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1949-11-26 第6回国会 参議院 文部委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十六日(土曜 日)    午前十一時三十五分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○教育委員会法の一部を改正する法律  案(内閣送付)   —————————————
  2. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それでは今日の文部委員会開会いたします。教育委員会法の一部を改正する法律案を議題に供します。  速記を止めて。    午前十一時三十六分速記中止    ——————————    午後零時三十四分速記開始
  3. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 速記を始めて。それでは午前はこれで休憩いたします。    午後零時三十五分休憩    ——————————    午後一時四十六分開会
  4. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 休憩前に引続きまして会議を開きます。  今日午前の会議におきましては教育委員会法の一部を改正する法律案につきまして極めて重要なる質疑応答が取り交されました。それで重複いたしますけれども、午前の質疑応答記録に留めて置く必要がございますので、さような意味も含めて御発言をお願いいたします。
  5. 松野喜内

    松野喜内君 先にお互いが分担して各地教育状況視察に参りましたときにおける各地教育委員会の方の意向を尋ねました結果、又最近において組織されました全国教育委員会連絡協議会代表幹事諸公国会へおいでになりまして、衆参両方文部委員との懇談会を催され、ここに全国的の教育委員の動向、御意図、御希望というようなことが窺われた次第であります。これを総合いたしますというと、どうも発足したばかりの教育委員会でありまするから、思うに任せんことも察せられますが、さりながら今回のこういう時に、ぜひとも教育委員会の機能をますます発揮し、民主的の教育の実を挙げることを国会においても考えなければならんと思つておる次第でありますが、今日午前にも各同僚から極めて有益なる、参考になる、記録に留めて置かなければならん質疑が沢山出ましたことは同感の至りに堪えません。私は先ずこの全国教育委員会連絡協議会における諸公のことを一言開口的に申上げて、後は諸君にお願い申上げたいと思いますから、僣越ながらその点について申上げて置きたい。この連絡会議におきましては、地方教育財政確立に関しての強い要望がありました。思うに都道府県の方の教育関係委員があり、一方一般的な地方教育委員とある。これらの関係がうまく行かないので、いわゆるここにある教育委員会というものが浮いた形である。これを脱するためには、これらの地方議会との関係等において特に心配して貰いたいという要望であつたと思います。従つてその要点の四つの一つは、国庫負担制度が止されまして、この義務教育の方の教育負担金地方機関最低基準経費の調整を平衡交付金に配合されておることになつたのだから、こういう改革に対して受けるところの影響義務教育は別けても大きいのであります。故に、都道府県間相互においても、又市町村相互におきましても、この不均衡を来たすということに関して教育機会の均等を保障されなくてはならんのでありますから、教育自主性を確保するために、教育委員会制度地方公共団体の長及び議会予算権限を持つている者ということにと角拘束され勝ちであるから、どうしても一つ生徒兒童一人当り最低基準経費としてこれを法制化されたい。又これの法制化に当つては、教育委員の意思が十分反映するようにして欲しい。毎年の給與水準の改訂とか、或いは物価の変動とか、生計費の支出の変化にすべてスライドさせるようにして欲しい。第二点は平衡交付金の配分について、各市町村教育自治体に即した……都道府県教育委員会は、学校教育特別会計というようなものを設定して、そうして直ちにこれを受入れ、各市町村に配分するようなことを考えて欲しいというようなこと。第三には平衡交付金制度が、従来の義務教育費国庫負担金に相当する額を平衡交付金の方から支出する。他の半分はそれに応ずるというようなことに措置をして欲しい。第四点は、地方財政委員会の中へ是非教育委員会代表をも更に加えることにして欲しい。こういうような強い要望があつたことをここに申上げて、当局のこれに対する御答弁をお願い申上げます。
  6. 辻田力

    政府委員辻田力君) 教育委員会制度を実施いたして見まして、最も痛感する点は、教育財政裏付けが比較的薄弱であるという点であります。この点につきましては、只今お述べになつた通りでございまして、全く同感でございます。然らばこの教育財政の貧困を如何にして救うかという点でございますが、この点につきましては、諸外国立法例その他、実際やつておりまする種々事情等研究いたしておりますのでありますが、今日文部省において研究しております点は、只今御指摘がありましたことに関連するのでありますが、シャウプ視察団の勧告に基きまして、一般平衡交付金制度確立される場合におきまして、公立学校経費におきましては、公立学校標準教育費に関する法律といつたような法律を制定いたしまして、その場合に、兒童生徒一人当り教育費を積算いたしまして、それによつて公立学校標準教育費を確保するということにいたしたいと考えておる次第でございます。併しこの問題はその影響するところが非常に多うございますし、又関係する官庁等も相当各方面に亘つておりますので、この実現には相当な努力が必要であろうと思つておる次第でございます。その場合に、その規定の中に財政委員会に関して触れるかどうかという問題、又財政委員会には教育委員会から代表者を出すかどうかということにつきましては、その必要性につきましてはよく分りますが、その実現方については相当努力する必要があると思つておる次第でございます。
  7. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 政府法案を提出して置きながら、時間は誤つて、一時に開くというのを一時間も遅れてやつて来ている。委員長初め皆が非常に待ち構えているのに悠々とやつて来るというのは実に不見識だと私は思う。殊に晝からは大いに逐條にまで入つてやろうという際に、政府が自分で提案して置きながら、そういうことに怠慢をするということはどういうわけか。何かそこに意図があるのか。先ず第一点にそれをお伺いしたい。  私は政府がそういうふうに悠々と流そうとしているならば、私も本来改正案というものの必要は認めない一人なんで、流すことが最もよいと思う。それは何故かと言えば、先ず政府は何故こういう改正案を企てたかということについて非常に疑義を持つておる一人なのであります。改正すべき事務的なことは簡單に一、二條出せばいいので、そういう点は認めるが、大体において、提案理由説明などにもありまするが、第三、第四、第五というようなところに至つてはまだ時間尚早だと私は考える。何故かと言いますれば、根本的に我が国教育民主化立場からこれを考えて見るというと、昨年発足したばかりの委員会というものの発足の際にも非常に意見が多く、その際にどういう点に多くの意見があつたかということをよく反省して見られれば分ることだと思うのでありますが、そういう点にはあまり関係しないで、早くも改正要点を見まするというと、飛んでもないところに改正の御意図を見つけ出して出しておるというふうに考えられるのです。悪いところを改めるということはいいけれども、僅か一ケ年実施したばかりで、たつた一度の試験で、委員会の運営が満足にできない。それも一方的な意見だと私は思う点が非常にある。文部省或いは政府に通ずる穴が開いておりながら、聞える声だけを以て改正案に同調して来たつもりではないか。もつと強い輿論批判に基いて初めてできた改正案だという感じが非常に薄いのだ。少くとも三年五年の日時を籍して、本当に民主的に論議を盡された上にでき上つて来べき改正ならば、国民も納得すると思うのでありまするけれども、そういう点が見えない。これは若し今度こういうふうに急に改正を企てる必要があるというならば、先ず第一に財政的な面の改正案というならば私は聞えると思うのです。そういう面が少しもなくて、飛んでもない教育長権限拡大というようなことや、或いは事務的な干渉、権限を定めるというような立場のみを強く指定しておる。一体大学管理法の案ですね、文部省が今度輿論が非常にこれに対して囂々たる意見を出した。そこで大いに文部省も反省するところがあつたでしよう。あらゆる論議を盡して、而もこれならばよろしいというような立場を取つてから初めて出て来るならば聞えるのですけれども、こういう教育民主化の第一歩を踏み出す時に当つて、すでにこういうような点を欠いて、一方的な意見のみを尊重して出て来るということについては、我々は非常に了解し難いところがあるのです。でこの委員会法が急がれ過ぎた。初めできる当初も非常に急がれ過ぎた。それで不十分であるということは知つておりまするが、併しながら出した以上は世論批判というものを十分持つベき期間を持たなければならんと私は思うのです。でありますから、そういう点をなぜ十分聞かないで出す必要がそんなに早くあるのだろうかということを第二点として伺いたい。  こういうものを、今度の改正案を若し出したとすれば、果してどれだけの効果があるのが、これはむしろ効果よりも心配事が多いのじやないかと思うのです。地方委員会あたりでは、直ぐに事務局のの委員及びその手足となつておる教員達影響、或いは父兄の影響というようなことを考えまするというと、むしろ改正は今すべきでない。殊に教育委員会なんというものは今財政裏付けなどもないものですから、浮いちやつた存在なのであります。こんな浮いたところへ又対立感情を誘発するような改正案を出して、浮いたものに又波をかぶせるというようなことは、大いに政府といて深く反省し考え直さなければならんところだと思います。そういう意味から言つて、この改正案を出したのは誤りであると。であるからこの際潔く政府は引込める考えがあるかどうか。それでなければ修正に十分応ずる覚悟を持つておるかどうかということだけをお伺いしたい。以上
  8. 辻田力

    政府委員辻田力君) 時間より遅く参りまして誠い申訳ありませんでした。深くおわびをいたします。  尚御質疑がごさいました点につきまして、お答え申上げます。今回ごの改正案の提出に至りました要点でございますが、これにつきましては、大臣からも先般提案理由趣旨説明がなされましたのですが、この主要な点について申上げますると、先ず一つは、町村に設置されまする教育委員会の問題を二十七年まで延ばしたいという点が主要な問題の一つであります。これにつきましては、個々町村教育委員人を設置するという現行法をそのまま実施いたしますと、明年すでに個々町村に、若干の町村におきましては教育委員会が成立することになるのでありまするが、その点につきましては財政の面、或いは又教員人事の交流の面、その他教育内容等の面につきまして、いろいろな問題がございますので、これらの点につきまして十分な研究を重ねた上で、その上で実施をすべきだという考え方から、町村について二十七年度まで延ばしたという点が第一の主要な理由なのであります。その他の点につきましては、これは我が国としてまず最初にできましたこの会議制行政機関でありまする、執行機関でありまする教育委員会制度が、昨年成立いたしましてから一ケ年間におきまして、我が国実情に即しない点等が多多ありまするので、その点等につきまして反省を加えて、最も実情に合うようにいたしたいということと、それから法の不備の関係上ややともすれば明確を欠いておりました点につきまして、これを明確にいたしますることはこれは日々教育行政が行われて参ります場合に、非常に緊急を要するのでありまして、その不明確なままに延ばしておくということは甚だ行政運営上支障が起るという立場から、一ケ年間の経験に基いてこれを改正するということにいたしたのであります。その主な点につきましては、委員の選挙に関する事項委員服務に関する事項教育委員会職務権限に関する事項教育委員会教育長関係に関する事項等でございます。この詳細な点につきましてはそれぞれの條文に入りまして詳しく御説明申上げたいと存ずる次第でございます。  尚次にもう少し長く研究をして、世論を、意見を聞いて、又関係者意見を十分聞いてなすベきであるという御意見でございますが、これは全く同感でございます。従つて根本的な制度の変更というようなことが考えられます場合には、さような趣旨で長い眼でよく研究いたしまして、これの論議を盡していたさなければならんと思いますが、併し今回の改正におきましても、ただ一方的に政府だけの独断的な考え方から改正を試みたのではないのでありまして、関係教育委員会意見とか、或いは又教育長意見とか、又間接的に関係のありまする知事の側の意見とかいうふうなものを、よく我々の及びます限りにおいて調査をいたしまして、その上でまあ関係方面意見をも参酌いたしまして、今回の改正案を作成いたした次第でございますので、この点は何卒御了承願いたいと存ずる次第でございます。
  9. 若木勝藏

