運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1949-11-30 第6回国会 参議院 予算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月三十日(水曜日)    午前十時四十五分開会   —————————————   本日の会議に付した事件昭和二十四年度一般会計予算補正  (第一号)(内閣提出衆議院還  付) ○昭和二十四年度特別会計予算補正  (特第一号)(内閣提出衆議院書  付) ○昭和二十四年度政府関係機関予算補  正(機第一号)(内閣提出衆議院  送付)   —————————————
  2. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) これより委員会を開会いたします。  本日は、昨日の井上委員より総理大臣に対する質問に対しまして、詳細につき矢野厚生政務武官から御答弁がございます。
  3. 矢野酉雄

    政府委員矢野酉雄君) 昨日の井上委員首相に対する御質問の中、厚生当局としてお答えをすべき事項がありましたので、本日お答を申上げる次第であります。  国立病院療養所整備或いは清潔整頓というような立場から、現在のままでは不十分であるという御助言を頂戴いたしまして、これ誠に有難い御忠言でありまして、終戦後の無秩序な頂戴がやはり病院療養所等にも伝播いたしまして、十分手が届かないでおることは、事実であります。更に又、病院療養所国有財産の管理についての整備が、大蔵大臣に所管されておりました関係上、そういう態度立場からも、実は十分手が届かない向きもあつたのであります。病院等で立ち腐れになつておるとか、或いは草茫々で活用ができていない。過般の政令によつて国立病院の方は厚生大臣の権限に所管されるようになつたのでありまするから、只今厚生当局としては、十分御意見趣旨と同じ態度から、病院療養所等整備をいたしまして、そうして清潔美化図つて、環境を整理して、その病院療養所の設けられておる目的を大いに遂行して行きたいと、折角努力しておる次第でございます。今暫く時日をお籍し願いたいと思うのでございます。  それから国立病院及び国立療養所整備につきましては、昭和二十五年度において総額八億六千万余の予算を計上して、建物、医療機械等整備並びに結核及び癩療養所の病床の増加を図りたい所存でありまするので、希くば是非次回国会においても、この予算通過に御盡力を願つて置く次第でございます。更に看護婦の数の不足並びに看護力増強及び設備改善についての御質問がありましたが、医療法による養護婦の数を充足していない病院のありますことは、誠に遺憾でありますので、これにつきましては、医療監視の結果に基きまして、具体的に指導徹底を期して参りたいと存じております。尚、看護婦の充足、看護力増強のためには、看護婦の地位の向上、待遇の改善、これがためには、先に制定いたしました看護婦業務基準普及徹底を図り、看護婦給与基準改善、或いは看護婦再教育の徹底等に、今後とも一段努力を拂う所存であります。それらの生徒の数とかその他については必要であれば、後刻資料を差上げてお答えしても結構であります。更に看護偏教員養成機関につきましての御質問につきましてお答えいたしますが、看護婦教員養成につきましては、現在御承知通りに四ケ月間の講習会の形を以て厚生省において実施をいたしている次第でありまするが、お話通りに、これを大学程度教員養成機関或いは大学附属教員養成所というように恒久的な立派な整備をすることは全く同感でありまして、厚生当局といたしましては、その理想の下に着々準備を進めているような次第でございます。  国立公立大学病院の修理、改善の問題は、お説御尤もでありまするが、この問題は文部当局の所管になりまするので、文部当局と連絡をいたしてお答をするようにいたしたいと存ずる次第であります。以上お答といたします。
  4. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 井上委員よろしうございますか。
  5. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 只今矢野政務事官がお答え下さいました中に、看護婦業務基準というのが出ましたのでありますが、これは厚生省でも特に研究になりまして、業務基準を作つて頂いておりますので、非常に結構でありますが、先般こちらの予算委員会労働大臣がお見えになりましたときに、労働大臣にその看護婦の数が不足していることを労働大臣としてどのようにお考えになつているかということを伺つたのであります。その節に労働大臣看護婦勤務時間は九時間でございますということを、労働大臣じやございません、労働省の政府当局の方が、そうお答え下さいましたのでございます。それで私あのときに余りよく研究いたしておりませんものでございますから、何ともそれに対して再質問をいたしませんのでございましたが、つくづく考えますのに、看護婦勤務時間は九時間でございますと断定されるところに何か間違いがあるのじやないかと存じます。もとより業務の性質上これは八時間といつても普通のお仕事と違います。機械的の仕事と違います。事務的の仕事と違いますから、只今手術をしております最中、何かの処置をしている最中に時間が来たからといつて切上げるということは、絶対できないのでございます。止むを得ないときはそういうことでございますので、九時間ということになりますことは、これはちつとも不承知でございません。不服じやございませんから、頭から考えまして、丁度看護婦勤務時間は九時間というように定められますことは、これは延いていろいろな方面に影響して参ります。これは看護婦が九時間から、そのように今度いろいろな臨時措置があつたから十時間にせい、十二時間にせいということになつて来ると存じますから、この際九時間と決められていることについて、厚生当局が何か御存じでございましたら、御回答を頂きたいと思います。
  6. 矢野酉雄

    政府委員矢野酉雄君) その問題については、医務局久下次長からお答えいたします。
  7. 久下勝次

    説明員久下勝次君) 私から只今の御質問にお答え申上げます。お話通り看護婦労働基準法による勤務時間は九時間身内ということになつているのであります。併しながら実際の問題として、手術等のためにその時間を超過することのありますことは当然でございまして、その場合には使用者超過勤務を命じまして処置をするというようなことで、実際問題としては調和が取れるものと考えております。
  8. 矢野酉雄

    政府委員矢野酉雄君) 昨日の高橋啓委員の御質問に対して首相答弁いたしません範囲において、厚生大臣としての御答弁を申上げます。宮城県の岩ヶ崎町に発生いたしました百日咳予防接種等につきましては、厚生大臣といたしまして被害者に対して心から御同情申上げている次第でございます。百日屡の予防接種予防摂取法により本年六月三十日から実施されておりまするのでございまして、岩ヶ崎町においてその実施以前の昨年十一月下旬、宮城若柳保健所の勧めによりまして実施いたしましたものでございます。従いまして厚生省といたしましては、取敢えず治療の万全を期するために、ストレプトマイシンを特別に斡旋配給いたしまして、宮城県における診療について便宜を図り、又生活保護法の適用による生活援助等を行つておりまして、県においては三百余万円、町においては八十余万円を支出し、できるだけの治療行つたのでございまするが、実に残念にも一名の死亡者を出したのでございます。その他の患者は本年八月までに重症三名を除き六十名の対策といたしましては、厚生省はこの種事件の根絶を期しますと共に、当面の治療援護につきましても、或いは栄養確保のために、或いはララ物資の補給を行い、又県衛生部におきまして、定期に健康診断を行い、患者診療の万全を期する等、遺憾なきを期している弐第でございます。両県衛生部岩ヶ崎町の経費負担についての国の補助は、予防接種法による措置でもなく、又国家検定をいたしましたワクチンでもありませんので、現在の法律範囲内においては、政府自体がこれを処理するという法的根拠がないのでありまするから、この点御了承願いたいと思います。
  9. 高橋啓

    高橋啓君 関連して……今の問題は本会議においても返事している。私もそれと同じことを言つているのであります。今の法的根拠においては措置は盡されているということを言つている。その要領外ずし返事を何回も同じことをやつている。私の方ではそうじやない。これだけやつてもあと何十年掛かるか分らん。肺結核に侵された子供が、特別な看護をして頂きたい。子供乳幼児であるから、働き手がそのために奪われている。それで何年か看護のために生活力が全部失われているのだ。そこでこういうような事項について、冷たい法律によつて一線を劃するということの外に、何らか政府が高度の社会政策的な意味で、災害救済とかその他特別な措置ができないか。そこで総理大臣に聴いている。厚生大臣に驚いているのじやないのです。厚生大臣のやつたことはそれでいいのだ。これは法律で許された程度のことしかできない。そこでこういうふうに一応予防行政というものの運営の一つの派生した問題として、被害者が六十人も出て、それが治つたというのは退院したということであります。昨日総理にも写真を見せましたが、「あけび」の熟んだような恰好になつている。それが少し栄養を失うと直ぐ元に戻つてそうして非常に伝染性が強いので、その辺では爆裂弾を抱いたような気持でいる。そうして乳幼児であるから母親は必ず看護しなければならん。このようなことで非常な災難者が出たのだから、特殊な方法でできないか。予算措置方法がないというけれども、予算の中でこれより問題にならんような問題に幾らでも予算の都合をして出している。今後は法律で保障できるでしよう。併しながらこの問題が前例となることも心配は要らないし、前例になつてもいいと思う。こういうような非常な突発事故によつて、哀れな人達が何十人も集団で、何年も不幸な家庭生活をして行かなければならんというような事情に対しては特別な方法を講じていいのじやないか。これが私の聴く要点です。そんな手続上のことについては、私共としてはできる以上のことをやつてくれたということは感謝しているし、而もその通りのことを私は演説している。そこで総理大臣に特別に願つたのは、総理大臣懐ろからも随分いろいろな予算支出の仕方をあるのに、その中の一つとして天下の母親が少くとも納得する、こういうふうな特殊な保護方法を設けて下さるように、政務次官から蒸返して要領を話して、返事をしで貰わなければならんということを総理大臣お話し願いたいと思います。
  10. 矢野酉雄

    政府委員矢野酉雄君) 今の御質問に対しては総理が改めて又御答弁できるように、私からお伝えいたしますが、厚生当局としては、御指摘の通りに、事情に対しては十分了解しておりますので、ただ法的根拠がなければ一銭の予算措置もできませんので、何とかして皆様の立法府においてもこれらの措置ができるような法的措置をして頂くように、又政府当局としましても是非何らかの手段を講じて行きたいと考えておるような次第でございます。実は福岡県の方にもこれと違つた性格のものでありますが、法的根拠のないために百四十主人の人が死亡して、一銭の国家戯曲救済も吊すことのできない現実の問題にぶつかつておりますので、本日の政務次官会議等においても議題に供して閣議の方にもよく御趣旨をお伝えする決心でございます。
  11. 帆足計

    帆足計君 結核予防対策につきまして本会議政府質問いたしましたが、その後各地において結核に悩んでいる患者の方から非常に多くの訴えの手紙が参りました。それらのことを御披露して、結核対策について一段努力して頂きたい点を述べまして、政府の現在の施策をお尋ねし、その方面施策実行を強化して頂きたいと思うのであります。御承知のように只今我々は表面に現れた数字だけでも、十世帯に一人以上の患者を抱えているような結核国でありまして、一日に四十名もそのために人命が失われているという惨憺たる状況でございます。結核療法につきましては従来は自然療法と申しまして、空気、栄養等が今後とも必要でありまするが、それから自然の力に対する注意力、これが最も重要であり、結核は又慢性の症状を取りますから精神的な安定というものが非常に重要でありまして、宗教方面その他の御努力が相当の効果を奏する事情もその辺にあろうと存じますが、昨今の生活難の情勢におきましては結核患者にとつては実に今最悪の時代でございます。而も企業整備失業等の嵐が吹いております今日において、結核患者並びに快復期結核患者等に対しましては、経営者並びに政府当局、各方面指導者も余程の理解がない限り実に惨憺たる現状でございます。最近の科学療法の進歩によりまして、その中で喉頭結核腸結核並びに或る種の経過を辿つておる結核に対しましては、ストレプトマイシンが非常な効力を発するという時代になつておりますのに、不幸にしてストレプトマイシン国内生産がまだできないでおりますし、僅かに輸入に頼つておる状況でありますので、私共の所などに訴えて参ります人達手紙も、明日をも知れん命、生死の問題を前にいたしまして、天命ならばいざ知らず科学の力に上つて救われるべき多くの患者がむなしく死を待つておるという非痛な叫びを耳にいたしまして、国会議員といたしまして居ても立つてもおられんような気がいたす次第であります。従いまして私は厚生当局数字を本日承りまして、又その数字が私共の目から見まして、私は厚生省当局がそのように怠慢であるとは思いませんけれども、伝統的に我が国に溶きましては人の生命を尊重し、その国民の幸福と福祉を守る観念が政治においても輿論においても弱いというところから、厚生省当局の御努力が十分にまだ効を奏してないのではないかと思います。従いまして国会議員といたし幸してこれらの諸問題について意見を闘わし、そうしてその輿論を喚起し、そうして厚生省当局の御努力が数倍、数十倍の力を持ち得るようにせねばならんと存じておる弐第でございます。そこで承るところによりますと、ストレプトマイシンは一面輸入し、一方生産を開始する。その数字でも第一年度においては必要数量の三分の一ぐらいしか到達し得ないのではないかと伺つておりますけれども、私は日本が如何に国家財政が窮乏しており、我々が貧乏しておるにしましても、直接生命に関わることでありますので、例えば国家予算の中でも、本年度納税思想普及費というくだらん項目に一億円の予算が組まれておりますようなこともありますので、冗費を節約して重要な方面に向けますならば、このくらいのことができないわけはなかろうと存ずる弐第であります。  そこでストレプトマイシン生産並びに輸入確保につきまして先ずお尋ねしたいのでありまするけれども、ストレプトマイシン国内生産が開始されますまでに、できるだけ多くの輸入をして頂きたい。尚将来の生産、需給の関係もありまするので、成る程度の分量は当然輸入に俟たねばならんと存じますが、幸いにローガン構想によりまして我々は余分の為替を将来持ち得るわけでありますから、政府只今組んでおられます予算以上にストレプトマイシン輸入について一段の枠を拡げて頂きたい。  第二には生産只今研究時代でございますけれども、私にこれが非常に遅れておると思います。ペニシリン大量生産につきましては、フオスター博士ペニシリン生産技術の顧問として御来朝になりまして、そうして非常な成果を改めました。博士ペニシリン大量生産に次いでストレプトマイシン大量生産を期待するという言葉を残しまして去られましたけれども、この際アメリカに人を派遣しますよりも優秀な技術者を、フオスター博士に次ぐような技術者を招請しまして、そうして早く実験の過程から大量生産過程に移すようにして頂きたいと思いまするが、厚生当局はそのような意思がおありであるかどうか。  第三には、ストレプトマイシン生産許可ということになりますと、検討基準が早く決まつておらればならんといまするが、その生産会社生産許可を申請し得るような基準としての検定許可基準を早く発表して頂きたいと思いますので、それらのことは如何になつておるか。  それから次には、これを大量生産に著手するようになりますると、非常に巨額な資金が必要なわけでありまするけれども、仮に数社の有力な技術を持つておりまする会社生産を許可するといたしましても、一億五千万円乃至二億円の資金が必要と存じますが、それらの資金に対しまして、政府はどういうような援助をお考えになつておられらるか、又大量生産と申しましても、それらの政府助成的措置と並んで、早く生産会社を指定して、今日から着手しなければ間に合わないと思いまするけれども、それらに対して如何なる準備を今されておられるか、先ずこれらの点につきまして、厚生省当局において只今計画中の見透しを伺いまして、それによりまして又お尋ねし、弱い点はこの際充実して頂きたいと思いますので、先ずそれらの点について御答弁をお願いしたいと思います。
  12. 慶松一郎

    説明員慶松一郎君) ストレプトマイシン重要性につきましては、もはや申上げる必要はないと思います。そこで先ず今日までに輸入されました量、或いは近く輸入されます量等につきまして、お話し申上げて御了解を得たいと思います。ストレプトマイシン輸入は、本年度におきましては、米国の対日援助資金即ちガリオア・フアンドによりまして、二回、合計六百キロ、即ち一万五千人分輸入いたしております。第一回は本年の五月でございまして、第二回は十一月に輸入いたされました。そうしてこの両国分のものはすでに配給いたしておるのであります。この配給につきましては、只今お話ございましたように、全体の必要量に対しまして、十分でございませんので、そこでストレプトマイシン研究協議会なるものを厚生省と各地方都道府県ごとに設けまして、そうしてそこで割当の基準を決めまして、配給いたしておる次第であります。当分の間原則といたしまして、各種の結核患者の中で特に重点的に、確かにストレプトマイシンが利くという結核に対しましてのみ、且つ又研究的にこれを使い得るようになりますような施設に対してのみ配給いたすようになつております。今後の輸入につきましては、これは最近総司令部側からも発表がございましたように、ガリオア資金余分が聊かできましたので、それで更に我々は輸入の懇請をいたしました。即ち本年度におきまして一千キロ、二万五千人分を懇請いたしまして、了解を得ております。来年度におきましてはその続きといたしまして、一万人分即ち四百キロを輸入いたすことになつておるのであります。  次に国内での生産は九月二十二日の閣議決定に基きまして、ストレプトマイシン国内生産確保要綱なるものに基きまして、第一次の目標といたしまして、年間三千キロを目途といたしまして、計画を着々実行に移しておるのであります。現在すでに試験的な製造は二三の会社によりまして行われておりまして、これは恐らく来年の一月早々にでも少量は国産品ができるものと存じます。この三千キロの生産目標を立てましたわけは、国内資金関係、或いは建設資材等関係から考えまして、先ず第一次の目標としては、この程度が適当であろうと考えられたからでございます。我が国結核患者の数は大体百五十万ございます。併しこの百五十万のもの全部にストレプトマイシンを使うといたしますと、六万キロ、只今計画の二十倍のものが必要になります。併しながら全部がストレプトマイシンが利くわけではございませんどの程度ストレプトマイシンが利くかまうことは、なかなか予想がむずかしいのでございまして、目下厚生省におきましても、この点につきまして十分な検討を加えております。併しながら今日までに得ました数字といたしましては、七万人の先ず三倍ぐらいがストレプトマイシンによつて治療できるであろうと考えられておるものであります。  次にストレプトマイシン国産いたしますと、当然その生産技術の点が一番問題になりますが、これにつきましてはすでに本年の夏頃だつたと記憶いたしておりますが、総司令部に対しまして公文を以て、生産技術指導者を派遣して欲しいということを申してございます。総司令部側意見といたしましては、只今お話がございましたフォスター博士を寄越すべく大いに努力して呉れておる次第であります。  次は、これができますと、検定が当然必要でございますが、検定基準につきましては、すでに草案等もでき上つておりまして、近くこれが発表され得る機運にあると存じます。  次は、国内でこれを生産いたしますと、相当な資金が必要となりますことは当然でございまして、只今申上げまますのに、少くとも三億五千乃至四億五千の金額を設備資金として必要といたします。これに対しましては、すでに厚生省といたしましては、大蔵当局了解を得、又日本銀行当局了解も得まして、いわゆるマーケツト・オペレーシヨンの対象として、この資金を獲得するために各金融機関等とも十分な連繋を取つておる次第でございまして、大体有力なる会社、即ちペニシリンにおいて成功いたしまして有力な技術を持ち又十分な施設も行い得るという会社を集めまして、これらに対してストレプトマイシン生産を慫慂いたしましたところ、四五社がストレプトマイシン生産をやりたいということで、厚生省に申込んで来ております。それを私共の方で又選びまして、且つ金融機関等とこれらの会社との交渉によりまして、金融の見透しがついた会社から着々建設に移ることになると存ずる次第でございます。  大体御質問に対しまして各項目にお答えいたしたつもりでございます。
  13. 帆足計

    帆足計君 そういたしますると、もう一度お尋ねいたしますが、来年度ストレプトマイシン販売費量は、国産輸入と合せまして、患者大体何人分になりますか。
  14. 慶松一郎

    説明員慶松一郎君) 来年度輸入只今申しましたように、予定されておりますものが四百キロで、来年度の下半期におきまして国産が五百キロ出ると考えられます。そうしますと、その量は二万二千五百人分になると存じます。
  15. 帆足計

    帆足計君 そうしますと、百五十万の結核患者のうちで、ストレプトマイシンが的確に利くと言われております脳膜炎、喉頭結核腸結核その他のもので、仮に二十万人くらいの患者がおるとしますると、二十万人に対しまして二万人というのでは、僅かに一割に過ぎないのではなかろうかと私は思います。このようなことで一体、一人の人間が殺されましても大騒ぎをするような文明社会にわれわれ住んでおるのに二十万人の患者が死を目前に控えて、マイシンさへ手に入らば入らばと言いながらがら、一キユールのマイシンが闇で七八万円から十万円もするような、そうしてすべての人がそれをどうしても手に入れることができないというようなことを抛擲しておいて、一人の子供が死にかかつてつても、それを助けるために近所の人が駈けつけねばならんというのに、二十万人からの人がもうすでに文明の恩恵によつて助かるということが分つていながら、死ぬのを待つておるということを抛擲して置いてそうしてつまらん議論を一杯国会でしておるような、枝葉末節のことを議論しておるようなことでもありましたならば、これは申し訳ない次第である。「すべて国民は、健康で文化的な最低限度生活を営む権利を有する。」これは権利であります。そうして「国は、すべての生活部面について、社会福祉社会保障及び公衆衛生向上及び増進に努めなければならない。」と憲法に明記しておきながら、あの憲法はただ気安め憲法と解してよい筈は私はなかろうと思います。従いましで厚生省当局国民生命並びに福祉を護るにもう少し勇敢であつて貰いたいと思います。他の省よりももつと強い省でなくてはなりません。従いまして私は僅か二万人ぐらいしか救われないという現在の御計画、それは非常な御努力の結果でありましようけれども、それを国会議員としてそれでよいというわけには参らないと思います。幸にして明年度予算は今後一ヶ月後に審議されるわけでありますから……私は昨日も井上ナツさんから、厚生委員会におきましてこの結核対策の小委員会を作つて頂くという御意向を聞きまして非常に喜びました。これらの委員会ができますれば、厚生委員会からも又強い声が上ると思いますし、一昨日大蔵大臣に対しまして私お願いしましたところが、大蔵大臣も十分その必要は了承するというような趣旨のお言葉でありましたが、必要とあれば総理にもお願いいたしまするから、厚生当局といたしましては、その二万二千人分を十倍の二十万人分に、それは技術的にもつと検討せなければならんと思いますが、全患者を救い得る数量を目標に……その金額は、恐らく金額にしますれば実に僅かな額でございます。そうして明年度ローガン構想によりまして、我々は余分の為替を持ち得る見透しもありまするし、もう少しこれについて筋道の納得せしめ得るような、全国民の期待に副い得るような予算に組み替えて頂かなければならんと思いますが、只今のところで局長のお考は如何でありましようか、御感想を伺つておきたいと思います。
  16. 慶松一郎

    説明員慶松一郎君) 誠に御尤もな御意見でありまして、私も全幅の賛成をいたす者であります。但し国内でこれを生産いたします計画は、大体我が国のあらゆる資金乃至はこれに必要な設備資材等の関係、或いは企業会社資金の負担能力等から考えまして、まず年間三千キロ、十七万五千人分ということが適当であろうかと考えまして第一次計画といたしまして、国内生産としてはその程度のものを計画いたした次第であります。併しながらこのストレプトマイシンにいたしましても、或いはペニシリンにいたしましても、同一の施設、或いは同一の原料を以ちまして、技術が進歩いたしますと二倍三倍の生産を得ることができます。石の意味におきまして、この国内生産施設の点については、私共はまずこれから出発するのが適当であろうと考えております。併しながら一面におきまして、輸入の件につきましては確かにまだ不十分な点が相当あると思います。併しこれもガリオア資金がだんだん減つて参りました枠等から考えまして、この程度計画いたしたのでございます。ここでは勿論、一面におきまして大蔵当局等との折衝の結果、この程度に今のところでは落ち着いておるものでございますが、併しながら私共の意見といたしましては、多々ますます弁ずべきであると、又そうしなくてはならないことは十分承知いたしておるものでございます。
  17. 帆足計

    帆足計君 実は私自身高等学校の頃喀血いたしまして、結核には永い間苦労した者でありまするから、一層今困つておる人達の声が痛切に耳に入るわけでありますが、国内生産の問題は確かに将来の需給の関係がありますから十分見透しを立てて調節いたさねばなりませんけれども、フルに患者に満足を与えますまで、国内生産の伸びるまでの間は、どうしても輸入によつて私は調整して頂かねばならんと思います。輸入先といたしましては、必ずしもアメリカだけでなくても、ドイツで今できておりますかどうか知りませんけれども、ドイツ、イギリス、フランス等からも輸入する方法もあろうと思います。私はこういう人の生命に直ちに関係するものの輸入は優先的にさるべきものであつて、そのために我々が一食や二食を月に減らしましても一向国民は私はそれは堪え得るだろうと思いますし、その他不急不要の原材料の蔵入を少しばかり減らせば、ストレプトマイシンくらいが輸入できん程までに我々は洞渇しておりはしないと思います。従いまして政府が本当に人の生命を尊重するという観念に徹底し、衛生当局を受持つておる方々の任務というものがどういうものであろうかということを皆さんがもつと強く痛感して、厚生大臣その他当局の方々が大蔵大臣並びに総理に迫るくらいの勢いを以ておやりになつたならば、私はこの問題は屡決し得る問題であろうと思います。我々はそういう強い要望を持つておりまするから、只今の御説明では絶対に承服いたしませんけれども時間もなんでございまするから、又厚生委員の諸君や同僚議員の諸君にお願いいたしまして、相協力してこの問題の解決のために、弐回の議会においては更に声を大にして要求いたしますから、厚生当局も、日本のような後進国のような、そうしてアジヤ的な人の命を粗末にする日本において、人の生命というものが如何に重いものであるかということを更に御痛感下さいまして、我々と協力して、次の国会におきまして目的を貫徹し得るように、一つ努力の程をお願いいたします。私の質問は打切ります。
  18. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 私は健康保険のことを聽きたいのですが、今保健局長がおいでになつてないようですし時間もないようですから、国立病院のことを少しお伺いしたいと思います。国立病院予算の組み方を拝見しますると、減免が約三〇%ということが出ておりまするが、減免三〇%というのは余り多い話なんで、果してそれ程沢山減免がございますかどうか、内容をお伺いしたいと存じます。
  19. 久下勝次

    説明員久下勝次君) 国立病院の特別会計の予算の組み方でございますが、私共は従来の実績に徴しまして減免患者は全体の一〇%を見込んでおるのでございます。三〇%という程ではございません。ただ一般会計からの繰入れが総支出の二五%ということになつておるのでございます。この二五%の中一〇%が減免の患者でございます。後の一五%は建前としては減免ではございませんけれども、患者からの徴収が遅れますために結局その年度としては、徴収未済になりますものが大体実績上そのくらいあるという行き方で予算を組んでおる次第でございます。
  20. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 今三〇%と言いましたのが間違つておるというのですが、これは後に私も書類を見て申上げますがそれでその減免されておるのはどういう種類の人がされておるのでございましようか。大体において国立病院も、生活保護法の適用を受けておる人々とか、或いは健康保険の被保険者であるというのが大部分であると存じますがどういう人がその対象になつているのでございましようか。
  21. 久下勝次

    説明員久下勝次君) 減免をしております患者の主なるものは、国立病院の特質といたしまして、引揚患者或いは旧傷痍軍人がまだ現在全体の三割近いものが入つておるのでございます。その中、旧傷痍軍人につきましては、御素知の通り従前……極く最近、一昨年ぐらいまでは、全然無料で治療をいたすことにしておつたのでございます。その後生活保護法の制度も確立いたしました関係もございますし、国立病院の建前といたしましては、これらの人人につきましても、本人が負担のできま十人からは本人から徴収いたしまするし、本人が負担する能力のありません者につきましては、所在の市町村に連絡をいたしまして、そうして生活保護法の適用をして頂くように病院の方からも連絡しておるのでございます。その結果そういうふうな努力をいたしましても、結局生活保護法の適用を実際問題として受けることができないというような関係から、減免をせざるを得ない結果に相成るものが多いのでございますが、尚その他にも病院の特質でございまするので、患者が参りますれば、つい支拂能力の有無ということは第二といたしまして、患者を受け入れて治療をいたします。その後そうした状況を調べてみますというと、本人の負担能力もなく、さりとて生活保護漢の適用も実際問題として受けられないような場合が生じて参ります。これらの者は当初から請求書を出してみましても、拂う能力がないことが明白な者につきまして、減免の取扱をいたしておるのでございます。尚これらの減免患者につきましては、病院長等の自由な判断に任せることに弊害がございまするので、私共の事務処理上の指導といたしましては、所在市町村の木八の生活状態に対する証明書等を確実な資料を取りまして、そうして正しい人に減免ができまするように間違いなきを期している次第でございます。
  22. 仲子隆

    ○仲子隆君 過般本会議において、厚生大臣は、戰争犠牲者の遺家族に対してさまざまな方策を立てておると説明されましたが、それに対して質問しようと申し出ておりますが、今日大臣は来られておりませんが、詳しい御答弁が願えますか、どうですか。
  23. 黒川武雄

    説明員黒川武雄君) ちよつとお待ちを願いますか。
  24. 仲子隆

    ○仲子隆君 詳細なる説明を願いたいと思いますから、十分材料を用意して来て頂きたいと思います。
  25. 黒川武雄

    ○委員(黒川武雄君) 大体の質問の要旨を伺いまして……
  26. 仲子隆

    ○仲子隆君 大変沢山項目がありますが……
  27. 黒川武雄

    ○委員(黒川武雄君) それでは恐入りますが、又別な時にして頂きます。
  28. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 ちよつと厚生省の薬務局長さんに伺いたいのですが、実はこの頃浮浪者の少年の中で問題に可なりなつておりましたヒロポンでございますが、これは厚生省と大蔵省に伺わなくちやならんかと思うのでございますが、伺いますところによりますと、ヒロポンは製造上大変抑圧しておるように伺いますが、戰争中にヒロポンが可なり多く用いられて、それが貯蔵されておつたというような話を聞いたのでございますが、これは厚生省としてどういうように譲受けになりましたか。又それは大蔵省の国有財産の一部として拂出しになつたのでございますか。その点明らかにして頂きたいと思います。実は製造を禁止いたしましても、この頃子供一人を掴まえると、四十本、五十本打つておるので、何処からか流れ出しておるのではないかという懸念がございますので、このことにつきまして厚生省並びに大蔵省から承りたいと思います。
  29. 慶松一郎

    説明員慶松一郎君) 只今お話になりました覚醒剤でございますが、これは大体戰争中に陸軍、海軍で使つておりましたのは、すべて錠剤でございまして、飛行機乗りとか、或いは軍需工場、軍の工廠等におきまして工員に飲ましておりましたもの、或いは兵隊に飲ましておりましたのはすべて錠剤でございまして、今日問題になつておりますような注射薬は殆んど当時なかつたと私は記憶いたしております。そうしてその終戰当時ございましたそれらの薬は、外の医薬品、或いは衛生材料と同様に、占領軍当局、進駐軍当局から厚生省に渡されまして、そうして外の薬と同じような方法によりまして各都道府県に配給いたしたと存じております。併し私、当時から全体の薬の配給等に関係いたしておりましたが、当時におきましては余りそのことが問題になつておりませんでしたので、果してどういうふうに配給されたか、ちよつと今分らないと思います。併しいすれにいたしましても、今日問題になつておりました製薬は当時殆んどなかつたということが言えると思います。
  30. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) それでは暫く休憩いたします。    午前十一時三十九分休憩    —————・—————    午後二時十二分開会
  31. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) これより委員会を開会いたします。
  32. 木下源吾

