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1950-04-28 第7回国会 衆議院 運輸委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十八日(金曜日)     午前十一時八分開議  出席委員    委員長 稻田 直道君   理事 大西 禎夫君 理事 岡村利右衞門君    理事 關谷 勝利君 理事 前田  郁君    理事 米窪 滿亮君 理事 林  百郎君       岡田 五郎君    尾崎 末吉君       尾關 議二君    片岡伊三郎君       黒澤富次郎君    坪内 八郎君       畠山 鶴吉君    滿尾 君亮君       石野 久男君  出席政府委員         運輸事務官         (大臣官房長         官)      荒木茂久二君         運輸事務官         (海運局長)  岡田 修一君         運 輸 技 官         (港湾局長)  後藤 憲一君  委員外出席者         議     員 川村善八郎君         運輸事務官         (港湾局管理課         長)      松村 清之君         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ――――――――――――― 四月二十八日  委員黒澤富次郎君辞任につき、その補欠として  川本末治君が議長の指名で委員選任された。 同日  米窪滿亮君が理事補欠当選した。     ――――――――――――― 四月二十八日  運輸省設置法及び日本国有鉄道法の一部を改正  する法律案内閣提出第一九〇六号)の審査を  委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  小委員補欠選任に関する件  港湾法案内閣提出第一八七号)     ―――――――――――――
  2. 關谷勝利

    關谷委員長代理 委員長がお見えになりませんので、私がかわつて委員長の職務を行います。  これより運輸委員会開会いにします。  本日の議事に入ります前に、お諮りいたします。去る四月一十六日米窪滿亮君が委員を辞任いたされましたので、理事及び観光小委員がそれぞれ一名欠員になりましたが、同君は再び運輸委員選任になりました。従いましてこの機会に米窪君を理事及び観光小委員にそれぞれ補欠選任いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 關谷勝利

    關谷委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。     ―――――――――――――
  4. 關谷勝利

    關谷委員長代理 これより港湾法案を議題といたし、審査を進めます。質疑の通告があります。これを許します。尾崎末吉君。
  5. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 この法律案は、長い間、およそ一年平以上と思いますが、前からの問題でありましてこれに対しましてはもうすでにあらゆる角度から研究をされ、論議されておりますので、なるべくこの質疑応答の明らかになつておるところのものは省略いたしまして、そしてすみやかにこの法律の成立を希望いたしますので、そういう観点から総括的質問と、この法案の中にあるところの要点だけを御質問申し上げてみたいと思うのであります。  第一に伺つておきたい点は、この法律法案総則一條にありますように、「港湾管理者設立による港湾開発利用及び管理方法を定めることを目的とする」のであつて、その開発利用及び管理に関しては、提案理由説明ように、最大限地方自治権を与える。そして国家的及び地方的利益に最も適合する形態港湾管理者を設定するところの権能を、地方公共団体に与えるということであつて従つてこの建前から政府監督規制は、国家的利益を確保するための必要最小限度にとどめる。しかしながら港湾開発責任地方に移すことが、地方財政の不当な圧迫にならぬように、国の助成策を十分に積極的に講ずるのだという。     〔關谷委員長代理退席委員長着席〕 すなわち権能地方公共団体が持つ。国は港湾開発のために助成立場を積極的にとることと、国家的利益を確保するための若干の監督規制をする。こういうふうに了承いたしておるのでありますが、その点に関しまして、あらためて政府の御所見を伺つておきたいのであります。
  6. 後藤憲一

    後藤政府委員 ただいま尾崎さんのお話は、先般提案理由につきまして運輸大臣説明申し上げました趣旨を簡明にお述べになつたのでありまして、まつたくその通りで、私どもそう信じてこの法案提案いたしておるわけであります。
  7. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 その点よく了承いたしました。そこで二、三伺つておきたいのでありまするが、この総則一條の中に、「この法律は、港湾管理者設立による港湾開発利用及び管理方法を定めることを目的とする。」こういうことになつておるのでありますが、そのあとのところに、たとえますならば、今提案理由説明を一部復唱いたしましたが、その提案理由の中にも、港湾管理運営ということを述べられております。他の條項の中にも、管理運営という文字が各所に出ておるのでありますから、これらのものと関連して考えますと、第一條にあるいわゆる管理という文字の中には、運営が多く含まつておるということと、なおその上に利用という文句が書かれておるのでありますが、この利用及び管理、この文句と他の箇所に出て参りますよう管理運営ということは同意義だ、こういうふうに解釈してよろしいのであるか、これを伺いたいのであります。
  8. 後藤憲一

    後藤政府委員 第一條運営という言葉がないにかかわらず、他の條に運営という言葉がある点がいかにも奇怪に感ずるような感がありますけれども、運営とかあるいは経営とかいう言葉内容は、実は包括的に申すと非常にあいまいな点がある。それで利用及び管理という表現のうちに、運営という考えを含めて表現いたしております。その他の條章におきましては、運営というよう表現によつて意味が正確にとり得るところに使うておるわけでありまして、今お話通り利用及び運営というか、管理というところに、運営という通念的に感じられますところの観念が含まれておるというつもりで、この表現を用いております。
  9. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 次に伺いますのは、第四條第六項でありますが、「運輸大臣又は都道府県知事は、予定港湾区域が、当該水域を経済的に一体の港湾として管理運営するために必要な最小限度区域であつて当該予定港湾区域隣接する水域地先水面とする地方公共団体利益を害せず、且つ、港域法昭和二十三年法律第百七十五号)の港の区域の定のあるものについては、その区域をこえないものでなければ、第四項の認可をすることができない。」という、この中の当該予定港湾区域隣接する水域地先水面とする地方公共団体利益、これはこういうものを置かなければならないのであるか。なぜこういう事柄を加えておるのであるか、その点についておさしつかえない程度の御説明を願いたいと思います。
  10. 後藤憲一

    後藤政府委員 この「隣接する水域地先水面とする地方公共団体利益を害せず」ということは、たとえばAという地方公共団体一つ港域を予定いたしましてその港湾管理体をつくるとして予定線を一応確保いたします。その予定線が、すぐその隣接します町村の前面の水域との境界線がはなはだ判然といたしませんのでありますが、常識的に考えてはみ出しておるとかいうような場合には、その隣接町村といたしましては、やはり自分の利益を害されたというよう考えを持つことなきにしもあらずだと思います。そういう点を考えまして、この隣接町村利益というものを十分に尊重して、これを害してはならないという観念を入れて、従つて一つ港域を予定いたしまして、これを確定いたしますまでは、一応お隣に迷惑をかけないということが、実際の扱い方になるのじやなかろうかと思うのであります。こういう隣近所に迷惑をかけてはならないという意味の、ごく常識的な意味での考え方をここに入れておるわけなのであります。
  11. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 そうしますると、この文句は今おつしやつたように、関係水域を持つ地方公共団体に迷惑をかけてはいけない、こういう程度のものであつて、これらのものが不当に目分団体権限を主張するとか、あるいは主張せしめるおそれがあるとか、こういう点は別に大して心配しないでもよろしい。こういうことに解釈してよろしいですか。
  12. 後藤憲一

    後藤政府委員 そういうふうに考えてよいと思います。
  13. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 そこで同條のいわゆる七項の場合を同つてみたいと思うのでありますが、第七項の「第一項の協議、」すなわち第一項の「現に当該港湾において港湾施設管理する地方公共団体、従来当該港湾において港湾施設設置若しくは維持管理費用負担した地方公共団体又は予定港湾区域地先水面とする地域を区域とする地方公共団体(以下「関係地方公共団体」という。)は、第三項及び第四項の手続を経た後その議会議決を経て、協議の上、単独で又は共同して、定款を定め、港務局設立することができる。」というこのことが、第七項の「第一項の協議が調わないときは、関係地方公共団体は、第四項の区分により、運輸大臣又は都道府県知事に申し出て、その調停を求めることができる。この場合において第四項第三号中言港務局設立に加わつているもの」とあるのは「争の当事者であるものと読み替えるものとする。」ということと関連する。この七項の場合におきましては、九項とも関連するのでありますが、いわゆる協議がととのわなかつた場合におきまして、九項に移つて「第七項の申出があつたときは、運輸大臣又は都道府県知事は、従来の沿革、関係地方公共団体財政の事情、将来の発展の計画及び当該港湾利用程度その他当該港湾と、関係地方公共団体関係を考慮し、且つ重要港湾については内閣総理大臣協議して調停する。」この項目でありますが、この関係地方公共団体協議がととのわなかつた場合に、運輸大臣もしくは都道府県知事調停をするというこの調停は、調停がととのつた場合はいいのでありますが、ととのわなかつつた場合を考えましたときに、一体どうなるのか、こういう疑問が出て来るのであります。これは強制調停をやろうというのであるか、単なる調停であつて調停がととのわなかつた場合は、そのままにするというのであるか。その点を明瞭に御答弁を願いたいと思うのであります。
  14. 後藤憲一

    後藤政府委員 この調停は、強制権を持つておらぬのであります。元来港務局あるいは管理者設置というものは、設置するならこの法案によつて設置するというのでありまして、設置それ自身が、あくまでも自発的な性格を帯びておりますから、その設置をするためという意味においての調停は、強制すべき性質のものではない、こうも考えるわけであります。調停がととのわなければ、管理者設立というものはまとまらない。それを強制してまでというところを、これには規定いたしておらぬわけであります。
  15. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 おつしやる通りに、私が質問をいたしました半分の趣旨も、そこにあるのでありますが、要するに強制調停をするとしますれば、本法精神であるところの地方公共団体に、全面的に権能を与えるということと抵触するのでありますから、強制調停権限はないものということが今の御説明によつてはつきりいたしたのであります。そういたしますと、調停がととのわなければ、この第一項によるところの管理者設立はできない、港務局設立はできない、こういうことになるのであります。そうすると第三十三條に移りまして、第三十三條の「関係地方公共団体は、港務局設立しない港湾について、第二項において準用する第四條第三項及び同條第四項の手続を経た後、その議会議決を経て、協議の上、港湾管理者として、これらの地方公共団体の一を指定し、又は地方自治法第二百八十四條第一項の地方公共団体設立することができる。」これと関連をいたして参るように思うのであります。この設立に関する法律のねらいは第四條第一項の協定がととのわなかつた場合に調停をする。調停をしてもまとまらなかつた場合は、この第三十三條によつて、適当に港湾管理者を定めることができる。こういうふうなねらいになるわけでありますか。その点をひとつ承つておきたいと思います。
  16. 後藤憲一

    後藤政府委員 この法案は全般を通じまして、地方自治法最大限に尊重しておるわけでありますし、また地方団体といたしましても。自己の自治を主張する限りは、他の自治をも尊重せねばならない。従つてあくまでもその自治権において、お互いの自治を尊重しつつ協議するところにねらいがあるわけであります。しかしなおかつ協議ができないという際に、三十三條による協議に移るかという点、これはそういうような移り方をしようと思えばできるのであります。三十三條と四條によるこの二種類の管理者の行き方というものは、おのおのが独立しておるわけであります。しかし四條の協議がととのわなかつた場合には三十三條でやるということもあり得るわけであります。これはおのおの協議なり研究なりの過程において、そのいずれかをとるということになるものと解釈いたします。
  17. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 その点はわかりました。そこでその三十三條に関連をいたしまして、三十五條に「港湾管理者としての地方公共団体は、前條の規定、」すなわち三十四條であります。この「前條の規定による業務を執行する機関として、委員会を置く事ができる。2 委員会の名称、組織及び権限は、條例で定める。」こういうことになつておるのでありますが、三十三條によつて管理者を定めました場合におきましては、委員会組織するところの組織のやり方、あるいはその委員そのものの資格というものは、地方公共団体の自由になる、こういうことになつておるのであります。これと関連をいたしまして、第十七條欠格條項中、その第一の「国会議員又は地方公共団体議会議員」――まだありますが、特に「国会議員又は地方公共団体議会議員」は、委員となることができないという欠格條項に該当することが規定されておりるのであります。今申し述べました第三十五條関係から考えますれば、この「国会議員又は地方公共団体議会議員」は委員になることができない、こういうことと、第三十五條のこの精神とは、少し矛盾があるよう考えるのであります。もしこの三十五條が、かくのごとく自由に行われるのでありますならば、この第十七條欠格條項の中から、一の「国会議員又は地方公共団体議会議員」は、欠格條項に該当するという、これをひとつとつてしまうか、またはここに但書でもつけて、ある程度の、たとえば議員の中から一名程度委員を任命することができるということにするとか、そういうことに対して、どういう御見解をお持ちであるか。その点を明瞭に承つておきでたいのであります。
  18. 後藤憲一

