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1949-11-10 第6回国会 参議院 通商産業委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月十日(木曜日)    午後一時四十九分開会   —————————————   委員の異動 十一月八日(火曜日)委員田中利勝君 の辞任につき、その補欠として下條恭 兵君を議長において選定した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○理事互選の件 ○税制改革我が国産業に及ぼす影響  と対策に関する件 ○産業設備営団法及び交易営団法を廃  止する等の法律案内閣提出) ○帝国石油株式会社の一部を改正す  る法律案内閣提出) ○帝国燃料興業株式会社法廃止する  法律案内閣提出) ○帝国興業開発株式会社法の一部を改  正する法律案内閣提出) ○日本製鉄株式会社法の一部を改正す  る法律案内閣提出) ○調査承認要求の件   —————————————
  2. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) 只今より委員会を開きます。田中利勝君が委員を辞任しまして、その補欠下條恭兵君が当委員会に来られましたことを紹介して置きます。  尚保留中でありました理事指名を行いたいと思いますが、前回の委員会において、当委員会の四名の理事のうちで五名を選任して、あとの一名の指名については、これを暫く委員長保留さして頂いていましたが、その後無所属懇談会と、共産党との間で会派別理事割当範囲内で、一種の配置換えとでも申しましようか。その話合いが纏つた旨事務局から報告がありましたので、早速昨日の委員長理事打合せ会に諮りましたところ、御了承を得ましたので、そこで保留中の一名の理事として、兼岩傳一君を指名いたします。
  3. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 どうぞよろしく。
  4. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) ちよつと速記を止めて……。    〔速記中止
  5. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) それでは速記を始めて……。  公報で御通知しております今日の議案を審議するわけでありますが、まだ政府側から見えませんので、順序を変更しまして、税制改革我が国産業に及ぼす影響対策についてという政府側説明を求めたいと思うのでありますが、シヤウプ勧告に基く税制改革我が国産業就中商工業に及ぼす影響は、実施の方法、運用の如何によつては頗る甚大なるものがあり、企業確立の観点から当委員会といたしましても、十分なる検討を要するとの建前から、先ず研究の第一歩として通産省石原企業局長を煩わして、税制改革我が国産業に及ぼす影響対策について説明して頂くことにいたします。
  6. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 只今委員長からお話しがございましたので、今度のシャウプ勧告案を中心とします税制改革案、これはまだ政府といたしまして勧告案は出ておりますが、内容が決定しておりませんようでございますが、シヤウプ勧告案を一応基礎にいたしまして、各産業にどうした影響があるかということを我々の方から調査しておりましたので、その範囲で一応の御説明を申上げたいと思います。  実は先般からいろいろ調査しておりますが、御承知のようにシャウプ勧告案影響は、非常に産業により、業種によりましても違いますし、同一業種につきましても企業内容如何によりましては影響が異なつておりますので、まだ概括的な調査が十分整つておりませんので、私今日は根本資料といたしましては、一応私共の方で相当正確に分つたというものにつきまして、お手許に御配布いたしたのでありますが、或る業種について例えばどうなるかということにつきましては、極く簡單に概略我々が承知しておる範囲で御説明申上げて見たいと思います。尚もう少し時間が経ちますれば、もう少し正確のものが分ると思いますが、後でこの資料につきまして御説明申上げますように、業種或いは企業によりまして非常に影響が違いますので、なかなか概括的には困難な点がございます。この表にはございませんが、主な業種について申上げますと、電力につきましては御承知のように嚴格な料金規制をやつておりますし、形態も御承知のように特殊な形態でございますので、シヤウプ勧告に従いますところの再評価でありますとか、その他固定資産附加価値税というものを適用いたしますと、当然料金をどうするかという問題にぶつつかるわけであります。現在の料金の下におきましては、とてもシヤウプ勧善による税制を受入れるわけはございません。これは物価の問題とも関連いたしますので、シヤウプ勧告が一応資産評価を強制するという建前もございますので、通産省といたしましては電力料金改訂いたしましても、あの実行をなるべくやりたいというふうに考えております。ここに資料は特別にございませんので甚だ恐縮でございますが、若しシヤウプ勧告通りの再評価をやり、それに応じた税を拂つて行くということにいたしますと、再評価につきましては日配が約三十二倍になります。それから配電会社九社合計いたしましてこれは十三・七倍というくらいの倍率になりまして、従つてこれを金額で申しますと、日配については二千百四十八億という再評価資産になります。それから九つの配電会社を合計いたしますと、これは千二百億くらいということで、合計をいたしますと三千億を越す資産の再評価になるということになりますが、シヤウプ勧告にも申しておりますように、陳腐化資産というもりはこれは除外をするということになつておりますが、電力につきましては戰災等で痛んでおるものもございますが、それ以外には特に陳腐化資産として除外する程のものもないかと存じますので、さような再評価をいたしますと、現在の料金につきまして約二倍の値上げが必要という結論になります。現在御承知のように電力料金の問題は、この再評価の問題を放れまして問題になつておりまするが、その案が、いろいろ司令部折衝中でございますが、今までのところ、大体三割二分程度値上げという案を折衝中でございますが、これは再評価関係を全然含んでおりませんので、これにいたしますると、或いは五割という程度になるかと思いますが、現行料金を基にいたしますと、大体二倍の料金にいたしますと、再評価をやり、従つてそれに基きます毎年の償却をやつて行く、固定資産、或いは附加価値税を拂いまして、そうして或る程度の配当ができるという結論になる模様でございます。これは一番問題は料金の点をどう考えるかという点が問題でございまして、その点が目鼻がつきますれば、電力につきましては再評価ということは左程困難な事情はございませんし、初年度におきまして三%の評価税を納めるということにつきましても、再評価によります償却増範囲内で十分納められますので、電力料金改訂がありますれば、この点は、電力につきましては問題ないと思います。ただ物価政策上それが全部できるかどうかという点にただかかるだけだ、かように存じます。  