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1950-05-01 第7回国会 衆議院 外務委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年五月一日(月曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 岡崎 勝男君    理事 菊池 義郎君 理事 近藤 鶴代君    理事 佐々木盛雄君 理事 竹尾  弌君    理事 仲内 憲治君 理事 並木 芳雄君    理事 福田 昌子君 理事 聽濤 克巳君       石田 博英君    大村 清一君       栗山長次郎君    小坂善太郎君       中山 マサ君    山本 利壽君       西村 榮一君    野坂 參三君       玉井 祐吉君    小林  進君       浦口 鉄男君  出席政府委員         検     事         (検務局長)  高橋 一郎君         外務政務次官  川村 松助君         外務事務官         (政務局長)  島津 久大君         外務事務官         (條約局長)  西村 熊雄君         外務事務官         (調査局長)  與謝野 秀君         外務事務官         (管理局長)  倭島 英二君  委員外出席者         專  門  員 佐藤 敏人君         專  門  員 村瀬 忠夫君     ————————————— 本日の会議に付した事件  国際情勢等に関する件     —————————————
  2. 岡崎勝男

    岡崎委員長 ただいまより会議を開きます。  国際情勢等に関する件を議題といたします。質疑を許します。並木芳夫君。
  3. 並木芳雄

    並木委員 まず私は吉田首相外務大臣出席に関して委員長お尋ねをいたします。先日の理事会におきましても、與党も加わつてぜひもう一度吉田首相に出てもらいたい。そういう強硬な申合せをして、これに対して委員長は全力をあげて努力するという御答弁でございました。それを信頼して本日は当然吉田首相外相出席するものと思つておりましたけれども、その結果はどうなつておりますか、その点をお伺いしたいと思います。
  4. 岡崎勝男

    岡崎委員長 お答えいたします。ただいま井上秘書官がここに参りまして、吉田兼任外相は当委員会出席するつもりで早く出発して東京に来たそうでありますが、たまたま参議院の方から緊急質問が二つあるので、ただちに出席を求められまして、その方に参つております。質疑が終るのは結局十一時四十五分ごろであろうということでありますが、そうなりますと誰の時間の約束がありまして、遺憾ながら当委員会には出席できかねる、しかし出席するつもりで出て来たことは間違いない、こういうことを井上秘書官からただいま報告がありました。さよう御了次願います。
  5. 並木芳雄

    並木委員 昨日はどうだつたのですか、昨日は出席するということは当然わかつておりましたか。
  6. 岡崎勝男

    岡崎委員長 そういうふうに秘書官から聞いております。
  7. 並木芳雄

    並木委員 あれほどかたい申合せでございましたし、かたがた野党連合懇談会の方でもぜひ首相委員会でひざを交えての論議を尽したい、ことに中立保持決議案というものを本会議に上程しようとして私ども申合せをしたのですけれども與党側の方に申入れた結果、與党側の方でこれに対して難色を示しましたので、もしこれが否決されるようなことがありますと、またほかに対する影響というものを考慮しなければならぬという愼重愼重を重ねた態度から、野党の方としては留保をしたくらいなのであります。われわれは決して外交の問題を政争の具に供しようという気持ではないのでありまして、その決議案の上程を留保するとともに、そのかわりほんとうに国の将来のために、外務委員会においては首相外相とともにひざ突き合しての論議を重ねたい、こういう熱望を持つてつたのであります。しかるにかかわらず私どももおそらく首相参議院の方で緊急質問があるということで安心して出て来たのではないかと推測するのです。もしあちらに緊急質問がなければおそらく出なかつたのではないかというふうに思うのですけれども、先般の専任外相任命決議案においても、與党側としてはどういう理由かこれを否決したいきさつがございます。そこで私は委員長に大体こんな状態で外務委員会運営がうまく行くかどうか、その点をお確めしたいのです。それから専任外相任命のことなどにつきましては、当然異存がないはずであろうと確信しておつたのですけれども與党としてはこれを否決した。つきましてはどういうわけで反対されたのか、この際首相出席が悪い、外務委員会運営はうまく行かないおそれが多分にありますので、委員長としては、専任外相任命ということに対する反対の態度をひるがえして、急速これを任命すべきであるという心境になられておるかどうか、そういう点もあわせて御説明願いたいと思います。
  8. 岡崎勝男

    岡崎委員長 並木君にお答えいたします。委員会運営外務大臣出席が悪いにもかかわらず、委員各位の非常なる御努力によりまして、他の委員会に比べてすぐれこそすれ、劣らぬほどの成果を上げておると確信しておりまして、これは各委員の誠意ある御努力によることと思いまして、委員長としても非常に感謝しておるわけであります。こういうふうに運営かうまく行つております限りは、外相任命されようがされまいが、委員会独自としてりつぱな業績を上げ得るものと確信いたしております。  なお専任外相任命云々の件につきましては、これは首相一存にあることでありまして、野党側から御要求があつても、ただちに応ぜられない場合があることは当然だろうと思つております。
  9. 並木芳雄

    並木委員 それはそうですけれども国会立場として、與党としてどうして反対されたか。国会決議というものは、任命権首相にありますけれども国会意思を構成し得る重要な要因である與党が、これに反対されたその理由を聞かしていただきたいと思います。
  10. 岡崎勝男

    岡崎委員長 理由はただちに専任外相任命する必要は認めておらないからであります。
  11. 並木芳雄

    並木委員 それはわかつております。どうして必要がないか。
  12. 岡崎勝男

    岡崎委員長 それはいろいろの理由がありますが必要がないということだけで十分だろうと思います。
  13. 並木芳雄

    並木委員 白洲氏の問題についてお尋ねいたします。この前白洲特使について特に質問いたしましたところ、調査した上で答えるという点が残つておりますので、まずその点をお伺いするりですが、白洲特使は、この前島津政務局長が答えられた通り財政金融だけで行つたのか、ほかの問題は全然その任務の中に入つて、おらないのかどうか、まずお聞きします。
  14. 島津久大

    島津政府委員 お答えいたします。前会に、白洲特使の渡米の目的としまして、財政金融関係事情視察に行くということを申し上げましたが、これは事務的の手続でそういう目的旅券発給その他で掲げたものであります。実際にどういう範囲の仕事があるかは、事務当局といたしましては存じません。ただ官房長官から御説明があつたということで、新聞に出ておりますところでも御承知になりますように、アメリカ事情視察するということが主眼と想像いたします。
  15. 並木芳雄

    並木委員 池田白洲それから宮澤とかいう祕書官がアメリカにおいて高官との会談の翌日に発表されたワシントン・ポスト紙社説から考えますと、どうしても池田白洲宮澤三氏は、対日講和会議に対する態度あるいは中立の問題、そういうことに触れられておると考えられるのです。しかもその社説の傾向またその他の情報から推察してみますと、かなり一方的な情報を提供しておるのではないかと思われる節があるのであります。われわれは野党連合懇談会としてもつともつと真劍に、ほんとうに戦争に巻き込まれないようにするにはどうしたらいいだろうか、ポツダム宣言を守り、日本憲法を守るためには、どうしたらいいのかという真剣な気持から出ておるわけです。国会の声というものは全面的に向うに伝わつておらない、こういうふうに感ずるのであります。そこでただいまお伺いしましたのは、特に白洲特使財政金融だけの問題であるのかどうかという質問になるのですが、おそらくこれは重要な外交問題、対日講和その他に対して意を含められて行つたものであろうと推察しておるのでありますが、その点川村政務次官としては当然承知しておらなければならないはずだと思うのであります。専任外相がおらないのですから、川村政務次官は実際上の外務大臣であると思いますので、川村政務次官に特にお伺いいたします。
  16. 川村松助

    川村政府委員 おもなる目的財政金融でありまして、行つたついでにつとめて広く各方面調査をして来ると思います。
  17. 並木芳雄

    並木委員 それから白洲特使の資格でございますけれども、この前外務省研修所顧問ということを聞いております。そこで顧問にいつ任命されたか、どういう手続によつて任命されたか、その点を聞かしていただきたいと思います。
  18. 島津久大

    島津政府委員 前会のお答え申し上げました通り外務省研修所規程に従いまして、外務大臣から、白洲氏を研修所顧問に委嘱したのでございます、日付は四月十一日となつております。
  19. 並木芳雄

    並木委員 顧問はもちろん公務員ではないと思うのでありますが、その点はどうなつておりますか。それから顧問に対する報酬、給料はどうなつておりますか。
  20. 島津久大

    島津政府委員 顧問一般公務員でありまして、公務員法が全面的に適期はしておりませんけれども公務員であります。給料は無給であります。
  21. 並木芳雄

    並木委員 これは昨年の三月に発行された外務官吏研修所の概要でありますけれども、特に第五ページに顧問及び評議員任命されておらないとなつております。昨年の三月から白洲特使が顧向に任命されるまで、つまり今年の四月十一日までの間にだれか顧問になつているかどうか、その点をお伺いいたします。
  22. 島津久大

    島津政府委員 三月に規定ができましてからは委嘱をしておりません。それ以前に研修所顧問は前参議院議長松平恒雄氏、小幡酉吉氏が顧問に就任されたことがあるのであります。松平氏の場合は参議院議員になられましたので辞職されました。小幡氏の場合は死去によつて消滅したことになつております。
  23. 並木芳雄

    並木委員 外務大臣がこれぞと思う人があればだれでも大体顧問には委嘱できる、そういう手続になつておりますか、その委嘱するまでの手続は、どういうふうな具体的な手続がふまれたのであるか。聞くところによると、仰裁案——裁決を仰ぐというのですか、仰裁案というものを持つて、急遽各局長のところを持ちまわり会議か何かで判こをとつてまわつたというようなこともいわれておるのですけれども、実際にどんなふうにして今回の顧問発令はなされたか、それをお伺いいたします。
  24. 島津久大

    島津政府委員 事前人事院の協議を経まして、委嘱されたと承知しております。
  25. 並木芳雄

    並木委員 大体こういうものは、外務大臣一存でその通り通過するものと考えてよろしいかどうか。その点をお伺いします。
  26. 島津久大

    島津政府委員 外務大臣愼重に選考されまして、顧問として適任者であると判断された場合には実現すると思います。
  27. 並木芳雄

    並木委員 愼重に考慮したかどうかというところの標準を判断するのは、だれが判断するわけですか。つまり私がそれをお伺いしたいのは、だれでも首相好みの人物を持つて来て、外務省研修所の嘱託にして、ヴイーゼーを偽つて旅券に全然——これで見ますと外交上のエキスパートを置くということになつておる。そういう使命を持つた者を研修所顧問にしておいて、実は自分の專門の分野でないところの、財政金融の方の調査に行くというような、旅券の記載をもつて派遣することができるとなつたならば、これは相当個人的な人事宮廷人事どころか、もうまつたく徒党を組んだ一族人事というものが行われるおそれが多分にあると思う。ですから愼重に考慮した人事であるかどうかということをだれが標準を定めるか。そうしてたとい外務大臣が考慮したものでも、これを否決することがあり得るかどうか。そうしたならば、どういう場合にそれをしりぞけて、これは好ましくないということができるか。そういう点をお伺いたします。
  28. 島津久大

    島津政府委員 これは外務大臣が委嘱するという規定になつておりますので、外務大臣が決定できるわけであります。それ以外に別に審議機関というものはないわけであります。しかしお話のような常識をはずれた任命があろうとは考えられません。
  29. 並木芳雄

    並木委員 そうすると人事院はどういうことをしたのですか。先ほど答弁の中にありました人事院は、どういうことをいたしましたか。
  30. 島津久大

    島津政府委員 人事院にも正式に協議する必要はない形になつておりますが念のために事前に連絡をとつたということであります。
  31. 並木芳雄

    並木委員 そうすると私たちが心配をしておることがここに出て来るのであります。私は今度の白洲特使というものに対して、おそらく向う行つて一方的な情報を提供し、日本の将来を誤るような意見の交換というものが行われるのではないかということを多分に必配しておつたのですけれども、先ほど申し上げました通り海外からの報道はわれわれの考えが杞憂でなかつたという点に触れておるのでございます。そこでこれは大問題でございまして、これからどしどしこういうことをやりますと、全然国会にも知らされず、国民にも知らされず、また皆さんのような政府当局の人にも知らされない間に、いわゆるパーソナル・レプリゼンタテイヴとして外国に派遣せられることが多くなつて来るのではないかと思う。こういうことに対して、どうしても至急何らかの措置を講ずる、たとえば法的措置を講ずるとか、国家の承認を求めるとかいう措置を講じませんと、これは非常に悪例を残したことになると思うのですが、その点に対する川村政務次官の御所見をお伺いしたいと思います。
  32. 川村松助

    川村政府委員 別に悪例とは存じません。もし結果が著しく悪いことがあればいざしらず、現在のところ悪例とは考えておりません。
  33. 並木芳雄

    並木委員 旅券の上で、事務的か何かは知りませんけれども、とにかく財政金融ということのために派遣されたというならば、これは一応私たちとしては、池田大蔵大臣との関係はどうであるかということを聞いておかないといけないと思います。池田大蔵大臣政府代表として、財政金融、経済、そういう方面使命を持つて行つたと聞いております。これに対してもわれわれは疑問を持つておりますけれども、そう聞いておる。そうするとただいま特使として白洲氏が金融財政、というものの任務を帯びて行つたという場合には、私たち国民としては、その二人の関係がどうであるかということを、当然知らなければならないわけです。その関係はどうなつておりますか。
  34. 島津久大

    島津政府委員 視察の、何と申しますか、目的には特に違いはないと思います。ただ白洲氏の場合は、官房長官から発表いたしましたように、外務大臣総理大臣パーソナル・レプリゼンタティヴということになつております、大蔵大臣はもちろん大蔵大臣としておいでになつたことと思いますので、その程度の差異はあると思います。
  35. 並木芳雄

