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1949-11-22 第6回国会 参議院 文部委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十二日(火曜 日)    午後三時十五分開会   —————————————   本日の会議に付した事件国立学校設置法の一部を改正する等  の法律案内閣提出衆議院送付) ○東京教育委員会事件私立学校法案内閣送付) ○証人喚問に関する件   —————————————
  2. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それでは本日の委員会を開会いたします。議案の第一といたしまして、国立学校設置法の一部を改正する等の法律案議題といたします。前回に引続きまして質疑を続行いたします。その前にちよつと御報告申上げたいと思いますが、前回委員会におきまして、商船大学文部省に移管せられた後におきまして、その運用に遺憾無きを期するために、関係各省の間に覚書委員会の意向によりまして取交された次第でございます。で覚書の原本がここに提出されておりますので、朗読いたします。先ず文部大臣運輸大臣覚書でございます。  「覚書文部大臣運輸大臣は、商船大学文部省に移管せられた後におきましても、船員教育審議会を通ずる等、協力してその運営に遺憾なきことを期する、昭和二十四年十一月」日附はブランクになつております。これは文部大臣運輸大臣の間の覚書でございます。次は文部大臣農林大臣の間におきましても、同じ趣旨覚書が取交されております。これは昭和二十四年十一月十七日の日附になつております。右御報告申上げます。  国立学校設置法の逐條質疑を続行いたします。
  3. 河野正夫

    河野正夫君 細かいことを一つだけお伺いいたします。説明にあつたかと思いますけれども、現在の商船学校でございます、言つてみれば商船高等学校というようなものではないかと思いまするが、併しこれが依然としてこの高等学校規定の中に嵌まつて来ないように思うのでありまするが、これについての見通し、又商船高等学校というものを必要とするかしないかということについての御意見を承わりたいと思います。ついでにこれらの商船学校卒業生商船大学へ入ることができたと思いますけれども、将来はどうなるかということについても御説明願いたいと思います。
  4. 剱木亨弘

    政府委員剱木亨弘君) 商船学校はいわゆる中等程度商船学校でございますが、全国に現在五つございます。それはできますれば今回の大学と同じ処置をとりまして、商船高等学校変更する予定でございましたが、尚この点につきましては研究をいたさなければならん点が残つておりますので、できるだけ速かに商船高等学校に改称するように努力して参りたいと考えております。恐らく近いうちに可能であるということを確信いたしております。それから元の中等学校は五年制でございますので、新制大学への入学資格は直ちにはございません。併し旧制の中学校を卒業いたしました者に対しましては認定の方法を講じまして、入学資格を認定する方法を講じますれば大学への入学資格を付與することが出来るということになつております。
  5. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 この法案は、この程度審議打切つて討論採決に移されるように、私は動議を提出いたしたいと思います。
  6. 松野喜内

    松野喜内君 賛意を表します。
  7. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それでは本案に対する質疑は、終了いたしたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。
  9. 左藤義詮

    左藤義詮君 むしろ時期の遅れた感がございまして、この際至急商船大学が発足されることを希望いたしますが、運輸省も、文部省も将来の海運の規模から申しまして、もう一校関西にできるだけ早い機会商船大学を設置したいということを申したのでありますが、この点につきまして、我が国の将来を賭けております海運のためにも、一日も早くこれの実現しますように、是非両省において積極的に努力せられるように希望いたしまして、この法案に賛成いたします。
  10. 岩間正男

    岩間正男君 私は、この法案に反対します。その理由商船大学が設けられることについての法制的な根拠を與える、その点は私は異論はないのでありますが、それと同時に首切りが、この方で百三十人に余るところの、大学附属病院だと思いますが、そこの看護婦さん達、事務職員達首切りがある。こういう点について、我々は了承することは出来ないのであります。この前の定員法の場合におきましても、私達は日本実情から見て、これは賛成することは出来なかつた。それが定員法が実施されてどういうことが起つたのかと言いますと、又国立学校あたりにおきましても、非常に人事が官僚化しておる、更に学力が低下しておる、それから寄附金の強要が多くて、そうして国立大学が非常に経営の面からも苦心しておるというような問題があります。特に又人事に至りましては、最近いろいろな思想上の圧迫があり、自由が奪われておる、こういう形において天降り的な首切りが行われておる。こういうような形から、この国立学校設置法案に対しましても、我々は反対して来たのでありますが、それをこの国立学校設置法案定員法との連関において、今度は法的な措置をしなくちやならん、ただ條文整理程度のものである、こう言われながら、而もその中に百三十何人に余るところの首切りが含まれておるということは、我我の了承することのできないところであります。定員法並びに国立学校設置法案そのものに対して、先程申述べました見地に立つて不賛成を唱えて来た我々としまして、こういうような一つ條文整理ということに便乗した形で以て同時に首切りが行われることに対しましては賛成することはできない。従つてこの法案に対して不賛成を表明いたします。
  11. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 他に御発言はございませんか。御意見も盡きたようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入ります。国立学校設置法の一部を改正する等の法律案議題といたします。本案を可決することに賛成の方の御起立を願います。    〔起立者多数〕
  13. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 多数と認めます。では国立学校設置法の一部を改正する等の法律案は、多数を以て可決することに決定いたしました。尚本会議における委員長口頭報告内容は、本院規則第百四條によりまして、予め多数意見者の承認を経ることになつておりますが、これは委員長におきまして然るべく従来の例によりまして取計らうことを御了承願います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   —————————————
  14. 岩間正男