それから石炭につきましては、これは非常にまだ詳しい調査はできておりませんが、大手筋について考えますと、大体再評価倍率シヤウプ勧告に従いまして、三倍から六倍程度という再評価になります。これはあとで御説明申出げますように、外の業種につきましては、大体二十倍から三十倍、もつとそれ以上というような倍率になりますのですが、石炭につきましては、御承知のように終戦後非常に金を注ぎ込んで施設をやつております関係上、割合倍率業種としては低いというような結果になつておるわけで、大手筋につきましては、大体先程申上げましたように、三倍から六倍程度ということでございます。それでこの再評価によります償却はどうなるかと申しますと、現在は大体大手筋につきましては、トン当り六十円ぐらいの償却をやつておるわけであります。それが再評価をしたあとにおきましては三百円くらいになるという見通しでございます。それで現在大手筋のそれじや收益状況如何かということになりますと、これは的確な判断はまだいたしかねますか、大体四百円から五百円くらいの、トン当り收益があるのではないかというふうに考えておりますので、従つて評価をいたしましても、先程申しました三百円くらいのトン当り償却は或いは可能ではないか、こう考えますが、再評価税を三年間に分納することになつておりますので、この点は今のように償却をやつて、而もこれを納めるということになりますと、初年度三%の納税ということはちよつと困難だろうと思います。今申しましたのは、主として大手筋会社でございますので、その他の炭鉱につきましては、これ以上に非常に苦しいということで、再評価をいたしましても決められました評価税を納めるということにいたしますれば、それは不可能だというふうにいえると思います。  尚固定資産税というのは、一応一・七五というパーセンテージが示されておりますので、それを計算いたしますと、これはトン当り八十七円ということで相当これは大きな負担になります。これは将来継続して負担になりますので、これと併せ考えまして、若しシヤウプ勧告通りの再評価を課け、固定資産税が課かるということでございますから、シヤウプ勧告通りの再評価ということは、到底できない、大手筋についてさえ相当これは減額をしてやらなければならん。殊に中小炭鉱等につきましては、明らかに採算割れになつてしまうという結果になると存じます。  委員長どうでしよう、相当時間がかかもかと存じますが……。
  7. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  8. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) 速記を始めて。税金の問題は後程引続き聴くことにいたしまして、政務次官が見えましたから産業設備営団法及び交易営団法廃止する等の法律案帝国石油株式会社法の一部を改正する法律案帝国燃料興業株式会社法廃止する法律案帝国興業開発株式会社法の一部を改正する法律案製鉄株式会社法の一部を改正する法律案、これを一括して政府側提案理由説明を願うことにいたします。
  9. 宮幡靖

    政府委員宮幡靖君) 「産業設備営団法及び交易営団法廃止する等の法律案」について提案理由を御説明申上げます。産業設備営団及び交易営団は戰時中、それぞれ産業設備営団法及び交易営団法に基いて軍需産業生産拡充計画産業、その他国家緊要産業設備の建設又は戰時に際して交易の統制、重要物資貯蔵等目的として設立せられた特殊法人でありますが、昭和二十一年十二月十八日及び昭和二十二年二月二十日閉鎖機関に指定せられ、閉鎖機関会規定従つて解散いたしました。現在大蔵大臣監督の下に閉鎖機関整理委員会特殊清算人として其の清算に当つている次第であります。  然るに両営団法は未だ廃止せられず形式的には尚存続しておりますので、本法案は此の際第一に、両営団特殊清算事務進行状況とも睨合せ両営団法の失効の時期を予め明確にしておくこと。  第二に、両営団法特殊清算を行なうに必要な範囲以外の如何なる業務も行ない得ないこと。  第三に、両法に基き新たに産業設備営団又は交易営団は設立してはならないこと。  この三点に付いて規定を設けまして、両営団廃止に至るまでの法律関係を明確にせんとするものであります。  以上が本案を提出致しました理由でありまして、何とぞ速かに御審議の上御協賛あらんことをお願い申上げます。  次に「帝国石油株式会社法の一部を改正する法律案」につきまして、その提案理由を御説明いたします。帝国石油株式会社法は、石油資源開発を促進しその振興を図るため、帝国石油株式会社政府の特別な監督助成を與え、必要な事業を営ましめる目的をもちまして、昭和十六年、三月十五日法律第七十三号を以て公布されましたいわゆる特殊会社法であります。帝国石油株式会社は、同法に基き、昭和十六年九月一日資本金一億円を以て設立されましたが、政府はその資本金額半額に当る五千万円を出資いたしました。その後同社事業情勢に応じて拡大され、資本金も四億六千万円に増加され終戰に至りましたが、戰時補償の打切、在外資産喪失等によりまして、約三億円の特別損失を生じましたので、特別経理会社の指定を受け昭和二十四年五月十四日に持株会社整理委員会決定指令に基くところの保有株式処分及び夫利用鉱区処分案を織りこみました整備計画提出、これが同年八月三十一日附をもつて條件に認可になりましたので、同社はそのまま存続することになりました。  さて同社石油増産五ケ年計画を強力に推進するために、資本金を十億に増資することとなりましたが、政府は、従来の半額出資の原則に応じがたい情勢にあります。且財政收入確保をはかるために、同社に対する政府出資義務を解除し、政府所有株式処分することができるようにする必要がありますので、取敢ずその一部を改正して、政府出費義務等同社資本金に関する規定を削除するためこの法律案提出いたす次第であります。  なお政府出資義務の解除された後におきましては、同社に対する政府の今後における施策を、石油鉱業一般基礎の上に立ちまして考慮し、速かにその準備措置も講じた上帝国石油株式会社法廃止いたす心組みであります。何とぞ愼重御審議の上可決されんことをお願い申上げます。  次は「帝国燃料興業株式会社法廃止する法律案」についてその提案理由を御説明いたします。御承知の如く帝国燃料興業株式会社は、帝国燃料興業株式会社法に基きまして、主として人造石油製造事業に対する投資をなす目的を以ちまして昭和十三年一月十九日資本金一億円で設立されました。政府は、人造石油製造事業振興を図るため、同社資本金に対しその半額の五千万円を出資いたしまして、直接帝国燃料興業株式会社法による強力な監督助成を行いましたが、その後同社事業も漸次拡大されまして、資本金も二億五千万円に増加され、投融資事業に並行いたしまして、直接人造石油製造事業を営みましたが、終戰後は樺太その他にありました海外資産喪失、国内諸施設戰災及び政府補償の打切等甚大な影響を受け、特別損失額は八億円に達しましたので特別経理会社となりました。同社は、その残存施設を利用して硫安製造用原料ガス製造等を行う三会社を作りまして、これらを第二会社とし同社は解散する整備計画提出いたしましたところ、本年四月二十六日認可されましたので、それぞれ第二会社現物出資を終り、同年七月七日に解散いたしました。  以上申上げましたように同社が解散いたしました後におきましては帝国燃料興業株式会社法は然るべく早く廃止する必要があるものと存じます。ここにおきましてこの法律案を提案いたす次第であります。  