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1949-11-25 第6回国会 参議院 文部委員会 第6号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十四年十一月二十五日(金曜 日) 午後一時五十四分開会 ――――――――――――― 本日の会議に付した事件 ○
私立学校法案
(
内閣送付
) ―――――――――――――
田中耕太郎
1
○
委員長
(
田中耕太郎
君) それでは今日の
文部委員会
を開会いたします。議題にな
つて
おりますところの
私立学校法案
についての
審議
を開始いたします。今日は
私立学校法案審議
のために
参考意見
を伺うことにな
つて
おりまして、そのために
参考意見
をお述べになる
方々
の御来席を
願つた
わけでございます。 初めに
一言委員長
から御挨拶を申上げたいと存じます。
私立学校法案
という極めて重大なる
法案
がこの度
国会
に提案せられまして、私共
委員会
におきましては
審議
を継続いたしておるわけであります。この
法案
の
重要性
に鑑みまして、
私学
の
関係
の
方々
並びに
一般
に
教育
に関しまして長い間の御
経験
なり又深い御
識見
をお持ちにな
つておいで
になる
方々
をお招きいたしまして、忌憚ない御
意見
を伺うということは、
法案
の
審議
のために極めて有益なことでありますのみならず、又特に必要なことと存じましたわけでございます。
従つて
非常に御多忙中であられるのに拘らず今日
お出で
を
願つた
次第でございます。ただ
法案
の
審議
、日が極めて切迫しておりますために、
お出で
を願う人数も大変限らなければなりませず、又ゆつくりお話を伺いたいところでありますけれども、止むを得ず御発言願う時間も限らなければならない次第でございます。併し又
質疑応答
の際にいろいろ補
つて
頂きたいというふうに存ずる次第でございます。重ね重ね今日
お出で
を願いましたことを厚くお礼を申上げる次第でございます。 それでは御
出席
になりました
各位
の
私立学校法案
についての御
意見
を伺わして頂くわけでございます。時間は大体十分ぐらいの
見当
にお願いいたしたいと存じます。先ず御紹介申上げます。
日教組関係
の
江口泰助
君、それから
私学総連関係
の
大濱信泉
君、
私学総連関係
の
堀内操
君、
東京都庁関係
の
立花昌夫
君、
PTA関係
の
芝山安弘
君。それでは先ず
私学総連関係
の
大濱信泉
君にお願いしますが、
ちよ
つとその前にお断り申上げて置きます。
只今
御紹介申上げました各
団体
なりその他の
関係
から今日御
出席願つた
次第でございます。併しここで御
意見
を承るのは各
団体
の
代表
という
意味
ではないので、
各位個人
の御
意見
なり、或いは御
識見
、御
経験等
を伺うわけでございまして、その点は十分御
了解
をお願いいたしたいと思います。それでは
大濱信泉
君にお願いいたします。
大濱信泉
2
○
参考人
(
大濱信泉
君)
大濱
でございます。御指名によりまして
私立学校法案
に関する
私学関係者
としこの
意見
を申上げて置きます。 この
法案
の
作成
の経過、この
法案
の
作成
の
根本方針
、この
法案
の具体的の
目標
、この
法案
に対する
反対論
とこれに対する私の方の
立場
、こういう順序で極く
簡單
に申上げたいと思いますが、
只今委員長
から十分以内という時間を與えられましたが、大体十分以内で納める積りでありますけれども、多少超過するようなことがあるかも知れませんが、その節はお許し願いたいと思います。 元来
私立学校法案
は、
日本私学団体
総
連合会
の発議に基くものでありますが、
政府提出
の形式を取りまする
関係
上、途中から
文部省
との協力の下に
立案
の仕事を進めて参
つたの
であります。尤も
最後
の
段階
におきましては、
文部省
が指導的の
立場
において仕上げをいたしたのであります。
日本私学団体
総
連合会
は、
全国
約三千に上ります
私立学校
について、
幼稚園
から
大学
に至るまで、各
階層ごと
に横断的に
協会
を組織いたしまして、その
協会
を連合いたした
一つ
のフエデレーシヨンでありますが、かかる
連合会
を結成いたしましたのは、
終戰後
の社会的の混乱、
経済的窮乏
に伴いまして、
私立学校
は非常なる
難局
に遭遇いたしましたので、その
難局
を打開するためには、どうしても
私学
全体の力を結集する必要が痛感いたされましたのと、他面今次の
民主革命
に伴いまして、
私学
の
地位
並びにその果すべき
役割
の上にも大きな問題が投げかけられておるように考えられまして、その解決のためにも、全
私学
が組織化される必要があるという考に基くものであります。
連合会
は結成以来いろいろの問題を取り上げて参りましたが、
私学
の
地位
を高める方策の
一つ
としまして、殊にCIEの
人々
の助言などもありまして、この
私立学校法制定
の問題を取り上げて来たのであります。 さて本案の
立案
に当りまして、一番
最初
に遭遇いたしました問題は、
教育
に関する
国家
の
法律制度
なり或いは
行政機構
との
関連
において、
私学
はどういう
立場
におかるべきものであるか、この
私学
の
在り方
に関する根本的な
方針
であります。この点につきましては
アメリカ
の
人々
から、元来
私学
というものは
ノー
・
コントロール
であるべきで、
私学
が
国家
の
法律
によ
つて
規制され、行政的の
監督
に服するということは、あまり感心したことではないというような
意見
をしばしば聞かされたのであります。併しよく考えて見ますというと、
日本
と
アメリカ
との間には根本的に国柄の
相違
があるのでありますので、そのサゼツシヨンに
従つて
、文字通り
ノー
・
コントロール
で進むということが、
日本
の現
段階
では適当ではないのではないか、御
承知
のように、
日本
におきましては
教育
の
方針
も、
学校制度
も、大体その大綱というものは
教育基本法
なり、
学校教育法
で定められておるのでありまして、現に
私学
はこれらの
法律
に準拠して
設立
され、これらの
法律
に
従つて運営
をされておるのでありまするので、私共
私学関係者
としまして
国家
の定めた
教育
に関する
法律制度
の外に
私学
を置こうという考は持
つて
おらないのであります。 ただ現在
私学
が
学校
の面においては
学校教育法
の
支配下
にあり、その
経営主体
の面においては例外なしに
民法
の
財団法人法
の
支配
を受けておるのでありますが、この
私学
の
特殊性
の
観点
から、これらの
一般法人
に対して特例を設けるという
考え方
で、この
私学法
の
立案
に取りかか
つたの
であります。要するにこの
法律
は
学校教育法
と、それから
経営
の
主体
であります
法人
につきましては、
民法
の
財団法人
とは
違つた学校法人
と称する
特殊法人
を構想しておるのでありますが、この
法人
につきましても、
公益法人
に関する
民法
その他の
法律
の採
つて
おる基本的な
方針
、例えば、
法人
の
設立
が
行政庁
の
認可
が要るとか、寄付行為の
変更
が
行政庁
の
認可
が要るとい
つた
ような
法律一般
の
基本方針
に副
つた
もので、いわば既存の
法律秩序
の線に副
つて私学
についての特別の項を作るという
考え方
でありまして、その
観点
から申しますると、何ら革命的な
條項
を含んだ
法案
ではないのであります。 さてかような
根本方針
に立脚しまして、具体的には
三つ
のことを
目標
といたしておるのであります。 第一は、
私学
の
自主性
の
尊重
ということであります。具体的に申しますれば、
私学
を能う限り官憲の
支配
から解放して、自由な
立場
に置くということ、第二は、
私学
の
公共性
を高めるということ、第三は
憲法
八十九條との
関連
におきまして、国又は
地方公共団体
が
私立学校
に対する財政的の援助を與えるについての
法的基礎
を明確にするということであります。この
三つ
の
目標
が具体的に法文の上にどう織り込まれておるかということにつきましては、恐らくすでに
文部当局
から詳細の御
説明
があ
つた
かと拜察いたしますので、この点は省略いたしますが、ただ
私学
の
自主性
の
尊重
ということと、
公共性
の高揚という問題をめぐりまして、
文部省側
と私共
私学関係者
との間に
相当見解
の
相違
がありまして、この
法案
をめぐ
つて
多少の紆余曲折があ
つたの
でありますが、併し幸いに
話合
の結果
上程
前に
原案
を大巾に修正されまして、大体において今申上げました
三つ
の
目標
はこの
法案
の上に実現できたものであるというふうに私共考えておるのであります。具体的に申しますというと、この
私立学校
に対する
行政面
につきましては、
行政庁
の
監督権
というものを、第
五條
にありますように、
学校
の
設置廃止
、
設置者
の
変更
及び
私立学校
の
閉鎖命令
、この二つに限定いたしまして、尚
学校法人
につきましては、
民法
の
財団法人
におけるように、
行政庁
が
法人
の
業務一般
について全面的の
監督権
を持つということを排しまして、
認可事項
として、
法人
の
設立
、寄附行為の
変更
