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1950-01-25 第7回国会 衆議院 議院運営委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年一月二十五日(水曜日)     午前十一時三十四分開議  出席委員    委員長 大村 清一君    理事 石田 博英君 理事 佐々木秀世君    理事 福永 健司君 理事 坪川 信三君       大橋 武夫君    岡延右エ門君       岡西 明貞君    倉石 忠雄君       田渕 光一君    塚原 俊郎君       中川 俊思君    丹羽 彪吉君       田中織之進君    松井 政吉君       園田  直君    長谷川四郎君       梨木作次郎君    林  百郎君       寺本  齋君    石田 一松君       岡田 春夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣 増田甲子七君  委員外出席者         議     長 幣原喜重郎君         議     員 大泉 寛三君         議     員 菅家 喜六君         議     員 福田 篤泰君         議     員 水野彦治郎君         議     員 小平  忠君         議     員 黒田 寿男君         事 務 次 長 西澤哲四郎君 一月二十五日  委員江崎真澄君、田中元君、山本猛夫君及び神  山茂夫君辞任につき、その補欠として中川俊思  君、丹羽彪吉君、周東英雄君及び林百郎君が議  長の指名委員選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  公聽会開会承認要求に関する件  仮議長選挙に関する件  本院予備経費使用承認に関する件  事務局人事承認に関する件  公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に  基き、国会議決を求めるの件の取扱いに関す  る件     —————————————
  2. 大村清一

    大村委員長 これより会議を開きます。  報告いたすことがございます。事務総長より報告を願います。
  3. 西澤哲四郎

    西澤事務次長 従来民主党の第十控室所属でありました原彪さん、天野久さん、小松勇次さん、山本利壽さん、吉田安さんの五人の方が、一昨日付で民主党の第九控室所属変更のお届がありました。御報告申し上げておきます。     —————————————
  4. 大村清一

    大村委員長 次に公聽会開会承認に関する件について議長から諮問があります。事務総長より説明を願います。
  5. 西澤哲四郎

    西澤事務次長 通商産業委員会から特別鉱害復旧臨時措置法案について公聽会を開きたいという要求がございます。また、電気通信委員会から放送法案について公聽会要求がございます。同じく電気通信委員会から、また別に電波法案及び電波監理委員会設置法案について公聽会を開きたいという要求がございます。この要求につきまして御協議を願いたいと思います。
  6. 林百郎

    ○林(百)委員 日はいつですか。
  7. 西澤哲四郎

    西澤事務次長 これはこちらで一応承認を経て、それから委員会で日を決定することになつております。
  8. 田中織之進

    田中(織)委員 いずれも重要な法案でございますから、公聽会を開いていただくことに賛成をいたします。
  9. 大村清一

    大村委員長 ほかに御発言ございませんか。
  10. 林百郎

    ○林(百)委員 これは委員会で決すべきものと思いますが、公述人やその他いろいろな関係で、しばらく時日をかしてもらつて十分打合せをしてやつていただきたい。やることにはもちろん賛成です。
  11. 大村清一

    大村委員長 委員の方から当該委員会にもそのようにお申出を願いたいと思います。ただいまの通商産業委員会電気通信委員会公聽会開会承認の件について御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 大村清一

    大村委員長 御異議がなければさように決しました。     —————————————
  13. 西澤哲四郎

    西澤事務次長 次に国会予備金支出承認方をお願いいたしたいと思います。ただいまお手元に配付しておりますが、これは先般逝去されました高橋定一さんに対しまして、法律の定めるところによりまして弔慰金を贈呈いたしたいと思いますが、財源がございませんので、いつもこの国会予備金から支出することを御承認つておるようなわけでございます。よろしくお願いいたします。
  14. 大村清一

    大村委員長 本案に御異議ありませんか。
  15. 大村清一

    大村委員長 それではさように決定いたします。
  16. 西澤哲四郎

    西澤事務次長 なおこれについてちよつと御了解を得たいと思いますが、高橋定一さんに対しまして、先例によりまして議員さん一人百円ずつ御醵出願いまして、香奠を贈呈することに相なると思います。その点御了解いただきたいと思います。
  17. 大村清一

    大村委員長 これを了承するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 大村清一

    大村委員長 それではそのように決します。     —————————————
  19. 西澤哲四郎

    西澤事務次長 次に簡單に人事の件につきまして承認をお願いしたいと思います。最初の二人は事務局の職員でございまして、ただいま現におる人でございます。永野君も米澤君も委員部に勤務いたしておりまして、相当年限も経過いたしておりますので、この際参事に任命いたしたいと思います。この委員会承認をお願いいたしたいと思います。それから次に常任委員会調査員でございますが、この中島君は郵政委員会の方から御推薦がございまして、これを調査員にとりたいという希望でございます。よろしくお願いいたします。
  20. 大村清一

    大村委員長 それでは人事承認の件は、これを承認することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 大村清一

    大村委員長 それではそのように決します。     —————————————
  22. 大村清一

    大村委員長 それでは次に懸案となつております仮議長の件をこの際御協議願いたいと思います。各派で御協議を願つたはずでございますが、いかがでありましよう。毎日仮議長をその都度きめますことは煩にわたりますので、副議長事故が、ある程度続くことがわかつておるのでありますから、副議長在中、仮議長議長において指名されることを御委任申し上げまして、毎日指名する煩を避けたらどうかと思います。
  23. 石田博英

    石田(博)委員 これはきのうも申し上げておいたのですが、岩本議長が渡米されることがほぼ確定的になつたときに、この委員会において今後こういう事態なつた場合の処置についていろいろ議論をいたしたのであります。その結果国会法二十二條第二項の規定に基いて、仮議長をおけばよいではないかという大体の話合いになつてつたのであつて現実にこういう事態が生じたのでありますし、国会法解釈その他についての議論も一昨昨日やつたようなわけであります。もうすでに議論をずいぶんしつこくした。一昨日もそうでしたが、きようもまたその議論をすることはどうかと思う、そのときに御出席の人は、社会党淺沼君と、土井君、民主党椎熊君、共産党は神山君であつて、人がみなかわつて参られたので、はなはだ残念ですが、すでに一応いろいろな議論をして、こういう措置をとろうではないかということに話合いがまとまつてつたことでありますから、ただいま委員長の御発言通り、毎日々々人をかえて行くというのも、副議長現実的に継続して事故があるのですから、そういう実情を御考慮の上、本日これから副議長在中を通じての仮議長選任を、議長に委任いたすということに願いたいと思います。
  24. 田中織之進

    田中(織)委員 一昨日の運営委員会で、ただいまの石田君の発言のことをお伺いしておるのであります。そこで当然議長に委任の決議を行うことになるだろうと思いますが、その決議はどういうことになつておりますか、その本文をひとつお聞きしたいと思います。
  25. 西澤哲四郎

    西澤事務次長 「諸君御承知の通り岩本議長が不在であり、議長のみにてはいつ議事に支障を来すやもはかられませんので、あらかじめ仮議長選任して副議長の不在中を通じ、故障の生じた場合に処したいと思います。よつてこの際仮議長選任を行います。」というのであります。
  26. 林百郎

    ○林(百)委員 これは事務当局でもけつこうですが、第二十二條を見ますと、議長、副議長とも事故あるときに必要になつて来るわけです。今議長はあるのだから、現実事故の起きたときに、議長さんが自分はどうも事務をとることができないからというので、仮議長をつくるという問題が起きてよい。恒久的に仮議長を出す必要はない。
  27. 石田博英

