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1949-11-28 第6回国会 参議院 文部委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十八日(月曜 日)    午後一時四十四分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○教育委員会法の一部を改正する法律  案(内閣送付)  (右法案に関し証人証言あり) ○私立学校法案内閣送付)   —————————————
  2. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) お待せいたしました。それでは今日の文部委員会を開会いたします。  今日の議題は教育委員会法の一部を改正する法律案でございまして、この法律案審議を続行いたします。今日はこの法案審査につきまして数人の証人の方をお願いいたしまして、御意見が伺うことになつたのであります。それに先立ちまして私より一言御挨拶を申上げます。  公私甚だ御多忙のところ、本委員会審査の必要上証人各位お出でを願いまして御証言頂くことになりましたが、法案審議のために非常にこれが重要な御証言頂くことと存ずるのでございます。委員会を代表いたしまして、わざわざお出で願いましたことにつきまして、厚くお礼申上げる次第でございます。  初めにちよつとお断わり申上げておきます。今日お出でを願う予定でありました証人の中、東京PTA連合会長北沢新次郎君は止むを得ない差支があられるので、お出でになることができませんので、委員諸君のこの点につきまして御了解を願いたいと思いますが、お出で願えないこと御承認頂きたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議あり」と呼ぶ者あり〕
  3. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 私は今度の教育委員会法改正は、非常に大きな問題を含んでおるものだと思いまするので、殊に北沢先生のようなPTA関係の方が是非出席されることを望んでおるのです。教育委員の方は二名も見えておいでになる。そこへ一般の方及び教育長——事務局関係の方の意見が聽かれないということと、一般意見が聽かれないということは非常に残念だと思います。この点何等方法を講じて、今一回PTAの方、或いは教育長方面の方の証人を御依頼して、御意見を聽きたいというふうに思いまするので、その含み何等かの方法でお計い願いたいと思います。
  4. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) お諮り申上げますが、鈴木君の御発言につきまして、御意見がおありになる方は御発言願います。ちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  5. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 速記を始めて下さい。  北沢新次郎氏の御欠席は御承認得たと見てよろしうございますか。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  6. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それでは左様にいたします。  それでは証人各位につきまして、手読上どうしてもオミツトすることはできませんわけです。成規手続に従いしまて恐縮ですが、御宣誓をお願いしたいと思います。山崎匡輔君。    〔総員起立証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣 誓 書  良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 山崎 匡輔    宣 誓 書  良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 坂尾徳太郎    宣 誓 書  良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 水村善太郎
  7. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 初めにお断り申上げておきます。今日お出でを願いました証人各位はそれぞれ団体的、或いは国家機関的の背景をお持ちになる方でありますが、併し御証言なさる際には、個人の資格で個人の学識並び経験からの御判断があるわけでございますから団体意見を代表されるのではないということを先ずお含みの上お願いいたしたいのであります。  それでは次に御証言を伺うことにいたしたいと思います。教育委員会法の一部を改正する法律案についてでございます。先ず東京教育委員山崎匡輔君にお願いいたします。
  8. 山崎匡輔

    証人山崎匡輔君) 教育委員会法の一部を改正する法律案につきまして申上げます。
  9. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) ちよつと失礼ですが、尚後でいろいろ補つて頂くこともあるかと存じますが、御証言の時間は十分乃至十五分程度にお願いしたいと思います。
  10. 山崎匡輔

    証人山崎匡輔君) それでは先ず最初に大体私の拜見いたしました條文に従いまして、條に逐うて申上げさせて頂きたいと思います。それから後に全体としての私の考を申述べさせて頂きたいと思います。  第一にこの第一條のこの法律の目的というものは、これは非常に立派な案でございまして、今度の改正案にもそのままになつておりますことを喜ぶものであります。それから次に問題になりますことは三十二條でございます。三十二條の今度の改正におきまして、「委員は、職務上知ることのできた祕密を漏らしてはならない。その職を退いた後においても同様とする。」それから第二項としまして「委員は、その職の名誉と信用を傷つけ、教育の権威を失墜するような行為をしてはならない。」第三十二條の二として「委員は、教育委員会職務一体として行うものであつて個々委員としてその権限を行使するものではない。」この改正案でございますが、これは全文改正並びに新設という形になつております。この三つ共私は非常に結構だろうと思います。第一の祕密の問題につきましては、これはすでに公務員全般について共通のことでございますが、明文化されていなかつたものをここに明文化されたという点について満足を感ずるのであります。  それから第二のことは勿論非常に大切なことでありまして、是非こうあつて欲しいと思うのであります。第三のことはすでに委員会発足当時より我々の間に常に言い交されたことでございまして、これも亦かように成文になりましたことを大変喜ぶものであります。ただここに大応皆さんにお考えを願いたいと思いますことは、仮にこういう條項紊つた委員があつた場合、如何なる処置を採るかということが、どこにも規定ございません。この規定のございませんことは、一応は教育委員たるものは極めて教育上正しい人であつて、そういうようなことはなさらないということの前提を以ておられるのだと思うのです。併し、そういう前提があるにも拘わらず、法律として明文化してあるということにつきましては、私は前申上げました通り、極めて賛意を表するものでありますけれども、そこに罰則がないということにつきましては、私は多少の疑義を持つておるものでございます。それからその後におきましては、各箇條に保健衞生のことが大分このたびは強調されておるようでございます。この点も私としましては非常に賛意を表するところのものであります。それから第五十條の五だつたと思います。「都道府県内の学校学校給食に関する企画並び学校給食のための配給物資管理及び利用に関すること。」これが委員会がなすべき條項の中の一つとして掲げられております。この点は、私実際に過去の経験から考えて見まして、都道府県内の非常な広範囲に亘つておりますところの、各学校給食物資管理並び利用に関することを、都道府県教育委員会責任を以てこれを行うことは非常にむずかしいことじやないか、実際上において、そういうふうな感じがいたします。それから五十條の二でございますが、五十條の二の中に、「教育委員会は、教育委員会規則の定めるところにより、その権限に属する事務の一部を教育長に委任し、」それから二項の方は、教育長は更に又その事務の一部分をその下級の事務員にこれを委嘱することができるというような規定がございます。この点に関しましては、いろいろ御異論のある向きもあるんですけれども、実際私共過去一年間経験したましたところによりますと、教育長に或る程度事務を委任いたしませんと職務が遂行できません。非常に多勢な教職員その他を全部指導監督して行くような形であり、そういう個々のすみずみのことまで教育委員会が全部を直接に携わつて、これを執行するということは、これは私は神抜でなけりやあできない、こういうふうに考えておる。従つてこういうような規定はつきり設けることは、必ずしも教育長権限を増大するものではなくて、ものを執行する上におきましては、かような区分を以てやつてゆかなければならないものだと私は考えております。事実上そういうふうな形を採らないと、私はできんというふうに考えております。  それから五十條の三はこれは教育長職務でございまして、ここに一、二、三、四、五と教育長に與えられました職務が書いてございます。この職務に関しましても大体只今趣旨が盛られておるものと私は考えるものであります。殊に教育長教育委員会一般的監督の下にこれをいたしますような形になつておりますのでありまして、こういうような形を教育長の職権の拡張であると解する向きもあるのであります。私共実際に携わつた人間の考といたしましては、そうではなくて、教育長がなすべきことをはつきり明確にしたというふうに解釈いたします。殊に教育長はどこまでも必要な報告及び資料教育委員会に提供する義務があるのでありまして、かような形を以て参りますならば、教育委員会運営も或る程度うまく行くのではないかと思つておるのであります。  ここで甚だ問題が外れるかも分りませんが、教育委員は、どこまでも一般市民が選出されということは私は建前だと考えておる。必ずしも教育專門家がなるものではなくて、一般の常識を備えた市民がなる、国民がなる、こういうふうに私は了解いたしておりますので、そういうような点におきまして、教育長の職業的の專門知識を十分活用するというふうな意味におきまして、この五十八條の趣旨を私は賛成するものであります。これによつて教育委員会は必ずしも権限を縮められたものとは解釈いたしません。最後責任教育委員会が持つておるものと考えられるのであります。  それから只今まで私が申述べましたことは、大体において本法の割合に問題になります点と、私共が考えまして相当によい点であるというふうに考えておる点であります。以下多少私、考えまして考慮を要さなければならんと思う條項を少し申上げます。  第三十一條に「地方公共団体当該教育委員会委員に対し報酬を支給しなければならない、但し給料を支給しない」という規定でございます。私不幸にしまして報酬給料の区別を知りませんから、それは皆さんの御判定に任せますが、相当の大きな責任を持ちまして仕事をやつておる者、或いは仕事の量は、そうしばしば教育委員会に出席する義務はないのでありまするから、時間的には或いは少いかも知れません。併し逆に消極的ではありますが、教育委員になつておりまするというと、いろいろの行動制限を受けるのであります。例えば、土木人間土木請負業をすることはできません。教育の書物を拵える方の專門家は教科書の編算はできないのであります。国より公選によりまして出ました公務員は、政府の作ります審議会議員に新たに任命されることはできません。かよえに沢山な制限を消極的に受けはおりまして、或いは又積極的にその職業の行動制限を受けておりながら、この報酬は支給しなければならないという、その報酬は事実上御承知通り非常に少いものが、零であります。これらは非常に矛盾しておることと考え一つでございまして、議員各位の御考慮をお願いいたしたいと思います。  それから尚五十一條でございます。五十一條に、これは都道府県委員会と、それから市町村にあります地方委員会教育委員会というものができました場合に、その間に協議会が設ける規定が活きております。時間を過ぎましたが今少しお許しを願います。その協議会を設けることはできまするが、第二項に前回の協議会決議全員一致によらなければならないということが書いてあります。現在におきまして、まだこの例は非常に少いのでありますが、将来におきまして、即ち全員一致でなければできないということは拒否権であります。これは実際運営において、なんらか私は非常に困ることができるのではないだろうかということを考えます。同時に特にこの際御勘考を願いたいと思いますことは、五大都市に、すでに教育委員会ができております。五大都市教育委員会で取扱いまするところの教育事務総量或いは予算総量というものは、地方の府県の中にはそれよりも遥かに小さいようなものもあるのであります。かような大きな地方教育委員会と、都道府県教育委員会との間に、なんらかの法的にうまく仕事をやつて行きますような御考慮を頂きたいと思うものであります。この点は地方自治法にも関係いたしますので、ここで直ちに解決はできないまでにいたしましても、少くとも五大都市教育委員会の地位というようなものにつきまして、一般地方教育委員会と別個の建前を以て見るべきものではないか、さような関係で、現在すでにこの五大都市教育委員会と、その属するところの都道府県その間に意見一致を見ないような場合がしばしばありますので、運営上お考えを願いたいと思うのであります。  それから最後に今回の改正案の中に、或る程度までは、教育委員財政の問題について御考慮を拂われたかのごとき形跡があるのでありますが、極めて僅かでありまして、教育委員会が発足いたしまして以来最も困つておりますところの問題は、教育予算の問題であります。勿論地方教育財政その均衡を保つために考慮が拂われておることは申すまでもないのでありますけれども、この本委員会議員各位におかれまして、一層この点を積極的にお考えを願いまして、なんから教育財政確立方法をお考え願わないと、教育委員会がいかに理想を振りかざしましても、少しもそれを動かすことができない。予算の裏付けがないために全く無力化するというような形がしばしばあるということをここに皆様の前にはつきり述べまして、御考慮をお願いする次第であります。大変時間も五分超過いたしましてので、尚又後刻御質問その他がございまするらなば御返事させて頂きたいと思います。大変長くなりまして申訳ございません。
  11. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) ありがとうございました。次に坂尾徳太郎君にお願いいたします。
  12. 坂尾徳太郎

