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1950-04-05 第7回国会 衆議院 外務委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月五日(水曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 岡崎 勝男君    理事 菊池 義郎君 理事 近藤 鶴代君    理事 佐々木盛雄君 理事 竹尾  弌君    理事 仲内 憲治君 理事 福田 昌子君    理事 並木 芳雄君 理事 聽濤 克巳君      岡村利右衞門君    栗山長次郎君       小坂善太郎君    坂田 英一君       佐々木秀世君    塩田賀四郎君       山本 猛夫君    渡邊 良夫君       浦口 鉄男君  出席政府委員         外務政務次官  川村 松助君         外務事務官         (大臣官房会計         課長)     千葉  皓君         外務事務官         (政務局長)  島津 久大君         外務事務官         (條約局長)  西村 熊雄君         外務事務官         (調査局長)  與謝野 秀君         外務事務官         (管理局長)  倭島 英二君  委員外出席者         專  門  員 佐藤 敏人君     ――――――――――――― 四月五日  委員石田博英君及び橋本龍伍君辞任につき、そ  の補欠として岡村利右衞門君及び渡邊良夫君が  議長の指名で委員に選任された。 同日  仲内憲治君及び福田昌子君が理事補欠当選し  た。     ――――――――――――― 四月四日  日本政府在外事務所設置法案内閣提出第一五  一号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  日本政府在外事務所設置法案内閣提出第一五  一号)     ―――――――――――――
  2. 岡崎勝男

    岡崎委員長 ただいまより会議を開きます。  お諮りいたしますが、去る三月二十四日理事仲内憲治君が委員を辞任され、また四月一日には理事福田昌子君が委員を辞任されましたので、理事が二名欠員になつております。それゆえ理事補欠選挙を行わねばなりませんが、これは先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕     ―――――――――――――
  3. 岡崎勝男

    岡崎委員長 御異議なしと認め、仲内憲治君及び福田昌子君をそれぞれ理事に指名いたします。     ―――――――――――――
  4. 岡崎勝男

    岡崎委員長 それでは日本政府在外事務所設置法案内閣提出第一五一号)を議題といたします。
  5. 並木芳雄

    並木委員 ちよつとその前に議事進行に聞して発言をお許し願います。と申しますのは昨日国会廣川幹事長はこれこれのことを話したといううわさが飛んでおりましたので、私はそれを聞いてよもやそんなことはないだろうと打消しておつたのです。ところがけさ新聞を見ますと、どうやらそれが事実らしいのでございます。と申しますのは、今般の予算審議にあたつて野党側とつ態度が、国政の運行を妨害し、ひいては講和会議にも好ましからぬ影響を与えたことは、はなはだ遺憾である、というようなことが書いてあるのです。それからわが国民の友好的な対米感情惡化を策するがごときは云々というようなことも言つてあるので、これは私民主党の議員というよりも国民の一員とし、また外務委員として聞捨てならないことじやないかと思うのです。私たちとしては決して対米感情惡化を策するなんという気持で審議をやつてつたのじやなくて、ポツダム宣言でも、民主的にやつてできるだけ早く自主性を持つようにということが言われておるわけなのですから、国民の民意を反映する国会審議のために、すこぶる民主的にやつてつたつもりでございます。しかるにかかわらず、こういうことを声明せられたということがもし事実であるとするならば、私たちとしては一応も二応も廣川幹事長の真意をただしておかないといけないと思います。ことに講和会議の問題につきましては、われわれの專門担当の分野でございまして、けさの外電などは四十二日以内に草案ができ上るであろうというようなことまで言われておる。講和会議にどういう惡影響を及ぼしたか、具体的に廣川幹事長から説明を聞かないと、われわれもわからないし、その背後にある国民にはなおさらわからないと思う。ですからこの委員会において至急理事会を開いていただいて、廣川幹事長に来てもらつて説明を求めたいと思いますので、それをお諮り願いたいと思います。  もう一つは、こういう重大声明を発するにつきましては、外交問題の権威者である岡崎委員長に対して、廣川幹事長から何か御相談があつたと思うが、それがあつたかどうか。もしあつたとしたら委員長としてどういうふうにお答えになりましたか。この二点について伺いたいと思います。
  6. 岡崎勝男

    岡崎委員長 並木君にお答えいたします。ただいまの初めの御提案につきましては、よく事情を検討いたしまして理事諸君とお諮りいたします。  第二番目の問題につきましては、党内のことでありますからここで申し上げる限りでないと思います。
  7. 聽濤克巳

    聽濤委員 民主党並木委員から言われていることは、やはり外務委員会としては重大な問題であります。軽々しく講和合議惡影響を及ぼしているというのですが、どういうふうに惡影響を及ぼすのか、廣川幹事長意見をぜひここで聞かなければならぬと思います。とりわけこれから審議する予定なつております在外事務所設置法案にいたしましたところで、これにもちやんと覚書というものが出ておるから、これについて審議しても、反対したり、修正したりすれば、すべて占領政策違反だというならば、われわれはすべてこういう覚書が出たような案件については、審議する権利がなくなつてしまう。国会審議権というものが一体どこにあるのかもわからなくなる。今当面外務委員会でこの問題にも逢着するわけでありますから、私は予算という重大な国民の問題について、与党の幹事長が、おそらく政府その他の意向も反映してああいうことを言われておることのように思われますが、これは法案全体の審議についての国会態度いかんに、非常に重大な関係を及ぼすものですから、私は特に外務委員会で今迄速急に廣川幹事長出席を求めて、この問題をひとつよく聞きたいと思いますが、ぜひ皆さんにお諮り願いたいと思います。
  8. 岡崎勝男

    岡崎委員長 聽濤君の御意見に対して申し上げますが、廣川幹事長がどういう声明をされたかは、新聞紙上で伝えられているほかには私はまだ聞いておりません。従いましてこの点はあとでよく事情を聞かなければ、はつきりしたことは申されないと思いますが、ただ本委員会に関する限りは、ただいま議題なつております法律案審議することは、まつたく自由であることだけは申し上げておきます。
  9. 浦口鉄男

    浦口委員 この際外務当局にお尋ねいたしますが、連合軍占領政策違反ということについての外務当局解釈をお聞きしたい。
  10. 島津久大

    島津政府委員 お答えいたします。 占領政策違反法的解釈は、法務府から御説明申し上げた方が適当だと思います。
  11. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 本日の日程に従つてすみやかに議事を進められんことを願います。
  12. 岡崎勝男

    岡崎委員長 法律案についての審議を続けます。まず政府側より提案理由説明を求めます。川村政務次官。     ―――――――――――――
  13. 川村松助

    川村政府委員 日本政府在外事務所設置法案につきまして、提案理由を申し上げます。  日本政府は、さきにアメリカ合衆国日本政府在外事務所設置することに関する昭和二十五年二月九日付連合国最高司令官司令部日本政府あて覚書を受領しました。この覚書によつて日米両国間の通商貿易振興をはかるとともに、米国在留日本人戸籍事務及び財産問題処理のため、ニユーヨークサンフランシスコ、ロスアンゼルス及びホノルルの四箇所に、在外事務所設置するようにとのアメリカ合衆国政府招請が伝達されると同時に、右の在外事務所所掌事務構成等に関する連合国最高司令官司令部意向が通報されました。  政府は、貿易振興及び在留邦人保護重要性にもかんがみ、アメリカ合衆国政府招請を欣然受諾したのであります。その後、さらにシアトルにも在外事務所設置するようにとの提案があり、政府はこれも受諾いたしました。政府本件を円滑に、かつすみやかに実施に移すため、愼重に案を練つて参りましたが、今回日本政府在外事務所設置法を制定して、在外事務所設置所掌事務並びにこれに置かれる職員、及びその給与について規定したいと存ずる次第であります。日本国際社会復帰べの第一歩を印するものとして、本法案はきわめて意義あるものであり、またわが国にとりましてまことに喜ぶへきことと思われます。  以上が提案理由の大要であります。何とぞ愼重御審議の上、御採択あらんことをお願いいたします。
  14. 岡崎勝男

