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1949-11-21 第6回国会 参議院 予算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十一日(月曜 日)    午後一時四十五分開会   —————————————   委員の異動 十一月十六日(水曜日)委員田中利勝 君辞任につき、その補欠として、和田 博雄君を議長において、指名した。 十一月十七日(木曜日)議長において 油井賢太郎君を委員に指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十四年度一般会計予算補正  (第一号)(内閣送付) ○昭和二十四年度特別会計予算補正  (特第一号)(内閣送付) ○昭和二十四年度政府関係機関予算補  正(機第一号)(内閣送付) ○理事の補欠選任の件 ○公聽会開会に関する件   —————————————
  2. 黒川武雄

    委員長(黒川武雄君) これより予算委員会を開会いたします。大蔵大臣に対する質問はまず玉置委員からお願いいたします。
  3. 玉置吉之丞

    玉置吉之丞君 私はこの際大蔵大臣に対してお尋ねをいたしたいと思うことは、過般来本議場におきまして、我我の同僚より税收問題につきまして質問がありまして、大臣のお答えによりまして大体において勤労所得説のごときは、すでに相当増收しておる、又法人税等徴税組織の改革によつて、進んで各会社が修正の申告をして、予定より増收しておるということを伺いました。尚明年度事業所得につきましては、千九百億円の見込みを、千七百億円として二百億円減るのだろう、こういうことを考えておられるというような御答弁でありましたが、私は現下の経済情勢の下において、果して大蔵大臣のお考えになつておるように、事業所得税の千九百億の一割強の、二百億円ぐらいの減收では到底そう目新らしいものではないと思う。もつと私は減收するものであるということを考えておるのであります。例えば本日の新聞紙上におきましても、飲食店が軒並に閉鎖をいたしておるというような記事が載つております。この一事をもちましても世の中の不景気というものは、極めて深刻なるものがあると思うのであります。そこで大蔵大臣のお考えになつておるよう事業所得によつて千七百億円というよう見込をもつてやられたならば、おのずからそこに大なる苛斂誅求が行われていわゆる徴税の旋風が参つて非常に混乱を来すということを考えておるものでありますが、この点に対して大蔵大臣所信をまずお伺いいたしたいと思うのであります。
  4. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 本会議でお答え申上げましたごとく、本二十四年度の租税收入見込は、所得税におきまして、勤労所得税千二百億円、事業所得税千九百億円と見込んでおるのであります。勤労所得税につきましては予算を組みますときに、昨年の十一月の賃金ベースで組みました。その後賃金の上昇がありましたので、こういうふうに百五十億も増收が本年見られるのであります。而して事業所得税について千九百億円の見込はその後の状況から考えまして、少し過大であるので君はないかという気がいたしましたので、千九百億円の見込みを約二百億円弱減しまして、千七百億円程度見込み替えをしたわけであります。玉置委員は、千七百億円でも多いんだ、こういう考えようでございまするが、御承知通り事業所得の中には、中小商工業者もございましようが、農業者も相当あるのでございます。而して昨年度におきまして、事業所得税は千二百億円見込んでおります。十月末の徴税成績は千二百億円の予算に対しまして一九%ぐらいしか收入していなかつたのであります。今年度は千九百億円に対しまして二一%の收入があるのであります。昨年の実績は千二百億円に対して、十月末一九%で、年度終つたときはどうかと申しますると、千二百億円の中、ちよつと、五、六十億円くらい赤だつたと思います。そこで私は、これは千七百億円の收入は千二百億円の今の徴税成績からいえば、確実に入つてくる見込みがつくのでございます。去年の千二百億円から今度の千七百億円は多過ぎるのじやないかといわれるが、だから当初の千九百億円は多過ぎたから少くしたのでありますが、去年の物価事情と今年一年の物価事情から考えれば、私は千七百億円は確実に入つてくるという確信があるのであります。どうも、勤労所得税は毎月納めますので非常に收入を上げるが、併し事業所得の方は今お話し申上げましたように、余り收入がよくありません。従いまして今度は今迄のように割当とか、何とかいうことなしに、できるだけ実地調査をいたしまして、そうして民に厚薄のないようなことをしようと折角努力いたしておる次第でございます。
  5. 玉置吉之丞

    玉置吉之丞君 私の心配いたしておりますことは、大臣との見解が相違いたしておりますので、一応大臣が、そういうお見込みであれば、そういうことに了承をいたして置きましてよろしいと思いますが、ただ私の心配いたしております点は、そういう見込み違いが、税收を勘案された結果が恐るべきことが起るのではないかしらというので、現に最近、徴税機構と申しますか、機構の改正によりまして国税庁が出来て各地区に国税局が出来た。而してこの国税局が、最近法人に対しては三百万円の資本金のものを、個人事業者に対しては事業所得百万円内外のものを今調べておりますが、最近私の郷里である和歌山市及びその附近におきまして大阪国税局事務官が十数人参りまして、やはり二、三人ずつに分れて虱潰しに今調べておりますが、そのお調べになつておる状況につきまして、いろいろな陳情が私の手許に参つておりますが、それらのことにつきまして聞きますと、大体私は二十四年度の事業所得をお調べになつておるのだと思います。と、そうでないのであります。盡く二十一年三月の財産税を納めるときのその財産状況基準としておる。そうしてその調べ方が、個人でありますから、帳簿も不完備、それを口実として全部の財産家宅捜査に等しい、又その納税者に対する態度は曾ての警察官や検事が調べよう態度をもつて、盡くの財産、即ち小さい商店でありますと、そこに持つておるところの全部の商品、並びに主婦の衣類とか、その他のものを全部調べまして、尚、その上に主として私の和歌山市は燒野原になつたのでありまするが、戰災都市としてそこに何もないところから立上つて、初めて十五坪の家を建てた。それを改造して二階建にした。その表をガラス張りにして、体裁を作つたというよう費用等計算して、そうしてお前の家は財産税を納めた当時に比べて三百万円物が殖えておる、そうして二十二年度に三十万円納めて、二十三年度に五十万円納めておる。だから今度の見込み届八十万円は少いから、この財産の二百万円くらいに該当するだけの事業所得税を出せ、それが嫌ならば、我々は本局に帰つてこれをやると、そこに加算税が付き、追徴税が加わり、莫大になるから、今俺の言うことを聞いたならば、これを百五十万円にまけて置くから判をおせ、おすのが嫌ならば、前のように追徴税加算税を加えると莫大になるので、それを納めなければならんが、どうだ、というふうに言われ、止むを得ず泣く泣く判をおしておる。こういう例が多々あつて、いろいろのものを私は読み上げて、くどくど申上げるのは止めますが、今申上げたような例が二十四五件に上つておるのであります、かようなことを調べた結果が、漸く立ち上つたものが、税金を納めるために借銭し、店を閉めなければならんという事態が起つておる。  そこで私のお伺いいたしたいことは、国税局事務官が出て調べをしておるのは、二十四年度の所得調べておるのか。又二十一年三月に遡つて、その当時の財産を基礎として今日におけるものを全部税の対象とすることは、即ち第二の財産税を取つておるもの、こう思うのでありますが、これに対する大蔵大臣所信を伺いたいのであります。
  6. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 個人所得税調査実地に出掛けまして、昭和二十四年度分の所得申告について調べるのが建前でございましようが、併し御承知通りに、税というものは、五年間遡つて調査してその時効期間内において、申告課税の不正確を直し得ることになつておるのであります。これは各人の財産類というものは、昭和二十一年の三月一日を基準にして財産税申告しております。その後の所得についてですね、本当に計算して、申告なすつてあれば、所得から税金を引いて、そうしてその中から生計費を出して、それから剩つたの個人資産増加になるわけであります。だから私は理窟から言えば、国税庁調査官のやつてることは税法通りだと思います。その調べる場合に、態度、その他について惡い点があれば、これは改めなければならんと思うのでありますが、法的に申しますと、やつてることはその通りだと思います。若しその方が昭和二十二年度に百万円を儲けておるに拘わらず、二十万円の申告をされた、二十三年度において二百万円を儲けておるに拘らず五十万円の申告しかしなかつた、そうして二十四年において、その人は三百万円の所得を予想されるに拘わらず、五十万円しかやはり申告していなかつたというときに、税務官吏が二十四年度の所得は二百万円の場合五十万円負けて百五十万円にして置くから出せと言つて帰つたとき、二十二年や二十三年の脱税をどういたしましよう。これは理窟から言えば、当然取るべきものだと思います。併しその所得計算につきましては、余程注意してやらなければならん。建前は、税法はそうなつておるのであります。御了承願いたいのであります。
  7. 玉置吉之丞

    玉置吉之丞君 建前としては、むろん五ケ年遡つて、それを追究することができるということは分つておりますが、ただ二十一年の三月において、私は財産税を納めるときに含みがあつたと思うのであります。その含みがあつたということは、よいことか、悪いことかは別問題といたしまして、例えば我々が或る形に現われておる不動産なり、株券なり、銀行預金なりというものを、財産税を取るときに、お前の家に、もつと家財や並びに不動産があるかということでいろいろ話合いましたが、その当時にそれを、がらくたを一体売れば五十万円や百万円という価値が出るかも知れないが、自分としては買うたときの値段の比較をして行けば、中には親から貰つたものもある。そういうものに対してどう付けようにも仕方がないから、あなたの方で然るべくやつて貰うより仕方ない、これは私自身の経験でありますが、申しましたら、お前のところの財産税は、大体三百万か三百五十万であつたと思いますが、それに対する五%の十七万五千円を申告見積りとして出せ、こういうことで、私は財産税を納めたと記憶いたしておるのであります。そういたしますと、各事業者におきましても、その持つてつた商品が明確に税の対象になつてつたかおらなんだか、これも見ようによればそれに偽りを言つておるとか、虚偽をしておるとかいうことも言えましようが、その含みというのは、今のがらくた動産の例から考えても、商品の棚卸の隅から隅まで見て、一〇〇%見て、そこに多少の含みがある。その含み一つも認めないで全部税の対象にするということは、私は如何にもひどいであろうと思う。而もその税金が納められればよい。その後に建つた家、バラックの継ぎ足し、看板というものまで利益対象にされて税が納められんからこういう物議を醸し、苦痛を愬えて来ておるのでありますが、私は大蔵大臣としてその事務官のやつていることは一応は正しいとして、行過ぎの惡いところがあれば是正すると言われるのでありますが、甚しいのに至りましては奥さんハンドバツクの中の金を調べて、これも儲けた金であろうというようなことを言つておる。非常に行過ぎたことをしておる。この帽子は何時買うたのか、この靴は何時買うたのかというに至つては少し行過ぎはしないかと思うのでありますが、これらに対してこの徴收官吏のおとりになつているところに向つて御注意をなさるお考えがあるかどうか、それは正しいことだから止むを得ないというお考えであるか、この際明確に伺つて置きたい。
  8. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 税法上の理窟と、実際の執行につきまして合わないことは或る程度あるかと思うのでありますが、お話通り財産税のときにはその人の持つておられます家具什器まで一々調査することは勿論でありますので、一応財産額の五%、こういうので御申告願つてつたのであります。而してその後におきまする財産増加、普通の所得であれば、所得に対して課税しなければならん、三月一日現在でお持ちになつておる不動産或いは株式、こういうものをその後売却されまして、そこに讓渡益売却益が出た場合におきましては、普通の所得に加算して、讓渡所得として半額を加算して、累進税として所得税を徴收するのであります。従いまして私はこの株式讓渡所得や、不動産讓渡所得に対して課税するのは当然だと思うのであります。で、問題は第二の商品財産税のときに十分調査しなかつた。而してその後その商品を売つてつたインフレのために非常に値上りをしたその商品に対して課税することはどうかという問題になりますと、理窟はやはり課税せざるを得ません。これは私からそのものは課税しませんと言うことは、税法違反に問われますから申すことはできません。併し最後に言つて置くことは、財産税のときに五%として、一応課税標準として申告をしていた骨董ものとか、或いは家具什器というものをお売りになつて、そこに讓渡益出た場合、これはなかなか調査はできません。不動産だとか株式なら税務署の方でも登記面、或いは株主名簿を見て分りますが、家具什器についてはなかなか分りにくい。而も一応の推定である骨董ものをお売りになつて、そのときは三百円くらいに評価しておつたものが三万円で売れたという場合には、理窟讓渡所得として課税すべきものなんです。ただそこで或いは一カ年の総高が幾ら幾らの場合は、強いて課税に及ばずという通牒が出してありますが、売り方、その程度の問題です。私はそういうところは株式とか不動産というようなもののように嚴格に言う必要はないのじやないか。適当にやるべきじやないか。併し理窟を申しますと、家具什器をお売りになつても、財産税のときよりも高く売つたものは讓渡所得として建前は徴る。併しこの分は株式とか不動産違つて一定免税点を置いておる次第でございます。そういうような何と申しますか、例外の例がございますから、今の奥さんハンドバツクの中のものはいつの所得買つたのだとか、こういつたものはなかなか分るものではありませんし、まあそこまで行くのは執行上如何かと思いますが、建前は私の申上げた通りであります。
  9. 玉置吉之丞

