○土橋一吉君 ただいま出ております
請願の二六七号に関しましては、昨年九月の中旬以来
国鉄労働組合五十万諸君か、待遇改善を科学的にも十分検討されて、また現在の生活実態をも考慮せられまして、われわれか見るならば、きわめて謙虚な、しかも非常に低い賃金の内容ではございますが、九千七百円の要求を
国有鉄道公社当局に行つたのであります。ところがこの交渉におきまして、公社側の誠意も十分認められないで、なお運輸当局においてもこの問題については十分
承知のことでございます。これは昨年の定員法か
通過しますや、
国有鉄道関係はあげて公共企業体労働
関係法規の建前において、待遇是正行われるやにわれわれは聞いておつたのであります。しかも十万になんなんとする従業員諸君の整理を断行いたしまして、なおかつ
鉄道料金の引上げ等によりまして、
国有鉄道全体として收入見込み等において、きわめて楽観すべき状態にあつたのであります。ところが第六臨時国会にお、いて、御
承知のように
貨物運賃を九割も引上げ、さらに一般会計から三十億円に相当する厖大な国費を流用いたしまして、これをも
つて国有鉄道は万全を期するという態度を示されたのでありまするが、その間におきまして待遇の是正等においては当初非常に向丘するように、われわれ内閣、人事、労働三連合
委員会の席上においても承
つておつたのであります。ところが聞きますると、六月以降の待遇は、職員一人につきまして千円強度下まわつた実質賃金の内容になつたのであります。たとえば宿舎料の引上げとか、合宿料の引上げとか、あるいは交代勤務によるところの夜食料の削減とか、いろいろな待遇の切下げが行われたのであります。六千三百円の基準は、一昨年の十二月に人事院が国会並びに内閣に勧告をしておつたものでありまするので、その資料としましては、一昨年の七月の物価指数等から勘案いたしましてつくつた給與ベースであります。ところが昨年の九月当初におきましては、三四%以上の物価の変動を来しておりまするので、人事院が国会へ上程しておりまする資料から勘案いたしましても、当時の
国鉄労働者の給與ベースは、最低限度九千七百円程度は支給するのが妥当であるという解釈に至つたのであります。ところが今も申し上げておりまするような状況で、
政府自身がこの問題について積極的な責任と誠意を示さないために、また仲裁
委員会等におきましても、すでに八千五、六百円の程度の給與を支給するのが妥当であるという結論が出ておつたのでありますが、給與の引上げについては何ら勧告をしないで、ただ一千円の補填金というような、われわれからみるならばきわめて不課合千万な仲裁裁定だつたのであります。その内容は、裁定案が示しておりまするように、六月から数えまして十二月までに一人平均六千円、今年の一月、二月、三月が一人平均一千円つつで三千円、これを加えまして職員一人については九千円程度のむのを補填する。従業員合計五十万でありまするから、約四十五億円の支給方について調停をしております。これもきわめて謙虚な低いものであるにもかかわらず、
政府は御
承知のように公労法第十六條第二項の規定に基きまして、予算上資金土不可能な支出であるという詭弁を弄しまして、結論的にこの問題は十分な解決を見ておりません。この問題につきまして
国鉄労働組合側におきましては、最近特に調停
委員会に申請したのであります。実際の物価は上
つておりますし、また
地方税法の将来の改正、あるいは電気事業の再編成によりまして、勤労階級が苦しい生活をするということを予測しておるにもかかわらず、実際は
政府の
説明しておるように、物価の横ばい状態であるというような
説明によ
つて、何らこの問題を処理しないということについては、遺憾であるからして、いまさら調停するまでもなく、ただちにこれは仲裁
委員会に付するのが妥当である。調停
委員会といたしましては、おそらくこういう異例であろうと思うような結論を出しまして、調停することなくこれを仲裁
委員会に付議しておるのであります。どころで仲裁
委員会におきましてもその内客を十分検討しまして、再三再四
国有鉄道側を招致し、あるいは労働組合側を呼び、あるいは調停
委員会の合同
審査をもちまして、現在きわめて低い賃金ではありますが、平均八千二百円程度の給與ベースを支給するのが妥当である、こういう結論を出しておるようであります。そのほかに報奨金制度、あるいは実質的な待遇の引下げに対するところの是正方、こういうようなものについても仲裁案はすでに示しておるのであります。こういう観点から
国鉄労働組合が昨年の九月以来主張しております九千七百円ベースというものは、真に
国有鉄道の将来の発展のために、また労働者諸君の基本的な生活を守ることによ
つて、
鉄道運営のよろしきを得るのだということを、運輸当局がお考えくださいますならば、この
請願は決して過大なものを要求し、
政府あるいは
国有鉄道公社の現実の経理面における不都合なものを要求しておるものでは断じてないのであります。なお最近
国有鉄道の
石炭代の流用とか、あるいは
石炭代の値下げとかいろいろなものを考えてみますと、当然このようなものを支給せられましても、昨年六月の整理の当時の人件費の節約というようなものから考えまして、おそらく七十億円以上の実質的な
国有鉄道公社としては收入の増があることは、これは科学的に証明できておるのであります。その他の節約面を考えてみますると、おそらく百億近い節約を見ていながら、現実にこの給與の支給については、
政府自身も力を入れませんが、公社側においても真剣にこれを取上げて、この問題について運輸大臣あるいは当局について徹底的な要求をするなり、あるいは御協力を願うという態勢をとうていないことは、まことに遺憾でありますので、ぜひともこの際
国有鉄道の労働者諸君の待遇是正に関して、運輸事業の完全な運行をはかるという見地から考えましても、本
委員会におかれましては賢明なる
委員各位の絶大なる御協力を得まして、ぜひ九千七百円ベースが支給されるように御手配願いたいと思う次第であります。
なお運輸当局からもお見えにな
つておりますので、一言私は
請願をいたしておる議員といたしまして、お尋ねを申し上げたい点は、現在国会におきましても十分な討論を盡しておりませんが、八千二百円という九千七百円から見ますならば一千五百円も下まわ
つておりますような、こういう安い賃金について
政府はどう考えておるか。私は当然九千七百円はまだ低いと思うのでありますけれども、この謙虚なきわめて低い九千七百円はおろか、八千二百円の仲裁案自身についても、どう
政府当局はお考えにな
つておるか。こういう点もあわせて御答弁を願いまして、
委員各位の絶大なる御協力、御支援のもとに、本
請願を本
委員会において採択せられるように切に
お願いをしたいと思う次第でございます。