  15. 島津久大

    島津政府委員 日本政府在外事務所設置法案について逐條御説明申し上げます。  第一條は、この法律目的日本政府在外事務所設置所掌事務、並びにこれに置かれる職員、及びその給与について規定するものであることを述べております。  第二條は、まず、日本政府在外事務所が、外務省在外公館として設置されることを規定しております。在外公館とは、大使館、公使館、領事館等外務大臣管理のもとに、外国にあつて外務省所掌事務その他を行う機関をさしております。在外事務所は、平時において領事館が行う事務のうち、特に限られた範囲事務を行うものでありますが、領事館と同じ建前のものとして外務省在外公館としたのであります。次に、さしあたつて設置される在外事務所の名称及び位置を規定いたしました。  第二項は、将来在外事務所が増置される場合に、すみやかに設置することが要求され、しかも国会が閉会中であり、法律改正手続によることができない等の場合には、予算の許す範囲内で、政令によつて定めることができるようにしたものであります。  第三條は、在外事務所所掌事務を十三号にわかつて規定しました。これを大きくわければ、貿易振興に関する事務と、在留邦人身分及び財産に関する事務とがあります。  第一号は、第二号以下の貿易に関する事務の総括的な規定であります。  第二号から第六号までは、いずれも貿易振興のために欠くことのできない事務でありまして、広くわが国経済事情相手国へ、また相手国経済事情わが国に伝えるとともに、個々貿易取引につきましても、種々の便宜をはかるという趣旨であります。  第七号の旅行に関して便宜を供する事務もまた、直接、間接、貿易振興に寄与するものであることは言うまでもありません。  第八号の国籍に関する事務とは、主として国籍法規定に基く日本国籍の留保、離脱等処理をさしております。  第九号の戸籍に関する事務とは、民法戸籍法等規定に基いて、在留邦人戸籍に関する届出事件を受理してこれを本籍地市町村長に送付することであります。  第十号の証明書の作成とは、在留邦人便宜をはかるための国籍証明死亡証明等と、貿易振興をはかるための原産地証明日本品外国輸入陸上証明等があり、その種類はきわめて広汎にわたつております。  第十一号の日本人遺産保護管理とは、相手国法令によつて許される範囲内で、日本人遺産び不当な損害をこうむることを防止して、相続人の手に引渡すことで遜ります。  第十二号は、終戦後、面目を一新した日本諸法令中重要なものを在留邦人に周知させて、それにより新しい日本の姿を知らしめることを目的としております。  第十三号は、在留邦人保護及び通商に関する利益の増進に関する事務については、以上に述べた事務以外のものであつても、相手国の同意及び連合国最高司令官の許可があれば、これを行い得るという趣旨であります。  第四條は在外事務所所長に関する規定であります。第三條に述べた在外事務所事務は、すべて所長の名において行われるわけであります。在外事務所外務省在外公館である以上、所長外務大臣の命を受けるのは当然でありますが、特に第二偵に明記いたしました。第三項には所長に事故がある場合に、事務の渋滞を来さぬように代理百に関する規定を設けました。  第五條は、在外事務所に置かれる職員身分に関する規定であります。在外事務所に置かれる職員をすべて外務省職員としましたことは、それらの職員外務大臣指揮監督のもとに置き、指揮系統の混乱より生ずる無用の軋轢を防ぐという趣旨であります。  第六條から第十二條までにおいては、職員給与に関して規定いたしました。まず、一般公務員に対する給与のほか、在勤手当及び住居手当を支給する旨を規定しました。海外に勤務する職員に対して、その勤務の特殊性にかんがみて、在勤手当を支給することは、昔から行われたところであり、ことに現下の事情におりましては欠くべからざるものと言えます。住居手当は、職員がその配偶者を同伴する場合に、その生活費として支給するものでありまして、従来妻加俸と呼ばれていたものに相当いたします。  第七條は、在勤手当支給期間、一時帰国の場合支給等について規定いたしました。  第八條は、住居手当支給期間について規定いたしました。  第九條は、在勤手当及び住居手当支給年額及び支給方法について規定しました。別表にあります通り職員は一号ないし十号の手当を受けますが、個々職員に何号の手当を支給するかは、外務大臣が定めるわけであります。  第十條は、手当日割計算を行う場合の技術的規定であります。  第十一條は、事務所職員一般公務員の資格で受ける俸給扶養手当の支払いを、一職員が指定する者に支払うことができるようにして、留守家族の便をはかつたものであります。  第十二條は、職員が住所に扶養親族を同伴する場合は、たいてい配偶者を同伴している場合でありまして住居手当を受けているのでありますから、同伴者にかかる扶養手当を支給しないどいう趣旨であります。  第十三條は、在外事務所において手数料を徴收する事項及びその額を政令に委任する規定であります。  附則の第一項は、施行期日規定であります。  附則の第二項は、在外事務所所長が第三條に掲げる事務を行う場合に、その実体規定を提供するために、従来の法令中「領事」「領事官」または「領事館」とあるのを、それぞれ「日本政府在外事務所所長」または「日本政府在外事務所」と読みかえることとしたものであります。一例をあげて御説明いたしますと、民法第七百四十一條には、外国にある日本人同士婚姻する場合には、その国に駐在する日本の大使、公使または領事にその届出をすることができると規定されております。事務所所長か、この法律の第三條第九号の、戸籍に関する事務を行う場合の一つとして、婚姻届を受理する場合には、この民法第七百四十一條規定中「領事」とありますのを「日本政府在外事務所所長」と読みかえることによつて行うのであります。
  16. 岡崎勝男

    岡崎委員長 本件に関する質疑を許します。佐々木盛雄君。
  17. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 実はこの法案草案けさほどいただいたようなわけで、詳しいことを読んでおりませんので、まことに遺憾に思うわけでありますが、逐條的に二、三質問をしてみたいと思います。  第二條に関連しての質問でありますか、これによりますと「特別の必要がある場合においては、政令の定めるところにより、予算範囲内において、前項に規定するものの外、在外事務所を増置することができる。」ということになつておりますが、外務当局におかれましては、アメリカにおいて、さらに他の場所において、このような事務所を増設しようというようなお考えや構想があるかどうか、御希望があるかどうかということを承りたいことと、さらにこれは日本アメリカとの関係規定したものでありますが、同趣旨在外事務所というようなものを、他の国にも設置するような御希望やお考えがありますかどうか。以上の二点に  ついてまず承りたいと思います。
  18. 島津久大

    島津政府委員 アメリカにおいてこれ以上増設する希望があるかどうかという御質問でございますが、さしあたりのところは、アメリカに関してはこの程度で発足することが適当かと考えております。しかしながら仕事を始めました上で、ぜひここに置きたいということが、先方でも要望されますし、またこちらもそういうことを希望するような事情が出て来るかもわからないと思うのでございますが、ただいまのところは、これのほかにどこどこに置きたいという具体的な案は持つておりません。その他の国につきましては、なるたけ多くの国に設置いたしたい希望を持つております。ただどこどこ置きたい、ないしどこどこに置ける可能性があるかどうかという点は、ただいまのところはまだ具体的になつておりませんので、申し上げかねる状況でございます。
  19. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 それでは次の第三條に移ります。在外事務所所管事務に関連してのことでありますが、在外事務所所管事務というものを大ざつぱに申せば、貿易のあつ旋というようなこと、あるいは村役場仕事のようなことのように見受けられるわけでありますが、その中で村役場のやるような戸籍であるとか、国籍であるとか、あるいは日本人遺産保護管理というようなことがあるのでありますが、この国籍法だとか戸籍法というものを外国において適用する場合における国際私法上との関係はどんなことになるのか、別に承認を求めなくとも、連合軍最高司会官の出したメモランダムによつて効力があるかと思いますが、どんなふうな関係なつておるかという点を承りたいと思います。
  20. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 御質問の点は、メモランダムとは関係がないように考えてくだすつていいと思うのであります。いわゆる人の身分上の法規関係というものは、大体その人の本国法によるというのが、今日世界文明諸国国際法に一貫する原則でございますので、各国の国際私法的法規によつて解決されている、こうお考えくださればいいと思うのであります。
  21. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 それに関連してお聞きしますが、現在在米の日本人国籍を有する者の数は一体どれほどあるか、またそれらの人々の今日までの、これから在外事務所の行わんとする事務は一体どういうふうにして処理されておつたかということを承りたい。
  22. 倭島英二

    ○倭島政府委員 現在アメリカに在留する日本国籍の、いわゆるわれわれの同胞でありますが、これは従来戦時中から直接に現地にわれわれが機関を持つていなかつたために、出生死亡等多少数が動いております。大体の見当を申し上げますと、ハワイで約二十万人と考えております。それから北米合衆国の本土では大体十六万人、これは日本国籍だけの者と、二重国籍なつておつてアメリカ国籍も持つておりますが、日本国籍も持つている人の概数であります。これは今度現地事務所ができますと、明確な数字が各地方別で申し上げられるようになると思いますが、現在のところは大体の数であります。  それから従来の日本国籍の者のいわゆる国籍戸籍関係届出は、たとえばどういうことがあるかということのちよつと種類を申し上げますと、出生死亡婚姻、離婚、養子縁組相続、これは戸籍関係でありますが、そのはか国籍喪失ということに細別できます。この中で一番数の多いのは出生死亡、それに次いで国籍喪失するという関係であります。さらにそれに次ぐものが婚姻という関係でありまして、戦争中はいわゆる日本法律に定める所定手続が通信、交通の関係でできなかつたわけでありまして、それが懸案のまま残つております。従つて今度在外事務所ができますと――相当数多く戦時中数年間にわたつて、今申し上げましたような国籍戸籍関係件数がたまつておる。たとえば出生にしましてもやはり相当生れておる。死亡関係も、やはりなくなつておられるという関係が現実に生じておる。それから婚姻関係もあります。米国内で、所定現地限りでとれる手続はとつておると思いますが、日本法律関係ではまだ未処理なつております。おそらく今度事務所ができますと、相当取扱い件数があるだろうと思うのは、国籍喪失関係でございます。
  23. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 それでは第四條に移ります。第四條におきまして、在外事務所長外務大臣の命を受けるということを特にしるしてあるようでありますが、これは別に特にしるさなくても、外務省出先機関であるならば、当然のことであろうと考えるわけであります。今後外務省は、通産省などの出先機関とそれぞれ別個にお持ちになるという考えではなくして、将来とも、外務省は一本の筋を通して、わが国通商貿易政策をやつて行こうというお考えであるかどうか承りたいと思います。
  24. 島津久大

    島津政府委員 ただいま御意見がありました通り日本政府在外機関外務大臣の一本の筋で処理する方針でございます。
  25. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 次は第五條以下は職員並びに在勤手当等の問題であります。この法案にははつきり書いてなかつたと思いますが、メモランダムを読みますと、あつたと思うのです。職員等は何か合計七人ぐらい送るようになつておるようであります。今度は定員一ぱい置かれるつもりでありますか、総計何人ぐらいの人々現地派遣し、また現地において採用するかということ、それに関連して、当然種々なる手当給与の問題になつて参りますが、別表を見ますと最高の一号俸給にして、在勤手当が五千八百ドル、これにプラス居住手当年額千二百ドルでありますから、合計七千ドルという年俸になるわけであります。はたしてこのくらいの金で、この法案規定しておるような目的を達成するために、十分間に合うかどうかという御感想も承りたい。かつまた今度の在外事務所設置にあたつて予算の総額は一体どれぐらいになつておるかという点につきましても、承りたいと思います。
  26. 島津久大

    島津政府委員 御質問の第一点の人員の点につきましてお答えをいたします。司令部覚書にございます通り職員は一箇所について三名、補助職員は一箇所について四名、合計七名以内ということが明記されておるのでございます。ただいまのところはニユーヨークサンフランシスコ職員が三名、補助職員は一名を日本から派遣をいたします。残り補助職員現地採用のものにきめております。その他の箇所につきましては、職員もさしあたり二各といたします。これに補助職員一名を本邦から派遣いたします。残り現地で採用する予定でございます。
  27. 千葉皓

    千葉政府委員 予算について申し上げます。数日前に協賛を得ました二十五年度の一般会計予算中の外務省予算については、時期の関係もございまして、この関係経費は計上してございませんが、大蔵省所管におきまして、海外払い諸経費に充当するための予算がございまして、その中からこの関係に必要な経費を移しかえてもらう、そういうことに大蔵省と打合せつつございます。なお所要金額につきましては、現地の物価の状況その他を勘案いたしまして、事務所開設のための初度調弁経費を含めまして、一億二千三百四十方円を必要とすると考えまして、それだけの経費を充当してもらうように、ただいま大蔵省に協議中であります。
  28. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 そのうち給与俸給等に関する分と、それから実際上の事務並びに活動に必要な部分との、内訳はどのようになつておりますか。
  29. 千葉皓

    千葉政府委員 ただいま申しました一億二千三百四十万円のうち、人件費に充当せらるべき分が三千九百七十五万円でございます。
  30. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 これらの五箇所の在外事務所へ配置されまする職員につきましては、われわれおおむね新聞紙を通じて承知をいたしておるわけでありますが、今まで新聞紙の伝えておりますることと別段相違がないかどうかという点につきまして、また新しく決定したものなどがありましたならば、お知らせを願いたい。
  31. 島津久大

