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1949-11-25 第6回国会 参議院 文部委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十五日(金曜 日)    午後一時五十四分開会   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○私立学校法案内閣送付)   ―――――――――――――
  2. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それでは今日の文部委員会を開会いたします。議題になつておりますところの私立学校法案についての審議を開始いたします。今日は私立学校法案審議のために参考意見を伺うことになつておりまして、そのために参考意見をお述べになる方々の御来席を願つたわけでございます。  初めに一言委員長から御挨拶を申上げたいと存じます。私立学校法案という極めて重大なる法案がこの度国会に提案せられまして、私共委員会におきましては審議を継続いたしておるわけであります。この法案重要性に鑑みまして、私学関係方々並びに一般教育に関しまして長い間の御経験なり又深い御識見をお持ちになつておいでになる方々をお招きいたしまして、忌憚ない御意見を伺うということは、法案審議のために極めて有益なことでありますのみならず、又特に必要なことと存じましたわけでございます。従つて非常に御多忙中であられるのに拘らず今日お出で願つた次第でございます。ただ法案審議、日が極めて切迫しておりますために、お出でを願う人数も大変限らなければなりませず、又ゆつくりお話を伺いたいところでありますけれども、止むを得ず御発言願う時間も限らなければならない次第でございます。併し又質疑応答の際にいろいろ補つて頂きたいというふうに存ずる次第でございます。重ね重ね今日お出でを願いましたことを厚くお礼を申上げる次第でございます。  それでは御出席になりました各位私立学校法案についての御意見を伺わして頂くわけでございます。時間は大体十分ぐらいの見当にお願いいたしたいと存じます。先ず御紹介申上げます。日教組関係江口泰助君、それから私学総連関係大濱信泉君、私学総連関係堀内操君、東京都庁関係立花昌夫君、PTA関係芝山安弘君。それでは先ず私学総連関係大濱信泉君にお願いしますが、ちよつとその前にお断り申上げて置きます。只今御紹介申上げました各団体なりその他の関係から今日御出席願つた次第でございます。併しここで御意見を承るのは各団体代表という意味ではないので、各位個人の御意見なり、或いは御識見、御経験等を伺うわけでございまして、その点は十分御了解をお願いいたしたいと思います。それでは大濱信泉君にお願いいたします。
  3. 大濱信泉

    参考人大濱信泉君) 大濱でございます。御指名によりまして私立学校法案に関する私学関係者としこの意見を申上げて置きます。  この法案作成の経過、この法案作成根本方針、この法案の具体的の目標、この法案に対する反対論とこれに対する私の方の立場、こういう順序で極く簡單に申上げたいと思いますが、只今委員長から十分以内という時間を與えられましたが、大体十分以内で納める積りでありますけれども、多少超過するようなことがあるかも知れませんが、その節はお許し願いたいと思います。  元来私立学校法案は、日本私学団体連合会の発議に基くものでありますが、政府提出の形式を取りまする関係上、途中から文部省との協力の下に立案の仕事を進めて参つたのであります。尤も最後段階におきましては、文部省が指導的の立場において仕上げをいたしたのであります。日本私学団体連合会は、全国約三千に上ります私立学校について、幼稚園から大学に至るまで、各階層ごとに横断的に協会を組織いたしまして、その協会を連合いたした一つのフエデレーシヨンでありますが、かかる連合会を結成いたしましたのは、終戰後の社会的の混乱、経済的窮乏に伴いまして、私立学校は非常なる難局に遭遇いたしましたので、その難局を打開するためには、どうしても私学全体の力を結集する必要が痛感いたされましたのと、他面今次の民主革命に伴いまして、私学地位並びにその果すべき役割の上にも大きな問題が投げかけられておるように考えられまして、その解決のためにも、全私学が組織化される必要があるという考に基くものであります。連合会は結成以来いろいろの問題を取り上げて参りましたが、私学地位を高める方策の一つとしまして、殊にCIEの人々の助言などもありまして、この私立学校法制定の問題を取り上げて来たのであります。  さて本案の立案に当りまして、一番最初に遭遇いたしました問題は、教育に関する国家法律制度なり或いは行政機構との関連において、私学はどういう立場におかるべきものであるか、この私学在り方に関する根本的な方針であります。この点につきましてはアメリカ人々から、元来私学というものはノーコントロールであるべきで、私学国家法律によつて規制され、行政的の監督に服するということは、あまり感心したことではないというような意見をしばしば聞かされたのであります。併しよく考えて見ますというと、日本アメリカとの間には根本的に国柄の相違があるのでありますので、そのサゼツシヨンに従つて、文字通りノーコントロールで進むということが、日本の現段階では適当ではないのではないか、御承知のように、日本におきましては教育方針も、学校制度も、大体その大綱というものは教育基本法なり、学校教育法で定められておるのでありまして、現に私学はこれらの法律に準拠して設立され、これらの法律従つて運営をされておるのでありまするので、私共私学関係者としまして国家の定めた教育に関する法律制度の外に私学を置こうという考は持つておらないのであります。  ただ現在私学学校の面においては学校教育法支配下にあり、その経営主体の面においては例外なしに民法財団法人法支配を受けておるのでありますが、この私学特殊性観点から、これらの一般法人に対して特例を設けるという考え方で、この私学法立案に取りかかつたのであります。要するにこの法律学校教育法と、それから経営主体であります法人につきましては、民法財団法人とは違つた学校法人と称する特殊法人を構想しておるのでありますが、この法人につきましても、公益法人に関する民法その他の法律の採つておる基本的な方針、例えば、法人設立行政庁認可が要るとか、寄付行為の変更行政庁認可が要るといつたような法律一般基本方針に副つたもので、いわば既存の法律秩序の線に副つて私学についての特別の項を作るという考え方でありまして、その観点から申しますると、何ら革命的な條項を含んだ法案ではないのであります。  さてかような根本方針に立脚しまして、具体的には三つのことを目標といたしておるのであります。  第一は、私学自主性尊重ということであります。具体的に申しますれば、私学を能う限り官憲の支配から解放して、自由な立場に置くということ、第二は、私学公共性を高めるということ、第三は憲法八十九條との関連におきまして、国又は地方公共団体私立学校に対する財政的の援助を與えるについての法的基礎を明確にするということであります。この三つ目標が具体的に法文の上にどう織り込まれておるかということにつきましては、恐らくすでに文部当局から詳細の御説明があつたかと拜察いたしますので、この点は省略いたしますが、ただ私学自主性尊重ということと、公共性の高揚という問題をめぐりまして、文部省側と私共私学関係者との間に相当見解相違がありまして、この法案をめぐつて多少の紆余曲折があつたのでありますが、併し幸いに話合の結果上程前に原案を大巾に修正されまして、大体において今申上げました三つ目標はこの法案の上に実現できたものであるというふうに私共考えておるのであります。具体的に申しますというと、この私立学校に対する行政面につきましては、行政庁監督権というものを、第五條にありますように、学校設置廃止設置者変更及び私立学校閉鎖命令、この二つに限定いたしまして、尚学校法人につきましては、民法財団法人におけるように、行政庁法人業務一般について全面的の監督権を持つということを排しまして、認可事項として、法人設立、寄附行為の変更、合併及び解散決議、これだけのことを認可事項とし、尚この法案によりますというと、学校法人收益を伴う事業を営み得るようになつておるのでありますが、その收益を伴う事務経営法令に違反し、或いはその收益の使途が不正な場合には、その事業の停止を命じ得るという規定があるのであります。これは第六十一條でありますが、更に法人の役員が重大な法令違反をして、到底その法人をそのまま存続することが適当でないとこう認められたときには解散を命じ得る。