運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1949-10-31 第6回国会 参議院 本会議 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十月三十一日(月曜日)    午時十時三十五分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第四号   昭和二十四年十月三十一日    午前十時開議  第一 両院法規委員の選挙     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。      ——————————    〔田中利勝発言許可を求む〕
  4. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 田中利勝君。
  5. 田中利勝

    田中利勝君 本員はこの際、貿易政策及び鉱業問題について緊急質問をすることの動議を提出いたします。
  6. 小林勝馬

    小林勝馬君 本員は田中利勝君の動議に賛成いたします。
  7. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 田中君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。田中利勝君。    〔田中利勝登壇拍手
  9. 田中利勝

    田中利勝君 私は最近の輸出不振の窮状打開に関連いたしまして、政府貿易対策について質問いたしたいのであります。日本経済自立化を窮極の目的とする経済九原則の実施は、インフレを抑止し、企業合理化を行い、生産増大すると共に、輸出振興を図ることをその最大の目的としていたことは明らかであります。これがために、この四月に三百六十円の單一為替レートの設定を見るに至つたのであります。然るに本年に入りまするや、アメリカを初めとして世界的不況に際会し、遂にイギリスも三〇%のポンド切下を断行し、これに呼応してインドその他の各国も又同じく三〇%内外の為替レート切下を行なつたのであります。即ち政府が当初予想していた状況と今日当面している事態との間には、甚だしい変化と相違が生じたということを先ず第一に指摘して置かなければならないのであります。最近におきましては、輸出の不振は著しく、その滯貨綿糸綿布だけを見ましても、五百億円と言われておるのであります。その他総計いたしますならば、実に一千億円の巨額に達すると見られているのであります。又ポンド切下直後の九月下旬においては、輸出契約高は五百九十万ドルに減退しております。そのため安本見通しといたしましても、本年度輸出は大体において四億五千万ドルに停滯するのではないかと予想されているのであります。かように我が国経済再建の根幹をなすべき輸出貿易は誠に憂慮すべき事態に置かれているのであります。他方において現内閣は、輸出補助金を打切ると共に価格差補給金の削減乃至撤廃を行い、更に中小企業は著しい金詰り現象を呈しているのであります。これがため企業合理化の強行によるコスト引下げは、労働者の首切り、賃金の切下げ、或いは労働強化を招きつつあるのであります。かような輸出の不振、生産減退失業増大は、一般国民耐乏生活を過重しているのであります。今や労働不安或いは社会不安の樣相を呈するに至つたのであります。このことは実に吉田内閣財政金融政策の破綻を暴露したものと言わざるを得ないのであります。以上の意味におきまして、今日の経済的不況打開する上からして、如何にして輸出を増進するか、從つて又そのために如何なる輸出振興対策を用意するかということは極めて重大であることは明らかであります。かような立場からいたしまして、私は特に次の諸点について政府所見をお伺いしたいのであります。  先ず第一に、今後日本輸出貿易の大勢を考えまするならば、從來の軽工業中心から漸次機械工業化学工業へと切り換えられて行かなければならないと思うのであります。この場合におきまして、大工業が必ずしも有明にして最も適した資格を有するとは申せないのでありまして、中小企業においても、その優秀な設備と技術を持つているものが決して少くないのであります。即ち我が国産業構造特殊性考えますばかりでなく、輸出産業の面から見ましても、中小企業の果すべき役割は大きく、その地位は極めて重要であることは申すまでもないのであります。從いまして、一般中小企業が甚だしい金融難に見舞われておるのでありますが、輸出産業に関連する中小企業金詰り打開については、急速且つ積極的にこれが対策を講じなければならないと思うのであります。成る程、日銀を通じまして或る程度追加信用が出されておるのでありますけれども、市中銀行営利主義に禍いされまして、中小企業融資は決して十分とは申せないのであります。更に又貿易金融円滑化を図るために、貿易手形に対する保証として日銀がこれを再割引することが必要であると考えるのであります。以上の中小企業融資日銀保証融資の点について池田大蔵大臣の御所見をお尋ねいたしたいのであります。  第二には、輸出増大を図るためには、輸出市場の開拓が重要であることは申すまでもありません。我国の輸出貿易は、戰前におけると同じように東亜市場が占める比重が極めて大きいことは、今後においても何ら変ることはないと思うのであります。從つて東亜地域との貿易協定の拡大に努力しなければならないことは勿論であります。特に中日貿易の今後の見通しについて、政府は如何に考えておられるかお伺いしたいのであります。又ドル地域スターリング地域との調整を行い、現在のドル決済の行詰りを打開するために、多角的決済方式を採用することが極めて大切であると考えるのであります。政府はかような多角的通商協定の締結の実現に積極的に努力する御用意があるかどうかお尋ねいたしたいのであります。更に現在の貿易は、輸入はC・I・F価格輸出はF・〇・B価格を以て行われておるために、甚だ不利な状態に置かれておるのであります。即ち折角割安の日本制品が、運賃保險料等外国の手に委ねられておる関係からいたしまして、結局において割高になるために、輸出が困難であるか或いは不能となつておるものが相当数に上つておるのであります。かような不合理を速かに除去する上からも、航洋船舶が広く外国に就航できるように努力すると共に、近い将來において、C・I・F建輸出とF・〇・B建輸入貿易方式実現可能性があるかどうか、政府にお伺いしたいのであります。尚、現在、不自然な盲目貿易状態からいたしまして、クレームやキヤンセルが甚だ多いのであります。これが損失の補償については政府も別途に考慮されておると思うのであります。併しながら、先ずクレームを積極的に防止する上からも、又不当なクレームに対してその責任を明らかにするためにも、輸出製品品質の向上と規格統一を図ることが大切であると考えるのであります。この意味生産者貿易業者労働者、官吏、学識経験者代表者からなる民主的な規格委員会のごときものを設けて、輸出検査制度を実施することが適切な方法であると思うのでありますが、これについて政府の御見解を伺いたいのであります。以上の諸点につきまして、稻垣通大臣並びに青木安本長官の御答弁をお願いしたいのであります。  第三は、ボンド切下げに伴うところの情勢変化に応じて円レート切下げるかどうかの重要問題であります。ドル地域から輸入し、ボンド地域輸出する建前をとつている我が国貿易事情からいたしまして、ボンド切下げ相当打撃輸出貿易に與えていることは疑い得ないのであります。一面、現在対英貿易協定貿易でありまして、自由通商の場合とは自ら異なるとはいいましても、我が国製品に対するイギリス輸出競争力増大いたすと同時に、切下げを行なつた英連邦諸国我が国からの輸入を抑圧することは明らかでありまして、我が国輸出貿易相当の圧迫を受けて輸出の不振を招くことは、すでに述べた通りであります。かように輸出面における円高の不利は挙げて企業合理化の過程を促進し、生産コスト引下げの負担は勤労者の肩にのみかかつて來ることは明らかであります。而も尚一〇%乃至一五%のコスト引下げ合理化によつて可能であるかどうか甚だ疑問であります。多くの企業においても輸出採算割れの結果は、更に輸出減退失業者増大となると考えられるのであります。從いまして不利な円レートを今後維持するということは、デフレ的恐慌現象を一層深刻化するものと申さなければならないのであります。かような事態を冷静に判断いたしまするならば、円レート引下げは時期の問題であると考えるのであります。然るに吉田首相は再三に亘つて円レートの維持を言明されているのであります。切下げの必要がないとの理由と根拠についてその御見解をお尋ねいたしたいのであります。又他日切下げが行われる場合において、その政治上の責任を如何にしてとられるか、この点について首相の所信をお尋ねしたいのであります。以上、今日の輸出貿易不振の打開に関する諸点について関係大臣の御答弁をお願いしたいのであります。  次に簡單に一言、電気銅の価格差補給金打切りに伴うところの政府鉱業政策について質問いたしたいのであります。  銅、鉛、亜鉛等非鉄金属鉱業は、敗戰後の極めて困難な状態に置かれていたにも拘わらず、鉱山労働者再建の意欲によつて、その生産は漸次回復されて参つたのであります。鉛、亜鉛については、すでに四月以降、価格差補給金が打切られておりますが、更に銅については今回補給金が廃止されるに至つたのであります。非鉄金属鉱業は、すでに現内閣の誤まつたるところの財政金融政策によつて国内有効需要減退滯貨の激増のために苦境に立つているのであります。これに加えて補給金打切り打撃は、大半鉱山をして操業不可能の状態に陷れ、その結果、三万五千人の失業者が予想せられているのであります。政府補給金の廃止を無準備に強制し、その善後策を何ら講じないことは、折角立つ直りつつある産業に対して不当な打撃を與えて、日本経済再建を却つて妨げている結果を來たしていると言わなければならないのであります。成る程、銅の滯貨はすでに一万六千トンに達しておりますが、今後一年間以内において、国鉄、電力等大口需要を見越すならば、やがて多くの米銅輸入せざるを得ない状態になつて來ると思うのであります。從いまして国民経済の全体を考慮いたしますならば、鉱山産出銅についてのみ消費されないものだけについて政府合理的な価格を以て一定数量買上げて、以て崩壞の危機にあるこの金属鉱山生産最低限度に維持しなければならないと考えるのであります。この点について政府のお考えを承わりたいのであります。更に政府海陸運賃の改訂につき、貨物運賃引上げ考えておられますが、このことが実現されますならば、現在日本金属鉱山精錬所を持たない大部分の鉱山は、補給金は打切られ、更に貨物運賃が九割引上げられるということが伝えられておるときにおきまして、いわゆる精錬所に送るところの売鉱鉱山の鉱石は大貨物となつて厖大な運賃を支拂わなければならないということになりますから、日本のいわゆる地下資源金属鉱山大半を挙げて崩潰せざるを得ない状態に直面しておるのでありますが、この貨物運賃に対して政府割引制度考えておるかどうかお伺いしたいのであります。  更に、鉱山合理化を促進し、生産コスト引上げることは当然でありますが、もう一つの大きな要素をなしておるところの深鉱費或いは試堀費に対して政府助成金を増額すべきであると思うのであります。而もその財源は、現在我が国内に豊富な資源があるにも拘わらず、硫化鉱輸入計画を立てておるように聞いております。この輸入補助金を深鉱費に振向けるならば、その実現は決して困難でないと思うのであります。銅の一部の政府買上げと共に、深鉱費の増額について稻垣通大臣の御意思をお伺いしたいのであります。同時に今日当面する非鉄金属鉱山窮状打開する上に、政府鉱業政策について御所見を承わりたいのであります。    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  10. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 田中君にお答えをいたします。  為替レート切下げについて私の言止に対してのお尋ねでありますが、私は現下の事情においてこれを切下げるという必要はないのみならず、実はかくのごとき御質問を受けるさえも或いは輸出ためによくないではないかと思うくらいであります、政府円レートを三百六十円に決めるときに当つて、今日の事情考えなかつたのだろうということが前堤のように伺いますが、三百六十円に決めたときは、その当時を御記憶であるかどうか存じませんが、三百円にしたらよからう、或いは三百三十円にしたらよかろうという話もあつたのでありますが、三百円に当時決めたとするならば、そうして今日三百六十円に直すとしたならば、その当時以來からすでに二割の切下げを見込んでおつたとも言い得るのであります。又今日一番問題になりますのは、輸出を妨げる問題になるのは、何かと言えば、日本政府円切下げをしやしないかというこの不安であります。故に政府は断じてしないということをしばしば言明するゆえんであるのであります、又仮に将來二割の切下げを必要とすることを見込んでおつたとして、三百六十円に決めたとするならば、問題はポンド切下げの率に從つて見れば、あと約一割ということになるのでありますが、この一割は企業整備或いは合理化等によつて日本工業が、日本産業が働き出すべきものであると私は考えるのであります。又これによつて日本産業合理化を促進すべきものであると私は考えますから、それで切下げないと言明をいたしておるのであります。又言明をいたした結果であるかどうか知りませんが、最近は輸出は動き出しておるということに承知いたしております。又今日最も考えなければならぬことは経済界の安定でありまして、若し為替レートを動かすということになれば、これによつて更に他の変動が生じ、不安が生じ、安定を害することになるのでありますから、政府の方針としては切下げない、こう確定をいたして世界発表することがいいと考えておるのであります。然らば将來切下げたらどうするか、私は敢えて釘付けにすると言つておるのではないのであつて、現在の事情においては切下げない方がいいと申すのであります。(拍手)    〔国務大臣稻垣平太郎登壇拍手
  11. 稻垣平太郎

    国務大臣稻垣平太郎君) 田中議員の私に対する御質問お答え申上げます。  第一の御質問は、多角的通商協定実現についてどう考えておるかというように承知いたしました。御承知のように只今は相対的な二国間の通商協定であります。多角的な通商協定はいたしておりません。併しながら実質的に申上げますというと、例えばポンド・ブロツクに対するところの協定にいたしましても、総合的の調節をいたしますと同時に、残がありました場合におきましては、それ以外の支拂協定国でありまするところのパキスタンでありますとか、或いはイラン、イラクというようなものに対してこれを振向けるといつたような措置をとつております。或いは又フランスとの通商協定におきましては、フランス本国と同時に、仏印に対して有無相通ずる方法を講じておるわけであります。その他そういつたような形で、例えばアルゼンチンのごときは、その貿易尻が残りました場合には、これを他のポンドを使用し得る国に振向けるといつたような協定をもいたしておるようなわけであります。併しながら御指摘のように、ドル不足の今日におきましては、できるだけ多角的な通商協定を結ぶことが必要であることはもとよりでありまして、その点では私らも全く御同感であります。それで我々といたしましても、できるだけポンド地域に関連を持ちまするところの、言い換えれば、英貨支拂を適用し得る地域に対しましては、相互多角的な協定と申しまするか、適用を受け得るような方策を講じたい、かように考えておりまするし、又オープンアカウントで決済されておりまする地域につきましても相互有無相通ずるような形に持つて行きたい、かように考えております。又御承知の米国からE・C・Aの援助国に対しましては、これは勿論多角決済が可能であると、かように考えておるわけであります。  第二の御質問は、C・I・F建輸出、或いはF・〇・B建輸入貿易形式の問題であつたと思うのであります。これについても我々はかねてC・I・F建輸出なり或いはF・〇・B輸入について、全く田中さんの御指摘のような考え方でいろいろ折衝を続けて参つておるのであります。殊に海外のバイヤーにおきましては、フレイトなり或いはインシユアランスレートというものを一々計算しなければ他国との比較ができない。或いは又即時に他の国との価格を比較する場合に、C・I・F建輸出なり或いはF・〇・Bの輸入なりを比較するのに困るというので、たびたびC・I・F建或いはF・〇・B建について向うから申出を受けておるのであります。ただ問題はオープンアカウントにおきまして、この外貨の尻を償うだけの勘定を認めて貰うこと、或いは又インシユアランスにおきまして、クレームが起きました場合に、それをカバーし得るだけのインシユアランス積立金を向うに認めて貰うこと、こういつたような点について尚折衝の余地がありまするので、目下折衝を繰返しておるようなわけであります。  それから、その次は輸出検査制度でございますが、輸出検査制度につきましては、これは今度のポンド切下げに関連いたしまして、円は我々切下げない、こう言つたと同時に、フロア・プライスを廃止したということのために最も縣念されておることは、日本がダンピングをやりはしないか、或いは品質を甚だ低下させはしないか、こういつたようなことが問題に相成つておることは新聞なんかで御承知通りであります。そこで我々といたしましては、この検査制度については最も愼重にこれを考慮する必要がある。從來輸出品取締法がありましたことは、これは御承知通りでありますが、今回これが一部改正をいたしまして、そうしてできるだけ民間輸出につきましても権威あるものにさしたい。そうして品質規格統一或いは品質の改善について努力をいたしたいと、かように存じまして、本臨時国会輸出品取締法の一部改正法律案を提出いたす考えになつておるわけであります。さよう御了承を願いたいと存じます。  それからその次の御質問は‥‥    〔田中利勝君「中日貿易見通し」と述ぶ。〕
  12. 稻垣平太郎

