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1950-03-29 第7回国会 衆議院 運輸委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月二十九日(水曜日)     午前十一時十一分開議  出席委員    委員長代理理事 前田  郁君    理事 大西 禎夫君 理事 關谷 勝利君    理事 林  百郎君       岡田 五郎君    尾関 義一君       片岡伊三郎君    黒澤富次郎君       坪内 八郎君    畠山 鶴吉君       滿尾 君亮君    山崎 岩男君       淺沼稻次郎君    上村  進君       石野 久男君  出席政府委員         運輸事務官         (大臣官房長) 荒木茂久二君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      足羽 則之君         運輸事務官         (鉄道監督局  石井 昭正君         国有鉄道部長)         專  門  員 岩村  勝君         專  門  員 堤  正威君 三月二十九日  委員戸叶里子君辞任につき、その補欠として淺  沼稻次郎君が議長の指名で委員選任された。 同日  林百郎君が理事補欠当選した。     ————————————— 三月二十七日  神戸市に管区海上保安本部設置に関する請願(  首藤新八君外二名紹介)(第一八五五号)  鵜野尾崎に燈台及び濃霧信号所設置請願(高  木松吉紹介)(第一八五八号)  松川港拡張工事費全額国庫負担請願高木松  吉君外一名紹介)(第一八六二号)  開発用鉄道建設促進に関する請願降旗徳弥君  紹介)(第一八八七号)  宮崎県内公共船員職業安定所設置請願(川  野芳滿紹介)(第一九三七号)  隼人駅から川北を経て佐多町大泊に至る間に鉄  道敷設促進請願前田郁紹介)(第一九六  七号)  日の影、高森間に国営乘合自動車運輸開始の請  願(佐藤重遠君外二名紹介)(第一九六八号)  加古川線及び高砂線拂下げ反対に関する請願(  吉田省三紹介)(第一九六九号)  電気機関車製作予算増額に関する請願山口武  秀君外一名紹介)(第一九七六号)  宮古、久慈両駅間に鉄道敷設促進請願(鈴木  善幸君外六名紹介)(第一九九三号) の審査を本委員会付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  連合審査会開会に関する件  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(内閣  提出第六六号)  地方税改正に関する件  日本国有鉄道の第二次裁定に関する件     —————————————
  2. 前田郁

    前田(郁)委員長代理 これより運輸委員会を開会いたします。  委員長がさしつかえがありますので、私がかわつて委員長の職務を行います。  まず理事補欠選任についでお諮りいたします。去る三月二十五日理事林百郎君が委員を辞任されましたが、先般再び同君は運輸委員選任になりましたので、この際林百郎君を理事補欠選任いたしたいと思いますが、これに御異議がございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 前田郁

    前田(郁)委員長代理 御異議がないと認めます。林百郎君を理事選任することに決しました。     —————————————
  4. 林百郎

    ○林(百)委員 議事進行について……実は運輸委員会運営の問題でありますが、各委員諸君御存じ通りに、今運輸委員会で検討すべき重要な問題が山積しておるのであります。たとえば国鉄裁定の問題、あるいは海運の民営の問題、そのほかたとえば国鉄予算の問題というような、重要な問題が山積しておるのでありますが、この委員会大屋運輸大臣または加賀山総裁の顔を出ざれる機会が非常に少い。実はきようもわれわれが要求したのでありますが、加賀山総裁ははつきりしておりません。それから運輸大臣はどこか旅行中だというようなことであります。聞けば大屋運輸大臣は天皇に付添われて、どこかへ行つておるというような話でありますが、これは憲法で明らかなように、国会が国権の最高機関であり、しかもこの運輸委員会できようは国鉄裁定の問題が論議されるという日であります。裁定の問題についてわれわれが聞きたいことは、今までの大体裁定の事務的な内容については、日々の新聞を見ればこれははつきりすることでありまして、むしろ関係方面との交渉だとか、政府の将来の責任ある方針だとか、こういう大きな政策的な問題をわれわれはただしたいのでありますが、それをただすこともできない。しかも実は驚くことには、この前の二十四日の金曜日であります。このきわれわれはやはり国鉄裁定の問題について、加賀山総裁出席を求めて問いただした。このとき総裁は、この裁定の問題もあつていろいろ忙しいから、きようは委員会はこれでやめさしてくれと言つて、われわれは極力時間を制限して、私が十分くらい、石野君が十分くらいで質問しました。このとき加賀山総裁裁定の問題もあつて忙しいと言うから、われわれは関係方面へでも交渉に行くのだろう、そうした忙しからだをむりに縛つておくものと思いまして、わざわざ聞きたい点がありましたけれども、ごく制限されて質問した。ところがわれわれの調査によりますと、その日加賀山総裁国鉄野球チームが出動するということで、野球に行つている。そうしてわれわれの重大な質問に対しては、時間をわずか十分に制限して質問さしている。これではまつたく運輸委員会の権威も何もないのでありまして、私はかかる大臣あるいは総裁が非常な無責任きわまる態度をとつておる委員会は、実は初めてでありまして、議院運営委員会でもこのことは問題にしなければならないと思うのであります。私は委員長を通じまして、もし委員諸君の御賛同でもありまするならば、委員会の決議でもいいのですが、とりあえず委員長を通じまして、少くとも運輸委員会のあるときには、総裁大屋運輸大臣原則として国会へ来る態勢だけは整えてもらう。万一やむを得ない場合にはわれわれも了承しますが、その心構えだけはしておいていただかないと、まつたく運輸委員会が軽視され、無視されている状態でありますから、ひとつ委員長から加賀山総裁並びに運輸大臣に、運輸委員会のあるときには原則として運輸大臣及び国鉄総裁国会に来るということを、勧告していただきたいと思うのであります。私の議事進行発言はこれで終ります。
  5. 前田郁

    前田(郁)委員長代理 ただいまの林君の発言に対しては、別段皆さんも御異議がないと思います。委員長から政府に注意をしてもらうようにいたします。     —————————————
  6. 前田郁

    前田(郁)委員長代理 それではこれより先ほど理事会申合せによりまして、現在地方税法案地方行政委員会付託となつておりますが、本案は運輸関係といたしましても重要な関係がありますので、この際政府当局より運輸関係について御説明を承ることにいたします。
  7. 荒木茂久二