、合併及び
解散決議
、これだけのことを
認可事項
とし、尚この
法案
によりますというと、
学校法人
が
收益
を伴う
事業
を営み得るようにな
つて
おるのでありますが、その
收益
を伴う
事務
の
経営
が
法令
に違反し、或いはその
收益
の使途が不正な場合には、その
事業
の停止を命じ得るという
規定
があるのであります。これは第六十一條でありますが、更に
法人
の役員が重大な
法令違反
をして、到底その
法人
をそのまま存続することが適当でないとこう認められたときには
解散
を命じ得る。第六十
二條
の
規定
であります。六十
二條
で
命令事項
として
規定
しておるのでありまして、このように
法人
につきましても、
民法
の
財団法人
に較べまして
行政庁
の
監督機能
というものが非常に限定されておるのであります。尚これが限定された
監督権限
につきましても、その
法人
が独善に陷ることを防止するために、
大学
につきましては
私立大学審議会
、その他の
学校
については
私立学校審議会
という
委員会
を
構成
しまして、それがこの
所轄庁
の
監督権限
の
行使
について
諮問機関
として
役割
を果す、
所轄庁
が
監督権行使
に当
つて
は予めこの
審議会
の
意見
を聞かなければならんという仕組にな
つて
おるのであります。 尚
憲法
八十九條との
関連
問題でありますが、御
承知
のように公の
支配下
にない
教育事業
に対しては、公金又は公の財産を支出又は利用してはならんということにな
つて
おりますので、どうしても
私学
が公の
補助
を受けますためには、公の
支配
という
條件
が満たされなければならんということで、具体的に第五十九條の
規定
が現れて来ておるのでありますが、この点につきましても、当初法務府から示された
條件
というものは非常に
私学
の
立場
から申しますれば、苛酷厳重なものでありましたが、この点も、いろいろ
関係当局
と折衝の結果、まあ非常に緩和されたものにな
つて
来ておるのであります。かようなわけで、大体私共はこの
法案
というものは当初揚げました
三つ
の
目標
が実現できたものとこう考えておるのであります。ただ慾を申しますというと、この
私学
の
自主性尊重
という理想から申しますれば、第
五條
第二項の
学校
の
閉鎖命令
の
規定
、それから第六十
二條
の
法人
の
解散命令
の
規定
、これはなくもがなの感じがいたさないわけではないのであります。若しこの第
五條
第二項の削除が不適当であるということになりますれば、せめてこの第
五條
第二項の中に、「
故意
に」という三字を入れて頂きたい。「
私立学校
が、
法令
に違反したとき」とあるのでありますが、「
私立学校
が
故意
に」という文字を先ず入れて頂きたいという
希望
を持
つて
いるのであります。これは
学校教育法
にもこの三字は入
つて
おるのでありますから、この
私立学校
について特にそれを削除して嚴格にする必要はないのではないかという考であります。尚その後段に「
法令
の
規定
に基く
所轄庁
の
命令
に違反したとき、」これだけの字句が入
つて
おるのでありますが、この
一句もち
よつと
私立学校
については削除して頂ければ削除して頂きたいとまあこうい
つた
希望
を持
つて
おるわけであります。
最後
にこの
法案
に対していろいろ
反対論
がありますので、この
反対論
に関する私共の考を申上げたいと存じますが、この
反対論
の第一はこの
法案
が
私学
に対する
官僚統制
を強化して
私学
の
自主性
を害し、
甚しき
に
至つて
は
大学
の自由をも危くするものであるという
趣旨
の
主張
がなされておるのであります。この
反対論
は修正前の
原案
に対してはやや当
つて
おるかと思うのでありますが、併し
上程
前にすでに大巾に修正されておりますから、現在
上程
されておる案に対して考えれば、
ちよ
つと
見当違い
の
議論
のように考えるのでありまして、先程から繰返し申しましたように、この
法案
は
私学
の
自主制
の確保を狙
つた
ものであ
つて
、
私学
の
地位
は現在置かれておる
地位
よりも遥かに改善され、より重要な
立場
に置かれることは明らかでありますから、今の
反対論はちよ
つと的なきところに矢を放たれた
議論
のように私共は理解しているのであります。尚
関東私立大学教授協議会
という名を以ちまして、
私立大学強化
に対して、この
法案
の
国会上程
には絶対
反対
という申出があ
つたの
であります。この
関東私立大学教授協議会
というものは、私共の観測によりますと、一部の
大学
の極く少数の
教授連
によ
つて
この
法案
に対する
反対運動
のために結成されたもののように理解するのでありますが、その
主張
は
結論
としまして、この
法案
の中から
大学
に関する部分を削除して、別に
私立大学法
というものを制定しろという要求であります。仮にその
主張
に
従つて大学
を分離いたすといたしましても、
学校法人
についてまで
大学法人
とその他の
学校法人
とを区別するということは恐らくはできないかと思われますので、恐らくこれらの
反対論
を唱える人もこの
法律
の第二章にある
大学
に関する
規定
だけを分離しろという
趣旨
であるように理解されるのであります。そうして
大学
を分離して別個の
法律
を制定しろと言われるその
理由
でありますけれども、私共の伺
つて
おりますところによりますと、大体
三つ
あるのでありますが、第一はこの
法案
によると、
大学
から
幼稚園
に至るまで、又
附則
においては
各種学校
までも
規定
されているので、
一つ
の
法律
の中に
大学
と
各種
の
学校
とが雑居するということは、如何にも
大学
の
権威
に関するという御
議論
であります。これは
ちよ
つと私共は肯けないのでありますが、現在
学校教育法
におきましても、やはり
幼稚園
から
大学
までを
規定
し、更に
附則
においては
各種学校
を
規定
しているのでありまして、それがため
大学
の
権威
が破壊されるということはないものであるというふうに考えるのであります。第二の論拠は
大学
というものは最高の
教育機関
であると同時に、
研究
の場でもある。外の
学校
とは
違つて特殊性
を持
つて
いるのだから、その
観点
からやはり
大学
についてはそれ相応の
立法
が必要であるという御
主張
でありました。これも一応尤ものようでありますけれども、併しこの
法案
におきましては行政的な
監督規定
を成るべく少くしようということと、
学校法人
のことを
規定
しているのでありまして、何ら
大学
の
内容
に触れたものではないのであります。
反対論者
は、そういう消極的なことばかりではなくて、やはり
大学
の
在り方
というものをもつと積極的に
規定
すべきじやないか、そのために特別な
立法
が必要であるということを
主張
されているようでありますけれども、すでに
大学
の
在り方
、或いは
教育
の
方針
というものは
教育基本法
なり
学校教育法
に明らかでありますから、その
法律
によ
つて
示された枠内において各
大学
が
研究機関
としてどういうふうな
在り方
にするかということは、これは各
大学
が自由に決定すべき問題であ
つて
、更に
法律
を
作つて拘束
をするということはこの
法律
の
根本精神
とはむしろ抵触するので、私共それに賛成いたしかねておるのであります。 それから第三に、
国立大学
につきましては、目下
国立大学管理法
というものを制定するために、
文部省
におきましてもその起草の
協議会
が作られておるのであります。私もその
委員会
の末席を汚しておる一人でありますが、そこでそれと並行しまして、
私学
についてもやはり
私立大学法
というものを作るべきだという
主張
がなされておるのであります。この
国立大学
の
管理法
がどういう
内容
になりますか、今のところ確定はいたしておらんのでありますけれども、恐らく私共の予想いたしますところでは、各
国立大学
の
個々
の
大学
についての
行政機構
を考慮する、例えば
教授会
の
構成
、
権限
、それから総合
大学
における
評議会
の
構成
、
権限
なり、或いはその外いわゆる
理事会
とい
つた
ような
機関
が必要であるが、尚中央におきましては、
文部大臣
の外に何らか
中央機関
が必要である、そうい
つた
ようなことが主としてこの
法案
の
内容
になろうかと思いますので、
私学
についてそういうことまで
法律
で決めるということが果して必要であるかどうか、この点についてここに疑いを抱くわけであります。若し仮にそういう
立法
の必要があるといたしましても、これは
私学法
というものが一旦通過した後に又
立法
することの機会もあるわけでありまするから、ただそれだけの
理由
でこの
私立学校法
が
今期国会
を通過することを阻止すべき
理由
にはならないというふうに私共は考えておるわけであります。その次に
反対論
は、
所轄庁
に関する問題と、
私学審議会
の性格なり
構成
に関する問題であります。この
法案
がいよいよ
法律
として成立いたしました場合には、
私立学校
は何らかの
機関
を通じて国の
行政機構
と接触しなければならないわけでありますが、この
法案
においては
学校教育法
及び
公益法人
に対する従来の
日本
の
一般方針
に
従つて
、
私立学校
に関する
行政官庁
