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1950-03-07 第7回国会 衆議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月七日(火曜日)     午前十一時六分開議  出席委員    委員長 稻田 直道君    理事 大澤嘉平治君 理事 大西 禎夫君    理事 關谷 勝利君 理事 前田  郁君    理事 米窪 滿亮君       岡田 五郎君    尾崎 末吉君       尾関 義一君    片岡伊三郎君       黒澤富次郎君    畠山 鶴吉君       滿尾 君亮君    林  百郎君       飯田 義茂君    石野 久男君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 大屋 晋三君  出席政府委員         運輸事務官         (大臣官房長) 荒木茂久二君         運輸事務官         (海運局長)  岡田 修一君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      足羽 則之君  委員外出席者         專  門  員 岩村  勝君         專  門  員 堤  正威君     ――――――――――――― 三月六日  太田、水戸及び太田、大子駅間の列車増発に関  する陳情書  (第五二二号)  函館整備工事促進陳情書  (第五二四号)  函館船舶管理部存置陳情書  (第五二五号)  漁船の不法だ捕に関する陳情書  (  第五三九号)  鉄道運賃遠距離逓減に関する陳情書  (第五四三号)  沖縄との定期航路開設に伴う寄航地指定に関  する陳情書(第五  四三号)  港湾法案修正に関する陳情書  (第五五九号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(内閣  提出第六六号)  運輸省関係予算に関する件     ―――――――――――――
  2. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 これより運輸委員会を開会いたします。  稻田委員長がさしつかえがありますので、私が委員長の職務を行います。  本日の議事に入ります前に、去る三月三日、連合国最高司令部より日本政府にあてられました覚書につきまして、政府より本委員会に対して報告いたしたいとの申出があります。これを許します。岡田海運局長
  3. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 かねて懸案になつておりました船舶運営会による日本船舶運航体制が、三月三日付のスキップ・インによりまして、総司令部方から指令があつたわけでございます。従来日本政府側から司令部の方に懇請いたしておりまとた運航体制変更案は、五十トン米満の船を民間自営に移し、五百トン以上は運営会を改組した商船管理委員会で、従来と同じような方法で運営するということであつたのであります。ところで三月三日付の指令によりまして、現在運営会定期用船をしております船を、全部民間自営に返す。それから外航に配船し得る船は、国際規格に適合した船、並びに総司令部承認を得た船をあてがう。この外航船になりました船は、一切国からの補助を受け得ない。外航船に指定された船以外のものを、内航船に充てるわけであります。この内航船につきましては、船主の方で繋船したいというものに対しましては、繋船補助金を與える。その繋船補助金は、船舶運営会に対する補助金をもつてまかなり。その繋船補助金は非常に少いものです。たとえば乗組船員は小型の船では四名程度です。それから最低限度燃料代、いわゆる直接の船費程度のもりにするという指令が出たわけでございます。日本政府側考えに対しまして、司令部違つた案を出された事由こいたしましては、日本政府考えておつたより以上に、日本船外航進出に対する迎合海運国の攻撃、反承が強いということから来ているのでございます。日本側におきましては、いわゆる商船管理委員会という国家機関で、外航配船をやつてもさしつかえないじやないかという考えを持つてつたのでありまするが、連合国海運業者におきましては、国家機関外航配船をやると、国家というものを背景にして、いわゆる運賃ダンピングをやるおそれがある。従つてそういう日本船進出は困るという抗議が、非常に強くなつて来たようであります。従つて日本船外航配船増加し、促進するという意味からいたしまして、外航船自営にする態勢をとらざるを得なかつたよりであります。それからもう一つ、五千トン未満を民間自営に移しまする場合に、そこに非常に多くの過剰船腹かできる。少くとも三十万トン程度過剰船腹が出る。そういたしました場合に、いわゆる中小船主がほとんど倒壊のうき目を見るであろう。これは日本海運の健全なる発展上おもしろくないということから、むしろこれに繋船をする道を與えて、過剰船腹を調節する道を開いてやつた方がよい。こうい見地からのようでございます。  ところでこの指令によりまして、日本海運の受けまする影響というものを考えて見ますると、外航自営になりましたことは、日本海運海外配船増加への一歩を印したことになるわけでございます。しかし日本船舶が外へ出よす場合における幾多の制限というもりはなお緩和されないで、依然として残つているわけでございます。従つてせつかく自営態勢になりましても、そういう制限が緩和されませんと、日本海運業者は非常に苦しい立場に立つ。従つてこのスキャップ・インと同時に、そういうことを期待しておつたのですが、それが実現されなかつたわけでございますけれども、日本側としては力を盡してこの制限緩和関係方面に懇請し、その希望実現に努力いたさなければならないと思います。せつかく司令部外航配船増加に対する思いやりも、その点が実現されないと、かえつて日本海運を非常に困難な立場に陥れるおそれがあると考えております。  それから内航船につきまして、過剰船腹調節のために繋船の道を開く。それに対して補助金を支給する。こういう司令部考えでございまするが、この繋船補助金として考えられておりまする額が、これはまだ司令部側十分折衝の余地が残つている問題でございまして、ここでその額が非常に低いとか、妥当であるとかいうことを断ずるわけには参らないのでございますが、その指令から受けた印象による額でありますと、非常に僅少でございまして、はたして海運業者がそういう僅少な補助金に甘んじて繋船するかどうかということが、非常に疑問でございます。海運業者の方としては、そういうものを受取るよりは、出血をしても船を動かす方が有利だというので、みな船を動かすようになつて、せつかく司令部の好意的な意図も、かえつてやぶへびになつてしまう。しかしただいま申しました点につきましては、まだ司令部側の意向もはつきりしない点もございますが、折衝によつて妥当なる方向に行ける道も、十分開かれていると考えているのでございます。  さような次第でございまして、このスキャップ・インが出ました以上は、最もよき方向従つて、最も円滑にこれを日本海連に実施しなければならないと考えまして、目下関係者において鋭意検討を遂げ、関係方面との折衝をいたしたいと考えております。大体はつきりした数字ではございませんが、自営になりまする船は、貨物船で約百七十万重量トンタンカーが三十二、三万重量トンでございます。貨物船の百七十万重量トンのうち、四月から外航船で行くであろうと思われるもの——これは外航船になるかどうかは、船主の選択でございますから、その数字はつきりとは申し上げられませんが、現在約三十万トン程度外航に従事しているわけであります。従つて三十万重量トンが四月から外航船になり、百四十万トンが内航船になるわけであります。ところが最近の入港からいたしますと、おそらく六十万トンないし七十万トンの船腹が過剰になる。かように推定せられるのでございます。タンカーの方は、外航船につきましては、幸いバーゲン・オイルの積込みはフルに動いております。従つてこの面においては何ら心配の必要はないわけでございます。大体以上の通りであります。      ————◇—————
  4. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 これより昭和二十五年度運輸省関係予算に関しまして、議事を進めたいと思います。先般国鉄関係につきましては、国鉄当局より一応概略説明を伺いましたが、あらためて運輸当局より所管予算につきまして説明を聞きまして、しかる後質疑を行いたいと思います。それではまず政府の御説明を願います。荒木官房長
  5. 荒木茂久二

