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1949-11-26 第6回国会 参議院 農林委員会 第4号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十四年十一月二十六日(土曜 日) 午後一時三十五分開会
—————————————
委員
の異動 十一月二十五日(金曜日)
委員北村一
男君辞任につき、その補欠として池田
宇右衞門
君を議長において指名した。
—————————————
本日の
会議
に付した事件 ○
農林関係税制
に関する件
—————————————
楠見義男
1
○
委員長
(楠見
義男
君) それではこれから
委員会
を開きます。本日はかねてこの
委員会
でも重大な関心を持
つて
おりました
税制改革
の問題につきまして、大蔵省から
原税制課長
がお見えになりましたので、
シャウプ勧告
を
中心
にいたしまして
農業関係
における
税制改革
につき、
目下大蔵当局
の方において種々御検討中のようでありますが、
明年度
以来のその問題についての大体の
構想
を承わることが
一つ
と、それからもう
一つ
はこの
国会
に
所得税法
の
臨時特例等
に関する
法律案
と、
物品税法
の一部を
改正
する
法律案
、
織物消費税法等
を
廃止
する
法律案
、この
三つ
の
法律案
がかか
つて
おりますが、大体
織物消費税法等
を
廃止
する
法律案
は、これは全般に通じた問題でございまするし、特に御
説明
を伺う程のこともないかと思うのでありますが、
所得税法
の
臨時特例等
に関する
法律案
につきましては、
勤労所得
の
控除
の問題と併せて、その
法律
の第
二條
に例の
青色申告
に関する事柄、それから
青色申告
ではございませんが、
山林所得
につきましては一定の
帳簿
を備えさせて、その
帳簿
によ
つていろいろ課税
或いは
経費
の
控除
についての
税務署
の
税務執行
上の基準にすることにな
つて
おるのでありますが、
法律
の
規定
だけではその
内容
が明らかでございませんので、その問題に関連して一応の
大蔵当局
の
構想
なり或いは
内容等
を伺うというふうにしては如何かと、こう
考え
たわけでございます。 又
物品税等
につきましても、
農業関係
のことにつきまして御
説明
を伺うことにいたしたいと思います。御
説明
を一応伺いまして、それから御疑問のところは御質疑を頂きたいと存じます。それではどうぞ。
原純夫
2
○
政府委員
(
原純夫
君)
税制課長
の原でございます。
シャウプ勧告
の中で
農業
に関連する
事項
というものを
上瀧
さんがお書きにな
つて
、お
手許
の
農林時報
の中に入
つて
おりますが、これを
御覧
になりながら、
シャウプ勧告
を
中心
とする
税制改革
においての
農業関係
の問題について、その多くは
通常国会
に提出されます
法案
で具体化されるということになるわけでありますが、それについてまだ未定の点が多々ございますが、現在の話の進み二合、我々の
考え方
というようなものを申上げて御参考に供したいと思います。 先ず
所得税
でありますが、
御覧
の
通り税率
、
基礎控除
、
扶養控除
、
勤労控除
というようなものがそれぞれ、変
つて
参ります。これにつきましては新聞で
御覧
の
通り
、
政府
としましては、歳出を極力節約いたして、財源の許す限り
シャウプ
の言うよりも、もつと出たいという
考え方
で、今折角努力いたしております。これはどういう
結論
になりますかまだ何とも申上げることのできない段階にあります。
シャウプ
の言うところによりますれば、
基礎控除
は、ここにありますように、一万五千円から二万四千円になり、
扶養控除
は現在は
扶養親族
一人について
所得税額
で千八百円引くということにな
つて
おりますのが、
所得金額
で一方二千円引くということに改められ、
勤労控除
は現在の二五%が一〇%になり、それから
税率
はそこで
御覧
の
通り
に、現在は二万円までのところが二〇%、五百万円を超えますと八五%というように、
相当
上の方まで、そうして
相当
高い
税率
まで
累進税率
が盛られておりますが、
シャウプ
の申しておりますのは、五万円までのところの二〇%から三十万円を超えるところの五五%、それ以上はどこまで
行つて
も五五%一本で行くという
考え方
を出しておるわけであります。
農業
の観点から見ますと、そのうちこの先ず
終い
の方からになりますが、
勤労控除
が下
つた
ということは、逆に
農業
、
営業
その他が相対的に優遇されるということになるわけであります。それを本年分の
所得税
については、特に
農業
、
営業等
に一五%の
控除
を與えようという
シャウプ
の案でありましたが、これは
御存じ
のような経緯で遂に日の目を見ずに終ることに
なつ
たわけでありますが、来年から
農業関係
にこの面で相対的に有利なファクターが出て参る。それから
扶養控除
も
シャウプ
の言います
改正
は、
相当
扶養親族
を持
つて
おる人に有利なようにできております。一万二千円
所得
が
控除
されますと、最低の
税率
二〇%のところで
控除
されましても二割二千四百円
税金
は下る、これは段々
所得
が多くなりますと、尚余計下りますので、これは
相当
有利である。
農業
は
御存じ
の
通り扶養親族
の数が
一般
に比べて
相当
多くな
つて
おります。その
関係
でこの
利益
も受けることが大きい。尚そこに書いてございますが、我々従来
專従者控除
と申しておりましたもの、これは今
制度
にはないわけでありますが、
農家
において
成年
の
子供
が父親の手伝いをして農事にいそしんでおる。
成年者
であるために、この
扶養控除
は認められない。同時に
所得
はみんな
お父さん
の
所得
であるから
基礎控除
も認められない、何の
控除
もない。これは非常に酷ではないかという御
意見
が大分ございました。我々も御尤もと思いまして、これを何とか物にしたいというふうに
考え
ておりましたが、うまい工合に
シャウプ
の
勧告
もこれを入れるようなことを申しておりますので、これは本
国会
に提案されます
所得税法案
には必ず入ることになると
考え
ております。
税率あたり
でも
相当
問題がありますが、特に
農業
の面でいうことは別段ございません。
あと
いろいろこの特別の
不具者医療費
、火災、
盗難等
の
控除
というようなこともございますが、その次にあります
同居親族
の
合算税
という点、これもまるきり田舎の
農家
はそうではないでしようが、割合に町や市に近いというようなところの
農家
で
働き
に出ておる、
働き
にと言いますのは、町の会社や
工場
に勤めに出ているというような人が、やはりこの
お父さん
の
農業所得
と
合算
されるということに現在な
つて
おりますのが、これが別々に計算して税を納めればいいという
意味
で
相当
軽くなるというようなことが出て参ります。総じてこういうその
控除税率
の
変更
によりまして、
シャウプ
は全体として
税額
は三分の一ぐらい下るのだということを申しております。この場合、この非常にお耳に入りにくいものと思うのでありますが、
法律
上の
負担軽減
と、それから実際の
税額
の
負担軽減
ということを別にお
考え
頂きたいと思います。
法律
上の
負担軽減
の
度合
は、
只今
申上げましたような
税率
、
控除
の
変更
をいたしますと、重いものについては
相当
下
つて
参ります。
勤労控除
、
扶養控除等
で有利な影響を受ける
度合
が
農業
については強いということでありまして、
数字
で申上げますれば、先ず
農業
の
平均所得
を十万円と仮に見まして、そして
扶養親族
が四人おるというところで計算いたしますと、
現行税法
では
所得税
が一万六千五十円かかると、これが
シャウプ案
で行きますと、五千六百円ということに減
つて
参ります。実に三割五分に減
つて
しまり。約三分の一に減
つて
しまうということになるわけであります。そこで
法律
上の
負担
は多少減
つて
参ると、つまり
所得金額
が同じであるならば、その
程度
に減
つて
参るということになるわけでありますが、
シャウプ
は同時にこの実際の現在の
申告
の
状況
、
課税
の
状況
は
相当
成績が悪いと、
従つて
正直な
申告
を出し、又
税務署
も正確な
調査
をして
決定
するならば、実際の
所得
はもつと殖えるだろう。その
結論
として、
農業
については実際
納税
すべき額はそう大して従来と変らないであろう。
営業
においてはむしろ従来よりも殖える筈だというようなことを申しておるわけであります。この辺は
数字
的に
はつ
きりはじいた根拠を置いて言
つて
おりませんし、恐らく大体の直感で言
つた
ものと思いますが、
法律
上の
負担
の
軽減
と実際上の
税額
というものは、その間に、
申告
の角度、それから
税務署
の
決定
の確さという問題が入りますので、実際上の
税負担
は必ずしも
法律
上の
税負担
の
変更通り
にはならないという点をお含み置き願いたいと思います。大体
所得税
については大きな点は、そんなところでありますが、この非常にしやれた
制度
ではありますが、面倒な
制度
を
シャウプ
は
勧告
しております。税の
変動
、
所得
の
平均課税
という問題でありまして、これには
ちよ
つと出ておりませんが、例えば
林業所得
、
漁業所得
のような、年によ
つて所得
に大きな
変動
があるというものについては、今年は非常に
收入
があ
つた
という年にその年だけで
税率
を適用すると高い
累進税率
のところまで一ぱいかか
つて
しま
つて
気の毒だというようなことで、その
所得
を数年間にならして、それによ
つて税率
の適用を
考え
るという
制度
を
勧告
しておるわけであります。これも
所得税改正法案
に盛り込んで参りたいと思
つて
おりますけれども、実際上の
納税者
の
手数
、それから
税務署側
の
手数
ということも
考え
まして、この
制度
を
勧告
した本旨に悖らない範囲において極力簡便な方法によ
つて
これをや
つて
参りたいというよう
なつ
もりで、
只今研究
を進めておるわけであります。そこで
農業
につきましては、特別な問題として例の
源泉徴収
の問題と
納期
の問題がございます。
源泉徴集
につきましては
シャウプ
は主食及び煙草による
所得
が総
所得
の七割以上のものについては
源泉徴収
をやるようにということを申しておるのであります。いろいろ
農家
の
納税
上の便宜、或いは資金の出入りというようなことから
考え
まして、これに長所がありまするし、又
課税
の上から行きましても、これで
相当程度
の額が入
つて
来るということになりますると、
農業関係
の税の
執行
がかなり円滑に参るという
考え方
でこれをや
つて
参りたい気持も
相当
強いのでありますけれども、同時に皆樣
御存じ
と思いますが、これに対する
農民側
の
反応
、又
農業
諸
団体側
の
反応
ということも
相当注意
をも
つて
見守
つて
おるわけであります。
農民
の
反応
というのがどうも
はつ
きり分らないのでありますが、少くともそれを集約する立場にあられる
農業
諸
団体
の側においては、この
源泉徴収
につきましては、まず消極的な態度を持しておられます。
