運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-03-02 第7回国会 衆議院 経済安定委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月二日(木曜日)     午後一時五十九分開議  出席委員    委員長 小野瀬忠兵衞君    理事 志田 義信君 理事 多田  勇君    理事 永井 英修君 理事 笹山茂太郎君    理事 米原  昶君 理事 高倉 定助君       田中不破三君    飛嶋  繁君       福井  勇君    細田 榮藏君       森山 欽司君    竹山祐太郎君  出席政府委員         経済安定政務次         官       西村 久之君         経済安定事務官         (総裁官房次         長)      河野 通一君         経済安定事務官         (総裁官房企画         課長)     松尾 金藏君         経済安定事務官         (経済復興計画         審議会事務局         長)      佐々木義武君         経済安定事務官         (生産局次長) 井上 尚一君         経済安定事務官         (生産局次長) 前谷 重夫君         経済安定事務官         (動力局長)  増岡 尚士君         経済安定技官         (生活物資局         長)      鵜崎 多一君         経済安定事務官         (建設交通局次         長)      今泉 兼寛君  委員外出席者         通商産業事務官         (通商企業局企         業第二課長)  高鳥 節男君         経済安定事務官         (石油課長)  芝原 忠夫君         経済安定事務官         (建設交通局         公共事業課長) 白石 正雄君         專  門  員 圓地與四松君         專  門  員 菅田清治郎君     ————————————— 三月二日  委員川上貫一君辞任につき、その補欠として米  原昶君が議長の指名で委員に選任された。 同日  米原昶君が理事補欠当選した。     —————————————  生鮮水産物統制撤廃に関する請願小松勇夫  君外二名紹介)(第一一四一号)  旅館における主食取扱に関する請願小川半次  君紹介)(第一一五八号)の審査を本委員会に  付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  臨時物費需給調整法等の一部を改正する法律案  (内閣提出第三四号)  公共事業及び経済復興に関する件     —————————————
  2. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 ただいまより会議を開きます。  この際お諮りいたします。去る二月二十五日、理事米原昶君が委員を辞任されましたので、これより理事補欠選任を、行いたいと存じます。先例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 御異議なしと認めます。それでは、本三月二日、米原昶君が再び委員に選任されましたのて、同君を理事に指名いたします。     —————————————
  4. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 ではこれより臨時物資需給調整法等の一部を改正する法律案を議題に供し、前回に引続き質疑を行います。質疑通告順にこれを許します。志田委員
  5. 志田義信

    志田委員 私はお許しを得ましたので、特に今日石油の問題について御質問申し上げたいと思うのでありますが、先般本委員会におきましても、他の委員よりこの問題について御質疑があつたのでこれに対しましては次回の委員会において、相当詳しく政府委員から御説明があるということになつておりましたので、その御説明を承つた上で、私の質問を申し上げた方がよいではないかと思いますが、その点はいかがでございましようか。
  6. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 一応御質疑願つた方がいいのではないかと思います。
  7. 志田義信

    志田委員 石油の現在輸入されておる数量について、一番先にお示し願いたいと思う。それから将来石油原油輸入の量がどの程度需給とにらみ合せて確保しなければならないかどうか。増量を予定されておるかどうか。その点をお尋ね申し上げます。
  8. 増岡尚士

    増岡政府委員 御承知のように、従来は国産原油から精製されます石油製品で足らない部分は、大体の需要量の九〇%くらいに当りますが、このものについては製品輸入されて参つたわけであります。二十四年度の四月から以降を振りかえつて見ますと、輸入数量は一番多い月で二十一万キロ余りでありまして、少い月は十万キロにやや足らないという数量輸入されております。今後の見通しといたしましては、先般もちよつと申し上げたと思うのでありますが、大体原油輸入を要するということになりまして、ただいま予定しておるというか、大体百四十八万キロ・リツターを二十五年度に輸入したいというふうに期待をいたしております。
  9. 志田義信

    志田委員 ところで、この原油輸入にあたりまして、現在のところ日本ではたしか保険料とか、あるいは船賃とかいうようなものを入れまして七千三百円くらいになつておると思うのでありますが、石油国際価格、特にアメリカにおける公示価格というものは、公示価格の公表されたようなものがあつて、それによつて見ておりますのですか、どうですか。その点についてお尋ね申し上げたいのであります。
  10. 増岡尚士

    増岡政府委員 輸入原油は一月から以降に入つて来ているわけでありますが、大体現在の価格CIFで六千二三百円程度で入つて来ております。大体最近の傾向としては、外国における原油価格は多少下りぎみだというふうに伝えられておりますが、現在入つて来ております価格は、先ほど申し上げましたように、CIFで六千二百円ぐらいのところでございます。
  11. 志田義信

    志田委員 CIFで六千二百円程度、また今後、これが下がるだろうというお見通しのようでございます。下るというのは船賃、その他が安くなつて下るのであるかどうか、それともほかに、アメリカにおける石油公示価格から見て、外油輸入価格が下ると見ているのであるかどうか、その点をちよつとお尋ね申し上げます。
  12. 増岡尚士

    増岡政府委員 輸入関係は、御承知のように国内船というようなものが活用されるようになれば、輸送賃も下ると思われますが、大体アメリカにおいても下りぎみだというふうに聞いております。
  13. 志田義信

    志田委員 日本政府は、昨年たしか十一月ごろだと私は記憶しておりますが、米国のオーバーシース・コンマーシヤル・コーポレーシヨンから落札する価格が、たしかCIFは六千四百三十一円ぐらいの価格で契約に達したと思いますが、この輸入価格もちろん貿易庁の手数料とか、あるいは関税というようなものがかかつていたのでありますが、その価格と、払下げの価格というものの間には千二百円ぐらいの相違があつたと私は思いますが、キロ当り千二百円ほどの相違がありました場合、日本石油業者の中には、相当この価格の問題について大きな問題が出て来ておつたと私は思うのであります。そこでわが国の今日の石油原油価格は九千三百円ぐらいになつていると思いますけれども、そういうふうに国際競争において非常に不利になる状態に対して、この価格調整について、政府はどういうお考えを持つておりますか、お尋ね申し上げたいと思います。
  14. 増岡尚士

    増岡政府委員 価格の問題は、今お話のようにいろいろの事情で、現行の公定価格は九千三百円余りになつておりますが、外国における価格の推移、あるいは国産原油生産費というものをにらみ合せまして、どういう方法でやるかということは、この前も申し上げましたように、ただいままだ研究中であります。国内価格の問題については価格調整公団等使つて、プールの価格をつくることも考えられますが、まだ具体的な実施方法につきましては、なほ検討を要するものがありますので決定をいたしておりません。
  15. 志田義信

    志田委員 私たちがこの問題を取上げて、政府に御質問申し上げることは、実は非常に遠慮がちな立場をとつて今日まで来たのであります。それというのは、今日原油がようやく日本に入るようになりました。その間政府相当に努力せられて今日まで来たのであろうと思うのでありますけれども、先般本会議におきまして、共産党野坂君は、わが国産業の上にこうした外国資本が入つて来ることは、日本産業を破滅させるものである。従つてこういうことをなす政府は売国奴的な行為をみずからしておるものであるという御批判があつたのでありますけれども、われわれはこれに対しまして、特に国民大衆に対しましてもかような論議が本会議で行われたことにつきましては、まことに遺憾に存じておるのであります。ただしかし、日本石油業者原油輸入するということによりまして、現在はもとより近い将来におきまして、国際競争において非常に不利になるという価格がきめられておるということでありますれば、当然政府といたしましては、価格調整その他の方途をすみやかに講じて、これらの事態を吸収しなければならぬ責任があるのではないかと思つておるのであります。しかも大体輸入されている原油中東油と私は思いまするが、国産油マル公は九千三百六十八円ということになつておりまして、輸入原油に比べますれば二五%高だということを、われわれは開かされております。この二五%も高い外国油が、先ほどの御説明によりますれば、二十四年度より将来にわたりまして、相当多量に入つて来ることを考えなければなりませんので、ここにわが国における精油事業、あるいは採油事業におきましても、いろいろ対立的な面が生ずることを恐れなければならぬと思うのでありまして、その点に関するお考えはいかがでありましようか。
  16. 増岡尚士

    増岡政府委員 お話の点注意をいたすべき事項だと考えます。特に国内業者が国際的な競争にきわめて不利な立場になるということについては、何らかの処置考えなければなりませんし、価格の面については、先ほども申し上げましたような状況で、ただいま公団組織等を考慮中でありますから、御趣旨の点を十分尊重いたしまして善処いたしたいと考えております。
  17. 志田義信

    志田委員 政府石油事業に対しまして、一つの石油政策というようなものをこの際早急に樹立しなければならぬ段階に来ておると存じまするが、現在緊急に石油政策を樹立する何らかの具体的な方法を講じておられるかどうか、政府委員にお尋ねいたします。
  18. 増岡尚士

    増岡政府委員 ただいまのところ、いろいろ今御指摘のような点もございますので、どういうふうに石油採掘事業、あるいは精製事業、あるいは配給の問題というようなものを整備して行くかということについては、総合的に研究中でございますが、ただいまのとたろ精油業についてどういう措置を講ずるか、あるいは採油業については将来特別助成的な措置を講ずるというような点については、具体的に申し上げる段階にまで至つておりません。     〔委員長退席多田委員長代理着席
  19. 志田義信

    志田委員 具体的に申し上げられないということは、石油政策について今検討中であるけれども、しばらくの間、時をかさなければならぬという意味に解釈いたしまして、それはそれで了承いたしまするが、全般的な石油価格改訂に発展する考えをもつてなさつておられるか。もし石油価格改訂まで行かなければならぬ、しかも外国油との見合いにおきましてそれをなさなければならぬとすれば、その時期はいつごろを実施の百標に置きまして、それを練つておられるか、お伺いいたします。
  20. 増岡尚士

    増岡政府委員 価格の問題につきましては、いつごろというふうに確実には申し上げられませんが、大体来年度以降のものについて相当調整措置を講ずることができるというふうに考えますので、目下物価庁において十分検討を進めております。
  21. 志田義信

    志田委員 単に価格の問題を国際価格にさや寄せするというようなことを考えずに、政府石油業者自身の創意くふうにまつて、あるいは採油業における合理化によつて、この価格改訂に一役買わせるお考えであるかどうか。あるいは補助金その他によつて探鉱あるいは精製等補助金を出して行くというように、それを考えておるかどうか、それをお聞きいたします。
  22. 増岡尚士

    増岡政府委員 採油関係業者につきましても、あるいは精油関係のものにつきましても、合理化を進めなければならぬのはもとよりでありますが、特に精油関係等について補助金を交付するというようなことは、現在の状況ではむずかしかろうと思います。しかしこれはもとよりきまつたことではありませんが、探鉱等について見返り資金等融通を優先的に取扱うことによつて資金的な援助ができるだろうということで、精油業についても資金の許す限り融通が可能なように、善処いたしたいと考えております。
  23. 志田義信

