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國務大臣(稻垣平太郎君) お答えします。銅の補給金に関連して、
只今の御
質問は一般のむしろ鉱業、休息鉱山の鉱業政策をどう
考えておるかというような御
質問に承わりました。御承知のように
只今の銅の
日本における産額は月大体五、六千トン
程度であります。それが半分は故銅から、半分は鉱石からや
つておることは御承知の通りでありますが、
只今は、先月は僕かにそのうち千五百トンが内地に向けられて、後はストツクにな
つておる。先々月は七千トンでありまして、ストツクを少し掃除いたしました。これはまあ内地の
関係であります。それから輸出の方の
関係といたしましては、最近七千五百トンと輸出契約を結びました。いずれ近いうちに荷六千トンの契約ができる筈であります。一体御承知のように銅は
日本はむしろ産銅国という形にな
つておりまして、これが二位に
なつたり、三位に
なつたりしておるのでありますけれども、併しながらアメリカの産銅計画と比べますと、いわゆる一割
程度でありまして、戰前一番多く出ましたときが大体九万トンで、これが一番多いときであ
つたと私記憶いたしております。丁度私は銅の仕事に携わ
つてお
つたものでありますから覚えております。九万トンでありまして、大体その当時におきましても輸入は大体三万トン程輸入してお
つたと存ずるのであります。一体産銅国でありますが、而も第二或いは第三の産銅国でありますが、同時に戰前は鋼の輸入国でありました。それで今日むしろ鋼が余るというのはこれはまあ変態的な、
戰後の変態的な
情勢であります。
そこで補給金を外したということでありますが、御承知のように、銅はアメリカの銅相場に戰前から左右されてお
つたのであります。戰前はアメリカのニューヨークの銅相場が翌日は
日本のそれがFOBの輸入銅相場にな
つて来る。それに関連しておるものが相場にな
つて来る。これが今の建値であります。最近の半年ぐらいの予想を見ましても、大体五月頃でございましたか、二十三セントスリーコーターでありました。それがうんと落ちた時がフォーティーンハーフでありましたが、十四セント半ぐらいに落ちて参りました。これぐらいフラクチーヴするのであります。昨日三十六セントだ
つたものが今日は十八セントになり、今日十八セントだ
つたものが明日は十四セントになり、それが直ぐ引つ繰り返りまして二十一セントになる、これが銅相場であります。
従つて従来銅の建値というものは、これによ
つて左右されてお
つたということでありまして、そこで問題は小さな鉱山、精練所を持
つていない鉱山のいわゆる銅鉱の問題に移
つて来るのでありますが、そこで従来とも小さな鉱山、中小鉱山は御承知のように精練所へ売鉱いたします。そうしますと、糟練所はこの売鉱されたところの鉱石のピューリテイを先ず分析いたしまして、ピューリテイ掛けるアメリカの銅相場、それに掛けるアマルガム八〇%ぐらい取りまして、それからマイナス精練費、これがいわゆる売鉱の値段になるわけであります。そこで従来ともこの中小鉱山は精練所のこの売鉱の、というよりもむしろニューヨークの銅相場の建値によ
つて暫く鉱山を休鉱する。又建値がよくなると直ぐ稼行ずる。これが
日本の銅鉱山の慣習であります。そうしてこれが又実際によく運用されてお
つたと私は思うのであります。
そこで補給金を外したという問題でありますが、補給金は成る程外しました。併しながら補給金を先ず外したときに銅鉱業者が騒がれたときの、当時のニユーヨークの建値はたしか十五セントだ
つたかと存じております。今日は十八セントにな
つて参りまするというと、さて問題が非常に変
つて来た、これ程建値に非常に左右される鉱業であります。そこでいずれに、いたしましてもストツクが非常に多い。例えば今は七千五百トンを出しませんが、前のストックが復興公団の持
つております四千トンを加えましてたしか二万五千トン、或いは
数字が三百トンぐらい違うかも知れませんが、私の記憶は間違
つていないと思います。三百トンですか五百トンですか、その辺
はつきりいたしませんか、とにかく二万五千トン貯蔵がございました。これがあるがために、そうして国内の需要がケーブルやワイヤー等の需要が減
つたために銅の需要が減
つたというので、国内の消費が少いためにストツクが殖える。そのストツクのために補給金を外したときの自由価格にな
つてお
つて、消費者の需要に対して
圧迫を加える。こういう形勢がありましたので、このストックをなくするということが必要であろうということを
考えまして、大体そのうちの一万トン対して、これを暫く枠外に置いておくというようなことで特別な融資をいたした次第であります。これは勿論精練所を持
つているところの五大
会社に対して融資をいたしましたのでありまして、これは暫くそのままストツクをして置く、その外のストツクはできるだけ早い機会に輸出をする、こういうことで最近一万五千トンの輸出を計画しまして、先ず第一に七千五百トンができた。近いうちに六千トンができる。この七千五百トンと六千トンができますというと今度はずつと置いておいた一万トンのストックに喰入れるというふうに相成るのであります。そういうわけで銅の鉱業者に対するところの
