運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1949-11-25 第6回国会 参議院 予算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十五日(金曜 日)    午後一時五十一分開会   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○昭和二十四年度一般会計予算補正  (第一号)(内閣送付) ○昭和二十四年度特別会計予算補正  (特第一号)(内閣送付) ○昭和二十四年度政府関係機関予算補  正(機第一号)(内閣送付)   ―――――――――――――
  2. 黒川武雄

    ○委員長(黒川武雄君) これより委員会を開会いたします。本日は文部大臣に対する質問を許します。岩間委員
  3. 岩間正男

    岩間正男君 今度の文教予算につきまして、尚今後の文教政策並びに予算的措置とも関連して、以下数点大臣の御所見を質したいと思います。  先ず第一にお伺いしたいのは、これは過般の本会議で私は総理並びに蔵相にご質問したのでありますが、十分にこの点が答弁されていなかつた従つてこの点を今後尚質問いたしたいと思うのでありますが、この際先ず文相にお伺いしたいのであります。それは一国の国家財政の中に占めるところの文化予算というものは、一体どのような位地を持つべきものであるか。それからこれを具体的に言いますと、全体の財政に対して何%ぐらいの支出をすべきであるか。この問題を決定するために一番重要な問題は教育、この中で一番文化の具体的な集約的な現われは教育行政だと思いますけれども、その教育予算というものは、果してこれは生産費であるか、このことが決定されることは非常に重要だと思うのです。それで今までの教育観念からすると、教育はともするとこれは消費的なものというように扱われて来た。そうして財政余裕がないから文教予算はいつでも後廻しだ。そのために経済的な裏付を伴なわないために、この文教というものはいつでも生き生きとした姿を失つて来たのじやないか。こういうことが反省されるのであります。それは又教育の形とも関係があつて、その結果どうしてもまあこれは装飾的な、或いは又学歴を得るために、そういうような形で教育が行われて来たのでありますが、どうしても新らしい時代の、殊に日本の現在当面しておる情勢から考えますと、生産教育というものは十分な結付きがなければならない。而も十分に結付くというような譬えだけでは足りなのであつて、私の考えからしますというと、教育はむしろ生産一つの非常に重要な要素である。つまりそれをもつと具体的に言いますというと、労働力を再生産する。これが教育の大きな任務じやないか。現実日本の当面しておるところの要請から考えまして、この点が積極的に掴まれなければ、どうしてもこれは今後の文教政策の前進というものは覚束ない、こういうふうに考えられるのであります。これを例を以て挙げますというと、今一つ会社の経営を見ましても、最も進歩的な会社におきましては、自分達工員を訓練するためにやはり技術研究所を持つたり、或いは技術学校作つてそこで訓練して、訓練して高められたところの技術以つて生産性向上のために努力しておるということを見ておるのでありますが、この関係をもつと一国の大きな体制の中に移して考えますというと、当然一国の生産の面において労働力の再生産というものをここで積極的に進めるということが、日本の今後の生産向上のためには絶対必要な不可欠の要件であるというように考えられます。従つてそういう観点からしますというと、どうしても教育予算というものは財政が窮乏しておるから出せないとか、それから今は教育予算を出せない段階であるとか、こういうような言い方は、これは今までの装飾的な教育余裕があるとき身につける飾りとしての教育考えておる立場からは言えるのでありますが、教育をもつと徹底的に現実生産の中に打込んで行くというような積極的な体制からは、これは非常に遅れた古い考え方であるというように考えられるのであります。我々はむしろ一会社生産費コストの中からはつきりやはりこの工員教育費を出しておるように、国家自身がやはり自国の生産を興隆させるためには、どうしても国家自身財政の中から、一つ生産コストの中から教育費を捻出するような形におきまして、積極的に出すべきものであるというふうに考えます。どうも今までの考え方によりますというと、教育に対する非生産的な考え方が非常に強く残っておるのであります。併しながら例えば植林しまして、一本の杉の木が三十年かかつて何とか材木になりますが、併し時間が長くかかるからといつて、これを非生産的というふうには考えていない。併し教育は少くとも十年くらいで以て、植林の三分の一くらいの時間で以て回収できるところの投資とも考えることができるのであります。  こういう点から言いますというと、教育費形そのものが具体的に姿になつて見えない、具体的に目に映らないものですから、とかくするというと忘れられて来たのでありますけれども、新らしい日本現実要請から考えれば、どうしてもこれは生産的なものである、そうしてそういう面から当然国家財政の全体のバランスの上において、相当量の積極的な支出をすべきであるというふうに考えられるのであります。文相はこの点に対してどういう御意見を持たれるかお伺いしたいと思うのであります。
  4. 高瀬荘太郎

    國務大臣高瀬荘太郎君) お答えいたします。教育というものが生産的な効果を持つという点につきましては、私も大体同意見であります。ただお話がありましたように、教育生産的効果というものが或る時間を要するというようなところから、又その他、教育も重要であるけれども、とにかくその日その日の経済生活の上でどうしても緊急必要であるというような面の経費もありまして、それらの点から考えて、教育がどうしても後廻しにされ易いという欠点のあるということも事実であります。  私は教育予算の上で重点を置かなければならないという点は同意見でありますけれども、やはり国家予算を編成するという上から申しますと、今日計上されておりまする費目というものは、やはり国家生活の上から行きますと是非とも必要なものばかりであります。従つてやはりこういう時代には、それらの費目につきましていろいろと比較考量をし、適当な配分をしなくてはならないというわけでありまして、今日教育費に対する予算が甚だ不十分であるということは残念でありますけれども、今のような点から考えまして、止むを得ないと考えておるのであります。けれども予算の内容を御覧になると分りまするように、今日歳出の項目で以て相当大きな部分を占めておるものか、戰後の特殊な事情に基くもの、又戰後統制経済の結果の後始末に当るようなものが非常に多いのであります。これらはどうしても何とか始末をしなくちやならない費目でありまして、予算に計上しなければならんものでありますが、今後経済が段々正常に復して行くに従いまして、これらのものは当然必要がなくなるのでありまして、それらによる予算圧迫が漸次なくなつて行くことは事実であります。従つてそれに応じて教育予算における比重を段々に増加して行くことは、必ずできるだろうと考えております。そういう過程に応じまして教育費比重をますます殖やして行きたいと、こう考えるのであります。
  5. 岩間正男

    岩間正男君 只今文相の御答弁によりますというと、まだ教育はやはり緊急な事態に直面しない。外の経済事情に比べますと、そういう面がどうしても緩慢であるというふうにお聞きしたんでありますが、併し現実教育、殊に六・三制が実施されておつて、その結果起つておるところのいろいろな経済的、社会的な現象を通じて見ますというと私はそう言い切れないのであります。むしろこれは日常の、その日その日の緊急な問題、その問題の一つの大きなものとして現われておるのであります。これは六・三制の予算が非常に不十分なために、寄附が大衆の肩に重くのしかかつておるとか、地方財政がそのために非常な圧迫を受けて、その結果が国会に対するところの請願の大部分を占めておるという形で、請願の人も多く国会に見えておる。請願書も出されておる。こういう形に現われておると思うので彫ります。私はこの問題を今の文相の御答弁だけでは満足できないので、この問題を円滑にするために、もつと卑近な例を挙げますと、今一家の経済の上において教育はどういうふうに扱われておるか、これを考えることが最も手取り早いのではないか。苦しいか後廻しでと言う…。教育父兄後廻しにしようとする考えはない。苦しい中から何とか捻出して、ここのところをやつて行こう、これが父兄の親心じやないかと思います。そういう点から見ますと、どうしてもですね、この適切な大衆的な要求というものを誠実に、具体的に反映させるということが非常に重要ではないか。そういうふうに考えられるのでありますが、そういう観点からいたしまして、今の文相のこの御答弁では、やはり教育問題というものに対して、まだ何か一つ緊迫した問題ではない、現状把握に対して少し私は物足りないものが考えられるのです。全くこの今日の教育破壊の問題は、單に教育だけでなくて、実に大衆経済的な負担経済的な破壊をもたらしておる。この点に対して文相はどのように処置されるとお考えなさつておるか、この点についてお聞きしたいと思います。
  6. 高瀬荘太郎

    國務大臣高瀬荘太郎君) お答えいたします。今日の予算不足という点から、教育界が非常に十分な効果を挙げるについて困難を感じておるという点につきましては、私も率直に認めておるのであります。こういう困難。障碍をできるだけ早く解決したいということにつきましては、岩間さんとその熱情においては劣らないつもりでおります。場併し何にしても義務教育を三ケ年延長するということは、国家財政から申しますというと非常に重大な事柄であります。戰前におきまして、こういう敗戰の悲惨な状態にならない当時におきまして、二ケ年の義務教育延長相当強力に主張されたのでありますが、財政的理由等から実施できなかつたような事情になつたのであります。従つて今日のような敗戦後のみじめな状態の下で三ケ年義務教育延長をしようということは、財政的に非常に大きな困難を伴うのは常識でありまして当然のことであります。又明治の初めに新らしく小学校というような学校制度が採用された時代のことを考えて見ましても、寺小屋式教育から学校制度教育に変るという場合に、新らしく教室等を十分に用意してから変つたわけではないのです。やはりそういう過渡的な時代には手小屋式の、お寺を使いましたり、段々に教室を建てて本当に学校の施設ができたのでありますから、やはりこの転換の時期には相当に困難な事情が伴うということはどうしても免れないと私は思う。併しだからと言つてつて置いていいいそれで教育破壊されてもいいというようなことを考えておるのじやないのであります。できるだけ早くこれを解決したいということを考えておりまして、残念ながら二十四年度の本予算では建築費補助が削除されましたが、今日は補正予算で十五億、又来年度四十五億の建築費補助も計上いたしまして、合せて六十億が建築費補助に充てられる予定になつておるのでありますから、これで非常に困難な状態にありますものは大部分解消できると思うのでございます。この後の財政の許す限りの予算計上によりまして、できるだけこれを完成するということを考えておるわけであります。
  7. 岩間正男

    岩間正男君 まあその点、文相の御答弁程度で我々満足できないところがありますけれども、まあ現実の実際大衆教育費負担というものが非常にもう極度に達しておる点から言いますと、どうも私生ぬるいというふうに思うのでありますが、その点の……まあここで討論しておるのではありませんから、問題を保留することにいたしまして、次に具体的に六・三制の問題に入りたいと思います。  大体今度十五億、それから来年度これに対して四十五億、そういうことで、そのうちの四十五億程度で以て兒童一人当り〇・七坪に達しない分だけをその基準まで引上げると、こういうようなことになると思うのでございますが、先ず第一にこの補正予算分の十五億をですね、これは在来どのように配付されるかというような配付方法ですね、これが非常に大きな問題になるのじやないかと思います。その中でやはり一番大きな問題になつておる点は、この四月以前の地方の苦しい財政の中から捻出して工事に着手した分、現在まだその工事を中止しているもの、或いは経済的事情で中止になつているもの、こういうものに対してどういうふうにこれは文部省としては処置されて……伝え聞くところでは、こういうふうにこれは補助の範囲から除外ということになりますというと、これはいろいろな問題が起つて来るのじやないか、それは公平という意味から考えましても、大きな意味を持つておる点でありますが、その配付方法について伺います。
  8. 高瀬荘太郎

