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1949-11-26 第6回国会 両院 厚生委員会合同審査会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十六日(土曜 日)    午前十時三十七分開会   ―――――――――――――  出席委員   衆議院    理事            青柳 一郎君            大石 武一君            田中 重彌君            中川 俊思君            岡  良一君            苅田アサノ君            金子與重郎君    委員            今泉 貞雄君            幡谷仙次郎君            川崎 秀二君            伊藤 憲一君   参議院    委員長     塚本 重藏君    理事            谷口弥三郎君            岡元 義人君    委員            姫井 伊介君            中平常太郎君            山下 義信君            井上なつゑ君            小杉 イ子君   出席政府委員    地方自治政務次    官       小野二 哲君    厚生事務官    (社会局長)  木村忠二郎君   委員外出席者    総理府事務官    (地方自治庁    財政部財政課)  鎌田 要人君    大蔵省主計官    (主計局)   岩動 道行君    国民金融公庫理    事       最上  孝君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○身体障害者福軸法案塚本重藏君外  十五名発議)   ―――――――――――――
  2. 塚本重藏

    會長塚本重藏君) それではこれより委員会を開会いたします。前日に引続きまして、身体障害者福祉法案について質疑を続行します。
  3. 山下義信

    山下義信君 今回本案が両院協調の下に、ここに合同審査会を開かれることになりましたことは、本員の頗る満足するところであります。昨日衆議院側の各委員方々から、大変有益な御意見を拜聽したのでありますが、本日は私共の意見も、この機会に申述べさせて頂きたいと考えております。我々は提案者という立場でございますので十分この本法案につきましては承知いたしておるわけ柄になつておりますので、当局に質疑するということも異なことでございまするので、この機会に実は提案者といたしまして、立法意思を明確にして置きたいという立場から尚一つには本法案の運営に関しまして、行政部に若干の意見を質しておきまして、後に疑義のないようにいたして置きたいという趣旨から、三点ばかり当局意見も聽いて置きたい、かように考えるのであります。  第一点は本法案の性格につきましてであります。各種社会立法が非常に遅れておりまする我が国といたしまして、社会福祉に関連いたしまするこの法案が出ましたという事は、私共非常にその意義を多といたすものでありまして、この法案各種の制約のありますごの段階におきましては不十分ではございますが、この法案の特つておりまする性格上の意義につきましては、非常に深いものがあるということを感じている者であります。換言いたしますると、可なり進歩的な要素を持つている福祉法の種類といたしましては、前進的なものを持つているということを感じているものでございます。殊にこの法の運営につきまして、これを地方公共団体にその中心を移したということは注意すべき重大な点であると思うのです。且つ又福祉の措置を可なり具体的に法律に明記したという点、並びに福祉を受くる者に対しまして可なりその権利を認めてある。その権利に対しまして法律保護しておる。こういう点は可なり進歩的立法形態であると考えておるのであります。こういうような可なり新らしい行き方を示しておりまするこの法案が、社会福祉法一つとして、ここに現れました場合、従来ありまする生活保護法というものとの関係はどういうふうになるかということをここに明らかにして置く必要があると思うのであります。  昨日衆議院側委員の方の御発言の中に若干その点にお触れになつた点があるやに存じましたが、当局のそれに対する御見觧はまだ十分に承わつていないのであります。本日は社会局長出席いたしておられまするので、その点当局はどう考えておるかということを伺いたいと思うのであります。生活保護法対象なつておりまする身体障害者は、本法包含をいたしますかどうかという点であります。包含をするとしますと、その部分本法に移譲するという建前で行くことにいたしますかどうかという点であります。  生活保護法建前とこの法案建前とは若干の相違があると思うのでありまするが、その点は政府は、生活保護法を現に執行いたしておる政府といたしましてどう考えるか。若し包含しないといたしますと、その部分に関しまする取扱いは、本法におきまして行政部はどういうふうに執行して行く考えであるか。具体的に申しますと、国の責任としての立場と、地方公共団体としての立場と、或いは知事の権限としての立場と、或いは市町村長責任においてやるという立場と、或いはその経費支弁等につきまして生活保護法建前と、本法建前との調節は、行政部運営上如何にして行くつもりであるかという点であります。本法によりまして現に生活保護法対象といたしておる、生活保護法包含しておる部分本法に委譲したというふうに我々提案者立法者意思としてはいたしたいと考えるのであります。生活保護法部分生活保護法に置いておいて、本法本法で又別にやるという建前でなくして、本法ができました以上は、従来生活保護法対象といたしておりましたものは、全部本法に移譲せらるべきものという原則であると私は考えるのであります。若しそうでないならばこの法律主体性というものはないのでありまして、生活保護法施行上の附属法のごとき観を呈することになると思います。この法律施行する上において我々が危惧するのは、この法律主体性がなくして、ただ單に生活保護法運用上の一部分のような観を呈することに相成りますならば身体障害者に対します福祉徹底は期し得りえないと思うのであります。言い換えれば救貧法建前から更に進んでその範囲を拡大いたします本法精神を滅却いたす慮れがあると、立法者としては考えるのでありまして、その点政府当局の見觧も質して置きたいと思うのであります。その点は多弁を用いませんが、生活困窮者という建前生活保護法と、職業能力損傷という建前をとります本法との関係、或いは扶養者有無関係、或いは対象者の結核の有無関係、それからこの法と生活保護法の著しく相違いたします点と彼此勘案いたしまするならば、本法が極めて前進的な、進歩的な立法体裁を持ちまするという建前から優れておる積極的に本法にその点は生活保護法の任務を移譲いたしたものと立法意思を確定いたしたいと考えるのでありますが、政府の所見は如何でありましようか、先ずその点を伺いたいと思うのであります。
  4. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) この法案を拜見いたしまして、これは身体障害者更生、リジェナレーシヨンということを中心においた法案のようでございまして、生活保護法におきましては生活に困つておるという現実を捉えまして、これに対して保護をすということに相成つております。従いまして従来生活保護法におきまして、生活に困つておるという現実を七台といたしまして更生仕事をやつておりました分野につきましては、この新らしい法律にすべてが移譲されるものであると考えます。この点につきましては生活保護法の方におきましてはこちらに移しまして向うではこれに触れないということに相成るかと存じます。併し更生の面を離れました生活そのもの困窮をしておる、こういう現実に対しまする援護の面は、尚生活保護法の方におきましてやもなければならんものと考えられるのでありまして、本法規定されていない部面、例えば更生の過程におきまして荷生活に困る、或いは医療に困るといつたよう部面、それから更生されるに必要なという意味でなしに、現実に困つておるという事態を救いますものにつきましては、やはり生活保護法が一律中等に活動しなければならぬ。併し少くとも更生されるという手段といたしまして各種の方策を施します上におきましては、その人が生活に困つておるか否かということを問うことなくこの法によりましてやられておる。でありまするからして、身体障害者更生という方面におきましては、この法が優先するものであるといういふうに私は考えております。
  5. 山下義信

