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1949-11-21 第6回国会 参議院 通商産業委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十一日(月曜 日)    午後一時四十七分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○小委員会設置の件 ○特別鉱害復旧臨時措置法案(内閣送  付) ○輸出品取締法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○電力問題に関する調査の件   —————————————
  2. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) 只今より委員会を開きます。  議題に入ります前に、本委員会付託になつております請願及び陳情の取扱に関し御諮りいたします。只今まで付託になつております請願は十三件、陳情は三件、計十六件であります。そのうち電気関係が八件、鉱業政策に関するものが五件、その他雑件が三件となつておりますが、これらの案件につきまして深切に内容審査し、又委員会運営を能率的にするために、先国会でも行いましたように、請願陳情に関する小委員会を設置したらどうかと考えますが、如何でございましようか。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  3. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) 御賛成と認めます。  次に小委員の人選でありますが、如何いたしましようか。    〔「委員長一任」と呼ぶ者あり〕
  4. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) それでは委員長において指名させて頂きます。  広瀬委員中川委員境野委員宿谷委員鎌田委員栗山委員下條委員、以上七名の方に小委員をお願いいたします。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  5. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) 次に特別鉱害復旧臨時措置法案提案理由説明を聽くことにいたします。
  6. 進藤武左衞門

    政府委員進藤武左衞門君) 特別鉱害復旧臨時措置法案提案理由を御説明申上げます。  只今議題となりました特別鉱害復旧臨時措置法案について、その提案理由を御説明いたします。  この法案は、いわゆる「特別鉱害」の復旧に関する臨時措置について規定したものであります。そこで先ず特別鉱害とは、いかなる鉱害を指すかと申しますと、法案第三條第一項各号に該当する鉱害でありまして、且つ第二条第二項に明かにしてありますように通商産業大臣が認定したものでありますが、簡單にいえば戰時中の強行出炭に基因して発生した鉱害であつて、而も急速に復旧を行う必要のあるものであります。特別鉱害を急速且つ計画的に復旧するという方針は、愼重な検討の結果、政府において昨年四月以降採つて参つたところでありまして、その際復旧を必要とする理由としては、石炭及び食糧の増産並びに防災に重点が置かれたのであります。爾来この方針に基き復旧事業が施行されて来たのでありますが、その工事費財源は、国費及び地方公共団体負担金の外、出炭屯当り十六円十一銭の割合で炭価に織り込まれた特別鉱害復旧費配炭公団にプールする方法によつて調達したのであります。然るに、御承知のように、本年九月十六日を以て配炭公団は解散し、石炭統制は撤廃されたのでありまして、その結果右の復旧工事費の主要な財源が失われることとなつたのであります。しかしかような事態発生のために、すでに発足し順調に進捗中のこの継続事業を突如として中絶させるわけには行かず、又特別鉱害復旧を急ぐ事情も、その個々の内容において多少の変更はありますが、全体としてはますます増大して来ているのであります。かてて加えて、右の事情変更知つた特別鉱害被害者をはじめとして、その関係者の懸念と焦慮は、きわめて深刻なものがあつたのであります。かくて従来の配炭公団プール資金制度に代るべき新しい財源措置を求める声が現地を中心に澎湃として起り、政府に対して強い要望が行われたのであります。政府はここにおいて速かに所要の法的措置を講ずることとし、可及的従来の線を踏襲してこの法案を立案し、事の緊急性を考慮して、今回の臨時国会に提案することとした次第であります。  次に法案内容簡單に御説明いたします。  法案目的は、第一條に明らかでありますように、石炭鉱業による特別の鉱害を急速且つ計画的に復旧することによつて公共の福祉を確保し、併せて石炭鉱業の健全な発達に資することにあるのであります。而して特別鉱害の認定及び特別鉱害発生関係のある鉱業権者指定は、通商産業大臣鉱害対策審議会に諮問してこれを行うこととしてあります。復旧工事施行者は、原則としてこの指定を受けた鉱業権者でありますが、他の法令に定のある場合にはそれによることとし、又復旧工事に要する費用の全部又は一部が国の公共事業費によつて支弁される場合その他公共事業として施行される場合には主務大臣が定める者としてあります。復旧工事施行者は、工事計画工事の完了の時期並びに工事に要する費用及びその費用のうち特別鉱害復旧団負担となる費用について、あらかじめ主務大臣の認可を受けることとなつております。この法案で特別な鉱害復旧団という法人を設けておりますが、この法人は国及び地方公共団体負担とならない復旧工事に要する費用の供給を確保し、石炭鉱業による特別の鉱害の急速且つ計画的な復旧に資する為に設立されたものであります。而して、復旧工事に要する費用は、国又は地方公共団体負担となるものを除いては、原則として特別鉱害復旧団負担することとなつております。このため特別鉱害復旧団は、原則として石炭目的とする鉱業権者より、石炭一屯につき二十円を超えない範囲内において通商産業大臣が定める金額にその出炭量を乗じて得た額の納付金を徴收し、工事施行者にその復旧費のうち特別鉱害復旧団負担すべき金額を支拂う仕組となつております。最後にこの法案は、有效期間五ヶ年の臨時立法でありまして、この期間内に特別鉱害復旧を完了する予定でありますが、そのため復旧工事の規模は、差当り年間十億円程度を目途としております。以上で説明を終りますが、何卒愼重御審議の上可決されんことを希望いたします。
  7. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) 只今説明法案につきましては、委員におかれてもいろいろ資料調査等の時間も必要かと思いますので、質疑は次回に延すことにしたら如何でしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) ではさよう決定いたします。  次に輸出品取締法の一部を改正する法律案、公報には予備審査と出ておりますが、衆議院を通過いたしましたので、今日から本審査になるわけであります。これにつきまして前回提案理由説明をお聽きしたのでありますが、尚政府において敷衍して御説明されることがありましたらこの際お願いいたします。
  9. 岡部邦生

