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1950-04-19 第7回国会 衆議院 外務委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月十九日(水曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 岡崎 勝男君    理事 菊池 義郎君 理事 近藤 鶴代君    理事 佐々木盛雄君 理事 竹尾  弌君    理事 仲内 憲治君 理事 並木 芳雄君    理事 聽濤 克巳君       石田 博英君    伊藤 郷一君       大村 清一君    栗山長次郎君       佐々木秀世君    塩田賀四郎君       中山 マサ君    橋本 龍伍君       山本 利壽君    玉井 祐吉君  出席国務大臣         法 務 総 裁 殖田 俊吉君  出席政府委員         外務政務次官  川村 松助君         外務事務官         (政務局長)  島津 久大君         外務事務官         (條約局長)  西村 熊雄君         外務事務官         (管理局長)  倭島 英二君  委員外出席者         外資委員会事務         局次長     石橋徳太郎君         專  門  員 佐藤 敏人君         專  門  員 村瀬 忠夫君 四月十二日  委員福田昌子辞任につき、その補欠として堤  ツルヨ君が議長指名委員に選任された。 同月十三日  委員堤ツルヨ辞任につき、その補欠として福  田昌子君が議長指名委員に選任された。 同月十八日  委員福田昌子辞任につき、その補欠として堤  ツルヨ君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 四月十二日  在外資産補償に関する請願受田新吉君紹  介)(第二三七一号)  同(苫米地英俊紹介)(第二三七二号)  同(小金義照紹介)(第二三七三号)  同(高倉定助紹介)(第三三七四号)  同(門司亮紹介)(第二三七五号)  同(伊藤郷一君紹介)(第二三七六号)  同(三浦寅之助紹介)(第二三七七号)  同(坂田道太紹介)(第二三七八号)  同(小川平二紹介)(第二三七九号)  同(田中啓一紹介)(第二三八〇号)  同(大野伴睦紹介)(第二三八一号)  同(園田直紹介)(第二四〇九号)  同(吉田安紹介)(第二四一〇号)  同(三浦寅之助紹介)(第二四四八号)  同(佐々木盛雄紹介)(第二四四九号)  同(永井要造紹介)(第二四五〇号)  在外公館等借入金償還促進に関する請願(中曽  根康弘紹介)(第二四五九号)  在外資産補償暫定措置実施に関する請願(玉  置實君紹介)(第二四六〇号) 同月十七日  奄美大島の復帰に関する請願川野芳滿君外五  名紹介)(第二五二八号)  在外資産補償に関する請願山本久雄君紹  介)(第二五三二号)  同(松田鐵藏紹介)(第二五三三号)  同(吉武惠市君紹介)(第二五三四号)  同(小金義照紹介)(第二五三五号)  同(三浦寅之助紹介)(第二五三六号)  同(玉置信一紹介)(第二五三七号)  同(武藤嘉一紹介)(第二五三八号)  同(降旗徳彌君紹介)(第二五三九号)  同(吉川久衛紹介)(第二五九四号)  同外一件(三浦寅之助紹介)(第二六二九  号)  同外六件(小金義照紹介)(第二六三〇号) 同月十九日  在外資産補償に関する請願岩本信行君紹  介)(第二六三九号)  同(三浦寅之助紹介)(第二六四〇号)  同外十一件(永井要造紹介)(第二六四一  号)  同外二十七件(水谷長三郎君外一名紹介)(第  二六七三号)  同(受田新吉紹介)(第二七〇八号)  同(坪内八郎紹介)(第二七〇九号)  同(本多市郎紹介)(第二七一〇号)  同外一件(押谷富三紹介)(第二七一一号)  同外一件(浅香忠雄紹介)(第二七一二号)  同(松永佛骨紹介)(第二七一三号)  同(小西寅松紹介)(第二七一四号)  同(有田二郎紹介)(第二七一五号)  同(岡田五郎紹介)(第二七一六号)  同(水谷長三郎紹介)(第二七一七号)  同(井上良二紹介)(第二七一八号)  同外一件(前田種男紹介)(第二七一九号)  同(大矢省三紹介)(第二七二〇号)  在外胞引揚促進並びに留守家族の援護に関す  る請願金塚孝紹介)(第二七四八号) の審査を本委員会に付託された。 同月十八日  日本経済国際的自立化に関する陳情書  (第八〇二号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  国際情勢等に関する件     ―――――――――――――
  2. 岡崎勝男

    岡崎委員長 ただいまより会議を開きます。  国際情勢等に関する件を議題といたします。質疑は通告順によつてこれを許します。並木芳雄君。
  3. 並木芳雄

    並木委員 質問の方から始めます。実は專任外相設置に関する決議案というものをつくつてつて来ておりますので、委員の皆さんの御意見をお伺いしようと思いましたが、委員の方々がもう少しお集りになつ後の方がいいと思いますので、質問から始めることにいたします。  最初に講和会議に関連しての保障條ということにおいてお伺いいたします。先日ジエサツプ住所大使の談によりますと、対日講和條約後において幾つかの保障條約が結ばれるであろうというような旨の報道がなされたのでありますが、私はこれをラジオで聞きましたので、あるいは聞き違いかとも思いますけれども、もし聞き違いでなかつたといたしますならば、この幾つという複数になつております保障條約、そういうものにはどういうものが予見せられるのであるか、これも将来の問題であると言われますならば、国際法上従来の例から見まして、幾つかの保障條といつたものには、どういうようなものがあるかという点について、お伺いいたします。
  4. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 並木委員の御質問によりますと、幾つかの保障條項が結ばれるであろうとい文句ラジオでお聞きになつということでございます。問題のジエサツプ大使が十三日放送されました原文を私ども見ておりますが、その原文によりますと、われわれの感ずるところでは、日本国民はある必要な制限のもとに、自国の問題を処理する責任を持ち得るような講和條約を持つに値するところまで進歩して来ておる。こういう文句でございます。原文にありますセーフ・ガードという文字を通信社の方で安全保障と誤訳されました関係上、ラジオ放送その他各新聞記事に、数種の、またはある種の安全保障條項というような文句になりましたために、御質問のような疑問を抱かせるようになつたものだと了解いたしております。ここに言います保障條項といいますのは、講和條約によつて日本に対して自主権を回復する、それについてある程度のある種の制限、将来に対する保障とい意味において自主権に対する制限をする。こういう意味でございまして、しからば問題はどういうそういつた制限的條件が考えられるであろうということになりますが、これはまつたくいわゆる将来の見通しの問題でございますので、私から御答弁いたすことを差控えたいと思いますが、イタリア平和條約の第二編、政治條項、第一款一般條項などをごらんになりますれば、ある種のヒントを得られることかと思います。
  5. 並木芳雄

    並木委員 自主権に対する制限ということが、保障條項になるというような御意向でございますが、そうすると、安全保障に関するもの、つまり日本の治安を維持するという点に対するものも、やはり自主権に対する制限というふうに解釈されるのであるかどうか。
  6. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 そういう意味では決してございません。これを読みますと、合衆国はできるところではどこでも、民主的政治の制度というものに対して信頼を持ち、また民主的政治が行われるということを奨励するという方針である。このことを合衆国ドイツ日本においてなして来た。吾人の見るところによれば、日本人は今申しましたように、ある種の必要な保障といいますか、これを付して、自国の事柄をみずから処理する責任をとらせるような平和條約を持つに値する段階まで進んで来たと自分は思う。こういうことでございまして、今日までの占領管理下におきまして、日本がいわゆる民主政治というものを確立して来た。その結果、今日すでに日本人に対して自主権を回復させる段階に達していると思うけれども、将来日本民主政治が後退することを防ぐとい意味において、ある種の制限をつける必要があるであろう、こういう意味であろうと思うのであります。
  7. 並木芳雄

    並木委員 たとえば講和條約の後に、連合軍がなお進駐を続けるという場合には、條約履行のための保障占領であると解釈せられると思うのでありますが、それとも日本の安全だけを保障するために進駐を続けられるというぐあいに、わけて考えることができるのかどうか、その点伺いたいと思います。
  8. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 ここに取上げられておる点は、いわゆる日本安全保障という点でなくて、日本が終戦後打立てた民主政治体制の持続という点に対する保障とい意味と了解いたす次第でございまして、たとえばイタリア平和條約の十五條を見ますれば、イタリアの将来における政治国家機構の格付をいたしておりますし、その次の條項においては、イタリア政府がすでにとつ軍国主義的団体、あるいはフアシズム的団体の復活を許してはならないというような、将来に対するいわゆる制限的條項が入つておりますが、そういう趣旨のことをさしておられる、こう考えます。
  9. 並木芳雄

    並木委員 川村政務次官にちよつとお伺いいたしたいのでありますが、超党派外交についてであります。アメリカのデユーイ氏は、超党派外交政策を歓迎しておるという趣でありますけれども、アメリカにおける民主党内閣だけの外交政策と、共和党を含めた超党派外交政策との間の相違はどういう点にあるか。これは特に極東政策、対日政策における相違というものがどんなふうに現われて来るか。  ところで日本でも、吉田内閣は單独で講和会議に臨むということを言つておりますけれども、はたしてそれでよいと思われておるかどうか。たとえば講和條約の承認国会に求められたときなどに、もし反対の投票をするような者があつてもさしつかえないと思つておるかどうか。やはり講和條といつたようなものは、総理大臣外務大臣がほんとうに真劍に取組んで、そうして国民の輿論を一つの方向に向けて行く努力をすべきであるし、それは特に各政党の首領などに対しても、講和会議に関する限りは、いわゆる超党派的に持つて行くべきではないかというふうに考えられるのでありますけれども、こういう点に対する政府所見をお伺いいたしたいのであります。
  10. 川村松助

    川村政府委員 お答えいたします。結論的に言いますれば、民主党だけの外交政策も、共和党を含めたいわゆる超党派的な外交政策も、大した相違はない、こう見ております。というのは、一九四四年以来、民主党政権は一貫いたしまして、反対党たる共和党出身者外交政策の決定に参加させまして、いわゆる超党派外交主義をとつて来たとい現実から顧みまして、大した相違はないというように解釈いたしております。これが最近この秋の中間選挙を控えての国内事情を反映いたしまして、論議の的となつたのでありますが、民主党政権ダレス、クーパー両外交通共和党から起用いたしまして、超党派外交原則を強化することになつたのであります。しかし與党である民主党と、野党である共和党の間には、事外交問題に関する限り、根本的な差異はあまりないように平素発表されております。ただ共和党が伝統的に極東問題、なかんずく中国の問題を非常に重要視いたしまして、また対外援助費の節約、あるいは能率化を主張しておるが、外交政策根本原則に関する限りは、きわめてその相違が少いという実情であります。対日政策に関しては、一九四八年の共和党の政綱に、対日講和早期締結をうたつております。また最近の外交顧問に任命されました同党のダレス氏は、対日講和に関しては非常な深い関心を示しておるとも伝えられております。政策の問題に関しましても、民主党と特に違つた見解を持つものとは思われません。  そういう意味で、最後並木委員の御質問の、講和條約の国会における承認の問題は、これはお話のように各党あげて一致するならば、まことにけつこうなことであります。また政府としても、そう行きたいとは考えて努力はいたしますけれども、その問題は国会が決定なさるものと、こう解釈いたしております。
  11. 並木芳雄

    並木委員 かつて自由党の党内の方にも、講和会議に備える態勢として、超党派的に各派にも呼びかける機運があつたやに記憶しております。これは他の政党にも反映しておると思いますが、講和会議というものがかなり具体化しつつあり、現実の問題となつておる今日、その必要を一段と加えて来ておるのじやないかと思うのです。今日他の政党などにも呼びかけて、いわゆる超党派外交日本においてもつくるような所存、計画というものが政府の方においてあるかどうか、その党をお伺いいたします。
  12. 川村松助