    石田(博)委員 それは林君、きのうも君のいないときにすでに議論をした。それをまたここでむしかえすということになると、人が入れかわつて来るたびに、説明することは何でもないのだが、議事の進行上非常に困る。
  28. 大橋武夫

    大橋委員 今のお話ですが、なるほど二十二條の第一項には「共に事故があるときは」とこうあります。二十二條の第二項には、ともに事故があるということは書いてありません。またともに事故があれば、議長に委任するということは、これは議長事故がある以上は、事故のある議長に委任するということはあり得ない。そこで二十二條の第二項というものは、議長事故がないからこそ、二十二條によつて議長指名を委任するということになるわけであります。これが正しい解釈であるということを申し上げておきます。
  29. 林百郎

    ○林(百)委員 神山君は承知したのですか。
  30. 石田博英

    石田(博)委員 それの賛成反対かは別なことだ。しかしながらこういう事態の生ずることは当然わかりきつておるのだ。岩本議長が渡米しておる。そのときそれをどうするかということを議論したのだ。そのときは仮議長をつくればよいということで議論して、それで行こうということになつた。賛否は別なんだ。だから願わくば懇願するのだが、同じ人に出てもらいたい。入れかわり立ちかわりかわるようでは困る。それから今の二十二條解釈の問題は、一昨日ここで約一時間にわたつて議論した。その議論に対して賛成せられるか、反対せられるかは別だ。しかし君が言つたような議論は、御出席の各委員は一通りつて来たのだ。それに対しての解釈上の質疑応答は十分論議されて、とにかく党に帰つて相談しなければ話がきまらないから、党に相談しなければならぬ。党に相談して賛否を決するということであつた
  31. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると二十二條議論神山君が全部承知して、それから選任の日時だけを問題にしたのかね。ぼくが神山君から受けておる報告では、この点についてもはつきりしておらない。そういう意味で仮議長が必要であるか、必要でないかという問題がきよう問題になると思うから、君出たらその点を聞いておいてくれという神山君の報告であつた
  32. 石田博英

    石田(博)委員 それは昨年の十二月中ごろに副議長が渡米せられることが確定的になつたときに議論した。そのとき繰返すようだけれども出席しておられたのは、淺沼君土井君、椎熊君、君のところは神山君、あとは記憶がないが、そうしてああでもない、こうでもないという議論をいろいろとやつた議論をしないと副議長の渡米ということについて、われわれは非常に考慮しなければならないという事態が生じて来るから議論をやつた。そのときの賛否は別として、二十二條で行くよりほかしかたがないじやないか、これで行けるじやないか、そこで副議長が渡米せられることになつた。一昨日またその議論が出た。いろいろ議論されて、それについて賛成をするとか、反対をするとか、仮議長を置く必要があると認めるか、認めないか、そういうことは別問題として、現実議長は二、三日前から神経痛をわずらつておられるし、三時間も四時間もすわつておられたならば、生理的にも困るじやないか。自分自身がその條件のもとにあることに思いをいたされればすぐわかることです。そういうことも考えられるし、あらかじめやつておかなければならぬという実情はわかりますが、恒久的にやるとなると党に相談しなければならないから、一昨日はとりあえず一日だけにしようということになつた。そうしてあとの部分について各派態度を表明して、賛否を決することになつてつた法理論からもう一ぺんやり返されたのでは、一昨日の運営委員会は何をしたかわからない。一昨日は神山君はおらなかつた梨木君がおられた。
  33. 林百郎

    ○林(百)委員 神山君の言うことと、あなたの言うことと違う。二十二條の第二項によつておけばいいじやないか。
  34. 石田博英

    石田(博)委員 それをやろうと言うのだ。
  35. 長谷川四郎

    長谷川委員 林君の言うのは、議長は健在ではないかと言うのです。
  36. 林百郎

    ○林(百)委員 具体的にきめておく必要はないだろう。必要なときには休憩すればよい。
  37. 石田博英

    石田(博)委員 一々そんなことをやることはできない。
  38. 田中織之進

    田中(織)委員 岩本議長の不在中議長さんに事故ができるということも、あらかじめ予見されることでございますから、仮議長を置くことはやむを得ない処置だと思います。かように考えまするので、二十二條解釈については、いろいろ議論があると思いますが、一昨日その議論運営委員会において十分行われておると思いますので、社会党といたしましては、事実問題としてやむを得ない処置であるということで、仮議長選任することに賛成いたします。ただ先ほど事務総長が読み上げました動議の中において、当然議長事故ある場合のことだと思うのですが、事故ある場合とありますのを、議長事故ある場合と直していただきたい。その点を申し上げておきます。
  39. 大村清一

    大村委員長 この点につきましては論議は盡されておりまして、本日各派態度を御決定になりまして決定をするということで、延期されておつたのでありますから、御異議がなければただいま田中君の言われるように決定いたしたいと思います。
  40. 園田直

    園田委員 民主野党派は、先般申し上げた通り、第二十二條解釈疑義を持つておりますのと、重大な問題でありましたので、党に帰つて相談をしてくれという趣旨でありましたから、その後党に帰つて相談をした結果は、仮議長を恒久的に選挙することに反対ではございません。賛成をいたします。ただし先ほど大橋君から、二十二條解釈について説明がございましたが、第二項に「議院は、仮議長選任議長に委任することができる」。この箇條で、当然恒久的に仮議長選任しておくことが正当であるといことを断定的に言われましたが、その点から行くと、第二十四條には仮議長選挙の場合には、事務総長議長の職務を行うことと規定してございます。この箇條から判断すれば、第二十二條の「共に事故がある場合」の解釈というものは、また異なつた結果になると思います。でありますから、そういう法文解釈によらずして、事実上の必要から便法上やつてもらいたいという與党側の懇望によつて、わが党はそれに賛成をするということを付言いたしておきます。
  41. 林百郎

    ○林(百)委員 私の方は二十二條解釈疑義もあるし、現に議長がここにおいでになるし、もし事故として処理しなければならないような、こういう重大な問題が発生するならば、国会開会中に何も岩本さんを向うへやる必要もないと思います。今恒久的な仮議長選任するということに反対をいたします。
  42. 水野彦治郎

    水野彦治郎君 私の方は大体園田さんの御意見と同一であります。
  43. 小平忠

    小平忠君 私の方はただいま社会党の御意見のような趣旨賛成をいたします。
  44. 岡田春夫

    岡田(春)委員 私の方も大体趣旨はわかりましたが、法文解釈について、二十二條の第二項を適用するということについては、相当疑問があると思いますし、でき得るならばもう一日研究をする余地を與えてほしいと思います。
  45. 石田博英

    石田(博)委員 本日これをきめるということに、一昨日の運営委員会でなつてつたのでありまして、そういう話合いでみな集まつたわけですから、本日おきめを願いたいと思います。
  46. 岡田春夫

    岡田(春)委員 石田君の言うことはわかるし、きようきめようという御意見であつたということも聞いておりますけれども、もう少し研究したいと思いますので、この次にお願いしたいと思います。
  47. 林百郎

    ○林(百)委員 石田君はわれわれが顔を出さなかつたというが、きよう、はつきりきめるということはないでしよう。適当なときにということでしよう。
  48. 大村清一

    大村委員長 本件につきましては御意見が一致せざる点もございますので、この際採決いたします。田中君の御動議賛成の方の挙手を願います。
  49. 大村清一

    大村委員長 多数。よつて田中君の動議のごとく決しました。  なおただいまの仮議長の件は、議会の構成に関することでありますから、本日の日程の最初に上程することに御異議ございませんか。
  50. 大村清一

