運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1949-10-26 第6回国会 参議院 本会議 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十月二十六日(水曜日)    午後二時二十一分 開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第二号   昭和二十四年十月二十六日    午後一時開議  第一 国会法の一部を改正する法律案衆議院提出)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。  この際お諮りいたします。両院法規委員新谷寅三郎君より委員辞任の申出がごさいました。新谷寅三郎君の辞任許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。      ——————————
  5. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 議員東浦庄治君は九月二日逝去せられました。誠に痛惜哀悼至りに堪えません。同君に対しましては、議長はすでに弔詞を贈呈いたしました。  この際、中井光次君より発言を求められております。中井光次君。    〔中井光次登壇拍手
  6. 中井光次

    中井光次君 只今議長から御報告がありました通り、本院議員東浦庄治君は去る九月二日永眠せられました。誠に痛惜至りに堪えません。ここに一言同君の生前を回顧し、追悼の意を捧げたいと存ずるものであります。  東浦君は明治三十一年四月、三重県度会郡城田村に生れられ、大正十二年東京帝国大学経済学部を卒業、帝国農会に職を奉ぜられてより二十有五年の間、帝国農会幹事長農地開発営団監事中央農業会理事全国農業会常任理事等、終始農業団体に一身を托され、この間、企画院委員実業教育興委員会幹事食糧品物価專門委員会委員東京農業大学講師東京帝国大学講師地方制度調査会委員警察制度審議会中央農地委員会肥料審議会の各委員等を歴任され、昭和二十二年参議院全国選出議員に当選せられたのであります。  東浦君の真面目は、その御経歴が示しまするように、農業指導者農政学者としての舞台に見られたのでありまして、帝国農会或いは全国農業会を通じ、常に日本農業発展のために貢献せられ、全国農民より慈父のごとき敬慕を捧げられておりまして、同君業績は不滅のものであると言わなければならないのであります。なかんずく、我が国農村の宿命とも言うべき自然災害に対しましては、終始非常な関心を持たれ、夙に農業保險制度拡充強化を唱道され、この地味ではありまするが而も極めて基本的重要問題の解決のために、文字通り東奔西走の努力をいたされました。今日の農業災害補償制度の確立は、実に同君の力によるものと言つても過言ではないのでありまして、同君存在は、生前の功績と共に、農業団体史農業保險史の上に永く銘記されるものと信ずるのであります。  参議院議員としての東浦君は、農林委員人事委員及び予算委員として、常に中正な態度と、持味のある意見とを持して來られました。同君の野にあつて養われた有能且つ豊富な良識と経験、そうして不偏不覊の自主心とは、議員としての活動の中に遺憾なく発揮せられ、殊に農業災害補償法農業協同組合法国家公務員法等の制定及び改正には非常な努力を盡され、同君の高邁な識見は、これらの諸法律の中に脈々と生かされおるのであります。私共は、参議院使命達成のため、かくのごとく孜々として盡された同君努力には常に深き敬意をいたし、大なる期待も掛けておつたのでありました。  我が国の前途ますます多事でありまする今日、このような多彩な活動を続けて來られた、最も働き盛りである有能有為東浦君を遽かに失いましたことは、余りにも意外なことであり、本院のため、国家のため、誠に惜んでも惜んでも尚余りあることであります。ここに謹んで東浦庄治君の安らかなる御冥福を心からお祈りいたしますると共に、同君がすでに帰らぬ人となつた今日においては、私共は、同君の偉業を生かし、ますます我が国再建のために力をいたすことこそ、同君の霊を慰め得るゆえんであると信ずるのであります。  これを以て追悼の言葉といたしたいと存じます。(拍手)      ——————————
  7. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 日程第一、国会法の一部を改正する法律案衆議院提出)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。議院運営委員長高田寛君。     —————————————    〔高田寛登壇拍手
  8. 高田寛

    高田寛君 只今議題となりました国会法の一部を改正する法律案に対する議院運営委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。  この法案に盛られました改正点は次の四点でございます。第一は、第三十九條中「各省次官」とあるのを「政務次官」と改めることであります。これは国家行政組織法施行に伴い、これに対応するため所要改正を加えたものであります。第二は、郵政省と電気通信省設置せられたのは対応し、從來逓信委員会郵政電気通信の二委員会にいたし、又商工委員会名称通商産業委員会に改めるなど、各省設置法施行に伴いまして第四十二條に所要改正を加えた点であります。第三は、從來特別職でありました專門員が、先の国家公務員法改正によりまして一般職になりました関係から、第四十三條第二項及び第三項において專門員に加えられておつた制限規定を削除いたした点であります。第四は、現行法においては自由討議は少くとも三週間に一回開かなければならないことになつておりますが、從來運営の経緯に鑑みまして、これが緩和規定を加えた点であります。  この法案の内容につきましては、本委員会におきましては、閉会中より数回に亘つて愼重なる検討を加えて來ておつたのであります。昨日本案が衆議院から送付され、本委員会に付託されたのでありますが、本委員会におきましては直ちに衆議院大村議院運営委員長出席を求め、その提案理由を聞くと共に、熱心なる質疑応答を重ねて愼重なる審議を盡したのであります。採決の結果は全会一致を以て衆議院送付の原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  右御報告申上げます。(拍手
  9. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 本案に対し討論通告ごございます。板野勝次君。    〔板野勝次登壇拍手
  10. 板野勝次