    島津政府委員 派遣予定人員は、新聞に発表をいたしました通りの案で進んでおるのでございまして、名前も同じであります。この法律が成立いたしましたならば、所要手続をとることになるはずであります。
  32. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 それでは、以上概括いたしまして、ひとつつておきたいのでありますが、それは、この在外事務所設置をもつて一般にいわゆる事実上の講和ができたのである、ないしは、共産党諸員の術語をもつてしますならば、いわゆるなしくずし講和でちるというようなことが言われておるわけでありますが、しかしながら私は、この法案をよく読んでみますと、まことにこういう在外事務所が新らしく設置されたということにつきましては、関係国に対して深甚なる敬意と感謝をささげなければならぬとは考えますけれども、その在外事務所の持つております機能とか、権限とかを読んでみますと、たとえば連合軍から出ました覚書によりましても、日本政府の在外代表というものは、外交官または外交官に準ずる資格で行動してはならない、日本政府のために米国官憲に申入れを行うような、直接日本政府を代表する職務を行うことは差控えなければならないことになつております。また日本政府在外代表は領事の称号または免状を持つておらぬということも規定されておりますし、また日本人保護のために地方官憲に対しても直接交渉する権限が与えられておりません。そのような事実をよく読んでみますと、決して一般考えられておるほどの事実上の講和というようなことでないようにわれわれは印象を受けられる。もとより今日講和條約が終らない前の日本の置かれております立場を考えてみますならば、当然のことかとも考えるわけであります。まあ簡単に申せば、ちよつと被告が一時釈放をされておるような形でありまして、ただ望みは、被告が再び牢屋につながれるということなくして、いずれ近き日には自由な国際社会の一員に復することができるという希望をつないでいることができるわけでありますけれども、そこで外務当局に承つておきたいことは、こういうふうな事態の発生をもちまして、事実上の講和というふうにお考えなつておりますかどうかということを、まず一点承つておきたいことと、もう一つには、もしかりに伝えられるごとき戦争状態終結の宣言等が行われましたような場合におきましては、本法によつて規定しておりまするところの国際関係というものは、どろいうふうなことになつて行くのか、依然としてこれは存続するものかどうかというふうな関係につきまして、もし法理論上見解がありましたら、承つておきたいと思います。
  33. 島津久大

    島津政府委員 ただいまの御質問の、今回の措置が事実上の講和になるかどうかという点でございますが、これは解釈次第でどうにでも言える問題かと思いますが、これで講和が事実上一歩を進められたというふうには、もちろん考えられないと私は解釈いたしております。
  34. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 佐々木委員が第二番におつしやいました点、すなわち、もし戦争状態終了宣育というような措置が連合国によつてとられた場合、この法案は、どういうかうになるであろうかという点でございますが、それは、そういう場合になつてみませんと、何とも今日から御返答申し上げかねる点でございます。私どもとしては、戦争状態というものがなくなれば、むろんこういうふうな過渡的な在外事務所というものではなくて、本格的な領事館というようなものが容認される事態になるものと考えてはおりますが、まつたく仮定のことでございますので、そうなるべきものとも申し上げかねます。
  35. 竹尾弌

    ○竹尾委員 私も二、三お尋ねしたかつたのですが、佐々木委員が全般にわたつて、みんな質問してしまつたので、佐々木委員の残された二、三点について、お尋ね申します。  第一は、われわれは新聞紙上で、この在外事務所設置あるいは所長その他の人事の発表、そういうことを拝見いたしましたが、これはもちろん、この設置法が通らなければ正式には任命できないと思いますが、その間の人事その他の発表は、われわれに配付されておるこの覚書によつて人事を進めて行つたのでございましようか、その点をお伺いいたします。
  36. 島津久大

    島津政府委員 御質問の人事の発表でございますが、これは三月十七日に発表いたしておりますが、外務省としては腹案がきまつたという意味の発表でございまして、必要な国内手続を講じた上発令の手続をとるということも、当時言及しておつたのでございます。正式の発令でも何でもないので、内定というふうに御解釈をお願いいたしたいと思います。
  37. 竹尾弌

    ○竹尾委員 内定の基礎になつたものは、やはり覚書によるものでございましようか。その点を……
  38. 島津久大

    島津政府委員 覚書を基礎にいたしまして内定した次第でございます。
  39. 竹尾弌

    ○竹尾委員 今佐々木君の質問で大体尽きていると思いますが、この法案及び覚書を読みますと、この事務所というのはわれわれの常識から考えてかつて領事館の下に位する在外公館であるという印象を受けるのでありますが、その通りでよろしうございますか。
  40. 島津久大

    島津政府委員 御意見通りと思いますが、領事館としての機能の一部を行う程度のものと考えます。
  41. 竹尾弌

    ○竹尾委員 それから給与の点についてお尋ね申します。この給与につきましては、職員一般公務員の待遇を国内的に受ける、それ以外に在勤手当の支給を受ける、こうなりますと、アメリカでもらう在勤手当、これはドルに換算すると、われわれとしては相当なものでございましようが、一般公務員に対する給与は、もちろん日本の円で支給される、これはアメリカに持つて行けば問題にならない。そうなると向うの在勤職員はぼとんど在勤手当で生活する、こういうとに事実なると思いますけれども、そういうことになりましようか。
  42. 千葉皓

    千葉政府委員 御説の通りで、内地で支給を受けております本俸は、外貨に換算いたしましてわずかなものであります。実質的には在勤俸でもつて生活することになります。
  43. 竹尾弌

    ○竹尾委員 そうしますと、これも佐々木君の質問ですが、一番低い在勤手当をもらう人が、一箇月幾らぐらいになりましようか。たとえば十号俸三千二百米ドルで……
  44. 千葉皓

    千葉政府委員 三千二百米ドルで月大体二百六、七十ドルになるわけであります。これでもちまして若い独身者ならば、十分生活できると考えております。
  45. 竹尾弌

    ○竹尾委員 住居手当というのは、配偶者がなければ当然もらえないということになるでしようが、そうすると独身者にはこの住宅手当は支給されない、それから留守家族の便をはかつて、留守宅払いをやる、こういう点で留守家族は当然配偶者日本におるという場合を考えてさしつかえないと思いますが、そうでありましようか。配偶者が勤務地に一緒におる場合は、留守宅払いというのはできない、こういうふうに考えますがそうでありますか。
  46. 千葉皓

    千葉政府委員 ただいまの御質問お答えいたします。現在の給与に関する法令によりまして扶養親族配偶者に限らず、子供でも親でも、扶養しておる場合には扶養手当を支給することになつております。従いまして家族を現地に連れて参ります場合におきましても、従来本国においては扶養を受けておりましたほかの家族が残留する場合もあると考えまして、それらのものに従来支給せられておつた扶養手当ほ支給する。一方現地に同伴します配偶者はもとより、たとえば子供などを連れました場合には、その分の扶養手当は支給しないというふうにいたしたいと考えております。
  47. 聽濤克巳

    聽濤委員 私はこの法案について質問する前にちよつとお尋ねしておきたいのですが、今国会外務省からの法案その他案件が提出されましたときに、どうもわれわれの予期しない考なものぽかつぽかつと出て来るようなきらいがあつて、事前に調査したりして十分審議できないうらみがあるのですが、今後のこともありますので、外務省で今後どういうふうな案件を用意されておるのか、念のためにちよつと聞いておきたいと思います。
  48. 島津久大

    島津政府委員 ただいまのところは法案の提出を準備中のものはございません。
  49. 聽濤克巳

    聽濤委員 それでは今後は十分時間を与えて、大体予定されたものがありましたならば、われわれに事前に知せるようにひとつ御手配していただきたいと思います。  先ほど予算のことがすでに質問が出ておりましたが、あの一億二千万円でございますが、あれは今度アメリカの五箇所に事務所を置くための費用が、大体一億何千万円ということになつておりますか。私の聞きたいのは、この法案の中に従来増設する場合があることが予想されておりますが、この分の費用も入つておりますか、これは別でございますか。
  50. 千葉皓

    千葉政府委員 先刻申しました一億二千三百四十万円と申します金額ほ、今般開設を予定しております五箇所についての経費でありまして、ほかのものは含まれてはおりません。
  51. 聽濤克巳

    聽濤委員 そうしますと、法案にありまする予算範囲内でと申しますその予算の総額の見込みといいますか、それの出どころといいますか、そういうものはどうなりますか。
  52. 千葉皓

    千葉政府委員 お答えいたします。先ほども申しました通りに、大蔵省所管におきまして海外払い諸経費に充当するものとして予算がございまして、その予算に余裕のあります限り今後事務所開設の道が開けましたならば、その経費を充当して実行することができるというわけであります。
  53. 聽濤克巳

    聽濤委員 それでこれは外貨がむろん必要なんですが、この外貨はどういうふうにして手に入れられるのか、つまり外貨予算か何かから出されるわけですか。
  54. 千葉皓

    千葉政府委員 所要の外貨は為替審議会の方におきまして外貨予算中に計上してもらつております。
  55. 聽濤克巳

    聽濤委員 この法案が本日国会に上程されたわけですが、ところで日本政府にあてました司令部覚書を見ますと、二月九日付になつておりまして、大体二箇月もすでに経過しておるのですが、どうしてそんなにおそくなつたのか、ちよつと不審に思われるのですが、念のためにお聞きしたい。
  56. 島津久大

    島津政府委員 特に遅延いたしました理由もないのでございますが、もちろん政府としては一日も早く開設いたすつもり、関係機関と種々相談をいたして参つたのでございます。この法律案を準備いたしますためには、技術的な面、事務的な面でかなり調整をいたしましたり、相談をいたすことが多かつた次第でございます。関係いたしますことが国内的にたくさんございまして、たとえば通産省の関係とか法務府の関係その他人事関係給与関係、こういうものを具体的に固めますまでに時間がかかつたというだけの事情でございます。
  57. 聽濤克巳

    聽濤委員 実は私がこのことを聞きましたのは、覚書が出てすでに二箇月も経過しておるのですが、そのことについて先ほど竹尾委員からも簡単な質問がありましたが、国会法案が出ます前に、すでに海外の事務所をそこに置く、これの人選はかくかくであるということを発表しておるのです。私率直に申しますど、これはポ政令か何かで出すのかなあと思つてつたのですが、あにはからんや国会に上程された。国会に上程されるのが本筋からいつて当然なことだとは考えておりましたが、このごろのことですから、どうなるかわからないと思つておりましたら、国会に上程された。国会に上程するならば、これは国会に自由に審議権があるわけでありまして、国会審議する前に設置を発表し、人選を発表するということは、これは明らかに国会審議権を無視しておると思いますが、どういうことの次第なのかお聞きしたい。というのは、先ほど竹尾委員質問に対する説明で、それは覚書を基礎にしてやつたのだというのですが、覚書を基礎にしてやつたのだといつても、それは日本政府に対する覚書で、国内的の措置は、国会の承認を得なけれげできないというのが当然の話である。それをやらない先に発表するということは、明らかに国会無規だと思われますが、その点お伺いしたい。
  58. 島津久大