    玉置吉之丞君 とに角建前は一応そうでありましても、行過ぎたことをやつておるということは事実であります。そういうことをやつて国民の心を余り刺戟するようなことをしなくても、徴税方法によつて税收の目的が達せられるのでありますから、この点につきましては大蔵当局なり、国税庁の当局において若い向う意気の強い人をもう少し戒めて頂くということは必要じやないかとかように感じております。  尚法人税の問題でありますが、各法人のお調べ状況は大体において何と申しますか、家屋の修繕費機械補修費というようなものが従来の例によつて当然これは補修費だと思つて会社が落しているのを全部否認する。というのは、例えば戰争前でありましたならば、一つ百円くらいのものを歯車の歯が欠けているので入替える、それは当然認めておつた。然るにその当時百円のものは今日その歯車が三万円する。そうすると、会社帳面を見て、一万円以上の修繕費補修費というものを盡く調べ上げて、これが耐用年数が延びておるからいかんとこういうようなことを言う。盡く否認されるから、二百万円の利益会社にそういうものを非常に捉えて、もう二百万円、君の方は税金を出してくれというようなことをやつておりますが、戰前の物の価格の低い時分に五十円や百円のものであつたなら当然帳面の上で認めた。併し物価騰貴によつてそれが二百倍乃至三百倍になつておるから一万円以上に向つて盡く、例えば自転車を差込むところを大工を呼んで直さした、そういうようなのは当然会社の設備と考えなければなりませんが、一万円、二万円かけた、壞れたのを直しても補修費として認めない。これは当然な利益にして、経費として認めないということで、税金をひねり出しておりますが、商用年数を増すというような形は全部これを経費として計上して行かない根拠の建前がはつきりしないから、至るところでこの争いが起つておりますが、こういうことに対する何か根本的な行き方の規格と申しますか、基本をお決めになつて、かよう混乱を防ぐお考えはあるでしようか。
  10. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) インフレ下におきまする所得計算につきましてはなかなか実態に副わない場合が多々あるのであります。お話の如く歯車をやり替えるのにその歯車の不足しておる機械につきまして歯車をやり替えたのが修繕費に相当するものなりや、資産増加になるものなりやにつきましては、可なりむずかしい問題だと思います。で、この問題を解決すべく努力したのでありまするが、なかなか困難でございまして、そこでこれを根本的にやり替えるには、どうしても税の率を引下げることと、資産の再評価をするより外にないと、こう考えまして、シャウプ勧告にありますように、我々といたしましてはできるだけ早い機会に資産の再評価をいたしたい。つまり根本的にはインフレを止めることとなるのじやないか。今歯車修繕費お話になりましたが、個人物品販売業なんかで言いますと、十万円商品を持つておる、それを十八万円で売つて八万円の利益があつた。これに税金を課ける。そうすると税金四万円納めて残り十四万円の中で三万円を生活費にしてあと十一万円残つた。そうするとそれを資本にしてその商品を買つて来ると前の十万円の六、七割くらいしか買えない。それを仕込んで又売つて儲けるというと、だんだん四、五年前に持つていた資産が四年、五年経つうちに非常に儲けてそうして税金を納めるけれども、商品は空になつてしまう、非常に少くなつてしまう、これがインフレ下のあり方で、早く経済を安定させてそうして税率を下げて、そういうふうなことのないようにしたいというのが私の念願であるのであります。だんだんインフレも終息しつつあります。そうして資産の再評価等をやりまして、こういう常識に合わないようなことを止めて行きたいという考えで進んでおります。
  11. 玉置吉之丞

    玉置吉之丞君 この際富裕税に関して……。只今お尋ねした財産税は当時から今日までにインフレーションによつて物が上つて来る。そうするとこの富裕税対象になるものの形がどういうような工合に算定されるものか我々はまだ承知いたしておりません。又これらは法律として決まつておらんのでありますが、この際お差支えなかつたならば、一つ大蔵大臣富裕税対象になる算定の方法等につきまして、お洩し願いたいと思います。
  12. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) シャウプ勧告によりまする富裕税につきましては、只今検討を加えております。名前は富裕税でございまするが、やはりその性質はあらゆる財産課税する建前でございます。何故財産税と名付けずに富裕税と名付けたかと申しますと、シャウプ勧告案には五百万円以上の方に低い税率課税するのであります。これは理論的に申しますると、三十万円超過に五十五の税率では安過ぎる、或いは又住民税を加えても六〇%から七〇%で安過ぎる。ここでやはり富裕税という財産税的なものを置いたならばどうかというシャウプ考え方だと思うのであります。併し財産税富裕税基本をなしまする財産の把握、そうして又把握した財産評価がなかなか困難であります。そこでシャウプとしては安い税率ならば、低い税率ならばいいだろうというので考案されておるようであります。私の察するところ全部の財産課税しまして、シャウプ勧告案では五百万円以上の財産に対して課税する、而も五百万円を超過する分には〇・五%というのでありますから、一千万円の財産家税金は二万五千円であるのであります。一千万円超二千万円までは一%でありますから、二千万円の財産家で十二万五千円の富裕税ということになる勧告案であります。これが施行につきましては只今検討を加えております。
  13. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 私は災害復旧費についてまずお伺いしたいのでございますが、今回は八十五億というのが計上されておりまして、大分この点は政府もこの災害問題に対して関心を高めたということは喜んでおるのでありますけれども、大体において、御承知でもありましようが、災害復旧費は、八百億を超えるものが今日あるのに、このくらいのものでは、又膏薬張りであることは御承知と思うのです。而も今この災害復旧に関連し、河川その他の問題に関連して、各隣県の負担は非常に重い。私共の栃木県においては、県費の四八%が河川関係費用になつております。群馬県のごときは、六二%もこれに使つておる。こういう事情なんで、どうもこのことは、随分やかましくいつておるのだけれども、実際主として政府考え方か、その筋の考え方か知らんけれども、本腰が入つていないと私共は思うので、先ずそれで伺いたいのは、一体今度は、そういうふうなわけで、成るべく災害復旧金額国庫負担で行きたいというようなことを承つておるが、これは一体いつ頃からどういう方式でやつて行くのか、このことと、それからもう一つは、私共はこの河川の問題というものは、一年や二年で片附くものではない。少くも五年、十年……、利根川の問題も、建設省あたりで二十年計画を立てておる。こんなものでも、これは要するに百年河清を待つというようなわけで、又三十年経つとぶちこわされてしまうのだから、せめて十年やつてくれといつて、私共地元民が要求しておるのでありますが、とにかくいずれにしても、計画的に災害復旧をやらなければならんということは、分り切つておるのでありますが、私共はそれに関連して、その資金面裏附というものは、結局復興五カ年計画というような、この方面から、この資金的な一つ計画性が出て来るのではなかろうか。かように解釈しておつたのでありますが、今度の吉田さんのお話によるというと、こういう五カ年計画とか、復興五カ年計画というものを、今度みんなふいにしてしまおうじやないか、こんなものは当てにならんという御説明であるのであるが、さようならば、そういつたふうな、計画的な河川問題の解決に当る際には、どういうふうにして将来の見通しを立てるのか。実際最も綿密な計画を立ててやつた河川の問題を、ひよつとしたことで直ぐに予定通り行かなくなるのが通例である。にも拘わらず片方においては、資金的に何らの方針がないとするならば、如何に技術家が立派な計画を立てたとしても、結局これは又何らの効果も生まないことになつてしまう。賽の河原の石積みのようなことになつてしまう憂いがあるので、その点も一つ、こういうふうな資金面計画が、五カ年復興計画というものが、全然今度はふいにしてしまうのだといつた場合は、そういつた河川、或いは治山問題の計画性をどういうふうに織込んで資金的な計画をやつて行くか、その点を先ずお伺いしたい。
  14. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) お答え申し上げます。公共事業費は当初予算におきましては可なり少かつたのでありますが、その後の状況からいたしまして、今回八十五億の公共事業費のうち、主として災害復旧費を計上いたしたような次第でございます。両来年度におきましても災害復旧費は相当の力を入れて、我が国の国土並びに資源の保全開発に当つて行きたいと思つております。災害復旧国庫負担の問題でございますが、シャウプ勧告には全額国庫負担という原則を採つておられるようであります。併しそれが過年度についてもそうであるか、或いは将来の分だけかということについては問題ははつきりいたしておりませんが、従つて過年度の問題、或いは又将来の問題にしても全額国庫負担程度の問題で即ち非常に小さい災害復旧までも全部組上げるというようにするか、或いはそれは煩に堪えないから或いは一定額以上のものにするか、こういうような問題を今検討しているのであります。  次に御質問災害復旧についての計画性はどうかというお話でございます。我々は国土資源の確保、開発につきましてはやはり総合的に計画性を持たして行かなければならんと思うのであります。一つの、お触れになりました産業五ケ年計画、これは今日の国内情勢、世界情勢でございますので、一検討することにいたしまして、発表いたしませんでしたが、災害復旧につきましては、これは相当の計画性を以てやらなければならん。国土資源の保全開発につきましては、総合的に計画的にやつて行こうという考えを持つております。
  15. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 勿論総合的にやるのでしようけれども、一体資金関係においてもう計画性がなくてただ計画だけの計画ではこれは意味をなさないのだが、そういうものに対して計画的事業なんだから計画的な資金の方式を何ら考えてないのか。それをもう少し詳しく聞きたいのです。それから全額国庫の問題だが、程度の問題だというが、これは金銭的の程度の問題なのか。それから河川が、そのいわゆる直轄河川であるか、そういう意味からの程度の問題なのか。まあその点を一つ御説明願いたいと思います。
  16. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 計画性の問題でございますが、すでに発生いたしました災害に対しまする復旧は計画を持つて行きます。又来年度起ることを予想せられるものにつきましては、今後御審議を願います昭和二十三年度予算におきましては、公共事業費の中から来年度分として除けて置くというようなことで行くことに予定いたしておるのでございます。そして又災害復旧費負担の問題でございますが、これは勿論直轄河川とか中小河川とかいろいろな補助の割合もございますが、今の直轄河川とか中小河川につきましては、大体全額国庫負担になるのではないか位で行つております。ただ非常に金額の小さいものにつきましても、皆これを国がやるかという問題になりますと、手数の問題、或いはいろいろな研究する問題でありますのでまだ今検討中でございます。
  17. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 それからもう一つ、今度は農地の買收、売渡しの登記の問題でございますが、これについては今回の補正予算には一億四千万円位の額を載せているようであります。農地改革におけるところの問題で今当面の一番の問題は登記を完了するということなんでございますが、実際これから第三者に対抗するためにはしつかりした登記をさせるべきだということは当然のことなんですが、その仕事が誠に進んでおらないというのは、結局その登記事務を一体誰がやるのか。農林大臣が県知事に委してお願いしてやつているんだけれども、一体県知事に委せられても、県知事に対してはどれだけの費用を持つかということに対して、誠に責任を回避しておるということはどこでも多いために、地方の農地委員会の書記はいろいろな仕事がある上に、この誠に複雑な登記事務ということは、商売人の登記係か、余程慣れていないと間違いがある。古い昔の人の登記簿をひつくり返してやつておるのでなかなか事務がむずかしいのにも拘わらず、さつぱりそういう面の財政的なあれがないので、今回初めて一億四千万円というものを出すことになつておるが、一体一億四千万円で、一ケ町村に一万円ちよつとだ、一体こんなものでどれだけの足しになるのか、まあ只今登記事務が非常に多くて困つておるので、一人の女の子を雇つたとして、三千円ぐらい出したとして、三万六千円になつちやうわけです。そんな事実において、事務費においてすらそのくらいかかりはせんか、それを僅かにこんなもので、まあ而も十二月一杯にこれを完了せんならんということを政府では言つておる。どうも余りにこれは何か幾らその農地改革を余りやりたくないという気持からそんなことを言つておるのではないかと思うんです。どうもそういうデマも飛ぶようなことになるので、誠に政府としてもこれは遺憾のことだと思うので、なんとかこれはもう少し骨を折つて貰わなければならんと思いますが、一体これを今度は二十五年度についてはどのくらい見積つておるのか、やりたいと思つておるのか、その点ちよつとお願いしたいのであります。
  18. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 農地改革の係の経費の問題でありますが、農地改革につきましては、本年度の当初予算に約四十億経費が計上してございまして、大体一町村一戸当り二人以下の書記を置いておるわけでございます。その後の実施の状況を見まして或る程度経費が不足する模様でありますので、今年度の補正予算において、三千億円を計上してあります。来年度におきましては、大体農地改革関係の事務は終了するというふうに考えておるのでありますが、ただまあ登記の関係が多少残るものと考えられまするので、まだ金額は確定的ではございませんが、十億円乃至二十億円程度の金額が必要になるのではないか、このうち平衡資金の方において考えられるものもございますし、それから農林省所管に直接計上するものもあると思いますが、その辺についてはまだ確定的な段階に至つておりません。
  19. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 二十億円ぐらいを大蔵省としては考えておるという意味なんですか。
  20. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 十億円乃至まあ二十億円程度でございます。
  21. 小川友三