第六十二條規定であります。六十二條命令事項として規定しておるのでありまして、このように法人につきましても、民法財団法人に較べまして行政庁監督機能というものが非常に限定されておるのであります。尚これが限定された監督権限につきましても、その法人が独善に陷ることを防止するために、大学につきましては私立大学審議会、その他の学校については私立学校審議会という委員会構成しまして、それがこの所轄庁監督権限行使について諮問機関として役割を果す、所轄庁監督権行使に当つては予めこの審議会意見を聞かなければならんという仕組になつておるのであります。  尚憲法八十九條との関連問題でありますが、御承知のように公の支配下にない教育事業に対しては、公金又は公の財産を支出又は利用してはならんということになつておりますので、どうしても私学が公の補助を受けますためには、公の支配という條件が満たされなければならんということで、具体的に第五十九條の規定が現れて来ておるのでありますが、この点につきましても、当初法務府から示された條件というものは非常に私学立場から申しますれば、苛酷厳重なものでありましたが、この点も、いろいろ関係当局と折衝の結果、まあ非常に緩和されたものになつて来ておるのであります。かようなわけで、大体私共はこの法案というものは当初揚げました三つ目標が実現できたものとこう考えておるのであります。ただ慾を申しますというと、この私学自主性尊重という理想から申しますれば、第五條第二項の学校閉鎖命令規定、それから第六十二條法人解散命令規定、これはなくもがなの感じがいたさないわけではないのであります。若しこの第五條第二項の削除が不適当であるということになりますれば、せめてこの第五條第二項の中に、「故意に」という三字を入れて頂きたい。「私立学校が、法令に違反したとき」とあるのでありますが、「私立学校故意に」という文字を先ず入れて頂きたいという希望を持つているのであります。これは学校教育法にもこの三字は入つておるのでありますから、この私立学校について特にそれを削除して嚴格にする必要はないのではないかという考であります。尚その後段に「法令規定に基く所轄庁命令に違反したとき、」これだけの字句が入つておるのでありますが、この一句もちよつと私立学校については削除して頂ければ削除して頂きたいとまあこういつた希望を持つておるわけであります。  最後にこの法案に対していろいろ反対論がありますので、この反対論に関する私共の考を申上げたいと存じますが、この反対論の第一はこの法案私学に対する官僚統制を強化して私学自主性を害し、甚しき至つて大学の自由をも危くするものであるという趣旨主張がなされておるのであります。この反対論は修正前の原案に対してはやや当つておるかと思うのでありますが、併し上程前にすでに大巾に修正されておりますから、現在上程されておる案に対して考えれば、ちよつと見当違い議論のように考えるのでありまして、先程から繰返し申しましたように、この法案私学自主制の確保を狙つたものであつて私学地位は現在置かれておる地位よりも遥かに改善され、より重要な立場に置かれることは明らかでありますから、今の反対論はちよつと的なきところに矢を放たれた議論のように私共は理解しているのであります。尚関東私立大学教授協議会という名を以ちまして、私立大学強化に対して、この法案国会上程には絶対反対という申出があつたのであります。この関東私立大学教授協議会というものは、私共の観測によりますと、一部の大学の極く少数の教授連によつてこの法案に対する反対運動のために結成されたもののように理解するのでありますが、その主張結論としまして、この法案の中から大学に関する部分を削除して、別に私立大学法というものを制定しろという要求であります。仮にその主張従つて大学を分離いたすといたしましても、学校法人についてまで大学法人とその他の学校法人とを区別するということは恐らくはできないかと思われますので、恐らくこれらの反対論を唱える人もこの法律の第二章にある大学に関する規定だけを分離しろという趣旨であるように理解されるのであります。そうして大学を分離して別個の法律を制定しろと言われるその理由でありますけれども、私共の伺つておりますところによりますと、大体三つあるのでありますが、第一はこの法案によると、大学から幼稚園に至るまで、又附則においては各種学校までも規定されているので、一つ法律の中に大学各種学校とが雑居するということは、如何にも大学権威に関するという御議論であります。これはちよつと私共は肯けないのでありますが、現在学校教育法におきましても、やはり幼稚園から大学までを規定し、更に附則においては各種学校規定しているのでありまして、それがため大学権威が破壊されるということはないものであるというふうに考えるのであります。第二の論拠は大学というものは最高の教育機関であると同時に、研究の場でもある。外の学校とは違つて特殊性を持つているのだから、その観点からやはり大学についてはそれ相応の立法が必要であるという御主張でありました。これも一応尤ものようでありますけれども、併しこの法案におきましては行政的な監督規定を成るべく少くしようということと、学校法人のことを規定しているのでありまして、何ら大学内容に触れたものではないのであります。反対論者は、そういう消極的なことばかりではなくて、やはり大学在り方というものをもつと積極的に規定すべきじやないか、そのために特別な立法が必要であるということを主張されているようでありますけれども、すでに大学在り方、或いは教育方針というものは教育基本法なり学校教育法に明らかでありますから、その法律によつて示された枠内において各大学研究機関としてどういうふうな在り方にするかということは、これは各大学が自由に決定すべき問題であつて、更に法律作つて拘束をするということはこの法律根本精神とはむしろ抵触するので、私共それに賛成いたしかねておるのであります。  それから第三に、国立大学につきましては、目下国立大学管理法というものを制定するために、文部省におきましてもその起草の協議会が作られておるのであります。私もその委員会の末席を汚しておる一人でありますが、そこでそれと並行しまして、私学についてもやはり私立大学法というものを作るべきだという主張がなされておるのであります。この国立大学管理法がどういう内容になりますか、今のところ確定はいたしておらんのでありますけれども、恐らく私共の予想いたしますところでは、各国立大学個々大学についての行政機構を考慮する、例えば教授会構成権限、それから総合大学における評議会構成権限なり、或いはその外いわゆる理事会といつたような機関が必要であるが、尚中央におきましては、文部大臣の外に何らか中央機関が必要である、そういつたようなことが主としてこの法案内容になろうかと思いますので、私学についてそういうことまで法律で決めるということが果して必要であるかどうか、この点についてここに疑いを抱くわけであります。若し仮にそういう立法の必要があるといたしましても、これは私学法というものが一旦通過した後に又立法することの機会もあるわけでありまするから、ただそれだけの理由でこの私立学校法今期国会を通過することを阻止すべき理由にはならないというふうに私共は考えておるわけであります。その次に反対論は、所轄庁に関する問題と、私学審議会の性格なり構成に関する問題であります。この法案がいよいよ法律として成立いたしました場合には、私立学校は何らかの機関を通じて国の行政機構と接触しなければならないわけでありますが、この法案においては学校教育法及び公益法人に対する従来の日本一般方針従つて私立学校に関する行政官庁を、大学については文部大臣、その他の学校については都道府県知事といたしまして、これに諮問機関的性格私学審議会を附置して、この所轄庁権限行使独善化を防止するという仕組みにいたしておるのでありますが、これに対して審議会委員会組織の独立の官庁として、文部大臣都道府県知事権限をそこに移すべきであるという主張があるのであります。尚この委員会構成につきましても、委員を公選にすべきである、或いはこの現在の案によりますというと、この審議会委員というものは余り経営者に偏しておるので、教職員組合代表も入れるべきであるとか、さまざまな反対論もなされておるのでありますが、私共はこの法案による所轄庁権限というものは、決して私学教育方針個々学校の運営の内容に立入つた自主的な問題ではないのであります。極く形式的なことに限られておるのでありますので、さような大掛りな強力な行政機関を持つ必要はないという考でおるのであります。そこでこれらの反対論に対しては到底賛成いたしかねる次第であります。  