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1950-04-27 第7回国会 衆議院 運輸委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十七日(木曜日)     午前十時三十一分開議出席委員    委員長 稻田 直道君    理事 大西 禎夫君 理事 關谷 勝利君    理事 松本 一郎君 理事 木下  榮君       岡田 五郎君    尾崎 末吉君       片岡伊三郎君    黒澤富次郎君       坪内 八郎君    畠山 鶴吉君       滿尾 君亮君    清藤 唯七君       米窪 滿亮君    上村  進君       飯田 義茂君    石野 久男君  出席政府委員         運 輸 技 官         (港湾局長)  後藤 憲一君  委員外出席者         参  考  人         (全日本海員組         合副組合長)  有井  澄君         参  考  人         (日本船主協会         業務部長)   枝吉 正保君         参  考  人         (全日本港湾労         働組合同盟委員         長)      田井増五郎君         参  考  人         (日本倉庫協会         会長)     武田 正泰君         参  考  人         (日本機帆船業         会専務理事)  立川  繁君         参  考  人         (日本港運協会         会長)     津田  隆君         参  考  人         (東京建設局         港湾部管理課         長)      津野 清海君         参  考  人         (神戸市助役) 長浜 時雄君         参  考  人         (横浜市議会港         湾対策委員長) 平山伊三雄君         参  考  人         (日本海員掖済         会副会長)   福原 敬次君         参  考  人         (神奈川県副知         事)      松本  烈君         参  考  人         (兵庫県副知         事)      吉川  覺君         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君 四月二十六日  委員米窪滿亮辞任につき、その補欠として鈴  木義男君が議長指名委員に選任された。 四月二十七日  委員鈴木義男辞任につき、その補欠として米  窪滿亮君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 四月二十七日  地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、  海上保安監部及び海上保安部設置に関し承認  を求めるの件(内閣提出承認第六号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  港湾法案内閣提出第一八七号)     —————————————
  2. 關谷勝利

    關谷委員長代理 これより運輸委員会を開会いたします。  港湾法案を議題といたし、審査を進めます。本日は前回の委員会において決定いたしました通り、この港湾法案露大関係を有しておる地方公共団体海運業界倉庫業界港湾運送業界、その他労働組合等方々に御出席を願いまして、その御意見を承ることにいたします。  この機会に簡單にごあいさつを申し上げます。御承知通りわが国地理的條件から申しまして、海運の振興は今後のわが国産業経済の根幹をなすものでありまするが、そのためには船舶ともに、港湾管理運営を最も適切に行う必要があるのであります。本日ここに各位の御意見を伺うことにいたしました港湾法案は、港湾管理者設立その他港湾管理運営の方式を確立し、もつて港湾開発利用の促進をはかることを眼目といたしておるのでありまするが、この法律案につきまして、密接な関係を有せられます各位に御出席をお願いいたしまして、それぞれの立場から忌憚なき御意見を承り、もつて法案審査愼重を期したいと考えました次第であります。  なおこの際念のため参考人方々に申し上げますが、各位の御発言公聴会における公述人に準じまして、委員長の許可を停ること、またその発言意見を聞こうとする問題の範囲を越えてはならないことになつております。また委員参考人質疑ができますが、参考人から委員に対する質疑はできたいことになつておりまするので、御承知おきを願います。  それではこれより御意見を拝聴することにいたしますが、時間の関係から一人当りの発言時間は大体十五分程度にお願いいたしたいと存じます。まず神奈川県の松本知事にお願いいたします。
  3. 松本烈

    松本参考人 今回御提案になつておりますところの港湾法案を拝見いたしまして、非常に御苦心の結果、この法案ができ上つたように拝見したのであります。もつともこの法案で焦点になるところのものは、港湾局設立に関しますところの第四條の規定であろうかと思うのでありますが、この第四條の規定につきましても、政府におきましては非常な苦心をされまして、これをつくられたと思うのであります。第四條におきましては、関係地方公共団体意思を十分に盛られておるように私は考えますので、神奈川県といたしましては、この第四條を修正されることなく、このまま原案通り認めを願いたいと思います。  横浜並び神戸に例をとつて見ますると、今まで国が非常に大きな力と、巨費とをもつて運営管理をせられておりましたところの港湾を、この港湾法案によりますと、関係地方公共団体協議をいたしまして設立するところの港務局に、その管理を委任されるという形になつておるのであります。これは私どもが考えますると、單に一町村と申しましてはたいへん失礼かと思いますが、そこでは運営管理はとうてい望み得ないというふうに、私どもは考えておるのでございます。もちろん県といたしましては、これに対します将来の運営費用並びに施設に対する費用十分出資をいたしまして、お互いに将来とも港湾の発展を期したい、こういう考え方を持つておるのであります。この点につきましては、府県といたしましても十分決意を持つておる次第であります。そのほかの点につきましては、私どもはこの法案につきましては何も申し上げることはございません。
  4. 關谷勝利

    關谷委員長代理 次は吉川兵庫県副知事にお願いいたします。
  5. 吉川覺

    吉川参考人 私は兵庫県の副知事吉川覧でございます。まず私が国会皆様方、特に運輸委員方々にお願いを申し上げたい第一点は、この港湾法なるものがわれわれの待望しておつたものでありまするがゆえに、すみやかに政府原案通り通過せられますよう御盡力をお願いいたしたいという点でございます。一昨年GHQの方から專用しておる突堤返還したいと思うから、すみやかにこれの受入れ態勢を確立せよというお話が政府に対してあつたのでございます。われわれ地元におきましても、神戸港におきましては五つの突堤が占領せられておるのでございまして、連合軍の厚意に対して非常に感謝しておるのでございまして、機会あるごとに県におきましても市におきましても、要路に対しましてすみやかに返還していた、たきたいということを要望して参つたのでございます。その結果返還をするからして、日本側においてはすみやかに管理骨体設立せよという要求があつたのでございまして、われわれといたしましては一日も早くこれを返還していただきたい。神戸港におきましては二十四年度中一年間の実績は、実に外国船舶、艦船一千八十隻という数字があるのでございますが、一千八十隻の多数の船舶というものは、あるいは沖合いにおいて瀬取りをやつておるというような状態でございますので、すみやかにこれの返還を受けまして、そして海運が振興し、貿易が振興することをこいねがつておる次第でございます。つきましてはこの政府原案を拝見いたしてみますると、われわれが要望いたしておるところでございます。しこうして非常に御苦心の存するところも拝見することができるのでありまして、われわれは絶対にこの政府原案通り可決せられんことを望むものでございます。  第二にお願い申し上げたい点は、その港湾管理の母体の形でございますが、これは港務局設定して、つまりポートオーソリテイー設定いたしまして、県も市も民間業者も一体となりまして、適切なる規模の大きな運営をして行きたいと考えておる次第でございます。この点につきましてはアメリカあたりのロサンゼルス、サンフランシスコ、あるいはニユーヨーク等の、港湾実例につきまして研究いたしてみますると、幾多の紆余曲折を経て、ポートオーソリテイー設定せられておるのでございます。しこうしてそれはことごとくそのポートオーソリテイー委員は、州知事が任命いたしております。委員任命権のごときはとるに足らぬと思いまするが、要するに県、市及び民間等から選ばれましたるところの委員によつて、きわめて民主的にしかも適切に国際港湾運営せられるということが大事であると考えるのでございます。わが国におきましては、神戸あるいは横浜港のごときは、ぜひともこの大・規模ポートオーソリテイーというものを設定していただきたいと考えるのでございます。そのポートオーソリテイーにつきましては、ただいま神奈川県副知事から述べられました通り、第四條に規定があるのでございまして、「現に当該港湾において港湾施設管理する地方公共団体、従来当該港湾において港湾施設設置若しくは維持管理費用負担した地方公共団体又は予定港湾区域地先水面とする地域区域とする地方公共団体は、第三項及び第四項の手続を経た後その議会の議決を経て、協議の上、單独で又は共同して、定款を定め、港務局設立することができる。」この規定につきまして、この原案通りで参りますならば、これは市及び県が協議の上、港務局設置することができる。こういうことになつているのでございますが、聞くところによりますと、この原案に対して五大都市等におかれましては、この予定港湾区域地先水面とする地域区域とする地方公共団体を、その協議者の中から除こうという修正案が動いているということを承るのでございます。これはすなわち兵庫県に実例をとつてみますならば、候補市だけが港務局設定せんとするところの意図であるのであります。兵庫県をこの協議者の中から除こうという意図に考えられるのでございます。これは十分御留意の上、かかる修正案に対しては御賛成相なりませんようにお願いいたしたいのでございます。と申しますのは、ほかの小さい中小港湾等は別といたしまして、国際的な規模を有するところの神戸港あるいは横浜港のごときに至りましては、よほどだきな構想をもつて、これを管理運営することが必要であると考えるのでございます。特に現状にとらわれることなく、将来に思いをはせるときに、海運をもつて貿易をもつて日本が立たなければならぬというときにおきまして、神戸港のごときは現地域にこだわることなく、港域を広げまして、そうして大阪の方に向つて大きな港湾を拡張して行く必要があると考えるのでございます。そういう場合におきまして、現在の神戸市だけが單独管理するということは、小規模に失すると思うのでございます。單独管理するのがよいか、あるいは県市等ポートオーソリテイーをつくつて管理するのがよいかというお尋ねが、過般政府からあつたのでございます。そういうお尋ねがありますから、神戸市におきましては、それでは單独管理しよう、こういうような意向が動かれたものと考えるのでございますが、私はそういういきさつのいかんを問わず、これは県も市も民間業者も一本となつてポートオーソリテイー設立する。そうして運営をして行くということが、現在及び将来において最もふさわしいものであり、そうして内外の情勢にかんがみますときに、他のアメリカあるいはヨーロツパの実例等を研究してみましても、最も適切なるものであると考えるのでございます。特に将来のその建設を考えますときに、市單独でこれの建設費を出して運営して行こうということは、おのずから小規模となり、建設途上におけるところのわが国港湾問題に対する態度ではないと私は考えるのでございます。県は従来兵庫港の時代から、伊藤博文県令時代から、兵庫港というものをあくまでも建設し育てて来たのでございます。現在に至りましては、神戸市が建設費を持ち、やつておりまするけれども、明治四十三年までは、これはもちろん兵庫県が育てて来たものでございます。それから現在の港域のほかに、広く港域が東に延びております。それらの市町村というものの利益から考えまして、地先海面というものを持つております。ところの地元利害関係も考え、従来の県の立場から考え、その背後地でありますところの厖大なるヒンター・ランドは、すなわち兵庫県でありますから、神戸港の管理運営についてポートオーソリテイー設定する場合におきましては、県と市と民間が一緒になつて、大きなポートオーソリテイー設定をして運営をして行く。そうして現在及び将来において維持費管理費建設費等につきましては、兵庫県も及ばずながら神戸港のために負担をいたしまして、相とも神戸港の管理建設に向つて、一致した態度をもつて進んで行きたいと考えているのでございます。しかしながら同時にこのポートオーソリテイーの、たとえば七人の委員が設けられます場合におきましては、神戸市の立場を十分考えまして、たとえば五名の委員神戸市長の推薦するものによるとか、二名だけは県が推薦するものによるとかいうような、神戸市の立場は十分尊重して参りたいと考えております。かかる意味におけるポートオーソリテイー設定を考えまするがゆえに、何とぞ第四條におけるところのこの條項修正せんとするような意向が動きました場合におきましては、この点は御了察の上、原案通り通過せられますようお願い申し上げる次第でございます。  以上二点をお願い申し上げまして終ります。
  6. 關谷勝利