    岩間正男君 大臣が見えておられますので、緊急に質問いたしたいと思いますが、御承諾得られませんか、よろしうございますか。
  15. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 岩間君。
  16. 岩間正男

    岩間正男君 それではお伺いいたしますが、実は外の問題でもありませんが、東京都で過般行われましたところの、そして今非常に大きな問題を投げ掛けておるところの教育委員会委員長教育庁の職員暴力で殴つた、この事件であります。この問題については、すでに委員長委員長の職を辞任されておるようでありますが、尚委員として残つておられる。この点が非常に大きな問題となつておる状態であります。これは輿論が集中しておるように思われるのであります。私としましては、この問題は非常に大きな、問題じやないか、決してこれは小さく考えられる問題ではないと思うのであります。先ず第一に教育委員会法の精神というものが、こういうような一つの暴行的な事件によつて非常に悔辱されておる。この点は非常に大きいと思います。教育委員会法全部の執行に対しまして、これは大きな致命的なものを與えたのであります。而もそれがこの帝都の真中におきまして、全国注視教育委員会としましては、大きな皆の監視の中にあるところで、こういうことが行われたということは、非常に日本の文教の将来のために、私は軽々しく見逃すことはできない問題だと思うのであります。更にもつと問題を具体的に考えて見ますというと、東京には約二万の教員がおりますが、この二万の教員が仮に、そういうことは余りないと思うのでありますが、仮に今後まあ自分子供達を殴つた生徒兒童を殴つた、こういうことをした場合に、このような教育委員が存在するとしたならば、果してこれをどのような形で以て一体警告を発することができるか、又処分することができるか、これは絶対できないことであります。自分自身が、新聞の伝えるところによると、ああいう形で殴つて置きながら、而もそれが思わず手が延びたというような無責任な弁解をしておる。殴つたことは悪いことじやない、殴ることによつて吏道の刷新ができたというようなことを言つてるに至つては言語道断だ。このような者を教育委員として置いたならば、東京都二万の教員が、どのようなことをしても、その粛正ができるかということを考えたときに、実に重大問題であるということを言わざるを得ないのであります。こういう点に対して、文部省も、殊に文部大臣は、どのような見解を持たれ、又どのような処置をされるか、この点について御明答を頂きたい、こう思うのであります。
  17. 高瀬荘太郎

    國務大臣高瀬荘太郎君) お答えいたします。只今岩間委員からお話のありましたような事件が、東京教育委員会において起きたという事実は、私は新聞によつて承知しております、詳しいことは、直接には調査いたしませんで、新聞によつて承知しておるのでありますが、勿論どういう事情がありましようとも、暴力を用いるということは甚だ好ましくないことであります。殊に教育委員というような重大な職責にある人間が暴力を用いて、暴力を用いるというようなことは無論避けなければならんことでありまして、甚だ遺憾なことだと思つております。その善後措置につきましては、これはやはり教育委員会自体が、自主的に処置するのが適当であると私は思うのでありまして、教育委員というものは、公選によつて当選された職であります。文部省の官吏では無論ないのであります。従いまして、やはりこれは教育委員会自体が、自主的に適当なる処置をすべきであると考えております。
  18. 岩間正男

    岩間正男君 無論これは法規行に見ますと、直接これに対して文部省指導並びに容喙すべき立場でないということはよく分りますが、併し問題が非常に波及することが大きいと思いますので、文部省はこれに対して、やはり文部省の持つておる一つ指導助言ということはでき得るわけでありますから、これに対しておやりになる方が、非常に重要じやないかと思いますが、如何でございましようか。
  19. 高瀬荘太郎

    國務大臣高瀬荘太郎君) 私は、少し意見がその点は違いまして、あれだけのはつきりした事件であつて輿論といたしましても、何人もこれを認めるようなことはなかろうと思います。はつきりああいう行動というものは甚だ好ましくない、殊に教育委員たる身分のある者があんなことをすべきでないということは、何人はつきり認めておるところでありまして、その点曖昧なことはないじやないかと思います。
  20. 岩間正男

    岩間正男君 それでは只今大臣の御意見は、一つ文部省のこれは非公式なものでありますけれども、一つ態度の表明と我々は解釈いたしていいと思うのでありますが、もう少し突込んでこれをお伺いしますと、あのような人が教育委員会に、委員長の席は退いたようでありますが、まだ委員としておることについて、大臣は望ましいと思われるのか、望ましいと思われないのか、この点をもつとはつきりと伺つて置きたい。
  21. 高瀬荘太郎