    大村委員長 それではそのように決します。     —————————————
  51. 大村清一

    大村委員長 なお先般、本日以後適当な時期に上程するということになつておりましたが、裁定に関する件を議題に供したいと思いますが、御異議ございませんか。
  52. 田中織之進

    田中(織)委員 一昨日の運営委員会で、神山君並びに私から申し上げたことについて、官房長官の御出席を得たいと思います。前の国鉄裁定に関する議決の問題について、これは事務的な手続上の問題だと思うので、一昨日私が申し上げた点について、事務総長の方で御調査なさつた結果をこの際承りたいと思います。
  53. 西澤哲四郎

    西澤事務次長 実は一昨日神山さんの仰せになりましたことと、田中さんの仰せになりましたことと、ちよつと事実が違つておるように思つております。神山さんの方は十二月二十一日付の公報議事経過中、今の裁定について、「委員長報告通り公共企業体仲裁委員会裁定中、十五億五百万円以内の支出を除き残余につき承認すべきものでないと決した。」そのことが事実と相違しておるのじやないか。内閣側不承認承認意味において、この議案を出したにもかかわらず、こういうことはなかつたはずだという御議論のように承りました。この点につきましては当日の速記録にございます通り議長はこういうふうに宣告いたしております。「これにて討論は終局いたしました。採決いたします。本件委員長報告は、公共企業体仲裁委員会裁定中、十五億五百万円以内の支出を除き残余について承認すべきものでないと決したものであります。本件の採決は記名投票をもつて行います。本件委員長報告通り決するに賛成諸君は白票、反対諸君は青票を持参せられんことを望みます」。と申しまして、委員長報告を土台といたしまして、委員長報告通り決したことになつております。その委員長報告というのは、本件公共企業体仲裁委員会裁定中、これこれのもの以内の支出を除き、残余のものについては承認すべきものでないと決した。それが委員長報告で、その通り議決いたしておるわけでございます。私どもといたしましては事実とは相違していないつもりでございます。これが神山さんに対して申し上げる点でございます。  それから田中さんの仰せになつておりました承認とも、不承認とも、いずれの議決両院としてはなかつたのだと言つておるが、それと事実とは違つておるじやないかという御意見でございましたが、これは参議院から回付案がまわつて参りまして、こちらで参議院回付案に不同意をいたしました結果、そのときになつて承認とも不承認とも、いずれとも議決がなかつたということになるのでありまして、先の二十一日のときには、こういうふうに一旦承認すべきものでないと議決したものが、参議院回付案に対する不同意によつて、いずれとも議決がないということになる、議決が二段になるのであります。その点御承知願います。
  54. 田中織之進

    田中(織)委員 前段の点はまさに西澤事務次長が申された通りであると思われます。過日私の申し上げた点につきまして、参議院回付案に対する衆議院処置がきまつてからあと公報に、たしか同じように承認がなかつたというような意味のことが載つてつたと私は記憶するのです。その点は二十四日以後、これは参議院回付案がまわつて来てからあと公報で、私年末に帰省する前に見たので、今手元にそれを持つておらないのでありますけれども、その点はどういうようになつておるか、重ねてお伺いいたします。
  55. 西澤哲四郎

    西澤事務次長 その点は私も記憶いたしております。承認議決もなかつた不承認議決もなかつた。つまり積極的な承認もしないし、積極的な不承認もしなかつたということは、すなわち承認がなかつたという自然的現象になるのじやないか、当然の帰結になるのじやないかという意味におきまして、私たちは内閣に対して承認がなかつたということを通知いたしました。そのことを公報報告をいたしておきました。
  56. 田中織之進

    田中(織)委員 その点は確かに大池事務総長から、事実問題として承認がなかつたことになるという御見解は表明せられましたけれども、国会としての議決は、承認とも不承認とも、いずれも一致した議決はなかつたわけであります。従つてそういう事実上の関係内閣に対して報告されるということは、私は事務当局として適切ではないと考えます。そういう形でなく、参議院議決と、衆議院議決とは異なつたのであるが、政府報告するということになれば、承認とも不承認とも、いずれとも本件に関する国会としての議決はなかつたという事実を報告せらるべきが当然じやないかと思います。事実問題で承認がなかつたというような形を、衆議院議長から内閣に正式に報告せられるということになれば、これは今後法律問題としてこの裁定の問題は現に係争中の案件であるだけに、その点は私は明確でなければいけないと思う。かように考えて、一昨日も問題にしたわけであります。
  57. 西澤哲四郎

    西澤事務次長 事務局の方の見解といたしますと、法律公労法第十六條には承認を求めなければならぬということになつております。そうしますと、その積極的な承認意思表示、あるいは積極的な不承認意思表示がなければ、承認がなかつたということに決すると私は思います。
  58. 田中織之進

    田中(織)委員 それはやはり国会の審議を求めて来た案件は、国会議決を求める件ということで提出し、承認を求める件として提出されたのではないという点から、参議院に送付するという件についても、運営委員会でこれは一致して了承して、これを参議院に送付する。また参議院の方では、衆議院と異なつた議決をして来たために、国会法規定に基いて衆議院回付して来た。従つてその点につきましては、ことに国会議決ということになりますると、衆参両院一致した議決があつて初めて国会議決になるということは、これは法律解釈上当然なことであります。そういう意味で事実関係として承認がなかつたということを——ことに手続というものは、法律に基いての手続でございまするから、事実関係に関する判断を、議院の名において政府に通告するということは、これはとにかく大きな誤りだ。その点については遺憾ながら事務総長の御見解には、われわれは賛成できないのであります。この点は事実をありのままに報告せられるように、報告を訂正せられるよう私はこの際申し上げたいと思います。
  59. 林百郎

    ○林(百)委員 西澤さんにお聞きしますが、参議院決議はどういう決議ですか。
  60. 西澤哲四郎

    西澤事務次長 参議院決議を申し上げます。参議院からの回付には、こういうことが書いてございます。「右件は貴院から公共企業体仲裁委員会裁定中十五億五百万円以内の支出を除き、残余について承認しないことを議決して送付されたが、本院においては公共企業体仲裁委員会裁定第二項に関しては十五億五百万円以内の支出を除き、残余昭和二十五年一月一日以降日本国有鉄道の予算上、資金上及び独立採算支出可能となつたとき速やかにこれを支給すべきものと議決した。よつてここに回付する」こういうことになつております。
  61. 林百郎

    ○林(百)委員 その解釈ですが、そういう参議院議決内容から言えば、公労法の十六條の二項で国会承認を求めるというので、国会承認を求めておるのですが、この承認があつた解釈するのか、なかつた解釈するのか、その点はどうですか、参議院意思としてはどう解釈すべきですか。
  62. 西澤哲四郎

    西澤事務次長 それは参議院の方のことですから……
  63. 林百郎

    ○林(百)委員 参議院のことですけれども、衆議院運営だから参考までに聞いておきたい。
  64. 田中織之進

    田中(織)委員 その点につきまして私は参議院議決がどういう内容であつたかというような、解釈上の問題をここに持出す意味で、この問題を提案したのではないのであります。ただ衆参両院が異つた議決をしたために、国会としての議決がなかつたという事実を、そのまま政府に通告するのが議院としての立場である。そういう点から、事実上承認がなかつたというその事実に基いて報告せられたことは、今後大きな影響を持つて参りまするので、その点について事実を的確に報告していただくように、公報にも掲載した問題でもありますし、政府にもそういうふうに通告しておる問題でございまするので、その点を事実に基いてはつきりやつていただきたい。こういう趣旨で申し上げておるので、いまさら衆議院議決がどうであつたとか、参議院議決がどうであつたとかいう解釈問題をめぐつて、この問題を提起しておるのではございません。そういう趣旨において委員長においてもおとりはからいを願いたいと思います。
  65. 林百郎