    島津政府委員 先ほど覚書を基礎にしてと申しましたのは、覚書を基礎にして準備をいたして参つたという意味でありまして、設置の箇所等は、先方の招請国の意向に基いてそれを受諾した関係できまつておるのでございます。この人名の発表も先ほども申したように、腹案という意味で発表したのであります。国会との関係は、法律の御審議を経ました後にすべて正式に決定されるものでございます。何も無視するというような意味は毛頭なかつた次第でございます。
  59. 聽濤克巳

    聽濤委員 それは言いのがれというか、そういうことではこれはとても承認できないわけです。ここで問題になるのは、国会法律案を出さねばならぬにもかかわらず、それも何もやらない前に、つまり法律案のない前に、ただ覚書さえ出ればそういう手続をどんどん一方でやつておる、新聞にも公表する、これはだれが何といつても、すべて法律を決定するのは国会でやるのですから、ありもしない法律に基いて、腹案なるものをかつてにきめられたのではたまつたものじやない。こういうめちやなことをやられることが、この法案一つの性格を物語つておると私は思わざるを得ない。というのはわれわれが常に問題にいたしまする日本自主性の問題について、私は多くの疑問を持つておるわけであります。覚書が出ておるのだから、国会には形式的に手続はするけれども、これらをのむのはあたりまえだと言わんばかりのこの問題の提出の仕方に対して、これは明らかに国会審議権を無視しておると思います。私はこれ以上申しません、が一体覚書というのは命令なんですか、どうなんですか、念のために聞いておきたい。
  60. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 覚書が命令であるかどうかというのは、個々覚書の内容によつてきまる問題でありまして、この在外事務所設置に目する覚書は、命令の性質を帯びておるものではございません。
  61. 聽濤克巳

    聽濤委員 その議論にも非常に疑問がありますけれども、一般論になりますからやめます。それではこの法案につきましては、われわれが、審議して否決することもできるわけですね。先ほど廣川幹事長の談話か何かで、いろいろ審議しても占領政策違反だなどという発言が行われるくらいですから、念のために聞いておきたい。
  62. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 純理論の問題として御意見通りだと考えております。
  63. 聽濤克巳

    聽濤委員 これはどうしても講和の問題と関連して考えるのでなければ、この問題の本質をつかむことはできないと思います。これはほんとうは川村次官にお聞きするはずなんですが、川村次官ではなかぐお答えができそうもないので、結局西村條約局長に聞かざるを得ないのですが、国際法的な根拠というものをもう一度聞いてみたいと思います。これは前にも私聞いたのですが、何か占領下の特殊事情で、前例のない新しい事情から、招請があれば受諾しなければならないのだというような説明があつたと思います。しかし国会法律案として提出されて、国会審議を経て、場合によれば共産党みたいな者ばかり寄ればこれは否決されるかもしれない。その関係でその点が非常にあいまいなんですが、もう度御説を拝聴したい。
  64. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 国際法上の根拠という御質問で、実は御答弁に非常に困るのでありますが、国際法の上から申しますと、国と国との間の事務処理するためにいろいろな機関がありますが、国際法の本をお読みになるとよくわかりますように、その機関としては、国の元首、外務大臣、大使、公使、領事というものについて説明してございます。その説明のあと、しかしこれは全部をあげたものではなくて、その他特殊の場合に特殊の機関が設けられるといつて、特定の国際会議のために派遣される特別の使節というようなことについて説明がしてあるわけであります。今日の日本は占領下にありまして、外交権もございませんので、大使、公使館の設置領事派遣ということは認められておりません。しかしそれは何も永久の姿ではないのであつて日本に対する制限が解除されれば、その範囲内において外交権が回復する、こういう立場にあることは前会にも申し上げたわけであります。この在外事務所設置につきましては、現段階におきましては、まだ大公使館の設置あるいは領事館設置ということは問題にならないときでありますので、それに及ばない領事館事務のごとく一部に該当する事務処理するための機関を、外国側から日本に対して、設置してはどうかという招請があつた場合に、日本はこれを受けてよろしい。こういうことになつた結果設置が実現する、こういう関係であります。従つて日本の国際関係事務処理するための一つ機関でございましようが、そういう機関は何も日本が独自の立場で設置されるものではなくて、国際法上からいえば、必ず相手国との話合いの結果によつてそれが実現する、そういうことになります。その相手国との話合いというものは覚書という形によつて実現される、こういうふうにお考えくださればいいのでございまして、特に国際法上の根拠と言われますとむずかしくなりますが、そうむずかしくお考えにならなければ、非常にわかりやすいのではないかと思います。
  65. 聽濤克巳

    聽濤委員 この議論をやつてもしかたがないのですが、私端的にもう一度お伺いしたいのです。実はこの問題につきまして、私が前に外務委員会質問いたしましたときに、つまり総司令部から招請があればこれを受諾しなければならないのだ、その義務があるのだというふうな意味に返答されているわけです。国際法的にはこれは新しい事実で、今までの国際法解釈では、特別の根拠という具体的なものは指摘できない。しかしこれは特別の事情があつて招請があれば受諾しなければならない。こういうことになるのだというふうに確かに言われたと思うのですが、現にこの法律案を見ると、これを国会審議して拒否することもできるわけです。これはあなたが前に言われたことは、私はうそではないかと思うのですが、どうなんですか。
  66. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 これは問題の覚書をごらんになりますとよくおわかりになると思います。二月九日の総司令官の日本政府あての覚書は、米国内に日本政府在外事務所設置することにつきまして、アメリカ政府から招請があつたということと、総司令官はこれに反対しないということが述べてあるわけであります。従つて日本政府アメリカ政府招請に応ずるか応じないかは、日本政府の決定に一任されておるわけであります。その覚書に対しまして、日本政府が二月十四日付の覚書招請を受諾いたしますという返事を申し上げてあるわけであります。決して受講を命令されるという関係にないのでございます。これが在外機関設置につきましては、当事国間の話合いが根拠になるものだという国際法上のいわゆる根拠と申しますか、それと合致する、こう考えるわけであります。
  67. 聽濤克巳

    聽濤委員 つまり私が問題にしますのは、実際国際法的にもはつきりした根拠がない。そうして同時に占題下という特殊事情を云々されるけれども、これも根拠がないということは、私はこの法案によつても明もかだと思うのです。要するに自主的にわれわれが決定すればいいんだという結論が、はつきり出るわけなんですが、その問題は一応おきまして、さてこの在外代表というものは一体どういう権限を持つておるのか。先ほどちよつと話が出たのですが、川村政務次官はおきまり文句でもつて、これが国際社会復帰の第一歩だということを言われておる。ところが国際社会の復帰ということは、要するに中身はといえば、日本が今外交権かないのが、徐々にこういう形で外交権が回復されて行く第一歩だ、こういうふうに解釈されるのでありますが、一体この在外代表を置いて、どこに日本の外交権が回復されるか、というのが私の論点の一つなんだ。そういう意味で今度の在外代表というものは一体どういう権限があるか。先ほど佐々木委員も一応問題にしておりましたが、この覚書を見ますと、はつきりと外交官または外交官に準ずる貸格も持つておらぬ。あるいは直接日本政府を代表する職務を行うこともできないというふうなことが明記されておりまして、一体代表と申しますけれども、およそ代表というものはやはり代表する後に権限がなければいかぬ。一体この権限はいかなる権限が日本政府にあるのか承りたい。
  68. 島津久大

    島津政府委員 お答えをいたします。外交権が回復するという関係はないのでございます。これは覚書で明瞭でございます。ただ外国には日本政府機関が従来一つもないのであります。今度この事務所ができますと、きわめて制限された権限を持つておりますけれども、これだけでも通商貿易の促進に相当寄与するごとになろうと思いますし、また在外邦人のためにも寄与するところが相当多いという考えを持つております。結局対外的活動の面で一歩前進したというふうに解釈をいたしております。
  69. 聽濤克巳

    聽濤委員 これはどうも私にはよくわからないのですが、なるほど何でもかんでも実際的にそうなれば、活動の面が一歩進むといえばそう思いますけれども、しかし今日日本の置かれている状態について、專門家の集まりである外務省考えていないはずはない。日本の外交権がどういう形で回復されるのか、これは日本にとつては基本的な問題だと思います。一体こういうふうなわけのわからない、権限も持たないで、しかも日本政府代表だという名前だけ持つてつたつてその背後には何があるか。事実外交権はない。内容を見ても日本政府は代表できないのだ。一体これは何を代表するか、だれの代表かさつぱりわからない。こういう形で行つて、この講和前の占領下の日本というものが、究極においてどういう形で外交権をほんとうに回復できるのか。こういうやり方で実際日本の外交権が徐々にしろ、いかなる形にしろ、回復されて行くかどうかということに問題があると思うのですが、それについての御意見を承りたい。
  70. 島津久大

    島津政府委員 外交権がどういうふうにして回復されて行くかということは、これは将来の問題でございまして、具体的にどうなるだろうという予測はただいまのところできないのでございます。しかしながらこういう措置が外交権そのものの回復でないにしても、外交権の回復の障害になるどころではなく、促進することになると考えます。
  71. 聽濤克巳

    聽濤委員 どうもそれは外務省の答弁としては、はなはだ遺憾千万な答弁であります。日本の外交の問題を担当して、これを指導しなければならない外務省が、そんないいかげんな子供のような御意見、しろうとのような御意見を出されては迷惑千万だ。実際に日本が外交権を回復するということは、国際的にも認められ、従つて国際法的にもはつきり根拠を持つ手続というものが必要なわけだ。だからこそわれわれは全連合国との全面講和、とにもかくにも講和條約を結ばなければ、外交権というものは実質上存在し得ないのだ。そのためにわれわれは奮闘しなければならぬということを主張しておるのであります。ところが実際この外交代表部の問題を見ますと、外交権は明らかに日本政府にはないわけだ。そうして別なところに外交権がある。しかし名前だけは日本政府代表として海外に出て行く。権限のない者が出て行つて、雑務だけをやつて実体はどこにあるか、いかなる権力を代表するのか、ここに実際根本問題があると思います。これは日本国民に対して一種のごまかしにしかならないと思いますが、それだけ議論しておつてもしかたがないからやめます。  もう一つお聞きいたしますが、アメリカ政府では日本政府にこの招請状を発すると同時に、新聞報道によりますと、他の連合諸国にも同様の措置をとつてくれるようにという勧告をしておるそうでありますが、これに対して他の連合諸国はどういう回答を発しておりますか、お伺いしたい。
  72. 島津久大