    山下義信君 その点について明確になりまして本員は満足します。そこで今一つ念を押して置きたいと思いますことは、本法更生を主眼として取扱つた場合、それが生活困窮者という認定か、或いは職業上の能力損傷という認定か、極めてその限界が似ておうて、非常にデリケートであると思うのでありますが、本法におきましては、そういう職業上の能力損傷致しております者につきまして、更生上の必要で、例えば収容施設に収容いたしたいという場合に必要な、つまり保護費生活補助という点につきまして、本法に明記してないのであります。これは県知事の責任として収容しなければならぬことになつておりまして、その費用は当然法の精神からいたしますと、都道府県負担において賄わなければならぬ建前になると思うのでありますが、そこで実際問題といたしましてはそういう場合に生活保護法が、その点が生活困窮者という程度、その方が近い場合にはその都道府県が支弁いたします。収容者のその生活費用というものに対しましては、生活保護費から或る程度まで移譲したという精神に副いまして、国が何らかの裏付をするという必要があるのではないかと考えますが、これが本法にての点が明らかに規定してないのでありまするので、その点は国の裏付を相当すべきではないかと考えます。併しながら一面府県府県責任においてやるという点になりますと術研究余地はあると思いますか、一応若し本法そのままで成立して施行するという場合におきましては当局はその運営はどういうふうに考えておられるが、その点も承つておきたいと思うのであります。
  6. 塚本重藏

    會長塚本重藏君) 尚この機会に皆様にお知らせしておきます。昨日皆さんから請求がありました政府委員出席を求めて参りましたが、厚生大臣は昨日来病気のために欠席に相成り、政務次官、事務次官には出席を今求めております。只今出席せられているのは厚生省から社会局長厚生課長児童局長医務局長医務課長大蔵省から主計局長予算委員会に出ております関係主計官岩動道行氏が見えました。それから国民金融公庫からは理事最上孝氏が見えております。尚主税局長はこれも予算説明に出ておりますが、金融課長辻事務官出席する筈でありましたがまだお見えになつておりません。以上のことを御報告申上げます。
  7. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 只今の御質問誠に御尤もな問題でございますがこの法案におきましては、施設に収容いたしました者についての生活経費の支出につきまして、規定がないようでございます。従いましてここに書いておりまする者の生活費用に一応本人の負担ということに相成るのではなかろ、りかと思います。この場合におきまして、その者につきまして、生活が困難いたすという実情でございましたならば、これは当然生活保護法を以ちましてその生活保護の途を講じなければならぬものだろうと考えております。恐らくこの規定におきまして、その生活困窮いたしておりまする者の生活援護規定が設けぢれなかつたゆえんのものは、すべて生活困窮いたしておりまする者の生活援護は、生活保護法で以て無差別平等に行うという趣旨に出たものかと存ずるのであります。ただ問題になりますのは、こういう施設に入りました場合に生活保護法にまりまして若し手続が非常に遅延するとか或いは円滑に行かないとかいうことがある慮れがございますので、そういうことのないように生活保護法運用に当りましては実情に即応いたしまして必要なる援護をいたさなければならん、かように考えている次第でございます。
  8. 山下義信

    山下義信君 この点は法の運営上のことでございますが、生活保護法で従来生活困窮程度認定いたしておりました。そういう杓子尺度を直ちにこの本法運営上にこれを適用いたしまするならば、この法の効果が非常に減殺されると思いまするので、その点は運営上当局に然るべき善処を希望して置きます。  尚民主委員なぞがこの法律にちつとも関係しないことになつておりまするが、生活保護法に移譲されて、而もその費用は或る程度まで負担するという建前でいきまする上におきましては、若干又間接的には民生委員などの大いに斡旋盡力をさせる余地があろうかと思いまするので、この点も一向民生委員関係ないので、身体障害者福祉法ができたらあれはあの方がやらてしまうのである。生活保護法関係ないのだというような取扱上の種々そういうような差別のつかないように十分運営に注意あじたいことを希望いたして置きます。  次はこの法の施行上に対しまする用意でありまするが、種々なる福祉援護施設というものが現状におきましては不十分であります。例えば義肢の製作所でありますとかいうようなものも、十分でないと思う。言うまでもなく更生援護施設というものは殆んど不完全であります。これらに対しましては、相当当局におきましては、十分計画を持つておいでになりますかどうか。例えば本法対象者というものの把握も十分ではないではないかと思う。一つ調査では本法対象者は六十万あると一応見てある。又一方の調査においては、三十七万くらいであろうという見方もある。いろいろ程度や又調査の方法によりましては、数字の差違もあろうかと思いまするが、可なり数字に上るということだけは争えない。少くとも四五十万の対象者がある。少くともごの法ができましたならは一拳に一様にこの法のいわゆる恩惠に与ふるというように考えて、然るに実際にやつてみるとぼつぼつ丸で雀の涙程しか行われないということになりますると、全国の待望いたしておりまする身体障害者が失望する。法律作つてそういう失望を与えてはならないのでありまして、これが昨日以来各委員の方が熱心に主張するところのいわゆる法の裏付が必要になるのでありますが、これが当局には相当の本法施行上の計画性、相当な額を以ての準備をしておられるかどうか、そういう点も伺いたいと思うのであります。
  9. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 生活保護運用に当りましては、従來の生活保護法運用の仕方におきまして、全般的に柳か杓子定規に失すると申しますか、考え方におきまして適切でないものがあり、而もその運用が第一線に任されております関係上、いろいろなる要素に制約せられまして、ぎこちない取扱がなされておつたように存ずるのであります。我々といたしましては、今後具体的な問題につきまして取扱の方針を明らかにいたしまして、実際に運用に当りまする場合には、生活保護法によりまして、更生すべき者の更生を妨げることがないようにいたしたい。例を挙げて申上げますれば、その者の持つておりまするところの家財その他の資産といつたようなもの、或いは扶養義務者関係といつたような点におきまして、取扱が非常に冷たいものであつたという感じを受けまして、そのために更生が妨げられておるといつたような面がなくはないのであります。これらの点につきましては具体的に地方に指示いたしまして、この法ができるだけ法の対象を少くするような方面運用して参りたい。少くすると申しますのは、少くなるように運用して参りたい。沢山ありまするものを少いものとするのでなしに、そういう法の適用を受けなくてもいいようにいたすようにいたして参りたい、かように考えております。そういうふうにこの運用につきましては、今後一層の努力を拂いだいと思つております。  それから民生委員につきまして御指摘でございます。誠に御尤もでありまして、民生委員は本来民生委員といたしまして、当然このような方々に対しまして御面倒をみるのが、その本来の職務でございます。従いまして、本法にこれが書いてございませんでも、当然民生委員といたしまして、これらの方々の御面倒につきまして、十分みて差上げなければならんものである。又そういうふうに指導いたして参りたいと考えております。  次に施設の面でございますが、現在身体障害者更生援護施設につきましては極めて不十分であります。御承知の通りに終戦後この事業につきましては、一度全部御破算になつたという形になつております。昨年からこの施設が漸く再び復活して参つておるような状況であります。  而もこの間におきまして我が国身体障害者更生援護事業というものはその基盤を全部失つてしまいました関係上、今これをやりますにつきましては、技術士或いは人の関係から申しましても極めて不完全でございます。  従いましてこれにつきまして、直ちに完全なものを沢山作るということにつきましては相当の困難があろうかと存じます。われわれといたしましては、不完全なものを沢山作るよりは、できるだけ完全なものを作つて行きまして、これをできるだけ早くいいものを拡げるようにいたしたい。最初に急ぎまして沢山作りますよりは、今ありまするものを先ず十分なものにいたしまして、これを利用できるようにいたしたい。妙なものを作りますというと弊害があるのではないかと考えますので、その点で今後努力いたして参りたいと思つております。  現在の施設改善につきましては、現在の施設は極めて不十分でございますので、これらの改善につきましてはできるだけ急いで努力いたしますと共に、この施設に働きます人の養成等につきましてもできるだけ努力して参りたいと思つております。街施設拡充につきましてはこれらの状況等を勘案しまして又世間の方の要求といつたようなものにも応じますようにできるだけ拡充をいたしたいと思つておりす。
  10. 山下義信