最後に、全国大学教授連合もこの法案に対して批判的な決議をいたしておりまして、恐らく皆様のお手許にもその決議文が届けてあるかと拜察いたしますが、実は大学教授連合がこの問題を取上げましたについても、多少の時間的のズレがあつたのでありますが、そういういきさつは省略いたしまして、その決議は三段から成つております。第一段は、私学というものは成るべく行政的の干渉を廃して、自由にその特色を発揮させるべきものである、殊に大学については最高度の自治を認めるべきである、そういう観点からこの法案には多少再検討を要する点があるように思われるというのが第一段でありまして、第二段は、この私立大学の任務の重大性に鑑みて、戰災の復興等については能う限り国家は財政的の求政策を講ずべきであるけれども、この場合においても補助條件として、徒らに監督の強化を図るようなことは避けなければならない、殊に貸付金補助金と同視して、同様な嚴重な監督に服するということは行過ぎではないかということ、第三段には、この法案作成手続の問題でありますけれども、この私立学校法案みたような国民の利害に関係の深い重要な法案作成に当つては、関係者の外に各方面の識者を加えた公正な機関によつて愼重審議をしなければならんということであります。実はこの決議文大学教授連合評議会で大体方針が決まりまして、その方針に基いて手続の文書を書きましたのは、課長の命を受けて私も書いたのでありますが、この決議の表面には現われておらんのでありますけれども、含みとしまして、その決議は現在上程中の法案に対する批判的な意見は勿論含んでおりますけれども、それによつて決してこの法案今期国会を通過することを望まないという意味ではないので、むしろ将来に対する示唆の意味であつて、現法案に対する具体的の提唱ではないという了解の下になされておるのであります。どうかこの点もさように御理解頂きたいと思うのであります。  甚だ長い時間を要しまして誠に恐縮に存じますが、結論を要約して申しますというと、私学団体連合会といたしましては、この法案は元来その発意にかかるものであり、すでに二年近くの年月を要して十分に研究を遂げて来たものでもありますし、又その内容においても大体所期の目的に適つておると考えますので、加盟の各協会決議に基きまして、この法案今期国会を通過いたしますことを熱望いたす次第であります。
  4. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 有難うございました。如何でございますか、一応皆さんの御意見を承つて質疑ということにいたしましようか。    〔「その方がいい」と呼ぶ者あり〕
  5. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それでは次に堀内操君にお願いいたします。
  6. 堀内操

    参考人堀内操君) 私は日本私立中学高等学校連合会から参りました堀内でございます。そういう立場から、只今全面的に大濱先生の御意見がございましたので、中学高等学校関係の多い面について簡單に御説明をいたしたいと思います。  私共中学高等学校といたしましては、私立学校法というものが教育委員会と同時にでき上るということを目途といたしておりました。併しながら教育委員会ができまして以来、相当長い年月を経ておるのでありますけれども、未だに私立学校法というものができませんので、我々の面においては空白の状態にあるわけでございます。そのために私共中学高等学校の蒙る不便な点というものが非常に多いわけでございまして、後程申上げまするけれども、是非今国会私立学校法ができ上らなければならない、でき上らせて頂かなければならないと考えておる次第であります。さて部分的に亘りまして、先ず第四條にございます所轄庁のことでございますが、私共最初この法律案を手掛けました時分には、一応ノーコントロールの線から、全面的に我々の持つ団体でこれをやつて行かなければならないというようなことも考えて見たのであります。即ちチヤーターの基準に対する認定、或いはアクレジツトの基準に対する認定、前者は設置委員会でこれをやり、後者は基準協会というようなものを作つて自主的にやつて行くことも一方法ではなかろうか、特に監督庁という言葉がカンピテント・オーメリテイーという訳語になつておりまする以上、そういつたような方法が最もふさわしいのではなかろうかと考られたわけであります。併しながらその後又進みまして私学教育委員会という方向で行くのが最もよかろうかというので、一応文部省とも話合が成り立ちまして、その方法で行くことになつたのでありまするけれども、これは、C・I・E等のお言葉もありまして、教育委員会私学教育委員会と同じようなものを二つ立てるということはおかしかろう、特に私立学校がそのような強い権限のあるものを無理に作らなければならんということは自主性を謳う私立学校自殺行為ではないか、こういうふうにも言われましたので、それから進んで一応私学審議会というようなものが中心になる建前を採つて、そうして所轄庁というところに最小限の権限を置く、こういうことになりまして、現在のような所轄庁一つ権限だけを持つて、そうして私学審議会というものが、諮問機関ではありまするけれども、民主的に論議されて、それがその通りに実行されるという行き方が最も今日においてはふさわいかろうという結論に達したわけでございます。従つて私共は地方長官或いは文部大臣というものに直属して、その偉大なる権限の下に行かなければ私学は成り立たないのだというような考は毛頭持つておりません。  次は教科書検定或いは教員免許状のことでございますが、これも最初多くの方々からは一応教育委員会に置くべきであるというような意見も出ました。併しながら私立学校のテキスト・ブツクというものが教育委員会でこれをなされるというようなことは、多分に法律的な色彩を帶びるわけでありまして、我々といたしましては、私立学校教員免許状なり、私立学校で使うところの教科書検定なりは、当然我々の意見が十分反映されるものでなければならない。そうであるとするならば、一応所轄庁にその事務をなさせることにして、その下に適正なる委員会が開かれて、検定なり或は免許状なりを取扱つて行かなければならんと考えたわけでございます。過去におきましては、一冊の教科書を変えるにいたしましても一切認可を必要といたしました。一人の教員を採用するにいたしましても認可を必要としたわけでございますが、こういうようなことから考え合せますると、誠に思い半ばに過ぐるものがあるのでございます。  その次には助成の問題でございますが、私共従来の中等学校というものは、過去三十年間に亘りまして補助金というものを各地方庁から貰つておるのであります。併しながら二年前憲法八十九條の問題から、このことは一応いけないということになつたのでありまするけれども、併し民主主義的に教育を大巾に受持つところの私立学校というものが、従来得ておつたものを急に止められるということは、非常に困るということを、CIEにも或はGSの方にも篤と説明をいたしました結果、それならば一時的の便法として、教育契約の方法においてやるがよかろうという勧告を受けたのであります。そうして我々従来得ておりましたところのその金額というものは、どのくらいの率であつたかと申しますると、大体一年に一人の先生が一ケ月に貰う俸給とほぼ匹敵したわけでございます。現在の金額で申しまするならば、教員一名約一万円見当に当るのでございます。こういう補助金を頂戴しておりましたところの教員の数というものは、全国で三万七千二百四十人という数に上るのでございまして、そういう面から、多少なり又生徒の方に及ぼす影響を考えまするというと、実にその生徒は全国で六十七万八千五百八名という多数に上つておるわけでございます。併しながら今年度に至りましては、私立学校法ができるということの見通しがついておりましたので、各府県共この私立学校法のできるのを待つておるわけでございまして、若しこの私立学校法ができないということでありますというと、従来の教育契約金で行けるかと申しますと、これは行けない、偏に私立学校法ができるかできないかによつてこの補助金というものが生きるか死ぬかという岐れ目に立つておるのであります。どうぞこの点も各議員の諸先生方におかせられては、十分御了解を頂きたいとお願いする次第であります。尚又諸先生方のお蔭で今年度の戰災復興の貸付金というものが計上されました。私共は誠に感激に堪えません。併しながらこの貸付金の生きたという理由も、一重に私立学校法憲法八十九條に関することが謳われてあり、その私立学校法が成立するという見透しの下に、これが生きたんだということを伺つておるわけであります。これやそれやを考え合せますときに、我々中学高等学校といたしましては、又五十九條の助成に関するものも実に大きな影響があると考えざるを得ないのであります。  尚説明したい点もございますけれども、又重複する向きもあるようでございますからお言葉がございました時に、お答えすることにいたしまして、これで終ります。
