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1950-02-23 第7回国会 衆議院 海外同胞引揚に関する特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月二十三日(木曜日)     午前十一時二分開議  出席委員    委員長 中山 マサ君    理事 青柳 一郎君 理事 玉置 信一君    理事 冨永格五郎君 理事 受田 新吉君    理事 坂口 主税君 理事 竹村奈良一君    理事 山手 滿男君       池見 茂隆君    小川 平二君       小西 英雄君    佐々木盛雄君       堤 ツルヨ君    並木 芳雄君       柳原 三郎君    吉川 久衛君       松谷天光光君  出席政府委員         外務事務官         (管理局長)  倭島 英二君  委員外出席者         郵政事務官         (郵務局管理課         長)      荒巻伊勢雄君         参考人         (日本放送協会          教養部長)  宮川 三雄君     ————————————— 本日の会議に付した事件  長野県における在外同胞帰還促進家族連盟委員  長の帰還促進運動に関する放送拒否事件に関す  る件  引揚者援護問題に関する件  参考人招致に関する件     —————————————
  2. 中山マサ

    中山委員長 これより会議を開きます。  長野県における在外同胞帰還促進家族連盟委員長帰還促進運動に関する放送拒否事件に関し、NHK教養部長宮川氏より、NHKとしての見解を承わりたいと存じます。宮川参考人
  3. 宮川三雄

    宮川参考人 今委員長からお話長野の問題については、先般長野放送局長が参りまして、詳しく申し上げておりますので、ここではそれに触れないことにいたしまして、そのときの放送内容が、ラジオコードに違反して、結果においては放送不調になつたということがございますので、ラジオコードにつきましてちよつと申し上げてみたいと思います。  ラジオコードと申しますと、戰争前は、御承知のように逓信省で、無線法によつてきめられ、その範囲でやつておりました。経終戰後連合軍から放送準則というものが示されまして——これは一九四五年九月二十二日に出たのですが、この準則によつて放送局がその内容を一々放送と照し合せて、放送局判断によつてつて参つてつたのであります。ところが昨年になりましてからは、それをもう少し敷衍いたしました詳細なラジオ放送準則放送局が自主的につくりまして、連合軍から示された放送準則と、それから放送局が自主的につくりました放送準則、この二つによつて放送をやつておるわけであります。  それで長野の問題は、放送準則に抵触するかどうかというその判断につきましては、それぞれ編集権を持つております地方放送局なら放送局長というものがその編集権に基きまして、放送する内容放送準則と照し合せまして判断することになつております。その放送準則適用判断は、もちろんこれははつきりした線はございますが、その個々適用の場合につきましては、幾分違うことはやむを得ないと思います。地方的にいろいろの事情もありますし、それぞれの放送局の独自の判断によりまして、ときに違つて参ることはやむを得ないのであります。実は私が今日まかり出ました理由というのが、よくわからないのですが、この程度にして、あとは御質問がございましたらお答え申し上げたいと思います。
  4. 中山マサ

    中山委員長 御質問がございますればどうぞ。
  5. 堤ツルヨ

    堤委員 今日放送局の方からおいで願つた趣旨が、あまりはつきりしないとおつしやいますが、この間長野県で起きました問題は、その原稿について長野放送局処置を妥当と認めたからには、中央のあなたの方では、詳しく御検討になつたことだろうと思うのです。全体の論調がいけないとか、数について少し異議があるというようなことをおつしやつてつたのですが、その数については、外務委員会で倭島局長が、たしか三十七万幾らと正式に発表なさつてるのでありまして、われわれ常識的に考えて、そう放送局で疑問にしなければならないような数ではないと思うのです。そういう点に対して、もう少し中央放送局の御見解伺つてみたいと思います。
  6. 宮川三雄

    宮川参考人 原稿のことについては、全体的に数その他のこともございますが、たとえば非人道的行為というような過激な字句とか、そのほかいろいろこまかい字句関係で、全体的の調子から見て、きついということもあるのでありまして、このたびのことは、こちらとしても長野放送局処置を妥当と認めたわけでございます。実はそのときに、いろいろ行き違いがあつたようでございまして、たとえば、全般的にこの放送がいかぬというようなことを申し上げたという報告も聞いていないのですが、事務的に、いろいろこういうところはこうしていただきたいとか、こういうところはこうしていただきたいとか、両者の間で話合いをする準備を、こちらとしてはしていたのですが、時日が非常に切迫したので、その間の行き違いで、それができなかつたというように、私は報告を聞いておるのであります。
  7. 堤ツルヨ

    堤委員 これは單なる長野放送局管内の問題だけではございません。三十七万の同胞最後の一人まで帰つて来ますまでは、私たちは引揚促進をしなければなりません。そのためには、あらゆる報道機関の御協力が大切であります。私たちこの委員会といたしましては、今後の引揚げ促進運動に、この長野の問題が支障を来たすようなことがあつてはいけない。そこでさらに中央放送局の御見解を承つておいて、たとえば、われわれ委員が各地方帰つて引揚げの先頭に立つ場合に、放送いたしますわくについても、委員長以下私どもわくを設定いたしますについても、絶えず放送局からけられるというようなことがあつても困りますし、その辺のところを、われわれ引揚げ促進のために、ひざを交えてお伺いしたいというのが目的でございますから、なるべく御親切にお願いいたしたいと思います。
  8. 宮川三雄

    宮川参考人 引揚げの問題につきましては、放送局が非常に努力しているといいますか、カを入れているという点につきましては、委員長も御承知だと思います。たとえば引揚者の時間というのも、ちやんと設けてありますし、引揚げニュース、それから広い意味では「尋ね人」というのが、毎日三回、全部で四十五分やつております。こういう広い意味引揚げ関係の問題、それから船が参りますれば、必ず舞鶴に録音隊が行く、それから品川に汽車が着けば、すぐに録音隊が参りまして、ニュースなり録音ニュースに出すというような状況でございまして、引揚げ問題につきましての放送局扱い方は、非常に熱を入れておるということは、御承知願えると思うのであります。たまたま今度の問題が、引揚げの問題で放送できる、できないという問題になつたのでございますが、対外的の問題がありますので、かなり愼重にはやりますけれども引揚げの問題だから、別に特にこちらが拒否したというようなことは、絶対にないのでございます。その点は、御了解いただきたいと思います。何も今後引揚げの問題について、放送局が軽視するとか何とかいうようなことは、絶対にございません。たまたまこのときに問題になつたというだけでございます。
  9. 堤ツルヨ