    並木委員 今のパーソナル・レプリゼンタティヴを、島津局長は英語で言つてしまいましたから、ちよつと私にはわからなくなりましたけれども、そのパーソナルというのは、個人的という意味に解しておるのですか、つまり私的代表ですか。特使というふうに訳されておりますと、むしろ国民は單なる政府代表よりも、より高い地位にあるような感じを受けると思うのです。パーソナル・レプリゼンタティヴというものの解釈と、その地位というものをはつきりしていただきたいと思います。
  36. 島津久大

    島津政府委員 前会に條約局長からお答え申し上げました通りパーソナル・レプリゼンタティヴというのを特使と訳しておりますけれども、これは正式な意味外交代表でも何でもないのであります。これも官房長官説明と思いますが、総理は長年アメリカ行つたことがない。アメリカ行つてアメリカ事情を見たいけれども、今はずせない。そこで総理個人かわりとして白洲氏を派遣するということであります。
  37. 並木芳雄

    並木委員 総理個人かわりというと、どういうふうに解釈したらいいのですか。総理個人かわりというのは、吉田個人かわりですか。吉田総理大臣かわりですか。個人というのがそこに入つてしまつたの解釈がしにくくなりますけれども、それをはつきりしておいていただきたいのです。なぜならば私は單にこれを攻撃するために攻撃しておるのではないのです。そういう不明朗な人事個人の嗜好でもつてどんどん行われて、それが公的色彩帶びるようになつて、しかも国費でもつて海外に行くとなると、これは重大だから私はお尋ねをしておるのです。正式の機関にかけられて、そうして予算というものが組まれて、こういうものに対してはこれこれの旅費向う滯在給與をやるということにきまつて、それに基いて出て来るきめられた職階であるならば、私たちとしてはあとは人を得ておるかどうかという問題が残るだけですから、あえて追究はしないのですけども、その根本をなすところの人間をやるか、やらないか、どんな人間でもやれるのだ、そうしてそれに対して拂われる金は国費だという建前は、これは非常に私は国民の前に対して、政府もそうでしようが、国会議員としても釈明ができないと思う。そこで特にお伺いするのですけれども、ただいまの総理個人かわりという意味をはつきりしていただきたいと思います。
  38. 島津久大

    島津政府委員 総理吉田かわりということでありまして、はつきりしておると思うのでございます。総理大臣代理という制度があるわけでもないのでありまして、なおまた不明朗な人事ということをしきりにおつしやいますけれども、不明朗な点は一つもない。先ほど御説明申し上げた通り外務大臣顧問に委嘱するという根拠に従つて顧問を委嘱しまして、顧問をどの程度に待遇するかということもまた閣議の決定がありましてそれに従いまして相当程度旅費を支給しておるのであります。これまた政府一般旅費規則範囲内のことであります。
  39. 並木芳雄

    並木委員 川村政務次官お尋ねしますけれども、つまり政府公務員たる役にもついておらなかつた、單なる研修所顧問である。しかもずつと顧問ではなくておそらくこれは問題にしかけてあわててどこかに籍を置く場所がないかどうか探し求めて、そうしてつくつた急製顧問であろうと私は思いますけれども、こういつたもの、また国会にも議席を持たないようなものを、いやしくも今のような国際情勢の重要な、微妙な関係のさ中において、首相パーソナル・レプリゼンタティヴとして送ることが適当であるかどうか、どういうふうにお考えになつておりますか。率直な御意見をお伺いしたいと思います。
  40. 川村松助

    川村政府委員 総理は最も適任者であると信じて委嘱したと思つております。
  41. 並木芳雄

    並木委員 川村政務次官としての御意見はいかがですか。
  42. 川村松助

    川村政府委員 ただいま答弁いたしました通りであります。
  43. 並木芳雄

    並木委員 なおこの問題はほかの委員からも質疑があると思いますから、私は一応ここで打切ります。次にホノルル事務所長に一旦予定された鈴木さんが、何の原因か知りませんけれども、突如としてやめになつた、このいきさつについてはこれは所管の外務政務次官でありますから、はつきり事情を知つておられると思いますので、この際お尋ねいたします。
  44. 島津久大

    島津政府委員 私かわりましてお答え申し上げますが、問題の人はホノルル在外事務所長内定をしておつたわけでありますが、外務省人事の都合によつて内定をしておつたのをとりやめて発令をしなかつたという事情であります。
  45. 並木芳雄

    並木委員 その事情を聞かせていただくわけには参りませんか。どうもこれに対しては新聞報道などでもうわさされておりますので、もしああいうことが事実であるとするならば、これはやはり相当の問題だと私は思います。日本現状というものはしかくゆたかな現状でもなければ、外交官という一つ国民から離れた型ができ上る段階にも来ておらないと思います。もしタキシードがなければセビロでもけつこうではありませんか。東京に住宅がなければ、終電車に間に合わないのでありますから、終電車で帰つたことを気にとがめるのも——これはエチケツトの上から今の場合許されてしかるべきだと思います。專任外相官邸はあいておるそうでありますから、ああいう官邸を開放して、家のない官吏に提供したらこんな問題は起らなかつたと思います。そういう苦しい日本現状というものがまざまざと外交に表現せられるということの方が、むしろ諸外国にとつて日本に対する認識を正確にし、われわれがその苦しい中からも何とかしてエチケツトに沿うように、国際社会に加入するように、努力しておる姿がほほえましく反映するのではないかと思います。それにもかかわらず、報道されておるようなことがほんとう原因であつたとしたならば、これは悲しむべき現象であろうと思います。外交官がダブルの洋服を着たり、シヤークスキンの夏服を着たり、向う行つて儀礼的に交際をすることが、とりもなおさずすぐれた外交官であるという観点でもつてするならば、これは日本全体の状況というものを正確に表現するゆえんのものではないと思います。こういう点については先ほどの白洲特使にしても、国民全体の意思を表明した情報を提供しておらないと思いますとともに、鈴木さんの場合にしても——私はどういう方であるかちつとも知りませんが、ただ報道がああいうふうにされますと、国民というものはまゆをひそめる。吉田好み吉田個人外交というものが祕密裡に行われて行くのではないかということが心配されて来る。それがいろいろの他の問題とからみ合せて、なるほど日本地位というものがこれからゆゆしいところに向うのではないかというところへ問題が広がつて来る。事情がわかつておるとすれば——わかつておると思いますがそういう問題もありますから、事情が表明されるものならぜひはつきりしていただきたい。そうしてわれわれの気持を納得させてもらいたいと思うのであります。
  46. 島津久大

    島津政府委員 お答えをいたします。新聞にいろいろ報道されておりますけれども、どういうことがあつたかということは私も詳しくは承知しておりませんし、また正確な報道もないようであります。要するに私どもはかねて外務大臣から、外務省の職員は国家の復興を双肩にになつておるのだ、ことに在外事務所長として外に出て行く人は、その気慨と気構えがなければいかぬということを、常々さとされておつたのであります。そういう観点からの人繰りの結果であると考えております。
  47. 並木芳雄

    並木委員 大分時間をいただきましたが、中立の問題についてちよつと質問して打切りまして、あともし時間が余りましたらいただくことにお願いいたします。  吉田総理大臣外務大臣がこの間参議院で、中立を云々することは、交戰国が存在するか、また今にも交戰状態が起るような印象を、国民に與えるという旨の見解を表明されておられるのでございますけれども、これはかえつて国民を不安に陷れるのじやないかと思うのであります。ポツダム宣言及び日本憲法からいつて日本というものは当然中立堅持立場にあるというふうに、私たちは信じておるのでございますけれども、この点ははたして吉田総理の言う通り日本憲法ポツダム宣言からして、当然中立堅持という立場が出て来ない場合があるのかどうか、その点をお伺いいたします。
  48. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 こちらから並木委員に御質問いたしたいと思います。中立々々とおつしやいますけれども、大体三つの意味があると思うのであります。  一つ国家外交政策として、大国間の紛争に巻き込まれないような立場を絶えずとるという意味中立主義でございます。今日外交のない日本については、そういつた意味中立政策をとるということを明らかにするのは、およそ意味がないことでありますし、またそういうことをやり得ない立場にあるということは、よく御了解いただけると思います。もしありとするならば、平和條約によつて外交権を回復したあとにおいて、日本外交政策として中立的な政策をとつて行きたい、こういうふうな考え方ならばあり得るかと考えるだけであります。  第二点は、戰争が起りましたときに他国の間のその戰争の局外に立つ立場でございます。これはそういう中立立場をとるというような宣言だとか通告とかいうことをしないでも、当然戰争が起れば、戰争に参加しない国は戰時国際法上中立国でございます。宣言の必要はないのです。多くの場合宣言する国が多いのでございますけれども、国際法上はそういう宣言ないし通告の必要はなしとされております。これは従つて戰争があるということを前提として初めて成立つ中立という観念でございます。御承知の通り、今日は国際連合ができております。対日平和條約に直接関係を持つております極東委員会十三箇国は全部国際連合加盟国であります。国際連合というものが戰争を否定し、国際連合のわく内において中立というような立場がないというような関係にある、いや戰争ということは考えられないという立場にあるということ、これまた皆さん御承知の通りであります。今日から日本は世界の外に戰争があるならば、中立立場をとりますということを声明する、明らかにするということ、これまたあまり意味のないことであります。そういうことをしなくても、当然日本というものは戰争の圏外に立つべきものであります。憲法の性格からそう参りましよう。必要はないことだと思います。  第三の意味は永世中立国という意味においての中立国であります。この永世中立国というものは、簡單に申し上げますと、主要なる関係ある国の間に條約をつくりまして、一国を永世中立国とする、問題の国は永世中立国となることを承諾するという條約によつて確立いたします一つの特殊の性格の国家でございます。先日の野党連合の声明はそういつた意味で第三の永世中立国、永世中立でなければいけないというような御趣旨を明らかにせられておりますが、おそらくこの第三の意味かと思うのでございますが、とにかく御質問に対しましては、この三つの考え方のうちどれを自分の立場にとつて質問をしておるということをはつきりいたしていただかないと、非常に答弁いたしにくうございますので、ちよつと御質問いたしたわけでございます。
  49. 並木芳雄

    並木委員 反対に質問を受けましたので、私その点を時間を省きますために宣言しなかつたことが、かえつて疑問を抱かせたと思うのです。はつきりいたしますけれども、私たちは第一の外国の間の紛争に巻き込まれないように、つまり再び戰争に巻き込まれないようにというところに、最も大きな重点を置いているのであります。だからそういうような気持はいくら私たちが出してもひとつもさしつかえないのだし、出さなくても当然われわれの憲法からにじみ出て来るものではないか、こう思つている。それを声明したりあるいは主張したりすることが、講和條約が来なければ意味をなさないのだというような点については、これは私たちも承知しております。ただわれわれが発言権もないあるいは自主的外交もない今日において、講和條約に対して積極的な意図を盛ることが許されておらないかもしれませんけれども、とにかく国民の声とし、要望とし、気持として、あくまでも平和を愛し、戰争を起さない、巻き込まれない、こういう気持は必要であろうと思う。ですから私たち国民の側からこういうものを取上げて騒いでいるのじやないので、吉田首相外務大臣がややともすると、ベルギーの例などとりまして、中立を守りたいという気持はわかるけれども、なかなか実際にはそうは行きかねるものであるというような所見を発表されておりますので、しからば日本としては将来講和條約後において、中立を守り通せない場合もあるのかというような疑問が起つて来るわけなのです。ですから国民の間で、それでは困る、それではポツダム宣言とか日本憲法に照して困るのじやないかと、こういう声が起つて来るのは当然なのでありまして、私たちはまさにそういう声を代表して、そうして吉田首相外務大臣のしつかりした見解というものを聞きたい。これが念願であるわけです。ですからこそしばしばこの委員会にも出席していただきたいということを要求して来たわけであつて、ただいまの西村條約局長の御質問に対しては、これは特に現在私たちが問題にしているのは、第一の外国間の紛争に巻き込まれない、そして戰争に再び日本が参加することがないように、これは国会政府としても、はつきりその熱望要望というものが意思表示となつて現われていいのじやないか、こういうふうに思うのであります。そこで、ただいま御答弁によりますと、ポツダム宣言及び日本憲法からいつて、当然そういう性格が出て来るように私拜聽いたしましたけれども、もう一度念のためにお伺いしますが、その通りでありますかどうか。つまりことさらに中立中立と言わなくても、当然日本はただいま私が申し上げました意味におきまして中立主義ですが、中立主義態度が堅持できるものである、戰争に巻き込まれないように望む気持には応ずることができる、つまり心配しないようにということが、政府として国民の前に言い切れると思うのですけれども、そう了解していいかどうか、お確かめいたします。
  50. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 御質問に対しては、実は私は御答弁申し上げる立場にないのでございまして、いわゆる平和條約によつて外交を回復した後における日本外交政策の根本に触れる問題であります。一外務條約局長がお答えいたすべき筋合いにないということは、並木委員はよく御了解くださると思います。ただ並木委員が私の質問を引用された点で、ちよつと誤解を招く点があると思いますのでお断わ申し上げます。私が憲法規定から当然中立的なことになる、戰争不介入、戰争の局外に立つという結果になると言つたのは、第二の部類について申したのです。他国間に戰争が起つたとき、その戰争の圏外に立つのがいわゆる中立の第二の意味である。この第二の意味につきましては、日本憲法によつて交戰権を放棄し、軍備を持ちませんので、戰争の当事国にならないという性格を持つております。従つてそういつた第二の意味において、中立立場に当然立つべきことになるということを言いました。それを並木委員は、第一で言う将来の外交政策としての中立的な立場ということについて憲法を引用されて、私がそういう趣旨を言つたようにおつしやいましたけれども、その点は並木さんの誤解でありますから、ひとつここに訂正していただきたいと思います。  なお日本憲法関係から、将来の外交についても当然中立的な立場になるのではないかということにつきましては、実は私は御答弁申し上げる立場にございませんが、過日の参議院におきます総理の御答弁はまさにその点について御答弁になつておりますので、もう一度お読みくだされば、総理憲法の精神を非常に生かして、戰争のない世界をつくり出すために、率先して平和的運動を日本国民はしなくてはならぬという、いわゆる憲法から来る消極面だけを見ないで、積極面を強く総理が主張しておられたという点に御注意を願いたいと思います。
  51. 並木芳雄