    國務大臣高瀬荘太郎君) この行為自体につきましては、さつき私が申上げた通りであります。あの委員自体委員会に残ることがいいのか悪いのかというようなことは、文部大臣としてこれを明言すべきことではないんじやなかろうかと思います。無論あの行為自体は甚だ好ましくないことだと思つております。委員という身分は選挙によつて就任しておるものでありますし、非常に重大なものでありますからして、やはりいろいろな事情も考慮されなければなりませんでしようし、これが辞めるべきだとか、辞めるべきでないとかいうことになりますというと、文部省がそんな見解を出すのは適当でないと考えます。
  22. 岩間正男

    岩間正男君 併しこれは文相としては甚だ勇気が足りないことだと思うのであります。(笑声)これが教員でありますというと、そういう意思表示はさらさらとされると思うのであります。併し東京都のこれは教育委員長だからといつて、遠慮される必要は私は少しもないし、やはりはつきりされることが正しいというふうに考えるのです。そういうような意味で教育の、例えば不当という場合にはあつさり首を切るということは答弁をされておるのでありますから、あのような教育委員が存在することについて意思表示をすることは、これは実に問題を明確ならしむるもので、今までの文部省態度連関から、私はもう一度やはりお伺いしなくちやならんと、こういうことになるのであります。
  23. 高瀬荘太郎

    國務大臣高瀬荘太郎君) 教員の問題にいたしましても、教員の好ましからざる行動等がありました場合に、直接文部省が辞めろなんと言うことはございません。やはりその学校当局十分愼重処置されるのが原則であります。今度のような問題にいたしましても、やはり教育委員会が自発的にやるべきでありますし、又教育委員の退職についてはそれぞれ規定もあることでありますから、それによるべきであります。
  24. 岩間正男

    岩間正男君 私は一応指導助言というようなことは、まあ余りされる意思がないと言われますから、それについては別の見解もありますが、一応その点は了承したのでありますが、この個人、これは大臣としての御意見を伺つておるので、命令するとか何とかいうことを申しておるのじやありません。望ましいか、望ましくないかということくらいは、これはやはりイエスかノーかということになるのでありまして、民主主義原則によつてこれはお答え願えるものと確信しておりますが、如何ですか。(笑声
  25. 高瀬荘太郎