    國務大臣高瀬荘太郎君) お答えいたします。国庫補助地方財政でできない部分に対する補助でありますから、法律的に申しますと、非常に苦しい事情でも、地方の財源によつて建築が完成できたものに対しては補助できないのであります。けれども完成されたと言いましても実際の事情からいろいろの場合がありますし、又今岩間委員がおつしやられたような公平という観念から考えなければならないという点もありますので、法制上はできたものには抑えないのでありますが、実情をよく調べましていろいろ調整できるところは調整をしたい、こういう方針で行つております。
  9. 岩間正男

    岩間正男君 その点についてはこれは文部省も十分な今後の措置を望みたいと思います。次にこの今度の補正予算を組立てるまでに至つたこの経過、こういうことについても我々は今まで見て来たのでありますが、大体最初に第五国会で発表された教室不足数が六万五千であつたと思います。ところがですね、これが文部省の今度の計画ではまあ四万くらいになる。現在の教室不足は四万か、それくらいの基礎数字の土に立つておられて方法を進めておられるように見えますが、ここにこの統計的に非常に統計の基準狂つたのじやないか。最初はやはり大体まあ中学校生徒に対しては、一人当りも一・三坪というようなことが、大体これは法定数だと思いますが、これに対して〇・七というような基準の引下げによつてそうして教室不足数現実は六万五千ないというような統計的の操作をされたんじやないかと我々は考えたんでありますが、この点の統計的な操作の面について、これは事実はどうであるのか、この点について伺いたい。
  10. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) 只今その数字的な関係の変化はどういう理由かというお質しであろうと考えますが、従来不足教室を出しておりましたのは、新制中学校だけを引合いにいたしまして、それの数字基礎において申上げておつたわけであります。ところがこの度実態調査をいたしまして、その関係整理いたしました分には小学校中学校高等学校を通算して、従つて割合余裕のある高等学校教室が、従来の新制中学だけの分の外に加えられて通算された結果、その数字がむしろ小さくなつて来たという事実でございます。
  11. 岩間正男

    岩間正男君 どうも今の説明じや納得が行かないのであります。高等学校の統合が行われてその室教室が向けられたということになりますので、六万五千の教室が、まさかそれによつて今申しましたように三、四万程度に引下がるということは考えられない。やはり一・三の基準を〇・七に引下げた統計的な操作、それによつて現実が窮迫しておる問題を、この官庁統計的に説明しようとした文部省の意図があるんじやないか、そういうのでは、教育基準というものは段々引下つて行つて、どこまでも落下するように思われる。この点については、ここに論争してもしようがありませんから、一応保留して結構だと思います。次に今後裏付として、この大体今度の補正予算と二十五年度でもつて、約六十億、それによつて地方起債が六十億認められるということを発表せられておるのでありますが、従来どうも地方起債については枠を貰えるが、さてそれを現金化するということになると非常に遅れる、非常に期目的に非常に仕事が遅れて、実際間に合わないということが頻繁に起つておる事情があるのです。こういうことに対して文部省はどういうふうな態度をとられるか、この点を伺つて置きたいと思います。
  12. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) 従来起債関係相当地方に、只今御指摘のようなことがあつたという事実を私共も認めざるを得ないと思いますが、本年度からこの起債関係は、シャウプ勧告の線もありまして、非常に調整されるものと信じておりまするし、従来本年度今日までの予算の客観的な事実と睨み合せまして、最善の努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  13. 岩間正男

    岩間正男君 丁度木村国務相もお見えになつておりますから、尚連関して伺いたいと思いますが、来年度予算によりまして、文部省は、大体今までの定員定額制を採る前までの教員基準数引上げる、つまり一学級の生徒五十人に対しまして、教員を、小学校においては一・五人、中学校においては一・八人、そういうような予算が来年度の、二十五年度において大体決定されておるようなことを伺つております。併し、これがやはりシャウプ勧告税制改革との関連において、今後問題になつて来るのじやないか、つまり平衡交付金の中に、どのような形で文部省決定した予算技術的に持ち込むか、この点につきまして、文部大臣並びにこれは木村国務相の御意見を伺いたいと思うのであります。文部省決定を、今後財政において、実際上どのようなふうにして問題を固めるか、この点が決定しませんと、文部予算が一応決定しても、さてそれが地方財成委員会において、又異論が出て来るということになりますれば、これは一国の文教費というものは、今後不安定な形に陥れられるということが考えられる。この点について、これは今後の行政には非常に重要だと思いますので、特にこれは両大臣から伺いたいと思います。
  14. 高瀬荘太郎

    國務大臣高瀬荘太郎君) お答えします。只今の御質問は、来年度予算についての問題でありますから、はつきりしたことは、来年度予算提出後にお話をいたしたいと思つております。大体の見通しを申上げますと、只今お話がありましたように、一般平衡交付金の中から、義務教育費として国庫負担分は、次の額におきまして今年度よりは増額される。今年度定員定額数字が、只今お話がありましたように、小学校は五十人に対して一・三五、中学校は五十人に対して一・七になつておりますのを、それぞれ一・五、一・八に当るような補助にする。そうしてその上に、尚結核教員の分だけは別に勘定して補助をされる、こういう予想で予算只今編成しておるわけであります。一般平衡交付金の中から、それらのものが地方補助されるに当りまして、どういうように、はつきりした数字で以て実施されるということにつきましては、只今細かく検討中であります。文部省といたしましては、教員義務教育標準経費基準経費というようなものを考えまして、それを各地方で確実に守つて実行されて行くというようなふうにしたいと考えておりますので、それと関連して、この一般平衡交付金から、今申しましたような補助金地方に確実に渡るというような方法にいたしたいと思つております。
  15. 木村小左衞門

    國務大臣木村左衞門君) 只今文部大臣の御答弁で要を書しておると考えますけれども、来年度予算総額が提示されました上で、文部省定員定額との措置を協議いたしたいと思つております。まだ私の方には来年度予算総額の提示を見ておりませんから、的確なことを御答弁申上げかねまするから、惡しからず御了承願います。
  16. 岩間正男

    岩間正男君 私のやはり質問の一番要点にしたいところはですね、つまり文部省が決めた予算が、そのまま地財で承認するのであるか、どうか、それとも地財におきまして、これのいろいろ操作をやり、いろいろ変更するのであるか、どうか、こういう基本態度文教予算の独立ということから見ると、非常に重要だと思いますので、その点やはりもつと明確にして頂きたいと思います。
  17. 高瀬荘太郎

    國務大臣高瀬荘太郎君) お答えいたします。今の点は予算決定いたしまする場合に、文部省と大蔵省、地財とよく協議をいたしましてはつきり決定をするわけであります。
  18. 岩間正男

    岩間正男君 その点はまだ具体的に我々の頭には映らないのでありますが、これもいずれ本予算のときにもつと進めたいと思います。  次に今度の補正予算説明によりますというと、大体定員定額制によつて過剰人員を、何とかここで補正予算で救済するような方策が探られておるのでありますが、大体全部、これではみ出した分全部が吸收されるのかどうか。それから来年の三月までこの予算が行使されまして、当然そこに多くの離職者が出ると思うのでありますが、これを来年度予算との連関において、具体的にどのようにこれは繋げて行くか。それで今後どういうふうな措置があるかということが、非常に不明瞭なのでありますが、文部省はどういうふうにその点お考えですか。
  19. 高瀬荘太郎

    國務大臣高瀬荘太郎君) お答えいたします。今度の補正予算地方交付金の中に、義務教育費に対する国庫負担金部分がありまして、その中に今岩間委員のおつしやつたように、約一万人見当の義務教育教員俸給補助が盛られております。今おつしやられましたように、今年は定員定額制最初実施年度でありましたために、いろいろの点から実情に即しない点があり、それでこの実情に即しないで困難しておつた点調整しようというわけであります。実際に予算から見て実情に合わなかつた人数は約二万人位、四月に約二万人位であつたと思います。併し毎年教員自然退職というものは相当あるようであります、又教員教育界粛正のための整理ということも、毎年相当にやつてつたことであります。従いまして、一年のうちにはこれを適当に調節もつけられるのでありますから、約一万人、つまり半分に当るものでありますが、それだけの予算考えれば、適当な調整がつくと私共は考えておるのであります。従つてそう無理な整理ということが、これがために起ろうとは考えておりません。
  20. 岩間正男

    岩間正男君 一度整理して、又これは吸收しなくちやならないというようなことが起ると思いますが、その点に対してはどういうようにお考えになつておりますか。
  21. 高瀬荘太郎

    國務大臣高瀬荘太郎君) お答えいたします。一度整理して又という意味が、どうもはつきりいたしませんが、今度の定員定額予算措置が、実情に即しないというような点があつたために、今まで整理された人も幾分あろうと思います。これが来年度予算が殖えるというような関係から、定員が又足りなくなる。その場合にどう考えるかと、こういうような意味じやないかと思いますが、無論一度辞められた方でありましても、実際能力があり、又教員とか非常に適格な方であるとすれば、来年度予算定員が殖える場合には、当然考慮されるだろうと思います。
  22. 岩間正男

    岩間正男君 教育の問題について実情から言いまして、特にここで今の御答弁に対して一言して置きたいのでありますが、どうもこの教育の場合は、師と児童、生徒のもつと深い繋がり、愛情的の繋がりがあるのであつて、これを一つ企業体とか、そういうような処置で以てこの問題は解決付かない面があると思う。つまり現在の教員の首切りの中に相当子供と教師との間に、生木を裂くというような事実が起つておるのでありますから、こういう点についで、文部省は十分に今後教育実態から、この問題を処置されんことを切望して止まないのであります。  次に時間が余りございませんので、簡單に二・三点お伺して、私の質問を終りたいと思いますが、先ず育英資金の問題であります。これが今度の予算を見ますというと、補正予算には何ら組まれていない。併しこの問題は、私がここでくどくど申上げる必要がない程大きな問題になつておる、社会問題にまでなつておると思うのです。つまりアルバイトの学生が従来非常に多かつた。或る大学のごときは八〇%位、アルバイト生活をやつて何とか勉学を続けておつた。併しこれが最近の社会情勢……失業者が多いのです。従つてその失業者圧迫によつてアルバイトの生活というものが非常に圧迫されておるという事実があります。更に農村恐慌が始まつておるので、農村あたり比較的恵まれておる時代には、余り日英資金に対する要望がなかつた。ところが最近の育英会の運営の様子を具体的に調べて見ますと、農村の子弟の川からの希望者が非常に殖えておる。従つて当然これは現在のこの情勢にしましたならば、文部省はこの補正予算においても、この育英資金というものを十分に考慮される必要があつた。現在当面しておる立場から考えて、当然その必要があつた考えるのでありますが、何故補正予算にこれをお取りにならなかつたか。来年度においてこれをどのように出しておられるか。この点を併せて伺いたいと思います。
  23. 高瀬荘太郎

    國務大臣高瀬荘太郎君) 現在のような経済状勢の下で学生の経済状況が非常に苦しい。又両親も苦しい。従つて育英会等による奨学資金をできるだけ増額する必要があるということは事実でありまして、文部省といたしましても、この二十四年度の育英会の予算、約九億でありますが、これに相当の増額を補正予算にも出したいという希望は強く持つてつたのであります。併し財源等の関係からいたしまして、この方はどうしても措置が付かなかつたのであります。来年度につきましては、確定したことは来年度予算の提出を待つて御覧を頂きたいのでありますが、大体の予想といたしまして体、約十五億見当に増額をいたしたい、まあできるだろうという考えであります。九億から十五億でありますから、約六億増えることになります。無論これでも十分とは言えない数字でありますけれども、まあ現在の財政状態等から考えれば、この程度で満足をすべきではないかと思つております。
  24. 岩間正男