    荒木政府委員 御承知のように地方税の問題は、各方面に重大な影響を及ぼす問題でございますが、運輸省所管事業に対しましても、非常に広汎かつ深刻な影響を及ぼすものでございます。その概要を申し上げますと、まず第一番に問題となりますのは附加価値税でございます。御承知のように、新聞等にございますように、附加価値税税率が百分の四になつておりますのを、政府としてはぜひ百分の三・五に下げるということで、十分な折衝が関係方面と行われたのでありますが、遂に百分の四ということで国会提出になつておるわけであります。この税率の問題はそのような状態でございますが、ただ御承知のように、運輸省の所管いたしております運輸事業におきましては、人件費が相当の額を占めておるわけであります。人件費附加価値税を附加します客体から控除されない。平たく申しますと、総水揚げ高から石炭の購入代金車両購入代金、船の購入代金あるいは油の購入代金とかいつたような物件費的なものを控除いたしまして、その残りに対して百分の四をかけるわけでございます。そういたしますとサービス業でありますところの運輸事業に対しましては、非常に負担が過重に相なつて来るわけであります。そこでどうしてもその点を考慮してもらわなくてはならぬ。こういうことを強く主張いたしまして、一定の標準を置きまして、総水揚げの何%というものをきめまして、それに対して百分の四なり百分の三・五をかける態勢としてもらいたいという申入れをいたしたわけでございます。運輸事業に対しては二〇%くらいにしてもらいたいというように大体主張して参つたのでありますが、現在の段階においては、地方鉄道軌道に対しては総水揚げの四〇%、その他の運輸事業に対して倉庫業を入れまして五〇%、こういうことになつておるわけであります。これは二十五年度に限るわけでありますが、先ほど申し上げましたような原則によつて課税をする場合と、今申しました五〇%、地方鉄道軌道に対しましては四〇%という外形標準によつてかけまして算定しました税金と、どちらか安い方の税金を選ぶということまで参つておるわけであります。しかしながらこの税金が非常に大きな負担になるということは明瞭でございまして、御承知のように事業税というものが地方税で二十四年度から創設されましたけれども、この事業税運賃の変更があつたときから課するということになつておりまして、実質的には現在事業税はほとんどかかつてないのでございますから、この事業税にかわる性質を帶びております附加価値税というものは、二十五年度からフルにかかつて来る。これだけがまるまるふえて来るということになるのであります。  次に重要な問題は固定資産税であります。固定資産税に関しましてまず起ります問題は、地方鉄道軌道でございますが、御承知のように地方鉄道軌道軌道敷に対しましては、現在地租が免租されておるわけであります。ところがこれが今度固定資産税になりまして、全部これにかかるということに相なつて来たわけでございます。  なお私の方といたしましては、従来電柱税軌道税というものがかかつておりまして、地租が免除されておるというふうでございますので、電柱税軌道税を残しておきまして、その電柱税軌道税というものがかかる客体であるものにつきましては、固定資産税を除外する。従つて地租はかけないということにしていただきたいと強く主張したわけであります。この点に関しましては、国内的には意見一致をみたのでございますけれども、関係方面の了承を得ることができないで、現在の国会提出されておるような案になつて出て来たわけでございます。  さらに問題になりますのは車両でございます。車両に関しましては現在固定資産税的な税金はかかつていないのでございますが、これも償却財産といたしまして、新たに固定資産税がかかるということに相なつたわけでございます。そこで運輸省といたしましては、車両税を設けて、これを固定資産税客体から除外してもらいたいという意見を強く主張したのでございます。  次に問題になりますのは船でございます。船に関しましては、現在船舶税がかかつておるわけでございますが、この船舶税を廃しまして、固定資産税というものに包括して、全部かけるというのでございます。従つて運輸省といたしましては、車両と船とを同様に考えまして、固定資産税客体から除いて、別に車両税船舶税というものを新設して、税率を低くしてもらわないと、負担が従来より非常に過重になつて来るという結果に陷るということを主張したのでございますが、目下提出されておりますものにつきましては、その措置がとられていないのでございます。  次に電気ガス税につきましては、相当多くの事業に関しまして電気ガス税が免除に相なつておるのでございますが、鉄道軌道その他造船事業等に関しましても、電気ガス税を免除してもらいたいということを主張したのでございます。この点に関しましては、国内的にはもちろん意見一致を見て、関係方面でも相当好転しておつたのでございますが、最後の段階におきまして、この件も依然として実現しないということに相なつたわけでございます。  その他、自動車税に関しましても高くなるわけでございますので、自動車税の高くなりますことを、現行程度にととめておいてもらいたいということを主張したのでありますが、これも全部通らなかつたという状態でございます。  今抽象的に申しましたが、しからば今度の税法によりまして、私ども運輸省関係事業について、税金負担がどういうふうにかわつて来るかということを数字的に申し上げます。現在二十三年の数字しかございませんので、二十三年の数字を申し上げますと、地方鉄道軌道負担しております税額は、三億七百万円でございます。その内訳を申しますと、国税が一億五百万円、地方税が二百万円、合せて三億七百万円でございます。それが改正案によりますと、国税地方税を通じまして二十三億九千五百万円でございまして、二十三年度の約七・八倍という数字になつて参るのでございます。ところが国税の方は減税になりまして、一億五百万円のものが二千七百万円になります。もちろんこれは資産評価税は将来の問題として計算外に置いておりますが、二千七百万円に減るわけでございますからして、地方税の方から申しますと二十三億六千八百万円ということになつて地方税だけの比率を申しますとさらに七・八倍が高くなる、こういう数字になるわけでございます。それから船舶について申し上げますと、現在は船舶の税の総額は約八千万円になつておりますが、今度の固定資産税でかけられますと十一億円となりまして、約十三倍ということになつて来るわけでございます。以上のような状態でございまして、御存じのように閣議におきまして国内的に意見がまとまりました点を、政府全体として関係方面に十分折衝いたしました。同時にまた運輸省関係事業における影響がきわめて重大でありますので、特に運輸大臣は、数回にわたりまして関係方面と懇談を重ねたのでございますが、関係方面におかれましても、まずさしあたりの問題としては、原案の通り実施すべきであろうということになりまして、ただいまの地方税法国会提出されているわけでございます。
  8. 關谷勝利

    關谷委員 この税法問題は、ただいま説明を聞いた通り運輸省関係に対しましては非常に重大な問題であり、場合によつては、運輸業者が壊滅に瀕するおそれがありますので、これは地方行政委員会に対して連合審査要求するということを希望いたしておきます。
  9. 前田郁

    前田(郁)委員長代理 ただいま關谷君の動議になりました地方行政委員会連合審査をやる問題でございますが、それに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 前田郁

    前田(郁)委員長代理 それではさようとりはからいます。  なお両委員会間の協議が整いまして、連合審査会を開くことになりましたならば、委員長同志相談いたしまして、後刻あらためて開会日時をお知らせいたしますから、その点御了承願います。     —————————————
  11. 前田郁

    前田(郁)委員長代理 次に御承知通り、ただいま国鉄労働組合日本国有鉄道との間の、昭和二十五年四月以降の賃金ース改訂に関する紛争に対する公共企業体仲裁委員会の、いわゆる国鉄第二次裁定につきまして、公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件が国会に付議されておりますが、本件はまことに重大な問題でありますので、先ぽどの理事会申合せによりまして、この機会に第二次裁定につきまして、政府当局より説明を聽取いたしたいと思います。
  12. 足羽則之

    足羽政府委員 ただいまお話のありました点について、御説明を申し上げたいと思います。国有鉄道国鉄労働組合との間の賃金ベース改訂に関する紛争につきましては、御承知のように昨年の十二月二日に第一回の裁定が下されたのでありますが、その後本年の一月二十日に国鉄労働組合日本国有鉄道に対しまして、本年の四月以降の賃金ベースについて、四月一日から平均九千七百円、二級一号を四千七百五十円にするという要求を出したのであります。国鉄当局は、前回の場合と同様に、財政上の見通しその他諸般の情勢上、組合要求を全面的にいれることができないという理由で、これを拒否したのでありますが、組合では中央調停委員会にこの調停申請をいたしたのであります。前回紛争に関しまして、この調停委員会が示しました調停案は、今年の四月以降の賃金ベースについてきめたものでありまして、その点については、その後諸般條件にあまり大したかわりはないので、その意見をかえる理由はない。従つて前回調停委員会調停によつて、この紛争を円満に解決するということは、前回までの経過から見てほとんど不可能であるという意見から、調停案の提示をしないで、調停委員会仲裁要求を行つたわけであります。そこで仲裁委員会では審議の結果、御承知のように去る三月の十五日に仲裁裁定の第三号、これは三点よりなつておりますが、「四月以降は、基準賃金平均八二〇〇円に逹せしめる。」第二項は「日本国有鉄通昭和二十五年度に、基準外賃金現物給與、副利施設、その他の給與等において、前回裁定に指摘した待遇切下げ補填について、適切な措置を講じ、実質的な賃金の充実を図るものとものとする。右の措置請ずるに当つては、労働組合側の意向を十分とり入れること。」それから第三項といたしましては「本裁定の解釈に関し疑義を生じ、若しくはその実施に当り、両当事者の意見一致しないときは、本委員会の指示によつて決める。」こういう三つの点に関しての裁定を下したわけであります。ただいま国会日本国有鉄通の二十五年度の予算について御審議中でございますが、裁定の第一項及び第二項を実施いたしますのには、新たな予算措置を必要とする。こういうふうにわれわれ考えております。従つてこれに対して先般国会公共企業体労働関係法の第十六條第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件として提出されている。こういう実情でございます。以上経過を御説明申し上げます。
  13. 前田郁

    前田(郁)委員長代理 この機会にお諮りいたします。御承知のように国鉄の第二次裁定について国会議決を求めるの件は、労働委員会付託となつておりますが、本委員会といたしましても重大な関心を有するところでありますので、この際労働委員会連合審査会を行い、本件に関して十分なる審議を盡したいと思いますが、これに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 前田郁

    前田(郁)委員長代理 御異議なしと認めて、さようとりはからいます。  なお本件に関しましては、人事委員会も連合することになると思いますが、関係委員会間の協議が整いまして連合審査会を開くことになりましたならば、委員長同士相談いたしまして、後刻あらためて開会日時をお知らせいたしますから、その点御了承願います。     —————————————
  15. 前田郁

    前田(郁)委員長代理 次にまだ時間が少しあるようでございますから、先ほど説明になりました地方税法案に対しまして質疑がありますれば許します。
  16. 林百郎

    ○林(百)委員 地方税の問題を一、二お聞きしたいと思います。  先ほどからお聞きしますと、固定資産税及び附加価値税によつて、大体国鉄負担する税額の倍額は七、八倍と見てよいですか。
  17. 荒木茂久二

    荒木政府委員 国鉄に関しましては、地方税原則としてかからぬということになつておりまして、先ほど申し上げましたのは、地方鉄道軌道でございます。
  18. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、もしこういう地方税負担増額になるとすれば、私鉄側に対する処置はどういうことを考えますか。
  19. 足羽則之

    足羽政府委員 私鉄に対しましては、極力税の軽減ということに努力を向けておつたのでございますが、これが実現がなかなか困難視されるということでございまして、結局運賃を上げて行くということを考えること、及び経営合理化して、企業努力経営合理化の線に進めて行くということ、そういう二つの点を考えて、これに対処する以外はなかろうかと思うのであります。しかし税制案そのもの国会で御審議をされる経過において、できるだけこの税の負担を軽減されるように進めていただきたい。こういう希望を非常に持つておるわけであります。
  20. 林百郎

    ○林(百)委員 国会でなるべく軽減することに努力するのは当然でありますが、長い間関係方面政府交渉した結果、こういう結論が出るとすれば、大体この税負担を軽減することは困難だという前提のもとに事を運ぶのが、愼重な方法だと思うのであります。そこで私たちが考えられますことは、今あなたが言われるように、運賃を上げることと、企業整備をすることとの二つになると思いますが、そこでまず最初の運賃を上げる方の問題でありますが、私鉄側としてはどのくらい上げたいという意見が今出ているのですか。
  21. 足羽則之

    足羽政府委員 その点につきましては、私たちいろいろ研究をいたしておりまして、実は運賃を上げる具体的な案を一応持つているわけであります。最近電力費増加とか、あるいは補修費を相当見込まなければならないとか、あるいは税金関係でありますとか、そういう支出増加になるもの、あるいは今回の通行税の廃止に伴いまして、国鉄定期運賃三箇月、六箇月の割引実施いたす。ああい措置をいたすにつれまして、私鉄としても定期運賃割引ということを考えなければならない。その他それ以外にも多少收入減と考えられるいろいろの点もございまして、收入減あるいは支出増として予想されるものをいろいろ計算してみますと、旅客運賃で約六十億ばかりの運賃を、全体として値上げしなければならないという数字上の計算が出るのであります。しかし実際問題といたしまして、国鉄と並行しております区間では、かりに一キロ当りの運賃が二円あるいは三円でありましても、国鉄の一キロ一円四十銭という運賃との関係で、そこまで上げることは不可能であります。あるいは地方鉄道軌道などにいたしましても、バスとの関係で、バス運賃よりはるかに高い運賃をきめられても、実際問題としては、その実施経営上不可能である。いろいろ事実上頭打ちになる。制約される條件がございます。そうした点を個々の会社についていろいろ考えてみます場合に、その結論としましては、約百八十社ばかりの私鉄でございますが、平均して約一割七分四厘の値上げをしたい。それによつて大体進めて参りたいという考え方で、結論を持つておりまして、私鉄運賃改正について先般その案をまとめまして、閣議申請をいたしたのであります。ところがこの運賃値上げという問題は、たといそれが僅少な値上げであるにしましても、一般国民生活に及ぼす影響が、非常に重大であるという観点からだと思うのでありますが、これを愼重に検討する必要があるというので、まだ閣議におきましても、これを決定をしていただく運びに至つていないという実情にございます。
  22. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、政府私鉄の値上りを許すつもりなのか、許すつもりでないのか。いずれにしても地方税負担が、今度は乘客という大衆に転嫁されて行くというように、われわれは解釈せざるを得ないのであります。結局そういうことになるのかどうかという問題、さらにこの一割七分四厘の値上げをしても、やはり企業の中の合理化ということが問題になると思います。合理化といえば、一番簡單なのは、労働者を整理するとか、従業員を整理して行くとか、賃金をなるべく切り下げて行くとか、手当を下げて行くとかいう形、そのほかに機械的な施設のいろいろの合理化ということもあるでしようが、労働者首切り、低賃金という形になると思うのです。いずれにしてもこの地方税増額私鉄に及ぼす影響は、大衆へは運賃値上げという形で響いて来、従業員に対しては労働強化首切りという形で転嫁されて行くというように、われわれ解釈せざるを得ないのであるが、この点について政府の見解をお聞きしたいと思います。
  23. 足羽則之

    足羽政府委員 ただいまごく概略御説明申し上げました私鉄運賃値上げ案につきましては、そういう程度値上げをいたしたいというふうにわれわれは考えておるわけであります。なおそれが一般大衆の相当負担になるという点でございますが、近距離運賃はほとんど影響がないように、その内容はいろいろと考えておりまして、私鉄の旅客はほとんど近距離が多いのでありますが、近距離に対する影響はできるだけ少くなるように考えております。  それから企業努力経営合理化という面でございますが、その点につきましては、現実の問題としては、補修費なんかに相当影響して来る面があるのではないかというふうに、われわれ考えております。
  24. 林百郎

    ○林(百)委員 結論をつけますと、近距離に及ぼす影響を少いようにしようというのですが、私鉄国鉄と違つて御存じ通り大体距離が短かいのですから、結局何と言い訳しても、大衆負担が転嫁される。企業整備の方も、補修費という形でありますが、補修費を削減することによつて、今まで出ていた手当がなくなるとか、一人当りの労働量がふえることになるわけです。このことは、なぜ私か質問するかというと、こうした大きな企業地方税負担大衆に転嫁されるほか、今度は大衆自身の住民税とか、あるいは附加価値税というものもいろいろつくわけですから、やはり二重の負担になると思います。そういう意味で、これは非常な大きな大衆負担になるので、この際政府国会もともに、地方税の軽減ということに対しては、一層の努力をすべきものだというように、われわれは結論づけているのですが、そういうつもりで聞いているのであります。私の結論はそうでありますから、別に答弁は必要でないのでありますが、この企業地方税負担大衆に転嫁される。しかも大衆自身の住民税やそのほかの地方税負担を考えますと、二重の負担になるように考えます。ですから政府も、今後一層地方税増額については、これをなるべくそういうことにならないように、努力すべきであるというように考えるのであります。以上で私の質問を終ります。
  25. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 地方税の問題について先ほど荒木政府委員から、鉄道軌道船舶について、現行と改正案の比較がありました。運輸省所管関係の行政では、そのほかに自動車関係あり、その他生産部内においては車両工業あり、造船工業あり、こういう工業が地方税改正によつてどういうような影響を受けるかという資料を、この次の連合審査会までに御提出願いたいと思います。  自動車税につきましては、先ほど委員から御質問がありましたように、地方軌道と同じように、あるいはまた形をかえて、トラック運賃あるいはバス旅客運賃というような形で、大衆に転嫁される懸念なきにしもあらず、かようなことも考えられます。また造船あるいは車両工業のように、相当厖大な固定資産を持つている生産事業に従事しているものは、固定資産税が数倍あるいは十数倍になるがために、全体の税率においては数倍になるのではないか。かように私は想像いたしているのであります。車両工業においては、固定資産税は十倍になる。減税その他によつて、結局約四倍近くに税総額が上るのであります。造船工業においても同様であると考えるのであります。右資料を至急御提出を願いたい、かように私は考えます。
  26. 石野久男

    石野委員 地方税の御説明をいただきまして、ちよつとお尋ねしたいのですが、当局といたしましても今度の地方税増額、たとえば地方鉄道においては七、八倍、船舶の方においては十三倍というように、税率が非常に厖大になる状況に対して、やはり積極的に阻止しようという考え方でおられるのか。あるいは政府がすでにそういう税率を組んだのだから、自分たちもそれに協力して、やはりこれはやむを得ないのだという考えでおられるのか。この点をはつきりお聞かせ願いたいと思います。
  27. 荒木茂久二

    荒木政府委員 非常にむずかしい御質問でございますが、先ほど来御説明申し上げましたところによりまして、御推測いただきたいと思います。
  28. 坪内八郎

    ○坪内委員 地方税のことにつきましては、今荒木政府委員からいろいろ説明があり、各委員の御質問がありましたが、私は関係方面との折衝の内容を、もう少し速記をとめてでもお聞きしたいと思います。附加価値税については今の説明では、これは国民があげて重大な関心を持つておりますが、百分の四を三・五に引げる。GHQの関係方面と折衝したけれども、できなかつたという御説明であります。固定資産税については、国内的には意見一致を見た。あるいは車両税などを設けて折衝したけれども、これもだめだ。あるいは電気ガス税については、造船事業関係は免税してもらいたいということを関係方面に折衝したけれども、ただ單にだめであつた。もつともこういつた関係を是正することになると、いわゆるドツジ・ラインとか、あるいは九原則、あるいは二十五年度の予算の堅持ができないということは百も承知であるけれども、関係方面が何か一貫した考え方でこういうわれわれの要求をけつておる、その根拠は何であるかということを、もう少し具体的にお聞きしなければ、国民は納得しないのではないか。その関係の業者なり、あるいは各界各層が納得せぬであろうと思いますので、その点をもう少し説明いただければ、石野君の質問もおのずからわかりて来るのではないか。かように思うのであつて、この質問を申し上げます。
  29. 林百郎

    ○林(百)委員 議事進行ですが、今の委員のあれもありましたが、やはりこれはその関係方面と折衝した責任者、大屋運輸大臣でもだれでもいいですが、出席してもらつて、どういう折衝でどういう経過であつたかということを、ぜひわれわれも聞きたいのであります。そうでありませんと、今の政府委員説明では、これは新聞を見ればこの程度のことはわかるので、どういう折衝をして、向うではどういう意向でそういうことを頑強に阻止しているかということを聞きたいと思うのです。その機会をぜひ委員長はつくつていただきたい。
  30. 石野久男

    石野委員 今問題を考えて行く上にとつて、どうもやはり不安定な御説明の上で御質問するので、われわれとしても積極的に政府意見をお聞きすることができないのでありますが、たとえば船舶税の問題につきましても、報道によりますると四月から内外船を問わずに入札制が実施されて行くのと、しかも現在の日本の船賃というものは、ロンドン相場に比較しては約五割方高いのだということをいわれておる。なるべくそれを下げなくちやいけない。しかし下げるのは下げるのだけれども、うつかりするとダンピングが行われるから、最低料金法を設定しなければならぬのだというような、いかにも二重にも三重にも、上からも下からも、日本の海運についてはどうにもこうにも動きがとれないような状態が出て来ておるのに、今またここで十三倍も船舶税がかかつて来るということになれば、もはや日本海運というものには、将来性というものがなくなるのではないかというような考え方をするのでありますが、政府としてはこんな点についてどういうような考え方を持つているかという点をお聞きしたい。
  31. 荒木茂久二

    荒木政府委員 先ほど坪内委員、林委員からお話がございました点につきましては、大臣その他関係の方から適当な機会にお話いただくことにいたしたいと思います。なお石野委員からの御質問でございますが、その点につきましてはまことにお説の通りでございまして、日本の海運を振興しなければいけないということは、きわめて明瞭なことでございます。それに対するいろいろな障害がございます。税の上るということもきわめて大きな要素でありますので、これに対してこれを軽減するということはあげて、政府といわず、だれといわずやるべきことだと、かように考えておるわけでございます。
  32. 石野久男

    石野委員 問題は非常に重要でもありまするし、これはさきに議事進行について発言を求められた林委員発言にもあつたように。やはり大屋運輸大臣とか、あるいは加賀山総裁とかいう最高の責任者がおいでになつたときに、話をもう少し聞かせていただきたいというように思つております。  私はこの際お聞きしておきたいのでありますが、昨日の新聞でも報道され、また本日も大々的に報道されております東海道における貨車の事故があつたということについて、当局でそのことについての御説明をいただけるならば、この際ぜひひとつ状況報告を承りたいと思うのであります。     —————————————
  33. 前田郁

    前田(郁)委員長代理 先刻来石野委員から、昨日の事故について一応政府の御説明を承りたいということでありますから、政府の方からどなたか御説明を願います。
  34. 石井昭正

    ○石井(昭)政府委員 もうしばらくお待ちを願えますれば、詳細な資料で御説明申し上げられると思うのでありますが、ただいま私の知つておりまする範囲を申し上げますると、一昨二十七日の二十三時ごろ、東海道線の上り貨物列車が草薙、清水間において脱線をいたした。これは機関車は異常はございませんが、機関車から四台目からの貨車が脱線をいたしました。そのために上下線に支障を来し、不通となつたのであります。ちようど地形が、片側は急勾になつておりまして、片側が靜岡電鉄の線路が並行しておりまして、この靜岡電鉄の線路の上にも貨車が一台横転いたしたのであります。そういう状況でこの貨車の取り片づけが、横へどけてしまうというような簡單な操作ができないために、復旧作業が相当遅れるような見込みだつたのでございます。しかしながら重要な幹線でございますので、何とかして早く開通をはからなければならぬというので、本庁からも保安課長以下関係官が急行いたしまして、現場の指揮に当りまして、昨日の夕方約四時ごろと思いますが、靜岡電鉄の一線を利用いたしまして、これと切りかえて一線だけ開通さしたのであります。本日の午前中に上下線とも復旧する運びになりまして、午後からは列車の運行も大体定時になると思います。架線関係も午後四時ごろまでには復旧工事の終了ができるという情報でございます。  旅客列車でございませんので、不幸中の幸いと申しますか、人命関係の死傷はございません。ちようど下り列車がそれに突き当るような時刻でございましたが、下りの急行が幸いホームの手配よろしきを得まして、その事故は未然に防止することができたのであります。事故の原因につきましては、ただいま調査中でございますので、はつきりしたことは申し上げられません。ただ列車機関車が無事に運転いたしておりまする点から見まして、列車妨害というようなことは目下のところ考えられないのではないかということでございます。従つてその他の諸点について、ただいま調査を進めていると思うのであります。まだ機関士は検察側の取調べの手に移つておりまするので、まだ私どもの方には機関士の説明等につきまして、何ら情報は入つておりません。そういう程度でございまして、たいへん皆様に御心配といろいろ御迷惑をかけたことを、恐縮いたしておる次第でございます。
  35. 石野久男

    石野委員 事故の原因等について、まだ詳細の調査が行われていませんので、私どもとしても、これについてとかくここであまり長い時間を費して検討を加えることは、非常に困難だと思うのでございますが、しかし新聞等に報ぜられておりまするように、非常にこの事故が国民の足を奪い、また不安感を非常に増大させるというようなことになるのではないかというように思います。本日の新聞等によりましても、そういうようなことをはつきり言つておりまして、たとえばきようの読売新聞などを見ますと、「いずれにせよ老いた貨車、磨滅したレール、疲れたまたまら木は全国のキロ数の中で圧倒的に多く、またまたこうした事故発生の可能性は大いにあるわけで国民の足を安全に早く確保するため国鉄のなすべきことは山ほどある、」というふうに書かれておるのでございます。これはもう確かにわれわれが従来主張し、また国鉄当局に猛省を促しておる点でありますが、この事故を契機といたしまして、近い機会にひとつ本委員会においても、当局のはつきりした対策なり決意等を鮮明にしていただきたいと思うわけであります。私は本日はこの点についてはこれ以上あまりお伺いするのはちよつとむりかと思いますので、一応これで打切ります。     —————————————
  36. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 今回の裁定には直接関係はないのでありますが、聞くところによりますと、第一回裁定の第三項の賞與金の問題につきまして、国鉄総裁仲裁委員から裁定指示書のごときものを受取られたと聞き及んでおるのでありますが、さような事実があるのかどうか。またこの指示書はどういう根拠のもとに出たのであるか。政府委員の御趣旨のあるところを一応お伺いいたしたいと思います。
  37. 石井昭正

    ○石井(昭)政府委員 仲裁指示書と申しまして、やはり三月十五日に第二次裁定と一緒に仲裁委員会から、国鉄労働組合並びに国有鉄道に対しまして指示がございました。その内容は第一回の仲裁裁定の第四項、つまり当事者間において協議が整わなかつたときは指示するという、その條項に基いて国鉄労働組合から本委員会に指示の申請があつたので、それを指示する。それは第一次裁定の主文第三項、つまり賞與制度の設立でございます。これが両当事者間の協議の進行をみていない。それでこれに関して国会の承認を必要とする部分については、目下開会中の第七国会に対し至急所定の手続をとられたい。こういう趣旨の指示でございます。これの趣旨の内容は、おそらく賞與制度の場合に関しまして、国会の御承認を必要とするもの、たとえば法律としなければならないもの、あるいは予算的の措置を必要とするもの、そういうものがあつたらそういう手続をしておいて、事実この賞與制度の樹立に関しまして、将来賞典制度について協議が進む際におきまして、それは法律によらなければならない。あるいはそれは予算を必要とするからだめだというようなことで、協議が成立が進まないというようなことのないようにしておけという趣旨のことだと了解いたしております。
  38. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 この問題につきましては、加賀山総裁出席機会にお伺いいたしたいと思うのであります。この問題につきまして、裁定の解釈または実施に関し当事者間に意見一致を見ないときとあるが、この問題につきまして両当事者間において協議が進められたのか、進められなかつたのか。この指示書が遅延しておるのははなはだ遺憾であるから催促するようなお話のようでありまするが、その辺のところをもし政府委員において御答弁できれば、説明していただきたいと思います。
  39. 石井昭正

    ○石井(昭)政府委員 この第三項の問題について、どの程度両当事者間で協議しておるかどうかというお尋ねかと思います。この点につきましてはただいま詳細な資料を持合せませんので、後刻取調べまして御答弁いたしたいと思いますからお許しを願いたいと思います。
  40. 林百郎

    ○林(百)委員 二、三お聞きしたいと思います。第二次の国鉄裁定については、われわれ非常に不審に思う点が多いのです。また新聞の伝えるところによりましても、いろいろの情報が次から次かわつて来てるのでありますが、まず第一には公労法の第十六條第二項で、予算上、資金上不可能だということで、国鉄の第二次裁定国会に出されておるのでありますが、御承知通り予算上、資金上にいうのは、既定の予算、資金であつて、二十五年度の予算は目下国会において審議中なのであります。ただ当初の見込みより、裁定があつたから事情はかわつて来たということで、そのかわつた事情をまだ予算に組む余地があるのに、すでにこれが不可能だとして国会の承認を求めて来ること自体ふしぎに思うのであります。そこで第一に、国有鉄道当局の方では特別取替費のうち百八十億、あるいは建設費ともいわれますが、この中から七十億の、いわゆる第二次裁定の第一項のベース引上げのための予算的な措置を講じて、それを運輸大臣あてに出しておるのでありますが、これに対して一体運輸当局はどういう措置をしたのか。これが第一点であります。  第二点としては、当初、特別手当として三億出せるんだということが新聞に出ておつたのでありますが、これが出せなくなつた事情であります。これは関係方面の意向として伝えられてるところによると、予算の流用、移用は許されないから三億円出せないということ、それから三十億くらい一般会計から借入れたから、余剩が出るはずがないというのですが、これは明らかに人件費の中から三億浮いたというようにわれわれ考えておりますが、かりに人件費でないにしても、除雪費その他石炭の節約等によりまして、他の項目からでありましても、これは款項目のうちの項であるならば、この項の間の移用ということは、財政法上も許されているのでありますから、当然三億は出せるはずなのが、なぜこの三億が最近では出せないという状況に立至つておるのか。これが第二点であります。  それから第三としては、とりあえず裁定書は出たけれども、この裁定の中の第二項は、具体的な予算金額が指示されておらないから、何とかこれを実現する意向であるというようなことが伝えられておるのでありますが、この項目のうち第二項は、将来実現する意思があり、かつ可能性があるかどうか。これが第三点であります。  第四点として、本年度の国鉄予算人件費は、大体一人当り四千七百五十円で組んであるのであります。これは諸手当をいろいろ入れてでありますが、この四千七百五十円で組んであるということが、すなわち第二項をのむことになるのか。あるいは四千七百五十円で組んである予算のほかに、何とかして第二項の基準外賃金の補充、現物給與の補充、福利施設その他の給與の補充を考えておるのかどうか。この四点について御答弁を願いたいと思います。
  41. 足羽則之

    足羽政府委員 まだ予算が成立しておりません今日では、予算上、資金上可能不可能は言えないわけでございますが、しかしかりに予算が成立しているときでも、十六條の予算上、資金上不可能という意味は、予算の追加、あるいは修正という国会の行為がなければならぬ。こういう意味でありまして、現在裁定実施いたしますためには、予算上の措置を必要とする。こう考えられるわけであります。従つてその場合とまつたく同様と考えられますので、この十六條に該当するものとして、この仲裁裁定国会議決を求めるために国会に出された。こういうふうに解釈いたしております。なお国鉄からは、この工事勘定の中から損益勘定に、第一項を実現するために六十七億余を必要とするので、それを組みかえて、そうしてその工事勘定の財源としては、これを別途借入金その他によつてまかないたい。こういうふうな趣旨の申請が出ているのでございますが、今申し上げましたように、こういう趣旨で予算上、資金上不可能という解釈をとつておりますので、裁定そのものの国会の御審議を仰ぐ。こういうことで国会に出してあるわけであります。これが第一点に対するお答えといたしたいと思います。
  42. 石井昭正

    ○石井(昭)政府委員 御質問の第二点は、三億出せると言つたが、関係方面の折衝の結果出せなくなつた。それはどういうわけかということかと思いますが、別に出せるということは申しておらないのです。何とかして出したいということで研究いたしたのでありますが、結局予算がない。ないということは、結局三十億の借入金をくつて本年度の国鉄予算のつじつまが合つているわけでございます。その三十億というのは、三十億まるまる收入と立つてよいというわけではなくて、予算の不足分があつた場合に三十億まで借りられる、こういうことでございます。企業経営の建前から、かりに一応心づもりしておりました支出から三億セーブできたといたしましたら、当然それはその分だけ、三十億借り入れるのを減らして経理すべきであるという観点から、私どもどうしても三億支出することができない。ただ三億というような見当をつけましたのは、心づもりしておりました支出からは、約三億くらいの余裕が出はしないか。そうなりますと、まあその点を一時支給をいたしましても、借入金の限度が三十億でとどまる見込みがあるというつもりで、いろいろ研究いたしたのでありますが、結論は、その場合はやはり三十億の借入金を減額して経理すべきであるという結論なつたわけでございます。  それから第三点の、裁定の第二項を実現しようという気があるのかどうかという点なのでございますが、これは私ども事務当局といたしまして、ただいま政府の首脳部におかれましてどういう御研究になつているか、はつきりお答えできないのを、まことに遺憾と思つております。  それからその場合に、本年度予算では人件費が七百五十円で組んであるとおつしやいましたが、これは七千五十円の間違いであろうと思うのであります。その七千五十円で組んである中に、第二項は入つているかどうかという問題でありますが、これは一部分は入つている。しかし一部分は入つておらない。たとえば昇給資金の方はこの七千五十円の中に入つている。従つて昇給のストップによる不利益というものは、来年の分につきましては七千五十円の予算のわく内で解消されると思うのであります。しかしそのほかの特殊手当等につきましては、これは七千五十円の中には入つておりません。従つて一部は入つておるが、一部は入つておらない。こういうふうに大体考えられるのじやないかと思つております。
  43. 林百郎

    ○林(百)委員 三点ほどお聞きしたい。今予算上、資金上不可能だという論点で、国会へかけたいというのですが、日本国有鉄道の方からは、工事費の方から損益勘定への予算的な措置をして出してあるのだから、しかも予算の編成権は政府が持つているのであるから、少くともそうした予算的な措置に対する書類をつけて、そうして国会裁定を求めて来るのが当然だ。われわれはその国鉄の経理の中で、工事勘定から損益勘定へ六十億入れることが、日本国有鉄道企業としての健全性を害するか害しないかという問題を検討すべきだと思います。そういう意味で、予算上、資金上不可能だから、ただ裁定だけ持つて来て、さあこれを審議してくれということは、意味をなさないと思う。われわれは第一予算上、資金上不可能でないと思います。かりに政府の言うように予算上、資金上不可能であるとして、これを国会の判断にまつとしても、そうした日本国有鉄道から出して来た予算的な措置をつけて、日本国有鉄道としてこう考えているが、これがいいか惡いかの判断を国会に求めて来るのが、公労法の第十六條第二項の出し方であるように思う。この点は政府に猛省を促したい。労働省では、公労法の十六條の二項というのは、こうした予算的な措置を組んで出すべきだということを言つており、国会でもしばしばこれを言つているのでありますが、がんとして頑迷なる運輸省当局か、あるいは政府当局か知らぬが、これをやらないわけです。もう少し誠意を持つて裁定についての国会審議の仕方を求めるべきじやないかというように私は考えます。(「向うさんがやらない」と呼ぶ者あり)向うさんがやらないならやらないで、はつきりしてもらいたい。  それから第二点の三億の点でありますが、予算上、資金上不可能ということは、三十億借入れをすることが許されているのでありますから、それをも含めて——冬の期間従業員のいろいろの努力によつて三億浮んで来るものだつたら、それを借り入れるということは予算上、資金上許されていることなんですから、そのほか企業努力によつて三億浮んで来たら、これは当然予算上、資金上可能なものとして、項目の移用として、裁定を守るために使えるというふうに、われわれは考えているのであります。要するに三十億借りるということは許されているから、それを借りたことにして、しかもそれでなお余剩が出たら、それは一応企業努力として、企業の中に入れるのが当然というように考えるが、この点をもう一度確かめたい。  第三点として、今申しました七千五十円で組んであるということは、裁定の第二項については、一部はこれが含まれ、一部は含まれないというのでありますが、そうすると政府裁定の第二項をのむということは、今年度の予算を実行すれば第二項をのむことになるのであるから、そういう意味で第二項をのむというのか。あるいは第二項をのむということは、七千五十円のベーズにプラス何とかこれに対するいろいろな現物給與、福利施設その他の給與の補充をはかるという意味で、第二項をのむということか。要するに本年度の人件費予算のほかに、さらに努力をするということが、裁定の第二項をのむということか。あるいは本年度予算を実行すれば第二項をのむことになるから、第二項をのむのだということになるのか。その点をはつきりさしていただきたいと思います。この三点だけ聞いておきます。
  44. 石井昭正

    ○石井(昭)政府委員 第一点は、予算上、資金上不可能という点と、それから予算措置も一緒につけて国会に出すべきだという御意見でありますが、問題は二つにわかれると思うのであります。裁定の御審議を願う際に、予算措置を必ずつけて出さなければならないということは、第一次裁定の際における野党の皆様の一致した御主張のようでありましたが、政府はこれと異なつた見解をとつて、まず裁定の御審議を願い、しかる後に裁定の承認がもしあつたならば、予算措置をそれに応じて講じなければならぬという見解をとつているのであります。この点は御意見が違つておるので、今さらここで御答弁申し上げてもむだであろうと思うのでございます。それから労働省はそういう見解を持つておるというお話でございますが、労働省も決してそういう見解を持つておりません。運輸省も労働省も大蔵省もすべてを含めましてそういう見解でございますから、その点は誤解のないようにお願いいたしたいと思います。  それから次に、国国から申請のあつた六十七億を予算措置というお話でございますが、これは予算の編成権は、林さんも十分御承知通り政府が持つておるのでございます。たた国鉄としては、この裁定の第一項を実施するとすれば、かような方法以外にないということを政府に申逹しただけでございます。またそれをそのまま出せばいいというお話でございますが、予算は單に文句だけではいけないのでありまして、実質的な裏づけがなければなりません。従いまして六十七億をかりに借入金でまかなうとすれば、その借入金の出どころから措置してかからなければ、ほんとうの予算にならぬのであります。そういう点につきまして、政府といたしましては研究しておるだけでありまして、これをただちに国鉄総裁の申逹いたしましたものが、予算措置であるというように、われわれは考えるわけには行かないのじやないかと思うのでございます。  第二点の三億でございますが、これも林さんは、この三億は裁定の履行という前提で御議論のようでございますが、政府は第一次裁定については、もはや第七国会の劈頭においてその結末はついておる。従つてこの三億はかりに支給するといたしましても、裁定の履行ではなく、ただ年度末に何とかして一時金を支給して、従事員の労に報いたいという趣旨にほかならないのでございます。従つて予算上、資金上可能不可能という法律の文言に照してどうなるかということにつきましては、お答えする限りではないと思います。  それから第三点の、第二次裁定の第二項をのむということは、予算だけの内容のものをのむのかどうかということでございますが、先ほど申し上げました通り、のむとかのまないとかいうことは、政府の態度として正式に決定しておると私は聞いておりませんので、これにつきましてお答えはできないと思うのでございます。
  45. 林百郎

    ○林(百)委員 第一の点でありますが、これは借入金の使途を明らかにしろといいますが、裁定によりますと、特別補充取替費のうちから七十億出すようにということを裁定では指示している。従つて問題は裁定にはこうありますから、これをすることが国鉄企業の中でどういう影響を及ぼすかということですね。国鉄当局では、すでに運輸省にそういう予算的な措置を講じているのだから、それを運輸省としてはのむのかのまないのか。のむとすればどういう影響があるのかということを、やはり意見を具して出すのが当然だと思う。あなたは労働省も運輸省予算的な措置をかけなくて、裁定だけかければいいという、政府一致した意見だと言いますが、これはあなたは間違つているのであります。たとえば賀來労政局長ですか、労働省の中の労政課長ですか、これは私今本も持つて来ておりますが、これもそうしなければ公労法第十六條第二項というものは意味をなさぬ。これは労政関係の勉強をしている者は、たれも言うことであります。これはあなた本をよく読めばわかります。ですから、その点やはりあなたも運輸省の一員として、大臣なり何なりにひとつ正義派として意見具申をして、十分に適正な措置をするように努力してもらいたいと思います。  それから第三の七千五十円ですが、これも非常に重要な点であなたはこれを実行すれば、裁定の第二項の一部は実現することになるし、一部は実現にはならない。ところが、今新聞紙に出ている政府は第二次裁定の第二項の実現に努力するということは、もう本年度予算に組んである人件費のほかに、何とか努力するということの意味にとれるわけです。ところがあなたの答弁を聞いてみると、本年度の予算はそのままやつても、これは第二項をのむことになるのだ。せめて第二項はのんだということにしようじやないかということになると、これはだまかすことになると思うのであります。その点も十分ひとつ愼重なる検討をしてと少くとも政府が第二次裁定の第二項をのむということは既定の方針で、さらに裁定が出たからこういうような努力をするというプラスの努力が示されなければ、これは従業員を欺瞞することになると思うから、その点についても十分愼重な検討をしてもらいたいと思います。  それから、むろんあなたも政府委員として答えるのだからやむを得ないと思いますが、たとえば第一次裁定の問題についても、政府の責任は、国会の承認がないことによつて免除されたとしても、争いの当事者である国鉄国鉄従業員との間では、労働協約によつてこれは当然裁定が権利義務としてあるわけであつて、将来企業の中から予算上、資金上支出可能な場合には、当然国鉄としてはその債務の一部として支拂わなければならない義務かあるように私は考えておりますから、その点についても運輸省の中の中堅である石井君は十分検討して、正義の論を吐いていただきたいということを最後に希望して、私の質問を打切ります。     —————————————
  46. 前田郁

    前田(郁)委員長代理 これより日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたします。岡田君より質疑の通告がありますが、問題の点がありますので、特に速記をとめて行いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 前田郁

    前田(郁)委員長代理 ではちよと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  48. 前田郁

    前田(郁)委員長代理 それでは、速記を始めてくたさい。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後零時四十五分散会