    島津政府委員 アメリカ政府が他の国にも、この種の機関ができることを希望しておることは明白でございますが、はだしてどういう形で勧告があつたかどうかということは承知しておりません。従いましてこれに対してどういう回答があつたかということについても、全然われわれ承知しおりません。
  73. 聽濤克巳

    聽濤委員 そうしますと、結局他の国からはアメリカ政府と同様の措置をとろうと申し出ておるところはまだ一つもないわけでありますか。それともあるのですか。そのことをお聞きしたいのと、もう一つはイギリス及び英連邦諸国は、われわれにとりまして非常に重要ですが、これらの国々がこの問題についてどういう態度をとつておるか、お伺いしたい。
  74. 島津久大

    島津政府委員 今日までのところ、正式の意思表示は一つもまだ受取つておりません。下打合せはあるようでありますが、日本政府としてはまだ正式の話は受取つておりません。従いましてどの国が確実に置くであろうとか、どの国か確実に置かぬだろうという予測をつけることもできないのでございます。ただ英国ないし英連邦のお話でありますか、この問題は極東委員会で取上げられました際に、英国は原案を修正する意向があつたということを聞いております。
  75. 聽濤克巳

    聽濤委員 もう少し具体的にお聞きしたいのですが、たとえばインドあるいは濠州などがどういう態度をとつておりますか。
  76. 島津久大

    島津政府委員 新聞報道の範囲を出ないのでございますが、濠州に設置するという意向があるという報道はまだ承知いたしません。インドにつきましては、相当積極的に置くという意向があるという報道はございます。
  77. 聽濤克巳

    聽濤委員 私も同様に新聞しか知らないわけですが、最近の新聞によると、イギリスでも條約なしにこういうことをやることには大体反対であるという意向が数回にわたつて新聞紙上に報道されておりますし、さらにごく最近には、濠州のスペンダー外相は、双務協定を伴わない一方的なこういう措置に対して満足するわけには行かないという基体的な意思表示が行われておる。あるいはインドにおきましても、極東委員会で決定すれば受入れる用意があるという意味のことを言つております。要するにこれに対しては大なり小なり満足しない、反対であるという態度が表明されておるように思うのですが、一体何が問題になつておるのか、お聞きしたいと思うのです。
  78. 島津久大

    島津政府委員 この問題は種々報道がございますが、これは関係政府の正式の意見かどうか、おそらく正式の意見ではない観測だろうと思うのでございます。関係国の意思がわかりますのは、極東委員会の討議の際であろうと思うのでございます。しかしなから極東委員会の討議は秘密会になつておりまして、討議の模様は一切公表されおりません。われわれといたしましては、極東委員会でどういうような審議が行われておるかということは知らないのでございます。
  79. 聽濤克巳

    聽濤委員 これ以上この問題について質問いたしません。私がこういうことを聞きますのは、先ほど来の質疑で大体明らかなはずだと思いますが、今国民が現在の講和前の日本のこの状態を考えて何を要求しているか、結局二日も早く正しい講和をやつて日本の主権を回復するということをみんな望んでいるわけであります。その観点からこういう在外事務所設置するというこのやり方が、はたして日本の外交権を回復して行く道であるかどうか、実はこの点こそが真剣に討論されなければならぬ中心点だと思うのです。実際に日本の将来の地位を決定すべき重要な発言権を持つておる諸国の間ですら、この問題についてはみんな否定的な態度をとつて来ておる。こういう状態がどんどん講和とともに進められるということになつて参りますれば、これは川村次官が言つたように、国際社会への復帰の第一歩どころではなくして、日本の講和の機会をどんどん遠いかなたへ押しやつてしまうだけであります。私はこういう観点でこの法案審議されなければならないと思つておるのであります。政府の答弁に対しては、根本的に私は不満の意を表明せざるを得ないのでありますが、しかしこの辺でとめておきます。
  80. 仲内憲治

    ○仲内委員 在外事務所の根本性質あるいはその根拠等については、相当論議がかわされたのでありますが、ただ一点伺いたいのは、先ほど西村條約局長説明で、覚書が基礎になつて、それに日本側が応諾したということであるようでありますが、こういつた領事をの他の制度の国際法上の慣例から行けば、相互的であるのが通例の慣習であり、理念であるように考えるのです。もちろんこの在外事務所の制度が今までの国際法上に見られない新例であり、変則であるという根本の性質の相違があるのでありまして、相互的な協定というようなものであり得ないのも、今日の日本の立場からいつてむりのないことでありますが、この点まずお伺いいたします。
  81. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 仲内委員の御指摘の通り、大体領事設置は、多くの場合通商航海條約ないしはそれに類似する協定によつてきめられまして、相互的に設置を容認する、こういうことになつております。またそういう協定がない場合には、大体外交上の話合いの結果、相互に設置を容認するという関係になります。自然領事の職権その他も通商航海條約とか協定の話合いの際――通例通商航海條約によつて認められる職権ないし特権を享有させる、こういうことになつておるのであります。今回の在外事務所はまつたく暫定的の、また特殊の現下の事態のもとにおきまして、日本のために設置が容認されることになつた次第でございまして、その相手国になりますたとえば米国の例をとりましても、米国政府といたしましては、現実問題として日本に同様性質の事務所の必要が全然ない関係にありますので、従つて日本のみ設置する在外機関なつたような次第であります。
  82. 仲内憲治

    ○仲内委員 次は権限の問題でありますが、これもただいまの御説明からいたしますれば、結局今度の在外事務所の場合には、アメリカ覚書が実際的には職務権限の中心になるというように思われるのであります。すなわち従来でもこういつた領事その他の制度の職務権限は、日本国内の規定よりも、相手国もしくは第三国が、この制度をどう取扱つてくれるかというところに重点があると思うのでありまして、その意味におきまして、この覚書の内容が実際の職務執行上の根拠になると思うのであります。そのうちで招待状の一番しまいの方にあります、外交官の資格は全然ないということでありますが、そこに宣伝的活動に従事することができないということが書いてあります。これはいわゆる政治的宣伝の意味に私どもは解釈するのでありまして、いわゆる通商宣伝、日本海品の紹介のための宣伝、あるいはまた観光宣伝と申しますか、観光外客誘致のための宣伝というようなことは、この第三條の六ないし七に「経済事情に関する情報を提供すること」、「旋行に関する情報を提供すること」ということが載つております。従つて覚書の末の方の第一の宣伝的活動に従事することができないという意味は、政治的宣伝の意味に了解しているかどうか。
  83. 島津久大

    島津政府委員 ただいま御意見通りでありまして、原文にプロパガンダアクアイヴイテイーズということが書いてあるのでございまして御意見のように通商関係であつせんをしましたり、紹介をするということは、もちろんこれに含まれないのであります。
  84. 仲内憲治

    ○仲内委員 次に第三條の十三に「前各号に掲げるものを除く外、在留邦人保護及び通商に関する利益の増進に関する事務を行うこと。」とあります。先ほど来論議された在外代表の資格ないしは特権の上から行きまして、その各号以外の――十二号までの以外の一般的に在外邦人の保護というものは、どういう内容をどういう方法でやるという意味合いでありますか。
  85. 島津久大

    島津政府委員 逐條説明の際に申し上げました通り、十二号までに列挙いたしました所掌事項以外のものであつても、相手国の同意がありまして、しかもそれについて連合国最高司令官の許可があつたならば、これを行い得るという趣旨であります。そういうふうに解釈願います。
  86. 仲内憲治

    ○仲内委員 次に戸籍事務が相当多いということも予想されるのでありますが、最近では在米邦人はいわゆる帰化権の問題が非常に進行しておつて、ことに加州方面の邦人としましては、帰化権に期待が持たれておるということでありますが、この機会に帰化権問題のお話が伺えれば……
  87. 倭島英二

    ○倭島政府委員 最近の情勢から申しますと、国籍関係事務では、むしろ二重国籍なつておる人たちの、日本国籍を離脱するという傾向が多いのでありますが、帰化権の問題につきましては、全然米国側の法律の建前の問題でありまして、在外事務所とは直接関係がないわけでありますが、帰化権の最近の傾向と申しましても、実はわれわれも新聞その他で承知しておるだけでありまして、最近の詳しいことはわかりません。いわゆるジヤツド法案だとか、ウオルター法案だとかいう法案が、米国の議会でいろいろ審議されておる模様であります。しかしながらジヤツド法案免ウォルター法案関係も、現在まだ議会で審議中の模様であります。従つて日本人の帰化権の見通しと申しますか、そういう関係についてどういうふうになるか、どういう傾向でありますということを、われわれとしてはつきり申し上げる材料をまだ持つておらぬという状況であります。
  88. 並木芳雄

    並木委員 ただいまの、日本国籍を離脱したいという事実が多いということは、私たち日本人としてはちよつと関心を持たざるを得ない問題であります。日本国籍を持つておると何か不都合があるのか、そういう点の原因については、外務省としても当然ある程度調査が進んでおると思うのですが、それをお聞かせ願いたい。
  89. 倭島英二

    ○倭島政府委員 その問題も、実は在外事務所ができますれば、どういう傾向にあるか、またどれくらい件数があるか、判明して来ると思います。これも現在としましては、そういう離脱をしたいという人たちが多い模様であるという情報を聞いておるだけでありまして、実際問題として、それがどういう理由に基くか、どれくらい件数があるかということも、まだはつきり申し上げるだけの情報を持つておりません。ただ戦後の新しい情勢から、日本国籍を二重に持つておりたいという希望から日本国籍を留保しておつた関係の方々が、持つておりたいという希望を必ずしも継続する必要がないということで、むしろ一本で簡単にしておいた方がいいじやないかということからであろうと思いますけれども、こういう関係も実際どういう必要に基くのか、どういう理由に基くのか、まだ確実な理由を申し上げるまでの情報を持つておりません。
  90. 福田昌子

    福田(昌)委員 この法律ができまして取扱う事務というものは、この内容を読みましてわかりますが、この事務所で取扱う所管事務は、終戦後から今日まで一体どこで扱われておつたのでございますか。
  91. 島津久大

    島津政府委員 御質問は、第三條の一から十二までの各種の事項を今までどこでやつてつたかという御質問と思いますか、こういうようなことはどこでもやつていなかつたのを、これからこの事務所がやるということでございます。
  92. 福田昌子

    福田(昌)委員 野放しになつていたわけでございますか。
  93. 島津久大

    島津政府委員 できなかつたのでございます。
  94. 福田昌子

    福田(昌)委員 そういたしますと、在米の日本人の方々の国籍とか、財産とかいつたものに対しても、何らの保護はされていないことになるのでございますか。
  95. 倭島英二

    ○倭島政府委員 先ほどもちよつとそのことを申し上げたのでありますが、現地のたとえば婚姻なりその他米国の官憲のところへ届けるというような手続で行われたものもあり、また死亡とか出生その他も米国において届出を済ました関係もありますが、日本法律関係については何ら処理することができなかつた状況でありまして、懸案のままに残つておるわけであります。
  96. 福田昌子