    政府委員岡部邦生君) 簡單改正理由要点を御説明いたしたいと思います。この度の貿易自由の原則、いわゆるローガン・ライン、殊に輸出貿易については大体若干の品目輸出につきまして制限が残るかもしれませんが、その外については殆んど制限なく輸出されることに相成るわけであります。従来とも我々が痛感いたしておりましたことは、現在のいわゆる貿易自由の原則によりますと、買手と売手との合意がございますると、即ち粗悪品でも出て行くというような実情でございました。殊に、例えば具体例を申しますと、一部のミシン等につきまして、殆んどあちらに着いても動かない、子供のおもちやにしかならないというのが出て参ります。或いは十時間ぐらいしかつかないような電球が出たというような実例がございます。それで今後こういう自由の原則になりますと、尚その傾向が或る意味においては助長されはしないか、そういう点は、我が国の貿易を将来伸ばしまする上から言いましても、是非やかましく言わなければならないものだと存じますので、今度の改正案の一番主たる要点はそこにございまして、特に主務大臣指定いたしまする時には通常の用法において正常の機能を果さないような輸出品につきましては、輸出を防止するために必要な輸出最低標準及び包裝条件を決め得るというようにいたしたいと存じておる次第でございます。  その次に申上げますのは、現在の輸出検査は大体民間検査でございまして、政府の持つております検査所は、これはその検査のいわゆる標準又は条件等の設定をやりますとか、或いはそういう検査が適当に行われておりますかどうかということを或る程度調べて、国営検査所がやつておるのでございますが、それに関しまして、従来は輸出業者だけがその条件に対しての等級の表示をなさなければならない義務を負つておつたのでございますが、それでは非常に不適当な場合が多うございまして、むしろその条件を付ける義務生産業者に負わせる方がいいじやないかというように考えましたので、そういう責任者輸出業者に限らずに、生産業者にまで及ぼしたいというように考えたわけでございます。  その次には国が行います検査につきまして、臨検検査権を與えて頂きまして、それによつてそういう民間自主検査がうまくいつておるかどうかということを調べ、従来ともこの検査につきましては、その検査機能が或る程度充実しておりますところに対しましては、それ程やかましく言うておりません。大体一番問題になつておりますのが、いわゆる雑貨関係とか、機械関係のものにつきましては、余り充実しておりませんし、又業者等も相当多数におりますので、そういう点について重点的に遂行しておるわけでございます。簡單に申上げますと、九月末で約四千件余の臨検検査をいたしました時に対しまして、事故を発見いたしましたものが五百七十八件ばかり、大体一四%ぐらいの比率じやないかと思います。併しながら繊維関係等につきましては、それが殆んど四%ぐらいでございまして、その比例におきまして外の方が相当事故が多い。こういう点は民間検査機能が大体整備して参りますと漸次減つて参るものだと我々は期待しておりますが、それまでの間の繋ぎといたしまして、こういう点でやはり臨検検査をいたしております。臨検検査いたしまして、適当の指導をいたしまして、それによつて等級を変えるとか、或いはそれぞれに応じたやり方を教えてやるとかいうことによつて、又それを直し得るのじやなかろうかというように考えたわけでございます。  その外に若干条文の整理がございます。それは輸出不能品の買取り規定を削除いたしたのであります。それは現行法によりますと輸出不能になりました物つきましては政府が買取ることに相成つておりますが、これは昔のいわゆる政府貿易管理下における形としてはこういうものがよかつたのでございますけれども、今度新たに大蔵、農林、通産、運輸省の共同省令輸出向け流用防止規則というものが出まして、この規則内容輸出品につきましては優先的に資材を割当するということの外に、それに対しまして出ましたのは輸出に不適当な最低のものを作つてはいけないということと、輸出用の品をよそに流用してはいけないということが内容になつておりますが、最後にでき上りましたものが不適当品の場合には、それはその理由如何によつて主務大臣がそれを国内に流用することを認めてやろう。併しながらこれは飽くまで民間自由売買、勿論ビッド等方法によるかも知れませんが、政府が買取る方法にはよらないということになつておりますので、そういうことは貿易の問題だけじやなしに、この本法対象になつておりますような品目の問題じやなしに、全輸出品につきましてこういう問題が出て参るわけでございまして、その規定本法から削除いたしまして政令の方に譲つたわけでございます。
  10. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) 御質疑を願います。  輸出品のこの品質向上のために検査を嚴重にするということは原則的には異論はないと思いますが、検査員が悪質若しくは無能のために、検査に際して必要以上の時間をかけたりして、輸出業者に不利益をもたらしておるという声を聞くのでありますが、政府はこのような点について何か承知されておることがございましようか。
  11. 岡部邦生

