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1949-11-21 第6回国会 参議院 本会議 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十一日(月曜日)    午前十時二十六分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第十五号   昭和二十四年十一月二十一日    午前十時開議  第一 国務大臣演説に関する件(第十日)  第二 未復員者給與法の一部を改正する法律案内閣提出)(委員長報告)  第三 産業設備営団法及び交易営団法を廃止する等の法律案内閣提出)(委員長報告)  第四 帝国石油株式会社法の一部を改正する法律案内閣提出)(委員長報告)  第五 帝国燃料興業株式会社法を廃止する法律案内閣提出)(委員長報告)  第六 帝国鉱業開発株式会社法の一部を改正する法律案内閣提出)(委員長報告)  第七 日本製鉄株式会社法の一部を改正する法律案内閣提出)(委員長報告)  第八 郵便物運送委託法案内閣提出)(委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      —————・—————
  3. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、国務大臣演説に関する件。一昨日に根続き順次質疑を許します。小川久義君。    〔小川久義登壇拍手
  4. 小川久義

    小川久義君 私は大蔵大臣財政演説に対して、新政クラブを代表してお尋ねいたします。  減税を実現し得るような税制の改革を行うことと、二十四年度予算実施後に生じた経済不安を打開するための補正予算を実現することは、本臨時国会に課せられた課題であつて、それは政府が早くから公約して来たところであり、臨時国会に対する国民期待も又ここにあつたと言えるのであります。首相は施政演説に対する質疑に答え、しばしば繰返して、やがて補正予算を出すからそれを見て貰いたいと、恰かも立派な玉手箱を用意しているかのように述べていたのであります。ところがそれを開いて見ると、中に入つてつたのは、不確実な予約券購入券の類が多くて、現在の経済不安打開に役立つ現物は案外少いのであります。大蔵大臣財政演説において、久しきに亘るインフレも概ね終熄を見、我が国経済が漸く安定の軌道に乗ることができたのは誠に慶賀に堪えないと申しておりますが、現在の経済情勢は果して慶賀すべき状態に向いつつあるかどうか。大蔵大臣の言うインフレ終熄が健全なるインフレ終熄と認め得るかどうかについては、いろいろの問題があると思うのであります。ドツジ・ラインに沿う経済安定工作財政金融政策の急激な転換を意味するものであつたのであるが、政府過渡期に処するために必要な暫定措置用意がなかつたため、金融恐慌状態が起り、企業の行詰りと失業の増大が見られるのであります。この事態は更に発展して、窮乏の中の過剩とも言うべき一種の生産過剩恐慌を誘発する虞れがある。大蔵大臣演説金融政策に触れてはいるが、現在の事態に処する具体的な内容を持つているかどうか不明瞭であります。一方、均衡予算の基礎となつている米価給與ベース等についても、それが農民公務員犠牲の上に立つている感が深いのであります。かかる犠牲が長く続き得るものであるかどうかは疑問であります。減税についても、後に述べるごとく、額面通り受取ることができないのであります。このように考えるとき、均衡予算も経済安定も、直ちに慶賀すべき状態にあるとは即断できないのであつて、今後の努力によつて国民経済の再生産の拡大し、実質賃金向上による生活安定を待つて、初めて真の安定が考えられるのであります。それはまだ今後に残された課題であると申さねばなりません。経済安定に対する認識の相違は、今後の施策に対する判断並びに熱意の相違ともなると思いますので、この点に関し安本長官大蔵大臣の所信を承わりたいのであります。  最近における政府の最大の公約減税にあることは、すべての人が認めているところであります。この国民期待の的であつた減税が実質的に果して実現するかどうかは、極めて重大な問題と言わねばならない。今後の減税考えるに当つて、現内閣が編成した昭和二十四年度予算において、国税総收入專売益金を合せて二十三年度に比べ二千二百三十三億円の増加であつて、それは今回の補正予算により更に二百十三億円を加え、実に二千四百四十六億円の増加となつている事実を考えねばならない。それに比べて本年度二百億円、来年度九百億円の減税を実現するとして、果して減税期待に応え得るかどうか、甚だ疑問であります。政府の言う減税とは、單に二十四年度に対しての減税なのか、それとも二十三年度以前から見られた重税の軽減を意味するのか伺いたいのであります。若し單に二十四年度に対して減税になるに過ぎないとすれば、それは恰かも右手で十のものを奪つて置いて、左手で四つのものを返すだけの話であつて、多年の懸案を解決したかのように考えるとすれば、甚だしい錯覚と申さねばなりません。これでは現内閣減税実現をしたというに当らないのであります。  更に表面的な減税は、それから生ずる経費削減影響考えるとき、国民経済負担に転嫁されて、すつかり相殺されてしまう虞れがあるのであります。これに対して政府はどのように考えているか承わりたいのであります。例えば価格調整費削減は、企業合理化に吸收されない以上、国民負担となることは明らかであります。政府補正予算並びに来年度予算予定されている価格調整費削減により、安定帶物資等に起る物価騰貴率をどの程度に予想しているか承わりたい。これが若し企業合理化に吸收されないとすれば、価格騰貴率の計算はどういう数字になるか併せてお伺いいたします。又生産者米価が完全に再生産を保証する価格でなく、公務員給與ベース生計費の高騰に比例しない以上、それは当然出すべきものを出さない意味で、農民公務員に対して負担過重を来たし、減税と相殺されることになる。消費者米価の引上げ、運賃値上げも同様である。これらに対して政府如何よう考えているか、承わりたいのであります。  大蔵大臣長期金融確立を述べているのでありますが、その具体的な構想については不明瞭なのであります。例えば農林中央金融等債券発行を認めるというが、現に農林中金資本金四億円の十倍の債券発行が認められている。その上更に認めるというのは如何なる積極的な意味を持つているか。農林金融は特殊なものであつて債券発行を認められても、一般金融市場資金を求めることは事実上殆んど不可能であります。それは現在の農林中金が、債券発行限度四十億円のうち二十億円の債券発行され、その全部が復金に依存しており、二十億円の発行限度の余裕を残しているのを見ても明らかである。かかる状況大蔵大臣が新たに債券発行を言明されることは、政府資金及び預金資金等の運用により新たな措置を講ずる用意があると考える外、何らの意味を見出だすことができないのであります。この点に関し、大蔵大臣債券発行を言明された趣旨を伺いたいのであります。尚、中小企業金融についても併せて具体的構想をお尋ねいたします。  次に補正予算に関して数点お伺いいたします。第一に、災害復旧費緊急性を持つた費用であることは多言を要しないと思うのでありますが、かかる性質から考えれば、来年度大いに計上しようというのでは遅いのであつて補正予算努力すべきものである。この点から言えば今回の費用は少な過ぎると思うが、補正予算に計上した災害復旧費が如何なる事業計画に基くものであるか。明らかにされたいのであります。第二に、六・三制の新制中学建築費は、二十四年度予算において全面的に削られていたことを考えれば僅少である。明年度予算においては如何に予定されつつあるか示されたい。又今明年度新制中学最少限度建築の何パーセントが完成する見込か。明らかに示されたいのであります。第三に、食糧管理特別会計は、昨年度百三十億円の赤字を生じたと聞くのであるが、それは補正予算に計上している運転資金百七十億円に近い額である。この百三十億円の赤字発生事情並びにその処置に対して、所管大臣の説明を承わりたいのであります。  最後に、国際收支均衡国内農業生産力向上の問題について質したいと思いますが、政府産業合理化及び貿易條件の改善によつて公正な競争力培養考えているというが、現在までの輸入貿易の実情では、食糧輸入が支出の大宗をなくしております。従つて国際收支均衡上、国内農業生産力向上のため、一段の予算的並びに金融的努力をなすべき理由があると思うのであります。然るに従来予算に現われた農業生産力培養費用は極めて僅少であつて農業金融に対する政府措置は、大企業に比べて比較にならない程冷淡であることは明らかな事実であります。これは産業構想の上で、商工偏重の結果を来たし、国際收支均衡を惡化させるものと言わねばなりません。この際、思い切つて国内農業培養のため保護政策をとることが、国際收支を改善するゆえんであると思うが、政府の所見を承わりたい。食糧輸入培給金については、二十四年度予算で四百六億円計上されているが、来年度見込額はどの程度になつておるか。輸入補給金は極力削減して、その費用国内農業培養に振向くべきだと考えるが、政府方針を承わりたいのであります。  私の質疑はこれを以て終ります。(拍手)    〔国務大臣池田勇人登壇拍手