    福田(昌)委員 そういうのをいろいろ寄せ集めて整理なされておるというわけでございますね。そういたしますと、今日の在米日本人として約十六万おられるというお話でありますが、そういつた十六万の日本人を五つの在外事務所でブロツク別に分担してなさるつもりでございますか。
  97. 倭島英二

    ○倭島政府委員 お説の通りであります。先ほども申し上げましたが、ハワイに二十万、それから米国本土の方には十六万、大体三十六万の日本国籍の人がおるわけでございまして、今度の在外事務所のそれぞれ受持ち区域があります。それぞれが分担をして懸案の事件を解決することになると思います。
  98. 福田昌子

    福田(昌)委員 二重国籍の方は当然この事務所でお取扱いになると思うのでありますが、帰化された方に対しては全然関知しないことになるのですか。
  99. 倭島英二

    ○倭島政府委員 それは全然関係ございません。
  100. 福田昌子

    福田(昌)委員 二重国籍の方にはこの事務所の取扱いは……
  101. 倭島英二

    ○倭島政府委員 もちろん日本国籍がある場合の二重国籍につきましては関係がございます。取扱うわけでございます。
  102. 福田昌子

    福田(昌)委員 ぞの次の住居手当でございますが、第一條配偶者なつておりますが、配偶者でなく、たとえば親や子供が参りました場合には、この手当は出ないのですか。
  103. 千葉皓

    千葉政府委員 住居手当配偶者の場合だけ支給することになつております。
  104. 福田昌子

    福田(昌)委員 それほどういうわけでございますか。
  105. 千葉皓

    千葉政府委員 この住居手当はさきの提案理由説明の中にもちよつと申し上げたのでありますが、従来妻加俸というものがございました。これは古くからありましたものでよく存じませんけれども、配偶者を連れました場合に生活費をまかなうのみならば、その配偶者が本人の地位といいますか、あるいは働きといいますか、それについて援助をするところから、それに対する手当といつたような考え方もあつたのではないかと考えております。従いまして親とか子供とかいうものにつきましては、今申したような関係はないわけであります。そこで妻にだけ支給するということになつております。
  106. 福田昌子

    福田(昌)委員 在勤手当はこの五箇所におきましては、どこでも平等なわけでございますか。
  107. 千葉皓

    千葉政府委員 アメリカの各地によりまして、多少物価の差などもございますので、将来はあるいは多少差をつける必要があるかと考えておりますけれども、現在十分な資料がございませんのでさしづめ各地同じ階級の者には同額を支給するという考えでおります。
  108. 福田昌子

    福田(昌)委員 米国日本との貿易関係だけをこの在外事務所は取扱うことになつておるのであります。この事務所によつて取扱われる貿易の将来に対する見通しと申しますか、概略御説明願いたいと思います。
  109. 島津久大

    島津政府委員 貿易関係在外事務所が第三條に掲げましたような仕事について活動を始めるわけでございますが、その結果将来どういうことが起るかという御質問かと思いますか、これは仕事を始めてみませんと、具体的な見当はつかないと思います。
  110. 福田昌子

    福田(昌)委員 貿易関係のあつせんということはこの覚書によれば、必ず日本政府でしなければならないのであつて、民間でやつてはいけないのでありますか。
  111. 島津久大

    島津政府委員 民間でやつていけないということはないと思いますが、どういう御趣旨でございましようか、もし在外事務所の活動に民間の要望なり何なりが十分取入れられるかどうかという御質問であるといたしますならば、在外事務所でできるだけ民間の個人の要望をいれられるだけいれたいという意向でございます。
  112. 福田昌子

    福田(昌)委員 在外事務所貿易関係のものを取扱つておりますが、そういう機関事務を民間の会社でやつてはいけないのですか。
  113. 島津久大

    島津政府委員 在外事務所関係以外の機関が、外に設置されるということはまだ許されていないのであります。
  114. 福田昌子

    福田(昌)委員 この五つの在外事務所現地採用の補助事務員があるわけでありますが、どういうわけで現地採用をなさるのですか。
  115. 千葉皓

    千葉政府委員 現地採用をいたしますのは年齢の若い補助員だけでありまして、これは現地で採用いたします方が、現地事情にもよく通じておりますし、また経費の点におきまして、日本よりの渡航の旅費を支給しなくて済むという予算の節約の趣旨もありまして、現地の者を採用いたすわけであります。
  116. 浦口鉄男

    浦口委員 一つ二つ簡単に御質問申し上げます。この日本政府在外事務所の性格が、これはいつか本会議で吉田総理もある議員の質問に答えて、これは村役場の出張所のような非常に軽い意味である、こうおつしやつておるのであります。大体この内容を今までお聞きしたところでは、総理の御答弁通り考えるのでありますが、ただここにある説明書の中に領事館と同じ建前のものとして置くということが書いてあります。それが現在はその中で特に限られた貿易、あるいは国籍事務だけを扱う、こういうふうに了承していいと思いますが、これを将来は領事館と同じ内容を持つた権限まで、外務当局としては拡大して行くことを希望しているかどうか、その点をまずお聞きします。
  117. 島津久大

    島津政府委員 できれば領事館としての全機能を発揮させることを希望するのでございますが、現状としてはこの程度の、ごく一部の事務しかできない実情でございます。
  118. 浦口鉄男

    浦口委員 ではその次に伺います。これはこの法案に直接関係がないとは思いますが、この際お尋ねいたしておきます。先ほども政務局長のお話で、今後の日本の在外事務は当分日本政府在外事務所一本で扱つて行くのだ、こういう御答弁があつたのでありますが、それと関連して、過般決定になりました商務官との関係はどういうふうになるか、お尋ねしたいと思います。
  119. 島津久大

    島津政府委員 御質問の点は、ニユ―ヨークに司令部事務所があつて、それに日本人職員を置くということじやないかと思いますが、そうだといたしますと、日本政府の商務官というものではないのでございまして、これは司令部事務所であります。日本政府職員日本政府仕事をするという関係にならないのでございまして、在外事務所とまつたく別個のものであります。
  120. 並木芳雄

    並木委員 私はこの法案を拝見して、かねて私たちの内閣時代から、早く盲貿易を打開したい、そういう意味で関係方面に懇請されて来たものがようやく実を結んだという感じで、まず結論的には非常に欣快にたえないのであります。ただこの際その中で幾点かをただしておかないと、またあとから問題の起る点がございますので、質問いたします。  この法案はただいま私が申し上げました通り関係方面へのこちらからの懇請に基いてできたものと思いますけれども、はたして事実であるかどうか、その点をお伺いいたします。
  121. 島津久大

    島津政府委員 懇請だけに基いてできたということではないのでございまして、この計画は昨年の春くらいから進められておつた模様でありまして、アメリカ政府意向で進められまして、日本政府希望と合致してでき上つたものと考えます。
  122. 並木芳雄

    並木委員 懇請が当然含まれているようですからお聞きいたしますが、政府アメリカのほかにどういう国々に対して、こういうことが一刻も早く実現するように希望せられますか、また懇請しているか、その点をお伺いいたします。
  123. 島津久大

    島津政府委員 相手国事情もございますので、どこどこということは申し上げられないのでございますが、貿易関係の密接なところ、また居留民がたくさんいるところ、そういう国々にはできるだけ多く設置したい希望でありますことはもちろんであります。
  124. 並木芳雄

    並木委員 この原文を読みますと、アメリカの本国から連合軍最高司令官にあてて、こういうインヴイテーシヨンを日本政府に伝達するようにというふうに書かれてあります。そこでアメリカ以外の国からもしそういう招請状が来た場合には、やはり直接連合軍最高司令官のところへ来るものと思いますがそうですが、そうしてそれを連合軍最高司令官が許す、許さないという権限を持つているものと思いますけれども、そうであるかどうか。私がお聞きしたいのは、ほかの国からこういうものが来ても、当然同じようなルートを通つて実現するものとは限らないということが言えるかどうか、ある場合には最高司令官が、これは適当でないから許可しないという場合もあるかという質問であります。
  125. 島津久大

    島津政府委員 御意見通りでありまして、これ以外に設置されるといたしますと、必ず最高司令官を通じて日本政府に話合いがあることと考えます。最高司令官が日本人を海外に渡航させる権限を持つておりますので、出てはいかぬという事情があれば、これを許さない場合もあり得ると思います。
  126. 並木芳雄

    並木委員 国際社会への復帰ということで言葉じりをとらえるわけではありませんけれども、それで外交権の一部回復ということでさつき質疑が行われましたが、国際社会への復帰ということが、ある国からは喜ばれ、ある国からは歓迎せられないようでは、はたしてそういうことか言えるかどうかという問題が残るわけです。政府としては国際社会への復帰ということをどういうふうに定義づけているか、漠然とどこの国へでも行かれるようになれば、それでもうすぐに国際社会への復帰といつて喜んでいるのかどうか、もつと大きく国際社会というものを見渡して考えているのかどうか、国際社会の定義をお伺いいたします。
  127. 島津久大

    島津政府委員 国際社会復帰への第一歩という意味で御説明を申し上げているのでございまして、海外事務所ができたというだけで、国際社会へ復帰したということまではもちろん申せないのであります。
  128. 並木芳雄

    並木委員 これは外交権の一部回復ではないという答弁がありましたが、外交権の回復ということは講和会議が開かれるまでは全然だめですか。たとえば極東委員会というような機関を通じて、承認せられるならば、一部ないし全部の外交権が回復されることがあり得るではないかと考えられますけれども、その点はどうですか。
  129. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 先例によりましても、平和條約ができなければ外交権の回復はできないとは言えない。平和條約ができない前にも、外交権の回復ということほあり得ると考えております。今度の戦争後のイタリアの例などもございます。
  130. 並木芳雄

    並木委員 そうすると多少本法案について疑点が出て来るのですが、たとえば公館という文字を使つている、あるいは領事館がなくても領事のやる仕事の一部をやるんだ、そういうふうに説明書にもありますけれども、そういう点からやはり外交権の一部復活だという解釈は出て来るのじやないかとも思われるのですが、その点いかがですか。
  131. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 これは第三條に規定してあります所掌事務を見ればはつきりいたしますように、従来の領事の所掌のうちのごく一部でございまして、いわゆる外交機関、大使ないしは公使が所管する事務とは、全然違つた性質のものでございますので、今度の機関設置をもつて、外交権の一部回復と解釈することはできないと考えます。
  132. 並木芳雄