    ○木下源吾君 農林大臣に一つ、食糧庁の政府職員を増加するお考があるかどうかということを農林大臣にお伺いするのですが、一律行政整理のために、現在食糧庁では臨時職員及び他局からの借入れ定員というようなことになつておるようであるのだが、これは正式な定員の増員を言うことが正しいと、こう考えるのであります。凡そ今政府がそういうようなつまり臨時職員を準備しておるのが、約七千二百名というように言われておるのでありますが、そのうち五千六百名程はどうしてもやはり正式な定員にしなければならない、かように考えます。実は新らしい集荷制度が実施されてから、この定員不足のために実際の仕事が円滑に行つておらないことは、すでに政府も御承知通りであります。食料管理特別会計の二十三年度の赤字は約百二十億と言われておるのだが、そのよつて来る原因の重要なものの一つは、この新らしい集荷制度、運送加工等の業務に必要な人員が不足していることにより、過誤拂いが極めて多いところに原因がある。このことはすでに同僚三好君の政府に対する質問に対する政府の解答の一部を見ても、過誤拂いが三億二千万円余になつておるというようなことが明らかにされておる。かようなことで一律の行政整理のために、無理のかかつておるところは、この食糧庁のこういうところに極めて鋭く出て来ているわけであります。この際実際の仕事を行うために、單なる政府の面目等に拘わることなく、私は必要なものはやはり充足しなければならない。こういう意匠でこの定員は増員すべきであると、かように考えるのでありますが、大臣の所見を伺いたい。
  33. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) お答えいたします。本年行政整理をいたしまして固より行政整理に対しましては一定の計画の下に進めましたがために、事業の分量がその局部局部において厚薄がありました関係上、整理をいたしましても尚贅員と見られる向きもあるのでありますが、特に食糧特別会計関係におきましては、当初予定いたしておりました事業の分量が増加いたしている現状でありまして、お説のように臨時雇員を似てこれを支弁いたしているのであります。人員の数においては従来と変らないのでありまするが、雇員は飽くまでも雇員でありますので、その身分保障等の関係もあり、殊に末端の食糧関係といたしましては、農産物の価格の支拂ということが最も重大な仕事になつておりますので、資格の欠けております雇員といたしましては取扱上疑義を生ずる面もあるのであります。それでこういう行政整理をやつた場合でありますから、無下にこれを補充するということはどうかと存ずるのでありますが、実際面におきまして今農林省として考えておりますのは、中央の事務、或いは直接支局というようなものは先ず現状において我慢いたしましても、現在一村において一・一人というような情勢でありますので、少くとも一村二人ということまでに増加いたしますれば、雇員ということをせなくとも参るのではないか、かように考えるのであります。そうしますと、約四千人ばかりの人を要するのでありますが、この年度におきましては、若しこれが閣議等におきまして承認を得られますれば、この年度内においては予算措置を必要といたさないのでありますが、でき得べくんば農林省といたしましてはその程度の増員を要求いたしているようなわけであります。尚今お話になりました食糧特別会計に百二十億ばかりの赤字がありますが、この赤字が買入代金の過拂い等の関係で二三億の金はありますが、百二十億の赤字は曾て大蔵大臣が御説明いたしたかと思うのでありますが、六十億というのは三月末の会計切りにおきまして公団特別会計へ返納すべきこれはズレがありますので、三月で打切りましてそうして二十三年度の分が暫次収納されて行くというのが六十億余りあるのであります。これはもう今日すでにこれを収納いたしておりますので、この赤字は解消いたしておるのであります。その外に米の超過供出が昨年は予定よりも多くありまして、且つ四月以後において相当の超過供出がありましたために、これが約二十億ばかり。尚芋の切干が昨年度は予定よりも非常に多く供出されましたために、これが約四十億ばかりの赤字があつたのであります。これはすべて二十三年の会計年度にかかる主要食糧の配給によりまして自然消費されておるのでありますので、今特別会計におきまして赤字といたしましては、ないと御承知を願いたいのであります。先般補正予算に出ておりまする百七十億というものは本年度輸入される食糧を買入れるという資金の補給金のために百七十億は繰入られておるのでありまして、食糧特別会計に赤字があるという説が伝えられておりますが、その赤字の内容は今申上げたような状態であります。
  34. 木下源吾

    ○木下源吾君 只今の大臣の御説明は、そうすると職員の定員は約四千名程であるならば、特別な予算措置をしなくとも定員法の一部を改正をすれば直ちにこれを実施できる、こういうように承つたのですが、それで間違いございませんか。
  35. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) 本年度予算経理の面においては今申上げた通りで、別に予算措置にしなくともよいのであります。明年度におきましてはそれだけのものが新しく増加されるのでありまして、特別会計の予算措置を取りないのでありますが、一面に薪炭特別会計が漸次廃止して参りますので、この十月の一日現在で千六百九十四名あるのでありますが、これが明年の一月一日までには千五百六十人、四月一日には七百二十六名、七月一日には六百五十一名、こういう漸次整理をして参るのであります。ところが御承知通り、農林省の定員が本省と外局と別別になつておりますことが非常にこういう場合に不便を来たすのであります、農林省一本で外局を含めて定員が定められておりますと、こういう場合に非常に楽なのでありますが、その面の行政措置閣議でも研究いたしておるわけでありますが、何分薪炭特別会計へこういうように幾らかでも減員しておりますので、それと相俟ちまして食糧庁の要員を考えて行きたい、かように考えておる次第であります。
  36. 木下源吾

    ○木下源吾君 それでは只今のその程度の定員は実際にも必要であるし、又予算措置も別に講ずるまでの何もしなくてもいい、こう言われるのだが、そうすると政府はこの会期中に定員法の一部を改正するという法律案を出す御用意があるかどうか。
  37. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) 二十四年度予算措置においては別に廻り得ないことはないのでありますが、やはりこれは法律を出さなければならないのでありますが、二十五年度は勿論予算それだけの増額を、恐らくできますれば必要といたすのでありますが、これも二十四年度に増額いたすといたしましても法律の改正をしなければならんのであります。
  38. 木下源吾

    ○木下源吾君 私共は先程申上げるように、やはり五千五六百名が、是非とも必要だと、こう考えるのでありますが、四千名以上の予算措置は本年度においてはできませんか。と申しますのは、政府が若し法律を出すということに考えておられなければ四囲の情勢で議員提出の法律案を出すというようなことにもなろうかと思いますので、その場合における予算との関係がありますので、この定員の増加数というものを予め一つお開きしたい。かように考えております。
  39. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) 二十四年度におきましては五千人くらい増額いたしましても予算措置はできるのでありますが、二十五年度新しく定員法を改正しました結果となりますと、これだけは新しく特別会計に増額をしなければならないことになります。
  40. 木下源吾

    ○木下源吾君 次は農林大臣にこの機会にこの開拓者のことで二三お尋ねしたいと思うのでありますが、どうもこの未墾地開放がスムースに行われておらないというので、折角熱意を以て入植しておる入植者が方々で困つておる実例がございますので、何とかしてこの未墾地開放を徹底的に促進するという考を持つておられないのか。でこれに対するお考を伺いたい。それから今入植を希望しておる者がやはり相当ございますが、二十五年度で新規入植をどのくらい考えておられるか。でき得れば三万戸くらいが必要だと私共考えておるのでありますが、この点に対する御所見。それから開拓者住宅が非常に不足をしておることはもはや説明をいたすまでもないのでありますが、そうして政府が一万戸くらいを建てようとする。そういうように考えておられるようでありますが、実際はまだまだ相当の住宅を建てなければいかん。こういうように考えられるのでありますが、これを四万くらい二十五年度に何とか建てられないかどうか。  次にこの昭和二十一年、二十二年度に入つた入植者に対する融資ですが、これを今一年程延期してやるというようなお考を持たれないかどうか。開拓者資金融資法による融資の対象から除外された開拓者に対する金融の途を、何らかの方法でこれを具体化されたい、こういう希望を持つておるのでありますが、政府はこれに対して何らかの措置をして援助をしてやるというようなお考があられるかどうか。次には、すでに入植しておる方面で道路の幹線などが従来計画されて、そうして工事などが進んでおつたのですが、本年からはこれはもうぽつんと打切られてしまつて、非常に困難しておる所が現地では沢山ある。これを何とかして早く完成するというような方法を講じられる意図はないかどうか。  次には開拓者に対する融資又は補助などは農民の組織する系統金融機関を通じて放出するというような、そういう道を何とか工夫できませんかどうか、どうもいつも予算が決定したりいろいろしてそれが実際に入植者に入るのは相当遅れるのでありますので、折角の政府の親心も効力が非常に減殺されると思うのであります。これが今言う農民の組織の系統からの金融機関から流れるようになれば非常に幸福だと、こう考えております。以上一つ答弁願います。
  41. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) 非常に御質問の数が多かつたのでございますが、入植者が八万戸くらいが現在予想されるのでありますが、今年度において先ず差当り待機しておられるものとして一万八千戸ぐらいと予想され得るのであります。この全部の方を収容いたしたいのはやまやまでありますが、何分開拓地と経費等の関係がありますので一万戸を一応本年度も予定するより外なかつたものと存じておるわけであります。  尚資金の面につきましては現在至急貸しておりまする金を幾らかでも増額いたしたいということを考えておるのでありまするが、まだ予算も決定いたしておりませんが、この住宅に一番不自由なのが電燈でありまして、どうかして電燈の点くように、又ラヂオ等の聞えるようにということを考えるのでありますが、それも必要でありますが、更に学校の建設ということも最も重要に考えられますので、この学校の建設に本年は、今各地区的に申上げることはできませんが、増加いたしたい、かように考えておるのであります。  尚資金の増額につきましては、予算の上からできるだけ考慮を拂つて増額いたしたいと考えております。この金融の面に協同組合を通じてというお話でありましたが、これはその近くに立派な協同組合ができており、組合利用等のできるような場合においてはこの協同組合等を経由することが最も迅速であると考えますが、何分開拓地によりましてはそういう協同組合等の組織等も遅れておるというような辺陬な土地もありますので、一概に申上げることはできませんが、利用でき得る地域におきましては、できるだけ協同組合を利用いたしたいと考えるわけであります。  尚道路の面につきましては誠に御尤もなのでありまして、過去におきましては先ず第一に開拓地に対しては相当の道路を付けて、そうして開拓者が将来の生活の上に不便を感ずることのないように考えたのでありますが、何分建設方面等の経費の関係もあり、又良種省といたしましては、その道路よりも入植者の実態を整えて行くということが先ず第一に経費の乏しい中においては考えなければならんというので、この点が幾らかなおざりにならざるを得ないような点になりましたことは遺憾なことでありますが、できるだけ落着いてその入植者が生業を営んで行けるように、あらゆる方面から努力いたしたいと、かように考えております。
  42. 木下源吾

    ○木下源吾君 只今の電気施設の問題でありますが、政府が補助をするというようなお考があつたようですが、何やら予算から削除されておるようですが、この電気の施設に関しては、開拓地の自立態勢をする上において、又動力、電燈などに非常に欠くべからざるものと考えられるのですが、何とか予算運営で電気施設に対する補助等が行われないかどうか、行われるようななにを考えておられないかどうか、それを一つ……
  43. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) 電気架設と申しましても、開拓地等においては材料の杉丸太等の手に入るのもらくでありますが、ただ高圧線がどの程度にあるか、どの地にあるか分りませんけれども、架線だけ政府がして、あとはその入植者が自弁でやられるようなことも、促進する上でいいと思うのでありますが、何分地方によりましては電力の増加ということが、距離の関係で非常にむずかしい場合もあるのでありますが、できるだけ電力の普及するようにいたしたいと思うのであります。何分大きい入植者に対しましては農業の電化等もあります。ただ電燈というだけでなしに、電力で農業をやるということも考えられますので、そうしますと簡単な引込線ではいけないことになるので、従つて経費も相当増加すると思うのであります。その土地々々につきまして適切な補助政策と申しますか、入植者が自分でやるというこの気持と相俟ちまして仕事を行うということにすれば、全農政府が負担するというわけでもないので、却つて事業の実現が早いのじやないかということも考えられますので、今後十分研究いたしたいと考えます。
  44. 木下源吾

    ○木下源吾君 すでに入植しておる土地の買収を本年度内に完了するということができますかどうか。この入植地の買収が完了しないために、非常に入植者が不安を感じておるのであります。その理由の大部分は営林局の未承認とか、観光、公園、或いは薪炭というようなわけで、あつちこつちに引掛かつておる。そういう土地が沢山ある。すでに相当年月は経つておるのに、こういうことが速かに決定せられんということは、本人達にとつても、又食糧。増産の上においても非常に差障りが多い。ですからこれを今年度内に一つきりをつけて、すつかりしてしまうというようなことができないかどうか。  もう一つはどうも入植者の土地は現在は、非常に一戸当り少ないのですが、これを増せば増し得る條件があつてもこの適地というものを決定する機関ですね、農地委員会以外のつまり諮問機関にある着地の選定の機関、これはどうも非常に入植者というものに対して理解が少い。こういう声が各所から起つておるのであります。それがために可なりの私共に調査の資料がございますが、概して古い者から新しい入植者に対して、土地を成るたけ耕してそして生計を立てるということに便宜を与える考え方が薄いようであります。これらの機関に対しては、何とかして、この入植者自身も交えて、一つ適地の決定などをするというような方法を講ずることが一番いいとこう考えておりますが、こういう点についてどういうお考でありますか。
  45. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) 開墾、干拓等の土地に入植させます場合においては、その土地に、希望者をこちらでまとめておりますものの中から選択してやるわけでありますが、どの位な面積を持たした方が営農が永観するかということは非常に土地等の関係もありますので、干拓地等におきましては多く水田でありますので、水稻にはいいのでありますが、開墾地におきますと、麦であるとか、或いは芋であるとか、その他の特有作物ぐらいで、誠に耕作の限界が狭いために、相当の耕地を必要といたすのであります。併し入植者の希望は相当多いのでありまするので、先ずこのくらいに、今日考えておりますくらいな範囲においてえらい経営ができるということを考えておるのであります。又その家族の労力関係によりましては、一町歩くらいではとても足りない。二町歩あつても三町歩あつてもいい。又機械労力を入れれば更に仕事も余つて来るというような点もありますが、何分この開墾の場所、地域とそして入植者の数との関連性がありますので、十分とは申せませんが、現在の状況によつて経営面において合理化して貰うということを指導するより外ないと、かように考えておるわけであります。  尚農地改革の問題でありますが、何分この土地の、御承知通り所によりますと死んでしまつておる。又何代もその保存登記もしてないというような実に乱暴な土地がありますので、こういう土地の登記をやりますのに非常に手がこみまして、暫く事務が進捗しないような状態がありますが、従来自作農の特別措置登記令で都道府県知事に嘱託することになつておるのでありますが、事務分量の内容で地方によつて違いますけれども、大体本年度末においてこの事務を大方完了いたしたいという気持で事務費の増額を二十五年度においては要求をいたしておるのであります。現在農地買収登記が百七十一万五千余町矛あります。その中売渡しの登記をいたしましたものが百五十三万三千余町歩、それから牧野買収登記が二十六万一千余町歩、この売渡し登記いたしたのが二方六千、これは大方登記ができております。宅地の買収登記が七千百六十三万坪でありますが、その中売渡しいたしましたのが六千六百六十一万坪になつております。次が登記所へ登記を委嘱いたしたものは、これは九月末の現在でありますが、農地買収登記が二十九万五千余町歩、売渡しの登記が一万八千九百町歩、牧野の買収登記が七千三百七十九町歩、売渡し登記が五千二百七十七町歩、宅地の買収登記が三百八十八万一千坪、売渡しが二百一万七千坪、こういうふうなことで大体できておりますので、非常にこの地域的に残りが多いというところがあるのでありますが、これは是非共本年度内に大方の完了を終りたい考を持つております。
  46. 木下源吾

    ○木下源吾君 いま入植しておる土地の買収の適地調査の基準を本年四月に改正したということにですね、入植地の買収が一層困難になつておるような事情にあると考えられるのですが、この点についてそういうことのないように、適地調査基準というものについて、何か考慮される考を持つておられますか。それからまだ未墾地のうち、全国の中では百万町歩ぐらいがまだ未開放であるように考えられるのですが、これを速かに開放するというような考を持つておられないか。この点についても一つお尋ねします。
  47. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) 農地改革は初め予定といたしておりました百九十万町歩というものが大体終りまして、その残りの分が先ず今後行つて行かなければならん問題でありますので、今の基準所有反別を殖やすということはまあ大体これが落着いた……今申しましたのは農地の買収でありますが、開墾の土地というものは大体制約されておりまして、今後どこでも構わないというように開墾いたして参りますれば、これは格別でありますけれども、国土の保安の上から申しまして、乱暴な平地林の開墾は国土保安の上から注意しなければならんという考もいたされますので、相当の制約を加えておるのであります。今残されておりますのは、国有牧野の開放でありますが、これは民間の牧野は大体農地改革が終つたのでありますが、今残されておるのは国有牧野の国政であります。国有林も差支ないものはこれは民間に拂下げても差支ないのでありますが、国有牧野はこれをできるだけ民間に拂下げいたして、そうして耕地の拡張或いは有畜農業の手段にいたしたいとかように考えておるわけであります。まだどんどん開墾いたしますれば限りはないのでありますが、本年の水害を考えて見ましても、あの山裾の平地林を開墾いたしたということのために、その下手にありました耕地が根こそぎ災害に遭つて荒されておるという事実が相当四国九州方面であるのであります。これは耕地の拡張を急ぎまして、そうして未耕地として残しておりますが、それは一つの遊水地帯として、山の裾にあつて洪水を防ぐ役をいたしておる。それが開墾いたしましたがために非常な耕地を失つておる。又先般長野県に参りまして見たのでありますが、相当山の上まで、急勾配の所まで開墾をせられまして、そうしてその結果一時は土地柄によつては稻も麦も或いは芋も作付けもできたが、今年のごとき行つて見ますと、そういう開墾のありました結果、その山裾の田畑が、立派に育つておりながら強い早魃で穂が出なかつたという事実も見て参つたのでありますか、これは耕地の拡張も必要でありますが、こういう観点からこの耕地の無謀な開墾ということは余程注意しなければならんと存じますので、この耕地は開墾してもいいか悪いかということは、地方に調査会を設けまして、調査会がこれはやつてもよろしいと、又十五度以下の勾配であるからよいということを決定いたして、初めて農地の買収をするというふうにいたしておるわけであります。
  48. 木下源吾

    ○木下源吾君 先程土地の買収は大体本年中に完了したいという希望を持つておるというお話ですが、このことは毎年々々同じ答弁を続けておるのです。実際に買収見込をそういうように考えておられるならば、予算の面にどういうように現れておるのか、この点ちよつとお尋ねしたいと思います。  もう一つ併せて……この開拓者に特別の金融機関というようなものを何か作つてやるというような考をお持ちなら、というのは開拓の金融というのは非常に困難しておる。もともと経済的な基礎というものがないのであります。これはどうしても入植者等に対しては、開拓者独自の金庫が何か一つ考えてやらなければいかん、かように我我は考えるんですが、この金融機関の点と、それから土地買収に対する予算の関連を一つ承りたいと思います。
  49. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) 経費の問題でありますが、公共事業費のうちにこれが加わつて参るのでありますが、まだ公共事業費のはつきりした決定ができておりませんので、どれだけの予算があるということは申上げられないわけであります。  金融面につきましては、御説誠に御尤もでありますので、その地方に適応する組織によつてこれを考えて行きたいと存じます。
  50. 木下源吾

    ○木下源吾君 まあこの程度にして置きたいと思いますが、なにせこの開拓附帯事業費を打切つたということは、どうしても私はこれは感心したことじやないと、こう思うんであります。だから開拓者は前途に非常に不安を持つておるということも全く止むを得ないことである。そこで政府予算関係もそれはあるでありましようが、やはり大きい場所は農林省直営として一括でおやりになつて、その他の附帯面に対しては補助金等でやつてですね、完成を急ぐことが望ましいと思うのです。  これらについて二十五年度に対してどういうお考を持つておられるか、この点も一つ明らかにして頂きたいと思います。
  51. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) 二十五年度の事業計画の面においては、さような気持において計画を立てておらないのでありますが、今後十分検討を加えて行きたいと存じます。
  52. 岩男仁藏

    ○岩男仁藏君 簡単に一つお尋ねいたしたいと思います。  このうちから食糧の自給自足の問題について、いろいろと田村さんその他の沢山の委員から非常に有意義の意見が出て、政府からも又いろいろ丁寧な御答弁があつたようですが、総理の御答弁、それから森農林大臣の御答弁、これから私考えて見るというと、今の政府は食糧政策についてはどうも根本において、観念的に自給自足はできないのだというふうなようにお考えになつておるのではないか。又この点につきましては一般国民もやはりそういうようなふうに考えておるのじやないか。私あたりこの方に足を踏み込んで一つの信念を持つておるのでありますが、やり方如何によつては立派に自給自足はできるという信念を今も変えておりません。これは田村さんが本会議でもやつておられた。或いはこの委員会においても総理大臣質問し、又農林大臣に対しても質問したのでありますが、私は全然同意見であります。結局今の農業政策というものが、どこかに欠ける点がある。一方において農業政策が悪いもの主から、農民諸君の熱意が昂揚されておらないそういうこともあるでありましよう。二十三年或いは二十四年国内にできましたところの主食ですね、この食糧作物の収穫高、それから外国から頂いておるところの輸入食糧、この率を見ますというと、凡そ一割四五分ばかり実際は足りない。これを外国から頂いておるという結果になつておる。こういうことから考えて見ましても、私は一割五分ぐらいのことは増収ができる、結局政策問題だ、米のできる問題だ、こう考えておるのでありますが、この点については速かに食糧の長期に亙る自給自足の態勢の整うような政策を早く樹立して貰いたい。御答弁は要りません。今まで御答弁がありましたから要りませんが、私の希望だけを先ず劈頭に申述べて置きたいのであります。  それからこれは御答弁を頂きたい。総理大臣の施政方針演説で農業に関することが極くちびつと出ておつたようであります。こういうふうに言われておつたと思うのであります。農家経営の安定を図り、産業再建に貢献しつつある農業の基礎を確立するため、各種農業政策を樹立実行して行くつもりである、こう言われておる。これは非常に抽象的であります。具体的に何もお示しになつておりませんが、そこでいろいろとこの御方針が、今提出されておりますところの補正予算に現れておるかということをよく調べましたが、不幸にしてそういうことが見当らない。甚だ私は心寂しく思つておるのであります。多分来年度予算にしつかり計上されておるのでありましよう。が併し、総理大臣がこの演説を我々国会に公約し、国民に対して声明されておるその後において、それじやどういうことをやつておるか、成る程あります。重要政策を決定されて行つておる。その一つは米価問題であります。これは実に大きい政策であります。その米価につきましては農民の意のある所はどこであるか。農業団体が農林省あたりにも陳情いたし、五千七百円是非頂きたいという要請をしておるのであります。ところが米価審議会におきましては、四千七百円が適当だ、その四千七百円がうまく行けば従来基準米価に対して超過供出を三倍に買上げておつたのを二倍でよろしいという答申をしておるのであります。ところがその結果はどうか。この米価審議会の案は反古にされまして、政府において四千二百五十円でありますか、この程米価に結局決定した。そうしておまけに四千七百円になれば二倍の買上でよいというやつがこの方は結局三倍を二倍に落された。これで果して総理大臣の言われるところの農家経営の安定を図り農業の基礎を確立するという、これが政策に合致しておるのかどうかということを先ず第一にお尋ねを申上げたいのであります。
  53. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) お答えいたします。答弁は要らんとおつしやいましたが。
  54. 岩男仁藏

    ○岩男仁藏君 一番初めのは要らんが、これは要するのです。
  55. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) 米価問題についてお答えいたしたいと存じますが、米価問題につきましては度々申上げておるのでありまして、決して低米価政策を探るというようなことはないのであります。今日外国の食糧は日本の食糧に比較しまして為替関係から高いのであります。将来におきまして自主的な貿易が許されるということになりました場合において、海外の食糧価格と内地の食糧価格とは当然ここに対立する性格を持つて行かなければならんのでありますが、現在におきましては、高いと申しましてもその大方は救済費として貰つておるのであります。ただ米価を決めます上におきまして、農業生産者がその生産に従事して生活しておる中において購入する諸物価、この買いまするいろいろの品物の価格と売ります農産物の価格とが大体標準が合つておるという程度に決めることが妥当であるというような考え方をいたしまして、パリテイ指数を採つたのであります。勿論パリテイ指数の組織の上においてはいろいろ議論もあります。殊にパリテイ指数は私等も真実完全なものとは思いません。その作柄の良悪ということが、一向浮び出ない問題でありまするので十分でありませんが、生産するに必要な品物を買うものとそうしてそれによつて拵えたものを、農産物を売る、この価格が大体合法ということがパリティ指数によつて出るということを考えまして、本年の米価は御承知通り決めたのであります。勿論米穀審議会に諮問いたしまして御答申も受けたのでありますが、この御答申に副うということは相当政府といたしましては努力いたしたのであります。いたしたのでありまするが、関係方面等の交渉の結果はどうしても先程申しましたパリティ指数によつて定めるということが今日の場合正しいのだという、こういうことに結論されまして、審議会の答申に副うことを得なかつたことはまことに遺憾なことであります。殊に超過供出の奨励金が三倍になつてつたのがこれが却つて二倍になり、そうしてその一倍は米価の中に加えようと思つたのが外ずされてしまつたというような、予想を二重に裏切つたようになりましたことはまことに遺憾な次第でありますが、これも編成につきまして相当の枠を定められております関係上、これが三倍にどうしても容易にでき得なかつたのでありまして、農林省といたしましてはどうかして超過供出上の数量の如何によりましては或いは三倍にもできないではないかというので努力をいたしたのでありますが、二百万石を超過供出ということに予定されまして枠が決まつたために、遂にこれも今お話のようにまことに遺憾ながら二倍ということを余儀なく決定せざるを得なかつたような事情であります。この内部の事情等も一つ御了察をお願いいたしたいと存じます。
  56. 岩男仁藏

    ○岩男仁藏君 総理が、この演説をされたのちに、今の問題が一つですが、もう一つ藷類の統制撤廃をするということを決定されたようであります。これもやはり重要なる農業政策であると思うのであります。各種農業政策を至急実行するというこの中に入つておるのでありましよう。御承知のようにこの戰争中から藷類は我々国民を養つてくれた最もこれは重宝なものであつたのであります。いろいろ奨励の結果暫く軌道に乗りまして、昨今は実にお互いの飢餓を救うところの重要な役割を持つて今日来ておる。これを突如として統制を撤廃すると、その統制撤廃の結果ほどうなるかと、これは容易に予想ができるのであります。当局はそんなことがないと仰つしやるかも知らんが、非常な減収を来たす、その作付が非常に減額される。これはどうでもいいのだということは現に百姓に心理的に非常に作用をしております。ところが経司令部意見としては、新聞で見たのでありますが、藷類の生産重要性についてはこれを非常に強調されております。従来通りの量、いやそれ以上に一つ増産しなければならんというようなことを強調されておるが、この政策が果して又そこに働きます農家の経営の安定、農業政策、農業の基礎の確立ということになるのでありますか、これを一つ意見を承ります。
  57. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) 藷の統制についてお答えいたします。二十四年の本年度の甘藷におきましては、十二月一日から、割当供出の完了されました生産者は、その残余の藷を政府に売ろうと、又政府以外のものに売ろうと自由にいたすのであります。併し公約いたしておりまする約七億万貫というものは季別的に月割の供出量を定めて供出をいたして貰つております。本年度はその外に約一割程度を予定いたしまして、超過供出の分として奨励金を出したいと、かような計画を以て本年は参つておるわけであります。この買上げまする藷の中には工業用としてアルコール或いは澱粉等に廻すものも含んでおるのであります。これは本年度の現状でありますが、来年度どうするかということにつきましては、これは司令部が曾て覚書を出しまして二十五年からは藷類を日本の主要食糧としなくでもいいような状態になつて来たということを申して来たのでありまするがそれは成る程輸入食糧が殖えて参りまして、又日本の各種生産物も落付いて参りましたので、かような観点にこれは立つこともできましよう。併しこの戰争中……悪い戰争をしましたけれども、藷を全国に広めて呉れたことは今認めておりますが、この折角広めてくれた藷をむざむざ生産を落すということは、これは食糧の立場からではなく、農業の経営の上から重大な問題であると思うのであります。この方面から是非ともこの藷というものが農業経営という上から保存接続してますます発達さして行きたいとかように思つておるのであります。農業経営というものは個々別々に考えなければならんのであります。政府が藷を買取るようになれば藷を作る。買取らんようになれば藷を作らん。これは農家自身に勘案いたしまして農業経営の方式を決められると思うのでありますが、又その他の作物を作る。又この転作の方面においても農林省としては将来指導するつもりは持つております。藷を作るがいいか、作らん方がいいかということについてはこの農家自身に勘案いたさせまして、農業経営の方式を決められると思うのでありますが、私は今特別会計が検討中でありますのでまだ確定いたしませんけれども、又特別会計が許されますならば、甘藷は約四億万貫、馬鈴薯を一億五千万貫ということを主要食糧の中に入れたい、かように考えるのであります。そうしましてもまだあとに十一二億万貫の甘藷が予想されます。これは昨夜もお答えしましたように、農村の性格を若干は入れまして、折角できました甘藷を農業経営の上に取り入れて行くという方式に指導して行きたい、かように考えておるわけであります。
  58. 岩男仁藏