    川村政府委員 今日のところにおいては、まだありません。
  13. 並木芳雄

    並木委員 次に国際連合加入の問題についてお尋ねいたします。最近シーボルト外交局長が、日本は適当な時期に国連加入することが望ましいという点を指摘されたのでございますが、これは前にもマツカーサー元帥あるいは吉田総理大臣等から、同様趣旨の、国連に一刻も早く加入することが望まいということが発表されております。それで私がお伺いしたい点と申しますのは、適当な時期ということが、これは講和條約が結ばれた後の適当な時期とい意味であるか、それとも万一講和條約がなかなかはかどらないで結ばれなかつた場合には、講和條約前でも国連加入することが可能であるかどうか、そういう場合があり得るかどうかということをお伺いしたいのであります。これはこの前にも問題になりましたが、国連加入の場合には、例の制裁参加義務を負うということになつておりますので、日本としては軍備がありませんから、とうていその義務を果し得ない。こういうことについて軍隊の通過を許すとか、あるいは基地の提供によつて、その義務を果すことができるであろうという以前の政府側答弁でありましたけれども、その後の情勢において、その答弁に変化があるかないか、やはりそのままであるかどうか。つまり日本はこの制裁規定を避けることによつて、そうして中立を維持しつつ国際連合に加盟する道が、開かれる期待が大きくなつて来たかどうか。それとも依然そういう期待は大して持てないものであるかどうか。そういつたような点についての御所見をお伺いしたいと思います。
  14. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 平和條約前の国連加入が可能であろうかどうかという点につきましてお答え申し上げます。国連加入條件は、憲章の第四條に規定がございまして、それによりますれば二つ條件を掲げております。一つは、平和愛好国であることと、第二は、憲章から生ずる義務を履行する意思能力を有すること、これでございます。この二つ條件を具備しているかどうかということは、安全保障理事会と総会の認定にまつものでございます。従いまして講和会議前におきます戰敗国が、国連加入する條件を備えているかどうかということは、究極のところ、国連側認定にまつ問題でございますけれども、大体論といたしましては、平和條締結前におきましては、戰敗国は大体憲章に基く義務を履行する意思はございましても、その能力がない場合が多うございますので、大体平和條締結前におきまする国連加入というものはむずかしい、こういうふうに考えております。しかし例外的に、平和條約成立前におきまして外交機能を回復される場合におきましては、その国は国連加入要件を備えているとして、加盟を申請することはできるでありましよう。現にオーストリアにつきましては、平和條約はまだできておりませんけれども、一九四七年の七月に同国加入を申請いたしております。しかし安全保障理事会におきましてソ連代表は、平和條締結前におきましては同国加入要件を備えていないという理由で、拒否権を発動いたしております。結局は先刻申し上げましたように、平和條締結前における国連加入ということは、困難であるとい結論をとつておいてよろしかろうかと思います。自然、先日シーボルト公使が演説の中で申されましたように、適当な時期にとい文句はむろん平和條締結後適当な時期に、こういう意味であろうかと考えておる次第でございます。  最後の、武装を持たない国の国連加入と、国連憲章によるいわゆる軍事援助義務との関連についての政府の考えは、以前御答弁申し上げたことでございますが、そのこと自体に応じて現在に変更を来したことがあるかどうかという点でございますが、その当時御答弁申し上げました見解を、その後少しもかえておらないということをつけ加えさせていただきます。
  15. 並木芳雄

    並木委員 川村次官にもう一点お伺いしておきたいのですが、ただいま東京で開かれております経済会議に対して、外務省として何らかの申入れあるいは懇請をしたものがあるかどうか。たとえば安本などでは、経済問題について相当具体的な陳情と申しますか請願と申しますか、そういうことをしておるようです。外務省としても、所管事項について、何かこれに対して申入れをなされたかどうか、その点々お伺いいたします。
  16. 川村松助

    川村政府委員 ただいまのところ何もいたしておりません。
  17. 並木芳雄

    並木委員 アルゼンチンにおける日本農民移住を歓迎するという最近の報道は、私たちとして非常に朗らかなニユースであると思うのです。ぼつぼつこういう話が出て来ることは、将来の日本移民という点においても、希望を持たせるものじやないかと思います。ただ移民ということをあまり強調すると、外国の感じというものは警戒的になるのじやないかと思いますが、日本農民移住なんといつても、ただ單に移民という見地からでなく、もう少し観点をかえて、たとえば技術者といつたような点から、向う計画されておる点に、日本農民が喜んで行けるような道が開かれたらけつこうじやないかと思いますが、そういう点について今まで政府はどういうような手を差延べて来ておるか、また今後どういうふうにしてこういう道を切り開いて行くか、お伺いいたします。
  18. 倭島英二

    ○倭島政府委員 お答え申し上げます。今並木委員の言及されましたアルゼンチンの問題は、従来から新聞等に伝えられておりますコリエンテス州の入植と申しますか、農業関係、特に稻作の関係で、日本人向うへ呼ばれるという問題が、一つの具体的問題だと思いますが、この件につきましては、実はアルゼンチン入国法というか移民法と申しますか、その法律によれば現在のところ入国を許されておりますのは、外国人で無期限に滞在する目的で入国できるのは、家族の呼び寄せと技術者の呼び寄せ、それから農業技術者の呼び寄せということになつております。新聞に伝えられておりますコリエンテス米作のために日本人を呼ぶという問題も、あるいは家族の呼び寄せという形になりますか。技術者の呼び寄せという形になるか、いずれかの形になるだろうと思います。政府の現在承知しておるところによりますと、コリエンテス州の米作のために日本人を呼ぶとい計画については、大体百家族を呼びたい。その百家族は約二万町歩土地入植をして、三十三箇年間の年賦で金を借りて、それを開墾するとい計画のようであります。そうしてこの計画については、現在現地日本人有志の方がコリエンテス州の当局いろいろ話を進めまして、相当具体化して来た模様でありますが、まだ実際にわが国から日本人を招くという段取りまでにはなつていないように承知いたしております。政府といたしましても、同胞外国に出れるということは、まことにけつこなことでございますが、現在わが国としては占領下にございますし、なお従来移民といわれました関係については、多少まだいろいろ誤解あるいは懸念等が残つておる国々もありまして、今後われわれ同胞が海外に出て行く問題については、愼重に取扱つて行きたい。と申しますのは、できるだけ受入国の希望する、また受入国の方で受入れて、実際何らか貢献し得る人を送るようにしたい。こう考えております。現存その程度の説明を申し上げたいと思います。
  19. 竹尾弌

    竹尾委員 それに関連して……。私は最後にこの件に関しての質問の通告をしておいたのですが、この際お尋ねいたします。  ただいま管理局長が、日本人当局移民について相当話か進んでおる。こういうお話でございますが、日本人当局と申しますと、どういう……。
  20. 倭島英二

    ○倭島政府委員 私が申しましたのはコリエンテス州の当局です。それと現地日本人有志の方と、話が相当進んで来た模様ということを申し上げたのであります。
  21. 竹尾弌

    竹尾委員 そうしますと、農業関係向うに行つておる人が現在相当おるのでございましようか。その点の事情はどんなぐあいになつておるのでありましようか。
  22. 倭島英二

    ○倭島政府委員 遺憾なから、その点につきまして、どれくらい現地において日本人の方が農業関係関係して、すでにおられますか。ここに御説明申し上げる数字を持たないのでありますが、従来コリエンテスというところは、相当ドイツ人が大きく農業経営をやつておりまして、そこの農場に日本人入植している人が相当ある模様であります。しかし遺憾ながらどれくらい日本人がそこへ入つておるかと、そう多くはないだろうと思います。
  23. 竹尾弌

    竹尾委員 そのドイツ人経営と申しますのは、農業米作農業でございましようか。
  24. 倭島英二

    ○倭島政府委員 これも、どうも具体的にはつきり申し上げる資料がございませんが、現在われわれの承知しておるところによりますれば、問題になつておるコリエンテス地方というのは、いわゆる日本式農業には適しないので、土地柄からいいましても、あまり日本のような小さい單位でつくる農業ではないので、何十町歩というものを單位としまして、耕地にうねをつくつて、それに種をばらまいて水を入れる。そうして肥料もやらず、草も拔かないで、水をあてて稻ができる、それを刈取る。その次にまた次の土地をやる。その前つくつた土地はしばらく休まして、またほかの土地をやるというようなところで、全然何といいますか、日本式肥料をやつて、同じ土地で何回もつくるということでなしに、広い單位機械農業らしいのです。従つて従来入つておる日本人も、日本米作技術を利用するということではなくして、日本人が稻をつくるところの全然日本式のつくり方ではないのです。向う機械農業をやる。その農業の下働きをやつておるとい模様であります。これもあまり詳しいことはまだわかつておりません。
  25. 並木芳雄

    並木委員 将来日本農業技術、あるいは農民の出て行く先としては、アルゼンチンのほかに、どんな国々が予定されますか。その点見通しはいかがでございますか、管理局長にお伺いします。
  26. 倭島英二

    ○倭島政府委員 この点もまだはつきり申し上げるだけの資料を持つておりませんが、今問題になつておりますアルゼンチンコリエンテス、それのすぐそばのパラグアイというのは、同胞が米をつくつておる所もあるようです。従つてパラグアイアルゼンチンは、さしあたり農業関係と申しますが、特に米作関係で、将来同胞の働く機会があるのではないかと思います。そのほかの地方では、実は米作の問題がどの程度まで適するか。ほかの農業関係はたくさんあると思いますが、遺憾ながらここに材料を持つておりませんので、また別の機会に御説明申し上げたいと思います。
  27. 並木芳雄

    並木委員 それではもう一点だけお尋ねいたします。安本の方が見えたようですから、裸用船の問題と造船についての関係なんです。実はこの間中、いろいろの方面から聞きますと、安本外資委員会の中で、海運総局とそれから通産当局との間で相当意見の食い違いがあつて日本造船業というものの育成について、結論がなかなか出ておらないように伺つておるのです。これは安本の方で一番よくわかつておるのでしようし、最後の決は安本がとらなければならないと思いますので、特にお伺いするのですが、日本造船を振興する行き方に対して、外国のたとえばラウントリーと申しますか、ステイヴンソンとか、そういうところとの提携の問題があると思うのです。こ」れは内地の海運業者、あるいは造船業者から見ると、相当な大きな問題であろうかと考えるのであります。そこで安本としての立場から、この関係政府当局間の対立をどういうふうにして解いて行くつもりであるか。それからまたこういう外国船会社との提携について、どういうふうな話か進められておるか、特に外資の導入法という法案の骨子もできたようでございますので、海運のあるいは造船の分野における外資導入が、どういうふうにこれから具体的に実現されて行くか、そういう見通しについてお答えを願いたいと思います。
  28. 石橋徳太郎

    ○石橋説明員 今の問題は非常に大きな問題でございまして、外資委員会において、数回会議を開いたのでございますが、いまだに結論に達しない状態でございます。事務当局といたしましては、この問題について意見を申し上げる立場にございまんので、むしろ政府の最高首脳部の決裁を待つておる、こういう状態でございます。この問題につきまして、もし事務的な経緯と申しますか、どういう内容の申請が出て参つておるかということでしたら、私お答えできますが、それでよろしゆうございますか。
  29. 並木芳雄

