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1949-11-27 第6回国会 参議院 予算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十七日(日曜 日)    午前十時四十六分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十四年度一般会計予算補正  (第一号)(内閣提出衆議院送  付) ○昭和二十四年度特別会計予算補正  (特第一号)(内閣提出衆議院送  付) ○昭和二十四年度政府関係機関予算補  正(機第一号)(内閣提出衆議院  送付) ○小委員会設置の件   —————————————
  2. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) これより委員会を開会いたします。  本日は大蔵大臣に対する質問を始めます。岩男委員
  3. 岩男仁藏

    岩男仁藏君 大蔵大臣一つ恩給の問題についてお尋ねをし、又御意見を聽きたいと思つております。  先日参議院の本会議仲子委員恩給に関する質問がありましたが、これに対する大蔵大臣の御答弁承わりました。大体政府のお考は分つておるのでありまするが、この機会に更に突込んで詳しいことをお聽きしたいと思うのであります。今度の補正予算には三万五千円ばかり追加されておりますが、これは先般の行政整理による退職金であるということを了解いたしておるのであります。一般恩給増額に関する予算は、二十五年度の本予算に計上される額は、約五十六億ですが、あの時分に予定されておるということを聞いておるのでありますが、この点は間違いございませんか。一応お聽きしたいと思います。
  4. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 来年度におきましては、いわゆる六・三ベースで支拂うことにいたします関係上、二十六七億円程本年度殖えたと考えております。
  5. 岩男仁藏

    岩男仁藏君 実は一昨年の国会恩給法特例に関する法律が通過いたしまして、そのときの増額の基準となるものは三千七百円ベースであつたと思うております。それが今度六千三百円ベースに切換えられる、これは至極御尤ものことと思うのでありますが、それによつて一昨年改正されました額に比べて凡そ何倍になりますか御答弁願いたいと思います。
  6. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 従来はベースの変るごとに恩給受給者計算をやつてつたのでありまするが、それが非常に内輪になつておりまして、ベースの改訂に順応して殖えて行つた事実がありますので、今回これを精査いたしまして、不当に引下げられないよう計算をやり変えたのでございます。従いまして相当来年度におきましては殖えて参ります。
  7. 岩男仁藏

    岩男仁藏君 もう一つお伺いしますが、この六千三百円の賃金ベースが、これが政府のお考では釘付けにするというお考でありますが、併し情勢の変化によりましては当然上げる時期が来るかと思うのであります。その場合に、賃金ベース上つた場合にはやはりスライドして恩給増額される御意思であるかどうか……
  8. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 賃金ベースに絶対にスライドするとも申上げられませんが、大体においてスライドするのが普通ではないかと思います。必ずしもそれによりますとは申上げられません。
  9. 岩男仁藏

    岩男仁藏君 更に突込んでお伺いしますが、実は大蔵大臣も御承知でありましようが、一昨日の参議院の本会議でありましたか、恩給法特例改正に関するところの請願が十六通程参議院の本会議で採択されまして、内閣にこれを送付することに決定いたしたのであります。これは旧恩給法による恩給受給者の本当の血の叫びであります。政府当局において、元の恩給法によつて恩給を受けておるところの彼らの生活状態一つ詳しく御承知を願つて置きたいと思うのであります。只今……只今とは申しません、最近この六千三百円ベースで退職しておるところの連中相当額貰つております。ところが古い恩給法によつて恩給貰つておる者は、一昨年の国会において通過いたしましたる特例によつて少々その率が上つて、その恩典に浴しておる。今度又それが約二倍程度に上るでありましよう。併し私をして言わせると、これは甚だしく均衡を失しておると思うのであります。恐らく最近の退職者のその恩給と比べて見て、少くとも、二倍ではない、三倍か三倍半程度に上げねばその均衡を失しておると考えておりますが、どういうふうな御見解を採つておられますか。
  10. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 先程お答え申上げましたように、従来ベースの変るごとにその調整が不十分であつたのであります。従いまして今回はそれを是正いたしまするから、お話ような結果になると思います。
  11. 岩男仁藏

    岩男仁藏君 具体的に一つ地方実情を申上げましよう。私の知つておる……私は大分県でありまするが、或る中くらいと申しましようか、余り大きい学校の校長でない、而も勤続年数もそう長くはなかつた。私あたりから考えますというと、大校長という部類には属せない、その某の一昨年辞めました恩給は八万円であります。当時退職金を三十数万円貰つておるのであります。ところが私の恩師、これは大分県でも有名な教育家でありますが、約五十年勤務いたして、そうして大分県では最高受給者という記録貰つておる男でありますが、その恩給たるや、一昨年の特例によつて是正するまでは月額千六百円これが是正によりまして二万四千円に上つた。今度の来年度大蔵大臣が予定されておりますところのその増額によりましても、凡そ二倍といたしますと四万八千円である。余りにもそこに懸隔があると私は考えておるのであります。又私が師事いたしました或る中等学校長、これは大分県で最高恩給貰つて勤続年数も一番高い。名前は遠慮いたしますが、これがもう二年ばかり病床に臥しております。ところがどうかというと、この先生の恩給も今申上げました人と大した違いはない。配給物も取れんのであります。無論医者には掛かりません。二年ばかり医者には掛からない。私はときどき病床見舞つて、何とか一つあなたの教え子が集まつて、医薬だけ事欠かないようにいたしましようと言うけれども、向うは遠慮する。生活保護法適用を受けたらどうか、武士は喰わねど高揚子だ、それはそうでしよう。さもあるべきことと私は思うておる。そういうふうで、実に最低生活ではない。想像以上のもう乞食生活をやつておるのであります。こういう現実の問題がここに現われておるのでありまするが、それかといつて、この人は病気だから百姓はできません。もう一人の四十年で二万四千円貰つておる人は、これは年はもう七十に近いんです。だから失業者の非常に氾濫しておるときにこれを採用する者はない。戰争前でありますと、こういう人は自分の家に相当土地を持つておるからして、入つて百姓をすればいい。ところが農地改革によつて不在地主のために野菜を作る一坪の土地もない。実に困つておる実情であります。こういうことを政府当局がよく御承知かどうか、御承知であれば、これについて、過日本会議仲子議員が言われたように、生活保護法適用を受けておるそういう者に比べて、尚遥かに給與が低いという現状でありまするからして、この点は一つ余程お考えを願つて善処するというふうにして頂きたい。大臣も御承知ように、実はこの連中思想がいいのであります。自由党のお方は、共産党が今日はおらんから申しますが、大層目の上の瘤のようにお嫌いになつておる。この連中共産党じやない。思想から言えば保守、あなた方のお考えと全然通ずるものがある、祖国再建のために非常にたのもしいところの存在だと、私はそう考えておる。又これを利用することが、彼らに不平不満を抱かせんということが祖国再建を促進する一つの原動力になると私は考えておる。こういう者のために一つ一掬の涙を注がれるように、そこにおられる増田官房長官は同情されておるそうでありますが、大蔵大臣においても余程認識を深められて善処され、よい政治をやられるよう一つ御考慮を願つて質問をいたします。
  12. 池田勇人

    ○国務大臣池田勇人君) 今大分県の教育者お話がありましたが、私の親戚にもそういう者がございまして、よく存じております。従いまして今回思い切つた恩給年金増額をいたしたいと思つております。
  13. 岡田宗司

    岡田宗司君 議事進行についてでありますが、本日の予算委員会衆議院予算通過後におきまして、正式にここに開催されることになつたのでありますが、極めて出席も少いのであります。本日の予算委員会運用につきまして、本朝未だ理事会も行われておらないよう状況でありまして、従つて先ず本日の予算委員会運用をどうするかということについて理事会の開催をお願いいたします。
  14. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) お答えいたします。かねがね理事各位と打合せまして、予算委員の数は多いのであります。各委員会もありますから、予算委員会におきましては質問者があり、答弁者がある場合には、数が少くても始めるというお申合せがございます。それに従つてつております。理事会は昨日開きました。あなたはお留守でありましたが、これについてさように決めました。そのお積りでどうぞ。
  15. 岡田宗司

    岡田宗司君 本日は運輸委員会があるだけであります。外に委員会はございません。委員がダブつておるということもないのであります。野党側理事も今日はまだ見えておらんのであります。もう一度改めて理事会を開催して頂きたい。    〔「その必要なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 如何でございましようか。    〔「その必要なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 岡田宗司

    岡田宗司君 その必要なしということであれば、国会法に基いて……
  18. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 今申上げましたように、かねがねずつとそのようなつもりでやつて来ております。昨日も社会党に伺つて皆さんの御了解を得たつもりでおります。
  19. 岡田宗司

    岡田宗司君 併しこれは国会法によれば半数になつておらなければなりませんので、(「了解済みだ」)と呼ぶ者あり)併し了解済みでは済まん。それは一つ理事会を開いて……
  20. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) ちよつと速記を止めて下さい。    午前十時五十八分速記中止    ——————————    午前十一時十五分速記開始
  21. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) それではこれから再開いたします。
  22. 池田恒雄

    池田恒雄君 委員長に対する質問があります。私達は定足数が足りるとか足らないとかいうことを、けちけちものをいうのじやないのでございますがね。大体今までの予算委員会運用習慣から、少し頭をひねる点がございます。土台、日曜日は委員会を開くということは予算案を強引に、大した審議もしないで上げてしまおうということを意味するのですね。今までの習慣はそうなんです。
  23. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 従来はね。
  24. 池田恒雄

    池田恒雄君 それで今回もこういうふうに日曜日にやるということになるわけなんです。そうすると今までの習慣がついておりますですから、又やるのだなと、こういうふうに我々は考えるのです。そこでそれを私達は問題にするわけです。今までの習慣を見ましても、衆議院予算上つてしまうと、参議院における、まあ委員長のいろいろな御努力というのか知らんが、或いは策動というかもしれませんが、何かこう上げよう、上げようとする取計らいがありまして、十分に審議を盡して何時までに終らねばならんとか、或いは何分ずつに発言一つつて貰いたいというふうな、そういうことを今までやつて来たわけです。政府大官諸公も極めて答弁には不親切であつたわけです。それを今非常に警戒するわけです。今度の予算審議余りつておらないわけなんです。それで私は大臣一人委員一人で質疑応答をするようなことがあつても、全然これは問題じやないと思うのです。やはりそうしてやつて行くのがいいと思うのですが、併しそれは予算を詳しく審議するためにその方が能率的でいいと、こういう所から来ると思う。ところが今までは定員数が少くなるということは問題にしないでやつて来ましたが、併しまだそういう意味合における詳しい審議というものはなされておらないのです。これは、本会議における財政方針演説と、それに対する質問という質疑応答も、それからこの委員会における質疑応答も、大体同じようなもでのあつて、大体政府説明は、またこの予算書、これ以上に詳しい説明はなされておらないのです。例を挙げるならば、公共事業費というものがここに出ておりますが、公共事業費がどういうふうにいろんな事業計画的に使われて行くかという資料説明もまだできておらないのであります、それから先日、これはボックスの中に安本の方から農業の五ヶ年計画か何か、そういうものが配付されておるんですが、我々は安本当局から、まだその五ヶ年計画というそういう大きい国策については方針も聞いておらないわけなんです。そういうふうに考えますと、これは例を挙げたんでありますが、本会議なら別としまして、予算委員会であるならば、我々委員はやはり或る程度具体的にどこの土木事業に対してどういうふうになるのかというようなことぐらいまでは、一応知らなければ、審議したということにはならないと思うのです。ただ大雑把に政府予算方針を批判したというだけでは、それはものにならないと思う。それから今度の問題なんかじや、いわゆる薪炭特別会計なんというものも、これは大問題になつておるわけです。世の中のまあ注目を浴びておるわけですね、これにつきましても、これに繰入れるということは、これに書いておりますから分つておりますが、その経過等については、やはり相当詳しく説明されて然るべきものだと思うんです。これだけでも相当の時間を要するものだと、こう思うんですね。だがそれも特に説明もなければ、これは何も大臣がここで喋る必要もないわけでありまして、文書で出してもいいのです。それが国会は一ヶ月も開かれておるのですから、今までそういうことがなされておるとするならばそれでいいのですけれども、なされておらないわけです。そしてもう会期が迫つて来た。衆議院の方は予算上つてしまつた。こういうことになるわけです。そういうことは参議院予算委員会の方でうやむやにしてしまつて、兎に角何日までと要領よく政府或いは與党人達が時を巧みに稼いで、ぱつと上げてしまえばいいのだというよう運用をされるというと甚だこれは困ると、こう考えるわけです。それで私は問題にしておるわけですが、一体これは政府がどうこうするというものではなくて、委員長予算審議方針に関わるものです。又委員長及び理事各位態度に係るのです。それは政府側の、或いは衆議院側の圧力というものに何ら支配される必要はないと思う。それで私は今度も今までの例のように、まあ衆議院上つてしまつたのだから、参議院の方の権限は大してないのだという、まあやつてしまつたらいいのだというような、そういう意味かどうか知りませんが、私達はそういうふうに感じておつたのです。またそういうふうに感じられるような御方針をお採りになるのか、参議院予算委員会及び委員長理事等が、もつと権威を持つて愼重審議を今度ともやつて行くのか。つまり残されている審議らして審議を今後ともやるのかどうか、こういうことを私はお伺いしたいと思うのです。そうであるならば委員もダブつていることであるし、いろいろこれは忙しいことであるし、大臣にしてもやはりいろいろな仕事を持つておるのでありますから、そういうときにおるとかおらないとか、足るとか足らないとかということを特に問題にしたいとは思わない。そういうことも、私はこの際衆議院の方がもう上つてしまつて政府の方の人々は喜んでおられるのでありますから、そういうことに支配されておやりになるのかどうかということをお説明願いたいと思います。
  25. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) お答えいたします。委員長は決して急いでも何にもしておりません。上げさえすればよいというようなことはございません。あなたの御気持通り愼重審議いたしますために、今日日曜にも開いた次第でございまして、できるだけは御期待に副うようにいたしたいと思います。この辺で一つ御勘弁して頂きます。
  26. 池田恒雄

    池田恒雄君 もう一つですが、この前の予算では相当長い会期が続いたわけです。併しながら実際においては、最後の土壇場において大分質問する人も残つていたし……
  27. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) いや残つておらないです。
  28. 池田恒雄

    池田恒雄君 まあまあくらいのところでやつてしまつた経験は御記憶だろうと思います。
  29. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 質問は残つておりません。殆んど済みました。
  30. 池田恒雄

    池田恒雄君 いやそんなことはありません。
  31. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) いや記録があります。
  32. 池田恒雄

    池田恒雄君 いや相当な人が五分間くらいで我慢してくれというようなことは、つい最近の経験にあると思うのです。
  33. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) いやよく分りました。
  34. 池田恒雄

    池田恒雄君 そういうことを以て審議した、こうお考えになるわけですか。
  35. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) いや十分にこれから審議するのですから……
  36. 池田恒雄

    池田恒雄君 そういうことを繰返さないわけですね。
  37. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) よろしいですか。貴重なる時間ですから。(「議事進行」と呼ぶ者あり)
  38. 岡田宗司

    岡田宗司君 ちよつと一分ですから……
  39. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 一分……岡田君。
  40. 岡田宗司

    岡田宗司君 予算委員会が開かれましてから私共は、最初の頃政府に向いまして相当いろいろな資料要求しておつたのであります。ところが極めて僅かな資料配付されただけで、重要な資料というとまだ配付になつていないものが非常に多いのです。例えば、私が要求いたしました価格調整費の廃止によりましてそれが物価にどれくらい響くか、更にそれが又生計費の上にどれくらい響くかというようなことについての資料を求めたのでありますが、そういうものも全然配付されておらない。こういうよう状況でございます。資料配付の仕方が非常に少いということは、これは政府予算審議に対して非常に怠慢である、こう言わざるを得ないのです。その点について私は委員長並びに政府の、官房長官の御意見を伺いたいと思います。
  41. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 委員長としては政府からの資料提出要求しております。官房長官のもとに政府からの資料提出要求しております。
  42. 増田甲子七

    國務大臣増田甲子七君) 岡田さんの御質疑にお答え申上げます。政府といたしましては、委員皆さん要求にかかる資料はできるだけ早く、すでに整つておるものは即座にでも提出し、又整つていないものは速かに調製して提出いたすように、各閣僚とも心がけておりますが、御要望の点につきまして、まだ提出しておりませんでしたら、至急取急ぎまして御要望に応えるようにいたしたい、こう思つております。
  43. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 簡單に……
  44. 岩間正男

    岩間正男君 先程の理事会では、登院数定足数に達しておる、従つて又努力している、そういうような方向に向つて行きたいというよう委員長発言でありましたが、登院数はどうなんですか。これは事務の方でよく調べて頂いて、やはり本審査になつていますから、今後の慣例もあるので、委員長ははつきりした態度を採られることが望ましい。我々は日曜でもこうして出て来ておるのでありますから、正確な議事の運営を私は切望するのです。その点如何ですか。
  45. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 先程も申上げた通りに、登院数ということは言つておりませんが、定足数については殆んどあと一人か二人のところです。今委員部でも調べております。
  46. 岩間正男

    岩間正男君 その方は具体的に取つて貰いたい。
  47. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 取ります。高橋委員
  48. 高橋啓

    高橋啓君 大蔵大臣にお尋ねいたしたいと思います。煙草民営の問題ですが、増田官房長官通常国会民営案提出するというようなことを言明したように新聞で拝見しております。同じようなことを大蔵大臣からも伺つたように覚えておるのでありますが、そこで今の経営方式民営に移すという結論に達するまでの根拠がどこにあるかという、主なる点についてお伺いしたいと思います。
  49. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 煙草專売制度につきまして民営論が起つておるのでありますが、私は成るべく官業を民業に移すことが、能率から申しましても適当であるという考えを持つておるのであります。併しこれを如何なる形式でいつやるかということにつきましては愼重考慮を要する問題でありますので、先般来臨時專売制度調査会を設けまして、各界の有識者を集めまして種々検討いたしておるのでありますが、まだ結論があつたと聞いておりません。その結論を聞きましてから後に、大蔵大臣といたしまして善処したいと思うのです。従いましていつその案ができるか、今まで申したこともございませんし、又予想もつきません。
  50. 高橋啓

    高橋啓君 政府は実際に執行責任を執らなければならん立場において、そのような、政党の政策といつたような、漠とした方針政府当局において発表するということは、民間に対する大きな影響を及ぼすことがあると思うのでありますが、私共は少くとも政府当局がこれをやると言つた場合には、そこに必要なる諸条件をはつきり掴んで置いてやるべきだと思うのであります。これが一たび政府から発表されたときに、民間人達がどんなふうに騒いでおるかということは御承知のことと思います。御承知通り耕作者は六十万に及んでおるということでありまして、而もこの耕作しておる種類は、二十種ばかりは全部在来の日本種類でありまして、米国種というのは二種か三種しかない。こういう状況において今までどういうふうにして調和しておつたかというと、やはり官営においてやつてつたからそれらのいろいろな品質の良い悪いというものを調和してやつてつた。ところが今度民営に移した場合にどうなるかということについてはいろいろな考えから危惧を持つておるのでありまして、この六十万並びにその家族を合せた何百万というものの生活に非常な大きな関係を持つておるのでありますから、單なる、そのような将来官営民営にすることがいい傾向だといつたようなことで、直接執行責任を持つておる政府が言うことについては、私は非常な大きな責任を負わなければならんとこう思うのであります。そうして臨時專売制度調査会といつたようなものはどういうものでありますか、それはどういうような構成で、どういうような、その結論というものは政府の施策を実行するに当つて影響を持つのか、これ又お伺いいたしたいのであります。
  51. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 政府のやりますることにつきましては一応問題を出して、そうしてその民間有識者の意向を十分に採上げて実行するのが適当と考えるのであります。臨時專売制度調査会におきましては事業家も入つておりまするし、又煙草耕作者も入つておられます。今まで專売事業に直接携わつておられた方々も入つておられます。いわゆる煙草に関する。まあ私といたしましては現在日本におきます一番のエキスパートという方々にお願いいたしまして、審議を続けて行つておるわけであります。
  52. 高橋啓