    關谷委員長代理 次は横浜術港湾対策委員長平山伊三雄君にお願いいたします。
  7. 平山伊三雄

    平山参考人 港湾法案がまさに発足しようとしているのでありますがこの法律案港湾行政の上に、開港以来の一大転換を来すものでありますがゆえに、港湾生命としまする各車要港湾都市は、最も重大なる関心を持たざるを得ないのであります。東京横浜、愛知、大阪神戸、これらの五大港湾都市を見ましても、これらの公共団体に所属しまする市民は、約一千万の数を擁するのであります。なおこのほかに全国港湾管理者協議会におきましても、つとに重大関心を持たれて参つたのであります。われわれは正式に昨年八月にこの港湾法の準備がなされるや、その重要意義を考えまして、愼重なる調査を進めて参つたのであります。今日に至るまで政府当局の準備されまする法案は一進一退、数回にわたりまして改変されておりますので、いずれを拠点としてとられるかに、相当苦心拂つたのであります。しかしながら本日ようやくこの法案国会に上程されまして、本格的な調査が進められることになつたのでありますが、私どもはこの法案を拝見しまして、五大港湾都市協議会はもとより、全国港湾管理者協議会と共同の上に立つて検討したのでありますけれども法案生命としまする、すなわちこの法律目的におきまして、港湾管理運営に関しまする公共団体をして、最大限の自治権を付與するという根本精神が、この第一條におきまして生きていることは、われわれはこれを喜ぶのであります。すなわちこの港湾法によりまして、地方自治権がいたく伸長されたことはわれわれは喜ぶのでありますけれども、細部にわたつて内容を検討しまするときに、せつかく地方自治権が強化されて付與されるこの法律案が、はたして具体的にその効力を発生するためには、いろいろの難関が生れているのであります。すなわち法律によりまして管理運営方法を決定しましても、管理主体設立がスムースになされるかいなか、あるいは費用負担等におきまして、重要な異議がはさまれるのであります。従つて内容を検討しました結果、最小限度修正をしていただきませんと、せつかく法律はできましても、管理主体設立が不可能になるおそれが十分にあるのであります。私ども五大港湾都市、いな全国港湾管理者協議会としましても、この法律案の成立と同時に、一日も早く理想的な管理主体をつくろうということにやつきとなつているのであります。しかしながら内容に不備がありましては、せつかく法律による規定でありましても、管理主体結成の上に支障参つたのでは、これはまつた意味をなさない結果になりますので、管理主体設立のために最小限度必要事項を御修正願いたいと思うのであります。以下ごく少部分でありますけれども、絶対的な必要事項として、最小限度修正点を私どもは希望いたす次第であります。  第一條におきまして、「この法律は、港湾管理者設立による港湾開発利用及び管理方法を定めることを目的とする。」と明記されているのでありますが、従来幾たびか試みられました法律案におきましても、港湾に関しましては管理運営ともに並記されまして、管理運営するという字句が使われておつたのでありますし、ここにただ「管理方法を定める」ということは、一片の單なる管理人を定めるというふうにも解釈されるのでありますが、しかも今回新たに閣議を経て決定されたと称しまする案を拝聽したときにも、第四條の六項におきまして管理運営なる字句が明確に現われているのであります。内容におきまして管理運営の問題が認められるならば、当然法の使命とする第一條におきまして「管理運営」と御修正願いたいのであります。「管理」の下に「運営」の二字を御挿入願いたいのであります。そこでこの法案はまさしくその使命が生きることになると考えられるのであります。  さらにこの法案の最も生命としまする管理主体設立に関する條項でありまして、第四條でありますが、先ほど兵庫の代表の方からいろいろの御意見があつたのでありますが、この第一項の下にわずかの修正をお願いしようということは、第一項の中に「又は予定港湾区域地先水面とする地域区域とする地方公共団体」という字句を削除願いたいという意思であります。何のためにこれを削除願うかといいますると、管理主体設立のために無用なる摩擦を避ける——すなわち主文におきまして、相当の設備を持つているもの、あるいは費用負担しているものは、当然管理主体としての資格はあると思いまするけれども、單に地域が水域に面しているというだけであつて、この管理主体構成の一員となるということは、非常な摩擦を起し、また複雑なる問題が起るのでありまして、これはぜひとも削除願うことが、管理主体設置の上に、非常な速度が持たされるのであります。ことにただいま兵庫県のお方からの御意見を伺いましたが、これはあとで神戸の方から御意見があると思いまするが、私ども協議会におきましては、断じて兵庫県を度外視したことはありませんので、兵庫県は、やはりこの第一項の規定の中に明確に含まれているように考えているのであります。  次は第三項としまして、二項の次に一項を加えていただきたいのであります。その文章は第三項としまして、「第一項の協議がととのわないときは、従来みずから当該港湾建設管理をなし、もしくは国営港湾工事に対し、国の命令により費用負担した地方公共団体は、單独港務局設立することができる。」という一項であります。これは昨年以来、各都市におきましても最も悩みまして、幾たび、どういう法律ができましても、管理主体構成の上に絶対に支障となるのは、相対立した二つの存在であります。ここでもし両者の協議が整わないときには、だれが裁定して、どこできめるかということを強制することができないのであります。連合軍のスキヤツプ・インによりましても、公共団体の自由なる意思によつて、これをつくれと呼びかけられているのであります。しからば自由なる意思を双方から主張しておつたならば、いつになつてこの協定が整いましようか。ここで私どもは、再三協議をしてもなおかつ整いませんときには、いろいろの手続はありまするけれども、これは單独でも設立することができる。第一項の中の「單独で又は共同して」という字句に対しまして、この法案を立案されるお方の御意見を聞きますると、港の中に二つ公共団体がありましても、これは別々にできるものであるという趣旨で発案されたということでありまするがゆえに、ぜひともこの第三項を挿入していただきたいのであります。この挿入をお認めくださるならば、法律制定と同時に即座に管理主体ができまするけれども、この一項をもしお認めにならなかつたならば、いつの世にか管理主体ができましよう。ここに深く御留意いただきまして、この一項はぜひとも挿入願いたいと思うのであります。  次は原文の第三項の次に、これは第五項になるわけでありますが、次の一項を御挿入願いたいのであります。「前項の規定による予定港湾区域関係地方公共団体地先水面を越えて規定しようとするときは、あらかじめその地先水面区域とする地方公共団体同意を求めなければならない。」何がゆえに第五項の挿入を希望するかといいますると、第一項におきまして、予定港湾区域云々のことを削除いたしましたがために、もし一つの公共団体がその独裁権をもちまして、除外したところの権益を阻害するようなことが断じてあつてはならない。もしその区域において求めようとするならば、あらかじめその公共団体同意を求めて行かなかつたならば、この設立はできないという、すなわち第一項の、または予定港湾区域の削除に対する救済案でありまして、これを入れることによりまして、除外されようとする字句は、まつたくここに再生されることとなるのであります。しかして第四條の七項以下八項、九項、十項は、第三項の挿入によりまして、これはまつたく不必要となる文章でありますので、七項、八項、九項、十項は、全文削除することを必要と認めますので、何とぞこの点お含みを願いたいと思うのであります。  次は第十二條であります。まず第一に、第一條にお願いしました管理運営の問題でありますが、この條におきましても、單なる管理という字句のあむまするところには、これはいずれも管理運営と御挿入願いたいのであります。  さらに同條第五号の次に、第六号として一項を挿入いたしたいと思うのであります。それは「港務局の管轄する港湾区域内における船舶出入港届の受理一錨地及び船席を指定すること。」これはこの法律案だけでは、この意味がはつきりして参りませんけれども、一面最後拘束法の改正をお願いいたしまして、連合軍の示唆にある点を本点に生かしていただきたいという趣旨であります。  さらに進みまして、原文十号の次に、十一号の挿入をお願いしたいのであります。すなわちその文章は、「港務局が管轄する港湾区域及び臨港地域内における貨物の積下ろし、保管、荷さばき及び運送改善調整をはかる」。これによりまして、当初運輸省が立案されました趣旨とも合致しまするし、設置されました管理主体の実際の業務が、これによつてつたく明らかになつて参るのであります。これらの点につきましては、なお最後に附則の点で申しまするけれども、現在ありまするところの運輸省設置法の一部を改正願いまして、この十二條をまつたく完璧した條文にお願いしたいのであります。  次は第十六條、第十七條の問題でありまするが、これは相関連しました文章でありますので、まず第十六條に第三項の御挿入を願いたいのであります。それは「第一項の規定による委員のうち、港務局を組織する地方公共団体は、必要と認めるときは当該地方公共団体議会の推薦する議員一名を任命することができる。」という文章であります。さらに第十七條は、全文御修正願いまして、「国会議員または地方公共団体議会議員(第六條第三項の委員たる議員を除く)は委員を兼ねることができない。」こういうように御修正を願いたいと思うのであります。この修正の意義は、将来設立されまする管理主体は、複雑なる條件が伴うのでありまして、ことに横浜神戸港のごとく、国港としまして、国が大部分の費用を投じて建設された港に対しまして、おのおの都市は百億あるいは数百億の費用を投じて、港に対する設備を持つているのであります。これらの設備はともにまさに生れますところの管理主体に移管されるのでありますが、この大きな財産を移管するばかりでなく、この法律によりまして、もし管理主体が経営の上で欠損した場合には、これを組織した公共団体は、その欠損を補喧しなければならないという條文があるのであります。もし管理主体が経営の失敗によりまして、多額の欠損をした場合、この負担公共団体に求めるときに、いかなる連絡によつてこの負担がなし得ましようか。公共団体はまた数十億、数百億の財産を投じておきながら、これに対して一つの関連も持つことができない。欠損の補填が要請されましても、公共団体管理主体との連繋をどこで調整するであろうか。これらを考えてみますならば、現在の教育委員会法におきまして、独立した委員会がありますけれども、その費用は市から交付を受けるために、議会の推薦する議員一名を教育委員の中に入れまして、議会公共団体と教育委員会との間を調整しているの、であります。これはまつたく相関連した事項と思いますので、この大きな財産を委託し、かつまた将来多額な費用負担しなくてはならない、この連絡、調整のためには、もし必要があるならば、公共団体は七名のうち一名だけの委員を出すことができる。こういう條文は絶対に必要なことでありまして、これなくしましては、できました管理主体公共団体の連絡が欠けますために、港務局あるいは管理主体設立が不可能になるおそれがあるのであります。  なお第十七條の第三号、第三号、第二項等は、はなはだ変則的、一方的な欠格條項でありまして、特定のこれらの者を不適格とさすならば、おそらく港務局あるいは管理主体委員となる者がなくなつてしまうおそれが十分にあるのであります。これらの欠格條項に示されます條項は、管理主体設立に際して、定款の上に明確に明記して制限をすべきであつて、法の上に変則的なこういう欠格條項を残すことを、われわれは不可解に思われるのであります。よつて十七條は先ほど申し上げた通り、簡單に御修正願いたいのであります。  次は第三章、港湾管理者としての地方公共団体、第三十三條でありますが、これは第四條との関係において、第四條の御修正が願えましたならば、第四條は主として港務局設置に関する條項でありますが、これは港務局設置を前程として、公共団体單独管理者となり、もしくは協議の上、一つの公共団体管理者として指定する。こういう條文の整理のために、第三十三條を次のように御修正願いたいのであります。第三十三條、「関係地方公共団体は、港務局設立しない港湾について、第二項において準用する第四條第四項及び第六項の手続を経た後、その議会の議決を経て、單独港湾管理者となり、若しくは協議の上これら地方公共団体の一を港湾管理者に指定し、又は地方自治法第三百八十四條第一項の地方公共団体設立することができる。」こういうふうに御修正願いたいのであります。  次は、本文五十一條でありますが、これは勧告権であります。第五十一條原文は「運輸大臣は、重要港湾に於て、港湾利用を増進するため特に必要があると認めるときは、港湾管理者を設くべきことを関係地方公共団体に対し勧告することができる。」という文章であります。文章自体は至つて簡單なのであります。しかしながら勢頭に申し上げた通り、私どもまさに重要港湾と指定されようとする港湾都市としては、いずれもこの法の設立のすみやかならんことを期待し、またこの法案の通過によりまして、逐次管理、主体を結成しようとする意気込みで、日夜奮闘しているのであります。むしろ地方公共団体、主要港港自体が、進んで管理主体をつくろうとしているごとにかんがみまして、もしつくらない場合には、勧告するというのでありますが、これははなは、だ解しかねる文章でありまして、この上から見ましても、これは地方の意思を無視された文章とも考えられますので、この点は必要ないものとして、削除願いたいのであります。さらにまた、その反面には、この勧告権の意義がどういうものであるか、深い疑義をその中にはさんで参りますので、勧告権に対する効力がどこにあるのであろうか、いかなる問題に対して勧告するのであろうかこういうあいまいな解釈を生じます。ところの五十一條は、私ども重要港湾都市としての考えに反しますので、これは必要ないものとして、全文御削除願いたいのであります。  次は、第五十八條の三項でありますが、「地方・自治法第三百十三條第三項の規定は、地方公共団体が、港湾管理者港湾施設を譲渡し、貸し付け、又は管理を委託する場合には、適用しない。」という原文であります。しかしながら地方自治法は、法の命ずるところによりまして、各都市は條例をもつて、重要財産を指定しているのであります。この重要財産が、單なるこの港湾法の一項によりまして、その意義を失うことは、憲法上の解釈に対してどうかという非常な議論が起つたのであります。しかしそれはそれとしまして、これだけせつかく與えられましたところの住民の権利が、これによつて剥奪されるということは、どうも私はうなずけないのであります。こういう法律がないとしましても、決してこれが住民投票にかけなくてはならないような大きな波紋を生ずるとは考えられないのであります。しかしながら住民から見ますならば、この重要財産に対しては、はつきり住民に問わなければならないという住民の権利が、二の法によりまして喪失するということに対しましては、うなずきかねるのであります。こういう必要の度合いのまことに薄い文章は、法の整理の上から見ましても、この第三、項を全文削除願いたいのであります。  最後に、先ほど第十二條の点で申し上げたのでありますが、附則として、第五項を次のように加えたいのであります。「運輸省設置法の一部を左の通り改正する。第四十條中第一項第十九、二十、二十一、二十二号及び第二項第五号及び第六号は港湾管理者設定された港湾においては適用しない。」この改正の要綱は十九号は「運輸大臣の指定する港湾施設管理に関すること。」二十号は「港湾に於ける諸作業の改善調整に関すること。」二十一号は「港湾運送業及び臨港倉庫の発達改善及び調整に関すること。」二十二号は「港湾に於ける港湾諾作業料其他運輸に関する料金に関すること。」さらに運輸省設置法第四十條第二項は、第五号によりまして「所管事務に関する指定生産資材及び石油製品の割当及び監査に関すること。」第六号に「所掌事務に関する労需物資に関すること。これだけのものは運輸省設置法の中にありまして、この第十二條と拡触するものであり、またこの港湾法の発案者の御意見を聞きますると、現在の運輸省に持つておりまする港湾に対する一切の業務は、この管理主体に委譲されるものであるという御説明があつたのでありますが、もしこれがそうであつたならば、この運輸省設置法を御改正願いまして、第十二條におきまして、管理主体が明確なる業務を把握できるようにお願いしたいのであります。さらに附則に第六号を加えまして、これも先ほど申し上げましたが「港則法第四條及び第五條第三項、第三項中港長とあるは、港湾管理者設定された港湾においては港湾管理者と読み替えるものとする。」従つてこの両附則とも万遍的にこういうことが適用されるのでなくて、この法の命ずるところによつて港湾管理者設定されましたならば、設定されたところにだけ、この法文が適用される、そういうような御解釈で御修正願いたいのであります。  以上申し上げましたことは、私ども過去十箇年寝食を忘れて討議し、一千万市民の輿望に沿いまして、理想的港湾管理主体の結成のために心血を注いだ修正意見であります。これは原文認め、この修正意見がお認め願えるならば、法の通過と同時に、ただちにわれわれは管理主体の結成にかかることができるのでありますが、万一この修正案通りませんで、政府原案のまま通るようなことがありましたならば、管理主体の結成は絶対に不可能であるということを銘記されまして、何とぞ修正の点、お含みの上、御善処くださるように切にお願いいたす次第であります。
  8. 關谷勝利