    ○林(百)委員 私の方でこの問題を取上げたのは、ちよつと田中君と違う。こういうことになるのじやないかと思う、公労法の十六條の二項で国会承認を求めて来たのですが、承認するとか、しないとかいう意思表示両院で一致すればよいわけです。その両院意思表示が一致しなかつたという事実と、十六條二項の承認を求めたことに対する不承認という意思表示とは違うと思う。事実は不承認という意思表示衆参両院は統一していない。結局承認とも不承認とも意思表示が一致していない。だから十六條の二項のこの議決に対しては衆参両院の統一した意思表示がない。ところがこれを増田官房長官参議院に対して、統一した意思表示がないということは、結局不承認なんだ、だから拘束しないと言つておる。これは違うと思う。不承認ということになると、両方で統一した意思表示がなかつたという事実になる。これは重要な問題なんだ。そこでわれわれの解釈としては、十六條二項に対する統一した国会不承認という意思表示がない限り、この案件は解決していないわけだ。そうしてこれが国鉄を不拘束しておる、あるいは政府を不拘束しておるということにはならない。この意味でわれわれは取上げておる。だから統一した意思表示がなかつたという事実関係をそのまま、不承認意思表示に一致しておるというところに持つてつては間違いだと思う。だから衆参両院の統一した意思を、もう一度調べなければいけないのじやないか。そうしなければこの案件の解決はつけ得ないと思う。
  66. 大橋武夫

    大橋委員 今林君が言つた意味は、われわれにはよくわからないのです。公労法の十六條の第二項に、国会による承認があつたときは拘束力を生ずると書いてある。しかし不承認にきまつたときには、拘束力がないということが確定するという微妙なことは書いてない。それだから承認ということが確実に発生しない以上は、絶対に効力を生じない。
  67. 岡田春夫

    岡田(春)委員 ちよつと西澤次長に伺いたいのですが、事務次長から政府に対してどのような報告を出されたのか。その文面は公報に出ておつたけれども、もう大分前のことで記憶がないのですが、それをちよつと読んでいただきたい。
  68. 西澤哲四郎

    西澤事務次長 十二月二十四日の公報に出ておりますが、「国会承認がなかつた次の件につき内閣に通知し、その旨参議院に通知したと」ということになつております。文章は「公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に基き国会議決を求めるの件、右は国会承認がなかつた。右通知する。」という通知を出しております。
  69. 岡田春夫

    岡田(春)委員 承認がなかつたということですか。
  70. 西澤哲四郎

    西澤事務次長 そうです。
  71. 岡田春夫

    岡田(春)委員 そうすると先ほどから事務次長がはつきり言つておるように、また林君が聞いておるように、参議院衆議院は同一の決定を行わなかつたために、これは当然国会としての議決を得るに至らなかつた。これだけは事実だ。それで承認を得るか得ないかということは——議題は議決を得るの件なんだ。議決について承認するかしないかという問題は、議決について承認するか、承認しないかということの決定と、もう一つは議決を得られなかつたという決定、結局この三つの決定が出る可能性がある。第三の議決を得るに至らなかつたという決定を、承認せられなかつたという決定に振りかえておる。三つの決定を二つにまとめておる。議題は議決を得るの件なんだ。承認を得る件ではない。
  72. 林百郎

    ○林(百)委員 先ほど大橋君の言つたことはよくわからないが、十六條の二項では承認を求めなければならないわけです。だから承認を求めて、それに対して不承認するか承認するか、どちらかの意思表示を求めなければならぬ。ところがどちらの意思表示もないということは、十六條の條件をまだ満たしていないわけだ。これについてはもう一度やらなければいけないと思う。
  73. 大橋武夫

    大橋委員 承認を求めるに至らなかつたから、承認を求める手続をとつたが、しかしながら承認議決がなかつた。すなわち承認が得られなかつたということは明白な事実である。
  74. 林百郎

    ○林(百)委員 得られなかつたということと、不承認ということとは違つておる。
  75. 大橋武夫

    大橋委員 不承認ということはだれも言つておりません。事務局においては不承認が與えられたということを言つていない。承認がなかつたということを言つておる。承認がなかつたということと不承認ということとは違います。それを混同しておるところに林君の議論が出る。
  76. 大村清一

    大村委員長 委員長の許可を得て御発言を願います。
  77. 田中織之進

    田中(織)委員 私の申し上げておるのは、私は不承認決定したものに対する事実関係を、さかのぼつて論議しようというのじやない。今西澤事務次長が読み上げました政府に対する通知が、国会議決を求める件、右の件については国会承認がなかつた、こういうことは事実と違う。これは右の件については国会承認ということにはならないのです。一院が承認をしておるのです。ある意味から参議院議決内容を見れば承認しておるのです。従つて国会は一致の議決はなかつた。こういうありのままの事実を政府報告していただかないといけない。これは何も私はこの問題のむしかえしをやるのじやない。嚴然たる事実をそのまま報告していただけばよい。承認がなかつたのではない。承認とも不承認ともいずれの議決もないのです。両院一致の議決を得られなかつたならば、得られぬという事実を、率直に報告しなければならぬ。私は前の問題を繰返しておるのじやない。手続上の問題が事実と相違しておるから、事務的に訂正してもらいたいと言うのです。
  78. 林百郎

    ○林(百)委員 田中君の言うのと私のはちよつと違うのです。政府としてはもう一度成規の手続をもつて国会意思表示を求めなければならない。これは国会承認を求めなければならぬという、所定の公労法の義務をまた果していないのです。だから政府はもう一度国会の統一した意思表示を得なければならないわけです。これをする義務があると思う。
  79. 大橋武夫

    大橋委員 あれには国会の統一した意思を求めるということは書いてありません。
  80. 林百郎

    ○林(百)委員 承認を求めなければならないということがある。
  81. 大橋武夫

    大橋委員 これが議決があつたときにおいて、初めて効力を生ずる。
  82. 林百郎

    ○林(百)委員 審議未了の場合はどうなるか。
  83. 大橋武夫

    大橋委員 審議未了の場合でも、承認がなかつたということは当然であります。
  84. 岡田春夫

    岡田(春)委員 大橋君の言うのは、十六條の二項の解釈を言つておるのであつて、議題としては二項の議決を求める件という案件についてどうするかという問題です。ですから、衆議院事務当局としては、この議決を求めるの件について、議決を得るに至らなかつたと回答すべきであつて、これを不承認であつたとか、承認であつたとかいうことを明らかにすることはできない。それをことさらに大橋君が十六條にすりかえて、三百代言式に言つておるのだ。
  85. 田中織之進

    田中(織)委員 この問題について議題を提起した私としては、ただその事実をはつきり通告してもらいたい、こういうことなんです。それはできることなんです。両院一致の議決には至らなかつたというこの事実を報告していただいて、あと林君のような立場からする問題は、これはおのずから別問題です。
  86. 石田一松

