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1949-10-27 第6回国会 参議院 労働委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十月二十七日(木曜日)    午前十一時五分開会   —————————————  委員氏名    委員長     山田 節男君    理事      平野善治郎君    理事      早川 愼一君            原  虎一君            村尾 重雄君            荒井 八郎君            田口政五郎君            森田 豊樹君            門屋 盛一君            竹下 豐次君            田村 文吉君            波田野林一君            中野 重治君            水橋 藤作君            平野 成子君   本日の会議に付した事件 ○理事補欠選任の件 ○調査承認要求の件 ○一般労働情勢に関する件   —————————————
  2. 早川愼一

    理事早川愼一君) それでは只今から労働委員会を開会いたします。山田委員長が不在中なのでありまして、私委員長代理を務めさして頂くことになりましたので、どうぞよろしくお願いいたします。本日はお諮りしたいことがございますが参議院規則第三十條によりまして理事互選を行わなければならんことになりました。本委員会理事の数は先に一松政二君の労働委員辞任に伴いまして一名欠員となつておりますので、この際理事補欠互選を行いたいと思います。
  3. 平野善治郎

    平野善治郎君 只今理事互選は、投票を用いないで委員長において御指名あらんことを動議として提出いたします。
  4. 村尾重雄

    村尾重雄君 只今平野議員の御意見に賛成の意を表します。
  5. 水橋藤作

    水橋藤作ちよつとお伺いいたしますが、理事互選の場合に、各党派理事の割当がなければできないのじやないのですか。
  6. 早川愼一

    理事早川愼一君) 大体一松政二君の補欠選挙になるわけです。大体打合せとしては、民自党から御推薦を得たらどうかと思います。
  7. 水橋藤作

    水橋藤作君 了解
  8. 早川愼一

    理事早川愼一君) 只今動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 早川愼一

    理事早川愼一君) 御異議ないと認めます。  それでは私から田口政五郎君を理事に指名いたします。  この際お諮りいたしたいりでありますが、当委員会には、まだ政府法案も亦その他の法案も附託になつておりませんので、この際議長に対しまして、一般労働問題に関する調査承認の手続を取つて置きたいと思いますが、如何でございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 早川愼一

    理事早川愼一君) 御異議ございませんからさように取計らいたいと思います。
  11. 早川愼一

    理事早川愼一君) それでは本日は労働大臣初め労働省政府委員方々が御臨席になつておりまするから、この際一般労働情勢その他のことについてお伺いして置きたいと思います。
  12. 鈴木正文