    政府委員岡部邦生君) この検査制度ができましてからそれ程日数は経つておりませんので、従いまして業界事情等をよく呑み込めなくつて、そういうことのいろいろの問題を起したということも若干は聞いております。それ等につきましては、十分検査所長その他を督励いたしましてそういう点のないように指導するつもりでおります。
  12. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) 先程の御説明で、貿易対象の転換によつて今後は自由貿易に進行して行くわけでございますが、改正案によると、臨検検査は、政府買上げ以外の輸出品についても、当然行われると、こういうことになるのでございますね。
  13. 岡部邦生

    政府委員岡部邦生君) 指定品目以外につきましても勿論行います。
  14. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) そうすると、臨検検査する政府職員は、良心的で且つ有能達識の者でなければならない、最初お尋ねした立場から……。で、「法文上では單に身分を示す証票を携帯すればよいということになつておりますが、他の法文における臨検の場合と同様でありますが、この検査員素質向上のために政府は特別に何か御研究になつておりましようか。
  15. 岡部邦生

    政府委員岡部邦生君) 大体今後の持つて行き方の考え方を申上げたいと思いますが、これは輸出検査というものは、結局国際的に信用のあるものに相成らなければならないと思いますので、更にこれを今後の問題といたしましては、例えばロイド会社のこういう方面責任者或は研究者とか、そういう方々を招聘いたしまして、そういう人達により検査方法指導をいたしたいというように考えております。そういうことが完全に参りますと、日本検査を課したということで、日本検査フアイナル輸出ができるんじやないか、それが結局好もしいことであるのではないかと考えまして、そういう方向に是非持つて行きたいと考えておるわけであります。それに合せまして、国営検査所の方もそういう方向指導いたしまして、監督行政でございますが、同時に指導行政的にうまい方法を発見して指導監督し、検査による条件如何にして行くかということに指導して行きたいと考えております。
  16. 鎌田逸郎

    鎌田逸郎君 これはこの前の国会で、自主的検査ということで、我々非常に結構なことだ、どうしても輸出業者みずから自分のものを検査し、輸出向のものを出すことが非常にいいということで、我々全面的に賛成したものであるが、今度改正される要点を見れば、何かそれが又逆戻りするような傾向にある。ただ業者から見た感じというものは、官庁検査ということは非常にいいようなことであつて、ただ罰則に縛られて、どうも窮屈である、それを外せば何か抜けたというように考えられるので、そこで日本産業の今後の行き方というものは、やはりメーカーそのものが良心的な物を造つて、そうしてみずからこれを検査をし、そうして遜色のないものをやるというふうに持つて行く方がいいんじやないかと思うのであります。それでむしろこういうやり方は、官庁がやるよりは、いろいろやはり繊維製品も、或は又雑貨等もあると思いますが、そういう業者団体がみずからいい物を造り、又輸出に向くものを研究してやるというような方向に持つて行くことが、日本の今後の産業の行き方じやないかというようなことに考えられるのでありますが、大臣はどう考えられるか、お伺いしたいと思います。
  17. 稻垣平太郎

    国務大臣稻垣平太郎君) 鎌田さんの御質問御尤もだと存ずるのであります。ただ問題は、例えば今度この規定で変えましたように、貿易業者のみならず、生産業者自体が先ず関心を持つて、この検査に従事すること、又現在起きて参つておりますクレームその他の問題から関連いたしまして、現在の段階においては政府においてどんどん検査をも行い得る規定を置いておくということが必要なんじやないか、根本の考え方としては、私は織田さんの御意見同感でありますが、併しながらそういつたような規定を置いておくということが必要なんじやないかと、かように考えておるようなわけであります。尚クレームその他の問題についましては、これが起るということのために、我々が蒙るところの損失は止み難き点がありますので、この点については我々十分留意しなければならない。そこでそういうことの場合を予想いたしまして、できるだけ政府といたしましては御相談に与りながら検査をやつて行くということが必要ではないかと、かように考えております。尚団体としての規定の問題のお話がありましたが、これは例の、どの程度団体検査する問題について許されるかという私は、範囲の問題もあり得るのではないかと考えておるのでありますが、こういつた点について、従来のいわゆる団体の形が、事業者団体法に抵触しない範囲においてのみ許され得ると思いまするので、その辺の点も我々は考慮する必要があるのではないかとかように考えております。
  18. 鎌田逸郎

    鎌田逸郎君 自分ら産業人考え方は、幸に産業人の最も先輩として現在稻垣通産大臣が出られた、こういうように本当に実情に精通をされた大臣が出られたこの機会に、日本産業の今後行くべき進路というものを、今までの官僚統制とか、或いは官僚を主体にした無意義な罰則に縛られるというようなことじやなく、本当に日本産業は自主的にいいものに改良して、おのずから研究をしながら、そうしてその改良進歩を図りたいというような感じを各業者が持つているだろうと私は思うのです。どうかそのつもりで一つ大臣の格別の御盡力と御指導を願いたいと思います。
  19. 稻垣平太郎