    国務大臣稻垣平太郎君) (続)中日貿易見通しの問題でありますが、これは私この前この壇上でも申上げたと思うのでありますが、御承知のように中日貿易と申しましても、我々は目下管理下にありまするので、從つて我々の政策司令部ポリシイと軌を同じくするものでなければならないと、かように我々は考えておるのであります。從つて只今といたしましては、実際に中日貿易というものが直接には取引が行われていないということは事実であります。ただ実際上におきましては、香港のバイヤー或いはその他朝鮮のバイヤーを通じまして、取引が実際には行われておる。一部には取引が行われておる。そこで今後できるだけ対中国との取引につきましては、何らかの方法によりまして、これが連繋を図つて行きたいと、かように考えておるのであります。從來凡そ日本輸出入の三割を占めておりました対中国貿易でありますから、我々はこれを全然ネグレクトしているものではないということを申上げて置きたいのであります。  次に鉱業問題についてお答え申上げたいと存じます。第一には銅の補給金打切についての問題でありますが、御承知のように、これはもう田中さんの御專門で非常によく御承知と思うのでありますが、今日大体五千トン程度の月産があるかと思うのでありますが、そのうちの半額は、半額とは申せませんが、大体二千トンくらいはこの頃は余つておる、或いは千五百トン程度は余つておるとの情勢にあることを承知いたしております。併しながら恐らく從來日本の銅の需要状態から見まして、ここ一年或いは一年半のうちには、むしろこれが不足を來たす、或いは輸入されなければならないという情勢に相成るであろうと我々は存じておるのであります。その意味におきまして、今度、銅の補給金を外すと同時に我々がとりましたところの手当は、今日ありまするところの、先程御指摘滯貨のうち約一万トンを、大体アメリカから輸入しますところの、日本へ入つて來るC・I・F値段相当する金額を以て融資する、こういう形で、我々の斡旋によりまして、すでに融資は進行いたしておるのであります。一万トンでありまするから約十四億円でありますが、この程度融資が進行いたしておるということを申し添えて置きたいと思うのであります。それと同時に從來計上してありませんでした探鉱費特に銅の探鉱費を計上する。今度の補正予算にも大体六千万円の探鉱費が計上いたしてあるのであります。それからして、探鉱費の問題にそのまま入つてしまいましたが、御承知のように探鉱費從來は金につきまして約千四百万円と記憶いたしておりますが、千四百万円の探鉱費が計上されておつたのでありますが、今回は補正予算について六千万円の銅の探鉱費を計上して、尚、來年度におきましては一億二千万円の探鉱費を計上いたしておるようなわけであります。その外、黒鉛、石綿等につきましても多少の探鉱費を計上いたしておるような次第であります。大体一メートル当り八千円と我々は推定いたしまして、その半額の四千円を計上いたしました額が一億二千万円、こういうことに相成つておる次第であります。非鉄金属について、いろいろ例えば今後の補給金打切りその他によつて三万五千人の失業者が出る、こういうお話でありますが、この点もさようなことを言われておることを私は承知いたしております。併しながらこれに対しましては、我々といたしまして一方に今後将來必要であろうと想定されまするところの金の採取に対しまして、特にこれが奬励の手段をとりたい。御承知のように只今は採金額は約二トン半乃至三トンであります。これを三年間の計画といたしまして十トン程度引上げて行きたいということを考えております。例の鴻ノ舞或いは串木あたりはすでにその準備に著手いたしておるようなわけでありまして、殊に我々は青化精煉所設備その他に対して融資方法を講じて、直接融資方法を現に行なつておることを申し添えて置きたいのであります。  それから御指摘硫化鉱の問題でありますが、硫化鉱は、來年度はできるだけ多くの肥料を作りたい、できれば輸出にも振向けたい、かように考えております。大体肥料を百八十万トンくらい作る、そのうち十万トンくらい輸出に振向けたいと考えておりますので、從つて硫化鉱につきましては特にその増産奬励するの方法をとりたいと考えておるのであります。只今硫化鉱輸入云々お話がありましたけれども、昨年度の形勢においては、今年度十万トンを輸入する必要があろうかというので、十万トンの輸入計画いたしたのでありますが、その後、硫化鉱の成績が非常によろしいので、本年度の十万トンもこれを差止めるという措置をとつたのでありますが、すでに二万五千トンだけは輸入済でありましたので、あとの七万五千トンというものはこれが輸入を取止めた、ころいう情勢であります。尚、來年は硝安の輸入をもこれを差控えまして、国内硫化鉱増産に待とう、こういうように考えておりますので、硫化鉱増産とそれから採金の政策、この二つによりまして、恐らくその三万五千人と称せられるところの田中さんのいわゆる失業者というものは私は大いに緩和されるのではないか、かように考えております。私に対する御質問お答えといたします。      ——————————    〔椎井康雄発言許可を求む〕
  13. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 椎井康雄君。
  14. 椎井康雄

    椎井康雄君 本員は経済復興五ケ年計画発表中止に関する緊急質問動議を提出いたします。
  15. 小林勝馬

    小林勝馬君 椎井君の動議に賛成いたします。
  16. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 椎井君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。椎井康雄君。    〔椎井康雄登壇
  18. 椎井康雄

    椎井康雄君 私は吉田総理御自身の意向によりましてその発表を中止されました経済復興計画最終決定案発表中止の理由に関しまして、吉田総理並びに青木国務大臣に若干お尋ねして見たいのであります。  御承知のごとく経済復興計画昭和二十二年八月、片山内閣当時以來、二ケ年の日子と二千人に達する経済專門家を動員いたしまして、本年五月末には全編三部からなる厖大なる勧告書として最終決定案が作成され、七月三十日にはいよいよ公表される運びに立ち至つたのであります。ところが復興計画委員会の委員長である吉田総理御自身が、その公表の前々日の二十八日になつて、この計画案は再検討を要するから発表を差控えるようにとの御意見を玉されたのであります。吉田総理が特に指摘された点は、本案にはアウタルキー思想に基いて、重工業、軽工業等すべての経済復興が含まれておるが、もつと日本産業の特徴を生かして、世界経済の一環として有無相通ずるという見地から立案すべきであることをば強調されたと当時の新聞紙は発表しておるのであります。吉田総理のこの御意見に対しまして、八月上旬には青木国務大臣経済安定本部総務長官の資格において、経済復興計画委員会並びに同事務局の意向を伝達すると共に、重ねて同案発表についての了承方を吉田総理に求められた模樣でありますが、吉田総理は特に理由を明示せず、重ねて同案の発表方を拒まれたのであります。吉田総理のかかるたつた二回の片々たる発言によりまして、二千名の專門家が二ケ年も掛つて精根を盡して作り上げましたところの戰後の我が国経済復興計画案は、赤子の手をひねるがごとくにひねられてしまつたのであります。而して政府は、この吉田総理のこのたつた二回の発言以外には、一言も発表中止についての理由を国民の前に明示しておらないのであります。その結果は、現内閣における吉田総理の独裁性を露骨に現わした代表的な事例といたしまして、又民主自由党政治の非民主的なる運営の一典型といたしまして、強烈なる印象を全国民に植え付けたのであります。申上げるまでもなく、政府の命令によりまして官吏諸君が各種各樣の計画案を作成することは当然のことでありますし、又その成果の修正を求めることも、又場合によりましてはその成果の発表を中止することも、政治を担当する者の立場といたしましては大いにあり得ることでありまして、吉田総理の御処置のみを非難するのは不当かのごとくでありますが、残念ながら経済復興計画案に対する吉田総理の御処置は、私にとつて納得が行きかねるのであります。元來この経済復興計画案は、吉田総理も御承知のごとく、資本主義経済計画であることを大前提といたしまして、昭和二十四年度を第一年として昭和二十八年に至る五年間に我が国人口が八千七百万人に増加するという想定の下に、これだけの人口量の国民が極東委員会で承認された昭和五年乃至九年平均の生活水準にほぼ近い水準を維持し、その間に合理的な自立経済の循環を図るためには、昭和五年乃至九年を基準にして考えて、どれだけの鉱工業生算を五ケ年の間に遂下する必要があるのか、どれだれの農業生産が必要なのか、又どれだけの規模の貿易が必要であるのかを測定いたしまして、かかる生産を挙げるため国民の所得の規模のその配分の比率如何、労働生産性の水準如何を推定し、更に国民一人当りの生活水準がこの五年間のうちに如何に変化し得るか、如何に改善され得るかを測定したる作業であります。この作業が最終決定案に到達するまでの間に、客観情勢に大きな変化があつて、折角の決定案もその計画内容は著しく実情とかけ離れ、政府政策と大きな食い違いを生ぜざるを得ないようになつたことは、ここにわざわざ吉田総理御自身から御説明を聽かずとも、議員諸君すでに御承知通りであります。本計画案が最初列から「資本主義下の経済計画」と前提いたしました通り、資本主義経済は、国際経済においても国民経済においても、多少の変動が常に生ずることは分りきつた事実なのであります。けれども我々国民がかくかくの経済條件の下でなら、それだけの努力をすれば、それだけ生活は向上するのだという目標は、極めて科学的、合理的に明示する必要があり、最終決定案はこの点に多いて優れたものであつたと信ずるのであります。政府は多額なる国家予算と多数の專門家を長日月動員して、折角これだけの成果を挙げながら、何故この内容を公表して、国民の批判に訴え、復興計画の意のあつたゆえんを明らかにしないのか。要後の見通しなり計画を立てる場合の有力なる参考資料として、何故その全貌を国民全体の共有財産として公開されないのか。  私は吉田総理にお伺いいたしたい。  第一に、御自身その最高責任者であつた経済復興計画発表中止の現状をもつと詳細に発表する責任を痛感せざるや否や。特に吉田総理が言われるアウタルキーなる概念について、ここに明確なる御説明をお願い申上げたい。と申しまするのは、吉田総理国民経済経済的自立と戰時中の排他的自給自足を混同しておるのではないかと思われるからであります。  第二に、先に述べたごとく、この経済復興計画最終決定案を一つの参考資料として発表した方がよいとはお考えにならないかどうか。  第三に、我が国経済の長期見通しについて、この計画案を発表せずとすれば、これに代る新案の用意ありや否や。以上三点についてお伺いをいたしたい。  又青木国務大臣にお伺いいたしたい。  第一に、経済復興長期計画について、目下経済安定本部は如何なる作業を続けておられるか。但し九月上旬、新聞に発表された経済二ケ年計画なるものは長期計画だとは認められません。  第二に、長年月多数の人員をかけて作成した本計画案主宰の直接の当事者として、発表中止の責任を如何に考えておるか。以上二点についてお伺いいたしたい。  尚、本日の質問に触れることのできなかつた細部の問題については、改めて委員会において質問すべく留保いたして置きます。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  19. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 椎井君にお答えをいたします。  私が五ケ年計画発表を待てと、こう言つたのは、再検討をする方がいい。アウタルキー云々ということは新聞に書いてあつても、これは私は責任を負わないのであります。私が申したことは、この五ケ年計画なるものを再検討する、そうして然る後に発表する、しないは決めるがいい、こう申したのであります。何となれば私は五ケ年計画を立てるということ自身がおかしいと思うのであります。たとえ何千人の人を動員しようが、その考案それ自身について私は疑いを持つのであります。何となれば、国家或いは政府計画を立てるとなれば、先ず今年度計画、或いは來年度計画、或いは再來年度計画程度は立て得るかも知れないのでありますが、五ケ年計画という計画を私はどうして立てるのかと思うのであります。この変転極まりない時世に当つて何を土台としてこういう計画を立てるか。(笑声)社会党の議員諸君は何と言われるか知りませんが、私は承服はできないのであります。百年計画ならとにかくでありますけれども、五ケ年計画はおかしいと思う。というゆえんは、先ず第一、日本の統計というものが私は甚だあやしいと思うのであります。という証拠は、私が外務大臣拜命の当時に、三百五十万トンの主要食糧の輸入がなければ飢餓が起り、餓死する者が生ずる、こういう政府の話であつたのでありますが、御承知通り第一年度においては七十万トン以内の輸入で以て何らの、誰も飢餓せずに仕合せにして過し得たのであります。私はこの戰時中以來、日本政府の統計が甚だよろしくないと思う。統計が正確を欠くと思うのであります。故に統計の正確を期するために、政府の統計事業については一層注意を要するがよいというので、新たに統計局を安定本部内に作つて、現に大内博士等が從事しておられるのであります。私はこの結果を待つて更に正確なる計画を立てるがよいというのが私の趣意である。  それから又更に申したいと思いますことは、今日は計画経済ではなくして、むしろ国民の自由なる活動ということを期待すべきであるのに、(拍手)然るに計画経済の思想は戰時以來植付けられた思想であります。この思想が日本経済を阻害しやしないか、(「そうだ」「ノー」と呼ぶ者あり)故に五ケ年計画においてなされた計画を再検討する必要がある、再検討するがよい、こう申したのであります。それから又この政府が研究したものを、或いは政府の職員が研究したものを、政府としては必ずこれを発表しなければならないということはないのであります。よく検討いたして発表すべきものであつて、委員会が研究を終つたから直ちに発表しなければならないということはないと考えます。政府が愼重に審議して、発表すべきものは発表する、これが政府のとるべき責任であると考えるのであります。(拍手、「十八世紀に帰れ」「名答弁だ」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣青木孝義君登壇拍手
  20. 青木孝義

    国務大臣(青木孝義君) 只今椎井さんの御質問に(「安定本部なんかいらん」と呼ぶ者あり)私のお答えをすべき点についてお答えを申上げたいと思います。(笑声)  経済復興計画は、只今総理がお答えになりました通りに、この発表を差控えをいたしました。これを私共が一読いたしまして、経済の総合計画として考えて見た場合に、私共は第一に経済の統制を漸次緩和撤廃して行くということを從來声明をいたしております。然るにこれを一読なさつた方はどなたも結局において更に統制を強化しなければならぬという結論に到達いたすと思うのであります。從つてこういう意味も十分我々としては今後とも再検討をいたしまして、採り得べきものは採りたいと存じまするけれども、(「国民の判断に任せればよいじやないか」と呼ぶ者あり)併し五ケ年、十ケ年の計画を立てるということについて、現在の客観的情勢は必ずしもそれに副つたものではない。御承知通りに極端な転換をいたしておるということは皆樣方も十分御承知であると存じます。(拍手從つてかかる意味におきまして、我々は二年ぐらいの見通し作業は現在立てておりますが、尚、復興計画、五ケ年計画については一層我々としては検討をいたしまして、申上げましたように採り得べき点は採つて参りたいと存じますが、今日のところはこれを差控えておる次第であります。(拍手)      ——————————    〔栗山良夫君発言許可を求む〕
  21. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 栗山良夫君。
  22. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 本員はこの際、電力の緊急停電について緊急質問するの動議を提出いたします。
  23. 小林勝馬

