○
土井委員 私は
社会党を
代表いたしまして、この問題について
意見を申し上げたいと思います。まず第一には、今度の
專売公社に対する
裁定の問題を、
国会に付議することが妥当である
かいなやという問題であります。これは
公労法ができましたその根本を探究いたしまするならば、おのずから自明の理であると
考えるのであります。なぜかと言いまするならば、すなわち
公共事業に従事しておる、ことに公務員の
諸君は、従来
労組をつく
つておりまして、この
労組は当然
争議権を持
つてお
つたのであります。ところが
公労法ができますることによりまして、この
争議権というものを失
つて参りました。しかしながらこれらの
人々の
待遇改善その他の問題は、何によ
つて保障すべきであるか。そこでこれに対しましては、仲裁
委員会というものが設けられまして、この仲裁
委員会が
争議権を剥奪されましたこれらの
人々の生活、あるいは待遇上の擁護の任にあた
つておるのであります。従
つて皆さんも御
承知の
通り、
公労法の三十五條には、その仲裁
委員が
決定いたしましたものを最終的
決定と、明確にいたしております。ただこの場合に
予算上
資金上、不可能だと見る場合においては、その十六條の一項、二項に帰
つて参りまして、これを
国会の
承認を経るということでありまして、むしろこれは事前
処置でありまして、最終的なものではないのであります。言いかえれば、われわれは
公労法三十五條という面から見まして、仲裁委が
決定いたしました事項を、まず尊重するということが正しいと、か
ように
考えております。しかも
予算上、
資金上という問題につきましては、これは今回の
裁定に対しましては、
專売公社としてその
予算内において、いわゆる
資金上の運営が十分にでき得るということが、明確に
裁定案の中に出ておるのであります。従
つてその
裁定の
決定に対しましては、当然それを許可するかしないか、言いかえれば
資金上の運用の面を許可するかどうかということは、大蔵大臣の行政上の措置であります。従
つて大蔵大臣がこれを認めればそれで片づく問題である。それをわざわざこれを認めずして、しかも
国会の
承認を経るという
ようにして参りますることは、
公労法の生れた精神に違反するものであると私は
考えるのであります。この前の国鉄の場合におきましては、この
委員会において官房長官に対し
委員諸君から質問をいたしました。いわゆる十五億何百万円かは、国鉄の
公社の内部で操作ができるが、爾余のものにつきましては、どうしても国家
予算の中で
承認してもらわなければならないという
ようなことを言われてお
つた。これは明らかにこの前のこの
委員会における官房長官の答弁と平仄に合わない。また前に言
つたことをくつがえす
ような内容が多分にあ
つたと思うのでありまして、われわれとしてははなはだ遺憾に存じておるのであります。とにかくそれぞれの
公社が、自主的に
予算上、
資金上の措置が十分できるということでありますならば、これは
公労法の建前からい
つて、当然それに全部一任する、こういうことを将来や
つて行かなければならないと思います。しかるにこれをいわゆる政治的意図をもちまして
国会に持ち込んで来て、これの
承認を経る、こういう
ようなやり方がしばしば行われまするならば、
争議権を剥奪されました労働階級に、一体何をたよりにして、たとえばそのときの内閣が反動的な、あるいはまた
労組に対して十分理解のない
政府でありますならば、自分
たちの生活権というものの保障はできないのであります。従
つて罷業権はとられたのでありますが、これらの
諸君がやむを得ない場合におきまして、再び非合法的な方向に移るおそれもある。要するに彼らの生活を十分に保障するというところに、この
公労法の建前がある。また仲裁委の権威というものが裏づけられて行かなければならないと思うのであります。従
つて私は、
專売公社において
資金上の運用のできる限りにおいては、行政的な措置として大蔵大臣がこれを認めればよろしいのである。これを
国会に付議するということは不当であると申さざるを得ないのであります。
次にこの
案件を
議長が
承認いたしまして、
運営委員会を開かないで、これをただちに
労働委員会に付託いたしましたことについては、ま
つたくこれは
議長の失態であります。言いかえまするならば、御
承知の
通りこの
承認案件が出ましたのは自然休会中でありまするから、従
つていつでも
委員会を開会することができるはずである。すなわち
運営委員会をただちに開いてもらえばよろしいのである。しかるにこれを開かないということは、手続上において大きな間違いがあ
つたと思うのであります。また
大橋君がただいま言う
ように、
国鉄裁定の場合に
労働委員会に付議した
先例があるからということでありますが、御
承知の
通り国鉄裁定の問題につきましても、衆
議院の方は
労働委員会に付議しましたけれ
ども、
参議院の方は運輸
委員会の方にこれを付議しておるのであります。こういう立場から
考えてみまするならば、今度の
專売裁定に対しましては、当然これは
労働委員会に付議さるべきであるか、大蔵
委員会に付議さるべきであるか、どちらに付議するかという問題は、多少疑義の存するところであります。従
つて先例ということを言いまするが、
先例必ずしもこういうものを全部
労働委員会にゆだねるという
決定をみておるわけでも何でもない。言いかえればこれは大蔵
委員会に
関係があれば大蔵
委員会に付議するか、あるいは
労働委員会に付議するかということは、当然論議になるということは、だれが
考えても常識的に想像できる。従
つて議長の手元において適宜に、いわゆる
先例を前提といたしまして、しかも自然休会中に
運営委員会を開かずしてきめた。これは
議決休会であるとかいうものとは全然違うのである。時間的にも、実際的にも、
運営委員会を開く余裕が十分あるにかかわらず、
国会を無視いたしまして、か
つてにこれを取扱うということは、将来の
議院運営の面において、はなはだ遺憾であると思うのであります。従
つてこういう
ような
処置をとりましたのは、まことに不当であると
考えます。以上の
理由によりまして私は
專売裁定を
国会に付議すべからずという点を主張いたしまするとともに、また
運営委員会にこれを諮らずして、しかも
議長が自分の裁量によ
つて労働委員会に付議したことは越権であるということを、この際強く申し上げて
意見の開陳を終ります。