    若木勝藏君 只今鈴木委員の方から質疑が出ましたが、結局これは時期尚早ではないか、僅か実施されてから一ケ年の後に再びまたかくの如き改正案が出されるということは、而もその内容において何ら改正の要がないのに、それをなすということに対しては非常に不満であると思う、こういうような意見があつたのでありますが、私も全然それに対して同感であります。それらにつきまして二三鈴木君の質疑に関連いたしまして具体的なことについて伺いたいと思うのであります。  先般地方のいわゆる教育委員会代表衆参文部委員と会合いたしまして懇談いたしましたのでありますが、その際にいろいろな事項が述べられました。先程松野委員からもその点が述ベられたのでありますけれども、その中で最も重点を置いて陳情をされたことは、結局財政権を持つておらないために、教育行政上我々の執行において非常に満足な執行ができないというふうなこと、それから教育委員会教育庁との関係において非常に円滑に行かないこと、こういうようなことにあつたと思うのであります。そこで今もお話がありましたが、何故一体この改正するに当つてその重要な教育委員会財政権を持たせるというところに著眼してやらなかつたか。それに対してはどういう一つ理由があるのであるか。或いはどういうところに予想を持つておられるのであるか。この点について一つ伺いたいと思うのであります。  尚今の御答弁では、この法案改正するに当つて、各般の方面いろいろ意見を徴してプランを練つたというようなお話があつたのでありますけれども、その点について不備な点がなかつたか。教育委員会というふうなものあたりが極めてこれに対して重要な発言権を持つておると思うのでありますが、その点について手落ちがなかつたか。或いは一方的に教育長というふうな方面意見が多く出ておるのではなかろうか、こういうふうな考えを持つておるのでありますが、その点について伺いたいと思うのであります。  それから私は、この改正点において最も関心を深くしておる点は、在来教育長権限というふうなものに対して、今度の改正案は非常に拡大されるというふうな一つの見方がされる、この点であります。提案の御説明の中にも、教育長というふうなものは、いわゆる教育委員会專門的補助者である、一般的な補助執行者であるということが文部省においても明瞭に考えられておるのであります。ところがこの法案を見ますというと、その域を超えて、教育委員会そのものと対等な立場に置かれるような権限拡大が見られるのであります。而も前にありましたいわゆる教育委員会事務を行う際に、教育長推薦や或いは助言を求めることができるというふうな一項目が削除されて、それを教育長職務権限の方に整理されて移されてしまつておる。そこに大きな私は問題があると思うのであります。それが法文の上では、文部省で言われる通り、幾分事務を明確化したというふうな形には見えるのでありますけれども、あの法文によりますというと、実質においては明確化された以上に権限が出てしまつてはつきり教育長というふうな立場教育委員会に対して対等的な立場を持つて来るところの憂いがある。在来この我々の文部委員地方調査の際にも非常にこれが問題になりまして、教育委員会教育長の間が円滑を欠いておる。非常に民主化されべきところの地方教育行政が何ら民主化されないで、やはり官僚化されておるところの傾向が見える。これは一に教育長のいわゆる権限の強力な行使というところにあるというふうな報告がなされておるのであります。それが今やこういうふうに法律はつきりして来るというと、いよいよそこに摩擦を生ずるところの部面がある。これについて文部省としてはどう考えてこういうふうにいわゆるこの法文規定されたのであるか。この点を伺いたいと思うのであります。  尚今度の場合においては、教育長その他の職員に事務委任をなし得るというふうなことがはつきり出て来ておるのでありますが、これは今までの慣行に対して法的な根拠を與えるのだ、こういうふうな御説明でありましたが、どういう一つの事例を考えてこういうふうなことけなされたのであるか、この点を伺いたいと思うのでございます。  次に教育委員会服務規定というふうなものがここにはつきりと出て来ておるのでありますが、而もその内容を見まするというと、極めて教育委員というふうなものの権威を失墜するかのごとき私は服務規定であると思うのであります。元来教育委員会は公選によつて出されたのでありまして、相当良識を持つておる方々であろうと思うのでありますが、それがこういう服務規定によつて規制されてしまうということになれば、その自由な活動というふうなものが束縛されてしまう、又良識も疑われるというふうな立場に置かれるのではないか。これは日本の教育委員会制度から見ましても誠に喜ばしい現象ではないと思うのであります。この点について、何故こういう服務規定を設けなければならなかつたかというふうなところの根拠を伺いたいと思うのでございます。先ずこの点につきまして伺いたいと思います。
  10. 辻田力

    政府委員辻田力君) お答え申上げます。先ず最初財政権自主確立の問題でございますが、先程も松野委員からお話がございましたように、教育財政裏付けの問題につきまして、教育委員会制度は比較的弱いものを持つております。この点については率直に認めざるを得ないのであります。この点を強調いたしまして、この財政裏付けのある教育委員会制度にいたしたいということにつきましては、私達も全く同様に考えておりまして、その点につきましては種々研究を重ねておる次第でございます。例えば、目的税としての教育税を設置する問題とか、或いは税予算に対する教育費の比率を確定する問題とか、或いは教育費負担区分について一定の立法措置を講ずるとか、いろいろなこういう問題につきまして諸外国実例等も十分研究しておる次第でございますが、今日の段階におきましては、さつき申しましたように、公立学校標準教育費に関する法律というような立法を先ず考慮いたしまして、それによつて公立学校における生徒兒童の一人当り経費を算出いたしまして、それに基いて教育費の確保を図つて行きたいというふうに考えておりまして、この問題につきましては遠からず立法化手続をいたすような段取りになるかと考えておる次第でございます。できるだけ速かに財政権自主確立の点を改正いたしたい所存でございます。  次に改正案を提出いたしますまでの手続或いは経過等につきまして関連しての御質問でございますが、これにつきましては直接関係のある教育委員会或いは教育長は勿論、その他間接に関係のあります知事等につきましても意見を求めておりまして、特に教育委員会につきましては最も関係が深い点でありますので、書面によつて意見を求めたのであります。そして教育長等からも意見が出ておりますが、これらの種々意見を参酌して改正案の作成に当つたのでございます。尚我々が、直接の部面から調査いたしました結果もそれに加えたことは勿論でございます。さようにして改正案の立案に当りましたので、政府の一方的な独断的の考え方からこれを立案したのではないということをここで特に申上げて御了承をお願いしたいと思つております。  それから第三番目に、教育長権限を非常に拡大したのではないかということについての御質疑でございますが、この際、特に申上げて置きたいと思いますことは、これはこの教育委員会法最初国会提案されました時の案のように、教育長権限を持つて行つたということは絶対にないのでありまして、これは国会においてすでに修正され、教育長教育委員会との関係はこの際明瞭になつておりますので、その基本線に沿うておることは申すまでもないことであります。従つて政府の原案に還つたのではないかというふうな一部の方のお話もあるかと思いますが、そういうようなことは絶対にございませんから、この点は強く申上げて御了承を得たいと思います。  それで次に教育長教育委員会との関係におきまして、現在の法律によりますると、必ずしもその関係が明瞭でない面も相当ありまするので、この際この両者関係を明確化いたしたい点が第一の点でございます。第二はこの両者関係につきまして條文が錯雑いたしておりまして、その点を整理いたしましてはつきりいたしたい。この点も條文の上からもはつきりいたしたいというふうな考え方、この考え方から規定改正いたしたのでございます。で先ず最初教育委員会教育長関係におきまして、教育長教育委員会が対等の関係にあるというようなことは絶対にないのでありまして、教育委員会がこれは執行機関として主体をなすものであります。教育長は飽くまでもその下におりまして、輔佐機関補助機関の性質を持つておるものでございます。それで従つてそういう基本的な考え方規定を作つておるわけでございます。それで第三章におきましてはこの教育委員会職務権限について規定してありまするので、従つて四十九條の改正におきましても教育委員会職務権限という点に重点を置きまして、教育委員会事務と、それからその基本をなしまする教育委員会法第四條の関係を明瞭にいたしまして、尚足らざるものを附加したということでありまして、この四十九條の但書を削つたということは、教育委員会権限を削つたとか或いは又縮めたとかいう問題では全然ないのでございます。これはさような意味改正いたした次第でございます。  次に五十條の三を新しく加えまして、ここに教育長の特殊な機関としての性格に基きまして、ここに各所に散在しております教育長に関する條文を分り易くまとめたのであります。で特に五十條の三の第一項について、只今も御質疑がございましたが、この点は教育長專門的な知識を持つておるんでありまするので、その專門的機関の職の職責と申しますか、責任を明らかにいたすためにそれを規定いたしたものでございまして、教育長教育委員会一般的監督の下において教育委員会輔佐する場合に、輔佐一つの態様といたしまして、あらゆる事項につきまして助言推薦をなすことができるようにいたしまして、それを教育委員会がどういうふうに扱われますか、それは教育委員会自身の問題でありまして、教育委員会におきましてその教育長意見なり助言なりを採用するかしないかということは教育委員会自体で決定されればよい問題でありまして、ちつとも拘束される必要はないのであります。それは当然でありまするが、この際申上げて置きたい思といます。  それから尚五十條の三に教育長教育委員会会議に出席しなければならないというふうな規定も設けておりまするが、これらも教育長職責から規定されたことでございまして、教育長教育委員会において決定されました事項を正確にこれを実施いたしまするためには、委員会に出席して十分論議の戰わされた経過等もよく承知した上で実施の責に当らなければなりませんので、そのために出席をすることにいたした次第でございまして、勿論教育長教育委員会のメンバーになるというふうなことではないのであります。従つて議決とか或いは選挙とかいうふうなことについて何らの権限もないのであります。  それから次は教育長事務委任規定でございますが、これは教育委員会会議制執行機関でございまして、而もその会議が開かれまする度合が比較的少いのであります。そういうふうな関係から、重要な事項については勿論これを委任するということは当然できない問題でございまするが、併し軽易な事項とか、或いは個々の小さな事項につきまして、この教育委員会の開催されるのを持つことができない場合が起り得るのでありますが、そういう場合におきまして、日常の軽易な事項につきましては、教育長に或る程度の事務を委任して置く、事務の処理について委任して置くということは、この教育委員会の持つております性格、会議制行政機関であるという性格から当然に考えられることでございまして、そうしなければ行政事務が円滑に又能率的に運営されない虞れがあるのであります。さような意味におきまして、教育長に若干の事務を委任することができるという規定を置いたのでありまして、併しこの委任自体は、どの事項を委任するかということ自体は、これは教育委員会規則で定めるのでありまして、教育委員会自体がこれを決定されるのでありますので、教育長に不当に事務が委任されるというふうなことはないものと信ずるのであります。  次の問題は教育委員服務について規定を設けたその立法理由についてという御質疑でございまするが、これは現在の法律におきましても、第三十二條に教育委員服務についての規定がございます。但しこの規定は別に地方公共団体の職員に関して規定する法律に、服務に関しては規定ができるのだという規定があるわけでありまするが、併しこの地方公務員法といわれる法律の中には、直接に教育委員については触れるところがないように聞いておりますので、むしろ教育委員会法自体にこれを規定した方がよかろうということになりまして、ここに規定をしたのでありますが、併しこれは教育委員地方公務がであり、而も地方公務員の一般職ではなくて、特別職の性格を帶びておりますので、それらを考慮いたしまして、必要最小限度の服務規定にいたしたのであります。従つて一般職の地方公務員とは非常な服務上の相違があるのであります。さような意味におきまして今回三十二條を改正することにいたしたのでございますが、これらについては又その條文のときに詳しく御説明いたしまするが、只今の御質疑に対しては以上お答え申上げる次第でございます。
  11. 若木勝藏

    若木勝藏君 ちよつと今の問題について……教育長権限云々についての細かな点は尚逐條審議の方面に譲りまして、ただここで一つ伺いたいのは、今の財政権確立でありまするが、これについて基準法のようなものを定めるところの立法ができるのでありますか、伺いたいのですが、これは平衡交付金制度と併せまして、文部省でもさぞかしいろいろ考えられていることが今の御答弁でも予想されるのでありますが、今のところどういう経過がありますが、どういう構想を持つておられるかについて、これは財政権確立の問題と関連がありますので、これをお伺いしたいと思います。
  12. 辻田力

    政府委員辻田力君) 公立学校標準経費の設定に関する法律案といいますか、この案につきましては、目下まだ部内において審議中でございまするので、ここではつきりしたことを申上げる段階に達していないのでありますが、ただ申上げられますことは、公立学校の段階別に、兒童生徒の一人当り経費をあらゆる面から算出いたしまして、これに基きまして公立学校の必要経費を出しまして、標準経費を出しまして、それを義務支出にしたいというふうな考え方の下に進んでおるわけであります。
  13. 若木勝藏

    若木勝藏君 その程度でございますか、今のところは。
  14. 辻田力

    政府委員辻田力君) さようでございます。それにいろいろな資料を集めておりますし、又関係の各方面といろいろ折衝続をけておるのでございます。
  15. 若木勝藏

    若木勝藏君 今の平衡交付金制度の場合におけるところのこの教育費の基準を獲得するというようなことについての案は確定しておりませんか。
  16. 辻田力

    政府委員辻田力君) このシャウプ使節団の勧告に基きまする一般平衡交付金制度の創設はそのうちに出るだろうと思いまするが、それと関連は勿論いたすのでありますが、この平衡交付金法案というふうなものが仮に出るといたしまして、それに直接関連して只今申しました法律案を作るか、或いは又別途に、結局平衡交付金地方としましては地方一つの財源になるわけでありますから、それらと、その地方の独自の財源とを引つくるめたものを中心として、それらを対象としてこの標準教育費を設定する法律案を作つて、それによつて義務支出というような方向に向うか、これらについては目下研究中でございます。
  17. 小野光洋

