○
岩間正君君 私も
只今の
鈴木君の非常に適切な
質問と連関しまして、二、三点伺いたいのであります。その
一つは、やはり
湯川教授の
ノーベル賞受賞に関しての問題でありますが、
只今も問題になりましたように、
日本の
科学研究機関というものが最近
国立学校設置法案の実施、それに伴うところの
定員の定め方とか、更にここ三、四年の
文部予算が非常に
研究費について不足だという、こういう問題のために、殆んど庶幾されたところの能率を挙げていない。或る職場によ
つては非常に崩壊に近いような
事情が出ておると、こういうことをしばしば耳にし、又そういう実例を聞くのであります。でこれに対して、例えば
湯川教室の問題でありまするけれども、最近のこれは情報によりまするというと、
湯川教室には現在十三人の
研究関係の人がおる。併し今度の
国立学校の
法案によ
つてこの
半員がすでに整理されてしま
つた。そういうようなことのために、あの優秀な
研究を今後継続することが不可能な
事情が起
つておる。又この
予算の面から見ても
研究費がわずかに年額五万円に過ぎない。そうして更に
学校の
経費としまして八万円を加えておるけれども、それで合計十三万円に過ぎない。而もその中に
研究生が多いのでございますが、その
研究生が最近
研究費が打切りにな
つたために、その十三万円の中からこれらの
生活補助費も出しておるとこういう
実情を具さに承
つておるのです。そうしますと一方で、はしなくも
日本が問題にしない、
日本がまだ採り上げる前に
世界の
学界が、これを
世界の最高水準に達したものとして、これを大きく採り上げた。そして今更
日本が驚く、而も
実情の足許を振り返
つて見るというと、今申上げたような破壊的な
事情が起
つておるということは、これは非常に重大な問題じやないか。
大臣の
只今の御
答弁にもありますように、これは單に
湯川教室だけの問題でなくして、
日本のこのような
科学技術の
研究、広汎の
文化面におきまする
研究費の問題におきましても、このような広汎な
研究の継続不可能というような
実情が頻々として起
つておるのではないかと思うのであります。こういうような面からも我々は
国立学校設置法案の審議の際に当りまして、この
経費につきまして検討し、更にこういう立場からこのような
定員においてもこれは
滿足を表明することができないという
意思を表明したのでありますが、この点で十分にこれは採り上げなくちやならない問題じやないか、この
意味でも
日本の全
国民が今大きな
関心を持
つております。この
関心の度合は曾て行われましたところの水泳におけるところの、
日本の選手が
世界記録を破
つたというような問題とは、これは問題にならない程深い。そして
日本の将来に対して関連を持
つたところの問題でありますので、これは
文部行政の重要な一環として、大きく努力されることが必要じやないかと思います。現在我々の耳に入
つておりますところの来年度の
予算におきまして、又今度の
補正予算におきましてそういうような
手続がどの
程度されておるかというと、まあ
研究費においてわずかに去年の二倍
程度というようなことが、今までの中間的な
報告として我々聞いておるが、併し二倍というと相当多いように思われますが、問題はその一倍にあるのであ
つて、今までの
基礎数字が甚だ問題にならないところの
基礎数字であ
つた。それを何とかここで努力して二倍ということに
仮りにな
つたとしましても、到底これは現在の
経済状況におきましては、本当に立派な
世界に誇るべきところの
研究をどしどし後から後続させるということについては、不可能な
事情であると思います。こんなことを私が申上げなくとも、従来
日本の学者の待遇、
研究室におけるところのそのような経済的の面におけるところのいろいろな
国家の助成に対しましては、もう耳にたこのいる程聞いておるのでありまして、こういうような大きな問題を切つかけにして、
文部行政は
国民の輿論を採り上げまして、
日本の
科学の真の
研究を確立するために努力されるということが非常に重要な問題ではないかと思うのであります。こういう問題についても、一体現在
研究費がどのような
進行状態を続けておるかということを先ず第一点として伺いたいのであります。
尚この問題につきまして、当
文部委員会としましても非常に重要な問題であり、問題は