    後藤政府委員 十七條港務局委員欠格峰件について申し上げますが、港務局とは、あくまでも経済行為をするところに、その任務の中心があるわけであります。国会議員の場合は別といたしましても、この関係公共団体議会の方はあくまでも立法府であのます。立法府の山前法者がその中の経済行為をするところに入るということは、各種の法律におけると同様に公正の原則にも反しますし、単なる議会との連絡という意味でありますれば、他に幾多の方法もある。こういう点にかんがみまして、十七條欠格條項を私どもといたしましては存置いたしたいと、こう思います。そこで三十五條欠格條項がないのはなぜか、矛盾ではないかという御指摘に対しては、これはもうその通りな点を認めざるを得ないような感じがいたしますけれども、十七條欠格條項を当てはめますところの港務局というものは、いずれにせよ、やはり日本の代表的な港湾、言いかえれば、世界中の港湾におきまするランクを争うよう一流港湾においておそらくとるべき組織である。ところが両界の一流港湾組織のポート・コミツシヨンの内容を見ますと、いずれもみなこの趣旨の制限を加えて組織されておるのであります。三十三條によりますところの組織体になりますと、これは程度判然といたしませんが、通念的な意見においての二流、三流という港湾において、多く適用される組織だと私は思うのでありますが、そういう組織におきましては、あまりやかましいことを言うて管理者が能力を発揮できないということになつてはいけないという考えにおきまして、あまりむずかしい規定を実は避けたのであります。そこに矛盾はありますけれども、なるべく実際に沿いたいというような気持をもつて、三十五條に十七條の適用をいたさなかつたわけであります。
  19. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 速記をとめさしてください。
  20. 稻田直道

    稻田委員長 ちよつと速記をとめます。     〔速記中止
  21. 稻田直道

    稻田委員長 速記を始めてください。
  22. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 今の点は大体わかつたのでありますが、あめともう一つでのります。  第五十一條に、「運輸大臣は、重要港湾において、港湾利用を増進するため特に必要があると認めるときは、港湾管理者を設くべきことを関係地方公共団体に対し勧告することができる。」とりある。この一條は、本法の立法の根本精神から考えましていわゆる大臣地方公共団体に干渉しないという建前から考えますと、不必要であるよう考えられるのであります。これはとつてしまつてもいいか。それともまたさつき質問いたしました四條の七項、八項、九項等と勘案してみまして、重要港湾でも協議がととのわないために管理者を定め、港務局をつくることができない場合もあることを考えて、干渉という意味でなくて、よい方にこれを適用する、こういう考え方から置かれたものであるか。もう一ぺん申しますと、五十一條はやめてしまつてもいいものであるか、置いた方が都合がいい場合もあるというので、これをつくられたのか、その点をひとつ伺つておきたいと思うのであります。
  23. 後藤憲一

    後藤政府委員 管理者設立ということを地方公共団体の自由な自治権の発動としてやるという点が、この法案のよりどころであるという点は、少しも動いておらぬのでありますが、しかし国の立場といたしまして、ある場合にこの港は管理者をつくつた方がいいのだという判断をなさざるを得ない場合があります。その場合に、勧告するということをその担当の大臣といたしましては持つておるということは大事だと思います。たとえて言いますれば、避難港というものは、実は自然発生的にできるのではないのであります。多くの港はたいてい、そこに船が寄るから港になつた、それがだんだん大きくなつたというような自然発生的なものでありますけれども、避難港のごときは、人力をもつてつくらねばなりません。しかもそれは海運一貫性から判断して、港のできないところにむりにつくらねばならぬ性質のものであります。従つてわれわれといたしましても、国の負担というものは七五%という高率をもつてつておる。おそらく寒村僻地のほんとうの人口のまれなところではありますが、一応そういうものをつくるということが、国の立場として、ある意味で国の利益を擁護下るために必要であるとすれば、そこに避難港をつくらねばならない。従つて、つくればやはりその区域管理者というものを設定して運営して行くことが最も望ましい。そういう際に勧告のできる余地を持つておるところに、運輸大臣としての職能が果せるのではないかと思います。しかしこれは決してむりに、たとえば協議がまとまらぬところに対してむりにつくらせるというような強制勧告ではなくして、こういう海運の総体の立場から見て、港湾を必要とし、港湾管理者を必要とする場合に勧告権を発動する必要があるのじやないか。こういう際、大体話合いでもつて済むと思いますが、一種の伝家の宝刀のようなことで、一応書いておくことが必要ではないかと私信ずるわけであります。
  24. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 大体私が重大と思う点の質疑はこの程度におきまして、他の同僚議員に譲ることといたします。
  25. 稻田直道

  26. 關谷勝利

    關谷委員 この港湾法は、すでに一年有半にわたつて論議が尽されておりますけれども、ことに閉会まぎわに押し迫つてから上程いたされておりますために、各條項につきまして一々論議をいたしておりました場合には、とうては審議は尽されないのであります。審議未了になることは間違いないのであります。現在の状態から申しまして、どうしても残りの今期のうちに衆参両院とも通過せしめなければならない。従つてこの点から申しますると、質問も詳細にわたつてすることができ得ないのであります。従つて私は総体的な質問を試みたいと思います。  大体この法案は飛躍的なものであります。そこに何と申しまするか、従来の官僚と地方自治との間に非常なる争い、摩擦が起つておるのは、現実の事実であります。そうしてそのような紛争が起きておりますために、非常にこの港湾法というものが論議せられることになるのでありますが、その上におきまして関係方面におきましても、セクシヨンの中におきましていろいろ意見の食い違いがある。これがなお一層この港湾法というものに複雑さを増しておるというよう状態でありまするが、この間調停のできた――サゼスチヨノに基きまして、現実にこの港湾法と申しますか、管理主体等を急速に設立せしめて、現存接収されておりまするもの等は返還をするというふうに言われておりますので、早急にこれを返還してもらうというような方向に持つて行かなければならないと思います。  そこで私のお尋ねをいたしたいのは、まず第一番に、どうしても管理主体設立せしむることを第一義としなければならないのであります。その形態が第四條によりまする港務局、あるいは第三十三條によりまする地方公共団体管理者をつくる、いずれにいたしましても、これをさつそくつくり得るようにしなければならないのであります。なおまた、ただらにこの大きいものをつくりましても、これに対しましては非常なる経費がいるのでありまして、収支が相伴わないがために、勢いポート・チャージが値上げされるというような問題にもぶつかつて来るのでありまして、最初におきましては小さいものをつくつて、順次充実するというふうなことに運んで行くことが、最も現実性を帯びておるものではないか、このよう考えられます。なおもう一つ考えなければならないことは、国が有する施設にいたしましても、これは無償讓渡ではないのでありまして、公共団体負担をいたしました費用の範囲内で、これを無償讓渡すると法文の一部に書いてあるのであります。またこの第四條によりまして、数箇の公共団体港務局をつくるといたしまする場合に、今まで各日治体経費負担をして、港湾施設その他をつくつて来たのでありまするが、その港務局に対して無償讓渡できるものであるかというようなことを考えました場合に、昨日の参考人あたり意見でも、決してさように単純には渡さないのであります。たとい設立ができたといたしましても、将来におきまして、こういうふうなことで禍根は残つて来るのであります。  このようなことを考慮いたしまする場合に、当初の設立は、各自治体の自由なる意思によつて、その貞治体に最も適合したものをつくらさなければならないのであります。この公共団体は三つありまして従来経費を投じたもの、あるいは現在完了しておるもの、あるいは将来の計画として港湾区域に編入しようとする地先面を持つておるもの、この三つが同じような権利を持つておる場合に、とうてい話のまとまりようはないのでありまして、これらを協議の上でつくれと言うたところでとうていつくり得るものではないのであります。第四條は、当局におきましては、港務局設立は決して認可制でな請い、許可制はやめたのだ、こういうふうに申しておりますけれども、決してさようではないのであります。表面はまことに許可制ではないのでありますけれども、区域の問題につきましては認可制であります。この法務局設立につきまして最も論議せられまするものは港湾区域であります。この困難な区域について、これが認可制でありまする以上、四條全部が認可制であるのと同様のものであると、私たちは考えざるを得ないのであります。この点は、昨日の五大都市の代表並びに地方港湾の代表者が参考人に出まして述べた意見もその通りでありまして、昨日港湾代表者から出ました通りに、各自治体で思い思いにこれを設立する過程において、何ら認可、許可ということなくして設立するように修正すべきが、妥当であると私は考えておるものであります。昨日――本日も見えておりまするが、兵庫県の副知事が言われておりましたように、一市町村管理主体は、その構想がまことに小さくなり、かつまた負担にたえないから、大なる建設面の発展等は望み得られないであろうという御意見がありまして、この点ごもつとものようではありまするけれども、現実には従来の五大港あたりにおきましては、市と国との負担であつて、県は現実負担をしておらない実情から見まして、この主張は私にはらよつと不審の点があるのであります。なおまた業者の方の参考人の意見といたしましては、この港湾の取扱いはあくまでも全国が統一さるべきであつて手続あるいは料金等が同一であるべきを主張いたしまして、各港湾管理主体自治的な各自々々の運営にまかしておつたのでは、たいへんであるというふうな意見もありましたけれども、料金の異なる点というようなことは、現在におきましても、入港料その他におきましては、それぞれその地方々々の港によりまして、その特色を生かして、料金も違つております。この料金等におきましては、公聴全等におきまして引下げ得る手続等もあるのでありまして、これが業者の言うように一律にしなければならないというふうなことも、私たちはあながち真主面に受取り得ざるものとも考えるのでありますが、なおまたこの法案の中におきましては、帳簿の記載方式等に至るまでも統一するようなことになつておみのでありまして、決してこの管理主体を自由に般置せしめましたからと申しまして、業者が非常な不便に遭遇するというふうなことは、私たちは考えておらないのであります。よつてこの際どういたしましても、第四條、従つて第三十三條もそうなつて来るのでありますが、その條文中において認可、許可ということは、区域その他を問わず一切を要せざるように修正をして、すみやかに設立をせしむることが第一義と考えるのでありまして、私はその点だけはどうしてもこの線に沿つて修正しなければならないと考えておるのでありまするが、この修正ということに関しまして、当局はこれに応ずる意思あわやいなや、この点をはつきりと伺つておきたいと思います。
  27. 後藤憲一

    後藤政府委員 四條の点で、港務局設立は自由であるが、区域に対する認可制があるから、全体としては認可制ではないかというお話でありますが、区域というものにつきましては、水面というものに判然とした境界が定めにくいわけで、この六項の後段に、隣接町村利益を害せずという條項もうたつておるようなわけであります。また水面それ自身が公有という観念に属するものでありまして、この港域の中には、この法によりまして、管理者には特定な権力を与えられておる。この権力を行使するところを、かつて区域をきめられるというような行き方は、政府といたしましては同意いたしかたいと私は思います。
  28. 關谷勝利

    關谷委員 これは私、港湾局長の言われることはごもつともなようであり、ごもつともでないとも考えるのでありますが、この水域――公有水面、これの区域が定めにくいというふうに言われておりまするが、これが公有であるから判然としにくい。従つて隣接町村利益を侵すようなことがあつてはならない、圧迫するようなことがあつてはならないということは、よくわかるのでありますが、大体常識的に判断をいたしまして、この港湾区域になりまする水域というものは、その自治体の区域から判断いたしました場合に、容易にこれが判断することができるし、もしそういうふうなことの場合には、従来の慣例等によつて、私は楽に判定することができるのではないかと、こういうふうに考えております。あくまでもその自治体の、何と申しまするか、管轄の区域内における水面をその自治体の有する港湾区域、こういうふうなことにいたしまして、そうして早急に設立ができるように運びたい、こういうふうに考えておるのでありまして、その港湾水域自治体の区域内に限るとこういうふうなことに限定する場合には、決して一つ自治体を二つに分割するということにはならないのでありまして、私は非常にやりやすい問題ではないか、こういうふうに考えておりますので、どうしてもそういうふうなことにして、数箇の自治体が有する水面を区域として、何らの認許可を要せずしてただらに設定できるようにしたい、こういうふうな意味なのでありまして、そういう方向に持つてつて修正をするようなことに対して、同意するかどうか、この点伺いたいと思います。
  29. 後藤憲一

    後藤政府委員 水域のことにつきましては、この法案による港湾区域として水域が設定されますと、それによつて当然この法案によりますところの権能管理者が帯びて参りまして、従つて多くの場合私権に対する規制を行うことになります。言いかえれば、私権を規制する権能を与える範囲ということになりますので、国といたしましても相当重大な関心を持たざるを得なくなて参ります。従つて、ただこの区域についてのほうずにまかす、この点を無制限にするということにつきましては、ただらに賛成いたしがたいと思つております。
  30. 關谷勝利