    板野勝次君 只今委員長報告は極めて淡々として問題はなさそうでありますが、この国会法改正の問題につきましては、先の国会の最終末の日、最後の反対討論に立ちまして、記名投票中に第五国会は終つた。紛糾を重ねた問題であります。日本共産党がこの改正反対いたしますゆえんのものは、只今委員長からも報告されました国会法第三十九條中の各省次官が今度政務次官に変るのでありますが、これは国会法附則の三項におきまして、「第三十九條の改正規定中「各省次官」とあるのは、国家行政組織法施行されるまでは、「政務次官」と読み替えるものとする。」と規定されておるのであります。ところが前の国会末に問題になりまして、この改正案が同日通過しておつたならば、国家行政組織法が六月一日より実施されることになつてつたのであります。ところが国会法改正されずに、そのままの状態となつて参りました。ところが国家行政組織法附則第四項には、「他の法令中「次官」とあるのは「事務次官」と、「政務次官」とある場合を除く外何々「次官」とあるのは何々「事務次官」と読み替えるものとする。」、從つて政務次官とは読まない。こういうことが明らかになつておるのであります。議院運営委員会におきましては、聞くところによりますと、ただ政府は字句の整理だ、こういうふうに言つておるのでありますが、明らかにこれは政府みずからが法律を無視して、そうして法律上無効な政務次官を六月一日から本日まで任命しておつたということになるのであります。私達は立法府の権威にかけても、政府がこのような法律を無視して、すでに五月三十一日を以て政務次官国会法第三十九條によりまして議決されなければならないものを、そのまま頬被りをして行き、そうして又この何ケ月間の間、法律を無視した。この態度につきましては、立法府として、この政府頬被りをして來た態度法律無視態度は飽くまでも糾彈されなければならないと思うのであります。然るに委員長報告には何事もそのような問題に触れていない。議院運営委員諸君は、そのような問題を承知されて審議されたかどうかということを私は疑いたいのであります。第三次吉田内閣が成立いたしました後における政府態度は、いつも法律無視態度を強行して参りました。この場合におきましてもよき実例であります。尚この法律無視態度を徹底前体党いたしますると同時に、この政務次官のごときものは、單なる獵官運動の一翼に過ぎないのでありまして、何ら政務次官を置かなければならない、それ程のものとは考えられないのでありまして、明らかにこれは獵官運動の金魚にビスケツトを與えるという程度の意義しか持たないのでありまして、(「ノー」と呼ぶ者あり)我が党は飽くまでこのような獵官運動政務次官設置には断乎として反対いたしますと共に、前の国会末におきましても、参政官設置、続いてこの政務次官合法化、このような企画には断じて賛成することができないと共に、自由討議が三週間の間に一回やらなければならないのが、運用上不便であるというので、但書の項目を設けられたということは、自由討議議員によつて自由に諸問題を討議される機会を制限して行き、遂にはこのような機会さえもやらなくなる、いわば言論を抑圧する一歩前進である、このように考えますが故に、以上二点を挙げて反対するものであります。(拍手
  11. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) これにて討論通告者発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  12. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。(拍手)      ——————————
  13. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) この際、日程に追加して、参議院規則改正案高田寛君外七名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。尚、本案につきましては、高田寛君外七名より委員会審査省略要求書が提出されております。発議者要求通り委員会審査を省略し、直ちに本案審議に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないものと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明発言を許します。高田寛君。   —————————————    〔高田寛登壇拍手
  16. 高田寛

    高田寛君 只今議題となりました参議院規則改正案提案趣旨簡單に御説明申上げます。  本改正案は、閉会中より数回に亘りまして、議院運営委員会において国会法の一部改正案と並行して愼重に検討いたしまして、本日結論を得ましたので、各派から一名ずつの発議者を以て共同提案をいたしました次第でございます。  改正要点の第一は、国会法の一部改正に伴い、常任委員会新設名称の変更及び委員数を変更せんとする点でございます。即ち郵政委員代及び電気通信委員会新設、並びに商工委員会名称通商産業委員会に改め、委員数につきましては、新たに設けられた郵政委員会及び電気通信委員会はおのおの十人、人事委員会を十三人、経済安定委員会を十二人に改めた外、他の常任委員会委員数は從前通りといたしました。各常任委員会所管は大体從前と変つた点はございませんが、文部委員会所管でありました新聞出版用紙割当事務庁が、総理府設置法によりまして総理府内部部局に編入されましたので、これは内閣委員会所管に移すことが妥当と考えました。次に改正要点の第二は、委員選任及び委員辞任について改めた点でございます。從來委員辞任につきましては議院許可を要することになつておりましたが、今日までの実際に徴しまして、議長において許可することにいたした方が実際の取扱上便上であり、且つ不都合も生じないと考えました次第でございます。尚、閉会中の委員選任に関する規定を欠いておりましたので、この点を明確にいたしたのでございます。  以上の趣旨によりまして、規則第十五條、第十九條、第三十條及び第七十九條に改正を加えて、新たに一條を設けることにいたした次第でございます。簡單でございますが、以上を以て提案の御説明といたします。何とぞ満場の御賛成をお願いいたします。(拍手
  17. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  18. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。      ——————————    〔羽生三七君発言許可を求む〕
  19. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 羽生三七君。
  20. 羽生三七

    羽生三七君 本員はこの際、農地改革打切りに関する緊急質問動議を提出します。
  21. 千葉信

    千葉信君 本員は只今羽生三七君の動議賛成いたします。
  22. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 羽生君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。羽生三七君。    〔羽生三七君登壇拍手
  24. 羽生三七

