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1950-04-13 第7回国会 衆議院 運輸委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月十三日(木曜日)     午前十一時四十八分開議  出席委員    委員長 稻田 直道君    理事 大澤嘉平治君 理事 關谷 勝利君    理事 前田  郁君 理事 米窪 滿亮君    理事 木下  榮君       岡田 五郎君    尾関 義一君       黒澤富次郎君    畠山 鶴吉君       渡邊 良夫君    松井 政吉君       上村  進君    柄澤登志子君       飯田 義茂君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 大屋 晋三君  出席政府委員         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      足羽 則之君         運輸事務官         (鉄道監督局         国有鉄道部長) 石井 昭正君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       加賀山之雄君         專  門  員 岩村  勝君         專  門  員 堤  正威君     ――――――――――――― 四月十三日  委員林百郎君辞任につき、その補欠として柄澤  登志子君が議長の指名で委員選任された。     ――――――――――――― 四月十二日  貨物運賃及び海上運賃値下げに関する請願(岡  田春夫紹介)(第二三二八号)  下諏訪、丸子間国営自動車を上田市まで延長の  請願小林運美紹介)(第二三二九号)  三江線三次、浜原間鉄道敷設促進請願(船越  弘君外一名紹介)(第二三三〇号)  五大都市港湾協議会からの港湾法案に対する修  正案反対請願前田郁紹介)(第二三四六  号)  御殿場線谷峨駅に貨車線敷設請願(小金義照  君紹介)(第二三五四号)  瓦の貨物運賃等級引下げに関する請願尾崎末  吉君紹介)(第二三五六号)  陶管貨物運賃等級引下げに関する請願尾崎  末吉紹介)(第二三五七号)  炊事用粗陶器の貨物運賃等級引下げに関する請  願(尾崎末吉紹介)(第二三五八号)  唐津市、呼子町間に鉄道敷設請願  (中村又一紹介)(第二三八四号)  同(保利茂君外三名紹介)(第二三八五号)  岐阜県下国鉄各線電化促進に関する請願(加  藤鐐造君紹介)(第二三八七号)  自動車運送事業経営体の分割に関する請願(亘  四郎君外二名紹介)(第二三九〇号)  仙台駅東昇降口設置促進に関する請願(安部  俊吾君紹介)(第二三九九号)  山陰線電化促進に関する請願稻田直道君外七  名紹介)(第二四〇〇号)  熊本市に鉄道局設置請願松野頼三君外一名  紹介)(第二四一九号)  野幌駅に急行列車停車請願篠田弘作君紹  介)(第二四二〇号)  北海道における気象官署職員定員増加に関す  る請願浦口鉄男紹介)(第二四五八号)  石越から湯沢を経て羽後矢島に至る間に鉄道敷  設の請願大石武一君外三名紹介)(第二四六  四号)  尾岐村、会津若松駅間の会津合同乗合自動車株  式会社路線復元に関する請願菅家喜六君紹  介)(第二四六五号)  の審査を本委員会に付託された。     ―――――――――――――  本日の会議に付した事件  小委員補欠選任に関する件  小委員選任に関する件  日本国有鉄道の第二次裁定に関する説明聴取     ―――――――――――――
  2. 稻田直道

    稻田委員長 これより運輸委員会を開会いたします。  この際お諮りいたします。岡田五郎君から観光小委員辞任いたしたいとの申出がありますが、これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 稻田直道

    稻田委員長 御異議なしと認め、辞任を許可するに決しました。  なおただいま岡田君の辞任に伴いまして、その補欠選任いたしたいと思いますが、選挙の手続を省略して、前田郁君を委員長より御指名いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 稻田直道

    稻田委員長 御異議なしと認め、その通り決しました。     ―――――――――――――
  5. 稻田直道

    稻田委員長 次に、先般の委員会におきまして鉄道電化促進に関する小委員会を設置することに決定いたし、その小委員及び小委員長選任につきましては、委員長に御一任願うことになつておりましたので、この際次の通り小委員を御指名いたします。  電化促進小委員会委員   大澤嘉平治君  岡田 五郎君   尾崎 末吉君  片岡伊三郎君   小西 寅松君  土倉 宗明君   渡邊 良夫君  橘  直治君   稻田 直道君  松井 政吉君   淺沼稻衣郎君  佐伯 宗義君   石野久男君  なお、あと二名は都合によりまして次会選任し、なお委員長次会選任いたすことにいたします。     ―――――――――――――
  6. 稻田直道

    稻田委員長 これより国鉄の第二次裁定の問題につきまして、議事を進めます。本件に関しましては、すでに説明も聴取いたしておりますので、ただちに質疑に入ります。通告順によつて質疑を許します。岡田五郎君。
  7. 岡田五郎

    岡田(五)委員 加賀山国鉄総裁ちよつとお伺いしたいのであります。この別の第一回の裁定の際、一応加賀山総裁といたしましては、十八億見当の金が出せるだろうということを言われたと聞き及んでおります。にもかかわりませずいろいろな護の事情からいたしまして、十五億五百万円が出されたのであります。そういたしますと約三億の金が残つたのでありますか。それともこの三億を初めの計画通り修繕工事にお使いになつたのであるかどうか。この辺ちよつと御説明を得たいと思います。
  8. 加賀山之雄

    加賀山説明員 第一次裁定が十二月にありまして、その当時におきまして経理考えて見たのでございましたが、その当時修繕費等流用する、部は繰延べるといつたようなことで、十八億程度のものが出せるという見通しをつけたわけでございましたが、その後政府におきまして、繰延べ等はこの程度でなければならないという御査定を受けたわけでございまして、そうなりますれば、私どもは便々として修繕費をまわすということは当然できないことでございまして、十五億五百万円を十二月において支給いたしまして、その残余の三億に相当するものにつきましては、これを修練費に振当てまして、修繕を実施したというかつこうでございまして、そのまま残つたという事態はないと思います。
  9. 岡田五郎

    岡田(五)委員 過般の新聞記事でございますが、幸いにいたしまして本年は非常に暖冬でありまして、除雪費が相当残つておる。除雪費その他合計四億近くも残つておるというお話を承つておるのでありますが、先ほどお聞きいたしました十二月の十八億と十五億との差の三億はお使いになつてしまつたが、幸いにして暖冬の結果、四億近くの金が残つておるのでございますが、その金は二十四年度利益金といたしまして、国有鉄道法の規定に基きまして、一般会計の方へお繰入れになる予定なのでございますか。その点を承りたいと思います。
  10. 加賀山之雄

