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1949-12-02 第6回国会 参議院 本会議 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十二月二日(金曜日)    午前十時四十分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第二十三号   昭和二十四年十二月二日    午前十時開議  第一 地方財政法等の一部を改正する法律案衆議院提出)(委員長報告)  第二 特別職職員給與に関する法律案内閣提出)(委員長報告)  第三 所得税法臨時特例等に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第四 物品税法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第五 織物消費税法等を廃止する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第六 日やとい労働者救済対策に関する請願(委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 諸般報告は朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。  内閣総理大臣より過般の留保されております答弁発言を求められました。この際許可いたします。吉田内閣総理大臣。    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  4. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 小川友三君の御質問にお答えいたします。私の外遊ということが新聞に出ておつたそうでありますが、私は今日のところ未だそういう実行をするというところまで、又招かれてもおらないのでありますから、何とも申上げることができないのであります。又外交政策遂行上に必要な予算大蔵大臣に要求いたしておりますが、外務省各省の先に予算審議することになるのでありまするから、政府緊縮方針をとつておる以上は、先ず外務省緊縮をしなければならぬ立場にありますので、今年の補正予算その他についても嚴重に冗費は省き、のみならず成るべく緊縮方針を確守して参つております。又将来在外公館等が開かれる場合においても極度に儉約をいたしまして、極く小規模の公館を編成するつもりであります。これは今日、日本国として外貨が甚だ手持が少いのでありまするから、余裕のある予算を作ることができないのみならず、先ず開館当初においては左程の事務もないということもありますまいけれども、成るべく縮小儉約をして、そうして外貨を無駄に使わないようにという考えで指示を與えております。  それから煙草の民営の問題について中平君からの御質問でありまするが、これは私としては官営事業よりも御営の方がよくはないかという考えを持ちまして、審議会を作つて研究いたしております。未だその答申が出ませんものでありますから、政府としても方針を決定いたしておりません。いずれ審議会からの答申を待ちまして、政府の態度を決定いたすつもりであります。又羽仁五郎君の御質問にお答えをいたしますが、特に私から公式声明を発表する必要はないと考えるのであります。併しながら基本的人権は十分尊重されておると考えております。お答えいたします。(拍手)      ——————————
  5. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第一、地方財政法等の一部を改正する法律案衆議院提出)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。地方行政委員長岡本愛祐君。     —————————————    〔岡本愛祐登壇拍手
  6. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 只今議題となりました地方財政法等の一部を改正する法律案につき、委員会における審議経過並びに結果を御報告申上げます。  本法案衆議院議員上林山榮吉君外十名の提出にかかり、衆議院において可決の上本院に送付されたものであります。その提案理由は、戰災都市にも当せん金附証票即ち宝くじを発売することができるようにし、その財政資金調達を容易ならしめんとするものであります。  本法案内容は、第一條及び第二條を以て地方財政法及び当せん金附証票法の一部を改正して、戰災都市宝くじの発行を認めんとするものでありますが、すべての戰災都市に無條件にこれを認めんとするものではなく、戰災による財政上の特別の必要を勘案して、内閣総理大臣指定する市に限つてこれを発売し得ることとなつております。而してその市を指定することを地方自治庁権限に加えることとし、法案第三條において、地方自治庁設置法の一部を改正する條項規定したのであります。  次に委員会における質疑応答の主なるものを御報告申上げますと、衆議院案によれば、市がいわゆる宝くじを発行しようとするときは、先ず指定市となるについて内閣総理大臣指定を受けた後、更に別に宝くじ発売につき内閣総理大臣許可を要することになり、二重の手数である。かようなことは徒らに中央政府権限を強化し、事務を繁雑ならしむるもので地方自治の本旨に反すると思う。むしろ内閣総理大臣指定手続を廃止し、許可手続だけで事足りるのではないかとの質問に対して、上林衆議院議員より、その点は全く同感であつて、将来はその方向に進みたいという答弁がありました。  かくて十二月一日質疑を終り、討論に入りましたところ、島村委員より希望意見を附して原案賛成意見の開陳があり、採決の結果、多数を以て原案を可決すべきものと決定いたしました。右御報告申上げます。(拍手
