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1949-11-14 第6回国会 参議院 農林委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月十四日(月曜日)    午後二時二十五分開会   —————————————   委員の異動 十月二十五日(火曜日)委員大畠農夫 雄君辞任につき、その補欠として岡田 宗司君を議長において選定した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○家畜伝染病予防法の一部を改正する  法律案内閣送付)   —————————————
  2. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 只今より委員会を開会いたします。本日は去る十月三十一日予備付託となりました家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案につきまして、政府より説明を聞き、質疑を行いたいと思います。それでは先ず政務次官より提案理由説明を求めます。
  3. 坂本實

    政府委員坂本實君) 只今審議を願います家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  現在都道府県知事は、家畜伝染病予防制遏のために、定期的に又は緊急の場合に家畜検診を行うと共に、免疫血清若しくは予防液注射或は薬浴等を実施し、万一伝染病が発生した場合又は蔓延の危險が濃い場合に、これを防遏する手段として、伝染病に罹つた家畜の隔離又は殺処分を行い、又病毒に汚染した物品燒却、埋却を行い、他方一定の地域を限つて家畜の出入り若しくは往来の禁止又は伝染病病毒を伝播する虞がある物品の運搬の制限を行う等の緊急措置を構じ、その目的達成に努めているのであります。  而して従来右に申し述べました措置のうちで、家畜の殺処分若しくは物品燒却、埋却等の処置又は予防注射等を行いましたために生じました家畜死亡等に対しましては、「三万円」を越えない範囲内で政令の定める額の手当金を、都道府県知事がその所有者に交付するように定められ、しかもその費用は、現行法第二十三條の規定によつて国負担することになつているのであります。  然しながらこの手当金額につきましては、家畜及び物品の最近における著るしい値上りに比載して少額にすぎ、殺処分、その他防疫上必要な処置の徹底を期し難い実情にありますので、これらに対する手当金の額を「九万円」を超えない範囲まで引上げ、防疫事業の完璧を期するとともに、畜産業の健全なる発達に資せしめようとするのが本改正法律案趣旨であります。  何とぞ愼重審議の上、速やかに御可決あらんことを希望する次第であります。
  4. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 次に、齋藤衞課長から、これに附随した一般的説明を、農業保險課岡村技官から共済関係説明を聞くことにいたします。速記を止めて……。    午後二時二十八分速記中止    ——————————    午後三時二十六分速記開始
  5. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 速記を始めて。それでは一応本案につきましては、提案理由とそれに関連いたしました種々の参考資料についての説明を伺つたわけでありますが、これから質疑に入りたいと思います。質疑本案直接の質疑もあろうと思いますが、一般畜産に関する質疑、いずれでも結構でありますから、どうぞお尋ね頂きたいと思います。
  6. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 家畜伝染病で、この畜主に一番影響をするのは、殺処分によるものでありますが、それには伝染性貧血とそれから牛の結核、最近はやつて参りました脳炎の三つが、主としてその対象になつていると思うのでありますが、伝染性貧血にしても、それから牛の結核にしても、実は非常に結核があるというので、殺処分を始めて見たところが、非常に被害が多いというので畜主の方から抗議を申込まれている。