農民自体
の声はいろいろな
輿論調査式
なもので調べたものが、案外や
つた
方がいいという
結論
が出て参
つて
おりますが、これは例の
超過供出報奨金
に対する
源泉選択式
な
源泉徴收
ということを
考え
てお答えに
なつ
たものかどうかというような疑問もありますし、その
辺ちよ
つと
はつきり見当
がつかないでおるわけでありますが、この問題は尚これから
関係方面
とも折衝いたさなければなりませんが、そういう
農業
諸
団体
の御
意見
というものを十分採入れて、我々といたしましては、この
源泉徴収
の方式を採るにしろ探らないにしろ、
農業課税
というものについて、
十分農民
及び
農業
諸
団体
の協力が得られるように、そうして最もなだらかな方向に行きたいというつもりで、
只今案
を進めておるところでございます。これをやらないで行くか、どうしてもやるかという、
はつ
きりした点について、
只今
申し上げられないのが残念でございますが、そういうような
状態
にな
つて
おります。
納期
につきましては、
一般
の
納期
が六月と十月と一月ということになりますが、これに対して
農業
では七月と十一月と二月というふうにそれぞれ一月ずつずれるというような
納期
が
勧告
されております。その
通り
やるつもりでおります。これが
單作農家等
につきましては
特例
のあることは
御存じ
の
通り
であります。 それから次に
執行面
で
青色申告
の問題、
只今委員長
から
お話
のございました問題であります。これは今回の
三つ
の
法案
の中の
一つ
に入
つて
いるのでありまして、
青色申告制度本体
は、
通常国会
にお願いいたします
法案
で参りたいと思いますが、
所得税
は暦年で一月から十二月までを
基礎
といたしますので、何か
帳簿
について定めておかないと後にな
つて
は手当がつかないということを
考え
まして、
所得税法
の
臨時特例等
に関する
法律案
第
二條
としてこの
関係
のことをうた
つて
おるわけであります。これは本格的にはしつかり
帳簿
をつけて、そうしてこれでよろしいと認めて
青色
の
申告用紙
を渡すという方については、
損金
の繰越しであるとか、或いは償却の問題であるとか、或いは
更正決定
の際に丁寧な
扱い
をするというようないろいろの恩典が入るわけでありますが、
只今
はその
本法自体
がまだ未定でありますので、ここには
帳簿
について
記載事項
その他必要な
事項
を定めることができるということにいたして、
記載事項
その他を
一般
に申し上げて、そうしてこういうようなことを書いた
帳簿
をつけておいて頂いたらば、後で
本法
が成立いたしました場合に
青色申告用紙
の
基礎
になりますということを申し上げて行くわけであります。そこで問題はどういう
帳簿
をつけてお
つた
らいいかということなのでありますが、誠にこれは遅れておりまして申し訳ないのでありますが、まだ最終的に外部に出せる
程度
にまとま
つて
おりません。この週来から来週早々にかけて
決定
いたしまして出したいと思うわけでありますが、いろいろ
営業方面
でも
商工会議所
その他で
帳簿運動
というのが大分最近盛んにな
つて
おります。
シャウプ
の
青色申告
のアイデアが出る前から盛んにな
つて
おります。
農業
につきましても
相当
その
運動
が従来盛んであります。そこで
命令
で
規定
します
記載事項
というのは、つまり
記載事項
であ
つて
、こういう枠、こういう欄を設けて書いて呉れというような
帳簿
の
形式
、雛形を
命令
で定めるということはしないつもりでおります。いろいろ業態の区分もございますし、
事業
の規模の大小もございます。余り画一的、
形式
的に決めて参るということは如何かと思われますので、こういうことを
記載
してほしいということをうたいまして、そうして実行上いろいろ民間の
団体等
でこういう
帳簿
で行こうじやないかというような何をいろいろお
考え
にな
つて
おる分、又これからお
考え
になる分、そういうようなものの
自然発達
に俟
つて
参る。勿論そういうようなものをいろいろ拜見して、若し御
注文
があれば、御
注文
を入れるということになると思いますが、要はそれによ
つて所得
が明確に分るということでありますので、それに必要ないろいろな
事項
について
記載
をお願いするという
考え方
で行きたいと思
つて
おります。例えば棚卸しの
関係
、或いは金の
出し入れ
、物の
出し入れ
というような
関係
、いろいろ
帳簿
につける
事項
があるわけでありますが、大体
所得
を
決定
するに必要であるという限りにおいての
事項
をお願いして参るということになろうと思いますが、一々は細かいものまで申し上げるのを省略いたしますが、大体
只今
いろいろな
団体
で指導しておられます
樣式
の
相当部分
が、この
要求
に合うのではないかというふうに
考え
ております。若干附加えて頂くというようなところがあるかも知れませんが、現在に行われておりますものも極力尊重して参りたいというふうに
考え
ております。
帳簿
の
樣式
なり
記載事項
なりにつきましては、どの
程度
のものを
要求
するかというのが非常にむずかしい問題であるのでありまして、
農業
もそうでありますが、零細な小規模の
経営
の場合に、どの
程度
の
記帳條
件というものを
要求
するかということが
相当
問題であるかと思いますが、余りに荒唐的なものであ
つて
もいけない、同時にそれによ
つて所得
が
はつ
きり分るという
要求
だけは貫ぬきたいという
あたり
に
相当苦心
が要るというふうに思
つて
おります。或いは段階的にその間の妥協を図るより仕方がないのではないかというようなことも
考え
ながら、今案を最後的にまとめつつあるところであります。 次に
法人税
の
関係
でありますが、
法人税
では
農業関係
としましては、例の
特別法人
であ
つた
もの、
協同組合
その他に対する
課税
がどうなるかという点が問題であろうと思いますが、これは我々も特別の
現行
の二五%
税率
というものを止めて三五芳一本で参りたいということを
考え
ております。但し
事業分類
に応ずる
配当
を
損金
に見るという
規定
は、従来
通り
活かして参るということにいたしたいと思います。これは何か
税率
の引上げのような感を抱かれますかも知れませんが、
法人税
につきましては、
シャウプ
は非常に根本的な、革命的なとも言うべき
改革
を
勧告
しておるのであります。つまり
法人税
と
所得税
との
関係
について、
法人税
というものは
所得税
の
源泉徴収
みたいなものだという
考え方
ですね。
従つて法人税
と、それから
法人税
を取られた残りの
利益
が
配当
される、その
配当
に
所得税
が課かる。その
所得税
と
法人税
を合わしたものが初めからそういう
利益
が
個人
に帰属したならば、課か
つた
であろう
所得税
と、同じ
程度
になるようにという
考え方
で
配当
に対する
扱い
も、
配当額
の二割五分を
所得税
から
控除
する。何となれば
法人
で、
配当
を貰う前に
法人
で
源泉徴収
をされておるということを言
つて
おるのですよ。そうすると、もう何といいますか、
法人税
で三割五分を二割五分にして置くという
意味
が非常に薄くなり、二割五分にして
個人
が
配当
を
貰つた
場合に、
税率
を更に課けなければならんということにな
つて
参ります。でこれは一本にや
つた
らよかろうという
考え方
を取
つて
おるわけであります。 それから
法人共通
の問題でありますが、再
評価
の
関係
では、
農業
の方はそう大きい
関係
はないかと思いますが、併し
農地
やなんかをどうするかというような点で
相当
問題もありますので申上げますと、
農地
につきましては
シャウプ
は
昭和
二十七年の十月一日まで待
つて
見ようということを申しておるわけであります。そのときの価格で、そのときにやるという
考え方
を取
つて
おるわけでございます。そこで
農地
を別にいたしますれば、この
家屋
、それから
農業用
のいろいろな
固定資産
、ポンプであるとかいうような大農具式的なところのもの、こういうようなものをどうするかという問題になるわけでありますが、先ず
農業
、五百万戸の
農家
が再
評価
という複雑な仕事をどの
程度
やれるか。又やりたいかというような点も
考え
なければならん点でありますが、再
評価
について例の
強制
の問題がこれにひつからま
つて
来るわけであります。
強制
であると
農家
でも全部
強制
してやらんければならんということになる。
シャウプ
は
強制
で行こうという
勧告
を出しておられますが、我々はとてもそれはできないし、又無理な何が出て参るということで、
はつ
きり
任意
と言い切
つて
しまえますかどうか、まだ申上げ切れませんが、もう実質は
任意
で参るということに行きたいと思
つて
おります。
従つて農家
なんかにつきましても、
申告
を出さないために再
評価
の
更正決定
を受けると、
税金
を取られるというような妙な事態が起らないようにいたしたいと
考え
ております。
従つて
大体それで問題はないのではないか。非常に進歩した
経営
の
農家
、或いは
法人経営
の
農業
というものであ
つて
再
評価
したいというものは勿論できる。ただ
土地家屋等
を売りました場合の
譲渡所得
の計算については、いわゆるインフレによる
名目利益
というものが
通常
の
所得
として
課税
されることのないように、それだけの手は打つ
考え
でや
つて
参りたいというふうに
考え
ておるわけであります。 次は
相続税
でありますが、
相続税
もこの六頁かに簡單に出ておりますが、
相続税
は非常に根本的な
改正
を
シャウプ
は
勧告
しております。現在は
相続
の場合は
相続財産
を一体と見て、それに
税率
を適用して行く。ところがシヤウプは
相続人
が三人あれば、三人がそれぞれ貰う
相続分
というもの、それぞれ別々に
税率
を適用して行こう。その代り貰う人は一生二回なら二回
相続財産
を貰えば、それはその
税率
に累積して、そうして
税額
を計算して行こう。贈與についても同様で、贈與した方、や
つた
方の人が贈
與税
を取られることにな
つて
おりますが、
シャウプ
のは
貰つた方
の人から取ろう。そうして
相続
をした、
相続財産
を
貰つた
というのと累積してかけて参ろうということを申しております。実はこの点は
相続法
としては非常に根本的な
改正
でありますが、尚かなり実はこういう
改正
を根本的にや
つて
行くことの可否について
関係者
の間で議論がある点であります。目下まだ
はつきり結論
が出ておらない
状態
であります。
あと国税
といたしましては、
取引高税
の
廃止
、
織物消費税
の
廃止
、
砂糖消費税
の
廃止
、
物品税
の
改正
というようなことがございますが、余り
農業
に特に
関係
のあるという点は少かろうと思います。ただここでこの
物品税法
の一部を
改正
する
法律案
というのがお
手許
に出ておりますが、これについて
ちよ
つと申上げて置きたいと思いますのは、
シャウプ
は実は
物品税
については、
物品税
は大体
奢侈品
に課か
つて
おる。だからもう殆んど変える必要はない。ただまあ靴は目に付いたんでしよう。靴はどうもいかん。我々は、靴の外に
下駄
というのがあ
つて