    並木委員 はい。
  30. 石橋徳太郎

    ○石橋説明員 実はこの外国船を裸用船するとい計画は昨年来ございまして、昨年中にただいま御質問のありましたラウントリーといアメリカの会社から、こういつた事業を日本において日米合併で営むということについての問合せがございました。これはしかし正式の申請ではございませんでした。本年に入りまして先般ただいまお話のグリフイス・トランスポートという会社と、ステイヴンソンという会社、これもどちらも米国法人でございますが、この二社が日本人と合弁で、日本におきましてユナイテツド汽船会社、これは資本金九千万円でございますが、この日本法人を設立いたしまして、米国側の二社はその五一%、四千五百九十万円を出資いたします。日本側は残りの四十九%を出資して、その日本法人がさしあたり、パナマ籍のリバテイー船を十ぱい裸用船して、これに日本の乗組員を乗せ、そしてトランスポートをやろう。こういう計画が具体的に申請として出て参りました。外資委員会の担当いたします事項は、この外国法人が日本の会社の株を取得するという問題につきまして、政令五十一号によつて外資委員会の認可を得なければならない。こういうことになつておりますので、その認可を申請して参つたのであります。これはこの会社そのものが今申した通り、外国船を裸用船するということを目的にして設立されます会社でございますので、両者を切り離して考えられません関係上、外資委員会におきまして数回この問題を討議いたしたのでございますが、片や日本の海運界といつた立場から運輸省が反対されまして、片方通産省は貿易の立場から、こういつたことを少しでも早く実現するようにとい意見が出まして、最初に申し上げました通り、いまだに結論を得ない状態でございます。
  31. 並木芳雄

    並木委員 ステイヴンソンの関係は……。
  32. 石橋徳太郎

    ○石橋説明員 グリフイス、ステイヴンソンの二つの米国法人が、日本人と一緒にユナイテツド汽船会社を設立する。こういうことでございます。両社はそれぞれ五一%の半分ずつを出資いたす、こういう計画になつております。
  33. 並木芳雄

    並木委員 この海運とか、造船に対する外資の導入に対し、事務当局のあれでけつこうなんですが、お伺いしたい。
  34. 石橋徳太郎

    ○石橋説明員 これは最初お断り申し上げました通り、非常に大きな問題でございますし、いろいろ政策上の点にもからんで参りますので、事務当局としては何らその点について意見を申し述べられない立場にございます。單に事務的に各省の御意見をおまとめして、外資委員会としての意見を提出する、こういう立場にございます。御了承を願いましす。
  35. 並木芳雄

    並木委員 今までの経過から見て、日本の海運そのものに対する技術、あるいはいわゆる外資、そういうものの導入は考えられないのですか。つまり今お話のような向うの船会社が、船舶を用船させるとか、あるいは日本に代理店を置くとか、そういつた限度であつて日本の海運あるいは造船、そういうものの振興のために、外資というものの導入は期待されないのであるかどうか。そういう点をお伺いしたい。
  36. 石橋徳太郎

    ○石橋説明員 その点について従来の経緯を御説明申し上げますと、海運関係に対する外資導入状態は、まず外国の海運会社が日本において支店を設けて、海運業のサービス業務を行う、こういつたものがかなりの件数に上つておるのであります。  それから造船関係で申し上げますと、造船上の技術顧問と申しますか、造船に関する技術について、日本造船の諮問に応じてアドバイスを與える。こういうようなものを業とする申請もございます。そのほか舶用エンジンの特許関係につきまして、スイスのズルツアー、それからデンマークのBアンドW、この二つの世界的に優秀なデイーゼル・エンジンの特許を、日本造船所が使用契約を結びまして使用する。それによつて図面も提供され、それから技術上の指導も受ける。こういうことによりまして日本の舶用エンジンの向上、こういつた面にすでに具体的に進んでおるものが数件ございます。
  37. 並木芳雄

    並木委員 それで質問は打切りまして、委員長にお願いがあるのです。この間の理事会でちよつと議題になりましたので、私はその議題になつという点に基いて、專任外相設置に関する決議の案文をつくつてつたのです。すこぶる簡單なもので、「現下内外の情勢にかんがみ、吉田内閣総理大臣はすみやかに專任外務大臣を任命すべし。」こういう決議案文でございます。これはできれば外務委員会の皆さんの御賛同を得て、そして提案したいと思つておりますので、このプリントを委員の皆様にお渡ししておきますから後ほどもしこれに対する御意見をお伺いできるようにおとりはからい願えたら、非常に仕合せだと思つております。
  38. 岡崎勝男

    岡崎委員長 それではまだ各党の方がそろつておられませんから、今の並木君の発言はしばらくあとまわしにして、質疑を続けます。仲内憲治君。
  39. 仲内憲治

    ○仲内委員 先ほど並木委員からすでに御質問があつて川村政務次官から特に極東経済会議について、日本側からの陳情などの連絡はないという御答弁があつたのでありますが、このいわゆる極東経済会議と申しますか、現在もちろん連合国の間において行われておる会議でありますが、その取扱われておる内容が、渉外局の発表によりましても、アジアにおける貿易、あるいは為替、あるいは通貨の問題等、日本の経済再建の上から、非常に密接な関係のある問題が取扱われておる模様であります。ことに外電の報ずるところでは、この渉外局の発表以外に、相当つつ込んだ、たとえば対中共の貿易問題というような問題も、むろん取扱われておるように報ぜられておるのでありますが、日本政府としては、この種の会議にいかなる連絡を持つておられるか。たとえばオブザーバーというようなものでも入つておられるのかというような点、さらにこの会議の成行きについて、渉外局発表以外に、いかなる情報を持つておられるかという点を伺いたいと思います。
  40. 島津久大

    ○島津政府委員 ただいま御質問の、極東経済会議日本側との関係でございますが、先ほど政務次官からお答え申し上げました通り、外務省から格別の申出等はしておらないのが実情でございます。またこの会議は、アメリカ政府機関内の会議でございまして、会議そのものも祕密会ということになつておるようでありまして、連合国からも、だれも参加しておらないようであります。もとより日本側からも、だれもオブザーバーのような形で入つていないのであります。渉外局から発表になりますところだけしか、われわれは承知しておらないのであります。しかしながら問題はかなり具体的な、しかも日本に重要な関係があることでございますから、日本側の希望と申しますか、資料その他は、今日あらためて提出いたしませんでも、平常から十分な連絡がしてあるのでございます。その意味では、かねてからの連絡があるので、特別の措置を必要としない状態にあるというふうに御了解願いたいと思います。
  41. 岡崎勝男

  42. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 私はソ連にある未引揚者の問題について、数字について承つておきたいと思うのでありますが、私の質問は、共産党の立場とはまつたく別の見解からお聞きするわけであります。私の今までいただきました資料によつて概算をいたしましたところ、終戰時におきまする日本人の数が五十九万四千、そのうち終戰の一九四五年において、現地において釈放された者が七万八百八十人、それから一九四六年十二月一日から一九四九年の五月一日までの間に引揚げを完了いたしました者の数が、四十一万八千百六十六名、その後、昨年の五月から十一月までの間で、当時九万五千人を帰すという約束をソ連側が行つておつたわけでありますが、実際帰つたのが九万四千九百七十三名、そういたしますと、今まで帰つて来た者の総計をとつてみますと、五十八万四千十九名ということになつておるわけであります。そういたしますと、終戰時におりました五十九万四千の中から、すでに五十八万四千十九名というものが帰つて参りましたといたしますならば、あとに残るのは九千九百八十一名ということになるわけであります。そのうちに四月中において帰つて来ると予想されますものが、四千名ということになりますと、あとに残る者は五千人くらいになるわけであります。大体そんな数になるわけですが、実際は毎日のように国会に押しかけて来られる未帰還者の遺家族の方々の、あの現状を見てみましても、あるいはまたソ連にある抑留者からの手紙の到着しておることから考えまして、あるいは新聞やタス通信の報道等によつて、中共地区にかなりのまとまつた者がおるとか、あるいはいわゆるシベリアこじきなどというような立場になつて放浪しておる者がある。いろいろなことを総合いたしますと、私は少くとも万をもつて單位とする者がおるはずだろうと考えるわけでありますが、この数字から申しますと、あとわずかに数千名ということになるわけであります。しかもさらにソ連側が九千五百名帰すという約束でありましたが、あれをもつて打切るといたしますと、あと残つた残留の同胞は、一体どうなるのか。これは遺家族たちが真剣に考えておる重大な問題でありますので、かりにこの引揚げが四月の四千名のものをもつて完了するといたしますと、あとにはもうほとんど残つていないという数字上の計算になるわけでありますが、これに対して管理局当局は、どういうふうなお考えを持つておられるか。さらにこの数字以上に残つておるというようなお考えであるかどうか。重要な点であると思いますので、承つておきたいと思います。
  43. 倭島英二

    ○倭島政府委員 今佐々木委員の御質問の中に、いろいろ数字が出て参りましたが、第一の、昨年の五月タス通信で伝えられました、ソ連の方に入つた同胞の五十九万四千というものについて、政府の従来持つております数字と大きな開きがあることは御承知の通りであります。従つてこのソ連のタス通信の報道した数字から、帰つて来た人たちを引きますと、要するにこの十七日に着きました千六百名を加えて引きますと——さつきの数字を念のためにもう一回繰返しますと、五十九万四千というソ連の発表の中から、現地の釈放が七万八百八十名、それから当時すでに帰還したという発表のあつた者が四十一万八千百六十六名、それを引きますと、当時まだ十万四千九百五十四名残つておる、その中から九万五千帰すという発表があつて、あとは戰犯その他の関係で直接帰還の対象にならないように伝えられたわけであります。すなわちその十万四千九百五十四名のうちから、当時発表があつて以来、四月の第一船までに十万一千二百七十一名帰つております。従つてタス通信の発表した数字を基礎にいたしましてこれを引いて参りすと、残りが三千六百八十三名、さらにもう一船ありまして、これでおそらく二千名見当帰つて来ると思いますが、そうすると今の佐々木委員お話のように、残留数がはなはだ心細いところへ来るわけであります。しかしながら最初にも申し上げましたように、算出の最初の基本数が大きく開いておるわけであります。従つて日本政府としましては、従来発表いたしましたように、こんな小さな数字ではなしに、当初から計算をいたしまして——はたして生存しておるか、あるいはその後死亡しておるか、あるいはソ連の地域内におるのか、その他の地方に移されておるのか、その後の状況がソ連の方から何ら正式の通報がありませんのでわかりませんが、要するに従来政府が承知しておる数字というものは、従来も発表しておりました三十七万幾ら——これは満州の地区を含んでおりますが、それからこのたびの千六百名を差引いた数字が、まだわれわれが帰還を待望しておる数字でございます。
  44. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 そういたしますと、ソ連側のタス通信を通じての発表による数字の引揚げが完了されましても、外務当局はまだ三十七万前後の邦人が残留しておるものとの解釈のもとに、今後とも引揚げ促進を継続される御見解であると考えてよろしいかどうか。
  45. 倭島英二

    ○倭島政府委員 その通りであります。
  46. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 なおもう一点聞きますが、その後引揚げに関して、ソ連当局から何か言つて参つたことはありませんか。
  47. 倭島英二

    ○倭島政府委員 私の承知しておりますところでは、この四月中に約二千名乗船する船を二回よこせとい向うからの通報があつた以外に、最近の情報を存じておりません。
  48. 岡崎勝男

    岡崎委員長 聽濤克巳君。
  49. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 私質問に入る前にちよつと委員長にお伺いしたいのです。私少し遅れて来たものですから最初の事情を知りませんが、この間の理事会で本日の外務委員会には吉田総理に来てもらうように決定して、委員長において善処するということになつてつたのですが、本日お見えになりません事情は、もうすでに御報告なさいましたか。
  50. 岡崎勝男

    岡崎委員長 その事情は昨日各理事を通じて各委員に御通報したと了解しております。
  51. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 私はちよつと旅行してけさ帰つて来たものですからよくわかりませんが、どうして出られないかという理由もはつきりしておるわけでありますか。
  52. 岡崎勝男