    ○小川友三君 大蔵大臣もいらつしやいますから、大臣に治水、治山という点につきましてお尋ねを申上げます。この補正予算では八十五億万円の復旧災害費というものが計上せられておりますので、その点につきまして、極めて敬意を表するものでありますが、国土につきまして少し大臣にお伺い申し上げまして御協力を賜わりたいと考えるのであります。それは関東地方を流れている坂東太郎であるところの利根川ですが、これは関東各府県に関係しております。この利根川の復旧費がなかなかはかばかしく予算が頂けないので、関東地方の府県は非常に困つておりまして、度々百万人署名運動をやり、国会に陳情に、政府に陳情、請願に参つておるのでございます。そこで何としても大きな川でございまして、昭和二十二年度の決潰箇所はまだ二百二十カ所修繕せられていない危険な堤防地区があるのでございまして、それに対して関東各府県は六億円の要求をいたしておるのであります。これは建設省当局で調査をしましても当然六億円以上かかるということは事実として証明をされておりますので、特に八十五億円の補正予算の中から、穴億円を昭和二十二年度のあの大水害の復旧費として、是非御支出を賜わりたい、この点につきまして一つと、もう一つはこの間キティ颱風で利根川の堤防に亀裂を生じた所、いわゆる破損を生じた所の修繕費が二億四千万円は最低限度かかるのでございまして、これをそのまま放置して置けば、完全堤防でないところの土を重ねた堤防でございますので、ますます崩れて行くというわけで、費用は二億四千万円でありますが、これを来年に持越したならば又これに損害が重なりまして国民の負担が又嵩むという状態でございますので、今のうちに折角八十五億予算がございますので、その一割に満たない程度の額をもつて関東各府県の皆さんが助かるのでございますから、是非八十五億の予算の中から、大蔵大臣のお計らいによりまして利根川復旧に六億円とキティ颱風のための利根川復旧費二億四千万円。  それからもう一つは隅田川の上流であるところの荒川の水害の対策でございます。これは日本の河川が数多しと雖も、荒川のような状態に置かれておる河川はないのでございまして、それは荒川の河川の特異性は、横の堤防と申しまして、河川の横に二十三カ所の大堤防が出つ張つております。荒川の流れを四分の一に速度を緩めるために、ダム式な横の堤防が二十三カ所ございます。これがあるために、荒川の流れを中心とする埼玉県の農村は毎年水害に見舞われまして、昨年も三十数名の尊き犠牲者を出し、田川は泥水化して供出に苦しむというような状態を年々繰返しておるのであります。この荒川の横の堤防が二十三カ所あるということは、全国の農村どこを調べても、或いは世界で唯一の河であると信ずるのであります。東京都民数百万の財産の擁護と、生命を擁護するために、この荒川の周囲の農民は或いは生命を奪われ、或いは家屋を流され、或いは農地を失うというようなことを毎年幾度か繰返しておるという惨状でありまして、この荒川の沿岸の状況というものはこの間も建設省を訪問をしまして、建設大臣がお留守でしたから建設政務次官の鈴木仙八先生にお願いをしまして事情をよくお話したところが休会になれば観察に行つて、その予算を是非取つてやりたいという御意見があつたような状態でございまして、政府の高官すらもこの荒川に横の堤防が二十三本出ておるという事実をお知りにならなかつたような状態でありまして、大蔵大臣も中国地方の方ですからお知りにならないかも知れませんが、どうかこの荒川の堤防の改修というものに対しましては、是非政府が博愛の大精神を持たれまして、特にこの改修費というものに対しましては御奮発を賜わりたいのであります。実費で改修費が一億六千万円かかるのであります。又キティ颱風によつて東京の出水を防止するために非常な大きな損害を農民、町民、県民は受けておるのでありますが、又キティの颱風によつて堤防が崩れまして、その改修品費が二千八百万円かかるのであります。合計利根川の各府県の被害と、荒川の埼玉県を中心として大きな犠牲、河川の犠牲、大都市を擁護するためにこのくらい大きな犠牲を埼玉県が拂つておるのでありまして、この荒川、いわゆる隅田川の上流を擁護するために県民が毎年何千万円、或は何億という損害を継続いたしておるのでありまして、特に大蔵大臣におきましてはこの点に十分にお考えを賜わりまして、僅かに合計十億の金でありますが、八十五億の中から是非十億を出して頂きたい、かような考でございまして、世界で三大都市の一つの東京の利益を擁護するために埼玉県が拂つておる大きな犠牲というものをお考え賜わりまして、大蔵大臣の手許まで差出してございますところの河川組合の請願書の御高覽を賜つておるものと思いますので、まずこの点につきまして大蔵大臣の御所見を拜聽したいと思います。
  22. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 今回御審議を願つておりまする公共事業費八十五億円のうち、災害復旧が主たるものでございますが、このうち河川の復旧に当てる予定のものは五十億円でございます。従つてこの五十億円の河川改修の分はデラ颱風以後のキティとかいろいろな今年の颱風の河川復旧に当てるわけでございます。余裕がございましたら過年度分にも廻したい。従いまして今お話の利根川並に荒川のキティ颱風によりまする災害には相当行くと思うのであります。それは全国的の災害でございますので、やはりその軽重を考えまして善処いたしたいと思います。
  23. 小川友三

    ○小川友三君 只今の大蔵大臣の御答弁に対しまして極めて厚くお礼を申上げまして、是非この計上額だけの予算が出し得られますように御盡力を賜わりたいのであります。  それからもう一つ法務府所管の予算の問題ですが、検察庁特に大郷会の検察庁は事件が非常に多うございまして、晩の七時八時になつても検事、副検事、事務官が残つて、いわゆる被疑者を調べておるというような状態でありまして、非常に超過勤務が多いのでございます。今治安がいいと言つても、世界最大の犯罪国でありまして、検事と検事につく副検事、事務官というものが非常に超過勤務をやつておりますが、月末には僅かに二百円三百円しか貰わない。リンタク屋さんが十丁引つ張る手間賃くらいしか一カ月に貰えないという状態で、検事並に副検事、事務官の諸君は非常に困つておるのでございます。この点につきまして大蔵大臣は所管が違いますので或いはお気付のない点であるかとも思いますけれども、この超過勤務手当というふうなものと食事手当というものに対しまして、特に検事は超過勤務手当がありませんが、この点につきまして、せいぜい出して頂きたいという考えでございますので、特に大蔵大臣の御所見をお伺い申上げます。
  24. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 警察官に対しましては超過勤務手当を出しております。併し検事に対しましてはその事務の都合上超過勤務に相当するものを俸給に加えて俸給支給額を決めておるわけでございます。従いまして只今のところ今の俸給額を維持いたしまして、この上に超過勤務を出すという制度にはできていないのであります。御了承を願います。
  25. 小川友三

    ○小川友三君 もう一つお伺い申上げますが米国の対日援助見返資金の中から中小企業者に五百億円程度の融資を賜わりたい、かように思うのであります。実は貿易の不振は中小企業者の金融難によりまして生産が閉塞いたしておるというのか貿易不振の実体でございます。日本の事業の八〇%以上が中小企業によつて賄われ、貿易も亦八〇%以上が中小企業生産によつて貿易の核心を掌つておるのでございまして、特に大蔵大臣におかれましては、米国の対日援助見返資金の中から中小企業者に対しまして、五百億円程度の融資を特に至急にお願いいたしたいと思いますが、大蔵大臣のこの貿易振興に対するところの中小企業に融資する対策につきましてお伺いを申上げたいと思います。
  26. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 対日援助見返資金特別会計の收入支出は先般千七百五十億円というので御賛成を得ておつたのでありますが、その後の輸入物資等の関係から今回補正予算で千四百九十億円余りに補正いたしております。而してこれが運用は予期した程度に行つておりませんが、今後できるだけ速やかに拡張いたしたいと考えております。而して今年度の千四百九十二億円のうち五百億円を中小商工の輸出産業に使う気持は持つておりません。特別法にも謳つておりますように、我が国の経済復興に非常に役立つ方面に使いたいとこう思つておるのであります。私は先ずこういうような金はやはり長期の設備資金に持つて行くのが順序ではないかと考えております。従つてお話中小商工業者の輸出金融をどうするかという問題になりますと、今回の補正予算におきましては、今回初めて輸出補償制度を設けまして五億円の出資をする、来年度においてもこれに又五億円殖やして行こう、こういう考えでおります。何分にも五億円程度の輸出補償制度ではいけません。全般的に経済の建直しをやりまして、一般市中銀行並びに長期金融機関から、どしどし出すというよう方法考えて行くのは常道だと思つております。
  27. 平岡市三

    ○平岡市三君 実は二十五年度予算の際に御質問するのが当然かと思いますが、シャウプ博士の税制改革につきまして、今日業者が最も心配せられておるのが附加価値税と、それから資産の再評価税であります。そこで少し時期が早いかと思いますけれども、本日は附加価値税について御質問申上げようと思うのであります。  事業税と言いますのは、收益課税でありますが、この附加価値税になりますと、これが従来收益のなんにもなかつた会社にも、この附加価値税は課せられることになりますために、今日の状態ではこれが設定されますれば、会社によりますれば、相当困難のものが出て来るだろうと思うのであります。尚従来の收益課税たる事業税に比べまして、附加価値税は急激な負担の変化を、招来する結果から企業の存立を又危くする一つの原因になるだろうと心配するのであります。  それは東京商工会議所の調査にかかる事業会社の最近の事業年度の計数に基きまして、計算いたした両税の比較を二、三申上げますと、某運送会社は、二十四年度において事業税が二百七十八万九千円、ところがこれを附加価値税について計算いたして見ますと、七億六千二十七万四千円、結局事業税と比較いたしまして附加価値税にいたしますれば、二百七十二倍になるとか或いは某鉄道会社の事業税が十五万九千円、これを附加価値税にして計算いたして見ますと、六千二百七十一万一千円、即ち三百九十四倍に税額が殖えるわけであります。或いは某ホテル会社の事業税が二十一万円のところが附加価値税にして計算いたして見ますと、五百三十万円即ち二十五・二倍。こういうふうな例を挙げ来たりますれば、際限がありませんけれども、とにかく事業税に比較いたしますと、附加価値税は急激な負担の変化を来たすことが明らかになるのであります。そこでシヤウプ博士の勧告案よりますれば、二十五年度の附加価値税の税額が四百四十億円になる。ところが二十四年度の予算に上げられておるところの事業税は五百二十億であります。ところがシャウプさんの勧告案によりますれば、農業の事業税はこれをなくする。これが二十四年度において八十億大体計上されておりますからして、結局二十五年度になりますれば農業事業税を省いて、いわゆる農業者以外の事業税に対しては、結局附加価値税に直しても、全然増減がない結果になるわけであります。さすれば附加価値税を課せられるといたしますれば、今述べましたように事業税と比較して多額の税金を納める結果になるものと、半面において非常に減少になるものとあるわけであります。かような状態で若しシャウプさんのそのままの附加価値税を課することといたしますれば、事業界に大きな変動を来たす、こういう意味合いにおきまして、私は以下二、三の点を御質問申上げたいのであります。即ち当分の間附加価値税の実施を見合せて従来の事業税の收益課税をそのまま継続いたして置く方が無難じやないか、これであります。二番目は若しやむを得ずしてシャウプ勧告案によつて附加価値税を設定するならば、これに相当の修正を加えて実施する必要があるのじやないか、たとえて申上げますれば先ず第一に税率でありますが、税率を相当下げる。即ち二%程度に下げたらどうであろうか。或いは今述べましたよう事情から業種によつて税率を変える必要があるのじやないか。或いは課税標準の点につきましては、附加価値税の課税対象は、利潤、利子、地代、家賃及び給與の四つでありますが、そのうち利子・地代・家賃のようなものは、企業間の重複と交錯を来たすことが相当甚だしいと思うわけであります。結局課税の公平と申しましようか、或いは簡易化と申しましようか、その意味におきましては結局利潤と給與、この二つを課税標準にいたして参りまして、特にこの附加価値税の最も課税対象となると思われるものは、即ち給與であると思いますからして、殊に給與の点においてはこれを半分ぐらいにして課税すると、こういうふうないろいろの修正工夫を凝らして行かなかつたならば、我が国の事業界に非常な影響をもたらすと、こういう意味で事業家の方々は大変に心配いたしておるような次第でありまして、この点につきまして大蔵省でどういうふうな考え方で研究なされておりますか。お分りになる点だけでも宜しうございますから、御発表を願いたいと思います。
  28. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) お答え申上げます。附加価値税と名前をつけますかどうか。ヴアリュー・アツド・タックスと申すのでございますが、これは世界でこういう税をやつた国はございません。今度日本で初めて行われんとするのであります。何故こんな新らしい税を行うことになつたかということにつきまして、私の想像を申上げましよう。これはやはり税は中央、地方を通じて極く簡素にしなければいかん。取引高税を止め、そうして又実際所得税と似たような事業税というものがあると、こういうことから考えまして、まあシャウプ博士は事業税も止め、取引き高税も止め、そうして附加価値税というものを設けよう、こういうふうなお考えようであります。このヴアリュー・アッド・タックスということが、然らば事業税的のものなりや、或いは取引高税の流通税なりやということにつきましては、かなり議論があるのであります。外形標準的の営業税即ち御承知通り昭和二年まで、昔の営業税、大正の末期の時の営業税のような、外形標準的の営業税と考え考え方もあります。又取引高税的の流通税的のものであると、こういうふうな考え方もありましよう。議論のあるところでありましようが、私はこの議論を暫く措きまして、シャウプ博士が四百四十億円を見込んだということから考えますと、そして今お話のありましたように五百二十億円からの金を納める。そうして又取引高税の四百四十億円、こういうことを考えて来ると、更にシャウプ博士は外形標準的の営業税的の営業税であり、又取引高税的の流通税とこういうふうなお考えの下に考えられた案だと思うのであります。従つて内容は、これの手本になるべき税法は世界にないのであります。これはむづかしい問題でありますので、地方自治庁でやつております、大蔵省は税のことをやるのが建前でございますが、国税でございませんから、直接に関與いたしておりません。地方自治庁でやつでおります。併し一面国民負担に重大なる関係があるものでありますから関與はいたしておりまするが、その内容に至つては何ら決まつておりません。従つてお話ように事業税が、想像して、何百万になるとか、何千万になるとかいうことは、少し早過ぎるのでありまして、これはもつと検討してから議論しなければならんものだと思うのです。いづれにいたしましても四百四十億円の程度收入が上れば良いのです。で私はシャウプ博士が四%乃至六%、こういう想像をつけられたときもそんな高い税率を設ける必要はない。四百四十億円程度入ればよいのだから、それを見込んで課税標準計算なんかも考えたらよいと思うのであります。今の地方税である事業税につきましても、或いは收益本位でいつておりますが、電燈会社、発電会社、或いはガス会社等公益企業につきましては、課税標準計算を違えております。今度のヴァリュー・アッド・タックスというようなものにつきましては、いろいろなおのずから課税標準考えて行かなければいけますまい。併しそれは附加価値税の思想の下に考えて行かなければならんものだと思うのです。従いましてこの附加価値税を延ばすという考えは、私は所管外でございますが、政府の一員として延ばすという考えは持つておりません。併し税率を変えるという気持があるかといつたら、税率は当然変えるべきものだと思つております。課税標準計算はどうかといつたら、これは一律にやつたら業種別によつて非常に負担が変りますから、今言つたように、事業税の代りのものである。取引高税の代りのものであるという前提の下に、適当なる税体系を拵え、そうして世界で初めて日本で行う税として恥しくないような立派なものをつくりたいと考えております。
  29. 内村清次

