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1950-04-08 第7回国会 衆議院 運輸委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月八日(土曜日)     午前十一時十七分開議  出席委員    委員長 稻田 直道君    理事 大澤嘉平治君 理事 大西 禎夫君    理事 關谷 勝利君 理事 米窪 滿亮君    理事 林  百郎君 理事 木下  榮君       岡田 五郎君    尾関 義一君       黒澤富次郎君    土倉 宗明君       坪内 八郎君    畠山 鶴吉君       滿尾 君亮君    清藤 唯七君       上村  進君    石野 久男君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 大屋 晋三君  出席政府委員         運輸事務官         (船員局長)  山口  傳君         運 輸 技 官         (船舶局長)  甘利 昂一君  委員外出席者         運輸事務官         (船舶局監理課         長)      林   坦君         專  門  員 岩村  勝君         專  門  員 堤  正威君     ――――――――――――― 四月五日  委員岡村利右衞門君及び渡邊良夫辞任につき、  その補欠として石田博英君及び橋本龍伍君が議  長の指名委員選任された。 同月六日  委員石田博英君及び橋本龍伍辞任につき、そ  の補欠として岡村利右衞門君及び渡邊良夫君が  議長の指名委員選任された。 同月八日  岡村利右衞門君が理事補欠当選した。     ――――――――――――― 四月六日  船員職業安定法の一部を改正する法律案内閣  提出第一五七号) 同日  和田村に停車場設置請願稻田直道紹介)  (第二一七六号)  宇島駅の施設拡充に関する請願平井義一君紹  介)(第二一八八号)  広田湾口小赤磯航路標識燈設置請願(小澤  佐重喜紹介)(第二一九五号)  海士ケ瀬暗礁開さくに関する請願坂本實君外  三名紹介)(第二二二六号)  福岡市に公共船員職業安定所設置請願(守島  伍郎君外一名紹介)(第二二二八号)  赤穗線敷設工事再開請願若林義孝君外一名  紹介)(第二二二九号)  永山、比布両駅間に停車場設置請願河口陽  一君紹介)(第二二三一号)  甲浦港口暗礁除去促進に関する請願長野長  廣君紹介)(第二二三三号)  佐川駅、別府村間国営自動車を長者村まで延長  の請願長野長廣紹介)(第二二三五号)  影野、吉野生間鉄道開通促進請願長野長廣  君紹介)(第二二六六号)  佐賀港修築の請願長野長廣紹介)(第二二  六七号)  二宮、国府津両駅間に電車停車場設置請願(  小金義照紹介)(第二二七一号)  美禰、小野田両線直結に関する請願周東英雄  君外一名紹介)(第二二七二号)  下市、赤崎両駅間に簡易停車場設置請願(稻  田直道紹介)(第二二七三号)  三陸沿岸鉄道敷設促進に関する請願淺利三朗  君外三名紹介)(第二二七四号)  古河駅東口開設促進に関する請願鈴木明良君  紹介)(第二二七五号)  仁堀航路存続改善に関する請願宮原幸三郎  君紹介)(第二二九七号)  左沢、荒砥間鉄道敷設促進請願牧野寛索君  外二名紹介)(第二三〇三号)  二俣、明知両駅間に鉄道敷設促進請願(八木  一郎君外二名紹介)(第二三〇四号) の審査を本委員会に付託された。 同月七日  八代、坂本、山江、人吉間鉄道敷設陳情書  (第七二一号)  船舶職員法改正反対に関する陳情書  (第七三一号)  海運政策確立に関する陳情書  (第七四七  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  小委員会設置に関する件  小委員補欠選任に関する件  造船法案内閣提出第一四〇号)  船員職業安定法の一部を改正する法律案内閣  提出第一五七号)(予)     ―――――――――――――
  2. 稻田直道

    稻田委員長 これより運輸委員会を開会いたします。  本日の義塾に入ります前に、理事並びに観光小委員補欠選任についてお諮りいたしますが、去る四月五日岡村利石間門君が委員辞任いたされましたので、現在理事及び観光小委員が一名ずつ欠員になつておりますが、同君は六日再び運輸委員選任されましたりで、この際岡村君を理事及び観光小会員補欠選任いたしたいと思いますか、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 稻田直道

