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1950-02-20 第7回国会 衆議院 経済安定委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月二十日(月曜日)     午後二時三十一分開議  出席委員    委員長 小野瀬忠兵衞君    理事 多田  勇君 理事 永井 英修君    理事 南  好雄君 理事 森   曉君    理事 勝間田清一君 理事 笹山茂太郎君    理事 金光 義邦君 理事 高倉 定助君       福井  勇君    細田 榮藏君       田中不破三君    羽田野次郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 青木 孝義君  出席政府委員         經済安政務次         官       西村 久之君         經済安事務官         (経済復興計画審         議会事務局長) 佐々木義武君  委員外出席者         經済安事務官 佐瀬 六郎君         經済安事務官 平城 和彦君         專  門  員 圓地與四松君         專  門  員 菅田清治郎君 二月九日  委員岡田春夫辞任につき、その補欠として竹  山祐太郎君が議長指名委員に選任された。 同月十日  委員森幸太郎辞任につき、その補欠として小  川平二君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月十四日  臨時物資需給調整法等の一部を改正する法律案  (内閣提出第三四号) 同月九日  旅館宿泊料金に対する統制撤廃請願畠山鶴  吉君外二名紹介)(第五五五号)  旅館における主食取扱に関する請願(小笠原八  十美君外二名紹介)(第五五七号) 同月十六日  価格調整公団職員不当解雇に関する請願(土  橋一吉紹介)(第七九四号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方開発計画に関する件     —————————————
  2. 小野瀬忠兵衞

    ○小野瀬委員長 ただいまより会議を開きます。  これより地方開発計画に関する件を議題に供し、経済復興計画審議会事務局長佐々木義武君より説明を聽取いたします。佐々木政府委員
  3. 佐々木義武

    佐々木政府委員 お手元に配付してあります地方計画目標参考試案概要というのがございます。これに関しまして簡単に御説明いたしたいと思います。これは仮印刷でございまして、いろいろ校正の余地のある原文のままでございますので、そのおつもりで、あとでお読みになつてくださいますときに間違いがあつても、その点御容赦願いたいと思います。近く訂正済みのものをあらためて御配付いたしたいと思つておりますが、ほかの資料がなくなつたものですから、とりあえずこれを持つて参りました。初めに本概要を策定いたしました経過簡單に御説明いたしまして、その次にこの内容——これも相当いものでございますので、簡単に御説明いたしたいと思います。そして最後にこれをどういうふうに措置するのか、どういうふうなとりまとめ方をするのかという点を御説明いたしまして、御参考に供したいと思います。  一番初めに経過から申し上げます。去年の秋ぐらいから国内市場の問題が非常に当面の問題として議論されて参りまして、どうしても国土総合開発計画なり、治山治水計画なり、ないしは特定地帯開発計画なりといつたものの立案及びこれの強力な実施の急務なることが、各方面から要望されておりまして、青木安本長官からもわれわれ下僚に御下命がありまして、ぜひ安本でこういう問題を総合的に取上げる必要があるということを申されましたので、安定本部といたしましては、事務的に一応去年の秋からこの問題をもんでおつた次第であります。その概要を申しますと、従来中央で立てます国土計画的なものは、どちらかと申しますと、総合性は持つておりますが、非常に具体性に欠けておる、ないしは縦割り的な計画が主でありまして、地域に根をおろした、従つて国土主体にした総合的なものは、どちらかというと中央ではおざりにされる傾向にあつたという点が、第一点であります。反対に地方の方から申しますと、いろいろさつき言いましたような地方計画的なものを、それぞれ立案いたしておるのでありますけれども、地方の方では非常に問題が具体的である。かつ地方特殊性というものを持つてはおりまするけれども、ややもすると非常に厖大なものであつたり、ないしはブロック的な色彩が強い。国全体の立場、国際的な經済政治情勢から言いますと、なかなか実行に乗りにくいといつた計画が、分散的に出て参りまして、なかなか中央でも扱いに困るといつた点で、中央地方にもそれぞれ欠陥がございますので、両方を一本にまとめまして、これを調整したものが国としてあれば、非常に今後の施策上よいのではないかという問題が、中央官庁並びに各方面からも、地方の各官庁並びに各方面からも御要求がありまして、そういう観点から、一応問題を掘り下げてみようというふうになつたのであります。  しかしながら地方のいろいろ今までできておる案を、そのまま検討するに際しまして、何かしらその前提になる一つの総合的な經済ペースと申しますか、そういう環境のある程度整備されたものがありますと、個別の問題を審議する場合に、非常に審議しいい状態になりますので、一応各産業を従来の例にならいまして、縦割り中央としてはやつてみようというので、鉱工業農林水産業復興建設部門交通部門人口配分等に関しまして、これを各府県別に一応各省各局に相談いたしまして、過去——と申しますのは昭和五—九年であります。現在と申しますのは二十三年を基準にいたしまして、一応将来の問題といたしまして、各年度のものをとるわけに行きませんので、来年度の予算がきまりましたので、大体その後三箇年後の想定をいたして、二十八年度分のみを取上げまして、これを一応将来というふうに考えてみました。こういうふうに縦割りにいたしまして、鉱工業農林水産業復旧建設といつたものを、府県別に割つてみたのであります。それを中央各省意見をとり入れまして、参考までにまとめ上げたのが、この地方計画目標参考試案概要という差上げました資料であります。従いましてこの案は別にこれでもつてすぐ実施するとか、地方計画を拘束するとかいつた性質のものでありませんので、これを参考にいたしまして、地方特殊性なり、具体性なりをもつて、しかも地方計画らしい一つ地域主体にした、たとえば東北とか、四国全体とか、北海道全部あるいはその中の石狩地区といつた問題とか、あるいは水系を総合的に開発するいわゆる治山治水の問題とか、あるいは一県ないしはブロック中心にしたブロック的な総合開発計画とかいうように、地域を主にして、従つて地域と申しましても、もう少し具体的に申しますと、たとえば北山川の例をとつて見ますと、北山川は和歌山県、三重県、奈良県の三県にまたがつた計画であるのでありますが、その中には電気の問題、交通、言いかえますと鉄道を敷きましたり港湾を修築しましたりする問題もありますし、それから通産省関係塩安、その他まで入つて来る問題があつたり、それから向うの奥地、山林、森林開発の問題がありまして、これは農林省関係しておる。それから塩の問題が出て参りまして、塩から大体塩安をつくつて行きたいという計画であります。そういたしますと專売局の方に関係を持つ。さつき申しましたように中央計画は、この案にありますような縦に割つた計画になつておりますけれども、これが地方に参りまして、地方検討いたします場合には、その土地でもつてそれを総合するというふうな、そういうかつこうになつておるのであります。従いましてその問題を順次深めて参りますと、自然中央地方総合関連をとりました国土総合開発計画なり、治山治水長期開発計画なり、特定地域計画なりが並行的に審議立案されるというふうな結果になると思います。そういう建前でつくつたものがこの概要でありますが、この概要はごく一部分のみを取上げまして手ぎわよくまとめ上げたものであります。これの底には非常に厖大な各府県別資料がございまして、これは今日お手元に配付してあるそうでございますが、一応各部門別府県別のベースが背後に隠れております。  それからこの案の今までの中央における扱い経過を簡単に申し上げますと、こういう非常に各省関連の深い問題でもありますので、青木大臣から民自党首脳部方々、並びに吉田総理大臣にも直接申し上げまして、ぜひともひとつ取上げてやろうじやないかという首脳部の一応の御判断に沿うておりますので、その後民自党政調会の方にも御説明に参りまして、建設部会とか、農林部会とかいう方々首脳部方々も見えられまして、大体御審議していただきました。その後次官会議並びに閣議にも一応おかけしまして——くどいようでございますが、そこでこのまま実行するんじやなくて、こういうものを一里程標にいたしまして、今後さつき申しましたようなねらい地方といろいろ折衝しながら、極力地方意見を尊重して、順次地方主体にして国土総合開発計画をつくりたいという作業に対する御了解をいただいた次第であります。従いまして安定本部といたしましては、これを基礎にいたしまして内部的な一種の総力結集体制と申しますか、そういうような事務的な臨時機構をつくりまして、それでもつて各局協力において、今後これに当りたいというふうな基準に目下しつつあります。  以下内容に若干触れまして今後の扱いを御説明したいと思います。この内容でありますが、第一章が序説になつております。一番初めに本案意義が書いてございまして、これは先ほど申し上げました点を初めに書いておりまして、二ページの中ほどに、それではどういうふうな基準でもつて地方開発計画を調整するのかという眼目を四つばかり並べて書いております。それを読んでみますと、「投資の綜合的効率」と、「産業適正配置——立地條件その他を考慮いたしました適正配置、三番目には「各地方アウタルキー的傾向の是正、」それも独善的に是正するのではなく、よく話合いの上で、関係地方との協力関係を強調しながら是正したらどうか。それから四番目には、各地方特殊性というものは極力助長したいという点でございます。そこでその次に備考的に書いてありますのは、本案中央案でございまして、中央で一応素案を描いて見て、いいと思われる重要なもののみを取上げまして、地方独自のもの、ないしは地方でやつた方がいいものは地方にまかします。たとえば食料品工業とか、木材を中心にしております産業とか、その他雑工業的なものは地方に全部まかしております。  第二節は、本案内容ないしは資料を項目的に一応掲げたものであります。  五ページの初めにブロックの編成がございますが、この腹案は実は去年の秋くらいにつくつたものでありまして、深い意味はなしにつくつたのでありますが、その後、たとえてみますと、新潟県が関東に入つておるのはおかしい、これは現在東北に入つておるから、東北に入るべきだといつたような議論もございまして、地方と御相談する場合には、そういう点を一応修正した上で、地方と御審議したいと思つております。その意味でこの問題は固執するんじやないという点で、御了解願いたいと思います。  第二章はブロック別概要でございます。四十五ページの第三章までの間は、大半は地方別計画でございます。これを八地区にわけまして、大体同じ方針ではありますけれども、北海道東北地方関東地方中部地方近畿地方中国四国九州というふうにわけております。初め第一節北海道をサンプルに簡單に御説明いたしますと、一番初めの概況でもつて北海道經済概況を、經済的な面から特徴的に書いてあります。これは少し時間を拝借して、北海道だけでも読ましていただきます。
  4. 佐瀬六郎