    国務大臣稻垣平太郎君) 私鎌田さんの御意見に全く同感なんでありますが、例の事業者団体法、これもまあ事業者団体法について、何といいますか、これの改正といいます修正といいますか、そういつたような声が業界にも相当あることを実は十分承知いたしておるのであります。機会ある毎にその点についてせめて、例えば製品検査なり、価格問題というようなことになりますと、独禁法に触れますけれども、事務的な問題、延いていわゆる規格の問題、或いは検査の問題、こういつたような問題について、事業者組合が自治的にこれを行い得るという形にもつて行き得るならば、私は非常に結構なことと実は考えておるのでありますが、まいその辺は尚機会を見て事業者団体法についての検討を続けて行かなければならないのじやないかと、かように考えております。  十分御趣旨はよく分ります。
  20. 下條恭兵

    下條恭兵君 只今委員長からの御質問もありましたので、委員長質問趣旨も私極めて同感なんでありますが、ちよつとここで一、二お尋ねしてみたいと思うのでありますが、只今振興局長説明されましたことは、相当積極的に検査をやることと、そうして而も指導的に製品向上を図つて行くというような御説明だつたので、私そういう方面職員なんかも相当殖えて、積極的なそういう中小工業指導に当つておやりになるのかと考えておりましたが、今大臣は今後こういう臨検検査のできる制度を設けて置くということで、極めて消極的に考えられるのですが、一体実際の運用はどういうふうにおやりになるんですか。これは鎌田さんも今御意見がありましたように、運用が少し手酷しくなると業者は困る。それから例えば役所の人員の不足から検査が遅れるとか何とかが起きて、そのために積出しが遅れるというような支障が逆に起きて来るというような実際問題がありはしないかと考えるのですが、どうですか。
  21. 稻垣平太郎

    国務大臣稻垣平太郎君) 今の下條さんの御意見検査の問題と、それか中小企業に対する技術指導なり、或いは又中小企業の御相談相手になる問題と混同されておる気味がありはしないか、中小企業に対しては、私この前たびたび申上げたように、工場診断をやる、工場診断をやるだけではいけないので、技術指導もできれば……この業者についてはこういうやり方がよかろう、或いはこういう製品はこういう形にやるのがよろしい、そのためには工業標準化も役立つでありましよう。或いは又その工場の特色を生かした面においての技術指導も必要になつて来ると思います。こういう点についてのお世話は、一体中小企業庁が特別にやつて行きたい、そこで、中小企業庁が、あの人数で行けるかという、よく質問が出るところであります。そこで、それはなかなか困難であります。困難でありますから、この前も本会議で御答弁したと思うのでありますが、場合によれば原局から人をそつちへ廻してもやつて行きたい。来年度の予算におきましては、中小企業庁の方は大体倍ぐらいの人数にする予算を実は中小企業庁の方で取つておりますようなわけでありまして、そういうような観点からその方の指導は十分いたす、ただ検査の面からなかなかデリケートな問題がありまして、実はクレームが起らんような検査をすることが必要である。と同時にその検査のために出荷が遅れる。或いは実際に業界が迷惑する。こういう問題もある。その辺の調節をうまくやることは本当に我々の方の仕事であり、我々の方でやらなければならぬ仕事である。杓子定規にやるべきものではない。かように考えておる。とかく政府でやりますことは杓子定規になるという非難を受ける虞れがあります。それは私は愼まなければならない。併しながら規定規定として嚴然として置くことが必要であつて、その規定を適用することが必要な場においては、私は十分立入つてお世話する必要もあろう、又必要のない場合は、又事業者の自主的な気持に委して置く、こういつたような形でやつて行きたい。かような含みであります。
  22. 下條恭兵

    下條恭兵君 私は中小工業の育成のことを主眼にしてお尋ねしたわけでもなかつたのですが、この先刻来の御説明でも、まあ繊維製品のようなものは割合成績がよい。雑貨機械は非常に成績が惡かつたということでございますが、これは従来の、過去の輸出関係なんかからいつて機械雑貨が惡いといつても肯けるのでありますが、雑貨機械となると非鶴の品種が多岐に亙る。これはなかなか役所の方でもそれぞれのヱキスパートがやるのでしようが、どのくらいの陣容で、どういうふうにしておやりになるという、少し具体的なことを御説明願えませんでしようか。
  23. 岡部邦生

    政府委員岡部邦生君) 先程ちよつとございましたが、これは国営臨検検査でございまして、それがなければ輸出できないというものではございません。従つて臨検検査がなかつたからどうということはございません。それから、それで現在全国で二十七ばかりの輸出検査をやつている組合が、検査所ができておりまして、それらの方が積極的に活躍して参ればよいわけでございます。それから我々の方のいわゆる国営検査所というのは、機械機具検査所、それから京都の繊維製品検査所、横浜の繊維製品検査所、神戸、名古屋、桐生その他、鶴岡、福井、金沢に繊維製品検査所があります。それから日用品検査所東京にございまして、これが尨大なものをやつております。その他に農林省関係輸出食糧品検査所、それから同じく農林省関係農林水産物検査所、それから衞生関係東京衞試験所、それも非常に僅かなもので、人間は全部で五百名ぐらいの人がそれについております。今度の、若干これは範囲の或いは拡充になるわけであります。明年度予算では少しばかり増加して頂くような話をしております。
  24. 下條恭兵