注射をして見たんだが、その後別にどうということもなくて終つたという例もありますし、私考えて見まするに、一体結核病のある牛からとつた乳を人間が飲みますと、その伝染が一体何ぼぐらいあるかということを知りたいが、若し現われておりましたら、それを聞かせて貰いたいということと、それから伝染性貧血にかかつておる馬がうまく見付かれば、それでやつておりますが、割合肉付のいい、ぴんぴんしている、昨日まで使つてつた馬でも、実はやつておるのでありまして、これは見逃せばそれが全部駄目になつたり、或いは沢山そこらに蔓延しているかというと、そうでもないようでありますが、これは放つて置くと結局その馬は駄目になるのか、或いはそれとも治る馬もあるのか、それがはつきりする、しないで残して置く馬もありますが、畜主の方では、非常に悪い場合に、どういうものかいい馬がかかり易いのであります。そうすると非常に惜しいものですから、慾の深い人間は隠したりする例がありますが、よく分つた人は、それはいかんことでありまして、病名がはつきりすると、却つて望んで殺処分を申込む者もあるようでありますが、置けば治るということがあるのか、かかれば絶対に駄目なのか。伝染は隔離したようになつておれば、割合に……、先ず虻とか蚊とかいうものが非常な仲介者であるということでありますが、その点お分りになつてつたらお聞かせ願いたいと思います。
  7. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) ちよつと最初にお断わりして置きますが、技術的な專門的な答弁説明員でありますけれども、齋藤衞課長にお願いした方がよいと思いますから、それだけ御了承願いたいと思います。
  8. 齋藤弘義

    説明員齋藤弘義君) 結核牛牛乳を飲んで結核がうつるかうつらないかの問題でございますけれども、これはうつる例がございます。御承知のように我が国では、生の牛乳一般的に沢山飲むという慣習が、ございません。はつきりと具体的にこの結核病の牛の乳を飲んで、こういう結核なつたという事例はつきりした事例は持つておりませんけれども、世界の学界の発表するところでは、殊に英国あたり状況によりますと、小見の結核の場合、その三五%ですか、三六%は、この牛の結核にかかつた結核に汚染された牛乳を飲んだためにうつる。尚関節炎、その他出ますけれども、そういうような病原部から余計に結核菌を検出いたしております。でありますから、うつるということは確かに申されると思います。ただ問題は、こういうような病気でございますから、非常に慢性の病気であります。それで炭疽であるとか、牛疫だとか、或いは日本脳炎というふうに、うつつてからの状況によつて、直ぐと出ればはつきり分りますけれども、これが出るには長年の経過が要りますので、又その間に或いはよそから伝染したのかも知れませんし、はつきりしたあれは分りませんけれども、それから統計的に見ましても、大体において、例えば全国的に見まして、人間結核の多いところと牛の結核の多いところとは大体山が合つているように思います。例えば農村あたりでは非常に少ないのでありますが、殊に農村でも石川あたり人間結核が多いのであります。それと同じように、牛においても石川あたり結核検出率が多いのであります。こういうような関係、又長年この結核予防をやつておりますというと、この結核牛を飼つていた家で、いろいろと結核牛の持主か、或いはその家族の者が結核にかかつたという例もちよいちよい聞くのであります。併しそれは果してその牛からうつつたかどうかという証拠はありませんけれども、そういうような事例相当ございます。いずれにしましても、食品衞生法で以て、その結核にかかつた牛の牛乳は消毒しなければ使えないように法律でなつております。一応人間にもうつるということで予防をしております。それから伝貧関係でありますが、伝貧は御承知のように非常にむずかしい病気でありまして、その病気であるということを診断するのは、相当確実に現在では診断ができるのであります。但しその病気だと言つても、その症状が出るまでに又いろいろの期間がございますので、実際に伝貧と診断しましても、学問的にいろいろ組織検査であるとか、血液検査であるとか、そういうような検査をいたしまして、病馬であると決めましても、それが臨床的にははつきり出ていない場合が多いのであります。又そういうものが非常に危險なのであります。で伝染性貧血にかかりましても、最初症状を現わさない。それでいてだんだんと病気が重くなつて症状を現わす、そうしてその経過にどのような症状なつたならば、伝貧の毒を外に出すかというようなことが分りますれば一番簡單なことでありますが、現在のところでは全然それが分らないのであります。それで大体において栄養をよくし、そうして余りに過激な労働をさせない、大事に飼つておれば、割合と長持するのでありますが、競馬のようなものに走らしたりしますというと、体力を相当使いますというと病気は非常に進行し易いのであります。又その進行はどの過程において、毒を周りにばらまくかという時期がはつきり学問的にはしておりませんけれども、例えば最近近畿あたり競馬馬検診をやつておりますけれども、前回で以て怪しい、疑いというようなものを付けられたものが走りますと、今度走つたためにすつかり病気が重くなりまして、そうして死んでしまつたというような例が相当数多くございます。