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1950-03-25 第7回国会 衆議院 議院運営委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月二十五日(土曜日)     午後零時二十分開議  出席委員    委員長 大村 清一君    理事 石田 博英君 理事 佐々木秀世君    理事 福永 健司君       岡延右エ門君    岡西 明貞君       菅家 喜六君    倉石 忠雄君       篠田 弘作君    島田 末信君       田中  元君    田渕 光一君       塚原 俊郎君    寺本  齋君       中川 俊思君    山本 猛夫君       田中織之進君    松井 政吉君       園田  直君    長谷川四郎君       梨木作次郎君    林  百郎君       石田 一松君    河野 金昇君       黒田 寿男君  委員外出席者         議     長 幣原喜重郎君         副  議  長 岩本 信行君         議     員 河口 陽一君         議     員 佐竹 晴記君         事 務 総 長 大池  眞君 三月二十五日  委員赤松勇君及び石野久男君辞任につき、その  補欠として田中織之進君及び黒田寿男君が議長  の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に  基き、国会議決を求めるの件の取扱に関する  件  法律案付託委員会に関する件  地方自治委員任命につき同意を求めるの件  本日の本会議の議事に関する件  次回の本会議に関する件     —————————————
  2. 大村清一

    大村委員長 会議を開きます。  まず地方自治委員任命につき同意を求めるの件を議題といたします。これは前会お持ち帰りを願つてつた事件でありますが、各派の御意見いかがでございますか。
  3. 松井政吉

    松井(政)委員 賛成です。
  4. 園田直

    園田委員 民主党は賛成です。
  5. 河野金昇

    河野(金)委員 賛成
  6. 河口陽一

    河口陽一君 賛成です。
  7. 佐竹晴記

    佐竹晴記君 賛成いたします。
  8. 大村清一

    大村委員長 それでは本件は各派の御意見もすでに決定いたしておることでありますので、本日の本会議に上程して決をとることに御異議ございませんか。
  9. 大村清一

    大村委員長 そのように決します。     —————————————
  10. 大村清一

    大村委員長 次に昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担特例に関する法律案付託委員会の件を議題といたします。
  11. 大池眞

    大池事務総長 昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担特例に関する法律案というのが出て参りました。この付託委員会について一応皆さんの御意見を承りたいと思います。御承知の通り二十五年度における災害復旧事業費全部の国庫負担特例をすることになつておる法案でありまして、関係する委員会は、考え方によると数箇になるわけであります。大体この法案地方自治庁中心なつてつくつ法案でありまするから、本院の常任委員会の性格から見れば、事務的には地方行政に持つて行くという考え方がまず起りますのと、それから事業費国庫負担特例でありますので、これはどうしても大蔵省所管であるという考え方から、大蔵委員会という考え方も起つて来るわけであります。しかし事業をやります場合の内容的な面から見ますると、工事の方面では建設省にもなりますし、計画をする場合には、経済安定というような場合も起つて参ります。なお砂防その他の面からは農林省、港湾等は運輸省、なおさらに災害復旧であるから災害対策委員会にもなるという考え方も起つて来るのでありまして、結局この法案中心につくりました地方行政にするか、あるいは事業費国庫負担特例でありまするから、大蔵委員会に持つて行くかというのが、事務的に考えて一番穏当じやないかと考えておる次第であります。そこで法案をこしらえました中心的な地方行政か、この金を使う場合に監督の面を持つております大蔵に持つて行くか、この二つの中で御決定を願いたいと考えております。これは大蔵が普通ではないかと思います。
  12. 大村清一

    大村委員長 御異議ございませんか。
  13. 林百郎

    ○林(百)委員 大体地方行政という意見が強いのですがね。大蔵委員会は非常に法律が多くて少しむりじやないかと思います。
  14. 大池眞

    大池事務総長 付託委員会の問題か他にも数件ありますから、一応御懇談を願います。ただいま災害復旧の問題と、それから旧軍港転換法案というのが出て参りました。これは参議院の方の佐々木鹿藏さんほか二十二名の発議で、向うを済ませまして、こちらにまわつて来た案であります。旧軍港の横須賀、呉、佐世保、舞鶴というようなものを転換をして、一般の方に組み入れるという法律案でありますが、この法案は聞くところによると、こちらの建設委員会等で従来研究をいたされておつた法案だそうでございます。それがたまたま参議院を通過して参議院案として出て参つた次第であります。これをどこへ付託するか、従来これを研究しておつた建設へ持つて行くことが一応考えられるのと、それからまた法案内容を見ますると、委員会等をこしらえて大蔵大臣の諮問に応じて審議するために、大蔵省に旧軍港国有財産処理審議会というものを置くことに相なつております。従つてその委員等も二十人できまして、大蔵事務次官建設事務次官関係県知事等でこしらえることになつております。大体この事業の執行をした場合に、報告義務を持つておりまして、その報告をする場合には大蔵大臣建設大臣と両方へ出すことに相なつております。従つてこれを大蔵へ持つて行くか建設へ持つて行くかという問題が起つておりますから、これもあとで御協議を願いたいと思います。  それからさらに北海道開発法案が出て参つております。これは北海道開発の問題でありますが、大体これは内閣所管であります。つまり内閣のうちに北海道開発に関する審議会がございまして、その方面から出て来た案でございますので、所管的には内閣所管になつて、当然内閣委員会に行くわけでありますけれども、問題が地方的な開発法案のことでもありますので、御意見を承つてどこへ持つて行くかということを御相談を願いたい。  それからもう一件、公共企業体労働関係法国鉄の第二次裁定の問題でございます。これが本日出て参りまして、これはやはり予算上、資金上支出不能であるという意味におきまして、十六條第二項の規定に基いて国会議決を従来通り求められて参つております。従いまして、これは従来の先例によれば、当然労働委員会だと思います。この四件について一応御協議懇談でお進めを願いたいと思います。
  15. 大村清一