    荒木政府委員 それでは昭和二十五年度運輸省所管一般会計予算大綱について御説明申し上げます。  まず第一に歳入予算でありますが、本年度歳入予算額は十七億四千五百四十余万円でありまして、これを前年度歳入予算額の二億三千百十余万円に比較いたしますと、十五億一千四百二十余万円を増加する計算になりますが、これは船舶公団からの納付金が、前年度より十五億八千五十余万円増加する見込みのためであります。  次に歳出予算について申し上げます。歳出予算額は百二十五億七十余万円でありまして、これを前年度歳出予算額二百一億六千二百三十余万円に比較いたしますと、七十六億六千百五十余万円の減少なつておりますが、これは船舶運営会に対する補助費減少したことと、日本国有鉄道に対する貸付を行わないことによる歳出減が主たる理由であります。  要求の各経費につきましては、要求書にそれぞれ要求事由を記載してございますが、そのうち重要な事項について申し上げますと、まず商船管理委員会に関する経費でありますが、これは従来の船舶運営会事業及び機構を縮小するとともに、名称を商船管理委員会変更いたしまして、運営する方針でありますが、この事業運営上生じまする損失に対する補助金として四十二億五百三十余万円、在外邦人帰還輸送を行う経費といたしまして五億四千三百三十余万円を計上いたしておるのでございます。これは政府閣議決定をいたしまして、現在国会提出してある予算でございますが、先ほど海運局長から御説明申し上げましたように、三月三日付のスキャップ・インが出まして、これは日本政府考え方と非常に食い違つておりますので、今組んである予等を今度のスキャップ・インの実施に対していかにマッチさすようにするかという、大きな問題が残つておるわけでございまして、この提出予算スキャップ・インとをマッチさせるために、今後いろいろ困難な問題が起つて来ることと予想いたしております。なお前に申し述べました通り、従来の船舶運営委員会商船管理委員会変更して運営することになつたため、この事業縮小に要する経費を、船舶運営会清算交付金として一億八千百四十余万円を計上いたしてございます。  次に港湾に関する公共事業施行に必要な事務的経費でありますが、これは内地及び北海道の港湾施設の修築、並びに戰災復興に必要な事務費といたしまして、四億二千八百九十余万円を計上いたしてございます。これは港湾関係事務費だけでございまして、事業費の方は公共事業に計上いたしてございまして、これは運輸省予算には計上してないのでございます。  次に気象官署に関する経費でございますが、気象通報業務の完全を期するための事業運営費といたしまして、十二億七千八百十余万円を、連合軍指令によります洋上固定点観測業務等維持運営に必要な終戰処理事務費といたしまして、三千五百三十余万円を計上いたしました。  次に海上保安庁に必要な経費でございますが、これは不法入国の監視、密貿易の取締り、航路標識維持運営その他海上保安業務運営費といたしまして、二十四億二千九百三十余万円を計上いたしましたほか、現有船舶をもつていたしましては、海上保安業務遂行上、支障がございますので、二十四年度の十六隻建造に引続き、巡視船九隻及び港務用船二十七隻を建造することといたしまして、この建造費九億九千八百十余万円を計上いたした次第でございます。  以上概略でございますが、運輸省所管一般会計予算説明を終ります。
  6. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 鉄道足羽局長も見えておりますから、鉄道関係説明をしていただいて、それから質疑をすることにいたします。
  7. 足羽則之

    足羽政府委員 それでは二十五年度日本国有鉄道予算について、御説明申し上げたいと思います。予算説明に入ります前に、まず本年度事業計画大綱について申し上げたいと思います。  その第一は輸送計画でございまして、昭和二十五年度輸送計画は、いわゆる日本国有鉄道が国民の信託に答えて経済再建と民生安定の基本に資する。こういうために施設車両復旧整備保安向上をはかる。そういたしまして輸送サービスの改善をはかる。そういう目途をもつて計画の樹立をしたものでございます。  まず鉄道におきましては、旅客輸送人員は三十億人でございまして、対前年四・三%の増を見込んでおります。人キロでは七百十五億七千百万人キロ貨物輸送トン数は、一億三千二百万トンを目標として、対前年二%増でありまして、トンキロにおいて二百七十六億四千三百万トンキロでありまして、これに要する列車キロは二億五千万キロであり、対前年の二%の増加なつております。  国営自動車におきましては、旅客輸送人員六千四百万人、六億六千九百万人キロ貨物輸送トン数二百万トン、四千万トンキロで、これに要する走行キロは、旅客三千百万キロ貨物二千二百万キロ合計五千三百万キロでございます。  船舶におきましては、旅客輸送人員は八百六十万人、三億五百万人キロ貨物輸送トン数は四百七十万トンで、五億二千六百万トンキロといたしております。  次に工事計画といたしましては、施設維持及び取替補充をなすための工事に重点を置き、企業合理化サービス向上という点もあわせ考えて、この工事計画を策定した次第です。そのおもなものといたしましては、車両関係としては電車二百五十両、客車百十両、貨車九百四十三両の新造及び客車電車貨車更新工事等でございます。施設関係として新線建設につきましては、二十三年九月のアイオン台風により破壊されました山田線代替復旧が困難でありますため、ひとまず釜石線の全通をはかることとして前年度から継続してその残工事を完成する計画、及び前年度から継続の信濃川山辺発電所建設金額を計上しております。その他の大部分は、いずれも現在の老朽施設補充取替的なものでございます。  以上による工事費総額は、施設保修に要する経費を計上した損益勘定において施設車両、機械、船舶修繕費が三百六億円、設備の取替改良に要する経費を計上した工事勘定におきましては、工事費が二百億円で、工事費の総計は五百六億円であります。なおそのほかに対日援助見返り資金から受入れる特別な資金が四十億円ございますが、これは運輸大蔵大臣が協議し承認した目的に充当することができるわけになつております。  次に資材計画でございますが、以上の諸計画に要する資材は、そのおもなるものについて述べますると、普通鋼材が二十一万トン、銑鉄が二万三千トン、セメントが十五万トン、木材が百九十万石、枕木が六百六十万丁、石炭が六百三十五万トンでありまして、これを昭和二十五年度生産計画に対比いたしますと、普通鋼材において一〇%、銑鉄が一・二%、セメントが八・四%、木材が二・七%、石炭が一・六%となるのでありまして、国全体の資材計画において日本国有鉄道使用量は、相当な部分を占めることとなりますので、これが使用にあたつては極力節約に努めるとともに、合理的な運用をなす、こういう考え方でございます。  人員に関する計画でございますが、以上の諸計画を実施いたしますために要する職員数は、損益勘定所属のものが四十万九千九百人、工事勘定所属のものが一万五千五百六十人、中間勘定所属のものが六万七千二百九十人、合計四十九万二千七百五十人でありまして、二十四年度予算人員五十万三千七十二人を比較いたしますと、一万三百二十二人、約二%の減となつております。これは職員自然退職率一・五%を基礎といたしまして、二十四年度十月以降の自然減耗に対する新規補充は原則としてしない。こういう考え方で、以上の四十九万三千七百五十人の予算定員となつたのでありまして、今後は職員勤労意欲向上と相まつて経営合理化をはかる、こういう考え方であります。  そこで昭和二十五年度予算について申し上げますが、まず二十五年度日本国有鉄道歳入歳出予算について説明いたします。  以上の諸計画を織り込みました予算総額は、歳入歳出ともに一千五百八十億七千万円でありまして、そのうちには百九十九億九千五百万円の減価償却と取替経費重複金額が計上してございますから、差引きしますと一千三百八十億七千五百万円となり、これを二十四年度当初予算一千三百四億三千六百万円と比較いたしますと、差引純増加額は七十六億三千九百万円となつております。これは人件費については二十四年度同様六千三百円べースの給與水準により、また物件費現行物価ベース昭和二十四年十一月でございますが、それによつてその所要額を計上しておるのでございます。すなわちこの七十六億三千九百万円の増加額を内容的に見ますれば、工事経費においては七十四億四千八百万円の増加となり、経営費においては七億三千万円の減となつておりますのみならず、二十四年度中における電力、鋼材、その他資材値上り等を考慮いたしますと、著しく節約を行つているといえるのであります。  次に物件費の大宗を占める石炭費は、六千カロリーの石炭使用することにいたしまして、一トン当りの單価を三八三〇円、使用量は六百三十五万トンとしたのでありますが、この物件費は六百四十二億一千百万円であります。このほか減価償却費は、二十四年度同様帳簿価格基礎として計算することといたしまして、十七億六千七百万円と特別補充取替費として百八十二億二千八百万円、特別建設改良費として四十億円、利子三十二億二千四百万円、及び予測しがたい事由によつて生ずる予算不足を補うため予備費として十五億円を計上いたしまして、経費総額が一千三百八十億七千五百万円となるのであります。  これに対する財源といたしましては、事業収入では一千三百二十七億九千百万円と、それから病院その他の雑收入が九億六千三百万円、米国対日援助見返資金特別会計から受入れの四十億円と、貯蔵品売却等の諸收入三億二千百万円、以上合計額一千三百八十億七千五百万円でありまして、運輸收入につきましては、臨時国会において御承認を得ました貨物運賃八割増を織り込みました收入でございます。米国対日援助見返資金特別会計からの受入れ四十億円は、予算総則にもございますように運輸大蔵大臣の協議して承認した目的に支出することにいたしております。  第二に債務負担行為でございますが、予算総則第六條に掲示してある通り債務負担行為に関しましては二十四年度同様営業費で九十三億円、建設改良費で三十四億円を必要とするものとしております。  第三に一時借入金でございますが、一時借入金限度については予算総則の第八條に百億円と規定いたしました。これは予算執行に伴う資金の一時的な不足に処するためのものであります。  第四に予算彈力條項でございますが、予算総則の第九條においては、日本国有鉄道収入増加業務量増加に伴う場合においては、予備費使用の例に準じて、運輸大臣大蔵大臣と協議して定める基準により収入の一部を業務のため直接要した経費に充当することができるように規定いたしまして、企業運営機動性を発揮できるように措置をいたしてございます。  次に予算流用でございますが、予算総則第十條においては、従来立法科目として絶対的な流用禁止項目でありました款、項の中の項の移用につきましても、二十四年度予算においては財政法改正によりまして、予算総則において規定すれば移用できることになりましたが、二十五年度におきましては国鉄予算においても項の移用運輸大臣承認を受ければできることとなつたのであります。なおまた同一項内の給料手当に属する経費、謝金及び賞與金交際費は、相互彼此流用運輸大臣承認を受ければ可能となつたのであります。もつとも給料扶養手当勤務地手当超過勤務手当特殊勤務手当寒冷地及び石炭手当金額相互間は、承認なくして流用は可能であります。  第六に、給與準則でございますが、予算総則の第十一條においては、給料以下、寒冷地及び石炭手当総額は、四百五十六億二千万円と定めてあります。この給與総額の範囲内において給與準則を作成することになつておりますが、その給與準則を実施するために、必要があれば運輸大臣承認を受けて増額が可能であることを規定しているのであります。これによつて公務員給與準則とは別に、公共企業体としての給與準則を作成することができるようになつたわけであります。  第七に、貯蔵品保有額でございますが、予算総則の第十三條においては、日本国有鉄道貯蔵品保有額限度については、二十五年度において百億円と規定して、これを二十四年度の百三十億円に比較すれば、三十億円の減少となり、貯蔵品適正保有に努めておる次第であります。  最後に、日本国有鉄道財政について、今後の見通しを申し上げますと、去る臨時国会におきまして、貨物運賃八割の値上げの御承認を得ましたおかげで、過去数年間赤字について騒がれておりました国鉄財政も、ようやく明るい見通しを立てることができまして、しかも今度の国会において目下御審議を願うように準備を進めております旅客運賃の一、二等倍率の変更遠距離低減制の拡張、三箇月、六箇月の定期の割引を通行税改正と見合う限度において調整するということにいたしまして、公共企業体としてのサービス向上に努めますとともに、一方公共企業体としての能率の向上をますますはかつて経営合理化をして経費の節減に努力いたしたい、かように考えておる次第でございます。  以上二十五年度国有鉄道予算大綱について御説明申し上げました。
  8. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 御質疑があれば発言を許します。
  9. 滿尾君亮