    稻田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  4. 稻田直道

    稻田委員長 引続き、これより造船法案議題といたし、質疑を行います。關谷勝利君。
  5. 關谷勝利

    關谷委員 ただいまの懇談会におきまして、岡田委員からもお話があつたりでありますが、ちよううど私お尋ねしたいと思つてつたところでありまして、全然同感であります。臨時船舶管理法並びに同施行法に基きまする運輸大臣造船許可、あるいは海上保安庁検査権限等水産庁に移すというようなことで、漁船法議員提出提出をせられようという段階に到達いたしておると聞いておるのでありますが、これに対しまして運輸省としては水産庁と協議を遂げたのか。なおまた水産庁からこれの相談が出て来たことがあるのか。なおまたこれが船舶行政の一元化というような点から見て、従来このようなことは運輸省関係なつておつたのでありますが、これが水産庁行つた場合と運輸省にある場合との利害得失ということにつきまして詳細に当局の御説明を伺いたいと思います。それによつてわれわれといたしましては、この水産庁に移すか移さないかというようなことについての態度を、はつきりきめたいと思いますので、この点を詳細に御説明を願いたいと思います。
  6. 甘利昂一

    甘利政府委員 第一案の、今まで漁船法を出すについて、水産庁から正式に運輸省の方に申入れがあつたというお話でありますが、これにつきましては、一応原案はその後いろいろ直してありますが、一番問題になります造船許可と、漁船並びに一般船舶検査に関する事項、それから積量測度に関する事項、この三つを、漁船については水産庁でやるという一番先の原案はまわつて来ておりますが、その後いろいろ改正された原案は、正式には参つておりません。しかし水産委員会の席上に私が呼ばれまして示されたり、あるいはその他の方法で、その後改正なつたものは一応見ております。最近の一番新らしい漁船法によりますと、一番問題になつておりました漁船に対する検査の問題は、やはり従来通り運輸省保安庁でやるというふうに訂正されております。それから積量測度の問題も除外してあります。結局今問題になつておりますものは、漁船建造許可の問題でありますが、これは従来通り漁船については水産庁でやる。その後一部訂正になりまして、捕鯨船とトロールは従来通り運輸省でやる。それ以外の漁船については、水産庁でやるというふうに訂正された案が現在出ております。それに対しまして運輸省といたしまして、漁船建造許可も、やはり従来通り運輸省一本でやりたいという理由を、簡単にここで御説明申し上げます。  現在すべての船舶臨時船舶管理法によりまして、運輸大臣許可いたしておるのでありますが、実際の問題につきまして、漁船につきましては、農林省水産庁船主に対して承認したものをこちらに送つてよこします。それを私の方で、ほかの船と一緒にまとめまして、関係方面許可申請をいたしまして向うの方で許可なつたものを、私の方からまた水産庁に通知するというふうになつておりますので、その間農林当局の言うように、自分の方で承認しないものが現に造船所でつくられておる、あるいはできておるというようなことを言いますが、この点については、別段そういう例は私たちないと思つております。それは農林省から、先ほど申しましたように、承認なつたもののみをわれわれは許可申請をして、その許可をもらつておるのでありますから、そういう点はないと思います。  それから今度の造船法にも、単に農林当局との、漁船許可問題について折れ合いがつかなかつたから、造船の許認可を省いておるのではなく、一つは現在の世情から見まして、なるべく統制法規を少くする方が好ましいと考ますし、またしかも今与えおります造船許可も、臨時的のものでありますので、何もこういう法律をさらにつくつて、強く統制をする必要はない。この二点から、われわれは漁船許可制漁船法に盛る必要はない。こういうふうに考えております。  それから臨時船舶管理法によるところの、運輸大臣の現在やつております造船許可制から、漁船を除外するということができないという理由といたしましては、単に許可のみを与えておるのじやなくて、やはり許可と同時に、許可された船のいろいろな工事監督なり、あるいは指導、あるいははたしてその船をつくる能力なり、あるいは技術的の能力が、その造船所にあるかどうかということも、すべてほかの船と同様に、その造船所監督しておりますところの運輸省において、一元的に見ることが好ましいのでありまして、特に漁船のみを切離してやるというようなことは、技術の面からいたしましても、あるいは造船所いろいろ経営の立場から言いましても不適当である。こういうふうに考えております。それから現在関係方面から、鋼船については全部、木船につきましては百トン以上の船は、全部許可を受けるようになつておりますが、その許可制なつておる理由と申しますのは、現在の占領下におきまして、わが国造船能力は、一種の潜在需能力であるというふうな見地から行われているのでありまして、そういう点から見ますと、造船所を管理して行く上にやきまして、漁船一般船舶とを区別する必要はないと思います。やはり造船所を管理しているところの運輸省において、一元的に取扱うことが、関係方面意向でもありますし、この点は再三向うに伺つてみましても、向うの意思もはつきりいたしております。  その次には、造船業者に対する二元的の監督を排除するという意味でありますが、これは従来造船業者造船許可を得るために、単に運輸省と折衝すれば足りておつたのでありますが、今後もし漁船農林省許可するということになりますれば、農林省にいろいろ許可申請をすると同時に、資材割当であるとか、あるいは施設拡充、あるいは新設または改善、あるいは資材割当は漸次統制ははずれて参りますが、現にまだやつておりますし、その他動力の割当等に対しましても、一々漁船のみを切離して、これをまた運輸省申請するというふうになりますし、おそらくそうなれば、造船業者はもちろんのこと、船主も、運輸省に折衝したり、あるいは水産庁に折衝したり、二重の折衝をしなければならないという点から見まして、非常に造船業者なりあるいは船主に対して、不便を与えるというふうに考えております。以上の点から、われわれといたしましては従来通り造船許可については運輸省でやるべきである、こういうふうに考えております。しかも今までも密接な関係を保つてつておりますので、一元的に扱つたために、造船業者なりあるいは水産業著が、非常に困りているということはないはずでありまして、もし困つておれは、両者の間り連絡の足りない点でありますので、こういう点がもし具体的にあれば、当事者間において十分今後緊密な連絡をさらにとりましてそういう点を排除したい、こういうふうに考えております。
  7. 關谷勝利

