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1950-03-24 第7回国会 衆議院 外務委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月二十四日(金曜日)     午後一時三十九分開議  出席委員    委員長 岡崎 勝男君    理事 菊池 義郎君 理事 近藤 鶴代君    理事 佐々木盛雄君 理事 竹尾  弌君    理事 福田 昌子君 理事 並木 芳雄君    理事 聽濤 克巳君       大村 清一君    岡西 明貞君       小玉 治行君    坂田 英一君       佐々木秀世君    塩田賀四郎君       高木吉之助君    田嶋 好文君       田中  元君    中山 マサ君       永田  節君    益谷 秀次君       西村 榮二君    山本 利壽君       木村 俊夫君    玉井 祐吉君       小林  進君    浦口 鉄男君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 池田 勇人君  出席政府委員         外務政務次官  川村 松助君         外務事務官         (政務局長)  島津 久大君         外務事務官         (條約局長)  西村 熊雄君         外務事務官         (管理局長)  倭島 英二君  委員外出席者         大蔵事務官         (主税局税関部         長)      石田  正君         專  門  員 佐藤 敏人君         專  門  員 村瀬 忠夫君     ————————————— 三月二十三日  委員佐藤親弘辞任につき、その補欠として益  谷秀次君が議長指名委員に選任された。 同月二十四日  委員伊藤郷一君、栗山長次郎君、小坂善太郎君、  仲内憲治君、橋本龍伍君及び山本猛夫辞任に  つき、その補欠として小玉治行君、永田節君、  岡西明貞君、田嶋好文君、高木吉之助君、及び  田中元君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月二十二日  在外資産の補償に関する請願大西禎夫君紹  介)(第一七一九号)  同外一件(島田末信紹介)(第一七二〇号)  同(玉置實紹介)(第一七一二号)  同(河本敏夫紹介)(第一七二二号)  同(有田喜一紹介)(第一七二三号  同(佐々木盛雄紹介)(第一七二四号)  同(周東英雄紹介)(第一七二五号)  同(青柳一郎紹介)(第一七二六号)  同(佐藤榮作紹介)(第一七二七号)  同(福田繁芳紹介)(第一七二八号)  同(中村又一紹介)(第一七二九号)  同(永井英修紹介)(第一七三〇号)  同(保利茂紹介)(第一七三一号)  同(川野芳滿紹介)(第一七三二号)  同(佐藤重遠紹介)(第一七三三号)  同(渕通義紹介)(第一七三四号)  同(北川定務紹介)(第一七三五号)  同(山本久雄紹介)(第一七三六号)  同(三池信紹介)(第一七三七号)  同(受田新吉紹介)(第一七七〇号)  同(田万廣文紹介)(第一七七一号)  同(成田知巳紹介)(第一七九八号)  同(受田新吉紹介)(第一七九九号)  同(今澄勇紹介)(第一八〇〇号)  同(田万廣文紹介)(第一八〇一号)  同(保利茂紹介)(第一八三七号)  同(大西禎夫紹介)(第一八三八号)  同(庄司一郎紹介)(第一八三九号)  同(玉置實紹介)(第一八四〇号)  同(内海安吉紹介)(第一八四一号)  同(北川定務紹介)(第一八四二号)  同(永井英修紹介)(第一八四三号)  同(本間俊一紹介)(第一八四四号)  同(島田末信紹介)(第一八四五号)  同(福田繁芳紹介)(第一八四六号)  同(中村又一紹介)(第一八四七号)  同(千葉三郎紹介)(第一八四八号)  国民海外移民適格性育成に関する請願(床  次徳二君紹介)(第一七五一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  国際情勢等に関する件  千八百九十年七月五日ブラッセルで署名された  関税表刊行のための国際連合設立に関する條  約、関税表刊行のための国際事務局設立する  條約の実施規則及び署名調書を修正する議定書  を承認することについて承認を求めるの件(條  約第一号)  海外移住組合法の廃止に関する法律案内閣提  出第一二号)(参議院送付)     —————————————
  2. 岡崎勝男

    岡崎委員長 ただいまより会議を開きます。  まず国際情勢等に関する件を議題といたします。質疑の通告がありますのでこれを許します。並木芳雄君。
  3. 並木芳雄

    並木委員 まず外務当局にお伺いしますが、古橋選手ブラジル渡つたところが、ブラジルの奥地では日本か敗戰したことをいまだに知らない人がある。それでつるし上げにあつたということが相当大きく報ぜられておるのです。これは私たちとしてはまことに意外な感がするのでありますけれども日本外務省としてはこういう点についてどういう情報を持つておるか。またそういう誤解を一掃されるために、何らか手を打つたか、今までやつてなかつたとしたならば、至急どういうふうな方法をもつて、その誤解を一掃するつもりであるか、お伺いいたします。
  4. 倭島英二