    志田委員 合理化によつて日本石油関係外国石油に負けないくらい十分競争できるという考えを持つておる者に、帝国石油の副総裁屋敷さんなどもいるのでありますが、合理化ということはつまり精油業の面における合理化であるのか、あるいは今日の人員整理ということも加えた合理化であるのか、その点を政府はどういうふうに見ておられますか、お尋ねいたします。
  24. 増岡尚士

    増岡政府委員 必ずしも人員整理だけを目標として言つておるものではないと思います。今御指摘帝国石油のお方がどういう御意見かは私直接聞いておりませんが、採油業方面においても、相当技術的の合理化によつてでもないところであると思うのであります。過日の本会議におきまして、共産党野坂君がこれを非常に売国奴的な扱いをしましたが、一九二一年ソビエトにおきましても、外国の貸本によつて今日のソビエト民族資本が蓄積されておることは申すまでもないのでありますから、われわれはたといさような論陣をもつて、この点を非難されましても、これを当然と考えるわけにはいかないのであります。そこで資源開発の育成という点につきまして、政府はどういうふうに考えているか、それをお伺いいたします。
  25. 増岡尚士

    増岡政府委員 先ほどもちよつと触れましたが、石油資源は御承知のように日本には少いといわれておりまして、有利な鉱区を探り当てることが非常に大切であります。また全然ないわけでもないようでありますので、そういう点について、今後さらにその政策を促進して行くという意味で、先ほども申しましたように、資金的な援助の可能な範囲においてこれをやりまして、新しい鉱区の探求はぜひ進めて行きたいと考えております。
  26. 志田義信

    志田委員 ただいま日石たと思いまするが、カルテツクスとの間に事業上のとりきめが行われて、利益金の分配ということでやつておるようであります。そうして鶴見の油槽所を、カルテツクス外油を入れるということにおいて、これを日石からとつて日本精油事業をやるということでありますけれども、こういうことは今後日本石油事業界影響を及ぼさないとお考えになつているかどうか、お尋ね申し上げます。
  27. 増岡尚士

    増岡政府委員 石油事業に対して、特別にきわめて不利な條件になるというふうには考えておりません。
  28. 志田義信

    志田委員 私も同感であります。たとえば向うの資本や原料が入りましても、外国投資家はある時期が来て採算がとれないということになれば、いつでも資本を引上げられることになりますから、たとえ油槽所原油との交換というようなことがありましても、これはとりたてて申し上げる必要のないことは明らかであろうと、私は思つているのであります。巷間人事権にまでタツチしているということが風評として伝えられ、あるいは新聞などにも出ておりますが、そういう点につきましての政府のお考えはいかがでありましようか。
  29. 増岡尚士

    増岡政府委員 私はその風評を特につまびらかにいたしませんが、結局会社の構成の問題になりまして、人事に容喙する権利のないものが人事に容喙するというようなことはあり得ないと考えております。
  30. 志田義信

    志田委員 どうもよくわからない御答弁でありましたが、それはそのくらいにとどめておきます。政府はかつて陸軍及び海軍が持つておりました燃料廠、それを今後日本石油政策精油の面において、どういうふうにお使いになるお考えであるか、お尋ね申し上げます。
  31. 増岡尚士

    増岡政府委員 従来の燃料廠をどういうふうに利用するかという問題は石油関係はかりでなく、いろいろ利用の道もあるだろうと思います。そういう問題については、結論的に申しますれば、最も有利な利用方法を講ずべきであるということで、私案は所管をしておりませんが、大藏省現実取扱つている方面にはいろいろの計画が出ておると思いますので、そういうものを全部勘案して、最も有効に使うことが適切であろう。その点については、いろいろの意見あるいはいろいろの計画があるようでありますが、まだ最後的な決定には至つておりません。
  32. 志田義信

    志田委員 たとえば岩国の陸軍燃料廠、四日市の海軍燃料廠等を既存の日本石油会社に与え、日本精油事業を十分復活なさる考えを持つておられるかどうか、お尋ね申し上げます。
  33. 増岡尚士

    増岡政府委員 ただいま申上げましたように、まだこれをそういうふうに使わすかどうかはきめておりません。
  34. 志田義信

    志田委員 販売方法についてですが、今日本ジヨイント・ユースは幾つくらいのものを考えられておりますか。
  35. 増岡尚士

    増岡政府委員 ちよつと細かくなりますので、私承知いたしておりませんから、石油課長からお答え申し上げます。
  36. 芝原忠夫

    芝原説明員 今お話ジヨイント・ユース、これはただいまのところ輸入基地である各元売業者がそれぞれのタンクを、いわゆるジヨイント・ユースと言つておりますが、共同使用をいたしております。
  37. 志田義信

    志田委員 最初ジヨイント・ユースはこれを廃止したように私たちは思つておりまして、廃止した後漸次会社タンク能力によりまして、自由競争をやるようになつて行くのではないかと思いますけれども、時期についてはいかがでありますか。
  38. 芝原忠夫

    芝原説明員 最初輸入基地ばかりではなく、第二基地までそれぞれジヨイント・ユースをいたしておりましたが、それぞれの元売業者自己タンクを整備いたすにつれまして、次第にジヨイント・ユースをはずしまして、本年一月からは使用基地だけジヨイント・ユースすることになつたわけであります。今後それぞれの元売業者自己所有施設を整備いたすにつれて、次第にジヨイント・ユースはなくなるものと考えております。
  39. 志田義信

    志田委員 そうしますと、それらの元売業の、下部機関としての特約店が、公開的に今後行われて行くというふうに解釈してよいかどうか、お尋ねいたします。
  40. 芝原忠夫

    芝原説明員 下部機関の方は従来ともジヨイント・ユースをいたしておりません。元売業者間だけで、実際の配給、面に支障のない程度に、できるだけジヨイント・ユースはなくして行く方が業界のためになるものと考えております。
  41. 志田義信

    志田委員 そうしますと、今後日本石油会社の中の精油会社というものはもつぱら原油入荷いかんで、その会社の成績が決定せられるというような事態が今後起るのではないかと思いますが、これに対してはいかがお考えでありましようか。
  42. 芝原忠夫

    芝原説明員 ただいまお話通り、将来におきましては、日本精製業者自己の保有する原油の量によつて販売の方へも影響するということに相なると思いまするが、ここ当分は現在通り自己の精製したもの、必ずしも自己の全販売数量ということには相ならないと思います。
  43. 志田義信

    志田委員 今当分はそうであるということは、私にもわかるのでありまするが、たとえば進駐軍産業、あるいはグリース等の副業の面ならいいということで、そういうことになろうと思いまするが、太平洋岸工場を持つていない精油会社は、これで非常な影響を受けるというようなことにつきまして、政府はこれをどういうふうに今後考えて行かれるか。
  44. 芝原忠夫

    芝原説明員 太平洋岸精製工場能力が現在計画されております復旧計画が完成いたしましても、需要に比べまして半数程度以下しかございませんので、供給力国産原油を入れましても、はるかに需要より下まわつておるという状態が続くわけでございまして、特に太平洋岸精製工場が再開したために、日本海岸方面精製工場が打撃をこうむるというようなことは絶対にないものと確信いたしております。
  45. 志田義信

    志田委員 絶対にないものと確信せられておるようでありますが、これは相当研究していただかないとならない点があると思いまするから、特にこの点を御留意していただきたいと思います。それはそうといたしまして、今後の原油輸入割当方式決定いたしておるわけでございましようか、いたしてないのでございましようか、お尋ねいたします。
  46. 芝原忠夫

    芝原説明員 今後の原油輸入の方針でございまするが、六月末までの原油につきましては、すでに御承知通り決定に相なつております。本年七月以降の原油輸入につきましては、目下作業中でございます。大体の方向といたしましては、できるだけ民間貿易原油を入れたいというふうに考えております。
  47. 志田義信

    志田委員 たいへん詳しく御説明いただきましてありがとうございました。どうぞ政府におきましては、日本石油事業が、戦時中は南方その他に移動を命ぜられまして施設南方に移動した結果、その間に得たものは、単に敗戦によつて南方事業を拡大するために雇傭した、大きな人員を持つているだけでありまして、今日その施設南方に置き去りになつております。その上にもつて来て、今日のごとく原油価格が、国産原油が九千三百円以上とならざるを得ない。どうしてもコストの引下げをしなければならない今日の状態にありましては、国際競争におきまして、非常に不利であります。政府といたしましては至急にこれらの石油業者に対する親切なお取扱いをきめていただきまして、わが国石油業界が、少くとも精製業者採油業岩とが相反目して、抗争することのないように、特に強く私からその施策の調合を宏願い申し上げて、私の質問を終りたいと思います。     〔多田委員長代理退席永井委員長代理着席
  48. 多田勇

    多田委員 ただいま石油の問題について、志田委員から詳細に御質問がございましたが、実は精油工場日石新潟工場が自然的な関係で非常に危機に立つておるということを、先般視察に行つて見て参つたのでありますが、新潟工場保安設備その他について、政府としても優秀設備を完全に守り、しかも完全に稼動させるために、十分な手を盡すべきだと思うのでありますが、それに対してどういう考え、あるいはまた計画があるとすれば、その内容を承りたい。
  49. 芝原忠夫

    芝原説明員 ただいま御指摘の点まことにごもつとものことでございます。かねてから通産省と共同作業によりまして、復旧工事その他につきまして資材資金等のあつせんについて、目下作業中でございます。御指摘の線に沿いまして至急善処いたしたいと存じております。
  50. 多田勇

    多田委員 次に全般的の問題について二、三お尋ねいたします。物調法に基く需給調整規則が、各物資についてつくられておりますけれども、各物資需給調整規則のいわゆる統制方式が必ずしも統一されてないため、せつかく統制規則をつくりましても、一方の統制規則における考え方と、一方の需給規則における考え方と一致してないというような場合があるようであります。たとえば配給物質需給規則におきまして、せつけんの需給規則では、卸、小売、生産その他の業務兼業を禁止しておるが、その他の物資については業務兼業を禁止してないというような点がその他いろいろあるようでありますが、需給調整規則の制定に際しましては、安本長官の承認を得た上で制定することになつておるようでありますけれども、これに対して各省考え方需給調整規則がつくられるということになつておるが、あるいはこの需給調整規則のつくり方について、安本自体が統制的な処置をとられておるか、また現実にできておる需給調整規則のいろいろな矛盾についての見解を承りたい。
  51. 西村久之

    西村(久)政府委員 お尋ねの点は、各省関係のものにつきまして安本が中にタツチいたしまして、どの調整規則も処理いたしておるということに御了承願います。
  52. 多田勇