を、
大学
については
文部大臣
、その他の
学校
については
都道府県知事
といたしまして、これに
諮問機関的性格
の
私学審議会
を附置して、この
所轄庁
の
権限
の
行使
の
独善化
を防止するという仕組みにいたしておるのでありますが、これに対して
審議会
を
委員会組織
の独立の官庁として、
文部大臣
や
都道府県知事
の
権限
をそこに移すべきであるという
主張
があるのであります。尚この
委員会
の
構成
につきましても、
委員
を公選にすべきである、或いはこの現在の案によりますというと、この
審議会
の
委員
というものは
余り経営者
に偏しておるので、
教職員組合代表
も入れるべきであるとか、さまざまな
反対論
もなされておるのでありますが、私共はこの
法案
による
所轄庁
の
権限
というものは、決して
私学
の
教育
の
方針
や
個々
の
学校
の運営の
内容
に立入
つた
自主的な問題ではないのであります。極く形式的なことに限られておるのでありますので、さような大掛りな強力な
行政機関
を持つ必要はないという考でおるのであります。そこでこれらの
反対論
に対しては到底賛成いたしかねる次第であります。
最後
に、
全国大学教授連合
もこの
法案
に対して批判的な
決議
をいたしておりまして、恐らく皆様のお手許にもその
決議文
が届けてあるかと拜察いたしますが、実は
大学教授連合
がこの問題を取上げましたについても、多少の時間的のズレがあ
つたの
でありますが、そういういきさつは省略いたしまして、その
決議
は三段から成
つて
おります。第一段は、
私学
というものは成るべく行政的の干渉を廃して、自由にその特色を発揮させるべきものである、殊に
大学
については
最高度
の自治を認めるべきである、そういう
観点
からこの
法案
には多少再検討を要する点があるように思われるというのが第一段でありまして、第二段は、この
私立大学
の任務の
重大性
に鑑みて、戰災の
復興等
については能う限り
国家
は財政的の
求政策
を講ずべきであるけれども、この場合においても
補助
を
條件
として、徒らに
監督
の強化を図るようなことは避けなければならない、殊に
貸付金
を
補助金
と同視して、同様な嚴重な
監督
に服するということは行過ぎではないかということ、第三段には、この
法案作成
の
手続
の問題でありますけれども、この
私立学校法案
みたような国民の利害に
関係
の深い重要な
法案
の
作成
に当
つて
は、
関係者
の外に各方面の識者を加えた公正な
機関
によ
つて愼重
に
審議
をしなければならんということであります。実はこの
決議文
も
大学教授連合
の
評議会
で大体
方針
が決まりまして、その
方針
に基いて
手続
の文書を書きましたのは、課長の命を受けて私も書いたのでありますが、この
決議
の表面には現われておらんのでありますけれども、含みとしまして、その
決議
は現在
上程
中の
法案
に対する批判的な
意見
は勿論含んでおりますけれども、それによ
つて
決してこの
法案
が
今期国会
を通過することを望まないという
意味
ではないので、むしろ将来に対する示唆の
意味
であ
つて
、現
法案
に対する具体的の提唱ではないという
了解
の下になされておるのであります。どうかこの点
もさよう
に御理解頂きたいと思うのであります。 甚だ長い時間を要しまして誠に恐縮に存じますが、
結論
を要約して申しますというと、
私学団体
総
連合会
といたしましては、この
法案
は元来その発意にかかるものであり、すでに二年近くの
年月
を要して十分に
研究
を遂げて来たものでもありますし、又その
内容
においても大体所期の目的に適
つて
おると考えますので、加盟の各
協会
の
決議
に基きまして、この
法案
が
今期
の
国会
を通過いたしますことを熱望いたす次第であります。
田中耕太郎
3
○
委員長
(
田中耕太郎
君) 有難うございました。如何でございますか、一応皆さんの御
意見
を承
つて質疑
ということにいたしましようか。 〔「その方がいい」と呼ぶ者あり〕
田中耕太郎
4
○
委員長
(
田中耕太郎
君) それでは次に
堀内操
君にお願いいたします。
堀内操
5
○
参考人
(
堀内操
君) 私は
日本
私立
中学
高等学校
連合会
から参りました
堀内
でございます。そういう
立場
から、
只今
全面的に
大濱先生
の御
意見
がございましたので、
中学
、
高等学校
に
関係
の多い面について
簡單
に御
説明
をいたしたいと思います。 私共
中学
、
高等学校
といたしましては、
私立学校法
というものが
教育委員会
と同時にでき上るということを目途といたしておりました。併しながら
教育委員会
ができまして以来、相当長い
年月
を経ておるのでありますけれども、未だに
私立学校法
というものができませんので、我々の面においては空白の状態にあるわけでございます。そのために私共
中学
、
高等学校
の蒙る不便な点というものが非常に多いわけでございまして、後程申上げまするけれども、是非今
国会
に
私立学校法
ができ上らなければならない、でき上らせて頂かなければならないと考えておる次第であります。さて部分的に亘りまして、先ず第四條にございます
所轄庁
のことでございますが、私共
最初
この
法律案
を手掛けました時分には、一応
ノー
・
コントロール
の線から、全面的に我々の持つ
団体
でこれをや
つて
行かなければならないというようなことも考えて見たのであります。即ちチヤーターの
基準
に対する
認定
、或いはアクレジツトの
基準
に対する
認定
、前者は
設置委員会
でこれをやり、後者は
基準協会
というようなものを作
つて
自主的にや
つて
行くことも一
方法
ではなかろうか、特に
監督庁
という
言葉
がカンピテント・オーメリテイーという訳語にな
つて
おりまする以上、そうい
つた
ような
方法
が最もふさわしいのではなかろうかと考られたわけであります。併しながらその後又進みまして
私学教育委員会
という方向で行くのが最もよかろうかというので、一応
文部省
とも
話合
が成り立ちまして、その
方法
で行くことにな
つたの
でありまするけれども、これは、C・I・
E等
のお
言葉
もありまして、
教育委員会
と
私学教育委員会
と同じようなものを二つ立てるということはおかしかろう、特に
私立学校
がそのような強い
権限
のあるものを無理に作らなければならんということは
自主性
を謳う
私立学校
の
自殺行為
ではないか、こういうふうにも言われましたので、それから進んで一応
私学審議会
というようなものが中心になる建前を採
つて
、そうして
所轄庁
というところに最小限の
権限
を置く、こういうことになりまして、現在のような
所轄庁
が
一つ
の
権限
だけを持
つて
、そうして
私学審議会
というものが、
諮問機関
ではありまするけれども、民主的に論議されて、それがその通りに実行されるという行き方が最も今日においてはふさわいかろうという
結論
に達したわけでございます。
従つて
私共は
地方長官
或いは
文部大臣
というものに直属して、その偉大なる
権限
の下に行かなければ
私学
は成り立たないのだというような考は毛頭持
つて
おりません。 次は
教科書
の
検定
或いは
教員
の
免許状
のことでございますが、これも
最初
多くの
方々
からは一応
教育委員会
に置くべきであるというような
意見
も出ました。併しながら
私立学校
のテキスト・ブツクというものが
教育委員会
でこれをなされるというようなことは、多分に
法律
的な色彩を
帶びるわけでありまして
、我々といたしましては、
私立学校
の
教員
の
免許状
なり、
私立学校
で使うところの
教科書
の
検定
なりは、当然我々の
意見
が十分反映されるものでなければならない。そうであるとするならば、一応
所轄庁
にその
事務
をなさせることにして、その下に適正なる
委員会
が開かれて、
検定
なり或は
免許状
なりを取扱
つて
行かなければならんと考えたわけでございます。過去におきましては、一冊の
教科書
を変えるにいたしましても一切
認可
を必要といたしました。一人の
教員
を採用するにいたしましても
認可
を必要としたわけでございますが、こういうようなことから考え合せますると、誠に思い半ばに過ぐるものがあるのでございます。 その次には助成の問題でございますが、私共従来の中等
学校
というものは、過去三十年間に亘りまして
補助金
というものを各地方庁から貰
つて
おるのであります。併しながら二年前
憲法
八十九條の問題から、このことは一応いけないということにな
つたの
でありまするけれども、併し民主主義的に
教育
を大巾に受持つところの
私立学校
というものが、従来得てお
つた
ものを急に止められるということは、非常に困るということを、CIEにも或はGSの方にも篤と
説明
をいたしました結果、それならば一時的の便法として、
教育
契約の
方法
においてやるがよかろうという勧告を受けたのであります。そうして我々従来得ておりましたところのその金額というものは、どのくらいの率であ
つた
かと申しますると、大体一年に一人の先生が一ケ月に貰う俸給とほぼ匹敵したわけでございます。現在の金額で申しまするならば、
教員
一名約一万円
見当
に当るのでございます。こういう
補助金
を頂戴しておりましたところの
教員
の数というものは、
全国