    ○岩男仁藏君 尚政策の点でお聽きしたいことがありますが、時間もありませんので畧します。  もう一つ食糧庁に関する人員の問題についてお尋ねいたしたいことがあります。実は、過ぐる国会で、定員法が出まして、これは我々は立場上としては国家の財政から睨み合せて、思い切つて整理すべきものだとは考えておつたのですが、あの当時の定員法の出た時分には、何ら準備ができていない。科学的基礎の上に立つたところの整理でもない。事務系統三割、現業系統で二割というようなことでいつたから我々反対したのであります。ところがその結果が遺憾なくここに現れて参つております。これはいろいろありますが、あなたにお聽きするのであるから農林省関係のことだけに止めておきますが、食糧庁の方で非常に無理な整理をやつた。二十三年度は平均、非常藷と言うか、何と言うか非常勤と言いますが、非常勤が千五百七十人ぐらいあつたのが、今年になつて、それが急に殖えまして、現在では六千五百六十人という非常勤というものを使つているのは事実であります。そこでどうしてもいけんというので、何と言いますかね、借用定員と言うか、これはをかしいことなんじやが、どこか、林野庁かどこからか、あなたの所管のどこかの機関から、この借用している定員が八百七十名ぐらいはあるらしい。これに十月一日現在で、非常にここに無理があつたということははつきりしておりますが、これは或る意味から言えば定員法違犯である。或いは、いやそれは形式的の問題、形式的には違犯じやないと弁解されるかもしれませんが、少くともこれは実質的な違犯であると私は考えている。断定しておるのでありますが、これについて御答弁願いたい。又どういうふうに予算措置をなさるのか、お聞かせ願いたいと思うのであります。
  59. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) 先程、木下さんにお答えした通り、農林省は御承知通りに外局と本省と別々になつておるのであります。これが一本であれば非常に行政整理等においても処置がしいいのでありますが、その便宜を得られぬことを遺憾に存じておるのであります。これは、或る局から或る局に借りたという、いわゆる借用というお話がございましたが、これは御承知のように、二十四年度予算執行途中での整理でありますので、この予算が片方には整理してもいい、片方には整理はしてはならないと、こういう整理の厚薄と、その予算の分割されておる内容とが喰違いがありましたので、一時整理をいたすものにつきまして余裕のある時にはこちらから、いわゆる今お話のような借りておくというような処置予算の経理上いたしたのでありますが、これはやがておのずから整理が落ち着きました今日におきましては、予算の経理面において、自然な姿に立帰るようになると思つておるのであります。尚、食糧庁につきましては、先程木下さんにお答えいたしました通りであります。
  60. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 先程農林大臣が木下君にお話を願つてつたようでありますが、買収登記、売渡登記の問題は農林大臣は今年中に片付くであろう、一億余りの補正予算で片付くであろうという大分楽観した御答弁のようでありますが、私の見るところでは、なかなかこの登記事務というものは御承知通り厄介なもので、而もその登記所というものは普通五六ヶ村を中心に一ヶ所くらいあるもので、この交通というものも大変だし、実際各町村において平均して二千五百くらいのあれがあるというわけです。又今までの情勢を見ましても、買収登記が二四%それから売渡の方が六%というような実情、山梨県の如きは一%にもならんということを聞いておるのですが、そういう実情からして私は、これは農林大臣が楽観しておるようでありますが、なかなかむづかしいだろうと思うのでありますが、ところでそのまあ一億何がしを各町村に割当てるということは一万円という勘定ですが、この一万円もまあ事務費を三千円にすると、七千円くらいになつてしまう。而も各農地委員の書記、従業員においては、大抵少くとも最少限度五万円くらい補助がなければやつて行けないということをいつておりますが、こういう場合も農林大臣は飽くまでもこれでできるとおつしやつているが、まあそういうものもなかなか大変だから、実は更に二十五年度予算には相当の金額を考えているか、さようなことを先ず一つ伺いたいと思うのです。
  61. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) お答えいたします。先程木下さんにお答えいたしましたように、平均しますと少いかも知れませんが、村によりましては相当筆数があるのであります。なかなか容易にこれが一人足らずの人でありましてはどうしてもいけませんので、是非二十五年度は専属な職員を置きまして、そうして鋭意登記の完了に努力してみたいと、して貰いたいとかように考えておるわけであります。経費も十分にこれは補助ができますれば、この点結構であります。又是非一町村に少くとも、三二万円の助成はいたしたいということを考えておりますが、現在のところでは、今お話下さつたとは少し余計だろうと思いますが、倍額にはなるかと思いますが、できるだけこの補助をいたしまして促進を図りたい、かように考えております。
  62. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 まあいろいろの委員から農村問題は十分質問があつたようでありまして、日本の農村の在り方というものは、今後非常なる重大なる立場に置かれておると思うのであります、成るほど食糧が安くなつて、当然安ければ入つて来ることは、貿易関係でそういう傾向にあることは勿論であり、その際に一体日本農業はどういうふうに在るべきか、或いはこういう御議論はすでにあつたかとも思いますが、一体さような場合にどうしたらいいのか、私共の見るところでは少くとも今後数年間、日本人の海外移民というものはなかなか楽観を許されないという実情からして、八千万の国民国内に維持するために、又いろいろな今日の世界経済の情勢からしても、少くとも平年作を標準として、大体日本の食糧需要の八五%くらいは、これに対する産業もありましようが、それはとにかくとして、私共の考として、八五%くらいの食糧を確保するだけの日本の農村機構でなければならんだろうと、かように思うのでありますが、この点について農林大臣はどういう見透しでおられますか。一つお願いいたします。
  63. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) 日本がはつきりした姿になりました後における日本の農業政策を考えましたときに、どうしても日本としては食糧自給ができるか、自給できないかという問題がありますが、私は昨夜申しました通り、人間が今お話のように海外移民を許されない状態におきましては、どうしても食糧が足らないということは考えられるのであります。併し日本国民の将来の食生活ということを考えて行かなければ、今のように三合配給すればそれでいい、安心だということに満足しておりましては、一本の国民の将来に生きて行く途としては私は適当な考え方ではない。つまり日本国民が戦争前には十分な栄養を攝らなかつたでありましようけれども、二千四百カロリーまでの食糧を攝つてつた。今後それらの食糧も、蛋白質ということを考えずに、質を考えずに量を考えておつたわけでありますから、今後何と申しますか、将来若い人の食物に対する考え方を根本的に変えて、量というよりも質で行くということに想いを変えて頂かなければ、なかなかこの量によつて限りなく殖えて行く人間が腹一杯食つて行くということはこれは無理であります。そこに生活基準も高まつて行くのでありますが、そういうことを勘案いたしますと、日本の食糧は現在の穀物生産、更に漁業水産物、或いは畜類、酪農の向上というようなことを考えて食生活を見て行かなければならんと思いますが、いずれにいたしましても、限りなく増加する人口を控えては食生活は鎖国的な考え方ではいけないと思うのでありまして、その場合に海外の食物類の価格と日本の食物類の価格とがどういうふうに比例がとれて行くかということを考えて行く場合におきましては、どうしても日本の食糧は将来外国との食糧の価格、農産物の価格等は高くして行かなければならないと思うのであります。高くすることにつきましては、これは諸物価なり工業原料の値上り、或いは賃金の値上り等も考えられておるのでありますが、私は今観念的にこれを考えて想像いたしましてもはつきりしたものは出て来ないのでありますが、将来海外の食糧をどの程度日本に受入れなければならないか、又受入れる必要があるかという問題でありますが、いずれにいたしましても日本の農業というものはまだまだ生産を増加する面が残されております。科学の面に、或いは品種改良の面に、或いは栽培法の面に、又一面には今申しました食生活の面に、いろいろな食糧の充実の点において考えて行かなければならん面がありますが、私は決して日本の農業は将来悲観すべきものではないと思うのでありますが、農業者が外国から食糧がどんどん入つて来ると、今に農村というものは立ち行けない、潰れてしまう、こういうことを大袈裟に知らせるということは非常に愼まなければならないわけでありまして、今後海外と対等の立場に立つて貿易をいたします場合に、日本農業経営はどういうふうにして行かなければならんかということを考える場合において、日本の農作物の価格と外国の農作物の価格とがどういうような関係になるかということをはつきり農業者に知らしめまして、そうしてそれに対処するような、いわゆるよらしむべし、知らしむべからずというような考え方ではなしに、知らしめてそうして慌てさせないということが、つまりおどかさないということが必要であると思うのであります。そうして農業者みずからが自分の経営の上において考慮を拂いまして、そうしてその合理的な農業経営を考えて行く、こういうふうに指導して行かなければならんと思うのであります。従つて只今の場合と、今申しました将来の場合とは食糧の事情も変つて参りますが、決して私は日本の農業は海外の食糧の圧迫を受けて、そうして恐慌的な立場に農村が追い込まれるというようなことは決してないのであつて、又あつてはならないし、ないように政策を立てて行かなければならないと、かように考えておるわけであります。
  64. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 農林大臣はないように大いにやろうというのでありますが結構なことであります。ところで二、三日前の新聞でしたか、見返資金の方から今後はこの農村の方面に二百億とか廻すというような話をちよつと見たような気がするのでありますが、食糧の質的な転換にしても、農村の工業化ということについても、こういう問題はどちらにしても日本の農業の将来の上に考えるべきことでありますが、そういうものと関連して農林大臣のお考とこの見返資金の問題と絡み合せて、どういうようにこの見返貸金をお使いなさるかということをお聽かせ願いたい。
  65. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) 御承知通り見返資金はこれは将来返さなければならないのか、それとも返さなくともよいのか、これはアメリカの考でありますので、只今これを貰つてしまつたのだというようなずるいことを日本が落手に決めるわけには参りません。併しながら今お述べになりましたような構想は、一つの構想として考えでおりますことは、今農村は非常に担保力がなくして金融に困つておる。市中銀行におきましても信用でも貸さんわけではありませんが、誠に短期な金でありまして、而も高利であります。これではどうしても農業の資金としてはいけませんので、今いろいろ内容の充実調査をやつておりますが、農林中央金庫の力を強めまして、今御承知のように四億円の資金でありますので、僅か四十億のものでありますが、これを八億に増額いたしまして、百六十億円までの枠を設けるというような一つの構想も持つております。もう二つは今お話の見返資金は貰えるのか、返すのか分りませんが、とにかく見返資金資金にいたしまして特別会計を作りまして、この見返資金は高くて一割も利息がなつておる。廉い場合でも国家事業費で五分五厘ということになつておる。それで貸付がたしか七分か七分五厘でありましたか、記憶しませんが、そういう程度でありますので、七分五厘の金ではとても農村としては引合いませんので、この資金で特別会計を作りまして、そうして特別会計によつて土地改良、農業、水産、林業に……林業は又別に構想を持つておりますが、資金を廻しまして、そうしてその利息に対して、事業の性質等から考えまして、一般会計から利息の助成をいたして五分五厘くらいな程度で貸してやつたらどうかというような構想で、その金額は年々五十億とか四十億とかの程度で、二百億円くらいに資金の額を確保いたして、農林中央金庫の金融と合せて行つたらどうかという構想を合持つておるわけでありますが、一方的に決められませんのではつきりとは申上げられません。
  66. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 もう一つ、これは註文でございますが、農林大臣は先程開拓者、入植者の問題で、余り開墾をするというと水害、山崩れ、さようなものに影響をするので、そう未墾地を開拓しないでもよかろうというようなお話であつたのでありますが、これにつきましては開拓者連盟などでは、そんなことは絶対ない、そういうことはないのだ、もつと開墾すれば幾らでもあるのだという意見でもありますし、又実は私共も群馬県で、群馬県が非常に再三の台風で山崩れをした、それで相当開墾地が山崩れ、崖崩れに影響を与えたのだろうということを聞いておつたので、そういう話をしたところが、いやそんなことはない、群馬県ではそんなことはちつともないという群馬県の諸君のお話を伺つておりますが、一体これはどういうのか。今後の開拓者問題、又治山治水の問題にも大きな影響のある問題でありまして、果して何町歩の開墾がこの台風のために決潰し、そうして又それがどういうふうに治水の上に影響したかというようなお調査ができれば、聽かして貫いたいと思うのであります。
  67. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) これは農地局といたしましても将来の参考になり、又林野庁とい五しましても将来の参考になるのであります。国土災害後興復の上から申しましても、貴重な資料でありますので、十分どういうふうにしてここが災害があつたかということを調査をいたしておるのであります。これは将来非常な貴い資料となると考えておるのでありますが、やはり土地のほしい立場から見ますると、このくらいのものを開墾しても別に大水が出るものではないと考えられますが、やはりこれは、先程申しましたのは笹島県の一例でありますが、徳島の近くの方もいらつしやるかも知れませんが、実に惨担たる……一尺ばかりの表土が流されてしまいまして、下の岩盤が出ておるのであります。これはその少し上手にある平地林を開墾いたして麦畑、芋畑にして寄るということが非常な原因になりまして、無論その大きい山の事情にもよりますけれども、その山が十分な山であれば、麓の遊水地帯で一時的に水を保護するという働きを持つてつたのですが、山が少しも深くない。而も遊水地番を掘り起してしまつたというために、この水が一気に出て既墾地の熟田を荒したという事実を、写真を以ても、又事実の報告を受けたわけであります。そういうことから見ますと、自然にそこに必要なものがあつて耕地が保護されているのだということが十分に悟られるのであります。必ずしも私は未墾地を全然開墾をやつではならないとは申しませんが、余程この未墾地の開墾には考えなければならんと思います。私は実地を見たわけではありませんが、北海道のごときは今二十年、三十年の山林を開墾いたしましてこれを耕地にいたしておるのであります。ところが耕地といたしまして作つて見ると、酸性土壌で何もできない。それだから結局又元の林にせなければならん、こういうことがあるそうですが、これはすでに三十年前に先人が開墾して、酸性土壌で何も作れないからやはり元の林に返した。それを又今の人間が先祖の失敗を繰返して失敗している。こういう事実があることを報告を受けておりますが、余程この未耕地或いは山林の開墾については慎重な態度を以て進まなければならないと考えております。
  68. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 そういう御調査を一つ報告を願いたいのであります。
  69. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 岩木委員。
  70. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 成るべく重複いたさないように、一二の点をお聽きしたいのでありますが、農林大臣は日本人の生活水準を昭和五年乃至九年の水準に置くという曾ての安本計画等に基く主要食糧のこれに沿うた配給量というものは幾らを目標とされておられまするか、お伺いしたい。
  71. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) 物価庁で考えておるか、安本で考えましたか、何かこの食糧の五ヶ年計画というものが伝わつておるようでありますが、これは政府といたしましては、責任の持てない数字であります。どこからそういうことが漏れましたか、誰か一人の係の者が、将来の食糧を見透してそういうふうなことを私的に考えついたのだろうと思いますが、そういう案について私に責任は持てないのであります。併し先程もお答えいたしました通り、今二合七勺だが、これを芋を外して二合七勺にするとか、或いは三合にするとか、こういうふうな考え方で将来は厚木の食糧事情考えては誤りがある、いわゆる量より質だ、こういうことを嵐は将来は考えて行かなければならんと思います。先般も十二月から米の精白度を高めまして、いわゆる七分搗きでありますが、白い米を出すことにしましたら、この間のラジオ放送で、都会の人は農林省が白い飯を食わせるのは馬鹿だ、あんなものをやると脚気が起るから麦飯を食わせろというお話がありましたが、これは御尤もでありまして、ただ今配給しております米は余り黒いので、この配給を受けた方は又これを搗き屋へ持つてつて精白するというようなことがありますので、できるだけそういうことのないように、精白度を高めるというようなことについて、決して白米食が栄養価値から申していいというわけではありませんので、今後食生活考える上においては、量より質ということを考えて行きたいと思うのであります。従つて私は、戰前二千四百カロリーというものを保有し、そうして水産物なり酪農方面の動物性蛋白質も攝つてつたわけでありますから、少くともその程度には日本が自由に食糧が取れるようにいたさなければならんと思います。それは決して三年經たなければいかんとか五年経たなければいかんというようなことで考えるべきでなく、又今アメリカから貰つております米が何年続くか、これも疑問であるのであります。それでありますから、現在アメリカから三百万トン貰つておるから、この三百万トン貰つておることを基準として日本の食糧事情考えて三合にするとか三合五勺にするとかいうことは、今軽卒に申上げることはできないのではないかと、かように考えておるのであります。
  72. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 外国からの輸入食糧が諸般の情勢から相当歳入が増大することは予想に難くないのでありますが、ただ問題は、これは日本の農業経営問題にも関連することでありますが、数量的に過剰でなくても、価格で過剰的な現象が起つて来る。即ち、例えば一例を挙げますれば、超過供出の価格に比例して、内地米八千八百の超過供出の価格に比例して、それより相当安く外国食糧が入つて来るということは、現在でもすでにその線に近いと思いますが、もう全く目に見えた現象と考えるのでありますが、外国食糧が多量に現在の超過供出の価格以下で相当輸入されるといつたような場合に、政府は現在の超過供出の価格というものはどういう割合に外国食糧の価格と比較して措置を取らんとせられますか。その点を伺います。
  73. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) お答えいたします。外国の食糧は漸次下るのではないかと想像されるのでありますが、現在の米の基準価格の二倍を加算いたしました超過供出の米の価格、こういう価格が全部五千万石なら五千万石という食糧になりますると、相当これは考えなければならんと思うのでありまするが、極く僅かなパーセントを超過供出として奨励金をやつておるわけでありまするから、超過供出が二倍になりましても、それは一部分の量でありますので、決して外国食糧よりは高くなるということはないと考えておるのであります。
  74. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 そういたしますると、僅かなものでありまするが、若し外国食糧が現在の超過供出の価格より安くなつた場合には、超過供出価格制度は廃止するという考えでありまするか。その点をもう一度伺います。
  75. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) お答えいたします。超過供出ともう一つ並んでおりまするのが、早場米の奨励金であります。ここ二三年前は、端境期が越えられなかつたのであります。輸入食糧も十分出ておりませんし、生産量は大体上つておりますが、そういうときには農林食糧庁から地方へ参りまして、そうして、どうか気の毒だが、忙しかろうけれども、早稻を一つ早く刈つて出して下さい。地方の農業者団体の世話をしている人を御馳走して、招んででも早く出して貰つたのであります。そうして、やつとやれやれ端境期が越えたという喜びを感じた時代があります。ところが幸い輸入食糧の調子もよくなりましたが、内地の食糧が非常に順調になりましたのと、又国民が食糧問題に落付いて参りました。国民も食糧が足らん足らんと言いますと、足らんようになつては大変だと買込む。ところが食糧が余る余ると言いますと、そんなに余るものを、高い闇で買わなくてもいいじやないか、いつでも買えるじやないかというので、これは余つて来るのであります。俗に言いますると、争えば足らず護れば余ると申しますか、今年は又芋が沢山出るし、自由販売という噂が立ちますので、まだ供出がすでに十一月も終らんとしておるのに七〇何%だと思いますが、そのくらいの供出でありまして、非常に急がない。こういうような情勢から、いわゆる食生活に対する落付きが出て来たとこう思うのであります。こういうために今早場米に対しての奨励金というものは意味をなさない。今年は非常に収獲時期が遅れまして、早場米を出して頂く地方においては予想が外ずれましたので、もう一週間ばかり奨励の期日を延したいと考えまして関係方面とも折衝いたしたのであるが、関係方面では、今申しました理論的に、何故そんなに奨励金を出してまで、この食糧の潤沢のときに、食糧早く集める必要がどこにある、そういう無意味なことをやれるような日本予算かというので、どうもこの期間延長は許されなかつたのでありますが、この超過供出に対しましても、外国から食糧を貰つている。そうして一応事前割当をいたして、この事前割当を補正することもやらずして経過いたしましたとすれば、輸入食糧に誤りがなければ、この事前割当の食糧で、食糧が確保できる。併し外国から食糧を貰つて、これはどういうふうな経路にいたしましても、とにかく外国から貰つてつて、そうして日本に食糧が余つているということは、これはアメリカに対してもよろしくないことであり、又自分といたしましては、やはり内地の米を主食の中心に考えておりまするから、そういうものは一つ超過供出として出して貰いたい。こういう気持で奨励金をかけたのであります。三倍にするのが理窟に合うか、二倍にするのが理窟に合うか、これは科学的な説明はできません。昔余りにマル公の米が安かつたので三倍くらいにして、一つ高くして足して貰おうという気持で三倍になつたのが、今日の情勢となつているわけでありますがこれは将来食糧事情の如何によりましては、或いはもうこの早場米というものの奨励金は、むしろ單作地帶の奨励金という気持で考え直す。又この超過供出の奬励金というものは、漸次これは打切るような段階に入つて来るようになるのではないか、かように考えるわけであります。
  76. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 早場米の奨励金及び超過供出の奨励金は、輸入食糧の実情によつては順次打切りの方針にするという御方針を伺いましたが、然らばその場合に対しましての現在の実収獲予想に対しての政府の割当方法、制度を変える考でありますか、その場合には、どういう方法のお考を持ちますか、伺いたいと思います。
  77. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) ちよつとお断りいたして置きますが、超過供出の奬励金、早場米の奨励金、これを近いうちに打切る、こういう意味ではないのでありまするから、さようお聽取りを願いたいと存じます。  私は、この食糧が今のように統制をいつまでもして行くべきであるかどうか、こういう問題を考えなければならんと思うのであります。これが自由な貿易が許されるようになりまして、日本が欲するところの南方米が入り、又場合によつて日本の米も向うへやる。或いは朝鮮の米も入るという自由な立場になつて来た場合に、相変らずのこの統制的なことをやるべきであるか。むしろそういう時代になりますと、日本の農産物の価格を維持し、農業を保護するという意味から、この米穀の管理方法において根本的に変えて行かなければならん。いわゆる国家管理の手に移してやるべきような体制を探らなければならんようなことになるのではないか、かように考えておるのであります。これは一年、二年の間に来るとは考えられませんけれども、いつまでもこういうような厄介なお世話をしなければ、日本の食糧事情がいけないというようなことであつてはならないし、できるだけ早く私はこの食糧等の問題も自由になし得るような時代が来ることを望んで止まないのであります。そういう場合におきましては、農業保護政策の一環といたしまして、又国民の重要な食糧である関係上、国家がこれを管理する。そういうように政策を動かして行くべきではないかと、かように考えておるわけであります。
  78. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 そうした場合は国家管理の方法に変えて行かなければならんということは、現在の政府与党各位ができ得る限り、例えば芋の統制も廃止するごとく自由経済的な組織に持つて行こう、或いは米券制度を思いつかれたような意味合とちよつと矛盾をするような感じがするのですが、それは例えば前の米穀統制法といつたような考え方を意味したものか、或いは全般の生産の主要食糧を国家管理としようとする思召しであるのかどうか、その点をお伺いしたい。
  79. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) 仮定の下に申上げているのでありまするから、はつきり申上げられませんけれども、昔やりました米穀管理というような形によく以ているかも知れませんが、とにかく農村を維持する上においては、米の価格を維持して行かなければならん。又海外から輸入するところの食糧に対する関税等の考え方も持つて行かなければなりませんし、又これが国民の主要なる、大事な、日常生活に重大な立場にある食糧ということを考えますと、或いは今お話のような食糧のすべての管理を政府がやつて、或いは価格操作等も含めてやるというふうなこと考えられるのであります。今の段階で米券と食い違うではないかということ、これは現在の配給制度におきましては、米券ということも自由党の方で考えられたのでありますが、これは食糧確保の上において一つのいい方式と私自身考えているようなわけであります。
  80. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 もう余りこれは議論になりますから避けたいと思いますが、現在の配給方法考えて米券制度等も考えられるということでありますが、将来外国食糧が安く、且多量に、例えば先般の日英協定を考えましても、世界小麦会議の加入等に鑑みましても、或いはアメリカからの現在の諸般の情勢等から打診しても、相当日本輸入食糧が増大することは必至であると思われる。それでこれが農業経営、或いは農村物価、米価に関係いたしますることは仮に別問題にいたしまして、とにかくかような情勢にあるという場合に対しまして、現在の食糧統制方法は、例えば日本の農家の生産したものを、今、大臣の言われたような工合に管理をするということについては分りますが、外国から来る小麦、小麦粉、或いは外国の米、こういつたものはこの場合においては別の統制方法を採らんとするのか、或いは総合的な日本生産食糧と合せてやはり依然として統制方法を探ろうとするのか。この点について、もう一点お伺いしたいと思います。
  81. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) 勿論輸入食糧に対しましても併せて管理をすべきであると考えております。
  82. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 それではその点はそれといたしまして、もう一、二お伺いしたいのでありまするが、これは他の議員からもお尋ねになつたと思うのですけれども、私、ついておらなかつたものですから、主食重点主義の農業経営と言いますか、農業経済というものにつきましては、相当将来性に懸念を要するものがあるし、漸次変えて行かなきやならんと思うのでありまするが、世界的食糧の過剰、供給緩和……過剰でなくとも緩和乃至は過剰の状態に向う場合に、主要食糧を重点的な農業経営の主軸とするという場合に、恐らくは日本政府国民も農民も、非常な難関に遭遇しやしないかというような懸念が一方ある外に、現在の政府の行う諸般の農業政策に対して、或いは価格政策に対して、最近農村が非常な不満と申しますか、いろいろ意向を言つておるようでありますが、こうした問題に対する政府はどちらを重点的に将来こうした問題を取上げて行かれると考えられますか、この点をお伺いしたいと思います。
  83. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) 勿論日本の耕地の利用の面におきましては、主食たる米麦を主としなければならんと存じます。併し米麦のみを主体といたしましては、農業経営は成り立たないのでありまして、それは個々の経営者がその地方的、又自己の経営面において十分考慮を拂いまして、多角的な経営をやつて行くということで解決が付くのではないかと考えております。
  84. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 今回の補正予算で内地の方の買入れ価格は九%高くなつた所似に基く予算措置がありまするが、それに伴つて外国の輸入食糧も同様に九%の価格が上つたというような意味合がありまするが、これは現在の政府の買入れる輸入食糧等につきましては、この九%内地の米価を引上げられたと同様な結果にぴつたり合うているのでありまするが、これは縫合的な解釈でかような措置を理由なくされておるのでありまするか、その点を伺いたいと思います。
  85. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 今回の改正によりまして、米価は四千二百五十円に相成つたのであります。外国から参りまする米、麦は、いわゆる国内での生産者価格にマッチさせておるのでございます。従いまして国内の米麦の価格が上れば、食糧管理特別会計へ渡しまする輸入主食もそれだけ上るということに相成ります。
  86. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 分りましたが、将来肥料、電力その他運賃等が値上りする場合に対して、肥料の価格の引上げに対しては、米価をスライドせられるようなことを聞きましたが、ひとり肥料ばかりでなく、その他のものが総合的に引上げられる場合における再生産の現在の価格ですら、相当農村においては異論があるのでありまするが、再生産経済というものが、この場合に農業経営として維持されるかどうかを農林大臣にお伺いしたいと思います。
  87. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) 勿論二十五年度の米価が補給金の減額等によつて向上した場合におきまして又これを高めて行くわけであります。
  88. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 前の議会でありましたか、農業所得、これは安本の推定でありましようと思いますが、いわゆる農業所得に伴う増税に対しまして、当時農林当局は、米価並びに農産物価をその増税に、農業所得に睨み合すように改訂するということを前の議会に言われたのであります。最近米、芋の価格も聊か上りまするし、米価も今回改訂されましたが、この間のギヤツプというのが最近の農村でも非常に問題になつておるようでありまするが、これに対して大蔵大臣のお考えは如何でありますか。
  89. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 本年度におきましては、農業所得に対しまして特別の減税措置を講ずることができなかつたのであります。一般的にこの年度におきましては取引高税等の軽減によつて潤いを見るより外にありません。併し昭和二十五年即ち一月一日から来年の暮のまでの昭和二十五年分の所得につきましては、シヤウプ勧告案に則りまして減税を考えております。従いまして今回の国会には臨時特例として勤労者の所得のみ一——三月につきまして減ずることにいたしておりますが、次の第七国会におきましては来年の一戸から農業所得を軽減するような減税案を出したいと考えております。
  90. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 そうしますと、農業所得が増大していないのに、将来農産物価を上げるという政府当局態度を信用いたしましてその増税に応じたと思う。ところが今大蔵大臣お話によれば、昭和二十五年度においてその措置を探ろうということになりますれば、一年間農村が損をした、と言うことは悪いかも知れませんが、農業所得が実質上ないに拘わらず増税そのものがせられたことになると思いますが、その辺は如何でございますか。
  91. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 昭和二十四年分につきまして所得の増税はいたしておりません。従いまして昭和二十四年分について所得がないのに増税するということはないと考えます。所得がないところには所得税はかからないのであります。
  92. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 ちよつと私今資料を持つておりませんが、記憶いたしますところは、八十七億であつたか、何か安本の、農業所得増収に伴う農業所得の増税が計上されておつたと思いますが、私の解釈違いでありますか。伺いたいと思います。
  93. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 農業所得が増収になりますと、これは増税でなしに、今の税法で計算されるわけでございます。だからこれは増税の問題ではございません。而して二十四年分の所得につきましては、御承知通り二十三年の産米の米とか、或いは麦よりも昭和二十四年の買入価格は高くなつております。而してこれから必要経費を引いた場合の所得額がどうなるかということが問題になるのであります。所得額が正確ならば既定の税法で税額を見るのであります。ただ私は減税はいたしませんが、農業者に対しまする今年分の所得が四百九十七億円を見込んでおりました。併し災害等がございますので、今回の補正予算におきまして八十億程度の税額の減収を見込んでおります。従いまして四百十八億の收入見込に変えたのであります。それが補正予算におきまして申告納税の減収の百九十五億の中に含まれております。
  94. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 私も資料を持つておりませんから、増収だという大蔵大臣の御意見につきましては資料を持つておりませんから、これ以上質問いたさないことにいたしておきますがもう一点、序でと申しては失礼でありますが伺いたいのは、食管特別会計の百七十億の赤字及びそれに必要なる資金を補正予算に計上されておりますが、先般大蔵大臣は、芋等の赤字に基くことによつて相当金額の計上の余儀ないようなことのように驚いたのでありますが、この内訳は如何様になつておりますか。伺いたい。
  95. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 今回の補正予算で一般会計より食糧管理特別会計へ繰入れ、百七十億は赤字補填の意味はないのであります。御案内の通り、予定の輸入米麦等を当初二百二十九万トンを計画いたしておりましたところ、二百九十万五千トンに変つたために、運転資金が多くなつたのが重大なる理由でございます。その外に食管特別会計の買います内地米の価格引上げ等が幾分加わつておるのであります。
  96. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 今大蔵大臣は赤字補填ではないということを言われましたが、これは芋の操作上におきまする特定の赤字によるものだと我々は考えておつたのですが、この点は今大蔵大臣の説明のような具合に、農林大臣の御見解は同様でありますか、伺いたい。
  97. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) 先程、どなたでしたか、お答えいたしましたが、赤字の内容は超過供出の増額によりまして、一時的芋の切干しの生産、或いは供出米の増額というものがあつたわけでありますが、これは食管の扱つておる食糧販売価格にかかつて参りますので、今の百七十億の繰入れは今大蔵大臣お話になりました原因であります。
  98. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 芋などの一時超過供出の増大によつて措置がこの予算に転嫁されたということを言われるのでありますが、この金額はどれ程になりまするか、伺いたいと存じます。
  99. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) 細かい数字は申上げかねますが、米の超過供出の増額は約二十億ばかりあつたと思います。それから切干しの超過供出の増額が約四十億程あつたと存じます。
  100. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 そうしますと、今大蔵大臣が赤字補填ではない、運転資金或いは内地米の引上げその他と言われたことと、全農林大臣が概ね六十億に達しておる芋の超過供出に基く赤字という意味とは、共通できないように思いますが、如何でしようか。
  101. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) 私がお答えいたしましたのは、消費者価格に一定の米の超過供出の奨励金が凡そこのくらいかかる。或いは芋の切干しの超過供出の奨励金がこのくらいかかるということで、芋の切干しの販売価格、米の消費者価格が決まつてあるのであります。それが例えば、一億万貫の切干しを買おうと思つてつたのに、一億五千万貫来た。そうするとその五千万貫分が予算以上の赤字と、こうなるわけでございますが、これは現在品物があるのであります。従つてこれは食管の公団に売り渡しておりまする食糧のこれが消費者価格の方へカバーされて行くのでありますから、大蔵大臣お話になりました百七十億という繰入は、今回の輸入食糧の補給金等の買入価格が盛られてあるのであります。
  102. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 ちよつと私合点が行きませんが、この百七十億の中の内訳を今農林大臣に伺いますれば、生芋及び切干し甘藷の超過供出に基くものの六十億を、それを消費者に転嫁したと言われておるのです。若しそれが本当でありますれば、超過供出によつて六十億の損というものは消費者に転嫁されるが又一般会計からそれを又補填するということは、どうも二重の国家負担と言いますか、消費者負担になるように解釈されますが、如何ですか。
  103. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) よく言われております赤字は百二十億であります、赤字と言いましたのは。それでその中の六十一億は、三月の会計年度にまだ食糧公団から特別会計へ戻さないので、これが四月、五月、六月とだんだん戻つて参りますから、これは会計経理のずれが三月の会計年度の切りにあつたわけであります。それですから、大蔵大臣お話なつた百七十億というのは、外国からこのたび入つて来ます食糧を買つて食管に渡すわけでありますから、その金のために繰入があつた。で百二十億というものは、今申上げましたように会計のずれが四、五、六、七と新しい年度で消化される。又約六十億の超過供出の分は、消費者のです。価格の方、或いは米の価格の方にカバーして来る。こういうことで百七十億と百二十億ということになつておるのであります。その百二十億は今申しましたような経理ができて来る。こういうことになります。
  104. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 そうしますと、外国の輸入食糧に対する必要資金だということがありますれば、その数量と単価はどういうことになつておりますか、説明して頂きたい。
  105. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 年度末の食糧の在庫は千三百五十億円ほどでございます。食糧は大体年度末二千八百万石程度に相成ります。これは現在持つております小麦でいくらというふうにはつきり手持の資料を持つておりませんが、現在小麦につきましてはトン当り二万三千円、輸入米につきましては三万七百九十七円というような單価でございます。
  106. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 それが今の農林大臣の言われたような赤字の百七十億のどれだけの総金額になりますか。
  107. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) お答え申上げますが、農林大臣の言われました百二十億の赤字というのは、私はこうお考えつたらいいと思うのであります。例えば農家からの買入値段が決まります。それから消費者価格を決めるのでありますが、中間マージンといたしまして、早場米とか超過供出の数量で動くわけであります。従いまして超過供出米が多くなつたときには、消費者価格を、直ちに変えて行かなければならんという問題があるのであります。而して今年度におきましては四月に消費者価格を上げまして、そうして今までに超過供出が多かつたり、芋の切干が多かつたりしたものは、徐々にこれを消費者価格に転嫁して行つておるのであります。従いまして四月に上げました関係上、大体今までの百二十億の赤字はもう消えて行つておるのであります。そうして今回の百七十億というものは、その赤字とは全然別個の問題でございます。六十万トンの輪八食糧が殖えて来たそれのいわゆる買入資金に使つておるわけでございます。
  108. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 六十万トンの輸入食糧の買入資金というのは、年度内にそれが全部入ることに必要な予算措置でありますかどうかということと、もう一つは、百二十億は芋の操作で赤字だと言われたのですが、そうするとその赤字に対する措置は、特別会計はどうなさつたのでありますか。
  109. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 藷ばかりじやございません。米につきましても出て来るのであります。そうしてその分は消費者価格の引上げによつてなし崩しで行くわけであります。消費者価格の引上げによつてなし崩して行くわけですから、本年の四月に消費者価格を上げました。それによつて消えて行くのであります。それで今回来年度予算で組もうといたしておりまするものにつきましても、一応超過供出米はこれだけあるという計算の下に一月一日から消費者価格を決めて行くのです。そうして一月一日の消費者価格を決める場合におきましては、来年度中は一切動かさないということにして、而も七月に供出される麦なんかの価格も考えて消費者価格を決める。こういうように一年間に起ることを一応考えまして消費者価格を決める。こういうことであります。
  110. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 ちよつと、まだ私議論の余地もありまするし、不審な点もありますが、メモに従いまして一応私打切ります。
  111. 岩間正男

    ○岩間正男君 もう一遍確かめて置きたいのは今食糧輸入でありますが、百七十億の食管会計ですね、これの内容として輸入食糧の増加ということが言われております。蔵相がしばしば発表されたのをもう一遍正確にしたいです。これはどれくらいに殖えるのですか。
  112. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 当初は輸入食糧を二百二十九万トンと計算しておりました。それが今年度内に二百九十万五千トンという輸入計画に相成つたのであります。
  113. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうしますと、ここで数字の上で、森農相の発表した数字と喰い違いがあると思うのです。過般の農林委員会の発表ですが、そのとき森農相は、大体今年度輸入食糧は三百十一万トンというように発表しておるので、そこに二十一万トンばかりの喰い違いがあるようですが、その点はどういうわけですか。
  114. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私のは大豆を含めていない数字でございまして、二十万トン程度大豆がございます。来年度におきましては三百七十五万トンの輸入計画でございまして、そのうち主食は三百四十万トンということで、大豆を含むか含まぬかどいうことでございます。
  115. 岩間正男

