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1949-11-10 第6回国会 参議院 文部委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月十日(木曜日)    午後一時五十五分開会   —————————————   委員の異動 十一月八日(火曜日)委員梅津錦一辞任につき、その補欠として河崎ナツ 君を議長において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○理事辞任及び補欠の件 ○教育文化施設及び文化財保護に関す  る一般調査の件 ○科学教育振興決議案に関する件   —————————————
  2. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それでは本日の委員会を開会いたします。先ず議題の第一でございますが、理事互選の件、理事岩間正男君より十月二十八日を以て理事辞任申出がありましたが、同君は二十七日の予算委員会の方の理事になられましたため、理事は兼ねられないことになりますので、事情止むを得ないことと存じます。同君よりの理事辞任申出を許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 御異議ないものと認めます。許可することに決定いたしました。ついては補欠といたしまして、理事互選を行いたいと思いまするが、互選方法はいかがいたしますか。
  4. 木内キヤウ

    木内キヤウ君 理事補欠互選は、投票によらないで、推薦方法によつて委員長にその指名を御一任したい動議を提出いたします。
  5. 三島通陽

    三島通陽君 木内委員動議に賛成いたします。
  6. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それでは委員長から御指名申上げます。藤田芳雄君を理事に指名いたします。
  7. 藤田芳雄

    藤田芳雄君 よろしく。(拍手)   —————————————
  8. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 次に国立学校設置法の一部を改正する等の法律案議題になつておりますが、併し文部大臣が出席されましたので、御質問がおありになる方は御発言願います。
  9. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 私は休会中にたびたび欠席をいたしまして、実は文部委員会があることを待機しまして、家におつてなんとかして出られる都度出席しようと思つてつたのですが、その機会を得られませんで、実はその報告がいつも、通報が遅れましたので、残念に思つておりましたのが、ここのところ、その二三を合わせて大臣にお尋ねしたいと思うのであります。  その一つは、これは休会中の持ち越しではありませんが、ノーベル賞のことに関連いたしておることでありますが、湯川博士ノーベル賞を得られたということは、我が国として非常に喜びであることは固よりでありますが、私はこれに対して、今回の吉田総理大臣施政方針演説で、何等かの国民的、国家的意思を表明されるのではないかと、実は期待しておつた。ところが何等これに触れられない。民主的国家総理大臣として、かかることを一言言つて貰いたかつたのであります。ところがありませんので、改めて文部大臣に対し、或いは本日のこの参議院文部委員同僚諸君に対して、私は一つのお願いを持つておるものなのであります。民主的国家のあり方を最もよく明示し、今後かかる方面に大いなる関心を持つて行かなければならない一つの、ノーベル賞ポイントではないかと思うのでありまして、この際非常に好い時期であるから、総理大臣が何と言わなくても、少くとも文部省として、その文化、文教の府として何等か適当の措置を講じられる意思があるかどうか。というのは、国民的にこのノーベル賞湯川博士に対して感謝をするというような一つ方法であります。又参議院としましても、殊に文部委員会として、何等かこれに適当の意思を表明する機会を持ちたいというように、私は感じておる一人なのであります。ところがこういうような民主的国家在り方の好いポイントとして、ノーベル賞我が国に、湯川博士に授與されたということは非常に感激に堪えないのでありますが、世の中がこういう原子爆彈時代というようなただ中にあつて日本の過去或いは将来を考えまするときに、国民に大いなる自覚と反省を與える好い機会じやないかと思うのであります。そういうような意味で、何らかの方法ノーベル賞の問題を取り上げて貰いたい。ところが、そういうふうに私が考えている矢先に、国では、政府はこれを考えられたかどうか知りませんが、定員法の余波を受けてか、湯川研究室というようなものが非常に悲境に京都の大学で落されておるということも聞くのであります。何か怖気をふるつたような気持になるのであります。是非これらのことも同時に考えて行かなければならない、我々の任務であるかとも思うし、文部省も亦そのことを大いに考えなければならんじやないかと思うのであります。尚これは枝葉のことに渡るかも知れませんが、湯川博士ノーベル賞を貰うについては、大蔵省ではそれに対する税金の皮算用をしているということを聞くのでありますが、こういうようなことで、日本文化国家在り方というものが、将来明るさを持ち得るかどうかというようなことについても、我々ははきつりした態度をもつて進みたい。殊に文部委員がその先頭に立つ最も好いチヤンスではないか、こういうように考えるものであります。それについての文相の御意見も伺いたいし、併せて後程委員諸君の御意見も伺いたいとこう思うものであります。  第二は、同じような文化国家在り方ということについてでありますが、先頃田中委員長なども推薦委員となられて決められたところの、文化勳章を受けられた方々についてでありますが、これは何と言いましても、もう老人であられるようでありまするけれども、我が国文化功労者として非常に盡されか方でありまするので、何らかの方法によつて、我々一同がこの文化勳章を受けられた方々と一緒に席を同じうして、感謝すると同時に、文化意見を聞きたいということを考えているのでありますが、文部省としては、こういつたようなことについて何か考えておられるのかどうか、尚この点については国会としますというと、表彰とか或いは優遇とかということにつきましては直接タツチするのはどうかと思うのでありますが、併しながらこの我が国文化国家在り方というようなことから考えますれば、ここに国民の総意を結集して、何らかの、この功労者に対して施策を講じられたらばどうかということを文部省にお願いすると同時に、この委員会におきましてもお考えを願いたいと思うのであります。  次に第三は、これは他の件に移りますが、日本の国が終戰後非常に民主化運動の明るい一端として、スポーツが盛になつて来たのであります。これは直接文部省関係ばかりではありませんが、国体であります。国民体育大会が来年度からは文部省の事業として、費用を八百万円か計上して文部省がこれを行うというようなことを言われておるのでありますが、従来終戰後体育協会主催になつてつてつたものが、今度は文部省が、補助金か何かの関係でみずから主催されるということを聞くのでありますが、従来やつてつたのは、民間団体主催してやりまするので、非常に民主的にうまく行われておつた日本オリムピツクというものが、今度は官僚の手に移つて主催される、その開催について、多少私たちは心配もするのでありますが、併しながら予算関係文部省がやるとするならば、どの程度まで国体というものに文部省関與をして行くのか、その点を明らかにして頂きたいと思うのであります。金は出すが、今まで通りに体協に大体委任をしてやつて行くとかというふうならば、従来とそう変つたところはないと思うのであります。その辺をはつきりとお伺いしたいのであります。  次は朝鮮人学校の問題でありますが、私特別に、自分の近くにも非常に関係者が多いので、前からの関係者を持つておりますので、当時早速委員会でお伺いしようと思つてつたが、最前申上げたような関係機会を得ませんでした。昨年朝鮮人の連中が財団法人学校を設立したいということを申請しておつたので、私達もそれを知つておるのでありますが、これに対して文部省は半年以上も放置いたしておりまして、何等良いとも悪いとも言わない。その挙句に閉鎖命令を以て臨まれた。勿論私達も朝鮮人達が終戰当時非常に、どうかと思われるような行動のあつたことはよく知つており、朝鮮人達も今そういうことを反省しておられることは事実なんであります。ところが今度の措置は、何等具体策とか財政的裏付けを持たず、ただ解散をせしめて受入れをしろと言うので、地方の末端では非常に困難を感じておる。最近そういうものの打開策として次官通牒が出されたそうでありますけれども、その程度ではなかなかうまく落着かないのじやないかと思うのでありますが、大体全国で千学級ばかりの生徒日本人学校に收容される。各学校では二人、三人、私の知つております近所で一番大きいのは一校で三百人引受けなければならんというような所もある。それに対して如何なる具体策、或いは予算措置をされたかということをお伺いしたいのであります。六三制が非常に困難な際に、三人殖えてもその机、椅子をどうしたらよいのだろうという程困難を感じておるときに、千学級分の兒童を全国にばら撒いて受入れさせるということは、非常に予算的な措置がなければ困難じやないかと思うのであります。尚その学級教育の取扱い方等については私は云々しませんが、そういう方面手落ちなく考えておられたのかどうか、又今後手落ちなく考えてやつて頂けるかどうかということをお伺いしたいのであります。  最後に私学法案でありますが、私学法案が出ておることを聞いております。これは方々でやかましい問題になつておるようでありますが、聞くところによりますと、予算憲法違反とかというような廉から全面的に削られてしまつたというようなことを聞くのでありますが、あの私学法案の原案を見ますると、殆んど学校基本法そのままで、それに対して僅かに文部省監督権が附加されたに過ぎないくらいに考えられる。そうしますと予算はとられてしまつた。ただ監督権だけをここに持つて臨もうとするのではないかと、こういうふうに考えられますので、もしそうならば、この際私学法案なるものを出さずに、予算措置ができてから出したらどうかというふうに考えるのでありますが、文部大臣の御意見をお伺いしたいと思います。  まだ国宝の予算削除等もありますけれども、以上私は簡單に御質問申上げます。
  10. 高瀬荘太郎