    大村委員長 それではこれより懇談に入ります。
  16. 大村清一

    大村委員長 速記を願います。
  17. 林百郎

    ○林(百)委員 私は付託委員会労働委員会であるとか、どうとかいうことは問題ではないと思います。ただこれを出す出し方です。まだ予算審議中であつて、この予算修正なりあるいは補正なり、どうでもし得る余地があるわけであります。それから昨日実は運輸委員会で、加賀山総裁に聞きましたら、総裁としては二百億の建設費の中から、七十億をこれにまわす。予算的な措置をしろというならばそうするより道がないということで、大屋運輸大臣に出した。そうすると国会に付議する場合も、その予算的措置をつけて国会にかけるのが当然であります。実はわれわれの方には予算編成権も何にもありませんから、やはり政府としては予算的な措置をし、これについて国会承認するかしないかということを求めて来るのが、公労法第十六條の精神だと思います。それをいつもこの問題については問題があつて政府がそういう誠意を示して来ない。特に今後問題になることは、まだ予算参議院審議中でありますから、政府としてはそれだけの誠意を当然示すべきであるとわれわれは考えます。
  18. 田中織之進

    田中(織)委員 今、林君が言われることも、この案件を受理するかどうかということについての一つの大きな問題だと思いますが、同時にそのことから発展いたしまして、前回の場合においてもそうであつたのでありますが、とにかくどつちにでもとれるような形において国会へ出す。内容に重大な変更がこの前も行われた。従つてこの案件政府が出すにあたりましては、提案の理由、並びにその案件内容変更のない確定的なものとして出されるかどうかということについて、これをわれわれは政府当局からたださなければなら問題だと思います。これはこの前の場合もいわゆる正誤で出しました。これはどういうように考えてみましても、正誤で受理ができる問題ではない。従つて今、林君が述べられたような予算的な措置との関係から見まするならば、当然政府が今出すものについて、議決を求める案件内容そのものに、われわれは重大な変更が予見されるものを、受理すべきかどうかということは、これに反対だ、賛成だという見地を離れて、われわれはこの案件を受理するかどうかということを国会としてきめる場合に、考えなければならぬ重大な問題だと思います。その点についてやはり確たる政府側答弁をいただかなければならないと思います。問題はこの案件内容そのものではなくて、案件取扱いの問題に関するものであります。これは私は重大な問題だと思います。現に專売裁定の問題につきましても、国会に提出して、われわれはこれが当然今回政府がとられるような措置が予見できるから、これは政府において撤回したらどうかという動議が出されて、それが否決されておるにもかかわらず、政府の方では自然消滅というような、実におかしな形においてやられる。従つて私どもはその点について、最後の段階においては採決をされて決定されることも私はいいと思うが、今私が申し上げておる点に対して、政府側から明答をいただかない限り、この問題の採決に入られることについてはわれわれは反対です。
  19. 倉石忠雄

    倉石委員 田中さんは労働委員会大蔵委員会と、それから人事委員会連合審査会に非常に熱心に来ておられたので、あの当時の裁定取扱いについては、ずいぶん御審議なつたはずでありますが、今のお話を承ると、林君の言われたような予算的な措置をつけて来なければ審議ができないというお話でありましたけれども、そういう予算的措置をつけるにも、つけないにも、とにかく八千二百円という国鉄従業員に対するベース裁定された。それを今度予算的措置をつけてこつちへ出せというならば、公労法所定の十日間ではとうてい不可能なことです。従つて公労法に命ぜられたる十日間以内にとにかく一応この裁定国会に出すベきである。この点は皆さんも御了承のことと思うのであります。そこで十日以内に政府が出したという場合に、受付けた国会側の方では審議ができないかといえば、審議は少しもさしつかえないことでありまして、公労法制定精神は、裁定の中の十六條一項によるところの、予算資金上不可能な面だけ、対象としてわれわれが取扱うのでありますから、今度の裁定はもうすでに皆さんも御存じのように、一応資金予算上可能なりや不可能なりやということは別問題として、政府国会にこれをかけた。国会はその点だけを審議をして、そうして国会が認めて、これは八千二百円なら八千二百円、八千円なら八千円程度でやるべきだということをわれわれが議決することは、われわれの自由であります。そうなつたならば、政府公労法精神にのつとつて、何らかの予算的措置をやるべき義務を生ずるのであります。われわれはそういうために十日以内にあの裁定そのままを提出されても、それを審議して国会意思決定をする。そうしてどんどん政府に要求してこれの審議を継続して行くということが、公労法に要求されたるところの国会義務だと思います。予算的措置をとらなければならぬということを言うならば、それは政府が八千二百円なり何なりを認めたときでなければ、その予算的措置というものはあり得ない。そんなものをつけて来なければ審議ができないということは、これは大間違いだと思います。
  20. 田中織之進