  7. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  8. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  9. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第二、特別職職員給與に関する法律案内閣提出)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。大蔵委員長櫻内辰郎君。     —————————————    〔櫻内辰郎登壇拍手
  10. 櫻内辰郎

    櫻内辰郎君 只今議題となりました特別職職員給與に関する法律案大蔵委員会における審議経過並びに結果を御報告いたします。  特別職職員給與については、従来特別職職員俸給等に関する法律によつて定められていたのでありますが、その後他の法律により新たに特別職になつた者があり、又従来の規定に不備な点がありましたので、その適用範囲を明確にすると共に、給與種類、額、支給條件支給方法等に関する法規の整備をなさんとするものであります。  さて本案審議経過を申上げますと、去る十一月八日より十二月一日まで愼重審議し、各委員より熱心なる質疑がありましたが、詳細は速記録により御承知を願いたいと存じます。十二月一日質疑を終局し、討論に入り、森下政一委員より次の修正案提出されました。即ち政府提出原案によれば、連合国軍の需要に応じその労務に服する者の給與については、第十一條において單に「別に法律で定めるまでの間、特別調達庁長官大蔵大臣と協議して定める」となつておるが、これらの労務者約二十六万人中約十四万人は従来、政府に対する不正手段による支拂請求防止等に関する法律二條第二項の規定による一般職種別賃金適用を受けているので、この事実を明確にするため、その旨を本案但書として挿入せんとするものであります。次に油井賢太郎委員より次の修正案提出せられました。即ち政府提出原案によれば、食糧配給公団職員給與については、第十二條において單に「法令による公団一般職職員の例による」と規定されておりますが、食糧配給公団職員は、その職務内容特殊性に鑑み特に特別職としてのであるから、その給與体系一般職である他の公団職員のそれとおのずから異なるべきものである。従つて食糧配給公団職員給與は、各個人については一般職職員俸給の一割乃至五割、全体としては俸給職額の三割を超えない範囲内において公団特別手当支給する等、明確なる規定を設けんとするものであります。  森下政一委員及び油井賢太郎委員修正案は、採決の結果、全会一致を以て可決せられ、次に修正個所を除く原案について採決の結果、全会一致を以て可決すべきものと決定し、本案を修正議決いたした次第であります。  右御報告いたします。(拍手
  11. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 本案に対し討論通告がございます。板野勝次君。    〔板野勝次登壇拍手
  12. 板野勝次

    板野勝次君 歳末を控えて国民がますます窮乏しておりますときに、丁度只今法案は、会社の重役が従業員に対しては苦しい生活を強要するけれども、お手盛りで自分達だけが沢山の給與賞與を取ろうとするのに同一な感じが深いのであります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)生産的な労力に対しましては、食えない賃金釘付けにして、そうして非生産的な労力であつて、むしろ有害である者を保護し、その生活の安定を期しようとするのが、この法律改正の要点であります。この法律で取扱われておる特別職は二つの種類でありますが、第一種は内閣総理大臣国務大臣初め政府機関高級役人であります。第二の種類は例の連合国軍のための労務に服する者、食糧配給公団職員失業対策のため職業安定所の紹介を受けて国に雇用される職員並びに労務者でありますが、先ず第二の種類に属する職員及び労務者は、政府が現に使用している公務員賃金基準従つて、即ち六千三百円ベースの安い賃金しか與えない給與を押付けようとするものでありまして、決してこれを改善しようとするものではないのであります。従つて今の段階におきましては十分食え得る賃金改正しなければならないのでありますから、原案反対せざるを得ないのであります。次に第一の種類に属する高級官僚給與は、この下級職員労務者に比べれば五倍、六倍という給與でありますが、問題は單にこの均衡のとれぬ給與の額だけではないのであります。反対理由の第一は、これらの官吏はその殆んどの全部が国民の信任によらないで、勝手に天下り的に任命されて就任しておることがすでに不当なのであります。反対の第二の理由は、これらの官吏法律法規の上では人民大衆の福祉を守る建前になつておるにも拘わりませず、その役目を果していないのであります。