何とぞ愼重御審議の上可決されんことを希望致します。  次は「帝国鉱業開発株式会社法の一部を改正する法律案」につきまして御説明いたします。  御承知のごとく帝国鉱業開発株式会社帝国鉱業開発株式会社法に基きまして、昭和十四年設立されました。同社目的重要鉱物増産鉱業及び製錬業の整備とを図ることにありまして創立当初の資本金三千万円中一千五百万円は政府出資であります。同社政府による強力な監督助成の下に、漸次事業を拡大しまして、資本金も一億一千五百万円に増加いたしましたが、終戰により同社の使命も一応終了いたし、一方戰時補償特別措置法の施行に伴いまして特別損失額が約七億円に達し、特別経理会社となりましたので、目下第二会社を設立いたしまして解散することを内容とする再建整備計画提出中であります。  従いまして帝国鉱業開発株式会社法につきましても、再建整備計画が認可され同社が解散いたしました後におきまして、廃止法案提出する予定でありますが、当面の財政收入確保を図るため政府所有株式を至急処分する必要がありますので、取敢えず政府出資義務規定等資本金に関する同法第三條を削除して、政府所有株式を換価処分し得る道を開くためこの法律案を提案いたす次第であります。  何とぞ愼重御審議の上可決されんことを希望いたします。  次は「日本製鉄株式会社法の一部を改正する法律案」について御説明いたします。本改正案日本製鉄株式会社に対する政府出資義務規定した第五條を削除するごとによつて、現在政府の保有する株式を民間に放出して財政收入増加を図らんとするものであります。  日鉄法は前大戰後より昭和初年にかけての不況時代官営八幡製鉄所を中核とする企業集中を行うことによつてこれを打開すべく成立したものでありまして、爾来日本鉄鋼業の中に圧倒的な比重を占める日鉄国策会社として運営して参つたのであります。併しながら日鉄過度経済力集中排除法の適用を受けまして、近く二社に分離することとなつて居り、その際は日鉄法自体廃止すべきでありますが、現在銑鉄の八割、鋼材の四割近くを生産する日鉄を直ちに放任すれば、種々独占的な弊害を生ずる虞れもあり、分離するまでは日鉄法存続の必要があるのであります。  一方に於て財政收入増加は急を要するため今回第五條のみを削除することとしたのであります。第五條は本来監督のために設けられたものではなく官営八幡製鉄所資産確保せんとしたものであつて、それを削除しても独占的な弊害の防止のためには何ら支障は来さないものであります。又株式市場の圧迫を来さないよう適当に放出して行く方針であります。  以上五法案何とぞ愼重御審議の上御協賛を頂きたくお願い申上げる次第であります。
  10. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) お諮りいたします。只今政府側から説明がありました五法案審議参議院先議で、本委員会に付託になつておるのでありますが、資料調査等もあろうかと思いますので質疑は次回に延ばしたいと思いますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) 御異議ないと認めましてさよう決定いたします。  それでは先程に引続きまして企業局長説明を承わることにします。
  12. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 先程電力石炭のお話を申上げましたのですが、電力につきましてはちよつと数字を申上げることを忘れておりましたので申上げますが、合わせまして三千百億ばかり再評価になりますが、それによります償却増加年間にいたしまして二百十億くらいになります。そうして再評価税は六%と計算いたしまして百八十九億、約百九十億円でありますので、初年度はこれの約半分九十五億程度支拂うということになりますので、先程ちよつと申上げましたように二百十億の償却増になりますので、この中から初年度或いは二年度、三年度支拂うということは十分可能だということになりますので先程申上げましたように、電力料金改訂だけが問題になります。併し若し料金改訂がこの通りに参りません場合には、当然再評価も大体それに応じた額だけ減らさざるを得ないということになる。尚不動産税は一応示されておる案によりますと、五十六億ぐらい年間拂うことになります。これは毎年拂つて行くということになります。  次に金属工業について御説明し上げますが、これもいろいろ会社の数が多いのではつきりしたことは分りませんが、大きなところ大会社についてこれを見ますと、大体十五倍から四十倍くらいの間の再評価になります。これらの会社につきましては、例の銅の補給金が最近撤廃になりまして、それ以後非常に荷もたれの状況もありますので、マル公を割つておるというような状況がございますので、非常に益状況が現在よろしくございませんので、再評価いたしましても、その減価償却もあまりできないという状況でございますし、況して再評価税を納めるというようなことは非常に困難で、どれくらいできるかということは、個々の会社によつて非常に事情が違いますので一概に申上げ兼ねるのでありますが、概括的に申しますと、約十倍ぐらいの再評価最大限度であろう。先程申しましたように十五倍乃至四十倍という程度の一応の再評価限度に対しまして、せいぜい十倍以下になるだろうというような見通しであります。ただ同じ金属工業につきましても、割合に業績のいいところもございまして、中には相当限度に近いという再評価も可能だという会社も一二あるようであります。尚中小鉱業につきましてはよく詳しくまだ調べてありませんが、売鉱の鉱山については、殆ど再評価自身が困難であるという状況のように見受けられます。  その次に鉄鋼業でございますが、これは先ず日鉄について申しますと、近い将来稼働の見込がないというものを除きまして、再評価をいたしましても約五十四倍になります。それから鋼管につきましては、これは現在相当操業度もよろしうございますので、全体のものを一応再評価するといたしますると、三十六倍程度という計算になつて参ります。これが鉄鋼業につきましては御承知のように、順次補給金を撤廃して行くという問題もございまして、現存マル公はございまするが、こうした原価計算要素値上りマル公に若し吸収して行く、従つてマル公の値段を上げて行くということにいたしましても、現在の物価の需給の状態、殊に一般的な金詰りというような点から行きまして、それに市場価格が追いついて行くということは非常に困難でございますので、これは価格の問題をどう処置いたしましても、多額に吸収することができないと思われまするので、鉄工業につきましてはシヤウプ勧告通りのああいう建前で参りますれば、少いところは二、三倍或いは多くては五、六倍とか十倍程度の再評価しかできないだろうということになると思います。この再評価を若しいたしました場合に、マル公を上げるという方向だけ考えました場合に、どの程度値上りになるかちよつとこれはなかなか、まだ計算ができておりませんから、或いは数字間違つているかもしれませんが、トンあたり五千円程度の値上けが必要じやないか、トンあたり五千円の値上りが可能であるならば、或いは再評価が、これを実行できるだろうというふうに考えでおります。この五千円という数字は余り正確でございませんので、或る程度誤差があるとも思いまするが、大体そのくらいに近いあたりが必要であろう。