    關谷委員 大体今の御答弁で了承いたしました。次にお尋ねいたしますが、造船事業の開始並びに休廃止は、第六條によりまして届出制をとつているのでありますが、届出事項を変更したる場合は届出の必要がないのか。規定がないのでありますが、この法律によりますと、一応届けておきまして、そして事業内容を変更する、こういうようなことが起り得るのでありますが、またそういうことが非常に多いのでありますが、その規定がないのは、どういうわけか。これでさしつかえないというふうな御見解かどうか、承つておきたいと思います。
  8. 甘利昂一

    甘利政府委員 いろいろの報告を聴取するようになつてお参ります。その報告の聴取によりまして、その点は十分指導と申しますか、監督ができるのじやないか、こういうふうに考えております。
  9. 關谷勝利

    關谷委員 そういたしますと、これは届出制でありますので、報告だけで十分監督ができるわけだから必要はない、こういうふうに言われるのですね。
  10. 甘利昂一

    甘利政府委員 そうです。
  11. 關谷勝利

    關谷委員 次に、第五條規定をいたしてあります機関の性能試験を受けた場合は、船舶安全法第六條第一項により検査を受けた、こういうことになるのかどうか。これを承つておきたい。
  12. 甘利昂一

    甘利政府委員 この試験は、安全法検査とは違います。安全法検査は、決定された船について一般ごと行いますが、この第五條性能試験は、むしろ新しい設計のものとか、特殊の設計のものについて、実際に船につける前に、はたして船につけて十分効力があるかどうかということを検査する試験でありまして、安全法検査とは別個であります。
  13. 關谷勝利

    關谷委員 この法案の第六條によりまして、総トン数二十トン以上または長さ十五メメートル以上のものの製造または修繕をするもの、並びに軸馬力三十馬力以上のものを製造するもの、及び受熱面積百五十平方メートル以上のものは届出せしめて、実態を把握することができることになつておりますが、その他のものは届出の義務も何もないというふうなことになつておるのでありまして、それ以下のものも実態把握ができないことになるのでありますが、その必要はないと考えておられるのかどうか。なおこの造船業造機業等調整のためには、どうしても実態をつかんでおつて、それ以下のものとにらみ合して、この調整を行わなければ、これらの業者の健全な発達は望めないのではないか、こういうふうに考えるのでありますが、この点どのように考えておられるのか。当局の御説明を願いたいと思います。
  14. 甘利昂一

    甘利政府委員 今の第一番目の届出の件でありますが、ここで届出させるのは、すべての業者に対してさせるのがほんとうは望ましいのでありますか、しかし非常に煩雑にもなりますし、大体ここにあげてあるような設備を持つている業者届出さえ監督すれば、ほかのものについてはさほど大きな影響がないということを一つ考えておりますのと、もう一つは、事業届出の宗ほかに、いろいろな報告を聴取することができますので、それらの業者については、届出のないために不都合を生じたものは、その報告によつてある程度訂正と申しますか、事業の全容を把握することができる。こういうように考えております。
  15. 關谷勝利