    多田委員 安本等が中に立つて処理しておられるという話でございますので、需給調整規則をつくられます場合、あるいは改正されます場合、各規則によつて行き方の異ることのないように、需給調整規則の立て方によつて、いろいろ受ける影響が強いと思いますので、その調整というか、統制というか、そういつた点も十分考慮していただきたいと思います。  次に前回の委員会も問題に帰るわけでありますが、需給調整規則を今後一箇年間延長するということは、今後一箇年の間に物調法の効力を停止してもいいような諸般の情勢になつておるという考え方で、暫定的にいま一箇年間物調法を延期するという考え方で、御提案になつたようでありますが、しかし物調法に基いて統制しております物資の中には、今後一箇年問のうちに統制を解除するという、はつきりした見通しを持つておられるかどうか。あるいは物資によりましては今後一箇年の間には、統制を解除することが困難なものがあるように、私どもも見ておるのでありますが、そういたしますと、物調法を一応延期せずに、新しくそれらの統制物質についての単独立法を考えておるべきでないかということを考えておるのでございます。あるいはまた単独立法が困難とすれば、物調法にはつきり統制物資の名目をうたつて、新しく統制をするというような考え方で立法措置をすべきだというふうに考えておりますが、その点に対して政府の御見解をお伺いしたいと思います。
  53. 西村久之

    西村(久)政府委員 お尋ねの点は考え方として一応考え得られる問題でありますけれども、御意見のようなな筋のもとに進みますると、統制を今後解消して参りまする際に、中間にいろんな関係の統制を解除しようとしましても、物調法をくぐりますと、結局国会の召集のある時期まで延ばさなければならないというような不利、不便がありますので、とりあえず統制不要のものは統制を解除して行きつつ、ことし一ぱいだけ物調法を延期して、御意見通りの、やむや得ず二十六年まで延ばさなければならないような重要物資ができまする際には、その際に単行法を個々の物資について制定いたしたい、かような方針で進んでおるようであります。
  54. 多田勇

    多田委員 単行法をつくりましても、あるいは物調法の中の物費を指定した場合でも、一方的な技術的の面で、行政府考えて統制を必要としないという時期になつたときには、その物資についての法の効力を停止するという措置はできると思います。これはこの程度にとどめますが、政府としてはこの物調法を今後一箇年間延長して、その結果今お話のように統制をさらに継続しなければならないような物資があつた場合には、単独立法の措置を講じて物調法をこれ以上に延期しないという考え方を持つておられるかどうか。これをはつきりお示し願いたいと思います。
  55. 西村久之

    西村(久)政府委員 御意見通りの方針でございます。
  56. 多田勇

    多田委員 いま一つ物調法の改正の中で、法律案の内容説明にもありましたが、昭和二十二年六月から約六百程度の民間産業団体に補助的な統制事務を行わせて来た。しかしこれが必要がなくなつたために、物調法の一部を改正するという御説明が、ございましたが、実際、今後の統制はなるべく広範囲に民間企業に切りかえて行こうという線に進まれておりますし、今政務次官から御答弁でなるべく早い機会に統制を解除して行きたいという考えの湯でありますので、統制を解除されました場合に、混乱なしに民間企業体に切りかえられるような措置をとるために、どうしても民間団体にある程度補助的な業務に携わらせることが、現在の統制状態からして、最も適当ではないかというように考えておりますし、又実際統制下におきましても、ことに配給物資におきましては、政府の補助的な機関として、民間団体をある程度、活用することは円滑な配給を結果づけることになるだろうと思いますし、現実にそういつた措置もとられておるものもあるようでありますが、これに対して民間の補助的な業務措置を禁止するという考え方を持たれた、その考え方についてお伺いいたしたいと思います。
  57. 西村久之

    西村(久)政府委員 お尋ねの趣旨が私、はつきりしなかつたのでありますが、民間団体に企業をまかせる際に、経済的の混乱等を来さないように、事前にその間の措置を考慮すべきではないかという御趣旨であるといたしますれば、その方針をとりまして、経済の混乱を来さないように資金面なり、技術面なりを、にらみ合せて措置をとつて行く方針であります。
  58. 多田勇

    多田委員 行政的な措置といたしまして、ただいま政務次官が言われましたような措置をとることによつて、実際の運営がつくという可能性はあると思うのでありますが、現実の問題といたしまして、たとえば物の配給の面につきまして考えてみますと各府県に一つの荷受機関をつくらなければ物が完全に流れて行かない。しかもその荷受機関というものは物調法に基いて、需給調整規則によつて裏づけされた機関であることが、現在の場合には相当必要になつて来ておると思うのであります。これは独占禁止法並びに事業者団体法におきまして、各地方にできましたこれらの荷受機関は相当程度の圧迫を受けるといいますか、これらの法律に抵触して実際の活動が完全にできないという現実になつておるのであります。従いましてこれらのものが完全に活動ができないということになりますると、これらの物資が円滑に統制下に配給ができないという結果になりますので、統制を継続する物資である以上、ある程度民間に統制の補助的な業務を委任しても弊害はない。むしろ統制を円滑に遂行するためには、ある程度の統制的な補助的な業務を民間団体に委任することが最も必要ではないかというように、現実から私どもは考えておるのであります。これは非常にやかましい事業者団体法のためにいろいろな弊害が生じますので、こういう物調法の裏づけ的な措置をとるか、事業者団体法をある程度改正するか、そのいずれかの措置をとらさる以上、今後の物資配給の面に、非常な混乱を生ずる危険性があるように考えておりますので、この点についていま一応行政的な措置でなしに、法の裏づけのある措置考えるべきだ、こう考えておりますが、政府の御見解をお伺いいたしたいと思います。
  59. 増岡尚士

    増岡政府委員 私からお答え申し上げますが、民間の産業団体を指定いたしまして、補助的な統制事務を行わせて来たと申しますのは、大体指定生産資材関係の割当業務の補助機関として扱つてつたのでありまして、この点については大体官庁の方の機構の整備に伴つて順次廃止をして来ておりまして、現在のところは実は一つもなくなつておるのであります。今お話のような、配給物資の共同荷受機関等は、実際上配給の円滑を期するために、ある程度統制業務らしいものに参与しておるのですが、そのものはこの臨時物資調整法に基いて指定をして、補助的統制業務を行わせて行くというものには当つておりませんので、この改正案によりまして、その関係の協定がなくなりましても、そのものについては従来の業務影響がないということであります。     〔永井(英)委員代理退席委員長着席〕
  60. 多田勇

    多田委員 私の今申しましたのは、従来指定されておつた団体等があつて、その団体等がこの法律を改正することによつて影響を受けるというような意見ではないのでありまして、従来とも物調法によつて指定は受けていなかつたのでございます。物調法によつて荷受機関としての指定を受ける措置を講ずべきだということは、前々から申し上げておりますし、前回物調法を改正する際にも、長官に、はつきりとこれらの措置を講ずることについて同意されておるように私記憶しておるのであります。物調法の建前として、産業団体を指定して、それらの産業団体に統制的な補助的な業務取扱わせることは、指定生産物資の場合に限定して来たという今までの考え方を、一応御破算にいたしまして、現実配給を円滑に完遂するという建前から、新しくこれらの配給物資についても、民間産業団体を指定するというような措置をとるべきだ。これらの措置をとらないことによつて、いろいろな弊害あるいは配給上の混乱を生ずるおそれが多分にある。これは今までは事業者団体法がなかつたために、あるいは事業者団体法ができました後におきましても、公正吸引委員会が積極的な活動をしなかつたために、これらの団体としてある程度の活動をすることができたのでありますが、最近におきまして公正取引委員会が、これらの団体に対して非常に積極的な措置をとりつつあるというような現状になりますと、どうしても物調法による法的な裏づけが必要になつて来るというのが現状でございますので、これを削除せずして、配給物資について国家の統制業務に弊害かない程度で、民間団体を指定するという措置をとるべきだと考えておりますが、これに対していま一応御見解を承りたいと思います。
  61. 増岡尚士

    増岡政府委員 事業者団体法の関係でいわゆる荷受腰関的な地方の団体を指定する方が、配給の円滑を期する上に適当であるという御意見でありますが、先ほども申し上げましたように、今までこの規定で指定をいたしておりましたものは、指定生産資材としての各同業者に対する割当をやるという場合でありまして、そのものをさらに下の段階あるいは消費者というようなものに配給をする場合に、それを産業団体として指定して、特定のことをやらすということは、この点では指定してありませんで、むしろ配給物資の場合には、この割当と指定生産資材の割当に対応する分は、府県において需要者に供給する、あるいは特定の事業者団体において供給するということで、運営をして来ておつたのでありまして、この規定を存続いたしましても、今お話のように運用することは相当むづかしいのではないかというふうにも考えるのであります。ただ、今お話のように、事業者団体法ができてから、ああいう機関の運用がきわめてむずかしくなつて来たということは、私どもは聞き及んでおるのでありまして、それらの措置につきましては、なお個々の物資配給のやり方について、さらに具体的に研究をした上で、その運営が円滑に行つて配給に支障がないように措置するということが可能ではないかというふうに考えますので、そのように御了承おきを願いたいと思います。
  62. 多田勇

    多田委員 増岡さんは実際の配給の実情についてお知りにならないから、そういつた意見が出ると思うのでありますが、実際配給物資を完全に統制して、統制の目的を達するというためには、どうしてもある程度の民間団体を統制的な補助的機関に活用しなければ、当初の正的を達成することはできぬということが現実なのであります。そこで民間団体を使わずに、物の面については非常に強度な統制をする。民間企業体については自由な形にするというような統制の仕方が、今後行われることによつて、その統制を混乱し、統制の所期の目的をなくするような危険性が多分にあるのであります。そこで民間企業体、民間団体を活用しない行政的な措置で、円滑な配給を先途するための方法を考慮して行くというような考え方であれは、むしろこの際統制を全部撤廃して自由な形にすることが、弊害を少くするというように私は考えておるのであります。そこでこの條項を削除いたしますと、かりに今お話のように各物資についての需給調整規則によつて、これらの行政的措置をとる場合においても、民間団体を活用することが不可能になるわけでありますから、この條文を残しておきまして、各物資ごとの需給調整規則をつくります。あるいはそれを改正いたしまして、これらの民間団体を活用するというような考え方で、少くとも統制する以上は、その統制が完全に行われるという線で政府自体も考えるべきだ、こう考えておりますが、それに対してどうお考えになつておられますか、その点生活物資関係の方からでもけつこうですから……
  63. 鵜崎多一

    ○鵜崎政府委員 今後の統制について、どういうふうに考えておるかという御質問だと思うのでありますが、生活物資で今後統制を継続して行くおもな物資につきましては、しばらく公団方式という方式をとりまして、いろいろな割当に対する事務をとつておるのでありますが、そういう公団統制方式をとらないものにつきましては、できるだけ問屋機能を活用いたしまして、それによつて配給物資の円滑な運営をはかりたい。かように考えております。
  64. 多田勇