    山下義信君 詳細なことは参議院厚生委員会の方で当局にも要望いたしておきたいと思いますが、この席では時間の関係もございますので、大体で止めて置きますが、施設の不十分でありますことは、只今の御答弁の通りこれは是非もつと積極的に御計画を願いたい。而して本法地方中心にいたしております関係上、全国都道府県がその本法の実施上につきましていろいろ優劣差等が出て来るだろうと思うのであります。それを調整いたしまするは国の予算におきまして補助いたします本省の運営上の手加減、手腕に待たなければならないと思いますので、是非これは合理的な計画性の下に積極的にやつて頂きたいと思うのでありますが、この際本員は福祉施設につきまして十分積極的に御援助を願いたいことを要望いたしておきます。この法律におきましては、施設に関します監督規定が極めて厳密に規定されておる。これは殆んど分けの支配に属するというところまでこの法律は私立の関係社会事業に対して規定してありますが、そごまで監督を嚴にいたします以上は十分に補助を与えてよろしい。表向きの憲法の八十九条によります補助困難性はありましても、実質的に十分な施設を与えて、施設のあらゆる完備を計つて頂きたい。我々はかくのごとき施設こそ民間社会事業のなすべきものでありまして、法によつてこういうふうに公共援助しなければならんということは実に若干の考えを持つものでありますが、十分の御援助をされるようにこの際要望いたしておきます。  最後に小さい事でございますが、身体障害者手帳というものの規定本法の可なり中心を占めておる。この身体障害者手帳のもたらすところの意義効果、その身体障害者手帳を持つているために積極的な意味というものはどこにあるかという点を明らかにいたして置かなければならん。この点を運用当局はどう考えるか、こういう制度を作つた以上はその手帳というものが誠に貴重な便利なものであつて効果のあるものにいたさなければならないと思う。当局はその運用についてどれだけの用意を持つておるかという点を伺つておきたいと思います。
  11. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 身体障害者手帳につきまして御意見は誠に御尤もでございまして、確かにこの手帳制度がうまく利用されるかどうかということは、この手帳を特つておることによりましての恩典がどうなつておるか。而もその恩典が十分利用されるかという点が問題だろうと存ずるのでありまして、これらにつきましては法の趣旨に従いましてできるだけその趣旨の達成に副うように、この点、法に上りまして認められておりますところの恩典につきましては、十分身体障害者手帳を持つております者が利用できるように政府として遺憾のないようにいたして参りたい、かように考えております。
  12. 山下義信

    山下義信君 詳しい点は委員会の方で要望いたしたいと思います。尚今一点当局に注意して置きたいと思うのでありますが、本法は取急ぎました関係上詳細な規定をする暇がなかつたのでありまして、これは運営上いろいろ施行規則などにおきまして十分留意して頂きたいと思う点が多々あるので、例えば具体的な福祉が列挙されてあることは先程申しましたように本法の特長でございますが、そのうちにおきましても一例を挙げると売店許可をいたしますことが規定されてありますが、これは十分に尚数を増して明記されたらと思うたのでございますが、この売店申請者の資格というものが十分に明らかでない。これは身体障害者が申請したならば売店許可をしなければ、ならぬと思うが、申請者は誰でもいいのか、つまり本法対象者であるならば誰でもいいのか、その都道府県、国、公共団体の事務所或いはその他公共的建物のある場所の区域内の対象に限るのか、全国どこの身体障害者でもどこにでも出願できるのかという点も、この法律では明確でない。これは言うまでもなくその管轄の府県内の居住者ということが建前だろうと思うが、明確でない。売店許可させる一つ特点を受けるけれども、同じような場所に他の普通人売店を多数許可したのではなんにもならない。そこでこの身体障害者売店許可したら、その他のものには同一場所許可をなさらないのでなければ何らこれは利便にもならないのでありまして、そういう点かこの法律では明確ではないのであります。例えば同じ身体障害者が出願いたしても多数の共願者があつた場合どうするか、同じ場所に五人も七人も本法対象者が出願いたしたとき、誰に許可を与えるかというような規定本法に明確に規定する暇がなかつた。これは政府当局行政部運用に俟たなければならんのでありますが、そういう点につきましては当局はどういうふうに運用して行くつもりであるかということも、この機会に聞いて置きたいと思います。  それから今一点、これで私の意見は終わますが、製作品購買、それは公益法人でその仕事をやる。その公益法人というものは一つ作るのか、多数作る考えであるのかどうか、それらの受註や、そういう仕事と国との間の関係を作るためにもう一つ公益法人を作るのか、これは直接この身体障害者に品物を作らして、それをいろいろ官庁に買わせるだけの仕事をする公益法人と、その公益法人と国との間の関係を持つ公益法人と二段構えにするつもりであるか、公益法人一段構でやるつもりか、多数の公益法人の存在を妨げないのか、運用行政部はどういうふうにやる考えであるか、その点を承つて置きたいと思います。
  13. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 売店設置等につきましてはやはり適正な基準を設けなければならんのではないかと思つております。これらにつきましては十分にこの法の精神をよく酌みとりまして運用いたすように、できるだけこの問題につきましては経験者の持つておるところの御意見を聞きながら運用して行きたいと、こう考えております。  それからこの第二十五条の関係の製品の購買につきましては、大体余り沢山法人がございますと適当な経営が却つてできないという関係もございまするので、相成るべくは各府県一つずつぐらい、或いは中央にその外に一つぐらいといつたようなものにいたしまして、これにつきましては関係の審議会の議に従いまして適正に運用して参りたい、かように考えております。
  14. 山下義信

    山下義信君 只今の答弁で明確になりました。それでよろしうございます。ですから売店はこの身体障害者許可を与えたならば普通の者には同一場所許可を与えないように法律を作らなければならない。それから出願者があつた場合の順位等につきましては職業上の能力損傷程度、或いは生活困窮程度福祉を先ず与えなければならぬ者の程度等につきまして公平に順位を決定いたしまして、徒らに失望させないように要望いたしておきます。又関係公益法人只今当局が答弁せられましたように各府県一つずつ必要でありますことは言うまでもないこと、それらの公益法人とこの法の運営上の直接国との間の繋がりのしつかりした中央の公益法人が必要でありますこと、そういう方針をこの本法運営に当るように立法者としては要望しておきます。
  15. 塚本重藏

    會長塚本重藏君) 質問通告に従つて岡元委員の発言を許します。
  16. 岡元義人

    ○岡元義人君 先ず政務次官、事務次官来ませんか、出るのですか、出ないのですか、委員長にちよつとお伺いいたします。
  17. 塚本重藏

    會長塚本重藏君) 政務次官と事務次官とは出席せられると回答が来ておりますが、未だ見えておりません。その後地方自治庁の事務官の鎌田氏が財政課長に代つて見えました。地方自治庁の政務次官は只今見えておりましたが予算委員会に出られまして、その代り事務官がおいでになつております。御報告申上げておきます。
  18. 岡元義人