    並木委員 さつきメモランダムの話が出まして私もその点お聞きしようと思つていましたが、覚書それ自体につきましては、西村條約局長から、覚書自体の効果はその内容によつてきまるものだ、それ自体には別に効果の定義はない、その内容によつてきまるのだという答弁でありました。その点ははつきりしたのです。そこで内容によりますと、覚書の中でもやはり命令になるものがあり得るかどうか、よく私たちはデイレクテイヴとかメモランダムとか言われて、実は漠然たる知識しかないのです。この機会にメモランダムとデイレクテイヴの違いをはつきりしておいていただきたい。つまり私たちが了解しているのでは、デイレクテイヴ命令ないし指令ならば、当然文句なしに私たちはこれを受けなければならないというふうに理解しているのですが、その相違をお伺いします。そして覚書の中には、そのデイレクテイヴに該当するものがあり得るかどうかという点も、あわせてお尋ねいたします。
  133. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 覚書と指令との問題餐ありますが、私の理解している範囲内におきましては、占領管理が開始された当初一つまたは二つが、直接にデイレクテイヴという形式の名称をとつた文書で出されておりまして、それ以後は全部覚書という形で提出されております。そして、そのメモランダムというものが、日本政府に対して命令であるかどうかということは、一にその覚書に記載してある事項の内容によつて、決定さるべきものであるというふうに考えておるわけであります。
  134. 並木芳雄

    並木委員 インヴイテーシヨンという文字を訳して招請と書いてありますが、私たちこれは虫のいい考えかもしれませんけれども、インヴイテーシヨンであるならば、この際貧乏な日本の国であるから、費用までも向うで払つていただいたらけつこうではないかと思うのでありますが、この費用の関係はどうなつておりますか。予算的措置というようなものについてお伺いいたします。
  135. 千葉皓

    千葉政府委員 招請であるというお話でございましたが、これはやはり日本政府機関でありますので、日本政府はその費用を負担するのは当然であると考えて、その考え予算措置を講じております。
  136. 並木芳雄

    並木委員 これは一般予算との関係はどうなりますか。おそらく今度の予算には計上されていないと思いますけれども、特別会計か、あるいは外貨資金か、どういうものから出されるようになりますか。
  137. 千葉皓

    千葉政府委員 先ほども一度御説明したつもりでありましたが、外務省所管の予算には計上してございません。しかし昭和二十五年度の一般会計予算中、大蔵省所管予算に海外払い関係経費に充てるための予算といたしまして、ある金額のものが計上してございます。これは予算総則の規程によりまして、大蔵大臣においてその必要を認めた場合、その金を必要とする省に移しかえをすることができる。そういうふうになつておりまして、その予算上の措置によつて、現在大蔵省所要経費の移しかえについて協議中であります。
  138. 並木芳雄

    並木委員 移しかえをするというのはわかりましたか、そうするとこれは外貨ですから、その外貨はどういうとこから出た外貨を移しかえるのか、つまり財源の点をお伺いしたい。
  139. 千葉皓

    千葉政府委員 これに用いる外貨は、日本の輸出代金の一部を外貨資金の運営に充てております。閣僚審議会におきまして、この使用計画を立てております。それがいわゆる外貨予算でありまして、この在外事務所を開設するに必要な外貨につきましては、この為替審議会の決定によつて、十分な割当がなされております。
  140. 並木芳雄

    並木委員 そうすると、ちよつとこれはよけいなことかもしれませんけれども、この前在外公館の問題のときに起つたのですが、一応予算委員会などとの関係、あるいは内閣委員会との関係の問題も出て来ると思いますが、外務委員会だけでこれは論議してきめられる問題であるかないか、その点を御考慮になりましたか。
  141. 岡崎勝男

    岡崎委員長 その点は私からお答えいたします。  本件は議長と相談をいだしまして、その了解のもとに外務委員会にまわしたわけであります。なお予算委員会との関係は、直接にはないものと了解しております。一般会計予算で認められておる範囲内で配賦するのであります。そう了解しております。また議長もそういうふうに考えておるようであります。
  142. 並木芳雄

    並木委員 内閣委員会の方は……
  143. 岡崎勝男

    岡崎委員長 内閣委員会も議長と協議いたしまして、こちらにまわしました。
  144. 並木芳雄

    並木委員 在外手当の問題ですが、この金額は私はちよつと少いと思う。私もあちらにいた関係上、相当これはみすぼらしい生活になるのではないかと思う。その金額の多寡ほ別として、このごろのやかましい給与問題について、国内の問題は当然人事院その他これを処理する機関があつて、相当やかましいからいいのですが、外国にいる者は、向うへ行つて苦しい生活をするようでは困る。こういう者も何か身分と生活の保障をするように、在外手当、その他が高いか低いかということをきめるところがなければならないと思う。政府としてはどういうふうにこれを取扱つて来たか。また将来どういうふうにして、在外手当の額を保障して行く気持であるか。今外国へ行く人はうらやましがられておりますが、金額のことはあまり言わないかも知れませんけれども、これは一つの行けという命令で行くのでありますから、この点の保障を考えて行かなければならないと思いますが、その点はどうなつておりますか。
  145. 千葉皓

    千葉政府委員 お答えいたします。この法案に載せてございます在勤手当の額については、終戦前における在外公館職員に対する諸手当の額とか、その後の物価の変動などを考慮し、さらにアメリカ側の意見なども徴しまして、一応決定したものでありますが、現在の財政の状態、あるいは貴重なる輸出によつて得られた貴重な外貨を使うという関係がございまして、なるべく節約をしてやる。そういう建前で決定いたしたものであります。私どもとしても、これでほんとうに十分であるというふうには必ずしも考えておらないのであります。しかしながらただいまのところ実情がわからないので、この金額によることを御承認いただきまして、しばらくの間これで実施をいたして、その実施の模様を見て、もし必要であるならば、さらに派遣された職員が能率を上げられますよう、改訂をしたいと考えております。
  146. 並木芳雄

    並木委員 第三條第十一号に、「日本人遺産保護管理に関する事務を行うこと。」とありますが、この説明書を見ますと、不当な損害をこうむる場合がないようにということが書かれてあります。これは私どもちよつと不審にたえないのですが、たとい国家機関がなくとも、遺産などについて不当な損害をこうむるということは、国際信義上から考えても、起り得ないと考えますが、起るとすればどういう不当な損害が起るのですか。
  147. 倭島英二

    ○倭島政府委員 在外同胞の関係では、死亡によつて相続の問題が生じます。従つて今お話の遺産の問題も起るわけでありますが、最近の状況がはつきりいたしませんので、具体的に御説明申し上げかねますが、死亡相続、あるいはそれに瓜連した遺産という問題について、関係者の利益保護機関がないために、こういう事務もやり得るというふうに書いてあるわけであります。遺憾ながら最近の状況をよく存じませんので、このような関係事務がどれくらいある、それについて、どういう問題があるかということは、現在説明する資料を持つておりません。
  148. 並木芳雄

    並木委員 問題としてはやはり私は適当ではないと思う。何か不当な損害をこうむるといえば、いなければちよろまかされるというようなおそれがあるからというようなことで、ちよつとやつぱりまずいのじやないですか。その点を伺います。
  149. 倭島英二

    ○倭島政府委員 今のお話は説明書かと思いますが、その点は不当というのは適当でないように思いますから、今私が御説明申し上げた趣旨で御了解願いまして、積極的に申し上げますれげ、関係者の利益を保護する、消極的に申し上げますれば、遺産について損害等が起きないようにというふうに御了解願いたいと思います。不当という字をとつて一向さしつかえないと思います。
  150. 並木芳雄

    並木委員 第三條第十三号ですが、その説明書の中に、「相手国の同意及び連合国最高司令官の許可があればこれを行い得るという趣旨であります。」と書いてあります。相手国の承認と許可とともに、一々こちらの連合国最高司令官の許可が必要なんですか。その点はどういうわけかお伺いいたします。
  151. 島津久大

    島津政府委員 それは当然最高司令官の許可も必要と考えます。相手国意向は、最高司令官を通じて日本政府に参る関係上そうなつております。
  152. 並木芳雄

    並木委員 第四條と第五條との関係ですが、所長外務省職員でなくてもいいように、ちよつと法文から受取れますけれども、どんなものですか。第四條には、「在外事務所所長は、外務大臣の命を受けて、在外事務所事務を統括する。」、そうして五條には、「在外事務所に置かれる職員(以下「職員」という。)は、外務省職員とする。」当然何か所長職員でなくてもいいというふうにも類推解釈ができるのですけれども、その点をお確めいたします。
  153. 島津久大

    島津政府委員 職員の中に、所長を当然含めておるのでございます。所長だけが外務省職員でないということは出て来ないのであります。
  154. 並木芳雄

    並木委員 第十二條の扶養家族の手当の問題ですけれども、これは私は渡してもいいと思うのですか、どうしてわざわざ扶養家族の手当を除いたのですか。その点をお伺いします。
  155. 千葉皓

    千葉政府委員 これは扶養家族のうち、現地派遣されます者は、現地におるために住居手当の支給を受けるわけであります。従いましてこの扶養手当というのは、御承知の六百円とか四百円とかというもので、非常に金額の少いものでありまして、二重にもなりますので、必要ないと考えて支給しないことにいたしました。
  156. 並木芳雄

    並木委員 こういうものは、やはり職員の有利になるように解釈してやつた方がいいと思うのです。そうすると、在外勤務の人は、日本では生活がないから、本俸もやらなくてもいいじやないかというりくつになつて来ると思うのです。本俸は払うのですから、それに附帯するところの扶養家族手当も同じ建前なら私は支給すべきだと考えておりますが、いかがでありますか。
  157. 千葉皓

    千葉政府委員 これはたいへん職員に対して親切なお考えでありがたいと思いますが、やはり経費はなるべく節約したいという趣旨で、関係の各省とも相談してこういうことにいたしたのであります。
  158. 並木芳雄

    並木委員 経費を節約する趣旨つたら、やはり本俸も節約していいというようなりくつか成立つのですが、この間から、どうも吉田外務大臣の毒気に触れてみんな萎縮しておるどいう情報もあるので、必要である機構の強化、あるいはそういう手当などについても、のどまで声が出ておるけれども、うつかり言うと首になるから、それを恐れて外務省の役人はびくびくしておるということを皮肉られておるのですが、そういうところから来ておるとすれば、これは私たちとしては問題にしなければいけない。とるべき予算はとり、要するにそれを有効に使うことが大事なのですから、そういう点は間違いないようにお願いしたいと思います。  最後に申したいのですが、この法案は、吉田総理大臣も、国際社会への復帰及び貿易の増進という見地から、ずいぶん強調されておつた点であつて、当然この法案が上程されるときには首相の出席があつてしかるべきだと期待しておつたのです。ところが本日もまた姿を見せなかつた。どういうおさしつかえか、その点をお確かめしておきたいと思います。
  159. 岡崎勝男