    岩間正男君 次に私学の貸付金でありますが、これが今度の補正予算で約一億二千万円、又来年度二億七千万円ということに大体決定を見ておるようでありますが、これをどのように今後これに割当てられるか、そのような方法についてこれは一応伺つて置きたいと思います。尚これと今度の私学校案との関係、私学校案によりますと、やはりこれだけでは、我々の目ではとても現在の私学の困難を救済することができないような非常に少額の貸付金と思いますが、これによつて非常に私学の自主性というものが、相当これは官僚統制下に置かれるというような面を非常に心配しておるのでありますが、この点も併せてお答え願えればと思います。
  25. 高瀬荘太郎

    國務大臣高瀬荘太郎君) お答えします。今度の補正予算で私学に対する復旧の貸付金は、約一億二千四百万円であります。甚だ少額でありますけれども、これは公立学校の戰災復旧の比率と同じ比率で以て計算をするという原則になつておりますので、公立学校方面との比例から数字が割出されておるのであります。でこの一億二千四百万円をどういうふうに外の私立学校に対して割当てて行くかという点につきましては、今までと同じように文部省といたしましては、私学の団体と、よく相談をいたしまして、学校の状況の実情に即しまして、これを割当てて行くという方針であります。
  26. 岩間正男

    岩間正男君 次に科学研究費の問題でありますが、これはもうこの非常に少い状態が、多くの大学、全国の大学の研究室を非常に困難な状態に陷れていることは、今更申すまでもないのでありますが、これについて日本学術会議の方の要求としては、最初十六億くらいあつたと聞いております。文部省は十一億の予算を来年度考えておられる。併し、それが大体どの程度に来年度予算が落ち着くのかどうか、これもさつきの育英資金と同じように、現状では非常に窮迫した状態にあるので、実は補正予算あたりでこの措置を望みたかつたのでありますが、これがされなかつた文部省としては、どの程度年度においてこれを実現されることを考えておられるか、そうしてその程度で一体果して今後の日本の科学の研究というものが十分であるか、どうか、この点について伺いたいと思います。
  27. 高瀬荘太郎

    國務大臣高瀬荘太郎君) お答えいたします、今岩間委員のおつしやられたのは、一般の科学研究費の問題だと思います。科学研究を奨励し刺戟するための費用といたしましては、予算上では大きく分けて二つありまして、一般の科学研究費と大学と関連しての科学研究費と二色あるわけであります。そうして一般科学研究費の中に又三色ありまして、科学研究交付金という原理的な方面の研究に対する補助と、それから科学試験研究費という応用的な方面とそれから科学奨励交付金といつて、これは主に高等学校等の先生に対する奨励の研究費、これが一般研究費であります。大学におきましては、教授に附属した講座研究費、それから大学附置の研究所における研究費、こんなふうに分れておるわけであります。ですから、日本の科学振興を図る上から行きますと、この全般を考えて行かなければなりません。それで一般の科学研究費は、二十四年度は御承知の通り四億五千万円になつております。これも殖やさなければなりませんし、又大学関係での方面での研究費も、一般に言われておりますように非常に貧弱でありまして、研究の振興を阻害しております。これも考えなければなりません。来年度予算におきましては、両方殖やすことができれば非常に結構なのでありますが、それが思うように参りませんので、重点を大学に関係する方面での研究費増額に置くという方針にいたしまして、大学関係での研究費は大徳乃至七億、六億以上は増額できるだろうと予想いたしております。重点をそちらに置きました関係から、一般の科学研究費の方は先ず五億程度になるだろう、文部省としてはこの方を十一億ぐらい実は希望したのでありますけれども、大学の万に重点を置くような関係から大体その見当になるだろうと思います。併し正確な数字は、先程から申しますように、二十五年度予算が提出されてからお話をいたしたいと思います。
  28. 岩間正男

    岩間正男君 これに対して特に要望して置きたいのは。文部省予算を組まれたのは、やはり湯川博士のノーベル賞の事前の情勢だろうと思うのであります。併しノーベル賞を契機といたしまして、日本の科学技術というものが更めて振返られて、一方においては科学技術の白書まで出されており、これが日本生産との連関において非常に大きな問題となつておるのであります。研究室の崩壊のいろいろな諸現象も、又この問題を更めて自分の足許を見るというような態勢になつておるのでありまして、従つて文部省は当然、それ以前の情勢において予算考えておられるようでありますが、この当国会においても非常に輿論化しており、便にこれが一般の国民の間で大きな科掌教育の振興に対する要望がなされておるのでありまして、この点は文部省はもつとく大きな努力をされる必要があると、こういうふうに思いますが、これは来年度予算なんかに、もう少しそういう新らしい情勢、そうして輿論を本当に反映させた情勢代おいて努力される御意向があるかどうか、この点をもう一遍伺つて置きたいと思います。
  29. 高瀬荘太郎

    國務大臣高瀬荘太郎君) 来年度予算のことにつきましては、只今お話したような方針で現在は行つておるわけであります。ただ湯川博士のノーベル賞受賞と関連いたしまして、これを機会に日本の科学振興を図るような何らかの事業を文部省としてやりたいということを現在研究いたしまして、その実施を考えておるのであります。またこれは確定いたしませんので、はつきりしたことを申上げられませんが、湯川研究所というような形におきまして、相当の新らしい予算で以て理論物理学研究施設の充実、研究の促進というような方面で何らか記念事業をやりたいという計画で進めております。
  30. 岩間正男

    岩間正男君 只今の御答弁では、湯川博士の今度のことを契機として、その湯川博士の記念事業のようなことを考えておられる。こういう点もでありますが、私はやはり科学技術教育行政面において一般に滲透させるということが必要だというふうに考えますので、こういう点の措置を十分に今後されることが大切ではないかと思います。何か問題が発生しますと、その点にだけ重点的にいつでも行われます。そうしてそれが非常に場当り的なものに終つてしまうということが多いと思うのでありますが、問題はそこにあるのではなくて、一人の湯川博士を生むということの背後には、やはり広汎なそれを生み出すところの地盤というものが必要なのであります。そういう点から、科学行政がやはり全国に滲透する、そういう態勢をとつて行くことが、当然これは政治に携わる者の任務ではないかというふうに考えられますので、記念事業もさることながら、そういう点についてもつと徹底したところの政策を今後の文部行政の中に打建てて頂きたいというふうに思います。  最後に同じような点で、これは古美術保存についての予算でありますが、この予算も大体来年度は三億、これは尤も池田蔵相の本会議での私に対する答弁においては、今後の補正予算で一億・来年度二億と、そうしてこれは新聞なんかもそう伝えておるようでありますが、この点は予算のどこを探してもないので、確か池田蔵相が間違われたのではないかと思いますが、この二億で以て果して今後の古美術保存の仕事は十分されるのか、これをどのように使用される方策を持つておられるか、その点を最後に伺いたいと思います。
  31. 高瀬荘太郎

    國務大臣高瀬荘太郎君) 文化財の保存行政ということは、無論重大なことでありまして文部省も特に重要視いたしておるのでありますが、現在国会方面で文化財保存委員会に関する法律を近く御提案になるというように聞いております。文部省としてはこれができるだけ早く成立いたしまして、文化財保存の行政がしつかりとできるようになることを希望しております。予算につきましては、お話がありましたように二十四年度の国宝保存費が一億で、二十五年度はその倍の二億ということを現在は考えておるわけであります。二億の一ケ年の保存費で足りるか、無論これは十分ではありません、非常に多くの国宝がありますし、その他の重要文化財があり、而も戰争中荒廃に委かされ、又それらを所有しております神社、仏閣、個人等の経済事情が逼迫しておる際でありますから、十分の保存をいたすといたしますれば数十億は金が要るだろうと思います。けれども現在の財政状態でこれを急速に直ぐ実現するということは到底不可能でありますから、漸次やつて行くという考えであります。これを漸次やるといたしますれば、やはり国宝の中にもその重要性についていろいろ違いがありますし、又破損の程度についてもいろいろ違いがありますので、最も重要なもの、そしてもうどうしても直ぐやらなければどうにもならないというようなもの、それらから手を着けて行こうという計画を立てておるわけであります。二十五年度は大体二億予定しておりまして、それは十分ではありませんけれども、併しとにかく国宝につきましてはこの二十四年度は二十三年の倍額に増額をいたしておりますし、又二十五年度は本年度の倍額に増額しておるわけで、外の費目に比べれば相当重点を置いて予算措置を講じておりますから、又今後財政が許す限りはどしどし増額いたしまして、重要古美術保存については万全を期したいと思つております。
  32. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 文部大臣に一点だけ御質問したいのであります。私只今非常に心配しておりますのは経済状態が非常に悪化して参りましたために、新年度学校卒業生が大学から中学に至りまで非常に就職で困つておることと思うのであります。私は丁度昭和の初めの、非常に不景気なときに学校を卒業いたしましたので、当時の同僚諸君の状態などを考えまして、全く想像に余るものがあみわけであります。こういう状態のときに一歩この措置を過りますならば、折角多額の国費を投じまして多数の有為の青年諸君を教育いたしまして折角学窓を送り出しましても、その送り出した途端に燃えるようは向学心、向上心が喪失いたしまして、そうして将来の日本の再建を担う人々が熱意を喪失し、或いは好ましくはい方向へ向うということになりますならば、由々しい問題でありまして、人部当局としてはただ單に学窓の中における教育という問題でなくて、学窓と離れて行こうとするこの出発点に立つ人々のことも十分関心を持つて考えつておると思うのでありますが、村にそういつたような問題でありますが、一面企業から見ましても、これは官庁でも、或いは民間企業でも同様でございますが、新らしい人を年々或る比率を以て採用して参りませんと一つの年齢的なエアポケツトが出来まして、仕事の運営上非常に大きな障碍を生じますることは戰争中のあのゆがめられた人員淘汰の方法によつて現在相口多数の企業におきましても人的な半身不随の営業をしなければならんという状態になつておる点からでも十分お分りになると思いますつそこで以上のような観点に立ちまして文部大臣にお尋ねしたいことは、この困難な経済界において多数の卒業生諸君の将来について就職の問題をどういう工合にお考えになつておるのか、特に官庁方面におきましてはどういうような状態によつて新人の道を開こうとしておられるのか、民間企業に対してどういうような方法をお探りになるのか、そういうことについて文部大臣としての御所信、並びにこの問題につきましては人事院或いは労働省にも直接関係があることでございますが、そちらの方面へどのような御連絡をお取りになつておるのか、この点を伺いたいのであります。  それから更にどうしても一定の職業に就け得なかつたような多数の人々が出ることと思いますが、こういう人々に対して文教の国政の上から考えましてどのようなお考えをお持ちになつておるか、この点を伺いたいと思います。
  33. 高瀬荘太郎