    滿尾委員 その前に、予算定員についての数字があれば……
  10. 荒木茂久二

    荒木政府委員 申訳ありませんが、正確な集計したものを持つておりませんので、大まかなことを申し上げますと、いわゆる統制がはずれますので、その関係から人が減るということになるわけでございます。従いまして一番多く落ちておりますのは、物資需給調整関係で落ちておるわけでございます。定員法上の数字はテクニックの問題でございまして、まだきまつておりませんし、なおまたさらに三百人ばかりを落せという今交渉を受けておりますので、定員法上は何人になつて出るかということはまだきまつておりません。結局、結論を申し上げますと、運輸本省海上保安庁を除いたもので、大体七百余りと記憶しておりますが、マイナスになる予定でございます。それから保安庁の関係で大体五百見当が、新たこ船をつくりますので、船員関係が増員になる。こういう勘定になるわけでございます。その他予算の面からは、これは運輸省で拂いますから、そのまま残つておりますが、定員法から申しますと、各府県に移りました陸運事務所定員が落ちておる。こういうことになりますので、大体の見当を申し上げておきます。正確な数字はすぐ持つて参ります。
  11. 滿尾君亮

    滿尾委員 この運輸省の今年度予算をいろいろ御研究になつております過程において、私どもいろいろなうわさを聞いたのであります。相当乱暴な予算定員の削減の原案が、最初出ておるように承つております。一体統制経済わくがはずれますに従つて定員減少するのはあたりまえでありますが、しかしその統制わくのはずれますのは、年度の初めから画一的にはずれるのでなく、漸を追うてはずれるべきであろうと思いますが、その辺につきましては予算上の措置はどうなつておりますか。地方庁に委譲されました地方の陸運局下部機構人たち予算は、二十五年度もやはり運輸省予算に見ておられるかどうか。これは二十五年度はすつきりとして、地方庁に委譲せられるお考えであるかどうか。この点についての御見解をちよつと教えていただきたいと思います。     〔大澤委員長代理退席、委員長着席〕
  12. 荒木茂久二

    荒木政府委員 統制がなくなるに従いまして、その都度落して行くということが最も適当かと思いますが、予算を組む都合上、御承知の通りある段階においての実情と、将来の予想とを加味いたしまして、予算が組まれているわけであります。昨年十一月ごろの現状と、それからその当時において予想されている統制の撤廃というものを、考慮に入れて削られておるわけでありまして、なおその削られたものの相当多くの部分は、二十五年度の当初、すなわち四月一日からではなくて、三箇月間の予算で落す人間の分を組んでありますので、実際の人員整理は四、五、六と六月末日までにかたをつけて予算定員に合せる、こういうことになつております。  それから第二番目の問題でございますが、これは地方にやりましたけれども、国家公務員でありますので、地方事務官——地方技官と称しておりますが、地方公務員ではありませんので、二十五年度分につきましても、国の経費として計上してあるわけであります。
  13. 滿尾君亮

    滿尾委員 そういたしますと、地方庁に委譲されました陸運関係職員は、形式的にはやはり運輸省所管予算に計算されるわけですね。そういたしますと、ここに陸運局で四百三十三人落すということになつておりますが、これをもつてしましても、なおかつ運輸省の本予算は地方の予算を含んでおるわけですね。
  14. 荒木茂久二