    加賀山説明員 今岡田さんが言われました通り、先ほど申し上げた三億とは別に、その後の気候、暖冬と申しますか、やはり除雪費等を節約いたしまして、極力人夫賃等を節減いたしました結果として、主として除雪費におきまして、予算内に納まるという見通しがついたわけでございます。その額も、たまたま金額といたしましても三億余円ということで、非常に似通つておりますが、これは原因が全然前の場合とは違つておるようでございます。で、この三億について流用という問題が出たわけでございますが、もともとその余裕の出た根源は、申すまでもなく十二月から貨物運賃値上げをする。それが一月に延びたために、三十億の借入れ一般会計からお許しを得たわけであります。この三十億の借入れをして、今年の経理をした。従いまして真の余剰ではない。一般会計に納付するということでございませんで、これが人件費その他に流用を認められない限りは、結局三十億の借入れはそれだけ減らされる。予算面から言えば、その残つた部分流用できないということに相なると存じます。
  11. 岡田五郎

    岡田(五)委員 鉄道のように手数百億の経費がありまして、そのうち、六、七百億というのが物件費その他工事費でござい事。いろいろ会計処理上、三億、四億の剰余金は出すべきときは――出す必要もござ、いませんが、実際の経理上二十五年度用の物品を、二十四年度中に繰入れ決算をして、収支とんとんにするとかというような会計技術上いろいろと操作ができまして、二十五年度中の物件費の節約という形において、四億なり三億が流用ができるのではないかと私は考えるのであります。かような操作についてお考えになつておるかどうか、お尋ね申し上げたいと思います。
  12. 加賀山之雄

    加賀山説明員 もちろん被服等におきまして、二十五年度に貸与支給するようなものについて、この予算見通しをつけてこれを決算をするということは、当然なすべきことと思うのでありまして、極力いたした次第でございますが、被服とか石炭とか、こういつたものも確かにその範疇に入るわけでございますが、どうしてもぎりぎり詰まつてからでは、修繕を先にやつておくということも、これは間に合わないのでありますし、そういうことをしてもなおかつ今申したような剰余が出たというのが、真実の姿でございます。
  13. 岡田五郎

    岡田(五)委員 次にお尋ねいたしたいことは、裁定書によりますと、一応第一回の裁定におきましては、賃金ベース引上げは、政府がいろいろ実質賃金向上施策を講ずるであろうから、さしあたりこれを見送る。こういうことになつておりまして、第二回の裁定には、政府がその後さつぱり実質賃金向上施策を講じてない。二十五年度予算を見ても、かような項目にはあまり増加計上していない。だから賃金ペースを八千二百円にするのだ。こういうことが大体うたわれておるのでありますが、国鉄の三十五年度予算中に、二十四年度に比較して、職員実質賃金向上のために、どの程度予算を計上されたのか。相かわらず二十四年度と同様の程度であるかどうか。その辺のところを御説明願いたいと思うのであります。
  14. 加賀山之雄

    加賀山説明員 御承知のように予算査定権政府にありますので、人件費等につきましてもわれわれといたしましては、もちろんその頭数等余裕を持つたというような予算はできない。またこの数年やつておらないことなのでありますけれども、いわゆる昇給等も見込んで、一人当りの平均単価というものを幾らに立てるかということが、予算上の問題になるわけでございます。これらにつきましては、どちらかと申しますと、大蔵省において査定を受けてしまうと申し上げた方が、実際に近いと考えるのでございまして、われわれとしては、そこにもつと希望はありますけれども、これは各省、あるいは法文上の関係を一緒に考えられて、大蔵省査定を受けておるというような状態でございます。しかしながら昨二十四年度予算においては、途中において昇給をするというようなことは、含まれておらなかつたのでございますが、本年度におきましては、途中における昇給というものも一部見込んである。また超過勤務手当にいたしましても――旅費給与ではございませんが、それらにおきましても、二十四年度よりは多少これをふやしてみておるということでございまして、総括的にみまして、二十四年度に比較いたしますと、実質的な給与が幾分増加しておるということは、申し上げられると思うのであります。
  15. 岡田五郎

    岡田(五)委員 その幾分というところを私はお聞きいたしたいのでありますが、第一回の裁定のときには、公社になつだために、約千円見当実質賃金が下げられておるということを言われておるのでありまして、この千円見当下げられた実質賃金が、二十五年度予算においてどの程度バツクされるのか。ほぼ見当でけつこうでございますから、もし数字をお持ち合せでありましたら、お聞かせ願いたいのであります。
  16. 加賀山之雄

    加賀山説明員 今岡田さんの言われました千円という中には、旅費等も含まれておるのでありまして、私どもはこの旅費というものは、これは給与の体系というものではないから、これは当然引いて考えなけれげならぬと思つておるのでございます。第一次裁定に現われました千十一円についてそういうふうに考えますと、これをさらに八百円に減した――正確な数字は覚えておりませんが、たしか旅費が二百円くらい従来から確保せられておつたと思うのでありまして、八百円ぐらいに相ならうかと思うのであります。これを年間に引直しますと五十億くらいのものになるのではないかと考えておるのでございますが、先ほど申しました昇給の措置その他で、私は十億余は実質的な待遇の改善として見積られて行くと考えます。これは二十四年度給与に比較してであります。かように私ども考えております。     〔委員長退席大澤委員長代理着席
  17. 岡田五郎

    岡田(五)委員 次にお尋ね申し上げたいのは、この間の連合審査会のときに、今井仲裁委員からお話になつたのですが、安本の二十五年場度における民間の自己資金による設備の状況その他が、約四百億から五百億だつたにもかかわらず、国鉄工事費を二百億げかり使うということは、大体全体から見ると多いのではないかというような意見があつたのでありますけれども、この点について、二十五年度予算二百億は、国鉄施設の現在の状況、あるいは一般国民の要望する施設の拡充というような点から見まして、国鉄総裁といたしましては、どういうお考えを持つておられるのか。その辺のところをお聞かせ願いたいと思います。
  18. 加賀山之雄