    ○小野光洋君 この教育委員会法が昨年七月上程せられた時に、一番その欠陷として指摘されたものは、只今若木委員からも質問がありました財政権裏付けがないという点にあつたのであります。その当時も文部当局は、いやそれは財政権裏付けと、特に教育費としての地方財政裏付けはないけれども、併し地方分與税或いは交付金その他によつて十分これを賄うに足るだけの地方財源についての裏付けが、特に教育と限定しないけれども沢山あるというようなことを、その当時安本の局長その外文部当局としましてもしばしば言明して、さような心配はないということを言つておりました。併し心配はないというような、こんな表現で納得はできないということで、実は委員会におきましても反対をし、それから又本会議におきましても私共の方におきましては、ただ一人賛成者があつたと思いますが、全員がこれに反対をいたしたのであります。そこで文部当局もそういつた議会の空気をお察しにはなつておつたことと思いますが、爾来、只今政府委員答弁にもその点が自認せられておるようでありまするが、その自認せられておるこの財政権裏付けの問題についてどれだけどういうような努力をして来たか。そうして現在ここに提出されておるところの修正案というものは殆んどそれには全く触れていない修正案であります。これは文部当局が簡單に立案し得る問題だけを取上げて、ここに上程せられて、最も必要とせられておる財政権裏付けというような点には全く触れておらないということは、文部当局が大体教育委員会法についての最も欠陷として指摘せられた、その問題の欠陷をどう補うかということについての努力をしておらんというふうに私共は言えると思うのであります。極めて簡單にできるものだけを法文に書きさえすればいい、どこへ持つてつても一向差支えないというような問題だけをここに出して来た。そうした動作ということは、どうも私共にはその点納得行かない。先程もいろいろな点で、こういうことにしたらというような案も沢山提示せられておつたようでありますが、その法案を推進されるについてどれだけ折衝をして何故それができなかつたか、この修正案の中へそういうものを何故織込むことができなかつたか、どういう折衝をどこまで行つたけれども、どこまで行つてどう支えてこれができなかつたかというような点について明示せられていない。国会といたしましても、特に本委員会におきましても、できるだけこの点についてこの打開に努力をして頂きたいと思うのであります。ただ文部当局ができない、怠慢であつたということだけでは、結局地方教育というものの振興は期せられない。    〔委員長退席、理事若木勝藏委員長席に著く〕  その点について努力の経過をこの際はつきりと申上げて、先程挙げられた各種の財政裏付け問題についての方法について、この方法についてはこれだけあつた、この方法についてここまでやつておつたができない、この方法はどうしてできなかつたかということを具体的に明示せられるならば、私共もできるだけの考慮をしたいと思うのであります。その点お伺いしたい。
  18. 辻田力

    政府委員辻田力君) この問題の全般につきましては、私からお答えするのは適当であるかどうか疑問の点もございますが、私の承知しておる限りにおいて御説明いたしたいと思います。先程申しましたように、教育財政確立の問題につきましては、非常な重要な問題でございまするので、文部省において鋭意研究を続けておることにつきましては先程申上げました通りでございますが、その間におきまして、学校財政法案というふうなものも考えまして、これはやはり国と都道府県市町村と、この段階におきましてそれぞれの教育費負担区分を一定の比率によつて決めて、それを決める法律を作りまして、それに基いて教育費を確保したいというふうなことも立案し、或る時期におきましては、関係当局の、関係方面の或る程度の指示も得たような次第もあるのでございますが、財政全般の、予算全般の折衝の場合にそれが認められなかつたというような経緯もございます。又最近におきましては、このシャウプ使節団が見えまして、税制全般について相当根本的な改革が行われるというふうな情勢になりましたので、その結果を待つてこの教育財政の問題を確立しなければ、その根本的な点がぐらついて来ますと、折角案を作りましても、その実施上遺憾の点ができるというふうなことではいけませんので、そういうことも考慮して、シャウプ使節団の勧告の結果を見守つておつたというようなこともございますが、そしてその際の使節団の報告で申しますと、その勧告によりますというと、一般平衡交付金制度を勧奬されておる次第でございます。その際に、教育財政として如何なる影響を受けるか、教育費確立上如何なる障碍を生ずるかというふうなことも、具体的に研究を進めておりまして、その結果只今の段階におきましては、先程申上げましたように、公立学校標準教育費に関する法律案というふうなことは仮称でございますが、そういうふうに考え方法律案を出して、教育費確立を図るのが適当であるというふうな段階に来ておるわけでございますが、これは今期国会において提出せずに、次の国会になるかというようなことにつきましては、恐らく次の国会に出るだろうと思いますが、これは見透しの問題で分りませんが、その場合シャウプ使節団の今日におけるところの勧告に基き、一般平衡交付金制度法律が恐らく次の通常国会に出るらしいと聞いておるわけでございます。それに関連がありますので、この教育費確立の問題に関する法律案もそれに平行して出るのじやなかろうかというふうに考える次第でございます。さようなことで、この教育委員会法が出ました際におきまして、国会方面におきまして強い御要望がありましたこの問題につきましては、政府としても愼重を研究を進めておつたのでありまして、この点について十分従来国会に御説明がしてなかつたとすれば、それはよくなかつたと思います。
  19. 小野光洋

    ○小野光洋君 文部省がいつも財政問題、その外一般各セクションとの関連した問題になるというと、どうも受動的になつてしまつて、何とかいずれはなるだろうというようなことで、なつてしまつてからばたばた騒ぐことになることが多いのじやないかと思います。そこでシャウプ勧告に基く地方財政権確立というような問題についても、文部省が相当強く発言権を持つておると思う。文部行政立場からこうありたいということを相当強力に要求をしないと、でき上つてからいろいろ文句を言つて見ても始まらない。その点を万全の策を講じておるかどうかということを、これはどうも辻田さんに伺つてもどうかと思いますが、併し御存知の範囲内において、こういう策は講じつつある、ここに石を打つてあるというようなことをここで一つ説明願いたいと思います。
  20. 辻田力

    政府委員辻田力君) 只今の問題でございますが、シャウプ博士がこちらに見えておりまする時に、もうすでに文部省としてはいろいろな問題につきまして教育上の見地から、教育行政の見地から、いろいろ資料等も提供いたしまするし、意見等も述べたように承つておるのであります。その結果、使節団の結果でありますかどうか分りませんが、使節団の報告書の中にも若干の点は採り入れられておるようにも聞いておる次第であります。  次にいよいよ報告ができて来てしまつたのちのお話でございますが、これらにつきましては只今申しましたような点におきまして、国内的にも国外的にもそれぞれ、国外的と申しますと語弊がありますが、関係方面等におきましてもそれぞれ話合を進めておるような次第でございます。これが現在の実情でございます。
  21. 小野光洋

    ○小野光洋君 シャウプ勧告によつて地方財政権確立され、拡充されるということは非常に結構ですが、地方財政権の中において特に教育財政というやつは地方財政の中から分離しても、どうも教育委員会に附託されて結構ではありますけれども、結局そこに問題があるのだ。地方地方財政権が拡充されたということで直ちに教育費が膨張するというふうな教育費の基準が出て来るということにはならんと思います。どうもその辺が文部省としてはくれぐれも後手にならないように、これはどうも希望的な意見になるので質問にはなつていないと思いますが、どうかその点について特段の努力を願いたいと思います。
  22. 河野正夫

    ○河野正夫君 全般的なことを五項程伺つて置きたいと思います。それは実は逐條審議の際と思いましたけれども、速記がいつまでおるかも分り兼ねるので、今のうちに質問して置きたいと思います。  第一に今財政権の問題でいろいろ御質疑があつたのでありますが、当局のお答えは教育費の方向で何とか努力しつつあるというようなことでありました。それは勿論極めて重要でありまするが、教育委員会そのもの財政的な裏付けがないのではないかというのが、昨年のこの法案の提出された時の問題の一つであつたと思います。実際に各地方を廻つて見ましたが、本年度極めて圧縮せられたあの教員の定教の中から、この教育委員会事務局に相当数教員が事務局員として喰い込んでいるわけです。そういうような実情はどうして生じたかというと、結局都道府県或いは五大都市等も教育委員会の運営費用に乏しいというところから来ておるのであります。この法案改正が全般として教育委員会を育成し、助長し、強く健全な発達をさせるというところに目的があるとするならば、先ず第一にこういう点について何らかの打開の途を講じて置かなければならない。そこで伺いたいのは、教育委員会の運営の経費というようなものについて、国庫の補助乃至は都道府県に対してこの分を出し得るように何らかの方途を講じたか否かということになるのであります。ついでに申上げて置きますが、私立学校法が只今上程されておりますが、私立学校側が、都道府県の場合、所轄長は長官にしないで教育委員会にしてはどうかという一部の意見に対して非常に惧れをなしておる所以のものは、教育委員会を所轄長とすると権力が強くなつて干渉がひどくなるという点ではないので、その点は法令で決めて置けば、都道府県知事であろうとも教育委員会であろうとも同じことで、而も教育委員会の方が民選されて来ておるだけ、それだけ民主的だとも言い得るのであります。そうでなくして、教育委員会には財政権がない、又地方議会に対する発言権も弱いし、都道府県知事の方が予算の立案権を持つておるだけ強いし、補助も貰い得るだろう、こういうふうな点に、私立学校関係の人々があの所轄長の問題についても都道府県知事を欲しておる理由があると私は思つておる。そういうふうな意味におきましても、これは事、私立ならば都道府県知事において財政権を持たして置くからいいけれども、公立の方でも教育委員会財政権のないところでは不安で、私立学校さえも、いや当局さえも嫌がる方面へ任して置いてもいいということは成立たないわけだ。而もこの法案文部省が責任を持つて出して来ておるのであります。そこらに矛盾を感じないか。とにかく私の第一点に伺いたいのは、教育委員会財政権を何故持たせなかつたかということについては先般来しつこい程繰返されましたから繰返しません。ただ教育委員会の運営そのものについても、もつと財政的に確立をする必要がある。今でもあるものについて、如何なる手を打つておるか、伺つて置きたい。  第二点は、設置のことについて期日の変更をしておるのであります。この設置の範囲と期日については法案の上程当初からしばしば議論が出ました。日本の民主化の現段階では、そう細かな段階にまでこれを設置することは無理であるということは、文部当局も重重承知されておつた筈で、それをこの改正においても又その精神を以て改正を行われておると思うのでありますが、理由は成る程選挙費用云々というようなことにもなりましよう。或いは又シャウプ勧告に基く地方行政体系の確立をしなければならんという点もありましようけれども、併しその外に実際に教育委員会というものを有効に運営させるためには、これはアメリカの制度を直訳してやつておるのであつて、日本の現状に適合させて効果のある運用をするというのは相当考慮しなければならん点があるということが、昨年来二度目のこれで改正ですけれども、その改正の度に話題に上つたことであります。然らばもう一歩を進めて、都道府県と五大都市乃至は現在の教育委員会だけで暫く模樣を見ようという結論に到達してもいい筈であります。それを二十七年に云々とまた一寸延ばしに延ばして行くというようなふうに見えるのでありますが、ここらで先ず都道府県乃至五大都市に限るくらいの割期的な改正をやるべきではなかつたか。それらについての御意見を伺いたいと思います。  第三には、法案の根本趣旨であります。教育委員会法の根本趣旨について往々誤り伝えられております。教育委員というのは極めて教育について素人がよろしい。そうして地域住民の代表という意味で、教育の大雑把な立案企画というようなことが中心になるべきである。成る程執行権を持つにしても、そういう細かいことまで素人の委員がタッチしない方が本当である、というような意向がそもそも最初から伝えられておる。それが法案化されて来たものだと私は思います。然るにこれが衆議院の修正ではそうではなくして、この教育委員会というものを、本当に教育の主権を持たしめて、代表せしめて、それによつて曾て知事の持つておつたような教育行政をもつと民主的に運営せしめようというところにあつたのだと思う。従いまして教育委員に教員若しくは過去に教員であつたというような人はむしろ望ましくないので、一般的な素人がよいというような説は、全然消し飛んでしまう筈のものだと思うのであります。ところが今度の改正法案を見ますと、やはり教育委員は素人が多いので、專門家の教育長重点が置かれなければならんというようなふうに窺われるが、そういう積りはあつたかどうかということを伺いたいのであります。固より先程来の御答弁でも、権限教育委員会に存在するのであつて教育長はその指揮監督を受けておるのであるということを繰返し御説明されたのでありますけれども、その改正の本旨には、私の申上げた本法案が衆議院で改正される前の教育委員会の立案の趣旨が再び跋扈して、カムバツクして来ておるのじやないか、その点を率直に承りたいのであります。  第四に、これを立案された文部省は、一体教育委員会の、教育委員の指揮権なり、教育委員の力なりというものを助け長ぜしめるということを必要と感じておるのかいないのか。教育長というものについて、これは現状で、もつと明確に職責権限を明らかにして、それによつて教育長立場を有利にする必要があると考えたのか考えなかつたのか。この点が私共には不明瞭なので、教育委員会の全体の発展を冀うという意味でいうならば、先程来多くの方の御発言もありましたけれども、むしろ教育委員が萎縮しておる、或いは又教育委員として当選した当時の熱情を失つておるという現状を文部省は知つておるのかどうかということが私には疑わしいのである。それにはいろいろな理由がありましよう。ありましようけれども、教育民主化ということで教育委員会を一遍出発せしめた以上は、今後の選挙に当つても、選挙民は教育委員は重要なものであるというので非常な熱意を持つて選挙に当る。又当選した教育委員も立派にその職務を矜りを持つて実行する。又それだけの仕甲斐があるのだというふうな方向に持つて行くのが当然であります。ところが、理論から言えば、この改正法案教育長との権限の問題についても、教育委員がしつかりしておれば何でもないことだと文部省当局の言う通りでありますが、それはその通りでありますが、本法というものは單に理論で作るものではありません。現状がどうなつておるか、その現状をどういうふうに導いて行くのがよいのであるという認識の上に立つて法案というものは作られ、改正されて行かなければならない。そこで私の伺いたいのは、現在の教育委員会の運営について、文部省は如何なる認識の下に立つてこの改正法案を提出されたのであるか、その点を伺いたいと思います。  最後に第五に承りたいのは、第四点と関連をいたしますけれども、教育委員会は出発して一年、そこにはいろいろな難点もありましよう。又弱点も見出されましようけれども、これは十分に育成して行かなければならん、日本の民主化のすべてがそうであるように、例えば、或る種の労働運動で行き過ぎであるといわれることもありましよう。けれども、それだからといつて一切の労働運動も彈圧する方向に向つたのでは、世界の民主化という方向から見て逆行と言わざるを得ない。教育委員会で私は全然そういう事実は知らないし、ないかと思いますけれども、仮に教育委員会の諸君の行き過ぎがあつたといたしましても、それは行き過ぎるくらいになつて初めて教育民主化が達成できる。    〔理事若木勝藏君退席、委員長著席〕又行き過ぎのときになつて初めて措置を講ずれば足れりと我々は考える。然るにまだ生れて一年、ひ弱いもので、行き過ぎたか行き足りないのか、まだ判定もつかない。又文部当局の説明によりますると、これは單に地方行政体系ばかりではないと思いますけれども、委員会の組織権限等について尚調査研究を要する問題が数多くあるということは当局も認めておる通りであります。こういう際に細かな規定の変更を行つて、而も現在各地に行われておる教育委員会の現地指導から見て、教育委員の職務を萎縮せしめる方向に改正がなされるのじやないかと我々は疑う。そういうことは文部当局もすでに御承知になつておつた筈だと思います。そこでこれを育成するために、この法案改正が適当であると思うかどうか、こういうことを最後に承りたいのであります。
  23. 辻田力