    ○内村清次君 大蔵大臣質問いたしますが、今回の大臣の財政方針の演説によりますると、先ずとくに注目されますものは、物価の安定と而も亦安定より一歩下つて低物価政策に持つて行こうというような方針が見えておりまするが、併しながら現在の状態では、この実行価格というものはちつとも下つておらない、のみならず補助金や補給金の打切や、いわゆる公定価格の問題や、それから米価、それから運賃の値上というようなこと、又家賃の値上りも四八%も今後見込まれてあるというような点からいたして見ますると、物価の安定、尚進んで政府が意図しておるところの低物価政策の方向とは矛盾するような感じがいたしまするが、これに対しまして我々をして納得さするような、一体どういうような方策で物価を安定させ、且低物価政策の方に持込んで行くというような、具体的な説明をして頂きたい、これが第一であります。
  30. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 日本を自立経済に持つて行きまするためには、物価の安定、賃金の安定が必要であることは異論のないことであるのであります。従いまして私といたしましては、先ず物価の安定を期さなければいかん、個々の物価につきましては、これは補給金の削減とか、いろんな問題で凹凸がございまするが、全体としては物価の安定を期して行かなければいけない、これが第一の念願であります。而して一応物価が安定いたしましたら、やはり外国との競争力を考えまして、できるだけいい品物を安く造るような方針に進んで行かなければいかん、で、私は物価を低落の方向に持つて行くのが理想であるのであります。で、今直ぐ持つて行くといつたら、全体的にはそれはいけません。これは安定を図りつつ将来の進んで行く道を申上げたことであるのであります。
  31. 内村清次

    ○内村清次君 只今のでは全く一般論になつて参りますが、まあどういうよう方法で低物価政策に持つて行くか、具体的な方法を示して頂かないと、一方では今申しましたように運賃を八割、海上運賃は九割、家賃も上る、補給金を打切られたために上つておる、鉄鋼も上つておる、こういうような状態でありますから、そこをどういうことで、即ち強い政策を以て持つて行かれるか、その具体的な方法一つ示して頂きたい。
  32. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) これは運賃は上ります。従いまして或る程度物価は、個々の品物は、運賃だけ上つて参ります。併し取引高税を止めます。そうするとそれでとんとんになる、物品税を止めます、或いは織物消費税を止めます、こういうふうな減税による政策によりまして、一般のいわゆる賃金その他に影響を與えないように、こういうのが今度の補正予算に出て来たいわゆる物価政策であるのであります。で、運賃を上げた、物価が上つた、取引税を止める。もともと取引高税を設けたときのあの状態を考えて見ますと貨物運賃は上げられない、物価政策で、上げたら物価が上るから上げられない。その代り取引高税をそれは認める、でなかつたら片方は物価が上る、運賃は上るというのでそうして取引高税を設けた。こうしたことは私は財政上いい措置ではない。もつと簡單に上げるべきものは上げて、そうしてそれに対して物価が上り国民は困るというような場合は税を減らす。こういうことになる、将来の問題といたしましても私はただ国際物価に鞘寄せて行く、こういつておりますが、米の問題なんかでも、私は国際物価から見て行きますと、石当り四千二百三円というのはこれは安過ぎます。各国の主食の値段から行きますと、米につきましては、これらの新価格について六割乃至七割程度のものでございます。米なんか上つて行きましよう。当然上げて国際物価に鞘寄せして上げて行く。品物によつてはもつと合理化して下げて行くのもある。国際物価に鞘寄せして行く。段段今の昔からの温室経済主義を止めて本然の経済の姿に返して行くというのが私の施策なんであります。米は上るでしよう。そうすると外のものは、賃金はどうなるか、賃金も限定します。減税で賄つて行く。こういう形を採る。こういう恰好で増産とか、合理化とか、減税とかで物価水準を安定さすと同時に世界物価に鞘寄せしながら、そうして将来のことを考えて、できるだけ低くして行くというのが私の方式であるのであります。
  33. 内村清次

    ○内村清次君 この点はどうも大蔵大臣はいわゆる詳細な数字を以て御説明にならないで一般論でありますからして、この数字の資料の提出につきましては、一つはつきり消費者であるところの国民大衆が実際において今回の政府の採られたところの方針でいわゆる生活というものが安定して行くんだというような、その点を明確に一つ示して頂きたい。これは後で一つこちらの方に出して頂きたい。それから第二点といたしまして大蔵大臣のこれはやはり方針演説でもありますが、一般の金詰りという問題についての認識は、相当私徹底しておられるようでありますが、この中小企業の金詰りに対しましては、ただ市中銀行の方の即ち金融投資のみでは全面的に解決はできないだろうというようなことを言つておられるようでありますが、然らばこの金詰りを解消する方法といたしまして、先ず市中銀行が公共性を発揮してそうしていわゆる企業家に対して融資をやつて行く、而もこれを迅速にやつて行くというような即ち方法について、或いは一県一銀行主義を廃してそうして銀行を殖やして行くというようなことも言つておられるのでありますが、どういうような銀行機構に持つて行かれる方針であるか。と同時に、この現在の復金機構というものがまだ民主化されておらない。これはまあ相当大企業に対しても金融の点においては当然密接な関係を持つて来る問題でありましようが、この復金機構についての民主化の点がまだ徹底しておらないようでありますが、こういうような復金の、或いは中小企業の運転資金を迅速にするための銀行のいわゆる増設に対しての機構、又この具体的な方法というような点、即ち資金の、どういうふうな資金の点を政府は助長して行くかというような点ですね、この点について一つ説明をして頂きたいと思います。
  34. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 今度の補正予算並びに米価の値上り、運賃の値上り等によつて勤労階級の問題でございますが、勤労階級の負担はどうなるかという問題につきましては、今私のところで正確な数字を持つております。年收五万円、八万円、十万円、十五万円の家族別にずつと計算いたしております。安本の方で今折角検討中でございますので、両方つき合わしてこの臨時国会に発表いたしたいと思います。私の計算では今度来年度の一月から三月までは全部の階級が、米が上ろうか、運賃が上りましようが実質賃金はよくなる。これははつきり言つて置きます。安本との違いは今ガスの値が上つた分を、大蔵省はガスの値上げを認めません。安本はガスの値上げを見ております。従つてそこに喰違いがありますが、いずれにいたしましても安本の方でも全部実質賃金は上るということを言つておるので、この表には人絹織物とか、スフとか、ゴム製品、新聞料とか電気料金、石鹸、ろーそく、こういうものの値上りも全部含めて計算しておるのであります。これは一部本会議で私は申上げたのでありますが、その後ちよつと数字が変つて参りましたからここで申上げますと、十五万円で夫婦、子供二八の人が四・〇%実質賃金がよくなつている。それから一番割の惡い年收五万円の人の独身者で〇・八九%、これはいずれ発表しますが、実質賃金がよくなります。もつと申上げますと十二万円で夫婦、子供二人の人、これは三・四四%上ります。それだけよくなる。  それから今の金融、金詰りの問題でございますが、この金詰りということはいつでも思うんでありますが我々日本人がインフレに慣れて、物さえ作れば値が上つてどんどん売れて行く。どんどん金をかけて作つて儲けるインフレに慣れて来てるからであります。然るにどうでございますか、我々国民大業はインフレは嫌だ、安定した経済を持ちたい。そこでどんどんインフレに慣れて来て品物を作つた者が、今度は普通のデイスインフレになつてどうですか、見通しの利かん連中は金詰りだ、インフレの後一応この程度の金詰りはいたし方ない。そこで早く企業の合理化をして建直しをして運用して行く人にはどんどん金を出そう、これで行つておるのであります。不渡り手形が多くなつたときこれを政府は何と考えているか。不渡り手形をどんどん金にして出し行つたらこれはたまつたものではありません。私は今の状態はこの四月に予期した程度で、金詰りの問題は、とにかくここはいろいろな施策で切り拔けなければならん。金詰りの声に恐れてディスインフレ政策を変えるべきではない。こういう気持を持つております。もう金詰りはそこに……、預金なんかというものは、この四月ですが私が二千五百億の預金ができるといつたときに飛んでもないといつたような人がありました。もうあなた、二千億円どんどん国民は貯蓄して行つております。経済が安定して金よりも物だというより、物より金が大事だということになつて来て、どんどん集つて来る金を合理的に、そうしていい方面にどんどん廻して、日本銀行の貸出しも御承知通り、昨年の今頃のもう一千億超えている。いろいろな方法でお金を出している。企業の合理化と建直しをやらずに、いわゆるインフレの方向でずつとやつて来ている人間が金詰りでさびれて行くということになります。それは勿論全部がそうじやございませんけれども、金詰りの問題は、経済の建直しには金詰りは或程度必要なんだということを考えて、そうして実際建直しをやるという人についてはどんどん融資する。それには資金の都合によりまして長期金融、短期金融といろいろ形がございますが、私としてはデフレにならない、安定恐慌は以ての外、ディスインフレを堅持するために、あらゆる方策の実行に移りつつあるわけであります。
  35. 内村清次

    ○内村清次君 大蔵大臣は大分自信と同時に又まだ甘く見ておられるようですが、実際の市中銀行が、これは本会議の説明のときにありましたが、どうも信用がないから、これは貸さないだろうと簡單に片付けておられるようですが、実際信用という問題は、これは人との繋がりもありましようし、つまり銀行の管理者の繋がりもありましようが、そういうような情実的になされたところの融資が非常に激しくなつてそうして実際企業自体がまじめな計画を立て、同時に企業自体に対しての将来の見通しがあるというものでさえも、これは融資の対象にならないというような現状が実際です。これはあなたの先程の答弁は私は全く甘く見ておられると思うが、そこにおいて各企業というものが停頓しておるのが一つとそれから同時に今後の将来性に対して非常に危惧しておるのが一つ、ここに金詰りの原因がある。だからしてあなたの預金部に対するところのいわゆる貯金が増して来たというような問題は、これは企業家が預金をすることでなくして、これは物価の変動によつてやはり将来は低物価になれば金の方が物より値打が上つて来るというような大衆的な考えから、実際において本当に預金部の方にそういうような数字が出ておるというような観点であるが、兎に角まじめな企業を計画しておる人たちが市中銀行から金が借りられない。そのために金詰りで、もうこれは降参するという問題よりも、立上ることができないというような状態が各所に起つておるわけです。こういうような点に対して先程答弁を避けられておつたようですが、銀行をどういうようなふうにいわゆる増設をして、そうしてどういうよう機構政府はこれを助成して行くかというような点をはつきり一つお尋ねしたいことと、それから復金のつまり民主化の点に対しましてどういうような、即ちお考えを持つておるかという点を一つはつきり御答弁を願いたいと思います。
  36. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 預金の問題は預金部ばかりではございません。五月一日以降毎月二百億程度市中銀行と預金部等で殖えておるのであります。その金がどんどん出ております。又日銀の方でも先程申上げましたように融通をつけておるのであります。これは必要な金だ、自分はこういう設備をしたいのだと、こういうことを皆さんおつしやるのでありますが、例えばそれが自分の計算でそうなんでしようが、国家的に見てこれはどうかということも考えなければなりません。自分は例えば印刷屋が、二台の輪転機を持つていて、もう一台殖やしたい。自分の個人経済では殖やしたいでしよう。それが国家的に見ますとどういうことになるかというと、印刷機械にどんどん金を出すかという問題がございます。やはり私は金は総合的に使わなければならん。そこで私は八月十五日か、あの資金融通策は堅過ぎる。中小商工業に対してもつと出さなければならんというので、あの粋をゆるめたような次第でございまして、できるだけ有効に使うようにいたします。産業資金も私は四月にここでお話申上げた、あの計画よりも預金が殖えたために一般産業資金として殖えております。昨年よりも相当殖えておるのであります。できるだけの施策はやつておる。だから両極端を言つたら話にならない。私の話が少しきついかも知れませんが、建前としてはインフレを終熄して安定経済に行くときには金詰りの起るのは、これはいたし方ない、その金詰りをできるだけ少くして、そうして早く切換えをしてやらせようというのが、今の我々の政策なのであります。だからできるだけ金詰りの声を緩和するようにいたしますが、片一方において金詰り金詰りということばかり言わずに、いわゆる地方本願をやらずに、自力でやつて貰いたいということが私の考えであるのであります。  復金の問題がありましたが、復金は私は廃めて行くつもりであります。来年の一月から廃めて清算に入ります。従いまして今年度におきましても、八十数億円の利子收入その他のものを入れることに先般の国会で御審議を願いましたが、その後だんだんと改正がございまして、補正予算も五十億円繰入れております。来年度は百五十七億円を一般会計に繰入れるということも計画しておるのであります。では復金がなくなつたらどうするかという問題でありますが、それには見返り資金をうんと活用すると同時に、長期資金としては興業銀行、農林中金、商工中金でやつて行く、そうして証券市場の発達もやる、一般の商業金融的なものは、市中銀行で十分賄える、こういう考えであります。  市中銀行の方はいろいろな点がありまするが、どうも地方の方の小金融機関が少いのじやないか。一県一戸主義というのは、あまり型にはまり過ぎるのでございますから、若し地方の要望がありまして、切実な機運があれば、こちらで十分それを助成して行きたい。市中銀行に対していろいろな非難がありますが、我々もそれは認めております。従いまして銀行検査を拡充しまして、そうしてよくないことのないようにいたしますと同時に、経営をもつと合理化したい。何と申しましても、貸付金利が高過ぎた。最近において御審議を願うことになると思うのでありますが、為替管理をやつて行く、そうして内地の銀行に外国為替の業務をやらせましても、外国に本店を有するいわゆる外国銀行の内地支店についても同様に免許しなければならぬ、こういう場合に一番支障になるのは、一般銀行の金利であります。私は金をいい所に融通すると同時に、金利を下げなければならんというので銀行の経営の合理化について検討を加えております。先般も下げましたが、今後できるだけ早い機会にできるだけ沢山下げて国際物価に鞘寄せするならば、先ず第一に金利も鞘寄せしなければならんという考であります。
  37. 内村清次

    ○内村清次君 総体的に見まして今後の財政方針とされましたところは、やはり米国よりの援助が今後漸減するというようなお考の下に具体的な方針が付かなくてはできはせんかと私は思つておりますが、一体大蔵大臣は本年度、来年度の予想について米国のいわゆる援助、これが予想について一つはつきりした御答弁を願いたい。
  38. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 対日援助見返り資金の予想につきましては、私は何とも申上げられません。ただ我々としてはいつ迄もアメリカの納税者負担におきまして安閑としておられない。やはり自力でやつて行く建前をとらなければならぬ。これが私の理想であります。併し何と言いましても一九五〇年から一九五一年にかけて四億三千万ドルという援助があります。一遍になくなつては困る。これはとてもやつて行けません。そこで私としては漸減することを予想いたしまして、それに対応する財政計画を立てておるのであります。
  39. 内村清次