    ○岩間正男君 先程の前の委員の御質問と連関しますけれども、農業所得を大体七十億程度今度は減額しておる、こういうような話でありますが、大体当初予算のときの計算においてこれは多過ぎたのじやないか、更に一体七十億程度の減額で果して現状に合うかどうかということは、その後災害とかその他の農家の支出というものは増大しておるのに対して、収入は非常に減つておる。こういう点からこれらの基礎ですね、算定基礎の中に一体闇売買のようなもの、そういうものを含めて計算しておるのじやないか。つまり供出分だけの計算では非常にこの点が合理性を欠いておるように思うのですが、この点如何ですか。
  116. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 今年度申告納税で農家の所得税額の減収は、先程申上げましたように八十億弱の減収を見込んでおります。而してこのうちには勿論デラ台風以後の度重なる災害によりまする農業所得の減少も見込んでおります。  第二言目の御質問の農家が闇をなさつて所得があつたという場合に、その所得を見込んでおるかという御質問でありまするが、所得税は所得のあるところに課税するのであります。闇で所得を得られたものにつきましては、たびたび議論があつたところでありますが、課税いたすことにいたしております。
  117. 岩間正男

    ○岩間正男君 闇所得に対する課税の額ですね、こういうものは大体見当が付いておりますか。
  118. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 闇所得の課税が幾らであつたかという数字は持合せておりません。これは所によつて違うのでございます。又農家の経営費におきましても違つて来るのでありまして、正確な数字は調査いたしておりません。
  119. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると供出代金のみについての課税金額というものはこれは大体掴んでおるわけですね。それから推して行けば、闇の所得の課税というものは出て来るわけですが、それはどうですか、その点は。その供出金額について課税金額をどれくらいというふうに考えておられるか、その点一つ……
  120. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 供出代金の金額は得得見積上勿論考えてやつておるのでございます。
  121. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうも今の答弁ではつきりしないのでありますが、これは供出代金の点は明確じやないのですか、明確なのですか。もう一度伺いたい。
  122. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 各個人ごとに明確に分つております。この資料を使つて税務署で課税する計算をいたしております。
  123. 岩間正男

    ○岩間正男君 諄いようですが、そうすれば当然全体の額から供出額を控訴すれば、そこに闇所得というものの大体のレートが出ると思うのですが、その点は掴んでいられるのですか。
  124. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 個々の人につきましては分り得るのでありますが、全体としては分つておりません。
  125. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうしますと、最初に立てた大蔵省の額が、非常に不明瞭なものに根拠を置いておるというふうにしか考えられないのでありまして、そういうところに現在の農民の非常に窮迫した状況に対して而も税金が過重であるという原因があるように思うのですが、その点は如何ですか。
  126. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) お話の点がはつきり分りませんが、やはり各農家につきまして、田をどれだけ作り、細をどれだけ作り、而もその畑につきまして野菜についてはどういうふうな野菜を植えておるかというようないろいろな資料を見込みまして、そうして所得の計算をするのであります。で実収の数量と供出の数量、保有米その他いろいろな事情を勘案して、個々の人についてその計算をするのであります。そうして今あなたが過重であるとかなんとかおつしやいましたが、税務署といたしましては法律に規定してある通りをやつておるのであります。
  127. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうもその点がやはり依然として……そうするとトータルはできておるのですか。最初の大体のですね。それは全体の数を抑えるときに、個々の課税金額は大体推計でやるわけでしよう。それのトータルが出ておるのですか。その点はどうなんですか。
  128. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 勿論大蔵省といたしまして、農業所得全体がどのくらいになるか、而して農業の平均所得はどのくらいになるか、大農、中農、小農の階級区分も見まして、そこに所定の税率を適用いたしまして総合的に農業に対する所得税はどれだけ、こういうものができております。
  129. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうしますと、その中で大体その闇所得というものをどれくらいに見込んでおるか、その数字がなければはつきりした数字は出ないと思うのですが、どうなんですか。
  130. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 闇所得を課税するかしないかという問題と、幾ら闇所得を課税しておるかという問題とは別個なんです。私は闇所得であろうが所得であれば課税しますと、こうお答え申上げたのであります。然らばそういう建前の下に何ぼ課税しておるかということになりますと資料がございません。
  131. 岩間正男

    ○岩間正男君 その点はそうすると、何ですか、大体最初から見込の中に入れておらない。その点はそうすると、任意に闇所得というものは取られておる。そうしてそれが農民に対する税金が非常に過重になる原因であるというところに実際の問題として現れておると思うのです。でこの点はどこまで押問答をやつても仕方がないから保留して、その次ですが、次に中小企業の場合ですが、これに対するやはり今度の課税金額が非常に減額されておるんですが、    〔委員長退席、理事田村文吉君委員長席に着く〕 その点は、現在の中小企業がその後の企業整備によつて非常に破壊されておる。そういう点から見るというと、今度の減額は非常に少なきに過ぎると、こういうふうに思うのですが、それはどうですか。
  132. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) お説の通りに中小企業の方々が思つた程経営がうまく行つていない点も中にはあると思います。そういう点等を勘案いたしまして大体六十億円余の減収を見込むべきだ、こう考えてやつたのであります。
  133. 岩間正男

    ○岩間正男君 申告所得納税分に対しまして、今度の大体所得の減額分が約一割程度にしか当つていない。農業とそれから中小企業その他を加えてですね。つまり一千九百億に対して百九十六億くらいのこれは減額しか見ていないと思いますが、これで現状が果して妥当だと考えておられるか。
  134. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 全体では一割程度になつておりまするが、農家の分につきましては一割五六分程度になつております。営業所得の方につきましては、五%程度に相成つております。現状から申しましてこの程度で適当だと私は考えております。
  135. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは見解をここでやつても仕方がないけれども、実にその点では現に起りつつある農村恐慌の中の農民の生活状態、それから中小企業の、非常に全面的に破壊されておる、こういう態勢から見るというと、一割程度の減額で以てこういうものが緩和されるというふうにはどうしても考えられない。従つて当然年末更正の決定の問題が起つて来るのでありますが、過般の蔵相の答弁では、年末更正は飽くまでやるというようなお話でありますけれども、この点について例年と非常に様子が変つておる。従つて年末の更正決定に対して手心を加えるというような意向があるかどうか。現状とこれは照し合せて、はつきりとこの点……
  136. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 先般ここで問題になりました年末更正は、営業者即ち中小商工業、或いは大商工業もありますが、今まで考えておりました営業者に対する更正の点だつたと思うのであります。お話の農業者に対しましては、大体農業者の殆んど大部分というものは米価が決まりましてから、一月末に申告なさるのでございます。問題にならんと思います。一月の申告を見まして適当な更正決定をする。農業者に対しましては、従来あまり更正決定というのも営業者程に問題はなかつた問題の中小商工業者等、いわゆる営業方面に対しまする更正決定は、今までの徴収状況から考えまして、十一月或いは十二月に更正決定をした方が適当であるものにつきましては更正決定をいたします。又来年の確定申告を待つて更正決定をした方が適当であるというものにつきましては、確定申告を待つてから更正決定をいたします。
  137. 岩間正男

    ○岩間正男君 今度の更正決定に対して従来の方針を堅持するつもりであるかどうか、この点……
  138. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 従来の方針というお言葉でございますが、やはり租税は適時適当に取つて行く、この方針に従つてつておるのでございます。今年におきましても、申告納税の状況を見ますると、昨年よりはややよろしうございまするが、まだ意に満たないところがありますので、適時に適当な金額を取るという方針に変りございません。
  139. 岩間正男

    ○岩間正男君 現在の中小企業なんかの様子を見るというと、例えば、税改正に対する今度のシヤウプ案の問題についてですね、議論をする。こういうことをしますというと、中小企業の側から、来年のことを言うと鬼が笑う。本年の一体税金をどういうように課すか、今の現実当面した問題が非常に重大な問題なんで、これは何ともならんということが、非常に深刻に伝えられておるのでありますが、こういう情勢から考えて、大体当初の見込みの一割程度の金額では到底この急場を切り拔けることはできないのじやないか、こういうふうに思うのですが、大蔵省としてはこういう事態に対して、もつと現実に即応した態勢が採られなくちやならないのではないかというふうに我々は考えます。その点は、これはやつぱりあとは議論になるかも知れませんが、今後の納税情勢において十分な手心を加うべきじやないかというふうに思います。  次に法人税の問題でありますが、法人税の当初の見込みは二百七十二億、それが今度は大体五百億というような見込になつて、そこに二百二十億ばかりの増加が、六体二倍ぐらいに殖えておるのでありますが、一体この根拠はどういうところにあるか。特にお聽きいたしたいのは、これは従来の法人から取つたものも無論含まれておると思うのですが、脱税的なもの、こういうものを捕捉したものは含まれておると思うのですが、最近においては中小企業が法人化したためにそういう方面の法人税が非常に殖えているのではないか、こういうふうに思われますが、こういうふうな内訳について、大体の見当は付きますか。
  140. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 個人企業から法人に変つたために法人税が見込みより多くなつたのも一つの理由でございますが、それにも増して私は今まで申告なさる場合に控え目のものが或る程度つたのが、この頃は殆んどフルに出て来ておるのではないかというのが、大きい原因だと思うのでございます。当初の二百七十億円に対しまして二百数十億円の増収は如何にも多いようにお考えになるかも知れませんが、二百七十万円の九十何%、九〇%以上も十月末までに入つておるのであります。で、この程度の増收は十分見込み得ると考えております。
  141. 岩間正男

    ○岩間正男君 大体銀行のようなものが、金融企業面ですね。そういうところでどのくらい取れておるのか。それから個人企業が法人化した。そういうような面から、これの内訳は今手許にありませんか。
  142. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 銀行から所得税がどれだけ取れているかというお話でございます。これはもう全体から申しますると殆ど問題になりません。日本銀行を相手とするとすれば、これは税金に代るべき納付金制度がございます。これは六七十億は一つの銀行で年に税金に相当するものがあります。一般の市中銀行は何と申しましても六十数行ございまして、全体の法人数は二三十万ということになつて来ますと、銀行の法人税がまあその中の七分くらいであります。個人企業から法人企業になつたものがどれだけという数字を私は今持つておりません。大蔵省にもないと思います。これは個人企業が法人企業に昨年のいつ頃からなつたかということが非常に税収入に関係があるのであります。大蔵省ではそれを調べましても余り意味がないと思いまして調べないと思います。
  143. 岩間正男

    ○岩間正男君 特に昨日の栗山君の質問に関連するのですが、最近非常に銀行が儲かつておる。その利益処分に困つているというような情報が入つておる。殊に銀行の従業員の給与水準の問題で昨日蔵相との間で質問が交されたと思うのでありますが、こういう実情に対して伺いたい。
  144. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 最近銀行の預金が殖えて参りました。そうして職員の新規採用或いは給与の増額というものは可なり抑えられておる。こういう関係で九日未の決算期におきまして相当の利益が出たようであります。併し利益処分に困つておると申しましても、銀行は一つも配当をいたしておりません。皆それは積立金で残して置いて将来の貸出準備金等にいたしておりますので配当は一切いたしておりません。
  145. 岩間正男

    ○岩間正男君 それに関連して昨日のやはり議論でありますが、銀行の従業員においては非常に賃金ベースが高い。一般の民間のベースに比べて相当割高になつておる実情があるのでありますが、そのときの蔵相の答弁によると、それは銀行がそういうような五%でしたか、大体利益の中の五%を給与に向けるというのですが、その点ちよつと今記憶がないのですが、併しそのために民間の給与ベースとの間に釣合いが取れない、こういう事情が起つておる。それに対して蔵相は法的には何らそれに対しては制限はない筈だ、法的な問題はない、こういう話でありますが、併し私に政策面において、それに民間の給与ベースと、それから銀行の給与との場合と、給与ベースが非常に差等があるということは、政府全体の政策としてはそこに一つのバランスが取れないものがあるのではないか、こう考えるのでありますが、この点はどうですか。    〔理事田村文吉君退席、委員長着席〕
  146. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 銀行職員の給与ベースが絶対に高いとは私は申されんと思うのであります。それはその銀行の職員のいわゆる年齢とか構成要素等が影響するのであります。例えば個々の銀行につきましていい悪いはございます。同じ特殊銀行におきましても、或る特殊銀行は最も高い。或る特殊銀行は、私が調べました十三四の中では最も低いという傾向がありまして——一般には申されませんが、概ね銀行の職員はその構成要素から来る結果か、兎に角平均より上位にあるということに言えるのであります。で、私は十三行につきまして、学歴と年齢と勤務年数に分けまして保険会社と銀行につきまして調査をいたしました。そういたしますと、一番いいところの銀行でも事業会社の一番いいのに比べます三まだ低いのでございます。併し今度澤官庁のものと比べましてこれは大蔵省の局長でございますが、局長級の連中と同期の者で各銀行へ行つた者と比較いたしますると、大体大蔵省の局長の同期生で銀行に行つた者は倍以上の収入がある。こういう点から考えると、或る程度銀行は一般よりも、勿論官庁よりも総体的によいと認め得るわけであります。そこで私は銀行の経営の合理化、いわゆる銀行の公共性を考えまして、金利をできるだけ早く大きく引下げるという念頭の下に、今後銀行の昇給について、大蔵省は特に監督しておりまする関係で、給与の増額につきましては或る程度の内規を設けまして、我々の所に報告して貰うような方法を採つたと思います。そういう点で監督しておるのであります。
  147. 岩間正男

    ○岩間正男君 私の質問の要点は、つまり三原則というものは、法的な根拠があるものではないのであつて、その点の拘束はないというお話であつた。併し政策面から非常にこれは逃げ言葉に過ぎないと思う。そういうような点、それからこれは銀行の現在の給与ベースが高過ぎて困るということではなくて、反対にこれとの対照において現在の一般の給与が低くて困るというので、それはどうなんですか、政策の面において。
  148. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 大蔵大臣が銀行法に基きまして銀行を監督しておる範囲内におきまして適当な措置を採つております。
  149. 岩間正男

    ○岩間正男君 次に伺いますが、昨日安本長官に伺いました時に、これは大蔵省の人に伺つてほしいと、こういうわけでありますが、その後聯銀券、儲備券、台銀券、そういうものとかガリオア・フアンド、イロア・フアンドとどういうようにこれは処理されておるか、そういうことについて概畧伺いたい。
  150. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 聯銀券、鮮銀券、台銀券等とガリオア・フアンド、イロア・フアンドと全然関係ございません。聯銀券、鮮銀行券につきましては終戰後そのままになつております。
  151. 岩間正男

    ○岩間正男君 今のは具体的にもつと聽きたいのですが、これは保留いたします。  次に伺いたいのは、入場税が最初の政府の原案では一月からこれは下げるというような方針であつたと思いますが、これが来年の四月になつた。この点はどうしてそういうようになつたか。
  152. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 所管が違いますのではつきりしたことは分りませんが、入場税の十五割を十割、不動産取得税を撤廃するという案を関係省で考えておられたようでありますが、今回の国会には提案にならないようであります。その理由につきましては、私は所管大臣でございませんので申上げられませんが、軽減することは我々は好ましいのでありますが、地方の財源をどうするかという面につきまして検討をしておられると思うのであります。
  153. 岩間正男

    ○岩間正男君 最後に昨日の参議院におきまして科学振興の決議案が満場一致で可決されたのでありますが、来年計上されておる額を見ますというと、これは非常に低いものであります。この点で我々は科学研究費というようなものは生産費であるとはつきり考えておる。ところが従来のこういう費用は非常に予備費的に考えられておつた。従つて余裕があればやるというような形で、こういう点で日本の現状を見るというと、科学振興という問題が緊急な課題になつておるに拘わらず……これは湯川博士の表彰の問題とも関連して、これははつきり答えるべき一つの具体的な問題だと思う。そういう点から今度の財政措置の中でこういう問題を具体的にどういうように処理され、而もこれに対して非常に下からの要望が強く、世界的なこれに対する関心も高まつておるわけですが、この点についてお答を願いたい。
  154. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 誠に御尤もな御意見でございまして、我々もでき得るだけ科学振興費を出すべく努力いたしました。幸いにはほそぼそながら、今回は、来年度予算で申上げますが、来年度予算におきましては、従来取りましたよりも多くになつておると考えております。文部省計上の科学振興費四億五千万円につきましては、多分五億円にいたしたいと思います。そうして最も注目すべき問題は、従来各文部省の所管の大学等におきまして事務費を非常に削減しておる。実はこの事務費が実際は科学研究費に当てられておつたのであります。物価騰貴の影響なんか見まして、当然認められておつた事務費の中から出すべき研究費用が余程少くなつた。来年度におきましては事務費を五割程度増額いたしまして、科学振興に資したいと思つておるものであります。
  155. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは日本学術会議あたりでは十六億ぐらいの研究費の増額を望んでおる。併しこれは非常に内輪な、而も湯川博士が表彰されるというような條件のない時代に、実に科学者がおどおどしたような態度国家財政に向つておるときの情勢なんでありますが、今度の措置は今蔵相お話のあつた年度措置ぐらいの程度では、実際この要望に応えることができないと思いますが、この点についてもつと積極的にやる意思にないかどうか。
  156. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 財政の許す限りにおきまして、でき得るだけ積極的にやつて行きたいと考えております。
  157. 岩間正男

    ○岩間正男君 もう一つ育英資金ですね。この問題も非常に学生の最近の生活の破壊と関連して大きな問題になつておると思います。育英会の調査、実際その後調査をして見ますと、アルバイト学生の生活が非常に失業者の群によつて圧迫されて、而も農村が非常に恐慌に陷つておるために、農村が好景気時代には余り育英資金の希望がなかつた。併し最近は農村の子弟のうちから希望が非常に殖えておる。ところがこの額が来年度予算によると大体五割程度の増額でしかない。こういうふうに思いますが、そうなると新規採用分が非常に少い。そのことのために学生の生活はますます困窮しておるのでありますが、この点についても、今科学研究費について我々が意思表示をしたと同じようなことが言えると思いますが、この点は如何ですか。
  158. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 科学振興費に対しましての答弁と同様に我々はできるだけいたしておるのであります。多分九億円が今年度の分であつたかと思います。来年度は十五億円程度にする見込でおります。でこの程度の増額は殆んど学級の進むに連れて従来の人に喰われておるので、新規をできるだけ盛込みたいと思つたのでありまするが、いろいろな歳出の関係から、まあ六億円程度の全体としての増額に止まつたのであります。今後は十分に考えて行きます。
  159. 岩間正男

    ○岩間正男君 学生の生活が非常に崩壊しておることは、我々毎日アルバイト学生が街頭に出ておる姿を見、又いろいろ悲惨な事実を聽いていながら、この問題をやはり真剣に取上げて一つ予算化をするということが、従来やはり粗畧にされていたと思うのでありますが、この問題をもつと大きく次の時代の、つまり方向を可能ならしめるというような意味で、もつと真剣に取組んで欲しいというような希望を最後にしたいと思います。  次に農林大臣に二三点伺いたいのでありますが、さつき輸入食糧一の話がありましたが、この内訳けですね。これはガリオア・フアンドでどれくらいになる。それからコンマーシヤル・フアンドでどれくらいになるか、その具体的な内容について……
  160. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) その内容は渉外関係で発表を許されておりません。
  161. 岩間正男

    ○岩間正男君 昨日もこれは本委員会で随分討議されたのでありますが、輸入食糧の量が非常に増大して、而も今度の補正予算なんかのうちに、食管の繰入金が全体の上から見るというと非常に大きなウエイトを占めているわけなんであります。その半面これと平行しまして、当然食糧の自給態勢というものが大きな問題になつて来ると思う。昨日の本委員会における吉田首相答弁によりますと、輸入自給態勢を確立したい、こういうことを言われておる。併しこれはしたいという希望と現実にどうやつておるかということは非常に現在の政治の中では齟齬しておるのじやないか、あらゆる面がそういうふうに思われるのですが、この点どういうような自給態勢を確立する具体的な方法を採つておられるか、それをどのように又予算化しておるか。
  162. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) 先般もお答えいたしました通り、今日の食糧輸入状況は必ずしも自主的にすべてが決定されておらないのであります。併し漫然と輸入されるからこれを甘んじておるというわけではないのでありまして先程もお答えいたしました通り、或いは食糧の増産はこれを一層努めることは勿論であります。又今後自由な立場に置かれました当時において、人口増加を然らばどうするかという問題もおのずから起つて来るのであります。増産には限度があります。人間には限度がありません。従つてこの限りなく増加いたします人間は、これを工業方面に活用いたしまして、そうして輸出振興を図る。そうして外国の食糧を不足分だけを輸入する。これも見方によりましては自給態勢と考えていいと思うのでありますが、将来はそういう態勢によらなければこの極限されたる国土において人口を限りなく抱擁し、又食糧事情向上せしめて行くということは到底でき得ないのでありますが、輸入食糧におきましてもますます日本の食糧は増産を図ることを考えなければならん、かように考えております。
  163. 岩間正男

    ○岩間正男君 只今の農相の御答弁からすれば、例えば、当然、昨日あたり衆議院で問題になつておりますところの食確法、これがあれだけの騒ぎをして通つた。併しその裏付けとしての食糧増産の基本法というものが案外軽視されておる。ここに大きな問題があり得ると思うのでありますが、今のお話に実際動いておる面が非常に齟齬しておる。一方の災害復旧とか、それから生産増強、こういうような方面のことを謳つているところの基本法については、どうも余り熱意がないという形になつておりますが、こういう情勢について農相はどういう所見を持つておりますか。
  164. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) 食糧増産確保基準法案というのは、前回において当農林委員会に御挺案になりましたものでありますが、これは主として食糧確保臨時措置法を改正するについての裏打ともなすべき考え方を法文化するという見地にお立ちになつたようであります。衆議院の農林委員会においても相当研究を加え、又農林事務的にも……農林省といたしましても事務的にこれを研究いたしておつたのでありますが農地開発に関する措置というのが第一に挙げられております。農地はここに掲げられておりまする通り先往来お答えいたしました通り、今日の既来地、未耕地の現状によりまして、積極的に農地開発の措置を現在やつているわけであります。又次の災害復旧に関する措置でありますが、この災害復旧に関する措置も、明年度は災害復旧は国家がこれを全額支弁せいというような考え方もあり、又本年度の災害に対しましても、又過去における両三年のそのままになつておる災害復旧に対しましても、この補正像算で今回それに対して是正をし、尚将来を見込みましてこの災害対策予算措置を採つておるのであります。又農地改良に関する措置として弐に掲げられております「かんがい排水施設、農業用道路、その他農地の保全、又は利用上必要な施設」というような……区劃整理と、いろいろ掲げられておりますが、これは先の国会に土地改良法を御決議願いまして、あの土地改良法によりまして、従来の農地整理法、水利組合法を合併いたしました状況によつて、そして従来のような仕事を土地改良区を設けてやつて行くという方針を以てやつております。芋類利用増進に関する措置でありますが、これは度々お答えいたしました。芋類は決してここで増産を見限るわけではありません。飽くまでも増産して食糧とするのみならず、この芋によつて農村の、工業の大きい原動力としてやつて行くという措置考えておるわけであります。超過供出等に対する報奨措置でありますが、これは既に現在やつておりますので、この法文の考え方によりましては、ただ一つ違いますことは、例えば、本年のごとく、三千二百余石を事前割当をいたしておりまして、これが災害等のために二百四十五万石を補正した。その補正を受けた人が、例えば二石供出責任の者が補正されて一石になつた。ところがその一石出せばいいところを一石五斗出した。するとその五斗に対しての超過奨励金を出せといふ意味であります。これはどうしても事務の整理の上から申しまして、又その奨励金の性質から申しましても、これは如何にも不可能なことでできません。又農業協同組合等の差別待遇の禁止でありますが、これは農業協同組合が特別なる組織であるから、これを事業協同組合やその連合会に対して与えるよりも不利な待遇をいたしてはならないということが書いてあるのでありますが、これは農業協同組合の成立によりまして、金属方面、或いは物資交換方面につきましても、できるだけの便宜な処置を採つて行きたいと、かように考えておるわけであります。  こう申しますと大体この基本法案に要目として掲げられておりますことは、既に政府が十分とは申しませんけれども、大体予算措置の上において、又事業計画の上において、遂行いたしておることでありますので、衆議院におきましてはこの基本法案を殊更に決議するということまでの運びに至らなかつたように私は想像いたしておるのであります。
  165. 岩間正男

    ○岩間正男君 当然そういう処置がされておるかどうかということにつきましては疑義がありますが、当然そのような食確法の裏付けとして同時的なものでなければ意味をなさない、このように思われる法案が、その一方の拘束規定だけが……食確法はあのような形で通つておりながら、その裏付けがないということは非常に大きな問題だと思うのです。これは農相においてこの成立にどれ程の熱意を持つておられるか。この問題は非常に今後の大きい問題と思います。如何ですか。
  166. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) お答えいたします。かような法案を作つて頂きますことは、農林当局といたしましては非常に嬉しいのであります、併しこれはいろいろ計画を立てましても、予算編成の上から、農林省がこの法律に基いてなさなければならないという厳格に規定されました事業が、予算関係上できないことが相当あるのであります。そういう場合におきまして、農林省の立場をよかれと、又食確法の裏付けというようなお気持でこういう法案をお作りになりましても、予算措置ができますれば、なぜ政府はこういう法律によつて決めたことについての予算措置をやらないかというお叱りを蒙るのであります。これは現に前の国会におきまして、競馬の利益金の三分の一を畜産の奨励金に計上すべしという法律ができました。誠にこれは議員提出の法律案でありまして、政府は……これが両院を通過されたのでありますから、忠実に農林省といたしましては執行しなければならん。ところが一応の従来通り予算編成によりまして畜産局、或いは畜産事業に対する予算が計上されるのでありますが、その外に特に競馬の利益の三分の一を計上しなければいけない、こういうことになりますと、やはりその事業関係との釣合いが取れなくなるのみならず、一応そういうことが容認されまして、それは予算の上にできて来る。ところが畜産の事業にいたしましても、食糧の問題の事業にいたしましても、一年きりの事業でありませんから、これは年々進歩向上して行くか、或いは現状維持をして行かなければならん仕事が多いのであります。ところが競馬のごときはああいう不確実な収入でありまするから、三十億円あつたものが二十億円になるやら、或いは十五億円になるやら分らない。その不確実な収入を当てに、して、そうして年々動かすことのできない、或いは向上せしめなければならんような事業資金に充てるということは根本的に誤つている。これは現に今年の予算編成におきましては農林省の立場としては非常に苦境に陥つたのであります。それでありますから、今回のこの基本法の御趣旨はよく分りました。又農林省に対してこういう厄介な食糧法の改正をやる以上は、こういうふうにして裏付けをすべきであるという気持はよく分りました。又農林当局としても非常に有難いのであります。けれどもこれが御決議になりますると、どうでもこうでも政府はこの法律案に定められたるところの仕事をやらなければならんということが義務付けられるのであります。それが今申しました予算編成の上には非常に農林省として苦境に陷り、折角お決め下さつた法律案を完全に守り成すことができない、こういうことになりますが、併し今申しましたように、決して十分とは申しませんけれども、この法案で挙げ連ねておりまするところの重要な費目は、既に二十五年度の事業において相当の計画を立てておることを御了承願いたいと存ずる次第であります。
  167. 岩間正男

    ○岩間正男君 競馬法と基本法じや大分比較が違つて来ると思うのでありますが、今の農相の答弁を聞いておりますと、はつきりとやはり現内閣の食糧政策というものが窺われるように思うのであります。この基本法そのものの謳つておる面を予算化できないから、それでもうこの法案に対してはこれは通過をすることに努力しないのだというふうなお話でありましたけれども、併しさつきのどうしても自給体制を確立する、そのためには、最低限度この基本法に謳われてあるくらいのものは果さなければならない、こういうふうに考えられるのでありまして、努力……希望はしておるけれども、はつきりその裏付けとしての努力が足りない。その足りない原因は何であるかというと、やはりこれは輸入食糧を根幹として、そこに依存するという体制で以て、そして国内の食糧計画がそれとの関連においてどうしても消極政策になる。こういう政策がはつきり今の答弁の中に現れておる、こういうふうに我々はまあ見るわけであります。この点どうですか。希望はするが、併しその具体的措置については努力ができない。ここに矛盾がはつきりあると思いますが、どうでしよう。まあこのくらいで……
  168. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) それじや栗山委員……
  169. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私は大蔵大臣に一点だけ御質問いたしたいと思います。実は日本経済の信用を高めるために外債を成るべく早く返還したい、成るべく早く返還しなければならんということを首相がたびたび言明されておるわけでありますが、大蔵大臣もその説と全く御同意見であるかどうかを先ず承りたい。
  170. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 外貨債の支拂につきましては成るべく早く還すように準備をしたいというのであります。大体首相と同意見であります。
  171. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そういたしますると、現在外貨債のうちで相当主要な負担を持つておりますのは、御承知のように電力債であろうと思うのであります。で電力債は丁度戰争前に旧東京電燈、それから東邦電力、信越電力、日電、大同電力、こういう電力会社が持つておりまして、それを電力国家管理法の定めるところによりまして日本発送電ができ、更に配電会社法ができまして配電会社が設立されましてから、日発、関東配電、中部配電、並びに関西配電にそれぞれ附け換えをせられまして、今日に至つておるわけであります。これらの外債はまあ御承知だと思いますけれども、総額にいたしまして米価貝債で六千座百五十万ドル、英貨債で三百一十万ポンドぐらいに相成つておるわけでありますが、この外債が只今のところ全部十八年の九月であつたと思います。政府が全部肩替りを只今いたしておるわけでありますが、今後この英貨債を償還するということになりました場合には、政府政府の責任においてこういうものをおやりになるのかどうかげその点をお伺いいたします。
  172. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) お話通りでございます。ただ数字が英貨積は六千数百万ポンドと記憶いたしております。政府の債務の肩替りしておるものでありますから、政府の責任において返すことは勿論でございます。併し御承知通り戰争中に政府が肩替りしたことが合法的であるや否やということは相手のあることであります。で向うの社債券者がその政府の戰争中の処置を厳密に見ておるところに問題があるのであります。そういう余分な問題は各社債券によりましていろいろな條件が違つて参りますが、そういう條件はなしにしてですね、一応それは不問にいたしまして、我々はこの外貨債につきましてはできるだけ早く還そうと思つております。今何と申しましても、戰争中の戰争の相手と償還のことにつきまして交渉した上でないとできませんが、政府が責任を負うということは国内的には考えております。
  173. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 只今お話によりますとですね、又政府の現在の考え方では、これを旧事業者に復元をするという考はないということ、こういうことがはつきり言われたと思いますが、その点をもう一度御確認願いたいということと、それからもし今政府のお考のような工合になりませんで、業者の方へ復元をしなければならんという、こういうことになりますと、ここにいろんな問題が起きて来ると思いますけれどもその点を後暫くお考を伺つて、そういう場合のあります場合の大体のお考を伺つておきたいとこういうふうに考えます。
  174. 池田勇人