    國務大臣高瀬荘太郎君) それは先程申上げた通りであります。
  26. 岩間正男

    岩間正男君 それじやまあ大体分つたつもりでおりますから……   (「禪問答みたいだな。」と呼ぶ者あり)
  27. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 他に御発言もございませんければ……   —————————————
  28. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 議案の第二は教育委員会法の一部を改正する法律案予備審査付託になつておりまして、順序はさようになつておりますけれども、御異議ありませんければ、変更いたしまして私立学校法案につきまして審議を続行いたしたいと存じます。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それでは前回に続きまして進行いたします。  前回には大臣提案理由だけを済ませてありましたので、今日は細目に亘つて当局説明を聽取したいと存じます。
  30. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) 只今上程になりました私立学校法案につきまして、大要御説明致します。  本法案目的とするところは、その第一條において明らかであります。すなわち、私立学校は、国公立学校と異つて、私人の経営に係るものでありまして、その独自な学風を自由に発展させるということが第一に必要であります。このためには、その自主性を尊重するということが先ず必要とされるわけであります。併しながら、私立学校といえども学校教育法に定める学校として、教育基本法第六條にいう「公の性質」を有するものでありまして、設置者のほしいままな経営は認め難いところであります。  このため、私立学校については、その自主性を重んずることと、併せてその公共性を高めることが必要とされるのであります。  本法案内容も、従つて私立学校自主性を重んじ、また、公共性を高めるという一つの眼目を骨子として規定からなるのでありまして、「自主性」については主として「第二章私立学校に関する教育行政」に、「公共性」については、主として「第三章学校法人」にその内容が盛り込まれているのであります。第二章「私立学校に関する教育行政」におきましては、まず第一に、私立学校に対する所轄庁監督事項を整理致しまして、私立学校設置廃止及び設置者変更認可私立学校閉鎖命令等監督事項を限定したのであります。更に従来文部省令で定められていた認可事項を整理し、将来私立学校に対する監督事項原則として法律事項である趣旨を明らかに致しました。更に所轄庁が、右の監督事項を処理する場合にも、主として私立学校代表者から構成される私立学校審議会又は私立大学審議会意見を聞かなければならないことと致しました。私立学校審議会及び私立大学審議会け、それぞれ都道府県知事又は文部大臣私立学校教育行政に関する諮問機関として設置されるものでありまして、委員のうち四分の一以内が一般の学識経驗者で占められるほかは、すべて私立学校代表者で占められるのであります。更にこの私立学校代表委員を任命する場合にも、都道府県知事又は文部大臣は、自主的に組織された私立学校団体の推薦する委員候補者について任命を行うこととし、一段と私立学校自主性を尊重することと致しました。  尚、教育委員会法第四條第二項において、私立学校原則として教育委員会の所管に属しないことになつているので、私立高等学校以下の学校所轄庁が従来通り都道府県知事であることを明確に致しました。  第三章は、学校法人に関する規定であります。従来、私立学校設置主体は、原則として、民法規定による財団法人でなければならなかつたのでありますが、民法規定は、学校を設置する法人に関する規定としては、尚不充分であると考えられましたので、私立学校を設置する法人学校法人という特別法人と致したのであります。ただ学校法人は、特別法人とはいうものの財団法人的色彩の濃いものであることは、法案について御了解頂きたいと思います。  学校法人財団法人と異る点は少くありませんが、まず第一に、従来の財団法人に関する基本財産及びその供託に関する規定は、実情に即しないものがありますのでこれを掲げず、單にその設置する私立学校に必要な施設及び設備並びに私立学校経営に必要な資金を学校法人が有しなければならないことを明らかにしました。  第二に、学校教育に支障のない限り、收益学校経営に充てる目的をもつて收益事業を行うことを認めました。これは、学校法人財的基礎を強化する一助としたいという趣旨からであります。けれども、この趣旨を逸脱して收益事業を行なつた場合には、その事業停止を命ずることができるように致しました。  第三に、破産及び合併の場合を除き、解散した学校法人残余財産帰属者を、他の学校法人その他教育事業を行う者に限定致しました。これは、学校法人の資産は、本来私立学校教育のために棒げられたものであり、また、その一部は卒業生、父兄の協力、国又は地方公共団体助成等によるものでありますので、解散した場合にも、公共的見地から、これをもとの寄附者に帰属させるといつたことを認めず、他の学校法人その他教育事業を行う者に帰属させることとしたのであります。尚、以上の方法によつて処分されない財務が国庫に帰属することは、民法と同様でありますが、国にその財産私立学校教育助成のために用いなければならないこととしたのであります。  第四に、設立の認可寄附行為の補完、助成停止收益事業停止命令及び解散命令については、私立学校審議会又は私立大学審議会意見を聞き、又は関係者弁明機会を與えることと致しました。  第五に、役員の定数を理事五人以上、監事二人以上と法定し、またこれらの役員の選任については、校長を必ず理事とし、役員が特定の同族によつて占められることを禁じ、又少数理事の專断によつて経営される等の弊害を改めて、学校法人の自治的に方法による公共性の高揚を図りました。  第六に、各学校法人評議員会を置くことと致し、予算、借入金、寄附行経の変更等学校法人の業務に関する重要事項については、理事長において、評議員意見を聞かなければならないこととし、更にまた、この評議員会には、教員学校法人職員卒業生等を含めることとして、学校法人運営に広い範囲意見を反映させるように致しました。これらの諸規定も、自治的方法によつて学校法人公共性を高めようとしたことによるものであります。  第七に、学校法人合併について規定致しました。従来、財団法人につきましては、合併が認められていなかつたため、種々の不便があつたのでありますが、本法案学校法人合併を認めることにより、その解決図つたのであります。  第八に、学校法人に対して、補助、貸付等助成を行い得ることを明文化致しました。この点については、従来憲法第八十九條との関係上疑問のあつたところでありますが、本法案においては、私立学校及び学校法人が諸種の点において「公の支配」に属するものであるという見解のもとに立案したのであります。更に助成を受けた学校法人に対する予算変更及び役員の解職の勧告等憲法との関係上必要とされる規定を設けたのであります。  第九に、法令の規定に違反した場合等において、学校法人解散を命じ得ることと致しましたが、この場合においても、私立学校審議会又は私立大学審議会意見を聞くこととし、更にその学校法人関係者弁明機会を與えることと致しました。  第十に、注意すべき問題は、学校法人に対する免税の問題についてであります。私立学校に対する免税問題については、シャウプ使節団報告書において、一応の解決を得たものと信じておりますが、地方税においては、地租家屋税は、従来通り免除され、事業税收益事業に関する部分を除き免除され、住民税及び学校の主催する催物等に対する入場税は全免され、国税においては、相続税及び贈與税は免除され、法人税及び所得税については免税証明書の制度によつて免除されることが勧告されております。しかしながら、この勧告に対する措置については、現在関係省庁において検討中で未だ実施の段階には至りておりません。そこで、本法案では現行税法範囲内で、学校法人に対して法人税所得税登録税及び事業税について、免税致すこととしたのであります。尚、学校法人に対して地租及び家屋税が免除される点については、従来通りであります。  最後に附則におきましては、現在私立学校を設置している財団法人が一年以内に組織変更をして、学校法人になることができることを規定いたし、それに関する必要規定を設けました。この外、本法の施行に関し必要な経過規定を設けるとともに、関係法律の一部改正を行なつたのであります。  以上の外法案の詳細については、別に御説明申上げますが、大綱以上の通りでありますから、何とぞ愼重御審議の上、速かに議決下さるようお願いいたします。
  31. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 前例によりまして、先ず一般的の質疑から開始することにつきまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それでは全般的な質疑の方はございましようか。ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  33. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 速記を始めて。
  34. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 この私立学校法案ができますことは、我々も待望しておつたところでありますけれども、その中で一点、まだ外にもありますが、極く私が関心を持つておりまするところのものは、公立の大学大学法というものが非常に世の中で問題になつておるのであります。この公立大学大学法をそれぞれの面で審議されておるようでありますが、それとこの私立大学の方の審議会というようなものを睨み合せて作らなければ、将来非常に問題が起つて来るのじやないかと考えるので、そういう点につきまして、政府ではやがてこの私大の單独法を作るとか、或いは現在審議が行われつつある大学法と睨み合せてやつておる、或いは睨み合せて今後大いにやるとか、そういつたような考えを持つておるのかどうか。  尚こういう大学法の重要な法案が今審議されておるとすれば、それに睨み合せる必要上、私学の方の代表者もこれに加えてやる必要が大いにあるのじやないかという点を考えるのでありますが、私立大学の單独法を出す意思があるかどうか。或いは絶えず今後睨み合せて、これを行なつて行く必要を感じるかどうかということについて、文部省意見を聽いて置きたいと思います。
  35. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) 現在上程しておりますこの私立学校法案を現究しておりますときにも、この問題は相当研究されたと考えておりまして、片一方の大学管理法案の進行の方が遅れておりますのと、又現在私共がこの法案を上程しまする頃には、まだどの程度のものかの推測も付かんような状態でございますので、将来この管理法案が立案された場合に、必要があれば、現在ここに上程いたしております私立学校法案は修正して差支ないものだと、こういうふうに考えております。
  36. 大隈信幸