で三万七千二百四十人という数に上るのでございまして、そういう面から、多少なり又生徒の方に及ぼす影響を考えまするというと、実にその生徒は
全国
で六十七万八千五百八名という多数に上
つて
おるわけでございます。併しながら今年度に至りましては、
私立学校法
ができるということの見通しがついておりましたので、各府県共この
私立学校法
のできるのを待
つて
おるわけでございまして、若しこの
私立学校法
ができないということでありますというと、従来の
教育
契約金で行けるかと申しますと、これは行けない、偏に
私立学校法
ができるかできないかによ
つて
この
補助金
というものが生きるか死ぬかという岐れ目に立
つて
おるのであります。どうぞこの点も各議員の諸先生方におかせられては、十分御
了解
を頂きたいとお願いする次第であります。尚又諸先生方のお蔭で今年度の戰災復興の
貸付金
というものが計上されました。私共は誠に感激に堪えません。併しながらこの
貸付金
の生きたという
理由
も、一重に
私立学校法
に
憲法
八十九條に関することが謳われてあり、その
私立学校法
が成立するという見透しの下に、これが生きたんだということを伺
つて
おるわけであります。これやそれやを考え合せますときに、我々
中学
、
高等学校
といたしましては、又五十九條の助成に関するものも実に大きな影響があると考えざるを得ないのであります。 尚
説明
したい点もございますけれども、又重複する向きもあるようでございますからお
言葉
がございました時に、お答えすることにいたしまして、これで終ります。
田中耕太郎
6
○
委員長
(
田中耕太郎
君) 有難うございました。次に
立花昌夫
君に御発言を願います。
立花昌夫
7
○
参考人
(
立花昌夫
君) 私は東京都下におきまする主として
高等学校
、中
学校
、小
学校
等の
私立学校
行政の第一線を担当いたしております学務課長でございますが、
経験
も極めて浅いのでございまして、私これから申上げることが果して御参考になるかどうか、非常に不安に存ずる次第でございますが、一応
学校
行政を担当しておるものとしての
意見
を
簡單
に申述べたいと思います。 東京都の問題が取上げましてみますと、
私立学校
の
高等学校
、中
学校
は、その他公立の
高等学校
、中
学校
に比較いたしまして、
学校
数におきましては、約二倍、生徒数におきましては公立私立はほぼ同じくらい、中
学校
におきましては、校数におきましては
私立学校
は公立
学校
の約三分の二を占めております。生徒数は、
中学
におきましては公立の約半数強という実情でございまして、この数字から考えましても、私立の
高等学校
、中
学校
というものが、東京都下におきまする都民の子弟の
教育
というものに非常に大きな
役割
と申しますか、持
つて
おることははつきりいたしておるのであります。ところが去年の十一月に、やはり公立
学校
に関しまする
教育委員会
法が出来上
つたの
でございますが、
私立学校
につきましてはその後、先程お話がありましたような、まあ空白と申してもよいような状態にあ
つたの
でありますが、この度
私立学校法案
が
国会
に
上程
されましたことは、私共といたしまして非常にこれは適当なことであり、又非常にこれは必要であるというふうに痛感しておる次第であります。この
法案
を拜見いたしまして、二三の点につきまして、特に気のついた点があるのでありますが、先ず
最初
に
私立学校
の組織の点でございまするが、殊に
私立学校
の
設置者
であります
財団法人
、
法人
の組織につきまして、画期的と申してもよいような
強化
の措置が採られておるのであります。これに公共的な色彩が非常に強くな
つて
おるということは、私共この
法案
を拜見しましてつくづく感じておるのであります。従来
私立学校
は、
民法
によります
財団法人
としての
経営
を続けて参
つたの
でありますが、
学校
によりましてはこの
法人
の組織が一個人或いは一家族とい
つた
ような個人的な色彩の非常に強い
学校
もないではなか
つたの
であります。いわば
学校
が、ある場合には私用物のように考えられ、又場合によ
つて
は使われておるとい
つた
例もなか
つた
ではないと思うのであります。こうい
つた
私立学校
の壇ままなる、個人的な
運営
というようなことは、今後
私立学校
の
公共性
という点から考えまして当然これはなくならなければならないものだと私も考えてお
つたの
でありますが、この点におきまして、今度の
学校法人
の組織というものの
強化
につきまして、非常に公共的な色彩が強くな
つて
来るということは、私共極めて結構なことだと思
つて
おります。 それから次は
私立学校
の経済的な基礎が堅く固められたという点でございます。勿論これは、この
法案
が成立して一挙に経済的な問題が解決するというふうには考えないのでございますが、或いは免税措置が講ぜられるというような点、或いは又、
收益
事業
が一方においては認められる。更に又、国なり
地方公共団体
の
貸付金
なり
補助金
というものが、法の上ではつきりと認められたということは、精神的から申しましても非常に
私立学校
にとりましては福音と申してもよいのであります。一挙に現在のような経済的な非常に困難な時代にこれによ
つて
直ちに
私学
の経済的な基礎が固められるということは申せませんが、こういう道が開かれたということは、これは非常に
私学
の将来にとりましていいことではないかと私共考えておるのであります。更に又、外の
所轄庁
としての
監督権
が相当整理をされまして、いわゆる
私立学校
の自主的な
経営
が大きく認められたということは、先程もたびたびお話があ
つたの
でありますが、これは要するに先程申上げました
私立学校
の組織、殊に
法人
組織なり、或いは又経済的な基礎というものが、こうい
つた
ものの裏付けがあ
つて
初めてこの
自主性
ということも生きて来ると思うのでありまして、
私学
本来の
在り方
としまして、これはその儘としておく方が
私学
の理想的の形ではございませうが、現実の問題を取上げて考えますと、
私学
の自主権というものを一〇%に認めるということは、むしろ
私学
にとりましての或いは
自殺行為
ということにもなるのではないかと思います。従来の
監督権
が相当大巾に整理されまして、最小限度の
所轄庁
の
監督権
を認めたということは、現実の上から考えましてこれは適当だと思うのであります。それから
行政庁
の
立場
といたしまして、
私学審議会
というものが新しく出来上りまして、
所轄庁
の
監督
行政の実行の面に大きな
役割
りを演ずることになるのでありまして、或いは
学校
関係
その他
一般
民間のいわゆる民意というものが、この
審議会
を通じまして
私立学校
行政の上に反映するような仕組みがはつきりここで作られたということは、非常に意義深いと存じます。いわゆる
私学
行政の民主化という点から考えまして非常に意義のあることだと思うのであります。まあ
監督
官庁
の
独善
ということが従来言われてお
つたの
でありますが、併し私共現在東京都におきまして
行政面
を担当いたしておるものといたしまして、
官庁
の
独善
ということは、世間で言われているようなものであ
つた
かどうかにつきましては私共まだ
意見
もあります。今日はそれは省略させて頂きまして、確かにそういう
一般
の民意というものが行政の上に現われて来るような仕組みに
なつ
たということは、これは非常にいいことであると考えております。それから又、いわゆる
財団法人
、将来は
学校法人
になりますが、
法人
の
認可
とい
つた
ような
権限
が従来の
文部大臣
から
地方長官
に移讓されたということは、これは行政の簡素化ということから考えまして、非常に
事務
の円滑なる遂行といいます点から考えましても、これは非常に時宜を得たことであると考えておるのであります。 以上私の気のついた大きな点についての
意見
を申上げたのでありますが、この
法案
は全体を通観いたしまして、非常に進歩的な
内容
を持
つて
おるということは申上げられると思うのであります。理想的なということは申上げにくいかも知れませんが、
私立学校
の現在の実情から考えまして、これは確かに進歩的な
法案
であると考えるのであります。併しながら具体的な問題としまして、現在東京都の例を取
つて
申上げましても、公立
学校
というものが片方にありまして、これが
教育委員会
の所管の下に将来、この設備なりその
教育
内容
の充実ということに相当力が入れられておるのでございまして、公立
学校
の
内容
が将来拡充され、これが充実されて参りますと、
私立学校
というものの
立場
は決して楽な
立場
にはないと思うのであります。むしろ将来
私立学校
というものの
立場
が非常に困難になるということも予想できるのでございます。
従つて
立派なこの
法案
ができましても、この
法案
の
運営
といいますか、つまり
私立学校
の健全な発展を図ると申しましても、なかなかむずかしい問題が沢山あると思うのであります。
私立学校
の持
つて
おる持味を十分活かしまして健全な発展を図るためには、
学校
関係
だけではなく、これは広く
官庁
なりその他
一般
の努力、協力ということが是非必要であろうと私共考えておるのであります。全体を通じまして、今回提案されました
私立学校法案
というものは、一応速かに
国会
におきまして可決せられることが極めて必要であり、そうして又適当であると私共考えておる次第でございます。