  5. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お答え申上げます。  先般来から我々の財政経済政策につきまして、いろいろ御批判なり御意見があつたのでありまするが、これを要約いたしまするに、私は、大体インフレーシヨンは止まつた、併しこのインフレーシヨン收束手続が余りにきつかつたために、デフレになつて行くのではないか、或いは又もう少し進んで恐慌にまで行くのではないかという議論のように私は感ずるのであります。併し私の見るところでは、財政演説に申上げております通りに、何としてもインフレーシヨンを早急に終熄せしめて自力経済確立を図らなければならないというので、努力いたしておるのであります。而してインフレーシヨンが大体收まりかけたということにつきましては、内外共に異論のないところだと思います。ただインフレーシヨン收めたために、それがデフレーシヨンの傾向を持つか、或いは安定恐慌行つておるのではないかということが、議論の分れ目だと思います。私は過去長い間のインフレーシヨン終熄せしめて、そうして自力経済を立てる場合に、この程度状態はどこでも当然起ることである、この程度を深めない、即ち安定恐慌に至つてならないのは勿論のこと、デフレにも導かない、即ちデイスインフレの線に沿つて財政経済の立て直しをやろうとしておるのが今の状態であるのであります。従いまして、当初、第五国会で作りましたときの予算の作り方よりは、余程安定が見えて参りましたので、超均衡予算につきましても程度を緩めておる次第であります。従つてこの際、この安定の軌道に乘りかけたのをもつと進めて、本当の意味自力に持つて行くためには、政府国民も一体を成して相当努力が必要である。私はもう努力しなくても安定しておるというのではありません。相当努力する必要がある、こう言つておるのであります。どうぞこの程度で御了承願いたいと思います。  次に減税の問題でございますが、昭和二十四年度において減税をしたかどうか、片一方では二百十五億の自然増收を見ながら、片一方では二百億円の減税とは羊頭狗肉だというお考えのようでありますが、決してそうではありません。二百十三億の自然増收は、もうすでに殆んど相当部分政府に入つて来ておるのであります。二百億の減税は来年の一月からスタートいたしまして、思い切つて今までの我々の公約を果したいと思つておるのであります。まさしくこれは減税であるのであります。来年度におきましては、財政演説で言つておりますように、四千四百四十六億、四千四百四、五十億程度租税收入にいたしまして、そうして今年度、即ち今年度減税前の五千百四十六億円よりは、七百億円の減税になるのであります。而も又この自然増收の二百十三億を加えますと、九百億円の減税とも言い得るのであります。小川さんは昭和二十三年では三千百六十億円、それが昭和二十五年度は四千四百六十億円になり、昭和二十三年よりは昭和二十五年度増税だとおつしやいますが、これは課税の対象が殖えて来ておのるでありますから、当然殖えるのであります。決して増税ではありません。昭和二十三年度よりは減税になるのであります。例えて申しますると、今年度煙草につきまして六百五十億本程度煙草作つて約千二百億円程度收入を挙げております。来年度は八百億本に近い煙草造つて千二百億円の專売益金を見ているのであります。あなたの論法を以てすれば、煙草減税しないということになりまするが、来年の四月からは、ピース、光、憩、おのおの十円ずつ下げる予定であります。これは六百五十億本の煙草を八百億本近く作つて、そうして十円下げて行くのであります。收入が同じであるから減税になるぬという議論は出て来ないのであります。收入は同じであつても、六十円のピースを五十円で売れば、それだけ負担を軽くしたと言い得ると私は思うのであります。  次に価格調整費削減につきましては安本長官からお答え願うことにいたしまして、長期金融の問題について申上げましよう。従来復興金融金庫を置きまして、そうして我が国生産設備の増強にどんどん金を出して行つておりました。併しこれが敗戰後インフレ一つの要因をなしているのであります。従いまして去る一月で復金からの融資は一応止めて、正常な金融に頼つて行こう、こういう考えの下に復金事業相当程度縮小いたしました。私は今後復金は来年の一月を期してもう清算に入りたいという考えを持つているのでございます。然らば我が国長期金融をどうするかという問題であります。何と申しましても日本の将来の長期金融につきましては、私はどうしても自己資金に第一次的に頼るべきだと思います。銀行からの借入金に頼るというやり方は改めて、先ず第一に自己資金設備資金をやつて行く、この方針をとりました関係上、今年の四月から九月までの六ケ月間におきましては、株式の拂込が四百二十七億円に上つております。これは戰争前の日本株式投資金額は四百億円ばかりであつたのであります。この六ケ月間に四百二十七億円の増資をやつておるのであります。又社債につきましても六ケ月間に七十数億円の社債発行を見ておるのであります。私はこれは長期金融の本体であると思います。自己資金増加、その足らざるところをいわゆる金融機関からの融資でやつて行こう、而して我が国金融機関は、既存の市中銀行は私は飽くまで商業金融機関として持つて行つて長期金融機関には、財政演説で申上げておりまするように日本興業銀行を中心として行き、そうして中小商工農林につきましては、農林中金或いは商工中金をその補助役としてやつて行きたいと思つておるのであります。お話のように今まででも農林中金は四億の出資債券発行を認めておりました。私は今度はこの四億を八億に増資いたしまして、そうして二十倍の債券発行を認めよう。又商工中金は今出資は一億二三千万円か一億五千万円の出資でございまするが、これを五億にして、これ又二十倍の債券発行をしてそうして中小商工金融の方に乗り出さそうといたしておるのであります。長期金融の中核である日本興業銀行は、先般御賛成を得まして、十億円で二十倍、即ち二百億円の興業債券発行を見ておるのであります。興業債券発行状況は、最近の金融情勢からいつて非常によろしうございます。一月に三十億円の消化を見たこともあるのであります。で、私は、この農林中金商工中金債券発行は、今後の金融情勢を見ましたならば相当売れて行くと思うのであります。なぜそういうことを言うかと申しますと、今、銀行貸出先にいいものがない、どちらかと言えば証券を持ちたいということを念願しておるのであります。而も今年度に償還する復金債は六百二十四億円になるのであります。これは来年の三月までに償還してしまいます。こういたしますると、有価証券を持ちたいという市中銀行は、挙つて興業債務なり、農林中央金庫或いは商工中金の債務に行くと思います。私はこういうことを図つて長期金融の万全を期したい考えを持つておるのであります。  次に国民負担の問題がございましたが、先般ここで申上げましたように、少くとも一月から三月までの間、即ち今御審議を願つておりますが、所得税臨時措置に関する減税方法、或いは取引高税物品税等減税によりまして、米の値が上つても、運賃が上りましても、又先般来価格差補給金を外しました関係上、いろいろな特殊の物価上つて参つていますが、特殊の品物の値段上つて来ております。例えば電気が上らんとしております。又ゴムとかいろいろなものが上つておりますが、そういう値上りを十分吸收し得られるのであります。来年の一月から三月までは……。そうして四月からの問題は、所得税等減税になりまするが、地方住民税とか、或いは不動産課税地租家屋に対しまする課税が、地方税の上で、きつくなつて参りまするから、或る程度負担が重くなるのでございましようが、私は所得税等減税によりまして、来年の四月からも概ね実質賃金が上るような方法考えておるのであります。決して少々の物価が上りましても、実質賃金が下つて来るというふうな施策は我が党内閣はとらぬ筈でございます。(拍手、笑声)どうぞ御了承願います。  尚、補正予算につきまして申上げます。(「しつかりやれ」と呼ぶ者あり)災害復旧費少額に過ぎる、少額だと、こういうお話でございまするが、六・三制の十五億円を入れまして百六億六千万円、これで来年の三月までは、余ると申しませんが、これで我慢し得ると思うのであります。即ちキテイ台風以前の、今回の急に起りましたこの台風応急手当といたしましては、先般の国会で御審議願いました五百億のうちの公共事業費から繰上げて使用いたして参つております。この金額よりも今回の災害復旧費の方が相当多いのでありますから、予定よりも余程復旧できるのであります。そうして来年度におきましては、今年度の五百億円の当初に比べまして、千億円を見込んでおりまするから、今後相当災害復旧等が行われまして、国内的に有効需要を喚起し、失業対策のことにもなるのであります。  尚、六・三制の問題は、本年度十五億円を補正予算で見ております。来年度は大体四十五億円を計画いたしております。合計六十億円ならば大体賜いが付くではないか。又この程度で賜いを付けて貰わないと、六・三制の仕事を十分にやつて行つたならば三百億や四百億じや足りないから、そこで我が国財政経済事情を見ながら、できるだけ国民負担を多くしないように、乏しきを堪えて行く考えで、六十億円で我慢し、又これならば大体今の場合のように、いろいろ廊下で授業をしたりなんかすることは止まつて来ると私は考えております。(「ちつとも分つてない、問題が」と呼ぶ者あり)  次に食糧管理特別会計赤字はどれだけあるか、百七十億円を繰入れたのは赤字補填のために繰入れたのではないかという御議論でありますが、決してそうではありません。百七十億円の食糧管理特別会計への繰入れは、概ね二百二十九万トンの食糧で組んでおつた食管計画が、二百九十万五千トンの輸入食糧なつた。買入れ、売捌きの分量が殖えたことによつて、百七十億円を繰入れたのであります。赤字補填ではないのであります。よく誤解がありますので、はつきり申上げて置きます。而して食管赤字がどうかという問題になりますと、これは正確な数字ではありませんが、私の記憶するところでは、昨年「いも」を買込んで腐らしたり、いろいろな失買があつたために九十億円近い赤字が出ましたが、その後この赤字消費者価格に織込む等、いろいろなことで大体埋めております。大した赤字はございません。併し又この百七十億円はそうでございますが、(「インチキだ」と呼ぶ者あり)価格調整費が、当初三百四十七億円というところが、二百三十億円減つたのも、輸入食糧が殖えたために減つたのでありまして、附加えて御説明いたして置きます。  次に農業復興に対して政府は如何なる措置をとるか、こういう御質問でございます。私は所管ではございませんが、大蔵当局といたしましてお返事申上げて置きます。我々は農業の発達、農産物の増産を期することは、人後に落ちないつもりで努力いたしております。併し農地改良費を我々従来通り国予算から補助として出したいという気持がありますが、なかなかこれは今の日本農業が余程変つて参りまして、個人の持つている土地を改良するのに国の助成でこれを全部見てやるということがいいか惡いかということについて議論があるのであります。それは農業農産物は必要でございましよう。併しそれと同じ程度に必要なものに対してどんどん金を出すがいいかという問題があるのであります、財政的に見れば。そこで農地改良に国が全額補助するか、或いは低率の貸付金にするかという問題があると思うのであります。我々は一応先程申上げましたように、できるだけ従来通り農地改良費用一般会計から出したいというので努力はいたしておりますが、若しそれができないという場合につきましては、見返資金その他から金を低利に出して、そうして低利の利子は相当分を国で補給する、こういうふうなやり方考えられるのではないかというので、私は四、五日前から相当研究を始めております。