    ○医務大臣(池田勇人君) 政府の戰争中採つた処置につきましては、只今申上げ通りでございます。政府といたしましては、国内的には政府の責任において洗う覚悟をいたす用意をいたしております。それから復元の問題になりますと、これは立法府との話であります。事は今後の課題として、私は現下の問題として只今政府がどうやるのだということは申上げない方がいいことだと思います。
  175. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そういたしますと外債の償還という場合でありますね、これは二色に分れるわけでありますが、只今準備を進めたいという、こういうお話でありましたが、首相はたびたびそういうような表現でなくして、外債を返還したい、しなければならんという、こういうことを言われておるのでありますが、そういう表現は今の大臣の御表現によりましても、ただ漠然とした抽象的な意思表示ではなくして、そこに時期的な問題を或る程度頭に描かれながらそういうことをおつしやつておるのではないかと思いますが、そういう行為が開始される時期というものはいつ頃にお考えになつておりますか。
  176. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) それはむずかしい問題でございまして、講和條約がいつできるかという問題と似通つた問題でありまして、私からいつできるかということは申上げることはできません。総理は理想的に拂うという決意であると言われた。私は大蔵大臣として拂う準備を進めると、拂う準備を進めますのは、私は来年度からという気持を持つて検討いたしております。どういう表現方法を使うかということにつきましては、まだ講和條約もないときでありますから、軽々しく決めることはできないと思うのであります。
  177. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 よく分りました。そうしますとですね、この返還の方法でありますが、元利金と同時に返還してしまう場合と、或いは借換えをいたしまして、そうして今までの未拂いの利子、或いは未拂いの利子に対する追加利子、そういうものを拂つて行くという考え方と両方あるわけでありますが、政府としてはどちらをお採りになるか。
  178. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 今こういう問題につきまして私が希望を申上げるのは早計だと思います。支拂の方法につきましてはイタリーの例がございます。講和條約が済みまして、講和條約によりまして、今までの外貨債を元利合計いたしまして幾らく、而して初年度、次年度におきましては現在の一%三年度年度年度は三%、そうやつて行こうというようなイタリーの例がございます。私は今大蔵大臣としてどういうふうな方法が望ましいとか、どうこうということは申上げたくないと思います。これは債権者がイギリス、アメリカ、フランスに分れております。それから各外貨債を発行するときの條項が種々雑多でありますから、一概にどうこうと言うことは却つて誤解を招く虞があると思います。
  179. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 電力債の場合は、御承知のように今度のシヤウプ勧告によります資産の再評価の問題をどう扱うかということによりましても、非常に大きな問題を孕んでおるのでありまして、若し再評価をいたしまして、そうして新らしい評価額による健全な消却をいたそうと思いますならば、これに対する相当な收入の確保を図らなければならん。即ち資金の面において相当な変動が出て来なければ再評価の意味がないというような問題、典型的な固定資産を抱いた事業であるわけでありますが、これに対して外債を持つておる問題を考えますと、若し政府の責任においてされないというようなことに将来なつたといたします。これは国際間の話合いによつてそういうことになつたといたしますと、恐らくこの元利金の返還というようなことは及びもつかないことでございましようが、為替相場の、通貨の下落によります為替相場の損失に関係する損失、或いは未拂利息、更にそれの追加利息というようなものを考えましても、現在の電気事業の根底を恐らく相当大きく動搖させるものであると考えられますので、こういう点を、そういう認識を持つておいでになるかどうかということを一点伺いまして、それから若しそういうような最悪の事態になつたときには、この電力事業に対して適当な措置をせられるお考があるかどうか。その点を一つつておきたいと思います。
  180. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 復元の問題は先程お答え申した通り状況でありますので、これを前提としたお答はしない方がいいと思います。資産再評価になりましての電力料金その他の問題におきましては、再評価の問題をどうするかによつて余程変つて参ります。只今検討中でございます。
  181. 深川タマヱ

    ○深川タマヱ君 農林大臣にちよつとお尋ね申上げます。今年度におきまして、農林省は国民から芋をお買上げになりまして、腐らかして九十億円の欠損を生じておる筈であります。この穴埋めをどうしてなさつたかというと、すでに国民に売渡す芋の価格が決定されておりましたものを高くいたしまして、高い芋を売りつけることによりまして、九十億円の欠損の穴埋めをされたことを大臣から答弁を聽いております。これを驚いて相当唖然といたしたのでありまするが、誰がスキヤンダルをやつたわけでもないのでありまするけれども、予め予想することのできない不可抗力であつたとも思いません。今年あつたことは又来年もあることと存じまするが、来年又こういうことを繰返しておりますと、相当乱暴な政治になりまするので、来年度以後におきまして芋を腐らかさないように、何か御用意があるかこれが質問の中心になるのでありまするが、今年薪炭特別会計あたりで非常に不正が行われておるのではないかという疑惑が行われて、大変喧しい問題になつておりますが、あれが五十四億円であります。ところが今度のですの問題はあれの倍の九十億円なのです。相当国民生活に大事な予算でも一億とか三億でありまするが、九十億円の金が有耶無耶になつて国民の大衆課税の形で取られるということは黙認できないのであります。芋を余り腐らかさない方法について何か御用意があるかお伺いいたしたいと思います。
  182. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) お答えいたします。  どこの話ですか、九十億万円損したということは絶対にありません。  昨年は十月の末に三億万貫、十一月にたしか二億五千万貫程、いちどきに供出がありまして、本年と違つて運送状態も非常に悪くありまして、少々腐つたのであります。その腐りましたのは五%というものであります。  九十億万円の損失ではない、私そういう話は聞いておりませんが、それで本年は月別に供出数量を定めまして、そうして配給面を勘案いたして、そういうふうな、混雑のしないように努めて参りまして、幸い本年は腐つて配給ができないというようなものは一つもありません。又配給辞退もなかつたのであります。  先程申しました近頃の数字がどうなつておりますか、大体割当の約七〇%くらいの供出と聞いておるので非常に供出が緩慢であります。御承知通りに七億万貫を予定して買入れておるのでありまするが、これは工業原料と、蔬菜面に蔬菜として販売をいたしております面もあります、主要食糧の外は……先程もちよつと申しました十二月の一日からは、供出完納のものは自由販売になることになりましたので、市中にも焼芋や、そういうものがどんどん出るようになろうと考えております。九十億万円の損失ということは少しも私は思い浮ぶところがありません。従つて腐るものでありますので、キユアリングの装置をいたしまして、これは予定通りはできなかつたのでありまするが、全国にこのキユアリングの施設をいたしまして、この十一月の末からこのキユアリングによつて、キユアリング方法を施すということにしますれば、来年の五月、六月頃までは腐敗を防止することができ得るのであります。又従来芋の生産地でありますと穴蔵を設けまして腐敗を防止しておりましたが、その穴蔵の完全な装置によりますと二月三月迄は完全に貯蔵でき、又種芋の貯蔵もこの方法でやつて来たのであります。決して本年の芋につきましては、少しも腐らしてはおらんと存じておりまするから、さよう御了承を願いたいと思います。
  183. 深川タマヱ

    ○深川タマヱ君 丁度大蔵大臣がお出でになりますからお尋ね申上げます。先程の言葉は、過日社会党のある議員の質問に対しまして、大蔵大臣の御答弁の中に仰せになりましたのを、これを速記いたしておつてお尋ねしておるのでありまするが、丁度大蔵大臣がお見えになりますので、私の聴き違いか、大蔵大臣の仰つしやつたのが違いか、ちよつと御答弁願いたいと思います。
  184. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 一時損失が九十億ということを私は申上げたのであります。その芋なんかを含めての九十億と考えておつたのであります。
  185. 深川タマヱ

    ○深川タマヱ君 その次の質問大蔵大臣にいたします。先程農林大臣の御答弁を伺つておりますと、日本の一毛作を土地改良なさつて二毛作にすると十分自給自足ができるようであります。それが行われますならば、日本の貧農も助かるでございましようし、自給自足ができますと、二十日分の分量しか国民は一ヶ月の間に配給して賃つていないのが調査に現われておることでございますので、国民も喜ぶでありましようし、失業救済もできることでありましようし、食糧を輸入しないとなりますと、それだけの外貨で以て工業材料が輸入できまして、将来工業が復興し、輸出が盛んになりますし、いろいろ特典が多いと存じます。それに要する資本金も大蔵大臣お話によりますと、見返資金は長期建設資金は二百億から三百億来年度に余るようなことでありますので、それをお使いになつて一つそれ程よいものならば、早速土地改良に向つてなさるように関係方面に御折衝にならないのか。その踏み切りをどうしてなさらないのか。若し踏み切りをなさらない理由といたしまして、今日日本では鉄道の電化とか、それから輸出工業に対する長期設備資金なんかも要る時でありますので、そういう方面にその資金を使いますことが、むしろ先つき私が沢山挙げた国民の要望のあるところに応えることになるから、そういうふうな気分もあることでないかと存じますが、その辺あたりを伺いたいと思います。
  186. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) お答えいたします。昨日もお答えいたしたのでありますが、それは限られた土地を使用する上において、最も考えるべきことは、一毛作を二毛作にすると、一反歩が二反歩の働きをなすということは申上げたのであります。併し一毛作という土地必ずしも二毛作になるとも考えられないのであります。又現在無地でありましても、これに水をうまく引張つて来る。そうしますと、これは非常に陸地灌漑、畑地灌漑といたしまして非常に能率が上る。そういうようなことは相当な経費が掛かりますので、暗渠排水等によりまして土地の地下水を受けまして、そうして二毛作のできるような措置を現在やりつつあります。絶対に気候の関係なり、又土質の関係から二毛作にできない土地もあります。又畑地も今申しましたように今地下水が利用できますし、畑地灌漑ができまして、非常に能率を上げることができるのであります。これは決して棄てておくわけでありません。土地改良をやることによりましてこの仕事をやつておるわけであります。外国の食糧に依存して、そういうものをぼんやり棄てて置くということは決してないのであります。尚お話通り、できるだけ食糧の輸入をお断りしまして、その分だけ貰えるものがあれば工業原料を貰つて貿易の振興を図つて、そうして必要なものの輸入を図る、これはもう御意見と私も同じ気持でありまして、できうべくんば食糧の自給自足を図り、そうしてアメリカが、何年間か知りませんが食糧を助けてやろうという、その助けて貰う食糧の代りに工業原料資材を日本に入れて貸与、そうしてそれを加工して外国にやつて食糧なんか取るということも先程申しました食糧の自給自足の一つの形と考えているわけであります。決して食糧が輸入されるからといつて漫然と考えているというのではないわけで、できるだけ食糧を増産いたしたい。何分二合七勺という配給、三合という配給が我々人間生活の上においてこれで満足しているのではない。先程も申しました通り、量よりも質と申しましたが、二千四百カロリー以上のカロリーを攝るには、まだ食糧が不足しているので、食糧を輸入してやれやれこれで食糧は要らないとは断じて言い得ないのであります。尚今後の我々の生活といたしましても、更に質のいい栄養価値のある食糧を攝るということを考慮に入れて行かなければならんと存ずるのであります。
  187. 深川タマヱ

    ○深川タマヱ君 報奨物資のことでございますけれども、先程の農林大臣のお話によりますと、将来早場米の奨励のために報奨物資は出さないような御意見でございましたけれども、やつぱり一毛作地帯の奨励の意味で報奨はお出しになるように承りましたけれども、この頃農村では以前と違いまして主食の輸入と甘藷の統制撤廃のために来るべき農村恐慌を慮つて成るべく金を出すまいといたしております。酒やたばこの報奨物資を極力嫌つているように聞いております。将来の報奨の方法についてどんなふうに考えておりますか。
  188. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) 芋の統制を撤廃いたしましたつて、直ちに農村恐慌が来るということはとんでもないことであります。又そんなようなことでとちつくような農業経営であつてはいけないのであります。早場米の問題につきましても私は先程申しました通り、早場米の奨励金を出した当時の事情を申しまして、現在はそういう事情ではない、すでにこれは一面において單作地帯救護の意味も大いに含まれている、現在むしろ單作地帯に対する援助と申しまするか、というような気持で、これは関係方面に言つちや叱られるかも知れませんが、そういうような気持でこれは出しているのであります。それでありますので、本年の早場米のごときも、昨年出して貰いました早場米の数量に比例して百万石を割りまして、そうしてその百万石を各県から出して貰つたような取扱をしているのでありますが、併し早場米に対しましては單作地帯が多いのであります。単作地番は更に何らかの方法によつて考えて行かなければならない。単作地番でも寒冷地におきましては苗代の施設におきまして、昨晩も寺尾委員のお話になりました温床苗代の設置等においてもどうかして継続して政府はやりたいというようなことを考えているのでありますが、單作地帯は甚だ恵まれない農業経営であります。而も今日米価を全国的に統一いたしております以上は、何らかの方法で單作地帯の対策考えて行きたいとかように考えているわけでありますが、報奨物資に対しましてもその気持で考えて行きたいと思います。現在報奨物資はいろいろ出しておりますが、今お述べになりました酒とたばこであります。これは非常に有難いと思う農家もありますし、又たたばこも酒も呑まない、而も大百姓をやつて酒が、一斗樽に酒が入つて来る、たばこもどかつと入つて来る、酒は腐つてしまう、たばこは外に出さなければならん、こういうので悲鳴を挙げている農家も決してないとは言えないのであります。それで配給をいたしております現在の酒たばこというものは、これはできるだけ減しまして、祭のとき、或いはお朔日とか、十五日というような田舎の気分に合うようなときに僅かでもいい、酒というものを配給するというような方法考えて行つたらどうかというようなことで、現在の量を減して、そういうふうにして、その代りにゴム足袋であるとか、或いはゴム長靴であるとか、これは寒冷地帯に特に考えなければならん問題でありまするが、衣料品等をそれだけの分を余計リンク物資として配給するということにしたらどうか、かように考えているわけで、全然酒たばこは廃止してしまうというよりは、むしろ量を少くして、その代りに外のものをリンクして上げるというふうにした方がよかろう、かように考えるわけであります。
  189. 深川タマヱ

    ○深川タマヱ君 次は調味料のことでありますが、この前国民生計調査をなさつた結果によりますと、調味料は相当不足しております。一番醤油が。ところが私達が米の配給所に行つて外食券を貰いまして、その外食券を持つてどこの食堂に参りましても、主食のみならず副食も貰いまして、そうしてその外食券を貰つた人にも相変らず味噌や醤油や、そういう調味料が配給になります。何のために調味料の配給をなさつているのかさつぱり分らないのでございますが、その御事情一つお伺いいたしたいと思います。
  190. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) 公団でどういうことを細かくやつておりますか、一切分つておりませんけれども、今お話のようなことですと、誠に無駄であります。料理飲食店が開始をいたしまして、今調味料の切符を持つて行くことになつてつたのでありますが、これは近く何とか整理を付けたい、かように考えております。
  191. 深川タマヱ

    ○深川タマヱ君 働く婦人のために配給所で夜も渡して貰いたいということであります。今日日本の婦人が外へ出て働きたいと思つておりましても、いつ何時配給の通知があるか分りませんので、これは非常に迷惑を蒙つておりまして、家庭にも悪い影響を及ぼしておりますが、配給所の人を公団に一人ぐらい夜泊めて置きまして、日曜日でも祭日でも働きに出る婦人が都合のいいときに貰いにいつたら渡して貰えるように。もう一つ相当金目が嵩みますので、配給の通知がありましたときに早速金の準備ができないで恥をかくこともございますので、金の準備をいたして置くように、夜行つても渡して貰えるように、多勢行つても一人で間に合うと思いますので、人員を上手に使いまして、少数の役人よりも多勢の主婦を助けて貰うようにして貰いたい。これは一般の要望であるのでお願いいたします。
  192. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) 公団の末端の組織につきましては、今代位配給所というものが残置されておりましたものを利用しておるのでありますが、これが非常になかなか勉強して面白いのでありますので、全然そういうふうにするとは考えませんが、公団の末端配給の組織は年度が代るまでにでも検討を加えて行きたいと考えております。尚配給物資、この間も婦人の方が出て来られまして、配給するものを金を取つて置きながら配給せんから困るというお話がありましたが、大体これは袋をお借りして配給しておるように私は都内でも見受けておるのであります。  尚この間も婦人の方が見えまして、甘藷みたいな重たいものを配給して貰うと……この間腰を抜かして病気になつたとかなんとかいうお話がありましたが、何でも一緒に五貫目も十貫目も背負つていくということにせずに、二貫目三貫目ずつ持つてつて、配給所に預けて置いて頂いてもいいと思いますが、できるだけ消費者の方のお迷惑にならないように取計いさすように指導はいたしておりますが、公団等末端の組織については改善の余地が相当あるとかように考えておりますので、何とか御意思に副うようにいたしたいと思います。
  193. 深川タマヱ

    ○深川タマヱ君 家庭配給の薪の値段がひどく高いのでございます。薪を使つておる家庭は細民家庭が多いのでございますので、何とか一つ御考慮願いたいと思うのでございます。
  194. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) 薪の価格は統制から外ずしておりまして、今木炭の価格だけは最終価格を決めております。これは特別会計を閉鎖いたしましたのが七月末でございますが、今整理の段階にありますので、遅くともこの会計年度内には整理いたしたいと思いますので、炭の最終価格だけは残しておりますが、この最終価格もまだ今集荷者から卸者、卸者から小売者、こういう登録制組織によつてつておりますが、この組織も近く廃止いたしたい。かように考えておるわけであります。薪は確かもう価格は自由になつておると考えております。
  195. 仲子隆

    ○仲子隆君 農林大臣にお尋ねいたします。元来米の供出問題について、各府県からも集つたさまざまな問題がありましたが、私達が考えまするに、本年の七月に米のでき高の予想が新聞に発表されました。これは農林省であるか何かは知りません。その後において数回発表されたこのでき高というものが、時によつて違うのである。当然違う筈のものであるが、我々の予想するものよりも若干多い。そうして又過般これも森大臣殿というのが新聞に出ておつたのであるから、詳しいことは知らないが、占領軍からの要求のでき高というものの数が非常に違います。今日日本の耕作面積というものは当然決まつておる。従つて反別に応じて米のでき高を決めるのであるが、或いはその年の状況を見て判断するのであるか、一般を見ないで簡單なる統計だけを以て拵えるのであるか、この統計の基礎が非常に不十分であると思いますが、これらの統計は如何にして農林省は作られるのであるか。お伺いいたしたい。
  196. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) お答えいたします。正確なる数を掴むことは非常に困難なんでありますが、これは司令部趣旨に基きまして、統計局というものを昨年まで持つてつたのでありますが、行政整理の結果農地改革部に併合いたしたのであります。併し事務はこれは世界的な統計調査と繋りを持つておりまして、一定の方式によつてすべての調査をやつております。これは土地なり生産額なり或いは人口なり経済調査等も一つの或る科学的なやり方によつてつておるのであります。で現在までやつておりましたのは、郡單位までに調査をいたして、それから町村というものを推定いたしておつたのでございます。今回人員を少し増加いたしまして町村まで、これを及ぼそうという組織に変えたのであります。反別につきましては、これは御承知下さるかと存じますが、土地台帳というものが殆んど成つておらないと言うてもいい程に混乱いたしておるのであります。殊に戰災等によりまして町荷役場が燒けたりなんかしますと、裁判所も燒けている。登記所も燒けているというような場合に税務所も燒けて分らなくなつているというようなものもありますので、このまま土地台帳だけでもいけませんし、これは確か明治二十二年かの地券改めの時できたのが、漸次改正してやつて来たのが田舎の土地台帳であります。でその台帳面積で行きますと、又いろいろの不毛地を開墾いたしました土地の増加等もありますので、この土地の面積すらはつきり掴み得ないのであります。併し作報事務所といたしましては、できるだけ科学調査と一筆調査によつて、この土地台帳の一筆がどうなつておるかということを、できるだけ少い手間で調査をいたしておるのであります。それでもこの反別には非常な狂いがありまして、殊に供出制度ができるようになりまして以来、この反別と収獲量というものは、非常まちまちになつて来るのであります。私共は昔畑三百万町歩、水田三百万町歩というものを考えて、六百万町歩というものを大体ずつと考えておりましたので、この三百万町歩の水田が供出制度をやりまして、二百九十万なり、二百八十万なり、二百八十五万というふうに、だんだん年々減つて来るのであります。勿論土地の潰れるのと或いは土地の開墾或いは干拓等によりまして殖えるのもありますが、これはプラス・マイナス僅かなものとしても、如何にも減りようが多いのです。併し又肥料を一反歩当り七貫目ずつ配給するというと、反別は殖えて来る。こういう珍現象が各府県から出て来る統計にあるのであります。それでありますから、こういう條件の下に、例えば米の収量を予想することは困難であります。併しあらゆる難関を凌ぎまして作報はよく戦つております。供出をやつておりますから、或る地方に、おきまして、これは全部とは申しません、或る地方によりましては、作報事務所から本当の反別を言つては困る、本当の収量を言つては困るという圧力が加わつておる所もあります。併し作報事務所の末端の者は、勇敢に自分の職責を完うしております。この成績によりまして、九月二十五日の現在が六千五百余万石という数字が出て、これは発表いたしました。これは固より粒数計算であります。一株を平均して幾粒ある。そうすると一升の米が何粒であるから、この田は凡そ何石取れるという粒数計算に基いたのが六千五百万石であつたのであります。ところがその当時司令部の天然資源局で調査したのは、六千九百二十万石というものがはつきり示されておるのです。これは天然資源局として各府県に民政部を持つておりますが、民政部はどういう手足を持つているか知れませんが、天然資源局として責任ある数字は六千九百二十万石、日本では六千五百余万石と言つたのでありますが、これには政治的圧力が加わつているのじやないかということまで、想像を逞しうしたお叱りを受けたのであります。それがその後稻熱が発生して、これでは、いけないというので各府県に調査させると、驚くなかれ府県知事の報告を見ると、減収一千二百万石という大きな数字が出て来たのであります。更に地方事務所、作報事務所で坪刈検査をやりましたところ、約六千二百万石ぐらいの数字が現れて来るのであります。併しまだまだこれは中間の統計でありますので、十二月の末に実収穫を調査することになつておりますから、その実収穫によつてほぼ収量の見当はつくと思います。併し補正割当が早く決めませんと、供出の関係があるので、取敢えず二十八日に知事会議を開きまして、そうして司令部の指令いたしました三千二百余万石の事前割当から二百四十五万石を補正しまして、それを知事諸君にお願いして、末端までの割当をお願いしたわけでありますが、統計がどれが正しいかということをお尋ね下さると、これもこれも正確である。併しその中でまだ農林省の責任のある作報事務所の統計が、先ず農林省としては自分の責任である役所で作つたのですから、これを信用せざるを得ない。併しこれも完全なものとは考えておりません。いろいろ四囲の状況によつてこれは修正するものもありますが、大体作報事務所のまとまつたものが正鵠に近き数字として、基礎といたしておるようなわけであります。
  197. 仲子隆

    ○仲子隆君 作報が報告する反別、或いはそのでき高というものでありますが、その作報が或る一県において八百町歩の追加をやつております。それに更に政府から加えられたものが一千町歩、合計実際反別よりも千八百町表が或る一県に増加されておる。この元は何かというと、役場のつまり反別の帳面でありますが、戦争中工場地番或いは住宅地番或いは工事をし掛けておつて飛行場なんかになり掛けておつたものが、それがその儘、帳面には田としてあるが故に、これが原因になつておるのであります。今年の予想見積はこの帳面の反別を中心にし、昔の悪地主と悪小作人のように出し借みをし、うんと取りたいというようなことで突き合つて、博労の牛の値踏みのようにそろりそろりと持寄るといような形になるので、甚だ国民の食糧問題として不十分なものであると思います。来年度において反別を明らかにされる御意思があるかどうか、それに対する御計画を承りたいと思います。
  198. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) お答えいたします。各地方においても非常に不十分を感じておられるようであります。農林省に嘘をつくとかつかんとかは別といたしまして、とにかくしつかりしたものを掴んで置きたいという見透しはあるらしい。それが分らんと耕地の改良とか耕地の整理はできないわけであります。私は或る府県に行きましたところ、実に綺麗に、二郡程でありましたが、実地測量をいたしまして、土地台帳の悪い所を修正しておられる所がありまして、実に私はその徹底した土地改良の熱意に感心いたしたのでありますが、政府におきましても今申しましたように土地台帳が不正確なのでなんとかこれをやりたいと思い、常によりより経済閣僚なり、又人口調査の上から法務府においてもその必要を感じておりますので、現在協議を進めております。それをやりますと相当の金が要るわけでありますが、金が要るからといつてつたのでは何時までもできませんから、なんとか一つ、一地方だけでもぼつぼつやつたらそれだけ効果が、表れるのでありますから、なんとか一つ手を着けたいというので目下研究を進めておる次第であります。
  199. 仲子隆

    ○仲子隆君 そのために来年度予算にどれだけ土地の測量に対して計上してありますか。
  200. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) 予算を計上するまでに、先ずどういうふうな組織でやつて行くかということを定めて、そして経費を考えなければなりませんので、まだ来年度予算にはその経費の計上は考えておらないのであります。併しこれは衆議院、参議院の議員諸君のうちにおかれましても、是非国土の実体を掴む上において、こういうような基礎調査をやるべしというようなよりよりの御相談があるように承つておるのでありますが、政府におきましても少々金は要りましても国土はすべての産業に関係するものだから、なんとか早くやりたいという希望を持つておるわけであります。
  201. 仲子隆

    ○仲子隆君 然らば明年の秋も今のような問題が県と政府或いは占領軍の間に繰返される御予想でありますか、ちよつと伺います。
  202. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) お答えいたします。本年は反別ということより、むしろ收量高にいろいろ喰い違いがありましたのですが、来年度におきましては今度作報の調査の末端を町村まで伸ばして参りましたので、一層正確なものを作り出すことができようと存ずるのであります。
  203. 仲子隆

    ○仲子隆君 農村大臣に対する質問はこれで終ります。実に簡單に大蔵大臣に伺いたいと思います。  九原則が示されまして以来、我が国の昨年の十二月以後はすべてのことが或る型によつて抑えられた予算にもなり、生活設計にもなつておる。これは当然我々が負うべき任務であると思いますが、そのために一方においては予算の均衡、次には金融を抑えるということがあり、又生産増強して貿易を盛んに自立をして、財政経済の自立というので誠に結構だと思います。併し政府予算を編成される場合、健全財政ということを言われる。我々も健全財政を望んでおるが、形式的健全財政であつて、実質的に国民生活或いは国民経済と相俟たなければないものがあると思う。私共は健全財政なるものの根本においては実質的に健全財政でなければならない。ただ機械的に押しつけたようなものでは十分でないと思う。殊に今日の国民経済なるものがこの健全財政の建前に調和して行かなければならないが、現実の日本状況を見ますと、財政計画に基いて産業は萎縮し、金融も逼迫し、国民生活各般に亙りまして非常な国難があると思います。これに対して大蔵大臣はこの私の今考えますことと今政府考えておりますこととにどういう開きがあるか。同じことであるか。それらをお伺いいたします。
  204. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) お答え申上げます。長い間のインフレ、而も相当急速度のインフレを止めますために、先ず第一に政府の採らなければならないことは財政の均衡であると考えておるわけであります。そうして私は今まで昨年度あたりは、一昨年度あたりは財政は均衡したというようなことを言つておりましたが、それは本当の意匠の均衡、いわゆる実質的な均衡でなく、今回の予算で初めて財政は実質的均衡を保ち得たと考えるのであります。こういう状態をやりますというと、今までのインフレを急に止めたのでありますから、或る程度は各方面の摩擦は私は止むを得ないものと思う。この程度以上に来るのではないかと思つてつたのでありますが、幸にこの程度で止つたのであります。実質的健全財政を堅持いたしましたために、一方におきましては産業の十分なる発達はできなかつた。或いは金融の梗塞とかいう問題が起きておるのでありますが、これは徐々に回復して行つて本当の経済の安定を期したいと折角努力いたしておるのであります。
  205. 仲子隆

    ○仲子隆君 健全財政を極端に貫くためと言うと私は悪い言葉を使うか知れませんが、今日のインフレを終熄させるためにこれも止むを得ないという今の御説明である。このために非常に国家全体の施策が跛行的になつておりまして、産業政策とか、労働政策、文化教育政策、何れも甚だしい犠牲になつております。これを過般来大臣のおつしやる言葉、或いは大蔵大臣の言葉もありますが、今のところ止むを得ない、逐次何とかして行くとおつしやるのであるが、一体今止むを得ないとすれば何時補うのであるか。どういう御計画で今日の混乱しておる産業を補うのか、それをお伺いしたい。
  206. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私が止むを得ないと申したので、非常に悲観的に見ておるとお考えになつては困るのでございます。私は予想した当然のところに来ておると思います。産業が混乱したとか、或いは安定恐怖に入つたとかというふうなことは考えておりません。通貨も安定し、生産も或る程度の上昇か、或いは横這い程度を行つておるのであります。こういうふうに短期間に安定したということは、非常に喜ばしいことであると考えておるのであります。今後は、この安定を保ち得る情勢を基盤におきまして、財政経済政策でいろいろな方法等を採ろうと思つておるのであります。いずれ十数日の間に、来年度予算並びに金融政策も具体的にはつきり御覧に入れることができると思うのでありますが、先ずやはり財政面におきましては歳出をできるだけ少くし、少い中から国家の復興を促すような、有効の使用を計画いたしております。又金融面におきましては、今足りないと言われておりますところの長期資金につきまして、特段の措置を講ずる準備をいたしておるのであります。
  207. 仲子隆

    ○仲子隆君 次の予算においてすべて示すと仰しやられますから、それを見るまでは分らないのでありますが、今年末におして差当り金融上非常に困つておることは、いわゆる金縛りになつておることは、私が申すまでもなく、お分りになつておると思います。大蔵大臣はお分りと思います。併し今の金融も或いはインフレも適当に行つておると仰しやるのは、いわゆる形式的な財政政策であつて、現実の国民経済生活はさように簡單な姿になつておらないということを一体お認めになるのかどうか。ただ大臣として統計表、予算表というような上から、ただいいと仰しやるということは、現実を御覧にならないお言葉である。具体的手続はこの次の予算と仰しやいますが、それは来年四月以後に行われて来るもので、十二月まで、或いは来年三月までというこの産業上、或いは経済上の混乱というものは、次の予算が出て来ただけでは我々は救済できるものではないと思いますが、来年三月までの金融逼迫その他をお賄いできるか、お答え願います。
  208. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 金融逼迫というお話でございまするが、一部には金融逼迫はありましよう。併し御承知通りに、予定以上に貯蓄も集まりますし、産業資金も出しておるのであります。経済の変革のときに、即ち数年間、或いは十数年間、インフレにずつと慣れて来た人には可なり窮屈な点はあるかも知れませんが、私はインフレの終熄する時代といたしまして、今の程度金融の涸渇は当然なことと考えておるのであります。併しもう大体安定の軌道に乗りましたから、今度は少し積極的な面に進みたいと思います。併して予算は来年の四月からでございます。金融措置につきましては、相当早くから手が着け得られるのであります。見返資金の運用につきましては、他の機会に申述べました通りに、今後は今まで以上に出て来ることを期待いたしておるのであります。
  209. 仲子隆

    ○仲子隆君 見返資金お話でありましたが、これも新聞の伝えるところによれば、多数の見返資金の融通を要求しておる者がある。併しほんの今日までのものは僅かである。審査も未了であるということ、一体新聞だけでは信用できませんが、どの程度見返資金が活用されておるか。その活用程度と、民間においてどの程度要求しておるか。これに対して審査が行われておる筈であるが、どの程度進んでおるか。これについてお伺いいたします。
  210. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 見返資金の運用につきましては、概ね予定通りに行つております。ただ問題は直接投資の金額と申しますか、私企業に対しまする直接投資が予定通りつていないのであります。お尋ねでございますから申上げますが、最近までに大蔵省に出ました申請書は三百四十億円程度であります。而もこの三百四十億円は九月、十月頃から出て来たのであります。その問は申請は殆どなかつた、で我々は早急にこれを審査いたしまして、そうして今関係方面に持つてつておりまする金額は百七十億円くらい行つておるかと思います。百七十億円の要求をいたしておるのであります。而してこの百七十億円の全額は、私は年度内にこれ以上の金額が私企業に出ることと考えております。すでに出しましたものは四億円足らずでございまするが、年内にも或る程度出ることを期待いたしておるのであります。で、その他の方面は鉄道通信への二百七十億円の予定は二百億円以上出ております。そうして復金債の償還は当初は一般会計からの繰入れで償還いたしておりまするし、見返資金から償還いたしまする六百二十四億円の分はすでに八十億円ばかり償還いたしまして、今年内におきまして尚三百億円ばかり償還いたしまして、そうして産業資金に充てようとしておるのであります。
  211. 仲子隆