簡單
でございますが、これで終ります。
田中耕太郎
8
○
委員長
(
田中耕太郎
君) 有難うございました。次に
江口泰助
君に御発言をお願いします。
江口泰助
9
○
参考人
(
江口泰助
君)
私立学校法案
については
一般
の民間に非常な風評を生んでおるのであります。而も
関係者
の間ではおのおの違
つた
意見
を持
つて
おります。
大濱先生
の御
意見
の中にありましたが、この
法案
の大体指導的な
役割
を持
つて
いるのは
私学
総連であるというようなお話でございましたが、いまいろいろ聞くところによりますと、学生はこれに対する非常な
反対
意見
を持
つて
いるということでありますし、それから
大学
側と
高等学校
以下の
学校
の間にも十分な、完全に一致した統一された
意見
というようなものもない。或いは
大学教授連合
の中にもいろいろ批判的な
意見
がある。そういうふうな、各般に亘
つて
これに対しては批判の声が高いのであります。例の
大学
管理法
の問題が
文部省
の
原案
として作られた時も非常に猛烈な
反対
意見
、批判がありました。そうしてこれを再び喚び戻しているわけでありますが、それにも似たような
意見
が各方面から出されているのであります。これはすでに
国会
に
上程
された問題でありますので遺憾に思う次第でありますが、
国会
に
上程
される前に二ヶ年間
私学
総連が苦心惨憺したというような、この
法案
の草案
作成
に当
つて
、なぜもつと各般の
意見
を聽かなか
つたの
であろうか、そうして統一した意思によ
つて
原案
を作らなか
つたの
であろうかということを考えます。 以上
一般
的なことを申上げまして、次に私、
内容
に亘
つて
申上げて見たいと思
つて
おります。 先ず一番問題にな
つて
おります第四條の所轄の問題でありますが、私はこの
高等学校
以下の中
学校
、小
学校
、
幼稚園
その他各
学校
については県知事の所轄の下に置くよりも
教育委員会
の所轄の下に置いた方が妥当であると考えております。それは勿論現行法の中には、免許法とか
委員会
法等の中に明らかに
私立学校
については
教育委員会
はこれを管轄しないことにな
つて
おりますけれども、この
私学法
の中に
規定
すればそういうものは解消するものであります。そこで尚いろいろ聞くところによりますと、県知事の下に
高等学校
以下の
学校
を所轄さして置くということは、
私立学校
の
自主性
を保
つて
行くために非常に好都合であるというような御
意見
もありますし、或いは
教育委員会
に対しては不滿な点があるので、
教育委員会
の管轄に置くことに賛成できないということにもあります。併し私は、私立公立を問わず、やはり
教育
という
一つ
の專門的な事柄に対しては、統一された
官庁
がや
つて
行くのが有機的な
教育
行政全般の睨み合せの上に好都合ではなかろうかというふうに考えておるわけであります。勿論
教育委員会
は財政権を持たない。今地方庁から、地方議会から、
教育
費を捻出するために非常な苦労をしております。却
つて
知事が
教育
を
支配
して行政を担当してお
つた
時の方が
教育
予算については知事の責任があ
つて
よか
つたの
だというふうな不平さえも出ておる次第でありますから、
補助金
を
私立学校
が取るためには知事の管轄に置いた方がいいかも知れないけれども、私は
教育
全般から考えてやはり
教育委員会
の下に一応所轄して置いた方がいいのじやないかと思
つて
おります。 次は
権限
の問題にな
つて
来ますが、この
所轄庁
の
権限
はまあ知事に置くにしましても、
教育委員会
に置くにしましても、第一條の冒頭に出ておりますところの
自主性
は
公共性
、この面においてやや矛盾したような二つのことが並べられておるところにこの
法律
の非常に苦しいところが、無理なところがあるのではないかと考えております。非常に最小限度に縮限して、第
五條
の一号、二号だけに限定したと言いますけれども、現実に
私立学校
が補償金や
貸付金
を貰
つた
場合には、第五十九條にあるところの非常に大きな
権限
が
所轄庁
に與えられることになるわけでありますので、第五十九條を見ますというと、これで私は果して
私学
総連が御滿足なさ
つたの
であろうかと思われるようなところがある。
学校
運営
の私は全般的な面にまでも
所轄庁
の手が伸びて行くような惧れを持
つて
おります。例えば
私立学校
の備えておる
條件
を審査する、或いは業務会計を報告する。この業務の報告までもやらせられるということになると、
私立学校
の
運営
自体が
官庁
によ
つて
牛耳られることになる。それから予算についての必要な勧告をすることができるということは、
学校
の
運営
の
自主性
が
官庁
からも勧告によ
つて
書される。ただここは勧告と書いてありますが、この勧告を聽かなか
つた
ならば、その
学校
から申請された予算は非常な憂目を見ることは明らかなことです。それから役員の解職等を勧告することができる。こういうように掲げたところの五十九條は、非常に私は
私学
側として容認できないのではなかろうか。こういうふうに考えておる。それで
権限
は二つに縮小したというようにな
つて
おるのですが、現実には非常に五十九條の方が、強い統制が現れて行くのではないかということを思うものであります。そこで私としましては、
私立学校審議会
との
関係
におきまして、
都道府県知事
が行うところの
権限
は形式的な面だけに限定しまして、その決定権を私は
私立学校審議会
に持
つて
行
つた
方がよかろうと考えております。いわゆる
私立学校審議会
は
意見
を聽かなければならないというようなことがあります。それから第
五條
のこととか、それから先刻言いました第五十九條のことについて
意見
を聽かなければならないとありますけれども、その先には重要なことについて建議することができるというのが九條の二項にあります。この重要事項について建議することができるというようにな
つて
行く点から言いまして、私は
私立学校審議会
は先刻
一つ
の弱いところの
私立学校
内の
運営
等にまで立入ることはなかろう云々という
大濱先生
のお話がありましたが、これは相当重大な事項について問題になるだろうと考えているわけであります。そうしますならば、私としてはただ單に
諮問機関
として置いておくだけでなく、
私立学校審議会
の
権限
を
強化
して、而もその
性格
を
一つ
の決定
機関
、或いはもつと強めて、執行
機関
的な
性格
を持たしたらどうであろうかと考えておる。例えば
全国
の選挙管理
委員会
は総理大臣の所轄の下にあるわけですが、あれは総理大臣は選挙管理
委員会
に対して何ら
権限
は持たない。形式上あれは予算を取る上での内閣での閣議での発言等のことはありますが、あの
内容
について、あの
決議
について、執行について、何ら閣議は
関係
しない。又は総理大臣もこれが発言はできないことにな
つて
おる。ああいうような非常に
主体
性に強いところの
委員会
にして、それで決定も執行も一手でや
つて
行けるようにした方がいいのではないかと考えておる。私は先刻
教育委員会
の所轄の下に置けと、こういうふうに申しましたが、私は
教育委員会
の所轄においても、
教育委員会
がこの
私学
の
内容
について云々せられ、
私学
の
運営
方針
に対して云々するということは絶対に
反対
でありまして、ただ有機的な
教育
の
方法
の上から
委員会
の所轄の下に置き、そしてその下には
私学
の
自主性
を、外部からの波に対して防壁となるような強い
審議会
を設けておいた方がよいのではないかと考えております。 次は
大学
のことでありますが、私は
結論
から申しますと、
私立大学審議会
は、
最後
の
学校法人
の
條項
は一応別としまして、それ以外のことについては、
大学
の
條項
は本條から削除して、そうして次の
大学
管理法
の成立と睨み合せて、十分
私立大学
の
性格
を各方面の意向を聽いた上で討議して、そうして次の
国会
において再び
審議
した方がいいのではないかと、こう考えております。
大濱先生
もおりますが、私も
大学
管理法
の起草
委員
の一人でありますが、海のものとも山のものともまだ
結論
は出ておりません。
国立大学
の
中央
審議会
についても、まだ
性格
は分らない。それから財政面についてもまだ分らない。非常に混沌とした状態にある時に、
私立大学
のこの面だけをや
つて
行くということは、やはり
大学
の
性格
から言
つて
私は少し行き過ぎではないかと考えております。それで
私立大学
の面につきましては、もう一度次の定例
国会
にでも延ばして、そうして
大学
管理法
と併行したところの草案を
立案
をし、それからその
委員会
での討議も、
国立大学
の
管理法
と併行して討議して行
つた
方がいいのじやないかと考えます。 それから
最後
に
審議会
の
構成
でありますが、この
審議会
の
構成
は民主的に相当考えられたようでございますけれども、やはりこの選出の方途で行きますというと、
委員会
が、都道府県の持
つて
おるところの、あの第
五條
から第五十九條にあるところの強大な
権限
を執行するとか、
審議会
の
意見
を聽くとしましても、その
審議会
が
都道府県知事
の任命する者の中からできておるとするならば、全く知事の御用
機関
にな