    高橋啓君 それでは、まだ全然そういうような、民営に移すためにいろいろの利益といつたようなことについては何らの確信を持つておられないで、ただこれを民営に移すについてはどういうことになるかといつたようなことは研究中であるということで、政府の御答弁考えてよろしうございますか。
  53. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 私は煙草專売の問題につきまして臨時專売制度調査会に対しましての諮問は、民営にすることが良いか悪いか、若し民営にした場合においてどういうふうな形式を取つて行くべきかということを諮問いたしておるのであります。何も民営に移しまする具体的の法的措置は何も取つておりません。
  54. 高橋啓

    高橋啓君 官房長官おられますか。    〔岡田宗司君「出席要求」と述ぶ〕
  55. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 私は過賦納金の拂戻しについてお伺いいたしたいと思うのであります。税金拂戻しに必要な経費として補正予算に五億円余りを計上してあるのでありますが、過賦納金が幾らあるか。その金額もお伺いしたいのであります。
  56. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) お答え申上げます。当初予算で多分七億円程度の金を見込んでおつたのであります。その後の過賦納状況を見まして、今国会において御審議を願つております金額程度を必要といたしますので、補正予算で提案した次第であります。
  57. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 過賦納の税金は判明次第直ちに拂戻すのが適当であると考えるのでありますが、現在の実際の状況を調査して見まするというと、いろいろの手続を要しまして、年度内に拂戻すことは殆んどないというよう状態であるのでありますが、拂戻しの状況はどういうふうな状況であるか、承りたいと思うのであります。
  58. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 過賦納ということが決まりましたら早急に支拂うように指令いたしております。
  59. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 大蔵大臣は分つたならば直ちに拂戻すと今お話になつたのでありますが、私の知つておる範囲内においては、殆んど拂戻しがしてないのであります。それは金がないから拂戻さないということもあるのでありますが、一旦国民から税金は取つておるのであるから、取つておるところの税金を金がないから拂戻せないということは絶対にあるべきことではないと思うのであります。若し過賦納ということが分つていても予算がないからといつて、一旦国民から取つたところの税金を国家は持ちながら拂戻さないのであるか、この点をお伺いしたいのであります。
  60. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 過賦納が分りましたら直ちに拂うようにいたします。今年度只今のところでは当初の七億円では不足する見込みが立ちましたので、補正予算でお願いいたしておる次第であります。
  61. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 政府は滞納に対しては金利を付けて徴収されるのでありますから、過賦納に対しても利息を付けられるのが当然と考えられるのであります。又規則によつて見まするというと利息を付けることになつておるのであります。然るにこれ又私の知る範囲においては殆んど正当の利息を付けて拂つていないのであります。政府は若し利息を付けて拂つた事実があつたならばお示しを願いたいと思うのであります。
  62. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 昨年から過賦納の拂戻しの分には日歩十銭の利子を付けて返すことになつております。具体的の問題は政府委員からお答えいたします。
  63. 忠佐市

    政府委員(忠佐市君) 昨年の七月の税制改正におきまして還付加算金という制度を設けまして、日歩十銭の利子に相当する金額を付けてお返しをする、その方が過賦納金の拂戻しを促進する上においても亦効果がある、かよう考えて実行に移しておる次第でありまして、過賦納金につきましてはできるだけ早く返すということを只今努力しておる次第であります。
  64. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 若し今日歩十銭の金利を付けて拂うということでありましたならば、その金利は過賦納者から請求しなくては拂わないのであるか、政府みずからが拂うのであるか、その点をお伺いしたいのであります。
  65. 忠佐市

    政府委員(忠佐市君) 過賦納を返しまする場合には、法律上当然返す、かような建前になつております。
  66. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 過賦納を当然拂戻すということであつたならば、若し拂わないところのものがあるということが事実分つたならば、その際においてはどう取扱われるのであるか、お伺いしたいのであります。
  67. 忠佐市

    政府委員(忠佐市君) 建前といたしますれば法律上当然に返すということでございまするが、実行上といたしましては結局は納税者から請求がありまして始めてお返しをする、こういうことが大多数であると思われます。納税者がその事実を知りまして請求いたしませんでした場合に、権利の上に眠る、かよう関係が法律的に問題になるかと思いますのですが、大体は納税者から請求がありまして、請求された税金を返す場合に利子を付けて返す、かようなことに相或ると思います。
  68. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 現在の過賦納金の取扱の実情を申上げてみますというと、現金で請求してでも殆んど一ヶ年か二ヶ年掛からなくては拂戻されないというよう状況であるのであります。従つて賦納金を納税者が受取るためには、次の税金から差引計算をして現在受取つておるよう状況なんであります。でありますから、その際においては前に納めたところの税金と後に納めるところの税金との差引計算で受けておるのでありますから、利息は計算してないのであります。そういうような場合には、殆んど政府は利息は支拂わないというのが現在の状況なんであります。そういうようなことは、税務署におつて過納ということが分つておるのだから、政府みずからが進んで過賦納金は拂うことは当然の義務であると思うのでありますが、それでも納税者から請求せなくちやできないのであるか。その点のお伺いしたいのであります。
  69. 忠佐市

    政府委員(忠佐市君) 只今お話のありました、前に納め過ぎになりました税金を後の税金に充当する。かような場合の加算還付金の取扱につきましては多少徹底を欠いておりまして、その場合には利子を付けないという取扱をしたという税務署があろうかと思いますが、この点につきましては、只今国税庁におきまして解釈を一定いたしておると考えまするが、後から国税庁の方からお答え申上げたいと考えます。
  70. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 今私が申上げたようなことは事実であります。でありますから、政府においては、国税庁の方で方針を決定したということだつたら、納税者から請求をせなくても政府みずからが進んで支拂うよう一つ取計らいを願いたいと思うのであります。  次にシャウプ勧告案によりますというと、補助金の取扱について、今回変つておるような気がするのであります。第一には、金額補助金は全廃すべきである。二番目に、一部補助金の総額は削減さるべきである。かかる納税活動に対する国家の援助は平衡交付金によつて與えらるべきものである。三番目に、奨励金的一部補助金は存続せらるべきものである。こういうふうになつておるのでありますが、ここで私がお伺いしたいのは、こういうふうなことになつて参りますというと、従来の補助金制度は、平衡交付金の創設によつて全面的に変るんではなかろうかと思うのであります。でありますから、補助金制度が平衡交付金によつて変るとしたならば、どんなものがどういうふうに変るのであるかという主要費目ごとに従来の補助金との関係を新旧対照して表を作つてお示しを願いたいと思うのであります。それは補助金の費目、従来の金額、編成替えになつた場合の国費と平衡交付金の補助金との割合、こういうふうなものを後でよろしゆうございますから、各費目ごとに一覧表を作つてお示しをお願いしたいと思うのであります。これで質問を終ります。
  71. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 財政平衡資金につきましては、来年度予算の重要な部分でございますので、只今検討を重ねております。来る国会に二十五年度の予算案を出しますときに御説明いたしたいと思います。
  72. 田村文吉

    ○田村文吉君 大蔵大臣にお尋ねいたしたいのでありますが、第一に明年一月一日から地方税である入場税、その他のものが率が下ります。その結果まだ新しい平衡交付金の制度は無論ありませんが、予算には九十億円の地方配付税の増加が見てあるのでありますが、それはそれに対する費用を見込んでの九十億でありましようかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  73. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) お答え申上げます。地方財政の方は私の所管ではございません。ただ先般来入場税の率を引下げる、不動産取得税を廃止する、こういう考の下に話合いをしておつたようでございまするが、結果はできなくなつたんじやない、やはり来年の四月からそういう方法を採るのではないかということを聞いておるのであります。従いまして九十億円の配付金の中にはそういうことを考えておりません。
  74. 田村文吉

    ○田村文吉君 次に伺いますが、先般本会議でもお尋ねいたしました問題でありますが、産業資金が非常に枯渇し状態にありますので、これに対して政府はどういうふうな御方針をお採りになるかということをお尋ねいたしましたのでありますが、それに対しましてできるだけ産業家は自己資金によつてこれを賄うよう方針を採るべきである。又日銀の発行額は、決して政府としては或る限度で止めようというようなことは、この年末に対して考えておらんのである。必要あればどんどん増加するだろう、するかも知れん、併し自分は余り増加しない考であるが、決してそれはチェックしてない、こういうようお話であつたのでありますが、実際産業資金が非常に枯渇しておりまするということを、私ははつきりとこの際申上げたのでありますが、これは一つの会社の例でございまするが、戰争前において資本念千五百万円の会社で、流動資金が約五百万円あればよくて、月の売上高は約百五十万円、こういうものが今日どうなつておるかと申しますと、資本金が自己資金によりまして千五百万円が一億に増加した。月の売上高は二億円、約百三十三億ぐらいに増加した、ところで、これに対する流動資金は六億六千五百万円の金がないと実は廻つて行かんのであります。併しいろいろ昨今の状況でありまするから、手形の融通をいたしましたり、又手持ちをできるだけ極度に切り詰めるような方策を採りまして、大体まあ三億程度で実は賄わざるを得ないようなふうになつておるのでありますが、ここに実は非常に無理がありまして、今のよう状況でありますると、今まで貸しておりましたものも間もなくに帰つておりました金も、昨今の状況ですと、先が支拂をして来ないというようなことになりまして、そこに非常に資金の窮屈を感じておるのであります。そこでこの間大蔵大臣が言われましたように、できるだけ資本金を増加して、又社債を発行してやつたらいいではないか、こういうことでありますが、何分千五百万のものが一億円に増資したということでもかなりに急激に増加しておるのでありまして、尚この上に二億、四億と殖やして参るということは、なかなか実際上容易にできない。殊に昨今の証券界の状況は御承知通りでありまするが、我我が見て非常に値打があると考えるものが拂込み以下の値段しかしていない。こういうようなことでありますと、到底なかなか増資というようなことは困難である。又社債にいたしましても、さような会社に対してはなかなか流通の途が困難である。こういうよう状況下にありますので、このような推移で参りますというと、今横這い状況下にありまする生産が逆に転落するような虞れが出て来るのではないか、こういうような心配があるのであります。そこで私は、もう少しこの産業資金に対しまして何とか工夫して、これに融通する方法を考えて頂くべきではないか、こう考えるのでありますが、この流動資金の非常な尨大な増加というものに対すること自体がすでにそういうよう実情でありますが、況んや設備を改善いたし、いわゆる真の合理化に移ろうといたしまする長期的の金融に相成りますると、これは昨今興業銀行に一手にお任せになる大体の方針でありますが、大体市中銀行も無論かような長期金融を原則とはしない筈でありますが、しておるのであります。又これがしておらなかつたならば事業界は廻らないのであります。ただいわゆる市中は商業銀行でありますから、どうもこれは銀行の考え方と産業家の考え方がそこに一致しないのでありまして、長期な金融として当分借りたつもりでございますものが、金が詰つて参りますとこの回收を求められるというようなことになり勝でありますので、どうしても長期の金融の途を立てなければならんのでありますが、興業銀行一銀行であり、あと中小関係の商工金融金庫、農林中央金庫等ございますけれども、かようでありますと、いわゆる長期の産業金融は興業銀行一人では、いわゆる独占みたいな形でございますので、恰もこの前やられました復金と同じようなことになる虞れが多分にあるのでありますので、これはどうしても日銀から産業資金として、産業の長期金融として市中の銀行を通じて特に金融を廻してやるということが将来とも必要でありまするが、今日としては最も適切にその必要が認められておるのではないかと考える次第であります。先般お話のあつたような自己資金というものがそう容易にはできないような今日の情勢下にあるということをお考え頂きまして、これに対する何らかの方法で応急に手をお打ち頂く必要があるのではないかと考えるのであります。尚私は参考までに申上げまするが、興業銀行、これは私は興業銀行にお世話になつておりまするが、別にどうこうと何もあるわけではありませんが、私が曾て大震災のあとに、興業銀行に金の融資を頼みます場合に、それは六十万円の金を借りるのに、私は二十五遍銀行に通つたのであります。そういうことをいたしまして漸く六十四万金の融通を受けたのでありますが、私の友人は、お前は余りに馬鹿正直だ、これが政治的に働いて行けば、一日のうちに百万円の金は借りられる、要するにお前は馬鹿正直だ。こういうことを言われましたので、今日はその当時の調査官をしておつた懇意な方と相顧みて笑つておるのでありますが、かようなことが、今のただ一つの銀行で独占されてやるということになると起り勝になります。殊にこれが政治的なインフルエンスすら及ぼすような場合がないとも言えないのであります。でありますからこの点からしましても、どうしても今後の産業開発のためにはさような市中銀行からの長期金融を日銀から特別な融資によつて賄うような方法をなさるべき必要が絶対にあるのではないか。こう考えるのであります。大蔵大臣の御所見を承りたい。
  75. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) お答え申上げます。衆議院での予算審議におきましても、今の経済界の状況に鑑みまして金融問題が相当論議の的になつたのであります。只今の産業資金の状況を見ますと、大体第一第二四半期を通じまして、産業資金として出ました金額は二千五百億円余りであります。昨年度はこれは千七百億であつたのであります。この産業資金の増加は、御承知通りにこの五月以来預金の増加が非常に予想以上の出て来て、ときに三百億以上の増加に相成つた、こういう結果から相当資金は出ているのであります。二千五百億円の産業資金の中、長期資金、設備資金に相当するものは大体四百億円でございます。昨年度は同じ第一、第二四半期に四百二十億円ばかりであつたと記憶いたしております。昨年は一年全体で設備資金と申しまするか、いわゆる長期資金なるものが千億円程度でございます。この中六百八十億円というものは復金である。殆んど過半というものを昨年は復金で賄つた。今年は復金からは貸出は一切しないで、何とかして設備資金を融通するように努力して参つているのであります。非常に設備資金が枯渇しているという何があるのでありますが、大体今年度の第一、第二四半期に昨年と同じ程度までに復金なしで行つておるのであります。大体四百億円の設備長期資金はどういうふうにして調達したかと申しますると、主として増資或いは社債という方面に力を向けているのであります。御承知通り上半期におきましては、増資は四百二十億の増資であります。社債の発行も七十数億円になつております。その中から増資の方の部分は相当部分が銀行の借入れの弁済になつているのであります。大体百二三十億が設備費であります。社債の方は殆んどこれを使用しているという状況であるわけであります。一般銀行からの長期資金につきましては、これは日銀の斡旋という形でやはり行つておるのであります。こういう状況で、十分ではないのでありまするが、今までのように復金に頼ることなしに、普通のやり方で相当の実績を現したのでありますが、まだこれは足りません。まだ足りませんので、出遅れておりますところの見返資金をこれから活用して行つて、大体私は今年度内、来年の三月までに二百億乃至三百億程度の見返資金が出て行くことを期待しておるのであります。この期待は大体当る自信があるのであります。そういうことで設備資金の方を賄いますと同時に、一般運転資金の方は、二千五百億円から四百億円を引きました二千百億円という運転資金になります。昨年は千七百億円から四百二十億円引きました大体千二百億円、その千二百億円が二千百億円になつて運転資金は相当に出ているのであります。併し何と申しましても、産業の復興を図りますためには、どうしても金融につきまして、万全の措置を採らなければならんことは御承知通りでありまして、今後の金融政策といたしましては、先程財政演説で申上げましたように、設備資金の方が興銀を中心としている。そうして興銀の状況を申しますと、さきの国会で御審議を願いました五億の出資を十億にいたしまして、二十倍の社債発行にいたしました。四月から只今までに、大体九十億円ばかりの興業債券の発行があり、これを主として産業資金の方へ出しており、九月から十月、十一月大体二十億程度の興業債券を売り出すということになつております。そうして長期の資金に対して、何分にもこれだけでは足りませんので、農林中金、或いは商工中金の増資、並びに債券発行の限定を殖やしまして、そうしてこれに当てようとしておるのであります。今国会にも農林中金、商工中金等の増資、発行限定の拡張法案を出すべく関係方面と折衝しておるのでありますが、遺憾ながら間に合わないのであります。それは農林中金が、四億の出資を八億にして、二十倍の発行限定を設ける場合におきましては、農林中金の資産の内容、その他に十分の検討を加える必要がある。こう考えましたので、只今農林中金の資産内容、営業状態を洗つております。検査しております。そうしてその検査が済みましてから、適当な方法で行こうといたしておるのであります。本国会には間に合わないと思いまするが、来る国会には出す方針であります。もう検査の終り次第に法案を出しまして、そうして農林中金から中小企業、農林、水産方面への設備資金を出すような方法で行きたいと思つております。商工中金につきましては、一応の話はまとまつておるのでありますが、商工中金の方も農林中金と同じように今の一億五千万円を五億なり三億に増資いたしまして、二十倍の債券を発行させたらどうか、或いは見返資金を倍にして出したらどうかということもありますが、これも今国会に出しませんが、早急に来る国会の早い機会に出したという計画を持つております。繰返して申上げまするが、やはり産業復興には長期資金というものは何なり必要でありますので、興業銀行を中心とし、又市中銀行に対しましては、日銀の斡旋融資、そうして農林、商工中金の拡充強化によつてやりたいと思います。そのことは、何と申しましても、私は設備資金については増資で行く、増資で行くとなると結局株式に対する金融を図る、従いまして今後は日本銀行が国債の発行をやめました関係上、社債の範囲を拡げるということ以外に、今後は株式に換える、日本銀行と、そうして市中銀行も株式投資というふうなことに向つて行き、そうして両々相俣つて長期資金の円滑を図るという考でおるのであります。
  76. 田村文吉

    ○田村文吉君 段々の御説明、丁寧に承つたのでありますが、今お話のありました、昨年が産業流動資金としては千三百億であり、本年は二千百億からある。その比率から言つて大蔵大臣は御安心になつていらつしやいますが、運転率は非常に時期的のズレがあるのであります。と申しますのは、昨年までは買えば上り、買えば上るという状況でありますから、或程度迄……税金は実はその後で取られるのでありまするから、その時直ぐ取られるのでありませんから、そういう点において実は余裕を持つてつたのであります。持つておれば必ず上る、こういうよう状況でありまするので、その融通力が非常によく付けられたのでありますが、今年になりますと、御承知ように、全く情勢が変つておりますので、そこで実は生産高も増加しているし、物価も昨年よりは実は上つている、上つていると少くも六割なり七割なりは事実上殖えなければなりませんが、昨年の千三百億円は、物が上る、上る状況でありましたので、その数字で済んだが、この数字自体は実はノーマルな状態における数字でないから、それと二千三百億を較べて、数字は増加になつているからいいじやないかと一応お考えになるのは尤もでありますが、この点に実は事実の上においては狂いがあることを御承知頂きまして、今の日銀の三千六百億或いは四千億で止つている数字、これじや実は納まらないのでありますが、それを正しいとお考えになつている点にどうも御認識がまだ少し不十分じやないかと心配しております。私共も当然当り前の金融をして、別にインフレを激発する意味にならないように、今の国家財政をできるだけ引締めて、而も現実に生産を落さないように、幾らかでも上つて行くようにということをやつておいでになるためには、結局五千億の日銀兌換券が出るのが当り前、これが出ないということが、そこに非常な無理があるということを私共は通感しておるのでありますが、この点については、尚よく一つ実際についての事実の御認識をもう一段お深め頂きまして、何とか、今日のよう状況下で、自己資金でやろうと思つても、自己資金はできない会社工場が多いのであります。そういう状況下において、何かこれに対する救済の手はお打ちにならなければならない時になつていると、こう考えますので、特に御注意を喚起いたしたいのであります。尚その上、今年度は又、輸出滯貨物資を、昨日の閣議でございますか、新聞には、四千五百億に上る物を拂下げる。誠に大早に雲霓を望むがごとくに、一般国民としては欲しいでありましよう。併しこんなふうに金を搾られておつて、又その上に金が搾れる、今度出ております予算の千七百億の食糧特別会計への融資、これらは当然借入金で賄われるのが当然に思う。而してこれを一般会計の国民の税金から賄うということは、ただ徒らに、余りに金を引き締めることだけをお考えになつてつて、これでは産業というものは、折角伸びて来た産業は実を摘まれるというようになりはしないかということを心配するのであります。この点については大蔵大臣も、初めは百七十億の問題については、借入金でやる御方針であつたかのように承りましたが、いろいろの御事情で、これが一般会計から支出するようになつたというような御説明であつたのでありますが、こういう点をですね、今の百七十億の金は食糧証券なり借入金なりで出すべきが当り前の経理の方法であります。これを特別に一般会計から出す。これは又今の政府としては止むを得ないことかも知れませんけれども、滞貨物資をこの又際出して金を年末に捲き上げるというような点がどうも余りにデフレデフレと、インフレが非常に怖いために、手を次から次へとお打ちになり過ぎるような感じがいたすのでありますが、この点についてのお考を承つて置きたいと思います。
  77. 池田勇人