    佐瀬説明員 それでは五ページでございますが、読み上げます。  一、概況 開道以来八〇年、北海道人口は三〇万人(明治一九年)から四百万人(昭和二三年)に、耕地は三万町歩から七四万町歩増加した。我国人口問題と食糧供給北海道の寄與した所は大きい。又良質な石炭埋蔵量全国の半分を占め、森林蓄積高漁獲高全国に冠たるものがある。特殊鉱物は金、水銀、クローム等の主産地である。資源よりみて我国原料食料の重要な補給地として今後も期待される。併し北海道は重工業端初的段階より今後一層高度に工業化すべき方向にあるが、電力不足冬季輸送條件の劣悪、技術の立遅れ、資本蓄積低位等を克服しなければ短期間に於ける躍進は望まれない。  二、産業構成の変化と人口収容力十五ケ年に亘る戦時経済期に於て北海道産業構成が著しく近代化したことは第二表に示す通りである。鉱工業有業人口構成比率は実に五〇%も増大して、全国平均水準に達し、人口増加して(終戦後五〇余万人)三七%の増加率を示した。併し北海道工業生産は鉱産、農林水産に比して立遅れ、昭和二三年度全国の四・二%にすぎない。それも食料品工業が三分の一を占める状態である。  三、産業復興現況職生産復興状態をみるに農産物は昭和三二年度に昭和五—九年平均に対し、米は一三二、麦は一一二、いもは一七〇であつて主食作物は他地方に比して遥かに大巾の増産を示したが、大豆は五五・八にすぎない。薄荷、除虫菊等工芸作物も作付が次第に増加している。鉱業に於ては一三二、金属工業は一一五、化学工業は二八と相当な回復を示しているが、電力不足操業度の向上を阻んでいる。昭和五—九年平均では、全国生産額に対し主食作物は三・八%、鉱業は二〇・三%、金属工業二・七%、化学工業一二・三%であつたが、昭和二三年には、農作物四・八%、鉱業二三・三%、金属工業四・九%、化学工業一四・一%と何れも構成比率が増大し、我国産業復興北海道重要性が加重されつつあることを示している。  四、人口増加の推計 由来北海道人口動態出生率高く、死亡率は通常で、従つて人口自然増加率は大きい。終戦後引揚者を含めて五〇万人以上の増加をみた。今後の増加率減少傾向を示すであろうが、昭和二三年一〇月一日現在人口に対し、昭和二八年には二一・四%の増加率で四九六万人と推計した。  五、農業生産目標 主食作物は、米は昭和五−九年平均一〇〇に対し、昭和二八年度一二八・三で昭和二三年度より減少となるが、麦は一八九・三、いもは二二二・八と著しく高い増産目標を樹てた。  大豆の一二五・六は昭和二三年度に比し二倍以上の増産である。そのためには土地改良肥料増産有畜農業の一層の普及が必要となる。  六、鉱工業生産目標石炭昭和二八年度一、七九〇万屯であり、昭和五十九年平均に対し約二・六倍の出炭目標で、金属工業は、銑鉄四七万八午屯鋼塊三七万一千屯で、全体として昭和五—九年平均に対し五・七七倍の著しい増産となる。  化学工業に於ては、セメント硫安等を重点的に増産する。電力の拡充は水力は八二・八千kw・火力は五万二千kwである。その結果対全国構成比に於て鉱業は二九・七%、金属工業は八・五%、化学工業九・八%と著しい躍進を示すこととなる。  七、交通 北海道開発前提條件として交通施設は、先づ重点的に拡充されねばならない。国鉄貨物輸送量昭和二十八年度二、四六〇万屯の目標で、出炭増加を達成するためには、輸送力を整備せねばならない。道路自動車保有量一一、一二〇台(内トラック九、〇七九台)を目標に整備する。港湾取扱量外国貿易一七九万屯、内国貿易二、〇一〇万屯を目標とし、鋼船は六、五〇〇総屯、木船五、七〇〇屯の建造計画である。  八、復旧建設北海道に対する公共事業費は五ケ年間に七九一億八、七〇〇万円(国費五三七億円)であり、全国に対する構成比率は、一〇・六%となる(二三年度一〇・一%)特に生産施設に於ては、農業施設開拓水産部門に依然重点がおかれ、交通施設に於ては、道路港湾の整備に多額の事業費が予定されている。災害費国土保全費本州に比して著しく少い。   昭和二三年度を一〇〇とした昭和二八年度の事業費指数は三八〇、国費三四〇となる。
  5. 佐々木義武