    並木委員 たとい政府中立立場を将来も持ち続けたいということを説いても、首相の心配しておるように、私は国民の中でだれ一人として今にも交戰状態が起るだろうとかいうことを心配するものはないと思うのです。つまりそのことによつて、今にも戰争状態が起り得るというような考えを抱くものはないと思うので、これは吉田総理外務大臣の逃げ口上だと思います。中立のことを云々すことは、今にも戰争がどこかで起るような印象を與えるからということは、非常に消極的な立場であり、一種の逃げ口上であるように私は感じます。むしろ日本がそういう態度をあいまいにしておるために、かえつてそのあいまいな態度からずるずるべつたりに引込まれて行く、あるいは一方的に偏して行く、そういうことがかえつて交戰状態を起し得る可能性の要素になつて来るのではないかと考えておるのでありますけれども、私の考えが間違つておりましたならば、その点御訂正願いたいと思います。その点川村政務次官にお伺いいたします。
  52. 川村松助

    川村政府委員 この間総理大臣外務大臣答弁しました通り、わが国は戰争に介入しないということを憲法に明らかにいたしております。むしろ中立宣言をなすよりも、列国に先がけて世界の平和運動に努力する方が国民も安心し、了解するだろうという意味答弁したと考えております。またそれに違いないと信じております。
  53. 並木芳雄

    並木委員 これはむろん将来の問題になると思いますが、中立の宣言だけで中立国家たり得るものとは限らないということに対する政府の見解をお尋ねしたいと思います。私は中立国家たらずして、そのほかの行き方をもつてポツダム宣言日本憲法を守り得る方法があるのかどうか、こういう点をお尋ねしたい。單に中立宣言をやつただけでは、中立国家たり得るものではないという点についての御説明をお願いしたい。
  54. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 質問さしていただきます。中立を宣言するとおつしやいますが、私が先刻申し上げた三つのカテゴリーのうちのどちらの意味での宣言でございましようか。
  55. 並木芳雄

    並木委員 第二の場合についての質問であります。
  56. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 第二の、他国間に戰争が起ります場合には、宣言をやらずして戰争に介入しない国は全部中立でございます。今われわれが見ております客観情勢では、戰争があるとは考えられません。こういうとき他日戰争がどこかで起つた場合に、日本中立立場をとるということは、およそ意味をなさない事柄だと存じます。
  57. 並木芳雄

    並木委員 その場合に、日本中立というものは要するに守り得るかどうか、守り得ないのじやないか、その点についてお伺いしたい。
  58. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 御質問は第二の場合だと思います。御承知の通り先刻も申し上げましたけれども日本を取巻くすべての国、ことに対日平和條約に関係いたします極東委員会十三箇国は、全部国際連合の加盟国であります。この加盟国が現在外交相当緊張した立場にもありましようが、どの国でもいわゆる憲章のわく内において、その紛争を解決するよう努力いたしておるわけであります。国際連合が健在する限り、戰争はあり得ない、こう私たちは見ておるわけであります。今日戰争があることを前提にして、たとえば並木委員のおつしやるような意味中立を言う、そういうことは総理が言われる通り国民にいたずらに戰争近し、戰争不可避なりとの危惧を抱かせて動揺させるのみである、こういう御意見がありますが、その通りだと思いますので、御指摘のような意味においての中立宣言は意味をなさないと思うし、また戰争があつたときに、日本戰争に介入しないという立場を守り通されるかどうかという御質問に対しては、むろん国際連合健在なる限り可能なりということを申し上げます。これは私一個の判断であります。
  59. 並木芳雄

    並木委員 それでは私の質問はこの辺で打切ります。
  60. 山本利壽

    ○山本(利)委員 関連して……。並木委員の冒頭の御質問に、委員長に対して吉田総理外相出席されないことに対しての遺憾の意味のことを述べられましたが、委員長は、この委員会が無事に運営されつつあるから、專任外相の必要もあえて認めないし、吉田首相出席もなくてもいいというような御答弁があつたと思うのであります。この点に対して私は委員の一人として、まことに遺憾の意を表するものであります。一つ委員会にその関係の大臣が出席して、その抱負なりあらゆる点についての答弁をされるのが当然のことでありまして、ことに私の出席いたしますもう一つ委員会である予算委員会等における予算委員長政府各大臣並びに首相出席を求められる態度と比較いたしまして、当委員会委員長態度はまことに手ぬるいものであると私は感じておるのであります。それはあなたの無力ということを多くの人々が感じておるかもしれませんが、先ほどの質問に対して、委員長が自分の努力の足らないことを謝せられるか、あるいは努力したけれどもその効果の現われないことは、まことに遺憾であるという意味の言葉があつてしかるべきであると私は考えたのであります。あなたがこの外務委員会が無事に運営されつつあると思われるのは、われわれ委員が寛大であつて、勤勉であつて辛うじて委員会の態勢を保つておるからであると私は考える。委員質問に対する答弁をもし速記録によつてお読みになるなら、この外務省の役人諸氏のなさる事務的な答弁は、日本外交策を論ずる委員会答弁としてはまことに貧弱なものであつてわれわれ委員としもはずかしいように実は考えておるのであります。吉田外務大臣出席せられないならば、それにかわるほどのりつぱな方が、率直に言えば外務次官が出られて堂々と答弁せられるのならともかくであるが、川村政務次官に対しては、実はわれわれは実際にどれほどの蘊蓄を持つておるかわかりませんけれども、ただのれんに腕押しのようなことを言つて事足れりとされておるように思われるので、お気の毒でわれわれは鋭鋒を多少鈍らしておるのである。あの答弁外務委員会委員たちが満足しておるとは私は決して考えない。私はこの委員の一人として出ておるからには、ほんとうにわれわれのささやかな努力でも、日本外交に多少の貢献をしたいと思つてどもはまじめに出ておるのである。各委員がそれぞれ自分の研究に努力して、その蘊蓄を傾けて質問し、それに対してほんとうに誠意ある答弁を得て、初めてこの委員会は成果を上げるのである、かように私は思うのであります。でありますから、総理出席せられないこと、專任外相のないことについては、われわれ野党の者だけでなしに、與党の方々も再三その意見を述べられた。これに対して、本日委員長が何らの遺憾の意も表明されずに、この委員会はりつぱに運営されておるのであるから、これでいいのだ。外務大臣も出て来なくてもいいのだということを言われたように私は思うのでありますけれども、それが真意であるかどうか、あるいは私の聞き違いで、ほんとう委員長は私の思うておるような感じを持つておられるかどうか、その点を承りたいと思います。
  61. 岡崎勝男

    岡崎委員長 山本君のお話の中で、御意見にわたる部分は御意見として承つておきます。なお外務大臣出席につきましては、先ほど申し上げました通り外務大臣も本日は出席するつもりでおるという連絡がありました。従つて緊急のやむを得ない事情のために出席できないということを先ほどわざわざ祕書官がやつて来まして、再び断りに来たわけでありまして、きようはやむを得ない次第であります。
  62. 山本利壽

    ○山本(利)委員 私はきようのことだけをお聞きしたのではありません。この委員会が開かれてからずいぶんになりますけれども首相外相である吉田さんは何回出席されておるか。そのことに対してわれわれ委員は不満の意を表明しておるのでありますから、その全体に対して委員長のお考えを承りたい、かように考えます。
  63. 岡崎勝男

    岡崎委員長 ただいま本日のことを申し上げましたのは、本日も出席するように向うに申入れまして、出席を求めた努力を申し上げておつたわけであります。つまり本日のようなことは、過去においてもやつたわけであります。さよう御了承願います。
  64. 山本利壽

    ○山本(利)委員 それでは委員長はやはり今後あるいは、この会期はもうわずかでありますが、次に開かれる国会においても、続いてあなたが委員長としておられるならば、やはり今のような委員会でさしつかえないと考えられますか。
  65. 岡崎勝男

    岡崎委員長 今会期の委員会は非常によく運営されまして、一同得るところが非常にあつたと思つておりますから、委員会運営についてはいささかも不満はありません。外務大臣出席につきましては、今後ともなるべく多く出席するように努力いたします。
  66. 山本利壽

    ○山本(利)委員 私の関連質問はこれで終ります。
  67. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 これは私がしばしば過去の委員会において発言して要求したことでありまして、理事会でも問題にするようにと言つて、ここのところ二回理事会におきまして大体みんなの意向が一致して、それは形式的に決議という形はとつていないけれども、実際上紳士協約によつて、これは必ず出るというような建前でやつております。しかし私ここで外務大臣が出て来ないということだけを質問しようとは思いませんが、先ほど外務委員会がよく運営されておると言われましたけれども、その運営自体について、外務大臣出席するかいなかということが、実はその一部として非常に重要な問題になつて来ておる。このことは委員長もおわかりだろうと思う。それはすでに山本委員が指摘しましたが、私その前にもう一つつけ加えたいことは、今度この外務委員会が三十何人の大構成の大委員会なつたといういきさつは、外務委員長は十分御存じのところであると思う。これは講和、従つて大きく言えば日本の独立の問題に関するこういう大きな外交上の問題が差迫まつて来ておるように考えられるので、国会意思において、この講和に対するわれわれの論議を十分に盡す必要があるというので、これは日本共産党では講和特別委員会をつくれという要求まで出した。それはそのまま通らなかつたけれども、大体その趣旨がくみ入れられて、この外務委員会なつた。この委員会になつてから後はどうか。あなたはいつもその壇上でみんなの言うことを聞いておるので、私たちよりもあなたこそが外交の專門家としても、実際この運営がどういうことになつておるかということを一番よく御承知だと思う。これはここに御出席川村次官を除きまして、政務局長や條約局長立場は私たちはよくわかる。この大きな国策に関する問題を、事務官に答弁しろと言つても、実際上むりな話だ。しかも外務委員会で終始一貫してわれわれの質問の対象になつておるのは島津政務局長西村條約委員長であつてわれわれは質問のしようがない。こういう状態に追い込まれておるから、外務大臣出席の問題が出て来た。私たちの聞くところによると、外務大臣委員会に出ないばかりか、実は講和の問題について外務省に対して箝口令までしておるようなうわさを聞いておる。これでは国会を講和の論議の場所とすることすらできない。こういう状態に追い込まれて来ておるので、委員の中からほとんど全員の意見として、外務大臣出席を求めて来ておる。こういう事と次第と経緯を考えた場合に、今まで聞かされたことは、忙しいとか、こうこういうことがあつたとかいう、内輪話をみんなに押しつけて来ただけの話です。これでは、こういう政治上の立場から問題を考えた場合に、そんなことで済むと委員長はお考えになつておりますか。これは実際国会の中の大きな政治問題の一つになり得ると思う。こういう点について委員長のお考えをはつきり伺いたい。
  68. 岡崎勝男

    岡崎委員長 私の申し上げたことは先ほどと同様でありまして、外務大臣出席はできるだけ多く要望したいと考えております。
  69. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 こういう形でどん詰まりに来ますと、もう委員長とわれわれとの間に大きなみぞができると思うのです。外務委員会が、よく言いますと、非常に紳士的になごやかな空気のうちで討論が進められておるので、私たち共産党も、あんまりごてごて言うようなことは避けたいというふうに努力しておることはあなたもお認めだと思う。しかしこういう状態態の中で、しかも会期も追つておるのに、本国では一回しか外務大臣が出て来ていない。これでは世間体もつくろえないと思いますから、ぜひ出るように努力してもらいたい、こういうふうに、共産党としてはあまりおとなし過ぎるくらいな要求をしおるのに、いつもいつも逃げ口上で出て来ないという状態に来ますと、これはやはりけんかにならざるを得ない。どうしてもこれは委員会の中での大きな政治的な問題になると思うのです。委員長はその点をどういうふうにお考えになつておるのか。私が先ほど申しましたように、吉田総理の政治的な御都合、あるいは個人的な御都合ということで委員会運営しておるのではないか、こういう印象を受けるのですが、どうですか。
  70. 岡崎勝男

    岡崎委員長 さようなことはございません。
  71. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 まあ、そうでしよう、やぼな質問ですからな。私は、外務委員会の各党の委員が、この問題はやはり真劍に考えてもらう必要があると思います。しかしこれ以上は質問いたしません。
  72. 岡崎勝男

    岡崎委員長 西村榮一君。
  73. 西村榮一

    西村(榮)委員 今外務大臣出席の問題について論議されたのでありますが、これは先ほど山本君からお話があつたので、補足しておきますと、私がつい先ほど自由党の佐藤幹事長に会いましたときに、吉田総理の言としては、外務委員会から出席の要求をして来ないから、出席のしようがないじやないかと言うておつたということを話しておられた。これはしばしば出席を要請されたという委員長の今のお言葉と、あなたの党の幹事長のお言葉とが、食い違つておるのであります。どうして食い違つておるか知りませんが、そういう点も考慮して、次に開かれた国会においては、委員長として一層の御努力をしていただきたい、予算委員会の植原委員長は、各閣僚を金縛りにし、かつまた総理大臣に対しても、かなり強引に出席を要求しております。こういう点にかんがみて、ひとつあなたの御努力を願いたいと思つておる。  それからきよう総理大臣出席にならぬということは、突然の要務ができたというお話でありますが、これは悪い推察かもしれませんけれども、初めから計画的に出席されなかつたというふうに解釈するよりほかにしかたがありません。なぜなれば、私は二箇月以前に中立の問題について質問を要求いたしておきましたが、総理大臣出席しないから質問できない。またつい先ほど再度福田理事をもつて質問の通告をいたしておきました。従来の慣例から行きますと、総理大臣の祕書官を通じて外務省から質問の要点はどういうことですかと、必ず私に問合せがあるので、私は実は昨日も、外務省から聞きに来たら、質問の要点はこれこれであるから、これを外務省に渡しておくようにということで、祕書に渡しておいたのでありますが、これについては外務省からお問合せがなかつた。これは私は、突然に外交の問題について質問して、無準備のままに軽率な答弁をされるということはいけないと思いまして、あらかじめ質問の要点を通告申し上げておく慣例になつておる。これは今日のここにおいでになる事務当局の方も御存じかもしれませんが、今回に限つてそのお問合せがない。これらから見ても、総理は初めから出席する意思がなかつたか、あるいはまた、あなたの御努力があつたにかかわらず、その努力に熱意が入らなかつたのか、どつちかだと思うのであります。それはさておきまして、将来委員長としては、予算委員長と話されて、どうして総理をひつぱり出されたか、その筆法をよく研究されて御努力願いたい、こう思つております。
  74. 岡崎勝男