    ○岡元義人君 では事務次官、政務次官の質問は見えたときまで一応留保させて頂きまして、二、三の点に亘つてちよつと政府当局に伺つておきたいことがあるのです。  先ず第一番にこの法案が議院提案として只今大体審議され、当第六国会において通過の大体見通しを前にいたしまして、我々が最も懸念いたしますのはこの法がどのように運用されるかという事であろうと思うのであります。然るに承わるところによりますれば、予算措置については、当初我々が考えておりましたところの幾分の一にも過ぎない予算しか裏付けされていないということを知つたのでありますが、大蔵当局に対しまして、先ずこの法案がそれだけの予算措置によつて本当に運営ができると思つておられるかおられたいか、この点を一つ具体的に説明して頂きたい。自信があるのかないのか、どういう、いわゆる考え方からそれだけの裏付をぼ認められたのか、その点を一つ大蔵当局から聞いてみたいと思うのであります。  その次に社会局長に伺いたいのですが、今までこの法案で一番問題となりますのは、大体身体障害者が徒らに保護を受けるという事はみずから好んでおるところではないのでありまして、総則の第二条に規定されております通りに、とにかく障害を克服して何とか自分の力で経済的な活動をばやりたいというのが、障害者の本当の気持であろうと思うのであります。さすれば問題となりますのは、障害者が本当に一般の人と同じような活動のできる状態へ持つて行くということが一番大事でありまして、その点等について先ず問題となりますのはその補装具であります。これは先程山下委員からもしばしば御質問がありましたが、一体日本の義肢等につきまてどの程度まで研究が進められ、又この法案によりますと地方自治体の財源を以て作るようになるのでありますが、その地方自治体が製作その他に関しまする一つの基本というものをば厚生省は一応考えておるのか、どういうものを作らせるのか、まちまちに作らせるつもりか。それとも予算措置の数字の中には昨日ございませんでしたが、中央において何か義肢が研究されておる機関が別に設けてあるのか。又外国等におきましてはすでに義肢を以てピアノも弾ければタイプも打てるという段階に到達しておる。併し実際に日本の義肢がどの程度まで研究されておるのか、この機会に明らかにしておいて頂きたいと思います。そうして今後の方針を、いわゆる義肢等についてどのように出行えておられるかということを明らかにして頂きたい。  それから先ずこの法案を早速運営するにつきまして問題となつて来るのは、二十二条以下二十六条の間の今後の障害者が更生する上において与えられました特権をば、早速身分らの権利として要望して来る事は明らかであります。併しながら昨日黒木厚生課長の説明を聴いておりますと、大体この法案と並行して厚生資金法…或いは名前が違つたかも分りませんが、これは我々議員としても厚生資金法というものを考えておりまして検討しておつたのでありますが、これと並行してそううものを勘案した上でこの法案というものが成り立つというような前提の下にお考えなつておつたのではないかという気を深くするのであります。併しそれは見込みがなかつた、そこで厚生資金の制度、それから国民金融公庫の方に話合がついておる、こういうふうに御説明があつたのであります。併し実際に国民金融公庫一つのバンク・システムに則つて運営がなされておる今日、又地区的にもその財源の乏しいところから、都市中心主義に運営されておるところの国民金融公庫が、果して昨日の黒木課長が説明されるようないわゆる法の裏付として本当に役立つということは、甚だ疑問を持たざるを得ないのであります。又厚生資金の制度にいたしましても、一万五千円という事が限度となつておりますが、而も厳格に申しますならば、厚生資金の制度については尚大蔵当局自体が、いわゆる引揚者というものを前提とした一つの生業資金としてこれをば一線を画しておるのであります。それは運用の面に上つて或いは幾分かは利用ができるかも分りませんが、併しこの法案の内容になつております煙草販売をやるといたしましても、地方の最低のところで四万円の運転資金がなければ煙草小売店はできないのであります。そういう見地からこの法案が空文に終るということを懸念いたしますので、もつと具体的に、どれだけの確信を以てこの二十二条以下をば運用されるという自信を持つておられるか、明確に一つして頂きたいと思うのであります。尚国民金融公庫から最上理事が見えておるようでありますから、この身体障害者福祉法に対してどれだけの運用の方便をば考えておられるか、これを明らかにして頂きたい。  それからも、一つ、これは社会局長にお伺いしますが、この身体障害者福祉法案が通過いたしましたしいたしますならば、先程山下委員から生活保護法との関連について質問がございましたけれども、私は重ねて未復員者給与法と恩給年金との間にどのような関連性が生じて来るかという事について、政府当局がどういう見觧を持つておるか、この点を一つ聞きたいのであります。例えば先程の御回答には、優先という言葉で以て一つの説明がございまじたが、未復員者給与法との関係等においては、非常にデリケートな問題が生じて来るということが一応考えられますので、その点についての運用等についてはどのように解釈をしておられるか、これを一つ明らかにしておいて頂きたいと思うのであります。  それからもう一つ地方自治体の問題といたしまして、相当のこういう財源的に、殆んど地方自治体にこの障害者福祉法の財源を求めなければならないというようなふうになつておるようでありますが、これに対して地方自治庁当局の準備は十分にできておるのか、実際にこれだけの予算措置が可能であるのか。この点について一点伺つておきたい。  もう一つは、現在までに地方自治体等におきまして、身体障害者に対する恩典がどの程度まで今認められておるか。例えば自動車の運転手の免許にいたしましても、最近はいわゆる盲者でない外の者については相当の範囲まで許されて参りました。その外にもどんな特典が現在許されて来つつあるか、その点等について我々が知らないところを一つこの機会に教えて貰いたいと思うのであります。以上お答えをばお願いしたいと思います。
  19. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 岡元委員の御質問にお答えをいたします。義肢の問題につきましては、従来は海軍式陸軍式、準陸軍式といつたような様式がありました。その外にもございますが、大体そんな様式がありまして、これをどういうふうに一元化するかということにつきましては、なかなかむつかしい問題が沢山あるようでございます。いろいろな点から申しましてこういうものが最も進んだものに統一されるということは極めて必要であると思います。尚、我が国におきますところの義肢というものが、諸外国のものに特にアメリカのものに比べて見ますと極めて遅れておるとしうことは事実でしございまして、先進国方面の技術を十分取入れまして、この問題につきましては研究をしなければならないとかように考えております。現在研究施設といたしましては、明年度から相模原の厚生センターにこの研究の施設を作りたい、かように考え予算的にも措置をいたしておるような次第でございます。これにつきましては、まあその外にも運輸省とか労働省とかいう方面におきましても研究があるようでございます。こういう従来の研究を纏めまして更に先進国の状況を調べまして、これらにつきまして、御承知のように最も進んだものにまでできるだけ早く達するようにして参りたいと、かように考えております。これによりまして地方の義肢製作等の指導はやつて参りたいというふうに思つております。  それから二十二条から二十六条までの各種事業に関しまして、これの金融問題がどうなつておるがということでございますが、これの金融について特別な措置というものを是非共考えたいと、私共では思つておるのでありますが、金融問題というものは、やはり特別な方針がございまして、單に一つの金融というものについても、特別の措置ということは、なかなか困難なようでございます。併し国民金融公庫におきましては、只今私在庫の金額のことはよく聞いておりませんので、よく存じませんが、相当の資金をお持ちになる計画のようでございますので、若しこれが実現できますならば、これらの事業に十分送れるように折衝したいと考えております。折角の法文ができましても、空文にならないように努力したいと考えております。  それから未復員者給与法につきましては、これはそのもの自体は直接に厚生ということと関係がないようでありまして、それとこれとは関係なしに給与されるものであると考えております。つまりそれと並行しているというように考えていいのではなかろうかと思います。
  20. 岡元義人