    國務大臣高瀬荘太郎君) お答えいたします。  湯川博士ノーベル賞を受けられたということにつきましては、只今お話がありましたように、学界は勿論国民挙げて感激しておるところであります。文部省といたしましても、早速新聞文部大臣としての談話を述べまして出たものと出ない新聞とありましたが、出たものもあります。それから早速祝電湯川博士宛に送りまして、国民的な感謝の意を表しました。早速湯川博士から、鄭重な祝電感謝するという返電が参りまして、これをやはり新聞の方に発表いたしまして出すことも、只今やつしやつたような意味で、相当の効果があるだろうというので、新聞にこれを出すようにいたしました。それから総理大臣とされましても、祝電を打たれまして、いずれ返電はあるだろうと思います。  それからこういう問題を教育方面に十分に活用いたしまして、日本文化振興についての大きな刺戟にする必要があるということは、私も同感でありますし、又全国教育会人達も必ず同感でありましようから、これを採り上げて十分活用されるだろうと思いますが、文部省としてもできるだけそういうような方法措置をいたして行きたいと思つております。  それからそれと関連して、湯川博士の、湯川研究室というものを公開するというようなお話がありましたが、これはまあ日本大学研究室全般の問題で、湯川研究室だけの問題ではないと思います。確かに研究費が非常に足りません。これを是非充実したいという考えで、文部省は非常に努力をいたしております。二十五年度予算におきまして、これも相当増額したということで、相当努力したわけであります。いろいろの関係でまだ確定をいたしておりませんが、或る程度必ず行けるだろうと私は考えております。  それから税金の方の問題は、これは新聞が採り上げていろいろ騒いだので、大蔵省が直ぐ税金をかけようというので、大騒ぎしたとは私は考えておらないのであります。大蔵大臣とも話をしましたが、無論これは差当り湯川さんの問題は、これは住所がアメリカでありますから、いくら法律を嚴格に適用すると言つたつて所得税はかからない。併しこういう問題が日本の住んでおる人達に対してあるというようなこともあるわけでありますから、これは考えなければならない。こういう問題については、無論何とか税金なんというものはかけないでするのが至当であろう、そういう趣旨は無論賛成だから、いろいろそういう点を考えると、こう大蔵大臣も言つておられます。  それから第二の、文化勲章受章者の問題でありますが、文化勲章受章者につきましては、勲政を受與し、それから宮中で午餐もございました。それから直ぐ新聞社人達受章者の感想を聞くというようなことで、新聞にも出ました。それ以上文部省は別にまだ何も計画はいたしておりません。併しこういう文化功労者功労及び仕事等につきましては、十分国民全般に分らせて、日本文化振興についての一助にする必要があることは、私も同感でございますから、委員会でいろいろお考え下さることは非常に結構で有難いことだと思つております。  それから第三に国民体育大会主催者についての御心配がありました。で、今度は予算が取れて、これを補助するようなことになりますが、形式補助ということは実はできないということに、法律上なつておるわけです。ですからその金を使うといたしますと、やはり文部省関係者にならなければならないということになります。そういう意味文部省主催者の中に名前を一つ連ねるということにはなります。形式上どうしてもそうなります。それは地元とそれから体協文部省と、三者主催という形になるだろうと思いますけれども、実質的に申すと同じでありまして、結局文部省はそのやり方等については委託してやつて貰うと、こういう形になると思いますから、御心配のようなことはないと私は考えております。  それから第四の朝鮮人学校の問題でありますが、これについて神奈川県で財団法人手続をしておつた途中にあつたというものがあるというのが出ました。それは確にあつたようであります。私も調べまして……。ただ併しその手続が不備でありまして、いろんな内容について不備な点があつて、まだ完了をどうしてもしなかつた、その途中でありましたから、自然ああいう結果になつたわけであります。それから受入の問題でありますが、これも御心配になりましたように、私も非常に心配しておりましたし、現在でも心配しておりますが、地元の県の当局の人達とも事前によく相談をいたしまして、打合せをして、公立学校で以てやるということを引受けて貰つて実はやつたわけであります。ですから文部省としては引受けて貰えるものと無論考えておつたのであります。そういう打合せなしにやつたわけではありません。併しまあ設備とか教員とか、いろんな点で以て突然にこれを受入れるということになれば、どうしたつていろいろと困難な事情が起きるということも止むを得ないと思いますが、それはまあ最善の方法によつて、何とか円滑に解決をして行きたい。予算の問題につきましても、文部省考えております。そうしてその分につきましては適当に措置をしたいと考えております。  それから私学法案予算との関係についてのお話がありました。私学法案につきましては、いろいろ新聞に出ておつたような問題もありましたが、私学団体人達とよくお話合いをしまして、大体御滿足の行くような法案ができるということになると考えております。予算との関係は、あれができれば憲法問題は解消いたしますからして、予算を計上するのについて、法律上の問題はなくなり、非常に都合がいいのであります。まだそれができておらないために、これを予算に計上することに非常に故障を生じておることも事実でありますけれども、こちらといたしましては、臨時国会で以てできるんだから、それを予想してやつて貰いたいということで、極力話をしまして、大体これはできるようになるだろうと思います。臨時国会及び二十五年度予算においてもできるようになるだろうという見込みを持つております。
  11. 岩間正男