何とか農業復旧事業につきまして近いうちに手を打ちたいと考えておる次第であります。  食糧輸入補給金につきましては、先程申上げました通りに、今年度はいわゆる安定帶物資に対する補給金並び輸入補給金を合せて三百四十七億円減らすつもりでありましたが、その後食糧輸入が六十万トン余り殖えましたために、これに対する補給金増加額だけ補給金業誓約可能額減つたのであります。併しこれはいずれは又国の資金として出て来る金でございます。お話通り昭和二十四年度は当初四百六億円の食糧輸入補給金でございましたが、これが早相減つて参ります。それはなぜ減つたかと申しますと、国内農産物価格上つたことと、もう一つは、外国小麦価格が下つたことによりまして早当減つたのであります。ところが先程申しましたごとく輸入量増加いたしましたので、差引七十億円程食糧輸入補給金増加となります。すでに本年度予算におきまして価格差補給金を九百億円見ておりますが、あの九百億円のうちで四百五、六十億円というのは輸入補給金であるのであります。殊に主食輸入補給金であるのであります。従いまして私は昭和二十五年度においては九百億円、二十六年度には全額補給金はなくするということを言つておるのでありますが、この輸入補給金だけは二十六年度再来年度でも残るかも分りません。どれだけ残るかというと、外国小麦値段国内主食値段決めようであります。その差額であります。その差額以外に入つて来るのは運賃だけであります。再来年のことはまだ申上げられませんが、今の状態では或る程度輸入補給金は残るかとも考えております。(拍手)    〔国務大臣青木孝義登壇拍手
  6. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) 補給金インフレ期におきます低物価政策の実行といたしましては止むを得ない行き方であつたと存じます。併しながら安定施策を実行いたしまして、段タインフレ終熄せしめて国際経済へ参加して行こうということでありますので、価格調整費削減するということは自然の行き方であるというふうに考えておる次第であります。そこで価格調整費削減につきまして、御承知と思いますが、ガス料金であるとか、或いは食料油であるとか、或いは石油、人絹スフ繊物、それからガラス及び主食等の公債の値上りによりまして、平均所得階級生計費に大体四—五%の影響であると考えておる次第でございます。それから闇値の下落は、御承知通り本年当初以来極めて顯著でありまするので、これはシヤウプ・ミツシヨンの勧告によりましていよいよ減税が行われる、こういうことと、それから補給金削減の家計に及ぼす影響とは、どのようにして吸收し得るかという問題でございますが、大体企業合理化であるとか或いはその他品質の向上、それから更に各般の吸收方法等を考え合せまして、物価の騰貴を阻止する手段を考えておる次第でございます。御承知通り価格調整費削減いたしまするのは、今年度におきまして二百三十億でございます。それから来年度におきましては更に軽減せられて参りまするが、これは物価水準及び生計費に余りに大きな影響のないように、漸次これをやつて参りたいという考えでございます。二十五年度におきましても更に補給金削減せられますので、食糧とか輸入原料の増加に伴つて安定施策が実施せられますれば、本年同様、消費者の実効価格水準への影響も極めて少い範囲ではありまするが、影響することは承知をいたしておる次第でございます。  それから更に第二の点でありまするが、国内農業生産力を培養して食糧の自給度を高めることは勿論必要と考えております。土地改良、その他農業生産力の向上に必要な資金は財政の許しまする限り考慮いたしておりまするが、戰後の国土の喪失であるとか或いは人口の増加であるとか、そういうことによりまして、或る程度食糧輸入は止むを得ませんので、来年度食糧輸入補給金といたしましては、国際小麦協定に参加し得ない場合には大体四百六十億円、若し参加できれば四百億程度必要であると存じておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣益谷秀次君登壇拍手
  7. 益谷秀次

    国務大臣(益谷秀次君) 只今大蔵大臣からお答え申上げた通りでございます。災害復旧は取急いでいたさなければならぬことはお説の通りでございます。今回補正予算において八十五億の御審議を願つておりますが、これは私といたしまして、もとより十分だとき考えておりません。国家財政の都合からこれだけで我慢をいたさなければならぬと考えております。担しこれだけの費用がありますれば、最も取急いでやらなければならぬ緊急部面の地点の災害復旧はでき得るものと信じております。尚、明年度予算において大幅の増額をいたしまして、来年の出水期までに備えたいという考えでございます。    〔国務大臣高瀬荘太郎君登壇拍手
  8. 高瀬荘太郎

    国務大臣(高瀬荘太郎君) 第一の来年度六・三制建築補助予算の額はどのくらい予定しておるか。こういう御質問でありましたが、これは大蔵大臣からお答えいたしましたように大体四十五億円を予定しておりまして、本年度補正予算十五億円と加えて六十億円を予定しておるわけであります。  第二のこれだけの予算でどの程度の整備ができるか。こういうお尋ねでありますが、文部省といたしましては、現在仮教室とか、二部授業、三部授業というような非常に惡い状態にありますものを緊急に備整するということを第一段階の計画といたしております。そうして第二段の計画として、その他の不完全な設備に対しまして漸次完成をして行くということにいたしておりますが、今年度補正予算と来年度予算によりまして、第一段の緊急に整備を要する部分は大部分実現できるだろうと考えております。(拍手)     —————————————
  9. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 岩間正男君。    〔岩間正男君登壇拍手
  10. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は日本共産党を代表して、政府財政経済政策並びに予算について質問いたします。  池田蔵相の財政演説によりますと、日本経済は安定し、今後は国際経済との結び付きにおいてますます復興発展の途を迫るかのようであります。ところが日本の現実はどうか。事実は正に正反対であります。成る程一握りの大資本家、大企業家は安定しておるかも知れない。だが人民大衆の生活は目下極度の不安にさらされ、不景気は拡がり、失業者は巷に溢れておる。而もその犠牲は、特に婦人、兒童のか弱い肩にのしかかつておるのであります。その原因は言うまでもなく、低米価、低賃金、苛酷極まる重税政策であります。大衆は生活必需品をさえろくろく買えない。国内市場では品物は売れない。加うるに外国の過剩生産物資が高く輸入されておる。その結果、国内で売れない日本商品は安く外国市場に叩き売らねばならなくなつておるのであります。これが今日までの吉田内閣の経済政策の総決算であります。ところで今回提出されました予算を見ますと、この傾向はますますひどくなつて、低賃金、低米価はますますこれを押し付け、一方あれ程宣伝に憂身をやつした大幅減税は、軽くなるどころか実際は逆に重くなつている。これでは無論人民大衆は堪え切れない。必ずや政府の政策に反対する。これを予想した政府は、警察力を増強し、いよいよ彈圧を強化する。ここに吉田内閣のフアツシヨ的性格がはつきり出ているのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)而も低賃金、低米価により外国市場に進出するやり方は、軍国主義時代の日本貿易の再現に外ならず、(「その通りだ」と呼ぶ者あり)民族の独立を失い、戰爭を呼ぶ結果ともなるのであります。(「そうだ」「その通り」と呼ぶ者あり)我々はかかる戰爭とフアツシヨへの道には絶対賛成することができない。  次に吉田内閣の経済政策の大きな一つの特徴は、教育、文化、厚生などの面において極めて貧困なことであります。今回示された予算のどこに日本の文化を繁栄させるに足るものがあるでしようか。元来、文化は一国興隆のバロメーターであり、文化の振興は生産の増強のために必要欠くべからざる要素をなし、生産の増進は必然的に又文化を隆盛ならしめるものであります。然るに政府はこれら生産と文化の関連を消極的にしか理解することができない。享楽的、反動的な文化をしか考えていないのであります。その結果は至るところに現われており、民族文化の崩壞、頽廃の事実は、民族の自主性の喪失と共に今日大きな問題を投げかけています。私はここでお伺いしたい。吉田首相は今日如何なる文化政策を以て国政に臨んでおられるか。又池田蔵相には、日本財政において占める文化予算の地位並びにパーセンテージは如何なるものと考えられるか。又如何にすべきか。先ずその所見が伺いたいのであります。吉田内閣の経済政策がもたらした文化破壞の現象が今日最も集中的に現われているのは、何と言つても六・三制であります。政府新制中学建築予算として十五億、更に来年度四十五億を計上している。併しこれは目下窮迫した地方の要請には何ら応えるものではないのであります。本年度十五億は、これを一県あてにすると平均約三千万円にしかならない。これでは僅々四十教室の建築費を賄うに過ぎないのであります。たとえ、これに来年度の四十五億を加え、同額の地方起債を認めたとしても、その総額は僅かに百二十億であり、約一万五千程度の教室が新築されるだけであります。ところで第五国会における政府の発表を見ますと、不足教室数六万五千であつて、これは無論講堂、特別教室などを含めない最低要求であります。六万五千のうち一万五千、残りの五万教室をどうするか。而も聞くところによりますと、六・三建築予算は来年度で全部これを打切るとのことであります。その結果は言うまでもなく、目下窮乏のどん底にある地方財政並びに大衆の生活を極度に苦しめ、将来に亘つて長くその桎梏となることは紛れもない事実であります。  私は先ず吉田首相に質したい。首相の施政方針演説によりますと、「文教において、政府は特に初等教育に力をいたし、健全なる思想と円満なる常識を涵養するための設備の充実完備を期したい」とのことでありますが、かかる間に合せの予算措置で以て設備の充実完備ができると考えていられるのかどうか。