    關谷委員 この点は完全に意見が食い違つておりまするけれども、私はそういう方向に持つて行かない限りには、この港務局設立はどうしても第四條によつて設立することができ得ないと思うのでありまして、どうしてもこれは修正すべきものなりと考えておるのでありまして、やがて私たち修正の動議も出したいと存じております。この点見解の相違でありまするので、この第四條に関しまする質問は打切りたいと思います。  次に、この第一條並びに第十二條の業務の管理運営に関しまして、港湾管理主体となるべき自治体と各業者との間におきましては、これは昨日の参考人の意見によりまして、完全に意見が対立をいたしておるのでありまして、これは慎重考慮をしなければならないと考えております。この点に関しましては、ある過渡期におきまして、暫定的に管理主体政府並びにその出先機関が監督調整をすべき最小限度権限を残して、そうして管理主体に対しましては、何と申しますか、従来政府が行つておりましたところの事務をことごとく委讓することが、最も適切ではないか、このよう考えるのでありますが、従来港湾において官庁が行つて参りましたところの業務をすべて管理主体に委譲し、そうして管理主体を国家が監督指導をいたすような方向に持つて行く意思があるかないか。  さの点、もとより管理主体ができまして、そうしてあらゆる訓練を経て参りまして、管理主体に放任して一任し得らるる時代が参りましたならば、それは地方自治精神からして、これを全部一任し、政府の監督というようなことを排除してもさしつかえないのでありまするけれども、この過渡期におきましては、暫定的に、国家の管理主体自体を監督指導いたしまする権限最小限度に残し、そうして現在行つておりまする業務を全面的に港湾管理主体に委讓する御意思があるかないか、この点を伺つておきたいと思うのであります。
  31. 後藤憲一

    後藤政府委員 港務局の実務に関する條項につきまして、港務局自体の監督は中央でもつて直接いたすことになつておりますが、また運輸大臣の業務といたしましては、その出先機関としていろいろな行政事務があるわけであります。これは今のお話でただちに港務局に移さぬかというような御質問ように聞えまするけれども、日常の業務というものは、その日から運営して行かればならぬものであります。しかしこの法案では、おのおの港務局なり、あるいは管理体なりを、つく意思のある自治体がつくるということになり、また従つてつくりつつかつ成長して行くというある過程の期問があると思います。しかし国の事務というものは、その日からただちに運営せねばならぬというところに、時間的のずれもあるわけであります。われわれといたしましては、港務局なり管理主体というものができまして、そうしてその成長の模様を見まして、国の事務をまかしてもいい時期が来ますれば適当な時期に逐次追加してやつていただくというようなことにいたすのが、最も実際的なものではなかろうかと考えるわけであります。
  32. 關谷勝利

    關谷委員 もとより管理主体ができ上りまして、さつそく業務を行い得る状態までの、引継ぎに至ろ期間は政府がやるということは、これはもとよりなのでありますが、完全にこの港湾管理主体が機能を発揮し始めた後は、ただちにこれを行いましても、その日からやることに何らさしつかえはない。私はこのよう考えておるものであります。なおまたこの管理主体をつくらしまして、そうしてなお国の行いますることと管理主体が行いますること、この二つになつておりますことは、港湾の一元行政でなくして、二元行政ということになりまして、港湾行政を非常に複雑にいたします。改善ではなくして改悪ということになりますので、この際そういうような事務は全面的に委讓して、そうして港務局あるいは三十三條によつてできました管理主体を国家が監督する、こういうふうに持つて行くのが最もふさわしいものではないか、こういうふうに私たちは考えておるのであります。ただ先ほどの港湾局長の御意見によりますると、現在含まれております業務をまず委讓し、しかる後にその状態を見て逐次委讓する、こういうふうな御意見ようでありまするが、それはいつごろまでの時期にそれを委讓するという御意思であるのか。暫定的に、現在のこの法律によつて一部を委讓し、そうして早急にやるつもりであるのか。あるいはこのままできるだけひつばつて、長引かして行きたいというふうな気持であるのか。その辺を伺つておきたいと思います。
  33. 後藤憲一

    後藤政府委員 決して光へ延ばそうというわけではないのでありまして、港務局設立し、国の事務をまかせ得られるように成長いたします際には考えるべきものであると思います。この時期につきましては、成長の過程にありますから、判然と申し上げるわけには参りません。ただ運輸というものの関連性といいますか、一貫性と申しますか、そういう性質関係することは、なかなかまかせ切れぬと思います。その件について、港だけ処置できるよう性質のものでありますれば、割合に早い時期にまかせ得られることになるのではないかと思うのであります。これらはいずれも先へそう延したり何かするということになりますから、はなはだ返答もあいまいになりますけれども、性質上やむを得ないものと御了承願います。
  34. 岡田五郎

    岡田(五)委員 關谷委員からのは、港務局その他の管理主体性質についての質問ように私聞き及んでおりますので、関連しておると思いますから質問いたしたいと思います。  先ほど政府委員説明によりまして、港務局性質として、委員国会議員公共団体議員を入れないということは、港務局その他の管理主体に非政治性を持たしたい、こういう意味に私解釈いたしまして、港務局及び管理主体は非治的性質を持つておるものだ、かよう考えておるのであります。一方この港務局及び管理主体に行政事務を扱わせるおつもりなのかというと、今の御区返答によりますと、将来時期が来たならば行政事務を持たしてもいいというような御返事のようでありました。私はこの港務局及び簡理主体は、公共企業体的な、具体的な例を上げますと、国有鉄道と同じような本質のものではないか。非政治性を持ち、しかも非行政的な性質を持つた公共企業体的な性質のものである、かよう考えております。むしろ行政的な事務はやらない方がいいのではないか、かよう考えるのでありますが、大体この港務局及び管理主体について、政府委員は本質的にどういうよう考え方を持つておるのか。その辺をはつきり御返事をしていただきたい、かよう考えます。
  35. 後藤憲一

    後藤政府委員 性質といたしましては、十七條欠格條項に対する説明を申し上げました通りに、港務局あるいは管理主体というものは、あくまでも非政治的なものであると確信しております。従つてこれは何と申しますか、監督行政というような――行政の意味にもいろいろな場面がありまして、きわめて事務的な、単に扱い上的なものもありますし、深く政治を反映するところの行政事務もあると思いますが、そういう業務的な性質のものを県にお願いするというよう程度のことで、真に政治的なまたは行政的なものを非政治的なものに扱わせることは、決して当を得たものではないと私考えております。
  36. 關谷勝利

    關谷委員 次にこの本員の選任につきまして、先ほど岡田委員からも尾崎委員からも御質問があつたのでありますが、片一方におきましては、委員の一名は、地方議会議員欠格條項より除外してもらいたい。当然自治団体と連絡して任命するべきものである。教育委員会もその通りであるから、こういうふうな意見が出ておるのでありまするし、自治体といたしましては当然のことでありまするが、しかしながら業来者は全部これに反対をいたしておるのであります。労働者関係あるいは業者におきましては、おのおのの自己の業体の中から、その代表者をとれに参加せしめられたい、こういうふうな希望をと持つておるのであります。     〔委員長退席、岡村委員長代理着席〕 そして互いに意見が対立いたしまして、自分はこの委員の中へ入りたいが、他の関係のあるものはこれを排序してもらいたいという。まつ正面に、完全に反対の意見を持つておるのであります。この委員のことにつきましては、現実的に、ごく常識的に考えまする場合には、この自治体の関連性から申しまして、経済その他に影響がありますからして、自治体からもこれは当然入れるべきものである。なおりまた将来、港の開発、発展をはかる上におきまして、港内のいろいろな業務の発展という面から考えますると、これらの権威者を網羅するということが、これまた私は妥当であり、労働者関係の代表者も入れることが妥当である。このよう考えられるのでありまするが、この十七條を、こういうふうにあらゆるものを包括した、そうしてお互いに提携をして、港湾開発、発展に寄与したいというふうな立場の人を任命してさしつかえないということに変更する御意思があるかどうか。この点はすでに尾崎委員からも質問をいたしておるのでありますが、もう一回念のためにお尋ねをいたしたいと思います。
  37. 後藤憲一

    後藤政府委員 十七條の点につきましては、先ほど尾崎さんからのお尋ねにありましたときに申し上げました通り欠格條項というものは撤去いたすような意思をわれわれとしては抱いておりません。
  38. 坪内八郎

    ○坪内委員 ちよつと関連して――先ほど同僚委員尾崎委員並びに關谷委員から、この委員会のメンドーのいわゆる欠格條件についての質問がございまして、局長よりアメリカの行き方についてお話がありましたが、私は欠格條件の中に、どうしても地方公共団体議会議員を入れるべきだという強い意見を持つておるわけであまりす。先ほど政府委員説明によりますると、アメリカの行き方は、そういう組織の中に地方公共団体議会議員を入れないような傾向にあるから、こういう措置をとつたということが、その原因の一つだというようなことを承つたのでありますが、御案内の通りアメリカにおきましては、サンフランシスコにおきましても、あるいはニユーヨークにおきましても、あるいはコロンビアにおきましても、つとめて議員の数を減らそう、ニューヨークにおきましても十名たらずの議員であり、またサンフランシスコその他コロンビアにおきましても五名たらずの議員であつて、その議会のもとに強力なシテイ・マネジヤーという事務局があつて、そうして運営しておる。だからそういう地方公共団体議員を人れようと思つても入れられない。ところが日本地方公共団体あるいは地方議会の性格は、地方自治法その他の関係からいたしまして、性格がまつたく違う。だからむしろそういう地方の住民に直接あるいは間接に密接な関係を持つこの法律内容においては、十分そういつた地方公共団体議会議員を入れるべきであると思う。先ほど政府委員の話によると、片方は立法機関であり、片方の地方公共団体の長というものは、行政執行機関の一つの長であつて、執行面を担当しておるので、往々にして地方公共団体議会と執行面との意見が大いに食い違うというような場合もあり得るので、この際は、このメンバーの欠格條件の中に、地方公共団体議会議員を入れると言われることは、どうも納得が行かないのであります。先ほどの政府委員説明によるアメリカの行き方がそうだからということは、少し考えが違うのではないかと思う。またアメリカにおいても、日本公共団体なり、あるいは地方議会というものの認識か十分でないのであつて、私はそういうのは理由にならない、かよう考えておるわけであります。關谷委員質問関連して、その点をどういうようにお考えになつておるか。もう一度御質問いたしたいと思うわけであります。
  39. 後藤憲一

    後藤政府委員 先ほど私がアメリカの例をとりましたのは、ただ例にとつただけであつて、それを論拠にいたしたわけではありません。この港務局あるいは港湾管理者というものは、あくまで非政治的な性格でなければ、ほんとうの港の経済的な開発というものはできないので、議会との関連において必要だというお話ように聞えますけれども、あくまでも市長あるいは理事者との密接な関係において、この委員運営が動いて行くのでありますし、また委員会に対する人事、予算につきましても、市の理事者と密接な関係かあるのでありますから、市の議会といたしましても、もちろん密接な関係を持つてつてもらうことは当然必要なことではありますけれども、しいて委員の中に議会議員が人らねば、執行面が動かないという性質のものではないと思います。これは悪い例かもしれませんけれども、Aという当時の力のある政党から議員か出た際に、次に政変が起きて、Bという政党が力を得た際には、Aから推薦された者が逆の立場になりますれば、この委員会の活動は逆の効果を生ずる。こういう場合もしばしばあり得るのではなかろうかと私は思います。従つてむしろ完全に地方の政治情勢を離れた、経済的に確立したものであるべきことが、最もいい組織ではなかろうかと思いまして、そういう意味で、この欠格條件につきましては、私はそのよう考えておるわけであります。
  40. 關谷勝利

