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1950-03-22 第7回国会 衆議院 外務委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月二十二日(水曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 岡崎 勝男君    理事 菊池 義郎君 理事 近藤 鶴代君    理事 佐々木盛雄君 理事 竹尾  弌君    理事 仲内 憲治君 理事 並木 芳雄君    理事 聽濤 克巳君       大村 清一君    栗山長次郎君       佐々木秀世君    塩田賀四郎君       中山 マサ君    橋本 龍伍君       小川 半次君    山本 利壽君       小林  進君    浦口 鉄男君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 池田 勇人君  出席政府委員         外務政務次官  川村 松助君         外務事務官         (政務局長)  島津 久大君         外務事務官         (條約局長)  西村 熊雄君         外務事務官         (調査局長)  與謝野 秀君         外務事務官         (管理局長)  倭島 英二君  委員外出席者         大蔵事務官         (主税局税関部         長)      石田  正君         通商産業事務官 高井 敵夫君         專  門  員 佐藤 敏人君         專  門  員 村瀬 忠夫君     ――――――――――――― 三月十八日  旧大連日本人労働組合外団体在外公館又は  邦人自治団体に認定並びに同団体借入金返還に  関する請願(竹村奈良一君紹介)(第一五六二  号)  全面講和促進に関する請願聽濤克巳君外一名  紹介)(第一五六三号)  在外資産の補償に関する請願木下榮紹介)  (第一五七一号)  同(有田喜一紹介)(第一六四七号)  同(成田知巳紹介)(第一六七〇号)  同(田万廣文紹介)(第一六七一号)  同(足鹿覺紹介)(第一六七二号)  同(玉置實紹介)(第一六九五号)  同(北川定務紹介)(第一六九六号)  同(三池信紹介)(一六九七号)  同(保利茂紹介)(第一六九八号)  同(中村又一紹介)(第一六九九号)  同(福田繁芳紹介)(第一七〇〇号) の審査を本委員会に付託された。 同月二十日  奄美大島復帰に関する陳情書  (第六二二  号)  未帰還同胞引揚促進に関する陳情書外一件  (第  六二七号) を本委員会に送付された。     ―――――――――――――  本日の会議に付した事件  千八百九十年ブラツセルで署名された関税表刊  行のための国際連合の設立に関する條約、関税  表刊行のための国際事務局を設立する條約の実  施規則及び署名調書を修正する議定書承認す  ることについて承認を求めるの件(條約第一  号)  国際情勢等に関する件     ―――――――――――――
  2. 仲内憲治

    ○仲内委員長代理 ただいまより会議を開きます。  国際情勢等に関する件を議題といたします。質疑通告順にこれを許します。竹尾弌君刀
  3. 竹尾弌

    竹尾委員 私は最近新聞紙上等でも問題になつております沖縄軍事基地の問題と、それから東南アジア情勢につきまして、政府当局に対し若干の質疑を行わんとするものでございます。  第一に具体的に申し上げますが、連合軍の必要上、日本の被占領地域内に連合軍軍事基地を設定することは、これは当然であると言われておりますし、また当然でございましよう。そこで今度の沖縄の場合でありますが、沖縄もこの例に漏れないでしようが、ここでお尋ね申し上げたいことは、連合国の中で、ソ連もこの連合国の有力なメンバーとして、対日理事会にも、また極東委員会にも代表者を送つておる。これらの委員会理事会でこの沖縄軍事基地の問題は——私は寡聞にして知らないのですが、そういう問題が論議されたことはなかつたように記憶しております。そこでおそらくこの軍事基地の問題は、見ようによりましては、連合国がこれに承認を與えておる、ソ連アメリカ軍事基地沖縄云云に対しては同意を與えておる、こういうふうにもとられる、またそういうふうに見ておる人もあるようでございますけれども、この沖縄軍事基地設置の問題については、ただ單にアメリカの進駐軍だけでなく、連合国がこれに同意を與えておると見てさしつかえないかどうりか、この点についてまずお尋ね申し上げます。
  4. 島津久大

    島津政府委員 ただいまの竹尾委員の御質問の点でござざいますが、沖縄建設工事は、日本政府所管外のことでありまして、この点の御質問に対しましては、政府として御返事する筋合いではないと思います。
  5. 竹尾弌

    竹尾委員 問題が相当微妙のようでございますし、今ちよつと聞くところによると、私の質問通告に対して相当御苦心された、今ちよつと出席のおそかつたのもどうやらそういう点もある、こういうお話でございましたから、私はしいて追究いたしません。その点で私も申し上げないこどにいたします。いずれ機会がありましたら申し上げます。  そこで第二問に移りますが、三月十四日の各新聞紙上には、沖縄アメリカ軍基地建設事業のために、アメリカ側沖縄工務東京事務所というものをつくられた、その設置が伝えられておりました。そうして事務所ライニアソン中佐それからクースル少佐でしたか、これらの人たち新聞記者会見を行いまして、工事計画について記者団質問に答えられておる。この工事アメリカ側の予算で行われるものか、それともこれも連合国同意によるものか、何かその点で外務当局御存じの点がありましたならば、承りたいと思います。
  6. 島津久大

    島津政府委員 御質問の第二点につきましても、第一点に対するお答えを繰返すほかはないのでございまして、政府としましては、その関係情報を持つておりません。
  7. 竹尾弌

    竹尾委員 そこで第三問でありますが、これは私としては重大な質問であります。これらの工事につきましていろいろうわさもあつたでございましよう。そのために民間側でもいろいろ質問される方も多かつた。それで私は前前回の委員会で、沖縄軍事基地工事が進んでいる、そのために労務者の必要があつて内地の方から労務者を雇用するというような事実を聞いているがどうか、こういうことをお尋ね申し上げましたところが、島津政務局長はそういうことはないというお答えであつたと思いました。あるいは知らぬ御存じない、こういうお答えのように思いましたが、その後数日を経て、三月十四日の新聞紙上に、前にお尋ねしたような記事が出ておつた。これはアジア全体からいいましても、日本の問題としても一占領治下とは申せ、軍事基地をつくる、つくらぬということは重大問題であります。もし軍事基地建設が問題になりました場合は、総理大臣信ぼく本会議でも委員会でも、全面的に連合軍と協力する、しなくてはならぬ、する義務があるということとを言明せられましたので、とにかくうわさにしてもこういう問題が民間にも伝わつている。それを外務当局が、しかもその関係の、ある意味の大元締めでもあるべき外務当局が全然これを御存じない、こういうことについて私は非常に疑問を抱くとともに、もし御存じなかつたならば、私は外務当局の怠慢を責めなくちやならぬ。実際この間私がお尋ね申したときに御存じなかつたかどうか、その点についてお尋ね申し上げたい。
  8. 島津久大

    島津政府委員 前会に私が御答弁申し上げましたときは、労務者沖縄に行くというような話はないということをお答え申し上げたと記憶しております。当時政府公式見解といたしまし、はその通りであつたのでございます。またその後も新聞に出ましたような司令部側発表かあつたわけでございます。しかしながらこれは日本政府この公式の関係はないのであります。個人としてうわさその他は承知しておりたのでございますが、公式の政府の合弁といたしまして、承知をいたさぬこいうことを申し上げたのであります。
  9. 山本利壽

    山本(利)委員 今の問題に関連いたしまして、沖縄連合軍がいかなる設備をするかしないかというようなことは、日本当局の関知せざるところという説明は、私は成立つと思うのであります。ただ新聞紙その他によつて伝えりれるごとく、日本労務者が渡航いんしまして、その仕事に従事するとならば、その労務者身分保障といいますか、安全性等について、われわれは行えなければならぬ。その点について政府当局は十分なる関心を持ち、手当をしなければならぬと考えるのであります。なおそれらの者が参りましたあと留守家族生活についても考えなりればなりませんけれども、これはその当事者が契約の際に個人的に考えるべきものであるか、あるいは日本政府として、連合軍の要請に基いて労務者を送る場合には、その留守家族等生活についても考えるべきものであるか、その点に対する御見解をまずお伺いいたしたいと考えるのであります。
  10. 島津久大

    島津政府委員 沖縄工事につきましては、総司令官の方から指令がございますれば、政府はこれに協力しなければならぬことはもちろんのことでございますが、今日までのところ、指令は受取つていないのでございます。ただ発表のようなことで、業者労務者を募集するということはあり得ると考えますが、ただいまのところは、まだ具体化しておらないようでございます。いずれ御趣旨のようなことは当然考えられると思いますけれども、ただいまのところは、政府として処置をとる段階ではないと考えております。
  11. 山本利壽

    山本(利)委員 この際確かめておかなければなりませんことは、先ほど申しあげました二点につけ加えて、その渡航する場合の勤務年限といいましようか、契約年限及び労賃の問題等につきましては、日本国民としての幸福ということに非常な影響のあることでありますから、この点はただ請負業者とかその他の者の手によつて募集せられるような場合におきましても、日本人全体の生命、財産その他生活の安定という点からいたしまして、外務当局においては、連合軍から何かの通達がなければほうつておくということでなしに、十分これらの点についても妥当とせられるところを連合軍に要求し、そうして日本国民の安寧を保護していただきたいと考えるのであります。この点に対して御見解を承りたいと存じます。
  12. 島津久大

    島津政府委員 御意見の次第は十分承りまして、研究いたしております。
  13. 山本利壽

    山本(利)委員 一応終ります。
  14. 竹尾弌

    竹尾委員 今の山本委員お尋ねとも関連するのですが、今島津政務局長の御答弁で大体了承いたしましたけれども、私どうしてこうしつこくお尋ねするかと申しますと、こういう問題で内地から渡航したいという人が、われわれの選挙区にもたくさんある。それで私が外務委員であるということを知りておる者から、私に質問が殺到いたしまして、こういうことをどうか調べてもらいたい。それでこの間私は事こまやかにお尋ねしたのですが、知らぬ存ぜぬ。数日たつたところが、ああいうふうなかなり具体的な記事が出ておる。これは連合軍指令命令がなければやらぬでもいい、こういうことではないと思います。協力の限度、形というものはいろいろあるのでありますから、今山本委員の希望のごとく、私もこれは大いに要求いたします。さつそく調べていただいて、これこれこういうぐあになつておるということをひとつわれわれに知らしていただきたい。そういうことをお約束できるかどうか、お尋ねいたします。
  15. 島津久大

    島津政府委員 事情を調査して、できる限り御要望に沿いたいと思います。
  16. 竹尾弌

    竹尾委員 次に、問題をかえまして東南アジア情勢についてお尋ねいたします。東南アジア情勢につきましては、中共政権の樹立以来、いろいろな意味東南アジア情勢の逼迫が伝えられておりますが、私はここで自分意見を述べるのを避けまして、事実について一、二お尋ねをいたしたいと思います。  まず第一にイギリス中共政権承認した。おそらく現在の中華人民共和国が、将来その重要な財政的支柱と考えておるだろうと思われます東南アジア在住華僑ですが、財界人実業界を初めその他の中国人の去就が、今非常に問題になつておるようであります。そうして最近伝えられるところによりますと、東南アジアに居住する数百万人の中国人が、中共を支持するように傾いておるということであります。そうなりますと中共東南アジア進出は、東南アジア情勢一般に対して、非常に大きな影響を與えると思いますが、この点について外務当局はどうお考えになつておりましようか。アジアのいわゆるソビエト化というものは、従来はインド向背によつて決すると言われておりましたが、今や情勢切迫につれまして、インドではなく、ビルマタイの動向によつてさえ決せられるであろう、こういうような情勢切迫を告げておりますが、その点につきまして外務当局の御所見を伺いたいと思います。
  17. 與謝野秀