    岡崎委員長 いろいろ時間の都合がつかぬということであります。
  53. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 そうですか。どうもいつもいつもそういうことなんで、はなはだ困るわけですが、吉田総理が外務委員会を無視している傾向は明らかです。それはこのあとの專任外務大臣設置に関する決議案の問題のときに意思表示をしたいと思います。  本日私が主として御質問申し上げたいのは、最近において極東情勢が相当新しい進展をしつつあるように思われますが、その中では、第一にアメリカ筋で対日早期講和説というものが強く台頭しているということが一つと、それにつれて第二にアメリカ極東政策の強化ということが大きく問題になつて来ている。ところが第三に最近日本と韓国並びに中国などとの問題で、国際的な内容を含んだ具体的な問題が日本で発生しつつある。この三つの問題を注目している次第でありますが、最後の問題につきましては、いろいろな事例か具体的に起つておりますので、法務総裁が見えられるそうですから、そのときにあらためてお聞きし、外務当局にも違つた角度からもう一度お聞きしたいと思います。  まず第一に、アメリカにおける対日早期講和説の台頭でありますが、私たちの新聞報道で見るところによりましても、アチソン国務長官がそういう趣旨の言明をしておりますし、またわざわざ対日問題の專任官としてバタワース氏が任命されたとい報道もあり、あるいはジエサツプ氏が国務、国防両相に早期講和の進言をしたというような報道もある。これに並行してイギリス側では、近くロンドンで英連邦の運営委員会が開かれて、対日講和の問題が討議されるということであります。また近く英米仏三国外相会議が開かれますが、そこでも対日講和の問題が出て来るとい報道がありまして、ここのところ非常に対日講和の問題に、世界的に大きな関心が集中されつつあるような傾きがあるので、外務当局の御見解をお聞きしたいわけです。こういう情勢の発展につれて、外務当局日本の講和の見通しについて、大きな変化が起りつつあるとお考えになつておられるかを、まず第一にお聞きしたいと思います。
  54. 島津久大

    ○島津政府委員 ただいま御指摘になりましたように、アメリカ政府部内の動きと、イギリスの連邦間の動き、また英米仏三国間の話合いというようなものが、近く進展して来るような情報があるわけであります。こういう情勢が、昨年の九月に対日講和を促進するというような機運になりまして以来の客観情勢と、大きな違いがあるかどうかという御質問と存じますが、その当時と比べまして新しい情勢が起つたとか、あるいは別の要素が加わつたというふうには、まだ判断されないと考えております。引続いて講和を促進するとい努力が行われておつて、それがぼつぼつこういうような機運に現われて来ておると、一応見ておるのでございます。
  55. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 私がこの点を第一にお尋ねしましたのは、第一吉田外務大臣の講和に対する見解というものが、こういう国際的な動き、特にアメリカ筋の動きと関連して、最近かなりに変化して来ておる事実があるように思われますので、こういう新しい事情が起つたときに、また外務当局見解もかわつて来たかどうか、実はお聞きしたかつたのであります。と申しますのは、吉田総理は最初明らかに単独講和を主張しておられたような印象を持つておりましたが、その後は講和そのものを否定するような御見解もあつたし、むしろわれわれは戰争終了宣言といつたような形に、動きつつあるのではないかと思われるような発言もあつた。そういう変化が相当起つておりますので、ここのところアメリカ側の大きな動きが出て来たとすると、特別な外務当局の御見解はないか、こういう趣旨でわざわざ聞いたのですが、もう一度その点どんなものでしようか、お聞きしたいと思います。
  56. 島津久大

    ○島津政府委員 事務当局といたしまして、総理の考え方なり態度なりに変化があつたとは考えないのでございます。先ほど私が申しますように、講和を促進するとい努力は引続き行われておる。それが具体的に現われておる情報が最近いろいろあるということでありまして、何も別にかわつたことはないと考えております。
  57. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 それではそれはそのくらいにいたしますが、このアメリカ国内でのいろいろな動きは、やはり相当大きな発展を示しておるように私たちは考えております。外務当局でももちろんそう考えておるに違いないと思いますが、こういうアメリカ側の対日講和に対する、つまり早期講和を強く急に主張し始めたその背後には、何か特別な原因かあるのではないかとも思われますが、その点についての御見解をおれ持ちでありますかどうか、お聞きしたいと思います。
  58. 島津久大

    ○島津政府委員 先ほど来申しますように、今急に早期講和ということが取上げられたとは考えていないのでございます。従いましてその背後に新しい要素が加わつたとは考えません。
  59. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 この委員会におきましても、一時單独講和の問題からさらに戰争終了宣言の問題が、委員の非常な関心を集めまして、それについての質疑も行われたことは具体的な事実であります。その当時の空気は、吉田総理の議会の中における発言と並びまして、われわれはこれは講和條約そのものはどつかに隠れて、戰争終了宣言という新しい形式のものが、生れて来るのではないかというふうに考えた次第であります。その後今問題になつております早期講和説は、その当時のものとは明らかに違つた空気として出て来ておるように私たちは思います。こういうことを外務当局がお知りにならないはずはないと思うので、これは前々からあつたというよりは、新しい形で出て来ておるというふうに私は考えます。その議論はとにかくとしまして、ここでこの早期講和説にからみまして、私たちが新聞報道で見ますと、なぜ新しい要素が加わつて来ているかと申しますれば、今まで国務省と国防省との間に、対日講和の問題について意見の不一致があつた。今もあるかもしれませんが、その両者の間の意見の調整というものが進みつつあるかのように伝えられておる。さらにバタワース氏が特に対日問題の專任官になられて、これまた新聞報道によると、特に日本の基地問題について、政府部内のいろいろな意見についての調整をやる、こういうことも伝えられておる。こういう点で私お聞きしたいのですが、外務当局はもちろんこの間のことは、いろいろ研究なさつていらつしやると思うので、一体アメリカ国内における対日講和についての意見相違といいますか、政府部内の意見相違、特に端的に現われておる国務省と国防省との意見の不一致点ということの中心点が、どういうところにあるのか、お伺いしたい。
  60. 島津久大

    ○島津政府委員 この問題は新聞報道以外には判断の材料がないのでございまして、はたして国務、国防両省の間において、どういう問題についてどの程度意見の不一致があるというようなことは、われわれ責任を持つて申し上げる材料を持つていないのを遺憾といたします。
  61. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 国際情勢とかなんとかいうものは、一々当該の政府から公報をもらつて判断する次第のものではないので、新聞その他によるいろいろな動きは、われわれしろうとでも相当敏感にキヤツチすることができまして、国際情勢の判断の非常に大きな基礎になります。これは外務省であろうと、われわれの場合であろうと、新聞社の場合であろうと、同じであると思う。それについての判断を持たないということは絶対にあり得ないわけで、私はそういう見解をお聞きしておるのです。第一私の感じられる点は、今早期講和といつておりますが、ここに問題の中心になつておるのは、やはり日本の基地を永久的に確保する、その確保するについて講和條約を結んで確保する、別な協定を結んで日本の基地を確保する、そういう考え方と、いやそんなことはする必要はなくて、今の占領を長期に継続して行つてやるんだとい意見とがあるように、新聞はつきり伝えておる。そういうふうな動きがほんとうに連綿としてあるといたしますと、今日一方で早期対日講和説が伝えられておりますけれども、これはその講和の内容というものが、結局講和條約を結ぼうと結ぶまいと、基本の問題は日本の基地を永久的に確保するやり方として問題になつておる。こういうふうな重要な問題が、今少くとも新聞報道には毎日のように現われておるのであります。このことはわが国にとりましては、非常に重大な問題だと思います。特に講和について全国の関心の高まつておるさ中において、こういう動きが毎日のように報道されて、しかもその一貫したものの中には、日本の基地をどう保有するかの問題が現われ、その中に対日早期講和説が、また新しく出ておるように思われるので、私はそういう点について外務当局意見を聞きたいわけです。特にこれにつきましては、最近イギリスのエコノミスト紙がはつきりとした見解まで表明しておるくらいで、かなり問題は具体的に、国際的に論議され、あるいは事態が進みつつあるように思われる。それについて外務当局が何らの御研究をなされていないということは受取れない話でございまして、これは島津政務局長でも西村條約局長でもよろしゆうございますが、もう一度私のそういう質問に対して、あなた方の御見解を承りたい。
  62. 島津久大

    ○島津政府委員 ただいまの聽濤委員の御意見は、新聞報道に非常に重要な動きがある。それを外務当局は当然知つておるはずだから、見解がなくちやならぬという御意見だと存じますが、私の申しますのは、新聞報道はもちろんわれわれもよく研究しておるわけなのでございます。また御指摘のような重要問題についても、研究はもちろんしておるわけでございますが、こういうものに基いて責任のある意見を表明する立場にないと申しますか、そういうような情報を確認する手段がない。従いまして責任のある見解を表明することを差控えるという態度をとつておるわけなのであります。従いまして新聞報道以上にと申しますか、新聞報道を解釈して、それを外務省の公式の見解として公表することは、現在差控えるのが適当と考えておるわけなのでございます。
  63. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 私が見解と申しましたのは、あるいは少し言い過ぎたかもしれませんので、見解ではなくして、実は私が大体申し述べたことは、一貫して国際的な動きの底に流れておる一つの具体的な事実じやないかと解釈するのです。この事実はあなた方も御存じであろうと思う。私が言つたようなことは特別の政治的見解ではなしに、そういう動きが事実としてあるということを言つておるので、そういう点について外務当局が対日講和の問題について、実はこういうことが問題になつておるのだ。その中に早期講和説とかいろいろなものが出ておるが、その底には対日基地の問題があるのだ。この事実をあなた方が十分御存じになつておられるかどうかということを実はお聞きしておるわけですが、いかがでございますか。
  64. 島津久大

    ○島津政府委員 そういうような基地の問題その他が問題になつておるとい報道は、よく承知しております。
  65. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 これ以上押し問答してもしかたがないですが、第二点としまして、極東政策の強化のことも今と同じような問答に終る可能性がありますが、私は念のためにもう一ぺん聞いておきます。こういうことになりますので、吉田総理に出てもらわぬとどうにもならないのですが、極東政策の強化につきましても、全般としまして防共のための経済、軍事援助をやるとい政策を中心にして、最近非常に動きが活発になつて来ておる。しかもフランス、イギリスともこの点に関して共同戰線を張ろうとして、近く三国外相会議においても、こういう観点から問題が取扱われるということが新聞報道として伝えられておる。これは新聞報道としてのみならず、おそらく事実であろうと考えられるのでありますが、一方アメリカの国内でも、先ほど並木委員が指摘しましたように、ダレス氏の顧問就任があつて超党派外交が行われることになつた。そしてその重要な問題の一部として、極東政策の強化という問題が取上げられておる。こういうふうにいたしまして、一方では対日早期講和説が強く出て来まして、一方では並行して極東政策の強化ということが出て来ております。そこでこの極東政策の強化ということの内容でありますが、第一に防共のための経済、軍事援助という性格をとりつつあつて、しかもこの極東政策日本の地位の問題とは、非常に重要な関連がある。その点は貿易を見ましても、いろいろなことを見ましても、すべて非常に重要な関連があることは明らかであります。私がお聞きしたいのは、こういう極東政策に対する経済、軍事的政策を積極的に遂行するという、この全般的な極東政策の中心点として日本の問題が取扱われ、その具体的な問題として早期講和説が出ておるのではないかと考えておるのですが、これらにつきましてもやはり特別の御見解の表明はいたされないわけでございますか。
  66. 島津久大