    小林勝馬君 栗山君の動議に賛成いたします。
  24. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 栗山君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。栗山良夫君。    〔栗山良夫君登壇拍手
  26. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 只今、又停電かという声が国民の各層に行き渡つております。家庭におきましては、最も夕食の団欒川に電気が消えてこの声が起り、商店街におきましては、価格の下落と売行の不振を時間的に何とかして挽回しようとする商人の努力が停電によつて殺がれておる。工場におきまして又然りであります。農村におきましては、秋の脱穀調製期に入るに先立ちまして、夕食の最も重要な時期に停電が続出しておるのであります。こういうような重要な社会問題でありまするが故に、最近の新聞の取り上げ方を御覧になれば直ちにお分りになると思うのであります。中央、地方を通じまして、或いは一流紙、二流紙、三流紙を通じまして、朝刊、夕刊の別なく、とにかくこの緊急停電の問題を取り上げない新聞は一つもないのであります。而も十月の下旬僅か十日間ぐらいの間に全国の新聞がこのような大きな動きをしたことは未だ曾てない事例であります。私はここに電力問題の重要性を再確認するものであります。輿論の大体を大別いたしますと、終戰以來、水が足りない、石炭が足りない、從つて水力、火力が思うように発電しないので電力が不足であるという声が強かつたのである。然るに本年は水力の状況は極めて良好であります。毎日或いは一週間置きぐらいに雨が降つております。国民は雨に困つておる状態である。石炭も又余り過ぎて困つておるのである。こういうような情勢になぜ電気が足りないのか。これが国民の最も疑問とするところであろうと思うのであります。そうしてこの疑問の中から新聞の論調は、電気事業経営者に対する非難と、この電気事業を嚴重に監督しておりますところの政府に対する責任追究との二つに分れております。けれども、そのいずれもはつきりした結論が出ていないのであります。私はこの席を借りまして、国民のこの大なる疑問をはつきりと分析いたしまして、問題の焦点を明らかにいたしたいと存ずるのであります。首相並びに関係大臣の明快なる御答弁をお願いいたします。  質問の第一点は、現下の緊急停電と政府責任であります。只今問題になつております最も大きな原因は、十月の下旬に突如として緊急停電が行われたということであります。私共が調べておりますところによりますと、先程首相は五ケ年計画は必要がないとおつしやいましたが、電気はこれは長期の計画がないと物にならないと思う。一つの発電所を作るにしましても五年或いは七年の長年時日を要する。この計画なしに電力の計画をやろうということは全く噴飯ものである。(「分つたか」と呼ぶ者あり)ところが、この五ケ年計画におきまして、安定本部でお調べになつた資料によりますと、昭和二十八年度になりましても日本の電力事情は安定しないのである。必要量に対して一八・二%の不足を生ずることになつておる。本年度においても一〇・六%不足を生ずることになつておるのである。こういう状態でありますから、本年春以來、十月になれば電気が足りなくなるということは我々も承知しておりましたし、政府も十分御承知になつてつた筈だと、こう思うのであります。然るに今日までこれが問題にならなかつたのはなぜかと申しますと、天佑であります。私はこれは政府の努力ではないと認める。今年二月以來、水の状況が非常に順調に廻りまして、上半期におきましては出水率は大体平年度よりずつと上廻つて一〇三%、本年十月下旬、二十日過ぎになりまして初めて一〇〇%を割つたのであります。こういう工合に水の状況が非常によかつたので、恰も電力事情は一応安定したかの感を国民に與えたことが最も大きな原因であり、而もこの安定したような錯覚に陥つたの政府の最も大きな誤まりであります。先ず緊急停電が起きてから政府のなさつたことを皆さん方がよみ御批判を願いたいのであります。政府は十月二十五日に閣議を開きまして、急遽電力制限要綱というものを発表いたしました。全く泥棒を見て縄をなうというが、正にその通りであります。こんなことは夏のかんかり照りの最中に、水の沢山あるときに、十月から電力制限が始まることは分つておりますから、よく立案をいたしまして、前以て国民に周知徹底させて、そうして電力制限を着実に計画通りに行い得るようにしますならば、十月の下旬にこういう突如とした電力緊急停電を行う必要はなかつたのであります。又最も面白いことは、十月の十八日に閣議を開きまして、小澤運輸相、本多国務相、稲垣通産大臣、これに首相も御列席になつて、この緊急停電問題について全く小田原評定が閣議で行われたことであります。私は国民の一人として全く痛憤に堪えない、そこで、この問題について私は首相に、はつきりと経済計画性の必要をお認めにならないということを、今この壇上でおつしやつたばかりでありますから、聞くのが或いは無意味かも知れません。けれども、電力に関する限り、この理論は首相において訂正せらるべきである。そして私は、はつきりお聞きしたいことは、政府は本年十月から、こういう工合に電力事情が惡化をして電力制限が必要であるということを、前以てお考えになつていなかつたかどうか、これをはつきり聞きたいのであります。そして若し必要であると考えておられますならば、なぜ緊急停電の起きる前の十月以前において、七月が八月でも、五月からでもできたわけでありますが、そういうときに国民に対する電力制限の啓蒙並びに電力制限に対する準備を進めなかつたのか。この責任を伺いたいと思うのであります。特に私は強調いたして置きますが、本院におきましても、衆議院におきましても、この重要性をはつきりと予知いたしまして、本年五月の十二日には水力電源開発に関する決議をいたしまして、具体的に「電力の効率的利用及び電力配分の適正化について有効なる措置を講ずること」という具体的な指示事項をいたしまして、政府に重大警告を與えておる。この国民的意思表示、国民的警告を政府が軽視したという責任は免れ得ないものと私は思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)  第二点は、去る十月十四日におきまして、増田官房長官は記者団と会見して、停電解消のために最惡の場合には電力管理法の第四條を発動する。損失が出たときは政府がその損失を補償するということを言われておりまするが、終戰後、而も前内閣が作つた五ケ年計画さえを否定しようとせられておるところの政府が、東條内閣が戰争遂行のために作つたところの電力管理法の強権の発動を今頃になつてやろうとする魂胆が分らんのであります。先ず第一にこれが全く分らん。  それからその次に、只今日本の電気事業、電力の生産というようなものは、これは全部政府の強権によつて行われておるのであります。例えば電力管理法の第二條によりますと、「本法ニ依リ管理スル発電及送電中勅令ヲ以テ定ムル電力設備ニ依ル発電及送電ハ日本発送電株式会社法ノ定ムル所ニ依リ日本発送電株式会社ヲシテ之ヲ行ハシム」とはつきり書いてある。そして日本発送電株式会社法の第二十三條には、「日本発送電株式会社ノ為ス電力ノ受給其ノ他ノ業務ノ運営ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム」と書いてあります。この命令を以て定めて、これによつて日本発送電なり配電会社が電気を起しておるのである。結局、政府の思うままに電力事業は運営せしめられておるのでありますが、この運営において電力管理法を発動して政府は具体的に何をやろうとしておられるのか。この点を私は伺いたいのであります。即ち私共の承知しておるところでは、安定本部の電力生産に関する指導原理は、火力発電所の能率運転のみを急ぎまして、最大電力の点に極めて第二義的な考え方を持つておるからであります。私の持つておる資料によりましても、二十五年の二月即ち來年二月の電力事情、最渇水期の電力事情を調べて見ますと、安定本部の計画による月平均電力量の考え方の方は、いわゆるアワーの考え方によりますと、約三十万キロ、六・二%の不足で済むようになつておりますけれども、これを緊急停電に直接関係のある一月の中に二日とか三日とか生ずる大きなピーク・ロードの場合を考えて見ますと、約五十七万キロ、一一・六%の不足を生ずるようになつております。ここに安定本部の計画と実情とのマッチしない重要な原因があるわけであります。私は若し管理法を発動されるとするならば、日本の火力発電の能率的経営の根本方針を改めまして、そうして緊急停電をなくするためには、非能率になりましても石炭を焚きまして、そうして火力発電所をペース・ロードに使つてつた考え方を違えまして、ピーく・ロード調整に切替えるべきであると主張するのであります。そうして、この場合は必ず相当大きな損失を生ずるのでありましようけれども、この損失を政府が補償するならば、甚だ増田長官は電気の專門家でありませんけれども、賢明、私共の感銘措く能わざるところであります。そこで、そういう考え方を以て増田長官があの言明をされたかどうかを私は伺いたいのであります。  次に第三点でありすが、電気経営者の責任を追及云々の問題であります。即ち電力管理法を発動するということは、即ち只今電力管理法なり日本発送電法によつて日本発送電を赤子の手をひねるように政府は運営しておるのでありますから、その通りに唯々諾々として経営に任じて來たところの電気経営者の責任を追及する、いわゆる電力管理法を出すということは、不信任案を叩き付けるということに外ならないと私は見るのであります。從いまして、この場合に政府は具体的に電気事業者に対する責任追及の内容公開がなされなければならないと思うのであります。新聞論調を見まして、先ず第一に、よくお聞き願いたい。十月二十九日の東京新聞にはこう書いてあります。「政府もえらそうに、ただ命令するだけでなく、停電解消から一歩を進めて、どうすればパブリツク・サーヴいすを増進できるかを考えるべきである。発送配電が動きが取れぬように縛り上げておきながら、官吏は公ぼくであることを郵れ、局外者のような顔をして命令だけ発するのは苦々しいことだ」と東京新聞は言つておる。又十月二十八日の電気新聞は、政府をやはり批判いたしまして、「政府は発送配電に対する管理令を用意しているという。電気事業者に対する一種の不信任案の形に受けとれる。一歩つきつめると、こんな矛盾した馬鹿な話はない。現行の電気事業は周知のごとく、強力な国家統制下におかれ、電気事業者は政府の指図によつて一切の経営を行つて來たのであつて、その結果がはしなくも今日の事態を招いたのであるから、政府がとやかく言うのは、天に向つてツバするのと同じたぐいだからである」と言つておる。誠にその通りであると私は思う。從いまして電力管理法を発令して電気経営者の責任を追及いたしました場合に、公明正大、理の通つて理由によつてやらなければならぬと思うのでありますから、そういう意思があるかどうか。責任を追及する意思があるかどうか。その場合に、責任を追及するとするならば、更に大きな責任政府が負担しなければならぬが、政府はどのような形においてこの責任を果す予定であるか。この点をはつきり聞きたいのであります。  次に、第四点は、緊急停電と安定本部の需給計画考え方でありますが、先程申上げましたように、二十五年の二月の計画におきましても、電力量を元にしまするならば、三十万キロの不足、最大電力を元にしますると五十七万キロの不足、こういうことになつておりますが、これは根本的に安定本部が電気の特質を忘れて、電気量のみの計算に終始したところに根本原因があるわけでありますが、今日、計画を進める上におきまして、電力量と電力、この二つを同ウエートにおいて計画するように改める用意があるかどうか、これを伺いたいのであります。  それから第五点は、石炭問題と電力料金の問題でありますが、只今の電力料金原価は、石炭を三百六十五万トン焚くことを予定として組まれております。然るに政府は本年度四百六十五万トンの消費を電気事業者に命令をいたしましたところが、これは四月から料金の改訂がなければできませんと、電気事業者は一応断わつたのであります。然るに計画はこのまま行われておりまするが、この場合に、下期のまだ料金が更改されておりませんが、更改されなかつたときには政府はどうするつもりか、若し時期が遅れました場合には石炭が買えなくなるが、これに対する金融的な措置をどうするつもりか、これを伺いたいのであります。  又それから最後に、国民が非常に心配しておる一点だけお聞きしたいが、それは今年はガソリンも非常に消費規正がやかましくなりつつあります。蝋燭も蝋の関係で余り十分でないと思いますが、若し緊急停電が避けられない……私の考えでは恐らく避けられないと思うのであります。夜、各家庭を訪問して、嚴重な電力禁止の実施をするわけに行きませんから、緊急停電は避け得られないと思うのでありますが、政府はどうお考えになつておるか。そうして避けられないとするならば、燈油とか蝋燭とかいうものを、もう少し潤沢に用意しなければ、私はこの冬は皆、金に困つて闇買いもできないというときに、あかり一つつけられない、終戰後と全く同じような混乱状態に燈火を通じて入るわけでありますが、これに対して如何なる用意を持つておいでになるか。この点を明確に伺いたいのであります。まだ他に伺いたいことを大分用意いたしておりましたが、時間がございませんので、これで打切りますが、最後にお願いして置きたいことは、政府は万難を排して緊急停電に対し善処せられんことを私は特にお願いを申上げて置きます。失礼いたしました。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  27. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 栗山君にお答えいたします。誠に停電のあるということは、政府といたして甚だ遺憾に考えるところであります。故にこの停電に対して緊急必要な措置を講ずるように、極力政府善後策を講じております。又水力発電その他についての発電力の増強については、政府は專らいろいろな方面から努力いたしておるのであります。併しながら何分財政もこれに伴うことでありますから、直ちに完全を期することはできませんが、水力電気その他の発電力の増加については十分努力いたしておるつもりでおります。(笑声、拍手)    〔国務大臣増田甲子七君登壇
  28. 増田甲子七

    国務大臣(増田甲子七君) 栗山さんの御質問お答え申上げます。政府は電力国家管理法の第四條を業者に対して発動する意思があるかどうか、それについて新聞紙等には、その意思があるように見受けるがどうかという御質問でございますが、新聞紙に現われております通り政府におきましては、管理法第四條を適用するかにどうかについて研究をいたしております。場合によつては適用してまでも国民諸君の福祉の増進に努力をしなくてはいかんと考えておる次第であります。併しながら只今のところ、幸いに管理法第四條は適用しないでもいいような方向に向つて進んでおります。即ち栗山さんの御指摘通り、火力発電によつて水力発電の需給調節を図るわけでございまするが、この火力発電設備の補修が非常に円満に進行しておりまして、配当された四百六十五万トンの石炭は、或いは使用しないかも知れませんけれども、併し伝えられるような三百万トンだけの使用に止まるということだけでは、石炭が過剰生産とも言われておる今日困るのでございまして、極力、発電はフルに活用して貰うように、石炭の消費も相当つて貰うように今進行中でございます。  それからその他の点につきましては主管大臣答弁することでございまするが、私は新聞紙に現われた点につきましての私の答弁といたす次第でございます。    〔国務大臣青木孝義君登壇拍手
  29. 青木孝義

    国務大臣(青木孝義君) 只今の栗山さんの御質問お答えいたします。割当制の当否につきましては、これは現行電力割当制に基く経済安定本部の割当に基きまして、このキロワツトアワーに基いた実施の面において考えますると、ピーク時における最大の抑制を適実に行うことができさえすれば、緊急停電は防止し得ると考えておるのでございます。尚、この電気料金の改訂の問題でありますが、この解決に今後も努力するのでございますが、もう一つ、電気料金値上げが遅れておるから、夏条の供給力については、年度計画の四百六十五万トンに基いた計画といたしまして、夏条分の二百八十五万トンの石炭消費を可能ならしめるような、必要な資金的措置を講ずる考えでございます。  その外、栗山さんの電力及び電力量の計算についての研究がどうかということでありまするが、この点も尚、経済安定本部としては研究を進めて参りたいと存じます。(拍手)    〔国務大臣稻垣平太郎登壇拍手
  30. 稻垣平太郎

    国務大臣稻垣平太郎君) サンマータイムの切替時に関連して、ピーク・ロードのときに、非常にオーバー・チヤージになりました関係で、停電があるという問題が起つたわけでありますが、これについては先程安本長官からお答えのような次第でありまして、ただ火力発電所が、御承知のように、金融の関係主びにキテイ台風の被害その他によりまして補修が遅れておつたということは事実であります。併しながらこの点につきましては、上期におきまして約五億円の追加融資を極力斡旋し、又下期においても融資の面においては斡旋をいたしておりますし、又キテイ台風その他の被害による補修にいたしましても、極力これが補修を急がしておるようなわけでありまして、火力発電所をフルに動かし得る時期もそう遠くはなく行われるだろうと、かように考えておるわけであります。大体昨年度より一割以上の需要が殖えておる。その一方に、先程栗山さん御指摘で、今年も水は豊富であるというお話でありましたが、昨年に比べますると流量は減つております。片方、流量が減つておるところに、暴風雨その他のために火力の補修が遅れるといつたような点、その辺に大いなる支障を來たしたような次第であります。そこで大体先般出しました緊急の措置の問題でありますが、この緊急の措置が実際にこれが行われるということは、屋内の問題でありますだけに非常に困難だと私も考えております。こういう点について私共といたしましては、新聞その他において今日の電力緊急事態について十分御理解を頂きまして、そうして又同時に、政府と電力業者、配電業者とが相携えて、この屋内の盗用その他の点についてできるだけこれを避けるという措置を、これが実施について、緊急に政令の実施について促進いたしますると同時に、ピーク時におけるところの工場の、何といいますか、休みというような点についても促進を図つて行くということにいたしたいと思うのであります。そういたしまするならば、いわゆる停電といつたような点についてもできるだけこれを避け得ることができるだろう。そうなると、先程の栗山さんの私への御質問の、蝋燭の用意があるか、或いはそういつたような暗くなつたときの明るくする問題について何らか用意があるかというお話でありまするけれども、これらの点についても十分考慮いたしまするが、できるだけそういつたような事態の起らないように我々としては措置して行きたい、こういうように考えておるわけであります。(拍手
  31. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 議事の都合により、これにて午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十一分休憩      ——————————    午後五時五十三分開憩
  32. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。  この際お諮りして決定いたしたいことがございます。経済安定委員長より、最近の経済情勢下における各産業、特に中小企業の実態及び経済諸施策の実施状況並びにその影響等につき実情調査のため、大阪府、兵庫県、愛知県に、佐々木良作君、西川昌夫君、安達良助君及び椎井康雄君を十一月三日より六日間、水産委員長より、パトリシア台風被害状況調査のため、千葉県に青山正一君、西山龜七君を十一月一日より二日間の日程を以て、それぞれ派遣したいとの要求がございました。これら六名の議員を派遣することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。よつて議員派遣の件は決定いたしました。      ——————————
  34. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 参事をして報告いたさせます。    〔根本参事朗読〕 本日委員長から左の報告書を提出した。  懲罰事犯審査報告書      ——————————
  35. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) この際、日程に追加して、議員金子洋文君、中西功君、板野勝次君及びカニエ邦彦君懲罰事犯の件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。懲罰委員長太田敏兄君。     —————————————    〔太田敏兄君登壇拍手
  37. 太田敏兄