    多田委員 問屋機能を活用されますその考え方には、私も同感でございますが、物を統制する以上は、その統制が完全に行われるということを前提に考えて統制すべきだと思うから、そこで最近におきまする統制の仕方が完全な統制を遂行するという線からはずれて来る危険性が多分にあるというふうに考えておりますので、これらの関係、たとえば今お話のように問屋制度を活用して統制を完全に行わせるというお話でありますが、現実の問題としまして、物が少いから統制するのでありまして、少い物資を消費者まで輸送するということが、現在の輸送の現実からいたしまして完全に行われるかどうかということは、非常に疑義があろうと思うのであります。そこで今私が申しましたのは、問屋機能を活用されることもけつこうでございますけれども、問屋機能を活用されます場合におきましても、ある程度民間団体を活用することが必要ではないか、あるいは中小企業等協同組合法によつてできました協同納会百等を物調法に基くところの一つの指定団体としてこれらの団体にある程度の、要するに政府の統制機能を阻害しない程度の統制の補助的な業務を行わせることが、必要ではないかと考えておりますが、現実配給物交を扱つておられる関係省の今までの実績に照しました御意見を伺いたいと思います。
  65. 鵜崎多一

    ○鵜崎政府委員 配給物資につきまして、今後卸機関その他のものを今の物調法で指定して行くという考え方につきましては、そういう考え方をとつていないのでありまして、卸機関なり、それらを登録して、そういうような形において物資の円滑な配給をやりたい、こういうような考え方を持つておるのであります。
  66. 多田勇

    多田委員 考え方は非常にけつこうなんですが、今のような考え方で、完全に物が流れておるかどうか、その点をお伺いします。
  67. 鵜崎多一

    ○鵜崎政府委員 物の配給の円滑化は今後各方面の行政的な指導面もありますし、その他自主的な卸機関の活動の面もありまして、物にひもをつけつつ円滑に配給ができるようにいたしたいと考えております。
  68. 多田勇

    多田委員 配給ができるようにしたいという考え方でございますが、実際問題とすると、配給が非常に困難だということが一言にして言えると思うのだあります。それは現在いろいろな配給物資配給の現状を見ましても、それらの卸売機関が各府県ごとに一つの団体をつくつて、その団体がメーカーから品物を仕入れる、あるいは公団から品物を仕入れて、それをさらに卸売業者に分割して、小売業者から消費者に物を配給しておるというのが現実でありまして、登録された卸売業者が、個々に公団なりメーカーから需給規則通りに物を仕入れて流すということは、現実の面から不可能に近いような状態になつておるように、私どもは承知しておるのであります。最近経済調査庁が全国的にいろいろな配給物資についての調査をされておりますが、その調査の面に現われておるものを見ましても、ほとんど各府県の団体が一括して物を仕入れて、卸売業者に分割し、さらに小売業者に卸して、小売業者が消費者に流しておるというのが現実である。ところがたまたま卸売業者がつくりました団体は、これら中小企業等協同組谷法に基くところの協同組合でありましても大企業が入つておる、あるいは二十人以上の使用人を持つておるものが、その組合に加盟しておるというようなことによつて事業者団体法に抵触するということで、公正取引委員会が正式に取上げた問題も相当あるのであります。こういつたことになりますと、現実に物の配給の面に混乱を生ずるという危険性が将来ございますので、統制する以上はそういつた混乱のないように、しかも民間企業を十二分に活用するという線でも民間企業体を一つのこういつた荷受機関程度の補助的業務を扱わせるということで、需給調整規則の面で物調法の裏づけとしてこれらの民間団体を指定するということが、どうしても必要になつて来るのであります。そうしませんと、せつかく物を統制しましても統制が混乱に陥り、統制の当初の目的を達することが不可能になる危険性がありますので、現実の一面から見まして、これらの措置を当然講すべきだ、こう考えておりますが、今の御意見は御意見としてはごもつともかもしれませんが、現実措置としていま一応考えることができないかどうか、政府の御意見をお伺いいたします。
  69. 鵜崎多一

    ○鵜崎政府委員 今の配給を統制する以上は、円滑にかつ確実にするようにという御意見につきましては、今後もそういう線でやつて参りたいと思うのであります。
  70. 多田勇

    多田委員 今後もそういう線でもつて行きたいという御意見は、物調法の裏づけとして民間団体を使つて行くという御意見に了承してさしつかえごごいませんか。
  71. 鵜崎多一

    ○鵜崎政府委員 実はお話の、現在の、たとえば衣料にいたしましても各府県の共同荷受機関というものがございまして、それに対して割当てて配給しておるのでありますが、これは御承知のように物調法によらない自主的な共同荷受機関、これで動いておりますので、物調法に基く指定機関というような方向には、なかなかむずかしいのでなかろうかと考えております。
  72. 多田勇

    多田委員 今お話の繊維の荷受機関というような、民間の自主的な団体が今まで統制的な面に、相当補助的な役割をして来たのでありますが、こういつた団体が共同荷受けをするというようなことになりますと、その団体の構成内容によりましては、当然事業者団体法に抵触する危険性があるのであります。先ほどから申し上げましたように、現に公正取委員会で正式に審判開始決定をいたしておるものもありますので、そういつた措置は非常に危険である。政府関係各省がこれらの機関を使つて、ある程度の統制的な仕事をさせる、こうおつしやいましても、一方事業者団体法によりまして公正取引委員会がそれに対して制限を加えるということになりますと、一番被害をこうむるのは民間団体ということになるのでありますから、これはどうしても物調法の裏づけとして需給調整規則によつて、これらの団体を指定する措置を講じなければ、現実の問題としては不可能になる危険性がありますので、物調法に基く指定が非常に困難になるというお話でありますが、その困難だという御見解を、ある程度お伺いできれは伺いたいと思います。
  73. 増岡尚士

    増岡政府委員 実は法規上の問題を詳しく検討すればいろいろ議論があると思うのでありますが、繰返すようになりますが、従来産業団体を指定いたしまして、統制の業務を行わせたというその統制業務の内容でありますが、それは臨時物資需給調整法の第一條第一第一号項の指定物資につきまして、団体構成員がその物資を扱う場合に、その団体の構成員に対して割当をする、たとえばすでに統制はありませんが統制物資であつた場合に、が、石炭その石炭を使う工業者が集まりましてつくつた団体、金属の業者であれば、金属業の者のつくりました団体を指定いたしまして、その団体員に対して石炭の割当をするという業務を委任してやつてつたのであります。従つて配給の場合には、その割当に対応する仕事は、先ほども申し上げましたように、府県なり需要者団体等がやることになります。荷受け機関が統制業務をやることになりますと、お話の趣旨では、あるいはその荷受け機関に入つておる商業者の扱う数量をきめるというような業務になるのかとも考えられますので、従来の割当の委任ということは、大分様子が違つて来るわけであります。そういう場合に、現在生きておる規定を使うことができるかどうかということは、研究を要する問題でありまして、この規定を残しておきましても、従来の例から申しますると、どうもそういう構成の内容を持つた産業団体に業務を委任するというか、指定をして業務をやらせるということは、困難なように考えられるのであります。なおこの点について、こまかい法律問題でありますが、今私が法規を調べた範囲、あるいは従来の経過から申しますと、どうもそういう荷受け機関を指定するといういよことは、この法律の運用ではむづかしうな気がいたしておるのであります。
  74. 多田勇

    多田委員 その点はわかつておるのですが、前回物調法を改正する際にも、そういつた措置をするように考えて行きたいという御答弁がございましたので、民間団体を指定するという行き方を、今お話のように、産業団体の構成員に対するものの割当、その他相当広範囲の統制的な業務を委任するという形でなしに、ものが円滑に流れるための一つの措置として、共同荷受けをするという程度の規定を物調法の中に入れることが必要だと、こう私は申し上げているのでございます。しかし今お話がございましたこの物調法で、これを法的に措置することなしに、そういつた指定が可能かどうか、要するにこの物調法に基いて各省でつくられる需給調整規則の中に、そういつた指定的な措置をとることが可能であるかどうか、この点についてお伺いいたします。
  75. 増岡尚士

    増岡政府委員 規則の内容として、そういう団体が配給機構というか、配給の円滑を期するためにぜひ必要であるということになりますれば、必ずしも不可能ではないというふうに、私はただいまのところ思つておりますが、なほこの点は研究しなければ確実なところは申し上げられません。しかし物調法に基いた規則で特定の物資について特定の団体を指定するということであれば、全然不可能だということでもないように存じます。ただこの共同荷受け業務を実際やるという場合には、必ずしもそういう規定をいたしませんでも、あるいは必要な範囲の業者が集まりまして、協同組合等をつくつた場合には、当然荷受け機関として事実上尊重されるということで、一方法規に段階をきめるというような規定を設けておけは、実際問題としてはそう大差なく円滑に行くのではないかというふうにも考えられます。
  76. 多田勇

    多田委員 需給調整規則の面に、そういつた指定的な措置をすることが可能なような状況でございますので、そういつた線に進んでいただきたい、こう考えております。今業者が協同組合等によつて共同荷受けをすることが可能だという話でございましたが、もちろん中小企業等協同組合法によつてきめられました範囲の中小企業者が集まりまして、協同組合を組織した場合は別でございます。大体各府県までの共同荷受け機関が必要でございますが、各府県の共同荷受け機関の構成メンバーは卸売業者であります。卸売業者の中には事業者団体、いわゆる使用人を二十人以上使つておるというようなものも含まれる場合が相当あるのであります。そういたしますと、事業者団体法に抵触いたしまして、一切の経済行為が禁止されるというのが現実で、現に問題になりつつあるところもあるのであります。そうした面から考えまして、物調法に基の需給調整規則の中にそういつた機関を指定する一つの條項を入れることが可能だという考え方を、現在はつきりしませんでしたら、この次の委員会までにはつきり御答弁願いたい。この点をお願いいたしておきます。  次に昭和二十五年度内にいわゆる物調法を延期しようという、将来一箇年の間に統制を解除しようという見通しのあるもの、あるいはその反対に、現在統制しております六十四品目のうち、昭和二十六年度まで統制を延期しなければならないという見通しのある物資を、具体的に御説明願いたい。
  77. 西村久之

    西村(久)政府委員 大体におきまして、方針といたしましては、二十五年度中に統制を解除して行く方針であります。二十六年度にまたがるといたしましても、これは国家再建に役立ちまする基礎資材なり輸入物資、並びに食糧関係等の品目が一部残る程度と御了承おきを願います。
  78. 多田勇

    多田委員 他の物資について数字的に御説明願えれば非常にけつこうだと思うのですが、この前の委員会で、そういうように委員長まで申入れをしておきましたが、数字的な御説明が願えないかどうか、伺います。
  79. 西村久之

    西村(久)政府委員 各物資の内訳の資料をお上げしてあると思いますが、資料がありませんければ、資料をこしらえて、委員会にお示しをすることにいたしたいと思います。
  80. 永井英修