    証人坂尾徳太郎君) 先ず教育委員会法改正につきまして、最初に三点について申上げたいと思います。その第一は教育財政確立の問題、第二は設置範囲に関する問題、第三は、今回改正せられました教育長権限問題に関する事柄、その三つについて綜合的に先ず意見を申上げたいと思います。  教育財政及び教育財政権確立がなされていないということは、教育委員会法におきまして最も欠陥としておる一つであります。即ちこの教育財政並び教育財政権確立の問題につきましては、第二国会におけるところの本法審議の過程中においても、最も活溌に而も愼重に討議がなされたのでありまして、衆議院文教委員会におきまして、この法案議決なつたときに次のような附帶決議がなされております。申上げますと、本法最大欠陥教育財政確立が何らされていないことである。よつて委員会は次期第三国会までの間に各方面からの資料を蒐集して、第三国会においては、特に教育財政確立の点について改正案審議作成するものである。よつて委員長はこれを議長に申出で直ちに事務手続をなすというふうに附滞決議がされておるのであります。私達は機会あるごとに教育財政並び教育財政権確立問題につきまして現在まで要望して来たのでありますけれども、第三国会以来そのままの状態で今日の至つたのであります。特に今回の改正案におきましても、この問題につきまして拜見いたしまするように、この問題に対する根本的な事柄に触れていない。この点について我々は甚だ遺憾に思うのでありまして、これが確立早期実現のために強力な推進を先ず第一番に要望いたしたいとこう思うのであります。  次に第二の教育委員会設置範囲の問題についてでありますが、前に述べました教育財政確立と共に、本法審議の際にこれも最も重要な問題の一つとして考えられた点でありまして、特に地方公共団体現状から、現在すべての市町村教育委員会を置くことが現実の問題として是であるか否であるかという問題が、やはり委員会において討議になつたのであります。その結果政府原案修正になりまして、二ケ年の猶余期間が與えられたのであります。この問題に関しましても我々は、今申上げましたように、地方公共団体財政現状或いは民主化程度、或いは実際の教育行政運営面に当つて設置範囲是非とも都道府県並び五大都市に縮めるべきものであるということを関係方面要望したのでありますが、この点に関しましても、本改正案について少し考えられているようでありますけれども、根本的な解決がなされていないように思うのでありまして、これも我々の要望是非とも達成せられるように推進をお願いする次第であります。  第三番目に、今回提出せられましたところの改正案の中で申上げたいことは、教育長権限の問題であります。本来教育委員会教育長並びにその事務局との関係教育委員会が中核となつて、そうしてこれらの機関と緊密なる連繋の下に教育行政の、或いは教育事務が遂行されるということは言うまでもないことであります。教育委員会教育長或いは事務局、こういうものを二本建として考える点が私達は納得のできない点であります。教育委員会は御承知のように議決機関であると共に一面執行機関性確を持つているのであります。教育長権限を注文に明記しなければ教育事務執行ができないという点に私達は重大なる疑義を持つているのであります。まして教育長権限を強化したり、或いは拡大することには賛成できないものでありまして、この点につきましては後で具体的に法改正意見を述べたいと思います。それからこの問題におきましても、第二国会におきまして教育長権限問題に関する速記録を見ますと、衆議院文教委員会におけるところの各派代表討論の中の一部を抜挙しますと、次のようになつております。「第四十九條教育委員会事務に関する規定で、原案には、教育委員会教育長助言推薦により左の事務を行う、とありますが、これでは教育長助言推薦前提となる、せつかく過去の教育中央集権の幣を排除して教育民主化を徹底させるというにもかかわらず、教育長権限が過去の幣をくりかえすようなことになつてはならぬのであります。ここにおいて、教育委員会は左の事務を行なうといたしまして十八項目から成る広範囲事務を行うに自主性を確認し、但し、この場合教育長助言推薦を求めることができると教育長の任務についても明確に規定したのでありますから、これまた適切なる修正であります。」こういうふうに速記録に載つております。委員会法趣旨並び本法議決のときの精神を十分に尊重されまして、教育長権限問題に関しましても、我々の要望を必ず容れられるように切望するのであります。  以下各條文につきまして修正点修正理由を申上げたいと思います。先ず最初改正案の十六條の推薦人人数に関する問題であります。現行法では六十人以上となつておりますが、今回の改正案によれば六十人以上百人以下というふうに限定されておるのであります。我々は委員会法が本来自由立候補制でなくして推薦制になつておるということを十分に考えるべきであります。そうするならば、推薦人数の最低を決定するのはいいとしても、最高決定するのはこの推薦の本質に外ずれるように思うのであります。いわゆる最高人数を百人とする。この百人の根拠が至つて不明確である。こういう理由によりまして、現行法通りの六十人に置きたい。こういうふうに修正案を持つものであります。  それから第二番目につきまして申上げたいと思いますのは、三十二條であります。教育委員会委員秘密を漏してはならない、この点でありますが、我々としましては、この問題につきましては教育委員会委員良識責任において秘密を守るべきことは守るというふうにやつて行けばいいと思いますので、敢えて本法改正する必要は認めない、こう考えるのであります。  次いで第三十二條の二に移りたいと思います。第三十二條の二は「教育委員会委員職務一体として行う」という、こういうことについてでありますが、私はこの改正案を削除すべきである、こう考えるのであります。理由を申上げますと、委員行動は常に教育行政民主化教育の復興のために、結論的には各自の良識責任において行動されなければならない。委員委員会議決によつて行動する場合もあれば、委員公聽委員として自己の責任において行動する場合もあつてよい。それから特に教育委員会民主化が完全に行われていない現状におきましては、正しい少数派意見も十分に尊重しなければならないし、又法文の示す内容が非常に抽象的であつて教育行政実施委員の拘束的な規定でこそあれ、反対に積極的に行動する上に障害を及ぼす、こういう意味におきまして本條の削除を要望いたすものであります。  次いで四十九條、第五十條の二並びに五十條の三並びに六十七條、これらの点につきましては、教育長権限の問題に関する事項でありますので、以下申上げたいと思います。  四十九條におきましては現行法助言推薦事項を削除してあります。この点につきましてはあとで五十條の方に持つて行つて、一括して教育長権限をそこに明記した改正案でありますが、この点に関しまして我々は現行法通り、こういうふうな主張をいたすものであります。この点につきましては、五十條以下の点において理由を明確にしたいと思います。  次いで第五十條の二であります。ここでは教育委員会権限の一部を教育長並びにその事務局の職員或いは学校長、こういう方面権限の一部を委任する事項であります。でこれに対しましては、次の理由によつてこの現行法は削除さるべきであると思うのであります。先程も申上げましたように、教育委員会と、教育長及びその下部機関教育事務の遂行に当つては、有機的に密接な連繋を取つて行われることは当然であつて、敢えてここに法文化し、而も教育委員会規則決定が自由である、内容決定が自由である、こういうものを以て教育長並びにその下部機関権限を委任したり、代理執行するという点につきましては納得できないのでありまして、これは要するに教育長権限の拡大に外ならない。で委員会権限を合法的な手段によつて犯すというふうに考えるのであります。又我々で現場の教員として最も憂えることは、こういうことをやりますならば、折角教育民主化の途上になつておるにも拘わらず、昔のいわゆる学務課行政、或いは視学行政、こういうものに立帰る憂いが多分にあることを心配するものであります。以上の理由によりまして、この権限委任、又代理執行の問題については賛成をすることはできないのであります。  次いで五十條の三におきまして、ここでは第一項と第四項の問題でありますが、第一項の問題につきましては、教育長委員会に対して助言推薦をすることができるということであります。この点につきましては前に申上げましたように、委員会法決議のときの精神に反し、又本法精神に反し、そうして最初政府が出された政府原案に逆戻りするというふうに感ずるのであります。この点につきましては、我々としましては一応言葉の上ではこの改正案は変つておりますけれども、仮に教育長助言推薦ができるという点を最大に活用するならば、すべての教育事務に関して教育長委員会委員の要請によるとよらずとに拘わらず、すべてのことについて助言推薦ができるのであります。こういう観点からしますならば、法文の方で言葉は変つておりますけれども、精神におきまして、或いは、現実の運用におきまして政府原案に逆戻りすること、こういうふうに考えるのであります。従つてこの問題につきましても賛成できないのであります。又すべての会議に出席しなけれどならないという規定につきまして、非常に拘束的な性質を帶びておりまして、これも例えば教育委員会教育長なしの会議を開こうとしても開かれないということになりまして、非常に教育長権限或いは委員会に対する拘束力を増えので、これも賛成しがたいのであります。  次いで第六十七條の教職員以外の学校の職員その他教育機関の職員に任命が、教育長助言推薦によらなければできない、こういう規定でありますが、この点につきましては、我々としましては学校の教職員と同じように取扱つて貰いたい、即ち現行特例法に示してあるのと同じような取扱をして貰いたい。こういうふうな改正理由を持つているのであります。この点については理由を省略いたしたいと思います。  次いで第六十六條に移りますが、第六十六條の第三項、要するに教職員に対する定数條例、この問題でありますが、この問題について我々はこの改正案について賛成できないのであります。理由を申上げますと、教職員並びにその他の教育職員の定数を決定することは、教育運営に重大な障害を與える。現在までに行われた教職員に対する定員定額制、地方公共団体に対する定数條例等が、如何に教育上に大きな障害を與えたかということは説明を要しないと思うのであります。教職員に対する定数條例等の決定現実教育の上に背反すること甚しく、規定すべきでなく、実際各県におきましては如何にして教員の定数を決めるかということは現実問題として非常に困難であります。この問題については毎年予算によつて県の教育費は決定されるわけです。要するに財政面に非常に拘束を受けて、毎年々々この財政で県会あたりで決められておるのでありまして、要するに法文の上でこの定数條例を決めるということは非常にむずかしいということも理由一つであります。  最後に申上げたいことは設置範囲についての問題でありますが、改正案につきましては町村は二十七年までに延期され、市は二十五年並びに二十七年になつておりますが、最初に申上げました通り、我々は根本的に都道府県五大都市に止むべきであるという主張を持つておるのであります。  以上が我々の賛成し難い点でありますが、次の点につきましては賛意を表するのであります。第四十九條の十六号、十七号、十八号、五十四條の二、学校の保健に関する條項、これにつきましては学校教育の上において保健というものが重大な地位を占めておりますから、改正案賛意を表するのであります。次いで学校給食に関する問題でありますが、この問題は現場の教職員の一人として、非常にこの問題におきましては、現在まで問題を起しております。この際法の規定によつて、これが秩序あるところの学校給食ができるように規定すべきことは、当然であるという点からこれに賛意を表するものであります。  次いで六十三條の四、教育財産に関する問題で、都道府知事、地方公共団体の長と教育委員会が協議の上で、例えば、学校廃止のような場合にその財産を処理するということについても、これも亦現実にいろいろの問題を惹起しております点でありまして、この点につきましても賛意を表するのであります。  以上改正案に対するところの反対の点と並び修正の点並び賛意を表する点を申上げたのでありますが、何卒教育委員会法の立法精神並びに目的に従つて本法教育民主化のため、進歩的な改正が行われるよう要望いたしまして、私の意見を終りたいと思います。
  13. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 次に水村善太郎君御発言をお願いします。
  14. 水村善太郎

    証人水村善太郎君) 私は山崎先生が先程いろいろお話して下さいましたことにほぼ同感でございます。この改正案によりますと、教育委員の在り方並び教育長権限ということに可なり触れているのでございますが、教育委員の在り方につきましては当然でありまして、これに賛意を表するものであります。教育長権限につきましては、私共も教育委員会を一ケ年間開きました経験上、第五十條の三の第四項の、教育長は自己の身分取扱についての外はすべての会議に出席できる、而も発言ができるということを規定してありますのは、これは事実こうなければ教育委員会会議の上に非常な支障がありますので、この五十三條の三の四項は是非とも活かして頂きたいとこういうふうに考えております。それから第七十條第一項の改正点でございますが、只今坂尾さんのお話もありましたが、これはできるだけ都道府県五大市という範囲に止めて頂けば誠に結構でありまして、若しこれを更に細かく地方委員会まで設置することを考えましても、都市くらいのところで止めて頂かないと、そうしませんと、先程お話が出ましたように、第五十一條のこの地方委員会都道府県委員会の合同会議の場合における全員一致決議等は到底これは不可能でありまして、できるだけ合同会議をしないでも各地区的な教育委員会が独自に自治的な教育行政ができる、そういうような点をやります上からしましても、成るべく町村にまで教育委員会設置するというようなことを避けて頂きたいとこう考えております。その他細かい点もございますが、大体私の感じましたところはその程度でございます。
  15. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 有難うございました。以上を以ちまして、お三人の証人の方からの御発言は終了いたしました。尚委員の方で証人に対する御質疑がありますれば、御発言を願います。
  16. 河野正夫

    ○河野正夫君 山崎さんにお伺いいたしたいと思います。大変参考になる意見を承つたのでありますが、実際に教育委員として東京都で働いていられるという経験の上から現在の、と申しますのは、この改正案以前の法律で、誠に困ると、だから改正しなければならんという意味で、例えば服務規定とか、或いは教育長の委任代理の許容とかいうことを認められ、或いは賛意を表されたのであるか。又は理論的な立場からそれはそうなるのが当然であるという意味で抑せられたのであるか。その点を最初にお伺いいたしたいのであります。と申しまするのは、法案そのものの内容の可否ということもありますけれども、我々の心配しているのは、事実上そうなつており何ら支障がないならば、法案の方の改正は他のいろいろな事情を考慮して、教育委員会がもつと育つた時でもいいのではなかろうかという意見を持つておりますので、その意味において、先程来六点程最初に結構であるというお話がございましたけれども、それは現実にそう改正することが必要であるということを痛切に感ぜられておられた、その上で賛成だとおつしやられるのか、乃至は理論的な整備ということから必要であるという意味でおつしやるのか、その点を明らかにして頂きたいと思います。  それから第二都道府県委員会地方委員会との協議会のことに触れられましたが、お説の通りだと私も考えておりますが、この点に関連いたしまして一つ伺いたいのは、先般、全国の都道府県教育委員会ばかりぢやございません、これは地方委員会も含んでおつたかと思いますけれども、教育委員会の全国的な連絡協議会ができたようであります。これは一種の私的なものでございましようけれども、法律の上で都道府県地方委員会との連絡が必要であるように、都道府県乃至五大都市教育委員会の全国的な協議会というものを法律の上で認めて置く必要があるかないか。この点についての御意見を承りたいと思うのであります。先ず山崎さんにその点。
  17. 山崎匡輔

    証人山崎匡輔君) 河野委員からの御質問にお答え申上げます。最初の問題は、教育長に或る程度事務を委嘱する。或いは又事務を更に又下に委任するということについてのことでございます。これは私共の一年間の経験で決して威張つて申上げることはできないのでございますが、大体この一年間の経験では、実際上まあ仕事をやつております場合に、私共委任規定を作りまして、その規定従つてやらざるを得ないのであります。まあ事実上余りしばしばやれないのでございますから、従つて或る程度事務を委任しなければなりませんので、実際そういうふうな規定によつてつておる。それで法文化されるということは、我々といたしましても大変何かしつかりした拠りどころによつてやるように思うのであります。  それから理論的ではなく、ただ実際的であるかという御質問。この方面につきましては、私は考えまするのに、教育委員が、例えば或る校長なり学校の先生をひどく推薦するというような事例は必ずしも起りにくい問題でないのです。全国的に亘りましてしばしば起る問題だと思います。これが甚だ公正な立場のみで行われまするならば、恐らく憂いはないと思うのです。併しながらあらゆる角度から見まして、又多くの資料によつてこれを比較研究して、そういうような事務を進める場合におきまして、若し教育委員会が、或いは教育委員が主導の立場におきまして、推薦その他をするようになつておりまするというと、弊害の及ぶところ必らずしも少くないとは言えない実情だと私は正直に申上げておるのであります。これた甚だ残念でありますけれども、日本の全体の現在の実情がそうであるということを申上げざるを得ない。そのような立場から申しまして、私はさようなことは実際上からも、或いは極く僅かであるかも知れませんが、理論的から言いましても、それが正しいというふうに信じておるものでございます。  第二問の方の教育委員会の連絡協議会というものを法律にした方がいいかどうかというお話。これは私は突然の御質問で甚だ用意いたしておりませんので、後に又訂正せざるを得ないかも知れませんが、私は法律的にこういうものを決めるものぢやないと思います。これはやはり我々の私的な団体といたしまして、お互いに困ること、或いはお互いで推進して行きたいということを自由な立場において話し合い、そうして日本の教育全体を進めるようにいたしたい。法律その他によつて縛られて、何々のことを協議するとか何かそういうふうな規定でなしに、極めて自由なもので行く方が効果があるのではないだろうか、そうして又法律的に教育を一本化するというような面につきましても、多少の疑義があるのぢやないだろうか、そういうふうに考えております。  それから地方教育委員との間の関係は、はつきり御質問分りませんが、大体今のことでよろしゆうございますか。
  18. 河野正夫