    岩間正君君 私も只今鈴木君の非常に適切な質問と連関しまして、二、三点伺いたいのであります。その一つは、やはり湯川教授ノーベル賞受賞に関しての問題でありますが、只今も問題になりましたように、日本科学研究機関というものが最近国立学校設置法案の実施、それに伴うところの定員の定め方とか、更にここ三、四年の文部予算が非常に研究費について不足だという、こういう問題のために、殆んど庶幾されたところの能率を挙げていない。或る職場によつては非常に崩壊に近いような事情が出ておると、こういうことをしばしば耳にし、又そういう実例を聞くのであります。でこれに対して、例えば湯川教室の問題でありまするけれども、最近のこれは情報によりまするというと、湯川教室には現在十三人の研究関係の人がおる。併し今度の国立学校法案によつてこの半員がすでに整理されてしまつた。そういうようなことのために、あの優秀な研究を今後継続することが不可能な事情が起つておる。又この予算の面から見ても研究費がわずかに年額五万円に過ぎない。そうして更に学校経費としまして八万円を加えておるけれども、それで合計十三万円に過ぎない。而もその中に研究生が多いのでございますが、その研究生が最近研究費が打切りになつたために、その十三万円の中からこれらの生活補助費も出しておるとこういう実情を具さに承つておるのです。そうしますと一方で、はしなくも日本が問題にしない、日本がまだ採り上げる前に世界学界が、これを世界の最高水準に達したものとして、これを大きく採り上げた。そして今更日本が驚く、而も実情の足許を振り返つて見るというと、今申上げたような破壊的な事情が起つておるということは、これは非常に重大な問題じやないか。大臣只今の御答弁にもありますように、これは單に湯川教室だけの問題でなくして、日本のこのような科学技術研究、広汎の文化面におきまする研究費の問題におきましても、このような広汎な研究の継続不可能というような実情が頻々として起つておるのではないかと思うのであります。こういうような面からも我々は国立学校設置法案の審議の際に当りまして、この経費につきまして検討し、更にこういう立場からこのような定員においてもこれは滿足を表明することができないという意思を表明したのでありますが、この点で十分にこれは採り上げなくちやならない問題じやないか、この意味でも日本の全国民が今大きな関心を持つております。この関心の度合は曾て行われましたところの水泳におけるところの、日本の選手が世界記録を破つたというような問題とは、これは問題にならない程深い。そして日本の将来に対して関連を持つたところの問題でありますので、これは文部行政の重要な一環として、大きく努力されることが必要じやないかと思います。現在我々の耳に入つておりますところの来年度の予算におきまして、又今度の補正予算におきましてそういうような手続がどの程度されておるかというと、まあ研究費においてわずかに去年の二倍程度というようなことが、今までの中間的な報告として我々聞いておるが、併し二倍というと相当多いように思われますが、問題はその一倍にあるのであつて、今までの基礎数字が甚だ問題にならないところの基礎数字であつた。それを何とかここで努力して二倍ということに仮りになつたとしましても、到底これは現在の経済状況におきましては、本当に立派な世界に誇るべきところの研究をどしどし後から後続させるということについては、不可能な事情であると思います。こんなことを私が申上げなくとも、従来日本の学者の待遇、研究室におけるところのそのような経済的の面におけるところのいろいろな国家の助成に対しましては、もう耳にたこのいる程聞いておるのでありまして、こういうような大きな問題を切つかけにして、文部行政国民の輿論を採り上げまして、日本科学の真の研究を確立するために努力されるということが非常に重要な問題ではないかと思うのであります。こういう問題についても、一体現在研究費がどのような進行状態を続けておるかということを先ず第一点として伺いたいのであります。  尚この問題につきまして、当文部委員会としましても非常に重要な問題であり、問題は科学教育振興の全般的な問題に拘わつておるのでありますが、この点について積極的な何か方策を採られることを私は切望いたしておるのであります。この点については後で又懇談でもして頂きまして申上げたいことがございます。  第二の問題でありますが、それはやはり鈴木君の質問と連関するのでありますが、朝鮮人学校問題であります。これはこの前私はこの応急措置について二三の質問をいたしたのでありますが、まだ不明瞭な点がありますので、もつと具体的に承りたいと思います。それは先ず大体今度の朝鮮人学校の接收問題によつて、該当するところの生徒人員はどのくらいあるか。これを仮り日本学級に編成するというと何学級になるのか。教員はどれくらい要るのであるか。これをどのような方法によつて、例えば今度直接必要でありますところの補正予算においてどのような措置をされておるか。聞くところによると相当厖大な数に上つておる。すでに鈴木君も指摘をされましたように、六三制が狭隘を告げ、目下これが最大の問題になつておる際に、そのような新たな人員を吸收することが果して可能なのであるかどうか。十分にこの手続を完了されて、一体このような接收手続をなされたのであるかどうか。若しもそうでないとすれば、これは重大な問題であると思います。設備のないところに、何等のこれに対する準備がないところに突然あのような大降り的な、拔打ちをされるということは、従ちに混乱が起きて、その実を得ることができないとこう考えるのであります。その点を先ず承りたい。  第二は財団認可の問題でありますが、これはすでに森戸文相時代にお互いの折衝によりまして財団認可を得るということでこれが進められ、すでにその手続朝鮮人学校におきましては相当なされたというふうに聞いておるのでありますが、果して一体何件ぐらいこの認可申請があつたのであるか。これを文部省は今までどのような取扱つて来られたのであるか。それから更に聞くところによると、すでにこの申請を出してからもう八ケ月乃至半ケ年、このような時間を経過しておるに拘らず、文部省からは何等認可も来ない。そのような状態を続けておるところに、突然不許可だというようなことで、今度拔打ち的にこういうことがなされた。若しこういうことが真の事実でありますと、これはやはり大きな問題ではないかと思います。今文省の御答弁によりますというと、その申請の中には不備の点があつた、それで認可ができなかつた、こういうことを言われておりますけれども、若し不備な点があるとすれば、その不備な点をこれを丁寧に指摘する、指導する。そうして早くこれを認可するという方策を採られることが最も望ましい状態であつたと思うに拘らず、これが八ケ月乃至半ケ年というような時間を徒らに経過して、而もそれが認可されないとするならば、これは逆に文部省は最初から認可する意思なしとして延引したとこう言われても仕方がないと思います。そのような点について何件の認可があり、そうしてこれに対して係りの方においてはどのような手続をしたかということを、もつと具体的に承りたいのであります。結局これは受入れ態勢の問題でありますが、こういうものが十分になされないで、そうして今度の手続というものがなされたとすれば、これは今後もこういうような例をされるとすれば、非常にこれは文部行政の無軌道無計画ということになるのでありまして、大きな問題ではないかと思います。尚朝鮮人の、只今文相の御答弁によりますと、地方の教育委員会では十分な受入れ態勢を採られているということを聞いておりますが、それに該当したところの朝鮮人生徒諸君がしばしば国会に見えておりまして、そのお話を具さに聞いて見ますと、なかなか文部省が話しているような状況に、親切に受入れ態勢ができていない。何回も会いに行くけれども、殆んど断わられている。そうして会つて呉れない。そういう形で以てこの問題が冷淡に扱われているということを耳にするのであります。これは東京都の実情でございますが、こういうようなことが一体大分大臣答弁との間に食い違いがあるのでありまして、我々としましては、現在のこういうような態勢に対して、できるだけ努力をして犧牲を起さないようにすべきだ。但しこの朝鮮人学校を接收したこの立場に対しては、我々は必ずしも文部省の態度に対しましては同調しないので、我々としましては、この問題は一応保留して置く次第であります。  第二の問題は、教員の首切りの問題でありますが、この教員、小中学校における教員の首切りが最近非常に起りまして、最近まで入りました全国の情報を総合しましても、すでに五百六十何人というような該当者を出しているようであります。これは基本的に申しますと、しばしば休会中に開かれました継続審議の質問を通じて大臣の所見を承つたのでありますが、その中で、できるだけ最初の食い違いを、整理をしないと言明されたところの点と、実際起つているところの整理せざるを得ないところの実情との食い違いを何とかなくするために、何とか補正予算において要求するということが、大臣からこれは答弁されたのでありますが、これが補正予算においてどのような形でこれが実現されているか、而も最近起つておりますところのこの各種の問題を見ますというと、甚だこれは人権を無視した方法によつて行われている。こういう実態が頻々として我々の耳に入るのであります。これは例えば京都の一例を挙げますというと、突然として該当者が呼出されて、そうして校長から意思を伝えられる。そうしてそれに対して、而も二十四時間の期限を切つて、これを受けるか受けないか、受けない場合においてはこれに対してもつと大きなところの罰を以て臨む、こういうようなわけでそれが出されている。そこでその該当者においてはどうしてもその理由が分らないし、仮に示された理由だけではまるで自分達の態度がそれと一致しない、こういうことのためにこれを拒否した。拒否したところが、それに対しまして今度は、教員としては最も大きなところの懲罰を以て懲戒処分を受けた、こういうことが出ております。そうしますというと、これは教員においては恩給も、それから退職金も貰えない。こういうような実にこれは極刑であります。而もこれに該当したところの人達はどういうことを理由とされているか、理由書のごときものを読みますというと、これは組合の関係者でありますが、例えば組合の書記長でありますが、この京都の組合の書記長の理由を見ますというと、こういうことが述べられております。処分説明書としまして、「昭和二十二年初頭より組合專従者となるまでの間に於て正規の許可なく屡々任地を離れ職務を放棄して義務に違背し、且職務を怠るなど教員としてふさわしくない行為があつたので官吏懲戒令第二條第一号に該当するものと認定したものである。」こういうことが述べられておりますが、この当人のこれに対する反対理由を挙げて見ますというと、このような、これは丁度昭和二十二年は、教員のいろいろな待遇改善の問題が起り、全国的にそのような運動が起つた次第でありますけれども、彼らはどういうふうにしてその時代に組合運動に参加しているかというと、全部関係者のこれは了解を得、そうして又教員組合の多くの人達の支持を得まして、そうしてこの仕事に対して従事しているのであつて、今申しましたように、單に職場を離れたと、勝手にそのようなことをしたということはなく、而もここで非常に大きな問題として教えられなければならんのは、彼らがその時代におきまして、一体教員組合を組織して、そうして運動を続けた、その実情は何であるかということを考えますというと、当時は非常にインフレの昂進に悩んで、教員の生活が極度に逼迫を告げておつた。そのために、どんどんどんどんと教壇を離れる者がある。このままで置いたならば、日本教育というものは、誠に教員の養成の面からも崩壊せざるを得ない。これに対して、どうしても教員の生活権を守り、この崩壊しようとするところの日本教育を支えなければならん。こういうような立場と、又大衆のそのような一つの輿望の上に立つて、この仕事をなし来つたものであります。これをしも、こういうような問題をしも、ここに採り上げまして、そうしてこれはいろいろな規則違反である。それから職務に対して非常な不熱心であつたというようなことを問題にしまして首を切るというようなことで、而も教員としての極刑であるところの懲戒処分を行うというようなことが起つて来るとしますというと、これは非常に大きな問題であります。この問題は、單に教育界で問題になつているだけでなくて、これに関係を持つておりますところの子供達、並びにこれをめぐる父兄の間に大きな反響を捲き起しているということは考えられるのであります。この該当者の中には、非常に職場におけるところの、この教育の仕方が多くの父兄の支持を受けて、非常に信頼を厚くしている、こういうような人達が多数含まれている。このような人達を今言つたような一片の天降り的な方法によりまして、教育委員会は処断するということが起つた場合に、一体何が起るか、父兄が自分の子供のために、自分の教師を選ぶ権利あることは、憲法によつてこれははつきり認められておるのでありますが、このような下からの多くの支持を受けておりますところの教員諸君が、ああいう大量に首切られ、又今後この傾向が非常に強化されるというようなことになつたならば、一体果して日本の民主的な教育というものが本当の形で振興するかどうかということに大きな疑問なくを得ないのでありまして、こういう問題に対して文部大臣は、果して一体このような形で以て日本教育は守られ得るかどうか、この点を伺いたいのであります。そうしてこういうような行き過ぎに対して、どのような処置をされようと考えておられるか、我々としましては、この前の休み中の質問の際におきまして、このような行き過ぎは嚴重にこれを調査して、そうして文部省の方針に違反するというような者に対しては、警告を発し、或いは通牒のごときものを出すべきじやないか。こういうことを要請したのでありますか、大臣においてはまだその段階には至つていない、或いはそのような情報を掴んでいない、こういうことを言われてそのまま通り拔けられたのであります。すでに五百名以上に余るところのこのような問題が起つて来ておるときには、もう再び前言のような理由を以てこの問題を無視されることはできない、こういうふうに考えられますので、この点に対してはつきりしたところの御意見を承わりたい。殊に私の方で問題にしなければならんのは、このような教員を首切りしておるときに、一方どのような問題が小学校学校に起りつつあるか、私は是非大臣に聞いて頂かなければならんのは、最近における、例えば宮城県の教育研究所におきましてやりましたところの学力調査の問題でありますが、この学力調査によりますというと、例えば新制高校一年生の国語と算術の実力を調査したものであります。科学的に調査したものであります。それによりますというと、例えば、非常にここにはいろいろ例がありますが、これを省くといたしまして、結論的に申上げますと、算術においてどのような数字が出たかと申しますと、新制高校一年の生徒で以て学力が小学校の五年生に該当するものが実に全体の四四・四%を占めておる、その次には六年生に該当するものが三三・六%、その次が四年生に相当するものが一三・五%でありまして、実力小学校三年以下と看倣されるものが八・五%、このような数字が出ておるのでありまして、一体これは單に宮城県だけの実例であるかどうか、文部省はこのような事態に対して今までこのような調査をなされようとしたことがあるか、又なされておるか、こういう点について伺いたいのであります。実にこれは重大な問題であります。このように学力が非常に低下しておるような実態に対して、而も教員が非常に多数首切られ、更に予算の面から現在考えられておるところの首切りをしますというと、莫大な、何万に達するところの数の先生が第二次、第三次の整理に直面しようとしておるのであります。尚伝へ聞くところによりますと、文部省は来年度において小学校において六十五人、それから中学校においては五十五人の一学級兒童平均数を取らなければならんということを巷間に流布されておるのでありますが、このような実態が出るといたしますならば、これは日本教育の全面的な崩壞を意味すると私は考えるのでありますが、果して今のようなことが巷間の取り沙汰に過ぎないものどあるかどうか、この点を、教員の広汎な首切りに関しまして是非これはお伺いしたいと思います。尚学力の低下の問題、これは青少年の不良化の問題と連関してどのように文部省は処置をされるか、広汎な、六三制の不完全実施と、それから定員定額制によるところの教員の首切りという前提條件を前にしまして、果してこのような学力低下をどのように文部省は処置されんとするか、その方策について伺いたいと思うのであります。以上大別けにいたしまして大きな三つの点について御答弁を願います。
  12. 高瀬荘太郎