    堤委員 大体了承するのでございますが、私はこの休会中に、京都放送局とお話合いをいたしましたが、なかなかプログラムを御変更になりません。それは、まあ一応おきめになつておるのでありますから、むりもございませんが、しかしたとえば、十日ほど前に申込みましても、中央放送局からの指令がないことには、そう簡單にはかえる意向がないと言つているということを、京都放送局編集局長もお漏らしになつたのであります。これはこの間の委員会でも、相当言われたのですが、私たちが現在放送局から受ける感じは、どこの放送局に行きましても、非常に官僚的な取扱いを受ける。だから島立氏にいたしましても、もう少しひざを交えて話合えばよいものを、あまりにも放送局がいばつているような感じを受けて、そういうところから、この問題が起つたのではないかと思うのであります。放送法案も、まな板の上に乗せられて、新しい段階に入ると思います。民間放送と現在のものとを、今後どういうふうに技術的にうまく生かして行くかという問題は、法律の上に現われると思いますけれども、しかしそれまでに、やはり私どもいたしましても、現在の放送局の機構というものを横から拜見して、これは占領下にあつて指示事項があるからしかたがないとおつしやれば、それまでかもしれませんけれども、総体的に官僚的なにおいを持ち過ぎていらつしやるように、私たち指摘させてもらいたいと、実は思つておるわけであります。でありますから、たとえば長野の問題にいたしましても、今日この問題についておいでになるのでしたら、こういう箇所が、こういう文書であつたならば、おそらく私たちはお許ししただろうというくらいの、親切な態度があつてしかるべきではないかと思つております。私たちが常識で考えてみますと、これくらいの文句は、本会議の壇上でもやつておるのです。委員長もおやりになりまして、私も日本人は冷血人種だと言つて相当下から攻撃を食いましたけれども、相当やつておるのです、だから、これこれこういうわけだという、もう少し親切な指導がなければ、引揚げ問題だけではなしに、こうした問題を引起しやすいのではないかと思います。この間長野局長おいでになつても、こことここが、こういう言葉であつたらよかつたというような指摘もなかつた。たとえば中央からおいでになつて長野放送局とこういうことをしたとか——ども解釈では、事後承諾のような気持がする。あるいは長野放送局からこれをやめさせたというお話があつてあとから妥当だつたというような事後的な処置をとられたのではないかと思うのですが、そういう点で非常に遺憾に思います。ですから、この文書はもちろんあなたの手元に行つておるのでしようから、どの委員からもつつ込まれただろうと思います。どの箇所とどの箇所が、どういう論調であればよかつたかということは、やはりしろうとですから、御親切に指導なさる必要があるのではないか。そういうところに、現在の放送局が官僚的であるという非難を受けるような点が、しばしば出るのではないかという感じがするのであります。今後私たち原稿を書くにいたしましても、はつきり指摘していただけるならば、そう放送局から御注意を受けなくてもよいような原稿が書ける、また一般のこうした民間運動をやつている人たちの便宜にもなると思います。そういう点で、当然今日は御指摘があると思つて期待しておつたのですけれども、ないので、ちよつと失礼なことかもしれませんけれども参考までに……。
  10. 宮川三雄

    宮川参考人 今非常に官僚的というようなお話もございましたが、私の方は別にそういうふうなことは毛頭ないのでございます。国民放送というものを、われわれが非常に小さなからだに大きな責任を負つておるという関係上、非常に固くなつて、そういうふうな御印象を與えるというようなこともあるかもしれませんが、官僚的ということはわれわれ毛頭考えておりません。それから長野放送局の措置を、あとから承認したというようなお話がございましたが、さつきから申し上げましたように、放送内容につきましては、地方放送地方放送局長編集権を持つ、つまり放送本部から委任しておるわけでございます。事後承認ということはないわけです。つまりその内容につきましては、放送局長判断してよいと言えばすぐ放送する。ただその後の問題として、こういうふうな問題が起つたときに、本部に一応意向を聞いて来るわけです。その内容につきましては、本部としても、大体長野の行き方はよかつたというふうな、同じ意見を持つておるという意味でございます。
  11. 堤ツルヨ

    堤委員 やはりあとからお話になつたのでございますね。一応長野局にまかせておいて……。
  12. 宮川三雄

    宮川参考人 それはそうでございます。一応地方放送については、地方放送局長編集権を持つておるわけです。
  13. 玉置信一

    玉置(信)委員 放送局におかれましては、従来非常に引揚げ問題に対しては協力をされ、引揚者に対しての街頭録音をとるとか、あるいは引揚げて来て住所のわからぬ者に対し、待ち人の名を放送するとか、いろいろ努力され、協力されておることは、私ども大いに多としておるわけでございますが、今度の長野県の問題を円満に解決していただかないと、九仞の功を一簣に欠くようなおそれがあるので、私は一、二御質問申し上げるわけであります。私どもはこの問題に対して、何も被告扱いにしてまで真相をただして、どうこうしようというような観念は少しも持つておりません。ただこの問題がスムーズに解決して、そうして将来引揚げ問題のために一段と放送局当局の御努力をこいねがうがために、以下申し上げるわけでありますから、その点あらかじめ御了承の上お答えをいただきたいと思います。  先ほどの堤委員質問に対する御答弁、それから教養部長さんの当初の御発言の中に、いささかまだ私は納得しがたい点があるのです。それは人道的に云々ということがあつた。また対外的にいろいろと問題をかもすようなおそれのある点もあつたような含みのお言葉があつたのですが、ここでお尋ねすることは、放送準則に反するという見解のもとにそれを拒否されたのか、この点をまず第一にお伺いしたい。
  14. 宮川三雄