    ○国務大臣池田勇人君) 私の財政経済政策が非常に引締めるというようお話でございますが、私はそう余りひどく引締めるという気持はないのであります。大体今年度におきましては、当初予算におきましていわゆる税を以て過去の債務を支拂う、成るべく過去の債務のみならず、運転資金までも負担いたしたのは御承知通り、これは相当の引締めでございます。来年度におきましては、この過去の債務は国会に出しますが、運転資金の方は原則として税で以てやらない考でございます。今年度は御承知通りに運転資金につきましては、只今貿易会計の方で四百億というものを出し、食糧管理特別会計で二十六億、又補正予算で七百十億、その外に肥料並びに油糧公団で四十三億、そういうインベントリー・ファイナシスをやつております。来年度におきましてはこれは改められる。それだけいわゆるインフレの危検性が少くなるということが予算上現れて来ると思う。今後の金融のやり方につきましては、私は、先程の議会で申上げましたように、決して引締めるという気持は持つておりません。私の予想通りに昨年の三千五百六十億円の、いわゆる年末の日銀券が、今の状態で参りますとそこまで行かんのじやないか、そういう見込が出るわけであります。大体十月末では今年の通貨は昨年の通貨発行高の三百億程度を上廻つている。併し十一月におきましては昨年度では二百億余りの増加があつたのでありますが、今月は殆んど増加はございません。そうして見ますと、今日の日銀券の発行高は丁度昨年の今頃と同じで、昨年の十二月には政府の支拂超過は一ヶ月で九百億に上つている。今年度政府の支拂超過というものは九百億ということは到底想像できない、又そうすべきでない。こうやつて見ますと、このままで行きますと、昨年の三千五六百億まで行かんであります。殊にいろいろな点がありますので、引締めるどころが少し緩めて行かなければならんのじやないかというふうな考を持つております。又先程の長期資金につきましては昨年は千億円余りでございましたが、今年私の見透しでは来年の三月までに八百億くらい設備資金が殖えるのではないが、それは株式で百億、社債で百億、自己の社内留保で百億、興銀その他からの貸出し百五十億、そうして見返資金が二百億乃至三百億、こういう計画を立てておりまして、そうして復金なしで昨年と同じ程度に行くのであります。そう金融の心配はないと思うのであります。やはり経済を育成して行くためにできるだけの措置を採ろうとしておるのであります。  尚第二に、税を取つて一般会計から運転資金へやるということは適当じやないじやないか。これは議論の存するところであるのであります。私は当初いわゆるインヴェントリー・ファイナンスをしないという積りでおりましたことはお話通りであります。その時は輸入食糧が二百二十九万トンで行つてつたのであります。これは向うもそれでいい、こう言つてつたのでありますが、その後の事情によりまして六十万トン殖えた、この分をどうするかというときに借入金でやることも一つ考えである。それから又これを貿易会計に初めから載せないことも一つの考である。主としてアメリカから来るのでありますが、その小麦が来たときに横浜の倉庫に入れておいて、使うときに輸入の手続を取り、借入金にするとか、或いはその時の方法でいいじやないか、これが第一番。この点はマーシャル・プラン等におきましても船を出すことに決まつたならば蔵入を立てるということも向うでやつておるそうであります。一応それは借入れた分としなければならない。こういうことになりますと、今度は借入金かどうかということで、これは借入金という考え方もありますが、只今審議を願つておりますように、二百十三億の自然増収がある。これを予算に出すか出さんかの問題。私は二百十三億の自然増収を出して、当然これは入つています。それを食管の方に百七十億、油糧肥料の方に四十三億、大体にこれで合います。これを税を新たに取るのじやありません。今までどんどん入つて来ておる税を、来年の分或いは今年度に出してやはり特別会計の方の償還の方に充てる、こういう問題であります。これは別に金融でなくて自然増収を充てる。借入金の方と同じ性質のものであります。
  78. 田村文吉

    ○田村文吉君 どうも今の問題は大分大臣お苦しい答弁でありますが、まだこの問題については各委員からお尋ねのあることだろうと思いますので、私は一応これで打切りにいたしますが、次にいつもどうも価格調整費で食い下つて恐縮でありまするが、今年度の未だ価格調整費が一月から三月までに支拂われる額が凡そ百億円程度考えております。来年度の予算では、食糧費を除きまして四百四五十億になるのじやないかと、私のこれは推算でありますが、この問題につきまして世間の一部には、余りに産業に急激の打撃を與えるために失業者を生ずるような虞れもあるから、余り急激なことはいかんというような御議論もあるかのごときことが或いは大蔵大臣を制肘したのじやないかと私も心配しておるのでありますが、来年からはこんなものは止めておしまいになるのが当然なのであります。尚これを来年四百五十億円もお残しになるということは正しくない行き方ではないかと考えます。イギリスあたりでは日本のこのダンピングについては非常に神経過敏に考えておられるようでありまして、それについて内容を検討をしておられるかも知れませんが、日本では補給金ようのものを出して基礎産業を補助しているというようなことは、一種のダンピングに該当するのであります。こういうようないろいろ針で突いたような小さなことが、いわゆる針小棒大にマンチェスターあたりに伝えられまして、そうして日本の東洋貿易に対しまして窮屈に考えられる傾きがなしとしないのであります。こういう点から言いましても、私はこの際も価格調整費というものはまだ来年度もお出しになるというようなお気持がどうも分らんのでありまして、これは大蔵大臣がしつかりと頑張つておやりになるべきではないかと私は考えるのであります。この点について来年度はどうなさるつもりか一応一つ伺つて置きたいと思います。
  79. 池田勇人

    ○国務大臣池田勇人君) 価格調整費補給金の関係につきましては就任当初から努力いたしておるのであります。昨日議会で申上げましたが、当初予算二千二十二億円、それは来年度においては半分以内になる、再来年度はなくする、こういう方針に変りはございません。来年は、九百億円残りますうちに安定帯物資に相当するものはお話通りに四百五十億円であります。而してこれは輸入補給金と内地の生産に対するものと二通りに分けております。出す先は鉄鋼と肥料とが主でございますが、極く一部に数億円ばかりソーダの分があります。鉄鋼と肥料だけでございます。鉄鋼につきましてはこの十二月に改訂いたしまして、来年の七月の改正で殆んどなくしてしもう。肥料におきましては一月から三月にかけて来年の二月までになくしてしもう、こういう考でおるのであります。何と申しましても、鉄鋼を急激にやつてしまいますとかなりの影響がありますので徐々にやりたい。今は何と申しましても、鉄鋼が一万五千円くらいだと思いますが、これをすつかり外ずして参りますと、二万七八千円から三万円ぐらいになるのであります。徐々に外して行く方針であります。肥料につきましてはやはりいろいろな事情を勘案いたしまして、再来年におきましては、殆んどなくなつて行く計画にいたしておるわけであります。ただ別の食糧の補給金はこれはこちらの米価の切上げによりまして再来年からすつかりなくなるとは申上げ兼ねるのでありますが、肥料を外ずしますことによつて来年の米も相当上つて参ります。そうして又外国の小麦が下つて、小麦協定に参加することによりましても相当削減ができると思うのであります。こうやつて見ますと、再来年度におきましては補給金額は又非常に少くなり、大体通常の状態に相成るのではないかと考えております。
  80. 田村文吉

    ○田村文吉君 今の調整金につきましては、食糧の問題は私は初めから申上げなかつたのでありますが、今の鉄鋼並びに肥料の問題が国際的にも響く問題でもありまするし、鉄鋼が上つたから必ず国民生活が非常に困るというものではないのでありまして、御承知通り機械類などは逆に値段が下つて来る状況でありまして、鉄材が上つたら必ず機械が上るというようなものではないのでありまして、その点は大臣もよく御認識を頂きたいと思うのでありまするが、もう一つ、私は大臣に伺いたいのは、シャウプの勧告があります前後からでありまするが、税は必ず脱税はしない、皆公正に納めなければいけないというような納税観念の高調されましたことはいいことには間違いありませんが、シャウプ博士自身が言つておる通り、今日の税制を以てすれば、これは皆全部納めることのできないような無理な税制であるということを言つておられるのでありまするが、このシャウプ勧告による税制が一部分ずつではありまするが来年の四月からは相当変ると考えますが、その過渡期において、一方ではあらゆる納税者が必ず正直に税金を申告し、納めなければならんというような、その観念の方だけが税務官吏が取上げ過ぎておるようなきらいがあります。いわゆる正直にやれと鞭うつて攻められておりますが、現在行われておる税制はまだ前の税制でありますので、この過渡期において私は国民の怨嗟の声が満ちて来つつあると考えるのでありますが、そういう点において実際税を取立てます運用の点において、若干のそういう点を含んでのことでないと私は困ると思うのでありますが、この点について大臣の御所見を承りたいと思います。
  81. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) シャウプ博士の御意見は田村委員の御説の通りでございます。兎に角誠実なる申告をして納められますには、やはり税率につきましても相当納め得られる程度にしなければならぬというので、御承知通り最高税率も五五に下つているようなわけでありまして、余程今後は誠実なる申告にもだんだんなると思います。又今回御審議を願うことにいたしております申告納税制度、或いは青色申告納税制度、こういうものをやりまして課税に摩擦の起きないようにいたしたいと思うのであります。それから何分にも今の状況を見ますると、申告納税はうまく行つておりません。従つてやはり青色申告の制度のできまするまでは現行税法でやらなければならないし、又現行税法でやりますと、相当の更正決定もしなければならん問題は残るのでありまするが、できるだけ税務官吏をして日夜調査させ、それによつて決定さすよう方針で行つているのであります。課税につきましてはいろいろ問題がありますので、私も日夜苦心をいたしておるのでありますが、徐々に一つ改めて行きたいという方針で行つております。
  82. 田村文吉

    ○田村文吉君 これで大体私の質問を終りたいと思いますが、何も大臣を煩わさなくても主税局長でも足りる問題と考えるものが二三ございますので、質問を保留させて頂きます。一応これを以て大蔵大臣に対する質問は終りたいと思います。
  83. 木下源吾

    ○木下源吾君 総理大臣はいつ頃来られるのですか。
  84. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 総理大臣は明日、明後日、明々後日見える予定です。
  85. 木下源吾

    ○木下源吾君 今日はお見えにならぬのですか。
  86. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 今日は本会議衆議院にありますので向うに……
  87. 木下源吾

    ○木下源吾君 今日から本格的にやるのですが、やはり一応総理大臣が先に来られて、一般のつまり我々の質問を……、そういう段取りで……
  88. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) そういう申入れをいたします。
  89. 木下源吾

    ○木下源吾君 総理大臣が来られるか一つ確めて頂いて、今はこの程度で休憩せられたらいいと思います。
  90. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) それでは一時半迄休憩いたします。    午後零時二十八分休憩    ——————————    午後二時一分開会
  91. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) これより委員会を再開いたします。皆様にお諮りいたしますが、只今理事会で薪炭需給調節特別会計予算に関する小委員会を設けてはどうかという高橋委員からの御提案がございまして、理事会におきましては全員それに賛成いたしましたのでございますが、設定いたしますことについて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 御異議ないと認めます。小委員会を設けることにいたします。
  93. 岡田宗司

    岡田宗司君 高橋君の申し出によりまして、薪炭会計に関する特別委員会のできることは賛成いたしますが、その運用等につきまして高橋委員の御構想をちよつと伺いたいと思います。
  94. 高橋啓

    高橋啓君 この七十四億の繰入れの問題でありますが、簡單に要領だけ申し上げます。この中にはいろいろ複雑な因子を含んでおりまして、これが予算で繰入れられるまでについては予算の繰入れの技術的な問題までもいろいろ疑問とするところがあると思うのであります。それでこの複雑な因子を十分に突詰めないことには、そつくりここの所に上つた数字を認めるということには困難があるのじやないか、私共の立場といたしましてはその事情を十分に検討するという意味において、小委員会でやる、ここのところで全般的な大枠だけの問答では十分内容を知り得ない、こういう問題であります。それから構成は委員長から御発表になりませんでしたが、私としては各党から一名ずつ出てやることがいいと考えます。
  95. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) それでは委員の各派から一人づつ出て頂くことにいたしまして、その皆名は委員長に御一任願えましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 御異議ないと認めます。各派において、お決めになりましたら御指名することにいたします。
  97. 木下源吾

    ○木下源吾君 この間から私も何を要求しておる調査を。それでそれをまだ頂いておらない。私は、私に関する限り非常に資料として重要なものを頼んでおる。それで先程岡田君からもお話がありましたが、外にもあると思うのです。全体として一体幾つそういうものが出ておつて政府のつまり回答ですな、そういう資料がどのくらい出ておるか、これを一つ調べてお知らせ願いたい。
  98. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) よく調べまして後で……
  99. 木下源吾

    ○木下源吾君 私のなどはその一つの中に国有財産の売拂いの状況など、これは御案内の通り国が筍生活をやつておるということに関連しておる。それ程の状態であれば、やはり個人の経済においてもそういうよう影響が当然あるのであつて政府が今のペースでは食える、やつて行けるのだ、こういうことを現実にそれは裏書きする問題になるので、やはり質問を継続する上において重要な資料なんです。そういうものがまだ出ておりません。それから又私は石炭、現実に幾らで売り買いして来ておるか。これは政府はやがて統制を外ずせば下るであろうからというのでこのよう予算をお作りになつた、こういうことでありますが、これは当時の政府の架空です。一つの想像です。ですから現実には一体燃える、焚ける石炭を幾らで売り買いして来ておるのであるか。こういうこともその資料をお願いしておるわけであります。これは私ばかりじやないと思うので、会議の運営上、委員長責任を以てこの会議を進めようとするならば、後程やとか、明後日やとか、明日というようなことではこれは会議はうまく行かんじやないか、こう憂慮されるので、早速一切のことを止めて、そうしてこれをお調べして御報告を願いたいと思います。
  100. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) かしこまりました。
  101. 木下源吾

    ○木下源吾君 それから午前中に私総理大臣をお願いしたのですが……
  102. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 要求いたしております。
  103. 木下源吾

    ○木下源吾君 その総理大臣がいつ頃お見えになられるか。私は議事審議の上において、この間は見えられたそうですが、本審査に掛かりまして総理大臣に大綱をお聽きすることが、この委員会を進めて行く上において非常に大切なことである。その他が後のことがスムースに行くのじやないか、こう考え要求した次第であります。これも一体今日おいでになられるか、なられないか、それからおいでになられんければ、いつおいでになられるか。これを一つ具体的に御調査の上御報告を願いたい。
  104. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) かしこまりました。直ぐに官房長官が見えるそうですから、御返事できると思います。資料の方は……
  105. 木下源吾

    ○木下源吾君 直ぐ。
  106. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) それじや調べておる間に委員会質問を続けましようか。
  107. 木下源吾

    ○木下源吾君 それは委員長のお考と皆さんの御意思で決定されることでありますが、私に関する限りは、只今申上げたことは筋途が通つておる。
  108. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 御尤も。
  109. 木下源吾

    ○木下源吾君 それがなければやれないというよりも、そうすることが前回からの、予備審査時代からの過程で、今はもうそれを必要とする時期に来た、こういうことを申上げておる。
  110. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) どうも資料提出が遅いのは困りましたね。
  111. 田村文吉

    ○田村文吉君 時間を空費することもどうかと思いますから、一つ調べて頂いて、質問だけは……
  112. 岡田宗司

    岡田宗司君 空費だなんて言われると困りますな。
  113. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 調べておりますから、なるべく早く……
  114. 木下源吾

    ○木下源吾君 委員長はこの議事を進める上において、只今私申上げたことが正しく、そうしてそれが必要なことである、そうすべきであると、こうお考えになりましたなら、一応休憩なり何なりいたしまして、そのことを実行されるように、実行が今できんなら、どういうふうにするということをおやりになる方が、今ここで時間があるからというようなことで質問とか或いはそういうことをやるよりも私は議事は早く済むのじやないかと思う。
  115. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) それじや皆さんの御意向を伺つてみますか。どういたします。ここでしばらく休憩して報告を待ちますか、それともそれは一方において調査しつつ質問を続行する。どちらがいいですか。
  116. 内村清次

    ○内村清次君 この資料提出の点につきましては、予備審査の際に、いわゆる予算委員会が開催されます冒頭において委員長を通じて要求したものでありまして、その時は正式な予算委員会でなくして、説明会の時であります。それは各議員が今度の補正予算に対しまして正確な認識の下に審議をして行こうという前提の下に要求したものでありまする関係なのが、今日までその提出ができておらないということは、これは本格的に審議をする現予算委員会といたしまして重大なことでありまするからして、それを先ず如何なる点が、各議員から要求された点がどう提出されておるかということを一応整理して頂きたいと思いますね。そうしましていわゆる本格的な審議に入るべきであると私は思いますが、そういう観点から、今木下議員が言われましたように、整理の時間が委員長においてないならば、ちよつと休憩して、その前提となるところの資料提出に対しては重点を置いて頂きたいと、かように思います。
  117. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 今分りましただけをお知らせいたします。資料要求が十五件でありまして、資料提出を受けましたものが二件、この程度でありますが……
  118. 岡田喜久治

    岡田喜久治君 資料提出の方は何人になつておりますか。それで十五件に対しては二人か、三人か……
  119. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 二件であります。
  120. 岡田喜久治

    岡田喜久治君 十五件のうち二件、そこで今段々とお話があるようですが、資料提出者以外の方で、この機会を利用するというのも妙ですが、議事進行を便宜ならしめるために、それ以外の御質問の向きについてのお諮りをしてやはり行かんと、非常に貴重な時間ですから、その質問を何ならば多少の順序を繰合せまして、お願いするような順序にお諮り願いたいと思います。
  121. 岡田宗司

    岡田宗司君 只今岡田委員お話ですというと、資料提出が十五件のうち二件しか出ておらん。それでもそれについて何ら政府の方から明確な御回答もなし、それに対する処置も採られないのに、このまま議事を進めようとこういうようお話であります。又先程田村委員の方から時間空費言々ということを、こういうことを言われたのです。併しながら予算委員会は既に本審査に掛かつておる。このときに政府資料提出について怠慢な態度を採られておる。それを我々不問に付して行くわけには行かん。御承知ように政治は手続というものが非常に重要なものです。その手続を欠く方法をそのまま看過して行くということは、私共といたしましてはこの際どうもできかねるのです。又先程委員長はこれを続けるかどうかということをお諮りになつた。併し若しお諮りなつて続ける方が多数でありましても、この委員会は数がまだ成立しておりません。従いまして、それでよしんば多数の声がありましても、私共といたしましては、その問題について十分納得の行くだけの政府側の御回答がない限りは、この委員会を断じて進行させないつもりであります。それについて政府側の明確な、十五件に対して二件しかなぜ出せないかという、明確な御回答をお待ちするわけであります。    〔「異議なし」「その通り」と呼ぶ者あり〕
  122. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 御要求資料につきましては、午前中に官房長官が答えましたように、早急に調査いたしまして提出いたしたいと思います。
  123. 木下源吾

    ○木下源吾君 私は、早急にと言うておられますけれども、先程来しばしば申上げておるのですけれども、予算委員会においてはそう細かいことを我々が聽いておつたら何日掛かる分りません。やがて分科会もありましようし、ただここではやはり大綱より我々は究明できないのです。その故に総理大臣をお願いし、そうして私共がこの資料をお願いした点だけでも一つやろう、こういうわけでありまして、ただここで配給の末端の面まで、或いはその他国民のいろいろ要求しておることを一々取上げて、ここで大蔵大臣、各大臣を皆聽いてみても、それは私は今の仕事じやないとこう考えておるのであります。ですからやはり予算委員会において、この場合において適当な私共は質問、そういうことをしたいと思うので、そういう資料要求しておるのであります。で速かにやとか、急にやとか言いましても、私共は実に今日は日曜でも委員長の御要請によつてこういうようにやつておるのでありますから、従つてこの委員会が効果を挙げるような方法を採つて貰わなければ、それには只今申上げたような具体的なことが必要であるということであります。
  124. 内村清次