    岡崎委員長 その点はよく確かめてからにいたします。
  160. 並木芳雄

    並木委員 委員長はその点交渉されなかつたのですか。
  161. 岡崎勝男

    岡崎委員長 何かさしつかえがあるという話を聞いております。
  162. 菊池義郎

    ○菊池委員 これを拝見しますと、仕事が非常に多岐多様にわたつております。仕事の多い割合に人員が非常に少いと思うのでありますが、これをどうお考えになりますか。これだけの仕事を担当するならば、少くともこの五倍くらいの人員でなければならぬと思いますが、どうでありますか。
  163. 島津久大

    島津政府委員 御意見通りいかにも人数が少いのでございますが、これは経費関係、その他さしあたつてこれだけの仕事をするのに最小限必要な人数であります。仕事が動いた上で、ぜひともということになれば、将来は多少ふえて来ることも可能かと考えます。初めはこのくらいでがまんして行きたいと思います。
  164. 菊池義郎

    ○菊池委員 今までに発表されたメンバーは、腹案であつて決定的なものではないということを言われましたが、これは今からでもかえることができますか、どうでしようか。われわれはなるべく民間人からも何割かとつてもらいたいことを、前から要望しておるような次第でございますが、この点伺います。
  165. 島津久大

    島津政府委員 菊池委員の御意見は先般もお伺いしたのでございます。事務所の運営に有能な人材を配しますためには、民間人の起用についても広く考慮しなければならぬことは御同感でありますが、ただ、ただいまは一般公務員制度のわくなどがありまして、この中で任命しなければならないという実情でありますので、民間人をすぐ職員に採用することは困難でございます。
  166. 菊池義郎

    ○菊池委員 事務所員配置の場所と仕事の多寡の関係でありますが、たとえばハワイのごときは、日本人が非常に多いところでありますから、国籍の問題、財産に関する問題、あるいは出産、死亡、結婚等、最高司令官の指令を伝津周知せしめるというようなことが非常に多いと思うのでありますが、その仕事によりまして人員をある場合には増し、ある場合には減すということは必要であろうと思うのでありますが、この点についてはどういうように勘案せられたのでありますか、伺いたいと思うのです。
  167. 島津久大

    島津政府委員 現在の計画では職員三名、補助職員四名というわくの中で考慮いたしたのでございます。これも仕事が動きました上で増減の必要ができましたならば、その際に考慮いたしたいと考えます。
  168. 岡崎勝男

    岡崎委員長 これにて本法案に対する質疑を終了いたします。  暫時休憩いたしまして、午後一時三十分より再開いたします。     午後零時五十一分休憩      ――――◇―――――     午後一時五十六分開議
  169. 岡崎勝男

    岡崎委員長 休憩前に引続きまして会議を開きます。  日本政府在外事務所設置法案(中閣提出第一五一号)を議題といたします。これは先ほど質疑を終了しておりますので、ただちに討論に入ります。佐々木盛雄君。
  170. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 私は自由党を代表いたしまして、日本政府在外事務所設置法案に全面的に賛成の意を表するものであります。この在外事務所は、貿易促進の事務並びに日本国民及びその財産に関する事務を取扱うことを主たる目的とするものでありまして、戦争発生以来、日米間にきわめて困難な関係に置かれておりましたこれらの問題の解決のために、その活路を見出したものと言い得ると思うのであります。従いましてまことに喜ばしいことと存するわけでありまして、今回はニユーヨークサンフランシスコ、ロスアンゼルス、ホノルル、及びシアトルの五箇所に限定をされているわけでありますが、さらに他の地域にも、また他の国国にも同様趣旨出先機関の設けられんことを切望いたす次第であります。  もとより在外代表は、平常な国際関係における場合と同様の外交機能を発揮することができないわけでありますけれども、これはいまだ講和條約を締結せずして、外交権の停止されております合日の日本の立場から申しますなれば、もとよりやむを得ないことと存ずるのであります。従つて今回の在外事務所は講和条約締結までの暫定的な措置として、アメリカ当局の好意によつてできたものと考えるわけであります。従つて一刻もすみやかに講和会議を開いて、平常なる国際関係を回復して、日本が文字通り自由なる国際社会の一員に復帰し得ることを心から期待をいたしまして本法案に賛成をいたす次第であります。
  171. 岡崎勝男

    岡崎委員長 聽濤克巳君。
  172. 聽濤克巳

    聽濤委員 私は日本共産党を代表しまして、これには全面的に反対いたします。  政府説明によりますと、これは日本が国際社会に復帰する第一歩だというふうに言つております。しかしながら本法案につきまして、基本的な問題がどこにあるかといえば、無條件降伏以後の日本が、ほんとに自主権を回復するために、絶対必要な正しい講和に向つてわれわれが歩い書くか、それともその反対の方向に歩んで行くかという今重要な分岐点に立つておる。この法案は、そういう意味で日本の今後の歩みを決定する試金石であると考えるわけであります。すでにブラツセル條約に参加の問題等も起きておりますけれども、これは外交代表部というものを設けるわけでありまして、この関係は、端的に日本の今後の歩みが決せられておるという点で重要である。言いかえますならば、これを第一歩として合後の政策が末広がりに発展して行くでありましようがをの結果は、日本の将来に重大な影響を及ぼすのではないかと考えるわけであります。そこで第一に、このたびの法案が出る次第となりました経緯を見ますと、アメリカ政府から招請があり、それに基いて総司令官から覚書が発せられて、この法案が提出せられる仕儀になつております。これをわれわれがどう自主的に処理して行くかということが第一の問題であろうと思います。ところがすでにこの法案国会に提出される前に、在外事務所設置するということ、並びにその人選までも終えておる次第でありましてこれは政府国会にも諮ることなく、かつてにこの提案をうのみにする態度をすでに明瞭に示して、おるのでありまして、こういう態度は、本問題の背後にある日本自主性の問題と関連して考える場合に、非常に軍要な事柄であろうと思われます。  さらにもつと根本的な問題は、ここに現われておる法案は、日本が講和條約を結ぶ前に、外国との関係を何らかの形にせよ、復活して行くという内容を持つておるわけであります。しからば日本がほんとうに正しくこういうものを設置する地位にあるか、あるいはそういう権限があるか。国際関係というものは、国際法あるいは連合諸国、これらとの正規の関係を考慮せずして、われわれがかつてにやり得る問題では決してございません。またそういうことをやりますれば、それだけを見ますと、何らかの利益をもたらすかのごとく見えますけれども、それによつて日本と連合国との関係を阻害し、惡化させて行くということが問題になつて来るのであります。わが国の国際的な現在の地位は、対日政策に関する連合国の基本文書その他を見ましても、大体日本は占置政策に協力するという制限のもとではありますけれども、国内統治につきましては、日本に自主的な権限があることははつきりしております。しかしながら、対外的な外交権というものがないことはこれまた明瞭であります。ここに日本の主権を回復するためにこそ講和が要望されておるが、その講和とは何か。言いかえれば、全連合国との講和でなければならぬわけであります。この方向に進むかいなかが、われわれに与えられておる重要な課題であります。ところがこのたびの在外代表部というものの内容を見てみますと、這般の消息が具体的に明瞭に現われておるのであります。言いかえますと、政府の主張するごとく、なるほど言葉はそう使つておりませんけれども、国際社会復帰という言葉の裏にある意味は、日本がこういう方法によつて、外交自主権を回復して行くその第一歩であるという印象を与えておりますけれども、しかしながら内容を見ますと、この覚書に明記されてありますように、日本政府在外代表は外交官でも外交官に準ずるものでもない。また直接日本政府を代表することもできない。その他いろいろな規定が明瞭に書かれておる通りでありまして、ここに明らかなことは、日本政府の代表ということにとにかくなつておりますけれども、権限は何もない。およそ何らかの代表になるということは、背後に権限、この場合には何らかの形で外交権というものが代表されなければならない。しかし代表する実質は何もない。しかも実際の実情を見ますと、日本の外交権はほかのものが持つておる。そうしてその事実には何らの変更も加えられないで、日本政府の代表という名前で海外に事務所を設ける。これは言いかえれば、他の人の持つておる権限のもとに、日本政府がただ事務的な処理を行う機関を設けるにすぎないのでありまして、これが今度の代表部のほんとうの性質ではないかと思うのであります。そういたしますと、名前は代表部であつても、実質はそうでない。こういうものが一体日本にいかなる利益をもたらすか。しかもこれにつきましては、一国を除きました他の日本関係する連合諸国は、大体においてこぞつて反対しておることが明瞭であります。大体イギリス本国の態度にいたしましても、二月十日のロイター電報によると「十日ロンドンの権威筋が伝えるところによれば、英国政府米国設置を許可したような日本在外事務所を自国内に設置させる意向は持つていないといわれる」と報道せられております。また同十二日マニラ発のUP電報によれば「フイリピンのネリ外相代理は十三日、フイリピンは米国数市に設置されるような日本在外事務所をフイリピンに設けることにははつきり反対する」と語つています。また最近二月二十七日マニラ発のUP電によると、スペンダー・オーストラリア外相も「特に日本側において双務的保障のない一方的な基礎に立つ事実上の講和は、満足すべきものとみなすわけには行かない」。さらにワシントン二月十二日発のUP電によれば「濠州、ニユージーランド、フイリピンは、現在のところ日本在外事務所設置を許可した米国の措置を認めていない。またソ連も中国も日本在外事務所設置を許可する意図は持つていないものと見られる。」こういうふうに新聞電報を総合しましても、連合諸国が反対しておることは明らかであります。こうなつて来ますれば、結局結果において現われることは、今日連合諸国全体の信頼を獲得するのではなくして、逆に不信を挑発する態度にわれわれが出つつあるわけでありまして、このことは明らかに日本の講和の機会を失わせる、日本の唯一の正しい講和である全面講和を反対している、こういうものとしてこの法案に対しては、全面的に反対する者であります。
  173. 岡崎勝男

    岡崎委員長 浦口鉄男君。
  174. 浦口鉄男

    浦口委員 公正倶楽部はこの法案に対して賛成いたします。もちろん根本的な意味においては講和問題などとも関連をいたしまして、大きな問題の一つだと考えております。しかしわれわれは現在置かれておる立場、あるいは将来あるべき大きな線というようなものも承知しないものではありません。その意味において在外事務所は、現実の日本の国際関係により。プラスになるような妥当な運営を希望いたしまして賛成いたします。
  175. 岡崎勝男

    岡崎委員長 これにて討論は終局いたしました。それでは日本政府在外事務所設置法案について採決いたします。本法案について賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  176. 岡崎勝男

    岡崎委員長 起立多数。よつて法案は可決せられました。なお報告書の作成については委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  177. 岡崎勝男

    岡崎委員長 御異議がなければさようとりはからいます。  本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。