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岩木哲夫君 我が民主党は今回の
補正予算につきましては、
不満を持つものでありまするが、通さんよりはましだという観点におきまして、後で申上げまする強い
希望條件を
條件といたしまして
賛成をするものであります。元来私達が
臨時議会を召集せよと
要望したゆえんのものは、当面する
災害復旧或いは
失業対策、又当面する乃至は
長期のこの
金詰り打開に対する
対策、
シヤウプ勧告等に基く
税制改革の
急速実現化、
生活安定と
賃金の問題の
解決施策、
見返り資金の
急速活用化を願い、又
輸出滞貨に対しまする
対策を至急採るべきであるという
要望に基きまして、
臨時議会の開催を
要求したのであります。
ところが、
現れましたるこの今回の
補正予算のその
内容、
性格が、今先に申上げましたような
要点は、
政府自身も当初から夙に御了承の上、恐らく
補正予算を
臨時議会召集の
手段に臨まれたと思われたのでありますが、実際はその
内容が著しく変化いたしまして、或いは矛盾をいたしております。或いはそういう重点に背馳した
内容が現われておるということは、私達の最も遺憾とする
ところであります。元来今回の
補正予算の財源の使途なるものは、自然増收、過年度收入及び価格調整費の削減等によるものが概略六百億と想定されるのでありまするが、次に
薪炭特別会計及食管
特別会計等の
政府機関並びに
特別会計に繰入れ、
赤字補填をするものが、そのうち三百六十億を占めておるというようなことでありまして、先程来申上げました施策に対する
予算盛上げは、極めて低率であるのであります。
薪炭特別会計の
内容につきましては、衆議院、参議院とも非常な活溌な
意見がありまして、極めてその
内容に不審、疑わしいものがあるのみならず、又
特別会計におきましても、大臣の答弁は、おのおの異りますが、六十億乃至九十億の「いも」の
増産による
赤字などが、その大なるものといたしまして、而も
薪炭、
食糧とも、これらの
赤字がすでに
小売価格で消費者に転嫁された上に、この
一般会計から更に補填をするという二重の
国民、国家負担を敢ていたしておるという
内容等におきましては、極めて私達の遺憾とする
ところであるわけであります。
元来
吉田内閣が主義、主張とされておりました
性格が、ドツジ・ライン、
シヤウプ勧告案等、その他
講和会議近きにありというようないろいろな変化に伴いまして、必ずや可なり、拘束された從来の
政策が、活溌に顯現、昂揚されるものと信じてお
つたわけでありましたが、今この
内容におきましては、今申上げまする通り、全く
政府機関と
赤字補填のためにこの
補正予算が盛られて、本来の
性格が殆んど発揮昂揚されておらない点があるのであります。
吉田内閣は九原則は我が党の思う通りの
政策であ
つて、すべてが一致すると宣伝され、ドツジ・ラインは全く我が党の趣旨が殆んど容れられたのである、
シヤウプ勧告案に至
つては、近来の大朗報だと大いに声を大にされたのでありましたが、併しやられること、
予算に
現れましたることが、非常にこの点と矛盾撞着しておる点は、今私がこの席上で繰返す必要はないのでありまして、すでに十分御承知のことだと思うのであります。
減税をされるといわれまするけれども、この
減税なるものの、物品、織物税等の時期を失したる
措置或は直接税で増税を図り間接税で
減税を図るというような
措置が、この当面する
デフレ産業破壊の瀕死の
状態に対しまして、又一面
国民生活安定の上に果して重要なる
復興要素であるかどうかは甚だ疑問とする
ところであるわけであります。又当面するこの金融
対策におきましても、この千四百幾らかの
見返り資金の活用が、本日に至
つて未だ四億内外にしか実際
現れておらず、近き将来二百億乃至三百億は予想されましようとも、昨年
政府は
国民所得の増徴を見積りまして、
厖大なる自然増收から増税を図
つて、これらに見返えるべきものとして、
見返り資金の放出を以て
産業不振を打開し
貿易振興を図らんとした処置に拘わらず、とる
税金は先に取上げて、出す
見返り資金は今日延々として未だにその全貌が分らないというような事態は、今日の
デフレ要因の極めて大なるものであるとは、ひとり我々が申すばかりじやあなく、一般世論におきましても、経済界におきましても一致せる
意見であるわけであります。
シヤウプ勧告案におきましても、いろいろ我々におきましては果して
税制改革によ
つて、この
日本の
産業復興なり、輸出振興が本当に自主的に盛り上げられるような
内容にあるか、又
物価政策、
生活安定の問題におきましても誠に機微を穿
つたものであるかどうかにつきましては、その
政府の採るべき税制施策、殊に地方税との睨み合せ等におきましては重大なる関心を有するものでありまして、今回の
補正予算にその一片が現われ、将来の本
予算にも、この
補正予算におきまする一端を以てその
一つの指標だと
政府当局は言われておりますが、
補正予算のみに現われましたる税制の一部改正の曙光は、誠に私達の期待と反するものが沢山あるのであります。取引高税を廃止されるというて声を大にされておりまするが、来るべき議会においては、附加価値税等が現われて来るという事態は、誠に私達は