    加賀山説明員 御承知のように昭和二十五年度予算の特徴といたしまして、従来は損益勘定すら、借入れ金でようやく償なつて来たという現状で、ございましたのに、本年度は逆に損益勘定、つまり收入の中から二百億というものを抜き出して、これを工事勘定の方に繰り入れる。それでもつて新規工事、あるいは取替工事等をいたして行く。そのほかに実はこの委員会でも審議いただいておりますところの四十億の予算を加えますと、二百四十億が工事勘定としての総額に相なるわけでございます。その二百億は、今申しましたように收入の中から出すことにいたしておる。これはまつた国有鉄道予算といたしましては、戦後初めてのことでございまして、この姿は戦前の健全さにようやくもどり得たと考えるのでございます。この二百四十億が多いか少いかということでございますが、私どもといたしましては、その中に新規なものをざつと見積りましても、四十億から五十億くらいのものは含まれておるというように考えます。それから取替を要するというものは、これは戦争中そのままになつてつた、あるいは戦後財政の窮迫等からいたしまして、思うようにやつていないというようなことから、車輌でございますとか、あるいは線路、建物、こういうものをとりかえるに要するものが、非常に莫大なものに上つておる。そういうことから考えまして、二百四十億は絶対これは、私どもとしては必要であるというふうに考えておる次第でございます。
  19. 岡田五郎

    岡田(五)委員 工事費必要限度につきましては、見方によつてはいろいろ相違があると思うのであります。二十四年度予算工事費を採用されましたときに、仄聞いたしたのでありますか、初めは四百億円案だとか、あるいは三百億円案だとか、いろいろ案おこしらえになつておりまして、結局のところが百六十七億というようなところへ圧縮ざれたというような経過を、私仄聞いたしておるのであります。二十五年度予算におきましても、億必ずしも多からず、あるいはまた二百億非常に多いというように、いろいろ見方もあると思いますが、日本の現在の客観的情勢から判断いたしまして、国有鉄道の内部の各般に御精通になつておる加賀山総裁としては、見返り資金の二百四十億を入れてもなお不足だ。まだこれでは国有鉄道の安全なる施設を保持することはできないのだというような、真剣味をお持ちになつておるのか。やつと健全な鉄道経営状態帰つたという、ほつとしたお気持をもつておられるのであるか。この辺の感じをお聞きいたしたいのであります。と申しますのは、国鉄職員給与引上げということも、また非常に真剣なものでありまして、これもこの工事費との比較検討が相当問題になると思うのでありますが、その辺のところを率直に御所見を拝聴いたしたいのであります。
  20. 加賀山之雄

    加賀山説明員 今岡田さんが言われましたように、新設の工事、あるいは取替の工事改良工事といつたようなものは、考えようでございまして、幾らでもあればあるだけ鉄道が早く立ち直るということでございまして、二百四十億というのが必ずしも多いというほどではないのであります。先ごろ昭和二十四年度予算を立てますときに、四百五十億あるいは三百六十億、それが最後には結局エイド・フアンド以外には何もわれわれはない。つまり百五十億のエイド・フアンドだけに限られましたものですから、それでやつて行くよりしかたがなかつた。これが昨年の状態であります。本年は幸いに二百億というものが、自己資金として出すことができる。その上に四十億のエイド・フアンドが期待できるというふうになりまして、予算の御審議をいただき、何でもかんでも二百四十億円今年度中に、先ほど申しましたようにその分を取替をして、廃棄して行かなければならぬ。補充をして行く、あるいは経営合理化をはかるような、その後の修繕費維持費等を節約できるようなものの工事をやつて行く。たとえば線路で言いますと、タレプレートをつけますとか、あるいはアンチクリーピーをつけますとかいうようなことで、これはその工事ができますれば、人手も減る。修繕費維持費がその後節約できるというようなことになりますので、これは予算さえあれば多いほどいいわけでございます。新規のものは非常にたくさんは見積つてございませんが、線路といたしましては、御承知のように釜石線の建設、これは本年の秋までには完成をいたすということになつております。ほかは信濃川発電所とか、あるいは車輛にも一部新規と認め得るようなものがございます。そういうものを合せて、これでまずざつと見ましても五十億は新規のものがあろうかと考えております。私どもといたしましては、三百四十億はぜひとも本年度やりたい。しかしながら一方において給与の問題は、お言葉のようにまことに切実な問題でありまして、特に仲裁裁定がございました以上、われわれとしては誠意をもつてこの線に沿うように努力をいたさなければならぬ。かたがた国鉄従事員働きぶりを見ましても、私は実に改善されて来ておる、かように考えます。ただその生活は非常に苦しくなつておる。これもよく承知しておりますので、そこらをかみわけなければならない。しかしながら両方立てるということがなかなかむずかしい。私どもといたしましてはもし許されるならば、工事費も減らさないで、従事員給与も改善して行きたい。仲裁委員会裁定の線にできるだけ沿うようにいたして行きたい。それには方法がないかということをいろいろ考えてみますと、私はないことはない。これは国会の御承認さえ得られるならば、たとえばさつき私が申しました新規工事と見られるものが五十億程度ある。そうするならば、これを私はいわゆる借金でやつてもさしつかえないものである。これはもし会社でございますならば、これは将来に利益を生む、あるいは経費を節約する、確かに経営利益を生むものでございますので、これをその利益より低い利率の借金でいたしますならば、当然そろばんが合うという勘定になる。いわゆる社債というものは、そういうことから考えられる。国有鉄道にその道がないかと申しますと、これも御審議をいただいて四月一日から実施されておる国有鉄道法によりまして、国有鉄道運輸大臣承認を得て鉄道債券発行ができるということになつております。この條項を何とか活用していただくわけには行かないかということか、われわれの唯一の希望であるわけであります。これにはもちろん運輸大臣政府の御承認と、国会の御承認を必要とすることは申すまでもないのでございますが、私どもとしてはそういうふうにしていただけるならば、これが両立するということを考えております。この鉄道債券発行は、経営をまずくするというものではない。損益勘定借入金等と全然性質が違うものでございますので、私どもとしては、そういうふうにしていただけないもかというふうに考えておるわけでございます。
  21. 岡田五郎

    岡田(五)委員 二十五年度予算中の減価償却費十七億、その残りの百八十数億というものが、現在の時価国有鉄道の財産を換算してみるとして、減価償却費を想定するとこういうことになる。これを取替費として、工事費という名前で工事費の方に入れるのだ。こういう御説明があつたのでありますが、私はむしろ運賃値上げその他によつて、ほんとうの利益金が百八十億出た。これを逆計算しまして、現在の固定資産につきましていといとと償却年限を想定されて、逆にお仕上げをなすつたのではないか。かように私は考えるのでありますが、いわゆる現在の時価計算して、今度国会に出されております資産評価法を基準としてああいう数字が出たのであるか。利益金を先ほど私が申し上げますように逆にもどして、十年の償却年数のものを二十年にしてみたり、五年にしてみたりなんかして、数字を合わされたものかどうか。その辺のところをちよつとお伺いしたい。
  22. 加賀山之雄