    ○河野正夫君 私の質問の第一問が、少し要点の述べ方が悪かつたかと思いますが、今お話を承るますれば、教育長への委任事務の内規をお作りになつていらつしやる。それは誠に結構でございます。更に又先般お話がありましたように、この服務上も、秘密の保持とか、或いは名誉、信用の維持等の責任、もとより当然のことでございまして、又一体的な活動をするということも委員会制度としては当然でありますが、こういうことは当然であるからそれを我々の建前とする、法文規定しなくても、教育委員若くしは教育委員会の自主的な決定に俟つべきものである。委任事務というようなものはそれぞれの教育委員会で適当であることを決めてやつて行けばよろしい。又それが委任事務として不適当な場合には、それを取り上げてもいいわけでありますから、そういうようなことは適当に各委員会で自主的にやればいいし、服務等についても教育委員自身の良識責任でやつておけばいいので、格別にそれを今法文化されて、是が非でも教育委員会運営に支障を来たすという必要を考えてはいないのではないかという気持から、その必要を感ぜられておられるかどうかということを承りたかつたのであります。
  19. 山崎匡輔

    証人山崎匡輔君) 只今の御質問よく分りました。私は実は必要を感じておるものでございます。それはどういうことかと申しますと、教育委員の良誠で以てすべてこのことができまするならば甚だ結構でございますが、苟くも教育委員会法なるものがもうすでにできておる。そうして当然なさるべきものであつて良識から判断してそうあるべきものであるということでありますならば、これは法文化いたしましても一向差支ないものばかりでなく、法というものは、これはあまりどうも素人のくせに生意気でございますが、誰でも守れるような当然のものが盛られるのが法だと私は考えております。で成るべくならば、そういうふうな自然のものを法にしまして、その法に従つてお互いがやつて行くということがいいと信じておるのであります。
  20. 河野正夫

    ○河野正夫君 山崎先生少し質問を外うしたのですが、山崎先生から立法論を承ろうとしたのではないのです。現実にその必要を事実具体的な事例の上で、どうしてもこう任せて置いてはいかん、やはり法の上で規定して置かないとどういうことをしでかすか分らん、或いは紛乱が起るというような意味の、現実に必要があつて法文改正するのか、いやそれは当り前のことだが、今御説のように、当り前のことだから注文に書いて置いた方がいいから、この際書いた方がいいというので書くことに賛成を表しておれるのか。その点を伺いたかつたのです。
  21. 山崎匡輔

    証人山崎匡輔君) まあそうむずかしくおつしやられるとなかなか私も困るのでしで、立法論でも何でもないのでして、ただ実際に委任いたします場合に、どこの範囲までを委任するということをはつきりすることは、やはり日常仕事をやつて行きます場合において必要なんです。ここまではどこまでもこういうふうに委任する、ここまでは委任しない。併しながら全体といたしましては教育委員会責任を全部持つておるものであることは申添えるまでもないのでありますけれども、そういうふうなことを明確にしておる方がすべてにおいて私は間違いが起らん、又そうでなければならんと過去の経験から考えるものであります。
  22. 河野正夫

    ○河野正夫君 甚だ証人の方にまるで政府当局の方に追求するような質問をして申訳ございませんですけれども……
  23. 山崎匡輔

    証人山崎匡輔君) いいえ。
  24. 河野正夫

    ○河野正夫君 その御説明によりますと、然らばこの委任事項を明白にすることが必要だという結論になるようでありまするが、この改正案は委任することができるというのであつて、委任事項を明白にはしておらんのであります。そうして委員会制度そのものが出発した時から委任することはできたのであります。ですからそれを委任することができるということを法文に書くことの必要性が今問題になつておる所なのです。その必要性を現実にしなければ混乱が起るという認識を持たれるかどうか、この点を伺つております。
  25. 山崎匡輔

    証人山崎匡輔君) よく分りました。大分頭が悪いものですから(笑声)質問を間違えましたが、今おつしやる通り委任することができるということで前の法文にはございません。
  26. 河野正夫

    ○河野正夫君 なかつたですか。
  27. 山崎匡輔

    証人山崎匡輔君) 実際上止むを得ませんものですから、これを委任しなければ到底仕事ができないというので、この経験から、これはやはり法文化して頂いた方が我々としてはいいので、又法文化しなければやるのに法的の根拠がない、こういうことなのでございます。
  28. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 山崎さんにちよつと一点伺いたいと思うのでありますが、この委員会法は結局委員職務というふうなものはですね、先程もお話がありました通り決議機関であると同時に執行機関である所に私は重要な点があると思うのです。ところが今お話をだんだん伺つておりますと、ここに私は根本の問題があると思うのでありますが、結局本当に本日の教育民主化して行くということの上からこの教育委員会法というものは定められたものであるとするなら、決議機関であると同時に執行機関であるということが如実に現れて来なければならんと思うのです。それが、委員会の回数が少いためにとか、そういうふうな理由教育長に委任事項を定めてやらなければならないということになつておるのだ。事実上教育委員というような立場から、教育民主化の上に立つて徹底的に教育の行政に当るということになつて来たならば、そういうことは成り立つて来ないのではないかと思うのです。その点についての御経験の上から、事実上そんなに一体教育委員会というものを聞いて行くことができないとか、或いは熱意を以て進めて行けばむしろ教育長というものはなくてもいいのではないか、こういうふうな見解に立つ場合もあるとかいうようなことについての、御経験からの御意見を飼いたいと思うのであります。
  29. 山崎匡輔

    証人山崎匡輔君) これは非常にむずかしい問題でございますが、教育委員会決議機関であり執行機関であるというお話。その通りでございます。ただ或る程度仕事を委任いたしましても教育委員会はその責任をどこまでも持つておるわけでございまして、ただ委任しただけでございまして、そうしてその問題につきまする教育委員会責任は何ら軽減されておらないのであります。それから例えば、教育委員会の性格と申しますか、教育委員会委員は大体教育專門家でないものでなくちやならないというクオリフィケーシヨンはないのでありまして、誰でも普通一般の人が教育委員になつていいのでありまして、又それも或る程度望まれておることであります。又教育長の方は教育專門家でなければならないというクオリフィケーシヨンがあるのです。そこで我々の教育委員会教育長の間の関係はそこで有無相通ずるところのものがなければ、互いに唇歯輔車の間でなければならないという形になりまして、その両方の互いに足らないところを補い合い、そうして進んで行くところに、教育委員会運営の妙味があるのだと私は考えておるのであります。で事実上の問題といたしましても、教育事務相当に多うございまして、或る一つの業務を持つてその傍ら教育委員をやるのが本当の教育委員会の形であるにも拘らず、それを隅々まで現実問題として取扱うことはなかなかできないのであります。学校長だけにいたしましても、東京都の中で千五百何名というような学校長がございますし、先生方にいたしましても全部で二万何千人という先生方がおる。それらの人事、それからその外学校の数にいたしましても非常に多いのでございまして、その悉くを、教育委員会が全部隅の隅まで知り盡して仕事をして行くというようなことは、なかなか到底私は人間わざでできないことだと考えておるのであります。じやそれをできなければお前は教育委員としての資格がないじやないかという御反問もあるかも知れませんが、私はそれまでは我々に要求されないところのものなんで、そして教育の在り方その他についての根本問題、それから各所の、本当に困つた、そういうような根本方針の問題については、十分徹底して指示を與える、併しながら当然のこと、そういうようなことは事務的にこれを処理して行くようにして貰わなければならない問題でありまして、こういうような考で日常処置しておるところのものでございます。
  30. 河野正夫

    ○河野正夫君 坂尾さんに一つ承りたいのでありますけれども、先程この教育委員の服務の所で、教育委員会一体として行動しなければならないということについて疑義があられるような御発言でありましたけれども、一体この委員会制度というようなものは当然そうあるのか当り前でありまして、その委員会会議において、或いは委員会を代表する、執行する場合の準備として、委員個人がいろいろ調査研究するということは固より必要であり、やらねばならんことだろうと思うのですけれども、それは委員会を代表するものではない。従いまして教育委員委員会の活動と一体としての活動となるというのが当然だろうと思うのですけれども、その点について何か坂尾さんの誤解か私の聽き違えかはつきりしないようでしたので、その辺のお考を承つて置きたいと思います。
  31. 坂尾徳太郎

    証人坂尾徳太郎君) お答えいたします。委員一体として行動するということは勿論その通りであります。本来委員会というものは、教育委員会法におきましては委員会が主体になつておるのであつて個々委員行動するのでないことは私もはつきり認識しております。併しながらこれは私が先程申上げました通りにです、敢えてここに法文化する必要はない。結論的には要するにこういうものを規定するならば、いろいろむずかしい問題が起つて来る。例えば、私が教育委員の一人であつて、私の責任良識において当然委員会がこうあるであろうという意味において、正しい意味において行動した場合に、君は教育委員会の、例えば決を採つた場合に、三対二の、君の行動は三対二になつたのだから、君の行動はいけないというふうに、極端な例ですが、そういうことが起るということになれば、非常に積極的な行動はできないわけです。従つて委員として行動する場合には勿論教育委員会全体としてのことを考えながら、場合によれば自分として当然行動する場合があつてもいい。こういう意味で、敢えて法文化する必要はない、こう思つております。勿論個人としての委員と公職としての委員とははつきり分けられなければならないということも十分認識しておるわけでございます。
  32. 河野正夫

    ○河野正夫君 坂尾さんの今の発言に、はつきりしないこともありますけれども、最後のお言葉で了承いたします。  水村さんにお伺いいたしたいのでありますけれども、先程来山崎先生の御意見に大体御賛成であるというような御意向でありました。私はこの際水村さん個人、勿論御先生の場合も、又当委員会における陳述を求める趣旨個人の水村さんの御意見を求めてはいるのでありますが、この際若し述べることが、お述べなさることができるならば、水村さんのいろいろお知合の、全国的な意味での教育委員の諸君の大体の意向を、もとより水村さんの主観的なお考えで結構でございます、何も客観的な標準があるわけではありませんから、が、今回の教育委員会法改正について、通常教育委員の諸君がどのように考えているかということについてお漏らし願えれば仕合せだと思います。それが一点でございます。  それからこの教育委員会が発足してから一年有余にしかならないのですが、これをもつと積極的に育てて行くために、教育委員会法を、こう改正したいというような点があるのではなかろうかと我々は思うのであります。山崎さんからも報酬の点が出ましたけれども、それ以上にもつとあるのではないか、こう思うのであります。と申しまするのは、我々が全国の教育委員会の視察をずつと続けて参つたのであります。その場合に教育委員が本当に活動しようと思つてもし得ないような、或る種の現地の指導が行われているということを見て参つたのであります。先程山崎さんは、ちよつと失言だが、取消されたようでありまするが、ああいうような事柄も、稀に聞く話ではなくしてさらに聞く話でありまして、そういう点から、教育委員教育專門家でない、市民代表であるという点であるばかりでなくして、ああいう活動の制限というような面から、一切を教育長に任せてしまわなければならんというような面が、よく強く出て来ているのじやないかと、こう私共認識しておるのであります。そこで水村さんは教育委員を、或いは教育委員会を育てて行くために、今日までの教育委員会が働きにくかつた、或いは力が出しにくかつたという現状に鑑みて、こういう改正が果して実際上、教育委員会を萎縮せしめないであろうかどうか。又世論が、教育委員の選挙等に当つて教育委員はどんな人がなつても同じことだ、教育長さえしつかりすればいいだろうというような気持を起して、教育委員の選挙等に熱意を失わせるようなことがないであろうかどうか、そういう点についての御感想を承わりたいてこう思うのであります。
  33. 水村善太郎