、もつとポピュラーなのは
下駄
なんだが、
下駄
はいかんと言
つた
んですが、総額としては二百七十億の予算を減らす必要はない。大体変えるなということを申してお
つた
のであります。ところが我々この全体の体系的な
考え方
から見ますと、
織物消費税
を全廃するのに、
物品税
の中でいろいろな食糧的な品物とか、その他
必需品
に近いものが
相当
ある。これをおいて置くのはいかにも忍びないという
考え
をもちまして、
関係
万両とも掛合いました結果、この
法案
が提出できるように
なつ
たわけでありますが、これは現在の二百七十億を百七十億に縮める。しかも実際はこの
課税標準額
、
課税
の
対象
を同額と
考え
ますと、もつとずつと減るんです。確か百三十億くらいだ
つた
と思
つて
おりますが、
ちよ
つと
手許
に
数字
を持
つて
おりませんが、
相当
減
つて
参る。今度
課税
の
充実
をや
つて
、
御存じ
のように
物品税
は
相当
課税
が漏れておるのがあります。そのためにいろいろ正直な業者が困るというようなこともありましたので、取るからにはもうちやんと取るということで、
課税
の
充実
をや
つて
百七十億ということになりますので、
法律
上の
軽減
の歩合は二百七十億が先ず百三十億ぐらいに、半分ぐらいに
なつ
たのだというようにお
考え
頂いてよかろうかと思います。この各
品目
、
只今
九十七
品目
あるわけでありますが、その中で全部やめになるものが二十二
品目
、それから
税率
が
引下げ
になります分が四十五
品目
、三分の二以上のもの、七割
程度
のものが
廃止
又は
引下げ
になるというような、
相当
広汎な
改正案
であります。先ずその方針の
一つ
として、
食料品
は極力外して、
文食料品
の中でもまだいろいろな
生活程度
その他から見てと
つて
置いた方がいいと思われるものは若干残してありますが、海苔であるとか、お茶であるとか、或いは
壜罐詰食料品
であるとかいうようなものは全部落ちておるというような
関係
にあります。その他いろいろなところで、
皮革製品
その他にいたしましても下
つて
いる分がありますが、
一つ
お
手許
に
新田対照表
というのが
行つて
いると思いますので、これを
御覧
になりながら
一つ
御検討願いたいと思います。大体
国税
の
関係
はこのくらいであります。
楠見義男
3
○
委員長
(楠見
義男
君) 大体のご
説明
を伺いましたが、御質問がございますれば
委員
の方々、それから專門員の方でも御質問あればどうぞ。 先程の
お話
の
專従者控除
の問題ですね、来年度から大体できそうだという
お話
なんですか。その
形式
は、
同居親族
の
合算制
を
廃め
るというその
形式
でできると、こういう
意味
ですか。
原純夫
4
○
政府委員
(
原純夫
君)
合算制度
は別なんでございます。こういうふうに行こうと思
つて
いるのですがね。
扶養控除
の
対象
となる者、現在は
未成年者
、老人、それから
不具廃疾
というようなものでありますが、これを、
納税義務者
から
経費
の半額以上を扶養されておる
親族
ということにいたします。そうすると
成年
の
子供
がお
つて
や
つて
おるときには、正に
お父さん
の
所得
で食べておるわけで、これは
扶養親族
になる。
扶養控除
をするということになるわけであります。
合算
の問題は別に、
成年
であ
つて
も
成年
でなくとも、一人の
子供
が町に
行つて工場
で働いておる。そうすると現在ではその
子供
の
所得
は
基礎控除
として別に與えて貰えるのです。併し
合算
をしなければいかんということにな
つて
おるのです。これを切
つて
しま
つて
、そうして別の低い
税率
で課ける……
楠見義男
5
○
委員長
(楠見
義男
君) 私の言うのはその場合に、
專従者
の
成年
の
子供
が
扶養控除
をして貰わずに、例えば
お父さん
から給料を
貰つて
や
つて
おるという恰好になれば、これは別個の
扱い
で
基礎控除
も何もできる。勿論その代り、
住民税
とか、そういう特別な
負担
がかかる。そういう形で行けるか……
原純夫
6
○
政府委員
(
原純夫
君) その形の場合でありますが、その形の場合を認めるかどうかということについては我々非常に懸念を持
つて
おるのですが、実際問題としてそういう
形式
を踏んで、実は生計を一緒にしておるのですね、実態は……、それを用人なんだ給料いくらいくらやるのだというような形を整えて、それによ
つて
基礎控除
を別に認める、そうして別の
課税
にするということは行き過ぎではなかろうかという疑問を多分に持
つて
おるのでございますけれども、この辺はいろいろ御
意見
のあるところであります。
シャウプ
はおつしやるようなことは言
つて
おりますね。日本の実情と向うの
農業
の何というのは、よく知りませんけれども、
成年
の
子供
が別に家を持
つて
、そこから来て働いているという場合だ
つた
ら別ですけれども、一緒に住んでや
つて
おるのをそういう何と言いますか、これは正に無理な
法律
的な
形式
を取るわけですね。それで税を何して行くというのは、通るかどうかということは、私非常に疑問を持
つて
おります。
藤野繁雄
7
○藤野繁雄君
所得税法
の臨時
特例
に関する
法律案
の第一條の別表ですね、
控除
金額の算定算出方法ですね、これも
一つ
御
説明
を願いたいと思います。
原純夫
8
○
政府委員
(
原純夫
君) これは
基礎控除
、
扶養控除
、
勤労控除
、
税率
これらについて
只今
御
説明
いたしました
シャウプ案
の線がございますね。それで計算すると減るわけですね。減る額をここに載せておるわけです。ただ若干細かくなりますが、
所得税法
に付いておりますこれは
控除
する額でございますね、これだけ安くしますという額であります。ところが
所得税法
の方に本表があるわけです。 それからこれを引くわけですね。本表の方は刻みがこれよりずつと細かいのです。これは
御覧
の
通り
五百円置き、上の表に行くと千円置きということにな
つて
おりますが、現在の表は百円、玉十円という刻みを付けておる、すでに三月のことでありますので、こういう簡單な表にいたしましたために千円巾の間でも例えば一万円から一万一千円のところ、
扶養親族
控除
のところで八十円と出ておりますが、この辺は十なら十区切りあるとしますると、十に区切
つて
も八十円の人、八十三円の人、八十五円の人がある、いろいろあるわけですね。それを八十円と引過ぎてお
つて
、後で仮りに
シャウプ案
に最後的に
なつ
た場合に後で返して貰わなければならんということは気の毒だからその最低のところを取
つて
この表を拵えたというやり方であります。
藤野繁雄
9
○藤野繁雄君 それから続いてこの
特例
法によ
つて
見ますと、
シャウプ
の
勧告
案よりも
扶養親族
の範囲を狭くしておるように
考え
られるのでありますが、どういうふうな理由で狭くして作られたのであるか
シャウプ案
と同樣に拡大した方がいいと思うのでありますが、そういうふうなことを、理由を承わりたいと思います。
原純夫
10
○
政府委員
(
原純夫
君) これは
只今
お話
しましたように、
扶養親族
の範囲の拡張ということは、本
国会
にお願いします
法案
で決めざるを得ないというふうに
只今
のところとしては
扶養控除
の
扶養親族
の範囲は
現行
法の
扶養親族
そのまま取るという
考え方
であります。
本法
が
通常国会
で
通り
ますれば、これ以上に余計
扶養控除
が認められる、もつと軽くするということになるわけであります。而もそれは一月から三月までの分も遡
つて
調整されるということになります。
藤野繁雄
11
○藤野繁雄君 今
お話
の
青色申告
ですね、
青色申告
の
帳簿
は
記載事項
を示して、
内容
についてはその仕事の大小によ
つて
差があるから
相当
に適当にして貰いたいというふうな
お話
であ
つた
のでありますが、その点については非常に当局の方でよくお
考え
下
つて
おると思うのでありますが、大体どういう言うな
事項
を
記載
するかというようなことについて、お
考え
がありましたら、その
内容
、又現在私など農村方面でもいろいろ
帳簿
記載
を奨励しておりますけれども、どうも思うように普及せないのでありまするが、こうい
つた
ようなことに
なつ
たらできるだけ普及をせなくちやできないが、その普及するものについて、どういうふうな方策で行
つた
らよいか。その案について承わりたいと思
つて
おります。
原純夫
12
○
政府委員
(
原純夫
君) 大変恐縮ですが、それにつきましては
一つ
来週早々固めました後で申上げさして頂きたいと思うのでございますが。
藤野繁雄
13
○藤野繁雄君 そうすると普及方法については何かお
考え
がありますか。私の方で普及を徹頭徹尾奨励しておりますが思うように進行しませんが……
原純夫
14
○
政府委員
(
原純夫
君) この普及につきましては大変皆さん方の方で非常に熱心にや
つて
頂いております現在のこの
帳簿
奨励
運動
とかいうものに、乘
つて
参りたいと、そして
政府
側でこういう
帳簿
をつけろという
形式
で決めないで、従来ありますものは大体それで生きて行けると思います。ただそのままでいいか、或いはこういう案を
一つ
、こういうことを
一つ
加えてほしいということを、お願いするような何が出て参るかと思いますけれども、そういうことを、お願いいたしましてや
つて
参る。やはりそれぞれ各業態業種によりまして御專門の見地から御都合のいいようなフォームというようなものがいろいろ
考え
られておりますが、そういうものを拜見しまして、それに御註文がありましたならば御註文申上げてや
つて
参りたい。ですからまあ普及につきましては、各
団体
でや
つて
頂いておりますものを、是非これからも続けて尚強力にお願いしたい。
政府
としてその普及の
運動
が伸びますように、御一緒にな
つて
協力して参りたいというふうに
考え
ております。
藤野繁雄
15
○藤野繁雄君 現在各方面で
帳簿
を使用しておるのでありますから、できるだけ
一つ
その
帳簿
を認めて頂くようにお願いしたいと思
つて
おります。又その
記載
方法を変えるというようなことになりましたら、これ又
記載
方法を変えるのに、指導に若干の時日を要するのでありますから、できるだけ従来のものを使用して
行つて
、追加すべきものがあ
つた
ら幾らか追加していい。こういうふうにお願いしたいと思います。次いでこの
シャウプ
の
勧告
案によ
つて
全面的に
改正
せられるところの
所得税
は、いつ頃から実施される予定であるか。それを承わりたいと思
つて
おります。ただそこは
農業
者方面から
考え
て見ますというと、
勤労所得
者は来年の一月から実施されるが、
事業
所得
者は遅れるというようなことであ
つた
ら、
税率
上において片手落ちの行政が行われるのではないかと思
つて
おりますから、
事業
者に対しても勤労者と同じようにできるだけ同時期にした方がいいと思
つて
おりますがこれらについての
一つ
お
考え
を承わりたいと思います。
原純夫
16
○
政府委員
(
原純夫
君) それは時期を揃えてやるつもりでおります。つまり
事業
者につきましても一月から新らしい
税率
控除
でや
つて
行くようにいたしたいと、今回この特別
法案
をお願いいたしましたのは、勤労者の方は三月の末に、仮りにこの