    宮川参考人 放送準則を読んでみますと、「資料は嚴密に事実に即すべくかつすべての解釈及び編集は事実に基くべし。資料は宣伝的なるものたるべからず。公共の安寧を乱すがごとき傾向を有する注釈及び陳述はこれを許さず、連合国相互間の関係に有害なりと解釈し得るかないし連合国中の一国に汚名を與うるがごとき資料は使用すべからず」こういうふうなのが、教養関係番組情報その他の番組についての規定なのであります。これにつきまして判断をしたという長野局長からの報告になつております。さつき、たとえば非人道的行為というようなことをちよつと申しましたが、これは一言の字句について申したのではなく、この辺全体の調子が、このB項最後連合国相互間の関係、それから汚名云々というのに抵触するという判断をしたということであります。
  15. 玉置信一

    玉置(信)委員 十二月二十二日の間で、私は朝日新聞をここに持つておりますが——その他の新聞にも出たことでありますが、対日理事会におけるシーボルト議長発言内容を読んでみますと、その原稿に書いてあるより以上に、相当痛烈な意見がここに発表されておるわけであります。そうしますと、連合国の示された放送準則からいつても、御本尊の連合国側の、しかもこうした公の会議発言され、堂々と天下に発表されておるこの事柄から見まして、私はあえて放送局はその程度のものをこの準則に反すると見解を下すことは、いかがなものかと思うのです。この関係をどういうように解釈されますか、この点をお伺いしたい。
  16. 宮川三雄

    宮川参考人 この問題は、シーボルト議長発言の前に起つた問題でありまして、シーボルト議長発言のあつた後には、数、その他の点について、非常に問題が少くなつておるという報告を受けております。
  17. 玉置信一

    玉置(信)委員 これは今特定の対日理事会の問題を引合いにいたしましたから、放送局当局は、そのようにお述べになるのは当然でありますが、これ以外に、しばしば新聞等で、関係筋のこうしたことを、私どもは散見したわけであります。これは私一人ではなくて、あなた方も、過去においてその放送原稿が出る前も、関係筋のいろいろな機会に現われて来る事象あるいは問題を目に見られておることであろうと思います。ただ私は、ここに新聞を持つておるがゆえに、あえて指摘してお伺いしたのですが、これに対してどういう見解をお持ちですか。
  18. 宮川三雄

    宮川参考人 どうも今までのいろいろなお話を承つておりますと、放送を拒否するために、何かラジオコードを有利につかつたというような、——これは非常にひがんだ印象かもしれませんが、放送局の方としには、何とか放送しよう、この引揚げの問題については、先ほどから申しております通り、非常に熱意を持つておりまして、何とか放送しようという努力は、非常に拂つておるのでございます。ただその内容につきまして制限がございますから、たまたまこのときに、ちよつとこの内容が一部あれですからかえていただきたい、そのかえていただきたいというのが、放送者の方に連絡の行き違いがあつて着かなかつたか、あるいは非常に時日が切迫していて、事実上この問題は放送できなかつたというのでございますが、放送局の方は、この問題について放送を拒否したというようなことは、絶対にないのでございます。とにかく引揚げ問題について、今後とも放送局があらゆる時間その他で放送して行きたいということは、かわりないのでございますから、その点は十分お含み願いたいと思います。
  19. 小川平二

    小川(平)委員 前回委員会で、直接の両当事者おいで願つて、問題の経緯も判明したわけでありまするし、おそらく両方当事者の間で、直接に円満な話合いによつて、問題は解決をする基礎ができたと私は考えておるわけであります。そこで今日は同じことの繰返しをここでやつても、あまり意味がないのではないか。今回の問題そのものは、おそらく両方当事者話合いで、円満な解決を見ることでありましようから、それはそれとしまして、問題は、今後こういうふうに地方放送局当事者の、まつたく主観的な判断で、切捨て御免的に、留守家族の非常に痛切な、切実な叫びが、不当に押えられるというようなことが発生することを、どうやつて防ぐかということでなければなりません。先刻から承りますところによれば、これは前回長野放送局長さんからも承りましたが、原稿取捨については、ラジオコードその他の一般的な基準ができておる。その基準に基いて個々のケースをいかに判断するかということは、その当事者にゆだねられてあるというふうな御説明であつたのです。そこで問題は、この引揚げという特定の問題について、どういうふうな態度で臨むか、さらに掘り下げた一つの統一した基準がつくられなければならない、こういうふうに私は考えるのです。今日はそういう点に問題を局限すべきではないかと考えるわけであります。たとえば、この前御説明がありましたが、放送原稿を拒否された一つ理由として、当時においては数字客観性がなかつたというお話でした。それに対して、しからば最近発表された総司令部数字は、客観性ありと考えるかどうかをお尋ねしたところが、これは客観性ありと認める、こういう御回答であつたと思います。そうすると今後総司令部発表数字は、当然引用してさしつかえないというふうな解釈になると思うのです。これは一つの例であります。それからまた、今玉置委員から御質問が出ていましたが、われわれの解釈では、この放送原稿は非常に激越である、故意に特定の一国の感情を不必要に刺激するような字句が用いられておるというふうな御説明でしたが、まつたく私どもは、そうは考えられないわけです。一般に今後の問題としましては、新聞その他で通常公然と許されている程度の表現ならば、ラジオ放送に用いられてもさしつかえない、あるいはまた原稿取捨判断する場合に、新聞その他の事例を十分に参酌してこれをきめる、こういつたふうな引揚げ促進という特殊な問題についての、放送局としての全国的に統一した一つ基準をここでつくつておかなければならない、こう考えるわけです。そういう問題に局限して論議を進めていただかないと、前会のむし返しに終つてしまつて、きりがないのではないか、こう考えるわけであります。
  20. 玉置信一

    玉置(信)委員 私もただいま小川委員発言された方向に、実は導いて行こうと思いまして、その前提には、中央放送局地方放送局との見解に相違があるかないかということを一応ただしてそこへ持つて行こう、こういう考えで質疑をいたしておつたわけでありますが、今議事進行について、小川委員がそこまで申されたようでありますから、これからその方向にひとつ進めて行きたいと思います。
  21. 竹村奈良一