  7. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 有難うございました。次に立花昌夫君に御発言を願います。
  8. 立花昌夫

    参考人立花昌夫君) 私は東京都下におきまする主として高等学校、中学校、小学校等の私立学校行政の第一線を担当いたしております学務課長でございますが、経験も極めて浅いのでございまして、私これから申上げることが果して御参考になるかどうか、非常に不安に存ずる次第でございますが、一応学校行政を担当しておるものとしての意見簡單に申述べたいと思います。  東京都の問題が取上げましてみますと、私立学校高等学校、中学校は、その他公立の高等学校、中学校に比較いたしまして、学校数におきましては、約二倍、生徒数におきましては公立私立はほぼ同じくらい、中学校におきましては、校数におきましては私立学校は公立学校の約三分の二を占めております。生徒数は、中学におきましては公立の約半数強という実情でございまして、この数字から考えましても、私立の高等学校、中学校というものが、東京都下におきまする都民の子弟の教育というものに非常に大きな役割と申しますか、持つておることははつきりいたしておるのであります。ところが去年の十一月に、やはり公立学校に関しまする教育委員会法が出来上つたのでございますが、私立学校につきましてはその後、先程お話がありましたような、まあ空白と申してもよいような状態にあつたのでありますが、この度私立学校法案国会上程されましたことは、私共といたしまして非常にこれは適当なことであり、又非常にこれは必要であるというふうに痛感しておる次第であります。この法案を拜見いたしまして、二三の点につきまして、特に気のついた点があるのでありますが、先ず最初私立学校の組織の点でございまするが、殊に私立学校設置者であります財団法人法人の組織につきまして、画期的と申してもよいような強化の措置が採られておるのであります。これに公共的な色彩が非常に強くなつておるということは、私共この法案を拜見しましてつくづく感じておるのであります。従来私立学校は、民法によります財団法人としての経営を続けて参つたのでありますが、学校によりましてはこの法人の組織が一個人或いは一家族といつたような個人的な色彩の非常に強い学校もないではなかつたのであります。いわば学校が、ある場合には私用物のように考えられ、又場合によつては使われておるといつた例もなかつたではないと思うのであります。こういつた私立学校の壇ままなる、個人的な運営というようなことは、今後私立学校公共性という点から考えまして当然これはなくならなければならないものだと私も考えておつたのでありますが、この点におきまして、今度の学校法人の組織というものの強化につきまして、非常に公共的な色彩が強くなつて来るということは、私共極めて結構なことだと思つております。  それから次は私立学校の経済的な基礎が堅く固められたという点でございます。勿論これは、この法案が成立して一挙に経済的な問題が解決するというふうには考えないのでございますが、或いは免税措置が講ぜられるというような点、或いは又、收益事業が一方においては認められる。更に又、国なり地方公共団体貸付金なり補助金というものが、法の上ではつきりと認められたということは、精神的から申しましても非常に私立学校にとりましては福音と申してもよいのであります。一挙に現在のような経済的な非常に困難な時代にこれによつて直ちに私学の経済的な基礎が固められるということは申せませんが、こういう道が開かれたということは、これは非常に私学の将来にとりましていいことではないかと私共考えておるのであります。更に又、外の所轄庁としての監督権が相当整理をされまして、いわゆる私立学校の自主的な経営が大きく認められたということは、先程もたびたびお話があつたのでありますが、これは要するに先程申上げました私立学校の組織、殊に法人組織なり、或いは又経済的な基礎というものが、こういつたものの裏付けがあつて初めてこの自主性ということも生きて来ると思うのでありまして、私学本来の在り方としまして、これはその儘としておく方が私学の理想的の形ではございませうが、現実の問題を取上げて考えますと、私学の自主権というものを一〇%に認めるということは、むしろ私学にとりましての或いは自殺行為ということにもなるのではないかと思います。従来の監督権が相当大巾に整理されまして、最小限度の所轄庁監督権を認めたということは、現実の上から考えましてこれは適当だと思うのであります。それから行政庁立場といたしまして、私学審議会というものが新しく出来上りまして、所轄庁監督行政の実行の面に大きな役割りを演ずることになるのでありまして、或いは学校関係その他一般民間のいわゆる民意というものが、この審議会を通じまして私立学校行政の上に反映するような仕組みがはつきりここで作られたということは、非常に意義深いと存じます。いわゆる私学行政の民主化という点から考えまして非常に意義のあることだと思うのであります。まあ監督官庁独善ということが従来言われておつたのでありますが、併し私共現在東京都におきまして行政面を担当いたしておるものといたしまして、官庁独善ということは、世間で言われているようなものであつたかどうかにつきましては私共まだ意見もあります。今日はそれは省略させて頂きまして、確かにそういう一般の民意というものが行政の上に現われて来るような仕組みになつたということは、これは非常にいいことであると考えております。それから又、いわゆる財団法人、将来は学校法人になりますが、法人認可といつたような権限が従来の文部大臣から地方長官に移讓されたということは、これは行政の簡素化ということから考えまして、非常に事務の円滑なる遂行といいます点から考えましても、これは非常に時宜を得たことであると考えておるのであります。  以上私の気のついた大きな点についての意見を申上げたのでありますが、この法案は全体を通観いたしまして、非常に進歩的な内容を持つておるということは申上げられると思うのであります。理想的なということは申上げにくいかも知れませんが、私立学校の現在の実情から考えまして、これは確かに進歩的な法案であると考えるのであります。併しながら具体的な問題としまして、現在東京都の例を取つて申上げましても、公立学校というものが片方にありまして、これが教育委員会の所管の下に将来、この設備なりその教育内容の充実ということに相当力が入れられておるのでございまして、公立学校内容が将来拡充され、これが充実されて参りますと、私立学校というものの立場は決して楽な立場にはないと思うのであります。むしろ将来私立学校というものの立場が非常に困難になるということも予想できるのでございます。従つて立派なこの法案ができましても、この法案運営といいますか、つまり私立学校の健全な発展を図ると申しましても、なかなかむずかしい問題が沢山あると思うのであります。私立学校の持つておる持味を十分活かしまして健全な発展を図るためには、学校関係だけではなく、これは広く官庁なりその他一般の努力、協力ということが是非必要であろうと私共考えておるのであります。全体を通じまして、今回提案されました私立学校法案というものは、一応速かに国会におきまして可決せられることが極めて必要であり、そうして又適当であると私共考えておる次第でございます。簡單でございますが、これで終ります。
  9. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 有難うございました。次に江口泰助君に御発言をお願いします。
  10. 江口泰助