    石田(一)委員 私は今の社会党の方から申出があつたことは正しいと思う。しかも私は前会において、この公共企業体労働関係法第十六條の第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件として出されたものに対する衆参両院の、いわゆる異つた議決に対して、衆議院事務当局が、国会承認を求めるに至らなかつた報告したことは、明らかに事実に反するという見解を持つております。それと同時にもう一つここで申し上げたいが、そういう形で行くとするならば、先般も私は労働委員会理事会でも一応発言したのですが、今回出されておる專売公社の同じ問題、これはこの間私が申し上げておいたのですが、「公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件」というのが、政府見解による主文であり、議題です。これが提出されて、国会ではあなたたちのおつしやるように承認を得られなかつた。それでもいいのだと與党側でおつしやるならば、なぜ同じものを出して来るか。同一案件ではないかということになる。
  87. 倉石忠雄

    ○倉石委員 私は大体先ほど大橋君の申された意見と同一意見であります。つまり政府国会に向つて公共企業体労働関係法第十六條の二項に基いて議決を求めて参つたのでありますが、衆議院意思参議院意思とが異つたために、国会としての意思決定がなかつたというのであります。つまり衆議院参議院側との意思表示が違つた。そこで国会としてこれを承認するに至らなかつたということを事務当局が言われるのは、こうまつも違法ではない。それが当然なんだ。ただ田中君の希望されるのは、そういう経過を詳しく政府に通達することがよかつたのではないかという御希望であると思うのであります。私はその点はそういうふうな手続をおとりになることは一向さしつかえない。国会としてはこれを承認するに至らなかつたという解釈をせざるを得ない。それは当然のことだ。従つて私は事務当局がおやりになつ手続は、丁寧に報告する方がよかつたと言えば賛成をいたしますけれども、国会がこれを承認するに至らなかつたという通知をされることは適当なる処置であろうと存じます。それからついででありますが、石田一松君の言われます今度の專売公社の問題も、公共企業体労働関係法第十六條第二項に基き、議決を求める件というので、国鉄裁定の場合と同じ表題で議決を求められて来ておるのですが、一事不再議だからおかしいじやないかという御意見でありますけれども、これはたとえば所得税法改正法律案というふうな税の改正などの問題は、同じ表題で何べんでも出て来ております。一向さしつかえないのであります。こういうところでそういうことを言われるのがおかしいのであります。ついでに私は申し上げておきます。
  88. 石田一松

    石田(一)委員 今私の名前が出ましたが、しかも労働委員長の倉石氏が、私の申し上げる公共企業体労働関係法第十六條第二項による議決を求めるの件、これはただいま倉石君が指摘されました所得税法中一部を改正する法律案というようなただいわゆる表題、件名ではない。なぜかと申しますと、速記録を十分お調べになつてもわかりますけれども、官房長官自身が、表題であるとわれわれ思つていたのが、これが主題であり、主文であり、案件であつて、その他のものは理由であり説明である。こういうことをはつきりおつしやつておるのでありますから、ただいま倉石君のおつしやつたことは、全然的をはずれておる。この点を申し上げておきます。
  89. 倉石忠雄

    ○倉石委員 念のために申し上げておきますけれども、われわれ衆議院で取扱う場合に、政府の閣僚や何かがどういうことを申されようとも、衆議院としては私どもの方の解釈によつて取扱えばよいのであります。先ほど申したように、同一表題で何べんでも、しかも同一国会で同じようなものを提出されることは、すでに例がたくさんあるのでありまして、そういうことは問題にはならないと思います。
  90. 林百郎

    ○林(百)委員 倉石君にお聞きしますが、あなたのこの問題に対する報告の中に、結局承認すべきでないとの意見の開陳があり、これが多数によつて決定されたと思います。ですから承認すべきでないとの意思表示衆議院にあり、参議院の方でも、やはり十五億五百万円を除く残余の分については承認すべきでないという意思表示があれば、ここでこの案件承認すべきでないという意思表示国会で統一されたわけです。ところが事実は参議院の方は承認すべきでないという衆議院意思表示と違つておる。だからそういう統一した意思表示がないということは、同時に十六條の二項の不承認とは違う。この点はどう考えるか。承認とも不承認とも、統一した意思表示がなかつたという事実と、不承認とは違うのだ。これは田中君とも少し違う。だから田中君の出した問題が、片ずいたなら、私はこういう問題を討議してもらいたい。そこで事務当局報告が、承認とも不承認とも意思表示がなかつたということになれば、政府はもう一度これについて統一した意思表示を求める手続をとらなければならない。だから田中君の問題が一応片ずいたならば、私はもう一つ事務当局に、この問題をどういうふうに解釈するかということを聞き、増田官房長官に来てもらつて政府意思を聞いて、根本的にこの問題は解決しなければならない。いいかげんなことでは済まない。審議未了に終つても終らなくてもよいということになれば、十六條の二項は意味をなさない。だからどうしてももう一つ真劍に、国会として解決しなければならぬものがあります。
  91. 西澤哲四郎

    西澤事務次長 今の田中さんのおつしやつたの国会の一致の議決に至らなかつたというふうに改めよという御意思でしようか。あるいは国会議決がなかつたというふうに改めよという御意思でしようか。
  92. 田中織之進

    田中(織)委員 両院一致の議決を得るに至らなかつたという事実を、そのまま報告してほしい。
  93. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 田中君のお気持はわかる。両院一致の議決は得られなかつた従つて国会承認はなかつたということになる。
  94. 田中織之進

    田中(織)委員 その前段だけの事実を国会としては政府に通告すればいいのである。これは国会としての承認が得られなかつた承認とも不承認ともきまらなかつたのですから、その事実だけを事務的に報告すればよい。
  95. 西澤哲四郎

    西澤事務次長 両院議決を得るに至らなかつたということは、国会の側で言うことではない。むしろ政府の側で言うことじやないのですか。
  96. 田中織之進

    田中(織)委員 そういうことになりますと、国会承認がなかつたという事実は何に基いて判断せられたのか。私はそれが問題になると思う。両院で、国会としての承認をするともしないとも議決がないのですから、従つて国会としては承認がなかつたという事実を通告されることは、これは事務的な手続としては行き過ぎだと考えます。
  97. 西澤哲四郎

    西澤事務次長 むしろ両院一致の議決に至らなかつたということですね。
  98. 田中織之進

    田中(織)委員 それでけつこうです。
  99. 西澤哲四郎

    西澤事務次長 それでは事務的にこの休憩中にちよつと研究いたしたいと思います。
  100. 大村清一

    大村委員長 午後一時半まで休憩いたします。     午後零時四十分休憩      ————◇—————     午後二時十分開議
  101. 大村清一

    大村委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  予算委員会から公聽会開会の申出があります。事務総長より御説明を願います。
  102. 西澤哲四郎

    西澤事務次長 予算委員会から昭和二十五年度の予算、特別会計予算及び政府関係機関予算について公聽会を開きたいとの申入れがあります。予算については国会法上当然公聽会を開かなければならないことになつておりますが、一応当委員会の御意見を承りたいと思います。
  103. 大村清一