    竹村委員 議事進行——小川委員の言われたことは、一応もつとものように聞こえるのでありますが、そこで問題は、大体放送局責任を転嫁するというような、たとえば数字の問題についても、放送局は一体どう考えておるか、それが客観性があつたとかなかつたとか、こういう問題は、私は放送局の問題というよりは、むしろ根本的に日本政府はつきりすべきであると思う。たとえば、この問題の起つた原因、この原稿の書かれたとき、この当時は、この引揚委員会でたびたび問題になりまして、日本政府にただしました未帰還者数字の問題につきましては、政府から明示がなかつた。その後十二月幾日かの対日理事会において、総司令部からそれが発表なつた。問題の原因はそこにあつた。なぜ日本政府はもつと責任を持つて、こういう問題を起さない前に、国民全体が納得のできるような数字発表されなかつたか、問題はここにあると思う。この問題について、いたずらに放送局だけを問題にすることはどうかと思う。これはやはり日本政府責任を転嫁することになると思う。最近、前の引揚委員会のときに一応責任あるところの数字だということで発表されておるが、これについても私は問題があると思う。
  22. 中山マサ

    中山委員長 簡單にお願いいたします。
  23. 竹村奈良一

    竹村委員 それで問題は、この発表されたときの前の……。
  24. 中山マサ

    中山委員長 議事進行だけにしてください。
  25. 竹村奈良一

    竹村委員 ですから、昨年の三月一日に政府発表されたものと、この間発表されたものとは相当の食い違いがある。この点については、非常に食い違いが出ておる、こういうような点にも問題がある。やはり基本数字はつきりしていなかつたというところに問題があるのでありまして、問題をもつとはつきりさそうとし、こういう数字の問題について紛糾を起さぬとするのであつたならば、私たち考えでは、やはり日本政府が全国的に調べてあるところの、たとえば各町村別に何ぼある、県別に何ぼあるということを、明らかに国民の前に発表されたならば、国民の中でとやかく言うような問題は起らないのだと思いますので、そういう点から問題をきめて、それから放送局態度をきめてもらうようにするのが、私は本筋ではないかと思います。そういう方向議事を進められんことを、特に議事進行でお願いいたします。
  26. 中山マサ

    中山委員長 放送局といたしましては、対日理事会発表の前であつたからこれを拒否した、そうしてその後におきましては、そうする必要もないかもしれないということを、先ほど御発言になりましたから、その問題はたな上げになると思います。
  27. 玉置信一

    玉置(信)委員 今の竹村委員の論を聞いておりますと、放送原稿に結びついて、きわめて重大に考える。放送局当局は、この数字はつきりしたものでないという見解を一応持つておる。今の竹村委員の説も、政府数字があやふやだ、こういう点から思うと、どうも聞きようによると、竹村委員の言うことと放送局当局は、同一な見解をもつてこの問題を取扱つたのじやないかというようにも受取れるわけです。こうした見解について、放送局の方にお伺いしておきたいと思うわけです。なお政府においては、昨年の五月以来しばしば三十七万前後の数字発表されております。従つてこの放送原稿数字は、大体誤りのないところを掲げておるのじやないか、かように私は政府数字を信頼しておりますゆえに、特にこの点について放送局当局伺つておきたい。
  28. 小川平二

    小川(平)委員 関連して——問題は、総司令部発表数字を引用しておるからという理由によつて、今後放送を拒否されるようなことがないことを、私は希望するわけですが、その点に関する放送局長見解を承りたい。ただそれだけのことでありまして、その根本の数字そのもの客観性がない、疑わしいというふうに竹村委員がお考えになるならば、政府に抗議するもよかろうし、総司令部へ抗議するもよかろうと思うのであります。放送局において総司令部発表数字客観性ありとお認めになるにしろ、そうでないにしろ、これは放送局自身責任においておやりになることである。われわれとしては、ただ今後総司令部発表数字を引用したという理由で、原稿を拒否されるようなことをなさるかなさらないか、この点をお尋ねしたい。
  29. 宮川三雄

    宮川参考人 もちろん妥当性のあるものは、数字といえどもこちらは拒否することはございません。
  30. 小川平二

    小川(平)委員 妥当性のあるものならば、ということは、問題の焦点がはずれるので、総司令部発表数字を記載したということのゆえをもつて原稿を拒否されるということを今後なさるかなさらないか、こういうことを伺つておるのです。数字そのものの妥当性いかんという問題ではございません。
  31. 宮川三雄

    宮川参考人 総司令部発表のものは、今までも慣例によりまして、そのままやつております。
  32. 中山マサ

    中山委員長 玉置委員質問に御回答願います。
  33. 堤ツルヨ

    堤委員 どうも質問意味がわからないようですが、こういうことなんです。数の問題です。ソ連地区三十万、中共地区七万の人が帰国を待ちわびておりますということを、倭島局長外務委員会で答えておられるように司令部並びに日本政府が信じておるところの三十七万何がしに当つてつて、われわれは大体これを信じて来たわけなんです。その数を放送原稿に入れたところがこれを拒否なさつた。数の問題について客観性がないとか、妥当性がないとかいうことにおいて、放送局がこれを拒否なさつたということになるならば、これをあなたの方では、われわれのようにお認めにならぬわけですね。変なことですけれども、共産党の方でも、常にこれを否定していなさるのです。そうすると、放送局と共産党とは同じような見解をお持ちなのではないか。だから、これを拒否なさつたのじやないかということを指摘しているのです。
  34. 玉置信一

    玉置(信)委員 具体的に言えば、そうなんです。そこまで言つては惡いと思つて遠慮していたのです。
  35. 中山マサ

    中山委員長 関連してお尋ねしたいのですが、先ほどの宮川参考人の御発言中に、やはり情勢によつていつかはかわつて来るという御発言がございましたが、それはどういうことをお指しになるのか、承つておきたいと思います。
  36. 宮川三雄

    宮川参考人 数の問題でございますか。
  37. 中山マサ

    中山委員長 数の問題で、今の御発言原稿に書かれておつた数字がいかがわしい、はつきりしないからこれを断つた。そうすると、共産党はこれを絶えず政府に難詰していらつしやるので、共産党の立場と放送局の立場とは、共通性を持つものかどうかということをお尋ねになるのですね。
  38. 宮川三雄