    ○倭島政府委員 最近のブラジルの、今御質問の点についての政府の承知しておる点を申し上げます。最近の新聞に出ておる件は、おそらく従来からございましたブラジル臣道連盟関係人たちのことではないかと思います。臣道連盟関係と申しますと、戰後もまだ日本は負けておらぬと信じておる同胞が大分ございます。また一方、いやもう負けたんだという者もある。負けておらぬというのと負けたというのと一派にわかれておりまして、しばらくは相当はげしい対立抗争もあつたように承知しておりますが、その後臣道連盟関係人たちも、最近の模様がよくわかつて来ておるようでありまして、最近の新聞に伝えられるところは、そのごく一部の人たちのことではないかと思います。なお政府といたしましては、戰後の新しい日本状況を、できるだけ広い範囲に海外同胞へお知らせしたいということから、今数字ははつきり覚えておりませんか、二、三の大新聞をたしか最初は相当部数送つておりました。最近は中心的な数箇所になつておりますが、終戰後引続き大新聞あるいは雑誌等を送つております。なおそのほか新憲法に関する書籍とか、また戰後経済状態等に関する政府刊行物、主として安本等で出された書籍でありますが、そういうもの、なおあまりかたいものばかりでもいかぬと思いまして、敗戰後の再建される状況を見て書かれた小説、その他社会の状態を説明した書籍等も多数送つております。従つて政府の今承知しておりますところでは、大体従来の臣道連盟あるいはその運動というものはごく下火になつておりまして、最近水泳選手向うへ参りまして、いわゆるつるし上げ食つたということについては、われわれも多少驚いておる程度であります。おそらくこれは相当事実が誇大に伝えられておるのではないかと思います。
  5. 並木芳雄

    並木委員 この際西村條局長にお伺いしておきたいことがあるのですが、それはこの前見せていただきました日本占領及び管理重要文書集の第一巻の九十五ページにある項目についてです。そこに日本国政府との関係という欄がありまして、こういう一文が出ております。「天皇または他の日本国政府機関を支持するよう拘束するものにあらず。すなわち右方針は、日本国における現存の政治形態を利用せんとするものにして、これを支持せんとするものにあらず。封建的及び権威主義的傾向を修正せんとする政治形態変更は、日本国政府によると日本国民によるとを問わず、許容せられ、かつ支持せらるべし。かかる変更の実現のため、日本国国民または日本国政府が、その反対者抑圧のため実力を行使する場合においては、最高司令官麾下部隊の安全並びに占領の他の一切の目的の達成を確実にするに必要なる場合においてのみこれに干渉するものとす。」こういう一項目があります。ここに使われております「封建的及び権威主義的傾向を修正せんとする政治形態変更」この言葉自体に私たちは将来相当の疑問が起るおそれかあると思います。それからまた実力を行使するという原文を見ますと、ザ・ユース・オブ・フオースという言葉なつておりますか、この実力はどういう程度実力意味するものであるかということについても、今後のためにはつきりしでおく必要かあると思いますので、これの解釈を明確にしておいていただきたいと思います。
  6. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 ただいま御指摘になりました文句は一九四五年九月二十二日の「降伏後における米国初期の対日方針」という文書の中にあります。と同時にその年の十一月一日の「日本占領及び管理のための連合国最高司令官に対する降伏後における初期基本的指令」という文書、これは米国政府からマツカーサー元帥に與えられました訓令をなす文書でございます。ほとんど同一の文句を繰返してございます。第一の文書は申すまでもなく、アメリカ政府初期における対日方針を宣明した公の文書でございます。第二の文書は今申し上げましたように、合衆国政府からマツカーサー元帥に與えられました訓令そのもののようでございます。この二つの文書の性質から見まして、その中に現われております文章の意義、その明確なる解釈についての見解を、私どものようなそういう政策ないしはそういう訓令の適用の客体となるべき国の政府事務当局が、申し上げることは穏当でないと思う次第でございまして、ただいまの御質問に対しましては、お答えすることを差控えさせていただきたいと思います。ただ私は何も並木委員がおつしやるように特殊の法律的な意味を持つた表現ではなくて、きわめて常識的に解釈していい文句ではあるまいかと考えておるということだけをつけ加えさせていただきます。
  7. 並木芳雄

    並木委員 台湾への渡航のことについて、ちよつとお伺いしておきたいと思います。日本財界人台湾渡航するということを、国府政府の方で歓迎しておる模様でございますが、こういう点に対する情報についてお伺いします。それからまた向うでは渡航前に国府政府許可を得ればよいというふうな発表のようでありますが、国府許可だけでは渡航できないのではないか、やはりこつちの司令部の方の許可もいるのではないかというふうに考えられます。そういう点はどういうふうになつておるのでございましようか、お伺いいたします。
  8. 倭島英二

    ○倭島政府委員 台湾への渡航も、やはりそのほかの日本以外の地域べの渡航と同様の手続でございます。なお台湾への渡航について司令部許可がいるということは、これまたほかの外国の場合と同様でございます。
  9. 並木芳雄

    並木委員 台湾への渡航に対しての情報については何かありませんか。たとえば貿易を促進する意味において渡航を歓迎するということですが、その点に関する情報をお伺いします。
  10. 倭島英二

    ○倭島政府委員 最近特に申し上げるような情報を承知しないのでありますが、御承知の通り台湾へは台湾籍中国関係の人が帰られる際には、比較的渡航されるのが容易であります。なおごく最近のところ台湾経済上の目的で二、三行かれた方かあるかと思いますが、はつきりした具体的な例を覚えておりませんので、特に最近台湾方面へ多く行かれたとか、最近行かれる予定かあるとかいうことを、私まだ承知しておりません。
  11. 並木芳雄

    並木委員 台湾との間の交易に関しての見通しはどうなつておりますか、お伺いします。
  12. 倭島英二

    ○倭島政府委員 通商の関係につきましては、現在担当の政府委員がおりませんので、別の機会に取調べてお答え申し上げたいと思います。
  13. 並木芳雄

    並木委員 それでは川村政務次官ちよつとお伺いいたしますが、大蔵大臣が近く渡米する模様でございますが、外務大臣こして吉田さんが渡米するということに対しては、次官として何か聞いておりませんか。
  14. 川村松助