    政府委員辻田力君) お答え申上げます。先ず第一番に、教育委員会それ自体の運営について、財政的な裏付けをどういうふうに考えておるかという御質疑でございますが、これは昨年出発いたしました教育委員会につきましては、教育委員に要する経費、それから指導主事に要する経費につきましては措置をいたしまして、財源を地方に流してある次第でございます。特にその他におきまして、教育委員会国庫から補助をするということにつきましては、個々一つ一つ事項についてはいろいろ完成しておりまするが、委員会の運営それ自体についての補助ということは今までは特にありませんでした。今後の問題といたしましても、教育委員の手当とか、報酬とか、或いは実費弁償の費用とかいうことについての問題につきましては、その財源の適当な方法、例えば、この点の問題はどうなりますか、現在の段階においては分與税等の方法によりましてこれの財源を地方に流すというふうにいたしまして、特別その面における財政の圧迫をできるだけ避けたいというふうに考えております。  それから次に設置の範囲と期日の問題、特に地方委員会に関する問題でございますが、この点は町村に設置されまする委員会の問題は、特に強く取上げられることだと思います。町村に設置される委員会は、この法案によりまして二十七年度まで延ばすことになつておるのでありますが、これは先程申しましたような趣旨からでございます。ただ都道府県と五大市に限つて、その他の市並びに町村については委員会を設置しない方がいいのじやないか、そこまで何故やらなかつたかという御質疑でございますが、これにつきましては、設置の範囲の問題につきましては、それぞれ御意見があるのでありますが、私達といたしましては、この教育行政をできるだけ国民の身近なところに置きまして、行政執行するというのが、教育委員会制度の狙つておりまする教育自主性の確保、或いは又民主化教育民主化地方分権化という、この理想から考えまして適当であろうと思うのでありまするが、ただこれらの理想をできるだけ早く達したいという考え方と、それともう一つは、我が国の現在の町村実情等を考慮いたしまして、比較考慮して睨み合わしまして、どちらをどういうふうに重点を置いてやるべきかというところに問題の焦点があるのではなかろうかと思うのであります。そのことを十分研究いたしまして、現在の段階におきましては二十七年度まで延ばすのが適当であろうというふうに考えまして、町村委員会を二十七年度に延ばしたのでありまして、五大市以外の市町村にこれを設置しようというのは只今のところ全然考えておりません。  それからその次の第三の問題は、法案の根本趣旨のことについての問題であります。即ち教育委員会を飽くまでも素人と考えておるかどうかということに関連する問題であります。これは先程教育長権限について申しました時に、教育長が專門家でありますことを申しましたが、教育長が專門家であることについては御異議がないと思うのでありますが、教育長が專門家であるか、或いは素人であるかということにつきましては、これはいろいろな場合があると思いますが、併し必ず專門家でなければならないという規定にもなつておりませんし、一般から公選されますので、いろいろな方が出られると思います。そこで素人に限つたことはありませんが、併し素人の方と申しますか、教育のことについては国民を代表して、一般的には相当の高い見識なり、識見を持つておられまするが、併し個々の具体的な細かい專門的な知識は持つておられない方が比較的多いのではなかろうかというふうに考えております。左樣な趣旨におきましては、素人の方と断定できませんが、素人の方が多いのではなかろうかという考え方で進んでおります。  その次の、教育長立場を特に有利にしようと考えたとか、或いは教育委員会権限を特に縮小するように考えたということは絶対にございませんが、只今お話がありました通り教育委員会はできましてまだ期間も十分経つていない制度でございますので、この育成については、長い眼で見なければならんのは当然でございます。従つて我が国として初めての制度、而も不慣れの制度でありますので、これを一一細かく突つついて行くというようなことであつてはならないので、国民全部がこれを守り立つて行くようにいたさなければならんと思います。ただ併し、やはりものは最初が大切でありますので、基本的な性格と申しますか、線については最初の中にはつきりいたして置かなければ、後で段々混雑をして来るようなことになりますので、その点については、直接基本に触れるようなことにつきましては、規定を誤つていれば規定を成るべく早く直す必要があると思つておる次第であります。
  24. 河野正夫

    ○河野正夫君 最後の点については私としても十分議論がありまするが、逐條審議の際に讓ります。
  25. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それでは午前中に引続きまして逐條審議を付続して如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それでは進行いたします。午前には第三十二條の二のところまで進行いたしました。
  27. 河野正夫

    ○河野正夫君 速記を止めて下さい。
  28. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 速記を止めて。    〔速記中止
  29. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 速記を始めて。  若しお気付の点がありましたらお附加え願います。
  30. 河野正夫

    ○河野正夫君 十六條の第二項の修正でありまするが、「六十人以上」の下に「百人以下」を加える。この改正の御説明によりますると、これは事前選挙運動等に利用せられる憂いがあるとこういうのであります。併し現実に昨年来行われた選挙を見ますると、どうもこの法案改正というのは納得できないのであります。一体教育委員の選挙を推薦制度にした、自由立候補制度にしなかつたという根拠がどこにあるかをまず伺いたい。そしてその根拠に基いて「六十人以上」とした所以、そして今度の改正がその根拠に基いて「百人以下」とすることが如何なる合理的な根拠を持つか、理由を持つかということの御説明が願いたいと思います。
  31. 辻田力

    政府委員辻田力君) 十六條の改正に関連いたしまして推薦制度自体の立法理由についてのお尋ねでございますが、これは教育委員の特殊な性格、教育に従事するという特殊な性格から考えまして、教育委員の候補者を決めるに当りましては、他から推薦された人で、推薦されて、あの人は出て貰いたいというふうな人を候補者として選びたいというふうな考え方の下に十六條はできたのでございます。それから次に「六十以上」というものの数字の根拠でございますが、これは町村長の選挙の場合に、現在三十人以上の確か推薦制度がありまするが、その制度を参酌いたしまして、この地域が、町村よりも委員会の場合の方が広い関係もございますので、その倍の六十人というふうにいたしたのでございます。それから百人、今回の改正によりまして「百人以下」ということにいたしましたのは、一般的の説明の場合に申しましたように、非常に多くの連署を求めて行く署名運動が起つて来る。そういう場合に、時に選挙の事前運動に利用される虞れがあるというふうにこともありまするので、その点と、もう一つは、選挙管理委員会におきまして推薦者の適法であるか、不適法であるかを調べます場合に非常に多くの数になりますると、事務上相当支障が起つて参りまするので、そういう点も併せ考えましてこれを大体丸い数字の百人くらいが適当であろうというふうなところにいたしたのでございます。
  32. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 三十二條の「委員服務等」の二項でありまするが、「委員は、その職の名誉と信用を傷つけ、教育の権威を失墜するような行為をしてはならない。」これはもう言わなくても分つておる事柄なんですが、これを特にここへ入れたということの必要がなぜあるのか、何か将来これを元にして罰則なり、或いは制限を加えるような意思があるかという点が一つと、それから第三十二條の二、「委員は、教育委員会の職務を一体として行うものであつて個々委員としてその権限を行使するものではない。」これも委員会というものの構成そのものから眺めまして当然のことなんで、特にここに謳う必要はない。ところが実際におきましてはこういう事柄が余りに強く言われ過ぎておりまして、却つて委員がその委員会においての職員を行うための事前の仕事なり、或いは連関する仕事までも掣肘を加えられるような形があります。却つて何か教育上の問題や何か起きました時には、教育長が堂々と意見を述べるのに対して、委員が却つて言えないというような形さえ招来しておるのですから、こういう言わなくともいいものを特に謳うことによつて、尚今まででさえ委員が萎縮しておりますのに、もつとこの委員が本当の職務をやるための行動を掣肘するようになりましないか。要するに言わなくともいいことを言うて尚委員の働きを小さくしてしまやしないかという感じがするのですが、それに対して政府当局はどういう積りでこういうような立案をされたのか、それを伺いたいと思います。
  33. 辻田力

    政府委員辻田力君) 先ず最初に三十二條の第二項の問題についてお答え申上げます。委員服務について規定を作りましたことにつきましては、先程全般的に御説明いたしたのでございますが、特にこの三十二條の二項のような規定をここに設けました理由でありまするが、教育委員はその携わられまする仕事が崇高な教育の事業でございます。そこで普通の公務員におきましてもこういう規定はあるのでありまするが、特に只今申しましたような仕事に携わられまする教育委員の方は、ここにありまするように、名誉と信用というもの、又はその教育の権威というふうなことにつきまして十分なお考えを持つてお仕事に当つて頂かなければならんと思うのでありまして、特に道徳的と申しますか、何と申しますか、さような規定でございまするが、ここに掲げた次第でございます。これは教育委員会委員としては最も重要な規定であると思うのであります。  次に第三十二條第二項におきまして、この規定教育委員会会議制行政機関であるという点から当然なことであるから、こういう規定を設ける必要はないのではないかという御質疑でございまするが、一応御尤もであるのであります。併しこの制度ができましてから、一ケ年間の実情から考えまして、種々研究いたしました結果、この点を明らかにいたした方が適当であるという結論に達しまして規定いたしたのでございますが、尚ここで教育委員会の職務ということについて御説明を申して置かなければならんと思いまするが、これは現行規定の四十九條に規定してありまする事項でございまして、これらの四十九條に規定してありまする事項を單独に個々委員が行つてはならないということであります。従つて個々委員が学校に参りまして講演をされるとか、或いは意見をお述べになるとかいうことにつきましては、それに干渉するとかいうことについては全然関係のない規定でございます。従つて四十九條のような、ここに書いてある事項を個人が勝手に行つてはならないということであります。これは当然の規定のようでございますが、現在の段階におきましては、やはりこの点をはつきりいたしまして、委員会の職能との関係はつきりいたしますことが制度の円満な発達に寄與するものだと答えるのでございまして、御了承願いたいと思います。
  34. 河野正夫