却つて金融資本支配階級に奉仕するために、労働者農民中小企業を圧迫するための道具となつておるのでありまして、これらは働く国民に対しまして人生放棄という悲劇をさえももたらすような役割をしか果していないのであります。この第一の特別職に対しまして、値上をする理由のない諸点を具体的に挙げて見ますと、第一に内閣総理大臣であります。御存じのごとき役割しか果していないのであります。(笑声)内閣総理大臣を初め国務大臣まで、或いは各省高級官僚はもはや無為無策でありまして、その無能を暴露する以外に何らの芸を持つていないけれども、(「ノーノー」と呼ぶ者あり)国民生活彈圧するためには(「無謀なことを言うな」と呼ぶ者あり)この無策以上の勇気を持つておる、蛮勇を持つておるのであります。そうして反動的な役割を果しておりますことは、すでに今期国会におきましても、我が国民の大多数が身を以て体験しておるところでありまするし、これらを補佐し援助する官僚反動的役割も見逃すことは断じてできないのであります。例えば三人の人事官であります。公務員給與を適正にし、待遇を保護すべき筈の人事官が、政府職員不当首切りや或いは餓死に等しいような賃金を見逃しまして、そうしてこの不法と断じて鬪おうとしていない。ただ自分の身を守るために汲々としておるような状況であります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)三人の検査官は、資本家地主高級官僚国家財政国民の財産を横領するのを見逃し、そうして横領に対して間接的な援助さえも與えて行くというふうな姿をしておる。あの薪炭特別会計の不当な問題につきましてよく実例を示しておるのであります。(拍手国家公安委員会委員五人にいたしましても、国家警察の監督、国警長官債免権を握つていながら、国家警察国民彈圧を見逃しまして、この彈圧をむしろ積極的に支持しておるような状態でありまするし、(「下らんことを言うな」と呼ぶ者あり)全国選挙管理委員会委員長委員は、選挙に当りましても選挙の不正や買收を見逃して来ておる。又統計委員会委員長、これは統計真実性を確保いたしまして統計制度改善発達を図ることを目的として定められた統計法に基いて作られました職務でありますけれども、この目的は少しも実現されていないのであります。その一例といたしましては、この国の大資本家地主官僚が如何に国民を收奪し、国民生活を窮迫せしめつつあるかの真実を示すような統計は何一つ作成せずに、その半面、労働者農民勤労大衆の困難な生活実態をできるだけ美しく見せ、ごまかし、そうしてでたらめな統計を作成し、これを流布いたしまして、国民を惑わし、国民を騙し、資本家地主の搾取を容易ならしめるためにこれに手伝つておるのであります。現に本国会大蔵省主計壁から提出されました昭和二十四年度予算補正説明附録を見ましても、総理府統計局調べによります全都市消費者物価指数のごときは、本年一月の指数一三二・九に対し、六月には一三七・八と僅かに四・九%しかし上昇していないと称しまして、首切り労働強化初め生活物資の値上りによる勤労者生活を争うことのできない低下をごまかそうとしておるのであります。かかる者に対しまして月額三万四百円の給與は全く無駄であるばかりか、むしろ国民生活にとりましては、有害でさえあります。更に運輸審議会委員は数度に亘る鉄道運賃値上を認め、小運送業認許可その他の職権を利用いたしまして、不正を助長し、国民を裏切つておるのであります。その他、地方自治委員地方税審議会委員等すべて現在の国民生活を擁護する役目を果さず、專ら現吉田内閣の反動的な政策国民を收奪する政策を強行するための全くの附属機関となつておるのであります。これらの人民のために役立たない官僚に対して、三万円、或いは四万円というふうな給與を確認して置いて、そうして一方におきましては、一般下級政府職員失業者公団職員に食うことのできない賃金を押し付け、この釘付け賃金を承認するような法案に対しまして、日本共産党は断じて賛成することができないのであります。(拍手
  13. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これにて討論通告者発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより採決をいたします。特別職職員給與に関する法律案全部を問題に供します。委員長報告修正議決報告でございます。委員長報告通り修正議決することに賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  14. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案委員会修正通り議決せられました。      ——————————
  15. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第三、所得税法臨時特例等に関する法律案日程第四、物品税法の一部を改正する法律案日程第五、織物消費税法等を廃止する法律案、(いずれも内閣提出衆議院送付)、以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。  大蔵委員長櫻内辰雄君。     —————————————    〔櫻内登郎登壇拍手
  17. 櫻内辰郎

