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河野正夫君 私は本来行政庁の内部のでき事についてとやかく当
委員会で問題にすることは好ましくないので、成るべくそういうことには触れたくないと
思つてお
つたのでありますけれども、
只今全国に教職不適格者として、
大学から小、中
学校に至るまで、教員の馘首乃至は処分で下われておるのでありますが、文部当局とすればまあいろいろな弁解、
説明もあるでありましよう。先般
大臣からもいろいろとその点について緊急質問の際にも承りましたが、一方にそういうことを行われておる半面に、まだまだ
文部省直轄
学校に
おいても、又これは
文部省に直轄
関係ありませんけれども、
地方の
公立学校に
おいても、他の半面から来る不適格者というようなものを十分に
考慮する必要が残
つているのじやないか、こう思うのであります。その意味で、私一例としてここに申上げて文部当局の御
考慮を煩したいのであります。
その一例と申しますのは、極めて個人的なことにな
つて恐縮ではありますが、東京学芸
大学の追分分校の主事をや
つている西岡某という方がある筈であります。この人の問題が
一般世間の問題とな
つたのは、九月の上旬だ
つたか中旬だ
つたかに、さる
新聞で
相当大きく出たからでありますけれども、
関係者の間にあ
つては二年程前から非常に重要に考えられてお
つたのであります。西岡氏は前沖縄師範
学校の女子部長であり、兼ねて沖縄の第一高等女
学校長であ
つたのであります。沖縄戰酣の頃に、いわゆる白百合部隊と称して、この師範
学校の女子部の
生徒並びに第一高等女
学校の
生徒の篤志看護婦というのか何か、
義務的ではなか
つたかも知れませんけれども看護婦の部隊、いわゆる白百合部隊と称せられるものを
組織して軍に協力したのであります。もとより戰時中、又あの沖縄戰の頃、而もこれは銃を持
つて立つのではなくして、看護婦とかそういうような方面に
おいて、負傷者をいたわるというような仕事に従事するということは、必ずしも軍国主義的なことではない。その点はよく分るのでありますけれども、この際に師範の校長を初めこの白百合隊に属する殆んど大
部分の人が戰死しておるのであります。そうして西岡氏は、
文部省の庇護があ
つたかどうか、とにかく帰国して追分分校の主事とな
つておるのであります。而も絶えず沖縄戰のときに如何に
自分が協力したかということを豪語しておるということも聞いておるのであります。而も実は私一方的な話を聞いて問題にしたくないので、いろいろと調査をいたしました。沖縄における
新聞社の社長をや
つておる人で、必要があれば名前を申上げてもよろしうございますが、政治的にも枢要な地位を持
つている人が、この点について必要とあらば証言をしてもよろしいということも、私直接会
つていろいろ話お聞きました。
新聞に出てお
つたように、当時の軍司令官と非常に密接な
関係を持
つておる。師範
学校長を退けてみずから軍と密接な
関係で協力をしてお
つた。ただ單にあの戰争酣のときに負傷者を救うという人道的
立場ばかりではなか
つたということが明かにされておるのであります。そうして東京に帰
つて参りましても、いろいろな噂が伝わ
つております。又個人的な行動に
おいても、沖縄における当時さえも可なり疑惑を持ち、多くの噂が流布されてお
つた方だそうであります。私の問題とするのは、そういうことを今ここに暴露しようとするのではなくて、文部当局はこういうことをすでに十分に知
つておる筈である。
陳情もあり、いろいろな投書もあ
つたかと思います。知
つておるにも拘わらず、その後数ケ月何らの
処置をと
つていないように見える。一方に
おいて思想的な乃至はまあいろいろな意味の整理が強行されておる際に、少なくともこういう人は道義的に見てその地位にあるのはどうか。少なくとも道義的には不適格であると我々は思う。更にその後のいろいろな教職に適格かどうかということは、それは又それぞれの機関に掛けなければなりますまいけれども、そういう機関に再審をしたときには如何が相成るかと思われるような人について、何らの
処置を講じないということは、これは直轄
学校の教員でもある
関係上、文部当局としては聊か怠慢ではなかろうかと思うのであります。この点について文部当局の御
説明を承りたいと、こう思うのでございます。