    宮川参考人 もちろん政府発表は、放送局で扱つております。
  39. 玉置信一

    玉置(信)委員 そうすると、それを客観性がないとか、あるいはどうも妥当を欠くというような見解を下したという長野局長の主張と、それからその原稿をそのまま妥当なりというあなたの見解から行きますと、そこに矛盾を来すのですが、そこを明確にしていただきたいと思います。
  40. 堤ツルヨ

    堤委員 ちよつと参考人に申し上げますが、国民の間においても、司令部発表並びに日本政府発表に対しては、疑義ありと言うものがある程度あるのだから、放送局の方は、そこに何か情状を酌量なさつて、これを疑問視されたのではないかと私は思うのですが、どうですか。そういうふうなお気持でなかつたのでしようか。
  41. 宮川三雄

    宮川参考人 これは長野放送局判断でございますが、ざつくばらんに申し上げますと、いろいろな数字の問題で、各方面から何万だ何万だ、こういうふうに出ておりますので、この数字はつきり——ことに死亡者云々ということまで入れて推測を下した数字が出ておるので、あまりはつきり数字が出ている点について、何かこの辺をかえていただきたいというような程度でお答えしたのじやないかと思うのですがね。
  42. 玉置信一

    玉置(信)委員 どうもそれは、だろう主義で、——劈頭に全面的に長野放送局でとつた措置が妥当であるということを宣言された、それだから私はこういうことをお聞きするというわけではないのです。問題は、私は何も放送当局にこれを一問一答の形で追い込んで行つてどうこうしようというような考えは毛頭ないわけで、劈頭に申し上げておきました通りに、この真相が明確になれば、誤つた点は誤つた点でいいのです。これはあと中央放送局として直していただけばいいのですから——国民感情の上に、今や国をあげて引揚げ問題は盛り上つておるわけです。しかも衆参両院におきましては、この引揚げ促進に関する決議をいたした。その決議日は、参議院はたしか十一月三十日、衆議院は十二月二日でありました。この決議に基いて総理大臣はマッカーサー総司令官に対してこの国民の熱意のこもる決議に基いて、引揚げ促進の要請をしておる。従つて国民運動として展開し、さらにわれわれ両院におきましては、世界の問題として、世界キリスト協会、人道協会、その他赤十字社であるとか、国連までこの問題を反映させて、一日もすみやかに全部引揚げてもらおう、こうした観点から、この引揚げ運動を実は展開しておる。こうした機運のときに、どうした間違いか、見解の相違で、事ここに至つて引揚げの熱意を冷却せしめることがあつては相ならぬ、この観点から、これを一日もすみやかに解決をして、放送局当局は従来とつて来られたようなあの熱意のもとに、国民一体となつてこの運動に大いに力を入れていただきたい、こういう念願から、問題解決のために質問しておるわけであります。誤つた点は誤つた点として、長野放送局見解は不当であつても、中央放送局としてはこうだということを話しても、責任問題は起りませんし、また責任を追究しようとは考えておりません。この点明快にお答えを願つて解決をいたし、先ほど小川委員の言われたように、結論を求めたい、かように思うわけであります。重ねて一言放送局当局の御意向を承りたいと思います。
  43. 受田新吉

    ○受田委員 放送局参考人の方は、まだよく実態をつかんでおられないので、御難儀なさつておるようであります。責任あることをここでお答えになることについても、よほど苦慮なさつておると思いますので——私はこの問題ついて、この前からしばしば申し上げた通り、こういう見解を持つておる。放送局の今の宮川参考人がおつしやる点は、あの問題は対日理事会数字発表以前の問題であつて従つてこの点については、渉外局発表を全面的に肯定する立場がとれなかつた。一方を刺激するということは、客観的に見ても非常によろしくないというような見解から、一応これを拒否したのだという論点は、私はある程度うなずけると思うのであります。なぜかというと、倭島さんもここにおられるが、対日理事会の様子を私が質問したとき、まだ正確な数字はここで発表できない、明日何か対日理事会発表があるだろうということを言われたのであります。この実態調査がはつきりしていなかつた。その実態調査は未帰還の数字の実態の明らかなものを、まだ示す時期に達していないと言われておる。そういう点については、対日理事会数字的根拠が明らかにされたような関係になつておるので、それ以後放送局は、客観情勢は三十七万を正当なものと認めるように考え直されたという点は、情勢を的確につかんでいると思うのです。なおこの原稿拒否、放送拒否の問題に関して、長野の島立さんの請願書が電通委員会へ出ておるのですが、その内容は、全面的に放送させろということでなしに、こういうことが書いてあるのです。「今後引揚げ促進に関する放送は不可能となり、輿論喚起に一大支障を来し、致命的打撃を受けることになり、しかもこれが本県のみでなく全国的に影響をこうむりますので、貴委員会において徹底的究明を願い、当方の原稿に支障のない点のみでも放送し得るよう御配意を仰ぎたい」こう書いてあるのです。従つて請願の趣旨そのものが、この原稿そのものとして放送させろということでなくして、支障のないところだけでもよいから放送させてくれるように委員会はとりはからわれたいというのが請願の趣旨になつておる。全面的に放送させてくれという請願でなしに、適当なところだけでもよいから放送させてくれという趣旨になつている。そういう点からも、この長野県の請願の趣旨は、この箇所という不穏当な点があれば、そこを修正して放送させてくれという趣旨だと思う。そういう意味からも、客観情勢が対日理事会の以前と以後で違つておるから、今後はこの点については、十分われわれ客観情勢と数字の根拠を明らかにした立場で信用するというような意味放送局考えておることになれば、過去のあやまちをあまりここで云々するよりも、今後の放送局態度に対してわれわれ要望をしておるのであつて、過去を責めて責任の究明ということで言うならば、客観的情勢は、政府そのものが数字発表していなかつたわけであり、この点については、その後の情勢とそれ以前の情勢とははつきりと変化しておるのだから、これはあまり追究する要はないと私は思うのです。
  44. 玉置信一