    ○仲子隆君 今一つだけで終ります。金融をできるだけよく疏通するというお話でありますが、現在までに政府が吸い上げたところの金というものは何らかの方法でこれを各方面に出されると思う。民間の機関を通して吸い上げの方法もありましようが、政府が今日まで税又は物資の拂下げ等で集められたところの金はどれ程であるか。政府が企業の方へ廻される金はどれだけであるか。或いは民間にどういうふうに出されるのであるか。それらの点についてお答え願いたいと思います。
  212. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 政府が十月末までに税で徴収いたしました金額は二千億円程度に相成つております。今月は昨日までで四所四十億円程度の税収入が入つておるのであります。專売益金におきましても千二百億円余り収入が大体半分程度つておる。而してこの金は政府の職員並びに政府の行政事務に充てておるのであります。この内訳は今年度当初予算で御覧下されば分ると思うのでありますが、千二百億円程度の終戦処理費も大体地域割平均に行つております。価格調整費も地域割平均に行つております。政府から直接に民間の企業に貸すとかいうふうなことはいたしていないのでございます。大体予算書を御覧下さればお分りになると思いますが、個個の問題について御質問下されば、それによつて答えることにいたします。
  213. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 災害復旧の全額国庫負担というのは、大蔵省ではいつ頃からやられるお見込であるか。それから公債の償還で、まだ期限が来ないで償還をしておるのが、一体どのくらいあるか。
  214. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 災害の負担問題につきましては、シヤウプ博士が、原則として全額国庫負担ということを言つておられます。極く些細な復旧につきましては別として、原則として国庫で負担する。この問題は将来の財政の計画に相当重要な関係を持ちますので、只今慎重に検討を加えております。  それから既発の、すでに発行いたしました国債の償還は期限前にするのはどうかということでございますが、期限前の償還は従来も認めております。国債整理基金特別会計法におきまして、財政法の規定によりまして、現在額の万分の百十六の三分の一というふうにしてやつておるのであります。この金額は期限が来てないものを償還する方に使つております。而してもう一つの御質問の、どのくらい国債を償還するかという問題につきましては、財政法によりまする分以外には只今見返資金の今年度分の運用を以て国債償還に当てるかどうかと、いうことを検討いたしております。又来年度におきまして債券剰余が大体五五億円程度出ると思つておるのであります。このうちのどれくらいが国債償還に当てるかまだ検討を加えておりませんが、いずれにしても二十三年度において剰余金四百十三億円の半分の二百億円が当然国債償還に当てることになつております。
  215. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) それではここで六時半まで休憩いたします。    午後六時二分休憩    —————・—————    午後七時三十一分開会
  216. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) これより委員会を再開いたします。
  217. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 議事進行について、私は議事進行についてちよつと発言をいたしたいのであります。と申しますことは、今日議院運営委員会におきまして或る決定がなされまして、それが予算委員会と非常に重要な関連性を持つておる事項であるということは、議員諸君の中でもお分りになつておる方もあろうかと思いますが、私は正式に議院運営委員会から伺つたわけではございませんので、その点は若し間違いがあれば後で適当な方法を採りたいと思いまするが、とにかく予算委員会が正式に審議を始めまして、熱心に審議を続行いたしておりまするときに当つて、本日議院運営委員会においては、三十日中に本会議において可決をしたいという意思が討論がなされまして、そうしてその結果午後七時まで待機をするというような決定がなされたようであります。そうして或る議員を通じまして私の所へも、予算委員会の理事会で本日は質疑を一応打切る目標で審議を進めて、明日討論採決をいたす予定になつておるということに対しまして、これを何とか本日中に本会議に掛けられるところまでやつて貰えないか、議院運営委員会では実はこういう工合に決定したのだということを言われたのであります。私は若しこのことが事実であるといたしまするならば、予算委員会の審議権無視の問題でありまして、非常に重要な問題であろうと思うのであります。そこでいろいろな議論をいたしまする前に、先ず最初に委員長にお尋ねをいたします。委員長は、議院運営委員会においてさようなことが議せられ、或いは何らかの決定がなされたことに対しまして、正式にお聞き及びになつておるかどうか、その点を先ず伺いたいと思います。
  218. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 正式に聞いておりません。
  219. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そうしますと、この問題を明らかにいたしますために、私は議院運営委員長の出席をこの委員会で求めまして、そうしてその間の関係が明らかにせられることを要求いたしたいと思います。この問題が解決しないうちに本委員会の議事の進行は、私は賛成いたし兼ねる。そういう工合に私の意見を申上げます。
  220. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 速記をやめて。    午後七時三十五分速記中止    —————・—————    午後七時四十分速記開始
  221. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 速記を始めて。  只今の理事会の申合せを御報告申上げます。今晩はできるだけ時間に拘らず、できるだけ遅くまで質問を十分にやつて、一般の質問は大体今夜に終り、明朝十時に小委員長の報告をして頂き、それの小委員長の報告に対する質問をいたしました後に質疑を打切るということに理事会は申合せましたが、どうぞ御了承願いたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  222. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 御異議ないと認めます。  それじやどうぞ……
  223. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私運輸大臣に極めて簡單なことでございますけれども、二点だけ質問いたしたいと思います。  第一点は先国会でございましたか、従来濫発されておりました国鉄の無料パスの整理のことにつきましていろいろと問題になりました。国鉄の合理化のために、或いは收入増加のために一応整理をするというような方向に向つたと思うのであります。従いましてその後国鉄当局におきましても鋭意その線に沿つて努力をせられたことと思うのでございますが、現在までにお分りになつておりますところの整理の枚数、或いは整理の範囲というようなものの内容を承りたいと思います。と同時に今後の予算に対しまして、このためにどれ程の收入増に相成りまするか、その点を一応お見込を承りたいと思うのであります。
  224. 大屋晋三

    ○国務大臣(大屋晋三君) この無賃乗車券の中で定期と然らざるものを問わず、過ぐるコーポレーシヨンに移りまする前に整理を断行いたしまして、その状態が今日まで続いておりまして、爾来整理後におきまして濫発というような事実は毫もございません。又これにつきましては只今政府委員から申上げさせます。
  225. 紙田千鶴雄

    政府委員(紙田千鶴雄君) 只今の無賃乗車証に関するお尋ねに対しましてお答を申上げます。  只今大臣からお話がございましたように、この六月になりましてコーポレーシヨンができましてから後は極力乗車証の整理をいたしておるのでございまして、濫発をいたしておるような事実はないのでございます。又私達運輸省の者でございますが、この運輸省の者に対しましてもパスを発行をしないと、こういうふうな非常に厳重な方針を国鉄が堅持いたしておるような次第でございます。一例を申上げますればそういうふうな状態でございます。それからこの換算した金額はどれ位であつて、收入に対してどの程度の影響を与えているかというお尋ねに対しましては、何分こうした乗車証は、御承知のようにこの区間、その他の点を計算いたす必要もございますし、従いまして早急な計算が困難でございますが、現在のところこの発行の減少となり枚数は、臨時乗車証におきまして約百六十万枚、それから定期乗車証におきましては約三十万枚、こういうふうな見込でございます。大体こういうような状態でございまして、今後共に無賃乗車証の発行につきましては、国鉄におきましては非常に厳重な方針を採用することになつておるのでございます。
  226. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 收入の金額に大体大掴みでもお分りにならないものでございますか。それからもう一つは、整理の範囲なんでございますが、元の国鉄当時と今度のコーポレーシヨンになつた現在の場合と比較しまして、どういうようなところが大体整理になりましたか。この点を概畧でよろしうございますからお答を願います。
  227. 紙田千鶴雄

    政府委員(紙田千鶴雄君) 收入の金額につきましては先程申上げましたように、いろいろな発行区間その他がございますので、申上げることは早急には困難かと思います。尚範囲につきましては只今詳細な資料を持ち合しておりませんが、例えば官庁方面でございますとかまあそういうところは、運輸省も含めまして、発行いたしておらないのであります。
  228. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 もう少し細かく伺うように私前に御連絡をしておいたのでありますが、何か行き違いがあつて伺えないのは残念でございますが、余り時間がありませんのでこの程度にいたしておきます。  それから第二点は、去る十一月の二十四日に朝日新聞が一番大きく取上げておつたのでありますが、例の国鉄の貨物抜取り事件の問題でございますが、これは東京車掌区の問題、一億円問題が出されたのであります。私はこのときにただ東京車掌区の一億円事件だけでありますならば、そう問題を重要視いたさないのでありますが、その朝日新聞の記事のトップに当局談といたしまして、これはたまたま東京車掌区で起きた事件であるけれども、全国的にこういう事件がまだ外にも方々あるのであるというようなことがはつきり明記されておりました。而もその抜取りの内容に至りましては、闇物資の問題、輸送問題、いろいろ掲げられておつたようでございますが、私はこの問題は非常に重要だと思う二点があると思うのであります。第一点、はとにかく荷主に対して、こういうようなことが中間で行われますならば、而も終戦後四年経ちまして、相当に人心が安定している時にもまだ行われるということになりまするならば、非常に不安感を与える。国鉄に対する信頼をこういうようなところで失つて行くということになりまして、甚だ残念であると思います。それから次には、国鉄当局が、とにかくこの事件を見まして、全国的にこれと同じような例が多々あるのだというようなことを言われるといいますることは、極めて責任の所在を不明瞭にせられたものであると言わざるを得ないのであります。若しそういうようなことがあるということがお分りになつておるならば、なぜもつと前に具体的にいろいろな手をお打ちにならなかつたのか、その問題が残ると思います。それからもう一つは、国鉄の従業員も最近におきましては非常にまじめに熱心に国鉄の復興と取組んで、いろいろと過激な労働に従事をいたしておるのであります。最近は人員整理によりまして、更にその傾向は強くなつておると思うのでありまするが、こういような大部分のまじめな職員の中にはさまりまして、極く一部の不心得な職員が行いましたこういうことについて、国鉄全体の職員が恰かもこういうような不正な行為を行つておるもののごとき感を国民に与えたということは、非常にこれは重要視しなければならん。従つてこういう問題は一刻も早く問題を糾明して解消し、国鉄職員の名誉のために、又国鉄の次代の信用回復のために適当な手段を探られなければならんと思うのであります。そこでこういう問題について運輸大臣としまして、どういう所信を持つておられるのか、概括的にどういう所信を持つておいでになるのかどうかを聽きたいということと、それから第二点は、全国的に相当沢山あるということを言われましたが、そういうものをお掴みになつておるといたしますならば、その内容というものはどういつた程度であるか。これを伺いたい。  第三点は、とにかく一応荷主に損失を与えたわけでございますが、こういうものが荷主が分りました場合、これは積極的に調べなければならんと思いますが、分りました場合には損失補償をやられるのであるかどうか。こういうような点について伺いたいと思います。
  229. 大屋晋三

    ○国務大臣(大屋晋三君) 栗山君より御指摘の只今の東京の荷扱車掌の不正事件につきましては、運輸大臣は、現在極く簡單な、さような事実が発覚いたしまして、目下司直の手で取調べが進行中であるというだけの報告を受けておるのでありまするが、詳細は政府委員が私よりも詳しく存じておりますから御説明申上げますが、さて私に対する御質問でありまするが、その事実は誠に私運輸当局といたしまして遺憾千万なことであるのでありまするが、何分にもこの終戦直後の秩序が紊れ、物資の非常に不足いたしておりました時分に、就中禁製品を鉄道の貨物に託して選るというような事柄があり、従つてこれが不正なる鉄道の従業員の一部によつて悪いことが行われて、而も荷主がそういう禁製品というような関係募り、なかなかこれを届出を躊躇しておつたというような関係などもありまして、相当な長い期間に亘つて行われた犯罪がある模様でございますが、その申告がなかつたというような事柄で発覚が非常に遅れたというようなこともあるように考えられるのであります。いずれにいたしましても、事実の詳細は、司直の取調べの上を待ちまして判明いたすことと存じますが、さてこの私といたしましては、さような事柄が再び起らないということに対しまして万全の処置を講じなければならんと同時に、御質問の第二点の通り、このようなためにこの真面目な国鉄の多数の従業員までが迷惑をいたしておるというような事柄に対しましては、十分にさような誤解のないような抜本塞源的の措置を講ずるつもりでおります。尚又この事件の内容を吟味いたしまして、この責任の所在或いはこの犯罪者の処罰というような点に対しましても、十分に処置を講ずるつもりをいたしております。この事件の全貌の判明を待ちまして、只今栗山君御指摘の数点に対する措置を十分に講ずるつもりをいたしております。
  230. 足羽則之

    政府委員(足羽則之君) 只今の御質問にお答をいたしたいと思うのであります。多数の従事員がございますので、その中には極く一部に非常に不届な者もありまして、そうした事例もたまたまあるのでございますが、併しその都度厳重にこれを取調べ戒愼をいたしまして、そうしたことのないように努めております。先般の新聞の記事と申しますのは、私は実は存じないのでございますが、全体についてこうした事例が全国にそう沢山あるということはないと私は信じております。尚本件につきましては、鉄道の中に御承知の公安官というもりがございます。鉄道の中の警察官でございますが、東京鉄道局の管内の公安官がこの事故の原因につきまして、札幌鉄道局からの東京鉄道局に対するこの事故の照会から公安官が活動いたしまして、検察庁の応援を得てこの捜査に当り、現在では司直の方の手に事件は一切渡つて目下これが審理中でございますので、いずれ全貌が判明いたすと思いますが、判明いたしますれば、それに従つて、十分に関係者については、相当な処分をすることになると思います。  尚鉄道の信用という点から申しまして、非常に世間に対しても甚だ恥かしい次第でございまして、これらの点は従来も十分に戒愼いたしておるわけでございますが、尚今後共職員の綱記粛正ということに十分努めたいという点と、それからこうした問題が監督者の手許を離れまして、乗務をいたしております勤務の性質上、これに対しては特段な、十分にそうした不正の起らないようにいたす措置を講ずる必要があるのでございますが、まあその最も大切なものといたしまして、現品の受授の関係を更に正確にするという点、いろいろそうした点について格段な工夫をいたし、こうした事例がないように絶滅を期したい。こういうことでいろいろ国有鉄道といたしましても考えておるようでございます。こうしたことの再び起りませんように、十分にそういう点には気を付けて今後努めて参りたいとこう考えております。  尚これの監督者の処分の問題、或いは賠償の問題につきましては、今後の判明いたします実情によりまして、それぞれ適当な処置をいたしたいと、こう考えております。
  231. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 今の荷主の損害補償の問題でありますが、私は禁制品を送つたような荷主の損害は、国庫で補償するというようなことはしなくてもいいと、常識的には思うのでありますが、そうして又真面目な製品であるならば、これは当然その全額を補償されなければならんと思いますが、そういうような考え方で、現在の法規上取扱ができるものであるかどうか。或いはそういうような工合にやる御意思があるのかどうか。その点を一つ伺いたい。  それからこの間の新聞でとにかく国鉄に全国的に相当あるというような印象を与える記事が出たのでありますが、これについてこの機会にもう一度国鉄の職員の名誉のために私はそういう新聞に報道されたような事実はないということを、若し自信がありますならばこの席上で述べておいて頂きたいと思います。
  232. 足羽則之

    政府委員(足羽則之君) 賠償の問題につきましては品物の種類、或いはこの事故の起りました原因によりましてそれぞれこれを処理する規定がございます。従つてこの処理の規定に従つてそれぞれ処理いたすことになるとこう考えております。尚こうした問題は、非常にこうした大掛りな問題は稀れな事件でございまして、或いは先程申上げましたように、多数の中に極く一部不届きな者がありまして、時々こうした事実がありますが、併しこうしたことが全般的に広く行われておる、こうしたことは絶対にないことをここで申上げてもよろしい。こう私考えております。
  233. 深川タマヱ

    ○深川タマヱ君 鉄道電化についてお伺いいたします。もうどなた様からか御質問がなされたかと思うのでございますけれども、民自党の政府で鉄道電化を計画されておるといつかの新聞で拝見いたしたのでありますが、この頃のように鉄道が赤字が出る度に運賃の値上によつて解決を付けるような方法でやられたのでは、物価の昂騰となり国民生活に重圧を掛けますので、このあたりでこういう方法をお止めになりまして、電化をなさいますと石炭も五分の一で済むそうでございますので、こういう合理化をすることがいいだろうと思います。それについてはやはり長期建設資金が要ると思いますが、三百億かの見返資金が余つておるそうでございますので、これを一つお使いになるお考があるかどうかということが一つと、もう一つ序でだからお尋ね申上げますけれども、何かで鉄道電化に対して外国資本を入れるようなことを見たことがございますが、外資導入のことについてちよつと民自党の政府に御伺いしたいのです。
  234. 大屋晋三

    ○国務大臣(大屋晋三君) 鉄道電化の必要であることは言うまでもないのでありまして、運輸当局といたしましても昨年度におきまして東海道は浜松までできております。実はそれを二十四年度予算におきまして米原まで延長したい、これに要する資金が凡そ五十二三億要る見当で、二十四年度予算で支出をいたす予定でございましたが、いろいろな点で電化の方には予算が廻つておりません。又見返資金を以ちまして鉄道の電化をいたしたいということでいろいろ工夫して参りましたのですが、やはりこれもいろいろな関係で見返資金から資金を仰ぐことができなかつた次第であります。そこでこの昭和二十三年度予算に電化の項目を挿入いたしたいと思いまして、これも大蔵大臣、安本長官、或はこの関係方面といろいろな協議をいたしておりますのですが、今のところそう結論は……電化は非常に重要なことで望ましいことでございまするが、何分にもこの電気量が不足をいたして、この電化の仕事をいたすべく少々懸念されるというふうに結論がなつて参りました。そこに又多少只今申上げまする通り資金の方の、他の方面の必要の度が相当に緊急を要しますという関係、即ち主として電気の十分でないということ、資金面の関係というようなことで、非常に重要な事柄でございまするが、東海道本線は山陽本線というような本線は勿論、電化をすべき必要な各支線の方に対しましても、電化が思うようにまだ実現しないこういう関係に相成つておるのでありまするが、当局といたしましては、この電化の問題の解決を早急にいたすということと、又資金の面の供給を仰ぐという二点に対しましては、引続いて努力をいたすつもりにいたしておりまするが、昭和二十五年度においての予算において、この電化が実現をするかしないかということは、まだ決定をいたしておりませんが、先ず大体これは見込薄というふうに考えられておるという状態を御了承願いたいと思うのであります。  次にこういう状況でやりますので、主として資金の面の難澁の点を考慮いたしまして、最近民間におきまして、つまり電化促進会社というような民間の資本を集めまして、いわゆる電化会社を造りまして、これが車輛、電気機関車というような軍需、或はその他の電化に必要な車線というようなものの設備をいたして、これを国鉄に貸与いたし、そうしてその賃貸料を以てその会社を経営し、そうして国鉄が予算を以て電化に充当いたしますることが可能の時に至りました場合には、この民間の電化会社で拵えました設備を国鉄に譲渡するというような仕組みを以ちまして、目下この電化会社の案がございまするが、これもまだ成立という運びに至りません。  尚御質問の外資を導入いたしまして、この電化を促進するということは、只今具体的には実は問題になつておりませんので、大方電化に関する問題はさような点に盡きるというのが現状でございます。
  235. 深川タマヱ

    ○深川タマヱ君 序でに少さい問題でございますけれども、省線の京浜線と中央線とで婦人子供專用車を試みになさつておいでになるようでありますけれども、成績極めて好いと存じますが、更にこの省線全線に亘りまして、婦人子供のみならず、六十歳以上の老人も入れて、別に箱を御準備なさるお考はどうでしよう。
  236. 大屋晋三

    ○国務大臣(大屋晋三君) それは一つ政府委員から答弁をいたします。
  237. 足羽則之

    政府委員(足羽則之君) 只今の婦人子供專用車は、非常に混雑しておりました時代に造りましたものでありまして、だんだん混雑も緩和いたすことでございますし、特にああしたものを拡げて拡充をしてやろうと、こういう考は今ございません。
  238. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) よろしうございますか。仲子委員、厚生大臣に対する質問を願います。
  239. 仲子隆

    ○仲子隆君 厚生大臣にお伺いいたします。この前の国会衆議院及び参議院において、別々に決議案を出し、政府答弁を求めておつたいわゆる戦死者遺家族に関する問題、題目は未亡人とか何とかいう言葉もありましたが、それらに対して政府から回答をすることになつてつたのであります、ところが過般本会議において私が質問した際に、若干厚生大臣から話がありましたけれども、そのときはまだ正式な回答の程度のものではありません。いつどういう形式を以てお回答になるか、先ず伺います。
  240. 矢野酉雄

    政府委員矢野酉雄君) 只今大臣が病気静養中でありますから、厚生政務次官から代つてお答えいたします。御質問の内容に従いまして、本日大体の点用意して参りましたので、是非御質問を願いたいと思います。
  241. 仲子隆

    ○仲子隆君 そのときの項目に従いまして申しますと、先ず社会保障制度の方で、審議会を設けておるから、この審議会の結果によつて答申を得て、社会保障制度で考える、こういうのであつたが、その状況はどういうようになつておりますか。
  242. 矢野酉雄

    政府委員矢野酉雄君) 社会保障審議会は、皆さまの御承認を得まして組織しておるものであります。これは総会並びに小委員会で、非常に熱心に只今検討して頂いております。折角民主的にこれが組織されておりますので、その結論を頂戴いたしまして、これは首相がその長でありますが、厚生行政の面においては、その答申に副うて、或いは法的措置、或いは財政的の措置を採つておるような次第であります。今回身体障害者福祉法のごときも、その審議会のいろいろの御検討が非常に反映して、皆さまの御協賛を得て、いよいよ本日を以て可決されましたので、近く法として実現を見る次第でございます。
  243. 仲子隆

    ○仲子隆君 生活保護費を改訂して、これを増額するという大臣の説明であるが、生活保護費というようなものは、一般的なものであつて、特にこれから後のことも同様でありますが、戦死者の遺族とか戦争犠牲者の遺家族と称するものに限つておるものでないが、特にあの決議に対して戦死者遺家族に対してどういうような生活保護費が計上されましたか、それを伺います。
  244. 矢野酉雄

    政府委員矢野酉雄君) 特別に戦死者の遺族という名目を設けて、これに対する法的或いは財政的処置をするということは、法の前に何人も平等であるという固い一つの枠がございまするので、関係当局との折衝においても非常に困難でありまして、只今のところそれを明らかに銘打つてそれに対する予算措置というのは只今困難でございます。生活保護法の第十次改訂の内容につきましては、先の第五国会の決議に対し詳細に政府の回答としてすでに提出せられておるのでありますが、今簡単にその要領を申上げたいと思います。満四才以下の乳兒又は乳兒二人以上を養育しておりまする母に対しては、本人の努力の状態を勘案いたしまして、最低生活費の認定において、飲食費に加算いたしまして支給する方途を開くことにいたしまして、それから飲食物費及び被服費或いは保健費の方も今回行うことになつたのでございます。
  245. 仲子隆

    ○仲子隆君 次に育英資金について特に考慮するという先般の大臣の答弁でありましたが、普通育英資金は高等学校專門学校とかという方面に多く出されて、特に遺家族のごとくその生活さえ困難な者に対してどういうふうに考えられるかが問題であります。現在小学校の一年生において年の費用が大体千五百円ぐらい要るのである。二年三年とまあ六年になつて若干多く要りますが、どんな山の中の農山村の子供においても一人分子供について千二三百円平均要るのである、遺族として日々の生活に困る上にこの教育費について非常に困つておるようであります。これについて如何なる御配慮があつたか承りたいのであります。
  246. 矢野酉雄

    政府委員矢野酉雄君) 育英資金の貸与につきましては、大日本育英会法の第一條の規定に基きまして、学徒の優秀性と経済的困難という方面から考えまして、更にこの未亡人とか或いは引揚者であるとか戦災者であるとかというような家庭の実情も考慮して頂き、どうしても学資の支給が困難であるというような場合においては、優秀性という嚴格なる枠をこれを固持することなく、或る程度適当に勘案して頂いて、その範囲を拡げて頂くように大日本育英会の当局にも御懇請を申上げておる次第であります。本年度の育英資金は非常に予算措置が少くて九億でございましたが、明年度は大体において十五億程度の線まで引上げて頂くような見透しがついておるような次第であります。只今一人当りの貸付金額は大学において月額二千百円、高等專門学校において千八百円、新制高等学校において五百円でありまするが、本年度におきまして家庭の経済的実情等をよく調査いたしまして、この支給額の弾力性を持つて頂くように今折角交渉中であります。更に義務教育の子弟を持つておられる方に対する実は育英制度の適用は、今まだその機能を発揮しておらないのでありまするが、非常にお困りの家庭では御承知のごとく生活保護法の適用を受けることができますので、御希望に副うだけの金額は支給することができなくても、その生活保護法の中に教育費というものの計算をいたしてこれを支給することになつておるような次第であります。成るべく今の御意見に副うように、何とか厚生当局としては文部当局その他各関係当局と連絡をして、御意に副うように努めたいと思つておるような次第であります。
  247. 仲子隆

    ○仲子隆君 今のお話は丁度これまでの総てと同じように、何も遺家族に関する問題には一つも触れていない。これからあと同じく幾つかお伺いしますが、これらの状況では、あの衆議院の、或いは参議院の決議に対する何らの答弁でないと思います。
  248. 矢野酉雄

    政府委員矢野酉雄君) その点は冒頭にお答えいたしましたように、遺家族という特殊の名目の下に財政的処置をするということに対する各方面了解をまだ取り得ておらないような次第でございまするので、実は御希望にまだ副う処置ができないのでございます。いろいろと各方面から手を廻しまして、その御希望に副う日が実現せられるように、実は国会の方の特別委員会等とも協力を願いましで実は折衝しておる次第でございます。
  249. 仲子隆

    ○仲子隆君 関係方面に折衝中という御答弁でありますが、別に何も今は考えておらんという答弁であるか、はつきりいたしません。
  250. 矢野酉雄

    政府委員矢野酉雄君) 決して打切らないで、只今も折衝しておる次第でございます。
  251. 仲子隆

    ○仲子隆君 夫にあのときの項目といたしまして、遺族の年金に関する問題は、ポツダム宣言の勅令によつて禁止されておる、こういう説明でありました。そうなつておればいたし方がないが、どういう建前で禁止され、どういう命令になつておるか、その内容をお示し願いたい。
  252. 矢野酉雄

    政府委員矢野酉雄君) ポツダム宣言に基く勅令第六十八号第一條によつて、軍人又は軍属の遺族に対しては、第六号により扶助料の支給は禁止されております。で、遺族年金の支給は只今のところ困難と存じます。  又弔慰金の支給についても只今のところ困難と存じておるような次第であります。
  253. 仲子隆

    ○仲子隆君 ちよつと伺います。過般大臣は弔慰金については何とかするといつて明言されておりますが、今の次官の答弁では、これはできんと言われるが、いずれが本当でありますか。
  254. 矢野酉雄

    政府委員矢野酉雄君) 絶対に不可能というのではございません。只今申上げましたように、只今のところ困難であるということを申上げたのであります。
  255. 仲子隆

    ○仲子隆君 それでは非常に答弁が前の答弁と違います。はつきり答弁を願います。
  256. 矢野酉雄

    政府委員矢野酉雄君) 速記録を御覧頂けば分ると思いますが、只今のところ困難であると私最前申し上げたのであります。皆様の御支援を得まして政府が懸命に努力しましたならば、或いは大臣が申しましたようにその難関を突破することができると思いますので、皆様の御鞭撻を願いたいと思います。
  257. 仲子隆

    ○仲子隆君 生活扶助生産資金の整理につきましては、二十五年度は相当にこれを見積るという答弁に対し、相当とは、まだ二十五年度予算が出て来ないのであるからまだ分らんかも知れませんが、どの程度にこれは考えられておるか、お答え願いたいと思います。
  258. 矢野酉雄

    政府委員矢野酉雄君) 補正予算におきましては、厚生省の管轄いたしまする範囲におきまして二億円の御承認を求めておる次第でございます。貸付けたものが帰つて参りまするのが二億程度ではないかと思います。大蔵当局が組んでくれましたのが国民金融公庫の厚生資金として五億であります。来年度は大体において厚生省の所管いたしまする生産資金はやはり国民金融公庫の窓口を通して貸付けるといたしまして、大体五億をお願いしておりますし、大蔵当局は十二億を組んでくれておりますので、来年度は大体御質問の金額は十七億程度であろうと思うのでございます。それに生業資金その他国民金融公庫の貸付のものが返還せられました場合には、それが又還元して貸付けることもできると思いますから、或る程度それが増加するのではないかと期待しておる次第でございます。
  259. 仲子隆

    ○仲子隆君 母子寮、保育所等を増設するというのであるが、その状況を御説明願います。
  260. 矢野酉雄

    政府委員矢野酉雄君) 母子寮並びに保育所の問題は、二十四年度において母子寮が二十七ケ所、保育所が百二十五ケ所増設をいたしました。で、二十五年度は大体予算が三億円閣議においては認められまして、国会の方にその御承認を求めておる次第でありまするので、相当本年度よりもより以上の設備ができるだろうという大変明るい希望を持つておるような次第でございます。
  261. 仲子隆

    ○仲子隆君 次に戦歿者に対する葬儀費、或いは慰霊というようなものに対しては関係方面と連絡中であるというのであるが、連絡の状況はどうでありますか。
  262. 矢野酉雄

    政府委員矢野酉雄君) それはすでに皆さんにおいて、未復員者の給与法の一部を改正する法律案及び特別未帰還者給与法の一部を改正する法律案を参議院ではすでに御可決頂きまして、本日委員会を省畧して、衆議院の方に回付になつておりましたが、約一時間ばかり前に、衆議院におきましては委員会省畧を承認せずして、委員会付託にして頂きましたので、或る程度増額が可能であるかと思います。一千五百円のものが一千七百円になり、埋葬料が千五百円、遺骨引取料が千五百円のが千七百円にということになると思います。
  263. 仲子隆

    ○仲子隆君 課税の減免、農地の開放、作物の供出、職業の安定等に関して十分に斟酌して、関係官庁と相協力して適切なる処置を採るという大臣の御説明の内容を御説明願います。
  264. 矢野酉雄

    政府委員矢野酉雄君) その問題については、残念ながらまだ明確なるお答のできる結論に達しておりませんので、折角お声を承りまして、一層厚生当局は奮発して、関係各省と折衝を進めて行きたいと思つておる次第でございます。
  265. 仲子隆

    ○仲子隆君 次に補正予算、或いは二十五年度予算が協賛されるならば若干いろいろの施設をするということであるが、今補正予算が将に通るか通らないかの境でありますが、若しこれが通過し、或いは二十五年度予算が出て来た場合には如何に施設せられるおつもりであるか、これを御答弁願いたい。
  266. 矢野酉雄

    政府委員矢野酉雄君) 甚だ恐れ入りますが、今の御質問まだよく私把握することができませんので……
  267. 仲子隆

    ○仲子隆君 もう一回申します。この予算が協賛を得れば、若干いろいろな施設をすると大臣が答弁されておりますが、いろいろな施設とは何であるか伺いたい。
  268. 矢野酉雄

    政府委員矢野酉雄君) その中には多分母子寮の増設、内容の充実、或いは保育所の増設内容の充実、或いは引揚者等の住宅について更に一段予算措置をしたい。例えば補正予算におきまして四億二千万円が提出されておりますので、相当引揚者の住宅が或いは買収、新築、補修ということが実現され、更に来年度は四十億の住宅資金の中に五億だけは引揚者住宅として確約を得ておるような次第で、皆様へ御承認を得ればこちらの方の施設もできると思います。更に住宅三十五億の中においては、一般のいわゆる未亡人、或いはその他の遺家族等の方々の住宅等についでも成るべく好意ある措置をして頂くように、実は厚生当局としては建設当局、大蔵当局に懇請を今したいと思つているような次第であります。
  269. 仲子隆

    ○仲子隆君 以上を総合して御回答をまとめて見ますと、特に戦争の犠牲者たる者の遺家族に対しては新たなる考案ほどれもできない。ただ一般的な社会施設を充実してこの恩典に浴せよというように聞えますが、戦争に出た人達も必ずしもみずから戦争に好んで出たわけではなかろうと思うし、或いは中にはあつたかも知れませんが、殆んどの者が国家のために命令を受けて出て行つたのであります。況してその遺家族は一般国民と比べて、何らの罪もないのに非常に大きな犠牲を蒙つて特別な扱いを受けている。この又遺家族の中には体面上普通の保護法なんかで生活を維持して貰うことは困るという人達も随分あると思います。これが今までの十項目に関する御答の中では、殆んどただ一般的に困窮者として援助を得ろという程度に留まるように思いますが、さような意味ですか。即ち戦争遺家族に対しては、特別なる考慮はないという政府のお考であるかどうかをお伺いいたします。
  270. 矢野酉雄

    政府委員矢野酉雄君) 今までお答え申上げました中にも、或る程度の御要望に応じた予算措置ができておると思います。申し遅れましたが、やはり戦争犠牲者という立場から申上げますれば、今まで月給百円を今回三百円に増額し、或いは帰郷旅費を一千円を三千円まで高めるというような措置、或いは病気して帰つた者、或いは怪我をして帰つた者を、今までは大体二年の限度を持つておりました治療期間を或いは三年にするというようなことなどのごときもやはり特別の措置をしたものだというふうに考えておりまするが、財政の現状でありまするから、十分の満足の行くような財政的措置ができなかつたことは、厚生当局としてもまだ残念に思つておりまするので、これ亦皆様の世論のお力を頂きまして着着と御要望の線に向つて十分の手を打ちたいという熱意は持つておるのでございます。
  271. 仲子隆