    川村政府委員 全然承知いたしておりません。
  15. 並木芳雄

    並木委員 この際川村次官に、対日講和條約の見通しについて、最近の傾向をお伺いしておくことはむだではないと思いますので、英国の対日政策あるいはソ連日本に対する動向、そういつたもの等を結びつけて、最近言われるようにはたして対日講和條約というものが延びる傾向にあるのかどうか。またアメリカとしてはさらに日本講和を急いでやることに対して、議論も出ておるやに聞いておるのですが、実際においてそういつたことから日本講和條約が延びるのかどうか、国際情勢等も一緒に御所見をお伺いしておきたいと思います。
  16. 川村松助

    川村政府委員 講和條約の見通しにつきましては、昨日参議院予算委員会におきまして、総理が答弁しておる通りと承知いたしております。要するに必ずしも促進されておるとは見通しておりません。
  17. 並木芳雄

    並木委員 私たちが今一番政府当局にお伺いしたいのは、ソ連日本に対する動向でございます。ソ連の対日政策に対する外務次官としての御所見をお伺いしてみたいと思います。
  18. 川村松助

    川村政府委員 新聞報道によるほか、何ら情報判断の資料を持つておりませんので、おそらく並木委員判断と同様だろうと思います。
  19. 並木芳雄

    並木委員 私は自分の判断というものをまだ申し上げたつもりではありません。まず川村次官の御所見をお伺いしたのですけれども新聞報道以外に情報がないということならばこれはまたやむを得ないことかと思います。  そこでこの機会にひとつお伺いしておきたいのですが、政府委員のどなたでもけつこうであります。例のブレトン・ウツズ為替協定というものがありますが、日本としてはこれに一刻も早く加入できるということを政府としては望んでおるのであるかどうか。ブレトン・ウツズ為替協定の中に日本が入つた場合の利害得失といつたものを、お伺いしておきたいと思います。
  20. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 政務局長が席に見えませんので、私かわりまして申し上げておきます。まずブレトン・ウツズ機構の現状というようなものを簡単に御説明申し上げまして、最後に日本の加入という問題について、どういうふうに考えておるかという点を、御説明申し上げようと思います。  まず第一は通貨基金の方でございますが、国際通貨基金につきましては、基金が理想といたしております自由な、多角的な方式というものは、まだ今日確立されておりません。基金の四十八の加盟国のうち、五箇国を除く四十三箇国はみんな為替管理を実施いたしております。今日の国際経済は大体ドル不足ということで表現されるでありましようが、このドル不足という戦後の国際的な為替事情から、基金当局資金供給につきましては、当初の規約には予見されておりませんでしたような制限を加えておりますほか、マーシヤル・プランの援助を受けている国に対しては、一切資金供給を停止いたしております。その結果基金が業務を開始しましてから今日までの資金供給は、累計七億七千七百万ドルにすぎません。そのうち約七億八百万ドルが米ドルの供給資金として供給されておるようであります。  次には復興開発銀行の方でございますが、この復興開発銀行基金のように新しい制限を加えたということはございませんが、その主たる目的といたしておりました民間投資の保証ということは、民間投資自体がまだ自由に行われておりませんですし、それに銀行資金の直接貸付もまだ活発でございません。現在まで約七億四千四百万ドルが貸し付けられたにすぎないという状況でございます。  こういうふうに、一言にして申しますと、基金の方も銀行の方も、その活動の状況は当初予測されたところに比して、きわめて不活発であるという一語に盡きるかと思います。  協定への日本加盟ということにつきましては、まだ国際的には何らの動きがございません。日本といたしましては一本のレートを決定し、またインフレーシヨンの危険もなくなつた今日でございますから、わが国国内條件としては、加盟への態勢が一応整つているということは言えるでありましよう。また加盟承認ということにつきましても、イタリヤやオーストリアの先例もございますので、必ずしま平和條約が成立し、または日本国際連合加盟国となるというようなことは、條件とはならないと考えております。しかしながら基金開発銀行の方で、わが国加盟をそう差追つて必要とするというような特別な事情もありませんし、また早急に日本加盟認ようとするような国際的な動きもございませんので、現在のわが国国際的環境に格別の変化のない限り、日本としましては近い将来にこれに対する加盟を期待し得ない状況にある、こういうふうに私どもとしては考えております。     —————————————
  21. 岡崎勝男

    岡崎委員長 次に千八百九十年七月五日ブラツセルで署名された関税表刊行のための国際連合設立に関する條約、関税表刊行のための国際事務局設立する條約の実施規則及び署名調書を修正する議定書承認することについて承認を求めるの件を議題といたします。質疑を許します。聽濤克巳君。
  22. 聽濤克巳

    聽濤委員 この前私がこの案件につきまして質問をしておりました途中に、大蔵大臣の退席を見ましたので、私続いてやりたいと思いますが、あのときにお伺いした中で、途中になつはつきりしなかつた点からお伺いしたいと思います。私はこの案件自体は非常に簡単なことのように見えますけれども日本ポツダム宣言下状態で国際的な関係をつけて行くという観点から、問題は重大であるように考えていろいろお聞きしておるわけなのですが、そのときに、なぜ事前国会承認を求めなかつたかということを私聞きました。それにつきまして西村條局長から、これは国会事前承認を求めているのだ、こういうふうに答弁がありましたが、私は大蔵大臣がやはり同様の見解を持つておられるかどうか、こういう形でこれは国会事前承認を求めているのだとお考えなつておるかどうか、お伺いしたいと思います。
  23. 池田勇人