    ○大隈信幸君 今の鈴木さんの質問にちよつと関連して伺つて置きたいのですが、私は今鈴木さんのお説のように、私立大学というものは別に扱うべきだと思うのでありまして、大体この大学目的と、それから高等学校、中学校、小学校等の目的とは、むしろ本質的に違うものがあるのではないかと思うのです。ですから法律技術的には、これを一本にまとめてやれということは考えられますけれども、むしろ法律技術の問題よりも、立案に当つて考えるのは本質的な問題を先に考えて、法律技術の問題は後にすべきだと私は思うのです。ですから文部省が便宜的な立場から、こういうものを一緒に扱つておられるという点を少し不可解に思うのですが、その点をもう少し御説明頂きたいと思うのです。
  37. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) この私立学校法案は、むしろ私立学校の全般といつた線を考えた法案でございまするし、今お話の管理法案の性格は、むしろ公立大学の内部の管理運営といつた部分だけを対象にした法案と考えておりまして、その二つは一応分離されるのが本筋の考え方だと考えておるのでございます。
  38. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 私は今の問題にも非常に疑問を持つてつたのでありますが、大体ダブりますから省略いたしまして、先程の御説明の中で相当詳しいことが挙げられたのでありますけれども、簡潔に御説明を願いたいと思うのです。それは従来の私立学校教育行政と、今度の私立学校法案というものと比べて、どういう点が一体第一條の目的に向つて著しく変つたのか、その点をお聞きしたいと思います。
  39. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) 第一の点は監督事項の整理でございます。殊に項目的にいたしましたばかりでなくて、文部省なり府県知事なりの独断專行的な処理ができないように私立学校審議会私立大学審議会といつた機関を、文部省のそうした監督事項を発動して行きますため、当然にそこの議を一応通して来なければならんといつた制度を設けた点が、一番大きい点と考えます。  第二は従来の財団法人で、学校であつても、又社会事業的なものであつても、一応民法的には一律に置かれてあつたものを、学校経営する財団法人としてふさわしいような機構のものに作り替えた、これが第二点でございます。  第三点は憲法の八十九條に対しまして、私立学校が公の支配に属する学校であつて憲法の排除しておるものに該当をしないならば、従つて助成ができるという点を明確にいたしたいということ、以上でございます。
  40. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 今のお答えの第三番目ですね、憲法との関連において、公の支配に属するというようなことを明らかにして、それで助成ということを考えられる。そういうことでありますが、それでは今までその助成については、どういうふうな見解の下に立つておられますか、その点をちよつと……
  41. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) 今までと申しますのは、この法律ができるまでというふうに御了解を……
  42. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうですか……
  43. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) 少くとも憲法ができますまでの関係は、この論の中に入つて来ないと考えますが、従来の文部省の建前としては、できるだけ助成という線がいろいろな拘束なくできるのが当然だと、私共は了解して参つたのでありますが、あの憲法の解釈について、むしろ疑義として或いは憲法に違反するのではなかろうかという点が残されておつたのでありまして、明らかにいかんといつた線から規定されたものとは考えておりませんでした。
  44. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 先程の説明の中にも、免税の問題が非常に注意すべき問題であるというふうに話されたのでありますが、私もこれには非常に関心を持つておるのでありますが、私立学校が財政的な基礎を確立するために、收益事業を行うことが今度できるのでありますけれども、併しながら考えて見ますると、学校事業をやるといつても、現在玄人でさえもなかなか收益が上らないような時勢で、今後も日本は大分そういう面で骨が折れるだろうと思うのでありますが、そういう際に学校事業を許して、財政的な基礎を固めるという考えは非常にいいのでありますけれども、学校の素人連中が事業をやつても、そう收益は上らんものだと私は思うのです。そういうのに関して事業收益関係する面は、免税をしないようになつておるのでありますが、少くとも学校が財政基礎を固めて行くために事業を本気になつてやろう、而も素人連中がやるのであるから余程これは応援してやらなければ、応援の面がなければ成立しないのじやないか、ただ明文があるに過ぎないということになると思うのでありますが、この收益事業に関しても免税措置か何とか講じなければならんだろうとこう思うのでありますが、その点について本法案では免税ができないようになつておるのですが、今後何とか折衝して免税或いは減税というような努力をして、そういう措置を講じられる意思があるかお伺いしたいと思います。
  45. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) 只今、この法案では一応お話の通りの姿になつておるのでありますが、それはシャウプ勧告の一応の線に、只今のところでは沿わざるを得なかつたという段階で、この制度になつておるのでございます。お話の通り收益が上つて貰れることを私共は一面願わなければならないわけであります。そうすると一方、税の方の関係が出て来るのじやないかとおつしやる点については十二分に将来收益の上り方、又これの使い方といつたようなものと絡んで、御趣旨のような線に沿つて行くべきものと心得ております。
  46. 河崎ナツ