    永井(英)委員 過剰物資在庫活用規則によつて産業復興公団が、重要産業の手持ち資材を買い上げて、これを再配分するということになつておりますが、現在までにどれくらい買い上げておるか、そしてまた現在どのくらいの手持ちがあるか、それをお示しを願いたいと思います。
  81. 高鳥節男

    ○高島説明員 ただいまの御質問の過剰物資在庫活用規則によりまして、産業復興公団が、今日まで供出者から引取りました物資は、約六億一千万円程度のものを引取つております。ただ価格関係等の問題もございまして、右金額のうち本契約を結ぶに至つていないものが、約一億円程度あるかと思います。従つて確実に本契約でとつておりますものは、約五億円程度というふうに御了承願いたいと思います。
  82. 永井英修

    永井(英)委員 現在買い上げて、手持ちになつておるものはどのくらいあるのですか。
  83. 高鳥節男

    ○高島説明員 現在までに約五億程度の本契約をして引取りまして、大体十二月末で、代金といたしましては、約三億七千万円程度のものが入つております。従つてその程度のものが売却済みであるという計算に相なつております。
  84. 永井英修

    永井(英)委員 それでお尋ねいたしますが、この重要産業から丸払い制度によつて買い上げられた品物の代金は、十箇年のすえ置きの国債によつて渡されておる。これは不正物資と同様な取扱いを受けておりますが、実際にただ余つてつたものを買い上げられたということで、十箇年のすえ置きの、しかも登録公債で渡されておるという状態では、ことに今日のように金詰まりのときにおいては、非常な金融上の圧迫を受けておるわけでありますが、この点に対して政府はどういう処置をとられるか、この点を伺います。
  85. 高鳥節男

    ○高島説明員 ただいまの御質問の趣旨、まことにごもつともでありまして、ことに過剰在庫制度というのが、こういうデフレ時代になりますと、その制度上からも終末でございまして、三月三日から一応制度としては廃止し、今後の新しい買上げ等はやめるよう、規則の廃止等も準備いたしております。登録国債の点につきましては、二十四年から法律を出しまして、登録国債以外では弁済できないということに相なつて、十年償還という法律上の形式をとつておりますが、その償還期限等は、今日において大いに促進いたしたいと思いまして、二十五年度から、この償還に手をつけるということにいたしております。二十五年度は、今の予定から申しますと、物資の売れぐあい、金繰り等の都合もありますが、五月には償還に着手して行けるじやないか。しかしてその償還をいたします際には、一応特別会計といたしましては、正保有と過剰在庫と一緒の扱いになつておりますが、ただいま御意見もございましたが、過剰在庫と正保有とは、その趣旨は相当違うことにもかんがみまして、過剰在庫分を優先的に償還するということにいたしまして、五月からこれに手をつけるように準備をいたしておる次第であります。
  86. 永井英修

    永井(英)委員 五月から着手されるというのは、はなはだけつこうでありますが、大体二十五年度中にどれくらい償還をされますか。それをお伺いしたい。
  87. 高鳥節男

    ○高島説明員 大体二十五年度中は、不正保有を一応除きまして、過剰在庫の関係で、今まで命令の出ておりますものを片づけるという趣旨から、三億五千万円程度のものを予定いたしております。
  88. 永井英修

    永井(英)委員 先ほども申し上げました通りに、現在非常に金融難に陷つておりますので、なるべく至急に償還の処置をとられるように、私お願いいたす次第であります。  なお先ほどちよつとお話がありましたが、現在物資も非常に多くなりましたし、産業復興公団で、丸払い制度を設けて、そうしてこれで各産業の余剰物資を買うというようなことは、むしろこれを民間にまかせると、もつと自由に、なめらかにものは動いて行くのではないか、私どもはこういうふううな気がいたしますが、この点についてどういう御見解か、お伺いしたいと思います。
  89. 高鳥節男

    ○高島説明員 ただいまの御質問の要点は、過剰在庫という形で個々の制度を動かして行くことは、三月三日から省令をはずしまして、今までの清算ということだけでやつて参りたいのでありまして、従つて政府といたしまして、ものを買つて、それを需給調整上売つて行くという制度——ほかの過剰在庫の概念に当らない若干の統制物資が残りますことは、今までいろいろこの委員会お話がありました通りでありますが、こういつた形によるところの制度としては、なくなつて参ります。ただ産業復興公団自身といたしまして、今後物資調整に対していかなる制度を持つて行くか、私は全面的に御答弁申し上げる権能を持つておりませんが、大体の感じといたしましては、政府自身が手を出して、品物の買取り販売をやつて行くという面は、ずうつと後退いたして参りますので、その業務等も逐次整理して行くことになると思います。
  90. 永井英修

    永井(英)委員 ただいま答弁をする権能を持つていないというふうに言われましたが、産業復興公団法の、第十六條の業務内容の規定によりますと公団業務本来の制度は、重要産業の手持ち資材を買い上げて、再配分するという寡少資材の有効利用にあるということでありますが、現在の状態ではこの産業復興公団はもうほとんど廃止してもいいのじやないかという気がいたすのであります。それであなたはおそらく御存じないかもしれないが、この一月の六日に炭鉱業者の集まりで説明をされておるところによりますと、産業復興公団は非常にいいことをやつているということで、いかにもまたこれが継続さるべきであるというように考えられるようなことを言つておられるのであります。しかし今日のように物資がだんだん豊富になつて来るときには、もうすでにこの産業復興公団の使命は終つているのであつて、私どもとしては早急にこの産業復興公団は廃止すべきじやないか、こういうように考えるのでありますが、政府次官はどういうふうにお考えになりますか。
  91. 西村久之

    西村(久)政府委員 つとめて御意見の趣旨に沿うように、産業復興公団は早い機会にこれを廃止する方針で進めることにいたします。
  92. 永井英修

    永井(英)委員 それからもう一つ…氷なんかもまだ統制規則がありますが、氷の統制はもう廃止の時期にあるのじやないかという気がいたします。  それから木炭の需給調整規則もまだ残つておりますが、木炭についてはいろいろな問題が起つております。木炭も、むしろ現在においては、この規則があるために生産が阻害されているという面もあるようでありますが、この規則はいつごろ廃止されますか。それをちよつとお伺いしたいと思います。
  93. 西村久之

    西村(久)政府委員 木炭関係は他の政府委員よりお答えさせます。氷の統制をはずし得ずに今日までありまするが、今の段階は、御案内の通り戦後非常に製氷工場等の設備が腐朽あるいは焼失いたしました関係で、今日まだ復旧途上にあるのであります。需給を満たし得ないような状況で、これを解きますると、氷の価格か暴騰いたしまして、魚価に影響いたします関係等を考慮に入れまして、今日まで統制が解かれずにいるということを御了承願いたいと思います。
  94. 増岡尚士

    増岡政府委員 木炭需給調整規則の御質問でありますが、これにつきましては木炭の今後の需給の目通し、生産者と利害関係、あるいは木炭の需給特別関係の操作のいろいろな観点から検討して参つたのでありますが、特に全国においても、六大都市においては実効価格を、昨年の四、五月に比較いたしますと、最も需要の多い十二月、一月の実効価格を見ましても、そう大して差がありません。安定本部といたしましては、事務的に関係各省と打合せをいたしまして、きわめて早い時期に統制をはずしたいというふうに考えております。
  95. 森山欽司

    ○森山委員 臨時物資需給調整法の改正案について質問いたします。この物調法は、統制物資が次々に廃止されて、現存残つているのはきわめて少くなつておりますので、従来のような委任立法的な法律は不必要になつて来たのではないかと考えられる段階に達しておると思います。安本長官は自中経済の移行過程だから、しばらく存置したいという御意見であつたのでありますが、国民の側から申せば、いかなる物資が統制されておるか、あるいはその具体的な物資の名称等については、なかなかわからないという面があります。しかも、これらの面がすべて各省に委任されておつて、国会が全然タツチできないという状況にある。また国民の要望もこれに加味するところが少い。国民も国会も知らない間にこれがかつてに廃止になつたり、統制方式がかわつたりするということが、今まで再三あつたわけであります。それが関係の国民に相当大きな迷惑を加えるのじやないか、われわれとしてはこの法律を廃止して、必要物資についてのみ立法するということが、今の経済段階においては、国民に対して親切なやり方であると思われるのでありますけれども、安本当局はこの点についていかにお考えになつておられるか、伺いたいと思います。
  96. 西村久之

    西村(久)政府委員 ただいまのお尋ねの点は先ほどもお答え申し上げたのでありまするが、統制を解いて参つておりますることは御存じの通りでありますけれども、まだ相当数の統制物資が残つておるのであります。これは物調法をやめまして、残りますものにつきまして単行法でも設置するということになれば、相当数の法律ができなければならないという不便を生じまするのと、なお物資の統制を解除いたしつつありまするこの途上におきまして法律をつくりますると、国会が召集いたさなければ、そのものの統制を解きましても、法律があります関係上、自由にならないという不利不便等もありまするので、統制を解除する途上にあります今日、ことし一年だけは物調法を存置いたしまして、二十六年以降もし必要最小限度の物資が残りまするならば、その際単行法を考えるべきである。こういう見解のもとに提案をしたわけであります。
  97. 森山欽司

    ○森山委員 それではこの物調法の改正案の内部に入りまして、従来この法律の有効期間については、経済安定本部の廃止のとき、という字句があつたのでありますが、昭和二十六年四月一日というふうに、日付の点だけに改めたわけであります。その趣旨は先般長官が、安本を恒久官庁にする趣旨であるというふうに答えられたわけでありまするが、この安本を恒久官庁にするかどうかについての法案は、前々国会の委員会の席上、二月の末までにこの法案が提出されるというお話があつたのでありますが、いまもつてこの法案の提出がないということを考えますと、この法案の審議は、この改正案の内容からいたしまして、安本改正の改正案の審議と同時に、あるいはそれが終つてからこの法案の審議をなすべきであると考えますが、いかがでありますか。
  98. 西村久之

    西村(久)政府委員 安定本部設置法の改正法律案は、二月末日までには提案いたしたいと思いまして、一応閣議での了解を願つて、その筋と折衝中でありますので、日ならずまとめまして、御提案いたしたいと思います。従いまして、今御意見のような、この法律案の審議中には必ず並行して出て来て、御審議願うということに御了承おきを願いたいと思うのであります。
  99. 森山欽司

    ○森山委員 そうすると、採決の時期等については、これと同時か、あるいはこの安本の改正法案の審議が先か、いずれかの方法によつて、最後の採決の時期がきまるということでございますか。
  100. 西村久之

    西村(久)政府委員 採決の時期は、当委員会の決議によることでありまして、政府の関知するところではないのであります。
  101. 森山欽司

    ○森山委員 いや私が申し上げるのは、安本側の御希望としては、どういう御希望であるかということでございます。
  102. 西村久之

    西村(久)政府委員 なるたけ物調法の審議中に、安定本部設置法の一部改正法律案も御提案申し上げまして、御審議を願うつもりで努力いたしております。
  103. 森山欽司