又曾て六・三制は文部省の行過ぎであるということを答えられて、第五国会で物議をかもしたが、この予算を見ると、現在でもまだ同じような所見を持つておられるようにしか思われないのでありますけれども、どうであるか、その本心を明らかにされたいと思うのであります。  又高瀬文相には、今後五万の不足教室をどうするか。殊に研究室、特別教室を持たない中学校というものは全然意味をなさないと思いますが、その処置をどうするか。更に本年四月以前に苦しい中から自己財源を工面して、すでに建築を進めている分に対しては、今度の補正予算補助されないと聞いておりますが、その不公平、不合理をどうするか、承わりたいと思うのであります。文部省は六万五千の教室増設計画をいつの間にか放棄して、生徒一人当り一・三坪の所要数を〇・七坪に切下げ、机上の統計操作によつて苦しい現実を巧みにごまかそうとしている。併し生きた兒童に変りはない限り、今後の破綻は免れないのであります。このような施設面の不備によつて、目下広汎に惹起されている生徒の学力低下、青少年の不良化等、教育の破壞をカバーする方法は、教員の量と質を向上させるより外ない筈である。然るに政府は本年度より定員定額制を実施し、目下教員の首切りに大わらわであります。高瀬文相は第五国会において教員の首切りは行わないと言明された。それにも拘わらず、その後大学機関、地方の教育委員会等をして、著々これを行わしめているのであります。而もその方法は実に惡辣陰險、誠に人権を無視したものがあるのであります。すでに八月下旬から文部省の内密な指導により予めリストが作成され、又思想調査を国警の協力によつて著々進めている事実がある。その免職に際しては、例えば京都における例のごとく、依願免職並びに懲戒免職、二通りの辞令を突き付け、そのいずれを選ぶかを二十四時間の期限付で強要し、これを拒否すれば立ちどころに懲戒処分に付し、退職金、恩給をさえ剥奪しているのであります。かかる首にあいくちを擬し、天下り的に辞職を強いるの類は、正に軍部專制時代のフアシズムを髣髴させるものがあり、かかる不合理が白晝公然と行われているところに吉田内閣の首切り政策の実相があるのであります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)私は法務総裁にお聞きしたい。総裁はかかる事実を知つておられるかどうか。又これら法令無視の違反行為を今後如何ように処置されんとするか。私はかかる事実を日本の民主主義のために惜しむ。又学問と自由のために嘆かざるを得ないのであります。何故ならば、これら首切り該当者の多くは、吉田内閣の文教政策の貧困によつて惹起された教育の破壞を身を以て闘つて来た諸君であるからであります。これらの者を無惨に首切ることによつて吉田内閣の無為無策は蔽われるかも知れないが、教育界は再び戰前、戰時中の無気力な強権盲従の暗黒地帶に戻りつつあるからであります。その例証は至るところに起つている。吉田首相はかかる思想彈圧を取消す用意があるかどうか伺いたい。  又高瀬文相には、今次補正予算程度を以てしては尚今後一万数千の教員首切りは必至と思いますが、首を切らないと言つた曾つての文相の言明と連関して、その責任はどうされるか伺いたいのであります。  更に来年度予算によれば、小学校一学級一・五人、中学校同じく一・八人の教員数を復活されると聞いておりますが、かかる決定はシヤウプ勧告による平衡交付金との関連において、今後具体的に如何に処置されるか、その見通しを池田大蔵大臣に伺いたいのであります。  次に過般の行政整理に関連する大学研究室の壞瞬問題、又朝鮮人学校の解散事件に伴う受入態勢の問題、法隆寺の燒失事件に代表される古美術保存問題、並びに私学貸付金問題等、緊急文化問題について、池田蔵相並びに高瀬文相の意見を質したい。湯川博士のノーベル賞授賞に当つては、吉田首相も遅ればせながらその喜びを電報された筈であります。而もその世界に誇るべき業績の半面、足下ではまるで反対の現象が起りつつあるのであります。京都大学の湯川研究室では、研究員十三名のうち、その半数がすでに過般の行政整理で馘首されており、もはやこれ以上の研究が不可能になつている事実があります。又その研究費を見ますと、年額五万円、それに議座研究費八万円、合せて十三万円である。これでは研究費といつても單なる名目に過ぎないのが実情であります。而もこれは單に湯川研究室だけのことではなく、目下全国至るところの大学を襲いつつある運命である。文部大臣はこれに対して如何なる対策を持つておられるか。承わりたいのであります。  次に、朝鮮人学校の解散に際しまして、高瀬文相は、受入態勢はできていると言明されておる。併しその兒童数約三万五千の教室設備費、それから所要教員数約一千一百人の人件費は、何ら予算には計上されていないのである。この食い違いをどうするか。国宝保存費も補正予算には全然ない。来年度分として二億円程度のものが決定の線を彷徨しておる。更に私立学校の貸付金の約百億円の必要に対しまして、僅かに二億七千円万が計上されているに過ぎないのに、政府は今度新たに私立学校法を提案し、私学に対するところの文部省の支配権を強化しようとしていることは、我々の見逃することができない問題であります。  次に、教育される生徒、兒童の側、家庭の方から見れば、賃金の遅配、欠配、失業洪水などのために、長期欠席兒童は最近とみに増加しているのであります。又アルバイト学生は失業群発生のためにその仕事を日に日に奪われ、農村恐慌の波は最近農村の子弟の育英資金の申込者を続出させているのであります。更にPTAの会費の激増、寄附金の強請等は、文部予算の絶対不足を大衆に押し付けるものであつて、主婦の叫びは悲痛を極めている。然るに今次予算では、所得税源泉課税自然増收を百五十億と見込み、そのうち約五十余億を減税するに過ぎないのである。勤労所得税減税どころか差引き約百億の増税となつているのであります。政府発表の二十四年度上半期の自然増は主として首切りによる退職金によるものであるから、これを以て下半期を律することは到底できない。今仮に百歩を讓つて、これが民間勤労所得の増加によるものとしたところで、月々一世帶当り三千円を超える赤字を出していることは、資本家統計でさえこれを認めている以上、かかる所得の増加課税すべきではない筈であります。大蔵大臣国会において、しばしば民間に信用されない作為的な官庁統計を引用して答弁されるが、一体その統計数字自体がどこまで正当であるかは疑問であります。従つて数字的なからくり答弁はやめて、具体的な生活実態を以て答弁されたい。その場合特に答えて頂きたいのは、吉田内閣は一体国民の生活水準を国際的に如何なる所に置くか、それがはつきりしなければ税金は重いか軽いかは決定されない筈であります。CPIの変更については、一昨日の木村議員の質問に対し、労働大臣から答弁がありましたが、あれでは答弁になつていないと思う。私はその結果有利になるのは誰であるか、資本家、人民大衆か、改めて労働大臣並びに安本長官に具体的な答弁を要求するものであります。又通産大臣には、国民の生活水準を規定する産業水準はどう変化するか。その変化によつて起る産業構造の変化は国民生活に何をもたらすか。この点をお答え願いたいのであります。  又厚生、労働両大臣にお尋ねします。失業保險、その他の社会保障を、現在のような欺瞞的なものでなく、もつて人民大衆を保護するものにする用意があるかどうか。あるとすれば何故その予算を計上されなかつたか。更に社会施設と言えば、政府は職場外のことのみに限定して考えておりますが、これを大衆の職場の内部に持ち込むところの意図はないか。労働基準法についても、これをもつと嚴正忠実に実施すれば失業はなくなる筈であるが、なぜそれを怠つておられるか。お答えを願いたいのであります。  以上、時間の関係上個條書的にお伺いしましたが、これらのことは、政府がこれを忠実に信行すれば当然に国民の生活を安定し、主婦の地位も向上し、青少年、兒童も救われるのであります。然るに政府はまるで反対のことをやつておる。而も大衆の賃上げ鬪争はこれを彈圧し、主食の掛売を要求する主婦を検束し、最近広島では学校に警官をさえ配置しておるのであります。だが、政府は彈圧一点張りではすでに効果の薄いことをよく知つておる。そこでいわゆるエログロ文化を掛に氾濫させ、カストリ出版物をはびこらせ、社会教育、家庭教育を滅茶苦茶にし、学校教育も、社会科は野球と赤い羽根売り、それが嫌なら逃避的な映画見学を押付けておるのは事実であります。吉田首相が愛読されておると聞く半七捕物帳や(笑声)又文部省の御用教科書「民主主義」の類は巷に溢れておるが、併し真に人民の生活と文化を高める出版は、資金面、資材の面でも多くの圧迫と制限を受けておる事実を首相はどう思われるか。その御所見を承わりたいのであります。  以上のような思想彈圧をその集中的な表現とする文化破壞、文化否定の諸事実は、人民の経済が安定していないことによるところの証拠であります。文化なき平和、文化なき民主主義、そんなものは平和でも文化でもないのであります。一部の大資本家、大企業家は、人民大衆を奴隷のように收奪して得た利潤によつてみずからを莊嚴し、又人民の目を眩ます手段として文化を利用しているのであります。併しそのような文化こそ腐敗堕落の似非文化と言わなければならない。  私はこの夏、国勢調査のために北海道を視察して、石油の配給のない農民が、日の出と共に起き日沒と共に寝るいわゆる鶏生活をやつておる無燈火村の多くを見て、今更ながら農村文化の現状について考えたのであります。日本の石油企業は、例外なく外国資本が入り、莫大な原油が次々と輸入され、日本の精油設備は旧軍事施設まで復旧させて動いておるのに、一体その石油はどこに流れて行くのであろうか。だが、無論これは燈火だけの問題ではなくて、漁船も石油がなくて出航ができない。機帆船も石油がなくて動かなくなつておるのが現状であります。暗い日本、身動きもできない日本、これが吉田内閣の財政政策の象徴的な現われであります。(「その通り」「ノーノー」と呼ぶ者あり)  以上私の質問を終りますが、最後に一言断わつて置きたいのは、これまで衆参両院の政府側の答弁を見ますと、その多くは通り一遍の冷淡な言い抜けに過ぎないのである。併し国会における我々議員の質問は飽くまでも人民大衆を代表しての質問であるから、その答弁も真に人民への答弁として、もつともつと真劍であつて欲しいと思います。以上を以て私の質問を終ります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂君登壇拍手
  11. 吉田茂