    關谷委員 今の第六條に規定してあります以上のものの報告は求めておるのでありますが、それ以下のものに対しては、報告を求めていないのであります。そうすると、実態把握ができないのであります。造船業あるいは造機業は、それ以下のものが非常に多いのでありまして、それとにらみ合して調整しなければ、ほんとう調整はできない。こういうふうに考えるのでありますが、この点も不明確のようでありますので、もう一度お伺いいたしたいと思います。
  16. 林坦

    林説明員 ただいまの御質問でございますが、第十條の報告を聴取する運輸大臣及び海運局長権限は、前の届出をするものに限定をされておりませんので、それ以外でも同種のこういつた事業を営むものから報告をとることができる。こういうふうに規定されておりまして、範囲が多少違つております。
  17. 關谷勝利

    關谷委員 次に、現在検査海上保安庁の保一安部でやつており、積量その他につきましては海運局で行うということで、非常に船主としては不便なのであります。この点私たちがいつも地方へ帰りますと、これを一箇所に統合してもらいたい。こういうふうな希望が出ておるのであります。現在の行政制度審議会におきましても、この保安庁保安部は、船舶局へ吸収すべきものである。そうして一元的に簡系化するという意向であるが、こういつたことは全国の船主、並びに造船業者の希望しておるところであります。これは行政制度審議会あたり意向のごとくに統一してさしつかえないという御意見であるか。あるいは従来通りにしておかなけれげならないのか。もし従来通りにしておかなければならないということならば、その理由はどこにあるのか、伺つておきたいと思います。
  18. 甘利昂一

    甘利政府委員 その点につきましては、關谷委員とまつたくわれわれも同感であります。当初、検査だけを保安庁に持つて行く場合については、われわれも、もちろん関係業者もすべてが反対でありましたが、関係方面の慫慂もありまして、むりに持つて行かれたような形になつております。その後実際わけてみますと、先ほど關谷委員のおつしやられたように、いろいろな不便が出て来たのであります。たとえば同じ船を、しかも管轄区域が違つておる関係で、伏木の方の造船所検査を受ける場合は、所管といたしましては名古屋の保安庁から行く。速度は新潟の海運局から行き、非常に不便の場合が多いのでありまして、われわれもぜひこれは一本にやるべきである。こういうように考えております。その場合に、そういう速度関係事務保安庁に持つて行くか、あるいは保安庁検査事務を全部運輸省に持つて行くかと、いう二つの場合があるのでありますが、われわれといたしましては、船舶検査造船所技術向上、あるいは新しい規定改正、あるいは造船所監督、いろいろな意味におきまして、やはり運輸省船舶局に持つて参りまして、造船監督検査速度を一元的にやるのが好ましい、こういうように考えております。
  19. 關谷勝利

    關谷委員 これで私の質問を終りたいと存じます。
  20. 稻田直道

    稻田委員長 ただいま造船法に対する質疑中でありますが、ただいま運輸大臣が見えましたので、都合によりまして造船法に対する質疑ちよつと停止いたしまして、後ほどまた引続いてやりますが、これより去る四月六日予備審査のために本委員会に付託になつております船員職安定法の一部を改正する法律案議題といたしまして、その審議に入ります。本案の趣旨につきまして政府説明を求めます。大屋運輸大臣
  21. 大屋晋三

    大屋国務大臣 船員職業安定審議会につき幸しては、船員職業安定法中央船員職業安定審議会と、地方船員職業安定審議会及び特別地区船員職業安定審議会の、三つ審議会規定されておりますが、このうち特別地区船員職業安定審議会は、二以上の海運局管轄区域にまたがる地区、たとえば瀬戸内地区のような大地底審議会、または一海運局管轄区域内の特殊な地区、たとえば東海海運局管内北陸地区のような小地区審議会として、必要に応じて設置する予定でありましたが、現在までのところその運用の必要も認められないので、審議会等整理の閣議の方針に従い、これを廃止することになりましたので、所要の改正を行う必要があるのであります。  以上、この法律案提案理由を述べましたが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決あらんことをお願いいたします。
  22. 稻田直道

    稻田委員長 本案に対しまする質疑は、都合によりまして次会よりこれを行うことにいたしたいと思います。     —————————————
  23. 稻田直道

    稻田委員長 なおこの際お諮りいたします。先ほどの懇談会におきまして大体了承を得たところでありますが、鉄道電化を促進するために、特に小委員会を設けることにいたしたいと思いますが、この鉄道電化促進に関する小委員会を設置することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 稻田直道