    ○岡元義人君 ちよつと一つだけ、今面会局長の答弁はどうも納得の行かん点が一つあります。それは来年度は国民金融公庫は相当増額される見込であるから、やはり金融公庫等でこの重要な一つの厚生事業等に対する金融面を解決しようというようなお話合いでありますが、或いは後程最上理事からも御説明があるかと思いますが、来年度は十二億という事を今のところ承つております。そうしますとこの十二月、一月、二月、三月までは毎月億二千五百万円という程度のものが今度の補正によつて増額されておりますから、来年度十二億円としますとこれを月に割当てますと大体一億円程度、むしろ来年度が少くなる、補正の方の今度の五億の増額によつて、一億二千五百万円ぐらいが平均十二月から拂われる。ところが四月以降になりますと、十二分いたしますと一億円にしかならない。だからこの点においては非常に厚生省当局はどうも瞬味な実際に深くまだ検討していないというような感が深くせられる。これは十分一つ反省の必要があるのではないか。一応最上理事からも後程承わりたい。  更に一つ、私は社会局長に、これは非常に大事な問題である、本当にこれを作つたらどこから資金を出すか、一般の金融機関は身体障害者に絶対に許しません。それであつたらこういう法案が通過と同時に障害者が一番押しかける問題は二十二条から先であります。みんなが生活して行きたいというのが念願であります。それでありますならばもつと真剣に今の問題を厚生省当局はお考えにならなければならんと一言私は注意を喚起して置きたいと思います。
  21. 最上孝

    ○説明員(最上孝君) 只今岡元委員から御質問がありました点につきましてちよつと私から事情を御説明申上げます。国民金融公庫は、只今もお話がありましたように、全く金融機圏でございまして救済機関ではない、そういう事が法文に明記してあります。併し一般の金融機関と非常に違います点は、一般金融機関はこの細かい貸付、非常に手数のかかるものをやることは絶対にしない。つまり絶えず取引があつて事情がよく分つている調査のそう要らないものについて貸付をしておられる。私共の方は、金額は幾ら小さくても又その調査に相當の手数がかかつてもこれを余り厭わないでやる、やはり国の大きな資金を頂いておりますのでそういうことができるわけであります。従いましてこの身体障害者に対する貸付というものは恐らく金額は小さいものでありますし、又将来この仕事が成り立つか否かということにつきまして、非常に細かいいろいろな方面から調査をせねばならない手数のがかるものであると思うのでありますが、そういう点をよく調査いたしましてお貸付きを取運ぶということが我々のなすべきことであると思うのでありまして、その点におきましてこの法案ができまして、いろいろ普通ならば仕事が成り立たない場合において、さような保護が与えられ仕事の成立の見込が非常に殖えて参ります。従つて私共の方からお貸付ができる場合が従来よりは余程殖えて来るのではないかと思います。こういう点において確かに私共がこの今後のこういう方面に成る程度のお役に立つことができるものと自負しております。但し只今も岡元委員からお話がありました通り、資金面、施設の面は現状にあきましてまだこれが至らない点が非常に多いのでございます。只今もお話がありました通り今後毎月一億二千五百万平均の貸付ができるわけであります。来年度においてそれが減りはしないかという御心配がございましたが、この点はちよつと岡元委員のお間違いじやないかと思うのでありますが、それは私共の従来の説明の足りなかつた点もあると思うのでありますが、それは国の出資は如何にも十二億でございますが従来の回収金が相当あります。これは六億ありまして大体今の予想では十八億或いはそれ以上に行くのではなかろうかと思います。そうしますと本年よりは資金上においてやはり殖えて参ります。その上に先程も御指摘のありましたように地方に対する事務所の増設ということが予定されておりますので、現在よわはその方面に或る程度私共がよく働けるようになると思うのであります。
  22. 塚本重藏

    會長塚本重藏君) 大蔵省岩動説明員からお願いいたします。
  23. 岩動道行

    ○説明員(岩動道行君) 私の方から予算措置についてのお答えを申上げます。  先ず第一にこの法律によりますれば、国がいろいろな項目についでの負担をする規定が設けられてあるのでありますが、これは御承知のようにシヤウプ勧告によりまして、本年はこの仕事地方経費負担するというのを建前にいたしまして、そうしてその経費の総体と収入の総体との差額について国から平衡交付金として補助的な金を出す、こういう仕組になるわけであります。従いましてこの仕事につきましても、この法案施行の主体が都道府県にあるといたしますれば、この経費もシヤウプの勧告に従いましてそういう扱いになつて来るのが筋であろろというふうに考えられるのであります。従いましてこれを予算的にどう扱うか、平衡交付金として考える筋のものとするか、或いは従来通り補助規定といたしまするか、その点につきましては尚十分に検討し研究をいたさなければならなし問題であります。殊に仕事の分野というものにつきましては、これもやはりシヤウプ勧告にありますすうに、新らしい委員会におきましてそれを決定するということになつておるわけであります。そこでそういう根本的な経費負担の扱い方があるわけでありますが、それを先ず措きまして、私共の方で個々の事柄につきまして予算的に考えてありますのは、金額におきまして約八千五百万用程度の見込でありまするが、この法律施行については先ず最初の滑り出しとしてはこの程度で何とかやつて行ける金額ではなかろうか。勿論財政の許す限りにおいてこれが増額されることは私共は心から望んでおるところでありまするが、全般の財政事情等に鑑みまして大体この程度で先ずやつて頂きたいという気持で、これを計上する心組でおるわけであります。
  24. 塚本重藏

    會長塚本重藏君) 地方自治庁の鎌田事務官。
  25. 鎌田要人

    ○説明員(鎌田要人君) 地方自治庁立場といたしまして只今の御質問に対してお答えを申上げたいと思います。只今身体障害者福祉法費用に関しましては第四章に規定があるわけでございますが、この規定の形式といたしましては、現行の生活保護法なり、或いは児童福祉法規定の形式と大体同内容でありまして、同様の性質の法律であると思われますので、この点に関しまする限りは規定そのものについては畫存はありません。ただ地方団体の、殊に市町村の財政というものは御存じのように窮乏を極めておりますので、これだけの事務を地方団体に対して委任するということに相成りまするといたしまれば、当然それだけの財源を国会において与えて頂かなければ仕事は引受けられないと思います。それでこの法律は来年の四月からの施行に相成つておりますので、只今大蔵省の説明員からも説明がありましたようにシヤウプ勧告によりまして、来年以降は国が事務を地方団体に委任いたしまして、その費用について負担するという形に規定せられておりますので、一般平衡交付金に入れるか補助金とするか、この二つの手から選ばなければならないわけであります。根本的な問題として解決せられなければならないわけでありまして、従いましてこの点に関しましても生活保護法なり、児童福祉法と同様の問題がある今ここでその根本的な問題を解決するわけには行かないだろうと思います。一般平衡交付金に入れるにいたしましても、或は補助の形式をとるにいたしましても、いずれにいたしましてもこれに見合うだけの財源をここで頂きませんと、現在の地方団体の固有の財源といたしましては、シヤウプ勧告によります増税を以ていたしましても、尚到底かくのごとく多岐に亘る費用については負担できないということを明言申して置きたいと思います。
  26. 岡元義人