    加賀山説明員 非常にむずかしい御質問で弱るわけでありますが、結果として百八十二億が出たのか。あるいはそれを先にとつてしまつて経営費の方の予算を立てたかというふうな御趣旨であろうと思うのでありますが、まだいわゆる時価に関しての再評価は、確実なものは国有鉄道としてはできていないのでありまして、六千億とかいうような、現在の段階におきましてはきわめて大ざつぱなことに相なるわけであります。昨年度はまつた帳簿価格の十三億というものを減価償却費として見込んでおつたにすぎないのでありますが、本年度はそれが十八億程度のものに相なつておる。これは国鉄といたしまして、いわゆる特別取替費といたしましての百八十二億というものは、結局人件費石炭費、それから修繕費といつたようなものを、嚴密な意味でいわゆる節約したベースに基いて計算をいたしております。これがラウンド・ナンバ一で申しますと十三百億の收入に対して――並びに利子等を加えますと、千百億に相なる。結局残りの二百億程度のものは、これを工事費に繰入れよう。大ざつぱに見積りまして減価償却をするとするならば、やはり二百数十億を見込まなければならぬというようなこととたまたま致した点でございまして、結果として、つくり出したと申しますよりは、やはり何と申しましても経営費を先に考えなければなりませんので、経営費計算をいたして、その結果として出たものを合すというような考え方をとつた次第であります。
  23. 岡田五郎

    岡田(五)委員 過般の連合審査のときに、どなたの意見でございましたか、去年延ばしている工事を、二十五年度においてやつておるような部面もある。やらなくともいいようなことを二十五年度予算に多少余裕があるがゆえにやつておるような事例がある。こういうようなことも害われたのでありますが、また先ほど例に出ましたレールの下につくタイプレートを使うとか、あるいは釜石線お話がありましたが、工事内容の詳しいことは知りませんが、路線変更といいますか、現在の路線を、勾配その他の関係で他の方にまわすというような、路線変更工事も多分あるのだろうと思いますが、国鉄総裁としましては、第二次裁定が出ました後において、二十五年度予算内容につきまして、この給与ペース引上げと、工事重要性というものを、バランスをかけて再検討されたことがあるかどうか。この辺のところを承りたいのであります。
  24. 加賀山之雄

    加賀山説明員 もちろん何と申しましても、国鉄だけの予算の中でまず考えようとしなければならないのでありまして、その意味におきまして、まず損益勘定の中でさらにこれを節約してまわさせるようなものがないかどうか。これをさらによく検討いたしまして、損益勘定自体といたしましては、先ほどもちよつと申し上げましたが、人件費にいたしましても、結局頭数はこの四月以降人員は一年間で三万人減つて行く。これは給与といたしましては、結局一年間を通じて、その半分の一万五千でございますが、もうすでに頭数から落して計算いたしております。単価といたしましては、これは大蔵省査定を受けた七千五十円程度のものが見積られておる。そういうことで人件費はそこに何ら弾力がないことは、おわかりいただけるだろうと思います。それから石炭費につきましては、これは結局使用量といたしましては、昨年の下半期におきまして、特に非常な節約ができた。その下半期における節約したベースに基く使用量を算定いたしておりますが、これには従事員の努力が非常に入つておりますので、それ以上の節約はなかなかむずかしいというまでのものに相なつておる。かように私は考えるのであります。それでしからば炭価の方はどうかと申しますると、これは最近のやり方といたしまして、オープン・ビッドをいたしておる。炭価におきまして特に大手筋におきまして非常に強気で、なかなか国鉄にいい條件で安い石炭を供給してくれない。これを扱う者は少しでも安い価格でということで努力をしておりますが、これも山の経営士の兼ね合いの問題になるのでありますが、最近の三回行いましたビッドの経験に基きまして、それによつて得られた値段を予算面に計上しております。従つてこれは経済なり石炭鉱業の方に非常な激変がない限りは、それよりも非常に高くはならないと私は思いますし、さらにまたこれがそれ以下に安くなるということも、非常にむずかしい。従つて石炭費自体も節約はむずかしいというふうに考えております。もう一つの大きな費目で、国鉄修繕費でございますが、これは最近車輌におきましても、車輛を完全にオーバー・ホールする。更新修繕とわれわれは申しおりますが、生れかわつたように、古い台わくを使いまして、その上の方の部分は全然新しいものをとりかえるようなかつこうで、直して参る。木製車はこれを鋼製にいたしておるというようなこともいたして参つておるのでございまして、まあ大体において、修繕費の見積り方は、昨年程度のものに相なろうかと考えております。従つてこれは修繕費からも、もちろん工事単価を減らして節約して行くという問題はございますが、節約したものはやはりそれを修繕費として使つて、できるだけ補修をよくして行かなければならぬと考えますので、そういつた大きなアイテムだけで、約一千億――一千億越すわけでございますが、ほとんどいわゆる経営費の大部分を占めておるわけでございます。そういうふうに経営費には余裕がないというふうに考えております。ただそこで問題になるのは、工事の方をまわすために、二百億の増加という問題になつて参る。そういつたものは工事経費の中から出す以外にはない。万一ほかから鉄道債券とかあるいは借入れの方法がないといたしますれば、仲裁裁定に従いますためには、ある工事をやめなけれげならぬという結果になる。その場合やめるとしたならば、どれから先にやめていいかということも、私どもといたしましては検討をいたしておる次第でございまして、先ほど言われました、たとえば勾配変更等の工事は、それをやれば輸送力もふえますし、また輸送費も減るというような事情でございますので、その後においては経営費を助ける性質を持つておりますが、これは考え方によつては、今日ただちに絶対にやらなければならぬかというと、長年それでやつて来ておりますので、考え方に相なろう。そういうようなものは万やむを得ない場合にはやめるより仕方がないというように考えております。一例として申しましたが、予算面におきまして、そういうふうな考え方で落したくはないが、もう万やむを得ない、せつぱ詰まつて来れば、こういうものはあるいはやめてもしかたがないのじやないかという考え方もいたしておるというような実情を申し上げたいと思います。
  25. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 次は關谷勝利君。
  26. 關谷勝利