    参考人江口泰助君) 私立学校法案については一般の民間に非常な風評を生んでおるのであります。而も関係者の間ではおのおの違つた意見を持つております。大濱先生の御意見の中にありましたが、この法案の大体指導的な役割を持つているのは私学総連であるというようなお話でございましたが、いまいろいろ聞くところによりますと、学生はこれに対する非常な反対意見を持つているということでありますし、それから大学側と高等学校以下の学校の間にも十分な、完全に一致した統一された意見というようなものもない。或いは大学教授連合の中にもいろいろ批判的な意見がある。そういうふうな、各般に亘つてこれに対しては批判の声が高いのであります。例の大学管理法の問題が文部省原案として作られた時も非常に猛烈な反対意見、批判がありました。そうしてこれを再び喚び戻しているわけでありますが、それにも似たような意見が各方面から出されているのであります。これはすでに国会上程された問題でありますので遺憾に思う次第でありますが、国会上程される前に二ヶ年間私学総連が苦心惨憺したというような、この法案の草案作成に当つて、なぜもつと各般の意見を聽かなかつたのであろうか、そうして統一した意思によつて原案を作らなかつたのであろうかということを考えます。  以上一般的なことを申上げまして、次に私、内容に亘つて申上げて見たいと思つております。  先ず一番問題になつております第四條の所轄の問題でありますが、私はこの高等学校以下の中学校、小学校幼稚園その他各学校については県知事の所轄の下に置くよりも教育委員会の所轄の下に置いた方が妥当であると考えております。それは勿論現行法の中には、免許法とか委員会法等の中に明らかに私立学校については教育委員会はこれを管轄しないことになつておりますけれども、この私学法の中に規定すればそういうものは解消するものであります。そこで尚いろいろ聞くところによりますと、県知事の下に高等学校以下の学校を所轄さして置くということは、私立学校自主性を保つて行くために非常に好都合であるというような御意見もありますし、或いは教育委員会に対しては不滿な点があるので、教育委員会の管轄に置くことに賛成できないということにもあります。併し私は、私立公立を問わず、やはり教育という一つの專門的な事柄に対しては、統一された官庁がやつて行くのが有機的な教育行政全般の睨み合せの上に好都合ではなかろうかというふうに考えておるわけであります。勿論教育委員会は財政権を持たない。今地方庁から、地方議会から、教育費を捻出するために非常な苦労をしております。却つて知事が教育支配して行政を担当しておつた時の方が教育予算については知事の責任があつてよかつたのだというふうな不平さえも出ておる次第でありますから、補助金私立学校が取るためには知事の管轄に置いた方がいいかも知れないけれども、私は教育全般から考えてやはり教育委員会の下に一応所轄して置いた方がいいのじやないかと思つております。  次は権限の問題になつて来ますが、この所轄庁権限はまあ知事に置くにしましても、教育委員会に置くにしましても、第一條の冒頭に出ておりますところの自主性公共性、この面においてやや矛盾したような二つのことが並べられておるところにこの法律の非常に苦しいところが、無理なところがあるのではないかと考えております。非常に最小限度に縮限して、第五條の一号、二号だけに限定したと言いますけれども、現実に私立学校が補償金や貸付金を貰つた場合には、第五十九條にあるところの非常に大きな権限所轄庁に與えられることになるわけでありますので、第五十九條を見ますというと、これで私は果して私学総連が御滿足なさつたのであろうかと思われるようなところがある。学校運営の私は全般的な面にまでも所轄庁の手が伸びて行くような惧れを持つております。例えば私立学校の備えておる條件を審査する、或いは業務会計を報告する。この業務の報告までもやらせられるということになると、私立学校運営自体が官庁によつて牛耳られることになる。それから予算についての必要な勧告をすることができるということは、学校運営自主性官庁からも勧告によつて書される。ただここは勧告と書いてありますが、この勧告を聽かなかつたならば、その学校から申請された予算は非常な憂目を見ることは明らかなことです。それから役員の解職等を勧告することができる。こういうように掲げたところの五十九條は、非常に私は私学側として容認できないのではなかろうか。こういうふうに考えておる。それで権限は二つに縮小したというようになつておるのですが、現実には非常に五十九條の方が、強い統制が現れて行くのではないかということを思うものであります。そこで私としましては、私立学校審議会との関係におきまして、都道府県知事が行うところの権限は形式的な面だけに限定しまして、その決定権を私は私立学校審議会に持つてつた方がよかろうと考えております。いわゆる私立学校審議会意見を聽かなければならないというようなことがあります。それから第五條のこととか、それから先刻言いました第五十九條のことについて意見を聽かなければならないとありますけれども、その先には重要なことについて建議することができるというのが九條の二項にあります。この重要事項について建議することができるというようになつて行く点から言いまして、私は私立学校審議会は先刻一つの弱いところの私立学校内の運営等にまで立入ることはなかろう云々という大濱先生のお話がありましたが、これは相当重大な事項について問題になるだろうと考えているわけであります。そうしますならば、私としてはただ單に諮問機関として置いておくだけでなく、私立学校審議会権限強化して、而もその性格一つの決定機関、或いはもつと強めて、執行機関的な性格を持たしたらどうであろうかと考えておる。例えば全国の選挙管理委員会は総理大臣の所轄の下にあるわけですが、あれは総理大臣は選挙管理委員会に対して何ら権限は持たない。形式上あれは予算を取る上での内閣での閣議での発言等のことはありますが、あの内容について、あの決議について、執行について、何ら閣議は関係しない。又は総理大臣もこれが発言はできないことになつておる。ああいうような非常に主体性に強いところの委員会にして、それで決定も執行も一手でやつて行けるようにした方がいいのではないかと考えておる。私は先刻教育委員会の所轄の下に置けと、こういうふうに申しましたが、私は教育委員会の所轄においても、教育委員会がこの私学内容について云々せられ、私学運営方針に対して云々するということは絶対に反対でありまして、ただ有機的な教育方法の上から委員会の所轄の下に置き、そしてその下には私学自主性を、外部からの波に対して防壁となるような強い審議会を設けておいた方がよいのではないかと考えております。  次は大学のことでありますが、私は結論から申しますと、私立大学審議会は、最後学校法人條項は一応別としまして、それ以外のことについては、大学條項は本條から削除して、そうして次の大学管理法の成立と睨み合せて、十分私立大学性格を各方面の意向を聽いた上で討議して、そうして次の国会において再び審議した方がいいのではないかと、こう考えております。大濱先生もおりますが、私も大学管理法の起草委員の一人でありますが、海のものとも山のものともまだ結論は出ておりません。国立大学中央審議会についても、まだ性格は分らない。それから財政面についてもまだ分らない。非常に混沌とした状態にある時に、私立大学のこの面だけをやつて行くということは、やはり大学性格から言つて私は少し行き過ぎではないかと考えております。それで私立大学の面につきましては、もう一度次の定例国会にでも延ばして、そうして大学管理法と併行したところの草案を立案をし、それからその委員会での討議も、国立大学管理法と併行して討議して行つた方がいいのじやないかと考えます。  それから最後審議会構成でありますが、この審議会構成は民主的に相当考えられたようでございますけれども、やはりこの選出の方途で行きますというと、委員会が、都道府県の持つておるところの、あの第五條から第五十九條にあるところの強大な権限を執行するとか、審議会意見を聽くとしましても、その審議会都道府県知事の任命する者の中からできておるとするならば、全く知事の御用機関になつてしまう虞れがある。そこでこの委員の選定に当つては、理事者側或いは学識経験のある者、これだけから殆んど委員の大部分が出るようになるのではなかろうかと考えております。そこでそこの割当等も三号、四号、五号とありますけれども、校長を教員側と同じようなものとしてではなく、校長は一応その学校の理事者側と同じ立場に置いて、そうしてそこの中に教員意見を聽くような條項にして貰いたいと考えておるわけであります。私立学校の職員は、今完全に労働組合法、労調法、労働基準法の適用を受けておるのであります。そういうふうなものの適用を受けておる教職員が、こういうふうな審議会の中からやはり現実に出られないようなことにしておるということは、いろいろ将来に向つてのトラブルが起つて来るのではなかろうかと考えております。そこでやはり校長、教員とするよりも、校長は一応理事者側の立場において、教員の出る途を開いて置いて頂きたい。それともう一つは、その出されるところの委員は、皆都道府県知事が天降り的に任命するのではなくて、教員なら教員、理事者なら理事者の間の互選によつて委員が出て来るような措置を取つて、それを都道府県知事は必ず任命しなければならないようにし、それから学識経験者も、やはり教員や理事者側、或いは校長等から出たところの委員が推薦する者を知事が任命するような形にして、そうして知事を一応形式的な所轄庁とするような措置を講じた方がよいのではないかと考えております。  以上極めて簡單でございますが、私の大体考えておるところを申上げた次第であります。