    佐々木政府委員 大体今読み上げましたような要領で、東北地区、その他八ブロックの概観を経済的に述べております。その結果を一口に申しますと、北海道東北九州の南部、四国山陰等今まで遅れていた地帶相当発展するような姿になりました。その他の従来発展しておりました地区は、五—九年に比較いたしますと現在非情に落ちておりまして、今後四、五年の間には五—九年の水準に帰るのがやつとでございまして、新しくどんどん伸びて行くのは、立地條件のいい未開の土地に多いということが基調になつております。これは先ほど申し上げましたように、各地区中心にして割つたのではなくて、各産業別にそれぞれ担当官がとりあえず九地区配分したのを集計いたしました結果でありますので、産業立地的な立場観点から申しますと、そういう結論になるのはやむを得ざる結論ではなかろうかと考えております。  それから次に四十六ページをお開き願いたいのですが、四十六ページ以下は、各部門別計画概要でございますが、この中で工業部門には一番初めにどういうねらいでプランをつくつたかというねらいが書いてあります。それを御参考までにお読みして、農業の方に入つて行きたいと思います。     〔佐瀬説明員朗読〕  或る地域に鉱山が栄え、工業が生長するためには、適当な立地條件がそろう事が必要である。従つて殊地域的分布のあり方を見透す場合に、各地域立地條件検討を忘れる事は出来ない。   鉱工業立地條件はいろいろあるけれども、過去の我国如く北九州、京浜、阪神の三地域厖大工場群が成長し、反面、東北北海道の如き著しく工業化。立遅れた地方のあるという事は、それには一応の理由はあるにせよ、決してノルマルな姿とは思えない。将来の我国鉱工業が再び元通りのコースを辿つてゆくべきか否か問題であろう。  そこで本試案においては今後の我国鉱工業進展の最も望ましいと思われる地域的分布検討せんとしたのであるが、僅かに四年後の昭和二八年度の姿を想定する時、たとへ過去の姿が如何に不合理であろうとも、完全に之に訣別して、全く新らしい姿を想定する事は不可能であり、実際問題としては結局尚現状に立脚した投影の枠から多くを出るわけにはゆかなかつた。然し少くとも鉱工業地域別分布状況を見透そうとするならば、(1)自然的條件   (イ)地勢的條件   (ロ)気候的條件   (ハ)原料入手状況(ニ)動力状況(ホ)工場用水状況(ヘ)輸送状況(2)経済的條件   (イ)資本的條件   (ロ)労働力條件   (ハ)需要面における條件  等々の條件検討は最少限度必要であるが、本試案においてはこれ等の諸條件についてすらも満足な検討をなし得なかつた。それがため分布見透しの基準としては、一応現有施設地域的分布状況基礎としたため、結果においては、甚だ機械的、平面的な検討に止まらざるを得なかつた
  6. 佐々木義武

    佐々木政府委員 以下燃料及び動力鉄鋼業機械工業造船業化学肥料工業化学工業、窯業、紙及びパルプ、繊維工業というように、ずつと各主要産業計画をつくつたらいが書いてありますが、御参考までに五十八ページの結論だけちよつと読みます。     〔佐瀬説明員朗読〕  以上の諸表が物語るものとしては、(1) 北海道東北工業化(2) 九州相対的停滞(3) 中国四国工業化(4) 本州中央部停滞等傾向が大雑把に看取されるのであるが、ここで注意すべきことは前記指数の示すところは昭和五—九年平均基準とした事で、昭和二三年度実績を基準とした場合、北海道東北四国工業化も、本州中央部九州停滞も相対的なものであり、絶対的な工業化乃至停滞を示すものではない。勿論ここで一品に「工業化」という表現をしたことは、いささか注意を要する事で、例えば北海道の如きは專ら石炭鉄鋼セメント等が比重が増したのであるが、化学工業の如き附加価値の高い工業が伸びないため百分比で示すと、見掛け上かへつて減退する如き結果を示している。又本州中央部停滞は、その大きな原因は繊維産業停滞化学工業停滞等であり、殊に後者は電力不足が問解決されない事が一つ理由となつていると思われる。電源開発計画は今後の我国一大指標であり、最大限の努力を傾注するものの、問本試案においては次の如く不満足な結果しか見込まれなかつた
  7. 佐々木義武

    佐々木政府委員 こういうわけで、電源がまだ非常に不足するのでございます。実は絵がありまして、それを見ますと非常によくわかるのでありますが、便宜その次に進んで参ります。  その次は農業生産計画でありまして、農業の方は農業水産森林畜産という四部門にわかれるのが建前でありますけれども、畜産並びに水産——一番国土計画関連の深い森林の問題に関連しましては、別表の方に詳しく載つておりますので、ここでは便宜農業の分だけを取上げて説明してございます。農業のやり方といたしましては、既耕地の分と新たに耕地を造成します開拓干拓部門というふうに二つにわけまして、既耕地の面に関しましては、面積をいろいろ農林省と相談いたしてきめた上に、さらに各作物地域別に按分いたしまして、一応つくつたのがこれであります。これは作成の途上におきまして、農林省中央当局並びに地方出先機関の各府県方々も一応参加してくださいまして、大体この程度であればむりがなかろうという点でつくり上げた数字でございますので、今後この点に関する地方との折衝は、他の部門に比べまして、それほどむりなく進め得るのではないかと考えております。  次は開拓干拓でございますが、その点は従来の農林省で持つております計画を大体そのまま載つけております。  それから最後に今後に残された問題といたしまして、いも統制撤廃の問題とか、新しい時代に即応しましていろいろこの目標その他をかえる必要があるのでございますが、これは先ほど申しましたように、地方計画を聞いた上で、これを調整しようということになつておりますので、一応の参考試案でありますから、便宜去年の古い案をそのまま掲げておりまして、今年度に入りましてからの新しい事態というものは、それほど盛つておりません。大体農業は以上のように非常にきゆうくつでありまして、これにほんとうは水産畜産特に森林関係をコンクリートに固めまして載せるのが、一番よかつたのでありますけれども、この点は今後の地方との折衝に待ちたいと考えております。  それから六十六ページに飛びまして、第五章復興建設計画部門というのがございまして、これが一番地方との関連の深いものであります。いわゆる公共事業費、今年の約千億近くに盛られます公共事業費の大部分は、これに載つていないものをとりますと、ほとんど公共事業の全部門がこれに網羅されております。この点が一番地方との関連においては、意義いものだと思いますので、少し詳しく御説明いたしたいと思います。
  8. 佐瀬六郎