    玉置(信)委員 受田委員お話は非常に名論ではございますが、私の聞いておることに関連いたしまするので、もう一言申し上げておきたい。  私は政府発表数字は、なるほどこれを断定的にこうだとは断言し切れないけれども、という前提は、しばしばあつたように思うけれども、大体において正確なものであるというようなことで、しばしばここで質疑応答の中で答弁されておるわけです。従つて私はこの政府数字というのは大体において信用できる、こういう立場で質問申し上げておるのです。シーボルト議長発表された対日理事会の前の日に、明日になれば明確になるというような御答弁は私はその場に出ておつたけれども聞かないような気がいたすのですが、念のためにその点を申し上げて、もし答弁ができるならば、はつきりと一言で解決済むことでありますから、放送局の方の御答弁を願いたい、かように思います。
  45. 宮川三雄

    宮川参考人 とにかく長野放送局のこの問題が、たまたまこうなつたのですが、引揚げ問題について今後放送局がどういうふうに扱つて行くかということについて、今後非常に熱意を持つてつて行くということについては、十分御了解いただいたと思うので、その点につきましては、放送局に今後も十分信頼していただいて、皆様方の御希望その他につきましては、全面的にできる限りのことはいたします。数字の点につきましても、これは今後絶対数字はいかぬというようなことは、決して申し上げません。
  46. 玉置信一

    玉置(信)委員 よく了承できました。私はそういうふうに言つていただくと、この問題が解決すると思う、ただ先ほど竹村委員の申されたことと共通性のあるようなことを言われておるために、これが非常に世間に誤解を持たせはしないか、放送局当局と共産党のしよつちゆう言われておることも同じだということになると、何かしらそこに割り切れないものがあるやに見られるので、この点を私は将来のためにはなはだ遺憾として、明確に、はつきり放送局の立場として言明された方がいいのではないか、こういうことが腹の中にあつたので、そこまで言わないで、この問題を取上げて申し上げたのですが、これは誤解をされては、放送局としても困るだろうという親心で申し上げたのです。
  47. 小川平二

    小川(平)委員 数字の問題は、これで解決をしたと考えてよろしいのではないかと思うのです。今後ラジオ放送を行う場合に、対日理事会発表数字を引用してよろしい、こういうことでございますね。
  48. 宮川三雄

    宮川参考人 その通りでございます。
  49. 小川平二

    小川(平)委員 それではその点は、われわれはここではつきりした保証を得たものと考えて、数字の問題はこれを打切つていただきたいと思います。
  50. 堤ツルヨ

    堤委員 ちようど倭島局長もお見えになつておりますので、あなた方この問答を聞いていて、責任感じていらつしやるだろうと思うのです。実際今受田委員のおつしやつたように、第五国会、第六国会に、政府自体が責任ある統計を十分に調べて、司令部発表の裏づけをはつきりさせろということを、いろいろと各方面から言われておつたわけです。ところが倭島局長並びに矢野政務次官も、私に御答弁になりました。あなたは数とおつしやるけれども、今はつきりすることはよけさせてもらいたい、二十日過ぎにははつきりすることができるだろうというようなことを言つて濁していらしつた。そういう点が、やはり放送局に影響していると思うのです。ですから、今後放送局と外務省は、数の問題については御連絡が必要なわけなのであります。私こう考えるのですが、その点、外務省の倭島局長あたりは、放送局編集局と常に御連絡をおとりになつていただきたいという希望を、数のことについて申し上げます。
  51. 小川平二

    小川(平)委員 次は表現の問題ですが、原稿取捨がきわめて一般的な抽象的な広い基準の範囲の中では、当事者のまつたく主観的な判断できめられる、こういうことで、今度のような切捨て御免が再々行われては、はなはだまずいことであると思います。原稿取捨を決定する場合に、通常この程度のことは、公然と何ら怪しまれることなく新聞その他で発表されておる。そういうふうな事例を十分に検討をして、しんしやくしていただくことが、どうしても必要だと思います。そうでないと、この留守家族の非常に切実な叫びが、当事者の非常に卑屈な事なかれ主義で、不当に抑圧されるというようなことが、今後も何度も出て来るのではないか、こう考えるのです。その点に対するお考えを承りたい。
  52. 宮川三雄

    宮川参考人 もちろん今までの二十五年間の放送の経験によりまして、社会情勢からもいろいろなものを研究いたしまして、放送に乗せるという判断を下しているので、その点につきましては、非常に局限した言い方ですけれども新聞に出ても、あるいは放送はいかぬという場合もあるかもしれません。とにかく電波で全国に及ぶということ、眼で見るのと耳で聞くというのとは、非常に感覚が違うというような点から言いまして、あるいはそういう場合もあるかもしれません。つまり放送に乗せていいか惡いかという判断は、とにかく放送局長の長年の経験と勘と常識によつてつて行く、そういう次第でありまして、その点につきましては、特に引揚げ問題だからきつくするとか何とかいうようなことは、全然ありません。全部の放送につきまして、一様にやつております。
  53. 小川平二

    小川(平)委員 たとえば、これは前回にも申し上げたことですが、吉田総理のマツカーサー元帥にあてた書簡の中には、残虐かつ非人道というふうな、非常に強い倫理的な批判を含む言葉が載つておる。これは新聞に載せられて、津々浦々読まない人はなかつた。そういう環境の中で、問題の原稿はこれに比較すれば非常にゆるやかな表現だつたと思うのですが、何となくいけないというようなことで、これが拒絶されたということを、非常に遺憾に思うわけでございます。ただいまの御説明は了承いたしました。  それから第三に、今回原稿を拒否されるにあたつて長野放送局当事者は、どういう点がどう惡いかということを、全然明示されなかつたのであります。それはこの前ここへおいで願つてつたことで、はつきりしておるのですが、どこが惡いということは言わない、何となく惡いということでつつ返すということは、これは私そのときにも申し上げたのですが、軍閥專制下の検閲当局がやつたような、まつたく独善的、官僚的なやり方で、これは非常に遺憾なことだと思います。今後原稿取捨を決定される場合、おもしろくないと思われる箇所があつた場合には、必ずそれを明示して話合いをする、こういう方針で臨んでいただきたいと考えます。この点いかがですか。
  54. 宮川三雄