    ○河崎ナツ君 今の学校事業に関しましてちよつとお伺いしたいのでございますが、この学校事業收益のできます事業でございますが、今お話ございましたようなむずかしいときでありますから、收益が上らんというような面もございますが、その事業の中で、そう世間で言うようなむずかしい事業でなく、現に今までの私立学校がしておりましたような、その学校の名前でなく、購買部というような名前でしておりますようなものでも、收益的な事業であれば税に関係いたしますのか、学校関係なく購買部とか、校友会、同窓会の名前にしてやつているが、現実の收益学校の方でうまく使つておる、他の方の收入に表向きはなつておりますが……、ああいうふうな事業と申しますものは、この收益的な事業に当るものでありますか、経営者の名前が変れば又別の方として税を免れることになるのですか、具体的なああいう購買部という事業につきまして、この收益的な事業との関係につきまして、文部省の御見解を伺いたいと思います。
  47. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) この法案で問題にいたしております收益関係は、学校法人の名前で、学校法人が主体となつて行きます事業自体を申しておりまして、お話の購買部のごとき、そういう関係の分はこの観点の中には入つていないのでありまして、それは全く別な観点からお話しなければならないと思います。
  48. 大隈信幸

    ○大隈信幸君 文部大臣に伺う方がいいのでありますし、又是非文部大臣からお答えを頂きたいと思うのでありますが、一応政府委員の方に伺いたいのですが、この私立学校法案ができ上る経過について、いろいろ問題があつたと思うのであります。最初にこれを文部省で立案されるに当つて私立学校団体であるところの私学総連合と、いろいろ御協議になつてこの案をお作りになつたと承つておるのでありますが、それが最初に閣議を通つて決まつた案が出ましたところが、全然団体の意向に反したような、非常に私立学校に対するコントロールを強く主張したといつたような面が非常に出て来まして、それが問題となつて私立学校方面、或いは輿論の反対を蒙つて、そうして私立学校団体からいろいろな要求が出たのでありますが、それを逐に文部省は今度は丸呑みにしてしまつて、新らしく修正して、この国会に出たような私立学校法案ができ上つたと、私共はそういうふうに聞いております。それが甚だ不可解でありまして最初の私立学校に対する管理とか指導、僅かな補助金に対するいろいろやかましい監督をするという面が、非常に強く出たということは、文部省の古い面を大分一般に印象付けたという意味で、非常に面白くなかつたと思うのでありまして、この際文部省がなぜあのようにがらつと態度を変えてしまつたかという点を、卒直に我々に納得の行くように説明して頂きたいと思うのであります。
  49. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) 只今御指摘の点は、実は私もそういうお話のような形で世間で信じられたとすれば、誠に遺憾だと申上げなければならないのでありますが、露骨に申上げますと、これは予算とも絡み合つての問題でございまして、予算がどの程度の限界で確約できるだろうかということに、問題がかかつてつたということだけを申上げて、御了解を得られるのであれば、御了解を得たいと思います。
  50. 大隈信幸

    ○大隈信幸君 了解できない、次の機会に、この問題は是非一つ文部大臣から納得の行くように御説明をして頂くことが、今後の文部行政を行う上にも、非常にいいのじやないかと私は思いますので、それも要望して置きます。
  51. 河野正夫