    国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。政府は、又私の施政演説において申した通り、民主主義の徹底を図るためにも、又日本の文化を高めて国際水準に高めるというためには、どうしても教育を尊重しなければならぬ。教育に重点を置いておることは私の施政方針においても縷々申述べた通りであります。然らば今の予算を以て満足しておるのかというと、決して満足いたしておるものではないのであります。教育費の充実、或いは教育と文化の向上等については、政府は財政の許す限り、財政の余裕の生ずるに従つて、十分教育費その他或いは文化施設には支出いたしたいという決心でおります。併しながら何分現在においては財政状態は正に再建の途上にあるのでありますから、教育についても、或いは文化施設についても、政府が希望する程の支出を許さないのであります。併しながら今申した通り財政の余裕に従つて十分施設なり支出なりいたす考えであります。一応お答えいたします。(拍手)    〔国務大臣池田勇人登壇拍手
  12. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 岩間議員にお答え申上げます。政府は低賃金、低米価でやつて非常なデフレ政策をやつておる、こういうお話でございますが、(「その通り」と呼ぶ者あり)そうではございません。私の見るところ、考えるところでは、適正賃金、適正米価でやつておるのであります。(「適正米価とは何だ」と呼ぶ者あり)而も高賃金、高米価インフレーシヨンを再発するので採らないところであります。  次に、文化に対して文化方面へ予算をどれだけの割合で持つて行つておるか。こういうお話でありますが、今直ちにその割合を存じませんが、義務教育費とか、或いは公立学校の補助にいたしましても、今年度は二百三十億円を、来年度地方財政平衡資金の方で二百六十億円程度見込んでおります。又お話にもありました国宝保存だとか、私立学校補助にいたしましても、国宝にいたしましても今年度は一億円、この以前は殆んどなかつた。吉田内閣になつて一億円を認め、そうして来年度はこれを二億円にしようとしておるのであります。而して又研究費に至りましても、研究費として計上はいたしておりませんが、各学校の事務費として相当額を来年度増加しておりますが、これは御覽下されば分ると思います。又私立学校補助にいたしましても、文部省で当初予算は認められなかつた。而も今度は補正予算から認めることにしております。一億六千七百万円、来年度は二億七千万円、こういうことをずつとやつて見ますと、如何に吉田内閣が文化方面に意を用いておるかということが予算上はつきりすると思います。    〔国務大臣高瀬荘太郎君登壇拍手
  13. 高瀬荘太郎

    国務大臣(高瀬荘太郎君) 六・三制の建築予算につきましては、先程小川議員の御質問にお答えした通りでありますが、勿論これを理想的に完成いたしますのには非常に厖大な経費を要します。従つてこれは日本の経済回復と並行いたしまして、順次完成をして行くというより外はないと考えております。  それから教員の整理についてお尋ねがありましたが、これも先日河野議員から緊急質問がありまして、それに対して詳しくお答えをした通りでありまして、文部省といたしましては各大学並びに各地方におきまして、それぞれ愼重公正に、且つ合法的に処置しておると考えておるのであります。  次に定員定額制の実施についての問題でありますが、これは本年度は最初の年でありましたから、いろいろ実情に即しない点もあつたことは認めるのであります。従つてこれを調整するために、補正予算地方交付金の中に二億数千万円が計上されておりますので、これで適当の調整が付くものと考えております。来年度につきましては、先程岩間さんからお話がありましたように、この問題も相当余裕が付きまして円滑に運用されると考えております。  次に大学の研究費の問題は、今大蔵大臣からお答えした通りでありますが、現在決して十分ではない。非常に不足しております。併し来年度におきましては、大学の研究費に充てられるべきものが約五割くらいは増額されるものと私は予定をいたしております。  朝鮮人学童の問題につきましては、その受入態勢についてお尋ねがありましたが、文部省といたしましても受入の問題を一番心配をいたしておりまして、地方とよく打合せをいたしまして、朝鮮人兒童が教育に困ることのないように十分の連絡をとつてつております。ただ過渡的には一時的にいろいろと混乱も起きまして、うまく行かない点もあるかも知れませんけれども、必ずこれは困難なく実行できると思つております。  それから国宝予算の問題は大蔵大臣からお答えがあつた通りでありまして、来年度は本年度の約倍額くらいに増額ができる予定でおりますので、本年度よりも保存につきまして一層円滑にやることができるのではないかと思つております。  私学貸付金大蔵大臣からお答えがありましたが、大体この予算の計上額は、国立の戰災学校の復旧費の率と比例いたしまして私学の戰災復旧の貸付を計上いたしておるのでありますから、それに応じて予算額が大体決まると、こうお考えを願いたいのであります。(拍手)    〔国務大臣殖田俊吉君登壇拍手
  14. 殖田俊吉

    国務大臣(殖田俊吉君) 教員の整理につきましては、只今文部大臣のお答えした通りであると思いまするが、私の見るところによりますれば、これらの整理はいずれも教育基本法、国家公務員法、教育公務員特例法等に基きまして、それぞれの責任当局が法規の命ずるところに従つて実行いたしておるところでありまして、何ら彈圧等の事実はないと考えます。若しそれ違法のことがありましたならば、今日の我が国の制度といたしましては、これが救済に事欠かないだけの十分の用意があることと考えております。(拍手)  〔国務大臣鈴木正文君登壇拍手
  15. 鈴木正文

    国務大臣(鈴木正文君) 岩間議員にお答え申上げます。社会保障の制度につきましては、目下審議会がその検討に当つておるのでございまして、将来におきましてはその検討の結果等も考慮して適当の動きがあると思います。ただ日本の現在の実力等より考えまして、直ちにイギリス的な、ああいうような社会保障制度を直ちに実現できるかどうかというふうな問題は、現実と照し合せまして妥当な解決を図つて行かなければならないと思います。ただ労働者といたしましては、そういつた総合的な社会保障制度の推移は別といたしまして、現在なし得る限りの面におきまして、なし得る社会保障制度の一環としての失業保險その他の段階に応じての適宜な措置は着々とつておるのでございます。例えばこの春の国会に御審議を得ましたところの、給付金額を諸手当も含めて計算するという方法によつて相当事実上は引上げて来ておる。それはもうすでに実現しておる。それから近く実行いたしますところの日雇労働者の保險というものは、これもすでに十分準備ができておるのでございまして、近く一日十三万人ずつの日雇労働者の失業者を吸收して行くという準備ができております。予算にもそれが計上されておるのでございまして、今度の補正予算におきましては、失業者に対する給付、従来の予定六十億円が八十億円に増加され、従つてそれに対する政府負担金というものも八億八千万円程計上されておるのでございます。こういうふうに、なし得る面におきまして着々社会保障の一環としての諸政策というものは、時宜に応じて進みつつあるということを御了承願いたいと存じます。  それからCPIの計算において、フイツシヤー式をラス・パイレス式に変更したということは、昨日もお答え申上げました通り、純粹の意味における統計学者の現段階に即しての検討の結果そういう方式が採用された、その上に乘つて労働者は改めて実質賃金の計算をしたに過ぎないのでありまして、何らその間に政治的意図というようなものが加わつておるということは絶対にありませんということを申上げます。(「了承」と呼ぶ者あり)  労働基準法につきましては、その立法の趣旨に従いまして、今後も労働者保護のためにその線に沿つてこれを運用して行きたいと存じます。(拍手)    〔国務大臣青木孝義登壇拍手
  16. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) 岩間さんの御質問は、国民の具体的実態並びに生活水準についてはどうか、こういう御質問であつたと存じますが、この世帶当りの家計費への推移を見まするのに、本年に入りましてからその支出金額は、ほぼ横這いの状態にあることは、かねてから申上げておる通りでございます。而もこの間におきまするところの消費者の実効物価も安定しておりまするために、実質家計費即ち生活水準は、大体において動いていないという状況にあります。昭和二十二年を基準といたしますと、大体先程申上げましたように五%程度の上昇であります。で、最近やや上昇が停滞気味でありますることは、御承知通り経済九原則や或いはドツジ・プランに基きまする安定施策が基調となつておりまするので、これによる耐乏生活というようなものの要請と考え合せて、或る程度止むを得ないところでありますが、政府といたしましては、今後減税であるとか、配給物資の品質の向上、量の増大、そういうようなことにできるだけ努力をいたしまして、実質賃金の充実向上等に意を用いますと共に、成るべく我々としては忠実にそれらの統計実態等を検討いたしまして、生活水準等を今後とも十分監視して参る覚悟でございます。(拍手)    〔国務大臣稻垣平太郎君登壇拍手
  17. 稻垣平太郎

    国務大臣(稻垣平太郎君) 岩間さんの御質問が、生活水準の変化と産業構造の変院についてというお話でありますが、ただそれだけお話になりましたので、意図されるところが甚だ私には、はつきり致しかねるのでありまするが、併しながら文字の通りに解釈いたしまして、生活水準の変化が直ちに産業構造に変化を及ぼすということは、無論因果関係はございますけれども、直接にそれによつてどうこうし、どのような方策をとるかということではなくして、おのずから需給の関係によつて行われて来るものだと私は考えております。尚、日本産業の構成、構造ということについては、これは要するに日本の貿易圏内におけるところのものをバツクといたしまして、国際市価との比較においておのずから産業の構成も決つて行くものだ、かように考えております。(拍手)    〔政府委員矢野酉雄君登壇拍手
  18. 矢野酉雄