    池田國務大臣 先般お答え申し上げました通りに、国会承認を経まして効力が発生いたすのでありますが、こういう問題につきましては、外務省と同じ意見を私は持つているのであります。
  24. 聽濤克巳

    聽濤委員 それはまことにおかしな、政治家としての答弁にはならないと思うのでありまして、私この前の時にはつきり申しましたが、つまり代表を派遣する、調印する、そういう事柄自体国会承認を求めてやるべきじやないか、なぜかといえば、日本のこういう状態の中で、こういう関係を結んで行くことが講和についてどういう関係があるか、国際情勢との関係も十分検討しなければなりませんし、いろいるな国際法上の疑義もあるのでありますから、そういう点で国会でやはり承認を求めてから、代表を出すべきじやないかと考えるわけですが、その点をどうお考えなつておられるか、お聞きしたいのであります。
  25. 池田勇人

    池田國務大臣 国際会議政府代表を出すか出さぬかは、政府限りで決定するところであるのであります。これには国会承認を必要としないのであります。あのときに国会承認を得るのが至当ではないかというお考えのようでありますか、私は必ずしもそうしなくてもいい、外務省見解と同様に考えているのであります。
  26. 聽濤克巳

    聽濤委員 そういう見解を持つていられることが非常にはつきりいたしましたが、それでは政府は一体日本の現在置かれている国際的な地位を、どう考えておられるか。外務委員会で実際に大きな問題になつて来ますのは、政府の最近の動きの中に、実際国際法的にいつて、どういう根拠に基いて日本国際関係を結び得るのか、講和條約前にこれが行い得るのか、そういう事柄が将来日本講和可能性についてどういう影響があるのか、さらにこのことがポツダム宣言を受諾して、そして降伏したわが国外交自主権の問題に関係するわけであります。こういう事柄がなぜ国会において問題にならないか、政府国会にはかることもなく、かつてにそういうことができるとお考えなつているのか、あらためてお聞きしたいと思います。
  27. 池田勇人

    池田國務大臣 先ほど申し上げた通りであります。しかもこの問題は外交関係するものでございますから、外務省の方より御答弁していただくのが適当かと考えております。
  28. 聽濤克巳

    聽濤委員 どうも大蔵大臣は何も御存じないのか、とぼけていられるのかしりませんが、事柄は非常に重大であります。こういう問題があるからこそ、ブラツセル云々のこの議定書の問題が、外務委員会において重大な問題になつて来るのであります。こういうことを全然政府考えていない、これは日本前途そのものについて、あるいは講和会議そのものについて、何らお考えなつていない何よりの証拠である、しかしこれ以上はお聞きいたしますまい。  次の問題は、この前もちよつとお聞きしたのですが、はつきりしないので、もう一ぺんお伺いしたいのですが、これは大体説明書を見ますと、司令部承認があつて、そして代表を出したということになつております。これがいかにも合法的であると言わぬばかりに書いてあります。司令部承認というのはどういう関係でございますか、言いかえますと、日本政府がこれこれの関税に関する協定参加したい、それで許していただきたいとお願いをしたのか、あるいは司令部の方から行けと言われて行つたのか、その点をはつきりしていただきたい。
  29. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 その点実際取扱いました事務当局から御答弁した方がいいかと思いますので、私の方から答弁をいたします。ブラツセル会議につきましては、ベルキー政府から日本政府あてに、正式に代表を出して会議参加するようにという招請状が送られたわけであります。その招請状はもちろん直接送られるのではありませんので、総司令部を通じて日本政府に伝達されるわけであります。それに対して日本政府が総司令部に対して、ブラツセル会議にこの招請を受けて代表者を出したいということを要請し、それに対して総司令部の名において、代表者を出してよろしいという正式の覚書をいただいた、こういういきさつになつております。
  30. 聽濤克巳

    聽濤委員 ではベルキーからそういう招請があつたから、参加したいと言つてこちらから許しを得たというわけでありますね。それでは大蔵大臣にお伺いしたいのですが、今後国際会議にどんどん参加するようになつて行くことになりつつありますが、今日本政府は自主的にどういう国際会議参加しようと計画されておるのか、その点をお伺いしたい。
  31. 池田勇人

    池田國務大臣 私はどういう国際会議が今考えられておるか、所管でございませんので、お話申し上げます材料を持つておりません。こういう問題は外務省の方にお聞きくださるのが適当かと考えております。
  32. 聽濤克巳

    聽濤委員 それではあらためて聞きますが、大蔵関係といたしまして、たとえば関税協定であるとか、貿易機構参加ということがすでに考慮されておるかどうかということをお聞きしたい。
  33. 池田勇人

    池田國務大臣 貿易機構参加関税協定の問題につきましては、ただいま具体的にはなつておりません。われわれはただいま関税定率法の改正につきまして検討を加えておる状況であるのであります。
  34. 聽濤克巳