    田中(織)委員 倉石委員長の御発言、私はきわめて奇異に感ずるであります。公労法によるところの裁定の、国会としてタツチし得る部分は、十六條の一項の場合に限られることは、倉石君のただいま申された通りであります。従つて予算上、資金上可能か不可能かという問題をたな上げいたしまして、この問題を国会にかけるということは、これは公労法十六條の一項のどこに該当するかどうかということも問題になると思います。現に專売裁定の場合のように、予算の流用の問題については、われわれと解釈に大きな相違点があつたわけでありますけれども、その点については国会承認を求めなければならぬという政府の判断に基いて、ほとんど衆議院における実質的な審議が終つたままお預けになつておる間に、政府の方もそういう事情の変更というか、そういうものに基いてこれを国会審議を煩わす必要がないということで、この問題は結局撤回された形に相なつたわけであります。従つて予算上、資金上可能であるか、不可能であるかという点が不確定なままにおいて、これを国会に出して来るということ自体が、裁定内容そのものについては、国会として審議する立場にないということは、これは公労法の十六條一項においても、二項においても明らかに出て来るわけであります。私はその点について政府答弁伺つてからでないと、この問題の最終的決定はできないと信じますが、その答弁内容いかんにもよることでありますけれども、そういう資金上可能であるか不可能であるかの問題をたな上げした形において、同じ問題を国会が受理して取上げるということについては、私はどうしても公労法関係から見て理解できないのであります。
  21. 倉石忠雄

    倉石委員 公労法に要求しておるのは、裁定のあつた日から十日以内に国会議決を求めなければならない。従つて政府はこれを出したのでありまして、その八千二百円のベースというものを政府予算上、資金上できるかどうかということは、ここで論議すべきことではなくして、付託された当該委員会において、だめなんだ、あるいはどの程度のものならできるのだという政府意思をそこで聞けばよいのでありまして、国会がこれを受付けないといつてみたところで、それならどうするか、公労法は当然国会に提出すべしということになつておるから政府が出したのでありまして、十日間内に政府が八千二百円のベースを出して来れば、それもけつこうです。しかし全然出さないで、これは一応認めませんという考え方があるかもしれないが、それならそれでけつこうです。しかしわれわれはこの裁定審議して、これは出すべきものだと認定するのも、われわれの自由であります。
  22. 田中織之進

    田中(織)委員 その点については、われわれは倉石君とは異つた見解に立つておるのであります。この問題の最終的なことを、採決等によつてやられるということは、やむを得ないことだと思いますが、しかしながら問題は、たとえば專売裁定の場合、並びに第一次の国鉄裁定の場合においても、政府国会に提出した案件を途中において修正して来た。重大な変更をして来た。これは今国会会期中においてすでに二回ある。従つて今回の問題も、政府が今議決を求めるその案の内容変更するような考えがあるかないかということについて、われわれは確たる政府考えを聞く必要がある。そういう不確定な案件を出して来るということは……期限いかんにかかわらずと私は申し上げます。とにかくこの問題は、支拂うという立場に立てば、予算はこの期限内に組まれることは事実です。これは決して不可能なことではない。そういう点からみて、この十日間の期間という問題は、十分その間に予算的な措置を講ずるか、講じないかということについて、態度決定ができるはずである。そういう意味においてこの十日間というものは、一つの法的な條件になつておるということは事実でありますけれども、現にこの国会において類似の案件について、二回にわたつて、それぞれ案の内容に重大なる変更を来しておるという事実にかんがみて、われわれはこの案の内容が確定した案件でなければ、われわれはこれを受理すべきではないと思う。
  23. 林百郎

    ○林(百)委員 これは與党諸君にも実は聞いてもらいたい。けんかするために言うのじやない。ただ予算がまだ組んでない。公労法十六條の予算上、資金上不可能というのですが、この予算上、資金上不可能かどうかということは、これは昭和二十五年度の予算国会を通過して確定した場合に初めて言い得る。ところがこの裁定昭和二十五年四月一日からの給與の問題ですから、支拂うべき予算はまだ決定していない。政府はやはり予算を組んで国会に出して、その予算審議を経なければならぬ。それが前提です。これが第一。  第二の問題としては十日の間に政府予算的措置ができないというが、加賀山総裁は、ちやんと大屋氏まで出しておる。それを少くともつけて、こういうようになつておるが、これを国会承認してもらえるかどうかというようにして出してもらわなければならぬ。そこで諸君に聞いてもらいたいことは、全然予算がまだ組んでないから、出せるか出せないかということはわからないわけだ。要するに予算を組んで出せば出せるわけだ。予算編成権政府にあるから、政府は当然組まなければならぬ。ところが政府国会承認しないから出せないと言つておる。政府が出せないから国会に出せないということを承認してくれと言うならばわかりますけれども、国会承認しないから出せないということでは、これではまつた循環論法だ。責任国会に転嫁しておる。この点はやはり政府誠意をもつて補正予算なり、予算修正を出すか、少くとも加賀山氏が出した予算修正を裏づけをして、裁定案を出すか、その上で国会承認を求めるようにしてもらいたい。
  24. 石田博英

    石田(博)委員 田中君、林君の御議論法律論政治論というものを混同されておると思う。われわれも出してやりたいという気持にはかわりはない。あなたの言うように裏づけするだけの予算上の編成をすることができるならば、この裁定国会に提出する必要がない。現在の段階において編成されておる予算で不可能だというので出しておる。だから十六條第一項の規定に基いて現在出て来ておる以上は、すでに予算上、資金上不可能な段階である。そこで第二項で当然十日までの間で出さなければならぬ。きよう受付けられないという議論をすることは、われわれ自身公労法第十六條第二項の規定を無視したことになる。受付けないと言つておるならば、どうするのか。十六條第二項の規定を尊重してどう処置できるか。法案それ自身の処置の仕方というものを、君たちがどう考えておるかということを聞きたいと思う。  それからもう一つはもし政府予算上、資金上不可能だというものを出して来て、国会がこの裁定承認すべきものだと議決したならば、政府は当然予算上、資金上支出をする方法を講じなければならぬ。またわれわれは予算修正権というものを持つておるから、その線に従つて修正して行くこともまた可能になつて来る。どういう議論をしてみても、きようが十六條第二項に基く最終の日なんだ。その最終の日に受付けないという議論は、国会自身が十六條第二項の規定を無視することになる。
  25. 田中織之進