    河野正夫君 私もその点伺いたかつたのでありますが、一体この前の学生運動を捲き起した大学法の場合でもそうでありますし、今回の私立学校の場合でもそうでありますが、逐次文部省もその非を改めて、大学法行法というか、管理法については広く輿論に聽いて、その法案を作成するという方向をとつておるのは誠に喜ぶべきことであります。それならば同じことをなぜこの私学法案にも行わなかつたか、もとより私学総連合の有能な諸君が参画しておつたことは事実でありますけれども、私学総連合ばかりでなく、これは結局国内全体の教育のあり方というものにも関連を持つので、他の学識経券者をも集めて、又私学総連合は私の誤解でなければ、まあ主として経営者側の人々が多い、もとより教授諸君も入つているかも知れませんけれども、大体において経営者側の人の方が多いような気がするのであります。そういう意味では教授とか教諭の諸君の声も亦反映するようにして、問題が起らないように法案を作るという過程が欲しかつた、もとより多くの人々のこれに対する意見の一致が必ずしも得られるとは限らない、けれどもその場合には文部省がもとよりその責任をとつて、国会の承認を得られると思うような法案を決定すればいいのであります。とにかくそういうような法案の作成というものについて、もう少し明るいやり方をして欲しかつたと思うのであります。つまり私の伺いたいのは大学法については、国立の大学、公立の大学などについての大学法については、特段な審議会を設けてやる。私学法の法案を作成するときに、なぜそういう手続を取らなかつたかということについてお伺いいたしたいのであります。
  52. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) 御指摘の点につきましては、例えば外の法案で、この私立学校法程時間をかけたり、又只今御指摘のように、相手は私学団体の総連合会以外の者が少かつたということがあつたにしましても、この法案程そういう意味での審議の過程を経て来たものは、先ず今までなかつたということは、言つていいと思うのであります。文部省教育刷新審議会と、この私学団体との関係以外の線についても、時間的な経過から見ましても、又この法律の持ちます、先程申しましたような主たる点が、世間との連りにおける四点でございますので、これ以上特に特殊な方法なり、特殊な機関なりを持ちます時間的な余裕が、最後に見出せませんでしたことと、一応従来の法案の運び方という点から言つても、十二分に私共の承知します限度では、そういう意味の法案ができたと考えております。
  53. 小野光洋

    ○小野光洋君 先程の河野委員の質問の中に、私学団体のことが問題になつておりますから、一応私その点についてお話を申上げて見たいと思います。私学団体経営者の団体だ、こういうお話でございますが、私学団体は別に経営者の団体ではありません。私立大学協会その他におきまして、多少経営者側が多いというような嫌いがあるかも知れませんが、併しこの私立大学協会の役員、或いはそのメンバーも、殆んど大部分が教授でありまして、会長、副会長というようなものは或いは学長、総長というような者がなつておるかも知れませんが、殆んどこれは教授であります。特に又私立中学、高等学校連合会等におきましては、過半数がこれは殆んど教員であります。校長で役員になつているのは極めて少数であります。又各地方におきましても私学協会というのは経営者と教員と、それからこれのPTAと、これらが集まつて私学協会というものを、各地方で作つておるのであります。決して私学総連合会というものは経営者の団体だというようなことではないことを、改めて御認識願いたいと思う次第であります。  それからもう一つそれと関連をいたしまして、私学法の審議がどうも偏つた人達を相手にしてやつているのではないかという話、これは文部当局もお話を申上げたことでありますが、多少私も総連合の常任理事をいたしておりますし、又私立中学、高等学校連合会におきましても常任理事をいたしておりますので関係のあることでありますから、一言端的に申上げて置きますが、先程久保田政府委員のお話のように、この法案審議は発案以来約二年有余を経過いたしておるのでありまして、段々形が変つて来て、最後において多少、多少と申しましても、相当官僚統制の色が濃くなつて来たことは確かの事実であります。併しこれは必ずしも文部省自体が、いわゆる旧観念によつて官僚統制を強化しようとしてやつたことだとは私思つておりません。それはなぜかというと、これは最後において五十九條、原案の五十九條に憲法八十九條の解釈を入れる、どうこの法案に盛るかという問題が五十九條に集約されてここに現われて来たのであります。公の支配を受けてあるかという問題が、結局私立学校が国家の助成の対象になるかならないかという、極めて重要な事項になつておるのであります。今まではどうしておつたかという先程の質問もありましたが、今の問題はこの八十九條が、文部省としてはこれは憲法八十九條に該当して、私立学校は公の支配を受けている、学校教育法教育基本法その他によつて公の支配を受けているという見解を持つてつた。その見解の上に予算も計上し、大蔵省も了蔵を與えたのでありまするが、併しそこに釈然たらざるものが残つているということは事実であります、私共は私立学校の立場から言えば僅かの助成金を計上し、貸付金とか或いは戰災復興貸付金とかいうて、二十一年の追加予算から引続いて二十三年度の予計まで、政府は私学助成のために予算を計上いたしておつたのでありますが、これがすべて貸付金という名前によつと出されておるのであります。私立学校が悪性インフレと戰つてどうにもならん、何とかして私立学校助成しなければならん、それを貸付金によつて出す、それがいつ返せるか、返すことは実際私立学校として不可能である。併し可能、不可能はともかくとしてこのままにしては、どうにもならんから憲法八十九條の解釈を、貸付金とか何とかいうのでぼやかしておるわけで、この私立学校助成金とか何とかいうことで行くより途がないという現実であつたのであります。それさえ昭和二十四年度の予算において全面的に削られてしまつて助成金は出せないという結果になつたのでありますが、幸いにして私立学校法がこの臨時国会に提案になりまして、而もこれが成立されるだろうという予想の下に、どうやらこの問題も極めて僅かであつて予算の上に計上されるというような運びになつたわけであります。それらの点で本法案に特に法務府その他の関係官庁から、憲法八十九條の適用を免れるためには、もう少し多くの公のコントロールを受けた条項がなければいかんというので、最後にこれが挿入せられたのであります。文部省或いは我々の見解として、特にこういう條項を入れなくても、全体的に多少官僚統制という匂いがあつても、そこに統制らしい條項が含まれておる、敢て五十九條というものを入れなくてもいいじやないか。それで全体的に私立学校というものは、この公のコントロールを受けておるという結論に到達させたいという努力をして参つたのでありますが、そこにこれをどうしても一応入れなければいかんということで、五十九條が入つて来たのであります。そこで文部省見解が変つた来たのです。それならば外のものを入れろ、五十九條を入れるなら他の條項において、特に私立学校を監督するような規定は不当じやないか、これは私立学校として、特に助成を受ける学校だけが統制されるならいいけれども、全部を統制されることは甚だ不当であるといういうなことから、この法案の原案作成に当つての行き方ががらりと変つた。そこで私立学校と、私学総連合と文部省意見が対立したということになつたのであります。文部省は、五十九條を入れるならば他の方の統制條項を撤廃する、というような極めてあつさりと御同意を表して頂けば余りいざこざはなかつたのでありますが、確かにその点は折角拵えたものだからということであるかどうか分りませんが、ともかくこだわつたことのあつたことは遺憾と思います。併しそこに至つた理由只今申しましたようなことで、特に統制をしようとしてやつたのではないと、私共は善意に解釈いたしております。又それが実情ではないかと思います。どうか文部省と私学総連合会、或いは私学総連合会の実体その外については、どうぞ皆さんの賢明なる御推察を願いたいと思う次第であります。
  54. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 大隈委員の質問以来二、三質問すればする程、私学法案変更の過程において納得の行かないものが出て来た。そこに小野委員からのお話で尚大きな疑点を残したと思う。審議の余地はあると思うのでございますけれども、先程教育委員会法一部改正の法律案について証人喚問の話、それが残つておりますし、私学法案はここで一応打切りまして、その方を決められて、時間にもなるようでありますから、今日はこの辺で進行さして頂きたいと思うのですが、如何ですか。
  55. 三島通陽