    稻田委員長 御異議なしと認めます。それでは小委員の数並びに小委員長選任についてお諮りいたします。
  25. 關谷勝利

    關谷委員 小委員の数は十五名とし、小委員長並びに委員委員長において御指名あらんことを希望いたします。
  26. 稻田直道

    稻田委員長 ただいまの關谷君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 稻田直道

    稻田委員長 それでは小委員及び小委員長につきましては、委員長に御一任願うことにいたしまして、次会に発表いたすことにいたします。     —————————————
  28. 稻田直道

    稻田委員長 これより先ほど一時停止いたしました造船法議題として、質疑を続行いたします。岡田五郎君。
  29. 岡田五郎

    岡田(五)委員 ちよつとお尋ねいたしますが、この浩船法案提案説明には、何ら船舶に対する国際慣例に基くとか、あるいは国際法規に基くというような理由はなくて、単に造船技術向上、あるいは造船企業原価の引下げ、あるいは造船事業経営合理化、こういうような面からして、造船法案を提案じたのだ。こういうことになつておりますが、先ほど申しました船舶に対する国際慣例に従うために、また国際法規に従うために、造船所に関する監督指導が必要である、こういう理由があるのかどうか。この点お伺いしたいのでございます。
  30. 甘利昂一

    甘利政府委員 造船事業に関するそういう国際的な規約はございませんが、国際的の規約といたしましては、例の海上における人命の安全に関する條約であるとか、あるいは国際満載吃水線條約であるとかいうような條約がありますが、これらはその條約に基きまして船舶安全法及び船舶積量測度法というようなものについて別個に規定いたしておりますので、この造船法においてはそういう点には全然触れておりません。
  31. 岡田五郎

    岡田(五)委員 次に「造船に関する事業の円滑な運営を期する。」ことを目的とする。こういうふうに第一條に掲げてありますが、まず第一に伺いたいことは、最近における造船工業界現況、またここにもあります造船企業原価といいますか、これについての現況、また造船についての国際競争場裡における日本造船現状というようなことについて、概略お聞かせ願いたいと思うのであります。
  32. 甘利昂一

    甘利政府委員 わが国造船能力といたしましては、いろいろの見方がありますが、現在造船施設と、それに応じたいろいろな現在工員ら見ますと、約六十五万トンあるいは七十万トンというようなこともいわれておりますが、実際問題としまして、ほんとうにつくれる能力は四十五万トン程度だと考えておるのであります。従つて終戦後つくりました建造実績から見ますと、二十四年度計画において三十万トン近くの造船許可になりましたので、その許可船が現在工事中でありますが、これが最も活発に動いておる時期でありまして、それで現在の能力の約八、九十パーセントは造船所によつて違いますが、十九ぐらいのおもな造船所についてこれを見ますと、大体能力の八、九十パーセントで働いておるというふうに考えられます。しかしそのほかの中小浩船所については、非常に設備能力が余つてつておる現状であります。またその技術の面におきましても、戦前からわが国の船は性能的においても、あるいは造船技術の面、あるいは、工作面におきましても、決して外国に劣つておらなかつたのでありますが、終戦外国輸出船舶などを建造してみますと、特にその船体重量の重いというような点において、非常に劣つております。これはわが国においては現在鋲接合の船を主としてつくつておりますが、外国においては戦前、戦時中を通じまして溶接船が非常にふえておりますので、その点において非常に目方が重い。従つて工数もかかつておるというような点が非常に劣つております。この点につきましては、いろいろ外国溶接機械等を輸入し、あるいは一方造船所施設をそれに適応するように改善しておりますので、今後一年以内に大体外国の水準に追いつくことができるというふうに考えております。従つて現状におきまして一番問題になりますのは、やはり船価が高いという点であります。これは先ほど申しましたように、そういう工作法をとつておるために、非常に工数がよけいかかるということと、船体重量が非常に重いということがおもなる原因でありますし、もう一つ金利が非常に高いということが、一番大きな原因であります。この金利の点につきましては、昨年来より見返り資金を一部使つておりますので、一般市中金利が一割一分あるいは一割一分というような高いのに比べて、見返り資金は七分五厘という低率でありますし、それが半々になつておりますが、今後できれば見返り資金を七〇%あるいは九〇%程度に上げて、それを全般的に低くしたいというふうに考えております。現在のわが国の船と外国の船との船価を比較いたしますと、ポンド切下げ前におきましては、大型船についても、中小型船についても、日本の船舶の方がはるかに低かつたのでありますが、ポンド切下げ後におきましては、欧洲の船価に比べますと、大型船において幾分上まわつておりますが、これはわが国の鉄鋼材が欧洲の鉄鋼材に比べて割高であるというふうな点が一つの大きな理由であります。従つてわれわれといたしましては、今後船価を下げる意味におきましては、少くとも鉄鋼の価格を欧洲並までに下げてもらいたい。現在幾分高くなつておりますが、今後場鉄鋼の補給金が廃止されたあげくには、それがさらにまた非常に高くなるというような現状、でありますので、船価を押える意味におきましては、少くとも国際水準に鉄鋼の価格を押えてもらえば、われわれは造船所設備の一部の改善によりまして、少くとも欧洲の船価より、一割あるいは二割程度安い船ができるというふうに考えております。
  33. 岡田五郎