    羽生三七君 農地改革を打切るのかどうかということは、單に先々の関心川であるのみならず、日本の数百万の耕作農民が重大な関心を持つて見守つておる事実でございます。この問題につきましては、先般マツカーサー元帥からこれに関する声明書がございましたが、総司令部からの声明があるなしに拘わらず、この問題については政府自身が明確なる意思表示をする必要があると考えております。特にこの問題は、議会政治の本質上、政党がその見解を異にし、或いはその政策を異にすることは我々も認めますけれども、この問題に関する限りは、如何なる政党と雖もこれを履行しなければならない義務のある問題と考えております。これは先に示されたマツカーサー元帥声明にあるのみならず、敗戰日本に課せられた義務であり、極東委員会のこれは決定事項でございます。然るにも拘わらず、世上伝えるところによりますならば、この農地改革を近い将來に打切るのではないかという、そういう考えがすべての人に、今日の政府がそういう態度を取るのではないかというように考えられておる。併し私共は、この問題は、日本封建性を打破し日本民主化を促進するための徹底的な基礎條件であると考えております。先頃のこれに対するマツカーサー元帥声明の中にも、農地改革将來こそ日本国民が公民としての要請に果してどこまで応えることができるかを試験する決定的な要素であると言明され、更に、農地改革成果は、日本民主国家として成年期に達しつつあることを端的に示す最も重要な証左の一つであると述べられております。更に又語を続けられて、農地改革成果は、日本農村社会組織の永続的な一部とならなければならない、農地改革の以前における小作制度にいつの間にか逆戻りするような可能性は阻止されなければならぬということを強調され、そのためには絶えず立法上、行政上の支持が必要であることを強調されておるのであります。ところが我々が仄聞しておる範囲における政府の企図というものを考えますならば、凡そ立法上並びに行政上の支援を與えるのではなしに、逆にその支持を取り拂うというような考慮が歴然として観取されるのであります。もとより私共は二反歩、三反歩の小さい地主諸君が、祖先伝來農地を失われるということにつきましては、個人的な意味では大いに同情を禁じ得ざるものがあります。併し若しそういう個人的な気持で我々がこれを論じますならば、徳川幕府以來数百年の長い間に亘つて圧制と搾取の下に呻吟した数百万の耕作農民存在を忘れては頂きたくないのであります。この個人的な愛憎の観念ではなしに、私共はこの農地改革が、日本民主化を促進するための必然的な歴史的な條件であると解釈しております。そういう意味で、これを述行せしめるようなすべての方針には反対せざるを得ません。  更に日本農業世界との貿易において自立し、みずからの自立態勢を確立するためにおきましては、日本民主化前提條件となるべき農業近代化を図り、或いは農業生産力の増強を図らなかつたならば、恐らく日本が今後対外貿易等におきまして、その十分なる実力を発揮することは困難でございましよう。  こういう意味のみならず、又同時に国際的に見ましても、農地改革の進行の度合は、すべての国が注視しておる問題であります。世界各国、例えばアメリカでも、ソ連でも、おのおの日本再建方式期待するところは違つておるでありましよう。ソ連社会主義方式期待しておるかも知れないし、アメリカ資本主義方式期待しておるかも知れない。その他、世界各国それぞれ日本再建方式に関する期待は違いますけれども、すべての国が共通した一点は、日本封建性打破という問題であります。このことは、国の東西を問わず、すべてが一致しておる。この要請に応えるためにも私共はこの農地改革を絶対に推進しなければならない。若し極東委員会によつて課せられたこの農地改革という至上命令を我々が中途で放棄するようなことがありましたならば、日本国民に対する世界各国の信望というものは著しく阻害されると解釈せざるを得ないのであります。この意味におきまして、私共は單に世上いろいろな説が流布されておりますけれども、果して政府農地改革を打切られようとしておるのであるか、或いはないか、この点について政府当局の言明を期待いたします。  次に農林大臣にお伺いしたい二三の点があるのでありますが、それは先ず第一番に、やはりこれも諸種の報道によりますならば、自作農創設法の廃止、次に個人所有牧野買收中止の問題、国有牧野の処分に当つて最高価格若しくは保有限度に囚われないという処置を講ずる。次に地方農地委員会を廃止して、農業調整委員会にこの機能を委讓して農業委員会に改める。次に都道府県農地部任意制を採用して、從來農地部の必置制を廃止する。これらの問題が政府において企図されておるように伝えられておりますが、これに関する真意を伺いたいと思います。尚、小作料の引上げ問題も企図されておるようでありますが、これは地租の引上げに伴つて、起る随伴的條件でありますが、現に闇小作料存在し、土地返還要求等が非常に増加しております。先にも私が申上げましたように、地主諸君の今日の立場には同情を禁じ得ざるものがありますが、併し僅かに一町歩や二町歩土地を保有し、反当り数十円の小作料を受取りましても、多少の増額になつて将來地主がこれによつて生活できる可能性はない。むしろ速かに第三次農地改革を断行して日本農業の再編成を行い、地主小作もなく、日本農業生産力発展のために新たなる政策を講ずべきであると考えております。特に経費の点から都道府県地方農地委員会を廃止し、農業委員会に統合するように伝えられておりますが、むしろ私達は経費の点から積極的に助成をして、農地改革の裏付けとなるべき土地交換分合、或いは土地改良農地改良、或いは水利の改良、或いは技術の向上等、一連の日本農業発展の基礎的な諸條件を確立すべきものであるというように考えております。そうしてこそ今や農地改革の途上に横たわつておる諸條件が拂拭されるのでありまして、これを打切ることにより、或いはこれに冷水を浴せかけるような機構改革をやることによつて日本農業が少しも発展するものでない、このように考えているものであります。これらの諸問題について農林大臣がどのような所感を持つておられるか承わりたいのであります。單にこれは我々国会議員のみならず、日本の少くとも数百万の耕作農民が、今日伝えられておるような風説に対して深甚なる注意を拂つておる問題でありますので、これに対しまする政府の責任ある御答弁期待するものであります。  以上を以つて緊急質問を終ります。(拍手)    〔国務大臣林讓治登壇拍手
  25. 林讓治