    証人水村善太郎君) 第二の御質問の方からお答えいたしますが、教育委員会がいろいろ決議しましたものが、その通り教育長を通して行われないというような事柄は、そうはございませんので、実際の教育委員会が決めました根本方針を具体化する場合に、例えば、関東民事部の教育課長のいろいろ指示を受ける、或いはサゼッシヨンを受けるというような場合がございますが、それは教育委員会が相談しまして決めました根本方針を阻止するものではないことが一般であります。実際問題でいろいろ今の御質問のような疑義の点が起りますけれども、よく考えて見ますと、根本方針は民主的に相談されましたものを骨にしまして、細かい点につきましていろいろ指示がありますときに、多少教育長が、教育委員会で決めました事項以外の事柄も、関東民事部の指示によりまして考慮することが多少あるかと思いますが、総体には心配ないかと考えております。  それから尚もう一つは、県会、私共埼玉県にいますというと、県会の方が財政を握つておりますので、教育委員会がいろいろな抱負を持つて仕事をしましても、果してその仕事をするに対する予算を県会が鵜呑みにしてくれるかどうか非常に疑問でありまして、教育委員会がやろうとするいろいろな抱負を何とか自分達の財布でやりたい、こういうふうに感ずることが多いのでございます。こういう点を、今度のこの改正法律案に盛られて頂けば結構ですけれども、若し今度不可能でしたらば、いつかの機会にはこれを是非とも盛つて頂きたい、こういうふうに考えております。  それから尚報酬のことがございましたが、これは教育委員は他の公務員を兼任することができないのでありまして、一例を挙げますと、埼玉県の教育委員の中に、町村長をしておりまして報酬を得ていた者が教育委員になりまして、町村長を当然辞めまして一応無報酬なつた。こういう実情がございますので、その点は法にはございますが、もつと明確に教育委員報酬を受けてやれるような具体的な法文にして頂きたいと、こう考えております。  それから第一の御質問にお答えしますが、この改正法律案に対しまして、外の委員意見をそう沢山私は伺つておりませんので、いろいろ申上げられませんのですが、自分としましては、教育委員会というものは、昨年発足しまして今日まで一年の歩みを続けて来ましたのですが、実際にやつておりますと、具体的には、こういうことももつとはつきりして置いた方がいい、ああいうこともはつきりして置いた方がいい、こういうことが沢山ございますので、先程私が申上げましたように、教育長のこの会議に列席して、発言できる点なんかも、これは実はこうしておきませんと、教育委員会の或る者は教育長の発言が非常に都合がいいときはこれを採用して、不都合なときはそれを封ずるというようなことがあります。県の教育行政に対していろいろ細かい点を教育長考えております。それを一応教育委員に示すという場合にも、或るときは採用して、或るときはそれを封ずるということではいけませんので、いつも教育長はこれを教育委員会に発言し、或いは教育委員から批判をしてそうして両方一緒になつて教育行政を立派に育てようということが必要かと考えます。それで私は教育長のこれは権限の拡張でなくて、当然教育委員会がいろいろ仕事をする上において、委員長を常に自分たちの側に置いて、そうしてお互いに相談して行くということを明確にして頂いた方が結構と思います。今申上げたことは一例ですが、いろいろの点におきまして教育委員会法の中ではつきりしない点を今度の法律案でいろいろ具体的にはつきりして頂きたいと思いますので、是非この改正案を今度は物にして頂きたいと、こう考えております。
  34. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 実は教育委員会法の制度が実施されて一年を経過しております。教育委員会制度のできた以上はあくまで育て上げ、良くして行かなければならない。そのために我我の努力をいたしておるわけであります。今日教育委員の有力な者がここに証人として御出席になりしたが、ちよつと山崎さんにお伺いしておきたいのですが、従来、教育委員会制度が実施せられる前の教育行政の状態と、それから教育委員会制度が実施せられたこの一年間の教育行政の状態の比較の問題で、教育委員会が設けられた前の、これは一切を含めての話でありますが、教育行政の状態が改善せられたかどうか、改善せられても又更にもつと改善する必要も場合によつてはあるのであります。併し兎に角今までの教育委員会制度がなくて、都道府県知事の下にその配下の官僚によつて教育行政が行われておつた状態と、この一年間の教育行政の、教育委員会の指導の下における実施の結果と比較して見て、改善があるかどうか、いわば民主的にやつて官僚的色彩が排除せられたかどうかという問題についてお伺いしたいのであります。具体的に申しますと、先ず今日も問題になりましたところの予算の裏付けがない。教育委員会財政的の権限を持つていない。併しながら教育委員会ができた以上は、実質上つまり都道府県或いは県議会に対しまして教育委員会というものが、その存在自体によつて前よりも教育予算を獲得する場合に余程都合が好くなつておるかどうかということを一つお伺いします。  第二に、或いは道都府県内の教育人事その他につきまして、教育委員会ができた結果、都道府県知事なり、その属僚がやつてつた場合と遥かに公正且つ適切な委員の任期その他ができておるとお考えであるかどうか、この二点を総括的の意味教育委員会制度の全体について御判断を率直なところを伺えれば非常に幸せだと思います。
  35. 山崎匡輔

    証人山崎匡輔君) 委員長からの御質問にお答えする前に、甚だそういう発言の機会を得まして、申訳ないのでございますけれども、先程河野さんから山崎さんはさつき失言をしたようだが、こういうようなこととお話されました。このことについてちよつと先に触れさせて頂きます。これは委員会の性格から申しまして、委員が、先程も申上げました通り一般普通の市民委員になるという形から申しまして、そうして又必ずしもフル・タイムそこに勤めるものでないというのが建前でありまして、これは当然過ぎる程当然だと考えております。それから尚いま一言附け足さして頂きまするならば、教育長の発言権が大きくなり、それから推薦助言範囲が広くなつているという法律になつておりますけれども、教育長はどこまでも教育委員会一般監督の下にという字が明確になつておりますので、助言推薦がございましても、教育委員会でこれを判断いたしまして、不適当であるならば、推薦助言もこれを退ける立派な根拠があるのでございまして、その点は私共でき得る限り良心に従いましてそういう行動を取るつもりでありますし、一般教育委員会も私は無論そういう考を持つておると思う者であります。でありまするから、法律ができまして教育長が無暗と権限を振り廻すということは私はないものと考えております。  それからあと委員長からの御質問でございますが、これは私明確に申上げるのに甚だ苦しむものであります。非常に割引きいたしましても、少くとも過去の官僚がやつていた時よりも悪くなつてつたという形跡は絶対にないということは申上げられる。それから尚教育予算の点につきましては、我々の主張、相当にいろいろな主張を持つて参りまして、折衝をいたしますけれでも、大体今までよりは遥かにその受入れられる面が多くなつておるように私は感ずるのであります。併しながら同じ問題を同じ方に対して交渉したわけではございませんので、これは個人の主観的になりますので、はつきりと今までどれだけ教育予算の成立率が多いというようなことを申上げることはできないと思います。けれども今のままでは如何にいたしましても、その結着する所は教育委員会に自主的にこれを決定するところのものがないのでありまするから、どういたしましても従属的な形になる。私共がやりたいことが非常にあつて、何かしばり付けられた馬が鞭を当てられておるような苦しさを感ずるのであります。実は教育委員になつていることが甚だ苦しいのであります。それから人事の方面に何しましては、これは私は大体公正に行つておると確信しております。大体におきまして、人事の問題につきまして最後案を持つて来るような形ではなしに、幾つかの比較対照のものを持つて参りまして、そうしてそれを我々の所ではディスカッシヨンします。そうして比較研究いたしまして最後の判断を與えるような形を採つております。少くともこれは前よりは遥によくなつておるのではないだろうかというふうに考えております。  委員長の御質問の二点につきましてはそれだけでございますが、大体におきまして今後市町村教育委員会がそれぞれでき、そうして甚しい問題になりますると、若し法文通りというと、村にたつた一つ学校がございましても教育委員と指導主事というものをおくべき法律建前であります。さような場合に、教育委員として果して公正なる、すべての人から尊敬を得、そうして又尊敬に値する人がさように多く日本にあるならば、私共は誠に御同慶の至りだと考える。ただそれと反対の場合を考えますと、実に寒心に絶えないというふうに考えております。教育委員会法の今後の在り方によりましては、教育の在り方が末端の各町村におきまして、甚しい言葉でありますが崩れて来るのじやないだろうか、そういう非常な心配を心の中に持つておるのであります。どうかこの教育委員会法を皆様方におきまして健全に発達させられまして、民主的な教育の発展を見たいものと念願して止まないものであります。
  36. 松野喜内

    ○松野喜内君 ちよつと中座いたしましたので、質問があつたことであつたら御回答を省略して頂きたいと思います。  全国教育委員会連絡協議会及び東海北陸六県教育委員会協議会ができ、最近の発足でありますが故に、十分これ又連絡も取りかねたことでありますけれども、然らば先程も論議になりました教育財政確立について強い信條があつた次第であります。更に、五大都市教育委員の方々もお述べになつたし、又ここに山崎証人に伺つて見たいのは、文部委員は各地に手分けいたしまして教育視察に参りました。その中には、教育委員会法の在り方やら現状やら将来改良すべき点について言うことが沢山ありますが、その中の一つ、名古屋市の教育委員は、四つのことを文部委員会要望したい。それは先程の教育財政確立考慮されたといいますのもその一つのであります。又二つ目には、五大都市においては高等学校通学区域の設定及び変更を市や教育委員に一元化して貰いたいというのがそれであります。三つ目は、国庫補助並びに府県の人件費の支弁というものを直接五大市に配当して貰いたい。第四には、学校建築の補助並びに起債につきましては強力な措置を講じて欲しいというような要望、これはさつきもありましたが、東京都の教育委員山崎証人に何かこの点について御意見があつたら、今まで御回答があつたらそれは略して宜しいが、今のことについて若干御意見を聽いておきたいと思います。
  37. 山崎匡輔

    証人山崎匡輔君) 私の今まで申述べましたことは私個人意見ばかりでございます。又そうするように委員長からのお話でございましたので、何ら私の関係いたします団体意見は、これに付加えてなかつたのであります。その点につきまして若しお許しがあれば……
  38. 松野喜内

    ○松野喜内君 結構でございます。
  39. 山崎匡輔

    証人山崎匡輔君) 只今松野委員から御質問のございました五大都市の要求は、大体その中で最も私共に響いておりますものは、国庫補助並びに府県費支弁の点を直接五大市に配当せられたいということであります。これは先程私が申上げました通り、五大市の教育事務量或いは予算というものが相当に大きい。小さな県よりも遥かに大きいというような現実、これは地方自治法関係がございますので、教育委員会の單独行動のできない問題だと私は了解しております。併しこれは将来の問題といたしまして、今即刻の問題でなくもお考え願いたいと思うのであります。併し国庫負担というものは、御承知通りシャウプ博士の報告によりまして、将来違つた形において與えられる問題だと思いますが、シャウプ博士の税制改革が実施されました場合につきましては、まだこの考案には何ら触れておりません。又シャウプ博士の報告が市町村の自治体に基礎を置いたものであるということを考えますときに、この問題はそう簡單に解決できない問題だと思います。そうなると教育委員会はますます教育財政の監督官として、言換えますならば、平衡交付金が如何に正当に教育方面に配付されるかどうかというようなことを監視する役目は、教育委員会一つの重大な役目になるのではないだろうかということを窃かに考えておるのでございます。今日はシャウプ報告の問題までに入ることはちよつと先過ぎると思います。こんなように考えております。  それから北陸の或る方面からは、やはり教育委員会法改正について教育長意見だけを聽いて教育委員会意見を聽かないというのは怪しからん。大体法案改正を見ると、やはり教育財政確立しておらないということ。それから法文から見ると教育長権限が拡大されているように見える点とを指摘いたしまして、北陸の教育委員会方面から決議案を用意しているということがございました。松野さんのお話の通り教育委員会の連絡協議会は最近発足したばかりでございまして、まだ機構がすつかり整いません。将来そういうものを十分整えましたら又御指摘願いたいと思つております。
  40. 河野正夫

    ○河野正夫君 私ばかり質問するので遠慮しておつたのですけれども、最後に二点だけを山崎先生にお伺いいたします。その前に先程の私の質問に後程触れられたのでありますが、私の実際に申上げたかつたのは、教育委員会の発足以来、現地における各方面の指導が教育委員会自主性を非常に阻害しておるのではないかと、私が主観的に取れる面があつたのであります。それで教育委員会はフル・タイムでサーヴィスすべきでない意図も十分承知いたしておりまするし、又あらゆる教育の細かい権限にまで立入ることもできなければ、立ち至るのが適当でないことも私了承しておるのであります。けれども月に一遍、而も一回の会議が一時間半くらいに限れというようなことさえも或る地方では言われておる現状を我々承知しておるのであります。これは私個人ではなくして本委員会の調査団の一行が聽いて来た事実なのであります。そういうような事態があり、一方においていろいろの面において、先程松野さんからもお話がありましたが、細かいことに指導があるということがございましたけれども、非常に細かいところまでいろいろな助言指導が行なわれておる。そういうようなわけで、一方においては、教育に素人の者が多いのですから大部分は教育長助言に俟たれければならないのは事実であります。そういうような意味で、選挙民に、一体教育委員は何をやつてるのか、大掴みのところでは自分たちの意見ではない、小さいところでは教育長に、大きいところまでもある点では左右されておるのではないか、という意見が起りつつある実情を私は知つているのであります。こういう際にこういう改正案が必要かどうかということなのであります。それについては伺いませんけれども、そういう意味で先程申上げたのです。ただここで二点伺いたい。  その一つは、今山崎さんも触れられましたが、東北六県と言われましたけけども、東海北陸六県教育委員会協議会の名を以て、十一月十七日に我々の方に決議文が参つておるのであります。お話の通り財政権の確立がないのに、徒らに教育委員会法の一部改正というのは本末顛倒しているというのが一項。それから教育長の発言権の強化があつて、これが私の今言うような意味教育民主化の大精神から見ると遺被であるというようなことが一つと、それ故に、若し改正するならば積極的な活動を援助するような改正要望するというようなことが申して参つておるのでありまするが、これは東海北陸と地理的に見ると、関東も入つてよさそうですが、入つておらないのであります。この点について山崎さんは、関東の方、東京委員会の方ですから、御承知なかつたのかも知れませんけれども、これはまだ政府の方にもこういう意見があるということを聞いておるのです。そこで、先程来申し述べられたのでありまするから、ついでに、全国協議会委員長であられたかと思いまするけれども、全国的の空気をもう一度承りたいと思うのであります。  それから第二点は、大阪の連絡協議会において、教育委員会自主性確立ということが強く叫ばれておる、その自主性確立ということがどういう意味で言われたかということを、ここで穿鑿はいたしませんけれども、その自主性確立が現段階において、こういう改正案が自主制確立のために現段階においては利するであろうか、或いはマイナスになるであろうか、その点の意見を承りたいのであります。
  41. 山崎匡輔