    岡崎委員長 なおちよつと申し上げておきますが、折あしく土曜、日曜は外務省が休みであつたものですから、何か質問問合せの手違いがあつたかもしれませんが、外務省としては、今までずつと、どなたの質問でも、委員長に連絡して要求することになつてつたのであります。
  75. 西村榮一

    西村(榮)委員 それではその問題はよろしゆうございます。ひとつ将来御努力を願いたいという希望を申し上げておきます。  私がきよう総理大臣にお伺いしたいと思つておりましたことは、前二回の総理大臣との質疑応答によつて明らかにされたのは、昨年十一月十七日に、私は講和会議の問題について、わが国の領土は一体どういうふうなものであるかということの質問をいたしました。かつ私はそのときに、千島、樺太、沖繩は、当然條約上から考え、またあらゆる歴史から考えて、これは日本の領土であると自分は確信するが、総理大臣はいかなる見解を持つておられるかということについて質問いたしたのに対して、総理大臣は大体それに同意されたのであります。続いて本年の予算委員会において、私の質問が終る前後の二月十二日に、今わが国が法律上拘束を受けるものは、世にいう無條件的降伏というのであるけれども、この無條件的降伏というものの概念は、国際法上文明国家にはあり得ない、これは休戰の一手段であつて、わが国の国民の将来の運命を拘束するものは、カイロ宣言、ポツダム宣言、これらに明記されたあらゆる諸條約をわが国が受諾したのであるから、これは條件のあるものを無抵抗に受諾したのがわが国の今日の姿である。従つて将来この條件に基準し、かつ文明社会における国際法に照して、連合国からわが国が拘束を受けるのであつて、無條件的降伏であるからいかなる命令をも遵奉しなければならないということは、ポツダム宣言に明記されておる、日本民族を滅亡せしめるにあらず、日本国家を否定するにあらず、民主的国家が出現することを望むというこの趣旨からいつて、当然さような国際法にもない無條件的命令というものはあり得ないという私の見解に対しまして、総理大臣は大体において意見が一致せられたのであります。ここに朝野両党の見解が、條約の問題について、領土の問題について、大体において一致いたしまして、残る問題は、わが国の中立の堅持について、先ほど西村條約局長からいろいろお話がありましたが、これをいかに具現化して行くかということにつきまして、朝野両党の代表がここにわが国の国策の向うべき方向を明らかにして、休会中三箇月、五箇月の間における国民は大体わが国の外交はここに行くのだなということを明らかにして、その向うべき帰趨を與えるということが、今日の外務委員会任務ではないかと考えて、私は総理大臣に対する出席を要求しておつたのであります。遺憾ながら御出席がありません。従つて今日は川村政務次官西村條約局長並びに島津政務局長にお伺いをせざるを得ないのでありますが、先ほど聽濤君その他の委員から言われたように、この三君が答えるには限界があります。わが国の外交は政治の大きな問題でありまして、この政治問題を取扱うには、なるほど日本一と称せられる国際法の権威者である西村君にしても、島津君にしても、あるいは川村君にしても、法律解釈以外は私は答えられぬと思うのであります。従つて本日私が質問する要点につきまして、答えられないところはむりにお答えにならなくてもけつこうでありますから、総理大臣と御協議なすつて、政治的な答弁はそのときでもかまいません。ただ私は主としてかような見地から、法律解釈の上においてお伺いしておきたいと思つております。  簡単な問題から御質問いたします。まず第一に、私は今日非常に胸を痛めるのは、中国に発生いたしました水害並びに旱害その他による飢餓でありまして、これから来る二千万人の難民が出ておるのでありまして、これは従来でありますならば、当然われわれは何をおいても乏しきをわけ合つて、救援におもむかなければならぬのでありますが、今日の状態ではそれはできかねるのであります。しかし衷心隣邦のこの民衆の苦難に対して、われわれは同情を禁じ得ざるものがあります。そこでたといそれが国民党の治下にあろうとも、中国共産党の治下にあろうとも同じ民衆としてこれを何とか悲しみをわかち合いたいというのが、日本国民の一致する意見ではないか。従つてそれに対しては、今日いかなる方法において、中国民衆に日本国民意思を伝えることができるか。かつまたできますならば、これは自由党あるいはその他の政党が一致いたしまして、日本国民は一日一合、一食を節約してでも、中国の民衆にわかち合うというような国民運動を起したいと思うのでありますが、さようなことがはたして今日のわれわれの拘束された外交上の地位においてできるかどうか、相なるべくならば、何とかしてこの日本国民意思を表明できる方法があれば、よい考え方を出していただきたい。まず第一にそれをお伺いしたい。
  76. 川村松助

    川村政府委員 お答えいたします。ただいま西村委員の御構想に対しましては、私どもも満腔の敬意を表すると同時に同感であります。ただ今日の日本の置かれている立場から、ただちにこれに対しまして、どういう方法で善処しようということは遺憾ながらお答えいたしかねるのであります。
  77. 西村榮一

    西村(榮)委員 そういうふうなおざなりな答弁じやなしに、どうしたらそれが可能であるかどうかということを、私は研究してもらいたいということをあわせてお伺いしたのです。私も次官を一ぺんやつた経験があるから何ですが、次官というものはあまり出しやばつてもいけないし、といつてでくのぼうでもいけない。これはなかなかむずかしいところですが、こういうさしつかえないところは、なるべくあなたは自分の意思を具体的に表明されてはいかがかと思うのです。
  78. 川村松助

    川村政府委員 十分考えさしていただく時間をお願いいたします。
  79. 西村榮一

    西村(榮)委員 次に西村條約局長でも、島津政務局長でもけつこうですが、わが国の憲法から解釈いたしまして、日本国会の自主権の問題であります。これはあなた方は私が贅言するまでもなく御承知だと思いますが、近来の例から見ましても、予算審議に際しても、修正案は、一件も許可されませんでした。地方税制に対しましても、これは與党側野党側もその修正を要請したのでありますが、これが許可されなかつたのであります。一本わが日本国会がどれだけの自主性があるのであるかということになりますと、近来私は疑問に思うのであります。少くとも日本憲法に明示するところによりますならば、国会国家の最高の権限を持つて、自己の責任と判断に従つて自由に国民の信託にこたえなければならぬということが憲法を貫くあらゆる性格であります。私は今日の外交と国防の問題は別といたしまして、同時に昭和二十二年五月の三日憲法制定以前と、憲法を制定した後における日本の国政行使に対する日本国民の自主性というものは、根本的に異なつておると思います。私どもはかかる見地に立つて、今日の状態から行きますならば、国会議員は責任が持ちかねる部面が多々生じて来るのであります。このまま推し進めて行きますならば、議会を一時停止して、他の権威ある機関によつて日本の国政を運用してもらうかいなやという追い詰められた状態に立ち至らなければならないのであります。これに対しましてわが国の憲法解釈上、あるいはその他の條約上、わが国の国会が有する自主権というものは、どの程度まで許されておるのかどうか。しこうしてこの現状日本憲法に照してみて、これは妥当であるかいなや、憲法上の解釈をお伺いいたします。
  80. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 たいへん機微な御質問でございますがお答え申し上げます。降伏文書の最後の末項によりまして、日本は連合国最高司令官のもとに占領管理に服することになりました。従つて簡單に申し上げますが、現在の日本におきましては、日本憲法のもとにおける一つ国家組織の上に、連合国最高司令官の戰勝国としての権限がかぶさつておるわけであります。その関係から降伏文書の末項において、天皇及び日本政府の権限はこの文書を実施するために、必要なる連合国最高司令官の制限のもとに服するものであるという規定で表わされておる通りであります。ただ最近の連合国の側におきます対日占領管理の行き方といたしましては、でき得る限り日本側の自主権を広い範囲内において認めて行こう、そういう行き方によつてつて行かれつつあるものと了解いたしております。しかしながら、あくまでもその限度は連合国最高司令官の認定せられるところでございますので、今の日本政府といたしましては、日本憲法下のいわゆる国家態勢がどの程度において日本側のみの意思によつて運用できるかということは、こちら側の意向によるのでなくて、連合国最高司令官が認定せられる限度においてその自主性を回復しつつある、こういうふうに見ればいいではないか、こう考えております。
  81. 西村榮一

    西村(榮)委員 條約局長としては、私は妥当な御見解であると思います。それ以上の飛躍した見解は、これは外務大臣でなければ困難だと思います。ただあなたの今の御答弁の中に、私と意見を異にしておる点を申し上げておきますと、天皇陛下並びに日本政府よりも重いマツカーサー元帥の権限なるものは、一九四五年九月六日に、連合国最高司令官の権限に関するマツカーサー元帥の通達の中にこれが明示せられている。ところがそれから二箇年たちまして、連合軍最高司令官の懇切なる指導のもとに、世界の進歩的な憲法を、わが国は制定いたしたのであります。その憲法には、国会が国権の最高の機関であると明示せられておるのであります。このあなたが今引用せられた司令官の通達より二箇年後に、日本憲法がしかれているということは、その間の情勢の変化とともに、あらゆる角度からして、日本は世界文明に先がけした斬新なる憲法をしかれた。従つてそういう立場からいつて外交と軍事に関する問題は別といたしまして、国民生活に重大な影響を持つところの予算、税制あるいはそれに類する国民の生活を審議するのは、日本国民日本国会にまかされていいのではないかと、私は過去の経緯から見てそう解釈します。お答えができなければできないでけつこうでございますが……。
  82. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 連合国の対日政策が、でき得る限り日本側に自主権を持たして行こうという方向を取出しましたのは、大体新憲法が発布され、新憲法のもとに総選挙が行われ、いわゆる日本民族、日本国民の総意に基く民主的政府が確立いたしました以後において、きわめて顯著になつて参りまして、また現在その方向をたどりつつあるということは事実でございますので、大体私も西村委員と同じような考え方をいたしております。
  83. 西村榮一

    西村(榮)委員 大切でありますから、私は歯にきぬを着せずにはつきり申し上げておきます。最近におけるほど国会の審議が制約を受けたことはありません。昔の方がまだ楽だつた。予算の修正も若干認められた。一言一句の修正も許さぬというようなことはこれは最近です。この点あなたの答弁とは食い違つて来ている。私はこの傾向は推し進めて参りますならば、先ほど申しましたように、国会は一時休業しなければならないのではないかというところに追い込まれる。これは占領政策上はなはだおもしろくない。日本国民がマツカーサー元帥の崇高なる人類愛的な指導と、尊敬の念とは別にして、個々に現われる行政面においては、日本国民は別な考え方を持たざるを得ないのじやないか、こう思う。しかしそれは私の意見になりますから、次に移ります。  自主権と関連して、小さい法案の問題について、一、二の例をひろつて見ますと、先般外資委員会ないし外資に関する法律案、この二つの法案が通過いたしました。今電力再分割の問題が審議の途上にある。例を外資委員会の設置にとりますと、こういうふうな外国人の財産に関し、あるいは事外交に関する法律案を本国会が審議するには現段階は適当ではない、私はこう思つておる。かような外国人に関する問題を審議するのは、いわゆる日本がどこの国からも制約を受けず、独立の態勢、自主的の態勢が整えられた後に、こういうふうな法案、外国人に関する法案を審議することが妥当ではないかと、私はこう思うのですが、あなたの見解はどうでしようか。
  84. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 外資の導入ということは、今日の連合国の対日政策のもう一つの重点とも申すべき日本の経済的再建のためのきわめて必要な事項でございます。従つて現情勢において必要とせられる事項であるがゆえに、この法案の形になつて、今国会に提出されている、こういうふうに考える次第でございます。
  85. 西村榮一

    西村(榮)委員 経済的問題から来る、必要性から来る解釈は、これは西村さん、別にいたしておきましよう。私は現在のアメリカの外資の導入をはかるよりも、国内の国民の資本蓄積によつて一応片づけるという方向をとることが、一応正しい財政政策じやないかと考えております。だから国民の資本蓄積の源泉を枯渇せしめて、外資を入れるということについては、順序が転倒しておるのじやないかと思いますが、そういう経済論の論争は、あなたとは別にいたしておきます。ただ私はそういうふうな外国人に関する問題は、現在の情勢で審議するにはふさわしくないのじやないか、同時に、はつきり言えば、日本人の自由な意思と公正なる感覚において、これが審議できるかできないかということは、もう常識上わかる。こういうことは完全に独立してから後に審議すべきであると思うのですが、経済上の必要論は別として、国際條約、並びに文明社会の慣習から考えて、あなたはどう考えますか。
  86. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 理論はともかくといたしましても、現在の日本といたしまして、いわゆる外資を導入する絶対的な必要がありまして、その必要のもとに、所要の外資を導入することができるような国内態勢を整備する必要が、自然生れて来るわけでありますから、今回のような法案が必要となる、こういうことになると思います。一般論として外国関係の、いわゆる恒久的な法制というものについては、平和條約後完全に日本が自己の判断によつて、制定いたすことができるような時勢になつてから、取上げた方がいいではないかという、いわゆる政治家的の御見解につきましては、私はつつしんで御拜聽いたしておきたいと思います。
  87. 西村榮一