    與謝野政府委員 竹尾委員お答えいたします。ただいま東南アジアにおける共産勢力進出と、東南アジア在住中国人向背ということで、非常に情勢切迫しておるではないかという御質問がございました。御承知通り今年の初頭以来、東南アジアは非常に注目されておりまして、イギリスにおいてはコロンボの会議において、またアメリカの方は先月のバンコック会議において、この問題を検討したように伝えられておりますが、南方におります華僑か、一体中共側につくかつかないかということによつてタイビルマその他の地方における共産勢力小確立と申しますか、進出と申しますか、そういう状況が起るのではないかという点につきましては、私もそういう可能性がかなりあると考えるのでもります。なぜならばタイを例にとります場合に、タイにおきまして労働力を供給している六六%までは、中国華僑でありまして、共産勢力がこういうところにまず進出するということから考えますならば、タイの場合などはかなり危險性がある、こう思われるのであります。たた現在タイにおきましては、ピブン首相共産主義に非常に強い反対の立場をとつておりまして、部内で相当反対もあつたにかかわらず、これを押し切つて越南バオダイ政権承認した。このために反対派外務大臣が辞任するというようなことまであつたのであります。また国内には約二万の共産党員が活躍しているという状態であります。南北の国境地帯からどんどん撹乱分子が入つて来て、国内の治安を脅威しているということでありますが、同時に政府はこれを彈圧するという方向に向つておるように聞いておるのであります。なおアメリカ後進国開発計画というようなものが進みますならば、タイあたりがまず主眼になるのではないか、こういうことも伝えられておるのでありまして、華僑向背によつて共産勢力が急に内部から増大するというような可能性がもちろんあるといたしましても、またこれに対応する政策が現在とられつつあるという実情だろうと考えるのであります。ビルマ共産党員が約三十万といわれて、これも百七十万余のカレン族というのが独立運動をやつて、これが政府反対一大勢力となつておるのでありますが、これに対しても政府は相当強い態度をもつて彈圧をし、共産党非合法的存在としてやつておるのでありまして、必ずしもタイビルマ状況から見て、共産勢力が確立されるということを断ずるのはまだ早い、こう私は考えております。
  18. 竹尾弌

    竹尾委員 そこでタイの問題でありますが、與謝野局長は非常に楽観されているようでありますけれども、大体ピブン政権は御承知のように共産党反対であるけれども、実質的にこれはどうであるかということが問題になるので、最近相当動揺しておるということは明らかだろうと思います。特に前首相のクアン・アパイウオン、これは御承知のように民主党系でありますが、この人の態度も最近どうかと思われるし、それから元首相のルアン・プラディット、これはこの間の新聞では中国国内に入つておるということでありますが、そういうような人たちが相当タイ国民大衆をつかんでおる。しかも隣のインド支那においては、バオダイ政権の威信とうものが日に日に薄れて行くということを考え、さらにこり間のバンコック会議ジエサップ大使の勧告は、相当アメリカでもこれを支持するところとなつて、今局長の言われたように、具体化しておるとは思いますけれども、もしタイ国内情勢共産勢力支持方向に向うということになると、これはビルマに比較になりぬようなきわめて重大なる問題がここに起ると思いますけれども、これについてもう一度興謝野局長——いや局長でなく外務当局としての御所見を伺いたいと思います。私はこれで質問を打切りまして、通産省の方がもう十分ぐらいでお見えになるそうでありますから、お見えになりましたら質疑をすることにいたします。
  19. 與謝野秀

    與謝野政府委員 お答えいたします。ただいま御指摘になりましたように、ピブン政権反対要人たちが、いろいろと政府倒壊の陰謀を企てておるということも事実でありまして、これらが共産勢力と手を握るということもまた可能性がありますが、華僑が三百万おりまして、これがピブン政権の頭痛の種となつているということも事実なのでありますが、最近伝えられるところでは、ピブンはフィリピンのキリノ大統領とも連絡をとつて、何とか共産勢力を協同して防衛する態勢をつくりあげるということに関心を持つているということであります。われわれの非常に貧しい材料ではありますが、最近は北平の放逸などで、タイ華僑を虐待しておるという非難した放送などもあるようでありまして、中共がこの華僑というものに呼びかけて、タイを撹乱するという可能性はかなり顕著になつて来ておるのでありますが一方バンコック会議終つたばかりでありますし、ジェサップ大使もヨーロッパをまわつてアメリカ帰つたばかりでありますから、先般アチソン長官演説で示されました対アジア政策が、どういう形で現われて来るかということは、まだ具体的にわれわれ承知いたしておらぬのでありますが、現状を正しく認識して、これに適切なる対策がとられて行くのではないかと考えております。
  20. 菊池義郎

    菊池委員 先ほどの沖縄軍事基節について、関連してひとつお尋ねします。大体軍事基地のスケールはどのくらいのものでありましようか。それから人数はどのくらいいるのですか。
  21. 島津久大

    島津政府委員 それらの点はまだ何もわれわれは承知していないのです。
  22. 菊池義郎

    菊池委員 この前総理に対して、アメリカ沖縄軍事基地を設けるならば、ソ連もまた北方に設けるかもしれぬ。ところがそのあとでもつて竹尾君の質問に対しまして、そういうことはあり得ないということを言われました。その法的根拠はどういうふうなのでしようかお伺いしたい。
  23. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 総理の御答弁をよく読み直しまして、後日お返事いたしたいと思います。
  24. 菊池義郎

    菊池委員 総理は漠然とした答えでありまして、この前でありましたか、ソ連軍事基地を求めるようなことはあり得ないと言われました。外交政策からの面ですが、その法的根拠は。
  25. 島津久大

    島津政府委員 ただいまの御質問の点は、私の記憶いたします限りでは、日本国内ソビエト基地を要求しやしないかという御質問に対しまして、そういうことはあり得ないという御答弁つたと思います。
  26. 菊池義郎

    菊池委員 アメリカ沖縄——沖縄もまだ今日はアメリカによつて占領されておりますが、千島あたり軍事基地を要求するというようなおそれはありませんか。
  27. 島津久大

    島津政府委員 千島あたり基地へ要求するというような事態はないと思います。千島方面ソビエトの管轄の地域に入つております。従つてどういうことが行われておりますか、われわれれの知るところではございません。
  28. 竹尾弌

    竹尾委員 ちよつと関連して……。私もこの間そういうことは絶対にないというような島津局長の御答弁新聞で拝見いたしたのですが、どうもその点に対して、私も菊池委員と同じように非常な疑問を持つている。これは委員長質問するわけではないのですが、中央公論の四月号のあなたの書かれたものの中に、極東委員会としても、これはアメリカだけではなく、全体の同意を得たと見てもよろしいというようなふうに私は拝見しました。そうなりますと、もしソ連基地を要求することはあり得ないといつても、あり得ないということはあり得ないのであつて情勢変化従つてあり得るかもしれません。私はさつきあなたがおられないときにお尋ねしたのですが、そういう場合には極東委員会なり、あるいは対日理事会なりで、全体の同意のもとにやつておられるのかどうかということが私は問題だと思うのです。今度の問題も外務当局お答えになりません。私は相当お苦しいと思いますので、これ以上追究はしませんが、そういろ問題がソ連の場合にも起つて来ないとほ限らないと思います。局長はどういう観点から、絶対にあり得ないという御答弁をされたのか知りませんが、絶対にあり得ないということはないと思うので、そういう意味においてもう一度具体的に、今度の沖縄の場合でも対日理事会なり、極東委員会連合国の全体の同意を得たものか、あるいはアメリカ一存でやられたものであるかどうかということを、これはお答えにならなかつたけれども、今の菊池君の問題と関連して、重ねてお尋ねいたします。
  29. 島津久大

    島津政府委員 その当時の記録をよく見まして、御質問ないし私どものお答えしましたことを確かめてみたいと考えます。  基地設定が絶対にあり得ないというようなことも申した覚えはないのでございます。いずれにしても占領下の現在においては、かりにそういうような要求があるとしましても、連合国最高司令官を通じて来るほかはないと考えております。その点は日本との直接の関係ではなくて、やはり連合国間の問題というように御解釋願いたいと思います。
  30. 竹尾弌

    竹尾委員 しつこいようですが、そうなりますと、今度の沖縄の問題でも、連合軍最高司令官命令、あるいは指令ということにとれば、岡崎委員長の論旨のごとく、連合国の全体の同意があつたというふうに了承と申しましようか、解釈してよろしいでしようか。
  31. 島津久大

    島津政府委員 ただいまの点は、また一番最初に帰つての御質問と考えますが、それに対するお答えは、遺憾ながら初めのお答えを繰返します。
  32. 菊池義郎

    菊池委員 最近の新聞を見ますと…英国はしきりと対日講和を急いでいるような情報が伝えられている。それからソ連もまたレ連要路の人の意見として、自分たち全面講和を考えているのだというようなことを伝えておるのであります。過般與謝野さんは、講和は遠のいていると見てさしつかえないというようなことを言われましたが、これらの情報に対する外務当局の御見解、また最近の情報によりまして、前の意見がかわつておられるか、お伺いいたしたいと思います。
  33. 與謝野秀

    與謝野政府委員 お答えいたします。先般の委員会で、私は個人的の観測として、講和が遠のいたような情勢であるということを申し上げたわけでありますが、その後ただいまお話のようなイギリス外務当局講和を希望しているというような新聞報道もございますが、客観情勢に大きな変化があつたとは考えられないのであります。またお説のような、ソ連邦と中共政府全面講和を希望いたしておりますことは、その友好同盟條約の第二條で、他の国と一緒に講和を促進しよう、こういうことを言つているのでも明らかなのでありますが、ただ講和が提唱されたといつても、やはりその内容なり手続なりいろいろな問題がありますし、先般のアチソン長官の十六日の演説中にも、米ソ間に横たわる懸案中の一項目のまた一つとして、対日講和という問題も取上げられているような存でありまして、なかなかこれが急に促進されることはむずかしい状態ではないか、こう考えます。
  34. 菊池義郎

    菊池委員 先におつしやいましたのは、ソ連は要するに四つの大国を中心としての講和、それからアメリカは全画講和、そういう手続の点において食い違いがあるからというようなことか、講和が困難であるという主たる理由のように説明せられたのでありますか、ソ連全面講和を希望しておると向うの要路の人が言つても、それを否定し得る何か情報なり根拠がございますかどうか、その点お伺いしたいと思います。
  35. 與謝野秀