政府の言明とその從来の趣旨というものと極めて矛盾を感ずるのであります。ただ私達が遺憾といたしているのは、
薪炭特別会計、食管
特別会計ももとよりでありまするが、この
デフレ状態、この
産業不振の
状態、尨大なる輸出滯貨に対する処置、殊に年末金詰り、
長期資金涸渇等に対しまして、この実情を如何に打開するかということを、あらゆる
委員会、本
委員会或いは本
会議等において、それぞれ委員が質問されましたに対しまして、
政府はこのくらいな
デフレ、このくらいな事態は止むを得ないのである。又
賃金の改訂の問題或いは
国民生活安定の実情等につきましても、やがてよくなるであろうということで一蹴いたしているのであります。併し私達の眼や耳を掩うても、
国民大衆のこの実情は、
政府が如何なる言を吐かれましても掩うべくもないと私は信じております。(「その通り」、「そのぐらいにせい」と呼ぶ者あり)かくのごとき
政府と我々の見解が著しく相違をしているということは、誠に私達の不可解とする
ところであります。又
政府は近く
講和会議が開かれるであろうということを、本
会議劈頭に総理大臣の施設演説の中に謳われておられるのでありますが、これに伴う
産業復興、経済施策に対します抱負或いは
建設予想というものが、これ又
委員会、本
会議におきましては、殆んど見るべき
政府の考え方が現われておらないということは、極めて我々の矛盾且つ遺憾とする
ところであるわけであります。又
失業対策におきましても、その他
災害復旧におきましても、いろいろ
政府のとられた
措置も、もとより或る意味におきましては了解ができないことはないのでありますが、先程来申上げました通り、今回の
臨時議会、
補正予算の本来の趣旨、
性格、
内容等から見まして、私達は
吉田内閣であるならばこれくらいのことはやりそうなものであるという、ひとり我々のみならず
国民の期待を大いに外したということは、誠に
国民と共に我々の遺憾とする
ところであります。(「だから反対をする」と呼ぶ者あり)私達はかような幾多の
政府の施策の矛盾、欠陷或いは我我の
不満とする
ところがありますが、まだ通さんよりはましであろうというような観点から、(「どうも変だね」と呼ぶ者あり)次のような
希望條件を述べて
賛成をするものであります。(「ロジツクに合わん」と呼ぶ者あり)
政府は今回の
予算、更に明年度の本
予算におきましての
政府閣僚各位の答弁の
内容におきましても、財政と
産業復興政策とにどうもマツチした総合的な強い
政策が現われておらない、現わそうとしない。財政は財政の問題、
産業は
産業の問題と言
つて切り離している。徒らに自主経済、自由経済を唱えるだけでありまして、この
国民経済涸渇の今日、どうしてもこの財政と
産業復興経済とは結付けた施策を強硬に採るべしという我々の強い
希望があります。
更に当面する年末金融は極端悲惨なものでありまして、私達は取り分け中小商工に対しまするこの実情ということは、全く目を掩うものがありまして、若し将来の総出振興に
政府が專念せられるならば、従来の六〇%を占めたこの中小商工に対しまする、取り分け輸出が自由に、
貿易政策が新たに
施行された今日、この
日本の中小商工に対しまする当面の金融、取り分け年末の金融
対策に至急に
対策施策を講ずべきことを
要求するのであります。
又
失業対策におきましても、労働
失業対策は、或いは
災害復旧その他に吸收されるという
政府の施策等も時々聞くのでありますが、今日知識
失業者は四百数十万と算せられているのに対しまして、こうした
対策が殆んど放任無策のままであるということは、いよいよ
デフレ、不景気深刻ならんとする年末、明春にかけての
国民生活の重大なる危機を招来し、且つこれが思想問題にも悪影響をいたしますことを思いますれば、これらの
失業対策に対しまして
政府は至急且つ重要なる方策を採るべきだと思うのであります。
又
物価と
賃金の調整におきましても、
政府が主宰する統制
物価、
食糧であるとか、運賃であるとか、電力、ガス、或いは重要
産業等のマル公はどんどん引き下げまするが、併しこれが基本的
産業経済物資に影響する循環を思い合せますれば、今日の
賃金態勢、
賃金政策のままで放任するということは、これ又由々しき事態が予想されるのでありまするから、この
物価と
賃金政策に対しまする総合的な調整
政策を採るべきだと思うのであります。
更にもう一点は、
世界的
食糧緩和に伴いまする我が
日本農業の
恐慌が招来されやしないかという、もう現実に即したこの実情、これに対する今回の
補正予算にも殆んど見るべきものがなか
つたのでありまするが、この
日本の農業
復興対策に対しまする緊急且つ適切なる施策を施すと共に、一面
世界的
食糧緩和の
状態に際会いたしまして、
国民の念願して止まない三合配給を早いうちに、極めて早期のうちに
施行すべきだと我々も
要望する次第であります。
以上あらまし主なる
希望條件等を申上げました。本
予算におきましては幾多の矛盾且つ
不満はありまするが、先程来申上げておりまするような、通さないよりはましだという観点から、この際
賛成の意を表するのであります。