    櫻内辰郎君 只今議題となりました所得税法臨時特例等に関する法律案大蔵委員会における審議経過並びに結果を御報告いたします。  先ず本案提案理由及び内容について申上げます。所得税根本的改正については目下政府において検討中でございますが、取敢えず昭和二十五年一月一日から同年三月三十一日までの支給にかかる給與に対する所得税源泉徴收については、基礎控除を二万四千円、扶養控除を年一万二千円、勤労控除を一〇%、税率課税所得金額五万円以下二〇%乃至三十万円超五五%を基準として暫定的に軽減を行う特例を設けんとするものであります。次の課税適正化を図るため、正確な帳簿記載に基く青色申告書制度実施を考慮し、法人又は事業所得を有する個人所得の計算に関し備え付ける帳簿について、その記載事項等政府においてこれを定め、右の帳簿を備え付けんとする者は、昭和二十五年一月三十一日までに政府に届け出なければならないことを規定せんとするものであります。  さて本案審議経過を申上げますと、去る十一月十八日より十二月一日まで、公聽会を開きます等愼重審議し、各委員より熱心なる質疑がありましたが、その詳細は速記録により御承知を願います。かくて十二月一日質疑を終局し、討論に入り、天田勝正委員より、本委員会において述べられた意見を参酌し、総合的な改正が行われることを條件として賛成する旨の意見が述べられ、又小川友三委員より賛成川上嘉委員より反対意見が述べられ、かく採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたしたのであります。  次に物品税法の一部を改正する法律案審議経過並びに結果を御報告いたします。  本税法においては、これまで必ずしも適当でない物品課税対象としており、又その税率も現在の社会生活実情に照して妥当を欠くと認められる点もあるので、課税物品相互間の権衡等を考慮して、今回の税制改正一環として物品税の大幅な改正を行おうといたしたのであります。即ち日常生活必要性の比較的多いと認められる物品並びに主として事務用に供せられる物品等に対する税率、及び余りに高率と認められる第一種甲類及び乙類税率相当程度引上げ、新たに従価一割税率を設けることといたしました。  尚、清涼飮料税は今回これを物品税に統合し、税率を相当程度引下げ課税すると共に、他面、絨氈、窓飾り等の比較的高級と認められる裝飾用及び調度用纖維製品に対して適度なる税率課税しようとするものであります。更に、現下の取引実情に鑑みまして、物品税納期の調整を図ることとし、納期を一ケ月延長しようとするものであります。  さて本案審議経過を申上げますと、十一月十八日より十二月一日まで、公聽会を開きます等愼重審議いたしましたが、その詳細は速記録によつて承知を願います。かくて十二月一日質疑を終局し、討論に入り、天田勝正委員黒田英雄委員より賛成小川友三委員より反対意見が述べられ、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に織物消費税法等を廃止する法律案審議経過並びに結果を御報告いたします。  本案税制改正一環として、国民租税負担軽減及び適正化を図るため、運賃物価改訂等の関係を考慮し、昭和二十五年一月一日から織物消費税清涼飮料税及び取引高税を廃止しようとするものであります。  さて、本案につきましては、十一月十八日より十二月一日まで、この間公聽会を開きます等、愼重審議いたしたのでありますが、その詳細は速記録によつて承知を願いたいと存じます。かく質疑を終局し、討論に入り、油井賢太郎委員より、政府は十二月一日から実施するごとくに発表しながら、事務怠慢のため一月一日に延期し、又十二月一日より一割に引下げ修正意見諸般の事情により実施に至らなかつたことは誠に遺憾であるとの反対意見を述べられ、又小川友三委員より、油井賢太郎委員と同様の趣旨により反対意見が述べられ、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたしたのであります。  右御報告申上げます。(拍手
  18. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 討論通告がございます。川上嘉君。    〔川上嘉登壇拍手
  19. 川上嘉

    川上嘉君 只今上程になつております所得税法臨時特例等に関する法律案に、次の諸点から反対いたします。  第一点は、本案は表面は所得税法臨時特例と相成つておりまするが、実はシヤウプ勧告基本原則を尊重し、来国会において行われる税制の全面的な改正一環として云々と提案理由に述べてあります。改めて言うまでもなく、シヤウプ勧告には五つの目標があります。この五目標は必ず国民生活の安定、国民経済自立企業自立に結び付くものであり、又税制全般から見ましても、又個々税法個々特例等から見ましても、必ずこれらの五目標は常に有機的にその中に力強く織込まれていなければならない筈でありますが、本案はこうした点に欠けているのであります。  第二点は、九原則やドツジ予算のために減税の公約を果せなかつた政府は、その面子を維持するために、万事シヤウプ勧告案が出るまでの辛抱だといつたような公言をたびたびやつて、如何にも本年度の税金が相当大幅に軽減されるがごとき印象を国民に與えたことは、正に国民を欺瞞することであり、(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)又シヤウプ使節団にとつては有難迷惑だつたに相違ないと、かように考えるのであります。大蔵大臣財政演税の中で、シヤウプ勧告の精神を尊重して国民負担の一部を軽減すると述べております。