    田中(織)委員 ただいま石田君の発言の中に私の名前が引合いに出されておりますが、私らはこの裁定政府がのんでおる、こういう立場に立つております。しかし私が先ほどから申し上げておることは、私らの目的としておることと、政府がこれを国会に出して来た過程においては反対の結果が明らかに見えておる。これは案件としての取扱いの面において、すでに過去二回にわたつて国会に提出したものが修正されて来ておる。変更されて来ておるという関係があるのでありますから、従つてそういうことについては、これは不確定な案件を出すということはどういうものであるか、同一会期中にすでに二回において不確定な案件を出して来ておる。一回は自然消滅という形で、審議が完了してしまつてから、あとでのんでしまつた。もう一回の場合は、とにかく内容の重大な変更を、正誤で押し切つておるという歴然たる事実がある。そこで政府が出して来たこの案件というものが、確定的なものであるかどうかということの政府の確言を得た上で、この案件を受理するかどうかということについてのわれわれの態度がきめられるわけである。そういう立場から私は申し上げておるのです。
  26. 倉石忠雄

    倉石委員 ただいまの田中君のおつしやることは、公労法を少し誤解しておいでになつておるのじやないかと思うのであります。不確定な案件とおつしやいましたけれども、政府がなるほど十日間以内に意思決定して、この程度は認められる、よつてその認められる部分予算的措置はこうであるから、国会議決してくれと言われれば、それは非常に簡單でそれもけつこうであります。しかし公労法では、裁定の下つた十日以内に政府はこれを国会に付議すべし、国会ではこれを審議して、もし八千二百円というものを政府が認められて、八千二百円として出すべしという意思決定をわれわれがいたしたならば、政府はそれに拘束されるでありましよう。最後的の資金上、予算上の面を、特にさつき林君のおつしやることによれば、政府は拒否する責任国会に転嫁して、国会に拒否させるというようなことを言つておりましたけれども、われわれは政府意思拘束を受ける何らの理由を持たない。われわれが意思決定をすればよいのでありますから、従つて裁定そのもの当該委員会において審議して、そうして国の予算上、資金上、国鉄資金上可能だと認定したならば、そういう決定をすれば政府はそれに拘束を受けるのでありますから、私はこのまま政府が提出したということは何らさしつかえない。当然これを受理して、すみやかに審議を開始すべきであると思う。
  27. 林百郎

    ○林(百)委員 先ほど石田君の言う通り、これを出すか出さないかという問題と、これを受付けるか受付けないかということとは別です。その点は私も同意見です。ただ違う点は、あなたは先ほどから、予算上、資金上不可能だと前提しております。政府もそう考えておるのであります。だから十日以内に不承認を求めるために国会にこれを提出しております。けれども第一次の裁定の場合と違うことは、あなたも知つておる通り、二十五年の四月一日からの給與の問題です。ところが二十五年の予算というものは、今国会審議されておる。だから政府が不可能だということは、最初の既定方針と違つておるから不可能だというのです。ところが既定方針というものは加賀山総裁が言つておるように、建設費の方から七十億人件費にまわすという予算的な措置を講じておる。予算上、資金上不可能だということは、まだ通過しないから言えない。そういう意味で当然補正予算あるいは予算修正政府がやるべきである。  第二に、かりに十日以内に裁定を出すとしても、政府は大体予算的措置を講じて出さなければ、全然公労法精神を蹂躪しておる。こうした意味で、こうした違法な議題国会として受理するわけには行かないと言うのです。
  28. 石田博英

    石田(博)委員 政府は現在の段階においては、これは予算上、資金上不可能だから出して来ておるのであつて、あなたの言うように、加賀山総裁の言うような方法がとれるものなら、こんなものを出して来やしません。ところが予算案審議中であつて成立していないから、予算上、資金上不可能だということは言えないかもしれませんが、政府として、政府責任において予算国会に提出しておる。何ぼでも予算は必要に応じて無制限に編成できれば、それはあなたの言うように裁定に基いて予算上、資金上の措置をとれるかもしれない。政府責任において可能な最大限の予算においては、現在の段階においてはできないというのです。だからこれが出て来ておる。それでなければ出て来るわけはないじやないか。政府はそういう前提のもとに出して来ておる。政府の言う通りであるかどうかということは、労働委員会において審議して、国会において予算上、資金上可能だと議決すれば、当然政府支拂い義務を生ずるわけである。
  29. 篠田弘作

    篠田委員 この問題はただいま倉石君、石田君の言われた通りであります。たとえば林君の言われたように、補正予算とか、あるいは修正すると言いましても、公労法に定めるところの十日間の期間内に修正もできないし補正予算もできない。従つて当然十日間以内の最終日のきよう持つて来たということは、何にも違法ではない。これ以上の論議はむだだと思います。
  30. 林百郎

    ○林(百)委員 十六條には公共企業体の予算上、資金上不可能な支出ということになつております。ところが二十五年度の予算というものはきまつていない。きまつていないのに不可能だということはあり得ない。だから当然政府が組み直して出さなかつたならば、公労法も仲裁の精神も何にもないわけだ。今出ておるのは予算一つの案だ。案に可能、不可能ということはない。既定の予算または資金があつて、それと照し合せて不可能ということならわかるけれども、いまだ予算はないのです。
  31. 石田博英

    石田(博)委員 あなたの議論はその論拠の上に立つたとしても、政府は一応ここに出して来ておる以上は、政府予算上、資金上不可能だという認定の上に立つておる。そういう解釈以外には出て来ない。予算上、資金上可能なものなら、この裁定国会に提出する必要はない。提出しておる以上は予算上、資金上不可能であると政府は判断して出しておる。あなたの言うように予算上、資金上、可能であるという議論が成立つならば、国会予算上、資金上可能なりと認定して裁定承認すれば、政府は当然予算上の措置をしなければならぬ。現に最終日が本日来ておる。そういう認定に基いて政府が提出しておる。予算上可能であるか不可能であるかということは、当該委員会において議論してもらいたい。
  32. 林百郎