    国務大臣鈴木正文君) 御質問に応じて具体的にお答えして行くのはし易いけれども、短い時間でありまして全体の情勢をどういうふうに纏めてお話していいかちよつと分りませんが、私から所管の、特に国会関係予算等関係につきまして今の段階現状を申上げまして、それから労政の問題、それからその他各局の問題につきましては皆さんの御質問といいますか、御要望に応じて、資料のあるものは資料を以て予め御説明を申上げて置くというふうにいたしたいと思います。第一は、只今委員長がおつしやいましたけれども、この臨時国会には私共の省しては目下のところ法案はかけないで、つまり臨時国会には労働省関係法案として新らしく作るものにしろ、或いは一部改正の案にしろ目下のところかけることを考えておりません。外の法案との関係などで、一部改正というふうなものが必要になつて来た場合には特別でありますけれども、若しありましたならば、この前の第五国会で以て相当重要な法案相当大きく修正もされておりますから、この臨時国会法案をいじることは避けまして、今のところどれか必要になつて来るか或いは又必要でないかも知れませんが、あればそれはむしろ通常国会の方に廻して行つた方がいいのではないかというそういう考えの下に、臨時国会には法案は出さない方針を今採つております。  それから予算関係でございますが、これはまだ関係方面との折衝も残つておりまするし、政府の一応の原案というものは、補正予算も二十五年度予算新聞等で発表された通りでありますけれども、いわば最終的には決定しておらないもりでございまして、これを基礎としていろいろな計画なり考え方なりを申上げるのもどうかと思います。但しそれを全然離れてしまつては会合を開いても殆んど話の中心がない、というようなわけでございますから、あの原案によれば大体例えば失業者吸収計画はこんなふうになつて参りますと、いうふうなことを御説明しておるわけでありまして、昨日本会議において緊急質問に対しての答えもそういう仮定論の上に立つたのであり、又最近出張の際に新聞社方面から失業問題その他について、又予算関係等について聞かれたのに対しての答えにもそういう前提の下にお答えして置いたわけでございます。従つて今我々が考えておるところの数字は最終的に予算が動けばそれに従つて数字も動いて来るということを予め御了解願いたいと思います。  それから予算の中で、これはもう決定して来ましたのは例の八億八百方円かの緊急失業対策費、これは少な過ぎるではないかというお話もこの前の国会にしばしばございました。それに対しましてその後の推移はどうなつたかと申しますると、八月頃までは大体その既定計画、つまり八億円を四半期毎に、二億円ずつに分けて使つて行くやり方で参りましたけれども、情勢に鑑みまして繰上げて使うということ、これは当委員会で以て門屋さん初め皆様方から御要望があつたと思います。情勢に応じては繰上げて使うということも考えるという御要望があつたと記憶します。それからできるだけそういうふうに善処いたしますということもお答え申上げて置いたのでありますが、大蔵省関係方面とも折衝、いたしまして、それ大体繰上げて使つてよろしいという了解を得まして、実際に十月頃からはそういう形で以て繰上げ使用をしております。従つてその十月頃から緊急失業対策費を使う人達の数は相当殖える。そのまま行きます、と十二月末までには使つてしまうということになると思います。今のそれは單なる計画でなくてそういうふうに動いております。という御報告であります。  それからそうなると一月以降と申しまするか、臨時国会推移、片付き方によつては十二月も入つて来ましようが、それ以降は十二月まではありますが、一月以降はその金は大体なくなるということになりますので、補正予算はその意味からも是非必要であり、又全体の緊急失業対策量を殖やす点からも必要であると考えまして、補正予算の中に新たにこの項目を計上しました。その金額は今申しましたように今後の折衝によつて変更するかも知れませんが、今原案に計上されておるのに八億五千万円であります。この外に五億円だけ公共事業費の方に、都市復興事業という名前で以て五億円だけ計上されております。これは実は最初合せて十三億五千万円を補正予算の中に、緊急失業対策として組もうという考えもありましたが、いろいろな関係で以て実質的にはそういうものと心得てよろしい。労働大臣失業情勢に応じて、ここにこういう仕事をやつて貰いたいということを建設大臣要望した場合に、建設大臣一般公共事業費は別の意味で急速に行う。而もそれは都市のみにおいて行うという形で以て補正予算の方に五億円計上されております。これも原案に計上されておりますということだけでありまするが、その性質緊急失業対策と同じ性質、若しくはそれに準ずる性質のものであります。だから昨日も参議院の本会議で十二億五千万円という数字を挙げての御質問がありましたが、十三億五千万円というのが正確であります。そういう場合には今の公共事業費の方に入れられておる五億円も加えての意味であります。緊急失業対策という名前で以て挙げられておる金は八億五千万円でございます。大体緊急失業対策費推移はそうでありまして、一口に言いますというと、仮に五億円の方は別だといたしましても二十四年度の当初予算では年間八億円であつたものが、補正予算年間に直すというと一四年期八億円というのだから大体三十億円前後に、年間に直すとなるというような計算にあの通りに行けばなつて参ります。それから従つてそれに応じて雇用料も引上げられるわけであります。正直に申しまするというと、今年の四月頃は緊急失業対策では二万人前後くらいきり吸収しておらなかつたと思います。それが今申しましたように、十月以後は繰上使用によつて四万人前後になつておると思います。詳しい数字事務当局から適当な機会お話しま号。それから今申しましたように補正がその通り行つたといたしまするというと、八万人ぐらいの吸収になつて来る、こういう形で推移しております。その外失業対策考え方は、公共事業全体の中に主力を置くべきであるという考え方の下に、御承知のような補正予算公共事業費、それから二十五年度予算公共事業費というふうなものが一応組まれたのでございますけれども、その推移はもう少し見なければ分らないと思います。  失業状況、これは全般的にぴちつとした数字を捉えるということは御承知のようにむずかしいのでありますけれども、安定所に現われて来る人たちの数の殖え方、それから失業保険を受取りに来る人たちの数の殖え方というふうなものからいたしますると、相当に殖えて来ておる、頂上に達して来ておると思います。ここらが頂上であつてやや失業保険その他そのまま横に行つてそのうちに下つて来るという時期が来るのではないかと思いますが、相当に殖えて来ております。これらの点につきましても数字を以て必要な場合、事務当局から御説明いたすようにいたします。  それからあの引揚者だの行政整理で以て整理された人たちは一体どのくらい就業しておるかということは相当重要な問題でありますが、引揚者の方はそうでもありませんけれども、行政整理の方は案外就業率はいいということを示しております。八月にこれは我々の安定所を通じて現地で以て完全なものであつたとは申せませんけれども、でき得る限り各官庁と連絡を取つて、その整理された人たちの行先を調査した結果によりますというと、八月に大体こういうことになつております。整理された人達の中で就職を希望する人達が大体七〇%、その七〇%の中で以て六八%就職しております。大体七〇%の又七〇%、だから整理された人全体に対すると七七、四十九五〇%ぐらい就職済みになつている。一般民間の方の企業整備就職はそれ程には行つておらないと思います。行政整理の方は関係共済会とかそういつたものの活動にもよつたものでありましようけれども、相当のいい成績を挙げているというのが事実でありまして、大雑把に申しまするというと、昭和二十四年度の第四・四半期行政整理人達の中で以て就職を希望しながら就職できないという人達は三、四万残るというようなことになるのではないかと思つております。大体そういう情勢でございます。  それから補正予算そのまま原案のままで行けば、新らしい雇用が下半期に百二十万人前後予定される。それをそのまま二十五年度の予算に延ばしたあの案で行くと、二百万人くらいが予定されるということになります。これらのことは別の機会にどつかですでに一応極く大雑把の見通しとして発表したことがあります。くれぐれも御了解を願いたいのは、今の案をその基礎と七て決定したものではありませんけれども、一応の基礎として現段階的にお話を申上げるというだけの意味でありまして、政府の最終的の吸収計画がここに決定したということは言えないわけでありますから、この点は予め御了解を願いたいと思います。その外いろいろありますけれども、要するにこの国会関係において予算関係法案関係で申上げておきたいと思うことはこれらの点でございます。尚労政関係等につきましては、必要がありましたならば労政局長から大体の情勢お話申上げます。
  13. 早川愼一