    ○森山委員 委員長にお伺いしますが、この問題はいかがなりましようか。
  104. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 西村政務次官のお考えは、この審議の進行と並行して進めたいというお考えでありますが、私は必ずしもそうではなくてもよろしいと思うのです。これは期限の問題でありますから、安本が恒久官庁になろうが、臨時官庁であろうか、これは要するに一年延期するというだけでありますので、別に関連させずにやつてもさしつかえないと考えております。
  105. 森山欽司

    ○森山委員 委員長は関連がないというふうなお考えで、安本の官制の改正案と別個に審議してもよろしいというようなお考えのようですが、しかし改正の趣旨について政府当局の説明によれば、安本を恒久官庁にするという官制の改正ということをこの説明の中に加えられて、この臨時物資需給調整法等の一部を改正する法律案の第四項の御説明をされたので、その点委員長の脚認識と政府の御説明とはいささか食い違うのではないか。
  106. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 委員長考えを申し述べただけで、食い違いがあるかもしれませんが、臨時物資需給調整法の期限延長の問題は、これは安本の機構改革の問題と並行して行かなくてもできることだと、考えておるのであります。しかしそうは考えておりましても、まだ会期もあることですし、むりに押し切つて、これを切り離してやらなければならぬということはございませんので、委員会の皆さんの御希望によつて、いかようにでもとりはからいます。
  107. 森山欽司

    ○森山委員 事務局の方の御意見によると、質疑はきようで打切るというお話もございましたので、念のために安本の改正法案が出ないうちに——と申しますことは、先般委員会も私にお話がありましたように、二月末までには出すということを考えますと、その間に多少矛盾が考えられる。できれば予算と税制関係の法律と同じような関係で、やつぱり両法案を提出されたときに、この問題の採決の時期に入るなり、また安本の機構改正法案の内容いかんによつては、これについても多少関係があるかもしれないということも考えられます。おそらくないかもしれないが、しかしそういうことになりますから、質疑はきようで打切るというような形でお話がございますと、安本の改正法案のいかんにかかわらず、これだけ通してしまうのだということは、いかにも国会の権威に関すると思いますので、委員におかれましては、この法案の採決の時期を安本官制改正案の出方と十分にらみ合せてお考えを願いたいと思います。
  108. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 森山委員にお答えいたします。ちようど共産党の米原委員からもきよう質疑の通告があるのですが、安本長官がお見えにならないので、質疑を留保することになつておりますから、どちらにいたせ、きようば質疑打切りというわけには参りませんので、次会まで留保することにいたします。なお委員会多数の御希望が森山委員と同様であれば、当然その趣旨に従つて私の方は取運びますから御了承を願います。
  109. 森山欽司

    ○森山委員 それでは現行物調法の内容に入りまして、第一條の第三号と第四号の適用が、いかなる状況になつておるか、お伺いしたい。
  110. 増岡尚士

    増岡政府委員 第一條の第三号は輸送関係のことでありますが、これに基いて出ております命令は資料としてお手元にも差上げてあると思うのでありますが、指定物資輸送証明規則という輸送の関係を制限しておる規定があります。それから臨時建築制限規則、御承知のように一定の規模以上の建築について許可を受けるという関係の規則があります。そのほかに繊維関係で綿紡の復元に関する件、あるいは繊維製品検査規則、臨時繊維機械設備制限規則、これらの規定が出ております。それから第四号の関係では、先ほどお話の出ました過剰物資等在庫活用規則というのが出ております。一條の三号、四号関係ではさような規則があります。
  111. 森山欽司

    ○森山委員 そうしますと、同條の第二項に、以上の各号に掲げる事項に関する命令によつて生ずる損失は補償するようになつておりますが、これに要する予算はどういうような関係になつておりますか。
  112. 増岡尚士

    増岡政府委員 ただいままでのこの現定の運用によりまして、直接制限によつて損失を生じたというふうに認められる事例はございませんので、ただいまのところは、これに関する予算は計上いたしておりません。
  113. 森山欽司

    ○森山委員 それから第三條の二の関係でありますが、本法の執行機関の問題、地方の自治に従来の事務を大幅に移讓する方針とかに開いておりますか、その進行状態はどうなつておるのですか。
  114. 増岡尚士

    増岡政府委員 現在指定配給物資については、ほとんど全部が地方公共団体の長に委任されておりまするし、今後指定生産資材につきましても、御承知のように国の機関がやつてつた部面が、地方公共団体に移ることに相なつておりますので、その面で権限が地方公共団体の長に委任されるということになるわけであります。
  115. 森山欽司

    ○森山委員 現在各省のもとにあると申しましても、特に農林省等が問題になつておりますが、資材調整事務所は、今後どういうふうになるのですか。
  116. 増岡尚士

    増岡政府委員 ただいま申し上げましたように、通産省の下部機構であります県にありました事務所の関係を同じように、農林省の下部機構である資材調整事務所も、その扱つていた事務は、全部地方公共団体の方に移るということになります。
  117. 森山欽司

    ○森山委員 将来もし統制が昭和二十五年度中には相当大幅に撤廃になる。二十九年度に残るのはごくわずかであるということになり、そうしてこれを地方の知事に移すことによつて、この各省のもとにある資材調整事務所の職員は、どういうふうに整理されて行くのかどうか、ちよつとお伺いいたします。
  118. 増岡尚士

    増岡政府委員 結局統制の業務、特に割当の業務に当つている人員は、統制の解除とともに不必要になりますので、地方のみならず、中央地方を通じまして、その業務に必要であつた人員だけはだんだん整理されて行くということになります。そうして地方公共団体に、資材調整事務所なり、あるいは通産局の各府県の事務所にある職員も移譲される。物資の統制を続ける範囲において必要なだけが、地方公共団体に吸収されて、その余のものは、いわゆる行政整理のようになりますかどうかわかりませんが、整理をされる。これは中央地方を通じて、統制の大幅縮減に応じまして、さような結果に相なるのであります。
  119. 森山欽司

    ○森山委員 そうするとその整理の責任は、政府立場においてやるわけですね。
  120. 増岡尚士

    増岡政府委員 まだ移らない間の問題は政府の責任でやることに相なりますが、移つてしまつてから縮減された部面については、やはり公共団体の方でやつていただくということになるのであります。
  121. 森山欽司

    ○森山委員 それから先般長官は、企業の活動を自由にするため、場合によつては現行の事業者団体法の改正の問題も起るというような御答弁があつたのでありますが、統制廃止と、独禁法あるいは事事者団体法というような、一連の集中排除法の精神のねらいとは違うのではないかと思われるのであります。統制解除に伴つてほんとうに事業者団体法を、長官の言うごとく改正するのかどうか。またどういうふうに改正を行おうとするのかどうか。本日は長官がお見えになつておらないのですが、政務次官から……
  122. 西村久之

    西村(久)政府委員 お尋ねの点は、安定本邦長官がいかように前回お答えになつたか、私わかりませんから、お答えすることは差控えまして、長官の出席の際に、長官の心持を伺つて御了承願う方が無難だと存じます。
  123. 森山欽司

    ○森山委員 最後に、従来からの統制を大幅に撤廃し、二十五年度においてはさらにその大部分の統制も撤廃になるわけでありますが、この従来の統制の撤廃はいかなることを目的とし、基準として行つてつたかということをお伺いしたい。
  124. 西村久之

    西村(久)政府委員 原則といたしまして、需給のバランスがとれるようになつたものより統制の撤廃をいたすのでございます。
  125. 森山欽司

    ○森山委員 需給のバランスがかりにとれているという場合でありましても、それが生産者等に重大なる影響を与えるというような場合、たとえば農産物のごとく、多く春にそれの栽培を開始して、とれるのが秋であるというような場合に、そのとれた秋に、従つてその供給の最も過剰となる時期において統制を撤廃するために、農民なら農民が非常に困るという場合が生ずる。そういうことに対しては、従来の統制撤廃において十分考慮しておられるかどうかをお伺いしておきます。
  126. 西村久之

    西村(久)政府委員 十分にソういう点は考慮いたしまして、各物資統制の撤廃は処理いたしておりますことを、御了承願いたいと思います。
  127. 森山欽司

    ○森山委員 そうするとここにひとつ具体的な例をもつて申し上げたいと思うのですか、栃木県の特産物で大麻がございます。この統制撤廃が十一月に行われたわけでありますが、これはいかなる見地からなされたのであるか、お伺いいたします。
  128. 西村久之

    西村(久)政府委員 十一月にやりますことが過当な時期であると考えまして、大麻の統制は十一月に撤廃いたしたのでございます。
  129. 森山欽司

    ○森山委員 大麻については、私は需給のバランスの問題を一まずおくといたしましても、十一月の時期が、先ほど政務次官の言われたごとく、生産者である農民の立場、特に農業生産物の特殊性を加味して、そういう立場を考慮したかどうかについて、むしろ反対の事例であるということを、私ははつきり申し上げなければならぬと思うのであります。政務大官の、そういう農民の立場も考慮し、農産物の特殊性も考慮するといつた今の言葉と、大麻の実例とはあまりにも違うのではないかということの御見解を伺いたい。
  130. 西村久之

    西村(久)政府委員 十月に統制を解きましたのは、多少時期的に遅れを生じた感じはあつたのでもりますけれども、その時期をはずしますと、またもう一年延びてかからなければならぬということを考慮いたしまして、多少時期が遅れましたけれども、十一月に撤廃いたしたのでありよす。
  131. 森山欽司

    ○森山委員 十一月の時期は、大麻の場合には最も生産の過剰になる時期で、もし統制を撤廃するのに適当な前の時期を逸したとするならば、三月ごろの、次のまきつけ期の前に統制を撤廃することが、先ほどの御考慮をお払いになるならば、適当であつたのではないかということをお伺いしたい。
  132. 西村久之

    西村(久)政府委員 御意見通りのことを考慮に入れたのでありますけれども、あとへ引延ばして統制を解きますことよりは、多少時期的に遅れても、十一月に解いた方がいいであろうといつた見解のもとに解いたのでありますから、そういうふうに御了承願います。
  133. 森山欽司