    荒木政府委員 やはり含んでいるわけでございます。
  15. 滿尾君亮

    滿尾委員 国有鉄道の問題について一言お尋ねいたしたいのであります。ただいま足羽局長の御説明によりまして、四十億の対日見返り資金の方からの繰入れが計上されている。しかるにその使途につきましては、運輸大臣大蔵大臣が会議してきめるのだ、こういうことになつているようです。これについて予算総額において、すつかり予定があるのでありますか。この四十億は予算の両方の勘定の見合いにおきましては、どういう使途になつているのでありましようか。支出の手続として両大臣の協議を必要とするということだけをおきめになつたのであるか。支出の対象、つまり内容というものを未定の状態で、四十億を計上しておるのであるか。その点について御見解を承ります。
  16. 足羽則之

    足羽政府委員 四十億は、ただいま御説明申し上げました総額の中に入つておるのでありまして、ただその内容を何に使うかということについて、運輸大臣大蔵大臣と協議をして定める、こういうことになつております。
  17. 滿尾君亮

    滿尾委員 そういたしますとこの四十億は、予備費の性格のものでありますか。予備費は大体ここに十五億ぐらい計上になつておつて、四十億出ておらぬ。私は今の政府委員の御説明はちよつとふにおちないのでありますが、両大臣と何に使うか協議させるということは、この支出の手続をきめたのであつて、この四十億が何の目的に使われるかということは、大体予算面の符合の関係からしまして、どこかに含まれていなければならぬ。予備費は四十億を含んだ金額があればいいけれども、予備費が十五億であつて目的がきまつておらぬということは、ちよつとおかしいように考えるのですが、さらに教えていただきたいと思います。
  18. 足羽則之

    足羽政府委員 四十億は、実はこれをどういうふうに使うかということが、予算提出いたします前までに実ははつきりきまりかねたので、こういうかつこうに出たのでありますが、これをどういうものに使うかということについては、目下関係方面折衝中でございます。これは予備費的な性格のものではございませんので、この予算にも上つておりますように、特別建設改良費でございまして、そういう項目で工事勘定の中に上つておるのでありまして、その内容については目下折衝中でございますが、大体今までの経過では、そのうちの約二十三億五千万円でございますが、これは信濃川の発電の山辺の発電所の工事に持つて行くことが、大体御了解を得られそうでございます。なおその残額につきましては、目下いかなる使途に向けるべきかということについて、いろいろと計画して折衝いたしておるわけでございます。
  19. 滿尾君亮

    滿尾委員 そういたしますと四十億というような相当なもの、それは全体として建設改良目的に使うのだ、工事費に使うのだ、そのわくはつきりしておるが、その内容がきまつておらぬということになりますと、予算を御提出になるときに、相当大きな内容についてブランクのまま御提出になるということになつて、私は予算審議上これは非常におかしなことと思う。また具体的にどういう工事が来年度において現実に必要であるというめどが立たぬままに、対日援助資金から相当な金額を繰入れるということは、これまた非常におかしなことである、何のためにそういう措置を必要とするのであるか。大体予算の計上というものは、具体的にこれこれの仕事をするから、この経費が必要だというふうに考えて、私は予算というものが編成さるべきものではなかろうかと思う。何かわからぬけれども建設改良目的のために一定金額をあてがうのだ。あてがつてから、さてこの金は何に使うかということを今から考えるということは、これは非常に本末顛倒したお話で、どうしてもおかしなことじやないかと思うのです。そういたしますと対日援助資金を国鉄がそんなに緊急に感じておらぬのにかかわらず、むりにこの四十億を対日援助資金からつつ込んだということにつきまして、私は非常にふにおちない点がある。そこに何らかの政治的な含みがあるのか。どうも事務的に割切れぬ感じがいたすのでありますが、このことは昨日の委員会にも御質問申し上げた例の四十億の支出に関連いたしますので、特に事務当局といたしまして、この四十億の使途につきましては、どういう考え方を持つておられるか、お伺いしておきたいと思います。
  20. 足羽則之

    足羽政府委員 実は当初国有鉄道工事勘定予算計画いたすときに、一番初め二百四十億の予算を組んで進めて参りたい。こういう希望をもつていろいろ折衝いたしたのでございますが、折衝の過程において、それが二百億の工事内容まで、実は査定されたわけであります。ところがその後いろいろな折衝の過程を経まして、財源としてこの四十億が入ることになつたのでございますが、しかし工事の方の面の査定といたしましては、二百億に査定された工事に、さらにこの四十億について、何にそれを使うか。どういう工事を進めるかということは、新しく交渉を始めなければならぬ。そういうかつこうになつたわけであります。従つてこの四十億については、予算国会提出いたしますまでに、実はその打合せなりその査定が完了いたしませんので、こうしたかつにうで出したことになつておるわけでありますが、そのあとどういう工事に使うかという内容については、ただいま申し上げましたような経過で、まだそういう現状になつております。
  21. 滿尾君亮

    滿尾委員 私は以上で終ります。
  22. 稻田直道

    稻田委員長 ただいま満尾君の質疑の内容は、日程第一に含まれておるようなものだと思いまして、御注意しようと思つたのですが、済んだらそれでよろしうございます。
  23. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 満尾君の質疑に関連をするのでありますが、御説明の文句を見ましても、なおそのほかに対日援助見返賞金から受入れる特別の資金が四十億円ございますと、特別の資金がというこの文句等から考えて見ましても——実は私昨日予算の方に行つておりまして、こちらに出なかつたので、同じ質疑をなさつた方があるかもしれませんが、対日援助見返資金から受入れる特別の資金などという文句を使つてあるところを見ますと、どうしても出資ということについての疑問が解けないのでありますが、やはり補助金とかあるいは借入金とかいうような名目に変更して使うわけに行かないのかどうか。ここらがどうしても割切れない気持がいたすのでありますが、その点について率直に御説明をいただきたいと思います。
  24. 足羽則之

    足羽政府委員 ただいまの御質問でございますが、これはこの委員会において数回御説明を申し上げた通りでありまして、本年度におきましては見返り資金使用方針として、公企業に対してのみこれを交付して、返還させないで行く。こういう政府の方針のようでありまして、国有鉄道としてはこれを出資として受入れる。返還を要しない資金を出資といたしませんと、利益の対象になるのだそうであります。受入れる側といたしましては、これを出資として受入れる。こういうことで先般から実はるる御説明申し上げた通りでございます。
  25. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 なるほど利益の対象として、税金等をとられると困るという事情はわかるのであります。ただそういつたような一種の便宜主義のために、あとに不可解な——不可解という言葉は当るかどうか知れませんが、どうもはつきり解釈できないような印象を残したやり方で受入れるということは、国民の間からもあるいは思わざる批評というか、非難というか、そういうものが出そうな気がするのでありますが、その点については国民に納得させるほどの説明ができて、何にも不安がない。こういうことに解釈していいわけでありますか。
  26. 足羽則之

    足羽政府委員 ただいま利益の対象となると御説明申し上げましたのは、これは附帶的な説明でありまして、やはり根本は、今年度の公企業に対する見返り資金使用方針でございます。なお先般も御説明申し上げましたごとく、法律上ははつきりこれは政府からの国有鉄道に対する出資でありまして、その点私たちは見返り資金からの出資というふうでなく考えておる点も、先般御説明申し上げた次第であります。
  27. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 それではもう一点それについて伺つておきますが、政府からの出資とはつきりいたしておるのでありますならば、さつき御説明がありましたように、関係方面といろいろ折衝をした上で、どういう目的に使うかという、その使用目的をきめなければいけないというところまで、いろいろなめんどうな、さしずという言葉が当るかどうか知りませんが、そういうことをされる必要はなさそうに思うのであります。これは重ねてつけ加えて申しますが、補助金とか、借入金とかいう名目でありますならば、むろん御相談を申し上げ、さしずを受けてやることは当然でありますけれども、單なる日本政府からの出資でありますならば、そこまでのめんどうな手数をかけなくてもよさそうに思うのであります。その点についてもう一ぺん伺いたい。
  28. 足羽則之