    關谷委員長代理 次は神戸市助役長浜時雄君。
  9. 長浜時雄

    ○長浜参考人 本日は当委員会に市長が御招集になつたのでありますが、市長はやむを得ない所用のために出席いたしかねまして、私がかわつて参りましたことを御了承をお願いいたしたいのであります。この港湾法の問題につきまして、私はこれから六項目の修正意見を申し上げたいと思うのであります。但しこの点につきましては、單に神戸市のみの意見ではないのでありまして、東京横浜、名古屋、大阪神戸の五大港湾はもちろん、この六項目の中の大部分の問題につきましては、全国利用協議会においても同様な御意見のあることを御了承願いたいのであります。  先ほど横浜の方からいろいろ総論的のお話もあつたのでありまするが、時間の関係もありますから、私は逐條にその要点だけをば申し上げたいと思うのであります。まず第一條でございます。この第一條につきましては、この法律の全体の目的が定められておるところの、最も大切な條文であると思うのであります。しこうしてこの條文を拝見いたしますると、港湾管理者というものが、單に港湾施設に関するところの業務のみを担当するのでありまして、かんじんな港湾自身の運営に関する業務に携われないような印象を與えるのであります。しかるにこの法案最後にありまするところの理由書を見ますと、この理由といたしましては、港湾開発発展をはかるため、地方公共団体の自由な意思による港湾管理者設立その他港湾管理運営の方式を確立する必要がある、これがこの法律案を提出する理由である。実にりつぱな理由書になつておるのであります。この理由書と第一條のこの法律目的との間においては、大きな齟齬があると思うのでありまするから、管理に引続いて、管理運営の二字をお加え願いたいと思うのであります。  次は第四條と、これに関連いたしまするところの第三十三條の問題であります。この四條及び三十三條の管理主体の決定に参画いたしまするところの関係地方公共団体の範囲の問題でありまするが、法案を拝見いたしますると、この範囲といたしまして、第一は「現に当該港湾において港湾施設管理する地方公共団体」、第二は、「従来当該港湾において港湾施設設置若しくは維持管理費用負担した地方公共団体」、第三といたします点は、われわれが修要していただきたいと思います点であるところの、「予定港湾区域地先水面とする地域区域とする地方公共団体」、以上三つの條件を備えておりまするところの地方公共団体が、管理主体の決定に参画するということになつておるのであります。この関係地方公共団体の範囲というものは、真にその港湾利害関係を持つておりまするところの地方公共団体に限定すべきものであろうと思うのでありまして、第三の点、すなわち單に予定港湾区域地先水面とする地域区域とする地方公共団体ということになりますると、これは第一にも当らない、第二にも当らない。つまり何らの管理もなし、施設もない、單にその地先が港湾区域内にあるという関係から、前二者と同等の立場において、港湾管理主体決定に参画するということになるのでありまして、これはこの港湾管理主体を決定いたしますところの協議に、いたずらに紛争を生ずるところの公算がすこぶる大きいのであります。一例を神戸港にとつてみますると、神戸港の港域を見ますと、これは港域法によりまして、西部は明らかに神戸市内でありまするが、東部の方は、芦屋市の芦屋市内にありまするところの芦屋川の左岸の突端から二百二十七度三十分に引いた線、及び陸岸によつて囲まれた海面であるのであります。予定港湾区域をばこの港域法において定められておりまするところの区域をもつていたしますると、地先水面区域とするところの地方公共団体は、兵庫県、神戸市のほかに、さらに本庄村並びに芦屋市という三つの関係地方公共団体があるのであります。しかも現在神戸港の港湾施設というものは、神戸市の区域内にあるだけでありまして、しかもこの港湾施設費用というものは、現に神戸市が管理しておりまするところの内国貿易地帶は、市が三分の二、残りの三分の一は国が負担し、そのほかに市單独費用相当多額に投じてつくり上げたものであります。さらに外国貿易地帶におきましては、神戸市が三分の一、残りの二分の一は国が負担して完成したものであります。ところがこの法案によりますると、管理主体の決定をするのに、先ほど申し上げました小さいところの市とか村に対しまして、一々意見を求めて、これに協議しなければならないのであります。従つてその間に無用な紛争を起しまして、港湾管理者をきめること自体が、きわめて困難になる憂いがあるのであります。先ほど兵庫県の方が申されました、兵庫県を除外するというような考えは、われわれは毛頭持つていないことをば御了承願いたいのであります。先般政府側の説明をこの議会におきまして、非公式に承つたのでありまするが、單に港湾区域関係するところの公共団体をば関係地方公共団体の中に入れたことは、これらの市町村の地先権というものを尊重しなければならないからだというところの御説明があつたのでありますが、ごもつともであります。地先権を尊重するという言葉に対しましては、私どもはごもつともと思うのであります。しかしながらこの点につきましては、たとえば公有水面埋立法の第三條におきまして、公有水面の埋立ての免許は、知事が期間を指定して、地元の市町村会の意見を徴することが規定せられておるのでありまして、地元市町村会の同意がない限りにおいては埋立ての免許というものは困難な事情にあるのであります。従来からも他の法律において十分にそういう点は尊重されているのであります。またたとい法律規定がなくても、他の方法によりまして、地先権を尊重することは十分その目的を達成し得ると思うのであります。現にわれわれは第四條の修正意見の一つといたしまして、予定港湾区域を、関係地方公共団体地先水面を越えて規定しようとするときは、あらかじめ地先水面区域とする地方公共団体同意を求めなければならないということを、私どもはこの修正意見の中に入れておるような次第なのであります。従つて管理主体をきめるために、最も無用な紛争を生ずるおそれがあるところのこの規定は、削除してももいたいのであります。そのほか管理主体を現実に設定するために必要でありまするところの第四條、その他の修正意見につきましては、横浜市から先ほど申し上げましたから、私はこれを省略いたしたいと思うのであります。  次に第十二條と、並びにこれに関連いたしまするところの三十三條の問題であります。これは管理主体の行うところの業務の問題でありまするが、現在国の出先機関が港において行つておりまするところの港湾行政の中には、特に国において取扱うことを必要としなくて、むしろそれは地方公共団体にゆ、たねた方が理想的であるというところもはなはだ多いのであります。かかるものはこの際港湾管理主体に移管すべきものと思うのであります。港湾法においてこの港湾管理主体をきめるということは、つまりそれを平たく申し上げれば、港の主人公をきめるということなのであります。ところがこの港湾法通りにいたしますると、この法案によつてきめられた港の主人公というものは、主として施設建設管理のみの仕事をするのでありまして、港湾運営の面の仕事ということにつきましては、すこぶるこれを制限しておるのであります。港湾運営の面に関しまするところの業務をば、現在の地方海運局に置いて、そのまま残すといたしますれば、せつかく管理主体をつくつて、この管理主体をして一元的に港湾行政を取扱わしめ、これによりまして従来港湾行政組織の非常に複雑でありました点を簡素化するという、民間方面の非常な熱望は、とうてい望むことができないと思うのでございます。この点につきまして、昨年の七月二十九日付の連合軍最高司令官、総司令部の覚書の二のC項におきまして、港湾管理主体港湾運営の調整と監督をするために設けられるべきものであるということを指摘してあるのであります。またこの覚書に対しまして、昨年の八月三十一日の閣議決定に基きますところの、九月一日付の日本政府から総司令部に出した書簡の中にも、その三項に、港湾管理主体の任務の中におきまして、港湾区域内のポート・オペレーシヨン及びターミナル・オペレーシヨンを監督調整することということが明示されてあるのであります。これがこの港湾法をつくりまするところの基本ともなるべきものなのであります。これに対しまして、一九四九年十二月十六日付の連合軍最高司令官、総司令部のこの覚書の中におきましても、特に港湾管理及び運営に関しては、地方自治の機能を最大限に発揮せられるように規定せらるべきものであると、こう立法上の注意が喚起されておるのであります。それにもかかわりませず、この法案におきましては、以上の趣旨が完全に盛られていないのであります。従いまして私どもは、この法案の第十二條にありますところの業務内容の中に、さらに一、港務局の管轄する港湾区域内における船舶入出港届の受理、錨地及び船席の指定をすること、一、港務局が管轄する港湾区域及び臨港地区丙における貨物の積みおろし、保管、荷さばき及び運送改善調整に関すること、以上この二点をばぜひとも挿入していただきまして、港湾管理主体をして名実ともに港の主人公として、港湾施設とも運営の面の業務をもなし、港湾行政の一元化をはかるようにお願いしたいのであります。  次は第十七條の委員の欠格條件でありまするが、この法案によりますると、国会議員または地方公共団体議会議員及び港務局の工事の請負を業とする者は、港務局委員になることはできないことになつておるのでありまするが、教育委員会法の第七條におきましては、委員のうち一名は必ず地方議会議員の中から選挙しなければならないということになつておるのであります。私どもはここまでは言つておるのではありませんけれども、この趣旨にのつとりまして、港湾法におきましても、港務局を組織する地方公共団体の長が必要があると認めるときは、当該地方公共団体議会の推薦する議員一名だけは任命することができるようにしたいのであります。議員のうちから一名の委員をも認めないということは、この法案に盛られておりまするところの、港務局地方公共団体の間にいろいろのつながりがあるのでありまするが、それらのつながりをば円滑に処理するということに対して、大きな阻害を来すものと思うのであります。次にこの工事の請負を業とする者をば欠格條件としておるのでありまするが、港湾利害関係を持つ者のつながりをここに遮断するということにつきましては、私どもは賛成であります。もしもその意味におきまして、工事関係者をば入れないというのでありまするならば、港湾工事よりもより以上港湾利害関係を持つておりまするところの倉庫業、沿岸荷役業者あるいは海運業者、これらはさらにその委員から排除しなければならないと思うのでありまするが、一方は入れることができ、一方はこれをばのけるということにつきましては、この法案に対しまするところの利害関係を持つ者のつながりを断ち切るという趣旨と、一貫しないと思うのであります。さらに港務局港湾管理主体なつた場合の委員に限りまして、法案の第十七條の欠格條件があるのでありまするが——大事なところだからもう一ぺん申し上げますが、港務局港湾管理主体なつた場合、つまりポートオーソリテイーなつた場合に限つて、この法案第十七條の欠格條件があるのでありまするが、もしこの港湾管理主体に、第三十三條の規定によりまして関係地方公共団体の一つがなつた場合、または自治法の第二百八十三條第一項によりまして、いわゆる一部事務組合を設立した場合におきましては、やはりその委員なり組会議員というものに対しましては、何らの欠格條件がないのであります。この法案においては、その点はさらに考慮されていないのでありまして、まことに、この三つの方式にありまするところの管理主体に対しまして、一つにつきましてはこういう欠格條件があるけれども、三つにおいてはそれが何らないというような実情にもなつておるのであります。従いまして私どもは十六條に次の一項を加えまして、それに関連いたしまして十七條をば次のように改正を願いたいのであります。つまり十六條の三項といたしまして、「第一項の規定による委員の内、港務局を組織する地方公共団体の長は必、要があると認めるときは、当該地方公共団体議会の推せんする議員一名を任命することができる」こととするのであります。そういたしまして、教育委員会法の第十條に示してあります通り、十七條といたしまして、「国会議員又は地方公共団体議員(第十六條第三項の場合を除く)は、委員を兼ねることができない」というように御修正を願つて、しかもその土建業者だけをば欠格條件に入れない。入れるなら全部入れる。入れなけれれば全部入れないということに御修正を願いた、のであります。  次は第五十一條の問題でございます。これに関連して前もつて申し上げますが、この法案全体をながめまして、もしも関係公共団体が、この第二章によりましてポートオーソリテイー設立するという場合、第三十三條によりまして、地方公共団体の一つが管理主体になるという場合、この二つがありまして、この関係公共団体の一つは、その前者をば指導し、他の一つは後者を指導するという場合におきまして、その話合いがつかなかつた場合においては、どれによつてこれをとりまとめるかということが、この法案には明らかにしてないのであります。第四條の規定ポートオーソリテイーをつくるということが一応関係公共団体の間に話合いがついて、そうしてつくるごとについてのその内容その他につきましては、三項以下の手続をとる。それに対して協議が整わないという場合がいろいろあり、また協議しなければならない事柄が載つておるのであります。三十三條は関係地方公共団体の一つが管理主体になるということの意見は一致しておる。そのいろいろな諸手続内容等についてはどうするかということが書いてある。その根本の一つの公共団体ポートオーソリテイーになり、一つの公共団体管理主体になるということになつたときには、それはどれによつてそれをとりまとめるか。それがまとまらなければ、一歩も管理主体なんというものは進行しないのであります。それだけを申し上げて第五十一條に参りたいのでありますが、五十一條は運輸大臣が重要港湾に対して港湾管理主体設立すべきことを、地方公共団体に勧告することができる條文なのであります。関係地方公共団体は一九四九年の十二月十六日付の連合軍最高司令官総司令部の覚書の二によりまして、重要港湾につきましては、港湾管理主体を定めなければならないのでありますし、なおさらにこの覚書四によりますれば、目下接收中の港湾施設は、港湾管理主体設立されるときに初めて解放されることになつておるのであります。その手続をするにあたりましては、関係地方公共団体の間に意見が一致しなくて、協議が整わないような場合におきましては、運輸大臣はもはやこの管理生体をつくれという、こういう勧告ではなくして、第二條に示す三つの方式の港湾管理主体の中のいずれか一つの方法と示して、そうしてこの港湾管理主体をつくれということが、勧告せられる公算がすごぶる大きいのであります。かかる勧告をするということは、地方公共団体の自由意思を尊重するというところの、同様十二月十六日の覚書の趣旨に反することになろうと思うのでありますから、この第五十一條の削除をばお願いしたいのであります。  次は最後でありますが、五十八條第三項の問題であります。五十八條の三項は、これは地方自治法の第二百十三條の二項の適用を排除する規定なのであります。この地方自治法條文では、普通地方公共団体が條例できめるところの特に重要な財産または営造物を処分するにあたりましで、当該地方公共団体の選挙人の投票において、過半数の同意がなければならないことになつておるのでありますが、この法案によりますると、この選挙人に與えられたところの権利をば剥奪しようというのであります。言いかえますと、普通公共団体には、條例できめるところの特に重要財産または営造物の中に、この港湾施設というものをば含めてはいかぬ含めてもこれによつて権利を失うというようなことにもなろうかと思うのでありまして、このことは地方団体に対しまするところの非常に干渉になるのではないかと思うのであります。従つてこの法案の五十八條の三項は、ぜひとも削除していただきたいと思うのであります。しかもこの法案の第五條を見ますと、港務局は公法上の法人ということになつておるのであります。この公法上の法人ということが、即公共団体ということになりますると、公共団体につきましては、この選挙することは適用されないことになつておるのでありますからして、従いまして、それもいたしませんからごの條文は無用なものであると思いますからして、いたずらに地元をば刺激するこのような條文は、これは削除して  いただきたい。こう思うのであります。以上で終ります。
  10. 關谷勝利