    ○林(百)委員 まだ石田君が誤解しておるから……
  33. 大村清一

    大村委員長 同じことを何べんも繰返されることはどうですか。委員長が承つておりますると、もうお話はよくわかつておりますから、何も誤解がないわけであります。同じことはあまりしやべらないように、かわつたことを御発言願います。
  34. 林百郎

    ○林(百)委員 石田君の言う政府予算上、資金上不可能と考えておるからこれを出すと言つておるが、予算上、資金上不可能だということは、国鉄の経費とか、あるいは予算とか、そういう基準から見なければならない。ところが政府は何と言つておるかというと、国会承認しないから予算上、資金上不可能だと言つておる。それが信用がおけないというならば、やはり政府責任者をここに呼んで来て、それを確めた上でわれわれは態度をきめるべきである。石田君が言うように国鉄の経理の内容国鉄の全般的な措置から不可能じやない。国会承認しないから不可能だと言う、これでは堂々めぐりの議論じやないか。
  35. 石田博英

    石田(博)委員 ここに出ておる議案を受付けるか受付けないかということが、議論中心だ。だから予算上可能だとか、政府資金上不可能だという断定が間違つておるというお話は、労働委員会でゆつくりおやりを願いたい。
  36. 林百郎

    ○林(百)委員 十六條の一項に違反するような議案を国会に提出した場合には……
  37. 田中織之進

    田中(織)委員 違反する、違反しないということは、この案件に対する賛否の態度のときに決定すべき問題です。そこで石田君の先ほど発言によつて政府はこれは予算上、資金上不可能だということから国会に出されたということはわかりました。そこでこの会期中に同じ公労法裁定が二回出されたのでありますが、二回とも、いずれも一旦国会に提出した案件政府の方で変更して来ております。今回の提案にあたりまして、政府は一旦国会に提出したものを変更するような事態はないかどうかということについて、政府側から答弁を伺つた上で、この問題の採決を願いたい。われわれはこれが変更されて来るということは、もう案の内容の重大な変更になつて来ると思います。国会に出すものは確定的なものでなければならぬのであります。過去二回にわたつて内容変更されて来ておるから、そういう不確定な案件をわれわれは受理するわけには参らない。従つてその点は確定的なものであるかどうか、その点について政府答弁を聞かなければならぬ。その上でこの問題を受理するかどうかということの賛否を決定していただきたいと思います。
  38. 篠田弘作

    篠田委員 それは政府の判断によります。
  39. 田中織之進

    田中(織)委員 政府の判断だということは、われわれも認めます。政府の判断がこの会期中に二回にわたつて重大なる変更を来しておる。そういう点においてわれわれはこの案件を受理することはできません。
  40. 石田博英

    石田(博)委員 私はこの問題をこれ以上議論してもむだなことだと思います。ただ残つておる問題は、今田中君が発言しておる点だけが残る。政府が現在これを出すに至つたところの判断というものについては、その内容についての議論はここですべきじやないということは田中君も言つておる。ただ問題はすでに去年の暮の国鉄裁定の際においても、また先ほど專売裁定のときにおいても、案を提出したときには、予算上、資金上不可能だという段階において、政府の判断に基いて出された。その後いろいろの情勢の変化に伴つて変更なつた。政府の判断が違つて来た。部分的に承認できる場合と、全部承認できる場合とに変更して来た。これは政治的に考えれば、私は政府の非常な努力の結果であると思う。むしろ私どもは、政治的に考えたならば攻撃すべき何ものもないと思う。ただこれをわれわれがここで取扱う場合には、その判断がかわつたならば困るという御議論です。しかし現在の段階における政府の判断というものは、これは先ほどから繰返して言つた予算上、資金上不可能だという判断に基いて提出しておるのであつて、そういう現在の段階ということは、あらためてここで政府答弁を求めるまでもなく、提出されておる事実によつてこれは明らかだと思います。そこで将来それがどうなるかという保証を求めたい、これがかわらないという保証を求めたいという田中君の御発言であるが、私は実際問題として、この案件審議中いろいろな事情の変化に伴つて予算上、資金上、部分的においても、全部においても可能になることをわれわれは望むのであつて、その場合には当然淡白に、私どもはできるだけ可能にして行くべき方法をとるべきである。そういう予算上、資金上可能なる努力をここで拘束するということは、かえつておかしい。情勢の変化に伴つて、物価の非常な下落を生ずるとか、税收が増大するとか、あるいは物件費、その他を緊縮し得る可能性を生ずるとか、あるいは人件費中に余裕を生ずるとか、そういう事態が生じないとは限らないのであつて、そういう可能性のあることまで私どもがここで拘束する必要はないと思うのであります。私どもはそういう意味で、政府発言を求めなければ、この受諾方を決定できないという意見には賛成できません。これ以上討論する必要はないと思う。御見解があるならばそれぞれ述べていただきまして、その処置について適当に処理をして、採決あらんことを望みます。
  41. 林百郎

    ○林(百)委員 政府が不可能だという基準は、何を基準にしておられるのか。
  42. 石田博英

    石田(博)委員 それは本委員会議題ではありません。
  43. 林百郎

    ○林(百)委員 そこが重要な点だ。
  44. 石田博英

    石田(博)委員 重要な点であるならば、労働委員会で御議論を願います。ここでは政府から書類が出て来ておる事態そのもので、私どもは予算上、資金上不可能だという判断が当然自動的にできるのです。同じ議論はしたくない。
  45. 大村清一