    佐瀬説明員 それでは第五章復興建設計画をこの印刷物について御説明いたします。     〔朗読〕     第五章復興建設計画目標  第一節復旧建設部門立案方針方法復旧建設部門地方計画をたてるに当つては、その主力を一般公共事業費配分計画住宅建設の各地区の予想におくこととした。その理由は第一に公共事業費配分経済安定本部の一括的な認証によつて居り、之をトレースすることが可能であること、又住宅建設については建設省の建築統計によつてその状況が把握しうること、従つてその計画をたてる手がかりがあることである。  第二には、之等の事業建設事業の中で相当大きいウエイトをもつて居るのでそれを把握することによつて建設事業の大体の動向を想定し得るからである。第三には公共事業費地方開発計画建設事業の具体的な表現であるので、その配分の額の決定はいわば地方開発計画の集約的な結論であるべきであり、この意味からその決定中心的な問題点一つとなるからである。   従つてこの作業も過去において公共事業にふくまれるそれぞれの事業費がいかに各地方配分されたか、又それぞれの地方でいかなる住宅建設が行われたかの検討から出発し、次にこれを参考として種々の指標によつて事業毎に将来の地方別配分傾向を判断し、次に二四年から二八年度の間に予想される公共事業関係の各事業住宅建設に必要な資金の総額にこの比率を乗じて各地方事業費配分決定して之を集計するという順序で行われた。   二四年から二八年に至る間の災害復旧費を除いた公共事業費の総額は四、三一三億円とみこみその各事業間のバランスは一応この数年の実績を参考としたが、二五年予算の実際に鑑みて治山治水については相当大巾に事業費をみこんだ。災害については国費一、一七二億円をみこんだ。これを計画的に配分することは不可能であるが、一応昭和元年から十九年までに発生した災害の傾向従つている。   又北海道のもつ多くの特殊性を明らかにするために配分比率は内地全体に対するものによつて表現し、北海道は内地一〇〇に対する比率で表現した。
  9. 佐々木義武

    佐々木政府委員 次に第二節においては各事業費配分をどういうふうに考えたかということが書いてございます。これはたとえば農業につきましては、開墾と干拓土地改良とにわけまして、開墾は可能地面積の全国的な配分というものによつて配分しております。それから干拓も同様であります。土地改良農林省昭和二十五年度の予算に全部継続事業で出ておりますので、それで各地区ごとに集計してそれをわけております。以下各項目とも大体そのくらいのこまかさで、それぞれ現局にある資料を利用する。あるいは現局にいろいろお願いしてわけていただくというような方針で、なるべく現局の御意向が反映するように配分いたしました。  それから七十一ページに参りまして、住宅、学校等々になりますと、これは最近の公共事業費配分が都市人口やあるいは町村人口というものに比例して行われておりますので、そういう意味によつて配分いたしております。  それから災害につきましては先ほど申しましたように昭和元年から昭和十九年までに起つた土木災害を物価指数によつて平準化いたしまして、それを各地域ごとに加え合わせたものによつて、今後の災害発生の可能性を判断して、それによつて配分したのであります。実はこれは物価指数のとり方が悪いせいか、十九年近くになりますと、中国地方が非常に多いという傾向があります。これは私たちはあまり自信がない点であります。  次に七十三ページの結論のところを朗読いたします。     〔佐瀬説明員朗読〕   以上のような配分方法によつて公共事業費や住宅の建設資金を配分してみると、その結果は次のようである。  一、公共事業(一般分)    最近の公共事業費配分について顯著に見受けられる傾向は、公共事業費の裏付けになる総事業費が、北海道を除いては人口配分に殆んど正確にマッチして配分されているとゆうことである。北海道については開発的な意義もあるので、その事業費人口配分に対してより多く配分されているが、このことは国費について一層いちじるしい。
  10. 佐々木義武

    佐々木政府委員 これは公共事業費地方別実績及び目標というプリントが行つていると思います。これの終りの方が表になつておりまして、その第一表をごらん願いますと、大体その傾向が見ていただけると思います。この赤い点々の線がございます。これが昭和二十三年の人口でございます。それから黒い線が三つほどありまして、これがそれぞれ二十二年、二十三年、二十四年の公共事業費配分を示しております。この赤い線と黒い線とが非常に似た動きをしている傾向がごらんになれると思います。つまり公共事業費配分が、人口に非常に比例的に配られていることが顯著に見受けられるのであります。七十三ページより朗読いたします。     〔佐瀬説明員朗読〕   これは公共事業費の使用が極めて平均的に行われているという事であると解釈されるが、一面においては現存程度の公共事業費では補填投資に精一杯であり、レザーヴして集中的に開発するような投資が行われる余地のないことを示している。   今後の傾向の判定に当つて、以上のような方法と資料で行うと、最近二、三年の配分傾向に比して、その重点は特に東北に高くなり、南部諸地方は押えられる気味になることが見受けられる。   昭和二三年度の公共事業費、及びそれに伴う総事業費昭和二八年度の分と比較してみると、次のような指数となる。   即ち今後最も重点をおかれるのは東北地方であり、その事業量の伸び方は四・四倍に達し、北海道(三・八倍)関東地方中部地方(三・七倍)がこれにつぎ、中国地方は最低の伸びで、三倍程度に止るという数字が出て来る。もとより昭和二三年度の事業量が必ずしも適正な配分であつたとはいえないが、重点が北部地方に傾いていることは見逃せない。   これを昭和二八年度において予想される人口と比較して見ると、北海道東北地方では特に人口の比率よりも多くの事業量がみこまれ、中国地方でも人口より事業量がやや上廻るが、関東近畿地方では人口の比率よりも事業量が少く見込まれているのは生産量の伸び方に対比して正当であり、全国の均衡をとる上に好ましい事業量の配分と考えられるであろう。   次に内容について、農業、林業、水産業等の生産施設道路港湾等の交通施設、河川改修、砂防、治山等の国土保全施設、都市計画、住宅、学校、厚生施設等の民生施設にわけて、その配分人口配分と比較してみると、それぞれについてかなり異つた色合をもつていることがわかる。   即ち、生産施設については北海道東北に重点がおかれて居り、関東、近畿等の既開発地域人口対しては相当少ない。これは開墾関係を現在実施されている事業費よりかなり大巾にみている為でもあるが、今後期待される生産増加と平行して施設が行われようとしている傾向とみてよいであろう。   交通施設については、近畿地方に特に大きく重点がおかれているが、これはこの地方産業立地的な特性によるものであろう。北海道も亦重点がおかれているが、これはこの地区が未だ交通路の整備を基本とした開発段階にあることを示している。   次に国土保全施設は、人口に比して特に東北地方に重点が指向されているが、これは全く河川のウエイトが大きい為であり、その反面開発の進んだ近畿等の地域はそのウエイトは相当減少するとみられる。   民生施設については人口配分特に都市人口配分に支配され、関東、近畿等の地方が特に重点をおかれるのは当然のことであろう。   従つて地域毎にみると、開発の進んだ近畿地方では生産施設と国土保全施設が少く、交通施設と民生施設が多いといつた傾向にあり、開発の遅れた東北地方では国土保全施設が特に多く、生産施設も亦多いが交通施設、民生施設は少いり北海道はしかし交通施設生産施設が特に多く見込まれ、更に原始的な開発段階にあることを示している。西部の諸地域の、かなり平均的な事業費均衡で配分されているというような特徴がみられよう。
  11. 佐々木義武