    政府委員(矢野酉雄君) お答えいたします。厚生行政の理想から申しましたら、補正予算、通常予算に組んでおりまする各予算は満足すべき状態でありませんけれども、兒童局、社会局各管轄の予算を御覧頂きますと、相当程度予算を計上しておる次第であります。更に社会保障制度全般については、すでに先の国会において御承認を得ておりまする社会保障制度審議会におきまして民主的に御決定になりましたその線に沿うて、厚生行政に関係するものは十分その意思を予算面その他に具現したいという熱意を持つておる次第でございます。以上お答えいたします。(拍手)    〔岩間正男君「再質問したいのであります」と述ぶ〕
  19. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 岩間君に質問を許可いたします。但し時間が限られておりますので、簡單にお願いいたします。
  20. 岩間正男

    ○岩間正男君 簡單に今の答弁に対しまして、非常に不明瞭な点について二点だけを挙げて質問いたします。  先ず第一に、池田蔵相の答弁の中に、低賃金、低米価でなくて、適正賃金、適正米価ということを言われたが、何を基準としてそういうことを言うのか。それを承わりたい。  第二点は、私は教員の首切りについて、具体的な京都の実例を挙げて質問をしたのであります。これに対して法務総裁はどう思われるか、文相はどう思われるかということを質問したのであります。然るにこれに対する答弁は甚だなつていない。そういうことはない、合法的にやつておるということだけを言つておられるのであつて、私は実際その被害を受けた人に直接会つて事実を聞いておるのでありまして、ないというような一方的な答弁では断じて承服することはできないのであります。従つてその事実を殖田法務総裁は知つておられるかどうか、この点を私は聞いておるのでありますから、この点をはつきり答弁願いたいのであります。それで、これに対する、今後若し事実があるとするならば、それをどのような方法でなさるか。この点も併せて質問いたします。    〔国務大臣池田勇人登壇
  21. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お答え申上げます。適正賃金、適正米価は、現在の我が国の財政経済諸般の事情を考慮して考えるのであります。(拍手)    〔国務大臣殖田俊吉君登壇拍手
  22. 殖田俊吉

    国務大臣(殖田俊吉君) 私はその事実を存じません。併しながら違法のことがあれば、これを救済する途は備わつておるということを申上げたつもりであります。(拍手)     —————————————
  23. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 先に大蔵大臣御病気のため留保された答弁をこの際許可いたします。池田大蔵大臣。    〔国務大臣池田勇人登壇
  24. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 総理大臣の施政方針演説に関する民質疑のうち、私が病気のため答弁を留保いたしておりました問題の中で、すでに他の御質疑中答弁済の分を除きまして、この機会にお答えいたしたいと思います。  この金融問題につきましては大体答弁済の事項が多いのでありますが、波多野君より、コスト切下げ、品質の改善のための生産設備の更新策如何、こういう御質問があつたと承わつております。我が国の自立経済を確立いたしますためには、やはり相当の運出を図らなければならぬことは異論のないところであります。而して輸出の振興にはどうしても安い良い品物を作るより外にございません。而して我が国生産設備状況は非常に、何と申しますか、陳腐化‥‥非常に壞れたり非能率であるのであります。どうしてもこの生産設備を早く立派にしなければいかん。このためには金融的‥‥いろいろな措置があると思うのであります。又見返資金をどんどん使つて行かなければならぬと思いますが、設備をよくするだけではまだ足りません。どうしても技術の振興を図らなければならぬ。外資導入ということが前から唱えられておりますが、お金も必要でありますが、優良なる技術を入れなければいけない。アメリカその他の優秀な技術者を入れるためには、いろいろな施策を講じなければならぬと思うのでありますが、そのうち最も重要なることは、特殊の技術者に対しての租税の軽減の措置であると思うのであります。今特殊れ外国から参ります技術者を入れようといたしましても、今の日本所得税法では殆んど来る人がないのであります。私はこの点につきまして特段の処置をすべく、今検討を加えております。  次の御質問は、金融機関の公共性、金融機関は公共性を没却してはいないかという御質問のようであります。中には数多い銀行の職員のうちで、公共性を忘れて不正なことをやつておる者もあると聞いておるのでありますが、全体といたしましては、只今の金融機関は、私が第五国会の当初におきまする財政演説で公共性を強調いたしたのでありまするが、その線に乘つて来ていると私は考えております。尚、この上とも金融機関の公共性に鑑みまして、銀行合理化を図り、又金利の低下を期し、而して又融資その他につきましての不正をなからしむるために、銀行検査を十分やつて、監督の十全を期したいと思つております。  次に、波多野君の質問に、為替レート維持の合理的手段というお話でありまするが、いろいろなものがございます。即ち我が国の経済を本当の自立経済に持つて行つて、而もデイスインフレの線に乘つて、低物価で良い品物を作る、安く良い品物を作ることが第一番であるのであります。各国との貿易協定の問題もありましよう。盲貿易の改善、CIF価格に切換える、船を使う、いろいろな点があると思うのでありますが、最近やりますことは、為替管理を統一いたしまして、外貨の有効的利用を図り、そうして貿易を民間に移しまして、民間の創意を入れ、そうして又足らざるところは輸出補償制度を使いまして、輸出貿易を発達さして行けば、為替レートは維持できると考えております。  次に、税の問題につきまして松井君から、早場米奬励金を免税してはどうかということでありますが、早場米につきまして免税することは考えておりません。とにかく所得のありますときには、これに対して課税することは税の理論から言つて当然であるのであります。併し早場米につきまして、生産費について、いろいろな費用が嵩むことは考えられますので、必要経費の算定につきましては、従来もそうでありますが、今後も十分考慮して行きたいと思います。  寒冷地單作地帶につきまして課税上特例を設けてはどうか。寒冷地或いは單作地帶につきましても、前と同様にやはり経費の面で考慮するより外にはないと思うのであります。従来も除雪、即ち雪を除く費用等、いろいろな点につきまして、他の土地よりも單作地帶につきましては所得計算上特例を設けているのであります。  次に、帆足君の御質問に、会社の研究費を免税してはどうか。会社の研究費は免税いたしております。ただ資本設備を研究費として支出したような場合、資本増設に研究費として支出したような場合におきましては、これはその年度において直ちに損金を認めるわけには行きません。その建設設備は一定年度の償却によつて損金を認めるより外にないと思うのであります。  文化功労者に対する課税上の特例、文化功労者に対しまして、その功労金についてどうするかという問題でありまするが、これは、やはりその性質をよく検討いたしまして、今度の所得税法の改正につきまして、この功労金等には免税するか或いは特殊の方法をいたすべく検討をしておるのであります。  次に、木下君の寒冷地手当及び石炭手当の支給はどうなつておるか。これは補正予算が通過いたしますれば今年度出すことにいたしておるのであります。  天田君の御質問の在外公館の借入金の処理、即ちこれは終戰当時におきまして、在中国公館その他が居留民から金を借りて、そうして居留民の生活費その他を賄つておるのであります。この在外公館の借入金につきまして政府が補償すべきではないかという議論が先年からやかましいのであります。我我といたしましては、只今審査会を設けまして、借入金の処理につきまして検討を加えております。もう暫らくお待ちを願いたいと思います。  次に、又天田君より農業に対する国家資本の投下につきましてのお話でありまするが、農業の必要性は先程申上げた通りでありまして、金融面におきましても、又財政資金をどうするかという問題につきましても、只今申上げた通りであります。政府はできるだけ農業方面に対しましての助成方策を講じようといたしております。  最後に、たばこの民営の問題について御質問でございまするが、只今大蔵省に臨時專売制度調査会を設けまして、民営の可否、或いは民営にするとすれば、その方法等につきましても折角検討をいたしておるのであります。もう暫らくお待ちを願いたいと思います。(拍手
  25. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) これにて大蔵大臣演説に対する質疑は終了したものと認めます。      —————・—————
  26. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 日程第二、未復員者給與法の一部を改正する法律案内閣提出)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員長櫻内辰郎君。     —————————————    〔櫻内辰郎君登壇拍手
  27. 櫻内辰郎

    ○櫻内辰郎君 只今議題となりました未復員者給與法の一部を改正する法律案の大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  先ず本案の提案理由及び内容について申上げます。未復員者の扶養手当は、現在配偶者は月額六百円、その他の扶養親族は一人に付け月額四百円でありまするが、最近の物価事情並びに国家公務員の給與との関連を勘案し、未復員者の扶養手当のうち、満十八歳未満の子のうち一人について月額六百円に引上げようとするものであります。さて、本案は十一月十八日、愼重に審議し、討論、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。右御報告いたします。(拍手
  28. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立〕