    下條恭兵君 大変よく分りましたのですが、従来でも最初には、鎌田さんからも御意見があつたようですが、最初は余りなにしないのが、機構がだんだん拡充されて来ると、だんだん民間の方がひどく仕事がやりにくくなるという例があつたと思うのですが、この点については一つそういうことが起らんように、さつき言われたよい面だけの御指導が徹底して行くような運用されることを希望しておきます。
  25. 島清

    島清君 ちよつとお尋ねいたしますが、現行法では輸出品目に対しましてはどの程度活用して、どの程度に適用しておられるのですか。その具体的な範囲についてお伺いしたいと思います。
  26. 岡部邦生

    政府委員岡部邦生君) 現在は繊維関係が四十品目でございまして、輸出品目の殆んど全部はこれでやつております。それから機械関係が二十品目で約二割程であります。雑貨関係が十品目でございまして、大体五〇%、化学関係は試薬だけでございまして、それ以上は対象にしておりません。それから農林水産物は三十品目でこれも輸出品の全部であります。医薬品も同じく全部であります。
  27. 島清

    島清君 輸出品に対しまして、現行法に基いて検査をした結果輸出をした、それでクレームができた場合の損害はどういうふうになつておりますか。政府業者との関係はどうなつておりましようか。
  28. 岡部邦生

    政府委員岡部邦生君) 現在は輸出いたしますものは全部貿易特別会計が形の上ではこれを一度買取つているわけであります。結局貿易業者がLCを貰つて参りますと、それを外国為替銀行に持つて行きまして、LCを買取らせまして、そのLCによつて貿易特別会計から払つているわけであります。従いましてクレームが出た場合に、損害賠償をしなければならんという場合には、業者からそれに相当いたします円資金をこちらは払込ませまして、そうして外国為替を払つているというのが現状でございます。
  29. 結城安次

    ○結城安次君 今政府委員の御説明ではクレームの場合に、これが官貿だから向うにクレームを引受けて貰う。メーカーの、輸出業者クレームをとつて賠償させるということをおつしやつていますが、その実例は沢山ありますか。
  30. 岡部邦生

    政府委員岡部邦生君) 輸出品につきましては事実沢山ございます。
  31. 結城安次

    ○結城安次君 事実金は入つておりますか。
  32. 岡部邦生

    政府委員岡部邦生君) それは入つております。
  33. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) 検査に関連しまして、前の国会工業標準化法という法律を出しましたが、あれの方の検査の申込みと言いますか、その後の推移は分りませんですか。
  34. 稻垣平太郎

    国務大臣稻垣平太郎君) 工業標準化については、各それぞれの專門家に集つて頂いて、あの法案に従つて工業標準化標準規定作つているのであります。そのうち基準ができましたものから順次公布いたしております。そうしてその公布に従つて各メーカーがそれに準じた品物を作つて行く、こういうことでありまして、検査の方とは、標準化の方の問題は少し懸け離れた問題であります。
  35. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) いや私の質問しましたのは、検査……
  36. 稻垣平太郎

    国務大臣稻垣平太郎君) その標準化によつて作つた品物を海外に出すという場合に、無論その標準化に従つて規定に従つて検査をする、こういうことに相成るだろうと存じます。標準化の方の目的は結局同じような規格を作つて、そうして輸出の、殊に雑貨なんかはそれによつて価格を逓減して行く、コストを安くして行く、こういうことが狙いであろうかと思います。これは場合によると、標準化をやるということは大量生産をするのだから、従つて中小工業を圧迫をするという御説もあります。又同時に中小工業から言いますと、標準化を作つて貰わなければ圧迫を受ける、こういう議論もありまして、その点はいずれとも……ともかくといたしまして標準化によつて指導して行く、但しこれは各方面に亘つて標準化は全部まだ行き亘つておりません。今それぞれ業種別に検討を加えておるという有様であります。
  37. 中川以良

    ○中川以良君 これからこの改正案が出ますると、従来の輸出品目は更に拡大されます。拡大されるとどういう程度になりますか、具体的に一つ
  38. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) 速記を止めて。    午後二時二十六分速記中止    —————・—————    午後二時四十五分速記開始
  39. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) それでは速記を始めて……
  40. 中川以良

    ○中川以良君 この法案に対しましては、各委員から幾多有益な御意見も出まして当局におかれましても、十分御熱意のほどをお示し頂いております。今更申上げるまでもないことでありますが、ただ統制が逐次解除をされまするに伴いまして、統制業務に携はつておりますところの幾多の官吏の捌け場をこういうところに持つて行くというようなことがないように、あくまでも適材を適所に持つて参るように特に御注意を願いたいと存じます。  それから更に先程大臣もお話がございましたが、これに関連いたしまして事業者団体法適正なる改正に対しましてもぜひ積極的なる御熱意を大臣としてもお示しを頂いて、成るべく早くこれが具体化されるように御努力願いたいと思います。そこで本法案はすでに衆議院も通過いたしておりますので、今や輸出貿易のいよいよ進展をいたしまする折柄、誠に適当なる改正と存じまするので、私は最早大体分つております法案で、逐条審議は省略をいたしまして採決に入るの動議を提出をいたすものであります。
  41. 下條恭兵