    關谷委員 港湾局長の言われるようになりますと、中立の議員であればいかなる場合でもさしつかえないというようなことにもなるのであります。そういうところは見解の相違といたしまして、次に移りたいと思います。  この第三十三條による設立の場合におきましては、第十六條、あるいは十七條委員欠格條項関連を持つておらないのでありまするが、また独立採算というようなことを考慮いたしまする場合に、自治体の運営も行いやすいという点から、この三十三條による設立がほとんどを占めるのじやないかと思われます。なおまた港湾施設を全面的に管理主体に讓与するというようなことも、この場合において初めて容易に行い得るのでありまして、この方法によるものがほとんど全部を占めると思う。たとえば大きなる港湾といえども、私は第四條にありますところの港務局というものは、当初においてはほとんど設立を見ないのではないか。なおまた経費の面から申しまして、当分の間は設立すべきものではないというふうにも考えられるのであります。この三十三條にいたしましても。第四條を基礎といたしておるのでありまして、四條を緩和しない限り、三十三條の設立も非常にむずかしい。従つてせつかくこの法案が通過いたしましても、四條を緩和して、その間に許可、認可というような点を一掃しない限りは、どうしても管理主体というものは設立を見ることができない。従つて現在接収せられておりまする港湾の返還等は思いもようない。こういうふうになつて参りますので、この法案を通じて最も重要なる点は、四條の修正にあると考てるのであります。私どもはその点はぜひとも運輸当局に一歩を讓つてもらつて、そうして円満なる設立を見るようにいたしたいと考えるのであります。あくまでも四條に対しましては、修正せらるべきが妥当であると考えますので、重ねて四條の修正の意思ありやいなやということを、お尋ねいたしたいと思います。
  41. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 非常にきつい御質問でございますが、港湾区域認可の問題でございますけれども、これにつきましては関係方面においてもいろいろ御意見がございました。また現にアメリカにおきまして、オレゴンの港に三つポートオーソリテイーがある。あるいはどこの港には七つあるということで、アメリカのポート・オーソリテイーの制度が円滑なる運用をいたしていない。従つて日本において再びアメリカのような例にならないようにすることを望むというような、御意見の開陳もありました。決してわれわれ官僚どもが、国家権力によつて、どうこうしようということではございませんので、十分に地方自治を尊重しつつ、なおかつ広い国家的利益並びに地方団体相互間の利益を調節して行くという見地に立ちまして、この港湾区域をきめることに関しては、国家的重大なる関心を持たなければならない。もちろん小さいのは刑でございますけれども、価界的に有名な大きな港におきましては、その点は国家的関心を持たなければならないことは強く言われておりますし、われわれもさよう考えおります。われわれ運輸省といたしましては、いろいろの手続を経まして提出いたしましたこの法案を、ここで修正いたしますと申し上げるわけには参らないのでございまして、お言葉をお返しするようでありますけれども、国会の方でおやりになるということは、国会の独自の国家最高機関としての御意思でございますけれども、われわれといたしましては、でき得べくんば立案いたしました、政府の意のあるところをおくみとりいただきまして、原案のまま御可決いただくことを、衷心よりお願いする次第であります。
  42. 米窪滿亮

    米窪委員 第四條について、関連質問をしたいと思います。四條は管理主体の範囲をきめるのですが、このうち一の場合と、二の場合はこれはわかると思うのです。三の場合の「予定港湾区域地先水面とする地域を区域とする地方公共団体」というのは、極端な場合を考えますと、関門のごとき、二つの県と五つの港というものが、考えようによると、みな予定港湾の地先の水面ということに包括されると思うのです。そうすると洞海湾まで一つ管理母体でこれをまとめ得る可能性があるが、それでは事実において行政区域が非常に広くなつて、予定港湾の地先の水先というもの、いわゆる港域というものと、行政区域が非常な混乱状態に陥る危險がある。これは極端な場合ですけれども、われわれはそういうことも予想され得まするから、この予定港湾区域地先水面とする云々というものを合せた一つ管理母体をつくるということは、非常にむりだと思うのです。従つてこれは神戸、横浜等から修正意見として出ておるあの案の通り、こういうものは別々な管理母体にするのが、りくつからいつても、現実の面からいつても、当然過ぎるほど当然のことであります。たとえば従来横浜なら横浜、神戸なら神戸で、港湾施設に金を出しておるところの関係地帯は、それは当然であるが、一文も金を出さず、たとえば、例にとつてはなはだ相済みませんが、川崎市のごときは一文も出しておりません。ただ港域として地先がつながつておるだけであります。こういう地域は別にこれを本法にいう港湾管理の母体にしておけば、こうもさしつかえない。ただ出口が北の方は開けぬから、南の方から横浜を通つて行くだけの話である。であるからこれはりくつから見ても間違つている。政府として修正される意見があるかどうか。こういう区域を一緒にしようというのは、りくつからいつても不合理である。であるからこれは修正意見ように、別々に港湾管理母体として届出させて、それを許せばいいわけである。何を苦しんで一緒にしなければならぬか。関門の場合はただらにこれが問題になつて来ます。だからこの点について、関門のようなああいう特殊な場合においては、これを一つにするか、あるいは五つにするか、六つにするか、そういう点について思いを及ぼされたことがあるかどうか。港湾局長にお尋ねいたします。
  43. 後藤憲一

    後藤政府委員 ちよつと速記を中止」していただきたいのですが。
  44. 岡村利右衞門

    ○岡村委員長代理 速記をとめて……     〔速記中止
  45. 岡村利右衞門

    ○岡村委員長代理 速記を始めて……
  46. 後藤憲一

    後藤政府委員 しかしながら、できるだけ広い範囲の港域での港湾ということは、港湾の将来の発展ということを考えますれば、またその港務局の経済的な目立という点から見ましても、利益だろうと思います。公共団体といたしましても、やはりこういう一種の公企業体をつくる限りは、そこの目立経済を望むのは当然でありまして、その経済がうまく行くようにするには、やはり狭い区域よりも広い方がいい。ことに海でございますから、できるだけ広い方が私はいいと思います。そういう意味において、今のお話の関門を一港とすることは、私も実情に沿わぬと思いますが、しかしこれを二にするか、三にするか――今の六港をおのおの別にするかということは、かえつて災いをあとに残すと思います。また京浜間においても同じことが言い得られるし、阪神間においても同じようなことが言えるのではなかろうかと思います。話合いのつく限りはつけて、港域について単位港務局をつくるというところに、われわれとしては一つの理想があるわけでありますが、その理想と現実とをどう取合せるかということは、関係自治体のお互いの自治を尊重するという、いわばトレランスの精神をどう運用するかということにも、またかかつておるのではなかろうかと私は思うのであります。しかし必ずしもそういうわけばかりにも行かぬ場合もありますが、できるだけ広い港域港湾を単一港湾にするということが望ましい。これは直接地先を使用しますところの市町村関係することでありますが、さらに市町村組織の上に、現在といたしましては県という組織がある。そして行政の末端につきましては、県が行政権を持つて実際に動いております。これが現実であります。何らかそこに県といたしましても、県の立場でも、地先水面というものは重なるのであります。埋立てによる各種の権能のごときも、やはり国の機関としての知事に委任しておるという事情もありますので、それでこの第三に当る、または以下の表現は、われわれとしても入れざるを得ない、こういうわけであります。
  47. 關谷勝利

    關谷委員 これはあくまでも見解の相違であるようでありまして、原案提出者といたしまして、修正いたすということは言えぬのであります。それをお尋ねする方がむりだと思いますから、この邊で打切りたいと思います。もとより理想的に申しますれば、東京湾に一つ、阪神に一つ、関門に一つというのが理想的でありますけれども、現実はさようには参らぬのであります。そこで各自治体が一つ一つ当初につくつて、それが次第に経済的に発展をして参りまして、統合せられる。こういうふうな過程を踏みまするのが、現在におきましては最も適切ではないかと、私たちは考えておるのでありまするが、この点見解の相違で、これ以上お尋ねすることを差控えます。  次にお尋ねをいたしたいのは、この港湾に対する国費の補助であります。この点は従来北海道におきましては、非常に人口がまばらでありまするがために、とうていその一地方のみにては負担に耐え得ない、こういうことになつておりまして、重要港湾あたりの水域施設、外郭施設等におきましては、全額を補助しておりまするし、繋留施設では四分の三を負担しております。なおまた避難港におきましても、全額「負担をいたして参つたのでありますが、その他いろいろの補助が、他の地方とは異なつておりまするが、この法案によりますると、他の人口稠密な地方と同じような補助率になつて参るのであります。そういうことになりますと、将来は北海道には港湾ができない、こういうふうなことになつて参るのであります。この点いかなる方法を講ぜられようとするのか、伺つておきたいと思います。
  48. 後藤憲一

    後藤政府委員 この点指摘いたされまして、私ども原案作成者として、はなはだ申訳なく思うております。いろいろな関係上、その表現をこれに入れることができなかつた点は遺憾でありますが、できるだけ早い次の議会におきまして、北海道の港湾に対する国の負担及び補助につきましては、特例法を提出いたしまして、御協賛を願うようにいたして、二十六年度の予算には、ぜひとも間に合せるよう努力いたしたいと思います。
  49. 岡村利右衞門

    ○岡村委員長代理 委員外川村善八郎君から関連質問があるそうですが、許してよろしゆうございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 岡村利右衞門

    ○岡村委員長代理 川村善八郎君。
  51. 川村善八郎

    川村善八郎君 ただいま後藤局長から、第四十三條の第二号にあります事項は、北海道とはさしておりませんが、地方港湾の補助について、特別な扱いを北海道でしなかつたという点につきまして、ごく近い機会に適当な措置、あるいは法の改正をして、そして御意見に沿うようにしたいという御答弁があつたのであります。漁港法におきましては、御承知でありましようが、第二十條に第一種、第二種、第三種漁港は百分の六十、第四種は百分の八十というふうに、北海道は特例を認めたのであります。他の方面は百分の四十になつておるのであります。北海道を除く本州各地等は百分の四十、北海道は百分の六十が第一種、第二種、第三種。第四種漁港、避難港並びは魚田開発に該当する漁港は百分の八十、いずれも率が非常に大きくなつて、北海道の特殊性を今關谷君の言われている通り認めたのであります。従いまして、この港湾法から行きますところの補助でありまするならば、北海道においては絶対できないと言つても過言でありません。従いまして、局長はごく近い機会に、こういう御答弁でありましたが、これはどうか本委員会において修正をして、漁港法と沿うようにしていただきたいことをお願いし、さらに委員各位にもお願いする次第であります。
  52. 後藤憲一

    後藤政府委員 別段御質問でもございませんが、一応北海道の補助について申し上げたいと思います。  北海道の港湾につきまして、従来実行しておりました補助率を申し上げます。軍要港湾におきましては、水域及び外郭施設は全額国費であります。繋留施設は四分の三、避難港の水域と外郭施設につきましては全額国費であります。それから重要港湾の臨港交通施設は、これもやはり四分の三であります。そしてそのほかのいわゆる地方港湾に類するところの水域施設、外郭施設、繋留施設、臨港交通施設等につきましては、北海道については十分の六であります。私どもといたしましては、この現行をそのまま北海道港湾の国庫補助に関する特例といたしまして、ぜひ次の議会に提出して御協賛を経まして、二十六年の予算に組んで実行いたしたいと思います。この四十二條及び四十三條両條に盛られておりますところの補助及び負担の施行は、二十六年度からの予算になつておりますから、その間にギャップはないと思います。この点につきましては、議会の方の御助力をお願いしたいと思つて、私からもお願いいたします。
  53. 關谷勝利

    關谷委員 最後に一点お尋ねをいたしたいと思います。実は水産委員長の石原圓吉君から当委員会に申入れがあるのであります。第三條に、「この法律は、もつぱら漁業の用に供する港湾として他の法律によつて指定された港湾には適用しない。」とあるのでありまするが、この「もつぱら漁業の用に供する」こういうふうになつておりますることは、水産委員会の方におきまして、漁船関係で非常に憂慮をいたしておるというのであります。私はさほどにまで考えておらないのでありまするが、そういう正式な申入れが来ておるのであります。第三條を、水産委員会といたしましては、この法律は漁港として他の法律によつて指定された法案に限り適用しない、こういうふうにしたいというここで、「もつぱら」という点に非常に力が置かれておるようでありまするが、この意味がどのように違うのか。またこの「もつぱら」という文字がない場合とある場合と、どのように違うのか。この点ちよつと伺つておきたいと思います。
  54. 後藤憲一

    後藤政府委員 港湾であつて漁船の入らない港湾はないのであります。漁港法を読みますと、漁業の根拠地たる港湾ということになつておりまして、港湾にして漁業の根拠地にならない港湾はないのであります。ただ地理的にそれが適当であるかどうかということの判断だけであります。そうなりますと、漁港と一般港湾との判定に非常に苦しむ。今度の議会を通過いたしまのた漁港法の漁港の定義をそのままとりましても、一般港湾との間に線を引くことは、言葉だけから行きますれば、きわめて困難を感ずる。この点はどうせ水産局と話し合わねばならぬことでありますけれども。表現において漁業の根拠地ということだけでは、いかなる港湾といえども漁業の根拠地になります。たとえてみますれば、横浜港も南氷洋の捕鯨の根拠地でありますれば、横浜港は漁港ということになります。そういう意味から行きまして、その表現にきわめてあいまいな点がありますから、われわれとしてはこの法案を適用しないのは、もつぱら漁業の用に供するものであるという点を特に強調いたしたいのであります。
  55. 川村善八郎