    ○国務大臣高瀬荘太郎君) お答えをいたします。今御質問のありました細かい点につきましては、局長課長の方から具体的にお答えをする方がいいと思いますから、そうしたいと思います。  先ず科学研究費予算の問題でありますが、先程も申しましたように現在甚だ不十分な状態にありまして、二十五年度にはこれは相当の程度是非共増額したい。無論それでも決して十分とは申せません。併し他の予算項目に比べれば比較的より大きな増額をされる程度のものをしたいということで努力をいたしております。目下折衝中でありまして、確定はいたしておりませんが、相当に実現できるだろうという私は見透しを持つております。無論それで十分というわけではありませんからして、今後共できるだけこれは増額する方向へ文部省は持つて行きまして、日本文化科学の振興には十分に骨を折りたいと考えております。  それから朝鮮人学校の問題でありますが、細かく数字は係りから申上げます。用意なくしてやつたのじやないかというようなことは、この前も申上げましたし、又先程鈴木さんの質問にもお答えをいたしましたのでありますが、突然というわけではないと私共は考えておりまして、昨年の五月以来一年半その期間があつたのでありますけれども、覚書のように一ケ月以内に手続をするということを殆んどやつておらない。それで一年半抛つて置いたわけである。でありますから、手続をやるという誠意が甚だ欠けておつたと私共は思うのであります。併しそれで直ぐ不許可、閉鎖というのも余りでありますからして、又二週間の期間を置きまして手続をするように通告をいたしました。その結果が大部分は又手続をしないし、又して来たものも甚だ不完全でどうにもならないようなものが大部分な状況でありました。認可手続文部省が抛つて置いたのはけしからんというようなお話もありましたけれどども、私はそういうことがあつたとは考えておりません。御承知のように認可は、まず手続が府県に対してやられて、それから文部省に来ることになつております。府県で一応審査し、そうして最後に文部省が許可をするわけで、両方で審査が行われるのであります。文部省に来たものについてそんなに抛つて置いた事実はないだろうと私は考えております。受入れ状況は無論先程も申しましたように打合せもやりましたからして、県としては必ず受入れて呉れるつもりでやつておると思います。ただ突然多数の生徒受入れなければならないというような事情のところは、いろいろと又施設、教員等で困難があることは免れません。ですから一時そういう混乱はどうしても免れない。けれどもできるだけ早くこれを解消いたしまして、日本人の子供同様に義務教育が十分受けられるようにしたいということで地方も努力しておると私は考えておりますし、そう聞いております。ただそのやり方につきましては、地方によりましてどうしても多少の違いができるだろうと思います。極く少数しか朝鮮人学校のなかつたところもありますし、非常に沢山の朝鮮人兒童があつて、大きな学校を持つてつたところもあります。これを受入れるにつきまして、極く少数のところは比較的簡單に受入れるのでありますが、多数あり、而も大きな学校であつたというようなところについては、何らか過渡的な特殊な措置も必要になるというようなことで、いろいろと工夫をしておつたのもあろうと思います。そのために多少遅れておるということはあると思いますけれども、各地方共誠意を以てこれは考えておると私は信じております。  それから小学校、中学校教員の整理の問題でありますが、直接には、御承知のようにこれは文部省がやるわけではありませんで、各地方庁がやるわけであります。その場合に文部省定員定額制の金が非常に足りないとか、それがために整理が非常に多く掛つたというのは、どうも私共には必ずしも考えられない。けれども前から申しますように、生徒数の推定とか、退職者の推定とかということが、どうせ推定でありますから、相当の間違いもあつたと思う、それらの点を是正するについては補正予算でもつて程度の考慮をするのだということを申上げましたが、補正予算でこちらはやつております。ですからこれも適当に何とか処置ができるだろうと考えております。  京都についての例のお話がありましたけれども、私も実はその時分法隆寺の問題でちよつと京都にも立寄りまして、そういう話も向うの教育長から聞きました。結局懲戒免官になつた人達もありましたが、それについてはそれ相応の懲戒免官ということをする以上は、やはり理由があつてされておるのでありまして、そう無茶に理由なくやつておるとは考えておりません。一般的に言いまして、この前も申しましたように、やはり個々の個人について、勤務の状況とか、仕事のやり方とか、平素の状況を十分考慮して愼重公正に考えられておると現在も私は考えておるのであります。従つてこれに対して文部省が非常に不都合だから何とかしろというような警告を出す考はまだ持つておりません。  それから学力低下の状況の調査等はこれは係の方からお話いたしますが、何れにいたしましても現在そういうふうの勤務状況等を基準として整理が行われるということは、教育界をもつと秩序を良くし能率を高めようという精神も入つておるのでありますから、それによつてむしろ教育がもつと効果的に行つて、学力はむしろそれによつて高められて行くということになるのじやなかろうか、そういう趣旨においてこれは実行されておるのだろうと私は考えております。  それから定員定額制の問題で、いろいろ教育上不便不都合を生じておるというお話がありましたが、これも前からお話しておりますように、定員定額の制度が初めて実行されましたために、そのやり方に多少不円滑の点があつたかと思います。それで二十五年度におきましてはその定員定額のやり方、予算等につきましても相当に、もつと教育界に故障を生じないように考えてやつておりますので、二十四年度よりは二十五年度の方がその点でそう故障なく行けるだろうと考えておるわけであります。
  13. 久保田藤麿

    ○政府委員(久保田藤君) 朝鮮人学校の数字的な御質問がございましたので、その点を補足させて頂きます、朝鮮人生徒兒童が特殊学校から小中学校、高等学校一切まとめまして約三万五千でございます。それから教員の数は一千百人、学校の数が三百五十でございます。これを約と申しておりますのは、実はこの措置をいたします以前の数字と、今度の措置をいたしました後の数字との間に、相当な開きが出て来る危險がございますので、わざわざ約と申上げております。これは例えば、或県の前出て来ておりました数字は実際調査ができておりませんで、相当推定の数が入つております。今度のはいよいよ措置をいたしましたについて、学校側でいろいろ指令を受けてできる数字が正確に出て来ました関係で、まだ細かなものを掴んでおりません。その点で約と申上げて置きます。  それからこれらの人々を学級に編成する関係を御質問でありましたが、これは例えば、山口県の下関市にありましたような特定の大きな学校、そういうものを見ますと、この三万五千というものの数字に合せて幾つもの学級といつたふうにお考えになるかと考えますが、これは地方によりまして、例えば非常に小さい学校は十何名、三十何名といつたような、非常にばらばらに大小がございまして、特に又私共の考え方として成るだけ分散して、学区の関係がございますのと、又その住む地域によつて当然に進まなければならん学校が一応考えられるわけでありますので、できるだけ集団的に、今までのように無理に集団的に集つてつた関係もありますので、寧ろ戻して最も自然な形で、それぞれの学区の関係に分散して入つて貰うという建前を考えております関係から、非常に集団的なところ以外は、一応分散させますれば、そう大きな学級編成といつたような問題も起さずに收容ができる可能性が非常に多いのであります。只今東京の事情について非常に受入関係が遅れておるという御指摘でありましたが、これは東京は只今申したような原則で、できるだけ分散して收容して貰うということを建前に進めておりましたところが、朝鮮人の側、殊に父兄の側からできるだけ集団的に扱つて欲しい、特に公立学校に收容する場合に、分校としてそれぞれの單位のものを独立さして行きたいという注文がありますので、都の方の関係でまだその辺の話合がつかんものが相当あります。その関係で東京都は特に遅れておることを御承知を願いたいと思います。  それから法人の扱いを今までの間にどういう件数で扱うて来たかという御質問でありますが、この措置をいたしますまでの間に出て参つておりましたものは、全部で十件でございまして、その中許可を與えましたものが三件、不許可にいたしましたものが七件でございます。外に或いは県が第一次の取扱いをいたします関係が、県限りで或る程度の始末をしておつたものがあるかも知れません。私共の処理いたしました件数は以上でございます。
  14. 岩間正男