    下條恭兵君 只今中川委員の動議に賛成いたします。
  42. 境野清雄

    ○境野清雄君 只今のやつに関連して中川さんのお話の前に一つ聽きしたいのですが、よろしいですか。
  43. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) 先程中川委員からは質疑打切りの動議が提出されておりますが、境野委員の発言を許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) それでは境野委員
  45. 島清

    島清君 それは今……速記を止めて下さい。
  46. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  47. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) 速記を始めて、中川委員質疑打切の動議が成立しましたが、これで質疑を打切つて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) 御異議ないと認めます。それでは討論に入ることにいたします。
  49. 境野清雄

    ○境野清雄君 先程臨検検査の結果が、繊維が大変パーセンテージが少くて大変いいとお話しであつたのですが、私の考えでは今度民間貿易にこれが完全に切替えられるというような形になつて、従来のような、通産省が直接タツチしないような形になつて行きますと、この繊維のうちでも特に中小企業である絹、人絹というようなものは、このパーセンテイージが逆に非常に上るのじやないか、こういうような懸念があるのでありまして、これは一面には従来の註文というようなものが、大体におきまして組合とか或いは大きい団体が仲介になつて仕事をやつておつたのですが、今後は輸出というものが民間貿易に完全に切替えられますと、小さい中小企業の個人々々が、この註文に直接タッチするというような結果から、統一が非常に取り得ないことと、又先程の検査というようなものがありますが、従来の検査におきましても、大体一級品の中に一〇%の二級品は入れても宜しいというのが、アフリカ、印度、スンダ列島等に出ておる絹織物の中に、特に三〇%入れてあるとか、二〇%入れてあるというような、非常なクレームの原因も相当あるのでありまして、そういう点から行きますと、私の考えは先きの鎌田さんの意見と違うのですが、むしろこの取締法を強化しないと、絹、人絹というような零細な企業は、相当息つくような結果になりはしないか、ましてクレームという問題が国家補助でないときに、現在におきましても、輸出品検査輸出業者のみとなつておりますので、この際概念としては輸出業者はこういう概念を持つておらないで、生産業者だからというような法律改正されたとでも思つておるのですから、これが輸出業者生産業者となりましても、生産業者はこのクレームに耐え得る資力もないし、生産業者クレームが来たときに、責任が負い得ないという点が生ずるのでありますので、そういう形でありますから、その点を一つ政府の方で善処して頂くという点においてならば、この法案は非常に結構と思うのですが……
  50. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) 外に御発言ありませんか。
  51. 結城安次

    ○結城安次君 この法案誠に時節柄必要かと思いますので、又法案そのものを見ましても、そう我々割合に指摘するようなことがないのですが、問題は実行が、大体国会を通過した法律でそうひどいものはないが、結果が悪いというのは、末端若しくは指導する者が余程当を得ないからである。今後この法案検査その他について、余程大臣初め局長以下末端に本当に精神を通すようにして頂きたいと希望を付けて賛成いたします。
  52. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) 外に御意見もないように思います。討論は終結したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。輸出品取締法の一部を改正する法律案について採決いたします。原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔総員挙手〕
  54. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。尚本会議における委員長の口頭報告の内容は本院規則第百四条によつて予め多数意見者の承認を得なければならないことになつておりますが、これは委員長において本案の内容委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び票決の結果を報告することとして御承認願うことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) 御異議ないものと認めます。それから本院規則第七十二条によりまして、委員長が議院に提出する報告書につき、多数意見者の署名をすることになつておりますから、本案を可とされた方は漸次御署名を願います。   多数意見者署名     島   清  鎌田 逸郎     宿谷 榮一  宇都宮 登     境野 清雄  阿竹齋次郎     下條 恭兵  廣瀬與兵衞     結城 安次  中川 以良
  56. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) 署名漏れはございませんか。署名漏れはないと認めます。   —————————————
  57. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) 次に電力問題に関する調査議題といたします。特に、電気料金の改訂等につきまして、一昨十九日に関係官庁に内示がありましたので、本日は先ず料金改訂の交渉経過及び今回の内示の内容につき、資源庁長官及び電力局長から説明を聽取したいと思いますが、如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) 物価庁からも見えておりますので、物価庁の第三部長川上さんの方から先ずお話し願いたいと思います。
  59. 川上為治