    理事早川愼一君) この際大臣に何か御質問がありましたら。
  14. 水橋藤作

    水橋藤作君 今失業者が五〇%就職したということを聞きまして私驚いたのでありますが、我々から考えまするならば、今度の行整は主として組合運動に專任した人が相当多い。従つて若い八であり又政治意識の高い人であり社会学的に相当インテリ層失業者を出したのでないかと、かように私考えていたのであるが、そうしますというと、その失業者が五〇%吸収されたというのはどういう方面吸収されたか、ちよつと私見当がつかないのであります。我々が考えましたのは、先ず全官公で行政整理された人達がどういう方面吸収されるであろうかということを一応考えたのでありますが、先ず全逓で首に去つた者ば国鉄で使いこなし、然らばそのインテリ暦の若い人達日雇労働で吸牧すると申しましても、都市行政整理になつた者に、秋田県や新潟県に行つて日雇労働をしろと言つてもそれはできないし、又そうした人達日雇労働者として吸収できないのではないかと、かように一応考えられるのであります。然らば商人をやるとか或いは何によつて食べて行くか、これが私として考えまするのは、行政整理をやつた後の治安方面相当大きな問題が残るのじやないかと懸念していたのであります。で我々はそういうように心配しておりましたのが、五〇%の失業者就職したということを聞きまして、非常に私意外に思つたのでありますけれども、もう一つ相当年長者であるところの人、或いは職業に耐えられない要するに病人、長期欠勤者相当対象になつている筈でありますが、そういう方面から考えまして、五〇%の就職があつたということを聞きまして、私は非常に心強く考えるのでありまするが、ただそういう方面から考えまして、どういう方面にこの五〇%の失業者吸収されて行つたかということを参考までにお伺いしたいと思うのであります。
  15. 海老塚政治

    説明員海老塚政治君) 行政整理離職者の中の就職先内訳でございますが、その前に整理官庁別を申上げると大体分ると思いますが、只今調べられたところでは一八月末現在までで就職を希望している者の数は、整理された者が十三万六千人に対しまして、そのうち就職を希望している者が九万二千人でございます。このうち公社鉄道関係が殆んどなのでございますが、整理済みが九万四千人そのうち就職を希望しました者が六万三千人であります。鉄道につきましては六万三千人のうち三万七千人が就職、これは日本国有鉄道公社からの報告でございますが、これによりますと、弘済会その他関係団体、更に民間商業部門方面等内訳就職していたしております。この内訳につきましては、更に九月末現在までの報告もございますので、次のときにお手許に差上げたいと思つております。  それから官庁関係につきましては、八月三十一日現在まで三万人整理済でありまして、そのうち約二万人が就職希望をいたしております。この官庁関係につきましては、各省それぞれ非常な努力を以ちまして就職斡旋に努めているのでございますが、やはり就職いたしましたる主なる部門民間会社、殊に商業部門などが多いようでございますがその外、民間各種団体等相当就職いたしているような状況になつております。  それから公団関係は七千五百人整理済みでございまして、そのうち七千人が就職を希望いたしております。これは公団関係は主に会社から派遣された者が大部分関係もありまして、元の会社に復帰したという者が殆んど大部分を占めているというふうになつております。  地方公共団体につきましては、八月三十一日までに三千五百人整理されているのでありますが、そのうち二千人程度が就職を希望いたしております。そんなふうになつております。
  16. 中野重治

    中野重治君 さつき大臣報告に、現在失業者がどれだけ出ているかということを調べるために、安定所に現われた人々、それから失業保険を取りに来た人々基礎にして調べるとこれこれだという話があつたと思いますが、安定所就職要求で来た人々及び失業保険を受けに来た人々の数を押えて、そうして全体の失業者の概数を計ろうという場合、前者で推定したものは実際の全数の大体何。パーセントぐらいになりましようか。
  17. 海老塚政治

    説明員海老塚政治君) 安定所に現われております求職就職状況をまずちよつと申上げますと、この八月におきましては七十九万人の求職者があります。で、これに対しまして就職しましたものが十三万人というふうになつております。七月は六十八万人で就職者は十二万人、六月は六十万人が求職で、そのうち就職者が十三万人という数字になつております。でこの安定所に参りますものが全体の失業者のうちのどのくらいを占めておるだろうかという問題でございますが、安定所に参ります者は転職希望者もありますし、それから事実仕事がなくて困つておる、こんなものが大部分だと思います。そういう人達もあります。安定所状況はそんなふうなんでございますが、大体具体的に一応の失業者の調べをやつております内閣統計局労働力調査数字は、六月から八月までにかけまして、六月が三十六万人、七月が三十八万人、八月が三十五万人という数字を実は示しておるのでございまして、これは抜取り調査でありまするし、失業者定義が、まあ本当に失業していてそうして職を求める運動をした者というような状況になつておるのでございまして、こういうような資料をあれこれ総合いたしますと、まあ現在の失業者は四、五十万人になるのじやなかろうかというように考えられるのでございますが、全体の失業者数字を得る資料といたしましては、この安定所の窓口の数字とそれから総理庁統計局数字と、この二つ以外には確実な資料はないのでございまして、これが全体の失業者の中の何割ぐらいを占めるかというような御質問になりますと、こういうような資料があつてこれから判断をするという以外はないのじやないかと考える次第であります。
  18. 中野重治

    中野重治君 そうしますと、総理庁統計は、それが扱つておる範囲に関しては確実であるけれども、それの扱い得なかつた範囲をも含めた全体に対しては確実ではない。従つて私が最初にお尋ねしたことは分らないということになりますね。
  19. 海老塚政治