    国務大臣林讓治君) 本日吉田総理がその筋との打合せの問題によりまして出席ができませんので、代つて私が御答弁をいたしたいと考えます。  農地改革後すでに三周年を迎えました今日、農地及び牧野買收売渡面積はほぼそれぞれ予定の面積に達しましたが、他面、農地改革立法違反事件は漸次増加の傾向を示しております状態にございます。かかる意味におきまして、マツカーサー元帥声明は、過去の業績を是認いたしますると共に、これを徹定することを指示されたものであると感じますので、その趣旨に副いまして、この制度成果を恒久的に確保することを期待いたしたいと考えているわけであります。尚、詳細の事柄につきましては農林大臣よりお答えをいたすことにいたします。(拍手)    〔国務大臣森幸太郎登壇拍手
  26. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) お答えをいたします。自作農創設法の一部改正の問題でありまするが、政府はこの改正について目下研究を進めておるのであります。地租に対して相当改正がありました結果、小作料につきましてもこれを是正するの必要ありと考えまして、この点につきましても今研究を進めておるのであります。今御質問になりました農地改革打切りの問題でありまするが、これは当初計画いたしました農地改革の未だ全部手続等の完了いたしておらないものは、これは将來ともその完成の一日も早くならしめんとこれを継続いたして行くのであります。お話の第三次農地改革という問題でありますが、これは今ちよつとお示しもありましたように、小作というものを全然なくして行こう、又牧野等開墾、未耕地開墾もこれを続いてやつて行くべきであるという御方針のように承わるのでありまするが、この問題につきましては、この未耕地買收開墾につきまして、実際耕地として将來なし得るもの、又国土保安の上において差支ないというものにつきましては、牧野もこれを開放して行くつもりであります。但しこのうちに包含されておりまする小作地帶を全然なくしてしまうということには、政府反対意見を持つているのであります。何となれば、日本農業は御承知の通り家族労力であります。從つて現在家族労力によつて相当耕地を持つております自作農が、家庭の事情上この労力を失いましたとき、或いは又一時的に労力を失わなければならないような状態なつた場合に、折角自分耕地として大事にいたしておりました耕地を捨ててしまわなければならないというようなことは、誠に耕地を対する性質から考えましても決していいやり方ではないと考えるのであります。例えば現在は相当労力を持つておりましても、その労力のうちから或いは学校に行く、或いは公職に就く等のために、自分が全部を耕作し得ない場合において、一時的にこれを他人に任すということも、これは日本農業経営の上において是非認めなければならないやり方ではないかと考えるのであります。全然小作ということをやめまして、すべて耕作せなければ自分土地を所有することができ得ないということになりますと、常に耕地の売買が行われますので、決して私は農業生産を高める上において良い方法ではないと、かように考えるのであります。それで、この第三次農地改革がさようなことを意味するならば、我々はこの第三次農地改革には反対をいたすのであります。又農地委員会組織の問題でありまするが、これは先般マツカーサー司令官から書簡が送られまして、この書簡は、今、林大臣より御答弁いたしました通り日本農地改革が非常な難関な問題であつたが、三周年を迎えて順調に事が運ばれた、将來ともこの折角できた農地改革を紊してはならない、昔のように封建的な制度に戻してはならない、飽くまでもこれを維持し、而もそのできたところの自作農のこの状態が、経営がうまく行くように、行政の面或いは法制の上において考えて行かなければならないという、将來に対する注意を與えられたと考えておるのであります。その後、その翌日司令部へ参りまして、この書簡の内容について更にその真意を質したのでありますが、今申しましたような意味で、今後この農地委員会というものはこれを恒久的に続けて、そうして折角できたところのこの自作農というものを保護して行く施策をしなければならないという更に注意があつたのであります。從つて政府の考えておりまするこの農地委員会将來性、恒久なる施設といたしましてこの委員会を継続いたしまして、そうして今後起るところの耕地交換分合、又土地改良等に対して農地委員会の一層の活躍を期待いたしておるのであります。  次に、この農地部の廃止の問題でありまするが、これは今日一応地方の財政等のために農地部という部を廃したらどうかというような意見もあるのであります。併しこれは地方自治体の財政等の関係もあります。又行政整理等の関係があります。又農地の仕事につきましては、府県において相当の厚薄があるのであります。是非とも農地部として大いなる力を以て臨まなければならない地方もあります。又或いは経済部と合併して、そうしてこの農地部の仕事をやり得るような地方も決してないとは言えないのであります。これは地方自治庁において今研究を進めておるのでありますが、政府といたしましては、地方の財政或いは農地状態において農地部を設ける、必ず設けるということでなしに、都合によつてはこれを経済部というものと合併してもいいという、任意的な立場に置くことが、今日地方財政の面から考えても妥当ではないかと、かように考えておるのであります。  又牧野等の問題におきましても、先程ちよつと触れましたが、本年の風水害の状態から見まして、この牧野の開放或いは平地林の未耕地開墾等が非常な水害の原因をなしておる等がありますので、牧野におきましても、未耕地におきましても、これを開墾いたしまして耕地になし得るものはなしてもいいということを審査会において決めましたものにつきましては、これを開墾いたして行きたい、かように考えておるわけであります。大体以上を以て御質問お答えいたしたと存じております。(拍手)      ——————————    〔内村清次君発言許可を求む〕
  27. 内村清次

    ○内村清次君 本員はこの際、賃金ベース及び定員法改正に関する緊急質問動議を提出いたします。
  28. 千葉信

    千葉信君 本員は内村議員緊急質問に関する動議賛成いたします。
  29. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 内村君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。内村清次君。
  31. 内村清次