    國務大臣高瀬荘太郎君) お答えいたします。只今質問のような点につきましては、今年度の卒業生については私も非常に心配をいたしております。幸いにしてこの春までの卒業生につきましては、新卒業生の就職の問題はそれ程心配することはなかつたと思つております。併しこういう情勢になつて参りますと、来年度の新卒業生からは御心配のようなことが非常に多くなつて来るだろうと思います。今までは文部省といたしましては在学中の学生のアルバイト等の就職の問題について專ら心配をいたしまして、学徒援護会等を通し、又実業界との懇談等によりましてできるだけの世話をいたしておつたのでありますが、今後は今お話のような心配が出て参りますので、改めてやはり実業界方面ともよく話をする必要があると思つております。併しこの問題はなかなかむずかしい問題でありまして、一方的に雇えというわけにも行きませんし、雇う方から言えば又いろいろの注文もありましようし、なかなか困難な問題で奉るとは思います。併し文部省もできるだけ実業界方面や労働省関係等ともよく相談もし、失業救済事業方面で新規卒業生で適当な者があるならばその方とも相談をしてできるだけの世話をいたして行きたいと考えておりますが、まだ具体的にこれという計画は持つておりません。
  34. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 今の官庁の方の新人採用についてでございますが、定員法の定もございますけれども、その間の実際の運用の問題はどういう工合にお考えになつておりますか。
  35. 高瀬荘太郎

    國務大臣高瀬荘太郎君) お答えいたします。官庁方面等への就職は御承知のように最近はすべて人事院を通してすべての官庁に就職するということになつておりまして、皆試験を受けましたりいろいろな手続が要るわけであります。従いまして今お話のありましたような点につきましては、人事院とよく相談をいたしましてできるだけ世話をするというようなことにいたして行きたいと思つております。
  36. 田村文吉

    ○田村文吉君 私は木村国務大臣に三つの問題をお尋ねいたしたいのでありますが、その三つの問題に入ります前に一つお尋ねしたいことがあるのでございます。それは本日の新聞に見えておりましたが、固定資産に関する税金が困難なためか、この一月から不動産の取得税を止めるつもりであつたものがそのまま残るではないか、又入場税でありますが、これも減額ができないのではないかというようなことが新聞に出ておりましたのでありますが、私は初めからこの年度の移り変りにつきましてどういうふうにこの点を御処置なさるお見込であつたろうかとお尋ねしたかつたのでありますので、この機会にこの関係を御説明頂きたいと思います。
  37. 木村小左衞門

    國務大臣木村左衞門君) お答えをいたしたいと思います。不動産取得税を二十五年度からこれを免税することがシャウプ勧告案に記載してあります。それから入場税を十五割を十割に二十五年度から減税するという勧告も出ております。こういう勧告が一般国民の前に掲示せられてありまするというと、不動産を仮に取得いたしました者でも免税になることが目の前に見えておりますならば、仮に取得いたすのもそれまで延期する。又戰災の復興に最も今重点を置かれまするところの建築も、来年の取得税が免税になるまでそれを見合せる。従つて戰災の復興がそれだけ遅延を来すというような傾向が現われることはこれは常識の判断でもございます。文典行者は極めて経営に困難を来しておる。来年の四月からはこれは五割減税せられるということであれば、何かの方法を以て目の前に減税せられることが指定してあるならば、その税收入の補給さえつけば、早く減税して貰いたいということの要望は当然起つて参りまする問題であります。地方税を考案いたしまする私共当局といたしましては、何とかして月一日からでもこの両方の税をシヤウプ勧告案の通りに、地方税法の一部を改正いたしたという考案を持ちました。それには御承知のように織物税も免税いたしますが、これをも近く一般税法の改正で改正になるようなことでもありますし一又取引高税も廃止せられるということも、これも税法の改正に出る、こういうような計画になつておりますので、これに並行いたしまして、十二月からというのも何だから来年度の一月一日からこれを実行いたしたいということで、法案の作成を急ぎまして、この臨時国会に提案いたしたいという準備はいたしておりまするけれども、どうもこれに伴いまして代り財源に非常に困難であります。両又免税をする一方でありまして、増税するとやうことはない。一方的に免税だけをするということも頗る困難な立場に相成つておりますことと、主として地方公共団体の市の当然の全部の意向といたしまして、強力に免税に反対をする。どれは主として入場税でありますが、不動産取得にもそうでありますので、只今提出するかせんかという観点に立つて暫く形勢を観望いたしておるような状況であります。
  38. 田村文吉

    ○田村文吉君 もう今国会の会期も数日を残すだけでありますが、その場合に御方針が未だに決定していないということは、誠に国民不安の問題であると思つております。今日になりましてまだどつちにするか分らぬということは、甚だ所管大臣としての不満足な御答弁考えます。大体どうなさるおつもりなのか、御決定をなさらんで置いていてよろしいのですか。
  39. 木村小左衞門

    國務大臣木村左衞門君) 率直にお答えいたします。私の方ではできますだけ提案をすることに目下鋭意努力しておりまするが、関係方面でどうしてもこの許可をいたしませんということが提案の遅れております理由でございます。
  40. 田村文吉

    ○田村文吉君 伺いますが、その場合に今お話がありましたように代り財源がどうしても地方としては必要である。これに対しては大体政府としては、どういうものでこの代り財源をお作りになる御予定でいられたのでありますか、この御答弁を願います。
  41. 木村小左衞門

    國務大臣木村左衞門君) 私の方の当局といたしましての見通しは、代り財源は別に増税を認めませんでも、入場税のごときはこれを下げておりますけれども、観覧意欲を刺戟いたしまして、余計な増資をしても経営の欠陷が来さないのみならず、大体今年度全国を通じましたところの入場税の実收状況を見ますると、一割くらい余計入つております。これは見込も一割増でありまするから、一月から四月までこれを五割減らしましても、これはカバーして行けるのではないか。のみならずこの入場税については非常に脱税がございまして、この脱税の制限を一部税法改正案に織込みますると、その脱税を防止する上において十分にこれはカバーして行くのではないか、こう考えております。一方不動産取得税のごときは、これは大体において大したものではございません。これはどうしても今眼の前に撤廃するということがシャウプ案に示されております以上は、政治の運用の上から言いましても、機動的な政治の活動の上からこれはもう廃止して然るべきものだとこう考えております。
  42. 田村文吉

    ○田村文吉君 この問題の御答弁としては、私も少しく不十分に考えますが、後で不動産税及附加価値税の問題につきましてお尋ねをいたしたいのでありまするが、その問題は少しく細かい問題になりまするから、敢え大臣の御答弁がなくても結構でありますから、政府委員の方からお答えを頂いて結構でありますが、もう一つ大臣にお尋ね申上げたい問題は、今度シャウプ勧告によりまして平衡交付金制度が応かれることに相成ると考えておりますが、それにつきまして積雪寒冷の地方でありまするが、これは地域的に申しますると、北海道並びに東北、北陸、信越等十一縣の主として関係するところでありますが、この地方は御承知のように、雪が降つてつております間は二十ケ年の平均で最大百六十日あつたのであります。そこでこの日照時間を調べて見ますると、十一月から三月に至る期間におきまして、無雪温暖地方が千百九時間あつたのに対しまして一僅かに四百十九時間しかないのであります。かような、この東京では昨今十一月としては珍しい陰灘なお天気が続いたのでありまするが、東北、北陸方面になりますると、実は十一月から毎日あのお天気であります。殆んど日照を見る日というのは、一ケ月のうちに一日二日太陽が拜めるかという程度であります。大臣ももとは山陰にお生れになつておる関係上、十分この辺の点は御承知であろうと考えまするが、このために燃料は沢山要る、又建築等が三寸の柱で済むところは四寸の柱で家を建てなければならない。坪数も十二坪でよろしいものが十六坪の家が要る。又学校にいたしましても、近距離に学校が建ちませんことには、可憐な兒童が二里も三里も吹雪の中を山を越えて行かなければならん。こういうことのために、不幸にして近年二人も三人も子供が吹雪のために死んでおるのであります。こういうような非常な不幸な陰惨な生活をしておりまするこの東北、北海道十一県でありますが、これに対しまする過去において、地方民としては随分幾度かいろいろの方法負担の軽減、生産の増進についてのことを国会にも陳情し、いろいろの形をとつて参られたのでありまするが、全くそれに対する施策はありませんで、僅かに今度国家公務員に対しましてだけ寒冷地手当を相当お付け頂くことにいよいよこの予算から成立することに相成るわけでありますが、ひとりこれは公務員だけの問題でないのであります。一般の労働者然り、中小企業者然り、事業をやつておる人然り、皆同じ苦しみを受けておるのであります。従いまして地方配付金のごときはその点について十二分の考慮をなさるべきであつた考えるのに拘わりませず、在来の日本における一人当りの平均指数に比べまして僅かに二分五厘、一〇〇に対して一〇二・五、二・五%だけ多い程度で、おしるしだけの配付税の配付が行われる、増配されておるに過ぎないのであります。今度シヤウプ勧告によりまして、国民のその負担能力或いは事業をやります程度等を勘案して、平衡交付金は決められることを勧めておられるのでありまするので、今日こそこの点についての十分の御考慮を頂かねばならないと考えておるのでありまするが、国務大臣はこの点についてどうお考え頂いておりましようか、この際にお尋ねする次第であります。
  43. 木村小左衞門

    國務大臣木村左衞門君) 寒冷地手当の問題について御意見を拝聴いたしましたが、誠にお説の通りでありまして当局でもこの寒冷地にありますところの、公務員はもとよりでありますが、一般民衆に対上まする点は、非常に同情をいたしておる次第であります。ただ一方国家財政と睨み合して、その処置を講じなければならんという点に、頗るむずかしい難点がかかつております。これまでは配付税の中に籠めまして尚足りないところは最後の特別配付税というものの中にこれを加味いたさせまして、相当な額を支給して手当をいたしておりますつもりであります。昨年寒冷地手当の方式が、昨年ではありません、この第五国会に通過いたしまして、それがいろいろな政府内の事情、特別会計に関連いたします等の事情で、最後の仕上げが法律としてできておりません時期にありましても、地方自治庁といたしましてはこの点は非常に、寒冷地に居住する公務員や学校なりのいろいろな困ることであることを慮りまして、取敢えず財源的な処置を一、二ケ月前にこれを処置を採つたつもりでございます。で、将来の寒冷地手当はどうするかというお尋ねでありましたが、これは一般交付金で、各地方団体ごとに標準財政需要と標準の財政力を測定いたしまして、両者の差額に応じまして交付されるようにいたしたのであります。そうして寒冷積雪地帶に属しまする地方団体にありましてはその特殊事情を標準財政需要乃至は標準財政力の測定に当つてできるだけの考慮を拂いたい、こういうふうに将来は考えておりまする次第であります。
  44. 田村文吉

    ○田村文吉君 只今答弁頂きましたのですが、平衡交付金の、来年度は一千億を見込まれますか、もつと多くなりますか知りませんが、これの配付につきましては十二分の御考慮を頂くことであろうと思いますが、ただ過去における配付税の配付金が、先刻申上げたような二分五厘程度でしかなかつたのでありますので、かような囚われた観念でこの問題をお考え下さると非常に困る、こういうわけでありますので、特に大臣の今後愼重なお考えの上で案を進めて頂きたいこういうことをお願いいたしまして、私の質問を終ります。  尚不動産税、附加価値税につきましてお尋ねいたしたいのでありますが、委員長の方の御都合もあろうと思いますから、若しおよろしければ続けますし……。
  45. 黒川武雄