    聽濤委員 それはさつぱり答弁にならない。そんなことは子供に言うことであつて、今何を審議しているかぐらいのことは心得ておる。しかし今後大蔵当局として、こういう方法で、今当面関税協定貿易機構参加するつもりなのかどうか、計画かあるのかどうかということをお聞きしたいのですが、私それなら聞きますが、ブラッセル議定書に調印して帰りました石田税関部長というのが、すでにこういうことを意思表示しておることは、ほかの委員会でも聞かれたと思いますが、あらためてお開きしたいのです。石田税関部長は、ブラッセル議定書参加したのは、将来関税協定貿易機構参加へのこれは捨石である、こういう意思表示はつきりしておるのでありますが、大蔵大臣御存じないのでありますか。
  35. 池田勇人

    池田國務大臣 聽濤君の御質問は、今具体的にそういう話があるかという御質問だと思つてお答えしたのでありますが、それはわれわれといたしましては貿易国として立ちたいのでございますから、将来の問題として関税協定その他の貿易機構参加したいという気持は持つております。しかしそれがいつの時期になるかどうかということは申し上げられないのであります。
  36. 岡崎勝男

    岡崎委員長 ちよつとお断りします。大蔵大臣は今予算委員会の方から出席を求められておりますので、ごく簡単にひとつお願いいたします。
  37. 聽濤克巳

    聽濤委員 それが手なんだ。あとで聞きましたら予算委員会で、たつた五分しかいなかつたというのです。何も用事があつたつてここから出て行つて、五分しかいないような……。それはいいです。私の質問はなるべく早く終るうにいたします。一般的に貿易関係のこういう機構に参加するという気持を持つておるというだけのことを聞いているのであつて、実際石田税関部長はつきりこれは捨石なんだということを、警告としてもはつきりと言つておるわけなんです。この点は大蔵大臣御存じないというのはまことにおかしな話であります。  先を急ぎますからお伺いしますが、ざつくばらんに申しまして、こういうブラッセル議定書参加して、一体日本には関税自主権もないような状態でこんなものに入つて、一体どういうふうな利益があると考えておられるのか、大蔵大臣にお伺いしたい。
  38. 池田勇人

    池田國務大臣 関税自主権も何もないという御質問につきましては、私は同意できないのであります。今まで盲貿易であつたのがだんだん民間貿易に移つて参りまして、そうして石田税関部長が将来関税協定参加するあるいは国際貿易機構に入りたい、入るための捨石であるということを言つたのは、私の答えと同じであります。われわれといたしましては、そういう希望のもとに進んでおるのであります。
  39. 聽濤克巳

    聽濤委員 関税自主権かないということについては私は意見が違うのですが、あるというならば具体的に話してもらいたい。たとえばこの間もほかの委員会質問があつたと思いますが、食糧の問題は非常に大きな問題になつておる。議会でも輸入食糧の問題は、農林省関係各党派の重大な問題になつておる。さらに政府自身もこれについて大きな動揺を来しておる。実は新聞が報道している状態です。これについて無期限の免税が問題になつておる、こんなことで、一体どこに関税自主権があるのか、お伺いしたい。
  40. 池田勇人

    池田國務大臣 新聞に永久無税の報道があつたから政府関税自主権がないというのは、あなたの独断でございます。われわれはほかの機会で申し上げましたよりに、食糧に対しましては一定の税率を設けますが、しかし今の現状からいえば、しばらくの間は別な規定で免税する規定を設けようというのであります。そういう考えで行くと、新聞にそういうのがあつたから、政府に自主権がないというのは独断であると考えます。
  41. 聽濤克巳

    聽濤委員 それははなはだおかしいのでありまして、それでは私つ込んで聞きますが、一体この一、二年は別な方法で免税にして行くというのですが、この一、二年が日本の運命を決する重大な時期なのです。このときにこういう問題が起つて来て、現に食糧の問題については本年度は安本の計画か何かによりますと、はつきりと数字は覚えておりませんが、二百四十万トンとかなんとかいう計画であつた。ところかこの三月の末までには三百九十万トンぐらいの輸入になりつつある。あなたの方の森農林大臣も、委員会で実際日本の現在の不足量は——これは政府の言い分でありますから、私はそのまま信じてはおりませんが、百八十万トンだと言つておる。それに三百九十万トンも輸入せられて一体どうなる。こういう状態があるのに、こういう問題でどんどん発展しつつあるのに、この一、二年は別途の方法で免税にする、それがつまり自主権がないという実際上の問題なのです。あなたはそれでもやはり政府が自主権を持つておると主張なさるのですか。
  42. 池田勇人

    池田國務大臣 食糧の輸入の問題と、価格の点から行く関税政策の問題を混同されておると考えておるのであります。関税自主権がありました戦前におきましても、食糧は免税にしておつた期間があるではございませんか。しこうして今国内の食糧の価格と外国から参ります価格が、関税を設定しなければならぬという状態ではないのであります。しかしもし激変がありまして、国内産業ことに農業保護の立場からいつて関税を設けなければならぬときには、それは何どきでも設け得るような態勢を整えて行きたいと私は考えております。
  43. 聽濤克巳

    聽濤委員 実際日本の現状を無視するというか、日本の農業そのものの状態を無視するというか、これはあなたやはり一種の暴言ですよ。今日日本の農民は何を感じているか。この輸入食糧の重大な圧迫が、日本の農業を破滅させているということをみんな感じておる。だからこそ国会においても重大な問題になりつつある。また国会の外でも重大な政治問題になりつつある。こういう問題をあなたの小手先の解釈論で押し通す、こういうことをあなたは言われたに違いない。こういうふうな状態で、一体あなたは日本の農業はどうなつて行くとお考えなつておるか。
  44. 池田勇人