    川村善八郎君 港湾で漁船の入らない港湾はない、これはだれでも常識で考えてあたりまえであります。しかしながら一般の港湾と、いわゆる漁業の根拠地としての漁港とは、その施設、規模において、常識的に考えても違つておりますし、現実にも違つております。そこでわれわれといたしましては、決して横浜とか東京とか、そうしたようなき大なものをとつて、これを漁港にするというようなことは考えておりません。ただ北海道に例をとりますと、輸送港にふさわしくないところのものも港湾として認めておるところがたくさんありますし、また内地方面の方々の御意見を聞きましても、かよう意見が相当強いのであります。そこでやはりわれわれ水産委員会といたしましては、「もつぱら」と特に入れたことは、はなはだ不可解である。いわゆる漁港は漁港としての使命を持つており、港湾港湾としての使命を持つておるということは、たとい漁業者でなくとも、おそらく町の人でも大体おわかりになつております。そこであなた方の、いわゆる港湾法の原案、第一次案と申しましようか、われわれと最初折衝した法案内容を見ますと、この法律は漁港として他の法律によつて指定された港湾に限り適用しない、こうしたようなことになつてつたのが、今度「もつぱら」と特に強く入れたことに私らは疑義を持つておりますので、質問したようなわけでありまして、漁港法には、実は港湾法とにらみ合せて、第四十二條に漁港区というものを置いて、そうしてこの港湾内にある漁港区というものを農林大臣運輸大臣とが協議をして、すべての施設なり何なりをするというふうにいたしておつたのでありますけれども、漁港法がさきに提出されましたので、四十二條を除いたようなわけであります。もちろん漁港法案港湾法案も二十六年度からの実施でありますので、その間話し合つて、見解をはつきりきめておけばよいのでありますが、この「もつぱら」という字を削除するならばいいのだが、これを修正をしておると時日において間に合わない。またわれわれとしても、一日も早くこの法案を通していただきたいのでありまするから、何も今ただちに「もつぱら」という字を除けとか、ただちにこれを私が先ほど読み上げたように修正をするというのではありません。話合いで解決がつくことでありますので、もしあなた方の方に話合いをする御意思があるならば、この法案通りましてから、ただちに運輸省と水産庁との間において話合いをして解決した方がよいと思いますが、その御意思があるかどうかということをお尋ねいたします。
  56. 後藤憲一

    後藤政府委員 この問題は、字から行きますと非常に複雑になりますけれども、漁港にするかせぬかという指定の方は、漁港法に、指定の際に運輸大臣と話し合うということになつております。その点、われわれも了承いたしております。また従来も農林省で扱つております漁港と、われわれの扱つております港湾とにつきましては、絶えず話し合つておりまして、その間に今まで何ら争いがないのであります。この点は十分に話し合つて行くべきものだと思つております。必ずしもわれわれは、こう書いたというので、それではというふうではなしに、とことんまで話し合うということはもちろんで、その点は御了承願いたいと思います。
  57. 川村善八郎

    川村善八郎君 そこでもう一ぺん第三條に関連いたしまして「もつばら」という字からお尋ねいたしますが、かりに地元の漁民が、今港湾に織り込まれておる漁港を、地元の漁民が漁港に指定してくれ、いわゆる六割以上あるいは七割というものは実際に漁港の根拠地である。いわゆる漁港である。こうしたような場合におきまして、これは漁港として指定されることは、これはあとできめることでありますが、そういう譲歩がお互いに話合いの結果できるかどうか、この点を伺いしたいと思います。
  58. 後藤憲一

    後藤政府委員 今の点は、私は話合いできると思います。また話合いをでかさなければいかぬと思います。どうせこれはある程度常識判断の問題であります。またその港のありますところの関係町村が、漁港として、漁港専用で行こうというよう考えの場合はもちろんです。しかしながら港というものは、もともと全部最初から漁港から成立つものです。漁港から機帆船が入り、小蒸汽が入るというふうにして、だんだん発達して行くのであります。そういう点でもつて、将来もつと大きなものが入るようにしたいという考えをお持ちの公共団体といたしましては、この方は漁港では困るから、一般商港にして置こうという考えも持つておるだろうと思います。従つてこの話合いが、水産及び運輸の両官庁だけの話合いでもつて、漁港であるべきであるというようなものではないと私は思います。もつとやはり業者の意見をもう一度関係公共団体に反映さして、それでもつて将来を見通して、この指定をきむべきものであつて、決して官庁の一方的な考えをもつてきめるべきものではない。扱い上私はそう考えております。
  59. 關谷勝利

    關谷委員 ただいま川村君からあのようお話がありまして、実は川村君はまことに不都合であると私はなじらざるを得ないのであります。漁港法を審議いたしまするのに、運輸委員会に何らの相談なくして決定をしておきながら、いまさらこのようなことを申されるのに対しましては、運輸委員会としてはまことに不都合であると、憤慨の念をここに表現いたして置くものであります。この点あたりは、まことに御当局は鄭重に御答弁をせられておりましたが、あれまでの必要がないように私たち考えるくらい、ちよつと気持を悪くしておることを私は川村君に申し上げておきます。大体これで私の質問は一応打切ります。
  60. 岡村利右衞門

    ○岡村委員長代理 次は岡田君。
  61. 岡田五郎

    岡田(五)委員 第四條につきまして政府委員にお尋ね申し上げたいのですが、神戸港の問題でございます。神戸港につきましては、御承知のように兵庫県は現在神戸港内の葺合港という地区を管理いたしておるのであります。この葺合港を管理しておるということが、第四條の前段に該当するかどうかということをお尋ね申し上げたいのであります。  次に、兵庫県は昭和二十年まで、神戸港の水域内の浚渫工事をやつてつたのであります。また昭和二十年以後における災害復旧費といたしまして、県から約七十五万円ばかり補助をしておるのであります、また明治四十三年まで、神戸港は兵庫県営として設置せられ、また維持管理をせられておつたのでありまして、現にメリケン波止場及びメリケン波止場のたもとである一体の土地が、県の所管になつておるのでありますが、このようなことが、第二段の「従来当該港湾において港湾施設設置若しくは維持管理費用負担した地方公共団体、」こういう項目に該当するかどうかということを御説明願いたいのであります。
  62. 後藤憲一

    後藤政府委員 ただいまのお話につきましては、実際にそれを立証する資料なども、もつと研究すべきものが多多あると思いますが、まつたくの思いつきでありますが、伺つた程度から判断するという点で、そこばくか責任の軽い気持でお開き願いたいと思いますが、葺合港は現に県営としておやりになつておると私は承知いたしておりますが、それが真であるとしますれば、この葺合港の港域を神戸港の港域に入れるとすれば、当然この現に云々という一項目に該当するのではないかと思います。  それから災害の補助費を、市町村災害でありましたために、県から補助したという点でありますが、これは額の問題でありまして、その額と従来神戸市が神戸港に対して負担した額との比率というようなことが、一応問題になるのではないか。一銭出しても負担と言えば負担になりますけれども、この邊のところは実際問題としてどう取扱いますか。それが費用負担しという意味にただちにとり得るだけの全部のウエートであるかどうかということについては、やはり比重の点を考えなければならぬのでありまして、はつきりした返事を申し上げかねます。  それから明治四十何年かに、かかつておそらく兵庫県営兵庫港だつたという当時の関係が、従来当該港湾云々という言葉に該当するかどうかという点は、その後明治四十何年かに神戸市に多分お譲りになつたと思いますが、お譲りになつた條件をどう解釋すべきかという問題と思いますので、その点に該当するかどうかは即答しかねるわけでありますが、葺合港の場合は第一項の現に云々の一つの例に当るのではないかとも思います。
  63. 岡田五郎

    岡田(五)委員 一つお答えがなかつたと思うのでありますが、昭和二十年まで神戸港内の浚渫費を県が負担いたしまして、浚渫作業をやつた事実があるのであります。この水域内における浚渫費の負担、これはどういうようにお考えになつておりますか。  それから先ほど率のお話がありましたが、災害費は昭和二十年以後、私の調べたところによりますと、約三百万円使つたようであります。そのうち六割が国庫補助であり、その三百万円の三割五分が県の補助費である。市はわずか三百万円のうち一五%しか負担してない。こういうよう状態でありますが、この災害復旧の補助費を、いわゆる維持費の文字に解釋いたしまして今のお話の模様では二段の項目の率の中に入れてもよさそうだということであつた考えます。また明治四十三年というと相当昔でありまするが、相当昔のこの過去の歴史を、その従来という文句に該当するとしてこれを適用されるのかどうか。ほかの港にもいろいろ過去の歴史があると思うのでありますが、従来の解釋といえば非常にむずかしいことだと思いますが、お考えのほどをお聞かせ願いたいと思います。
  64. 後藤憲一

    後藤政府委員 災害につきましては、都道府県災害の規定によりまして扱つたもので、港湾区域内でありますれば、どこのいかなる寒村僻地といえども、一律に扱うようになつておるものでありまして、これがただちに維持管理費用という意味に該当するかどうかという点は、事務的にもまだその邊のところは十分に研究いたさねば、即答もいたしかねますが、入らないのではないかと思われるような感じがいたします。それから明治時代に、例のメリケン波止場を県営から市営に移したという点が、従来という言葉に該当するか。これは移しましたときの條件をもう少し調べませんと、たとえば家を讓つてもらつた際に、元持つてつた所有人という意味でもつて、何代も前の所有人までさかのぼるかということと同じでありまして、この辺のところは、やはりその條件なども見ないとただちに御返答いたしかねますが、葺合港の点で、現に施設管理をしておるという、それが神戸港域に入るとしますれば、この点は当然考えるべきものだという点は、私確信いたします。
  65. 岡田五郎

    岡田(五)委員 なるほど御答弁の趣旨には賛成いたしますが、政府の御意見がまだはつきりしてないようであります。神戸港につきましての、兵庫県と神戸市との港務局設置に関しての今までの経過からいたしまして、この間に処して、政府当局におきましては兵庫県の神戸港に対する利害関係というものにつきましては、十分御認識をお持ちになつてつたのだろうと考えるのであります。お持ちになればこそこれが調停その他について奔走もされ、あつせんもされたと思うのでありますが、今の御答弁によりますと、この点がまだ確信がなくて、この間の調停をしておられたかのように感ずるのでありますが、これは私の感じだけで、くどくどしく申し上げる必要はないと思います。  次にお尋ねいたしまするが、この「予定港湾区域地先水面とする」云々の地方公共団体でありますが、この地方公共団体を非常に狹義の公共団体、すなわち市町村と解釋すべきか、また昨日公述人の一人からもお話があつたようでありますが、これを都道府県、こういうように拡張解釋といいますか、大きな地方公共団体の単位として考えるべきであるか、その邊のところを御説明願いたいと思います。
  66. 後藤憲一

    後藤政府委員 この「又は予定港湾区域地先水面とする地域を区域とする地方公共団体」という、この地方公共団体の中には、都道府県、市町村、みな入つております。そういう考えでこの表現をしております。
  67. 岡田五郎

    岡田(五)委員 具体的に申し上げますと、神戸港に関連いたしまして、芦屋市と本庄村だけがこの公共団体なのか、さらにそのうしろをバツク・アツプしております兵庫県というものが、第三段の項目によつて入るのか、この点を具体的に御説明願いたいと思います。
  68. 後藤憲一

    後藤政府委員 兵庫県の地先水面は、神戸市の地先水面でありますところの神戸港港湾区域と重なつておりますど私は解輝いたします。で港域法による港域は、明らかに芦屋市及び精道村の前面を地先水面といたしております。これは港域法による港域であります。もし予定港湾区域を現在の港城法による港域をもつてするならば、明らかに精道付、芦屋市も、やはりその地先である公共団体と解釋せざるを得ないと思います。
  69. 岡田五郎

    岡田(五)委員 次に、第四條の二項についてお尋ね申し上げたいのでありますが、「前項の規定は、国及び地方公共団体以外の者が、」とあつて、それからすつと行きまして、「港務局設立を求めた場合を除き」ということがあるのでありますが、そういうものがその港務局設立を求める場合があり得ることを予想されておるのかどうか、その点を承りたいと思います。
  70. 後藤憲一