    ○内村清次君 この際、議長にお尋ねいたしますが、本員が質問いたさんとする問題は重要であります関係で、首相の吉田総理出席を求めておつたのでありますが、今朝方では病気であるとの通告であり、先程では関係方面に行かれたというような通告でありまするが、一体この問題はどれが本当であるか、その真疑の点を明確にして頂きたいと思います。
  32. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 只今内村君から要求大臣の欠席についてお尋ねがございましたが、総理大臣は関係方面との用務のため、大蔵大臣は病気のため、出席ができないので、総理大臣は明日、大蔵大臣は他日出席の上御答弁いたしたいとのことでございます。    〔内村清次君登壇拍手
  33. 内村清次

    ○内村清次君 私は公務員給與ベースの改訂及び定員法の問題につきまして、関係各大臣に緊急の質問をいたしたいと思うのであります。  現下の経済情勢は、生産も漸く戰前の七十%に達しまして、インフレも安定の方向に向いつつありまするが、併しながらこの好転した情勢の裏面におきましては、労働者を初め公務員に至る勤働階級に取りまして、多大の犠牲と負担が課せられておることは見逃すことのできない事実であります。一つには大量に上る人員整理による生活不安があり、更に一つには公務員並びに労働者全般の低い賃金水準でありまして、この二つの問題は重大なる社会不安の根源をなしておることは申すまでもありません。公務員が国家のために日夜労働するためには、当然労働力の再生産を保証すべき給與を必要とすることは、憲法及び国家公務員法によつて確然と認められておることでありまして、万人の認むるところの基本的な人権でございます。然るに現状においては如何でございましようか。只今公務員の平均賃金ベースは家族單位二、七人で六千三百七円でございまするが、これは昨年七月のCPSを基準といたしまして算出いたして十二月から実施せられたものであります。それ以來公定物価の数度の値上りによりまして、CPSは本年七月において三〇・七%上昇しておるのであります。更に民間給與におきましては、全工業五一・四%、地方私鉄におきましては四五・七%の上昇を示しておるのであります。特に国鉄におきましては、上半期におきまして九万五千と言われる大量の人員整理と、列車ダイヤの改正によるサービスの向上のために、労働強化も激しく、民間の工業賃金ベースの八千四百円台に比較いたしますると、その不遇な地位にあることは歴然といたしておるのでございます。從つてこのたび国鉄労働組合では、先の平均賃金ベースと同じ算定方式によりまして、即ちCPSのその後の値上りによりまして算出いたしました九千七百円ベースの改訂を政府に要求いたしたのであります。これに対しまして、政府は一方的に拒否いたしておるのであります。労働組合は調停の申請をなしまして、調停委員会はこれを受理しまして、十月の五日と六日に公聽会を開いて、公平なる第三者の意見を聽取いたしたのであります。この公聽会におきましては、圧倒的に要求支持の声が強くありまして、特に民自党代表でさえもその当然なることを肯定しておることは注目すべきことであると思います。この公平なる輿論に基きまして、国鉄中央調停委員会におきましては、各種の資料及びその他の問題を検討いたしました結果、八千五十八円のベースを算出いたしたのでありまするが、この算定方式国民生活の水準、即ちCPSから算出いたしたものではありませずに、それをも参照といたしまして、主として地方私鉄の給與ベース九千七百三十四円に対して、国鉄の場合には幾らになるかという修正係数を乘じまして、それより低めの八千五十八円なるベースを算出いたしたのであります。この算定方式に対しましては、国鉄労働組合といたしましては、かずかずの不満はありましたが、この場合、調停委員会の権威を尊重するという建設的な建前からいたしまして、このベースに同調し、承認したことは、御承知の通りであります。然るに政府は、この調停案に対してすらも一方的に拒否いたしております。この点につきましては、政府法律的にも道義的にも重大なる背信行為を犯しておると言わざるを得ないのであります。即ち先般の国家公務員法改正の場合に、政府は公務員の罷業権を禁止しております。団体交渉権をも制限いたしております。これらの基本的な人権を制限した代りに、政府は公務員の生活を政府の責任において、当然保証すべきであり、当時のマツカーサー元帥声明にも明らかでありまして、又国家公務員法の第二十八條給與の改訂勧告の項につきましても明文化されておるのであります。第三回国会のときに、政府は無謀にも国家公務員法の制定にのみ急でありまして、裏付けとなるところの公務員の生活権擁護の給與の制定を等閑に付せんとする際に、本院の皆さん方が率先して、決議を以て給與予算の速かなる国会提出を要求せられました。その一事によつても明らかであります。この政府の動かし難いところの義務を保証するために、人事院に給與ベース改訂の勧告権が與えられてあります。人事院は八月頃、明暸に上昇するところのCPSの動きを無視することができずに、その義務履行のために、改訂の原案を作成をして、そうしてこれを発表しようとしたのでありますが、然るに政府は、不法にも当時の人事院の動きを闇の中に抑圧し去つております。更に又このたびは、調停案すら拒否する暴挙に出ております。かかる法も道義をも無視した政府の背信行為に対しまして、我々は断じて默視することはできないのであります。私は次の諸点につきまして、政府の責任ある態度を要求したいのであります。  第一に、政府は、政府が拒否したところの態度は、国家公務員に対する政府義務不履行である、国家公務員法第二十八條違反の違法行為であると思われるが、政府のこれに対する所信を吉田総理にお伺いしたいのであります。尚、人事院総裁の説明も併せて聞きたかつたのでありますが、今日は病気でありますが、人事官の方から責任ある答弁をお願いしたいのであります。