    宮川参考人 おつしやるまでもございません。原稿につきましては、事前に十分お互いに納得行くまでお打合せするという態度は、あらゆる場合にとつております。ただこの場合、報告によりますと、時日が切迫したとか、非常に放送者が離れていたとか、連絡の不行届きとかいうような点で行き違いがあつたという点につきましては、遺憾の意を表します。そういうふうな事前の十分な打合せは、あらゆる場合にしております。
  55. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 今回長野放送局が拒否されましたことは、長野放送局の持つ権限として、われわれはこれを決して責めるものではありません。ただその間に、政府発表しております数字についてすら、客観性がないというようなことをおつしやつたために、その点について問題になつたのでありまして、あなた方が放送されるにあたりまして、ラジオコードに照し、そしてあなた方の立場から取捨選択され、どのような放送をされましても、それには国会といえども、何ら立ち入るべきではないと私は考えます。従つてその数字の点について、いささかあなた方の方におきましても、何と申しまするか、考え方の不行届きがあつた、粗漏の点があつたということは認められておりまするし、かつまた今後につきましては、引揚げ促進のために放送局は絶大な援助を惜しまないということを確約されておるわけでありますから、さらにわれわれとはこれに対して要望し、お願いをいたしますることはけつこうでありますけれども、あまり放送局のおやりになることの内容に立ち入つて、国会がとやかく言うことは、私は新聞報道の立場からも、おもしろくないと考えます。従いまして、適当なところでこの問題については打切られんことを、希望いたします。
  56. 中山マサ

    中山委員長 それではただいまの御提案もありましたので、長野県における在外同胞帰還促進家族連盟委員長帰還促進運動に関する放送拒否事件につきましては、放送コードに触れるものとして、長野放送局において放送を拒否されたものでありますが、これが認定は、各地方放送局の権限でありまして、先般この問題につきまして、NHKに交渉いたしました際にも、これは各地方放送局の権限であつてNHKにおいても、これにとかくを言うことはできないということであつたのであります。小川委員の御発言の御趣旨、及び佐々木委員の御発言の御趣旨もごもつともでありますが、委員会の意思をもつて放送を迫るがごときことも、穏当ではないと考えられますので、この際委員会の意のあるところを体しまして、引揚げ促進の問題については、現下国民の最大関心事の一つでもありますから、これが放送についても、できるだけの便宜を供與されるよう、適切な機会に委員長からお願いすることにいたしたいと思いますから、さよう御了承くださいまして、この問題はこれをもつて打切りにいたしたいと存じます。     —————————————
  57. 中山マサ

    中山委員長 第六国会におきまして通過いたしました、法律第二百二十四号、お年玉つき郵便葉書等の発売に関する法律の第五條によりますれば、郵政省は、社会福祉の増進を目的とする事業を行う団体に対する寄附金を郵便に関する料金に加算した額の郵便切手又は郵便葉書を発行することができることになつておりまして、第五條第二項によりますれば、前項の団体は、郵政大臣が、郵政審議会にはかつて指定することになつておりますので、同胞救出記念切手を発行し、加算料金を在外同胞帰還促進全国協議会等の団体に寄附する場合を考慮いたしますと、立法的措置を必要としないで、でき得ると考えますが、政府側の意見を伺いたいと思います。
  58. 荒巻伊勢雄

    ○荒巻説明員 ただいま委員長からお話のありましたように、お年玉つき郵便葉書等の発売に関する法律第五條の規定によりまして、ただいま委員長からお話のありましたような趣旨の切手を発行することは、もちろん法律的に可能と解釈される次第でございます。その場合の受益の団体につきましては、郵政大臣が郵政審議会にはかつてこれを指定するというふうに、法律に明文が書いてあるわけであります。
  59. 中山マサ

    中山委員長 何かこれに関して御質問がございますか。——それでは別に御質問もないようでございますから、ただいまの御説明通り、この件を審議会にかけていただき、善処していただくように取扱いまして御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 中山マサ

    中山委員長 御異議なしと認めます。     —————————————
  61. 中山マサ

    中山委員長 ソ連地区残留同胞の実態調査のため、去る八日ナホトカより引揚げて参りましたうちより、数名を本委員会参考人として呼びまして、その状況を聴取いたしたいと存じますが。その人員、氏名、呼出し日にち等につきましては、理事会に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 中山マサ

    中山委員長 それではさよう決定いたします。  外務省管理局長が出席されておりましたが、試験の試験官として、ぜひ十二時から御出席にならなければならないということでやむを得ませんので、本日はこれをもつて打切り、次の機会に御質疑をいただきたいと思います。
  63. 池見茂隆

    ○池見委員 本日の委員会には外務大臣が出席せられて、引揚げ問題に対する政府考えを聞くことになつてつたのでありますが、お見えでないようでありますから、次の機会にでも、ぜひひとつ出ていただきたいと思います。
  64. 中山マサ

    中山委員長 申入れをしておりましたのでございますが、どういう理由か、おいでいただけませんでしたので……。
  65. 池見茂隆

    ○池見委員 それともう一つは、これは引揚委員会として、私どもは第五、第六国会で、各党一致といつたような決議案を提出して、この引揚げ促進の運動をやつておるのでありますが、過ぐる日の新聞を見ますると、共産党の徳田君が、ソ連におけるところの抑留者は、反動分子はそのままとめ置いて、ソ連の労力源にこれを使用してもらいたいと言つたというような記事を見たのであります。これは私考えますのに、少くとも基本人権を冒涜し、さらにポツダム宣言に対しましても、違反したるところの一つの行為でないかということを考えます。これはその事実を糺明しなければ、断定は下せませんけれども、少くともああいつた新聞記事が出るということは、われわれ委員会のこの状態から考えましても、日本八千万国民の中の、特に留守家族の人々は非常に大きな衝動を受けたことではないかと思うのであります。かかる問題につきましても、私は政府見解も一応聞いてみたいという希望を持つておりますから、重ねて申し上げますが、そういつたことによりまして、この次ないしは適当な機会に、大臣なり政務次官なりの御出席を要望しておきます。
  66. 中山マサ