ただ防疫的の見地から申しますというと、その病気にかかつておりましても、その馬がこの病気をうつす元を、黴菌、病毒を外へ出さない状態ならば、それは放つて置いても構わないのでありますけれども、そのけじめがどうしても現在のところでは付かないのであります。どうしても先に発見しまして、適当に隔離してよそにうつさないようにするか、或いは症状も進んで、よそへ病気を蔓延させるような虞れのあるものは、状況によつては、その周りのものの安全を確保するために殺さなくちやならない。それで隔離してそのままにして放つて置けば、治るかどうかということでありますけれども、殆んど治る見込はないと申上げてもいいと思います。一時戰争中陸軍あたりがこの伝貧問題に手を燒きまして、この伝貧にかかつた馬ばかり集めた中隊なり部隊でやつて見ようと、満州あたりでやりましたけれども、やはりああいうような相当の労役に服しますと、やはりどんどんと消耗して行くのであります。殊にそれが健康馬の中に混つておるような場合でありますと、健康馬に対する危險が非常に増大するわけであります。ちよつと治るかどうかという点では、治らないと申上げた方が現在の学問の常識ではいいと思います。
  9. 北村一男

    北村一男君 獸医手受験の報告を拜見いたしましたが、この問題は前の国会に、本院におきましても楠見委員長を中心として、救済対策には非常にお骨折を願つて、又畜産当局の深い御理解もあつて、こういう結果になつたと存じますが、私はこの数字を見て、好成績を納めたというようなことを御発表になつておりますけれども、必ずしも好成績であるとは考えません。それはこの受験をしました千百三十三名の人は、先ず我と思わん者という、非常に自信のある者が受験したものだろうと存じますが、残つておる人は千六百名見当と御発表になつておるのですが、この人達は大変失礼な申分ですけれども、この受験を第一回にした人に比べて、学力、それから実地において劣つておる人と考えますが、非常に自信のある人達受験をしまして、二二・三%の合格者しか出さんということは、今後残つておる千六百名の人は、なかなか受験をしましても合格することは困難であるということを示しておるものと考えます。そこで試験は、これを見ますと、今二回実施なさるというようなことに承わるのでありますが、これを三回、一月と四、五月頃と、それから八、九月ぐらいに、大体三回ぐらいに分けて実施して貰いたいということを強く要望するものでありますが、多分予算関係があつてできないというような御答弁もあるかと存じますけれども、もはや千六百名しかないのでありまして、これをもうできるだけ合格せしめるという最後的の措置でございますから、どうか坂本政務次官も御努力下さいまして予算を極力この方面にお割き下さつて、そうして合格者割合をよくするように、特段の措置を講じて頂きたい。それで今後この千六百名の人達合格に対して、今までより以上の合格率を挙げることができるというような見通しを付けておられるかどうか。それから又予算措置についてどんな見通しであるか。こういうことについて承わりたいと存じます。
  10. 山根東明

    政府委員山根東明君) 獸医手試験実地状況は先程御説明した通りでありまして、実は第二回の試験合格率二二・三%、これ自体が比較的好成績と申しますか、合格率が高いと御説明したわけでありますが、事実従来獸医手試験を実施しておりました当時の合格率は、実は非常に低くつて、一四・五%程度であつたのでありますが、先般実施しました試験では、その比率と比べましても大分実はよくなつておるようであります。そこで更にあと二回やる予定で実はあるのでありますが、これを三回に殖したらどうかというお話のようでありますが、国が全国的に数ヶ所で試験を実施しますし、且つ学術試験と同時に、引続いて実地試験をしますような関係もありまして、そう簡單に……、実はできるだけ多く実施したいとは思つておりますが、現在の見通しとしましては、あと二回がせいぜい、これでも相当準備その他でむずかしいのじやないかと、こういうようなことで、実は二回に止めざるを得ないような事情であるのでありますが、その間にこの御説明にもありますように、極力講習会その他を開きまして、試験準備につきましては関係団体等の主催で以て万全を期して行きたい。そういうことにいたしますれば、特にこれで試験が最後だというようなことにもなりますので、受験者準備その他も恐らくは、これは私共の想像でありますが、恐らく背水の陣でこれに臨むというようなことでありましようし、私共として試験の採点に手加減を加えるというようなことは困難ではありますけれども、この第一回の試験の結果から見まして、あと二回で大体残つておりますもので、本当に箸にも棒にもかからない程度の人でない限りは、これは救済できるのじやないかというふうな、実は見通しを立てておるわけであります。