    關谷委員長代理 次は日本船主協会業務部長枝吉正保君にお願いいたします。
  11. 枝吉正保

    ○枝吉参考人 日本船主協会の枝吉でございます。  多年懸案でありましたところの港湾法がいよいよ上程の運びになつたことは、港湾関係深い日本船主協会にとりまして、まことに喜びにたえない次第でございますけれども、実は昨日法案をいただいたばかりで、きようここに意見を申し上げるというためには、あまりにも期日がなくて、多少法案そのものから離れるかもしれませんけれども、船主の立場からまず本案に関する要望を述べたいと思います。  第一に、港湾行政はきわめて多岐であつて、しかもそれぞれの行政がきわめて複雑な手続を必要といたします。ことに税関関係にそれが著しく、行政の一元化ということもきわめて望ましいのでありますけれども、行政機構が一緒なだけで、單にそれだけでは何にもなりませんので、むしろそれぞれの部門の手続の簡素化ということに重点を置くべであります。戰時中海運局ができまして、一元化が行われ、それで手続が非常に簡素化されたので、海運としても、港湾における能率が大いに上つたことを喜んでおつたのでありますが、終戰後税関が置かれ、あるいは海上保安庁ができまして、手続があらためて複雑になつて来たような感がございます。この法案は主として修築、管理ということによるところの港湾の発展をはかるのが目的であるようでありますが、政府の各省、港湾管理者も、すべてこの点を今後実際に施行する上において御考慮を願いたい。ことに海運局の事務を今度地方公共団体の方に移すという点につきましては、海運としては全国的な部面が多いので、それが統制されないで、各港において別々な手続が必要であつたりするようなことがあつては、はなはだ不都合が多いので、この点は十分御考慮の上で、海運局から地方行政団体の方への移管を御考慮願いたいと思います。  第二に、この法案によると港湾の修築と管理は、全面的に地方にまかせるというのであつて、地方自治の尊重はまことにけつこうではありますけれども、全国的に統一を要するという、今申し上げたような点について、やはり国で調整をするという点も多少考えていただく必要があると思います。ことに港湾の使用料などは、従来の大臣の認可制を廃されたのでありますが、地方庁にまかせた結果、手続に相違ができたり、あるいはポート・チヤージが上つたりするようなことでは、海運の発展を阻害するのではないかと存じております。次にこの法案によつてポートオーソリテイー制度が導入されたのは、港湾の民主化という点からいたしまして、はなはだけつこうではありますが、独立採算などにあまり重点を置かないで、国は地方公共団体と互いに援護しあつてポート、チヤージの上らないように御考慮を願いたい。それがためには港務局海運関係の人を入れるということをお願いしたいと思います。この点は先ほどの地方公共団体の方の公述に、需要者側を入れないというような御意見があつたように承りましたけれども、こういうふうな独善的なお考えであつては、あるいはわれわれの方の立場が非常に危うくなるように考えられます。次に従来港湾管理行政は、地方でも土木技術が中心になつておりまして、土木技術者がその担当者でございました。従つて防波堤の建設などについても、船の立場から使いやすい港湾というようなことが考えられるよりも、それ以外のただ建設ということに力が入るために、われわれの方として希望に沿わないようなものができる。補助金なども、陳情や、各府県の割振りに重点が置かれますために、海運立場からはあまり考えられないでいた点があるように考えられまずので、今後そういう点については、ある程度国が統一されるというようなことも必要ではないかと存ぜられます。ことに最近新聞で伝えられるところによると、行政制度審議会とかで、港湾行政を国土省に持つて行くことが議決されたそうでございます。こういうことがとかく港湾海運を切り離して考えることになるおそれがあるように思われます。  なおつけ加えて申し上げたいのでございますが、頂戴した港湾の説明によりますと、民間企業が大いに進出して、公正な企業活動により能率を上げることが望まといという建前から、港湾管理者が私企業と競争したり、私企業に干渉したりすることは、これを避けるようにという規定がございますし、それから法案を通読しましたところによりましても、第十三條に、「港務局は、港湾運送業、倉庫業その他輸送及び保管に関連する私企業の公正な活動を妨げ、その活動に干渉し、又はこれらの者と競争して事業を営んではならない。」それから第三十七條には、鉄道との関連などが規定されております。そのほかにいろいろございますが、この港湾管理ということが、先ほど地方団体の方からの御公述にもございましたように、管理ということに重点があつて運営という点が多少欠けておる。管理運営というものが現在の機構において、なるべくこの港湾法を生かすというふうに持つて行かれ」おるようでありまして、そのために将来における港湾というものが、いかに理想的に運営されるか、あるいは管理されるかという点に、欠けたようなところがあるのではないかと思います。鉄道の引込みということも、外国の例を見ますと、鉄道が臨港区域に入りましたときには、一切その管理者の経営するところの支配下に入れられて、その運営にまかされるというふうになつておりますが、そういうようなことも、一応日本の方でも考えられる必要がないか。私大阪において、また神戸において見たところで、鉄道があまりに独善的に運営するために、市民が迷惑するという点がよくうかがわれる。また海運から見ましても、天保山方面の港湾利用が、桜島方面の港湾利用と比較して、荷物の出入りと、鉄道の搬出搬入がうまく一致してない。それがために両方の荷物の動きが非常に悪いというような点も実際に見たことがございますので、そういう点から見ましても、もう少し強力に私企業に対して監督、管理をすることができるような機構が、あるいは将来にお心て理想でないかというような気持を持つております。以上をもつて私の公述といたします。
  12. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 最初おつしやつた項目を、私ちよつと聞いていなかつたので、もう一ぺんお伺いしたいのであります。
  13. 枝吉正保

    ○枝吉参考人 港湾行政はきわめて多岐であつて、それが行政の複雑な手続を必要とする。税関関係などにおいても、それが特に著しい。一元化ということは望ましいけれども、これがただ一緒になつたというだけでは何にもならない。そういう点について申し上げたのであります。
  14. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 わかりました。ありがとうございました。
  15. 關谷勝利

    關谷委員長代理 次は日本倉庫協会会長武田正泰君にお願いをいたします。
  16. 武田正泰

    ○武田参考人 私日本倉庫協会会長武田でございます。業者を代表いたしまして、本法案に対して意見を申し述べたいと思います。われわれとしてはこの法案に対しまして全面的に賛成をいたしますので、すみやかに国会に提出されて、可決されることを希望しておるのであります。  実は一昨年の末でありましたか、第一次案が運輸省でつくられて、それをわれわれは見たのでありますが、どうもわれわれの民業を圧迫するおそれがあるということを知りましたので、業者が猛烈なる反対をしたのであります。その後当局におかれましても、原案をひとまず白紙に返されて、根本的に案を練り直すということになつたのであります。ところがちようど昨日でしたか、本案を拝見いたしまして、われわれの主張が全面的に取入れてあるということを知りまして、いまさら何も申し上げることもない。しかしながら一言申し添えておきたいことは、最近五大港都市港湾協議会におきまして、第十二條に港務局が管轄する港湾区域及び臨港地区内における貨物の積みおろし、保管、荷さばき及び運送の監督調整に関すること、及び港務局の管轄する港湾区域及び臨港地区内における港湾施設の使用及び役務の提供に関し適正な料率を規制すること、この二号を追加することを要望されたと開いてますが、われわれとしましてはかかる追加は反対なのであります。と申しますのは、第一については規定がすこぶるあいまいであり、われわれの日常作業に対して何をしようといわれるのか、意図がわかりません。かりにこれを追加されますと、行政権が不当に拡大行使されるおそれもあり、かつもともと自由であるべき私企業の活動に対し制限を加え、あたかも戰時中におけるがごとき統制を再現し得る余地を残すこととなるのではないかと思うのでります。またわれわれ倉庫業に関する法規としましては、倉庫業法があるのでありますが、この業法の権限委譲を港務局が受けたいという考えがあるやにもとれますが、現在においてもわれわれ業者は、業法の基く報告なり届出を、地方の海運局または地方の陸運局にわかれて出しておるのであります。しかし同じ運輸省の内部のことでありますから、両局の間で取扱いが異なるということはないのでありますが、もし港務局港湾区域内の権限を委譲されることになりますと、考え方の違つた二つの窓口ができる場合もあり得るわけでありまして、その間取扱い上の相違の生ずることも予想され、業者としましてははなはだ迷惑であります。特に港湾地域は小範囲になることと思うのであります。たとえば大阪港のごとき、一倉庫会社またはその一支店のコンパウンドやその所管の蔵所でありながら、一方は港務局へ、他方は海運局または陸運局へという手続をせねばならぬことになる。その煩雑さは、業者としてははなはだ迷惑であります。なお業者によつて大阪神戸というように、数港湾にわたりまして事業場を持つておりまするが、こんな場合にその支店間に区々の取扱いを受けるようなことも予想されるのであります。またこういう一つの企業体についての場合から離れまして、われわれ日本の倉庫業者という立場から申しましても、各倉庫業者の間で区々の取扱いを受けるということは、はなはだ困るのであります。港湾倉庫業者としては、倉庫業のほかに港湾運送業を兼営しておりますので、むしろ地方に運輸倉庫等を一つにした一本の窓口を設けられることを希望しております。  次に先ほど申し上げました第二の料金の点でありますが、五都市の希望が、物価庁の統制と重複的に統制するというのか、あるいはまた何らかの権限の移管を受けたいというのか不明でありますが、いずれにしても何らかの統制権が與えられ、港々で区々の取扱いができるのは、これまた反対なのであります。  次は第十三條でありますが、港務局は船客の乗り降り、貨物の積みおろし、保管、荷さばき及び運送に関する私企業を保護助長し、これらのものと競争して事業を営んではならないと、一部を少し修正するような意見があるようでありますが、われわれ業務について保護助長せられるのは、一応けつこうであると思うのでありますけれども、これには必ず不必要な干渉が伴うというおそれもありますので、原案通りの表現をむしろこちらとしては希望しておる。  なお第四十七條に、十三條の規定に違反した場合にその行為を停止させたり、変更することを命じ得ることになつておりますのを、削除したいという提案もあるようですが、これをとりました場合には、第十三條の規定がん、でしまうことになりますので、ぜひともこれは存置すべきであると考えております。  次に第十六條に、必要があると認めるときは、当該地方公共団体議会の推薦する議員一名を任命することができると、追加したいというような希望のようでありまするが、この点もまた反対なのであります。必要があると認めるということは、予算をとる便宜上という含みもあるようですが、港湾の行政運営は、政治と原則的にかつ絶対的に切り離して行うべきものであり、先進外国における前例から見ましても、たとえばサンフランシスコのごとく議員を入れて失敗した経験があるようでありまするが、われわれとしましては原案を賛成しておりまして、改正の提案が実現するようなことのないようにお願いしたいと思うのであります。  以上これを要するに、われわれの主張と違ういかなる提案に対しましても反対をとなえるものでありまして、全倉庫業者の希望を全面的に取入れてあります本原案に対しまして、われわれ業者一同賛成するものであります。どうかこの点よろしくお願いしたいと思います。
  17. 關谷勝利

    關谷委員長代理 次は日本港運協会会長津田隆君にお願いしたいと思います。
  18. 津田隆

    ○津田参考人 私は日本港運協会会長津田隆でございます。先ごろからいろいろこの法案について御意見が各地からございまするが、私は全国の日本港運業者を代表いたしまして、簡單に結論を申し上げたいと思います。  ただいま提出されましたこの法案は、われわれ業者としては全面的に賛成でございます。先刻四條についていろいろ御議論がございましたが、私らはそういう局外のことには口を出しませんで、自分の業体から割出して申し上げたいと思います。ただいま日本倉庫協会の武田会長からいろいろお票ございまして、私が今ここで申し上げたいと思うことはほとんど今武田会長から申し上げられたようなことになりまして、ここで詳しく申し上げますと重複いたすだけでございまするが、ただもう一点つけ加えるようでございますけれども、二、三申し上げたいと思います。  それはこの法案にあります港務局というものは、ぜひこれは管理方面だけに限りたい。運営方面ということになりますると、はなはだ範囲が広うございまして、いきおい私企業に干渉するということは、自然行われるだろうと思うのであります。従つてこれはこの法案目的にもかないませんし、私企業の業者から見まして、まことに不安にたえないのでございます。従つて先刻も十三條なり十七條の削除を御要求がございましたけれども、これはまことに困るのでございます。十七條というのは、ここで申し上げることもちとはばかるのでございますけれども委員の欠格條件にございますけれども国会議員または地方公共団体議会議員、これらのいろいろ学識経験あるお方をはずしてくれということは、まことに申しにくいことでございまするけれども、この港湾運送業務ということについて、あまり御経験がない方をむりに入つていただいて、しかもそれがために御本人はそういう御意思でなくても、自然に私企業に干渉するということにだらだらとなるのではないかという不安を持つておるのであります。この十七條はぜひ御存続願いたい。従つてそれは十三條の私企業と競争するような事業を営んではならないという、今度の港務局の性質と合致するのでございます。  いろいろこまかい点もございまするけれども、今申し上げる通りほとんど今日本倉庫協会長からお話がございましたので省略いたしまするが、ただこの機会にもう一つお願いしておきたいのでございまするが、ただいまもお話がございましたように、港湾施設の問題でございまするが、この建設は皆様御存じの通り建設という技術方面だけを離されますると、港湾は使い道にならない場合が今までたくさんございました。各地においてここで今私が列挙するまでもなく、港湾はできた、優秀なる技術家のお方がいろいろ港湾の設備をなすつたが、さて実際に使いものにならぬ。日本船主協会からお話があつたと同じでございます。従つてこれはぜひ運営方面と密接なる関係を持つようにお願いしたいと思います。聞くところによりますと、今行政機構の改革の審議会もございますようで、これはどうなるか存じませんけれども、先ほど聞いたところによりますると、建設方面は離すのだということがございましたが、建設というただ技術面から考えますると、それもさしつかえないかもしれない。しかしながら実際に港を運営して行くのだ、日本の港を立ち直して行くということになりますと、運営、技術離すことは、とうていいい結果をもたらせないのでございます。どこまでも港を利用するがために建設をしていた、だきたいということでございまするから、きようのお話と違うかもしれませんけれども運輸省の今の港湾局の技術方面ですか、これをどこかへつけて、普通の国土の施設と同じように扱うということは、まつたくごめんこうむりたいと思います。ぜひ港に関する限りは、港の利用価値を多くするようなことにしていただきたいと思います。先刻地方海運局の問題がございましたが、これも行政機構改革でどうなるのか存じませんけれども、これがもし地方海運局を存続するということになりますならば、港湾運送業務の監督行政は、当然今まで通り地方海運局にお願いしたい。こうしませんと、一々制度がかわりましたために非常な煩雑を招きまして、あつちへ行けこつちへ行けということになりまして、さつぱり能率が上りません。なお前に申し上げました管理方面、港務局管理方面だけに願いたいと申しますのは、戰時中皆様御承知のように総動員法で、私は非常に苦しみましたが、管理運営まで政府がされたのでございます。その結果はどうかと申しますと、すでに御承知通り一つもいいところはなかつた政府の悪口を言つてまことに申訳ありませんが、率直に申し上げますと、管理はけつこうだ、まず管理はしていただかなければならないかと思いますが、運営にまで口出されては、決していい結果はない。あの戰時中に混乱々々が重なりまして、業者にやらせるのだと言いながら、政府の干渉があつたために、政府の言うことを聞かなければならぬという結果は、港湾施設及び船舶その他はすべて頽廃してしまいまして、御承知のような港湾関係だけでもみじめな姿になつたのでございます。それに懲りずに、また私企業干渉的なような形式に行われるということは、これは業者のみではございません。国家として非常な損失だと思います。どうかこの点は委員諸君におかれまして、とくと御検討を願いたいと思います。  要は先刻申し上げました通り、この原案をすみやかに御通通なるように御盡力を願いたいと思います。いろいろ申し上げるつもりでありましたけれども、倉庫協会長から先を越されましたのでこの点でやめておきます。
  19. 關谷勝利