    與謝野政府委員 ソ連全面講和を希望していることが條約の條文上に現われておるのでありますから、おそらくできるだけ早い機会に、全面講和ができることを望んでいるものと解してさしつかえないと思うのであります。ただその講和の内容なり手続の問題で、関係国間に歩み寄りができないという情勢がまだあるから、これはたとえばアチソン長官演説中にも指摘されているように、こういう懸案がすらすらと解決しましたならば、これが行くのであつてソ連講和を希望していないということではなくて、講和の内容及び手続に難点がある、こう考えます。
  36. 菊池義郎

    菊池委員 在日華僑総局から手紙が参つておるのでありますが、これは小さいことのよろでございますが、吉川源三という人が中国の内戰に参加した。それが日本帰つて来た。法務総裁はそれが日本帰つて来たならば、厳重に処罰するということを確約しておりながら、まだこれを逮捕しないというので、その逮捕及び厳罰を要求して来ている。こういうことについての政府としての御意見を、どういう理由でありますか、伺いたいと思います。
  37. 島津久大

    島津政府委員 ただいまの御質問のような、そういう申出については何も受取つておらないのであります。なおまた処罰の関係になりますと、当然これは法務府の問題になると思います。
  38. 菊池義郎

    菊池委員 私は質問の通告の中に、ユネスコと世界連邦の問題について出しておきましたが、このユネスコにつきましては、政府当局といたしましても、この運動を積極的に支援しておられる傾きがありますが、世界連邦の運動にはほとんど冷々淡々、氷をかむような態度であります。ほんとうにわれわれこれを遺憾に思うのでありますが、ユネスコの運動は要するに精神運動であつて、これまでこれに類似したような平和運動は、何千回か繰返されたのであります。にもかかわらずやつぱり戰争は起つておるのであります。世界連邦運動は何を目的としておるかというと、戰争を最初から起らないようにするために、すなわち最初から戰争の起らない法治社会というものを地球の上に建設しよろというのが、世界連邦の目的なのであります。国際連合は戰争を起した国を、多数の国が寄つてたかつて袋だたきにしようという機構でありますが、世界連邦はこれと違つて、最初から戰争の起らない法治社会をつくろう、どうしても世界連邦をつくり、しかして各国を法によつて縛らなければ、この戰争は防止することはできないと私は考えておるのであります。ユネスコ運動のごときはまつたく問題ではない。宗教運動と似たり寄つたりで、全然何の意義もないと思うのでありますが、この二つに対する政府の御見解を承りたいと思います。
  39. 與謝野秀

    與謝野政府委員 菊池委員お答えいたします。ユネスコの運動も世界連邦運動も、精神的な要素というものを多分に含んでおりますが、お説のようなユネスコ運動は單なる精神運動ではないのでありまして、日本におきましては、なぜこれが精神運動のような形で全国に普及しておるかと申しますと、まだ日本はこのユネスコに加盟を許されておらない、従いまして最近ユネスコの事務局から代表が日本に来て活動を始めておりましても、むしろユネスコ事業の客体と申しますか、そういう形でそういうようなことが行われているのでありまして、日本人が協力する部分は、主としてユネスコ精神の普及というようなことに力を注がれているのであります。しかしながらそれでもすでにいろいろなことが具体化されておりますし、ことしからはユネスコの総会その他の会議へも参加が許されるのではないか、こういう希望を持つておりますし、專門家の観測としては、ことしの三月二十日から二十九日まで。パリで開かれます国際点字統一会議というのに、すでに日本盲唖学校の教授が出席するというような具体的なことも始まつておりますし、ことし中にユネスコの費用でもつて海外への留学生が招聘される、こういうことも具体化しておるのでありまして、必ずしも精神運動とは、考えておりません。ただこれが実際的な活動をするためには、将来加盟が許された後になる、こう考えているのであります。  次に世界連邦の方でございますが、この理想のりつぱなことは菊池委員のお述べになりました通りでありますし、また先般国会内にも世界連邦に関する国会の委員会というものをつくられまして、われわれとして世界連邦の関係団体ないし国会でのいろいろな動きというものについては、いろいろ勉強をいたしておるのでありますが、何分にも世界連邦運動というものこそ、民間のまた個人の有識者の率先して行うべき運動でありまして、政府が先頭に立つて旗を振つて、さあ世界連邦にみなついて来い。こういう運動ではない。こう確信しております。むしろ政府が陣頭に立つということは差控えておるのであります。ただこの運動の理想ないし従来までやつて来たいろいろの仕事というものについての勉強はいたしておるのでありまして政府が冷淡である。こういうことは少し当らない。こう考えております。
  40. 菊池義郎

    菊池委員 ユネスコの運動目的達成によりまして、戰争が防止できるという根拠はどこにあるのですか、私は絶対にこれではできないと思う。
  41. 與謝野秀

    與謝野政府委員 非常にむずかしい問題でありまして、時間をかけて学者が討議しても、簡單に結論は出ないと思うのでありますが、ユネスコだけで戰争が防止できるということは、今のところはないかと思うのであります。やはりユネスコと国際連合というものが車の両輪のような形に立つて、これで世界の平和を保つ方向へ持つて行きたいということを、ユネスコをつくつた当事者たちは考えて、その憲章にもうたつておるのであろうと思うのであります。今のところユネスコ憲章にございますように、まず固人々々の心の中に戰争というものに対する考えを固めて行く、まず戰争は固人の心の中から生ずるものだということからスタートしているのでありますが、人種的あるいは宗教的その他各種の民族間における偏見というものを、除き去つて行こうという非常に高遠なものでありまして、ユネスコだけやつておればあしたから戰争がない。そういうものではない。非常に先の長い運動だと私も考えております。
  42. 菊池義郎

    菊池委員 心の問題であるという点において、まつたくこれは宗教の運動こほとんど同じと言つてもさしつかえないではないかと思います。政府の御合弁もおそらくそういう点においては、私の意見を肯定せらるると思います。何と言つてもこれはつまらない意義のない運動、私はかように断定してさしつかえないと思います。世界連邦の運動こそ、ほんとうにこれは地上よりして戰争を一掃するのではない、戰争の起らない社会をつくる。この意味において重大な意義があると思うのでありますから、政府の積極的な助成を要望してやまない次第であります。これで私の質問を打切ります。
  43. 小川半次

    ○小川(半)委員 先ほどの竹尾君、菊池君の質問に関連しているのですが、実は沖縄軍事基地築造の問題について、わが国の請負業者なり、あるいは労務者が相当多数沖縄に参つて、この軍事基地設置のために働いているのですが、御承知のように日本国憲法には、日本国民は戰争を放棄して一切の軍備というものを持たないということを、世界に宣言しております。その日本国民軍事基地即戰争準備のための一つの戰争製造のために、労務者としてあるいはそれの請負業者として参加しているということは、憲法の解釈かり行くと非常に疑問があるのです。私は乞しい一憲法研究者ですが、私の解釈から行きますと、憲法に抵触するという見解を持つているのですが、政府当局者は、これについてどういう見解を持つておらるるか。お答え願いたいと思います。
  44. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 私どもとしては別に憲法との関連において、問題を生すべきものではないと考えております。
  45. 小川半次

    ○小川(半)委員 それではお尋ねしますが、日本国民は戰争準備のあらゆる部門に参加してよい、日本国民は今後戰争に必要ないろいろなものを製造することに参加してもよいということなんですか。
  46. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 渉外局の発表によりますと、沖縄における建設工事となつておるのでありまして、それによつて御了承が願えると思います。
  47. 小川半次

    ○小川(半)委員 すでに建設工事ということが一つの煙幕であり、形式論であつて、戰争準備の設備を行つておるということは、一般世界人の常識となつておるのですが、すでに世界人の常識となつておるこの問題を、日本国の外務当局がわからないはずはないと思うのです。しかし日本の立場上、当局から明らかにできないというお立場でしたら、私も了承しますが、しかしこ、の解釈の点だけはまず明らかにしておかなければならぬと思います。
  48. 仲内憲治

    ○仲内委員 私はこの機会に委員長及び政府委員に伺つておいて、そしてこの委員会の立場を明らかにしておかなければならない問題があると思うのであります。それは去る三月十八日本会議の日程第四に上程されました在外公館等借入金整理準備審査会法の一部を改正する法律案の取扱い方についてであります。この法律につきましては、当委員会において当初取上げた問題であります。しかも今回の改正法案につきましては、当委員会に何らの連絡なく、海外同胞引揚に関する特別委員会において審査されて、そのまま上程されたようないきさつであるのでありますが、このいきさつにつきまして、幸いに管理局長もおられるし、中山特別委員長もおられるので、委員長からこの問題が委員長会議その他においてどういう話合いになつておるか、そのいきさつを伺つて、当委員会としての態度をきめておかなければならぬと思うのであります。
  49. 岡崎勝男

    岡崎委員長 それでは私から一応いきさつを申し上げておきます。去る三月十八日の公報を見ますと、今申しました法律を延長する提案が本会議に出るような日程になつておりました。私は外務委員会としてもまた委員長自身としても、その点について何ら聞いたことがないのであります。しかも少し前でありますが、外務委員会における質問に対し、政府委員は本件の準備は予定通り進捗しておるというようなことで、暗に期間を延長する必要もないというような答弁をしておられるのであります。それで非常にふしぎに思いまして、ただちにその事情を調べましたところが今仲内委員の言われましたように、本委員会とは全然関係なく、特別委員会において提案されたとい、りことでありまして、それが日程に上つたわけであります。そこでこの事情を関係の運営委員会等に連絡いたしまして、外務委員会としては全然知らない法案である、そこで所管の常任委員会の意向を全然聽取せずして、別の委員会において法案の解釈を行うということは、内容の重大さもしくは軽徴さに関係なく、おもしろからざる前例を残すのではないか、もし何か気にいらない法律があつたときは、当該委員会を無視して、ほかの委員会でこれを改廃するというようなことを行われては、おもしろからざる結果になるであろうという心配から、この問題は本会議に上程しないようにしてもらいたいという、ことを、運営委員会に申し述べたのであります。もつとも当日は外務委員会の理事はほとんど登院されておらたかつたものでありますから、八方連絡をしたのでありますが、御相談するひまがなかつたのであります。また特別委員会委員長である中山委員もおいでにならなかつたものでありますから、その方は理事の玉置委員お話いたしておいたのであります。そして争ういう申入れをしておきましたら、運営委員会の方では了承いたしまして、一応これはとりやめるということにたつたのでありますが、その後議場内の交渉係の交渉の結果、各党派の賛成を得て、急に本会議に上程され、可決されてしまつたわけであります。法律上から見て、本会議において委員会の審議を省略して、ただちに上程して可決してしまえば、これは議会の意思として決定されたものでありまして、いかんともしがたいものであります。しかしながらこういうことが行われますと、今申しましたような惡例を残すおそれが非常にありますので、一昨日書面をもつて中山委員長と議長あてに、いかなる法律的根拠及び実際上の必要があつて、かかることをされたのであるかという質問を提出しております。また本日常任委員長会議において同様のことを申し述べましたところ、各常任委員長とも、これは内容は別として、形式的にはどうもおもしろくないかもしれぬということで、さらに常任委員長で研究してもらつて、この次の会議意見の交換を行おうということになつております。以上が経過であります。
  50. 中山マサ