法案
が通るといたしますと、それで一月から適用すると言
つて
も、一月、二月、三月の分はまあ
源泉徴收
されてしま
つて
おるのですね。後で返すと言えばいいじやないかという
考え方
もありますけれども、それは気の毒だ、やはり大体この辺までは大丈夫だというところは、もう初つから何して置こうというだけのことでありまして、一月から適用するということは、
事業
者も勤労者も同じようにいたすつもりであります。
石川準吉
17
○石川準吉君 さつき
委員長
からも
ちよ
つと触れたようでありますが、
扶養控除
の分につきまして、
シャウプ勧告
では現実に世帶主から給與を受けておるものについては、同一の給與
所得
者というようにな
つて
おるんですが、実は
農業
経営
で一番問題にな
つて
おるのは、自家労力の
経費
の問題ですね、例えば
経営
主の世帯主の
子供
連が、世帶主から給料を受けて、独立
課税
を課けられる場合においては、その
経費
というものは、全部
農業
経営
の
経費
として差引かなければならんようにな
つて
おる、これが非常に
農業所得
の不明朗な点であります。これらの点が
はつ
きりしない。さつきの御
意見
もありましたが、どういうようにお取
扱い
にな
つて
おるのか伺います。
原純夫
18
○
政府委員
(
原純夫
君) 先程
ちよ
つと申上げたわけでありますが、現在の、これは
農業
に限りません、
営業
の場合でも一緒に住んでおる
子供
が仕事を手伝うということがあるわけでございます。そういう場合に、
シャウプ
の言いますような、そこまで
個人
主義を発揮して給與を拂
つて
、そうして使用人だという形態をとるのが、社会的な実態であるかどうかというような点も
考え
ますと、
シャウプ
の言うようにやることについては、多分に我々疑問を持つというふうに
考え
ておるんでございます。これが例えば町の商売屋で、
お父さん
が大きな店を張
つて
おる、
子供
は独立して傍に居を構えて、そうして
お父さん
のところに通
つて
来て、使用人として給料を賀
つて
おるというところまで
行つて
おるものでありましたら、これは別にしなければならんと思いますけれども、同居の場合にまでああいう
考え方
を貫くという
考え方
には、多分に疑問があると思
つて
首を捻
つて
おるのであります。
石川準吉
19
○石川準吉君 町の商店と
農業
の御比較でありますが、町の商店では、どつちかというと、利潤の源泉たる資本に課せられるのが多いと思うのでありますが、
農業
方面の
所得
というのは殆んど九〇%までは自家労力なんですね、そういう点に絡んで、
一般
の町のいわゆる資本的な利潤に基く
所得
と自家労働による
所得
とが少し曖昧で、それが今
農業所得
の一番大きな悩みにな
つて
おる点なんです。
従つて
この点については、
農業所得
に関して有利になるようにお考を願いたいと思うのであります。
楠見義男
20
○
委員長
(楠見
義男
君) 今の石川
委員
の
お話
に敷衍して申上げますと、
專従者
の問題はこういうことなんです。おつしやるように社会的な通念なり、それから或いは日本の旧来の家族
制度
的な通念から言うとお
考え
のようなことに近いと私は思うのです。実際問題として今税の問題で
農家
が非常に苦しんでおるというのは、苛酷だといいますか、不公平だという点なり或いは苛酷だという点ですね、それが先程の
お話
になりましたように、
法律
上の
税負担
の
軽減
と実際上の
税負担
の
軽減
とは別だ。そこで
法律
上の
税負担
から行くと
軽減
されたようだけれども、
シャウプ勧告
にも言
つて
おるように、又今後そういうこともお
考え
にな
つて
おるようにがつちりと抑えて行く。そこで例えば
所得
についてまあ特に單作地帶のような所は
はつ
きりと分
つて
来てお
つて
、大体
所得
標準というものを事前割当数量に基準を置いて、生産量、或いは供出量と保有量とこういうもので行くから、結局おつしやるように、そういうふうなことを触れておるように、実際の
税負担
というものは、むしろがつちりと押えられて重くなる。併し
一般
の商工業の方においては同じようなことを
考え
ておられるけれども、これはなかなか実現は不可能ではないが困難である。そこに又
税負担
の不均衡という問題が起るわけなんですが、併し
農業
の面だけを見て行けば、確かに事実上の
負担
になるということが心配でありまして、今石川
委員
が言われたように自家労力というものがなんら
税負担
の税の問題の上においては
考え
られておらない。一方まあ單作地帶ですから主要食糧、それは強度の国家管理でやられて、がつちり押えられて、超過供出も享受されると、こういうような情勢にな
つて
来ると、むしろこれはそういうことを望むわけじやありませんが、仮りにそういう單作地帶の
農家
から見れば、むしろ勤労者並に国の強度の国家管理の下における作付けをや
つて
おるんだから、むしろ国営農場に勤務しておるという方がまあ有利だというのは、勤労者並の六千三百円なり、或いはそれに近いベースで朝早くから夜遅くまでや
つて
、二倍の超過勤務をや
つて
おる。それを勤労者並に貰えばむしろその方が純経済的にのみ見れば有利なことである。にも拘わらず
従つて
米価は御承知のような
状態
で押えられて行くと、それじやどうして行くかというと、結局そういう
農家
は自分の生産を切りつめて、或いは電燈を少なくしたり、学校に上げる
子供
を奉行にや
つた
り、そういうことをして口減らしをし、或いは
生活程度
を下げてや
つて
おるので、決して
農地
改革
をや
つて
も農村の民主化は逆行するのだ。だからそういう
意味
から特に
経費
の問題についてなんらかの
控除
の点に考慮が拂われないと、これはもうまつさかさまに農村恐慌に追い込まれて行くという点が一番心配しておる点なんです。その点から自家労力の問題がすでにやかましく言われたり、それから
專従者
のこういう問題が言われたり、それは言われるように、又
一般
的にも
考え
られるように、従来の家族通念なり、家庭の通念なり、社会通念から行くといかにも突飛なようだけれども、実は深刻な経済問題に出発しておるところに、問題の所在があるわけであります。その点をお
考え
を頂きたいということなんです。敷衍して申しますと……
原純夫
21
○
政府委員
(
原純夫
君) 確かにこの点は
相当
問題の点だと思
つて
おります。先程まあ
法律
上の
税負担
は
軽減
になるが実際は
軽減
にならんということを
シャウプ
が言
つて
おるというふうに申上げましたが、我々
考え
ておりますのは、やはり我々の計算によりますと、
農業
は実際上の
税負担
も、
所得税
は
相当
軽るくなるというふうに
考え
ております。
シャウプ案
で正確に計算したものではございませんけれども、まあ今年の
農業
の
所得税
收入
見込が当初予算で四百九十七億、それが補正予算で四百二十億ばかりにな
つて
参
つて
おりますが、これが恐らく
シャウプ案
でやりましたならば、
只今
の
專従者控除
、これは
扶養控除
並の
專従者控除
ということにいたしまして、先ず二百六、七十億でなかろうかと思います。
相当
やはり下
つて
来る。これは
只今
御言及のありました
課税
標準の価格の増加ということも見込んでの見込で、ございまして、
ちよ
つと御参考までに申上げます。まだ確定した
数字
ではございませんけれども……
池田恒雄
22
○池田恒雄君 今の
お話
でございますが、繰返して恐縮なんですが、
農家
の支拂う
課税
を見ますと今高いとか、安いとか言うんですが、それをいろいろ詮索して見ますると、結局労務者の
基礎控除
という問題が
農業
者だとか、或いは小商人、ああいうところの
税負担
が底が高くな
つて
おることになると思うんですね。どうしてもその問題を解決しないで、どういうふうに捻く
つて
見てもああいう小さい店の
税金
が高くなる。それは私はいろいろ弁護士の方方に会
つて
、又
税務署
の方々にも大分会
つた
ときに調べて見るんですが、結局そこが引つかか
つて
高くな
つて
おると思うんです。これが非常に重大なことになると思うんです。この税法というものは非常に近代的なものなんですね。税法の構成というものは……ところが
農業
というやつはちつとも近代的なものじやないんですね。それで
農業
という
経営
を非常に近代的な税法というものに合わして行くんですが合わないんですね。合わないからとい
つて
それなりに
農民
は高い
税金
を拂
つて
いるんじやないかと思う。これは高いと思うんです。それで併し
農業
経営
を近代的な
工場
経営
と同じように
考え
てするということになると、誰でも頭を捻られるのじやないかと思うんですが、やはり家族はこれは飽くまで家族なんですねそこに
農業
経営
の特質があるわけです。使用人じやないですね。だからそれは、それを近代的な税法の観念に
従つて
家族人も使用人だという、こういう
考え方
を以て税法に適用して
行つて
もそこに
一つ
の何か無理が起
つて
来るのじやないか。頭を捻られるという点はよく分るんです。併し更に又やはりこの問題がある限りは、
農民
の
税金
は安くなるなるとい
つて
も決して安くならんと思う。これはやはり頭を捻られなければならんと思うんです。
農家
の
所得
というものは、今まで
税務署
だけで計算して見ますと、十万円というのはもう中堅どころにな
つて
いるんです。この十万円の
所得
を挙げた
農家
というものは一町歩前後のもので、決して五段歩きりじやない。一町歩前後で十万円ということになりますと、それは家族労働を絶対的に必要とする。この場合の家族労働というものは
子供
とか或いは半ば扶養家族的なお舅さんとかこういうものじやない。或いは成長過程にある
子供
じやない。長男なり次男なり立派な男なんです。これが一町歩前後の
経営
というものには絶対必要にな
つて
いるんです。偶然に家に
子供
がいるから使
つて
いるというのじやない。女房もいるから使
つて
いるというものじやない。同じ家族労働でも成長過程にある
子供
が手伝うとか、女房が働けば、これは一応私は見なくてもいいと思うんです。外に出しても立派に堂々と働け得る男、これを使わなければ立たない
経営
、こういうことを一応見なくちやならないと思う。そうすると、この場合の十万円という
所得
はおやじさんと長男なり次男なりが働けばこれは三人の共同の
所得
なんです。だからこの場合は私は何と言うか、家族共同体ですね。そうしてそのおやじさんの名前なんかの、誰かの
所得
ではない。その家の
所得
なんです。その家の中を見ると少くとも働いている三人の
所得
であると思う。これを一人の
所得
になるというような工合に
考え
まして、
課税
して行くと、そうすると要するに高い割合のものになる。若しこれを三等分しますと、非常に安いものになる。これはもういろいろ実例において私達が
更正決定
なんかの相談を受けた場合、やはり
税務署
の方々とも一緒にな
つて
実例について仮にこうだ
つた
らこうというふうに調べて見ましても大分開きが出て来る。三人で十万円の
所得
を分けて計算した場合と、一緒にした場合と、それから仮にその家の三人の共同体の
所得
ではなくて、一人の
所得
であるという工合に税法の近代的な解釈でや
つて
しまいますと、そうすると他の二人はこれは
所得
のないん間ということになる。僅かに主人公が十万円の
所得
がある。これは
はつ