    大村委員長 今のお話はわれわれもよくわかりますから、その程度に願います。
  46. 林百郎

    ○林(百)委員 われわれは十六條の議案じやないと言つておる。
  47. 田中織之進

    田中(織)委員 ただいま石田君が與党立場から政府態度は適当である、こういうことを申された。事実問題として、石田君の発言によつても、今後政府の方からこの案の内容政府の努力によつて変更して来ることがあるかもしれないという意味発言をされたのでありますが、これは私はそういうこともあり得ることとは思いますけれども、そういう場合に前回の国鉄第一次裁定の場合のように、案件内容の重大なものを正誤というような形で出すということは、私は適当でないと思う。従つてこの点は仮定の議論だとおつしやれば別でありますけれども、案の内容に重大なる変更を来す場合には、やはり国会法に基くところの修正の手続をもつて出すことが……先の話だけれども、私はこの際委員長から政府に対して、かかる場合には国会法の規定に準拠して修正の手続をとるべきだという意見が、この委員会に出ておるということを伝えていただきたいと思います。
  48. 石田博英

    石田(博)委員 田中君の御発言の点について申し上げます。ぼくは政府予算上、資金上不可能だという政府の腹に対して申し上げたのでなく、ここに出て来ておる事態だけで、自動的に予算上、資金上不可能だということを申し上げたのであります。  それからその次の田中君の御発言に対しては、委員長において田中君の御発言の趣旨を伝達されるように、この案件の処置をつけていただきたいと思います。
  49. 大村清一

    大村委員長 諸君の御議論は大体わかりました。御議論が盡きたようでありますから、採決いたします。本件はこれを受理することに賛成諸君の挙手を願います。     〔賛成者挙数〕
  50. 大村清一

    大村委員長 多数。よつて受理することに決定いたします。  なおこの際これを労働委員会に付託するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 大村清一

    大村委員長 それではそのように決しました。
  52. 田中織之進

    田中(織)委員 これは労働委員会に付議することも前例の通りでありますから、もちろん異議はありませんが、前回同様に、関係委員会との連合審査会を当然持たれることを、各委員会からも要求があると思いますので、前例通り連合審査にすることを要求いたします。     —————————————
  53. 大村清一

    大村委員長 なおこの際懇談会のところで、かりに決定しました点を速記に載せることにいたします。昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担特例に関する法律案は、大蔵委員会に付託するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」呼ぶ者あり〕
  54. 大村清一

    大村委員長 それではそのように決しました。  次に北海道開発法案は、内閣委員会に付託するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 大村清一

    大村委員長 それではそのように決します。  それから旧軍港転換法案、これは大蔵委員会に付託するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 大村清一

    大村委員長 そのように決します。
  57. 林百郎

    ○林(百)委員 これはひとつ議長にお聞きしたいのですが、本日の公報の公示に、通知書受領として「昨二十三日吉田内閣総理大臣から次の通知を受領した」とあるが、これについてはどういう処置をしたか、お聞きしたいと思います。
  58. 大池眞

    大池事務総長 林さんから公報のお話でございますが、まだ本日の議事日程が残つておりますので、本日の議事日程その他をやつたあとで御報告申し上げたいと思います。     —————————————
  59. 大村清一

    大村委員長 大分時間も過ぎましたから、ただちに本日の本会議の議事に関する説明を開きたいと思います。
  60. 大池眞

    大池事務総長 本日の議事日程について御相談を願います。本日の議事日程の第一の国家公務員の職階制に関する法律案、これは人事委員会理事藤枝さんが委員長報告をされることになつております。反対は社会党、民主党、共産党でございまして、修正されて来た案でございます。討論の通告はただいまのところ土橋一吉君、成田知巳君です。日程第二から第五までの四案は、大蔵委員会理事小峯柳多さんが報告することになつております。これは二、三の反対は共産党だけでございまして、討論は河田賢治君。四と五は社会党、民主党、共産党が反対でございます。それから日程第六ないし九の四案は反対が共産党でありまして、伊藤憲一君、第八の小型自動車競争法案についても反対の討論があります。日程第九の帝国石油株式会社法の廃止の問題については、共産党の田代文久君、社会党の今澄勇君から反対討論の通告があります。日程第十、十一、十二の三案は、郵政委員長の石原登君の委員長報告、これは全会一致でございます。日程第十三は、労働委員会理事篠田理事が御報告になりまして、反対討論は柄澤登志子君、十四から十六までは大蔵委員会理事北澤直吉君の報告、それから十五は反対が共産党、十六は反対が社会党、民主党、共産党、討論の通告はございません。十六以降に緊急上程を願いたいと思いますのは、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案、これは運輸委員会理事の前田郁君の委員長報告、それから首都建設法案、これは建設委員長の淺利さんの報告でございます。これは井手光治君外三十七名の提出になつております。
  61. 幣原喜重郎

    ○幣原議長 ちよつと御報告を申し上げます。御承知の通り過日本会議でもつて、日本の渡米議員団がアメリカの各地を旅行しましたのにつきまして、マッカーサー元帥のあつせん並びに各州議会において、いろいろの厚誼を與えられ、また連邦議会でも厚誼を與えられましたことについて、感謝決議をいたしたのであります。その感謝決議の電文をそのままもたらして、私は昨日マッカーサー元帥を訪問いたしまして、その趣旨を述べたのであります。そういたしますと、マッカーサー元帥は非常に喜ばれまして、今回の日本の議員団のアメリカ各地の訪問は、アメリカのすべての人たちにいい感情を與えたようです、各方面から受取つておる書面で見ると、いい感じを與えられたことは実に明瞭であると私は思います。私は何よりも喜んでおり、今度またこの決議をされたにつきましては、これまた非常に感謝をしておるから、このことを一般の議員諸君にもひとつお伝えを願いたいと言つて、私に伝言があつたのであります。これは本会議でその伝言を伝えようと思いますけれども、一応この会でもお含みを願つておきたいと思います。
  62. 大池眞