科学教育振興の全般的な問題に拘わ
つておるのでありますが、この点について積極的な何か
方策を採られることを私は切望いたしておるのであります。この点については後で又懇談でもして頂きまして申上げたいことがございます。
第二の問題でありますが、それはやはり
鈴木君の
質問と連関するのでありますが、
朝鮮人の
学校問題であります。これはこの前私はこの
応急措置について二三の
質問をいたしたのでありますが、まだ不明瞭な点がありますので、もつと具体的に承りたいと思います。それは先ず大体今度の
朝鮮人学校の接收問題によ
つて、該当するところの
生徒の
人員はどのくらいあるか。これを
仮りに
日本の
学級に編成するというと何
学級になるのか。
教員はどれくらい要るのであるか。これをどのような
方法によ
つて、例えば今度直接必要でありますところの
補正予算においてどのような
措置をされておるか。聞くところによると相当厖大な数に上
つておる。すでに
鈴木君も指摘をされましたように、六三制が狭隘を告げ、目下これが最大の問題にな
つておる際に、そのような新たな
人員を吸收することが果して可能なのであるかどうか。十分にこの
手続を完了されて、一体このような
接收手続をなされたのであるかどうか。若しもそうでないとすれば、これは重大な問題であると思います。
設備のないところに、
何等のこれに対する準備がないところに突然あのような大降り的な、拔打ちをされるということは、従ちに混乱が起きて、その実を得ることができないとこう
考えるのであります。その点を先ず承りたい。
第二は
財団認可の問題でありますが、これはすでに
森戸文相時代にお互いの折衝によりまして
財団の
認可を得るということでこれが進められ、すでにその
手続が
朝鮮人の
学校におきましては相当なされたというふうに聞いておるのでありますが、果して一体何件ぐらいこの
認可の
申請があ
つたのであるか。これを
文部省は今までどのような取扱
つて来られたのであるか。それから更に聞くところによると、すでにこの
申請を出してからもう八ケ月乃至半ケ年、このような時間を経過しておるに拘らず、
文部省からは
何等の
認可も来ない。そのような
状態を続けておるところに、突然不許可だというようなことで、今度拔打ち的にこういうことがなされた。若しこういうことが真の事実でありますと、これはやはり大きな問題ではないかと思います。今
文省の御
答弁によりますというと、その
申請の中には不備の点があ
つた、それで
認可ができなか
つた、こういうことを言われておりますけれども、若し不備な点があるとすれば、その不備な点をこれを丁寧に指摘する、指導する。そうして早くこれを
認可するという
方策を採られることが最も望ましい
状態であ
つたと思うに拘らず、これが八ケ月乃至半ケ年というような時間を徒らに経過して、而もそれが
認可されないとするならば、これは逆に
文部省は最初から
認可する
意思なしとして延引したとこう言われても仕方がないと思います。そのような点について何件の
認可があり、そうしてこれに対して係りの方においてはどのような
手続をしたかということを、もつと具体的に承りたいのであります。結局これは
受入れ態勢の問題でありますが、こういうものが十分になされないで、そうして今度の
手続というものがなされたとすれば、これは今後もこういうような例をされるとすれば、非常にこれは
文部行政の無軌道無計画ということになるのでありまして、大きな問題ではないかと思います。尚
朝鮮人の、
只今の
文相の御
答弁によりますと、地方の
教育委員会では十分な
受入れ態勢を採られているということを聞いておりますが、それに該当したところの
朝鮮人の
生徒諸君がしばしば
国会に見えておりまして、その
お話を具さに聞いて見ますと、なかなか
文部省が話しているような状況に、親切に
受入れ態勢ができていない。何回も会いに行くけれども、殆んど断わられている。そうして会
つて呉れない。そういう形で以てこの問題が冷淡に扱われているということを耳にするのであります。これは東京都の
実情でございますが、こういうようなことが一体大分
大臣の
答弁との間に食い違いがあるのでありまして、我々としましては、現在のこういうような態勢に対して、できるだけ努力をして犧牲を起さないようにすべきだ。但しこの
朝鮮人の
学校を接收したこの立場に対しては、我々は必ずしも