    証人山崎匡輔君) 少し重複するかも知れません。只今全国教育委員会の連絡協議会のお話でございましたが、これは御承知通り最近におきましては、只今私が東北六県と申上げたのだつたらば間違いであるのであります。河野さんのお話の通りの東海北陸の連絡協議会でございます。訂正いたします。それは、私もその決議書を拜見いたしております。でこれを全国的に流して御協議申上げるまだ時間的の余裕がございませんので、ここにはその方面のことは申上げません。  それから自主性と申しますが、これは自主性は、今度の場合必ずしも私は曲げられておらないと思つております。従来とてもいろいろの問題がございましたけれども、教育委員会自主性は、どこまでも絶えず守つて来ておるように私は思つております。それから尚細かい点においていろいろの関係方面からの指示があるというお話がございます。これは私は不幸にして河野さんよりも、全国的の情報を得ておりません。私お答えする限りでございませんが、東京におきましては決してそういうことはございません。私共は大体少くとも週一回は集まりまして情報連絡会をやりまして、情報を集めて、公式の会は別といたしまして、始終研鑚を積んでおります。  それから最後の御質問はこういうような改正をしなければならんかという御質問であつたように私考えますが、これは私は先程来申上げました通り、どうしてもあるべき姿を法文に化して行くということは、仕事運営して行く当事者につきましても、又それをまわりから見ております当事者から考えましても、当然のことであると思いますので、今度の改正につきましては私は全面的に賛成でないことは前に申上げた通りであります。これで満足しておりませんのであります。これだけでは教育委員会が満足にどんどん発展して行くという形まで行つておるとは決して信じませんけれども、少くとも今の改正する前よりも遥かに良い。又そうあるべきだというふうに考えております。尚指摘いたしました通り、大きな問題を順来に残しておるということは、私は思わざるを得ないわけであります。
  42. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 今の問題に関連いたしまして、先程来何度も繰返すようでありますけれども、今一度確めておきたいのは、三十二條のところで「委員は、教育委員会職務一体として行うものであつて個々委員としてその権限を行使するものではない。」こう言つておるところの職務権限と、今の五十條の二の事務の委任及び臨時代理というところで、「教育委員会は、教育委員会規則の定めるところにより、その権限に属する事務の一部を教育長に委任し、又はこれをして臨時に代理させることができる。」この権限に属する事務というものとあなたは同一のものとお考えになるのか、別なものとお考えになるのか。その点をお聽きしたい。そうしてそこをはつきりされてのお話であるか、私にははつきり分りませんので、今一度お聽きしたいと思います。
  43. 山崎匡輔

    証人山崎匡輔君) お答を申上げますが、御希望というよりもお聽きになりたい点と合致いたしますかどうかということがちよつと私にも分りませんけれども、この三十二條の二の方は、委員会職務一体として行うものであつてということで、この文字通りでございますが、従つて委員会決議をいたしまして、そうしてすべての事務を遂行して行くわけでございます。それで、但しこれこれの事務はこの教育委員全体で、教育委員会決議をして、教育委員会個々人間がやるのではなくて、教育委員会全体がこの職務をこういうふうな人に委任するという形になるのだと思います。ですから教育委員に與えられました職務のうち一部分を教育委員会決議によつて個々の人でなく全体の意見としてまとめて、これは全体の行動として教育長にこの職務を委任するということでありまして、その委員の一人々々が、この職務はお前に任せるのだ、こういうことではない。或いは又教育委員一人々々が、俺が行けないから、お前が代りに出ろということではない。こういうふうに考えております。
  44. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 その職務というものと、今度あとで教育長その他の者に委任したり代理したりすることのできる事務というものが、同一内容であるかどうかというお考の上でのお話かと思いますが……
  45. 山崎匡輔

    証人山崎匡輔君) 私は恐らく実際において同一の事務でないだろうと思います。これこれの事務は委嘱すると、従つて委嘱する建前になりましたものは、ずつと委嘱されるのでありまして、教育委員会でこれを自分の職務としてやるものでなくなるだろうと思います。併し責任は明らかに、委任したのでございますが、決してその職務を與えてしまつたのではございませんから、どこまでも責任教育委員会にあるということだけ、責任の帰属だけははつきりしております。
  46. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 そういたしますと、そこで私のお聽きしたいのは、こういうのが書いてなければどうも拠りどころがないとおつしやるけれども、若しそういう意味のものであるならば、教育委員会法の第四十二條には、教育長教育委員会の処理するすべての教育事務を司ると決めてある。同じく四十三條には、教育委員会職務権限に属する事項に関する事務を処理させるために、教育委員会には事務局というものを置くということが決められてあるのだから、あなたの先程説明のように、委員会がこう決めてこれを委嘱するのだ、代理を立てるのだからということになれば、今の四十三條にはつきり決められて、そうするものであるということが決められてあるのだから、拠りどころがないどころじやない、立派な拠りどころがあるのであつて、そういう意味であるならば、こんなものはなくてもいいのじやないかというのが、先程来河野委員の質問の要点だと思いますが、それで入れなくてもいいというところに、一つの疑点があるのじやないかという意味なんですか。
  47. 山崎匡輔

    証人山崎匡輔君) それではお話のところも大体よく分るように思うのでございますが、教育委員会事務というものにはいろいろのものがあるだろうと思うのであります。一つ教育委員会から委嘱された事務もありますし、委嘱されないでも教育委員会事務局として当然やるべき事務もあるのでございます。例えば会議録を作ることも事務でございましようし、そういうようなことも全部事務でございますから、取立てて委嘱しないところの教育委員会事務局事務というものも沢山ございます。それから調査局もございますから、調査にも行つて貰いますし、或いは火事がございますときは直ぐ飛んで行つて調べて貰います。これは委嘱しないでも教育委員会事務局で当然なすべき事務の種類に属するものでございます。それから人事の問題であるとか、学校その他の問題にもいろいろございましようが、それらのうち、或る点は委嘱できるという問題もございます。ですから教育委員会事務局で当然なすべき日常の事務、或いは職員の出勤、早退というようなものも全部事務的に処理いたしておりますし、俸給その他も処理しております。そういうような事務の外に教育委員会がなすべき権限の中の一部分を委嘱するという形であると思うのであります。
  48. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 そう御解釈になるのですか。
  49. 山崎匡輔

    証人山崎匡輔君) 私はそう解釈いたします。
  50. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 大分御熱心な応答がございまして、時間も経つたことと思いまするので、又これらについて質疑の時間もこの次に取られることと思いますから、本日はこの辺で打切られるように動議を提出いたします。
  51. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 只今鈴木委員の御提案ありましたように……    〔松野喜内君、岩間正男君発言の許可を求む〕
  52. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 大分もう時間も経過いたしましたので、本日は尚この法案の逐條審議を続行しなければなりませんから、極く簡單にお願いいたします。ちよつと速記止めて。    〔速記中止
  53. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 速記始めて。
  54. 岩間正男

    ○岩間正男君 この法案そのものとしては、仮に完全に近いものとしても、日本の教育民主化現状において一体果してどういう性格を持つかということが一番大きいと思いますが、そういう点から言つて、例えば教育委員報酬、そういうものが確立されない点で非常にいけないために、従来現状に合わない点があると思いますが、その点をどういう感想を持つておられるか承りたい。
  55. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) その点は相当に突込んで質疑がありましたから。
  56. 岩間正男

    ○岩間正男君 それではその点は取消しいたしまして、さつき自主性の問題ですが、例えば一日一時間半とかいう制限を以て、而も月一回ということで委員会がやられておるということですが、果してこれで教育委員として十分にその職能を果すことが認められておるか。これは東京の場合違うようですが、地方の場合多いのですが、この点東京の体験から一つ伺いたいと思います。  それからもう一つ、最近東京府で起りました問題でありますが、こういう問題について教育委員会としていろいろ意見を持つておるのです。併しこれを法的な点において委員会そのものがこれに対して何か法案改正の場合に、どうしたらいいかというような意見を持つておられるかどうか。その三点について伺いたいと思います。  それからもう一つついでに坂尾君にお願いしたいが、これは教育委員会が発足してから、いろいろな待遇とかそういう問題によく交渉を持ちます。そういう場合に、教育委員会ができてからと、そこに果して得失がどういうふうになつておるか。よく地方なんかでは却つて事務が煩雑して、結局は最後に知事の裁定を経なければならんのに、教育委員会が中に狭まつておるので却つて煩瑣だということを耳にするが、その点についてどういう見解を持つておるか、お伺いしたいのです。
  57. 山崎匡輔

    証人山崎匡輔君) 最初のは私に御質問なんですか。
  58. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうです。
  59. 山崎匡輔

    証人山崎匡輔君) 報酬の問題は、先程お話の通り縷々ここで論議いたされました。  それから委員会がいろいろ行動制限その他について満足に行かないかどうかという御質問、これも実は先程来その話をいたしておりましたので、時間の関係上その速記録を御覧願つて、甚だ失礼でございますが、免れさせて頂きたいと思います。
  60. 岩間正男

    ○岩間正男君 それから第三の、東京におけるあれはどうですか。
  61. 山崎匡輔

    証人山崎匡輔君) それも実は、そういう私は具体的な問題でなしにここで申上げた筈でございます。それも一つ速記録を御覧願います。
  62. 坂尾徳太郎

    証人坂尾徳太郎君) お答えを二つに分けて申上げたいと思います。全般的に、教育委員会ができる以前と現在とを、交渉の点についてはどうかという点について申上げたいと思いますが、御承知のように、去年の七月二十二日にマ書簡が出まして、七月三十一日に政令二百一号が出まして、我々の争議権や怠業的行為に基くところのいわゆる団体交渉権が認められなくなつたので、そういう状態で十一月一日に教育委員会が発足した関係上、前に知事と交渉しておつたときよりも、そういう面において拘束されたことは事実でありまして、そういう中間の特別な事情があつたために、全般的な問題についてどうかということについては、結論が出しにくいと思います。それから第二の予算問題等に関しましては、岩間先生がおつしやつたように、確かに委員会交渉と、それから県当局の、例えば庶務課その他の関係者と交渉する、二本の交渉をやらなければならないという点になつたことは事実でありまして、これは早く教育財政権確立教育委員会になされなければ、教員組合としては交渉が非常に能率的に行かない、支障が多い点がある、こういうふうに思います。以上であります。
  63. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それでは各証人の方に対する質疑はこれを以て終了いたしてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 御異議ないと認めます。それでは御挨拶を申上げます。お急ぎの方もおありでありますから簡單に御礼を申上げます。今日はこの上程になつておりますところの教育委員会法の一部を改正する法律案につきまして、種々の観点からして非常に有益なる御証言を得ましたことを、委員会を代表いたしまして厚く御礼を申上げる次第でございます。
  65. 山崎匡輔

    証人山崎匡輔君) 大変失礼申上げました。
  66. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  67. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それでは速記を継続して下さい。  それでは逐條審議を、前回に引継きまして開始することに御異議ございませんか。    〔「異議あり」と呼ぶ者あり〕
  68. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 異議ありの常習者みたいで困りますですが、この前も私学法案証人に来て頂いて、非常に長い時間掛かつて意見を聽き、本日も又聽いたんでありますが、一方的に……一方的にいいますか、証人の方を対象にばかりして熱心にやつておりますというと、非常に疲労を覚えるのであります。で、これは皆さんもいつもその後散会後、そういう意見が出ますので、この際委員会法の逐條審議をやりますと、又詳細に亘つて、非常に疲労を覚えると思いますので、まだ外に審議すべきものも沢山ありますので、この際気分転換の上から、是非この教育委員余法を明日に廻しまして、この際明るい気分に転換するように、外の審議に移られんことの動議を提出いたします。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  69. 河野正夫

    ○河野正夫君 鈴木君の動議に賛成いたしますが、日もないことですから、今日余りました時間、文化財保護法のことを多少審議し、その次、私立学校法に移り、それからこの教育委員会法の一部を改正する法律案と、法案審議をそういう順序にして頂きたい。
  70. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  71. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 速記を始めて。それではこれにて暫時休憩いたします。    午時四時五分休憩    —————・—————    午後四時九分開会
  72. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それでは休憩前に引続きまして委員会を開きたいと思います。  委員長理事打合会で、今日私立学校法案を継続審査するということに相談いたしましたが、もう時間もあまりありませんけれども、併しまあ五時半位まで御辛抱願つて、逐條審議に入りたいと思いますが、如何でございましよう。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 緊急上程の件。  それでは私立学校法案についての逐條審議を開始いたします。  ちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  74. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 速記開始。引続きまして議事日程に追加して審議いたすこてになりました私立学校法、これは前会で一般的な質問を終えたことと存じますので、今日は逐條審議に入りたいと思います。
  75. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) 最初御説明申上げます前に、前回の御審議の際にちよつと私が申上げました説明の中で、多少曖昧な点がございましたので釈明かたがた補足させて頂きたいと思います。と申しますのは、大隈先生からの御質問に、丁度法案が閣議を終つた後、議会に提出になる間の経緯でございますが、その言葉の中に、これは予算とも絡みあつての問題でございまして、予算がどの程度の限界で確約できるだろうかということに問題が係つてつたと、こう申上げたわけでありますが、その言葉の中のどの程度の限界でと申上げたことが或いは予算の多寡によつて監督的な事項の盛り方が決まつて来るんだといつたようなふうに取られるような危險がないとも限りませんので、私の申上げた意味は、予算がまだ確定的でないと、もう予算が大丈夫、これで決まつたというのであれば問題がなかつたのでありますが、丁度法案の方を先に進めて行かなければならん、予算の方は御存知の通り、補正予算が全体としてだんだん遅れて参りましたために、果して予算がこれで固つたと言える時期で……法案として固めます時期には、まだ申すような段階でございませんでしたので、どの程度の見当でこの予算が盛ることができたかという時期になつたのかということを申上げたのでありまして、予算の多寡によつて、監督的な事項の盛り方を考えるという意味では毛頭なかつたのであります。言葉が足りませんので、或いは誤解を起したのではないかと思いますので釈明さして頂きます。
  76. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) では読んで頂きます。    〔久保田政府委員朗読〕     第一章 総則   (この法律の目的)  第一條 その法律は、私立学校の特性にかんがみ、その自主性を重んじ、公共性を高めることによつて、私立学校の健全な発達を図ることを目的とする。  第二條 私立学校に関する教育行政及び学校法人については、法律に則段の定がある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。   (定義)  第三條 この法律において「学校」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一條規定する学校をいう。  2 この法律において「各種学校」とは、学校教育法第八十三條第一項に規定する各種学校をいう。  3 この法律において「私立学校」とは、学校法人の設置する学校をいう。  4 この法律において「学校法人」とは、私立学校設置を目的として、この法律の定めるところにより設立される法人をいう。   (所轄庁)  第四條 この法律中所轄庁とあるのは、私立大学以外の私立学校及びこれを設置する学校法人については都道府県知事、私立大学、私立大学を設置する学校法人及び私立大学以外の私立学校と私立大学とをあわせ設置する学校法人については文部大臣とする。
  77. 河野正夫