そういたしますと現在の市場価格を考え、今後補給金が外れて行くということを考えますと、かような価格市場価格に附け加えるということは、到底実行不可能と思いますので、従つてああしたやり方で参りますと、再評価は非常に小規模にしかやりえないというふうに考えられます。  その次は石油精製業でございますが、これは企業によりまして少し違いまして、大体十五倍から二十倍ぐらいの再評価になるものと、四十倍から五十倍ぐらいになるものと二つに分け得るような感じがいたします。現在は御承知のように非常に稼働率があつて、平均して十倍程度稼働率かとも思いますが、御承知のように今後太平洋岸工場が再開されるという目安がついておりますので、今後そうした関係で可働率が上昇して参り、収益状況も改善はされると思いまするが、外の條件が変りませんければ、或る程度収益が上り再評価ということも考えられると思いまするが、今度太平洋岸工場を再評価した後その各社間の競争、特に外国製品との競争といいことも考えますと、それが今後收益状況がどういうことになるか、特に外国製品との競争という問題がございますので、果してどの程度収益状況になるか、現在各社としても見通しがついておらんようでございます。各企業希望としては、もう一年くらい待つてから再評価をやりたいというのが、各社希望のようでございまするが、従つて今後の收益税がはつきりいたしませんと、どの程度の再評価が可能かという点がちよつと不明なような状況でございます。各社としてもどのくらいやればいいか、今のところ見当が分からんということを申しているような状況でございます。  それから化学肥料でございまするが、これは再評価倍率は五倍乃至十倍ぐらいでございます。これも割合倍率としては低い方でございまして、これも御承知のように石炭等に次いで戦後相当の復旧なり補修なりをやつておりますので、割合倍率の低い産業でございます。それで減価償却増加と、固定資産税附加価値税というものを今度の案によりまして織り込みました。これは価格にそれを被せるといたしますと、硫安が現在の価格をべースにいたしまして、約一八%、それから石灰窒素については、一三%化燐酸石灰については四%乃至五%という程度の一応の値上りに相成ると思います。肥料につきましては、これは御承知のように価格はまだ統制しております。併し消費者価格を下げませために、価格調整金を出しているのでありますが、現在この程度値上げということは、一応吸収は可能ではないかと思われますが、これはいろいろ米価の問題その他の問題からいたしまして、物価政策士問題が残つておりますが、その物価政策としてこの値上りをいかに処置するかという問題にこの再評価はかかつていると思います。物価の方でこれの値上げを認めるということであれば、この程度値上げをいたしますれば、これは十分吸収力があると考えられますので、シヤウプ勧告に従つたような再評価が、一応可能であるというふうに考えております。  それからその次はその他の化学工業でございますが、これはいろいろ業体が種々でございますので、需要は異なりますが、大体一〇%から四〇%の再評価ということは想像しております。このうち大きなものといたしましては、ソーダ工業はこれは現在価格調整金を出しておつて、特に価格を安くしておるものでございますが、これが国際的な価格から申しましてもまだ相当割高でございますし、今後この調整金を削減して参ります状況もございますので、これも今後の見通しとして、なかなか経営の収支が困難な事業だと思います。それから染料は相当大きな化学工業の部門を示しますが、これは御承知のように現在滞貨ができております。これは繊維製品の輸出等の関係がございますから、相当の滞貨で困つております。現状におきましては再評価の余地が非常に少ないということで、これは相当、化学工業につきましては原則としてはできるだけ小さな、僅かな再評価に止めたいというのが各社希望でございます。どの程度かということは、まちまちでありまして概括的には申上げにくいような状況であります。  その次はガス事業でございまして、これは倍率も二十倍から三十倍ぐらいに該当いたします。ガス事業につきましては、現在のコークスでありますとか、タールというようなものはむしろ余つております。市場価格が低下して、現在マル公に比べまして、低下の傾向でございます。併し今後もさような状況が続くような現在の見通しでございますので、ガス自体は料金通りございますが、副産物たるコークスが相当値下りをいたしますと、ガス会社としては採算がとりにくいということになると存じます。現在は大体平均いたしますと五〇%程度の操業で、これは今後石炭の自由になつたという点から申しまして、ガスの需給の方面から申しますとい更に操業度を上げる余地はあると思いますが、先程申しましたように、コークスが非常な値下りをしで参りますと、会社として採算み合わないという問題が生じます。それでこの資産の再評価を一応織込みますと、ガス料金を今の二〇%ぐらいは少なくとも上げなければならんということになると思います。  その次は機械工業でございますが、これは業種業体が異なつておりまして非常にまちまちでございますが、これは二十倍から五十倍までの再評価ということになつております。これはいろいろ設備が非常に過重であるとか、操業度が悪いというような状況でございまするので、会社によりましていろいろ事情は異なりますが、非常に收益が現在も思わしくございませんし、将来にいたしましてもそう近い将来に好転するという見通しもはつきりいたしませんので、これの再評価は非常に困難である。大企業で、相当業績がいいと思われる会社につきましても最大限度シヤウプ勧告案の半分、五〇%、これが最高だというふうに考えております。  それからその次は繊維工業でございますが、これは主として綿紡化繊について調査をしておるのでございますが、これが大体十倍から二十倍ぐらいの再評価ということになります。これらの綿紡化繊につきましては、他の業種と大分事情は異なりまして、業界の方ではシヤウプ勧告通りに一応再評価をいたしましても、実際の現在の再取得価格から逆に減価償却をするという観点から、現在再取得価格は非常に低過ぎる、三〇%ぐらいにしかならないじやないかというお話をしておりましたが、或る程度あの勧告案以上の再評価をやらなければ企業の自立性は困難である。そうした面が他の業種と比べますと異なりまして、弾力性を持たして貰いたいという希望があるようでございます。これらの業種につきましても輸出の関係が最近になつて悪くなつておりまして、今後の見通しがどうなるかによりまして、必ずしも一概にこうした綿紡化繊等は楽に再評価ができるというふうには考えられませんが、今後いろいろ通商協定その他によりまして、或る程度繊維類の輸出が可能であるということによりまして、大体シヤウプ勧告の、少なくともあの程度の再評価はしたいという希望でございますし、又し得るだろうというふうに考えております。ただこれらの企業につきましても、初年度に三%納めます再評価税につきましては、一時に納めることは、非常に今資金が窮屈でございまして、個々の企業につきましても、いろいろ輸入代金、棉花の輸入代金でありますとか、そうした面で非常に運転資金がかさんでおりますので、それを一挙に拂うということは非常に困難で、その点は何とか調整をして貰いたいという希望がございまして、その税金の納期を或る程度調整すれば、これらの大きな繊維産業につきましては、シヤウプ勧告通りの再評価ということは、大体実施が可能であろうと考えております。  