    ○島津政府委員 特別の見解というものは考えてないのであります。ただ、ただいまお話のございましたアメリカ極東政策が、経済的または軍事的に非常に強化されて、しかも日本がその中心になつておる。それと講和が結びついておるというように、非常に有機的な関連において広くごらんになつておるようでありますが、私どもが情報を得ておる範囲から申しますと、軍事援助というものは、まだ具体的なことは一向わからない段階にあるように考えるのであります。主として東南アジブの経済援助を通して具体化して行くということが取上げられておるように感ぜられます。また日本の地位というものは、日本が中心で東南アジアというものが経営されるということでは毛頭ないと思うのでありまして、経済的に強度の対米依存であつた日本を、何とかして東南アジアの経済と結びつけて行こうという考え方ではないかと、一応考えておるわけであります。
  67. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 その点は幸いにして私の見解反対見解を表明されましたので、やはり相当の意見を持つておるらしいのでございますが、持つておるならばひとつ私の見解反対のところを、できるだけ具体的に表明していただきたいと思います。というのは、これは非常に重要な問題だと考えておるから特に取上げてお聞きするのですが、たとえば今まで対米依存であつたのを東南アジア貿易に切りかえて行くのだということは、あなたのおつしやることがその通り受取られるようにも思いますけれども、すべて東南アジア貿易に切りかえて行くという問題も、今日東京で特別重要な経済会議が開かれておりますが、やはり中心の問題の一つとして、アメリカの方においてこれについての決定を行おうとしておる情勢であります。すべてアメリカとの関係においてこの問題が処理されておることは事実であります。そのほかにこの貿易の内容自体が、これまた新聞その他にはつきりと伝えられておりますように、日本を工業の中心地として、そうして東南アジア貿易と日本の工業との結びつきにおいて、これが検討されているということも明らかであります。そういうふうな関係で、東南アジア政策の強化ということと、日本の地位とが関連かないというようなことは、とうてい考えられないことであります。そこで私のお聞きしておりますのは、対日講和説が一方に出るのと、東南アジア政策をどんどん積極化して行くということとは、実は切つても切れないのではないか。しかも貿易の性格の中にも、経済、軍事援助的な性格がだんだんはつきり現われつつあるのではないか。しかも一方日本において日本の基地化の問題も出て来ておる。こういう一つの相互の関連の中心点として、対日講和というものが論ぜられておるとすると、事態は非常にゆゆしいものではないかということが、私の考えておる一番中心点なのでありますが、こういう考え方がおそらく島津政務局長のお考えによると、間違つていると思われるのですが、その間違つているところをひとつ十分御見解を表明していただきたい。
  68. 島津久大

    ○島津政府委員 間違つておるかどうかというようなことではないと思うのでございまして、御見解は承つておきたいと思います。ただ非常にゆゆしい問題というような御見解とは、われわれの見解は違つておるということだけは申し上げられるのであります。
  69. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 どうもせつかく出かかつた芽をまた引込めてしまわれた、そういうことではまつたく質問のしがいもない。あなたの方もせつかくいろいろと御研究なさつて意見を持つておられるようですが、それもお出しにならない。実際この問題がほんとうにこの委員会においても、十分討論されて来なければ、実際に日本の現在置かれつつある地位というものが、どういうところに立つておるか、それは私の見解によれば、非常に危険な地位であると考えるし、あるいは反対側の人によりますれば、そうでないとい意見もありましようが、とにもかくにも問題の中心点が相当煮詰まつて、大きくクローズアツプされつつあることは事実なのであります。そのことの討議を無視して、日本の講和問題は実際論議できないのです。だから私はなるべく具体的に問題を進めたいと思いますが、しかし何をお聞きいたしましても、どうもこれは質疑応答にもなりそうもございませんので、これはあきらめるよりしようがありませんが、しかし当委員会におきましても、この問題は非常に重大だと思うのです。国際的ないろいろな事情が、どんどん一定の方向に動きつつあるときに、日本の生死に関するような講和の問題について、そういう條件を拔きにして、外務委員会で講和問題を論議しても始まらないわけですから、私はこの大きな問題について、外務大臣の御見解その他をぜひお聞きする必要があると考えておるわけです。  それではしかたがありませんから、第三の問題に移りたいと思いますが、実は中国並びに韓国との関係の問題というのは、具体的に申しますと、最近起つておりまする花岡事件であるとか、木曽谷における虐殺事件とかいうことが明らかになつて来ておる。それから一方、朝鮮人の強制送還問題というものが云々されておるわけですが、これについて外務当局の御見解をお聞きしておきたいと思うのです。  まず第一は、この間韓国の大統領の李承晩氏が日本にやつて来られた。ところがこれについて、一般の新聞でも多少の報道がありましたが、最近国際新聞に李承晩大統領と吉田首相との密約説というものがかなり具体的に報道されておる。その内容は、もうすでに御存じかと思いますが、念のため申しますと、両国が防共のため、そして革命を阻止するために、日本が韓国にこういう援助を與える。たとえば日本に軍需物資の生産力がある、これを利用して韓国を援助する。また旧軍需物資の蓄積がある、こういうものをもつて韓国を援助する。しかも旧日本軍人がいる、こういうものをもつて援助するというようなことが問題になつておる。そうしてまたその代償として、韓国側では、在日朝鮮人の本国送還といいますか、追放について協力する。大体こういうふうな趣旨の密約説というものが報道されております。これは非常に重大な問題でありますが、外務当局はこれについてどういう事実があるのか、お伺いしたいと思います。
  70. 川村松助

    川村政府委員 ただいま聽濤委員がお尋ねになつたような事実はありません。
  71. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 この間李承晩大統領が来られたときに、吉田首相が会われたことは事実なんですが、このことはよもや御否定にはなるまいと思いますが、私たちがこの国際新聞報道に相当の信頼を置く一つの根拠と申しますのは、今数十万の朝鮮人が日本におります。この人たちが、今もう死活の問題として自分の生活の問題を放棄して、みんな一生懸命になつてこれの真相を確めようとして日夜苦心しておる問題は、朝鮮人の強制送還問題です。これはこの密約説と相当関係があるように思われるのですが、この朝鮮人送還問題の真相いかん。外務当局のこれについての事実を御説明願いたい。
  72. 川村松助

    川村政府委員 ただいまの御質問に対しましては、法務総裁がこの間答弁いたしました通りであります。その他何も含まれておりません。
  73. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 法務総裁は国内的な自分の権限内での御説明をしておつたと思うのですが、これはそういうふうな問題以外に、国際的な問題として、実は私は外務当局にお尋ねするわけです。この密約説については、私たちも断定する資料を持つておりません。しかし事実法務総裁の否定にもかかわらず、実際に朝鮮人の強制送還というものは一部にはすでに行われている。事実に現われて来ている。しかも朝鮮人の強制送還が行われるのではないかと思わせる非常に大きな問題は、いわゆる外人登録令というものが適用されて、日夜朝鮮人は不当な尋問を受けたり、いろいろな圧迫を受けて来ております。またそうでなくても、朝連の解散が強制的に行われたり、一連の今までの政府の態度の中に重大な疑いを持たれて来ている。もしそういう強制送還の問題がないとするならば、政府はもつとはつきりとした態度を表明しませんと、日本における朝鮮の数十万の人たちにとつては大問題になつて来る。それだけにどういう大きな社会不安が起るかわかりません。第一これにつきましては、三月二十八日付の朝日新聞がこういう報道をしておることは、川村次官もよもや御存じないとは言えまいと思う。たとえば京城からの報道によると、日本訪問から帰国した蔡韓国陸軍兵器行政本部長は二十五日京城で記者団と会見して、こういうことを言つておる。つまり「在日同胞の中には失業者、浮浪者、犯罪者などがいて、韓国の体面を傷つけるものがある、さらに朝連の勢力はいまだ無視できないものがあり、在日同胞問題については強力な措置が講ぜられるべきである、聞くところによると李大統領は強制送還についてすでに成案を立て、総司令部及び日本政府と交渉中だということである」ということが報道されておる。これは先ほどあなたが非常に簡單に否定なさつた国際新聞の密約説を、裏から一部証拠立てるようなことが韓国側の官憲によつてやはり言明されておる。こういう事実が出て来ておるということについて、もつと具体的な丁寧な御回答があつてしかるべきではありますまいか、もう一度お聞きしたい。
  74. 倭島英二

    ○倭島政府委員 私から今の御質問の点について申し上げたいと思います。強制送還が行われておるといお話は、おそらく不正入国をしておる外国人の強制送還の問題だと思います。これは今に始まつたことではないのでありまして、不正入国して来る外国人は、それぞれ適当な手続によりまして送還をせられておる、これは御存じの通りであります。それから登録令の関係では、私の承知しておる限りでは、まだ強制送還というようなことは行われておりません。もしも行われるならば、先日法務総裁から御説明のあつた手続によるものであると承知しております。
  75. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 不正入国者の送還云々と言われましたが、私たちの知つているところでは、この間岡山におきましても、数名強制送還をされております。この人たちは決して不正入国者ではなくて、日本に居住していた人たちと思われておりますが、そういうことについていろいろ朝鮮人の間には、政府がもうそれに手をつけ始めておる、三月の何日ごろにはこういうことが行われるのではないかというような——これは單なるうわさではなくて、いろいろな不安な気持がみなぎつておるのは事実であります。こういうことについて法務総裁が来たらもう一ぺんお聞きしますから、その具体的なことについての御答弁は、私は外務当局には期待しません。しかしながら国際的な観点からいつて、先ほどの今後の日本の行き方として、韓国との間にそういうことが実際あるのかないのかということは、非常に大きな問題で、しかも簡單な否定では納得できないような報道が、日本新聞にも出ておる。李晩氏がこの間来たことも事実であるし、吉田総理大臣と会われたことも事実である。しかも韓国の官憲が今申し上げましたようなことを言つておることも事実であるし、いろいろな諸事実を反映してか何か知らぬが、在日韓国人の間に、非常に大きな不安が起ることも事実であります。日本政府に対しましても、国会中毎日のように朝鮮人の代表がこの問題について詰めかけて来ているのも事実である。そういう問題については、政府は具体的な、絶対にこういうことはないのかあるのかということについて、すべてもつとはつきりした態度を表明すべきだと思う。これについては総理大臣がいないのですから、私は川村次官はもつと丁寧な御答弁があつてしかるべきだと思う。
  76. 川村松助

    川村政府委員 せつかくでありますが、そういう協定は事実ないのであります。どうか政府の発表を御信頼願いたいと思います。
  77. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 それではちよつと方面をかえますが、これも法務総裁その他にお聞きしたいと思つておりますけれども、秋田県の花岡鉱山における中国人俘虜数百名の虐殺事件であるとか、あるいは木曽川における中国人俘虜の虐殺事件であるとか、こういうことが今問題になつて来ている。駐日華僑総会から政府に対して調査を要求して来ておる。これにつきましては、最近中国本土におきましても、この問題を新華社その他が取上げて報道している。たとえば中国において最も著名な文学者であるが、郭沫若なども、日本の天皇までこういう犯罪に関する犯罪者であるとまで、非常に激趣な態度を表明しております。その他本国においていろいろな動きが起きつつある状態であります。こういう問題について、外務当局は、今後の中日関係を考えて、どういう措置をとられるおつもりであるか、法務総裁にはこれからお聞きしますが、その前に川村次官の外務当局としての代表的な見解を、まずもつてお聞きしたいと思います。
  78. 川村松助

    川村政府委員 法務府の方で調査中であるものもあると思いますので、その結果を承りませんでは、判断がつかない次第であります。
  79. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 引続きまして殖田法務総裁が出て来られましたので、これらの事件について重ねてお聞きしたいと思います。今私が質問いたしておりますのは、朝鮮人の強制送還問題についてまだ納得の行かないところがありますので、大臣にお聞きしたいと思います。法務総裁は、日本政府としてはそういう計画を持つていない、こういうことを明言されておるわけで私もよく承知いたしております。ところが一方にこの問題がその言明だけでは始まらない筋が非常にあるわけであります。第一に先般朝連解散が行われましたときには、日本の国内法規である団体等規正令によつて解散が命ぜられたはずでありますが、それについて朝連側において日本の裁判所に問題を持つて行くと、裁判所では、これは国内法規では処置できない、こういうふうな食い違いが出ておりますので、朝鮮人としましては、日本政府計画していないという言明たけでは、なかなか納得ができない。何か別な意思から、いろいろなことが行われているのではないかというふうな疑いを持つているわけですが、もう一度殖田法務総裁に、日本政府がそういう計画を持つていないということは、朝鮮人を強制送還するような事態は、絶対に起らないということを言われるおつもりで言つておるのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  80. 殖田俊吉