    説明員海老塚政治君) そうですね。
  20. 中野重治

    中野重治君 これじや分らないというお答えですから、それはこれで打ち切ります。もう一つお答えの中にあつた失業者定義という問題ですが、これはどんなふうになつておりますか。
  21. 海老塚政治

    説明員海老塚政治君) 総理庁労働力調査におきまする失業者定義は、調査期間が、一週間のうちに収入を得る目的を持つた活動をしない、而も仕事を得るために就職運動をした、そういうものを失業者というふうに取扱つております。
  22. 中野重治

    中野重治君 大変珍らしい定義で、どんなふうになりますかね、具体的に言うと……。
  23. 海老塚政治

    説明員海老塚政治君) まあ一週間自分は失業している、而も何の仕事もない、併し働きたい、又働く能力もある。で、例えば知人或いは安定所等に職を捜しに行つている。こういう人が失業者という定義でございます。
  24. 中野重治

    中野重治君 そうすると、昨日首切られた人は失業者じやないのですか。
  25. 海老塚政治

    説明員海老塚政治君) 昨日首切られた人は失業者じやないといことになりますですね。
  26. 中野重治

    中野重治君 その六日間は失業者じやないのですね。昨日のみならず……。
  27. 海老塚政治

    説明員海老塚政治君) 六日間に実際働かなかつたという事実がないと、失業という範囲には入らないわけであります。ですから昨日首切られても今日就職したというような方々は、その中に失業者としては入つて来ないわけであります。
  28. 中野重治

    中野重治君 昨日首切られて今日就職した人は失業者に入らないということは、これはナンセンスであつてお答えにならなくていいと思う。昨日首切られた人が失業者に入るのか入らないのかということは、問題になるのは、昨日首切られて今日就職していない人についてですね、つまり昨日首切られて今日まだ就職できないでやきもきしている人は、政府定義によれば失業者に入つていないということが明らかかどうか。
  29. 海老塚政治

    説明員海老塚政治君) その通りです。
  30. 中野重治

    中野重治君 分りました。
  31. 原虎一

    原虎一君 労働大臣に一、二点お考え伺つてみたいと思います。大体今年の春の国会当時から、日本労働運動の趨勢といいますか、そういう点について労働大臣がどういうふうな観察をされておりますか。事実は、現実はどうなつておるかということについて、少し御説明を願いたいと思います。
  32. 鈴木正文

    国務大臣鈴木正文君) 私から極く率直に大体を申上げまして、それからもつとその外の点は労政局長から申上げることをお聴取りを願いたいと思います。  私共例の労働組合法改正をやるときの心構えといたしまして、破壊的な暴力的な組合活動及び組合指導というふうなものは排除する。排除といつても、政府が一々手を取つてどうこうというのじやありませんけれども、そういう方向、それから建設的な民主的な組合活動というものは極力、現状よりも一層執拗活発に活動して行つて貰いたい。そういう方向でもつて組合活動というものを通じて、組合員全体の意向を反映した組合活動というものを通じて、日本労働運動を妥当なところへ建設的に漸進させるということが、戦後三年間を経過して、第一段階と申しますか、初期を終つた今後の日本労働運動には一番中心的な健全な方式として考えられる。労働組合法自身もいろいろな角度からの批判はいたしたけれども、そういつた方向において改正案を作つたつもりであります。こういうことをしばしば申上げて来たんであります。  それから以後只今行政整理というふうな問題、その外の問題を挾んで、組合が動いたということはあるけれども、それは私共の言う、又普通の常識で言う組合活動自体範囲を越えたところの、一つの治安的の問題のような形を持つたところの現象が各方面に行われる。而もそれば組合自体が終始主体であつたがどうかは別といたしまして、組合自体のような形で干與したような形跡もある。そういう事態も世間に取沙汰されておる。そうしてその間を通じて行政整理も行われ、いろいろな御承知のような経過は辿つて参りましたけれども、私共は現在の日本労働組合が不当或いは破壊的な闘争方式というものを捨てて、そう云つた指導精神から離れて、そうして私共も考え、健全なる組合運動指導者たち考えておつたような線において、新らしい歩みを踏み出そうとする現状というものは、決して方向間違つたとは思つておらないのでございまして、本来の立つべき立場にむしろ立つた、これからこそ日本労働組合の本当の成熟する時機があると、そういうふうに考えております。  それから労働組合自体活動はいろいろな指導方針の転換、或いは労働組合自体の問題でない只今申しましたようないろいろの問題との関係から、やや停滞というと語弊があるかも知れませんけれども、やや一つの次の方向を探し求めるために、或る特殊の段階を経過しつつあるようにも見えますけれども、一日も早くその段階を経過して新らしい方向をしつかり掴んで現実組合運動質量共に転換して欲しいという気持を私共は持つておりますし、行政の面で、干渉する意思はありませんけれども、そういうことを政府が努める面がありましたならば、その線に沿つてつて行きたいと思つております。私自身はこの前の国会から今日に至るまでの日本労働組合運動自体は決して崩潰、後退という線を辿つておるのではなく、別個の面から来たところの幾多の関係によつて特殊の時機は経過しつつあるけれども、本来の方向に向つて進みつつある、そういう段階を今経過しておる。そういうふうに考えております。別に特に何々系統がどうこうという問題ではなく、全般的にそういうふうに考えております。
  33. 原虎一