    ○委員長(黒川武雄君) 後にして頂きます。通産大臣が大分お待ちでありますから……  それでは通産大臣に対する質問を始めます。堀越委員。
  46. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 私は通産大臣に次の三つの点についてお伺いしたいと思うのであります。  その一は、銅の補給金の打切に対して政府はどういう策を持つておられるかどうか。この補給金の打切ということに対しては、国策の上から考えて、反対するのではないのでありまするが、鉱山のようなものは地上の施設と違つて、数百尺或いは数千尺の地下の施設でありますから、一旦操業を停止いたしますると、水浸になつて崩壊する虞れが十分であります。これを回復することは到底困難だろうと思うのであります。それと同時に、化学肥料の原料である硫化鉱の減産が非常に著しい、或いは金、銀の副資源を失うというようなことになつて参りますと、只今ストツクがあるにいたしましても近い将来において電線だとか、伸銅、或いは第二産業の電気器具などの原料というものは主として輸入銅に俟たなければならないことになりはしないか。殊に硫化鉱の問題からいたしますと、これは化学肥料の重要な原料でありまするが、銅鉱山で出る量が約生産計画の三分の一以上だということであります。すでに本年度生産額百十万トンのうち五十二万トンまでは銅山からの生産量を見込んでいるのでありまするが、若しこの銅鉱山の操業が不可能となつたような場合に、約四十万トンのものは失われると計算されているのでありますが、若しこれを輸入の鉱石に求めるということになりますと、更にその補給金というような問題が出て来はしないか。こういうようなことに対して政府としては十分万全の策を立てておられるかどうか。更に又もう一つは当然失然問題が起つて来るのでありますが、その失業者をどう吸收されるか。失業対策として八億五千万円を見込んでおられる分に十分吸收され得るものであるか。殊に銅鉱山方面の失業者というものは、極く地方に分散したものでありますから、昨日労働大臣が言つておられた公共事業、その他政策のあらゆる、面に盛られている失業対策というものと切離す地方と…極く限られた部分の失業対策というものが必要になりはしないか。それも相当数に上るものであろうと思うのであります。この銅鉱山の操業が困難に陷つた場合の失業者の数をどのくらいにお見込みになつておるか、それが失業対策費に盛られたる。中に十分吸收し得るものであるかどうか。将来の銅の需要を輸入によつて俟つという輸入によつてやらなければならないというようになつた場合の政府としての対策をどう考えておられるか。先ずこの一点について通産大臣の方針をお聞きしたいと思います。
  47. 稻垣平太郎

    國務大臣(稻垣平太郎君) お答えします。銅の補給金に関連して、只今の御質問は一般のむしろ鉱業、休息鉱山の鉱業政策をどう考えておるかというような御質問に承わりました。御承知のように只今の銅の日本における産額は月大体五、六千トン程度であります。それが半分は故銅から、半分は鉱石からやつておることは御承知の通りでありますが、只今は、先月は僕かにそのうち千五百トンが内地に向けられて、後はストツクになつておる。先々月は七千トンでありまして、ストツクを少し掃除いたしました。これはまあ内地の関係であります。それから輸出の方の関係といたしましては、最近七千五百トンと輸出契約を結びました。いずれ近いうちに荷六千トンの契約ができる筈であります。一体御承知のように銅は日本はむしろ産銅国という形になつておりまして、これが二位になつたり、三位になつたりしておるのでありますけれども、併しながらアメリカの産銅計画と比べますと、いわゆる一割程度でありまして、戰前一番多く出ましたときが大体九万トンで、これが一番多いときであつたと私記憶いたしております。丁度私は銅の仕事に携わつてつたものでありますから覚えております。九万トンでありまして、大体その当時におきましても輸入は大体三万トン程輸入しておつたと存ずるのであります。一体産銅国でありますが、而も第二或いは第三の産銅国でありますが、同時に戰前は鋼の輸入国でありました。それで今日むしろ鋼が余るというのはこれはまあ変態的な、戰後の変態的な情勢であります。  そこで補給金を外したということでありますが、御承知のように、銅はアメリカの銅相場に戰前から左右されておつたのであります。戰前はアメリカのニューヨークの銅相場が翌日は日本のそれがFOBの輸入銅相場になつて来る。それに関連しておるものが相場になつて来る。これが今の建値であります。最近の半年ぐらいの予想を見ましても、大体五月頃でございましたか、二十三セントスリーコーターでありました。それがうんと落ちた時がフォーティーンハーフでありましたが、十四セント半ぐらいに落ちて参りました。これぐらいフラクチーヴするのであります。昨日三十六セントだつたものが今日は十八セントになり、今日十八セントだつたものが明日は十四セントになり、それが直ぐ引つ繰り返りまして二十一セントになる、これが銅相場であります。従つて従来銅の建値というものは、これによつて左右されておつたということでありまして、そこで問題は小さな鉱山、精練所を持つていない鉱山のいわゆる銅鉱の問題に移つて来るのでありますが、そこで従来とも小さな鉱山、中小鉱山は御承知のように精練所へ売鉱いたします。そうしますと、糟練所はこの売鉱されたところの鉱石のピューリテイを先ず分析いたしまして、ピューリテイ掛けるアメリカの銅相場、それに掛けるアマルガム八〇%ぐらい取りまして、それからマイナス精練費、これがいわゆる売鉱の値段になるわけであります。そこで従来ともこの中小鉱山は精練所のこの売鉱の、というよりもむしろニューヨークの銅相場の建値によつて暫く鉱山を休鉱する。又建値がよくなると直ぐ稼行ずる。これが日本の銅鉱山の慣習であります。そうしてこれが又実際によく運用されておつたと私は思うのであります。  そこで補給金を外したという問題でありますが、補給金は成る程外しました。併しながら補給金を先ず外したときに銅鉱業者が騒がれたときの、当時のニユーヨークの建値はたしか十五セントだつたかと存じております。今日は十八セントになつて参りまするというと、さて問題が非常に変つて来た、これ程建値に非常に左右される鉱業であります。そこでいずれに、いたしましてもストツクが非常に多い。例えば今は七千五百トンを出しませんが、前のストックが復興公団の持つております四千トンを加えましてたしか二万五千トン、或いは数字が三百トンぐらい違うかも知れませんが、私の記憶は間違つていないと思います。三百トンですか五百トンですか、その辺はつきりいたしませんか、とにかく二万五千トン貯蔵がございました。これがあるがために、そうして国内の需要がケーブルやワイヤー等の需要が減つたために銅の需要が減つたというので、国内の消費が少いためにストツクが殖える。そのストツクのために補給金を外したときの自由価格になつてつて、消費者の需要に対して圧迫を加える。こういう形勢がありましたので、このストックをなくするということが必要であろうということを考えまして、大体そのうちの一万トン対して、これを暫く枠外に置いておくというようなことで特別な融資をいたした次第であります。これは勿論精練所を持つているところの五大会社に対して融資をいたしましたのでありまして、これは暫くそのままストツクをして置く、その外のストツクはできるだけ早い機会に輸出をする、こういうことで最近一万五千トンの輸出を計画しまして、先ず第一に七千五百トンができた。近いうちに六千トンができる。この七千五百トンと六千トンができますというと今度はずつと置いておいた一万トンのストックに喰入れるというふうに相成るのであります。そういうわけで銅の鉱業者に対するところの操作をいたしておりまするし、又融資ができましたので、銅鉱業としては私はこの方策によりまして、一応金融もつき、又今後の確保もできるものだと存じております。それに幸いにニューヨークの相場は只今上り気味であります。従来の十四セントハーフのところから今日は十八セント、或いは事によるともう十九セントから二十セントぐらいになつているのじやないかと考えております。ということは七千五百トンの引き合いが、この点の話がつきましたときに向うは非常に急いでこれを決めたがつた。十八セント半に上つたので決めたがつたということは、即ちドル相場が上り気味であつたということを私は証明しているものと思います。従つてそういうような五大会社に対する融資が今の精練所に対する売鉱を通じて中小鉱業に流れる。これが又今までの一番いい、いわゆる自然の形において中小鉱業に対するところの融資の形に従来なつておりましたし、日もそれらの企業を通じて、そのオルガンを通して中小鉱業に融資を流して行く、こういう形に持つて行くように精練業者とも相談づくであります。  尚硫化鉱に関しましては来年、私どもは今年も御承知の通り大体肥料原料として足りないというので、十万トンの硫化鉱を入れる予定に安本の計画がなつておりましたのを、実際は是非日本の内地の硫化鉱で充当したい、こういうので契約を破棄いたしまして、甚だこれは面白くないと私は思うのでございますけれども、そこで契約を破つて頂きまして、すでに船積みした二万五千トンを除けて、七万五千トンは中止せしめたのであります。そういつたような措置をとつております。来年は百八十万トン計画を立てております。百八十万トン計画を立ててありますが、これは百八十万トンということは肥料にしての百八十万トンであります。そうして実は内地向けの百六十万トン乃至百七十万トンを行して、十万トン乃至二十万トンは、これは肥料として輸出したいくらいに実は考えておりますので、従つて硫化鉱をどんどん出して貰わなければならん。ところが御承知の通りに硫化砿は大体三分の二ぐらいは素硫化でやつています。松尾、柵原が三分の二であります。いわゆる含銅のものが、御指摘のようにあと三分の一くらいであります。併しながらこれはどうしても出して貰うためには、多少、いわゆる硫化鉄の値上げをしなければいかんじやないかということで、今考えております。この前の値上げのときに二百七十円に値上げしたと覚えておりますが、その当時私は百円の値上げがいろいろの原価計算の上から至当であろうと考えてやりましたので場その程度までは持つて行きたいという考えで、今仮に精練費を安く取られる。精練費と申しますか売鉱費を安く計算されましても十分硫化鉱として確保できる値段になると私は考えております。そうした形で硫化鉱の方は持つて行きたい。  それから金鉱山全般について申上げますが、金鉱につきましてはこれは今日では大体新らしい鉱石から二トン、或いは二トン半になろうと思います。昨年度は三トン半くらい金ができましたけれども、金の買上げを大蔵省でいたしましたけれども、そのうちの半トン乃至一トンはこれは鉱石からの分でありませんで、従来の何と言いますか、新らしい新鉱石ではない、従来の貯鉱を処理したような形になつております。そこで今後三年間に十トン計画を立てたい、このいうように考えまして、御承知の北海道の鴻の舞、或いは鹿児島の串木野、静岡の持越、そういつたようなところを新たに開鉱させ、併しながら精練所が戰争中これをぶつ毀してしまつてありますから、この精練所に対する再建でありますか、この再建に対するところの融資をする斡旋をするということで、融資の斡旋談が実行に移つております。これは三年間に十トンまで持つて来る、こういう考え方であります。そこで申し上げましたように、金は三年後には十トン目標まで持つて来る。それから硫化鉱は来年は百八十万トンの肥料ができるように持つて来る。そうして多少の値上げも考えて行く、こうい形で持つて行きますということ、今度さつきの失業問題と結び付けるわけでありますが、この今現状のままにおいては、この金属鉱業だけで或いは三万人といい、或いは三万五千人といい、三万五千人という失業者が出るという話がありますけれども、今ここに金鉱の新らしいところの採鉱を始めるのだといような問題、或いは硫化鉱を新たに殖やして行くんだという問題がありまするというと、この数字は非常に私は減少する。成る場合にはこの数字そのままそつくり載せてもいいものだろう、こういうように考えておるのであります。私は通産省の行政といたしましては、金を殖やすということ、硫化鉱を殖やすということ、それから尚銅鉱山に対しては融資の途を貯銅を対象として融資の途を講ずるということ、こういうことによりまして、業界の手許を楽にすると同時に又増産に向わす、従つていわゆる失業問題もおのずから解決する、こういう方向に向わしたいというのが私の採つております政策であります。
  48. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 只今の御答弁によつて補給金打切に対しては止むを得ないことでありまするから、更に潔くはお尋ねいたしませんが、もう一点簡單な問題でありますが、硫化鉱の増産を企図せられておるようでありまするが、それによりますると、硫化鉱の輸スの問題は解消せられるものであるかどうか、その一点だけをお伺いしたいと思います。
  49. 稻垣平太郎