    關谷委員長代理 次は日本機帆船業会専務理事立川繁君にお願いいたします。
  20. 立川繁

    ○立川参考人 私ただいま御紹介いただきました日本機帆船業会専務理事立川繁でございます。私は港湾利用いたしまする業者ごとにそのうちの中小事業を代表したという意味合いで申し上げさしていただきたいと思います。  御承知通り港湾は陸運と海運との接着点でありまして、また海運自体、航海自体がうまく行くか行かないかとうことは、結局港湾が八割まで決定するのであります。船の出入れから荷役の関係、これが航海と安全、海難統計をごらんになればすぐおわかりになるのでありますが、安全、また船舶の経済、こういう意味から言つて、八割は決定すると思います。従つて港湾の持ちます海運に対する比重というものは、非常に大きなものであります。港湾はまた港湾だけの目的のためにあるのではありませんので、航海のために、物を輸送するために、陸運と海運とを円滑ならしめるためにあるのであります。これも申し上げることはほとんど多くを要しないと思います。また日本の状況が、アメリカや南米やインド、そういう国とは違いまして、後方地帶がそんなにないのです。長くて小さな国で、たくさんの島で瀬戸が多くて、すべて海運利用する、船を利用するという地理的條件であります。従いまして大きな船で外国から小麦を持つて来ましても、その小麦がすべて全部神戸に上る、横浜に上るというものではない。それが各地の瀬戸内各工場にみな分散するのであります。横浜にしても同様であります。そういたしますとまた港湾から、海から送る、こういう関係ができて来るわけであります。     〔關谷委員長代理退席、委員長着席〕  これが日本の特色でありまして、鉄道ももとより必要であります。トラツクももちろん大事でありますが、同時にそういう特性をひとつ頭に置いていただきたい、こう考えるのであります。  そこでどうして日本で機帆船の事業が割合に発達しておるか、一口に申しますと、機帆船は現在約二万隻近くございますが、その輸送実績というものは、国内だけで申しますると、国内海運の七割余りというものが二十三年度の合計であります。七割ばかりというものはすべて機帆船で輸送しております。二十四年度も非常に燃料の削減を受けましたけれども、およそそれに近いざつと七割見当で、やはり全体の七割近くまでは輸送の実績があるものと今日にらんでおります。船員の上から見ましても、漁船を除きましたものの半数以上が、機帆船船員である。こういうようなわけで、非常に大きな役目を果しておるのであります。ところがこの法案の中では、そういう小さい、水上の小運送というような方面のことが、あまり考えられてないと思います。従つて小さい港湾のこともあまり触れてないようであります。港湾の数をちよつと調べてみましたならば、全国でざつと二千四百もあるのであります。第一種重要港湾というのがたし、か四つであります。二種が四十、指定港湾が三百八十六、その他が千九百十、合計約二千三百四十であります。地理的條件から見てこれだけの大小の港湾が非常にたくさんありまするので、日本が今非常に浮んでおるわけであります。陸上においても中小事業があります。大企業もありますけれども、大企業の下に全部下積みに中小企業があります。海運においても大きな船で持つて来る品物を分散するのも、小さい船の機帆船であります。また大きい船に積み込む貨物を集めるのも、また機帆船であります。日本の各地の分散集積を海の方でやる。こういうように非常に大きな比重があるわけであります。それで原案には賛成でありますが、第にこの小さい港のことをぜひお考え願いたい。  それから国の補助の点につきましては、この法案の上では避難港に七割五分の補助をせられる。これはまことに公共的な立場において、日本海運国であるという意味において、非常にけつこうな施設だと思いまするが、同時に補助も大きな港にばかり補助することを考えないで、小さい市町村が港湾管理者であるというところにもぜひ何とか補助をして、日本の国情に適したる港をこしらえて、海運を発達させてもらわなければならない。私、いかにも業者の代表であるがゆえに、商売のことばかり言うように見えまするが、これが日本の本然の姿なんです。また港湾は商売人が商売をしやすいように、そうして日本の産業が経済的に能率が上るようになつてこそ、初めて港湾目的を達するのでありまするから、港務局その他の港湾管理者ができましても、その管理の主体を運営せられる方は、ぜひこの点は十分に御認識願うように、何らかの御措置を国会におきましてもおとり願いたい。原案に賛成でありますが、この点はぜひお願いしたいと思います。  それから先ほどお話がありましたが、十三條及び四十七條ですが、これはまことにけつこうな條文でありまして、幾分私どもの不安を除去していただけると、非常にありがたいのでありますが、この私企業に干渉しないというだけでは足らないのです。なぜか、大きな事業と小さなもの——一ぱい四、五人しか船員が乗らなくて、しかも機帆船の大部分が、自分が船主でかつ船に乗つて船長をやつており、自分の家族も乗せておる。これで日本海運の下積みをやつておる。そういうものがおるのにかかわらず、そういうものにうまく仕事が行かない結果になりはしないか。それにまた小さいものに、お前たち自由にせいと言つても、小さいものは自由にできない。これは自由経済の欠点で、あまり多く言わなくてもわかると思います。そこで十三條、十四條はありがたいのですが、もう一つ私どもの希望を入れさしていただくならば、結果として中小事業をいじめることがあつてはならないので、どうぞひとつこれは国会の方でも御審議のポイントに置いていただきたい。結果として中小事業をいじめたら、日本の工業は滅びると思います。これは産業の実態をお調べになれば、皆様も十分おわかりになると思います。  それから行政権の問題も多少出ましたが、これは今のように自分が船主であり、船長であるものが、——現在でも大蔵省、農林省、商工省も関係して、そうでありますが、今度は朝鮮が外国になつたから、今までのように外国貿易が遠くなくなつたのであります。すぐ隣へ機帆船でどんどん行ける。機帆船で外国貿易はおかしいじやないか、こういうお考えをお持ちにならぬように願いたい。そういうふうに、税関の方も、商工省の方も、一切あらゆる役所の関係等も、よくこんなにも海運関係について役所が規律したものだと思うほど、法律や役所の関係がたくさんあるのであります。驚くべきもので、これ以上の業務は他のものにはおそらくないと思います。その上また港務局ができたり、港務管理者ができて、監督でもされたら、これは目も当てられないと思います。それで港務局管理者という方は大いに公共のために盡す、つまり道路であり、橋梁であり、その上に人が通るのは、これは日本の公共の施設である。こういうような考え方で管理者はやつていただく、そうでないと非常にわれわれ不安でありますから、もしできましたならばその監督方針というものを一つにして、法律ができますならば、法律で監督方針を、昔のようにべからず方針にしないで、方針を法律で書いて示してくれるならば、中小業者は安心して仕事ができる。朝令暮改といつては言葉は悪いのでありますが、私どもでさえも規則を読み切れません。中小企業の船長などはどうして読んで、どうしてやつて行くか、実際憂慮にたえない次第でありますから、なるべくそれらの監督方針等は、ぜひ能率的なものにして、一元化したものをもつて、さつきもお話申しましたが、なるべく窓口を一本にしてもらいたい。そうしてあすこでも、ここでもどうにもならない——御承知のように船というものは繋船ということを極力いやがるのであります。荷さばきを早くして、そうして次の航海をやる。航海回数をふやしさえすれば、船腹は増加になるのでありまして、そうすれば船はたくさんなくとも、仕事はたくさんできるのでありますから、こういうようにしていただきたいと考えるのであります。それでこういうようなことを、ぜひ港湾管理者に反映させるべく——先ほど輸送業者などは委員に入れることはいかん、入れない方がよい、こういうお考えの発言もあつたようでありますが、これは非常に大きな間違いであります。港は一般陸上の全部のものが利用するのではなく、一部の大きな荷主が利用するのである。今日大きな荷主をお呼びにならなかつたのは少しさびしい感じがするのでありますが、それでぜひ委員には港湾利用するものを入れておいていただかなければ、独善的に感じられる心配がありますので、ぜひ事業者を入れてもらいたい。中小事業はとにかく無視せられがちであります。これは無視ではなく、割増しをして考えてもらつて、初めてレベルが同じくらいになるだろうと思います。この点を御考慮いただきまして、御審議願いましたら仕合せであります。  それから漁港のことがこの法案に出ておりますが、漁港と商港と工業港等もございますが、画然区別して、漁船だから入つてもよい、機帆船だから入つちやいかぬ、こんなことはやめてもらいたい。せつかくある港です。漁港であろうが工業港であろうが商港であろうが、すべてパブリツクなものだ、こう考えてもらいたい。それで漁港にも機帆船が入り得るように法律の上で、漁港も商港も、港湾法によるものは利用できるように、何とかひとつ御措置を願いたい。そうしないと、せつかく漁港はりつぱなものがありましても、もつたいない。また商港の方に漁船が入つて来てけつこうなんであります。また私ども業者としましても、機帆船の場合でも、輸送機帆船もあれば、すぐ登録をかえますと漁船になるかもわからぬ。北の方では現に油がないので、裏日本、東北、北海道では漁船に大分切りかえております。また輸送の方にもどればもどつて来るわけであります。また水産物にいたしましても、機帆船の輸送でたくさんいたしておるのであります。そういう妙なけじめをつけないで、ひとつ公共のために漁港も開放してもらいたいと考えます。  そのほか大きな問題としまして、全体の日本の陸運なり海運をまとめた運輸政策という見地から、もう少し今の水産関係もひつくるめて、鉄道の方まで入れることをやつていただきますならば、そういうような意味合いで、港湾法そのほか各種の法律を御審議くださいますならば、日本の産業も一層能率が上る。もちろん商売も繁昌しますでしよう。けれども、能率が上るのと反して、上らぬ方に持つてつて、船の動きが悪くなつたりする。あの港に入つたらすぐ工事をしよう。ところが一番じやまな所へ持つてつて工事をするからいけない。そしてあれは内務省の管轄だから、運輸省ではどうにもならぬというような話をする。工案をすると、船の方でいつもびくくして船を操縦する。こういうことのないように何とかお願いいたしたいと考えます。  まあ時間が大分過ぎたようでございますからごく簡略でございますけれども、特に強い意味の希望は、中小事業の方の立場も考えて、全国の二千四百もある港を開発して、その港も生き得るようにすることが、日本のいなかの産業をよくするのです。いなかの産業がよくならなくては、大きな港は立ち行かない。アメリカの港、インドの港とは違うのだ。これをぜひ御考慮願いたいと思います。以上です。
  21. 稻田直道

    ○稻田委員長 この際お諮りいたしたいと思いますことは、参考人の津田さんは御急用があつて、御退席になりたいとのことでありますが、参考人各位には委員各位より質問をあとでお願いすることになつておりますので、津田さんがお帰りになりますと、津田さんに御質問のある方がお困りになりはせぬかと思います。この際津田さんに限りまして、御質問があればお許ししたいと思います。——では、ないようでありますから、津田さんに御退席願つてさしつかえないでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 稻田直道

    ○稻田委員長 それでは津田さん、どうぞ……。   なお申し上げておきたいのですが、会期も切迫いたしておりますし、本法案は早く上げなければ、参議院の方がつかえます関係もありますし、この部屋は他の委員会が使うことになつておりますので、休憩もできませんから、いましばらく継続いたしまして、参考人各位の御意見を全部聞いてしまいたいと思います。御了承を願つておきます。あと三、四十分で済むと思います。  次は日本海員掖済会副会長福原敬次さんにお願いします。
  23. 福原敬次

    ○福原参考人 私はただいままで御発言になりました方々と、少し立場が違つております。あらかじめお断わり申し上げたいと存じます。私は今は港湾法に盛られております内容と何ら関係のない方面の仕事をいたしております。従いまして、一つの立場というものから申し上げずに、ただ私が常識として持つている、考えているという点を、御参考までに申し上げたいと存じます。ただ私はそういう立場でございますので、平素皆様と同じようには詳しく研究いたしておりません。また資料もございませんので、あるいは私が急いで法律を読み違えて感違いを、あるいは資料不足のために結論の聞違つた点もありはしないかということをおそれまするなおそれから結論に至らずして、あるいは問題だけを提供いたしまして、御研究を願うというような妙な結論が出るかもしれません。あらかじめお許しを願いとうございます。  私の根本の思想は、申すまでもなく船あつての港である。あくまで港は船のサービスをするものである。これが終始一貫した私の思想でございます。これは申すまでもなく、あたりまえのことだとは存じます。ただそういう意味から申しまして、この港湾法案は非常に画期的なものである。第一條において港湾の修築と申しますか開発と、それから管理というものとが、一体になつてやるのだということは、当然のことではございますが、従来はなかなかその当然のことが行われておらなかつたのでございます。戰争中のことは別といたしまして、戰前のことを申し上げますれば、御承知通り港湾の修築と利用という部面は、全然わかれてやつてつたというようなことで、従いましてた、だいま御説明のありましたように、港湾が使いものになつたかならぬかというような、妙な議論が出て来た次第なのでございます。この点が改まつて、画然として法律として宣言されるということに、私はこの港湾法の画期的な一つの大きな使命があると存じます。そういう観点から私はこの港湾法案のこの思想は、ぜひ何らかの形で実現させていただきたいということを念願しているのでございます。それに関連いたしまして、この管理と修築の一体化は、皆さんいずれも御賛成でございますが、運営と行政をさらに一体化することがいいかどうかということにつきましては、ただいままでも賛否両論あつたと存じまする私はこれはそう軽々に一元化に賛成はできないと考えます。管理と申しますのは、一つの事業でございます。この港湾法案に盛られました管理というものを見ましても、やはり一つの事業でございます。この事業をする人が、主体が同時に運営とか行政をすることが、はたして結果がいいかどうかということは、非常に研究の余地があると存じます。理論的にはなるほど何もかも一緒にやるのがいい。一応はそう考えられるのでございまする最近の例によりましても、やはり事業体と行政面とは切り離して行こうというのが、国の方針のように私どもも聞かされております。また鉄道のごとき例をとつてみましても、まさにそういう方向に進まれたというふうに了解されるのでございます。そういう見地から考えまして、私はやはり今日の日本のこの行き方という方が、むしろいいのじやないか。やはり運営とか行政とかいうものは、事業体にくつつけない方かいいのだというような結論を持つておるのでございます。  それから第二点でございますが、この法案を見ますと、修築の面におきましては国の補助ということが確立されております。そういうことがはつきりすることは非常な進歩だと存じます。ところで、その他の港務局の仕事でございますが、これは一体何でまかなつて行くのかということを見ますと、もし私が見間違いでありませんでしたならば、いわば独立採算というか、自給自足関係港務局の仕事をやつて行くというように了解したのでございます。私はこの点につきまして非常に心配を持つのでございます。資料がございませんから反対は申し上げられないのでございますが、一体港務局のいろいろな仕事が列挙してございます。いずれも相当費用のかかる仕事でございます。これか業者その他が利用するところの手数料と申しますか、港務局の收入でもつてまかない得るのかどうかということについて、非常に心配いたします。私の勘にすぎませんが、とうていまかない得ないのじやないかということを心配いたしております。まかない得ない場合にはどうするかということも、この法律には出ておりません。当該市とか当該県とかいうものが相当負担しなければ、せつかくこういうりつぱな法律ができましても、それが完全に実施して行くことができないのじやないかということを心配いたします。私は本日おいでになりました県や市のお方が、一体どれくらいの負担をお覚悟で、この港湾法に御賛成になつたのかどうかということを、まか伺つておりません。この点は相当大きな問題ではないかということを心配いたしております。そういうわけでございますから、あるいは仕事か県とか、一つの自治体に全部お願いするということは相当にむりが行くのじやないか。場合によつては、昔の思想で行けば、国が相当の補助をしなければで貯ないのじやないかと考えるのでございますが、この点は私としては遂に結論まで至つておりません。こういうりつぱな法律を実施しようという熱意を皆さんかお持ちになつていながら、そういう経費の点で行き詰まりが生じて来はせぬかということを心配いたして虫りますから、その点について十分御研究をお願いいたしたいのでございます。ことに行政面までこの管理、主体に持つて行きますと、その費用たるや非常に大きなものになりはせぬか。そういう行政面の費用は一体どういうふうにしてまかなつて行くのかということを、かりに行政面をこちらに移すとすれば、あわせて十分に考慮せねばならぬ問題ではないかと考えます。  それから第三に、法律では、はつきりいたしておりませんが、法律はただこれを公法人ということが書いてございます。それ以上のことは私にはわかりませんが、公法人の従業員は国家公務員とどういう点が同じであるか、どういう点が違うのか、私よくわかりません。ただ私の心配いたします点は、この船舶の動きというものに関係いたしますところの、この法案管理主体は、やはりあくまで船舶の安全ということを中心にして動いていただきたい。船舶の安全のためにはいろいろな制限がございます。たとえば船舶の乗組員は、船員法によりまして争議権の制限がございます。一定の状況のもとにおいては、船員は争議ができない。そういう船をお扱いになるところの港湾管理者の従業員というのは、争議権がどうなつておるのか。船は争議を許されておらぬから、その船に対して何かしなければならぬ港湾管理者の方が、争議に入つてしまうというようなことがあると、これは船の安全に非常な影響があると思います。その点はどういうふうに解決したらいいか、私にはわかりませんが、そういう問題のあるということを遂に割切れざる結論をここに御紹介申しまして、お考えを願う以外に道はないと存じます。  それからこまかい問題でございますが、港務局の事業の中に第十二項でございますが、船舶の乗組員、港湾労務者の休泊所等に関することが書いてございます。これはもちろん内容においてたいへんいいことだと存じますが、何か今まで十四項ありますうちで、ぽかつとも色の違つたものが入つておる。これは私が前に申し上げたことと関連いたしますが、もちろんけつこうなことでございますが、全国の港湾都市におきまして、一体公共団体がこういうことを今までおやりになつておるかどうか。もちろんございますが、きわめて少数でございます。こういうような仕事の大部分は全日本海員組合——私、港湾労務の方はよく存じませんが、大型船につきましては全日本海員組合、あるいは日本海運財団というような団体が主としてやつております。従来市営なりあるいは県営なりでこういうものがあることは、非常に数が少うございます。これは民間においでは財政的の都合から、それぞれ県なり市なりが御努力くださつても、伸びて来ないのではないかと考えます。しかしそれだけに県や市の財政というものを十分考えませんと、せつかくこういう法律に書きましても、結局はりつぱな法律だけできて、実施面においてなかなかうまく行かぬというような結果になつて来はせぬかということをおそれるのであります。要は私はこの内容について多少今申し上げましたような疑問を持つております。私自身が解決するまでの研究ができておりませんが、こういうりつぱな法律をつくつても、ただ法律ができただけだ。金がないためにこの法律が完全に実施できないというような結果のないように、十分にその財政的の裏づけを御検討願いたいというのが、私の最後の結論でございます。  以上結論を申し上げないで、問題だけ提供したようなかつこうでございますが、そういう事情でございますから、どうぞあしからず御了承を願います。
  24. 稻田直道