    ○森山委員 栃木県の、巷間伝えるところによりますと、この大麻の統制撤廃を積極的に希望したものは、特に昨年の秋においては農民の側からは全然なかつたのでありまして、大麻の統制の撤廃を希望したところのものは、この大麻を用いてけたのしんなわなり何なりをつくるところの、商人階級であつたということであります。要するに農村の立場としては、この最も生産過剰期でデフレ経済というような時期においては、統制撤廃はむしろ一日でも延びた方を好んでおつた。しかるにこの農民の立場と全然逆の立場にあるといつてもいい、それを使つてしんなわをつくる商工業者から、この大麻の統制撤廃が要望され、現に猛運動がなされた。また聞くところによれば、農林省、あるいは安本の担当官といいますか、事務当局の人たちの間には、この大麻の統制の撤廃の昨朝としては、十一月が適当ではないという意見があつたことを、私自身も聞いておつた。しかるにこれが十一月に解かれたことは安本幹郎の方々が、この統制撤廃をすることが地元の要望であるということのために、押し切られたやに聞いているのでありますが、そういうことであるといたしますと、先ほど政務次官が言われた、統制撤廃需給上のバランスを考える、さらに農産物のような特殊なものについては、それを考慮して統制撤廃を行うという、その考慮は全然払われていないじないかということになる。要するにそれは口頭禪的なものになるのではないか。統制を撤廃することがきわめて無計画に行われているじやないかという印象が、私には持たれるのであります。その点について御政務次官御承知の範囲内の御意見を聞きしたい。
  134. 西村久之

    西村(久)政府委員 先ほどからお答え申し上げている通りでありますから、これ以上は見解の相違と申しますか、議論に入ると思いますので、差控えたいと思います。
  135. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 ほかに御質疑はありませんか——なければ本案に対する質疑は次会にゆずります。     —————————————
  136. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 引続き公共事業について、政府当局より説明を聽取いたします。今泉政府委員
  137. 今泉兼寛

    ○今泉政府委員 それでは私から昭和二十五年度公共事業費予算の全般につきまして、ごくその概略について御説明申し上げたいと思います。お手元に資料を差上げてあります通り、昭和二十五年度公共事業費全額といたしましては、九百七十億でございます。これを前年度予算の六百六億六千万円余に対しまして、どのくらい増加になつておるかと申しますと、六割増しということに相なつております。さらに一般会計歳出予算に関しまして比率を申し上げますと、前半度の予算が、その一般会議出総予算に対する割合が、八・二%であるのに対しまして、二十五年度の予算は、一四・七%、そういう比率で増額に相なつております。それからこの予算を編成する重点は、一体どういう点にあるかということにつきまして、御説明申し上げますと、一般公共事業費につきましては、治山治水事業に最も重点を置いて編成したと申し上げることができると思います。従つてその金額も治山治水事業といたしましては、百七十百九億円という金額を盛つております。それからもう一つの特色と申しますれば、前年度予算は御承知通り、ドツジ方式によりまして、かなりむりな圧縮の仕方をいたしておりまして、それも特にこの一般公共事業関係において、かなりむりな圧縮をいたしました結果、六・三制を初め農業その地にかなりきつい削減の方式がとられたのでございますが、二十五年度予算につきましては、そういつた前年度のこの不均衡をできるだけ是正するということに重点を向けた次第でございます。なおそのほかに今年度の緊急事業といたしまして、たとえば厚生施設であるところの結核病棟あるいは保健所の増設であるとか、それから海上保安施設としての燈台の増設とか、それから目下非常な緊急問題になつておりますところの住宅施設の増加、こういつたものにつきましては、一般のものにくらべて、かなりの増額を予定した次第でございます。さらに災害復旧予算について申しますれば、昭和二十五年度に一応限定いたしまして、その災害のうち、土木災害については、全額国庫負担の制度を採用したことでございます。さらに昭和二十四年度におきましては、過年度災害の予行は盛りましたけれども、当年に発生する災害につきましては、先ほど申し上げました通り公共事業予算全般が、極端に圧縮された結果、当年災害の予備費というものは、二十四年度予算に計上してなかつたのでございますが、二十五年度につきましては、百億をこれに予定して、計上してある次第でございます。さらにこれは公共事業予算と直接の関係ということではございませんけれども、御案内の通り、昭和二十五年度の見返り資金の使用につきまして、百十億というものが、公共事業使つてもよろしいという関係方面の御了解も得まして、一応この百十億を公共事業に充てるべく、予定しておる次第でございます。この見返り貸金の百十億は、関係方面の意向も、大体のことはわかつております。と申しますのは、大体百十億は日本の経済の二十五年度のあり方等をよく見た上で、河川とか近路とか港湾とか、国の直轄関係事業に予備費的に使いたいという意向は聞いておりますが、なお具体的にそれでは内容的にどういつたものを盛るかということにつきましては、まだ関係万両とも正式に交渉をいたしておりませんので目下これにつきましては安本内部において、どういつたものにこれをつけた省から目下私どもの方でとりまとめたものには集まつておりますが、その五百億のうち、どういつた盛り方をするかということにつきましては、内々今協議中でございまして、近く各省の協議会等も開き、その使い方等について各省意見も十分参酌した上で、司令部当局とはかつて、できればなるべく早い機会においてこういつたものも決定したいと考えておりますが、私企業関係と違いまして、はたしてこの年度当初にこの使い方を一般公共事業費と同じような予算的なふうに取扱つてくれるかどうかということは、今後の折衝にまたなくてはならぬと思います。ごく概略を御説明申し上げて、なお具体的な問題につきましては、御質疑に対してお答え申し上げます。
  138. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 大体今今泉政府委員から公共事業費画の全貌について、御説明があつたのでありますが、これに対して竹山委員から質疑の通告がありますので、これを許します。
  139. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 ただいまの説明も非常に大まかでありますから、私も第一段階として、ます非常に大まかな質問をして、あとの機会に内容的に伺いたい。  それは今年の公共事業費の編成の仕方が従来のと違つて安本が一括してやつてつて、あとでわける、いわゆる予備費的なやり方を今年はかえて、非常にこまかく予算的にやられた。この理由はどういうわけでありますか、一応伺つておきたい。
  140. 今泉兼寛

    ○今泉政府委員 さきほどそれは御説明ちよつと申し落しましたが、昨年までは非常に大まかに部、款、項まで公共事業費ということで、組んでおきまして、内容は部、款、項まではあつたのでございますが、本年度はさらに部、款、項、目まで定めまして、一段低いところまで定めた次第でございますが、これは国会の御審議を願う関係からいつても、あまりに漠然たる数字でお示ししたのでは、御審議の御便宜にもならぬのではなかろうか、国会にはできるだけ細目にわけて予算として提出する方が適当ではないだろうか。こういう観点と、そうかといつてそれでは一般行政部費のように事こまかにもつと下まで組むかという問題でございますが、御承知通りあまりこまかく組みますと、一般行政部費と違いまして、公共事業費の方は内部的にやりくりもしなくちやならぬような事態もかなり出て参りますので、あまり事こまかに縛りますと、あとでこれを実際使用する際に非常に因るという場合も考えまして、大体部、款、項、目ではございまするが、この目のきめ方も、かなり一般行政部費に比べて大まかな点を持つというわけであります。
  141. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 まあこのくらいの程度でけつこうだと思いますが、この程度にこまかくわけて予算が編成され、またこれを国会が審議をして決定されるということになれば、この款を安本が自由に流用するということは考えられない。そうなると、一体公共事業費というものを安本が一本でやられる必要があるのかどうかという疑問を私は持つ。ことに今年は今も説明のように、災害に対する予備費的なものの計上があるが、去年までは災実費を組んでおかないからいくら国会が予算を議決をしても、一旦計画をしたものを災害へどんどん持つてつてしまつて計画がめちやくちやになつてしまつたというようなことで、ずいぶん国民は迷惑をして来た。その点は一歩前進をしたと思いますが、そうなるとこれは安本で——率直に申せば、こうこまかくわける以上は、各省でやることと一体どれだけ実質的に違いがあるのか。この点は何も安本へ悪意を持つて言うわけではないので政府全体から見ても非常に事務的に国民が迷惑をする面も私は多いと思う。行政の簡素化を叫ぶ現内閣が、なるべく仕事を簡単に、実効を上げる意味から言えば、この程度にわけられるならば、むしろわけたらいいじやないかという感じを持つておるのです。これはやめろという私の意見ではありませんが、一応これに対する今後の見解を承つておきたいと思います。
  142. 今泉兼寛

    ○今泉政府委員 御質問の趣旨は、現実に予算についたら、あとはもう各省にまかしたらいいのじやないかということだと思うのですが、現実の使い方は、安定本部の予算ということに一応つきまするが、大体予算がきまつて、それからこれは御承知通り、従来は四半期ごとの認証ということをやりまして事業認証によつて各省に移しかえするということに相なつております。従つて認証を今四半期ごとにやるというのは大分煩瑣であるから、各省はこれを全廃とまでは行かなくても、上と下、二期ぐらいにわけて、実際の予算の移しかえを早くできないか、こういう御希望がありまして、これは予算委員会等においてもそういう御質問が出たわけでございますが、認証制度を設けた当初と、現在とはかなり情勢も違つておりますので、私どもは関係方面の了解を得られれば、そういつた各省が予算を使うのに使いやすいような方向に、できるだけ持つて行きたいということで、現在大蔵省とも協議いたしまして、関係方面の方にもよりより協議はいたしておりまするが、なかなか予算全般が四半期ごとにわけて使われるという会計法上の問題等もございまして、安本の認証だけを全廃するとか、あるいは上下二期にするというような問題は、早急に実現ができるかどうかということについては、今お約束いたしかねるような次第でございますが、方向といたしましてはなるべく御指示のように、実際の予算を使う際は、各省が使いやすいようなふうに、特に二十五年度からは方向として、そういつた方面に努めて参りたいと考えておる次第であります。
  143. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 十分考えるということでありますから、私もそれに期待をしておりますが、例示的に申せば、たとえば災害の予算の中で、防災の施設をやりたいというようなことの小さな問題までも、安本の方で非常にやかましく言われる結果、実行の面において非常にうまく行かないというようなことをしばしば聞くのであります。そういう点も、これはこの委員会の問題ではないかもしれませんが、ひとつよくお考えを願いたい。この点を一応伺いたいと思う。  それから第二の点は見返り資金の問題でありますが、今も御説明がありましたが、私の記憶では、公共事業費が削られたときに、大蔵大臣は——正式に国会に話したということではないと思いますけれども、見返り資金でこの穴を埋めるのだということを言われておるように思う。それがなかなか目下実行に入らない。今お話を伺つていると、いつ実行に入るのかまだ見当がついていない、これから相談をするのだということでありますが、これははなはだ私は意外に思う。これが公共事業費に沿つて計画をされたくらいにわれわれは考え、また政府の閣僚等にしばしばわれわれが話をしますときにも、そういうことを閣僚が公言しておられた。それが今もつて事務当局では何らまだ具体化されていないということは、はなはだ遺憾に思うし、また意外に思うわけであります。この点については政府はどういう熱意と態度をもつて御処理をなさろうとするか、政務次官の御見解を伺つておきたい。
  144. 西村久之