    足羽政府委員 これが政府からの出資金であるということと、それから工事勘定のどういう工事に使うかということについての折衝関係方面といたすということは、実は全然別個な問題でありまして、工事勘定の財源をどういう工事に使うかということについては、予算の内容をどういうふうに組み立てるかという点について、関係方面との折衝を必要とするわけでありまして、その点は特にこの四十億の金だけではないので、工事勘定全体について関係方面といろいろ折衝を重ねるわけなのであります。全然その点は無関係考えていただいてよかろうと考えます。
  29. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 今の点は、全然関係がないように心得てよろしいということでありますから、一応この問題はこの程度で、あとの機会に譲りまして、この御説明の中に、物件費の大宗を占める石炭費は、六千カロリーの石炭使用することにして、一トン当り單価を三千八百三十円、使用量は六百三十五万トンとしたのである云々という、この項目についてでありますが、昨年の石炭はたしか五千七百カロリーのものを使われたと記憶いたしておるのであります。その五千七百カロリーの石炭を使う場合と、六千カロリーの石炭を使う場合との、使用量の差がどのくらいのものがありますか、また金額にしてどのくらいの差がありますか、その点をお伺いいたします。数字でありますから、御即答ができなければ、あとでもけつこうです。
  30. 足羽則之

    足羽政府委員 資料がありませんから、あとで調べて申し上げます。トン当りは二百三十五円かになつておるそうであります。
  31. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 そうしますと、六千カロリーの石炭使用することにして、使用量が六百四十二億一千百万円、こういうのでありますが、近い将来に六千カロリー以上、具体的に申し上げますならば、六千二百カロリーというような、もう少し優秀な石炭を使えるお見込がありますか。またそういうものを使うといたしますれば、相当経費節約ができると思うのでありますが、その点についての具体的な御計画があるかどうか、これを承つておきたい。
  32. 足羽則之

    足羽政府委員 炭質はだんだんよくなる見込みであろうと思いますが、これは予算の平均單価でありまして、そのときどきによつて、あるいは六千カロリーの場合もございますし、あるいは六千カロリーを越す場合もございまして、そのときどきの入札の価格についても差がございますので、あるいは非常に石炭がよくなつて、あるいは入札の価格が予算の予想よりも少くなつて、非常に節約になるという場合を考えられるかと思いますが、それは将来の問題で、今はつきりとそういうふうな見通しであるかどうかという点は申し上げかねると思います。
  33. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 この点は大体わかりました。そこで給與準則についてもう一つ御質問申し上げたいのでありますが、予算総則第十一條においては、給料以下寒冷地及び石炭手当総額は四百五十六億二千万円に定めている。この給與総額の範囲内において給與準則を作成することになつているが、その給與準則を実施するために必要があれば、運輸大臣承認を受けて増額が可能であることを規定しているということは、増額をなさる見込みがあるか、またなさる計画があるのかという点が一点と、これによつて公務員給與準則とは別に、公共企業体として給與準則を作成することができるようになつておりますが、その場合に、公務員の給與準則公共企業体給與準則との関係、たとえばどういうふうな違つた点が出て来るか、どういうふうに関連した点が出て来るか、これらの点について御説明を願いたいと思います。
  34. 足羽則之

    足羽政府委員 先ほど御説明を申し上げました給與準則に関する條項は、予算総則の十一條にあるのでございますが、少しく詳しくその條文を読んで御説明いたしますと、この予算基礎なつている給與準則を実施するために必要を生じた場合において云々、運輸大臣承認を経たときはこの変更ができる、こういう意味に十一條は規定してあるわけであります。そこでこれはこのベースを変更して、十一條の給與総額をかえる、こういう趣旨ではございませんので、給與準則に定まつているものを実施する必要が生じて、この給與総額を越えるような場合に、その変更運輸大臣承認によつてなし得る、こういう意味であります。従つて今後これを増額するつもりかどうかという御質問でございますが、それはそういう必要が生じた場合にはこの條項によつて増額し得ると考えます。  なお国有鉄道給與準則と一般公務員の給與との関係はいかんという御質問でございますが、先般改正の御協議を願いました国有鉄道法の四十四條で、給與準則国有鉄道がきめなければならぬということを法律に規定したわけでありまして公共企業体たる国有鉄道給與準則国有鉄道の総裁がきめる。従つて観念上これは国家公務員の給與とは別個なものをきめ得るもの、こういうふうにわれわれは考えております。ただその給與準則にきめる内容はどういうものであるかと申しますと、先ほど御説明を申し上げました本給あるいはいろいろな諸手当、そういうものが給與準則に現われるということになる、こういうふうに考えます。
  35. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 その点は一応了承いたしました。それから運賃の問題でありますが、先般きめました貨物運賃八割の増額によつて、輸送量との関係がどのくらい違うか。上げたために、上げなかつたときとどのくらい違うか。大ざつぱでけつこうですが、おわかりでしたら伺つておきたいと思います。
  36. 足羽則之

    足羽政府委員 実は正確な最近の数字を持つておりませんので、はつきりした御返答はいたしかねるのでありますが、先般の運賃改正の御審議を願いました際に、予想といたしましては、値上げ後の貨物の輸送量は三%の減を見込んでおつたのでございますが、しかし改正後の最近までの実情は、数量において、やや見込みより少いかと思います。しかし收入においては、ほぼ予定の成績を上げておる。最近までの数字では、少し落ちておるようではございますが、しかし何分まだ改正をいたしましてから日数も短うございますので、そうした経過、推移は、もう少し時日をかして見なければならない。ただ大体においては予定通り順調に参つておるのではないか、こういうように観測をいたしております。
  37. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 それでは希望を申し述べておきますが、大体昭和二十二年ごろから以後の旅客運賃を上げました際と上げなかつた前どの関係、それから貨物運賃にいたしましても、運賃を上げた後と上げなかつた前との、今申しました輸送量その他に関する参考になるものを、なるべく早い機会のお手すきにお示しを願います。将来のこれらの計画にたいへん参考になるかと思いますので、その点希望を申し上げまして、私の質問を打切ります。
  38. 稻田直道

    稻田委員長 ただいま運輸大臣の御出席を特に願つたのですが、大臣なかなかお忙しいそうで、十分か十五分くらいでというお話でありますから、ただいまの運輸省関係予算問題は、本日は一応これで質疑をとどめておきます。      ————◇—————
  39. 稻田直道

    稻田委員長 では次に、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたし、前金に引続き質疑を行います。満尾君。
  40. 滿尾君亮