    後藤政府委員 これは日本においてはきわめて例の少いものでりますが、福岡県にありますところの三池港、これは三井鉱山がつくつた一種の私設港でありますが、しかしその中にも、一部公共的に使つておるところもあるようでありますが、そういうような場合、また現在では大分事情がかわつておりますが、新居浜の港、あれはかつて住友財閥によつてつくられたものであります。現在では独立いたしまして、大きな規模のために、数箇にわかれておるようで、おのおの独立のようでありますから、今後どういうことになりますか知りませんけれども、そういう場合、また日鉄の広畑の筑港、こういうようなものをその場合に当てはめまして、そうしてその企業者から希望のあつた場合ということにいたして、この表現を使つたわけであります。
  71. 岡田五郎

    岡田(五)委員 そうすると、そういつた場合に港務局設立を希望する場合がありそうなのでございますか、十二條の四号に、委託により、国または地方公共団体の所有に属する港湾施設で、一般公衆の利用に供するものを管理すること、こうあるのでありますが、第四條の二項に基きまして、港務局設立を求めた場合、国文び公共団体以外のものを管理する場合も予想できるのではないかと思いますが、そういう場合があるかどうか、御説明願いたいと思います。
  72. 後藤憲一

    後藤政府委員 これは管理者とその施設の所有者との間の契約に基く問題でありますから、ここにあります国または公共団体ということに限らず、その場合にもやはり成立ち得ると思います。
  73. 岡田五郎

    岡田(五)委員 そういたしますと、この文字を多少訂正される必要があるのではないかと思いますが、その辺のところはいかがでありますか。
  74. 後藤憲一

    後藤政府委員 これは特に国または地方公共団体というて書いてありますが、性質的に契約でもつてできる業務でありますから、しいてその必要もないと思います。
  75. 岡田五郎

    岡田(五)委員 さらにそれに関連してですが、二十八條の「港務局組織する地方公共団体以外の者は、当該港務局に出資することができない。」こういうことになつておるのであります。さような場合には、出資してもいいのではないかと思うのでありますがいかがでございましようか。
  76. 後藤憲一

    後藤政府委員 港務局そのものに対する出資は、やはり公共団体だけに限つた方がいいと思います。ただいまの場合につきましては、契約によりまして委託というようなことが成立つていますから、出資という形態をとる方が少しも支障なく動けるのではないかと思います。
  77. 岡田五郎

    岡田(五)委員 それでは別の項目に移りまして、ごく簡単に御質問申し上げます。  第四條の三項でございますが、三項の二段目の文字であります。「その旨、予定港湾区域及び関係地方公共団体が」、こうあるのでありますが、この予定港湾区域及びこれこれというのが、はなはだ意味がわからぬのでありまして、大体予定港湾区域なんという言葉はむしろいらないのではないか。かよう考えるのでありますが、いかがでございましようか。
  78. 松村清之

    ○松村説明員 これにこういう意味でございます。港務局設立ようとしまする地方公共団体が、どういう港湾区域を予定するかが、公告によつてはつきりいたしませんと、それに関係しておりまする地方公共団体の範囲というものがきまつて参りませんので、この予定港湾区域を公告する必要があるという考えであります。
  79. 岡田五郎

    岡田(五)委員 次に第四條の九項であります。協議がととのわないで、運輸大臣内閣総理大臣協議して調停する場合でありますが、その場合には運輸審議会にかけられるようであります。その場合に公聴会を開いて、一般民衆の意見を聴取されるおつもりがあるのかどうか、その点承りたいのであります。
  80. 後藤憲一

    後藤政府委員 これは運輸審議会へかけますから、運輸審議会で公聴会にかけるのがいいと判断する場合、その必要もないと判断する場合、運輸審議会意見によつてきまるのではないかと思います。
  81. 岡田五郎

    岡田(五)委員 次に第十條でありますが、港務局に対する非課税の問題であります。これは大体国税についての非課税をあげられたのでありますが、政府当局といたしましては、地方税その他の公租公課をこの港務局から免租する御意図があるのかどうか、この点承りたいのであります。
  82. 松村清之

    ○松村説明員 この点につきましては、地方財政当局との打合せによりまして、本法に書かずに、地方税法の方において地方税の免除を記載するという約束になつております。
  83. 岡田五郎

    岡田(五)委員 次に十六條の委員の問題であります。昨日公述人の一部の方から、ぜひ労働者団体の方からも代表者を入れてくれというような御意見もあつたと思うのであります。この第二項の「港湾に関し十分な知識と経験を有する者又は声望のある者のうちから、」これこれをする、こういうことになつておりますから、この條文を適用いたしまして、各階層の、港湾に経験があり、港湾に知識を持ち、また港湾地区において、声望のある人をお選びになるおつもりであろうと考えるのでありますが、この辺のところ、変な質問でございますが、御答弁を願いたいと思います。
  84. 後藤憲一

    後藤政府委員 その点はまつたくその通りでありまして、どの階層からとる、どの業者からとるというようなことをこれに規定するよりも、一般的に広く人材をお選びになつて港湾の発達と、これが健全なる運営ができるようにすることがいいと思つております。従つてこれはどういうようにするかというこまかな点は、定款においておのおのの港湾が、その実情に即するようにおきめになればいい、こう考えるのであります。
  85. 岡田五郎

    岡田(五)委員 次に委員の欠格の問題でございます。第一号に「国会議員又は地方公共団体議会議員」とありまするが、公務員が委員を兼職できるかどうか、この点ちよつと御説明を願いたいのであります。
  86. 後藤憲一

    後藤政府委員 これは地方公務員の場合だと思いますが、地方公務員法できめられておる手続の上では、少しもさしつかえないと思います。
  87. 岡田五郎

    岡田(五)委員 十七條の二号におきまして、港務局の工事の請負をなす、いわゆる港務局と契約の相手方になるような者は、委員になつてはいけない、こういうことになつておるようでありますが、港務局所管の施設利用する者は、この委員になれるという理由を御説明願いたいと思います。
  88. 後藤憲一

    後藤政府委員 この点第二号で文字に書いてある通りでありますが、港務局管理いたします各種の施設を持つて事業を営む者が欠格でないというのは、その港務局の持つ施設それ自体が港湾業なんでありまして、それを扱う者が港湾のエキスパートになりますから、あえてこれをしりぞける必要はない。これは特に請負というような点で利害関係を考慮して、こういうよう表現を実は用いたわけであります。
  89. 岡田五郎

    岡田(五)委員 次に三十五條管理主体の「委員会の名称、組織及び権限は、條例で定める。」ということになつておるのでありますが、この場合に十川條から三十何條までの港務局委員会組織及び権限と違つた條例を出してもいいのかどうか。こういうような前段の條文を準用してこの條例を出すのかどうか。その辺のところを御説明願いたいと思います。
  90. 後藤憲一

    後藤政府委員 この法案によりますと、この條例内容が、あえて港務局の方を引用せよということになつておりませんから、自由ではあります。しかし内容を実質的に見ますれば、おのずからそういうことになるのではなかろうか、こう考えますが、しいてこの点は制限しておりません。自由にやつていいと思います。
  91. 岡田五郎

    岡田(五)委員 ありがとうございました。
  92. 岡村利右衞門

    ○岡村委員長代理 これにて暫時休憩いたします。午後は一時五十分より第四委員室において再開いたします。     午後一時九分休憩      ――――◇―――――     午後三時八分開議
  93. 關谷勝利

    關谷委員長代理 午前に引続き会議を開きます。  委員長がお見えになりませんので、私がかわつて委員長の職務を行います。港湾法案に対する質疑を続行いたしたいと思います。  質疑の通告があります。これを許します。米窪滿亮君。
  94. 米窪滿亮

    米窪委員 ただいま上程されておりまする港湾法については、午前の質問において大体同僚の委員各位から、重要なる点の御質疑が終つたのでありまするが、先ほど関係者と国会議員及び政府とで、この問題に対する取扱いについて意見を交換をしたことに基きまして、私は今後の政府のお考えのあるところを御質疑申し上げたいと思うのであります。  そこで、政府から配付された港湾法の最後の理由というところに、「港湾開発発展を図るため地方公共団体の自由な意思による港湾管理者設立その他港湾管理運営の方式を確立する必要がある。」とありまして、管理ばかりでなしに、運営の方式を確立する必要があるということを理由でうたつております。しかるにこの総則の第一條において、「港湾開発利用及び管理方法を定める」と、こういうことになつておるので、これは単なる字句の問題として考えずに第一條において運営を特に省いておるのですが、これは何らか特別の意策があるのですか、その点を港湾局長にお尋ねいたします。
  95. 後藤憲一

    後藤政府委員 運営という言葉自身をとらえますと、非常にわかつたようではつきりせぬ点があります。それで目的という点は十分にはつきりせんければならぬというので、この利用という言葉と情理という言葉の中に、運営という何かしらのニユアンスをつ持つておる点を考えまして、利用管理と、第一條の点はいたしたわけでありますが、あとの理由書の方の管管理運営という点は、第一條ほどの文字のせんさくを十分してなかつたと申し上げますれば、その点ははなはだ両者齟齬の点を済まないと思いますけれども、要するに第一條にある開発利用管理という意味を包括して、管理運営というよう表現にいたしたわけでありまして、両者の間に、われわれの考えといたしましては、特別に意味を含めた差異はないつもりであります。
  96. 米窪滿亮

    米窪委員 ただいま後藤局長の御説明から演繹して考えますと、将来四條の方式で行くか、三十三條の方式で行くかの、三つの場合があるのですが、その場合において政府としては、管理母体は業務の問題並びに港湾行政について立入らせないお考えであるか、あるいはそれもやつてもよろしいとお考えであるか、その点をお伺いします。
  97. 後藤憲一

    後藤政府委員 港の行政のうちには輸送の一貫性と申しますか、輸送の特質と申しますか、そういう点から参ります一般的な行政の面と、日常の業務に類似した業者の事務もあるわけであります。この点もその境は非常にあいまいな点があるのでありますけれども、国として活動いたさなければならないようなものを、こういう非政治的な、非経済的な団体に許すという点は、法の体系または組織の体系から言つてもおもしろくない。しかしながらその他のことについては、あげて港務局ないし管理者に活動してもらいたい。こういうふうなつもりで考えております。
  98. 石野久男

    ○石野委員 関連して伺いますが、一條管理と、運営の問題につきまして、午前中に尾崎委員から、またただいまは米窪委員から御時間があつたわけですが、当局の説明では、管理運営を包括しておるものだというふうに考えておる、こうおつしやるわけであります。しかし趣旨説明にもそれがはつきりと出ておりまするように、この管理という文字運営という文字の中には、おのずから日本字としての解釈の仕方があるのではないか、こういうふうに私は思うのであります。管理というのは、大体私ども通念的に考えますると、機関と機関関との関係規定する一つの字の使い方があるのであつて運営というのは、その機関なら機関、一つの事業体におけるところの業務内容に対する操作、運営ということを意味するものである、こういうように私考えるのでございまして、この法律内容として、主として運営の面における事項が非常に多いということなども考えまするならど、管理だけの文字運営を包括するというよう考え方は、非常にずさんでありまして、やはり趣旨説明にはつきにり出ておりますように、管理運営というものを、一條目的内容としてはつきり掲げておいた方がよかろうと、こういうふうに思いますが、その点についての当局の御意見をいま一度間かしていただきたいと思います。
  99. 後藤憲一

    後藤政府委員 港務局ないし港湾管理者の活動いたします管理あるいは運営という点は、あくまでも施設管理から廃現するところのものなのであります。要するにこれは、通俗的に申し上げますれば、家主なり地主なりの立場から、その家なり土地なりが繁栄するという考え方に立つて運営ということになると思いますので、利用管理という点に、連営という意味のニユアンスも含めておるつもりで考えております。この点は実はいろいろデイスカスしてみたのですが、なかなかどうもはつきりした定義が出て来ません。それで第一條の点急についてはどこが大事な点であるか。ことに施設管理という点が、管理者なり港務局なりの大きな特質であるという意味で、利用管理という意味に、運営という意味も含んだようにものを考えて、表現いたしたわけであります。
  100. 米窪滿亮