    池田國務大臣 聽濤君の御質問は、輸入食糧の多寡の問題を言つておられると思いますか、それならば別の議論であると思うのであります。しかし関税政策の問題は価格の問題であるのであります。今のような状態のときに、あなたは輸入食糧について関税を課すべきであるという議論なのだ。私はそういう議論は立たぬと思います。
  45. 聽濤克巳

    聽濤委員 ここで関税の議論をしても始まらないのだけれども、今日本の農業について何らの保護政策が行われていないというところに問題がある。そうして外国の農業恐慌の負担を日本にどんどん押しつけられおる。この大きな圧迫のさ中に無税で食糧を輸入しているということは、もう腹の中ははつきり見え透いているではありませんか。そういう政治的な問題を、あなたにはまるで価格の問題だ、何だかんだと言われておりますが、一体そういう考え方で日本のこの危機を切り拔けて行くことができると思つているのですか。
  46. 池田勇人

    池田國務大臣 輸入食糧をいかにするかという問題、また農業対策をどうするかという問題は、別個の問題であると考えますが、そういう施策をやつた上において、しかる後に日本の食糧の価格と向うの価格との関係を考慮するのが、関税の問題であると考えるのであります。今関税の問題を議論するといいましても、あまりに価格は差があり過ぎて、関税をかけるという問題が起つて来ない。これは戰前からこういう状態であつたのであります。その点をお考えになれは、私は議論はなくなつて来ると思います。
  47. 岡崎勝男

    岡崎委員長 これにて大蔵大臣に対する質疑を終了いたします。
  48. 聽濤克巳

    聽濤委員 最後に、貿易の自主権については——あなたはもうお帰りになるのですか。ちよつと待つてください。委員会を無視するもはなはだしい。どうですか。何とかここにあいさつをして行くべきじやないですか。
  49. 岡崎勝男

    岡崎委員長 もう先ほどからお断りしております。
  50. 聽濤克巳

    聽濤委員 第一、こういうふうに質問の途中で——私はもう最後の一つだと言つておるのです。
  51. 岡崎勝男

    岡崎委員長 聽濤君の質問のほかに、まだ並木委員も玉井委員質問を留保せられておつたのであります。
  52. 聽濤克巳

    聽濤委員 どうも委員長が紳士的にやつて行くというので気を許して、一番協力しておるのだけれども、どうもこういうことをたびたびやられたのでは、まことに問題ですよ。これは第一、大蔵大臣も呼ばずにやろうとしたのだけれども、だんだんこういう話になつて来て、私の質問の途中に、あいさつもせずに引込んで、予算委員会に行くと言つて、五分しかいなかつた。そういうような体たらくだ。またこれもあなたの方から頼んで、きよう緊急に開きたい、大蔵大臣質問をさせるからというので、私協力してちやんとやつておるわけで、すべてあなたの方のすえ膳をわれわれは食つておるのですよ。それで途中でこんなことをするというのは……。これは外務委員会ですよ。外務委員会大蔵大臣政府がどんどん軽視するような傾向に対して、あなたは喜んで一緒になるようなことでは、一体どうなるのですか。
  53. 岡崎勝男

    岡崎委員長 ただいま予算委員会の方で、共産党の川上貫一君が、ぜひ至急にというので、おまわししました。
  54. 聽濤克巳

    聽濤委員 それは知りませんよ。ここの用事をちやんと済ましてから…。どうも一ぺん理事会を開いてください。
  55. 岡崎勝男

    岡崎委員長 承知しました。
  56. 聽濤克巳

    聽濤委員 理事会を開いてもう少し公正な運営の仕方をひとつ研究しようじやありませんか。
  57. 並木芳雄

    並木委員 公平に拝見して、やはり大蔵大臣の態度はよくないと思うのです。私ももつとまじめな、来年度の関税の配置、そういつたものやら、それから今後の為替レートの問題とか、関税のレートの問題についてお聞きしようと思つてつたのです。やはり何もあいさつもせずに帰つてしまつたのですが、この点について川村政務次官にお伺いしますか、一体大蔵大臣は、この承認を早く求めて、そうして一日も早く関税表というものを入手したい希望があるのかどうか、わかりますか。あなたは打合せておられますか。これは外務省の所管で、外務委員会のことだから、大蔵大臣の所管じやない。私は予算の方を早く通せばいいのだという、非常にそらぞらしい態度が、私たちは見受けられたのです。これはおそらく與党のほかの委員の方もそうだろうと思うのです。この点ははつきりしておきたいと思います。
  58. 川村松助

    川村政府委員 所管大臣といたしましては、当然提案しました法案の一日も早く通過することを希望していると思います。ただ、ただいまの実情は委員長の説明される通り予算委員会からもせつかくの御要望があり、こちらの方でもぜひというような立場にありましたので、大蔵大臣が御自分の判断向うに行かれたと思います。
  59. 並木芳雄

    並木委員 これに関することをもう少し聞いておきたいことがあるのですか、これは金にして大体幾らくらい送ればよいのですか。そうして実際役に立つのですか。そういうこともまだ質疑応答が行われておりませんから、ちよつとそのことをお伺いしてみたいと思います。
  60. 川村松助