    ○中山委員 衆参両議院の引揚同胞救護議員連盟からの申入れで、こういうことが私のところに出て参りまして、それがもはや日にちがないので急遽やつてくれという、こういう申し入れがございましたので、海外における同胞たちが今まで積み上げたその全財産を、そういう場面に当つて帰つて来たという、その気の毒という点から、みな超党派的に御賛成をした問題でありました。ところが管理局長倭島政府委員から、予算の裏づけかないので、これは事務的に困るという申出かありました。ちようどそのときに私が委員長会議に呼ばれて参りましたあとで、玉置委員と冨永委員とが党の幹事長に話をされまして、それは何とかなるだろうからやつたらどうだ、何しろその翌日が最後の日にちに迫つておりまして、しかも十九日は日曜日でございますので、何とか早くやらなければいけないという方にばかり、お互いが気をとられておつたような次第でありまして、外務委員会にそのことを申入れすることなく、これがいわゆる委員会付託にしないでやつてしまうということになりましたのは、私の不行届と思いまして、ここに遺憾の意を表しておきます。それから私は二、三週間前に地方へどうしてもこの日に講演に行かな叩ければならないというお約束をしておりまして、その場の諸般の宣伝をやつておりますので、私かその日にそこに行かないわけに行かないことになつておりましたので、玉置委員にお願いをして参りましたので、運営委員会に持つて行くまでは私の責任になつておりますが、その後のいきさつは運営委員会の責任になつておるような次第でございまして、私は帰つて参りまして、初めてこういうような事情によつてそれが取上げられたということを聞かされたのでございます。私もいろいろ走りまわりまして、主計局長にもお会い、大蔵大臣にもお会いしまして、予算は何とかなるというところまでこぎつけて参りました。これが惡例となりますならば、まことに残念なことでございますけれども、事同胞のこの困窮したる生活状態に関しておることでございますので、これか通つたことにつきましては、あるいはこれは喜ぶべき結果になるかもしれませんけれども、今後の委員会のあり方について、みんが注意することにいたしまして、ここに私の説明を終らしていただきます。
  51. 並木芳雄

    ○並木委員 私もこの法案には引揚委員の一人として参與しております。ただいま委員長から報告がありました通り、当時私は十九日の期限が切れるについて、それでは間に合わない、あとから申込者もあるだろうからというので、政府に期限を延長する方がいいじやないかということを質問しております。ところが倭島管理局長はそれに対して、今委員長の申されたような答弁つたので、私もその事情を了としながらいたのですけれども、一方においてどうも十九日ではとても間に合わい、ぜひそれを延長してくれという要望が熾烈となつて来て、急遽あちらの委員会にかけられるようになつたのです。私はこちらでこの前審議したこともよく知つておる。その点気がついておりました。それからまた先ほど委員長が、当日外務委員理事がほとんど見えなかつたと言いましたけれども、私がおつたのです。おつてこれに御相談に乗つてつたものの一人でございますから、御報告申し上げておいた方かいいと思いますが、要するに政府の方で、あの十九日をさらに延長するという原案が出て来れば、それは当然この前のように外務委員会に付託せられたと思います。ところがとつさの場合に出て来たもので、しかも議員の方の立法となりましたし、ちようどそれが引揚委員会の開会のときに当つたので、便宜上、向うで審議したということが言えるのだと思います。これは内容が問題になるのですが、内容があまり違うような問題だし、外務委員会の方をスキップして、あとから問題が起るようなことであつては当然いけないと思いましたから、ただいま申し上げましたようないきさつで、これはあとから御了解を得ればわかることであろう。また当日運営委員会の方では一応ドロップしようとしたのですけれども、むしろ自由党の方からさらに院内でもつてこれを出すという声が起つて来まして、私たちの方にもその承認を求めて来たのです。実質的の重要性と私たちは意味をとりまして、賛成をいたした次第でございます。従つてこれたもう前例にならない、とつさの場合の例外的のことであつて、しかも内容出には問題が起らないということを十分見通してやつたという点で、今後委員長もお取扱い願えれば、さしたる問題を起さずに済むのじやないかと考えておる次第でございます。
  52. 岡崎勝男

    岡崎委員長 ただいま並木君の御発言がありましたが、とつさの場合というのが私にはよくわからないのであります。というのは、同日同時刻に外務委員会は開催しておつたのであります。中山委員長は引揚の特別委員会出席されるということをわざわざお断りになつて、こちらを欠席されて特別委員会の方に出席されたのであります。同じときに開いておる委員会があるのでありますから、こちらにかけられるのが当然のことだろうと思うのであります。なお今までの慣例といたしましては、予算を伴う法律案は——法律案は大体すベてでありますが、特に予算を件う法律案は、常任委員会の審議を求めるということになつておりまして、特別委員会の方はこういう問題は常任委員会に讓ることに従来の慣例がなつております。そういう慣例がありまして、私はいまだに少くとも外務委員会の了解を求められることが当然であるのであつて、内容がいかに異議がないとお考えになりましても、外務委員会としては別の意見があることもあり得るのでありますから、前例としてこういう別の委員会で法律の改廃を行うということは、これは愼むべきことではないか、こういう点だけを考えておるわけであります。
  53. 橋本龍伍

    ○橋本(龍)委員 先ほど小川委員から沖縄工事につきまして、戰争準備云々というお話がありましたけれども、普通戰争準備というと、戰争を積極的に始めるための準備という感じがいたしまして、外務委員会でそのまま承ることはちよつと重大ではないかと思います。それで沖縄は目下米軍の占領地であります。そうして米軍のことでありよすから、日本とは直接関係のないことでありますが、軍備の本来の使命は、侵略戰争への防衛にあるはずでありますので、日本とは直接関係ないことではありますが、戰争準備という言葉を軍備というふうに言い直していただいた方が、外務委員会で承るには穏当ではないかと思いますが、ひとつお考え願いたいと思います。
  54. 岡崎勝男

    岡崎委員長 ただいまの橋本委員の御発言につきましては、さらに速記録を見まして、小川委員と御相談いたしまして、もし改めた方が適当であろうということなら、小川委員の御同意かあつた場合に訂正することにいたします。
  55. 橋本龍伍

    ○橋本(龍)委員 私の言うのは戰争準備という言葉の意味が、何か戰争をしかける準備のように聞かれるのでありますが、むしろそうであつたら小川委員の戰争準備という言葉の意味は、戰争をしかけるという意味であるのか、そうでなかつたのか、まず承つてみたい。
  56. 小川半次

    ○小川(半)委員 單に基地設置の場合と、工事そのものが戰争への工事とある。私たちが大体つかんでおります情報から行きますと、これはやはり單なる飛行場の設置、あるいは何というか、兵舎築造とか、そういう程度のみでなく、らさに積極的——この積極的の解釈ですが、これは主観によつておそらく違うだろうと思いますが、たとえば何でもない設備であれば、つくる必要はない。要するに平和を目標とする兵舎の築造、あるいは平和を目標とするところの飛行場の設備であれば、これは何ら意に解する必要はないのでありますが、設備そのものがすでに戰争へのワン・ステツプを踏んでおるということは、これは私は戰争準備と解釈します。しかも日本国民はあるいは米軍の軍事に日本国内のみでなく、また日本政府命令でなくとも、——あるいは過般も日本人が台湾で中共軍に志願するものが出て来たとか、あるいは台湾においてすでに日本人が軍隊へ参加しておる、こういうことは、日本国憲法にやはり非常に疑問を持つて来るのです。これと同じことであつて、戰争を放棄したということは、これはとにかく憲法の示すところであつて日本国民は憲法の示すところに従わなければならない。それでなければ憲法はいらない、不必要なものになつて来る。憲法の命ずるところによつて日本国民は行動しなければならない。その憲法には戰争放棄ということが宣言してある。一切のそうした戰争に必要なものを準備しない、持にないということを明らかにしてある。日本国、そのもはそういう準備はしないけれども、しかしあの米軍のもとといえども、やはり日本国民である限り、これに参加するということには私は疑問があるというのです。そういう場合にはどんな解釈をするか。これはアメリカであろうが、ソ連であろうが、どこであろうが、日本国民は諸外国の命令によつてでも、そういう戰争準備のことに参加するということは、日本国民である限り、ここに抵触する。一体この解釈をどうするかということなんです。何でもないようなことですけれども、深く掘り下げて研究いたしますど、重大な問題なんです。しかし実際これはもつと深く掘り下げて政府見解、あるいは私の見解を申し上げるためには、実は祕密会を要するのですが、とにかく私はそういう意味で、政府見解をただしたのであつて、あなたはそれで御了解行かないようでしたら、さらに祕密会を開いていただきたいと思います。
  57. 橋本龍伍

    ○橋本(龍)委員 私の申し上げた趣旨を小川君は理解くだすつておるが、小川君の質問の趣旨は、私も非常に大きな問題であることはよくわかります。この趣旨については、さつき小川君が政府質問され、政府答弁があつたが、私はそれに介入しようと今考えているわけではないのです。問題は、ただ戰争準備という言葉が、普通常識的に聞くと、戰争を始める準備のような感じがするので、必ずしもそういうふうな意味でなくて、外務委員会でわれわれが伺つているといろ公的な立場から見て、これは要するに防衛の意味をも含めた、つまり戰争に備える軍備の意味であるという言葉の意味をはつきりさせてもらいたい。それだけの趣旨です。
  58. 岡崎勝男

    岡崎委員長 他に何か御質問ございませんか。
  59. 竹尾弌

    竹尾委員 私は先ほどの質問を実は中絶してあるのです。それは通産省へ、この間も何回か私は外務委員会を通じて要求し、大臣の出席を求めていたのですけれども、きようも皆さん定刻においでにならなかつた。ようやく今来られたようですから、通産省に対する私は質問をさしていただきたいと思いますが、よろしゆうございますか。
  60. 岡崎勝男

    岡崎委員 よろしゆうございます。
  61. 竹尾弌

    竹尾委員 これは私は実は率直に申し上げて、はなはだきようは不満です。前会、前々会再三私はお願いしてあるのに定刻にも来ない。そういうべらぼうなことはないと思うが、まあそれはそれでよろしゆうございます。  そこであなたにお尋ねするのだが、三月七日分共産党の機関紙アカハタに沖縄軍事基地建設云々という見出しで、大々的に三段拔きで出ておる。普通の新聞と申しましようか、朝日、毎日等々には三月十四日に外国電報としてこれは載つておりますが、その前にすでに三月七日のアカハタに沖縄軍事基地建設云々という見出しで出こおる。それにはアメリカのいわゆる今の軍事基地の問題でありますがも伸縮のアメリカ軍事基地工事計画が具体化して進んでおるということを詳細に、ここに持つて来ておりますが、出ております。それでそのために、通産省では——ここがお尋ねの要点ですが、通産省では新たに沖縄向け軍用物資等納入手続というものを定め、二月十三日に業者に対する説明会を開いた、こういうぐあいにアカハタの記事に出ておる。こういう事実があるかどうか、まずそれをお尋ねします。
  62. 高井敵夫