    佐々木政府委員 その次に、災害復旧及び一般住宅建設を加えた総事業費説明でございますが、これは省略さしていただきます。  以上のような状況で、大体復旧建設部内の地方配分をやつたわけでありますが、第六章は交通でありまして、交通関係地方では府県別に見ると、小運送の問題が一番中心でありますが、この問題をはずしまして、いわゆる府県單位にやるわけに参りませんので、これは鉄道局中心に大体地方に割つております。  第七章、八十一ページ、人口の問題でありますが、これは厚生省の方で大体過去の人口の各県別における傾向と、戦後の新しい死亡率、ないしは出生率の新事態の情勢を勘案いたしまして、これに帰還者、その他最近の経済情勢に応じての人口の特殊な増減関係といつたものを加えて、つくつたのがこの数字であります。従つてこの数字は、各地区産業配分を終つて、その産業の面から雇用をどれほど吸収できるかという、産業との調整をとつた数字ではございませんので、前の第六章までの関係があまりに密接に出ておりません。この点今後地方と一緒に検討する場合に、非常に問題になつて来る一番大きな点だと考えられます。しかし一応今まで何らこういう資料地方にございませんでしたので、地方官庁といたしましては、こういう点をこういうふうに考えるのだという程度の参考資料としては、非常に役立つと思いましたので、一応そのまま掲げることにいたしました。  これで大体終りでありますが、ほんとうはこれに県民所得なり、ないしは開発資金の問題等々が入つて来るのでありますが、その問題に関しては後ほどに御説明いたしたいと思います。そこで八十九ページ以下がそれの総括的な表になつております。九十三ページが大体現状における各部門の大体の配分基礎額が出て参りまして、九十五ページに大体各地区のいろいろなものの基礎資料を統計的に一覧表に出したわけであります。一番最後に九十九ページに、基礎資料の出所がございまして、現在各官庁で持つております資料は、まず大体掲げているつもりであります。  以上で概略でありましたが、参考試案概要説明を終りまして、今後これをどういうふうに実施するか、どういうふうな持つて行き方にするかという点をお話申し上げたいと思います。現在まだ各省ともその点に関して、最後的には結論には達しておりませんので、目下事務的にいろいろ練つている最中でありますが、現在まで到達いたしました考えでは、そういうものの最終的な目標といたしましては、インヴェストメントをどういうふうにやつて行くかという、国内市場開発するための投資の問題と、それから雇用の問題が、一番根本的に最後結論として出るように作業を進めるべきでなかろうかという問題であります。そこで雇用の問題はまだ未解決であります。それでは投資の問題はどういう意味かと申しますと、先ほど申しましたように、何を対象とするか、どういうものを開発するのか、たとえば今までの既存産業だけでいいのか、あるいは既存のどういう地蔕に一番重点を置いていつたらいいのか、それからその地帶の中でも何に重点を置いていつたらいいのか、いろいろ地方開発して参ります際の各般の問題の中で、地域的に取上げると、一番対象になるものは何であろうかという対象を見つけるのが、まず初めに出て来るのではなかろうかと思います。その次には優先順位でありまして“なけなしの資本蓄積開発する関係上、優先順位というものをどういうふうにきめて行つたらいいのかという順位の問題が次に来ると思います。そして大体その順位のきめ方につきましては、いろいろフアクターがあるでしようけれども、各般の條件を考慮いたしました結果、こういう順位でやつたらどうかという順位がきまりますと、その次には企業開発主体の問題が中心になると思います。国でやつてつたらいいものか、ないしは地方自治体にどの程度までまかせて行つたらいいのか、あるいは私企業そのままでやつていただいたらいいのかというような、いろいろ企業体の問題が出て来るだろうと思います。それから最後にはどういう蓄積でもつてつて行くかという蓄積の種類でございますが、財政でやつた方がいいのか、ないしは地方起債的なものでやつたらいいのか、あるいは自己資本的な産業資本にまかせてやつたらいいのか、あるいは特殊銀行的なものからの融資でやつた方がいいのか、あるいは場合によつては今まではいわゆる対日援助資金というかつこうで来ておりますけれども、その次には場合によつては衛星的な開発銀行を通して日本へ返つて来るというような、外資的な部面もございますので、そういうものとのかね合いをどうしたらいいのかという、いろいろ開発の形態があると思いますので、そういう形態に見合ういろいろな資本蓄積配分関係をどう持つて行くかといつたような点が中心になつて参ると思いますが、そういう点をねらいまして、そうしてどういう順序でどういうものをどういう主体がどういうふうにやつた方が、一番日本の国土の開発という点から行つていいのかという点をまず早く見定めたいというふうに考えております。そのためにはこれは今御説明申し上げましたように、単なる中央産業別の縦割の産業試案でございまして、これが地方へ行つて地方ではそれぞれ今度は地域的な総合的なものに巻きかえまして、その結果中央にこれほど金がいるとか、この金は財政でこれほどほしいとか、これは市中で借りてもらいたいとかいうふうな案が出て来ると思いますので、そういうものをいろいろ勘案して、将来国土の開発というものはこういうふうに持つて行きたいというふうに、これを一つの一里程標と考えて行くようにしてみたらどうかと考えております。もちろんそういつたような総合開発計画というものができない前に、それでは政府といたしまして何もやれないのかと言いますと、そうでなくて、安定本部といたしましては従来からもいろいろ治山治水、特殊地帯の開発計画等は進めておるのではありますけれども、それと並行的にこういうものを進めて行きまして、そういうものの実現をさらに有効しかも早期に、強力にやりたいという意味でございます。  それから雇用の問題に関しましては、これは地方では一番問題になる点だと思いますが、そういつたような一種の開発計画というものができて参りますと、それのうらはらの関係で、雇用の解決の問題というのが当然附帯して来ると思いますので、それと関連しながらその問題を考えて行つたらどうかというふうに考えております。大体の持つて行き方といたしましては、そういうねらいでありますが、さしあたつて地方にこれを持つて行きまして、地方からこれに対するいろいろな注文と申しますか、希望と申しますか、そういうものをいろいろお聞きいたしまして、まず何をやるべきかという対象から入つて行きたい、こういうふうに考えております。
  12. 小野瀬忠兵衞