つて
しまう虞れがある。そこでこの
委員
の選定に当
つて
は、理事者側或いは学識
経験
のある者、これだけから殆んど
委員
の大部分が出るようになるのではなかろうかと考えております。そこでそこの割当等も三号、四号、五号とありますけれども、校長を
教員
側と同じようなものとしてではなく、校長は一応その
学校
の理事者側と同じ
立場
に置いて、そうしてそこの中に
教員
の
意見
を聽くような
條項
にして貰いたいと考えておるわけであります。
私立学校
の職員は、今完全に労働組合法、労調法、労働
基準
法の適用を受けておるのであります。そういうふうなものの適用を受けておる教職員が、こういうふうな
審議会
の中からやはり現実に出られないようなことにしておるということは、いろいろ将来に向
つて
のトラブルが起
つて
来るのではなかろうかと考えております。そこでやはり校長、
教員
とするよりも、校長は一応理事者側の
立場
において、
教員
の出る途を開いて置いて頂きたい。それともう
一つ
は、その出されるところの
委員
は、皆
都道府県知事
が天降り的に任命するのではなくて、
教員
なら
教員
、理事者なら理事者の間の互選によ
つて
委員
が出て来るような措置を取
つて
、それを
都道府県知事
は必ず任命しなければならないようにし、それから学識
経験
者も、やはり
教員
や理事者側、或いは校長等から出たところの
委員
が推薦する者を知事が任命するような形にして、そうして知事を一応形式的な
所轄庁
とするような措置を講じた方がよいのではないかと考えております。 以上極めて
簡單
でございますが、私の大体考えておるところを申上げた次第であります。
田中耕太郎
10
○
委員長
(
田中耕太郎
君) 有難うございました。次に
芝山安弘
君に御発言をお願いいたします。
芝山安弘
11
○
参考人
(
芝山安弘
君) 私は私立の
学校
に子供をあげておる父兄の
私学法
に対してというようなことについて申上げたいと思います。第一に、私立の
学校
に子供をどうして通わしておるか。第二に
私立学校
に通わしておる子供を持つ父兄として困ること、父兄として
私学法
のことをどういうふうに考えるかということについて少しく御参考を申上げたいと思います。
終戰後
に学制改革が行われまして、義務
教育
の延長、小
学校
、中
学校
が義務
教育
として全く
私立学校
にと
つて
は問題にならないほど、
法律
で公立
学校
は安い経費で賄えるというようなことにな
つて
おるのであります。官公立の
学校
は、
国家
又は
地方公共団体
の
機関
であり、卒業の資格は
私立学校
と同一な資格を得るということにな
つて
おります。この学費の低く、低廉であるというにも拘らず、
私立学校
に自分の子供を託して
教育
を委ねなくちやならないというようなことは、一体どんなことであるかということで考えておるのでありますが、それにつきましては、子供が卒業した後に、社会生活その他において父兄の
希望
する人格
識見
が出来るかどうか。父兄の
希望
する人格的
教育
と、実際的技術、個性等の伸張に役立つ
教育
をしてくれるかどうか。訓育等の点について、安心して子供を通わしておることが出来るか。又
教育
的信念等特色ある
教育
が受られるかどうか。これらの点につきまして十分安心して信頼が出来るかどうかというようなことが、いわゆるこういうことを検討いたした場合、少くとも東京都において
幼稚園
、小
学校
、中
学校
、
高等学校
、公立より私立の方はより以上多い。又安心と信頼が持てるのではないかと私は考えるのであります。極端に言うものでありまするが、都内の有名なこれらの
私立学校
と公立の
学校
と、いずれを父兄が選ぶかということを
教育
的見地から調べて見ますと、その大部分は
私学
を
希望
する方が多いということになるだろうと私は考えるのであります。それ故に私自身も実は子供を六人ほど持
つて
おるのでありますが、この子供を殆んど全部
私学
の方に通わしておるのであります。又そこに、東京都内に
大学
から
幼稚園
まで圧倒的に私立の方が多いという
理由
も、結局
希望
する生徒が多いからだ、こう考えるのであります。
私学
に子供達を託しておる……第二番目でございますが、というようなことで、悪いと言うと
ちよ
つと語弊があるかも知れませんが、困るといいましようか、これは私立を公立に比べて見たとき、私立が真に父兄の信頼を持つ、併せて
私学
に子供を託し得られない
理由
。先程悪いと私申上げました。これはどういうところにあるのかということでありますが、これは主として経済上の
理由
、即ち
学校
及び家庭の
教育
に要する負担金の不均衡ということになるのではないかと考えられます。いわゆる官公立の
大学
の学費は、月謝にして見ますと、年額約二千円くらいであります。私立は八千円を要する。或いは
最高
の学費では二万円くらい掛かるということも耳にいたしておるのであります。こういう経費については、非常に私共子供を持つものとして、
私学
を
希望
いたしましても一番困る点だと私考えておるのであります。尚
高等学校
におきましては、公立二千四百円であるのに私立は六千円、まあ月約五百円も拂わなければならん。八千円くらいも掛かるというところもあるように聞いておるのであります。中
学校
以下は公立は、無料というのではないが、非常に安いのでございますが、私立は結局三千円乃至八千円を要するというようなことになるのであります。而もこれだけの負担をしても尚、私共
学校
の方に、私立の
学校
の方に
関係
しておりますが、待遇等においては、官公立のように充実した待遇はできない。いわゆる退職金の準備というようなことまでには
至つて
おりませんのでございます。そういう
内容
であるのに拘らず、今度の戰災において、復興費や又新学制の充実等に相当多額の費用を使
つて
おるのであります。これらの費用は、総て都民が負担するものではないのであります。
従つて
私立に出しておる多くの父兄達の負担ということにな
つて
おるのであります。これらが非常に困る点だと思うのであります。又これも欧米諸国のように、公立においても私立においても安心と信頼を持
つて
おるだけの施設と方策が採られていて、尚校風、伝統とかいう好みから
私学
に通わせるというのであれば別でありますが、
日本
の実情においては若干異な
つて
おると思うのであります。かかる
意味
におきまして公立
学校
の施設
内容
の充実というようなことと、
私学
の健全な発展助成ということは、
日本
の文教政策の二大眼目であらねばならないと信ずるのであります。 次に父兄として
私学法
に対しまして敍上の
観点
から
希望
を申上げて見ますと、
法律
の制定によ
つて私学
の特長や自由性が
尊重
されて、将来共私立の
学校
の健全な発展が図られて行くということ、
日本
の現状から見て学徒の、公立と私立との学費の不均衡を是正できるような
方法
が
法律
で定められること、例えば、助成策として
補助金
とか或いは
貸付金
というような
方法
、或いは免税、金融等の
方法
が
法律
的に設けられるような法規、
私学
が一部の
人々
や一族の
人々
によ
つて
独占的に
経営
される、即ち商業的金儲け主義のごとく
一般
から見られないような
公共性
を
主張
する
法律
であること、
経営
及び
教育
について
私学
の
自主性
を害するごときことが
規定
されておらないこと等が大切であると存じます。殊に父兄の
立場
から申しますならば、この
法律
の制定によ
つて私学
の特長が一層加わり、且つ社会的
地位
がより以上向上することを望む次第であります。よい
私学法
の制定ということは
学校
と共に父兄も心から
希望
しております。又現在
上程
されておる
私立学校法
を一通り検討いたして見ましたが、これは長日月に亘
つて
各方面の御
意見
を聽き、或いは練り合せて作
つた
ものに、私達の日頃抱いている見解も十分考慮せられておるようであります。
従つて
私達といたしましては、この
法案
が制定されることは喜ばしい次第であります。例えば、
学校法人
の理事や評議員中に父兄
代表
も入れるべきであるというような御
意見
のあることを聞いておりますが、
幼稚園
から
大学
に至るまでを擁しておる、非常に数多くの種類をも
つて
おる、例えば、宗教とか、そういうようなことに
至つて
はそれぞれの
経営
に特長がある
私学
といたしましては、さようなことは各校の自由に委すべきであらうと考えるのであります。父兄といたしましては、理事や評議員にして頂くことにより
希望
をする
教育
を
学校
にして頂くことがより以上大切であり、民主的なPTAの活動によ
つて
その目的は十分に達し得られるというふうに、さような
法律
が特に必要という考えは私達は持
つて
いないのであります。又
学校
審議会
の
委員
に父兄
代表
を入れるというような
意見
もあると聞いておりますが、恐らく
学校
の学識
経験
者の中には
PTA関係
者中の適任者が候補に上るだろうということは予想され、父兄を必須
條件
として
規定
することはないであらうと存ずるのであります。戰前のように
学校
経営
者が專断的に
学校
の
経営
や
教育
を行
つて
おるという
私立学校
は現在は聞いておりません。私の知
つて
おる多くの
私学
は
経営
者として校長、職員等の、又先生と父兄と常に緊密な連絡を取
つて
和気靄々の中に協力して
教育