    ○河野正夫君 三十二條の二に関連して承りたい。先程私一般質問のときにも申したのでありますが、これは実際にこういう会議制行政機関とすれば当然なことであつて、敢えて規定する必要はない、規定する必要のないものを、一年の実績を見て適当だと思つたから加えたというのですが、適当だと思つたという理由をもう少し詳しく承りたいのであります。先程から申しまするように、発足以来教育委員会委員諸君はいろいろな……筋違いでもあり、筋に当つておる面もあるかも知れないけれども、いろいろな多方面からの指導を受けて、それによつてつて萎縮しておるという状態を見出し得る。そういう時に、これは当然なことであるけれども、当然なことをこういうふうに規定することによつて、却つてその萎縮の度を増すのではないか、私の言う教育委員会を育成しなければならんという面から考えて、当然なことだから書きましたというけれども、当然なことだから書かない方がいいんじやないかという理論の方が私には適当だと思いますが、その点について如何ですか。
  35. 辻田力

    政府委員辻田力君) 三十二條の二の問題でありますが、当然だから書いたということではございません。当然のことでもありまするけれども、併し現在の段階におきましてはかような規定を設けまして、この制度趣旨を一層明らかにして置く方が適当であるというのでございます。(「何故か」と呼ぶ者あり)この一ケ年間におけるそういう場合の実例があるか、こういうふうな規定を設けなければならないような実例があるかというお話でございますが、この点につきましては、教育委員の一人の委員の方が学校に出向かれまして、その学校の教育内容等について詳しく指導されるというふうなことがあつたのでありますが、これらにつきましては適当でないと思います。やはり四十九條に規定しております事項については、教育委員会の決定した意見に基いて実施されねばならないものだと思うのであります。尚この委員会員各方面からいろいろな指導を受けておつて萎縮しておるというふうに先程お話がございましたが、さようなことがあつて教育委員会の前途のために甚だ残念でございまして、教育目的達成のために、教育委員の方々は伸び伸びと元気を出してやつて頂きたいと思うのでありまして、この三十二條の二はそういうことに全然触れる問題でないのであります。第四十九條の事項との関連において、委員会の性格を一層はきりさせる意味において書いた次第であります。
  36. 河野正夫

    ○河野正夫君 私の実例を一つ挙げて置きたいのであります。大阪において行われた過般の教育委員会連絡協議会の場合でも、連絡協議会を作ることは各地教育委員会として了承して集まつておるけれども、この規約の面においては了承していない。丁度当日上程されておつてけれども、事前に教育委員会に報告されておらなかつたためでもありましよう。それでそういうことをやると、一体として行動すべき教育委員会連絡協議会を作るということについては私は委任を受けて来ておるけれども、その以外のことについては何ら発言もできないことである。嚴密に言えば、ここで討議するということは一体如何なる意味を持つか疑わしいというような議論さえ飛出しておるのであります。これが現状であります。それについてはいろいろ私が、若し発言されればそうではないということを勧告もできる意見は私持つておりますが、併し実情教育委員の諸君がそういうふうにまで考えておるということを認識されているかどうかということが問題なのであります。序でに申しますると、先程文部省はこの委員会法の作成に当つて全国教育委員会に向つて意見を文書を以て尋ねたということであります。けれども月に一遍の会合しか聞かない教育委員会であります。文書が来たからといつて、それですぐに会合は開けないのであります。文部省からこういう法案についてどうこうというような意見を求められても、そのことだけによつて会合は開けない。従つて次の定期の会まで待たなければならない。従つてその間において教育長はこれを勝手に処理するということが行われるのは止むを得ないか、或いは不当であるか、いずれにしましても、実際の実情がそうなつている所が多いのであります。それ故に先般衆参両院に陳情に来た教育委員代表の諸君に聽いて見ましても、その過半数がそういう文部省から文書が出ていることを承知していない。これを裏返して見れば、教育長が適当に返事を書いて、教育委員会法改正についての意見教育委員会の名において答えているということになろうと思うのであります。こういうような点もありまするので、この改正というものは現実の運用においては、而も民主化の程度が現在の日本のような現状においては、教育委員会法の後退になると我々は考えるのですけれども、その点について当局はどうお考えですか。
  37. 辻田力

    政府委員辻田力君) 只今お挙げになりました大阪の問題と、教育委員会法改正意見を求めた場合の処置の問題に関連いたしましてお答え申上げますが、大阪におきまして、教育委員会連絡協議会を作られるような場合に、その会合に各委員会代表して来られた方が、連絡協議会を作ることについて全権を委任されて来られたので、いろいろな話をされてもよいのではないかと私は思います。
  38. 河野正夫

    ○河野正夫君 それは勿論その通りなんだが、それを惧れるという現状を言つているんです、私は。
  39. 辻田力

    政府委員辻田力君) まあそういうふうなことにつきまして、どう申しますか、意識されてそういういろいろな態度を取られていることは非常に残念だと思いますが、そういう点につきましては、我々としましてもできるだけさようなことのないように今後いろいろな連絡の場合にいたしたいと思います。  それから一件、法案改正についての意見を求めた場合に、教育長だけが勝手に回答したというようなことでありまするならば、それは非常に遺憾なことだと思います。こういうことは非常に重要な問題でありまするから、当然教育委員会に付議して、又議を纏めて回答すべきものでありますが、そういうことがなかつたと仮にいたしますれば、それは非常に遺憾なことだと思つております。只今お挙げになりましたような二つの問題でありますが、これらについては今のような考えでありまするが、この三十二條の二は、この際は私達としましては、将来は別といたしましても、今回のこの制度改正当りましては、やはりこの規定を作つて置く必要があると信ずる次第でございます。
  40. 河野正夫

    ○河野正夫君 今の私の質問には要点を答えられていないのです。すべてその教育委員会に対する通牒を教育長が答えたということが遺憾である。或いは又大阪における教育委員会代表発言が遺憾であることは私も了承しているのです。けれども、そういう現実があるということを立法者は認識して行かなきやいけないということなんです。そういう認識の上に立つて、当然過ぎる程当然で書かなくたつて当然のことを、ここへ三十二條の二に新しく挿入するということが適当であると考えるかどうか、そういう実情があるにも拘らず、尚必要であるというならばその必要な理由を承りたいとこういうのです。
  41. 辻田力

    政府委員辻田力君) 只今お話がありましたような態度と申しますか、そういうお考え方委員が相当あるといたしますと、それは甚だ遺憾でありますので、まあ必ずしも全部はそうではないと思います。この三十二條の二は、最初申しましたように、現在の法令の四十九條の職務を委員会において一体として行うものであつて個々委員がこれを行つてはならないということでありまするし、それは一ケ年間の経驗でありまするが、経驗に基いてかようなことも相当起つておるものでありまするので、この点ははつきりいたした方がいいというふうに思います。従つて三十二條の二はこの際是非規定すべき規定であると思います。
  42. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 どうも話が喰い違つておるようでありますが、一ケ年間この委員会の実績を見ますと、今河野君の言われたような形が多いのであります。政府委員の方の言われる形は、むしろ或る特殊な一二の事項にしか出ていないのじやないか。而もそれが明瞭に法律違反であるということを指摘することができる。一方は分らない、法律で見ると、よく分らないために、むしろそこを教えても、そこを進めさしてやらなきやならんという面が多分にある。それを、だから私、三十二條の二項というのはむしろこういう言い方でなしに、四十九條で定めてあるような職務は一体としてやらなきやならんのでありますが、その他はむしろ教育活動なり、教育に対する意見なり、私積極的に述べるべきであるというふうな表現がむしろ妥当なんじやないか。四十九條に定めてあるようなことは一体としてやるべきであるけれども、それ以外のことについては、むしろ委員はもつと積局的に教育に熱意を持つて活動すべきであるというような言葉になるのが本当なのじやないか。一ケ年間の実情から眺めたら、むしろそうなるべきじやないかというのが私の考え方であり、今までの意見なのでございますけれども、一般的に言つたら何だけれども、そういう建前に立つての質問なんですが、どうなんですか。そういう意味なんじやないですか。
  43. 辻田力

    政府委員辻田力君) 只今お話通りでございます。それ以外に附加えるべきものはございません。
  44. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) では進行してよろしゆうございますか。では三十九條の二を問題といたします。
  45. 河野正夫

    ○河野正夫君 三十九條の二は、会議会議録を持つことは当然でありまするが、この会議録の記録についての必要な事項委員会規則でこれを定めると、これでつつぱなしてしまつておるのですけれども、我々の常識で行くと会議記録というようなものは、これこそ事務局長、まあここで言えば教育長職務権限に当然従属して来ると思うのであります。それで、これはそういう意図を持つているのか、乃至は教育長の配下にはあるけれども、特に記録係を置いて教育長の、この法文だけについて言えば、保管というようなことは別としましても、教育長自身の監督ということを必要としなくてもいいのか。この法案だけの範囲内でどう解釈するかをお伺いしたいと思う。
  46. 辻田力

    政府委員辻田力君) 御趣旨をちよつと聽き洩らして矢礼でございますが、第二項の会議録について必要な事項は、これは出席委員の氏名だとか、或いは議事の大要等記載すべき事項をここに定めるものでありまして、その他のことは触れておりません。従つて教育長の問題については直接には関係ありません。
  47. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 別に御発言がありませんければ、四十二條……
  48. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 四十二條は何故に削除するのか一応お説明願いたいと思います。
  49. 辻田力

    政府委員辻田力君) 現行法の四十二條は、「教育長は、教育委員会の指揮監督を受け、教育委員会の処理するすべての教育事務をつかさどる。」とありますが、これはこの改正案の五十條の三の第二項に規定いたしましたので、これを削除いたしました。従つてこの教育長権限についてのいろいろ御質疑の際に申述べましたように、各規定教育長事項が散見しておりますのをまとめた次第でございます。それだけのことでございます。
  50. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 今五十條というお話でありましたが、四十九條から五十二條までは、教育委員会事務を定めてある部面になつておると思うのです。それから今の四十二條のところは、いわゆる教育長についての規定が載つておるわけであります。その教育長の最も根本的な仕事として、「教育長教育委員会の指揮監督を受け、教育委員会の処理するすべての教育事務をつかさどる。」と明らかに現行法の方が如何にもはつきりしておるのではないかと思いますのに、そうしたところの教育委員会事務の中へ、五十條の三だけひよいと入れまして、括弧してそこに教育長の職務というものをちよつと入れまして、そうしてそのあと五十一條、五十二條は一体どうするのか。それも教育長の職務の中へ入つてしまうとかいうような、法の上から見ても、入る場所が違うのではないかという気がいたします。それからこの五十條の三へ、一項ずつに分けて入れたために、非常に條文が曖昧になつてしまう。却つて前の方ははつきりと、いわゆる委員会の指揮監督を受けて委員会の処理するすべての教育事務を行うとはつきりしておるのに、二項に分けてしまつたために、尚何だかぼかされてしまつた。そうして而もその一項の方へは、「委員会の行うすべての教育事務につき、助言し、推薦することができる。」と先に書いて、そうしてあとへ「委員会一般的監督の下に、その職務執行を補助し、及び教育委員会の委任をうけた事務執行する。」一体教育長の本当の仕事は事務について助言及び推薦するのだ本当の仕事なのか、いわゆる委員会一般的監督の下にその職務執行の任に当るのが本当の仕事なのか、どつちが主体なのかというようなことを考えますと、どうもこの順序はおかしい。そうなつて来ると、教育長というものの、何か今まであつたはつきりしたものを却つたぼかしたのではないかという感じがする。この点如何ですか。
  51. 辻田力