    岡田(五)委員 最近新聞紙上で拝見したのでありますが、先ほどの原料鋼材の輸入につきまして、約五万トンばかりの造船用鋼材を輸入するという記事を見たのでありますが、そういうような話が進んでおるのでありましようか。
  34. 甘利昂一

    甘利政府委員 われわれは鉄鋼が高いために、そういうことも一部考えておりますが、しかしわが国の鉄鋼業もある程度生産を維持し、いざという場合に、輸入できなくなつても、わが国の鉄鋼で間に合わせるようにするために、できるだけ輸入は避けたいと思いますが、現状におきましては造船用鋼材の平均価格が、トン当り約二万九千円くらいであります。特に輸出用の船については、全部補給金がはずれておりますので、これは三万六千円くらいになつております。これが今後、全部の補給金と申しましても、鉄鋼業と銑鉄の補給金の三分の一を残して、あとの補給金を全部をはずしますとこれが四万二、三千円になります。従つて現状におきましては、内地船はともかく、外国から注文のあります輸出船については、むしろ外国の鋼材を買つてつくつた方が安く行くという点から、さしあたり造船用として五万トン輸入したいというふうに考えておるのでありますが、これも外貨の点におきまして、そういうものを輸入するだけの資力があるかどうか、あるいはそういうものを、輸入した方がいいかどうか。ほかの輸入する物資と比べて、その比較の問題もありますので、これが今すぐに実現するとは考えておりません。しかし現状におきましては、そういう方法も考えられるということから、そういう案を出しておるわけであります。
  35. 岡田五郎

    岡田(五)委員 それでは次に、この法案の第十條でございますが、「船舶の製造若しくは修繕又は船体船舶用機関若しくは」以下ずつとあるのでありますが、船舶用機関までの間は一応常識的に考えられるのでありますが、それ以下の艤装品またその艤品の部分品、附属品の製造、修繕、販売という事業につきまして、その生産、販売あるいは労務、施設について報告をさせるということになつておるようでありますが、艤装品及びその附属品、部分品あるいは附属品の製造、修繕というようなものについては、品物の種類が多くて非常に煩雑ではないか。このものについてまで報告を出させる必要が奈辺にあるのか。第十條の実効理由を御説明願いたいと思います。     〔委員長退席、大西(禎)委員長代理着席〕
  36. 甘利昂一

    甘利政府委員 御承知のように船は総合工業でありますために、価格の面から行きますと、価格の約三〇%程度は造船所の費用でありますが、あとの七〇%ないし六〇%は、むしろこれらの船舶用機関であるとか、あるいは艤装品であるとか、その他関連した産業に発注するものでありますので、船価の切下げであるとか、あるいは造船自体のいろいろな実態を把握するためには、やはりこういう業者からある程度の報告を聴取しなければ、造船所実態が把握できないというふうに考えて、この十條を設定しておるのであります。但しこういうものをつくつているものについて、全部報告させる意味ではなくて、必要がある場合にはその報告を聴取させるというふうに考えております。
  37. 岡田五郎

    岡田(五)委員 船舶が総合工業であつて、相当部分が部分品をもつて構成されておるということは、よく承知いたしておるのでありますが、鉄道車輌の機関車におきましても貨車におきましても、同じであります。船舶と同じようにたくさんな部品から構成されて、かようなものができ上るのでありまして、ことに車輌におきましては、船舶と同様にとうとい生命と財産を輸送いたしておるのであります。これらの工業につきましては、もちろん車輌については法規もございません。またこれら部品の製造メーカーも、運輸省に対して何ら報告も出しておりませんし、監督も受けておりません。事造船につきましては、車輌と通つた性質の面も考えられるのでありまするが、かようなこまかな部品の点にまで報告を出させるということは、少し時代錯誤ではないか——言葉が少し強過ぎますが、私はそう考えるのであります。特に船舶についてこういうものまで報告させる理由を、もう少しはつきりお知らせ願いたいと思うのであります。
  38. 甘利昂一