  29. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      —————・—————
  30. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) この際、日程第三、産業設備営団法及び交易営団法を廃止する等の法律案日程第四、帝国石油株式会社法の一部を改正する法律案日程第五、帝国燃料興業株式会社法を廃止する法律案日程第六、帝国鉱業開発株式会社法の一部を改正する法律案日程第七、日本製鉄株式会社法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出)以上五案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。通商産業委員長小畑哲夫君。     —————————————    〔小畑哲夫君登壇拍手
  32. 小畑哲夫

    ○小畑哲夫君 只今議題となりました産業設備営団法及び交易営団法を廃止する等の法律案外四件の法律案に関する通商産業委員会の審査の経過並びに結果について御報告申上げます。  先ず各法案に趣旨について申上げます。  産業設備営団法及び交易営団法を廃止する等の法律案は、両営団が戰時中に設立せられた特殊法人で、すでにその実質的活動を停止い、閉鎖機関に指定され、閉鎖機関整理委員会が特殊清算人として清算中でありながら、両営団法は形式的に存続しているので、第一に両営団法の失効時期を予め明確にし、第二に両営団は特殊清算事務を行う以外の業務を禁止し、第三に両営団法に基いて当該営団を新設してはならない等の規定を設けて、両営団法の廃止に至るまでの法律関係を明確にしたものであります。  次に帝国石油株式会社法の一部を改正する法律案帝国鉱業開発株式会社法の一部を改正する法律案日本製鉄株式会社法の一部を改正する法律案等の三改正案は、その趣旨において全く同じであります。従ち帝国石油株式会社は、石油資源開発の促進と振興を目的として昭和十六年設立せられ、帝国鉱業開発株式会社は、重要鉱物増産と鉱業及び製錬業の整備を図るために昭和十四年に、日本製鉄株式会社は、鉄鉱増産と昭和初期の不況から当該産業を保護育成するために、昭和八年、官営八幡製鉄所を中核として設立せられた特殊会社で、これら三社には政府が半額又はそれ以上の出資をして監督と助成を與えておるいわゆる国策会社であります。然るにこれら三社は戰争及びその後の客観情勢に推移により、換言すればそれぞれ再建整備を終り、増資又は第二会社の設立或いは集中排除法の適用などによりまして、いずれ三会社法は廃止せられるのでありますが、差当り政府の財政開担を経減するために、政府出資の義務等の資本金に関する規定を削除し、政府所有の株式を処分して、むしろ財政收入を確保せんことを意図するものであります。  第三に、帝国燃料鉱業株式会社法を廃止する法律案は、その名の示すごとく、人造石油製造業に対する投資及び人造石油製造を事業内容とする同社が、先の三社と同じく特殊会社でありながら、在外資産の喪失、戰時補償の打切により、特経会社となり、本年四月二十六日にはすでに第二会社が発足しており、同社が解散しておる現状にあるので、実質的に死文と化しておる法律を形式的に廃止することを規定したものであります。  次に質疑応答について申上げます。詳細は速記録に讓るといたしまして、主なるものについて一、二申上げますと、一委員より、各特殊会社の政府所有株式処分の具体的方法如何との質問に対し、特殊整理委員会より証券処理調整協議会を通じて一般市場に放出するようになるが、一時これら大量の放出株を引受けて呉れるシンジケートのようなものを作ることも一法である。尚、株価その他放出時期等については、一般の株式市場を圧迫せぬよう十分考慮すると同時に、財政收入に有利な株価を維持すべく愼重な態度で対処するとの政府の答弁がありました。又一委員より、政府出資義務を削除することにより、各特殊会社に対する指導監督を放棄するかとの質問に対し、政府は依然指導監督を持続するとの答弁がありました。  その他各法案について熱心なる質疑応答があり、愼重なる審議の結果、討論を省略して各法案につき採決をいたしましたところ、産業設備営団法及び交易営団法を廃止する等の法律案は全会一致を以て、帝国石油株式会社法の一部を改正する法律案帝国鉱業開発株式会社法の一部を改正する法律案日本製鉄株式会社法の一部を改正する法律案、帝国燃料鉱業株式会社法を廃止する法律案は、多数を以て可決すべきものと決定いたしました。  右御報告申上げます。(拍手
  33. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 帝国石油株式会社法の一部を改正する法律案及び日本製鉄株式会社法の一部を改正する法律案に対し討論の通告がございました。兼岩傳一君。    〔兼岩傳一君登壇拍手
  34. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 日鉄法、帝石法両案共に。文字に現われております改正は極めて簡單でございまして、なぜこれに反対するのかというような、むしろ疑問を抱かれる程であります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)併しながら鉄と石油は国内平和産業の基礎であり、日本民族が将来経済的な発展をして行く場合に根幹に当るものであり、而もこの二つの簡單な、一見簡單に見えるこの法の改正が、如何に将来この両産業に対して重大な影響を、むしろ決定的な影響というような影響を與えるかということを明らかにしたいと思います。  先ず日鉄法の改正でありますが、政府は財政收入増加を図るという理由から、日本製鉄株式会社の総株のうち、二分の一の政府所有の株を処分しようとしておるのであります。御承知通り日鉄は我が国銑鉄の八割、鋼材の四割を生産する大会社でありますが、この大会社の大量な株を民間に拂下げて、一体誰が買うかということが第一の問題であります。結局この株を放出いたしまして、そうして幾つかにこれを分割いたしまして、或るものはその将来性を失い、そのうち優秀な設備を持つ工場だけが恐らく捨値で外国資本に買取られて行くであろうということは、ほぼ明瞭であります、(「ノーノー」「そこに問題がある」と呼ぶ者あり)これは今後の実際が証明いたします。これは一方において基礎産業外国資本に任せるということになり、他方においては、これを基礎といたしまして、軍事的な潜勢力が外国資本によつて育成されるという危險性を含んでおるのであります。(「ノーノー」「そんなことはない」呼ぶ者あり)  第二の問題は、この株式の放出によつて誰が利益するかという問題であります。曾て吉田内閣は井華鉱業の株式処分に当り、大蔵省が持つております八十万株、それから持株整理委員会が持つております五十万株、計百三十万株の二百五十円の株式のものを僅か八十円でこれを売り飛ばして、大資本家にぼろい儲けを提供したということは周知の事実でありますが、今回の日鉄のこの厖大なる政府所有株式の処分につきましても、大証券業者、その主人公たる独占資本家等々の人達に儲けを提供するということは、これは極めて明瞭なことであります。(「そんなことあるか」と呼ぶ者あり)これは事実が証明しましよう。  第三に、これが最も重大な点でありますが、全体として我が国の鉄鋼業の将来がどういうふうにこれから進んで行くかという問題であります。先程もちよつと触れましたが、外国資本は、恐らく国際水準に達しておりますところの広畑というような優秀なものに資本を導入いたしまして、これを育成することでありましよう。併いながら我我に馴染の深い八幡、輪四、釜石等は、恐らくこれは、この設備の点から外資の導入は困難であり、犠牲にされ、縮小され、国際的競争から敗退するという、そういう将来の運命が約束されておるのであります。  然らば日本共産党は、こういうものに反対するのに対して如何なる政策を持つておるか。我が国は明治、大正、昭和の幾十年、国民の血税を以て鉄鋼業を育成して来たのであります。我が国は十分なる石炭を持たず、鉄鉱石を持たない。而も近代国家として進むために、重工業の根幹として鉄鋼業を育成しなければならなかつた。軍国的でありましたけれど、これは日本が今後も負わなければならない一つ産業的の制約であります。從つて我が党は、かような軍国的な意味でなくて、平和産業の基盤としての鉄鋼業において、依然としてこれを漸次に国営に移して、そうして人民管理によつてこれを育成して行くという、こういう私達は主張を持たなければらならかつたのであります。一部の資本家に利益を提供するために鉄鋼業を育成する考えはなかつたのであります。(「そんな馬鹿なことあるか」と呼ぶ者あり)而もこの育成はその前提として、全世界は勿論特に東洋各国とバーター制による自主貿易を、我々は考えておつたのであります。現に大冶や海南島の鉄鉱石を若し日本の自国船で持つて来るならば、一トン十ドルで買えるのであります。現在はユタ州その他から外国船により一トン十八ドルから二十ドルで買つている。開らん炭これは粘結炭ですが、現在十二ドルですが、カナダ及びアメリカから二十四ドル前後で買つております。これを同様に自国船で持つて来るならば、我々は十二ドル乃至十三ドルで購入できるという見通しを持つております。又十月二十五日の日本タイムすによれば、AP通信では、国連のアジア極東経済委員会において、ソ連代表は日本との貿易の拡大を望むということを明言しており、レール、車輪、機関車、鋼鉄船、木造船、焼玉エンジン、こういうものを幾らでも買うということを明言しております。(「ソ連に買つて貰え」と呼ぶ者あり)又中共の軍事委員会の鉄道部におきましては、現在二万五千キロの鉄道を今後の十年間に二十万キロに拡大し、約八倍でありますが、それに必要なるレールその他千八百万トン、機関車十七万輪、貨車二十七万輪、これを購入するということを発表しておる。これは恐らく実行して行くということは我々は確実だと考えておりますが、このレールその他機関車は凡そ日本生産の十ケ年分に当るのであります。我々はバーター制による東洋各国及び全世界との自主的貿易の将来に対しては、洋々たる希望を持つておるのであります。(「脱線脱線」と呼ぶ者あり)  次に帝石法の改正でありますが、この事情は全くこれと同様でありますから詳細説明はいたしませんが、ただ、こういう点をはつきりさして置く必要があると思うのであります。