    ○岡元義人君 これはどちらからでも回答して頂ければよかつたのでありますが、社会局長から一応どの程度まで身体障害者は終戦後は最近の段階において特権が与えられておるか、ということを最後に一つ御回答願いたい。  それから只今大蔵当局からと地方自治庁からの説明を承わりまして、時間をともますので深くは私も質問しませんが、ただ大蔵省に申上げて置きたいのは今の御説明中に滑り出しといふ御一言がありましたから、私はもり質問を後しないと、こういう意味であります。その点はこの際篤と念頭に置いて頂きたい。我々が真にこの法案を検討いたしまするならば、当初七億から八億という予算を必要とするであろう、かように考えておつたのであります。だから今の御説明でたしかに滑り出しであるという意味におきまするならば私は何をか云わんやでありまして、その点十分にお含み置き願いたい。  ただ簡單に附言して置きますが、地方自治体の財源を必要とするということは明らかであります。併しながら中央におけるところの財源が非常に不足している。折角地方の財源を作つてもそれが死に金になるという結果に陷らないようにだけは我々としては考えたければならぬということを、常に強く考えさせられる点があるかであります。と申しますのは、先程も質問いたしましたように、義肢等も單に行き当りばつたりにやるというのじやなくて本当に障害者の第二条の目的を活かす自分たちが立上つて行きたいのだというのに対しましては、中央においても或る程度まで犠牲的な予算措置をいたしましても、これが地方財源に組替えられても、将来それが又組替をせられることのないように措置が当然とられなければたらない、そういうことも十分勘案しなければならん段階である。併しながら財源を縛られて本当にこの法案趣旨が活きないというのであるならば何もならなら。併しながらあなたの今の御説明には滑り出しとしては差支ないだろう。こういう御説明でしたから、私はこれ以上質問いたしません。どうぞ一つお含みを持ちまして、この法案が活きるように大蔵省も真剣に考えて頂きたいということをお願いして置きたいと思います。では社会局長のお答えだけを一つ
  27. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 御承知の通り身体障害者の問題性終戦後殆んど顧みられないのでございますので、これに対しまして従来の非常に不備な点から拒否せられたという問題は余り大してないようであります。最近道路交通関係法律に代わまして、二、三の規定ができたようであります。我々といたしましては、今後の問題といたしまして盲人その他身体障害者がどの程度仕事ができるかということにつきましては、むしろ身体障害者でも普通の人並に、殆んど仕事をできるだけ広く開拓いたしまして、これにつきまして従来何らの措置を講ぜずにこれに対していろいろな仕事をいたしますることを拒否しておつた面を打開して参りたい。例えば盲人についての電話の交換とかその他いろいろな問題が沢山ございます。アメリカ等におきましては盲人の職も随分沢山あるようでありますが、そういうような点につきまして十分検討いたしまして、この法の趣旨が活きるようにいたして参りたい、かように考えております。
  28. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 この身体障害者につきましては、すでに長い間福祉法案について研究されておつたのでありますが、最近なりまして、よくよくこの法案が出るという時分から急速にこれが進んで参りました関係上、この中には従来の不備な点がまだ沢山あるように思われるのでございます。殊にこの条項などにおきましても何なりはつきりせぬ場所が多いように思いますが、併しすでに多数の御質問があつたり或いは御意見が出た後でございますから私はほんの一つ二つだけについてお尋ねをし、同時に要望をして置きたいと思うのであります。  その第一のお尋ねをしたいと思いますのは、この身体障害者福祉審議会の件でございますが、これについてはどうも条項がはつきりせぬ場所が多いように思います。従つて以前に第一国会に提案してできましたところの児童福祉法と殆んど同じような関係にあるのでありますからして、児童福祉法におけるあり、福祉委員会と同じような立場と方向に進んで行く予定でございましようか。これに対するまず御答弁を願つて、それから後私の意見を申上げたいと思います。
  29. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) この法の内容を見ますると、児童福祉法と同様な規定のようでございます。従いましてこれが運営につきましては、それと同様な運用を以つて行かなければならん問題ではなかろうかというふうに考えられます。
  30. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 只今の御答弁で余程はつきりいたしたのですが、実は御承知のように児童福祉法におきましては例えば委員を任命するという場合におきましても、官公吏はその委員の中の四分の一になつておるというようなことをはつきりといたしておるのでありますから、多分これもその線に副うのだろうと思いますが、是非その線に副うように今後の運営をして頂きたいと思います。
  31. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) これらの運営につきましては、国会におきまするところの御趣旨を十分尊重いたしまして運営して参りたいと思います。
  32. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 次にこの法律におきましては、実は医師の指定という項目が一項なければならたいだらうと思うのであります。これだけの別表に上げるように各種の疾病を決める上におきましては、これは余程愼重にしてかからんければならぬものでありますが故に、医師を指定するということに対しては是非これは一項目上げておきたかつたと思いますが、最近にこれがでぎた項目で急に変つて参りましたので、そのままになつておるのであります。実は優生保護法などにおきましては、医師を指定する場合には、都道府県を区域とするところの医師会にその指定を任せておるのであります。ところがこれにおきましては、地方身体障害者福祉審議会の意見を聞いてその指定をするというのでありましたが、これではどうも実際の指定は非常に困難ではなかろうかと思うのであります。その点について政府当局の御意見をお伺いしておきたいと思います。、
  33. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) これらの点につきまして、地方身体障害者福祉審議会の運用にりきまして、我々といたしましては現在まだはつきり考えておりませんけれど、国会におきまして適当に御意見が決まりましたたらば、その御意見に従いましてやつて参りたいと思います。
  34. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 実は項目を置きたいと思うのですけれど、との身体障害者福祉法は急速にこれを仕上げまして、この国会に是非通過をさせんければならん極めて緊急を要する法案であろうと思いますので、私は気の精神において、その項目の修正などは又他の機会に譲りまして、この法律を見まするというと、やはり臨時委員というものがございますからして、その臨時委員をもつてそういう場合には指定をする言い換れば、多数の丁度医師会同様のものを臨時委員に置いて、そうしてそれに指定をさせるというような式にたりますと、その条文を今回修正せぬでもできるものと存じておるのです。従つてその方向に進んで行きまするように当局にも希望しておきたいと思います。それでは私の質問はこれで終ります。
  35. 姫井伊介

    ○姫井伊介君 この法案福祉の措置更生援護施設設置等につきましては政令の規定に譲られたものが相当沢山あるのでありまして、この法の施行上政令の規定の内容如何に、よつては非常な重大なる影響をもたらすものと考えるのであります。従いましてこの法案を十分に活かすための政令につきましての当局用意があるかどうか。そうしてそれはいつ頃までに完成されるか。尚議員発議であります以上は、やはりその政令につきましても法律施行前に一応立法府の方に御提出が願いたいと思いますが、その点がどうなるのですか。  次は身体障害者福祉審議会並びに身体障害者製作品購買審議会の設置でありますが、この方は来津の四月一日からの実施になつております。併し政令たどを作りまするにつきまして、審議会の意見などを聞かなければならないということの規定がある以上は、法の施行前にこの審議会の設置ができたければならないのじやないか。それは法の実施前にそういうふうな設置ができるものかどうか。若しできると、又出かさなければならんと思いますが、それはいつ頃そういう意見を決定して審議会というものの活動を始められますかどうか。もう一つは鉄道公社の方が出ておられますか。
  36. 塚本重藏

    會長塚本重藏君) 出ておりません。
  37. 姫井伊介

    ○姫井伊介君 それでは後で答弁して貰うことにして、この機会に申して置きましよう。それは昨日の国有鉄道運賃の軽減に関した問題でありますが、これに対しましてはそのと昔の当局の説明は甚だ法案精神には適つていないように思うのであります。それは議論になりますから省きますが、今問わんとするところは、この鉄道公社の運賃措置につきまして、これと併行いたしまして私設鉄道、民間の鉄道における運賃措置を如何に誘導するか、放つて置いてはいけないと思いますが、鉄道運賃の軽減に伴うて、私設鉄道の運賃も又適当に軽減させるような方法を取らなければならない。それに対しましての誘導方法をどういうふうに措置せられるかということであります。以上。
  38. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) この法律施行に関する政令につきましては、勿論国会の意思に従いまして、国会の方におきまして御要求せられる通りの手続きによりまして定めるようにいたしたい、これは法律上当然経なければならぬ手続であります。その外の方におきまして御要求がございましたたらば、その御要求によりまして措置して参りたいとかように考えております。
  39. 姫井伊介