その他各業種が沢山あるわけでございまするが、それらにつきましては、まだ詳しく一々各業種としてしらべておりませんので、今日はつきりしたことを実は申上げ兼ねるわけでございますが、次にお手許にお配りしてある、非常に見にくくて恐縮なんでございますが、一応調べましたものを簡単に御説明いたしたいと思います。ここに一番初めに、僅かのあれでございますか、会社の具体的な数字に当りまして、今度の税制と従来のあれとどういう関係になるか、その会社の今後の利益が一体どうなるかということを調べたものでございますが、これはこれらの企業の最近の事業年度の損益計算と申しますか、その事業内容を対象にいたしまして、それにつきまして、現行税法或いは今度の税法と、減価償却であるとかいうことの比較をいたしたわけであります。そうした場合に、簡單に申しますと、今後シヤウプ勧告通り参りまして、再評価税を納めますと、ここにある会社が全部マイナスになつてしまうという結論になりますが、程度その他につきましては、個々の事業によつて異なる点がございます。会社につきまして、業種は初めのところに書いてございますが、会社名は、各企業が名前を出されることをなにしておりますので、一応具体的な名前は出さないことにしておりますが、大体相当大きな会社、主として一流の会社が大部分でございます。非常にお分りにくいかと思いますが、一つ御説明申上げます。  一番初めは鉱山、これは大きな鉱山会社でございますが、現在の固定資本が五十五億七千五百万円、これを再評価いたしますと二千三百八十六万五千円になる。従つてその再評価の税率は、この山につきましては四・三倍である。その次の再評価税額、これが二億七千四百万円再評価税を納めなければならんということになると思います。それから次の欄は、税金及び減価償却額、上欄は現行、下欄は勧告案によると、こういうことになつておりまして、初めの減価償却額は、このA会社につきまして、従来減価償却額は一億九百万円であるのが、今度の案によると四億六千八百万円、その次の地租家屋税、これは現行であります。下の方が今度の不動産税でありますが、現在の地租家屋税としては七百五十万円しか納めていないものが、今度の税法によると二億八百万円納めなければならないということになるわけであります。その次が取引高税に附加価値税、これが取引高税が七百九十万円、附加価値税で申しますと二億三千六百万円、尚事業税がございますが、事業税は御承知のように收益課税でございますので、利益の欄に別にしてございます。今度の附加価値税は、收益に課けるのではございませんで、御承知通り概計標準で課けますので、利益のあるなしに拘わらず取られるということで、取引高税を一応比較をしたわけでございます。その他の税、これは従来八千万円であつたのが、六千八百万円ということに減つておりますが、その他の税というのはいろいろあります。殊に山につきましては、鉱産税を一応載せております。事業税は今課かつておりませんので、山につきましては一応その程度になつております。その次が法人税でございますが、これは従来は、二千四百万円拂つておつた。今度は、この会社はこの通りで参りますとマイナスになるから、ゼロになつております。その点はあとの利益のところで御説明申上げます。それから税金の合計が、今までのところで参りますと、この会社は現行法では一億二千万円が、五億一千五百万円の税金を納めなければならんということになります。その次の欄が、税金と、それからLと書いてありまして、七番目くらいにあります減価償却でございますが、減価償却というものは今度認められますから、当然今度利益を出す前に償却すべきでございますので、一応税金を拂い、償却をするということにした場合に、その税金と償却額の総体がどう違うかということを次の欄に入れたわけでございますが、旧来でありますと、全部で二億二千万円でございましたのが、それが今度は九億八千四百万円の負担ということに相成って参るわけでございます。その次の欄が抜けておりますが、その他の税を入れた金額でございます。  そういたしますと、その次にはこの会社の粗利益と書いてございますが、これは税金と償却前の利益、この会社としては、従来は二億七千三百万円の一応損益計算上の利益があつて、この中から税金を拂い、償却をしておつたわけでございますが、粗利益の中から減価償却だけを一応控除いたしますと、従来の減価償却は少なかつた関係で、一億六千四百万円の利益、今度はまあ減価償却を控除しますと、すでにここのところで一億九千五百万円のマイナスになる。それから税金を支拂う場合には、従来は減価償却をし税金を支拂つても、四千三百万円の利益があつたにも拘わらず、今度は規定通り償却をし、税金を拂つて参りますと七億一千万円の損になる。その次の欄が再評価税支拂うという場合で、この再評価税計算は全部半期計算でございますので、この再評価税初年度の一応三%でございますが、それの半分ということで計算をしておりますが、それを若し再評価税を強制して拂うということになるとい九億八千五百万円のマイナスになつてしまうということでございます。  その次の欄が、減価償却増加はどのくらいになつているか、四・三倍になつている。税金で行きますと四・三倍。初め申しました四・三倍は、再評価税を除いて、税金が幾らになるかというと四・三倍である。それから、若し再評価税を納めるという前提で見ると、六・五倍になる。減価償却及び税金の増加率、減価償却増加と税金の増を加重平均したものでございますが、これが四・三倍というようなことで、この表を作つたわけでございますが、このあと外の各所につきましても同じような計算でいたしましたのでありますが、おしまいから六番目の税金支拂後の利益、これ再評価税支拂う前の利益でございまするが、それで御覧願いますと、ずつと皆マイナスで、実は鉱山の二番目にあるところのものが約八百万円利益が出ておりますが、それ以外は全部相当の数のマイナスになつてしまう。従つて評価を文字通り強制して実行いたしましたとすると、あの決められた償却をやる限り、再評価税を拂わないでも、大きな各業種についての大部分の有力会社でさえ、全部マイナスになつてしまうという結果になるわけでございます。  その次の欄の再評価税を拂うということにいたしますと、相当大きな金額、大体億台の金額が年期で欠損になるという数字が出ておるわけでございます。  かような数字になりますので、これは一応各業種につきまして、相当有力な、悪い会社は入つておりませんので、まあ今のところ業種の代表といいますか、とに角相当有力会社ということで拾いましても、かようなことであの案通り税制が実施ざれるということになると、到底会社の経理は成り立つて行かん、かようなことになつて参ります。こうした方面をもつと業種も広く、会社も多くとると、もつとはつきりした結論が出ると思います。例えばこうした調査を広くやろうと思いますが、現在お示しする程度に分つておりますのはこの程度でございます。従つてシヤウプ勧告に定められておじますような再評価は、我々としては到底実行不可能であるというふうに考えております。結局先程ちよつと申上げましたように電力とか、或いは肥料とか、十分公定価格がありまして、織込んで、而もそれで売れるという産業につきましては、物価政策の面で価格改訂をやつて行けばあの評価も原則としてできると思います。これにはございませんが、中には特殊な業種がありまして、現在相当利益がありまして、超過所得を相当収めておるという会社が実はないわけではないのでして、これらについてはシヤウプ勧告はむしろ償却が非常に殖える関係で有利になりますので、これは問題なくできますが、そうした会社は我々の方の関係で申しましても、基礎産業には殆んどないということで、基礎産業の面から見ますと、先程も申しましたように、ここに業種が上つておりますが、基礎産業だけのものにつきましては、殆んどシャウプ勧告というものは実行不可能である、それをやれば会社の経理が破綻せざるを得ないという結果になつておるわけであります。今までの概況の御説明は、一応今資料がございますので以上の通りでありますが、若しお許しを願えれば、これに対して通産省は一体どういうことを考えておるかということを附加えさして頂きたいと思いますが、宜しうございますか。