文部省の態度に対しましては同調しないので、我々としましては、この問題は一応保留して置く次第であります。
第二の問題は、
教員の首切りの問題でありますが、この
教員、小中
学校における
教員の首切りが最近非常に起りまして、最近まで入りました
全国の情報を総合しましても、すでに五百六十何人というような該当者を出しているようであります。これは基本的に申しますと、しばしば
休会中に開かれました継続審議の
質問を通じて
大臣の所見を承
つたのでありますが、その中で、できるだけ最初の食い違いを、整理をしないと言明されたところの点と、実際起
つているところの整理せざるを得ないところの
実情との食い違いを何とかなくするために、何とか
補正予算において要求するということが、
大臣からこれは
答弁されたのでありますが、これが
補正予算においてどのような形でこれが実現されているか、而も最近起
つておりますところのこの各種の問題を見ますというと、甚だこれは人権を無視した
方法によ
つて行われている。こういう実態が頻々として我々の耳に入るのであります。これは例えば京都の一例を挙げますというと、突然として該当者が呼出されて、そうして校長から
意思を伝えられる。そうしてそれに対して、而も二十四時間の期限を切
つて、これを受けるか受けないか、受けない場合においてはこれに対してもつと大きなところの罰を以て臨む、こういうようなわけでそれが出されている。そこでその該当者においてはどうしてもその理由が分らないし、仮に示された理由だけではまるで自分達の態度がそれと一致しない、こういうことのためにこれを拒否した。拒否したところが、それに対しまして今度は、
教員としては最も大きなところの懲罰を以て懲戒処分を受けた、こういうことが出ております。そうしますというと、これは
教員においては恩給も、それから退職金も貰えない。こういうような実にこれは極刑であります。而もこれに該当したところの
人達はどういうことを理由とされているか、理由書のごときものを読みますというと、これは組合の
関係者でありますが、例えば組合の書記長でありますが、この京都の組合の書記長の理由を見ますというと、こういうことが述べられております。処分説明書としまして、「昭和二十二年初頭より組合專従者となるまでの間に於て正規の許可なく屡々任地を離れ職務を放棄して義務に違背し、且職務を怠るなど
教員としてふさわしくない行為があ
つたので官吏懲戒令第二條第一号に該当するものと認定したものである。」こういうことが述べられておりますが、この当人のこれに対する反対理由を挙げて見ますというと、このような、これは丁度昭和二十二年は、
教員のいろいろな待遇改善の問題が起り、
全国的にそのような運動が起
つた次第でありますけれども、彼らはどういうふうにしてその時代に組合運動に参加しているかというと、全部
関係者のこれは了解を得、そうして又
教員組合の多くの
人達の支持を得まして、そうしてこの仕事に対して従事しているのであ
つて、今申しましたように、單に職場を離れたと、勝手にそのようなことをしたということはなく、而もここで非常に大きな問題として教えられなければならんのは、彼らがその時代におきまして、一体
教員組合を組織して、そうして運動を続けた、その
実情は何であるかということを
考えますというと、当時は非常にインフレの昂進に悩んで、
教員の生活が極度に逼迫を告げてお
つた。そのために、どんどんどんどんと教壇を離れる者がある。このままで置いたならば、
日本の
教育というものは、誠に
教員の養成の面からも崩壊せざるを得ない。これに対して、どうしても
教員の生活権を守り、この崩壊しようとするところの
日本教育を支えなければならん。こういうような立場と、又大衆のそのような
一つの輿望の上に立
つて、この仕事をなし来
つたものであります。これをしも、こういうような問題をしも、ここに採り上げまして、そうしてこれはいろいろな規則違反である。それから職務に対して非常な不熱心であ
つたというようなことを問題にしまして首を切るというようなことで、而も
教員としての極刑であるところの懲戒処分を行うというようなことが起
つて来るとしますというと、これは非常に大きな問題であります。この問題は、單に
教育界で問題にな
つているだけでなくて、これに
関係を持
つておりますところの子供達、並びにこれをめぐる父兄の間に大きな反響を捲き起しているということは