  11. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 有難うございました。次に芝山安弘君に御発言をお願いいたします。
  12. 芝山安弘

    参考人芝山安弘君) 私は私立の学校に子供をあげておる父兄の私学法に対してというようなことについて申上げたいと思います。第一に、私立の学校に子供をどうして通わしておるか。第二に私立学校に通わしておる子供を持つ父兄として困ること、父兄として私学法のことをどういうふうに考えるかということについて少しく御参考を申上げたいと思います。  終戰後に学制改革が行われまして、義務教育の延長、小学校、中学校が義務教育として全く私立学校にとつては問題にならないほど、法律で公立学校は安い経費で賄えるというようなことになつておるのであります。官公立の学校は、国家又は地方公共団体機関であり、卒業の資格は私立学校と同一な資格を得るということになつております。この学費の低く、低廉であるというにも拘らず、私立学校に自分の子供を託して教育を委ねなくちやならないというようなことは、一体どんなことであるかということで考えておるのでありますが、それにつきましては、子供が卒業した後に、社会生活その他において父兄の希望する人格識見が出来るかどうか。父兄の希望する人格的教育と、実際的技術、個性等の伸張に役立つ教育をしてくれるかどうか。訓育等の点について、安心して子供を通わしておることが出来るか。又教育的信念等特色ある教育が受られるかどうか。これらの点につきまして十分安心して信頼が出来るかどうかというようなことが、いわゆるこういうことを検討いたした場合、少くとも東京都において幼稚園、小学校、中学校高等学校、公立より私立の方はより以上多い。又安心と信頼が持てるのではないかと私は考えるのであります。極端に言うものでありまするが、都内の有名なこれらの私立学校と公立の学校と、いずれを父兄が選ぶかということを教育的見地から調べて見ますと、その大部分は私学希望する方が多いということになるだろうと私は考えるのであります。それ故に私自身も実は子供を六人ほど持つておるのでありますが、この子供を殆んど全部私学の方に通わしておるのであります。又そこに、東京都内に大学から幼稚園まで圧倒的に私立の方が多いという理由も、結局希望する生徒が多いからだ、こう考えるのであります。  私学に子供達を託しておる……第二番目でございますが、というようなことで、悪いと言うとちよつと語弊があるかも知れませんが、困るといいましようか、これは私立を公立に比べて見たとき、私立が真に父兄の信頼を持つ、併せて私学に子供を託し得られない理由。先程悪いと私申上げました。これはどういうところにあるのかということでありますが、これは主として経済上の理由、即ち学校及び家庭の教育に要する負担金の不均衡ということになるのではないかと考えられます。いわゆる官公立の大学の学費は、月謝にして見ますと、年額約二千円くらいであります。私立は八千円を要する。或いは最高の学費では二万円くらい掛かるということも耳にいたしておるのであります。こういう経費については、非常に私共子供を持つものとして、私学希望いたしましても一番困る点だと私考えておるのであります。尚高等学校におきましては、公立二千四百円であるのに私立は六千円、まあ月約五百円も拂わなければならん。八千円くらいも掛かるというところもあるように聞いておるのであります。中学校以下は公立は、無料というのではないが、非常に安いのでございますが、私立は結局三千円乃至八千円を要するというようなことになるのであります。而もこれだけの負担をしても尚、私共学校の方に、私立の学校の方に関係しておりますが、待遇等においては、官公立のように充実した待遇はできない。いわゆる退職金の準備というようなことまでには至つておりませんのでございます。そういう内容であるのに拘らず、今度の戰災において、復興費や又新学制の充実等に相当多額の費用を使つておるのであります。これらの費用は、総て都民が負担するものではないのであります。従つて私立に出しておる多くの父兄達の負担ということになつておるのであります。これらが非常に困る点だと思うのであります。又これも欧米諸国のように、公立においても私立においても安心と信頼を持つておるだけの施設と方策が採られていて、尚校風、伝統とかいう好みから私学に通わせるというのであれば別でありますが、日本の実情においては若干異なつておると思うのであります。かかる意味におきまして公立学校の施設内容の充実というようなことと、私学の健全な発展助成ということは、日本の文教政策の二大眼目であらねばならないと信ずるのであります。  次に父兄として私学法に対しまして敍上の観点から希望を申上げて見ますと、法律の制定によつて私学の特長や自由性が尊重されて、将来共私立の学校の健全な発展が図られて行くということ、日本の現状から見て学徒の、公立と私立との学費の不均衡を是正できるような方法法律で定められること、例えば、助成策として補助金とか或いは貸付金というような方法、或いは免税、金融等の方法法律的に設けられるような法規、私学が一部の人々や一族の人々によつて独占的に経営される、即ち商業的金儲け主義のごとく一般から見られないような公共性主張する法律であること、経営及び教育について私学自主性を害するごときことが規定されておらないこと等が大切であると存じます。殊に父兄の立場から申しますならば、この法律の制定によつて私学の特長が一層加わり、且つ社会的地位がより以上向上することを望む次第であります。よい私学法の制定ということは学校と共に父兄も心から希望しております。又現在上程されておる私立学校法を一通り検討いたして見ましたが、これは長日月に亘つて各方面の御意見を聽き、或いは練り合せて作つたものに、私達の日頃抱いている見解も十分考慮せられておるようであります。従つて私達といたしましては、この法案が制定されることは喜ばしい次第であります。例えば、学校法人の理事や評議員中に父兄代表も入れるべきであるというような御意見のあることを聞いておりますが、幼稚園から大学に至るまでを擁しておる、非常に数多くの種類をもつておる、例えば、宗教とか、そういうようなことに至つてはそれぞれの経営に特長がある私学といたしましては、さようなことは各校の自由に委すべきであらうと考えるのであります。父兄といたしましては、理事や評議員にして頂くことにより希望をする教育学校にして頂くことがより以上大切であり、民主的なPTAの活動によつてその目的は十分に達し得られるというふうに、さような法律が特に必要という考えは私達は持つていないのであります。又学校審議会委員に父兄代表を入れるというような意見もあると聞いておりますが、恐らく学校の学識経験者の中にはPTA関係者中の適任者が候補に上るだろうということは予想され、父兄を必須條件として規定することはないであらうと存ずるのであります。戰前のように学校経営者が專断的に学校経営教育を行つておるという私立学校は現在は聞いておりません。私の知つておる多くの私学経営者として校長、職員等の、又先生と父兄と常に緊密な連絡を取つて和気靄々の中に協力して教育の成果の上向に努めていますから、対立的とか抗争とかいうようなことを考える必要は私はないと考えております。要は今後の法律の制定によつて私学地位の向上、健全な発達が図られ、我々の最も苦心している経済負担が若干でも軽減される意図の下に作られた私学法でありますから、父兄としては、先生方も同様、制定の一日も早きことを願つておる次第であります。  以上まことに簡單意見でありますし、お話も非常に下手でありますが、御参考に申上げておく次第であります。
  13. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 有難うございました。以上をもちまして五名の方々の御意見を伺うことは終りました。尚補足的に委員方々で御質疑等がおありになりましたら御発言願います。
  14. 河野正夫