    中山委員長 そのことに関しまして、私も舞鶴に引揚者をお迎えに出張いたしましたときに、大阪府三島郡のお方が、徳田代議士とは申されませんでしたけれども、共産党よりの申入れということで、こういうふうなことになつておるということをおつしやいましたので、私がただ聞いて来たのでは、また問題になつてはいけないと思いまして、私が持つております帳面にちやんと書いていただいて、二、三の方にそのことに関して署名をしてもらつておりますので、外務委員会で私はこれを質問いたしました。それで、そのことがあることは御存じかと言いましたら、そのことは今調査中だというお話でございましたので、その件につきまして、池見先生の御意向もございますし、また私から外務大臣にお願いして、最も近い機会において一度ぜひこちらに出席していただきますように申入れしてみたいと思つております。
  67. 竹村奈良一

    竹村委員 今いろいろ問題になつておるのですが、引揚者一、二の人から、委員長みずから聞いて来たとおつしやるので、そのことには間違いないと思うのであります。しかしわが日本共産党といたしましては、はつきり申し上げておきますけれども、昨年の五月に日本共産党からソ連共産党書記局に対しまして、ソ連からの引揚問題で、遅れるというような場合におきましては、非常にこれが反ソ的な気分をあおる形になつて来る。従つて至急引揚げてもらいたいという要旨を、今持つておりませんけれども、電報ではつきりと日本共産党から向うのソ連共産党の機関に対しまして申入れをしてあるのであります。従つて徳田書記長が同胞を返すなというようなことを言つたということの真相につきましては、わが党としても重大な関心を持つておるのです。それがほんとうに今日の通信機関、あるいは今日のいろいろな点からいつて、そんなことが徳田書記長個人で申し入れらるべきはずはないのです。従つてそういう申入れを公式な機関、しかも日本の電報をもつてはつきりと申し入れておる、今日の通信事情から考えましても、ないしよで徳田書記長がこつそりと非公式にそういうことが言えるはずはないのでありまして、おそらく真相ははつきりすると思うのでありますが、ともかく共産党といたしましては、そういうことを言つたことはなくして、かえつて引揚げ促進の要請書を、われわれは出しておるということを、はつきり申し上げておきまして、私はその点だけを明らかにしておきたいと思います。
  68. 中山マサ

    中山委員長 その真否は、私どももわかりません。ただ聞いて来たのでありますから、そこはいずれ調べましたら、うそかほんとうかということはわかるでしようし、ひとつ調べていただくようにいたします。
  69. 池見茂隆

    ○池見委員 竹村君の今の話は、共産党の立場からの話であつて、結局そういつた事実があるかないかということは問題外ですけれども。そういつた記事が出ることが、少くとも引揚げ促進に対して、大きな影響と、国民の非常なる不安を招来することをおそれる、それがために政府見解も聞きたい、こう言つたのであります。
  70. 小川平二

    小川(平)委員 ちよつと竹村委員にお尋ねしたいのですが、今のお話によると、この問題をこのまま放置しておくと、反ソ的な気分を醸成するから早く帰してくれという要請をなさつたそうです。われわれはもつと端的に、りくつは抜きにして同胞を帰してもらいたい、こういう建前からスタートして、引揚げ促進運動協力しておるわけであります。共産党の立場というものは、反ソ的な気分を醸成しては困るから帰してくれということである。そうすれば、いつまでも抑留されておることによつて、逆に親ソ的な気分を醸成するというならば、いつまでも返してもらわないように、こういうお考えなのかどうか、伺つておきたい。
  71. 竹村奈良一

    竹村委員 その点は、文書を持つておらないからわからないのですが、私たちは、とにもかくにも、どんなことがあつても、やつぱり早く帰してもらいたい、こういう立場をとつておる。従つて全会一致の決議案に対しても、われわれは賛成しておる。このことは問題にならないわけですが、なおその上において、おそくなつた場合においては、なおそういう問題を助長するきらいがあると言つただけでありまして、別に他意はない。従つて次の機会には、われわれが引揚げ問題について打ちました電報の成文を持つて参りまして、はつきり申し上げたいと思います。
  72. 吉川久衛

    ○吉川委員 そのことは、いずれはつきりしていただきたいと思いますが、外務委員会の方でも御調査中だといいますから、もう少し具体化したところでお願いしたいと思います。  それから遅れて来て恐縮でございますが、あるいはもう御審議になつたかもしれませんが、そうでなかつたら、次会において引揚者の人々に対する税の減免等の措置について、政府に何かお考えがあるか、またなかつたら、今後何か考えさせるようなことをお互いに研究する必要があるのじやないかと思います。次の機会にお願いいたします。
  73. 中山マサ

    中山委員長 今のお話に関連しておりますが、シヤウプ勧告案の中に、それがあるのでございます。私こういう書類をもらつておるのでございますが、シヤウプ勧告案の中に、あらし、火災もしくはその他の天災またはその他の非常現象によつて大損害をこうむつたものは、ある程度まで、損害が消滅するまで減税をすることということがあるので、特別な專門家によつて調べてもらつて、この問題を今日取上げたいと思つて、実はお呼びしておつたのでございますけれども、非常に時間が少く、今日はまた本会議もございますことですから、この次の機会には、ぜひこの問題を取上げて善処したいと考えております。
  74. 受田新吉

    ○受田委員 私、今日は外務大臣においでいただきたいと思つて、特に委員長を通じてお願いしたのですが、今非常に逼迫した引揚げ問題について、外務大臣である吉田さんに一言所信見解というものをお聞きしたいのです。吉田さんは、ああした高貴なお方としての風格を持つておるせいか、こうしたところはなかなか出て来ぬという傾向がある。それで委員会としては、国会法の第七十一條によつて委員会は、議長を経由して国務大臣及び政府委員の出席を求めることができるようになつております。この規定を通じて、委員会の名において、ただちに外務大臣に出席を要求していただきたいと思うのです。そうしてこの次にできるだけ早急にこれをお願いしたい、この点を特にお願いをしておきたいと思います。
  75. 中山マサ

    中山委員長 最大の努力をいたしますことをお約束いたします。  それではこれをもつて本日は散会いたします。     午後零時十八分散会