    ○仲子隆君 附加えて一つ伺います。今の御答弁、先程の答弁を総合すると、引揚者に関する家だとか、或いは旅費とか日当だとかいう話で、私の質問するより別なことをお答になつておる。私の質問するのは引揚者の問題ではない。この方のことは我々すでに知つております。戦争犠牲者の遺家族という意味であります。
  272. 矢野酉雄

    政府委員矢野酉雄君) 只今最前からの御質問の勿論重点はそうでありましたが、戦争犠牲者というこの広義の立場から併せてお答をいたしましたので、御質問の向きについてはその條項においてお答えいたしました次第で、それが御満足の行くような点まで達していないことは明らかな事実でありますから、一段努力をしたいと思つておる次第であります。
  273. 仲子隆

    ○仲子隆君 もう一言お伺いします。然らば大体戦死者の遺族というものに対して特に考慮は用いないという意味でありますか、どうですか。そこをお答え願います。
  274. 矢野酉雄

    政府委員矢野酉雄君) 実は厚生当局といたしましても、その遺族救済についての立法措置の草案は今出せとおつしやつても出すだけの実は準備を持つておりまするけれども、それがいわゆる法案として国会に提出することのできるそうした環境をまた作り得ていないのであります。これは厚生当局の熱意と適当なる手段を打ち得ないということでありまするならば、潔くその責任を感ずる次第であります。
  275. 仲子隆

    ○仲子隆君 どうも有難うございました。
  276. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  277. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) それでは速記を始めて。
  278. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 大蔵大臣にお伺いいたします。先ず第一に見返資金の問題でありますが、これはこの前の予算におきましては見返資金に対しましては直ぐにも使えるようなお話があつたのであります。然るにそれが順々にずれて、民間に対しては今日に至るも尚たつた四億円足らずの資金しか出ておらない。このずれというものは日本の産業界にとつて相当大きな影響を及ぼしているわけでありますが、どうしてこういうずれが出たのでありますか、この際お聞かせ願いたいと思います。
  279. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 見返資金の利用につきましては、御承知通り関係方面の認可を得なければならないのであります。認可を得ます前提要件といたしまして、民間からの申出が早くなければならないのでありますが、民間からの申出が非常に遅れて参りました。それがために申請書を向うへ提出するのも遅れ、又向うでも初めてのことでありますので、認可の基準等につきまして検討を加えられている関係上遅れたのであります。この私企業に対しまする見返資金からの貸付金の分は当初は余りはつきり決まつていなかつたのであります。予算上決められました金額は御承知通りに、鉄道通信の二百七十億、そうして復金債の償還六百二十四億円、こういうふうに決まつておりました。あとの分は国債の償還とか、或いは私企業への貸付、こういうふうに相成つております。私企業へ貸付以外の分は順調に参つております。
  280. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 只今お話ですが、恐らく大臣が三月までに二百億円、或いは三百億円民間に出せるというお話をなさつておられますが、これ又いろいろそういつたような手続の問題とか何かで以て、話だけに過ぎやしないかと杞憂するものでありますが、これは三月までに実際に日本の産業界のために出される御確信がおありになるのですか。
  281. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 只今関係方面へ私の手許から申請を提出いたしておるものは百七十億程度であるのであります。別に同額のものが最近私の手許に出て来ておるのであります。只今向うに出しております百七十億円が今年度内に全部出るかどうかは分りませんが、まだ未提出の分で今後出しますものを加えますると、二百億円乃至三百億円は放出できると私は期待いたしておるのであります。その期待の程度はどうかというと大体外ずれない期待を持つております。
  282. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 その御期待になつておられる資金面の使用先を大体で結構ですから、この際お聽かせ願いたい。
  283. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 只今提出いたしておりまする百七十億円のうちで最も大きいものは電気関係の百億余りでございます。その次は船舶関係でございます。又製鉄或いは炭鉱方面の金額もあると考えております。
  284. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 これはまた期待外ずれにならないように御善処方もお願いいたして置きます。  次に目下のところ輸出の滞貨であるとか、或いは輸入品の売行不振、その他一般生産品の売行不振で相当商品が溜まつておるのでありますが、これらの滞貨に対して金融措置を図らなくてはならないと思いますが、大臣は善処するというようなお話、或いは金融措置を何とか講じたいというようなお話もありましたが、結局行くというと、民間の生産者、或いは企業家と市中銀行との取引になるのであります。ところが市中銀行では、結局自分の危険負担において融資をするという関係上これを出し澁るということになつて、滞貨の処理がますます困難を多くしておるようなおけなのであります。又一方におきましては、資金の融通が得られないから投売ということで企業の悪化を来たすというようなことも非常に懸念されておるのでありますが、これに対して具体的の措置をお伺いしたい。
  285. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 御承知通りに、ポンド切下のありました前後輸出が一時不振になりました。而していわゆる滞貨金融の問題が起つて来たのでありますが、この滞貨金融につきましては、私といたしては日銀等とも連絡をとりまして極力やつているのであります。併し問題は私はこのインフレを収束し、又原価計算主義の物価政策から変つて参りますときには、滞貨金融は相当出ているのであります。今まで物を作れば直ぐ売れるのだという考の下にやつているのは、これはもう古い考え方でありまして、世界はすでに売手市場から買手市場になつているのであります。私はこういう際に原価を割つて売るようなことが或る程度あることは止むを得ないことだと思つているのであります。従いましてできた物には何でもかんでも金融をするということではインフレをチエツクするわけには行かないのであります。適当な一定の方法でこの急場を切抜けるより外ないと思つているのであります。従いまして最近の状況では輸出も大体好伝いたしますし、又輸出不適格品の国内向消費も図つておりますので、だんだんこういうことは、滞貨金融その他も処理されて行くことと考えております。
  286. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 この際株式証券市場等において相当の株の値下りなどが実現しているのでありますが、政府では民間企業のいわゆる剰余によつて、いわゆる大衆の貯蓄によつて株の増発とか或いは増資とかいうようなものに充てるべきであるということを盛んに宣伝されております。併しながら株価が一方において下るのに、新らしい資金を民間人が投資をするという意欲はこれは生じないというのも肯ける点でありまして、こういう点に対して政府は果して対策がおありになつておられるのですか。
  287. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 最近お話通りに株価は可なり低落いたしております。この最も重大なる原因は株もたれがして来ているということが大きい原因だと思うのであります。私といたしましては今後株もたれのないように、又出ておりまする株式に対しましてはできるだけ適当な金融を付けて高低できるだけ少くなる、又今の非常な値下りがだんだん上向きになるような方途を講じたいと考えております。
  288. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 株の上向きを図られるというのは結局企業の繁栄を政府は願つておられるのでありましようが、今の購買力と生産の両面から見て果してバランスが取れておるのでありますか、この際もつと購買力を増進させて、いわゆる生産品の消化、或いは株価の高騰ということを図るのが当然じやないかと思うのですが、政府施策は今まで反対の方向を行つており、而もその理想とするところは又更にその反対を行なつておる、こういうことになつておりますが、これらの矛盾の解決をこの際お伺いしたい。
  289. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) インフレを急速に止め、売手市場から買手市場に向つて行かせます場合におきまして、一時購買力の低下は止むを得ないところであります。併し私といたしましては、財政政策或いは経済政策におきまして、逐次直接事業を殖やして行くような方向で進んでおるのであります。消費物資の購買力よりも、建設的な方面の直接事業を殖やす方途を考えております。
  290. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 次に賃金ベースの変更の点でありますが、今の政府は賃金ベースは絶対に変えないと言うのでありますが、この年末に参りまして、企業家も困つており、又更にその困つておる企業家の下にあるところの勤労階級もすべて困難を来たしております。中には賃金の不拂なども相当あります。そういう点について賃金べースをこの際多少変更した方が、却つて購買力の増大を来たすというようなことも考えられるのでありますが、政府としては、絶対にそういうお考はないのでありますか。更にもう一つ、先般内村委員からも首相に対して年末手当を官公吏の公務員の方々に出す意思があるかないかという要求があつたのでありますが、又私も労働大臣にその点を伺つたのでありますが、はつきりとした答弁はなくて、何らか善処するというようなことを言つたので、善処するということは、予算の面にはつきり現されなくてはならないのでありますが、予算面には出ておらない。そういう際に善処するということは、何か大蔵大臣に妙薬がお持合せがあるのですか。その二点についてお聽かせ願いたいと思います。
  291. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 先ず第一に賃金ベースの問題でありますが、民間の賃金ベースの問題につきましては、私はここで余り議論をせられなかつたと思うのであります。又私のいない時に議論があつたかも分りませんが、それは存じません。ただ公務員の賃金ベースにつきましては、絶対に動かさないというようにお取りにならずに、今年度予算におきましても来年度予算におきましても、六千三百七円、ベースを動かさない方針の下に予算を組んでおるのであります。絶対に動かさないというのがいつまでになるか分りませんが、只今のところではそういうふうに考えております。  次に年末賞与の問題でございますが公務員につきましての賞与問題は、御案内の通りに俸給支給規定がございまして、年末賞与を出すことはできないことになつております。従いまして予算上も組んでおりません。私といたしましては、若し予算上不用額があつて、適当なる方法によつて出す途があるならば、考えて見たいということを思つておるのであります。
  292. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 その適当なる途があるというのは、大臣とされては絶対にないのであるが、それともこんな方法ならば出せるというような策を具体的にお持合せがあるのですか。
  293. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 具体的の持合せはございませんが、先程もお話し申上げましたように、予算に不用額が出て、そうして給与規定に反せざる限りにおいて出し得れば出したいというので検討いたしておるのであります。
  294. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 それは一つ御善処を願いたいと思うのでありますが、次に現在の我が国におけるところの納税者の窮状でありますが、大体五千億見当の税金の徴收に対しまして、昭和二十四年の九月までの滞納の発生額を見ますと、実に千五百二十七億に上つておるのであります。そのうち年度内処理済額として千二十二億であつて、差額が結局五百億見当に上つております。こういう厖大な滞納が現れておるということは、取りも直さず我国の経済状態がノーマルな状態でないということを示しておると思うのでありますが、これらの滞納に対しまして、政府は延納金、或いは延滞日歩というようなことをお取りになつておるのかどうかということを先ずお聽かせ願いたいと思います。
  295. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 滞納額の数字につきましては、油井委員の数字と私の記憶とは違つております。私は過年度分につきまして、六月末でございましたか、七百億程度、七百四十億くらいであつたと記憶いたしておりますが、その後七、八、九におきまして、臨時の措置によるあらゆる手段を講じまして、七百億円の数字は余程小さくなつて参りました。大体あと二三百億足らずではないかと思つております。そして今年度新たに発生いたしました滞納金は百数十億と記憶いたしておるのであります。この程度の滞納は租税收入五千百億円に比べまして、まあ止むを得ないのではないかと考えておりまするが、税務の執行の円満適正を期しまして、成るべく滞納が起らないように、又過年度の分につきましても逐次処理して行く方法で行つておるのであります。又滞納金につきましては延滞利子等を徴收いたしております。
  296. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 今の大臣のお話と我我が、国税庁から貰つた資料とは大分違うのでありますが、国税庁から貰つた資料では二十四年度に入つても差押えが税額で以て二百三十七億九千七百万円、件数にして六十万九千件という数字が挙がつておるのですか、この喰違いはいずれ後からでも御説明願いたいと思います。  次に価格差益金の点でありますが、今回の補正予算を見ますというと、価格差益金及び割増総額受入という科目で以て三十五億の計上があるのであります。相当これは大きな額でありますが、現在価格差益を発生している事業にあつて、過年度分の納付も皆困難を来たして、何とかこれをもう少し延期、或いは分納の途がないかということを申入れしておるにも拘わらず、こういう大きな受入れがあつたということはちよつと不思議に感ぜられるのでありますが、この点について価格差益金をもう少し面倒を見てやるというお気持があるのですか、ないのですか。
  297. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 価格差益は当初予算におきましても百五億円程度收入の見込を立てております。その後価格調整補給金の削減によりまして、物価の値上りいたしましたものにつきまして徴收することに相成りました関係上、補正予算で三十数億円を計上いたしたのであります。今後におきましては、即ち明日からの公定価格の改訂、その他に伴う価格差益納付金というものは取らないことにいたしておるのであります。従いまして今後の措置として、今までに発生した価格差益納付金につきましての行政上の処分につきましては、行政のやり方につきましては、安本、通産、大蔵三者と協議の下に、実状に即したようなやり方で行こうと今検討を重ねておる次第でございます。
  298. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 次に先般来問題になつた織物消費税でありますが、これが一月一日でなければならないということは確定的であるというようなお話です。然らば一月一日現在の手持品に対しまして、いわゆる消費者が当然負担すべき消費税を納めた業者の手持品に対しては、拂戻しをするとか、或いは交付金を出すというようなことが当然でおると思われますが、これに対する大臣の御見解は如何ですか。
  299. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 織物消費税の撤廃は、来年一月一日と考えておるのであります。而して手持品に対しましての拂戻しということにつきましては、考えておりませんでございます。
  300. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 先般消費税を減額、或いは撤廃する際の業者に対する措置としては、価格差益金等によつて、何らかの措置を採りたいというようなお話もありましたが、その後の経過はどうなつておりますか。
  301. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私の只今の記憶では、消費税撤廃のとき、価格差益納付金と関係して善処するとはつきり申上げたことはないと思いまするが、今少しく記憶を辿つて見たいと思います。価格差益納付金のことにつきましては、先程申上げましたように、実情に即して考慮したいと考えて今検討を加えておるのであります。
  302. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 僅か一ケ月のずれと言いながら、九月初めからもう織物消費税が減額されるというので、九、十、十一の三ケ月間、すでに業者は相当の滞貨を持つておるというような状況になつておる。更にここへ来て一ケ月分の上積の重荷を背負わされることは、非常にこれは苦痛でありますから、これに対して今までの大蔵大臣の御答弁では甚だ業者に対する思いやりがないというふうにしか解釈されません。これについて何らかの措置を探られなくてはならないと思うのでありますが、例えば月半ばからでも結構ですから、大蔵大臣の指令によつて、四割を一割に下げるというようなことができる筈ですが、そういうことをこの際おやりになつて、繊維協会の明朗な発達ということを図られることが適当じやないかと、こう思うのでありますが、大臣としては如何お考えですか。
  303. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) シヤウプ博士の勧告案に、織物消費税は九月一日から軽減することが望ましいというふうなことが載つておりましたが、これはシヤウプ博士日本国会制度を御存じないという謬見だと私は思つております。従いましてどうしてもこの問題は国会の御承認がなければできないのであります。従いまして後段の御質問の、大蔵大臣が月半ばに適当な方法で一割に下げるというふうなことはこれは私は毛頭考えておりません。若し大蔵大臣法律に違反して税率を斟酌するということは、私は国会に対して申訳がないのでございまして、月半ばにそういうふうなことをすることは、税率を引下げるようなことは毛頭考えておりません。
  304. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 今のお説は、消費税法の條文は後から申上げますが、消費税法に大蔵大臣が特に指定した場合には税率を変えてもいいというようなことが確かあつた筈ですが、そういう際、大臣の権限としておやりになつても、消費者も喜ぶし、又生産者、或いは取扱業者も歓迎するということになれば、善政を施されるのが適当ではないかと思いますが、その点については如何ですか。
  305. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) これは織物消費税に四割の税率と一割の税率がございます。毛織物にいたしましても、特殊のものにつきましてはその状況によりまして一割にし得るのであります。例えば、酢酸ビニールの沢山入つておるような織物についでは、大蔵大臣の職権で一割に下げ得る場合も特例としてございますが、一般の織物につきましては、四割を一割に下げるということは、特例の場合の規定を濫用することになりますので、私はできないと考えております。
  306. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 先程シヤウプ博士の勧告について大蔵大臣の断乎たる決意を伺つて、大いに同感の点がありますが、国会の審議権を侵すというようなことは、つまり関係方面と雖もやれないという御見解でああいうことを言われたのですか。
  307. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私は関係方面の意向に拘らず、織物消費税は織物消費税法に定められてございまして、税率の変更は国会の御審議を、御賛成を得なければならないのでやつておるのであります。  尚関係方面でスキヤツピンでどうこう言つて来られた場合は、これは特例でありますが、関係方面からもそういうことはなかつたのであります。
  308. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 そうしますと、今度の税法の改正は国会で以て修正をしてもよろしいという御見解ですか。
  309. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 法律案の修正その他につきましては、国会で御自由になされることと私は考えております。
  310. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 もうそれで結構です。
  311. 内村清次

    ○内村清次君 大蔵大臣に伺います。食糧庁の予算関係であります。二十四年度予算が二十五億八千五百七十七万円、それが丁度四月から九月までの間に使用した金が十一億四千五百九十二万円で、十月から三月までの十億三千七百十三万円がまだ残つておる。同時にそれを合計しますと二十一億八千三百六万円あつて、差引四億二百七十一万円だけは残るというようなことになつておると、こう認められますが、この点が正確であるかどうかということを一つ伺います。
  312. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 御趣旨の点は食糧管理特別会計の事務費の予算のことであろうかと思いますが、今十月までの今後の見込を覚えておりませんが、大蔵省といたしましては予算に計上した金額は大体実施されるのじやないかというふうに考えております。
  313. 内村清次

    ○内村清次君 これは政府職員の定員法関係と極めて密接な関係のある問題でありまして、定員法によりますると、職員の定員は二万九千二百二人になつておるわけであります。そこで現在これに非常勤の勤務者として六千二百六十人とこれだけあつて、今働いておるような状態ですが、こういうような非常勤の職員を使つてやらなくではならんというような、即ち現実の点は、それは我々の考では定員法に即ち無理があるのだとかように思つておるわけですが、そうしますと現在のこの非常勤の職員が勤務しておる状態からいたしまして、いわゆる米麦の検査、芋の検査、支拂証の検査、発行と、こういうような面におきまして非常にスローな点があり、又その面から来るところのこれは相当責任的に今後大きな問題も重つて来はしないかというような事態も含まれておるような状態でありまして、そういうような事態から考えて、この非常勤の即ち六千二百六十人というものは、どうしてもやはり今後、それは先般農林大臣に驚きましてもやはりこれは必要だというようなことを言つておるのですが、やはり大蔵省といたしましては、その来年度予算におきましてもこういうような、即ち予算措置をやられるかどうかということを伺います。
  314. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 問題の所在がそれで分りました。(笑声)実は行政整理をいたしました後臨時的の仕事とか何とかいうことで起つて来るのであります。今滞納の問題でも油井委員から仰しやいましたが、七百四十億万円と申しましたが六月末までの滞納の金額であります。油井委員のおつしやつたのは滞納を引いて行つたわけであります。その間に納まつたものがあるから、私の申上げたのと合うのであります。そうして七百四十億円の滞納を整理いたしますのに、どうしても税務署といたしましては夏に学生のアルバイト等を雇い入れまして、そうして臨時の仕事をいたしたものもあるのであります。又お聞き及びと思いますが、郵便貯金関係で相当の人を臨時に雇入れまして、いろいろな人が同じ沢山通帳を持つておるのを整理するというようなことをやつておるのであります。先般食糧管理特別会計の人員におきまして臨時雇員を雇つておる。従つてこれはゆくゆくは臨時でなしに定員にいたしたいという農林大臣の希望も閣議でありました。併しこれは余程私は検討しなくちやいかん。これは各省にも行政整理をやつた直後に、いろいろそういう問題が起つて来る。だからもつと検討して、どうしても定員として入れるべきものならば、来年度考えたらいいのじやないか、今直ぐそういうことがあるから、直ちにこの重大な定員法を改正するということは尚早だというので、私は閣議の模様を話してどうかと思いますが、そういう意味で留保いたしております。これは食糧管理特別会計の不足人員と言われるものが六千人以上、多いのでありますが、これは外の会計、役所でも相当あると思います。これは将来の見透しを考えて、本国会におきまして、定員法改正のときに考慮しなくちやならないのじやないかと思つております。
  315. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私、稻垣大臣に二、三点お伺いをいたしたいと思います。先ず第一点は、中華民国と申しますか、国民政府との貿易が相当あつたわけでありますが、御承知のように、中共の勝利によりまして、旧……旧というとちよつと語弊がありますが、国民政府との間に契約されたいろいろな取引が、相当キヤンセルをされておるように聞いておりますが、中国に対しましては、その品物が、陶器にしましても、或いは車輛にしましても、いろいろなものが特殊品が多いのでございまして、一度キヤンセルをいたしますると、これを国内に向けるとか、その他の地区に向けるということが極めて困難なものが多かろうと思うのでございますが、こういう事態が起きましたことに対しましては、政府としては、どういうようなお考をお持ちになつておるのか、その点を伺いたいと思うのでございます。その要点は国民政府に代りまして、中央政府と正式にキヤンセルをしないで、品物を売り込む方法があるのか、ないのか。或いは、そういうような努力がされておるのか、いないのか。その点を先ずお聽きしたいと思います。
  316. 稻垣平太郎

    ○国務大臣(稻垣平太郎君) 今の御質問にお答え申上げます。  これは今、車輛のお話がありましたが、例の日本車輛の関係の、今問題になつておりまする五台の車輛の問題と関連しての御質問だと思うのでありますが、契約ができていて、そうしてキヤンセルされたという問題ではありませんので、その点は多少お考え違いだと存ずるのであります。昨年の……昨年じやありません、二十二年の四月に、向うの王使節が見えまして、話がだんだん進みまして、大体日本車輛の五輛その他で合せて二十輛の車輛の商談がまとまることになりまして、そうして当時の貿易管理をいたしておりました司令部の認証を得ようという間際になりまして、相手方の王氏が帰国したというために、この問題が進展しなかつたのであります。従つてこの商談は成立しないままで、商談が不調になつた。ところが外の車輛会社はそうでもなかつたのでありますが、日本車輛においては、これが商談ができるものとして、いわゆる見込生産をした。そこでそれが手持になつたという実情であります。従つてこの問題に関して政府といたしましては、特に責任があるという問題ではないのでありますが、併し御指摘のように、例えば車輌でありますとか、或いはレールでありますとか、そういつたものは日本の規格によつて、支那におきましては日本の規格によるものであり、又特殊の、日本が支那に対する規格によつてつたものであります。従つて他の地域に向けるとか、或いは他に流用するとかいうことが困難なものでありまするので、これらの品物に対して我々ができるだけ同じ目的の所へ振り向けるように努力をいたすことは勿論であります。ただ中共との関係につきましては、先般来たびたびいろいろな委員会やその他で御返事を申上げておるのでありますが、実際においては順次この中共との実際上の取引ができておる。いわゆる正式の貿易という面はまだそこまで伸びておらんのでありますけれども、実際上の取引はだんだんできかかつておるという実情でありますので、そういつたような機会にこの問題も取上げて、そうして業者の非常に困つておる点について政府としてできるだけの便宜を供与するようにいたしたいとかように考えておる次第であります。
  317. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そうしますと、只今のところでは時期などを見越しての具体的の見透しというものがまだ立てられない、こういう段階にあるということになるわけでありますか。
  318. 稻垣平太郎

    ○国務大臣(稻垣平太郎君) 只今申上げましたようにそういつたような実情でありまして、この注文が、要するに業者の見込違いによつて実は手持になつておる、こういう実情でありますのでそういう事件はこの問題に限らず、諸方に業者が見込違いをしたという問題はあり得ると私は存ずるのでありますが、併しながらこれは振り向け難いということは御指摘の通りであります。できるだけ早い機会においてこれをそちらの方に振り向けるように我々が努力する、或いは斡旋について努力するということは申上げられますが、時期は何時だ、どういう時だということはここでまだ申上げ兼ねると思います。
  319. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 次に電力関係のことを二三お聽きいたしたいと思います。  まず第一に、今年の五月の十二日に水力電源開発に関する決議というのをこれは両院で確かにいたしたと思いますがその中に政府は早急に必要なる施策を講じてその結果を本院に報告することを要求すると、こうなつておるわけであります。これはあくまでも要求でありますので、政府の方が要求に応じられないということならばそれまででございますけれども、一応決議せられました内容は電力行政に対する全般に亘る重要事項であつたわけでありますが、こういうものを両院へ報告される用意があるのかないのか。或いはその時期はどういう工合になつておるのか。この点をまず伺いたいと思います。
  320. 稻垣平太郎

    ○国務大臣(稻垣平太郎君) その今のお話の決議案に対するお答はすでに差出してある筈であります。もう恐らく一月くらい前に、或いは手続やなんかが遅れておりましても、少くとも半月前には出ておる筈であります。
  321. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 この前十月に突如として起りました緊急停電につきまして、私は問題の所存を明らかにいたしまするために、十月の三十一日に緊急質問をいたしまして、各所管大臣から御答弁を頂いたわけでございますが、この中で非常に不十分な点、まだ意を盡さない点がございまして、今日あとで安定本部の長官にもこれに関連してお尋をいたしたいと思いますが、その目的は、只今のところ一応電力事情が安定いたしておりまするけれども、私の予想では十二月、一月、二月になりますと相当深刻になるのではないかと考えられますので、これは国民各位の電力に対する国会として任務を果す意味からも、又そういう意味からいたしまして、通産省当局のお考も一応明らかにいたしておきたいとこう思うのであります。  先ず第一にどうせ電力が足りないのでございますから、この制限を効果的に行うということが一番大事であるわけでありますが、その場合に実は十月の二十五日であつたと思うのでありますが、政府閣議決定を以ちまして、深夜の電力特配を全面的に停止せられたのであります。ところがその後十一月に入りましてから雨の状態が極めて良好でありましたので、水力の発電状況は非常に好転をいたしました。ところがこの好転下にありましても、深夜の電力特配はいたさないとこういう閣議決定がありましたために、従来電力特配をいたしておりましたところの肥料工場、化学工場だとかその他の工場に対する特配向けも全部停止になりまして、そのために相当多量の水がそのまま電力にならないで放流されてしまつた事実があるわけです。これは電力の使用者がそれぞれの地区の電力局などに余りにも勿体ないことでありますので、何とかして使用させて頂きたい、こういうことを陳情に参りました場合には、水を流しても閣議決定の線だから止むを得ないと、こういう答弁がなされておる事実があるわけです。でこういうことでは最後の一滴までも水を利用しようということと全くそぐはないことに相成りまするので、その点の真相を伺いたいことと、それから十二月以後になりましても思わない雨が極く短期間でも降ることがあるわけでありますので、そういうときに対しまして、今までの方針をそのまま堅持せられるのか、せられないのか。その点を明らかにしておいて頂きたいとこう思うわけであります。
  322. 稻垣平太郎

    ○国務大臣(稻垣平太郎君) 今のお話の問題でありますが、今栗山さんが御話のような話を各地方の業者なり或いは化学工場の方が我々の所に参りまして通産省にそういう話があつたということも聞いたのであります。閣議決定の線に副わなければならんから、これはその問題ばかりでなく、夜間電力の問題ばかりでなく、その他甚だ杓子定規にやりました話の聞きましたので、それにつきましては特に指令を出しまして、機に応じてできるだけ今のお話のような、一滴の水も棄てないように、利用出来るようにいたしたいという方策を採つておる次第であります。それを御了承願いたいと思います。
  323. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私今朝も長野県のある人からその話を聞いて驚いておるのでありますが、まだそういう工合になつていないように思うのでございますけれども、その点そういう指令をお出しになつた日にちか何か分りませんか。
  324. 稻垣平太郎

    ○国務大臣(稻垣平太郎君) それはよく話を聞くのですが、こちらから指令を出した時と、それから向うから来られてこちらで話をされた時とは多少時期的のずれもあるように思うのであります。出しましたのは恐らく十日くらい前であつたのではないかと思つております。
  325. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それから、二十五日に閣議決定されました制限要綱を見まして、私非常に不思議に感じますることは、丁度終戰直後でございますが、昭和二十一年度におきまして、まだ電力、いわゆる動力需要が昭和十二年当時の六割にしか及んでおりません時でも、もうすでに電熱の需要というものは全電力需要の三割五分が電熱として使用されておつたという場合がございまして、終戦後非常に電熱が普及発達しているということはこれは公知の事実であります。ところが今度の制限要綱はこういうような事実に対して深い認識が欠けておると私は言いたいのでございますけれども、この制限要綱を見ますと去年、一昨年と全く同じような條件下にあるような具合になつておるのであります。  先ず一番重要なことは、ネオンサイン、看板、広告塔の電気の使用を禁止するという項が入つているのであります。これは後で取消しになつたようでありますが、ネオンなどの使用電力量は極めて微々たるものである。あれだけきれいな光を出しますけれども、これは技術的に見ますならば実に微々たる電力量であつて、問題にする必要はないのでありますが、そういう点から言つて後から取消されたということは極めて当を得たことと思うのでございますが、これと同様に電燈をなるべく節約するようにということがあります。だから渇水がいよいよ激しくなつた場合には一戸一燈の運動、一戸一燈、一ラジオ運動をやるというようなことになつておりますが、私はこれは去年、一昨年の制限の考え方とちつとも客観情勢の変化を容れないでそのまま踏襲されておる考え方であつて、非常に好ましくないと思うのであります。ということは去年、一昨年は熱源が足りなかつた、結局薪炭にしましても、石炭、或いはガス、その他いろいろな熱源が足りなかつたために、勢い国民生活上或いはこうした工場経営上電力を以て熱源としたのでありまして、これを全面的に抑えたならば、もはや、国民生活に相当大きな皺を寄せるという情勢になりますので、止むを得ず電気もどんな大きな家でも一戸一燈にして呉れという運動が起きたわけでありますけれども、今日の情勢におきましては、もう熱源はいくらでも他にあるわけであります。石炭も相当余つておりますし、あるわけでありますから、熱を全静電熱から正常な熱源に変えて行きまするならば、今の発生電力量を以ていたしまするならば、モーター用の電力、電燈用の電力を制限しないでも、十分に私はやつて行けると思うのであります。即ち移駐四年になりまして家庭用の電燈を節約するというようなことをしないでも十分やつて行けるわけでありまして、そういうような基本方針に立つてこの電力制限要綱ができていないということは、私は極めて不満であるわけであります。それでこれからの問題になりますので、政府としてはこの制限要綱の趣旨を根本的にお変えになつて、そうして国民にそういうような観点から電力制限に指導をされる、こういう用意がおありかどうか。その点伺いたいと思います。
  326. 稻垣平太郎

    ○国務大臣(稻垣平太郎君) この間閣議決定といたしまして出しました要綱というものは、それをそつくりそのまま直ちに全部一切適用するという意味でありませんで、ただこういうところのものを要綱として機に応じ変に臨んでやつて行こう、こういうことでありまして、今栗山さんの言われたいわゆる熱源の問題につきましても、私は甚だ同感なのであります。ただ同感でありますが、併しながらまだこの経験後に熱源として電気を使つた習慣も相当残つておることも……これは私は習慣と申しますが、習慣は相当残つておることも栗山さんは御承知通りでありまして、そういう必要な場合にはその点にも言及しなければならんということは、これも私は栗山さんのお認めになることだと思うのであります。全面的にそのままを適用するということではなくて、機に臨んで、今先のつまり夜間電力を杓子定規に解釈したというようなことのないように我々はやつて行かなければならん、かように考えております。
  327. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 この点は私非常に、十二月以後において必ず当面する重要な問題であり、且つ光と動力のみを確保する唯一の途と思いますので、これは希望として繰返してお願い申上げておきますが、緊急に当局においてそういうような新らしい構想に立つた措置を講じて頂きたい。こういう工合にお願いいたしておきます。  それから第三点は、まあ、いろいろな質問がございますけれども、ただもう一点だけ申上げますが、実は前国会において、通産省の中に電源開発部を議院修正で以て置くことに決定いたしまして、これは電源開発の仕事が非常に具体的になり、而も広汎に亘るというので、定員法の通過直前でございましたけれども、特に議員諸君の御理解によりまして電源開発部という独立機関が置かれたのであります。併し当時は国会のもう終末期にありまして、又特に人を減らすという、各省共同率に減らすというような基本的な考え方がありまして、開発部を置きましたけれども、これに対する具体的な定員の確保とか、或いは定員に対する予算措置とか、そういうものが全然できていなかつたわけであります。併し第五国会以後すでに電源開発部はいろいろ具体的な仕事に取掛かつておるわけでありまするが、現状までどういう具合に定員の問題、或いは予算措置の問題を取計らつて来たか、それから今後正式に定員の増加なり、或いは予算措置を採らなければならんが、そういうことに対してどういうお考を持つておるか、この点をお伺いいたします。
  328. 稻垣平太郎