    ○内村清次君 その意味の御答弁ではどうもはつきりまだ見通しが付かないというようお話ですが、過般大蔵省の省議で大体決つておるような新聞発表をやつておるようですが、明年度の見返り資金は、一応一千四百五十億乃至一千五百億程度というようなことで、今後の方針を決めておるというようなことを発表しておられるようですが、これは事業でありますか。
  40. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 大体見返り資金の特別会計への繰入金は、先き程申上げましたように今年は千七百五十億円になつておる。補正予算は千二百九十五億円になります。而して来年度はアメリカの国会では四億三千万ドル、これはどの分も含んでおりますが、それを基準にして来年度の分は計算いたしておるのであります。将来即ち千九百五十一年、五十二年の対日援助見返資金はどうなるかとおつしやつても、トルーマン大統領でもなかなか言えない問題じやないかと思います。私はここでそういうことは想像もつかないのでありますが、心構えとしては、段々減つて来ることを覚悟して行き、これが対策を講じておかなければならんということが私の肚であるのであります。
  41. 内村清次

    ○内村清次君 その次に貿易の点についてちよつとお尋ねしたいのですが、これは大蔵大臣としても必要と思いますが、現在の貿易不振の点から、又滯貨が一千億もあるというようなこういうような状態を是正して行く上について特に必要なことは、不等価交換の是正がなされて行かなければならないというような点が考えられますが、とに角首切り、合理化ばかりでこの貿易條件を改善して行くというようなことではこの打開はできない。却つて国内産業というものは後退してしまうというよう考えを持つておりまするが、これに対して大蔵大臣としては一体どういうふうな対策を考えておるか、伺いたい。
  42. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 貿易が不振だ、こういうお話でございますが、それはどれだけ予定しておられて不振ということになるのかよく分りませんが、昨年度よりも余程よろしいのでございます。今年度は大体五億ドルの輸出を予想しておつたのでありますが、五月頃までは非常な隆昌を極めておつたのでありますが、五六月頃頓挫いたしまして、そうして最近では又月に三千五百万ドル乃至四千万ドルの輸出でございます。この程度で行きますと、私は五億ドルの予想に近よるのではないか、貿易業者も段々できて来まするし、相当商談もあるのでありまして、私は五億近くうまく行くのではないかとこう考えております。そう不振々々とおつしやいますが、昨年の倍、三倍ぐらいにはなつて行く。一時不振であつたということは、結局スターリング・エァーリア(ポンド地域)が日本の物を買う金がない、買う金がないというのがスターリング・エァーリアに対する日本の輸出の一番不振の原因であります。買う金を拵えるためにポンドを引下げる。ポンドを引下げると、日本も今度は円を引下げるだろうという、こういう予想の下に買い控えをしておる。これが不振の第二であります。ポンドを引下げてそうして向うの物価が徐々に上り、又或る程度日本から物を買う金ができるということは喜ばしいことと思います。こつちの円は切り下げない、そうして向うの思惑に乗らないのがいいとこう思つて、円は切り下げずにやつて行けるという確信を持つております。こう考えて見ますと、今後貿易も段々よくなりまして、今後この趨勢を持続して行きたい。何も首切りをして安い物を売ろうというのぢやありません。とに角首を切る切らないに拘わらず企業の合理化をして、いい品物を沢山作る、こういうことであります。又輸出の諸條件もいろいろ改善する必要があります。船を使うとかもCIFにするとか、いろいろ問題がありますが、私として手をつけるのは、こつちでできるのは輸出補償制度である。今度は外国貿易が民間に移つて来ますから、為替資金を有効に使つて行くというような、いろいろな問題をその時々に講じまして、そうして我々の念願いたしておりまする輸出の促進というところに一番の力を入れたいと考えておる次第でございます。
  43. 内村清次

    ○内村清次君 過般の大蔵省の省議が大体対策を練つておられて、いわゆる来年度の見返資金の千四百五十億乃至千五百億のその償還の問題ですが、この償還で、政府の方ではこれを市中銀行の方に償還をするか、又は日銀手持の償還をするというようなことで、大体数字も挙げておられるようでありますが、これをどちらか優先して銀行償還をやつて行かれるのか、その方針を一つ説明して頂きたいと思います。
  44. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 本年度の見返資金の使用につきましては、先般の国会で一応御了解を得ております。即ち千七百五十億円の中で鉄道、通信へ二百七十億円、そうして六百二十四億円の復金債償還、そうして残りは直接投資又は普通の国債償還、こういうことになつておるのであります。来年度即ち二十五年度の見返資金の総額はどうなるかという問題につきましては、先程申上げましたようにズレ等を勘案しまして四億三千万ドルと一応計算しております。併しその金をどこへ使うかということは、私は全然聽いておりません。一二の新聞がそういうことを書いたということを今聽きましたが、飛んでもないことでありまして、私はその計画を一度も聽いたことはございませんし、考えておりません。これは只今関係方面と折衝中であるのであります。御承知通りに、この金を使いますときには、関係方面の承認を受けることになつております。而してこの金の使い方が、日本の経済を早く復興するか、復興を遅らせるか、その鍵になるのでありますから、私といたしましては、この国会が時間の余裕があれば、常にいつでも行つて交渉する用意があるのであります。まだ私は向うと話をしていないのでありますから、決まりつこはないのであります。どうぞ御了承願います。
  45. 内村清次

    ○内村清次君 これは今年度の補正予算の問題から、又明年度の財政計画につきましても、又更にデフレ傾向が深刻に響きはしないかというようなことで、やはりこれは国民が一応産業界も経済界もすべて関心を持つておることでありまして、これは新聞発表ではありまするが、十五日に省議決定をやつて、そうしてドッジ氏との交渉に大蔵大臣は今かかつておるというような問題で、而もその金融上の七万策というような点も明らかに出してあるのですが、こういうようなことは、今お話を聴けば、全然知らない、省議でまだ決定したこともないというようお話になると、この因つて来るところの、即ち産業界の者及び一般国民というものは、非常にこの発表に対しては関心を持つておる。これははつきりここで大蔵大臣は知らないとおつしやつたのですが、一体こういうような対策も全然立てておられないのであるか、いま一回明確にして頂きたいと思います。
  46. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) これはもう対策を立てておるかいないかということになると、非常に怠慢のようでございますが、先程来申上げましたように、私はこれから立てるのであります。来年の四月からの見返資金の対策よりも、まだ今年度の対策も考えなければならん。御承知通りに二百七十億の鉄道、通信のものは決まりました。六百二十四億の復金債は十一、十二月までに二百四十億、一、三月に四百億。残りの五百億の分についてどうやつておるかと申しますと、四億円出しておる。そうして私が申請しておるのが二百七十億と、あとの二百六十億というものはまだ検討中であります。そういうように来年四月からの分を今考える余裕はないのであります。それは新聞が想像でとやこう書くが何ら我我は責任を持たない。或いは又大蔵省の省議だと言つて局長や事務官くらいが集まつて話をしたことはあるかも知れませんが、それは私の関知しておることではありませんし、又そういうことは常日頃のほんの試算であり、何にもよるべき根拠はない。この問題はやはり最も我が国の経済に重要でありますから、大臣みずから決めて、向うと自分で折衝いたします。
  47. 内村清次

    ○内村清次君 これは本会議でも同僚議員も質問いたしましたし、又大蔵大臣も大体答弁されておるような問題でありますが、即ち食糧管理特別会計の百七十億の問題ですが、この内訳といたしまして伝えられるところによると、大蔵大臣はドッジとの交渉のときには見返り資金の中からこれを出した方がよいのじやないかというような御意見を持つておられたそうですが、これは事実でありますか。
  48. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 私が今年度の補正予算を決めて向うに参りますときには、従来予定しておりました二百二十九万トンの食糧がそのままそれだけ入るというので出しておつたのであります。然るにその後におきまして大体六十万トン殖えて、即ち二百九十万五千トンの輸入が見通されることになつた。そこでその分をどうするかという問題がありました。そこで大体これはいわゆる資産に見返りする資金だから借入れ金でもできる。そこで強いて税を以て負担する必要はないという議論が立ち得ると思います。併しそれでは税から取るのを止めて、借入れ金でしようということになりますと、これは銀行からの借入れ金になりますが、これは六十万トンどうしても殖える。そういうことであればこれは借入れ金にせずに、自然増收がここにあるから、積んで置く金があるのだから、これを持つてつて埋めましようということにいたしたのであります。
  49. 内村清次

    ○内村清次君 次に租税の点について一、二質問したいのですが、減税当初は二百七十五億と政府案で決まつておるようでありますが、それが二百億円になる。そうしますとこの差額七十五億が削減されておりますが、これはどういう即ち点によつて削減されたものであるか、その点を一つ説明して頂きたいと思います。
  50. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 二百七十五億という減税額が出たのではございません。補正予算を作ります際には、いついろの経費見込みまして、二百三十数億かの減税可能だということを言つたことはあります。その後において二百五十七億の減税可能だということか出たことがあります。私といたしましてはできるだけ減税を沢山したいためにそういうふうな数字を出し、又これ以上殖やそうといたしたのでありますが、いろいろな経済の見通し等を考えまして、この際まだ来年度の予算もはつきり決つていないのでありますから、一応二十数億程度の減税であつて、そうして来年度から相当本格的のところへ持つて行こう、一々ときどき新聞に出ます数字で、その数字が変りますことは、これは当然であります。本当に決まつた数字ではないのであります。殊に関係方面と折衝いたします。場合に、或る程度の動きはいたし方がないことでありますが、私は二百億円という減税ができたのはシャウプ博士のあの減税よりも全体として非常に大きいのでありますから、この程度で止むを得ないのではないかと考えております。
  51. 内村清次

    ○内村清次君 このシャウプ氏の勧告案によりますると、三十万円超過には五五%の所得税率を考えられてありますが、この基礎資料となつたの昭和二十二年の徴税実績であると言われておりますが、これはそう考えてよろしうございますか。
  52. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) そこまでは存じませんが、多分昭和二十二年か二十三年かの実績かと思います。
  53. 内村清次

    ○内村清次君 この二十二年度のこれは政府も発表しておるようですが、大口闇の所得が含まれておらない。即ち闇所得の点が含まれておらない、この基礎資料がもととなつて勧告案が作成せられておるというような点もありますが、この点に対して政府はどう考えておられますか。
  54. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 二十二年度並びに二十三年度で或る程度の脱税があつたことはこれは否定し得られないことだと思います。そこでどれだけの闇所得に対する脱税があつたかということは不敏にして、どうも数字を掴むことができません。
  55. 内村清次

    ○内村清次君 これは大蔵省でも調べておられるし、八月の末のつまり脱税額というものが百三十億である。その中に法人税の方では九十八億の脱税が入つておるというような発表もやつておられるようでありますが、これは一部分であると私達は思つておりますが、まだ最近において脱税の額をはつきり調べられたことがあるか、又調べられておるならば一つ発表して頂きたいと思います。
  56. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 脱税額が百何十億とか八十億というのではございません。今までの脱税額で摘発したものがこれだけ、こういうことでございます。そうして全体として脱税額というものは、今どんどん調べておるのでございまするから、どれだけ出るかまだ分りません。つまりこれは年度がずつと跨つておりますし、そうしてその数字には加算税というものも載つております。脱税額に対する利子というものも入つておりますので、本当の脱税額というものが或る一定年度においてどれだけあるかということはなかなか調べにくい問題でございます。
  57. 内村清次

    ○内村清次君 それから、これは今日の質問といたしましては最後の質問でありまするが、今回の大蔵大臣や又吉田総理の方針によりまして、賃金ベースの改訂をしたい、而も亦今年の補正予算においても改訂がないというような点が明らかになつたわけでありますが、現在第一番に質問いたしました実効価格の点におきましてもまだ納得しておりませず、又今から提出されようとするところの資料もよく検討して見なくてはならない。現在では大蔵省と安本とのまだ食い違いもあるというような状態であります。我々が調べました資料によりましても、どうも現在の状態においては賃金ベースの改訂は止むを得ないじやないか、これはしてやらなくては実際公共企業体の従事員の方も、公務員の方にも、又は一般民間の方にも遅配、欠配をやつておる現状から見ても一つ賃金の点だけは確定してやつて、そうして生活不安を除いてやるというような点を強力に我々は主張したい、政府一つ交渉して頂きたいのでありますが、問題は法律で定めてありますし、即ちコーポレーションの日本国有鉄道の賃金問題というものが近く裁定されるわけです。この裁定の結果でないと又大蔵大臣はこれは考えられないといつたような点も御答弁になるかも知れないが、要は調停委員会の方で八千五十八円の線を出しておる、又あの調停案の内容から見てみましても、当然今のCPSの点を調べてみましても、これはそれより以下になるというよう考え方はどうも我々は考えておらないわけですが、そういうような点からしてこれは発表したときにおいて、いわゆるこの暫定予算の中において、又政府はこの即ち予算の財源において何か考えておられるかどうか。又その点につきまして、或いは政府がどういうよう考えを将来において持つておられるかどうか、この点について一つ明解な答弁をして頂きたいと思います。
  58. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 公務員の賃金ベースは現行通り予算を組んでおります。而して若しこれを上げるようなことがあつた場合において財源があるか、財源は予定いたしておりません。二十五年度の予算におきましてもこの原則で編成を続けております。
  59. 内村清次

    ○内村清次君 そうすると政府の方ではいわゆるこの法律で決めたもの、これは政府目体が法律を守つて行かなくてはならない、これは当然な義務であるのですが、この法律で決つたその制度をも、全く無視して行こうというようなお考えがあるのですか、どうですか。
  60. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 御質問の点がよく分りませんが法律を無視するという考え政府にはございません。
  61. 岩間正男