の成果の上向に努めていますから、対立的とか抗争とかいうようなことを考える必要は私はないと考えております。要は今後の
法律
の制定によ
つて私学
の
地位
の向上、健全な発達が図られ、我々の最も苦心している経済負担が若干でも軽減される意図の下に作られた
私学法
でありますから、父兄としては、先生方も同様、制定の一日も早きことを願
つて
おる次第であります。 以上まことに
簡單
な
意見
でありますし、お話も非常に下手でありますが、御参考に申上げておく次第であります。
田中耕太郎
12
○
委員長
(
田中耕太郎
君) 有難うございました。以上をもちまして五名の
方々
の御
意見
を伺うことは終りました。尚補足的に
委員
の
方々
で御質疑等がおありになりましたら御発言願います。
河野正夫
13
○河野正夫君
大濱
さんに三点だけ伺いたいのでありますが、
一つ
は先程
教授連
合の一種の
反対
のことに触れられておりましたのでございますけれども、私共もあの声明書及び要請書を頂いたのでありますが、あれは
最初
の
私学法
案として出されたものに対する
反対論
ではないか知らんとこう考えてお
つたの
でありますが、先程の御
説明
では、そうでなく、
只今
国会
に
上程
されておる
法案
についての御
意見
であるというので、その点は
了解
いたしました。併しそうだといたしますと、そこに述べられておること、先程
大濱
さんも要約されておりましたけれども、
補助
助成の名目の下に
監督
を
強化
するのは
反対
であるというようなことが、あの
法案
に即してというと、江口君の方から言われる第
五條
とか五十九條ということを
意味
しておるのではないかと私達思うのでありますけれども、その点如何でございましようか。あれは将来に向
つて
の提唱であ
つて
、今次の案に対しての
反対
ではないという御
説明
は、そのまま受取りかねるのでありますが、今少し立入
つて
御
説明
願いたいと思います。 それから第二点は第
五條
だ
つた
かと思います。
学校
の閉鎖を命ずることができるというあの
規定
の中に、
故意
に
法律
若しくは
命令
に
故意
に違反したというのが
原案
にあ
つた
はずであります。そうするとこれは、
学校教育法
の中には
故意
にという
言葉
が入
つて
おる。あの條文はそのままに
私立学校法
へ入れたんだと私は了承するのでありますが、それが今度入れる場合には
故意
にという文句が消えておる。お説に従いますと、
大濱
さんなどがこの
法案
の
作成
にはタツチしておられたようであるが、その点について、それはどういうわけであるか、経過が御
説明
願えるものならば伺いたいとこう思うのであります。 それからもう
一つ
、第何條でありましたか、
学校法人
の会計と言いますか、帳簿等を備える
規定
がありました。
最初
の案ではあれを公表するというか、閲覽の求めに応じては閲覽に供さなければならんというような
規定
にな
つて
お
つた
はずであります。これを削除いたしております。これは固まり他の会社というようなものの経理状態を徒らに公共に閲覽せしめるということは以ての外であるに違いありませんが、今次の
法案
は
私学
の
公共性
を高めというところに
一つ
の意義がある。
学校法人
の財産の最終帰属のような場合についても相当に
規定
されておるような次第でありますが故に、特にその
運営
、
経営
の公共的であることを誇
つて
もいいというくらいに
私学
はならねばならんだろうと思います。
簡單
に閲覽
規定
を削除したのは如何なる
理由
であるか。その三点について伺いたいと思います。
大濱信泉
14
○
参考人
(
大濱信泉
君)
只今
のお尋ねに対してお答えを申上げますが、第一点は、
教授連
合の
決議
に関することでありますが、実はこの
決議
が成立いたしました過程を
ちよ
つと申上げませんと御
了解
が得難いと思いますが、実は私も
教授連
合の常務理事をいたしておる一人でありますが、この
法案
が非常に
監督規定
が多か
つた
ために、これを大巾に修正して貰いたいということを私考えまして、丁度先月の初め頃でありましたか、
文部省
からこの
法案
が閣議に掛けられる前に
教育
刷新
審議会
の諮問に附せられたのでありまして、刷新
審議会
の席上、非常に
監督権
が多いということが話で出たそうでありまして、丁度この際に刷新
審議会
において
監督規定
の削除をして頂こうと思いまして、刷新
審議会
の
委員長
の南原さんに
教授連
合の会長でもある南原さんに私の方から十項目を拾い上げまして、どうかこの
法案
にはこれだけの
監督規定
がある、これは
私学
の実際には矛盾するようなことであるから、できるだけ刷新
審議会
の方で修正願いたいと言
つたの
でありますが、その際南原さんは、できるだけ骨を折るというお答であ
つたの
でありますが、その後
文部省
でその案を急いで閣議に掛ける
関係
上げ刷新
審議会
の
審議
が十分終らない前に閣議を通過してしま
つたの
であります。そこでどうしてもこのまま
国会
に
上程
されることは好みませんので、今度は
国会
に
上程
されることに阻止する方面に骨を折
つて
頂きたいということで、
文部大臣
にもお話が
願つた
筈であります。併しなかなかこれも
簡單
に行かないようでありました。それでこれは
教授連
合としても一応取上げなければならんというので、南原さんも考えられまして、私丁度一週間程今月の初めに学界の用で京都に行
つて
おりまして、その留守中に南原さんが
教授連
合の
委員会
を招集しておられまして、私五日に帰りまして、私共の
主張
通り大巾に修正されておるので、これならば
私学法
案の
上程
に賛成してもいいということにな
つたの
であります。南原さんは情勢の変化を御存知なくて、すでに
教授連
合の総会を招集しておられまして、折角会議を開かれたものですから、私から経過を一応お話をいたしましたが、併し折角集ま
つた
ことでもあり、一部教授の間には不満があることであり、そういう方面の意向も考えて、多少これはそこら辺で、政治的な含みがあるのでありますが、何とか
決議
をしようということで、こういう方向で行こうじやないかということで、大体においてこの
法律
が施行されることを前提にして将来に対する含みとして貰いたいということにな
つたの
であります。そこで
決議文
を私が起草しろということで私は被告が判決を書くというような
立場
でおかしいと言
つて
実は私の考を書いたのであります。確かにあの中の第一点はこの
観点
から、この
法案
は再検討を要する点が少くないという点で批判が出ておりましたが、併しこれはこの
国会
においてそういう方向に修正されればよろしいのでありますけれども、できなければ、将来に対する
一つ
の示唆として活かしてもよいじやないかと、これについては私は多少疑問があ
つたの
であります。再検討を要する点が少くないと書いてありますが、どうも私としては強すぎる。どこをどうするというはつきりした認識をお互に持
つて
いるかというと、それはない。そういう漠然たる認識の下にあれだけの強い
言葉
を使うことは
反対
であ
つたの
で、私の
原案
は改善すべき点があるというふうに書いたのですが、それでは弱いからというので、再検討を要する点が少くないというふうに直されたのであります。 それから第二段の
補助
のことでありますけれども、これは
憲法
の解釈に属するので、そこではつきりしたお互の
結論
がなか
つたの
でありますけれども、ただこの
補助
を条件として
監督
を
強化
するような態度は避けなければならないという程度のことでありまして、
最後
の部分に、殊に一時的の貸付について、これを
補助金
と同視し、嚴重な
監督
の下に置くことは明らかに行き過ぎである、こう書いてあるのであります。この五十九條の中に
補助金
と貸付と同律に置かれているので、これは行き過ぎではないかという
意見
が出たのであります。まあそういうようないきさつでこの
教授連
合の
決議
が成り立
つて
いるので、繰返して申上げますけれども、この
法案
の通過を阻止するという強い
意味
じやなくて、どこまでも通過を前提として将来に対する示唆であるということに重きが置かれていると思います。 それから第二点の、第
五條
の第二項の「
故意
に」という三字が抜けているのを、どういうわけでこう
なつ
たかというお尋ねでありましたが、実はこの
法案
の
作成
につきまして、
私学団体
総連合には明治
大学
の法学部の松岡君が
委員長
にな
つて
おられまして、松岡君を中心にして
文部省
の方と折衝をして、私は
大学
協会
側からただ平の
委員
として途中から入
つて
いるのでありますが、こういう細かい文字を入れたり削除したりするような折衝は、実は詳しく知
つて
おりませんのですが、恐らく
最初
あ
つたの
を
文部省
で仕上げの際に取られたのか、そこらのいきさつが私にはよく分らないのであります。 それから第三点の四十七條でありますが、
学校法人
が財産目録、貸借対照表、收支の計算書、これを備えなければならんと第一項に
規定
しまして、この二項に、
学校
の債権者の閲覽に供しなければならんという項があ
つたの
でありますが、それを省いたのであります。それを省きましたのは、これは決して
私立学校
がそういう会計書類を祕密にするという考はないのでありまして、お説のように、やはり公共的なものでありまするから、どこまでも
経営
を明朗にするためには公開すべきものだと考えておるのでありまして、ただ