    ○稻田委員長 次は全日本港湾労働組合同盟委員田井増五郎君にお願いいたします。
  25. 田井増五郎

    ○田井参考人 私は全日本港湾労働組合同盟委員長をしております田井でございます。本日ここに委員会出席を得、重要法案に対して私の意見を述べることは、衷心より感謝するところであります。  四面環海にあるわが国においては、港湾の発展、開発は、きわめて重要であります。私ども港湾関係者としては、長年の間今日までの港湾行政に対して、一日も早く一元的な管理運営を希望して来たのであります。幸いにして本国会において基礎的な法律案ができることになりまして、非常に喜ぶものでありますが、賢明な皆様におきまして、一日も早くこの法案をつくられんことを要望するものでございます。この法案趣旨は申すまでもなく、非常に重要性を持つておると同時に、私たち港湾に働く者の立場から申しましても、きわめて重要であります。また日本の将来の発展の上におきましても、きわめて重要性を持つております。従いましてこの法案の主体は、あくまでも一元的な管理運営と、われわれが真に希望するところの民主的な運用において、初めて法の精神が出て来るのでありまする従つてこの内容について二、三われわれの現実の体験の上から、賢明な皆様に理解を持つていただくよう、私たちの要望をお聞きしていただきたいと思うものであります。  根本は、この法案をいかに民主的に運用するかということの原則に立つのであります。なお港湾産業の使命は、あくまでも海陸輸送のポイントでありまして、港湾は国と国とのいわゆる取引の場所であるというこの高い公共性、この根本的な理論の上に立つて広汎な立場から将来の日本の対外的な発展に支障のないように考えて行かなければならないし、私ども港湾関係者といたしましても、常に港を職場といたしまして、高い公共性の上に立つての視野を持つて労働に従事しておるのでございます。われわれの労働は常に他の産業よりも特殊の技術を要するのでございますが、潰憾ながらわれわれ港湾産業に働いておるところの、この複雑多岐にわたる労働内容が、一般的には理解されていないのであります。これは私どもが今日まであまりにも政治性に乏しかつたという、私どもみずからの罪もあるのであります。またいかに港湾管理通常が、他の産業に見られない複雑多岐にわたつておるかということが、その原因の一つであります。しかるがゆえにごの法案に対して、われわれは重大な関心を持たざるを得ないのであります。この港湾管理運営が、即私たちの日常の労働の上において大きな影響をもたらすのであります。ひいてそれは国家の対外的な信用の上にも影響があるのであります。どうかこういうような基本的な観念の上に立つて、十分に私たちのこの切実な要望に対して、御理解を願いたいと思うものであります。特に私はこの主体になるところのこの港湾の民主的な運営にあたつて、欠格條項に現われおるところのいろいろの問題につきましては、あくまでも真の民主的な意味におきまして、私どもの労働代表を加えていただくということ、あるいはこれを法文にはつきり明記していただきたいということは、私ども十万の港湾労働者の切実な希望であります。今日まで私どものほんとうの働く立場が、往々にして理解してもらえなかつたのであります。幾多の例を上げるならば、われわれは船員法を適用する場合におきましても、これは港湾関係では、生活の上において、作業の上において、海陸両方にまたがつておるという関係、従つて基準法の上から申しましても、あるいは船員法の上から申しましても、いろいろそこに作業の実態、産業の実態が、つり合わぬ点がたくさんあるのであります。その矛盾の上に立つて、常に犠牲を拂つておるのは私たちでございます。われわれは自分の功利的な立場から考えずに、もつと大きな立場から、運輸省に対しましても、あるいは労働省に対しましても、この両省が私たちの実態の上に立つて法案をつくつていただくことを、われわれの大会においても希望しておるのであります。今日までこの両省の運営に対して、私どもはいろいろ研究してみたのでありますが、いまだに結論が得られないのであります。私どもの方で労働問題が起きたときに、中央労働委員会の末弘さんは——幾多の産業の労働問題を解決した労働問題の権威者であります。この権威者がわれわれの港湾の労働問題に対しましては、單に机上においてはその調停案は出されない、現実の実態を見た上でなければいけないということで、みずから中立委員は港の実態を見たという一つの例もございます。また管理行政の面から行きましても、今日まで輸送に対して直接働くところのわれわれがいかに損害を受けたか、また私たちがいかにむだな労働をして来たかという点を一、二申し上げまして、御理解を得たいと思います。  われわれが夏炎天ののもとにおいて、危険な重労働をこんな施設の上においてやるときの、その水の問題でありますが、單に水道一本で私たちはほんとうに喜んで働ける。この形が、今まで港湾行政の矛盾において、この土地は市の関係、この土地は県の関係、この土地は鉄道の関係ということで、水道一本引けないのであります。従つてわれわれは一里もあるところからわざわざ人家の水を運んで、そうしてその日の荷役作業に支障のないようにして来たのであります。しかしその間われわれはいろいろな困難と同時に、むだな労働をしたのであります。また現在の港湾地帶の施設につきましても、ある県の施設、ある市の施設をする場合に、往々にして港湾の実態を無視し、單に机の上の技術計画であるために、私たちは幾多の困難をなめて来たのであります。  これも一、二の例をあぐれば、大阪における防波堤も、なるほど技術者は一応基礎工事を完全にやるというこのことはいいのでございます。しかしほんとうに港の実態がわからない。あるいはその港はいかなる風波において、荷役状態はどうなるかという実態を把握してないということもつてせつかく費用をかけてつくつたところのこの防波堤が、実態に合わないということがあります。名古屋港においてしかりであります。これは日本の港中にまだまだ十分な施設が施されてないのであります。従つて日本の港において、海陸調整のはしけ船の役割は、きわめて重要性を持つております。いろいろ港の施設をやる場合に、この重要性を無視するような施設をやるのであります。その施設をつくる場合には、一応港の施設に対しましては強固なものとか、あるいは美観のみにとらわれて、ほんとうの自主的な荷役輸送に対して抜ける点が多々あるのであります。名古屋港におきましても、はしけの繋留場をつくるのに、その実態に即応しない場所につくつたために、戰争前につくつた繋留場が、今日いまだに何の役割も果していないという事実があるのであります。大阪においてもまたしかりであります。風波、潮流の関係を無視したつくり方によつては、何らの役割を果し得ないという事実が、これによつても明らかであります。これは單ににわれわれの立場から働きよい、悪いという問題ばかりではない。港の使命は高い公共性を持つているにもかかわらず、今までの市や県の関係からの視察においては、その点が忘れられて、單に政治的に問題を取扱つて、外観的な形をとつたにすぎないのであります。あらゆる港においてすべてそういう形がとられております。だから私どもは、こういう苦い経験の上に立つて長年の間、管理行政の一元化、あるいは港湾運営の面においても、自主性の上に立つてつていただきたいということを、常に念願して来たのであります。先ほどから窓口の一本化、簡素化という問題も叫ばれておりますが、これは当然のことであります。しかし單に窓口の紙の書きかえで終つてはならないのでありまして、非常な苦痛と浪費がそれによつて行われているということを十分に御理解くださいまして、われわれの希望するところのほんとうの港湾輸送が、今後支障なく適切に最も合理的にできるような方法にお願いしたいと思うのであります。  それには前段に申し上げましたごとくに、この運用が最も重要性を持つております。そのためには、あるいは消極的な考えから、この港は港だけでやろうという考えがあるのでありますが、四面環海のわが国におきましては、港湾輸送はあらゆる港が関連性を持つております。隣接港はみな有機的な関係を持つております。同時に、ほんとうに正しい港湾使命を果す上において、この問題をいたずらに政治的に取扱つて、港をボス化するような行政に対しては、われわれは断じて反対であります。どうか賢明なる皆様方におかれましては、十分に港湾の特殊な使命を考えられまして、この使命の中だは、港湾運営の実態として、われわれ港湾荷役技術労務者をおいて何ものもできないということを十分確認されまして、この委員会に私たちの代表を入れていただければ、港湾管理運営が最もスムースに、しかも最も合理的に行われて行くと信ずるものであります。この趣旨を十分御理解くださいまして、この方向に御協力を願いたいと切望するものであります。港にはいろいろの複雑な問題がございますが、皆様のお手元には十分な資料を出しておりません。過日基本的な点だけ要請書として、委員長あてに出しておるだけであります。これに私たちの要望する根本的な理由が付されておりますので、どうかこういう要講書も御参考にされまして、一日も早くこの法案によつて港湾が民主的に運営でき、港湾使命を果し、日本の将来の発展に寄與するようにお願いしたいのであります。以上簡單ながら、私たち労働者の立場を御了解くださいまして、ぜひこの法案に対して一段の御協力を賜わらんことをお願いしておきます。
  26. 稻田直道

    ○稻田委員長 次は全日本海員組合副組合長の有井澄君。
  27. 有井澄

    ○有井参考人 私は全日本海員組合の副組合長の有井でございます。私は船員の立場からこの法案に対する希望を申し上げたいと存じます。実は昨日おそくこのことを承りまして、かつ法案もけさ拝見したような次第で、具体的のことにつきましては、私は専門でもありませんし、また準備も足りないのでありますが、平素海員組合として考えております点を申し上げまして、御考慮及び御講力をお願いいたしたいと存ずる次第であります。従来港湾管理とか、あるいは港湾行政というものは、非常に複雑多岐でありまして、われわれ船員はこのために非常な不便と困難を感じておる次第でありますが、この法案は、とにかく基礎的の法規を制定して、これを民主的に運用しようというのがその趣旨でありまして、その内容を瞥見いたしましても、大体において、私どもは非常に進歩したものと考えられますので、私はこの法案に対して賛成するにやぶさかでないものであります。ただ二、三私の組合として希望いたします点を強調いたしまして、御参考に供したいと存ずるのであります。  第一に申し上げたいことは、港湾利用する船舶立場でありますが、港湾は何と申しましても船舶の仕事場であります。およそ港湾であつて船の入つて来ないような港は、ナンセンスであるのでありまして、港湾である以上は、船というものと切り離すことができないものでありますが、その港湾利用します船を操縦します船員を考慮されたことが、今まではなはだ薄いのであります。港湾建設されるにつきましても、また港湾行政が運用されるにつきましても、従来船員の声を聞いた、あるいは聞くというようなことは、非常に薄かつたのであります。しかしながらかようなことでは、ほんとうの意味の港ができないものと私どもは考えるのであります。たとえば港湾をつくりますにしても、船員の意見は、たまたま少しぐらい聞かれることがあつても、実際これが建設される場合においては、経費の面とか、あるいはその他有力なる原因のために、ずいぶんまげられるということが多かつたのであります。こういう点は今後改めていただきたいと思います。この法案におきまして、ポートオーソリテイーと申しますか、港務局ができて、これは委員制になつてつて、きわめて民主的に運営されるということが示されておることは、私ども非常に愉快に感じ、賛成をするものであります。しかしながらこの委員の任命につきまし七は、地方公共団体の長官が、港湾に関し十分な知識と経験を有する者、または声望ある者のうちから、地方議会承認を得て任命するということだけがきめてありますが、これはきわめてりつぱな言葉でありますと同時に、その反面にははなはだ危険なことも想像されるのであります。先ほど申しました港湾建設あるいはその運用につきましても、往々にして船員の考えなどというものは、少しも考慮されないというようなうらみがあつたということは、こういうところから発足するのではなかろうかと思うのでありまして、私はこの中にぜひとも、船員及び港湾労務者の組合が推薦する委員を入れるという項目を、明らかに示していただきたい、こう思うのであります。私は法律の知識が薄いものでありますから、こういうことを法文の中に入れるということが、法律技術上できることかどうか存じませんが、もし法律で命ずることができないならば、附帶決議なりなんなりでもつて、必ず船員及び港湾労働に従事する者の組合の推薦する委員を入れなければならぬということを、きめておいていただきたいと思うのであります。さもなければ、ただ單に十分なる知識と経験を有する者とか、ことに声望ある者というよう言葉で運用されることには、非常に危険性がないということを何人が断言することができましようか。こういう港湾行政のごとき公共性の大きなものが、政党政派の政争の具に供せられたり、あるいは地方の有力者、いわゆるボスなんかのために操縦されるというようなことがあつたならば、永久に日本港湾行政なるものは、成績を上げることはできないと思います。ことにこの四つの島にとじ込められて、資源のある国と交通する以外に生きる道がない日本になり下つた現状におきましては、どうしてもこの点は重要現していただかなければならぬことと、私どもは痛感するものであります。私はほかにこまかいことを申し上げるだけの、この法案に対して準備を持つておりませんが、以上申し上げました港湾委員のことにつきましては、強くこの席上で申し上げて、皆さんの御講力を煩わしたいと存ずる次第であります。  なおこの法案の中に、船員及び労務者に対する厚生施設が取入れられましたことは、私どもはなはだ感謝にたえない次第であります。しかしながらこの港湾施設が取入れられても、それを裏づけるところの経費とか、あるいは費用の面については、何らうたわれていないと思いますが、先ほどどなたかも申されましたように、管理に当られます地方庁、あるいは地方の公共団体というような方は、いかなる覚悟を持つておられるかは知りませんが、財政の面においてはなかなかそう簡單にいけないだろうと思います。ただ單にこういうものをここに掲げて、仏つくつて魂入れずというような結果になることは、従来の日本の最も弊害のあつた点であろうと思いますので、ぜひともこれを掲げた以上は、これは実行するという考えを持つていただきたいということを、切に望む次第であります。つきましてはこれらのことに対する補助と申しますか、費用の点についても、十分なる御考慮を拂われんことを、切に希望いたします。以上私ははなはだ抽象的でありますが、常に組合で考えておりまする点を申し上げまして、皆さんの十分なる御考慮と御盡力を切望する次第であります。
  28. 稻田直道