    西村(榮)委員 次に、先ほど並木委員からも御質問がございました、わが国の中立堅持の方針につきまして、私は主としてこれは法律解釈の上において、両局長から御答弁を承りたい。先ほど西村局長から並木委員に対する反対質問がありまして、中立に対して三つの種類がある、こう言われたのであります。私は三つのものは切離して考えることはできないと思います。同時に今日本国民が要求しておるものは、ともすればわが国の中立が脅かされんとする国際情勢が生れて来ておる。この情勢に際して、わが国の憲法が明示しておる、一切の軍備を放棄し世界各国に率先して平和の実現に邁進するという決意を表明して、中立と平和に邁進せんとするわが国の憲法が、いかにして将来維持できて行くかどうかということについては、重大な関心を持つておるのであります。それに対しまして、マツカーサ元帥は四月二十日ごろ、日本中立を放棄すれば破滅であるという談話を発表せられたということが、これは外国電報に伝わつております。マツカーサー元帥の崇高な人類愛的なこの世界観に対して、日本国民ひとしく尊敬と敬慕の念を拂うものでありますが、一体このマツカーサー元帥の方針と日本憲法の明示するところとが、いかに堅持されて行くかということについて、先ほど申しましたように、国民は重大な関心を持つものであります。最近における外国電報の報道するところによれば、それは一個の理想論にして、あるいは曲解する者は、政争の具に供しておるというふうに報道するものもあるのでありますが、私はここに一個の理想論というものが、一体どこから非難の対象になるかどうかということは、疑問に存ずるのでありますけれども憲法と、われわれが敬慕するマツカーサー元帥のこの方針に従つて中立をいかに堅持するかということについて、私どもは将来重大な関心を持つものであるといたしますならば、現下国際情勢がともすればこれを脅かさんとするところの諸條件が累積して行くという立場に立つて、まず第一に日本が各国に要請するものは、先ほど西村條約局長は言いにくい言葉の中から、日本憲法上の解釈からして、当然中立が堅持されて行くものであろうという解釈を端的に下されたことについては、われわれとしては敬意を表するものであります。私はこれらの諸情勢を考えてみまして、端的に結論を申しますならば、今日極東委員会十一箇国に対し、特に米ソ両国に対しまして、日本憲法の再確認を求め、同時に日本国民が要望する中立堅持の保障を米ソ両国の上において、條約の上において求められることができないかどうかという点であります。この日本国民が熱望してやまざる中立堅持の方法について、何か米ソ両国に懇請の道がないかどうか。続いて極東委員会十一箇国に対しても、同様な懇請の方法をとる道はないかどうか。これをあなたにお教えを請いたいと思います。
  88. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 ただいま西村委員の御発言の中に、戰争存在の場合に、わが国が、当然中立であるべきであるということは、憲法規定上当然であるということを、私先刻御答弁申し上げました点について、特にそれをお取上げくださいました。この点は私が初めて申し上げる点ではございませんので、過日の参議院におきます吉田総理の御答弁におきましても、総理も、わが国が交戰国に介入しないことは、憲法に明記されておるからというような言葉で、いわゆる戰争が起りました場合に、日本が当然戰争の圏外に立つべきものであるということは、総理も御答弁つている点でございます。この点われわれ何ら国民として疑惑を持つべき点ではございませんし、何人も疑惑を持つていないと確信いたす次第でございます。御質問の、現在の段階におきまして、戰争が起りましたときに、日本中立で行くべきものであるという趣旨の立場をとることについて、関係大国に対して外交上の措置をとることによつて、それを具体化する方法はないだろうかどうかという点でございますが、そういうふうな行き方が、いわゆる可能性のあるような国際情勢であるかどうかということは、これは別問題といたしておきます。技術的にそういうふうな措置をとることが、現状のもとにおいてできるかどうかという点でありますが、これはきわめて簡單でございまして、占領管理下外交権を持たない日本政府としては、そういうふうな重大な外交上のステツプをとり得る立場にないのでございます。
  89. 西村榮一

    西村(榮)委員 この点は、條約局長としては、ただいまの御答弁は無難な御答弁だと思います。しかし問題は大きいのであります。今日外交権を持たざるわが国におきましても、吉田総理は必要に応じて、自分の特使外務省の嘱託というこじつけりくつをつけて派遣されるほど融通がきくのでありまして、これは條約上の解釈ではありません。国策上必要とし、かつまた日本国民の希望であれば、これをかなえるかどうかということにおいて、最善の政治的な考慮を拂うのが、これが政治家である。ただいまのは條約局長の御答弁としては、無難な答弁でありますが、政治上の考慮をあなたに求めるということは要求しませんが、その点総理大臣と御相談の上あらためて御答弁をいただきたいと思います。私はなぜこのことを主張するかと申しますと、わが国が荏苒傍観することのできない多くの国際情勢が生れて来たからであります。一つは軍事的基地の提供の問題であります。私はこの点特におもんぱかつて、本年の一月十二日総理大臣との質疑応答の中に、両者の意見の一致したことは、有條件無抵抗受諾である。従つて軍事基地の問題その他わが国民の千年の運命に関する問題は、国際法によるべきである。こういうふうな解釈をいたしておつたのは、実はこの問題であるのであります。ポツダム宣言、カイロ宣言を見ましても、軍事基地の設定の問題についてはどこにも明記されておりません。従つて私はここにあなたに問いたいと思うことは、この重要な問題が、もしもわが国の具体的な問題になりましたならば、国会の審議を経た後にそのことが決定される。私は日本憲法解釈から、あるいはカイロ宣言、ポツダム宣言からいつて、当然国会の審議を経た後に、さような具体的な問題の可否を決すべきものである、こう解釈するのでありますが、あなたはどう御解釈になりますか。困難でありましたなら、むりに御答弁をなさらぬでもけつこうであります。総理大臣と御知談の上御答弁を願いたいと思います。
  90. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 御質問になりましたような問題が、講和條約の問題になりますならば、講和條約はむろん憲法規定によりまして、国会の承認を必要といたすわけでありますので、国会の議を経ることになると考える次第でございます。
  91. 西村榮一

    西村(榮)委員 講和條約以前に軍事基地の提供を命ぜられたときに、その可否を決するのは国会の議を経てやるのかどうか、命令だけでいいのか。
  92. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 講和條約前の現在におきましては、日本は連合国による連合軍管理のもとにおりますので、当然連合国最高司令官の命によりますならば、その必要と判断せられる軍事的施設に協力すべき義務を負つておる次第でございます。
  93. 西村榮一

    西村(榮)委員 その條約は、どこの箇所にありますか。具体的に言いますが、私が先ほど申したのは、條件のあるものを無條件で受諾したものであるということを明確にしてある。カイロ宣言、ポツダム宣言、降伏文書、この三つの文書か主たるものであつたのでありますが、その中に軍事基地提供を命ぜられ、わが国の憲法に抵触する中立性を脅かされる事項については、これは連合軍司令官の命令あるがゆえにといつて受諾しなければならない條件がどこに明記されておるか。具体的にお示しを願いたい。
  94. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 現在におきましては、日本は軍事基地の要求は全然受けておりません。その点を御了承願いたいと思います。日本政府が最高司令官が占領管理の必要と判断せられるとを命令せられたる場合に、これに服従すべき義務を規定しておる條項は、降伏文書の末項でございます。これは「天皇及び日本政府国家統治の権限は、本降伏條項を実施するため適当と認むる措置をとる連合国最高司令官の制限の下に置かるるものとす。」とあるところでございます。
  95. 西村榮一

    西村(榮)委員 その文書よりも、もつと明確に軍事的に規定されておる項目があります。それはポツダム宣言第十二項、並びに第十三項において軍事上の問題が明確にされております。すなわち連合軍司令官の一切の指示のもとに、日本政府は従わなければならぬということが、降伏文書にあるとともに、ポツダム宣言第十二條には「前記諸目的が達成せられ、かつ日本国民の自由に表明せる意思に従い平和的傾向を有し、かつ責任ある政府が樹立せらるるにおいては、連合国の占領軍はただちに日本国より撤収せらるべし。」軍事上の項目がここに書いておるのであります。同時に降伏文書の中には、この無條件的降伏は、日本国軍隊並びに日本国に属する外国の軍隊に布告すると明示せられておるのであります。特にこの降伏文書に署名せる者は、大日本国天皇陛下及び大日本国の命によつて重光外務大臣が署名いたしております。同じく日本帝国大本営の命により、かつその名において梅津陸軍大将が降伏文書に署名いたしております。この降伏文書に署名された二人の代表は、これはポツダム宣言並びにカイロ宣言において否定されておる古き日本の政治形体の代表者であります。これを否定せんがために、今回の戰争が行われ、その後における民主的にしてかつ自由なる国民意思によつてできた政府を信頼して、それを中心にして日本を交渉の相手にしているこの條約から申しますれば、私は降伏文書よりはむしろカイロ宣言並びにヤルタ、ポツダム宣言の諸條項の方が重しと解釈しておる、優先的にこれは取扱わなければならないと解釈しておりますが、それはどう御解釈になつておりますか。
  96. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 カイロ宣言はポツダム宣言に取入れられまして、ポツダム宣言を降伏文書によつて受諾いたしております。この三文書はその間に優劣の差はないと考えております。
  97. 西村榮一

    西村(榮)委員 あなたの見解と私の見解とは違うのでありますが、しかしあなたのお立場を尊重いたしまして、私は総理大臣からもつと御見解を承りたいのでありますが、これは大きな問題でありますから解決は留保いたしておきましよう。私は本日御質問申し上げたいことがたくさんあつたのでありますが、総理大臣がお見えにならないし、皆様のお立場を尊重いたしまして、主として憲法上の解釈、條約上の解釈について政府の見解をただしたのであります。このことは單に社会党だけではありませんで、共産党を除く野党連合の申合せによりまして、並木委員と私が、一応中立の問題、軍事基地の問題、それから国会の自主権の問題について疑問とするところを明らかにしておきたい、こう思つたのであります。  ただ最後に明らかにしておきたいことは、ともすれば国際情勢がわが国の中立性を脅かすという諸條件が生れて参りましたときに、一体日本国民は何を希望するか、すなわち世界の陣営が東欧側、ソ連側と西ヨーロツパのブロツクの二つにわかれたときに、国民は一体どこのグループに入りたいと希望するかということを国民投票に問うて見ますならば、特殊な人を除いては、西ヨーロツパの民主主義のグループに入りたいと希望するでありましよう。私は端的に言います。共産党の諸君は笑うかもしれないが、それはなぜ日本がそのことを希望するかと言えば、西ヨーロツパ側における原理は、人間の自由と人間尊重の原理から来る各国の自主性を認めておるからであります。ソ連側に立ちますならば、人間の自由と人間尊重の原理は否定せられて、そこに各国の自主性を抹殺されておるのであります。これは共産党の諸君が何と抗弁しようと、日本共産党自身が今日コミンフオルムの一喝によつて縮み上つておる現状は、明らかに自主性がないということを表明するものである。従つてこのことを明らかにいたしまして、われわれの方は、西ヨーロツパ側のグループに入りたいという国民の心理を解剖してみますならば、先ほど私が申しましたように、人間の自由と人間を尊重する。これは近世文明が闘いとつた原理であります。これを尊重するという建前が西ヨーロツパ側に存在するがゆえに、日本国民はどちらに入りたいかといえば、このブロツクに入るということを表明するでありましよう。無條件ではありません。これは條件がついておる。ところが不幸にして日本国民の自由が否定せられて、国家の自主権がここに否定せられて、人間尊重の原理も否定せられて、日本国民が奴隷的な立場に突き落されるといたしますならば、日本国民は、西ヨーロツパ側に魅力を感じておる現在の心理に向いましては、再検討をするであろうと思うのであります。この点におきまして、私はマツカーサー元帥の示された高い人道的な見解、あるいは日本憲法が、ともすれば否定せられるの傾向を生じて来るということは、はなはだ具体的な日常の政務執行の上において、遺憾なりと考えておるのでありまして、これらにつきまして私はもつと十分に総理大臣の見解をただしたいと思つておりましたが、私は速記を通じ、かつ皆様の言葉を通じて、総理大臣にその意思を伝えて、総理大臣の見解をお聞きしたいと思つております。一応私の質疑はこれで終ります。
  98. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 大分いろいろ問題が出、あとから非常にはつきりとした御意見も出まして、中立論について相当私真劍に聞いておりましたが、大体その正体ははつきりして来たようであります。そうなると、これは吉田総理が一蹴したのもむりはないという話になつて来るのであります。しかしその点はさておきまして、私は、はつきりお伺いしたいのですが、西村條約局長は、中立問題についての條約上、あるいは事実上のいろいろな問題について、三つの場合があるというようなお話でありましたが、それにつきまして、大体野党連合の委員の方の言われておることも、あるいは條約局長の言われておる中立という問題も、すべて戰争の場合を想定して、戰争の場合の中立ということが問題になつておるようでありますが、私はその点は、いささか国際問題を論ずるにあたつては、少しふぬけの議論じやないかと思う。これは私が申し上げるのもおこがましいわけですが、戰争は政治の延長であるという有名な言葉もある通り戰争というものは決して地からわいたり天からおりて来るものではない。これはすベて政治の延長として生れて来る。少くとも今日の日本の状態について、わが国がどういう状態になつておるかということを考えずして、中立、いや中立でないという論議をしても、これはまつたく無意味なことになつて来る。これは国民に対しても誤つた観念を與える。その点で一体日本の現在の政治が、すでにどういう状態になつておるか、すでに中立じやない状態になつておるのじやないか、こういう事実を無視して、ただ戰争が起つた場合に中立を守るということは、実際上は不可能なことであり、また現実をおおい隠すところの欺瞞にしかならないと思う。この点につきまして、私は今日の日本の状態につきましては、外務委員会において吉田首相にもいろいろお尋ねしたことがありますので、ここで繰返そうとは思いませんので簡單に申し上げたいが、日本の軍事基地化が実際に進行しておる、ここで私お尋ねしてみたいと思いますが、もしわれわれが主張するように、既成の事実として日本の軍事基地化が進行しておるという状態になれば——ほかにもいろいろな問題があります。ほかにもいろいろ政治上の問題がありますけれども、それだけを察してみても、日本はすでに中立の状態でない状態に来ておると思うのですが、西村條約局長は、もう一度あらためて聞きますが、日本の軍事基地化が進行しておるという事実はないとお考えになりますか。
  99. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 現在日本におきまして、日本の軍事基地化が進行しておる事実はないと信じております。
  100. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 それにつきましては、この間吉田総理がただ一回出て来たときの席上で私尋ねました。ところが、その前に参議院におきまして同様の質問があつたとみえまして、そのときに吉田総理は、軍事基地を設定することに協力することは、占領下日本の義務であるとい趣旨のことをはつきり答弁された。私その点をとらえまして、いろいろと国際文書によつてどこにそういう義務があるかということを聞きましたら、吉田総理は最後に、進駐軍に聞いてくれ。非常に御名答だと思うのです。こういうあれがありまして、大体これは事実として、りくつとしてではなくして吉田総理もこう答弁しております。しかも日本の軍事基地につきましては、大体アメリカの通信社や日本新聞までも、日本のどこそこにあるいは幾つ海軍基地や空軍基地があるということまで報道しておることは、もう繰返し繰返し出ておりました。西村條約局長は、よもや新聞を読んでいないことはないと思うのですが、私はもつともつと深いしさいがあると思いますけれども、少くとも新聞にもこういう程度のものが出ておる。この事実をどういうふうにお考えになりますか。
  101. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 総理が御答弁になりましたときには、私もそばにおりました。よく記憶しておりますが、総理は聽濤委員質問に対しまして、占領軍最高司令官が占領のため必要と認められる施設には、命令によつて日本はこれに協力する義務がある、協力しておる、こういう御答弁があつたのであります。軍事基地云々ということは、答弁いたされておりません。
  102. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 これは私はあなたとこれ以上そのことを言う必要はない、もう事実として現われておりますから言う必要はありませんが、もう一つお聞きしたいのは、中立ということは、野党連合の委員の方の場合を聞いておりましても、国際情勢が非常に危急な状態になつて来ておる。そこでこの中立の問題というのは日本国民の要望として出て来る、こういうふうに言われております。非常にごもつともなことでありますが、一体どの国際情勢というものには、当然日本の状態を含んでおるものであることは言うまでもない。その場合に特に問題になつて来るのは、ヨーロツパにおきまする日本と同様の立場にあるドイツと、極東におきまする日本というのが、今日国際情勢の大きな焦点になつていやしないか。われわれが国際情勢と言う場合に、日本の現在の状態や地位、あるいはこの中における吉田内閣の政策、こういうものを無視して国際情勢を云々することはできないと思います。これはきわめてあたりまえのことでありますが、そういたしますと、今非常に世界を震憾させておる戰争か平和かという問題の焦点は、これはとりもなおさずヨーロツパではドイツ、極東においては日本がどういう状態になるか。非中立の状態にすでになつて、しかも條約局長も御存じのように、日本は有名な防共の基地である。これは世界に知れ渡つておる。この中で一体われわれが国際情勢を論ずる場合に、日本のこの状態を拔きにしては、もはや国際情勢というものが論ぜられないことは明らかだと思います。私、大体そういう見解を持つておるのですが、戰争か平和かという端的な問題について、日本が一体どういう方向を進みつつあるのか、どういう立場に立つておるとあなたはお考えになつておるか、お伺いしたい。問題を少し簡單にいたしますと、あなた方も外交関係におきましては專門家であり、過去の外交の歴史もよく御存じである。従つてわれわれよりもはるかに国際情勢についての知識、また判断の能力というものは持つていられるはずなのであります。おそらく私が申しますように、日本の現在の状態というものは、極東における防共基地として世界の政治の現実の問題になつておると思うのですが、あなたはその点は同意なさいますか、どうですか。
  103. 島津久大