    ○太田敏兄君 只今上程になりました議員金子洋文君、中西功君、板野勝次君及びカニエ邦彦君懲罰事犯の件に関する委員会の審議の経過並びに結果について御報告申上げます。  本件は第五回国会終了の前日、即ち五月三十日に本委員会に付託されましたもので、翌三十一日直ちに委員会を開き、その審査を始めたのでありますが、本件の重要性及び問題の広汎さ等のため、一日で審査を終了いたすことは困難な状態でありましたので、委員会は即日、議長に対し、閉会中の継続審査を要求いたし、議院の議決を得たのであります。その後、閉会中におきまして、六月一日、二日、二十日、二十一日及び十月二十四日の五回に亘り委員会を開き、第六回国会に入りましては、十月二十八日に一応閉会中の継続審査に関する報告書を提出いたしましたが、更に委員会を開くこと二回、懇談会を開くこと二回に及びまして、その間、証人として議員淺岡信夫君、早川愼一君、矢野酉雄君及び北村一男君の四名を喚問いたし、又関係者といたしまして、松平議長、松嶋副議長、懲罰動議提出者草葉隆圓君を初めとし、その外、議員八名の出席を求め、事務局よりも事務総長を初めとして、関係事務担当者、衛視、速記者、マイク係等五十五名の出席を求め、更に本人である金子洋文君、中西功君、板野勝次君よりも一身上の弁明を聽取し、委員外議員として中野重治君の発言も要求に応じて許可し、愼重な審議をいたしたのであります。  さて、次に委員会におきまする審査の経過につきまして、その大要を申上げますれば、委員会は先ず本件の審議方針につきまして協議いたしました結果、一応事件別に、即ち五月二十三日夜の本会議におきまする事件と、同日同夜の議院運営委員会におきまする事件とについて、その実情の調査より着手いたしたのでありますが、その準備といたしましては、同夜の実況を写した写真数葉、各種新聞記事、当日の速記録、懲罰動議及び本人の本会議における一身上の弁明の速記録等を整備いたし、事実の認定に関しましては万全の努力を拂い、委員各位の各証人、関係者に対する質疑も詳細を極めまして、且つ委員の間におきましても十分の意見の開陳がなされたのであります。  次に、各事犯者の行為につきましての委員会における質疑応答に関し御説明を申上げます。  先ず、金子洋文君につきましては、懲罰動議提出者によりますると、その事犯は副議長に対する職務の阻止という点にあるとのことでありましたが、委員会におきまする質疑応答を総合要約いたしますれば、結局当夜の金子君の行動は非常に衝動的であり、突如議長席に現われて、副議長の行為は越権的な行為であるとの解釈の下に、議長席間近で副議長に抗議し、且つ腕をとつて議長席より引下そうといたしたということになるのであります。即ち一委員よりの質問に対しまする松嶋副議長答弁によりますると、右足を引張つたのは誰か分らないが、腕を引張つたのは金子君であることは明瞭であるとのことであり、又他の証人からも同趣旨の答弁があつたのであります。  中西功君につきましては、動議の提出者によりますると、その事犯は議長登壇阻止及び副議長に対する職務阻止の事件とのことであります。前者の事件に関しましては、一衛視より、議長の進まれる前方に五、六人の議員がいたが、その中に中西議員もいたとのことであり、又他の証人の証言によりましても、議長の周囲の混乱の中に中西君がおつたとのことでありまするが、その詳細な行動につきましては明確にはならなかつたのであります。後者の事件に関しましては、一衛視より、副議長の左側より左手を引張つていたので、自分が演壇のところまで下ろしたとの発言があり、又他の証人によりますれば、副議長の足を引張つてつたので、私が割つてつたとのことであり、更に一証人の証言によりますると、議長の机の上の議事進行用の覚書を掴んだ人が中西君であつたような気がするとのことでありますが、副議長答弁によりますれば、覚書を取られたが、その人が誰であつたかは分らないとのことであります。又一証人の証言によりますると、金子議員が副議長を頻りに動かしているときに、中西議員はその膝の下あたりから頻りに何か引張つて動かしていたとのことで、副議長答弁によりますると、その際椅子が傾き、誰か足を引張つて椅子から下ろされようとしていたとのことであります。  次に板野勝次君につきましては、懲罰動議提出者によりますると、その事犯は議長に対する阻止事件であるとのことであります。同君の行動に関しまして、証人の証言によりますると、いずれも板野君が手を挙げて振りながら真先に壇上に駈け上り、議長の進行前面に進んだとのことでありまするが、議長の証言によりますると、自分の前方に誰が先に來たか分らなかつたが、板野君も中西君もおつたとのことであり、衛視その他二三の関係者によつて板野君が壇上におつたことは認められたものの、先頭に上つたという証言は得られなかつたのであります。又他の証人及び一衛視の答弁によりますると、板野君は議長席の前から副議長に対してマイクをがたがたさせながら何か言つていたとのことであり、副議長よりも、机の前から相当淒く交渉して來たとの答弁がございました。  最後にカニエ邦彦君の行動についてでありまするが、同君の事犯は、懲罰動議提出者によりますると、議院運営委員会における加藤常太郎君に対する暴行事件及び本会議における議長阻止の事件とのことであります。事件当日の議院運営委員会の状況につきまして、一証人の証言によりますると、わつという声がしたのでその方を見ると、丁度加藤君とカニエ君が突合いをしておるところを見たとのことであり、他の証人によりますると、初めにカニエ君が拳を以て加藤君の頭と頸の間に向つて突いた。初めに一つ、その後二つ殴つたのを見たとのことであります。又加藤議員の答弁によりますれば、何回自分の顔に当つたかは、はつきりしないが、唇の中からは出血していなかつた。こめかみの所に二ヶ所だけはちよつと裂傷を受けたと言つております。議長の阻止につきましては、一衛視より、議長の左側から右側にかけてよろよろと倒れて來た。助けようとしたが、人に揉まれてなかなか助けられず、助けて呉れと言われたのを聞いた。その状況は一人で立ち上れるようではなかつたとの答弁があり、又一衛視よりは、議長を前に進ませようと人を掻き分けたところ、その隙間より飛び込んで來たように感じたとの趣旨の証言がございました。議長の証言によりますると、自分の足上に誰かが倒れてなかなか立ち上らなかつた。そのために衛視が二人で前に自分を引つ張つて呉れたが進めなかつた。併し倒れておる人は一度は自分の股のあたりにしがみ付いたような気がしたが、始終しつかりと自分を押えていたわけではない。何か倒れた人が言つたのは気が付かなかつたとのことであります。その他各委員より詳細な質問があり、又各証人、関係者よりも種々答弁がございましたが、それらは速記録に讓りたいと思います。かくして一応の調査を終りました。  尚この際特に申上げて置きたいことは、草葉隆圓君の本会議における趣旨弁明の演説中に、板野勝次君に続いて中村正雄君、カニエ邦彦君、中西功君、細川嘉六君、岩間正男君、原虎一君並びに天田勝正君等は、相擁してスクラムを組みながら集団的に議長の歩行を阻止したのでありますと述べられ、注目を惹いたのでありまするが、この点は議院の面目にもかかわることと思いまして、嚴重に事実の取調べをいたしましたが、そのようなことは全然なく、一種の形容詞として使われたものであることが判明したのであります。  次いで討論に入りましたところ、民自党遠山丙市委員より、四君共に明らかに事犯の該当者である。平和国家に暴行行為は許し得ぬ。民主国家の最高機関たる立法府において暴行行為は国会の名誉威信を失墜するものである。事犯者のうち中西君は最近の国会において懲罰され、且つ前回よりも一層重い事犯を犯した。故に除名すべきである。又カニエ議員には登院停止三十日、金子議員には同じく登院停止二十五日、板野議員には同じく登院停止二十日が最も妥当と思うと述べられた。  次いで緑風会の松井道夫委員より次の趣旨の意見が述べられた。遠山委員の意見に賛成である。本事犯は、国際環視の中に、新憲法下において再出発した日本の国会の権威を汚毒したる極めて重大なる事犯である。この事犯の特異点は、二十四年五月二十三日には会期を延長して定員法等の重要法案を愼重審議せんとするのを、野党側はそれを阻止しようとした。併しその手段はもとより法に從わねばならないにも拘わらず、実力によつてこれを阻止せんとしたもので、実力を政争に用いるのは甚だ惡い例である。即ち実力を用いて議院の立法権を奪わんとしたもので、その実力行使の対象が議長、副議長に向けられたのである。議長、副議長は内外に対して院を代表する者であり、尊嚴なるべき立法権の象徴である。それに向つて実力を行使したことは許し難い事犯である。  新憲法が暴力を排除することは勿論、占領政策から言つても暴力の行使は許されない。即ち国を挙げて暴力を排除しておる時期であるのである。本事犯は証拠調べにより立証されておる通り、中西君は実力を用いて議長登壇を阻止し、又実力を用いて副議長をその席より退けんとし、又議事日程の記載してある紙を手中に收め、更にマイクを引張つて議長の声が聞えないようにした。併しそれが中西君の所為であつたかなかつたかについては確かなる証言がなかつたのは、同君のために幸であつた。カニエ君は委員会で加藤議員を両三回殴打して傷害を與えた。又本会議で議長の進行途上に倒れて登壇を阻止した。これが故意でないことは証拠により明らかとなつた。が結果においては、それによつて議長の進行を阻止しておる。金子君は実力を以て副議長をその壇上より引きずり下ろそうとした。板野君は他の数名の議員が議長登壇を阻止しておるのに参加し、又議場に向つて手を振り大声を発して混乱を助長した。又マイクを机上にがちやがちやと倒した。但しどの程度議長を阻止したかは明らかではない。以上の理由により民自党遠山委員の動議に賛成する旨の討論があつた。  次に民主党油井賢太郎委員は、先程來の両委員が議院の尊嚴を保たれんとする御意見には同感である。去る五月二十三日の事犯発生の当夜は、議員の多数の人が冷靜を失つていたことは実に遺憾であつた。その混乱は四君だけでなく、この外にも多くの人が加わつていたし、又現政府も謙讓な態度が欠けていた。カニエ君は運営委員会で加藤君との経緯があつた。又本会議でも濫りに壇上に登つて議長を阻止したことにより、登院停止三十日を至当と考える。又金子君は副議長議長席に著かんとしたのを阻止した。議長登壇できぬ状態にあるとき副議長が代行するのは当然である。但し実力を行使したのも当夜の雰囲気から幾分恕すべき点も考えられる。故に登院停止二十五日を適当と思う。板野君は自己の主張政策に熱心なる余り、度を過ぎたと人に認められる点がある。自分が壇上に登つたのは、議運の小委員であつたからだと言われておるが、議院運営委員たる中西君がすでに壇上に登つておるので、彼と交替するならばともかくとして、彼も壇上に登つて活動したのは間違つておる。混乱を助長する原因を作つたことは明らかである。故に登院停止二十日間を適当と思う。中西君は先に戒告を受けたにも拘わらず再び犯したのは遺憾であり、本人のためにも残念である。副議長議長席から下ろさんとした行為については相当の処分は当然である。併し除名は賛成できぬ。当夜の状況から、責任は四君だけではない。反対党の懲罰は多数を以て本委員会に付託にすらならなかつた。もとよりかかる混乱は今後ないように希望するが、除名だけによつてこれが得られるとは考えられない。又多数派偏重は国民にとつて割り切れぬ点を生ずる。故に除名を除く最高処分の意味で、三十日の登院停止が妥当であるとの趣旨の討論があつた。  次に社会党の大野幸一委員より次の意見が述べられた。社会党を代表して反対する。中西君除名の動議は遺憾である。この動議こそ仲間を仲間で死刑に処することである。除名は国会議員に対する幾万票かの国民の投票を無効にすることであるから容易に行うべきではない。将來議事を円満に進行させることが参議院の権威を高めることであつて、除名者を出すことが権威を高めるゆえんではない。板野君は当夜壇上に登つた三十三名の人と大同小異であつて、それを斟酌して懲罰に付しないこととするのが妥当である。カニエ議員は結果において議長を阻止したが、故意ではなかつた。むしろ押し倒されたのが真相であつた。委員会だけの事件からは、本懲罰は決して妥当でない。金子議員、同君は副議長を説得しに上つたので、暴力を振う意思がなかつたと、事実について各証人の証言を引用して討論し、最後に、我々議員として一人の同志も失いたくない。中西君に対して政治家としての死一等を減じてやるべきであるとの討論があつた。  この他に委員外議員として共産党の中野重治君の発言がありました。  かくて各別に採決の結果、金子洋文君は登院停止二十五日、中西功君は除名、板野勝次君は登院停止二十日、カニエ邦彦君は登院停止三十日の懲罰を科すべきものと、いずれも多数を以て決定したのであります。  尚、最後に私は、過去のことはいたし方ないといたしまして、今後本院においては再びかかる不祥事の発生することのなきよう心から念願しつつ、本報告を終る次第であります。(拍手
  38. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 本件に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。岡田宗司君。    〔岡田宗司君登壇拍手
  39. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 私は只今の太田委員長の報告に対しまして反対をいたすものでございます。  五月二十三日夜の事件は、参議院にとりましては誠に不祥のことであつたのでございますが、併しこの混乱が起りました原因を考えて見ますならば、先ず第一に民自党政府があの日に会期延長をやろうといたしまして、而も時間が遅くなりましてから延長の議を参議院に諮ろうとした。その問題から発しておるのであります。若し政府があのときにおきまして、真に会期延長の必要を認めるといたしまするならば、早くからその手続をとり、誠意を以ちまして増田官房長官初めがこれに処すればよかつたのでありますが、その誠意なく、ただ徒らに多数を以ちまして、参議院をないがしろにいたしまして、これを押し切ろうとしたところから起つたものなのであります。(拍手)このことが議院運営委員会を混乱に導き、更に延いては本会議の混乱となつて來たのであります。而もこれに拍車をかけましたものは、議院運営委員会におけるところの緑風会から出ておられますところの議院運営委員長梅原眞隆君が、議院運営委員長としての能力を欠き、この混乱に拍車をかけたということが又言えるのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)これらのことからいたしまして、議院運営委員会が混乱に陥つた、而もそれを纒められずして、遂に議長が職権を以てベルを押すという、そういう事態になりましたために議場が混乱したのであります。これは私が述べるまでもなく、皆さんよく当日御承知のことであろうと思います。かようなことから全体として混乱に陥つた。あの日におきまして、本会議に入りましてから混乱した際に、多くの人々が壇上へ駈け上つておるのであります。懲罰に付せられました四名だけではございません。私がここに壇上に上りました多くの人々の氏名を写真によりまして点検いたしましたるところ、民自党におきまして九名、緑風会におきまして四名、社会党十二名、無所属懇談会七名、共産党五名、総計三十七名となつておりますことは、この議院が全体として混乱に陥つたことを物語つておるのでありまして、この懲罰に処せられんとするところの少数の四人がこの混乱の責任者であるかのごとくにして罰せられんとすることが誤まりであることは明瞭である。(「ヒヤヒヤ」と呼ぶ者あり、拍手)而も懲罰委員会に付するに当りまして、これら三十七名のうち、混乱の責任顯著と思われます者各党より相当多数ございましたので、それをそれぞれ懲罰委員会に付そうといたしましたに拘わらず、多数を以ちまして、僅かその中より四名だけ抽出しまして懲罰委員会にかけたということは、而もそれが社会党並びに共産党二名ずつということにいたしましたのは、緑風会並びに民自党が多数を頼みまして、議場混乱の責任をこれらの党派の、その又中の二名ずつに負わさんとするがごときは、多数の横暴と言わざるを得ないのであります。(「そうだ」「その通りだ」「何を言うんだ」と呼ぶ者あり、拍手)而もこの懲罰動議を提出いたしました草葉隆圓君の説によりますれば、スクラムを組んで計画的に議場を混乱せしめたるというがごとき、誠に事実に相反した事実を慮構いたしましたる理由に基いて懲罰委員会に付しておる。これは只今太田委員長の報告にありましたがごとく、事実を調べましたるところ、そういうことは少しもない。草葉隆圓君自身もこれは形容であるということをお認めになつておるのであります。(笑声)かくのごときことを以ちまして懲罰委員会に付した。こういうような雰囲気において起りました事件、單に四名の者にのみ混乱を招いた責任を負わしまして、その人々を嚴重に処罰することによりまして、今後の或いはこういう事件の起ることを阻止できる、或いは又これによつて事終れりと考えるがごときことあるといたしまするならば、誠に短見と言わざるを得ないのであります。(「その通り」「然り」と呼ぶ者あり)而もこの混乱の起りました責認を感ぜられましたのでありましよう。その後におきまして、梅原眞隆君は議院運営委員長を辞任されておるのであります。又あの混乱が一部議長にも責任があるのでありまして、その直後におきまして、社会党その他からいたしまして議長不信任案が上程されんとさえしたのであります。こういう事態考えて見ますならば、これらの混乱の責任はこの院全体が負うべきでありまして、この四人の懲罰を以てすべてを片付けようとするがごときは、実に非理であると言わざるを得ないのであります。(拍手、「理由にならん」と呼ぶ者あり)而もその懲罰委員会の経過について見ますならば、先程委員長が報告されたるごとく、すべてが混乱の中に行われましたるがために、明瞭ならざるものが多いのであります。例えば板野君の行動のごときは、懲罰に値いするか否か甚だ不明瞭、これらを二十日の懲罰に付そうという、登院停止二十日に付そうという、或いは又金子君にいたしましても、副議長に対しまして話しかけ、副議長に対しまして、やや度に過ぎた程度のことをいたしましたのを、これを以ちまして直ちに公務執行妨害である、或いは又議長の職権を、これを議長の職権を阻止したのである、こういうようなことに関しまして相当重い刑を科そうといておる。又中西君のごときは除名という極刑に処そうとしておるのであります。併しながらこれは私共先例に徴しまして極めて重大に考えなければならぬのでありますが、それを今日参議院の懲罰委員会におきまして、各委員において重い処分を主張されましたということは甚だ遺憾なのであります。例えば先例について申上げますならば、衆議院におきまして除名処分に付されましたものといたしましては、昭和十五年二月の議会におきまして齋藤隆夫氏が除名に処せられております。又昭和十三年三月におきまして西尾末廣氏が除名に処せられておるのであります。これらのこの二氏の除名はすでに御承知のごとく、暴行でもなければ何でもなかつた。当時齋藤氏が反軍演説をやつたからという理由で、議院は軍部におもねりまして除名をしておるのであります。又西尾末廣氏の場合におきましても、当時近衞首相に対しまして、ヒツトラーのごとく、スターリンのごとくと言つただけで除名処分にしておるのであります。当時多数派が除名をいたしましたこれらの諸君、その後の世間の批判は如何でありましたか。やはり当時除名にいたしましたところの多数の諸君は、除名をして快哉を叫んだかも知れません。併しながらその後十年を経ずしまして、その人達のやりましたことは、歴史上議会に汚名を残したような仕業になつたのであります。(拍手)やはり今日(「時代が違う」と呼ぶ者あり)僅か中西君を除名いたしまして、中西君を除名いたそうという諸君は、今日或いは快哉を叫ばれるかも知れない。併しながら、かようなことをしまして、諸君が中西君を除名をいたしまして、それであと味がよいか、恐らく世論或いは又後世の史家は、諸君のやりましたことは誠に愚劣極まることであると評するに違いないのであります。(拍手)  諸君、又議長に対する暴行というようなことを非常に大きな理由にされておるのであります。併しながら衆議院の先例を見ますならば、明治三十一年の田中正造翁が議長に対しまして暴行を働いたという故を以て懲罰を付せられておるのでありますが、その懲罰は登院停止一週間であります。又昭和三年二月の議会におきまして、綾部惣兵衞氏が投票箱を踏み潰し、議長の働きを妨害したという事件があつたのでありますが、これは謝罪文朗読で終つておるのであります。私共はこの先例それ自体に倣えと言えのではありませんが、やはりこういうような重大な問題は余程愼重に考え、そうして又我々は世人も納得し得るようなふうに解決しなければならぬと思つておるのであります。然るにも拘わりませず、多数を以ちまして同僚議員を些々たる理由を以て除名にしようというがごときは、誠に政治的短見と言わざるを得ないのであります。(拍手)又委員会におきまして、将來ために嚴罰に処すべきであるという意見があつたのであります。併しながらこれらは、ああいう混乱の起きました事態考えますならば、これは院全体として考えなければならぬ問題でありまして、四名の者を嚴罰に処することによつて解決できる問題ではありません。又ああいうようなことが起りましたことが度々我々によつて繰返されることもないのであります。今度のこと自体が十分に世論によつて批判され、又院内におきましていろいろ批判を受け、懲罰事犯、懲罰という事態を起したそれ自体が、私は将來の十分なる戒めとなると思つておるのであります。かようなる極例に処すべきであるというがごときは、決してそれによつて将來ために備えるという何ら意味をなさぬものであると私は思うのであります。この点につきましては、すでに議員諸君のうちにおきましても、よくお考えになつておられる方々は、あの事件の起りました間もなくのことでありますが、宗教家議員団の名におきまして、即ち岩本月洲君、西田天香君、堀越儀郎君、小野光洋君、柏木庫治君、梅原眞隆君、來馬琢道君、草葉隆圓君、山下義信君、左藤義詮君、この人々の名によりまして、第五国会の終末における参議院の紛糾は真に遺憾に堪えない。本件は院全体の責任として深く反省自粛し、今後超党派的和衷精神を以て本院の円満なる運営を期し、以て国民の信頼に応えたいという声明書を発せられておるのであります。これにはその懲罰動議の提出者でありましたところの草葉隆圓君も名を列ねておられるのであります。(拍手)諸君、この声明書が、果して除名までして、あとで皆の和衷協同をやれということを意味するでありましようか。恐らく偏見を以て見る人のみがそう解釈し得るのでありまして、誰しもこの声明書を読みますならば、除名までしてそういうことをやれということを言つておるものでないということは、はつきりしておる筈であります。今日署名された方もここにお出でになつておりますが、その人々のお考えは私は伺いたいと思います。又婦人議員の諸君におきましても、参議院婦人議員木内キヤウ、深川タマヱ、赤松常子、河崎ナツ四名の署名を以ちまして、この度の参議院での紛糾は私たち婦人議員としても深く反省自粛を痛感いたします。不敏にして懲罰委員会付託の議員を出したことは誠に遺憾の限りでありますが、すべての者が将來かかる不祥事を絶対に繰返さず、本院の権威と品位の保持を固く心に誓つておりますので、この度は愼重に御勘考の上、何とぞ御寛大なる御処置をたまわりたく、右、心から懇請申上げますという懇請書が太田委員長に対して出ておるのであります。これらは盡くこの混乱の責任が全体にあることを意味しておるのでありまして、決して四人の個人にそれらをなすり付け、そうしてその人々の懲罰を以てすべてを片付けようという、けちな考え方から出ているものじやないということは、はつきりしておる。  諸君、又この懲罰の取り上げ方につきましても幾多問題があるのであります、今までの議会におきまして、一体、懲罰問題を継続審査して次の議会まで便々と引摺つてつたなんという例はありません。日本ばかりではない。世界の議会史におきましても、かくのごとき例はないのであります。  一体諸君はかようなることをいたしまして、参議院において先例を作つたことは、今後の国会の尊ぶべき先例をお作りになつた気でおりましたならば、これこそ、とんでもない間違いであろうと私は思う。(「認めたから社会党は賛成したのだ」と呼ぶ者あり)かようなことは全く私共として馬鹿げたことであろうと思うのであります。あの第五国会において起りましたところの混乱は第五国会において処置すべきものである。新らしき国会におきまして処理すべきものではないのであります。世論におきましても、今日、今に至りますまで、かような懲罰委員会を続けまして、而もすでに昂奮の冷めました後、すべてが考え直しておりましたときに、又大きくこれを蒸し返しまして嚴罰に処するというがごときは、誠に政治的に考えまして感覚の低いことであると言わなければならぬのであります。(拍手)かような前例を作ることは誠に恥かしいことであります。私共は、多数の諸君が多数の力を借りてかくのごとき前例を作つてこれで快しとしておるならば、これこそ誠に参議院の政治的汚辱であると言わざるを得ないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)  諸君、私共はかくのごとき不祥事態が再び繰返されることは愼まなければならぬし、我々自体全部が自粛自戒しなければならぬことであります。併しながら今日の事件を以ちまして嚴罰によつてこれを片付けようとするがごとき、さようなる態度に対しましては、私は絶対に反対せざるを得ないのであります。これを以ちまして私の社会党を代表しての反対演説といたします。(拍手
  40. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 遠山丙市君。    〔遠山丙市君登壇拍手
  41. 遠山丙市