    大村委員長 ただいまの公聽会の件は、承認するに御異議ありませんか。
  104. 大村清一

    大村委員長 それではそのように決しました。     —————————————
  105. 大村清一

    大村委員長 それでは先ほどの裁定の通知の問題について、事務局の御報告を願います。
  106. 西澤哲四郎

    西澤事務次長 先ほどの田中さんの御意見につきまして、事務局としての意見を申し上げます。実はこの問題は昨年十二月二十四日政府に通知するときに研究をいたしたのでありますが、ここにあらためてその用字等について御説明をいたしたいと思います。  両議院の一致の議決に至らなかつたというのは、両院一致の議決がなかつたというのと同じように用いておりまして、これは参議院衆議院別々に議決するものについて用いております。たとえば会期の決定あるいは会期の延長等の場合に、この言葉を用いております。議案等が一院から一院に移る場合については、この言葉は用いておりません。  次に両議院議決が一致しなかつたという表現は、これは審議の途中の表現でありまして、国会としての最終的決定があつた場合には用いないことになつております。すなわち衆議院から送つたものについて参議院が異なつた議決をし、それが衆議院に送られて来て、衆議院参議院議決同意しなかつたときが、両議院議決が一致しなかつたということになりますが、これにはまだ国会としての最終的な議決をする方法が残されておるのであります。すなわち法律案で申せば、両院協議会を要求するとか、あるいは三分の二で再議決するとかいう方法が用いられ得るのでありまして、国会としての最終的議決には、いまだ至つていなかつたときに用いる言葉でありますから、ただいまの場合には不適当と考えました。  次に国会議決がなかつたという表現が考えられますが、これは当らないことはよくおわかりになつていただけると思います。すなわち国会としては最終的な議決をしたことは御承知の通りでありますから、この表現も当らない。そうなれば結局国会承認がなかつた、この言葉を最も適切と考えまして、この言葉を使用した次第であります。
  107. 田中織之進

    田中(織)委員 今、西澤事務次長が言われたのでありますが、両院協議会の問題につきましては私どもはこれを要求いたしたのであります。衆議院は当然国会法規定から申しまするならば、両院協議会はこれを衆議院の方から要求しなければならない建前になりまして、その点については、議長発議で両院協議会を求める件を議題にしたのでありますが、その必要なしということになりましたので、私はこの問題については事務次長が言われるように、最終段階に至つていないということは事実と違うと思う。少くとも両院協議会を求めないという限りにおいては、最終的な段階だと思います。従つて議院議決が一致しなかつたということは事実でございますから、この通りに私は報告をしなければならない立場にあるのじやないかと思います。
  108. 西澤哲四郎

    西澤事務次長 ただいま私が申し上げました両議院議決が一致しなかつたということは、これは議案審議の途中において用いる言葉でございます。従いまして今度の場合のように最終的決定があるときには、その表現は用いられないのじやないかと考えられます。
  109. 田中織之進

    田中(織)委員 事務総長の先ほどの説明と今の説明とは食い違つて来ておる。両院協議会とか、あるいは三分の二の議決で最終的な段階に至らない段階においては、この両議院議決が一致しなかつたと言うことはできないから、これを使わなかつたのだという意味最初あなたは御説明なつた。そうして、今度の場合は最終的な段階に至つているのですが、最終的な段階に至らない場合にこういう言葉が使われるということは、これは先ほどと今言われたことと矛盾しておると思う。この点についてそういういろいろの表現も研究されたそうでありますが、そうかといつて国会承認がなかつたということを判定せられる根拠は、事務当局としてどこにあるのですか。
  110. 西澤哲四郎

    西澤事務次長 事務局の習わしといたしまして、ただいまのような表現ではいけないということになりますれば、他に適当な表現といたしましては、国会承認がなかつた、こういう言葉を使うよりしかたがなかつたということになります。
  111. 田中織之進

    田中(織)委員 それは私も午前中から繰返し申しまするように、私は前の事実をここでとやかく論議するのではありませんが、国会議決を求めるというのは、国会と申しまする以上、衆参両院を含んでおる。従つて議決がなかつたということは、衆参それぞれ異つた議決を行う。そこで国会として衆参両院の二つを一緒にした形においては、何ら共通の意思決定がなかつた。この段階を率直に政府に通告すべきであると思います。これが国会事務当局としての責任であり立場であると思います。そこで国会承認がなかつたという表現は、この前国鉄裁定に関する両院の異なつた議決について、最終的には両院協議会を議長発議で出されたが、これが否決せられておる段階において、そういうふうに国会承認がなかつたと断定せられる根拠は、私は少くとも新たな現実の上に立つたものではないと思う。従つてその点は率直にありのままの姿を政府報告してやらなければならぬ。先ほどの次長の御説明でありますけれども、私はむしろ西澤次長の御説明によれば、両議院意見が一致しなかつたという表現が、この際適当じやないかと思う。これは事務上の問題でありますが、私は国会承認がなかつたというよりも、国会承認とも不承認ともいずれとも決定されていない、ありのままの姿を政府報告してもらわなければならないと思います。
  112. 園田直

    園田委員 私も田中君と同様に、その報告の訂正を要求します。先ほどから討論がありましたが、十二月二十一日の公報に載せられた文句によつて起る結果についての、法理論的な討論が多かつたようでありますけれども、これは單なる事務上の問題であると考えます。事務当局というものは、少くとも国会議決あるいはその他の報告は、主観を交え、あるいはその他の状況等により間違いを起すような報告、あるいは結果論から見た報告等をなすべきではなくして、事実をそのまま報告するように事務上の研究をすることが、その職務であると考えます。しかるにこの問題は、今までの経過から見ましても明瞭なように、政府当局が、形式は別として、その真意は不承認を得ようとして出したところの法案に対し、承認を得るに至らなかつた。こういうような報告があり、その結果政府は拘束されるものではないという立場をとつたものと考えますが、これはそのような報告をすることによつて政府みずからが国会で起つた事実に基いて、政府の責任において態度をとらなければならない問題を、国会に責任をなすりつけるおそれが多分にあると思います。よつてこの際結果から見て承認が得られなかつたというならば、あるいは審議未了の場合でも、承認を得るに至らなかつた、あるいは不承認を得るに至らなかつた報告することができる思う。そのようにいろいろ報告はあると思います。その場合に事務当局としては、その点を勘案するならば、当然事実をそのまましかもそのような微妙な成行きに巻き込まれ、あるいは政府が責任を国会になすりつけんとするような報告は、ことさらに愼まなければならないと考えます。この意味からさらに事務上の研究をして、事実をそのまま報告するように、訂正するとを要求しこます。
  113. 林百郎

    ○林(百)委員 事務当局にお尋ねしたいのですが、承認を得るに至らなかつた、その承認ということは、公労法十六條の二項の承認という意味ですか、それとも国会の慣例上、両院の一致、の議決がなかつたという事実関係を表明することに使われておるのですか、どつちですか。
  114. 西澤哲四郎

    西澤事務次長 もちろんこの結果といたしまして、公労法承認を求めて来たわけでありますから、その公労法十六條二項の承認だというふうに解しております。
  115. 林百郎

    ○林(百)委員 公労法十六條二項の承認がなかつたという報告を、事務当局として政府にしたということですか。
  116. 西澤哲四郎

    西澤事務次長 そういうことです。
  117. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると参議院意思表示衆議院では否決しておるのですがね。もしこの十六條二項の承認がなかつたということになるならば、何も衆議院参議院意思表示を否決して向うにまわす必要がない。国会承認を求めなければならぬというのである。だからここでは、国会衆参両院の一致した意思表示がないはずです。それをどうしてそういう報告をするのですか。
  118. 西澤哲四郎

    西澤事務次長 国会承認がなかつたという事実を書いておるにすぎない。国会承認議決があつた、あるいは不承認議決があつたという表現は用いておりません。
  119. 林百郎

    ○林(百)委員 私はこの公労法十六條の不承認ということにはならぬのじやないかと思う。承認を求めなければならないとあるが、第十六條の二項の承認をしないということではなくして、この承認不承認いずれにしても、意思表示を統一するに至らなかつたということじやないのですか。
  120. 大村清一