    滿尾委員 この法律につきまして、私は大体三つの点について運輸大臣にお伺いいたしたい。  第一は、対日見返り資金というものは、講和会議ができましたあかつきにおいては、一体どういうふうになるお見通しを持つておられるのか。つまり講和会議以後におきましても、見返り資金で融通してもらつた資金が、債権として残るのであるかどうか。あるいはそのときに帳消しにして日本にくれつ切りになつて、講和会議後には痕跡をとどめないというお見通しであるのかどうか、この点が第一のお尋ねであります。  第二のお尋ねは、この対日援助資金によつて、いろいろ日本の復興を助けていただくのは、非常にけつこうなことでありますけれども、これを導入いたしまする事業につきましては、相当に愼重に考えなければならぬ面があるのではなかろうか。これは第一問の御答弁の結果に関連するのでありますが、ただ金が必要だからといつてすぐ飛びつくのは、どうであろうかということを考えられる向きがある。私の考えでは、地方鉄道、軌道、たとえば具体的に申せば、東京の地方鉄道を開設するためにこの援助資金を非常に導入するとか、あるいは大阪の近畿日本がこれを非常に利用するとか、あるいは観光事業にこれを入れるとかいうことは、陸運の面においては非常にけつこうだと思いますが、国有鉄道にこの資金を導入いたしますことは、ただいま申し上げましたような事業に導入いたしますこととは、いささかその性質を異にするものがありませぬかということを考えておるのでありますが、この点について大臣はどういうふうにお考えなつておるか。これが質問の第二でございます。  第三に、国有鉄道というものは、パブリック・コーポレーシヨンの事業形態をとつておりますけれども、これは政治、経済の根幹をなすところの事業でございますから、もしどうしても資本が必要であれば、われわれの汗によつて蓄積しましたところの資本によつて、この事業をまかなつて行きたい。そうすることがほんとうにわが国の真の独立を将来に確保するゆえんである。従つて、国鉄に対しては、アメリカといわず、どこの国といわず、一切の外資を御遠慮申し上げて、日本国民の自力によつて蓄積した資本力によつてこれを維持して参りたい、あるいは発展させて参りたいと考えておるのでありますが、大臣はこの点についていかなる御見解を持つておりますかどうか。  これを要するに、私の三つのお尋ねというのは、今回御提案になりました法律が、形式的には政府の出資であつて必ずしも対日援助資金が国鉄に投資するのではないかというふうに、一応法律技術的には逃げてあるように思われますけれども、ここに非常に微妙な関連性がある。この点について国民の一人として、非常に心配をいたしておるわけであります。ただいま運輸省予算につきましても、この価が出て参りましたので、政府委員にお尋ねしたのでありまするが、この四十億の金を使う具体的な目途というものは、まだ立つておらない。一部については大体引当てがある。しかし他の半分くらいにつきましては、まだこれから運輸大臣大蔵大臣と相談してきめるという、実にふしぎな予算の編成である。こんなべらぼうだ編成の仕方はない。なぜならば、具体的にこういう仕事をしなければならぬという支出を先に予定して予算を編成すべきだ。わくを先に切つて、さてこれから何に使うか、主務大臣が相談するのだという、かような変則的な予算編成までして、この資金を導入しなければならぬかということにつきまして、その疑惑を深くするものであります。
  41. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 満尾君のただいまの三点の御質問にお答えいたします。  第一点は見返り資金の性質であります。これはもう見返り資金勘定が設定されました以来、あらゆる機会におきまして質疑があるのでありまするが、かつて一度大蔵大臣が何か決定的のことを言つたやに——私は記憶が正確であるかどうかちよつとうろ覚えですが、大蔵大臣が決定的のことを言つたようなことがあるように記憶しておりますが、政府全体といたしましては、この見返り資金ははたして債務であるか、あるいは償還の義務のないものであるか、全然何も先方から意思表示を聞いておらないのでありますから、従いましていわゆる通俗の観念といたしましては、講和談判の際にこれの性格がはつきりできるのじやないかというように、従来通念の解釈をいたしておるのでありまして、私は今でもやはりどつちになるものかわからない。従つて講和條約の際にでもこれが解決さるべきものである、かように考えておる次第でございます。  第二点の御質問でありまするが、これは満尾君がただいまあとの方でお述べになりましたが、いわゆる金の出どころのせんさくは、やはり見返り資金から四十億の交付金をもらつておるのでありますが、これはあくまで日本政府の国鉄に対する交付金、すなわち日本政府の出資でありまして、これはいわゆる政府を通じた形の金が、国鉄の方に人づて参りますのでいわゆる外資なるものが直接に各種の事業に入つて行くのと、趣が異なつておるのであります。従いましてかりに出方は外資から、いゆる見返り資金から出ておりまするが、これが後日回収されるとか、あるいは外国資本がこの形で入つてつたのだとかいう心配は、私は毛頭いたしておりません。いわゆる政府の出資金である。従いまして現在国鉄が所有いたしておりまする各種の財産、五十数億のものと同じ性質の政府資金であるというふうに考えておりますから、後日これが回収をされるというようなことは、私は微塵も考えておらないのであります。第三問のお答えにも多少触れましたが、結局これは民間会社が外国の資本をつまり、ダイレクトに受入れる。俗にいう外資導入とは、この四十億円の出資金の行き方は違うのであります。政府の見返り資金勘定から金は一応出ておりますが、あくまで政府の出資金でございますので、いわゆる国鉄の資本が外資によつてまかなわれる。簡單にさように考えるべき性質のものではないと私は考えており、あくまで政府の出資金である。たまたまその出どころは見返り資金から出ておるというように御解釈願いたいと思います。従いまして、これがすなわち第三の満尾君の御質問に対しまする回答となろうかと思うのでありますが、俗にいう外資の導入というものは、ダイレクトの形で来るが、これは政府が消化して、政府の出資金であるということでございます。それから国鉄のごときは、外資によつてこれを運営するということは避けて、あくまで自己の資本によつてやるという考え方でありまするが、私もそれに対して賛成でございます。しこうして今回の交付金は、決して外資が導入されたというふうには考えておらないことを御了承願います。
  42. 滿尾君亮

    滿尾委員 運輸大臣の見解は大体わかりましたが、この見返り援助資金の性格が、講和会議までわからぬ状態において、こういうふうに大胆に踏み出すということは、私は政治家としては相当に冒險であると考えます。どうしても私は日本政府側として、関係方面に率直にこのことについて意見をただされたらどうか。こちらの方で暗中模索してどういうものかしらんなどと考えていないで、どういう御意向であられるのかということを切り込んで明確にしていただくことが、ほんとうに将来の日本の再建のために必要なことだと考えますが、この点について大臣の御意見を伺いたいのであります。  それからたるほど法律的には、見返り資金と今回の政府出資とは一応切れておることは、私もわかつておるのでありますが、それは純粹に法律技術的な面において切つておるだけのことでありまして、こういう問題は、私は政治的な含み、政治として取扱う面がありまして、その点について弁護士の世界ならいざ知らず、具体的な政府の政策としてこれを取上げるときには、法律的な面に政治の面というものが加わるべきだと思います。運輸大臣の御答弁は、遺憾ながらあまりにも法律的、技術的なお考えであつて、全体を総合して考えた場合には、この問題は政治の面の方が勝つと思う。その意味で私どもは国民の一人として非常に心配いたしておるのであります。この二点についてもう一ぺん大臣の御信念を伺つて、私の質問を終りたいと思います。
  43. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 見返り資金は後日返すべきものであるか、あるいは俗にいうもらいつぱなしになるものであるかということは、しばしば申し上げておるのでありまするが、それを政府がつつ込まずに、疑問のままにしてその金を使うのは、まことにけしからぬではないかという御質問でありまするが、この見返り資金の制度は、戰勝国のアメリカが、欧州復興に対しましてもいろいろな形でこれと同じようなことをやつておる場合がありまして、償環しないでそのままもらつておるものもありまするし、あるいは返すという形になつておるものもありまするが、日本の場合におきましては、こちらからも質問をいたしませず、先方からもおそらく切り込んでお話がないのかと思うのでありまするが、要するにどうなるものかわかつておりません。これ以上何ぼつかれても、これは事実がそういう事実になつておるので、これは別に何もつつぱねるわけじやないのですが、満尾君が国会議員として、プライベートにだれかに会う機会でもあつたら、お聞き願つたらけつこうだと思うのでふります。要するに政府といたしましては、もう大分になりますが、先方の意見を何ら聞いておりません。  それから第二点の、先ほどの御質問で御答弁を漏らしましたが、四十億の金を運輸大臣大蔵大臣が協議をして使うという、実にどうも茫漠たる予算のきめ方は、在来の例にないじやないかという御質問ですが、まことにその通りなのであります。ちよつと速記をとめて……
  44. 稻田直道