    ○關谷委員 岡田委員からいろいろ御質問がありまして、大体私のお尋ねしたいと思つております点も、この中に大部分出て来たのでありますが、要するにこの第二次裁定によつて、第二次裁定が下されたものに対して、それを出さぬか、出せぬか。いかにすれば出せるか。こういうふうなことで、すでに第一次の裁定の場合に論議が尽されておりますので、私はそういうふうな具体的な問題だけについてお尋ねをいたしたいと思います。私連合審査の場合に、行政整理の審議会の関係でどうしても出られないというので、そのとき欠席いたしておりましたために、あるいはその当時御説明があつたものをお尋ねするかもわかりませんが、その点は簡単にお答えを願いたいと存じます。この第二次裁定を実施する――裁定が下されておるのでありまするか、この裁定全部をのみまするために、どれだけの経費がいるのか。第一の場合のみであつたならば幾らいるのか、第二の場合だけであつたならばどれだけいるのか。この金額の点をお尋ねいたしたい。
  27. 加賀山之雄

    加賀山説明員 第二次裁定は、三項目からなつておるのでございまして、この給与に関しておりますのは、そのうちの一項と二項でございます。その一項においては、全額が明らかにされておるわけでございまして、一人当りの基準賃金を八千二百円にしておるわけであります。こういうことになるので、これを現在の予算面と比較いたしまして計算いたしますと、年額にいたしまして六十七億八千万円という金額に相なります。第二項の方は内容必ずしも明らかでないのでございまして、待つてその実施の時期あるいは金額もはつきりいたしておりません。しかしながらここにわれわれが考えられますことは、仲裁は第一次裁定もあつたわけでございまして、この第二次裁定の第二項におきましてもそれに触れられておるようなことでございまして、結局第一次裁定の実質的の給与の低下となつておる。先ほどからお話に出ました一人当りといたしまして約千十一円でございますが、この内容をわれわれといたしましては検討いたしてみたい。そういたしますと先ほど申しましたように、その中ですでに幾分予算の中に盛られているものもあるというような事柄から、その残りはどうなるかという計算をいたしますと、四十億程度のものに相なるのでございます。もちろんその実施の時期等も明らかにされておりませんが、一年間にそれを支給するものとして計算いたしますと、四十億八千万円程度でございます。
  28. 關谷勝利

    ○關谷委員 それからもう一つお尋ねいたしたいのは、国鉄当局から運輸当局ヘどのような案を出されたのか。そしてそれでどれだけの金額を要求されたのか。この点をちよつと伺いたいと思います。
  29. 加賀山之雄

    加賀山説明員 仲裁裁定がありましたと同時に、われわれは検討いたしまして、この最も明らかである六十七億八千万円、これは数学的に明らかでございますので、ただちにこの裁定の第一項を実施しようとするならば、六十七億八千万円を必要とする。これは現在の予算面では全然入つていないということでございますので、運輸大臣に対して申請をいたしたのでございます。ただその申請をいたしましたにつきまして、私どもといたしましてもこれはベース・アツプ――裁定にはうたわれておりませんが、ベース・アップというような名前にかえたにすぎないということで、政府の現在の方針からいたしまして、この第一項の実施が困難であるということは、われわれも十分承知しておりますが、これを計算すればかくなるということを運輸大臣に申請した。第二項につきましては、先ほど申しましたように検討いたさなければ内容が明らかでありませんので、これについて労働組合等とも話合いをいたしました。国鉄当局といたしましては、第二項をフルに実施するには四十億八千万円、この予算の修正をぜひともしていただきたいというふうにして、お願いを四月の三日にいたしました。
  30. 關谷勝利

    ○關谷委員 そういたしますと国鉄当局としては、第一項はのめないが、第二項はのみたい。もちろん第一項ものめるならばのみたいがということが、その中に現われておりました。しかしながらどうしても国鉄の最後案、最後の最小限度の要求はこの四十億ということで、運輸大臣に要求しておるのかどうか。その点もう一度はつきり御答弁願います。
  31. 加賀山之雄

    加賀山説明員 先ほど申しましたように、一項は私はあきらめるのが当然であるというふうに考えておりますので、従つて裁定の第二項はぜひとも尊重し、その線に沿つて給与をいたして行きたい。これは私の気持でございます。従いましてこの金額といたしまして四十億八千万円という額におきまして、この実施の方法を今後検討しなければなりません。また政府査定を受けるわけでございますが、私といたしましてはフルに実施するには四十億がいるので、これが予算的措置をお願いいたしたいというのが、私の真意でございます。
  32. 關谷勝利

    ○關谷委員 これで大体所要の経費並びに国鉄当局の御意見もわかつたわけであります。私たちも現在の客観情勢から見まして、この公共企業体の勤労者に対するところの給与というものの性格が、一般公務員とは違うものであるということは、よく承知いたしておるのでありますが、国有鉄道の場合には全般との関連性がありますために、この第一項の場合はおそらく客観情勢が許さないというようなことで、私たちもしかたがないというふうに思いますが、この第二は、国鉄当局が考えておりますようにどうしても出したい、こういうふうに考えるものであります。先ほど国鉄総裁は、新規工事費が約五十億近いものがあるであろうというふうなことを言われておつたのでありますが、大体この新規工事というものは、先ほど総裁からも御意見があつた通りに、これは国有鉄道といたしましては、鉄道債券発行して新規事業をやるべきものである。私たちも独立採算制の立場からいいまして、どうしてもそうすべきものであると考えておるのでありますが、これは運輸大臣としては、鉄道公債によつてまかなうことにして、そうしてこの分を裁定第二項を実施するためにまわそうとする御意思があるのかないのか。鉄道債券でこれを穴埋めして、新規事業はこれでやるつもりであるのかどうか。これは運輸大臣にお尋ねしたいと思います。  なお総裁にお尋ねいたしたいのは、この新規工事をやるということと、この裁定の実施をいたしまして勤労意欲を旺盛にする、勤労意欲の向上をはかるということと、いずれに重点が置かれるか。その点は総裁にお尋ねいたしたいのであります。大体この厖大な国鉄におきまして、勤労意欲の向上、これが最も大事なものであつて、われわれといたしましては能率の増進をやる場合には、必ずこれくらいのものは出て来る。こういうふうに多年の実業界からの体験からして考えておるのであります。国鉄総裁はいずれにウエートを置いておるか。その点を伺つておきたいと思います。
  33. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 国鉄総裁から、この二項の裁定を履行するのに四十億八千万円かかるという意見の具申があつたのでありますが、御承知のようにこの二項は抽象的の文句で書いてありますので、それを金額に表わした場合に、はたして幾らいるかということを、目下慎重に検討をいたしておりまして、まだ答えが出ておりません。不日これは早急に出ることになつております。また考え方として、ただいまの關谷委員の御質問ですが、新規事業はこの鉄道債券発行してまかなうのが妥当であるか、どういうふうに考えるかというお話ででりますが、いろいろの予算編成上、あるいは日本の財政歳入の方面から考えまして、まあ私も運輸大臣といたしましては、新規の事業はなるべく、やはりそういうふうなコーポレーシヨンになつた関係もありますので、予算の、いわゆる税金から流れた金にあらずして、債券というようなものを出してやる方が、より合理的である、さように考えております。そこで今回逆にもどつて四十億出す吟味が、まるまるのめるか、あるいはどういう金額が出ますかわかりませんが、その金額をどういう形で出していただくかということに対しては、まだ運輸大臣並びに政府としては決意をいたしておりません。もう少し時間がかかると思つております。
  34. 加賀山之雄