    ○殖田國務大臣 強制送還の問題をたびたび朝鮮人から聞かれるのでありますが、朝鮮人の質問します根拠は、京城からの通信でありまして、韓国政府の要人が、強制送還をするように、日本政府に話しておるとか、こういうことを言つておる、それはほんとうか。そういうことを聞いたことは一ぺんもありませんし、それから日本政府には、韓国政府と直接交渉する資格はないのであります。日本政府が聞くわけはないのであります。それならば連合軍司令部を通じて言つて来ておるかというと、それもないわけであります。これは何か一つの、ためにする宣伝か、あるいは通信ではないかとすら私は思うほどであります。煙も何もないのであります。総理に聞きましても、一向そういうことは聞いたことがない、こう言つておるのであります。朝鮮人を全体として迷惑だからこれを送還するというようなことは、ちつとも考えておりません。ただ強制送還の道はあるのであります。それは外国人登録令によりまして、登録令の規定に基く強制送還はあるのであります。これは従来からもあつたのであります。従前は総司令部みずから送還をしておりましたが、昨年から日本政府責任をもつて送還をすることになりました。これはただ法律の規定に基きまするはつきりした條件によつて送還をしておるのでありますが、その送還を今まで実は法務総裁が命令を出しまして、そうして警察官がこれを護送して行き、佐世保の付近のある一定の場所にそれを一時とめおきまして、船の来次第送るということをやつておるのであります。その制度は機構としてもまた運用としても不完全な点があるので、それをひとつ整備しようという議はあるのであります。それが多分誤伝されたのじやないかという節もあるのです。しかしそれは実質に何も触れる問題ではなく、一層送還を確実にしようというだけのことでありまして、別にその後も送還者をふやしておりませんし、かり立ててもおらぬのであります。ときどき不法密入国を発見しまして、そうしてそれは厳重に送還をするということもやつております。それらが誤り伝えられて、非常に大きく伝えられまして、そうしてお前はそう言うけれども、実際送還をしているじやないかというような質問も受けるのでありますけれども、それも法規に基く純然たる法律上の手続でありまして、決していわゆる強制送還という大げさなものではないのであります。これは心配はいらぬのでありますけれども、朝鮮の諸君が執拗に質問して参ります。これは私も数十人の人に面接いたして、そのたびにそのことを説明しております。心配はないと思います。
  81. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 それが実際は問題なんです。あなたが何べん言われてもやはり大きな問題として残つておる。これは第一法務総裁に大きな責任があるわけです。朝連の解散の問題にしたつて、実際納得の行く説明をしなかつた。日本の国内でも団体等規正令でやつていながら、裁判所ではこれは国内法規ではさばけないというでたらめなことが行われているのですから、これはいろいろな問題が残るのがむしろあたりまえである。しかも一方で外国人登録というものが行われた。大体外国人登録令といいますけれども、あれは一口に申しますと一体どういう趣旨のものですか、ちよつとお聞きしたいと思います。
  82. 殖田俊吉

    ○殖田國務大臣 ただ日本人が国籍を持つように、外国人を登録をする。こういうことであります。
  83. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 ところでこの点について、私非常にこの強制送還問題の出て来る根拠にこれが一つあると思うのです。大体法務総裁は朝鮮人をどういうふうにお考えになつておるかしらぬが、日本におきまして数十年住んでいる、しかも実際上日本の植民地として、中にはいやがる者までも連れて来られたとい事情もある。戦争中は日本に強制的に連れて来られて、日本の戦争努力に協力させられた。日本の国籍をちやんと持つて、名前もそうなつている。それでなくても実際日本に来て日本の勤労者の一部として働いている。今までの関係から行けば外国人でもなくて、実際上もう大部分の朝鮮人は、日本の国内における一つの少数民族という地位を持つていると私は思う。そういうふうな扱いを正当にするならばいいのですが、そうでなくて、ここに外国人登録令というものを強制的に行われる。これはやはり一つの大きな不安の種になるのはあたりまえですが、そういう点について、法務総裁の御見解いかがでございますか。
  84. 殖田俊吉

    ○殖田國務大臣 先ほどの朝鮮人連盟の解散の問題について日本の裁判所に裁判権がないというのは、団体等規正令がポツダム政令である、ポツダム政令については日本に裁判権がないというのは、総司令部の指示に基いてさような解釈をしているのであります。それから朝鮮人の地位でありますが、朝鮮人はなるほど終戰前に多数来ておりまして、終戰と同時に一時うんと朝鮮に帰つて、それからまた参りました。今は、ずつと日本におつた人もおりますが、一時朝鮮に帰つてまた来たという人がかなり多いのであります。そして世上ではいろいろの説をなしておりまして、約百万人の朝鮮人がいる、多い場合にはあるいは百二十万もいるというのでありますが、登録をしている者は六十万人足らず、以前に登録している者は六十四万ばかりであつたのでありますが、今度登録が之をいたしましたところが、かえつてそれが数万減つているような状態であります。私は朝鮮人が心配いたしますのは、登録をしておらぬから、そこで不法入国と見られてむりに帰されるのではないか、こういうことを心配しておると思うのであります。登録を実はみんなにしてもらいたかつたのでありまして、今まで登録をしておらなかつた者は、今度登録したことによつて判め登録をしなかつた事実がばれる、それがこわいというようなことは心配なかつたのでありますが、多少取越苦労でそういうことを心配して登録しなかつたのではないかと思うのであります。これは私ども、もつとあの登録の趣旨を徹底せしめておけばよかつたと思うのであります。ずいぶん趣旨の徹底はいたしたつもりでおりますけれども、そういうような結果が生じたということは遺憾であつたのであります。お話のごとく朝鮮人は日本の国籍を持つてつたのであります。ただいまでも朝鮮人と申します者は、実は非常にあいまいなる地位を持つておる。これはいつか並木さんに申し上げたと思うのでありますが、いわゆる連合国人、ビクトリアス・アライド・ネーシヨンではないのであります。ところが朝鮮人は一時自分たちは連合国人と同じ者であるという態度をとつておつた時代もある。それがかなり朝鮮人問題をやかましくした一つの原因であつたと思うのであります。しかしさればといつて日本と離れて独立国である朝鮮の国民である以上は、必ずしも純粋な日本人ではない。三重国籍を持つような形にもなる。ところがそれは南方の大韓民国を支持する者は喜んで大韓国の国籍を持つのでありますけれども、南方の人であつても必ずしもそれを支持しない。いや北鮮政府を支持するのだ——でありますから、一体どつちの朝鮮人としていずれの国籍を持つかすらも不明である。しかし日本から独立したのであるから日本人ではない、こういうようなことも考えておるのであります。はなはだあいまい模糊たる状態にあることはお話の通りであります。そこでその問題を早く解決をしたいのでありますが、やはりこれは講和問題の一環をなすものでありまして、その講和條約が締結されるまでは、これをデフニツトにきめることはできないのであります。そこで今ははなはだ不徹底な状態に置かれておるのであります。これは朝鮮にとりましても、日本にとりましても、決して幸いなことではないのでありますが、どうもやむを得ざる次第でありまして、しばらくこれは隠忍するほかないのであります。そこで国籍法と申しますものをこの議会に提案しております。朝鮮人の国籍の問題が解決のできるときに、国籍法をほんとうにきめたいと思つたのでありますけれども、講和会議がいつになるかわかりませんので、その他国籍法上いろいろな問題がありますから、朝鮮人の問題をデフイニツトにきめることはあとまわしにして、その問題に触れずに国籍法を一応きめたいというので、実は提案をいたしておるような次第であります。講和会議がなるべく早く開かれまして、そうして朝鮮人の問題もそのときに一挙に解決のできる日の、一日も早からんことを私どもは念願をいたしております。従つて私どもの現在においてとります態度、措置がはなはだ不明確であることは、はなはだ残念でありますが、やむを得ざることと御承知を願いたいと思います。
  85. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 私は中国の問題も少しお聞きしなければならぬし、まだ相当重要な問題がありますので朝鮮人の問題ははしよらざるを得ませんが、もう一、二点ついでに聞いておきたいのは、法務総裁の言われる点をそのままかりに信ずるとしまして、いわゆる不法入国をした者についてはこれを送還するという話でありますが、これは日本の官憲から韓国の官憲へ手渡しをする、こういう方法でおやりになるのですかどうなんですか。
  86. 殖田俊吉

    ○殖田國務大臣 私は朝鮮のことは、実はあまり明確に存じませんが、私の承知しているところでは、日本はむろん官憲が護送いたしまして、船の上でも官憲が護衞して参ります。そうして向うの朝鮮政府の官憲に引渡すはずであります。
  87. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 そういたしますと、結局送還される者は大体監獄行きの運命ですな。どうですか。その辺はつきりしているのではないですか。
  88. 殖田俊吉

    ○殖田國務大臣 今事務当局に聞きますと、向うでは監獄などへ入れずにみな自由にしておるそうであります。
  89. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 もう一つお聞きしたいのは、実は外務当局にお聞きしたのですが、ただそんなことはないと簡單に言われただけですが、どうでしよう。ひとつざつくばらんにお聞きしたいのですが、強制送還についてのうわさの相当大きな根拠としましては、この間李承晩大統領が日本に来たときに吉田総理と会つて日本がいろいろな点で韓国を援助するという代償として、在日朝鮮人を強制送還するについて韓国側も協力する。何だかどつちのどういう話だかわからないが、日本が強制送還をしたいのでそれを韓国も協力する。こういうふうな密約ができておるという説が国際新聞に堂々と出ておる一方、これを裏書きするかのごとく、例の蔡韓国陸軍兵器行政本部長がある言明をしておりまして、日本新聞にも出ておるのですが、これらの事情について法務総裁はもつと明らかに否定なさるような、いろいろ具体的な材料をお持ちになりますかどうか、ついでにお聞きしたい。
  90. 殖田俊吉

    ○殖田國務大臣 私の聞きましたところでは、逆に李承晩政府が朝鮮人の強制送還を希望しておる。それで日本に対してそれに協力せいと言つておるんだといううわさは聞いておりますけれども、それは外務当局から御説明になつた通り、そういう事実はまつたくないのでありまして、これは私は総理に何べんも念を押して聞きました。李承晩の来訪を受けてほんの儀礼的に会つただけで、そんな政治の話だの一切しておらぬということであります。そしてまた日本政府が李承晩政府とそういう密約なんかできるわけはないのでありまして、したくてもできないのであります。これはGHQがすべきところでありまして、日本政府関係すべきところでないことは御承知の通りであります。これはどうも何だかためにする風説のように考えられてしようがありませんので、事実はまつたくありませんから御安心願いたいと思います。
  91. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 こればかり問答しておりましても時間をとりますから、今度は例の花岡鉱山事件につきまして、この間この外務委員会におきましても検務局長でありましたかにお聞きしました。ところがこれにつきましては、さつそく調査する者を出したけれども、雪のために十分できなかつた。しかしあと引続いて調査する。それで調査の内容については外務委員会でこれを発表してくれるかと言つたら、発表いたしますと申しましたが、その後どうなつておりますか、ちよつとお聞きしたい。
  92. 殖田俊吉