    稻田委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  45. 稻田直道

    稻田委員長 速記を始めてください。
  46. 滿尾君亮

    滿尾委員 たいへん親切な御答弁でありまするが、どうもその点大臣せつかくの政治的含みのある御答弁でありまするけれども、国鉄の事業遂行しいうものは、いわば純粋な経済的な仕事でありますから、そういうようなむずかしい予算の組み方をすることは、国の事業として、あるいはコーポレーシヨンの事業といたしましても、非常に不明朗な気がする。電化のことも、ついこの間から伺おう伺おうと思つてつたのでありますが、電化のようなわが国国民経済から見て、最も緊急に取り上げなければならぬことが、前年度予算より著しく本年に削減されておる。こういう大義名分の立つような仕事を、かような不得要領なあいまいな方式で遂行しなければならぬということは、私は運輸大臣所管事項におきまして、実に奇怪至極なことだと考えるのですが、なぜもう少し率直平明な形で遂行されようとしないのでありまするか。その点を御教示をいただきたい。
  47. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 速記をとめてください。
  48. 稻田直道

    稻田委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  49. 稻田直道

    稻田委員長 速記を始めてください。
  50. 林百郎

    ○林(百)委員 この国鉄への見返り資金の投資でありますが、投資の條件については、償還の條件、あるいは利子の條件、こういう條件はどういうふうになつておりますか。
  51. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 これは政府の出資金でありますから、利子も償還も何もございません出資金であります。
  52. 林百郎

    ○林(百)委員 そうしますと、これについては全然将来償還する必要もないし、利子も拂う必要がないのか。あるいは考えようによると、いつでもこれは回収するというようなことになるが、回収されるということになると、その点は危険があるのか、あるいはむしろ有利と考えるべきか、そういう條件がきまつていないだけに、いつどういう條件がそれにつけられるかわからないのであります。
  53. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 これは少し変なたとえですが、ちようど株式会社の増資みたいなものでありますし、株式勘定で出すのであつて借入金ではございません。いわゆる国鉄が四十億政府の出資を受けましたので、これに対して利子を拂う必要もなければ、またこれに対して政府からいつ引上げられるという條件も何もない、單純な出資金であります。
  54. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、先ほども質問が出ましたように、これの運用でありますが、この運用については、全然関係方面と打合せすることなくして、運輸大臣大蔵大臣の会議だけでできるものかどうか、この点も率直にひとつ御答弁願いたい。
  55. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 この予算に繰入れました資金の使途につきましては、関係方面折衝をいたす必要がございます。しかし性質は嚴として出資金であります。従いまして予算の一部になつておりまするから、やはりこの使途につきましても、他の予算と同様な地位に置かれておると御了解願います。
  56. 林百郎

    ○林(百)委員 同じ予算に組まれておるものの中でも、たとえば厚生関係予算だとか、教育関係予算だとか、こういうようなものは非常に自主的に使われるのでありますが、見返り資金が国鉄へ投資されるという場合に、第一に見返り資金の幾らを国鉄に投資するかということ自体、関係方面の意向を参酌しなければならないし、さらに見返り資金が投資された後の、その見返り資金の運用についても、関係方面との打合せ、了解なくしてはできないと思う。だから他の普通の予算資金の運用とは、よほど違うと思いますが、その点を伺います。
  57. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 それは違わないと御解釈願います。つまり予算の一部でありますので、やはり国鉄の予算が相当厖大な予算をとりますが、早い話が自主性があるのであります。しかし実際は一々こまかい点に対しましても、関係方面との折衝を必要といたし、また実際やつております。従いまして、これは予算の一部でありますがゆえに、やはりこの四十億の使途につきましても、関係方面折衝を持つべきものであると御解釈願います。これが出資は見返り資金であるがゆえに、特別に関係方面との何らかの制約があつて、これをしなければならぬという意味でなしに、予算の一部として他の予算と同じ意味合いにおいて、関係方面折衝をするというふうに御解釈願いたいのであります。
  58. 林百郎

    ○林(百)委員 そうするとたとえば、あなたが言われたところの信濃川の開発に使う、あるいは電化に使うというようなことも、これはやはり関係方面との了解のもとになされるのであつて、そこは大蔵大臣とあなたとの間の関係だけでは解決し得ないと思います。その点も一応念のためにお聞きいたします。
  59. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 お説の通りでありまして、やはり電化を根本的にやるならば、基礎條件が整つておるかどうかという点に対して、まだ議論があるようなわけであります。従いまして、この金は大蔵大臣運輸大臣折衝いたしますが、もちろん林さんのおつしやつた通り、先方の了解を得なければ使えないものと考えております。
  60. 林百郎

    ○林(百)委員 将来国鉄が資産の再評価などをされまして、持分の決定とか、そういうような問題がある場合には、大体一兆億と資産が再評価されるというように、きのうも関谷君が言われたようでありますが、資算再評価と持分との関係について、このたび投資される四十億の見返り資金は、どういう関係になるか、この点をお聞きいたします。
  61. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 これはつまり株式会社の増資と同じように、平たく解釈していただければよいのであります。つまり今まで日本政府が国鉄の現有財産を、張簿価格で五十何億円かで出資しておりましたが、さらに今度四十億出資しますから、その四十億が後日何らかの資産に化けた場合には、従来のものと同じような意味合いの国鉄資産になりますので、持分という地位は全然溶け込んでしまいまして、株式会社の増資と同じだと御解釈願つたらいいと思います。
  62. 林百郎

    ○林(百)委員 時間もありませんから簡單に聞きますが、そこがどうもはつきりしません。あなたの言うようなことになると、まるで国鉄の資産の一部となるようでありますが、やはり投資なんですから、将来の利潤が保証され、償還の條件が保証され、持分が決定される場合には、それに対する持分というものを考えなければいかんと思いますが、これはあくまで投資であつて、全然国鉄の資産の一部にかわつてしまうわけではないのであります。その点をはつきり伺いたい。
  63. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 投資というと感じはぴつたりきませんが、これはたとえますると、今まで五十億円が政府から出資されまして、今回四十億円の現金が出資をされます。そこでその現金が物にかわります。そうすると資産再評価をいたしますると、前の政府から投資された五十億のものが一兆なにがしになり、四十億が物に化けた場合、資産再評価して何がしの金になり、合計して一兆何億といたしますると、つまり前のものが五十億として、今度のものが四十億とし、九十億のものが化けてバリユーが一兆億になつたとすると、今度の四十億のものが持つ財産的な価値は、九十分の四十億を一兆にかけたものと、こういうふうにそろばんではなりましよう。しかし持分という形ではなく、溶けてしまつて、資産になつてしまうのでありますから、持分という観念は私どもは考えておりません。
  64. 林百郎

    ○林(百)委員 そうしますと見返り資金は、将来日本の債務として残るわけです。これは償還しなければならないということは、阿波丸協定の付属協定や何かで言つております。また大蔵大臣も、大体原則として、見返り資金は将来日本の債務として償還しなければならないということを言われているわけであります。そうするとこの見返り資金の一部が入つて来たものは、将来一体償還されなければならないものかどうか、国鉄のもらつたものと考えているのかどうか、その点をお聞きいたします。
  65. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 私は大蔵大臣がそういうようなことを言つたことを、新聞で見た記憶があります。それを大蔵大臣がそういうように言つたのでしようが、日本政府といたしましては、見返り資金の性格をまだ何ら突きとめておらぬのが実情であることを、私から林君に申し上げておきます。従いましてこれが後日償還を必要とすべきものであるかということは、今むろん考えておりません。
  66. 稻田直道