    ○河野正夫君 大濱さんに三点だけ伺いたいのでありますが、一つは先程教授連合の一種の反対のことに触れられておりましたのでございますけれども、私共もあの声明書及び要請書を頂いたのでありますが、あれは最初私学法案として出されたものに対する反対論ではないか知らんとこう考えておつたのでありますが、先程の御説明では、そうでなく、只今国会上程されておる法案についての御意見であるというので、その点は了解いたしました。併しそうだといたしますと、そこに述べられておること、先程大濱さんも要約されておりましたけれども、補助助成の名目の下に監督強化するのは反対であるというようなことが、あの法案に即してというと、江口君の方から言われる第五條とか五十九條ということを意味しておるのではないかと私達思うのでありますけれども、その点如何でございましようか。あれは将来に向つての提唱であつて、今次の案に対しての反対ではないという御説明は、そのまま受取りかねるのでありますが、今少し立入つて説明願いたいと思います。  それから第二点は第五條つたかと思います。学校の閉鎖を命ずることができるというあの規定の中に、故意法律若しくは命令故意に違反したというのが原案にあつたはずであります。そうするとこれは、学校教育法の中には故意にという言葉が入つておる。あの條文はそのままに私立学校法へ入れたんだと私は了承するのでありますが、それが今度入れる場合には故意にという文句が消えておる。お説に従いますと、大濱さんなどがこの法案作成にはタツチしておられたようであるが、その点について、それはどういうわけであるか、経過が御説明願えるものならば伺いたいとこう思うのであります。  それからもう一つ、第何條でありましたか、学校法人の会計と言いますか、帳簿等を備える規定がありました。最初の案ではあれを公表するというか、閲覽の求めに応じては閲覽に供さなければならんというような規定になつてつたはずであります。これを削除いたしております。これは固まり他の会社というようなものの経理状態を徒らに公共に閲覽せしめるということは以ての外であるに違いありませんが、今次の法案私学公共性を高めというところに一つの意義がある。学校法人の財産の最終帰属のような場合についても相当に規定されておるような次第でありますが故に、特にその運営経営の公共的であることを誇つてもいいというくらいに私学はならねばならんだろうと思います。簡單に閲覽規定を削除したのは如何なる理由であるか。その三点について伺いたいと思います。
  15. 大濱信泉

    参考人大濱信泉君) 只今のお尋ねに対してお答えを申上げますが、第一点は、教授連合の決議に関することでありますが、実はこの決議が成立いたしました過程をちよつと申上げませんと御了解が得難いと思いますが、実は私も教授連合の常務理事をいたしておる一人でありますが、この法案が非常に監督規定が多かつたために、これを大巾に修正して貰いたいということを私考えまして、丁度先月の初め頃でありましたか、文部省からこの法案が閣議に掛けられる前に教育刷新審議会の諮問に附せられたのでありまして、刷新審議会の席上、非常に監督権が多いということが話で出たそうでありまして、丁度この際に刷新審議会において監督規定の削除をして頂こうと思いまして、刷新審議会委員長の南原さんに教授連合の会長でもある南原さんに私の方から十項目を拾い上げまして、どうかこの法案にはこれだけの監督規定がある、これは私学の実際には矛盾するようなことであるから、できるだけ刷新審議会の方で修正願いたいと言つたのでありますが、その際南原さんは、できるだけ骨を折るというお答であつたのでありますが、その後文部省でその案を急いで閣議に掛ける関係上げ刷新審議会審議が十分終らない前に閣議を通過してしまつたのであります。そこでどうしてもこのまま国会上程されることは好みませんので、今度は国会上程されることに阻止する方面に骨を折つて頂きたいということで、文部大臣にもお話が願つた筈であります。併しなかなかこれも簡單に行かないようでありました。それでこれは教授連合としても一応取上げなければならんというので、南原さんも考えられまして、私丁度一週間程今月の初めに学界の用で京都に行つておりまして、その留守中に南原さんが教授連合の委員会を招集しておられまして、私五日に帰りまして、私共の主張通り大巾に修正されておるので、これならば私学法案の上程に賛成してもいいということになつたのであります。南原さんは情勢の変化を御存知なくて、すでに教授連合の総会を招集しておられまして、折角会議を開かれたものですから、私から経過を一応お話をいたしましたが、併し折角集まつたことでもあり、一部教授の間には不満があることであり、そういう方面の意向も考えて、多少これはそこら辺で、政治的な含みがあるのでありますが、何とか決議をしようということで、こういう方向で行こうじやないかということで、大体においてこの法律が施行されることを前提にして将来に対する含みとして貰いたいということになつたのであります。そこで決議文を私が起草しろということで私は被告が判決を書くというような立場でおかしいと言つて実は私の考を書いたのであります。確かにあの中の第一点はこの観点から、この法案は再検討を要する点が少くないという点で批判が出ておりましたが、併しこれはこの国会においてそういう方向に修正されればよろしいのでありますけれども、できなければ、将来に対する一つの示唆として活かしてもよいじやないかと、これについては私は多少疑問があつたのであります。再検討を要する点が少くないと書いてありますが、どうも私としては強すぎる。どこをどうするというはつきりした認識をお互に持つているかというと、それはない。そういう漠然たる認識の下にあれだけの強い言葉を使うことは反対であつたので、私の原案は改善すべき点があるというふうに書いたのですが、それでは弱いからというので、再検討を要する点が少くないというふうに直されたのであります。  それから第二段の補助のことでありますけれども、これは憲法の解釈に属するので、そこではつきりしたお互の結論がなかつたのでありますけれども、ただこの補助を条件として監督強化するような態度は避けなければならないという程度のことでありまして、最後の部分に、殊に一時的の貸付について、これを補助金と同視し、嚴重な監督の下に置くことは明らかに行き過ぎである、こう書いてあるのであります。この五十九條の中に補助金と貸付と同律に置かれているので、これは行き過ぎではないかという意見が出たのであります。まあそういうようないきさつでこの教授連合の決議が成り立つているので、繰返して申上げますけれども、この法案の通過を阻止するという強い意味じやなくて、どこまでも通過を前提として将来に対する示唆であるということに重きが置かれていると思います。  それから第二点の、第五條の第二項の「故意に」という三字が抜けているのを、どういうわけでこうなつたかというお尋ねでありましたが、実はこの法案作成につきまして、私学団体総連合には明治大学の法学部の松岡君が委員長になつておられまして、松岡君を中心にして文部省の方と折衝をして、私は大学協会側からただ平の委員として途中から入つているのでありますが、こういう細かい文字を入れたり削除したりするような折衝は、実は詳しく知つておりませんのですが、恐らく最初つたの文部省で仕上げの際に取られたのか、そこらのいきさつが私にはよく分らないのであります。  それから第三点の四十七條でありますが、学校法人が財産目録、貸借対照表、收支の計算書、これを備えなければならんと第一項に規定しまして、この二項に、学校の債権者の閲覽に供しなければならんという項があつたのでありますが、それを省いたのであります。それを省きましたのは、これは決して私立学校がそういう会計書類を祕密にするという考はないのでありまして、お説のように、やはり公共的なものでありまするから、どこまでも経営を明朗にするためには公開すべきものだと考えておるのでありまして、ただ学校は会社などとは違つて、そう広く取引をしておるものではありませんから、そう債権者というものはないのだと考えられます。まあ一二の銀行から一時的に金融を受けることはありますけれども、そういう場合には、すべての経済状態を明らかにしなければ金融機関は貸してくれませんが、一般からの債務というものはそうあるものじやないとこう考えますので、特にそういう閲覽の規定を置く必要もなかろうじやないかという考でありまして、会社につきましても、まあ株式会社みたいなものにはそういう規定があるのでありますけれども、その外の会社にはそういう規定がないようでありますから、学校についても削除してよいのじやないかという主張でありまして、それ以上深い意味はないのであります。
  16. 河野正夫

    ○河野正夫君 ちよつと速記を止めて下さい。
  17. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  18. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 速記を始めて。