    岩間正男君 ちよつとお伺いいたしますが、朝鮮人の受入態勢が補正予算並びに本予算の面で今どういうことが考えられておるか。具体的に……。
  15. 久保田藤麿

    ○政府委員(久保田藤君) 本年度の補正予算には事実上間に合いませんので、教員関係のことについては稻田局長の方にいろいろお願いしてございます。その関係から又御説明頂くことにいたしますが、二十五年度の予算に、或いは二十五年度の方の補正予算でないと回に合わんかも知れないと大蔵省の方から言われておりますが、私共の方としましては、できるだけ二十五年度の問題にいたしまして、積極的にそれをしたいと考えておりますものは、設備関係と営繕の関係でございます。営繕の関係は今朝ほどの新聞に出ておりましたが、接收財産の建物の始末の問題が一方に又起きて来ておりますので、又私共も是非特別な始末をしたいと願つておりますので、或いは予算の問題にせずに解決ができると考えております。
  16. 稻田清助

    ○説明員(稻田清助君) 只今監理局長からお答え申上げましたように、目下定員定額の予算に関しましては、補正予算といたしまして大凡そ二億八千万円ばかり計上いたしました。目下関係方面の検討を受けておるような次第でございます。この予算が成立いたしますれば、それの運用によりまして、只今御指摘の問題を或る程度解決し得るのではないかと考えております。  尚序でながら先程学力低下の問題について御指摘があつたのでございます。何分新しい教育が出発いたしましてからまだ二年半にしか相成つておらないのであります。殊に御指摘になりました現在の高等学校に在学しておる者につきましては、甚だ不幸なことながら戰時中疎開その他障碍がありまして、その学力につきましては大いに心配せられる問題もあるのでございます。元の行き方と根本的に変りました新しい教育における学科課程の運営の問題、或いは又生徒指導の問題につきましては、文部者におきましても種々の指導所を作り、或は講習会を催し、特に又最近におきましては、既に先生方が今までの経験を持つておられますので、それらの経験を持つ寄つて各地において研究集会を開催いたしております。これらの研究集会等の方法は各都道府県教育委員会等において十分に力をいたされるような次第でございます。文部省は又特に従来の結果に見まして生徒指導という点につきまして更に力を入れる必要があると考えます。これらにつきまして目下指導所その他の生徒指導のガイダンスの研究なり指導なりという点につきまして十分力を致したいと考えておるような次第でございます。それからこうして学力の調査をどの程度つておるかというお話でございますが、申すまでもなく学習効果の判定ということが新しい教育において非常に重要なことでありまして、これは指導せられる先生において、常にその学習効果の判定の結果を出さなければならない。そうした学習効果の判定を累加いたしまして、それを記録する累加記録適用の方法は各学校にお願いいたしております。先般学籍簿を改正いたしまして、生徒指導要領、或いは兒童指導要領というものを作りましたのは、こうした趣旨でございます。従いましてこうした記録が集まりますれば、十分御検討頂きまして、新しい教育に即応した効果判定の結果が掴めると考えられますので、差当り文部省といたしましては幾つかの学科を選びまして、いわゆる抽き検査式に学習効果の調査をいたしております。一方国立研究所においてもそういう仕事を支持しておるような次第でございます。ただ学力の調査と申しましても新教育の方針に即応した調査をいたしませんと、その点齟齬が生ずることは言うまでもない点でございます。御指摘になりました教学につきましても、新しい教育におきましては高学年の数学能力の低下の原因を究めますと、むしろこれは低学年における計算能力の不足が高学年に累を及ぼすということを考えましたので、そういう点につきまして十分低学年において時間のゆとりを取つて、計算能力をゆつくり基礎的に掴む、而も上の学校においては急速に高等の方に進むという方法を採つて、時代に即するような研究をいたしておる次第でございます。
  17. 岩間正男

    岩間正男君 今の御答弁の中で、二億八千万円の補正予算を取つておるというお話でありますが、これはこの前伺つたときもその通りだと思いますが、ところが大体さつきのところでは、一千一百人の教員が新たに必要だ、朝鮮人生徒受入れのためにですね。そうすると何ですか、今度の補正予算で何ら措置されていないということになつたのでありますが、その分だけ首切るということですが、どういうことになりますか。
  18. 久保田藤麿

    ○政府委員(久保田藤君) 千一百人というのは現在朝鮮人学校に勤務しております朝鮮人教員の数であります。これを先程申しましたように、実質的に日本側に收容した場合に、学級の数は、非常にばらばらに收容しなければならないのでございますので、これに今必要なる教員数は今取纒め中でございます。山口県のように特定の大きな学校を持つておるところははつきり直ぐ数字が出るのであります。併しばらばらに收容しておるところは、実際どのくらいの教員が必要であるかという具体的な数字がまだまとまつて来ておりませんので、先程申しました一千一百は現在ばらばらになつておりますが、その学校におります朝鮮人教員の総数でございます。
  19. 岩間正男

    岩間正男君 それはまあ実際どれだけの数になるか分りませんが、とにかく今のような少いところもあつて、それを各県に分散するということになりますと、その分散された学級においては人員の超過ということが一つ起きると思いますね。それから都会地の学校なんかにおいてはとにかく何人かの教員が増員されなくちや……、それはここでは推定の限りではございませんが、仮りに半分と見ましても五百から六百増加する。その予算措置を別に……、これはこの二億八千万ということはこの前から承わつてつたのですが、その時代には何ら朝鮮人の接收の問題は出ていなかつた。何ら一応の増額されたとかというような措置を認めないのでありますが、この点はどうなりますか。つまり今の説明では甚だ曖昧である。その点は措置をされていないように我々は確認するのでありますが、どうですか、その点はおかしいじやありませんか。その点はどうです。
  20. 稻田清助

    ○説明員(稻田清助君) 定員定額、増額に関しまする補正予算が成立いたしまして、これを各府県に配付いたすに当りまして、只今のような事情を考慮いたしたいと考えております。
  21. 岩間正男

    岩間正男君 どうも納得が行かないのですがな。全体の数として二億八千万円取つたと思う。その措置をどんなふうにする……、どこに、一体その数を生み出してくれることができないじやないですか。それは答弁として非常に曖昧なもので、文部省としては措置を取られないというふうに今の答弁から受け取るほかない。新しく朝鮮人学校の接收をすることによつてつた分に対しては何ら措置をしない、こう確認しておるのです。これは言を左右にしてはいけない。そういう曖昧な、つまり言葉の綾をとつて、こういう事態、生きた現実を何することがあつては、文部行政は非常に重大なことである。二枚舌を使わないで、これではつきりしてくれなければ、そんな答弁では困る。
  22. 高瀬荘太郎

    ○国務大臣高瀬荘太郎君) 二億八千万円という処置はどこの学校へ幾人ということをはつきり決めて処置計算されたものではないので、日本全体で以て一万余の教員の補充、こういう意味でやつておるわけであります。従いましてそれを学校に、各校に状況に応じて調節をするわけであります。従つて朝鮮人学校が閉鎖されたためにどこの学校で二人、どこの学校で二人というふうに余計要るようになれば、自然それで調節をして行く。無論これで十分とは思いません。併し年度の途中でありますからして、それで調節をしておいて、二十五年度においてははつきりとやつて行こうと、こういう考えであります。
  23. 岩間正男

    岩間正男君 依然としてそれは承服することはできないのでありまして、最初に取つた額がですね、どのように調節されようとも、そこに人員の引伸ばしというようなことはこれはできないわけであります。これは教員の俸給額を平均を減らすというのだつたらそれはできるかも知れませんが、そういう予定で取られるのではない。従つてそうなりますというと、新たに文部省が予定された整理人員よりも、新たに五百人なり、六百人なり多くの行政整理が行われる。そういうふうにこれは解釈せざるを得ないのです。今の問題を朝鮮人学校教員をも充当して考えると、それはどうなるのですか。それはやはり私は説明の綾というようなことでなくて、虚心担懷にあつた事実を話された方がいいのじやないでしようか。これは誰が聞いたつて、これはこの速記録をお読みになれば分ると思いますが、今の説明からそういうようなことは起つて来ません。そんなやりくりをしたつて、そんな人数は、難の卵じやありませんから、生れたりすることはないと思いますが、それはどうなんですか。
  24. 高瀬荘太郎

    ○国務大臣高瀬荘太郎君) どうせ調節する数でありまして、実際に過剰になつた数全体がこれで間に合うということはできない予算なんであります。ですから非常に困つているところを調節しようという予算なんであります。ですからその困つている事情に応じてこれを調節して行くのが適当だと思います。
  25. 岩間正男