考えられるのであります。この該当者の中には、非常に職場におけるところの、この
教育の仕方が多くの父兄の支持を受けて、非常に信頼を厚くしている、こういうような
人達が多数含まれている。このような
人達を今言
つたような一片の天降り的な
方法によりまして、
教育委員会は処断するということが起
つた場合に、一体何が起るか、父兄が自分の子供のために、自分の教師を選ぶ権利あることは、憲法によ
つてこれははつきり認められておるのでありますが、このような下からの多くの支持を受けておりますところの
教員諸君が、ああいう大量に首切られ、又今後この傾向が非常に強化されるというようなことにな
つたならば、一体果して
日本の民主的な
教育というものが本当の形で振興するかどうかということに大きな疑問なくを得ないのでありまして、こういう問題に対して
文部大臣は、果して一体このような形で以て
日本の
教育は守られ得るかどうか、この点を伺いたいのであります。そうしてこういうような行き過ぎに対して、どのような処置をされようと
考えておられるか、我々としましては、この前の休み中の
質問の際におきまして、このような行き過ぎは嚴重にこれを調査して、そうして
文部省の方針に違反するというような者に対しては、警告を発し、或いは通牒のごときものを出すべきじやないか。こういうことを要請したのでありますか、
大臣においてはまだその段階には至
つていない、或いはそのような情報を掴んでいない、こういうことを言われてそのまま通り拔けられたのであります。すでに五百名以上に余るところのこのような問題が起
つて来ておるときには、もう再び前言のような理由を以てこの問題を無視されることはできない、こういうふうに
考えられますので、この点に対してはつきりしたところの御
意見を承わりたい。殊に私の方で問題にしなければならんのは、このような
教員を首切りしておるときに、一方どのような問題が小
学校中
学校に起りつつあるか、私は是非
大臣に聞いて頂かなければならんのは、最近における、例えば宮城県の
教育研究所におきましてやりましたところの学力調査の問題でありますが、この学力調査によりますというと、例えば新制高校一年生の国語と算術の実力を調査したものであります。
科学的に調査したものであります。それによりますというと、例えば、非常にここにはいろいろ例がありますが、これを省くといたしまして、結論的に申上げますと、算術においてどのような数字が出たかと申しますと、新制高校一年の
生徒で以て学力が小
学校の五年生に該当するものが実に全体の四四・四%を占めておる、その次には六年生に該当するものが三三・六%、その次が四年生に相当するものが一三・五%でありまして、実力小
学校三年以下と看倣されるものが八・五%、このような数字が出ておるのでありまして、一体これは單に宮城県だけの実例であるかどうか、
文部省はこのような事態に対して今までこのような調査をなされようとしたことがあるか、又なされておるか、こういう点について伺いたいのであります。実にこれは重大な問題であります。このように学力が非常に低下しておるような実態に対して、而も
教員が非常に多数首切られ、更に
予算の面から現在
考えられておるところの首切りをしますというと、莫大な、何万に達するところの数の先生が第二次、第三次の整理に直面しようとしておるのであります。尚伝へ聞くところによりますと、
文部省は来年度において小
学校において六十五人、それから中
学校においては五十五人の一
学級兒童平均数を取らなければならんということを巷間に流布されておるのでありますが、このような実態が出るといたしますならば、これは
日本教育の全面的な崩壞を
意味すると私は
考えるのでありますが、果して今のようなことが巷間の取り沙汰に過ぎないものどあるかどうか、この点を、
教員の広汎な首切りに関しまして是非これはお伺いしたいと思います。尚学力の低下の問題、これは青少年の不良化の問題と連関してどのように
文部省は処置をされるか、広汎な、六三制の不完全実施と、それから
定員定額制によるところの
教員の首切りという前提條件を前にしまして、果してこのような学力低下をどのように
文部省は処置されんとするか、その
方策について伺いたいと思うのであります。以上大別けにいたしまして大きな三つの点について御
答弁を願います。