○
島立参考人 たいへん貴重な御時間を何回も費して恐縮であります。ただこの問題が、非常に大きく
引揚げ促進全般に影響し、われわれが常に寝食を忘れてや
つておる問題でありますので、ぜひひとつ
皆様にいろいろの過去のいきさつを申し上げて、御判断を願いたいと思うであります。ただいまの
金星放送局長さんの
お話につきましては、相当事実と違
つておるところがありますので、申し上げたいと思います。
私
ども長野県の各郡市の代表者が、十一月十日に
長野で
会議を開きまして、そこで私
どもこの
引揚げ問題については、今後大きな輿論を起さなければいけないということが各方面から常に言われ、輿論が低調であるから、これを県民各位に訴え、あるいは
放送してもらいたいという提案が、ございまして、満場一致決定いたしました。その翌日十一月十一日
長野放送局に参りましたところが、
長野の
放送局に
おいては、それはここへ持
つて来る問題ではない、
長野の
放送委員会で決定して来るところの問題であ
つて、ここへ持
つて来る筋合いではないということで断られました。それでそのとき
放送はあまりいろいろな問題にわたらないようにという御注意を受けたわけでありますが、
長野県庁にあります
放送委員会に参りまして、正式に文書を出して申し込んだわけでございます。その結果として、私
ども、もし
放送委員会がありましたら、その際には出席したい、そういうことを申し込んで参りましたけれ
ども、私
どもには、この
放送委員会からの通知もなし、また出ろという話もありませんでした。そこで十一月末、
長野県庁の
厚生課の徳武事務官から電話がありまして、十二月三日までに
放送原稿を十部届けろということでありましたので、私
どもは三日までに着くように十部の
原稿を県庁に送
つたわけであります。そうしたところが、多分七日だと思いましたが、県の方から電話が参りまして、徳武事務官が、
放送原稿の問題について打合せがあるから、今日か明日行くがということでしたので、お待ちしておりますということで電話を切
つたところが、その翌日徳武事務官が参りまして、この
提出された
原稿は
長野放送局から拒否された。これはいろいろの面に
おいてぐあいが悪いから、
放送させられない、こういう話でございました。そこでこれは
放送委員会が断
つたのか、また
長野放送局に
おいて断られたのか、そこを念を押しましたときに、
長野放送局でこれは断
つたものである、
放送委員会ではない、私
たちはこういうような問題を、八月十日の
全国大会におきまして、
中共毛澤東主席あてに対する公開懇請状として、大体この
程度のものをわれわれが
発表したときに、
中央放送局の方から参りまして、録音
放送を
全国へしておる。その他いろいろの面に
おいても、このくらいのことは、今当然私
たちとしては言
つてさしつかえないというふうに
考えておる。私
たち毎日のように総司令部その他へ参りまして、いろいろの陳情をいたすときに、もつと強い意味のことを言
つても、決してそれに対していけないと言われたことはございません。それで私
どもとしては、若干
字句とか、そういう点については、言い過ぎるとか、強く
表現を表わした点もあるかもしれませんが、そういう点は当然直すべきである。しかしどこが悪いかということは指摘されなか
つた。それでは、これについて悪いところがあ
つたら直す、いけないところは直して
放送したいと話をしたところが、これは全面的にいけない、この
原稿ならよいとい
つて、別の愛の
運動の
原稿を私に見せられたのであります。しかしその
原稿は年末愛の
運動をやるときにしやべりました援護者が自分の
立場に立
つていろいろ事業を並べた
原稿でございまして、私
どもが現在
引揚げに非常に苦労しており、また
県下の
留守家族が毎日心配しております
事情を訴えるものは、そこに何もない、全然
立場が違
つた原稿でございますので、私
どもとしては、これを
放送するということはどうしてもできない、私はそういうふうに
考えたのでございます。この却下されましたところの
原稿につきましては、あなたではわからないのであるから、この問題は一応後日に保留する。そうしてこの
原稿がいい、悪いについては、さらに私はあらためて配慮して解決することを保留する。そう徳武事務官に、そこで
はつきり
お話を申し上げまして、そうしてこの後者の
原稿を
放送することにつきましては、提案者の下伊那の代表者に一応連絡をとりまして、その上で返事しよう。そこですぐ下伊那に電話をかけましたけれ
ども、ちようど出ておりまして誰ができませんでしたので、今晩帰
つたときにあらためて返事をするから、徳武さんにとま
つてもらえないかと言
つたら、どうしても帰らなければいけない。それでは今晩県庁の宿直へ返事をしておく、そういうことでおわかれして、提案者と相談した結果、われわれの
立場から、それを
放送すると、とんでもない間違いができる。それらによ
つてこの
原稿は
放送しない方がよろしいと、私と同じような
考えを持
つておりましたので、その翌日の午前七時に
長野へ上電話をかけて断
つたわけでございます。
その後私
どもの方でもさらに徳武事務官に保留しておりましたところの問題について、解決しようと
思つておりましたときに、たまたま十二月の十一日に諏訪市で
引揚げ促進に関する
長野県民
大会が開かれたわけでございます。その席上、この
放送を最初提案された下伊那から、さらに提案がありまして、あの
放送問題が行き詰ま
つているという話だが、どういうふうにな
つているか、その経過を話してもらいたい、そういう提案があ
つたわけでございます。ちようどその席上、ここにお見えにな
つております
委員の吉川先生、
小川先生のお二人も列席されておりまして、私がその経過を申し上げ、さらにその
原稿を私
たち朗読したわけでございます。そういうときに、あまりそう大したこともできないので——県の宮澤民生部長もそこに列席されまして、その意見も聞いてみましたが、ただ強い
原稿だということは聞いていたが、
内容は聞かなか
つたによ
つて、いずれ
調査してみよう、こういう
状態でございました。そこでさらにその当日の提案者は発言せられまして、この問題を吉川、
小川両先生にお願いいたしまして、
衆議院の特別
委員会で審議していただきたい。これはわずかの小さい問題のようでありますけれ
ども、今後の
引揚げ促進の全般に関する大きい問題だ、こういう問題は今後
全国的にも起
つて来るかもしれない。それでぜひこういう問題は取上げて、われわれとしてこの切実な気持を国民に訴えるために、ぜひとももつと理解のある態度を
放送局からと
つてもらいたい。そういうような意味合いでも
つて、その
大会に
おいて決議されて、特別
委員会へ請願することに
なつたわけでございます。
それでその後におきましても、私
ども非常にいろいろのことでせわしくて、ときにより一時は
放送局へ出て参りまして、そういうことについてお伺いしたいと
思つておりましたが、そういうような時間もなし、またたまたま
新聞に出れば、
放送局側の意見としても、全然われわれと
考えを異にしたような
発表をされておるわけでございます。あるいは国際問題に関連しておるによ
つて、絶対出せないとか、数を言うことは国際問題であるとかいうことを、常に
新聞に
発表されておるわけでございます。それから先ほど局長さんの
お話のうちに、
ソ連が非人道的であるということを申されましたが、私の
原稿には、決して
ソ連に対して非人道的であるということは書いてありません。ただ
中共に対して非人道的だということは書いてございます。それはあの
中共の態度は、あの可憐な婦女子をつかまえて抑留させておる。あれはどこへ出しても非人道的であると申し上げて決して過言でない。そういうふうに
考えて、今でも
中共に対する非人道的という
言葉は、言
つてさしつかえないものであると私は
考えております。
大体の経過はただいま申し上げたような
事情でございますが、なおこれについて御質問がございましたならば申し上げたいと思います。