    岩間正男君 結局数字はどういう工合に……、別のところへ行くというわけですね。とてもこれはやられないと思う。
  26. 藤田芳雄

    藤田芳雄君 いろいろ御質問をいたしたいのですが、殆んど今の問題に関連して参りますので、私も二三、今の問題と同じような形式になりますが、お聞きしたいと思うのです。先程お聞きしておりますというと、何か質問に対して上手に説明をしてそこを通せばいいというような気持が余りに見え過ぎていやしないかと思う、私共の考えておりますのは、如何にしたならば日本教育を本当にやつて行くのか、どんなふうにして行つたならば予算をしつかり取つて行けるのかというところに本当の誠意を持つて調査もし研究もしておるわけであります。ところがどうもやり方なり、或いは話の持つて行き方なりというものに、何だかうまく行つていないところをうまく説明だけで以て通してしまえばあとはいいというような気持が見え過ぎておる。先日も、例を挙げて申しますならば、私学法案について承るところによれば、私学法案を出すには、私学側のそれぞれの諸団体とよく打合せの結果、文部省として大体の了解を得たものを作つたというふうな話のように聞いております。ところが今出るという間際になりますというと、私学団体方面の意向等は何んにも盛られていない、全然違う。内容を見るというと、文部省があれで以て私学を統制しよう、大きな掣肘を加えるような形に持つて行こうとしているというようなことから、猛然とした反対が出ておるかと思う。併しこれはまあ新聞面やその他一二の点で聞いた事柄なんでありますが、実際の形から申しますというと、やはりそういうことが言い得るのであります。今の定員定額にいたしましても二億八千万の調節をする。調節ということは何を基準に一体おやりになる。何を基準に二億八千万円をお出しになつたかという点が根本的に怪しいものじやないか。言い換えればいい加減な数字を出した。もう足りないところの数字を、足りない数字を出して、そうしてそれで以終れりというような形に見えるのであります。二億八千万円というものはもう足りない。その上今の岩間君の質問のような形が出てくれば尚足りなくなる。それだけ穴が出来てくることは確実だ。そこで、定員定額のために首を切られるということになる。或いは定員定額の決め方に根本的な大きな間違いがあつたのじやないかというふうにも思う。現に各地方の実情を見ますと、この定員定額というものが如何にいい加減なものだか、而も一体文部省でこんなことを進めるのは教育を壞わそうとするのか、或いは教育を充実させようとしているのか。どうも我々が見ますというと日本教育を壞わそうとしているようにしか思われない。どうしても入用な教員の数を、これで縛つて足りなくさしてしまつている。なぜそういうふうにしたかと考えられるのであります。今の場合も丁度それと同じで、二億八千万円の額が出たときにはまだ今朝鮮人学校問題は出ていない。それでも足りなかつた。だけれども朝鮮人学校が出たとすれば、これを何んとか予算措置はなければならないが、手遅れでうまく行つていないのだというなら話が分るが、これで十分やりつつあるというようなお話であつては納得できないというようなことになるのじやないかと思います。  もう一つ私附加えてお聞きしたいと思いますのは、教員養成の問題、教育の充実に、先程来学力低下の問題がありましたが、方法論もありましようし、教科書や教員の質、いろいろな問題もございましようが、何といつても根本的なことは優良な教員を獲得することにある。ところがその教員の養成について一体文部省でどんなふうな方針を採つておられるのか。この二十四年度の、いわゆる学芸大学といいますか、或いは総合大学教育学部と申しますか、教員補充の内容を見ますというと、いわゆる初等教育、小学校の先生などは集めようとしておらない。そういう人をなくそうとする制度につくり変えられておる。而もいわゆる新制中学の先生も小学校の先生も資格においては同じ資格になつておる。同じ筈だのに、今度は実際の大学の内容に入りますと、いろいろな区別がしてある。そうすると、入る者にしますと、同じ期間入りまして、而も小学校の方が却つていろいろな資格を得るためにも單位を余計さらなければならん。それから今度新制中学の方は單位数が不足です。そういう形のものを拵えて置いて、そうして希望の方面しか採らない。小学校の方を希望する者などはあの形ではある筈がない。而も同じ期間同じ学校の学生として入るので、そうして一方は格の下のような取扱を受けるところの小学校教員、一方は中学校教員になるというような採られ方をしておるのであります。これでは養成をうまくやろうとするのでなしに、段々とまずくして行くという形にしか見えないのであります。あの師範教育の根本になるところの教育学部、或いは学芸学部の募集の行き方というようなものについては、一体文部省でどんなふうに考えてあのようなことをおやりになるのか。今の定員定額と同じように日本教育を根本から壞そうと考えておやりになるじやないかとむしろ思うより仕方がない。今の予算の二億八千万円は岩間委員質問と同じように、本当にもう少し文部省の方も腹を打割つて本当にやつて頂きたい。私はあとで実は科学研究経費のことについても何かお話があるだろうと思います。なかつたならば自分でも出したいと思つておるくらいなんですが、大学の実験費用の如きは実に気の毒な話で、あれでできるか。而も一番今までやりよかつたと思うところの医学部あたりの研究費さえ問題にならん。本当に気の毒な形になつておる。それらについてのことを考えますというと、今の科学の費用の決め方にも言いたいことであるのでありますけれども、差当つて今の岩間委員質問に連関いたしまして、余りに教育を振興させなければならない立場にある人が、却つて阻害するような方向へと予算なり、説明なり、話なり持つて行こうと過ぎやしないかという感じが強過ぎますので、私も重大な根本問題だと思いますので、大臣のおられるところで一言申上げて、その点をもつと、文部省の態度というものはそうじやないのだということをはつきりさせ、この後の執行にも移つて頂きたいという気持から質問いたしたいと思います。
  27. 高瀬荘太郎

    ○国務大臣高瀬荘太郎君) 定員定額と無論関連のある問題でありまして、教員の数をできるだけ充実いたしまして教育を振興さしたいということは勿論文部省が最も念願するところであります。ただ併し財政の関係から二十四年度は前年よりもむしろ悪い割合になつておるという点で遺憾に思いましたが、これも来年度からは何とかしてもつとよくしたいという点で全力を挙げております。或る程度いけるのじやないかと思つております。ただ今年度はそういう関係で、定員定額の実施が最初であるためにいろいろと故障のあつた点も、まずかつた点もあつたと思います。それを是正するために補正予算で或る程度これを調節しようということになつたわけであります。その点一つ御了承願いたいのであります。  それから教員の養成の問題については、私もそれが十分心配な点があることを思つております。ただ来年度におきましては、育英会の方の予算が相当増額される見込であります。そうしてその増額されるものの大部分は教員養成方面に是非奬学資金として出したいということで考えておりますので、予算が成立いたしますれば、学芸学部の学生、教育学部の学生に対しましては、育英資金の上で以て非常に大きな援助が與えられると考えておりますから、相当の改善ができるのではなかろうかと思うのであります。  それから小学校の先生になるための課程、中学校の先生になるための課程の問題につきましては、細かい点でありますから、係の方からお話を申上げます。それから教員の養成につきましては、尚現職教員の講習も非常に重要であります。このことも非常に重要と考えまして、来年度の予算では相当増額して、これをもつと大規模に実行したいという計画を持つております。
  28. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 先程鈴木委員から、湯川博士ノーベル賞受賞の問題に絡んで教育考える必要がある。それから、この機会科学の振興というような方面について何らか方策を建てなければならんというように岩間委員からも申されましたが、誠に私も尤もだと思うのであります。併しこの問題も只今非常に議論になりましたいわゆる二億八千万円というふうなものの中に、朝鮮人学校の閉鎖の教員数が含まれておるかどうか、こういうふうなことがあつたように、すべて先程からの問題も教育予算の問題と関係して来ると思うのであります。ところがこの教育予算につきましては最近新聞或いはラジオ放送によりまして、どうも建築費の十五億もどうなるやらというようないろいろな問題が出ておるのであります。今朝ほどの新聞を見ましても、建築費が十五億になるか十億になるか、そういうふうな曖昧な恰好が示されておるようでありますので、この際非常に国民関心を持つておるのでありますから、これにつきましてどういうふうに決定されたものか、或いはどういう経過中にあるものか、詳細に亘つて御説明を願いたい、こう考えております。  先ず定員定額の二億八千万円というふうなものが、それすら確保されるものであるかどうか、或いは減額されるかどうか、又寒冷地給與、或いは石炭手当というようなものが文部省予算計上通り通過する見込があるものであるかどうか、或いは又建築費の十五億というふうなものが確保されるかどうかということにつきまして御説明を願いたい、こう考えておる次第でございます。
  29. 高瀬荘太郎

    ○国務大臣高瀬荘太郎君) 只今まだ予算が確定しておりませんで、各方面折衝中でありますから、確定的なことはお答えできません。併し大体の見透しといたしましては、文部省の予想が先ず実現されるのではないかという見透しを持つておりますということを申上げます。
  30. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 当初私が質問しましたのが火つけになつたような関係で、非常に飛火しまして、私もまだその点について質問を再三行いたいのでありますが、遠慮しておりましたが、大臣がもう向こうの本会議に呼ばれておる、答弁に呼ばれておるというようなことでありますので、この際緊急に何か他の委員から要望したいことが文化財の件についてあるそうでありますが、それを一応ここで議題に上せまして、時間がありましたら又これを継続することの動議を提出いたします。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  31. 三島通陽