    甘利政府委員 鉄道車輌も同様でありますが、特に船舶の方はいろいろな国際規約もありまして、特に救命設備であるとか、あるいは消防設備とかいうものについては、国際規約によつていろいろ制限されますので、製品はもちろんのこと、その部分品についてもある程度の規格なり、あるいは性能を持つたものでなければ、船全体としての性能を十分上げることができませんし、またこれらの業者は大体それぞれ専門のメーカーがありまして、陸上と海上ではつきり区別いたしておりますので、今岡田委員のおつしやつたような煩雑にたえないというようなことはないと、われわれは考えております。
  39. 岡田五郎

    岡田(五)委員 次に、第七條によりまして、運輸大臣は第六條の事業を営む者に対しまして意見を述べ、または勧告することができるということになつておるのでありますが、第七條に従わない場合には、運輸大臣はどういう処置を講ぜられる予定でありますか、この点を承りたい。
  40. 甘利昂一

    甘利政府委員 これは勧告でありますから、拘束する義務はございません。しかし運輸大臣が勧告する場合には、少くとも各業者あるいは関係学識経験者などを集めた委員会等において、いろいろ調査研究した結果、運輸大臣に答申し、運輸大臣からこれを勧告するというふうになつておりますので、単に一部門のみを担当しておる造船所が、自分で研究調査するよりは、もつと広範囲のいろいろな点から見た勧告をするのでありますから、業者といたしましてもこの勧告に従うのがむしろ有利でありまして、特殊の場合を除くほかは、おそらくこの勧告に従うだろうというふうに考えておりますので、別段拘束力も罰則も書いてはございません。
  41. 坪内八郎

    ○坪内委員 造船法提案理由にも、いわゆる造船技術のすみやかな回復向上をはかるとか、あるいは技術的方面の向上とともに経営合理化とか、あるいは企業原価の引下げをやるために、ぜひともこの法案が必要であるというような説明でありますが、御承知の通りこういつた企業原価の引下げというようなことを考えても、要は電力が重要な問題の一つではないかと思うのであります。現在においても電力事情いろいろなアンバランスによつて、生産コストが非常に高いと思う。そういつた不均衡な造船所が全国にも多々ある。特に九州なんかの造船所は、この電力事情のいかんによつて、生産コストがずいぶん違つて来るというような大きな矛盾がある。たまたま今国会にも電力再編成問題が表面化して、いろいろ大き問題を投げかけておりますが、将来こういつた面でこの造船法提案によつて企業の合理化とか、あるいは企業原価の引下げを計画しておるのだというようなことになりますと、当局はそういつた電力問題について、これからどういう方針によつて指導するのか。あるいは電力問題とこれをどういうふうにからませて研究して行くのか。そういう方針について伺つてみたいと思います。
  42. 甘利昂一

    甘利政府委員 造船船価の中に占めます電力の価格は、われわれ調査いたしました範囲におきましては、一番多い場合でも約二%というような数字が出ておりますので、船価の面から見まするとそう大きい数字ではありませんが、しかし実際作業する面から見ますると、現在において最も隘路になつております点は、まつた同感でございます。従つてこの点につきましては関係方面とも、あるいは安本あるいは通産省方面とも始終連絡いたしまして、少くとも現在つくつております船が、工事がさしつかえないようにということについて始終留意いたしまして不自由ではありますが、そのために非常に工事が遅れるとか、あるいは技術の町において制限されるというようなことは、あまりないと考えております。また造船工業の合理化によりまして、電力の使用量も相当減つて参りますので、その方両のいろいろな設備改善というようなことも考えております。
  43. 坪内八郎

    ○坪内委員 この電力の問題につきましてま、従来ほとんど業者、いわゆる電力会社日発とか、そういつたようなものにただ単にゆだねておいたというようなきらいがあつたのでありますか、過去においてはどういうふうな指導方針でやつて来たのか。その点をちよつとお伺いしたいと存じます。
  44. 甘利昂一

    甘利政府委員 電力は現在においても終戦後同様、一種の割当制になつておりますので、造船所から需要量をとりまして、それをつくつております船、あるいは造船所設備等を勘案いたしまして、これを適当に修正いたしまして安本に提出し、安本もまたほかの産業との振合い上、いろいろこれを修正いたしまして関係方面に出し、関係方面の承認を得てわれわれにそれを通知するということになつておりますので、少くとも相当大きな船をつくつておりますと申しますか、重要物資の輸送に従事するような船をつくつております造船所においては、最近におきましてはさほどの不足はないというふうに考えております。それでもし特にその量が少いような場合には、その都度申請いたしまして、われわれもできるだけそれに援助をいたしまして、業者の要求をできるだけ満たすように努力はいたしております。
  45. 坪内八郎

