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滿尾委員 この法律につきまして、私は大体三つの点について
運輸大臣にお伺いいたしたい。
第一は、対日見返り
資金というものは、講和会議ができましたあかつきにおいては、一体どういうふうになるお
見通しを持
つておられるのか。つまり講和会議以後におきましても、見返り
資金で融通してもら
つた資金が、債権として残るのであるかどうか。あるいはそのときに帳消しにして
日本にくれつ切りに
なつて、講和会議後には痕跡をとどめないというお
見通しであるのかどうか、この点が第一のお尋ねであります。
第二のお尋ねは、この対日援助
資金によ
つて、いろいろ
日本の復興を助けていただくのは、非常にけつこうなことでありますけれども、これを導入いたしまする
事業につきましては、相当に愼重に
考えなければならぬ面があるのではなかろうか。これは第一問の御答弁の結果に関連するのでありますが、ただ金が必要だからとい
つてすぐ飛びつくのは、どうであろうかということを
考えられる向きがある。私の
考えでは、地方
鉄道、軌道、たとえば具体的に申せば、東京の地方
鉄道を開設するためにこの援助
資金を非常に導入するとか、あるいは大阪の近畿
日本がこれを非常に利用するとか、あるいは観光
事業にこれを入れるとかいうことは、陸運の面においては非常にけつこうだと思いますが、
国有鉄道にこの
資金を導入いたしますことは、ただいま申し上げましたような
事業に導入いたしますこととは、いささかその性質を異にするものがありませぬかということを
考えておるのでありますが、この点について
大臣はどういうふうにお
考えに
なつておるか。これが質問の第二でございます。
第三に、
国有鉄道というものは、パブリック・コーポレーシヨンの
事業形態をと
つておりますけれども、これは政治、経済の根幹をなすところの
事業でございますから、もしどうしても資本が必要であれば、われわれの汗によ
つて蓄積しましたところの資本によ
つて、この
事業をまか
なつて行きたい。そうすることがほんとうにわが国の真の独立を将来に確保するゆえんである。
従つて、国鉄に対しては、アメリカといわず、どこの国といわず、一切の外資を御遠慮申し上げて、
日本国民の自力によ
つて蓄積した資本力によ
つてこれを
維持して参りたい、あるいは発展させて参りたいと
考えておるのでありますが、
大臣はこの点についていかなる御見解を持
つておりますかどうか。
これを要するに、私の三つのお尋ねというのは、今回御提案になりました法律が、形式的には
政府の出資であ
つて必ずしも対日援助
資金が国鉄に投資するのではないかというふうに、一応法律技術的には逃げてあるように思われますけれども、ここに非常に微妙な関連性がある。この点について国民の一人として、非常に心配をいたしておるわけであります。ただいま
運輸省の
予算につきましても、この価が出て参りましたので、
政府委員にお尋ねしたのでありまするが、この四十億の金を使う具体的な目途というものは、まだ立
つておらない。一部については大体引当てがある。しかし他の半分くらいにつきましては、まだこれから
運輸大臣と
大蔵大臣と相談してきめるという、実にふしぎな
予算の編成である。こんなべらぼうだ編成の仕方はない。なぜならば、具体的にこういう仕事をしなければならぬという支出を先に予定して
予算を編成すべきだ。
わくを先に切
つて、さてこれから何に使うか、主務
大臣が相談するのだという、かような変則的な
予算編成までして、この
資金を導入しなければならぬかということにつきまして、その疑惑を深くするものであります。