    ○稻田委員長 最後に地方港湾の代表者として、東京建設局港湾部管理課長の津野清海君にお願いいたします。
  29. 津野清海

    ○津野参考人 私、東京都の港湾部管理課長の津野清海であります。本日は全国地方港湾管理者協議会を代表いたしまして、本法案に対する意見を申し上げさせていただくことといたします。全国地方港湾管理者協議会と申しますのは、ちよつと煩雑にわたりまするが、一応このメンバーを最初に申し上げたいと存じます。それは愛知県、大阪市、新潟県、静岡県、鳥取県、広島県、愛媛県、高知県、山口県、福岡県、佐賀県、熊本県、鹿児島県、長崎県、三軍県、石川県、富山県、秋田県、宮城県、青森県、香川県、和歌山県、山形県、兵庫県、名古屋市、尾道市、横浜市、東京都、以上二十八の関係都県及び市をもつて、任意的に構成をされておるものであります。その目的とするところは、それぞれ港湾利用開発管理運営全般にわたりまして、それの発展を期するそのために、お互いにときどき集まりまして、当面の問題、あるいは将来の問題についての意見の交換をいたしておるのであります。  本法案の制定が議題に上りましてから一年有半、しばしば打合せをいたしておるのでありますが、この協議会の運営方針といたしましては、外部に対して意見を出す場合におきましては、これだけ多くのメンバーがございますので、完全に意見の一致を見たものをもつて、それぞれ陳情なりその他の意見を出すというような方針で参つておるのであります。つきましては今回の法案に対する修正に関する意見につきましも、これを多数決をもつて修正意見を決定いたしますならば、五大港湾都市でただいままで参考意見を申し述べられましたが、その線とほとんど一致するものだと考えます。しかしながら先ほど申し上げましたように、本協議会の方針といたしましては、完全に意見の一致するもののみをもつて決定をするという方針に従いまして、本日これから申し上げますことも、これら協議会の全会一致をもつて決定いたしましたことを申し述べるのであります。五大港湾都市の方から申し述べますことで、非常に重要なことで、ただいまから申し述べることに落ちておることがございますが、これは地方港湾管理者協議会において関心がないという意味ではありません。多数決をもつて決定すれば、おそらく五大港湾都市意見と一致をしたのでありましようが、先ほど申しましたような方針によつて、ただいまから申し述べることだけにとどめたいというふうに、まず御了解をいただきたいと思いまするこれから修正意見を申し述べるわけでありますが、これらの点につきましては、神戸市及び横浜市の代表の方から先ほど御意見がございました点と、ほとんど重複をいたしております。従いまして私はただ管理協議会において決定いたしました事項を申し述べまして、これらの理由につきましては非常に重複する面がございまするので、簡略にさせていただきたいと存ずるわけであります。  まず第一條におきまして、これは三十余年の間関係者によつて待望せられておりました港湾法目的規定しておるものでございまするが、この條項におきまして、ただ單に管理方法を定めるということを目的とするということでは、非常に物足らないという点にかんがみまして、管理の次に「及び運営」ということを入れて、管理運営をする方法を定めるものであるという大きな目的を、これに掲げるようにお願いを申し上げたいと思うのであります。またこの法律の第十二條中の業務におきましても、若干は運営にわたる面も規定されておるようであります。また先ほど来たびたび問題になつておりました港湾行政の一元化、あるいは窓口の統一という問題につきまして、まだこの法案に漏れておることは、将来におきまして、また法律の改正をしなければならぬ時期が来るでありましようが、そういう場合にこの現在の法案に漏れておるような運営方法というものを、取上げられなければならないのではないかというような意味をもちまして、第一條運営を加えていただくということが一つであります。  その次は第十二條でございます。第十三條の港務局業務のうち第五号「一般公衆の利用に供するけい留施設のうち一般公衆の利便を増進するため必要なものを自ら運営し、及びこれを利用する船舶に対しけい留場所の指定その他使用に関し必要な規制を行うこと。」というのが原案でございます。これに関連いたしまして、その次に第六号をひとつ御挿入を願いまして、港務局の管轄する港湾区域内における船舶入出港届の受理、及び錨地及び船席の指定をすることという條項を、ぜひ入れていたたきたいということであります。港湾管理者が入出港届の受理も受けないでは、とても管理の面が見て行けない。それからまた現在の港則法におきましては、船舶に対する停泊または錨地の指定という点につきましては、繋船浮標、桟橋あるいは岸壁等にその船を停泊させるところの連絡は、港湾管理者がこれを指定をいたしておりますが、泊地においてアンカーを入れる場合におきましては、港長がこの事務をとつておる。二途に出ておるのでございますが、それを港湾管理者ができましたならば、港湾管理者の方で一本でやつてつた方が、いわゆる窓口を一つにするという意味から申しましても、便宜なことであるという意味で、この六号を加えていただきたい。これに関連いたしまして、第五号の後段の方は必要がなくなつて参りますので 第五号におきましては「自ら運営し、」というのを「自ら運営すること」で切りまして、「及び」以下を削つていただくということであります。  次に同じく第十三條中第一号におきまして、港務局が管轄する港湾区域及び臨港地区内における貨物の積みおろし、保管、荷さばき及び運送を改善、調整することという、この項目を一項入れていただきたい。これは先ほど来違う御意見もございました。港湾は、先ほど来たびたび述べられます通り、非常に公共性の強いものである。そうして新たにできる港務局も公法人であります。港務局、いわゆるポートオーソリテイーをつくる港は、非常に限定されておるでありましようが、その他の港におきましては、この法律によつて地方公共団体港湾管理主体と相なります。港湾管理主体なり、その地方公共団体なり、あるいは港務局というものが、あとに出て参ります十三條に関連いたすのでありますが、私企業に干渉するというようなことは、毛頭考えていないのであります。ただこの一号を挿入を願うという意味は、これはそういうこともつたにはないことでありますが、港の中におきまして、ある思惑を持つて物揚場、あるいは上屋等において、荷物がことさらに引取れない。あるいはその他公正な活動が阻害されるというような著しい事例がある場合には、これを調整して行こうという話合いは進めて、そういうことのないように港の公共性にかんがみて、これが公共施設であるという機能をますます発揮させるべく、改善調整して行こうということでありまして、何かああしてはいけない、こうしてはいけないというような、積極的な監督をして行こうという意味では全然ないのであります。いわゆる総動員法的な漠然とした監督をして行こうという意味ではありません。そういうつもりで全国港湾管理者協議会においては、これを取上げたわけであります。  その次に十六條でありますが、これも先ほど神戸横浜から申しました通りであります。港務局の財政は、債券の発行その他使用料の收入等によつて、一応はまかなうことになつておりますが、これに関連しておるところの地方公共団体が、最後のしりを拭わなければならないというような関係もありますので、この十六條に先ほど申しました一項を加えていただきまして、当該地方公共団体の推薦する議員一名を任命することができる。これは強制的ではありませんが、任意規定を入れていただくということであります。それから十七條は、これに関連をして、先ほど神戸横浜から申された通りであります。  次は最後運輸省設置法の一部を改めるということと、港則法の一部を改正していただくということ、これは十二條の業務の中で改正意見を申し上げました。これに関連いたしまして、これの跡始末をするという意味で申し上げたわけであります。  大体以上の五点が全国地方港湾管理者協議会の修正意見として、ぜひお收上げをお願い申し上げたい点であります。全国港湾管理者協議会におきましては、この港湾につきまして、関係御当局が非常な御労苦を重ねられて今日に至つたということを、十分承知いたしておりまして、この際この法案が今国会において通過できまするように、先生方にわれわれとしお願いを申し上げるわけであります。この際以上申し上げました修正條項を、ぜひお取入れをお願い申し上げたいと存ずるわけであります。
  30. 稻田直道

    ○稻田委員長 これにて参考人方々の御意見の発表は、全部終りました。ただいままでの参考人の御意見に対しまして、御質疑なり、御意見なりがありますれば、発言を許します。闘谷君。
  31. 關谷勝利

    關谷委員 簡單に伺いたいと思います。日本機帆船業会専務理事の立川さんにお尋ねいたしたいのは、全体といたしまして、この原案に賛成であるのか、あるいは修正して賛正であるのか、この点を伺いたいと思います。  次に田井さんにお尋ねをいたしたいのでありますが、田井さんもこの原案に対して賛成であるのか、反対であるのか、その点、あなたが申された事柄は、十七條の関係を一元的にしろということはよくわかるのでありますが、法案全体に対する賛否の点が不明でありますので、御質問申し上げます。  なお有井さんにお尋ね申し上げたいのは、有井さんの御趣旨もよくわかるのでありますが、法案全部に対する賛否という点、この点を順次立川さん、田井さん、有井さんから承りたいと思います。
  32. 稻田直道

    ○稻田委員長 質問者の言つた順位によりまして、日本機帆船業会専務理事の立川君。
  33. 立川繁

    ○立川参考人 ほんとうの考えは、先ほど申し上げました各項のことを入れて、修正の上やつていただきたいのでありますが、今日ただいまになりましたならば、ほとんど時日がないだろうという私どもの感じかいたします。それがために審議未了のようなことがあるよりも、むしろ成立さしていただきまして、そうして先ほど申し上げましたような事項を強く希望さしてもらいたい。その希望の方法は、国会の方でいかようにもお手続の上、附帶決議その他をつけていただくならば仕合せである。こういう意味でございます。
  34. 稻田直道

    ○稻田委員長 続いて全日本港湾労働組合委員長田井君にお願いいたします。
  35. 田井増五郎

    ○田井参考人 私は基本的には原案に賛成であります。先ほど二、三の希望意見を述べました点を十分にお取上げ願いたい。これが私ども今後直接運営に当る関係者の立場から、最も切実に感ぜられますから、その点を十分に御配慮順いたいのであります。
  36. 稻田直道

    ○稻田委員長 続いて全日本海員組合副組合長有井君。
  37. 有井澄

    ○有井参考人 私も先ほど申し上げました通り、総括的に見まして賛成であります。但し先ほど強く申し上げました通り運営委員に必ず入れてもろうということを、法案あるいは附帶決議でつけていただくごと、及び福利厚生施設の財政面の考慮を拂つていただくことを條件といたします。
  38. 關谷勝利

    關谷委員 福原さんにお尋ねするのを忘れておりましたが、管理運営の分離という点、その他独立採算のところで、経費面を考え、幅利施設の補助ということを考えるということでありますが、この法案全部に対しまする賛否を福原さんにお尋ねいたします。
  39. 福原敬次

    ○福原参考人 私が申し上げました中で、経費の問題でございますが、これはもしこういう大がかりのことがこういう制度によつてやるごとによりまして、独立採算制が非常に困難になる。従つて船に対する手数料と申しますか、料金と申しますか、そういう船の負担が、この法律によつて増大するのならば、この法律案はむしろ改悪ではないか。もしそういう事態になるのならば、私はこれに反対いたしたいと存じますが、遺憾ながらそれの結論を出す資料を持つておりませんので、御審議を願いたい、こういうわけでございます。
  40. 關谷勝利

    關谷委員 それでは経費の点が増大しない場合には原案に賛成、こういう御意見でございますか。
  41. 福原敬次

    ○福原参考人 先ほど申し上げましたように、原案通り、その他の点につきましてはお進めを願いたい、こう考えております。
  42. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 ごく簡單に福原さんに伺つてみたいと思います。第十七條の委員の欠格條項に対しての御所見を伺えますれば幸いだと思います。
  43. 福原敬次

    ○福原参考人 私は十七條につきましては、原案に賛成でございます。
  44. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 その点はわかりました。そこで横浜神戸の、平山さんと助役さんとに伺つておきたいのでありますが、これは総括的な質問でありますが、大体時間的に考えまして、先ほどお述べになりましたような多くの修正をいたしましては、とうてい今回の国会に間に合わないと思うのであります。大体法律というものは時代の変遷に従つて、改廃をされて行くべきものなのでありますから、多くの御希望になつたすべての事柄が修正されなくても、大体において字句修正のみでもよければ、本国会にこれを通しておいて、しかるべき運営をなさつておいて、将来早い機会に御希望のような点について修正その他の考慮を拂う、こういうことでも御賛成であるか。あるいはまたお言葉の中にあつたようでありますが、お述べになつたような点が修正されなければ、むしろこれは今国会に間に合わなくてもいいというお考えであるのか。この点を神戸並びに横浜の方から一応伺つてみたいと思うのであります。
  45. 稻田直道