    島津政府委員 お答え申し上げます。ただいまの御質問の次にどういう御質問が出て参りますか想像できないのでありますが、ドイツの地位日本地位も、非常に世界政治の間で重要であることはもちろんでございます。しかし日本としましては、従来から申し上げますように、情勢は別といたしまして、外交的な活動は禁ぜられており、またできない立場にあるわけであります。従いまして世界全般の情勢の判断というものも、責任を持つたお答えはいたしかねる次第でございます。ひたすら日本としましては平和的民主主義にのつとつて国家を再建するということにあるだけだろうと思います。
  104. 岡崎勝男

    岡崎委員長 聽濤君にちよつとお断りいたしますが、関連質問はなるべくしないことに先般の理事会できまつておりまして、御承知の通りであります。なおあとに発言を待つておられる委員もたくさんありまして、聽濤君もその衣の順位になつておりますので、できるだけ関連質問は簡單にお願いしたいと思います。
  105. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 簡單にやります。もう一つだけお伺いしますが、同じような質問意味になりますけれども、角度をちよつとかえてお伺いしたいと思うのです。今、日本国民も、戰争があるかないかというようなことで非常に関心を持つておる。しかしわれわれ政治家としまして、これは易者や八卦見ではないのでありまして、いつ戰争があるか、あるいは起るかどうか、そういうかけ事に関心を持つておるわけではない。つまり戰争が起るかどうかということは、今申しましたそういう国際情勢の結果として起つて来るのですが、この国際情勢の中に、日本とドイツの占める比重というものは非常に大きい。この点はおそらく同感であると思いますが、そうしますと日本政策というものが——これはなるほど占領下であり、いろいろなことをあわせて私は言うのですが、日本行つておる政策というものこそが、国際情勢に重大なかぎになつておる。これが現実の問題ではないか。その中で、いろいろな異論はありましようけれども、軍事基地化の方向がとられておる。あるいはここでは西村君のような紳士に至るまで明らかに中国やソ同盟に対する非常に悪意に満ちた敵視的な運動すら行われている。そして一方におきましては、これを裏書きするごとく、中国、ソ同盟におきましては、日本からの侵略云々をうたいまして、中ソ條約までもできておるという現実の問題になつて来ておるのですが、ここで戰争が起るかどうかどころではなくて、戰争の基地になりつつあるのはどこの国だ、戰争の前進基地になりつつあるのはどこの国だ。これが実際日本にとつて、生るか死ぬかの重大な問題になつて来ておる。こういうことを拔きにして、一体外交論議があるのか。あなた方は、外務省では全然そういうことを考えちやいかぬのですか。條約だけいじつておればいいので、そういうことを考えちやいかぬというのですか。どういうふうにお考えになりますか。およそ国際情勢を論じ、外交を論ずる場合に、国際情勢における日本地位と、しかも日本の中における政治の性格、その中における日本の現実の姿を無視してこの外交などというもの、国際情勢なんというものはありようがない。非常に明瞭な形で現在の日本戰争の方向へどんどん推し進められておる、こういう点を無視して、いや戰争はないの、あるの、まるで八卦見かなんかのようなことを言つていて、その中でまた中立とか中立でないと論じられても、まつたくこれは国民を欺瞞してしまうと思うのです。そういう包括的な私の意見に対して御所信がありますれば承りたい。
  106. 島津久大

    島津政府委員 日本地位あるいは日本向う方向が非常に大事だということは、これは当然のことと思うのであります。しかし日本が今戰争の危險の方に向つて進みつつあるとは、毛頭考えておりません。
  107. 岡崎勝男

    岡崎委員長 この次の発言順は竹尾委員になつておりますが、先ほどから高橋検務局長が来ておられまして、時間の都合上出かけなければなりませんので、ちよつと竹尾君の御質問を待つていただきまして、聽濤君にこの点だけを検務局長質問を許します。
  108. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 川村さんにこの前中国人捕虜の虐殺事件が明るみに出て来て、これについて秋田の花岡鉱山の事件と信州木曽谷の事件について御質問しまして、すでに調査を開始しておるという話でありましたし、それから調査の結果はこの委員会に報告するという話でありました。そこでこの前、実はあなたのかわりに法務総裁がお見えになりましたので、この点重ねて聞きまして、会期末までにぜひ報告してもらいたいといつて私要求しておいたのですが、今までの調査の結果を、ひとつどういう事実が現われて来たか、どういう調査をなされましたか、承りたいと思います。
  109. 高橋一郎

    ○高橋(一)政府委員 お答えいたします。木曽川の方の事件は先般こちらで問題になりまして、初めて私もその事実を知りまして、ただちにたしか四月十四日であつたと思いますが、現地の検察庁の方に調査を命じております。その後検察庁の方からは、私ども行つてやります前にすでにそういうことの端緒を得ておりまして、国警の方に捜査を命じておるということがわかつたのであります。しかしその捜査の結果はまだ回答に接しておりません。  また総裁が今会期末までに云々と申されたことは、おそらく中間報告でもするという意味かとも思いますけれども、あの問題は私どもの專門的な技術的な面から考えましても、そう簡單に早く御報告申し上げる段階にまで至るとはちよつと思えないのでありまして、検察庁の方では誠実にこれを調べておりますので、まだ具体的に内容をお話することはできない段階にあります。  花岡鉱山の方も同様でございまして、次の国会には御報告ができると思いますが、今度は間に合いませんので、御了解願いたいと思います。
  110. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 その点につきましては、御承知でありましようが、在日華僑総会で調査した報告書なんかもわれわれはもらつておりますし、ほかの委員の方ももらつております。すでに第一回、第二回の報告書も出て、かなり具体的に事実が相当出ておりますが、大体今までのところそういう方向の調査、華僑総会の報告を裏づけるような事実がどんどん現われて来ておりますか、それともどういう種類の調査が行われておりますか、その点だけお伺いしたいと思います。
  111. 高橋一郎

    ○高橋(一)政府委員 ただいまのような事情でありまして、まだ捜査の具体的な内容につきましては、私どもも存じておらないのであります。華僑総会の方からの文書も私どもも入手してございますけれども、そのような内容が出ておるかどうかということも申し上げかねるわけであります。ただ華僑総会の文書は具体的にとおつしやいますけれども、なかなかあれでは私ども観点から申しますと、その後の調査は非常に困難なように思いますが、ただ検察庁といたしましては、どういう立場考えないで誠実に調査いたしておりますことだけを、御了解願いたいと思います。
  112. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 私はその言葉を信頼したいのでありますが、大体こういう事柄というものは、国際的な関係に影響を及ぼす重要な事柄でありまして、特に今の日本の政治状態から行きますと、こういう点がおそらく在日華僑総会やあるいは中国の側から見て、どうも日本の政治のぐあいを見ておると、これはうやむやにされるのではないかという疑いを持つ当然な理由もある。そういう疑いのある際でありますから、しかもこれについてあなた方の專門的な立場からはどうか知りませんが、相当はつきりした事実がここに報告されておる。証人として個人的にはつきり事実を述べておる人もありますし、いろいろな当時の責任者の氏名までもはつきりしておる。これは日発関係だけでなく、警察関係から、請負関係からすべて人の名前まではつきりしておる事件でありますから、これは調べようによりますと、相当急速にわかるはずだと思います。しかしこれは水かけ論になりますから言いませんけれども、在日華僑総会が最近調べました報告によりますと、どうも現地では調べるどころか、もみ消し運動をやつておるらしい形跡がある、こういう報告が実際ここに出て来ておるのであります。それは実際に終戰の直前にすでに関係官庁、組合、警察、土建会社などによつて、もみ消し運動が行われた形跡がある。このことが一つでありますが、特に最近は国会外務委員会へこの問題が取上げられましてから、急に現地でもみ消しの運動が始まつておるらしい。しかし十分なことはもちろんわかつておらない。この中でたとえば四月中旬に長野県の林警部補と称する者は、ほか三名を伴つて木曽の労連、三岳発電所、福島の警察、役場に姿を現わし、次の数事項にわたつて調査をしておる。組合内部の首謀者と外部との連絡、本調査発表の主目的、発表日時及び何々、電産の調査した事実の真偽、証人に対する示威行動の有無、こういうことを調査しておる。まつたくこれではもみ消しをやつておるとしかとれない。しかも逆に組合に威嚇的な圧力を加えておる。特に新聞「労働戰線」でこの事件について、いわば証人として自分の知つていることを発言しておる日発の社員である三浦百合子というのはその後親の命令で日発をやめておる。こういう事実も出ておる。こういうことがほかにもあるらしいのですが、一々読み上げておるときりがないからやめますがこういう事実が行われておる。あなた方は調査すると言いながら、実際はもみ消しをやつておるのではないかという疑いを在日華僑ははつきり持つておる。私もそういう疑念を持たざるを得ないのでありますが、これについてはつきりした事実をお伺いしたい。
  113. 高橋一郎

    ○高橋(一)政府委員 先ほども私が申し上げました通り、具体的な捜査については存じておりません。ただ今伺いましたような捜査は、証人側の者をかえつて恐れさせるような方法でありましたならば、これは不適当と思います。しかしながら今回の事件のように相当の顯著な事件と称せられておつて、しかも終戰当時、相当そういう方面のことが現われるはずであつたにかかわらず、当時現われないで、四年後の今日になつて問題となつたという場合には、それ以外の場合でも告発する側の調べを十分にいたしませんと、公訴の維持ということは困難でございます。ことに今回の事件のようなものでは、そういう捜査も当然行われなければならないのでありまして、お話を伺つただけでは、もみ消しをやつておるというような印象は、私どもとしては受けません。しかしもちろんもみ消しや何かの入る余地のないように、十分現地検察庁にも連絡いたしまして、調べることといたします。
  114. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 検務局長は、そういう調査をしなければならぬと言つておりますが、ここに事実に現われて来ておるのは、組合内のこの事実を摘発した首謀者、そしてそれが外部と連絡があるかどうか。そういうことを調べておるのですから、これらはこの事件の調査とは全然意味が違います。もういつでもあなた方がおやりになる、何かというと組合いろいろな団体に対して、非常に威嚇的な、まるで別な方向の調査をやつておる。まるでこれは思想調査か、特高調査みたいなやり方である。こういうことが事実現われて来ておる。私はあなたの言葉をとても信ぜられないような気がします。  それはまあさておきまして、もう一つお伺いしたいのは、この俘虜取扱いの直接の責任者としましては、日発関係では、現日発総裁の大西英一、東海支店長の石川榮次郎、そのほか数名の名前がはつきりとわかつております。警察関係でも、当時の県特高課次席花岡修外七名の名前まではつきりあげられておる。請負業者関係でも、間組、飛嶋組、鹿島組、熊谷組、通訳では西、その他の名前まではつきり出しておる。これだけの人があつて有無が調査されないということは、あり得ないのですが、この人たちをあなた方はお調べになつたことがありますか。
  115. 高橋一郎

    ○高橋(一)政府委員 具体的な捜査は私としては実は存じておらないのでありまして、従つてただいまの御質問にも御返事はいたしかねるのであります。
  116. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 それならばお伺いしますが、これだけのはつきりした報告書まで出て、事件の外貌も伝えられておる。これを一つのよりどころとして、調査も当然進めらるべきである。ほかにも材料があるかもしれぬ。あるならばここに出してもらいたい。こんな華僑総会の報告書だけでは当てにならぬ。ほかでどうもこういうことがあつたらしいという確信があるので、調査をやつておるのでしよう。この華僑総会の報告書を信じないならば、ほかの根拠をひとつ出してもらいたい。しかしもしこれを信ずるならば、これはなるほどこの人たちに責任があるかどうかは調べてみなければわからぬのですが、当然あなた方の方から検察庁に対しましても、こういう方針、こういう方針、ということを指示しなければならぬと思うのですが、あなたは指示も方針も何も與えないで、ただかつてにやらしておるというのですか。
  117. 高橋一郎

    ○高橋(一)政府委員 いろいろな大小の事件におきましても、検察庁が第一の責任者となつて、十分に捜査を完結いたしておるのであります。法務府といたしまして、その個々の事件につきまして、一々具体的なさしずをしたりなどということは、通常いたしませんのです。
  118. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 それではもう一つお伺いしますが、この責任者としては、在日華僑総会があげております警察関係の人たちの中には、追放令違反に該当しておる者がある。たとえば当時の長野の特高課次席であつた花岡修が、現に追放を免れて松本地区警察署長の地位にある。また同じく当時の特高警察の現場に常駐していた宮坂某という警部補は、これはひどいことをやつております。捕虜が空腹にたえかねて村民の桑の葉をとつて食べたことに対し、軍刀で指導員をなぐるというようなひどいことをやつておりますが、これは小諸で同じく警察で重要な地位にある。こういうことも明らかになつておりますが、この点についてもお調べになる気はありますか。
  119. 高橋一郎

    ○高橋(一)政府委員 私ども立場は、追放令違反者の政治活動といつたものの捜査、訴追といつたことはいたしておるのでありますが、この者が追放になるべきであつたかいなかというような方は、関與しておりません。それは当然その方の所管の方で、十分心得ておるべき問題であると考えております。
  120. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 これ以上私は聞きませんが、最後にお伺いします。いろいろあなたと私の間で多少議論の応酬をしましたが、ここで碎けてお伺いしますが、いつごろ大体調査は完了するお見込みですか。
  121. 高橋一郎

    ○高橋(一)政府委員 これはちよつと事件の成行きをもう少し調べてみませんと、申し上げるわけに参りません。しかしこの次の国会がいつごろ開かれますかも存じませんけれども、おそらく数箇月の余有期間があれば、何らか、その最終的なことでなくても、もつと具体的な内容の御答弁ができるものと考えております。
  122. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 私は検務局長については、これで質問を打切ります。しかし委員長ちよつとお伺いしますが、今後、すでに中国におる日本人の帰還問題なども問題になつておる。それから中日貿易というようなことも問題になつて来ておる。ましてそういうことを拔きにしましても、あの第二次大戰中における、日本軍の中国における犯罪の数々というものは、隠れもない事実である。ほんとうに今後ポツダム宣言を実際に実施して、日本が独立を獲得するためにも、こういう国際信義にもとるこれらの事実につきましては、われわれは外務委員会としても十分調査すべき必要があると思いますが、たとえば、この委員会におきまして、証人を喚問して調べるとか、あるいは現地にこの外務委員会から調査団を派遣するとか、こういうくらいのことは、この中日間の重要な問題になつておるこれらの事件について、当然われわれはやる必要があると思いますが、私は委員長の御見解を承りたい。
  123. 岡崎勝男

    岡崎委員長 委員長委員の多数の意見に従うばかりであります。理事会においてそう決定されれば、その通り従います。
  124. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 よろしゆうございます。
  125. 岡崎勝男

    岡崎委員長 武尾弌君。
  126. 竹尾弌

    ○竹尾委員 私は外務当局に対しまして、この間川村政務次官にお断りいたしたのでございますが、全面講和の問題で、相当国民がその点に疑いを持つておるのではないか、こういう点が考えられますので、しかも今日おそらく吉田内閣の不信任案が上程されるでございましよう。その上程決議案理由といたしまして、吉田内閣は講和会議に対しては、單独講和、並びに中立放棄によつて国論の分裂を策し云々、こういうような理由新聞に出ております。そういう際でございますから、單独講和であるとか、全面講和であるとかいうような問題をめぐつて国民相当これに関心を持つておる。相当どころでなく、非常に関心を持つております。こういう点で先般吉田外相は、全面講和は趣旨において賛成である、川村政務次官も同じようなことをおつしやられた。しかも聽濤委員質問に答えて、それは聽濤委員の議論として承つておくというようなことをおつしやいましたが、その点について、私ははつきりした政府の見解を、それこそ中外にこれは声明しなければならぬということを感じますので、その点についてお尋ねしたいと思うのであります。  世界に二つの民主主義がある。こういうことはだれでも知つておることでありまして、その二つの民主主義に関連して、たとえば全世界の労働者の組織の点についても、一例をあげれば、ソビエト共産党の指導を受けている世界労連と、これから脱退した自由世界労連というものがある。そういうことに結局は関連いたしますが、全面講和の問題についても、共産党が理論的に指導しているところの全面講和論と、そうでない講和論がある、こう見なければならぬと思う。それには明らかに一九四八年の八月末、ボーランドで、ボーランドの、今ウラスロウと言つているようですが、前のブレスロウ、そこで文化と平和のための世界知識人大会というものが開かれている、それにはソビエトの一流の作家であるフアジエーフあたりを先頭にいたしまして、世界の一流どころに位する知識人が約六百人ばかり集りまして、この大会を開いた。その大会の決議によりまして、現在パリに本部が置かれておりますが、平和擁護国際常設委員会というものが現在パリにできておる。この委員会の指導によりまして、世界的にいわゆる全面平和会議というものを開け、こういう指令を出している。そうして昨年の三月末にはニユーヨークで、四月にはパリで、同じく昨年八月にはモスクワで大きな、非常に盛んな大会が開かれました。その後続々各地にそうしたいわゆる平和大会というものが開かれております。おそらく東京でも開かれたと思いますが、そういう大会が開かれている。ところがこの大会の経過を見ますと、これはソビエトのいわゆる理論的指導者の平和論というものを全面的に受入れまして、そうしてこれに礼讃の辞を贈つて、終始ソビエトの外交政策を礼讃している。こういう点が明らかにされている。そうしてこの決議や宣言を見ますと、それは、真の平和はプロレタリア・デモクラシーの確立なしには不可能である、こういうことをはつきり言つているそこでそのプロレタリア・デモクラシーを確立させるためには、究極においては平和ということになるかもしれないけれども、その過程においては、これは平和ではなく、戰争を主張している、こういう点が明らかにされるのでありまして、その点から考えてみると、こうした続々と開かれつつある平和大会というものは、ソビエト外交の、いわゆる一翼をになつているものであろう。こういうように判断して間違いないと思う。それに関連して、最近特に考えられることは、全世界的にこの共産党の諸君は、民主民族戰線ということを主張しております。民族の独立と平和の確立を急速に実現しなければならぬということを言つておりますが、それはとりもなおさず、ソビエト共産党が最初のコミンテルン設立当時に返つた世界政策を断行する。つまり一面においては、民族問題の究極的解決をはからなければならぬ、こういうことになると思います。民族問題の究極的解決とは、私はこれはスターリンの言葉をかりるのでありますけれども、これはここで共産党の理論を言うわけではありませんが、スターリンの民族問題の解決というものは、つまり第一次世界大戰直後の、あの講和会議のときに問題になりました少数の白色民族の独立、つまり当時民族自決権のもとに独立したところのポーランドとか、チエコスロバキアとか、そういういわゆる少数白色民族の自決ではない。問題は東洋における有色の、黒色の、黄色の、そうしたいわゆる彼らからいう被圧迫民族を解放しなければ、とうていこの民族問題の究極的な解決はできない、こういうことを言つておりますが、今現実に問題になつている民主民族戰線というものは、まさにそういうことの実現を表現したところの政策である。こういうふうにとらざるを得ないと思う。そうなりますと、冷たい戰争は西ヨーロツパからアジアに移つたといいますが、これはアジアに移つたのではない。ソビエトの最も目標とするところは、そうした有色被圧迫民族の解放である。これは彼らが民族自決権に対立いたしまして、民族の国家的分立権、こういう言葉をもつて呼んでいる。そうした国家的分立権ということは、ソビエトの指導のもとにおいて、いわゆる少数民族が独立して行く、アジアにおけるそうした少数民族が独立して行くのだ、こういうことをソビエトの指導のもとにおいてやるのである。それはつまり究極においては、ソビエト式の平和であるけれども、その過程においては、これを闘い取るために一つ戰争の手段に訴えなければならぬ、こういうふうにも解釈されるのでありまして、現在ソビエトの叫んでおります全面講和論というものは、そうした理論的な基礎を持つていると私は考えますが、そうした全面講和論に、政府がこれに共感を感ずるというようなことになりますと、非常な問題であると私は思いますので、ただ單に全面講和論を、これは趣旨として賛成であるとか、あるいはまたそれはお説として承つておきますということではなく、ここに政府の見解として、自由党内閣は戰争の点火者である、挑発者である、保守反動内閣である、こういうことを盛んに言われておりますけれども、この全面講和論に対しまして、もう少しはつきりした政府の声明というものを私は要望するのでありまして、その点についてひとつ政府の明確なる御見解を中外に声明する御意思はないかどうかということをお尋ねしたいのであります。
  127. 川村松助

    川村政府委員 お答えいたします。第一問の全面講和の範囲でありますが私の全面講和と答弁いたしました範囲は、中ソを含んだものであります。それから聽濤委員の御意見を承つておきますと、こう申し上げましたのは、全面講和でなければならぬ、いわゆる多数国講和ではいけないという意味に対しましては、政府といたしましては、承つておく、こういう意味で申し上げました。共産党が唱えられるところの民主民族運動云々ということにつきましては、竹尾委員の御意見として承つておきます。
  128. 竹尾弌

    ○竹尾委員 これは私の意見ではない。そうしたソビエトの文献を見ると、はつきりそういうレーニン、スターリン主義——文献を見るとそういうことになつているので、私の意見を申し上げたのではないのであります。そこで今聽濤委員もいろいろ軍事基地化の問題が、これは非常に重要性があるということでありますが、もちろんそういうことになりましようが、すでにソビエトの勢力が、そうした民族問題の究極的な解決を目ざして東亜に伸びて来ている以上は、これに対して軍事基地化ということもあるいは当然の問題になるのではないかと私は思うのです。すでに戰争があるかないか、これは私も吉田首相に何回かお尋ねいたしましたが、戰争は、勘によつて、ないということでありましたが、これは私としてはいささか見当はずれだと思います。国際情勢はそんなものではないと思います。今非常に緊迫した情勢下にあるということは、これは聽濤君と私も同感なのでありまして、そういう点はもつとはつきり、全面講和と申しましても、全面講和はそんな簡單なものでないということを政府が表明する必要がある。これは非常に誤解されているのです。趣旨としては賛成であると言うけれども、趣旨としても賛成しがたき点があるのではないか。これは私の意見なのでありますが、大いにあるのでありまして、そういう点もいろいろ悪口を言われておりますが、政府がこの際全面講和の内容をはつきり国民に知らしめる。また平和擁護連盟とかはたいへんな世界的な組織を持つておりますが、その組織云々というような点も、一応明らかにする必要があると私は思うのですが、もう一度政務次官の御見解をお伺いいたします。
  129. 川村松助

    川村政府委員 御希望御意見はごもつともでありますけれども、現在置かれている日本立場におきましては、政府としてそういうことに対する声明は時期じやないと思います。
  130. 竹尾弌

    ○竹尾委員 時期じやないということは、そういう声明を出す必要はないということですか。そういう必要はあるが時期じやない、こういうことでございますか。
  131. 川村松助

    川村政府委員 今日のところにおきましては、そういう必要はないと思います。
  132. 岡崎勝男

    岡崎委員長 山本君。
  133. 山本利壽

    ○山本(利)委員 吉田総理も御出席になりませんし、時間も非常に過ぎておりますから、ごく手近な問題を簡單に御質問申し上げます。日本の領土ということが国民の非常な関心を引いているわけでありますが、千島、ことに南千島に対しては、その希望なり意見なりがしばしば開陳されておりまして、当局におかれてもこれが日本の領土であるべきものだということを証明する資料が、連合軍の方に対しても提出されているということを聞いたのであります。一方琉球は、現在それが軍事基地化されつつあるとかないとかいうことは全然別問題といたしまして、元三府四十三県の一つとして内地の中に数えられておつたのでありますが、この琉球が歴史的に見てもわが国の領土であるという資料、並びに国民の希望が連合軍の方にも達せられているかどうかという点を、まず最初にお伺いいたしたいと思います。
  134. 島津久大

    島津政府委員 ただいま御意見のような資料は適当な筋に提出してございます。
  135. 山本利壽

    ○山本(利)委員 ところがいかに資料が提出されましても、それがはたしてわが国に帰属するかどうかということは疑問でありますが、現在の情勢下においては、それが日本に返り得る可能性があると思われるか。あるいはアメリカの領土とせられるらしいか。あるいはまた国連の管理下に置かれるか。現在の情勢下における当局の見通しはどうでありますか。
  136. 島津久大

    島津政府委員 今年の一月にアチソン国務長官が、琉球の地位について、ナシヨナル・プレス・クラブで説明をされたことは御承知の通りと思います。そういうことがありますが、将来どういうふうになるか。この可能性という話になりますと、これはやはり講和会議の際に決定されることと思いますので、ただいまのところどうなるかという予想は、われわれとしては正確なところは申しかねる次第であります。
  137. 山本利壽

    ○山本(利)委員 次に中共は近く台湾を攻略するであろうというようなニユースもありますし、一方それだから米国はこれを死守せねばならないというようなニユースもあるわけであります。そういう状況下において台湾に独立運動が起つて、台湾の独立連盟というものが組織されて、しかもその運動が日本内地においても行われているということは、四月十五日発行の日本週報にも明らかに出ているところでありますが、この伏見及びこの運動は、現在の状況ではますます発展して、独立を達する運動として相当な勢力となり得るものか。あるいはそれの台湾及び東亜に及ぼす影響というものについて、現在考えておられるところをお伺いしたい。
  138. 島津久大

    島津政府委員 台湾の独立運動につきましては資料を持つておりませんので、どの程度発展するものかという見当はつきかねる次第であります。
  139. 山本利壽

    ○山本(利)委員 今の問題に対して與謝野局長は何か御調査になつているところはありませんか。すでに今申したたように日本週報にも堂々と書かれて、世の中に発表されている問題であります。
  140. 與謝野秀

    與謝野政府委員 お答えいたします。ただいま政務局長がお答えしたところにつけ加えて申し上げるところはないのであります。新聞、雑誌その他に伝えられるところで、また独立運動者と称するもので東京に参つているものなど、いろいろな分派があるということも耳にいたしているのでありますが、国会において御報告申し上げる権威のある資料というものは入手しておらないのであります。
  141. 山本利壽

    ○山本(利)委員 先ほど来お伺いいたしました沖繩、台湾等に関することについては、私の意見なりいろいろ希望もございますけれども総理の御出席のないときには意味をなさないから、私の質問はこれで打切ります。
  142. 岡崎勝男

    岡崎委員長 小林進君。
  143. 小林進

    ○小林(進)委員 時間もありませんし、特にきようは外務大臣がおいでになるというので、おいでになりましたら二、三質問させていただきたいと思つたのでありますが、おいでになりませんので、そのうちの一つだけをお伺いしてやめます。  今期国会も終末になりましたので、この外務委員会の会期を通じて、実は私ははなはだ悲観をいたしたことがございますので、冒頭にそれだけ申し上げておきたいと思うのであります。それは外務省の首脳部のお方の御勉強や專門知識には、私は実は敬服いたしたのであります。敬服はいたしましたが、しかしその間を通じて今わが日本がまさに百年の大計を誤るかいなかのどたんばに遭遇している思えばまさに重大なる時期だと私は思う。こういつたところに、いわば外交の中枢部におる高級官僚の方々の、腹の、信念のぐあいを実は私はこの委員会を通じて見たかつたし、感知したかつたのであります。おもむいて国家の大難に当るというような、そういう信念的な腹のきまつた姿やら、そのぐあいを拝見できなかつたことを私ははなはだ残念に思うのであります。ともかく第二次世界大戰においても、これは軍部の罪だという。けれどもそこにはやはりわが国の外交官諸君が、時の権力に阿諛していかに権力のもとに汲々としてその弱さを示したかというようなことに、かつて外交官諸君は、委員長には失礼でありますが、十分ひとつ責任を感じてもらわなければならぬと私は思う。新憲法下にわが日本の生れかわつた今日、外交官諸君もそういう方面に新たなる決意を持つてもらわなければならぬ。ところが御答弁の様子を見ておりますと、終始一貫して、かつて東条軍閥のもとに外交官が阿諛したがごとく、また新たなる権力、ワン・マン・パーテイといいますか、あるいはその陰に身をひそめる一つの権力、そういうものに鞠躬如たる姿、思想の伸びない卑屈なと言いたいくらいの姿しか見えないことは、私どもは非常に遺憾にたえない。率直に言うとこういう感じを受けたのであります。悪口は大体このくらいにしておきたいと思います。  次に私が特にお聞きしたいのは、これは外務政務次官でもよろしゆうございます。かつて外務省には——内務省の方は私は知りませんけれども、これは外務省の言葉でありますが、俗に英米派あるいは親独派、こういうものが外交官の中にあつて、内部でそれぞれ自己の信念に基いて喧々諤々の議論を闘わされておつた。それが一つの勢力争いにもなつて来たということをわれわれは聞いて来たのでありますが、もちろん英米派というのは、おそらくジヤーナリストや外部の人のつけた言葉でございましよう。しかしその内部においては、おのおのやはり自己の経歴と自己の知識に基いて、英米の進歩的な分野にくみした方がよろしい、あるいはドイツの科学や武力を信じて、そちらの方に日本がくみする方が有利であるというような、それぞれの考えに基いた見解の相違が、英米派あるいは親独派と外部で名づけられたものだと思うのでありますが、そういうような過去の形が、現在の外務省の中に今なおあるかどうかということをひとつお聞きしたいのであります。
  144. 川村松助

    川村政府委員 不省過去一年間の観ずるところでは、英米派も親独法も微塵毛頭そういう形跡はありません。
  145. 小林進

    ○小林(進)委員 かつてわれわれが戰争に突入いたしました当時においては、今の外相吉田さんは、俗に世間の言葉では親英米派と言われた。この方が、この枢軸三国同盟以来反対せられて、特に戰争の末期には、いわば戰争の非協力者として、憲兵によつて拘束せられたということを聞いておりますが、その非協力の根底には、吉田首相のいわゆる親英米派と申しますか、英国と相戰うことの不利を非常に叫んでいられた、あるいは米国と戰うことの不利を信念としておられた吉田さんの一つ外交官の経歴が、もつて、この度の戰争に直面して反対の形となつて現われたのだと思う。今にして思えば、私の言う、もしこれが事実だとすれば、吉田首相のその親英米派的な考え方というものは、実に私はプラスであると思う。わが国のためにその力が積極的に動かないにしても、過去のわが国のためには、非常にありがたかつたと思う。ところが終戰後の今日においては、吉田首相の頭の中に、かつての親英米派の観念でこの戰争に反対をせられたという、その古い伝統の信念がなお今日あつて、その観点のもとに今日の外交に処して行かれるものであるとするならば、今度はこれこそ非常に危險であると私は思う。だからもし吉田さんが過去の英米に味方すべきであるというその考え方そのままで、今日の外交そのものをやろうとおつしやられるならば、非常に危險である。こういうふうに私は考えております。  次に現在は外務省の内部、あるいは外交官畑の中に、もう昔のような親英米派や親ソ派、もちろん親独派は今日ございませんでしようけれども、そういうような形がないとおつしやいましたが、実は私はないということが非常に残念なのであります。ということは、いつも一つのワン・マン・パーテイー、單に外務大臣の言いなり次第で、一つ意見に阿諛して来ただけでは、今日の外務省には精彩がないと思う。できればその内部をいま少し民主的に改革せられて、いやしくも国家百年の大計を立てる立場から、真の日本の平和、中立を維持する立場から、あるいは親ソ派があつてもいいと思う。しかしその親ソ派も聽濤君の言うような共産主義に立脚した親ソ派を言うのではない。いつもわが国の中立と平和を守るという意味において、日本をいかに処理して行くかという観念から、その観点に立つた親ソ派があつてもいいと思う。あるいは反英米派があつてもいいと私は思う。そういう意見が活発に闘わされている外務省を、むしろわれわれは要求いたしたいのでありまして、またそういう内部の意見がわれわれの外務委員会において、できれば皆さんのお口を通じて私はお聞きしたいのであります。單なるおざなりの首相意見だけを裏書きするような精彩も何もないそんなお話を聞いたつて、ちつとも私どもの参考にもなりませんければ、国民に対する哲蒙にもならないのでありまして、そういう意味合いにおいて川村政務次官にお願いしたいのでありまして、いま少し外務省の内部を民主化して、相当意見を闘わせられて、その意見がこうした外務委員会にもそのまま反映するようにしてもらいたい。外相のもとに唯々たる姿を、ひとつ改良するように努力願えるかどうかを、お答え願いたいと思います。
  146. 川村松助

    川村政府委員 ただいまの御希望、御意見に対しましては、御期待に沿うように努力いたします。
  147. 竹尾弌

    ○竹尾委員 これはあるいは痛いところかもしれませんが、今小林委員が、親ソ派云々と申されましたけれども、ロシヤ畑をひいきするわけでも何でもありませんが、今ソビエトの問題が非常に重要な問題であることは、御承知の通りでありますけれども、省内のソビエト関係意見相当重視しているかどうかということを考えて、私この間そんなことで田付さんにもお尋ねしたいと思つたのですけれども、どうも今の首脳陣というのは、局長級の人は全部英米関係の人が多いので、ソ連育ちというのは調査局の第三課長くらいのもので、そうした関係意見がはたして皆様方の方に反映するかどうかということを、ほんとうのところ私心配しておるのです。これは省内の対立ということではないかもしれませんが、もう少しそういう意味合いにおいて、ソビエト関係調査その他のものを最高首脳部の皆さんがもう少し取入れてほしい、こういうことを私考えておるのですが、そういう意味合いにおいて與謝野局長でもたれでもいいのですが、そうしたソビエト関係を圧迫するような気持はないかということについてお答え願いたい。これは非常に露骨な質問で、曽野君をいじめると困りますが、そういうことをちよつと考えるのです。大いにそうした方面も重要視していただきたいということを希望すると同時に、そんなことがありますかどうか、この間お尋ねしなかつたので伺いたい。
  148. 與謝野秀

    與謝野政府委員 ただいま御指摘になりましたように、幹部の者にはソ連に関係の深い者かたまたまおらないのでありますが、これはソ連関係の事務を外務省が等閑に付しておるということではないのであります。また調査局の第三課で、以前の欧亜局の関係調査部の関係を会合わせてソ連関係のことを調査いたしております。ただいまおつしやいました曽野課長以下スタツフが非常に充実しておりまして、調査研究に最も能率を上げておる課なのであります。またここで研究いたしました多くの資料は、外務省幹部及び大臣も常に参考とせられておるのでありまして、むしろ少し他と比して人数が多過ぎはしないかということを常に言われておるほどでありまして、御心配の点はないものと考えます。
  149. 小林進

    ○小林(進)委員 いま一つだけお聞きして終りたいと思うのですが、現在野党共同でわが国の永世中立ということを主張し、それに対して中立を維持するということは理想主義であるというような外国からの批判もあるようでございます。しからばわれわれの言う全面講和——もちろん全面講和を多数講和と呼ばれるかは、私はこれは言葉の上の問題だと思つております。目的は英米の西欧民主主義の国とソビエトと中国を加えた講和條約が成立するかいなかという問題が、全面講和か單独講和かということになるのでありまして、多数講和という言葉の問題にこだわりませんが、ただこの場合、中立と全面講和は理想主義で困難だというならば、今ソビエトと中国を除外した講和か行われた場合に、そこにわが国のいわゆる国家の防衞のために軍備、武装とかいうものがついてまわるということが考えられないかどうかということをお尋ね申し上げます。
  150. 島津久大

    島津政府委員 ただいまの御質問の御趣旨がはつきり了解できなかつたのでございますが、中ソ両国をのけた多数講和の場合は、安全保障の必要がある、全面講和、つまり中ソ両国を入れた場合にはその必要がないというような御意見に基く御質問かと思うのでありますが、もう一度御趣旨をお伺いしたいと思います。
  151. 小林進

    ○小林(進)委員 單独講和の場合には、必然的にいわゆる防衞の見地に立つて軍備が必要になつて来るということが考えられるのではないかということであります。
  152. 島津久大

    島津政府委員 あらゆる場合に日本は軍備を持たないということが確立しておると思います。
  153. 小林進

    ○小林(進)委員 憲法に隠れてそういう法律上の答弁はできると思いますが、事実の面において單独講和の場合に、何らかの形で講和をせざる特定国に対して身を守るというような形が生れて来るのではないか。事実の推移についてお尋ねしておるわけであります。
  154. 島津久大

    島津政府委員 ポスダム宣言をごらんになつても、また先ほど申しましたような日本憲法の建前から申しましても、日本の再軍備というものはあり得ないものと考えます。
  155. 小林進

    ○小林(進)委員 とうてい御答弁には満足できないのでありますが、事務当局といたしましてはまずその程度だと思いますので、私の質問を終わります。ただ会期の終りでもございますので、どうか国民がいかに戰争を恐れ、いかに講和問題に心血を注いでおるかということを御認識になり、よく時局の波の動きを御認識くださいまして、特に外交の衝に当られる皆様方の信念を持つて当られることを切にお願いいたしまして、私の質問を終ります。
  156. 岡崎勝男

    岡崎委員長 浦口鉄男君。
  157. 浦口鉄男

    ○浦口委員 簡單に伺います。事実問題が出ましたのでお伺いいたしますが、日本の軍事基地化反対ということに対する一つ意見として、日本を軍事化するのではない、アメリカの指令によつて軍事基地を提供しておるんだ、こういう解釈もありますが、それに対して外務省はどういうふうにお考えになつておりますか。
  158. 島津久大

    島津政府委員 先ほども條約局長から、軍事基地の問題は御答弁を申し上げたのでありますが、現在占領下において軍事基地化ということは一つも問題になつていないのであります。占領軍の占領目的からする必要な施設に、日本は協力する義務があるということは、総理答弁しておりますし、またわれわれもそう考えております。軍事基地化の問題はただいまはありません。将来のことは何ともわかりません。
  159. 浦口鉄男

    ○浦口委員 その必要は極東における防共のための必要、こういうふうに考えてよろしゆうございますか。
  160. 島津久大

    島津政府委員 占領政策の必要上、連合軍の最高司令官が決定される目的に従つて施設がなされておるのであります。
  161. 浦口鉄男

    ○浦口委員 そういたしますと、その施設ができたことによつて戰争が誘発されるという意見と、それには関係がない、こういう意見がありますが、それに対しては外務省はどういうふうに考えておりますか。
  162. 島津久大

    島津政府委員 戰争の可能性とは全然関連はないと考えております。
  163. 岡崎勝男

    岡崎委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後一時五十分散会