    大池事務総長 もう一つ私から御報告を申し上げます。ただいま林委員からも御質問があつたのですが、三月二十三日に、内閣総理大臣から幣原議長に通知が参つておりまして、事案の運命にもかかわる大きな通知でありますので、公報にもそのまま載せた次第であります。一応それを御報告申し上げますれば「通知」といたしまして「昨年の十二月二十八日、公共企業体仲裁委員会が日本專売公社職員の給與問題について下した裁定については、当時の公社の経理状況等においては、公共企業体労働関係法第十六條第一項にいわゆる予算上又は資金上不可能な資金の支出を内容とするものと認められたので、同條第二項により本年一月七日国会議決を求めたのであるが、最近に至り公社の人件費に一億三千二百万円の剰余を生じ、公社総裁限りをもつて裁定第一項による金額一億二千八百余万円の全部を支出し得る見込が明らかになりましたので、この旨を御通知に及びます。」こういう通知が参つておる次第であります。この点につきましては、すでに昨日の労働委員会におきましても、政府を代表して増田官房長官等からも御発言がありまして、その後労働委員会にかかつております裁定案の処理その他について、委員会として御決定があつたそうであります。結局十六條によりますれば、資金上、予算上、支出不可能なものであるものだけを議会に提出をしなければならぬ。議会はそれに対する所定の行動をとらなければならぬということが、十六條の規定にあります関係から、その資金上並びに予算上支出が可能になりましたために、当然もとの裁定案そのものは自然に消滅したと、きのう御決議に相なつたそうであります。その御決議も当然のことと思いますので、この通知を受領した日に、従来の法案自然消滅した、こういうふうに事務的には考えておる次第であります。いずれその点につきましても御議論があるかと思いますので、その自然消滅の点は委員会における決定でございますけれども、そのまま公報には書いておかなかつた次第であります。そういうふうに処理していいという御決定になりますれば、私どもの方でそういうふうにいたしたいと考えております。
  63. 田中織之進

    田中(織)委員 ただいま事務総長が御報告になりました政府からの通知は、いわゆる撤回の通知とみなすのですか。
  64. 大池眞

    大池事務総長 撤回ではありません。今までの裁定のときに出したときは不可能だつたが、その後の情勢の変化で、一億三千二百万円という人件費が浮いたので、何らの流用等をせずに、総裁限りで裁定第一項の金額が支出されることになつた。つまり予算上、資金上不可能な支出を内容としたものでなくなつた、こういうことの通知が来たわけであります。
  65. 田中織之進

    田中(織)委員 これは先ほど国鉄の第二次裁定取扱いの問題のときにも議論となつて関連があるのでありますが、これは実質的には私は政府による案件の撤回だと思います。従つてその点から見ますると、自然消滅したという委員会の決議があるわけでありますが、そういう場合の案件取扱いについては、国会法のどこにそういう規定があるでしようか。委員会において自然消滅をしたということでありますが、その案件取扱いについてどういう法律的な根拠によつてやられるのですか。
  66. 大池眞

    大池事務総長 これは国会法にはつきり規定があれば、おそらく委員会等でも、そういうものの取扱いについても議決をされなかつたと思いますが、国会に提出するものは予算上、資金上支出不可能であるからこそ、国会承認を求めようという十六條の規定があるのであります。従つておそらく提出をされた当時は、資金上、予算上不可能だと認めまして、その当時の状態において提出されて、審議の過程中にこれが可能であることが判明したために、その通知をよこされたことであります。つまり政府としては資金上、予算上可能なものであるならば、国会に対して審議をお願いする権能がないのでありますから、そこでその意味の通知が参つたことと思つております。また委員会においてはその議案が自分の方に付託されておりまするので、付託議案の処置をどうするかということの御決定があつたことと思いますが、これが自然消滅をしたという認定がいかぬということであるならば、別問題であります。それが当然であるとすれば、そういう措置をとつてつたならばよいかと思います。そういう面が国会法のどこにあるかという今の御指摘でございますが、たとえて言いますれば、この前に国務大臣の人に対して懲罰動議が成立をいたしまして、懲罰委員会にかかつてつた。ところがその国務大臣が懲罰の審議中に辞職をしてしまつたという際には、審議の対象がなくなつたわけでありますので、その動議というものは当然に自然消滅ということになつて、その取扱いをいたしておるわけであります。そういうような事例はこれと別だとおつしやいますれば別でありますが、審議の対象がなくなれば、自然消滅ということになると思います。
  67. 田中織之進

    田中(織)委員 それは国会法の五十九條に「内閣が、各議院の会議又は委員会において議題なつた議案を修正し又は撤回するには、その院の承諾を要する。」という規定があるわけであります。従つてこの案件は撤回であるか、自然消滅であるかという点について議論がありますけれども、少くとも国会法の五十九條の明文というものは遵守しなければならないと思います。従つて懲罰事犯の場合に、懲罰事犯の対象になつておる議員の身分を喪失したという場合と、こうした提出議案の場合とは私は異なつて来ると思います。ことにそういう今言つたような国会法の規定にもないようなことをするのはどうか。これは政府としても当然やはり五十九條に基くところの撤回をしなければならぬ。しかしそういうことになると、われわれ社会党から提出したところの撤回の動議があるわけであるから、あの撤回の動議と同じ案件に対する一事不再議の問題が出て来るので、こういう意味における脱法行為が出て来た。従つて事務総長が国会法の五十九條の規定との関連においてこの議案をお考えにならないということは、われわれは非常に理解に苦しむのであります。
  68. 大池眞