    加賀山説明員 新規工事従事員の勤労意欲との比較の問題でございますが、これは非常にむずかしいことでありまして、性質の違うものの比較でございますから、どちらが大とも申し上げられない。両方とも最も国鉄経営には大切であると申し上げるよりほかないのであります。
  35. 關谷勝利

    ○關谷委員 運輸大臣の御答弁、まことに何かぼやつとしているようでありますか、今国鉄総裁が四十億八千万円いるんだ、こう言うている。その金額がまだ検討もできておらない。そうして新規工事からそれを出すよりは、鉄道債券等を発行することがほんとうだと思うが、しかしながらまだどこから裁定の第二項を実施するために出すかということは考えておらない。まことに私は怠慢だと思う。あれだけもめておりました事柄を、まだその金高の計算もできておらない。そうして誠意をもつて出すというような方法を考えなければならぬのに、どこから出すかという、出す方法も考えておらないと言う。まことにその点遺憾に思うのであります。大体新規工事を繰延べて出すことが妥当かどうかというようなことは、もうすでに検討して、終つておらなければならないと思うのでありますが、私たちがいろいろ考えてみましても、これ以外に目のつけようがないのでありますし、ことに第一次裁定の場合に出しましたのも、工事繰延べというようなことで出しておりますので、前例があるのでありますから、私は運輸大臣がやるという気持になれば、おそらくやれるのではないかというように考えるのでありますが、その工事費から流用しても、何とかして出すという決意があるのかないのか。ひとつ伺つておきたい。
  36. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 關谷君は、運輸大臣を漠然として怠慢だとおつしやられるが、怠慢では決してないので、非常に深刻に考えているのでありますが、結論がまだ出ておらぬのであるということを申し上げたわけです。そこで四十億国鉄の総裁が政府に対して具申をして来ましたが、四十億がはたして妥当でありやいなやということは、調べてみなければわからぬのでありまして、これは目下それぞれの政府機関の関連場所全部を動員いたしましてやつておりますから、おそらく一両日くらいのうちに結論が出ます。そこでその金の出し方ですが、出し方は、早い話が今の考え方は二つあります。その一つは国鉄の総裁は国鉄の従業員の人件費の面等では出ないということを言われましたが、さらに吟味してみれば、あるいは年に三万人減るという人間が、もう少しよけい減るかもしれないし、そういう給与の面で、しかも予算の修正という手段をとらずして、いわゆる大蔵大臣の認証だけで行ける余地があるかもしれない。またさらに給与の面でなくして、物件費流用するということも、予算の修正を経ずしてやることができるかもしれないという面と、それからどうしても予算の修正という手段を講じなければできないというカテゴリーに属する支出を必要とする面があるかもしれません。そこのところを今検討いたしているわけであります。
  37. 關谷勝利

    ○關谷委員 運輸大臣は、人件費の中から出せるかもわからない、予算の修正をしてやれる点があるかもわからないというようなことで、総裁の方は人件費の中から出ないと先ほど岡田委員の質問に対する答弁をしておつたのでありますが、これはその点食い違いがあるようでありますが、国鉄総裁はその点はどのように調査をせられたか。何人やめるものとしてこれをやつておられるのか。運輸省との間に開きがあるようであります。その点伺つておきたい。
  38. 加賀山之雄

    加賀山説明員 先ほどの私の答弁に誤りがございましたので、この機会に修正をさしていただきたいと思いますが、年間三万人の減粍見込みと申しましたが、一万五千人の誤りでございます。一万五人の減耗として計算をいたしておるのであります。単価は七千五十円、三月末の給与をそのまま入れているのでございますが、私どもといたしましてはそれ以上もし減粍があつた場合には、予算の修正なしに、これは国鉄総裁だけでできるわけでございまして、私どもといたしましてはこれは早急にやつて参りたいと考えております。
  39. 關谷勝利

    ○關谷委員 そういたしますと、どうしても予算の修正をしなければならない。そういうことになるのでありますが、現在予算が通過しております今日なお客観情勢から見まして、予算の修正なくして出せるという方法は、人件費以外にないということになりますと、工事費等で出す場合でありますがこれに対しておそらくその予算的措置がいるといたしますならば、臨時国会でこれを修正しなければならない。こういうふうに考えるのでありますが、その場合臨時国会が開かれるまでの間に、国鉄予算の中で、現化の予算の範囲内でこれを一時立てかえるというような方法ができるのかどうか。そういうような便法がとり得るかどうか、この点を伺つておきたい。
  40. 加賀山之雄

    加賀山説明員 これは予算面から申しまして、そういう便法はないと私は考えております。
  41. 關谷勝利

    ○關谷委員 そういたしますと、先ほどから言うておりました事柄になりますと、大体予算の修正なくして出せるものはほとんどない。予算措置を講じなければやれないというようなことでありますが、それならばこの裁定をやるにつきまして、これを否定するような結果に、そこから行きまずと、なつて来るのでありますが、私たちどうしても最少限度第二項の仲裁裁定だけはのみたい、こういうふうに考えます場合に、予算を修正する以外に方法がない。それができないということになつたら、お流れになる、こういうことになるのか。なおまた客観情勢は、それを運輸大臣としてその筋等へ、こういうような問題であるから、その場合にはというようなことで、予算の修正に対して了解をもらえるかどうか。こういうようなことについて交渉したことがあるのかないのか。その点を伺がつておきたい。
  42. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 予算の修正を経ずしてできる面があるかどうか、今検討しております。それからまたそれができないという場合、あるいはできても少額だという場合に、二項の履行に不足しますれば、その必要な額は当然予算の修正をして、それから捻出するということをせざるを得ない。しかしてさような場合に、関係方面に対して了解をあらかじめ打診するということはまだしておりません。
  43. 關谷勝利