我が国現在の石油元売の総販売量の七割までは米英系、つまりカルテツクス、スタンダード、シエルという外国会社によつて売られております。又外資と提携しております日石、帝燃等を加えますと、九割までは押えられておるのであります。残る一割の国産石油を一手で処理し販売いたしておりますのがこの問題になつておる帝国石油でありますが、この帝国石油も同様の理由で、政府の持つております二分の一を処分しようとしておるのであります。ところが輸入価格は現在一バーレル六千五百円であります。これに対しまして国産のものは九千円であります。かくのごとく日本の経済條件は惡いのであります。從つてこれをこのような、輸入のものならば六千五百で買える、それで国産のものは九千円というような條件の会社を、そうしてたつた残された一割だけの自主的な日本の会社を、自由経済或いは民営というような美名の下に街頭に放り出すということはどういうことを招来するか。これは二つの途しかない。一つは潰れるか、一つは二束三文で外資がこれを買收するか、二つしかないというふうに私共は見ておるのであります。我が党は、鉄と同様にかような基礎産業は国営に移して、人民の管理の下にこれを育成して行かなれればならないということ(笑声)大資本の利益のためにこれを育成するというのと正反対の途を、而して民族のこの将来の独立の発展のために、かような鉄及び石油のごとき重要な産業は徐々に国営に移して行き、これを育成して行かなれけばならぬことを主張するものであります。  今回提案されておりますのは、これと正反対に、自主性を失い、且つその優秀な設備でない大部分を縮小し、荒廃させ、国際的な競争から敗退させ、そうして植民地への道を進もうとするものである。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)  以上の理由によりまして、日本共産党はこの二法案に根本的の立場から反対するものであります。
  35. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより採決いたします。先ず産業設備営団法及び交易営団法を廃止する等の法律案及び帝国燃料興業株式会社法を廃止する法律案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を願います。    〔総員起立〕
  36. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決せられました。      —————・—————
  37. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 次に帝国石油株式会社法の一部を改正する法律案帝国鉱業開発株式会社法の一部を改正する法律案及び日本製鉄株式会社法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔起立者多数、「反対」と呼ぶ者あり〕
  38. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて三案は可決せられました。      —————・—————
  39. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 日程第八、郵便物運送委託法案内閣提出)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。郵政委員長山田佐一君。     —————————————    〔山田佐一君登壇拍手
  40. 山田佐一

    ○山田佐一君 只今議題となりました郵便物運送委託法案につきまして、郵政委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  先ず本法案が提出になつた理由を要約して申上げます。元来郵便物の取集運送及び配達は郵便業務の大部をなすものでありまして、事業独占の建前上、国においてみずからこれを行うことが一応期待されるのでありまするが、国有鉄道及び地方鉄道によつて郵便物を運送する場合、又自動車等を郵便物の運送に使用する場合、若しくは山間僻地における郵便物の取集、配達の作業のごとく、事業の経済的運営の観点から民間運送業者等にもこれを委託するのを適当とする場合が少くないのであります。而して郵政大臣が郵便物の運送を委託する場合に関する法律といたしましては、明治三十三年制定の鉄道船舶郵便法がありますが、同法はその規定の対象が地方鉄道法による鉄道運送業者及び商法による船舶運送業者に限られておりまして、自動車運送業者等その他の運送を行う者には及ばないばかりでなく、運送を委託する場合及び委託する方法等についての規定に欠くる等、現下の情勢に副わないのであります。従いまして鉄道、船舶のみならず、自動車等のあらゆる運送機関の利用についても規定すると共に、運送委託の場合、委託の方法及び内容につきましても、早急に規定する必要がありますので、本案の提出となつたのであります。  今その主要な点につきまして申上げれば次の通りであります。  先ず第一に、運送の委託を契約によることといたしてありまして、而も契約は競争によることを原則といたしております。併しながら競争に応ずる者がないなどの理由によりまして、競争契約によることができなかつた場合、或いは鉄道又は軌道を使用する必要がある場合等におきまして、当該区間にその数が二つ以上ないときは、随意契約によることができるように規定いたしてあります。而して一般運送事業者が郵便物を運送する場合における運送料金は、一般には郵便物の運送原価に公正妥当な利潤を加えた金額を基準とし、又その資本金政府出資する運送事業者及び地方公共団体については、郵便物の運送原価のみを基準とすることといたしてあります。尚この基準の設定に当りましては、公正を期するため、運輸大臣が予め郵政大臣に協議して、運輸審議会に諮り決定することといたしてあります。  第二に、今申し上げましたように、郵政大臣が契約によろうといたしましても運送事業を営む者が契約に応じなかつた場合には、郵便物の運送確保上、鉄道、軌道その他特に指定した一般運送業者に対して、郵便物の運送及び運送に関して必要な施設及び役務を要求できるようにいたしてあります。而してこの場合には、当該運送業者に対しては、先に申上げました運送料金の基準に基いて正当な補償を行うことといたしてあります。  第三といたしましては、郵便物の安全、正確且つ迅速に運送を確保するため、郵便物の運送を行う者に対して、例えば郵便物の運送途中において事故の発生した場合、郵便物の保護その他必要な措置をとらなければならない等、郵便物の取扱上守るべき義務を規定してあります。  以上が本法案の内容でありまするが、委員会における質疑の主なるものを申上げますると、本法案は、従来の鉄道船舶郵便法に代り、自動車運送業者その他の運送を行う者をも対象として詳細な規定を設けておるが、郵政省の自動車運送業者に対する運送委託の方針、殊に日本郵便逓送株式会社に対する態度如何との質問に対しましては、郵政省は、この法律の実施により、自動車運送業者と広く一般競争による契約によることとなり、従つて特定の自動車運送業者と特別の関係を結ぶことを予定しないのを根本の建前とするものであり、従つて創業以来、人事その他について監督していた日本郵便逓送会社に対しては、終戰後特別の監督関係を廃しておるが、この法律の下においては、一般の運送業者と全く同一の取扱をなすこととなり、又共済組合において同社株式の一部を保有しておるのは、單に確実且つ有利なる利殖方法として投資しておるに過ぎないとの答弁がありました。(「簡單」と呼ぶ者あり)以上の外、逐條に亘り愼重審議いたしましたが、詳細な速記録によつて御了承を願いたいと存じます。  かくて質疑を終り、討論に入つたのでありまするが、緑風会の渡邊甚吉委員より原案に若干の修正を加える発議がありました。以下その修正案の内容を申上げますると、その第一点は、本法律案第五條において、運送料金の基準そのものは、運輸大臣が予め郵政大臣に協議して、運輸審議会に諮り、その決定を尊重してこれを定めることになつておるのでありますが、運送料金の基準の変更については、運輸審議会から勧告を受けたときは、運輸大臣から單に郵政大臣に通知するを以て足りることになつておりますのを、やはり運送料金の決定の場合と同様、郵政大臣に協議してこれを変更することに修正しようというのであります。修正案の第二点は、第十五條において、運送業者が郵政大臣の要求に基いて郵便物を運送し又は施設若しくは役務を提供したときに支拂う補償金額は、郵政大臣が運輸大臣に協議して定めることになつておるが、その補償金の額に不服のある者に対しては訴を以て増額を請求することができる途を開くために、第二項及び第三項として新たに所要の規定を加えようとするものであります。又修正案の第三点は附則第二項の次に罰則の適用に関する経過規定の一項を挿入しようとするものであります。  かくして討論を終り、右修正案の採決に入りましたところ、渡邊委員提出の修正案は全会一致を以て可決せられ、次いで爾余の部分について採決いたしましたところ、原案通り全会一致を以て可決せられました。よつて本法案は全会一致を以て右の通り修正可決すべきものと決定されたのであります。  以上を以て御報告を終ります。(拍手
  41. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔起立者多数〕
  42. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は、委員会修正通り可決せられました。本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知申上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十一分散会      —————・————— ○本日の会議に付した事件  一、日程第一 国務大臣演説に関する件(第十日)  一、日程第二 未復員者給與法の一部を改正する法律案  一、日程第三 産業設備営団法及び交易営団法を廃止する等の法律案  一、日程第四 帝国石油株式会社法の一部を改正する法律案  一、日程第五 帝国燃料興業株式会社法を廃止する法律案  一、日程第六 帝国鉱業開発株式会社法の一部を改正する法律案  一、日程第七 日本製鉄株式会社法の一部を改正する法律案  一、日程第八 郵便物運送委託法案