きりしている。ところがその他の長男と次男は年がら年中働いているけれども、これは無
所得
の人間ということにな
つて
、この場合はまるで扶養家族みたいになる。ですからここで何らかそこに
考え
るべきものであ
つて
、一人の
所得
というふうに見て行
つた
らいけないのではないか。他の二人の者の
所得
でもあるということを
考え
なければならないと思う。もう
一つ
は、他の二人の
所得
ではないという工合に、現在のようにや
つて
行くとすれば、他の二人というものは、これは私は無
所得
の人間……、失業者のようなものです。或いは扶養されているようなものです。つまりおやじさんはその二人に生活をただで保証しているようなものだという、
形式
論ですがそういうようにな
つて
来ると思う。この点の
関係
は、これはやはり何らか税法の中に、税法と実際との矛盾した
関係
を調整して行く工夫をして貰わなければならないと思う。それをやらんと、これは具体的な例を持ち出して計算すると直ぐ分るのですが。どうした
つて
税金
は安くはならない。つまり他の商品と比較して割高にな
つて
しまう。一定の現状からどうしても下らない。幾ら下げようとしましても、結局
税務署
の方々はこれは税法の欠点だから何ともしようがないというようなことになる。 それからもう
一つ
これは非常に大切なのですが、家族をただで使
つて
いると、こう言うのですね。これは本当はこの
考え方
は非常に間違いです。これは家族というものは有給なんです。莫大な有給なんです。これはいろいろな理窟を言うと、歴史上の、学問的なものになるのでしようが、百姓は決して家族をただで使
つて
おらない。これは大体二十歳ぐらいまで農学校でも出して、そうしてどこか月給取にすれば、これは普通の家族の養い方と同じなんですが、農学校なら農学校を終
つて
から何年間か使うのですよ。殊にこれは水稻單作地帶で家族扶養数の多いのを見ても分る。無理に置いているわけですね。二十五なら二十五になるまで手伝わせる。その場合五年間手伝う。これはただではない。さつき不定期的な増減的な
所得
とか何とか言いましたが、これはそれと同じです。二十から二十五までは一銭も拂わない。仮に月に百円や二百円の小遣いで使
つて
も、二十五で家を出るときには五年間の労働に
相当
する一定の報酬を與える。学校を出て他所に行
つた
場合はどうとか、出て家で働いた場合はどうとか、それは必ずその地方に慣行がありまして必ずや
つて
おる。だから五年間働いて五万円なり、十万円なりの財産をちやんとやることになる。雇い人と家族との違いはそこにあるのです。雇い人にはその日その日に金を拂
つて
やる。家族は五年間なら五年間蓄めて置いて拂うのであ
つて
、決してただではない、これ
はつ
まり五代的な雇用
関係
と家族主義的なものの中におけるもののやり方との違いなんです。
従つて
若しその單作
農家
が只の労働者を使
つて
儲けてお
つた
という解釈も立ちまするが、そういう解釈で
税金
を取
つて
おるのだ。ところがその人は五年なら五年に一回自分の財産を半分に割るような支出がある。これは
一つ
の生産費に入ると思うのです。これは近代的な
経営
の場合の生産費の立て方と、そういう資本主義以前の
経営
体における生産費の立て方というものとは違
つて
おると思う。こういうことは私は余りそういうふうの学問的の知識はないのですから
はつ
きりと申しませんが、学問の上からも十分に究明して頂いて、そうしてこういう点の理論の貫くような税法の
改正
をして頂かなければならないのではないかと、こう思うのです。そうでないというと、冠婚葬祭のために
農家
が潰れるということを申するのであります。或いは冠婚葬祭のために潰れるのではないが、この冠婚葬祭のために出す金こそ、それこそ一時に支拂
つて
おる労賃なんです。冠婚葬祭のために潰れるということは一年ぐらいの、何年かの生産費に
相当
する莫大な労賃ですよ家族に対する。そういうこともこれは歴史上の事実として或いは地方の慣行として非常に明らかに出て来ますから、御研究にな
つて
頂きたいと、こう思います。
門田定藏
23
○門田定藏君 私も大体池田
委員
のお説と似寄
つて
おりますが、この
農家
の
所得
を、例えば一町耕作してお
つて
一年に十万円、その十万円の
所得
を主人一人の
所得
とみなすということは大変な間違いである。現に私は五十年ばかり百姓しておりますが、一町二段作
つて
おります。その一町二段の耕作にどれだけの日当が、労賃が、人手が要るかというと、どうしても三名要る。どうしても一年に三名の一人前な労働者がおらなければできない。一町二段で……。そうするというと、今池田
委員
のお説の
通り
です。三名の労働者を使
つて
一町二段を耕作して行かなければならない。そうなるというと、その一年中掛
つて
得たところの
所得
は三名の
所得
になるからして、
農家
の
所得
を一町作
つて
十万円の
所得
があ
つた
ものを一人とみなすということはこれは間違
つて
おる。そうしてその三名の労働者は只であるかというと、先づ十五、六で
子供
を育てて、教育をして十五、六から漸く一人前の人間に育つ。その人間を使
つて
行くと、どうしてもその三名の労賃ははら
つて
いないが、使うまでの費用は資本を入れてしているのだから、これはどうしても我々の
考え
では一人の
所得
とみなすということは、これは間違いである。他の月給や何かと異りまして、どうしても一町二段の耕作には三名なければならない。一町二段を耕作して行くのに、どうしても一人で三段ぐらいしかできない。又單作地帶もあるし、いろいろありますが、雨もあるし年中仕事はできない。そうするというと、
農家
の
所得
は主人一人で十万円の年間の
所得
を産み出すということは不合理である。そうしてもう
一つ
お尋ねしたいのは、この
農家
の
勤労所得
を資本の中に加えんというのは間違
つて
おりはせんかと思います。我我は学問的には言えませんが、他の大きな会社
あたり
が、例えば硫安の製造会社にしても労賃を拂わんものはない。労賃は皆拂
つて
、生産した商品にはその生産費とかその労賃を加算して決める。ところが
農家
は企業だと言
つて
おるけれども、果してその労賃を除外して残
つた
ものが
利益
になるかというと、労賃が入らんと
利益
がないということになる。からしてどうしても我我の
考え
では
農家
の労賃というものを資本の中に加えるのが本当じやないか、こう
考え
るのです。学問的に
考え
ればどうなるか知りませんけれども、その労賃たるや決してただのものでないのです。十五六まで働くまで消耗して、一町二反耕作するのに三人一年中おらなければその耕作ができない。そういうわけで労賃を資本として加えなければ
農家
は食
つて
行けない。何で食
つて
行くかというと、今の話で、普通な生活ができない。人が一日に百円の生活をするのを五十円にするとかして、人間並の生活ができない。それが農村が疲弊してこれまで来ておる原因であると思う。この点についてよく当局の御考慮を願
つて
、
シャウプ勧告
について
農家
の
勤労所得
がどの点まで認められるかということをお聽きしたいし、当局の御
意見
を私は聽きたいと思います。
原純夫
24
○
政府委員
(
原純夫
君)
只今
皆さんから
お話
のありました点、これはそういうお
考え方
も十分成立ち得ると思います。御尤もなお
考え
であるとも思いますと同時に先程も申上げました社会的な実態、それから経済的にも、見様でございますけれども、同居して一緒の何でや
つて
おるというような実態から
考え
てどうかということもございますし、それから全体の
結論
とまして出ました税のバランス、これを
考え
ますと、例えば勤労者は今年は千二百億と見ておりましたものが千三百億以上直
なつ
た。来年の税制が
シャウプ案
の
通り
に行きますか、
税率
控除
が
シャウプ案
通り
で止まりますか、或いはもつと行けるか、まだ未確定でありますけれども、先程も申上げましたように、
農業
の減り方というものは外のものの減り方よりも
相当
多い。そうすると税全体の
結論
として出ましたバランスというようなものも、一応
一つ
の何として
考え
る必要がありはせんか。何と言いますか。いろいろな原因であると思うのでございますが、
一つ
こういうことを常々感じておるのでございます。それは例の
基礎控除
、
扶養控除
というようなものが、農村における場合と物価の高い都市における場合との影響が
相当
違うということがあるのでございます。同じ一万五千円なり二万四千円なり
控除
して貰うにしましても、農村におけるその値打と都市の値打は大分違うというような点が
相当
ある。その辺にてこういう何の出て来る原因の
一つ
はあるのじやないかというふうに思うわけです。今度は
扶養控除
が
税額
控除
でなしに、
所得
控除
になりますから、その影響が特にひどくできるということにもなります。おそらく皆樣のおつしやるように、
成年
の
子供
がや
つて
おる場合には
所得
を分割といいますか、給與
所得
でやるということになりますと、
農業
の
税額
というものは殆んどもう、何と言いますか、ゼロに近いということにな
つて
参ると思います。そうなりますと、その全体のバランスから更に
考え
直さなければならんというような亡とにもな
つて
参りますので、まあ先程申上げましたような点とそういう点ともからめて、この問題はおそらくそういう全体のバランスを
考え
ながら行くという立場もあり得るのではないかということも入れまして、取敢えず
扶養控除
と同額の
控除
を與えるということを
考え
ておるわけでありますけれども、この点は
一つ
尚十分我々も
考え
たいと思いますし、皆さんからも御
意見
を伺いたいと思います。
池田恒雄
25
○池田恒雄君 今
ちよ
つと給與
所得
という言葉がもう一度あなたからでましたが、私の
考え方
も同じだと思うのです。我々給與
所得
という
考え方
を全然持
つて
いない。家族協同体、こういう日本の
農業
の
一つ
の特徴的
経営
において、協同の
所得
という
考え方
なんです。こういう特殊な
所得
の方法なのですから、これに応じた税法の組み方が必要だ、こう私は
考え
ておる。決して給與
所得
……、そうじやないものをそうだとか、幾ら何でも我々は無理は押せないのでございます。そういうふうな
考え方
で何等かの方法を御研究願いたい。 もう
一つ
今労働賃金の問題が出ましたですが、これにも問題があるのです。これは労働賃銀だけでなく、いろいろな間金があるのですが、大体一町歩前後の中堅
農家
が十万円内外の
所得
である。一体年間十万円の
所得
というものは、これは鉄道なんかで切符切りしている娘さんも取
つて
おるのです。そうしたら三人もで働く中堅の
農家
、沢山の人を養
つて
おる
農家
が十万円という
所得
の出し方が
ちよ
つと見て少い感じがするのです。誰が見てもそうだと思います。ところがこの場合は直ぐに
税負担
の問題ということにもなります。或いは
税負担
の各職業別の均衡ということにもなりますが、全体の
所得
が現金であるものと、
農家
のように現物であるものとでは、これは違うのです。若し
農家
が菜ツ葉を作り、大根を作り、菜ツ葉や大根で
税金
を支拂
つて
もいいというなら大して苦労はしないわけですが、一切の現物
所得
を現金化して
税金
を拂
つて
行くということになりますと、だいぶあれが違う。それから
所得