    大村委員長 いかがでしよう討論に入つておるのですから、どうぞ御意見を述べていただきたい。
  121. 林百郎

    ○林(百)委員 それを明らかにしてから私は討論をいたします。
  122. 田中織之進

    田中(織)委員 討論だからというような形で問題を提示されると、非常にこんがらかると思います。問題は私はやはり事務上の問題として事務当局に対して聞いておる。それだから討論だというような形でやられることは問題だと思う。それから先ほどから私がお伺いしておることに対して、国会承認がなかつたというこの承認公労法十六條二項によるところの承認だというような事務次長の見解を加えられると、問題を私が提案したよりもさらに発展させた形になる。
  123. 大村清一

    大村委員長 もう一度申し上げます。ただいま討論と言つたのは間違いでございまして、だんだんと、この問題について御意見を伺いまして、皆さんの御判断を進めていただきたいと思います。
  124. 石田博英

    石田(博)委員 田中君、園田君の方から、政府に対して通達した形式について訂正を要求されておるわけです。訂正を要求されるということが今の議題です。それについてあなた方は、事務当局の取扱つた見解を述べられ、御意見を順次言つておられるわけです。そこでそれを順次一通り聞いていただいて会議を進めるのが議事の進行上からよいと思いますから、そういうふうに進めていただきたい。その意見の過程において、質疑ともつかない、討論ともつかないものを、不規則に繰返したのではいつまでたつてもはてしがないから、そういう建前で行きたいと思います。
  125. 林百郎

    ○林(百)委員 それがはつきりしない。訂正させるにもさせないにも、衆参両院の統一した意思がない。意思表示を求めることができなかつた表現として、承認を得るに至らなかつたというならばよい、ところが十六條二項の不承認ということになると問題があるわけだ。だからどつちの意味で書いたかということを聞いておる。それが一つ、十六條の二項の不承認ということで書いたということですか。それでよいのですか。それではもう一つ私どもの意見を述べるのですが、これは議長にもお聞きしたい。議長もそういう意味解釈されておるのですか。
  126. 幣原喜重郎

    ○幣原議長 それは事務当局が、私の意見を代表してやられておるのです。
  127. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、衆議院議長としても、これは十六條二項の不承認であつて衆参両院が統一した意思決定に至らなかつたということじやないとおつしやつておるわけですか。
  128. 石田博英

    石田(博)委員 この問題の取扱いを、一定のルールをきめてから行こうじやないか
  129. 田中織之進

    田中(織)委員 私はこの場合に国会承認がなかつたという政府への通達は、これは公労法第十六條にいう承認意味だということになると、きわめて重大な問題だと思う。ことにこの問題は、衆参両院にまたがる問題でありますから、先ほどの事務当局の御回答ではまだ不十分だ。当然参議院との間に、事務当局間において話し合つた上でなされなければいかぬと思う。それではないと参議院衆議院とが異なつた議決をとにかくやつておるのだから、そういうものを衆議院が一方的に、衆議院の判断だけで政府に通達したということになれば、これは国会両院で構成されておるという建前から見て、衆参両院でお互いにこういう問題で争わなければならぬような事態が起るから、もう少し参議院側と、事務的に打合せて御回答を願いたいと思う。
  130. 倉石忠雄

    ○倉石委員 ただいま田中君から御意見がございましたけれども、私どもは両院意思か一致しない、従つてこの承認を求める件は、実際において不承認になると思う。そういう形になつておりますけれども、田中君からただいまの御発議があつたのでありますから、今日は先ほどのお話合いのように本会議の時間も迫つておりますので、この問題はこの程度にしまして次会に讓ることにして、ほかの審議に入りたいと思います。
  131. 大村清一

    大村委員長 ただいま問題になつておる田中君の動議は、事務当局があの表現を直すか直さぬかということについての話合いであります。この問題は田中君から御意見もあり、倉石君からもお話があつたのでありますが、次会に譲りまして、追つてまた御協議申し上げます。     —————————————
  132. 大村清一

    大村委員長 次にお諮りいたします。林君から官房長官出席を求められておりましたが、この問題をこの際ここで取上げますかどうかお諮りいたします。
  133. 田中織之進

    田中(織)委員 林君から官房長官出席を求めた件につきましてお諮りするという委員長発言ですが、私は本日開会と同時に、劈頭官房長官の御出席を求めたのは、現に労働委員会に付託されておりまする專売裁定に関する問題につきまして、当運営委員会に議題として提案されておるのであります。その角度から官房長官に提案者としての答弁を得たいと思います。この自然休会中に公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に基き国会議決を求めるの件というのが提出されておるのでありますがこれは本来ならば本委員会議長の方から、どこの委員会に付託するかということについて一応諮問があつてしかるべき案件だというふうに考えるのであります。しかしこの前の国鉄裁定のときのこともありますし、ことに、自然休会中であつた関係から、議長の職権において労働委員会に付託されたのが、現在の事実関係であろうと了解いたしております。この案件につきまして私、提案をいたしました政府にただしておかなければならない件があるわけであります。これを提出した手続の問題についても、いろいろ尋ねなければならぬ点があるのでありますが、本会議の時間の関係もあるので、きわめて基本的な問題を伺つておきたいと思います。  この專売裁定の理由の第三に、「本委員会は公社の経理状態を調査した結果、公社はその予算上または資金上、今年度内に主文第一項に記した金額を支給し得る十分の経理能力を有し、従つて公労法第十六條第二項に関係なく、その支給に必要な措置をとり得べきものと認める」、ということが明白に載つておるのであります。従つて政府はこの案件国会に提出するにあたりましては、公労法の十六條の二項に基く議決を求めて来ておるのであります。十六條の二項の場合は、当然十六條の一項から参るのでありまして、公共企業体の予算上または資金上不可能な資金の支出内容とする協定の場合に、初めて国会議決を求めるということは、これは国鉄裁定の問題のときに、本委員会においていろいろ議論なつた点だと思うのであります。この裁定の理由の中には、公労法十六條二項には関係なく、公社の経理のわく内において、予算上または資金上——従つてこの裁定が可能だということが、裁定そのものの中に明白に現われておるにもかかわらず、これを公労法第十六條二項に基いて議決を求める件として提案されたことにつきましては、われわれ納得ができないのでありますが、提案者としての政府側を代表して、官房長官からこの点についてお答えを願いたい。
  134. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 田中さんにお答え申し上げます。もとより御指摘のごとく、理由書の第三項にはそう書いております。しかしながら政府は、政府の独自の見地に立ちまして、主務大臣である大蔵大臣はもとより、專売公社の総裁あるいは経理部長等も招致いたしまして、関係閣僚が十二分に研究いたした結果、第三項とは所見を異にいたしまして、第十六條第一項に該当する。こういう結論に到達いたしましたから、所定の手続をとつた次第であります。
  135. 田中織之進

    田中(織)委員 そういたしますと、この理由の第三は、前の国鉄の裁定の場合にもこういう点は入れていなかつた。特にこの点を入れておるということにつきましては、国鉄裁定に関する政府並びに国会側の取扱い等をも、仲裁委員会としては十分考慮されておる問題だと思うのであります。また政府の方といたしましては、公労法による仲裁委員会規定によつて、いわゆる公共企業体労働者に待遇改善の機会を與えておるということは、これは公共企業体関係労働者から罷業権を奪つたことに対する代償的な性格を持つておるということは申し上げるまでもないことと思う。そういうような立法の趣旨とにらみ合せて、十分この裁定そのものについて、私は政府として考慮しなければならぬ問題だと思います。ただいま專売公社の秋山総裁を招致してということでありますが、野田副総裁は、この裁定が出るや、公社の経理能力の範囲内で支出可能だという正式の言明もされておるのであります。われわれは政府がこの案件を、公労法第十六條の二項に基いて出されることについては、裁定そのものの内容と、政府の判断との間にまつたく矛盾する態度があるのでありまして、その点が納得できないのであります。政府において、それにもかかわらずこれを国会に提案をしたという理由につきまして、私はもつと詳細に、具体的に説明を願いたいと思います。
  136. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 具体的に、詳細に第三項と所見を異にする理由を述べろということでありますが、具体的に詳細に内容を申し上げることは、委員会等において政府が述べる責任があるとこう考えておる次第であります。
  137. 松井政吉