    ○岩間正男君 それじや質問しますが先ず第一に伺いたいことは外債の問題であります。吉田首相の施政方針演説によりますというと、外債は返還する、こういうことが言われたのでありまするが、一体現在の外債は合計で幾らであるか、而もその外債の範囲ですね、これがどのよう政府において考えられておるのか、又吉田首相があの演説の中で言われたときの範囲はどの程度のものであるか、この点を伺いたいのであります。外債については尚明細にして頂きたいのでありまするが、英貨債米貨債、それがどのような割合になつておるか、それからそれを又国債、地方債社債別に分ければどういうような、これは内訳になるか、更にそれをおのおのの金額にしまして、当時の金額としてそれが幾らで、現在の金額にすれば、それが幾らかというような点について先ず承わりたいのであります。
  62. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) はつきりした数字は記憶いたしておりませんが大体外貨債と言いますのは、英貨債、米貨債、仏貨債と三つございます。英貨債が一番多いのでございます。四千五、六百万パウンドと思います。そうして米貨債が四千七、八百万ドルと考えております。仏貨債が三億八千万フランではなかつたか、これは後で資料をお上げいたします。でパウンドの切下げ前までは、利子を一九四一年から止めておりますから、利子を加えて千四、五百億円だと思いましたが、パウンド切下げがありました関係上、而もパウンドが六、七割を占めておる関係上千億か、千一、二百億と考えております。而してその国債或いは地方債、電力債等各外貨債ごとに明細にできております。いずれ適当の機会に資料をお出しして宜いと思います。償還期限の来ておるのもございます。
  63. 岩間正男

    ○岩間正男君 今のは戰争前、それから戰争後のものも全部含めてですか。
  64. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 太平洋戰争後におきましては外貨債はございません。従つて戰争前のものだけでございます。
  65. 岩間正男

    ○岩間正男君 次に返還方法です。吉田首相も返還すると言われるが、いつどのよう方法で返されるのですか、その点を明確にして頂きたい。
  66. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 吉田総理並びに私は外貨債に対して返還の用意があるということを言つただけでございます。どういう方法で返すということは言つておりません。これは債権者があることだし、債権者一人で決められる問題でない。従いまして債権者とよく相談しまして、そうして支拂方法を決めなければなりません。併し何と申しましても今までは管理貿易で外貨債を支拂う外貨資金が十分に手許になかつた。今度は民間貿易に入りましたから、我々に外貨資金ができて参ります。このできて来た外貨資金で、今後どういうふうな方法で拂うかということは、個々のものについて折衝しなければなりません。イタリーなどの今度の戰争後におきましての外貨債の処理方法は以て参考にはなりますが、それによつてとにかく向うが聽いて呉れるか、聽いて呉れないか分らない。個々の私法上の問題でありますから、相談の上決めたい。我々は併し外貨債を支拂う用意があるということを声明しております。
  67. 岩間正男

    ○岩間正男君 單に用意があるという声明をしたというだけでなくて、政府のこれに対する大体のアウトライン、そういうような方策について対策は考えておられない。こういうことですね。
  68. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 対策は考えております。この二十五年度の予算案にそれを出す積りでおります。
  69. 岩間正男

    ○岩間正男君 その点を現在分つておる範囲内だけでもここで示して貰いたいと思います。
  70. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 只今申上げる段階に至つておりません。
  71. 岩間正男

    ○岩間正男君 それではこの問題はこれだけにしておきまして、次にお聽きしたいのは、特別鉱害復旧臨時措置法、これが間もなく、提案されるというようなことになつて、これは戰時中の炭鉱の強制出炭によつていろいろ問題が起つた。それに対する補償をやらせる。それは政府が今まで配炭公団をしてその補償をやらしておつたのであるが、それが廃止されたのに伴つて、今度は業者からその補償金を一トン当り二十円づつ徴收してこれに充てる。こういうような法案の内容のようなのでありますが、これに対して我々の見解では当然これは戰時中のものであるから、そのような業者負担にこれを転嫁するというのは、正しくないように思う。当然これは全額政府から補償すべきものだと思うが、これに対して蔵相はどういう見解を持つておるか、承わりたいと思います。
  72. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 特別鉱害の問題は厄介な問題でございます。いろいろな議論はありましようが、今案を検討中であるわけであります。来年度予算案にはこれが尻が出て来ると思います。誰が負担するかという問題になりますと、今までは御承知通り、配炭公団の石炭代にトンあたり十六円十一銭を入れてやつてつたのであります。配炭公団がなくなつたからすぐ、全額国で負担するということも如何なものかと考えます。
  73. 岩間正男

    ○岩間正男君 その負担方法は、まあいろいろあるだろうと思うけれども、一番基本的な点は、私が先程質問した点にあると思うのであります。つまり戰時中の補償、そういうものを現在の業者に、これで負担させるという方法はどうであろうか、この点重ねて質問したいと思うのであります。
  74. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) この点は検討いたしております。まだ結論を出すところに至つておりません。今のところ申上げるわけには行きません。
  75. 岩間正男

    ○岩間正男君 この問題は、尚検討の結果について、我々は質問を保留しておきたいと思います。  次に税金問題ですが、これは今日の本会議でも質問いたしたのでありますが、先ず源泉徴收分、これが大体自然増として百四十億を見込んでおる。そうしてその中から五十六億だけを減税するということになつておるのでありますが、実際はこれは九十三億の増收というような形で、非常にこれは勤労所得者に対して大きな負担になるわけであります。で、ここでお聞きしたいのは、大体百四十九億という増收の根拠、これをどこに置くか、それから上半期はどれくらい増收があつたか、従つて下半期はどのくらいに見ておるか、こういう点を最初に伺いたいのであります。
  76. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 御承知の千二百億円の勤労所得税收入は、昨年の十一月の給與ベースによつて算出いたしたのであります。その後賃金増加し、或いは又勤労階級の数も殖えたのか、とにかく課税所得が殖えて参つたのであります。課税所得が殖えて来て税金が上つて来ることは、税法上の増税ではございません。今年の毎月の收入はどうかというお話でございますが、十月までの收入は、予算に対しまして、即ち千二百億円に対しまして六一・八%入つております。即ち九百四十二億入つておるのであります。前年度の状況を見ますと、前年度は六百億円の收入に対しまして十月末で四八%しか入つておりません。こういう状況から見ますと、前年度におきましても六百億円に対しまして百億前後の増收、そういう收入が非常にいいのでありますから、私といたしましては百四十億の自然増收は当然だ、その見込額は毎月々々増減がありますが、例えば六月と七月の月は多い、十一月、十二月の月は多いのであります。これは民間の年末或いは中元のボーナス等が入ります。この各月の收入工合を見まして、そうして予算と比較してこのくらいになるというのでありまして、私は、千四百九十何億、これだけの收入は当然あることと確信を持つているのであります。
  77. 岩間正男

    ○岩間正男君 課税所得が殖えたから、それだけ自然増が起つたというように御答弁されたのでありますが、この課税所得の中に、そのうちで大体首切りによつて退職金が、非常に上半期に支給されていると思うのであります。そういうものは、その中のどの程度を占めるかということについて、これは資料がございますか。
  78. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 政府職員の退職に伴いまするところの勤労所得増收は微々たるものであります。殆んど問題にならんと思うのでありまするが、若し御要求があるならば調査して出します。全体から申しますと大した金額ではないと私は考えております。
  79. 岩間正男

    ○岩間正男君 その資料は早速欲しいと思います。  次に現在勤労者の生活が非常に窮迫しておることは改めて言うまでもないところであります。実際現在の生活実態を見ますと、大体一戸当り平均三千円ずつ赤字を出しておるという形であります。そういうようなところにこれは見込み増收だけをあらかじめ決めて、そうしてここに課税を重課するということは現状においては、生活崩壊の方向に持つて行く危險が非常に多いと思う。現在のこの勤労者の生活状態ではもう課税負担が堪え切れなくなつて、肉体税と言つていいほどの荷酷なものになつておる実情なのであります。それを一つの数字的な操作によつて源泉課税が非常に強化されておる、こういうふうに考えられるのであります。それについてどういう見解を持つておりますか。
  80. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 増收を図るために課税標準を殖やしたりするのではございません。御承知通りに我々が歳費を貰いますときには源泉で取るのであります。今年は税金が要るからといつて我々が取りますところの歳費に対して源泉所得税を殖やすわけには行かない、これは営業とか農業とかによる申告によつて賦課するものとは余程違うのであります。やはり今までずつと出て来た金額、これはもう左右することはできない一つの事実であります。決して取りたいがためにどうこう作為をするのではありません。
  81. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはまあ今度の税制改革の中でも非常に大きな課題になつて来ると思うのでありますが、例えば基礎控除のごときは二五%から一〇%下げられておる。而かもこれが財政の面に現われているのを見ますと非常に最初の予定よりも増收されておる、これを例えば申告納税と比較して見ると、一方は約二百二三十億の減税になるものに対して、源泉課税の場合は結局九十三億というようなものが増收されておる、ここに現在の税制の実情に即しない姿が出ておる、それが大きく勤労者の肩にかかつておるという一つの性格を我々は見るのでありますが、こういう点について果してシャウプ勧告の税制改革の中で、源泉課税の基礎控除が低下させられたか、こういう面について蔵相はどういう見解を持つておるか具体的に……
  82. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 昔から、昔と申しては語弊がありますが、四五年くらい前から国会あたりで、勤労階級に対しまして所得税が非常に高いという議論が強かつたのであります。併し世界の税制を見ますと、イギリスにいたしましても、アメリカにいたしましても勤労所得に対しまする基礎控除は一割以上はやつております。日本は二割五分やつておるのだということを昔から言つてつたのでありますシャウプ博士は減税ということは第二といたしまして、課税の適正化、合理化ということを手段に検討されましてああいうものができたのであります。でシャウプ博士はとにかく二割五分控除が多過ぎるこういうような結論に達せられたようであります。私はシャウプ博士に賛成かどうかという問題につきましては今尚検討中であるのであります。
  83. 岩間正男

    ○岩間正男君 只今のこれは蔵相の説明だけでは性格の実態を明らかにすることはできない、つまりいうまでもなくこれはイギリスの労働者それからアメリカの労働者、こういうような階級のつまり国民所得から計算しても明らかなんでありますが、つまり生活程度がどの程度である、それと日本の勤労者の生活程度を比較してみるときに、例えばこれは国民所得からの計算でありますが、アメリカの場合は大体十七倍になつておるのじやないかというふうに記憶されますが、そういうような生活の余裕のある中から一割以上控除しないというような場合と、それから最低生活さえ割つておる。そうして赤字でどんどん生活は崩壊しておる。そういう中から控除する二割五分というものは、これは同率に考えることができないと思う。ですから日本のそういう一つの形式的な、税率の面から形式的にこの問題を解決するのでなくして、やはり生活の実態から今の問題を解決しなければならんのじやないか。そういう点にどうも蔵相の研究中と言われますが、重ねてその点どういうふうに考えるか。つまりイギリスなりアメリカの労働者の生活と日本の労働者の実態の比較において、今の基礎控除の問題をどういうふうに考えておるかを承わりたいと思います。
  84. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 問題はいくらいくらの所得者がいくらの税を負担するかという問題は一つございましよう。あなたの御質問はです、勤労所得事業所得との比較をおつしやつたと私は考えたものでありまするから、一人の勤労所得者の負担、一人の事業所得者の負担という問題でなしに、所得間の権衡の問題としてお答申上げたのであります。でイギリスにしましても、アメリカにいたしましても、事業所得と勤労所得との課税標準計算方に日本のように二割五分も勤労所得を控除するという制度は採用していないのであります。アメリカにおきましては一九四三年に一割の控除をすることになつたのですが、戰争が始つて一割控除するのを止めたというよう状況であるのであります。その後多分復活したかと思われますが所得間の課税権衡を言つておるのであります。今の御質問が、今アメリカの労働者がいくら負担して、日本の労働者がいくら負担しておるかこういう問題になつて来たら、これは私ここでお答申上げます。アメリカの労働者の平均賃金は三千ドルと言われております。これは一%三くらいしか負担しておりません。日本の労働者の平均はどうかと申しますと、十三万円から十五万円でありまして、家族三四人持ちでありまして、この者の負担は従来はアメリカの一二・三%に比べまして、一二%、一五%くらいの負担になつておる。これが現行税であります。これを我々はできるだけ低くしようといたしておるのであります。恒久的に低くする案は昭和二十五年度に出したいというような、これはシャウプ勧告の線に副つて又それ以上にしたいというので、今努力いたしておる状況でございます。
  85. 岩間正男

    ○岩間正男君 只今の問題はもつと仔細に検討したいと思います。  次に申告徴收の点についてでありますが、先ず最初に伺いたいのは今度の……、先に私は二百三十億と言いましたが、数字を間違つておりました、百九十六億だけこれは減少されるということになつておるのでありますが、それが農業所得分でいくらであり、それから事業所得分でいくらであるか、先ずその内訳について伺いたいと思います。
  86. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 政府委員から、又説明員をしてお答いたさせます。
  87. 木下源吾

    ○木下源吾君 ちよつとお尋ねいたします。大蔵大臣はこのベースを上げると物価が上つて惡循環になつてインフレになるというのだが、一体我が国の状態でですね、今のベースがインフレに影響するようなべースだというふうにお考えになつておるのかどうか、それほど贅沢なものの使い得る、一体ベースを今與えておると考えておるのか、私は少くもこの賃金、このベースにおいては、最低の生活すらも出来ないのであつて、従つて、ベースは改訂してもですね、尚これは生産のための要素である。こういうよう考えておるのですが、しばしば蔵相の言われるインフレの要因は賃金にあるのだ、だからして上げないのだ、こういうことについて、もつと根拠をですね、一つ御説明願いたい。
  88. 池田勇人

    大蔵大臣池田勇人君) 賃金を上げると、物価の上昇を促がすということは、昔からの定説であるのであります。併し、今の賃金というものは、一般の工場労務者の賃金の問題か、或いは官庁の公務員の問題かという点があると思うのですが、私は折角安定しかかつた状態でありますので、而も亦、四日頃から公務員につきましては、余り動いていない、このままで行きたいとこういうふうに考えておるのであります。
  89. 木下源吾