    米窪委員 局長の御答弁はきわめてデリケートで、深い意味があるかどうか、その辺をくみとることができないのですが、私この業務の問題についてはこれ以上お尋ねしませんが、港湾行政についてもう一つはつきり確かめておきたいことは、ポート・オーソリテイーをつくるという目的は、一昨年、当時われわれが聞いたところによると、それは各港湾の行政に対する内閣その他政府の命令が、多岐にわたつておる。たとえばシッピングについては海運局、それから労働問題については労働省、土木の問題については今日の建設省、それから検疫については厚生省、それから植物の検査については農林省、こういうぐあいに、各省ではみなそれぞれ出発機関を港湾に持つております。そうして命令が非常に多岐にわたつておる。これをいわゆる、元化して、そこにポート・オーソリテイーをつくつて、そこでもつて、内閣からそういう出直接の命今は聞かずに、一切を処理する。ただ報告を総理大臣にする程度にとどまる。こういう概括的な情報を聞いておる。ところがその概念がはつきり條文に出ておりません。最初、一昨年くらいにわれわれが開いた情報が、この法律をつくつた動機であり、かつ政府においてもそれがこれを実施する目的であるかどうか、この点を一応確かめたい。
  101. 後藤憲一

    後藤政府委員 その点の御質問は、まことにわれわれの難問とするところをついていらつしやると思います。港湾というのは、御承知の通りにあらゆる政府機関の機能が働いておるところでありまして、税関、検疫、または人出港の管理、貿易為替管理、海路事行政、こういうようなものがありまして、それらがおのおのの立場に立つて港を舞台に働く、またそれを舞台にいたしまして、各種の事業が栄えておるわけであります。理想といたしましては、そういう一種の内閣的な性質管理形態ができるなら、われわれといたしましても非常にけつこうだという感じはいたすのでありますけれども、その間の有機的な連絡というようなものの立場は、やはり横の連絡よりも縦の連絡の方が強い。また切実である。もしもそこに出ておる事務がたくさんあるから、それだけを一つの頭の中に押し込むのだという意味だけでは、単なる貸家にすぎなくなる。有磯的に動くというところに初めて意味があるのでありますから、いわゆる港湾行政総体というか、港湾における行政なり事務なりの総体的な統轄ということは、いろいろ考えましたが、むずかしい問題であつて、遂にこの法案にも載り得なかつた。こういうことでありまして、必ずしもこれは各省の権限の争いだというだけではなく、事務の性質、行政の性質から来るところのものではないかと今私は解釈いたして、ある意味では観念しておるわけであります。
  102. 米窪滿亮

    米窪委員 後藤局長のただいまの御答弁によると、はつきりは申されておりませんが、それでは通関事務については大蔵大臣、あるいはその他の点については海運局、あるいは衝生事務については厚生大臣、そういつた、およそ五つないし八つくらいの各省の出先機関が扱つて来た港湾行政は、この港湾法が実権されても、依然としてそういう場合に各省から縦の命令が出て、横の連絡がない。旧態依然である。そういう状態を続けて、行くとわれわれが考えてよろしゆうございますか。それとも幾分改善の余地があるかどうか。重ねてそれをお尋ねいたします。
  103. 後藤憲一

    後藤政府委員 ただいまの御質問は、まことにその通りではないかと思います。しかしながらごく日常事務的なもので、管理者ないし港務局の機関を使つて便利なものは、事務の委任というよう形態でもつて、将来も改善され得る余地は存しているのではなかろうか、こう考えるわけであります。
  104. 米窪滿亮

    米窪委員 ただいまの局長の御答弁で、港湾行政は従来よりも特別に前進するものでないと了承してよろしいであろうと思います。そうなれば、港務局なり、あるいは港庁を設けるというわれわれの期待したものよりも、非常に失望をする次第でございまして、この点はせつかく、港湾法ができたのに、その一番重要な動機がはずされてておると私は考えます。  会期をあと四、五日しか余さない昨日これが上程されまして、しかもこれをまだ参議院へまわさなければならぬ。こういう状態にあつて、十分なる論議を尽す時間がない。さらに相当の修正が各関係者から出ておるにもかかわらず、その修正をするだけの準備もないように思われます。しかもこの会期は五月二日以上延期ができない状況にあるのでございまして、それらの諸條件を考慮に入れてお尋ねいたすわけでありますが、     〔關谷委員長代理退席委員長着席〕 第四條に基いてポート・オーソリティーをつくる場合号と、第三十三條に基いてポート。マネージイング・ボディーをつくる場合と起り得ると思います。この場合において、もしこの三十三條に基いで、ポート・マネージング・ボードをつくつた場合においては、すでに関係者から出されておる幾多の修正に対して、政府は臨時国会においてこれに応ずるお考えであるかどうか。その点をお尋ねします。
  105. 後藤憲一

    後藤政府委員 この法案によつて十分な理想的な港湾行政の一体化ということが達せられないという意味の御意見でありますが、各省関係の縦に緊密なるものを、横につなげ得なかつたという点はありますけれども、港におのおのの責任体を置いて、その責任体が港の開発に対する全責任を帯びるのだ、これが従来の日本港湾行政上において欠除しておりましたところの、最大の欠点であります。ぞれを完全に救つておるという点において、大きな飛躍ではなかろうかと考えられます。その他の御非難の点は、まことにその通りの感じがいたします。  それから、この法案が非常に重要な法案で、なお関係者からも多くの修正意見を出されておるのに、全都期迫つた際に出さざるを得なかつた点は、まことに申訳ないと存じますが、この点は御了解をお願いいたしたいと存じます。今議会に御協賛を願いまして、次の臨時議会までの期間に、実際に当りまして得ました体験による、不便でありますとか、不合理の点でありますとか、あるいはまたこれまでもいろいろ改正の御要望のありました点も、十分にその際に審議していただきまして、われわれといたしましても、われわれの思うところを十分に述べざせていただきまして、国会の修正をいただくことはやぶさかでございません。
  106. 米窪滿亮

    米窪委員 第四條によるポート・オーソリティーの形でもつて港務局が発足できない場合、すなわち三十三條のポート・マネージング・ボデイで、これがとりあえず実施されるという場合において、われわれとして一番心配するのは、十二條との関連であります。十二條は大体港務局のするべき業務の内容をきめておるのですが、当然三十三條で発足した場合でも、十二條を適用することをお認めになると思うのでございまするが、この場合において、関係者から十二條に対して相当の修正が出ております。それは第一條において、先ほど局長の御説明があつたにかかわらず、運営という字が脱けておる関係上、業者の方からこういう修正が出ております。すなわち、港務局の管轄する港湾区域内における船舶人出港届の受理、錨地及び船席を指定すること、港務局が管轄する港湾区域及び臨港地区内における貨物の積みおろし、保管、荷さばき及び運送の改善、調整に関すること、こういうような修正意見が十二條に対して行われておるのでりありまするが、これは当然時日もないようで、修正をこの国会においてする時間がないようでありますが、この精神後藤港湾局長においてお認めになつて行かれるのであるかどうか、この点をお尊ねするのが第一です。  それから第二の点は、臨時国会において、少くとも十二條においては、この点を御改正になる御意思があるかどうか、これをお尋ねします。
  107. 後藤憲一

    後藤政府委員 港務局ないし管理者の業務内容というものは、十二條に列挙いたしておりますが、今議会の御協賛を得ましたあと、臨時議会までの期間に時間がありますれば、この内容運営にあたりましての不便であるとか、またこれが港湾における各種業者に対する影響がどうであるかという点も、一応の検討ができでるのではないかと思います。そういう点におきまして、その修正の理由が十分ありますれば、もちろん修正するにやぶさかでないと思います。
  108. 米窪滿亮

    米窪委員 最後にお尋ねしたい点は、経理の点ですが、運輸大臣の御説明によりますと、このよう港湾管理者が確立いたしますと、国としては国営港湾施設をこれに移管し、一定の工事については国がその費用を義務的に負担し、その他のものについても財政の許す範囲で補助し、また困難な港湾工事は、国の保有する港湾建設力で経済的に仕上げる等、必要な助成第を講じておりますが云々という説明をされておりまするが、これは港湾法の原案の第一條港湾の関発、利用及び管理の範囲にとどめておるのであつて、それを運営をして行く場合、すなわち事業の内容について、政府がこの管理者の事務費がもし不足した場合に補助をするものでない、こういうくあいに解決してよろしいのですかどうですか。それをお尋ねいたします。
  109. 後藤憲一

    後藤政府委員 港湾の経済的な運営と申しますのは港湾の経営上におきまして、收入によつて一応まかなうべき、原則をこの法案にうたつておるわけであります。なおこれはいろいろ港の状況によりまして、不足する場合もあり、また余ることもあると思うのでありますが、そういう性質につきましては、この法案には国の助成ということは規定してございません。しかしながら管理者のやります業務の中に、もし国の事務を委託するような場合には、当然それに要する経費のごときは、国でもつて負担するということになるのではなかろうかと思うのであります。できるだけ経済的な経営をやりまして、収支を償うに近くなるように、港の経済的な発達を行うというところに、この港湾管理体設置ないし港の発展という点を目標にいたしておる点がありますので、今ただらに経営経費を国において助成するという意向は持つておらぬわけであります。
  110. 米窪滿亮

    米窪委員 これは非常に重要な点でありますから、重ねてお尋ねいたします。冒頭に私がお尋ねした、各省の出先機関の業務を港湾においては統一、一元化してやつて行くためにこしらえるのだという情報をわれわれは受けたのが、その通り行かない。従つて平たく言えば、依然として各省の出先機関が港湾にあつて、調整は十分して行くでしようが、その命令系統というものは、従来とあまりかわりがないという前提の上に立つて考えてみますると、たとえば通関に対する費用であるとか、倉庫の保管であるとか、あるいは海運業に関する費用であるとか、あるいは労働に関する費用、あるいは植物の検査、厚生事務、そういつたものに要する費用は、当然政府にこれが命令権があると思いまするから、これらの港湾事務の費用は、今後も中央から当然これを補助するものと法律的に考えまするが、そう解釈してよろしいかどうか、伺います。
  111. 後藤憲一

    後藤政府委員 ただいま御指摘になりました各省の事務は、各省の出先機関がありますれば、おそらく自己の経費をもつて、自己の出先機関において行うと思います。もしその事務の一部分を管理者に委託するということになりますれば、当然それらの経費は、おのおのの系統の各省から支出すべきものだと考えます。
  112. 米窪滿亮

    米窪委員 横浜が今まで港湾施設のために出資した金は、時価に見積つて二十二億円くらいあります。神戸については、おそらくその三、四倍に達するだろうと思うのです。昨日も参考人にそれをお尋ねしたのですが、これは当然常識上から言うと、ポート・オーソリティーができたときには、それに無條件で委讓するということになると思うのであります。この場合は、これを認める法律が必要であると同時に、その港湾都市の議決を経なければならかいと思いまするが、政府御当局としては、この場合におけるこの種の財産の委讓に対しては、どういうお考えを持つておいでになるか、その点を承りたいと思います。
  113. 後藤憲一

    後藤政府委員 例を神戸港にとりますれば、神戸港の管理者は、かりにこれが港務局形態をとるにいたしましても、神戸市という地方公共団体の分身と同じことでありますから、神戸市の持つております施設をそれに入れさせる。これが貸付であるか、あるいは委託であるか、あるいはまた純然たる管理外になるかということは、おそらく神戸市自身がおきめになることと思いますが、それの経費を払うという点は、かなりむりな問題ではなかろうかと思います。また国の施設をその管理者に渡すということは、この法律にあります通りに、従来の負担の範囲において渡すということに一応なつております。負担外の国有物は、国有のまま貸し付けるか、あるいは委託するか、またその施設性質によりますれば、そこばくかの料金なり利用金をとりまして、有償で処置させるかという点は、おのおの施設によつていろいろ違うと思います。しかし港務局の経済が成立たぬように圧迫をするという考えは、国としてはないつもりで、処置いたすことになると思います。
  114. 米窪滿亮

    米窪委員 なぜその質問を申し上げたかというと、従来のよう港湾都市の形態で置くと、いわゆる陸上の行政区域の担当者である市の当局が市債を発行して、そうしていろいろの施設の改善、あるいは事務の費用をまかなうことができるのですが、これがいわゆる港湾管理者に移されたときには、市債を募集するということは非常に困難になつて来る。また事実できない場合においては、そういつた財産を担保として金を借り入れなければならない。一方そうしながらポート・サービスも上つて行く。そういつた場合においては、当然その資産を融資の対象にするということが起つて来るだろうと思つております。その場合においては、政府としてはこれに対して何ら阻止をするというようなことがないかどうか。その点をお尋ねいたします。
  115. 後藤憲一

    後藤政府委員 その港湾の拡張建設に対しましては、まとまつて多額な経費を要するわけになりますが、その点につきましては、第三十條に「港務局は、港湾施設の建設、改良又は復旧の費用に充てるため、債券を発行することができる」。とあります。これは地方自治法の制限は受けるのでありますが、こういう点におきまして、債券を発行して調達することもできるのであります。この実例を外国の港湾、特に最近の文献によるアメリカの港湾を見ますと、相当厖大な債券を実際に発行しておるようであります。
  116. 米窪滿亮