    ○遠山丙市君 私は委員会決定通り原案に賛成いたすものであります。  本懲罰動議に対しましては、草葉議員より提案理由の説明を聽き、懲罰事犯者でありまする中西、金子、カニエ、板野の四君より本会議における詳細なるところの弁明趣旨を拝聽いたしたのであります。懲罰委員会におきましては、只今委員長より詳細御報告がございましたように、騒擾当夜の数葉の写真並びに数種の新聞記事等をも参照いたし、非常に沢山の証人を喚問いたしまして、宣誓の上、証言を得たのであります。而も愼重を期しまする上に、最後に事犯者に補充的弁明の機会をも與えまして、全委員は全力を傾倒いたしまして事実の真相を追及し、真実発見に努めて参つたのでありました。かくして漸くにいたしまして結論に到達をいたした次第であります。(「委員長報告はもう聞いたよ。」と呼ぶ者あり)お靜かに願います。  先ず、中西議員の議長の職務行使に対しまする妨害、副議長に対しまする暴行、マイクを叩く等の不法行為等について検討を続けて見たいと思うのであります。凡そ懲罰問題は、人をして罰則に当て嵌めるという事案でありまするので、抽象的なるところの賛成若しくは反対の意見のみを以てよしとしないと私は考えておるのであります。苟くも多数の証人の証言により、而もその証拠を中心といたしまして、処罰する段階、これに向つていろいろ考究をしなければならぬと思つておりますので、聊かお耳を再び汚す嫌いはあるのでありまするが、先ず一、二証人の証言を引用いたしまして御資料に供して見たいと考えておるのであります。この中西議員の問題につきまして、矢野証人は、中西議員の名前を指摘いたしまして、そうして公務執行妨害であるという点を非常に力説して注意を與えたと言つておる点、それから松崎衞視の証言中、議長が議事部長席あたりに行つたときに、その行く手に五、六人の議員がおつたが、その中に中西君がおつたということを明白に述べておるのであります。又松嶋副議長議長席に著きました際における中西議員の暴行行為は、幾多の証人の共述によりまして犯行は極めて私は明瞭であると思う。これはいろいろなる証人の証言を引用するまでもないわけでありまする。淺岡証人が、中西君が副議長の足を引張つたる事実を確認いたしておりまするし、それから婦人議員でありまする高良証人は、又次のような証言を行なつておるのであります。中西議員は左手で副議長の足を引張り、右手で何か掴もうとしておるように見えたと言つておるのであります。又他の証人も同じようなる証言を幾人もいたしておるのであります。又他の証人は、中西君は副議長の腰のあたりに掴まつて搖すぶつており、マイクを中西君が倒したことは、はつきり認めることができると言明しておる人すらあるのであります。又証人といたしまして永野衞視の供述中に、中西議員が後から手を出してマイクのコーどを掴んだ。それを自分が後から押したらマイクが机の上から落ちた。そうしてぶら下つた。こういうことを言つておるのであります。以上各証人の立証によりまして、中西議員の事犯関係は明瞭に相成つたものであると確信をいたすものであります。(発言する者あり)  次にカニエ議員の事犯関係でありますが、この事犯は大体二つに分けまして御説明申上げる方が適切であると考えておるのであります。その一つは、議院運営委員会における加藤常太郎議員に対する暴行傷害事犯であります。これは被害者加藤議員が証人として述べておりまする点は只今委員長から報告がありましたから省略をいたしまするが、こういう点が又明瞭に相成つておるのであります。又他の証人によりますと、確かに拳を以て加藤君の頭と頸との間に向つて突いた、大体三回やつたと、こういうことを言つておるのであります。その他の証人も皆同樣なる証言をいたしておるのであります。この点についてはカニエ議員は別段否認もいたしておらんようでありますし、傷害事実は参議院厚生課の医務室の医師の診断書においても明瞭でありまするから、省略をさして頂きたいと考えておるのであります。  それからカニエ議員の他の一つの事犯は、議場内における騒擾事件即ち松平議長の職務執行に対する妨害でありまして、問題はカニエ議員が議長の股ぐらに飛び込んだかどうかという問題、この点を明白にいたして見たいと考えておるのであります。大体飛び込んだものなりや否や、即ち自己の意思に基かずして倒れたものであるかどうかということについては、各証人の利益なる証言並びに不利益なる証言等も併せて御披露に及びまして、賢明なる諸君の御批判に訴えて見たいと考えておるのであります。証人の廣元衛視班長は利益なるところの証言をいたしておるのであります。カニエ議員が議長の右側の方から左側にかけてよろよろつと倒れかけて來た。又助けて呉れというような声がしたと、こう言つておるのであります。又山田衛視副長は、私が議長の所に行きますと、その下にしやがんでおる者がある、こういうようなことを言つておるのであります。証人として出ましたる松平議長は、この点について詳細なる証言をいたしておるのであります。その言葉の中に、揉み合つておるうちに、誰か自分の前と立ち塞つてつた人との間に倒れた人がある、二人の衛視が前へ引つ張つて呉れたが通ることはできなかつた、その人は何となく足下にまつわるような気がした、股なんかにちよつとしがみ付いたようなことはあるが、終始押えてはいなかつたと、こういうことを言つておるのであります。その人が倒れたとき、どつちから來たか、どうだつたかというなことは全然分らぬ、こう議長さんは述べておられるのであります。ただ、いきなり足下にぱつと人が來たというだけである。こういうことをおつしやつておられるのであります。又その人がどういうことを言つたか言わなかつたかということは全然気が付かなかつた、恐らく無言であつたように思うと、述べておられるのであります。証人山田衛視の証言によりますると、自分が混乱の中に入つて議長の通路を開くため、初めに前におりまする人間を除かして前を少し拡げた、その一尺か一尺五寸ぐらいの間に一瞬自分の左からカニエ議員が潜るようにして入つた、押されたのかどうかは分らぬけれども、自分としては飛び込んだと考えると、はつきり言明いたしておるのであります。これはカニエ議員に対する不利益なる証言であります。各証人は、よろよろつと倒れたとか、助けて呉れとか、しやがんでおつたとか言つておりますが、議長の証言によりますと、ただ、いきなり足下にぱつと人が來ただけだと言つており、それから足下にまつわるような気がしたとか、助けて呉れとも何とも聞かなかつたと、こういうようなことを言つておるのでありまする。山田衛視班長の証言というものは誠にはつきりいたしておるのでありまして、カニエ議員が潜るようにして入つた、自分としては飛び込んだと考えると述べておるのであります。かくのごとくに相異なりますところの証言がありまして、真相把握には誠に困難でありまする。カニエ議員が仮に何かの調子によつて倒れたといたしましても、カニエ議員が議長の足下に横たわつておればこそ、衛視二名が引つ張つても、議長は一歩も前進することができない実情にあつたのであります。かくして議長の公務執行に重大な障害を與え、よつて議長の職務行使を不能ならしめたる重要なる責任者なりと言わなければならぬのであります。(「それはもういいんだよ、過ぎたことだから」と呼ぶ者あり)  次は金子議員の事案でありますが、議長席に著きましたる松嶋副議長に対しまして暴行を以て公務執行妨害をなし、(「簡單に簡單に」)と呼ぶ者あり)議場をして混乱に陥れたという事案であるのであります。各証人の証言を案じまするのに、証人松嶋副議長の陳述によると、手を持つて引つ張つたり、足を引つ張つたり、左のこの辺を小突き廻されたりしたが、手を引つ張つたのは金子君だということは後で分つたと、こう述べておるのであります。又他の証人は、副議長の左手が引つ張られておるそのときには、誰だか分らなかつたが、とにかく頭の禿げたのが引つ張つておる、(笑声)あとで、それが金子議員でということが分つたと証言をいたしておるのであります。又他の証人は、金子君は副議長の左手をかけて引き下ろそうとしておつたのを見たと言つておる人もあるのであります。又他の証人は、大方同樣の証言を行なつておるのであります。そのうちで高良証人は極めて重要な証言をいたしておるのであります。即ち副議長の椅子に近付いて右手を副議長の肩に当て、左手で副議長の腕を引つ張つて頻りに引き下ろそうとしており、北村議員が覚書を机の上に何度も拡げて延ばそうとすると頻りに取ろうとしておつた、覚書は一度鷲掴みにされた、誰の手だかはつきり分らない、金子氏の行動は、副議長を引き下ろそうとしたが力及ばなかつたので、今度は覚書にかかつてつたように思われた云々と述べておるのであります。又他の証人は、北村氏が議長席に置いたと思われる書類、それを金子君が鷲掴みに握つたことは私が見ておる、議長が腰掛けたのを金子君は椅子を引き倒そうとするというようなことも同じように述べておるのであります。金子議員の副議長に対しまする暴行行為は、淺岡議員が椅子を押えておらなければ恐らく引つくり返つたであろうという証言すらあるのでありまして、その暴行は全く目に余るものであり、覚書を鷲掴みにするに至りましては、言語道断の暴力行為と言わなければならないのであります。  次に板野議員の議長の職務妨害並びにマイクを叩き、議場をして混乱せしめた重要な事犯者といたしまして、若干御説明を申上げて見たいと思うのであります。板野議員は種々弁明をいたしました。事犯該当者にあらざる点を又委員会等においても力説せられたのでありまする。私はその然らざるゆえんを証拠によつて明らかにいたして見たいと思うのであります。或る証人は、議長が入つ來ると、二三人、多分板野君が先頭だつたと思うが、手を高く挙げて振りながら壇上に上つて來たと言つておるのであります。又証人松平議長は、誰が先に來たか記憶はないが、板野君もおつたと、はつきり述べておられ、その他の証人も同じようなことを言つておるのであります。早川証人は、私が議場に入つたときはすでに板野君は演壇の所にいて、議場の方に向つて何か頻りに叫んでおつたと言つておる。他の証人は、板野君が一番先に事務総長の前の所にがたがたと駈け上つて、手を挙げると、外の諸君がぞろぞろと上つて來た、大勢を呼び集めて議長を食止める方の役を勤めたようにも感じられたと、こう言つておるのであります。証人赤沼衛視班長も、板野君も議長の進む前に立塞がつてつたと、こう言明しておる。その他の証人のごときは、板野君の名前を指し、公務執行妨害ではないかと言つて注意すら促したる人もあるのであります。前述のごとくに、板野君の行動は、議長の職務遂行に当りこれが妨害を與えたるものなる点は、最も明瞭に相成つた考えられるのであります。板野議員の行為はただにこれに止まらず、マイクに手をかけてがたがたさしておる事実も証明されておるのであります。或る証人は、板野君が議長席の上のマイクに手をかけて叩いておるのを見たと言つており、又他の証人も同樣に、板野氏は二つばかり並んだマイクを掴まえてがたがたやつておるのを見たと供述いたしておるのであります。証人赤沼衛視班長は、板野議員はマイクで卓を叩いた、自分はマイクが壞れるから静かに願いますと言つたら止めたと言つておるのであります。これによりまして、板野議員の行動は、議長の職務運行に対しまする妨害者といたしましての立役者を勤めたと言わなければならないのであります。マイクに手をかけ叩くに至つては、その事犯決して軽いものとは思考し能わないのであります。  ここにおいて、事犯は動かすべからざるところの証人の証言、この証拠によりまして、極めて明瞭に相成つた考えるのであります。事犯者四君共に遺憾ながら事犯該当者なりと断ずるものであります。(拍手)  戰後日本は、平和国家、民主国家といたしまして誕生したのでありまして、民主国家として暴力行為は断じて許容せらるべきものではないのであります。立法の府である参議院において騒擾、暴行、進んで傷害事犯が公然と行われたということは、国家最高機関の権威のためにも遺憾至極であります。誠に国民の指彈を買うところの一大不祥事件であり、国会の名誉を失墜するものであります。我々公職の最高位に就く者は、私事私行を去りまして、法の前には嚴然たる態度を以て臨んで行かなければならぬのでありまする、参議院規則二百四十五條には、議院を騒がし又は議院の体面を汚し、その情状が特に重い者に対しては、登院を停止し、又は除名することができる旨明記しておるのでありまする。  事犯者中に、中西君は最近の国会においては懲罰に付せられておるのに拘わらず、前述いたしましたように、前回とは比較にならない重大なる事犯を敢えて敢行したということは、改悛の情更になきものとして、遺憾ながら国会法第百二十二條、(拍手)懲罰事犯罰則中の最高刑たる除名は当然なるものとして、原案に賛成するものであります。(拍手)若しそれを除名以下の罰則を適用せんか、(「除名にならないよ」と呼ぶ者あり)それが先例となり、除名処分に付する場合においては、この度の事犯以上の重大事件でなければならない。例えば議長に暴行を加え、頭を割り、腕を折り、足を挫く等、(笑声)古今未曾有の大騒擾事件のみに適用せられる結果となることを虞れるのであります。(発言する者多し)  次にカニエ、金子両君は事犯者といたしまして、これ又証拠に照らし、事犯誠に明瞭であります。カニエ、金子両君共に、中西議員と異なり、初めての事犯敢行者であることに留意いたしまして、カニエ、金子両君の犯行には若干の差等を付けるのが適当であると思惟し、カニエ議員に対しましては登院停止三十日、金子議員に対しましては登院停止二十五日という原案には賛成するものであります。  最後は板野君でありまするが、これ又重大なる事犯者であるのに拘わらず、只今どうも無罪のような御議論が出たようでありまするが、誠に根拠のないことでありまして、不可解千万なる御議論であると言わなければならぬのであります。板野君の騒擾当夜の行動は全く常軌を逸し、本件事犯の急先鋒といたしまして事件を拡大いたしたのみならず、議長席のマイクに手をかけ、これを叩く等、その事犯は決して軽いものではありません。故に登院停止二十日は適当なる処断といたしまして、原案に賛成するものであります。  願はくば諸君の明鑑に訴え、国会の権威を保持し、民主政治に背反する暴力一掃のために原案に御賛成あらんことを切望する次第であります。(拍手、「弁護士はやらんぞ」と呼ぶ者あり)
  42. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 中野重治君。    〔中野重治君登壇拍手
  43. 中野重治