    ○小野瀬委員長 ただいま地方開発計画の大要について、佐々木政府委員ほか各説明員から詳細かつ要領を得た御説明があつたのでありますが、この際質疑がございますればこれを許します。
  13. 勝間田清一

    ○勝間田委員 地方計画ができたことは、一つの大きな進歩だと私は思うのでありますが、地方計画の前に立つ中央計画はどう想定されているのか、それが地方計画の実情とどう結びつくかということが、一つの問題になると私は思うのですが、この点が今まで発表されていないものですから、われわれには少しもわからないのですが、地方計画が立てられる前提になる日本経済の再建計画は、これからどう処置されて行くのか、どう関連づけてやられて行くつもりか、この点ひとつ……。
  14. 佐々木義武

    佐々木政府委員 その点に関しましては、前に經済復興開発五箇年計画というものがございましたけれども、これはいろいろな經過で一応そのまま政策に乗るということは非常に困難な情勢にありますので、あれを一応御破算にいたしまして、各部門にそれぞれ一応二十八年度に、どの程度中央としては考えて行つたらよいのかということを、初めから規正するごとなしに想定していただきまして、それを地方別に割つてつたのであります。但し安定本部担当官といたしましても、各省担当官といたしましても、大体当時やつた作業のメンバーは、各県においてその程度の担当官鉄鋼界にもおりますし、それから農業関係関係官は中央にも地方にもおりまして、その立案者がそのまま残つている関係上、大体これの目標的なものはあの数字に近似したもの、ないしは地方的に見まして、あの数字そのままの数字が多いようなことになつております。但しそれをそのままさつき申しましたように実施するというのではなくて、地方でそれに対して、たとえて見ますと、あれだけでも中央では非常に厖大なように考えておつたのですけれども、地方計画から考えますと現在でも非常にあれでは困るという意見が強い。たとえば北海道開発計画の例を引いて申しますと、水力電源開発人口の収容その他を考えますと、二十八万キロくらい二十八年度はやりたいというふうな希望を持つております。ところがこの計画では八万キロくらいしか想定しておりません。それから地方では、日発その他では五万キロくらいしか考えておらないというような調子で、非常に開きがあるのでありますけれども、そういう関係でこれを地方へ流しまして、地方ではこれではとても県政が持てぬという注文があると思いますが、大体この計画に乗つてある程度でやつて行きますと、日本の自立も、あるいは経済の一応の生活水準の安定もあるいは満足されるのではなかろうかというふうに大体考えております。復興計画と非常に違う点は、復興計画をやつた当時に比べまして、その後石油とか、合成繊維の問題とか、いろいろな新しい業種によつて産業の構成をかえなければならぬような事態にも立つておりますし、それから治山治水なんかでも最近総理のお考えもありまして、特に治山治水に力を入れろという点からして、あの計画よりも少くとも一・五倍から二倍近くに伸びているというようないろいろな変化もございまして、若干かわつた点もございます。
  15. 勝間田清一

    ○勝間田委員 私は安本長官にちよつとお尋ねしたいことがあるのですが、一つの問題はやはり産業水準の問題だと思うのです。従来まで無條件降伏のときの状態から行けば、紡績工場が幾つとか、あるいはベアリング工場は一つしか持てないというようないろいろな制限があつた、ことに賠償対象としてはあつたわけであります。また国民生活水準がどの程度かということが、従来問題になつてつたのであります。それがやがて昭和五—九年水準という点が、極東委員会の問題になつていたわけであります。ここを見るとやはり二十八年が一応の目標になつてつたわけで、現在の日本の産業水準という点は、一体国際的にはどういう経過になつておるのか。その点を明らかにしていただきたいと思います。
  16. 青木孝義

    青木国務大臣 御承知かと思いますが、実は産業水準は、経済安定本部が今とつております計数は戦前の七年から十年、それからESSでとつておりますのは多分七年から十一年であつたと思います。そういうように前から五—九年の基礎数字から改められましたような関係で、前者によりますと鉱工業生産は七九・八それからESSの方では八〇・六というような数字になつております。これは大体類似しておるわけであります。そういうわけで、その後昨年から今年にかけましても、御承知かと思いますが、たとえば鉄工業における広畑工場の開設という問題は、この三月二十八日から火入れするということになりますと、今年度の鉄鋼の処理といいますか、普通鋼材の増加というものも大体講ぜられておりますのは、二十五万トンというような形になつておりますように、これは一例でありますが、貿易の振興過程とにらみ合せまして、よほど産業水準についてかわつて来たということが数字的に言えるし、従つてその見通し作業というものも、その点を基礎として考えられるということになりますので、おつしやるように大分かわつて来たというふうに自分は思つております。そこで終戦直後におきます先ほどのお話の五年、九年から見ました場合とは大分かわつて来た、その上に世間で言ういわゆる客観情勢、経済的な情勢が変化して参りましたので、やはりそれに応じたような見通し作業というものを考えながら、地方計画中央計画というものも、うまくひとつとりまとめて行きたいというのが、われわれの希望でございます。
  17. 勝間田清一

    ○勝間田委員 そうすると二十八年を中間目標にしてあるのですか、その目標は一体何から算定されたものですか。
  18. 青木孝義

    青木国務大臣 私の報告を受けておるところでは、従来の五箇年計画というものが御承知の通り二十八年までであります。そこで便宜上二十六年から二十八年というふうに大体六、七、八の三年ぐらい一応見通したらどうかというので、多分五箇年計画の数字等も、一応御破算にしたそうでありますが、役立つておる、そこで前に二十八年という計画については、あなたもよく御承知のところと思いますが、今後エイド・フアンド等もだんだん減じて行くだろう、しかしその他日本の人口等の推算というようなものも、これを見ますと大体あの五箇年計画の線に滑つたようになつております。その当時の二十八年というものが想定されておると思うのであります。けれどもなおわれわれがほんとうに新しい視角からこういうものを立てるにつきましても、なかなか簡單には参りません。従つてあの五箇年計画における考え方というものが実際の上では、この資料の上でも相当役立つておるのである、こういうふうに今考えております。
  19. 勝間田清一

