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大池事務総長 ただいまの
石田さんの御説は一応ごもつともの点もございますが、八十三條は現にここに書いてございます
通り「
国会の
議決を要する
議案」ということに相な
つております。
従つて本件が
議案なりやいなやということの解釈によろうと思いますが、やはりこれは
一つの
承認を求める
議案と言いますか、むしろ事件としての取
扱いをしてお
つたわけであります。それは実はただいまの公共企業体のこれが、
衆議院の本
会議で不
承認と
議決をいたしました際に——これは御
承知の
通り初めての事件でありまして、提出当時から種々の議論があ
つたのであります。
従つて衆議院の
意思の
決定に基いて、この
議案の処理をどうするかということが、やはり相当問題でありますので、一応御
研究を願
つた上で、
参議院に対する処置をとることが穏当であろうと私
どもは考える。そういうことを
はつきりした上で御処置を願いたいということで、急拠当
委員会の御招集をも
お願いを申し上げた次第でありますが、これについては一応
参議院の方へ送付をしてさしつかえないということに御協議がまとま
つたということで、特に
運営委員会で、これの
衆議院の
議決後の処置に対する論議はなか
つた次第であります。従いまして
参議院の方へ送付をいたした次第でありますが、これはなるほど今おつしやる
通りに、
議案とみて取扱えば、
衆議院の方で
承認を求められたものを不
承認にしたのだから、これは否決したものだ、こういうように解釈をいたしますれば、
石田さんの言われる八十三條そのままの適用ということにも相なろうと思
つておりますが、何といたしましても初めてのものでありまして、しかも不
承認ということではありますが、場合によれば、その三十億の中の一部の
承認というようなこともあり得るのじやなかろうか、
衆議院の方では全額不
承認の形にな
つておりましたけれ
ども、その中の十億は
承認できる、あとの二十億は
承認できぬというように、一部の
承認と言うことができるかできないかということは、もちろん議論がありましようけれ
ども、そういうことも考えられるのでありまして、
国会の
議決を求められたときの、
一つの創設的な
意見として全額を不
承認にした、こういうことに相な
つたのだと思います。
従つて一部の
承認であ
つて、あとは不
承認であるという場合は、当然送付をしなければなりますまい。
従つて全額を不
承認だとい
つてそれは送付はせぬ、否決として通知一本で処理してしまう、それから一部の
承認のような場合には、これは送付するというように、取
扱いが二、三になるよりも、両院の
国会の
議決を求められたのであ
つて、
衆議院の
意思は
決定したのだから、すでに予備審査等にも付されておるから、
参議院に送付して
参議院の
意思を聞くのが穏当であろうというので、一応送付すべきものとして
向うへ送付いたしました結果、
向うからは
承認をするという
意味の
議決に相なろうかと思
つております。
向うも
衆議院並にこれは不
承認という
意味合いならば、回付する必要はございませんので、
衆議院の
意思通りに確定するわけでありますが、これが回付されたのは
衆議院の
意思に
同意ができなか
つたから回付されたと見なければならないと思います。
従つてそうなりますれば、
議案としての取
扱いは否決として取
扱いがしてありませんので、
衆議院としては
回付案が返れば、その
回付案と
衆議院の
議決というものとの、
意思の一致を見なければなりませんので、この
回付案をそのまま
承認するかしないかということの、
議決をと
つて進むよりほかはないと考えておる次第であります。