    ○高井説明員 お答えいたします。私たちがきよう参るのが遅れたのは、実は私たちが連絡を受けたのはきようの十一時半でございまして、それまでには全然連絡がございませんでした。従いまして、遅れたことについては、われわれは責任を持つておりません。  それからただいまの御質問の内容でありますが、沖縄建設につきましては、去年の末に占領軍の渉外局から発表がありまして、近いうちに沖縄建設を行うから、関心を持つている日本業者は積極的に参加してほしい。それで要求する品物は、継手、パイプ、セメント、ベニヤ板、そういうものである。入札を希望するものは、第八軍の調達部の方に登録するように、そういう発表がございました。これは政府にあてました正式の覚書でも何でもございません。それについては明確に何年のいつから、何年のいつまで、どういう要求がある、どれだけの金額のものが要求されるかということは全然うたつてございません。  それでさつきの説明会の話なのですが、それにつきまして、われわれの方では、GHQそれから第八軍の調達部の方と交渉いたしまして、これは従来のPDによります調達手続と全然違いまして、終戰処理費は全然関係して来ない。占領軍はコーシヤル・フアンドにドルを拂い込みまして、それに相当する円を銀行に当座預金として預けております。その預金によつて購入を行う。従いまして、これは一種の貿易である。さらにまた業者の選定については、第八軍の調達部か直接行うのであつて日本政府は關與しない。ただ日本政府は必要な資材の割当を行うように、そういう話でございました。それでさつきの説明会の件につきましては、われわれは先ほど申し上げました資材の割当につきまして、どういうふうな経路で手続をふめばよろしいかということにつきまして開いた説明会でございます。  それから共産党のアカハタの内容についてでございますが、そういうことにつきましては、われわれは正式には何も占領軍の当局から承つてございません。
  63. 竹尾弌

    竹尾委員 お尋ねする前に、これはちよつと委員部にお尋ねするのですが、あれだけこちらからお願してあつたのに十一時半になつてようやく聞いた、これはどういうわけですか。その消息を今後のこともあるから、ちよつと聞かしてもらいたい。
  64. 岡崎勝男

    岡崎委員長 竹尾君にお答えしますが、專門員及び議会の関係者の方では、御要求によつて通産省にはずつと前から申し込んであるのであります。ただその係はだれであるかということを調べることでわからなかうたのかもしれませんし、あるいはその他の理由でまごまごしたのかもわかりません。この点は後ほど事情を調べて、通産省側に、こういうことのないようにいたします。
  65. 竹尾弌

    竹尾委員 これは前にも、大臣の出席云々でいろいろ委員会に問題をかもしているのですから、これはもうじようだんじやありませんから、ひとつはつきり今後やつていただきたいと思います。委員長少しおとなしいですよ、大いに政府を鞭撻しなければだめだと思います。
  66. 岡崎勝男

    岡崎委員長 かしこまりました。
  67. 竹尾弌

    竹尾委員 お願いします。そこでこれは正式の覚書でも何でもないと申しますけれども、内容はきわめて重大なんです。大体わかりましたけれども、これはいずれ速記録に載るでしようが、速記録がすぐ印刷になるかどうかわかりませんから、あなたの方で今の御答弁の内容をひとつはつきり文書に書いていただきたい、御約束できますか。
  68. 高井敵夫

    ○高井説明員 承知しました。
  69. 竹尾弌

    竹尾委員 できるだけ早く委員会を通じてお願いいたします。
  70. 山本利壽

    山本(利)委員 ちよつと通産省の方にお尋ねいたしますが、今の点で資材に関することは大体わかつたと思いますが、その工事に従事一するため渡航いたします者の契約年限、労賃その他の條件について、公式ではなくとも、あなたの方で聞き及んでおられることをちよつとお知らせ願いたいと思います。
  71. 高井敵夫

    ○高井説明員 お答えいたします。その点については、われわれの方では正式にも非公式にも全然聞いておりません。ただこの前沖縄に渡航いたしました土建業者の渡航につきまして、パス・ポートの発出と、それから外貨獲得につきまして、大蔵省と外務省に、通産省としてはあつせんの労をとつたわけでございまして、その詳しい内容につきましては、全然聞いておりません。
  72. 竹尾弌

    竹尾委員 関連してちよつと……今全然御存じないというのですが、数量とか給料、そういうものは全然わからないのですか。
  73. 高井敵夫

    ○高井説明員 正式には何も承つこおりません。
  74. 竹尾弌

    竹尾委員 正式にはわからないけれども、非公式には……。そういうことは発表しても、その点は私は問題にならないと思いますから、そういう点も含めて、われわれの行くように、ひとつ文書をつくつていただきたいと思います。
  75. 高井敵夫

    ○高井説明員 承知いたしました。
  76. 竹尾弌

    竹尾委員 それから、これに関連して労務者の使用の問題、従つて渡航等の問題があるでしようが、これはこの間の十四日の各紙に出た、あの報道で大体よろしいですか。あの程度で間違いありませんか。
  77. 高井敵夫

    ○高井説明員 はあ。
  78. 竹尾弌

    竹尾委員 わかりました。
  79. 並木芳雄

    ○並木委員 私も沖縄のことでちよつとお伺いしておきます。ある一種の貿易だという御答弁がありましたけれども貿易だとなれば、やはり貿易協定というものがあつて、相手の国がなければならないわけですが、貿易協定、それからどこの国を相手の貿易であるか、そういう点をお伺いします。
  80. 高井敵夫

    ○高井説明員 アメリカ相手の貿易だと思います。
  81. 並木芳雄

    ○並木委員 必要な資材の割当をするようにということを言われているそうですが、これはもちろん貿易でありますから、日本の当局として都合が惡いものに対しては、お断りすることもできるわけですか。その点をお伺いします。
  82. 高井敵夫

    ○高井説明員 その問題は最近始まつたばかりでありまして、ケースが非常に少うございますので、具体的なケースは扱つておりません。
  83. 竹尾弌

    竹尾委員 それに関連して……。労務省その他の問題で、われわれのところも皆さんのところもそうだと思うが、いろいろ尋ねて来ますから、そういうような場合には、あなたの方で、責任を持つか持たぬかは別として、大体お答え願えるだけの用意がありますか。そういう労務者あたりが行つた場合に——私もあなたの方に差向けようと思つておりますが、そういう具体的な問題を、あなたの方で御答弁していただけますか。
  84. 高井敵夫

    ○高井説明員 労務につきましては、われわれの方ではちよつとお答えいたしかねますし、あつせんもいたしかねると思います。
  85. 竹尾弌

    竹尾委員 情報を尋ねることぐらいはできしましよう。
  86. 高井敵夫

    ○高井説明員 けつこうでございます。
  87. 竹尾弌

    竹尾委員 それから外務当局に伺います。これは、今の通産省のお答えだと、昨年の十二月すでに問題が起つている、こういうことであつたのにかかわらず、知らぬ存ぜぬと、この間何回も私お尋ねしたのに……。実際知らなかつたのかどうか、私もちよつと残念だからお尋ねするのですが、もしそれを知らなかつたというようなことになると、外務当局はきわめて怠慢のそしりを免れないと思います。これはどうですか、まつたく知らなかつたのですか、うわさぐらい知つてつたのですか。
  88. 島津久大

    島津政府委員 先ほど私からその点はお答えしておいたわけでございますが、政府の公式答弁としては、全然知らぬということを申し上げたのであります。個人としては知つております。
  89. 竹尾弌

    竹尾委員 それでは個人としては大体知つておられたということですね。各方面からのいろいろな情報は十二月のことであるし、問題が重大なんだから、これは島津政務局長のみならず、西村局長、倭島局長も全部うわさ御存じのはずだと思いますが、どらですか。この間の答弁では私は非常に情なくなつた。国民自体も相当に知つておるのに、外務当局が一つも知らぬという、そんなばかな話はないと思います。これはどうですか。
  90. 島津久大

    島津政府委員 うわさとしていろいろなことを承つてつたのでありまして、正式なものとしましては、三月十四日の新聞に出ました司令部関係官の説明が最初であります。その前に、お答えした当時は、政府としては何も知らないというのが正しいのであります。
  91. 竹尾弌

    竹尾委員 政府としては御存じないでしようが、個人としては皆さんよくおわかりになつてつたのでしよう、どうですか。
  92. 島津久大

    島津政府委員 いろいろなことを聞いておりました。しかし、正確なことは何も……。
  93. 竹尾弌

    竹尾委員 正確なことをお尋ねするのではないけれども、今も小川君のお尋ねのように、その一つの言葉が重大性を帯びるような、こうした大事な、重大な問題を外務当局が知らぬはずがないと私どもは思つておる。知らなかつたら、これこそまた重大問題であります。でありますから、そういう点については、うわさにしろ何にしろ、相当の情報が皆さんの耳に入つてつたかどうか。これを私はお尋ねするのです。
  94. 島津久大

    島津政府委員 ただいま申し上げましたように、承知はしておりました。
  95. 並木芳雄

    ○並木委員 私は先ほどの答弁で非常に不安を持つようになつて来ているのです。もちろん自主的な貿易というものは、まだ許されておらぬかもしれませんけれども、とにかく貿易をやる場合に、向うか生産資材の割当の命令さえ出せばいいのだというふうな、つまり正式な通告、あるいは文書による覚書じやない こういうことであつたのですが、それで当局が取扱いをやるのたとするならば、これは波及する問題か大きいと思うのです。たまたま沖縄の場合には、日本の物資が余つておるりを持つて行く、あるいは余つた労力を持つて行くという意味において、今の日本にはおそらく耳寄りの話かもしれません。しかしわれわれがのどから手が出るほどほしい品物で、外に出したくないのだというような場合には、非常に問題が起る。これはまだ輸出ですから問題がないのですか、もし輸入の場合にこういうものを買い入れろ、こういうものをやれ、その手当をしろということになるならば、こういう場合には、それを日本政府が何にもそれに対して参画することなしに受入れなければならないのだとするならば、この間から開かれたローガン構想によるところの自由貿易という建前は、はなはだ片ちんばだと思う。少くともあれは一方的なものだと思うのです。それで私はお尋ねしたわけなんですが、実際に沖縄に持つて行かれれば困るというような物資が出たときには、当然日本政府としては、少くともこれに対して申入れをすることができるという地位にあると思うのですが、その点はいかがでございますか。一般の貿易協定が結ばれる前における状態は、どういうふうになつておりますか。この問題ではなく、一般に貿易協定が結ばれるという前に、日本政府としてどういうふうに扱われておりますか。調達といろのは日本の、つまり国内だけの調達じやないのですか。日本国でないところの、管理下にあるところに対しても、いわゆる調達のPDというものは、日本政府に対して出るようになつておるのですか。
  96. 高井敵夫

    ○高井説明員 原則としては、占領軍がPDをもつて調達し得べき品物の内容は、ポツダム宣言でうたわれた日本の領土と予定されている地域で、向うの将兵並びに家族が使用するものに限られておるわけであります。
  97. 並木芳雄