  13. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) どうぞ……。
  14. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) かようなことになりますので、通産省としましてはシヤウプ勧告につきまして、大体こうして貰いたいという要望を取纏めまして、実は今日も大蔵省と打合せをやつておりますが、関係各省と打合せをしたいということで、今考えております案を申上げますと、これは一応通産省としては、天体御了解を上層部にも得ておる案でございまするが、いろいろ勧告案もございますし、関係各省のあれもございますので、いろいろ今後そうい方ところと打合せで尚訂正する、或いは尚業界の更に具体的な御意見を承わりまして更にこれを直して行くということを考えておりますが、一応今まで考えとして纏めた点を申上げて見たいと思います。  この再評価の問題を中心にしてこの度の勧告案に対する考え方でございますが、今まで我々が当初いろいろ業界の方に接触しておつて、それによつて受けます感じから申しますと、とに角強制であるということと、それから六%の税が課かるという点から申しまして、できるだけ小さく評価をしたいという御希望相当強いようであります。成るべく倍率を少くして貰つて、そうして再評価は成るべく最小限度に止めたいという御希望が業界に強いようであります。再評価自体は非常に結構なことで、将来の産業の発展をこの際考え、実態をいろいろ考えるならば、現在できるだけ再評価はむしろやるべきである。再評価をやつてその結果企業に非常な無理がかかるという点があるので、その無理のかかる点の方を何とかして除去しで、再評価はむしろ現状に即して、実情以上の再評価ということは到底許されないのであります。成るべく現在の実態に鑑みて、適切な再評価は、むしろやるべきである、かような考え方をいたしておるわけでございます。それで一番問題になりますのは結局税の問題でありまして、六%の税が非常に今申上げましたように、資料から申しましても負担になつておるということからいたしまして、或いはできますればこれを無税にして貰いたい、或いはそうでなくても税率を下げて貰いたいという点を考えております。シヤウプ勧告案を見ましても六%課税した理由につきましては、理論的に必ずしも課税すべきものではないけれども、従来の譲渡所得との均衡論、或いは金銭債権との均衡論からも、何らかの措置をしないと非常に不均衡になるというのが根拠のようであります。六%に決めました場合には、この課税によりまして、資産の再評価の場合に過大評価になる点を妨ぐという目的が一つと、それから企業負担し得る限度という二点から六%に決めたのだというふうに書いてあるようでございますが、今御説明申上げましたように、大部分の企業については、この六%の過大評価は勿論これによつて抑制されておりますが、企業が耐え得る負担範囲内であるということは、まさにその通りでありますが、かような税の負担ということは、非常に企業基礎を破壊するというふうに考えられますので、若しそうした観点から六%に決まつたのならば、企業の実体に即応するように、これを半分くらい、或いは更に低くというように実は下げて貰いたいという希望が一点であります。併しこの点は、六%ということは税収入の関係もございますし、それが若しなかなか困難な場合には、その六%の課税絶対額は止むを得ないといたしましても、納期をもつと調整して貰いたい。例えば個人につきましては、御承知のように、毎年償却が殖えます額の六%を納めて行くというようになつておりますので、法人との間に非常に税の徴収方法に差異がございまして、実質的には相当不均衡になつておるのじやないかというふうに考えられます。個人の場合でございますと、償却の殖える場合の六%ということで、それ程大きな負担にはなりませんが、三年間に取つてしまうということで、非常に負担が重いということから、個人なみの六%にして貰いたい、或いはこの三年を十年とか或いは十五年とか相当長期にして貰いたいというようなことが考えられるわけでありますが、もう一つこれは大蔵省ともお話をし、大蔵省も或る程度この点は考慮できはしないかという案がもう一つございます。これは現在の税法で行きます場合よりも、法人税につきましては、今度の勧告案の方が少くとも税は重くはならない。むしろ絶対額が少くなる。と申しますのは、償却が当然予定通り認められます。それは利益よりも先取りしますから、利益は少くなる。従つて、前は利益として三五%課税されておつたが、今度の税法で行きますと、償却が余計に取られて、従つてその分は利益が今までのものが出なくなる。従つて、拂う絶対額は少くなるということになります。再評価をいたしまして、償却が余計認められる。従つて従来ならば、少くとも三五%課税されておつたものが課税されないという範囲内において再評価税を拂う。従来の税法と今度の税法とでは、法人税が軽減されておる金額限度にして、その範囲内で、毎年六%に達するまで納める。そうしてシヤウプ勧告案によりましても、五年後に特別資本の最終的の措置をするということになつておりますので、その際残額を納めるということにいたしますれば、現在の税法下におけるよりも、少くとも損になるところはない。例えば利益のない会社につきましては、当然五年間は再評価税は少くとも納めないでいいということになりまして、現在より負担は重くならない。その後で再評価税を納めるということになつて、現在会社の経理が苦しいところは、先きに延ばす。先きに至りまして、特別資本を増資に振り替えるときにおきまして実際拂込みをする株を割当てるというようにいたしまして、收入を挙げて税を納めるというようにするならば、無理がないのじやないかということで、この案につきましては、或る程度大蔵省も考慮して貰えるようでありますので、少くともこの程度の案で考えて貰いたいというように考えております。  もう一つ、強制するかしないかという問題がございます。シヤウプ勧告案は、強制しろということになつておりますので、これを任意にするかどうかということが一つあります。今申上げましたような点を合せて、そうしてその範囲内で任意にするという案が一つあるわけであります。若し任意にできないということでありますれば、先程申上げましたように、業種によつて非常に違いますので強制であるならば、業種ごとに現実に即した、大体平均のところで強制をして貰いたい。