    政府委員辻田力君) お答え申上げます。現行の規定は、これは身分関係と、職権と申しますか、職権を一緒に規定しておるのでございまするが、これを身分関係は身分関係、職権関係は職権関係というふうに分けたのでございます。従つて第三節の「教育長及び事務局」のところでは、これは身分関係、組織関係を書いてありまして、その次の今の五十條の三のところでは職権と申しますか、職能、職責関係規定したのでございます。従来混雑しておりましたのをそこで整理した次第であります。
  52. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 それで私の申しました中の一つで、五十條の方に早速ひつ掛かるわけですけれども、教育長の職務というように五十條の三のところに括弧の中に肩書を付けて、それで以て整理が付きますか、法文として。
  53. 辻田力

    政府委員辻田力君) 職権の関係は第三章の方の入れまして、そこの最初教育委員会自体のことを入れ、あとに教育長、指導主事のことを入れまして、そこで職務の関係を明らかにした次第であります。前の方には身分関係、組織の関係を……
  54. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 いやいや第三章ですね、第三章を眺めて見ますと、括弧して教育委員会の所管として第四十八條、それから「教育委員会事務」として四十九條、五十條、次に五十一條、五十二條とあるのでしよう。それから「教育委員会規則」として五十三條というふうになつておるのでしよう。そこへ今の「教育委員会事務」として四十九條があり、それから五十條があつて、それで五十條の三のところへ教育長と、教育長の職務と括弧して入つて、そうして五十一條、五十二條も教育長の職務になるのですか。
  55. 辻田力

    政府委員辻田力君) そうじやございません。四十九條と五十條は、これは教育委員会事務について書くことなんであります。その次に五十條の二に「事務の委任及び臨時代理」のことが出て来ますが、これは教育委員会を主体としてできておる。それから五十條の三は「教育長の職務」、五十條の四は「指導主事の職務」というふうになりまして、五十一條はこれは(藤田芳雄君「指導主事の職務になる」と述ぶ)……いやそういうわけじやございません。こういうふうに注意的に肩書を付けておるわけでありますけれども、五十一條は指導主事の職務というわけでやないのです。内容から言つてもそうじやないのですが……
  56. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 そうするとそれは何になる……
  57. 辻田力

    政府委員辻田力君) 協議会のことが規定してあるわけであります。ちよつと尚私の説明が足りないようでありますが、現在におきましても、四十九條の先に教育委員会事務というふうに書いてありますが、これは五十一條も委員会事務というわけじやないわけです。併し五十一條のところには、特に見出しがつけてないわけでありますが……
  58. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 事務じやないのでしよう……
  59. 河野正夫

    ○河野正夫君 事務についての注意事項……
  60. 若木勝藏

    若木勝藏君 教育委員会職務権限の中に教育長の職務というものを入れたのがおかしいじやないですか。教育委員会職務権限の中に教育長の職務というのが入るんですか。
  61. 辻田力

    政府委員辻田力君) 五十條の中に含めたわけではないのでございます。五十條のこれは條文を五十一條、五十二條とすべきところを條文の法制技術上の問題としまして、五十條の一、五十條の二とあるのは、これは他の條文と変えますと、他で引用しておるような場合に非常に困るものでございますから、そこまで全部直さなければならん関係上、法制技術的に五十條の二、三とありますが、これは五十條には直接関係がないわけです。ただ條文の数え方の問題なんであります。
  62. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうすると(教育長の職務)というのは、第何條になるんですか。
  63. 辻田力

    政府委員辻田力君) 教育長の職務は五十條の二でございます。これは、五十條の三は諄いようでございますが、五十條の中に包含されるものでなくて、いわば五十三條に相当するものでございますが、それを順次五十一條以下を繰下げますると、非常に條文の数字の動きがございますので、そうしますとこの條文を他の法律等に引いておる場合に非常に混雑を起すのでございます。その関係上、立法技術的に、これは單に技術的問題でありますが、五十條の一、二或いは五十條の三というふうに規定するような慣習になつておるのでございます。
  64. 河野正夫

    ○河野正夫君 現行法ですが、現行法の四十八條の前に、「第三章教育委員会職務権限」となつておりますが、その前の第二章の「第三節教育長及び事務局」とある。五十條の三の内容については、私は意見をいいません、意見もあるんですけれども……。若しもこういう五十條の三のようなものを入れたかつたならば、四十二條の後へ入れるべきものじやないか、四十二條を改正するなりして……。そうしてその前後を若しするならば、第三章の「教育委員会職務権限」が前に来るというふうになるべきではないですか。法の体裁の上から、そういうふうな大きな改正をすべきじやないですか。大きいという意味は位置のある場所が……。それは如何です。
  65. 辻田力

    政府委員辻田力君) 教育長と題するところに、身分関係も職務関係も全部規定するという行き方もございますし、又これを身分関係は一緒にまとめ、又職務関係一つ所に別にまとめるという立法の仕方があるわけでございます。それはどちらが便利かというふうな問題になるかと思いますが、その場合に職務関係はつきり一つの所にまとめて置く方が相互関係はつきりしていいのではないかと思うのでありまして、例えばこの場合におきましては、四十九條、五十條に教育委員会の全体の職務権限のことが書いてありますし、そのあとへ教育長との関係が出て来るというふうにいたしますると、その点は明瞭になつて来るので、あちらこちら引つ繰り返さなくてもよく分るのじやないかというふうな考え方で、こういうふうに整理した次第であります。
  66. 河野正夫

    ○河野正夫君 もうちよつと技術的に伺いたいのですけれども、先程も問題になつておるのですが、この括弧して事項を表示してございますね。この表示してあるのはすぐ次の條項にのみ掛かるという分類なのか。ずつと次のまたそういう表示があるまで全部に掛かるかということの問題ですが、どうもお説では次の條項に掛かるというふうな考え方のようですが、これは少し間違いじやないか。若しそうだとすれば、当局の意思を通そうとしても五十一條の前に何らかの肩書が要るということになると思うのですが、これは体裁の上から言つても当然ならなければならないと思うのですが、これは專門家の、辻田さんなかなか專門家だから、その点で一つ明快な答弁を……
  67. 辻田力

    政府委員辻田力君) 只今質疑の点でございますが、この点は普通の場合、各條文に見出しがありますとよく分るのでありますが、こういうふうに、一つの見出しで二つの條分を繋いだりしている場合と、それから全然見出しをつけないような場合と、いろいろな形になつております。この点は明瞭を欠く点がありまして遺憾だと思います。併しこの見出しをつけるようになりましたのは最近の立法例でございますので、確定してないわけでございます。で、この点についてはできるだけ明瞭にいたすように努力いたしたいと思います。
  68. 河野正夫

    ○河野正夫君 四十二條の削除ですが、四十二條の、教育長教育委員会の指揮監督を受ける、とこうある。ところが今度の改正案五十條の三を見ますと、教育長は、教育委員会一般的監督と、こう非常にぼかしてある。これは單に指揮監督を受ける云々と、條項をズラして場所を変えたというだけではない。非常に何らか意図するところがあるようでありますが、なぜそう変えたのであるか、その点を承りたい。
  69. 辻田力

    政府委員辻田力君) 一般的監督とこの際改めまして、前に指揮監督とありましたのを一般的監督といたしましたのは、特別な意味があるのじやなかろうかというお話でございますが、これは教育委員会教育長との関係は、人事院におきましての人事院と事務総長の関係によく性質が似ておるのでございます。性質というのは、内容的にではありませんが、人事院が会議体を構成するとか、或いは事務総長がそれを受けて仕事をするというような場合の、そういう形……
  70. 河野正夫

    ○河野正夫君 教育長にはそういう権限は委してない。委そうというのですか。
  71. 辻田力

    政府委員辻田力君) そうではありません。そこで一般的に監督という規定をここに特に書きましたのは、今申上げますように包括的に、個々事務について監督をする場合に、今の委任するような場合も考えられまするので、その第五十條の三の第二項の後段にありまするように、委任を受けた事務執行するような場合もございますので、その場合に指揮監督と申しますと、一々細かいことまでのことも包括されるように考えなければなりませんし、委任関係において疑いを起すようなことも起ります。そこで一般的に包括的な監督を受けるということにいたしまして、その下に職務執行を補助する補助者としての仕事をする。又委任を受けた事務執行するというふうにいたしたのでございまして、本質的には違いありません。
  72. 河野正夫

    ○河野正夫君 御説明を聞いておると、まさしく本質的な違いがあるから、そうしたように聞えるのであります。若しも本質的な違いがないならば、指揮監督でも決して差支えないと思うのであります。委任されたことについては指揮はしない。委任するのですから、もとより身分的な意味において、その委任したことについて不手際があつた場合には、勿論これは條文の如何を問わず、とに角教育委員会それ自身が最高の責任を持つわけでありますから、その意味の監督は受けるわけでありますが、併し、誤解をされるという惧れがあるというのは、むしろ教育長教育委員会から細かく何ら指図を受けない。大雑把な監督を受けるので、あとは教育長が相当專決してもいいのだという匂いを受けて、まさしくその点で、今教育委員会の諸君が非常に猛烈な反対をしておるのであります。この点はもつと明瞭に、指揮監督でいいならばこの修正案を指揮監督と直すとしてもいいのであるが、どうしても指揮監督じや困る、一般的な監督をする趣旨が入らなければ困るという意味であるか、その点をはつきり伺いたいと思います。又困るのならば、その言い分を聞かして頂きたい。
  73. 辻田力

    政府委員辻田力君) 普通の場合における指揮監督と申しますと、上司と下司との関係の場合のようでありまして、常に上司から個々の細部の問題まで指揮監督を受けるのが多いのでありますが、教育長教育委員会の場合におきましては、教育委員会会議制機関であります関係上、個々の平易な事項についても一々指揮監督を受けるという場合と普通の場合とちよつと違うのでありまして、その点の考え方をもつと明瞭にいたすためには、一般的監督というふうにいたした方が端的に内容が分つていいという考え方であります。
  74. 河野正夫

    ○河野正夫君 これはさつきから、一般質問の時にも出ておつたことと全く同じなのでありまして、事柄を簡潔に質問いたします。指揮監督という四十二條の旧條項では法律的に工合いが悪いと、こういうふうに認定しているのかどうか。先ずそれを先に伺います。
  75. 辻田力

    政府委員辻田力君) 教育長教育委員会との関係をもつて明瞭に現わすのには一般的監督と言う方が適切である。実際に対して適切であるというふうに考えます。
  76. 河野正夫

    ○河野正夫君 指揮監督という言葉で、四十二條通りに行くと、教育委員会の仕事が、特に委員長の仕事が円満に行かないという事例があるのかないのか、その点を伺いたいと思います。
  77. 辻田力

    政府委員辻田力君) 細部のことについて、一々細かく指揮監督する……
  78. 河野正夫

    ○河野正夫君 理論じやありません。現実において指揮監督という言葉によつて教育委員会が、うまく行かないという事例があるのかないのか。
  79. 辻田力

    政府委員辻田力君) 教育委員会の開かれてない時の事情がありますので、細かく指揮監督を嚴格に解釈すると適当でないと思います。
  80. 河野正夫

    ○河野正夫君 それからもう一つ、先程言つたような教育委員会をもつと強くして行くという、教育民主化に大事な時期、而も萎縮する傾向があるという場合において、指揮監督という言葉で、今の御説明でも実際に事例としてそれで工合いが悪いということが生じていないように思います。お答えの上から言つても、そういう場合に一般的監督と直すことが却つて政治的に教育委員会立法の精神に反するのじやないか、つまり教育行政民主化という意味から言つて逆行するのじやないか、現段階で逆行するものじやないかと思うのですが、その点どうですか。
  81. 辻田力

    政府委員辻田力君) 教育行政民主化の点には関係ないものだと思います。
  82. 若木勝藏

    若木勝藏君 四十二條は私極めて明文だと思うのでありまするが、何故この四十二條がこういうふうにあるのを、これを削除して五十條の三をここへ作つて、殊に三項の「教育長は、教育委員会事務局事務を総括し、及びその職員の指揮監督する。」四項の「教育長は、自己の身分取扱についての議事が行われる場合を除く外、教育委員会のすべての会議に出席しなければならない。この場合、教育長は、議事について発言することができるが、選挙及び議決に加わることができない。」というふうな、こういう委員会規則にでもありそうなようなことを、どうしてことにこの項を設けて、この條を設けてやらなければならない理由がどこにあるのですか。第四十二條で極めて明瞭でなかろうかと思うのです。特に教育長というふうなものを浮き出すためにこういうようなことがされているのではなかろうか。私は事務局として教育長というふうなものを見ていれば沢山だと思うのでありますが、その点について伺いたいと思います。
  83. 辻田力