    原虎一君 この第五国会のときにも吉田総理初め、労働大臣同様の意見を発表された。と申しますのは民主的労働組合の正常なる発達を希うということであるということを本会議においても答弁された。労働組合法改正はそこにあるというお話でありましたが、然らば民主的労働組合の発達がこの法改正以来過去五、六ケ月間に進んでおるという労働大臣のお考えでありますが、併しながら尚法外組合の存続が相当にあるように聞いておりますし、そういう問題ばかりではなしに、一体政府が希望しております民主的労働組合の正常なる発達ということは、少くとも政府みずからがこの具体的な問題についての善処をしなければならん。ですから私は、荷大臣の観察、日本労働組合運動の趨勢に対する観察のごとき事実に基いて如何なることを政府考えるか。ただ先程から出ております失業問題は重大でありますからこの問題だけを取上げて、政府の責任において、処理するということも大事でありますが、組合運動全般から見て政府は如何なる態度をとつて行くべきか、こういう問題をこれはもう少し明らかに願いたい。
  34. 鈴木正文

    国務大臣鈴木正文君) 大体著しい考え方の相違があるようにも思いませんが、根本はそうである。ただ併し前から繰返して申しますように、組合なり、労働運動というものに対しまして、普通の行政のように政府がいろいろな命令を出し、どんどん中に入つてやる、つまり指導行政をやるということは、組合運動にとつては、私共の考え方としては、いいのではないのでありまして、今申しましたよう健全なる、建設的な組合自体活動によつて労働問題解決の大きな中心の形が築かれて行くというふうに仕向けて行くのが、やはり労働問題として正しいのだと思つております。併しそうかと申しまして政府は何もしないという意味ではありません。例えばいろいろな法規的な問題、或いは行政整理の後の問題、あれは非常の形で以て行われたのであるから、できるだけノルマルの形に返して行く。そのために具体的にこういう問題はどう、こういう問題はどうとらくの問題について皆さんのお考え、御要望考えつつ、政府として、特に労働大臣としてそういつたものを一つ一つ正常のものに返して行く。そうして今申しましたような意味で以て活発に労働組合活動できるような條件を整えて、單に法的でなく、行政的にも整えて行き、その中からどうぞ、原さんだけではありませんけれども、皆さん、特に組合関係の深い方からも、そういう中からむしろ政府指導するという勢いで以て活発な活動を展開して頂きたいと思つております。くれぐれも私共の考え方で注意すべき点は、労働行政組合に対して普通の指導行政のような形で以てあれこれと矢鱈に容喙すべきではないということは注意しなければならんと考えます。
  35. 原虎一

    原虎一君 少し私のお尋ねする要点と外れておると思いますが、併し全然外れていないけれども、一部、一つの部面ではあると思うが、そういうその部面であるところの組合指導政府みずからやらない、この方針については、私はそうでなければならんと思う。併し大臣からそういうお話があつたから申上げまするが、そういう御方針は結構でありますが、事実の問題になれば、相当指導が強いところがある。これは具体的のことは今日申上げませんが、その点は大臣御存知ないかも知れないけれども、相当に強いものがあるということだけは私は申上げておきます。これは大臣どうか今の御答弁の趣旨を庁内に徹するように御注意願いたいと思います。  それから私がお聽きしたい点はそれではなかつたのでありまして、政府の中にあるところの一省、労働省日本の労働問題に対してどういう態度で進むべきかということについての労働大臣の御意見を伺いたかつたのであります。併しこれは余り抽象的でありますから、御答弁が今のようになつておりますが、実際の具体的な問題から御意見を伺えば、その方が分りよいかと思いますが、民主的労働組合が発達するということは、ただ資本家の言うこと或いは政府の言うことを聽く労働組合運動の発達を願うということではないと思います。いわゆる労働者みずからがかくあるべきだと考えて進む、そこで而もその労働組合があらゆる合法的な手段を以て自己の目的を達して行くというところに民主的労働組合の重要なる精神があると思います。民主的な労働組合がそういう手段をとつて行くものに対して政府みずからがこれを管轄以外であるから等閑に付しているというような態度であつたならば、それは民主的労働組合の発達を労働省は助長していないのです。むしろその発達を場合によつては抑止する結果が来るのであります。そういう点から私は実は労働組合の民主的な発達を希望して、いるというだけの政府の態度であつてはならん、殊にその所管であるところの労働省は、これは私はそういう問題については労働省の所管であり専門でありますから、閣内を指導して行くくらいの働きをして頂かなければ民主的労働組合の発達というものは不可能だと思うのです。これは非常に労働省にとつて私は根本的な基礎的な問題であると思います。それが労働省所管以外のものであるからそれは知らんのだ、或いはそれを冷淡視する、こういう態度でありましたらば民主的労働組合の発達を政府みずからが願つておるとは言えないのであります。これを具体的な問題に当てて行きますれば、今日問題になつております運輸省の監督を受けております国有鉄道の賃金ベース改訂の問題であります。これが今調停を政府は拒絶いたしまして、御承知のように仲裁にかかつております。少くとも国家の機関であり而も法律に基くところの機関が決定したものに対して政府がそれをただ蹴つ飛ばして行く、而も今度仲裁となつたら政府はどういう態度をとるかということはまだ我々は大きな眼を以つて見ているわけでありますが、こういう具体的な問題に、而も日本労働組合運動の中枢組織であると言われるところの労働組合がとる態度を、而もそれが法に基いてなされている問題を政府みずからが蹂躙するがごとき態度をとる、労働省はこれを所管外であるから冷淡視しているというようなことであつては私はならんのじやないかと思う。そういう点が民主的労働組合の発達を希うところの政府であるならば、政府としてとるべき、労働省としてとるべき態度、まあ総理大臣の言明にも、第五国会における労働組合法改正の場合における総理大臣の答弁にも反するのじやないか。この点をお聞きしたかつたのでありまして、まあ大臣なり労政局長なりのお考えを聞かして頂ければ結構だと思います。
  36. 鈴木正文