    ○中野重治君 日本共産党は、カニエ、金子、板野、中西四君の懲罰に反対するものであります。その形に反対するばかりでなく、懲罰そのものに反対であります。簡單にその理由を述べます。  併し第一にこの問題を議している我が参議院の姿を顧みて眺めて頂きたいと思います。何のためにこの臨時国会は開かれているのか。明らかに追加予算のためであります。首切の被害、台風の被害等の跡始末のためであります。惡い税金制度、惡い供出割当制度を改めるためであります。これらはすべて国民大衆が、その討議手続と、それらの結果とを、懸念と期待と相当の決意とを持つて眺めている問題であります。では我が参議院はそれらの問題を取上げているかどうか。残念ながら全く、或いは殆んど全く取上げていないと言わなければなりません。ただ一つ懲罰問題だけが際立つて取上げられております。(「その通り」と呼ぶ者あり)果してこれが我が参議院のあるべき姿でしようか。臨時国会召集の目的に照らして、これは荒凉たる眺めであると言わなければならぬと思います。(拍手)我々は一日も早くこの状態を抜け出て、国民の待ち望む問題を取上げるところへと我が参議院を持つて行かなければならない。(拍手)これがこの問題を議するに当つて、参議院のすべての諸君に冷靜に考えて頂きたいと我が党の望むところであります。  問題に入りましよう。  そこで先ず気の付くことは、この問題には相当に無理がかかつているということであります。第五回国会で問題が取上げられてから丸五ケ月、懲罰委員会七回、懇談会、秘密会数回、証人その他委員会に呼び出された者は約三十人、世界のどの国の国会にも類のない、又日本の衆議院でもやらぬところの懲罰事犯の継続審議ということすら強行して、而も委員会の結論さえなかなかには出なかつたということが、それを証明しております。又多くの証人が呼ばれましたけれども、又その要求と申出とがありましたけれども、公正な傍聽人代表者が一人も証人として呼ばれなかつたという事実がそれを証拠立てております。又呼ばれた証人については、委員会を非公開にして秘密のうちに証言を取ろうと言い出した人さえあつた事実が、明らかにそれを証明しております。私はここでその人の名を挙げてこれを責めようとするのでは決してありません。ただ木を見ることを知つて森を見ることを知らない場合には、見識ある人であつても、どういう極端まで走るかということを言いたかつたまでであります。そういう大きな無理がさまざまの面からこの問題にはかかつております。我々は無論木を見なければなりません。同時に森をも見なければならない。我々は問題を原因にまで遡つて調べねばならぬと固く信ずるものであります。それではこの問題の原因はどこにあつたか。明らかにそれは我が党を含む参議院の民主的勢力が、首切り定員法、腐敗的な国有財産拂下法、強制割当引上となる食確法などの惡法を通すまいとして働いていたこと、これに対して民自党を中心とする保守的勢力が、参議院規則、院内の慣例などを無視して、実力を以て無理な仕方で会期延長を図つたことにあつたのであります。(拍手)このことは懲罰委員会における副議長松嶋君自身の証言に示されております。松嶋君はそこで、あれらの法案及びそれを通すための会期延長をば民主的勢力が初めから妨害しようとしていたと証言しています。即ちこのことは、松嶋君自身が、民主的勢力は国民の利益を守ろうとして働いていたものであり、民自党及びこれと結んだ勢力は国民の利益を攻撃しようとしていたものだということを裏書きしているものに外かならぬのであります。(「そういうことを言うな」「ゆつくりやれ」と呼ぶ者あり、拍手)この点から言うならば、中西、板野、カニエ、金子の四君らは、国民の側から感謝されてこそよけれ、(笑声)懲罰されるものでは断じてないのであります。これを罰しようとすることは誤まりであるばかりでなく、賢くないことであります。殊に懲罰の問題を際立たせることによつて、予算その他について無能を示しつつある政府與党の姿を相対的に隠そうとするものがあるとすれば、それは全く賢くないことであります。まして、これによつて最も頑強な共産党議員に最大の罰を與えて孤立させ、その勢いに乘つて、とかく自由に引廻しにくい参議院をば自由に引廻そうというところに持つて行こうと政府與党がもくろんでいるとすれば、それは参議院の力と性格とを知らぬことから來る愚かさであります。(拍手)現にあの無理な会期延長によつて通された惡法によつて何が生じていましようか。陰惨な不景気が生じています。国民生活の破綻が生れています。失業は都市のみならず農村にも満ちて、一部には少年の人身売買が生れています。この懲罰問題をも一つの切つかけとして惡用して始められたさまざまの政府の圧迫方策は、教育の面における進歩的教授の追放、朝鮮人学校の強行閉鎖などをも含むもろもろの政策は、人民の苦しみを和らげるのには役立たないで、苦しみを増すのに役立つております。このことこそ、実力を以て無理に会期を延長してさまざまの惡法を通したことに対する現実の答えであります。(拍手)惡法という政府に対する国民の意思はあちこちに現われておりまして、今日は保守的な立場であつたも、真劍に考えている人々の間には、経済政策の完全な行詰りから來る政府の運命についての相当明らかなる意見、予測さえも発表されるに至つております。このことは民自党の諸君をも含むところの政治世界のあらゆる消息通の一致した見解であると見られます。(「そういうことを言う資格があるか」と呼ぶ者あり)ただ我々のみがこれを言う資格がある。  併し私は更に次の問題について特に参議院の諸君の良識に訴えたいと思います。それは懲罰事犯の継続審議の問題であります。御承知のように、すでに前の人々も言われたように、懲罰事犯の継続審議ということは世界の国会に類例がありません。我が参議院においてもそういうことは行われていない。これは民主的な議会制度が始まつて以來の慣行になつています。併しこの慣行、ならわしというものは、決して便宜的なもの、ただ、いつの間にやら訳もなくそういうことになつたというものでは決してありません。それは懲罰という問題は、乱された議院の秩序を回復するというところに目的があるのでありますから、他の法案がその後の国の政治に影響するために次の会期まで延ばして審議をやつて行かなければならないという場合と性質が全く異なつております。その会期の終ると共に秩序の問題は終る。それだから懲罰事犯の継続審議ということは行われない。つまり、このことは、ただ便宜としてそういうことになつたというのではなくて、その慣行の裏にはそういう普遍的な真実が横わつておるからであります。(拍手)今日我が参議院の仕事が、働き方が、国際的な環視の下にあるということは前の人によつても言われております。又参議院の権威を守らなければならない。墜ちたものはこれを回復しなければならないということも言われております。併しながら、そうであればある程、我々は世界のすべての国会が真理に基いて慣行として來たところの懲罰事犯の継続審議を行わないというこの原則を、しつかり守らなければならないということを信じます。決して懲罰事犯の審議の問題は仇討ではない。報復ではありません。殊にさまざまの人の言葉からあれを拾いこれを拾いして、それを綴り合せて特定の状態を描き出させようとすることは卑しむべきことであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手、「本論をやれ、本論を」と呼ぶ者あり)私はこういうことを皆さんがよく御存じのことを知つております。ただ私は問題をはつきりさせるために、こういう問題を改めて思い出して頂きたいと訴えるわけであります。我々が参議院の権威を守るということは、国際的な環視の下に会議の運営を公正に運ぼうというときに当つて、新らしい民主議会の出発点というようなことを言われた人がありますが、そういう地点に我々が差しかかつておりながら、先にも説明したような、又皆さんが実際よく御存じのああいう議会制度の本質的部分をなす慣行をも踏みにじり、それによつてみずからの権威を地に擲つということを以て参議院の権威を守ろうとするとすれば、これ程愚かな誤まつてことはないだろうと確信するのであります。(拍手)ああいう無理なことをした結果生じたこの暗澹たる有様については先に述べました。そうして、このことをこそ我々の会議は解決しなければならない。又ここに私が附加えて言いましたところの会期不継続の原則の再確認、このことを併せて考えると共に、我々がこういう問題について時間を費していた間に、他の面から言えば、原子力の研究は、兵器としての破壊的手段から工業ため生産手段に変化して來ているというようなふうな事実をも併せて考えて頂きたい、こう思います。参議院の特殊性、(「何を言つているのだ」と呼ぶ者あり)参議院の性格というところからして、諸君が(「早くやれ」と呼ぶ者あり)この種の問題をも国際的な視野の下に、眼は国際的に、心は平和に満ちて、正しい判断に至り着いて頂きたいと、こう思う。(拍手)実際あの無理な会期延長、それによる無理な法案の通し方、あれによつて惹き起されておる事態は、繰り返してこれを私は説明しません。諸君自身のうちにも、ああいうふうな法律についてすでに修正の意見を抱いておられる方が少からずあります。このことは皆さん自身御存じでありましよう。委員会の結論がなかなか出なかつたということは、委員会が委員長の今日の報告に來るまでにはジグザグのコースを通つたということ、紆余曲折を経て來たということは、やはりこういうふうな事柄が委員諸君にも各会派の議員諸君にも、有形無形に反映したからに外ならないと私は信じます。(「そうじやないよ、愼重にやつたんだ」と呼ぶ者あり)さつき言いましたような、この臨時国会で取扱わねばならぬ重要問題について、国民が懸念と期待と相当の決意とを持つておると同様に、この懲罰問題の処理の仕方についても、同様に懸念と期待と相当の決意とを持つておることを私は疑いません。どうかこの国会の取扱うべき重要問題に対して最も真劍なる態度で臨んで頂きたいと同様に、この懲罰の問題についても全く正しい態度で臨んで頂きたいと、こう思います。これらすべてが金子、カニエ、中西、板野の四君の懲罰に対する日本共産党の反対の意見であります。  これを以て終ります。(拍手
  44. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 丹羽五郎君。‥‥ちよつと間違いました。松井道夫君。    〔松井道夫君登壇拍手
  45. 松井道夫

    ○松井道夫君 私は本件につきましては委員会の結論を支持いたすものであります。  国際環視ということが問題となつておりまするが、現在我が国は開闢以來最もこの国際環視という言葉がよく当てはまる状態にあるのであります。我我がこの国会におきまして、一言一句を速記録に記録いたしますれば、これは直ちに管理当局の眼を通り、更に全世界に明らかにされるのであります。連合国は如何に日本が新憲法の精神に從つた民主国家になるかということを注目しておるのであります。然るにその民主国会、国民により選ばれましたる議員によりまして、国民の先頭に立つて、暴力的傾向のまだ多分に残つておりまする或る部分の国民の先頭に立ちまして、この議政壇上で暴力を振うということでは、国際的の期待に副うことはできぬことは申すまでもございません。我々は実に世界の中のガラス張りの中で政治を語り、立法をいたしておるのであります。(「ガラス張りじやないぞ」と呼ぶ者あり)我々はよくそのことを考えなければならないと思うのであります。我々がかかる事案につきまして貴重なる時間を費しておりまするうちに、原子爆彈が方々の国にできたり、これが工業力に利用されようといたしておる。実に悲しむべきことであるのであります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)暴力こそは封建的なるもの乃至はフアツシヨ的なるものの申し子であります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)我々はこの民主国会におきまして、この暴力的傾向というものを追放いたさなければならないのであります。  私は今回の事案についての特異点を申上げたいのであります。国会におきまして法案を審議をいたす。ところがその法案に反対だということで、これが合法的の方法が與えられております。ところが議長の歩行を阻止し或いは副議長を壇上より引摺り下ろすというような非合法なことが行われる。即ち我々の立法行動そのものに対する侵害なのであり、攻撃なのであります。これが單なる個人間の、例えばカニエ君の加藤君を殴つたような、これも一つの案件になつておるのでありまするが、こういうこととその性質を異にするのであります。更にその攻撃が、議長、副議長に加えられたということであります。議長、副議長は国会の内外に対しまして国会を代表いたす国会の尊嚴の象徴であるのであります。これに対して攻撃を加えられたということ、これが又一つの特異点であります。(「議長、副議長は何をやつてもいいか」「謹聽々々」と呼ぶ者あり)我々がこの民主国会におきまして、我々の職務の重要性につきまして真に心からそれを感じて大事にしておりまするならば、かかる行動に出でられる筈がないのであります。自己の職務それ自身に対する深い認識というものを欠いておる証拠じやないでしようか。さような我々の認識が十分でないところに、日本の国政が国民の期待に十分に副わない、(「その通り」と呼ぶ者あり)国民の期待に副う程の進歩を見せないところの大きな理由であると私は存ずるのであります。我々は更に更に反省いたしまして、(「嘘をつけ」と呼ぶ者あり)そういう認識の把握を強くいたさなければならないと存ずるのであります。大体さような程度にいたして置きまして、ここに(「カニエはどうだ」と呼ぶ者あり)中西君の除名について一言申したいと思うのであります。  我々が同僚でありまする中西君を除名いたす決定をいたしたことはです。これは決して心中晏如としているわけじやございません。(それならいいじやないか、なぜやるのだ」と呼ぶ者あり)況んや、以て快とするなどは飛んでもないことであります。泣いて馬謖を斬るという言葉がありますが、(笑声)私は、首を切るのに平気で切る人もあるでしようし、又以て快とする人もあるでございましよう。併し私はそうじやない。(「それはうそだ」と呼ぶ者あり)これは国会の尊嚴、議長の尊嚴を守る為めに止むを得ない措置なのであります。(「議員に尊嚴はないのか」と呼ぶ者あり)諸君、これは新らしい国会の而も参議院の最初の重大なる先例をここに作るものであります。(「しつかりしろ」と呼ぶ者あり)先程いろいろ先例を岡田君が言われましたが、すでに憲法が変つておるのです。貴族院もなくなつておる。参議院がここに国民の代表として存在いたしておるのであります。我々は将來長い先の国民に示す先例を今作つておるのであります。(「惡い先例だぞ」と呼ぶ者あり)国際環視の中でその先例を作つているのであります。どうか諸君、(「何か通ることを言わなければ駄目なんだ」と呼ぶ者あり)如何にこの懲罰事犯が我々の将來ために重要なるものであるかということを十分考えて頂きたい。(「逆じやないか、それは全く」と呼ぶ者あり)我々は單にここに懲罰委員会に付されました四名の同僚を懲罰に付すことを以て能事終れりとしてはいけないという議論には賛成であります。(「どこが惡いのだ」と呼ぶ者あり)他の議員も直接に間接に短所があるのであるからして、(「君こそそうだ」「自分はどうするのだ」「默つて聞け」と呼ぶ者あり)自粛自戒しなければならないという議論には賛成であります。我々はこの機会に再思三省しなければならないと存ずるのであります。(「よし分つたぞ」と呼ぶ者あり)  最後に、継続審査のことにつきまして一言触れて置きたいのであります。懲罰委員会におきまして、第五国会で懲罰権の限界について調査いたしたのであります。学界の有力学者、又国会関係部長、その他証人を喚問いたし、又種々諸外国の制度なども研究いたしまして、その報告書を提出いたし、この本会議においてすでに報告済なのであります。その報告書によりますると、継続審査というものが可能だという答えが出て参るのであります。(「内容が違う」と呼ぶ者あり)そうして、その結論が結局諸君に認められまして、この継続審査というものが前国会においてさような運びになつたということは御承知通りであります。勿論反対の意見もあつたとは申すまでもない。今更そのことを持ち出されてもどうにもならない。願わくば、今の報告書を、懲罰委員会で提出いたしました報告書を(「一方的な報告書だ」と呼ぶ者あり)御熟読の上、いろいろ御叱正を賜わらば仕合せであります。  以上縷縷申述べましたが、結論といたしましては、冒頭にも申上げました懲罰委員会の結論と合致するのであります。これを以て私の賛成の討論といたします。(拍手
  46. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 丹羽五郎君。    〔丹羽五郎君登壇拍手
  47. 丹羽五郎