    ○河野正夫君 私は法律に暗いのですが、この定義の三項と四項とは循還論法のような気がする。「この法律において「私立学校」とは、学校法人の設置する学校をいう。」ところが又「この法律において「学校法人」とは、私立学校設置を目的として、この法律の定めるところにより設立される法人をいう。」こういう定義の仕方は法律では使うのですか。四項の「私立学校」というのは三項を予想しておるか、そうでなければ……予想しているとするならばどうもぐるぐる廻りになるのではないか。予想しないで第一條のような私立学校、普通常識的な意味みたいなんですが、これは私にはどうも分りかねる。こういう條文の書き方というものは、こういうものでいいのですかということを伺いたいのです。
  78. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) 論理学的に申すと、そういう感じを受けるかも知れませんが、私立学校とはどういうものかということを定義いたします場合には、三項の書き方より方法がないと思いますし、新しい学校法人という言葉をここに出して行きまして、法人を定義する形を採れば、法律的にはこういう形を採るのが一応至当でありますし、これより方法はないものと思います。
  79. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 外は御質疑はございませんか。ございませんければ一応第二章私立学校に関する教育行政。これは長うございますから、途中切のよいところで……。関連している條文は一緒に願います。    〔久保田政府委員朗読〕     第二章 私立学校に関する教育行政   (所轄庁の権限)  第五條 所轄庁が学校教育法の規定に基き私立学校について有する権限は、左の各号に掲げるものとする。   一 私立学校設置廃止(高等学校の通常の課程、夜間において授業を行う課程及び特別の時期及び時間において授業を行う課程、大学の学部及び大学院、盲学校、ろう学校及び養護学校の小学部、中学部、高等学及び幼稚部の設置廃止並び学校教育法第四十五條(同法第七十條及び第七十六條において準用する場合を含む。)の規定による通信教育の開設廃止を含む。)及び設置者の変更の認可を行うこと。   二 私立学校が、法令の規定に違反したとき、法令の規定に基く所轄庁の命令に違反したとき、又は六月以上授業を行わなかつたとき、その閉鎖を命ずること。   (報告書の提出)  第六條 所轄庁は、私立学校に対して、教育の調査、統計その他に関し必要な報告書の提出を求めることができる。   (都道府県知事の事務)  第七條 都道府県知事は、この章に規定するもののほか、私立大学以外の私立学校に関して、左の事務を行う。   一 教育職員免許法(昭和二十四年法律第百四十七号)及び教育職員免許法施行法(昭和二十四年法律第百四十八号)の規定に基いて行う校長、園長及び教員の免許状に関する事務   二 学校教育法の規定に基き文部大臣の定める基準に従つて行う教科用図書の検定   (私立学校審議会又は私立大学審議会に対する諮問)  第八條 都道府県知事は、私立大学以外の私立学校について、第五條各号に掲げる事項を行う場合においては、あらかじめ、私立学校審議会意見を聞かなければならない。  2 文部大臣は、私立大学について、第五條各号に掲げる事項学校教育法第六十條第一項の規定により大学設置審議会に諮問すべき事項を除く。)を行う場合においては、あらかじめ、私立大学審議会意見を聞かなければならない。
  80. 左藤義詮

    ○左藤義詮君 この所轄庁につきまして私立大学審議会のことは「文部省監理局」と二十三條にありますが、府県知事の場合には事務を処理するところはどういうような組織を持たせるつもりであるが、これが非常に弱いものになつてしまつて、又事実上私立学校の数が少い府県などでは、一人か二人しかおらんような、ほんの附属的な局或いは課で処理されるようなことはないでしようか、原案ではどういうことを予想しておるんですか。
  81. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) 形式的に申しますと、地方自治体の方で特別にどこどこで、どういう課で仕事をするというふうに現わしてないものは、一応総務部に属するという形になつております、現実の姿で申しますと、総務部の中に教育室といつたのが普通の形でありまして、そこで現在もやつておりまするし、将来もそこでやられるのが一つの形になろうかと考えております。
  82. 左藤義詮

    ○左藤義詮君 独立の課を置くことができないので、何かの課のほんの附属的なもので、十分教育行政にも理解のないようなものでやられるような、特に小さい府県等については文部省では心配しておらないのかどうかを伺いたい。果してそういうことを十分所轄庁としてのこれだけの権限を行使し得るようなことができる自信があるかどうか。
  83. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) これは府県の事実について検討するより方法はないかと思いますが、例えば私立学校が非常に少いといつたような府県では、大きく課としておることが却つて実情に副らないと思います。例えば東京とか大阪といつたような、学校の数も多く、又仕事の分量も非常に大きいといつたような所では、必ずしも課であるとか室であるとかいうことに捉われる問題ではありませんで、実質的に仕事の分量に合したそうした組織を現在相当つておると見ておる次第でございます。
  84. 左藤義詮

    ○左藤義詮君 心配するようですが、今例にお挙げになつた大阪府でも教育課というものを最近行政整理で廃止しようということになつて、結局教育室というようなものでやつと落ち着いたようでありますが、例にお挙げになつた大府県でもそうですから、地方へ参りますと甚だ私立学校事務が所課庁において軽く扱われる、ほんの片隅で処理されてしまうというようなことが非常に心配されると思います。その点においては余程一つ文部省で見込みをお立てにならなければならんと思います。もう一度その点をはつきりお考え願いたいと思います。
  85. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) お説の通り、できるだけ府県の方で私立学校をもり立てるためにそうした事務なり仕事内容を予測できますように私共善処いたしたいと思つております。
  86. 左藤義詮

    ○左藤義詮君 尚第六條についてですが、所轄庁がいろいろな報告書を求めるにの、従来、例えば文部省から求めますると、従来の例ですと、学校教育課から求めて来る。又体育は体育課から求めて来る。同じものを二重にも三重にも、少し種類が違い、ちよつと書き方が違ういろいろな様式を示して、実に私立学校が頬に堪えないような、いろいろな報告書を求めておるのですが、そういう点については第六條には簡單に書いてありますけれども、できるだけ筋を一本にして求めることができるように、その求めるについては、直接扱う者が責任を持つてそういう調査統計をまとめて行くというふうに、この点も文部省が留意する意思があるがどうか。
  87. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) この調査統計の資料を求めますような関係につきましては、先般の文部省の改組の際も特に調査普及局の組織を整備し、又拡充もいたしまして、一本にまとめて、現在の調査の求め方では、調査局を通さないと、そういうものを勝手にばらばらに求めるということができないように実は進めて来ておるわけでありまして、これからも御説のような方向に十分行き得ると思いますが、この上ともそうした方向に取まとめたいと考えます。
  88. 小野光洋

    ○小野光洋君 第五條の第二項で「私立学校が、法令の規定に違反したとき、」とありますが、この一般法としての学校教育法には同じ内容のものが「法令の規定に故意に違反したとき」と、「故意」という二字があるのですが、特に特別法として私学法を作るに当つて「故意」を削除したというのは特別な理由があるのか、特にその点を伺いたいと思います。
  89. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) 御指摘の通りで、一般学校教育法の方には「故意」の二字が入つておりまして、こちらには落ちておるわけでありますが、これはこの法令を作ります時分に一応私共問題にして、法制局あたりとも審議をいたしたのでありますが、特に「故意」ということを除きましたことによつてこちらの方をきつくし、向うの方を柔かくしたという趣旨では毛頭ございませんで、「故意」という言葉が入つてつても入つていなくても、この法令の結果として出て来る処置に対する関係は変りはないんだ、むしろこういうことは飾りのような意味の二字に過ぎないというような見解で落したのでございます。
  90. 小野光洋

    ○小野光洋君 同じ第二項に「法令の規定に基く所轄庁の命名に違反したとき」とありますが、本法によると特に「私立学校について有する権限は、左の各号に掲げるものとする。」ということで第五條の一号、二号が出ておるわけでありますが、その外に法令の規定に基く所轄庁の命令に違反するというような條項は、これに当て嵌まるような條項はありますか。これは何を指しておるのでありますか。
  91. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) この事例は非常に少いと考えますし、端的に申せばせいぜい六條の報告を求めたことに対する違反程度のものでございます。
  92. 小野光洋

    ○小野光洋君 若し六條の報告を求めるということだけが法令の規定に基く所轄庁の命令ということであるとするならば、これは直ちに閉鎖命令になるということは少し失当ではないかと思いますが、その点はどうですか。
  93. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) この処置をいたしますについては後程の規定に出て来るわけでありますが、審議会意見を聞きましてやらなければならんという形になつておりまして、事実この閉鎖の命令違反に対して直接持つて行くといつたような事例は先ずないであろうと考えます。
  94. 小野光洋

    ○小野光洋君 それから第八條に私立学校審議会と私立大学審議会との規定がありますが、この規定に、おのおのその意見を聞かなければならないと示されてありますが、意見を聞かなければならないという内容はどういうことですか、どういうふうな聞き方をしようというんですか。
  95. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) この「意見を聞かなければならない」と申します意味は、單に諮問するという意味でなく、必ず意見を聞かなければならんということと同時に、その意見を尊重するという意味と二つを兼ね備えた内容を持つものと了解しております。
  96. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) ちよつと政府委員に伺いますが、第五條の第二項ですが、先程御質問があつたのですが、この「所轄庁の命令に違反したとき、これは閉鎖を命ずることとあるのですが、閉鎖を命じ得るという意味かどうか、この点をお伺いいたします。些細な違反があつた場合には必ず、閉鎖を命じなければならないのか、或いはこの場合に自由裁量で重大な場合にのみ閉鎖を命ずるという意味ですか。
  97. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) 只今御指摘の点は、後からお話のありまして通りに解しておりまして、閉鎖を命ずることができるのであります。たまたま非常に重大なときに限られると思います。
  98. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) この第五條の第二号ですが、先程御質問があつたとき、その所轄庁の命令に違反したとき、こうこうこういう場合には閉鎖を命ずることを得るとして、そうしてここに権限の中に閉鎖を命ずることとこうあれば用意周到じやないかと思いますが、簡單にここに規定したためにこういうことになつたのじやないかと思うのです。今の答弁せられたところで意味は分りました。
  99. 河野正夫

    ○河野正夫君 私もその点を伺おうかと思つてつたのですが、ここにある第二号は教育本法第十三條の規定でございますね。ところがこの第五條の読起し本文を見ますると、「学校教育法の規定に基き私立学校について有する権限は、左の各号に掲げるものとする。」というので、これ以外にないという意味で重複をしたのか、或いは学校教育法にあるからついでにこつちも明瞭にするために挙げたのか、その点を一つお伺いしたい。
  100. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) これは所轄庁が学校教育法の規定に基き「私立学校について有する権限は」と持つて来ましたところに特別な意味がございまして、この権限という言葉が非常に曖昧なために、多少そうした疑いを持たれるのかと思うのでありますが、ここで申しまする権限という意味は、直接に処分的な意味を、行為を伴つた権限ということをあらわしていないように思つております。そのために学校教育法の中にあるもので、或いは限定的にこれによつて排除されるもの、又これによつて限定的に排除されなくて、教育法がそのまま掛かつて来る場合もございます。
  101. 河野正夫

    ○河野正夫君 そうだとすると、この第二号は仮になくても用が済むということになりますか、なりませんか。というのは学校教育法の第十三條の同じ條文があつて、これは公立にも私立にも適用されることでありましよう、第十三條は……。ところがそうであるならば、学校教育法にすでにあるのだから、私立学校に対して当然この第二項にあるようなことは所轄庁は行うことができるわけなんであります。まあ学校教育法第十三條によれば監督庁となつておりますからできるのでして、ここに書かなくてもいいという理論が成立ち得るか否かということを伺いたいと思います。
  102. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) 学校教育法の方は、この公立て私立の関係を包括的に書いているわけでありまして、こちらは私立学校だけを抽出してこちらに移し替えて来たというような関係、同時にこれは第二條に「法律に別段の定がある場合を除く」といつた関係との筋合から、一応ここに出して来たというのでありまして、十三條は別の意味で十三條の方が半分効力を失つて来ておるというふうに考えておるのであります。
  103. 河野正夫

    ○河野正夫君 そこで私承りたいのです。半分効力を失つて来ておるとすれば、「故意に」ということをとれば、「故意に」ということはなくなつたというだけの効果が、この私立学校法の方で生じて来るということになりはしませんか。
  104. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) 文字だけをそういうふうに引抜いて考えますと、そうした解釈も一応できるかと思いますが、先程御説明申上げましたように、故意でないというように思える違反というものが、こういう処罰規程については全然意味がないのだという解釈が立ちましたので、故意による場合という解釈を考えなかつたのでございます。
  105. 河野正夫