    説明員(川上為治君) 電力料金の改訂の問題につきましては、相当の期間、向うといろいろ折衝をして参つたのですが、先週の土曜日にE・S・Sの生産部長のケネディー氏の方から一応の案が示されました。その案に対しまして、これは別にデイレクテイブではありませんので、早急にそれに対する意見を出して貰いたいということになつておるわけであります。そこで従来のいきさつを申上げますと、私共の方としましては、すなはち物価庁としましては、現行料金の大体四割五分九厘を引上げるということで、向うに案を出したんですが、それに対しまして司令部の方としましては、人件費の問題、それから石炭代の問題等につきまして、若干これを削りまして、三割二分引上げたということで、大体の話合いが司令部のプライスの方とついたのであります。これが約一月半位前であります。その後司令部の内部におきまして、現行の料金制度そのものについて根本的に改訂すべきであるというような意見が出まして、折角プライスの方と私共の方と話合いが大体ついておるものを、更に検討し直すということになりまして、その後司令部の一担当官の方から、ほんの試案であるがということで、一月位前に又試案が提出されたのであります。それによりますというと、要するに超過料金制度というのをこの際打立てろ。従来は一定の割当以上に使いました時には、罰金としてこれを徴收しまして、それを国庫に納入させるというような方法を採つていたのですが、そういう方法を止めて、一定の割当以上に使いましたときは、超過料金として相当高い料金を課して、そうしてその分は会社の方へ納入せしめるというような制度、それからもう一つは、地域差につきましては、従来三つの地区に分けまして、そうして最高三〇%以内におきまして、それぞれの地域差を設けていたのでありますが、又最初我々の方から出しました案につきましても、そういうような案で行つたのでありますけれども、司令部としましては、その地域差についてコスト主義を採用する、すなはち各地区におけるコストをそのまま地域差に直して持つて行くというような考え方であります。こういうその根本的な二つの変革を持ちました電力料金につきまして、向うから一応の案が提示されたのですが、それに対しまして物価庁としましては、通産省その他といろいろ相談いたしまして、そういうような制度になりますというといろいろな弊害が生じて来る。例えば割当につきましても、極力割当を少くして、そうして超過料金の分を多くすれば、そういう割当の問題について、割当を受ける方と割当をする方との間にいろいろな問題が起きて来るだろう。それから又、地域差をあまりに広く、コスト主義そのまま採つて設けるというようなことになりますというと、例えば中国でありますとか、或いは九州でありますとか、そういう方面では相当電力料金が高くなりまして、中には倍近くなるものもありますし、関東方面ではそんなに上らないということになりまして、これが石灰窒素でありますとか、或いはカーバイドでありますとか、或いは肥料でありますとか、或いはその他電力を特に食う産業については、相当大きな影響を及ぼすであろうというような点を力説いたしまして、そうして基本の料金につきましては、極力割当一ばいに一つつて貰いたい、即ち超過料金というのは比較的少くやつて貰いたい、それから又地域差につきましては、そうひどい差を設けないようにして貰いたいというようなことを向うに再々述べたのですが、この土曜日の向うの試案によりますというと、司令部の根本的な従来の考え方は全然変つておりませんのでありまして、物価庁としまして、いろいろお願いしたことは殆んど容れられていない状況でありまして、先程も申上げました一担当官から、向うの担当官から、出されました試案の根本的な考えは、そのまま採用されて出されております。内容につきましては相当細かい、これは一々この家庭電燈とか、或いは小口電力とか大口とか、或いは地方別に細かく料金まで出しまして、相当部厚い物を頂いておりますので、まだその内容についてどういつたふうにそれが実際問題に当て嵌めた場合にどれくらいになるかということを、いろいろ今検討しておりまして、私共といたしましては、それに対しましてどういうふうにこれを訂正して貰いたいというような意見は、まだまとまつておりません。今明日中にまとめまして、極力この四五日の間には、向うのそれに対する意見を出したいというふうに考えております。そこで、今度の向うから示されました案を見ますというと、基本の料金と、それから超過料金を取るという点については、先程申上げた通りなんですが、その基本料金につきましては、大体水力の発電量はこちらの計画そのままにしまして、火力の発電につきまして、基準年度の発電量を、平均の発電量を取つておりまして、それ以上焚きますと、それはすべて超過料金の方に廻される。従つて石炭を従来の平均石炭量以上に、どんどん焚くならば、それは超過料金の方に廻されて、そうしてそれだけ余計会社の收入になるというような建前が一点であります。それから従つて基本の割当というものは、電力の割当というものは、それはさつき申上げましたように、水力の発電量と、それから火力の従来の平均、それを合したものを基本の割当計画にしてある。従つて、火力の方を石炭をうんと焚きましても、それはその余計焚いたものは、それは超過料金の方に廻されるような仕組になつておりまして、割当そのものが相当減少されるわけであります。それが一点であります。それから第二の点は、地域差につきましては、コスト主義を依然として中心に考えておりまして、私共の方で、最高三〇%乃至四〇%位の率で止めて貰いたいというものは全然認められておりまん。従つて中国とか、或いは九州とか、そういうようなところでは、相当高くなるわけであります。そうして従来は大体三つに分けていたのでありますけれども、今度は九つの地域に分けられて、それぞれ電力料金が違うわけであります。そういうような制度を採つております。それから一定の期限までに、料金を支拂いますものについては割引制度を考慮している。だから電力料金を支拂いますときに、一定の期日までに拂いさえすれば、それに対しまして、或る程度の割引をするというようなことになつております。それからその他の、まあこれは比較的細かい問題になりますが、例えば、特殊電力料金とか、或いはオフイスにおける電力料金、こういうようなものにつきましては、大体率においては、或いは料金においては、若干違いますが、従来の制度をそのまま採つておるようであります。これを総じて申上げますというと、大体今年の計画であります火力を四百六十五万トン程度焚きますというと、三割二分、或いはそれ以上の、これは超過料金も入れまして、收入が会社においてはあるのじやないかというようなことになるわけであります。この制度につきましては從来と相当違つておるわけなんですが、これに対しまする私共の方の一応の考えとしましては、その影響としましては、先ず最初に申上げましたように、石灰窒素とか、或いはカーバイドとか、その他電力を相当使うものについては地域的に相当不均衡を生じ、そして九州とかそういうような方面におきましては、相当コストが高くなつて行くであろうという点。これは言い換えれば、産業に対しまして地域的に相当大きな影響をもたらすだろうという点が一つ。それから第二は、超過料金を、即ち火力の方を一定以上に余計焚けば焚くほど超過料金がうんと入つて来るということになりますので、電力の割当をするに際しましてその間にいろいろな問題が起きて来て、電力割当をするのに非常な困難が生ずるのではないかというようなふうに考えられるというような点。こういうな最初に我々が考えました点につきましては、依然として問題が相当あるわけであります。併しながらこれがどの程度とにかく影響があるかというような点につきましては、尚この内容につきまして今いろいろ当つておりますので、その結果によりましてでありませんとはつきりしたことを申上げられませんが、そういう弊害がありますので、いろいろ検討いたしまして、こういうような弊害があるということを更に向うに申入れをしまして、適当なところで話合いを付けるというようなふうに持つて行きたいと考えております。その影響が併しそうひどくなければ、これは計数を当つてみないと分りませんが、それほどひどくなければ、或いはこういうような制度をこの際実行するということも一応考えられるわけであります。大体そういうような状況になつております。
  60. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) 引続き長官或いは電力局長の方から、何かお話しがありましようか。
  61. 進藤武左衞門