した大根やなんかは現金化し得る場合と化し得ない場合とある。これは今度の野菜の計算なんかでも
国税
庁
あたり
は大分事実にそぐわないやり方をや
つた
例があるようでございます。そのまま現金化してしまう。だからそういう点は
考え
て貰わなきやならんと思うのです。それから差押なんの場合も、本来なら売れ残
つて
困
つて
おる大根でも差押えて貰えばいいのですが、箪笥だのを差抑える。若し百姓は大根を作
つて
儲けたのだからというならば、大根を先に取ればいい、いもなんか供出が余
つて
困
つて
おるのですから、余
つて
おるいもを差押えて貰うなら我々もちつとも困らない。ところが時計を押えたりラジオを押えたりする。これがおかしいことなんです。ラジオを押えられることといもを押えられることは
農家
にと
つて
同じことじやないのです。このことについてもう少し税当局は近代的でない特質というものを検討して貰わないと困る。もう
一つ
今までの生産費の計算では、使用日数とか
收入
日数というものを厳密に計算しておる。つまり家族三人おる。三人なら一千日働くわけです。ところが三人はおるが、五百五十日しか働いておらない。こういうような計算をするのです。そうすると後の四百五十日は遊んだことにな
つて
おりますが、これは失業でもなければ、懶けたのでもない。間年五百五十日の延労働力を必要とする一町歩の水田
農家
というものは三名の常備の労務者を保有して置かなければならんというになる。だから後の四百五十円は働かなくても食わして着せて置かなきやならん。これが
農業
の労働の特質だと思うのです。これは他企業のように三十日必要な時だけ使
つて
高額な賃銀を拂
つて
、そうして後の生活には責任を持たないというのとは
意味
が違う。こういう労働の
関係
はどうだとか、機械なんかも三段歩の麦を作るに何日間機械を使用するか、この日数によ
つて
機械の損耗を計算する。私達が
税務署
の者と非常に知り合
つて
民主的にな
つて
その中を打ちわ
つて
私達と相談をしてくれるようの
なつ
たのです。そういう計算のやり方ですね。それから鍬でも鎌でもそうです。何日間稻刈をや
つた
、なんぼ使
つた
とこういう計算ですよ。そこから
経費
を割当てて行くのですがね。これも少々無理泥と思うのです。或る
一つ
の
工場
は年間機械を運転して行きますが、
農業
の場合はこの機械を一日しか動かさない場合もある。それでも持
つて
いなければならないのです。そういうものであると、決して一箇の機械を三百六十五日のうち一日だけ必要だ
つた
というふうに計算されると單価が安くな
つて
しまうのです。そうではない、一日必要なために三百六十五日納屋に入れて管理していろいろ手入れをしなければならんというのでは、大分そこに開きが出て来るのです。私はこのことについて前に
税務署
に出しましたが
税務署
は今まで非常に秘密主義です。併し秘密主義ではなくてそれはこういう計算ですよと私の方に見せて呉れるように
なつ
たのです。それを見ましたらそういうわけなんです。これは現地の
税務署
の人達のやり方はいいとか悪いとかというようなことで喧嘩するわけにはいかないのですよ。国全体がそういう方法でや
つて
いるのですから、これはあなたの方で再検討すべき義務があるのだと思うのです。
一つ
この点は
法案
が出ますると、
法案
の結果によ
つて
同じ質問をもう一度繰返すことになりますから、まあさような無駄のないようにうまくや
つて
頂きたいと思います。
岡村文四郎
26
○岡村文四郎君 お尋ねしますが、供出代金から
源泉徴收
をしようということでございますが、その方法をどういうふうにしておやりになるつもりでありますか、私の聞くところでは、まず
協同組合
に源泉の徴收をさせようという意図があるようですが、そのやり方によると
協同組合
が又非常に百姓から厭がられることになりはしないかという心配も起るわけです。その方法はどういうふうにするかということをまずお聞きしたい。
原純夫
27
○
政府委員
(
原純夫
君)
源泉徴收
の問題は勿論やるやらんという根本的な態度の問題があるわけですが、やります場合には、
シャウプ
の言
つて
おります線に、若干一応考慮を加えまして、改善したものでやる。つまり総
所得
の七割以上が主食又は煙草の代金から来るという、何を七割といたしますか、六割といたしますか、その辺まあ
源泉徴收
をやるならば、
相当部分
の
農家
はそれで税を收めるというような
程度
に、その比率を決めて参りたいというような
考え方
をまず採
つて
おります。それでこの
源泉徴收
は夏作の
源泉徴收
と、それから秋作の
源泉徴收
があるわけですが、如何なる
農家
を
源泉徴收
の
対象
とするかということは、やはり大体において春作の出て参る時期までに決めなければならんということにな
つて
来るわけですが、この点につきましてのやり方が
シャウプ
のあれでは、
はつ
きりしていないのでありますが、やはりそのときに何といいますか、
源泉徴收
をするかしないかという
意味
における予定
申告
的なものを出して頂く。そうしてそれを
税務署
が拜見して、どうもこれはこう出ておるけれども、去年はこうだしおかしいという分は
税務署
の
意見
を言
つて
、
源泉徴收
をやらしてくれということを言うわけですね。そうしてそれを本人にも通知しますし、それから組合の方にも通知して、この人の分は
源泉徴收
をや
つて
貰う。夏作の分はやはり
シャウプ
の言いますように、一定歩合で
源泉徴收
をして置いて、全体の調整は夏作で調整するという
考え方
を取
つた
らどうか。秋作の方は年の
所得
というものを大体算定しまして、それによ
つて
幾ら
税金
が納められるべきか、そうすれば供出代金からは何%徴
つた
らよいかという何が出て来るわけでございますね。それによ
つて
まあ余り納かい端数の付いたパーセンテージはできないと思いますけれども、それによ
つて
丸めました。パーセンテージで徴
つて
やる。結局そういたしましても、最後に年が済みました
あと
の確定
申告
による調整ということは、やつぱり要るのではないかというふうな段取と
考え
ているのであります。
岡村文四郎
28
○岡村文四郎君 私は、これは
意見
なんですが、実はいろいろ
考え
ておりますが、
源泉徴收
をするのは
農家
の作
つて
いるものが全部かかるのでありますが、今度どんどん捉えられて徴られて行きますと、今後麦或いは米という掴み易いものがまず
対象
になると思うのです。それで
源泉徴收
をされるということになると、そうした
はつ
きりしたものを作る者だけが非常に迷惑を蒙
つて
しまうということになりますから、できれば
源泉徴收
は
廃め
て貰いたい。全面的の
源泉徴收
ということは非常に百姓の耕作の場所の部面によ
つて
不公平な結果が出て来るから、
源泉徴收
ということはせない方がよいということを
考え
ております。 それからもう
一つ
お聞きますが、今年秋田町の單作地帶の
調査
に参りました。他北郡の横堀村に参りましたところが、村長さんが来られまして、三国の救護法によるところの救護を受けている者は、
所得税
を徴られている百姓と同数の
收入
にも拘わらず、救護を受けている者は無税であるのに救護を受けていない百姓に対して税を徴るというのはどういう訳なのかと聞かれて、
国会
議員として答弁ができなくて困
つた
のでありますが、大蔵省としてはどう
考え
ておりますか。
原純夫
29
○
政府委員
(
原純夫
君) 生活扶助、救護法による救護というようなものは非
課税
の
所得
にしてありますから、それは課けない。がその他に
所得
があるという分はこれは課かるのであります。その場合におつしやる御趣旨は救護の額と他の
所得
と
合算
したものを基にして
税額
がどうという御趣旨だと思いますが、それはそういう場合がありましたとすると、私救護なり生活扶助なりの方の実際のやり方を知らないのでありますけれども、他に
相当
所得
のある人にそれをやるのがよいのかどうか、扶助料をや
つて
おるのだ
つた
ら非
課税
とすべきじやないかというので、今非
課税
としておるのでありますけれども、何か扶助、救護、そちらの方のやり方の問題としては問題がありましようが、その辺少し研究いたしたいと思います。
岡村文四郎
30
○岡村文四郎君 これは田舍の農村ですから日傭に出るのだそうです。ところが日傭に来る者は一々
申告
するのは日傭する方もされる者も両方共やれないから、村長さんの言い分は、
收入
が足りなくて日傭に出る者の改入についてはたが見てお
つて
文句を言うというように言
つて
おりますが、片方は保護法の適用を受けておる五人家族で八万五千円の
收入
がある。ところがこれは保護法の適用を受けておるので税がかからない。併しこれは日傭をしてるのですから、
合算
申告
をすれば取られましようが、日傭の
申告
なんかしません。殊に救護を受けておる人のことですから、毎日天気でさえあれば出るというのじやないから、尚更文句がないわけです。片方は百姓をや
つて
おる五人家族、夫婦に
子供
三人で八万五千円の
收入
がある場合は税を課けられる、これは一体どうかと言われて、どうも答弁できないのでは
国会
議員として痛み入
つた
ことですから……
石川準吉
31
○石川準吉君
結論
はこういうことです。まじめに百姓をや
つて
八万五千円の生活をや
つて
おると税がうんと課けられるものだから、課か
つて
来た税を家族数で頭割りすると救護を受けた者の方が余程生活力があるということです。だからむしろ百姓を止めて救護を受けた方がよいのだというような
結論
になるわけです。
赤澤與仁
32
○赤澤與仁君 資産
評価
の問題ですが、最近
農業
協同組合
が
農業
会から資産の讓渡を受け、又今後受けるわけですが、今年七月以降の場合におけるその資産の再
評価
についてはどういう工合にお
考え
にな
つて
おりますか。
原純夫
33
○
政府委員
(
原純夫
君) 資産の再
評価
につきましては明年一月一日現在においてやはり資産について再
評価
をするという方式で行きたいと思
つて
おります。本年七月一日は再
評価
の倍率を何倍かに再
評価
をするということを
決定
するについては、現在の物価水準というものを見る基準としてこれをとりますけれども、財産を持
つて
お
つた
かおらなか
つた
かということは、来年一月一日現在を基準としてや
つて
参りたいというふうに
考え
ます。
赤澤與仁
34
○赤澤與仁君 そうすると一月以降にも
相当
支障が起
つて
参ると思いますが、そういう場合における取得金額というかその実質上取得した時期における取得金額を標準とされるということになりましようか。
原純夫
35
○
政府委員
(
原純夫
君)
通常
の市場価格で取得するという
通常
の取引形態の場合でありますならば、それは現実の取得価格ということでよろしいと思いますけれども、そうでなくして、前からの安い
帳簿
価格のついておる資産を、例えば合併その他の事由によ
つて
帳簿
価格をそのまま引継ぐというような場合については、取得金額についても前の所有者の位置というものを継承したものとして認めてやらなくてはいかんというふうに
考え
ております。
農業
会の場合はどつちの例に当嵌りますか存じませんが、そういうふうな方針で参りたいと思
つて
おります。
赤澤與仁
36
○赤澤與仁君 それにつきまして、例えば
農業
会から……。今
農業
会は清算中にあるわけでして、清算を完了いたすためのその資産の
評価
というものが、その後の方針自体の