    ○並木委員 さつきお尋ねした他の一般の貿易協定、たとえば近くどこどこの国とこういうような貿易協定が結ばれる予定であるというような新聞記事かよく載りますが、ああいう場合に、日本政府はそれに全然参與しておらないのかおるのか、そういう点はどうですか。
  98. 高井敵夫

    ○高井説明員 はつきりしたことはお答え申し上げかねますけれども、貿易協定については、もちろん日本政府が關與しておるものと思います。私の方は所管がちよつと違いますので、正式にお答えいたしかねます。
  99. 並木芳雄

    ○並木委員 外務当局の倭島局長、いががですか。
  100. 島津久大

    島津政府委員 沖縄関係の通商の実態につきましては、ただいま資料を持つておりませんので、調査の上、お答えいたしたいと思います。
  101. 並木芳雄

    ○並木委員 ほかの一般貿易のときに参與しておるかどうかです。
  102. 島津久大

    島津政府委員 沖縄向けでなく、一般の貿易協定に、日本政府がどの程度に参加しておるかどうか、そういうことですか。
  103. 並木芳雄

    ○並木委員 そうです。
  104. 島津久大

    島津政府委員 これは正式には、日本政府は参加していない形になつております。しかし話合いにはオブザーバーとして、話合いの途中に出席しており、実際上日本側の意見は十分反映されておると思います。
  105. 並木芳雄

    ○並木委員 この間、近く百四十五名の新たなる渡航が許されるという渉外局の発表でしたか、あつたと思います。国会議員、新聞記者、学者、技術者、いろいろ含めて、新たに近く百四十五名の渡航が許されるであろうという報道がありましたけれども、これはどういうような内容で、どの資金で行き、またどのくらいの人数が行くか、その内訳などについての構想をお伺いたします。
  106. 島津久大

    島津政府委員 この点につきましては、調べまして、正確なところをお答えすることにいたします。
  107. 並木芳雄

    ○並木委員 それではもう一つお伺いしておきますが、先ほど竹尾委員質問に対して、島津政務局長から、この前の委員会のことを引用されて、たとえばソ連基地を要求して来るというようなことは考えられないというのでしようか、そういうような答弁かあつたと思うのですけれども、もしそういうような考え方であるならば、私は考え方が甘いとは言わないまでも、やはりかなり一方的な見方をしておるのではないかという感じを抱いたのでございます。事実この間のロンドンのAFPの特電によりますと、サンデー・クロニクルに、中共と通商すれば千島列島を返還してもいいということをソ連日本に提案をしており、日本の外務省がこれについて検討しておるというような記事が、報道されるような状態にすらあるわけです。そこでその後外務当局としては、これを否定されておるように受取つておるのですが、こういうようなことまでも出て来る状態に対して、ああいうふうに一方的にそういうことは考えられないということが、実際に外務当局で論議されておるとするならば、これは私たちとして相当関心を持たなければならないと思うのです。実際ソ連が将来軍事基地をつくるというような申出などは考えられないものであるかどうか。また万一單独講和が結ばれた場合に、日本に対して別途に單独の講和を申し込んで来るというようなことも、全然夢物語りであるかどうか。それからサンデー・クロニクルの報道に対して、外務省としては当然東京特派員の方へお確かめになつたと思いますが、その辺の事情をお知らせ願いたいと思います。
  108. 島津久大

    島津政府委員 ただいまの新聞記事の問題につきましては、全然根拠がないのでありまして、外務省としては何にも承知していないのであります。係官から当時問合せに対しまして否定をしただけでありまして、それ以上の処置はとる必要もないと考えております。なおまた基地云々につきましては、先ほどもるる申し上げたのでございまして、以前に私が申し上げましたことも、正確には記憶しておりませんし、御質問答弁と合せてよく調査したいということを先ほど申し上げました。なおまた将来ソヴエトが基地を要求することがあるかないかといろ御質問でございますけれども、現在の環境においてそういうことは考えられないと申せると思います。それから先の先のことは、ただいまお答えはいたしかねます。
  109. 岡崎勝男

    岡崎委員長 それではこれにて休憩いたします。午後一時より再開いたします。     午後零時四十五分休憩     —————————————     午後一時十九分開議
  110. 岡崎勝男

    岡崎委員長 休憩前に引続き会議を再開いたします。  千八百九十年七月五日ブラツセルで署名された関税表刊行のための国際連合の設立に関する條約、関税表刊行のための国際事務局を設立する條約の実施規則及び署名調書を修正する議定書承認することについて承認を求めるの件を議題といたします。質疑は通告願にこれを許します。仲内憲治君。
  111. 仲内憲治

    ○仲内委員 大蔵大臣がお見えになりましだので、時間も限られているようでありますから、ごく簡單に伺つておきたいと思います。  占領下日本といたしまして、関税自主権といいますか、関税の面において広い自由がないことは、承知しておるのでありますが、現在の状況下において、関税というものは、どの程度に、どういう種類のものを、政府として課税しておられるのか。まずその点について伺いたいと思います。
  112. 池田勇人

    ○池田國務大臣 昭和二十五年度の予算におきましては、関税は大体十五億円ほど見込んであります。どういう品目かという御質問でありますが、いろいろなものがございます。石油なども相当ありましようし、こまかい点は説明員が参つておりますから、説明員から答弁いたさせます。
  113. 石田正

    ○石田説明員 大体十五億という数字でございますが、これは現行の関税率の改正等をある程度見込むというような点もございます。従いまして、こまかい内訳の点につきましては、まだはつきりしたものがないわけであります。ただ炭化水素、いわゆる石油その他か相当来るのではないか、こういうぐあいに期待しております。
  114. 仲内憲治

    ○仲内委員 最近問題になつております輸入食糧の問題でありますが、永久無税というような報道があるのでありまして、これはわが国農業の保護の上から行きましても、非常に重大な問題であると思うのであります。この食糧の輸入税の問題について、どういう経過になつておりますか、お伺いいたします。
  115. 池田勇人

    ○池田国務大臣 他の委員会におきましても、食糧の永久無税の問題について、たびたび御質問があつたのでございますが、私といたしましては、日本の将来の農業の状況から考えまして、永久無税というようなことは考えておりません。ただ御承知通り国内の食糧が非常に安くて、外国のものが参りますときには、輸入補給金を出すというような状態でございますので、ここ一、二年の間は無税という状態か適当であるかとは考えておりますが、永久無税は考えておりません。従いまして、関税定率法をきめます場合におきましては、一定の税率をきめまして、そうしてほかの措置によりまして、たとえば二年間なら二年間免税の規定を置く、こういうことにやつて行きたいと考えておるのであります。しこうしてまた二年ときめましても、非常の事態の起つたときには、適当な措置を講じ得るようなことにいたしたいと考えております。永久無税というようなことは主食ばかりではございません、やはり私といたしましても、日本の産業保護の立場から行きまして、一定の課税を設け得るような建前にいたしておく方が、適当であるという考えで進んでおるのであります。
  116. 仲内憲治

    ○仲内委員 ただいま大蔵大臣の説明によりましても、わが国の関税国内産業保護の意味を考慮しておるということでありますが、一般的に考えて、日本にまだ完全な関税政策というものが、立て得られない立場にあることも了解するのでありますが、政府計画せられておる関税政策なるものは、主として財政的な收入を目的とする関税に重点を置いておるのか、あるいはまた主として国内産業、ことに農村保護等の見地から、いわゆる保護関税の趣旨に重点を置いておるのか、その基本的な政策について承りたいと思います。
  117. 池田勇人

    ○池田国務大臣 関税政策を保護関税にするか、自由関税にするかということは、昔から問題のあるところであります。しかもまたこれは相手によつてきまることでありますから、一概には申し上げられませんが、理想といたしましては、私はあまり保護関税を強く現わすことは、よくないのではないかという考えを持つております。しかし現在の国際間の状況並びに日本の産業から考えますと、やはり相当の保護関税を維持して行かなければならぬと考えております。しこうして保護関税を設けます場合に、財政收入を主とするか、産業保護を主とするかということになりますと、これはもちろん産業保護を主とするのでありまして、財政收入というものはほとんど問題にしておりません。また問題にすべきじやないと思います。産業保護が第一次的に考うべき問題だと思つておるのであります。
  118. 仲内憲治

    ○仲内委員 次に一番基本的な自主権の問題でありますが、これはもちろん講和会議という大きな前提のもとにおいてのみ、回復できると考えておるのでありますが、他の国際関係においても、たとえば在外事務所が設けられるというような事実上の講和と申しますか、体制は逐次整つて来ておるのでありまして、関税の面におきましても、いろいろな国際会議に参加して、たとえば現に小麦協定参加の問題等もあるようでありますが、こういつた国際会議への参加というようなものを通して、事実上において関税自主権を漸次回復して行くというような方針なり、あるいはまた連合国側の了解なりというものがあるのでありますかどうか。またこれに対して政府はいかなる方針をとつておられるのでありますか。この基本的な関税自主権の見通しについて伺いたいと思います。
  119. 池田勇人

    ○池田國務大臣 占領治下におきましては、普通に言われておりまする関税自主権というものは、私は行い得られないと思うのでありますが、気持の問題といたしましては、将来関税自主権を確保して行くに、支障のないような方法をとつて行きたい。また将来関税自主権を回復し得るような方法で進んで行きたいと考えておるのであります。従いまして、今関税定率法の改正について研究を重ねておりますが、私といたしましては最高司令官承認によりまして、できるだけ将来の関税自主権に、支障のないような方法で進んで行きたいというので、検討を続けておる次第でございます。
  120. 岡崎勝男

    岡崎委員長 並木芳雄君。
  121. 並木芳雄

    ○並木委員 関税自主権の話が出ましたから、それに関連してお伺いするのですが、貿易の上の自主権、これについてどの程度相談にあずかつているか。実は先ほど沖縄建設工事に対して、日本から物資を送り、労力を送るという問題の討議にも出たのでございますが、沖縄への物資輸送の問題も、これは一種の貿易であると思う。当然これは貿易であろうと思います。また貿易でなければならぬと思います。しかしながら向うから言われたそのままをもつて、こちらは、たとえば生産資材の割当などをやる必要があれば、その通りにやれというふうに言われているようでありますけれども、そうだとすると、貿易の自主権というものもほとんどないように思われるのであります。しかし昨年来ローガン構想その他によつて、かなり民間貿易というものが推進されて来ておりますので、当然日本政府としては、貿易協定あるいは貿易の細目などに対して相談にもあずかつておるだろうし、またこちらからも積極的に意見を申し述べることかできておるのではないかと思うのですが、その点についてお伺いいたします。
  122. 池田勇人

    ○池田國務大臣 御承知通りに、昨年十一月末までは、全部管理貿易でございましたが、その後輸出入ともに民間貿易に移つて参りまして、ただいまのところは外貨予算をつくりまして、そうして輸出入の案を立て、これで関係方面と打合せをしてやつておるわけであるのであります。何と申しましても、いろいろな施策をなす上におきまして、関係方面との折衝がございますが、建前といたしましては、われわれが貿易の予算をこしらえまして、そうして向うの承認を得てやることにいたしております。しこうして貿易協定をやります場合におきましては、前とは違いまして、われわれが参加することに相なつておるのであります。
  123. 並木芳雄