    国務大臣鈴木正文君) 簡單にお答えいたします。決して原さんと議論を始めるという意味じやありませんけれども、労働組合がその持つておる権限なり、活動力なりを発揮して行く、そうして要望をし、それから調停委員会が法に基いて活動して行くということは、これは正当のことでありまして、その点に関しましては、我々は何ら掣肘を加えられるものでもありませんが、加えようというような考え方は持つておりませんでした。正当の手続を経て従業員諸君の希望が纏めて表現されるという民主的手続に至りましては、これはもう組合本来の機能でありまして、それに対して提供されたところの要求にどういうふうに処理するかということも亦経営者側の対等の立場における自由なのでありまして、そういつた中から妥当な解決の点に達して行くことが正しい方式だと思つております。又私共の考えで、あの調停委員会の調停案は国鉄公社の労資双方に提示されたもので、直接政府に提示されたものではないのでありますが、その国鉄公社の場合には直接の監督官庁である運輸省もあることでありまして或は公式に例えば閣議を以て決定して政府の意思として表明したという形で  はないでありましようけれども、意見を質された場合に政府の意向として伝えられたようなものが表明されたということも、決して組合の正しい民主的活動を阻害しようとか或は事ごとにそれを蹴つとばしてしまおうというような考の上に行われたものではないのでありまして、政府自体も亦政府の財政の立場或は全体の経済政策の立場等から政府としての考え方を表明したものであります。これらの点は決して民主的組合活動自体に圧迫或は牽制というふうな考えは毛頭ないのでありまして、そういつたようなそれぞれの立場において率直にその意見を表現して行くということ自体が民主的であり又組合活動もそれで以て阻害されずに展開して行くものと思います。政治的或は特に意識的な圧迫或は牽制というふうなことは政府は毛頭考えておりません。ただ国鉄の賃金問題がどういうふうな経過を辿つてどういうふうな帰趨に落付くかということは別個の問題でありまして、しばらく今後の推移を見たいと思います。私共も原さんのお説の通り積極的に組合が持つておる正しい権利はどしどし合法的な形で発揮して行つて貰うということについては反対どころでなく、むしろ先程申しましたように切望しておるわけであります。
  37. 原虎一

    原虎一君 大分時間を取つて失礼でありますが、もう一つお伺いしたいのでありますが、今の御答弁では私のお聽きしておる精神がお分りになつていないというような気がするのです。もつと具体的に申しますと、私が申しますのは、例えばその善悪は別でありますが、労働大臣労働省所管の諸君が民主的労働組合の発達を希うという精神がありますならば、やはり民主的な方法によつて労働組合運動を押進める者に対する態度というものは、おのずから官庁でありながら開けているのじやないか。例えば労働三法改悪問題が或る政党の或る目的のために出るかのごとく宣伝しておる時代がありました。その当時加藤労働大臣は自分が労働大臣をしておる限りにおいてはそういう改悪はさせないということを言明し、職を賭しても闘うということを言つておりました。私は加藤労働大臣を称讃するとかその善悪を申すのではないのでありまして、そういう態度が労働大臣としては私は必要じやないかと思う。今の御答弁にも民主的な手段で労働組合要求を達するために活動することは賛成すると言われておりますが、その手段で賛成した結果に対して相手方が政府である場合、政府がこれを拒絶して、これを逆に労働大臣のお考えを伺いたいのは、現在国有鉄道におきますところの賃金ベース改訂の調停案というものを政府が蹴るということは、今日の労働組合運動の趨勢から考えて、一体労働大臣は民主的労働運動の発達にプラスしておるか、或いはこれを阻害するものであるか、どちらにお考えになるかということをお聞きしたかつたのであります。そう具体的にお聞きすることは大臣の立場もあろうかと思いますから、私は今まで抽象的にお伺いしておつたのであります。これは私先程申しましたように加藤労働大臣が取つた態度と、それから今日の鈴木労働大臣の態度というものは、政党が違えば違うのかも知れませんが、日本労働運動の民主的発達を希うという線から行きますならば大事な点であつて、同様でないかと思います。この点が大事なことであります。若しこれが又仲裁の場合になつて政府が蹴るということになりますと、それでは日本労働組合の民主的発達は政府みずから蹂躙するということになる。そういうことについて労働大臣自身のお考えなり、信念なりをお伺いしたいと思つてつたわけでありますが、ここまで申上げなければお話を承われんということは誠に私は遺憾に考えております。これだけ申上げて置きます。
  38. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 先程大臣の御説明のうちに、労働組合に対して干渉はもとより……、それはよく分ります。指導の問題につきまして全く指導しないわけでないけれどもということがありました。その指導するという力が労働組合に対しては非常に遠慮して行使されるかのように今聞き取れたのであります。ところが政府としましては各方面に対して個人に対しても、各種の団体に対しましても指導的立場に立つておられるし、又指導しておられ、実行しておる面を非常に広く見ております。それが本当の行き方だと思います。若し労働組合が他の団体等に比べまして非常に進歩しておりまして、政府指導を少しも要しないところまで行つておるならば、先程お述べになりましたように成るべく指導方面は遠慮するというようなお気持も正しいかと思います。私共の見ますところ、ただ労働組合の今日の状態としては遺憾ながらまだ完全に発達していないので相当に外部から指導援助を要するところが残つておるかのように思われます心組合すべてを私はそう言うのじやありませんが、そういう部面の組合相当にあるように思われます。そう考えると他の団体に対して指導的立場に立つて強力に指導されておる政府が、労働組合に対してだけ除外的に指導の方を非常に遠慮しておられるということは、ちよつと私共には理解ができないのであります。干渉になつてはいけない、又民主的に発達しようとする労働組合を抑えるような結果をもたらすような指導は、これはもとより避けなければなりませんけれども、その域に達しない程度の指導を要する部面が相当つておるのではないかと思います。それは国のためにもなり又指導される組合としても利益を受けるということがあるように思うのでありますが、その点大臣は如何ようにお考えになりますか。
  39. 鈴木正文