    ○勝間田委員 やはりこういつた地方計画ができる前に、中央計画ができておつて、それが検討されてだんだん下に浸透して行くことが、私はほんとうだろうと思うのですが寸その意味から見ると、中央計画を発表しなかつたとか、あのときに否定したというような関係に立つてつたのでは、どうも私はつじつまが合わないような感じがするのでありまして、政府が一貫して地方計画を進めて行こうとするならば、あの計画の悪いところは悪いで改めて、中央計画を立てて日本の対外収支なり、雇用あるいは資本蓄積なり、所得なりを一応計算しておいて、こういつた地方計画地方の実情を見て浸透して行くという形が筋が通つておると思うのでありますが、その間に民主自由党の政府によつて、こういう長期計画的なことが中断されて、また別途に長期計画に移されたという感じがして、長期計画の長期性がなくなつて来ておると思うのですが、こういうことは政治に関係なく、ある一定の期間続行して行くという精神を取入れて行つたらどうかと思うのであります。  もう一つお尋ねしたい事柄は、これをどう実行されるかという問題で、最近国土開発法というようなものも用意しておると聞いております。この点は前から安本長官にお尋ねして、五箇年計画をやめて地方開発的な、国土開発的なものをやつて行くのだという答弁は、再々聞いておつたのでありますが、それでこういう地方計画が出て来られたと思うのでありますけれども、これを国土開発法というようなものをつくつておやりになるのか、聞くところによると、相当この発案も進んでおると聞いておりますが、現在の進捗状態、これをひとつお尋ね申し上げてみたいと思う。
  20. 青木孝義

    青木国務大臣 ごもつともだろうと思います。われわれは前の計画に対して、さらにわれわれの立場から再検討する、こういうような心組みを持つておりましたが、御承知のようにあれができます過程と、現在とを比較いたしますと、相当わが国の經済情勢というようなものも、ともかくも変化して来ておる。本質的にどうであるかという問題はともかくといたしまして、かなり客観情勢が変化しておるということはお認めをいただけると思います。ことに統制を撤廃いたしまして、統制経済からいわゆる自由経済への移行過程というような足取りを辿つておりますので、従つて地方計画であるとか、中央計画であるというような問題も、今日すでに御承知の通り貿易関係も民間の輸出入ということが、相当大巾に行われるようになりましたし、またこれに伴つて外資の導入ということもともかくも力を入れて考えておる。こういうことでありますので、これを世界経済の動きというようなものと考え合せまして、その実体に即した見通しなり、計画を立てて行くということは必要であろうかと考えておるわけで、そこでそれならば今日のこういうような日本の開発計画が、ヴエトーイングされて来たということは、今申し上げたような意味でありますが、特に今日外資の導入といつたような問題を考えますと、まず電力であるとか、あるいはまた日本の重要産業における特別に重要なものからというような考え方、もう一つは民間企業というものと民間の事業計画、そういうようなものは、政府の資本なり政府の支出によつてやるべきものである。民間でどうしてもやつて行かなければならぬであろうと考えられるようなものとのその考え方が、相当にかわつて来ておるというふうにも、自分は考えるわけであります。そういう線に沿いまして、この地方開発計画なり中央で考え合す程度の開発計画というものは、基本的に考えて行く必要があるのじやないか。そういうことでその実行に移しまするためには、今おつしやいましたような開発法案というようなものができるかとも思いますが、まだそれは完成したものとか、あるいはただいまはつきりとこういうものになつておりますと言う段階には達しておりません。しかしながらそういう機運が政府におきましてもわれわれのところにおきましても醸成されて参りまして、いろいろとただいま検討中でございまするし、もう少しまとまつて参りましたらば申し上げまして、また御判断をいただきたい、こういうような程度にしか申し上げることができない状態でございます。
  21. 勝間田清一

    ○勝間田委員 国土開発法というものは相当研究されたと私は思うのですが、しかしもしそういうことでありますれば、安定委員会が非常に重大な関心を持つべきものでありまして、従つて特にどこで一体こういう案をつくつておるのか、建設省でつくつておるのか、あるいは安本でつくつていらつしやるのか、あるいは農林省でつくつていらつしやるのか知りませんが、管轄が非常に多いと思います。この前御説明を受けたのでありますが、将来また安本の機構改革というような面とあわせ考えて、一体どう運営されて行くかという問題も、われわれは非常に関心の深い問題であります。でありますから私は特に大臣にもまた委員長にもお願いしたいと思いますことは、あるいは建設大臣も御出席願つてお願いしたいと思うのでありますが、ごく最近の機会に、考え方はどういうものであるかということも、少くとも初めから御発表願いたいと思います。そしてこの非常に重要な総合開発という問題が運営されて行けるように、また今後問題になる機構改革の問題も、総合計画というものも非常に重要な関連を持つておると思いますので、どういう考え方でやつて行くかというようなことも至急御発表いただきたい。われわれからも意見もございますから、どうぞ意見も十分聞いていただきたい、このように考えまして、私の質問を終ります。
  22. 田中不破三

    ○田中(不)委員 私はただいまの勝間田さんのお話に関連しておるのでありますけれども、この参考試案概要という本が、どういう目的でつくられたかということなのであります。ここに本試案意義というようなことがございますが、先ほどもお話がございましたように、二十四—二十八の五箇年計画は一応御破算というような形になつた。そうするとそれにかわるものとして、今これは試案でありますが、これを今後コンクリートなものにして、これを日本政府の方針といいますか、閣議決定なり、確立した方針ということでこれを中心としてやつて行かれるか、あるいは中央所管庁のただ参考書的なものとしてこれをつくられたか、こういうことをまずお尋ねしたいと思います。
  23. 佐々木義武