    ○並木委員 そういたしますと、目前の例といたしまして、沖縄の貿易、これにつきまして、日本政府としてそういう資材はどうしても出すわけに行かない。せつかく落札はしたけれども、業者に対してそういう生産資材に対しては、当局として割当をやることができないというような場合があつたとしたならば、当然それに対して断ることができると思いますが、いかがですか。
  124. 池田勇人

    ○池田國務大臣 具体的の問題については、私承知いたしておりませんが、沖縄関係につきましても、やはり一般の場合と同じように行つておると考えております。こまかい問題は他の政府委員より答弁させることにいたします。
  125. 並木芳雄

    ○並木委員 私のお伺い申し上げたいのは、一般的な大きな問題なんです。要するに貿易と名前がつきますれば、私たちはかなりその間に自由が與えられておるのではないかと思つております。それにもかかわらず、いかなる輸出、あるいはいかなる輸入でも、きめられたところに結局日本政府は従わなければならないのかどうか。こういう点なのです。
  126. 池田勇人

    ○池田国務大臣 われわれは自分の考えを立てまして、そうして向うと話をしてやつておるのであります。話合いがつきまして、それによつてつておる次第であります。
  127. 並木芳雄

    ○並木委員 たとえばこのところの蔵入食糧でございますが、巷間にこれはしばしば売りつけられているのではないかというような国民の声が出て来るわけなんです。そういう場合に私たちはそれに対して、いや、売りつけられるというようなことは絶対にないという答えができるかどうか。実際の協定の場合に、日本政府がこれだけの輸入食糧、あるいはほかの物資を買いつけてやれ、そのかわりにこういうものは出せるのだというように、一種のバーター組織的のやり方でやらなければならないのだと言われた場合に、たとえばそれは困りますというようなことが言えるのかどうか、こういう点でございます。その点お伺いします。
  128. 池田勇人

    ○池田国務大臣 向うと話をいたしまして、このくらいのものが必要だということを相談の上で決定してやるのであります。何にも押しつけられているとか、どうこういう問題はないと考えております。
  129. 並木芳雄

    ○並木委員 関税の自主権もまだなかなか自由ではないようでございますので、この際大蔵大臣兼通産大臣として、日本の主要港に自由港あるいは保税倉庫の制度というようなものを設けて、そうしてどうせ関税の自主権がないものならば、そういう方面から日本の中継ぎ港としての活況を期待する手があるのではないかと思うのですが、そういう点に対するお考えはいかがでございますか。
  130. 池田勇人

    ○池田国務大臣 保税地域の問題と関税自主権の問題は両立し得るのであります。並木委員のおつしやるように、関税自主権がないというふうに、初めからきめてしまうということは、たとい占領治下であるとはいえ、いかがなものかと思うのであります。  自由港の問題が出ましたが、どういうかつこうの自由港にするかというのが問題なのです。いろいろなかつこうがあります。たとえば保税倉庫とか、保税工場というものを一つの地域だけに設けまして、しこうしてそこには一般の住民の住居も許さないというふうな自由貿易港なら、これは楽なのです。今までも鶴見から川崎辺には、相当の保税倉庫なり保税工場があつたのであります。だから今度は完全な自由港、すなわち民家もあるし、ほかの内地の場合と同じような都市を一つ想定いたしまして、そうして広い意味の自由港にするということになりますと、警察権の問題とか、課税の問題、いろいろな問題が起つて参ります。私は今ただちにそこへ至ることがいいか惡いかは、よほど研究をしなければならぬと思いますが、もし狭い意味の自由港というのならば、今までも相当の効果は上げておるのでありまして、考えてもいいと思うのであります。自由港の問題につきましていろいろな考え方がありまして、その点前提がぐらぐらしておるものですから、結論がなかなか出ないのであります。日本将来としては、広い意味の自由港といろものはいかがと思いますが、ある程度の自由港を特別地帯として設けて行くということは、考え得るところではないかと思つております。
  131. 並木芳雄

    ○並木委員 関税表というものは今でもむろん送つて来ておると思いますが、実際に非常に役に立つものなのですか、どうですか。
  132. 池田勇人

    ○池田國務大臣 これはずつと前にブラッセルの條約によりまして、日本は参加いたしておるのでありますが、その後戰争になりましてとだえてしまつておるのであります。従いまして終戰後今の関税率の各国の率を一つの刊行物にまとめて、そうして交換し合おうという、ずつと前の條約を再確認いたしまして、今後やつて行こうということになつておるのであります。今までは参つておりません。
  133. 並木芳雄

    ○並木委員 最後にもう一点だけお伺いしておきます。最近の新聞——これはむろん外務当局はそんなことはないと否定しているのですが、クロニクルの報道として、ソ連日本の外務省に対して、中共貿易を再開すれば、千島を返還してもいいというような報道があるわけなのです。そこで中共貿易というものがやはり私たちの関心の的になつておるのですけれども、現在の状態のままで講和会議が開かれなくても、中共貿易は再開される見通しがついているかどうか。昨年あたりより現在の方がかなりよくなつて来ているのではないかと思うのです。非常に微妙な問題でありますけれども、私がお聞きしたいのは、調印なき講和條約というものが結ばれているような状態のもとにおいて、ソ連の方から日本に対して強く出るという、つまり強い行き方でなく、かりにやわらかい行き方でもつて、ころいろふうにしたらこうやる、たとえばただいま問題になつております中共と貿易を再開したならば、千島を返してやるぞというようなことか今後出て来る場合に、それが貿易と関連して、日本業者が今中共貿易を一刻も早く再開してもらいたいという機運にあるときに、日本政府の責任者として、どういうふうにこれを処置し、考えて行かれるのでありましようか、その点をお伺いいたします。
  134. 池田勇人

    ○池田国務大臣 先ほどのブラッセル会議で署名いたしました関税表の問題でありますが、実は戰争中から日本は入つておるのでありますが、分担金を拂つておりませんので、日本には来ておらないのであります。分担金を拂えば来ることになると思います。  次に中共貿易をやつて行けばどこかを返してやる。こんなことは私は問題にいたしたくございません。それとは別個の問題として、中共貿易をどうするか、あるいはソビエトとの貿易をどうするかという問題でありますが、今もソビエトには船を出したり、いろいろなことをやつておるのであります。ただいかんせん、占領治下でございますので、先ほど来説明いたしましたように、日本の商人の一存では行きません。個々の場合によつてきまるのであります。従つてただいまでも開らん炭の輸入がありましたり、実際の貿易はある程度はやつておるのであります。具体的にどうやつて行くという問題でありますが、われわれとしては、わが国の貿易が昔から中国と相当行われておつたわけでございますから、日本の産業のためには、できるだけ多くの貿易が行われることを期待しておる次第でございます。
  135. 並木芳雄

    ○並木委員 中央貿易の関係もやはり司令部の方だけで取扱つておられるのでありますか、それともソ連の代表部などもこれに関係しておられるのでしようか。
  136. 池田勇人

    ○池田國務大臣 その点私はつきり知つておりません。ほかに通商監か何かからお答えさす方が適当かと思います。またあとからお答えすることにいたします。
  137. 岡崎勝男

  138. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 この関税表の刊行の議定書のことが案件になつて出ておるのですが、実はこの問題につきましては、共産党の議員がたしか先月の十四日であつたと思いますが、衆議院の予算委員会で、吉田総理にこのことを聞きました。石田税関部長が行つてすでに年末十六日に調印して帰つて来ておる。帰つて来ておるのだけれども、国会では何も知らないんだがということで質問しました。ところが総理大臣は、そのときには回答ができなくて、調査して御答弁する、こういう話だつたのです。ところが実際には、まだ何らこれに対して総理大臣からは回答がないのであります。私はこの点は、決して言いがかりをつけるわけではなくて、何か非常に不明朗なものを感じさせられるものがある。一国の総理大臣も知らないようなものが、実はこの外務委員会にこらい今ふうにきちんとした案件として出て来ておる。これは一体どういうわけなのかということについて、私は大きな疑問を持つておるわけであります。これについて、大蔵大臣の何らかの御説明をお願いしたいと思います。
  139. 池田勇人

    ○池田国務大臣 千八百九十年七月五日にブラッセルで署名されました関税表刊行のための国際條約には、日本は参加いたしておるのであります。しこうして今回その会議が開かれますので、関係方面と折衝の上、日本から参加することに相なつたのであります。しこうして国会の承認を前提にいたしまして、その條約に署名して帰りましたので、御報告申し上げ、承認を得ることにいたしておるのであります。
  140. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 これは大蔵大臣に聞くべき筋合いでないと言われるかもしれませんが、実は私どもお聞きしたのは、総理大臣がこのことについて知らなかつた、そういうものが、こういうふうに案件となつて出て来ておるので、一体その間の事情がどうなつているかということを、ちよつとお聞きしておるのです。
  141. 池田勇人

    ○池田國務大臣 大蔵省の石田税関部長が参りましたときには、外務省と連絡いたしまして、適当な手続をとつてつたのであります。私の見るところでは、吉田外務大臣御存じのことと思つております。ただ、行つたことは御存じでございましようが、こまかい手続その他につきまして、あそこで、調査してからお答えになると答弁なさつたのだと考えております。
  142. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 ここで押問答してもしかたがありませんが、大蔵大臣も一ぺん速記録を見ていただきたいと思うのです。これはこまかな点ではなくて、そういう事実があつたかどうかということについて、調査して返答するということになつております。これ以上この点は聞きませんが、その次に、ふしぎに思いますのは、調印されたのが十二月の十六日であると承知しておりますが、ちようど当時は、もう国会が済んでおつたときなのでありまして、ほとんどこの内容は何でもないかのように一見えますけれども、講和條約前の日本の現在の地位からいつて、やはり国際関係に関する数少い動きの一つでありまして、非常に重要た意義を持つておると思うわけであります。そういものが進行しようとしているにもかかわらず、国会になぜ事前に承認を求めなかつたのか。これは、なるほど憲法で行くと、事後の承認でもかまわぬということになつておるでしようけれども、しかしながら、それは單なる法律屋的な解釈でありまして、政治的な意味合いから行きまして、こういう日本占領下における国際的な動きについては、実際いろいろな観点から国会においても論議されて、そうしてやはり事を運んで行くということが当然やるべき事柄だと思いますし、その手続も十分とれたはずだと思うのでありますが、なぜ事前に国会の承認を求めなかつたのか、特別な理由があるのではないかと思うのでお聞きしたい。
  143. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 御答弁申し上げます。この手続は、事前の承認を求めておるわけであります。ごらんになりますとわかりますように、修正議定書の最後のところ、十四ページに規定がありますが、この議定書は、署名国と、それから加入を通告した国と、または承認書を送付した国の間では、これらの政府国際事務局に支拂う分担金の総額が、事務局の予算の総額の半額を越えたとき効力を生ずる、こうなつております。この條約に加入する国は、三つばかりになるわけであります。それは、署名と同時にこの議定書に確定的に加入する国と、この議定書には署名いたしませんで、加入通告によりまして加入する国と、第三は、この議定書に署名はいたしますけれども、その国の憲法上、署名だけでは確定的に拘束いたされない立場にある国のためには、特に議定書承認書を還付することによりまして署名を確認いたす、そういう国、この三つにわかれるわけであります。日本は御承知通り、原則として国際條約には事前に承認を要するということになつておりますが、その時期によりましては、事後でもよろしいということに相なつております。ちようど日本はこの第三の群に属る国でありまして、国会の承認を得ました上、政府の名におきまして、この講定書の承認の通告をいたすわけであります。それによりまして、初めてわが代表がなされました署名の効力は確定いたします。そういう関係にございますので、この承認手続が事前の承認をお求めしておるということを御了解願いたいと思うのであります。
  144. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 西村條約局長は、例によて法律的な解釈を説明なさいましたが、私は実は池田大蔵大臣に聞いておりのでありまして、西村さんのそういう法律解釈なんかの講義をお聞きしたわけではない。実際上の問題は、実際こういうものにすでに署名して来ておる、だから効力を発生する前の手続が事前だ、そんなことを私は聞いておるのではない。実際こういう代表を出すべきかいなかということが、すでに大差問題になるのだし、実際そういうものに参加して署名するかどうか、このことをなぜ国会に聞かなかつたかという意味です。それをあなたの言うようなことでは、まるで学生か何かが言うようなことで、政治家の論ずべき筋合いのものではないのです。私は大蔵大臣に、こういうふうな意味で、そういう重要な国際的な動きについて、なぜ国会に承認を求めて行動をとらなかつたか、それがどうも私にはふに落ちないので、ちよつとその点をお聞きしたいと思う。
  145. 池田勇人