    ○姫井伊介君 凡そそれがいつ頃出されるかということを……。それから審議会の構成問題、法律施行前に審議会を作られるかどうか。
  40. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 審議会は現在のこの法を見ますると、やはり四月一日にならなければ発足できないように相成つております。従いしましてこの法律施行の四月一日から審議できるようなつております。だた現在我々といたしましては、こういうような身体障害者福祉に関しまするところの技術的な問題につきましては、事実上の審議会のようなものを持つておりまして、従来その問題につきまして御相談をいたしております。従いまして若しこの審議会ができまする前に専門技術的な問題について御相談しなければならぬといつた場合には、その審議会には御相談いたして技術的に見まして遺漏のないようにいたしたいと私は考えております。併しこの法律によりまして若しも審議会を早く設置するということに相成りまするならば、早く設置するということが妥当なんじやなかろうかと思います。  それから政令の案を担えまする時期につきましては、できるだけ早くしたければならぬと存じますので、まあ来年句々には何らかの案は作つて置かなければならぬのじやないかというふうに考えております。
  41. 姫井伊介

    ○姫井伊介君 そういたしますと、例えば第二十五条の第四項にあもます「第一項に規定する政令を制定するには、あらかじめ中央身体障害者福祉審議会の意見を開かなければならない」とありますが、若し施行後でないと審議会ができたいというと、こういうふうな政令は遅れるということになるのですか。これは凡そ予想されて適当に善処されますか。
  42. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) このことにつきましては、このままでございますと若干遅れることに相成るだろうと思います。
  43. 岡良一

    ○岡良一君 実は昨日主税局関係の方の御出席を願つておつたのでありますが、お出でになりませんし、といつてこの審議を余り合同審査で長引きますると、本国会を通過することが危ぶまれるような慮れもありますので、この際一つ委員長から特に文書をもつてでも結構でございますが、一応基礎控除の問題について大蔵省当局の念を押して置きたいと思いますが、昨日も申上げましえようにシヤウプ・ミツションの報告によれば、盲人については一万二千円を基礎控除に追加する。他の身体障害者についてはその経験に鑑みて逐次実現するようにというふうに取扱われておかますが、折角身体障害者福祉法を制定されまするならば、来るべき通常国会の税制改革においては盲人に一万二千円を適用されて、その後経験に鑑みて追加するというような事ではなくて、飽くまでも身体障害者手帳の交付を受けておるところの障害者すベての者に対して一万二千円の追加で、二万四千円と合して三万六千円では私共としてて極めて少き憾みがありまするが、取敢ず全部の身体障害者手帳の交付を受けておる者については、これを適用するということについて是非とも大蔵省当局の善処を促したいと思つております。  それから地方自治庁の方にお伺いいたします。昨日も申上げたのですが、現在のこの福祉法は軍に職業能力のある者に対して、自活能力を助長しようというようなものが殆んど骨子をたしておりまして、文化的な保護と申しましようかを与えるというふうなことが極めで低調で、健かに点字出版物及び点字図書館を行うということが規定されておるのでありますが、我々といたしましては点字は勿論結構でありまするが併せて、盲聾唖の諸君に対しては身体障害者手帳を持つている者については、入場税を免除するというなこと、或いはラジオ聴取料を免除するというふうな措置を当然講ずきだと思うのですが、この入場税は将来の地方税収入におきましては相当に期待をせられておるようでありまするが、現在身体障害者に対しまして入場税を除免するというようなことについて計らわれないかどうか。地方財政との関連において一応御見觧を承わりたいと思います。
  44. 鎌田要人

    ○説明員(鎌田要人君) 只今の最後の御質問について地方自治庁からお答え申上げます。  身体障害者に対する入場税の免税の問題でありますが、これは現在のところ全然そういう取扱をいたしておる例はございません。それから將来の問題としても現在のところその点については深く考慮いたしておりません。といいまするのは結局入場いたします場合に例えば映画を観る場合に、身体障害者で視力のない者は別といたしましてそれ以外の者は足が不自由であるといたしましても、結局映画館に入つて映画を楽むということにおいては変りはございませんから、そういう意味合からいたしまして入場税の免除の点は考慮いたしておりません。
  45. 岡良一

    ○岡良一君 そうおつしやればそれまでのことでありまするが、この福祉法である以上はお互い同胞の道義に訴えて、そういう理窟ではなく、温かい気持をやはり法制的な措置の上で実現するということがこの法律本来の目的でもありまするので、我々としてはそういうことの実現を心から要求したいのであります。尚どうもお尋ねいたしたい方が出直お帰りになつてしまつて誠に当惑しておるのですが、これは国民金融公庫の方にお尋ね申上げます。  先程岡元さんへの御答弁によりましていろいろ数字等の実情も分りましたのですが、今度国民金融公庫を十二億先般の国会において大体議決されたようでありまするが、これは誠に一般の大衆にとつては生業面におけるまあ旱天の慈雨として極めて待望されておりましたが、私共の見觧では十二億では文字通り二階からの目薬であつて旱天の慈雨ではないというような考え方から、相当大巾な予算を見積るべきであるという要求をして参つたのであります。ところで先程のお話では尚償還されてくるものを加えて約十八億ということでありましたが、十二億でも全く希望者が殺到しているときに、この特に身体障害者に対して売店の設置やたばこの小売り等をはつきり認つておりますと、岡元さんのお話のように十二億でも足らない、十八億でも恐らく殺到することが予想されまするときに、との身体障害者諸君に対しては、或いは県の身体障害者の審議会等の意見を附せられたものについては、優先的に事業資金の貸出をやるというくらいに明確な御方針をもつて頂きたいと思いまするが、その点をお尋ねいたします。  尚小口貸付としては一口五万円を限度として現在行われておるように聞いておりますが、当然売店の設置やたばこの小売をするのには一万五千円くらいのものでは不可能でありまするが、そういう場合にやはりこの小口貸付というふうなものを活用されて身体障害者更生資金に当てられたいと思いまするが、そういう点について一応御見觧を承わりたい。
  46. 最上孝

    ○説明員(最上孝君) 只今の私共の方の明年度の資金十八億を以てしては、やはり心細いのではないかという御見觧のようでありましたが、その点私共も同感でございます。決してこれで満足してはいたいのでございますが、諸般の情勢上どうもこれ以上のことができすませんので、暫らくこれで御辛抱お願いしたりと思つておるわけであります。従いまして只今御心配になりましたように、申込が非常に殺到した場合、そのすべての方が御満足の行くような御用立はどうしてもできない。こういう事情になるわけであります。その際に只今お話のありましたように、特別な優先的な取扱をすることという問題でございますが、この点は実はあらゆる方面から優先的に取扱うという御注文がございますが、法の建前の上から行きまして、やはり無差別平等に扱わなくちやならぬということになつておりますので、一部の方々のために特別に優先するということは、どうも私共としていたしかねるのであります。但し御事情はよく分つておりますので、第一線の取扱う者に対しまして、よく親切に御事情を聴いて何とかお救いする途がないかどうかということを飽くまで調べて、確かに成業の見込みありということになればお貸付するように、その点労苦を厭わないように、十分私共としてでき得る限り力を尽して行きたいと思つております。
  47. 岡良一