    ○河野正夫君 それならば普通こういう法案の提出のときにやられますように、附則かなんかでついでに学校教育法第十三條の方を改正して「故意に」を取るべきではなかつたか、その点はどうでありますか。「故意に」はこういう法律においては、無駄であり必要がないという御意見のようでございますね。そうして見たならば学校教育法の十三條の「故意に」も無駄であり、必要がないという解釈が成立ち得るわけです。それをなぜ片方で改正をやらなかつたか。
  106. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) この法令が一応一般的な形を採りましたために、そうした個々修正をむしろ遠慮したと申しますか、控えてやりませんだけで、御承知のように嚴重に申せばそういう仕方を取りのが本当だつた考えます。
  107. 河野正夫

    ○河野正夫君 ところが私立学校法の原案には、原案原案かも知れませんけれども、「故意に」が加わつてつたのを故意に(笑声)取つたということを私は聞いておるのです。殊更に取つたのだからそこに何らかの意味があつたのではないかということを私は伺つておるのです。
  108. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) 先程法制局との審議過程中にそうしたことを審議いたしましたと申上げましたように、一番最初のものにあつて、いよいよここに出て来る時分になくなつたために、わざとそういう「故意に」を外ずして、緩嚴の区別を出したかのように御了解になつたのかも知れませんが、先程から申上げました通り、そうした区別は全然考えておりません。
  109. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 監督庁というのと所轄庁というのは、どういう使い分けがあるのか、一応承りたいと思います。
  110. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) 従来こうした直接的な事務を行うという権限と監督の関係というものを現わすのは、監督というものをずつと現すのが今までの古い形の常識でありますが、たまたま監督庁という言葉よりは所轄庁といつたような言葉内容が盛り込めるならば、その方が一応よろしかろうというだけのことでありまして、特に使い分けと申した程の意味はございません。
  111. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 そうすると同一に見て差支ないということですか。
  112. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) 内容的に申しますと、同一の疑問が相当多いと思いますが、わざわざこうした現し方をしました意味は、監督といつたような言葉は成るたけ避けたいということから、こういう処理にいたしたわけでございます。
  113. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 いや私は法律的に違いがあるかないかということをお伺いしているのであつて……
  114. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) 法律的にと申しますと、監督庁といつたような言葉が、文部省のこういう関係の外の方にあつて、たまたまここからは外ずされておるからという意味でございましようか。
  115. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 そうです。他の法律との連関がありますから、それで実ははつきり伺いたい。
  116. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) 学校教育法の制定の後からは、監督庁という言葉を避けてこの所轄庁という言葉を使う形になつて来ておりまして、法律上の特殊な差異といつたようなものはないと考えております。
  117. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 差異がないとして、同一であるとするならばいいのですが、それならば所轄庁なんという言葉を用いないで監督庁として方がいいのじやないか。若しその間差異があるものとするならば、第五條で所轄庁が学校教育法の規定云々と言われましたけれども、所轄庁の規定学校教育法にはないのでありますから、その五條は成り立たないと思うが、その意味において今同一であるならば、むしろ監督庁となるべきかと思うのですが、その点はどうですか。
  118. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) 第五條について特に御指摘でありますが、この所轄庁は、学校教育法では監督庁になつておりまして、それが実体的には知事でございます。この場合にも事実において、又知事の関係に行きまして実質的にそこに差異を来たしていませんので、その間には矛盾はないものと考えております。
  119. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 第八條まで別に御発言ございませんか。
  120. 小野光洋

    ○小野光洋君 第五條の第一号及び第二号は、共に設置者の変更の認可をすること、或いは閉鎖を命ずることとあるのですが、それについては、この私立学校審議会及び私立大学審議会意見を聞かなければならないということが第八條において定められております。この意見を聞かなければならない事項は、認可する場合だけで、認可、不認可、或いはその申請に対する審査、それから認可或いは不認可と確定するそれまでの過程全部を含むのか、認可の場合だけは相談をするが、意見を聞くが、不認可の場合は聞かない。或いは閉鎖を命ずるときはいいが、その閉鎖の命ずるまでの過程においては聞かないのであるというような疑義があり得ると思うのですが、それについての見解を……
  121. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) その場合は広く全部を含むと御解釈を願いたいのであります。
  122. 河野正夫

    ○河野正夫君 さつきの御説明では、第五條は学校教育法の規定の或る部分を排除して、或る部分を含むというようなはつきりしない御答弁だつたと了承するのですが、例えば、学校教育法の第十四條にあるいろいろな設備その他についての変更命令をすることができるというような項目が、最初私立学校法案原案の或る種の時期にあつたとか聞いておりますが、これを削つた。この法案で削つて学校教育法の方に、そのまま存置されるとすればその第十四條が適用を受けるのか受けないのか。
  123. 福田繁

    ○説明員(福田繁君) 今の御質問につきましてお答えいたします。第五條の本文の書き方は所轄庁が学校教育法の規定に基いて、私立学校に対して有する権限、こういう具合に限定列挙いたしております。従つて先程久保田政府委員から御答弁いたしましたように、この権限はいわゆる処分的な行為を伴う権限でございますので、学校教育法第十四條のごときものはこれには入らない。こういう具合に解釈いたします。
  124. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それでは一応八條まで又御疑問が起りましたら遡ることにいたしまして、第九條、十條一括して問題に供します。    〔久保田政府委員朗読〕   (私立学校審議会)  第九條 この法律規定によりその権限に属せしめられた事項審議させるため、都道府県に、私立学校審議会を置く。  2 私立学校審議会は、私立大学以外の私立学校及び私立各種学校に関する重要事項について、都道府県知事に建議することができる。  第十條 私立学校審議会は、十人以上二十人以内において都道府県知事の定める員数の委員をもつて、組織する。  2 委員は、左の各号に掲げる者のうちから、都道府県知事が任命する。   一 当該都道府県の区域内にある私立の小学校、中学若しくは高等学校の校長、私立幼稚園の園長、これらの学校の教員又はこれらの学校設置する学校法人の理事   二 学識経験のある者  3 都道府県知事は、前項第二号に規定する者のうちから任命される委員の数が同項第一号に規定する者のうちから任命される委員の数の三分の一以内になるように、それぞれの定数を定めなければならない。  4 都道府県知事は、都二項第一号に規定する者のうちから任命される委員の定数のうちの一人を同号の規定にかかわらず、当該都道府県の区域内にある私立の盲学校、ろう学校、養護学校若しくは各種学校の校長若しくは教員又はこれらの学校設置する学校法人若しくは第六十四條第四項の法人の理事のうちから任命することができる。  う 第二項第一号又は前項に規定する者のうちから任命される委員のうち、校長若しくは園長又は教員である理事以外の理事のうちから任命される委員の数は、第二項第一号に規定する者のうちから任命される委員の定数の半数以内とする。
  125. 松野喜内

    ○松野喜内君 第十條の私立学校審議会は十人以上二十人以内において云々とあります。そうしてその第四項において、委員の定数の中一人を都道府県の私立学校、各種学校等の校長若しくは教員又はこれらの学校設置する学校法人若しくは第六十四條第四項の法人の理事の中から任命することができるとありますが、私のお尋ねしたいのは、実施する場合において、こうして各種学校の最も数多いものから、二十人の中一人でいいでしようかということを心配するのです。一人と限定されるのは……。もつと数を殖やす必要はないか。
  126. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) この私立学校委員の十人以上二十人の方の関係は、その県における学校の数、又学校内容というようなことから、必ずしも一定するわけに行きませんので、小さければ十人あれば十分でしよう。大きいところでは相当数、それ以上あつて……併し二十人を超える程の必要はあるまいという考えでございます。現在の各種学校あたりの数は、数から申しますと御指摘の通り非常に沢山ございます。全部で三千を超えるくらいになつておると思いますが、この私立学校運営を、又私立学校についての特別な重要な事項を特に審議するといつたような関係から申しますと、その各種学校の人らが必ずしもそう重きをなす形のものでもあるまい。むしろ特定な一人の、意見をまとめて出てくれる人があれば大体事足りるのではないかと考えたのでございます。
  127. 松野喜内

    ○松野喜内君 この点は少し文部当局において更に、即ち各種学校の実情をもう少し愼重に御覽願い、この内容その他においても確かにさ程に考える必要はないのだと言われるところに軽視しておられる、軽く見ておられる感があつて、実態とはちよつと違つておる所があるからお尋ねしたので、こういう点はよく考えて見なければならぬと思うのです。敢えて一人を二人にしろと強く言うのではありませんが、文部省は日本の教管情勢を見て、それを実情に即してやる。こういう点についても考えなければならぬと思つておるからお尋ねした次第です。
  128. 河野正夫

    ○河野正夫君 疲れて来て頭が悪くなつたせいか、よく文章の読めないところがあるのですが、十條第五項……まあ先にこの趣旨を伺つたら文章が読めるかも知れませんが、どういう趣旨でございますか。
  129. 福田繁

    ○説明員(福田繁君) 第五項の趣旨は、これは校長若しくは園長又は教員から出ましたところの理事以外の理事の数を制限いたしました規定でございまして、この第二項の第一号の中で、そういつた、例えば学校法人の理事というようなものが全部占めてしまうということは適当でないということであります。
  130. 河野正夫

    ○河野正夫君 そうしますと、まあ簡單に言えば、普通の理事を半数以下に限ろうこういう意味でございますか。
  131. 福田繁

    ○説明員(福田繁君) そういう趣旨でございます。
  132. 河野正夫

    ○河野正夫君 そうすると「校長若しくは園長又は教員である」というのはすべてその次の「理事」に懸かるのでございますか。
  133. 福田繁

    ○説明員(福田繁君) そうでございます。
  134. 河野正夫

    ○河野正夫君 分りました。
  135. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 そういたしますというと、今度は逆に理事でない教員はこの委員の中には入れないということになるのでありますか。
  136. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) 決してそういう排除した意味ではございません。
  137. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 じや入るわけですね。
  138. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) 入るわけでございます。
  139. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 そういたしますと、今の五項の「校長若しくは園長又は教員である理事以外の理事」ですから、その外の理事でないところの教員もいるということになるわけですね。
  140. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) 御指摘の通りでございます。
  141. 河野正夫

    ○河野正夫君 そういたしますと、これは意見になるのかも知れませんが、第五項の通りに運用しても、全部第二項第一号の委員学校法人の理事で占められるということも可能なのでございますね。一般の理事と、それから校長若しくは園長又は教員で理事を兼ねる者、こういう者だけで占められることも可能だというわけですね。
  142. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) この理事関係だけについてはそういう場面も起ります。
  143. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それでは第十一條を議題にいたします。    〔久保田政府委員朗読〕    〔委員候補者の推薦〕  第十一條 都道府県知事は、前條第二項第一号に規定する者のうちから委員を任命する場合において、当該都道府県の区域内にある私立大学以外の私立学校教育一般の改善振興を図ることを目的とする団体で、これらの私立学校の総数の三分の二以上をもつて組織されるものがあるときは、当該団体推薦する候補者のうちから当該委員を任命しなければならない。但し、当該団体は、その団体を組織するこれらの私立学校に在籍する兒童、生徒及び幼兒の数が当該都道府県の区域内にあるこれらの私立学校に在籍する兒童、生徒及び幼兒の総数の三分の二をこえるものでなければならない。  2 前項の規定により同項の団体推薦する候補者の数は、前條第二項第一号に規定する者のうちから任命される委員の定数の一倍半以上とする。  3 都道府県知事は、一月を下らない期間を定めて、その期間内に第一項に規定する候補者を推薦することを同項の団体に対して求めるものとする。但し、当該期間内に推薦がないときは、第一項の規定にかかわらず、職権をもつて委員を任命することができる。  4 第一項の規定に該当する私立学校団体が二以上あるときは、これを組織する私立学校が最多数である団体に対して委員の候補者の推薦を求めるものとする。  う 前項の規定に該当する私立学校団体が二以上あるときは、これらの団体に対してそれぞれ第二項に規定する員数の候補者の推薦を求めるものとする。  6 前五項の規定は、前條第二項第一号に規定する者のうちから任命される委員に欠員を生じた場合における補欠委員の候補者の推薦について準用する。此の場合において、第二項中「委員の定数」とあるのは、「補欠委員の数」と読み替えるものとする。
  144. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) そこまで。
  145. 河野正夫

    ○河野正夫君 この第四項はおかしくはないですか。第一項の規定を見ると、私立学校の総数の三分の二以上を以て組織された団体というと、三分の二を以て組織された団体が二つあるというと、三分の四になる。一箇三分の一という数が出て来るのですが、これはどうなんですか。
  146. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) これは加入する学校関係が重視する場合を考えたのでございます。三分の二の或る部分が双方に加入しておる。そういつた団体が二つある場合を計算に入れておるわけであります。
  147. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 第十一條、別に御発言はありませんか……ありませんければ十二條、十三條、十四條を問題にいたします。    〔久保田政府委員朗読〕    〔委員の任期〕  第十二條、私立学校審議会委員の任期は、四年とする。但し、欠員が生じた場合の補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。  2 委員は、再任されることができる。    〔会長〕  第十三條、私立学校審議会に、会長を置く。  2 会長は、委員か互選した者について、都道府県知事が任命する。  3 会長は、私立学校審議会の会務を総理する。    〔委員の解任〕  第十四條 都道府県知事は、私立学校審議会委員が心身の故障のため職務執行ができないと認めるときその他委員として必要な適格性を欠くに至つたと認めるときは、私立学校審議会の議を経て、これを解任することができる。
  148. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) そこまで。第十二條乃至第十四條はよろしうございますか……それでは第十五條より十七條を問題にいたします。    〔久保田政府委員朗読〕    〔議事参與の制限〕  第十五條 私立学校審議会委員は、自己、配偶者若しくは三親等以内の親族の一身上に関する事件又は自己の関係する学校、各種学校学校法人若しくは第六十四條第四項の法人に関する事件については、その議事の議決議決に加わることができない。但し、会議に出席し、発言することを妨げない。    〔委員の費用弁償〕  第十六條 私立学校審議会委員は、職務を行うために要する費用の弁償を受けることができる。  2 前項の費用は、都道府県の負担とする。  3 費用弁償の額及びその支給方法は、都道府県の條例で定めなければならない。    〔運営の細目〕  第十七條 この法律規定するものを除くほか、私立学校審議会の議事の手続その他その運営に関し必要な事項は、都道府県知事の承認を経て、私立学校審議会が定める。
  149. 河野正夫