    川村政府委員 約百万円です。
  61. 並木芳雄

    並木委員 役に立つのですか。
  62. 川村松助

    川村政府委員 大いに役に立てる希望でおります。
  63. 並木芳雄

    並木委員 大蔵大臣にお伺いしようと思つたのですか、二十五年度の関税の配置について、やはり外務省としても御存じであろうと思います。つまり今まである関税の配置に加うるに、当然貿易の進展に伴つて関税計画というものが増強されて行くべきものであると思つております。ですから、その点について御説明を願います。
  64. 石田正

    石田説明員 大体本年の実績から考えまして、来年度の関税收入でありますか、これはこの前にも申し上げたと思いますが、大体十五億ということを申し上げたのであります。この十五億というものは今までの貿易の伸張の度合いから申しますと、いささか大きいと考えられるのでありますか、その間につきましては、いろいろと関税率の改正等のことも考えまして、大体そのぐらいのところがいいのではないかという感じを持つております。
  65. 岡崎勝男

    岡崎委員長 これにて質疑は終了いたしました。ただちに討論に入ります。
  66. 竹尾弌

    ○竹尾委員 私はただいま議題なつております千八百九十年七月五日ブラツルで署名された関税表刊行のための国際連合設立に関する條約、関税表刊行のための国際事務局設立する條約の実施規則及び署名調書を修正する議定書に対しまして、自由党を代表いたしまして、本件に承認を與うべしという賛成の意見を述べるものであります。  本修正議定書は、政府の説明によりますと、昭和二十四年十二月、ベルキー政府の主催のもとに、ブラツセルで開かれた條約加盟国会議によつて作成されたものでありまして、その内容は、貨幣価値の変動その他の理由によりまして、関税国際事務局資金か不足を告げるに至つたのでございまして、その増額をはかるため、各国分担金の増加を目的とした修正であるということであります。もとよりわが国貿易促進のためには、各国の関税表に関する最新の情報を定期的に入手することは、最も必要でありますから、国会といたしましては、本件に承認を與えることはきわめて妥当であると思うものであります。  しかし私はここで、政府に対しまして一応念を押して、少しく要求するところがあるのであります。それは、わが国関税政策が、わが国内産業に対し重大なる影響を持つておるということであります。占領下における日本が、関税自主権を持つていないことは当然であり、また外国よりの援助を受けておる今日、養糧品等に対し無税輸入の取扱いがなされることは、あるいはこれまた当然であるかもしれませんが、わが国民が熱望し、連合国側も希望しておるわが国経済自立のためには、わが国の国内産業が発展し、伸展しなければならないことは論ずるまでもございません。わが国が諸外国の競争にたえて、約八千万の国民を養うためには、これは共産党の諸君の意見に賛成するわけではございませんけれども、必要なる保護関税政策をとらざるを得ないことは、これ自明のことと私は思うものであります。わが国は明治維新後、多年不平等條約に苦しみ、私どもの先輩は非常な努力と犠牲を拂つて、ようやく平等條約をかち得たことは、私どものよく知るところでございます。政府わが国のこれらの過去の歴史に思いをいたされ、一つ一つの條約に加盟することによりまして、国際家族の一員に復帰することを許されるとともに、一日も早く世界の諸国と平等対等の交際のできるように努力されんことを希望するものでございます。私は本件がわが国の国際家族の復帰への一段階であると認めるにやぶさかでないものであります。この意味におきまして、本件に承認を與うることに賛成をいたすものであります。
  67. 岡崎勝男

  68. 並木芳雄

    並木委員 私も本件には賛成の意を表します。実はわれわれが講和條約を待たずして、曲りなりにも一本立ちになつて行くということは喜ばしいことです。ただその喜ばしい一本立ちということが、押しつけられて一方的にやつているか、あるいは自主的にわれわれの意思を十分尊重されて、一本立ちになつているかということか問題の焦点であつて、聽濤さんなんかの質問も、主としてこういうところに重要点があつたようれ私は拜聽しておりました。大蔵大臣答弁によりますと、必ずしも関税の自主権というものを持つておらないのではない、十分それを持つように生かして行くという答弁でありましたし、またこの関税表につきましても、川村次官は今後これを有効に使つて生かして行く、こう言明されておりますから、その言を信用して、われわれはよし関税の自主権というものはなくても、反対の方面から考えて、関税表というような條約には参加も許されておるし、現にその相談も受けておる。だからわれわれに少しでもよけいに関税の自主権を與えてくれというふうに持つてつたならば、私はこの運用の妙を得て来るのではないかと思うのであります。ただいかんせん、金額の負担があるものでありまして、私たちが何も役に立たないものを押しつけられるような感じがいたしますことは、非常に心外でござざいますので、ただいま竹尾委員からも申されました通り、そういう点については政府は十分運用の妙を発揮して、いやしくもただ何も読めない横文字の本を買つて来て、書だなに飾つておけばそれで事足りるのだといつた、新しい間違つた文化人のようなかつこうに陷らないように、これを機会として日本の自主性に一歩近つける、ほんとうにわれわれの意思の通ずる関税政策、あるいは為替政策、あるいは通商政策というものが達成せられるように切に望みまして、私の賛成の意見とするわけであります。
  69. 岡崎勝男