    ○坪内委員 ただいまの説明で大分了承いたしましたが、過去においては電力問題で、特に一例をあげますと、長崎造船所なんというものは、まつたく悲鳴をあげておる。そうして生産コストが高いために、注文も来ないというような、経営ということについて非常に大きな事態に遭遇したこともあるのでありますが、過去において運輸本省が、関係方面あるいは向うに折衝をして、この電力事情が緩和したということがありますかどうか。ちよつとお伺いしたい。
  46. 甘利昂一

    甘利政府委員 私の方の統計によりますと、最近におきましては非常に好転いたして参りまして、電力量としてはさしつかえない程度に行つていると思いますが、ただ標準量をしまつたために、電力料金としてある程度高い料金をとられておる造船所があるように聞いておりますが、これらにつきましてはその都度折衝いたして、なるべく標準料金で納まる範囲内の電力の割当をするように、その都度関係方面にも連絡いたします。特に関係方面におきましても、造船並びに海運の重要性を認めてくれまして、この一・四半期におきましても、ほかの部門に比べて非常に率がよくなつております。ただガス、水道のような一般の公共事業であるとか、そういうものに比べれば幾分劣つておりますが、しかしほかの産業に比べれば、非常に上まわつております。
  47. 坪内八郎

    ○坪内委員 先ほどもちよつとお尋ねいたしておきましたが、例の電力再編成問題について、今後造船業界に与える影響というものは非常に大きなものがあると思いますが、この電力の再編成問題について当局の見通しはどうでありますか。
  48. 甘利昂一

    甘利政府委員 あの案によります。と、あるいは地区的には非常に困るような造船所も出て来るかと思います。特に主要の造船所があります場所は、比較的電力の不足している場所が多いのでありますから、あの案のいかんによりましては、今後相当重大なる影響があるのではないかと考えておりますので、われわれもあの案につきましては、非常に慎重に内容を検討いたしておりますし、造船業者も同様、案の成否については非常に関心を持つていることは確かでありますが、まだはつきりもいたしませんし、はたしてあの案が実施された場合、どの程度に造船所に影響するかというようなことも、まだ業者も具体的に考えておりませんが、今後われわれも業者と協力いたしまして、十分その点は詳細に調べまして、非常に影響があるような場合については、むしろわれわれの方からも何らかの修正意見なり、あるいは参考意見を出しまして、適当なものにしたい、こういうふうに考えております。     —————————————
  49. 大西禎夫

    ○大西(禎)委員長代理 この際観光小委員長から御報告いたしたいとの申し出があります。これを許します。畠山君。
  50. 畠山鶴吉

    ○畠山(鶴)委員 小委員長といたしまして、本委員会に御報告を申し上げたいと思います。昨日観光小委員会を開きまして、観光事業振興の意味におきまして、今まで各省とデリケート的問題になつておりますので、この際各省の意見を聞いて、そうしてこれを統一いたしたいという考えから、厚生省の国立公園部長飯島稔君、運輸省の観光部長間嶋大治郎君、文部省文化財保存課長宮地繁君、厚生省公衆衛生局庶務課長管野周光君、建設省道路規画課長佐藤寛政君、行政管理庁管理部長中川融君、この大氏に各専門の観光関係について政府の意見を聞いたのであります。最後に行政管理庁の管理部長より、各省にまたがつておるこの問題は、一日も早く何とか解決しなければ、今後の観光事業の運営に非常な支障を来すという意見がありましたので、委員会といたしましては結論には到達いたしませんでしたが、この次の観光小委員会におきまして、各業者の専門家を招致いたしまして、また民間側の意見を聞いた上、この観光行政を統一いたしたいという考えでただいま進んでおります。この委員会報告を申し上げる次第であります。  続いて申し上げたいことは、先般当運輸委員会におきまするホテル法案の主務大臣のことでありますが、前の委員会委員長が皆様にお諮りしたことく、その後委員長の手元におきましていろいろ案文をつくりまして、本日これから各関係大臣を訪問いたしまして、この主管大臣を運輸大臣にするという了解を求める予定になつております。これを御報告申し上げておきます。
  51. 大西禎夫

    ○大西(禎)委員長代理 それでは本日はこれをもつて散会いたします。次会は公報をもつて申し上げます。     午後零時二十一分散会