操作をいたしておりまするし、又融資ができましたので、銅鉱業としては私はこの方策によりまして、一応金融もつき、又今後の確保もできるものだと存じております。それに幸いにニューヨークの相場は
只今上り気味であります。従来の十四セントハーフのところから今日は十八セント、或いは事によるともう十九セントから二十セントぐらいにな
つているのじやないかと
考えております。ということは七千五百トンの引き合いが、この点の話がつきましたときに向うは非常に急いでこれを決めたが
つた。十八セント半に上
つたので決めたが
つたということは、即ちドル相場が上り気味であ
つたということを私は証明しているものと思います。
従つてそういうような五大
会社に対する融資が今の精練所に対する売鉱を通じて中小鉱業に流れる。これが又今までの一番いい、いわゆる自然の形において中小鉱業に対するところの融資の形に従来な
つておりましたし、日もそれらの企業を通じて、そのオルガンを通して中小鉱業に融資を流して行く、こういう形に持
つて行くように精練業者とも相談づくであります。
尚硫化鉱に関しましては来年、私どもは今年も御承知の通り大体肥料原料として足りないというので、十万トンの硫化鉱を入れる予定に安本の計画がな
つておりましたのを、実際は是非
日本の内地の硫化鉱で充当したい、こういうので契約を破棄いたしまして、甚だこれは面白くないと私は思うのでございますけれども、そこで契約を破
つて頂きまして、すでに船積みした二万五千トンを除けて、七万五千トンは中止せしめたのであります。そうい
つたような
措置をと
つております。来年は百八十万トン計画を立てております。百八十万トン計画を立ててありますが、これは百八十万トンということは肥料にしての百八十万トンであります。そうして実は内地向けの百六十万トン乃至百七十万トンを行して、十万トン乃至二十万トンは、これは肥料として輸出したいくらいに実は
考えておりますので、
従つて硫化鉱をどんどん出して貰わなければならん。ところが御承知の通りに硫化砿は大体三分の二ぐらいは素硫化でや
つています。松尾、柵原が三分の二であります。いわゆる含銅のものが、御指摘のようにあと三分の一くらいであります。併しながらこれはどうしても出して貰うためには、多少、いわゆる硫化鉄の値上げをしなければいかんじやないかということで、今
考えております。この前の値上げのときに二百七十円に値上げしたと覚えておりますが、その当時私は百円の値上げがいろいろの原価計算の上から至当であろうと
考えてやりましたので場その
程度までは持
つて行きたいという
考えで、今仮に精練費を安く取られる。精練費と申しますか売鉱費を安く計算されましても十分硫化鉱として確保できる値段になると私は
考えております。そうした形で硫化鉱の方は持
つて行きたい。
それから金鉱山全般について申上げますが、金鉱につきましてはこれは今日では大体新らしい鉱石から二トン、或いは二トン半になろうと思います。昨
年度は三トン半くらい金ができましたけれども、金の買上げを大蔵省でいたしましたけれども、そのうちの半トン乃至一トンはこれは鉱石からの分でありませんで、従来の何と言いますか、新らしい新鉱石ではない、従来の貯鉱を処理したような形にな
つております。そこで今後三年間に十トン計画を立てたい、このいうように
考えまして、御承知の北海道の鴻の舞、或いは鹿児島の串木野、静岡の持越、そうい
つたようなところを新たに開鉱させ、併しながら精練所が戰争中これをぶつ毀してしま
つてありますから、この精練所に対する再建でありますか、この再建に対するところの融資をする斡旋をするということで、融資の斡旋談が実行に移
つております。これは三年間に十トンまで持
つて来る、こういう
考え方であります。そこで申し上げましたように、金は三年後には十トン目標まで持
つて来る。それから硫化鉱は来年は百八十万トンの肥料ができるように持
つて来る。そうして多少の値上げも
考えて行く、こうい形で持
つて行きますということ、今度さつきの失業問題と結び付けるわけでありますが、この今現状のままにおいては、この金属鉱業だけで或いは三万人といい、或いは三万五千人といい、三万五千人という
失業者が出るという話がありますけれども、今ここに金鉱の新らしいところの採鉱を始めるのだといような問題、或いは硫化鉱を新たに殖やして行くんだという問題がありまするというと、この
数字は非常に私は減少する。成る場合にはこの
数字そのままそつくり載せてもいいものだろう、こういうように
考えておるのであります。私は通産省の
行政といたしましては、金を殖やすということ、硫化鉱を殖やすということ、それから尚銅鉱山に対しては融資の途を貯銅を対象として融資の途を講ずるということ、こういうことによりまして、業界の手許を楽にすると同時に又増産に向わす、
従つていわゆる失業問題もおのずから解決する、こういう方向に向わしたいというのが私の採
つております政策であります。