    米窪委員 私の質問はこれで終ります。
  117. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 ちよつと関連して――大体この法律案の解釈並びにその他のことにつきましては、米窪委員から御質問があつて政府の答弁においてはつきりいたしたのでありましたが、なおここにくどいようでありますが、重ねて一点だけ御質問申し上げておきたいと思うのであります。  第一條のことはもうはつきりわかりました。第四條の「又は予定港湾区域地先水面とする地域を区域とする地方公共団体」、この地方公共団体というのを市町村、こう訂正をしたいという希望並びに意図がわれわれにはあるのでありますけれども、それでは本国会を早く通そうという希望が達せられないと思われますのて、われわれにそういう強い希望並びに意図があるということを御了承の上に、将来適当の機会にこういう問題が起りましたときは、これに政府としても御賛成を願ういという、そのことをあらかじめ御答弁を伺つておきたい。  それから第十二條は、現在の原案を暫定的に認めるけれども、政府は次期臨時国会において、五大港湾都市または全国地方港湾管理者協議会が提出をいたしました修正案の通り、第一に運輸省設置法、二に港則法の一部を改正する法律案を、われわれが提出をいたしました場合に、これに応じられるという御意向があるかどうか。その点をあらかじめ伺つておきたいと思うのであります。その点がはつきりいたしますれば、さつき申しました四條の地方公共団体というのを市町村と改めることも一応やめておきたい、こういう意図なのであります。
  118. 後藤憲一

    後藤政府委員 四條の第一項の改正につきましては、そういうような状況の際には、改正に応ずることができると思います。十二條につきましては、十分なデイスカツシヨンもさらに必要ではなかろうかと思います。もちろんその論議において改正すべきものがありますれば、改正に応ずるにやぶさかではございませんが、なお多くの議論をする余地が残されておる。議論いたしました上でそのままである、その通りであるということになりますれば、それでけつこうでありますが、十分にわれわれ原案者としての意見もお聞きとりの上でもつて、御解釈を願つての修正でありますれば、応じ得ると考えます。
  119. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 もとより質問を申し上げました趣意は、将来のことをここで確約をせよ、こういう意味ではないのでありまして、政府の方でもいろいろ御議強さるし、われわれの方でもさつき申しました意図があることをはつきりいたしておきまして、これがわれわれの委員会並びに国会において、われわれの今申し上げた意図がその通りになつた場合に、これを修正することにやぶさかでないという態度を御表明願えれば、それでけつこうなわけであります。
  120. 後藤憲一

    後藤政府委員 その通りであります。
  121. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 もう一点、先ほど米窪委員からこれも御質問になつたのでありますが、当分の問いわゆる第三十三條によつて管理者をつくつて行く、こういうことについても御異議がないか。
  122. 後藤憲一

    後藤政府委員 これはまつた地方自治のお考えでありますから、われわれとしては、この点はいずれを選ぼうとも干渉いたしません。
  123. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 きわめてはつきりいたしましたから、これで質問を終ります。
  124. 稻田直道

    稻田委員長 次は石野久男君。
  125. 石野久男

    ○石野委員 非常に時間に迫られておりますので、簡単に質問申し上げたいと思います。
  126. 稻田直道

    稻田委員長 ちよつと石野君の発言中ですけれども、隣の部屋が明きましたから向うで観光小委員会を開くことにしましたので、観光委員の方は隣の部屋へ――ここで発言なさる方はここへ残つて、発言なさらない方は向うへ行つていただきます。
  127. 石野久男

    ○石野委員 質問をいたします前に、委員長にお願いしておきたいことがあるのです。やはり運営につきましては、発言の順序を十分守つていただきたいと考えるのでございます。よろしくお願いいたしたい。それから政府に対しまても、われわれはいろいろな問題点を持つておりまするが、非常にその提案がおそくなつておるために、かえつて十分な検討もせられないままに、しかもいろいろと次期国会における修正を條件とする、あいるは前提とするような討議が行われることなどは、非常に立法府としまして満足のできないものがあるということだけは、付言申し上げたいと思います。  私はそういうような観点から、特に時間を詰めて御質問申し上げたいと思います。第三節の港務局組織の問題でございまするが、本法におきまする問題点は各面にあるのでありまするけれども、まつたく新しい一つの仕組み方としましてのこの委員会の構成は、非常に重要であります。そういう観点から第十六條に規定いたしておりまする第二項に、さきに岡田委員からも質問があつたのでありまするけれども、声望のある者のうちから、」という字句があるのであります。この「声望のある者」というのは、非常に不明確きわまる言葉であります。われわれは会議あるいは委員会の民主的な運営をいたす上から考えましても、この声望のあることこそが、かえつて非民主化させる一つの動機と、法的内容とを含んでおるものではないかというよう考え方を持つておるのであります。政府としてはこれに対してどのようなお考えを持つておりますか。
  128. 後藤憲一

    後藤政府委員 「この声望のあることいいまのは、言葉をいろいろと実は――速記をとめていただきたいのですが……
  129. 稻田直道

    稻田委員長 ちよつと速記をとめて――     〔速記中止
  130. 稻田直道

    稻田委員長 速記を始めて――
  131. 後藤憲一

    後藤政府委員 とにかく港湾都市におきまして、港湾にほんとうに理解を持ち、また経験も持ち、深い関心を持つ人のうち、だれでもというわけに参りません。やはり十分な力のある人を選ぶという点におきまして、この声望という表現を用いたわけであります。はなはだ字句も練れておらぬような感じもいたしますが、そういうふうに御解釈を願いたいと思います。
  132. 石野久男

    ○石野委員 ただいまの御説明で、政府の非常に苦衷のある事情はよくわかるのでございますけれども、そのような意図でありまするならば、私はやはりこの業務内容もていろいろ規定されておること等とにらみ合せましても、また昨日の参考人などが要望しておりました労務者関係の諸君などが、当然この委員会に入るように、はつきりした規定をつくつて置く方がよろしくないのかということでございましたが、これはひとり労務者だけでございませんので、この港湾業務の運営にあたりましては、それに関係する諸君が多数入ることがよろしい、こういうふうに考えます。そのよう意味から言いますと、知識、経験を有する者、または声望のある者の中からということであるが、声望というよりも、むしろそれを包括するよう意味においても、また今の労務者関係の代表者などを入れるとりうようなことも、もう少し字義的に何か考えた方がいいのではないかと考えますが、これに対する政府考えはどうでありますか。
  133. 後藤憲一

    後藤政府委員 港湾における労働者の地位というものは、他の産業従事員に比べますれば、特に大きな比重を持つておると私どもは考えるのであります。しかし各港湾とも、いろいろ特殊な事情もあるのでありますから、ここに一律にある定義を与えてやるよりも、包括的な意味におきまして、定款において、どういう業種はどういう方面からやるというような、その実際の行き方によつてやらなければならぬと思いますので、こまかい点はすべて定款において、おのおの港湾の特徴が生きるように選んで決定した方がいいという観点から、こういう表現を用いたのであります。
  134. 石野久男

    ○石野委員 この点は非常に私どもの立場からも重要でありますので、今一度お尋ねしておきます。定款等においてそういうことを規定したならばよろしいということは、非常に聞きづらとしましてはいい聞こえでありますけれども、実際にはなかなか行いにくいという事情があることを、われわれしばしば考えるのであります。そのよう意味からいたしましても、私もやはり法文の中にこういうことを明示した方がいいと信じております。こういう点について、いま一度政府意見をお聞きしておきたい、こういうふうに思つております。なおそれと同様に、第十七條の第一号におきまして、国会議員または地方公共団体議会議員を除くということによつて、一応この港務局というものは、経済行為をするところであつて、政治的な行為の場所ではないということを明白にする一つの意図が明示されておる。こういうふうに御説明なさつておりました。しかし他面から言いますると、行政官庁等の地方公務員等においては、はつきりしたまだ規定がここには明示されていない。欠格條件の一つに入つていないのだということを言われております。私どももやはり政治的な條件がこの中に入らないことを必要とするという意味はよくわかりますが、他面公務員関係の諸君を、のほうずに放しておるということによつて、弊害が生ずるのではないかと思いますけれども、当局はどういうふうにお考えになつておりますか。
  135. 後藤憲一

    後藤政府委員 第一段の御質問の点につきましては、先ほど申し上げました通り、各港おのおのに特殊な事情がありまして、その定款に讓るということ自体も、御指摘の通りなかなか困難な点もございますから、なおさらそれを包括的にこの法案に業種を明らかに出すという点には多くの困難を感じますので、できるだけ各港の実情に即するように、その委員選任というものに対するバツク・グラウンドをはつきりする方が適切ではなかろうかと思います。  第二段の公務員に関する限り、国家公務員及び地方公務員に対しましては、公務員法の適用の範囲においてあえて欠格になつておらぬのでありますが、公務員となりますれば、やはりおのおのその上長の許可もいるのでありまして、だれでもなれるというような実情にはない。特に公務員法で縛るまでもないと思いますが、ここに公務員の欠格條件を特にあげるまでもないというつもりで、それを書いてないわけであります。
  136. 石野久男

    ○石野委員 当局としても話明のしにくい内容があるものと私は思つております。それは意見にわたりますので、それ以上のことは私申し上げません。また他の委員会に出なくちやなりませんので、最後に一つだけ政府にお尋ねしておきたいと思う。この法案の全体を含めて、原案の通り通過、成立せしめることに、提出者の側としては非常に御努力のようでございます。しかもそのために、先ほど来の懇談全等におきましては、次期の国会において、これに大きな修正が行われるということのお話合いもあり、ただいまはまた尾崎委員から、そういうことについて政府に同調される御意見も伺つた。私はこのような條件のもとにおいて、この法案が新しく発足することについて、大きな疑義を持つのでございますが、この際政府一つお尋ねいたします。それはこの法案を通過させることによつて地方自治団体がいろいろと利益をする面があり、経済的に利益をする面がありましても、他面非常に自治団体関係の間におけるトラブルもまた生ずることが予想されるわけでございます。そのことが、すなわち第三十三條に規定された内容において、当分の間はやつていただきたいというような意向が出て来る一つの原因にもなるのだろうと私は思うのであります。こういうような経済的な利益と、それから政治的な諸問題と、ここにいわゆる地方自治団体間におけるところのめんどうくさい、いろいろな問題が起こることとの兼ね合いについては、私はむしろ法案自体を今少し十分な検討を行つた上に実施する方が、当該地方団体のためにも、よい結果になるのではなかろうかとも考えるのでございます。この点について当局としましては、なおそれにもかかわらず、あえて今日の段階でこの原案を通して置いた方がよろしいのだというような見通し等について、はつきりした所信のほどをひとつ聞かしていただきたいのであります。
  137. 後藤憲一

    後藤政府委員 ちよつと速記をやめていただきたいのですが。
  138. 稻田直道

    稻田委員長 速記をやめてください。     〔速記中止
  139. 稻田直道

    稻田委員長 速記を始めてください。
  140. 石野久男

    ○石野委員 ただいまのお話趣旨は、私もよく了承しておるのでありますが、ただ問題になりますのは、先日地方の方々の御意見もありましたように、なかなか予想されるようにスムースに事が運ぶかどうかというと、当該地方団体等においては、関連地方団体との間に内訌している問題がある、こういうような点を私は心配するのでございます。この点がほんとうに円滑に処理されればけつこうでございますけれども、その見通しについては、先ほど港湾局長は、それはまつた地方自治体の間における問題であつて、われわれとしては干渉を加える気持はないとおつしやつておりましたが、この点について当局としては、十分の見通しを持ち得られるかどうかということをいま一度聞きたいと思います。
  141. 後藤憲一

    後藤政府委員 この法案を通観いたしますと、すぐおわかりになると思いますし、また大臣提案説明にも申し上げました通りに、港湾都市といいますか、関係地方公共団体というものが、十分に自治の能力があるということを前提として、その自治能力に信頼して、この法案を出すということであります。かりにその程度に至つてないにいたしましても、こういう法案によつて処置いたしますところに、自治の能力の訓練もおのずから行われると思いまするし、幾分かのトラブルは、もちろんわれわれとしても考え得られますけれども、ほんとうにお互いの自治を尊重し合うという精神によつて協調して行くことを、深く希望しておるわけであります。
  142. 石野久男

    ○石野委員 私の質問は一応これで本日はとりやめます。
  143. 稻田直道

    稻田委員長 明日午前中に、引続いて質疑を行うことにいたしまして、本日はこれをもつて散会いたします。     午後四時六分散会