    大池事務総長 田中議員の、当然これは修正、もしくは撤回をなすべきものであるのに撤回をしないのはけしからぬという話でありますが、私どもの方では、政府の方から撤回の申出があつても、政府限りで今度は撤回をできないことになつております。従来は議案の撤回は政府の任意にできたのでありますが、新しい国会法では、ただいま御指摘の五十九條によりましても、その院の同意がなくては撤回に相ならぬのでありますから、撤回の手続が参りますれば、その撤回の手続が至当なりやいなやということについて、事務的に考慮するのは当然でございます。しかしながら撤回の申出がないのでありまするから、撤回ということを議題にして、撤回をするかどうかということについては、私どもとしてはいかんとも意見の立てようもない次第であります。
  69. 田中織之進

    田中(織)委員 どうも事務総長の申されることには私は釈然としないのであります。この案件につきましては、これは当然五十九條の関係においてやらなければならない。従つて案の自然消滅というような形でこの国会でこの案件を処理するということは、今後どういう形においてやるかというときの一つの先例になつて、私は非常によくないことだと思う。従つて従来から、いろいろのときに、この規定が非常に幅広く解釈されて、法的な根拠が明確でなかつたのでありますが、明らかにこの明文に基いて処理しなければならぬ案件を、実際にそういう明文から離れた取扱いをするということでは、国会法の真の趣旨というものが徹底されないと思う。ことにこのたびの撤回、あるいは案の内容変更を、修正の手続によらずして、正誤によつて訂正するということになれば、当然政治的な責任が残る。そういう角度から、やはり国会法がこうした規定を設けたのでありますから、私は国会法の規定に準拠してあくまで処理しなければならぬ。そのくらいのことは議長において、ことにまたその議長を補佐しておる立場にある事務総長としては、そういう点をはり明確にして行くべきじやないかと私は思います。
  70. 林百郎

    ○林(百)委員 これをはつきりするために動議を提出したいと思います。
  71. 大村清一

    大村委員長 ちよつとお諮りいたしますが、大分時間も過ぎましたから、この問題は簡單に解決しまして、本会議を開きまして、本会議中において運営委員会を開きたいと思います。
  72. 林百郎

    ○林(百)委員 ぼくが動議を出しますから、その動議について決定してもらいたい。私としてはこの三月二十三日の吉田総理の幣原議長あての通知は、やはり何といつても実質的には議案の撤回だと思います。われわれはこの議案の撤回を要求した場合、それが一事不再議になるかどうかということは別で、やはり政府としては当然撤回を要求すべきであるし、また政府の議長あての通知は、実質的にはすでに撤回を要求しておるものであると思います。そこで私は幣原議長に、これをすみやかにこの議案は政府から撤回を求めて来た、これに対して院の承諾を求めるということで、この議案を処置されんことを望みます。
  73. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それは政府が五十九條で来た修正並びに撤回であれば、この院の承認を求めなければならぬと書いてあるが、撤回も修正も申し込んでいないものを、君らが撤回だという独善的な見解に立つて論議を進めておるからいけない。これを撤回と認めていない。だから撤回ということがあつたならば、議論をしようじやないか。君らは政府が撤回したのだという一方的な見解を持つておる。
  74. 松井政吉

    松井(政)委員 これは本会議の時間前にその結論はつかぬと思います。今の佐々木君の意見で言うと、ここでもつてこれを撤回と認めるか、それとも單なる措置として自然消滅と認めるかということは、将来の問題にかかつておりますから、これは明確に委員会できめなければならぬ。衆議院としてもきめなければならぬ。そういう結論はとうてい簡單にはつかないと思う。そこで休憩をして本会議中にやることはけつこうですが、それについては一昨日も本会議中に運営委員会を開いて、緊急質問の問題や考査委員会の問題をやると言つてやらなかつた。きようもまたやると言つてやらないようなことになるのではないか。その点を明確にしておきたい。
  75. 佐竹晴記

    佐竹晴記君 これは将来に例を残す重大な問題でありますから、何とか処理すべきものと思います。すなわちこれは当然撤回と解することができぬと私は思う。同時に自然消滅ということで、委員会の決議で処置できるとは思わない。私は撤回とは解しない。たとえば裁判について例をとつてみれば、ある人を検事が起訴をした。裁判中にその被告が死んだ。それは先ほど石田君が懇談中言つてつた通り、なぜ死ぬかと言つても、別段相談なしに死ぬわけだ。それは死んでしまうけれども、事件あとに係属しておる。従つてこういうときには公訴棄却の判決をして終了しておる。こういつた場合にこの議案の内容は消滅いたしましても、形は現存しておる。これは自然消滅をしたといつて葬るわけには行かない。この案そのものは何らかに処置しなければならない。従つてこれは公労法十六條の要件を欠いたから、もう審議すべきものじやない。不受理にすべきものか、あるいは裁判でありましたならば、公訴棄却、管轄地外でありましたならば、不受理というような問題が起るから、これは何らか手続をすべきであつて、事務当局においてもよく御研究になつていただきたいと思います。
  76. 大村清一

    大村委員長 それでは運営委員会はしばらく休憩いたしまして、二時から本会議を開きます。本会議開会中に運営委員会を再開いたしまして、引続き御協議を願いたいと思います。     午後一時四十七分休憩      ————◇—————     午後三時三十五分開議
  77. 大村清一

    大村委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。  それでは御懇談を願います。     〔速記中止〕
  78. 大村清一

    大村委員長 速記を願います。  次回の運営委員会は月曜日午後一時から開きます。  これにて散会いたします。     午後四時二十分散会