    三島通陽君 先程鈴木君のお話の中に、国宝、重要美術の予算についての問題がありました。その際に併せて御質問を申上げたいと思つてつたのでございますが、最近の新聞紙の伝えるところによりますと、国宝、重美修理の予算が二億二千九百十五万円で折衝中のところ、右のうち五千万円を削減されたというような報道が出ておるのであります。ところがこの文部委員会におきましたはこの文化財の保護ということにつきましては、誠に初め以来各委員におかれまして熱心に討議研究されておる問題であります。前回の議会におきましては、文化財保護法案もこの委員会から提出されたようなわけであります。それでこういう新聞が出たということになりますと、私共この点に対しまして、誠に関心を持つておる次第でございます。この二億二千九百十五万円というものはどういうふうに按配されておりますか、詳しいことは分りませんが、併しいろいろ資材の値上りとか、その間法隆寺のああいう燒けた問題とか、或いは姫路城とか松本城の損壊というようなものがありましたので、そういう修理というようなものをざつと考えましても、この二億二千万円というようなものは、もうミニマムな予算ではないかと思つております。併しこれだけのことを折衝されておられる文部大臣に対しましては我我は感謝しておつたのでありますが、これが若し危いというようなことになりますと、これは我が国文化財の保護のために非常に重要な問題であると思いますので、果してこの削減がされるとしたならば、現下の国宝重美の状態から見てどういう影響であるかということを大臣に伺いたいのであります。そうしてそれが果して復活の見込みがあるのかないのかということを先ず最初に打明けて承りたいと思うのであります。
  32. 高瀬荘太郎

    ○国務大臣高瀬荘太郎君) 国宝保存の問題も固より重要な問題でありますからして、文部省では非常に重要視いたしまして、只今おつしやつたような予算措置を実現するために最善の努力をしておるわけであります。新聞にありましたような事情も確かにございますので、非常に心配をいたしておりまして、私も実は今日は午前中は向うに行つてつたような関係であります。どういう結果になりますかはまだはつきり分りません。まだ未定の状態であります。私としては無論係りの者と全力を盡してやつております。これが新聞にあるような結果になりますというと、相当重大な計画に支障を来すということになりますので、何とかそういうことにならないようにしたいというつもりでおります。この国宝保存の問題については委員会でも特にいろいろと御心配を頂いておるわけでありまして、大変有難いと思つておりますが、今後共私といたしましては全力を盡して予算的な方面でも満足の行くようにしたいと思つております。
  33. 河野正夫

    ○河野正夫君 お急ぎのようですから、実は予定した質問もあるんですけれども、それは後程政府委員から承ります。文部大臣がいろいろ只今承るところによると、国宝保存費その他について内面的ないろいろな努力をしておられるということは了承いたしましたが、三島委員から御発言の、国宝保存の費用は固より、鈴木委員、岩間委員等から発言された科学研究費又若木委員や藤田委員から発言されておる六・三建築費とか、教員の国庫負担費とか、そういう面において、十分にこの際必死の覚悟で御盡力を願いたいという御注文を申上げて置きます。
  34. 木内キヤウ

    木内キヤウ君 民主党でも極力お願いしたいと思います。
  35. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 先程の三島さんの御質問に対して文部大臣答弁せられたことはよく分るのでありますが、現在計上しておられる二億円何がしの金ではとても足りないと思います。実際から申しますると、文部大臣も先だつて奈良県を御覧になつてつて、よく御存じだと思いますけれども、ほんの一部だけを見られても御了解下さると思いますけれども、奈良県にある重要なもの、国宝を満足に修理しようと思えば約二億円から要る、それを全国にばら播いて二億症ではとても足りないと思うのでありますけれども、それを更に五千万円創るということはもつての外と思います。重要なことと思いますので、文部大臣もお骨折りのことと思いますが、更に一段の御努力を頂くよう私は重ねてお願いをして置きます。
  36. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 とにかくこの文化財につきましては国宝を主にしますが、この文化財保護法というものを当委員会は二年三年越し掛かつてつておる。それ程国宝問題が重要視されておる。これは参議院ばかりではなく、衆議院でも既に非常に熱意を持つて、既に法案まで作ろうとしておられることをよく財務当局に納得をさして貰いたい。そうすれば必ず二億や三億の金が湧き出して来ると私は信じておる。この文部委員会の中においても、熱意を披瀝して獲得して頂きたいということを懇望いたして置きます。
  37. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それでは文部大臣の緊急質問はこの程度にして置きます。
  38. 河野正夫

    ○河野正夫君 今若木委員から質問されたことを重ねて懇談会としてでもよろしいですけれども、教育予算の進行状況を示して頂きたいということが最初に一つ。その次に朝鮮人学校問題ですけれども、大臣のおる間に実はもう少し究明して置きたかつたのです。と申しますのは事前に各都道府県当局と打合せをいたしたというのでありますけれども、これは私の調査した数府県においてはしていない。だから如何なる手続打合せをしておつたか。通達をしたのか、招集して話をしたのか、具体的にその証拠を示して貰いたい。どうも先程二億八千万円の話がございましたけれども、文部省弱体にして、その意図するところが通らないということがしばしば我々にも内面的には相当同情はいたしますけれども、そういうことは面子とか立場とかいうことを捨てて、誠意を以て正直にやつて頂きたい。先程大臣の既に……。大臣じやない、政府委員の方二億八千万円の件の際にも、朝鮮人の学童を公立学校に收容することについての予算処置は、本年度は講じておりませんと明瞭に言つた筈であります。それだのにその後章二億八千万円は何とか乘り切れるであろうと、言われる。藤田委員が、そうでなく、別に予算は組みたいけれどもできない、仕方ないから二億八千万円の中で何とか本年はやり繰りをするつもりでございますと、なぜ正直に言わんかと、こう憤慨をされたのは尤もであります。事苟くも文教に関する限り、そういう不誠意な一時を糊塗するような答弁で物を処理するということは、私は考えたくないのであります。そこでその点について岩間委員から提言された朝鮮人学校の問題でありますけれども、事実東京都などにおきましては非常な混乱を生じております。私立学校として届け出でよというので、文書をもつて届出た、ところがその中の構成がいろいろ面倒である、異議があるというので、例えば教員組織についてこうせよというような忠言を受けたようであります、都内のある学校が。ところが私共が聞いてみますと、これはその教員を替えよということを言う権利がないのであります。学校教員の組織について言うならば、教職員の免許法に関連するか、そうでなければ教職員適格審査の問題にはひつかかる、そうでなければ団体等規制令による追放を受けておるかどうか、こういう問題になるのであります。その何れでもない教職員をもつてつて、それではいけない。端的に申しますならば、或る党員が多過ぎるというような印象を受け取つております。これはどうも学校の、私立学校の方針としていろいろな内容を届け出でるときに干渉すべき事柄でないと思う。そういうようなことでごたついていたのであるが、再びその学校を都立にして、都営にするというのでありますが、設立者なり所有者なりが、固よりこれは例の朝連の所有のもので、発表になつた学校ではございません。それ故に当然権利を持つておる。設立者が持つておる。それを圧迫的に都営にしてやろう、差出せというように、誤解もあろうかと思いますけれども、そういうことを言われたというので又紛糾しておるというようなことが実情であります。そうして都の立場から言うと、それを都営になり何等かの形にしなければ学童を他所にやることは収容上非常に困難であるという地域なんであります。一々例を挙げれば分りますけれども、実際にそういう困難な場面に逢着しておる。こういうようなことは私の知つておる都京都内の一二の例でありますけれども、とにかくもう少し親切に扱う必要がありはしないか。そして若しそれ共産党員が教職にあることがいけないというならば、朝鮮人学校であろうと、日本人の学校であろうとイールス博士は好ましくないということは声明されておりますけれども、現在の日本法律ではこれを禁止する何ものもない。ただ單に党員であるということで、それ故にそういうことを若し必要であると考えるならば、立法措置を講ずるのが当然である。議会はこれが反対か賛成かは別個の問題として。ところがそういうことをしないで、何かの意味でごまかしてやつておる。何とか言い逃れをしようと、どうも見え透いた不誠実がここに横行濶歩しておる。私はこれを教育のために嘆かわしてと思う。これは文部大臣がやろうと、教員がやろうと、如何なる場合でも本当の真実の誠意を隠して、出たらめのことをやる。そうしてこれを如何にも合法的な顔をしてみせるということは、共産主義者の一部の人々が曾てやつた。今度は文部省の職員がそういうことをしておる。だからどうも似て来たのじやないか。そういうことは甚だ私は不愉快です。誠実に合法的にものをやつて貰いたい。そういう意味答弁を願いたいのであります。朝鮮人学童問題についてはもつと指導的立場をとられ、親切に隣人であるところの朝鮮人、而もマツクアーサー司令官により国内の法律に従うべしと命ぜられておる朝鮮人、曾てはカルフオルニヤあたりで日本人学童問題を行つたということを考え合せて見るならば、もつと同情をもつて応人にやるように、進んで地方に進言をするのが文部省只今の任務ではなかろうか、この点について文部当局はどう考えるか承りたいと思います。
  39. 久保田藤麿