    ○岡良一君 社会局長にお尋ねいたしますが、この職業妻定に関するいろいろの措置でありますが、昨日黒木さんにお尋ね申上げました点について先ずお尋ね申上げたいのであります。実は先般私大阪市の身体障害者の授産施設を視察する機会がありましたが、あすこでは主として義肢或いは義足の製作修理及び製図、こういうようなことを主としてやつておりましたが、現在この法によりましては、はたき、雑巾や原始的な手工業が与えられておるようでありますが、先程面会局長のお話でも職業補導の面についての御考慮を承わりまして、これは私共としてはこういう誠に原始的な手工業のみが授産乃至職業として与えられるということでは、非常に身体障害者に対してお気の毒な思いがいたすのでありますが、現にアメリカなどではデトロイトのフオード工場あたりは一台の自動車の製作工程は、とにかく千にも千七百にも分解いたしまして、片手、片足の傷痍軍人が優にその能力を発揮して高度な社会的生産に従事しておるような事実を考えますときに、何とかこういうようなあれを直ちに日本の低い労産設備や技術の中にとり入れるということは困難でありましようが、こういう点について何らかのやはり確たる見通しを持つておられるのかどうか。單に「はたき」や雑巾の製作或いは修理というようなもののみに限定されるということでは、誠にお気の毒な気持がいたしますので、そういう点について社会局長の御抱負を承わりたいと思います。
  48. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 職業補導就職斡旋というたことにつきましては職業安定法によりまして労働省におきましてこれに対して万遺憾なき措置を講ずることに相成つておるのであります。従いまして一般の職業に復活することができるような状況方々につきましては、職業安定法によりまして遺憾なき措置がとられまするように労働省職業安定局長と緊密な連絡をとりまして、この点につきましては万遺憾のないように措置いたしたいと思つております。この点に関しましての更生的な点はこの法の第十八条にも書いてあるのでありまして、この十八条の趣旨に従いまして我々としましては、遺憾のない措置をとつて参りたいと思つております。勿論十分な普通人能力までは回復はできないというような者に対しましては、この者に対するところの授産でありますとか、或いはこの法によりまする特別たる就業の途を与えるように相成つておりますので、これによりましてこの面を逐次開拓いたして行くようにいたしたい。かように私共の方では考えております。
  49. 田中重彌

    ○田中重彌君 極めて簡單な問題でございますので、一点だけ法案趣旨につきましてお聞きしたいと思います。第二十二条の売店設置の項に「公共施設内において、新聞、書籍、たばこ、事務用品、食料品その他の物品を販売するために、売店を設置することを許すように努めなければならない」とございまするが、かようなものにおきまして、最も多く具体的に利用いたしまするものは鉄道の売店等であるのでございまするが、その場合に鉄道の弘済会との関連性につきまして一応御見解を質しておきたいと思うのでございます。
  50. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 今後こういうようなものを設置いたしまする場合につきましては、やはりこの法の趣旨に従つて、国有鉄道におきましても同様なことに相成るのではないかと思います。従来やつておりまするものについてどういうふうに相成るかということにつきましては、この法によりまして、今までおりました者と入替えるということは、直ちにできるものではないであろうというふうに考えておりますけれども、将来のことにつきましてはやはりこの法の趣旨に従つてやらなければならないということに相成るであろうと思います。
  51. 伊藤憲一

    ○伊藤憲一君 社会局長にお尋ねいたします。先程岡委員から更生資金の問題についてお話があつたのですが、本年度は貸付金として二億円を計上しておりますが、これは引揚援護庁の方とも関係があるのですが、引揚援護費は今度の補正予算で十億二千万円かを削られておりますね。削つておいてそうしていわゆる更生資金貸付金の方では二億円しか計上していないのですが、これが引揚者等の問題に関連いたしますけれども、若しその貸付金は引揚者のみでなく、こういう身体障害者その他の人々に対して融通するということになつておりますと、現に政府なり議会なりもまだソ連地区には四十万残つているとか三十万残つているとか言つて一方では騒いでておりながら引揚費は十億に減しておる。而も今後の引揚対策というものは、引場よりも帰つて来た人の定着に問題があるときにこれが減つているわけです。これが若し仮に十億減したものをそのまま更生資金の方に十億計上されれば、従つて今計上されているものと加えて十二億になればこの面が殖えるのぢやないかと思うのですが、この点の経緯、引揚援護庁の方に関係があるのですが、社会局長の方にお伺いいたしたいと思います。
  52. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 私お話でございましたけれども、引揚援護庁の問題につきましては私の方で正確なことをお答えすることができませんので、お答えを差控えたいと思います。
  53. 伊藤憲一

    ○伊藤憲一君 二十条の盲人の安全つえその他の補装具の問題について、「その負担能力に応じ、費用の全部又は一部を徴收することができる」というふうになつておるのですが、今までの例ですとこういうふうな「できる」というような規定があると、大概できるどころじやなく皆金を取つてしまうというようなのが実状であるわけです。この場合に仮にこのままで行くとして、どの程度に実際上無料で交付するような措置が講ぜられるかというような、何かの予定でも立つておられたらちよつとお伺いしたい。
  54. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) これは御承知のように、現在生活の最低限というものは、生活保護法で一応処置てしおります。従いまして生活保護法に該当いたしまする者につきしましては、当然これは無償で給与しなければならぬものだろうと思つております。尚生活保護法に該当していない者につきましても、この負担いたしますることによりまして、生活保護法の最低限度以下に食い込んで来る。このような者につきましては、やはり費用を徴収することはできなかろうと思います。従いまして一部負担のできる者につきましては一部負担して頂く、そういうことに相成ると思います。無論その運用につきましては、それによりましてその人達が何と言いまするか、生活程度が更にどん底に陥るというようなことにならぬように十分気を付けて運用して参りたいと思います。
  55. 伊藤憲一

    ○伊藤憲一君 これも先程の岡委員の質問に関連してですが、所得税の基礎控除の問題について、シヤウプ勧告案には盲人だけということになつておりますが、常識的に考えても盲人は基礎控除を余計にして、そうして極端な例を言えば、両手両足のないような身体障害者の場合にこれをやらないというようなのは矛盾なんで、この点は関係当局の了解を得て、全面的に身体障害者手帳を持つておる人に拡大する可能性はあると思うです。そこで先程岡委員から地方税の入場税についての質問があつたんですが、私はついでに地方自治庁の方にお伺いしておきたいのですが、今度住民税が非常に負担が過重になつて来た、帰りましたか……それではやめておきます。
  56. 中平常太郎

    中平常太郎君 この合同審査会につきましては、両院におきましてすでに同じ法案が発案されておりますので、そうしてそれまでにすでに両院におきましてそれぞれ御研究になつた筈と思うのであります。それで同じ法案なつたので本日の合同審査会ということになつたのでありますから、この上は時間もなんでありますから、お互いに各両院に帰りまして、そうしてその院におきましてそれぞれ必要な政府委員を呼び出されまして、研究する余地があるのでありますから、決議までにはそういう順序になつておるのでありますから、この合同審査会はこれくらいに切上げたらとうでございましようか。動議を提出いたします。「賛成」と呼ぶ者あり。
  57. 塚本重藏

    會長塚本重藏君) 御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 塚本重藏

    會長塚本重藏君) では中平委員の御動議の通り合同審査会をこれで打切ることにいたします。  ちよつと一言申上げます。身体障害者福祉法案の審議に当りまして、昨日及び今日合同審査会を開きまして、私が合同審査会の会長に選ばれましたことを非常に光栄としておるわけでございますが、多数の議員各位が熱心に御審議なされましたことを深く感謝いたします。この上は法の不備の点もありましようし、予算裏付の十分でない点もございましようが、それは我々の今後の努力と政府の努力によつて完全を期して行きたいと考えます。何とぞ余されました期間内におきましてこの法案の成立いたしますことについてこの上ながらの御努力をお願いたしまして、私の言葉を終ります。  本日はこれを以ちまして散会いたします。    午後零時二十分散会