    ○内村清次君 この資料提出の問題につきましてはですね。これは委員長もこの点につきましては、たとえ参議院衆議院の方に予算の先議権があるというふうにしましても、やはりその過程において予備審査をする関係から十六日の日には政府委員を……、その時には大蔵大臣は提案理由だけをされましたが、政府委員をして説明をしておられて、その後やはり予備審査の形で予算委員会を招集しておられるる御努力に対しましては私達は敬意を表する次第でありまするが、その時に最初にこの資料提出参議院の議員といたしまして要求したのでありまして、それが只今説明になりまするように、それから既に十二三日も経つておる今日におきまして二件しかその資料提出がないというようなことの点において、これは重大な問題だ、いわゆる参議院の即ち要求を現政府は非常に軽んじておるというような重大な問題がありまして、こういうような、委員長もその手続をするように、議員の気持を察しておられるし、議員もこの補正予算を重大なりと思うて資料提出要求しておるに拘わらず、政府がそれを現在まで履行しないというところに問題の焦点はあるわけであります。それを今日の場合におきましてお互いが正確にこれを要求して、そうしてその後において審議をやつて行くということは当然なことだと私は思う。そういうようなことが手続がすべて閉却されておる今日におきまして、これを強行して行こうという一部の空気があるといたしましたならば、この補正予算のどの審議におきましても重大な点を考えなくちやならんと私は思いまするが、この点につきましては、一つ委員長におきましても是非善処して頂きまして、政府に速かに資料提出するようにやつて頂きたいということを要望いたす次第であります。
  125. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 努力いたします。岡田委員に申上げますが、先程定足数は足りておりますので、定足数が足りているために、多数を以てどうということを決めるということは私の本意でありません。成るべく円満に議事を進行することにして、暫らく休憩をいたしたいと思います。    午後二時十九分休憩    ——————————    午後二時二十九分開会
  126. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) これより委員会を再開いたします。再開いたしますについてちよつと……。今日は日曜でもございますし、午後になりましたから煙草を召上る方はどうぞ御遠慮なく。
  127. 池田恒雄

    池田恒雄君 又資料のことを蒸し返して恐縮でございます。分科会はやらないというわけでございますね。
  128. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) そうでございます。
  129. 池田恒雄

    池田恒雄君 分科会をやらないということになると、やはり資料という問題は大切になつて来ると思うのですが、無所属懇談会の今までの態度を申上げますと、三人程予算委員が出ておつたのですが、この予算総会の方では木村君が大体の質問をいたしまして、我々は大体皆様の質問をお伺いしているという態度を採つております。そういたしまして、予算委員会の分科会におきましてそれぞれ割当てられた部門の質問をするというふうな形で参つたのでありますが、今後分科会をやらないということになりますると、分科会でお伺いする事項をこの席でお伺いしなければならないということになりまして、分科会を開かないから予算審議が大雑把でよろしいということにはこれはならないわけであります。でありますから、そうなりますと資料の問題が大切だ。それで今日は衆議院ではもう予算が片付いたというわけですが、衆議院予算が片付いておるのに、参議院要求した資料の十五分の二しか資料提出されておらないということになると、これはどうも速度が全く合わないので、衆議院の方は十五がもう済んだ、こちらは二しかやらないというのでは、そうすると今まで予備審議というのは実におかしな形だつたということにになりますので、参議院における予算審議は、政府自身ほつたらかしておいた恰好になる。これは岡田宗司君等のいうように、私は別に資料要求はしておらなかつたのです。おらなかつたのですが、先程申しましたように、これは大蔵省の方で予算の全体を総括して説明して頂いたものなんですら、そうすると、各省では更にこの内訳を私達に分らして呉れるのが本当だと思う。その努力は採られておらないわけです。それから分科会があるならば、そのときに恐らく各省の方々はその分科会でそういう努力をされるでしようが、今度は分科会をやらないから、この席上で各省の方々がこの内容を説明して呉れるということが必要である。これは予算資料の請求があるとかないとかいうことは別だと思う。なくともやるべきものだと思う。だから私は別にしておらない。おらないが、そのくらいのものは出て来ると思います。殊に私は予算については特別の玄人でなく、全くの素人ですから、特にどういう資料の請求をするということはないが、兎に角詳しく説明されることをいつでも期待しておるわけです。これはそうさるべきものと思います。そこでもう一つ、私は今まで農林関係と通産省関係の分科会に專ら出ておつたのですが、今度は分科会をやりませんが、私達は農林委員会に行つておるわけです。農林委員会では農林省の予算について或る程度説明なんかを聞いております。ですから私は、各省それぞれ常任委員会があるわけです、だから各省それぞれの常任委員会に対しましては、各省から予算に関する件については、いろいろな説明なんかが出ておると思います。農林委員会の方においては、非常に詳しいとは申しませんが、或る程度説明も出ておるわけですから、建設省なんかの方の委員会には建設省関係公共事業費計画とか何とかいうことも或いは説明されておるのじやないか。安本関係でもやはり安本関係の問題について安本委員会でいろいろ説明があるのじやないか。ですから各常任委員会を見渡したならば、或る程度それぞれの委員会において各省の当局は努力しておるのじやないかと思うのです。そういうものがあるとするならば、なければ別ですが、あるとするならば、予算に関する問題は予算委員会の方に持つて来るということは、そう困難なことではないと思うのです。だから私は十五中二つしか出せないというようなことはあり得ないのじやないかと思う。殊に分科会をやらないでここで細かいことをやらなければならんということになれば、これは時間を喰つてなかなか政府委員長も気の揉めることと思うのですから、それならば各省が資料を、そういう各委員会なんかで使つておるやつでも持つて来られたらいいのじやないかと思うのです。つまり資料要求するということは、これは單に面白半分に資料要求しておるのではなくして、質問答弁を合理化するために、能率化するために資料要求しておるのであつて、これは質問答弁である筈です。そういう審議の能率化のために使われるのであるから、分科会がなかつたら分科会がなかつただけに、このところにそういうものを持つて来られるのが本当だと思います。敢えて私は資料要求があつたとかないとかいうことではないと思う。一つそういうような情勢ですね、つまり各省の関係委員会なんかに或る程度出ておると思いますから、そのことを委員長から政府側に聽いて見て貰いたいのですね。あるならばそれを持つて来て、政府みずから予算審議会が捗どるように御勉強なさる方がいいのじやないか。
  130. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) かしこまりました。委員長の先程の発言を訂正いたします。つまり要求十五件うち二件と申しましたが、数において誤りがありますから、先程のは取消します。それでは大蔵大臣に対する質問を始めます。
  131. 内村清次

    ○内村清次君 資料の問題は、各委員も未だ相当要求の気持は持つておられまして、又現在要求したものについての、先程委員長が取消されましたが、まだこれに対する疑惑を持つておられるのです。そこで政府の方で一体これこれこれに対する要求に対しましては提出した筈だと、同時に又、こういうような点は衆議院の方の要求と重複しておるから、この問題については衆議院要求に対して併せて参議院にも出したというようなことを、ここで明確にして貰わんといけないと私は思いますが、この点を一つ整理して頂きまして、そうして資料の問題はやはりはつきりして置きませんと、やはりこれはお互いが審議する前提としての資料要求である以上は、この資料に基いて質問の正確さをお互いにやつて行こうという考を、及ぼす影響考えて頂きまして、委員長で先ず政府委員から資料問題についての答弁を願つて質問に入つて貰うということにお取計らいをお願いいたします。
  132. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 資料の問題でございますが、価格調整費生計費に及ぼす影響及び公定価格の問題、これはすでに提出いたしております。それから、対日見返資金の運用状況、これも提出いたしております。それから貿易計画でありますが、これは前年度当初の計画に対して幾らという中の内訳はまだできておりませんので、或いはこれは通産省の方で適切かも存じませんが、これは私が確かこの席で何ドルというようなことを申上げたと存じております。手持ち外貨の金額でありますが、これは現在日本政府で外貨を持つておりませんので、これは今連合軍の方の管理の関係がありまして、これは的確な資料をお出しすることは困難ではないかと思つております。それから復興金融金庫の回收状況、これはすでに提出済まである筈であります。預金部資金の貸付状況、これは衆議院の方に提出いたしましたが、こちらには或いは来ておりませんかも存じませんので、これは取調べいたします。それから新炭需給会計及び食糧管理と衣料配給公団、これは予算の附録の補正予算の明細書に付いております。それから前年度剰余金の内訳でありますが、これはお手許に差上げました補正予算説明資料の中にあるのでありますが、ただこの内訳で、歳出が幾らとかいうようなことはちよつと手間が掛かりますので、明日でも提出いたすことにいたします。国民所得の推計表、これは安本の方でありますが、これは大体の推計の数字を申上げたのではありますが、細かい数字についてはまだ検討いたしておりませんので、まだ提出の運びになつておりません。薪炭会計につきましては、これは農林省の方から提出なさる予定でありますが、これはまだ提出になつておらないかも存じません。それから農業安定政策、これは資料の中で分りませんのでございますが、これは取調べまして、その内容によりましては提出いたします。それから金融計画は沢山の書類があるのであります。これは或る程度のものは、或いは資料として出ておらないものがありますが、これも取調べまして善処いたします。それからその次には円の闇レートでありますが、これはちよつと見当がつきませんので折角の御資料要求でありますが、ちよつとお出しいたしかねるよう状況であります。大体資料に対する私の方の、政府側の処理状況は以上の通りでございます。
  133. 岩間正男

    岩間正男君 今の資料について、この外債の資料をですね、この前蔵相に対して私から質問したときに要求してあつたのでありますが、これに対してまだ提出がないのであります。尤も伺いますというと、主計局長の私的な話合いでは、これはこの前の予算説明書の中に入つておるというこういうふうに言われたのでありますが、そんなら何故あのときに質問当初においてそのことを指摘しなかつたか。次にその内容についてはもつとその当時のものよりも詳しく聞いておる。大体外債の種類は何百あるか。英債、米貨債、それから仏貨債、その内容について国債、地方債、社債がどうなつているか。更に当初の金額にしてこれが幾らであるか。現在それがどの程度のものに見込まれるか。こういうような要項を細かにこちらではそれを話して要求した筈であります。それに対してこれまでの答弁としては、單に蔵相からこの英貨債、米貨債、仏貨債の額だけが報告されているだけなのであります。そういうふうに食い違いがあるのだが、併しさつきの話では非常に不深切のよう考えますので、こういう点もう少し念を入れて、そうしてやはり議事を円満にどんどん進行させるため、能率化したらいいと思いますが、その点如何ですか。
  134. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 早速取調べまして、明日提出いたします。
  135. 池田恒雄

    池田恒雄君 先程私の申しましたのは、分科会でやらない方針の下に問題が出て来るので申したのですが、あの今、安本長官が見えていますね。私は今まで通産と農林の分科会におつた。今後も若し分科会があれば、そつちの方へ廻る予定であつたのでありますが、そういうような予定でありますから、通産の方がおれば別ですが、安本のなり、通産なり、或いは建設なり、その委員会でですね、その予算に関するいろいろな資料を以て説明をされておるのじやないかと思うのでありますが、それを今聽いて頂きたいと思いますがね。
  136. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 如何でしよう。それは後にして頂けないでしようか。
  137. 池田恒雄

    池田恒雄君 いやそれは事務的なことですよ。内容を聽いておるのじやないのですから、そういうことをやつておるのかどうかということでありますから……
  138. 青木孝義

    國務大臣(青木孝義君) お答えいたします。私共の方で出しております。経済安定本部の方で出しておりますものは、価格調整費の節減に伴つた、物価及び生計費にどんな影響があるかというよう意味での資料は御要求によつて出しておるわけであります。それだけであります。
  139. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) この際に委員長から皆様にお願いを申上げます。資料要求質問の中に仰しやつた場合には、聽き落しがございますから、資料要求の場合には書類を以て委員部の事務局員に仰せあらんことをお願いいたします。
  140. 岡田宗司

    岡田宗司君 大蔵大臣に対しまして若干お伺いしたいと思います。二十四年度の予算が実行されるようになりましてから後の経済状況、今日の経済状況を見ておりますと、通貨は縮少いたしております。それに伴いましてまあ各事業が萎縮しておる、貿易が萎縮しておる、それに伴つて或いは金融の梗塞状態も見られる、又失業者も出ておるというよう状況で、いわゆる我々から見ますならばデフレーションが進行しておる。而もこれはドツジ方針に基く政府の嚴重なる均衡財政政策によりまして、一種の安定恐慌が人為的に超されておるように思うのであります。過日衆議院における予算討議の際におきまして、大蔵大臣は今日の状況はデフレーションではない、デイスインフレであるというふうにお認めになつておるようでありますけれども、私共は今日の状況はデフレーションである。一種の人工的、人為的に起された安定恐慌の過程であるとこう解釈しておるのであります。私は大蔵大臣に対して今日の状況がいわゆるデイスインフレの状況であるかどうかということを先ずお伺いしたいのです。
  141. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 私は四月予算を組みました当時の予想通り、今はデイスインフレであると思います。
  142. 岡田宗司

    岡田宗司君 デスイインフレの状態であるといたしますならば、今日失業問題と或いは金融の梗塞によるところの中小企業の危機というような問題が起らない筈でありまして、大体において経済は横這いの状況でなければならん。通貨につきましては大体昨年の暮の発行状況が漸次縮少しまして、その後大体横這い状況にあるのでありますが、通貨だけが横這い状況であります。又生産におきましては、或る物はやや指数が上昇しておるが、他の物は下つておる。こういろいろ凹凸がありますが、それに伴いまして中小企業等における倒産、そういうものも盛んに出ておる。事業の縮小、或いは閉鎖というもので出ておる。失業者が出ておる。こういう事業の倒産や或いは失業者がどんどん出ておるという状況を以て、これをデイスインフレというのかどうか。もう一遍お伺いいたします。
  143. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 通貨の横這い、生産の大体横這いと申しますのは語弊があるかも分りませんが、生産は萎縮してきておると思います。これは長い間のインフレーションを急激に止めると申しますか、インフレーションを止める場合の一時の経過的に状況でございまして、こういうことは私は初めから予定いたしておるのであります。御承知通り第一次世界大戰後の日本のあの状態、非常に金持になつた日本があのよう状態を起しておる。戰後の各国の状態が皆こうでございます。私はこの程度日本の経済が安定できたということは、私の予定した、願つた状態に来ておるのでありまして、何も安定恐慌だとかいうことまでどうもこういう問題でなく、予定通り順調に経済自立への途を進んでおると考えております。
  144. 岡田宗司

    岡田宗司君 今日のこの状態が普通の少くとも均衡の取れた状態であるというふうに解釈されておるとすると、非常に国民としては迷惑至極な話なんです。我々は今日インフレーションを急激にストップしたために、デフレーション、それによる安定恐慌が起つておるのです。これに対して新たなる施策を講ずる、安定恐慌対策を講ずるという政府が立場に立つておやりになるならば、これは私共といたしましては、尚その対策について適当なるものが見つかるならば、これを支持するに吝かでないのでありますけれども、併しこの状態が当り前である、つまり均衡財政であり、又均衡の取れた経済である。その均衡の取れた経済の下におきましてどんどん企業が倒れ、或いは失業者が出る、農村における窮乏が増して来るというのでありましたならば、これは経済全体の均衡ではない。やはり破綻の方向に向わざるを得ないと思います。重ねてその点につきまして大蔵大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  145. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 二十四年度の当初予算は、その後の財政金融政策で大体安定の基盤を作るところに力を入れたのであります。そうして今回の補正予算は大体安定の基盤ができつつあるからこれを上向きにして行こうという復興予算への切換えの時であるのであります。従いまして必要なる経費の歳出の増を見込んだと同時に、減税もできるだけ早くやる。私はここで申上げまするが、今の時代に歳出も増加し減税もするというよう予算が作れることは、この四月からのやり方がよかつたからその賜だと自分は自負しておるのであります。先般も或る外人から聞いたのでありますが、歳出も殖やし、減税するようによく日本が五六ヶ月の間になつたもんだという言葉を聞いたのであるが、私は兎に角一応安定の軌道に乗つた。それは中には倒産する人もありましよう。全体としてはやはり復興して行く基盤ができた。そうして徐々に本年度におきましても、先程申上げたように或る程度の歳出の増加、そうして減税。来年度におきましては本格的に復興予算が組めると、こういう考でおるのであります。
  146. 岡田宗司

    岡田宗司君 今後政府におきましては、安定から復興へ、こういう方式によつて政府財政を賜つて行くというお話でありましたが、政府の支出と景気の変動というものは今日非常に密接な関係があるのでございます。御承知ように、政府財政の大きさというものは国民経済の中において一番大きい地位を占めておるのであります。この政府財政のやり方如何によりましては、今後の経済の復興の上におきまして、又景気変動の上におきましても重大な影響があると思うのであります。只今大蔵大臣は今後の補正予算につきまして、減税も行い、尚地方において政府予算の支出の増大も行う、非常にこれは自分としては自負のできる財政であるとこういうふうにおつしやつておるのであります。併しながら果して今日の補正予算によりまして政府の狙つておりますようなこの経済の復興が、補正予算から始まつてできるかどうかという点について、私共は疑いなきを得ないのであります。これは政府におきましては、今度の予算を組みますに当りまして採つておりますところの方針が、一方におきまして減税をやつておるのでありますが、他方において政府が公共事業等に対する支出というようなものが必ずしも私は大きいとは思えない。そして今日のこの沈滞せる、或いは恐慌的状態にある経済を建直すだけの注射としての力があるかどうかということは疑問だと考えておるのであります。果して政府は今度の補正予算にありますところの公共事業費その他各種の事業に支出せられるところの金、或いは又見返資金の使用方法によりまして、今予算年度内におきまして有効需要を喚起して、そうしてそれによつて今日の、私共から見ますならばデフレーションの状態を緩和さして行くということができる見透しであるかどうか。どの程度までそれを、今のこの状態を上向きにさせることができるか。その上向きになるべき兆候の現われる時期はいつ頃と見られておるか。その点についてお伺いしたいと思います。
  147. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 補正予算は今年度内のあと四ヶ月の問題でございますが、而も又安定の軌道に乗りつつある当初の計画でございますので、十分とは言い切れますまい。併し来年度におきましてはこれは相当本格的に復興予算の性格を現して来ると思いのであります。経済の復興は勿論早い機会に、又その度の強い方が望ましいのでありまするが、何分にも我が国の経済が今絶対にもうインフレーションの心配はないというところまで私はまだ行つていないと思うのであります。止めた、もう止める見込の付いたというものでもないのでありますから、その点は徐々に又実際危なげのないような方法で行かないといかないと思います。従いましていつからどの程度上向きになつて来るかということは、はつきり申上げかねるのであります。殊に有効需要がどうなるかという問題も、これはもう数字的にはなかなか困難な問題でありまして、経済全体といたしましては今までの、いわゆる安定から復興への萠しが徐々に出て来ると考えております。
  148. 岡田宗司