    国務大臣鈴木正文君) 竹下さんとそう変つておらないと思います。つまり私の申しました指導といいまするか、むしろ干渉というふうなことを主にして申しましたので、一つ組合法がある、或いは労働関係の調整法がある、公共企業体の法律がある、それからそれに附随しておる規則がある、機関がある、それはこういうふうに運営して行くのだという規定があつたならば、その規定に従つて問題が起きた場合には、その問題を正当な機関が取上げて活動を開始したというような場合に、こういう方向にああいう方向に、というような政府の意向を指導的に加えて行くということは、絶対に避けるべきであるから、はつきり申せばそういう種類のことを政府が言つたのでありまして、いわゆる広い意味の労働教育と申しますか、アメリカの組合運動はこうである、どこの組合運動はこういうようである、こういう仕事もやつておる、民主的組合とはこういうものであるといつた、いわゆる広い意味の労働教育という問題を政府は極力力を入れているのであり、入れなければならないのでありまして、現に二十五年度の予算、これもさつき申しましたように、まだ決定しない予算のことをいろいろ申しますと、おかしいのでありますが、労働省考えといたしましては、そういつた方面への経費は、つまり広い意味の労働教育、今申しましたように組合の法的の活動に干渉する問題でなくて、広い意味の労働教育の方は一千万円くらい昨年よりそれらの経費も殖やして、極力積極的にやつて行きたい。こういう希望を持つておりまするし、経費自体のことは繰返して申しますように、予算が最終的に決まりませんから、決定的に申せませんが、労働省は少くともそういう労働教育及び労働教育を通じての政府一般指導という方面においては、強力にこれを行う方針であり、準備も進めておるわけであります。大体竹下さんとその面においては著しい意見の相違はないように思います。
  40. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 只今お答えよく分りました。私の意見と大体同じだということでありまして満足であります。ただ先程お言葉尻を捉えて私はお尋ねしたのではありませんので、現在の労働教育というような部面等につきまして、実際の政府活動を見ますると、まあ遺憾ながら非常に心細い限りに思つておるのであります。そういう意味含めて今の質問をいたしたような次第であります。尚御説明によりまして予算なども相当考えのようでありますが、現在よりも余程力強く教育をやつて頂きたいというのが私の希望でございます。
  41. 鈴木正文

    国務大臣鈴木正文君) よく分らないのですが、予算の点は御参考までに申すので暫定案ですからどうぞ……。
  42. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 それからもう一つ伺いたいのですが、学生のアルバイトというものは非常に殖えておる。この間のあれで、議会の際に学生の就職問題、アルバイトの関係等につきまして学校当局と安定所関係についての御説明も承わつたのでありますが、その後のこの問題に関する経過は今日までどういうことになつておりますか、文部省との連絡など成績を一つ説明願いたいと思います。
  43. 海老塚政治

    説明員海老塚政治君) 新規学校卒業者の就職状況でございますが、求職者の数は二十一万一千七百十九人、それから求人数は二十三万九千三百十人、これを男女別に見ますと男の求職者が約十一万七千人に対して求人数は九万人、求職者より求人数が少いということになつております。女子は求職者が約九万五千人に対しまして求人数は十五万人一女子の方は非常に求人数の方が多いということになつております。でこの求人求職状況なのでございますが、七月末までの実績によりますと、この二十一万人の求職者のうち就職いたしました者は十二万人で、内訳は男女共大体六万人です。従いまして未就職は九万二千人という数字になつております。で就職部門別に見ますと、製造工業は八万二千人で一番多くて、次に自由業が一万二千人、商業が七千三百人、その他というような状況になつております。
  44. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 お伺いいたしたいのは、この前の法の改正によりまして安定所と学校との関係を密接にするということになつたのでありますが、この制度の改正によりまして前と比べて成績がよくなつておるかと、或いは何か支障がありはしないかと、学校方面ではどういうふうのことをその後考えておるか、或いは文部省から何か労働省に対して註文がありはしないかというようなことを伺いたいのであります。
  45. 江下孝