シヤウプ勧告案に対しまして、あれが一〇〇%といたしまして、或る業種については非常に操業度が悪く、現在の收入状況も全体的に見て悪いというようなところから、再評価をする場合に或る程度その業種に、とにかく実行可能な程度に下げて、いわゆる例えば五十%、三十%とかいうところを最低ラインにして強制をして貰う、それ以上はシヤウプ勧告案のところまでは企業の自由に任すというようにして貰いたい。若しそういたしませんと、現に機械工業等で航空機の生産をやつておつだというようなところは、工場は完全に休んでおつて、機械はあるけれども動いておらんという工場がありますが、現在稼働しておる工場と同一の標準で再評価するということになりまして、これはむしろ実体から言つて、水ぶくれの評価になる虞れがある、現実の状況にマツチした範囲において再評価をやつたらどうか。そうすると、その負担というものも、それ程不合理なことにならんだろうし一その点を最少限度として強制をして貰いたいというふうに考えております。  ただ、もう一つ問題になりますのは、現在非常に操業度が悪くて、さようなことで非常に再評価の額が小さいし、三年なり、五年後において、その業種が非常に伸びて、生産も向上し、企業の操業度がよくなつた場合に、やはり非常に不合理な償却しか認められないというような結果になりますので、その点をどうするかという問題が一点あるわけでありますが、我々の希望としましては、そうした最終的に処理するような機会に、もう一度再評価という問題を再検討して、その間に調整をして貰いたい。現在、将来の見通しを付けるということは非常に困難な状況にございます。併し将来五年後の特別積立金を最終処理をいたしますが、そうした時期に、もう一度業種で非常に再評価の現在できなかつたところについては、もう一度その際再評価の問題を再検討するというようにして頂きたいという希望でございます。  それからもう一点、公定価格関係して、先程御説明ちよつと申上げましたように、我々としては、公定価格改訂のできるものについては、これと関連してやつて貰いたいという希望でございます。  もう一つ問題になりますのは、今度、案によりますと、非常に償却が大幅に認められることになつたわけでございますが、これを強制するかしないかも問題であります。強制をしますと、先程の表にもございますように、強制をいたしますと、殆んどマイナスになつてしまうというような結果になるのでありますが、現状から申しますと、相当償却が、十倍とか、二十倍とか、急激に殖えるし、実体資本の維持というところから申しますと、償却をしてから利益を出し、配当をすべきだということは、理論的に正しいのでありますが、現状といたしましては、さようなことを若し強制いたしますと、それで或る程度の再評価を実施いたしますと、配当はできないとか、或いは配当をやつておる会社も無配にしなければならんというようなことに相成ると思いますので、理論的には、まさに償却は強制すべきものでありますが、差当り、ここ数年間は強制をしないで貰いたい、強制をしないからといつて企業の自由に任せても、企業としても、そう無茶な配当をやるということは考えないだろう。従つてこの点は、差当りのところは、強制をしないで貰いたい。殊にいろいろ資金需要が、最近の金融政策で、自己資金で賄えという方向が強いから、配当をしないで増資をするということは、考えられないので、そういう資金調達の面から申しましても、或る程度会社に配当をさすということは、現在金利も相当高い現状でございますので、そういう強制までしなくてもいいのじやないかということから、強制は少くとも、ここ数年間は強制をしないで貰いたいというような考え方をいたしております。  以上甚だ雑駁で恐縮でございましたが、一言御説明いたしました。
  15. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) 御質疑がございましたら……。
  16. 平岡市三

    ○平岡市三君 ちよつとここの表に揚げた倍率、それから先刻局長から説明なつた再評価倍率がもつと余計なものだと思つておつたのでございますが、割合に少いように考えられるのでございますが、これは再評価倍率は、結局取得原価の財産の取得当時の物価指数をですね、物価指数で、本年の七月一日の物価指数を割つた物価値上り率を残存価格に掛ける、こういうふうなことになつておるのですが、結局今の、本年の七月一日の物価指数を、資産を取得したときの物価指数で割つたものが倍率になるのだろうと思いますが、そうすると非常にこの倍率が大きくなると思うのですが、出し方はどうしたらよいのでしよう。
  17. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) その点は、私詳しくは存じませんが、こういうことになつておるわけでございます。取得時の価格、そのときの指数と、今度の七月の指数のあれを掛けるわけでありますが、法定償却を見込んでおるわけでございます。従つて相当年限が経ちましたものは、それだけ当然十年償却のものは、十年経つておると、一割しきや残つておらんという計算をしておるわけであります。従つて耐用年数が余りないものにつきましては、現在相当資産があつても、再評価をした場合は、相当少く出る。紡績なんか、先程ちよつと申しましたように、再取得価格から逆算して、機械なり、なんかの再取得価格から計算したものの三十何パーセントにしか当らないということを言つておる。併し、その間に、いろいろ補修したりして、現在あるに拘わらず、年数が経過しておるということで、償却を法定償却で見て参りますと、殆んど償却済みの資産が多い、残余に一割しか残つておらんという資産相当あるわけであります。倍率が少くなるのですが、実際はまだ今後相当使える資産というものがあるわけであります。紡績が言うように、一〇〇%やるということにしても、実質的に三〇%しかない、こう言つておられる、そういう理由がここに、こういうふうに出て来るだろうというふうに考えております。これは私の方で全部計算いたしませんで、各企業で、シヤウプ勧告案に従いまして、計算をして貰つたのを詳しく検討しておりませんから、その点は余力正確なことは申上げられませんが、ここに掲げております倍率、或いは先程も申しました倍率は、大体業者が計算をして、ここにやつておられるわけでありますが、それくらいになるということを言つておられますから、そう大きな差はないと思つております。
  18. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) この際お諮りいたします。当委員会とじて税制関係調査を執行するごとについて、会議運営の上からいつて調査承認を取つて置くことが、便宜かと思うのでありますが、一つ御意見を承わりたいと思います。
  19. 玉置吉之丞

    ○玉置吉之丞君 これは只今通産省の方から御説明のあつた通り相当産業界に及ぼす影響の多いところであると思いますので、即ち御説明なつ資産の再評価の問題並びに、今度の地方税制の改正によりまして、これらのものが皆地方税の対象になる。やり方によると企業の致命傷にもなるような点が多々あろうと思うのであります。そういうことを考えまして、通産委員会としては、これを取上げて相当検討を加え、調査をしたいと思いますので、そういうふうな運びに一つ進めて頂きたいと希望いたします。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) それでは手続き等については委員長に御一任願えますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) ではちよつとこの案を持つておりますので、専門委員の方から案をお諮りします。