    政府委員進藤武左衞門君) 電力料金の改訂につきましては、只今物価庁の第三部長から経過をお話の通りでございますが、実は電気料金が非常に安いためにいろいろ、例えば工作物の補修でありますとか、或いは石炭の獲得等に支障がございますので、できるだけ早くこの改訂をいたしたいと考えまして、今年度に入りまして四月以降改訂を実はいろいろ要望して参つておつたわけでありますが、大体今までの電氣料金は、いわゆる政策料金と申しましようか、戰爭中から殆んで全国ずつと均一料金的に取扱われまして、それに対してまあ各産業が、どこへ行つて工場が成り立つような料金になつておりまして、その代り日本発送電株式会社に対しまして国家は五分の配当保証をする。これは日本発送電株式會社法によつて五分の配当保証をすることになつておるのでありますが、この配当保証は国家補償の打切りということでなくなつてしまいまして、而も料金は大体前からのやり方を踏襲しておるということでありますが、今第三部長からお話しございましたように、旧配電会社を土台としてその地域の原価を土台とした料金に行くことになつて、火力を焚きますと、その火力を焚いただけの費用が加算されるというような問題、もう一つは支拂に対しましても一定の期日を設けまして、それより前に拂つた者には料金の割引をやる、併しその支拂期日を経過してなかなか頂けない場合には、これは送電停止というふうなことで行くというような、つまり今までの日本の電氣料金の立て方が産業政策的或いは民生安定的の非常な政策的になつておつたのを、今度は企業を主体とした経営の面が相当強く出ておりますこと。もう一つは、いわゆる電氣料金は、戰爭前に日本の電気料金は、大体アメリカ式の料金制を採用しておつたのでありますが、今度はそういう方向を強く採つておるというような結果になつております。これは実は物価庁から出しました日本の案は、そう地域差を付けますと産業に急激に衝撃を与えてはいかんというようなことで、差を四割程度というふうなことで出したのでありますが、向うから今度来られたケネデー氏はアメリカで電気業の経営をやつておられる方でありまして、日本の料金制が、料金の体系から見ても、経営から見ても、矛盾がある、これはやはり電気料金としての本来の姿に変えるべきだという強い主張を持つておられまして、経営者とGHQの当事者と懇談等をいたしました際にも、そういう意向は非常に漏らしておつたのでありますが、今回提示されたのは大体そういう線になつております。そこで一番影響がありますのは、関西以西の火力地帶の料金が特に今度は値上率が多くなる、つまり電源地帶が安くて、水力発電地帶が安くて、火力発電地帶が高くなる、その率が相当開きが出て来るというようなことになりまして、これがまあ産業方面への影響が相当あるんじやなかろうか、この点を物価庁で十分今お調べになつておりますから、こういう点を見ながら我々の意見を出そう、こういうことになつております。ちよつと付加えて申上げて置きます。
  62. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  63. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) 速記を始めて。これから懇談会に入ることにいたしまして、本日の委員会はこれで散会いたします。    午後三時十八分散会  出席者は左の通り。    委員長     小畑 哲夫君    理事            島   清君            廣瀬與兵衞君    委員            境野 清雄君            阿竹齋次郎君            中川 以良君            鎌田 逸郎君            下條 恭兵君            宇都宮 登君            結城 安次君            宿谷 榮一君   国務大臣    通商産業大臣  稻垣平太郎君   政府委員    資源庁長官  進藤武左衞門君    通商産業事務官    (通商振興局    長)      岡部 邦生君   説明員    総理府事務官    (物価庁第三部    長)      川上 為治君