    説明員(江下孝君) お答えいたします。先般の国会で職業安定法の改正をいたしまして、学校と安定所が協力いたしまして学生のアルバイト、或いは新規学校卒業者の就職問題の解決を図ることになつたわけでございます。その後の実施状況でございますが、この問題は学校の所管が文部省でございますから、文部省と絶えず緊密な連絡を取りまして、すでに大綱の方針につきましては、地方に書面を以て通達を実はいたしておりますが、何しろ制度といたしまして、初めて生れたものでございますから、特にその取扱いには愼重にやつて参りたいと考えまして、実はこの学生のアルバイト、新規学校卒業者の就職問題につきましては、私の方で東京都の神田橋の安定所、これは私の方の実験安定所になつておりますが、この実験安定所におきまして、文部省と協力の上でその管内の学校につきまして、目下試験的にこのやり方を実施中でございます。大体来月の中頃になりますと概ね見通しがつくと思います。現在までの状況を申上げますと、大体神田橋の安定所管内で中等登校以上が八十七校ございます。その八百十七校につきまして今全部実験を実施しておるわけでございます。そのうち法律の二十五條の三と申しますと、安定所の業務の一部を分担させてやるやり方でありますが、このやり方で適当と思われますのは大体五十二校入つております。その外につきましては、いわゆる法の三十三條の二の規定によりまして、無料の職業紹介事業を学校が行うという制度の方がよいのではないかというように考えておりますが、これは先程申上げましたようにまだ結論が出ておりませんが、来月結論が出ましたらこの方針により、大体全国一齊に実施いたして参りたいとかように考えております。
  46. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 実は従来学校で專門学校や大学を卒業した者の就職の世話をしておつたわけでありますが、今度安定所の出店みたいなことになりましたために、却つてどうも工合が惡くなりはしないかという不安があるのです。と申しますのは、安定所としては学校出の人であるから、学校出でない人であるからというところで、差別的にお取扱いになることは困難な事情があると思います。そこに学校当局としては少し不安を感ずるという点が残るかと思つておりますが、そういう点が気になりますのでお尋ねしたわけでありますが、只今説明によりまするというと、学校出のために特別の安定所をその後又お作りになる御計画のように感じますので、そういう方向でお進みになりましたら大変うまく行くのじやないかという感じがいたしましたので……。
  47. 江下孝

    説明員(江下孝君) 只今申上げましたのは、特に学校出のものを專門に扱うというのじやございませんで、その安定所で特に今実験をやつているわけでございます。そういうふうにやつたらうまくこの安定法の精神が活かされるという実験をやつているわけでございます。その実験によつて一番いいやり方を全国に広めると、こういう考えでございます。
  48. 原虎一

    原虎一君 もう一つ質問というよりか、希望を申上げておきたいのですが、先程竹下委員からも出ました労働組合運動に対して政府行政面は別であるが、指導部面においては積極的にやらないで組合にやらせる、併しながら現状においてはやはり相当に労働者教育方面等においてなさなければならん点があるということはこれは了解できるのです。一般的な問題に対して政府民主的労働組合の発達助成を図ろということは、我々は望むところであり了解できるところであります。併しそれが今度は係りの好みにより、或いは担任の者の一種の好みにより一つの事柄が好みの方向にまで干渉されるというようなことがあつてはならんのでありまして、くれぐれも私は申上げておきます。この点は非常に大事なことであります。一般的なことを労働省でやられるということに我々はそれを応対して、おるわけではないのであります。併しながらそれが今度個々の具体的な問題になつて来れば、団体間のことまでに、一人の係りの好みによりこれをやられるということになりますれば、非常な弊害がありますから、そういう点は御注意を願いたいということを申上げておきます。
  49. 早川愼一

    理事早川愼一君) 外に……。
  50. 中野重治

    中野重治君 今日労働大臣のいろいろなお答えを聞いて見ましたが、この次からのために私希望することがありますからちよつと今言いますが、労働大臣のみならず労働省関係の人は今度労働委員会に出るために第五国会の終りに、特に労働組合関係法規の改正前後に委員会、本会議等々で述べられた速記録ができて来ておりますから、あれをどうか読んで頂きたい。今日大臣の答弁を聞いて見ますと、あのときとはその後政府方針が変つたんなら別だけれども、それ程根本的な違いがないんだとすれば、非常に違つておる。組合に対する政府の干渉とかなんとかいうようなことも、あのとき例えば組合の争議において暴力行為等々は段々減つて来ておるという資本家側、政府側、検察庁側、組合側からの証言があつたけれども、こういう規定を挿入するというようなことは記録にちやんと載つています。それから特に吉田総理大臣委員会の許可を受けないで抜け出して問題を起した。あのときにおいて組合の健全な自主的発達を政府要望するということは表向のことであつて、実はどういうことかということも記録にちやんと載つておる。だからそういうことを読んで来て想い出して、そうして今後の委員会に望んで貰うと、委員会の時間の上でも非常に得になると、こう考えますから私はこのことを希望します。
  51. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 ちよつと今の問題に関連しまして、実はこの前の国会の際に、丁度今中野君から御説明になりましたように、暴力行為というものは減つておるということを政府当局から御発表になりました、そこを捉えて中野君が本会議でも非常に攻撃される演説をされました。ところがその直後に私の聞きましたところによるとあの発表は間違いであつて、暴力行為は殖えておるということを聞いたのでありますが、若しそうでありましたならば、できるだけ早い機会において政府当局がその点をはつきり表明された方がいいと思います。又されなければならない。これは非常に大事な問題でありまして、若し元の報告のままであつたならば、中野君の議論が私は正しい議論と思います。それだけお願いして置きます。
  52. 早川愼一

    理事早川愼一君) 外に御質問ございませんか。御質問がなければ本日はこの程度で散会いたしたいと思います。    午後零時二十一分散会  出席者は左の通り。    理事            田口政五郎君            平野善治郎君            早川 愼一君    委員            原  虎一君            村尾 重雄君            竹下 豐次君            中野 重治君            水橋 藤作君            田村 文吉君   国務大臣    労 働 大 臣 鈴木 正文君   説明員    労働事務官    (職業安定局庶    務課長)    江下  孝君    労働事務官    (職業安定局失    業対策課長)  海老塚政治