    岡崎委員長 福田昌子君。
  70. 福田昌子

    福田(昌)委員 私ども社会党といたしましては、本案件に賛成するものでございます。いろいろ内容の御説明に対しましては、自由党並びに民主党の御説明がありましたが、私どもといたしましても、貿易の将来の振興と国内産業の繁栄のために、この関税政策を城府としておとりくだささることを要望いたしまして、本案件に賛成いたします。
  71. 岡崎勝男

    岡崎委員長 聽濤克巴君。
  72. 聽濤克巳

    聽濤委員 私は日本共産党を代表して反対いたします。事柄は小さいように見えますけれども質疑のときにも再三申し述べましたように、ポツダム宣言下日本の対外関係を設定して行くという問題は、将来の講和の問題と切離しては考えられないのでありまして、今日吉田内閣がとつておる一連の政策は、明らかにいわゆる條約なき講和、なしくずし講和、そして実質は講和可能性を破壊しつつある政策の一つであると私は考えます。第一これが不審にたえませんのは、吉田総理は先月の十四日か何かの衆議院の予算委員会で、この問題について質問しましたときに、これは追つて調査して返答すると答弁せられた。こういつた外務大臣である主管大臣も答弁できなかつたような案件が、今日突如外務委員会に出て来ておる。何かその間非常にあいまい模糊としたものを感ぜざるを得ない。さらに国会承認につきましては、当然これは事前の審議を仰ぐべきであつたと思います。これは先ほど冒頭に述べましたように、日本の今後の国際諸関係の問題を十分に考慮し、講和の観点から十分に論議されて、これに参加するかいなかを決定すべきであつた。それにもかかわらず、その点かやられてないことは、吉田総理の答弁の態度とあわせ考えまして、何か故意に問題を避けているようにしか思えないのであります。  さらにわが国外交自主権の問題につきましては、これは明らかにポツダム宣言下において講和以前に外交自主権が回復するということはあり得ない。これがなしくずしに、表面自主権があるかのごとき形で行われつつあるところに実際問題があるのであります。たとえばこの点は、この関税表刊行に関する議定書参加する——いかにもこれで日本関税の自主権でも持ちつつあるかのごとき印象を與えますけれども、しかし先ほどの論争でも明らかなように、関税の自主権はもののみごとにありません。全然ない。この事実がごまかされて、何か関税自主権か回復の方向に進みつつあるかのごとき表現の形式をとつておりますが、本質はわが国関税自主権は完全に踏みにじられつつある。そうしてこのことが端的に現われておるのが、たとえば食糧やその他戰略物資と思われるようなものの無期限免税の問題であり、あるいは貿易に関しましても、中国やソ同盟との平和的な貿易機会を、いまだにわれわれは獲得していないという問題である。日本におきましては日英、日独協定というものがどんどんできつつある。しかしこれには日本代表参加しておらない。しかもこれは当面の重要な障害にぶつつかつてしまつておる。しかも一方におきましては公団の滞貨六百億という莫大な滞貨ができておるが、この原因は明らかに当てもない輸入を大量にわが国がしたからである。クレーム、キヤンセルの問題は裁判にかけても実際には損害賠償はとれないようである。しかも最近現われている問題は、産業復興公団におきまして、これらの輸入滞貨のうちの重要資材というものは、これは現下の情勢において戦略物資と思われるようなものですが、そういうものの備蓄を始めておる傾向さえある。わが国貿易自主権というものは完全にございません。そういう中で一体こういうものに参加して何の利益があるかということが、第一の問題であるばかりでなく、実際の問題としては、こういうやり方で関税自主権や貿易の自主権というものは全部ごまかされつつある。そして国民をごまかしつつある。こういう中で一体わが国はどうなるのであるか。これは関税の問題、貿易の問題において、明らかに一国への従属をどんどん強化しつつあるものだと思います。これが何でわが国の幸福になるか。わが民族の幸福になるか。こういう明らかな事実に対して、私は絶対にこの案件承認することはできません。  最後にもう一度繰返しますけれどもわが国民が全部要望しておるところのほんとうの講和、この講和機会というものは、こういうやり方を積み重ねて行きましたならば、明らかに永久に破壊されてしまう。その方向にどんどん発展させつつあるというところに一番重大な問題がある。私はこういう観点から簡單ではありますけれども、わが民族の利益とは絶対に相いれないものがあるとして反対いたします。
  73. 岡崎勝男

    岡崎委員長 これにて討論は終局いたしました。  それでは千八百九十年七月五日フラツセルで署名された関税表刊行のための国際連合設立に関する條約、関税表刊行のための国際事務局設立する條約の実施規則及び署名調書を修正する議定書承認することについて承認を求めるの件(條約第一号)について採決いたします。本件を承認すべきものと議決するに御賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  74. 岡崎勝男

    岡崎委員長 起立多数。よつて本件は承認すべきものと決定いたしました。     —————————————
  75. 岡崎勝男

    岡崎委員長 次に海外移住組合法の廃止に関する法律案内閣提出第一二号)を議題といたします。  本案につきましてはすでに質疑は終了しておりますので、この際討論を省略してただちに採決いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 岡崎勝男

    岡崎委員長 御異議なしと認め、採決いたします。  海外移住組合法の廃止に関する法律案内閣提出第一二号)について、これを可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 岡崎勝男

    岡崎委員長 御異議なしと認め、よつて本案は可決いたしました。(拍手)  なお本日採決いたしました両案についての衆議院規則第八十六條による報告書の作成については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 岡崎勝男

    岡崎委員長 御異議がなければさように決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後二時四十一分散会