    岡田宗司君 次に対日援助見返資金の問題についてお伺いしたいのであります。対日援助見返資金は、政府が最初二十四年度予算において組みましたものよりも額が縮小して参つたのであります。恐らく二十四年度の財政におきまして、一方において財政の緊縮があり、それによりましてデフレーショ的なものが現れて来る。その際にこの見返資金が一つの輸血、或いは注射というような役目をするために設けられたものであろうと私共は考えておるのであります。然るに政府もそう考えておられたのでありましようけれども、その後の資金の運用状況を見ますというと、決して予想の通りには行つておらないのであります。で、今日の運用状況を見ますと、最も日本の経済の問題に大きな影響を持つであろうと思うところの、諸種の生産的企業に対しますところの政府の対日援助見返資金の運用というものが極めて遅れておるのであります。政府の出しました資料によりますというと、私企業に対しましては確かに三億八千九百万円という微微たるものでありまして、その多くはいわゆる余裕金といたしまして、或いは食糧証券の買入とか、或いは預金とかいう工合になりまして、本来の目的と違つた運用がなされておるのであります。これは甚だ遺憾なことでありまして、この資金の運用につきましては單に日本政府側だけでなく、或いは連合国総司令部の方のいろいろ折衝もあろうと思うのでありますが、この運用状況の遺憾な点につきまして、尚政府としても十分に努力すべきであつたろうと考えるのであります。で先程大蔵大臣は田村委員の御質問に対しまして、本年度内に二百億乃至三百億の見返資金が運用せられるであろうということを言われておるのでありますが、その二百億乃至三百億の資金の運用は如何なる方面に行われるのか、その大別につきまして御説明を願いたいと思います。
  149. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 見返資金の問題でございますが、当初御審議を願いましたのは千七百五十億円でございます。一応アメリカの一九五〇年から五十年度のガリオア、イロア資金を想定いたしまして組んだのでございますが、御承知通りに予定より少く、今回千四百九十億円の補正をいたしたのであります。この金は御承知通りに鉄道通信の会計とか、或いは復金債の償還に大部分は充てておる。そして残つたものを国債の銷却か或いは直接投資に充てられる。こういうふうに考えておるのであります。で今お話の、まだ四億円足らずしか出しておらないのじやないか、非常に遅れているというお話でありますが、片一方の鉄道通信の方は予定通り出ております。復金債の償還も只今数十億円でありますが、年度内の二百四十億、一月から三月までの四百億、私はこれは年度内にできるだけ繰上げて償還しようというので、大部分は予定通りつておる。併しその一部を直接投資に充て得べき五百億円の内訳の金額はまだ出ていない。こういうことであろうと思うのでありますが、何分にもこの見返資金の金利をどうするかということが大きな問題であります。金利が決まらないと申請者も採算がつくかつかないか分らないし、償還計画もできない。この金利が決まつた場合におきましても、償還計画においては復金の回收はどうなるかということも決まらないし、又それが決まりましても、実は書類を提出いたしまして、一つの会社が数億円或いは百億円もの申請書を出そうという場合におきましては、書類の作成だけでも一ヶ月も二ヶ月も掛かる。又書類ができましてから貸す場合でも、ちよつとおいそれと貸せるわけでもありません。これは関係方面の許可を得なければならない。関係方面におきましても亦いろんな手続を取る。こういう関係で、その見返資金の一部直接投資に充てる金額は、予定より一二ヶ月遅れるのではないかというよう考えておるのであります。併し軌道に乗つて参りました。従いまして来月から、ぼつぼつ本格的の段階になつて参りまして、来年の三月までには私は二百億円乃至三百億円程度のものが直接投資に向けられるだろう。そして又その残りの部分というものは繰上げて、復金債の償還をして、そして市中金融に潤わされる、こういうことであります。で食糧証券を今五百億ばかり持つておりますが、それは直接投資に充てられませんので、金融的考え方から行けば、これが市中銀行に還流されるとか、従いまして昨年の今頃のような日銀の貸出と今の日銀の貸出とは数百億円増加しておる。これなんかも見返資金から直接投資に行くか、日銀を通して産業資金に行つているものと考えるものであります。
  150. 岡田宗司

    岡田宗司君 只今私企業に対しますところの見返資金は、来月あたりから本格的に殖えて二百億程度のものが年度内に貸付けられるであろう、こういうことであつた。これはやはり今日のいわゆる復興にとりましても重大な問題を持つものであるが、私はこの私企業に直接参りますところの金額が、如何なる産業にどれくらい行くのかということにつきまして先程お尋ねしたのでありますが、お分りでありましたならば、大略でよろしいのでございます、どういう産業にどれくらい、どういう産業にどれくらいと、大体の枠についてお伺いしたいのであります。
  151. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 向うさんの許可がなければ出ないことでありますから、はつきりしたことは申上げかねます。併し私共の心組では、四割近いものが発電に出る筈であります。二割程度のものが造船、そうしてその他に炭鉱、製鉄等に向けられるのであります。今年度は今までのいわゆる重点産業、電気、鉄、石炭、肥料もありますが、そういう方面に対して、来年度からは或る程度重点的な、私企業ばかりでなく、公共事業的の方にも或いは使つて行きたいとこう考えております。
  152. 岡田宗司

    岡田宗司君 只今大蔵大臣のお答によりまして、尚全部を合せましても約千五百億の見返資金の額に達しないのであります。来年度への繰越が相当、二百億程度あるのではないかと思われるのでありますが、来年度の予算もすでに大綱はできているように聞いております。来年度はどれくらいの見返資金を計上されるか、それは来年度への繰越と合されるとどれくらいになるか、その点についてお尋ねしたいのであります。
  153. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 一九五〇年から五十一年の予算で認められましたものは四億三千万ドル、殆んど大部分が日本内地に向けられるものであります。而して一九五一年乃至五十二年の米国の予算にこのお金が如何に見積られるかを私今はつきり申上げるわけには行きません。従いまして来年度の予算で組む見返資金の総額について申上げることは早過ぎるのでございます。今私が来年度の予算を編成する場合におきましては、大体今年度程度のものが組まれるのではないか、そうして又こういう千四百億円の金でございまするから、或る程度の繰越は考えて行かなければならん。従いまして、今年度におきましても今あなたがお述べになりました程度のものは繰越になるのではないかと思つております。
  154. 岡田宗司

    岡田宗司君 見返資金の用途につきまして、国債の償還、或いは又復金債の償還というようなものでございますが、これが非常に多い。これが市中銀行に参りまして、それが更に市中銀行の手元を通して、一般の企業の方に流れて行くというようなお客であつたのでありますが、それならば相当な金が産業の方に流れて行かなければならない。むろん一部の大企業、いわゆる堅実な企業はこれによりまして相当つて行くかも知れません。併しながら中小企業と、或いはもう少しつつかえ棒をすればうまく廻つて行くというような企業がその潤いを受けないで今日非常な苦しみをしているというよう状況は、運用が、銀行を通じてこの見返資金を運用して行くという形がうまく行つていないのではないかと私共は考えておるのであります。これは重大な問題でありますので、その点について政府はこの市中銀行を通じてそういうような企業に貸出される金を至急に年度内において更に円滑に運用できるようにしなければならんと思いますが、これについて政府は何か特別な措置を考慮されるつもりがあるか、お伺いしたいと思います。
  155. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 本国会の当初に、財政演説に述べました通りであります。而してその後の経過は、午前中田村委員の御質問に対しましてお答えいたした通りでございます。産業復興に金融が必要なことは申す迄もなく、政府はできるだけ金融の円滑を図る方法を講じつつあるのでございます。
  156. 岡田宗司

    岡田宗司君 本年度二百億の見返資金が次年度に繰越されることになるということでありまするけれども、最も苦しんでおりますところの中小企業への融資につきまして、何かその中のどれくらいかの部分を充てる、只今水力或いは造船、炭鉱、製鉄というような重点産業だけに限定されておるようでありますが、この見返資金を一定の條件を持ちました中小企業に融資をするような枠をお設けになるお考があるかどうか。
  157. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 今四月以来、中小企業に対しまする、金融の円滑を図るために、融資準則を改正したり、或いは日銀から特別の中小産業の資金の枠を十五億ばかり作りまして、今も十二三億出ておりますが、そういうような方法を、或いは各地方団体の信用保証制度、こういうようなものを拡充してやつておるのであります。見返資金から直接に、個々の中小企業者に貸すということは私は只今のところ考えておりません。それから見返資金が商工債券を引受けるとか、或いは農工債券を引受けるとか、或いは一般市中銀行の預金が集まつたものを興業債券に入れる、こういうような方法で行くより他に手がないのです。そうしてそれが一番いわゆる正常なやり方であろうと思われます。
  158. 岡田宗司

    岡田宗司君 見返資金の運輸につきましてはむしろ本年度は、私共に言わせれば予備的なものである。来年度から本格化するであろうと見ておるのでありまするけれども、先程大蔵大臣が言われました公共事業への支出、或いは農業方面支出、或いは商工債券等への支出というようなことによりまして、單に大企業を益するだけでなく、経済全体を益する方向にこれを持つてつて頂くことが非常に望ましいと思うのでありますが、来年度における見返資金の運用の大体の方針につきまして、まあ復金債も即に償還されることになるであろうと思いますが、その大体来年度も同額と見積られるその見返資金の運用、例えば公共事業の方にどの程度、私企業の方にどの程度というような、大まかな内訳がお分りでしたら、御明示願いたいと思います。
  159. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 大体の見当は私には付いておりまするが、只今のところ申上げかねます。どうも予算につきまして、早く漏れますとこれは既定事実になつてしまつて、それが何かむづかしいのが今迄の日本状況であるのであります。従いまして、私はこれを見返資金というものが日本の産業の復興の情勢を見ながら使つて行く所にこの資金の妙味があるのでありまするが、今当初においてこれだけを私企業、これだけを公企業、而もこれだけの私企業の中にこれは何、これは何ということを決めますと非常にミス・リードし易い。これは私は打出の小槌と言いましたが、そうしてその時の情勢によつて決めて、而も有効にやつて行くという趣旨から言いまして、たとえ決まりましても、それには相当の紐付融資でなければならんと考えておる次第であります。
  160. 岡田宗司

    岡田宗司君 どうも只今大蔵大臣の話を聽いておりますというと、如何にも官僚的祕密政治的などうも臭いがするのでありますが、私は非常に細かく聽いておるのではない。明年度の予算におきまして当然、本年度の予算編成の際に示されたぐらいの梓は当然示されることであろうと思うし、又大蔵大臣の仰つしやるところによると、すでに構想はできておるようでありますが、新聞に伝えるところによりますというと、二十五年度予算提出は極めて早いように思われるのですか、そういたしますならば、それに間に合うようにすでにできておると思うものを今日御発表願えないか、その点如何でございますか。
  161. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 官僚的だと仰つしやいますが、私はそれは官僚的とも思いません。この金の使い方は今年度の程度、即ち二百七十億は鉄道逓信の公企業、六百二十四億は復金債の償還、それだけを決めたのでありますその程度以上に勿論決めて行かなければなりません。又あなた方の御審議を願う上におきましてはできるだけ細かく決めて行かなければなりませんが、この決め方に順序があると思うのであります。こういう問題にしても相当のゆとりを持つて行かなければならんという気持で申上げたのであります。而して近く予算が出るから今喋つたらどうかと言われましても、これは私の構想でございまして、まだ関係方面と十分打合せをしなければなりません。そこで私が自分の構想をここに申上げるのは尚早かと考えます。
  162. 岡田宗司

    岡田宗司君 最近の金融状況を見ておりますというと、大分復金債の償還その他によりまして、或いは又預金の増加によりまして銀行の状況も非常によくなつてつております。そうしてそれは全体としてまあ銀行の手許金が増加しておるよう状況でありますが、政府はこの際全体の経済の上向きするという際におきまして、金利の高いということがいろいろな点で難点になつておると私は思つておるのでありますが、政府はこの際に銀行の金利を下げるように仕向けて行く意思があるかどうか。この点をお伺いいたします。
  163. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 財政演説に、申上げた通りでございまして、私は就任以来金利の引下げに努力いたしております。八月の中頃貿易手形を二厘下げ、又九月の十五日に一般貸付を一厘、而して新聞にも出ておりますように、成るべく早い機会にできるだけ沢山下げたいというのが私の念願でございます。今後預金が殖えて復金債の償還もいたします。そうして又経理面でも合理化を図ると同時に、最も今銀行の経費の中蒿んでおります。出納関係は千円札を出すことによりまして緩和できる。又最近の銀行の収益状態は宜しうございますから、成るべく早い機会に成るべく沢山下げて、いわゆる物価を国際物価に鞘寄せするように、或いはそれより前に金利を国際金利に鞘寄せしたいというのが私の念願があります。
  164. 岡田宗司

    岡田宗司君 大蔵大臣は成るたけ早く、成るたけ多く下げたい。これは非常に結構な話と思います。やはりこれは遅れますというと、この年度内に相当行詰まる企業等も出て参りますし、又全体を明るくする上におきまして、これは一日も早い方を私は望むのでありますが、これは本年度におきまして金利の引下げが行われるかどうか。この点をお伺いいたしたい。
  165. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 只今申上げたように、成るべく早くなるべく沢山ということ以上には申上げかねます。大蔵大臣がいついつまでに金利をこれだけ下げるというようなことは、私は言いたくないのであります。希望と見透しだけで我慢して頂きたいと思います。
  166. 岡田宗司

    岡田宗司君 次にお伺いいたしますのは、食管特別会計へ出しました百七十億の金でございます。でこの百七十億の金は損失補償ではないのであります。運転資金として百七十億が出されるのであります。ところが元来食管特別会計におきましては、これは大体向うから買いましたもの、或いは農民から買上げましたものを消費者に売りまして、その差額というものはない、つまりとんとんで行くように運営されることになつておるのであります。ここに百七十億の新しい金が食管特別会計へ一般会計から繰入れられることになつておるのでありますが、この百七十億は来年度におきましてこれは一般会計へ償還されるものであるかどうか、それから若し償還されるとすれば、それはいつ頃までに償還されることになるか、その点をお伺いしたいと思います。
  167. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 食糧管理特別会計へ百七十億円を入れましたのは、赤字を補填する意味では毛頭ございません。それじや食管に赤字はないかどうかとこうおつしやいますと、私の見透しでは赤字はないのでございます。昨年度におきましては芋を買入れましたが、それが腐つたりいろいろなことで相当の赤字がありましたが、これは埋めました。併し薪炭特別会計のもの状況を見ますと、会計検査院が全国の食管の倉庫を調べて一々当つたわけではございませんから、はつきり申上げられませんが、大蔵大臣として今知り得た限りにおきましては赤字はないと思います。従いまして今回の百七十億円というものは赤字のためでは全然ございません。これは当初二百二十九万トンの輸入食糧が二百九十万六千トンになつた、六十万トン近く殖えたための必要な金であります。又片方は米の値上げその他供出関係で殖えたための運転資金であります。今回これを運転資金として入れることは適当であるとは考えておりません。来年度は米の食糧の輸入は主食が大体三百四十万トンと計算いたしております。従いまして来年度におきましては食管会計は今回の繰入れ程度で、それ以上繰入れなくても済みます。今朝申上げましたように、来年度には一般会計からインヴェントリー・ファイナンスをやるのは貴金属特別会計の二十四億円程度で、外に一切ないと思います。然らば来年度はどうなるか、百七十億円を一般会計に繰戻すかというと、来年度はやはり三百四十万トンの主食……大豆を除きまして、三百四十万トンでありますので、この程度の金は要ることになるのであります。ではいつ繰戻すかということになりますと、食糧管理特別会計が再来年度にどうなるかということと関連しまして今のところ見当は付きません。
  168. 岡田宗司

    岡田宗司君 運転資金として百七十億を繰入れる問題は先程も論議されたことでありまして、見返資金の余裕金で以て食糧証券を五百億近くも買う、更に来年度の見返資金の繰越が二百億もある、こういうよう状況であつたとするならば、これはやはり短期の運転資金であるのでありますから、見返資金にそれだけの余裕がありましたならば、これは本年度内において見返資金のその来年度への繰越金において賄つて行つた方がよかつたのじやないか。そうすればこの百七十億円を以て更に減税に当てるなり、或いは又政府の仕事を拡張する上にも当てられたのではないかと思うのでありまして、今年度の予算案にとりまして、この点は非常に我々に対して大きな疑問を残しておるのであります。少くともこの食糧証券を見返資金を以てどんどん買入れておるよう状況であつたといたしますならば、何故に更にこの方にこれを運用しなかつたか。その点につきましてお伺いしたいのであります。
  169. 池田勇人

    ○国務大臣池田勇人君) 見返資金の出ようが遅いために一時的な運用として食糧証券を買つてつたのであります。見返資金の金を以て食糧証券の運転資金を賄うことはこれは適当でないと思います。仮にあなたのお説のように、繰入の百七十億円を減税に当てると申しますと、そういう今年度三百七十億円の減税をやりまして、来年度の減税はどうなるかということを考えますと、本年度三百七十億円やりますと、来年度が四千四百四十億円の租税收入が確保できません。一、三月の間に非常に減税して、又来年四月からまた減税が増税になるというようなことは財政計画としてよろしくありません。でありますから、これは徐々に減税して行くという考の下に、自然増收でどんどん入つて来る面を借入金の代りに一時廻して行くということであります。
  170. 岡田宗司

    岡田宗司君 私は百七十億全部を減税に当てろと申したのではないのでありまして、この点は大蔵大臣お聞き違いになつたと思います。  それはそれといたしまして、次に薪炭特別会計についてでありますが、薪炭特別会計がああいうような不始末になりまして、そのために一般会計から多額の金を損失補償のために出さなければならんことになつておることは、財政の運営上甚だ遺憾なことなんであります。これは單に運用の悪いというようなことだけで片付く問題でないのでありまして、特別会計の経理というものが非常に重大な原因になつておるのであります。今日の特別会計におきましてはその経理の様式が、一般企業における経理様式と違いまして甚だ簡單であり、又金銭の出納と現物とが直接見合つて行われていないというようなことも聞かされておるのでありますが、こういうことでありましては、今後またこういういろいろな特別会計が赤字を出すというようなことになつて参りますと、その都度に国民は大きな負担をしなければならんのであります。薪炭特別会計に現れましたこの一事を以て見ましても、我々としては特別会計というものに重大な、何と言いますか、検討を加えなければならん時期に来ておると思うのであります。大蔵大臣はこの特別会計の経理の様式を最近変更いたしまして、もつと合理的なものに改めて、今日の薪炭特別会計に見られるがごとき欠陷の起らないようにする準備があるかどうか。その方法はどういうことを考えておられるか。大綱を示して頂きたいと思います。
  171. 池田勇人

    ○国務大臣池田勇人君) 薪炭特別会計の問題を五月頃に開きましたが、お話通り誠に遺憾なことだと思います。他の会計でも十分に注意しなければならんという考の下に、実は各種の公団につきまして検査を行い、経理の適正を期しておるのであります。お話ように、今までの物資の配給の特別会計は実は棚卸しをやつていないということが一番の原因と思います。だから先程食管の問題が言つたように、これは棚卸しをせずに帳面を拵えるというようなことは、これは意味をなさない。今後十分こういう方向に努力し、いわゆる国家財政としてのやり方につきまして検討を加えて行きたいというふうに考えております。
  172. 岡田宗司

    岡田宗司君 只今大蔵大臣は特別会計につきまして、これを何とか直して行きたいというようお話でありましたが、これは非常に重大な問題であります。現在の特別会計ばかりでなく、或いは将来もいろいろな特別会計が設置されて行くのであります。従つて特別会計のいろいろと経理の様式につきましては、やはり今までのものをどうしても改めて行かなければならない、一つ一つ検討をするだけでなく、全般的に一つの新しい様式を持たさなければならんと思うのであります。そういうものが至急行われることは望ましいのであります。来年度の予算からいたしまして、特別会計の経理様式を改める意思があるかどうか、重ねてお伺いして置きます。
  173. 池田勇人

    ○国務大臣池田勇人君) お話の点に伺つて何か成案を得ようと今検討いたしているのであります。
  174. 岡田宗司

    岡田宗司君 次にお伺いしたいのは、農業金融についてであります。御承知よう農地改革が行われまして、それ以来土地が担保力を失つて参りました。土地に対する金融というものは事実上止つているよう状態であります。で又今日の日本の極めて零細な農民というものは、土地改良その他の資金というものを自分の資金によつて賄うことはできない。僅かに肥料を購入し、小農具を購入するだけであります。それも事を欠いて、農業手形等を利用しなければならん現状にあるのであります。然るに今日本の農業は食糧の増産の面におきましても、更に日本の農業を合理化して、外国の農業の圧迫に対抗する意味におきましても、この際農業の新たなる建直しをやらなければならんのであります。この際におきまして、土地の金融、或いは土地改良の資金というような問題が非常に農民にとりまして切実な問題になつてつているわけであります。ところが本年の通常国会におきまして、土地改良法が通過いたしまたけれども、それには金が出ない、こういうよう状況である。又我々は農業金融につきまして、農業方面へ見返資金から出るだろうということを期待しておつたのでありますけれども、これも遂に出ない。こういうよう状況でありまして、今日日本の農民は長期金融の面につきまして、或いは短期の金融の面につきまして、非常に困却している状況にあるのであります。それは来年度におきましては、政府として是非とも解決して貰わなければならん問題でありますが、この農業の金融につきまして、来年度に政府は如何なる構想を持つておられるか、又單に先程お述べになりましたように、中金の制度の改正、それによりまして中金の債券発行の額を増加するというだけで以ては足りないのであります。私共といたしましては、長期金融のための一つの機関を設置すべきではないか、こう思つているのでありますが、農業金融に対する政府の所見並びに新しい農業金融機関の設置の問題につきましての大蔵大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。
  175. 池田勇人