更に又、かかる明白なるCPSの値上りに対しまして、人事院として何らかの勧告をなすべき義務があると思われまするが、この点について総裁の所信を伺いたいのであります。  第二には、政府が拒否した理由といたしまして、財源の不足が述べられております。政府が常に正当なる賃金要求につきましては、常に財源ということでごまかそうとする観が強いのであります。若し調停案通り、本年十月以降より八千五十八円に給與ベースを引上げるといたしましたならば、全官公吏としてはどのくらいの財源が必要であるか、尚、国鉄ばかりでどのくらいの財源が必要であるか。その数字の根拠を大蔵大臣、運輸大臣にお聞きしたいのであります。第三には、政府は、今後補正予算内に、この給與ベースの改訂について、何らかの予算的措置をしておられるかどうか。この点についても伺いたいのであります。  第四に、政府は拒否の理由として、国鉄の独立採算制の枠があるからと申されておるようであります。現在の国鉄公社におけるところの採算條件は、調停委員会でも認められましたように、それは國鉄としての責任ではなく、公益性という国鉄の重要な特性から生れる国家的な責任であります。この公益性という点からいたしまして、政府は鉄道職員の給與ベースについては当然国家的責任を取るべきであります。この点、その責任者であるところの運輸大臣の御答弁を要求いたします。  生五に、労働大臣は、物価は最近落着いたから、賃金ベースの改訂は必要なしと言われておりまするが、最近の政府資料よりいたしますると、今後の公債値下りが生活費にはね返るのが六・五%以上もあります。シヤウプ案の税の軽減による三・二五%の軽減率程度では、到底生計費の上昇をカバーすることはできないという計算になつております。私共の観測いたしますところによりますと、その事実というものは、まだまだ上昇するものであると思つております。即ち資産再評価による値上りなどを考慮いたしますると、更に実効価格は上昇するものと思われます。この場合、労働大臣は賃金対策をどう考えておられるか。この点をお聞きしたいのであります。更に労働大臣は最低賃金制を確立する、又それを目下研究中であると言つておられますが、如何なる具体的な方法で、如何なる基準に基いてこれを打ち立てようとしておられるか。この点もお聞きしたいのであります。  最後に、現在国鉄賃金ベースの改訂は、仲裁委員会において仲裁決定することになつておるのであります。公共企業体労働組合法によりますると、この仲裁委員会は総理大臣の任命にかかる重要な機関であります。この政府みずから任命したところのこの仲裁委員会において今後出された裁定に対しましては、政府は如何なる態度と責任を以て臨むのであるか。この点特に重大でありますから、私は今日吉田総理出席を求めたのでありまするが、昨日まで、その今朝の新聞にも載つておりますように、新バツジを付けて朗らかな顏でおられた総理が今日おられないことは、実に残念であります。是非ともこの点については、最近のこの本会議が言明して頂きたいと思います。  次に、行政整理後の結果につきまして政府態度に幾多の疑義が生じておりまするが、この点につきまして質問いたしたいと存じます。行政整理の結果につきまして、目下人員整理せられた各職場や又行政機関におきましては、各種の運行の不円滑と業務の澁滯が生じております。整理されまして残つた公務員は、加重せられまして二倍三倍の労働強化を強いられておりまして、又それ以上激しい所におきましては、もう上からの命令では人員整理は到底仕事の分野からできないというような実情を調査して、不合理な点を改正する意思があるかどうか。この点をお聞きしたい。  更に又、定員法による行政整理が終了いたしました後にも、本多国務大臣は今後更に馘首を行うと明言されております。吉田総理は自治体の行政整理を強行するように指示を與えておられます。このような社会不安を釀成するような言葉は、働いておる労働者に取つて誠に不安定な印象を與えるものであります。誠に遺憾なことであります。一体今後更に整理されるといたしましたならば、如何なら根拠の下に整理されようとするのであるか。この点、整理の根拠を明確に示して頂きたい。この点は吉田総理と本多国務相にお尋ねいたします。定員法はその附則におきまして、十月一日を限り整理を終了することを定められてあります。それ以後において生ずるところの整理につきましては、この定員法によつて行われるものではないと解釈を我々はいたします。政府の見解はどうであるか。この点を一つ明確にして頂きたい。この度の行政整理によりまして、失業者は誠に国政の犠牲となつておりまして、且つ又最近更に激しくなつて参りました民間企業の首切り合理化におきましても、これ又当人の責任ではなく、全く政府のデフレ的恐慌政策の犠牲であります。これが生活の保証は全く国家の責任であります。然るに今回政府が発表いたしました失業対策は残念ながら誠に杜撰極まるものでありまして、今年度におきまして十二月までに八億円、一月より十三億円、計二十一億円を支出する予定であると労働大臣は言明されておりまするが、これだけでは先に政府の発表いたしました見込数の四百万の失業者にこれを適用いたしますると、一人当り僅かに月四十四円という極めて僅かなものになつてしまいます。尚、労働大臣は來年度におきまして公共事業費の一千二十億円は支出できるということを明言しておられます。これは單に人気取りの公約に過ぎないものと一般では見ておりまするが、併し苟くも一国の労働大臣がかく明言しました場合には、この公約は切実な生活苦に陥れられておりますところの数百万の失業者に取りましては、まさに生命にかかわる重大問題でありまするが故に、労働大臣の政治的生命は、かかつてこの公然たる公約の履行にあると私は信じます。若し來年度予算においてこの公約が果されない場合においては、労働大臣は如何なる責任をお取りになるか。この点明確に御答弁をお願いしますと同時に、労働対策の御答弁をお願いいたしまして、私の質問に代える次第でございます。(拍手)    〔国務大臣大屋晋三君、登壇拍手
  34. 大屋晋三