  11. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 家畜伝染病予防法は根本的に改正されるというような話を聞いておつたのでありますが、今回提出されたところの法律案によつて見まするというと、ただ第二十四條だけの改正になつておるのでありますが、その他の点においても近く改正される意思があるのであるかどうか、又今回ただ第二十四條だけの改正に止められたところの理由はどこにあるのであるか、この点お伺いしたいのであります。家に、三万円を九万円に改められたということは、提案理由によつて、物価が騰貴したからということでありますが、現在の家畜値段からいたしますというと、九万円も余りに高いところのものに比較するというと、安過ぎるのじやなかろうかと、こう考えられるのであります。従つて九万円というものを、時価の範囲内においてというように改めることはできないのであるか。九万円という価格を定められたところの算出上の根拠をお示しを願いたいと思うのであります。  次に、家畜市場法の廃止に件つて家畜取引が自由になつたのでありますが、一方においてはいろいろの弊害を釀しておるのであります。又家畜市場には沢山の牛馬が集まるのでありますから、伝染病予防の方からも何とか対策を講じなくちやならないと考えるのであります。これらの点について、家畜伝染病予防法の中に、それらの規定を入れられる意思がないのであるかどうか、この点お伺いしたいのであります。
  12. 山根東明

    政府委員山根東明君) 家畜伝染病予防法の根本的な改正につきましては、実は最近いろいろ問題があるのであります。先程御説明いたしました、例の地方庁に対する平衡交付金等の問題も新らしく起りましたので、それらに応じまして、法律の根本的な改正につきましては、私共の下において只今研究をいたしておるわけでありまして、纏まりますれば、或いは次の国会等に御審議を願う段取になるかと考えております。ただ取敢えず、手当金の増額の問題は緊急の問題でありましたので、この臨時国会にそれのみ切り離して提出いたしたような事情であります。それから九万円をどういう根拠で決めたかということは、先程衞生課長からお話をいたしましたような、お手許に差上げております事例に基いて、御説明いたしましたような事情でありまして、家畜価格の推移に鑑みまして、九万円を一応妥当だと考えておるのであります。  次に、家畜市場の問題でありますが、家畜市場につきましても、実はお話のように、只今家畜取引市場法によらない、市場法が先年失効して以来そのままになつておるのでありますが、実は家畜取引を公正にするということは、畜産振興上非常に重要な問題でありますので、このために必要がありますならば、家畜市場法を制定することにつきましても考えておるわけでありまして、そのための準備としましては、私共の最近における家畜取引状況市場運営状況がどういうふうになつておるかということについて、事情地方庁に照会して調査をいたしておるような事情でありますので、調査が纏まり次第、私共の考え方を纏めたい、かように考えております。その際、市場における各種の伝染病予防防圧というようなことも、当然規定しなければならない問題であるのでありまして、これは最初申しました伝染病予防法の根本的な改正とも関連いたすわけでありまして、併せて研究をいたして参りたいと、かように考えております。
  13. 石川準吉

    石川準吉君 家畜伝染病予防法規定によつて予防液注射等を行うような場合は、これは病気にかかつてない家畜に対しても、予防のためにやるのでありますか、その点一つ。若しそうであるとすれば、これがために死んだような場合におきましては、折角九万円と限度を上げるのでありますから、全額を補償すべきだと思いますが、この点如何ですか。
  14. 山根東明