    ○国務大臣池田勇人君) 農地担保の金融と申しますると、やはり建前としては農林中金で行くので筋だと考えるのであります。別に不動産金融ということになりますると、これは主として宅地等を考えておるのでありまするが、住宅方面への五十億円の出資を基本にいたしまして、適当な不動産金融機関を作りたいと思つております。これはやはり個々の問題が、農地の改良というふうなことになりますと、これは公共企業的の性質を帶びることになります。今でも県單位のものにつきましては或る程度出す方法を採つておるのでありますが、できれば来年度からは見返資金もそういう方面に使つて行きたいという私は念願を持つております。併しどの程度できるかということにつきましては、これは関係方面の許可を要することでございまするので、今後折衝してみたいという方針で進んで参りたいと思います。
  176. 岡田宗司

    岡田宗司君 最後に預金部資金の問題でございますが、政府は預金部資金が非常に増加して参りますので、それをいろいろに使つておるわけでありますが、この郵便貯金等は農村において相当沢山預けられておるのであります。然るにこれが農村への還元がないのでありまして、そのために農村方面としては今日預金部資金を農村方面へ流すように望んでおるのでありますが、未だにこれが行われておらんということは非常に遺憾に思うのであります。その点につきまして、来年度におきましては、政府はその預金部資金を農村方面に還元する意思があるかどうか、その点をお伺いして置きます。
  177. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 預金部資金は御承知通りに郵便貯金の増加の趨勢が非常に顯著であります。簡易保險或いは厚生年金保險も相当つて参りましてかなりの余裕金がございます。従いまして二百三十三億の地方債の引受では余りますので、御案内の通りに、食糧関係の五公団並びに今度は外の公団にも預金部資金を出して行くような方法を採つておるのであります。併しそれでも尚余りがございますので、短期に公共団体にも百億ばかりを出しております。最近では今年度の地方債の増加が七十七億程認められまして、本年度内に出したい、こういう考を持つております。併し何れにいたしましても、この郵便貯金の増勢が今後も続くことを期待いたしておりまする私としては、預金部資金の運用につきまして、今のように、地方公共団体の債券の引受という原則と、それからただ單に公団への貸付ということだけでは余裕がありますから、今後の金融問題の一つの大きな問題として預金部資金の運用について考えて行きたいと思つております。
  178. 岡田宗司

    岡田宗司君 預金部資金を以ちまして今後拡張されるのは、農林中央金庫の債券の買入、或いは又商工金庫の債券の買入にお充てになる積りがあるかどうか、それをお聽きしたいと思います。
  179. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 私の考では、農林中金、商工中金は、一時的には市中銀行か相当引受けるのではないか。今の興業債券の例を取りましても、かなり多いのであります。従いまして預金部が市中銀行よりも先にそういうものを引受けるのはどうか。それよりも先ず地方債とかというようなものを先にして、その外、例えば一般の社債と言いますか、或いは直接に、或いは何か他の金融機関を通じて貸出できればこれに越したことはない。中央農林債券とか商工債券は、先ず引受けようという気持を持つておりますのは地方債、これはその後金融機関に列に入つて行くか、或いは金融機関の列よりも一段遅れて行くかというぐらいの見当を持つております。
  180. 岡田宗司

    岡田宗司君 これを以て私の質問を終ります。
  181. 玉置吉之丞

    ○玉置吉之丞君 私はこれから大蔵大臣にお伺いしたいと思うのは、本会議を通じ、又予算委員会、その他の委員会を通じて大蔵大臣がたびたび財政の方面において税の自然増收があり、いわゆる健全な財政を辿つているということについて縷々お述べになつておりますが、即ち国民経済の、殊に金融の梗塞しておるということは各委員からも指摘されたのでありますが、その上におきまして、私は今日我が国の通貨というものが、大体において三千億内外が発行されておると思うのでありまして、これが果して今日の物価と見合わして、又昭和九年十年頃の通貨が十五億円乃至七億円ぐらいであつたと思いますが、それに対して約二百倍の通貨というものが、果して今日の二百倍なり三百倍になつておる物価に対して、そういうのは妥当であるかどうかということについて、非常に疑念を持つている者であります。尚その外に我々の記憶しているところでは、昭和十年頃には銀行預金というものが大体通貨の七倍ぐらいだつたと思うのでありますが、今日は通貨の二倍ぐらいしか銀行預金がない。而も定期預金というような長期に亘る預金は僅かに一千億内外である。而もそのうちの七五%ぐらいのものが無記名預金であつたものが、最近の無記名預金の問題に胚胎して、それが動搖を来たして減つておるということも事実である。こういう方面から考えまして、果して、今日の我が国の経済の面を考えまして、大蔵大臣は、只今の三千億内外の通貨が我が国の金融の面において妥当なものであるかどうかということをお考えになつておるかどうかということを一つ伺つておきたいのであります。
  182. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 大体三千億程度が適当ではないかと考えております。通貨の数量というものは、一つの基準によつて決められるものではございません。又その時の状況におきまして増減されるものであります。これを抑えようとしても無理でありますし、殖やそうとしたら非常に弊害があります。大体三千億円程度というのが常態ではないかと考えます。
  183. 玉置吉之丞

    ○玉置吉之丞君 それが妥当なものであるとすれば、今日の金融の梗塞しておりまする原因にいろいろな問題があると思いますが、大蔵大臣は本議場におきまして、金はもう銀行は余るほど持つている、信用さえあればどんどん貸してやるのだし、借りられるのだ、即ち金融の梗塞していること、金の詰まつているということが、借り手の信用が薄いから出せないのだ、こういうようなことを申しておられましたが、現在の実際の事情はそうでないのであります。大きな産業にいたしましても、先ず日本の繊維工業、例えば紡績業のような大きな仕事をやつているものは非常に金融に苦しんでおる。相当、今日の時価にいたしては多額な価値を持つている、又その産業は輸出の面において相当活躍をいたしているにも拘わらず金融が梗塞している。昨日も我が国の比較的大産業である自動車工業の状況を聞いたのでありますが、「トヨダ」にしても「ニツサン」にしても「いすず」にしても車が溜つてつてしまつて、銀行に拂うことができない。「トヨダ」のごときは僅かに、その賃金の一割を拂つておるというよう状況考えて見ましても、これは私はその工場の実際を見て、その施設の金の掛かつておる模様を考えまして、決してそれを信用の状況から考えたら、これに金を貸せないと思うのでありますが、こういう点について、金が行詰まつているという面にどういうことがあるか、今日銀行へ行つていろいろなことを相談して金のことを交渉すると、成るほど話はよく分つている、併しながら銀行に金がない、枠がない、こういうことを言つて断わるのが通常の状態であります。金のない、枠のないということが、只今申上げた通り、通貨の面は三千億内外で、それは妥当であるかどうかは別の問題として、果して昭和九年、十年頃に比べて、銀行の預金が六倍も七倍もあつたものが、漸く二倍しかないというようなことであつては、その運転の面が円滑に行かないということがこれによつてはつきり分るのであります。尚銀行の人の頭の切換えができておるかどうか、例えば昭和九年、十年頃において五万円くらいの金を借りるという場合に、我々の経験からいたしますと、電話一つで借りる。今日はそれを、一つの例を以て申しますと、田村君のお話が今朝ありましたが、お話通り、百五十倍、二百倍の金が要るとすれば、一千万円の金を借りるには我々の力においては、前のときは電話で借りたけれども、今日一千万円の金を借りるということはそう簡單に行かん。銀行の貸付は五万円のときには一千万円。相当な巨額な金であるということは頭の切換えが完全にできておらん。そういう点からいたしまして大産業のみならず中小企業が金融のために悲鳴を挙げておるということはたびたびこの国内あたりで論議されておる。このまま行くといたしましたらあなたは税の自然増收を非常に袴りとして吹聽されておりますが、各産業が潰れて利益が上げることができなくなつて、そうしてあなたの考えておるような自然増收どころじやない、来年度は大減收を来たして税源が枯渇してしまつて日本の経済が行詰まつて、そのために産業が振わないようになつて来て、国家の財政があなたの考えているようにうまく行くかどうかということに対して見解を異にしておる。この点について事業を圧迫し、税金だけ預金取れるというようなことを考えておるという点において、私はこの補正予算を成立して、又来年度予算をあなたは甘いことを考えておりますが、自然増收でなく大減收になるということを申上げて置きたいのでありますが、その点についてお考を承りたいと思います。
  184. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 長い間のインフレからデイスインフレになつて参りましたので、個々の産業、個々の会社につきましては金詰りの会社もございましよう。又有望な会社は金を借りるのを断るというところまでは行きません。楽に借り得られる会社もあるのであります。全体といたしまして金詰りという声を聞きますのは、この程度の金詰りなら私は差支えないと考えております。今年度自然増收を見込みましたが、来年度は、次の第七国会に提案いたしますのは、私はで年度よりも七百億円ばかりの軽減をやつて行く、そうして七百億円の軽減をいたそうといたしておるのであります。産業全体の問題といたしましては、先般来の御質問に答えましたように、できるだけ長期資金を出すように、又金融の円滑を図つて産業が萎靡沈滞しないように、経済方策を採つて行きたいと考えております。
  185. 玉置吉之丞

    ○玉置吉之丞君 私も二三の会社に関係いたしておる関係から最近特に感じておりますが、我々の関係しておる会社は比較的うまく行つておるように思つていたのに、最近会社がどうしても興業銀行とかその他で少し長期の金を借りなければいけない、こういう状態も聞いておりますが、その真相を調べて見ますと、やはり税金の取立てが嚴しくなつて相当含みのあつたものも全部出してしまつた。企業の合理化のために機械に少し金を入れ、設備に金を移れた。そうすると税金を拂うために金を差当り相当使う。こういうのが我々の知つておる会社のすべての状態であります。税金を正直に拂つた者ほどその悩みを持つておると私は思うのであります。それにつきまして法人税に対しまして、例えば一月の末にその所得金額を届出て税金を査定する、この税を一遍に取るというようなことをしないで、少し緩和をして数回に割つて取るというようなことを考えておられますかどうか。一つこの点伺つて置きたいと思います。
  186. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 法人に対しまする税は、実は随時の納期になつております。決定した時に徴收することに相成つております。従いまして大体経理状況によつて、その税金を分割して納めて頂くということは、その建前になつておりません。滞納になれば別でございます。併しお話通りに、今までの法人税法は今の情勢から申しましてかなりきついものになつております。産業の振興にかなりの悪影響を及ぼしておると認められますので、御承知通りに、資産の再評価をいたしまして適正な資金の蓄積もやり、そうして今までのような超過所得を課税いたしまして利益の六七割を取るというようなことは改めまして、来年度からは超過所得に対する課税をやめて、一律に三五%で課税する、こういうようなことを考えております。
  187. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) よろしゆうございますか。
  188. 玉置吉之丞

    ○玉置吉之丞君 只今大蔵大臣は三五%というのは来年度の話でありますが、この十二月なり一月になると、随分会社がこういう金を拂うのに困つておるのです。それをあなたがおつしやつたようなシャウプ博士の勧告によつて、三五%に法人税を引下げたということは、私も承知しております。併し眼前に迫つておる問題に対して、何か緩和の方法があるかないかということを承つておきたいと思います。
  189. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 所得があるところに課税をいたすのでございます。所得があつたならば、その中から一定額の税金はやはり納めて頂がなければならんと考えております。今申上げましたが、法人は随時納期と申上げましたのは間違いでございました。決算期が済みましたら、一定額を二ヶ月内に納めることに相成つております。だから所得が出ましたら、その幾分はやはり納めて頂くように相成るわけであります。
  190. 玉置吉之丞

    ○玉置吉之丞君 それはよく分るのですが、兎に角前に申上げました通り、利益があると、その利益をそのまま置いて行くようなことであつたならば、企業の合理化も行われない。又輸出産業におきましては、アメリカのものが下つて来た、イギリスのポンドが切下げられたというような諸種の事情において、非常に輸出をやる上に我々は出血状態に置かれている。いわゆるコストの引下げに努力しておる。ただ漫然と従業員の数を減らすとか、そういうような消極的なことだけではやれないのです。実際の問題としては、そこに企業を合理化するということについては、相当な金を借りて機構を改善して行かなければならんということは、私が申上げるまでもなく、大蔵大臣よく御存じです。それに対して地方税を加えて約八割近い税を納めるということとになれば、金融の面によつてこれを打開する方法を考えなければならん。その金融が梗塞しておる状況の下において、事業家はどうしているか。政府として財政は極めて健全である。而して終戰後における今日まで来たインフレーションは阻止した。これによつて産業のある部門には倒れるものもあり、行詰るものも止むを得ない。こういうふうなお話でありますが、そういうことをやられる結果が税源が涸れて来る。あなたの考えておるような税の收入がなくなつたときに、果してあなたの考えておるような健全財政が持続できるかできないかということに、私は多大の疑念を持つておるのです。そのためには金融の面に対して、あなたはもつと積極的に親切に国家のために、何かもつと進んだ手を打つというお考があるかということを、尚私はこの際明確にいたしたいと、こう思うのです。
  191. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 午前中から申上げましたように産業資金の円滑を期するためには極力努力いたしております。又銀行が枠がない、金がないと言つておりまするが、必要な金は私は銀行制度に改めまして出すようにしておるのであります。最近のコール市場を見ますと、二三十億、多い時は五六十億もコール市場にあるのであります。あながち銀行家の言う通りにも行かんと思います。大蔵大臣としては何としても産業の振興が必要でありますから、合理化資金につきましては特に出すよう日本銀行を初め指導いたしておるのであります。合理化資金も今年の三月以来相当出ておると思うのであります。従いまして今申上げましたように、所得があつて、これを蓄積して資産の方へ入れて行こうという場合に八割の税金を納めるようでは困る、こういうお話は御尤もでございますので、来年度からは余程少くして、所得があつても半分以上を蓄積資金として持つて行くように税制改正をする予定でおるのであります。
  192. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) よろしうございますか。
  193. 玉置吉之丞

    ○玉置吉之丞君 この上大蔵大臣にいろいろ伺つても、先般から皆質問に答えたと同じことを繰返されて、いわゆる蒟蒻問答になるので、私はこれ以上尋ねる気持もいたしません。ただ日本の経済、産業の姿が金融の梗塞のために困つておるということは、これはよく御存じだろうと思う。それに対しては通り一片の御答弁でなく、これをどうして打開して行くかというのが、私は大蔵大臣責任であろうと思います。これは今日国民全般の声である。これに対してただ一通りの言い逃れみたいな御答弁でなくして、もつと私は積極的に何かの手をお打ちになることを希望して、私の質問を打切ります。
  194. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 帆足委員
  195. 帆足計

    ○帆足計君 大蔵大臣にお尋ねいたします。私は先程の内村委員並びに玉置委員の御意見に全く賛成でありまして、従いまして同様の趣旨から端的に極く簡單に、具体的な問題につきまして御答弁を得たいと思います。  第一には、御承知よう日本の産業の復興のためには、今設備の補修並びに建設が必要でありまして、それをしなければどうしても日本の経済は安定しないのでございます。ところが日本の金融機関の大部分は、御承知ように市中銀行にいたしましても、短期金融の建前でできておりますから、どうしても私は産業界が安心して頼るべき長期金融の機関が絶対必要だと思います。復興金融金庫は多少の欠陥がございまして、又終戰直後のことでございましたので、ああいう放漫に流れた点もあると思いますけれども、それらの点を改めまして、工業界が信用し得る長期金融の機関を是非考えて頂きたい。只今証券の民主化も叫ばれておりますけれども、日本国民の現在の貯蓄並びに証券に対する不慣れの現状では、それのみに頼つて資金を集めることは非常に困難でございます。従いまして大蔵大臣におきましては、長期金融の機関を新たに設けられるか、又は今の興業銀行を充実しまして、我々の要望に応えるようなお考えがおありかどうか、この点を第一点としてお伺いします。  第二には、復興金融金庫の資金の回收を放漫にして置くわけには参りません。併しあの金融の九割までは設備資金でありますので、ただやたらに取り立てられたのでは、折角金融した趣旨も沒却され、業界としては非常に困る。工業としては非常に困るわけでありますので、資金の回收につきましては、実情に即して建設の目的を毀損しないように、そうして放漫に流れないようにというふうに注意して頂きたいと思いますが、最近回收につきましての計画提出せよという通牒などに接しまして、工業界は非常にその点心配しておるよう実情でございますので、それについての大蔵大臣運用の心構えをこの際承つておきたいと思います。尚復金の金利につきましては、当時に比べて今一般の市中金利が下つて参りましたから、復金の融資の分も金利の低下に伴いまして金利を変えて頂くことができますかどうか、その点も併せお伺いしたいと思います。
  196. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 設備資金並びに長期金融につきましては今朝来お話し申上げました通りに、只今のところ新しい機関を設け、興業銀行、農林中金、商工中金を育成して行きたいと考えております。財政演説に農林中金、商工中金の増資並びに債券の発行限度を申上げて、今議会に出す予定であつたのでありまするが、今朝申上げましたように少し遅れます。来議会の早々に出す計画でおります。興業銀行につきましては拡充するというだけでございまして、来国会におきまして、できればこれを五億円の増資をし、三十倍ということで拡充して行きたいと考えております。設備金融、長期金融とはつきりは申上げられませんが、中小商工業者に対しまして不動産金融をやることはかなりの長期金融になるのでざいまするが、新たに出資いたしまする五十億円の住宅資金というものを土台にしたしまして、不動産金融的のものを考えたらどうかという計画を持つておるのであります。  それから復金の回收についての心構えでございまするが、これはお話通りに、主として設備資金へ行つたものが多いのでございますが、私は特にこれを早急に引上げるという気持は持つておりません。今回五十億円の一般会計に繰入れをいたしまたのは、特に回收を強めて行つたわけではないのでありまして、公団に復金が貸しておつた四十億円の金が預金部に肩替りをしたためにそれだけの回收があつたのであります。併し御承知通りに、復金が今後新たな貸付をしないことにいたしましたから、その預金部から肩替りをした金が入つて来たので一般会計へ入れたのであります。  第三の復金の貸付金利につきましては、一般金利が下向きになつておりますので、検討いたしたいと考えます。
  197. 帆足計

    ○帆足計君 第二にお尋ねしたいのでありますが、御承知よう日本の車輌工業及び自動車工業は今非常に困つております。これは中国向けの輸出が可能にならなければ、一は窮境の打開が私は困難であろうと存じております。中国向けの輸出につきましては、私は日本が新憲法の趣旨に副うて、本当に永世中立と平和を守るならば、その線でこれは可能であろうと確信いたしておりますが、兎に角現状におきまする困難を打開しまするために、当面は鉄道の電化が私は最も緊要であろうと思います。これによりまして優良炭の節約にもなりまするし、又失業者の救済にもなりまするし、車輛工業の危機を救うことにもなりますので、一石二鳥の案であろうと存じております。政府においてはこれにつきまして格段の考慮を研究中のようにたびたび伺いましたが、最後の結論只今どうなつておりましようか、この点を伺いたいと思います。
  198. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 御承知通りに、今年度は見返資金から鉄道の方に百五十億円を出しております。来年度におきましてはそういう厖大な金は出せないと考えておるのでありまするが、運賃を値上げいたしました收入によりまして、相当の鉄道会計の償却が出て参りますので、それを以て車輛その他の振興に当てたいという気持を持つておるのであります。
  199. 帆足計