    国務大臣(大屋晋三君) 内村君にお答えいたします。私に関する部分の第一、調停委員会の調停の賃金ベースで計算したならば全金額は幾らになるか、こういう点でございまするが、これは本年度におきまして大凡三十六億円、平年度におきまして七十三億円となります。第二問は、來年度の予算に調停委員会の勧告のベースを予算に組入れる処置をとつているかどうかという御質問でありまするが、これはとつておりません。第三の質問は、運輸大臣は鉄道從業員に対する生活の保証の責任者といたして如何ようの見解を持つているかということでございまするが、これは日本国有鉄道の賃金は、業績とやはり相関的関係がございますので、これから政府といたしましては日本国有鉄道の能率の増進をいたし、財政の点も努めて改善をいたし、その範囲内において從業員の賃金の向上或いは待遇の向上という点に対しまして、万全の努力を講ずるつもりでおります。次に、定員法の問題に関する私に関する部分は、鉄道の定員を改正する意思があるかという御質問でございましたが、目下のところ定員を改正いたす意思はございません。(拍手)    〔国務大臣鈴木正文君登壇拍手
  35. 鈴木正文

    国務大臣(鈴木正文君) お答えいたします。実効価格の変化に対応して賃金ベースをどういうふうに考えておるかという御質問に対しましてお答えいたします。元來物価と賃金とをこの辺で双方安定せしめて、そうして日本経済再建の礎石を布くというのが根本的の最初からの考え方であります。その後、各部分についてのそれぞれの変化はありましたけれども、現段階におきましては、この考え方を変更しなければならないというふうなところまでは來ておらない。この考え方の下に方針を継続して安定策を講じて行くべき段階であり、これに実効価格の変化に応ずるべき考え方といたしましては、例えば勤労所得税の軽減、これはシヤウプ案に対して更に或る程度の点をも大蔵大臣は考慮しておらるるのでありまするが、但しこれは最後的決定を見なければ決定的には申上げられませんが、そういう方面及び今年度以後の主食の配給を極力実質的に充実することによつて主食の闇買を抑えて行く点、それから現内閣の政策であるところの統制を外し得るものから急速に外して、一般物価の水準を下げて行くというような幾つかの方式を継続することによつて、この問題に対処することができると考えております。(拍手)結論といたしましては、物価の関係において今直ちに賃金水準を変えて、根本的な内閣の方針を変更すべきような段階ではないと考えております。(もう分つた」と呼ぶ者あり)  次に最低賃金制の問題でありまするが、この点につきましては、諸般の情勢から真劍にこれを検討すべき段階に達しているということを曾て公表したことがあります。現在でもそういうふうに思つております。その時期、方式等につきましては、この問題が含むところの微妙な関係から、現在の日本の経済の特殊な状態等に鑑みまして、今直ちにこれを決定発表する段階ではありません。そういうふうに考えております。労働基準法によつて定められたところの最低賃金審議会というものに対しましては、今申しましたような考え方から、二十五年度の予算の中にはその準備の一項目は計上されているというのが事実でございます。  それから失業対策の問題でありましたが、これは只今申上げました労働基準法関係の最低賃金審議会の予算も同樣でありまして、政府の予算として一応決定したところのものがそうである、若しあの通りに行けば、來年度においては二百万の吸收計画というものは成立つということを申上げましたのでございまして、どういうふうになりますかは今後の関係方面との折衝もございます。ただ八億円が十三億円になつたではないかという御質問で、緊急失業対策事業の経費がそうなつたではないかという御質問でありますが、その通りであります。一年間を通じて八億円、一四半期ごとに二億円ずつであつたものを、失業の情勢に照し合せまして繰上使用をいたしまして、十二月までに繰上使用をいたして、それから以後は補正予算において十三億五千万円と思いまするが、それだけは計上しておるのでありますから、一日の仕事量は四、五倍に増加しており、この点においては急に応じ得ると思つております。但し言うまでもなく、失業対策は、これは緊急失業対策によつて行うところの部門はほんの一部分なのでありまして、言うならば政府全体の政策の中に失業対策の最終的処理は含まれておるのであり、特に公共事業関係等にこれらが含まれているわけでございますが、來年度のことは今申しましたような意味で一度お話したのでありますが、本年の下半期の問題は一体どうなるかということだけを、御質問もありましたので、大体において申しますというと、計画通りに見まするというと、百二十万八千乃至百二十五万八千くらいの新らしい雇用というものが……雇用ではありません、失業者の対策ということが生れて來る。その内容は一般の民需産業において約十七万人、それから見返資金の運用において約三十一万人、それから失業保險において約四十万人のものが準備されておる。それから日雇保險につきましては、この前の国会において協賛を得まして、そうして十一月から実施されるようになつておるのでありますが、これによつて毎日十三万人は受けて行くことができる。それから公共事業、これは補正予算に盛られておりますが、決定額は只今申しましたような意味で申しませんけれども、ああいうふうに進んで参りますというと、十五万人をここに吸收することができる。それがために最近規定を変えまして、公共事業における失業者の吸收率というものを安本とも相談いたしまして相当引上げて、四〇%前後都会において吸收しなければならない。失業者を使わなければならない。それから、それに適用されるところの業種も三十種くらいから六十種くらいに全面的に拡大されたのであります。そういう方式と補正予算……、これは予算がその通りに行つたらでありますが、補正予算に盛られた公共事業の関係から行けば十五万人くらいの雇用力が生れて來るという意味でございます。それからその外、緊急失業対策事業、これも今発表されておるような予算の通りに参りましたならば八万人、そういうふうなものをすべて総合いたしますというと、百二十万くらいの雇用力が生れる。申すまでもなく失業保險によつて吸收された者は、六ケ月経てば、その間に職を得なければ改めて失業者となることは勿論でありますけれども、これをも一応の下半期の雇用計画として計上いたしますれば、そういう数字になるということを申上げたのでございます。尚、予算それ自体は今後の折衝によるべきものでありまして、私の今申上げましたことは、政府の案によりますれば、そういう計画が立ちますということを御説明申上げたのであります。(「名答弁」と呼ぶ者あり)    〔政府委員上野陽一君登壇拍手
  36. 上野陽一