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)又本案提案理由で、国民租税負担軽減及び適正合理化に資するためにと述べておりますが、昨日二十四年度補正予算反対討論で、木村、内村両議員からも鋭く指摘されました通り、本改正案程度のものでは右の目的を果すのにまだまだ遠いものと考えるのであります。  第三点は、青色申告制度実施についてでありますが、帳簿記載事項等も直ちに一両日中に決定の見込のようであります。この趣旨には勿論賛成でありまするが、この程度改正案で果してこれが実施についてうまく行くかどうか。こういつた点に頗る疑問を持つているのであります。東京財務局税制諮問委員であり、商業者同盟專務理事である北村氏が、昭和二十二年の税金につきまして、帳簿記帳指導をして税金軽減を図ろうとしたら、却つて重い税金がかかつて来てやりきれなくなつた。それで今は考え直していると、「実業之日本」の別冊に発表しております。そこで、なぜ納税者が記帳していないのか。これは能力がないとか、或いは知識がないとか、或いは面倒くさいとか、こういつた單なる理由からのみでなくして、正直に記帳すれば必ず損をしたからであります。そこで決して損はしない、正直に記帳することによつて得をするのだということが分れば、おのずから進んで記帳する筈であります。この対策といたしまして、先ず第一に税率の大幅な引下げ、更に基礎控除額等の大幅な引上げを行うことが急務であります。本改正案では、税率は、三十万を超ゆるものは、五十万であつても、百万であつても、二百万であつても、五百万以上であつても、全部同率になつておりますが、これは大きな不公平であります。余りにもその恩典が高額所得者に厚く、低額所得者に薄く、大衆課税的な性格を改善するどころか、却つて逆進課税的作用が拡大されていることは誠に遺憾であります。現行法では、三十万を超ゆる額の上に更に五十万、七十万、百万、二百万、五百万等、それぞれ区分してありまするが、所得階級別現行程度に区分するのが妥当でありまして、尚、最低税率最高税率並びにこれらの適用等については、もつと十二分に検討するの必要があると考えるのであります。次に、基礎控除につきましても同様でありまして、即ち戰争前の免税所得千二百円を今日の価値に換算いたしますというと、一ドル二円が三百六十円になつた割合で二十一万六千円となります。その当時一ドルは四円だつたとの大蔵大臣の言に従いましてこれを計算いたしましても、大体十万円以上となるのであります。従いまして基礎控除額二万四千円というのはお話にならないほど低いものであります。  第四点は、税制が公平、適正、合理的に制定されなくちやならないことは勿論でありますが、同時に又これは公平適正に運用されなければならないのでありまして、このために最も重要なことは、税務職員の大幅な増員、更に素質の向上、待遇、諸手当、副利厚生改善等に画期的な対策を講ずることが急務であります。このことはシヤウプ勧告の五目標の中に、税務行政改善として大きく取上げられ、更に具体的には職員の増加の項で、人事に関する前述の一切の勧告及び提案した行政上の改善の一切の基となる基本的な要請は、税務職員の数を増加することであると、現政府定員法根本から覆しているのであります。十分な数の税務職員を雇うのを拒むのは、一文惜みの百失いであるときめつけております。尚、徴税費の増額の項で、事務設備と運用の近代化の仕事は重大である。その達成には絶えず活溌に努力することが必要である。この努力は不十分な歳出予算によつて妨害されるべきものではない云々。このような支出は、この近代化計画が結果としてもたらす徴税額の増大によつて何倍となく補われるのであろうと、かように勧告しております。もとより私はこれらの措置が急速に一挙になされることを期待しておりませんが、今回の補正予算でこれらの運用面につきましての対策が全く講じられていないのは誠に遺憾であり、政府は果してこの点について積極的意思、熱意があるかどうかを疑わざるを得ないのであります。  第五点、ここ一、二年間に非常な問題になつた割当額、目標額についてでありまするが、シヤウプ勧告は、今まで各地域の推計が大体天下り的に課せられたものであることを認めております。このような数字が税務署長の頭にあることは、所得税の執行面に歪みを生ずることになり易いと指摘しております。尚、不幸にも所得税目標制度と両立し得ないことが明らかである。それなくして機能を発揮できなければ、所得税は撤廃した方がよいとまで言つてこのことを強調し、目標額を作るという技術が他の国で採用されているのを未だ聞いたことがないと述べております。幸にしまして、本年度以降は決して目標額、責任額なるものを定めないと、大蔵大臣は当初予算の当時からたびたび言明しているのであります。ところが表面は別といたしまして、実質においては税務署は目標額、責任額ともいうべきものの圧力を受けているようであります。尚、納税者は税務署から税金を一方的に割当てられたといつたような圧力を受けているようであります。実はつい最近八月十五日の読売新聞に「日本の進む路」という題で、吉田総理と同社の馬場氏との対談が記載されており、吉田総理はそのとき税金問題につきまして、「今は徴税の方法が非常にひどいですね。最初から脱税をするという建前で納税者に臨むらしい。收税吏が正直にやつている者に対しても脱税者のような取扱をするから、正直にやつている者は怒つてしまう。大体あの税金の割当ということがいけない。今年は幾ら收入があるという見込で、その見込を申告させる、それによつて税金を割当てて徴税するのだから随分変な話だ。」かように述べております。即ち吉田総理は、割当課税が今尚存在していることを認めておられます。又大蔵大臣はさようなことは全くやつていないと言明している。即ち吉田総理大臣の言と池田大蔵大臣の言との間に非常な食い違いがあります。若し池田大蔵大臣の言が真実だとすれば、吉田総理の言は納税者を混迷させる最も軽卒な惡質な反税的な言動だと言わざるを得ないのであります。  第六点は、要するに以上の諸点から見まして、本改正案は、国民租税負担軽減及び適正化に資するための税制全般の改革の一環としては余りにも微弱であり無力であると考えるのであります。  以上の六点から本案反対いたします。(拍手