    政府委員辻田力君) 教育長には大体三つの性格と申しますか、仕事があると思います。先ず大前提といたしまして、教育委員会の監督下にあつてそれを補助する、教育委員会の職務執行を補助する機関であります。それが大前提でありまするが、その下におきまして三つの性格がある。その一つは、專門的立場から教育委員会に対して助言推薦をする立場であります。第二は、教育委員会で決まつたことについて、それをその職務執行について補助する補助官としての立場であります。それから第三は、教育委員会の下にある事務局の局長として事務を総括し、その職員を指揮監督するという事務局長の立場であります。この三つの立場があるわけであります。この点を一項、二項、三項に分けて規定した次第でございまして、その前提として教育委員会の下にある補助機関であるということは間違いない事実でございます。それから第四項に会議に出席することが書いてありまするが、これは先般も御説明申上げましたように、教育長教育委員会におきまして決定した事項を見て、その職務の執行について補助をする機関でありまするので、現行法におきましても四十二條にありまするように、教育委員会の処理するすべての教育事務を掌るのでありまするが、そういう性格を持つておりまするので、教育委員会会議に出席して会議経過等を十分承知しておらなければならんのであります。又この場合に適当な助言をしたり推薦をしたりすることも必要であります。又飽くまでも教育長教育委員会の構成メンバーではございません。いわば幹事役のような形で出るわけであります。それで決定自身は教育長を除いた要するに教育委員自身で決めるわけでありまして、選挙についても議決についても教育長は全然携わらないのであります。さようなことで、そういうふうな教育長に関する特殊な性格から出て来ます職務をここにまとめて規定いたしますることが、教育委員会教育長との関係を最も明瞭にするものであると考えまして、第五十條の三に総括いたしたのでございます。
  84. 若木勝藏

    若木勝藏君 今のに関連いたしまして、これはこの教育委員会法ができる場合に、きつと教育委員会というものと教育長というふうなものの立場が摩擦を起しているというようなことから考えまして、教育長というようなものを拔き出すことを止めよう、教育事務局でいいというように我々考えておつたのですが、それが教育長というものがたまたま置かれたために、今一年間におけるところの事情が、各地において、予想したごとくに権限争いのような形が出ておる、それを更にこの五十條の第三項でもつて文部省で明確に摩擦を現わすような形を取つたということは甚だ遺憾だと思います。元来は教育委員会に本体があるので、教育委員会において必要があつた場合に、教育長推薦助言を求めることができる。そして四十二條において、「教育長教育委員会の指揮監督を受け、教育委員会の処理するすべての教育事務をつかさどる、」こういうふうに実によくできておる。この点はそれを殊更に摩擦の方向に持つて行くというふうに考えられるのでありますが、どうもこれは教育長に対する思い過ぎと思います。私はこういうふうにしない方が極めて円満に行くのではないかと考えるのでありますが、この点を一つ伺いたいと思います。
  85. 辻田力

    政府委員辻田力君) 現在の規定で円滑に参りまして、その両者関係が明瞭でございますれば、勿論改正する必要はないのでありますが、この一年間の経験によりますと、この関係は必ずしも明確でございませんので、各地方におきまして、それぞれいろいろ意見がございまするし、又その権限と申しますか、職務の上におきまして混淆されまして、必ずしも円滑な運営ばかりは行つておるとは限らないのであります。そういうふうな関係で、教育長教育委員会との関係はつきりしなければならんということは、各方面からいろいろな要望もありますしいたしますので、かように一つまとめて、先ず教育委員会自身事務を明らかにいたしまして、それに対して教育長補助機関であるということを先ずはつきりいたしまして、一つ補助機関としての行動をいたします場合の態様として助言推薦をする、或いは又決まつた仕事を補助執行する、或いは又事務局長としての仕事をするというふうにして、その次に教育指導主事の職能を書くというふうに整理をいたした次第であります。
  86. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 どうも今回のこの教育委員会法改正というものが、始めから問題になつて、とに角根堀り葉堀り聽かれる問題は、結局は教育長権限を強めて委員会委員の、何と言いますか、方面を押さえようとするような傾向に戻つて来て、この前の最初作られたときの教育委員会法の提出されたものを苦心惨檐して修正して直したものを、又元の原案に戻そうとする傾向が非常に多い。それの一つのうまい便法として五十條の三というものを持つて来たのではないかと思う。今御説明がありましたけれども、例えば、この教育長の職務というものをここに一まとめにした、本当にそれならば、ここに教育長の職務を一まとめにしてあるかというと、そうではない。教育長の職務を別なところに切り離して出してある。それを一まとめにしてない。どうもそういうところを見るというとおかしい。本当にここで全部一まとめにした方がいいというならば、全部一まとめにすればいいが、していない。他のところに教育長事務が載せてある。  それからいま一つは、私達の一番この前口にしたのは、いわゆる教育事務については、教育委員会の方は教育長助言推薦を求めることができるということに直すのに非常な苦心をした。それを今度のところでは、五十條の三へ持つて来て、教育長教育委員会の行うすべての教育事務について助言推薦することができると、最初のときの原案の言葉がここへ又戻つて来ておる。どうもこういうところに納得できないところがあるのです。どうも御説明の中に少し矛盾しておるところがあると思うのですが、その点を一つ……
  87. 辻田力

    政府委員辻田力君) この教育委員会法最初政府国会提案いたしました場合と今回の改正案との関係について、特にこの問題について御説明いたしたいと思いますが、前の政府原案によりますると、四十九條において、教育委員会教育長推薦により左の事務を行うというふうになつておりまして、それが現行法のように改正つなつたのでありますが、この場合におきましては、教育委員会事務を行つ場合におきましては、教育長助言推薦ということが必須の條件であつたのであります。それがなければ、教育委員会事務執行できなかつたのであります。今回におきましてはさようなことはないのでありまして、縷々先程から申上げまするように、教育長は專門家であるというその立場から助言又は推薦することができる。教育長はそれをすることができるが、それを教育委員会が採用するか採用しないかということは全然別個の問題でありまして、教育委員会がそれを聽いて適当でないと思えば、それを採る必要はないのであります。そこで助言推薦は必須の條件ではありません。だから助言推薦がなければ教育委員会は仕事ができないという問題ではないわけであります。その点が全然前と違つておりますので、御了承を願いたいと思います。
  88. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 それから今の教育長の職務の中に、これに載つていないのがある。五十條の三のところで、教育長の職務というものをここで一まとめにしたと言うが、一まとめになつていない。他のところへ職務が載つておるのはどういうわけですか。
  89. 辻田力

    政府委員辻田力君) 五十條の三と申しますのは、これは教育長の特殊な性格から考えまして、総括的な問題をここへ載せた場合に、こういう場合にはこうだということは、これは法文規定でありまして、教育公務員特例法の中にも、或いは社会教育法の中にも、教育長推薦することはどうかというふうにしてございますし、又教育委員会自体にも個々の場合についての規定はあると思います。例えば四十五條のようなところに規定があります。ここで五十條の三といたしまして規定しましたのは、これは一般的な規定をまとめたわけでございます。一般的と申しますか、総括的と申しますか、教育長の性格それ自体から直接に発する作用と申しますか、権能と申しますか……
  90. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 そこで第三節の教育長及び事務局のところにそういうものも含まれておるのだから、あなたが最初におつしやつたように、教育長の職務に関するものを第三節に入れるのは不適当であるというふうな説明が崩れて来るわけです。
  91. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それでは四十四條第一項について。
  92. 辻田力

    政府委員辻田力君) 次に「四十四條の第一項中「(会計及び土木建築に関する部課を除く。」を削る。)」それについて説明を申上げます。  これは現在こういうふうな規定がございまして、教育委員会事務局では、会計及び土木建築に関する部課を置いておりませんが、ここで削りました理由は、こういうふうなことを法律によつてコントロールするということは適当ではないので、これは地分分権の立場から考えまして、地方実情に応じて、地方が適当であると、必要であると思えば置いて差支えありませんし、置く必要がないと思えば置かなくてもいいのです。その点は現在の四十四條によりますと、必要な部課を置くということになつておりますので、どの部課が必要であるかということは、地方実情に委すというふうな立場を採つたのであります。尚これは四十九條の改正にも関連があるのでありまして、四十九條の第八号におきまして、「学校その他の教育機関の敷地の設定及び変更並びに交舍その他建物の営繕、保全の計画及びその実施の指導に関すること。」という現行法の「指導」ということを削りまして、「実施に関すること。」といたしました。これらの実施の責任を教育委員会自身が持つということにしまして、單に指導とありますると、文字だけから受ける感じから申しまして、指導だけしておればよいので、実際の実施のことには関係しないように見えますから、その点を明らかにしまして、責任の所在を明確にするという点から、四十九條の第八号の内容改正しておりますが、これとも関連がありまして、只今の「会計及び土木建築に関する部課を除く。」という規定を削ることにしたのでございます。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  93. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 別に御発言ありませんか。  それでは次に四十五條第一項について。
  94. 河野正夫

    ○河野正夫君 それももういいです。関連をしてずつと分ります。
  95. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 ただ問題は、今の四項の「第一項及び第二項の職員並びに学校の事務職員は、教育長推薦により、教育委員会がこれを任命する。」と、教育長の仕事が出ておるということを一応注意して……
  96. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 次に第四十六條。
  97. 河野正夫

    ○河野正夫君 これも後に廻して……
  98. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) よろしうございますか。  では四十七條……四十九條。
  99. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 御説明願います。
  100. 辻田力

    政府委員辻田力君) 四十九條の改正について御説明申上げます。先ず最初に第一号と第二号の問題を申上げます。現在は第一号におきましては、学校その他の教育機関をむしろ営造物として考えまして設置、廃止に関しての規定を設けました。第二号の方におきまして、それを精神方面内容方面と、物的方面とに分けまして、「学校その他の教育機関の運営。」これは内容方面を主として考えまして運営する。それから「管理」は物的方面考えまして、管理という言葉を使つておるのでありますが、これは必ずしも適切でないというふうに考えまして、この際これを改めたものでございます。即ち第一号の「設置」の下に「管理」という文字を入れ、「学校その他の教育機関の設置、管理及び廃止に関すること。」というふうにいたしたのであります。これはむしろ現在の第二号の「運営」をここへ持つて来たような、「運営」という文字を「管理」に改めましてここに持つて参りました。営造物全体のことの観点から見ますると、「管理」を入れるのが適当だというふうに考える次第でございます。第二号をこれを全然財産という面からのみ考えることにいたしまして、「学校その他の教育機関の用に供し、又は用に供するものと決定した財産」これを教育財産というといたしまして、財産の取得管理及び処分に関することは全部教育委員会で行うというふうにいたしまして、従来「管理」という文字だけで物的方面について書いてありましたために、取得或いは処分について明確でなかつた部面を明らかにした次第でございます。  それから第五号はこれは削除いたしましたが、「教育公務員特例法」が別途制定されましたし、この第六号との関係におきまして必ずしも特別にこれを分ける必要がございませんので、六号と合併いたした次第でございます。  それから次に七号の改正は、これは「教員その他教育関係職員の組織する労働組合に関すること。」こういうふうになつておりまするが、これが「教育委員会及び学校その他教育機関の職員」というふうの組織する労働組合に関するこういうふうに改めたのでありまして、これは教育委員会自身の中に、或いは事務局自身に組合ということも結成されることはあると思いまするので、かように改めたわけでございます。  それからその次の第八号は、先程申しましたように「実施の指導に関すること。」というふうになつておりまするが、これは実際は実施の全責任を教育委員会が持つのが適当であると思いまするが、「実施の指導」という文字がありまするために、單に技術的な指導だけをするのであつて、責任は全然ないというふうに読めることもありまするので、この際責任の所在をはつきりいたしますために、「実施の指導」というのを削りまして、「実施に関すること。」こういうふうにしたのでございます。責任の所在をはつきりするという意味においてかように改めた次第でございます。  それからその次の九号の「教具その他の設備の整備計画に関すること。」こういう「計画」という字を除きましたが、これも「計画に関する」こういうふうにありますると、計画を作るだけであればいいというふうに取れますので、言葉が足りませんので、これは「整備に関する」といたしまして、「計画」は勿論でありまするが、整備の実施についても掌るというふうにしたのでございます。  それから次に第十六号を、現在の十六号、十七号、十八号をそれぞれ繰下げまして、その間に新しい十六、十七、十八号を新しく加えたのでありまするが、これは皆保健衞生に関する事項でありまして、現在の教育上この点は強く主張されなければなりませんし、非常に重要な問題でありまするので、規定した次第でございます。十六号におきましては「校長、教員その他の教育職員並びに生徒、兒童及び幼兒の保健、福利及び厚生に関すること。」第十七号「学校の保健計画の企画及び実施に関すること。」第十八号「学校環境の衞生管理に関すること。」こういうような学校保健衞生に関する事項は特に重要性がありますので、取上げて規定した次第でございます。
  101. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 四十九條はよろしゆうございますか。
  102. 河野正夫