  19. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 大濱さんに一つ伺いたいのでありますが、先程の経過のお話の中に、つまりこの法案私学総連が発言して、結局これは政府提案になるということから、最後文部省が主導権を握つていろいろ折衝になるというお話でありましたが、その際において私学総連が発言されるに当つては、いろいろな草案を持たれておつたし、或いは折衝の方法なども、どういう委員を挙げられるというようなことも決められたと思うのですが、その草案を作るところの委員とか、或いは折衝の委員とかいうようなものは、どういうふうな方法によつて定められたものでありますか、その点をちよつと伺いたいと思います。
  20. 大濱信泉

    参考人大濱信泉君) 私学団体総連合側の委員は、先程申上げました通りに、大学協会、專門学校協会、それから中等学校高等学校協会、小学校協会幼稚園協会、いろいろな協会が連合しておりますので、各協会から委員を出しておるので、それによつて原案を作り、その委員長を通じまして文部省とは折衝しましたし、或いは委員会の席上に文部省の係の人に入つてつて一緒に審議したり、そういうような経過をとつております。
  21. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 私の伺いたいのは、その各協会とか、そういうふうな方面で委員を挙げる場合に、具体的に言つたならば、学生であるとか、同窓生であるとか、或いは父兄関係であるとか、教授関係であるとか、そういうふうな方面からの指名によつてそういう委員が決められたのかどうか、その点を伺いたいと思います。
  22. 大濱信泉

    参考人大濱信泉君) これは各協会では理事という役員があるのでありますが、この役員会で決めたので、恐らくその役を持つておる人の中から委員が出ておるのではないかと思うのですが、個々学校とは直接つながりはないのであります。
  23. 堀内操

    参考人堀内操君) 中学高等学校以下の協会中学高等学校協会、小学校幼稚園というものがありますが、大体この方面では、校長、理事者側、それから教職員側と、こういうような二つの面から半々に委員を出しまして、地方も多分そうだろうと思いますけれども、特に東京の中学高等学校協会という方では、それぞれ学校においても互選をしております。それから、東京は十二支部に分れておりますが、各支部においても亦選ばれたのが互選をしております。それで常任委員が選ばれておるというように、選挙の形で下から盛り上げられて来ておるわけであります。適当に指名とか推薦とかいうような方法では出ておりませんで、飽くまでも選挙の形を採つて下から順に選び出されておるわけであります。
  24. 河野正夫

    ○河野正夫君 堀内さんに一つ伺いたいのですけれども、お話の中に教育契約金のことがありましたですが、先程一教員一万円程の教育契約金と称する一種の貸付金補助金が下つてつたということでありましたが、これが終戰後いつまで行われ、いつから停止になつたかというようなことを具体的に承つて置きたいのであります。  それから更にこの金は、終戰前にはそうであつたのですが、直接に教員に渡つてつたと思いますが、終戰後でもそういうものが渡されておつた時には、どういうふうに始末をつけられておつたかということを参考に承つて置きたいと思います。
  25. 堀内操

    参考人堀内操君) 大体一万円と申しましたのは、従来月、教員に対して十円という見当でございます。そうすると年百二十円であります。その頃の教員の平均給金が百十四五円でございますから、年額を一月分の給料とこう考えたわけであります。終戰後は二十一年度におきましては、これは相当大巾のものを頂戴いたしました。いわゆる差額、公立教員給と等しい私立教員給を出す場合に、公定の月謝で計算しまして、その差額というものを二十一年度には請求いたしましたから、七百五万円という多額のものを貰いましたので、これは到底一月分ぐらいじやなかつたのです。二十二年度、二十三年度は或いは一月分に充たないかと思います。それからして支給される相手方は二十二年度、二十三年度は教員数及び生徒数に比例して渡しておりますので、協会の指令としては教員に渡るべきである。尚又二十一年度、二十二年度においてはそれぞれの領收証なども取りまして、はつきりと教員に渡つておるかどうかということを点検したこともございます。建前として当然教員に渡るべきであるという方針を執つて参りました。
  26. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 大濱さんにちよつとお伺いしたいと思うのですが、今回の私立学校法案は、大体において貸付金というような、国家の助成というようなことが相当連関されてここで考えておる面が多いのでありますが、そういう面から眺めまして、何もここで今私立大学に関する面をこの法案の中に取らなくとも、又公立の方でも大学関係のものは出ておらないのですから、その出た時に大学を見るとして、今ここから大学のものを拔くというようなことについては、あなたのお考はどうですか。
  27. 大濱信泉

    参考人大濱信泉君) この法律には御承知のような二つの面がありまして、一方は学校教育法に基く学校に対する行政面、他の方は学校経営に関する法人の面でありますが、法人については、大学と外の学校とは一つでやつておるのですから、これを分離するわけに行かないと考えるわけであります。この学校法人は、現在の財団法人よりは確かに学校経営主体としては恒久性を考慮しまして改善されておりますから、この面はどうしても、多くの学校について学校法人ができれば、大学の方も歩調を揃えるべきであると考えております。そこで分離するということはちよつと不合理になるのではないかと思います。行政に関する面でありますけれども、これは大学は分離されて大した支障がないとも考えるのでありますけれども、併しこの監督権を搾るということと監督権行使について審議会意見を聽くという点に重点があるのでありまするから、これもやはり私共私立大学関係者としましては直ちにできることが望ましいとこう考えております。国立大学管理法との関連ちよつとお話が出たのでありますけれども、どうも私立大学についてはああいうふうな管理法は要らないのじやないかと考えております。私立大学が自由に置かれて、各大学の内部をどうするかということは個々大学でやることで、法律で細かいことまで決められることは好ましいものではないという考でおるのです。
  28. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 外に御質疑はございませんか、もしございませんければ今日参考御意見を伺うことはこれでもつて終了いたして宜しうございますかしら。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 御異議ないと認めます。ちよつと御挨拶を申上げますが、御多忙中わざわざおいで願いまして、非常に有益な御意見を承わらして頂きまして、この重要なる法案審議に参考になることが多大であつたと信じております。重ね重ねお礼を申上げる次第でございます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十六分散会  出席者は左の通り。    委員長     田中耕太郎君    理事            若木 勝藏君            松野 喜内君            木内キヤウ君            藤田 芳雄君    委員            河野 正夫君            小野 光洋君            大隈 信幸君            梅原 眞隆君            堀越 儀郎君            三島 通陽君            山本 勇造君            鈴木 憲一君            岩間 正男君   参考人    早稻田大学法学    部長    (私学総連関    係)      大濱 信泉君    中央高等学校学    監    (私学総連関    係)      堀内  操君    東京部総務局学    務課長    (東京都庁関    係)      立花 昌夫君    長崎県伊良林小    学校教諭   (日教組関係)  江口 泰助君    安田学園PTA    会長   (PTA関係)  芝山 安弘君