    國務大臣(稻垣平太郎君) 硫化鉱は今後輸入いたしませんばかりでなく、来年には無論輸入いたしませんつもりでありますのみならず、硝安なんかも実は硫安に振替えたい、硝石の輸入を実は抑えたいというくらいに考えております。
  50. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 次に外資の導入の問題でありまするが、最近新聞の報ずるところによりますと、昨年外資の問題で調査団が見えました。アメリカの前の陸軍次官のドレーパー氏が見えたようであります。恐らく昨年の問題に関連して、本年具体的に話が出るじやないかと想像されるのであります。その場合に外資の導入に対して受入態勢は十分できておるものであるかどうか、例えばドレーパー氏が昨年日本を去る場合に非常に心配していた事柄は日本の労働不安、その労働不安というものが完全に解消されたかどうかということで、更に労働意欲という問題について非常に悲観的な見方をして行つたようでありまするが、これは通産大臣直接の問題でなしに、労働大臣にも関係あることには違いありませんが、労働意欲の向上ということに対してドレーパー氏などが非常に悲観的な見方をしていたものがどう改善されて行つたかということをお伺いしたいのであります。これと同時に外資の導入という資本だけでなしに技術面の導入を考えられておるのかどうか、その点を併せてお尋ねいたしたいと思います。
  51. 稻垣平太郎

    國務大臣(稻垣平太郎君) 外資導入の問題でありますが、外資はいろいろな形で私入つて来ると思うのであります。今のお話技術を供與すると、それに対してロイヤルテイを拂う、或いはそれに対して一定のパーセンテージの株式を與える。こういつたような技術供與問題で入つて来る場合もございます。本当に單に資本を投下するという場合、或いは資本投下と同時に、技術を供與するというような場合、或いは又その外にはいわゆる加工を頼む、原料を持つて来て加工さして、その外資導入者の名前においてこれを輸出する、いわゆる加工業としての日本の工場を利用しようと、こういつた外資の入れ方もあると思うのであります。それで今私が挙げましたような外資導入の話は、私が通産大臣としていろいろな各方面の産業家からお話を承わり、又御相談も承つでおりまするし、それこそ実施どころじやない、もう最近では二十、三十と相当十而も確実性のある、そうして大規模な話が大分起つております。併しながらそれが結実したものは非常に少いのでありまして、その少い原因としましては、先程お話になりました日本ではまだ労働不安が解消されてないという問題、或いは又法規の問題もあります。それからして第三の問題といたしましては、いわゆる配当金なり或いは利子なりの送金に対する問題。それからしてその次にはいわゆる日本での税金関係の問題。それからして最後にはいわゆる国際間の政情不安の問題、こういつたような問題が非常な障碍になつておると思われるのであります。そこで法規の問題は、これは主として言われておりましたのは、いわゆる独禁法に関する、あれは第何條でしたか、第七條でしたか、十一條でしたか、あの規定が問題になつたのでありますが、これはこの前の前国会で御訂正になりましたので、この点は問題がもうなくなつたと思います。それからしてその外にはいわゆるは統制法規或いは特別の建築許可とか、まあいろいろな統制警法規がこれを投資する人にとつては如何にも煩わしい、又如何にも危険であるというような考え方から、法規の改正を叫ばれておつたのであります。これが大きな障碍になつてつたと思うのでありますが、この点も順次いわゆる統制を外して行つておりまする現状におきましては、又いわゆる物資需給法なり、或いはそれらの建築許可令なり、そろいつたものが段々解消されて行つておりますので、この方も大して今日では先方の人が問題にいたしていないのであります。第二には税の問題でありますが、税の問題についてはいわゆる法人税が非常に高い。これでは折角いわゆる事業をやつても一向興味を持たないということでありました。今度のいずれ御審議を願うことになると思うのですが、通常国会に出る予算におきましては法人税の軽減が考えられておる。これは非常に或る意味において外資を導入するについてのいい一つのインデユースになると私は存じておるのであります。他の問題は、今度は日本で得られたところの配当なり利潤なりに対する課税、又こちらへ技術者が辛つて来る、或いは特別に向うの代表者として人がやつて来る、そういう人が所得を得る、その所得に相当大幅の所得税がかけられる、これではどうもいい技術者が日本へやつて来るという意欲がなくなる。こういうことがいわゆる税の問題として大きく取上げられておるのであります。これに対しては私もいろいろ大蔵大臣と話をいたしておるのでありますが、こういう技術者に対して、殊に日本技術を入れて貰うということは一番今日大事なことなんでありますから、こういう技術者に対しての何らかの特別な措置がとれないものであろうかということを今研究中であります。これもまあ問題の一つの点であります。それから又先程御指摘の労働不安の問題から、この労働不安の問題につきましては従来向うの人が日本へ見えました当時から比べますというと余程安心感を與えていると私は存じておるのであります。一時左の方へ行き過ぎた傾向が今中正の道に返つて来ておるように私は存じますので、経営者も又組合側の人もどちらもおのおのその立場において立派にそれぞれお互いに理解し合つてつて行くという考え方に戻つておりまするし、又昔の日本人の本来の勤勉さに私は立返つて来ておると思いますので、この問題は大したこれが障碍にならないと考えております。私が話す限りそれらの外資問題について意見を闘わすところの外人諸君もこの問題については余程従来と変つて理解をして下すつておると存じております。最後に国際政情の不安の問題は、これは我々の問題でありませんので、これはどうも向うがそれに対してどんだけ、まあ何と言いますかリスクを冒すか、或いはこれをどういうように判断するかということに俟つより外はないように考えるのです。ただ従来御承知の東邦だの、大同だの東電だのというものが持つておりましたあの外債を国家があのときに、御承知のように日発ができましたときに肩代りをいたしましたわけでありますが、この肩代りした外債に対して日本政府がこれを支拂うということを確約するとしないとは非常な大きな今後の外資導入の、殊に国際政情不安ということに対して大きな打消となると存じておりますので、政府といたしましては、この問題については外資のいわゆる何と言いますか支拂を確保するという立場を取るべきだと私は考えておるような次第であります。まあそういうようなわけでありまして、外資の問題はいろいろ論議されております。ただ私は希くば資本というものの導入よりも日本技術というものが、足踏みをしておるし非常に遅れておるのでありますから、この際できるだけ向うの技術を入れる、そうして機械なりインスツルーメントが非常に荒廃いたしておりますからこれを取替えたい。それから御指摘のディロン・リードの代表者のドレーパー氏が来るという問題でありますが、これは例の外債の問題であるということが伝つておるわけでもありませんし、又新らしい外債に対しての問題で来たということも伝つておりません。ただ恐らくは日本に対してディロン・リードがどのような投資をすべきか、或いは又従来の外債に対してどういうことになつておるかということのむしろ調査であろうと考えておる次第であります。
  52. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 第三の問題は第二にお伺いしました問題に関連しておるのでございまするが、企業面における科学技術の振興という問題であります。これは教育面からしては先程岩間委員文部大臣質問をされ、又近く国会の両院かこの問題について決議案を上程したいという切なる意見があるくらいでありますから、通産省としては最近技術白書というものを出されましたが、それによりますると、日本の科学技術というものはアメリカのそれに比較して十年乃至甚だしいのは三十年も遅れているということを発表されているのでありますが、最近貿易進展の問題に関連して最も強く取上げられていることは、企業の合理化ということであります。單に企業の合理化と申しましても。單に人員の整理とか、或いは賃金の値下げというような問題、殊に労働強化というような問題が起つて来るようなことにもなると思うのでありますが、こういうことでは更に労働不安ということが醸成される虞れも十分にあると思うのです。国家百年の大計から申しますると、科学技術の十分なる振興ということが最も大切な問題であると思うのであります。この面に対して直接の企業の面に関係される通産大臣としてはどういう方策を採つて行かれるか、殊に各部面の問題と関連して、單に通産大臣としてだけじやなく、国務大臣として今後の予算措置に対しても、文部大臣の要求される学術振興の面に対して、科学技術の振興に対して共に協力をして行かれるものであるかどうか、こういう点も重ねてお伺いして置きたいと思うのでございます。
  53. 稻垣平太郎

    國務大臣(稻垣平太郎君) 科学技術の振興は最も重要であるという点につはいては全く御同感でありまして、私はそれよりも進んで今後の通産省の仕事は、一面貿易が主でありますが内輪に国内に対してはこの技術の問題、これが通産省の仕事の非常な大部分を占めるものだ、私はこういう考え方をしておるのであります。従つて事科学技術に関する問題については、私自身も直接な関心を持つて、それぞれ実は指導しておるようなわけでありましてその意味におきまして我々の方の工業技術庁におきましても、先般の定員法で人減らしはいたしましたけれども、新らしい優秀な技術者をできるだけ得たい。従つて他の省内、他の原局から人を融通いたしましても、心の方には人を殖やしたい。又各研究所、御承知のように通産省は非常に沢山の研究所を持つております。この研究所に対しましても、特に研究方面の人手を殖やす、そういう措置をとりたいと存じまして来年度予算にはこれが組入れてあるわけであります。尚日本技術研究機関が民間においては、三井の研究所にいたしましても、東邦の研究所にいたしましても、古河の理化学研究所にいたしましても、皆算盤が合わないで止めてしまつておる。それでこれを今やるには、こうしても技術研究をやるには、実は私は民間でやつて貰いたいのでありますけれども、止むを得ませんですから、今はこれを工業技術庁に置いて、この点に特別に力を入れなければならないとかように考えておりますので、その方面の予算も取つておりまするし、又それに対しましてできるだけ日本の…この間白書にも述べましたように、十年十五年遅れている技術を取戻す意味におきましても、特殊な機械につきましてはサンプル・オーダーをいたしまして、これを工業技術庁に持つて来る。そしてこれを各業界にお見せをするというようなことで、まあ四十件ばかりの機械も注文いたして、一部は着いておるというようなわけであります。海外の文献につきましてもすでに八千冊ばかり手許に入つておりますが、尚できるだけ多くの文献を集めるようにいたしたい。かように考えておるわけでありまして、工業技術に関する限りにおいては、我々は特に力を入れでやらなければならないということが私の考え方であります。従つて先程もお話文部省との連繋におきましても、文部省はいわゆる科学技術の振興の問題で、我々はこれを工業化するという面において、工業化するためのいわゆる中間的な工業試験という亡とも必要でありましよう。又或いはこれを民間に普及するという面も必要であります。そういつたような工業化するという点において、お互いに連繋をとつてこの点を進めて行つておるような次第であります。
  54. 田村文吉

    ○田村文吉君 通産大臣にお伺いいたしますが、先ず石炭の問題、それから電力の問題、それから生産の停頓に関る御所見等をお伺いしたいのであります。  一番目にお伺いいたしたいのは石炭関係の問題でありますが、石炭は今臨時国管の管理になつておりますが、もうお止めになつてもよろしいのじやないかと考えておりますので、早急お止めになる御意思でありますかどうか、その点を伺いたい。
  55. 稻垣平太郎