    ○池田国務大臣 関税定率法につきまては、税関部長が日ごろやつておりますので参つたのであります。外交係につきましては、外務省よりお答するのが適当だと考えて、條約局長から答弁をしたのであります。その答弁は、私の答弁と同じことに御了承願います。
  146. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 大蔵大臣は、これは当面のやはり政治の担当者として、こういう問題について、單なる法律解釈論じやなしに、政治的立場からの御答弁があつてしかるべきだと私は思うのですが、よくおできにならないらしい。私は、これ以上時間もないから、聞きませんけれども、実際はこの問題か非常に大きな問題になるわけです。たとえば政府提出のこの案件の説明を見ますと、司令部の承認があつて代表が参加したいということになつておるわけなのです。これはこの通りに出通いないと思うのですが、実際に問題になると思われるのは、司令部の承認があつたから行つたのであつて、その意味で国会の事前承認なんか必要でないと考えていたのじやないか、こういうような点、について、実は大蔵大臣のお考えをはつきりお聞きしたいのです。この点、もう一度念を押して聞いてみたい。
  147. 池田勇人

    ○池田国務大臣 関係方面との話もいたしますし、また外務省とも打合せまして、かくいたしたのであります。
  148. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 それならば、その意味はどういう意味でございますか、たとえば、この関税議定書に署名するということ、これに入りたいということを日本政府から総司令部に申入れをして、そうして総司令部の承認を得て行つたのだ、こういう意味でございますか。
  149. 池田勇人

    ○池田国務大臣 もうすでにこの條約には入つております。しこうして行きます場合には、事前承認を求めるかどうかという問題がございますが、この問題につきましては外務省と相談いたしまして、まず行つて、そうして留保づきで署名して、帰つて承認を受ける、こういうことにした方がいいということに相なつてつたのであります。
  150. 岡崎勝男

    岡崎委員長 ただいま池田大蔵大臣は予算総会からたびたび催促がありまして、今もそこへ催促に来ておられますが、さらに機会がありましたら、大蔵大臣の再出席を求めて質疑を続けることといたしまして、本日は、大蔵大臣はこれ以上時間が許しませんので、お帰り願うことにいたします。
  151. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 それではそれ以上とめませんが、大体大蔵大臣への質問をやはり一ぺんさせてもらわないと実際審議できないからこそ、私はこの前の委員会では、こういうふうにあらためてやつてもらいたいということを言つて委員長もみな認めてきようやつたのですし、これは質問をまだまだやらなければならぬ点がありますから、委員長の方であしたでも続いてやつてくれるようにしてくれるならば、私はちつともさしつかえはございませんですがその点があいまいにされたのでは、これはまことに困ると思います。
  152. 岡崎勝男

    岡崎委員長 あした出られるかどうか相談しておりませんが……。
  153. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 それは遅れてもけつこうですから、もう一度—私はまだ質問してないのですから、またやつてくれるようにしてもらえるならば、これは一向さしつかえない。向うに行つてさしつかえございませんが、その点をひとつはつきりしていただきたい。
  154. 岡崎勝男

    岡崎委員長 さらに御相談して…。
  155. 並木芳雄

    ○並木委員 ただいまの質問に関連して、西村條約局長ちよつとお伺いしておきたいことがあります。要するにこれは、外交自主権がないわれわれは、條約を締結する資格を持たないにもかかわらず、ときどきこういう例外的のものが出て来るのだ。つまり原則としては外交権がないけれども、例外的には出て来る。そのうちの一つであるというふうに了解すべきものであるかどうか。もしそうだとするならば、今後こういつた種類のものがちよちよい出て来る見通しであるかどうか。もしこれからこういうものがたくさん出て来るとすれば、そのおもなものはどんなものであるか、そういう点についてお伺いします。
  156. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 現在の日本に外交自主権がないことは、お説の通りであります。しかし総司令官の許容せられる場合に、その事項について、その範囲内におきまして外交権を回復することがあり得るわけでございまして、この関税関係の條約、修正議定書に参加いたしましたのも、その一つの場合でございます。今後こういうふうな場合が増加するのではないかという点でございますが。これは先月二十六日渉外局の発表の、日本の国際條約加入の許可に関しまするあの中間指令、あの結果私どもはこういう機会が今後大いに増加するようにと念願いたしておる次第でございます。  しからばどういうふうな條約が考えられるかということになりますが、私どもはそれを二つにわけて考えております。第一部は、日本政府におきまして單なる加入手続をする、加入通告書を送付するということだけで加入できまよす條約が一つであります。この点につきましては、割合に中間指令によりまして、総司令官の許可を得てその手続をとる場合が大いにありましようと思うのであります。これはそれに伴う技術的な困難が少いからであります。第二の部類は、條約に加入することが、同時にその條約によつて組織されまする国際機関のメンバーとなるという結果になる場合でございます。この場合には第一部のものと違いまして、日本が正式の参加を許されますにつきましては、当該條約で定められました権限ある一つの機関、その国際的の組織機関の過半数の同意、またはものによりましては三分の二の同意を必要とするというふうになつておりますので、この場合には日本といたしまして正式に参加を要請するということを考えます前に、当該国際機関におきまして、過半数ないしは三分の二の同意が得られるということを、まず確める必要があるかと思います。自然この部類に対する参加につきましては、愼重に考える必要がある。あまり楽観的に考えておらない方がいい、こういうふうに考えております。  具体的の例といたしましては、第一部に属します日本政府の加入通告だけで入れる條約でございます。一九四八年にロンドンで締結されました海上における人命の安全のための国際條約、これにはすでに最高司令官の方から、日本政府が希望するときには加入手続をとつてもよろしいという許可を得ております。以上御説明申し上げました。
  157. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 本日のこの経過は非常に残念に思うのです。大体外務委員会では、今まで委員長やわれわれの間でいろいろお話をして、そうしてやつて行くような習慣になつていますから、今までそういうふうに運んでいると思つて、私も協力しておるわけなのです。本日も、先週の会合のときにこれではぐあいが惡いから、こういう形で進めようじやないかという私の提案がいれられて、やつて来たわけであります。それが結果から見ますと、私の質問が一、二始まつたところで帰つてしまう。これは大臣の都合もあるだろうと思えば、私はきようはそれでもかまわない。しかしきちんとやはりやつてもらわないと、ここには案件が出ておるのですから、その点はやはり各党から正式に大蔵大臣に対して質問をして、そのあとで案件をお急ぎになるならば、幾らでも急いで審議ができます。大蔵大臣は時間を急ぐといいますけれども、これは第一われわれ議員が法案を出すのではない。政府の方からわれわれに審議してくださいといつて出している。その政府が、自分つてに時間がないのだと、さつさと私の質問の途中で帰つてしまうということは、まことに無礼千万なことであると思う。こういうことを何でもないことのようにやられたのでは、実際上審議ができないと思うのです。私はこういうへりくつみたいなことを、ほんとうに言いたくないわけです。だけれども、きようみたいな会合を、せつかく先週のを延ばして、ちやんと筋道を立てて進むということになつているにもかかわらず、人の質問の途中で、時間がないからといつて、さつさとあいさつなしに帰つてしまうということをやられては、主客転倒ですよ。われわれが頼んでおるのではない。政府が向うから審議してくれといつて頼んでいる筋合いのものを、われわれがせつかく審議しようと思つておるのに、ああいう態度でやられたら、われわれは実際こういう案件は審議できないと思う。まつた外務委員会というものを無視されてしまつておるし、そういうことでは私はおもしろくない。(「政府ばかりにたよる必要はない。委員会で自主的に審議すればいいのだ。」と呼ぶ者あり)政府から責任ある答弁もし、説明もするということは、どこの委員会でも常識的なことである。今ごろそういうことが問題になつてどうする。参議院へ行つたつて衆議院へ行つたつて、どこへ行つたつてそうじやないか。ほかの委員会へ行つてもそうだ。あなたはそんな事実を知らないのか。(発言する者あり)そんなことで一体審議ができますか。私はこういうことは言いたくないけれども、せつかく筋道を立ててやろうとしておる場合に、こういうことをやられたのでは、実際困つてしまう。だからこの点をひとつ私は警告を発しておきたいと思う。
  158. 岡崎勝男

    岡崎委員長 これは理事諸君とさらによくお打合せをいたします。
  159. 聽濤克巳

    ○聽濤委員 もう一つ。大体外務委員会では外務大臣が出て来ない。そのために実際いろいろなことのはかが行きません。問答にしても、條約局長の法律解釈ばかり聞かされて、政治的な答弁ができない。それで外務委員というものの機能が、事実上麻痺しておるような状態にある。そこへたまたまこの案件が出て来て、具体的な問題が出て来ておる。これくらいの処理は委員長もやはりきちんとやつていただかぬと体裁が惡いですよ。事実もう少し外務委員会の空気といいますか、事の運びは、政府がやはり責任を持つて出て来るとか、そういう習慣をつけませんと、外務委員会はまつたく流れてしまいます。有名無名ということになつてしまう。ですからその点は、やはり委員諸君にも、全体として考えてもらいたいと思います。
  160. 岡崎勝男

    岡崎委員長 御意見は承つておきます。  本日はこれにて散会いたします。     午後二時二分散会