  20. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これにて討論通告者発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより採決をいたします。  先ず所得税法臨時特例等に関する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  21. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  22. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 次に物品税法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  23. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  24. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 次に織物消費税法等を廃止する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  25. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  26. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 参事をして報告いたさせます。    〔海保参事朗読〕 本日委員長から左の報告書を提出した。  人事官彈劾の訴追に関する法律案可決報告書 本日高田寛君外七名から委員会の審査省略の要求書を附し、左の議案を提出した。  人事官彈劾訴追手続規程案(高田寛君外七名発議)      ——————————
  27. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、人事官彈劾の訴追に関する法律案衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。議院運営委員長高田寛君。     —————————————    〔高田寛君登壇拍手
  29. 高田寛

    ○高田寛君 只今議題となりました人事官彈劾の訴追に関する法律案につきまして、議院運営委員会における審査の経過並びに結果を御報告申上げます。  国家公務員法第九條の規定によりますると、人事官彈劾の訴追は国会が行うこととなつているのでありますが、国会における訴追の手続法が欠けておりましたので、このたび衆議院より人事官彈劾の訴追に関する法律案として提出されたのであります。その主なる内容を申上げますると、先ず人事官彈劾の訴追をするには国会の議決を要し、且つ訴追については衆議院議長国会を代表し、衆議院議長がない場合には、その選挙が行われるまで参議院議長国会を代表することといたし、又訴追がございましたときは、衆議院議長は、参議院議長と協議して指定した議員に訴訟について裁判上一切の行為をする権限を與えることができることになつております。尚、訴追の手続に関する特別の規程については、両議院一致の議決により定めることになつております。  議院運営委員会におきましては、本案提出に先立ちその内容について十分なる検討を加えて参つたのでありまして、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと議決いたしたものでございます。  以上御報告申上げます。(拍手
  30. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  31. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  32. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、人事官彈劾訴追手続規程案(高田寛君外七名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。本案につきましては、高田寛君外七名より委員会審査省略の要求書が提出されております。発議者要求の通り委員会審査を省略し、直ちに本案審議に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明の発言を許します。高田寛君。     —————————————    〔高田寛君登壇拍手
  35. 高田寛