    國務大臣(稻垣平太郎君) 石炭管理法は止める意思であるかどうかというお話であります。配炭公団を止めまするし、従つていわゆるこの生産の計画、いわゆる管理委員会へ諮問をいたしました計画その他につても、これは管理委員会の必要がなくなるという問題もあります。従つてあれは全面的に再検討する必要があると存ずるのでありますが、この点については今折角検討をいたしておるのであります。ただ石炭が基礎産業といたしまして、石炭にしましても、鉄鋼にいたしましても、基礎産業として、又いろいろな日本経済情勢によりましては、場合によると、いわゆる伝家の宝刀というものを残して置く必要もある場合もあるかと存ずるのであります。基礎産業に対するわれわれの考え方といたしまして、或る場合には計画性を持たす必要もあり得ることもあろうと存ずるので、その点について目下検討をいたしております。いずれこの法案は廃止するか、或いは又廃止して仕舞いきりにするか、或いは廃止するが代りにいわゆる石炭鉱業法といいますか、そういつたような、同時に一般的な鉱業法もあるわけでありますが、その一般的な鉱業法から切離して、石炭鉱業法といつたような基本法を作るか、そういつた問題について目下研究中であります。
  56. 田村文吉

    ○田村文吉君 財政の御方針承つたのでありますが、年々今幾ら経費をお使いになつておるか知りませんが、三億でも五億でもお使いになつておることは、殆んど無駄なことではないかと我我は考えますので、今日石炭の統制をお廃しになつて、もとより国管は臨時的の措置であるというわけでありますから、そういうことに対しては、一日も早く、国民の負担の若干の軽減になるのでありますから、お廃しなさるべきじやないか、又それに代る、昔ありました石炭鉱業法を若干の御改訂の上でお出しになるのは、これは又当然のことと考えておるのでありますが、一日も早くなさるべきことを希望いたしまして、私のそれに関する質問を終ります。  次に伺いたいのは石炭が統制撤廃になりまして、石炭の価格、出炭量、入手状況。これを簡單にお聞きしたい。併せて配炭公団が清算に入りまして、これは大体余り赤字を出さないで済みましようが、大体の御見当を承わりたい。
  57. 稻垣平太郎

    國務大臣(稻垣平太郎君) 私一人だけ参つておりますので、細かい数字を申し上げることができませんので、大雑把にお答え申上げたいと存じます。  そこで配炭公団廃止後の価格は一体どうなつているかということでありますが、大雑把に申しまするというと、高品位炭に対する需要はむしろ殖えております。従つて高品位炭に対しては、むしろ以前よりは或る程度少し高くなつているのじやないかということが考えられます。低品位炭に対するところの需要は減つております。従つて値段も、低品位炭に対しては六、七百円程度つているということが言われております。それからして出炭量でありますが、商品位炭はそういつたような事情からむしろ従来よりも出炭量が殖えております。高品位炭は減つているという現状であります。概して申しまして、例の九月千五日までに配炭公団へ炭を持込んで金にしたいという意味合で、その前に無理に掘られて非常に炭が殖えておつたという反動もありまして、それの比較から考えますと、減つておりますけれども、併しなからその減り方はそう大した数量ではない、大体二割程度の減り方ではないかということになつております。主とてし而も低品位炭であります。  それから配炭公団の清算事務の問題でありますが、大体四百四十万トン程廃止に遭つたわけでありますが、これに対しまして、政府機関の企業と申しますか、調達庁でありますとか、或いはその他の政府機関の企業なり、それからして北海道の煖房炭に振向けますもの、それから日発へ振向けるもの、そういつたものを勘定いたしまして、大体約四百四十万トンの中から二百六十六万トンでしたか、その見当はいわゆる売約済みであります。二百四十六万トンでありましたか、売約済みであります。あと百八十万トン程度が今日尚残つているという状況であります。そこで今度は今のお尋ねのこれの赤字はどうなるかというお話でありますが、大体において私は四百四十万トンという数字が御承知のように、相当前のカロリーを四千カロリー以下を落しましたときに残つておりましたような炭、或いはいわゆる無煙炭の品位の非常に悪かつたものといつたようなものなり、又その外の泥炭に近いような非常に品位の低いような炭が尚ありましたのは、今ではこれは殆んど風化しているか、或いは又殆んど泥になつているものがありやしないかということを私は心配しております。こういつたものは恐らく一割ぐらいはその減を見込まなければならないのではないかというように考えております。又同時にこの低品位炭につきましては只今申しましたように、相当の値段が安値になつておりますような事情でございます。そうかといつてこれをいつまでも持つておりますれば、火災を起したり、又目減りができたりいたしますので、適当な時期には処分しなければならん。そういう意味相当の六、七百円の値引きは止むを得ないことになると考えております。かれこれ併せますと、或る程度の赤字は止むを得ないのではないか、尤も配炭公団が、いわゆる配炭公団の操作におきまして、前に相当の黒字を持つておりましたのでありますから、それを差引いたしますと、まあ私は非常な大きな数にもならないで済みやしないかと思いますが、今後炭を処理する時期と、処理する機関と、それからして今後処理するときにどれだけの目減りがするかという問題になるのでありまして、只今ここではつきり申上げられないのを残念に思います。
  58. 田村文吉

    ○田村文吉君 配炭公団が廃止になりますその前に、もうすでに亜炭につきましての統制を御廃止になつておりまして、亜炭でも相当の赤字が出ておつたのであります。従いまして今度の配炭公団か低品位炭が売れない、それが風化するということになりますと、相当莫大な損が出るのではないかということを心配しております。今までに若干の益金がありましても、到底それくらいのことで追付かないのじやないか、さような場合には欠損が出たら、政府では今後これに対して予算を御請求なさるお見込でおいでになりますか。まだ清算が当分終えないから、それまでは処理なさらないでお置きになるおつもりですか。
  59. 稻垣平太郎

    國務大臣(稻垣平太郎君) これは大体御承知のように来年の三月までに処理すべしという関係筋との了解によつて実施いたしております。併しながら三月よりも或いは足が出るのじやないかというようなことも考えております。目下大蔵省で清算事務に従事いたしているのでありますが、もう少し清算の見極めが付きました上で、いずれ予算面でこれが御審議を願うことに相成るかと考えております。
  60. 田村文吉

    ○田村文吉君 日本生産指数が昨年に比べますと、今年の三月までは大体三割程度高く上つてつておりますが私も非常に喜んでおつたのでありますが、四月から生産が停頓いたしまして、ずつと大体停頓の状況にあるようでありますが、これはどういう理由によつてそういうふうになつておりますかということについて、大臣の御所見を承わりたい。
  61. 稻垣平太郎

    國務大臣(稻垣平太郎君) それはもう玄人の田村さんから生産のストツプしている理由を聞かれて少々参るのですが、併し実際問題といたしまして、私は生産指数は殆んど横這いの状況を瞬けている。これは御承知のようないわゆる需要の減退というものか一方にありますと同時に、又従来いわゆる裏でやつておられたものが表へ出て来た。需要の減退も同時にありますが、裏であつたものが表へ出て来た。そこで従来の生産額というものと変りがなくなつて来た。生産指数には大した変動を来していない。こういつたように私は見ているのであります。輸出が不振だということで停滞いたしておりまするだけは、いわゆる滞貨になつていると思うのでありますけれども、併しながら滞貨も非常に最近変化を起しておりまして、従来例の御承知の軽目羽二重が滞貨して困つておりましたのが、そうしてこれを而も融資の問題なり、或いは労賃の問題なり、いろいろ押し掛けたのでありますが、今は軽目羽二重はなくなつたことは、油井さんよく御承知の通りであります。そういうわけで、油井さんもこの前言われたように思いますが、これはなくなつている。そういうような今度の情勢の変化が起つて来ているような次第であります。大体かれこれ裏にあつたものが表に出て来た、需要が減つたが、併しながら今度は相当輸出貿易というものは期待するところが非常に大きいのじやないか、殊に繊維類の最近の情勢から見ますと、生産の指数は上昇して行くというように私は考えているのであります。
  62. 田村文吉

    ○田村文吉君 生産の低減が相当輸出の不振等になつているというような只今の御答弁でありましたが、滞貨がありましても、生産はでき得ればやはり継続する、ただその場合に金が続かない、こういう問題に相成ると考えますので、私は大臣が、一番大きな原因は金詰まりにあつたと御答弁を下さるだろうと予期しておりましたが、その点にお触れにならなかつたのでありますが、私は実は昨年の秋から日本銀行及び大蔵省で採られた金融政策には非常な不満を持つてつたのであります。それが併し昨年の夏以来採られて来た資金の引締めがまだ余り表面に現われておりませんうちに、ドッジ・ミッションの勧告によりまして、日本財政の建直しをやるということに相成つたのでありますが、それは我々も結構に考えておつたのでありまするが、ややもするとインフレーシヨンは、金だけを詰めて置けばインフレーションが止まる、こういうような考え方を持つておられますというと、非常に危険なのであります。即ち今度現われておりまする生産の停頓が私はその数字であると思うのでありますが、今日はまだ戰前の六七%にしかなつていない。而も戰前というものは人口の少い、七千万程度の場合の人口であります。その人口に比例しての生産指数に比べて参りまするというと、どうしても生産指数は戰前に比べて三割や四割殖えて、初めて戰前の生産指数……消費指数になるわけなのであります。そういう点から考えて、生産はどんどん殖やして貰わなければならないというのに、一方でインフレーションを抑えるための金融的の処置は結構でありまするが、そのために生産資金を枯渇さして、生産を停頓さしたということは、私は非常に政府の政策として、遺憾に私は存じておるのであります。ややもすると余りに金融資本を尊重し過ぎて、生産資本というものをどうも軽視されて来ていることが在来非常に多かつたのであります。そこで私は通産大臣に、特に一つこれは頑張つて頂かにやならん、ただ金融面からのインフレーシヨンの終熄だけを考えて、物を殖やして、物を豊かにして生活を段々上げる一方、我々の国民生活の上から言つて、なさなければならない学校教育問題もありますし、土木災害の復旧もありますし、そういうようなこともなしながら、我我は復興をして行かなきやならんのに、ただ生産を止めてしまつても構わないが、金融でインフレを止めるというだけの政策ではこれは日本の復興ができない。この点が私はこの三月四月以来生産が停頓している点について、非常に心配をしておる。そこで通産大臣としては、十分金融方面から、大蔵方面からどうもお染めになれるでしようが、どうかもう少しこの産業資金の配付についての御努力を一つお願いしなきやならんのじやないか、こう考えるのでありますが、御所見を承わりたいと思います。
  63. 稻垣平太郎

    ○国務大臣(稻垣平太郎君) これは私は実は日産業人といたしまして、又通産大臣といたしましても田村さんの御意見には全く同感であります。同感でありまして、そういつた方向に自分も働いておるつもりでありますが。又、それと同時に私はどうしてもこの際先程も議論が出ましたが、技術の改善その他に関連して、企業の合理化も徹底的にこの際やりたい。一企業の合理化をやりまして、そうしてそれの結果といたしまして、その企業が十分に成り立ち得るものに対しては、私は十分のいわゆる企業技術改良の費用を含めたところの企業の再建に対する融資というものに対しては、できるだけ力添えをして行きたい、かように存じております。そういう意味におきまして、日銀のポリシー・ボードにも私自身行つていろいろ話合いをつけておるような次第でありまして、いわゆる自己資金による業界の御努力と俟つてできるだけそういつた方面には努力して行きたい。大体九月には設備資金として我々の方で融資の斡旋をいたしたものが十八億ありました。十月は四十億御斡旋をいたしたようなわけでありまして、できるだけこの面については私達といたしましては、十分努力いたす考えであり、又政府全体としてもそういう方向に持つて行きたい、こういうように考えております。
  64. 田村文吉