内容
によ
つて
左右せられておるわけなんです。
従つて
この資産の再
評価
をいたしまして、地均しをいたしました一定のポイントから出発いたしますという価格にはなりかねないと思うのでございます。そういうようなことがあります場合に、ただ取得した時期における金額ということになりますと、その措置に相反するのではなかろうか。併し又一方讓り受ける
農業
協同組合
におきましては、その一月一日に遡及したポイントにおいて、計算をするというような場合におきましては、その
評価
益は解散された
農業
会の清算
利益
となるものであ
つて
、現在持
つて
おりまする新たな
農業
協同組合
には何らの
評価
益を受けていないということにもなるわけであります。
従つて
その点につきまして、双方に問題があろうと思うわけでありまして、今日
農業
協同組合
におきましては、その
評価
の取得時期というものを明確にや
つて
貰わなければ、或いは
農業
会自体の帳面価格によるのだとか、或いはもう少し特殊な
関係
からして遡及した産業組合時代における取得価格から起算するのだというような事柄で、今のところ迷
つて
おるような事柄に相な
つて
おりますので、その点を
一つ
御研究頂きまして、明確にして頂きたいと存じます。
石川準吉
37
○石川準吉君 それと関連しますが、再
評価
の基準として、「
農地
以外の土地
家屋
については賃貸価格の一、〇〇一〇倍」、「その他の
固定資産
については各都市の常設の
評価
人団による
評価
額」「
農地
については公定価格に二五倍以下の調整係数を乗じた額を最高とする」と、こうな
つて
おりますが、それは恐らく大蔵省から出された資料によ
つて
は、こういう倍数は決まらないと思いますが、千倍とか、或いは二十五倍以下の調整係数というようなことは実際はどういうことなんですか。
原純夫
38
○
政府委員
(
原純夫
君) その
数字
は実は我々いろいろ資料を出しましたが、何倍にしたらよかろうという
意味
の相談は別段受けておりませんし、そのために資料として出したことはないので、実はこの出ました
結論
について、後から私
シャウプ
に、これは
相当
問題があるよと、私としてはもつと研究して違
つた
ものにしたいと思
つた
らしてもよいかということを言
つた
ような次第であります。非常に短い時間に作業をいたしましたので、先ず非常に大まかなところで出したという
程度
しか申上げられません。我々これに具体的な
基礎
付けを與えておりません。むしろ土地と
家屋
でしたら、
家屋
は償却の
関係
もあるというようなことから必ずしも單純に昔の賃貸価格を千倍してよいかどうか。実際には逆にこの土地よりも
家屋
の方が強含みだというようなこともありますし、現実の時価というものをいろいろ調べて見ますと、千倍じやなかなか無理だというようなケースが
相当
多いということを承知いたしております。
石川準吉
39
○石川準吉君 千倍というのは特殊な資料から出たのじやないかと思いますが……
楠見義男
40
○
委員長
(楠見
義男
君) 簡單なことを二、三……。
一つ
は
控除
すべき
経費
の問題ですが、これは
シャウプ勧告
でも
三つ
ほどの方法を練
つて
、その中で適当な方法をや
つた
らよかろうというようなことを言
つて
おるようですが、大体大蔵省の
考え方
としては、そういうようなことをお
考え
にな
つて
おるのか。これはいろいろ
農業関係
の中でも議論があると思いますが、できれば
農業
協同組合
とか、それから
税務署
とか、或いは
農業
調整
委員
とか、村役場とか、そういうところで相談して一定の標準倍率というものを引いた方が簡單でよいじやないかと思うのですが、
シャウプ勧告
にもその
一つ
の方法として載
つて
おるのですが、そういうことをどういうふうに
考え
ておるのか、それが
一つ
ですね。 それから
一つ
は
法人税
の問題に関連しておるのですが、
事業
所得
に対する利子
課税
ですが
協同組合
あたり
が法定料、いろいろ留保すべき例えば特別積立金の積立だとか、
事業
税とかいう
法律
上命ぜられた留保金があるわけであります。
一般
の商事会社だとまあ脱税なり隠匿の
意味
で内部留保にしてそれに税をかけるというのは当り前のことでありましよう。
農業
協同組合
には今言うような
法律
上の義務づけに対する留保金などということは、これは
課税
ということになると或いは実際
考え
なければならんと思うのでありますが、その点が
一つ
とそれから最後に税の問題はこれはひとり
農業
協同組合
に限りません、特に
農業
に大きな
関係
を持
つて
おる問題で、それは單作地帶
一般
の問題でありますが、單作地帶は御承知のように他の温暖地方に較べると、農産作業にしても或いは取入れにしても運搬にしても特別の費用というものが実はかかるわけであります。今までは二千年来こういうことをや
つて
いたからというので特別に
控除
を認められない、実際問題として見れば買うものは東京から較べるとそれだけ高くな
つて
おるとかそういう問題も正にその
通り
でありますが、特別に積雪寒冷地帶については、勤労者にはああいう手当も出るが、
農業
者或いは
事業
者についてはそういうものの考慮が殆んど拂われないということについて、我々としては今回の画期的な
税制改革
に対してそういう問題を
一つ
解決してもらいたいという希望を持
つて
おるのであります。その点についてどういうふうにお
考え
にな
つて
おるか簡單に
お話
願いたいと思います。
原純夫
41
○
政府委員
(
原純夫
君) 第一の
経費
の問題につきましては、当然各村なら村の
農業関係
の
団体
なり、村役場なりというような
関係
の方々と御相談して御
意見
を伺
つて
決めて参りたいということにや
つて
もらいたいと思うのであります。それから二番目の利子附加税の問題、あれは我々といたしましては、この單純に留保された命がいずれ
個人
の
配当
になると、その場合の
所得税
が今年すぐ
配当
してくれれば今年入るのが遅れるから利息をとりたいという
考え
でありますので或いは特別
控除
にして特殊な
扱い
をするということは別段今まで
考え
ておりません。
一つ
そういう留保の性質その他についても研究いたしたいと思います。第三の積雪寒冷地帶の
経費
支給の問題でありますが、これはそういう地帶で特別な余計な
経費
がかかるという事実がありますれば、当然
所得
を得るために要する
経費
であるならば、
所得
から
控除
するというのが当然であると思います。ただ
御存じ
のように税務行政も何分まだ十分具体的な妥当性を一々の場合にとるというところまで
考え
ておりませんので、この辺
相当
我々の努力も要ると思いますが、もう事柄は現実に
経費
がかかれば当然含まれると思いますので
一つ
その方向に実際の検討を進めて参るべきであるというふうに
考え
ます。
藤野繁雄
42
○藤野繁雄君 今
委員長
からお尋ねの
所得税
の算定の方法の際に
控除
すべき
事項
、これとこれとは
控除
するというようなことが実際上からいえば各
税務署
ごとによ
つて
違うのであります。それだからできるだけ
控除
すべきものは一定の
事項
を決めて定めて置いて、それからすべてのものが同一の歩調で行くように
税務署
ごとに差を付けないようにして頂きたいと思います。
原純夫
43
○
政府委員
(
原純夫
君) 非常に御尤もな御
意見
だと思います。現在税法が可なりそういう
意味
で簡單な
規定
にな
つて
おります。実はそのどの
收入
を見てどの
経費
を落すかということが、この税の一番
中心
になるわけでありますが、それが現在の税法は非常に簡單でそのためにいろいろな通牒だとか、内規だとかいうものを出しますけれども、それがなかなか必ずしも統一していけないという憾みが多分にございます。これは大きく言いまして日本の税法のあり方を将来に亘
つて
規定
する態度の問題になるわけで、我々も十分その点痛感いたしております。極力そういう方向につまり
控除
すべき
経費
は何と何であるか、或る種類の
経費
につきましてはこういう基準によ
つて
落すんだというようなことを、成るべく
はつ
きりいたすようにいたして参りたいと思います。何分非常に大きな問題でありまするので一朝一夕にしてということにはできませんのでありまして、その方向に向
つて
や
つて
参りたいと思います。
藤野繁雄
44
○藤野繁雄君 今度の
税制改革
で
農業
の方は
源泉徴收
をするという案が出ておるのでありますがこれは
結論
から言えば
收入
があ
つた
ときに
税金
を取るという
意味
だろうと思
つて
おります。そういうふうなことであるというと、現在
農業課税
をや
つて
おるところの
所得税
というものはいずれ計算にな
つて
收入
があ
つた
ときの計算ではない、ただ予想
收入
を土台にして
税金
を課けておる、こういうふうなことにな
つて
おりますから、これを私等から度々希望しておるように收穫時の
課税
ではなくて、実際にその品物を売拂
つた
ときに
税金
を課ける、こういうふうに改たむべきじやないかと思
つて
おるのであります。たださつきも申しましたように源泉
課税
であ
つた
ならば売
つた
ときに取られ、然るに源泉
課税
しない、ということであるというと前年の
收入
があ
つた
ということで現金は入らないけれども
税金
を出さなくてはいけない。
結論
から言えば
收入
がないところに対して
税金
が課か
つて
来る、又別の言葉で言えば借金して
税金
を拂わなくちやいけないということにな
つて
来るのでありますから、現在の
所得税
の徴收方法を改ためて行かなくちやいけないじやないかと思
つて
おりますが、この点について改ためられる意思があるかどうか又改ためられる意思がないとすれば何故改めることはできないかという、こういうようなことも御尋ねいたしたいと思います。
原純夫
45
○
政府委員
(
原純夫
君) お説の立場も勿論あると
考え
ておりますが、
只今
のところこの現金
收入
で
收入
を以
つて
その
所得
の
一つ
とするということには遽かに参りかねるというふうに
考え
ております。これは何と申しますか、見解の相異ということになるかも知れませんが、
農業
の
所得
で秋に取入れがあるという場合に、やはりそれはそのときに
所得
があ
つた
んだと
考え
られるという、非常に何といいますか、余り理論的の言葉で申上げ切れないと思いまするけれども、そういう
考え方
でや
つて
参りたいというふうに
只今
考え
ておるわけでございます。
藤野繁雄
46
○藤野繁雄君
物品税
でお尋ねしたいと思いますが、新旧対照表を見て見ますというと、ページの三十九です。これには紅茶、或いは烏龍茶何々と書いてありますが、緑茶は
税金
がかからないのでございますね、
原純夫
47
○
政府委員
(
原純夫
君) 緑茶は
只今
税を課けておりますが、今度ので税を課けないことにしようというつもりでございます。今は課か
つて
おりますが、この
法案
で外れることになります。
藤野繁雄
48
○藤野繁雄君 それから四十七に陶磁器というものがありますが、私共は毎日毎日茶碗で御飯を食べなければならないのだから、そういうふうな日用品に対しても
税金
を課けられる方針でありますか。私などはこういうふうなものこそ免税しなくちやいけないと思
つて
おりますが、(笑声)四十七の陶磁器にはそういうふうなものを含んでおるのか、おらないのですか。