    西村(久)政府委員 お尋ねの点はごもつともでございまするが、見返り資金の性質から考えまして、日本政府国内において配分計画を立てまして、一応関係方面の意向を打診してきまる問題であるのであります。はなはだ申し上げていいのか汗顔の至りに存じておりまするが、二十四年度の見返り資金の使途そのものについてすらも、今月まで竹山君が御心配のような状態に置かれております。はなはだ申訳ないと存じておりまするが、これもなるたけ早く解決を願うようにという趣意で政府は努力を続けておるのであります。二十五年度の予算も、予算書に示しておりまする通りに、一通りの見返り賞金の配分額はできておりまするし、今お尋ねの関係は、公企業に対する見返り資金の投資の、四百億の配分のうちの百十億の関係お話であろうと思うのでありまするが、内容につきましては先ほど今泉次長よりお話がありました通りに、案をまとめまして、そうして関係方面の了解を願う段階に進まなければならない。こういうふうなので、おしかりはごもつともと思いまするけれども、向うの方よりも、使えという強い意味合いでないのでありまして、希望的と申しまするか、場合によつて考えてもいいというような程度の趣旨であるのであります。これを貫徹する上について、日本政府は今後努力いたしまして、なるたけ重点的に百十億の費用を使わしてもらいまして、そうして国の再建に寄与いたしたいというつもりでおるのでございます。今日内容をはつきり明示され得ない段階にありますることは、お詫びを申さなければなりませんが、資金の性質にかんがみまして、御了承が願われるものではなかろうかと存するのであります。
  145. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 政務次官のおつしやることがわからぬではありませんけれども、これは私は内閣の大きな責任だと思う。大蔵大臣はしばしばそのことを言うておられる。全然見込みのないものならば、計画がここまで出るはずもない。従つてこれは政治的責任の問題でありますから、これ以上追及しようという気持はありません。私は政府が予期した方向にもつと熱意をもつて、実現に努力をされることを希望しておきますが、事務当局に伺つておきたいのは、現在の階段においてどういう内容を予想されておるか。これをあとでそう言つたから、とつちめるという意味ではありませんから、きまつておる限度において一応伺つておきたい。
  146. 今泉兼寛

    ○今泉政府委員 先ほどちよつと申し上げました各省からの要求といたしましては、五百億余りの希望が出ております。その内容から申し上げますと、河川、道路、海湾水道、それから厚生省関係の医療機関の設備、それから海上保安庁関係の燈台、それから特定地域の総合開発、そのほかに大阪と名古屋、これは市営でございますが地下鉄関係、おも立つた要求は以上の点でございますが、安本内部で打合せました運用方針といたしましては、大体公共事業費で落ちたものを、落穂拾い的にこれを穴埋めするということでは、いかにも見返り資金の使い方としては能がないのではないか。やはり見返り資金として使う以上は総合経済施策の観点から見て、これが最も有効だ、しかも一般の公共事業費で、これを五年も十年もかかつてやるような事業では、なかなか経済効果が上がらぬ、そういつた相当大規模の事業をこの際思い切つて、重点的に取上げて、しかもそれが五年も十年もかかつて完成するというのではなくて、少くとも三年以内の間にこれが完成する。そういうような重点的なものを取上げてやつたらどうであろうか、これが第一点であります。それから関係方面の意向もございますので、事業主体は原則として国の直轄事業に大体限定いたしたい。もつとも非常に公益性の強い公営の企業につきましては、場合によつては公共団体の企業でありましても、これは使用ではなくて融資という点で若干取上げてみたらどうか。たとえて申せば水道事業みたいなものが許されれば、これに取上げる対象としたらどうであろうか。そういう点を重点といたしまして、この方針についても最近の機会において、各省の協議会を開きまして、各省ともあまり異存がなければこの方針についてまず司令部と打合せました結果、司令部の御了解を得れば、その方針に基いてこの五百億余りのうちからさらに重点的に拾い上げて、司令部の方と折衝いたしたい。こういうふうに考えておる次第であります。
  147. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 これは私企業の方に入つておるかもしれませんけれども、今の御説明の中には農業とか、林業とかいう方面考えられていない。これは今、お話のように重点的だとか、あるいは融資の関係とか考え方はいろいろわかりますが、私はかつて予算の総括質問のときに、この見返り資金はいやしくもよつて出て来るところは農民、あるいは国民全体の食糧であり肥料代である。従つて今の政府のやつておるように大資本に対する投資ばかり、あるいは株券の資金などにこういうものが重点的に出て行くということは、国民的に考えてはなはだ苦々しいことで、私は初めからそういうことを予想したから、そういうことのないようにというので、質問をしておるのでありますが、今説明を聞いておつても依然として考え方というものは私どもの希望の線には沿つてつていない、まだ未決定であり、これ以上のことは他の委員諸君にも御迷惑をかけますから、私は希望だけ申し上げて、また次の段階でこまかい点を伺いたいと思います。  見返り資金に対する使い方の点は、もつと視野を広く、国民の直接触れるようなものに出す。ことに今の公共事業費としてやる分は、農業や林業が融資だけではやつて行けないということは御承知通りだと思いますから、この点を希望申し上げて一応私の質問を打切ります。
  148. 西村久之

    西村(久)政府委員 先ほど政府委員のお答えに付言いたしますが、竹山委員の申される通りに見返り資金のわくのうちに、農業林業が含まれていないが、こういう御心配のようでありますが、農業も林業も水産も含めまして、総合的に資金の配分を考えて進みたいというので、わくのうちには入つておるのでございます。ただ今日金額その他を明言する時期ではありませんので、御希望のような線で安定本部は考えておることだけ付言申し上げて、御了承を願いたいと思います。
  149. 今泉兼寛

    ○今泉政府委員 ちよつと先ほど私申し落しましたのではなはだ失礼いたしましたが、農業としては私企業の方面に一応のわくが四十億、それから公企業といたしまして、国有林野特別会計関係で三十億、それから先ほど申し上げました百十億の中には候補者といたしまして、干拓、開拓、土地改良、そういつた事業相当各省の希望として出ておりますので、当然こういつた点は考慮される問題と考えております。
  150. 志田義信

    志田委員 きようは公共事業の非常に大ざつぱなものが手元に来ただけでよく私もこれを拜見いたしましてから、別の機会にゆつくりとお尋ね申し上げたいと思いますが、ただきよう御説明をいただきました公共事業費のうちの百十億の内容について、少し具体的にお尋ね申し上げたいと思います。どの程度に今考えておられるか、各省の要求が五百億もありまして、そのうち百十億だというのでありますから、たいへんこれを選ぶにも困難であろうと思いますが、そのうちで特に医療と水道、それから特定地域の総合開発、それからさつき大阪と名古屋の地下鉄関係が入つておると言いますが、東京の地下鉄関係はどうなつておるのか、ちよつと漏れておつたようでありますが、そういう点を尋ね申し上げます。
  151. 今泉兼寛

    ○今泉政府委員 その内容が入つておる入つていないということは、先ほど私が申し上げましたのは、それぞれの所管各省からの要望事項として入つておるだけで、これを取上げるやいなやの問題はまた第二の問題でございますので、その点あらかじめ御了承いただきたいと思います。  それからただいま地下鉄が大阪と名古屋は入つておるが、東京が入つてないというのは、どういうことかという御質問だと思います。御承知通り大阪と名古屋は市営でやつております。従つて公共団体営というのは、ある意味においては公企業とも申せましようし、ある意味においては私企業とも申せましよう。その点で片一方では私企業ということに限定いたしまして東京は御承知通り私企業でございます。従つてもし東京を取上げるとすれば、私企業のわく内で取上げる。大阪の方は私企業にも入れられない。あるいはそれから純然たる国営でもないということになると、どこにも入らぬから、候補者として——私企業ではどうしても入れてくれないから、公企業の方に一枚加えてくれ、こういうことで入つているわけであります。
  152. 志田義信

    志田委員 医療のことですが、今度たとえば結核療養所または国立の結核療養所、その他いろいろと政府において予算の関係で増新設について努力しておられる。ところが国立の療養所のないところ——これは私の選挙区は山形県で、私は選挙区の関係で言うのではないのですが、高倉君は帰りたそうですから、特に申し上げておきますが、北海道には国立結核療養所のないところが非常に多いと思つている。帯広を中心とするところが多いと思いますが、そういうような国立結核療養所のないようなところで、しかも公共的な病院、財団法人の病院のようなところに結核療養所のベツドを新設してやつて行こうという請願が、非常に多いのでありますけれども、その点については特に見返り資金で昭和二十五年度において解決しようというお考えを持つておられるかどうか、ちよつとお尋ねいたします。
  153. 今泉兼寛

    ○今泉政府委員 実はまだ司令部と大方針についても折衝をいたしておりませんので、今候補者として種類別に申し上げましたが、その中のどういつた種類が一体公共事業として取上げられるかどうかということについて、今日まだ確信を持つて申し上げるあれはありません。しかしながら向うとの話合いがありまして、そういつた趣旨のものにも使つてよろしい、こういうことに相なりますれば、厚生省あたりの施設といたしましては、結核関係ということは非常に重要なことでありますので、もし取上げるとすれば、結核療養所といつたようなものは、最優先的に取上げられるものじやなかろうかと考えております。
  154. 志田義信

    志田委員 総合開発の方に対してはどの程度のことをお考えになつておられますか。
  155. 今泉兼寛

    ○今泉政府委員 これも百十億の使い方をどうするかということできまる問題だと思いますが、総合開発的なものに、つまり総合開発の中に含まれる河川、道路、港湾といつたものを一本として、ある特定地域にまとまつた金をどかんとつけるようなものにやるか、それともあるいは河川の大きなもの、あるいは干拓の大きなもの、道路の大きなもの、こういつたものに種類別に大きくつけるか、こういつたことによつて使い方も違つて来ようと思います。今のところ、どちらに重点を置いて行くということも、ちよつとお答え申し上げかねますが、これも兼ね合いの問題でございまして、もし重点がそういつた地域的なものにも置くべきだということになれば、考えられる問題だと思いますが、そうじやなくて種類別に重点を置いて行くということになりますと、ある一定の地域だけを限つて、そこに何十億という予算をどかんとつけるということも困難じやなかろうか。しかしまだきまつたことじやございませんので、彼此その点は十分考慮した上で、どちらが効里的であるかという点で、今後研究して参りたいと思います。
  156. 志田義信

    志田委員 さつき燈台のようなものはやるというお話でしたが、港湾についてはどういうふうにお考えになつておりますか。たしか海上保安庁の燈台は考えているということでありましたが、海上保安庁関係の燈台だけでなく、港湾自身については何かお考えになつて作案しておられるか。
  157. 今泉兼寛

    ○今泉政府委員 たびたび申し上げるようですが、まだ安本はどれを取上げるということを決定したことはございません。ただ候補者には、先ほどもちよつと申し上げましたが、燈台のほかに港湾が——港湾の中に一般の商港、漁港も入つておりますが、要求としては出ております。
  158. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 それでは他に質疑もないようでございますから、本日はこの程度にいたし、さらに次回の委員会において、物調法並びに公共事業に関する質疑を続行したいと思います。  本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもつて御通知いたします。     午後四時三十七分散会