    ○田村文吉君 只今答弁頂きまして産業に十分の御理解のある通産大臣でございますから、これ以上細かい問題についてお尋ねすることは、むしろ大蔵大臣にお尋ねする方が適当と考えますので、その程度にいたしまして、もう一つ、今の生産停頓、今後の発展力が少いという一番関係をなすものは電力の問題であります。この問題はいろいろ根本問題として御考究を願い、又先般本会議でも御質問申上げておりまするから、本日はその点は触れませんが、どうしても差当りこの一月、二月、三月等は非常な電力が不足で、折角輸出の注文を貰つて来ても実は電気がないために生産できん。こういう問題に私は陥ると考えますので、そうなればできるだけ銘々の会社、工場等において持つております発電機を少しぐらい高くついても仕方がないから、どんどんこれを廻させるということが絶対必要でありますし、工場の能率を落すよりは、又職工さん達を遊ばせるよりはましだということで、事業家で皆覚悟して火力発電を持つておる者は廻そう、こういうことになるのでありまするが、そういたしますと、火力で発電いたしますれば、今日の石炭価で安く上つて四、四円になる。或いはそれ專門に廻すとなりますと、一キロが七円ぐらいになるかと考えるのであります。今の料金は一円十銭程度でありますが、これはまあ最近に値上げをなさるそうでありますから上るでしよう。上りましてもその差が非常に大きい。そこで若し経済的の算盤をとりますというと、まあ工場は止めて置いても火力は廻さない方が得だ、こういうような勘定が直ぐ出て参るのでありますので、この際は、こういう問題は是非一つ通産大臣からお呑込みを頂いて、発送電なら発送電がそれを逆に四、五円ならば四、五円で買入れる。一般にこういうふうにプール計算にするような方法で、何かの方法で補償なすつて頂かないというと、この火力の発電が廻らない。廻らんと従つて電気が不足して、終いにはランプを買つて又やらなければならん、こういうことになるだろうと考えるのでありますが、この火力発電を廻させるものに対しての損害・補償の意味で、これを何かコンペンセートなさるお考えをお持ちでございますかどうか、お伺いをいたしたい。
  65. 稻垣平太郎

    ○国務大臣(稻垣平太郎君) これは非常にむずかしい問題でありまして、只今ここで私御即答いたしかねるのでありますが、今の御指摘のように、各業者が自家発電、火力自家発電を廻したものを、これを一旦買入れて、又売るという一応の形式を取るというようなこともいいサゼッションだろうと存じております。そういうことが果して可能なりや否や、よく一つ検討をいたして見たいと存ずる次第であります。
  66. 田村文吉

    ○田村文吉君 今度の電力料金の値上げにつきましてはいろいろ物価庁で御検討のようでありまするが、通産省としても非常な重大な関係をお持ちになるのであります。そこで私共は今度石炭が当然統制の撤廃の結果、それぞれの地域によつて値段が変つて売られるわけであります。同様に電力量の原価計算によりまして、その地方々々によつて変るべきが至当であると考えておるのでありまするが、在来すべてが画一的になつておりましたような関係が未だに因習が残つておりまして、物価庁等でも余りそういう点についてのお感じが鈍いようでありますが、これは是非やらなければならない重大なことだと考えておりまするが、通産省ではどうお考えになつておりますか。
  67. 稻垣平太郎

    國務大臣(稻垣平太郎君) 今度の電力の値上げに関連いたしましては、或いはまだ田村さんにはお話を申上げていないかも知れませんが、通産省としても研究いたしておるのでありますが、御承知ないかと存ずるのでありますが、大体地域差を盛り、又時間差を盛り、又アロットメントに対する量の、或る一定量越した場合に幾ら高くするといつたような、いわゆる量的な差というようなものを、いわゆる地域においても又時間的にも、量的にも差額をつけるという形で、今度の料金改訂を持つてつておるわけでありまして、私はもう御承知のように、当然地域差というものは附すべきものだという考え方を持つております。今度の料金改訂にはその点が多少盛つてあるということを御了承願いたいと思います。
  68. 中川幸平

    ○中川幸平君 ちよつと一点だけ通産大臣にお導ねいたしたいと思います。織物消費税の撤廃ということが、一月一日より実施されることに提案されたのでありまして、これに対して全国の業界が非常に混乱を来しておることは御承知の通りと存じます。この混乱を鎮圧してこういうことで損害を最小限度に食止めるというためには、僅か一ケ月ではありまするが十二月一日に遡つて実施するか、或いは十二月一日から一割ぐらいの暫定措置の期間を設ける、この二つよりないと考えるのであります。これに対して一昨日の本委員会において油井委員からこの問題で通産大臣にいろいろお尋ねのあつた際に通産大臣がら御答弁の一節に、さように言われるけれども、一部の業者から成るべく長く実施を延ばして貰いたいという陳情があるというお言葉があつたので、誠に奇怪な御答弁であると考えたのでありました。通産大臣と申しましてもそれぞれの業界の実状をさように細かく御存じでないことは申すまでもないことでありまして、一応実状を申上げて御所信をお伺いいたしたいと思うのでございます。  御承知のごとく現行税法によりまするというと、絹人絹織物は四割の課税、大衆織物の銘仙或いは白絹一反に対して五百円乃至六百円の税がかかつておる。それを今撤廃されるということになりまするという、生産業者はともかくも、中間業者或いは小売業者の手持品に対する損害が非常に大きいのでありまして、かような税金の性質上からいたしますと、この税法を撤廃されると同時に、これらの手持品に対して税金の割戻しというのが本来の建前でないか、かように思うのでありますが、やはり国家としてもさような煩雑なことは到底できることもなかろう。そういたしますと、これらの損害を成るべく少くさせるためには即刻これを実施して安い税金のかかつておらない品物を仕入れて税金のかかつておる品物と合せて販売されるというのが一番の対策ではないか。今これを一ケ月延ばすということになりますると、その間仕入れるわけにも行きません。又さような、一月一日から無税になるものを今五百円六百円の税金をかけて、それを買取るというような人間はおらんから、生産業者もその間非常な難儀をいたし、又中間業者小売業者も仕入れるわけには行かない。非常に年末を控えて金融その他に非常な難儀をいたし、ただその間に少しでも延ばして貰いたいという業者があるといたしまするならば、それは正当な業者でないのです。御承知のごとく四割課税を二割ぐらいに軽減して貰いたいという陳情はしばしばいたしておるのでありまして、ただ四割が困るというのではありません。不正業者がその間にあつて全く税金をなしに取引をやつ偽るということが目に余るからさようなことを陳情いたしておる。即ち一流業者がそれら悪徳業者のために非常な難儀をいたしておる。即ち生産業者も約半分各地ともさような人間がおるのであります。それが集散地にも二流三流の業者がそれで暗躍をいたしておる。如何にこの一ケ月の間この惡徳業者が暗躍するかということを思うにつけ、一流業者、正当なる業者のために何とかして頂きたいということが全国業者大会で陳情いたしておる状態であります。若し通産大臣に対して、少しでも延ばして貰いたいというものがあるといたしまするならば、それは本当の悪徳業者であるということをお考えつても差支ないということを思うのであります。これらにつきまして何か通産大臣としてお考えの点がありませんかその点をお尋ねいたしたいと思う次第であります。
  69. 稻垣平太郎

    國務大臣(稻垣平太郎君) この問題は先般油井さんにお答え申上げました通りであります。その節或る一部の方は、これは小売人の方だと思うのですが、成る一部の方がこういうお話があつたということを申添えたわけで、私がそれを別に認めているという意味ではございませんからその点は特にお断り申上げます。そういう御説もあるということです。いつでもこういうときにはいろいろな方が見えていろいろな御説があるので、それを冷静にお伺いして冷静に判断するより致し方ない、かように考えます。それから今の戻しということは、これは中川さんのお話の通りなかなか困難な問題であります。これはでき難いと思うのであります。十二月一日からという御託もありますが、これは只今出しておりまする予算には計上してございません。これだけを差引いておらんわけであります。我々といたしましては、十二月一日ということはなかなか困難で、そこで他の税金の出発点は一月一日ですから、他の税金と一緒に一月一日から出発いたしたい、こういうように考えております。この点は御了承願いたいと思います。
  70. 中川幸平

    ○中川幸平君 元来間接税でありまするから、消費者負担の税金を中間業者が背負わなければならぬというような不穏当なことはない筈であります。手続上なかなかそういうことはむずかしいことであろうと思います。そういたしますると、この四割の課税のものを一時に撤廃するというようなことが非常に無理のかかる仕事であります。シャウプ勧告案にありまする通りに、将来撤廃せよ、その間に暫定措置として一割にせいということが勧告案にあるのでありまして、而もこの暫定措置の期間を少くとも六ケ月にするということが、中間業者、或いは小売業者に損害を少くするゆえんではなかろうか、かように思うのでありますが、一ケ月でも暫定措置を実施することに御骨折りを願いたいと思うのでありまするが、通産大臣として何かさような御骨折りを願うことができませんかどうか。ただこの際申添えで置きますが、一月一日からといたしますると、一ケ月のうちに四割という税金が要らなくなるというために誰しも納税はいたさずにその品物を積んでおります。積むためには金融の心配もしなければならぬということで、一銭も納税をせんということになりまするから、国庫の收入といたしますると、一厘にもならぬ。これを暫定措置としてたとえここに一割ということになりますると、今現在滞貨している品物及び十二月にできる品物も全部一割を納税するのでありますから、国庫としては非常に収入が大きくなるということになりますので、大蔵当局と相談をして頂いて業者の助かる一割暫定措置に御骨折りを願いたい、かように考えるのであります。それらの点につきましてもう一言御所見をお伺いいたしたい。
  71. 稻垣平太郎

    國務大臣(稻垣平太郎君) それは大蔵省の所管に関係することでありまして、私からここでお答えをとやかく申すわけのものではないのでありますが、大蔵省といたしましては、恐らく物品税なり、或いはその他の税法と同時に一月一日から実施したいという考えを持つておることと存ずるのでありまして、この問題については大分前から各方面でいろいろの御要求もありお話も承つたのでありますけれども、相談の結果、今度提出いたしました補正予算に盛り込みましたように一月一日からこれを取るということに決めましたわけであります。今日我々の方といたしましては、これを変更する考えを持つておりません。
  72. 黒川武雄

    ○委員長(黒川武雄君) これを以て閉会いたします。    午後四時二十一分散会  出席者は左の通り。    委員長     黒川 武雄君    理事            内村 清次君            高橋  啓君            高橋龍太郎君            田村 文吉君            堀越 儀郎君            岩間 正男君            木村禧八郎君            岩間 仁藏君    委員            栗山 良夫君            森下 政一君            岡田喜久治君            城  義臣君            深水 六郎君            中川 幸平君            西川 昌夫君            平岡 市三君            安達 良助君            岩木 哲夫君            小杉 繁安君            油井賢太郎君            尾崎 行輝君            西郷吉之助君            伊達源一郎君            藤野 繁雄君            帆足  計君            松村眞一郎君            小川 友三君   国務大臣    文 部 大 臣 高瀬荘太郎君    通商産業大臣  稻垣平太郎君   国 務 大 臣 木村左衞門君   政府委員    地方自治政務次    官       小野  哲君    大蔵事務官    (主計局次長) 石原 周夫君    文部事務官    (管理局長)  久保田藤麿