    ○国務大臣(稻垣平太郎君) その問題につきましては、あれが国会の終りの間際で、定員法の変更なり、或いは予算措置の問題で実は触れなかつたことは今栗山さんの言われた通りであります。併しながらこの電源開発部が非常に必要であり、又人数も非常に少くないということも事実でありまして、最近は他の部課から手助けをさせておる、こういうわけでありますが、我々といたしましては、来年度予算におきましては人数もこれは資源庁内におけるやりくりによりまして、他の部で必要でなくなつた者を、例えば、石炭管理部あたり必要でなくなつた者もありますので、人類的、定員的に見まして、資源庁内の内部のやりくりはこれはできることに相成ります。そういう意味合でたしかこの開発部においては今の人数の倍ぐらいの程度になるように私予定をいたしておると思います。その点数字ははつきりいたしませんから、これは私の記憶で申上げておるわけでありまして、それに対する予算措置も来年度は採つてあるということを申上げておきたいと思います。
  329. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そうすると定員法を変更しないでも、電源開発部の運営に支障のないような人員措置予算措置が一応採れておると、こういう工合に了解してよろしうございますか。
  330. 稻垣平太郎

    ○国務大臣(稻垣平太郎君) さようでございます。
  331. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 次に安定本部の長官に伺います。去る十月三十一日の私の緊急質問に対して殆んどお答を頂いておりませんので、非常に重要な問題がありますから、それを含めて再質問の形でいたしたいと思います。  先ず第一に申上げたいことは、電力料金の更改が大体今年の四月一日から行われるというのが八月一日になるであろうと言つて延び、それが十月一日になるであろうと言つて延び、又十一月一日になるであろうと言つて延びたのが、未だにその姿を見せないわけでありますが、この見透し或いはその更改の幅というようなものについてお答を頂きたいと思います。
  332. 青木孝義

    ○国務大臣(青木孝義君) 只今栗山さんの御質問の要旨である電力料金の改訂の問題でありますが、これは仰しやる通り他の物価に比較いたしまして電力料金が安いということは我々も認めまして、本年四月以来これについていろいろ研究をして参りました。ところが最近に至りまして関係方面から一案が提示せられましたので、この案をあらゆる角度から検討をいたしまして、今折角検討中でございますが、今私共の予定しておりまするところでは、来月の十日頃になりますれば大体結論を見出すのではないかとこう信じている次第でございます。
  333. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そういたしますと、これに関連して今年の冬の電力事情の見透しを伺いたいのでありますが、三十一日の日に安本長官はこういうことを御答弁でおつしやつております。「電気料金の値上げが遅れているから、夏季の供給力については年度計画の四百六十五万トンに基いた計画といたしまして、冬期分の二百八十五万トンの石炭消費量を可能ならしめるような、これは今必要な資金処置を講ずる考えでございます」電気料金の値上が遅れているからということでございます。遅れたならばということでなく遅れているからということであります。まあ言葉尻を云々するわけでありませんが、御承知のように今までの電力料金制度によりますと、上期の豊水期に黒字を出しまして、そうして下期の赤字を埋めるというのがこれが常識でございました。併し今年は上期におきましても四月の適正料金というものが設定されなかつたために、殆どとんとんになつてつて余剰金は出ていないと思うのであります。私の調べましたところによりますと。従つて十月一日から直ちに料金の更改が行われましても、尚且つ下期の赤字を埋める方法はなかつたと思うのであります。ところがすでに十二月十日に今のお話で更改が行われるといたしましても、実際の收入の確保されますのは二ケ月遅れるわけでありますから、来年の二月十日頃になるわけであります。そうしますと、ここで半期の中で四ケ月間更に大きな赤字が出るということになりまして、このために恐らく私は日発或いは配電会社共火力発電用の石炭措置その他いろいろな点で大難航いたしまして、この赤字というもりは今度の若干の料金の値上げでは到底カバーできないような痛手を受けるのではないかと思うのでありますが、もう既に安本長官も三十一日の答弁で今読上げました通りに、必要な資金措置を講ずるということをはつきり明言されたわけでありますが、事ここに及んだわけでありますが、具体的にそういう点をどういう工合にお考えになつておるのか、一つ明確に伺いたいと思うのでございます。
  334. 青木孝義

    ○国務大臣(青木孝義君) 前に御答弁申上げましたように、繋ぎ資金等につきましては、固より我々も考えておるところでございます。詳細の点は政府委員からお答えいたします。
  335. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 繋ぎ資金というのはこれは建設資金のことでありまして、私の申上げたのはそれでなくて、運転資金の方の問題でございますから、一つ御混同なさらんようにお願いしたいと思います。
  336. 増岡尚士

    政府委員(増岡尚士君) お答えいたします。先程大臣から御答弁申上げましたように、電力料金の改訂が近々行われることに相成りますが、今度の料金制度は従来のものと相当様子が変つておりますが、その料金の改訂ができますれば、大体我々が第四四半期に供給できるであろうという想定をいたしましただけの供給力はできる、即ち所要の石炭は買うことができるように料金が値上げになるように計算をしておるわけであります。詳細の点については申上げませんけれども、料金の中で比較的安い、いわゆるベースになつている料金と包括的な火力料金とがありまして、火力料金を、相当な収入になりますと、大体必要な石炭を買つて、最初に想定したところの供給力を賄うという程度の収支が償うという関係になるような料金の改訂が行われると存ずるわけであります。従いまして大体二十四年度の収支決算においても、赤字を出さないように計算を立てたいということでやつております。今お話のようにさように収支計算が立ちましても、電力料金はあとで入ります関係上、取敢えず手許の資金が足らないというような事情がありました場合には、先程大臣がお話になりましたように、金融の途が当然講ぜられると、今までも銀行から石炭融資をやつたこともあるのでありますが、今回は料金が上ると收支が確実であるということが見透しが付きましたので、従来の場合よりも更に容易に繋ぎの運転資金を調達することができるだろうというふうに考えております。
  337. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そのお考は私はよく分るのですけれども、今度の料金の内容でなくて包括ベースから行きまして、値上げしても一ケ年間の計算になつておる、一ケ年間の收支計算になつておるわけでございますから、十月一日なら十月一日の期初めから向う一ケ年間において、丁度そういう收支計算ができるのでありますが、この下期という、渇水期という一つの限界がありまして、そうして四ケ月の、ここにエア・ポケツトができたということになりますから、仮に融資せられても、その赤字を電気事業というものは、ずつと恒久的に背負つて行かなければならんということでございまして、電気経理の安定ということは恐らく望むべくもないと私は思うのであります。従つてそういう見地からして、この赤字融資という問題が下期の中で僅か二ケ月残されたところで、石炭代の料金がどれだけ入るか分りませんが、そういう僅かなもので銀行の短期融資というものがずつと続けられるとは私は考えないのであります。この点は大分お見込違いがあるように思いますので、もう一度詳しくお聽かせ願いたいと思います。
  338. 増岡尚士

    政府委員(増岡尚士君) 二十四年度の收支計算として成立つように電力料金の改訂でこれから以降の石炭代を賄うという計算で電力料金を改訂いたしました。今のお話のように従来は改訂した時から一年という計算、大体そういう考え方でありますけれども、二十四年度を通じて收支が償い、又二十五年度一年として收支が償う、三月四日の間で一つ、きりを付けるという観点から、電力料金の中に所要の石炭代を加えるように計算をしたいというように考えております。
  339. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そうすると大体問題は明らかになりましたが、そうしますと今年の四月から十二月十日までの收支というものは完全にペイしておつたという論点に立つての御論議でございますか。
  340. 増岡尚士

    政府委員(増岡尚士君) 十二月十日までというふうにははつきり言えませんが、上期においては、大体において上期から下期に入りましても相当の間水が御承知のように出ておりましたから、そう赤字になつておらん、それから今度問題になるのは大体十月中頃から以降の石炭代の問題になりますが、その分については賄えることにいたしております。
  341. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それは上期は確かに赤字が出てもそう大したものじやなかつたと思います。十月、十一月、十二月、一月この四月間はどうしたつて料金が子を産んで来ないわけでありますから電気事業の年收入が仮に四百八十億まあ五百億近いわけですが、五百億としましても二百億の結局負担をここで持ち、二百億の收入が四ケ月間にあるわけでありますが、ここで相当の赤字が出るとなかなかカバーできないので、今仰せになつた形で簡単に私はどうしても行かないと思いますが、要するに今長官がおつしやつたように、簡單に資金の融資ができればいいのですけれども、こういう不健全な経営をやりますと、恐らく銀行は融資をしないと私は思うのです。それでいろいろ意見の相違がありますから、それを繰返している時間の余裕がないので、もう一つだけはつきり確認をしておきたいことは、今政府のおつしやつたことが仮に正しいと君は信用いたします。正しい場合に、正しかつた場合に、電気経理が非常に銀行から見まして不信用な状態になる。不安定な状態になつたときに、政府は必ず電気事業の赤字の補給金を出すということは恐らく望めませんでしようが、安定した短期融資を必ずさせると、こういう自信がおありになるのかどうか。この点を伺いたい。これは一つ大臣から聽きたい。
  342. 増岡尚士

    政府委員(増岡尚士君) 一応私からお答え申上げますが、先程来申上げましたように、数字の計算は料金の改訂の内容と関係がありますので、確実なところは申されませんけれども、大体收支に二十四年度内においては賄うという計算でおり、それが非常な間違がない限り行けるという見透しが付きさえすれば、銀行は大丈夫融資ができると思いますし、又非常な渇水等のために計画が間違つたというような場合でも、その損失が大したことでないということでありますれば、上期の收入ということも見合いまして、融資が可能であるというふうに私は考えておりますが、根本はやはりお話のように收支がどういうふうに出るかということに関わるのでありますから、尚十分に数字検討いたしまして。石炭代がどれだけ必要であるかということで計算し、それを見込んで十分安定した経営ができるように、今次の料金改訂においてはやつて行きたいという考です。
  343. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 では最後に、これは緊急停電に非常に関係のある問題で、この間の緊急質問の私の一番重要な質問点であつたわけでありますが、これに対してお答を全然頂いておりませんので、繰返して申上げます。  それは安定本部の電力計画というものが、これは安定本部から出されるいろいろな資料を御覧願えばすぐ分りますが、全部電力料の計算になつております。即ち仕事量の計算でありまして、仕事をするためには、やはり電力というパワーが要るためでありますが、パワーの方のフアクターというものに余り重要視せられていない。従つて安定本部でお作りになつた今年の冬の最大渇水期の二月の計画を見ましても、二月の平均電力、二月一杯の平均電力を基礎にして、そうしてその二月中の発生電力量がいろいろ計算されるわけでありますが、そういうようなものをベースにして不足電力を計算なさつておりますために、例えば、そういう工合で計算しますと、必要電力量が四百八十一万キロで、発生電力量が四百五十一万キロ、差引三十万キロの不足だとこういうようなことになつております。そのためにこういう平均電力で行つておりますから、火力発電で百四十八万キロも起るものに対しては、この計画では百二十三万キロしか起らないということになつております。これを電力というものはそう余るものではありませんので、二月平均して云々というわけには参りません。従つて月の内で大体五日間ぐらいの最大の出る日を取つて、それを平均した五日間最大ぐらいを元にして計算をして見ますと、所要電力が四百九十二万キロ、そうして発生電力が四百三十五万キロ、これは火力を百四十六万キロ出した場合でありますが、それで五十七キロの不足、平均電力量計画の場合の六・二%に対しまして、このときは一一・六%も不足するということになるわけであります。従つてこういうような考え方が起きて来た根本は、安定本部が電力の生産量を非常に気にせられまして、生産量だけ出せば工場は運転できる、生産は興る、こういうような考えの下に今まで進められて来た根本があるからであります。緊急停電をやり、電力制限をやれば生産が非常な阻害を来しますので、この弊はどうしても矯めなければならん、矯めるためには只今火力の運転を非常に能率的にやりまするために変動して行きまする労働に対して、ベース労働へ火力を入れて、そうして能率運転をなさつておりまするためにこういうことが起るわけであります。戦争前のいわゆる電力事業が国家管理になりまする前の状態におきましては、各業者は火力発電所を十二分に活用しまして、そうして尖頭負荷の調整、例えば三時間でありましようとも、四時間でありましようとも、冷えておる水に火を入れて、そうして蒸気を起して電気を送つてつたのであります。それがこういう国家管理になりましてからは、三時間四時間冷えた水に火を入れて電気を起すのでは能率が悪く、石炭の熱効率が下るというので、全く昔と違つた方法をお探りになつておりますために緊急停電が起きて来る、こういうようなことになるわけであります。従つて安定本部としては電力事情も或る程度安定して参りまして、それから火力の設備が相当復旧して参りましたので、こういう電力生産量一本槍の生産計画ではなくして、緊急停電を少しでも火力で補つてカバーして行くというような新らしい火力運転の方式に方針を転換なさる用意があるかどうか、この点を伺いたいのであります。去る三十一日の答弁では一番最後にこういうことをお仰つております。「電力及び電力量の計算についての研究がどうかということでありまするが、この点も尚、経済安定本部としては研究を進めて参りたいと存じます。」と言われてからもう大分経ちましたので、この点に或る程度研究を進めて頂いたことと思いますが、その点を一つ伺いたいと思います。
  344. 増岡尚士

    政府委員(増岡尚士君) 非常に專門的な御質問でありますので、便宜上私から御答え申上げますが、お話のように安定本部の割当は、従来電力量の割当をいたしておりまして電力の関係は少し疎かになつてつたために緊急制限が起きた、緊急遮断が起きたという事実は否めないと思います。従いまして最近閣議決定をお願いいたしました際にも、多少火力発電所の能力が悪くてもピーク時に運転をするという建前で、火力の運転を集中的にピーク時に行う、多少能率が悪くともやつて行くということを一つ項目に入れたわけでありますが、尚そういうことをやると同時に、やはり割当につきましても、電力量の割当でなくて、電力の割当をやらなければいけないのではないかということで、今お読み上げになりましたように、鋭意研究を進めておるのでありますが、只今までのところまだその細かいやり方については成案を得ておりません。ただ今度の電力料金の改訂におきましては、改訂の際に石炭費を織込む場合等については、專ら先程お話がありましたように、石炭の能率をよく焚くというだけでなくて、やはりピーク時に集中して行くというような点も織込みまして計算をいたして自然に、今お話があつたように昔火力発電所をピーク時にうまく運転したというような妙味がおのずから会社によつて行われるような方向に差向けたいというふうに考えます。  割当において電力を割当てるということは非常にむずかしいので、やはり今申しましたように会社において自主的にそういう方向に持つて行けるようなやり方に進めて行く方が更に合理的だというふうに考えますので、一方においては割当の方法考えますし、又一方においては電力料金の改訂の際にそういう点を織込んで処理したいというふうに考えております。
  345. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 今非常に重要なことをおつしやつたのですが、今度の料金によつて自主的に火力の非能率運転を妙味を持つてやれるような措置ができるとおつしやいましたが、これは非常に重要なお言葉だと思うのでありますが、私念のためにお聽きします。今度の料金の内容は私の伺うところによりますと、これによりまして地域的に相当大きな差ができます。例えば九州のような火力を主にしまして生産をやつております所では電力料金というものは相当高くなるわけであります。そういう所で更に高くなるわけでありますから、会社の妙味というものは関東地方のように実際に出て来ない、四苦八苦しなければならんと思います。石炭という固定した資源は、水力のように非常に不安定な、計画よりもぐつと水が出る時があるようなこういう妙味のある資源と違いまして固定しておりますから、非常に堅い経営をしなければならない。九州のような所では石炭が主でありますから、今度の料金制度によりまして非常に苦しい経営をしなければならない結果、火力発電所で非能率運転をやつて緊急停電を止めるという措置を採る余裕が出て来ないのであります。九州は非常に苦しい状態になると思いますが、そういう点で今おつしやつた点のもう少し具体的な裏附けを聽きたいことが一つ。  それから只今私の提案によりまして、火力の非能率の点も考えて行きたいということもおつしやつたのでありますが、今度更改になります料金制度は、只今の安本の電力需給計画をしてペースにしてお立てになつておるわけでありますから今度の今申上げたような方法で若しお立てになりまするならば、ここに今の料金制度では行けない大きな損失が出て来ると思うのであります。増田官房長官もこの前電力管理法を発動して緊急停電を止めるようにする、そのために出る損失は国家が補償するというようなことを記者団に発表しておりますが、従つて今申上げたような緊急停電を防止するための火力の非能率運転ということも敢えて敢行しよう、こういう案を出されますときには、今の料金制度では私はいけないと思う。今度更改されようとする料金制度でもいけないと思いますが、それで行こうとなさるならば、国家は相当な損失補償を事業者におやりにならなければ画龍点睛を欠くと思うのであります。それから特にそれは火力発電所を主とする九州、中国、北海道においては尚更のことであると思うのであります。その点を併せてお聽きしたいと思うのであります。
  346. 増岡尚士

    政府委員(増岡尚士君) 非能率運転によるコスト高ということにつきましては、料金の織込みの際に石炭の消費率その他について多少按配をしてやるということでよろしいのではないか、九州、中国等の地区についてはお話のように非常に石炭の問題が大事でありますので今申しましたような消費率について或る程度考えることによつて調整ができるのではないかというふうに考えます。それから割当と收支計算の関係でありますが、今度の電力料金の改訂に際しまして、先程もちよつと触れましたように、割当量というものはこれ以上使つてはいけないという性質とは多少変つて、割当になりまして電力料金の高い所と安い所の境を決める即ち割当の範囲内においては安い料金で、割当を超過した分については高い料金といつた割当の率になりますので、その割当を或る程度調整するということによつて電気事業者の收入というものはちよつと違つてくるわけであります。従いまして非常に水力ベースの少いところにおいては割当が可なり引込んだ割当になりまして、割当を超えた部分の收入が相当入るということで、なるべく然るべき收入が入つて收支のバランスが合うというような建前になつておりますので、割当を如何にするかということが非常に問題になつて来るのであります。それらの点についても尚いろいろ研究する余地がありますので、我々といたしましては、先程最初にお尋ねがありましたように、電力料金の改訂は非常に急いでやりたいというふうに考えておりますけれども、非常にむずかしいので取急いで研究をいたしておるわけであります。
  347. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 今の事業者は何とかやつて行かれるのでその所得は事業家に行くのでありますが、これは非常に重要なことで、九州の人が若しそういうことを聞かれるならば大変に了解しないと思うのであります。九州の方は火力地帯であるから火力で炊けるだけは非常に割高な料金を取るということになり、関東地方は相当水力の割合が多くて火力の料金の高い電力は少くて済みますから、これは非常に大きな不公平が起り、家庭生活だけでなくして、工場生活においても非常にアンバランスが起きます。政府としても公益事業であつて、営利事業でなおでありますから、需要者擁護の立場に立つて政策を立てて貰わなければ困る、事業者が潰れてしまつちや困りますから、事業者の擁護を要しますけれども、先ず第一にやらなければならんということは需要者の立場を飽くまでも考えて貰わなければならない。この問題は通常国会になつてからまた、委員会でもう少し專門的に細かくお聽きをすることといたしましてこの辺で止めますが、特に私がこの予算委員会でこういう発言を皆さんの迷惑に拘わらずいたしますことは、もうこれは十二月になれば緊急停電が来、制限が来ます。これを切抜ける道は私がお聽きいたしましたような要点を本気になつて考えて頂いて本気になつて打開して頂かなければ打開できないと思いますので、こういうことを申上げたわけであります。ですからどうか一つ積極的にお願をしたいと思います。
  348. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 私は地方自治体警察のあり方について関連していろいろ御質問したいと思うのでありますが、地方財政は特に町村財政は非常に困つておるので、その自治体の下にある警察はどこでも弱つておるので何とかこれを縮少して貰いたいというような要望もあるので、何か政府の方でも人数を減らすとか、或いは何か地方自治体を強化してそれに財源を与えようとか、いろいろ考えておるようでありまするが、或る場合にはこれを国家地方警察に、小さい所は、一万程度の人口の所は吸收したいという意向もあるやに承つておりますが、その点は近頃どうなつておりますか。一つ伺いたいと思います。
  349. 樋貝詮三

    ○国務大臣(樋貝詮三君) お答えいたします。ちようど地方が、かなり警察のためにその負担に悩んでおるようでありますから、私共の方におきましては、なるべく財政的措置なり或いは制度の上からもその負担を何とか軽減したいということを考えておりますのであります。実は今春からその計画をやつておりますけれども、まだいろいろな事情がありまして、提案して御審議を願うような段取りになつておりませんが、いろいろ考え研究しております次第でございます。
  350. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 それから、どうも地方の小都市においては特に、大体昔から警察というものは、天皇の警察で、天降り的なもので、どうも民衆諸君の警察というものに対する考え方がまだ足らない。この民主化された警察というものに対する考え方が足らないことも相当あると同時に、又警察官みずからも、こういつた天降り的な昔の古い気分を温存したがる傾向があるのでありまするが、こういう問題が、実は栃木県の石橋という町におきまして、公安委員が、署長がよろしくないからこれを罷免するという問題が起きたのであります。ところが、これは市町村警察署長は、條例に従つて市町村の公安委員会がこれを任命し、一定の事由によつて罷免することができるという警察法第四十七條があるにも拘らず、実際なかなかこれは罷免ができなかつた。そのできなかつた理由というものは、煎じ詰めればさような規定があるにも拘らず、その規定を細かく実行するところの懲戒條例とかというものの作り方が完全にできておらなかつたということなのであります。この問題は二三ケ月前に東京新聞も取扱つておりまするが、かようなことからして、その問題が非常にこじれてしまいましてその町民は非常に迷惑をしておるのであります。さようなことで、結局その警察の在り方というものよついては、人民もまだ昔の考えがあり又警察官諸君特にそういう專門家である警察官諸君が、昔の気持を非常に温存し、むしろ温存したがつておる、或いはしたいような傾向が非常に強いのでありまするが、こういうことに対して政府は一体どういう御指導を採つたか、適切なる手段を採つたかということをお尋ねします。
  351. 樋貝詮三

    ○国務大臣(樋貝詮三君) 今の警察制度を御承知のこととは思いますが、見て頂きたいのですが、全体日本国家の警察と、それから地方自治体の警察との二つに分れておりまして、農村や又中央におきましても、極く少数の範囲は国の警察であるけれども、大部分の都市等におきましては自治体警察が掌つておるわけであります。政府におきましては一般的な国の行政上いう立場からして監督して行くこととして、自治体警察にはあんまり構うことができない立場になつております。国の警察は元よりこの内閣総理大臣の所轄の下にあるわけですから、或る程度においてこれは入ることは事実ですけれども、もと政党の警察のようになつた、それを虞れるの余り政党入るべからずというような思想からして、余り政府においては警察に干渉するなかれというような考が多分に行われておりますようなわけで、従つて今のお話は自治体の警察だと思いますが、それに対しましては政府はまともには入れないような建前になつておりまして、いずれも公安委員に任すというような建前になつておりますけれども、局長会議、その他警察署長会議には、努めて私も自治体の方にも出ますようなわけで、その折に明るく併しながら力強くそうして民主的にやつて欲しいということはたびたび申しておるようなわけでありまして、又その程度以上に越えて余り政府が干渉的な立場になりますというと、今度はその点で又攻撃される慮れがありますので、遠慮はいたしておりますけれども、事実においては、再び従来の警察国にならないようにというようなことを考慮しているような次第であります。又国の方の警察につきましては、表向にそういうようなことを意味しているようなわけであります。
  352. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 政府は自治体警察には干渉をしないのだという御説明は、誠に結構だと思うのでありまするが、併しながら、一体そういう警察法とか、そういつたものは、やはりこれは国会で作つて政府がこれを執行するという立場であります。そういう際に、地方の警察の在り方、自治体警察の在り方というものに対して、もつと適切に指導しなければならんと私は思うのであります。そういう責任があるだろうと思うのです。栃木県ばかりでなく、多くの県において公安委員と警察官の関係、さような問題に対する、罷免條例とか任免條例とか、そういう細かいことなんか殆んどできていない。できていないために、警察法第四十七條によれば当然罷免さるべきものがされないと、そうしてごたごたを起して、一般町民或いは県民全体にいろいろな不愉快な感じを起しておる。これはやはり政府の怠慢だと私は思うのでありますが、どうでございますか。
  353. 樋貝詮三

    ○国務大臣(樋貝詮三君) 警察については、特別な條例を作つておるところもあります、自治体においては。それから一般の職員に適用されるような法文で支配しておるような所もあります、大体においては特別の條例を作つておる所が多いようでありますが、只今申上げるごとくに、政府において余り細かいことを申して行けば、干渉のような恰好になりますから、大体においては自由放任して置きます。ただそれを逸脱して、憲法や、その他国の警察や、或いは国家全体に影響を及ぼすような場合には、忠告を与えておりますようなわけで、政府の責任もまあいろいろありましようけれども、責任というよりかは、むしろその末端において喰違いがあれば、喰違いがあるぞということを言つた方がよいと思うような次第であります。
  354. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 まあその点は議論になりますから、それ以上は控えますが、その栃木県の石橋警察の問題に関連して、この問題がさような事態のために解決ができなかつたと、できないために長い間ごたごたしておるので、これを何とかしようというまあ善意であつたと思いますけれども、とにもかくにもこれに対して、国家地方警察の職員或いは他の自治体警察署長というものがこの問題に関与して、今度の選ばれるべき公安委員は、こういう諸君の容認できるところの公安委員を選んで貰わなければ困るという申合せをしておる。而も、それをちやんと先の公安委員その他と調印を取つてつておる事実があるのでございます。こういうことを見まするというと、今国務相が言われたように、余り政府は干渉しないのだ、国家警察と自治体警察を峻別して、そういう問題を避けたいという気持であるにも拘わらず、事実はさように国家警察関係の諸君がそういう問題に関与して、その地方自治体の小さな弱い……勿論強い自治体ならば必ずしもそういうものに屈服しないと思いますが、人口一万、二万の小さい自治体ではそういう官僚的な力に圧迫される。それで事実においてその官僚的な力がその町村の自治権を侵犯して、公安委員を選ぶときはこうふうにしろというようなことをやつておる。これは私共にどうしても納得できないのでありまして、この点は政府当局にも相当お考えをお願いしたいと思うのでございまするが、これに対して御意見を伺いたいと存じます。
  355. 樋貝詮三

    ○国務大臣(樋貝詮三君) 御承知のように一昨年の九月にマツクアーサー元帥から警察の根本組織に対する手紙が出まして、それに基いて昨年の三月からは新制度の警察に入つたわけであります。その新しい制度によりますというと、人口五千以上の而も市街地をなしておるところの都市等におきましては、すべて自治体警察を持たねばならんことになりました。自治体警察においてはその自治体の公安委員が署長を任命する。言い換えればその自治体警察の全部を任命する形になつておりまして、そのとき政府が任命するとか政府の委任を受けた者が任命するとかいうふうになつておりませんのです。それで政府としてその場合に任命するとか罷免するとかいうことにタツチすることはできない組織になつておりますので、従つて平常におきましても、私共がそのやり方が悪いとかよいとかいうことを言うこともできないような組織になつておりますので、その点について十分に、少くとも各地において悪いと考えているようなことを取除くことだけは認めて欲しいということを申しておるのでありますけれども、その方面におきましても今日までまだ返事を貰わない状態で、実はその点に私共困つておるようなわけであります。それで実は早くにいろいろの点についての御決議でも頂いて、それを改正して行きたいというような考を持ちましたのでありますけれども例の財政の方ではこの間来たドツジ氏あたりの結論を俟つてということになりまして、それでまあ御審議を願わない状態にありまするわけで、今お話の栃木県のことはどういうことか実は存じませんけれども、沢山同じようなことが日本にもあると思います。いろいろな陳情やなんかは私の手許にありますので、この次にはそれらの点を十分考慮に入れたい、改正の機会でもありますれば、そういうことを考慮に入れたいという考を持つております。
  356. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 警察法の四十七條では明らかに、公安委員会は市町村警察長を罷免することができるという大きな條文があるのだから、これは多少それに附随する條例が不確実なものであろうとも、この法令がある以上は、公安委員会が任命できる以上は、公安委員会が任命した署長である以上は、公安委員会は当然これを罷免できる。私はかように考えまするが、その点国務相の御意見を承りたいのであります。
  357. 樋貝詮三

    ○国務大臣(樋貝詮三君) 罷免権はやはり御説の通りあると思うのです。ただその場合に警察署長が公務を執つておればおのずから制限はあります。ありますけれども、罷めるについては、警察法の定めるところのその條件に従つてやらなければならんことでありますから、制限は受けますけれども、罷免権の根本は、今お説の通り公安委員が持つておると思います。
  358. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 それからもう一つ伺いたいのは、先程も申しました通り、その町民ならざる、又容赦すべからざる筋が町の自治体の行政であるところの、公安委員の任命に嘴を差挟んだ、たとえそれが善意にしろ、かようなことをしたということは、正しく申しますればそれはさような諸君が市町村の自治権を侵犯したものと思われるのでありますが、その点について国務相の御意見を聽きたいと思います。
  359. 樋貝詮三

    ○国務大臣(樋貝詮三君) 今の点についても、お説の通りだと思います。公安委員は、各自治体におきましても、御承知のごとくに予算権を持つておりません。従つて何らかの際、地方で公安委員が抑えられることは事実であります。事実上他のものが発言を逞しうして、そうして自分の意思通りに人を入れて行くということが、各地方に行われておるのが現状であります。それがひどい様子を現せば、刑事上の問題として、公務執行妨害というような形になりまするし、又そのためには、十分な証拠を挙げなければならない今日の制度になつておりますから、従つて実際にはそういうことは現れておりませんけれども、而もその裏に或る勢力家があつて、意思の欲するところに従つて人を任命させるというようなことになつて来る傾向があります。これは面白くないと思つております。
  360. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 ちよつとまだ……何というかぼやけておるので、もう一つちよつとお聽きしたいのですが、さような、地方自治権を侵犯したということは、国務相も侵犯したということをお認めになつたのでありまするが、さような際にこれを取締るところの立場にあるものは、その国家地方警察の諸君、或いは他の警察の諸君が、外の町村自治権を侵犯しておるということに対して、これを指導し取締るのは、国務相、或いは政府、或いは国家地方、何というか、警察隊長とかいうのが持つておるのか。どこにあるのか、お聽かせ頂きたい。
  361. 樋貝詮三

    ○国務大臣(樋貝詮三君) 私が申上げたのは、非常にひどい状態になつて十分に仕事ができなければ、そうして又自治体の警察から援助をいつて来れば、そうしますと国家の警察が活動することになるわけです。それの段階はどつちかといえば、地方で重要な関係に立ちますから、その場合においては公安委員を抑えるものは現在ではないのですから、従つて公安委員がしつかりしてくれなければ困るわけですが、予算権を全然持たない公安委員であるから、予算のときになるというと、警察予算でも市会議員なんかで削つてしまう憂いがあるのです。従つてそのものに努力が集まるというのが現在の状態なんです。そのことは関係方面にもよく耳に入れておるのですが、まだ納得してくれない状態であります。そういうふうなわけであります。
  362. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  363. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) それではこれで散会いたします。どうも有難うございました。    午後十時二十三分散会  出席者は左の通り。    委員長     黒川 武雄君    理事            内村 清次君            高橋  啓君            高橋龍太郎君            田村 文吉君            寺尾  博君            堀越 儀郎君            岩間 正男君            木村禧八郎君            岩男 仁藏君    委員            岩崎正三郎君            岡田 宗司君            木下 源吾君            栗山 良夫君            岡田喜久治君            城  義臣君            深水 六郎君            田口政五郎君            中川 幸平君            西川 昌夫君            西川甚五郎君            平岡 市三君            安達 良助君            岩木 哲夫君            小杉 繁安君            仲子  隆君            深川タマヱ君            藤森 眞治君            油井賢太郎君            飯田精太郎君            井上なつゑ君            尾崎 行輝君            西郷吉之助君            伊達源一郎君            玉置吉之丞君            藤野 繁雄君            帆足  計君            松村眞一郎君            池田 恒雄君            小川 友三君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君    農 林 大 臣 森 幸太郎君    通商産業大臣  稻垣平太郎君    運 輸 大 臣 大屋 晋三君    国 務 大 臣 青木 孝義君    国 務 大 臣 樋貝 詮三君   政府委員    大蔵事務官    (主計局長)  河野 一之君    厚生政務事官  矢野 酉雄君    運輸事務官    (海運局長)  岡田 修一君    運輸事務官    (鉄道監督局    長)      足羽 則之君    運輸事務官    (鉄道監督局国    有鉄道部財政課    長)      紙田千鶴雄君    経済安定事務官    (官房長)   平井富三郎君    経済安定事務官    (生産局長兼動    力局長)    増岡 尚十君   説明員    厚生事務官    (医務局次長) 久下 勝次君    厚生事務官    (薬務局長)  慶松 一郎君