    ○丹羽五郎君 私は(「ゆつくりやれ」と呼ぶ者あり)無所属墾談会を代表いたしまして、遺憾ながら本案に反対いたすものであります。  先程遠山議員のお話の中に、何か禿頭が演壇に上つたとか、議場に上つたとかいうお話があつたのでありますが、実はこの被害者の中に私と同じような頭の禿げた金子君があることに対して、私はもう一度この本案に対して同情し、且つ皆さんに訴えたいことがある。又、今松井君のお話には、何か議員全体が自粛自戒せいと、これは私大いに結構なことである。我々もこの五月二十三日のあの夜の雰囲気を見て、大いに私共は自粛自戒をして行きたい。併し遺憾ながら、松井君は一番この壇上に立つてこの光景を眺めておられた。私は、松井君そのものが一番本院において自粛自戒を要する一人であるということを考えたい。(拍手)  実は極く簡單に皆さんに御相談いたしたいことがある。この四人の我々の同僚から被疑者を出したということは、お互いに遺憾なことであります。且つ国民は、新しくできた機構のこの参議院に対して、非常な注意と非常な望みを持つておるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)この国民に対しまして、私共はこの院議によつて多くの怪我人を出すことが、果して参議院将來において得る点がありやということを私は諸君に御相談をいたしたい。(拍手)又この中の中西議員に対して除名という委員長の報告があつたのでありますが、成る程中西議員は、少し不断から直情径行、多熱多感の人であります。私は実はどうかというと、共産党は嫌いであります。(「共産党何とか言え」と呼ぶ者あり、笑声)併しこの中西議員と雖も、私は狂人でなければああいうような行為をしなかつたものだろうと、かように考えます。(「その通り」「うまいこと言う」と呼ぶ者あり)何が彼を狂わしたか、何が彼を躍らしたかということは、お互いに自粛自戒をしてよく考えて見たいと、かように考えます。(拍手)又カニエ議員が議長の足下に転んだとか、又議長はカニエ議員の頭を踏んだとかいうことで、頭を踏まれたカニエ議員が三十日の登院停止、踏んだ人は不可抗力であるというようなことにも又考えられる点もあるのであります。まあいろいろと私は実は御相談したい。理窟を言うのではなく、いろいろと叩けば埃が出る。(笑声)恐らく私は叩けば四人だけじやない、三十二人の私は埃が出ようと、かように考えます。(拍手)どうか私は皆さんにもう一つお願いをいたしたいのは、今の遠山君のお話には、法は嚴粛でなければならぬ、無論私も同感であります。併しその嚴粛には一つの又涙が出なければならぬと、私はかように考えます。中西君に対しては除名という委員会は決議をされましたが、恐らくこの除名の決議をするその瞬間、同僚議員は皆涙を以て私はこの決議に参加したことであろうと、かように考えます。我々第一国会以來約三年間いろいろとお互いに話合いをして來たその議員を、この瞬間、この瞬間に私は失うことを非常に悲しむものであります。どうか皆さん、法には涙があり、我々同僚にも法以上の涙を以てこの同僚の姿を眺めてやりたいと、かように考えます。本日この被疑者であるところの四人の人は、皆嚴粛に謹愼をして、登院をいたしておりません。ちよつとこちらは興奮をして……(笑声、「ゆつくりやれ」と呼ぶ者あり)ゆつくりやつたら皆が迷惑するだろうから、もう極く簡單にやりましよう。(笑声)重ねて私は皆様にお願いをいたしたいのですが、中西君の行為が或いは除名にひとしい行為であつたかも分らぬ。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)併し歴史的名判官であつた大岡越前守は、(笑声)一人の死刑の判決も下したことがないということを私は本で読んだことがあります。(笑声)私は皆さんに訴えたい。我々はここで大岡越前守になつた気分において、どうか中西君の除名だけは特に皆様に私はお願いをしてお許しを頂きたい。又只今お話によつては、中西君は前科者である、かるが故にこれをここで殺すのだ。除名は議員に対する刑罰の極致であります。私共は中西君を助けてもう一度彼を本來の議員生活に私は繰入れて見たいと、かように考えておるのであります。又諸君と共にこの中西君を我々の温かい懐に入れて、そうして私は……(笑声)一人のジエントルマンに私はこれを養成して見たい、かように考えるのであります。(笑声、拍手、「共産党養成せよ」と呼ぶ者あり)どうか外の三人に対しては、恐らく私は三十日と二十五日と二十日、これは少し高い。(笑声)幾らインフレの世の中でも、これは私は恐らく、まあ現在におきましてもデイス・インフレーシヨンになつておりますから、私は半分に負けてやつて貰いたい。中西君に対しましては特に皆様のお力を以ちまして、除名だけは今回に限りお許しを願います。  これが私の希望といたしまして、本案に反対する理由であります。(拍手
  48. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 油井賢太郎君。    〔油井賢太郎君登壇拍手
  49. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 私は民主党を代表いたしまして、原案に対しまして全面的賛成はできないということを申上げたいのであります。即ち、カニエ、金子、板野の三君に対しましては、緑風会並びに民自党の諸君の主張と全く同樣であつたのであります。併しながら中西議員に対しましての除名だけは、我々民主党は賛成せざるを得ないのであります。(「反対だ」と呼ぶ者あり)言い現わし方が間違いましたが、中西君の除名に対しましては賛成でき難いのであります。  去る五月二十三日のあの混乱におきまして、先程どなたかがこの壇上に三十三人という多数の人々が上つたことを列挙されました。併しながらあの中には我々民主党は唯一人も上つておりません。終始冷靜そのもののごとく(「民主党を見習えよ」と呼ぶ者あり)議席にありまして、あの乱闘の姿を見守つてつたのであります。かかる見地からいたしますれば、本日のこの懲罰会議におきまして真に国民の要望するような判断を下す政党は、ただ我が民主党一つあるのみであります。(拍手)先程中野君から(「傍観主義だ」と呼ぶ者あり)この第六国会に懲罰委員会が継続することについて縷、非難のお話がありました。併しながら我々民主党といたしましては、全く犠牲になつたという感じがいたすのであります。但し中野君が示されたような引例に対しましては強く反省を促したいと思います。(拍手)何故ならば、国会法第六十八條に「会期中に議決に至らなかつた案件は、後会に継続しない。但し、第四十七條第二項の場合は、この限りでない。」、第四十七條を見ますというと「常任委員会及び特別委員会は、会期中に限り付託された事件を審査する。常任委員会及び特別委員会は、各議院の議決で特に付託された事件については、閉会中もなお、これを審査することができる。」、こういうことがはつきりと明示されておるのであります。然るにも拘わらず、中野議員は我我が制定したこの国会法に対しまして大きな異論を差挾んでおる。これは中野議員が知らないというならば勉強が足らないのであります。(拍手)こういう議員のおる政党というものが、とかく常軌を逸脱するようなことがあることは、甚だ遺憾ながら我々認めざるを得ないのであります。(拍手)併しながらこういう点から申しまして、中西君が先般行なつたところの行動というものは、確かに緑風会或いは民主自由党の諸君から見まして、全く逸脱せる行為であつたとは思われるでしよう。除名以外にもつと強い刑罰があつたならば、それをも科してやりたいような衝動に駆られたことであろうと思うのであります。併し我々民主党といたしましては、同じく参議院に議席を置き、今日まで三年になんなんとする間、大体において円満に国会の運営をやつてつた一人であつたのであります。かかる三年間もの間、一つの釜の飯を食つた人の身分を、あの行動のために除名にまで落すことが、果して国民全般から見たときに如何なる批判が行われるかということを強く反省して見たいと思います。(「心配ない」と呼ぶ者あり)成る程行動の点におきましては遺憾の点がありましたけれども、その行動を惹起するのに誘導したところのものは、やはり民主自由党の諸君も緑風会の諸君も一応反省して検討を要するものであると思うのであります。(拍手)今一応罪一等を減じまして、我々民主党が主張するがごとき程度にいたしまして、以て強く強く中西君の反省を促し、立派な、国民的に見て、どこから見ても穏健な人格者になるくらいにまで育成することに、我々一同で以て今後指導するというようなお考えを持つて頂けないでしようか。(「同感々々」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)かかる意味におきまして、我々民主党は中西君の除名には反対の意を表するものであります。(拍手
  50. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより本件の採決をいたします。先ず議長板野勝次君の懲罰事犯の件を採決いたします。表決は記者投票を以て行います。尚、委員長の報告は二十日間の登院停止でございます。委員長報告に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上御投票を願います。氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  51. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 投票漏れはございませんか。……投票漏れないと認めます。これより開票いたします。投票を計算いたさせます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  52. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 投票の結果を報告いたします。投票総数百七十六票、白紙票百十七票、青紙票五十九票、よつて委員長報告通り議決せられました。(拍手)      ——————————   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名      百十七名       赤木 正雄君    赤澤 與仁君       井上なつゑ君    岩本 月洲君       江熊 哲翁君    大山  安君       柏木 庫治君    河井 彌八君       木下 辰雄君    小杉 イ子君       小宮山常吉君    小林米三郎君       佐藤 尚武君    鈴木 直人君       竹下 豐次君    高瀬荘太郎君       高田  寛君    高橋龍太郎君       伊達源一郎君    田村 文吉君       野田 俊作君    波多野林一君       久松 定武君    藤井 丙午君       藤野 繁雄君    松村眞一郎君       三島 通陽君    村上 義一君       矢野 酉雄君    山崎  恒君       山本 勇造君    結城 安次君       阿竹齋次郎君    安部  定君       飯田精太郎君    伊藤 保平君       奥 むめお君    岡本 愛祐君       岡元 義人君    小野  哲君       來馬 琢道君    大屋 晋三君       植竹 春彦君    島村 軍次君       下條 康麿君    宿谷 榮一君       新谷寅三郎君    松嶋 喜作君       川村 松助君    小林 英三君       寺尾  博君    徳川 宗敬君       玉屋 喜章君    徳川 頼貞君       一松 政二君    堀越 儀郎君       町村 敬貴君    松井 道夫君       岡田喜久治君    小野 光洋君       團  伊能君    横尾  龍君       中川 以良君    寺尾  豊君       大野木秀次郎君    遠山 丙市君       加藤常太郎君    城  義臣君       淺岡 信夫君    西川甚五郎君       大島 定吉君    黒田 英雄君       平沼彌太郎君    草葉 隆圓君       石坂 豊一君    板谷 順助君       今泉 政喜君    松野 喜内君       黒川 武雄君    石川 準吉君       紅露 みつ君    深川タマヱ君       木内キヤウ君    藤井 新一君       深水 六郎君    平岡 市三君       北村 一男君    藤森 眞治君       深川榮左エ門君    仲子  隆君       中川 幸平君    西山 龜七君       境野 清雄君    淺井 一郎君       重宗 雄三君    廣瀬與兵衞君       山田 佐一君    大隅 憲二君       尾形六郎兵衞君    木内 四郎君       櫻内 辰郎君    油井賢太郎君       星   一君    小畑 哲夫君       前之園喜一郎君    竹中 七郎君       入交 太藏君    小林 勝馬君       門屋 盛一君    鈴木 順一君       岩木 哲夫君    林屋亀次郎君       中井 光次君    米倉 龍也君       駒井 藤平君    小川 久義君       岩男 仁藏君     —————————————  反対者(青色票)氏名      五十九名       松下松治郎君    内村 清次君       梅津 錦一君    齋武  雄君       村尾 重雄君    門田 定藏君       塚本 重藏君    河野 正夫君       羽生 三七君    田中 利勝君       和田 博雄君    森下 政一君       青山 正一君    栗山 良夫君       姫井 伊介君    中平常太郎君       若木 勝藏君    島田 千壽君       吉川末次郎君    天田 勝正君       細川 嘉六君    中野 重治君       岩間 正男君    兼岩 傳一君       鈴木 清一君    水橋 藤作君       千葉  信君    木村禧八郎君       堀  眞琴君    原口忠次郎君       椎井 康雄君    池田 恒雄君       星野 芳樹君    太田 敏兄君       小泉 秀吉君    大野 幸一君       赤松 常子君    千田  正君       國井 淳一君    藤田 芳雄君       羽仁 五郎君    伊藤  修君       大畠農夫雄君    岩崎正三郎君       河崎 ナツ君    丹羽 五郎君       川上  嘉君    佐々木良作君       原  虎一君    下條 恭兵君       島   清君    中村 正雄君       三好  始君    波多野 鼎君       三木 治朗君    木下 源吾君       山下 義信君    岡田 宗司君       鈴木 憲一君      ——————————
  53. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 只今の議決に基き懲罰を宣告いたします。  板野勝次君に対し、国会法第百二十二條第三号により、二十日間の登院停止を命じます。      ——————————
  54. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 次に議員金子洋文君の懲罰事犯の件の採決をいたします。表決は記名投票を以て行います。尚、委員長報告は二十五日間の登院停止でございます。委員長報告に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上御投票願います。氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  55. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 投票漏れはございませんか。……投票漏れないと認めます。これより開票いたします。投票を計算いたさせます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  56. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 投票の結果を報告いたします。投票総数百七十五票、白色票百十六票、青色票五十九票、よつて委員長報告通り議決せられました。      ——————————   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名      百十六名       赤木 正雄君    赤澤 與仁君       井上なつゑ君    岩本 月洲君       江熊 哲翁君    大山  安君       柏木 庫治君    河井 彌八君       木下 辰雄君    小杉 イ子君       小宮山常吉君    小林米三郎君       佐藤 尚武君    鈴木 直人君       竹下 豐次君    高瀬荘太郎君       高田  寛君    高橋龍太郎君       伊達源一郎君    田村 文吉君       野田 俊作君    波多野林一君       久松 定武君    藤井 丙午君       藤野 繁雄君    松村眞一郎君       三島 通陽君    村上 義一君       矢野 酉雄君    山崎  恒君       山本 勇造君    結城 安次君       阿竹齋次郎君    安部  定君       飯田精太郎君    伊藤 保平君       奥 むめお君    岡本 愛祐君       岡元 義人君    小野  哲君       來馬 琢道君    大屋 晋三君       植竹 春彦君    島村 軍次君       下條 康麿君    宿谷 榮一君       新谷寅三郎君    松嶋 喜作君       川村 松助君    小林 英三君       寺尾  博君    徳川 宗敬君       玉屋 喜章君    徳川 頼貞君       一松 政二君    堀越 儀郎君       町村 敬貴君    松井 道夫君       岡田喜久治君    小野 光洋君       團  伊能君    横尾  龍君       中川 以良君    寺尾  豊君       大野木秀次郎君    遠山 丙市君       加藤常太郎君    城  義臣君       淺岡 信夫君    西川甚五郎君       大島 定吉君    黒田 英雄君       平沼彌太郎君    草葉 隆圓君       石坂 豊一君    板谷 順助君       今泉 政喜君    松野 喜内君       黒川 武雄君    石川 準吉君       紅露 みつ君    深川タマヱ君       木内キヤウ君    藤井 新一君       深水 六郎君    平岡 市三君       北村 一男君    藤森 眞治君       深川榮左エ門君    仲子  隆君       中川 幸平君    西山 龜七君       境野 清雄君    淺井 一郎君       重宗 雄三君    廣瀬與兵衞君       山田 佐一君    大隅 憲二君       尾形六郎兵衞君    木内 四郎君       櫻内 辰郎君    油井賢太郎君       星   一君    小畑 哲夫君       前之園喜一郎君    竹中 七郎君       入交 太藏君    小林 勝馬君       門屋 盛一君    鈴木 順一君       岩木 哲夫君    林屋亀次郎君       中井 光次君    米倉 龍也君       駒井 藤平君    岩男 仁藏君     —————————————  反対者(青色票)氏名      五十九名       松下松治郎君    内村 清次君       梅津 錦一君    齋武  雄君       村尾 重雄君    門田 定藏君       塚本 重藏君    河野 正夫君       羽生 三七君    田中 利勝君       山田 節男君    和田 博雄君       森下 政一君    青山 正一君       栗山 良夫君    姫井 伊介君       中平常太郎君    若木 勝藏君       島田 千壽君    吉川末次郎君       天田 勝正君    細川 嘉六君       中野 重治君    岩間 正男君       兼岩 傳一君    鈴木 清一君       水橋 藤作君    千葉  信君       木村禧八郎君    堀  眞琴君       原口忠次郎君    椎井 康雄君       池田 恒雄君    星野 芳樹君       太田 敏兄君    小泉 秀吉君       大野 幸一君    赤松 常子君       千田  正君    國井 淳一君       藤田 芳雄君    羽仁 五郎君       伊藤  修君    大畠農夫雄君       岩崎正三郎君    河崎 ナツ君       丹羽 五郎君    川上  嘉君       佐々木良作君    原  虎一君       下條 恭兵君    島   清君       中村 正雄君    波多野 鼎君       三木 治朗君    木下 源吾君       山下 義信君    岡田 宗司君       鈴木 憲一君      ——————————
  57. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 只今の議決に基き、懲罰を宣告いたします。  金子洋文君に対し、国会法第百二十二條第三号により、二十五日間の登院停止を命じます。      ——————————
  58. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 次に議員カニエ邦彦君の懲罰事犯の件の採決をいたします。表決は記名投票を以て行います。尚、委員長報告は三十日間の登院停止でございます。委員長報告に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上御投票を願います。氏名点呼を行います。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  59. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 投票漏れはございませんか。‥‥投票漏れないと認めます。これより開票いたします。投票を計算いたさせます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  60. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 投票の結果を報告いたします。投票総数百七十五票、白色票百十六票、青色票五十九票、よつて委員長報告通り議決せられました。      ——————————   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名      百十六名       赤木 正雄君    赤澤 與仁君       井上なつゑ君    岩本 月洲君       江熊 哲翁君    大山  安君       柏木 庫治君    河井 彌八君       木下 辰雄君    小杉 イ子君       小宮山常吉君    小林米三郎君       佐藤 尚武君    鈴木 直人君       竹下 豐次君    高瀬荘太郎君       高田  寛君    高橋龍太郎君       伊達源一郎君    田村 文吉君       野田 俊作君    波多野林一君       久松 定武君    藤井 丙午君       藤野 繁雄君    松村眞一郎君       三島 通陽君    村上 義一君       矢野 酉雄君    山崎  恒君       山本 勇造君    結城 安次君       阿竹齋次郎君    安部  定君       飯田精太郎君    伊藤 保平君       奥 むめお君    岡本 愛祐君       岡元 義人君    小野  哲君       來馬 琢道君    大屋 晋三君       植竹 春彦君    島村 軍次君       下條 康麿君    宿谷 榮一君       新谷寅三郎君    松嶋 喜作君       川村 松助君    小林 英三君       寺尾  博君    徳川 宗敬君       玉屋 喜章君    徳川 頼貞君       一松 政二君    堀越 儀郎君       町村 敬貴君    松井 道夫君       岡田喜久治君    小野 光洋君       團  伊能君    横尾  龍君       中川 以良君    寺尾  豊君       大野木秀次郎君    遠山 丙市君       加藤常太郎君    城  義臣君       淺岡 信夫君    西川甚五郎君       大島 定吉君    黒田 英雄君       平沼彌太郎君    草葉 隆圓君       石坂 豊一君    板谷 順助君       今泉 政喜君    松野 喜内君       黒川 武雄君    石川 準吉君       紅露 みつ君    深川タマヱ君       木内キヤウ君    藤井 新一君       深水 六郎君    平岡 市三君       北村 一男君    藤森 眞治君       深川榮左エ門君    仲子  隆君       中川 幸平君    西山 龜七君       橋本萬右衞門君    境野 清雄君       淺井 一郎君    重宗 雄三君       廣瀬與兵衞君    山田 佐一君       大隅 憲二君    尾形六郎兵衞君       木内 四郎君    櫻内 辰郎君       油井賢太郎君    星   一君       小畑 哲夫君    前之園喜一郎君       竹中 七郎君    入交 太藏君       小林 勝馬君    門屋 盛一君       鈴木 順一君    岩木 哲夫君       林屋亀次郎君    中井 光次君       米倉 龍也君    岩男 仁藏君     —————————————  反対者(青色票)氏名      五十九名       松下松治郎君    内村 清次君       梅津 錦一君    齋武  雄君       村尾 重雄君    門田 定藏君       塚本 重藏君    河野 正夫君       羽生 三七君    田中 利勝君       山田 節男君    和田 博雄君       森下 政一君    青山 正一君       栗山 良夫君    姫井 伊介君       中平常太郎君    若木 勝藏君       島田 千壽君    吉川末次郎君       天田 勝正君    細川 嘉六君       中野 重治君    岩間 正男君       兼岩 傳一君    鈴木 清一君       水橋 藤作君    千葉  信君       木村禧八郎君    堀  眞琴君       原口忠次郎君    椎井 康雄君       池田 恒雄君    星野 芳樹君       太田 敏兄君    小泉 秀吉君       大野 幸一君    赤松 常子君       千田  正君    國井 淳一君       藤田 芳雄君    羽仁 五郎君       伊藤  修君    大畠農夫雄君       岩崎正三郎君    河崎 ナツ君       丹羽 五郎君    川上  嘉君       佐々木良作君    原  虎一君       下條 恭兵君    島   清君       中村 正雄君    波多野 鼎君       三木 治朗君    木下 源吾君       山下 義信君    岡田 宗司君       鈴木 憲一君      ——————————
  61. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 只今の議決に基き、懲罰を宣告いたします。  カニエ邦彦君に対し、国会法第百二十二條第三号により、三十日間の登院停止を命じます。      ——————————
  62. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 次に議員中西功君の懲罰事犯の件を採決をいたします。表決は記名投票を以て行います。尚、委員長報告は除名でございます。委員長報告に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上御投票を願います。氏名点呼を行います。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  63. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 投票漏れはございませんか。‥‥投票漏れはないものと認めます。これより開票いたします。投票を計算いたさせます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  64. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 投票の結果を報告いたします。投票総数百七十七票、白色票即ち除名を可とするもの八十八票、青色票即ち除名を否とするもの八十九票、(拍手)  議員を除名するには出席議員の三分の二以上を要することになつております。只今の投票の結果除名すべしとする票数は三分の二に達しておりません。よつて中西功君を除名する懲罰は否決になりました。      ——————————   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名      八十八名       赤木 正雄君    赤澤 與仁君       井上なつゑ君    岩本 月洲君       江熊 哲翁君    大山  安君       柏木 庫治君    河井 彌八君       木下 辰雄君    小杉 イ子君       小宮山常吉君    小林米三郎君       佐藤 尚武君    鈴木 直人君       竹下 豐次君    高瀬荘太郎君       高田  寛君    高橋龍太郎君       伊達源一郎君    田村 文吉君       野田 俊作君    波多野林一君       久松 定武君    藤井 丙午君       藤野 繁雄君    松村眞一郎君       三島 通陽君    村上 義一君       矢野 酉雄君    山崎  恒君       結城 安次君    阿竹齋次郎君       飯田精太郎君    伊藤 保平君       奥 むめお君    岡本 愛祐君       岡元 義人君    小野  哲君       來馬 琢道君    大屋 晋三君       植竹 春彦君    島村 軍次君       下條 康麿君    宿谷 榮一君       新谷寅三郎君    松嶋 喜作君       川村 松助君    小林 英三君       寺尾  博君    徳川 宗敬君       玉屋 喜章君    徳川 頼貞君       一松 政二君    堀越 儀郎君       町村 敬貴君    松井 道夫君       岡田喜久治君    小野 光洋君       團  伊能君    横尾  龍君       中川 以良君    寺尾  豊君       大野木秀次郎君    遠山 丙市君       加藤常太郎君    城  義臣君       淺岡 信夫君    西川甚五郎君       大島 定吉君    黒田 英雄君       平沼彌太郎君    草葉 隆圓君       石坂 豊一君    板谷 順助君       今泉 政喜君    松野 喜内君       黒川 武雄君    藤井 新一君       深水 六郎君    平岡 市三君       北村 一男君    中川 幸平君       西山 龜七君    橋本萬右衞門君       重宗 雄三君    廣瀬與兵衞君       山田 佐一君    大隅 憲二君     —————————————  反対者(青色票)氏名      八十九名       安部  定君    石川 準吉君       紅露 みつ君    深川タマヱ君       木内キヤウ君    藤森 眞治君       深川榮左エ門君    仲子  隆君       境野 清雄君    淺井 一郎君       尾形六郎兵衞君    木内 四郎君       櫻内 辰郎君    油井賢太郎君       星   一君    小畑 哲夫君       前之園喜一郎君    竹中 七郎君       入交 太藏君    小林 勝馬君       松下松治郎君    内村 清次君       梅津 錦一君    門屋 盛一君       鈴木 順一君    齋武  雄君       村尾 重雄君    門田 定藏君       塚本 重藏君    岩木 哲夫君       河野 正夫君    羽生 三七君       田中 利勝君    山田 節男君       林屋亀次郎君    中井 光次君       和田 博雄君    森下 政一君       青山 正一君    栗山 良夫君       姫井 伊介君    中平常太郎君       若木 勝藏君    島田 千壽君       吉川末次郎君    天田 勝正君       細川 嘉六君    中野 重治君       岩間 正男君    兼岩 傳一君       鈴木 清一君    水橋 藤作君       千葉  信君    木村禧八郎君       堀  眞琴君    原口忠次郎君       椎井 康雄君    池田 恒雄君       星野 芳樹君    太田 敏兄君       小泉 秀吉君    大野 幸一君       赤松 常子君    千田  正君       國井 淳一君    藤田 芳雄君       羽仁 五郎君    伊藤  修君       大畠農夫雄君    岩崎正三郎君       河崎 ナツ君    丹羽 五郎君       川上  嘉君    佐々木良作君       原  虎一君    下條 恭兵君       島   清君    中村 正雄君       三好  始君    米倉 龍也君       波多野 鼎君    三木 治朗君       木下 源吾君    山下 義信君       岡田 宗司君    駒井 藤平君       小川 久義君    岩男 仁藏君       鈴木 憲一君      ——————————    〔油井賢太郎君発言許可を求む〕
  65. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 油井賢太郎君。
  66. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 只今中西君を除名する懲罰を不成立になりましたので、本員は本院規則第二百四十六條により、中西功君に対し登院停止三十日間の懲罰を科するの動議を提出いたします。
  67. 小川久義