    ○松井(政)委員 今田中君が言つた具体的な意味というのは、私はこういう意味だろうと思います。先ほど官房長官見解を異にしたので、公労法第十六條に該当すると見て出したということですね。だからその見解を異にする、十六條に該当するという意味を御説明願いたい。
  138. 石田博英

    石田(博)委員 この委員会の取扱いの限度というもので議論を進めて行きたいと思う。十六條に該当をする内容について、結局予算上、資金上の内容にわたつて議論になれば、これは労働委員会議論にはいると思う。本委員会としては、政府がどういう規定によつて提出されたかという手続の範囲だけをやるのであつて、その規定は十六條によつてつたということが明らかになれば、それは違法であるか、合法であるかという内容についての議論というものは、労働委員会でやつてもらいたい。政府としてはそういう取扱いのよつて来る準拠だけを説明すればよいと思う。そこに至つたところの資金の内容については、労働委員会でやるのが適当であると思うのであります。
  139. 松井政吉

    ○松井(政)委員 今石田君の言う通りです。その通りの答弁を私は聞こうと思つた内容については当該委員会でやるのが当然です。しかしわれわれの考え方は、田中君が言つたように、專売公社と国鉄の場合は内容が違う。公労法十六條によつて国会へ出して来るということが、われわれは了解できぬ。政府は大体十六條に該当すると思つて国会に出した。こういうことになる。だから十六條に該当すると思つて出したということと、專売公社と国鉄に対する裁定が、いわゆる同一だという考えで出したということですから、それをわれわれがちよつとお伺いしたいというのです。
  140. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 内容の御説明は、労働委員会において政府はとくと御納得の行くようにいたす責任はあると思います。そこで国鉄と專売公社とのことですが、專売公社の今回の裁定は、公共企業体労働関係法第十六條第一項に該当すると認定するに至つたので、そこで第二項によつて所定の手続をとつたのでありまして、第一項に該当するゆえんのものについて具体的の説明は、当該委員会において申し上げます。
  141. 田中織之進

    田中(織)委員 私はこれは本来ならば本委員会に議題に供して、一応議長から諮問してしかるべき案件だと思うが、事実問題としては自然休会中であつたから、そのまま議長職権でまわされたと思う。こうした問題をあらためて取上げなければならない点があるのでありますが、われわれはこれは明らかに、政府の方の見解ではありますけれども、裁定の理由の第三に明白に掲げられておるにかかわらず、政府が十六條の二項によつて出されるということについては、大きな矛盾を、常識で判断してただちに感ずるのであります。こういう案件について、提案者として細心の考慮を拂つたかどうかということを、本委員会でただすのが当然だと思うのであります。それ以上のことは官房長官が答えられないということであれば、私は別の角度からもう一点官房長官にお伺いするのでありますが、この前の国鉄の裁定を出されましたときの案件は、最初「別紙裁定について、公共企業体労働関係法第十六條二項の規定により、国会議決を求める」とあつた。これも私は全部国鉄裁定の場合と同じだと思います。内容は專売裁定の問題を出しておるということは、別紙裁定の点から考えられますけれども、少くとも前回の、国鉄裁定に関する案件についての官房長官の本委員会における御説明から考えまするならば、これそのものがすでに一つの案件の題名だというふうに理解しておる。これは題名であり、主文であり、理由である。こういうふうに申されると、この点が国鉄裁定のものとまつたく同様に私思いますので、その点から申しますれば、同じ案件を二度出したという形に相なるのであります。その点はいかでありますか。国会には同じ会期内に同じ案件を出し得ないことは、官房長官も御承知のことだと思いますが、その点はいかがでありますか。
  142. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 私はこの前こういう関係手続の詳細は存ぜず、主文であるということを申し上げたわけでありますが、主文の全部であるということには考えておりません。しかしながら政府が提案した案件のお扱いにつきましては、この委員会において、あるいはこの院において適当にお取扱いあらんことをお願いします。
  143. 大村清一

    大村委員長 ちよつとお諮りいたしますが、いかでしよう。きようは重要な施政方針演説に対する質疑もございますから……
  144. 林百郎

    ○林(百)委員 簡單に言わしていただきますが十二月二十四日には、官房長官としては参議院で、国会意思決定しておらない。従つて残余裁定については当事者を拘束しないということを言つております。これと衆議院の今言つた西澤さんの報告と食い違いがある。この点について伺いたい。
  145. 大村清一

    大村委員長 林君に御相談申しますが、もう一ぺん官房長官出席を求めて、あとで願いたいと思います。
  146. 石田一松

    石田(一)委員 ちよつとお尋ねします。今表題か、主文かということについては、官房長官が率直に、国会手続等にあまり明るくなかつたので、主文であるとか、理由書であるとか、いろいろの意味があるとおつしやつたが、私もその点は了承します。問題は議決を求めるといつて国会に提出されておりますが、要するにこの裁定案の議決を求められる政府趣旨は、今後の審議の都合上聞いておきたいのは、不承認の方を求められるか、それとも承認を求められるのか、もう一つは、この裁定案によつて政府がいかなる予算的の拘束を受けておるのか、また拘束を受けておるから、自分たちの拘束を国会議決によつて解消しようとしておるのか。それとも自分たちがやろうとしておることを、国会承認によつてなそうとしておるのか。それともう一つは、これは長官の御答弁によつてきまることですが、この議決国会の自由意思によつてなされることであるから、政府はそれは知らぬとおつしやるならば、そうすると本案というものを提出なさつた結果において、国会承認を與えたときにはどうなさろうとするのか、不承認のときはどうするのか、こういうことを一応聞いておいて、本案審議の参考にしたいと思います。
  147. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 内容にわたることでありますが、しかし議決されんとする場合の手続等にも関係のあることですからお答え申し上げます。政府はあくまで議決を求めております。イエスあるいはノーの議決を求めております。それからこれがどの程度拘束力があるかという第二問でございますが、これは第十六條第一項に該当する、こういうふうに政府が認定した場合は、国会議決があるまでは、政府及び公社を予算上、資金上不可能な範囲の裁定は拘束しないと思います。それから第三問にお答え申し上げます。議決があつてそれが承認議決である。こういう場合には、さかのぼつて政府並びに公社を拘束いたします。不承認の場合はそのままであります。
  148. 石田一松

    石田(一)委員 そうすると官房長官は、本案はこの中に公社の予算上、資金上支出不可能の部分があるならば、政府並びに公社を拘束しないとおつしやるのですか。これはあると仮定をなさつたからこれをお出しになつたのじやないですか、その点をひとつ伺いたい。
  149. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 この点は委員会等においても御説明しますが、第一項は政府並びに公社を拘束せず、いかんとなれば、資金上、予算上不可能なる支出内容とするからという意味であります。
  150. 大村清一

    大村委員長 次会にまた官房長官の御出席を願うことにいたしまして本日はこれにて散会いたします。     午後三時散会