学校
は会社などとは違
つて
、そう広く取引をしておるものではありませんから、そう債権者というものはないのだと考えられます。まあ一二の銀行から一時的に金融を受けることはありますけれども、そういう場合には、すべての経済状態を明らかにしなければ金融
機関
は貸してくれませんが、
一般
からの債務というものはそうあるものじやないとこう考えますので、特にそういう閲覽の
規定
を置く必要もなかろうじやないかという考でありまして、会社につきましても、まあ株式会社みたいなものにはそういう
規定
があるのでありますけれども、その外の会社にはそういう
規定
がないようでありますから、
学校
についても削除してよいのじやないかという
主張
でありまして、それ以上深い
意味
はないのであります。
河野正夫
15
○河野正夫君
ちよ
つと速記を止めて下さい。
田中耕太郎
16
○
委員長
(
田中耕太郎
君) 速記を止めて。 〔速記中止〕
田中耕太郎
17
○
委員長
(
田中耕太郎
君) 速記を始めて。
若木勝藏
18
○若木勝藏君
大濱
さんに
一つ
伺いたいのでありますが、先程の経過のお話の中に、つまりこの
法案
は
私学
総連が発言して、結局これは政府提案になるということから、
最後
は
文部省
が主導権を握
つて
いろいろ折衝になるというお話でありましたが、その際において
私学
総連が発言されるに当
つて
は、いろいろな草案を持たれてお
つた
し、或いは折衝の
方法
なども、どういう
委員
を挙げられるというようなことも決められたと思うのですが、その草案を作るところの
委員
とか、或いは折衝の
委員
とかいうようなものは、どういうふうな
方法
によ
つて
定められたものでありますか、その点を
ちよ
つと伺いたいと思います。
大濱信泉
19
○
参考人
(
大濱信泉
君)
私学団体
総連合側の
委員
は、先程申上げました通りに、
大学
協会
、專門
学校
協会
、それから中等
学校
、
高等学校
の
協会
、小
学校
協会
、
幼稚園
協会
、いろいろな
協会
が連合しておりますので、各
協会
から
委員
を出しておるので、それによ
つて
原案
を作り、その
委員長
を通じまして
文部省
とは折衝しましたし、或いは
委員会
の席上に
文部省
の係の人に入
つて
貰
つて
一緒に
審議
したり、そういうような経過をと
つて
おります。
若木勝藏
20
○若木勝藏君 私の伺いたいのは、その各
協会
とか、そういうふうな方面で
委員
を挙げる場合に、具体的に言
つた
ならば、学生であるとか、同窓生であるとか、或いは父兄
関係
であるとか、教授
関係
であるとか、そういうふうな方面からの指名によ
つて
そういう
委員
が決められたのかどうか、その点を伺いたいと思います。
大濱信泉
21
○
参考人
(
大濱信泉
君) これは各
協会
では理事という役員があるのでありますが、この役員会で決めたので、恐らくその役を持
つて
おる人の中から
委員
が出ておるのではないかと思うのですが、
個々
の
学校
とは直接つながりはないのであります。
堀内操
22
○
参考人
(
堀内操
君)
中学
、
高等学校
以下の
協会
、
中学
、
高等学校
協会
、小
学校
、
幼稚園
というものがありますが、大体この方面では、校長、理事者側、それから教職員側と、こういうような二つの面から半々に
委員
を出しまして、地方も多分そうだろうと思いますけれども、特に東京の
中学
、
高等学校
協会
という方では、それぞれ
学校
においても互選をしております。それから、東京は十二支部に分れておりますが、各支部においても亦選ばれたのが互選をしております。それで常任
委員
が選ばれておるというように、選挙の形で下から盛り上げられて来ておるわけであります。適当に指名とか推薦とかいうような
方法
では出ておりませんで、飽くまでも選挙の形を採
つて
下から順に選び出されておるわけであります。
河野正夫
23
○河野正夫君
堀内
さんに
一つ
伺いたいのですけれども、お話の中に
教育
契約金のことがありましたですが、先程一
教員
一万円程の
教育
契約金と称する一種の
貸付金
、
補助金
が下
つて
お
つた
ということでありましたが、これが
終戰後
いつまで行われ、いつから停止に
なつ
たかというようなことを具体的に承
つて
置きたいのであります。 それから更にこの金は、終戰前にはそうであ
つたの
ですが、直接に
教員
に渡
つて
お
つた
と思いますが、
終戰後
でもそういうものが渡されてお
つた
時には、どういうふうに始末をつけられてお
つた
かということを参考に承
つて
置きたいと思います。
堀内操
24
○
参考人
(
堀内操
君) 大体一万円と申しましたのは、従来月、
教員
に対して十円という
見当
でございます。そうすると年百二十円であります。その頃の
教員
の平均給金が百十四五円でございますから、年額を一月分の給料とこう考えたわけであります。
終戰後
は二十一年度におきましては、これは相当大巾のものを頂戴いたしました。いわゆる差額、公立
教員
給と等しい私立
教員
給を出す場合に、公定の月謝で計算しまして、その差額というものを二十一年度には請求いたしましたから、七百五万円という多額のものを貰いましたので、これは到底一月分ぐらいじやなか
つたの
です。二十二年度、二十三年度は或いは一月分に充たないかと思います。それからして支給される相手方は二十二年度、二十三年度は
教員
数及び生徒数に比例して渡しておりますので、
協会
の指令としては
教員
に渡るべきである。尚又二十一年度、二十二年度においてはそれぞれの領收証なども取りまして、はつきりと
教員
に渡
つて
おるかどうかということを点検したこともございます。建前として当然
教員
に渡るべきであるという
方針
を執
つて
参りました。
藤田芳雄
25
○藤田芳雄君
大濱
さんに
ちよ
つとお伺いしたいと思うのですが、今回の
私立学校法案
は、大体において
貸付金
というような、
国家
の助成というようなことが相当連関されてここで考えておる面が多いのでありますが、そういう面から眺めまして、何もここで今
私立大学
に関する面をこの
法案
の中に取らなくとも、又公立の方でも
大学
関係
のものは出ておらないのですから、その出た時に
大学
を見るとして、今ここから
大学
のものを拔くというようなことについては、あなたのお考はどうですか。
大濱信泉
26
○
参考人
(
大濱信泉
君) この
法律
には御
承知
のような二つの面がありまして、一方は
学校教育法
に基く
学校
に対する
行政面
、他の方は
学校
の
経営
に関する
法人
の面でありますが、
法人
については、
大学
と外の
学校
とは
一つ
でや
つて
おるのですから、これを分離するわけに行かないと考えるわけであります。この
学校法人
は、現在の
財団法人
よりは確かに
学校
の
経営主体
としては恒久性を考慮しまして改善されておりますから、この面はどうしても、多くの
学校
について
学校法人
ができれば、
大学
の方も歩調を揃えるべきであると考えております。そこで分離するということは
ちよ
つと不合理になるのではないかと思います。行政に関する面でありますけれども、これは
大学
は分離されて大した支障がないとも考えるのでありますけれども、併しこの
監督権
を搾るということと
監督権
の
行使
について
審議会
の
意見
を聽くという点に重点があるのでありまするから、これもやはり私共
私立大学
関係者
としましては直ちにできることが望ましいとこう考えております。
国立大学
の
管理法
との
関連
が
ちよ
つとお話が出たのでありますけれども、どうも
私立大学
についてはああいうふうな
管理法
は要らないのじやないかと考えております。
私立大学
が自由に置かれて、各
大学
の内部をどうするかということは
個々
の
大学
でやることで、
法律
で細かいことまで決められることは好ましいものではないという考でおるのです。
田中耕太郎
27
○
委員長
(
田中耕太郎
君) 外に御質疑はございませんか、もしございませんければ今日参考御
意見
を伺うことはこれでも
つて
終了いたして宜しうございますかしら。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
田中耕太郎
28
○
委員長
(
田中耕太郎
君) 御異議ないと認めます。
ちよ
つと御挨拶を申上げますが、御多忙中わざわざおいで願いまして、非常に有益な御
意見
を承わらして頂きまして、この重要なる
法案
の
審議
に参考になることが多大であ
つた
と信じております。重ね重ねお礼を申上げる次第でございます。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時五十六分散会
出席
者は左の通り。
委員長
田中耕太郎
君 理事 若木 勝藏君 松野 喜内君 木内キヤウ君 藤田 芳雄君
委員
河野 正夫君 小野 光洋君 大隈 信幸君 梅原 眞隆君 堀越 儀郎君 三島 通陽君 山本 勇造君 鈴木 憲一君 岩間 正男君
参考人
早稻田
大学
法学 部長 (
私学
総連関 係)
大濱
信泉君
中央
高等学校
学 監 (
私学
総連関 係)
堀内
操君 東京部総務局学 務課長 (東京都庁関 係) 立花 昌夫君 長崎県伊良林小
学校
教諭 (
日教組関係
) 江口 泰助君 安田学園PTA 会長 (
PTA関係
) 芝山 安弘君