    政府委員(上野陽一君) 国家公務員の給與ベースの改訂につきましては、国家公務員法第二十八條の規定に基きまして、必要なる措置を講ずるために目下備準中でございます。終り。(笑声、拍手)    〔国務大臣本多市郎君登壇拍手
  37. 本多市郎

    国務大臣(本多市郎君) 行政整理の結果惡くなつたようなお話でありましたが、私共の見るところによりますと、その結果は公務員精神も大いに振い、能率も上つてよくなつていると見ております。(笑声、拍手)併しその間不合理と認められるものがありましたならば、それを是正すべきことは当然のことであると考えております。(「賃金べースはどうなつた」と呼ぶ者あり)更に今後の行政整理についてでありますが、只今のところ先の定員法で行いましたような一般的な行政整理の計画は考えておらないのでございます。ただ今後の機構、人員の縮減につきましては、事務の簡素化、合理化の結論の出ましたものからこれを縮減して行くていう方針には変りがないのであります。殊に経済統制の事務の廃止、緩和、或いは調整等によりまして、当然生るるところの縮減、これをでき得る限り徹底さして行きたいと考えております。  更に今後の行政整理はどういう根拠において行うかというお話でありましたが、お話の通り定員法は九月末までの行政整理について適用いたしたのでありまして、今後はこの定員法によらず、特別の法律を定めない限り公務員法によつて行なつて行くものであると御了承願いたいと存じます。(拍手、「了承」と呼ぶ者あり)
  38. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 議事の都合により、これにて暫時休憩いたします。    午後三時三十五分休憩      ——————————    午後五時十四分開議
  39. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 休憩前に引続きこれより会議を開きます。  この際、日程に追加して常任委員選任を行いたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。  本院規則第三十條により議長選任いたしました常任委員の氏名を朗読いたさせます。    〔宮坂参事朗読〕   通商産業委員    玉置吉之丞君  阿竹齋次郎君    川上 嘉市君  中川 以良君    鎌田 逸郎君  宿谷 榮一君    山内 卓郎君  松嶋 喜作君    平岡 市三君  重宗 雄三君    廣瀬與兵衞君  小畑 哲夫君    小杉 繁安君  境野 清雄君    島   清君  田中 利勝君    藤枝 昭信君  栗山 良夫君    駒井 藤平君  兼岩 傳一君   郵政委員    松平 恒雄君  渡邊 甚吉君    佐伯卯四郎君  山田 佐一君    大屋 晋三君  稻垣平太郎君    奥 主一郎君  下條 恭兵君   電気通信委員    尾崎 行輝君  新谷寅三郎君    大島 定吉君  深水 六郎君   橋本萬右衞門君  小林 勝馬君    橋上  保君  中村 正雄君    千葉  信君      ——————————
  41. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 次に日程に追加して、常任委員長選任を行いたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。  これより通商産業委員長郵政委員長及び電気通信委員長の選挙を行います。
  43. 藤井丙午

    ○藤井丙午君 本員は、通商産業委員長郵政委員長及び電気通信委員長の選挙は、成規の手続を省略いたしまして、その指名を議長に一任することの動議を提出いたします。
  44. 大隈信幸

    ○大隈信幸君 只今の藤井議員動議賛成いたします。
  45. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 藤井君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。よつて議長は通商産業委員長に小畑哲夫君を、郵政委員長に山田佐一君を、電気通信委員長に大島定吉君を指名いたします。(拍手)      ——————————
  47. 北條秀一

    ○北條秀一君 去る十月七日我が国憲政の長老衆議院議員齋藤隆夫君が逝去せられました。誠に痛惜哀悼至りに堪えません。つきましては、国民を代表して参議院同君に対し院議を以て弔辞を贈ることといたしたいと思います。尚、弔辞案文は議長に一任することの動議を提出いたします。
  48. 山下義信

    ○山下義信君 本員は只今の北條秀一君の動議に対しまして、社会党を代表いたしまして賛成の意を表します。
  49. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 北條君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。よつて議長只今の決議に基き取り計らいます。      ——————————
  51. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) この際お諮りいたします。本日齋武雄君より病気のため彈劾裁判所の裁判員を辞職いたしたい旨の申出がございました。許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。      ——————————
  53. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) つきましては、この際、日程に追加して彈劾裁判所の裁判員の補欠選挙を行いたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。
  55. 小林英三

    ○小林英三君 私は次の動議を提出いたします。即ち彈劾裁判所裁判員補欠選挙につきましては、本院規則第二百四十八條第三項及び第二百四十九條の規定に基きまして、議長において指名せられんことを希望いたします。
  56. 小川久義

    ○小川久義君 私は只今の小林議員動議賛成いたします。
  57. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 小林君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。よつて議長は伊藤修君を指名いたします。  本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十九分散会      —————————— ○本日の会議に付した事件  一、両院法規委員辞任の件  一、故議員に対する追悼の辞  一、日程第一 国会法の一部を改正する法律案  一、参議院規則改正案  一、農地改革打切りに関する緊急質問  一、賃金ベース及び定員法改正に関する緊急質問  一、常任委員選任  一、常任委員長の選挙  一、故齋藤隆夫君に対する弔辞贈呈の件  一、彈劾裁判所裁判員辞任の件  一、彈劾裁判所裁判員の補欠選挙