    政府委員山根東明君) 予防液注射薬浴等は、これは健康な家畜に対しても行うのであります。この場合に、それで死んだものに対しましては、一五分の四の手当を出すことに現在の法律ではなつておるのでありますが、これをそういうことであれば、全額に増額したらいいじやないかという御意見のようでありますが、一応私共も御尤もの御意見のように考えておるわけでありまして、実は現行法では、それぞれの殺処分の場合において、或いは三分の一、或いは五分の四というふうに違つておるのでありまして、この国の負担区分が果して最も妥当であるかどうかという点、お話のように全額でもやるべきじやないかというような点等も、実は法律の根本的な改正の面では、実は考えておるのでありますけれども、大体の考え方といたしましては、全額を補償するということは実は考えていないのであります。勿論殺処分をされました家畜の肉でありますとか、皮でありますとか、そういうものも勿論利用できるものもありますし、先程家畜共済関係お話がありましたように、共済金の受取もあるわけでありまして、これらを全部考慮いたしますならば、現行の率で以て、一応畜主に対して不当な負担を掛けないというような建前に、実はできておるというふうに考えておるのであります。さような趣旨から、たとえ国の予防注射、その他健全な家畜に対する措置に対しまして起つた処分に対しましても、全額を国庫が負担するということは、研究はいたして見たいと思いますけれども、大体現在のままでよいのではないかというふうな考え方をいたしております。
  15. 石川準吉

    石川準吉君 只今説明がありましたですが、御研究せられるというので了承いたします。ただ屍体の評価額手当金差額という問題もその次の條項に出ておるのでありまして、それから限度を九万円に増加したことによつて、これは経済上の変動だということでありますので、第二十四條の評価の第一項が三分の一、第二項が五分の三、第三項が五分の四というふうになつておる。この負担区分を九万円に増加する場合には、当然経済変動に応じて考慮しなければならんと思います。従いまして次期のときには併せて考慮の上で万全を期して頂きたい。というのは、これも日本にはどうしても家畜の導入が極めて重要になつて来ますので、私はその点特にお願いして置きます。  それから今のと関連いたしまして、家畜共済組合に入つておる連中が、少しずつよくなつておりますが、非常にまだ質が低いのでありますが、この予防法と関連いたしまして、今局長が申されたような意味からして、できるだけ家畜共済に入るように、これは格段の処置を講じて頂きたい。かように存じます。
  16. 羽生三七

    ○羽生三七君 食糧問題の解決という大きな見地でこの問題を論ずるのは変でありますけれども、私共は前から日本の食糧問題の解決のみならず、農村民主化とか何とか言いましても、結局家庭の婦人の解放ということが一番大きな問題になると思うのでありますが、そういう両方の意味から言つて畜産振興により、特に朝の一食くらい、パンと、ミルクとバターの生活をしなければ駄目だ。それができれば農村家庭の非常な余裕ということによつて進歩も促されるし、又食糧問題も解決できる。そういう両面を考えておるのであります。ところが実際問題として、私共は東京市中にはチーズバターなんか相当沢山余つておるけれども、一般家庭或いは農村にはなかなか消費されない。或いは又東京では半ポンド二百円で売つている。私共の方では山間地で、実際に乳牛が多いのであるが、そこでは半ポンド百円で、百円の差額があつても実際の家庭ではちよつと高くて使えない。こういうふうな状態にあると思います。それで私共は畜産の奨励という意味を、單に農業技術の改良とか、畜産農業に導入するという面だけでなしに、そういう食糧の面を通じての農業近代化という意味で、もつと大幅に取上げたいというような気持を我々は持つておるわけであります。そういう意味政府がお考えになつて日本にそういう現実的な可能性が存在しておるかどうか。或いはもつと需要があれば幾らでも供給できるのかどうか。それらの点を簡單でよろしうございますから、ちよつとお見通しを伺いたいと思います。
  17. 山根東明

    政府委員山根東明君) お話のように、私共も乳製品をもつと我々一般大衆が、これを消費するようにいたしたいと考えておるのでありまして、そのために酪農振興にも力を用いておるわけであります。遺憾ながら今日の現状では、バターチーズにしましても、とても一般大衆には手の出せない、高い値段現状であるのでありまして、そのために、現に乳製品等は我々はなかなか食べられなくても、実は市場のストツクとして或る程度ダブついておるという、おかしな現象になつておるのでありまして、專らこれは価格をもう少し安くするということによつて解決しなければならん問題だと考えておるのであります。そこで御承知のように、乳の価格は殆んど半分は餌の価格が影響しておるわけでありまして、結局は餌が非常に高いために乳が高い。そのためになかなか手が出ない、こういうのが現状でありますので、私共としましては、できるだけ餌を安くする、配給の餌も安くしなければならんのでありますが、野草の栽培なり或いはサイロの普及なり等によつて、できるだけ余り高い配給飼料に依存しないで、自給飼料、それをできるだけ安く、安い自給飼料によつて牛が乳を出して行くように、こういう方向でそういう酪農経済合理化の面で、この問題を解決したいというような考え方で、いろいろな施策を考えておるわけであります。私共としましては決して、乳製品現状でダブついておりますけれども、これを以て我が国ではすでに乳製品の増産は頭打ちした、その必要はなくなつたというふうな考え方はいたしていないのであります。
