来るのです。そういう点は一体どういうふうに解釈されているのか私はよく存じませんが、そんな問題もあるのではなかろうかという点があります。大体この法律について私が申し上げたいと思つた点は以上のような点に盡きるのであります。
  4. 森曉

    ○森(曉)委員長代理 ただいまの参考意見は対し御質疑があればこれを許します。多田勇君。
  5. 多田勇

    多田委員 重要な御意見を承りましてありがとうございました。この事業者団体法に関する各界各党意見は、大体同じ線に沿つておると思うのでありますので、私もこの線に沿つて御質問申し上げたいと思います。事業者団体定義が非常に広く規定されておりまして、その解釈いかんによつて及ぼす影響が大きいと思うのであります。事業者団体法が必要であるという考え方にかりに立つた場合に、事業者団体範囲をどの程度に圧縮することが、至当であるかということについての御意見を拝聽願えたら仕合せと存じます。
  6. 野田信夫

    野田参考人 事業者団体法として残るという場合の事業者団体なるものの範囲は、私の考えではやはり営利目的とするものに限つたらいいのではないかと思うのであります。第二條によると「営利目的とするとしないとを問わず、」ということがある。それでは非常に広くなつてしまうのではなかろうかと思います。
  7. 多田勇

    多田委員 団体範囲営利目的とするものに限定したらどうかという御意見でございますが、事業者団体法を立法された考え方が、営利目的とする団体というよりも、営利目的としないで、一つ団体がその事業界を支配する力を持つというよう団体に対する活動制限をして行こうという考え方があるように考えておる次第であります。そういつた団体活動、また今お話のよう営利目的にした団体活動、さらに営利目的にした団体であつても、その団体活動がいわゆる独占禁止法精神に反しないような場合が相当あると思います。たとえば最近統制撤廃、あるいは公団方式廃止等によりまして、受入れ態勢をつくらなければならない事業界が戰前の自由な企業形体が、完全に破壊されて、完全に公団方式による国家の統制方式が、非常に広範囲に行われておるような状態につきましては、公団廃止によつて業界がそのままその物資を扱うための態勢が整つていないというようなことから、どうしても新しい企業体をつくるかして、受入れ態勢をつくらなければならぬというような場合に、かりに一つ企業体をつくる場合に集まるメンバー、いわゆる資本の問題からしましててもその業界に関係のあるもの以外から、資本を集めることは相当困難だということで、従つてその業界に、いわゆる共通目的をはかるというような疑いのある形において、一つ企業体ができ上る。またそういう形でなければ、でき上ることが困難であるというような事実が現に相当ありまして、問題を投じておるわけでございます。従つて営利目的にした団体限定するということになりますと、非常に広い意味で考えますと、日本会社法人というものはほとんど団体法に抵触するという危險性がある、こういうように考えられるわけであります。そういつたことのないように実質的に独占禁止法精神に反しないような形において活動し得るよう団体は、事業者団体として正常な活動を認めて行く。要するに適用除外して行くというよう考え方をとることが必要ではないか、こういうふうに考えられるのでありますが、そういつた考え方からしまして單に営利目的とした団体ということに限定せずに、何か正常た活動を保障するというような形においての、団体限定の仕方は考えられないものかどうな御意見をお伺いしたいと思います。
  8. 野田信夫

    野田参考人 今の問題は非常にめんどうな問題だと思います。それで今突然御質問がありましたので、とつさに考えてそう申し上げるのでありますが、営利目的としない団体で、昔のたとえば統制会といつたよう団体、これは営利目的としておりませんが、いわゆるカルテル行為をやつてつた。そういうものはもう先ほど申したように、独占禁止法でそういう行為はできないことにすでになつておるのですから、それはもう独占禁止法の方にやつてしまつて事業者団体法というものは、いわゆる事業者団体、その意味事業者というのはも結局営利目的とする事業事業者団体であるというふうに、一応限定してみたらどうか。ただし営利目的とする事業者といつても、それはもう大体の会社は、みな入るのであります。でありますからこの事業者団体法建前は、大体三條にある設立の手続をきめまして、それから四條の許容活動といつて、「左に掲げる活動に限り、これを行うことができる」なんという、こういう限定を顧ず第一に撤廃して、禁止行為の方は、独占禁止法の法で禁止條項を設けるのに不適当な事業者団体だけについて起る問題があるかもしれぬと思う切で、もしそういうものがおつたら禁止行為としては、そういうものだけを拾つてあげておけば、それでいいじやないか。大体そう考えるのでございます。
  9. 森曉

    ○森(曉)委員長代理 ほかに御質疑がなければ、本日はこの程度で散会いたしたいと思います。  なお来る四月一日午後一時から、飲食営業臨時規整法の一部を改正する法律案の取扱いについて、理事会を開催いたします。理事各位の御出席をお願い申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時五分散会