    ○河野正夫君 ちよつと遡りますのですが、第十四條に「私立学校審議会の議を経て、」とあるのですが、この「議を経て」というのは意見を徴することとどう違うかということをお尋ねしたいと思います。
  150. 福田繁

    ○説明員(福田繁君) 十四條の書き方は、これは他の場合とちよつと変つておりますが、「議を経て」とありますのは、私立学校審議会の多数の意見に基きまして、そうして解任するという意味でございます。これは地方公務員法の建前からそういうふうに規定いたしたのであります。
  151. 河野正夫

    ○河野正夫君 遡つて申し訳ないですが、第八條の場合にも、これは私立学校審議会の議を経てことを決するというふうにしては何か不都合があるのでございますが。文章はどう書こうとも、要するに今説明のあつた通り、私立学校審議会の議を経ていろいろやる、意見を聞くというのは聞いて用いなくてもいいし、それつきりになつてもいいという場合もあり得るわけでありますが、そうしないで議を経てとすることが不都合であるという点があるならば、その例を承りたい。
  152. 福田繁

    ○説明員(福田繁君) 前の場合は、これは私立学校審議会の性格が一般的な諮問機関という性格でございますので、意見を聞くということに書いてございます。第十四條の場合におきましては、これは地方公務員法の関係から特に審議会委員の身分保障という意味におきまして議を経てとこう書いておるのであります。單に委員の身分保障ということを特にこの規定の上に現した問題でありまして、他の場合とはちよつと規定の目標を異にいたしております。
  153. 河野正夫

    ○河野正夫君 いろいろな審議会がございますが、例えば金融の審議会といつたような場合には、この審議会の議を経て大蔵大臣が行う、こうあるのです。金融のようなことは民間実業家の意見を、多数の意見を十分聞かなければならないが、私立学校については監督庁という言葉を使うということは遠慮なすつたようでありますが、所轄庁がただ意見を諮問機関に伺えばいいのであつて、多数の意見であつても用いなくてもいい、そういう立場でやつたのであるかどうか。
  154. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) 只今御指摘のような区別は全然考えておらんのでございます。只今説明員が申上げましたように、身分保障の関係只今の場合は議を経てという言葉を使つたのであります。全体がそうした区別に立つたわけでなく、諮問機関であるという性質のために一応そう書いたに過ぎませんが、事実の運営なり、又これを聞く形の上で「議を経て」と内容的には同じことを現しておるように解釈して私共は参つたのであります。
  155. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 十四條乃至十七條について別に御発言ありませんか。それでは十八條から二十四條まで。    〔久保田政府委員朗読〕   (私立大学審議会)  第十八條 この法律規定によりその権限に属せしめられた事項審議させるため、各部省に、私立大学審議会を置く。  2 私立大学審議会は、私立大学に関する重要事項について、文部大臣に建議することができる。   (委員)  第十九條 私立大学審議会は、二十人の委員をもつて、組織する。  2 委員は、左の各号に掲げる者のうちから、文部大臣が任命する。   一 私立大学の学長若しくは教員又は私立大学を設置する学校法人の理事   二 学識経験のある者  3 文部大臣は、前項第二号に規定する者のうちから任命される委員の数が同項第一号に規定する者のうちから任命される委員の数の三分の一以内になるように、それぞれの定数を定めなければならない。  4 第二項第一号に規定する者のうちから任命される委員のうち、学長又は教員である理事以外の理事のうちから任命される委員の数は、同号に規定する者のうちから任命される委員の定数の半数以内とする。   (委員候補者の推薦)  第二十條 文部大臣は、前條第二項第一号に規定する者のうちから委員を任命する場合において、私立大学の教育一般の改善振興を図ることを目的とする団体で、私立大学の総数の三分の二以上をもつて組織されるものがあるときは、当該団体推薦する候補者のうちから当該委員を任命しなければならない。但し、当該団体は、その団体を組織する私立大学に在籍する学生の数が私立大学に在籍する学生の総数の三分の二をこえるものでなければならない。  2 第十一條第二項から第六項までの規定は、私立大学審議会委員の候補者の推薦について準用する。この場合において、同條第三項中「都道府県知事」とあるのは「文部大臣」と、同條第四項及び第五項中「私立学校」とあるのは「私立大学」と読み替えるものとする。   (委員の免職)  第二十一條 文部大臣は、私立大学審議会委員をその意に反して免職し、又は懲戒処分として免職しようとするときは、私立大学審議会意見を聞かなければならない。   (委員の費用弁償)  第二十二條 私立大学審議会委員は、非常動とする。  2 委員は、その職務に対して報酬を受けない。但し、職務を行うために要する費用の弁償を受けることができる。  3 費用弁償の額及びその支給方法は、文部大臣が、大蔵大臣に協議して定める。   (庶務)  第二十三條 私立大学審議会の庶務は、文部省監理局において処理する。   (準用規定)  第二十四條 第十二條、第十三條、第十五條及び第十七條の規定は、私立大学審議会について準用する。この場合において、第十三條第二項及び第十七條中「都道府県知事」とあるのは、「文部大臣」と読み替えるものとする。
  156. 大隈信幸

    ○大隈信幸君 第十條で或いは御質問があつたと思うのですが、私ちよつと席におりませんでしたので、この十九條の方で伺いたいのですが、これは大学の場合ですから或いは大分前のと趣が違うと思うのですが、この第十九條の二項の第一号ですと、「私立大学の学長若しくは教員又は私立大学を設置する学校法人の理事」の中から任命するということになつておりますが、この場合大体どういうふうなことを予想しておられるか、大学の学長ばかりになるのか、或いは教員ばかりか、或いはその法人の理事者、そういう割合がどういうふうに考えておられるか。若し構想があれば承りたいと思います。
  157. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) 別に割合を予定するというわけには参らんのでありますが、推薦をされる形になつておりますので、各界から、必ずしも学長と限らず、学部の関係を代表するとか、法人の関係を代表するといつた意味の人が、各層の多くの人が選ばれることを希望しております。
  158. 大隈信幸

    ○大隈信幸君 そういたしますと非常に推薦が偏るような場合もあるわけですね。
  159. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) そうしたことも一応予定いたしまして、ただ定数通り推薦を願わずに、一倍半といつたようなことを考えたわけであります。
  160. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 今の前の十條ともちよつと関連するので、ここで又お伺いしたいと思うのですが、大分数の割合というものを嚴格に決めてございますが、どうした基準からこういう数を割り振つたのでございますか、何か基準があつたのでございますか。
  161. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) 只今申しましたように、格別基準を、大きな根拠を求めて出したわけではないのでございますが、一応この辺が妥当であろうといつたような線からそれぞれの基本を考えて見まして、それに適応するような割合というものを考えたのでございます。
  162. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 実は私立学校と言いますと、結局経営者というものの考え方になります。或いはその学校自主性というような立場から考えるものがあり、それを批判するものとして又学識経験者というものもあるわけであります。その振り割り方法において経営者側の者が半数以上の三の割合を取つて、いわゆる関係のないところの第三者の立場に立つて見てやるという学識経験者に当るものがその三分の一、大体三対一の割合になるわけですね。特に意識的にそういうところを拵えたわけですか。
  163. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) この法案全体がこれは自主的に私立学校側で私立学校のお互い同志が自律的に動けるように、又動いて貰うことを念願した形で作りましたために三対一といつた形を出して、たまたま一の方はできるだけ私立学校の自主的な線に対しても尚公共的な性格にしたいという点から考えたのでございます。
  164. 河野正夫

    ○河野正夫君 先程第十四條で質問をしたので、その議を経てということの意味は分つたのですが、身分保障の意味である、それで多数の意見に従うという意味であるというお話でありましたが、第二十一條で今度私立大学審議会委員を解任する場合、或いは解任どころか懲戒処分として免職する場合には意見を聞かなければならないとあつて、これは議を経ていない。この点はどういうわけでございますか。
  165. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) それはこちらの方は国家公務員の形になりますので、国家公務員法の規定からこうした形になつて来るので、さきの十四條の方は地方公務員の形でありまして、そして委員として任用される職務の性格による区別で、止むを得ない規定であります。
  166. 河野正夫

    ○河野正夫君 そうしますと、これもお伺いしようと思つてつたのですが、丁度その言葉が出て参つたのでありますが、私立大学審議会委員は国務公務員である。恐らく特別職でございましよう。と同時に、私立学校審議会委員は、恐らくは同じ考え方に従えば地方公務員の立場をとる筈でありまするが、先ずそういうふうに解してよろしいかどうかを、最初に伺いたい。
  167. 福田繁

    ○説明員(福田繁君) 御質問の通りであります。
  168. 河野正夫

    ○河野正夫君 地方公務員であるところの教育委員会委員については、その服務について非常に丁寧すぎる、なくとも分るような規定最初になつて文部当局は、その改正法律案の中に持つて来たのであります。ところが地方公務員どころか、もつと重要な国家公務員であるところの私立大学審議会委員について、そういう服務についての、あらずもがなと我々は考えるけれども、そういう規定が入らなかつたのは、如何なる理由であるか。必要がないという御意見であれば、教育委員会法改正法律案趣旨と相反すると思うのですが、この点について極めてはつきりと御説明を願いたい。
  169. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) 大学審議会の方の委員は国家公務員の扱いで一般職の公務員でございます。それから地方教育委員会関係のものは特別職の形になるのでございます。(「一般職か、それは重要だ」と呼ぶ者あり)地方教育委員会委員の方は特別職でございます。
  170. 河野正夫

    ○河野正夫君 前の方がはつきりしませんでしたが、私立大学審議会委員、これは国家公務員として、私立学校審議会委員地方公務員として、それが今の御説明では一般職であるとこうお話されたと思いますが、そう了承してよろしいのですか。
  171. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) さようでございます。
  172. 松野喜内

    ○松野喜内君 私立大学の学生あたりの意向とか、或いは学生の親たる者達が、その意向をこうした審議会に通ずるようにすることについては、どんな具合ですか。この大学審議会の方の学識経験者を通してそういうことを反映されるのかどうか。学生の父兄たる者の意思を反映することについて考えておられるかどうか。生徒などの意向をどんなふうに反映して行くか。それについてお話願いたいと思います。
  173. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) この審議会につきましては、それぞれの学校を代表して来る関係の人らが集まります。学識経験者の場合においても、そういう意向の者が相当多いと考えるのであります。それぞれの学校を通して学生の関係を反映させて頂くという形にありたいと思います。むしろお話の焦点は、この審議会よりは、学校の評議員会あたりの点に強く出て来る形があれば、尚その方がいいのではないかと思つております。
  174. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 この二十二條と十六條との違いは、どうしてそういうふうに違うのですか。十六條では「私立学校審議会委員は、職務を行うために要する費用の弁償を受けることができる」とあり、二十二條では「委員は、その職務に対して報酬を受けない」と特に断わつてある。それから「但し、職務を行うために要する費用の弁償を受けることができる」と、これは同じですが、大学審議会の方では特に報酬を受けない。それから特に非常勤とする。そうすると、私立大学の審議会委員は常勤なのですか。
  175. 福田繁

    ○説明員(福田繁君) 十六條と二十二條関係は、その書き方の違いは、地方公務員と国家公務員関係から出て来るわけでありまして、二十二條で「報酬を受けない」と書いてありますのは、審議会委員としては報酬を出さないという建前を取つたからであります。十六條の方にその報酬を受けないと書いていない理由は、地方におきましては、財政上出し得る場合においては都道府県において出してもいいように、その辺は先ず自由裁量に任した方がいいだろうという意味であります。  非常勤という意味におきましては同じでありますが、国家公務員建前からいたしまして、他のいわゆる兼職の場合がございますので、特に国家公務員法の建前から、私立大学審議会委員につきましては非常勤と規定いたしたのであります。
  176. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 私立学校審議会でも、十六條で、やはり兼職の人が多いじやないですか。
  177. 福田繁

    ○説明員(福田繁君) 地方公務員の場合につきましては、特に非常勤とするということを書かないでも当然できるわけであります。
  178. 左藤義詮

    ○左藤義詮君 今の私立学校審議会委員一般職の公務員とするということについては、いろいろ影響するところがあると思いますので、この点はもう一度この次に保留しておいて、もう少しこの次に質問したいと思います。
  179. 河野正夫

    ○河野正夫君 第二章で終つたのですが、ここで本日の委員会審議はおしまいにしたら如何ですか。
  180. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 河野君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  181. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それでは御異議ないと認めまして、本日の委員会はこの程度で以て閉会いたします。明日は午前十時から委員会を開きます。    午後五時四十一分散会  出席者は左の通り。    委員長     田中耕太郎君    理事            若木 勝藏君            松野 喜内君            木内キヤウ君            藤田 芳雄君    委員            河崎 ナツ君            河野 正夫君            左藤 義詮君            小野 光洋君            大隈 信幸君            堀越 儀郎君            三島 通陽君            山本 勇造君            岩間 正男君            鈴木 憲一君   政府委員    文部事務官    (管理局長)  久保田藤麿君   証人    東京教育委員 山崎 匡輔君    日教組法制副部    長       坂尾徳太郎君    埼玉県教育委員 水村善太郎君   説明員    文部事務官    (管理局庶務課    長)      福田  繁君