  18. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 時間の都合で本日は質疑はこの程度にしたいと思いますが、私からちよつと御注文、お願いして置きたいのですが、一般的な問題として、大体四つの項目について、この次の委員会のときに御説明を頂きたいと思う問題があります。その一つは、競馬益金の処理の問題です。これはこの前の競馬法改正のときに、衆議院でも、参議院でも随分問題になつたことなんですが、これの益金増加見込分予算面にどういうふうに現われておるかということを、具体的に一つ説明して頂きたい。それが一つ。  それからその次は、今もお話がありましたが、畜産の増殖計画でございます。これは第一国会から毎国会畜産関係についてはこの問題を中心にして、いろいろ説明を伺つたり、又質疑を交したのでありますが、この畜産増殖計画について、これも具体的な実施方策その他がありますれば、これも併せて伺いたい。それから三番目は、今羽生さんからお話がありました問題に関連しておりますが、有畜農業と言いますか、家畜導入についての具体的な施策、こういうものが若しあれば、これも御説明頂きたい。  最後に、今局長さんからもお話があつたんですが、飼料対策、この問題は、実は飼料配給公団の措置について、我々も今検討をしておりますが、この問題とも関連を持つて来る問題なので、飼料対策について具体的なお考えなり、又方策があれば、これを一つ説明して頂きたい。外の委員の方々からも、或いは一般的な問題について御質問があるかも分りませんが、大体以上申上げたような四つの点について、一つ資料を整えて御説明願いたい。  それから委員の方に申上げますが、実は先程お手許にお配りして置きました第六回国会農林委員会議事予定というのをお配りして置きましたが、この問題は、実は先般委員長、各理事の方々との打合会におきまして、大体この国会においては、こういうような点が問題になり、又こういうような事柄について一つ審議をやつて行こうじやないかというようなことで、大体御相談をいたしましたような事項を整理したのであります。法律案におきましても、まだ政府提案としてはつきり決まつておらないものもございますが、大体予想されておるとうなものを書いて置きました。  それから問題は、この三の議案の点でありますが、薪炭問題、それから食糧問題、農地問題等につきまして、相当掘り下げて実は検討いたしたいと考えておりました。実はその最初の問題として、明日午後から、薪炭問題について政府の各部町或いは会計検査院、その他から説明を聽取することにいたしておりました。その資料の極く一部でありますけれども、これはお手許にお配りしてありますから、予めお目を通して置いて頂きまして、明日は資料の余部がございませんので、その資料を持つて御出席頂きたいと思います。それから尚、明日は薪炭関係については、林野庁が関係方面との会合がございまして、林野関係は出席できませんが、会計検査院なり、或いは行政管理庁なり、経済調査庁、こういうような方面から出席を求めておりますので、その辺も御了承置き頂きたいと思います。尚この家畜伝染病予防法の一部改正におきましては、次の機会にいずれも理事の方々と御相談いたしますが、その際に只今委員長から申しました一般畜産関係の問題について、当局から説明を聽取いたしますと共に、それが済みますれば、法案の細部に入つて、更に又御審議を続けて頂きたいと存じます。では本日はこれで散会いたします。    午後四時五分散会  出席者は左の通り。    委員長     楠見 義男君    理事            羽生 三七君            平沼彌太郎君            石川 準吉君            藤野 繁雄君    委員            門田 定藏君            北村 一男君            星   一君            赤澤 與仁君            加賀  操君            徳川 宗敬君            山崎  恒君            岡村文四郎君   政府委員    農林政務次官  坂本  實君    農林事務官    (畜産局長)  山根 東明君   説明員    農 林 技 官    (畜産局衞生課    長)      齋藤 弘義君    農 林 技 官    (農政局農業保    險課勤務)   岡村  實君