    ○木下源吾君 どうもその根拠が私にはまだ明確に分からないのですが。官庁の、つまり国家公務員のベースを上げるということが、インフレの折角、今この状態に停頓しておるやつを、インフレを又再び昂進させるのだと、こういう根拠なんです。ただ漫然と上げるとか下げるとかいうのではなく、御案内の通り日本の国家公務員の、いわゆる級号の差なんというものは、いくらもないのですな。アメリカなんかと違つて、このような小刻みになつてつて、而も全体を通じて今日の生活が殆んど出来ないのだということを、他の方面では総理大臣始め認めておるのですね。そのよう賃金がです、私は今改訂をしていくらか上げたからと言つてインフレというものに影響するということには、考えられない。ただ賃金を上げれば、物価が上がる、それでインフレになるのだという、一般的なお説明ではなく、日本の場合において、こういうふうにつまりなつておるのだ、これ以上げれば公務員が贅沢品を買うんだ、贅沢なものに使うんだ、そういうことは、今、日本には許されないのだからして、これは上げられないのだ。いろいろそういう根拠がなければ、ただインフレを昂進させるのだというようなことでは、納得が行かないと思う。一般に対して或いはそういうことが考えられるかも知れませんけれども、実質の問題だ、これを一つ根拠を明らかにして貰いたい。
  90. 池田勇人

    大蔵大臣池田勇人君) 賃金を上げれば物価に影響するということは、一原則論としては否定出来ないと思う。ただ個々の場合にどうかという問題を言つておられるのでございましよう。私は今の公務員の賃銀ベースは動かさない、又動かさなくともやつて行ける、ということで上げないのであります。公務員の賃金を上げたらすぐ物価が上る、物価が上ればすぐ公務員の賃金が上るこう私は見ております。それは原則としては賃金と物価とは悪循環しやすいということは何人も認めるのであります。  この機会に先程の岩間さんの御質問にお答えして置きます。農業者に対しましては、減税額が七十八億円で、営業者が六十七億円、その他の企業が合計百九十五億円でございます。
  91. 木下源吾

    ○木下源吾君 今大蔵大臣はこの程度でも公務員がやつて行けるのだというのは、これはただそういうような抽象的なことでは見解が違うというだけに止るのですが、人事院がベース改訂を勧告した場合においてはそれをもやはり政府としては否定するのかどうかということをこの場合一つお尋ねして置きたいのです。
  92. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 人事院が公務員の給與ベース変更の勧告をした場合に政府はどうするかというお問いでございます。これは仮定の上からでございますから私はここにお答えできません。ただ予算は上げないので組んでおります。
  93. 木下源吾

    ○木下源吾君 これはまあ別の方にお尋ねいたしますが、行政整理を政府は行なつたのだが、この行政整理によつてどれ程の一体利益になつたのか、まあ数字で何百億得になつたということを言つておるのですが、これを一つお聞かせを願いたい。
  94. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 先般の行政整理で節約し得る金は即ち二十五年度におきまして大体二百億あまりと考えております。
  95. 木下源吾

    ○木下源吾君 今までのは、今年度においてはどのくらいですか。
  96. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 今年度は退職金その他がございまして、そうして又整理の時期が七月からスタートしたところもありますし、九月のお終いにしたのもあります、まだ正確に数字も出ておりません。即ち平年度よりも七月乃至九月までの俸給の金額と退職金とを引いたものであります。
  97. 木下源吾

    ○木下源吾君 今の二百億というのは一般会計だけか、その他の特別会計或いは先般行なつた国鉄等をも含めての金か。
  98. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 勿論一般会計、特別会計を含めての数字でございます。
  99. 木下源吾

    ○木下源吾君 一般会計だけではどのくらいになるかをお聞きしたい。
  100. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) これは人員の問題でございますけれども、鉄道が十万人近く、それから又逓信の方は当初四万数手入を見込んでおりましたが、新規雇用をやめて整理準備をしておりましたから、大体行政整理も皆で馘首一万乃至二万人ぐらいであります。そうして一般会計の方が三万人ぐらいだつたかと思います。従いましてこれで計算して参りますと、事務費等を入れて大体一般会計で四十億円ぐらいでないかと思います。
  101. 木下源吾

    ○木下源吾君 二百億と四十億は大した違いなので、三百億ということを常に政府は言われておるが、これは一般に一般会計の分でというような感じを與えておるのであります。七千億の予算でそうなるという、このところからですね。ところが今聞いて見ると、四十数億が一般会計ということでありますが、私はもつともつと節約される金は少いと考えるのです。これは是非一つ正確な、正確でなくともよろしい、一般事務費とか何とかいうのではなく、いわゆる俸給において何億の節約になるのだということを聞きたいのが一つと、もう一つはこのような節約はされておるが、又他面において臨時雇とか何とかいうようなものを使つておる。行政整理のために人員は減らしたが、一方においては臨時雇というようなものを使つている。而も臨時雇は二ケ月というようなことを言つているが、それを更新して殆んど恒常的に使つている。こういうものを正確に実質的に差引いてどのくらいの節約になるのか、こういうことを今でなくてもよろしいから明確に一つ御報告願いたい。そうでないというと、なまじつか官吏を多く使つているからして、何百億の損害を與えているから、それを節約するのだというふうに聞こえまして不明確であります。鉄道などにおいての現業と、そういうものをも全部含めてやつているのは、私は一般会計の分とは違うと思いますから、それを一つ明確にして貰いたいと思います。そのことをお願いして置きます。若し今それがお答えできるならばお答えを願いたいと思います。
  102. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 先程来申上げております数字は予算上の問題であるのであります。で実際は今の退職金なんかの問題につきましても、欠員を持つているところもございます。又持つていないところもあるというので、正確な数字はなかなか出にくいと思いますが、大体誤りのない数字は出ると思います。尚臨時雇とか何とかいうお話がございますが、御承知通りに今嘱託とか何とかいうものは置けなくなつております。定員で決つております。ただ急に突発した事務を臨時的に処理する分はこれは臨時雇として置くところもございます。併しそれは殆んど問題になりません。私の聞いているところでは、この八月九月に税務関係の方で一部学生を置いた、そうして今の滯納処分で内部の帳簿の整理ができていないので、それで少し雇つたということを聞いておりますが、原則として嘱託とか臨時雇はなくなつておりますから、その数字は、これはまあ北海道の或る役所で臨時雇を雇つたとかいうよう調べをすればできますけれども、これは原則としてないのでありますから、その数字は大したものではないと思います。
  103. 木下源吾

    ○木下源吾君 大したことじやないという今お答えですが、実は保險局ですね。そういうようなところで額が変更したために全部変えなければならんというので、相当数臨時雇をこの前やつたわけであります。そういう点では私の方も分ることは分つておりますけれどもも要するに全体として節約するという面を私は知りたいのです。幾らでもないとか、僅かばかりだという問題ではないのです。それは今大臣は詳細には答弁できなければ後でもよろしいから、一般会計で実際に節約する金、これを何も正確でなくてもよろしいから一遍公表して貰いたいということをお願いして置きます。  次にですね。実は先程来もお話を承つているのですが、今の勤労所得税の基礎控除或いは扶養の控除とかいろいろなものは私の記憶では三千七百円ベース時代にこれができていると考えている。それが基準だと考えております。爾来六千三百円になつてもこれを変更しないで、当然私は変更しなければならないのだとこう考えているのですがもそれは変つておらない。当時そのうちにシャウプ博士が見えられるのだからして、それによつて一つ決定的な面を直そうという政府お話であつたのです。今シャウプ博士の勧告を見まするというと、この点については、全体としてはいろいろ説明はされておりますけれども、三千七百円時代の基礎と今日とは相当幅があると思うのです。そのために実質的に相当公務員に不利益を與えている。この不利益を與えている面が恐らく大蔵大臣としては、それははつきり分つていると思うのですが、これは何とか処置する考えがないかどうか、こういうことを聞きたいのです。それも今のお答えのようにやらなくても食えているのだからそんなものは構わないのだと、こういうようにただ一蹴されるのか、もつと親切に今までシャウプ勧告によつて政府のいろいろな施策というものが遅れた。遅れたのだが、その間において当然改訂しなければならないのが遅れたために公務員が不利益を蒙つている。この不利益を何とかしてこの際において埋合せをしてやらなければならない、こういうふうなお考えがあつて然るべきだと思います。この点について所見を伺いたい。
  104. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 現行税法税率、基礎控除扶養親族の控除につきましては昨年の春くらいに決つたと思います。従つてお話通りに三千七百円ベースでございましたでしよう。而して今の六千三百七円ベースは現行税法を基にして、税收入計算して六千三百円と決つたと私は記憶しております。シャウプ博士が来て税制の検討を加えるということは今年の四月の半ば頃からの話であります。シャウプ博士の勧告案と今とは全然関係ございません。従つて六千三百七円ベースが決つたのは現行税法の下において俸給の税率基礎で何ぼになるということから来ているベースと存じております。
  105. 木下源吾

    ○木下源吾君 それでは又別の方を……  随分今金詰りだということをいわれておるし、実際も金詰りなんです。そこでいろいろの事情があつてこういうことになつておるということは、本会議でも大蔵大臣が縷々答弁せられておりますが、これは想像以上です。而も闇の金融、一割から二割、三割というような金融が闇の金融として横行している。これについて先般の大蔵大臣の本会議の答弁によれば、集中的な大資本、或いは大産業に金を廻してやれば下に廻つて行くのだ、こういうような御答弁がありましたが、一体その見通しは、こういうような一割五分、或いは二割、三割というような金融がなくなる、絶対になくなるというまでではなくても、緩和されるというような見通しはいつ頃になつたならばあるのか。いわゆるあなたのおつしやることは、今見返り資金でも出ればそれが集中生産の方向に大資本も大産業に行くのだ、そうすれば金廻りはよくなるのだ、こういうように我々は受取つているのですが、その時期を一つ話して頂たいと思います。
  106. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) なかなかむずかしい御質問でございまして、米の闇はいつなくなるか、こういう質問を農林大臣になさると同じようなことで、闇金融はいつなくなるかということは、とに角闇金融というものがなぜ起るかということから考えなければならん。今お話通りに、それは月だと思いますが、二割三割の金融をしてやつて行く人が正常な金融として、考えるべきじや勿論ないと思います。又そういうふうな金融はいかに金詰りであつてもやるべきじやない、私はそういう考えを持つております。そこで立返りますが、閣金融をなくするところの一番の近道は経済の安定にあります。インフレの終熄にあるのであります。私はインフレを終熄さして経済を安定して闇金融のないような地盤を作らなければならない。そうして又闇金融の一部の原因が不心得者の跋扈しておることにあるのであります。これを止めなければならない。金融なんかにしましても、今の金融制度が本然の姿に立還つていない。商業金融をやると言いながら、設備資金の方に出しておるのがあります。設備資金の方に出しておいて二ケ月で更新する、こういうような制度になつておる。そうすると二ケ月ごとに金を面を出さなければならんから、どつかで一週間か二週間で借りて来て返すこういうものも闇金融の存在する理由となるのであります。従いましてそういうふうなことのないよう経済を安定し、金融機構を直しまして、そうして長期金融なら長期金融、商業金融なら商業金融というような方向に持つて行かなければならないと思うのであります。それで闇金融はできるだけ早くなくするように努力しておる次第であります。
  107. 木下源吾

    ○木下源吾君 今のお話では、闇金融をなくするにはいろいろの原因があると言われるが、私は大体大衆の購買力の減退というよりも枯渇しておるのが重大な原因じやないかと思う。そこで大蔵大臣は大きい者に金を廻してやれば下に廻る、こう言われておるのですが、私はその逆に、先ず購買力の一つ問題を考えて貰われければならない。この点については先程大蔵大臣はまあ賃金はこの程度でやつて行くのだ、こういう見解だと言われますが、私の考え方は逆である。全く逆だと思つております。購買力の減退それ自体が一切の今日の経済不安定の基本であるというふうに考えておる。そういう点からも私はべースを引上げなければいけない。そうして最大の消費者であるところの政府も、もつと政策の上に考えなければならない、こういうふうに思つております。これは併し根本的に大蔵大臣考えと私の意見とは相違しておると思いますから、あまりここで言つてもしようがないと思いますのでこの程度にして置きますが、さて政府が第五国会で官有財産と言いますか、国有財産というものの拂下げをするのだ、筍生活をやるのだ、こういうようお話であつたのですが、その後ぼつぼつ何かおやりになつておるようであります。この官有財産の拂下げ、この状況一つ私は今度の機会に調書を出して頂きたい。そうしてどの程度までは政府のつまり権限でやり得ると考えておやりになつたのか、どの程度は一体これは国会の承認を要するものであるというよう考えであるか、こういうことを一つお聽きしたいと思います。
  108. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 現段階におきまして、消費物資の増加を図るということには私は賛成いたしかねるのであります。  次に国有財産の売拂いの問題でありますが、今回の補正予算におきましても十五億円の売拂増加を御審議願つておるのであります。当初は二十八億円だつたかと記憶いたします。我々の方でできるだけ早くその土地、建物、不要物件を売りたいと思つております。財産も各省別に調べておるのでありますが、なかなかやはり相手のあることで売れません。今のよう状況になつて来ますと、国有財産も遊ばしておるのではなくて貸しておるのであります。そうして買わないかというとなかなか買入れ資金に困るということがあります。大きい金額などの鉄道省の船なんかというと、ちよつと旅客船にも使い用がないというようなこともございましてなかなか売りにくいのでありますが、我々といたしましてはできるだけ早い機会に沢山売りたいというので、当初二十八億に今度の十五億を加えております。その十五億の中には石油会立の株も入つておると思うのであります。そういうふうにいたしておるのであります。特別会計なんかで今やつておりますものも、兎に角民間の方で受入態勢ができればどしどしやるようにいたしておるのであります。ただ買いたいのだけれども金がない、金がないなら貸してやろうというのでは、又政府收入にならないのでございますから、その間の兼合を考慮しつつ努力いたしておるわけであります。
  109. 木下源吾