    ○關谷委員 大体そういたしますと、予算の修正をやらなければできないのだ。まだそういうふうなことの交渉もしていないということになるのでありますが、これはそういたしますると、この裁定をのむことを臨時国会が開かれるまで待たなけれけならないという、こんなことになるのではないかと思われるのでありますが、そういうことでは、この要求しておる方ではとうてい待ち切れないということになるであろうと思いますが、そうしたならばこれに対しまして運輸大臣といたしましては、予算の修正を国会へ請求する用意があるのかないのか。この点を伺つておきたいと思います。
  44. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 裁定に対する政府の見解は、第一回の裁定のときにとりました態度は、国鉄の総裁から予算上、資金上支出不可能である面に対しては政府を通じて、しこうして政府はこれを国会に提出して、国会審議を受けるという形式をとりまして、国会に提出いたす場合に、政府予算を付せずしてこれを実行いたしたわけであります。今回はこの予算の修正を経なければ、とうてい第二項の履行ができないという断定が下つた場合に、はたして政府は前回通り予算を付せずして国会に出すか、あるいは予算を付して出すかということは、まだなおきめておりませんが、少くともすでに政府のとりました態度は、国鉄の総裁からかような第二次裁定の第二項に対しては、かような申入れがあつたということは、予算を付せずしてもうすでに両院議長の方に移してあります。さよう御了承願います。
  45. 關谷勝利

    ○關谷委員 そうしたら、国鉄総裁にもう一度くどいようでありますが伺つておきたいのでありますが、予算の修正がなくして支出し得るもの、大蔵大臣の承認だけを求めて支出し得るような費目があるのかないのか。この点を伺つておきます。
  46. 加賀山之雄

    加賀山説明員 先ほど、修正せずしてはそういう便法はないと申しましたのは、総体的に四十億の内容を前提として申し上げた次第でございまして、そのうちと申しますか、その外のと申し上げた方がよいと思いますが、岡田さんの御質問に対してお答えいたしましたように、昇給年度内にやるという考え方をいたしておりまして、それも大蔵省承認済みになつておりますので、その昇給の措置でございますとか、また被服が第一次裁定の項目になつておりますが、被服の期間を延長した、それでマイナスになつておる分がある、これを元へもどすということ、これは金額にいたしますと五億をちよつと出るくらいのものでございますがこれは最近の繊維事情等からいたしまして見通しをつけまして、今年度の初めから貸与期間の短縮をやるということを決意いたしております。そういうような事柄はすでに国鉄総裁として決意しておる事柄で、これは明らかに昨年度給与に対する実質的の増加である。そういうものは実施し得るというように思います。
  47. 關谷勝利

    ○關谷委員 そういたしますと、四十億全部というものを、国鉄内部で大蔵大臣の承認のみでやれる費目があるかないか。この点を伺いたいのであります。
  48. 加賀山之雄

    加賀山説明員 四十億の実施の方法でございますが、これはいわゆる被服とか、そういうもので実現いたしますならば、必ずしも大蔵大臣の承認を必要としないかとも思いますが、これをいわゆる人件費に持つて行く、給与にいたすという場合には、単に大蔵大臣の承認のみならず、予算の総則並びに予算内容を修正していただかない限り、給与の増額はできないということに相なるわけであります。
  49. 關谷勝利

    ○關谷委員 どうもはつきりしないのでありますが、私が申しますのは、今の被服昇給というなことが、四十億の中に含まれているから、その分はそういう方法で国鉄総裁でできると言われるのでありますが、それ以外にそれを差引いた残り幾らになりますか。おそらく被服昇給だけで四十億ということにはならないと思いますが、その場合、その残額を他の費目から、大蔵大臣の承認のみで流用し得る費目があるかどうか。これを伺つているのであります。
  50. 加賀山之雄

    加賀山説明員 それはございません。
  51. 關谷勝利

    ○關谷委員 そういたしますと、この仲裁裁定に対しまして、われわれが希望するような結論が得られないということになつて来るのでありますが、これは現在労働組合が健全なる発達を遂げているのでありまして、これは将来の組合運動がどうなるかという分岐点でもありますし、ことに国鉄の能率化がはかり得るかどうか、こういうことに結果としてなつて参ります。これはこの裁定を尊重するかどうかというようなことにもなつて来るのでありまして、われわれは常に、こういうふうな裁定は尊重し、裁定は実施しなければならない。そうして勤労者に対して、自由見あたりが理解がないというように、客観情勢等から押えられて、そういうことになるのをはなはだ遺憾に考えているのであります。この点、よく現在の状態考えられまして、国鉄当局並びに運輸当局におかれましては、最善の方法を尽して、最小限度四十億というものを実施する方法を、何らかり方法によつて考え出すことを希望いたしまして、質問を打切ります。
  52. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 次は松井政吉君。
  53. 松井政吉

    松井(政)委員 連合審査会においても質問が行われ、さらにまた本日も同僚議員から質問が行われているのでありますから、きわめて簡単に、重複を避けてお伺いいたします。  第一番に、国鉄の賃金は、この間の連合審査の場合においても、四二%という説明と、四五%という説明と、二つあつた考えております。従いまして経費の割合は何%が正しいのであるか。それからさらに收入総額に対する何%に当るかということを、最初にお伺いいたします。
  54. 加賀山之雄

    加賀山説明員 昭和二十五年度予算面におきまして、人件費としてあげられておりますものの比率は四一%に相なつております。もつともこれは考え方によるわけでございまして、たとえば修繕費というものは、一応物件費として計算に入れておりますけれども修繕費中にも、工場でやります修繕工事等には、人件費がその中に含まれているということになるのであります。そういうものを抜きますと、さらにパーセンテージは上りまして、四十五、六パーセントということになるかと存じます。
  55. 松井政吉

    松井(政)委員 そうしますと、裁定委員長の四五%というのは、そういう部分が含まれているという解釈でよろしゆうございますかどうか。それから加藤委員長の四二%というのは、ただいま総裁が言いました四一%と計算したその基本と考えてよいかどうか。いま一つ、総收入の何%かということを伺いたいと思います。
  56. 加賀山之雄

    加賀山説明員 前段においては、そお考えつてけつこうかと思います。もつとも加藤委員長がどういうつもりで申し上げたか、これは加藤委員長に聞いてみなければはつきりいたしませんが、多分推定でありますが、私が四一%と申し上げるのと同じ考え方で計算しているのじやないかと思います。それから総收入に対しましては三三%でございます。
  57. 松井政吉

    松井(政)委員 その次に定員数の減少についてでありますが、一万五千というのは、予算説明書における一万三百二十二人、約三%、これを意味しているかどうか、これを伺いたい。
  58. 加賀山之雄