    ○殖田國務大臣 まだ調査中であると思います。花岡の問題ばかりではありません。例の木曽川の問題も目下調査中であります。これはかつて調査をしたのだろうと思います。そのときははなはだ不明瞭なことになつております。いろいろお話がありますから、もう一ぺん厳重な調査を命じまして、今調査しているはずであります。しかし花岡はおそらくまだ雪の中にあるのではないかと思います。それで交通も十分によくなりましたならば、徹底した調査ができると思います。それから花岡の方は、御承知のようにあれは軍事裁判で一応の処置はされておる。日本の戰犯関係とい関係で、GHQの方で軍事裁判に取扱つてつたのであります。ただ戰犯でなく、つまり俘虜でない者がありはしなかつたというようなことで、もしそうなりますと日本の刑事事件になる。それらは私どもの調査の対象である。木曽川についてもそういうふうで調査をいたしておりました。その結果これが戰犯であるかないかが明らかになりまして、戰犯でないものであるといたしますれば、今度は刑事上の捜査をしなければならない。その捜査はもつと手の込んだ周到なものになるわけであります。それはその後の段階であります。一応の調査ができましたらむろん御報告申し上げます。
  93. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 そこで花岡事件並びに木曽谷の問題は調査をなすつていらつしやるというのですが、念のためにお聞きしますが、どういう人たちがどういう方法で調査をなすつていらつしやるのか承りたい。
  94. 殖田俊吉

    ○殖田國務大臣 ただいま御承知のように、昔のような内務省というものもございませんし、警察もやつておると思いますが、私どもは警察を命令する権能はないのでありますから、実は自分の所管の地方の検察庁に頼んでやつております。検察庁が適当にいろいろな関係者とも連絡いたしまして調査をすることと思います。
  95. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 それですと、すでに今までの中間報告といいますか、そういうものも多少受けておられると思いますが、その報告の大体の内容といいますか、それはどういうものでありますか。
  96. 殖田俊吉

    ○殖田國務大臣 いやそれを実は受けておりません。花岡の分は、これは御承知と思いますが、軍事裁判の方の報告はわれわれ多少聞いておることがあるのです。これは数人の人が刑を言い渡されておりまして、絞首刑を言い渡されておる人もあります。しかしまだ刑の執行はないようであります。そういうことは承知しております、木曽谷の方は、これはまだそれらのことも今まで軍事裁判になつておらぬのであります。それらのことも何も承知しておりません。長野の検察庁に督促をいたしまして、今捜査を励行させております。
  97. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 私はこの問題については、法務総裁もすでに御存じだと思いますが、中国の本土でもやはりこれを問題にし始めております。これは当然国際的な問題になるだろうと思います。特に中国につきましては、現地にいた日本軍も相当残酷なことをやつて来た。一方国内におきましても戰時中、戰争直後いろいろな事件があつたということは、われわれも民間ですでに聞いておる。これは国際的な戰犯問題とは別に、日本国民として、今後中国との関係を結んで行く上においては、われわれは中国の民族に対して、やはり事態を明らかにしてやつて行かなければならぬ大きな責任があると思う。そういう具体的な問題としてこれが出て来ておるのであります。今法務総裁がお話なつたような答弁では、取扱いがまことに不熱心で手ぬるいような気もいたしますが、これの論議は別として、法務総裁もこれが国際的に重大な内容を持つた問題であることは、おそらくお認めになると思う。これについては、日本政府はあらゆる方法で事態を調査して明らかにする責任があると思います。そこで具体的にこの国会においても、私たちは非常に大きな関心を持つておりますので、ぜひこの会期末までに事件の調査の報告をしていただきたいと思いますが、それについて法務総裁からそれをお約束していただきたいと思います。
  98. 殖田俊吉

    ○殖田國務大臣 私もこういう問題については、実は非常に関心を持つておるのであります。なるべく十分な調査をしたいと思うのであります。何分にももうすでに六年前のことでありますし、当時のあのどさくさで、ほとんど資料等散逸しておるようであります。そしてルーマーはいろいろあるようでありますけれども、なかなか調査がしにくいことがあるようであります。私も急がせてはおりますけれども、この国会の会期中にお気に召すような報告ができますやらどうやら、私は決して調査の結果をしまつておくというようなことはいたしません。できるだけ御報告申し上げますが、私どもの心配しておりますのは、いい報告ができないのではないかということであります。そこで今お約束はしたいのでありますが、私は今お約束するほどの確信を実は持つておらない。はなはだ申訳ありませんが、さよう御承知を願います。
  99. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 これで質問を打切りますが、最終的な報告でなくとも、場合によれば中間的なものでもこの会期中に一応報告をしていただきたい。これはおそらくやつてもらえるのではないかと思いますが、いかがでありますか。
  100. 殖田俊吉

    ○殖田國務大臣 実は昨日も事務当局に督励をしておるのであります。私はもう余日幾ばくもない会期中に間に合いますかどうか、やつてみるつもりであります。できましたら御報告いたします。
  101. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 それを強く要求しておきたいと思います。最後に繰返し申しますが、これは日本国民が非常に大きな疑いを持たれておる事件であります。すでに民間にもいろいろ言われるごとく、事実戰争中における日本の中国民族に與えた損害というものは莫大なものなのですから、日本政府として中国側から言われるまでもなく、積極的にわれわれは、ほんとうに誠意を持つてこの問題を処理して行くようにしなければならぬと思いますが、そういう日本政府の今とつておるような諸問題に関する一般的な態度といいますか、政治的態度になりますか、そういうものについて法務総裁の口からお聞きしておきたいと思います。これで私の質問を打切ります。
  102. 殖田俊吉

    ○殖田國務大臣 私は、日本政府といたしましては、やはり厳正なる態度をもつてこれを処理したい。決してあいまいにする意志は毛頭ありません。ただはつきりできるかどうかということを心配している。従つて決して御心配はないのであります。私も同感でありまして、私自身が相当に不満を持つているのであります。さよう御承知を願います。
  103. 岡崎勝男

  104. 山本利壽

    山本(利)委員 ごく簡單にしますが先ほど聽濤委員から御質問になりました朝鮮人強制送還の問題に対して、聽濤君の御意見は強制的に送還すべきでないとい意見であつたようであります。当局の方ではそういう意思も事実もないという御答弁であつたように思うのであります。この点は一応了といたしまして、反対の立場で、日本国民の中には日本の人口過剰を緩和するとい意味と、もう一つは朝鮮人の中に非常に好ましからざる言動をなし、日本の思想界及び社会的にいかがわしいことがあるので、強制的にでも帰つてもらいたいというような意向も相当あつたように思うのでありますが、それらに対しての強制送還すべきであるとい意味陳情が、当局へ向つてなされた事実がありますか、あるいはなされたけれども、最近はそういうことがありませんのでしようか、もししきりに朝鮮人は帰すべきだとい意見国民的に多いときは、それに対して相当の考慮を拂われるような意思がありますかどうか、その点を法務総裁にお伺い申し上げます。
  105. 殖田俊吉

    ○殖田國務大臣 今のお話のごとく朝鮮人を強制的に送還をしろとい陳情もございます。それはずいぶんございますけれども、先ほど申し上げました通り、朝鮮人の国籍がまだはつきりしないのである。ある意味では日本国民中のマイノリテイーで、純粋な外国人とも考えられない。これは講和会議後にまたその問題をきめるべきことと考えております。従つてただいま米の少いときに朝鮮人に食いつぶされる。あるいは非常に犯罪を犯す者が多いといことだけで——たとえば犯罪者は、重い犯罪者はその犯罪の判決が確定しますと帰しておりますが、そうでない者までもひつくるめて、朝鮮人を送還するということは考えておらぬということを先ほども繰返し申し上げたのであります。やはり日本もいくさには負けましたけれども、大国民でありますから、そんなにきゆうくつに考えませんで、ひとつ心持を大きくいたしまして、朝鮮人も日本人と同様にかわいがつてやるという態度が、私は必要だと思います。従つて朝鮮の諸君に私は日本人と同じ生活をしてもらいたい。日本の社会の中に朝鮮というコラニーをつくらないようにしてもらいたい。同じ気持で暮してもらいたいということを実は言うておるのであります。これはあくまで日本人と同じ待遇をしろという朝鮮人もありますし、また今のお話のごとく、早く帰してしまえとい日本人もあるのでありますが、それは両極端でありまして、われわれといたしましては、そこのところは適正公平に処理をして行きたい、こう考えております。
  106. 山本利壽

    山本(利)委員 今の点は了承いたしまして、もう一点島津政務局長にお尋ねいたしたいと思いますが、本日の聽濤委員の御質問になりました早期講和会議の問題、東南アジア政策の問題、中国並びに韓国に関する問題等は、いずれも現在われわれの最も深く知りたい問題でありまして、観点は聽濤委員違いまして、われわれ外務委員としては、最もこれらの問題について慎重に審議もし、討論もしたいと考えるのであります。われわれ一般議員の者が承知いたしまする材料は、新聞雑誌等を通じて知るのであります。きようの御答弁を聞いておりますと、当局そのものにも、それ以上にはあまり材料がないのではないかといつたように思われる節もあるのでありますか、われわれが考えますところでは、政府当局はこれらの問題が起りますたびに、少くとも総司令部の関係官と一々連絡されまして、その方に材料を要求し、意見も聞かれまして、連合軍といいますか、特にアメリカ方面の一つ一つの問題に対する方針を聞かれて、その方向に向つて協力して動かれるのでいないか、そのようにも考えられるのであります。そうすれば、われわれよりもはるかに深い材料と知識とを持つておられるわけでありますから、われわれの委員会に対して、いま少しくざつくばらんに、すべてのものをさしつかえない程度にではありますが、明らかにされて、この外務委員会の職責を全うするようにしていただきたいと思うのでありますが、はたしてそういうような連絡が、総司令部と外務当局との間にあるのでありますか、全然なくしてわれわれと同じように、新聞雑誌等によつて物事を判断しておられるのであるか。今後われわれが外務当局に向つて質問申し上げるについての心構えもありますから、その点を一応承つておきたいと考えるのであります。
  107. 島津久大

    ○島津政府委員 ただいまのお説のように、外務省といたしましては、できるだけ関係の方面と連絡を密にしまして、情報も入れたいという希望を持つております。ある程度のことは情報として入らぬこともないわけでございます。ただいろいろな政策の方針というようなことにつきましては、これはなかなか入手の方法がないので、できるだけのことは努力いたします。御了承願いたいと思います。
  108. 菊池義郎

    ○菊池委員 関連して……。私はいやしくも事外交に関することをみだりに公開の席上において発表することは、嚴に禁ずべきであると考えるのであります。古今東西を通じて秘密のない外交というものはあり得ない。また祕密を伴うことのない外交は、それは外交ではないのであります。ことにソ連のごときは最も祕密外交の本家本元であります。その共産主義の流れをくむところの日本共産党の諸君が、祕密外交であるということを言われることはまことに奇怪千万であると思います。私は聽濤君の御議論に対しましては、徹頭徹尾反対でありまして、厳密に機密を守つていただきたいと思います。ことに占領下におきましてはこの必要を痛切に感ずる次第であります。  私の番でありますから引続いて…。ただいま極東経済通商会議が開かれておりますが、これに対しまして政府当局といたしましては、何らの漏れ聞くところもない、またこつちからして何ら進言陳情することもない、何らの連絡もないという御答弁でありますが、それで了承いたしました。この極東経済通商会議の最も重要な点は、極東各国の経済の統合問題、すなわちこの会議におきまして一番問題である経済の統合問題がまとまらないとなりますと、これは重大である。またこういう会議が何回か回を重ねるであうということも想像されるのでありますが、この経済統合の問題がうまく行かない場合においては、日本独自の立場において、何か中国その他の方面における市場獲得のために、日本政府として打つべき手があるかどうか、対外国策の問題について外務当局の抱負経論をお伺いしたいと思うのであります。
  109. 島津久大

    ○島津政府委員 東南アジアの経済と日本の経済を緊密に結びつけるという方向で動いていると考えますが、それができない場合に、日本としてどういう手を打つべきかというような御質問かと思いますが、この点につきましては、たびたび形式論を繰返すようで恐縮でありますけれども、日本政府としまして直接に関係国と折衝する手段はただいまのところないのであります。     〔「そんな質問をしていると外交はばれてしまうよ」と呼ぶ者あり〕
  110. 菊池義郎

    ○菊池委員 その質問はちつともさしつかえないのでありまして、公々然たる質問でありまして、祕密も何もないのであります。講和会議の済まないうちに打つべき手は幾らもあると思う。中国、韓国に対する貿易も行われているようなわけでありまして、そういうことは少しもさしつかえないと思うのでありますが、司令部を通じまして陳情、折衝、懇談の形成におきまして、日本の外務当局として相当に活躍すべき余地があると思われるのでありますが、それでも何らないと言うのでありますか。
  111. 島津久大

    ○島津政府委員 先ほど仲内委員の御質問に対しまして、ただいま行われております極東経済会議と直接の交渉がないということは申し上げたのでありますが、しかし日本側の希望というものは常時連絡して関係方面には十分わかつているはずであるということをあわせて申し上げておきます。
  112. 菊池義郎

    ○菊池委員 ちよつとお伺いしますが、今の中日貿易は大体金額にしてどのくらいになつているか。私は迂遠にしてちよつと……。
  113. 島津久大

    ○島津政府委員 ただいまちよつと中日貿易の数字を持ち合せておりませんので、この点は調べましてできましたら……。
  114. 菊池義郎

    ○菊池委員 過日蒋介石から日本に対して貿易の申込みがあつたように新聞報道されておりますが、あれはその後どういうふうになつておりますか。日タイ貿易は今どういうふうになつておりますか、大体の状況をお伺いしたい。砂糖や何か入つていますか。
  115. 島津久大

    ○島津政府委員 この点もちよつと正確な資料を持つておりませんので、他日の機会にいたしたいと思います。
  116. 菊池義郎

    ○菊池委員 小笠原から内地に全部六千人から引揚げておりますが、それを沖縄と同じように早く小笠原島に帰すように陳情折衝してもらいたいということを申し上げたのでありますが、その後どういうようになつておりますか。
  117. 倭島英二

    ○倭島政府委員 小笠原の方に帰る問題でありますが、その点につきましては最近少し動いております。と申しますのは、だんだん向うに帰りたいとい事情関係の方面に説明をいたしまして、帰るという希望なり、現在日本でどういう状況からして帰りたいかというその状況がわかつて来た。ただ今度は小笠原の方の各島が、現在としては、戰前に受入れたほどの人口を養うだけの経済的の條件が整つておらぬという点で、現在ひつかかつておるわけであります。もしもそこに帰りたいという人たちの間で、ある程度向うへ行つて、経済條件を現状のままにおいてこういうふうにして生活ができる、たとえば農業をやるならば、農業機具だとか、農業に必要な家畜だとか、そのほかのものを日本から持つて行く。あるいはそのほかこういうふうな條件のもとにおいて、こういうふうに生活できるから帰りたいとい意味の、生活計画と申しますか、そういうものを添えて来れば、ひとつ話を聞こうではないかというところまで来ておりまして、まだはたしてその計画を出して、それじやそれである程度の、たとえば何人くらいはその計画で帰れるところまで行くかどうか見当がつきません。それでわれわれの方も、帰りたいという御希望のある向きに対しては、実はこういう状況になつております。従つて、いわゆる生活計画と申しますか、そういうものを立てられて、そしてまたさらに次の折衝をしたいという状況になつております。
  118. 菊池義郎

    ○菊池委員 向うにみな家も残つておりますし、それから用具もみな残つております。帰れば百姓の経験のある連中でありますから、すぐにも仕事ができるので生活の心配はまつたくないのでありますから、そのことをもう一つつけ加えて、さらに陳情をしていただきたい。どうぞよろしくお願いいたします。
  119. 岡崎勝男

    岡崎委員長 竹尾弌君。
  120. 竹尾弌

    竹尾委員 時間も追つておりますから、簡單に倭島局長さんに、先ほどのアルゼンチン農業移民につきまして、大体了承した点もあるのでございますが、この移民の問題については、私のところにも各方面からの問合せがございますから、ちよつと先ほどの御説明を整理の意味で、二、三お尋ね申したいと思います。カトリツク教会にて日本入植者を募集中である、こういう意味新聞報道が所々に見えておりますが、そういうぐあいにとつてよろしゆうございますか。
  121. 倭島英二

    ○倭島政府委員 その点は、はつきりそういうふうに直接連絡があるかどうか申し上げかねます。というのは、日本アルゼンチンコリエンテス州で米作をやるとい計画を承知しておられる人々、あるいはこれに多少奔走しておられる人々は、相当あると思います。ただそれが宗教関係と、どう結びついておるかという点がはつきりいたしません。なお現在募集しておるかどうかという点につきましては、募集しておるとい段階にはまだ行つていないと思います。今申し上げましたように、アルゼンチンの方からいろいろなたよりが参りますので、そのたよりについて多少の用意といいますか、多少の計画があるかと思いますけれども、募集というところまではまだ行つていないのではないかと思います。
  122. 竹尾弌

    竹尾委員 そうしますと、この募集の問題が、将来相当進展するのではないかと私は思いますが、そうした場合に、当然渡航の條件、資格というようなものも問題になつて来ると思いますけれども、その際は、先ほど局長の御説明の中で、そうした渡航者は、現在アルゼンチンにおる者の家族として呼ぶ場合と、それから技術者の場合であると、こういうぐあいに了承しましたが、そういうぐあいに了承してよろしゆうございますか。
  123. 倭島英二

    ○倭島政府委員 大体そういうわけであります。先ほど申し上げましたように、家族を呼び寄せる場合と、技術者の場合には二種類ございまして、先ほどは少し説明が足りなかつたと思いますが、一般の技術者とい関係と、農業技術者というのがあります。一般の技術者関係では、従来はただ一件例があるだけであります。農業技術者関係では、まだ例がございません。しかしながら、この技術者関係は、いずれも呼寄せということでなくて行ける、これは向うアルゼンチンの国の法律の説明であります。
  124. 竹尾弌

    竹尾委員 この問題については、相当農村では関心を持つておる人があるようであります。そこでこの問題を直接問い合せる場合には、大体どこに問い合せたらよろしゆうございますか。その点もしおわかりになりましたらお答え願いたい。またもしこういう問題で聞きたいという場合には、管理局にお尋ねすれば、大体のところは御説明願えましようか。
  125. 倭島英二

    ○倭島政府委員 外務省の管理局の方へ御照会になれば、われわれの承知しているところだけは、御説明申し上げようと思います。
  126. 並木芳雄

    並木委員 先ほど保留しておきました專任外務大臣設置に関する決議案でございますが、これは先日来の委員の一部の方々の御意見を拜察しますと、やはり委員会としても專任外相は必要であるという空気が濃厚でございましたので、この前の理事会に、私はこの問題を出したわけであります。もちろん理事会として、正式にこれを可決したとか否決したとかいう問題ではございませんので、とにかく案をつくつてみようという議題が提出になつたのでつくつて来たのでありまして、決議案は、委員会としての形式はないそうです。たまたまその委員会に屈する委員が、全員で署名して提案した場合には、通常委員会の提案ということになるそうでございますので、私がこれをつくりまして、もし希望の委員がありましたならば、署名が加わつていただく。いずれにいたしましても、私たちの方としては、これを出すことに決定いたしておりますので、そういういい決議案が出るならば、こつちへも話してくれればよかつたというような者があり得るのでございますから、また與党委員の中にも、そういう御意向を漏らした人もあるので、私は出したわけです。これは決して政府攻撃の一つとしての提案ではなくて、與党もくるめて、いわゆる超党派外交の線に沿うような、專任外務大臣設置とい決議案になつておるのでございますから、そういう趣旨で、ひとつ皆さんの御意見をお伺いするように、おとりはからい願いたいと思います。
  127. 仲内憲治

    ○仲内委員 ただいま並木委員の御提案になつた件でありますが、これはかつて理事会で非公式に意見の交換が行われ、並木さんの委員会中心の紳士的な御協力には、非常に敬意を表しているのでありますが、ただあの理事会では、出席者も少かつたし、また突然の提案で、いわば個人的な意見交換でありましたので、その後党にも諮つておらなかつたような状態でありますから、これを今日の形で提案される——今の御説明では大分かわつたようでありますが、賛否を問われるというようなことは、急にはむずかしいと思います。いずれにいたしましても、これを当委員会の正式の議題とせずに、もう一応理事会なり懇談会で御相談願うというように、おとりはからいを願いたいと思いますが、もうきようは相当時間も過ぎておりますので、委員会はこの程度で打切つていただきたいと思います。
  128. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 私これにつきましては、ほんとうはいろいろ意見がありますけれども、今仲内さんから言われましたような形で理事会にもう一ぺん諮られるということは、私けつこうだと思いますが、本日ただちにここで議題にしろということは申しません。しかしこれは十三日の理事会でも、たとい全員出席しなかつたにしましても、十分話が出て、それが公式であり非公式であるという形式のことはとにかくとして、こういうものが出ることになりましたのは、あの理事会のいろいろな話合いの結果こういうことになつたので、これを私は、とにかく次の委員会におきましてでも、正式の議題にしてやつて行くことを主張いたします。しかしそれについては、もう一度理事会を開いて、どういうふうにするかの御相談をするということは賛成でありますが、うやむやにされてしまうことには私は反対ですから、そういうふうなおとりはからいを願いたいと思います。
  129. 岡崎勝男

    岡崎委員長 この問題につきまして研究いたしましたが、委員会は、所管に属する事項に関し、法律案を提出することができることになつておりますが、委員会として決議案を提出することは、規則上はなつておりません。従いまして理事会として、この決議案をさらに提出するかどうかという点を委員会の問題として研究することは、適当でないと思うのであります。ただいま仲内委員の御提案のように、委員の中で懇談されることについては、むろんこれはさしつかえないわけでありますから、懇談会を開きまして御相談することにいたしたいと考えますが、それでよろしゆうございますか。
  130. 並木芳雄

    並木委員 日取りがもう大分追つておりますので、いつ開いていただけますか。
  131. 岡崎勝男

    岡崎委員長 できるだけ早く、なるべく大勢の方、社会党の方もおいでになつた方がいいと思いますから、御都合を聞きまして、できるだけ早く開くことにいたします。むろん本国会中にいたします。
  132. 並木芳雄

    並木委員 それでけつこうです。その席上でできるだけ多数の賛成者を得て——委員会として正式提案というのは、ただいまの委員長の説明通り、できないのですから、外務委員会でもつて大体こういう希望が強いという色彩が出て来るような決議案に持つて行きたい、それが私の念願であります。そういう線での懇談でありますれば、非常にけつこうであります。ただ先ほど来ちよつとうわさに聞きますと、與党の方では賛成しておらないかに聞いておりますので、それがわかつておりますならば、むだでありますから、おそらく党でだめなものは委員の中でも賛成できないと思います。それならば、私は急いできようにでも賛成者だけの署名を得て出しておきますから、出したあかつき、またこれに対して好意あるとおとりはからいをいただいてもけつこうだと思います。
  133. 岡崎勝男

    岡崎委員長 そういう御意向ならば申し上げますが、自由党としては反対であります。
  134. 並木芳雄

    並木委員 それではあまりこの問題で煩わしても悪いですから、私の方は出します。いずれこれは運営委員会にもかけられると思いますから、そのときには建設的反対の態度をとつていただきたい。野党攻勢か来たというふうにまつこうから反対せずに、個人としてはけつこうなことだぐらいな意味を含ませて、この決議案に対し極力お力添え願いたいと思います。
  135. 岡崎勝男

    岡崎委員長 それでは本日はこの程度にして散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後一時十五分散会