原純夫
49
○
政府委員
(
原純夫
君) 含んでおらないと申上げてよろしいと思います。と申しますのは例の免税点
制度
というものがございます。陶磁器にしましても、日常の生活にどうしても必要な
程度
の茶碗その他ですね、こういうものは免税点で外して参る、
只今
の陶磁器でいいますと、食器類の免税点というのは三十五円でございます。これを今度の機会に若干上げて五十円
程度
にしようと
考え
ております。五十円にしますと、生産者価格が五十円でありますから、小売に参りますと倍以上になります。恐らく百二、三十円にはなろうかと思います。
一つ
百二、三十円の茶碗といいますと、我々官吏の給料じやなかなか買い得ない。(笑声)その
程度
まで落ちればですね、御指摘のような生活、まあ極くモデストな生活に必要なものは落ちるという
考え
で、そのつもりでや
つて
おります。
藤野繁雄
50
○藤野繁雄君 戊の六十一ですが、食品加工……これは料と書いてありますが、料ですか。
楠見義男
51
○
委員長
(楠見
義男
君) 加工料です。
藤野繁雄
52
○藤野繁雄君 加工料の免税でございますか。
原純夫
53
○
政府委員
(
原純夫
君) 食品加工料には免税点はございません。
藤野繁雄
54
○藤野繁雄君 それから六十二の敷物類ですね、この敷物類の中には藺で作
つた
ござのようなものにも
税金
を課けられるお
考え
でございますか。
原純夫
55
○
政府委員
(
原純夫
君) ござは
只今
も課けておりません。たしか先般の
改正
のときだ
つた
と思いますが、落しました。その前は免税点
制度
でや
つて
おりましたが、普通のござは落そう、ただ花ござは現在も課けておりますし、将来も課けるつもりです。
藤野繁雄
56
○藤野繁雄君 花ござというその花ござの範囲ですがね、花ござの中にも青いか赤いか、一線か二線入
つた
ようなものまでも、これを花ござとして
課税
をしておられるわけですが、こういうふうなものは
課税
すべきものではないじやないか、ただ色が着いていないところの花ござは縁起が悪い、普通の場合には人が死んだときに敷く。それで線が入
つて
いるのは普通の場合に敷くのだから、死んで敷くところのござには
税金
を課けないが、生きておるときに敷くところのものには
税金
を課ける。(笑声)ただ色が
ちよ
つと着いているだけで、これが花ござとして
税金
を課けるのはおかしいと思
つて
おりますが、ただ
ちよ
つと色を入れただけのござも花ござとして
税金
を課けなければならないか、この点を
一つ
御検討願いたいと思
つて
おります。
加賀操
57
○加賀操君 今の花ござですが、これは大体国全体として二、三千万円らしいですよ。ですからこれは生産地方面で非常に強い要望があるので、これは
一つ
カットするように、特に
一つ
研究して貰いたいと思うのですが……
原純夫
58
○
政府委員
(
原純夫
君) この税制全般、特に
物品税
はそうですが、花ござと普通のござとの境、それからほかのものにしましても、ソーセージ、べーコンというようなものが今あるのですが、ソーセージというのと、何かわけが、分らん肉をくしやくしやしたものの境というようなことになると、実に頭を悩ます(笑声)ものなのであります。えてして税務官吏はとにかく取
つて
しまえというようなことになりかねないような感じを(笑声)お持ちでございましようが、花ござと普通のござとの
関係
などは、やはり
物品税法
の精神に
従つて
奢侈的なものには課けるという、それでも非常に判断はむずかしうございますが、それで大きなところから判断して参りたいというふうに思います。
永田龍之介
59
○專門員(永田龍之介君) 山林の
所得税
のことについて一、二お伺いしたいと思うのですが、例の
シャウプ勧告
案によりますと、均分年数を二十年というふうに一応
考え
られておるようでございます。その後これを五年にするか、十年にするかいろいろ御検討に
なつ
たようでありますが、業者の
意見
としては大体伐期を以て均分せられたいという希望が非常に多いのであります。ところが我々としても、その点は必ずしも伐期によらなくても、ときによれば伐採頻度を基準にして決められるというような方法をお
考え
願
つた
らいいのじやないか、こういうふうに思
つて
おるのです。二、三の実例を申上げますと、大体二十年から二十五年くらいというのが、いわゆる林業地、経済林業をや
つて
おる地方の伐採頻度にな
つて
おるように聞いておるのでありますが、そういう
意味
合からいうと、やはり二十年というようなものを御採用下さることがいいように思うのです。ただ二十年間に亘
つて
調整する問題が非常に
あと
まで残るので、この調整はときによれば希望によ
つて
五ケ年に短かくするとか或いは
所得
のあ
つた
ときに全部納めて、
あと
は徴税しないというような方法も便宜
考え
られるのじやないか、こう思
つて
おるのです。でこの五年という
数字
については、何か大蔵省の方では
基礎
がおありになるのでございましようか。
原純夫
60
○
政府委員
(
原純夫
君) この
変動
所得
の
平均課税
の問題は、全体として
相当
技術的の問題が多いのでありますが、五年を
考え
ましたのは殆んど全部行政上の便宜ということを
考え
たわけであります。五年でも実はとてもこれは大変だ、三年くらいにしたいというのが実際面の
意見
なのでございますけれども、まあ一応五ケ年くらいのところで行こうかというようなところを
考え
ておるわけであります。林業につきまして二十年ということを
シャウプ
は申しておりますし、その御
要求
、
お話
の御趣旨も分る気もいたすのでありますが、これを調整するとなるともうとてもできませんし、又調整せんということになりますと、
シャウプ
の方式では実は余り正確でないのでございます。 それからもう
一つ
根本的には、そういう
変動
所得
のうち林業の
所得
或いは株の讓渡
所得
というようなものは、実際はすでに何年かに亘
つて
蓄積されたものが、その年に入るわけです。そうするとさつき言
つた
、何といいますか、
所得
の実体的な根源は前にできておるのです。だからそれは売
つた
ときに
所得
と見るわけですけれども、
あと
に延ばして何するというのは、本当はそれから
考え
るとおかしいのでございましようね。讓渡
所得
なんかにしてもそうでございますし、そのようなことも
考え
て、行政上の便宜も絡み合わせて、大体妥当な
税率
のところに緩和されればよろしいのじやないかというような
考え
を持
つて
おるのでございますが……
永田龍之介
61
○專門員(永田龍之介君) 一応今の御
説明
で、
課税
技術上の立場から当然のことだとは思うのですが、ただ今の
所得
が蓄積されたがためにその
收入
、
所得
があ
つた
ときに一どきに拂うという建前から行くと、そこで一応
所得税
を拂
つて
、
あと
の方へ調整することを止めることで、調整を止めて均分は二十牛にするとか、伐期にするとかいう
考え方
はできないものでしようか。
原純夫
62
○
政府委員
(
原純夫
君) その点は
只今
申上げたのは、
所得
の実態が前の年度にあ
つた
のだとすると利息を貰はなければならぬということになりますが、そういうような考慮も働いて来ると、そうすると、それらも
考え
合せて五年で均分して、何したら大体妥当なところが出やせんかと、
只今
申上げたつもりなんですが。
永田龍之介
63
○專門員(永田龍之介君) それでは次は継承税の問題であるのですが
相続
が起きた場合に、今度の税法で参りますと、非
相続人
が価額許価益税六%拂
つて
、そして更に
所得税
を拂
つて
、そして
相続
を受けたものが、
相続人
が
相続税
を拂う。そしてその
相続税
を拂うかために山林を処分したときに、
所得税
を拂うという四つの税が一度に固まるという、一応理論的な答が出るわけですが、そうい
つた
場合にこれは無償讓渡と
考え
られるのですが、無償讓渡のときに、その
所得税
まで
負担
しなければならぬというのが、理窟はあるんでしようが、拂いにくいという点で何とか考慮ができないかという
意見
が出て参
つて
おるのですが、それが
一つ
と、この場合に
相続財産
として山林立木の売買価格、そのものを全部
相続財産
と見るかという問題なんです、この中には
相当
所得
の部分も入
つて
いるので、結局売買価格全体を
相続財産
として継承税を課け、又それを処分したときに、その
評価
額全体を
所得
の対照と見て
所得税
を課けると、
結論
において一〇〇何%というような
税金
を
負担
しなければならぬということになる矛盾が起ると思うのですが、この点二つお伺したいのですが。
原純夫
64
○
政府委員
(
原純夫
君) 第一の
相続
に際しまして、讓渡
所得
を計算して
課税
するということは、
シャウプ
も言
つて
おりますように、
所得税
、つまり
所得
は、本当はもう
所得
の実態は出来ておる。それを何代も累納させるのはいかんと、
所得
、その他の無
相続
の場合にも、これを
課税
しようという
考え
からであります。 それから第二の点は
ちよ
つと御質問の趣旨が
はつ
きりしなか
つた
のですが、山林なんかが
相続財産
にある場合には、その中に
所得
分がある筈だ。それに
相続税
が課かる、そうして後に又それをとると、
山林所得
として
所得税
川課かり、合計で一〇〇%以上にならんかという話と思いますが、これは相他税としては
所得
分もあるかも知れませんが、第一段に申上げました何で、この讓渡
所得
の計算上拔かれる分は拔かれることになるのですね。山林の場合にこれを拔くということになりますか外の何だ
つた
ら拔ける。山林の場合はそれは財産であるとして、財産には違いないわけでありますね、課かると、後何と言いますかその税を
相続
財圧のどこから納めるかということも、第二の点は関連して来るわけでございますね。山林を売
つて
納めるということになりますと、この売
つた
ことによる
所得
に対する
所得税
と、
相続税
とり
関係
はこれはダブらないように
只今
手を打
つて
あります。それはこの他の財産で
相続税
を納めたという場合に保、あながち全部
相続税
がこの山林の部分で
評価
するというように
考え
ないでもよくはないかというふうに感じますが、尚
一つ
研究して
考え
て見たいと思います。
永田龍之介
65
○專門員(永田龍之介君) 山林の継承税の場合に
課税
対象
をどうするかという点で、我々としては立木というものか
法律
の建前からい
つて
、動産だが不動産だか分らないし、税の立場からいうごときによると
所得
とみる、ときによれば全部財産とみるというような格好にあるように見受けられるわけです。そこで何か適当な方法を、例えば立木のうちで半分だけは
所得
で半分だけは財産だという手が打てればいいだろうと思うのですが、
楠見義男
66
○
委員長
(楠見
義男
君) もう少しこれは研究して下さい、——大分長く御勉強を頂いたようでありますから、本日はこの
程度
にいたしたいと思います。 午後三時四十六分散会 出席者は左の
通り
。
委員長
楠見
義男
君 理事 石川 準吉君 藤野 繁雄君
委員
門田 定藏君 柴田 政次君 高橋 啓君 星 一君 赤澤 與仁君 加賀 操君 山崎 恒君 板野 勝次君 池田 恒雄君 岡村文四郎君
政府委員
大蔵事務官 (主税局税制課 長) 原 純夫君 事務局側 常任
委員会
專門 員 永田龍之介君