  22. 山本友太郎

    ○専門員(山本友太郎君) 承認を要求いたします書類といたしまして、試案を作つておりますので、一応朗読させて頂きます。    税制改正と産業振興対策に関する調査承認要求書  一、事件の名称 税制改革産業振興対策に関する調査  一、調査目的 今回の税制改革我が国産業に及ぼす影響は極めて重大であり、特に固定費算の再評価並に附加価値税、固定資算税等一連の産業課税については、その実施に当つて、愼重なる考慮を要し、その運用に際して、万全の措置を講ずべきであるかかる観点より、單に課税主体の立場からでなく、産業振興の立場より、当該税制が実施された際の我が国産業、就中、商工業に及ぼす影響を検討、調査し、以て税体系と企業自立の合理的調整を図る。  一、利益 税体系の合理的運用により、我が国産業、特に商工業分野の企業活動を促進せしめると共に、財政の健全化に寄與する。  一、方法 関係資料を蒐集し、政府及び産業団体、並びに金融機関或いは、各企業よりそれぞれの実情を聽取し、且つ必要に応じて実地調査を行う。  一、期間 今期国会開会中。   以上であります。
  23. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) 大体この程度の案で手続をいたしますから御承知を願います。  尚電力問題に関する調査承認の要求書を提出したらどうかというような意向もあるのでございますが、この点如何でございましよう。
  24. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 電力問題について、この前打合会で委員長から、特別委員会設置の議をお諮りに相成りまして、ある事情によつてその後進展をいたしておりませんけれども、非常に只今のところ重要な問題が山積しておりますので、相成るべくは正規の手続を経て本委員会調査研究のできまするように適当にお取運びを頂きたいと私は思います。その内容を申しますならば、例えば今年の冬も相当問題にはなるわけでありますが、当面の電力の需給計画、或いはその計画に基く運用の調査の問題、更には電源開発の問題、或いは電力関係資産の再評価の問題、或いは電力料金の問題、更には通産省で愈々具体的に著手されましたところの電力の再編成、機構の再編成の問題、こういうような非常に広汎な、而も急を要する問題が山積いたしておりますので、是非ともそういう工合にお取運びを頂きたい、こういうようにお願いをいたしておきます。そうして賛成をいたしたいと思います。
  25. 玉置吉之丞

    ○玉置吉之丞君 栗山君の動議に賛成いたします。
  26. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) 動議は成立いたしましたから如何でしよう、これも調査承認要求してよろしうございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) 御異議ないと認めまして、さように手続きいたします。本案を朗読いたします。
  28. 林誠一

    ○専門員(林誠一君) 非常に粗雑なんでありますが、一応朗読いたします。    電力問題に関する調査承認要求書   一、事件の名称電力問題に関する調査。   一、調査目的現下の電力に関する諸問題及び今後の在り方につきて調査研究する。   一、利益「電力事情の安定化を図り、産業の復興及び民生の安定に寄與する。   一、方法 政府、電気事業者及び一般消費者より説明及び意見を聴取し、資料を要求し、必要に応じて実地調査を行う。   一、期間 今期国会開会中大体そういうものであります。
  29. 中川以良

    ○中川以良君 政府委員の方にお尋ねしたい。只今の御説明で再評価の問題非常に御熱心に御当局で御研究を頂いた点は非常に多といたしますが、いずれこれも御研究願つたと思いますが、附加価値税に対して大体どういう御見解をお持ちでありましようか、例えば御研究ができておるとすれば、大体のアウトラインだけでも承われば結構だと思います。これも各業種によつて非常に不均衡だろうと思います。
  30. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 実は地方税についても非常に問題がありまして、殊に附加価値税についてはなかなか外に例がないという話も聞いておりまして、殊にシヤウプ勧告にありますような方法は業種によつて相当負担が均衡を得ないと言いますか、バランスが狂つて来るという点が一つと、あの方式は非常に煩雑でありまして、殊に中小企業者がああいう方式で税を納めるということにおいては、帳簿を正確に附けておかない限りその点が非常にはつきりしないということ、そういうふうに技術的な問題もありまして、我々の方で研究いたしておりまして成案は得ておりませんが、一応の考え方としては第一は、業種間の非常なアンバランスという点、殊に附加価値税の主要部分を占めるのは労務費でありまして、この労務費が多いところは負担が非常に多いということになりますと、勢い賃金の問題はどうなるかということにもなつて来ますが、その点を業種的に差等を附けるといいますか、何かあれを附けたらという点が点、もう一つは業種といたしまして総収入から総支出を引くようになつ計算方式を止めて、もつと簡単に附加価値の代表となるべき課税対象を積極的に拾つてつて、それに対して一定率の課税をして行くというようなことになれば、税務当局から申しましても或いは納税者から申しましても、非常に簡素化されるというような一応二点を考えております。  尚附価値税に関連して鉱業については鉱山税との関係があるわけであります。これを附加価値税との関係をどうするかということでありますが、我々の方としては従来の程度の鉱山税一本にして、附加価値税は止めて貰いたいということで話しておりますが、自治庁の意見としては、事務的には自治庁もそれを認めるようなことになつております。全般的としてはどの程度の案ということは目下研究中であります。
  31. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) 速記を止めて……。    〔速記中止
  32. 小畑哲夫

    委員長小畑哲夫君) 速記を始めて……。これにて委員会は散会いたします。    午後三時九分散会  出席者は左の通り。    委員長     小畑 哲夫君    理事            島   清君            廣瀬與兵衞君            玉置吉之丞君    委員            栗山 良夫君            平岡 市三君            中川 以良君            小杉 繁安君            阿竹齋次郎君            鎌田 逸郎君            宿谷 榮一君            駒井 藤平君            兼岩 傳一君   政府委員    通商産業政務次    官       宮幡  靖君    通商産業事務官    (通商企業局    長)      石原 武夫君    常任委員会專門    員       山本友太郎君            林  誠一君