    ○三島通陽君 私学法案を実はまだ勉強していないのですが、こういうことはどうなりますのですか。今まで財団法人学校経営している場合があろうと思いますが、例えば宗教法人なんかが学校経営しておる場合があろうと思う。そういうようなものは今度の法律で、独立した学校法人と離れて経営するわけでありますか。
  56. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) これは学校教育法に足場がございまして、その学校が各種学校であればいいと思いますが……、どちらでも結構でございます、一応各種学校でなくて学校教育法の実状に副うような学校でございますれば、学校法人に切替える手続が必要でございます。
  57. 三島通陽

    ○三島通陽君 まだありますが、逐條審議のときに質問します。
  58. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 尚この際、前回委員会で私学法案審議のため参考意見を聽する者の人選につきまして、委員長並びに委員に御一任を願いました、その意見を聽く方々を御報告申上げます。長崎県伊良林小学校教諭江口泰助、この人は日教組の方から推薦して来ました。それから明治大学法学部長松岡熊三郎君、これは私学総連合関係の方であります。それから中央高等学校学監掘内操君、これも同様私学総連合関係であります。それから東京都総務局学務課長立花昌夫君、それから安田学園PTA会長芝山安弘君であります。  尚教育委員会法の一部を改正する法案律につき証人を喚問することにつきまして御決定を願いたいと思います。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 今の証人の場合ですが、私学の方の証人をやるのですけれども、監督官庁の方の方は入つておりますか。
  60. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 東京都庁の関係の方が入つております。
  61. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 それと今一つ教育委員会との関係はないけれども、議論が大変出て来るのではないかと思いますが……
  62. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 実はその点相談の際に考慮せられましたが、人数の制限があるものですから、それで止むを得ずオミットしたわけです。
  63. 左藤義詮

    左藤義詮君 相当大きな法案でもありまするし、私共としてできるだけ早く、一週間延期になりましたが、この国会であげたいと思いますが、次回を一つできるだけ早い機会にお願いいたします。
  64. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 次回は金曜日の午後一時半から開会いたします。その際に参考意見を聽く人々をお招きすることになつております。  それでは一応本日の委員会はこれを以て散会いたします。    午後四時二十四分散会  出席者は左の通り。    委員長     田中耕太郎君    理事            若木 勝藏君            松野 喜内君            木内キヤウ君            藤田 芳雄君    委員            河崎 ナツ君            河野 正夫君            左藤 義詮君            小野 光洋君            大隈 信幸君            三島 通陽君            山本 勇造君            岩間 正男君            鈴木 憲一君   国務大臣    文 部 大 臣 高瀬荘太郎君   政府委員    文部事務官    (管理局長)  久保田藤麿