    ○小川久義君 本員は只今の油井君の動議に賛成いたします。(拍手
  68. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 只今の油井君の動議は記名投票を以て採決を行います。即ち本院規則第二百四十六條により、中西功君に対し登院停止三十日間の懲罰を科する件でございます。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上御投票を願います。氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  69. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 投票漏れはございませんか。……投票漏れはないと認めます。これより開票いたします。投票を計算いたさせます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  70. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 投票の結果を報告いたします。投票総数百七十七票、白色票百十九票、青色票五十八票、よつて油井賢太郎君の動議通り議決せられました(拍手)      ——————————   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名      百十九名       赤木 正雄君    赤澤 與仁君       井上なつゑ君    岩本 月洲君       江熊 哲翁君    大山  安君       柏木 庫治君    河井 彌八君       木下 辰雄君    小杉 イ子君       小宮山常吉君    小林米三郎君       佐藤 尚武君    鈴木 直人君       竹下 豐次君    高瀬荘太郎君       高田  寛君    高橋龍太郎君       伊達源一郎君    田村 文吉君       野田 俊作君    波多野林一君       久松 定武君    藤井 丙午君       藤野 繁雄君    松村眞一郎君       三島 通陽君    村上 義一君       矢野 酉雄君    山崎  恒君       山本 勇造君    結城 安次君       阿竹齋次郎君    安部  定君       飯田精太郎君    伊藤 保平君       奥 むめお君    岡本 愛祐君       岡元 義人君    小野  哲君       來馬 琢道君    大屋 晋三君       植竹 春彦君    島村 軍次君       下條 康麿君    宿谷 榮一君       新谷寅三郎君    松嶋 喜作君       川村 松助君    小林 英三君       寺尾  博君    徳川 宗敬君       玉屋 喜章君    徳川 頼貞君       一松 政二君    堀越 儀郎君       町村 敬貴君    松井 道夫君       岡田喜久治君    小野 光洋君       團  伊能君    横尾  龍君       中川 以良君    寺尾  豊君       大野木秀次郎君    遠山 丙市君       加藤常太郎君    城  義臣君       淺岡 信夫君    西川甚五郎君       大島 定吉君    黒田 英雄君       平沼彌太郎君    草葉 隆圓君       石坂 豊一君    板谷 順助君       今泉 政喜君    松野 喜内君       黒川 武雄君    石川 準吉君       紅露 みつ君    深川タマヱ君       木内キヤウ君    藤井 新一君       深水 六郎君    平岡 市三君       北村 一男君    藤森 眞治君       深川榮左エ門君    仲子  隆君       中川 幸平君    西山 龜七君       橋本萬右衞門君    境野 清雄君       淺井 一郎君    重宗 雄三君       廣瀬與兵衞君    山田 佐一君       大隅 憲二君    尾形六郎兵衞君       木内 四郎君    櫻内 辰郎君       油井賢太郎君    星   一君       小畑 哲夫君    前之園喜一郎君       竹中 七郎君    入交 太藏君       小林 勝馬君    門屋 盛一君       鈴木 順一君    岩木 哲夫君       林屋亀次郎君    中井 光次君       米倉 龍也君    駒井 藤平君       小川 久義君    岩男 仁藏君       鈴木 憲一君     —————————————  反対者(青色票)氏名      五十八名       松下松治郎君    内村 清次君       梅津 錦一君    齋武  雄君       村尾 重雄君    門田 定藏君       塚本 重藏君    河野 正夫君       羽生 三七君    田中 利勝君       山田 節男君    和田 博雄君       森下 政一君    青山 正一君       栗山 良夫君    姫井 伊介君       中平常太郎君    若木 勝藏君       島田 千壽君    吉川末次郎君       天田 勝正君    細川 嘉六君       中野 重治君    岩間 正男君       兼岩 傳一君    鈴木 清一君       水橋 藤作君    千葉  信君       木村禧八郎君    堀  眞琴君       原口忠次郎君    椎井 康雄君       池田 恒雄君    星野 芳樹君       太田 敏兄君    小泉 秀吉君       大野 幸一君    赤松 常子君       千田  正君    國井 淳一君       藤田 芳雄君    羽仁 五郎君       伊藤  修君    大畠農夫雄君       岩崎正三郎君    河崎 ナツ君       丹羽 五郎君    川上  嘉君       佐々木良作君    原  虎一君       下條 恭兵君    島   清君       中村 正雄君    波多野 鼎君       三木 治朗君    木下 源吾君       山下 義信君    岡田 宗司君      ——————————
  71. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 只今の議決に基き、懲罰を宣告いたします。  中西功君に対し、国会法第百二十二條第三号により、三十日間の登院停止を命じます。  議事の都合により本日はこれにて延会いたしたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後八時三十八分散会      —————————— ○本日の会議に付した事件  一、貿易政策及び鉱業問題に関する緊急質問  一、経済復興五ケ年計画発表中止に関する緊急質問  一、電力制限に関する緊急質問  一、実地調査のため議員派遣の件  一、金子洋文君、中西功君、板野勝次君、カニエ邦彦君懲罰事犯の件