    加賀山説明員 今一万五千人と申しましたのは、両方の勘定を合せての数字でございまして、率にいたしますと年間の減少は三分に当つております。
  59. 松井政吉

    松井(政)委員 予算説明書の職員計画の中には、両方合せて一万三百二十二人とあるのですが、これは……
  60. 加賀山之雄

    加賀山説明員 これは損益勘定だけの部分でございます。
  61. 松井政吉

    松井(政)委員 ただいまの關谷さんの質問で大体わかつたのでありますか、総裁の方の先ほどの御説明によりますと、五十億程度借入れ、あるいは債権の発行等の措置が講ぜられれば、第二については適用可能である。ところが大臣の方のお考えは、予算の修正を行わなければいけないが、これは大体不可能に近い。それから総裁、大臣ともに費目の流用は可能だ、こういうことになりますると、全然今度の議定については考えることができないという解釈に、結論はなろうと思いますが、これは關谷さんも指摘したとこつでありますが、この点を明確にお伺いしたいと思います。
  62. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 今国鉄総裁の申請が金額的に、また項目的に、また支出の方法的に、どういうふうにすべきかということは検討しておりますので、一両日のうちにお答えを申し上げる。さように御了承願うのですが、そこでまず大体において予算の修正をしなければ、第二項の実施は不可能であると考えております。
  63. 松井政吉

    松井(政)委員 そうするとお伺いしますが、今になつて予算の修正をしなければということは、われわれはちよつと不可解に思うのです。第一次裁定のときには、なるほど予算上、資金上の措置ということは、二十五年度予算審議をしておりません。ところが今回の裁定の際は、三月二十五日に議会に裁定が提出されているのであります。そのときには二十五年度予算はまだ国会審議中であります。審議中に裁定を出して参りまして、予算の修正を行うことによつて裁定に対する考え方の統一が国会でできるとするならば、そのときになぜ予算の修正を政府考えなかつたか。予算は四月三日に国会を通過しているのであります。そうすると国会予算が通過してから、それを検討中である。裁定は三月二十五日に出ているのであります。この間に対する政府の不誠意だということを圓谷委員も言つたのでありますが、どういうわけで三月二十五自に裁定が出し、予算の修正を今考えているならばなぜ予算審議中に考えなかつたかということを、明瞭にしていただきたいと固います。
  64. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 裁定が出たのは三月中でありまするが“そのときに出た裁定に対する国鉄総裁政府に対しまする措置は、第一項の金額が明示されておる八千二百円を実施するとすれば、六十七億八千万円いるというあれが出て参りました。予算上、資金上これは支出不可能であると国鉄総裁考え政府考えたわけであります。ところが松井君の言われるのは、予算上、資金上支出不可能という点も、すでに二十五年度予算はまだ審議中であるから、存在しておらぬじやないかという御質問であろうと思うのですが、まことにその通りである。しかしながら予算上、資金上不可能であるということには、二つの面がございまして、すでにそのとき予算というものは存在しておりませんから、ない予算に対して出せるわけはありませんから、予算上、資金上不可能であるという考え方を、三月中に政府は持つた次第であります。
  65. 松井政吉

    松井(政)委員 立法的な問題は、第一次裁定のときにも議論しておりますので、省きたいと思いますが、私のお伺いしますのは、予算がないのであるからという意味ではないのであります。予算審議中であるから修正は、今よりも可能性があつたという解釈の上に立つて、今修正を行おうとするならば、審議中であるから、そのときの修正がもつと可能性があつたが、なぜやらないか、こういう意味をお伺いしておるのであります。
  66. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 ですから、ただいま御答弁申し上げました通り、三月中に国鉄総裁から政府意見が出まして、それは予算上、資金上支出不可能であるから、これを処置願いたいと六十七億八千万円が出て参りました。それをただちに政府としては国会に提出いたしました。しかして第二次裁定の第二項を履行いたしますためには、大方四十億八千万円いるという方は、予算の通過しました四月三日に、国鉄総裁から出て参りまして、政府はただちに国会に通知をいたした。さような関係に相なつておりますから、松井君のお責めになる点は、私はこのように処置をいたして手落ちはないと考えております。
  67. 松井政吉

    松井(政)委員 そういう御答弁は、私は了解に苦しむのでありますが、それならば続いてもう一つお伺いします。これは立法精神の問題でありますが、要するに第一次裁定の第一項、すなわち国鉄裁定であります。このときはやはり最初に予算上、資金上困難だということで、われわれの立法精神から言うならば、予算をつけて国会に付議すべきだという考え方をもつて、議論をいたしたのでありますが、そのときも予算なしに提出をして中途において政府考え方を変更して、一部可能だという態度をとつたのであります。專売裁定の場合は、逆に提出をしておいて、中途において吉田総理大臣の一片の通告によつて政府は法律案撤回やら、やめたのやら、審議をやめるということになり、うやむやの間にこれを解決して、国会では、そういうことではきまりがつかないからということで、衆議院の院議を経て決定すべきだという態度をとつたのであります。今度の場合におきましては、第一次裁定と同じような態度を予算審議中に出してしかもその修正はその当時困難であつて今になつて予算の修正を考えておるということになりますと裁定の取扱い方に対する政府考え方というものは、立法的にチグハグになつて来る。こういうようなことで国会に出してもらつて国会の方で適当に審議をしろということは、はなはだもつて迷惑である。従つて政府の一貫した裁定等に封ずる立法精神の建前を、この際お伺いいたしておきたい。
  68. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 ただいまの点は、政府は、第一次裁定を過ぐる議会においてやりましたときと、趣旨一貫しておりまして、三月中に国鉄の総裁から、第二次裁定の第一項の予算上、資金上不可能なる旨の申入れがありましたから、ただちに三月中に国会裁定を求める件を通達いたしました。しかして四月三日に至りまして、国鉄総裁からやはり第二項の実施に対しては、四十億云々という意見の具申がありました。これはむろん金額を明示いたしませず、第二項の裁定国会にお願いをするという処置をとりましたので、政府は一貫しまして予算的、金額的措置をとらずして、第一回の裁定の場合も今回も同じ態度をとつておる次第でございます。     ―――――――――――――
  69. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 この機会に申し上げますが、観光小委員長より、明日午後一時より観光小委員会を開いて、日本観光連盟、日本交通公社、日本ホテル協会、観光通訳協会、旅館組合連合会、国際観光旅館連盟等の民間団体の代表者に出席を願いまして、民間における観光事業の現状、将来の計画等について、意見を聞くことにしたいとの申出がありましたが、小委員会において民間の人々の意見を聞くことを許可したいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 御異議がなければさようとりはからうことにいたします。  これをもつて散会いたします。     午後一時十三分散会