    稻田委員長 林君簡單にお願いします。
  67. 林百郎

    ○林(百)委員 非常に重要な点ですから、もう少しお聞きします。阿波丸の請求権を放棄したときの阿波丸協定の附属條項の中に、吉田首相とシーボルト議長の間にも、援助資金は将来日本の有効な債務として残つておるのだということをはつきりうたつてあります。それから今度見返り資金から興銀、勧銀その他特殊銀行で、やはり五十二億ほど投資されますが、これは大体十年間で償還することになつております。すべてやはり償還の條件がついておる。国鉄のこれだけ将来償還なんということは考えないでいいということは、少し楽観に過ぎるか、むしろ無責任ではないかと思われるわけです。そこで将来償還される場合に、これが一兆億に化体したという場合、溶け込んでしまつた場合、償還するのはわずか五十億だけ償還すればいいのか、あるいは一兆億の八十九分の四十ですか、これだけ償環されることになる。これは真剣にひとつあなたに考えておいてもらわないと、重大な問題になると思う、この点をひとつ承つておきたい。
  68. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 これはいわゆる政府が金の出所を見返り資金からとつて、その金を各銀行に貸しつける場合に、利子をとるのは当然でありまして、政府というある一種の媒介体をここに通して、政府の責任においてやつておるのですから、この出所が国鉄の場合には、これは出資金で、国鉄に現物出資を五十億したと同じように、見返り資金から政府の責任において出資をいたしておりますので、いわゆる銀行に貸す場合とこの場合違うから、やはり銀行に貸すように後日償還の責務があるというあなたの類推理論は、この場合成立たないと考えております。政府の責任において出資をいたしましたものが、後日見返り資金がかりにいかようになりましても、この四十億の金は日本政府と国鉄の関係ということに限局されると考えております。
  69. 林百郎

    ○林(百)委員 私はあなたが国鉄の経営者なら、まだ一応わかります。しかしあなたは政府の一員なんです。あなたは貸せる方なんです。貸せる方が将来どうするかということを考えないということは、秋山さんがあなたの言うことを言うならわかります。政府から貸りた金だから、私の方の関係政府関係です。しかしあなたは政府なんです。しかも見返り資金の今度の投資を、どこを見ても償還しなくていいというのはどこにもない。あなたの話を聞くと二つの問題がある。一つは一応政府という機関を通ずるのだから、もう見返り資金の性格はなくなつてしまつて、まつたく純粹な政府の出資だと言われておりますが、これはやはり見返り資金というひもは、どこまでもついているのではないかと思う。だからこそわれわれはこの法案で、特に米国対日援助見返資金特別会計からする、こういう法案だということで、独立法案として出しておるくらいだから、これは普通の政府出資と違うと思う、それが一つ。もう一つはあなたが政府立場として、将来この国鉄に対する四十億の対日援助資金の出資をどう考えるかということ、将来どういうふうに返済しなければならないかということも何もわからないで金を借りるということ、しかもそれをわれわれが見のがすということは、国会議員としてはできないと思う。だからその責任のあるあなたの答弁を聞いておきたい。
  70. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 その点は何べん申し上げても同じで、見返り資金の性質はしばしば申し上げた通り、返すべきものか返さなくてもいいものかは、今のところ何らわからないのであります。聞いてもおそらく言わないだろうと思います。
  71. 林百郎

    ○林(百)委員 結論をつけます。そうするとまつたくこれは関係方面の意向であつて、今のところ日本政府が何ともきまらぬということですね。そう解釈していいですか。
  72. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 見返り資金の性質が、ああいう御承知のようなルートを通つて出て来た金でありますので、これはいわゆる日本政府が国民からとつた税金でもありませんし、あるいはその他の国有財産の収入でもなし、あるいは専売収入でもありません。一種独特なああいう形から生れた金なのでありまして、日本政府が額に汗した金でないことは事実、援助物資を御承知の内地に売りました金の差金でありますから、そういう性質の金で、これがいわゆるカウンターパートフアンドというもので、これは今まで申し上げた通り世界にいろいろな借款を受けた例がありますが、いろいろな例がありまして、返したところもありますし、返さぬところもあります。日本政府の分は、今まで性格が先方の行政府との間に何らとりきめがしてないということは事実なんで、これ以上は何べん言つても同じであります。
  73. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 関連いたしますが、運輸大臣に、こういうふうに了承してよろしゆうございますか。私どもも予算委員会等で、総理や大蔵大臣からしばしば説明を聞いてみて、ヨーロツパ等における例を見ると、援助資金というものは返さない方の例が多くて、返すことになつたのは一二の例しかない。こういうことを大蔵大臣からしばしぱ予算委員会で聞いたのでありますが、そういうようなものであるから、日本政府とアメリカとの間には、まだはつきりどうというきまりはないのであるが、林君が心配せられるように、将来この対日援助資金を返さなければならないものと、かりにそういうふうになつた場合は、日本政府とアメリカとの関係によつて、これを処理するのであつて、国鉄の中に出資した四十億というものは、直接アメリカには何ら関係がない。その問題がかりに出た場合は、政府とアメリカの関係であつて、国鉄とアメリカとの関係ではないから心配はいらない。こういうふうに了承してよろしゆうございますか。
  74. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 私のくどくど言つたまずい思想を、尾崎君によつてみごとに整理していただきまして、まさにその通りであります。
  75. 關谷勝利

    ○關谷委員 ただいま尾崎委員からの問に対して、運輸大臣はその通りであるというふうに言われておりますが、私昨日も響くいろいろ質問をいたしましたので、もう簡單に申し上げたいと思いますが、大体見返り資金の性格はわからぬ、そうしてこれは一応政府のものになつて、今はつきりしたように、国鉄と対日援助見返り資金とは決してつながるものではないのだ。こういうふうに出ておりますけれども、これは国鉄の予算の中にも、それならば対日援助見返り資金と書かなければよいのに、それがわざわざ書いてある。やはり一連の関連性を持つというふうな疑いがどうしてもさしはさまれる。ことに政府が、これは政府のものである、一応政府の金になつたから性格がかわつて来たので、見返り資金ではないのだ、直接なものではないのだということにするためには、一応一般会計に繰入れて、そうしてこれから出すということならはつきりしておるのであります。そういうことを講ぜずして、いたずらに理論を繰返したところで、国民の疑念というものは残るのです。そこで私はどうしてもこれは、そういうふうな議論の多いものをそのままにしてこれを通して、将来に禍根を残すようなことがあつてはならないというふうに考えるので、私は一応まず特別な方法は借入金にすることが一番いい方法、急ぐのでいけないならば一応一般会計に繰入れて国鉄に出してもらいたい。それができなければ再評価した後にこれを出資をする、こういうふうにしてもらいたい。もし金が急ぐためにそういうことができない、こういうことになるならば、但書にでも再評価した場合にも、この金額は依然として四十億であつて、決してこれが八十九分の四十という形を持たないのだ、こういうことの但書をするか。何らかの方法で疑念のないような方法をとることが、最も賢明な方法であると思う。その以外にこの論議はいつまでたつても押し問答のようなことになりますので、このうちのどれかの方法を選ぶかということをお聞きしたいと思います。
  76. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 恐縮ですが、また速記をひとつとめていただきたい。
  77. 稻田直道

    稻田委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  78. 稻田直道

    稻田委員長 速記を始めてください。  本日は本案の質疑はこれをもつて打切ります。  残余の日程でありますが、小委員長並びに小委員の発表は、小会派の方にまだ委員のきまらぬ点もありますし、これはまた次回にいたしたいと思います。次回の開会は公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十分散会