    佐々木政府委員 大臣にかわつてお答えいたします。地方開発計画立場といたしましては、御承知の通りナチ的な考え方で行きますと、国土開発計画というものは中央でつくつて、それを地方に押しつけるという行き方でございまして、英国の前の古いような行き方で行きますと、地方では地方の独自の地方計画というものを立てられまして、それを中央で取上げまして、実行のできるものから漸次実行に移して行くというようなのが、英国的な行き方であります。日本の現在の事情からいたしましてどうかと申しますと、こういう時勢になつて参りますと、中央計画的ながつちりした網の目のような動けないものをつくつて、それを地方に押しつけるということは、明らかに実行そのものもできませんし、むりだと思います。と申しましても地方から出て来るものをそのまま実行に移すといたしましても、先ほど申し上げましたように非常に厖大なものとか、ないしは地方が独立性が強くて、そのまま実行に移しにくいというようなものもございます。従いまして私の方といたしましてはこういうものを参考試案に、中央から押しつける意味ではなくて、一応中央立場としてはこういうふうに考えられるということの参考試案地方に流しまして、地方から出て来る独自的な地域的なものに根を下した計画を尊重しながら、その開発の一応目標というものはこういう指針で、できれば地方としてはこういうもので出してもらいたい——そういたしますと割合に実行に移る可能性のあるものが出て来る。従いまして現在考えている範囲では、前の復興計画でつくつたようなものは網の目のようにきちつときめた、一つが狂うと全部が狂うというようなものでなくて、もつと非常にゆとりのある、たとえば治山治水の問題か先たから、当面の問題をもう少しやるとか、しかもまたさつき申し上げたように優先順位なり、あるいは金の出し方の問題、それから形態にしても従来のように私企業にまかしてはとうてい達成できないというようなものであれば、やはり国でやつた方がいいのではないかという、そういう大きな点に行く道を方向づけるというようなところに重点を置きまして、鉄の二百万トンが二百十万トンか二百二十万トンになるといつたような、そういう問題は、あまりこの地方総合開発計画では重きをなさないのではないかというように、非常にゆとりを持つたようにも考えております。
  24. 田中不破三

    ○田中(不)委員 今のお話ですと、これが参考書的なものになるというふうに解されるわけでありますが、そうしますとまた元にもどるわけでありますけれども、これが地方での参考書的なものだとして、それぞれの事業を促進して行くということになりますと、中央政府としての一応の計画というものは今のところは全然ない、その場当りという言葉は悪いですけれども、各地方から出て来たものをその都度審査して行くというふうな形のものになつておりまして、中央での総合計画は全然ないというふうに考えてよろしいのでございますか。
  25. 青木孝義

    青木国務大臣 中央計画をここへ参考試案として出しましたということは、御承知の通り従来ばらくに各地方には地方自体としては重点的に考えておりますけれども、どうしてもこういう事業をやりますには、中央との関連なしにはやれないというものが大多数であろうかと思います。従いまして中央としては一応の考え方は持つておりまするけれども、しかしながらこの際この自治体の確立と言いますか、自治の確立ということが戦後の日本に課せられました重大な仕事でありますので、この際地方計画は一応とりまとめて、そして中央とにらみ合せまして、こういう姿になつて行くのだというくらいなことは、われわれも想定をいたしております。しかしながら便宜上ともかくも一応こういうものを出しますれば、地方としても相当参考にもなりまするし、また指針ともなる、こういう意味でつくられておりますので、中央には計画がないということではございません。その点は決して中央には計画がないわけではございませんが、私が先ほど勝間田委員の御質問に対してお答えを申し上げましたように、とかくこの今日の計画におきましては、その資金面並びにその事業一般につきましては、やはり国が一応中央的には考えておらなければ、地方計画がかりにどんないい計画でありましても、なかなかその推進ができません。従つてわれわれ安定本部といたしましては、総合計画というものを立てまして、それができるだけ実行に移されるような案として発表いたしたい、こういうことを考えて、その仕事のうちの一作業として、ここに参考的に出している、こういうことでございます。
  26. 田中不破三

    ○田中(不)委員 今のお話でまだ私自身はことに安本こそ、そういうふうな中央計画を持たれ、地方計画を持たれることが最も必要だということが、多年の私の主張であつたのであります。そのために特にせつかくこれが出まして、地方のこういうふうな計画基礎になつて中央のものをつくられるのではないかということを考えたものですから、一応御質問申し上げたのであります。何とかそういうふうな方向に日本全体の国力が推進されて行くようにお願いしたいものだと思うております。  それからはなはだ部分的なことをお尋ねして恐縮なのでございますが、先ほども結論のところのお話など伺つておりますと、北海道東北とかいう言葉が盛んに出て参るのでありますが、残念なことに九州という言葉は一つも出て来ない。これは東北北海道を大いに開発しなければならぬことは、重々承知しておりますけれども、この数年来九州南部の総合開発計画というものが、盛んに唱道されておりまして、安本あるいは建設省その他各官庁でも十分に御認識していただいておるのであります。もとより九州の中の南部の方でございますから、九州平均してみますと、あるいは九州全体としての言葉として、文字に現われるのにはまだそこまで進まないのかと思います。従つて九州の中を割つてみますると、南部に相当重点がおかれているものと思いまするが、これはまだ十分拝見していないのでわかりませんが、その点はどういうふうになつておりましようか。
  27. 佐々木義武

    佐々木政府委員 さつきちよつと説明不足で、あるいは漏れたかもしれませんが、九州の南部の地帯も相当ウエイトが置かれておりまして、北部の地帯は今までの固定設備が相当厖大なものでございまして、あれをフルに動かします段階に達しますまでには、ここ二、三年は手一ぱいではなかろうかと思います。新規にやろうとしますれば南部の方にウエイトがかかつて来るのではないかという結論に、一応各省で調べたものを見ますとなつております。この計画は先ほど申しましたように、産業縦割りにしただけでありまして、地域の総合したものは、今後いろいろ地方から意見を聞きまして総合したいと思つておりますので、そういう点はこの秋くらいから、非常に重要な問題として出て来るのではないかと思つております。
  28. 田中不破三

    ○田中(不)委員 九州南部の総合開発計画につきましては、非常に関係地方が関心をもつてながめておりますので、十分御考慮願いたいと思います。これで質問を終ります。
  29. 高倉定助

    ○高倉委員 最近北海道開発法案が上程されるというお話を聞くのでありますが、この地方開発計画と何かの関係がございますか。また別の観点からこれをなされるのか、これだけ一つお伺いいたします。
  30. 青木孝義

    青木国務大臣 北海道開発計画が特別に取上げられたということにつきましては、これは事実でございまして、そういう計画が一応取上げられております。しかしこれはまた実際を申しますと、北海道開発審議会が土台となつて、いろいろと北海道開発に関する御意見が提出されまして、その結果北海道は特別にひとつ取扱わなければならぬのじやないかということの一つの現われだと、こういうふうに思つておりますが、今予定されておるところでは、二十六年度からそういう問題が具体化して来るというような運びでございまして、それ以上のところまで、まだ行つておりません。なおもう少し明確になつて参りますれば、適当なときに申し上げたいと思います。
  31. 小野瀬忠兵衞

    ○小野瀬委員長 他に御質疑もないようでございますから、説明聽取並びに質疑はこの程度で終りたいと思います。それから臨時物資需給調整法の一部を改正する法律案というのが、本日の議題になつておりますが、これは次回二十五日午後一時から、審議を行いたいと存じます。  それでは本日はこの程度で散会いたします。     午後三時五十五分散会