    ○高田寛君 只今議題となりました人事官彈劾訴追手続規程案につきまして、提案の理由を御説明申上げます。  この規程案は、先程可決ま去ました人事官彈劾の訴追に関する法律案第六條の規定に基きまして、訴追の手続に関する特別の規定を定めたものであります。その内容といたしますところを申上げますと、先ず議員が訴追の発議をいたしまするには、訴追案をその属する議長提出しなければならないものといたし、特に人事委員会もその発議を行うことができることといたしました。次に訴追案は、予備審査のため他の議院に送付されますると共に人事委員会に付託され、その審議愼重を期するため、必ず他の院の人事委員会と合同審査会を開かなければならないものといたしました。更に、訴追について両議院の議決が一致いたしましたときは、衆議院議長から訴追状を最高裁判所に提出いたしますると共に、その写を訴追に係る人事官に送付すべきものといたしたのであります。尚、本案につきましては、事前に議院運営委員会におきまして十分なる検討を加えて来たものでありまして、何とぞ御賛同あらんことをお願い申上げる次第でございます。(拍手
  36. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本部全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  37. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  38. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 農林大臣より過般留保されました質問に対し答弁のため発言を求められました。この際許可いたします。森農林大臣。    〔国務大臣森幸太田君登壇拍手
  39. 森幸太郎

    国務大臣(森幸太郎君) 去る十七日の本会議におきまして、松井議員、山崎議員より私の所管の問題について御質問がありました。当時、坂本政務次官よりお答えは一応いたしておつたのでありまするが、尚、私から一言お答えいたしたいと存じます。  松井議員の御質問は、早出米の奬励金は單作地帶の救済の意味も含んでおるようにも考えられる。早場米に対して、早場供出に対しましてのこの奬励金に対して免税、減税をしたらどうか。そういうことを考えておらぬか。こういう御質疑であつたのでありますが、これは税法の関係上さようなことは不可能でありまして、奬励の意味において、その奬励の金額を考慮するということは将来残された問題でありますけれども、減税、免税ということは考えておりません。  山崎議員からの御質問は、「いも」の統制をどうするかというお話でありましたが、これは一度こちらでもお答えいたしたことと存じますが、二十四年度の「いも」におきましては、政府が当初計画いたしておりました通りの数量は、これを、供出を受けまして買取ります。尚この供出の一割の分量に対しましては、超過供出として奬励金を出すつもりであります。尚その余剩の「いも」類に対しましては、この十二月の一日より政府に売るも或いは又個人に売るも、これを自由にいたしたのであります。二十五年度の「いも」類につきましては、その一部分に対して政府が買入れをいたしまして、主要食糧の一環にいたしたいと考えておるわけであります。以上お答えいたします。(拍手)      ——————————
  40. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第六、日やとい労働者救済対策に関する請願を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。労働委員会理事平野善治郎君。     —————————————    〔平野善治郎君登壇拍手
  41. 平野善治郎

    ○平野善治郎君 只今議題となりました請願第五百五十九号、日やとい労働者救済対策に関する請願につきましては、委員会において審査の結果、これを採択し、院議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたしました。右御報告申上げます。(拍手
  42. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。本請願は委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  43. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本請願は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。  本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時三十八分散会      —————————— ○本日の会議に付した事件  一、小川君、中平君及び羽仁君の質問に対する国務大臣答弁  一、日程第一 地方財政法等の一部を改正する法律案  一、日程第二 特別職職員給與に関する法律案  一、日程第三 所得税法臨時特例等に関する法律案  一、日程第四 物品税法の一部を改正する法律案  一、日程第五 織物消費税法等を廃止する法律案  一、人事官彈劾の訴追に関する法律案  一、人事官彈劾訴追手続規定案  一、松井君及び山崎君の資問に対する国務大臣答弁  一、日程第六の請願