    ○帆足計君 もう一つ最後にお尋ねしたいのでありますが、価格の調整のために補給金が出ておりますが、私はどうしても国民生活上必要であるものに対しては、これは止むを得ないことでありまするが、その一つとして、只今緊急に迫られておりますのは、御承知ようにストレプトマイシンによりまして初期の結核、喉頭結核と腸結核が完全に癒るようになつておりまして、今百五十万からの結核患者の中で、相当数の人達がストレプトマイシンの大量生産を待ちもうけておるような現状でございます。これに対しまして私は、大蔵大臣といたしましてもこれに助成金を出すとか、又は価格補金を出すとかいうようなことを考えて置かれる必要があるのではないか、この議会において間に合わないといたしますれば、我々厚生委員会の方へも申出ますから、その方から申出がありましたならば、このストレプトマイシン対策につきましては、是非格段の御配慮を大蔵大臣にお願いしたいと思います。実は只今一万單位二千五百円ぐらいの闇値がしておりまして、一つの病気を癒しますのに四十万單位としまして十万円掛かるよう実情でございまして、先日結核対策につきまして本会議におきまして質問いたしましたところが、数十通の投書が私の方へ参りまして、現在命旦夕に迫つておりまする気の毒な患者の方々が、ストレプトマイシンの生産の促進について何らかの手を打つてくれという悲痛な叫びを沢山寄越されました。この点につきましてはいずれ厚生大臣にもお願いいたしまするが、大蔵大臣の御記憶に置いて頂きたいと思います。  更にこの席を借りまして、価格差益金納付制度の点でありまするが、これは前国会におきまして、現状に照して不合理であるから全面的に撤廃をされるというようお話でございました。その後半年を経ました今日、種々のいきさつがございまして、御当局も非常に御努力をなさつておられたことは承知いたしておりまするが、なかなか埓があきませんので、業界はこのために非常な金詰りの打撃を受けております次第であります。大体におきまして数日前司令部に参りまして伺いましたところ、司令部もこの全面的撤廃の趣旨には賛成であるというような言明を得ました。そこで我々は一日も早くこの全面的撤廃を希望しまして、司令部もそういう意向でありますならば、本日は是非政府当局のはつきりした責任のある御答弁を伺いたいと存じておる次第であります。幸いに福島物価庁次長もお見えでありますから、只今決まりました点を政府責任において明らかにした頂き、業界の不安を取り去つて頂くようにお願いしたいと思います。尚新聞紙上に用紙のマル公値上げが二十五日頃でしたか出ておりましたけれども、私はこれまだ公布されていないのであつて、この価格差益金の全面撤廃を急がれたならば、それのごときは当然引つかからないのが本当であると考えておりまするが、それらの点も如何ようになつておりまするか、お伺いしたいと思います。
  200. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) お答え申上げます。ストレプトマイシンにつきましては御説の通りでございまして、実は向うから参りますものを政府で買上げまして、そうして適当な価格で患者に売渡そう、そういうわけで今回の補正予算に、六千万円組んでおると思います。来年度は四億ぐらいを計上する考であります。価格差益の納付金につきましては、十二月からの値上げについては止めるという計画でやつております。この問題は他の政府委員からお答えさせたいと思います。
  201. 福島正雄

    政府委員(福島正雄君) 価格差益処理の問題についてお答え申上げます。この価格差益金の徴收につきましては、それの撤廃につきましてはかなりの経過がごさいましたが、最近関係方面から、十二月一日以降起りましたる価格差益金によります、価格の変更によりまする差益は徴收しないことに決まりました。従いまして十二月一日から廃止します告示を極く最近に公布いたしまするつもりでございます。
  202. 帆足計

    ○帆足計君 それか補給金を含めての全面的撤廃でありますか。
  203. 福島正雄

    政府委員(福島正雄君) それは一般の原価の上昇によりまする価格の変更及び価格差補給金の撤廃によつて起ります価格の変更も、両方共含んでおります。
  204. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 次は通産大臣に対して質問を始めます。
  205. 岩間正男

    岩間正男君 日本経済新聞によりますというと、最近輸入滞貨及び輸出滞貨が厖大な数に上つておるのであります。それに対して政府は今度国内ダンピングの処置を採るということを報じられておるのでありますが、これについて通産大臣から御所見を伺いたいと思います。
  206. 稻垣平太郎

    國務大臣(稻垣平太郎君) 大体輸入の在庫品は全部で三百五十七億ほどございます。これは但しその中の大部分はトランジットのストックでありますから、これは問題にならんと思います。それで問題にならんと思います。それで問題になるのは九十七億円ばかりの輸入の滞貨がございます。これはどうしてこういう滞貨が起つたかと申しますと、今年に入つてはありませんが二十一、二年度におきまして、日本のその方面の産業がまだ回復していない時に需要があるとして予想されたものが時期的のズレによつて、或いは船積みの関係によつて遅く入つて来たというためにストックになつておるものがございます。例えば化学薬品であるとか、鉛であるとか、こういつたよう種類のものであります。これは今日大体又鉛のごときは再び加工して輸出をするというような処置を採ろう。それから又或るものにつきましては入つて来たものを再加工して輸出するというようなことも考えておりますし、それから又内地にこれを特に値引して売るということもございます。それか輸出の滞貨でありますが、大体繊維方面の滞貨は三百三億ばかりございます。その中で、その外に加工したものが百五六億ありますが、両方で四百十億ほどあると存じますが、それは大分輸出滞貨の主なるものは大体当時の、注文先に対する見込生産の規格が異つてつたとか、或いは又折角輸出を予想しておつたのが先方の都合でキャンセルされたもの、そういうふうなものを含んでおります。それは大部分は国内放出をいたすつもりでおりまして、又大部分のものはこれを時期的の相違によつて滞貨になつております。その中の大部分は最近、例えば軽目羽二重のごときは一時ストックがあつてつておりましたが、最近では民間の滞貨も我々の手許の滞貨も全部輸出されております。そうして最近は受けておるところの注文を或いは断らなければならんのではないかという程度までそういうものは注文を受けております。  それから民間への繊維の放出でありますが、大体綿布は一億七千万ヤールの放出をいたしたことは御承知通りでありまして、それからして又最近一億三千万ヤールばかり放出することになつております。これが日本経済新聞になんか書いてあつた。私も先程初めて聞いたのでありますが、これは何らかの誤解であると存ずるのでありまして、国内に放出するということをダンピングというような名前で書いたのではないかと存じます。御承知通り綿布はマル公がございますから、マル公でこれを売つておるのでありまして、決してダンピングはいたしておりません。
  207. 岩間正男

    岩間正男君 国内ダンピングというのは変な名前だと思つて聞いたのですが、そうすると今の情報は全然嘘でございますか。
  208. 稻垣平太郎

    國務大臣(稻垣平太郎君) マル公以下で売るというようなことは絶対ございません。それは誤報だと存じます。ただその余つておるものを海外に安く売るという言葉のダンピングという言葉を使つて巧みに記事を拵えたものと存じます。私は存じません。責任を持てません。    〔委員長退席、理事内村清次君委員長席に着く〕
  209. 内村清次

    理事(内村清次君) 稻垣通産大臣に対しましては池田委員から質問通告がありますが、やりますか。
  210. 池田恒雄

    池田恒雄君 補給金のことでございますが、一つは肥料の補給金を削るというようなことになつておりますが、それで肥料の補給金を削つた場合、値段の方の操作をこれからどんな工合にお考えになつておりますか。
  211. 稻垣平太郎

    國務大臣(稻垣平太郎君) 御質問は私の方の問題でなくして安本と農林省の問題であると存ずるのでありますが、製造工場の問題について私の方でありますが、それはお答えしない方がいいと思います。
  212. 池田恒雄

    池田恒雄君 それでは製造工場の方についてお答え願いたいと思います。肥料の補給金を削りますと、そうすると各工場の製品の値段に対していろいろの影響が出て来るわけですな。それをどういうふうな工合に調整されて行くかというようなことを伺いたいと思います。
  213. 稻垣平太郎

    國務大臣(稻垣平太郎君) 御承知ように、肥料の製造工場に対してはこれは三つのグループに分れておりまして、これは主としてその製法によつて分れております。例えばアンモニヤ法或いは電解法によるとか、こういつたことでありまして、遺憾ながら日本の肥料工業は安い価格のものだけでは今日の需要を充たすわけには行かないということで、御承知ように三段階に分れておるのであります。併しながらこれは実際におきましてまあ仮に補給金の問題に別にいたしましても、今後肥料工業が十分に発達して参りました場合に、こういつたように値段に三段階があるということは不自然な問題でありますこれは当然この価格の、何といいますか、マル公のこういつた三段階というものは当然外ずすべきものであろうと私は考えております。そこで補給金を仮に外ずすという場合におきまして、先ず第一に補給金を段階的に外ずすという問題につきまして、こういう価格の製造原価の上に三階段があるということを調節して行かなければならんと思います。そこで補給金があれば調節はできると思いますが、或る程度例えば特に補給金を支給するということで、肥料配給公団が割当をする、こういつた場合高いものからやつて行くという形で私は操作できると思うのでありますけれども、これを今度は実際の自然な、いわゆる製造の原価のままに行くということになりますというと、或る工場はどうしてもそれに引合せて行けないという段階になると思います。そこでできるだけ早い機会において安い製法で肥料を作るように肥料会社の企業を合理化させるということが必要であろうと存ずるのでありまして、通産省といたしましては、できるだけ我々が拵えておりますところの最低段階の所に持つて行く、只今最低段階の所は大体五・六〇%を占めておるのでありまして、残りの三・四〇%をできるだけ早く企業の合理化をすることが必要である。こういつた方向で先ずやることが、第一段階であると考えております。我々といたしましてはそういつた方面に業者と相談しておるわけであります。
  214. 池田恒雄

    池田恒雄君 肥料の生産価格は甲乙、丙と三つに分れておりますな。甲の価格で全般的に需要を充し得る。こういう仮定をいたしますと、補給金を出した場合でも値上りはあまり大きくはないわけでございますね。ところが丙、乙と、丙がもつとも高い値段になつておるのでありますが、そうするとそこでいろいろな問題が出て来るということになりますが、大体今必要とする肥料の生産高を維持するには現在の丙価格のグループ、このグループの工場も動かして行かなければならないというのであるならば、補給金を切るということはなかなか困難になつて行くわけですね。それからもう一つ、それでも補給金を外ずして行こうとするならば補給金でない面において乙価格更に丙価格のグループの経営の合理化を図つて行かなければならないということになるんだと思うのでございますが、そうするならば、その合理化の方法、そういうことについて復案なり方針もあるでしようが、それをお聞かせして頂きたいと思います。    〔理事内村清次君退席、委員長著席〕
  215. 稻垣平太郎

    國務大臣(稻垣平太郎君) 来年は大体肥料といたしまして硫安換算百八十万トンを計画いたしております。その百八十万トンということは、できれば内地を百六十万トン或いは百七十万トン程度に抑えまして、十万トン程度は輸出したい、こういうようなことも私は考えております。そこで話は非常に複雑になつて来るのでありまして、補給金を外ずすということと、値段が三段階になつておる、それで輸出ということがある、一番高い丙という値段で輸出が折り合えば話が一番簡單になつて来るのであります。その辺の点は今我々が検討いたしておるのでありまして、丙の値段が輸出に向けられるということになれば、話が簡單になつて来て我々はいいと思つておるのでありまして、大体輸出の値段は我々が、採算の維持から言つて今の丙の方へ持つて来られる可能性が強いよう考えておる。但し無論今後コストの競争ということも他の国との国際的な競争ということも考えられますから、どうしても差当つて丙については企業の合理化が絶対に必要だと、かよう考えております。ただこの前甲乙丙と分けてあります中に、丙のカテゴリーの中に入つて到底採算が引合わないというのでよされたものもあります。丙の中に入つた所は企業の合理化をしなければならない、製法が根本的に違つておるからして到底やつて行けない所もあるかも知れんと考えております。併しながらできるだけこの日本の肥料工業というものが、只今ではまだ需要よりも少い、供給面が少いという点を考えまして、これらの丙の工場に入つておるものも育成して、できるだけ乙へ引上げる、乙のものは甲にすると、こういうことにして、我々が設備の改善或いは設備の変更に対する資金の斡旋なんかを只今つておるわけであります。
  216. 池田恒雄

    池田恒雄君 そうしますと、一つは若しも丙価格をもつて輸出が引合うならば経営の方が助かつて行くと、簡單にいうとそういうわけですね。それからそれはそれといたしまして、丙の方を合理化して、そうして乙或いは甲の方へ接近さして行くということになるわけでございますか、まあともあれ現在の需要を充たすには現在の丙まで引上げたものを動かして行く必要はあるわけですね。
  217. 稻垣平太郎

    國務大臣(稻垣平太郎君) 現在においてはその通りであります。併しながら今日大分その硫安肥料の計画をされておる方も相当にあるのであります。我々のところへ申請されておる方も相当の方が新たに肥料工場をやろうということで、従来賠償工場になつておりました建物でありますとか、例えば他の仕事をやつたものの工場でありますとか、そういつたものを転換いたしまして肥料工場にしようということが相当に起きておるように存ずるのであります。ということは、今尚需要よりも供給が少いという建前から肥料工場を作る。又戰前御承知ように肥料を輸入しておつたのでありまして、恐らく私は肥料工業というものは来年一杯とは言えませんが、近い一二年の間には二百万トンを超えて、従来の二百四十万トン程度に行くのじやないかと実は考えておるのであります。
  218. 池田恒雄

    池田恒雄君 その場合新しく工場を計画しておるというのが、それが甲価格のように安い肥料を出せるというような工場が計画されておるならば問題がなくなるが、現在の補給金制度を前提として、丙価格でも工場は成立するというよう考え方で工場が出て来るのであるとするならば、余り嬉しいことではなくて、いろいろ又問題が出て来るのではないか、こういうふうに私は考えておるのでありますが、その点はどういうものですか。  もう一つ、肥料を何処かへ売つてやる、こういうわけですが、これは今までのところは肥料を輸出しないで輸入しておるわけでございますな。その輸入しておる肥料の中には、我々から見ますと好ましい肥料と好ましからざる肥料とあるわけであります。つまり硫安のようなものは、これは日本の現在の輸入の中では好ましくない肥料なんであります。それが相当つております。それから今日の日本の農業の中で最も必要なのは燐酸と加里でございますね。加里の方が非常に少くて、そのことがいろいろ問題を起しておるわけでありますが、若し輸入をするならば加里と燐酸であるとこういうことになるのですが、現在の生産を見まするというと、アンモニア系統の肥料、これは輸出をしたいというところに来ておるのでございますから、わざわざ硝安のようなものは輸入しないでもよろしいのじやないかとこういうふうに思うのであります。これは肥料を使うところの農協が硝安というものは非常に嫌つておるのであります。実際困つておる。本当にこれは悪いものなんです。今までないのでありますから、仕方がないからあれを使つてつた。併し国内の硫安が相当増産されて来るならば、もう硫安で行つた方がいいわけです。だから硝安は輸入しない方がいいと私はこう思うのであります。それでこのことは單に農民だけではなく、肥料業界でも硝安は輸入しないで、そうして国内の硫安を以て間に合わして行くように生産の方策を採つて貰いたい、或いは又逆に硝安を輸入しないでそれを間に合わしながら外国に売りたい。こういうようなことを業界の方も申しておられたようですが、今大臣は十万トンですか、それくらい輸出しようという考を洩らされたのでありますが、硝安を輸入しながら一方硫安を輸出するというような恰好になるわけですか。
  219. 稻垣平太郎

    國務大臣(稻垣平太郎君) 第一問の方にお答えいたしますが、第一問は、この今計画されておるところの工場がコストが高いものでは意味をなさない。その通りでありまして、我々の方へ御相談に與つておりまするものは、いわゆる甲の種類に入るようなコストのよう計画でなければ、これはお止めになつたらいいとこう申上げておるのでありまして、従つて補給金が将来外ずされるということを予想しても尚且つコストが採算の以上にあるというものについて御相談を受けておるというような形なのです。その点は私心配なかろうと存じます。  それから第二問につきましては、私先程申落したのでありまするが、只今硫安二十万トンを御承知通り百八十万トンにするということは、言い換えれば硝安の輸入も実は防遏したい。硝安は輸入しない。尤も或る方面では是非硝安肥料がほしいという所もあります。これはだから硝安の三十万トンの輸入を例えば十万トンにする。二十万トンはこれを硫安に置き替える。こういう支え方から今百八十万トンということを申上げたので、私先程申落したわけであります。加里は私共としても輸入しなければならない、かよう考えております。燐酸肥料は日本でできますから燐鉱石の輸入をしなければならない。まあそういうよう考え方でありまして、この点はあなたと同意見に存じております。
  220. 池田恒雄

    池田恒雄君 実は初手から農林大臣に聽くべきことじやなくて、通産大臣にお伺いしたいことをお伺いしたわけだつたんですが、私価格のことを申しましたのは、やはり生産から行く価格の問題の方が決定的だと思うのです。で單に農林省側が安くしたいとか高くしたいとかということによつて、私は肥料の値段が上つたり下つたりしない。そういう意味で通産大臣にお伺いしたわけなんです。  それでもう一つ、そこから申しますと、私は現在の肥料会社ですね、肥料会社の経営とか技術、それからそれぞれの工場のコストです。これはやはり見なければならないと思うのです。それでこれは大体補給金を受けておる工場、これらの工場の、工場と申しますか、会社と申しますか、会社の決算報告でしようか、或いは計算の單価等は通産省の方に報告されておる筈でございますな。それがありましたら後日見して頂きたいと思うんですが……
  221. 稻垣平太郎

    國務大臣(稻垣平太郎君) これは勿論補給金を出しておるよう関係がありますから、物価庁の方には報告が参つておることは無論でありますが、我我の方にも実はいろいろな製造過程を検討いたす意味において我々の方にも報告を取つておると存じております。これははつきり取つておるとは申上げかねるのですが、取つておると私は存じております。或いは取つてないものがありましたならば、取寄せても一向差支えないと存じております。
  222. 池田恒雄

    池田恒雄君 次にアルコールの問題でございますが、アルコール工場が全国で十二ヶ所くらいだつたでしようか、それくらいあつたようですが、このアルコール工場が何か甘藷及び馬鈴薯を原料としておるために、割合に採算がよくないんだ。まあこういう話を聞いておるのですが、これは工場の方方が私に申しておるのであります。その場合何か糖蜜か何かを輸入して、そうしてそれを原料にするというと、コストは三分の一くらいになる。こういうふうに工場の專門家が言うておる。で通産省の方でそういうような御方針を採られるかどうか、一つ……
  223. 稻垣平太郎

    國務大臣(稻垣平太郎君) アルコール工場は通産省がアルコール專売法によつてつておるところでは十三工場であります。御承知ように馬鈴薯なり或いは甘藷なりを以てやつておりますが、これを糖蜜でやります場合におきましては、非常に価格が安くなることは事実であります。現にアメリカのアルコールは日本のアルコール値段の半分くらいで今でも輸入されておるのであります。それは主として糖蜜からやつておられる。但し糖蜜にもいろいろ種類によつて違うのでありまして、今日多少糖蜜を台湾から入れて、我々の方でやつたことがあるのですが、戰前の糖蜜と前日の台湾の糖蜜とは非常に結果が違うのでありまして、コストが相当高くつきます。糖蜜の成分が惡いのであります。併し兎に角糖蜜の方が安くつくということは事実であります。それでアルコール專売法そのものについても検討する必要がある。言い換えればアメリカの糖蜜が半分で来るものを、何もわざわざ好き好んでここにこれを確保する必要ありや否やという問題が起つて来るのであります。この点については只今我々の方も検討をいたしております。
  224. 池田恒雄

    池田恒雄君 もう一つ、あの工場を、最近になつていろんな関係からもう工場は拂下げた方がいいというようなお考も政府当局にあるというのですが、拂下げてしまうというお計画はあるのでございますか。
  225. 稻垣平太郎