    ○稻田委員長 横浜の平山君。
  46. 平山伊三雄

    平山参考人 ただいまの御親切な御質問をいただきまして感謝いたします。字句の上では多数にわたるようでありますけれども、その内容においては非常に重要性を持つておる点がありますので、私どもせつかく苦心なさつて、この法案を御提出になつたのでありますから、この法案が通過しましたならば、ただちに管理主体の結成を希望しておるのであります。しかしながらこの原案では遺憾ながら数項にわたる矛盾がありまして、今日までの体験からしても、管理主体の結成は不可能であるということが確認されておりますので、その重要点だけは、ぜひとも基本的な問題として御考慮願いたいと思うのであります。その他御検討の上、港務局あるいは管理主体の結成に、今すぐに支障はないが、何らかの條件を付して、これが約束されるというようなことがありますならば、それらも考慮しまして、なお縮小することも可能であろうと考えます。しかし第四條の港務局組織に関する基本的な問題、第十二條の業務の権限につきまして、皆さんに御意見を聞きましても、二重監督は依然として残るようなおそれがありますならば、むしろこれはつくらない方がよろしいという意見でありますので、あくまで行政の一元化を期待するための十二條の修正、こういう重要な項目につきましては、何とか港務局管理主体を即時つくるための重要な事項として、特別にお考え願いたいと思います。
  47. 稻田直道

    ○稻田委員長 次に神戸の長浜君。
  48. 長浜時雄

    ○長浜参考人 私は單に法案をつくるというよりも、むしろ一刻も早くこの港湾管理者を決定するという線にあるのでありまして、この港湾管理主体をば早くきめるような法案をぜひつくつていただきたいという希望であります。先ほど修正意見を申しました点は、そういうようにならなければ、かりに法案ができましても、この管理主体を決定するということに相当期間を要し、あるいは不可能に陥るのではないかということを非常に憂えておる関係上一ぜひともこの最小限度修正をお願いするという意味であります。もつとも申し上げました六項目の中で、私ども政府御当局から内容について御説明を伺えば、あるいはその中には後日にまわしてもいい問題も起ろうかと思いますが、私にはその機会を與えられておりません。実はこの法案を見まして、ぜひともこういうように修正してもらいたいという意見を持つておるわけであります。
  49. 米窪滿亮

    米窪委員 政府がこの法案の説明の中に、一定の工事については国がその経費を一部負担し、その他のもめについても最小限許す限りにおいてこれを補助しといつて、後半は少しあいまいですが、政府はおそらく経営ということを考えておらずに、管理ということについで限定しまして、そうして管理母体においてその方面における費用が足らない場合は、国がある程度これを援助するということが、政府意見らしい。そこでこの法案で一番問題になるのは、一條、四條、十二條だろうと思うのです。そこでお尋ねしたい点は、神戸及び横浜の市の当局、並びにもし必要があるならば神奈川県と兵庫県の県の当局にお尋ねしたいのですが、この争点になる重要な点は、管理ということに限らず、運営もやつていただきたいという意見が、修正の一番大きなものです。それに基いて第十二條が問題になる。その間に第四條の管理母体を制限するということが起つて来るだろうと思うのです。そこで伺いたい点は、横浜がすでに時価に直して二十二億円という金を一港湾工事の費用として今まで出しておる。おそらく神戸はそれの何倍かのものを出しておると思う。そういう点について、今後これを管理のみに限らず、運営ということになると、相当費用がこのポート・マネージング・ボードになる管理母体が負担することになると思うのですが、これに対して管理母体に政府がもし補助しない場合には、何とか財源のことについて考えておるか。それから従来すでに投資しておる問題については、公共企業体からその管理母体へ無條件で委譲するものであるかどうか。この二つの点がわれわれこの委員会態度をきめる上においてきわめて重要でありますから、これを神戸なりあるいは横浜なりの当事者からお聞きした  いと思います。
  50. 平山伊三雄

    平山参考人 港の状況が違いますので、横浜の現況からお答え申し上げたいと思いますが、第一條管理の下に運営挿入していただきたいことは、これは絶対要件でありまして、政府原案みずから挿入されました第四條の六項において、管理運営字句が明確に表われておりますので、これはあくまで運営が伴うものと解釈しております。また英文の原文について、GHQ方面からあらゆる方面の解釈を願つたのでありますが、管理の中にはオペレーシヨンは明確に入つておるというのでありますが、なお明確にするためには、運営という字句を入れた方がよろしい、こういうことを言われております。政府の方でもあらためて管理運営認められたのでありますから、基本的な第一條運営をぜひとも挿入すべきである。また私ども横浜にしましても、神戸にしましても、みずからの施設を持ち、それをみずから運営しておる。あるいは国の築造しました施設に対して、ただいまお尋ねのように多額の費用を出しておりますが、みずからの施設は現存管理運営しておるということを即時に法務府に持つて行ぎ、また第三十三條にあります公共団体がこれを管理することになるかは、別なことになりますけれども横浜の現状から申しますならば、ただいま解放の相手として目されておりますところのものは、サウス・ピア一本であります。サウス・ピア一本解放になりましたために、即時に港務局をつくつて、巨大なる費用をもつてこれを完備することは、とうてい不可能と考えられます。将来管理運営すべき面が全般的にわたり、あるいはノース・ピア、センター・ピアが解除になりまして、必然的に大きな港務局を要することになるのでありますけれども費用の点におきまして、サウス・ピア一本を管理するために、ただちに港務局をつくつて大きな費用負担するということは、とうてい不可能と考えられます。そこで横浜としての考えは、もしサウス・ピア一本くらいの場合には、年間にして七百万円ないし八百万円の收入しか見込まれておりませんので、これらの費用をもつてまかなつて行けるだけの機構、事務をとつて行きたい。この経費をたくさんかけますことは、公共団体負担を増し、これが直接市民の負担になりますし、それを避けますならば、ポート・チャージの増加になりまして、海運の衰微を来すということを懸念いたしまして、最小限度の機構で、これを運営して行くという考えを持つております。
  51. 長浜時雄

    ○長浜参考人 お尋ねの経費の問題でありますが、私どもこの点は非常に重要に考えておるのでありまして、将来ごの法案がかりにできましたあかつきにおきまして、港湾管理主体をきめるについて、第二章にありますところの港務局にするか、あるいは第三章にありますところの公共団体の一つが管理主体になるかという点をきめるに、重要な要素だと思つておるわけでありまして、その点について私どもはどちらを選ぶかということを、今後慎重に考えたいのでありますが、お尋ねはどちらを考えておるかというお尋ねのようでもないのでありますから、この席で神戸はどちらをとるかということは申し上げません。その点は十分考えたいと思つております。ただ私どもここで考えます点は、かりに港務局をこしらえて、そこで独立採算制で行くということになりました場合は、ひつきようするところは費用関係は、ポート・チヤージを上げるということになるのではないかということを非常におそれております。私どもはそれをしたくない。従つてそういう点を考えますと、まずもつて第三章を適用して、順次第二章に移るということは、一応は考え得るのでございますが、遺憾ながらその点については申し上げかねるのであかます。要するに現在の神戸港の実情を申し上げますと、御承知通り内港地帶は市が管理運営しておるのでありますが、これに関する経営上の費用は、現在市がやつておりますのでも、十分まかなつてやり得るのであります。将来一体となりまして、外港地帶も入つて来るという場合におきましては、それがどうなるかという問題に自然逢着するのであります。もちろん建設ということになりますれば、相当費用もかかることになるわけでありますが、経営という点につきましては、十分現在の市政の動き方等サをにらみ合せてやつて行けば、大した影響はない、だろうという気持を持つております。
  52. 米窪滿亮

    米窪委員 私がその点をなぜお尋ねするかというと、私は理論的ではなしに、現実の面からはたして運営という字を修正意見として入れる場合に、費用をまかなうことができるかどうかという点を非常におそれている。国が補助しない場合には、経費の点で、りくつはどうでも、現実にはそれができないことになるではないか。先ほど福原参考人がその点をつかれたのですが、私も同感です。それについてお尋ねするのです。第二の点はお答えないのですが、現在までに地方自治体が実施したのは、無條件で管理母体へ委譲されるものであるかどうか。それはどうお考えになつているかということを、横浜及び神戸の方にお聞きしたい。
  53. 平山伊三雄

    平山参考人 それは将来の問題でありまして、非常にむずかしい問題でありますが、それには第五十八條の三項が再び関連して参るのであります。現在のところは国営施設の開放されるものがどれだけであるか、そういうことが重点になつて参りますので、その後に市の所有している施設管理主体に渡すということは、この場合の管理主体ポートオーソリテイーと考えておりますが、ポートオーソリテイーができた場合に、無條件でこれに渡すか渡さないかというようなことは、おのずから議会の議決を要し、また地方自治法二百十三條の関連におきまして、五十八條の三項が適用されることになるのでありますが、あれがもし適用されることになると、無條件でポートオーソリテイーに渡すような場合は、当然住民の投票によつて決定しなければならないようなことになつて参るのであります。ゆえに一気にポートオーソリテイーがつくられ、あるいは第三章の機関におきまして、当分の間市の機関によるポート・オーソリテイで行くかということは、この法案通過の後にとくと考慮さるべきものと考えておりまして、無條件に港務局に譲渡ということは、今のところは、まだ結論を得るに至つていないことをお答え申し上げておきます。
  54. 長浜時雄

    ○長浜参考人 神戸立場を申し上げます。先ほどの管理主体は二通りあるわけでありますが、ポートオーソリテイーの場合におきましては、ただいま横浜からおつしやつた通りでありまして、このポートオーソリテイーが、第五條の公法上の法人即公共団体と解釈できますれば、地方自治法によりまして、選任の投票はいらぬことになるわけであります。しかしその処分にあたりましては、議会の議決を要することはどうしても必要なんでありますから、そのいかんによるべきもの、こう思つているわけであります。しかしもしも公共団体管理主体になれば、もちろんその必要はないのでありますから、そういうことは考慮されない、こう考えております。
  55. 坪内八郎

    ○坪内委員 委員会のメンバーのことについて、簡單に日本倉庫協会の武田君にお尋ねします。本案の第十六條に委員会のメンバーがうたわれてあるのですが、横浜並びに都の管理課長の津野君らの意見は、地方公共団体議会から推薦する議員を一名入れてくれというような修正意見でありまして、その修正趣旨はよくわかるのであります。横浜の方の答弁はいりませんが、武田君のお話は、私の聞き違いかどうかしりませんけれども議員を一人入れるということは、絶対反対だというふうに承つたのであります。その絶対反対であるという根拠をもう少しお話願つて、さらにまた結果においては原案を賛成するのかどうかという点をお尋ねいたしたいと思います。
  56. 武田正泰

    ○武田参考人 私といたしましては、議員は一人でも入れないということを主張しておるわけであります。議員の方に入つていただくと、いろいろ便利な点もあるようでありますが、またその点につきまして、反対の面もあると思われるので、私は原案通り主張したい、こう思つております。
  57. 上村進

    ○上村委員 田井さんと有井さんにちよつとお尋ねしたい。やはり今の委員の問題でございますが、今までこういつた委員会の例によると、労農代表が入つて来る可能性が少い。そこでこれをはつきりと労働代表を入れるというふうに訂正しなければ、希望が達せられないかもしれぬと思うのですが、労働組合側としては、労働代表がこういう委員に入つていけないとしたならば、この法案に対しては賛成か反対かということを念のためにお聞きしておきたい。
  58. 田井増五郎

    ○田井参考人 われわれは、あくまでもわれわれが真に希望する民主的な運営立場から、ぜひわれわれの代表を入れてもらうように、項目の中に明確にしていただきたい。もしこれが入らないならば、民主的な運営ができないという観点に立つて、われわれは反対せざるを得ないのであります。
  59. 有井澄

    ○有井参考人 先ほど私はほかのことは申し上げず、委員のことだけ強く強調いたしたのであります。従つて私の希望いたしましたことが、法律條文あるいは付帶決議ではつきりきめられないならば、これは非常に美しい條文のもとに、危険をはらんだ半面が除去されぬものと私は認めますから、そういうことならばこの法律には賛成することができないのであります。
  60. 上村進

    ○上村委員 わかりました。
  61. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 ちよつと田井さんと有井さんに伺つてみたいのです。組合から委員を入れるというようなことを法律の中にうたうことになると、国民のあらゆる階層のもの、あるいはあれを入れろ、これを入れろということを、法律に書き並べなければならぬ。そういうことはとうてい不可能である。それはあとの実際上の運営にあたつてつて来る問題ですが、それでもそれが入らぬとこの法案に反対だというのですか。
  62. 田井増五郎

    ○田井参考人 私は、はつきり組合というものではなくても、やはり港湾の労働代表ということでけつこうです。
  63. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 くどいようですが、結局港湾の何々代表とか、そういうことを法律の中に盛り込むことは、技術の上から困難だと思います。その点はこの法律の出たあと、実行に移つてから起つて来る問題だと思いますが、それでもあなたの言う明文を置かないと反対かということを重ねてお聞きしたい。
  64. 田井増五郎

    ○田井参考人 定款の上において、それがはつきり実現できるような附帶條件を加味してもらえればけつこうです。
  65. 有井澄

    ○有井参考人 私も同様であります。法律の中に入れるか入れぬか、私はそういうことは専門家でありませんからわかりませんが、少くとも附帶決議なり何なりで、そういう趣旨をはつきりきめてもらいたい、こういう意味なんです。
  66. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 わかりました。
  67. 立川繁

    ○立川参考人 先ほどひとつ申し残しましたが、ほかの方からもお話がありませんので、簡單に申し上げます。大阪の港へ入ればこう、尼ケ崎へ入ればこう、あるいは神戸に入ればこう、こういうように各港湾、違うところへ入るたびごとに、もし業務の規則も違うようなことがありますと、非常に困るのであります。そういうことのないように、各県ごとに規則が違わないように、何らかの措置を講じていただきたい。これは交通運輸の原則であります。特に申し添えておきます。
  68. 石野久男

    ○石野委員 ちよつとお尋ねしますが、ただいま附帶的に決議ができれば、労働代表が入ればいいのだということは、別に法文の中に明記されなくてもよろしいのだという御意見でありましたけれども、それはあくまでも運営の面において労働代表が出て行くということの意味だろうと思うのでございまして、そのことについては私ちよつとお二人の方にお聞きしたいのですが、法案ではなく、ほかの決議とか何とかいう意味なのでしようか。それとも法案の中の附則という意味なのでしようか。
  69. 田井増五郎

    ○田井参考人 私は法の内容の取扱いについてはわからぬのですが、われわれの希望はぜひその中に入つて、民主的に運用できるような取扱いをしてもらいたい。だから技術的にはどうしてよいかということについては、私ども言い得る試案がないのですが、端的に言えば私たちは法の中に明記してもらいたい。それは法において困難性があるというならば、いろいろのことを明記して、ぜひそういう点を考慮していただけばけつこうだと思います。
  70. 有井澄

    ○有井参考人 私も同様であります。大体法律専門的の知識は私どもありませんから、どういう形式で入れなければどうかということは、私にははつきり今ここで申し上げる余裕がありませんが、その精神をかつてに曲げられないように明示してもらうことを主張しているのであります。
  71. 稻田直道

    ○稻田委員長 他に御発言はないと思います。参考人各位におかれましては長時間熱心に御意見を吐露していただいて、まことにありがとうございました。  午後は政府当局に対する質疑を行う予定であります。なお再開の時間、委員室は追つてお知らせをいたします。  暫時休憩いたします。     午後三時四分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた