○
荒木政府委員 御
承知のように
地方税の問題は、各
方面に重大な
影響を及ぼす問題でございますが、
運輸省所管の
事業に対しましても、非常に広汎かつ深刻な
影響を及ぼすものでございます。その概要を申し上げますと、まず第一番に問題となりますのは
附加価値税でございます。御
承知のように、
新聞等にございますように、
附加価値税の
税率が百分の四にな
つておりますのを、
政府としてはぜひ百分の三・五に下げるということで、十分な折衝が
関係方面と行われたのでありますが、遂に百分の四ということで
国会に
提出にな
つておるわけであります。この
税率の問題はそのような
状態でございますが、ただ御
承知のように、
運輸省の所管いたしております
運輸事業におきましては、
人件費が相当の額を占めておるわけであります。
人件費は
附加価値税を附加します
客体から控除されない。平たく申しますと、総
水揚げ高から石炭の
購入代金、
車両の
購入代金、船の
購入代金あるいは油の
購入代金とかいつたような物件費的なものを控除いたしまして、その残りに対して百分の四をかけるわけでございます。そういたしますと
サービス業でありますところの
運輸事業に対しましては、非常に
負担が過重に相な
つて来るわけであります。そこでどうしてもその点を考慮してもらわなくてはならぬ。こういうことを強く主張いたしまして、一定の
標準を置きまして、総
水揚げの何%というものをきめまして、それに対して百分の四なり百分の三・五をかける
態勢としてもらいたいという申入れをいたしたわけでございます。
運輸事業に対しては二〇%くらいにしてもらいたいというように大体主張して参
つたのでありますが、現在の
段階においては、
地方鉄道軌道に対しては総
水揚げの四〇%、その他の
運輸事業に対して
倉庫業を入れまして五〇%、こういうことにな
つておるわけであります。これは二十五年度に限るわけでありますが、
先ほど申し上げましたような
原則によ
つて課税をする場合と、今申しました五〇%、
地方鉄道軌道に対しましては四〇%という
外形標準によ
つてかけまして算定しました
税金と、どちらか安い方の
税金を選ぶということまで参
つておるわけであります。しかしながらこの
税金が非常に大きな
負担になるということは明瞭でございまして、御
承知のように
事業税というものが
地方税で二十四年度から創設されましたけれども、この
事業税は
運賃の変更があつたときから課するということにな
つておりまして、実質的には現在
事業税はほとんどかか
つてないのでございますから、この
事業税にかわる性質を
帶びております附加価値税というものは、二十五年度からフルにかか
つて来る。これだけがまるまるふえて来るということになるのであります。
次に重要な問題は
固定資産税であります。
固定資産税に関しましてまず起ります問題は、
地方鉄道軌道でございますが、御
承知のように
地方鉄道軌道の
軌道敷に対しましては、現在
地租が免租されておるわけであります。ところがこれが今度
固定資産税になりまして、全部これにかかるということに相な
つて来たわけでございます。
なお私の方といたしましては、従来
電柱税、
軌道税というものがかか
つておりまして、
地租が免除されておるというふうでございますので、
電柱税、
軌道税を残しておきまして、その
電柱税、
軌道税というものがかかる
客体であるものにつきましては、
固定資産税を除外する。
従つて地租はかけないということにしていただきたいと強く主張したわけであります。この点に関しましては、国内的には
意見の
一致をみたのでございますけれども、
関係方面の了承を得ることができないで、現在の
国会に
提出されておるような案にな
つて出て来たわけでございます。
さらに問題になりますのは
車両でございます。
車両に関しましては現在
固定資産税的な
税金はかか
つていないのでございますが、これも
償却財産といたしまして、新たに
固定資産税がかかるということに相
なつたわけでございます。そこで
運輸省といたしましては、
車両税を設けて、これを
固定資産税の
客体から除外してもらいたいという
意見を強く主張したのでございます。
次に問題になりますのは船でございます。船に関しましては、現在
船舶税がかか
つておるわけでございますが、この
船舶税を廃しまして、
固定資産税というものに包括して、全部かけるというのでございます。
従つて運輸省といたしましては、
車両と船とを同様に考えまして、
固定資産税の
客体から除いて、別に
車両税、
船舶税というものを新設して、
税率を低くしてもらわないと、
負担が従来より非常に過重にな
つて来るという結果に陷るということを主張したのでございますが、目下
提出されておりますものにつきましては、その
措置がとられていないのでございます。
次に
電気、
ガス税につきましては、相当多くの
事業に関しまして
電気、
ガス税が免除に相な
つておるのでございますが、
鉄道、
軌道その他
造船事業等に関しましても、
電気、
ガス税を免除してもらいたいということを主張したのでございます。この点に関しましては、国内的にはもちろん
意見の
一致を見て、
関係方面でも相当好転してお
つたのでございますが、最後の
段階におきまして、この件も依然として実現しないということに相
なつたわけでございます。
その他、
自動車税に関しましても高くなるわけでございますので、
自動車税の高くなりますことを、
現行程度にととめておいてもらいたいということを主張したのでありますが、これも全部通らなかつたという
状態でございます。
今抽象的に申しましたが、しからば今度の
税法によりまして、私
ども運輸省関係の
事業について、
税金の
負担がどういうふうにかわ
つて来るかということを
数字的に申し上げます。現在二十三年の
数字しかございませんので、二十三年の
数字を申し上げますと、
地方鉄道軌道で
負担しております
税額は、三億七百万円でございます。その内訳を申しますと、
国税が一億五百万円、
地方税が二百万円、合せて三億七百万円でございます。それが
改正案によりますと、
国税、
地方税を通じまして二十三億九千五百万円でございまして、二十三年度の約七・八倍という
数字にな
つて参るのでございます。ところが
国税の方は減税になりまして、一億五百万円のものが二千七百万円になります。もちろんこれは
資産再
評価税は将来の問題として
計算外に置いておりますが、二千七百万円に減るわけでございますからして、
地方税の方から申しますと二十三億六千八百万円ということにな
つて、
地方税だけの比率を申しますとさらに七・八倍が高くなる、こういう
数字になるわけでございます。それから
船舶について申し上げますと、現在は
船舶の税の総額は約八千万円にな
つておりますが、今度の
固定資産税でかけられますと十一億円となりまして、約十三倍ということにな
つて来るわけでございます。以上のような
状態でございまして、
御存じのように
閣議におきまして国内的に
意見がまとまりました点を、
政府全体として
関係方面に十分折衝いたしました。同時にまた
運輸省関係の
事業における
影響がきわめて重大でありますので、特に
運輸大臣は、数回にわたりまして
関係方面と懇談を重ねたのでございますが、
関係方面におかれましても、まずさしあたりの問題としては、原案の
通りに
実施すべきであろうということになりまして、ただいまの
地方税法が
国会に
提出されているわけでございます。