    ○河野正夫君 最初の本文の「教育長に対し、助言推薦を求めることができる。」ということを削つた理由。それから第五條を削つておるのでありますが、六号に含ませるという意味であるならば、六号の教育機関の職員という中に教員を含むと考えておるのかどうか。
  103. 辻田力

    政府委員辻田力君) 第四十九條の現行法から但書を削いた理由でありまするが、先般来もたびたび申し上げますように、先ず最初にこの四十九條は教育委員会事務の範囲につきまして、第四條の教育委員会権限上との関係を明瞭にし、その事務を明示するということに重点を置きまして、教育長との関係等につきましては、ここに特筆する必要はない、その関係はこの内部の問題でありまするから、あとで書けばよいということにいたしたのであります。従つてかようなできないというのではなくて、こういうことをここに書くのが適当でないというふうに考えた次第であります。それから五号を削りまして六号に持つて行つたことにつきましては、別途に教育公務員特例法ができまして、教員の人事につきましては明瞭になりましたので、ここに詳しくこういうような條文を置く必要がありません。それで六号を一緒にしたのでありまするが、その他の教育機関の職員に校長、教員を含めておるという考であります。
  104. 河野正夫

    ○河野正夫君 他の法案にあるから必要がないという考え方は、こういう法律というものの、例えば、教育委員会法というものは教育行政のことで必ずしも学校教育法や教育基本法を母体とするものではないでしようけれども、しばしば繰返されておる。これは辻田局長も御存じであろうと思うのであります。例えば教育職員免許法の中に、学校教育法にあるところの教職員に免許状を渡さない場合の欠格條項というような場合は繰返されておると思うのです、だから必ずしも繰返して悪いということはない。それを取つて、而も六号の方の職員というものは、他の場合でもそうですが、校長を含まない。教育職員免許法の場合でもそうでしたが、明瞭に含まないでずつと考えられて来ておると思う。それを特にここで六号の職員の中に校長や教員も含むのだというふうに、途端に解釈するのは、如何かと思うのですが、この点はどうですか。
  105. 辻田力

    政府委員辻田力君) 五号を削つたことにつきまして、私の説明が不十分でありましたために誤解を生じたのではないかと思います。他の法律に書いたから削つたということかも知れませんが、別に教育公務員法の任命等に関する規定に基くということが相当意味があつたのでありますけれども、これはもうすべて教育公務員特例法としてできてしまいました。そこでそちらの方で詳しく書いてありまするし、直すといたしましても、教育公務員特例法に基くということになりますわけでありますが、この四十九條の職員の権限を書いたものとしては必要はない。これはこういう法律規定に基くというようなことにいたしまして、法律手続等につきましては、特例法に詳しく書いてあるからその方ではつきりいたしまするのでここにはそういうふうなことを書く必要はないので、ただここには職員の人事を扱うということがはつきりすればいいということになると思うのであります。そこで前にこういうように五と六と分けておりましたが、それを「教育委員会及び学校その他の教育機関の職員」といたしますれば、ここですべて統括されまするので、六号にまとめたわけでございます。
  106. 河野正夫

    ○河野正夫君 今の御説明はどうも能率的でないと考えます。というのは、この改正案ができない前にすでに五号と六号が分立しておる、そうして五号を削つたものは六号の中に入つちやうという、そういう無茶な法律解釈というものはあり得ない。それから今の教育公務員特例法によつてというならば、教育委員会の職員の或る者は明らかに免許法の中にも書かれておるわけですね。それで特にさつき私が問題にしたのは、職員という言葉が教育を含んでいると法律的に解釈される慣例があるかないか。解釈されないという建前からずつと今までの要領が来ておるのだと私は思うが、その点はどうかと言うのです。
  107. 辻田力

    政府委員辻田力君) 六号の職員の中に校長、教員を含めることは無理ではないかという御説でございますが、教育職員免許法の場合におきましても、職員の中に校長、教育を含めておると思います。
  108. 河野正夫

    ○河野正夫君 そうだとすると、初めの案において五号と六号の二本建にしたのはどういう理由なのですか。
  109. 辻田力

    政府委員辻田力君) 最初法案提案した場合におきまして、五号と六号に分けた方がはつきりすると思つたのでありますが、むしろその場合におきまして、後の校長、教員、これは教育委員会が任命その他の人事に関する権限を持つているにも拘らず、特に五号のように書き出してありますると、その間に特別な扱いがあるかのような印象を受けるのであります。そこで最初こういうふうに分り易くするために分けたのでありまするが、それが却つて分り易くなくて、何か特別の意味があるような印象を受ける場合が起るのでありまするので、この際はつきり一つにした方がいい。而もここは職員の権限のことを規定しておる事項でございますので、その点を六号にまとめた方がよろしいということになつております。
  110. 若木勝藏

    若木勝藏君 四十九條の但書のところで、これをここへ置くことが不適当であるというふうな御説明がありましたが、その理由について私はつきりしませんから、もう一遍はつきり御説明を願います。
  111. 辻田力

    政府委員辻田力君) この四十九條並びに五十條は、教育委員会事務を第四條の権限と関連させまして規定するようにいたしましたので、その関係上、ここでは教育委員会職務権限についてのみ規定するのが適当で、その教育委員会の内部における事務執行の方法までここで規定する必要はないという考え方であります。
  112. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうすると五十條の三にある教育長の場合は、同樣に考えられないものかどうか、その点に関する……
  113. 辻田力

    政府委員辻田力君) 五十條の三でございますか。
  114. 若木勝藏

    若木勝藏君 三の第一項ですね。本文ですね、そういうものはどうなつておるか。「教育事務につき、助言し、推薦することができる。」ということは、前と同樣に考えられないかどうか。考えられるのでないか。
  115. 辻田力

    政府委員辻田力君) ちよつと失礼でございますが、前と同樣と申しますのは……
  116. 若木勝藏

    若木勝藏君 四十九條の教育委員会の但書をここに置くのは、今お話のあつた通り不適当である、それで、五十條の三の第一項に教育長の場合を入れることは差支えないのかということです。
  117. 辻田力

    政府委員辻田力君) さようでございますか、この五十條の三の場合は、教育長の職務を書いたわけでございますが、教育長の職務としましては、教員委員会の下にありましてこういう助言推薦をするということが仕事でございますから、その職務の内容でございますからこれを規定したのでございまして、この教育委員会の場合におきましては、これは包括的に権限を書いたので、教育長関係がむしろ委員会の内部の問題であるわけであります。
  118. 若木勝藏

    若木勝藏君 教育委員会事務委員会の内部ではありませんか。而もこれには、第三章として教育委員会の権務の権限だということが明瞭にしてあります。
  119. 辻田力

    政府委員辻田力君) 四十九條の問題について重ねて御質疑でございますが、これは教育委員会が何をなすかということを、教育委員会権限と関連さして、ここに例示的に書いたわけでありまして、教育委員会の内部の事務執行についての方法或いは手続ということについてここに書く必要はないという考え方で、但書を削つたのでありまして、この教育長に対して助言推薦を求めることができるということは、上司が下司に意味を聽くことができるという場合は、特別に書かなくても当然できる問題でありまして、ここでそういうふうな内部の事務手続を書く必要はないという考であります。五十條の三は、教育長が上司に対して意見を述べることができるというふうな考え方から、專門的立場でこれを助言推薦することができるというような表現にいたしたのでございます。
  120. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) では第五十條。
  121. 辻田力

    政府委員辻田力君) 五十條は都道府県教育委員会のみに関する規定でございますが、これをやはり第四十九條との関係におきまして、都道府県委員会は、前條すなわち第四十九條の各号に掲げる事務の外、次の事務を行うというふうにいたしまして、この現在の規定にありまする事項の外に若干の事項を附加したのでございます。  その一つ都道府県内の学校給食に関する企画をしたり、又学校給食のための配給物資の管理及び利用をしたりする準備、それから史跡、名勝、天然記念物、国宝及び重要美術品等の保存行政に関する事務。私立学校を設置する法人を除く教育に関する法人に関する事務執行するというふうな、これらの事柄を都道府県委員会の專属の事務規定したのでございます。これを特に都道府県以外の委員会事務にいたさないのは、これらの仕事が相当人的なスタッフも必要でありまするし、又特別な経費等についても必要のある場合がありまするし、又従来こういうふうに都道府県自身においてこの事務執行しておりました関係とも睨み合せて、都道府県委員会事務規定した次第でございます。
  122. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 ちよつと今の五十條ですね、「教育委員会権限に属する事務のうち、」とありまするが、教育委員会権限に属するものは四十九條に謳つてあるわけですね。そのうちという意味なんですか。どこかに教育委員会のそれ以外の権限に属する事務が全部書いてあるのか、そのうちからこれだけ引出して来て、これが都道府県委員会のみで行うことになるのか、その辺がどうもはつきりしない。
  123. 辻田力

    政府委員辻田力君) お答え申上げます。この教育委員会権限委員会法の第四條に規定してございまして、従来都道府県若しくは都道府県知事、又は市町村若しくは市町村長の権限に属する教育、学術、文化に関する事務、並びに将来法律又は政令により当該地方公共団体及び教育委員会権限に属すべき教育事務、これを管理し執行するのが教育委員会権限でございますが、これは相当広範囲に亘つている問題であります。この四十九條に書いてありますことは、この具体的なものを全部必ずしも網羅をしているわけではありません。重要なものについて規定している次第でございます。従つてこの規定から洩れているのも相当あるわけでございます。細部に申しますと洩れたものもあるわけであります。そこで四十九條はこれは都道府県委員会地方委員会も、両方の委員会において、委員会はすべての委員会がこの事務執行する権限を持つているわけでございますが、五十條におきましては、それらの外に都道府県委員会のみが執行すべき事務規定したのでありまして、この四十九條に書いてありまする事項が、これが例示的な事項であるということによつて了承願えるのではないかというふうに考えるのであります。
  124. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 そういたしますと、四十九條及び五十條以外にまだ教育委員会権限に属するものがあるわけですね。
  125. 辻田力

    政府委員辻田力君) ここにはつきり規定してなくてもあり得るわけでございます。
  126. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) よろしうございますか。進行いたします。では五十條の二。
  127. 辻田力

    政府委員辻田力君) 五十條の二について御説明申上げます。五十條の二は、先程来教育長乃至は教育委員会関係につきまして関連して御説明申した点もございますが、教育委員会会議性の執行機関であるという点から考えまして、常時委員会を開いておることはできない場合がございますので、その間におきまして、特別に委員会自身が教育委員会規則を以て軽微な事項については、これを教育長事務の一部を委任する、又は臨時に代理させるということができるようなことにしたのであります。これは事実若干の委員会では法律に従わずにやつておられるようでありますが、その法規の根拠なしにやるということは、いろいろな点で将来障碍も起ることがありまするしいたしますので、その関係をむしろ法文上明確にいたした方が適当であると考えまして、この法文規定した次第でございます。  第二項につきましては、教育長教育委員会から一部事務を委任された場合に、その事務の一部を、またこれを学校の長、或いは又その他の教育機関の長又は教育委員会の任命に係る職員に委任する、いわば複委任というふうな形になりますが、そういたしまして、最も事務を円滑に能率的に運用できるようにいたすということが地方教育行政の進展上必要かと考えまして、かような規定を設けた次第でございます。
  128. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  129. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 速記を始めて。五十條の二は外に御発言はございませんか、それでは五十條の三。
  130. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 大分時間も経ちましたし、速記の方の時間も切れたようでありますから、この辺で本日は止めたら如何でございましようか。
  131. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それでは今日はこの程度を以て閉会いたします。    午後四時四十三分散会  出席者は左の通り。    委員長     田中耕太郎君    理事            若木 勝藏君            木内キヤウ君            藤田 芳雄君            松野 喜内君    委員            河野 正夫君            小野 光洋君            大隈 信幸君            梅原 眞隆君            三島 通陽君            岩間 正男君            鈴木 憲一君  政府委員    文部政務次官  平島 良一君    文部事務官    (調査普及局    長)      辻田  力君