    國務大臣(稻垣平太郎君) これにつきましてはいわゆるアルコール專売法ができました当時の事情を申上げますと、これは当時ガソリンも来ないだろう、いわゆる燃料の問題から起りまして、いわゆる軍事上の目的からアルコールの專売が布かれたのであります。そこで今日この布かれた当時のいわゆる考え方、燃料の自給、或いは燃料を確保する、而も軍事上の目的にということから申しまするというと、アルコール專売法を作りました当時の考え方は、目的から言えばこれは全然必要がないものであるということが言えると思うのでありまして、尤も工業用のアルコールを確保することは必要でありますので今日までやつて来たのでありまするけれども、只今申上げましたように、若しアメリカから工業用アルコールを入れれば更に安く入る。又若しこれを民間に直接やらしましたならば、私は只今よりも確かに安く行くと考えておるのであります。そういう意味からアルコール專売法というものについては尚検討を要しまするけれども、少くとも工場自体を官営でやつておる必要は何ら認めないのであります。ただ一部の工場につきましては、いわゆる試験工場と申しますか、通産省が最近工業技術についていろいろ力を入れておりまするので、その関係からこれを研究工場として一二残して置くということは、これは私は或いは必要じやないか、或いは地方的に言えば幾つ残すということになるか知れませんが、或る程度残して、あとは民間の人の創意工夫に俟つ方が結果としましてもいいのでございます。コストも安くなるのではないかと考えまして、若しこれが希望者があるならば適当な値段で拂い下げてもいいという考え方を持つております。
  226. 池田恒雄

    池田恒雄君 また補給金の方に戻りまして恐縮ですが、補給金が少くなつて行くという過程におきまして、まあ炭鉱なんかでもそういうところが出て来るわけです。工場なんかでもそういうことが出て来るのですが、これは経営が非常に困難になる、労働賃金を拂わないとか、或いは人を整理するとか、そういうものが出て来るのですね。それは肥料工業で申しました。その丙グループみたいなものはあらゆる産業部類にあるわけです。そういう部門ではそういう問題が起つて来るわけです。これは補給金だけの問題じやなく、最近のいわゆる産業合理化ということからも起つておると思うのですが、補給金によつてつておるところもあるわけです。こういうことになりますとやはり業界でも困るだろうし、まあ働いている連中も困るというようなわけであります。或いは又これは、大臣は、それは安本の方で答弁すべきものだとおつしやるかも知れませんが、その際通産省のそうした方面に対する考え方があるでしようから、それを一つ伺つて置きたいと思います。
  227. 稻垣平太郎

    國務大臣(稻垣平太郎君) 私は補給金の問題につきましては、兎に角日本の産業というものはプライス・ファンクションによつて決めらるべきものである。言い換えれば国際市価に鞘寄せされることが必要であつて、これは好むと好まざるとに拘らず国際価格には当然鞘寄せされるのであります。これはもう鞘寄せされないならば、日本が鎖国するより仕方がないのでありまして、当然鞘寄せされるのであります。而してその国際価格に鞘寄せされるためには、これは当然補給金という問題も、この鎧も外ずして行かなければならんということは当然であります。そこでこれはこの補給金の問題のみならず、価格の面におきましても、どうしても実際国際価格に鞘寄せせしめる程度においてその企業の合理化は当然行われる。これは補給金を外ずすとか外ずさないとかいう問題じやないと考えておるのであります。無論補給金を外ずすということによつてこの問題は起ります。基礎産業の、まあ石炭はこれは補給金はありませんから、これは別問題でありますが、例えば鉄鉱、或いは又カリ肥料、ソーダ、そういつたようなものについて、無論補給金を外ずすということは、一つのそこに渦を起すということはこれは考えられるのであります。これは併しながら捨てて置いても、或る時期においては国際価格この鞘寄せによつて、当然外ずさなければならないものでありますから、これを上手に外ずして行く。できるだけ吸收し得る程度にだんだん外ずして行くということが、通産省として一番苦痛に存じておるわけであります。苦慮いたしておるところであります。又通産省の立場から言えば、できるだけ大きな傷を與えないで、そうして産業を守り立てながら、だんだん外ずして行くというような方向に考えておりますので、そういう意味合で我々は努力いたしておる次第であります。
  228. 池田恒雄

    池田恒雄君 大臣が言われました通り、国際価格への鞘寄せ、これは我々も必要なことであると思つております。それから財政の中で補給金を出すということも好ましい政策でないことは、前国会においても私達も申上げたことでございます。ところで今年度の業界の様子を見ておりますと、いわゆる補給金問題を含む産業合理化のために相当出血が又行われておるわけであります。ところが只今大臣の御意見では、出血合理化を避けて行きたいと、こういうふうに思われておるわけでありますが、ところで大蔵大臣説明を聞きますというと、まあ今度はこういう工合にやる。来年の予算には、先程の説明では四百五十億だつたですが、それから再来年度零にすると、こういうわけです。この大蔵大臣考えておられる補給金の節減の、この段の取り方は、出血合理化なのか無血合理化なのか、通産大臣ちよつとしたその見解をここでお示し願いたいと思います。
  229. 稻垣平太郎

    國務大臣(稻垣平太郎君) これはもう無論政府内部で話合つて決めましたことでございまして、大蔵大臣が来年度はどれだけ、再来年度は零にするとこういうことは我々が十分討議した結果決めましたものであります。私はその程度で補給金を外ずして行く場合には、これは無論出血がないということは言い切れませんけれども、大きな誤りなく、おのずから企業の合理化によつて或いは第二次、第三次に吸収されて、十分成り立つて行くものだとこういう観点の下に、相談の結果、あのように決めましたわけであります。
  230. 池田恒雄

    池田恒雄君 そうすると大蔵大臣が示しておる補給金節減の足取りにおいては、大体多少あるかも知れませんが、まあ殆んどない、出血はない、無血合理化で行けるという見方を、これはまあ大臣のお説ですから、そういうふうに相談の上決めたのだから、そういう見方をしておる。こういうわけなんですが、こう言えば、非常に話が抽象的になつて来るのですが、今年度町に起りつつあつたような、ああいう出血症状、そういうものについて、何か大臣は具体的な例を取り上げて、これならばこうするというよう説明を頂くわけには行かないでしようか。恐らく通産省は、これは百姓というものは何事によらず農林省に頼つて行くものですが、商人達は何事によらず通産省に頼つてつて、そうしてあれをくれ、何をくれと言つておるに違いないのです。事例は当然大蔵大臣は御承知だと思うのですが、その中の一つでも二つでもいいから、それに対する診断の症状と手当、この方法を、そういう事例を以て御説明願いたいと思うのです。不幸にして私素人なものですから、一つ玄人の方達から願いたい。
  231. 稻垣平太郎

    國務大臣(稻垣平太郎君) 私はこの補給金の問題と出血の問題は全然無関係とは申しませんけれども、これはもう私はむしろ直接において繋がりはないので、結局企業の合理化と出血という問題になると考えるのであります。そこで企業の合理化の関係においては、これは私たびたび申したと思うのでありまするけれども、私はやはり企業の合理化ということは、結局企業の操業度を上げるということと、一面には経営の能率化ということであり、経営の能率化ということは、即ち言い換ええれば機械設備の改善であり又この熟練度の向上と私は思うのであります。こういうことは又裏から見まするならば、結局一つの原価構成を一体どうするかということでありまして、その原価構成によつておのずから決まつて行くものだと思うのであります。原価構成ということは、言い換えれば、一人当りの生産量が一体どうなつておるか。今日戰前と較べますというと、恐らく一人当りの生産量というものは、ひどい時には僅かに三分の一程度に下つておりました。戰争直後は大体の産業が三割から三割五分程度に下つてつたと私は思うのであります。今日では熟練度も増しますし、又いろいろなこの原材料の供給も豊かになつた関係で、大体操業度は、一人当たりの生産量は、六割から七割程度に上昇いたしたと思うのであります。そこで機械の合理化の場合に考えられることは、これはフルに、百%に従来通りに一人当りの生産量が元へ帰つて来るということが一応は目標でなければならんと私は考えるのであります。無論それにはいろいろな條件がありますが、基準度の関係があり、或いは又いろいろの原材料の関係もある、その辺を勘案して、一人当りの生産量がどの辺であるかということが大体各企業で目途が立つておると思うのであります。私はそれよりももつと大きな問題は、やはりその企業が合理化する場合には、どうしても機械、技術その他が進んで行かなければならん。そこで機械技術の改善ということになりますと、従来例えば十人使つてつたところを或いは一人でする。私は従来十五人使つてつたところを一人で済む経験を最近持つておるのであります。まあそういつたような機械、技術の改善があるということになりますと、どうしてもそこに不必要の人ができる。従つていわゆるコストの計算において原料が幾ら幾ら、或いは労銀が幾ら幾ら、こういうことになりまして、労銀の総額なり、或いは原料の総額なり全然変らなくても、一人当りのコストは上るということもあり得ると思うのであります。言い換えれば、数は少いが一人当りの給與は多くなる。こういうこともあり得ると思うのであります。要するに原価計算に対するところの構成と、一人当りの生産量をどう持つて来るかということが企業合理化の本当の行き方で、そうして各業界共そこを狙つておると思うのであります。そこを狙うというと、自然人が多いという場合も出て来ると思うのであります。それは必ずしも、一体殊更に人を切るという意味でなくして、原価計算の上から、一人当りの生産量がどうだということから、そこに押し詰つて来るということはあり得ると考えるのであります。
  232. 池田恒雄

    池田恒雄君  只今説明を味いますと、大体その場合の合理化は、合理化に勝つていて、企業の合理化をお進めになつておるのだと思います。これは併しながら当然そういうふうに合理化というものが動いて行かなければならないのですね。だからそれは日本の産業と技術の前進のために結構なことなんでございますが、その場合に私は出血があると、こういう工合にも考えられるというのです。つまりそういう合理化と協調との中において起る出血を、通産省の政策として又それをどういうふうに合理化するのか、調整するのかということを私は今お伺いしているのであります。
  233. 稻垣平太郎

    國務大臣(稻垣平太郎君) これはまあ労省働の部面の失業対策の問題には私は触れませんで、これは何れ失業対策の問題と関連がありますので、これは労働大臣がお答えする範囲に入りますけれども、そういうことと関係を持たないで、通産省の考といたしましては、結局企業の合理化をするというと、一つの製品当りのコストが安くなる。安くなるということは事業を拡張し得る土台を作るということになるのだと私は思うのです。そこで過渡的には一つのそういつたような出血があり得ることもあると存ずるのでありますけれども、結局コストが安くなるということは、物が余計に売れるということだと私は考えているのであります。そこで先ず我々は、企業の合理化に沿つて採算をよくする、一人当りの生産量を殖して行くということだと考えましたが、これで安くなつた、安くなつたら余計売れる、こういう建前から工場を拡張する、産業自体の拡大を図る。こういうような方面へ我々としては指導すべきが当然だ、こういうふうに考えております。
  234. 池田恒雄

    池田恒雄君 そうすると、只今のところ通産省がお考えになつておる、或いは又推進しておるところの合理化はその方向であつて、それを取巻く更に広い分野については何ら手は付けておらない、又手は出しにくいというようなところでございますか。
  235. 稻垣平太郎

    國務大臣(稻垣平太郎君) それは政府全体といたしまして、そこに労働省なんとか一緒に相談する失業対策の部面へ入るのであります。ただその部面へは私ここで入らないとお答を申上げたわけでありまして、無論それに持つて行かなければならない。政府全体としてその場合の失業対策として考えたい、こういうことであります。
  236. 池田恒雄

    池田恒雄君 これはいわゆる失業というと、我々は労働者の失業というよう考えるのです。そうではなくて、今労働者の問題もありますが、労働者だけでなくて、もう一つは小経営や合理化のために、企業合理化の前進のためで、決して失業者になるわけではないのですよ。失業者になるわけではない。これは労働者ではないのですから……そういう弱小産業はどういうふうに今後整理されて行くか、こういうことなのです。
  237. 稻垣平太郎

    國務大臣(稻垣平太郎君) 分りました。今私考え違いしておりましたが、いわゆるまあ小経営者、中小経営者をどうするかという問題だと私存じております。それならば私ちよつと感違いしておつたのでございますが、それは私はやはりそれらの人が、例の協同組合法等によつて組合を作つて頂いて、操業度を上げるということ、これを随分慫慂いたしております。又これが好い成績を收めている実例が沢山あるのであります。或る場合にはそういつたような組合ができて、そうしてその方が実際にまあ同じような、例えば織機を僅かずつ持つておられるとか、一軒立ちではできない、それが百軒ばかりお寄りになつて組合をお作りになると、百台の織機を持つておられる会社よりもその組合の方がうんと成績が好いので、今度は逆に百台の織機を持つておられる会社から通産省へ、あんなものを拵えて貰つちや困る、何とかしてくれというようなことを言つて来た実例があるのであります。そういうように組合を組織してこれをやつて行くということも一つであります。又これらの人は、中小工業の人は、今の技術の改良とか、それからしていろいろな機械設備、インストルメントについて非常にこれは今経験がない。実際に極く卑近な例で申しますると、さつきも話をしておつたのですが、例えば自転車のタイヤを作ります。そうするとこの方は技術がないので、一時自転車のタイヤが闇で非常に儲かる。僅か百五六十円の資材で闇が四千円も五千円もした。これはこの仕事は面白いというので、簡單なロールと押出し機を以て自転車工業をおやりになつた。それで三日くらいでパンクするというような俗にいう三日タイヤ、十日長靴ができている。こういうような所はこれは立つて行かないのが当然でありまして、これは立つて行かない。立つて行かないのだが、今度は自由貿易になりましてゴムが自由に入つて来ると、今度はもう闇も利かない。こういう工場は当然潰れると私は思うのであります。併しながらこれを潰さないで守り立てて行くためには、我々の方としましては工業技術診断ということを熱心にやつております。そこでこの工場へ行つて、お前そんなことじや駄目なんだ、これじや詰らない、算盤が合わないのだ、こういうように技術を改善なさい。それで、業者の中のそういつた專門家の人と、その県の県庁の技師の人達と我々の方の人とが同時に行きまして、その工場のそれぞれの部面に亘つて診断をいたして上げておるのであります。そこで一定の規矩によつて、この診断のようにおやりになつたら採算が引合うであろう、こういうようなことをやつておるわけであります。それからこういつた工場では会計制度なんか全然できていない。帳簿も持つていない。大福帳を持つているのはいい方で、大福帳も持つておられない。これは一つの簡單な大福帳まがいの、それより少し程度の良いような会計薄記を拵えまして、そうしてこうやつておつけなさいと言つて、実は深切に教えて歩いているようなわけであります。こういつたような指導によつて、むしろ出血なしに工場そのものも立つて行く、一緒につまり協同的に立つて行く。こういうことをしております。
  238. 池田恒雄

    池田恒雄君 只今ような事柄について私も一つ二つ、そういう業者の組合か、或いは業者が集まつて自分の企業合理化をやる一つの会社ですね、そういうようなものを作つて仕事をしておる例を見ておるのでございます。ところで中小企業の協同組合法ですが、あの法案が審議されておりました頃、大臣は中小企業対策としてあれが一枚看板のようでした。私はいろいろお伺いしましたが、直ぐに協同組合法を準備しております、こういうよう答弁を繰返して聞かされた。ところがその後私は通産省のいろいろな係の人とお話しましたときには、必ずしもあの協同組合法が中小企業対策の一枚看板とは言えない、こういうように申されておつたのであります。私といたしましては、あの組合法の運用だけでは中小企業の対策にはならないように思うのです。併しながら只今大臣はいろいろな例も知つておられて、ここで御説明になつたのでありますが、これは後日、明日あたりでも、そういう例がありましたら見せて頂きたい。それから書いたものか何かあるでしようから、その上で果して大臣の言う通りあれが対策となるか、対策にならないという私の考え方の方がよいのか、私としては検討してみたいと思います。  尚大臣は大福帳も持たないような店というような点を指摘されておるようですが、私は大福帳も持たないような店、そういうようなものだけが今日問題になるのではなくして、やはり立派な皮表紙の帳簿を備えておる店で、そうしてちやんと会計係やちよつとした簿記のできる、学校を出た人を傭つている級の店でも、やはり只今ような問題があるのですね。大臣はずつと下の方に目を向けておるようで、甚だ以て有難い話でありますが、私はそれよりももつと上の方まで見て頂いて、この問題があると、こういうふうに考えておるのです。これは本日ここで答弁の必要はございませんから、先程私は肥料の問題につきましては、原価計算と貸借決算、これをお願いしたいのであります。  更に只今協同組合による中小企業の経営の合理化、この例と二つ、明日なり頂きまして、その上で私又いろいろ勉強しまして、更にお伺いしたい、こう思うのであります。(笑声)
  239. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 如何でしよう、夜まで続行いたしましようか、この辺で……
  240. 内村清次

    ○内村清次君 この際委員長要求したいのですが、本日のこの参議院予算委員会は、衆議院から回付されました本年度の補正予算に対しまして、本格的な審議を各委員方々も日曜にも拘らず熱心に今まで続けられておるのでありまするが、ただ我が党の委員から要求されました吉田総理は、本日の委員会に御出席にならなかつたことは甚だ遺憾でありまして、衆議院におきましては勤労感謝の日にも出られまして、その熱心度の点につきましては、普く国民全部認識されたことだと思いますが、問題はこの参議院予算委員会の本格的審議の始まりました今日におきまして、委員は日曜をこうやつて熱心に来てやつておられるに拘らず、参議院予算委員会には日曜は出席されなかつたという点。この点につきましては、実は甚だ参議院の即ちこの予算審議に対します熱意の点につきましても、政府責任者としておられる総理としてのお考の点につきまして、甚だ残念な点があるわけでありまするが、この各派の委員方々から総理に対しましては通告も出しておる点でありまするが、会期もあと僅か三日であります。この間に是非総理が出席をされまして、そうして各委員から質疑を頼んでおられまするこの点を、十分一つ委員長におきまして質疑ができますような取扱をして頂きますことが第一点でありますと共に、今日政府の方では、この予算委員会要求いたしました資料の点につきましても、会期が短い今日でありますから、速かにこの委員会提出ができますように、委員長において取計らいをお願いいたしたい点が第二点であります。第三点は、先刻理事会におきまして決定いたしました薪炭特別会計に対するところの小委員会の設置でありますが、この設置をどういうような構成で、而もいつからこれを発足させてやられるかということを、本委員会で最後に一つ明確にして頂きまして、この活動が本委員会に適合いたすように取計らいを願つて置きたいということを特に希望いたします。
  241. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 内村委員にお答えいたします。総理大臣は明日必ず出席いたします。それから資料の点は、先程私の申上げましたのは取消しましたけれども、相当に出ております。出ておりませんものは早急に取計らいます。それから小委員会は明日開会早々に委員方々を御指名申上げまして、明日からでも御発足願いたいと思います。
  242. 岩間正男

    岩間正男君 今日はこの辺で……
  243. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 岩間君の動議の通り、この辺で散会いたしたいと思います。    午後五時五分散会  出席者は左の通り。    委員長     黒川 武雄君    理事            内村 清次君            高橋  啓君            高橋龍太郎君            田村 文吉君            岩間 正男君            岩男 仁藏君    委員            岡田 宗司君            木下 源吾君            岡田喜久治君            城  義臣君            深水 六郎君            中川 幸平君            西川甚五郎君            平岡 市三君            仲子  隆君            深川タマヱ君            飯田精太郎君            井上なつゑ君            西郷吉之助君            玉置吉之丞君            藤野 繁雄君            帆足  計君            松村眞一郎君            池田 恒雄君   国務大臣    法 務 総 裁 殖田 俊吉君    大 蔵 大 臣 池田 勇人君    文 部 大 臣 高瀬荘太郎君    農 林 大 臣 森 幸太郎君    通商産業大臣  稻垣平太郎君    郵 政 大 臣    電気通信大臣  小澤佐重喜君    建 設 大 臣 益谷 秀次君    国 務 大 臣 青木 孝義君    国 務 大 臣 樋貝 詮三君    国 務 大 臣 本多 市郎君    国 務 大 臣 増田甲子七君   国 務 大 臣 山口喜久一郎君   政府委員    行政管理政務次    官       一松 政二君    大蔵政務次官  水田三喜男君    大蔵事務官    (主計局長)  河野 一之君    大蔵事務官    (主税局調査課    長)      忠  佐市君    厚生政務次官  矢野 酉雄君    林野庁長官   三浦 辰雄君    経済安定政務次    官       西村 久之君    物価庁次長   福島 正雄君