    ○政府委員(久保田藤麿君) 東京都の場合に教員の構成が或る党派の関係というようにお考えがございましたが、私共が一応東京都から相談を受けまして、斯くあつたらということの指導をいたしました線は、朝連の構成員がこの学校教員組織の四分の一を超える場合には、団体等規制令の規定から或る程度の規制を受ける恐れがあるから、この線だけは避けて貰いたいということを指導しておるわけでございまして、特別の党派問題の関係については、特に相談を受けておりませんし、指導もいたしておりません。それから建物の関係でありますが、これは只今先程もちよつと申しましたように、でけるだけ分散的な態度で行きたいということを申した程度でございまして、東京都の方でもそういう考え方で最初計画をしておつたのでありますが、その後朝鮮人の方からできるだけ集団的に、自分達元々やつてつたような場所で、又その建物を利用して公立の学校に移し替えて貰いたいということを聞いておりまして、こちらの方からその建物の提供を迫つたというような相談は全然受けておりません。又そういう場面を必要といたしませんので、例えば接収のような建物ならそういう問題があろうと思いますが、成るだけ只今お話のような強制的な形とか、不親切な態度が出ませんような、向う側の註文だけ聞こうという態度のために、逆に又遅れておるような実情でございますので、できるだけそうした場面を最も早く解決して、子供達の教育面にブランクを起させたくないというのが私共の心からのお願いでございます。それから地方庁にどういう連絡の仕方であつたかというお話でございましたが、これは或る程度秘密を考えましたことと、一方には又そうしたことを、それが相当両方の側に無理をお願いしなければならん関係でございましたので、教育長と知事でありましたか、総務部長でありましたか、私立学校関係のことを担当しております意味で知事にそれをお願いいたしまして、今これの関係で非常にまずいようであれば、又それに対して特別の御意見があるようであれば、私共の方へ一応の御連絡なり御意見を聞かして頂きたいということを申伝えております。個々の府県から、全部ではありませんが、それに対して一応の回答を受けております。私の関係はそれで終ります。
  40. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 久保田さんに序でにちよつとお聞きしたいのですが、前以て通牒をと言われるのですが、それが到着した日にはすでに閉鎖命令が先に来てしまつているというようなところもあつて、而も知事宛であるが、これを掌握しているのは教育委員会ではなくて、私立学校関係ですから、多く地方課でやつている。ところがこれを受け入れるのは教育委員会でやらなければならんという立場になつて来て、それで教育長たちは非常にまごついた。未だに責任者としては教育委員会がこれを引受けている。で非常に混乱を来たしているわけですが、文部省としてはその受入れについて温かい気持を持つて各個に分散した方がよいというような考え方のようでありますが、分散しますと予算が非常に余計になるでしようし、第一学校が非常に、まあ明らさまには迷惑するので、三人、二人というようなものに対して、文部省次官通牒で寄越したように、朝鮮語の研究を自由にやつてよろしいというようなことになりますれば、指導者がない。その指導者を学校は一人ぐらいは置かなければならんということになると、容易なことではない。ですから従前千百人の教師がおつたということでありますが、この千百人以上の人がなければできないというような結果になつて来るのではないかと思うのであります。そういうようなことを一応親切に考えまするならば、ただ温かに受け入れてやるといつても決して温かでない。実に冷酷極まるように我々は感ずる。それがために初め、先程も言いましたように、朝鮮の人が非常に終戰後いろいろのことをして、日本人も迷惑しておつたことは事実でありますが、最近になつて、この仇討ちをするのではないかというふうに彼らが口を揃えて言つているというようなことは、善隣の民族に対してなすべき態度じやないと私は思う。我々は敗戰民族ならば、朝鮮の人たちは解放された民族であります。この解放された人たちに我々が善隣の誼みを持つて行かなければならないというようなときに、各学校に一人々々入つて行くことは結論とすればいいのでありましようけれども、今の日本教育実情からいつてそれらの人を受入れて、本当に彼らが要望するような、又文部省で通牒を出したような、朝鮮語や何かの指導をし得る態勢が日本でできるかどうかということは非常な問題だろうと思います。尚そういう点を今少し納得の行くようにお話を願わないというと、非常な混乱が尚続くのではないかと思うのであります。尚この二週間の措置を置いたと、さつき大臣が言われましたが、これは東京都だけ二週間の措置を置いたのであります。各府県は即日これを実行したというふうに私は聞いております。事実私の関係しておる方などもそうしたようであります。これらの点について御答弁願いたいと思います。
  41. 久保田藤麿

    ○政府委員(久保田藤麿君) 最初の第一の、私どもが公立学校に収容して頂きたいとお願いした時期と、或いは閉鎖の措置をお願いしました時期との間の時間的な関係でありますが、一番最後に形式的な形で出しましたものにつきましては或いは時間的に余裕がなかつたかも知れませんが、事実をお願いしまして私どもが措置しましたところのものは約一ケ月の余裕がございます。それからその受入態勢の中で特にその朝鮮語なり或いは朝鮮的な意味の課外教授と申しますか、そうした場面についての問題でありますが、これは私どもからお願いしております点は、先ず第一番に学力の補充を是非考えて貰いたい。これは朝鮮語なんかの関係者から特に私どもに註文を受けまして、何といつても学力が非常に遅れておる。この点の補充を是非やれというのが第一の註文であります。私どもの考えております点でも、この点は必要だと思いますので、この点を先ず公立学校にお願いいたしたのであります。二人、三人たまたま入つております場合は、これはこの措置をいたします以前に、この措置に従つて入学した関係でない朝鮮人の子弟が約二万人ばかりおります。これについては朝鮮語、朝鮮文化という習学をいたしておりません。今度の二人なり三人なりのように少数をたまたま收容いたしておる学校自体にやつて頂くことに、私の方から是非それをやるということはお願いいたしておりません。寧ろ朝鮮語の関係者の方にお願いいたしております点は、できるだけ土曜日の午後とか、日曜とか、祭日とか、せめて、子供達には気の毒でありますが、そういう特殊の時間を設けて、朝鮮側の方で特殊学校を作られて、そうした意味朝鮮語を教えるという施設をして下さることを私共はお願いしております。若しそれがうまく行きませんで、特別に学校の教室に余裕があればまとめて教授を與えるというようなことができるならば、それを先ず第二段に考えております。第三には、若しいよいよ方法がなくて、日本の側の公立学校の方で朝鮮語なり、朝鮮文化の方の勉強を進めてくれというならば、それをまとめて行くというような方法を第三として考えて参りたいと思つておる次第であります。先生は、従つて必ずしも百十名をオーバーしなければならんというようなことは私どもは計算いたしておりません。
  42. 岩間正男

    岩間正男君 速記のことでありますが、さつきの河野君の提案の、公開の席上で我々の党の誹謗があつたわれなんです。これは言葉の綾かも知れませんが、この点についてはこれは別に嚴重に抗議するというそれ程のことでもないのですから、ここであつさり速記からお取消し願いたいとこう思うのであります。
  43. 河野正夫

    ○河野正夫君 共産党と申したのは、共産主義者の或る人達がと訂正を願いたいと思います。委員長のお許しがあれば……。
  44. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) よろしうございますか。
  45. 岩間正男

    岩間正男君 それは今注目されておつていろいろそういうことがあるのだと思いますが、そういうことになりますと、社会党がそういうことがないと前提しないと成立しないような話になりますので、そういう点は少し自制して頂きたいとこういうふうに切望して置きます。
  46. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それでは今の点委員長において速記録を調べて……。
  47. 岩間正男

    岩間正男君 あの先程の湯川博士の問題に関連しまして、質問中でありますから保留したのでありますけれども、出ましたこの機会に、国民の非常に大きな輿望も国会に向つておりますと思いますので、我が参議院におきましては、文教委員会が卒先しましてこの問題を取上げまして、そうして科学教育の振興に対する決議案のようなものをやはり急速に上程するようにお取計いを願いたいとこう切望しておるのであります。この点お諮り願いたいと思います。
  48. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 岩間君の動議が提出されましたが、議題にいたすことに御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それではこの点についてお諮りいたします。別に御発言ございませんか。
  50. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 今岩間君から提案されたことは非常に結構な問題であると思うのであります。現在文化国家建設という建前から誠によい機会であると思いまして、私は全面的にこれに賛成するものでありますが、併しその方法といたしましては、文部委員会が卒先してそういう決議案を提出するということは決して異議はないのでありますが、一応これは参議院全体の問題に係りますので、各党派に帰つていろいろ相談した結果決めたらどうかと思います。
  51. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 外に御発言ございませんか。
  52. 木内キヤウ

    木内キヤウ君 私も賛成いたします。
  53. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それでは如何ですか、この問題につきましては各党派に持ち帰つていろいろ相談されると……。
  54. 岩間正男

    岩間正男君 若木君の御発言一応御尤もだと思いますが、併しこの委員会において一応のこれに対する取り決めをするということがこの問題を促進することじやなかろうかと思いますが、その点一つお諮り願います。
  55. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  56. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 速記を始めて。それじや只今岩間君の発言されましたところの科学振興に関する決議の問題につきましては、尚御研究を願うことにいたして置きます。速記を止めて。    〔速記中止〕
  57. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 速記を始めて、それではこれで散会いたします。    午後四時二分散会  出席者は左の通り。    委員長     田中耕太郎君    理事            若木 勝藏君            木内キヤウ君            藤田 芳雄君    委員            河野 正夫君            左藤 義詮君            大隈 信幸君            梅原 眞隆君            堀越 儀郎君            三島 通陽君            山本 勇造君            岩間 正男君            鈴木 憲一君   委員外議員            梅津 錦一君   国務大臣    文 部 大 臣 高瀬荘太郎君   政府委員    文部事務官    (管理局長)  久保田藤麿君   説明員    文部事務官    (初等中等教育    局長)     稻田 清助君