    ○木下源吾君 今申上げたように、これについては処分してしまつたもの、又今後処分しようとしておるものを書面で一つ御報告を願いたいと思います。  次に今度の補正予算に寒冷地石炭手当が出ておるのでありますが、石炭手当が政府は一トン二千七百円の炭価を見積つておられる。そこで人事院勧告が三千三百二十一円九十銭を勧告しておる。それから先般石炭手当の暫定措置を講ぜられた場合に、国鉄では一トン三千五百円の炭価として金融をして買わせるというようなことでやつておられる。そこで二千七百円というのは、どういう一体根拠で出されておるのか、この点を先ず一つお伺いしたいと思います。
  110. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 人事院で出されました石炭手当のトン当りの炭価の問題でありますが、只今私の記憶で申上げて甚だ恐縮でありますが、八級炭を基礎にしております。併し道内の配給の実績を見ますると、八級炭以下の炭も相当ございますし、又その塊炭、粉炭及び切込炭、三つ種類があるわけでありますが、人事院の御計算になつております数字は塊炭と粉炭とを中々というふうにしておられるのでありますが、これを配給の実績に見ますると、塊炭、粉炭各々両方を合計いたしまして、七・八〇%、他の切込炭というものをやはり二〇%使つておられるようでありますので、そういうふうに各々マル公が決まつておりますので、そういう割合で計算いたしました。それからマル公の問題でありますが、御承知通りもはや石炭は統制価格が撤廃になりました。道内炭で申しますれば、道内炭はこれは全国プール平均いたしておりまして、北海道の炭は消費者には二百円程度高く売付けられておるというと語弊がありますが、兎に角高い。それで統制を外しました結果、その金額だけは当然その運賃の統制が外れますから、そのプール運賃だけ減るのでありますから、半々というふうに考えて二千七百円という金額を決めた次第でございます。
  111. 木下源吾

    ○木下源吾君 統制を外すことで、この二千七百円といいますが、実際には悪い炭ですね。一口に言えば焚けないような炭。それは焚けないといつたつて全然焚けないわけではないのですが、そういう炭は成る程多少安くなつておるのもありますが、当り前の炭は却つて千円も千五百円も高くなつておるのです。そこで政府のいわゆる悪い炭だつていいじやないか、こういうふうに言われるかも知れませんが、やはり社会全体としまして、曾ては北海道の場合では澱粉加里を食糧として配給された時代もあります。それでやはりそれを食べましたけれども、今日はもはや澱粉加里を持つて来たつて誰も食べる者はないのです。それと同じです。どうかこうかくすぶつておればいいというような石炭を燃料として北海道では焚きません。そこでどうかこうか焚ける石炭ということになれば、トン千円か千五百円逆に高くなつている。こういうような実状でありますというと、大体二千七百円という金は税金を取られます。そうして現実には四千五百円以上の炭を焚かなければならない。こういう実状にありますので、私は二千七百円というあなたの今おつしやつた基礎というものは、それは当嵌まらない。人事院の勧告の四級八級の粉炭、塊炭の平均価格、これにいわゆる諸経費二百十四円を加えたものというこの価格でも実際には石炭を焚くのには、なかなか困難であります。冬の暖房用の石炭を焚くには、困難であるが、せめてこの勧告だけまで政府は出してやらんというと、私は折角出してやつても、これは有難味がないと私は考える。現に国鉄は暫定措置で等級を決める場合に、見積りは一トン三千五百円にしております。これは三千五百円でも国鉄の場合でも輸送費というものを何とかしていろいろ工面しなければ三千五百円でも実際はできない。そういう実状にありますので、もう一度これを一つ実地に当つて、そうして石炭の手当としてふさわしいよう予算を出し直すというようなお考がございませんか。
  112. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 八級炭と申しますと、五千六百カロリーでありまして、燃料川炭として大体手ごろじやないか、殊に北海道といたしましては、上級炭が非常に多いのでありまして、六千カロリー以上の炭は相当値段が下らないのでありますが、それ以下の炭につきましては、むしろ全国を通じて非常に下つてつておるというような現状であろうと思います。勿論国家財政の状況から見まして幾らでもというわけにも参らないことは御承知通りでありまして、マル公のある時代におきましては、それを取得する価格を勿論置かねばならぬのでありますが、その後の状況によりまして相当下つておりますので、彼此平均いたしまして、大体二千七百円程度でありますならば、人事院の勧告にある一世帯当り三千円という金額で取得できる。こういうふうに考えまして、二千七百円と決めた次第であります。只今のところ二千七百円を、一トン当りの炭価を上げるという考えは全然持つておりません。
  113. 木下源吾

    ○木下源吾君 八級炭が五千六百カロリーというのは、私は間違いじやないかと思います。五千六百カロリーもありますれば相当の炭でありますが、八級炭にはそういうような炭はございません。これはよく一つ御研究して下さい。そうして実際に今下つておるということは、これはあなた方の方でどういう調査をせられておるか存じませんけれども、現実には上つておる。これはもう現地で調べればすぐ分るのです。そういう実情に、実際問題がそういうことになつておるならば、これは改訂したらばどうかということを先程申上げたのですが、御答弁は不十分だと私はかよう考えます。もう一遍調べ一つ何級の何千カロリーは、家庭用炭として焚く炭は今幾らしておるか、而もそれは小運搬を含めて消費者の庭先でどのくらいになるかということも一つ調査の上御報告願いたいと思うのであります。
  114. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 私の質問に対する答弁がちぐはぐになつておりますから、ちよつと局長にもう一遍確めたいと思います。今買收売渡のあれを聞いたところが農地改革費用の答弁があつたので、どうも余りそういうことに熱心でないのじやないかと思うのでありますが、もう一遍御答弁をお願いいたしたいと思います。それからできるならばさつき大臣が答弁した中で、災害復旧費国庫負担が来年度の災害には全額国庫負担をするかということを一つお聞きしたい。
  115. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 農地改革における登記の費用でありますが、これは農地委員会全体として経費が不足するかどうかという問題で実は私の方は考えておるのでありまして、買收の他に最近におきましては登記の事務か主となつておりますので、農地委員会の活動の経費というものは大体登記が主になり、従つて明年度におきまして、一応考えております二十億程度経費というものは、主として委員会のそういつた経費に当てられる分が多かろうと思います。但し今年度の補正予算三億のうちでそういつた経費がどのくらいであるかと申しますと、大体一億程度というふうに考えております。  それから災害の全額負担の問題でありますが、これは非常にいろいろ面倒な問題がありまして、政府部内で研究いたしておるわけであります。先ず災害につきましてはどういつたものを全額国庫負担対象考えるか、即ち風水害、或いは地震というものにつきましては、これは誰が考えても災害であることを否む者はないのでありますが、その他に鉱害でありますとか、或いは地盤沈下でありますとか、それから火災でありますとか、こう言つたものを災害として全額国庫負担対象考えるかどうか、勿論これは考えるべき筋合いでないと思いますけれども、程度の問題で、大きな問題については或る程度考えねばならんといつたような問題も或いは起きるのじやないか、その辺の災害の範囲の問題が一つございます。それから災害を受けた対象でありますが、道路、河川、港湾といつたような土木施設については当然問題があるまいかと思うのでありますが、海岸堤はどうするか、或いは農地の溜池はどうするか、或いは林道はどうするか、或いは砂防は勿論でありましようが、その他水利施設といつたよう対象の問題がございます。それから公共団体の学校、その他の庁舎の問題もございます。こういう災害を受けたものの対象をどの程度に置くかということが、災害の全額負担考える上において大きな問題があるわけであります。  それからシャウプの勧告にもあります通り、軽微の災害については、これは地方公共団体固有の財源で賄うべきであつて、国に全額負担をさせる筋合いでないということがあるのでありますが、その軽微なものというものをどの程度に求めるか、即ち一県当りの金額、小さいものを或いは五万円にするか、十万円にするか、或いは十五万円にするか、現行におきましては大体七万五千円程度乃至十万円程度でありますが、それをどの程度で区切つて行くか、或いは一県当りの金額の問題でなしに、その県の災害復旧費の全体を通じまして、これが県の全收入の何者程度のものを軽微と見るか、こう言つた問題があります。それから全額国庫負担について、過年度の今まで起つた災害について負担するのか、即ち明年度以降、二十五年度以降に新たに起つた災害からやるか、これは非常に問題のあるところでありましてもすでに過去の災害についてやるということになりますと、県の状況によりましては、すでに或る程度国庫補助なしに済んだ所もある。或いは補助がなくてこれからやるというような所におきまして、非常にその間について不公平が起るという問題もございます。又過去の災害を全額国庫負担でやるということになりますると、事業分量としては非常に大きなものになる。国と地方財政全体を通じて、殊に地方財政の規模の問題と、その財源の問題というようなことでいろいろ問題があろうかと思います。明年度以降の問題としますとこれは非常に簡單でありまして、その負担自身としてはその金額は少いので、災害復旧の全額負担経費自身としては少いものでありますから、この点は多少考え方が変つて来るのでありますが、そういつた面がいろいろ相絡みまして、この問題につきましては、政府部内において目下慎重に研究しておる次第であります。只今のところ、その程度の段階でより以上申上げる内容を持ちませんので、御了承を願いたいと存じます。
  116. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 来年度はまだ分らんというふうに一応なつているのですね。それから前のお話で二十億というのはこれは農地改革全体のものだ、併しそのウエイトは買收より登記の面が多いのだから二十億の大半はその方面に行くだろうと、そういうように了解してよろしゆうございますか。
  117. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 来年度から全額国庫負担で参りたいという方針には変りはないわけであります。ただ全額国庫負担をしますものにつきまして、今まで起つた災害の復旧費まで全額国庫負担にするのか、或いは二十五年度に新たに起つた災害の分だけについて来年度から考えるのか、その点が問題がまだ未定である。できるだけ事柄を簡単にいたしますためには、二十五年度以降に起つた災害の分から国庫負担するということが望ましいとは思つておりますが、一方地方団体においては起債その他の問題もございますし、税負担の問題もございますので、そういう点を併せて双方勘案しなければならん、こういうわけでございます。それから農地改革の関係でございますが、農地改革の経費は御承知通り農地委員会の経費が主体でありまして、ここに置いております書記の給料、それから旅費その他の事務費ということでありますが、こういつた農地委員会の活動は明年度以降は、今年度末もそうでありますが、登記の方の事務、登記自身でありませんが、登記関係の事務に移る。従つて農地委員会の経費はその方面に重点が置かれることになるのであろう、大体こういうふうに申上げたのであります。
  118. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 まだ幾らということは見当が付いておりませんな。
  119. 河野一之

    政府委員(河野一之君) まだ明年度予算は的確に最後的に決まつておりませんので、只今的確の数字を申上げる段階に至りませんことを御了承願います。
  120. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 今の関連質問、農地関係だけ一つ。農地委員会の問題でございますが、農業調整委員会と農地委員会とを来年八月以降において一つにしてやるというよう計画が進められておるように聞いているのですが、そういう方針で予算を組まれているのですか。
  121. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 大体その方針で考えております。
  122. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 その場合において主たる仕事はどつちに置かれるようになつているのでしようか。
  123. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 先ず従来の農業調整委員会と農地委員会とが合体いたしまして、農業委員会ということに相成るわけであります。この新らしい農業委員会におきましては、従来の農業調整の外に農地改革の残つた事務と、それから小作料の調訂とか、農地の売渡しとか、そういつたような事務をやるわけでありまして、農地改革の事務がその場合において従来ありまするならば、今までありまするならば、農地の売渡しというようなものが農地改革の仕事に入るわけでありますが、これが一般の私的な関係になりますと、それが農地改革の中に入るのか、どういうふうなのか、ちよつとその辺がはつきりいたしません点がありますが、大体予算の上においては両方合せまして二人程度ということを、従来のものにいたしまして半分くらいのもので担う、こういうふうに御了承願いたいと思います。
  124. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 今の農業委員会において専任書記が二人になる。一人が大体農地関係、一人が旧来の農業調整関係ということになつて来るのですが、現在登記の面を見ますというと非常に遅れておる。買收において二四%程度、売渡しにおいて僅かに四%程度しかできておらない。これを農業委員会にいたしまして農地関係の専任書記を一人としておりまして、来年度中に一体登記関係が終るというふうに御認識になつておるのかどうか、その点についてお伺いしたい。
  125. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 来年度中に終えるつもりでおります。
  126. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 一人でそれだけの仕事が、現在の百数十万町歩のやつを、一人で一体来年度中に終えると言われるのですが、その点については私疑問があるのですが、一体それだけの分量が一人でできると考えられているのですか。
  127. 河野一之

    政府委員(河野一之君) まあ仕事の分量の問題になりますが、私共の考えでは農地委員会の登記事務でありますが、現在二四%という数字が残つているというお話でありますが、今年度の末までに相当件数を片付けまして、来年度においてはそう大して多くのものを残さんというような方針で行つております。まあその実施状況を見て、若しそういうふうなことがありまするならば再考いたすに吝かでないのでありますが、只今のところではできるつもりであります。
  128. 黒川武雄

    委員長(黒川武雄君) 先程の岩木委員の御動議に従いまして、本日の大蔵大臣に対する質疑はこの程度で打切りまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 黒川武雄

    委員長(黒川武雄君) 尚理事が三名欠員になつております。本日互選をいたしたいと思いますが、従来の例によりまして、委員長において指名いたしまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 黒川武雄

    委員長(黒川武雄君) 御異議ないものと認めます。それでは失礼でございますが、私より指名いたします。寺尾博委員、高橋龍太郎委員、堀越儀郎委員のお三方を理事に御指名申上げます。  尚公聽会を開きたいという理事会の決議でございますので、会期の延長が決まりましたならば、二十六日の午前十時から公聽会を開きたいということになつております。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 黒川武雄

    委員長(黒川武雄君) 手続等につきましては委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 黒川武雄

    委員長(黒川武雄君) 御異議ないものと認めます。  それでは今日はこれを以て閉会いたします。    午後四時五十四分散会  出席者は左の通り。    委員長     黒川 武雄君    理事            内村 清次君            高橋龍太郎君            田村 文吉君            岩間 正男君            木村禧八郎君            岩男 仁藏君    委員            岩崎正三郎君            岡田 宗司君            木下 源吾君            波多野 鼎君            城  義臣君            深水 六郎君            西川甚五郎君            平岡 市三君            岩木 哲夫君            仲子  隆君            深川タマヱ君            藤森 眞治君            油井賢太郎君            井上なつゑ君            飯田精太郎君            西郷吉之助君            伊達源一郎君            玉置吉之丞君            藤野 繁雄君            松村眞一郎君            池田 恒雄君            小川 友三君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君   政府委員    大蔵政務次官  水田三喜男君    大蔵事務官    (主計局長)  河野 一之君    大蔵事務官    (主計局次長) 石原 周夫君